
- 原題:La Liberté guidant le peuple
- 作者:ウジェーヌ・ドラクロワ
- 制作:1830年
- 寸法:259 cm × 325 cm
- 技法:カンヴァス、油彩
- 所蔵: ルーヴル美術館(パリ)
《民衆を導く自由の女神》はフランスの画家ウジェーヌ・ドラクロワが、フランス7月革命を主題として描いた一枚。パリ市民が蜂起し、ブルボン朝を倒した革命であり、「栄光の三日間」と呼ばれる市街戦が起こり、民衆がパリの市庁舎などを奪回した。ドラクロワは革命が起きた同年に絵を制作している。
原題の La Liberté guidant le peuple は、正確には「民衆を導く自由」であり、「女神」とは書かれていない。この絵が描かれたあと、フランス政府が購入したが、内容が扇動的であるため、16年間は一般公開されなかった。
絵の中の女性は、マリアンヌ(架空の女神)であり、ニューヨークにある「自由の女神」の彫像と同じモデル。この絵は、1999年に東京国立博物館に1ヶ月間、来日した。
アート漫画『ゼロ THE MAN OF THE CREATION』(第36巻・第234話「ドラクロワ-Le 28 Juillet」)でもこの作品が取り上げられている。
- 当初、タイトルは《7月28日》だった
- ドラクロワは、兄に手紙で「祖国のために敵を倒すことはできないが、祖国のために描くことはできる」と手紙を送っている
- ドラクロワは色を表すとき複数の色を混ぜた混合色を使うが、国旗の赤は朱色一色で描いている
- ドラクロワは罪もない市民が殺されていく怒りを描いている
僕の師匠はパリのルーヴル美術館を訪れたとき、《モナ・リザ》や《ミロのヴィーナス》などの中でも、ドラクロワの《民衆を導く自由の女神》が最も良かったと語ってくれた。
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絵画レビュー:革命を描いたのではない。革命を始めたのだ

自由・平等・革命...教科書では眠くなる単語が、この一枚の前ではすべてが突然“生き物”になる。歴史哲学も政治の本も不要。目に飛び込んだ瞬間、革命が何を求め、何を懸けたのか、胸で理解できてしまう。ドラクロワが用意したメッセージはひとつ。
「考える前に、心で受けろ。」
青・白・赤の旗を高く掲げ、瓦礫を踏み越える自由の女神。この瞬間、フワフワしていた“自由”という概念に、体温と肉体が宿る。
怒り、痛み、希望、熱、雑踏、煙、血。そのすべてが絵から溢れ、観る者にガンと突き刺さる。これはもう、完全に“エモの暴力”だ。そして、この“暴力”を統制するのが、見事な構図だ。
画面は三角形(ピラミッド)構図になっている。
- 頂点:自由の女神
- 左の塊:市民たち
- 右の塊:少年・労働者
背景の煙、遠くの街並み、旗の角度までもが、すべて中央の女神へ視線を収束させる。ドラクロワが絵の中で叫んでいる。
「この女神を見ろ」
手前には死体、周囲には瓦礫。空気は灰色の煙に曇り、足元には血だまり。にもかかわらず、中央に立つ女神は黄金の光を浴びているかのような輝きを放っている。人間の泥臭さ × 理想の美を一枚で両立させる。
革命はロマンでも幻想でもなく、泥の中で生まれる。ドラクロワはその真実を描きながらも、そこに美の炎を灯した。
名画には、世界の見え方を一瞬で変えてしまう力がある。自由が顔を持ち、革命が物語となり、歴史がアクションへと変貌する。この絵の前に立つと、たった1秒で世界が少し熱くなる。巨大なサイズにもかかわらず、この絵が視覚的に大きいのではない。ルーヴルで最も“声の大きい”一枚なのだ。
空前絶後のアート本、登場!

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