
2025年 透明水彩絵の具 水彩色鉛筆 ©Ray2025
イラストは「低音パートの練習・3年3組の教室にて」
ここ押すと嬉しい
主人公の黄前久美子の2年生編。
部長に吉川優子、副部長に中川夏紀。1年生教育係には3年の加部友恵と共に2年の黄前久美子が担当することになった新生吹奏楽部。
全国大会金賞を目指して活動するも、今年は関西大会金賞で幕を閉じる。
劇場版が1作と、みぞれと希美を主役にした映画「リズと青い鳥」の2作がありますが、ストーリーを短くしていて、物足りなさがあります。
そこで今回はストーリー完全版・原作小説版を、スポットがあたった登場人物と共にストーリーを振り返っていきます。
波乱の第二楽章 主な登場人物とあらすじ
1年生 月永求(もとむ) コントラバス担当
入部当初は無愛想な態度をとっていたが、同じコントラバスの先輩である川島緑輝(サファイア)の人柄と演奏力に惚れ込み弟子になる。
その後、川島緑輝には好意的な態度で接するが、他の人には相変わらず愛想のない態度をとる。
月永と呼ばれることが嫌い。
その理由は、吹奏楽に詳しい緑輝と久石奏はピンときたようである。
龍聖学園高等部吹奏楽部の友人に声をかけられると不機嫌になる。
本人は秘密にしているが、
吹奏楽全国大会出場の常連校の元顧問で、今年から龍聖学園高等部特別顧問の月永源一郎の孫。
1年生 鈴木美玲 チューバ担当
同じ低音パートに馴染めなく不満をつのらせていた。
小学生からの知り合いの鈴木さつきにも冷たくあしらってしまう。
それを気にする久美子は、後輩の久石奏に美玲と友達になってほしいと頼む。
5月、サンフェスの行進の練習中に美玲の不満が爆発。その場から立ち去ってしまう。
先輩の中川夏紀の指示で、美玲を追いかける久美子と奏。
「私より下手なのに、毎日楽しそうな葉月先輩やさつきを見ていると、イライラするんです。馴れ合うためでなく、一生懸命部活をするために吹部に入ったのに。
腹を立てている自分が悪いとわかっているのに。すみません」
そう言う美玲に奏は
「謝る必要はないよ。美玲の頑張りは評価されていない方が間違っている」
しかし、久美子は奏の意見を否定しつつ話をした。
「評価してないわけじゃない。みんな美玲ちゃんの事を認めている。
みんな仲良くなりたいと思っているけれど、取っつきにくいところがあるので話にくいと思っているよ」
目元の涙を拭きながら、美玲は「黄前先輩、私どうすればいいですか?」と尋ねる。
「えーっと、みっちゃん、と呼んでもらうことにしたら?」
「じゃあ、最初に黄前先輩が呼んでください。免疫つけたいんで」
「みっちゃん」
「はい!」
何度も繰り返すうちに笑いが込み上げてくる二人。
美玲は久美子と奏にお礼をすると、チューバの部員達のもとへ謝罪をしに戻って行った。
久美子達が戻ってきたときには、美玲は皆と打ち解けていた。
さっそく、その日にチューバの親睦会が開かれた。
1年生 剣崎梨々花 オーボエ担当
ファミレスで、みぞれ先輩と仲良くなれないと梨々花に相談される久美子。
話かけてもそっけない態度で嫌われているでは?と気にしている梨々花に、
「先輩はかなりの人見知りなの。仲良くなるには根気が必要だよ」
と答え、勇気が出てきましたと上機嫌になる梨々花。
久美子に相談した理由は、吉川部長にすすめられたから。
中川副部長もうなずいていたという内容に、釈然としない久美子だった。
その後、梨々花はみぞれと世間話をするほどの仲になっていった。
1年生 久石奏 ユーフォニアム担当
久石奏は久美子には懐いていたが、演奏が下手な先輩の中川夏紀を認めていなかった。
二人の関係はトロンボーンの塚本秀一から、「結構危ない。見ていて冷や冷やする」と指摘されるほどだった。
