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やる夫がダイエーを創業するようです 第1話~第3話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 20:51:19.44 ID:5TjoICY/0
                   ∧,, ∧
                   (`・ω・´)  
                     U θ U
                 / ̄ ̄Ⅰ ̄ ̄\    
                |二二二二二二二|  
                |        |
パシャ パシャ  パシャ パシャ パシャ  パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ
   パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ  パシャ パシャ パシャ  パシャ  パシャ
 ∧_∧      ∧_∧     ∧_∧  ∧_∧    ∧_∧     ∧_∧
 (   )】      (   )】    (   )】 【(   )    【(   )    【(   )
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ノ ̄ゝ     ノ ̄ゝ      ノ ̄ゝ     ノ ̄ゝ    ノ ̄ゝ     ノ ̄ゝ

2004年12月28日 産業再生機構はダイエーと傘下の11社の支援を正式発表した。
有利子負債2兆6000億という天文学的な金額を抱え、創業者の手を離れて第三者
による再建が決定した瞬間であった。

戦後日本に誕生して経済発展とともに急成長を遂げ、流通に大きな影響を与えた
ダイエー。
それがなぜこのような結末を迎えたのだろうか。
これを理解するには、創業者である中内功を知る必要があるだろう。



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2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 20:52:35.05 ID:5TjoICY/0
   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)      ダイエー創業者である中内功氏の生い立ちから、死去までを紹介するぜ。
. |     (__人__)  
  |     ` ⌒´ノ      役回りとしては合間に解説や時代背景の説明をするが、本編には関わらないぜ。
.  |         }
.  ヽ        }      \ まぁ後の細かいところは下を読んでくれ。
   ヽ     ノ        \
   /    く  \        \
   |     \   \         \
    |    |ヽ、二⌒)、          \

ダイエー創業者の中内功夫氏をやる夫に置き換えてストーリーを展開しております。
舞台や登場人物は関西がメインですが、標準語にしております。
銀行や企業名及び金額は基本的に当時のものとなっております。

それではお楽しみいただければ幸いです。

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 20:53:27.24 ID:5TjoICY/0
1話「出生、そして出征へ」

    ,,,,,,,,,,,,,,,
  ~二二二
   ( ´∀`) 父の秀雄です
   (    )
    |  |  |
   (__)_)

                  ,.― 、
         __    /´ ̄`ヽヽ    __
            | \   ___ ノノ___/ / |
            | `ヽ.\´ .:.:.:.:.:.:`´.:.:.:.:<  ,′  |
            | }N/..:.:.:. .:/.:.:.:.ヽ:.:.:.:.ヽiZフ  |
            l {V .:.:.:.:.:.;i :|:.:.:.:.l:.:|:.:.:.:.:.:.',ス  ,′
          〉、i' .:.:.:`,< VI:.:.:.:.|リ、,.:´:.:. VI,イ
           {.:.:|.:.:.:.:/_ヽヽ:.:.:|/_\:.:.:.:}': |
          ';.::|:. :./イ下jヽ \|イ下}'ソ.:.:/.:.:|
.          ヽ|',.::|ハ廴ソ   `廴ソ八/.:.:. |_
             |:ヽ|:⊂⊃  o  ⊂⊃/.:.:/ )
             | :. l.:.:.i≧_‐--‐_≦!.:.l.:.:/ .;ィ´
             |:.:.:.l.:.:,ゝ、ヽ⌒/ ノj_.:l:./ ./:i|
           ┌┴‐┴{__)―'―〔__)┴┴┴┐
           |                      |
           |     母のリエです       |
           |                    |
           |     好物はメロンパン  |
           |                  |
           |                      |
.         └―――――――――――‐┘

      _   ./ ̄ ̄ ̄\    / 
    __ `ソ/ ─  ─  \/ ̄/  
      \/゚ (●)。 (●)  \/ rへ,ノ    やる夫だお
 __>-へ| i     (__人__)    |ノ  :.\_ 
      .:/从へ、.゚` ⌒´o.ノ从rーヘ_     大正生まれだお
    _::ノ    :ノ`⌒Y⌒´::  \ 
          .::┘   :│   ゚ 

1922年(大正11年) 8月
父・秀雄、母・リエの長男として大阪府西成区にて、長男として誕生。

また、弟が3人(博・守・力)生まれている。
弟達とは後に共同で事業を行っていく。

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 20:55:00.13 ID:5TjoICY/0
                        [ ̄ ̄`i´ ̄.]          [ ̄ ̄`i´ ̄.]         [ ̄ ̄`i´ ̄.]
                         iエ:,.;. i,;: ェi          iエ:,.;. i,;: ェi         iエ:,.;. i,;: ェi
                  ,,,-‐-,,,‐‐‐‐‐‐‐‐、ェi エ;:]‐‐‐,,,,,-‐-,,,‐‐‐‐‐‐‐‐、ェi エ;:]‐‐‐,,,-‐-,,,‐‐‐‐‐‐‐、ェi エ;:]‐‐‐‐‐
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        ,,,-‐''.'==ニニニ二二二二二ニニニ=====ニニニ二二,二,二二ニニニ=====ニニニ二二二二二ニニニ==.'''‐-,,,三三三
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    <二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二>
     |l:ヽ/:l|__j,;:.;_j_,;:.;.,:j,;:,;_j__j,;:.;_j_,;:.;.,:j,;:,;_j__j,;:.;_j_,;:.;.,:j,;:,;_j__j,;:.;_j_,;:.;.,:j,;:,;_j__j,;:.;_j_,;:.;.,:j,;:,|l:ヽ/:l|
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生まれは大阪だが、父が神戸に「サカエ薬局」という薬屋を開いて移り住んでいるため、生家は神戸とも言える。
周りは工場が建ち並び日雇い労働者の多い地域で、教育熱心な母のもとで少年時代を過ごす。

