｀:､　ﾞ''､,,　ヽﾚ'｀`'.､ﾚ',ｨ!ゞヾゞYゞ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,,,.ｨ;;wﾘﾞW゛jﾘwj
":;;;wﾘﾞW゛jﾘwj从ﾘj　　从 MwM 从　ﾞ''､,,_.,.＿_,..,.＿,.,_.,...,_..,._,.＿_,..,.＿,.,_.,,,,-‐'゛wj从　W:;,':,:;.,:;.:从wＷ从ﾘj
　从　wwﾘﾞW゛jﾘwj,､,､,､从ﾘj"Wﾞﾘw;yﾉw''"　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''､,,゛jﾘwj从ﾘj　　:;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`
wMwM　从;:　｀:､　ﾞ''､,,　｀`'.､　,:｀:,,,,‐'゛'　~　　　　~　　　　''　ﾟ 　　;~　,;　　　　wwﾘﾞW゛jﾘwj,､,､,､从ﾘj",:.:.､;:...:;;wﾘﾞW゛jﾘwj.:,:.:.
　｀:､,,　｀wﾘﾞW゛jﾘwj从ﾘj`'.､　,:　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ''、:::..　ﾘwj,､,､,､从ﾘj"::::::
　''wﾘﾞ.,.,.,.,..wj从ﾘj`'.､　,:,-‐'゛　　　　　　　　　'　　　　,.; 　　　~'　',;　　　''"'　　　　　｀:､　ﾞ''､,,'.､゛jﾘwj从ﾘj　｀:､　;;wﾘﾞW゛jﾘwj　,:｀:､
　'' ;~'',;''',;'　jﾘw j ;: ｰ''' "ﾞﾞ　　　　　''"'　,,;　 　　 　 　　　　 ~　　　　　　　　　　　　　　｀`'‐.､　:;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`
W゛jﾘ wj 从,,,,;~'',;''ﾟ　　　　　　　　　　　　　　　　　　"　　　　　　　　~'　'　　,;''　　　　　　　　~'ｰ:;.:;;wﾘﾞW゛jﾘwj".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.
,;'',;'　ｖ'ﾟ ;~,;''ﾟ ;　　'ﾟ ;　　　　　　~'　',;　　　''　　　　　　,　　　　　　　　　　　　　~'　　　'　　　　　　｀`ﾘﾞW゛jﾘwjｒ'
,;'',;''ﾟ ;~　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ~ 　　　　　　　　'ﾟ　　 ;　　~'　',;''　　　　　　　｀ﾞ''、:::..　ﾘwj'ﾟ 　　　;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'ﾟ 　　　　　　　, 　　 　　 　~'　',;''　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ'':::..wj
　　　　　　　　　　　　　''"　　'"　　　~'　　　　　　　 　　　,,　　　　　　　,;''　 　~　　　'ﾟ　　 ;　　~'　',;''　　　　　　　｀ﾞ''、


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　足元を確かめるように

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あるいは

　　　　　　　　　　　　　　　　　何者の顔を見ずとも、合わさずとも済むように

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　俯いたまま

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　せかせかと足を動かした

　　　　　　　　　　　　　　　　　,,..-''"´ ￣￣ ｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／　 　 　 　 　 　 　 '.,
　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　 /　　　 　 　 　 　 　 　 　 l
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　/　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,'
　　　　　　　　　　 .／　　　　　　 　 　 　　 ＼　 ./
　　　　　　　　　／ 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀ヽr ／　　　　　故郷に帰り付いたら国王から、約束の褒美を貰おう
　　　　　　　 ／　　　　　　l　　　 　 　 　 　 /
　　　　　　／ 　 　 　 　 　 ',　　 　 　 r 　 .〈
　　　　.／　　　　　　 　 　 lヽ　　　　 ヽ.___丿
　　 .／　　　　　ヽ　　　　　|　＼　　　r''´
　.／　　　　 　 　 |　 　 　　|　/´ヽ.__丿
／　　　 ｀ヽ、　　　　　　　　./
　　　　　　　 ￣￣　　 ｀￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　　l

　　　　　　　　 _,,ｒ～､ ,,,,,,r´⌒,,、
　　　　,,,,,,,,ｒ⌒　　 　 　 　 　 　⌒ヽ,
,,､ノ⌒　　　　　　　　 _,,,,､,,,,___,,,,r'￣⌒'-,,,,,_
　　　　　　　　　　 ／,,／ﾞ゛ ｀ﾞﾞﾞ'''ヽ　　　　　ﾞﾍ
　　　　　　　　　, ",／　　　　　　 ）　 ,＿_　 ´"ー--､ｰ､
　 　 　 　 　 　 lﾞ ,i´　　 ヽ、 l　 ,ﾘ　 ,广) ｹ　　　　　 ｀;;;;;ヽ　　　そして、羊飼いとして
　　 　 　 　 　 lﾞ lﾞ　 ,,,,,,__, `./'''i"　 　 ﾞ‐'~　　　　　　　 `~ﾘ
　　　　　　　　lﾞ |　　 ＿_,ﾞ,l´　┴＿、　　 　 　 　 　 　 ,,r'
　　　　　　　　| .|　　　_,,,,ﾞl,,,,,／i､ ￣｀r　　　　 _,,,,,,,r-"　　　　　家族と共に、全てを忘れて生きるのだ
　　　　　　　　ﾞl ﾞl、　￣　 _,‐ ﾞl　`､Z´　　 ／ ｢"
　　　　　　　　 ﾟi､ﾞl,　　 ‐"　 /　 ,,,rl、　　　ﾞ'-,ヽ、
　　　　　　　　　｀''r,,ｰ-､,,,,,,,,_,,,／　`ﾞﾚィ'ｰｔ、　｀ ､_t_　　　　　　それが今、彼の想う願いであり
　　　　　　　　　　　｀ﾞ"''''''''"゛　　　　 　　 ヽ`!,,_　＿,〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 r‐'"￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ）'　　　　　　　　　　かねてから思い焦がれた夢であった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ'

　　　　　　　.;i；';.
　　　,.;i；';.,,;；`;；i`、
　 ,.;；:｡;:；;:：､;；:｡;:；;,.
　,.,;:;；`;；i`:;：i;,|i!''"
　　 ""'|i!''" 　i|!、,.,.,.,...､,,,,...,.,.,.,,. ,.,.,.,...,,,,....,.,.,.,,. ,.,.,.,...,,,,....,.,.,.,,.,.,.,.,...､,,,,...,.,.,.,,. ,.,.,.,...,,,,....,.,.,.,,.
'::',:'':';:,.,i|!、:.,"'`::'::',:'':'`::'::',:'':'`　"'"' "'''.'''o　"'''.''"　'::',:'':';:;..,"'`::'::',:'"'`,."' 　"'`''.'''　"'''.
　"''　　　　::':'::'　" '''.''"'"　　''"'"' "'''.'o o o''　"'''."' 　"'''.'''　"'''.　,.,;:　　　　`',:'':'`: .:'`::'::',:'
'::',:'':'`::'::'｡,:'':'`::':'::',:'':';:;..,"'`',:'':'`::'::''::',:''.:';i:;..,"'`,:'':'`::'::',:'':'::',:'':';:;..,"'`::'::',　 　::'::`：::;:;, ``
'::',:'':';:;'"↓'"''::',:　'"'"''::',:::'::',:'':'`::'::',:'':';:;..,"'`'::',:'':';:;..,"'`'::',:'':';:;..,"'`'::',:'':';:;..,":,、'`'::',:、'':';:;..,..,
',:'':';:;..,"'`',:'':'`::'::'';..,"'`',:'':'`::'':'::',:'':';:;..,　　　　　　　　　　　　　　　　:'::',:'':';:;..,"'`::'::',:'':'`::'::
"'''.'''　"'''.''"'"''::',:'　 　　　　　　　　　　ヾ>;;::;;;'ァ:::::::::::::::::::::::::::::....、　''''.'''　"'''.''"'"''"'"'
　,,､..'`'':';:;..,"'`',:'':'　　　　　　　　　　　　ﾞ;‘/ ’))::;::::;:::;::::::;:::;::::;:::;:::::';　'　:;..,"', ':';:;:;..,"`
`::':',:'':'::',:'"' "'':' ''　 　　,,,,,,∠Y"´ﾞァｯ 　(ｴ_,ﾉ:::;;;::::;;::::;:::::;:::;:::::;;::::;;::';　::'':':';:"'"
"'`',:''.:(O)'';..,,､.. 　　ヾ,;'　 　　ゝ‘,,ェ） 　　ヾ:;::;:;:;:;;;:::;:;:;:;;;::;::;;;;:;;:;;::;::;'　: "'`',:'':'`::'
:'::',:'':'ヽ|〃..,"'`',:''　　;' ､,,,,,,, 　;; ,,:'　　　　　ﾞ､::i::::,'ﾞ'''''''''ヾ;:' ;;'';;''';'　　:'`::':'"'''':'`
　　　''"''```'::',,'':,_　　|_j l_j　|_jﾞｌ_j　　　　　　'L|_j　　　　　|_j　|_j　　:'':';:;:;.':'::'': "
:;..'""`:'':';:'"~` 　　　'''`::'::'`　''"" ~ "｀`　　　''"``"'`',:'':'`:''""　　　　　,,.. ':':'.,
　''""``:;..,"'`',:'':'`（○） 　``｀'::',:'':';:;..,,- ,:'':'`''""`'':';:;.;;..'''" " "~~` ``　''"''':'`::
:;..,":;.., '''"`` '''｀　ヽ|i〃　''""``　　　　　　,, -　‐　､ ''""``　''　''"　｀,,.. '''　"''
';:;..,"'`'::',:'':';:;..,'"　`""'｀`:'':'`::'::',:'':';:;..,'"￣ ｀`"'`'::',:'':';　''""｀`"'（○）'(O) ''"
'　"'''.'''"'"' " "'''.'''　"'''.''"'"''"'"' "'':,' :::　'`::':':;:;:;.. 　'`'::',:'':'`'::　ヽ||// :ll〃`'
,:'',:,"'``:::;,"　'`',:'　':　　;..,"'`',:'':'`::'"'', :::;..,"'　 `',:　'`::''" ,:'':';:;..,"'`',:'':'`:


　　　　　　　　　　　　　　　　　　不浄と誹られても良い

　　　　　　　　　　　　　　父母の後を継いで、羊飼いになるんだ

　　　　　　　　　　 　 　 　 　勇者という英雄・偶像で無くて良い

　　　　　　　　　　　　　　　　　羊を世話して過ごせれば

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 それで良い

　　　　　　　　　　　　　　　　　,,..-''"´ ￣￣ ｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／　 　 　 　 　 　 　 '.,
　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　 /　　　 　 　 　 　 　 　 　 l
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　国へ帰れば
　　　　　　　　　　　　/　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,'
　　　　　　　　　　 .／　　　　　　 　 　 　　 ＼　 ./
　　　　　　　　　／ 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀ヽr ／　　　　それが叶うのだと
　　　　　　　 ／　　　　　　l　　　 　 　 　 　 /
　　　　　　／ 　 　 　 　 　 ',　　 　 　 r 　 .〈
　　　　.／　　　　　　 　 　 lヽ　　　　 ヽ.___丿　　　　　　やらない夫は信じていた
　　 .／　　　　　ヽ　　　　　|　＼　　　r''´
　.／　　　　 　 　 |　 　 　　|　/´ヽ.__丿
／　　　 ｀ヽ、　　　　　　　　./
　　　　　　　 ￣￣　　 ｀￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　　l



　　　　　　　　　　　　　_,,,,..,,_
　　　　　　　　　 ,. -''"´　 　 ｀ﾞ''-､
　　　　　　　　,.".:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ.　 ヽ
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀、 　Y､
　　　　　　 ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:　 i.　　| 〉
　　　　　　 !.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:　l　　i　　　　　　 ／.:.:.:.:. . . . .
　　　　　　 ',　.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.: ,'　　i.　 　 　 　 /.:.:.:.:.:.. . . .
　　　　　　 丶.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/　　j　　　　　　{.:.:.:.:.:.:.. . . :
　　　　　　　ヽ　.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ,.'　 　 ﾊ　　　　 　 i.:.:.:.:.:.. . . .　　　　そう信じるより他に
　　　　　　　　 ｀'-､_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_,.-'´　　ノ　　.　　 　　 i.:.:.:.:.:.:.:. . .
　　　　　　　　　　　｀ﾞ''ｰ-‐'''"´　　　イ　　　　　　　　　V.:.:.:.:.:. . .
　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ゝ.:.:.. . .　　　　心の平定を
.　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　 ! 　　　　　　　　　　　　　　　　　 /,
　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　 　 　 　 /.:.:.:. .　　　　　　　　　　　　　保つ術を持ち合わせていなかった
　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　／ i.:.:.:.. . .
　　　　　　　　 ｀ー― ― ――――′　 ゝ.:.:.. . . . .　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　｀￣￣￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／/.:::.:.::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/..::.:..:: .:.::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |￣|￣￣￣￣|´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |　[]　...:. .:::|
　　　　　　　　　　　　__　　　 __　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　 |　. : : : :ﾛ.::|　　　　　　　;ミ
　　　　　　　　　　　 /:/＼　/:/＼　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　 |.: :.: :.:.::.:.::.:|　　　　　　 彡ミ　　;ﾐ、
　　　　　　＿　　 　 | .|　.:|__|_|＿:|＿＿＿＿＿＿＿　　/⌒)　 ＿＿＿_＿|_　|.::.:..:.[]::.:.::.:|　　　　　　彡ミﾐ、 ;彡ﾐ
　　　. ＿__|:| |　　 　| :|...:::|. ┌┬┐ . :┌┬ｉ　: .::┌┬　| T/⌒)　┐ . :┌┐|. |.: :.: :.:.:.:.:..::|　　　　　 彡ミ彡ﾐ 彡ミﾐ、
＼∠、 :.::::|:| ト､.　　l.└‐┴┘└┴─┘└──┘└ |`７'..:/　　└─┘└l::.|.:.::.[]:.::＿ :|　　 .＿ ,彡彡ミ幺彡彡 ､,，
:::...＼.＼ ベ| |::∧＿|__[]..::[] ＿＿[] .:.:[]..__: :.[]: :.:[]. : : |/...::::)::７　[]:.: : []: :.::|: |.:::. ／／＼／　 ／＼'／￣／＼:ﾞ;;ﾐﾞo;ﾐ
‐-　,_＼.＼.| |￣...:.::／＼￣.:.::::／＼￣／＼ﾍ. : : : : : :/＾7＜:〈　 . : : : : : ::/￣ ∠／. : : : ＼／ : : : :.＼／　;.:ﾞ;;ﾐyゞ;ﾐﾞo
.: ::: : : :|::.::.ﾄ|_|;;;;:::／. :ﾛ : ＼:／.: : : : Υ :.: :.:.|::|: : : : ／...::|::::|/|＼. 　∩.:.::.:|￣ .:|　| : : :.::[] []:|ｪｪｪｉｪｪｪｪ|　 ﾐヾ:;”ﾞ':,oヾﾐ
::.: : : : :|ｺ:.:|:.: |￣|: :.::.::..: : . ::| ..::_ .::[].::| : :.:ﾛ::|::|:. :／／ト､У〕:|:....;＞.| |. :..::|　 . :|　|. ＿.:.:.:. : :|.lニニ|l .:.:|┌ヾ':,ゞ;ﾞ;”;ﾐ;:ミ
工エエ|::.:.:旧:|::...|.::[].. .: :.ﾛ.::| ./:ﾊ.:..:: :|. .::.:: .:|::／／.:::::;＞|::::|/ﾍ｢ ｰ┴─ｰ|＿_;;|　| |〒|:. :[] :|:| .:::::::||＝|│｜.::.[]:::}iｌ|{´
: :∠7ﾍlｺ:::|::.:.|.ﾛ:|: :.＿. ..::..:.:|. |:|n| :[]::|:П:..::.ﾚ:￣＼∧l＼|工]　　　　　 　 　 　 ｌ;,_|_|⊥|＿＿|｣ ===ｌ|＿|┴┴──|i|l|
: :|ｪ| .:::::|:.:.|:::..|::::.| .:|襾|.: : : :|: |:||||,;,:.:⊥!‐'''"　　　　[ニニニ|ﾆ]　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ﾙﾍ:
: :|ｪl:∩ ﾄi:.|::::.l＼|_;;||;;:|L:: -‐'''"~　　　　　　　　　　　 | . : :.:.:.|　　　.
: :|ｪ|:|;'|:.|:| |='′　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　.: : .:.|　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　.
: :|ｪ|:|;'|::l_ﾚ'　　　'　　　　　、　　　　　　　　　　　　　　| . : :.:.:.|　　　　　　　'　　　　　　　　　　　　　　　.
: :|ｪ|:|;'|::|　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿,‐|　.: : .:.| 7!＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、
: :|ｪ|:|;;ﾚ'　　　　　　　´　　　　　 　 '　　　　　　 /　/　ﾞ'ｰ-‐''´//　 /|　　　　　　　　　　、
: :|ｪﾚ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 / 　lニﾆﾆﾆﾆﾆl/　 //
／　　　　　　　'　　、　　　　 　 `　　 　 　 　 lニニニニニﾆﾆﾆﾆl/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`　　　　　、


　　　　　　　　　　　　　　　　　暫しの旅の後に、やらない夫は祖国へと帰り着いた

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　想い焦がれた末の帰郷であったが

　　　　　　　　　　　　　　最早、情景は時の向こうへと流され、思い出すこと間々ならず

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　懐かしさは微塵もなかった

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ψ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.}{.、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.:'ﾅﾎﾔ:､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／´￣ ￣｀:ヽ.
　　　　j|　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　 　:.＼　　　　　　　　　　　　　　　　j|
.　　　f .｀i　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　 　 　 :::::.｀i　　　　　　　　　　　　　　 f .｀i
　　　_}Ii.I{　　　　　　　　　　　 　 　 | 　　 ___＿__＿__..:::::::::::|　　　　　　　　　 　 　 　 ,}I!I:{　　　やらない夫が王宮を訪れると
　　　下了　　 ,人　　　　　　　　ﾉ:い,.:ｫ''緜;;絲;;絲;;綿`ぇy'.八.　　　 　 　 　 人.　　 下了
　　　 |　:|　 　 }I i{　　　　 |i　 / ＿;:Yf,,.-－―――－- ,iY＿.::ヽ.　,ｌ|.　　 　 }i I{　　　|　:|
　　　 !　::!. 　 ｜:|　　　　.iHh ｌれ|∩ｌ|:┌三三三三三┐:|l∩|iう:l frti.　　　　! :|　　　| . ::|
　　　{-‐-} 　 ｜::!　　 　 ｌ￣├三三||: | |';';';';';_;;_';';';';';| | :||三三┤￣:i　　　｜.:l　　 .{-‐-}　　　即座に、王室へと通された
.　 　 | 　::l 　　{‐ }　　 　 ｌr‐i | |f⌒i ｌ|: | ｌ';':'父乂父､';ｌ | :|ｌf⌒i | | r‐i:| 　 　 {‐::} 　　.!　:::l
　　　| 　:::|.　 ｜ :l　　 　 ||　|.| ｌ|　 .l:||: | |i'乂:ri‐i:i:乂'i| | :|||　 .l:ｌ | l　l:ｌ　　　 i　:| 　　|　 :::|
.　　├－┤　 j,.. :! 　　　.ｌ ﾆ. ! !;:三:;ｌ|: | ｌl;王;lｴｴl;王;lｌ | :|ｌ;:三 :! !. ﾆ.:l　　　 j　:!. 　├:‐::┤
　　｜ 　 ::| 　 |　::! 　 　 .|r‐i | ｌf⌒i ||: | |l:干:ri‐i:i:干:l| | :||f⌒i ｌ | r‐i:| 　 　 |　:|　　|　　.:::|
　　_|　 　:::|＿.ｌ ..;:| ＿＿,ｌ|__l | ||＿.l:ｌ|, ﾆ;l;王;lｴｴl;王;l;ﾆ ;|ｌ|＿.l:| | |__|:!＿＿,l .;;r!';ﾐ;ヾ;'ゝヾ|_
.　 i 「 ￣,r;';';,、― ―i―i―i―i―i―l.-l--l--l--l--l--l.-l―i―i―i―i―i―i fバヾ';;:゛ヾ;,ヾ
　 ｌ.「 f;';'';ゞ';ヾ;:ヾ.,i￣i￣i￣i￣i￣i￣l.~|￣l￣l￣l￣l￣ｌ~.i￣i￣i￣i￣i￣i￣i,ﾉヾ';ゝ;'::;;ゞ';:;ゞ
　　 r'ゞ;;ヾ;';;ｿ;ｨ;';ゞ'::┴:┴;┴;┴;┴:┴‐;;:┴;┴:┴;┴;┴:': :┴;┴;┴:┴:┴‐':.ヾ''ゞ:;ヾ;:/';ツ゛
　_.: ;__.:.｀_,刈',::_;::.;_::: ;_:::,,;';;';'''゛　　..::,;';;:''.::　!.　 　 ! ::.゛';;,::..　　 ヾ';`';,,.::._:;:_.::;.:_;,_;:＿j;l!i_;:_::.:_
　.,::;:::. ,::::::::::::;;:::.....,　,:;';;: '''゛　 　 .:::;;'';:'゛.:::　|: 　 　 | :::::..゛';',;::..　 　 ヾ':;';;:,.、:::...... ::,..:::::,:;::::::;..::

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽニ＼/ ` ｰ- ,＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ : : : :l: : : : : : : : :￣::`:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : ,ヘ: :、: : : : : : : : : : ' ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾉイ: : : : ｌ.　 l: :ト、: : : : : : : :ｌ: :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　l: : : :い 　 ヽ::l _ゝ、', : : : : !: : ∧
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 l: : : :lY＿　　ヽY.仏ゝ!: : : : l: : : : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l: :!: :V ヒ!　　　　 ニｿ､: : : : ト,: : ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l: :l: : l ` ´./ 　 　 　 　 !: : ｨ lﾉ: : : : ::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧::l : :ｌ　　｀ ' 　 　 　 　 l: :lｼ´, --､_／ ヽ-'´ `-r- .ｰ-､
　　　　　　　／ヽ_,. - ､_　　＿　,-､　__,.l::Y!::lヽ　　＝ｰ　　＿ ,.l: LYﾅ:: ::/:: :: ／::／／ :: ::／:: `'´::￣` ｰ-,._ -‐ ヽ＿
　　　 _,. .:'´ :: :: :: ヽ:: :: ::￣:: :: ´:: ﾃ7 ::/ﾘ　!l: : ﾄ、　　　　l!:::::::::l::!:::/:: :: :: ::／::／／:: :,.-/:: :: :: ::,.:'´:: :: :: :: :: ::, .,イ:: :: `ｰ ､
　　／:: :: :: :: :: :: :: :ヽ::,. :: :: :: :: :: ::l ' ::〈 :: ∧: :ｲ!::ﾄ -- ‐ﾅ!:::::::::ﾘ:/:: ::／／ﾌ／:: : ／:: :: :: :: ／:: :: :: :: :: :: :: :/::/:: :: :: :: :: :: ヽ、
.∠::＿::＿::_ :: :: :: :: :: l:: ::,:: :: :: :: ::ｌ :: :: ヽ:ヽ::∨l::::ヽ,　.〃::::::::::／::／:: :: ::,ｲ:: :::,ｲ´ :: :: :: ::／:: :: :: :: :: :: :: :::ｌ::l:: :: :: :: :: :: :: :: :: ヽ
!:: ／　　　　 ヽ :: :: :: :l: /:: :: :: :: :: :ヽ :: :: ヽ::∨:l::::::::,∨::::::::::／／ :: :: ／::/ :: ::/:: :: :: :::／ :: :: ／ :: :: :: :: :: !_ｌ :: :: :: :r――--t._ヽ、
V　　　　　　　 ｌ:: :: :ﾉ-く:: :: :: :: :: :ヽ, ∨:: ::T ゝ::l::::://:::::::／_::,:- T:￣:: ::/:: :: ::l:: :: :: ／:: _,. '´:: :: _ ,.:　--‐┘ヽ:: :: /　 　 　 　ヽ`７
.l　　　 〃 　,_, ヽ／　　 ` ｰ 、:: :: :: :ｿ:: /:: у／:::::〉〉::::::::V :: `-4:: :: :: /:: :: :: l :: ／::_／_ ;: -‐'´　　 　 　 　 　 ∨ 　 　 , ,　　　∨
l l　 /　l　　 ｲ ｜　　 　 　 　 .!_::_:: /::/ :: :／::::::://::::::::::::::l :: :: :: l:: :: /:: :: :: :: l:: :: :: 〉l´ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 l　,ｲ　　/　　 　 !
| ｌ 〈.　 !　 / l　/　　　 　 　 　 　 `l::/ :::／::::::::://::::::_ ;_::,:-l :: :: :: ! :: :: :: :: :: :: ト:: :/:: !　　　　　　　　　　　　　　l　.ﾊ　　!　 ｌ　ｌ　l
.',.',　',. l　 l. ヽ､!　　 　 　 　 　 　 /:: :／'´._ _,ｿ´ニ'´-..‐.'´:::!:: :: :: !:: :: :: :: :: :: :l:: /:: :/　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 l_ﾉ l 　 ｌ　/　l　 !
　弋.ｨ.L./　　　　　　　　　　　　/::／ 　 //'´::::::::::::::::::::::::::::::∧ :: ::l:: :: :: :: :: :: ::l:: :: :/　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 ｌ /　/／
　　　`ｰ'　　　　　　 　 　 　 .／／--‐.〈 l - 二ﾆ_- ､::::::::::::::::::l :: ::! :: :: :: :: :: :: l :: /　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ト-' !／´
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／,ｲ_::,.::::::::_ﾑ上_::::::::::::`ヽﾆ､､::::::::::ｌ :: :: :: :: :: :: :: :: ｌ::./　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 `'´


