以下の内容はhttps://aozprapurasu.hatenablog.com/より取得しました。


判断が難しい『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(2025)

ぷらすです。

仕事終わりで、7月25日公開の「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」を観てきました。

ううーん。個人的には正直どう判断すればいいのかちょっと悩む感じでしたが、多分これってファンタスティック4に対しての思い入れが歩かないかで評価がかなり変わる作品なんじゃないかって思いました。

というわけで、まだ公開されたばかりの作品なので出来るだけネタバレしないように感想を書いていきますが、ネタバレ絶対イヤと言う人は先に映画を観てから、この感想を読んで下さい。

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概要

宇宙でのミッション中に特殊能力を得た4人の宇宙飛行士の活躍を描いた、マーベルコミックのスーパーヒーローを原作とするヒーローアクション。体がゴムのように伸縮自在になる能力を持つリーダーをはじめとする4人がヒーローチームとして地球を脅かすヴィランとの戦いを繰り広げる。監督を務めるのはドラマ「ワンダヴィジョン」などのマット・シャックマン。メンバーをドラマシリーズ「マンダロリアン」などのペドロ・パスカルや、ヴァネッサ・カービー、ジョセフ・クイン、エボン・モス=バクラックが演じる。(シネマトゥディより引用)

感想

なぜ過去作は失敗したのか

実は僕は2005年公開「ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]」

その続編で2007年「ファンタスティック・フォー:銀河の危機

2015年公開の「ファンタスティック・フォー

の3本は観ているハズなんですね。(内容はあんま覚えてないけど)

しかしこの3作、興行的にいうと2005年の作品は内容的には賛否あるけど興行的には一応成功。続く2007年の続編は興行的にも評判もイマイチ。2015年のリブート版も評価は低かったように記憶しています。

じゃぁ、なぜファンタスティック4の実写化が上手くいかないのかというと、ファンタスティック4というヒーローチームを現代的に再解釈しようという試みが失敗しているってことだと思うんですよね。

コミック版ファンタスティック4はスタン・リーと伝説的アメコミ作家ジャック・カービーによって1961年に生み出されたアメコミとしては史上初のヒーローチームだったんですね。

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で、このジャック・カービーさんの絵柄を一言で言うなら、レトロフューチャー的というか、かなり独特な世界観を持つクセの強い画風の作家。

物語的にも他のアメコミヒーローとは少し違っていて、元々宇宙飛行士だった4人が自家製ロケットによる宇宙飛行中に未知の宇宙線を浴びたことでDNAが変化。超能力を得てヒーローチームになったという出自を持ち、エリートでお金持ちで素性を隠すことなく顔出しでヒーローをやってるんですね。

つまり、ある意味で古き良きアメリカを代表するヒーローチームって感じなのです。

で、このファンタスティック4を現代的に再解釈するということは、ファンタスティック4の持つ世界観そのものを壊してしまうわけで、当然ファンからは「コレジャナイ」という評価が下されてしまうわけですね。

過去作と本作の違い

そこで、今回の「ファンタスティック4:ファーストステップ」では、このジャック・カービーの世界観をそのまま実写化してみせたんですね。

1950~60年代の黄金期のアメリカNYを思わせる舞台ながら、現代のテクノロジーをさらに超える自家用ロケットや様々なガジェット。ただしデザインはザ・レトロフューチャーで、まさにジャック・カービーが描く世界観をそのまま再現するという。

ただ、2025年の今、現実世界はそうじゃないってみんな知ってるわけじゃないですか。

そこで今回MCUがやったのが、一番最初に僕らの住む世界とは別アースの物語ですよと明示したんですね。つまり、マルチバースです。

しかも、この作品ではファンタスティック4のオリジンは冒頭のテレビ番組でサクッと語られるだけで、最初からファンタスティック4として活躍しているところから描くという、MCU版スパイダーマンや、奇しくも先日公開されたジェームズ・ガン版スーパーマンとまったく同じ手法で描かれているんですね。

なのでまぁ、基本話が早い。

前半部分で、4人の能力やキャラクター、この世界での立ち位置やこれまで戦った悪役もテレビでの振り返りと言う形でサクサク説明を終わらせ、そしていきなり紅一点のインビジブル・ウーマン(ストーム)が懐妊。チーム4人が祝福ムードに――と思ったら、突然ギャラクタスがヴィランとして登場という怒涛の展開。

その辺も、ジェームズ・ガンのスーパーマンを思わせるスピード感ですが、スーパーマンと違うのはヒーローとしての知名度じゃないかなーと。

スーパーマンバットマンスパイダーマンはもう何度も実写化されているので、世界的に知名度は十分。だから途中からスタートしても全然許容できると思うんですが、ぶっちゃけファンタスティック4って(少なくとも世界的には)そこまで知名度がないというか、アメコミ映画ファンなら名前や能力は大体知ってるけど、正直そこまでキャラクターに思い入れがないっていうか。

本場アメリカならファンタスティック4は知名度もあるし、思い入れのある人も多いと思うので評価も変わってくるんじゃないかと思うけど、個人的には、う、うーんまぁ…ねぇ。って感じだったし、日本の多くのファンはこんな感じの感想になるんじゃないかな。

映像的には一時期に比べるとかなりいい感じではあるんだけど、物語的に――というかファンタスティック4というチームにそこまで乗れなかったんですよね。

あと、やっぱり作劇や敵の設定にMCU臭を感じる部分も結構あったりして、そこもちょっと乗り切れないなーと思ったりしました。

あと、今回も例によってエンドロール後のオマケシーンがあるんだけど2本目に関しては「え、それいる?」って普通に思っちゃったかも。

まぁ、このファンタスティック4が今後MCUの中でどう展開していくのかは気になるところです。

興味のある方は是非!!

