NHKで、「向こう岸」という特別ドラマを見ました。
主人公は、名門中学から転校した山之内和真君です。名門校で勉強についていけなくて、先生に薦められこの公立校にやってきました。父親に「高校入学で、その名門校に入るように」と言われ、能力不足を自覚する和真は、追い詰められています。
も一人の主人公は、その公立校の佐野いつきさんです。彼女は、精神的な病気にかかっている母親と幼稚園の妹の面倒を見ているヤングケアラーです。生活保護を受けています。
ある時いつきは、クラスの男子に生活保護のことで攻撃されます。
「いいよな、生活保護は。働かないで金もらえるんだから。得してる。ずるいよな。みんなで養ってるんだから、生活保護ってみんなに示すべきだよな」
いつきは、自分のTシャツに生活保護と大書して、教壇で「私達を養ってくれてありがとう」と言います。
心痛む場面です。
頑張れ、いつき。
いつきには将来の夢があります。看護師です。でも生活保護という彼女の境遇が邪魔をします。彼女は諦めています。生活保護制度では、アルバイトしてお金を稼ぐとその稼いだ分が減額されます。だから高卒後の看護師専門学校への進学が難しいのです。
しかし私が思うに、この男子クラスメートの考えって、大人の中にも結構多い考えなんじゃないかな。
その例:和真の父親が言います。「生活保護は、甘やかしすぎだ。生活に困るのは自分の責任だ。それをまともに働いた人の税金で養うなんて変だ」と。和真の母親も言います。「私、生活保護って、あまりよくないと思っているの」
この考えは、自公政権や維新の考えでもあります。それをはっきりしめしているのは、どの政権の時でしたか、「自助・共助・公助」と言ったことです。維新の公共軽視と切り捨てもその証左です。
中学や高校で習わなかったのでしょうか。「病気の人や身障者は働けない、それは自分
の責任じゃない。どんな健康な人も年取れば働けなくなる。元気に働けても会社がつぶれれば、収入がなくなる。これらも自分の責任じゃない。自分だって何らかの原因で働けなることもある。だから困っている人を政府が助けるのは当然だ」と。
和真の父親の信条は、「努力は裏切らない」です。だから、生活保護を受ける人は努力不足と思うのでしょう。そこから、和真に無理な頑張れを強います。
こんな和真といつきがひょんなことから出会います。そしてこの出会いによって、二人ともに、道が開けます。
和真は、いつきのおかれた境遇を理不尽と思い、親に隠れて、自ら生活保護制度を調べます。そして和真の行っている塾の講師(元ケースワーカー)の助けも借りて、いつきに打開策を教えます。
それは、進学のためにアルバイトで稼ぐのは減額の対象にならないこと、同居しながら
でも、世帯分離すると、いつきもその母親・妹もべつべつに補助の対象になるということです。
そして塾講師は、いつきに「母親にホームヘルプサービスを受けさせろ」と教えます。
学校で「ずるい」と言われたいつきは、言います。「もう生活保護もらっているので、これ以上サービスもらったらずるいと言われる、いやだよ」と。
これに対する塾講師の答えはなるほどと思わせるものでした。
「あなたこれ以上一人で背負えるの?ずるいと言われようが、申し訳ないと思おうが、
恥ずかしいと思おうが、使えるものは何でも使うの、助けが必要な時は必要なの」
「一人じゃいつまでも変われない。変われるのは、誰かとかかわりを持つときだけ」
「あなたは将来看護師になりたいんでしょ?看護師になったら社会に貢献できる。もらった以上に返せる。あなたは社会から投資されているんです」
このドラマは、ヤングケアラーへの応援歌です。
このドラマをヤングケアラーは、見てほしい。見る暇がないんだろうな。
孤立している人を知ってる人は、使える制度はすべて使えと彼・彼女に教えてほしい。
いつきの夢実現への手助けをしたことにより、和真も自分の生きる道を見つけます。
いつき達にかかわってることが親にばれた和真は、窮地に陥りそこで真情を言います。
「これ以上どうやって努力しろというの?退学したあの学校の天才たちと自分は違うと思った。高校で復学するのなんてムリだ」
「努力により失敗を取り戻せと言うけど、取り戻したいのは父さんだろ」
「落ちこぼれの息子を見たくないのは父さんだろ」
和真は部屋に閉じこもります。
そこへ、いつきと渡辺アベルが来ます。アベルは、いつきに脅され、和真が親に隠れて、遅れた勉強を教えてた子です。アベルは、中一だけど小学校4年ぐらいの算数を和真に教えてもらいます。和真は、教えるのがうまいようです。アベルに自信を持たせます。
いつきとアベルがやってきて、いつきが、閉じこもった和真に言います。
「山之内、私に生活保護のこと教えてくれたろう。夢見ていいって教えてくれたろう」「アベルのやる気を起こしてくれた先生だろ」
「山之内和真、お前みたいのがいないと困るんだよ。逃げるな」
そして和真は思い出します。
小学校時代いろんなことに興味を持って、自分で調べたことを。
そのころは勉強が好きだったことを。新しいことがわかって嬉しかったことを。
そして和真に希望が生まれます。
自分が知ったことを、分かりやすく、今を生きてる人に分けられたらいいな。
前のブログで書いた「ケの日のケケケ」とこの「向こう岸」は、大変な境遇にある中高生への熱心な応援歌でした。そのような中高生には見てもらいたい。しかし、できれば普通の中高生やエリート中高生も見てほしいものでした。
昔のエリート中高生の成れの果て(政治家・高級官僚、社会経済の指導者・学者・マスコミ・・)が今の日本を指導して、作ってきたわけであり、今の日本の落ちぶれのい一因です。そして今の日本の中で競争して勝ちあがったとしても、幸せと思えません。
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