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　玉座には

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やらない夫の見知らぬ若い男が

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　横柄な態度で座していた

　　i　　　　　 ＼＿　　　　　　　　,／　_ ＼　ﾍ-､_ ＞､＿　　　　 ＼
　　.∨　　　　　　　　＞､__　　　//　,ィ---┐､ﾍ　 ＼　 ソフ＼_　　 ＼　　　「手前が、やらない夫とか言う野郎か」
　 　 ∨ヽ､_　　　　　　　　 ＼ 〃／　rﾁ:心　 ＼', 　　ヽj/　_　ﾍ ＞-､ ﾍ
　 　 .|∨ 　 ¨弋￣￣￣` ヽ､ ＼　　 ﾋ彳 ﾉ-　　 ヾ　　　　 　ヽ i i
　　　.| .ﾔ　 ＞､＼　　 　 　 i/＞＼ ..ゞイ　　　　　　　　　　　 ﾉ.i i　 〃
　　　 |　ﾍ　　　i＼ヽ,　　ヽ='　 　　 `　　　　　　　　　　　　 ／ /.j　/　　　　「話にゃ聞いてる。ご苦労だったな」
　　 　.i　　ヽ　　ﾔ＝=､　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 '　/　,i ヽ
　　 　..|　　　＼ .ﾔ　j心､　　 ,　　　　　　　　　　　　　 　 　 |´ﾍ j　　｀ﾞ''ｰ-
　　　　.i　　　　 ＼',.弋ﾏ 　 /　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　 ﾍ=-､__
　　　　 |　 　 　 　 ヽイ　　〈ヽ,　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 ヽ　--　 　「くたばった親父に代わって礼を言うぜ」
　　　　 | .ﾍ　　　　　　二=------彳"--､_　　　　 ____　　 .从　　 ﾍ
　 　 　 .|　i ＼　　 ＿`--<_´￣＜_,イ ,-‐'"フ-'"二､　|　 /　　　　　＼
　　　　 ヽ ﾍ　 　／:.:.:.｀''ｰ-､--､__j／ 　／ ／圭圭:l　| ./
　　　　　　＞-./:.-:.__:.:.:.:.:.:.:.:.＞､＿__／ ／圭圭圭ﾙﾞ.|/
　　 ィ:.￣:.ー---､____:.:.:.:ﾞ''ｰ-､:.:.:.:.＞､ /圭圭圭圭∧ ﾔ



　　　　 ／￣￣＼
　　　／　　 _ノ　　＼
　　　|　　　 （ ●）（●　　どうやらこの男は、かつての王子らしかった
　　　|　　　 　 （__人__）
.　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　 |　 　 　 ∩ ノ ⊃　　魔王の討伐達成を、前国王に伝えられなかったことを
　　／ 　 　 .／　＿ノ
　 (.　 ＼ ／　.／_ノ │
　　＼　 “　／_＿_|　 |　　やらない夫は苦々しく思った
.　　　 ＼／ ＿＿＿ /

　　　　　　　　　　　　〈
　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　,,- ‐─￣ﾆi
　　　　　　 ／　　　　　　 ヽ
　　　　　／　　　　　 _,,-‐／ﾞ､
　　　　 /　　　　 ／　 ./　　　＼　　 lヽ　　　　　　 　　「とは言えよ、手前が魔王を殺したかどうか」
　　　　/　　　／　　,, /　　　　　ヽ　 ヽ ﾞ､
　　　./　　　/　　 ./ /　　　　_- ﾆセ　ﾞi, ｀､
　　　.l　　　/　　 / / __＝三‐"　　＼　|　 ヽ
　　　.|　　/　　 /　l　　　レ_ソ　　　　｀　　　ﾞ､　　 　　 「その証拠がねーことにゃ、件の褒美もくれてやれねーな」
　　　 i　,ｲ　　 /　　〉　　 ｀ー　　　　　　　　　 ヾ
　　　 | / l　　l　.／　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　 l/　|　 .､´　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　 ﾞl　　lヽ　_,　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　「手前が逃げ帰ってきた可能性も多分にあるからよ」
　　　　　　|　 .l　｀l　　　　　 ＿
　　　　　　l _　|─.l　 ,,,ー￣　　｀
　　　　　／ 二￣｀)ヽ　　　　　　　　　　　　　　 l
　　　　/,'_ く　､` '´､ ＼　　　　　　　　　　　　 /　　 　　「まさか、証拠も持たずにのこのこやって来たってのか？」
　　　 〈ヽ　 ヽ　- ‐─-,,｀＿ _　　　　　　　 ／
　　　　＼ヽ ´　　　　　　　　　￣ヽ _,,..-‐､´
　　　　　 ＼ヽ　　　　　　　　　　　 |　　　ﾞi
　　　　　　　＼ヽ　　　　　　　　　　l　　　 ヽl　　　 / ニ
　　　　　　　　 ＼ヽ　　　　　　　　　　　　　〉 ヽ　 ﾞi l ;;;;;
　　　　　　　　　　＼ヽ　　　　　＿,,,-,,　 ／;;;;| |　 l | ;;;;;
　　　　　　　　　　/､＼》,,　　　　　　　　ｿ;;;;;;; ､ヽ　| | ;;;;;;
　　　　　　　　 ／;＼`∧＿　　＿,,,─-';;;;;;;;;;; //　| | ;;;;;;;
　　　　　　　／; ; ; ; ;｀ー─ニ　　　 ／;;;;;;;l￣￣￣￣　;;;;

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）
.　|　　　　 （__人__）　　やらない夫は、懐から
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　 　 }　　　証拠足りえる品を、王に渡した
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ　　ｍm
　　　/　　　￣￣￣　つﾉ
　　　|　　　　|￣￣￣




　　　　　　　　　 :/ ,-､ヽ: :
　　　　　　　　　 l /r=､　〉:l
　　　　　　　　　 |　{/^} {:!::
　　　　　　　　　八 ゝ　{ iﾊ:
　　　　　　　　　 : ＼＼) V
　　　　　　　　　 : : : :ヽ､_ノ


　　　それは、干からびて黄土色になった

　　　　　　　一枚の耳であった

　　　　かつて、魔王を喰らった時に

　　　　　　　父から伝え聞いていた

　　戦士が手柄を証明する方法を思い出し

　　　　　　切り取っておいた物だった

　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,　:　´　￣ ７ ./ ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. : ´＞ ' ´￣ ヽ .i /／￣ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／, : ´ 　 　 　 /＼V/／ﾊ　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /／　 　 　 ! 　 '￢ミYム斗ｷ　　　ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／イ　 　 　 7|　/　 　 　 　 　 |　i　 　 ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /'´iｲ　 　 　 7 ! .′　　　　　 　 |　|　　　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,|　　　　7_ i/　　､　　　　　 Y￢　 /汀 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{.|　　　 |,'__≧‐-ｭｨ〉　{ iー-z',￣∨{　 V　　王は暫しの間、その耳を眺めたが
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　／ｲ　　　ﾘ 弋ｚソ `′　　　'弋zﾊ　 ヽ､　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　 {y { !　　　| ｀　ー 　 　 　 　 ｀ ー ﾍ,　　 ヽ､`´ﾍ
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 __j-.ﾍ!7　　|　　　　　　　　i　　　 γ ￢　　　 ｀　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　_j--/:.ⅣV　i 　 　 　 　 　 ！　 　 j_　-'　　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　_,､_/ヽ_/: : :/: :jﾄ､∧ ﾄ､　　　　　　　＿_ 　 {　　　　　　　　　x＜￣ニ＝-t
　　　 　 　 　 　 ／: : : /:::7: : : : : //>､ー- _>､　　 ‐　´　　　 人　}'ヽ､　　　 ／: : : : : : : : : : :|
　　　　　　　　 7: : : : /::::::{: : : : : i//////Y | 　 ＞ ,.＿＿,. ィ: : :ヽ'::::/: :＞､/::i : : : : : : : : : : :.!
　　　　　　　　 ∨: : 〈:::::::::|: : : : :i///////i_ L____/￣-=ﾆ/: : : ／:／: : : : :/:::::|: : : : : : : : : : : :!
　　　 　 　 　 　 〉: : : ﾍ::::::!: : : :.i//////{ Ｏ　ヽ-ＯY:///: : ／:／: : : : : :/:::::::,': : : : : : : : : : : :.',



＿..　　:::=＝ﾆ>⌒ヽ
　　　／／　 /　 .　!　_人_／／／　　　 　 　 　 　 ＿＿＿
　　, ' /　　　{　 ﾉ　}　　　（　　　　　_／￣￣￣ Γl
　 / ./　 　 ｌ }　}　 ﾊ 　 　（　　　／/ ノ弋'　　 　l　l　　　　　　　　突き出された、やらない夫の手と諸共に
　 {　{　　　 l└1　　.} 　　（　 ／ __ 二　　＼＿　l　l
　 ',　',　---|　 { 　 ｜.Y⌒　（　く ／ヽ 　 　 　 　}　!
　　＼二二ハ　 `ｰ┴‐┐　 ./＼_)　ィ　　＞-┬1　!　　　　　　　　乱暴に払いのけた
　,. --―‐" | 下二ニニ__. 　 ヽ,　Y〈 {　 /　　　V　/
　　　　　 　 `ト----‐く‐┘　　 ヽﾉ　ヽ. 〈　　　　∨　 __
.　　　　 　 　 ｀ ￣￣´　　　　　　 ＼ﾉ＼_）　　　　￣

　　　　　　　　　　 ／　｀ ＜ヽ＼-─'　　　 ＼　 _
　　 　 　 　 　 　〃　　　　　｀ ＜ /　　　　　　＼　｀ヽ､
　　　　　 　 　 , '　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　 /　　　　　,　 ∧　/,:､　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　 /　　　　　 .'　∧ﾊ//,: |　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　　　「けっ」
　 　 　 　 .' ,:　　 　 　 ! 7 ヾ:;i{i〃:|　i
　　　　　/./.'　　　　 , | .' 　 　 　 .| ｜
　　　　 // ,'　　 　 /.､i '　　　　　 |　i ',　　　　　　 　 　 i
　　 　 ,'/　i　　　 /ヽ. |i　 　 　 　 |　!　i　　　　　　　　　|　　　　 }　　「こんなもんが、何の証拠になるってんだ」
　　　 / 　 !　　 ./i.',{9ﾄﾐ,:　　　 　 | ,' 　 i　　　　　　　　　　 ､　　.'
　 　 　 　 | 　 ./ .! ﾍ 　 `　 { ＿__|,'＿__ i　　 　 　 　 　 ! '.　',　 '
　 　 　 　 |　　{　i　　 ￣ 　 　 ` T'r:z___ '　i　　　　　 　,'　 i　!./
　 　 　 　 |　　　.'　　　　　 　 　 ヽ｀_　　 i .|', 　 　 　 |!.Y　 i /　　　　「気色悪ぃ」
　 　 　 　 | .:i. 　{ 　 　 /　　　　　　 　 ー| | !　　　　 i| i | | ｲ
zzzzzz≦::| i:|　 ∧　　丶　　　　　　　　　|ﾘ |　　　　 !|j ﾉ:'　j｀ヽ､
ニニニニ.i/ |　　 iヽ　 _　　 　 　 　 　 　 　 |　　 　 i／{　 / / ./
ニニニニﾆハ　 ∧ |ヽ　 ｀ヽ､　　　　　　 　 | j',　　,'／心.　 ／≧x_
ニニニニニ ∧ iﾆⅥﾆ:＼　　 ヽ　　　 _,..ィ´|..'_i　 ,'ニニﾆ＞ｘ　ノ ./
ニニニニニニ ⅦニニニニTT::==≦:: :| .r=ﾘニ! ,'ニニニニニ＞ｘ

　　　　　 　 　 　 i　 /　　　　　　　　 |Y∧／〃|　 i　　 　 　 ﾊ, 　 .i
　　　　　　　　　 i ／　　　　　　 i　　.|　　"　　 |　 i　　　　　　 ﾊ,　 |　　　「これが誰の耳かって話だよ」
　　　　　　　　　 〉 　 ,　　 ,　 　 || 　.|　　 　 　 |　 |∨　 　 　 　 ﾊ ,,|
　 　 　 　 　 　 / 　 　 　 　 　 ,/| 　 |　　　_ 　 |　 |　ｷ　　　　　　ﾊ,i
　　　　　　　　/　　　　　　　　/ ,|.　 | 　 　 　 /|　,| _ ,∨　 　 　 　 ∧
　　　　 　 　 ,|　　　　　　　　,/　ｷ,　|　ヽ　　/ ,|　i , -‐|　 i　 　 　 　 |　　「魔王？　そうかも知れねえな」
　　　　　　　 |　/,|　　 　 　 弋__ノ "|'-y　　 ヽ'| /弋__.|　人　　　 i　 i
　　　　 　 　 | / (|　　　　　/----ﾔ.|　　　　 　|/　---| / |　　 　.|ﾔ '|
　 　 　 　 　 |/　i |　 　 　/　　　　∨　　,　 　,/　　 　,|/　|　　 　,| ｷ |
　　　　　　　　　　〉　　　 '| 　 　 　 　 　 l　　　　　 　 /　 .| 　 　 y　　　　「だが、手前がそこらの浮浪者から」
　　 　 　 　 　 　 |∨　　　| 　 　 　 　 　 i 丶　　　　 　 　 |　　　7
　　　　　 　 　 　 ! ∨　　 |　　 ---------‐‐‐‐‐‐‐‐丶　| 　 /7
　　　 　 　 　 　 八 .∨ 　.|　　ヽ-￣￣￣￣￣￣￣-'"|　|　/i7
　　　　　　　　　　 '＼,lヽ ,|----ﾊ__ ------------' ノ＿|,/ 〈　　　　　　「もいで来た物かも知れねぇじゃねえか」
　　　　　　　　　 　 　 |　ﾍ|---- , ﾍ￣￣￣￣ /￣￣ 　 /　　|
　　　　　　　 　 　 　 ∧　　　　　.ｷ∧------,/　/￣￣￣￣ |



　 　 　 　 　 　　　　　　　　　 ,.　´　　　_ }.ﾚ ´.｀ヽヽ　_
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 / i|/ﾍ　　　 ヽヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　イ´　　　 //´`ー┤.　　　 ∨ヽ}!　　　　 「俺には判別つかねーよ」
　　　　　　　　　　　　／ /　 　　 /|.! 　　　 !.}!　　　　iﾄ､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　! : ::　{,ｨミﾘ　　 ,　i!ハ　　　..:.}ﾊ::!
　　　　　　　　　　　　　ノ!:! ::　!弋リ丶　{_,ﾉzｪ}!i　.:.::}:∧}:|
　　　　　　　　　　　　/:.:.:!{!.::: i!　￣´　　 ､弋リl .:::::/ヽｲ!i　　　　 「これじゃ褒美は渡せねえな」
　　　　　　　　　　 ,イ:.:.:.:.lﾊ:::. !　　 .:./　　 ｀￣j .:::::{ﾉ::::ヽ!
　 　 　 　 　 　　　!{:.!:.:.:.:.:.:.i:Nﾄ､　 _　　　　　 /:::://::::::::.:.ヽ
　 　 　 　 　 　　　!{!ﾊ:.:.:.:.:.:ヽヽrヽ｀ ｀ヽ　　 ｲ://´:::::.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　j:j!::ﾊ:.:.:.:.:.:.:/{!ヽﾐ ー =.彡 jｲ{::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ　「失せな、ドサンピン」
　　　　　　　　 ノ: : :::::ﾊ:.:.:.:.:.ハﾄ､ヽV´-‐ '´ﾉ/j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.入

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ○）（○）
.　|　　　　 （__人__）　　やらない夫は、王の言葉を前に
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　　　|　　　　 |



　　　　　　　　　　 ｀丶､
　　　　　　　　　　　　　　｀丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　l
　　　　　＼ 　 　 　 　 　 　 　 　 l
　　　　　　　＼ 　 　 　 　 　 　 　 l
　　　　　　　 ｘ ＼　　　　　　　　　k
　　　　　　 〃 γ ＼ 　　　　　 ／ l.
　　　　　　 {i　 {　● }>､ﾉﾘ　xく●} l!　　 　 思わず、激昂した
　　　　　　　ﾍ、`ｰ‐'′/　　 ﾍ.ﾞｰ'ノ:!
　　　　　　　　　￣　　　　　 　 ￣　 l
　　　　　　　　　 ／　　　　　　　∨ /
　　　　　　　　 /　　　 　 　 　 　 ∨　　　　王を誹謗する口汚い言葉が
　　　　　　　　 l　　 　 　 　 ﾉ　　　|
　　　　　　　　　>､＿＿_／ ゝ､__ノ
　　　　　　　　./　　 　 　l//　 /
　　　　　　　 ｜　　　　　l/　 /　　　　　　　衝動的に吐き出された
　　　　　　　　|　　　　 　 !　 ′
　　　　　　　　|　 　 　 　 !　 i
､　　 　 　 　 ！　　　　 /　 l
　丶、　　　　　｀ ｰ---" 　 !
　　　 丶、　　　　 ｀￣´　ノ
　　　　　 ＞－----－''"

　　　　　　／￣￣＼
　　　　 ／　　u　　ノ ＼　　そして、彼は思わず憐憫を誘うような語り草で
　　　　 |　　　 .u （ ○） |
.　　　　 |　　　　 　（__人_）
　　　　　|　　　　　 ｀ ⌒ﾉ　　自分が国と、家族の為に戦ったのだという事を
　　　　　 |　　　　　　 　}
　　　　　 ヽ　u 　　　　 }
　　　　　　ヽ　　　　　ノ　　　王に進言してしまった
　　　　　　ノ　　　　　＼
　　　　／´　　　　　　　　ヽ



　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　 ＞'´　　　　　　　　　　　 ,　 　 　 ィ´:!　∠===t
　　　　　　　　　　　　　 /. ＜　　　　　　　　　　　　 　 /　 　 ／ﾐ:Y ﾚ' ,.-t　　i　　　　　対し国王は、一笑に伏した
　　　　 　 　 　 　 _,. ＜　 ／　　　　　　　　　　　　 ,: 7 　 ／　　 ｀丶'彡z|　　|
　　　　　　　　　ー y　 ／　 　 　 　 　 ,　　　/ /／　′, '　 　 ､　　 　 　 !　　',
　　　　　　　　　　 7..:/　　 　 　 　 　 /, 　　 }／ }==' .Zﾍ、　　 ;;　　　 　 |　　.∧
　　　　　　_　-= ﾆ　/　　　　　　 ＞'7/ {　　 | 　 {　i / ￢ﾐ':、　 'i } 　 ,　｜　　,ハ　　　「は、笑わせやがる」
　　　 　 / r─　＝,'　　　　_,＞'V / }'　 Ⅵ　.|　　i　}'　 (O）ﾄヽ___{i　 i　　,'　 ,:　 i｜
　 　 　 ,' / . . . : ::,'　 ＞'´, =ﾆ } iﾘ　　 　 V　|　　ヾｰ　 ,,__　　∠, 　/z≦　 　 　 i ',
. ,--　_{　: : : : : :/ ／ﾍ　ヽ、 L　　　　　　 V l　 　 　 　 -￢　⌒　 { O /　　　　 |', '
:'　　　　￣. :─/.ｲ: : : :.＼　 ヽ:}　　 　 　 　 ',!　　　　　　　　　　　　,__ ' .ｲ　　 　.| i !　　「家族だぁ？」
. : :￣￣: :ﾆ=-: ._: : : :_彡'∧__,..;　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 V' ′ 　.;　/ .ﾚ
======个 ､: : : ＞'´　　　: : : ::!　　　　　　　　　　　__,　　　　　　　／ ,　 　 / /
///////=＝<´;;;,,,,　　　　,': : ::|　　　　　　　　　／´ニﾆ_＞ .　　　　 /　　.ｲ /
/////ﾊ　 　 ハ;;;;;;; 　 　 ,' : : :.| 　 　 　 　 　 ,:': : :＼:::::::::≧ｘ ＼　 /　／ //　　　　　　「糞っ垂れの羊飼いの分際で、ご大層なこった」
,'////　}　　 　 };;;'　　　 ,' . : : :.＼　　　　　　{ヽ__: : : :｀ヽ:::::::ーﾝ　:' ／　／
/// |　,'　　　 /;;　　 　 ,' . : : : : :.个 .　　　　 ゝ-　_‐: __: :i:::::::/ .ｲ ./
/// | {　　　 /;;;;;;　　　,'. : : : : : : : : : : ＞ .　　　　　｀¨￢=ﾆ７:'　i /
///∧〉=ﾆ二、;;;;　　 ,': : l : : : : : : : : : : : : : ＞ .　　　　 　 , 'ﾚi　{′　　　　　　　　　　　「手前の家族なんざ」

　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼＼　 　 /丶､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , -　､ 　 ヽ ＼../　　　:｀丶
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 _　/　 　, ＼¨¨':,　}′ 　 　 　 .:丶､
　　　　　　　　　　 　 　 　 ..: ´　/　　　ヾ:､ ｀丶}/|　.i:∧　　　　　 :＼
　　　　　　　　　　 　 　 ,.: 　＿/　　　 　 ',ヽミｘ:,_」..::ﾚ.:_',　　　..::｀ヽ　＼
　　　　　　　　　 　 　 ,.／´　:/　　　　　..::'ゞﾐ{.､㍉､ 1´　;　　　 　 .:'｀丶:＼
　　　　 　 　 　 　 　 /′:´ ./　　　　　　　.:'くへ＼　　　 {　:i　　　　.:ヽ　＼',
　　　　　　　　　　　 ..:/..::, :.′ 　 /　　　　　.:',　 ' :ヽ.　　 '　ﾄ､　　　 　.:,.　 }
　　　　　 　 　 　 　 ﾚ　:/ /　..::,./　　　　 　 ..:' 　 ヽ ',　　 !.:L_':　　:{ 　.:′
　　　　　 　 　 　 　 l..::/ / . ／/　　　　 　 　 .:; _＿」:L._　| {行'　　.:,　:}.:'
　　　　　　　　 　 　 ':/.:,.:／}　′　　　 　 .:i　 :|≧ニ';7¨´ }/ ＼;　　:′ﾄ;i
　 　 　 　 　 　 　 　 {..::{′/ ,　　 　 　 　 .:l 　:l:・::ﾘ　}　　 ′ 　 ゝ ..:i　| }
　　　 　 　 　 　 　 　 V .:/　′　　 　 　 .:∧..::|｀¨　 　 　 　 　 ∧　.:l　l
　　 　 　 　 　 ,　-　. 」ヽi ; .;　　 　 　 　 :'　 ,..:l　　　　　　　　　 } ',　ﾄ :!
.､.　　　,..　‐-/　　 　 :', :{/ :|　　　　;/　 ′　.',:l.　 　_＿ 　　 ／ 　 ,.:ｌ ﾘ
　＼.,./　　 :/　 ／＞､.::｛　_l　 　 :〃 .:/　,　　}′´＿　　':,　′ ′ }/　　 　__
…‐/i{／＼{.:／　_ .∠ -}＜|　 ／/..::/｀彡 ´　 ,:仁三心. :L　=′―…,.:＜::::::｀ヽ
　 〈:i:iゝ｀ ー-　. _ ﾉ´,....-―:!.:/／:／二 ＿__ ´三三三＞.::´:::::::::::,　 ´:::::::::__∠二
／´｀¨´｀ ー ＜:::::┌―- - |/:j／＿::::::::::_＿＿__ ／´:::::::::::::::::／::::::::::::／: /__　　 ヽ
/　　　　 ／::::_:::::::: l ::: ＜ _＿＿__ ,.　 ´ ::::::::::::／::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::/ 　 ｀


　　　　　　　　　　　　　　　　　「とっくに、くたばっちまってるよ」

　　 ／￣￣＼
　／　　ノ　ヽ､＼
. |　　 （●）（●）|
. |　　　（＿人_）│　　「――え？」
　| 　 　 ｀ ⌒´　 |
　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　　　　　/
　　 ヽ　 　　　/
　　　.> 　　　<
　　　|　　　　 |
　　　|　　　　 |