リチャード・ドナー版の精神を引き継ぎながら現代的にアップデート『スーパーマン』(2025)

ぷらすです。

公開初日に観に行ってきました。

今年に入って引っ越ししたり、お店を始めたりとバタバタしてて、ここ数ヶ月は映画を観に行けなかったので久しぶりの映画館でしたよ。

というわけで、まだ公開したばかりの作品なので、出来るだけネタバレしないように気をつけますが、ネタバレいやんな人は先に映画を観てからこの感想を読んで下さいね。

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概要

アメコミヒーローの原点であるスーパーマンを主人公に描くアクション。地球を守るスーパーマンという自らの正体を明かさず新聞記者として働くクラーク・ケントが、宿敵である天才科学者レックス・ルーサーに立ち向かう。監督などを手掛けるのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズなどのジェームズ・ガン。ドラマシリーズ「ハリウッド」などのデヴィッド・コレンスウェット、『アイム・ユア・ウーマン』などのレイチェル・ブロズナハンのほか、ニコラス・ホルトらが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

全てのアメリカンヒーローコミックの始祖であるスーパーマンは、アメコミファンにとってもコミック界、映画界にとっても特別な存在です。

しかし、最初はアメリカンヒーローと言う存在は大人が見るものではなく、実写版もあくまで子供向けとして作られていたんですね。

しかし、そんなスーパーマンにワーナーはマーロン・ブランドジーン・ハックマンといった当時の一流俳優を起用し(今は当たり前だけど当時としては衝撃だった)、監督作「オーメン」「リーサル・ウエポン」シリーズ「グーニーズ」などで知られるリチャード・ドナーを監督に迎え、大予算と最新の特撮技術を使って撮影されたんですね。

その中でスーパーマンを演じたのはクリストファー・リーヴ

当時、彼は無名の新人俳優でしたがスーパーマンで一気にブレイクし、実写版スーパーマンのビジュアルイメージを決定づけたと言えるんじゃないでしょうか。

この映画版スーパーマン第一作は1978年公開の作品ですが、この時点で青の全身タイツに赤パンツ、マント姿のスーパーマンは多くの人々にダサいって思われてたんですね。

なので、そのビジュアルや内容について(当時の)現代的にリブートするべきという意見もあった中、監督のドナーはあえてスーパーマンのビジュアルイメージを変えずにスーパーマンの何たるかをしっかり描き切ったんですね。

このドナー版スーパーマンが原作にしたのは1930~50年代のいわゆるゴールデンエイジのスーパーマンをベースにしているのです。

対するザック・スナイダーがベースにしているのは、フランク・ミラー原作の『ダークナイト・リターンズ』やアラン・ムーア原作の『ウォッチメン』に代表されるいわゆるモダンエイジの作品をベースにしていると思われます。

ザック・スナイダーはこのモダンエイジのアメコミが大好きで、そのダークなビジュアルや世界観の再現に注力しているんですね。

じゃぁ、ジェームズ・ガンはどうかというと。彼の代表作でもある「GOG(ガーディアン・オブ・ギャラクシー)」で彼はリチャード・ドナーと同じゴールデンエイジのアメコミ世界観をベースにしつつも現代的にアップデート。そこに父親への複雑な感情や仲間・チームに対する想いなどを入れ込み、ある意味で私小説的な作品に仕上げていました。

本作でも、そんなガンの特徴はしっかり残しつつ、しかしそこにはハッキリとガンのアメリカ・トランプ・イスラエル、そして世界情勢への痛烈な批判と皮肉が入れ込まれていました。

それはもちろんエンターテイメントの枠組みのなかでの主張ではあるけれど、見れば誰もが「あー、これはそういうことだな」と分かる作りになっていて、そこを批判する人もいるようだけど、僕は本作を観て「やっぱりガンは信用できるヤツだぜ!」って思いましたねー。

もちろんスーパーマンとしての肝というか、スーパーヒーローを描くうえで一番大切な部分もガンはしっかり押さえていて、やっぱ分かってるなーって思いました。

つまり、「ヒーロー」を描くうえで一番大切なことは作品が性善説に則っていること。作り手がそれを信じていることなのです。

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そういう意味でジェームズ・ガン版の「スーパーマン」はもう合格なんですよね。

その上で、「善」であるスーパーマンには出来ない事を彼の仲間が代わりに行ってくれることで観客をスッキリさせるところは、ガンらしい演出だと思いましたけども。

あと演出で言うと、本作はスーパーマンの始まりからではなく、彼がすでにスーパーマンとして認知され、ロイスと恋人であるという時間軸からスタート。

劇中には僕の知らないキャラクターも多数登場しますが、それでも観ているこっちが混乱しないのはガンのストーリーテリングの上手さだなーと思いました。

ガンはキャラクターの説明と物語をシームレスにストレスなく繋ぐのがメッチャ上手いんですよね。

まぁ、全てが最高!ってわけではないですけど、個人的にはスーパーマンのリスタート作品としても、ジェームズ・ガンの新作としても楽しく観られました。

あと、個人的にヘンリー・カヴィルのシュッとしたスーパーマンも好きだったけど、本作デヴィッド・コレンスウェットの若きスーパーマンもハマってると思いました。

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クリプトかわいいワン。

興味のある方は是非!!

