NHKのETV特集で、「田んぼ×未来ーあきらめない農家たち」という番組を見ました。
対照的な2つの農家を取り上げてました。2030年代には、日本で、コメ不足が生じると言われています。(ひょっとすると令和の米騒動がその前兆かも)
作ることができるコメまで外国に頼っては、心もとないです。
トランプみたいな人・国に「いうことを聞かないなら、小麦もコメもトウモロコシも売らないぞ、」といわれたら困ります。小麦・トウモロコシはもう全く自給できません。しかしコメはできます。そんな事態にならないように、コメの自給はぜひ維持したいと思います。
パン・ラーメン・うどん(小麦)を喰わなくとも、肉類を喰わなくとも(飼料のトウモロコシ)コメさえあれば命を長らえることができる(笑)。ま、多くの国と仲良くし、供給源の分散化のほうがはるかに大事ですけどね。パンもラーメンもうどんも食べたい。特にラーメン。
もちろんコメといえど、完全自給とはいえず、機械・燃料・農薬・肥料、それぞれの原材料は、多くを外国に頼るわけですが、それはすべての国のほぼすべての産業に言えることです。
日本が強いといわれる自動車だって、鉄・アルミ・ゴム・石油製品・燃料を外国に頼っています。
コメは、原材料を輸入して加工している製品と考えればいいでしょう。それを国内で消費しているわけです。
以上のように、コメの自給維持ということは大切と考えますので、「がんばっている農家」という番組を、興味を持って視聴しました。
一つは、経営面積180ヘクタール、会社員14人(正社員7名=会社のHPより:A0153注)という企業型の大規模農家です。
それは、横田修一さんの横田農場です。千葉県竜ケ崎市のあるのだそうです。番組ディレクターは、5年前から取材しているとのことです。
もひとつは、新潟県の、棚田の広がる典型的な山あいの村の鴫原さんという農家です。鴫原夫妻は、2011年就農しました。3ヘクタールを経営してますが、それだけでは食べていけず、農産品加工所で働く、兼業農家です。
番組では、コメの3割が横田さんのような大規模経営の農場で、コメの3分の1が中間地域・山間地域(略して中山間地←→平地地域)で、作られているのだそうです。
大規模農場が3割、中山間地が3割強(3分の1)、ここから考えますと、残りのコメは、
平地の小規模な農家が4割弱が生産しているということになります。
それでは、番組が扱っていた横田農場と鴫原農場を私なりにまとめて紹介します。
横田農場
〇歴史
1960年代、まだ日本の食糧自給率73%だった。そのころから、国は機械化と農薬使用を推奨し、農村の労働力を都会に誘引していた。
(うーん、これは、日本版現代囲い込み運動だな、高度成長のための労働力供給政策、そのため経済は成長したが、農村は荒廃した:A0153独白)
1970年代、兼業農家が離農するころ、横田修一さんの父親は、逆に兼業農家から専業農 家へ転身。
1980年代 父親は、修一さんの農家を継ぎたいという意思を聞き、「ある人に頼んで」補助金を得、耕地整理(政府は土地改良という)をした。
1990年代(このころ日本全体の食糧自給率50%) 一枚1ヘクタールの田んぼが出来上がった。修一さんが就農。どんどん経営規模を増やしていった。
*大規模化の決め手=耕地整理は、多くの兼業農家が協力することで(それで補助金がsすんなりでるらしい)、協力したのは、後継者(=修一さん)を得るという目的に、他の農家が賛成したから(父親の話)
〇現在の横田農場と国・県・研究所・農業関連企業との関係
省力化、大規模化等いろいろ提案され、実験農場にもなっているが、成果はほとんど上がらず。
(例)
無人トラクター・・見てないといけないので、「乗ってやった方が便利、効率よい」(笑)
無人田植え機・・すぐ畔に乗り上げ
〇横田農場の考え・工夫・実績
→人間がやった方が絶対効率がよい。大規模化は限界がある。統計でも15haまで生産性が上がるが、30から50haでは停滞。それよりも大きいと下がる。
番組では、他の大規模経営農場の、手が回らず田植えもできなかった荒廃田が紹介されていた。(大規模農場が倒産すると、広ーい荒廃した土地が出現するーA0153独白)
