最近メジャーリーグが面白すぎるので、思い立って紹介記事を書くことにした。最近はあの #17 をはじめ日本人選手の活躍がめざましく、日本でもメジャーリーグの情報がたくさん流れてくる。ハマるならいま。
※記事内では、日本人選手は漢字で、その他の国の選手やチーム名などの英語名称は適当なカタカナで表記しています。また、選手名をチームにかかわらず青文字で記載しています。
MLB の 1 シーズン
いろいろ語りたいことはあるが、まず MLB の優勝決定の仕組みについて説明しておかないとまずい。そうしないと MLB の魅力だったり見どころだったりを説明するのにまあまあ苦労するからである。とはいえ細かな規定などはあまり説明せず、ざっくりとした解説にとどめたいと思っているので、しばしお付き合いいただければと思います。
MLB にはアメリカンリーグ(ア・リーグ)とナショナルリーグ(ナ・リーグ)の 2 つのリーグがあり、それぞれが東地区、中地区、西地区の 3 つの地区を持っている。この地区に 5 球団ずつ、合計 30 チームが、ワールド・チャンピオンをめざし争う。

まずレギュラーシーズンが行われ、各チームは 162 試合を戦う。それによって、各リーグの各地区の優勝チームを決定する(いわゆる地区優勝)。各リーグごとに 3 つの地区があるので、3 チームが地区優勝を飾ることになる。しかし、地区優勝がかなわなかったチームにもチャンスがあり、地区優勝チームを除いた同リーグ 12 チームのうちで勝率がトップ 3 に入っていれば、トーナメント制のプレーオフに進出することができる。つまり、各リーグごとに 6 チームがプレーオフの権利を得られるということである。
たとえば昨シーズンのア・リーグの順位表は次の通り。

地区優勝を果たしたヤンキース、ガーディアンズ、アストロズと、それ以外の 12 チームの中で勝率が高いオリオールズ、ロイヤルズ、タイガースがポストシーズンに進出した。
その後、6 チームでトーナメント制のプレーオフを争う。地区優勝した 3 チームのうちで勝率の高い 2 チーム(昨シーズンのア・リーグならヤンキースとガーディアンズ)はシード権を獲得できるので、地区優勝が決まっても試合に勝ち続けることが大事になってくる。このトーナメントを制したチームがリーグ優勝チームとなる*1。
そして、両リーグの優勝チームが相まみえる最後の戦いがワールドシリーズである。最大 7 戦を戦い、先に 4 勝したほうが優勝。晴れてワールドチャンピオンの称号を手にすることができる。昨シーズンはア・リーグ優勝チームのヤンキースとナ・リーグ優勝チームのドジャースが戦い、ドジャースがワールドチャンピオンに輝いた。

MLB の魅力
そもそも野球を見るなら日本にもプロ野球があるじゃないか。それでもわざわざアメリカの野球を見るのは、それなりに見る理由があるからということ。
大量のスター選手
山本由伸(ドジャース)は、オリックス在籍時に投手の最高賞・沢村賞を 3 年連続で受賞した。ノーヒットノーランは 2 年連続で達成、投手賞も総なめ、チームもリーグ優勝・日本一を達成、と輝かしい実績を残しまくり、「もう日本でやることはない」状態でアメリカへと渡った。
そんな各国のトップ・オブ・トップスがゾロゾロ集まってくるのが MLB である。先日巨額の年俸で球界を騒がせたフアン・ソト(メッツ)はドミニカ共和国の出身。直近の WBC で侍ジャパンを苦しめたメキシコ代表にも、ランディ・アロザレーナ(マリナーズ)、ジャレン・デュラン(レッドソックス)などメジャーリーガーが勢ぞろい。メジャーリーグは「アメリカの国内リーグ」にとどまらず、世界の一流野球選手が一堂に会する場所である。
現地に生まれたアメリカ人とてそれは例外ではない。そもそもアメリカの野球リーグを指す「メジャーリーグ」という呼称は、その下に深い階層の下部リーグ(マイナーリーグ)との対比として使われている。メジャーに近い順にマイナーリーグには AAA, AA, A+*2, A, Rk*3と 5 つの下部リーグがあり、そこで熾烈な競争を勝ち残ってきた選手がメジャーの舞台に立てる。