　/　,. - / ./　　　　　　　　/ﾑ　ﾄ､
..j,イx＜' ./　　 　 　 　 　./ヾ-Vハ
.t,ｲ,. =7./　　　　　　/　 /　　　　｜　|
.'{,. _-7/　　　　　　/　 /　　 　 　 |　 i|　　　　 「親父がくたばる一年も前の話さ」
=V,-７ 　 　 　 　 /7 / 　 　 　 　 i　7.i
:::i　/ 　 　 　 　 /xi /　　　　　 　 } /　!
八.' 〃　 　 　 /t_:i,ﾊ=t_　 l　,　 _〃≦|
::/./| 　 　 y ./ 弋zり 　` 'ィ　,ｲ´ﾄｲり |
.' ハ!　　 / ７ ヽ ＿ ,.　　　　　　 ゞ_'_,ィ　　　　「あん時ぁ、国中で不満の声が高まってやがった」
::∧.| 　 /| 7　　　　　　　　　　　　　　 |
::::::::|　.ﾊ | '　　　　　　　　､ 冫　　　　 |
.Y::::| 7､ .|､　　　rtz　　,.＿_ 　 　 　 ,ｲi　/　,
ハ:::!厶 ヽ ＼　 ヽ--------'　 , イ: : | /| /
: ∧::::::::＞.ヽ､ヽ .　　 　 　 . ＜:/: : : :.|.': ﾘ,:　　「不作に次ぐ不作で、飢饉状態だったからよ」
: : ∧::::::::::::::::::::.ヽ､ ≧─.'´イ:::,' : : : : :!:イ:,ィ
: : : ∧::::::::::::::::::::::j |　／':::::::::/: : : ／:＞'´: :

　　　　　　　/　　　　　　　 　 |　　　　　　`､　 l
　　　　　　 /　　　 　 　 　 　 |　　　　　　　 |　| ヽ 　 |
　　　　 　 .|　 　 　 　 　 　 || .| 　 　 　 　 　 | ,|　 ヽ　|.∨　　　　　「だが食いもんなんざ、そう簡単に工面できるもんじゃねえ」
　　　　　　|　/|　　 　 　 　 | | | 　 　 　 　 　 | |　　 ヽ | ∨
　　　　 　 | /..|　　　　　 　 |__|.|　　　　 ./　　|.|　　_,.._っ''∨
　 　 　 　 |,|　.|　　　　　 　 |つ｀`丶ヽ /　_,,.-‐''入:::::::::ノ ∨
　　　　 　 | 　.|　　 　 　 　八:::::::ノ　　ヽ　　 ′　 "'''" ,　人　　　　「とは言え、国民の不満は高まる一方」
　　　　　　　　|　　　　　 　 |__￣_,　'　　　　　　　　 '￣　　 |
　　 　 　 　 　 |　.|　　　　　|　　　''　 ,　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　 |　|ﾍ　　 .|ﾍ |　　　 　 |　 　 　 　 　 　 　 　 |　　|
　　　　 　 　 　 | |　ﾍ 　 | ﾍ|　　　　　ヽ　' 　 　 ___ 　 　 　 |　 .|　　「そこで親父は思いついたのさ」
　　　 　 　 　 　 |　　ﾍ　.| 八　　　　|---‐'''''""~　 ＼　　　|　 |
　　　 　 　 　 　 　 　 ﾍ .| 　/ヽ　　　>.--‐‐‐‐'''''''''''''ﾉ 　 _,|　.|‐''"
　　　　　　　　　　　　　ﾍ|.　| 　 ` ､　"￣￣￣￣￣　/￣_,,|　|.-‐''
　　　　　　　　　 　 　 　 　八　 　　＼　　　　　 _,..､/ /　　.| |
　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　 ￣￣￣　　/ /　 　　|

　　　　　　r'"_〈_=‐‐ニﾍ
　　　　　　l〈　 ＼ｆﾆi''ヽ||i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r''"´ニニゞﾐ､
　　　　　　｀ﾞ＼　 ｀f￣｀'ｷ|　　　　　　　　　　　　　　　_,,,======,_　　　　　　　　　　　　　　/ ／=ﾄ､_）´　〉）
　　　　　　　　__＼ ﾄiノ￣ヽヽ､　　　　　　　　　　　,x'":::::::::::::::::::::::｀'‐x　　　　　　　　　　 ノ／ー､ r‐｝／"´
　　　　　　　/　　 ﾞ｀'ﾄ‐/￣ヾ',ﾌ`i　　　　　　　　 r"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::':l　　　　　　　__r''"ノー'､ r,｝‐"￣｀ヽ
　　　　　　 （　　 r''" ｀ﾞ=r'‐／／　　　　　　　　 |::::::__::::::::::::::::::::::::::::::_::::l　　　　　　 .＼ ＼r‐､_,ヾ´￣¨ﾍ　 |
　　　　　 r''"i ''　i　　r‐ ／f_ノ＼　　　　　　　　 |:::f　｀ﾞ>;::::::::::::::;;x''" i::|　　　　　　　　 > o＼"=､　　　 r.　|＿__
　　　　　 |: :ヽ,｀　`　,_｛ レ"＼.　 ＼　　　　　　r,l:ﾉ　 i"r"ｘ"'''ﾍ'ヽ　 ヾl‐､　　　　　 ／　 >､　ヽ＿　　f　 ノ>／:|
　　　　　/ : : :`'ー==‐"´｀'‐'" ＼.　 ＼　 _,,,=‐i ﾞl| :: _ / f" ＼ﾆ｝＿　''lr ﾄ‐=_＿ ／　.／し''ゝ'"　｛｀i_=''"／: : : |
　　　　　|: : : : : : : : : : : :/　　　　 ＼　 ＼_,,="i ﾐ|　弋ﾞo=ｭ_≡>"::::::）彡"f''‐､;:／　／　　　　　　 |`ﾞ'‐''"´: : : : ::|
　　　　 /'､'､: : : : : : : : :/,､　　　,r":=l＼　＼O ,〉 | ､　`''ﾌ"il r弋:::;ノ､.|:l: |O／　／;｀ﾞ':i‐-､__　　　|: : : : : : : : ;ｘ';|
　　　　l:::`:,ﾞ､`､: : : : : : |¨: l｀´"|‐"　* 　.＼ .＼: : !; ﾞ'i"　 r liil l　 ﾞi" ﾉ:::|l／　／､ο`ﾞ''i: : :ﾍ｀ﾞ=､_,|ミ三三三彡"l
　　　 .|: : : `: ﾆ三三彡l: : :V": :l　,=‐イ"l: :.＼ .＼:.ﾍ r ,彡ヽ‐'ミ､,　/::／　／｀ﾞﾞ:''':‐:、_|: : ﾉ: : : : /i: : : : : : : :: : ::|
　　　 |: : : : : : : : : : : :/i: : :ﾊ: : ::l´: : : :ﾍ ﾍ/: : :＼ ＼ﾍ´ .:――､.／／ .／: : :l : ; : : : : !: : : : : : /: |: : : : : : : : : : |
　　　l: : : : : : : : : : : :〈: ＼: : ﾍ: :!: : : : : ﾍ ﾍ: : : :|::＼ ＼`‐---‐´／ ／: : : : : |: : : : : : : : : : : :/: ∥: : : : : : : : : :.|
　　 ﾉ: : : : : : : : : :（: : :ﾞ: : ＼: :ヽ:i : : : : :∧∧: : : l: :ﾞ'＼ ＼:::::::／ ／|ﾉ: : : : : : : ､: : : : i: /: :／: :/ﾉ: : : : : : : : : : :|


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『皆で分け合うべき食料を』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『不浄な身分の者共が無為に貪り』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『価値ある人間や、子供たちが餓死する事を』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『最早、私は黙認できん』

　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／r､>＜!.|/,ｨﾔ　　　　　＼ト　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 　 ＼　}'///}　　 　 　 　 ＼　 ヽ、
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 , ' 　 　 r--ミY｀ √!　　　i＼　　　∧ 　 ﾍ　　　「要は口減らしと、ガス抜きさ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　 　 ,:'　　　　 　 /　　　｜.:ﾍ　　　∧ 　 ∧
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　, 　〃　　　　 　 /　 　 　 }=--V　　 ∧ 　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　 7　　 　 　 ,.:/　　 .イ ７_,示}ﾃ　 　 ∧　 ,ハ
　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　/' 　 {,z==zzzz〈:/　 ／　| 7 ゞ='〃 ,'　 　ハ　 　 ,　　「手前みてーな羊飼いだの、肥溜め汲みだの」
　　　　　　　　　　　　　　/　/　　　i　t'´弋ソ厶イ　 　:|.′ー '　.仆　 　　',ヽ　 ,
　　　　　　　　　　 　 　 ,′'　|　 　 ',　ﾍ、　/　　　 　 /ﾘ 　 /　/ |　　 |　Ⅳ}　　,
　　　　　　　 　 　 　 　 { /　 |　　　 ', 　 　 ＼ 丶　　　　　厶ｲ　 !　　 !　ﾚ, !　　}
　　　　　　　　　　 　 　 |′　|　 ,'|　 i　　　 　 　 　 ___　　　　 　 .|　　 ﾚ!.}'ﾍ{ 　 i　　「穢ねぇ産まれの奴らを悪者に仕立て上げて」
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i　, .| .从　　　　 r=_´　　＞ ､　　　 | 　 ├ﾘ　　　.ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　 l｜ i 　.| ､　　　Z --───'　　　｜　 ﾘ＿　　 <
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i |　Ⅵ｜}.＼　　　　　　　__,.　-=二|　 /ニ∧ｚ彡'Ｘ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾍ| 　.V ! !,'　 ﾄ､　　　　 f7二二ニﾆ| ./ニニ∧　/　 Y　　「片っ端から皆殺しにしちまったのさ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',{7;　　レヽ ＿__r7ニニニニﾙニニﾆ=∧{　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 }'　, ィﾆﾆﾆﾆﾆi::f{ニニニニニニニニニ二二二二



　　　　　＞ '.´　　　　　　　　 　 　 /､,. -=ニ二ヽ､　　「根本的な解決にゃなっちゃねーが、『論より証拠』」
　　　.イ 　 /　　　　　　　 　 　 ,　7　_ ＞'T
.　 /　　　/　　　　　　　　　　 /　 iヾ-z_. : |
　7　　　/　　　　　　　,ｲ| 　 / i　 |　　　ﾍ i
　i　 　 ,'　　 　 　 　 /==!　7　 V｜　　　 !|
　|.ィニi 　 　 　 |　 Y沁 V ﾄ `　 ヽ　　　　|! .|　　　　　　「とりあえず国民の溜飲は下げられた」
　i　　 |　 　 　　| /弋ン　Vl　　 　 -==､　i| ｊi」
.八　 {:|　　　 　 |′　　 　 ヾ　　 ィxヾ　i 7i/:i
　　ヽ　i ﾊ　　 .i |　 　 　 　 　 　 {jり　》/ : . .:!
ヽ.T:::::::ﾘヽV　 |ヾ　　　　 　 　 〉 `ヽノ/ : . : ｜./V
::::ヽ､:::::::::::::V　|-z__　　　　　　 　 　 /. : . : . :|/. : ',　　　　「お陰で国は持ちこたえ」
::::::::ハ::::::::::::∨!:::::::::>￣｀`ヽ.　　 　/Vi: . : :i､. : . : .
:::::::::::∧::::::::::::::::::／　　　　　　　 .ｲ　 ヾ V .i ＼. : .
::::::::::::::∧::::::::://＞　　 _ .　 ＜-t　　　　 ヽ:',　 ヽ:.}
:::::::::::::::::::ヽ:::::| | 　 .ィ´::::::ヽ､/ij　
:::::::::::::::::::::::::::i i,イ:::::::::::::::::::::ｿ / .i￣ Y　　　　　　　　　　　　「親父が居なくなった今では、こーして俺が王様って訳だ」
::::::::::::::::::::::::::i>ﾍ===zz=＜__x-- ' 　 7､
:::::::::::::::::::::::/∧　＼:::::::::ヽ､∟ __,....ノｲ　≧

　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　 ,-- ､ヽ-- --､ ,. -‐'ﾍ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　 ./＼.i／,'ﾊﾍ　　　　ﾍ
　　　　　 　 　 　 　 　 /　　 /ﾞﾞﾞﾞ丶'´ﾞﾞﾞﾞﾞ∨ﾍ　　　 ﾍ　　　　　　　 「ま、お国の為に死ねたんだ」
　　　　　　　　　　　　/　　 /　　 , 　 ､ 　 ∨ ＼　　 ∧
　　　　　　　　　　　 7/　 7　-√　 　 `‐=-i 　 .＼　　.ﾍ
　　　　　　　　　　　〃!　 i 〃¨`,　 　〃¨`; |　　.!　ヽ　　ﾍ
　　　　　　　 　 　 　 i.|　 i　　 　 　 　 　 　 |　　|7:.:i:.ヽ,ィ キ‐､　　「てめーの家のモンだって本望だろうぜ！」
　　　　　　　　　　 ,--j　 i　 y､_＿'_＿ ,.-i　|　 ﾘ':.:.:i:.:i¨ﾍ￣-　ﾔ
　　　 　 　 　 　 /:.:.､!:i|, .i,　 i::::::::::::::::::::::::i　.! 7ﾘ:.:./:.:.ﾍヽﾍイ_　!
　　　　　　　　 y､:.:.:.ﾍ:':ﾍ!ヽ ヽ::::::::::::::::::ノ ノ!7:.:::/:/:.:.:./ﾍ ヽ-' iﾔ
　　　　　　　 ∠:.:.>:.:.:.ﾍ:.:.:.:ﾍ＞｀二二´＜　7:.:.／:.:.／:.:.:ヽ､ .i　ﾊ
　　　　　　 /:.:.／:.:.＼:.:.＼:.:ﾊ､ ﾍ　　 / _,-,〈:./:-i'":.:.:/:.:.:./-､iﾍ彳

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ○）（○）
.　|　　　　 （__人__）　　　　「なんて事を」
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ　　 　 やらない夫は、視線を虚空へ泳がせながら
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |　　　　　力なく呟いた
　　　|　　　　 |




ﾆﾆ　　　　`=ﾆ二二/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
ﾆ./ 　 　 　 　 ￣￣` ､ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
ﾆ′　　　　　　　　　　 ` ､ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ　　だが、次第に
/　　　　　　　　　　　　　　辷ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
|　　　　　 　 　 　 　 ,.イ´ 　V 7ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ　　 混濁とした意識の中から
|　　　　　　　　　rﾆ≧<_　.ｆ7 /､ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
!　 i 　 !　　 !　 .'ﾆﾆﾆ/､ﾟ*./ /./ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ　　 粘りある怒りが湧き上がって
＼_!　 i!　　 !　 iﾆ二/⌒ / / ∧≧=-.．,ﾆﾆﾆﾆ/　　
　　`ｰ＾ー-'`- '　　　≧/ /．＜////////≧=-.．,.　 　 頭の芯に纏わり突き
　　/ ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ./ /ﾆﾆ≧=-.．////////////
　 ﾉﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ./` ｰ ＜// 　　彼に、剣の柄を握らせた
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ/
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ./

　　　　　　　 ／　‐‐- ､｀ヽ、　///　　　　｀`ヽ､_
　　　　　　／￣-‐''´￣￣＼ヽ!ｌ/ ｢　　　　　　 ､｀丶､　　　　　　「おっと、そいつで俺を斬ろうってのか！？」
　　　　　／　　　　　　　 　　＼ﾚ/ﾊ　　　　　　　',ヽ､ ＼
　　　　 / ／　　　　　　　,: /ﾐヽｌ レﾍ　ﾄ,　　　　　',　｀ヽ＼
　　　 / /／ｲ　　　　　　 l ｢｀`－'　　ｌ　l ',　　　 　 ',　 　｀ヽ､
　　　 l　//::::|　　　　　 　l l　　　　,:　 l |　',　|　　　 ',　　　　　　　国王は叫んだ
　　　 ',　://::ｌ　　　　　　:| |　　U　　　 |! ／! l:　　 :, ',._
　　　 　V/:ﾉ|　　　　　　ﾊl　　　　　 　 ﾚｔｧ'´ﾄ!;　.　:l. Y }
　　　　 入-‐!　　　　|　ｌ_｣!_　　ヽ　 (ィゝソ ノ l: ::　 !::.V
　　　　/　l ヽ!　　　 :l ﾊ´iソア'ｰ└'´ヽ ￣´　 l!::.:: :|;':,ヘ､　　　　「親父がやったことだぜ、俺は関係ねえだろーが」
　　　 /　 l　::|　　 : ::l/-｀‐ﾍ'´'　　　　　　　　 ll::|::: :!;;;;',:ク
　　　 }　　ヽ､| |l　::: ::l　　　 ヽ　　　　ｌ,　　　 /;l:|;|:::|;;;;;;;;',
　　　ﾊ　 ／!l　|;!　::::::ｌ　 ﾟ　　　　　- '　 　 ./;;;:l:|;|::!;;;;;;;;;;',
　　　!　V 。:::'､|;;', :::l:::ﾄ:、　　　_,..-- ケ´／ﾉ;;;;;;l;;|/;;;;;;;;;;;;!　　　　「第一よ」
　　ハ　, イ　::::ｌ;;;:',:::ﾄ､ｌ‐､ヽ､_´￣　　,-'´ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'､
　　{　｀'／　　:::|;;;;;ヽﾄ､ヽ｀ヽ:::`''ー‐_´‐'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
　 入‐'´　　 .:::::l;;;;;;;;;;;;;ヽ､　　‐､:／;;;;;;;;;;;;,--'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',;＼

　　　　　　　　　　　　　 /. ＜　　　　　　　　　　　　 　 /　 　 ／ﾐ:Y ﾚ' ,.-t　　i
　　　　 　 　 　 　 _,. ＜　 ／　　　　　　　　　　　　 ,: 7 　 ／　　 ｀丶'彡z|　　|　　　　　「魔王がだらだらいつまでも生きてやがるから」
　　　　　　　　　ー y　 ／　 　 　 　 　 ,　　　/ /／　′, '　 　 ､　　 　 　 !　　',
　　　　　　　　　　 7..:/　　 　 　 　 　 /, 　　 }／ }==' .Zﾍ、　　 ;;　　　 　 |　　.∧
　　　　　　_　-= ﾆ　/　　　　　　 ＞'7/ {　　 | 　 {　i / ￢ﾐ':、　 'i } 　 ,　｜　　,ハ　　　「この国でも不作が続いたんじゃねーか」
　　　 　 / r─　＝,'　　　　_,＞'V / }'　 Ⅵ　.|　　i　}'　 (O）ﾄヽ___{i　 i　　,'　 ,:　 i｜
　 　 　 ,' / . . . : ::,'　 ＞'´, =ﾆ } iﾘ　　 　 V　|　　ヾｰ　 ,,__　　∠, 　/z≦　 　 　 i ',
. ,--　_{　: : : : : :/ ／ﾍ　ヽ、 L　　　　　　 V l　 　 　 　 -￢　⌒　 { O /　　　　 |', '　　「魔王をさっさと殺しちまえば」
:'　　　　￣. :─/.ｲ: : : :.＼　 ヽ:}　　 　 　 　 ',!　　　　　　　　　　　　,__ ' .ｲ　　 　.| i !
. : :￣￣: :ﾆ=-: ._: : : :_彡'∧__,..;　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 V' ′ 　.;　/ .ﾚ
======个 ､: : : ＞'´　　　: : : ::!　　　　　　　　　　　__,　　　　　　　／ ,　 　 / /　　　　 「誰も死にゃしなかったんだよ！」
///////=＝<´;;;,,,,　　　　,': : ::|　　　　　　　　　／´ニﾆ_＞ .　　　　 /　　.ｲ /
/////ﾊ　 　 ハ;;;;;;; 　 　 ,' : : :.| 　 　 　 　 　 ,:': : :＼:::::::::≧ｘ ＼　 /　／ //
,'////　}　　 　 };;;'　　　 ,' . : : :.＼　　　　　　{ヽ__: : : :｀ヽ:::::::ーﾝ　:' ／　／　　　　　　 「誰のせいとは、言わねーけどよぉ」
/// |　,'　　　 /;;　　 　 ,' . : : : : :.个 .　　　　 ゝ-　_‐: __: :i:::::::/ .ｲ ./
/// | {　　　 /;;;;;;　　　,'. : : : : : : : : : : ＞ .　　　　　｀¨￢=ﾆ７:'　i /
///∧〉=ﾆ二、;;;;　　 ,': : l : : : : : : : : : : : : : ＞ .　　　　 　 , 'ﾚi　{′


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::／
　　　　　　　〈ミ>、　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /､／　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　./::::::／
　　　　　　　　ﾏ/ﾑ　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 （（○ ）　　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　/::::::/
.　　 　 　 　 　 ﾏ/ﾑ　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 （ﾉ､__）　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　 /::::::/
　　　　　　　　　 ﾏ/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　　　　　|⌒´　　　　 　 |　　　　　　　　　　　　　/::::::/
　　　　　　　　　　ﾏ/ﾑ＿_　　　　　　　　　　　　　　 　{　　　　　　 　 !　　　　　　　　　　　　 ./::::::/
　　　　　　　　　　　ﾏ/ /ーヽ　　　　　 　 　 　 　 　 　 ヽ　　 　r==＝＝┐　　　　　　　　　/:::／
　　　　　　　　　　　〈_//／二ヽ　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ　　|:::/￣￣ミメ、　　　　　　　 /／
　　　　　　　　　　　 r‐く__彡‐┤ 　 　 　 　 　 　 　 　 ,r‐┼=彡/｀ヾ_＿＿ﾍ＼　　　　　　 ^
　　　　　　　　　　　　ヽ/／二二ヽ　　　　　　　　　 ／ i:::: |:::::::::::::::::/:::::::::::::::::＼j　　　　　／i
　　　　　　　　　　　　人斥=气レ′　　 　 　 　 ／::|::::|:::: |:::::::::|::::/::::::::::::::::::::::::::｝　　　／::::::i
　　　　　　　　　　　　　∧丿∨∧､ 　 　 　 ┌く :::::::|::::|:::: }: r-ﾍ:/:::::::`ｰ==ニ二{__　　 i::::::／
　　　　　　　　　　　　 /／::::::::∨∧＼_,へ／::＼＼:ハ::}:::/::/::::::: ＼:::::::::`ｰ==ニ二{__　i／

　　 ／￣￣＼
　／　　ノ　ヽ､＼　　 剣を抜き払うことも、収めることも出来ぬまま
. |　　 （○）（○）|
. |　　　（＿人_）│
　| 　 　 ｀ ⌒´　 |　　二の句も告げぬままに
　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　　　　　/
　　 ヽ　 　　　/　　　やらない夫は、呆然と立ち尽くした
　　　.> 　　　<
　　　|　　　　 |
　　　|　　　　 |



