
長年、スイミングスクールでコーチの仕事をしています。
お客さんを泳げるようにするのが仕事ですが、溺れないようにするのも仕事です。
しかし、毎年夏になると水難事故のニュースを目にし、無力感を感じております。
ただ、それが海や川の場合、プールにはない波や流れがあるので、「別分野の方に頑張ってもらうしかない」とも思えるのですが、先日、東京の小金井市で起きた水難事故はプール(しかもスイミングスクール)であり、仕事の範疇内であり、決して他人ごとではありません。
そこで、まだ事故翌日で詳しいことはわかっていませんが、一応専門家の端くれとして、感じたことを書いておきます。
ニュースで見た情報
まず、いくつかのニュースを見ると、このような状況だったようです。
- 溺れたのは6歳児(小学1年生)
- 学童保育の一環として水遊び目的
- 水深120cmに40cmの台あり(台のある場所は水深80cm)
- 水遊び開始10後に、うつ伏せで浮いているのを発見
- 浮いていた場所は水深120cm(台のない場所)
- 小学生20人ほどに対して監視4名(スクールスタッフ2名(水中1名+プールサイド1名)+学童職員2名)
もちろん、現時点(2024/7/29)での情報であり、今後新たな情報があるかもしれませんが、ここではこの情報だけで書かせていただきます。
監視人数について思うこと
こういうときに一番言われるのが「監視員が少ないのでは?」ということですが、業界的な感覚で言えば妥当な人数で、「監視員が少なかった」とは思いません。
ただ、実際のところは「人数が増えたから大丈夫」というわけでなく、例え人数が多くても、複数の監視員が同じところしか見ていなければ危険であり、お互いが過信して「もうひとりが見ていると思った」となれば、逆にひとりの方が安全な場合もあります。
もちろん、こういう事故が起きて何らかの基準を作るとなると「人数」しかなく、今回の件で「子ども10人に監視ひとりでは足りない」となれば、増やすしかないのでしょうが、本当にそうなのか?とは思います。(詳しくは後述)
原因について思うこと
ハッキリ言って、わかりません。
というか、誰も見ていないから溺れたわけで、誰にもわからないはずです。
可能性として考えられるのは、「開始10後」というキーワードから、何らかの疾患による体調の変化で、プールに入ったことで急激に体調が変化して、それに監視員が気付けず、いつの間にか浮いていたのかもしれません。(あくまでも予想です)
ただ、最近はプールにビデオカメラが設置されている場合もあるので、その場面が映像に残っていれば、原因の究明には役立つかもしれません。
怖いと思うこと
当たり前ですが、原因がわからないことが一番怖いことで、原因がわからないと対策できず、同じことが起きる可能性があります。
今回の事故を受けて、スポーツクラブのHPには「28・29日は全店キッズスイミング休講」とありましたが、果たして2日で原因がハッキリするのか?、2日で対策を講じれるのか?、たぶん2日じゃ無理だろうな・・・、などとは思います。
あとは、前述したように、監視の基準は「人数」とするしかなく、監視員のスキルを基準にすることは出来ませんが、業界にいる人間からすると「怖い」と思うことが大事だと思います。
もちろん「怖い」と思いながら働くことは相当なストレスであり、さらに言えばこういう事故は頻繁に起きないので、いつしか慣れてリラックスすることになるのですが、それを上司がグッと締めて怖がらせないといけません。
そして、もっと怖いのは、他のスイミングスクールは普通に営業を続けること。
現に、自分も、明日、仕事で、プールに入って子どもに水泳を教えます。
しかし「怖いので・・・」と休むわけにもいかず、かなりビビっています。
最後に
残念ながら、水難事故はなくなりません。
「絶対に溺れない方法」とは「水に入らないこと」であり、つまり「水に入れば溺れる可能性がある」ということなのです。
それを少しでも安全に出来るように、微力ではありますが、努力して参ります。
そして、溺れたお子さんの回復を祈ります。
でわ、また。