刑事司法の手続きの中にどのように福祉を架橋させるかについて探っている本。一年間に罪を犯す人は日本の全人口の5%に達し、誰もが犯罪とは無関係とはいえない状況になっている。中でも、病気を抱えた人や、精神・身体・知的障がい者、孤独な高齢者など、本来なら福祉が介入してサポートするべき人の犯罪が多い。だが、一度犯罪を犯してしまうと、刑事司法という社会的排除を基軸とする手続に乗ってしまう。刑事司法に福祉という社会的包摂の視点を織り込むため、最近では弁護側に社会福祉士が加わって、被告人の病状などについて弁護することが増えている。
刑事司法という社会的排除(social exclusion)の手続きと、福祉という社会的包摂(social inclusion)の視点を上手に統合するような運用が最近なされていることを知って安心した。少年法の世界ではもともとそのような運用だったが、成年犯罪においても近年ではその必要性が広く認知されているようだ。犯罪はいけない行為だが、犯罪に追い込まれている福祉の支えを必要とする人たちが数多いことも否定できない。これからのさらなる統合を願う。