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クロード・モネ《トゥルーヴィル、ロッシュ・ノワールのホテル》〜風だけが真実を知っている

トゥルーヴィル、ロッシュ・ノワールのホテル

  • 原題:L'Hotel des Roches noires a Trouville
  • 作者:クロード・モネ
  • 制作:1870年
  • 寸法:81 cm ×58 cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵:オルセー美術館(パリ)

普仏戦争が始まる数週間前の1870年6月28日、30歳のモネは23歳のカミーユとパリ市役所で結婚した。画家クールベが立ち会ったが、モネの家族は誰も参列しなかった。

結婚式のあと、ふたりは戦禍を逃れ、ノルマンディー地方のトゥルーヴィルのホテルに滞在し、ブータンやカミーユの妹と過ごした。

モネ《トゥルーヴィルの浜にて》1870年

モネ《トゥルーヴィルの浜にて》1870年

左がカミーユ、右がブータンの妻である。

このロッシュ・ノワール・ホテルは、後にプルーストの小説『失われた時を求めて』の舞台にもなる。トゥルーヴィルはパリから日帰りで行ける距離である。

絵画レビュー:歴史は動かないが、旗は暴れる

トゥルーヴィル、ロッシュ・ノワールのホテル

最初に目に飛び込んでくるのは、空じゃない。風だ。「風が主役です」と堂々と名乗り出てくる絵である。

青空を切り裂くように、巨大な旗がばさばさとはためく。あまりに勢いがよくて、「布」というより「生き物」に近い。空気を食べ、空気に噛みつき、空気と格闘している。旗って、こんなに騒がしかったっけ?と思わせるほどだ。

その下で、人々は意外なほど落ち着いている。散歩して、立ち止まり、談笑し、ただそこにいる。誰一人として「風が強すぎる!」と抗議していない。むしろこの風、今日のイベントの一部です、くらいの顔をしている。風は暴れているのに、人間は余裕。ここがまずおもしろい。

しかも旗は一枚じゃない。奥にはフランス国旗がひらひらしている。赤白青が、国境も政治も軽々と飛び越えて、同じ風に煽られている。これ、冷静に考えるとちょっとシュールだ。

「国は違えど、今日は同じ風に吹かれてます」という、天気任せの国際関係。

建物はどうかというと、これまた立派で、微動だにしない。どっしり構えた石造りは、「風?ああ、毎年のことですよ」と言わんばかり。人も旗も空も動いているのに、建物だけが異様に冷静だ。このコントラストが、妙に笑える。

そしてこの絵、よく見ると“何も起きていない”。事故もドラマも事件もない。誰かが転びそうでもないし、喧嘩もしていない。

なのに、なぜこんなに記憶に残るのか。

たぶん理由は単純で、この絵は「気持ちいいから」だ。風が吹く気持ちよさ、空が高い日の解放感、何も起きない午後の安心感。絵を見ているこちらまで、思わず深呼吸したくなる。

「今日は何も成し遂げていないけど、悪くない一日だったな」

そんな気分が、この一枚には詰まっている。

偉大な歴史も、劇的な瞬間も描かれていない。でも、旗がばたつく音や、潮の匂い、日差しのまぶしさまで想像できる。この絵、情報量は多くないのに、体感はフルコース。

風に煽られる巨大な旗を見ながら、「まあ、人生もだいたいこんなもんだよね」と肩の力が抜ける。

静かで、明るくて、少しだけ切ない。それが、このトゥルーヴィルの午後である。

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