豊富なコンテンツ提供
日本にいてもアメリカの野球が楽しめる大きな理由は、 MLB が非常に多くのコンテンツを(しかも無料で)提供してくれるからである。例として YouTube で提供される動画コンテンツを見てみよう。
MLB で行われるすべてのゲーム*4は、そのダイジェストが公式の YouTube チャンネルに投稿される。下に挙げたのは、フレディ・フリーマン(ドジャース)の逆転満塁ホームランが話題となったワールドシリーズ第一戦のダイジェスト。
とくに目立ったプレーをした場合には、特別なハイライトが作られることもある。2024 年シーズンにブレイク・スネル(当時ジャイアンツ、現ドジャース)がノーヒッター*5を達成した試合では、全 27 アウトの瞬間をまとめた動画が配信されている。
極めつけは 2024 年 9 月 20 日のドジャース対マーリンズ戦。THE GREATEST DAY とも称されたこの試合は、なんと初回から試合終了まで試合の全部分が YouTube にアップロードされている。
オフシーズンの動画投稿も非常に盛ん。そのシーズンで大きく活躍した選手は、その活躍をまとめたダイジェストムービーが投稿される。2024 年シーズンで一年を通して大きな活躍を見せた今永翔太(カブス)も、その記録が 8 分間のダイジェストとして動画配信されている。
トレード戦略とマネーゲーム
2017 年 7 月 31 日、当時レンジャーズに在籍していたダルビッシュ有(現パドレス)はドジャースへとトレードされた。しかもその対価は、メジャーリーグに所属していないマイナーリーグの選手。シーズン中にもかかわらず、エース格の先発投手をなぜ他チームへ放出するのか?それには、メジャーリーグのトレード戦略が関係している。
先に述べたマイナーリーグには、とくに将来が有望な選手が所属していることもある。これらはプロスペクトと呼ばれ、未来のメジャーリーグでの活躍を期待される。強いチームを維持し続けるためには、「いま強い」選手を集めるだけでなく、「いずれ強くなる」選手を育成することが大事になる。
ところで、各リーグ 15 チームのうちプレーオフに進出できるのは 6 チームしかない。そうなると、シーズンの中盤には早くもプレーオフ進出をあきらめなければならないチームも出てくる。そこで、成績の振るわないチームが、プレーオフ当落線上のチームあるいはワールドチャンピオンを狙える強豪チームに主力選手を放出し、代わりにプロスペクトを受け取る、というトレード戦略をとることになる。
実際に、2017 年のレンジャーズはプレーオフ進出への望みは極端に薄かった。対してドジャースは地区優勝確実という状況ながら、エース投手クレイトン・カーショウの故障により強いピッチャーが欲しい、という状況であった。そのため、レンジャーズはダルビッシュをドジャースへ「売却」し、代わりに 3 人のプロスペクトを獲得したのである。
NPB にないもう一つの特徴は、選手の入れ替わりがかなり激しい、という点である。ここではプロスペクトという概念に焦点をあててその一例を見たが、ほかにもさまざまなルールが絡んで非常に多くの移籍が発生する。ベテラン選手ともなれば、むしろ生涯 1 つに所属し続ける選手のほうが少ないのではないだろうか。
MLB とプロ野球との違い
上に挙げた動画配信の豊富さやトレード戦略以外にも、NPB と MLB では違う点がいくつも存在する。すでに日本の野球に慣れ親しんだ読者のために、いくつかピックアップして紹介したい。
得点が多い
NPB と比較したときの MLB の大きな特徴は、やはり得点の多さである。直近 2 シーズンにおける得点数を 1 チーム 1 試合あたりに換算すると、次の表のようになる。
