今回の本はコチラ↓。
多様性の科学
画一的で凋落する組織、
複数の視点で問題を解決する組織
以前紹介した「失敗の科学」の続編的な立ち位置の本で、多様性が組織や社会にいかに必要かを過去の事例や実験から説いていく内容となっており、「能力の高さと多様性は両立しない」とは限らないことを示していく。9.11同時多発テロ前後のCIA、英軍の暗号解読、エベレスト登山での登山隊、キャリーケースの発明、白人至上主義者、米空軍、ダイエット等のたくさんの事例から多様性のない組織の危険性や多様性が成長の上で重要であることを一つずつ丁寧に解説していく一冊となっている。多様性が必要な理由を一言で言えば、天才一人ではカバーしきれない領域の課題を幅広くカバーしていくためなのだが、この点を解説した図はシンプルで分かりやすいです。
なおここでいう多様性は人種や性別といった「人口統計学的多様性」の他に、ものの見方や思考の違いという「認知的多様性」もあるので、単にマイノリティを大切にすればよいといった人権擁護の内容ではない。色んな人種の人を集めても全員が同じ人から学んでいて同じ思想を持っていたならその組織に成長はないということ。だけど背景が違えば思想も違ってくるということで、傾向としては人口統計学的多様性があれば認知的多様性もあるそうです。マイノリティを大切にというのは単にヒューマニズムや人権擁護の観点からだけではないってことなのかもしれない。多様性を大切にとはよく聞くことだけど、分かっていてもなお画一的組織の中では意図せずそのことが盲点となってしまうといったことも本書では詳しく解説している。
失敗の科学と同様に一つ一つの事例をドキュメンタリー調に説明していくのでビジネス書としてだけではなく読み物としても面白いし、そこから学べることも多いので、失敗の科学と並んでこれは良書だと確信しました。同時に自分の会社はどうだろうか、今後自分の人生でどう動いて実践していこうか等顧みる機会にもなりました。実際コスイベに参加するようになってから会社以外の人と交流する機会が増えて世界が広がったから、多分こういうことなんだろうなと思ったり。ひょっとしたらこの本が何十年もあと自分にとってのバイブルの一つになるかもしれない。とりあえず私はルート128とシリコンバレーの事例から、今までとは違った新しい交流コミュニティを探すのもアリかなと思ってたりします。
進撃の巨人でアルミンが「人が一人一人違うのはこの日のためだったんだ」みたいなことを言うシーンがあったけど、この本を読んでて何度もそれを思い出しました。
ネタバレになるのであまり多くは書けないが、上記のような事例から色んな考え方の人を集めることが何故組織に恩恵をもたらすのか、多様性があってもヒエラルキーの形によってはその利点が潰されてしまうこと、イノベーションの起こり方、多様性とエコチェンバー現象、ダイエット時の食事から見る平均値が(中央値とはまた違った視点で)多様性を反映した正しいものとは限らない理由等、非常に面白い内容盛りだくさんです。
以上、多様性の科学の話でした。ここまで読んでいただきありがとうございました。