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 20:56:54.35 ID:5TjoICY/0

┏─────┓  . . ..::::::::::|  ||  ./
│≡≡≡≡≡│  . . ...:::::::|  ||/     ||
┗─────┛    . . . .:::|  ||       ||  |  .
    (◎)         . ..:::|  ||/     ||  .! :   :
    ヽ|ノ          . .::|  ||       ||   | :   :
__(__)_________|  ||       ||  | :   :
                \|  ||    / ||  ,i :    :
 ̄|| ̄ ̄|| ̄ ̄|| ̄ ̄|| ̄ ̄||.  \. // ,|i〕  | :    :
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  \  ||\______\        \,||  | :::   .:::
 ̄||.   ||\||   :=:   || ̄        \ | :::   ::::
 ̄||:   ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| \         ノ .::::   :::::
  ||      ||          ||..  \         ゙^ヽ,  .:::::::
           〔 ̄ ̄ ̄〕.    \         `~、
 ̄ ̄\    \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\.. \
     \.    ||\______\ . \
 ̄ ̄ ̄||~     ||\||   :=:   || ̄.   \
 ̄ ̄ ̄||    ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||        \
      ||.       ||          ||

神戸三中(現・兵庫県立長田高等学校)を経て、1941年、兵庫県立神戸高等商業学校(新制神戸商科
大学の前身、現・兵庫県立大学)を卒業する。
文学や哲学が好きな、物静かな少年だったという。
同級生からも「おとなしい」「目立たない奴」という印象しかなく、教師からは「真面目な努力型」と映っていた。
だが、とりたてて成績優秀というわけでもなかったようだ。

             ____
           /⌒  ⌒\
         /( ●)  (●)\       学校では英語とドイツ語を勉強したお。
        /::::::⌒(__人__)⌒:::::\      ファウストの原書に挑戦したお。
        |     |r┬-|     |      
        \      `ー'´     /

神戸という土地柄もあり語学教育には非常に熱心で、当時としては珍しく英会話の授業もあった。
また、やる夫は第二外国語としてドイツ語も学んでいた。
この語学力が後々身を助けることとなる。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 20:58:38.42 ID:5TjoICY/0
   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)     それじゃあ早速、本編の解説をやらせてもらうぜ。
. |     (__人__)  
  |     ` ⌒´ノ      この頃のやる夫は同級生達にほとんど印象がないんだ。
.  |         }
.  ヽ        }      \ せいぜいが「おとなしい」「目立たない奴」という程度だしな。
   ヽ     ノ        \
   /    く  \        \
   |     \   \         \
    |    |ヽ、二⌒)、          \

一代で大企業を育てた人物というと、少年時代からその片鱗を見せて
いる人も多い。
小さい頃から機械好きでずっとその動きを眺めていた本田宗一郎(ホンダ)
や、学生時代の発明で賞を取った井深大(ソニー)あたりが有名だろうか。
だが、やる夫はこうしたエピソードが見当たらない。
つまり彼の人格形成は、その後の体験によるものだと言って良い。

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:01:13.90 ID:5TjoICY/0

       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
       |                    |
       |      赤紙          |
       /    ̄ ̄ ̄ ̄      /_____
       /   戦争に来い    /ヽ___//
     /               /  /    /
     /    ____    /  /   /
    /             /  /   /
   /             /  /   /
 /             /    /   /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /   /

1942年12月
日本綿花(旧:ニチメン 現:双日)に就職していたやる夫の元に召集令状
が届き、戦地へ赴くこととなった。
ソ連・満州国境という寒地への出征だった。

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:03:49.63 ID:5TjoICY/0
         / ̄ ̄ ̄ \
      /   :::::\:::/\  
     /    。<一>:::::<ー>。   
     |    .:::。゚~(__人__)~゚j    もうゲーテも哲学も無い世界に連れて行かれるお
     \、   ゜ ` ⌒´,;/゜
    /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。  
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

ソ連・満州への出征後、フィリピン戦線へと転戦するが、ここで人生を決定づける
体験が待っていた。

第1話「出生、そして出征へ」 完

第2話「戦争は地獄だ」へ

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:07:44.35 ID:5TjoICY/0
第2話「戦争は地獄だ」


⌒ヽ          r ⌒ヽ:.:..:...::..:..::..:..:..::::..:..::.:..:...::..:..::..:..:..::::..:..::.:..:...::..:..::..:..:..::::..:..::.:..:...::..:..::..:..:..::::..:..:
.::.., '⌒.::..:..:..::::..:..::.:..:...::..:. ⌒..:..:..::::..:..::.:..:...::..:..::..:..:..::::..:....    ´ ⌒ヽ:..:...::..:..::..:..:..::::.. ´  ⌒ :::..:..::
.::..:..:..::::..:..)    (       ).:..::..:..:..::::..:..::.:..:...(  ..::..:..:..::::..:..::.:..:. )..:..:..::::..:..::.:.    ..::::..:..::.:..::.
.::..:..:..::::..:⌒ヽ  '⌒   ⌒ヽ  ⌒ヽ..:..:..::::..:..::.:..:' ⌒    '⌒ ::..:..:.ヽ  ⌒ヽ..:..::'⌒   ⌒ヽ ⌒ヽ:.
.::.⌒ヽ     .::.:..:...::..:..::..:..:..::::..:..::.:..:...::..:..::..: 、 (  ..::..:..⌒          ⌒Y     (:..::..:..:..::::..:..::.
.::.. :..:.. ::::..: ..::.:. .:...:: ..:..: :..:. .:..:: ::.. :..::. :..:. ..::. .:. .::..:.. :..:: ::.. :..::.:. .:...::. .:. .::..:.. :..:::: ..: ..::.:..: ...::.. :.
.:. .: ..:. .: ..: ..:.. :.. :..:. .:..: ..:. .:..: ..: ..:. .:. .:.. :.. :.. :..: ..: ..: ..:. .:. .:. .:.. :.. :. .: ..:. .:..
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.::.-.:..:..::::.~~.:..::.:..:.ー..::..:...::.::.-.:..:..::::..:..::.:..:.ー..::..:...::.::.:..:...:...::.::.::::.~.:..::.:..:.....:.::..::.⌒.:.:.:..:...:...:.....::::..:.:::..:..
.::..:..:..::::..:..::.:..:...::..:..::..:..:..::::..:..::.:..:..::.:..:...::.:⌒:..:..:..::::..:..::.:....::..:.::...::..:..::..::..:.:.:..:..:~:::..::.:..:...:..:...::..:.:..::..:..:..::.:..:..:.
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.::..:..:..::::..:..:.⌒:..:..::.:...::..:..::...::~.::._.. ヾr0ヾ__.. ヾr0ヾ__.. ヾr0ヾ__.. ヾr0ヾ__.. ヾr0ヾ__.. ヾr0ヾ_
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    ....         .... ..     {!i}     {!i}     {!i}     {!i}     {!i}     {!i}
....         ....         {!i}     {!i}     {!i}     {!i}     {!i}     {!i}
    ....        ....     ... {!i}      {!i}     {!i}     {!i}     {!i}     {!i}
....        ....    ....     {!i}     {!i}     {!i}     ""     {!i}     {!i}
    ....        ....    .... ""     ""  ...   ""  ....        .""..    ..""
 ....        ....    ....        ....    ....        ....    ....     ....
南方フィリピン戦線