| NPB | MLB | |
|---|---|---|
| 2023 | 3.48 | 4.62 |
| 2024 | 3.29 | 4.39 |
1 試合当たりでだいたい両チームともに 1 点程度得点が多い。体感ではデータ以上にこの得点力の差を感じることもしばしば。たとえば、3 点差はまったくセーフティリードじゃないし、1-0 のような超ロースコアゲームは全然起こらないし、などなど。
それは防御率*6にも反映される。大体のめやすとして、先発の防御率が 3 点台であれば、十分に合格点と言っていい。 2 点台ならチームのエースと呼んでいい出来。実際に、2024 年シーズンの今永昇太(カブス)の防御率は 2.91 で、サイ・ヤング賞*7を受賞したクリス・セール(ブレーブス) は防御率 2.38 を記録している。NPB のトップ投手は防御率 1 点台前半を記録することすらある(2024 年なら高橋宏斗)が、もし MLB でそんな成績が出たら大騒ぎである。
引き分けが存在しない
引き分けで試合が終わることもままある NPB とは違い、MLB の試合には引き分けが存在しない。延長試合に入った場合は、10 回以降は無死二塁からスタートするタイブレークが行われ、決着がつくまでずっと続く。
とはいえ、MLB の打線を相手に無死二塁という状況を与えれば、たいていはゲームが動く。このため引き分けがなくても延長に延長を重ねてゲームが極端に長くなり……といったことは発生しない。実際、2024 年シーズンで最も続いた延長試合は延長 14 回まで続いた 2 試合だけであり、どちらの試合も 4 時間以内には終了している*8。
野手登板が多い
NPB で起これば大騒ぎの野手登板も、MLB だとふつうのこと。得点差が大量につき、ほぼ勝負が決したという試合では、ブルペンの温存のために野手を登板させることが認められている。ドジャースで言えばキケ・ヘルナンデスの登板は記憶に新しい。
野手登板はエンタメの宝庫でもある。2023 年 8 月 11 日、野手登板でマウンドにあがったジョーダン・ルプロウは、対戦相手のクレイグ・キンブレルのアイコンともいえる威嚇ポーズを披露。しかしその後の投球であっさりとホームランを打たれるという一幕も。
チーム紹介
MLB を観るといっても、30 チームすべてを追いかけるのはとても大変。そのため、ひとつのチームを軸にして見るのが良い。とっかかりやすさを考えて、日本人選手が活躍するチームをサクっと紹介。
ロサンゼルス・ドジャース
ナ・リーグ東地区の絶対王者にして、言わずと知れた現ワールドチャンピオン。説明不要の #17 に加えて、ムーキー・ベッツやフレディ・フリーマンなどスター選手が勢ぞろいの常勝軍団。
昨年の山本由伸はプレーオフも含めて日本での実力を遺憾なく発揮したといっていい成績で、2 年目は怪我無く 1 年投げ続けてドジャースのエースを目指す。新加入の佐々木朗希にも注目が集まる。
サンディエゴ・パドレス
ナ・リーグ西地区のパドレスは、西海岸のビーチシティ・サンディエゴに本拠地を置く球団。フェルナンド・タティス Jr. を筆頭に、強さと陽気さが特色のチームである。
ベテランのダルビッシュ有は実力いまだ健在で、来シーズンも安定した投球でチームを引っ張るに違いない。2 年目の松井裕樹は、リリーフとしていっそうの存在感を示せるか。
シカゴ・カブス
ナ・リーグ中地区に所属する、シカゴの青い球団。今季は大物外野手カイル・タッカーを獲得し、ポストシーズン進出に挑む。
カブスに所属する日本人選手は、鈴木誠也は打線の、今永翔太は投手のコアを務めあげている。日本人選手のチームへの貢献度という意味では、日本のファンにとっては先述したドジャース以上に応援しがいのあるチームと言えるかもしれない。
フィラデルフィア・フィリーズ
ナ・リーグ東地区のフィリーズは、ブライス・ハーパーをはじめとするスター選手と熱狂的なファンで構成されている。昨年はライバルのブレーブスから地区優勝の座を奪い、同地区の主導権を握ろうとしている。
