以下の内容はhttps://a8pfactory.hatenablog.com/entry/2025/06/15/222025より取得しました。


『エイティエイトを2でわって』2巻で登場する音楽の紹介

そして、なんとそのあとがきにモチーフにした曲のリストが書かれていた。これを見て、いちクラシックオタクの僕は黙っていなかった。そういうブログです。

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の第二弾です。お待たせしました。ピアノが主食のBadlyluckyです。

導入

  • 各種注意点や説明は、前回のものと同じ。
  • 余談だが、きららの漫画*1を購入したのは『エイティエイトを2でわって』が初めてで、1巻の記事を書いていたときは、何ページが何話なのか全く分からず、山勘で書いていた。その後『恋する小惑星』も読み、ぶち抜きコマがあるところが一話の始まりであると理解した。なので今回は、多分、登場話数が正しい。

14話 クライスラー: 愛の喜び/愛の悲しみ/美しきロスマリン

曲、版の情報

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  • いずれも原曲はピアノとヴァイオリンによるものだが、後年クライスラー自身によるピアノ独奏版が出版された。「ウィーン古典舞曲集」としてまとめられることが多く、「愛の三部作」という通称も持つ。
  • これのピアノ連弾編曲は複数ある(特に最も有名な『愛の喜び』は多い)が、全曲の編曲となると途端に数が少なくなるようだ。全曲編曲したものの中ではフリッツ・エモンツによる編曲が世界的に有名で、ドイツの出版社ショット・ミュージックによっておそらく世界中で出版されている。特に『愛の喜び』について、華やかであること、そして移調されていないこと、そして3つまとめて編曲されていることから、フリッツ・エモンツ編曲の版をモデルにしたと考えた。
  • しかしここからが難しいところで、上がっている動画に編曲者名が付記されていないので、「持っていない楽譜の版を演奏から特定する」というとんでもなく面倒な作業に従事させられることになった*2
  • アレンジには編曲者名を書け高校主席です。
  • 動画は楽譜の映り込みから、ショット社の楽譜であることが確認できたので採用した。演奏者には大変申し訳ないが、同じバージョンであることにこだわらなければより良い演奏は見つかったのではないか、という感覚が否定しきれないものの、これ以上特定に労力を注ぎ込みたくなかったので妥協した。
  • また、世界的に流通していると書いたものの、日本ではすでに入手困難な楽譜になっており、作者の有馬さんが手に入れられたのかな? という疑念もある。たまたま習っていたピアノ教室で触れる機会があった…とかだろうか? そうでもなければ、全曲通して弾くというのはなかなか珍しいことのような。

コメント

  • この巻に登場するクラシックの中では比較的後に作曲された方の曲だが、「ウィーン古典舞曲集」という名が示す通り古い様式をリバイバルして作曲された曲たちである。そのため、一般的に想像されるザ・クラシックという真ん中を射抜いた曲調になっている。
  • 知名度は愛の喜び>美しきロスマリン>愛の悲しみか。テレビCMなどでの採用実績もあり、聞き覚えのある方も多いのではないだろうか。
  • クライスラーアメリカ人の作曲家で、存命時は大変人気のある作曲家だったそうだが、現在ではあまり演奏されない印象。ピアニストとしてより、ヴァイオリニストとしての方がよく知られている。
  • 『愛の喜び』は美弦もニッコリするだろう、音量を出したい開幕が印象的。もちろんそのあと美弦の苦手な静かな箇所が訪れるわけだが、ふたりによく似合っていると思う
  • 『愛の悲しみ』は逆に美弦が苦手そうな曲調がずっと続く。セコンドが担当する裏の旋律が気持ちいい。p17の「二人のゆったりしたクラシック」というセリフはおそらくこの曲のことを指している。
  • 『美しきロスマリン』は前二曲の間という感じ。個人的には3曲の中で最も古風な印象を受ける。
  • これらの曲は作中の描写からろくに準備期間がなかったと推測されるので、特に『愛の悲しみ』で奏がどういう妥協をさせられたのかが気になるところだ。
  • 飛び抜けて有名なのは1曲目の愛の喜びなので、わざわざ全曲演奏する必要はなかったのでは? とは思わなくもない。有馬先生に何か思い入れがあるのか。別な視点として、「クラキチである奏は連作を連続で演奏することに固執していた」という見解を提供したい。重症のクラシックオタクの中には、連続で演奏することを企図された楽曲は連続で演奏されないと許せない! という派閥が存在する。奏の重症度合いなら、そういう癖を持っていてもうなずける。奏はショパンのOp.10-3『別れの曲』とOp.10-4を連続で弾くと思うし、attacca*3で弾くと思う。
  • これの後にみちゅとかなぴが流行りの曲を連弾しているシーンが入るのが本当にすばらしいという話をしたい!!! 1巻で「クラシック以外絶対許さん」って言うほどのクラキチだった奏が、ここまで態度を軟化させたのだから。みちゅのピアノが、かなぴの内面を変えたのだ。美弦は自分の実力を他の人(天才)と比べているが、美弦はある意味ピアニストにとって何よりも大切な、そして最も習得が難しい能力をすでに身につけている。

