6月14日(土)杉並産業商工会館にて当会主催による「阿佐谷連続学習会Vol.3『杉一小移転問題の今』うわさ?の「改築検討懇談会」はどうなっている?」を開催しました。
後編は質疑と意見交換です。
Q:建築は建物のことだけ。基本計画は地面のことも入れないといけない。ハザードマップではアプローチ道路、避難路が浸水している。それをどう説明したのか?
A:まったく説明していない。土地に関してどうか、と質問出たとき、業者は「上もの(建物)だけを扱う」と回答。
Q:区は「当然設計者は浸水のことも考える」と昨年答弁している。この図は今年6月に出た。
A:昨年のプロポーザル募集資料には載っていない。これでは事業者は問題ないきれいな土地に建てる(ものを作るのだろう)、と考える。設計業者が浸水など建物以外を考えていると思えたことはない。
ここからは質疑というより、会場全体での意見交換に。改築検討懇談会委員でもある学校運営協議会委員(以下CS)や、河北病院のすぐ近くに家のある方、他の小学校のCS、区議会議員などが参加しており、それぞれの立場で知り得た情報を共有しました(発言者に拠らず、関連の内容ごとにまとめ直してあります)。( )内は編集者の補足。
[浸水について]
・避難誘導のことを想定しない基本計画。6年前の区議会議員選挙で、田中区政を支持する議員は「第二桃園川幹線(東京都下水道局事業)ができるから大丈夫」とだけ言っていた。幹線があっても枝線がないと水害が防げない。枝線の工事ヤードを阿佐ヶ谷北口駅前に作る計画が、バス停にかぶるのでできず、止まっている。それで西側の松山通りに作る計画の枝線もできてない。桃園川(現在の病院敷地東側)は谷なので、両側から落ちてくるが、桃園川第二幹線では東側の当該区域はまったく対策できない。

・懇談会7回目と8回目で説明図のハザードマップが変更された。これで敷地を嵩上げすることが初めて明らかになった(前編参照)。
・校庭の右上の角(敷地の北東の角=現在の八百屋さんの十字路)の高さを0mとして1.5m上げる。校舎はさらに0.5m上げるので浸水しません、と言っている。
・盛り土するんですか?と聞いたら、学校整備課長が「うーん」としか答えない。ちゃんと決まっていない。擁壁を作るのかもわからない。
・図には書いてあるが「1.5m嵩上げする」とは懇談会で明言されていない。土砂の高さは相当なものになり、周囲に圧迫感を与える。
・赤いラインの中が(高く)変わったら、周辺への雨水の流出リスクが高まる。しかし地形が変わることを計算に入れた浸水シミュレーションをしない。学校の地下に雨水貯水槽を作るから問題ないと言うが、学校の上空から降った雨水を溜めるだけのもの。周囲の雨水は吸収されない。
・ビオトープを敷地の北側に作ると言っている。浸水する前提か。区はずっと移転のメリットは校庭広くなることだ、と言っているが、そこ(浸水するビオトープ)も校庭に含まれる。
・この図だとトラックと外周が近い。
・2018年に駅前浸水した時、杉並区ハザードマップの白い部分(本図ではなく阿佐ヶ谷の別の場所。本図の位置には現在の河北病院が建っているため)も浸水していた。駅周りに南口に貯水槽を作って解決したとしているが、去年もまた浸水した。谷底だからどこであろうと水が溜まる。
・区は説明しないが、八百屋(北東角)の川下で2005年に床下?浸水があった。履歴がハザードマップにも載っている。しかし、区の説明では昭和58年以降浸水はないと言っている。
・区の職員はこの土地のことを知らない。我が家はこのすぐそば、一番は伊勢湾台風で、床上直前まで来た。膝くらいまで。その後桃園川を暗渠化したので、相当太い土管が入っているはず。以降30~40cm。伊勢湾台風よりはだいぶ整備され、浸水はあっても30~40cm。水が出る率は低くなった。しかし、避難路もないところに学校作るのか。学校だけでなく住民にとっても同じ。
・(ハザードマップの注釈によると、時間最大雨量153mm、総雨量630mmの設定)。区の職員は、実際に(そんな豪雨はないため)浸水することはないだろうと高をくくっているのではないか。
・うちも床下浸水が1回だけあった。谷間だと言ってもそんなに出ないのでは。2、3年前に氾濫したが、そんな大きな氾濫可能性は低いのでは。
[松杭・土壌汚染と工事遅れ]
河北病院が現在の建物の基礎である松杭を抜かず、地下埋設物を残置したまま引き渡したいという意向が明らかになっている。工期が5カ月遅れる見通しが区議会に通達、改築検討懇談会委員にもプリントが配布された。
・古い病院の残骸がある可能性。1年くらい前からその話は出ている。病院の建築遅れによって、杉一小の開校予定は変わらないとしていたが、解体と土壌汚染対策で17カ月、再来年の頭までかかって引き渡す予定だったのが、5カ月遅れる。
・松杭撤去は6~7億円かかる。 土壌汚染の土入れ替えの費用と合わせて最大で14億円。病院側は土壌汚染も「上にコンクリートの校舎を建てるのだから、解消しないでいいよね」と言っていると聞いた。
・杉並区の学校では校庭から釘が出て大騒ぎになっているが、病院跡地は釘ですまない。
・区は事前に地下を調べていない。地盤、土壌汚染調査は、河北病院の敷地に(交換した)区有地があるので事前調査ができるのに、やらない。地下に関する情報がまったくないまま設計している。病院主導に信頼性が落ちている。
・元副区長が河北の顧問になった。これは用心しなくてはいけない。杉並区は忖度せず、言うべきことはきちんと言わなくてはいけない。河北病院(現在の建物)が建つときを見ていたが、松杭はある。現状回復を河北に言うべき。
[地域開放]
設計には校舎から張り出す屋根の下に「まちかど広場」という公開空地のようなものが導入されている。また、1階には「開放会議室」がある。


