
- 原題:Le Déjeuner sur l'herbe
- 英題:The Luncheon on the Grass
- 作者:エドゥアール・マネ
- 制作:1862年–1863年
- 寸法:208 cm × 265.5 cm
- 技法:油彩、カンヴァス
- 所蔵:オルセー美術館(パリ)
1866年のサロンに落選し、落選展でも大批判を浴びたマネ31歳の大傑作。裸婦と現代的なスーツの男性という画期的な構図で時代を先取り、スキャンダルによって無名から有名画家になる炎上も現代的である。
中心の3人は左から、ヴィクトリーヌ・ムーラン(マネのお気に入りにのモデル)、中央の男性はマネの義弟フェルディナン・レーンホフ、右側の男性はマネの弟ギュスターヴ・マネ。
《草上の昼食》の元ネタ

マネ《草上の昼食》は、いくつかの絵画を元ネタにしており、3人の男女の組み合わせとポーズは、ラファエロの弟子ライモンディの《パリスの審判》(ラファエロの模写)の右下から引用している。

服を着た男性と裸の女性という発想は、ジョルジョーネ原筆、ティツィアーノが完成させた《田園の合奏》をモチーフとしている。
古典絵画を現代に移植し、さらなる名画として昇華させたマネの凄さが光る。
絵画レビュー

画面左下に散乱した衣服と果物、そこから中央の三者、さらに奥で水浴する女性へと、視線は斜めに導かれ、奥行きを演出している。
無造作に投げ出された食べ物や脱ぎ捨てられた衣服は、単なるピクニックの名残ではない。それらは、社会のルールや日常からの「解放」や「逸脱」
奥で独り水浴をする女性は、3人とは距離を置く。その姿は、女性の孤独性を映し出すと同時に、手前にいる裸婦の現実離れした存在感をより強く浮かび上がらせている。
マネの凄みは、構図の選択にある。通常なら、中央や右側にいる人物を裸婦として描く。しかし、あえて左側の人物を主役に選んだ。
女性は裸でありながら、大切な部分は巧みに隠している。膝を曲げ、肘をついて堂々と鑑賞者を見つめ返すその姿には、恥じらいや媚びは一切ない。むしろ自信と意志に満ちた「見る者を見返す」粋さがある。
対照的に、スーツに身を包んだ男たちは、権威やブランドをまとうことで自分を飾っているように見え、滑稽で、間抜けに感じてくる。
男という生きものは、形式や権威に縛られた社会的動物であり、着飾ったスーツが囚人服に思えてくる。
衣服と裸、ファッションと非ファッションを組み合わせることで、むしろ「裸」がひとつのスタイルとして成立している。女性は服を脱いだのではなく、「裸というファッション」を纏っている。
レディ・ガガやスーパーモデルが、ほぼ裸同然のドレスでレッドカーペットを歩くのと同じ。その挑発性、境界を越える感覚に惹かれ、羨望する。
マネは、そんな感性を19世紀のパリで掴んでいた。「裸もまたひとつのファッションである」と、世界に向けて解き放っている。
マネに影響を受けた画家たちの《草上の昼食》




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