
- 原題:Les singes dans la foret viêrge
- 作者:アンリ・ルソー
- 制作:1910年
- 寸法:130×162cm
- 技法:油彩、カンヴァス
- 所蔵:ノートン・サイモン美術館(アメリカ)
アンリ・ルソーが亡くなった1910年に描かれた、最晩年のジャングル画。
青空が広がる熱帯の密林で、鮮やかな橙色の果実が実り、猿が果実をかじり、木にぶら下がっている。
サルは表情がないのに、なぜか可愛い。ちょっと怖い。でも、やっぱり可愛い。この絶妙なバランスがルソーの魔法である。
よく見ると、葉っぱの一枚一枚が丁寧に描かれている。自然というより、「理科の教科書の挿絵をものすごく真剣に描いた」みたいな不自然さがある。空は晴れわたり、光もきれいに届いているのに、全体にはどこか夢の中のような静けさが漂う。
音も匂いも止まった世界。ただ、猿たちがオレンジを食べる「もぐもぐ」の音、木にぶら下がる「ミシミシ」だけが、ゆっくりと響いてくる。
ルソーは一度も本物のジャングルを見たことがない。植物園や絵本や噂の断片を組み合わせて、この密林を作った。サルは写真を見ながら描いた。これは、現実ではなく「ルソーの頭の中のジャングル」である。けれど、その想像の世界が、なぜか本物より生き生きして見える。「本物を知らない人間」が、純粋に“見たい世界”を描くと、こんなにも自由になるのだ。
絵の中のサルたちは、ルソー自身の分身のようでもある。果実は光の粒で、ルソーの心を照らしている。世間から笑われても、信念を食べるように、自分の果実をむしゃむしゃ味わっている。オレンジのように甘く、そしてちょっと苦い。芸術の味を。
アンリ・ルソーがジャングル画を描いた理由
空前絶後のアート本、登場!

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