Overself/DayRe:
1stEP『ReFraction』の6曲目、最終楽章として収録された楽曲。
『Overself』という単語は一般的には使われない単語らしいとの事。『Over』の訳は、~の上にとか~を超えて。『self』の訳は、自身、自己、自我。…この二つの単語の訳を組み合わせて『自分自身を超えて』というところか。
理想の自分を目指しながらも…今の刻を頑張っている自分もちゃんと愛していこうというメッセージが込められているとの事。本曲も理想と現実のギャップに苦悩する葛藤がテーマにある。
歌詞に登場する私は現在の刻を生きて理想の自分を追っている存在。“アタシ”は私が理想としている自分。そして、『I』は『私』と“アタシ”が統合された本当の自分自身というところか。
曲調は、軽妙で爽快感と疾走感を醸し出しているバンドサウンド。
イントロはその軽妙さが強く出ているが、Aメロは軽妙さでなくベースとドラムの低音を主張させて、理想を追い求める自分と理想に全然届いていない現実の自分との葛藤を表現していて、低音のメロディと歌声を強調させることによって焦燥感、苛立ち、劣等感といった負の感情が際立つ。
しかし、Bメロでは暗さを強調している低音が支配する中ではあるが……未来の刻を見据えて動こうとする気概を覗かせてサビへと渡していく。
全部愛して ほら「I」して 強がる今の自分も
全部ほら愛して ほら「I」して
いつもの弱い自分も“アタシ”だから
いつかあの影よりも大きな 私が
“アタシ”のために歌う歌
―DayRe:『Overself』より引用
このサビの歌詞は、『私』の魂からの叫びなのだろう。現在の刻の『私』は理想を追い求めすぎて自分自身の在り方を見失ってしまった。そんな弱い自分を嫌悪し外では見せたくなかったが故に強い“アタシ”=思い描く理想の自分を演じてきた。だが、それはあくまでも仮の姿で本当の自分じゃない。“アタシ”という幻影に魂が囚われてしまったのだ。
それでも……弱くて至らない自分は今の刻を何とか生きているワケだ。じっくり内省してもう一人の自分と対話を重ねて、いろいろと試してもがいて抗っている自分を愛してやれと。弱い私、理想の強い“アタシ”もひっくるめての『I』=自分自身なのだ。
ここまで強調されて来た低音から、一気に突き抜けていくかの如き高音域への転換。
溢れ出てくる感情を抑制し切れない、完全に吹っ切れて解き放たれたような清々しい歌声が響く。ここでの張り上げた高音域は結構高い音域で、まさに自分自身の限界領域を超えようと抗う気迫が歌声に乗っかっていて実に聴き心地がいい。
聴き終わって抱いたインプレッションは、自分自身に向けた応援歌であり、自分自身を褒め称える賛歌でもあると。勿論、他人に対して向けた応援歌・賛歌という解釈でもいいと思っている。
そして、本曲は『共感』もテーマになっていると思われる。誰しもが経験した理想と現実とのギャップは避けられない人としての性(さが)であり、実際に本曲を謳う彼女達だけじゃなく我々にも当てはまる。だからこそより多くの人の魂に深く訴えかけて共感に至ると。
そんな共感の極致が宮沢小春さんと相川奏多さんの言葉に宿っていた。
宮沢さんは「LIVEの最後やアンコールとかにこの楽曲をみんなで歌いたい。お客さんと一緒に盛り上がりたい気持ちがあるので」と語り、相川さんは「コーラスもあるので一緒に大合唱。肩組んで大合唱したい。そういう楽曲もあっていいんじゃないか」と語っている。
『X』のDayRe:公式アカウントには、本曲のサビコール動画がアップされている。
#DayRe: #Overself
— DayRe: (@dayre_official) 2025年11月29日
📣サビコール動画
こちらも是非コール・振りをしてみてください💪 pic.twitter.com/gW9ROlrHUl
こういうモノを公の場に出すという事は、彼女達が本曲で一番盛り上げて欲しい所だという願いだ。その願いに応えるかどうかはそれぞれの自由ではあるのだけれど……自分の想いは、彼女達が手を伸ばして差し出した本気の想いと魂にはこちらも手を差し出して応えなくてはならないと思っておる。
そして、多くの人の声を合わせて想いと魂が繋がれた刻と場が、本当の意味で本曲に血が流れて……
私が“アタシ”の為に歌う唄として、真の完成に至るのかもしれない。