
2024.9.22阿佐ヶ谷地域区民センターで、第6回都市計画塾「公共用地デベロッパー:事例編」を開講しました。
今回で第一期を修了とし、インターバルを挟んでの第二期では、さらに都市計画の知識を深めます。また、第一期で取り上げたテーマや用語で気になる、わからないことをさらに掘り下げます。ご意見やリクエストをお待ちしています。
asagaya.genfukei@gmail.com
今回のテーマである事例編に入る前に、行政と「再開発」の関係、問題ある事業に対して住民は何ができるのか?をおさらい。
イギリス:司法審査権、行政を司法が審査する権利、住民がおかしいと思ったら訴える。インスペクター:国から派遣、審問会を開き、行政資料、住民意見で判断。
判断の基準は、Justice:行政として公正、言っていることが真実か。コモンロー:従前にどういう土地利用をしているか、を重視。
三菱地所がロンドンで再開発した事例では、住民団体(運営費は行政が支援!カウンターパートにも予算を出し、住民が専門家を使ってプラン(対案)を出せる。ドイツも同様)が審査請求。インスペクターは結論出さず先送りしている。
日本で似ているもの:1.建築主事(国、都):建築基準法に照らして合っているか。2.都市計画審議会会長:首長が任命。諮問結果を行政に返す。
日本はアンバランス、住民のカウンタープランを育てる土壌がないので、事業を提案する民間事業者のいいようにされる。
なぜ、民間事業者が都市計画を提案できるようになったのか?
・個人施行の濫用:再開発、区画整理事業は、本来は公共施行か組合施行。個人施行の中に行政が「個人として」入って、民間事業者と対等に。行政がデベロッパーや地主さんのやるべき書類を作ってあげて、認可も出す。
・市街地再開発事業(土地を床に換える)の緩和:用語の定義として「街づくり」は行政が行うもの。ひらがなの「まちづくり」は住民主体(80年代の神戸が発祥)
都市計画法、22条の2-2、提案制度として、ひらがなの「まちづくり」が出ている。しかし実際は住民ではなく、民間企業が提案制度を使っている。
ここからは事例編。
※今回のレジュメは島田さんも編集委員である「区画・再開発」の機関紙であるため、ここに掲載することができません。
参加者のイケガミが、事前に四ヶ所の現地に行って、レポートを作成したので、それを添付します。イケガミの個人ブログ[ニシオギDRUNKerシンブン]に写真を掲載したので、リンクしました。
事例1:池袋(豊島区)

写真はこちら。
豊島区役所:中高層にマンション、事業費を出して、お金を出さずに建築。当時の区長、向かいにライズタワー、アウルタワーも。
東池袋2丁目:住民がアンケート、長く住んでいるが、81年の新耐震基準に適応した建物、住環境に満足、高層ビルは望んでいない。
※ここの動画がゴチャゴチャしていますが、上記[区画・再開発]記事のレジュメ(とレポート)の事例は東池袋2丁目で、島田さんが事例として挙げているのが南池袋2丁目で、場所を混同していました。
南池袋2丁目(再開発ツインタワーの建設中):地権者一人が再開発事業そのものに対して、基本的人権侵害で裁判を起こしている。事業中止を求める実利的な裁判ではなく、憲法に反していると主張。
なぜ、大規模再開発が多発するのか?
1.再開発は不燃化のためだったのに、その建前がなくなった(vol.4参照)。
2.都市計画事業に住民合意は必要か?都市計画決定(エリアを決定)→事業認可できる。
3.都市計画決定の公表が不充分:公共事業の場合は都市計画決定が必要。縦覧(A4くらいの紙を役所の掲示板に2週間)し、住民が意見書提出(都市計画審議会で意見書を付けることができるが、付けるだけ)→何をしようが通ってしまう。知らない間に進んでしまう。行政の反論は「縦覧している、事業認可で手紙を出す(地権者に出すので住民に届かないことがある)」
Q:人権侵害は一人だけが訴訟しているのか。訴訟のタイミングは事業認可されたときなど、他にもあるのでは。
A:日本では分権のためとして、司法は「法手続きに合っているか」だけ、行政に立ち入らないことにしている。法に「著しく違反している」ときだけノーと言える。
Q:事業認可後に取り消し訴訟をしたのか?強制執行で異議申し立てができるはず。
A:他の人は金銭補償などで立ち退いた。原告は基本的人権に反している、根拠法は再開発法がおかしいとしている。行政不服審査の回答を受けて行政訴訟をすることはできる。権利者として不当である、ではなく、権利者以外の市民が訴えられるのが住民訴訟のはず。
行政代執行:土地収用法で定められている、都市計画法の中でできる。強制執行(裁判所から通知、追い出し)ではなく、原告は自分で出ていってから訴訟した。
事例2:芝3丁目(港区)

写真はこちら。
田町駅から近いオフィス地区。
三菱地所レジデンスがタワマンを計画中。
保留床440万円:再開発事業で生み出した分で外部に売る。権利床270万円:地権者が新しく入る分。
専有(住居)/非専有(共用部:廊下、エレベーター、駐車場など)面積を含めて考えると、権利床がぎゅうぎゅう詰めで割高。保留床のフロアが高級志向。
三菱地所レジデンス:やり手の地上げ。東和地所と合併。
事例3:神宮外苑(新宿区、渋谷区、港区)