阪神から移籍した青柳晃洋はフィリーズとマイナー契約。現在はスプリングトレーニング*9の最中だが、ここでアピールしてメジャーの舞台にあがれるか。
ニューヨーク・メッツ
ナ・リーグ東地区に属する、ニューヨークのオレンジの球団。同じニューヨークのチームにいたフアン・ソトを巨額のマネーで獲得したことで大きな話題を呼んだ。
昨シーズンはケガで登板機会のなかった千賀滉大は今シーズンから復帰。大きな落差を持つ「おばけフォーク」で三振の山を築く。
ワシントン・ナショナルズ
ナ・リーグ東地区に属する、アメリカの首都ワシントン D.C. に本拠地を置く球団。2019 年のワールドシリーズ優勝以降はなかなか成績が振るわないが、C. J. エイブラムスを筆頭に若手の成長が見られる。
中日の小笠原慎之介は今季からナショナルズに移籍。先発陣の競争に勝って、メジャーの舞台でアピールを重ねたい。
ボルティモア・オリオールズ
ア・リーグ東地区に所属する、鳥の名を冠した球団。シーズン 108 敗を喫した 2019 年からの再建に成功し、現在は地区優勝を狙えるチームになっている。アドリー・ラッチマンやガナー・ヘンダーソンなど、若手の活躍が顕著だ。
巨人で圧倒的な成績を残した菅野智之が FA でこのチームへ。一度は断念したメジャーリーグに、新たなオレンジを身にまとって挑む。
デトロイト・タイガース
ア・リーグ中地区のタイガースは、昨シーズンの奇跡ともいえるポストシーズン進出が印象的。昨シーズンのサイ・ヤング賞投手タリク・スクーバルを擁するチームでもある。
「マエケン」こと前田健太は昨シーズンは好成績を残せず。メジャー残留がかかった正念場を迎えたいま、かつての輝きを取り戻せるか。
シアトル・マリナーズ
ア・リーグ西地区のマリナーズは、かつてイチローが所属していたこともあり、日本でも知名度が高い球団。現在はローガン・ギルバートを筆頭に、MLB 屈指の先発陣を揃えている。
メジャー移籍後に球団を転々としている藤浪晋太郎は、今季をマリナーズでスタートする。制球難を克服し、持ち前の豪速球で投手王国の一角として定着したい。
ロサンゼルス・エンゼルス
ア・リーグ西地区に所属する、ロサンゼルスの赤い球団。アメリカの大スターマイク・トラウトが有名。日本ではかつて #17 がいた球団として広く知られている。
菊池雄星は今シーズンから活躍の場をエンゼルスに移すことを決定。エンゼルスは向こう 10 年間ポストシーズンから遠ざかっているが、この状況を打破するための起爆剤になれるか。
アスレチックス
ア・リーグ西地区のアスレチックスは、今シーズンより本拠地をサクラメントに移転。ただしこれは、来るラスベガス新球場に再移転するための暫定処置のため、30 球団で唯一地名を冠さないチームとなった。
桐朋高校の森井翔太郎は、ドラフトでアスレチックスのマイナーチームに入団。ルーキーリーグからアメリカプロ野球に乗り込み、メジャーリーグへの昇格を目指す。
スター選手の紹介
MLB のスター選手のうち、前節で紹介していないチームから 3 人を抜き出して紹介。MLB をよく知っている人なら「あ~はいはい鉄板すぎ笑」となるほどのラインナップである。
アーロン・ジャッジ
現在の MLB で #17 と双璧をなす、ヤンキースのスーパースター。
2022 年に樹立したシーズン 62 本塁打を筆頭に、本塁打王 3 度、MVP 2 度とバットで残した成績は数知れず。昨シーズンも、本塁打数は 58 本、シーズン OPS は 1.159 と、常人離れした成績でフィニッシュ。常勝軍団ヤンキースのキャプテンを務め、さらにライバルへのリスペクトも欠かさないなど人格者としても知られる。
次のシーズンも大活躍間違いなしの大スラッガー。正直、ジャッジを見るために MLB を見る価値がある。
ボビー・ウィット Jr.
