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「聖なるイチジクの種」 (2024年) イランの国情を背景にしたある家族のドラマ

2024年 イラン 167分 
監督:モハマド・ラスロフ

辛い家族ドラマ。 ★★★★

 

イラン映画と言えば、以前はアッパス・キアロスタミやマジッド・マジディが(厳しい検閲を逃れるために)子どもを主人公にして良作を撮っていた。「友だちの家はどこ?」とか「赤い金魚と運動靴」とか。
最近ではアスガー・ファルハディなどがイラン世情を背景にした人間ドラマを撮るようになっている。

 

本作はさらに一歩進めて政治色をからめた人間ドラマとなっている。
(実際に、ラスロフ監督は反政府思想で有罪とされ、投獄と鞭打ちの刑から逃れるために国外脱出をしている)

 

そしてこの映画の背景には、ヒジャブを被らなかったということで警察に拘束されて死亡した実際の女性の事件がある。
若者をはじめとした政府への抗議行動が拡がっており、政府はこれを弾圧しようとしているのだ。

 

そんな不安定で、理不尽な政府による迫害がまかり通っているイラン。
主人公のイマンは、20年にわたる勤続の後にやっと予審判事に昇進する。
そして司法職にある者は常に命を狙われる危険性があるので、イマンも護身用に拳銃を支給される。
なんという国だ。恐ろしい国だな。

 

イマンは自らの仕事内容に疑問を抱きながらも、上司の指示には逆らえない立場。
意に反して、反体制デモの参加者に不当な刑罰を下す書類を作成し続けていた。
これも家族を養うためだ・・・。
妻のナジメはそんな仕事に疲弊している夫を献身的に支えている。
彼女にとっては金銭的にも恵まれている今の生活を守ることがすべてだったようだ。

 

ナジメは2人の娘たちにも父の仕事を考慮して、節度ある行動をとるように言い続けている。
しかし、娘たちはSNSや友人たちを通じて自分たちを取り囲んでいる社会情勢に疑問を抱くようになっていく。
大学生の長女は抗議運動に巻き込まれて行き、次女も父への反発を露わにしていく。

 

これは辛い家庭状況だな。
家族の生活を守るために、自分は意に反してまでも仕事をしている。
それなのに、自分が護っているはずの娘たちに反発され、非難される。
くそっ、父である私の必死のがんばりをどうして判ってくれないんだ!

 

娘たちがスマホで観ている抗議運動の映像が随所で映される。
おそらくこれはSNSにアップされた実際の映像をそのまま映しているのだろう。
容赦のない政府側の武力的な弾圧場面が、映画の中のひとこまという形を借りて、全世界に発信されているわけだ。

 

そしてある日、イマンに支給されていた銃がなくなっていた。
どこかへ置き忘れた? どこかでなくした? それとも家族の誰かが隠した?

 

銃を紛失すれば厳しい懲罰が待っているようなのだ。
イマンは家中を探しまわる。挙げ句の果てに家族全員の持ち物検査までする。
お父さんは私たちを疑っているの? そうやって仕事でも罪のない人を弾圧しているんでしょっ!

 

さらに、イマンの仕事内容と住所が世間に知られてしまう。
こうなってはいつ暴徒に家を襲われるか判らないぞ。
一家は過激な抗議行動から逃れるために田舎へ避難する(司法の仕事はそんなに世間から恨みをかっているんだ。逆に言えば、そんなに酷いことをしているんだ)。

 

そこから物語は急展開を見せて、家族関係はどんどんと渦に巻き込まれるように深みへ入り込んでいく。
なくなった銃のことで狂気にとりつかれたように家族を疑い、攻め続ける父親。
この父親の姿は、今のイラン政府の姿そのものなのだろう。

 

田舎へ身を隠した一家4人の争いは観ていて辛くなる。
父親だって必死なのだ。母親も必死、娘たちも彼女らなりの信念がある。
誰一人本当の悪人などいないのに、いがみ合ってしまう。そして悲劇が起こる・・・。

 

2時間半という長さをまったく感じさせない緊張感があった。
ラスロフ監督はすでにカンヌ映画祭である視点最優秀作品賞、ベルリン映画祭で金熊賞を獲っている。
今作はカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞しています。

 




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