殺人犯が人の心に目覚めていくノンフィクション。著者はある殺人犯と手紙のやり取りをすることになる。そこで見えてくるのは、冷血無比で共感能力がなく思考能力もなかった殺人犯が、刑務所における読書や同囚との触れ合いの中で、人の痛みがわかるようになり、些細な幸せを感じるようになり、罪をめぐる様々な問題について深く思考するようになり、自らの贖罪についても探求していくようになる過程だった。
加害者が被害者に謝罪したいと申し入れても断られることが多いとのこと。では加害者はどのように贖罪したらよいのか。本書は明確な答えを出してはいないが、おそらく贖罪とは、自ら罪の意識や責任の意識、他者の生命や痛みに感応する力を身につけることで、加害者が内面的に成長していくことなのだと思う。加害者が内面的に成長し、自らの罪について深く考えられるようになり、心の底から悪かったと思えるようになる、それが贖罪なのだろう。