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SAFe(Scaled Agile Framework)が、再び「採用を控えるべき技術」に選定される

日本でもSAFe™(Scaled Agile Framework®)は、大企業がアジャイル導入を進める際に使われるフレームワークとして知られています。しかし、有名コンサル企業Thoughtworksは2021年と2025年の2回に渡り、SAFeを「Hold(採用を控えるべき)」として評価しました。

ThoughtworksとTechnology Radarについて

Thoughtworksは、テクノロジーを活用した組織変革やアジャイル開発の分野でグローバルに活躍するコンサルティング企業です。マーチン・ファウラーが所属し、CI(継続的インテグレーション)、IaC(Infrastructure as Code)、マイクロサービスなど、様々な技術トレンドを名付けたり、紹介したりしています。

Technology Radarは、彼らが年に2回発行しているレポートで、様々な技術についての評価がされます。

以下の4つのカテゴリに分かれ、

  • Techniques(技法)
  • Tools(ツール)
  • Platforms(プラットフォーム)
  • Languages & Frameworks(言語とフレームワーク

カテゴリごとに、特定の製品についての評価を4つの段階で示します。

  • Adopt(採用) : 積極的に採用すべき
  • Trial(試行) : 採用に向けて試すべき
  • Assess(評価) : 採用の可能性を評価すべき
  • Hold(見送り) : 採用を控えるべき

このレポートを見れば、今どんな技術が注目されているかがわかり、採用に役立ちます。

Technology Radar 2025年4月版

2025年と2021年におけるSAFeの評価

Thoughtworksは2025年4月のTechnology Radar Vol.32(PDF)で、SAFeをHold(見送り)と評価し、次のようにコメントしています。

SAFeが持つ過度に標準化されたフェーズゲート型のプロセスが組織内に摩擦を生み出し、サイロ化を助長し、トップダウン型の管理がバリューストリーム(価値の流れ)の中に無駄を生み出していることも引き続き観察しています。こうした手法はエンジニアの創造性を阻害し、チームの自律性や実験的な取り組みを制限しています。

実はThoughtworksは、2021年4月のTechnology Radar Vol.24(PDF)でも同様にHold(見送り)の評価をしており、次のように課題を指摘していました。

私たちはSAFeの過度に標準化されたフェーズゲート型のプロセスに苦労している多くの組織を見てきました。こうしたプロセスは組織構造や運用モデルに摩擦を生み出し、組織内のサイロ化を促進することにもつながります。その結果、プラットフォームが真の意味でビジネスケイパビリティを支える役割を果たすことが妨げられてしまいます。また、トップダウン型の管理はバリューストリーム(価値の流れ)に無駄を生み、エンジニアの創造性を抑え込み、チームの自律性や実験的取り組みを制限してしまいます。

どちらともSAFeが提供するプロセスや組織構造が、部門間のサイロ化を助長し、チームの自律性やエンジニアの創造性を奪う、という内容です。

100人以上のコンサルタントを投入したけど...

Thoughtworksは、2025年の評価において,わざわざ以下のように記載しています。

クライアントの支援を強化するために100人以上のThoughtworksコンサルタントをトレーニングしてきました。しかし、深い知識を得て、多くの試行錯誤を重ねてきたにもかかわらず、複雑な問題に対して単純な解決策は存在しないという結論に達しています。

ようは「クライアントがSAFeを採用するというから、4年間、前向きに取り組んだけど、やっぱダメだった」という評価です。これは、なかなかの重みがあると思います。

なぜSAFeは採用されるのか

Thoughtworksは、それでもSAFeが採用されている理由を以下のように説明しています。

多くの企業がSAFeを採用する主な理由は、組織をアジャイルにすることの複雑さにあります。企業はSAFeのようなフレームワークがプロセスベースのシンプルな近道を提供してくれることを期待しています。

要は、アジャイル導入をしたい企業のトップにとって、SAFeは適用がイメージしやすく、分かりやすいのでしょう。たとえば、以下のようなことが考えられます。

  • 組織内の多様な利害関係者に対し明確な手順と成果物を提示しやすく、説明責任が果たしやすい。
  • 規定されたプロセスや役割が明確で、変革に伴う初期コストや混乱を抑えられる。
  • 明確なプロセスにより、不確実性やリスクを低減できるという期待感がある。
  • 一貫した基準やルールを全社に導入できるため、迅速なスケールアップが可能。

しかし、こうした「導入の分かりやすさ」は、導入による成果を約束するわけではありません。むしろ、現場の自律性が失われ、逆に成果を下げてしまう、ということのようです。

Thoughtworksが推奨する「バリュースライス」

では、どうすればいいか。Thoughtworks「包括的な変革プログラムと組み合わせて機能する、よりリーンで価値主導型のアプローチとガバナンス」を推奨しています。

2025年のレポートで参照されていたのが「バリュースライス(Value Slices)」です。これは、組織を横断的な小さな単位(スライス)に分割し、それぞれのスライスごとに段階的に変革を進めていく方法です。

いきなり全社で大きく取り組むのではなく、ビジネス価値がわかりやすい単位で取り組み、そこでの成功を持って横展開していけ、ということです。

これによって具体的な成果が素早く獲得できる、かつ、展開のタイミングで市場や環境の変化に柔軟に適応可能であり、さらに実績があることで組織内の変革への抵抗を軽減する効果もあります。

SAFeは効率化を目指すための手法

私のようにアジャイルとウォーターフォールを手法として比較している立場からすると、SAFeは、ちょうど間のような手法であると感じます。定期的にチーム間で整合性を取ったり、全体の戦略をプレイダウンしていく時間を取ったり、中央集権的に反復サイクルを活かすことができます。

SAFeはエンタープライズ向けアジャイル導入における包括的な取り組みの全体像を示しており、複数チームに展開するためのノウハウも優れています。ただし、そのアプローチは、変化に適応するというよりは、定められた戦略を、効率的に複数チームで実現していくことに重点が置かれているように感じます。

これをSAFeとしての特性とすると、昨今のDXのような「変化への適応」を期待するアジャイル導入には向かない、という意味になります。

まとめ

アジャイルを組織に根づかせるには、フレームワークを活用することが重要です。一定の枠組みがなければ、再現性のある実践は難しくなります。ただし、フレームワークは組織全体を一律に統制するものではなく、現場のチームが力を発揮するための土台であるべきだと考えています。

アジャイル導入では、フレームワークの活用法を組織が学ぶための時間が必要です。フレームワークの導入によって、いきなり成果に繋がることはなく、組織として、いかにフレームワークを使いこなしていくのか、が重要になります。
今回のSAFeに対する評価は、SAFeそのものの良い悪いというよりも、採用する側の姿勢の問題であると思います。アジャイル導入は、プロセスを採用すればいいという単純な話ではなく、プロセスを通じて組織が成果を達成できるようにするための地道な取り組みが必要ということだと理解しています。




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