15話 カプースチン: トッカティー

曲、版の情報

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  • ピアノ独奏が原曲。
  • ピティナ・ピアノステップ: 展開1
  • 2巻に楽譜の冒頭部分が描かれているコマがあるが、その楽譜の出版社は特定できず。おそらく全音だと思うが、現物を持っていない。
  • 著作権保護期間中の楽曲であり、楽譜の模写も含めて利用には注意が必要な曲。

コメント

  • カプースチンは最近まで存命だった作曲家で、2020年の訃報は多くのピアニストに衝撃を与えた。クラシックと聞くと大昔の話と思ってしまう方は多いと思うが、全体的にかなり最近の話です
  • ある程度の実力を伴ったピアニスト、もしくはクラシックに多少の興味がある人なら、見たことも聞いたこともない、ということはまずない曲ではあるため、美弦は聞く方にはあまり興味がないのかな? と思う。解釈一致です。
  • ハンドスピード! って感じの曲なので、若いからこそできる曲のひとつかな、とは思う。
  • 自分も憧れている時期があったが、ジジイなのでもう弾けません。
  • これが弾けるのを普通とされると困る2。とはいえ『半音階的大ギャロップ』と比べるとまだ甘めです。特級行くならこれくらい余裕でシバけんと話にならんだろうし。
  • 奏がこれを譜読みしていた期間は作中期間考えると1ヶ月もないのでは。こーれめちゃくちゃすごいです。まあ美弦のことだから評価ガバい可能性はあるけど。
  • 後で詳しく記述するが、奏がカプースチンのような「らしくない」曲を弾こうと思った背景には、美弦のピアノに対する態度があることが浮かび上がってくる。しかし、そこでカプースチンというゴリゴリのクラシックを選んでしまうかなぴが不器用でよすぎる。
  • ところで、僕はこの曲なら日本人がやるものよりこういう演奏の方が好きです(燃料投下)。

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21話 メンデルスゾーン: 甘い思い出

曲、版の情報

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  • ピアノ独奏が原曲。
  • ピティナ・ピアノステップ: 応用6*4
  • 余談ですが、この演奏めちゃ上手くないですか。最初聞いたときびっくりしました。会場の音響特性がいいのかな。

コメント

  • ドイツの若き天才、メンデルスゾーンピアノ曲集、無言歌集の最初の1曲を飾った曲。
  • メンデルスゾーンの優れたエピソードはたくさんあるが、この無言歌というジャンルを最初に創始したのがメンデルスゾーン、というとすごさが伝わるか。日式アートコアを興したonokenと同レベルの偉業だ。
  • メンデルスゾーンは実家が激太だったことでも有名な作曲家で、実質自分用の小楽団を保有していたというエピソードが残っている*5
  • ショパンの練習曲などと聞き比べると分かるが、演奏できることと、口ずさんで歌うことができることの間には、実は深い隔たりがある。まるで歌のような語り掛ける優しいメロディを持った、歌詞のない曲、と捉えると理解しやすいかもしれない。その意味では、現在流通しているインスト曲のほとんどは、大きなくくりで見れば無言歌である、と言えなくもない。
  • 美弦くらいの実力になってくると、これくらいの難しさの曲は初見で演奏することが視野に入ってくる。奏や咲雪なら当然初見で弾きこなす。
  • ただズンドコ癖のことを考えるとひどい演奏になるに違いない。逆に言うと、美弦はこれくらいの曲を弾いて表現力を身につけるといい。地力は高いから、1曲やるだけでだいぶ変わるだろう。
  • というかハノンやらせるより絶対そっちの方がいいです。あの脳筋が……。
  • 柚子のようなお嬢様がこの曲を弾くの、解釈一致すぎる〜。色んな意味で、ちょうど良すぎるポジションの楽曲。金持ちはこれぐらい弾いとけばいいんですよ、可愛くてごめんとか弾くな。

