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「阿佐ヶ谷のみどりを守るには」Part1 学習会(前)


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2025.9.15都市計画塾Special「阿佐ヶ谷のみどりを守るには」Part1学習会「みどりを守る制度と取組み」の動画・資料・受講レポートをお届けします。

 

 

前編は杉並区のみどりの実態調査と、欅屋敷の失われた屋敷林について。そして「みどりを守る」制度について。後編は大好評のゲスト講師:自然環境調査員の田中耕太郎さんのお話です。

 

その前に、今回は「前座」がつきます。[阿佐ヶ谷の原風景を守るまちづくり協議会]メンバーのイケガミアツコによる朗読です。
クリストファー・アレキザンダー『パタンランゲージ』(1984鹿島出版会)。都市計画塾でもたびたび名前が上がる、1970年代アメリカの都市計画のバイブルです。当会の杉並区への意見書にも『パタンランゲージ』を読め、と書いてますね(杉並区の図書館には蔵書ない)。
短い章ごとに街や家・建物を形作るパタン(構成要素)が取り上げられており、各パタンがネットワーク的に連続していきます。
その中の「171:木のある場所」。樹木は貴重であり、元のまま保存する努力をすること、に始まり、人は樹木を必要としていることを解説。建物は樹木に応じて作る、樹木が生活空間を形成すればそれは自然に育っていく、と結ばれます。

ほんとに、このような考え方でまちづくりも、建設も行っていれば、杉並区のみどりが激減して樹冠被覆率減少ワースト、なんてことにはならないのですが…
杉並区は『パタンランゲージ』を読むべき。

 

本編です。

最初の講義は松尾ゆり区議による、阿佐ヶ谷のみどりの現状について。

杉並区の樹冠被覆率の減少は23区でワースト、という報道がされて衝撃が走りましたが、その中でも阿佐ヶ谷はどうなのでしょうか。

 

 

最初にデータとして、「平成29年(2017年)度杉並区みどりの実態調査・樹木調査」をみていきます。

https://www.city.suginami.tokyo.jp/documents/6171/midorizittai29-05.pdf


14地区分類だと、阿佐ヶ谷はなんと、1.42%!平均4.32%なので、阿佐ヶ谷は区内でもっとも低い。ところが、区がよく使う7地区分類なら「阿佐ヶ谷地区」には成田、善福寺川緑地も入り、区内で一番高い。が、阿佐ヶ谷と成田を分けると北の阿佐ヶ谷が一番低くなります。みどりの少ないイメージの高円寺よりも低い(お寺がたくさんあるから)。

これは平成29年度なので、まだ欅屋敷があったころですが、次の令和4(2022)年度調査からは14地区に分けなくなって、7地区分類の「阿佐ヶ谷地区」は一番高い、ということになっている…。実際は欅屋敷の喪失によって、「阿佐ヶ谷」のみどりは1.42%からさらに大幅に減少しているはずです。

https://www.city.suginami.tokyo.jp/documents/6172/05.pdf

 

(補足)なお、この杉並区の「みどりの実態調査」HPは令和4年度からリニューアルされて、トップにわかりやすい指標とグラフが載ってキャッチーになっています。

冒頭には「緑被率」は21.77%から21.99%に増加、など。しかしスクロールしていくと「樹木」の項では直径90cm以上の樹木は666本で前回から76本減少しました、と書かれています。

https://www.city.suginami.tokyo.jp/documents/6172/05.pdf

これはあきらかに欅屋敷だけではなく、上荻の屋敷林なども合わせて、あちこちで伐採が行われたことによるものです。

次にその欅屋敷の伐採に関する協議書を見ていきます。元データはこちら。

https://www.city.suginami.tokyo.jp/documents/1654/r2-10-kyogisyo.pdf

[東京における自然保護と回復に関する条例]に基づき、樹木を守る措置をして工事をしなくてはいけない。そのためすべての樹木を確認して評価が行われました。

 


大径木126本にナンバーが振ってあり、地図に対応しています。
グレーは伐採、破線は敷地内での移植、白いところ(資料はスキャンなので、ややグレー)が新病院の建物の部分です。

表は樹木医の評価で、外観診断、それによる評価、総合的な移植の可否が書かれています。
この中で例えばNo.116,117のシラカシ(地図では区画道路2号のギリギリの線状にある)ですが、地図ではグレー(伐採)。しかし表では健康状態がA、B1と悪い評価ではありません。しかし、道路を通すのにひっかかり、保全できないとされました。道路を曲げればひっかからないのに。今はまだ(道路ができていないので)残っているが、伐りますと言われている。

 

病院建設で「残すはず」の木は、新病院が開業した現在どうなっているか。11月8日のフィールドワークでその現場を見てまわります。残すつもりだったが枯れたので、別の木を残した、などのケースもあり、実際どの程度残っているのか確かめましょう。

建築工事をしていた時期の新病院(区画2号線)