 

”新生”MCUでは一番良かった「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」(2015)

ぷらすです。

公開初日に劇場で観てきました『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド

昨年夏公開の「デッドプール&ウルヴァリン」以来、約半年ぶりのMCU新作ですが、個人的にはここ数年、マルチバースサーガになって以降のMCU作品の中で一番良かったと思いましたねー!

今回はまだ公開したばかりの作品なので、出来るだけネタバレしないよう気をつけますが、一切内容を知りたくないという人は先に劇場で本作を観てから、この感想を読んで下さいね。

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概要

マーベル・コミックスに登場する人気キャラクターを実写映画化した『キャプテン・アメリカ』シリーズの第4弾。初代キャプテン・アメリカからその座を受け継いだサム・ウィルソンが、あるテロ事件をきっかけに世界中に広がった混乱を収めようとする。監督を務めるのは『ルース・エドガー』などのジュリアス・オナー。アンソニー・マッキーが新キャプテン・アメリカを演じるほか、ダニー・ラミレス、リヴ・タイラーハリソン・フォードらがキャストに名を連ねている。(シネマトゥディより引用)

感想

ドラマの続編ではあったが

本作はMCUの大人気キャラ・キャプテンアメリカことスティーブ・ロジャースが、「アベンジャーズ・エンドゲーム」のラストで自身の象徴である盾を託した親友、ファルコンことサム・ウィルソンが二代目キャプテンアメリカとして世界を救うというストーリー。

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実は「~エンドゲーム」の後にDisney+で「ファルコン&ウィンターソルジャー」というドラマ作品があって本作はその続編であるため、ドラマを見てない人は楽しめないのでは?とも思ったのですが、実際観てみるとそれは杞憂でドラマ未試聴でも十分楽しめる作りになっていました。(もちろんドラマを見ている方が物語やキャラクターの解像度は上がりますが)

また本作でハリソン・フォードが演じるロス大統領は、MCUでは「インクレディブル・ハルク」でアメリカ陸軍将軍として初登場。以来「シヴィルウォー/キャプテン・アメリカ」や「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」「アベンジャーズ/エンドゲーム」で主に悪役として登場するキャラで、本作では他にも「インクレディブル~」の登場キャラが登場しますが、「インクレディブル~」を観ていなくても普通に楽しめると思います。(僕もインクレ~はほぼ覚えてないけど普通に楽しめました)

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で、このロス将軍はずっとウィリアム・ハートという俳優が演じていたんですが2022年3月に他界した為、本作ではハリソン・フォードが引き継ぐ形になったんですね。

本作でのロス大統領を観ると、出来る事なら長年ロス将軍を演じてきたウイリアム・ハートに演じさせてあげたかったと思ったりしましたが、部屋に飾られていた若き日の家族写真はウイリアム・ハートのまま(だったと思う)で、そのへんに制作陣のウイリアム・ハートへの想いが感じられましたねー。

ともあれ、そうした映画やドラマの要素についてはすべてセリフなどで説明があるので、予習などはしなくても十分に楽しめるはずです。

初代がサムに盾を託した理由

本作はエンドゲームで初代キャップであるスティーブ・ロジャースが、なぜ(肉体的に)特別な力を持たないサムにキャップの象徴である盾を渡したのかのアンサーになっていて、それがそのまま「ヒーロー論」に繋がっています。

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ヒーローをヒーローたらしめるのは強靭な肉体や特別な力ではなく、その精神性なんですよね。そういう意味でサム・ウィルソンは普通の人間で、肉体的には他のスーパーヒーローやヴィランに遠く及ばないわけですが、彼のが持つ特別な能力は共感力であり対話力なんですね。サムと言うキャラは一言で言うと、メッチャ優しくて気のいいヤツなのです。その辺、サム・ウィルソンの魅力には演じるアンソニー・マッキー自身のキャラクターも一役買っている気がします。

ドラマ版はそんなサムがキャップの重責に悩みながらも、自身の役割を受け入れ二代目キャップになるまでが描かれていて、本作ではある意味二代目「キャプテン・アメリカ」としての第1作となるんですが、現在のアメリカ、ひいては分断と争い・差別など世界中に広がる問題をしっかり「ヒーロー映画」に落とし込んでいる地に足の着いた作品で見ごたえあり、マルチバースサーガ以降に公開されたここ数年の「何でもアリ」な世界観の作品群に疲れたファンも本作は楽しめるんじゃないかと思います。

なので、MCUに疲れた人や、ライトファンの人で本作を観ようか悩んでる人は、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらと思います。

昨今のエンタメを取り巻く状況

ここからは本作の感想ではなくてただの個人的な愚痴なので、興味のない人は読み飛ばして欲しいんですが。

昨今、ディズニー傘下の作品を筆頭に、西洋のエンターティメント界隈の作品には、内容や物語より「多様性・包括性」といった政治的主張を前面に押し出す作品が多いように感じます。

