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田中祐理子『アラン』(ちくま新書)

 哲学者アランの思想と生涯についてまとめた本。アランは二度の世界大戦を経験した。アランにとって戦争とは石のように現に事実的に存在し、立ち向かうべきものだった。このように無遠慮に存在する事実的なものとの対峙が重要だと説いた。それに対して、平和や正義のような純然たる理念というものは最も弱い。だが、その最も弱いものを選び、望み、意志し続け、事実的な力を持たせることがアランの思想だった。

 アランのプロポは読んだことがないが、現実的な戦争体験に基づく思想はおそらくかなり機微に富み、かつ強固なものなのだろうと思う。アランについては原典を読んだことがないので、これを機に読んでみたいと思った。石のように存在する執拗な現実という発想は私も共有するものであるので、彼の思想には共鳴するところが多いと思う。




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