　　　　　　　　　　／　　　　＼_i | .∧　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　〃　　 　 　 iヽﾊ　7,i',　　　　　､　 　 　 ＼
　　 　 　 　 　 /　　　　　　　i　＼7/,i',　　 i　　 ',　　　　　 ＼　　　　　　　　　「気は済んだか？　ったく脅かしやがって」
　　　　　　　 7　　　　　　　　i_,,-..､〃.i　　 i､　　 ',　　 　 ﾍ､　ﾍ
　　　　 　 　 i　 　 　 　 　 　 i　 　 　 .i　　.i. ＼　 ',　　　　ﾍ＼ ﾍ,
　 　 　 　 　 |　　　　 　 　 　 | 　 　 　 i 　.i_,.--＼ ',　　　 ',.ﾊ　＼ヽ
　 　 　 　 　 |　　　　　　　',　.|　　　 　 .i 〃´　 ＿Ⅵ 　 　 i　',　　｀`ヽ
　 　 　 　 　 |　　　　　　　 j　| _＿　 　 ',.7 7テ心.',.!　　　 i',　i　　　　　　　 　「ま、俺に無礼を働いた事はよ」
　 　 　 　 　 | i　 i　　　　 7i　!-匕`　　 .|i　弋zソ_ﾉ|　　　.i~ﾍ |_
　　　　 　 　 i.|!　.i　 　 　 iｨ', |'心ヽ　 　 |　 　 ¨´　.|　　　i i 7ヾ､,
　　　　 　 　 .i!',　i',　　　 7.､ ゝ-ｲ´　　　　　　　　　|　　 ,i_,--､<´
　　　 　 　 　 ! ', .|.',　　　i-､ヽ_　　　　　　 冫 　 　 |　7 7/ﾌﾃ >,＼
　　　　　　　　 ,.', !: ',　　 |　- ､￣ヽ,　　　　_, ノ　　.| 7:|7/ 　 i　vヾ:＞､　　　 「多めに見といてやっからさ」
　　　　　　,.イ::::::ヾ:::ﾊ 　 |,　　　',　 .ﾍ‐‐ '　　　　ノ,j.7::ﾘヽ,,,,,,,7'":::::::::::::::＼
　　　　　 7::::::::::::::::::::::',　 !::>,-====　 ',､　　　,.イイ:ﾘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　 　 　 i::::::::::::::::::::::::::ﾍ i::冫---､,　　 ﾊ√i'",-'":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
　　 　 　 |:::::::::::::::::::::::::::::ヾﾍr'O ヽ:::::>､ 7ヽ!_i___:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
　　 　 　 |:::/:::::＼::::::::::/:::ヽ ヽ　＞､_-､7____◯_i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
　　 　 　 |/::::::::::::::ヽ::/:::::::::::ヽ,ヽ /::7,ノ::::| i |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i

　　| 　 　 　 　 |　　i:::::|　 |::::::::::::::::_|　　　　　　　　　　　　 ヽ 　 |　　）
　 .|　　　　　　 |　　i::::::|　.|／_,-''" .ﾔ　　　　　　　　　　　　 |　 / 　/｀ﾞ''ｰ-､,_
　 |　　 　 　 　 | 　 i:::::::|　|,-"　　 　|　　　　　　　　 　 　 　 |／　 /
　.|　　　　　　 ∧ 　i::::::::| .|　Ｙ'⌒ヽ |　|　　　　　　　　 　 　 |　　/~""'''　‐-
　|　　　　　　　 ∧ ∨〃| |　弋__又.| .| |　　　　　　　　　　　|-‐'
　|　　　　　　　　∧ 〃:::| |　　　　,-| |'"|　　　　　　　　　 　 |／￣￣ヽ--
　.|　　 　 　 　 　 ∧ ∨ ||　､-''"::::::||:::::,| 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　「衛兵、こいつを国の外へ追放しな」
　 |　　 |　　　　　 "-, ヽ |:::::::::::::::::::::|:::::::.| 　 .||　　　　 　 　 |　　　　_,..､-''"
　 .|　　|　　　　　　　 |ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::| 　 | |　　　　　　 /_,,.-‐''"_,..､-''"::
　 .|　 ,||　　|　　　　　|::::::::::::::::　 　 　 　 |　 .| .|　　　_,,.-‐''"_,,.-‐''"::::::::::::::::
　　|　 |.|　 .| 　 　 　 ,′　　　 　 　 　 　 |　 |　|　／,_,,.-‐''":::::::::::::::::::::::::::::::
　　.|　| ,|　 ||　　 　 7　　　　　　　　　_,,, ,|　| .／／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　 | .|　|　.| |　　　く　　　-‐　 　　,／／ ,|／／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　 .| |　.|　| .|　　　　｀ﾞ''ｰ--、　／／　／／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　||　 .|　|　|　　　 　 　 ii | ￣＼　_/-'''":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　.|　　| .|　 |　　　　　　|||_,.．-'''":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ＼
　　　　　,＿ヽll_　　　　　|　　　　　　　　　|
　　　　　 ￣）　 ｀ヽ、 　 |　　　　　　　　　|
　　　 _　 　.'ー´＼ 　＼ |　　　　　　　　　|　　　こうして
　　　ﾔヽ、_　　　　＼　　|　　　　 　 　 　 |
　　　{ ＿　 丶　　 　 ＼ |　 　 　 　 　 　 |
　　　'′　＼　 ＼　 　　｀＼　　　　　　／　　　 やらない夫は国を追われた
　　　　　　　 ＼　 ￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ、
　　　　　　　　　｀ー──‐-＝､　　　 　 　 ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　 　 !
　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿/　　　　　　　|
　　　　　／　　　　　　　　＿　　 　 　 　 　 /
　　　 ／　　　x──/￣　　　　　 　 　 　 /
＿_／　　　／　 　 /　　　 ＿＿＿＿＞ ´
　　　　　／　　 　./　　 ／
ー─一´　 　 　 /　 　/
　　　　　　　　　 i　　　i
　　　　　　　　　 !　　　!
　　　　　　　　／ 　 ／



　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　 祖国の手により、見出された勇者は
　　　　　　　　　　　（○）（○ ） 　　　.|
　　　　　　　　　　　 （__人__） 　　　　|
　　　　　　　　　　　　(,｀⌒ ´　　　　 |´￣￣￣￣￣｀ヽ
.　　　　　　 　 　 　 　 { 　 　　　　 　|　　　　　　 　 　 ヽ＼＿＿　　祖国の手により、打ち捨てられた
　　　　　　 ＿＿＿＿.,{ 　 　　　　 /　　　　　　　　　　　＼＿＿）_
　　　　　　（＿＿＿＿｀ヽ_（ ￣￣ﾞ　 /￣￣￣￣￣￣ヽ､ 　　　 　 ）
　　　　　　　　　　　　　　　 ￣￣￣　　　 　 　 　 　 　 　 ￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　（○）（○ ） 　　　.|
　　　　　　　　　　　 （__人__） 　　　　|
　　　　　　　　　　　　(,｀⌒ ´　　　　 |´￣￣￣￣￣｀ヽ
.　　　　　　 　 　 　 　 { 　 　　　　 　|　　　　　　 　 　 ヽ＼＿＿
　　　　　　 ＿＿＿＿.,{ 　 　　　　 /　　　　　　　　　　　＼＿＿）_
　　　　　　（＿＿＿＿｀ヽ_（ ￣￣ﾞ　 /￣￣￣￣￣￣ヽ､ 　　　 　 ）
　　　　　　　　　　　　　　　 ￣￣￣　　　 　 　 　 　 　 　 ￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_ 　　＼　　やらない夫は、しばし呆けた後に
　　　　　　　　　　　（○）（○ ） 　　　.|
　　　　　　　　　　　 （__人__） 　　　　|
　　　　　　　　　　　　(,｀⌒ ´　　　　 |´￣￣￣￣￣｀ヽ
.　　　　　　 　 　 　 　 { 　 　　　　 　|　　　　　　 　 　 ヽ＼＿＿
　　　　　　 ＿＿＿＿.,{ 　 　　　　 /　　　　　　　　　　　＼＿＿）_
　　　　　　（＿＿＿＿｀ヽ_（ ￣￣ﾞ　 /￣￣￣￣￣￣ヽ､ 　　　 　 ）
　　　　　　　　　　　　　　　 ￣￣￣　　　 　 　 　 　 　 　 ￣￣￣

　 ＼　　　＼＼　 　 　 　 　 　 　 i {.　　 　 人　 　　　　}::::::ｒ　　　　　 腰に釣った
　　　＼　　　＼＼　　　　　　　　　'.　ー―　　` ---:::::::ﾞ.::./|
　　　　 ＼　　　＼＼　　　　 　 　 :|'.　　　　_＿ ....::::::::::::::/::|　　　　　　かつて、魔王を裂いた魔剣を抜き払うと
　　　　　　＼　　　＼＼ 　 　 　 　 !∧　　　　　　　 ::′/:::::',￣￣｀ヽ
.　 　 　 　 　 ＼　　　＼＼,．─‐ ‐|　／〉　　　　 　 ::／:::::/:::＼.l/:::::::＼::::!三三二ﾆﾆ==‐
.　　　　　　　 　 ＼　　　＼＼:::::::ヽ／／У￣￣¨ｰ──＜ :::::::/:::::::::_／::..:::::::|:::::::::::::::::::::::::::::
.　　　　　　　 　／.?＼　　　＼＼／／／　　　　　　　l　__　 ＼/:::::::７::::..:::::::::::/メ::::::::::::::::::..::
　　　　＿＿,メヽ:::::::::.＼　　　／／∨　__　...:::::l/　　　　 　 　 廴／::::...::::::::／:::/:::::::＿＿...::::::
´￣:::::::::::::::::::::ィ|:::::::::::::::.＼／／ 　/　 ..:ヾ:::::／　　 　 　 　 　 　 ＼──＜￣￣＞､::::`::::
::::::::::::::::::::::／:::j:::::::::::::::::／／　　 { 　 ..:::::／　　　 ..:::::::ノ　　 　...::::::ﾄ､　　　＼:::::::::::::..＼:::::
:::::::::::::::::::/:::::::.|::::::::::::／／i ＼ 　 |　 ...／　　 　 ..:::::／　 　 　 .:::::::::iミ､　..........＼:::::::::::::::
::::::::::::::::/:::::::::::|:::::.／／:::::::｀ヽ＼ ＼:::i　　　　..:::::／　　 　　..:::::::::::::::ヽ|｀ー-:::::::::::.....

　　　　　　　　　　　　　　　,ｌ
　　　　　　　　　　　　,.-‐''´ｌ
　　　　　 　 　 　　　 {　､　{ ',　　　　　　　　　　　　　　　_,.-
　　　　　　　　　　　　',　 T｀ヾ,　　　　　　　　　　　 _,.‐''´
　　　　　　　　　 　 　 '､_,ﾉ￣｀ヽ､　　　　　　　,.-''´
　　　　　　　　　　　　　 Y´￣｀'7 ＼_　　_,.-''´
　　　　　　　　　　　　 　 ﾞｒ―ｒ {　　　｀プ
　　　　　　　　　　　　　　 ',__ｧｒ'"T__／　　 _,,
　　　　　　　　　　　_,,..　-ｒ ―|｜!"´￣￣
　　　　　 　 　　 ／,. -―､ ヽ｜| |//／／
　　　　　　　　 /　´　　　　＼`! ! !/／-‐
　　　　　　 　 /　　　　　　　　ヾ!,.!'' ´


　　　　　　　　　　　　　自刀を、試みた

　　　　　　　　　　 　 　 ┌┐
　　　　　　　　　　 　 　 ││
　　　　　　　　　　 　 　 ││
　　　　　　　　　┌──┘└──┐
　　　　　　　　　└──┐┌──┘
　　　　　　　　 　　　 　 ││
　　　　　　　　　　 　 　 ││
　　　　　　　　　　 　 　 └┘


　　　　　　　　　　耐え難かった

　　　　愛する者達を救えなかったという事実

　　　人間と言う獣を野に解き放ったという事実

　それらは罪の意識となって彼の心を吊るし上げ

　　　　凍て付く刃となってその心を貫いた

　　　　　　　　　∧
　　 　 　 　 　 /∧ .
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |　　だが、いくら体に押し当てようとも
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |　　やらない夫の剣は
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |　　主の身体を貫くことはなかった
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　|,ｘ-.､|
　　　 　 [ ,二´.《Ｙ》.｀二､]
　　　　　　　　｀ﾞiﾐiﾞ´
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　 　 (0)

　　　　　　　 ／´￣￣￣￣ ｀＼.
　　　　　　／　　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　　/　　　　　 　 　 　 　 　 　 '.,
　　　　　|　 　___ノ'′　　 ﾞヽ､___　　 ..|　　　「何故、どうして」
　　　　　|　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 .|
　　　　　|　;;;（　○ ） ﾉヽ （ ○　） 　 |
　　　　　|　　.´"''",.　　　　 "''"´　　 |　　　戸惑うやらない夫に
　　　　　|..　　　（　　　 j　　　 ）　 　.l
　　　　　|　　 　 ｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　　 /
　　　　 .丶　　　　　｀ ⌒ ´　　　 　 /　　　囁き掛ける声
　　　　　 ヽ　　　　　　　　 　 　 　 /
　　　　　　 ヽ　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　ゝ　　　 ＿　　　／イ＼
　　　　　　／　　　　　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　 ／　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼



　　　　　　　　　∧
　　 　 　 　 　 /∧ .
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |　　「命を粗末にするんじゃないお」
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |　　「しっかりなさい」
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　|,ｘ-.､|
　　　 　 [ ,二´.《Ｙ》.｀二､]
　　　　　　　　｀ﾞiﾐiﾞ´
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　 　 (0)

　　　　　　　　　　　　　　∩＿
　　　　　　　　　　　　　　〈〈〈　ヽ
　　　　　　＿＿＿_　　　〈⊃　　}
　　　　 ／⌒　　⌒＼　　 |　　 |
　　　／（ ●） 　（●）＼　 !　　 !
　 ／ :::::⌒（__人__）⌒:::::＼|　　 l
　 |　　　　　|r┬-| 　 　 　 | 　／
　 ＼ 　 　　｀ ー'´ 　 　 ／／
　　　　　　　　　　　　　　.／: : ,;-‐: : : : :.＼: : : :＼
　　　　　　　　　　　　　./: : :./: : :./: :.|.: : : :.＼.: : : ヽ
　　　　　　　　　　　　 /: : :.:/ : : /: : /＼.: : : :.＼',: : .',
　　　　　　　　　　　　!: :/ / : : /: :ｲi 　　ゞ=へ、: :',: :',
　　　　　　　　　　　　.|: :|: :|: : /.|　ﾊ.!　_,,-‐‐-　| ﾊ ', i
　　　　　　　　　　　　{: :{: :{ -十ﾄ/ ﾉ　　-,___...､,,ﾄ| !| ' }
　　　　　　　　　　　　.|: :|: :|: : |≠;,｀　　　|r';;;;;}| !.|ﾘ!: :|
　　　　　　　　　　　　 |: :|: :|: :||r';;｣ 　 　 "￣　ﾞ　!::| .,'
　　　　　　　　　　　　 ｝ |: :ﾊ: {l´¨　　､　　　　　/ﾘ:|:,'
　　　　　　　　　　　　 .|八.|､ゞヽ、　　 -　 '　イ／|:y
　　　　　　　　 .　　　　 　 Vへ:: ', ミ ≧‐-<　.|ゞ/／
　　　　 ／　　　　　　ヽ ヽヽ
　　　, 　 /_,　-─ - 　_',　 ', ヽ
　　/　 /,´- '' ´ ￣ i ｀ t!　　,　'
　 ,' ,' ,'´ ! /|　　|', 　!.　 !l　　l　;
　 ! l　| , 什 ',|,　|弋十,　!| 　 |　l
　　| ﾄl,',-,t=､i ヽ!;=tｭ､,ゝ|.　 ,!　'
　　i |　{ ､ﾋｿ)─(. '､ﾋソ)t!　/ri ｀;　　　　　　　　　　　　　 ,、　　. : :´: : : : : : : : :': : ｀:/-.||
　　 ',､ ｀i￣´ ､　￣￣´ / /t'′ ;　　　　　　　　　　　,、　||｀:´: : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ||ヽ
　　　 ヽ　 ､ 　 ｰ　　,　' ､'/,_'!λ　　　　　　　　　　　 ||＼l/: : : : : : : : : : : : ＼: : : : : : : :i; : ＼
　　　　|丶> ＞-,_ヽ　/ '/i!/　 ｀ヽ　　　　　　　　　 /|l､' : : : : : : : : ; : : ､: : : : ＼: : : : : : :i; : : :ﾐ=-
　　　　',ノ/,:i　 !i!､｀l「i'／i| i.　　 　i　　　　　　　_,,ノ; : /: ; : : : : |: : :|､: : ヽ; ;斗七､: :i: : : : i: : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/; /'i: |: : |: :_|i-‐|l.ヽ: : :i, ＼: :＼: i: : :|: |: : : : :､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／/: :/: :|: : |:´ |.i: :|.|　＼: i　　 ＼;i｀|: : :|,:|: : : i､:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: /;〉: ;|; : |; :| ヽ:|　　　｀'　 z＝=，|: : :|ﾘ: : :|:|_i:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 　 　 |: ´: :ヽ|:i; : |ヽ　 ,z=，　,　　　....:::　|: : |': :／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : ; : ヽ|ヽ|〉､彳　　　　　　,　　　|: : |ヽ;
　　　　　　　.　´ 　 γ⌒　　　　　　　 ヽ.　　　　　|: : /|: : :|; : |`:i､:::::...　　弋_ノ　　, l|: :/　 i
　　　　　　/　　　　｜　 　 　 　 　 　 　 ’, 　 　 　 |.:/　i: :/ ∨|: :| ゝ　,　＿ _,。≦|_,|.:/ｘ--､i
　　　　　 ′/　　　 |　　｜ 　　　ヽ　　 　 .
　　　　　ｉ　｜l 　　λ　　| 　 l　 　 |　　ｌ
.　　　　 ;　　!｜､ﾊi　‘､　ﾄ､　|＼,ヾ|　　|ｚ　j
.　　　　 l　 　！{≧ｘ、 ヽ|　`ｔヒくx | 　 ｊ々 |i
　　　　 ij　 、 ∨￡ﾊﾞ　　 　 ￡ﾊヽ!　 /7ｌ ﾊ!
　　　　ﾉｌ|　 ＼{　辷ﾘ　 　 　 辷ﾘ　|　/ｲﾉ/ {
.　　　　 ！　　|｀ """　 　 　 """　| /´//
.　　　　　　、　|ト　　　ー ‐'　　　イ/ 　/
　　　　　　　＼|ﾍﾊ/〕　‐-‐　〔ﾉノイ}／



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それは手にした剣から

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　父、母と姉の声として

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やらない夫の耳に届いた

＿　＿　＿　＿　＿　＿　＿　＿　＿　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／/
　　　　　　　　　　　　,ｲ　　 ／:::/-―――ｧ
　　　　　　　　　　　 /::{　／::::::::::::::::::::::::::::::｀ｰ―‐-.､　, -―く}
　　　　　　　　　　　 {::: ﾚ′::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ⌒ヽヽΛ　 }
.　　　　　　　 　　 ／:ﾉヽ:::::::::::::::::::::::::ｧ::::::::,ｨ::::::ヽ:::＼　　ゝ'==ﾊ　　　　『お前の剣が魔性を帯び』
　　　　　　　　　 ムｲ::::::}＼:;;;;;:,-'"´〈:::::／/:::::::::::＼:: ヽ 、　　 i}ヽ
.　　　　　　　　 / /::l:::::,′ {　ヽ　 　 ／／ﾌ7:::::::::::: ヽ 　 ＼ 　i|　}
　　　　　　　　　　| :/}/トミヽ　 r― '∠／ ＞ﾐ::::::::ﾄﾐ::::..　 　 ヽi|　|
　　　　　　　　　　j/　 ｀弋ﾃﾐ　{ rッフ/ ＜/ﾊ/::::::从 ヽ:〉　　　 }　}　　 『お前の最も望むものへと擬態したとしても』
　　　　　　　　　　　　 Λ　´l　｀￣￣{ヽﾊ}ｰ:':::::从::::.　　　ヽ　/　′
　　　　　　　　　　　／/Λ　L _ 　 　 |从ﾉ ヽ::/＼ヽ:〉　 　 ∨　/
.　　 　　 　 　 　 ／￣＼ 厶=≠=ミヽ ／/／〉＼　ヽ　　　 /　/
　　　　　　　　／ー-ﾐ 　 ヽハ｀¨´　／　ﾉﾘ / ／l》、 》、　/　/　　　　　『何一つ、不思議は無いということだ』
.　　　　　　／ 　 　 　 ＼　∨ ー＜辷彡'く／／/〉》　》､/　/
.　 　 　 ／-―-ミ　　　　V∧ 　V》 　　} { ｀´／/　ﾞ》 У　/}
　　　／　＿_　　　｀ヽ　　 V∧ 　V》ｰ‐'　ｰ '　/ 　/ 》/　/Ｘ〉
　 /⌒ｰ〈 　ノｰムﾊ　》、 　Ｖ∧　 V》ｰ――v′ /　Λ 〈Ⅹ|



＿　＿　＿　＿　＿　＿　＿　＿　＿　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣　￣

　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 / 　'
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　'
　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　 ',
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　〃 ﾞ 　 |
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.τl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ..ｕ.l|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.κl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ιl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.νl|　|　　　魔剣の真髄
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ιl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.μl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ..ｕ.l|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ρl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.αl|　|　　　それは、持ち主の意思を読み取り
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.κl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ..ｕ.l|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.μl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.οl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ηl|　|　　　欲する物を模倣する能力にある
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.αl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.νl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.αl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.νl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ιl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.κl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.αl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ζl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.εl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 レ'"二 ヽ.|
　　　　　　/￣￣￣￣￣´ 《::.Ｙ.::》 `￣￣￣￣￣ヽ
　 　 　 　 ｉ＿, -―――‐-､.｀'‐'´ ,.-―――‐-､＿ｉ
　　　　　　　　　　　　 　 　 ∨＾∨
　　　　　　　　　　　　　　 　 |三ﾞ|
　　　　　　　　　　　　　　 　 |三ﾞ|
　　　　　　　　　　　　　　 　 |三ﾞ|
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　　　　　　　　　　　　　　 　 |三ﾞ|
　　　　　　　　　　　　　　 　 |三ﾞ|
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　　　　　　　　　　　　　　　　>　<
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,':⌒:'.
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ' ::_:: '

　　　o
　　　　ゝ;:ヽ-‐―ｒ;;,　　　　　　　　　　　　　　 。
,,____＿冫;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＼　　　　　　,,,,,,,,　o　　／
"｀ヽ;:;:;;;:::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:从　　　　（;:;:;:;:ヾ-r
　　　〈;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:）　０　　ソ;:;:;:;:;:;:;:｝
　　,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ　　　　 ゞｲ"ヾ,:;:,ｿ　　　 つまり彼が今、最も望んでいるものは
　　(;:;:ノｒ-´^~;;r-ー⌒｀　　　　,.、
　　"　　,,,,　　　　　　_;:;:⌒ゝｿ;:/　　　　　　　 現実から逃れるための死ではなく
　　　　（;:;:丿　　　　（;:;:;:;:;:;:;:;:;:)
　　　　　　　　　　　　ヾ;;;;;;;;;;;;/;　＼
　　　　　　　　　　　　´　　/;:ﾉ　。　　。
　　　　　　　　　　　　　　　　（）



　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::/:/:/――v':X::::::}ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｰ=ｨ':／/;ｲ:/　　　/;/　｀Yヽ:j､
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,';ｨ′!' .|'_.ｨ┬‐{'卞､lヾj_人::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　从}　,|≦!ﾙ' i! ミ､_　l'　 ｿ|` }!　　　　　＿＿＿_
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 人小､|' 　　　　　　 '^y' /:j　　　 ／_,r'　 ' !､＼
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 从;∧! 　 　 ､　　jヾﾑ'/ﾘl　　／（≡） 　 （≡）＼
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,-‐/ 　 ＼ 　 ｰ｀ 　 ﾉjﾙ' ｎ／ ::::⌒（__人__）⌒::::::＼
　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,‐‐､／　く　 　 　 >､ -‐≦／　 ｙ |　　　　　|r┬-|　　　　　|⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　＼＿　　　`ー'ｫ 　　 　／/
　　　　　　　　　　　　　.． -――‐:::..　　　　　　　　　　　　＼ 　 　 　 　　　　　 ￣ ／
　　　　　　　　　　　／::::::::≠＝＝トミヽ、
　　　　　　　　　 .:::::::::::::〃:::/:::ﾑ:::}＼ヽ:::.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ´ :::::: ::::: ｀　 、
　　　　　　　　　/::::::::::: l:::l::/:::/_ }/ ィTV::}　　　_ﾉ ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ :::i::: ::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　/:::::::::::::::,l:::l〈ノィT　　l::j　}′ ／}_}一'.　　　 ∧　/´Y　　　　/:::|　 ,ィ　　　　/:::::::::::|::::ヽ.＼::::: ＼:::(__.): .
　　　　　　　 /:::::::::::::::（ l:::| 　 l::j　　　　 )Υ　 j　　　　　 〈:::::i＞ : :´￣ ｀/::::::レ':::|　　　　.' ::::::i::ｌ::ﾄ、::: !:::i,:ィ´jハ ::::::: i
　　　　　　／::::::::::::::::::::::l:::ﾄ､ ＿＿_　..イ 　 ／　　　　}｀ヌ´: : : : : : : : : ＼::::Y::::ﾒ.　　　.　i:ｌ:::i: l十ト.ヽ::i:::llテ.ぐ:::ト. :::: |
　　ｰ==≦:::::::::::::::::::::::::::ﾊﾘｰト‐‐イ / ＞ ´　　　　.ィ´: :i:i: :l: :/!: ﾄ､: ﾄ、: :く::ﾒ:::く:::ス　　　从::i: ｌ:ﾙ〒k从ﾘ|必}ﾊ: |ノ::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| : : 从:.|ィナﾉハﾅﾉﾒ、: ﾊ∨: : : :ヽ　　 |:!::l::ﾊ i以!　 """ｌ|: ﾘ:::i:::::ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: :∧人| ○　　 ○　l|: :ﾄ.!:l: :i: : :ﾄv　　|:!::l:::人""　　　　ﾘｲルレ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　. 　ﾚ'从j:.:〈 "" 「￣ |"" |: lﾚ从.:i!: :ﾘ　. 　 从ハﾙ〕ト -号≦ル⌒}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 从ﾙ＞┴r‐┴≦ﾚﾙ　ルレ'　　　　　　　　　　( y'´　 ／⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 介/⌒ヽ


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　自らを許容し、暖めてくれる家族と言う存在

　　　　　　　　　　　　　　 ,.ィ┬ 、
　　　　　　　　　　　　　_,r{ ll~「r'⊆ヽ､　　　　　　だが
　　　　　　　 ,.　-＜フ´ {‘　　{`弋ﾆ {
　　　　　　, 　　　　 `､Λ}､_　ﾉ:::::::ﾌ ﾉ　　　　　　力を帯びた剣が
　　　　　/ 　　　　　　}　､}　　{:::イi　{
　　　　 ,'　 ﾍ 　　　 ｀''V.,'　　 i´_Ｔ　 ｌ　　　　　　 声真似をしたところで
　　　　,'　　　 ヽ　　　　ｿ　 　 ;　/ｌ　　V
　　　　}　　` 　 ’､　　 /　　　,／::|　　 ',　　　　　一体、なんの慰めになろうか
　　　　i　 　ゞ、 ∧　'´ 　 　/ へy　　　',