一方、そうした作品に反発する形で、女性や有色人種などマイノリティーがメインキャストというだけで反発する声の大きな一部ファンもいて、多様性を押し付けたい一部の製作者との間で常に罵り合いが行われているんですよね。

そうした映画自体の内容とは関係のない外野の政治的な対立に巻き込まれる形でデバフを受け、正当な評価を受けられない作品が多いように感じるし、トランプが再び大統領に就任したことでその分断はさらに広がっていきそうな雰囲気です。

実際、本作のプロモーションでも主演のアンソニー・マッキーの言葉が曲解され、一部で炎上したことがニュースになりました。

で、いわゆる一般のファンはそうした偏った情報合戦に辟易して、映画館からも足が遠のいている印象。

でも、だからこそ情報に踊らされる事なく、気になる作品は映画館に足を運び、ちゃんと自分の目で観て、しっかり判断しなくてはと本作を観て改めて思いました。

自戒を込めて。

興味のある方は是非!

 

心霊検証エンターテイメント第2弾「新・三茶のポルターガイスト」(2024)

ぷらすです。

昨年は個人的に映画(を見る)筋力が落ちていて結局アニメとYouTubeばかり見てたんですが、気がついたら年が明けていました。明けましておめでとうございます。

というわけで、新年ご紹介する1本目の映画は、都内、いや日本最強の心霊スポットの呼び声も高い三軒茶屋にある芸能スタジオに起こる怪奇現象を検証する心霊ドキュメント「三茶のポルターガイスト」の続編。『新・三茶のポルターガイスト』です。

前作には色々不満点もありましたが、本作は前作から大幅にグレードアップしていて、映画としてメッチャ面白かったです。
そして本作はネタバレしても面白さに影響がでる作品ではないと思うので、今回はネタバレ関係なく感想を書いていこうと思うのでご注意ください。

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概要

東京・三軒茶屋の心霊スポットに潜入するシリーズの第2弾で、監督を『怪談新耳袋』シリーズや『ヒーローマニア -生活-』などの豊島圭介が務めるドキュメンタリー。三軒茶屋の雑居ビルで起こる怪奇現象とともに、それらの現象を科学的に検証しようとする人々を映し出す。出演はオカルト編集者の角由紀子や、『TENET テネット』の字幕科学監修を手掛けた物理学者の山崎詩郎、超心理学者の小久保秀之など。ナレーションを俳優の東出昌大が担当する。(シネマトゥディより引用)

感想

前作から大幅にグレードアップ

まず、「三茶のポルターガイスト」の概要をざっくり紹介すると、YouTubeなどを中心に有名になった都内最強の心霊スポット、東京三軒茶屋の雑居ビルにある芸能スタジオ「ヨコザワプロダクション」で起こる心霊現象が本物か偽物かを、オカルトサイト「トカナ」総裁の角由紀子らが検証していく心霊ドキュメント映画です。

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本作はその第2弾として、ヨコザワプロで起こった新たな心霊現象の紹介と大学教授・専門家を迎え更なる検証を行うという内容。

監督は「妖怪シェアハウス」などのベテラン豊島圭介、ナレーションに東出昌大を起用するなど制作陣も前作より地味に豪華になり、前作で感じた検証方法や映像、作品の構成などストレスも本作ではかなり解消され、作品としてかなり面白くなってました。

嘘かホントか。オカルト好きも困惑する現象の数々

そんな「ヨコザワポロダクション」は、かれこれ30年以上ずっと超常現象が起きていて、知る人ぞ知る心霊スポットだったらしいんですが、ここまで有名になったのはここ数年のこと。件の角由紀子さんを始めとした多くの心霊系ユーチューバーの動画の中で高確率で超常現象が起こることで一気に全国的に有名に。

しかし、超常現象を捉えたその映像がオカルト否定派だけでなくオカルト肯定派の間でも物議を醸しているんですよね。

何故なら、あまりもハッキリ見えすぎるから。

100%とは言わないまでもかなりの高確率で映像に映り込む「白い手」や、文字通りポルターガイスト的に壁に掛けられたホワイトボードや時計、天井に照明がゴリゴリ動き出す(照明は点いたり消えたりもする)。鏡に映る少年の姿や女性の幽霊などなど、まさにお化け屋敷状態

しかも今やヨコザワプロダクションの代名詞となった「白い手」は天井、床、壁などあちこちから現れるんですが、それがあまりにもハッキリ見える&出てくるときに壁や天井に張られた布などが捲れたり揺れる様子が写っていて、つまりその「手」は明らかに物理現象であるわけです。

ここがオカルト否定派の人だけじゃなく肯定派の人からも疑われる所以で、もしこれが本物の幽霊であれば、これまで多くの人が長年信じていた幽霊は物理に干渉しないという「心霊現象のルール」が覆されてしまうわけです。

他にも、ヨコザワプロダクションの社長である横澤丈二氏がオカルト大好きでコックリさんを通じてスタジオ内の幽霊とコミュニケーションを取っているとか、スタジオ内は稽古場ということで雑然としていて、お化けに扮した誰かが身を隠せそうに見えてしまうのもぶっちゃけ胡散臭さ満載で、ヤラセ説が出るのも致し方なしと言う感じなんですよね。

