見た。わりと面白かった。大作としかいいようがない異常な代物である。
アニメや音のクオリティはとても高くて、今後のアニメ映画のオーパーツ的な語り種になるレベルなのは間違いないと思う(これが水準になるとしたらものすごいことなんじゃないか)。とにかくすごかった。画面の隅から隅までいっぱいに動きが詰め込まれていて映像とキャラクターを見ていて飽きる暇がない。展開も「こういう感じに展開するのかな」という想像をどーんと外してくる荒々しさがある。
とはいえ、なんとなくノレなかったのも事実で。女の子の日常、ネットゲーム、家族、みたいなキーワードを真正面から受け止められない大人にはつらい熱量が込められている。あと「大勢が同時になにかに熱狂する」というシーンそのものに対する共感を前提にしている感じはあって、そこがなー。自分はそういうのがないからなあ。火の玉のような豪速球を受け取る受容体が鍛えられてない、ということかもしれない。野球などのスポーツやアイドルへの熱狂、動画配信や「推し」の文化ボキャブラリが中核にある作品だと思う。あとはあれよ。「おれの考えた可愛い女の子の可愛いあり方をみてくれ!」っていう強い意志を全てのカットから感じるんだけど、たぶん熱血とかおじさん成分が足りないんだと思いました。そんなものを求めているつもりはないんだがなあ。
モブも含めて登場人物に悪意がどこにも見当たらないのもすごい。全員が善意全開。無関心と冷淡さすらほとんどない。コンプレックスと僻みみたいなのも全て消化されている世界に見える。誰かが膝を折る時、支える誰かの手も必ず描かれている。その世界のなかで、主人公の女の子が「いっぱいいっぱいです」って繰り返し飽和しながら、「かぐや」に振り回されていくのが基調のトーン... なんだけど、現実的だった主人公の悩みはすごいいきおいで希釈されていく。自分のやりたいこと向き合う、という構図に再整理されていく。いい話だ。だからこそ、最後の30分はさすがに「えっえっ」となりました。こういう大ネタ最近見ないのでびっくりした。Netflix映画であることを本当に最大に生かした演出だと思う。たしかにこれは映画館ではなかなかできないし、別プラットフォームで展開するにも制約になる。