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ___＿＿____
　　　　　　　　　　　　　 　 _ .-‐'''"￣　　　 ＿_,,._￣ﾞ"'''‐- ,._
　　　　　　　　　　 　 , -'"　　　　　　_, . ィ"　　　 ￣ﾞ"''ｰ-､　"' ､_
　　　　　　　　　 , -'"　　　　　　　　"ー――-- ､,＿　　　　"''-､. "' ,_
　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝ、　　　　　｀ヽ、.＼
　　　　 　 ,／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞヽ,　　　　　　 ＼.＼
　　　 　 ／　　　　　　　_, -''"ｰi　　　　　　　　　　　　　 ､｀ヽ　　　　　　 .ヽ ヽ
　　 　 ./　　 　　　　　/　　　　 ﾒ ､,　　　　　　ト=-､_,_._　 ヾ ＼ _　　　　　 ヽ .ヽ
　 　 ./　　 　　　　　Y　　　　 /ｿ ｰィi　 ,、ノ) ふ ,ﾆ ,ﾐ､ ｀てゝ､-くヽ　　　　　.ﾍ　i,
　 　i' 　　　　　　　 ,ｲ　　　∠ζ　ぇゝ、　.!_ j えー'. 　　　 ゝ,.｣./　 ﾞゝ- ,_,､　 . i　 i
　　l　　　　　 　 γ"　　　 .! ｆ',ァ 　 く”　　 ﾞ ﾞ"'ﾔ　　 _　　　_,､ﾉ　　　　 　 ﾍ 　 ﾞi　 i
　 i　　 　　　　 ./　　　　.,ｲﾞ"　　　　 "''ｰ'､_,_. _（, ｨ"~　ﾞｰ''"ﾞ´　　　　　　　　ﾞi　　l　.i
　 ! 　　　　　 ,/　　　　 /　,ｨ　　　　　　　　 _,.xィﾞ,ﾉ　　　　　　　　　　　　　　 .l　　!　i
　l　　　　　　iﾞ　　　　　ゝｰ､　　　　　　　　,ｨ!,."　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　 ,!　!
　!　　 　　　 l　　　 i'"＾　　 ﾞ'7　　　　　か,ｨj"　　　　　　ｧ　　　　　　　　　　　 l　Y　 l
　l　　　　　 .l　 　_丿　 　 　 !ｨ"ﾞч ,-ィﾞ ;"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　 ｌ　 l
　.!　 　 　 　 ! 　 ,! j'7　　　　　　､ﾒｰ' ＆　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,i　,ｉ　 l
　 !　　　　 　 !_,/　ﾄ'　　　　　　　ゝﾐｼァ -ｪ､,. , .　 　 　.　　　　　　　　　　　　!　/　 l
　 .l　 　　　　　　　　　　　　　　　　　￣ン‐.ｿ､　 ' :　　　　　　　　　　　　　　./ /　 .!
　　 !　　　　　 　　　　　　　　　　　　「~　_　　ﾞヽ　　　　　　　　　　　　　 　 /./　　,!
　　　!　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞ"~　｀ｰｲ　　ノﾞ　　　　　　　　　　　,ｨ'/　　./
　　　 ﾞ､　　　　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ｨ'ｿ"　　/
　　　　 ﾞ 、　　 　　　　　　　　 _,　,..　--‐ー- ､._　　　　　　　　　　　／"　　 ,.'
　　　　　 ＼　　　　　 　　　　 ゝ　　　　　　　γ", --､　　　　　　／'　　　 ／
　　　　　　　＼ 　　　　 　　　　ﾞ､_　　　　　 　 ﾞ´__,　 ﾌ　　　　　 ",.　 　／
　　　　　　　 　 ﾞ-、　　　 　　　　　"''ｰ--‐'ﾞ"￣ ー-ァ､　　　　　　 .／
　　　　　　　　　　　"'- _　　　　 　　　　　　　　　　　　　 　 　 _, -'"
　　　　　　　　　　　　　　"'‐- .,_　　　　　 　　　　　　 _,.　-‐'"
　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 ~ﾞﾞ"'''''''――''''''''"ﾞ


　　　　　　　　　　　　　　　　　彼が最も愛した者達は

　　　　　　　　　　　　　　　最早この地上の如何な場所にも

　　　　　　　　　　　　　　　　　存在し得ないのだから

　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　　　 　 　/ヾ)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/,;;;/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __.　 /,;;;/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ヽ＾/,;;;/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝ　-''ヽ
　　　　　　　　　 　 　 　　　　　　　 　/.::/.ゝｰ'
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　　　 　/.:://
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/.:://
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　/.:://
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　　　 /.:://
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /.:://
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　/.:://
　　　　　　　　　　　　　　　　/,;;//
　　　　　　　　　　　　　　 　 ";;;;;;;
　　　　　　　　　　 　　 　 　 　 ;;;;;;;;
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ;;;;;;;;;
　　　　　　　　　 　 　 　　　 　 　 　 　 ;;;;;;;;;


　　　　　　　　やらない夫は、自分の剣が用を成さないと悟ると

　　　　　　　　　　　　　　それを大地に深く突き刺した

　　　　　　　, -―- ､
　　　　　　/　　　　　＼
　　　　　 /　　＼_　　　|　　　　　そして、幽鬼が如く
　　　　　(○) （○）　　 |
　　　　　 (_人__)　　　 /
　　　　　 l｀⌒´　　　 /　　　　　　覚束ない足取りで
　　　　　　|　　　　　　ヽ
　　　　　 __!､＿___／　　＼
　　　　／､ ヽ　　　　　r ､　ヽ　　 宛てなく
　　　 ﾊ ヽ Y｀l　　　　 |　 >　 Y
　　　{　ヽ_ゾﾉ　　　　　|　ﾚi i i}
　　　｀¨´　　ヽ　　　　ハ　 `'''　　野を彷徨い始めた
　　　　　　　　 >　　 /　ﾍ
　　　　　　　　/　　/ヽ　 ﾍ
　　　　　　　_,/　　/　ご_ノ　
　　　　　　（　ヽ　/
　　　　　　 ＼__ノ

i　　　　/　　　　／　|　 ＼|／
|　　　　　　　／　　　＼／
　　 /　　 ／ ,へ　　　　　　＿--　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 (
＼　　 ／　　 Υ　 -─ ￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(´~
　 ヽ　　　　-‐ ￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(´⌒´"
.　　|　　　──　──── ─ ─── ‐‐ ‐　　　　　　　　 ゝ-'´⌒´ (　（,,,,,
　 /　 　 へ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (´⌒''´｀´　　　(,,,,,´(⌒ヽ
／　　　ゝ　　 ヽ　　　 ヘ　　　　　 　 　 　 　 　 (´~'　（´( (⌒` （´⌒´
　 ＊＼　 ＼　　　 ヾ　　　 　 　 ヘ 　 　 　 　 　 ￣￣`ｰ─── ─- - ---
　 ヾ ＊　　　　＼　　　　 ヽ　　　　　　　　ヘ
l　　 ＼ △　　　　　＼　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　ヘ
| 　 ､ 　 　 .,へ　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　 丶
　 　 t 　 　 Υ　 ＼　　　　　＼　　　　　　　丶
.|　 　 ヽ　　　　 .,ゝ､ 　 　 　 　 　＼　　 　 ゝへ、
.|　　 　 ＼　　　l 　 l　 ＼　　　　　　 ＼　 l　　　l
　|　　　　＼　　 ｀ ´　／＼＼　　　　　　 ヽヽ ／
　|　　　　　　　 　 　 |　／ |＼＼　　 　 　 　 丶　　 　 ／＼ ／＼
　|　　　　　 ＼　　　 ＼|／　　|　 ＼　　　　　　　　 ／　　／＼　　＼
　|　　　　　　 ＼　　 ヾ ＼　／ 　 　 ＼　　　　　 　|　 　 |　　　|　　　|
　 |　　　　　 　 ＼　 　 　 ｀´ 　 　 　 　 ＼　　　　　＼ 　 ! 　 　 　 　 !

　　　　　　　　　　　　　　焼け付く眼差しの太陽



:::::::::::::::::::::::::::::::::....　　 　 　 　 　 ::.::.::.:（　　　,.-
　 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::....　　　 　 　 　 　 :.:｀￣: : :
　　　 :.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::....
　　　　　　_ _＿:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::....
:::.. :::..　　 ｀ヽ、｀＼:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::....
::::.. :::::::..　　　 ｀ｰ､ ヽ,＿:.:.:.:.:.:.:.:::::::::...
::::::.. :::::::::..　 　　　 ,> 　└―‐‐ ､:.::::::::::...
::::::::.. :::::::::::..　　　'‐、 「´￣"''ｰ､ ＼:.:::::::::..:..
:::::::::::.. ::::::::::::..　　　 ｀′　　　　　｀゛｀ :.::.:.:..:.:.:.:...
::::::::::::::.. :::::::::::::..　　　　 　　 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:::....
　　 , ⌒ヽ:::::::::::::::..　　　　　　. .. ...::.:::　　　 ＿＿__ .:::...
丶''′　 /　:::::::::::::::::.. 　　　　　 　 __┌‐ｰ'´,--‐'"´ :.:.:.::....
　　　　（　　 :::::::::::::::::::....　　　 　r'´_,.-‐-、''ｰ、 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.....
　　　　　`‐' ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::..　,ｨ'´''"´　　　 ﾚ'"´ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::....
　　　　　　　丿:::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::..　　　　　　　 : : : : : : : : : :　:　:　:　: .
　　　　　　　ヽ___ノ´￣￣｀ｰ､　　　　　　　　 : : : : : : : : : :　:　:　:　: .
　　　　　　　　　　　　　　　　 ）:::..　　　　　　　 : .　:　:　:　:　:　:　:　:　.
　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::.:.::..
　　　　　　　　　　　　　　　（_::::..:.:.:.::..
　　　　　　　　　　　　　:.:.:.:.:.:..:.. :.:.:.:.:.:.::..
　　　　　　　　　　　　 　 : : : : :::.. :::: : : : :..

　　　　　　　　　　　笑いさざめく鳥の群れ

　　　　　　　　　　　隣には、誰もいない

　　　　　　　　　 ／ ￣￣ ヽ
　　　　　　　　　/　　_ノ　　ヽ＼
　　　　　　　　　l 　（ ○） （○）l
　　　　　　　　　l　　　（__人__） i　　　 やらない夫は、ただ独り
　　　　　　　　　l　　 　 ｀⌒´　 i
　　　　　　　　　i 　 　 　　　 　 }　　　 昼夜問わず
　　　　　　　／⌒ヽ　　　　 　ノ
　　　　　 ／　 　 　 ＼ ー‐　/ ｀i　　　休む事無く、食べる事無く
　　　　／　　　　, ⌒ヽ ヽ 　/　/
　　　ｒ´　　　 ／　　　　＼ ヽ /　　　　思考なく歩き続けた
　　 {　　　　< 　　　 　 　 (__ﾉﾉ
　 　i 　/＼　ヽ 　 　　　　 | |
　　/　/　　＼　i　 .　　 　 | |
　 (＿ )　 　 (＿ヽ.　 　 　 | |

: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:|　　l　 　j: : : : : : :
　 　 　 　 　 　 　 　 　 : : : : ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　　{´　｀}: : : : : . . . . . . . . . . . . . . . . . .
　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : 　.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',　　.　　 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 . 　 ', 　,'　　　　: : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :.　 l´ ﾍ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Y j　　}: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . . . : :rj :{　　j: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 : : : : : : : : ゝ人;_ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 :　: : : : : : : : : : : ≠ : : : : : : : : : : : : : : : 　　　: : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　 . : : : : : : : : -＝‐　_: : : : : : : : : :　　　　　　　　: : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　 　 . : : : : : : -= =‐ ,-=-: : : 　　　　　　　　　　　　　: : : :
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 : : : : : : ‐=ﾆ=‐　-=ﾆ=-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　‐＝ﾆ二三二ﾆ＝- _
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ―＝ﾆ二三三二ﾆ＝―　　　 　 -=ﾆj
　　　　　　　　　　　　　　　　　-＝ﾆ二三三三二ﾆ＝-　　　　 -=‐´
　　　　　　　　　　　　　　　　　―＝ﾆ二三三二ﾆ＝―　　 -＝‐
　　　　　　　　 　　　　　　　　　‐＝ﾆ二三三二ﾆ＝-　 -=ﾆ=‐
　　 = 三¨ー＝―　　　　＿　‐＝ﾆ二三三二ﾆ＝― .-=ﾆ=‐
　　　　　　　　　　―＝ﾆ二二三三三三三三三二ﾆ＝―
　　　　　　　　　　　　　‐＝ﾆ二三三三三三三三二ﾆ＝‐
　　　　　　　　　　　　　‐＝ﾆ二三三三三三三三二ﾆ＝‐
　　　　　　　　　　　　　 ‐＝ﾆ二三三三三三三二ﾆ＝‐
: .　　　　　　　　　　　　　　　　ﾆ＝ﾆ二三三二ﾆ＝― -
: : .　　　　　　　 　 　 　 　 -＝ﾆ二二三三三二二ﾆ＝‐　　　　　　　　　　　　　. :
: : : : . .　　　　　　　　　　―＝ﾆ二三三三三二ﾆ＝一　　　　　　　　　　　. . . : : :
: : : : : : : : : : .　　　　　 ―＝ﾆ二三三三三二ﾆ＝―　　　　　　　. . . : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : . .　　 　 ―＝ﾆ三三ﾆ＝―　¨¨　　　　 . . : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : : : : .　　　　 ￣ ¨¨ ￣　　　　　. . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :


　　　　　　　　　　　　　　　　　　歩みながら尿を垂れ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　糞をひり出した

　　　　　　　　　　　　　　　　　　汚物に塗れた太股を

　　　　　　　　　　　　　　　　 　半ば無意識に動かした

　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　 　 |　　　　　 　 　 .|
　　　　　　　　　|　　　　　　　　 |　　　　　　　　　どこへ向かっているのか
.　　　　 　 　 　 |　　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　ヽ　　 　 　　　/　　　　　　　　　 どこかへ向かえるのか
　　　　　　　　　　ゝ　　　　　/
　　　　　　　　　 i´　　　 　　 ｀1　　　　　　 　 　 分からなかった
　　　　　　　　　 |　１　　 　 |　|
.　　　 　 　 　 　 |　|　 　 　 .| .|
.　　　　　　　　　ヽ､!.　 　 　 l/
　　　　　　　　　　　Y⌒L､　｛
　wwv ,,....,,　　,,vv... l__/ _|＿} ｗｖ ...,,.



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 ｆ　 | ,.‐，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　（ ＼　　　}-' |{_ │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　＼ ＼　 |_　|{. │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ＼{　 |　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　ヽ　ヽ.（＼.!
　　　　 　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　 ＼＼
　　　　　　　　　 　 　／　 ヽ､_ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 ﾉ￣　ヽ.　ヽ |.
　　　　　　　　　　　（○）（○ ） 　　　.|　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　__／　　＼／￣ ﾉー-----一……､
　　　 　　　　＿＿＿（__人__） 　　　　|　　　　　　　　　　　　　　 .　 /￣　　-─ ､__}　　　　　　　　　　　　 　 ＼=-‐　'￣￣＼￣
　　　　　　　（＿＿＿(,｀⌒ ´　　　　 |´￣￣￣￣￣｀ヽ　　　　　　 ‘一'´　 　 　 　 ヽ---＜　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　￣
.　　　　　　 　 　 　 　 { 　 　　　　 　|　　　　　　 　 　 ヽ＼＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀’＜　 　 　 　 　 　 ヽ--
　　　　　　　　　　　　.,{ 　 　　　　 /　　　　　　　　　　　＼＿＿）_　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀’＜___,ノー-＜　　　　--､
　　　　　　　　　　　　｀ヽ_（ ￣￣ﾞ　 /￣￣￣￣￣￣ヽ､ 　　　 　 ）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ー─i'⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　 ￣￣￣　　　 　 　 　 　 　 　 ￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ただ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　失われた安息を求めて

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　形無きものから逃げ続けるだけ

　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　 ／　　 _ノ:::::::＼
.　　　　 　 |　　　 （ ○）（○)　　何日か歩き続けた時に
　　　　　　 |　　 　　（__人__)
　　　　　　 |.:.:.:.:.:　　｀ ⌒´ﾉ
.　　　　　　 |.:.:.:.:.:.:.:　　 　 }　　　やらない夫はついに
.　　　　　　 ヽ.:.:.:.:.:　　 　 }
　　　　　　　 ヽ　　　　　ノ
　　　　　　 .／.:.:.:.:.:　　　　ヽ　　膝を折り
　　　　　　 |.:.:.:.:.:.:.::　　　　　|
　　　　　　 | 　 i　　　　　　l .|
　　　　　　 |　　|　　　　　　| |
　　　　　　 |　　|.:.:.:.:　　　　| |
　　　　　　（__ソ.:.:.:.:　　　丿_ｿ
　　　　　　　　il|　　　ト-i　 |li
　　　　　　　　il|　　　|＿|　 |il　　　　　　:;:;:;:;
　　　　 il/⌒ー　　 丿　 __/il　:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
　　　　ilヽ＿ヾー´　ヽ-イi　:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
　　　　　　　:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;



　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　,,;''￣　　￣ヽ　　　　　　　　母なる大地に身を投げ出し
　　　　　　　　　　　　　　,;'´　　（○）　（○）
　　　　　　　　　　　　　 '､,　 　　 （＿人_）ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　 ｀ ⌒´　　ヽ　　　　　　　父なる空を見上げた
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　　　　　　 ）　　　(⌒ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　　　　　　ノ 　 　 と　,ｨ_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＿`-/::..　 ｀　　　⌒ ￣￣｀　　 >　　心身ともに消耗し
　　と⌒ヾー―――― ⌒　　　　　 ￣｀´￣　 　 ｲ　　 - － ´
　 < ゝ　/､＿＿＿＿_　 　 　 ヽ､　　 　 　 　 　 　 ヽ'
　　 く／　　　　 　 　 　 ￣｀ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 ∨　　　　　　　立つ事すら、ままならなかった
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　 　 　 　 　 　 　 丶　　　　　　とうとう死ぬのだろうと、ぼんやりと考えた
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 　 ―――‐ ､　　　　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　／　　　　 　 　 ＼　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　/ 　 　 ／　　　　　　　　　　 ＼　 　 　 ヽ　　　 ,.-､
　　　　　　　　　_　　　 ／　　 ／　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　｀ ｰ ⌒ヾゝ
　　　　　　　　 { ｀￣　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　 　 　 　 　 Ｙﾗ
　　　　　　　　∧　　　 　 　 ｌ　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ゝ　　　　　　　ノﾉ
　　　　　　　　　 ｀ ー――‐'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ￣￣￣￣

　　　　　　　 ／´￣￣￣￣ ｀＼.
　　　　　　／　　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　　/　　　　　 　 　 　 　 　 　 '.,　　次第に視界が霞み、思考が滲み始める
　　　　　|　 　___ノ'′　　 ﾞヽ､___　　 ..|
　　　　　|　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 .|
　　　　　|　;;;（　○ ） ﾉヽ （ ○　） 　 |
　　　　　|　　.´"''",.　　　　 "''"´　　 |　　混濁して行く意識の中で
　　　　　|..　　　（　　　 j　　　 ）　 　.l
　　　　　|　　 　 ｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　　 /
　　　　 .丶　　　　　｀ ⌒ ´　　　 　 /
　　　　　 ヽ　　　　　　　　 　 　 　 /　　　彼は、思った
　　　　　　 ヽ　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　ゝ　　　 ＿　　　／イ＼
　　　　　　／　　　　　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　 ／　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼

　　　　　　　　　　　　　　 _..-ｪｒｔlllｯ=ｌ=4ｮｮ＿_
　　　　　　　　　　　　_..ullXj广｀ﾍ ヽ　　 "i:;:;:;:;:ｮ 、
　　　　　　　　　　,r'フ’丿.. ＼　/ l　　　　 i::;:;:;:;:;l'、
　　　　　　　　　''’〃‐''广´　　｀,ｬｮｔｔｔｮｮｪ、ﾞl:;:;:;:;:;:;:;:l、
　　　　　　　　　　 j－--... 、/（llllllllllllllllll）'、i::;:;:;:;:;:;:;ll'、
　　　　　　　　　　 l 'ﾆｴｴ./.　|　ﾞllllllllllllllllヽ　　":;:;:;:;:;ll'、　　 自分は祖国の手により
　　　　　　　　　　 |￣　　/─＼｀ﾞﾞﾞﾞﾞ"""　＼ 　lム"ヽ
　　　　　　　　　　│　　 /!!!!!!!ワ　　　　　 ｨ'"t_|lﾞT'、|
　　　　　　　　　 :jll Y　 　..,,,,,,,, 、,,,,,,,　　　′ ﾞ'〈| }lｿ丿
　　　　　　　　　　ﾞl　|　　jiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiil∟　 、　　　{_:;:;|　　　　勇者として見出され
　　　　　　　　　　　ﾞl、 _ jl广´｀　　　｀ﾞ`ｰ ヽ　　 !:;:;:;l
　　　　　　　　　　　 ﾞlt 1'´　 n==lｔぃ　　　/ ﾉ　 ''l:;:;|
　　　　　　　　　　　　 ﾞl ゛ ''┘　　 ｀丶　　　　　　丿 '、
　　　　　　　　　　　　 'ﾞl'、 _,,_..＿..＿__　　　 __〃 　 ﾞ!
　　　　　　　　　　　　　ｌ　/::::::::::::::::::::::::＼]}Iilｔlillllﾆ_..uuuj
　　　　　　　　　　　　　j｀｀ﾞﾞ－－""""""::::::::::::::::::::::::::::::L'
　　　　　　　　　　　 _ｮ:::::::::://|.|ｌ //ﾞlﾞl　　　::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　 l┌┐//::::|.l:://::ﾞlﾞl,-----ーーーーt:::ﾛﾛﾛ--_____
　　　　　　　　　　　 |└┘//::::ヽ∨/::::ﾞlﾞl　　:　::::::::／:　:::::::ヽ:::::::::::::::::::丶、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 __　　 　 _　　　　　トミ＼＼ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::/,..:.'"´ :::: ＞　 　 ＼ ＼＼＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾄ､{::::::}i:::::::::::::::::::＼ 　 　 　 ＼/二ﾑ＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ::::::/ }_::::::::::::::::::::::｀: ..、　　 //　／＞ﾐトﾐヽ　　　　　旅の果てに
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾚｲ //ヽ ::::::::::::::::: Y´｀　　 ﾚレレﾍﾉ´ ｀´ｒ､＼_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾏ/}ヽﾉ::::::::::::::::::: | 　 　 /⌒oｰｲ /⌒　}/Vﾍ,}
　　　　　　　　　　　　　 　 　 , -＜二＞､　　 　 ,ゝ∨ l::::::::::::::::::::: 　　 /ｰr-r'´∨ノ⌒ー=ィノ
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　　} ／｀ーr-､⌒_ﾚ-ﾚ ::::::::::::: N　　/ｰ/_/ー‐'　　　　　　　　　　魔王と言う存在を
　　　　　　　　　 　 　 　 　 {　　 }ヽ ﾉ:.:.|: : : :| : : }￣￣ ﾚﾍ/}/}ﾊ　　/ｰ/_/
　　　　　　　　　　 　 　 　 /ｰ=彡=ｲ:.:.:.|: : : :|: :.ハ　　　　 rｰ ､_ ＞'ｰく /二＞､
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 〈ー=ﾐ:_:_:_}:_:_:}:_:_:_:}:/: : }　　　　 ヽ　 ＼〉 　 /: :}:.:}＼}
　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀7ー=ﾆ ＿　　 　 ｀ヽ/　 　 　 　 〉-rﾐ{i＿Λ: :ｌ :l: : |!　　　　　 　 　 　 打ち倒す事には成功した
　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／ ／　　　 / ー―r ､　　　　　　/_/´　＼＿_〉二二ﾉ
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |／　 　 　 / 　 　 /　/＼＿＿_,/ /＼０＿/　/　　 Λ
　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　 　 　 / 　 　 /　/ 　 　　　/ /ＸＸＸＸ/　 /　　 /
.　　　　　　 　 　 　 ／ 　 　 　 　 / 　 　 /　/　　　 　 / /ＸＸＸＸ/　 /　　 /