 

続いて島田昭仁さん(当会代表・工学博士・都市計画)による、個人所有のみどりを保全できるようにする、行政の制度について。


まず、今回の連続講座の原点として、猛禽類であるツミが欅屋敷にいた、もう1回呼び戻すにはどうしたらいいか、から始まっている、ということから。
このような屋敷林を保全する(地権者に残してもらうための経済的な)手法として、川崎市の[みどりの保護条例]がある。近いものが杉並区にもある。それを積極的に活かせないか。

 

先の杉並区のみどりの実態調査の地図を読み解くにあたって、なぜ鳥・猛禽類であるツミに着目するか。猛禽類は生態系ピラミッドの上なので、環境指標、になり、ツミが住めるということは、それだけ豊かな生態系があることになる。被覆地である善福寺川緑地、下井草、などが、線的・面的につながっているか。鳥の目で見ると、緑のあるところに生息地を見つけることができる。

 


阿佐ヶ谷地域の変化を見ていきます。欅屋敷だけではなく、神明宮の森も住宅地になっていったことがわかります。

 

ここからは学習会後半で話してもらう自然環境調査について。

国:自然環境基礎調査(1973~)みどりの国勢調査と言われる。公害が社会問題、環境省ができ、全国的基礎調査を始めた。その後先細り、テーマごと、モニタリング地域だけに変わった。R5(2023)年から新たな10年調査開始。東京都については、都にお金があるのでやらず、地方都市をやる。保護すべき自然公園があるところを手厚くやっている。したがって国の調査では「杉並区、ツミ」だと出てこない。

 

23区は自然環境調査を独自にやっているが、なかでも杉並区はずっとやっている。昭和60(1985)年の第1次調査にはじまり、現在第8次の報告が出ている。調査する地域は善福寺公園や善福寺川緑地など、豊かな自然が見られるところを重点的に。自然のないところはやらない。

猛禽類については、ツミ、ハイタカ、オオタカ、ノスリが月1回くらい確認されている。渡っているのではないか。
ツミとはハイタカの仲間、ハトくらい小さいが勇猛。準絶滅危惧種。阿佐ヶ谷では杉並第一小学校校庭付近で、欅屋敷の開発がはじまる前によく見られたが、最近見られなくなった。


ツミの生息環境 : みどりのパッチワークを残していくためには、新しく木を植えて「作る」のではなく、すでにある樹林地を守らなければならない

 

続いて、そのために地権者が使える行政制度の解説です。


「いこいの森」制度:契約を所有者と区が結ぶ。借地契約のようなもの、所有権は持ったまま、その代わり税制を優遇して緑地を残しやすくする。
現在4カ所あるが、なかなか普及しない。理由は制度がよく知られていないから。所有者にとっては「いつでも返してくれる」「子孫が開発したくなったら使えるのか」が、気になるところ。それが可能であることが、理解されていない。また、税金は免除されるが、管理は所有者が行う。造園屋さんに来てもらうと何十~何百万かかり、自己負担になってしまう。

(清水いこいの森。右側は屋敷林)

 

この「いこいの森」は国が作った制度で、各自治体がもっています。[都市計画塾 vol.11]練馬区の稲荷山緑地の回でも出てきました。

asakitas1.hatenadiary.jp

 

所有者にとっては使いにくいところも多い杉並区の制度。それでは、もっと踏み込んだ制度はどうなっているのでしょうか。川崎市の緑化基金制度です。

 

元データはこちら。

川崎市 : 川崎市緑化基金


川崎市は緑化保全地域については、維持管理費用も自治体が出す。そのための市民・団体からの寄付をもとに基金を作っている。こうした仕組みが杉並区でもできないか。


国の法律である都市計画法では「特別緑地保全地区」指定となる。保全地区と定めると開発はできない、道路も通せないくらい強い強制力がある。しかし、将来的に宅地化できないとなると、地主が不安。川崎市でも保全地区の指定を受けた方もいるが、「永久に開発してはならない」と説明はしていない。生産緑地制度と同じで、地主が申し出れば保全地区は解除できる。紳士協定みたいなものなので、かなり緩い(もっと知って使ってもらいたい)。

 

ここまでが学習会の前半です。

民有地の樹林は、所有者にとって先祖から受け継いだ大切な財産であるだけではなく、自治体、国、地球レベルでの自然環境を形成する一部でもあります。あたりまえですが、百年かけて作られた森は、一度伐採してしまうと、植樹してももとには戻りません。杉並区の市民緑地のページには「杉並区のみどりの7割は民有地に依存」と書かれています。

自然環境調査ではほとんどの民有地は対象になっていませんが、線的・面的にみどりのネットワークを保つことで、鳥類だけではなく、虫やクモなどの生物多様性も保たれます。

いよいよ後半は、その自然環境調査に実際に携わってこられた植物の専門家・田中耕太郎さんのお話です。

後編はこちら。

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