2025年7月~12月に読んだ本のまとめ。カウント対象は期間中に読み終わったものに限り、読みかけの本は対象外としている。あとコミック、漫画雑誌類もけっこう読んでいるのだけれども、これは除外。
この6カ月では74冊の本を読んだようだ。まあ平常運転だったという気分。
いつもどおり半期で読んだ本の中で良かったものをピックアップしてみる。
文芸書のおすすめ(一般編)
この下半期は一般文芸書をあまり読んでいないことに気づく。「ブレイクショットの軌跡」や「世界99」は読んでいるし面白かったが、これは他の人が紹介するだろう。というわけで他人がすすめなさそうな面白かった本を挙げておこう。それは、カポーティの「冷血」である。以前から読もうと思っていた本をやっと読んだのだが、いろいろ驚きだったのだ。
詳しくはWikipediaを見れば良いと思うのだが、まず小説として抜群に面白く読めてしまうのだ。しかし(別に隠されているわけでもない)「まぎれもない実話であり、取材をもとに著者が小説に再構成したものである」という点を踏まえると、極めて複雑な気持ちになってしまう。タイトルは「冷血」だが、さて、冷血なのは誰なのか。
文芸書のおすすめ(趣味のSF・ミステリ編)
いろいろ面白い本が多かったが、次の二作は特に面白かったのでおすすめしておく。
教養書のおすすめ
教養書ってなんだという気もするが、読むことによって世界の見え方が変わるような本をここでは教養書と言いたい。この点では次の本が良かった。
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あとは月並みだけど
ビジネス書のおすすめ
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あとこちらも素晴らしかった。
技術書のおすすめ
この半期の振り返り
今年は「新書」がマイブームで、ふりかえってみても新書をよく読んでいる。近刊だけでなく名著といわれている新書も手に取っているがこれは確実に評論家の三宅香帆さんの影響ではある。
- 【祝・新書大賞】受賞しました!!!!!そして2025年の新書大賞ラインナップについて語りまくる【なぜ働いていると本が読めなくなるのか】 https://youtu.be/lTC1pNeeTKg
- 【三宅香帆が語る】実は「新書」こそがもっとも最高の読書ジャンルである【新書レーベル】 https://youtu.be/NSTZdH_ctg4
- 【入門】はじめて新書を読む人におすすめ!三宅香帆が新書好きになったきっかけの8冊【読書】 https://youtu.be/3QhoEcTJIkY
古い新書はKindleでもセールになりやすいし、有名な本はフラッと立ち寄った古書店でも入手できるので、つい買ってしまうのだ。そしてなにより単行本の(特に翻訳本の)ビジネス書より短くて読みやすい!というわけで今年中に読み切れなかったストックの新書もたくさんあって、しばらくは新書ブームが続く予定だ。
2025年下半期に読んだ本の全リスト
- 読書アンケート 2024――識者が選んだ、この一年の本 152人の識者コメントが楽しい。来年も必ず買う
- 精霊を統べる者 (創元海外SF叢書) ジンと魔法と科学が融合した近代エジプト世界が舞台の素晴らしいSFファンタジー長編。
- 翻訳者の全技術 (星海社 e-SHINSHO) 勝手に尊敬している翻訳者の山形さんの仕事論
- トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー ゲーム作家が主人公の小説。ゲーム好きなら絶対読んだほうがいい。
- LLMのプロンプトエンジニアリング ―GitHub Copilotを生んだ開発者が教える生成AIアプリケーション開発 話題の技術書。良かった→★感想
- 「ふつうの暮らし」を美学する~家から考える「日常美学」入門~ (光文社新書) 日常美学の初の入門書。想像よりは難しかったが感性の哲学として面白かった。
- 紫色のクオリア (電撃文庫) ライトノベル史に燦然と輝く名作SFとのこと。予想外のところまで連れていかれた
- Science Fictions あなたが知らない科学の真実 科学界批判の本。知っている話も多かった
- 謎の香りはパン屋から 第23回このミス大賞受賞作。日常ミステリの趣。
- 「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問 (PHPビジネス新書) エンジニアがよく勧めている本。評判通り素晴らしい本。
- ダイアグラム思考 次世代型リーダーは図解でチームを動かす 普段図解をまったくしない人向けの本だったので、あまり学びはなかった
- ブレイクショットの軌跡 「同志少女〜」で有名な著者の最新作。緻密な作品で非常によかった。
- NHK 100分 de 名著 フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』 2025年 7月 [雑誌] (NHKテキスト) わかりやすい! 現代にも通ずる危機書。
- ダイナミックリチーミング 第2版 ―5つのパターンによる効果的なチーム編成 チーム再編成(異動、ローテーション、分割etc)に関する本。
- キーエンス流 性弱説経営 参考になった。「仕事頑張れ」ではない考え方。
- 働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」 AIに関する本。ChatGPT登場以前に書かれているということ(17年刊)に驚いた
- 現象学 (岩波新書) 70年の本。そのころから現象学ブームがあったという点に驚き。ただし難しい本でもあった
- 良い戦略、悪い戦略 (日本経済新聞出版) EM向けの様々な本で良書と紹介されている本だが、超有用な本だった。会社で読書会までやった。→★感想