　　　　　　　　　　　　　　, -‐ｧ
　　　　　　　　　,､　　 ／　 /
　　　　　　　 ／　| ／ｧ　　/ , -ｧ＿___,
　　 　 　 　 /　／ ／　　 ／／￣￣／
　　　 　 /V／　 /　　 ／／　 　 ／_,
　　　　/　 |　 　 |＿／／　　　 /／/
　　　　| 　 | ＿,,r二二ヽー--､/--┴ｧ
　　　　| 　 |　rｸ { 　　}　ヽ-､　|　 ／　　　　　　だが、勇者とは即ち
　 　 　 ヽ-ﾍ　|__ `ー ' 　 ＿| .|Yﾆ=-
　　 　 　 〉-ﾘ |___￣￣￣ ___ |/ヽ　　　　　　　　「勇気ある者」
　　　　　| 　 |丁????????| |-､　|
　　　　__レｲﾍ.　????????　/_ﾉﾄ､|_　　　　　　　 ならば
　　 ／入__|　ﾄ､????????,ｲﾊｒく￣ |
　 / /　 |　 Vヽ|ヽ､＿__／_ノ　　　/-､_＿,､
　ヽｆ　, -!　　　　　　　　　　　　／´ ,､ィこﾗヽ
　　＼ﾄﾍ|ヽ　　　／　　　　　_/　_／,-＜ヽ!　|
　　 /　ヽ!　ﾄー'ー　ー一ﾌー '´　/　　　| |　 |
　　 |　　 ｀ヽ､＿＿ｊ, -‐'´　　|　 /　 　 __|_|＿|___
　　 ﾄ､/　　 　ヽ／ヽ 　 　 　 |　|　　 /　 , ---､__｀ヽ､
　　 |　|　　　　 ヽ　　ヽ　　　 ヽ ヽ　/　/　　　　　｀ヽ､｀ヽ､
　　 |　|　　　　　 ヽ ／ヽ　　　　　|ノ　/　　/￣｀ヽ､　　｀ヽ |
　　 |　ﾄ､_　　　　　 丶　 ＼　rイ´, イ　　 /　/ ｀ヽ､｀ヽ､　| |
　　 | ﾉ 　 ＼　　　　　＼　　 |　|´　　　／／　　　 　｀ｌ |　| |
　　 } ヽ､_＿ｒ──､＿___＼　|　|　 　 / /　　　　　　　| |　| |
　　.|　　 |　 |　　　 |　　　　｀ |　|　　/ /　　　　　　　　ヽヽﾞ､ﾞ､

　　　　i　　　　　 　 .|:　　　|:|　　　　 }:　| 1
　　　　{　 　 　 　 　 }:　 ,　}... /　　　.|　" .| ､
　　　　ヽ　　　　　　 |:　/ / .:/　　}　 |　　 ﾚ |
::＼　　　＼　　　　 　 :/ / ::/　　/　 '.　 /　 '
　　ﾐﾍ＝=　＼　　　 :/ ,_ｗＷ１／ﾌ　　/ 　/
　　 ｆ､　　　　　`ヾ=　´　　　　　　|,i.　/　 /,
　　／　　　　　　　　　　　　　　　 =､/　 ／
　.y` ≧=-__､　　　　　　　_ -‐_‐ﾆ´ ｿ /
|ﾆ;' . ヾ ゞﾆｿヾ丶　　 ／代ﾆｿ　ﾃ　/ﾆ､　　　　　　　　人買いの王から逃げ
|( ヾ　 `ー‐ ´　　 　　　　ー¨―′ｿ__} |
∨ｒヽ　　　　　　　　　　　　　　 　 /iｿ/
　＼2',.　　　　　　　ｌ　　　　　　　/ｖノ　　　　　　　　　　　　　　　_　　　=
　　yﾅ'i,　　　　　　..′　　　　 ／う{　　　　　　 , -= _　　　　ｘ＜´　　　　　 ＞
　　||_|ﾝ＼ 　 ｀￣::こ::￣ 　.／ト|ｌ　|　　　＞ ´≦i　　 `i´　　　　　　　　　　　　　＞
＼ |ﾙ´∧::＼ 　 　 　 　 ／　 |:＼し､ ／／iiiiiiiiii/　　　 }　　　　　　　　　　　　　　　　＼
=ソ ﾆiiiiiii|　　＼　 　 ／　 ,　 |iii＼`=＝ﾗ＼iiiiii/　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　／:i:i:i:i:i:}　 ヽ　　　　　　　　|i:i:i:i:i:＼ /　　 ＼　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }



　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼＼　 　 /丶､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , -　､ 　 ヽ ＼../　　　:｀丶
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 _　/　 　, ＼¨¨':,　}′ 　 　 　 .:丶､
　　　　　　　　　　 　 　 　 ..: ´　/　　　ヾ:､ ｀丶}/|　.i:∧　　　　　 :＼
　　　　　　　　　　 　 　 ,.: 　＿/　　　 　 ',ヽミｘ:,_」..::ﾚ.:_',　　　..::｀ヽ　＼
　　　　　　　　　 　 　 ,.／´　:/　　　　　..::'ゞﾐ{.､㍉､ 1´　;　　　 　 .:'｀丶:＼
　　　　 　 　 　 　 　 /′:´ ./　　　　　　　.:'くへ＼　　　 {　:i　　　　.:ヽ　＼',
　　　　　　　　　　　 ..:/..::, :.′ 　 /　　　　　.:',　 ' :ヽ.　　 '　ﾄ､　　　 　.:,.　 }
　　　　　 　 　 　 　 ﾚ　:/ /　..::,./　　　　 　 ..:' 　 ヽ ',　　 !.:L_':　　:{ 　.:′
　　　　　 　 　 　 　 l..::/ / . ／/　　　　 　 　 .:; _＿」:L._　| {行'　　.:,　:}.:'
　　　　　　　　 　 　 ':/.:,.:／}　′　　　 　 .:i　 :|≧ニ';7¨´ }/ ＼;　　:′ﾄ;i
　 　 　 　 　 　 　 　 {..::{′/ ,　　 　 　 　 .:l 　:l:・::ﾘ　}　　 ′ 　 ゝ ..:i　| }　　　　　　　　　家族の死から逃げ
　　　 　 　 　 　 　 　 V .:/　′　　 　 　 .:∧..::|｀¨　 　 　 　 　 ∧　.:l　l
　　 　 　 　 　 ,　-　. 」ヽi ; .;　　 　 　 　 :'　 ,..:l　　　　　　　　　 } ',　ﾄ :!
.､.　　　,..　‐-/　　 　 :', :{/ :|　　　　;/　 ′　.',:l.　 　_＿ 　　 ／ 　 ,.:ｌ ﾘ
　＼.,./　　 :/　 ／＞､.::｛　_l　 　 :〃 .:/　,　　}′´＿　　':,　′ ′ }/　　 　__
…‐/i{／＼{.:／　_ .∠ -}＜|　 ／/..::/｀彡 ´　 ,:仁三心. :L　=′―…,.:＜::::::｀ヽ
　 〈:i:iゝ｀ ー-　. _ ﾉ´,....-―:!.:/／:／二 ＿__ ´三三三＞.::´:::::::::::,　 ´:::::::::__∠二
／´｀¨´｀ ー ＜:::::┌―- - |/:j／＿::::::::::_＿＿__ ／´:::::::::::::::::／::::::::::::／: /__　　 ヽ
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　　　　　　　　　∧
　　 　 　 　 　 /∧ .
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |　　現実からの逃避を試み
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　| |:. | |
　　　　　　　　|,ｘ-.､|
　　　 　 [ ,二´.《Ｙ》.｀二､]
　　　　　　　　｀ﾞiﾐiﾞ´
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　　　|ﾐ|
　　　　　　　 　 (0)

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　,,;''￣　　￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　,;'´　　（○）　（○）　　　　　　　　　今日この瞬間まで
　　　　　　　　　　　　　 '､,　 　　 （＿人_）ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　 ｀ ⌒´　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　　　　　　 ）　　　(⌒ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　　　　　　ノ 　 　 と　,ｨ_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＿`-/::..　 ｀　　　⌒ ￣￣｀　　 >
　　と⌒ヾー―――― ⌒　　　　　 ￣｀´￣　 　 ｲ　　 - － ´　　無為に逃避行を続けた自分は
　 < ゝ　/､＿＿＿＿_　 　 　 ヽ､　　 　 　 　 　 　 ヽ'
　　 く／　　　　 　 　 　 ￣｀ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　 　 　 　 　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 丶　　　　　　果たして勇者と呼べるのだろうか、と
　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 　 ―――‐ ､　　　　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　／　　　　 　 　 ＼　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　/ 　 　 ／　　　　　　　　　　 ＼　 　 　 ヽ　　　 ,.-､
　　　　　　　　　_　　　 ／　　 ／　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　｀ ｰ ⌒ヾゝ
　　　　　　　　 { ｀￣　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　 　 　 　 　 Ｙﾗ
　　　　　　　　∧　　　 　 　 ｌ　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ゝ　　　　　　　ノﾉ
　　　　　　　　　 ｀ ー――‐'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ￣￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /´￣｀ヽ
　　　　　　　　　__＿＿＿＿__ 　__｛___＿_ 　＼､,___＿＿.,,,､__＿＿__
　　　ｒ‐ー‐ｭnヾ:::::::::::::::::::::::::::｀ヽヾ:::: i´::::::￣￣ヽ:::::::::::::}｝/::::::::::::::::::＞.、
　　　`ﾑ､_ノ＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ＼|::::::::::::/::::::ﾍ＼:::::::j /:::::::::::::::/／:::::::＞.､_
　　　　　　　　　｀￣￣￣￣￣￣｀`''ヾ:::::::::/:::::::::::: ﾍ::::::::::i´￣￣￣´`'＜:::::::〃ﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼:::::::::::::::::::::ヽ:::::::l　　　　　　　　｀ヾ;;ｿヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ､、::::::::::ヽ:::l　　　　　　　　　　 ﾍヽ=ミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾑ:::::::::::::::::::ソ;;>、　　　　　 　 　 　 ヽ〉へ)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 く;;;;ヽヾ;;ヽヾ∨７ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::ヽj::::!ﾍ＼____/_/:::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .,､＜´￣::｀＼ヽ＼:::::::/:７::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　,､イ::::::::::::::::::::::::::::::＼＼::/:: /:::::::／＼


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　怯え、逃げ続けた

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　勇無き自分は

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　なんと呼ばれるべきなのだろうか、と

　　　　　　　 ／´￣￣￣￣ ｀＼.
　　　　　　／　　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　　/　　　　　 　 　 　 　 　 　 '.,
　　　　　|　 　___ノ'′　　 ﾞヽ､___　　 ..|
　　　　　|　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 .|
　　　　　|　;;;（　○ ） ﾉヽ （ ○　） 　 |　　　だが、それすらも
　　　　　|　　.´"''",.　　　　 "''"´　　 |
　　　　　|..　　　（　　　 j　　　 ）　 　.l
　　　　　|　　 　 ｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　　 /
　　　　 .丶　　　　　｀ ⌒ ´　　　 　 /
　　　　　 ヽ　　　　　　　　 　 　 　 /
　　　　　　 ヽ　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　ゝ　　　 ＿　　　／イ＼
　　　　　　／　　　　　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　 ／　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼



　　　　　　　 ／´￣￣￣￣ ｀＼.
　　　　　　／　　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　　/　　　　　 　 　 　 　 　 　 '.,
　　　　　|　 　___ノ'′　　 ﾞヽ､___　　 ..|
　　　　　|　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 .|
　　　　　|　;;;（――） ﾉヽ （――） 　 |　　　覆いかぶさってくる瞼の前には
　　　　　|　　.´"''",.　　　　 "''"´　　 |
　　　　　|..　　　（　　　 j　　　 ）　 　.l
　　　　　|　　 　 ｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　　 /　　　最早、取るに足らないことだった
　　　　 .丶　　　　　｀ ⌒ ´　　　 　 /
　　　　　 ヽ　　　　　　　　 　 　 　 /
　　　　　　 ヽ　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　ゝ　　　 ＿　　　／イ＼
　　　　　　／　　　　　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　 ／　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　,,;''￣　　￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　,;'´　　（ー）　（ｰ）　　　　　　　　　　　　　　目を閉じると、やらない夫は息を吐き
　　　　　　　　　　　　　 '､,　 　　 （＿人_）ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　 ｀ ⌒´　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　　　　　　 ）　　　(⌒ヽ､　　　　　全身の力を抜いた
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　　　　　　ノ 　 　 と　,ｨ_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＿`-/::..　 ｀　　　⌒ ￣￣｀　　 >
　　と⌒ヾー―――― ⌒　　　　　 ￣｀´￣　 　 ｲ　　 - － ´　　　そして、沈み行く自らの意識を
　 < ゝ　/､＿＿＿＿_　 　 　 ヽ､　　 　 　 　 　 　 ヽ'
　　 く／　　　　 　 　 　 ￣｀ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　 ∨　　　　　 　これが黄泉路と、手放した
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　 　 　 　 　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 　 ―――‐ ､　　　　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　／　　　　 　 　 ＼　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　/ 　 　 ／　　　　　　　　　　 ＼　 　 　 ヽ　　　 ,.-､
　　　　　　　　　_　　　 ／　　 ／　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　｀ ｰ ⌒ヾゝ
　　　　　　　　 { ｀￣　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　 　 　 　 　 Ｙﾗ
　　　　　　　　∧　　　 　 　 ｌ　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ゝ　　　　　　　ノﾉ
　　　　　　　　　 ｀ ー――‐'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ￣￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　,,;''￣　　￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　,;'´　　（ー）　（ｰ）
　　　　　　　　　　　　　 '､,　 　　 （＿人_）ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　 ｀ ⌒´　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　　　　　　 ）　　　(⌒ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　　　　　　ノ 　 　 と　,ｨ_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＿`-/::..　 ｀　　　⌒ ￣￣｀　　 >
　　と⌒ヾー―――― ⌒　　　　　 ￣｀´￣　 　 ｲ　　 - － ´
　 < ゝ　/､＿＿＿＿_　 　 　 ヽ､　　 　 　 　 　 　 ヽ'
　　 く／　　　　 　 　 　 ￣｀ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　 　 　 　 　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 　 ―――‐ ､　　　　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　／　　　　 　 　 ＼　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　/ 　 　 ／　　　　　　　　　　 ＼　 　 　 ヽ　　　 ,.-､
　　　　　　　　　_　　　 ／　　 ／　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　｀ ｰ ⌒ヾゝ
　　　　　　　　 { ｀￣　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　 　 　 　 　 Ｙﾗ
　　　　　　　　∧　　　 　 　 ｌ　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ゝ　　　　　　　ノﾉ
　　　　　　　　　 ｀ ー――‐'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ￣￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　,,;''￣　　￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　,;'´　　（ー）　（ｰ）
　　　　　　　　　　　　　 '､,　 　　 （＿人_）ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　 ｀ ⌒´　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　　　　　　 ）　　　(⌒ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　　　　　　ノ 　 　 と　,ｨ_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＿`-/::..　 ｀　　　⌒ ￣￣｀　　 >
　　と⌒ヾー―――― ⌒　　　　　 ￣｀´￣　 　 ｲ　　 - － ´
　 < ゝ　/､＿＿＿＿_　 　 　 ヽ､　　 　 　 　 　 　 ヽ'
　　 く／　　　　 　 　 　 ￣｀ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　 　 　 　 　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 　 ―――‐ ､　　　　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　／　　　　 　 　 ＼　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　/ 　 　 ／　　　　　　　　　　 ＼　 　 　 ヽ　　　 ,.-､
　　　　　　　　　_　　　 ／　　 ／　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　｀ ｰ ⌒ヾゝ
　　　　　　　　 { ｀￣　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　 　 　 　 　 Ｙﾗ
　　　　　　　　∧　　　 　 　 ｌ　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ゝ　　　　　　　ノﾉ
　　　　　　　　　 ｀ ー――‐'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ￣￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　,,;''￣　　￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　,;'´　　（ー）　（ｰ）
　　　　　　　　　　　　　 '､,　 　　 （＿人_）ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　幾許かの、時が過ぎた時だった
　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　 ｀ ⌒´　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　 　　　　　　 ）　　　(⌒ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　　　　　　ノ 　 　 と　,ｨ_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＿`-/::..　 ｀　　　⌒ ￣￣｀　　 >
　　と⌒ヾー―――― ⌒　　　　　 ￣｀´￣　 　 ｲ　　 - － ´
　 < ゝ　/､＿＿＿＿_　 　 　 ヽ､　　 　 　 　 　 　 ヽ'
　　 く／　　　　 　 　 　 ￣｀ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　 　 　 　 　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 　 ―――‐ ､　　　　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　／　　　　 　 　 ＼　 　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　/ 　 　 ／　　　　　　　　　　 ＼　 　 　 ヽ　　　 ,.-､
　　　　　　　　　_　　　 ／　　 ／　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　｀ ｰ ⌒ヾゝ
　　　　　　　　 { ｀￣　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　 　 　 　 　 Ｙﾗ
　　　　　　　　∧　　　 　 　 ｌ　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ゝ　　　　　　　ノﾉ
　　　　　　　　　 ｀ ー――‐'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ￣￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;'　　　 　 　 　 　 　l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./　　　　 　 　 　 　 　l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノｊ￣｀li.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ヽ、　　　　 　 　 　 　 ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;'｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i≧≦ﾃニ≡≡＝ｰ'"!　　　　　　　　　 γ´`ヽ:il´￣￣｀li:.:レ　｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |i>≦ij　　 　 　 　 　 j　　　　　　　　 　 {｀"'＝=ﾆ≧≦ﾆ≡＝'"}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　li>≦ij　　　　 　 　 　l　　　　　　　　　　i　　　　 !i;ゝくij 　 　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ夂ﾇ,,,,...__ 　　__..,,,ノ　　　　 　 　 　 　 ヽ、　　 !i;ゝくij 　 　 　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　 ｀',メij｀￣￣´!′　 　 　 　 　 　 　 　　　ヽ、__!i;ゝくij___,,､-''´
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　lメij　　 　 !　　　　　　　　　　　　　　　　 l 　!iⅩij　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　lメij　　 　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　!iⅩij　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　lメij 　 　 l　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　　l　!iⅩij: l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　lメij　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲ!　!iⅩij: l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノメク　　　l、　　　　　　　　　　　　　　　 ｛∨ゝ!iⅩij: l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ∠jメ少へ　　ﾉ｝　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　!iⅩij_ｸ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /メ少"　　　＼　｛　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i! 　 !iⅩij ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/メ少' 　 　ヽ、 　 ハ　　　　　　　　 　 　 　 　 　 l 　 !iⅩij: l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノﾒ少'　　　　 　 ￣　　l　　　　　　　　　　　 　 　 　 l 　 !iⅩij: l
　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.,､r"ヾソ"　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　 　 l 　 !iⅩij　'､
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　　　　　　　　　　　　　 {ゝ､,,,,,,,,,,,,,,,,,,､､ｬfﾕフ"　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　 ヾ;;;ソ　 　 }
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　ヽ 　 　 　 　 　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、 　　./
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やらない夫の頭上に、何者かが立ったのは

　　　　　　　　　　 ,／:::,:::l:.:i:.:.V:.:i:.:.:.:.l.:､| |:.:|ヽ:.:.:.:.l:,|　　ヽi ヽi:.l:.:.:.ﾄ:.:.:.:.ヽ:..|
　　　　　　　　　／／/:.,:l:.:､:.:.|:.:|:.:.:.:|:.:|｀'ヾ|､ヽ:.:､:.:| 　　 ,ﾘ　.i;i:.:.:.:.|:.:.i､:.:.:､:.|
　　　　　　　 ／／ /:.:/:.:Vヾ:/i:.|:.:.:.:Tr-､,l:|､ヽヾ､:.:| 　 ./　　 ,|:.:.人:.:| ヽ:.:.i:|
　　　　　　 /:./ 　 /:.:./:.:i{/ r ､､:i､:.:.:ヾ,| liiL ヾ　ヽ:,|　　 ,. --/ｲ:i:.:i:.:|:ニ,}:.:.|ニ＝―――――――.-.､
　　　　　 /:.:/ 　 /:.:./i:.:..i:ヾ l,r= ､:i ヽ:.ヾ--'　　　　'　　 r=--,./:/:.:リ:.:.,:.|:;/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
　　　　　/:./　　　|:.:./|:.:.:l:.,:,iヽヾ!　ヾ　ヾ:､　　　　　　　 |!!ri ' /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,. -:-:.':´:.:.:.:.:.:.:.:-=-,r
　　　　./:/　　　 .|:.:/ |:.:.il:.:.:;:.:.:.:.｀ゝ　　　 　　　　　　 ,　 ￣ /-:-:-:-:-:-:‐:':´:￣:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..-':, r-､__::.
　　　　l:/　　　　 |:.:!　|:.:i､:.:.:|:.:.:.:.:.|　｀ヽ　　　　　　　　 　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／.:.:.／
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　　　　　　　　　　|:.|　 ､:.:､ ､:.:|:::::::::::::::::::::ヽ､｀ ―:.:.:.´._:_:_:_:_:.:.:.:_:_._:_._:_._:,: -.':´:.:.:.:,:. '´
　　　　　　　　　　|:i　 　 ､:.:､Y,=ニ-:-.:-￣ニ=.L:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.-:､.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.,. r '´　　　　　 それは、一人の少女であった
　　　　　　　　　　　　　　V/::::::::::::::::/ /　　　　　　ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀＜￣￣
　　　　　　　　　　　　 ,/ /l::::::::::::::::::::| |　　　　　　　 !:_:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　 |　|i::::::::::::::::::::::l .!　　　　　　　 |:.:.:｀-:-:､:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　 |　||:::::::::::::::::::::::! .! ヽ　　　　　 ト――--､::ヽ::.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　 | Y|:::::::::::::::::::::::::::､ヽ i　　　　　|:..､　　　　 ｀ ヽ ､:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　 |　 i:::::::l:::::::::::ヽ:::::::ヽ, i- ' ￣



　　　/: : : : : :| : :/ :／　＼|: : / 〃　　　　　ｌ|: : :ハ: : : :
　　 .': :ﾊ: : :メ! : И￣＞ｘ | X　 ′ 　 　 　 ﾘ: :/　 ! : : :
　　 |/　|: :/　{: :,'　 ∧);;;ｌ｢ﾄ′ヽ　　 　 　 　} :/　　| : : :　　　　　彼女は、暫しの間
　　　　 У{ '(卜{　 {;r､__;ﾘ　　　 　 　 -‐‐￢7￣￣｢: : :
　　　／: ハヽ　 　弋z_ン　　　　　　　　 ｚ‐ﾒ=┬-､| : : :
　 ／: ／: : Ч　　　　　　　　　　　　　　 ∧);;;;;l| 　ﾘ : : :
／: : : : : : : :人　　　　　　　　 ,　　 　 　 {r'､__,,ﾘ　/ : ／　　　　　やらない夫の顔を覗き込んだ
: : ／: : : ／: : :＼　　　　　　　　　　　　　ゝ‐'"　厶イY´
∠_: : ／: : : : : : : ＼　　　‐　　　　　　　　　 　 　 /ﾉ ′
　　｀　 : : : : : : : :r/"＼　　　　 `　　　　　　　　∠ -‐'"
　　　　　＞>､ : ∧ヽ　 丶　　　　＿ 　 　 　 イ: : : : : : :

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　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　〃 ﾞ 　 |
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.τl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ..ｕ.l|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.κl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ιl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.νl|　|　　　　少女は手に
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ιl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.μl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ..ｕ.l|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ρl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.αl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.κl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ..ｕ.l|　|　　　　かつて魔王の血を啜い
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.μl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.οl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ηl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.αl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.νl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.αl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.νl|　|　　　　野に打ち捨てられた剣を、携えていた
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ιl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.κl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.αl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ζl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.εl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 レ'"二 ヽ.|
　　　　　　/￣￣￣￣￣´ 《::.Ｙ.::》 `￣￣￣￣￣ヽ
　 　 　 　 ｉ＿, -―――‐-､.｀'‐'´ ,.-―――‐-､＿ｉ
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| |　　　　 |　　　　 （__人__) 　　.| |
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| |　 ＼ヽ　　 ヽ　　　　 ノ　　)　　　＼
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| |　　　　 |　　　　 （__人__) 　　.| |
| |　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　 | |
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| |＼　（　.　ヽ　　　　　 　} ヽ　　＼　　　　やらない夫は、ベッドに寝かされていた
| |　 ＼ヽ　　 ヽ　　　　 ノ　　)　　　＼
| |＼　　＼（￣ ⌒⌒⌒⌒￣⌒ ⌒ ⌒ヽ
|_|　 ＼　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　＼　　＼　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　 ＼　　＼　　　　　　　　　　　　　　　＼

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　　　　　　　　　　　|十|　　　　　　　　ム＝=‐-‐=＝ソ、　 ::: .. : ... :::
　　　　　　　　　　　|十| 　 　 　 　 　 |li||;;;;ﾟ; ;'|l|;;;ﾟ;o;||i､{　　 .. : . : . :::
　　　　　　　　　　　ト'┤　　　　　 　 :|k||;ﾟ:::: ;:|l|;::.;;..;||ui|　 :　　: . :::: .
　　　　　　　　　　 /l -ﾄ､　 　 　　 　 |lf||;;;;;.:;;;|l|_, : ;;||,l;l}　　　　:. 　 ::
　 　　 　 　　 　 　|┼┴|　　　　 　　 |i!||;;;;;;;;;;|l|;::..'.;;||il,」 .:: .　　　'';;;.;
　　　 　 　 　 　 　|┴┬|　 　 　 　　 ヾ||;;;::..;;;|l|;;;;..;:;||,ﾝ´　: .; ::　　　;;
　　 　 　　 　 　 　|┬┴ト----､ 　　 l二二二二二二l
　 　 　 　 　　斤江エエ工エエ丸 　: .. 　　　　　　　..　 : . 　　:. :;;':: :
　 　 　 　 　 ├+ｲ＿,|＿|＿|_,ト-|　　 :: ; ::: ::
　　　 　 　 　 |十|:　..::.: :. : .: ,.|十|
　 　 　 　 　　|┴!:.: ::.: :.: : :'; .:|十| :: 　 ...
　=========」工|':,ﾍ/Yﾍﾞヾ`.|工L_===========================
　　　　　　　　　 :; : 　 :: . 　:::　　　　　　　　　　 :. . ; 　　　　 ...