僕もいきなりこの映画見せられたら「嘘つけ!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」って言うし、これがフェイクドキュメンタリーだとしたら「雑過ぎるだろ」って言いますもん。

ただ、僕の場合はYouTubeでこのヨコザワプロの検証動画を何本か追った後に本作を観ているので半信半疑といった感じ。っていうかぶっちゃけ本当だったら嬉しいけど嘘でも面白いからいいというのが正直なところだったりします。

で、本シリーズが面白いのはまさにここで、この映画を通してヨコザワプロダクションで起こっている数々の心霊現象が本当なのか嘘なのかを観た人たちが議論するところまで含めて、エンターテイメントとして昇華させているところなんですよね。

令和のTVタックル

本作を観たある年齢層の人なら「たけしのTVタックル」の超常現象スペシャルを思い出すと思うんですが、本作はまさにそれを令和に復活させています。

しかし前作では科学的な目を持った否定派。つまりTVタックルでいう大槻教授に当たる人がいなくて、基本幽霊が本物である前提で話が進んでしまっているので、かなり物足りなさが残ったんですよね。

そんな反省を活かしてかは分かりませんが、本作では検証に「科学の目」を入れようということで、「TENET テネット」字幕科学監修などでも知られる東京工業大学理学院物理学系助教・山崎詩郎氏と超心理学者・小久保秀之氏が参戦。

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山崎氏はかなり慎重で、否定寄りの中立という立場でしたが、もう一人の科学者・小久保氏が角さんを始めとした制作陣の前に立ちはだかる、いわゆる悪役的ポジションとして対立構造が生まれたことで、本作は一気に面白くなっていくんですね。

オカルトセブン

そんな本作。前半はおさらい的に、前作でも見た現象が起こるんですが、山場となるのが中盤の事務所所属のアイドル?グループ「オカルトセブン」のダンスシーン。

映画ではハッキリ語られてないんですが、ヨコザワプロの幽霊・通称てっちゃんは若い女性が大好きらしく、横澤社長の「彼女らダンス中に以前も怪現象が起こった」という提言でオカルトセブンがダンスを披露するんですが——。

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とにかくこの一連のエピソード情報量が多すぎる

まず、メンバーが舞台の位置について音楽がスタートするんですが、歌っているのが横澤社長

いや、お前が歌うんかい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

で、横澤社長の歌にわせてオカルトセブンが踊り、曲が中盤に差し掛かりメンバーが仮面を被ったあたりで、彼女らの後ろに仮面を被った男がヌッと現れるんですけど——

これがどう見ても普通に人間。仮面を被ってる人間。何も言われなければ絶対お化けとは思わないくらいハッキリクッキリ人間。

もし、これが本当にお化けだったらお化けの概念が覆っちゃうくらいメッチャ人間なんですよね。

正直、この一連のシーンだけでもいいから観てほしい。そしてどう思うか教えてほしい。

角由紀子vs小久保秀之氏

その他にも、本作では幽霊を召喚する儀式「スクエア」を行ったり、前作に引き続きこっくりさんでお化けとコミュニケーションをとったり、新たな怪現象も出てきて盛り上がるんですけど、後半では検証に立ち会って現地調査も行った小久保先生が、このスタジオで起こる現象は全て人為的なものであるという調査結果をだし、一方角氏や監督は小久保先生の理論の矛盾をついて両者の対決が始まります。

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この件がまさに古のTVタックル的展開で、ある年齢層以上の人は懐かしいと思うだろうし、見たことがない人は新鮮に感じるんじゃないでしょうか。

最初は比較的冷静だった小久保先生が段々ヒートアップしていく様子も面白いですし、一連の超常現象を否定する先生の気持ちもメッチャ分かるんですよね。

だって基本何もかも全てが胡散臭いんですもん。

一方で、小久保先生の検証結果も「理論上は不可能ではない」けど、わざわざそれをする意味や実際に再現できるかと言われれば結構無理があり、ツッコミどころが多いのも事実。いわゆる学者先生らしい再現性無視の理屈というか。

個人的にはそこも、古の大槻教授のプラズマ理論を思い出したりして中々味わい深かったです。

そんな本作、ジャンルで言えば心霊ドキュメントになりますけど、ぶっちゃけ怖さは全然ないので、怖がりだけど気になるという方も是非!

 

そして現在YouTubeで前作「三茶のポルターガイスト」が無料公開されてたので、もし気になる人はチェックしてみてくださいね。

www.youtube.com

トム・ハーディ版ヴェノム完結「ヴェノム:ジ・ラスト・ダンス」(2024)

ぷらすです。

先日、初日・初回の上映で鑑賞してきました。『ヴェノム:ジ・ラスト・ダンス

SSU(ソニー・スパイダー・ユニバース)シリーズ最初の作品で、マーベルの大人気キャラクター、ヴェノムを主役に据えた三部作完結編です。

というわけで今回は、ネタバレを気にせず感想を書いていくので、まだ本作を未鑑賞で内容を知りたくない人はお気を付けください。

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概要

トム・ハーディが主人公を続投し、マーベルコミックに登場するキャラクター、ヴェノムを描く『ヴェノム』の第3弾。ヴェノムの秘密が明らかになり、それを狙う地球外生命体のシンビオートとの激しいバトルを映し出す。監督などを務めるのは、前2作で脚本などを担当したケリー・マーセル。『死の谷間』などのキウェテル・イジョフォーのほか、ジュノー・テンプルリス・エヴァンスらがキャストに名を連ねる。(シネマトゥディより引用)