→国・県・研究所・農業関連企業等は、AI化とかスマート農場などといい、「誰でもできる」「マニュアル通りにやれば」という考えだが、それは全く間違っている。
→大規模農場はほとんど、「一発肥料」という田植えのとき同時にやる肥料だけを使用しているが、実際は、温暖化などの天候変化により肥料会社の設計道理にいかない。追肥こそが、唯一農家が稲に働きかけることのできることだ。追肥の時期・量は各品種ごと田毎やらねばならない。この研究に基づいた追肥で、他の大規模農場の農薬・肥料の4分の1ですんでる(支出の割合で言って)。(→すごい:A0153)
→直播を20年以上研究しているが、実用の展望なし。(→残念。米国流の直播に期待してたが)
→田植え機は一台のみ。早稲から晩稲まで11種類のコメを栽培。3か月かけて田植え、収穫も同様。農業機械は、自分たちでメインテナンス。(→賢い:A0153)
→日々・年々研究工夫をして、蓄積している。農機の減価償却費は、他の大規模農場の半分以下。余ったお金は、ボーナスや投資に回す(肥料と農薬の合計よりも地代のほうが大きいのにはびっくり:A0153独白)
→かつてインターネットでかなり売っていたが、2011年の原発事故の風評被害で、9割離れた。代わりに竜ケ崎の市民やスーパーや外食店が買ってくれた。現在100%自社販路。令和の米騒動でも安定した価格で提供できている(→すごい:A0153)。
鴫原農場
〇農業関係も多く扱っていた雑誌社に勤めていた鴫原夫妻が、2011年就農した。
農業の現状はよく知っているが、「日本が捨ててきたものを残したい、復活させたい」という気持ちから就農(→すごい:A0153)
〇ドローン映像で見ると、ほんと山あいの里山集落。田んぼは、棚田で大規模化は全く無理。集落は、10軒20人。100年後には100人にしたいと夫妻は言う。
〇生活費は400万必要(4人家族)で、収入は、3haの田んぼから180万円(売上360万)、加工所(味噌と漬物)での労働賃金100万、麦・野菜販売20万、中山間地直接支払い(補助金)100万円(里山保護費も含む)。
とんとんの生活。
奥様は言う。「野菜は収入増加の余地がある、できれば50万円」という。
とんとんの生活なので、大きな部分を占めるコメの収入は、時給2000円と計算し、それを購入者に分かってもらって売っている。ネットで100人に売っている。だから昨年は、1キロ600円で販売。(うーん、高いなあ。しかし、だれが作っているかわかるので安心ではある。:A0153独白)
〇みんな田んぼ方式
高齢者が、約3ヘクタールの田んぼを手放した。集落の誰もが手が回らない。新規就農希望者が試しに田んぼつくりをしやすいように、皆で応援する仕組みを作った。売り上げを働きに応じて分配。新規就農の垣根を低くした。(これはいい方法と思う。若者が就農すれば、今後集落で離農する人がいても営農できると思う:A0153独白)
〇鴫原さんの話
昨年、中山間地等直接支援のお金が予算をオーバーしたので、政府はそのお金を減額した。総額は261億円だ。それをわずか2億円オーバーしただけだ。2億は、補正で出せるだろうに、出さなかった。
農家に文句を言われ、政府は、2025年は、284億に増やした。しかし、雪下ろし、草刈、見回り等の生活支援部分を減らされた。
昔から、「高齢者は早く退場せよ」という農政が続く。今が特にひどい。政府のやめろというメッセージが聞こえる。ここは政府の推奨する大規模化なんて絶対無理。
50代の兼業農家がいた。離農した。土日の農作業は大変だったろう。しかし勤め上げれば、中核農家になっていたかもしれない。
・・・・私の感想
里村を維持し、コメの3分の1を作っている、全国の中山間地農業への応援費用(中山間地等直接支援金)が、総額261億とか284億には驚きます。低すぎます。
ちなみにスイスの農家への政府の直接支援金は、2013年で、2300億円です。(「アグリの樹」のレポート)