　　　見覚えの無い天井に戸惑って、視線だけを辺りに巡らせると

　　　　　　　　　　　日に焼けて白茶けた木の壁と

　　　　　　　　　　　煤けたレンガの暖炉が見えた

　　　　　あまり建て付けの良くない、古い小屋のようだった

　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　　自分は死んではいないのか
　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　（｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　 { 　 　　　　　　|　　　　　　　　　　　 だとすれば、自分はどうしたのだろう
　　　　　　　　　　　 {　　　　　　　 ﾉ
　　　　　　　　__　 　 ヽ　　　　　 ノ 　　　　　　　　 __
　　　　　　　　| |=====＞ 　　　く=============| |　　 ここは何処なのだろうか
　　　　　　　　| |　　 / l　　　　　　ヽ　　　　　　　　| |
　　　　　　　　| |　　/ /l　　　　　丶 .l　　　　　　　 | |
　　　　　　　　| |　 / / l　　　　　　}　l￣ヽ＿＿＿_| |　　身を起こし、ぼんやりと考えていると
　　　　　 ／￣ｰユ¨‐‐- ､_　　　　l　!＿_ノ　　　／| |
　　　_ ／　　　　　｀ ヽ__　 `-　　{し|　　　　　／　 | |
　　／　　　　ヽ　　　　　　　　｀ヽー、}　　 .／　 ／| |
　ノ　　　　　　　　　　　　　　 ヽ__　 ｀ヽ.／ 　／　 .|_|
／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ |　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 |／



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 /
　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼　　′／
　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼　　　　　　　　　　　　「気が付きましたか？」
　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　（｀⌒ ´　　　　　|　　　　　　　　　　　　ふいに、やらない夫の耳に
　　　　　　　　　　　 { 　 　　　　　　|
　　　　　　　　　　　 {　　　　　　　 ﾉ
　　　　　　　　__　 　 ヽ　　　　　 ノ 　　　　　　　　 __　　　女の声が届いた
　　　　　　　　| |=====＞ 　　　く=============| |
　　　　　　　　| |　　 / l　　　　　　ヽ　　　　　　　　| |
　　　　　　　　| |　　/ /l　　　　　丶 .l　　　　　　　 | |
　　　　　　　　| |　 / / l　　　　　　}　l￣ヽ＿＿＿_| |
　　　　　 ／￣ｰユ¨‐‐- ､_　　　　l　!＿_ノ　　　／| |
　　　_ ／　　　　　｀ ヽ__　 `-　　{し|　　　　　／　 | |
　　／　　　　ヽ　　　　　　　　｀ヽー、}　　 .／　 ／| |
　ノ　　　　　　　　　　　　　　 ヽ__　 ｀ヽ.／ 　／　 .|_|
／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ |　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 |／

　　　　　　　　　ゝ~　......＞,,∧.:::::, - 　~~ ﾞ 　 ‐-　..:::::::::ヽ
　　　　　　　∠´ｧ　　:::/　∧ ／　,,- "~~｀｀ 　 ､ 丶　 ヽ:::::::〉
　　　　　i　__ ,ノ　　:::::::|-,,,,/　　"　　　　　 　 　}　　ヽ　 ヽ/
　　　　　ヽ _ _　,　::::/~ ` /　　　　　　,　　　　 人　　 ヽ　　ｌ　　　　「お加減は、大丈夫ですか？」
　　　　　　　　ﾌ　　ヽ‐/ ｌ,　　　　　 /　　，　/ 　ヽ　　　i　　ｌ
　　　　　　,ノ　 ッ :::::::ｌ､ｌ '　. /　 ／　 ／' ／　　　ｌｌ ｌ〟|　　 ｌ
　　　　　　~~~ﾗ　:　 　ﾉｌ　 ｌ ｌ　/-‐‐"/／ 　　'ﾞﾞ~`}トiﾙ ｌ ｌ 　 ｌ
　　　　　　　　{　 ／v~"{　｀､　/ｌ／　 ´　　　　　　´　ｌｌ ｌ/ 　 ,　　　　　　　声の方へと目を向けると
　　　　　　　　゛V´　 ,､.,,ト ヾ / ' ___ ､　　　　　, ___　 ､ｌ/　/ｿ,〟- ､
　　　　　　　　　　 /　　ヽヽ､ヽ "　　ﾞ'　　　　　"　 ~ﾞ' /-ﾌ/'"　 ‐- ｌ
　　　　　　　　　 〈- 、　　 ヽ| ｀ﾞ : : : 　 　.　　　 : : :　"/-'´　　 ,, -‐〉__
　　　　　　　　 /~｀~､ヽ　 　 ヾ〟_　　 　.,___,.　 　　 _ '´{　 　／_~-~´　 ヽ　　そこには、妙齢の女性が
　　　　　　　 〈_-､　 ヽヽゝ、 ﾉ　　＞ﾄ ､ __ ,, ､'`＜ 　 　｀､/~~/　　 _ =´''
　　　　 ／゛゛`ヽ､｀ヽ､ ヽ〉- '　 　 ｀Yヽ:::::::::::{彡ミ}::ヽ　　　~"{　　/~, -"~ ｀ヽ.
　　　 /　 〟´~~`ヾ-- "　　- ､､-'''＼ ヽ::/∧/ﾉ┘::ﾄ,- ‐ ､　 ｀‐ ,~´-‐''''ゝ､　ヽ
　　　{ 　/　　　　　　　　　/ 　 //　 , - ﾞＨ∧::":::::::/ｌ 　 　 ヽ　　　　　　　 　〉 ﾉ　　微笑みながら、立っていた
　　　ﾞ　/　　　　　　　　　/　　∥／　 ／〃{ ｌ::::::/　ゝｌ　　 　 ｌ　 　　　　　　"
　　　ヽ{　　　　　　　　／　 ／　ﾞ､ ／ ／レ１ ~~　　　》　　　V
　　　　　　　　　　　 / 　 , '　　　/　/　/ 　 |　　　　 /丶､　 ヽ
　　　　　　　　　　　 ､　/　　　 /　/ﾞﾞ/"　 　| 　 　 /~､ヽｌ}　　〉



　　　　　　　　　　　　∨///////7＞: :｀´: : : : : : : ,ｘ≦777777‐-
　　　　　　　　　　ー=ニ: : : : : :ﾆ=‐≦: : : : ｀: ‐＜/////////: : : : : : `
　　　　　　　　　　　　　 ≫　´: : : : : : ＼: : : : : : : ｀ヽ///‐-〈: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　／: : : ／:: : : : : : : ヽ: : : : ＼: : : /　 　 ヽ＼: : : : ヾ、: :＼
　　　　　　　 `ー=彡: : : : :/: : :λ: : : : : : : ﾞ､: : : : :ヽ/ 　 　 　 ‘､:＼: : : : : 丶: : ､
　　　　Y´￣￣　 ／: : : : /: ／　j: !＼: : : : : i: : : : : l!　　　　　　 ',: : ＼: : : : ;　 ヽ、
.　　　　|　 　 　 /: : : : ,イ: :/　　 |:.|　 _斗､: : ｌ: : : : :l!　　 　 　 　 ｊ: : : : : : : : :,　 　）　　　「やっと起きたのかよー、おっさん」
.　　　 ！　　　/: : : ／/ |≠-　　|/　 　_,..≧､|: : : : l!　　　　　 ｊ ハ: : : : ヽ: : :ヽ
　　　　‘､　　 j: : :/.: : :|ム=ミ、　　　〆 ￡ﾊ }| : : : l!　　　 　 〃//i: : : : : : : : : ;
　　　　　　　　|: :ハ: : : ﾄ　￡}`　　　　　弋ノ /.: : : l! 　 　 　 '////|: : : : : :|: : : |
　　　　　　　　|/ 　‘、: |　弋ﾉ 　,　　 　 　 ／イ／ｉ!　　　　　 ////|: : : : : :|: : : |　　　　　そしてその隣に、少女が立っていた
　　　　　　 ﾞ､ {　　　 ＼廴　　　　　　＿　 　 /'　 ｉ!―-　　　/////l : : : : :| : : ﾊ
.　　　 　 　 　 　 ,　 -―i⌒　　γ´　⌒´ヽ　　　 i!-―-　､ヽl////: l : : : : : : : : :';
.　　　　　　 　 V ,　´￣人 　 　 ヽ(＿＿ノ　 ／^ｉ!　　　　　ヽ ／ヽ: l : : : : : : /: : i
　　　　　　　　　〈 　 　 　 ＞　　　　　　　 イ 　 ｉ!　　　　　　|/　 　ﾞ､l : : : : :; .: : : |
　　　　　　　　　 ﾞ､　　　　 　 ＼ミｘ -　,´ｲ´￣/　　　　　　｜ 　　　: : : :／ : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　/人｀ヽV/ 〃￣〈　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　 // `｀ミ'　〆':::::::::::ヾ、　　　　　　　　　　|: : : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　',　　〃:::::::／,杰＼::::::::::::::ﾊ　　　　　｜　　　　|: : : : : : : /: |
　　　　　　　　　　　　∧ /:::::::::/　〃::! ! ヽ:::::::::::::丶 　 　 　 　 　 　 |: : : : : : /: : |
　　　　　　　　　　　　　ｿ:::::::::::ゞ 从;;ﾉﾉ ／::::::::::::::::::＼　　 ′　　 　 l: : : : : /: : : |

　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　（○）（○ ）　　　|
　　　　　　　　　　　（__人__）　　ｕ　 | 　 　 　 　 　 　 　 彼女達は誰なのだろうか
　　　　　　　　　　　（｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　 { 　 　　　　　　|
　　　　　　　　　　　 {　　　　　　　 ﾉ
　　　　　　　　__　 　 ヽ　　　　　 ノ 　　　　　　　　 __　　事態を把握できず、やらない夫は唖然とした
　　　　　　　　| |=====＞ 　　　く=============| |
　　　　　　　　| |　　 / l　　　　　　ヽ　　　　　　　　| |
　　　　　　　　| |　　/ /l　　　　　丶 .l　　　　　　　 | |
　　　　　　　　| |　 / / l　　　　　　}　l￣ヽ＿＿＿_| |
　　　　　 ／￣ｰユ¨‐‐- ､_　　　　l　!＿_ノ　　　／| |
　　　_ ／　　　　　｀ ヽ__　 `-　　{し|　　　　　／　 | |
　　／　　　　ヽ　　　　　　　　｀ヽー、}　　 .／　 ／| |
　ノ　　　　　　　　　　　　　　 ヽ__　 ｀ヽ.／ 　／　 .|_|
／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ |　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 |／



　　　　　　　　　　　　　　　　　_／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: }
　　　　　　　　　　　　　　　 ／:::::::::::::.＞ 　--─　─　┴-..
　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::／　　　　　　　　 　 丶　 ＼　　　　　　 　 　 その様子を見て、彼女が口を開く
　　　　　　　　　⌒＞ｰ≠ﾄz､:::::／　　　 　 ,'　　　　　　　ｌ　　　＼
　　　　　　　　　 ノ　　 (⌒Yﾍ∨,　　　 　 /　　 /　 　　　i　 　 　 丶
　　　　　　　　 ^7','.::　　＼li ∧',　　　 　/　　 /　 　　　/ハ　ヽ　 　ヽ　　　　　 「ここは、私たちの家です」
.　　　　　　　　 //　　 f⌒Y:::Y<　　　　/　　 /　　　／/　　i　 l　　 　 .
　　　　　　　　/ｲ　 .　｛しﾍi::::i　}　　　 i　　 / ｉ　 ／// 　 __}　,'!　　　 |
.　　　　　　　 ′}　/　　　/{ｉ^ Y.　　　 斗 七^i／　/,'　 　　l / ト ｉ　l　}　　　　　「何日か前に、あなたが家の近くで倒れていたから」
.　　　　　　　　 ﾉ　　 __/^i 乂ノ i 　 　 l八/　_,, 　/　　　　__/､ l. /, / .′
　　　　　　　　 ^i､　/___ノ}　 lヽ:八　　 i ,ｨぅたﾟ｢　　　　　ぅﾞj卞.i//人/＿
　　　　　　　　　　Vj）　 ¨￣｀丶 ∧.　 l 弋c:ツ　　　　 　ﾋ::ソ /rく／　　 〉　 　 「びっくりしたけど、娘と二人で家まで運んで」
　　　　　　　　　　　 ￣￣｀丶 　＼ﾍ　'.　 ､､､､　 　　　　､､｀ /　/.:.:　 ／
　　　　　　　 r ─‐‐､ ＿　　 入　 :} ＼ヽ　　　　　　　′ 　 /　/.　 ／
　　　　　　　 {　　　 　＼ ｀￣　∧ノ　　 ＞　　　　 '　　 　ィ　∠..ィ :{　　　　　　「それから手当てをさせてもらいました」
　　　　　　　 ｀ー─-､ 　＼彡'　　　　　　 j　 ＞ -　＜　　　＿__人:.＼／⌒j　　　 ...　──- ､
　　　　　...-―─- ､　 ＼　i　 ／｀￣/≧zj￣｀ヽ∨/　j_＞'´＼　 ｀ヽ:/　　,ｲ　　／　／´￣｀ヽ '.
　　　／　 　　　　　 ー‐ｿノ／　　　// 　 }￣ ￣ﾌﾆ(二二｝ 　ヽヽ 　.ヽ ／ :乂ノ　 / 　　　　　｝ }
　　 ﾉ　 .／´￣ ￣￣¨´ ／　　　　/　　　x─ｧ'⌒^i li ＼ ＼　 　 ､　　 ＼＞─‐‐'′　　 　　ﾉノ
　　 }:　/　　　 　 　 　／　　　　　ﾉ　　／ ／ 　 　 i=l　　＼ ヽ 　 ｀＼ 　　＼　　 　　　　　／
　　 l: /　　　　　　　く　　.....: 　 , ′　´￣　　　　　:l il　 　　 ⌒　 　　ヽ　　　〉
　　 乂＿,　　　　　　 ｝　 　　 /　　　　　　　　　　 .ｌ=}　　 　 　 　 　 　 '.　　,'
　　　　　　　　　　　　ﾌ ー=　j　　　　　　　　　　　 l ｌi　　　　 　　 　　　} 　/
　　　　　　　　　　　 /￣｀丶八　　. : . : . : . : . 　 　ｌ=}　　 . : . : . : . : . .八 ′

.　　　 il　 /:::::::／ 　 ′　　　　 '､　　　　＼:::::}
　　､__jﾍ人jｉ::/　　 /　　　 /　　　ヽ 　　　　∨
　　.／ {{´｀V.:　　 ′　 ..:/　 :/＼　丶　',　　 ':,　　　　　　　「凄く疲れた様子で、ずっと眠り続けていたから、心配だったけど」
　 /　　＞=j/　　 :|　 / /}　　l　　ヽ　＼:.}i　　 :!
　 | / l ((　.|　　　 |　,'　| ｌ　　|　　 ‐ヽi＼ｉ:　　 :|
　 l 　 Vゝ=|　　　 ｌ斗/ｌl八　 l　　　__jl　 ﾘ　　 il　　　　　　　「でも、良かった」
　 |　 　. 　 } 　 　 l　l　i|　_＼i　 　 ぅえ圷j　 .人 ,__
　 ﾘlｉ　　　 j八　　 ',ﾘ,ｨfﾗ斥　　 　 弋ぅツ,'／^／　 ｀ヽ
　　 il .//｀￣ ヽ　 ﾍ　Vぅツ　　 　　　､､､.. ':::/ ／　／　　　　「目を覚ましてくれて、本当に良かった……」
　　ﾉ|/〈ｰ､　丶 ＼　＼　､､､　　′,　 　 人/ .:'　／
　　　　 乂＼　:..　 Vﾐﾉﾍ　　　｀　 　　ｨ　 /　　/｛　　／｀ヽ　
. r─ ､　　 j∧:.　　 }´　　＞ r　　 　　jｶ {　　/:乂／　　／ﾉ
. {__　　＼､.li ∧ x‐‐‐＜ __.｝｀￣ヽ /　i.:八_.∧:.:/　...:／＜　　　そう言って、少女の母親は安心したというように
　　｀＼ 　＼_／　 　 　ヽ|:l　｀＞‐弁ｰ＜=､ー＜　..:人､＿　　　 短く、柔らかい一息を吐いた
　　　　ヽ､:.:./　 　　　　　}:l／ ／ ∧V＞‐' ＼　∨:{:.:.:.:／⌒ヽ　　　　
　　＿_ノ.:ノ:}／　　　＼　}:lヽ´　　ｌ :li V ＼　　ヽ 乂_／⌒＼　ヽ　　　
.f´ r─‐=ァ′　　　　　ヽl:l　　 　 | :lﾍ:', ＼ヽ　 i､ ﾍ　 ((　 　 ).:.:）
.乂 ＼　 /　　　　　:.、　∨ 　 　　Ｌj　',:V　ヽ} 　 ＼ ＼ ヾ二彡'
　　＞ｰ' }　　 　　　　＼ }　　　　　　､ ﾍ∨ 　 　 　 ヽ　〉




　 |: : l: : : : : :{: : |ヽ: : : : : :{ヽ:ヽ　　　　 ,X:ヽ ＼: : :ヽ　　 ＼: :＼: : : : : : : :V: : /: :
　 |: : l: : : : : :l: : |　ヽ: : : : : :iヽ:ヽ　 ／　　,＞､,-r＜===r-　 ヽ: : ヽ: : : : : : :V:/: : :
　 |: :li: : : : : :|: i: { 　ヽ: : : : :ヽ ヾ､ '　　イ ,／ ////C,　ﾘ　　　　＼:ヽ: : : : : : V: : :
　 |: l |: : : : : :l:|T:「￣｀ ヽ: : : ヽ　　｀　　　 |　 {/////}　　　　　　　ﾁ: : : : : : : V: :　　　「そーだぜー」
　 |:.| .l: : : : : :l:.| ヾ_ __ 二ヽ: : ヽ　　　　　　　 l/ー ' ﾘ　　　　　　　 ｲ: : : : : : ヾ}: : :
　 |:l　ﾞ､: : : : :ヾl イ V//c｀　＼:.､　　　　　　　ゝ―‐'　　　　　　　　彡:, ' ￣ヽ:.}: :
　　l:|　 ヾ､: : : :ヽ !　{///}　　　｀ﾞ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.<´｀ヽ i:l: : :　　「あたしたちが助けたんだからな！」
　　 l:|　　ヾヽ: : :.ヽ　{,ーﾘ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/,....｀ﾞ　　|: : :
　　　　　　ヽ ヽ: :ヽ＼ヽ´　 ノ　　　　　　　　,.　ﾍ　　　　　　　　　　　)　 }　　ﾉ: : :
　　　　　　　　　lヽ:ヽ　　　　　　　　 ,.　 '´　　 ,- |　　　　　　　　　 ⊂　'　 ／:, -=　　「感謝しろよなー、おっさん！」
　　　　　　　　　|　　　　　　　　,. '´　　　　― 　 ﾉ　　　　　　　　 ,........ - ',イ　／:
　　　　　　　　　 ヽ　　　　　　 ヽ　　　　　　 ,／　　　　　　　　 /: : : :／　　 /:　:
　　　　　　　　　　　ヽ､　　　　 　 ゝ - 　　'´　　　　　　　　　　 .|ﾍ／　　　 /:　:　:
　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ　 ､　　　　　　　　　　　 ,.　イ　,.　- _ ,/　　　　 /:　:　:
　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ﾞ　 ､ _　　　　, r ´ ,. - ,. - ' ´::::/　　　　　 l:　:　:　:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣　 /／,.::::´:::::::::::::::::/　　　　　　 |:　:　:　:

　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　そうか
　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　（｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　 { 　 　　　　　　|　　　　　　　　　　　自分は生かされたのか
　　　　　　　　　　　 {　　　　　　　 ﾉ
　　　　　　　　__　 　 ヽ　　　　　 ノ 　　　　　　　　 __
　　　　　　　　| |=====＞ 　　　く=============| |　　やらない夫は、まだ上手く回らない頭で、そう理解した
　　　　　　　　| |　　 / l　　　　　　ヽ　　　　　　　　| |
　　　　　　　　| |　　/ /l　　　　　丶 .l　　　　　　　 | |
　　　　　　　　| |　 / / l　　　　　　}　l￣ヽ＿＿＿_| |
　　　　　 ／￣ｰユ¨‐‐- ､_　　　　l　!＿_ノ　　　／| |
　　　_ ／　　　　　｀ ヽ__　 `-　　{し|　　　　　／　 | |
　　／　　　　ヽ　　　　　　　　｀ヽー、}　　 .／　 ／| |
　ノ　　　　　　　　　　　　　　 ヽ__　 ｀ヽ.／ 　／　 .|_|
／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ |　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 |／



:|　　　　　　　　{_..: : -‐: : : : :}i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:／.: :/ : : : |: : : : : : : : : : : : ＼: ヽ､i:i:∧
:j　　　　　　　　 ﾞ､_ : : -‐: : : |i:i:i:i:i:i:ｉ:/:/ : :/: : : : :ｊ -‐､: : : : : : : : : : : ＼: `､i:i:i!
∧　　　　　　　　 〈: : : : : :／{i:i:i:i:i:i:/:/ : :/: : -=ﾆ : : : :＼: : : _ｘヘ、: : : :ヽ : :寸　　　　　やらない夫は、ぼんやりと二人を眺めていたが
: : ',　　　　　　　　　'; : :／: :└‐￢7:/ : /. ´ : : : : : : : : : : > ´: : : : ヽ: : : : :}: : :',
: ／ :.　　　　　　　 　∨ : : : : : : ／!: ／: :／ : : : : : : : :／: : : : : : : : j: : ――┐!
/: : :.∧　　　　　　　 　';: : : : :／ : 〆: :／ : : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : /┴―┐
: : :./: : :..　　　　　　　　ﾞｬ､／: : : /: :／ : , -=7 : ／/: : ,．-‐ァ.; '"7´: : : : : :/ : : : : : |　　そんな様子は気にも留めず、少女が口を開く
: :./: : : : :..　　　　　　　 /∧: : : /: : : _;イヾ/:/／‐z'ｘ／　 ／ ´　 /: : : : : , ｲ: : : : : : :!
〃: : : : : : :..　　　　　 ,　/　 ＼/ :／{´ ,ﾍ　}′ ＿〆_｀`,く´　　　/: : : _∠　ｊ: : : : : : /
' : : : : : : : :.∧　-‐　彡'　　　 .'.:ｽ: :∧ {〈　'　　Yひﾞﾏﾒﾐｘ､＼　 /: :_彡ｲ,,_ /: : : : : :/
: : : : : : :.／ : ﾍ "¨´　　　　　j:/ 　＼:.ﾞヽ _　　　弋ゞﾘ　 `゛ 　 /／Yひfﾞ//: : : : :／　　　　「なあ、おっさん！」
: : : : :.／: : /: : :＼　　　　　　{　　　　丶､八　 　 `‐´-　　 　／ 　 じ'′/: : : ／
: : :.／ : : :/ : : : : : ＼　 　 　 　 　 　 　 Yﾞlヾ 、　""" _　　　　 ､　 ｀´ /: : ／
.／: : : : :/: : : : : : :／.＼　　　　　　　 　 } ﾄ､ヽ＼　　（ゝ`_　‐ｧ　　""厶イ――-
: : : : : ／: : : : : ／: : : /:丶 　 　 ､　　　/∧ﾞ;::::＼`　 ..` 一 _ .　､ヾ
: : : ／ : : : : ／: : : : :/ : : : ヽ　　 }　　//::::} }::::::::::＼ Y 厂:::::::::::::} }