1944年7月
ソ連・満州国境からフィリピン戦線への転戦となる。
ここでの体験が、やる夫の人格形成に多大な影響を与えることとなった。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:09:14.17 ID:5TjoICY/0
                            _,,, -――-  、
              __,,,,,_           /、,:.-‐:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
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         /:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ      _i:._:.,   - ‐‐::::':::::::: ̄:::: ̄:::::` 、
         ,':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l , -‐ '::::::_:: -ー''" ̄ ̄ ̄ヾ;;;;;;;;!:::::::::::::::::::::)
         |:::::::::::::_ ,==ニニニ_=_=(::::::::::::::::_r¬、( ̄~il ̄ ̄ ̄; ̄`i::::__;;,   '"
 ( `丶、    _,!-‐'";;;;/′ ___,,- ,,/.  ̄ ̄ ヾ/__,`''‐"     ! )ノ ´
  ヽ、 ヽ、   `ヾ;;{_         ,_ゝ        ヽ___、       `l´  ナパームで石器時代に戻してやれ!
   _ヽ__ ` ‐-、/i\`    ==/ _         l〈ノヽ |      _)ヾ` 、
  .(____(__; ̄ ̄ヽ|  ` 、__ __i: : `゙ 、         )___,, -‐''''' "  /: : \`: : '' ―-
  ヽ,______) ̄   l      /: : : : : : : : : `ヽ、 __, '"ヽ: :\     , ': : : : : :ヽ: : : : : :
   .ヽ__ノヾ 彡ヽ   /: : : : : : : : : :, -'´: : : : : : /: : : :\   /: : , -‐ '"`: : : : :
     `' 、__   丿ヽ、/: : : : : : : :_ /: : ::、: : !: : : :\: : : : \ / /´: : : : : : : : : : :
         `‐--'"    \: : _ _,'__: `ヽ、: : ヽ,|', l二二 ヽ、: : /'": : l二二二: : : : : :
          \        ゙`ヽ\: : : `ヽ: : : : : : : : : : : : : : :ヽl: : : : : : : : : : : : : : :

日本軍は既に劣勢となっており、制空権・制海権ともにアメリカ軍が握っていた。
やる夫達は連日敵からの攻撃に怯えることとなる。

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:12:16.57 ID:5TjoICY/0
     .___
   ./ ノヽ\             .     __
    ;| (○)(○|:                ; /  \ ;
   :|ヽ (_人_)/;             ;  ;/ ノ |||| 、_\  ;
.   :| |. ⌒ .|;              ; / (●) (●) \
    :h   /;              | \ (__人__) /  | ;
     :|  /; ’              ; \ |. ` ⌒´ |  /
    / く、     \         ;  /        | ;
   ;| \\_    \        ;(_)| ・   ・ || ;
   ;|ミ |`ー=っ    \      ; l⌒ヽΞ   Ξ/| |
                    ;  | |\_(;;U;;;)_ ̄)) ;
      _|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_
     >                  <
   /  ─ / ──┼─ ─   lヽ|  |ヽ  ム ヒ | |
 \/  ─ /    /   ─ /  | ̄| ̄ 月 ヒ | |
  ノ\ __ノ   /      /   / | ノ \ ノ L_い o o

兵士を苦しめたのは、質、量ともに圧倒的に勝るアメリカ軍の攻撃だけでなく、食糧の枯渇もあった。
ゲリラ戦に持ち込むものの食料はすでに底付き、虫や木の根、はては戦死した兵士の軍靴を
煮て食べてるという惨状であった。
やる夫が若い頃から入れ歯なのは、この頃軍靴をかみ続けたからだという。

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:16:20.94 ID:5TjoICY/0
      _____    
     / ノ' ^ヽ_\
  ゚ / 。;'⌒)  (⌒ヽ\°  ごはんが恋しいお…
  / o'゚~(___人___)~o°\゜
.  |    ゚ |/⌒ヽ|  ゚    |
  \     ` ⌒ ´    /

