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日常の倦怠、死からの跳躍────『ALL YOU NEED IS KILL』感想

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 『ALL YOU NEED IS KILL』をみたので感想。

 謎めいた巨大な樹木が突如地球上に現れてから1年。その出現に予感めいたものを覚え、樹木伐採のボランティアに志願した少女、リタだったが、そこでの日々は退屈な日常の延長にすぎなかった。しかし、樹木から突如不気味な生物が産み落とされ、殺戮の限りを尽くし始めて同僚は次々と命を落とす。リタもまた必死の抵抗の末殺戮生物と相打ちになったかに思われたが、なぜかその日の朝に戻っていた。そして繰り返す、謎の生物の覚醒と殺戮、そして死。リタはこの繰り返しから抜け出すことができるのか。

 桜坂洋による同名小説のアニメ映画化。かつてダグ・リーマン監督、トム・クルーズ主演で実写映画化されたが、今回のアニメ映画化では、原作・実写映画版で主人公の先輩格のヒロインとして登場したリタを主役に据え、世界設定や道具立ては共通だがまったく別の筋立ての物語が語られる。アニメーション制作はSTUDIO 4℃、監督は『海獣の子供』でCGI監督を務めた秋本賢一郎、脚本は『Dr.STONE』などの木戸雄一郎。

 いかにもSTUDIO 4℃らしい、無国籍風のキャラクターデザインが目を惹くが、このキャラクターを手書きの作画ではなく3DCGで動かし、にもかかわらずルックはかなり手書きの作画のアニメに相似しているところがこのアニメの何よりの特徴だろう。予告を瞥見した段階では作画と勘違いしたくらい、モデリングと動作が作画に寄せていると感じて、その印象は本編をみても変わらなかった。このルックはこの映画の発明でしょう。

 人類を殺戮すべく覚醒した異生物はビビッドなカラーの食虫植物と昆虫のあいの子のような雰囲気だが、このモデリングも実にうまくいっていて、かつ、それに対峙するパワードスーツを着たリタもよく動く。そして3DCGの利点を活かした縦横無尽のカメラワークもあいまって、この映画のアクションシークエンスは外連味たっぷりの、大きな見所になっている。

 さて、このアニメ版の脚色で、物語は異生物の出現の最初の一日にフォーカスされ、原作・実写映画版のような人類とエイリアンの絶望的な全面戦争が展開されているわけではない。これによって登場人物はかなり切り詰められて全体がスマートになり、しかし原作のもっていた道具立ての面白さは損なわないという、アダプテーションの見本のような優れた脚色をみた思いだった。

 母親に存在を否定され倦怠のなかで生きるリタは、死と目覚めのループに突入する前から、日常という「繰り返される日々」にまどろんでいる。恐るべき経験を経て、自己と世界が自身の手で変えうるのだとリタは確信し、やがてかけがえのない仲間との協力でループを打破するのだが、その超常的な死のループからの脱却が、もともと生きていた灰色の日常からの跳躍と重なっているという構図もスマート。彼女のささやかな、誰にも知られることのない冒険が、日々の日常に倦むわたくしたちにささやかな勇気を与えてくれる、そういう映画だったと思います。

 

 

 

 




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