- 教養主義の没落 変わりゆくエリート学生文化 (中公新書) ミュージシャンの米津さんが絶賛していて有名な本。難しいが大変に面白かった。
- 情報セキュリティの敗北史 ゆるコンピュータ科学ラジオで取り上げられていて興味を持った評判の本。懐かしい事件も載っていて面白かった。
- 八犬伝【上下合本版】 (角川文庫) 八犬伝の現代語訳で最近映画化もされた。素晴らしい仕組みがあって、面白く最後まで読んだ。
- 世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ (文春新書) 新自由主義の終焉およびその後どうなるのか、について論じられた本でなかなか興味深かった。
- GOAT 最近話題の文芸誌の1号。普段読まないような作家の作品に触れて良い刺激があった。
- ツインスター・サイクロン・ランナウェイ4 (ハヤカワ文庫JA) 天冥の標シリーズで有名な著者の近作シリーズ完結編。伏線もほとんど回収されており、カタルシスがあった。
- 文庫版 近畿地方のある場所について (角川文庫) 話題のホラー小説。面白かったけれども肩透かし感もある(感性が古いだけかも)。
- 世にもあいまいなことばの秘密 (ちくまプリマー新書) 日本語の曖昧さについて事例豊富に説明されている本。「この先生きのこる」問題も取り上げられていて親近感があった。
- 世界哲学史8 ──現代 グローバル時代の知 (ちくま新書) 千葉雅也さんがお勧めしていたので手に取ったもの。現代哲学周辺を改めて俯瞰できて面白かった。
- 筺底のエルピス6 -四百億の昼と夜- (ガガガ文庫) 評判の良いSFラノベの続刊。SF度がUPしていて楽しい。
- 「“右翼”雑誌」の舞台裏 (星海社 e-SHINSHO) 新書大賞25の第9位。右翼雑誌は広告しか見たことがないのだけれども、裏側の話は面白い
- エンジニアリング統括責任者の手引き ―組織を成功に導く技術リーダーシップ CTO的なポジションで考えるべきことをまとめた翻訳書。→★感想
- 筺底のエルピス7 -継続の繋ぎ手- (ガガガ文庫) 評判の良いSFラノベの続刊。SF的に超面白くなってきた。
- PLURALITY 対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来(サイボウズ式ブックス) オードリー・タンも参加している新しい社会ビジョン活動に関する本。難解かつ長大だが、骨太い良い本だった。
- 経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて 自分が参考にするというより、自分のこどものことを考えながら読んだ。
- NEXUS 情報の人類史 上 人間のネットワーク 上巻が人間の話で、後半がAI革命の話ということだが、上巻だけでも面白く考えさせられる。
- 筺底のエルピス8 -我らの戦い- (ガガガ文庫) 評判の良いSFラノベの続刊。いよいよ物語は佳境、だがこれが最新刊で続きはまだ出ていない!
- 疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫) 読んでいなかった人文系の名著を読もうと思って手に取った本。頑張らなくて良いという話。
- スピノザ 読む人の肖像 (岩波新書) 難解ではあるが伝記的な話も挿入されて面白かった。
- 22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する (文春新書) お金の話ということで前作より刺激的、SF的だった。
- 両利きのプロジェクトマネジメント 結果を出しながらメンバーが主体性を取り戻す技術 「週1回30分の定例会議でうまくいく」は盛り過ぎ。→★感想
- 寝ながら学べる構造主義 (文春新書) 動画「三宅香帆が新書好きになったきっかけの8冊」で紹介されてた一冊、02年の本ではあるが現代に読むという点でも興味深い。
- GOAT Summer 2025 価格設定がおかしいと話題の小学館の文芸誌の2号め。いろいろ入っていてスキマ時間に楽しみやすかった。
- FRICTION(フリクション) 職場の問題を解決する摩擦の力 「良いことを早く、悪いことを起こりづらく」する方法についての研究に関する本。たいへん良い。
- 働くということ 「能力主義」を超えて (集英社新書) 新書大賞2025の第5位の本。能力主義の本のようだが、アサインメント(人を選ぶ)に関する本ともいえる。たいへん良い。
- そしてミランダを殺す (創元推理文庫) 途中から止まらなくなるミステリ。すごい。
- 飼い犬に腹を噛まれる 『赤と青のガウン』の続編的エッセイ集、面白くてタメになりすぎて、むしろずるい。イラストもずるい。
- 「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか(新潮新書) シゴデキで話が面白い人は、良いコンテンツをうまく消化しているのでその方法を学ぼうという話。面白いんだけど読みたい本が増えてしまうという問題が。
- 円環少女 1バベル再臨 (角川スニーカー文庫) 今は有名なSF作家が10年以上前に書いたライトノベル。面白いのだけど、予想通りというか設定が難しすぎる。
- 超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条 (早川書房) スルーしていた本だがカーネマンの『ファスト&スロー』並みに強インパクトの良書。→★感想
- 論理的思考とは何か (岩波新書) 新書大賞25で4位だった本。切り口は興味深いが、ネットで強い反論も出ている点に注意が必要だ。
- 世界の終わりの最後の殺人 (文春e-book) 上半期にも読んだ作家の奇妙なポストアポカリプス犯人捜しミステリ。すごい、そして斬新!