この環境でやる夫は、兵站(戦争における装備や食料の補給)の重要性を身をもって痛感するこ
ととなる。


                     _____  
           r⌒ヽ、   .  / ー  ー\
          / \  \. / ( ●) ( ●)  
         _/ / ヽ   /     (__人__) \  
        〈__/  . |  |       ` ⌒´   |  敵状視察だお♪
             /  .\     i⌒\   /  ついでに食料手に入れるお!
            ./   / ⌒ヽ, _.ヽ  .\/
        .__   r  /     |/ー、\   \ 
       ."ヽ |  i,        ノ   .\^   i
         .| ヽ./ ヽ、_../   /     .  ヽ、__ノ
         .i /  //  ./   
         .ヽ、_./ ./  /    
             ./ /      
           .ノ.^/   ダッ
           |_/  

孤立無援で抵抗を続ける中、偵察に出たやる夫の眼前には映ったアメリカ軍は衝撃であった。
また、偵察任務でしか食料は確保できない戦況だった。

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:18:56.88 ID:5TjoICY/0
 ベリーグッドテイスト♪
 ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  λ_λ ξ
  ( ・∀・) 串
  (  ν つ_∬∬
 |  ||\\品品昌\
 (__.||\|=========|
    ||  ||    || ||
      ||      .||

         ____
       /::::::::::  u\
      /:::::::::⌒ 三. ⌒\  別次元だお!
    /:::::::::: ( ○)三(○)\ 
    |::::::::::::::::⌒(__人__)⌒  | こんな連中とやりあって勝てるわけないお!
     \::::::::::   ` ⌒´   ,/ .

そこには豊富な食料と整えられた設備に囲まれたアメリカ軍人達の姿であった。
ガソリン発動機でアイスを食べる兵士達に対し、「石油の一滴は血の一滴」とされた自分達の差を
目の当たりにして、ひたすら生き延びることを考えるようになった。

「幸せにはまず物質的豊かさが必要である」「人間には観念より食べるものが先である。動物的な
欲求が満たされてから人間的なものが来る」というやる夫の信念は、この体験から生まれたもので
あるのは容易に推測できる。

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:21:38.51 ID:5TjoICY/0
          ____
        /      \
       /       ─\
     /          (●) \  ばーん
     |            (__ノ) 
     \       ____/
         /      く
      /        ヽ
      |  _r'゚lニニニl]_ ____/l
fニニニニllニニ|  \[ l===ニニl]}||||||||ll]}コl|====iニコ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
|l_,,=-'''~  | \... ヽ'''ニ「_,,,l⌒l。__。_]三i三三iF
      | 〈,,/ヽ___)|ll [`ー' ̄

ゲリラ戦で抵抗を続けるも本部からの「一兵でも多く斬り殺しマニラへの進行を食い止める」という
玉砕とも言える命令の下で敵陣への特攻を図るも、手榴弾により瀕死の重傷を負ってしまう。


                ∧_∧
                ((・)ω(・)) _。_∬
              _と____o(___)o ∧_∧
         ((;´^ω^)) ヽフ   [“““““]\(・ω・` )
          ( つと)\________と    )
          と_ヽ ,※/※ ※ ※ ※ ※\__ノ
             \ノ__________ヽ

薄れていく意識の中で、やる夫は食卓で囲んだスキヤキを思い浮かべていた。
やる夫は招集されてからずっと「もう一度神戸牛のうまいすき焼きを食べたい」と思っていたという。

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:26:58.77 ID:5TjoICY/0
              ____
            /      \_
           / /   \( ;:;:;)     
         /( ;:;:;:;:;ノ   (=)  \   
        (;:;:;:;;;:;  (__人__)U  .:::::)   死ぬかと思ったお…
        / ||    ` ⌒|||   ,/  
        / / |\/ /  /l |  ̄
        / /__|  \/ / | |   
       ヽ、//////) /  | |      
        /  ̄ ̄ /   | | 
     ____,/  )--- ヽ   ヽ つ  
    ⊂---― 'ー----'

運良く近くにいた衛生兵により助けられるが、既に野戦病院はなく、手持ちの薬は
ヨードチンキのみいう有様だった。
患部が腐り傷口にはウジがたかったが、ウジが腐食部分を食べたおかげで手足の
切断はまぬがれた。
傷が回復してから軍刀を使い、自力で傷口から手榴弾の破片を摘出したという。

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:29:28.35 ID:5TjoICY/0
..            //.|
           //./.|.     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          //./ | |     | ニホンヘイ ミンナ コロシマース
        //./|/:.| .|     \_ _____________
        □/ / //| |.        |/
        | |/.;;;;//. | ||.
        | | ;;;;;;//  | |||   l⌒)=|ニ二フ
        | |.;;;//   | |.||   ∧.|.∧
.    ∧ ∧ | |.//.   | | ||.  ( ・∀・)
   ( ・∀・).| |/.    | |. ||  |   )               ワイワイ  ガヤガヤ
 __(    ).| |___. | | || __.| | |____
    | | | | |.   //.| ̄ (__(__).   /.|          ∧_∧ ∧_∧ ∧ ∧
   (__)__)| |.  //  |.         //|         (´-`;)(@・ )(;´∀)(
        | |.//∧ ∧| イヤァァァ~  //  |        ∧∧ ∧ ∧. ∧_∧ ∧∧
       (..| |/ (;´Д`)      //.   |      (∀・ )(ー゚* )(   )(´∀`
     (⌒ .| |    / ̄ ⊂.⊃.  .//   /      ∧_∧ ∧ ∧ ∧ ∧. ∧_∧
..∧ ∧    ̄| |  /    └─┘//   /       <_`  )(´・ω)(д゚` )(   )(
( ・∀・)   | |/         //   /       ∧_∧ ∧ ∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧
(    ).   ~~        //   /        (   )( ゚∀゚)(`   )(   )(゚д
. | | |            //   /        ∧_∧. ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
(__)__).         //   /         (д- )(   )(*゚ー゚)(TдT)(∀