7月、コンクールのオーディションで奏はわざとミスをした。
その瞬間、夏紀はオーディションを中断させ無理やり奏を外へ連れ出した。
「ずっとアンタに嫌われていると思っていたが、なんで手を抜いた。
次も同じことをしたら、ウチはオーディションを辞退する」
激しい怒りをぶつける夏紀。
「あなたが3年生だからですよ。みんな中川先輩にAメンバーになって欲しいんです。
どうして頑張ってきた3年生じゃなくて1年生がAなんだって疎まれたくない。
私がミスしたのは私自身の身を守るためです」
そう泣きながら答える奏に久美子は
「ここは奏ちゃんのいた中学校じゃない。北宇治なの。夏紀先輩と一緒にコンクールに出たいと皆思っているよ。
でも、奏ちゃんが落ちろって思う人はいない。奏ちゃんは頑張っているよ」
奏は夏紀に謝罪をし、夏紀は「よかろう」と冗談めきながら許した。
オーディションの結果はユーフォニアムは、中川夏紀、黄前久美子、久石奏の3人がAメンバーに入った。
その一件以降、奏と夏紀は良好な関係になっていった。
3年生 加部友恵 トランペット担当
4月から黄前久美子と共に新入生の指導係を担当していた。
「うち、こういう細々とした事向いてんねん」と友恵は言う。
6月に入りコンクールの自由曲も決まった頃、
ミーティングで、今後は奏者を辞めてマネージャーとして活動すると告げる。
動揺する部員たち。
加部友恵は久美子に、顎関節症のためだとその理由を答えた。
滝先生にも相談して、他のパートへ移ることも言われたが
「今さら移ってもだし、マネージャーの仕事が得意やねん」
その後、マネージャーの段取りと手際の良い仕事っぷりに部員たちは大いに助けられる事になる。
3年生 鎧塚みぞれ オーボエ担当
3年生 傘木希美 フルート担当
北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章のメインストーリー。
二年前の夏に南中出身の新入部員を中心に、3年生と対立して大量退部。
去年の夏、その中の一人、傘木希美が吹部に復帰してから、
鎧塚みぞれと吉川優子、中川夏紀の4人は以前のように
行動を共にすることが多くなった。
夏紀と優子は犬猿の仲と言われるほど、言いたいことを言い合うほど仲が良かった。
優子はみぞれがほっとけなくて、親が子を見守るような態度をしていた。
みぞれの眼中には希美しか入っていなかった。
希美は、みぞれは大勢いる中の一人の友人にすぎなかった。
夏紀は、希美に罪悪感があった。去年、希美に退部を相談されたときに「好きにすれば良い」と答え結果、退部してしまったから。
ただ、みぞれの希美への唯一の友達という思いと、希美のみぞれへの大勢いる中の一人の友人という思いは、本人達は気がついていないが変わっていなかった。
コンクールの自由曲「リズと青い鳥」の物語がうちらと似ていると、傘木希美は鎧塚みぞれに笑いかけた。
パン屋で働くリズは湖の辺に住む動物たちと、特に青い小鳥と大の仲良しだった。
嵐の過ぎ去った日、リズは湖の辺で倒れている少女を見つけ、家に連れて帰り介抱をした。
元気になった少女はリズと共に暮すようになった。
「私はあなたといることだけが喜びなのです。私のことは詮索しないで。正体を知られるとここから去らなければなりません」
リズは少女の願いを受け入れ幸福な日々は続いた。
ある日、部屋に青い羽を見つけたリズは、少女があの青い鳥だと知る。
少女に正体を告げるか悩んだ末、自由に空を飛ぶ青い鳥に戻って欲しいと別れを告げる。
「あなたの望みなら」と青い鳥は受け入れ
「私があなたを愛していたことを、時折思い出してください」
そう言うと、青い鳥は空の彼方へ飛んでいった。