・まちかど広場、地域に開放というのは、当初の現在地建て替え案で、公共施設(産業商工会館)を杉一小のに入れる複合施設化計画の名残ではないか。
・桃井第二小学校のCSをしている。学校の地域での利用は、区の教育委員会の大方針。学びの三部制というコンセプト。昼は学校、夕方は学童、夜は地域活動。子どもと動線を分けるべきだが、昔の学校の建物では難しいので、新築学校で進めている。開放会議室、アリーナ、校庭を利用できるようにして、さざんかネット(杉並区の施設貸し出しシステム)に入れる計画(7月から開始か?)。学校運営協議会で検討しろと言われている。それにエリマネが乗っかっているのではないか。
参考図版(学習会当日には使用していない。(上)後日発言者に確認して提供していただいたものと、(下)この点に関係すると思われる杉並区の教育ビジョンの抜粋)


・学校によっては住宅街にあり、周囲に区民センターがないところでは、区民が集う拠点、災害避難所が必要。杉一小の現地建て替え案は複合化構想だったが、そのあと阿佐谷地域区民センターが北口に移転してきた。
・現杉一小のところに何ができるのか?区民が利用できる公共施設が区は一案だと言っている。移転した杉一小にも、現在地にも区民施設ができ、区民センターもある(集会拠点は十分ある)。区はコンセプトが固まってないのではないか。
・行政は少子化を睨んでいる。もしかしたら杉一小を廃校にして馬橋小まで通う未来を想定しているのか?
・最初のプランではやけに市民のための施設が強調されていた。まず第一に、子どもの教育を考えるべきと意見した。
[校庭広くなる問題]
杉並区はこれまで、「振り返る会」や関係者との面談で、杉一小移転のメリットは「校庭が広くなる」の一点張り。
・「移転すれば校庭広くなるというが、校庭広いと学力上がるのか?」と聞いた。前教育長は「上がります」と回答。多機能にするくらいなら、その面積を校庭にすればいい。
・学校改築検討懇談会に参加している町会の人は、エレベーター大きく、吹き抜けを作れだのと進めていく。それが最初から校庭を狭くしている。また、今ある部屋を放課後に使いたい、バザーに使うからエレベーターを大きく、校庭で火を使いたいから人工芝はダメ、などの意見も出る。
・地域が使いやすい学校が、教育にいいのかはわからない。病院が高層なので、屋上プールに目隠しをしないといけないなどの問題もある。
・人工芝に釘を打つのも問題。人工芝の厚さは薄く、その下も土ではない。人工芝は高温で大変。
・改築検討懇談会が「議論の場ではない」というのが悩ましい。
[近隣との関係]
現在地は大通り沿いで学校の騒音が問題にならない。移転先は住宅地の真ん中、クレームが来たらどうするのか?には、杉並区は「努力する」とだけ回答。実際に対応する努力は教員、我慢するのは子ども。