23話 グリンカ: 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲

曲、版の情報

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  • オペラなので、強いて言うなら小編成の管弦室内楽が原曲だが、会場の広さと楽団の規模によってさまざまな編曲がされている。
  • が、ピアノで弾くのは結構珍しい部類に当たる。特に連弾は珍しく、主要出版社で販売されている楽譜は1点しかない。それも現物をまだ見つけられておらず、何かを論ずることができる段階ではない。

【ピアノ楽譜】歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 / Mikhail Ivanovich Glinka(連弾 中~上級) ←唯一の出版譜。

  • 動画も頑張って簡単なものを探したのだが、来夢が弾くには明らかに難しすぎる。かなり簡略化していると思うし、作劇上の嘘であると言ってしまっていいと思う。唯一の出版譜の方はこれよりは簡単そうな雰囲気ではあるのだが……。

コメント

  • グリンカはロシア人の作曲家で、クラシック(狭い意味での西洋音楽)に新しくロシアの民族音楽を取り入れたパイオニア
  • クラシックなんてどれも同じではないか、という話はあるが、実際にはお国柄のような特徴が出現する。特にその中でもロシアクラシックは世界的に根強い人気を誇り、その先達となったのがグリンカだ。チャイコフスキーの『くるみ割り人形』やリムスキー・コルサコフの『熊蜂の飛行』なんかを思い浮かべてほしい。また、イメージとかけ離れているがカプースチンもロシア音楽の至宝のひとつである。それらの大元をたどると、グリンカになる可能性が高い。
  • しかし、パイオニアにありがちなことではあるが、グリンカ自身の音楽にロシア音楽の色が強く出ているかというと、少し怪しい。この『歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲』も、部分的にロシア的であるがその影響は薄く、単に明るくアップテンポな曲と聞こえがち。
  • 版の特定には至らなかったため、推論に推論を重ねる話になってしまい恐縮だが、この曲の連弾は楽曲的な難しさの多くをプリモ(柚子)が担うということで、来夢の負担は相対的に軽減されている。柚子(と奏)が「セコンドをやりたい」という来夢の無茶ぶりに、一生懸命応えようとした苦労が伝わる*6
  • プリモは最悪美弦のように暴走すればなんとかなるのでいいのだが、セコンドは全体の様々なバランスをコントロールして演奏する必要がある。当然来夢にそのようなことに対して気を回す余裕はないし、そのことを観客の咲雪には見抜かれているので、「プリモとセコンド逆じゃない?」と思われている*7
  • でもチームワークがいいし、連弾いいよね…ってなる演奏だよね、この凹凸コンビ。

24話 アブレウ: Tico Tico

曲、版の情報

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  • ピアノ独奏が原曲ではないと考えられるが、事実上ピアノ独奏が原曲として扱われることがほとんど。楽譜が残ってないので。
  • Tico Ticoのアレンジは連弾のものに絞ってもたくさんあるのだが、「途中で入れ替わるシーンがある*8」という点から神内敏之による編曲およびこの動画の演奏がモデルと同定できる。

究極のピアノ連弾楽譜【sound24】 / Tico Tico | ティコ・ティコ(ピアノ連弾楽譜)

コメント

  • え、いきなりブラジル!? と思われる方も多いかもしれないが、実はラテンアメリカはヨーロッパに次ぐクラシック王国である。
  • 長らくどうしてかよく分かっていなかったのだが、「ラテンアメリカは戦前では先進国だった」という話を読んでようやく納得することができた。
  • クラシック王国ラテンアメリカについては、以下のWebサイトが詳しい。