終戦を迎え捕虜収容所へと連行されたが、このまま帰国することはできなかった。
フィリピンでの日本兵による婦女暴行事件の裁判が行われ、多くの日本兵が処刑された。
裁判といっても正式ものではなく、現地住民の証言のみで有罪が確定したり、自分が助かり
たいがためにウソをでっち上げ、密告する日本兵いたという。

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:34:36.74 ID:5TjoICY/0
      _,,、、,,_
     _,,/_,,,,,,`i
      i-;_、- ;ヽ    < ユーキャン スピークイングリッシュ
  ,.    k r;- i:/      
  ||,,,,   iー ' l゙       ヤルオ? ソンナニホンジンイネーヨ
  l  }_,,/ヽ:::_リヽ、     
 │/、 `‐'"ヽ, /''''"ヽ    
 / l l:::,,,,,,__、リ  i |     
 i、,,,.ソ::|,_,,,,| | 匸| l
  ゙''''" ! l   | | ;l :| ;ゝ
    ミ `''''''''゙ ! `゙゙> /i
     l三三三}{三;i\ ヽ
  l゙ ̄i7''''l゙゙゙ ゙:|゙l゙゙゙゙l, ヽ,ヽ
  ヽ_ノ::|ノ   i i  l  { ,,,|
   .| ::l    l/   l  ~
   し'     /::   |
    l     /!:::   |
    |  ;  / |::   :|
   .l ;"' /   l:   /l
   l / ::l   ./ /:::|
   .|   ::::l  ゝ  :::|

      ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  / o゚((●)) ((●))゚o \  学校で英語を勉強してて助かったお。
  |     (__人__)    |  名字が佐藤とか田中とかだったら危なかったお。
  \     ` ⌒´     /

やる夫は英語が喋れたため収容所の兵士から一目置かれていたこと、珍しい
名字だったことが幸いして難を免れたという。
もしも日本人に多い名字であれば、人数合わせのように絞首台にあげられて
いたかもしれない。

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 21:36:10.51 ID:5TjoICY/0

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)       生死の境をさまよい、何とか生き延びた。
. |     (__人__)  
  |     ` ⌒´ノ       だが、この戦争を通して別人になっちまったんだ。
.  |         }
.  ヽ        }      \
   ヽ     ノ        \
   /    く  \        \
   |     \   \         \
    |    |ヽ、二⌒)、          \

やる夫は戦争を通して、人間の残虐さ、卑劣さ、弱さ、運命、権力と法の不条理を
身をもって思い知らされたした。
そしてアメリカの圧倒的な物量、物質的豊かさを心の底から痛感した。
ダイエーを創業してからの、徹底した拡大路線もこの頃の体験によるものだろう。

第2話「戦争は地獄だ」 完

第3話 「生きのびた先は」へ

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 22:46:58.57 ID:5TjoICY/0
第3話 「生きのびた先は」

:::::::::::::::................. . . . . . . . . . . . . . .
::::::::::::............. . . . . . . . . . . . .
:::::::::...... . . . . . . . . . . . . .
:::::::...... . . . . . . . . . . . . . .
::::::...... . . . . . . . . . . . . .
:::::::...... . . . . . . . . . . . . .
|||llllllllllllllllllllllllllllllllllllllliiii,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,_________._
,.. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. `"''`~"''''ー-‐ー-、,、.,,.、‐-   _  ...  ............ ......... ...... ... ........ ...... ...
     .......................i .`⌒´"'^'ー-‐、, ー -  _ .::::::::: ::::::.. ..:. .:::::.:.:: .::..: ::.
                 .    ´`"'"''ー'ー-、,.` ー - _ ::...:::::::::::..::::::..::
   .                       .   `^´`"''ー~、.、..::::::::::::::
               .                .      `'~、、.::

1945年11月
100円の復員手当と全国で利用できる乗車券を持って、やる夫は福岡に降り立った。

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 22:50:14.75 ID:5TjoICY/0

   ./| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
   /.::| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  ./.::: |         闇市       |
 "||"'''|___________|――――――――
  .||  ..||              |  いらっしゃい
  .||  ..||      /⌒ヽ  <  豆腐しかネーヨ
  .||~  _||___..( ・∀・) ,|, \_______
  .||~ ./ ||__.__.とi   y iつl」  . ||
  .||  | .||      | |'| ̄'~|.     || 
  .||/| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.....|
  .|| ..|                ..| 
  .||  |                 |

食事をしようにも街は焼け野原となり、店はどこも開いていなかった。
たまたま豆腐屋を見つけ、値段を聞いたやる夫は驚愕した。


          ______            
        /:υ::─ニjjニ─ヾ 
      /:::li|.:( ○)三 ( ○)\
      (:::||!.:υ::::: (__人__)):::: i|      1丁5円? !
    〃 ):::::::::::.   |r┬-| li::::/       やる夫の命は豆腐20丁分!?
      /: : : : : : l\`ー '/j: : ::ヽ     
     ヽ :ヽ: : : : 7ヽ />: : : :r:\     

戦場から帰還して支給された手当は、豆腐20丁分の価値しかなかった。
そして極限状態を生き抜いた自分と、無念を抱いて死んでいった仲間の想いをぶつ
ける矛先を探すことになる。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 22:53:36.94 ID:5TjoICY/0
    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____
 |:::::::::::::::||      || ガチャ
 |:::::::::::::::||      || 
 |:::::::::::::::||      || 
 |:::::::::::::::|| ̄ ̄\ ||
 |:::::::::::::::|| ノ  ヽ_\
 |:::::::::::::::||●) (●) \  
 |:::::::::::::::|| (_人_)    |   ただいまお
 |:::::::::::::::||___   /
 |::::::::::::::(_____ノ´||  
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||  
 |:::::::::::::::||/    ||       
 |:::::::::::::::||      ||
 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