ロイヤルズのショートを担うウィット Jr. は、打ってよし・走ってよし・守ってよしのオールラウンダー。攻撃も守備も一流のプレイヤーが好きな人にとってはこれ以上ない選手だ。
昨シーズンの成績は象徴的。まず攻撃面では、32 本塁打に出塁率 .389 と、力強さと丁寧さを両立。さらに 31 盗塁とスピードも兼ね備える。守備面のパフォーマンスも素晴らしく、最も難易度が高いといわれる守備の華・ショートストップを高い水準で務めあげ、ゴールドグラブ賞を受賞した。
攻撃と守備を両立する選手は、表もウラも見どころを作ってくれる。25 歳とまだ若く、今後長く応援できるスター選手になること間違いなし。
ポール・スキーンズ
スクーバルやセール、スネルなど、「強いピッチャー」はたくさんいる。しかし、いまメジャーリーグで最もセンセーショナルなピッチャーといえば、パイレーツの「怪物」ポール・スキーンズをおいて他にはいないだろう。
スキーンズのデビューは 2024 年シーズンからだが、23 試合 113 回を投げて、打たれた安打が 94 。平均すれば 1 イニングにつき 1 安打すら許していない。100 mph*10 の速球に多彩な変化球、さらに打者の手元でガクンと落ちるオリジナルの魔球「スプリンカー」を駆使し、相手打線を黙らせる。
今後の MLB を引っ張っていく存在となることが約束されているスーパースター。数年後にはどんな成績を残すか、そしていずれパイレーツ以外のユニフォームを着ることになってしまうのか、今後の MLB を「どう引っ張っていくか」が楽しみな選手だ。
MLB を観よう
さあ、MLB を観よう。
まずは MLB 公式アプリをダウンロード。試合の速報や主要なニュースを流してくれる。いわゆる「一球速報」もこのアプリで閲覧できる。それに加えて、MLB 公式 YouTube チャンネルをチャンネル登録し、さらに SNS をフォロー。球団に興味があるならそれもフォロー。これで日本に住んでいても、 MLB のコンテンツを腹いっぱい享受することができる。
幸いなことに、日本語での MLB に関する発信も数多く存在する。YouTube では 116 Wins がその筆頭である。また MLB 30 球団ファン合同 note にも、日本語で書かれたたくさんの記事がある。自分の応援するチームにとどまらず、各チームのスター選手や MLB のルールについての知識をつければ、より MLB の観戦が楽しくなる。
おまけ
おれがひそかに応援している、ドジャースのマイケル・コペックについて紹介させてほしい。
彼の魅力は超高速のフォーシーム*11。平均 98.6 mph の球速と、超高水準の回転数をもつ直球でガンガン押していく。この速球にときどき変化球のスライダーを交えて、対戦相手から三振を奪っていく。昨シーズンの三振率 31.5 % は MLB でも上位 1 割に位置する。
ところがフォーシームとスライダー以外に持ち球がない。いちおうカッターやチェンジアップを投げた履歴もあるが、いまいちパッとしない。また、制球力もあまりいい方とは言えず、四球が多いピッチャーでもある。ストライクゾーンに投げられれば強い直球も、ゾーンに投げられないせいで四球、結果自身の首をじわじわと……というのも見慣れた展開である。
2024 年 8 月 12 日、ブリュワーズとの対戦でウィリー・アダメス(現ジャイアンツ)と対戦したコペックの内容は、まさに彼を象徴するような投球である。

現代のピッチャーは変化球が投げられないとまともに通用しない、と言われる中、とにかく速いボールを投げて、力で押し続ける選手。とはいえ、たった 2 つの持ち球は、どちらも一級品の威力を持っている。制球力が上がれば恐怖のリリーバーとなること間違いなし。
今年もドジャースの試合が放映されるチャンスは多いはず。スター選手の活躍に目が向きがちだが、ぜひコペックが繰り広げる炎のピッチングにも注目してほしい。
*1:日本プロ野球と違い、リーグの優勝チームはレギュラーシーズンの成績ではなくプレーオフで決定する。そのため、地区優勝を果たさずともその年のリーグ優勝チームになることもありうる(2023 年のナ・リーグ優勝チーム・ダイヤモンドバックスなど)。
*2:「ハイエー」と呼ぶ。
*4:要検証
*5:日本のノーヒットノーランとは違い、たとえエラーや四死球などで得点を許しても、無安打に抑えたならばノーヒッターは記録される。そのため、ピッチャーがノーヒッターを記録してかつ試合には敗れる、といったこともあり得る。
*6:セイバーメトリクスの観点では投手の実力を測るのに防御率を用いるのはあまりよろしくないとされている。いっぽうで防御率はアクセスしやすい数字でもあるので、今回は防御率を基準に話を進めることとする。
*8:5 月 31 日のパイレーツ vs ブルージェイズは試合時間 3 時間 46 分、6 月 30 日のロッキーズ vs ホワイトソックスは試合時間 3 時間 25 分。
*9:いわゆる「オープン戦」。マイナーリーグの選手も「招待選手」に選ばれれば出場が可能。
*10:mph はマイル時速の意味。100 mph が 161 km/h とだいたい同じ。
*11:日本でいう「ストレート」は MLB では「フォーシーム」というのがふつう。この記事でも MLB 流にフォーシームと呼称する。