pianolatinoamerica.org

  • アブレウはその中でもとりわけ有名で、その背景にはこの『Tico Tico』があるというわけ*9
  • ドンだーにはカカドドカドカドドカドカカカ、でおなじみのあれの原曲。
  • 原曲はショーロのセッションの中で生まれたのだろうと推察されるが、おそらく本人のものによるピアノ独奏編曲が、世界中に広まる結果となった。
  • 編曲は世界中にたくさんあるが、なんかもうめちゃくちゃにアレンジされている。
  • ビッグバンドっぽいアレンジになっていて、美弦のズンドコ演奏はこのアレンジによく合うと思う。咲雪の「つまり…奏ちゃんがえらいんじゃない?*10」という評は特徴をよく捉えている。さすが音高。
  • で、ここでトッカティーナなどでの話とつながってくるのだが、なぜ奏がこのような曲を推薦したか、ということである。「お互い勉強になると思うし*11」と言っているが、奏にとっては勉強になるが、美弦にとってそうなるかと言われるとちょっと難しい。
  • メタ的な視点になるが、『エイティエイトを2でわって』という物語は奏を中心にして回っている。美弦は主人公ではあるがコメディリリーフとしての役割が強く*12、実際には「奏という挫折したピアニストがどのように立ち直るか」という物語が一貫して描かれている。
  • 美弦の豪放磊落で傍若無人な演奏は、奏にとって相当鮮烈な経験だったに違いない。まあ当たり前だが、周囲にはいなかったタイプのピアニストだからだ。影響を受けたのだろうと書いたが、口では厳しく言っているものの、もはや美弦のピアノは奏にとってある種の指針となっているのではないだろうか。その証拠に、奏が練習した「意外な選曲」は、いずれも美弦が好むタイプの曲調だ*13
  • 原曲の『Tico Tico』からしてその傾向はかなり強いのだが、このアレンジはクラシックというよりもはやポップスと言った方がはるかに近い。だからこそ調和が取れているのかもしれない。ハンガリー舞曲を選んでしまう頃の奏では拒否してしまうような選択肢を採ったのだから、奏の変化を象徴するシーンと言える。

  • ピアノ独奏版の原曲をかなり忠実に弾くとこんな感じになる。ラテンのリズムが少々難しいものの、『クシコスポスト』より簡単で手が出しやすく、知る人ぞ知るおすすめ譜面。 youtu.be

表紙: バーナム ピアノテクニック(1)

shop.zen-on.co.jp

【バーナムピアノテクニック1】全60曲 A Dozen A Day book1 - YouTube

わざわざ取り立てて紹介する必要はないと思うが、一応動画も掲載する。

版の情報

  • 表紙で柚子が持っている。ただしタイトルは『88/2』になっているほか、デザインが作中に出てくるキャラクターのものに改変されている。
  • 改変されているが、見る人が見れば一発でバーナムと分かる。ただピアノ教育法を修めたわけではないので、巻の特定に手間取った。似た色が多くて……。

コメント

  • ピアノ未経験者にはあまりピンとこないものの、経験者にとってはバイエルを凌ぐほどのピアノ入門の定番。国際的に見たらバイエルより知名度が高いかもしれない。
  • 曲の体裁はなしておらず、指の体操を棒人間の器械体操になぞらえて学ぶ構成となっている。導入書とはいえ、これ1冊で基礎的なテクニックは一通り身につく(はず)。
  • が、自分にとってはつまらなかったのでトラウマ……。テンポよくさっさと終わらせてしまうのがコツだと思う。
  • グリッサンドの練習が……ねぇ。今でも親指グリッサンドができない。

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これね。

14話 リスト: 半音階的大ギャロップ

曲、版の情報

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  • ピアノ独奏が原曲。
  • ピティナ・ピアノステップ: 評価なし

コメント

  • 本当に終わってる曲なので一度しっかり手元を見ることをおすすめします。

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  • 最難関、という言葉はいつでも(ピアニストでさえ!)人々を魅了してきた。難しくて有名な曲はたくさんある。しかしピアノの場合、ある基準を越えると、難しいにも関わらず知名度が全くないという曲が、山のように登場する。あまりにも難しすぎて誰も演奏できないから有名にならないという、エボラ出血熱の感染者マップのような様相になってくる。この曲もそのひとつ。
  • だが、リスト作曲のこの曲はまだ恵まれている方かもしれない。近年「発見」され、ストリートピアノなどでも演奏されるようになってきた。
  • 動画で見て分かる以上のことは何も言えません話せません。リストはこれをアンコールの持ち曲にしていたというエピソードがあり、彼の傑出した実力を物語る。これが弾けるのを普通とされると大変困ります。
  • 自分は幸運にも一度プロがこの曲を演奏する様子を生で見る機会に恵まれたが、まあ言葉が出なかったですね。他がすごすぎたのもあるが。
  • これがパッと出てくるということは、おそらく美弦はリストが好きという裏設定がある。1巻で弾いていたのもリストだしね。
  • やや余談だが、ピアノを長く経験しているキャラクターにはそれぞれ好きな作曲家が設定されていると思う。2巻時点で描写はほぼ無だが、咲雪は絶対ショパンが大好きだと思う。モニャモニャ話す人間ってだいたいショパンドビュッシーなので。逆に描写があっても読めないのが奏。案外、奏には好きな曲というものがないのかもしれない、と直感している。
  • 『半音階的大ギャロップ』、奏や咲雪はなんとなく忌避しそうな曲調に感じる。美弦も大学卒業くらいまでピアノを続けて伸び続けた場合、美弦に弾けて奏に弾けない曲になりそうな気がする。