・校舎の面積、嵩上げの議論が主だが、近隣への騒音の関係をずっと言ってきた。区は「懇談会開いている」と逃げた。
・児童・職員へのアンケートで「面積広いのがいい」と結果が出たから(この位置に移転が望まれている)、と言っているが、地域の人には寝耳に水。日陰になってから騒ぐのが関の山。区は周辺にアンケートを取るべき。説明会ではダメ。
・千葉で動物愛護センター設置に関わったことがある。周辺にはたかだか8軒の家でも、できたら犬がうるさい、とクレームになった。騒音を受ける人は150~300mの範囲に及ぶが、訴訟しても敗訴。杉一小と住宅地は相当接近しているので、きちんと住民にアンケートを取る必要がある。それで9割がやむを得ないと言えば、それでいい。
・桃井第二小の外壁的なものは、ネットに1.5m幅くらいの植栽。これまでは建物が北側にあり、建物が防音していたが、南の環八側に移った(敷地内建て替え)。北の校庭に面しているところはマンションなので音が伝わりにくいし、西側にも木造住宅はほとんどないのでは。もともと桃二小がある、マンションから桃二小に通う子もいるだろう(から騒音への抵抗が少ない)。これは塀ではなく、中を見せることで、近所の人にいい空間を作るという考えではないか。

・擁壁や盛り土で1.5m 上がったら音は拡散するのでは。
・住宅地の騒音基準は40デシベル以下。学校は最大110デシベルで、それは自動車の音くらい。それを連続で聞かせる。防音してもダメ。小さな音でも今まで聞いてなかった音で不快になる。
・荻窪小学校は移転した直後、周りのマンションからクレーム。朝登校してもおはようございますと言えない。敷地へりから3mでは、ボールをついてはいけない。学校に引っ越して来られると穏やかではない。
・杉一小はブラスバンドが盛ん。住宅地でできるのか。音楽室を防音というが、パート練習は他の教室も使う。(こうした問題が)地域に伝わっていない。
・高円寺学園、校庭狭いが7Fがプール。もともと学校なので、騒音とは感じない。捉え方の違い。新しい建物はグランド小さいが、建物に施設を作って騒音漏れない。中の会議室を借りたが、音はしない。そういう構造に今はなっているのでは。
・移転した杉一小で花火、盆踊りが今後できるのか、と、いう意見も懇談会で毎度出てくる。そうした意見を言う人は、人工芝は困る、スペース確保、震災時に炊き出しできるように、とは言うが、近隣騒音のことは言っていない。
[土壌汚染]
・病院跡地に学校を建てた例は那覇の特別支援だけ、ほかにもいくつか計画はある。だいたい公立病院。那覇は赤十字病院で県の土地、もともと公有地。病院跡地に学校は褒められたことではないが、所有者が変わってないので汚染調査は公共が行う。民間の土地に小学校は全国初。大阪の箕面(市立病院)は止まっている。
・田町駅前のビル、東京ガスの用地から危険物、いったん学校建設は中止したが、子どもが増えて後から建てた。調査で何か出ると5ヶ月と言わず、さらに伸びる。
・ちゃんと調査するのか。お金かけてやりたくはないだろう。調査業者は河北病院に雇われたら、そういう方向で答えを出す。区が独自に調査、第三者委員会を作る必要がある。
・桃園川本流は朝鮮戦争前まではドブさらいをしていた。作業する人は河北病院前で引き下がってしまう。何があるかわからないから。注射針は出る。両岸が草で脱脂綿とかついていた。子どもも遊びにも行かなかった。
[関係者の態度など]
・移転の場所を相澤の森(欅屋敷)伐採の分、公園にしたらいい。
・区長も当選したばかりのときはあそこは森にすればいいと言っていた。
・本件は本来民間同士の話だったのに、区が区画整理に参入した。河北の高笑いが目に見える。カネ貰ってない地元のやつはみんな言ってる、こんな悪い事業は500年残る、病院跡地に学校はあり得ない。
・原風景の会は何をしているのか、と言われるが、区の担当者と協議し、おかしいことはおかしいと言えるルートを作っておくことも大事。
・これ以上延びるなら、もう現在地で、と言う空気もある。保護者の方もいつ、どうなるのか、知識がない。もっと広く関心を持ってほしい。
・保護者は子どもが6年で卒業するので、自分には関係ない、と敬遠される。この問題を政治の話と受け止められる。学校の中でするのは憚られる。PTAという組織では取り上げない。校長・副校長も「公務員だから賛否を言える立場にはない」というスタンス。
この後2025年6月28日に第9回学校改築検討懇談会が開催されました。問題の指摘に耳を貸さず、建物の設計と「地域に開放」のコンセプトが進められていく杉一小移転。同時に進んでいる阿佐ヶ谷の「まちづくり」計画と合わせて、今後も注視していく必要があります。