この自由曲の第三楽章のソロを任された二人。
無事、関西大会に出場が決まった北宇治。
ただ、高坂麗奈は疑問に感じていた。みぞれ先輩は実力どおりの演奏をしているのか?と。
進学先は音大に決めたみぞれ。理由は希美も受けるから。
しかし、希美は志望校を変えていた。
そして、合奏練習ではみぞれと希美のソロは噛み合っていなかった。
夏の合宿練習の夜、寝付けない久美子と麗奈は同じく起きていたみぞれと休憩室で話し込んでいた。
麗奈はみぞれを励ますつもりが、気まずい雰囲気に。
みぞれは、ふと本音を漏らす。
「希美はいついなくなるかわからないので信用できない。私はリズにはなれない。青い鳥を閉じ込めておく。私が希美を解放できないから、きっと吹けない」
合宿中のスイカ割りの時も、
合宿前の夏休みに、みぞれ達4人の先輩と久美子たちのいつもの4人と後輩の奏と梨々花でプールに遊びに行った。
その時にも、久美子は希美に音大を受験するのかどうか尋ねていた。
「みぞれの前で言ったら、引っ込みつかんくなったの。うちのこと軽蔑する?」
そう答える希美に冗談であってほしいと久美子は思った。
リズと青い鳥・第三楽章の練習では、みぞれと希美のソロ演奏に、
外部指導者の橋本、新山の指導が続く。
最後に新山は「二人とも窮屈そうなのが気になって。曲のアプローチの仕方について考えてもいいかもしれないわね。とくに鎧塚さん」
次の日の休憩時間、みぞれは新山にソロの相談をした。
「リズの気持ちがわからない。理解できない」
「青い鳥の気持ちで考えてみたらどうかしら? 別れたくないのに、どうして青い鳥はリズの言葉を受け入れたのかしら?」
「たぶん、青い鳥がリズの事が好きだったから。好きな人が望むことだから」
「青い鳥は不幸だった?」
「わからない。でもリズに幸せになって欲しいと思っている。それが青い鳥の愛のありかた」
「今のイメージで、一度ソロを吹いてみましょう」
「でも、希美と息が合うかわからない」
「あのソロはオーボエがメインよ。あなたが思うように吹きなさい。きっと周りがついてくる」
新山はみぞれを励ました。
練習が再開されると、珍しくみぞれの希望で自由曲の頭から通しで吹くことになった。
第三楽章のソロ。みぞれの演奏に新山は立ち上がって拍手を送った。
「素晴らしかったわ。今の感じを忘れないで」
滝は今のソロに合わせて演奏のバランスを練り直すために、休憩をとった。
周囲の部員たちがみぞれを取り囲んで感動を伝えている中、
希美はホールから出ていった。
夏紀は久美子に希美のところへ行くように頼んだ。
久美子は、夏紀先輩が行くべきだと言う。
「うちはあかん。あの子を甘やかしてしまうから。優子はみぞれに甘いし、うちは希美に甘い。どっちも希美はいま求めていない」
久美子は、昨日のスイカ割りで希美と気まずくなったと断るが、
「その話、希美から聴いた。大丈夫。アンタの言葉なら届くから」
ホールの裏口でうずくまっている希美を発見した久美子。
希美は顔を隠しながら本音を話した。
「みぞれの演奏はショックやった。こんなに実力差があったんかって。
みぞれが本気を出せんかったんは、うちの力不足のせいやなんて。
ほんまは、みぞれには才能があるって最初から知ってた。でも認めたくなかった。
うちのが上手いって思ってたかった」
「みぞれが新山先生に音大を勧められたと知ったとき、みぞれに負けたくなかった。
舐められたくなかった。だから音大に行くとみぞれに言ってしまった。
久美子ちゃんの言うとおり、うちは軽蔑されるべき人間やねん」
「自由曲がリズと青い鳥に決まった時、うちらに似てると思ってん。リズはみぞれで、うちは青い鳥。でも、違った。青い鳥はみぞれのほうやった」