スイスは、面積が日本の約10分の1、人口900万弱。一人当たりGDP世界トップクラス。もちろん日本とスイスの国情は、大いに違いますが(スイスは内陸国、小国、直接民主制、武装中立・国民皆兵=非同盟)、
約10分の1の人口に対して、日本の約10倍の支援金、ここは考えるべきでしょう。
岸田内閣が決定した敵基地攻撃能力に使う米国製トマホークは、一発2億~8億(どこまで計上するかで違うようです)といわれます。
2024年には、中山間地支援には、たった2億の追加費用も出しませんでした。(怒)。400発買う予定のトマホークを一発減らし、399発にすれば、2億出るのにねえ。
敵基地能力獲得も安全保障のためでしょう。(私は敵基地攻撃能力は、無駄で無意味でかえって危険と思ってますけどね)コメを確保するのも安全保障でしょう。
敵基地を攻撃できても、国民の食べ物が心配じゃねえ。
直接関係ないと思いますが、東京オリンピックの赤字は、2兆円を上回るといいます。
追加でたった2億も出さなかった2024年、政府は、ラピダス(2022年設立の半導体製造会社。北海道千歳市に2025年第一工場ができる予定)に5900億円を追加支援(累計1兆円支援)(WIKIより)してます。
半導体製造を確保するのも国家の安全保障ですが(ほんと成功してほしい、半導体は全産業の骨=血を作りかつ体全体を支える骨格)だろうから、そしてこれだけのお金をかけるのだから)、コメを確保しておくのも安全保障でしょう。
繰り返しますが、コメ生産の3割が大規模農場、3分の1が中山間地農業、残りの4割弱は、平地の小規模農家が担っているます。
平地には中山間地と違い、直接支援はないようです。ここにも何らかの形で、直接支援すべきと思います。でないと、平地の小規模コメ農家がもっともっと離農します。平地の小規模農家が、4割弱のコメを作っているのですからねえ。ここを守らないとね。
小規模農家が離農しても、15haまで規模拡大は、生産性が上がりますので、規模拡大ができるように、工夫すべきと思います。耕地整理(土地改良)に補助金をもっと簡単に出せばいいと思います。
180ヘクタールの横田農場が、田植えをわずか1台でやっているので、15から30ヘクタールの農家が共同で、田植えをできる仕組みを整えるよう支援すればいいと思います。能率が良いのは、多分、共同の会社での経営です。
横田農場の正社員が7名ですので、この15から30ヘクタールの農家7名で共同会社を作るよう支援できないものでしょうか。
横田農場では、地代が14%の支出割合。50ha以上の農場は地代支出が20%です。この地代の補助ができないものでしょうか。手放す農家にとっては、土地は、もはや負動産のはずです。
ここを何とかできないものでしょうか。何か手はありそうです。
ただ将来の土地の値上がりや工業・商業・文化・娯楽施設・アパート用地に売れると儲かると思い、土地を持っている農家が結構あると思うので、時間がかかるかもしれません。
その間食糧確保のため小規模農家の維持に努力すべきでしょう。
鴫原農場のご夫妻は、400万円の生活費でやってます。別な満足があるからです。しかし、小さいお子様4人と一緒の生活の400万はかつかつと思います。中山間地域の農業へは、直接支援金をもっともっと出すべきと思います。
かつて私は、日本の農業は、兼業をやめ専業化し(これは工業・第三次産業の労働力確保でもある)、大規模化すればいい(外国との競争に勝てるぐらい生産性が高くなればいい)と考えてました。
しかし、大規模化にも生産性の限界があるので(15haまでは生産性は向上するが、それ以上は停滞、さらに大規模化はもっと低下)、
ほかの仕事をしながら、狭い土地でも営農するのは、半人工的自然の維持(=里村的風景、広々とした田園風景)、人と人のつながり、自給率の維持に大いに役立っていると思っています。
ブログ知人のモスグリーンさんの言う通り、兼業農家が農業を支えていると思ってます。
参考:
【青空の下で畑仕事】
【青空の下で畑仕事】 - 農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言