23話 ショパン: 木枯らし

曲・版の情報

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  • ピアノ独奏が原曲。
  • ピティナ・ピアノステップ: 発展1

コメント

  • 23話で咲雪が着メロにしていた曲。「ディンディロリロディロリロ…」はおそらく初めの一気に盛り上がる部分の引用か。
  • 着メロにしたいクラシック曲というテーマ、意外と深い。有名な一節で、ずっとフォルテで、かつ細かく音が鳴る箇所って、結構思いつきにくい。
  • ショパンが作った2つの練習曲集のうち、後に作った方。1巻で奏が演奏した『エオリアンハープ』は最初の曲で、『木枯らし』は最後のひとつ前の曲。
  • 最初の4小節の短い導入に続いて、唐突に「ディンディロリロディロリロ…」が始まる。その後「ディンディロリロディロリロ…」は一生続くのでこの4小節は実はなくていいんじゃないか、と思いたくなってくるが、この静かな導入があるから「ディンディロリロディロリロ…」により効果的な印象を与えることができるのだ、って清塚信也が『KinKi Kidsのブンブブーン』で言ってた。
  • 一般的には、この4小節を受け継ぐ静かな部分こそが、『木枯らし』のメロディなのだと言われる。どこか荒涼とした冷たい旋律を裏に吹き荒れる暴風のようなパッセージ。これこそが冬の到来を告げる木枯らしなのだ、というわけだ。

『木枯らし』の冒頭。赤枠で示された右手のメロディは、「ディンディロリロディロリロ…」地帯では青枠の左手に受け継がれる。確かに、リズムが同じだ。

  • しかし、木枯らしのようなパッセージに慣れ親しんだ現代っ子なら、暴風の方をメロディとしても違和感はないように思う。今聞き直すと、昔とは違った感想になりそうな曲だ。
  • 難しいからか、弾き映えがするからか、ショパンコンクールの動画がたくさん出てくる。

終わりに

1巻の紹介では4月くらいにはということでしたが、私事が忙しく、曲数が多く書くことも膨大で、また詳しくない部分の調査も改めてする必要があるということで、2ヵ月以上遅延する結果となってしまいました。2巻は作品のテーマというものがだんだんはっきりしてきて、それが選曲にも表れており、いやはや緻密に設計されているな、と感じます。

この本を読んでいる人間の中でひとりだけ違うゲームをやらされている感覚はなくはないですが、こういう方面の切り口も楽しいです。『エイティエイトを2でわって』という作品を通じて、自分というピアニスト、音楽好きの生きざまを見つめ直しています。3巻もまた不穏な空気だそうですが、単行本の発売を首を長くして待っています。そこで紹介される楽曲リストも。

*1:もっと言うと大人になってから漫画を買ったのは

*2:正直に白状しますと、投稿が遅れた最大の原因です。

*3:アタッカ。曲の終わりと次の曲の始まりを間隔を空けずに演奏すること。ショパンエチュードでOp.10-3とOp.10-4の間にこの指示があることはクラシックファンの間では非常に有名。しかし、有名だが99%の人間にとっては演奏者としても鑑賞者としても使う機会のない知識だと思われる。だって、1曲弾くのでさえ大変な難しさのエチュードを連続で弾く……なんてねぇ。

*4:ちょっと高めについてる気がします。

*5:正確には姉のファニー・メンデルスゾーンの曲も演奏しているほか、他の作曲家が作曲した曲も演奏している。

*6:ほとんどの連弾はプリモよりセコンドの方が難しい。

*7:p105

*8:p112

*9:ラテンアメリカの楽曲全体で一番有名かと言われると難しい。『コンドルは飛んでいく』とどちらが有名か悩ましい。

*10:p111

*11:p30

*12:その証拠に、美弦は2巻までで実力はほとんど成長していない。

*13:もちろん、音楽学校ではそのような「意外な選曲」の解釈の方法も教わるだろうが、それはひとつの凝り固まった価値観に則っているに過ぎないとも言えてしまうわけで。逆に凝り固まった価値観にとらわれている象徴としてのキャラクターが、咲雪だ。




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