感想

SSUって何なのさ

というわけで、まずはSSU(ソニー・スパイダー・ユニバース)「ヴェノム」が何か分からない人のためにざっくり解説していこうと思います。

SSU(ソニー・スパイダー・ユニバース)は、物凄く乱暴に言うと「スパイダーマン」に登場するキャラクターを主人公に据えた作品群のことです。

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「え?スパイダーマンってMCUじゃないの?」と思う人もいるかと思いますが、現在、スパイダーマンの映画化権を所有しているのはソニーで、MCUソニーが提携し、スパイダーマンの一部権利を共有する形でMCUスパイダーマンの映画を制作してたんですね。

一方のソニーは、自社が権利を持っているスパイダーマンのキャラクターを主人公に据えたスピンオフ的なユニバース「SSU」を展開。その第一弾が2018年公開の「ヴェノム」です。

ヴェノムは宇宙からやってきたシンビオートという寄生型宇宙生物で、色々あってトム・ハーディ演じる新聞記者エディ・ブロックと融合。思いがけずバディとなった“二人“は協力しながら様々な敵と戦うという。
日本で言えば「寄生獣」的なストーリー。

この「ヴェノム」のヒットを受けてSSUは「モービウス」(2022)「マダム・ウェブ」(2024)を公開したものの、この2作は興行成績・批評的にも散々だったんですね。個人的にはそこまで嫌いじゃないんですが。うーん。

三部作完結編に相応しい作品に

そんな感じで、SSU第一弾としてスタートした「ヴェノム」でしたが、個人的な感想としてはヴェノムというキャラクターの設定を観客に理解させるため色々盛り込み過ぎた感じで、ぶっちゃけかなりとっ散らかった印象でした。

しかし、そんなストーリー構成の粗を補って余りあるほど、トム・ハーディ演じるエディとヴェノムのある種ブロマンス的な関係性が日本ではネットを中心に話題となり、主演が大スターのトム・ハーディだったこともあって大ヒットに繋がったんですね。

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続く第2作「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」では、前作のエピローグでカメオ登場した原作ファンには大人気キャラクター、カーネイジをヴィランに迎え前作よりもスケールアップした作品でしたが、この時期は丁度MCUソニーの間でスパイダーマンを統合する流れがあって、この作品内でもマルチバース設定などが持ち込まれたことで色々散らかった内容に。エピローグでも明らかにMCUとの統合を示唆する動きがありましたが、その後、MCUマルチバースサーガの失敗もあり計画は白紙に戻されたようで、結局は物語が会社同士の舞台裏に振り回された形になってしまい、評価の方もイマイチな結果に。

そして本作は、そんな前2作でも脚本を担当したケリー・マーセルが監督も担当。ヴェノムのキャラクターや性格、過去2作でヴェノムやエディとのキャラも観客に浸透し、MCUとの絡みもなくなり、物語をヴェノムとエディの関係性に焦点を絞った事で個人的には3作中で一番面白い作品になったと思いましたよ!

あと、MCUや親会社のディズニー作品、もっと言えば多くのハリウッド映画では、物語の中に社会的・政治的な思想や主張みたいなものが入っていて、特に近年はそれが目立ちすぎて説教臭さを感じたり、観ていて疲れる事も多いんですが、SSU作品の場合、良くも悪くもそういう主義主張が全くないのでめっちゃ気楽に観られるんですよね。

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本作も、エディとベノムだけが持つ重要な「鍵」を狙って地球にやってくる過去一ヤバイ敵と、シンビオートを捕獲・研究する軍に狙われる二人のロードムービーになっていて、物語や構成はある種のテンプレに沿っていて特に目新しさはないし先も読めるんですが、その分、エディ&ベノムを主軸にした“キャラもの“として日本のアニメに近い感覚で観られるし、劇中、ヴェノムの寄生や自在に変形するという特性を活かした川でのチェイスシーンや、クライマックスのアクションシーンなどは、3作中一番見ごたえがあって、完結編に相応しい作品になったと思いました。

本作公開前にスパイダーマン第4弾の発表もあったので、もしかしたらエピローグなどでトム・ホランドカメオ出演MCUとSSU統合の“匂わせ“があるかもと思って観ていたんですが、そういうのも一切なく「ヴェノム」三部作としてキッチリ終わったのも、個人的には好感が持てましたね。

まぁ、ヴェノムは人気キャラなので、そのうち別キャスト・別設定でMCUスパイダーマンと合流するかもですが。

あえて言えば

そんな感じで個人的にはめっちゃ楽しんだ本作ですが、これは三部作で脚本を担当、本作では監督も兼任したケリー・マーセルのクセなのかもですが、本作でもせっかく魅力的なキャラクターが多数登場するのに、それぞれの描きこみが足りないのでキャラクターの行動や展開が唐突に感じたり、物語自体が薄味に感じてしまう部分はあるかも。

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とはいえ、そんな粗も込みでSSUの味と言えなくもないし、何よりやっぱ、トム・ハーディ演じるエディとヴェノムの二人が魅力的に描かれているので、それ以外の事はそんなにノイズには感じませんでした。

ちなみに僕は今回「吹き替え版」で鑑賞したんですが、エディ役の諏訪部順一さんとヴェノム役の中村獅童さんの演技も素晴らしかったので、吹き替え版もおススメですよ。

興味のある方は是非!!