(SAVE GAIENのチラシ)
明治神宮の私有地だが、都市計画公園に設定されている。JSC(日本スポーツ財団:国立競技場、秩父宮ラグビー場)、伊藤忠、明治神宮、三井不動産(地権者ではない)のJVがプロポーザル方式で外苑とスポーツ施設、周辺ビルを一体化して再開発。
民間事業者が提案して都市計画制度を使って規制を変える。地区計画:当該エリアだけ異なる内容、緩和型地区計画。その地区だけ高い建物が建てられる(本来は既成型)。
Q:東京都「公園まちづくり」とは?
A:都市計画の(株式会社含む権力者が)提案制度を使って、公園(本来都市計画決定されている)を変更する提案をすることができる。都市計画の提案制度には地区計画が入っていない。地区計画見直しには「公園まちづくり」は使えないのではないか?地区計画見直しなら都市計画16条からやり直す必要がある。
Q:(補足)今回の見直し案は樹木の数のマジック。(移転する)神宮球場を(イチョウ並木から)10m下げるというが、外野席を減らすだけ。球場の空中権を伊藤忠などのビルに移転している。
外苑全体が元は都市計画公園、風致地区。普段入れないラグビー場(JSC管轄)を公園から外し、ビルが建てられるようにした(移転改築で45mの屋根付きに)。2013年(オリンピック決定)から東京都が主体的に関わっている。
注目点は新案は「都市計画の軽微な変更(一度決めたものを通すテクニック)」として認可を経ないで従来どおりに進められる。地区計画だとしたら「軽微な変更」はない。少しでもあるなら16条からやり直す必要がある。
事例4:鎌倉市深沢
JR大船工場跡地。阿佐ヶ谷と共通する土壌汚染問題。
豊洲市場:汚染除去は東京ガスのはずだが、後から出てきた土壌汚染は東京都が負担した。
イギリスでは土壌汚染があるところは普通遣わせるない。都市計画でゾーニングが決まっておらず、グリーンフィールド/ブラウンフィールドの二つ。工場跡地はブラウンフィールド。どういう工場か、地下にどのような薬品が出てくるか明示しなくてはならない。グリーンフィールドは汚染ない土地で、住宅・学校が自由に建てられる。
日本ではバブル後の2000年代、ブラウンフィールドをどうすれば使えるか?の議論。地区計画、提案型都市計画で、容積率を高くすれば(高くした分の利益で)その分を汚染対策に使える。土壌汚染がらみは事業費を捻出しようとする。
深沢は「容積移転(※最初に使ったのが丸の内。東京駅の上の空中権をビルに移転)」もしている。
Q:容積移転なんてことは元々の都市計画法にあったのか。国会で決まったのか。
A:小泉政権の閣議決定で決まった。前例を作ったので、他でもできるようになった。お寺や学校の上の容積を売ることができる。
Q:神宮でも野球場の上を伊藤忠に売る。神宮は野球場をタダで作れる。
事例5:中野サンプラザ(中野区)


(中野サンプラザを守る会のチラシ)
写真はこちら。
※「中野サンプラザを守る会」の方が参加してくれたので、その方から報告してもらいました。
追記:2024.10.11中野区議会特別委員会で「野村不動産JVが施工認可申請取り下げ」と報告があった。2639億円予算から900億円以上オーバーする見込みで、事業施工が困難という理由。区の方針としては、事業認可範囲を変更しコンセプトを変えず計画維持。
「中野サンプラザと区役所の再開発をしていることを、区民がわからないようにしている。名称は「中野四丁目第一種市街地再開発」、これでわかるはずがない。
私は議会に意見書を出したが、(区内の)他の地区在住だからと受け取らない。この土地の地権者(サンプラザの第三セクター:中野まちづくり21、中野区、東京都)しか書けない。だから意見書がゼロで、都市計画決定、都に事業認可申請している。
中野区は(一帯の土地を)野村不動産(などの4社JV、5社だったがヒューリックが降りた)に400億円で売って、新区役所の建設費とサンプラザの借金をチャラにできると見込んでいる。
ところが、野村不動産は400億円を振り込んでいないことが、9月の本会議で公明党が(そうと知らずに)質問してわかった。中野区は利息がかかる。
取り壊しは延期。議会で決定。立ち往生している。
中野駅南口のタワマン(住友不動産)の住居も空き家が多すぎ。白金台、麻布台も売れ残り。デベロッパーが売り逃げした。投資に狙われているのを目当てにしていた。駅には混雑緩和のスカイウォークを数年で着工するというが、できるかどうか。
中野区議会は傍聴席がガラスで仕切られて閉鎖的。議論のレベルは学級委員会」
事例6:立石(葛飾区)

写真はこちら。
nishiogidrunker.hateblo.j阿佐ヶ谷の土地区画整理事業と似ている。公共施設を入れる再開発。現在、区が保留床を高く買いすぎていると住民訴訟になっている。
報告:第一回公判では、住民の街への想い、土地の成り立ちなどのエモーショナルな部分もある意見書が提出された。裁判所はこれをしっかり受け止めてほしい、と、署名運動もしている。
※ここで時間切れ。立石は次回。
今回は練馬区で事業認可された「とめよう 外環の2 練馬の会」の方も来てくれたので、報告をお願いしました。
外環の2とは:外環本道は関越自動車道大泉インターから東名高速調布インターまでを結ぶシールドトンネル。東京都が一度、その上もすべて地上道を作る計画を立てた。ほとんどが見直し対象になったが、練馬区だけが残っている。なお、調布側のシールド工事は陥没事故で停止しているが、大泉側は継続していて石神井公園付近まで来ている。
報告「裁判の勝率が低い。練馬1km訴訟で負けたので、私たちも今回の事業認可(石神井公園北側から西武池袋線の北・前原まで)では立たなかった。石神井公園三宝寺池がある次の区間では訴訟を考えるべき。
議会に対しては道路そのものの中止を求める陳情、まちづくり協議会中止を求めたが、どちらも委員会不採択となった。
私たちは三権分立のいずれのところでも、主張しないといけない」


(とめよう「外環の2」ねりまの会のチラシ : 個人情報をカットしています)