
2024.10.26「杉一小移転改築基本計画を読み解く!」を開催しました。
衆院選投票日前日にもかかわらず、「こっちも大事だ!」と駆けつけてくださった皆さん、ありがとうごさいました!そして、会の最後には「移転反対を諦めてしまったの?」という厳しいご指摘も相次ぎました。たしかに、私たちは杉並区が出してくる計画を追うのに手一杯で、そうすると移転計画を前提にしたような論理になってしまっている、そのことを改めて考えさせられました。
しかし、その杉並区の移転計画そのものに瑕疵があることも、この日の学習ではっきりと確認されました。
小学校を病院跡地の軟弱地盤の低湿地に移転させ、現在地の区有地を格安で民間に放出することは、常に問題として問い続けなくてはなりません。同時に「もし計画を実施したら」という視点での問題追及をすること、それをせざるを得ないところまで、事態は進んでしまっています。
まず、この日に読み解いた論点を共有してください。この記事は前編:学校改築検討懇談会と行政の動き、中編:議会答弁で提起された新事実、後編:設計に当たって考慮されるべき問題点、の前中後編で掲載していきます。
前編:改築検討懇談会と行政の動き
まず、松尾ゆり区議から現状説明と配布資料、改築基本計画の解説。
「杉並区は昨年の「振り返る会」以来、住民に広く知らしめる機会を持たない。今年の岸本区長のビデオメッセージによって、保護者も含め、「杉一小移転はもう決まったんでしょ」という流れになっている。たしかに行政としては決めてしまったが、進めるほどにどんどん問題が出てきているのが現状」
資料解説:
https://www.city.suginami.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001 /096/842/kihonkeikaku.pdf
p.6-7用地について(C街区:現在の河北病院には民家が隣接しており、その中に区画整理に参加していない家があるため、不整形地になっている。最新状況として1軒が区画整理に編入されている)
p.11-12改築検討懇談会委員→杉一小は学校運営協議会の権限が大きいが、その委員が全員反対している状況
p.16-17基本方針(改築検討懇談会で話し合われたこと)
p.18杉一小の規模
p.19今後のスケジュール
次に杉一小児童の現役保護者であるよしだひろしさんから、改築検討懇談会について報告。
よしださんは今回の学校改築検討懇談会の4回のうち、第3,4回を傍聴。そしてH27(2015)年の、現地建て替えの改築検討懇談会の資料を詳細に調べています。
H27年の改築検討懇談会は、現在地建替え複合施設(産業商工会館と)を前提に話し合われ、7回の会を経て、低層階屋上校庭案で決まったが、決定後、一夜にして覆された。今回は病院跡地に移転することが前提の「移転」改築検討懇談会。

運営要綱 :「広く意見を聞く」つまり委員には意見を言ってもらうが、懇談会としての議決はしない。議案は基本的な方針、設計に反映する必要な事項。あくまで移転が前提。

委員:校長・副校長計3名、学校運営協議会(CS)4名、学校支援本部1名、PTA3名、学区内各町会長4名、有識者2名。商工会関係者はH27年の改築検討懇談会より少なく1名。委員の約半分のCS・支援本部・PTAは、当初よりこの移転計画に疑義の声を上げている。校長・副校長は公務員の立場から賛否の表明はなし。町会連合会長は、第一回目の懇談会では、反対の声を上げること自体に批判的な発言をしていたが、以降、3・4回の会では発言を辞退。
事務局:半分以上教育委員会、その他、新任のまちづくり担当部長など。
改築検討懇談会の流れ :
全員が1人1回順番に意見を言うという会議スタイル。一周すると終わる。第2回には、先に改築された桃二小、杉二小を見学。

第3,4回:基本方針の内容(上記A3の表1枚)が主な議題。最終案も大筋は初回提示されたものとほぼ変わらず。各委員が発言した内容が数箇所若干表現レベルで反映。委員からは「これはすべての小学校に共通するもの。杉一小ならではの要素はどこにあるのか?」等の指摘が複数あり。
地域と共生:杉一小の伝統的な校風。駅前の立地を活かし、児童の活動に地域住民や商店会等が協力。それにより児童が駅前や校外でも有意義な教育活動が出来ていた。
だが、基本方針案には「学校施設を地域に開放し、夜を大人のための施設に」という意図が感じられる。「地域と共生」とは、あくまで児童が中心でそこに地域の大人が協力するという関係が本来の姿。「地域と共生」をいいように使って、大人のために活用することが合理的で効率的、と言い出しそうな気配。この点への委員から指摘も複数あり。