エメリッヒ版ゴジラを思い出す「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」(2024)

ぷらすです。

初日初回の上映で観てきました。

2019年公開で主演のホアキン・フェニックスアカデミー賞を受賞した大ヒット作「ジョーカー」の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ

日本に先立って公開された本国アメリカでは、あの「マダムウェブ」以下の低評価で大酷評を喰らっているそうで、日本でもすでに賛否両論の本作。

まだ公開されたばかりの作品ですが、作品の構成上どう書いても、前作・そして本作のネタバレを含んでしまうので、今後本作を見ようと思っている人は必ず先に映画を見てからこの感想を読んで下さい

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

孤独な大道芸人の男が、絶対的な悪へと変貌するさまを描いた『ジョーカー』の続編。前作から2年後を舞台に、悪のカリスマとして祭り上げられたジョーカーが謎めいた女性と出会う。トッド・フィリップス監督とホアキン・フェニックスが再び手を組む。『ハウス・オブ・グッチ』などのレディー・ガガのほか、ブレンダン・グリーソンキャサリン・キーナーらがキャストに名を連ねる。(シネマトゥディより引用)

感想

何故酷評されているのか

日本での公開に先立って公開されたアメリカで大酷評を喰らい、映画評価サイト「ロッテントマト」やSNS上では前作の大絶賛から一転。大酷評の嵐となり、公開された映画をアルファベットで格付けする「シネマストア」というサイトではあの「マダムウェブ」より低いD評価という情報を聞き、日本公開日の今日、かなり覚悟して映画館に向いました。

で、先に書いちゃうと個人的には「メッチャ面白いとは言わないけど、酷評する程悪くはない」って感じでした。でも一方で酷評したくなる人の気持ちも分かるかなと。

全米での酷評の理由としては「前作で完結してるのに、なぜ続編を作ったのか」「なぜミュージカルなのか」の2点に集約されるみたい。

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で、映画館で観た後で読んだXで「前作を観てジョーカーと自分を重ねた人が、本作で梯子を外されてブチ切れてる」(意訳)というのがあり、確かに!と膝を打ってしまいました。

個人的に本作はエメリッヒ版ゴジラに似てると思っていて、あれをゴジラだって言われたら「違うよバカ!」って言っちゃうけど、怪獣映画としては結構面白い。みたいな。

そもそもこのトッド・フィリップス版「ジョーカー」は、アメコミ(DC)映画の皮を被っているけど、やってることはマーティン・スコセッシリスペクトで、特に「キング・オブ・コメディ」の影響は大きくて精神的続編と言っても過言ではないんですよね。

つまり最初から、「ダークナイト」やコミック、DCユニバースなど、バットマンヴィランであるアメコミ映画のジョーカーとは完全な別物で、文脈としては「タクシードライバー」や「狼よさらば」のような、アメリカンニューシネマのあとに公開された作品群のグループなんですよね。

なので、バットマンのジョーカーと同一視しちゃうと、本作を見て「こんなのジョーカーじゃない!」ってなっちゃう。

でも、前作も本作もこの「ジョーカー」で描かれているのは最初からアーサー・フレックの物語で、このシリーズにおける“ジョーカー”はあくまで現象でしかないんですよね。その辺は、本作冒頭のアニメシーンで描かれていますけども。

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ただ、本作に怒っている人とレディー・ガガ演じるリーを含め、ジョーカーに心酔し模倣する群衆たちがリンクしてるとこまで込みで、実はトッド・フィリップス監督の計算だったんじゃないかと思ったりして、もしそうだとしたら監督的にはこの炎上も「してやったり」なのかもって思いましたねー。

なぜミュージカルなのか

で、もう一つの批判点「なぜミュージカルなのか」についても、前作からの繋がりで考えればそんなに不自然ではないと思うんですよね。

アーサーはそもそもショービジネスの世界に憧れている設定だし、前作の階段のシーンなんかはそのままミュージカル映画的演出でしたしね。

悲惨な状況の中、主人公の頭の中でミュージカル繰り広げられるのは、個人的にビョーク主演のトラウマミュージカル「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を連想したりしましたよ。

前作でかけた魔法を、本作で解いてアーサー(と観客)に現実を突きつけるというある種の残酷さも、「ダンサー~」のあのラストシーンを思い起こさせるなーと。

そんなあれやこれやを考えれば、本作を酷評する人の気持ちも分かるし、ジョーカーというアメコミを代表するアンチヒーローの名前をタイトルに冠している以上仕方ないとは思うけど、DC映画のジョーカーとは全くの別物。アーサー・フレックという孤独な男が見たうたかたの夢の物語だと思って観れば、評価も変わるんじゃないかなって思いました。

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個人的にはミュージカルシーンもレディー・ガガホアキン・フェニックスの歌がいいので全然見ていられたし、中盤のステージのシーンではグッときて泣きそうになったし、個人的には前作よりもむしろ本作の方が、アーサーに自己投影できた気がしました。

興味のある方は是非!!

