
東京国立近代美術館は、1952年(昭和27年)12月1日に開館した日本初の国立美術館。都民から「MOMAT(モマト)」や「近美(きんび)」の愛称で呼ばれる。

設立当初は京橋の法務省庁舎を仮施設とし、現在の本館は1969年に移転。千代田区の紀伊国坂・北の丸公園にある。

設計は帝国劇場なども手がけた建築家・谷口吉郎。外観は控えめで落ち着いた印象を持ち、鉄筋コンクリートの四角い構造はシンプルで重厚感がある。

自然光を取り入れる工夫がなされた空間は、絵画や彫刻、工芸作品などの多様な展示に柔軟に対応する。

エントランスホールをはじめ、作品との距離感を絶妙に調整できるよう設計され、来館者にとって静かで集中力の持続しやすい鑑賞体験を提供する。
アクセス・営業時間・チケット情報

東京国立近代美術館の最寄駅は東西線「竹橋駅」から徒歩3分。おすすめは、新宿から都営新宿線で「九段下駅」まで行き、皇居の内堀を歩きながら向かうルート。

お濠を見ると、モネが睡蓮の池を愛した気持ちに少し近づける。映画のロケ地巡りに近い感覚。絵画は「足」で観るものだと改めて思う。
- 開館時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)※金曜・土曜は20:00まで
- 休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)
- 観覧料:MOMATコレクション:一般 500円
展示と建築空間

1階が企画展の展示室、2〜4階が常設展示室。企画展示室は、狭い空間と広い空間に分かれ、常設展示室はどこも広々としている。

基本的にどれも撮影OK(一部の作品のみ不可)だが、館内は暗く、写りは悪い。作品がクッキリ見え、保護の観点でも照明を落としている。開放と永続の素晴らしい展示。
近代美術を展示する壁は白が基調なので、華美さがなく、絵画がすっきりと美しく際立つ。

1階には授乳室もあり、赤ちゃん連れでも観覧できるので、多くの親子連れに来て欲しい。

4階の「眺めのよい部屋」の窓からは皇居のお濠も見下ろせる。建築と景観が調和した空間。
MOMATコレクション(常設展示室)

「MOMATコレクション」は、常設展示として開かれている美術館の中核。明治時代から現代にかけての日本美術の名作を鑑賞でき、美術史における潮流を視覚的に体感できる。

4階から2階まで12の部屋からなるスペースで、上から年代順に降るようになっている。

日本の画家だけでなく、パウル・クレーやピカソ、アンリ・ルソー、セザンヌなど西洋の有名画家の作品もある。
- 岸田劉生《麗子微笑》
- 黒田清輝《読書》
- 藤島武二《東洋振り》
- 萬鉄五郎《裸体美人》
- 佐伯祐三《郵便配達夫》
- 梅原龍三郎《紫禁城》など
原田直次郎《騎龍観音》

浮世絵でも西洋画でもない、ジャパニメーションの原点のような一枚。
徳岡神泉《狂女》

子どもななく絵。人をトラウマにしてこそアート。
浅原清隆《郷愁》

ノスタルジアはないが、ファンタジアはある。風景でも、形でもなく、色彩で世界を創る。
藤田嗣治《血戦ガダルカナル》

画力はすごいが、あまり現地感、現場感がない。藤田嗣治の才能が生きていない。

ピカソ、ゴヤ、ダリなど西欧は戦争画の傑作を描くが、日本人には似合わない。
田村孝之介《アロルスター橋突破》

同じ年の戦争画でも、藤田嗣治より臨場感がある。戦場といえども、空気が濁っているわけではない。何気ない日常の中で人間同士が争っているだけ。空気の「静」と人間の「動」の対比が見事。
岡鹿之助《群落(A)》

幻想的であり、写実的。おとぎ話の世界から飛び出してきたような質感。マグリットを思い出す。
イヴ・タンギー《聾者の耳》

フランスの画家だが、ゴッホの《タンギー爺さん》とは無関係。ダリの空想のような世界に、スライムのような耳たち。ドラクエの世界観がある。
マックス・エルンスト《つかの間の静寂》

傑作とまでいかないが、絵の力、色の使い方が強烈。日本人画家では及ばない領域。
オノサト・トシノブ(小野里利信)《CIRCLE-'70 》

太陽の塔、ラ・ラ・ラ・ラブソング。
松本陽子《光は荒野の中に輝いている》

モネの睡蓮のような靄のなかに、風が強く吹いている。
美術館メシ(カフェ)やミュージアムショップ

東京国立近代美術館のミュージアムショップは外にある。前庭には多田美波 《Chiaroscuro》(キアロスクーロ)1979年。奥には、美術館のシンボル・イサム・ノグチ《門》1969年がある。

美術館の入り口にはベンダー(屋台)があり、カフェは高いという人も軽食がとれる。
レストラン ラー・エ・ミクニ

東京国立近代美術館を訪れたら、是非とも行ってほしいのが「レストラン ラー・エ・ミクニ」

プロデュースは三國清三シェフ。「芸術と料理」をテーマにフレンチとイタリアンを融合した料理を提供。

皇居の四季が降り注ぎ、やさしい気持ちになりながら休憩ができる。アラカルトはなく、この日は「メニュー・ディ・パスタ」3,300円。
前菜、パスタ、デザート、カフェ(珈琲か紅茶)の4品がつく。メニューは日替わり。

2025年6月5日に訪れた際の前菜は「ツナとミックスビーンズのサラダ」。懐かしく、瑞々しい。少年時代に帰りつつ、どこまでも洗練されている。郷愁と未知がある。ヒルマ・アフ・クリントのようなサラダ。

パスタは、ローマのトマトスパゲティ「アマトリチャーナ」。トマトの酸味がなく、旨味と優しさだけをじっくり抽出。赤ワインのメルローもよいが、白ワインでもいいほどの優しさ。簡単そうで描けないプロの技術。これも、ヒルマ・アフ・クリントのよう。

極め付けはデザート。雪のようなアイス、桜のようなフランボワーズ・ケーキ。雪と桜、『秒速5センチメートル』のような淡さと美しさ。これがMVP。

東京でいちばんの美術館メシ。珈琲で一息ついて、再び展示に向かう。
東京国立近代美術館の企画展

東京国立近代美術館の概要

- 開館:1952年(昭和27年)12月1日
- 住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
- 設計:谷口吉郎
- 所蔵:約13,549点
- 目玉:東山魁夷《道》、岡本太郎《夜明け》
- 撮影:OK
- メシ:ラー・エ・ミクニ
- アクセス:東西線「竹橋駅」1b出口より徒歩3分、都営新宿線「九段下駅」6番出口より徒歩12分
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