今後の予定:プロポーザル募集、発注業者選定→第5回→来年6月基本設計案。
H27(2015)年の改築検討懇談会は現地建替えが前提で、低層階屋上校庭か?高層階狭い地上校庭か?が主な議論。今回は移転が前提で、北側校舎南側校庭か?南側校舎北側校庭か?が主な論点になるのでは?と予想。それで委員の意見をひと通り聞き、「関係者の意見を聞きました」とするのではないか。

課題だと思った点:
1:懇談会では何も結論を出さず
全員一人一答一周形式。区の他の会議体もそうでは?議論を深め合意を形成する会議ではなく、単に「たくさん意見を聞きました」で終わる会議なのでは?。これでは出席者の委員も虚しく疲弊するだけ。
2:阿佐ヶ谷の原風景を守るまちづくり協議会の意見書
当会で事前に意見書を提出し、委員に配布してもらった。会議上委員から「意見書について議論しないのか?」との意見も出されたが、区は「配って欲しいと言われたので配った。これ以上のコメントはなし。」として、取り上げなかった。別途、杉一小児童保護者有志からも意見書が出されていたが、これも同様の扱い。
一方で区がお墨付きのエリアマネジメント協議会の意見書は、会議で説明も加え、区のHPにもアップ。区議会定例会の一般質問で、松尾ゆり議員よりこの点を指摘も、区職員は「差別してません」との答弁。
3:やっぱり都合よく利用、児童アンケート
2~6年生は1人1台支給のタブレットで回答し教育委員会へ直接送信。1年生は教育委員会職員が学校に出向き直接ヒアリング。「どんな学校がいいかと思うか?形のあるものでもないものでもいい。」との質問で、質問自体はざくっりとしていて恣意的な要素はなかったが、区は結果「広い学校がいい」が一番多かったと説明(何人何%かは公表せず)。「広い」は普遍的な価値。そりゃ誰だって学校に限らず狭いよりは広い方がいいに決まっている。それで「広い」というC街区を、「子どもも広い方がいいと言っているので」と利用するやり方がずるい。このことは事前に懸念され、PTAからはアンケート実施には反対意見が出されたが、結果実施され懸念通り利用された。
4:怪しい大人共用
これをチラッチラッと挟みこんでくる。地区計画ではA街区が「賑わい」、C街区が学校のはずでは?賑わいの要素をなぜかC街区の学校に押し込んでくる。そもそも小学校移転後、A街区がどうなるかの話が全く進んでいないまま小学校の移転を決めるのもおかしいが、その中でC街区に賑わいの要素を盛り込もうとする意図が不明。怪しい気配を感じる。この話は「まちづくりセッション」でも出ていた。
5:地域住民に説明したのか?
区は振り返る会、オープンハウス、区長のビデオメッセージ、チラシ配布等、出来る説明はしたと言うが、区主催の説明会やオープンハウスにわざわざ出かける人は、かなり稀だろう。改築ニュース(ペラ1枚チラシ)も配ったとしているが、軟弱地盤、土壌汚染、低地浸水、騒音等、ネガティブな要素には全く触れられていない。委員からは粘り強く「そこから行政が逃げちゃダメだ!」と繰り返し意見が出されたが、「ご意見は承りました」と反応薄。

この一連は「公共の破壊」。実は日本中、東京中で同様の事象は起きている。
岸本区長は「公共の再生」「対話の区政」を掲げ、それを支持した人たちによって区長になったのだが、、、
一部の人:地権者、病院、前区長、不動産土木建築建設関係者。
脱法的:区画整理事業、換地、個人施行。合法的ではあるが全て法の網を搔い潜った行政上のテクニック。民間の売買や土地取引の1/3程度の安値評価で放出交換。
安心安全:軟弱地盤による地震被害。土壌汚染による薬害被害。低地による浸水被害(盛土による周辺地域への被害拡大)。騒音により静寂な生活が奪われること。駅近の小学校のアイデンティティが奪われること。等について、学校関係者や周辺住民に客観的論拠を示し、それを丁寧に説明することなしに、安心安全は担保されない。
対話の区政:確かに会議体の数と種類だけは前区政より増えているが、内実は区が説明し、区民が意見を言うだけで、双方が混じり合うことがない。対話になっていない。「見直しなき対話でなく本当の対話を」と私たちは要望している。だが、これは区長や区職員の努力だけで一朝一夕に出来ることではない。区民側も発信し行動していかねばならない。「対話の区政」は、まだ1合目にも達していない。