家族というものをやっていると親戚というものも生えてくるので、いかんせんそちらの事情とか都合に、こちらをあわせることでしか、こちらと向こうの円滑な関係を維持できない夜もある。具体的には近い世代の子供たちを集めて花火をやろうということになった。ウチの子供たちが習い事からかえってからという運びになったので、そのわずかな隙間に飯を忍び込ませるべくメニューを変更して我が家式の「カオマンガイ」を作った。よくあるレシピをアレンジして炊飯器で炊き込むやり方だが、ワンプレートで出せる上にかきこむだけで食べられるので時短になるであろうとの作戦だった。
ウチのやり方としては炊飯前に味付けとして中華風調味料(ペースト状)をひと匙、チューブのニンニクとショウガを適宜加える、ことにしているのだけれどこの日に限ってチューブのショウガが見あたらず、たまたま何かの用途で買ったふつうの根っこタイプショウガがあったのでそいつで代用、いや本来あるべき正しいマウンドに当番を願った。
至極当たり前な話であるのだが、本物を入れていると炊いている途中の匂いがスゴいことになる。すり下ろして入れた瞬間からもう違うもんね。米に浸水させて水の量を調整した炊飯器の中にすり下ろしたショウガを入れると、チューブはもったりとタレてそのまま居座るけど、ちゃんとすり下ろしたショウガはパッと花が咲いたみたいに水の中に広がってそこでまた匂いが立つ。ちょっと見た目だけでも感動してしまった。もちろん出来上がりの味もすこぶる旨い。
利便性と保存性の観点からいつもはチューブを使っている。それはね、毎日の家庭の食を継続して維持していく為には必要なんです。ほんとに日持ちしないからこう言うときでもないと本物のショウガをすり下ろしたりはしない。しないけれども。たまには、ショウガくらいは本物を用いる手間をかけてもいいのかなあと、そう思う俺の脳裏に海原雄山の顔がチラつく。ええいうるさいぞ雄山。日常生活に落とし込むことができない美食などそんなもの文化と言えるか!
土鍋で作ったカオマンガイ旨そうだな。こんどやろう。