電車を乗り継ぎ神戸と戻ったやる夫。
神戸も戦災による被害はひどかったが、実家と両親と三人の兄弟(博・守・力)はみな健在であった。

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 22:55:37.89 ID:5TjoICY/0

             ,、- ー''''ヽri'''''''ーー ー 、
           ,r'";;;;;"";;;ミy''"彡三三ミミ;ヽ
         / ;;;;;" ;;;;;;;;;;;;;;ヽ'"彡三;;;;;;;;;;;;;;; ヽ
        /彡彡""へ、、ミミ;ii彡彡三;;;;;;;;;;;; ヽヽ
       ,/ ;;;;";;;;彡三三ミミ;;ソ彡彡三:::::;;;;;; ヽ t
       i ;;;;  ;;;;シ彡三ミミ;;;リツ;;;;;;;;;;;;;;ヽ:::;;;";;;iii;; i
      i ;;; ;;;;v;;;;"";;;r'ヽヽ''""'""""'t;;;;;;;;リ iii;;;; ;;; i
      i|i ハ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;t、 -----―― ''i;;;;;ソ::::::::;;;;tt i
      ||;;リ;;;Y;; ;;、;;;;;;;i――― ーーー 'イ;;i;;;ヽ;;;;;;;ヽソ
      i|yリiソ;;;; ;;;ノノ/ソ,,,____,,,  ,,,,,,,,、|、h、;;;;ヽ;;;;;;;;tヽ
      'y ;;;;;;;;;;)rシモェテ'、;;;) r"z'モェテ与`>::y::: ;;;;リ  兄さん、無事で良かった。
      ノ ;;;、-'";i  ~~::::: ̄""i |''::::::::::''ヽ  i;;;;;;;;;;;;;; i
     /:ツ/;;;;;;;;;/t  ::::"    | :::     '〉;;;,,;;;;,,,,,、
     /://;;;;;;;;;/こt     ,,,( j,,、::    ,'i;;;;;::::: ;;;;;;;i
    (:://;;r;;;;;;、;;;i::t     ヽr"  ,   ,r';;;;;;;;i;;;; ;;;;;|
     ワiii|ハ;;;;;;;;ti;;;i、ヽ,   ~''''ニ ''''''"  /;;;;;;/;;;;;; ;;;;;リ、
    ,ノ;;)し;;;;;;;;;ti;;リ:::::ヽ  'r''"~~   , ';|;;;i";;;;;;; ;;;;;;、、t
   ノ"/;;;;y;;;;;;;;;;;;|ソ:::::::::::ヽ  ,,、,,  、":::;t;;;;;;;;;;;; ;;;; ;;;; |
   (/;;;// "";;;;;;iリ::::::::::::::::::~'ーーー "::: ii ヽ;;;;;;;; ;;;; ;;;;ノリ
 ,,,、,,、t /リii"ii;;;;;;;;ヽ,  ::::::::::::::::;;;;;;;:::::: ii  /;;;;;;;; ;;;; ;;;;/;;ヽ,,,,,,,,,,,,,
次男 博
復員後に父親との経営する「サカエ薬局」を手伝っていた。
いわゆる優等生タイプ。

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 22:57:33.76 ID:5TjoICY/0
           ,,、 - ー― ー- 、
        、- ' ~:::::::::    ;;;;;;;; ~''-、 
      , ''~; ; ;;;;;;;::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;  ;;;;ヽ
    r";; ; ;;;; ;;;; z;;;;;;;;:::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;; ;;; ヽ
   r';;;;;; ;;;;rr'((t"t、;;;、 - ーー 、;;;;;_;;;;;;、;;;;;;;; t
   ';;;;;;;;r';(;;ヽ,、-;;'''";;、、、;;;;;;;;r'"ii 」ー 、)'yヽ、i
  i;;;;、i~t''o't;;;;;;;;≪,,,。,~'ヽ;;ノ ;ii i;;、、,;;~',、'ソ )
   i ;;;t'、、o「"`'ー ''"~~~~~~,,,,、::-';;; ~'-ゝ;;ヽ。ソ
   | ;;'t、ァo)ー- ''"r'' ,、":::: r'、~~~;;; ~'';;- 、''"*i/  兄者、俺の名前を言ってくれ
  | ;;;;t,ュア;;;;::://',, i;;i ::::: i;;;i ::;;;リ~i :: ::~'ア,,ノ
  | ;;;;;;;t't;;:/;;/;、 ', i;;i :::: |z;i  ; リ;;i :::リリ : 〉j
  | ;; ;;;;;;i/;;; /i;;;t,、. i;;i ::: |ニ| ;;;;/ョリ :/;/::/::/
  i,,;;;;;;/;;;;:::/::t/リi |;;i :: |;;;i ;; /;;/ ://:::/ /
、,,ノ;;;/;;;;:::: /ー'"'' ,イi |;;;t__i;;t ;;/;;/: //::/ i,r'|    /i
:::;>'";;;;;::::: /、、;;;;/:: ̄::::::::::::::~":::ヽ''〈::/ ''" ,/    /; |
' 、;;;;::::::: /:::::::;;;;;;;;~;;'ー--ー''::~~~::''y"r''ヽ;;;r" 