- 円環少女 2煉獄の虚神(上) (角川スニーカー文庫) 複雑な世界設定の提示だった1巻に比べると、各段に読みやすくなり物語も転がりだした感
- 作る、試す、正す。 アジャイルなモノづくりのための全体戦略 古い友人でもある市谷さんの新刊。マジで尊敬しかない。→★感想
- 人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学 (日経プレミアシリーズ) 同氏の近刊はだいたい読んでいるのだけれども、本書はまとまっており、大変に良かった。AIへの向き合いも論じられている。
- 科学の方法 (岩波新書) 1958年に書かれた科学に関する随筆。理系を志す若い方や、子が理系を志す親にお勧め(私は後者)。
- 鹽津城 寡作のSF小説家の最新短編集。表題作が素晴らしい。
- エビデンスを嫌う人たち: 科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか? 科学否定論者に関する本。著者の取材力がすごい。
- 円環少女 3煉獄の虚神(下) (角川スニーカー文庫) 第二ボスキャラを無事撃破。あと10巻くらいあるんだけど敵のインフレ率が心配になっちゃう。
- NEXUS 情報の人類史 下 AI革命 下巻からは、かなり懐疑的なAI論。歴史を踏まえた判断が推奨されている。
- 人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか (ブルーバックス) 近年に過去10万年の気候研究が大きく進展し、しかもそれが日本の福井県水月湖の湖底の堆積物でわかったというのがまずびっくり。
- 庭の話 様々な論(『日本の思想』『共同幻想論』『暇と退屈~』『中動態~』)との接続も含めて大変興味深く刺激となった。
- 〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす タイトルの通り理解することではなく乗りこなすということがポイントでよく考えさせられる。
- 「いき」の構造 日本人の「いき」についての論考というか美学論。興味深いが教養不足でついていけない部分も多く、ちょっとくやしい。
- SREをはじめよう ―個人と組織による信頼性獲得への第一歩 カンファレンスの共同創設者である著者によるポイント詰め合わせでお得な本。→★感想
- 円環少女 4よるべなき鉄槌 (角川スニーカー文庫) 登場人物の過去が語られる、中盤っぽい展開。
- 考察する若者たち (PHP新書) 著者が最近着目している「報われ重視」トレンドに関する本。
- 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書) 最近読んだいくつかの哲学の本で引用されていたので手に取った01年の本。想像しているのと内容は違っていたが面白かった。
- 冷血 (新潮文庫) ニュージャーナリズムと呼ばれる古典名著。すごかった。
- 陰謀論と排外主義 分断社会を読み解く7つの視点 (扶桑社BOOKS新書) 距離を置いている故に知らない話もあって興味深い。まずは自衛していきたい。
- 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書) 先日読んだ庭の話もそうだが、「暇と退屈の~」の先にある話として大変に刺激的。
- 世界99 上 (集英社文芸単行本) 話題のディストピア小説。想像以上のインパクトで眩暈がする。
- Frictionless: 7 Steps to Remove Barriers, Unlock Value, and Outpace Your Competition in the AI Era (English Edition) 「生産性を低下させる摩擦(Friction)を解消し、開発者体験(DevEx)を改善させることが重要だ」という本。→★感想
- 世界99 下 (集英社文芸単行本) 話題のディストピア小説の下巻。SF読みとしては最悪な展開を予想してしまい嫌な気持ちになりながら読んだが、そんなに最悪な結末ではなかった。
- スターメイカー (ちくま文庫) 名作SFといわれているが、実際には哲学書に近い。難しかった。
- 「書くこと」の哲学 ことばの再履修 (講談社現代新書) 読み終わるとなぜか「書ける自分」に変わるというオビは言いすぎだと思うが、書くことについて考えるよい本だった。
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あと過去にこんな文書も書いてました(意識していなかったが、だいたい5年おきに書いている)