「もう足を引っ張るわけにはいかんやん。みぞれのソロを完璧に支える」
希美が久美子の手を取ってホールに戻る途中、希美を心配して来たみぞれと出会った。
練習が再開された。今度はみぞれのソロに部員たちはしっかり合わせてきた。
希美はみぞれに合わせて華やかな演奏をする。
最後の通し練習を終え、橋本は上機嫌に言った。
「いやあ、ほんまに良くなったんちゃう?特に自由曲の第三楽章、コンクールとか関係なしに評価してほしいと思うくらいに良かった」
関西大会まで、あと2日。
太陽公園近くのホールでの合奏練習を終え、久美子と夏紀は広場でそれぞれ人を待っていた。
みぞれと希美の行動が怪しいので、夏紀と共に後をつける久美子。
花壇の影に隠れて様子をうかがう。
優子もまたその様子をみていた。
みぞれは希美に音大には進学しないのか質問をした。
現実的には厳しい、音楽で食べていけるほどの才能はないと答える。
「みぞれは、いつも勝手。私はずっと希美を追いかけてきた。ずっと、一番は希美だった。希美と一緒にいたかったからオーボエも頑張った!」
力強く言うみぞれに希美は、みぞれにそこまで特別な事はしていないと困惑する。
「私にとっては特別だったの。私、希美に感謝してる」
「感謝どころか、むしろみぞれは怒っていい。音大を受けるって言い出したのは私なのに」
「怒れない、希美の選択だから。私は希美が幸せならそれでいい」
そして、みぞれから大好きのハグをして、お互いの好きなところを言いあった。
1年生 小日向夢 トランペット担当
同じトランペットの高坂麗奈から度々、小日向さんは断トツで上手いのに自信がなさすぎると聞かされていた久美子。
個人練習では吹けるのに人がいると吹けなくなる夢に、
元トランペットでマネージャーの加部友恵はメガネをはずして演奏させてみる。
コンクールAメンバーに入った夢に滝先生はファーストを担当するように指示をするが、夢は荷が重すぎると嫌がり、吉川優子も彼女が潰れてしまうと反対する。
合宿中、ファーストをやるべきと主張する高坂麗奈と優子はもめてしまう。
自分のせいで二人に余計な喧嘩をさせてしまったと夢は思い、マネージャーになると言い出す。
友恵は、だったら自分で黄前久美子先輩を説得できたらと条件を出す。
「私、人前が怖いんです。本番が怖いんです」
夢の話を聞く久美子は、
トランペットが好きなら続けるべき。あの二人が言い合うのはいつものこと。
気になるなら、感謝の気持ちを伝えてみたら?
まずは、先輩の目を見て喋ることを目標にしよう。
とアドバイスをした。
関西大会コンクールが終わった9月。
3年生最後の植物園での演奏会を明日に控えた合同練習で、
滝先生の助言に縮こまる夢。
ソロは高坂に代わるべきという部員の声が聞こえる。
「ソロやらせんのは可愛そうじゃない? 高坂に代わるべきでしょ。」
そんな声も聞こえてきた。
休憩時間に部員全員がいる前で友恵は夢を挑発した。
「そんなに失敗するのが怖いのか。
失敗したとき、あんたを見捨てたか?
怖がることはない。あんたの演奏はめっちゃすごい。うちが保証する。
だから胸張ってやってみ。最高の演奏をうちにちょうだい!」
夢は立ち上がり友恵からメガネを受け取りに行った。
「最高の演奏をしても、先輩の喜んでいる顔が見えないと意味ないですから」
ステージへ戻ると、再び合奏練習が始まった。
夢の素晴らしいソロが終わると友恵は惜しみない賞賛を送った。
夢は喜びを噛み締めていた。
その後、10月のアンサンブルコンテストのチームメンバーを結成する際には、
夢みずから麗奈を誘った。
響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章