三男 守
高校から大学に進学するところで徴兵は免れる。
短気な性格ばかりの兄弟だが唯一温厚。
大学卒業後は実家の手伝いではなく、一般企業へ就職する。

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:00:53.38 ID:5TjoICY/0
            ,r、、、) ̄ヽr"(ー 、、、
         ,ノヽY"("r"iiit;;;t、 从ヽ`)'"ヽ
     、 ,r("' "、、、 "''"t;;;ヽ匁、、ー、、))〉;;;;;;;;三彡"
    _ソ"从 了ミミi ,,`ヽ、;;;;ヽ、、、、ーヽ;;、''''-、ノt,,,,,
   it(  (;;ノ (;;;;|、t シヽ;;;;ヽ、、)、 ヽ;;;;;;;jjj'|ii、"""ノ
  、,,t,`レ 从ii|ヽ、ー''"iii、ヽ;;;;;リ|;;;;从i 、、、从、、t;;;;ヽ'ー、ヽ
  メ''""/;;;;;从,,、、 、 i;i||j;;;;r"t;;;( ソ、t;;;;ヽ |;;;;;tヽミ 、),
 、ゝイ |;;;;ij|从;;;;ヽ|;;i |、",,,,iiii、,,,,、i、ソi t;;;;|ヽ;;;;;ヽ、 ヽ''''"
 t、,女 t(ツ||i;;;;;;;;;;;;;;;i;;;;";;;;;;;;;;;;;;;;;;;|ツ;;;i、、、i;、~'-、;;;;;、))
 、、ノ(iツM;;;;|;;;;;;;;;;;;ii;;;;|i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、;;;;;;;|;;;i |;;;t'ヽ三彡
  // り";;;;;;;;;;;;;iヽ;;;;;;;;tiii;;;;;;;;i|;||;;;;ii;;;;itソ;;;;リ;;;;"ヽ;;;;;ir'"
  ヽツキ;;;;;;;;;;;;;;;;;;ミ人、、、ミ;;;;;;;;tヽ、;;ヽ二リ;-、t;;;;;;;レ;;;;|''"
  ー7;;i|、;;;;;;r、ミr'";;;;;;;;;;;;;;;~~' リヽ|i";;;;;;;;;;;;;;;シi;;;;;;、i|)
   リ;;;;||t;;;;〈 ミ 彡=モ丐ァ、r;;; "リ、zモチテzー' リ;;;;ii|j 
  (;;|;;;ヽ、;;;;i    `~ '''' ":::  |~::''- ̄ー  リ; イ
    フ;;;;;ヽ;;;i,     ""    |      ,'r';;;i  あたたたたたた 会いたかったよ兄さん!!!
    `(;;;;;;;;i~t       ,,,,, j ,,     /"彡|、
      t;|;;;;;i ::t      ヽ:::`"     / {{ヽt ヽ     
      't;;;;i :ヽ     ,,、-_~-,,   /::  j ノ ;;リ''ヽ、  
       ヽ、i  ::ヽ    "''ニニ"   ,'::  y"  "ノノ フンゝ'
          |i ::ヽ,  ''~~~""" /:::::、-'"  ,r"/zr'":::::::
          ii;;::::::::ヽ,      /::: '" , ,r、" /"/""t  
           ヽ::::::::::~''ーー ''''", '" / r"///

四男 力
当時は中学生だった。
後に大学へ進学し会計を学び、家業である「サカエ薬局」を手伝うようになる。

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:06:34.54 ID:5TjoICY/0
|  何でもいいので食べ物売ってください…
\_____ _______________
         ∨ |  謝罪と賠償をしないと売らないニダ
           \_ ___________
  __          ∨
/  /|       ∧_∧      .
| ̄ ̄|/|       <`∀´r >     
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| ̄ ̄| |___| ∧_∧ ̄ ̄ ̄ ̄ ////|.
| ̄ ̄| |___|(    )____| ̄ ̄ ̄|/|
| ̄ ̄      ( ○  )      ̄ ̄ ̄|  |
|  ウリナラ    | | |    闇市    |  |
|           (_(_)          |/


終戦直後の瓦礫の山となった神戸には、闇市が開かれており、そこには多くの中国・朝
鮮・台湾人が闊歩していた。
戦勝国の人間である彼らは横暴な振る舞いで警察とも対立していたが、敗戦国となった
日本の警察も国際法や制裁を恐れて手出しをできなかった。

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:08:42.60 ID:CzBEacAT0
おもしろそう!

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:10:21.50 ID:5TjoICY/0
       ____      
     /ノ   ヽ、_\   
   /( ○)}liil{(○)\    1000万人が餓死なんて言われてるのに何でもあるお!
  /    (__人__)   \  
  |   ヽ |!!il|!|!l| /   |  モノがあるからってあいつら好き勝手やりすぎだお!
  \    |ェェェェ|     /

         ___
       /::::::::::::::::\
      /:::::─三三─\   
    /:::::::::(○)三(○):\
   /::::::.:::::::::: (__人__) ::::::::\  /l
   |::::::::::::::::::::::::::`::⌒´:::::::::::::::| //  戦争に勝てば何でも許されるのかお…
   \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::///
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://
  /:::::::::::;:::::::::::::::::::::::::::::::://
  |:::::::::::::|:::::::::::::::::::::::://
  \::::::::: ̄ ̄ ̄( ̄/
   |`ー―‐、;_;_;_;/:::::::::|

神戸に戻ったやる夫が初めて目にする闇市は、何から何まで揃っていた。
これだけの品物が並ぶ仕組みに強い興味を示すとともに、戦勝国というだ
けで闇市を牛耳る彼らに敵愾心を覚えた。

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:16:06.55 ID:5TjoICY/0

          (((|(ー(ヽー'""'''~ヽ''i"z''、,,,,
      i, (ー--ー"      __,,,,,  -ー--、
      ヽミ  ,,,,,,、、、  ,r"''''''''''""~'' 、、  ~ヽ、
    ,,r '彡r'''"   )i|二iヽ―ー-、、,,  )i|\  ヽ,
   ト-'//"/"  ,、-'/  ヽー――-ミこ 人 ii| 、ミ
   ヽ〈t  ,,r ''",z '""   、、 )、)ヽ)、 ~`ヽ`i  ヽ、
   zーヽ二z '"    i |リ |)z二ヌヽ彡  |i |  i"
  (r" 彡   "   | リ||,r',r',,''ヽ,  ( ii   'i  リ
   ソ"ソ  ,,、、 / ノi,ソ" ''"(9) `' ヽi|   |i ヽ, おーい、やる夫じゃないか!
 ,,,ーーノ  '/:/", ノノノイ   'ーー'",,,,   |    ヽ リ 俺だよ、同級生の!覚えてるか?
 `''ー'7" r"彡z,,、-'"〈''z- '"""     ||i リ    i、
   ( ||""''アiリ::::::''" _',,、-ー 、     |||//  i  、、リ
    ~itty ||i "  マ'ーー'',,,''" i    j|ツ|i /|iii ||リ
      iノ|'(||ヽ,   t i⌒  リ   r"/人 (リ、'"~ヽ,
       t| t i,ヽ,   iーー ''''"  /::://~ノリ、,,,  ヽ,
         )NN~' 、''''''''' ,、 '"::::: t r",/ノフ ~ヽ、,,,ヽ,

