フジテレビの一連の騒動の時に、この本が面白いと紹介されていたので、図書館で予約してようやく順番が回ってきたので読んだ。
2005年出版の本。まだ上巻だけ。下巻の順番が回ってこない。
面白い。けど、腹が立つというかうんざりする話だ。
フジサンケイグループの話だが、上巻は日枝久が鹿内宏明にクーデターを仕掛けて産経新聞の会長を解任するところから、クーデター成功までを描き、そこから遡って鹿内信隆がいかにフジサンケイグループを作ってきたかみたいな話になり、その途中で下巻に続く。
俺みたいな左派からすると、登場人物全員ひどい人間である。特に、司馬遼太郎が毛沢東の言葉「溺れかけの犬を打て」を引用して鹿内宏明を徹底的にやっつけろと指示するところとか、人間性が感じられる。
このクーデターは鹿内家三代に渡るフジサンケイグループの支配からの脱却みたいな名目なのだが、三代といいつつ主に初代の鹿内信隆の支配のようだ。二代目も三代目もそんなに長期ではないので。
クーデターが成功し、フジサンケイグループの三社から鹿内宏明が追放される訳だが、その後更に司馬遼太郎の助言もあって、鹿内宏明は日本美術協会からも追放される。実権のない名誉職も与えない。この辺、皇族も絡んできていて、俺の感想としては「やはり皇族は右翼の権力闘争に関わっている(または利用されている)」という印象である。
そして戦前戦中に遡って鹿内信隆の権力構築の話になるのだが、これがまたデタラメというか、帝国陸軍の無茶苦茶なやり方にうまく乗ったのか、なんでそうなるという気もする。
ただ、この本はもうひとつ読みやすくない気がする。富士山家グループ三社の絡んだクーデターなのだが、最高顧問とか書かれてもどの会社の最高顧問だっけと思ったりする。登場人物紹介みたいな物が欲しくなる。
あと、脇役だけど鹿内信隆の妻の鹿内栄子さんが、いろいろ足を引っ張る役をしている。
まだ下巻を読んでいないし、今の状況は違うのかも知れないけど、昨今の産経新聞の動向などは、フジテレビの騒動によるCM収入減少が影響しているのかと思ったりした。この本の上巻の範囲では、産経新聞はフジテレビからの資金投入がなければ存続できないように書かれているのだ。