
1975年 アメリカ 125分
監督:シドニー・ルメット
出演:アル・パチーノ、 ジョン・カザール
銀行強盗もの。 ★★★☆
猛暑のニューヨークの昼下がりに、銃を構えた3人組の銀行強盗が押し入る。
しかしそのうちのひとりは怖じ気づいてすぐに離脱。
残った犯人のソニー(アル・パチーノ)とサルはあっという間に警官隊に包囲されてしまう。
仕方なく二人は人質とともに篭城することに。
あれ、こんなはずじゃなかったんだがなあ。
これは実際に起きた事件をもとにしているとのこと。
大勢の警官隊に包囲され、テレビ中継も騒がしく始まる。世間の耳目を集める一大事件である。
犯人二人は基本的には気の弱い普通の人物。とても凶悪犯などではなく、人質を殺傷するつもりなどこれっぽっちもない。
はじめは犯人を怖がっていた人質たちも、なんだ、この犯人は自分たちに危害を加えるつもりはないんだ、と、次第に緊張感がなくなっていく。
銀行内は和やかな雰囲気にもなっていく。
しかし包囲した警察の方はそんなことは知らない。FBIも出張ってくる。
彼らは何人ものスナイパーも配備して、突入の機会をうかがう。
警察としたら、とにかく凶悪犯に人質を殺させてはならないというそのことだけがあるわけだ。
まあ、そりゃそうだよね。
この映画は何と言ってもアル・パチーノの存在感だった。
銀行強盗の動機は金欲しさなのだが、その使い道は、ゲイの恋人の性転換手術費用を工面したい、ただそれだけ。
警察の交渉係に対して虚勢を張ってみたり、強がってみたりもする。
その人間くささが大変に上手い。
物語のほとんどが閉じられた銀行の中だけ。それなのに退屈させない。
銀行を取り囲んだ群衆たちは、ソニーたちを応援しはじめたりもする。
警察も、苛立つFBIも大変だ。そちらの立場になるとわかる気もするぞ。
シドニー・ルメット監督は割と限定された空間での物語展開を得意としている感じがある(あの名作「十二人の怒れる男たち」もそうだった)。
今作も大したものだった。
膠着したこの状態からどうなる?
ソニーは脱出のための取引条件を警察に出すのだが、上手くいくのか?
原題を直訳すると、”盛夏の午後”ということになる。邦題は成功しているのではないだろうか。
アカデミー賞では脚本賞を受賞しています。