
- 英題:Spring Flowers
- 作者:クロード・モネ
- 制作:1864年
- 寸法:91 x 116 cm
- 技法:油彩、カンヴァス
- 所蔵:クリーブランド美術館(アメリカ)
庭好きのモネを物語るガーデニングの花々。忘れな草(Forget-me-not)、ゼラニウムなどを描く。1864年の時点でモネが「自身の最高傑作」と自画自賛した一枚。

モネが尊敬していたギュスターヴ・クールベが2年前に描いた《土手の花》をモチーフにしたと思われる。
絵画レビュー:モネ、23歳の「花の乱舞」

クロード・モネといえば、積みわら、睡蓮、ジヴェルニーの庭。
光・水・自然・青の魔術。この《春の花》(1864年)は、そんな成熟したモネとはまったく別人だ。
花たちの“しゃべり声”が聴こえる。画面がうるさい。いや、もちろんいい意味でだ。ピンクの群れ、白い塊、青い小粒、ひっそりとした赤。それぞれが人格を持ち、「見て見て!」と喋っている。
後年のモネは、花を“色の気配”として扱うようになる。ここではまだ、ひとつひとつ個性を描き分け、花に戸籍がある細やかさ。これはもう、「モネの花屋の店頭劇」である。
モネは、花を描きながら、実は“自画像”になっている。花があまりにも多すぎる。種類も、色も、密度も、感情も。普通の静物画なら、せいぜい花束1つか、数種類を上品にまとめる。モネは違う。「描けるだけ全部描く!」と花を画面に大渋滞させている。
カンヴァス上のフラワー・フェス。モネの若さ、そのもの。花の群れ=モネの鼓動。若い画家が、未来へ向かって爆発していく。その衝動が、花の形を借りてここに溢れている。
「モネよ、あんた、こんなに全力だったのか」と、軽く感動してしまう絵。睡蓮の静けさも好きだが、若き日のこの騒がしさは、見る者の胸をドンと叩いてくる。花と光をめぐるモネの長い旅は、ここから始まった。この一枚には、そんな“出発の音”が鳴り響いている。
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モネの傑作絵画