ようやく生活リズムが整ってきました。
先月の。
印象に残った本
1冊選ぶなら山口尚『現代日本哲学史』。構図が明快で、ともかく「歴史」を語り切るぞという気概にみちたよい本でした。
読んだ本のまとめ
2026年1月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3134ページ
ナイス数:90ナイス
https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly/2026/1
■織田信長 不器用すぎた天下人
同盟を結んでいた大名や重用した家臣に次々と裏切られ、結局はその裏切りによって命を落とすことになった信長。本書は浅井長政や上杉謙信、武田信玄ら大名、松永久秀、荒木村重、そして明智光秀といった裏切り者たちと信長の書状のやり取りを紹介し、その裏切りが生じた理由を探る。勢力を拡大するにつれ外交の立ち回りも変えてゆくべきなのに、信長はうまく対応することができなかった、という見立ては説得的。あけすけに他者を信用してしまう信長の姿が書状から浮かび上がってくる、おもしろい読書でした。
読了日:01月06日 著者:金子拓
https://bookmeter.com/books/11674342
■一夢庵風流記 (新潮文庫)
原哲夫『花の慶次』の原作。漫画では様々なエピソードが盛られ、また朝鮮行きの挿話などはカットされていたが、前田慶次郎という快男児の生き様はまさしくこの原作が彫琢したものだったのだと納得。世のしがらみなど構いもせず、莫逆の友たちと出会い、どこまでも我を通してゆく傾奇者の姿は、未だ色褪せずまぶしい。司馬遼太郎『燃えよ剣』に匹敵する高級ライトノベルとして楽しく読みました。
読了日:01月06日 著者:隆 慶一郎
https://bookmeter.com/books/547100
■ベネズエラ-溶解する民主主義、破綻する経済 (中公選書 115)
年初のトランプ政権による蛮行から、同国の状況を知るために読む。20世紀末から2020年ごろまでのチャベス、マドゥロ政権が、いかに法の支配を無視した権威主義的な政治をすすめ、またその過程での経済状況および治安の悪化が生じたか、平明に記述されている。国民の6人に1人が国外に脱出したというベネズエラの状況は、はっきり言って想像を絶する。本書はそこから安易に教訓を引き出すことに禁欲的だが、法治主義というものが秩序の維持のために根本的に重要なのだと思い知らされた。
読了日:01月10日 著者:坂口 安紀
https://bookmeter.com/books/17205314
■赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫 し 18-9)
およそ半世紀前の芥川賞受賞作。サリンジャー=野崎孝から影響を受けそして村上春樹に影響を与えたであろうその軽さのある饒舌な文体は、いま読むとやや時代遅れにも思えるが、東大入試の中止という時代状況が刻印されたある種の風俗小説として読んでみると、その古くささは欠点でもないだろう。主人公の肥大した自意識は『ライ麦畑』の借り物でしかない気もするが、そこに当時のエリート高校生の姿を当てはめたところに著者の慧眼はあると思う。
読了日:01月12日 著者:庄司 薫
https://bookmeter.com/books/544137
■現代日本哲学史
1970年代から2010年ごろまでの日本哲学の展開を、代表的な哲学者のテクストを丹念に読み解きながら素描する。廣松渉、大森荘蔵からはじまり柄谷行人『世界史の構造』を到達点とする構図で、「デカルトの糸」「カントの糸」「マルクスの糸」の三つが鍵概念となる。名前を知っている人もそうでないものもいたが、著者による要約は簡潔で鮮やか。無論、本書が無二の「正史」であろうはずもないが、大きな見取り図を果敢に示した蛮勇に喝采を送りたくなる。おもしろくて一気に読みました。
読了日:01月17日 著者:山口尚
https://bookmeter.com/books/22787341
■アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治 (講談社現代新書 2588)
近年、日本だけでなく欧米諸国でみられる、権威主義的な政治勢力の伸長、歴史認識をめぐる抗争、排外主義の高まり等について、戦後におけるリベラリズムの展開と衰微という視点から一望しようとする試み。個人を解放するはずのリベラリズムが、しかし歴史的な展開の中でむしろ個人を不自由にしているという逆説。我々が改めてリベラリズムを鍛え直すことが求められるという現状認識。さまざまな議論が縦横に引かれ、論旨を追うことに難儀するのだが、この密度の議論を展開するならきちんと注を付して欲しかった。
読了日:01月20日 著者:吉田 徹
https://bookmeter.com/books/16529758
■ホメーロスの オデュッセイア物語(上) (岩波少年文庫)
押しも押されもせぬ大古典。クリストファー・ノーランによる映画の予習のため読む。子ども向けの再話だが、一応、すべてのエピソードは拾ってある…らしい。オデュッセウスの前には一つ目の巨人や6つ首の化け物、美しい歌声のセイレーンなどさまざまな障害が立ちはだかる。驚いたのがオデュッセウスの部下たちが思いの外軽率で、かつ皆殺しの憂き目に遭うこと。後半三分の一は息子のテーレマコスが父を探す挿話になる。近代以降の小説とはだいぶ手触りの違う、おもしろい読書体験です。
読了日:01月23日 著者:バーバラ・レオニ・ピカード
https://bookmeter.com/books/7989443
■さらば東大 越境する知識人の半世紀 (集英社新書)
吉見俊哉の東大退官にあたって、自著をある種の叩き台として教え子たちと行った対話と、最終講義の様子を収める。自著をめぐる対話では、教え子の研究者たちの理解に苛立っている様子の吉見の発話がしばしばみられ、結構緊張感がある。最終講義は、東大紛争を一つの大きな転機として、その延長線上にいた一人の役者として自分自身を総括するストーリーテリングが見事。
読了日:01月23日 著者:吉見 俊哉
https://bookmeter.com/books/21681402
■自己との対話 社会学者、じぶんのAIと戦う (集英社新書)
吉見俊哉が、自身の著作を学習させたAIと対話する、ほとんど奇書といっていいだろう本。吉見のことを学習しているとはいってもそれが出力にどれほど生かされているかは微妙で、その返答の頓珍漢ぶりは時たま吉見を苛立たせる。もう少し時代が下ればもう少し読み応えのある対話になったのかもしれないが、AIが「この程度」の存在にすぎないということを明かしている。ブログに感想を書いた。
読了日:01月28日 著者:吉見 俊哉
https://bookmeter.com/books/23036641
■ホメーロスの オデュッセイア物語(下) (岩波少年文庫)
下巻では、オデュッセウスのイタケー島への帰還、乞食に身をやつしての潜入、そしてペーネロペイアへの求婚者を殺戮して大団円となる。大筋は知っていたが、求婚者たちが同情の余地がいっさいないクズとして描かれるので、クライマックスはかなり納得感ある。訳者後書きによると、この翻案では構成を変えてあるとのことだが、確かにわかりやすいかも。
読了日:01月28日 著者:バーバラ・レオニ・ピカード
https://bookmeter.com/books/7977323
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今月は『超かぐや姫』、『キルケーの魔女』と、年初にしてすでに今年を代表する作品となるであろうアニメ映画をみることができて、幸福でした。
先月の。
来月の。