
2023年 142分 韓国
監督:キム・ソンス
出演:ファン・ジョンミン、 チョン・ウソン
韓国の近史実もの。 ★★★
映画は1970年代末に韓国民主主義の存亡を揺るがした実在の事件を基にしているとのこと。
韓国の歴史事情については疎いので、第二次大戦後にどのような経緯を辿って今日にいたっているのか、恥ずかしながらよく知らない。
”ソウルの春”についてもぼんやりと聞いた事がある程度だった。
史実としては、1979年10月に独裁大統領だった朴正煕は暗殺されている。
その直後から翌年5月まで、韓国では民主化の機運が盛り上がったとのこと。
その時期を”ソウルの春”というのだそうだ。
主人公は、この混乱に乗じて軍事クーデターを企むチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)と、それを阻止しようとする正義の味方(!)の首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)の2人。
実際にそのような騒動があったわけなのだが、もちろん、登場人物たちは架空の名前に置き換えられている。
もう、この映画はファン・ジョンミン演じる独裁男ドゥグァンの立ち振る舞いにやられる。
権力を求めて、狂気的な行動力で軍部を鼓舞して首都を制圧しようとする。
その感情の起伏の激しさ、人心掌握の巧みさは、まるであのちょび髭の小男独裁者を思い出させるではないか。
こんな理不尽な横暴が許されるわけがないぞ。
対するチョン・ウソン演じるイ・テシンの精悍な姿、揺るぐことのない正義の姿(!)に観る者は皆応援していたと思う。
チョン・ドゥグァンが掌握している軍隊がソウルへ進軍すれば、韓国には軍事独裁政権が誕生してしまう。
ソウル通じる橋を封鎖して、なんとかそれを阻止しようとするイ・テシン。
刻一刻と情勢は揺れ動く。
一体どうなるんだ、まさか正義が負けるはずはないよな。
個人的には、”ソウルの春”についてよく知らなかったので、この政治紛争の決着についての予備知識もなかった。
それだけに最後まで、一体どうなるのだろうと、映画を楽しむ事ができた。
怪我の功名といったところか。
史実ではこの軍事クーデターは成功して、またまた独裁者の全斗煥が権力を掌握することになる。
結末には理不尽さがいっぱいである。
他国の者から見ればいわば自国の黒歴史に思えるものを、よくここまで見応えのあるエンタメ映画にしたものだと思う。
たいしたものだ。
その人物がどんなに無茶苦茶でも、いわゆる”勝てば官軍”なのである。
しかし韓国って、歴代の大統領が任期を終えた途端に罪に問われて没落する(人が多い)。
なんでだ?と思っていたのだが、こういう歴史風土をみせられると、納得してしまう面もあるな。
韓国ってそういうお国柄?