闇市を歩くやる夫に、新聞記者となり取材に来ていた同級生が声をかけた。

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:19:28.75 ID:5TjoICY/0
        ノ L____
       ⌒ \ / \
      / (○) (○)\     
     /    (__人__)   \    
     |       |::::::|     |  神戸が三国人共に占領されてるお!
     \       l;;;;;;l    /l!| ! 今に必ずこの闇市を一掃してみせるお!
     /     `ー'    \ |i  
   /          ヽ !l ヽi
   (   丶- 、       しE |そ  ドンッ!!
    `ー、_ノ       ∑ l、E ノ <
               レY^V^ヽl


          (((|(ー(ヽー'""'''~ヽ''i"z''、,,,,
      i, (ー--ー"      __,,,,,  -ー--、
      ヽミ  ,,,,,,、、、  ,r"''''''''''""~'' 、、  ~ヽ、
    ,,r '彡r'''"   )i|二iヽ―ー-、、,,  )i|\  ヽ,
   ト-'//"/"  ,、-'/  ヽー――-ミこ 人 ii| 、ミ
   ヽ〈t  ,,r ''",z '""   、、 )、)ヽ)、 ~`ヽ`i  ヽ、
   zーヽ二z '"    i |リ |)z二ヌヽ彡  |i |  i"
  (r" 彡   "   | リ||,r',r',,''ヽ,  ( ii   'i  リ
   ソ"ソ  ,,、、 / ノi,ソ" ''"(9) `' ヽi|   |i ヽ,  おいおい、物騒だな。
 ,,,ーーノ  '/:/", ノノノイ   'ーー'",,,,   |    ヽ リ  山口組みたいな事いうなよ。
 `''ー'7" r"彡z,,、-'"〈''z- '"""     ||i リ    i、
   ( ||""''アiリ::::::''" _',,、-ー 、     |||//  i  、、リ
    ~itty ||i "  マ'ーー'',,,''" i    j|ツ|i /|iii ||リ
      iノ|'(||ヽ,   t i⌒  リ   r"/人 (リ、'"~ヽ,
       t| t i,ヽ,   iーー ''''"  /::://~ノリ、,,,  ヽ,
         )NN~' 、''''''''' ,、 '"::::: t r",/ノフ ~ヽ、,,,ヽ,


           .      .. . Л_
                 ..  //;;;;`-、_
                ..  .//ー-、;;;;;;;;;ヽ、  
                .. //_     ;;;;;;;;ヽ、
                .. // ゙゙ー-、  ` ;;;;;;ヽ
         ___   ..//     `-、 ` ;;;;ヽ  
        /⌒三 ⌒\..//        \ `;;;;|   いや、必ずこの手で掃除するお。
      /( ・)三(・) //         .ヽ ゙、 ;|  
    ../:::::⌒(__人__)i⌒)、ヽ          | i;|  
    .|     |r┬-|./フヽ.`i|       .  .| l/ 
     \     `ー"// .ノ ノ       .   l/   
     (  i    .//  
      .\ .\,. // 
       `ヽ、 ⌒)

神戸の闇市では取り締まりにあたった警官が射殺されるなど、さながら治外法権の
無法地帯と化していた。
やる夫は自分が育った街の変わり果てた姿に、怒りを抑えることはできなかった。

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:24:37.24 ID:kgoskj3W0
wkwk

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:25:46.27 ID:5TjoICY/0

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)      
. |     (__人__)  
  |     ` ⌒´ノ      物騒な話だが、これは神戸に限った話じゃないぜ。
.  |         }
.  ヽ        }      \
   ヽ     ノ        \
   /    く  \        \
   |     \   \         \
    |    |ヽ、二⌒)、          \

警察には敗戦国家という立場と国際関係もあり、中国・朝鮮人も警察を認め
ようとしなかった。
そのため力で支配された世界には力で押さえつけることとなり、法律に屈しな
い暴力団が治安維持を担っていた。

また、やる夫が物資が極端に不足していた中で、独自の流通網を築いてた闇
市の仕組みに強い興味を示しているのも興味深い。
ともあれこの徹底的に相手を叩きのめそうとする姿勢は、ダイエーの経営にも
表れている。

そしてやる夫は自分が生きていることを実感できる場所を探し始める。

第3話 「生きのびた先は」 完

第4話 「現場で学べ」へ

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:30:58.37 ID:5TjoICY/0
すいません、今日の所はいったんここまでです。
かなり長くなりそうなので、せっせと書き溜めを増やしていきます。

支援いただいた方サンクス!
テーマがテーマだけに需要少なそうだけど、大企業を育てた人物
とは思えぬかなり荒っぽい話題もでてくるので、そこを楽しんでい
ただければと思います。

ではまた続きは明日。

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:34:01.99 ID:kgoskj3W0
>>33
乙!
荒っぽい話題楽しみ


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:38:13.09 ID:CzBEacAT0
お疲れ様

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/19(木) 15:55:51.13 ID:8mSFCoo90
これは応援せざるを得ない


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