”時代劇”への熱いラブレター「侍タイムスリッパー」

ぷらすです。

今回ご紹介するのは安田淳一率いる自主制作映画会社・未来映画社の『侍タイムスリッパ―』ですよー!!

8月17日にたった1館で封切り。しかしその後自主製作映画ながらSNSで大きな話題を呼び全国100館以上に拡大公開された話題の作品です。

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概要

現代にタイムスリップした武士の姿を描くSF時代劇。落雷に打たれて現代の時代劇撮影所にタイムスリップした会津藩士が、剣の腕を生かして斬られ役で生計を立てる。メガホンを取るのは『ごはん』などの安田淳一。『一粒の麦 荻野吟子の生涯』などの山口馬木也、『AI崩壊』などの冨家ノリマサ、安田監督作『拳銃と目玉焼』などの沙倉ゆうののほか、峰蘭太郎、紅萬子、福田善晴らが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

安田淳一率いる「未来映画社」第三弾

本作を制作した安田淳一さんと「未来映画社」を僕が知ったのは、偶然SNSで流れてきた第1作「拳銃と目玉焼き」の話題でした。その後同作品をレンタルビデオで観て、自主制作映画とは思えないクオリティーの高さに驚いたんですね。

aozprapurasu.hatenablog.com

とはいえ、まだ当時の安田さんや「未来映画社」は知る人ぞ知るという感じだったんですが、本作の公開後「未来映画社」の名前を再びSNS上で見かけるようになり、その高評価に後押しされる形で全国100館以上で拡大公開されたと知り、調べてみたら我が町でも公開されていたので、今回早速観に行ってきました。

自主制作映画ながら異例の大ヒット

自主制作映画で大ヒットしたといえば、上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」を連想する人も多いかと思いますが、ある意味トリッキーなアイデアで観客を驚かせた「カメ止め」に対し、本作の「侍が現代にタイムスリップする」というアイデア自体は、日本の観客にとっては馴染みがあるというか、ある意味で非常にキャッチ―というか。

逆に言えばこれまで何度も擦られてきたネタだけど、それゆえに、逆に飲み込みやすいというか、違和感なく物語に入り込める。という印象でした。

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さらに本作で主役を務める山口馬木也さんと相手役の冨家ノリマサさんは、共に数々の時代劇に出演してきたベテラン俳優だし、殺陣師の関本役を演じる峰 蘭太郎さんは殺陣技術集団「東映剣会」の役員・会長を歴任した大ベテラン。

主人公の高坂新左衛門を世話するお寺の住職夫妻役の紅 萬子、福田善晴さんはそれぞれ関西演劇界の重鎮であり、その他の役の人たちもそれぞれテレビや映画、舞台演劇で活躍する実力派ばかり。さらに本作では数々の時代劇を制作してきた東映京都撮影所が全面協力と、京都伏見を拠点に長年活動してきた「未来映画社」にしか実現できない布陣での制作なんですね。

それゆえ、本作のルックに自主制作ならではの安っぽさは微塵も感じませんでしたよ。

時代劇と侍

そんな本作の素晴らしいところはまずアイデア

侍が現代にタイムスリップという非常に分かりやすくキャッチーな設定ながら、その転移先が時代劇の撮影所という発想はめっちゃ面白いし、時代の流れの中で消えゆく“チャンバラ時代劇”と幕末の侍をリンクさせて物語に落とし込むというアイデアには思わず膝を打ちました。

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さらに演じる山口馬木也、冨家ノリマサという時代劇に通じたベテラン2人の、文字通り熱演も見事。
昨今は現代劇と同じ感覚で観られる時代劇作品も多いし、それはそれで面白いですが、お二人とも多くの時代劇で活躍されてるだけに、殺陣の動きも刀の扱いや所作も発声も、しっかり時代劇のそれなんですよね。クライマックスの殺陣のシーンは迫力と緊張感が凄くて、思わず身を乗り出してしまいました。

ややテンポが悪く冗長に見えるかも?

そんな本作ですが、序盤の導入部分から中盤以降の物語が本格的に動き出すまでの構成は、現在の視点で見るとややテンポが悪く冗長に見えるかもしれません。

「拳銃と目玉焼き」の感想でも似たようなことを指摘していたので、これ自体は監督でもあり脚本も担当している安田淳一さんの作劇のクセなのかもしれませんが、本作に限ってはもしかしたら狙ってそういう作劇にしているのかもと思ったり。

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劇中の関西的ベタベタなコメディシーンも含め、本作では昭和から平成初期にかけて隆盛だったテレビの人情ドラマ的なテンポやセリフを意識的に取り入れているように見えたんですよね。こうした人情劇もまた今では絶滅寸前でもあるので、前述した時代劇や侍という題材にリンクしているのかも?

僕が行った映画館でも、老齢に見えるお客さんがけっこういらっしゃっていて、劇中のコメディシーンではしっかり笑いも起きていましたしね。

SHOGUN 将軍」と本作

先日、真田広之さんが主演とプロデューサーを務めた「SHOGUN 将軍」が米エミー賞で史上最多18部門を受賞を受賞して話題になりましたが、いわゆる歴史上の武将などを主役にした大河などの「歴史時代劇」と本作の様な「チャンバラ活劇」は時代劇を支える両輪でもあるので、「SHOGUN 将軍」を面白いと思った人は、ぜひ本作も観てほしいと思います。

興味のある方は是非!




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