　　　　　　　　　　　　　　　　／ : : i: : :!::::／: : : : : : : : : ,、: :,-ミ丶-ミﾐ .、
　　　　　　　　　　　　　　 ／: :／":i: : :! ': : : : : : : : : :／: `:/: : : ｀ヽ--ﾐ ヾヽ、
　　　　　　　　　　　　　r/ : ／:::::::::ヽ: :V: : : ,-- ' : Y: : : : : :〉、: : : : ヽ: : ＼ ヾ、
　　　　　　　　　　　 ／/: :/::::::::::::::::入 ヽ: :/: : : : : :| : : : : /　＼: : : : :} : : : ＼
　　　　　　　　　　／: /: , ': ヽ::::::::::ﾉ: : ヾ V: : : : : : ,V: : :,ｲ　　　＼: : :!: : : :∧ヽ、_彡
　　　　　　　　 ／: ／' /: : : :|:::::／:|: : : : ヾ : : : : : ハ : /!i　　　　　 ,.ｲ、 : : :ﾊ
　　　　　　　 ./ : /: /:/:: : : : レ": : :!: : : : !, ＼ : : i　 V:i j}　　　　　/　,,V: : :}: !
　　　　　　 .,.' : :/ : i:/: : : : : : :!: ﾊ:八: : : :j:!: : :`: 卞￣￣ ｀　　　 ｀xK"!.Y: /} i
　　　　　　/: : / : : !': : : : : : ∧:!:ヾ: :ヽ : 八: : : : {ヽ,xr-r‐ 、　　　弋ﾘ　 !:ﾉ　!}
　　　　　,.': : ,.' : : : !: : : : : : : : ヾ: :ヽ: :ﾄ、: rヽ、 人.ヾ !::::`!　　　 　 、'''' ,ｲ
　　　　 /: ,イ: : : : : : : : : : : : : : : : : ヾ:Vヽ:{ {`.ゝ、:ヽ. ｀‐‐'　　　　 _ ,　　/
　　　 ./: /./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾ:ヽ ≧x _っ`ヾ、''''　　ｒ= ﾆ ノ　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　.,: :/./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :｀ヾヽ: : : : :＞-　　_　 ｀ ￣　／　　　　　　　　　　　　　　 i .、
　　　i :/./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼: : : :（廴＿　　 丁二"ヽ、 ＿＿,　 -──--　、 　 }: i
　　　!:/ i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : } ｀ . -≧ミx! iﾄ、｀., ＜￣ヽ、　　　　　　　 ヽ ﾉ: !
　　 .|:i　|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,∠三ミﾐx、＿ヾi!: У　　　 ゝ- '　　　　　　　　 Xﾉ
　　 .!i　.! : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : Y　　　　ヽ　`￣￣}}'　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ
　　 .!}　.!: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 八 ,X￣｀Y⌒ヽ、　!i　　　　　　　　　　　　　　　　　　i
　　　　 .! : ﾄ、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .{　　　 ヽ　　 .Y .{　　　　　　　　　　　　　　　　　　.}
　　　　八: :! .、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ　　　 .ヽ 　 .ﾄ .!　　　　　　　　　　　　　　　　　　.!
　　　　　 !: i　ヾ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼　 ,..-|　　.Y..i　　　　　　　　　　　　　　　　　　.!
　　　　　∧ V　.＼: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ.i::::::!　　 {-.V　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,
　　　　　　ヾﾑ　　.｀ヽ、: : : : : : : : : :ヽ 、: : : : : : : : : ヾ!:::::!　　　　.ヽ　　　　　　　　　　　　　　　 ./
　　　　　　　ヾ 、　　　｀ ＜ : : : : : : : :ﾊ｀ヽ : : : : : : : : {:::∧　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　 ヽ、　　　　　｀ ＜: : : : :∧　 ＼: : : : : : V::::ゝ、　　　 　 ヽ　　　　　　　　 　 , -‐￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀.ヽ : ﾑ　　 ヽ: : : : :人::::::::ヽ、　　 ＼ __`　＿ ＞-─‐ '　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ: ヽ　　 ＼: : : : !＼_:::ヽ＼　 　 ＼＼　　　＼--──　"


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　少女は懐から果実を一つ取り出すと

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やらない夫の鼻頭に突きつけた

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「これ食えよ！」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「あたしが取ってきたから、うめーぞ！」

　　　/　　　 ./　　 .::::::/　 .::::::／　　ﾞ,:　ｉ;::.　　 ヽ　 ,　　　　.　　 　 ’
　　 i　　　　/　　 .::::::/　.::::／　　　　 ﾞ,: ｉ:::::.　　 '　　.　　　　ヽ丶 　 ﾞ.
　　i　　 　 /　　.::::; ':i　.:／ .,＿＿＿＿ ｉ卜;::::::.　 ﾞ.　ｉ　　　　 !:. ﾞ,　::！　　　　　　　　　　　 「駄目よ、そんな事しちゃ」
.　 i　　 　 ｉ　　 ::/:: .i .:/　　　　　　　　　ﾞﾅｰ+;_:_:.　!. ::!　　　　.}:.〃~`!ｉ
　 l　丨　丨　 斗‐' .|/ 　 　 　 ,.-‐＿___ﾉ_　 ヽi;:::. }::.::|　 ｉ　　.:ｒ‐'. "` ｰ、
　 |　！ 　:i::. "/ __　i 　 　 　 　 ｦ"苅ミ;ｒﾏﾐ.　ﾘ ';::ﾄ;:::}　 ｉ　 .::i!:;'::::.　 ﾞ;.}
　 !！丶　:::.. ｿ_,...._　　　　　　　　 f///ッ; 　 　　.i:| .ｿ ;ｿ　.:::人::::::::. 　{　　　　　　　　　　　 「弱ってる人に、無理やり食べさせては駄目よ」
　 ヽlヽ ＼ :::ｖ゛''茫　 　 　 　 　 　 ｖ'ﾞｰ"ｿ.　　　　ﾘ /.;:'　:::ｙ ﾊ;{::ヽ::::..ｿ}　　_...．-―‐、
　　 ゝ＼　 弋.　{!ｌ|　　　　　　　　　ー '' "　　　　　/;' .::／ヽ::::|::ｰ-:＾ッ　"　　　, -―ゝ
　　　　　＼__| 　.ヅ　　　　 　 　　　/ ﾊ〃 "　　　/..／ι:::::::::|::::::／／　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　 |　　　　 ，　　　　　　　　　　　 　 ／´　 γ::ノ:::ﾉ／／　　　　　　　　　,..-一'　「お母さんが後でちゃんとした物、作るから」
　　　　　　　　〃"´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　／ 〃"　　　　　 . 　 ...:::"::::／
　　　　　　　　ゝ.　　 　 　 　 ＿_ 　　　　　　　　　 ..:::::ｆ~ ´　〃::::.. 　　　., '　／:::::::／
　　　　　　　　　 丶.　　　 　‘‐- ｀　　　　 　 　 .,..ｨ::::|　 　.∥::::::::::::...:::〃≦::::::∠＿, -―‐ヽ
　　　　　　　　f＞ .　ﾞ 　、　　　　　　　　　 _,.:::"::::::::::{　　 ヾ::::::::::::::::〃::::::::::::::::， "　　　　 ！
　　　　　　　 ｉ　＼　＞ｰ-≧　.. _ ..．...:::::'":::::::::‐:::≦二ニﾌ　＼::::〃:::::::::::::／／　　　　　　 ﾍ
　　　　　　　ﾉ　　　｀ ー　　::~:::´:::::|;::-:::≦::´:::::::ィ ´　 　 　 ヽ　 ー―‐ > ／　　　　　　　 _.,〃
　　　　　　　丶、　 ｰ- ...:::::::::z＜:::::::::::::: ´ 　／　 　 　 　 .:::::..ヽ　　 ／／　　　　　 _..． "



　　　　　　　　　　 /:/::::::::､/:::::､::::::::::／::::ヽ:::::,:::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::~::::::
　　　　　　　　　　l:/:::::::::::/:::::::::へ／::::::::::::::｀::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::ト､ヽ
　　　　　　　　　　l:::::::::::::::l::::::::::l|::| ヽ:､:::::::::::ヽ:::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::|::::ヽ
　　　　　　　　　/.:l::::::::::::li::::::::::ﾊ::|　　､i､:::::::::ヾヽヽ::::::::::::::ヽ::::::::::::l::::::::　　　「なんだよー」
　　　　　　　　 / l::l::::::::::|､i､:::::|　l:|　　 ヾ＼::::::､ヽ::::::::::::::::::､ヽ::::::::::ト､:::
　　　　　　　　　 l| i::::::::::| ヽ;::::|　l:|　　　ヽ　ヽ:::.､_ヾ:::::::::::::::::::ヽ::::::i､:::ヽ
　　　　　　　　　　 l::､::::::fゝ､ヽ|､　!　 ＿__,.x -へ:､　 ヽ::::::::::::::::ヽ:::|::＼::　　「いっぱい食わなきゃ早く元気にならないだろー」
　　　　　　　　　　　 Y､:::V;;;;| ヾ　　　　　=r==- ､　　　Vr､:::::::::::::､l::::::::::
　　　　　　　　　　　　|ri､::Lﾘ　　　　　　　tv;;;l|　 '　　　 ,へヾ::::::::/:::::::::::
　　　　　　　　　　　　ヾi　ヾ､　　　　　　　 L_ﾘ　　　　　,)　r' }:／::::::::::::::　　「これ、すげーうめーしさ！」
　　　　　　　　　　　　 ｀|　　　　　'　　　　　　　　　　　ムr'／― - ､::::::
　　　　　　　　　　 , -―ヽ､　　　＿　　　　　　　　　,ｲイ´　　　　　 ヽ:::
　　　　　　　　　／　　　　　ヽ､　　　 ｀ヽ　　　 　 '　/::} ヽ､ 　　　　　ー
　　　　　　　／　　　　　　　　　 iヽ＿__　,　 イ　 ／:::/ ,A |
　　　　　 ／　　　　　　　　　　　l l::::::＼　　　 ／::::::/ /::::l |

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　　/ /:::::::/:::::::::,::::::::/:::::/|:::::::::/／/:/　　　｜:::|::::|:::::::::::::|::::::::::::::::::::ハ:::::::､ ヾ､
　　 /::::::::/::::::::::|::-/_|､/_ |::::::／ /::/　　　　 |::::l:::::|::::::::::::|::::::＼:::::::/::::|::ヽ::ヽ
　　 |:|:::::::|:::::::::::|:::/　|:/ ｀i:ヽ/_　l:/　　　　　 |::ハ::|::::::::::::l::::::::::::::｀ヽ､:::|::::l､:::l
　　 |:l:::::::|:::::::::::|:/t-t-,､_ |:/､ ｀ﾄ/､　　　　　|:/　､|::::::::::/:::::::::::::::::::::::|::|:::::| l::|　　「ま、まあ、おっさんが食いたくないってなら」
　　　V::::::､::::::::::'　!　//,ヾ>､　　|　　　　　　TT―l|-:､:/_|::::::::::::::::::::::,':::::::::| |::|
　　　 |:::::∧::::::::|　　|r {//,ﾘ　　　　　　　　　/ ＿ |:::::/　|:ヽ|::::,:::::::::/::::::::::| |/
　　　 |::::| l ,ヽ::::|　　ゝ 　ノ　　　　　　　　　　r-r-,ﾄ/､　.|::::::::/:::::::/:::::|::::::| '
　　　 |::::ゝ ｀|＼|　　　￣　　　　　　　　　　　/ｿ///y ｀,>::::/:::::::/::::::::|::::/　　　　「あたしがくっちまうけどさ……」
　　　 |:::::|:ヽ_|　　　 ´ / l l　　　　　　　　　　 |l ,,ー,Y　 //::::::::::/::::::::/|::/
　　　 |::/:::::l::､　　　　　　　　　　'　　　　　　　ゝ､ソ　　/::::::::,ｲV::/:/ ﾚ
　　　 V:::::::l::::＼　　　　　　　　　　　　　　／/, ,　　　 /:::,.イヽ |://
　　　/:::::::/:::::::::::へ　　　　　 ‐-　､　　　　　　　ハ　 'イ'　　ノ:/
　　/::::::::/::::::::::/:::::l::>､　　　　 ｀　　　　　　　　 　　/__,,イ:´:::/
　/::::::::/:::::::::::::ト､ヽ/　　ヽ､　　　　　　　　　　_, イ:::::::::/:::::, '
,/:::,. -―- ､:::/.:.:.:.:.｀ヽ｀ヽ､ ｀ー――r::::':::::i:::/::::::::::::::::/:,ｲ



　　　　　 /:/　　/: : : : ::::|:l: : ::::::::l: |　　　ヽ: i: : : : :::::i､: :i､:::::::::l: : : :::::::::i:::l:､:::::::::､ヽ::ヽ
　　　　 ./:/　　 l: : : :::::::::l:l: : :::::::ﾊ:.|　　　　 i:ﾄ: : : :::::ハ: :| ヽ:::::l: : :::::::::::l: l:::ヽ::::::::i ヽ:::!
　　　　 l::/　　 .!: : : :::::::::|:ヽ: ::::::l |:.|　　　　 l:| l: : : :::l　 |:!,.,イ::::l: : :::::::::::l/i:::::ヽ:::::::|　ヽ:!
　　　　.!:/　　 .|: : : ::::::::::ﾊ::i: : :::|　l|　　　　　 | l: : ::ﾉr'´|:,!　 ヽ::l: : ::::::::::ﾚ:|:i::::::|､:::::|　 .!:|
　　　　|:l　　　 |:i: : ::::::::V .l::i､: ::|　ﾘ　　　　　七i:'´/　 ,_|!,r―, V: ::::::/::/::l:::i::::::|ヽ:::|　　l:|
　　　　|l　　 　.|::i: : :::::::T' 'TTヽTニー　　　　　ｲ/,r,i＜!//i　/ l: ::::/:::/=ヽ::i::::::|　|::|　　 |
　　　　|　　　　|i::iヽ: : :::::l t-|-r-==､　　　　　　　/　 iｲ､ｿ |　 /: :::/:,ｲヽ ! | :i: :|　|::|
　　　　| 　　　 |::i::| ゝ: : :ヽヽ　 ri/Yi　　　　　　　　　ヽー '　/::::/ ／ち//i: : :l: |　|::|　　　　　「……」
　　　　　　　　 |:i ヽ |:＼: :ヽ　 弋ﾆｿ　　　　　　　 /　/ /　/:, r '´　r''´ﾉ::l : : l: |　|:l
　　　　　　　　 |:i　 ヽ|: :{ ゝ､ヽ　/　/ l　 ,　　　 　　　　　　'　　 ,ﾍイ: : : : l: : : l:|　|:l
　　　　　　　　 l::|　　 l: :.|　ヽ　　　　　　 　 　　　　　　　　　 ／: : l:|: : : : i: l: : l:|　|/
　　　　　　　　 l::!　　　!:::| 　 ヽ､　　　　　　___　　　　　　,. イiヽ : : l:l: : : ::l: :l: :X
　　　　　　　　 l:.!　　　 !::|　　　i｀ゝ､ 　　　　 ｀　　 ,.　'´　|: : :l: :｀: :l:i: : : :l: :l : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　.!:|　　　 ヽ: : |｀ T　,.-,r-_'´_,.r-'ニニ}: l: : : : :l: : : : :l: :ヽ: : ヽ
　　　　　　　　　　　　　 !|　　　　 ヽ:.|　 |:.iヽ| ,r,. r:.'´:::::::::::,:::!-i__: : : :|: : : : |: : ヽ: : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ|__,.L:::| !/::::::_:_:,.ノr―/ /￣￣ ｀ ヽ: :.l: : : ヽ: : ヽ

　　　　 ／￣￣＼
　　　／　　 _ノ　　＼
　　　|　　　 （ ●）（●　　衰弱していたが、食欲は無かった
　　　|　　　 　 （__人__）
.　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　 |　 　 　 ∩ ノ ⊃　ただ、目の前の少女が自分に対して一生懸命だと察し
　　／ 　 　 .／　＿ノ
　 (.　 ＼ ／　.／_ノ │
　　＼　 “　／_＿_|　 |　彼女の気持ちを汲んでやらねばと思い
.　　　 ＼／ ＿＿＿ /



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼　　　　　　　やらない夫は
　|　　　 （ ー）（ー）　　 (⌒)
.　|　　　　 （__人__）　　/´
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　その木の実を、頂戴し
.　 |　　　　　　　ｎｌ^l^l
.　 ヽ　　　　　 |　　 ﾉ
　　 ヽ　　　　ヽ　く　　　　　　　無心に貪った
　　　/　　　　　ヽ　＼

　　　　　　　　 ∠ﾆﾆﾆﾆ７ . . . .／. . . . ./. . ./___. . . . . . . . ＼
.　 　 　 　 　 〈ﾆﾆﾆﾆニ7.. . . . . . . . .. ./ . . . 　⌒＼. . . . . . . .＼
.　　　　　　　　〉 ﾆﾆﾆﾆ′ . /. ./. . . ./ . . . |　　　　 ﾟ｡. . . . . . . . ﾟ｡ 　 やらない夫が果実に齧り付くのを見て
　　　　　　　 /. . ＼二｛. . . ′｛. . . .　｛＿. |　 　 　 斗‐-. |. . . . . .　　少女は白い歯を見せて、朗らかな笑みを咲かせた
.　　　　　　 / . . . . . Ｖ｛ . . i. . ｛. . .／人. . .|　　　　 丿｝ . ハ. . . . .
　　　　　　/. ｝ . . . . . .｛ . . |. .八 . . ｛　　___|　　　　　厶-=ミ,｝. . . .|{
.　　　　　/／｝. . . . . . ｛ . 八. . . ＼ ｛ ァ'^⌒ 　　　　″　　　｝/. . 八　「な、うめーだろ！」
　　　　　′　｝ . . . . . 人 . . . 丶 . . .　″　　　　　　 '　 　 ''' / . |/
　　　　 ｛　　 ｝ . . . . . . . ＼. Y⌒＼_〉 '''''　　　　　 　 　 　 　 l.丿
　　　　 ｛　　 ｝. . . . . .｝. . . .＼､ゞ 　 　 　 　 r ___　￣｝　　　 八　　　 「こんなの、またすぐ取って来てやるからさ」
.　 　 　 乂　. . . . . . . ｝ . . . . . . .ｰ-- 、　　　　ｰ-‐　　　　／⌒
　　　　　　 / . . . . . . . . . . .| . . . .〈／ . . . .
.　　　　　 / . ／. . . /. . . . .|. . . . . 　-‐　｛　 ≧=‐r＜　　　　　　　　　　「沢山食べて、早く良くなってくれよ！」
　　　　　厶イ. . . . /. . . . . .|.. . . . . . . /､　　｀`ー ､ ,メ爪=ー- ､
　　　　　　　｝ . . ./. . . . . . .|.. . . . _,,メミx､＼　　　　||　ﾉﾉ ＼　　',
　　　　. . . .'′. . . . .. . . . . . ／⌒　　　 Ⅵ　ﾞ＝＝〉Ｘ"　　 ∧　　　　　　「えへへ」
　　　/. . . . . . ./ . . . . . . . /　　　　　　　||　　　／ {ﾊ ＼ 　 ∧　|
　　/. . . . . . ./ . . . . . . . ,　　　　　　　　||　　　＼ 弋!／　　 ∧ |
　　′. . . . . .′. . . . . 　/　　　　　　 　 ﾉ'　 　 　 ､ノ｝＼ﾉ　　 ∧!



　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　／////////|､_
　　　　　　　　　　　　　 ／///r ￣￣￣　　｀ヽ､
　　　　　　　　　　 ,､_//|l>/　　　　　　　　　|　　＼
　　　　　　 ,.r ´￣　 {l､ ll,/　　　　i /　,　　 ,ｨi､　　トゝ
　　　　　　ﾚ´｀＞'　r,‐ >|　　　　//　/　,.ノ/　} |　| ｀　　「ごめんなさいね、無理をさせてしまって……」
　　　　　　　 ／　　ゝ-<|　 .|　l/ .| ./ ,／ /,--l/l　|
　　　　　　　 /　 ,.イ　/ ,}　 |　{. ,rV´　　　 ,.--､ﾚl|
　　　　　　　 レ´__|_/ﾉ__A　ヽ l{　 ,--　　　　　　}　　　　「あとで、お粥を持ってきますからね」
　　　　　　　　　|　　　　 ｀ヽ l|ヽ　　,,,　　　｀　　,{
　　　　　　　　　ヾニ＞､ヽ　>,<,} ヽ､ _　　‐'　／ヽ
　　　　　　　　 r――--<} /　ヽー―- -/ ヾ_,.//
　　　　　　　　 {ニニ-､　 Y　 / ｀ー―‐'ヽ､>-{--,-

　　　　　　　／￣￣＼
._　　　　　／　　 _ノ　　＼　　　__
| |======|　　　 （ ●）（●)===| |
| |　　　　 |　　　　 （__人__) 　　.| |　　それから暫くの間、やらない夫は彼女達の世話になった
| |　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　 | |
| |＿＿＿_|　　　　　　　　}＿＿| |
| |＼　（　.　ヽ　　　　　 　} ヽ　　＼
| |　 ＼ヽ　　 ヽ　　　　 ノ　　)　　　＼
| |＼　　＼（￣ ⌒⌒⌒⌒￣⌒ ⌒ ⌒ヽ
|_|　 ＼　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　＼　　＼　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　 ＼　　＼　　　　　　　　　　　　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　,　 ''"￣￣￣｀` .__
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　-‐―,'、 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　/　　　　 ／　　ノ　　　　　 ‘，　　　少女の母は優しく、献身的な女性であった
　　　　　　　　　　　/ / '　. 　/　 ／/／　　　　　　,
　　　　　　　　　　 //　'　i　./　/　/　　　!/i.　　 　 !
　　　　　　　　　　ｉﾘ | {　ﾘ 从./　/　＿__i/　i i　i　 i　　　　見ず知らずの男である、やらない夫を
　　　　　　　　　　ｉi │i 'iﾌ二_!　　 ´__...　｀` | !　|ｒｖ'
　　　　　　　　　　!　(', . {f''汽゛　　ｨ＝=x._　|ﾘ　ﾒO ）
　　　　　　　　　　　　ｿ ｀ 七ｿ　 　 　　　　 i,' .刈∪、　　　　かいがいしく看病した
　　　　　　　ｒー‐--‐'　ゝ、　 '　　　　　　./／少ゝ、｀~こフ‘，
　　　　　　　〉　｀ ヽ　ノﾍﾍ.　　 ｰ　, 　 　"ノ ´　　 _.＞"　　 ｿ
　　　　　　 辷_ｒﾆ;　　ヽ　　 丶 ` 　 .　ィ´{＞　 ｆ"　／　　／、
　　　　　　 ＿　V|ヽ丶 ﾍ　　　i≧´__,.-‐≦ |　　辷__..＜ テ　ヽ,　
　　　　, '´,,..--二フ,’，丿=ﾆﾆ、.ﾘ 　 ＿__ 　/｀ヽ.　￣ﾌ　／ ／
　　　 〈　 _,,.-.‐;―ｉ"~　 { 　　　>''７" 　　 ｀ｙ　 V　｀~ヽ._,∠"⌒ヽ.
　　　/’,　‐--、〉V|　　 /、,, -ゞ‐'、　　　 ｿ　 V　ｉ.　 　ﾍ　 ~〉∥,'
　　ノ　 i　ー,.‐'　 ||. 　ｖ＿/〃_⊥ｌ ｌ｀`＝/　 V　 ｖ　 　 ﾍ　《 　 し,"
　　ﾘ　　｀￣ ！　,.||´/　　 ｆ.|　　　! i￣゛'　　V　,　i　　 　ﾍ　 ゞｰ'
　 ！ゞ三三彡 /　||/~~~~.i._|~~~~~! i~~~｀ヽν　i　|.　　　 ‘，
　 ｉ　　　　　ﾘ　{. 　||　　 　、..＿_　~´　　　　ｿ　 i | ー- 　 ﾉ
　 !　　　　./　 人　||　　　　　ー ｀　　　　 　 |.　 ｙ'　　i " ~
　ｉ　　　　/ ／　　ゝ!!　　 　 _, ニ..__ 　 　 　　|　ﾉ 　 ,'
　ヽ. 　　／　　　 　 {{　ｰ "　　　 `／〃__,..-+"! 　　|
　　　` ´　　　　　　　',¨¨¨¨¨¨¨ﾉ　　　　　　 { |　　∥
　　　　　　　　　　　　 ゛ ｰ ‐ ´　　　　　　 　 ヽ;　 |



　　　　　　| |　　　/::/:::::::::l::/:::::xi::::,｀-,_
　　　　　　| |　　/:/::::::::::rt i:/tz､!'　|:ﾉ:::|
　　　　　　| |　　l/:::::::::::ゝ､ !| ゛　 , ｧィ:/　　そして少女は、非常に活発であった
　　　　　　| |　　|::::::l:::l::l:::|_ヽ 　ヽ　ﾉ,ｿ
　　　　　　| |　 /:::::::,.―､::!::::ヽ,‐r '
　　　　　　| | /:i:::/il　　 }l::::rr､r､l　　　　　　日の出と共に、家を出て
　　　　　　| |/ |::l l:|-､//:::::::>i<:ヽ
　　　　　　| |　|::l |/　lV::::::;;;;;:::::;;;;} ､
　　　　　　| |　|::l/ 　 .!:l:::::::::::::::::::l､　＼　　　夕暮れまで帰ってこなかったが
　　　　　　| |　Vヽ　 /::|;;.::::::::::,:::::| > 　.!
　　　　　　| | /;;;;;;;;Y|::/::::::::::::ハ::Y;;;;;;;/
　　　　　 rU' ヽ;;;ｿ/:/:::::::::::::/ﾊヽ:|;;;;;;;}　　　毎日必ず
　　　　　 {_=Y_ソノ/::::::::::::::/ィ ヽ､{_Y´
　　　　　　| |　 　./::::::::::::::/　|　 | l:ヽ
　　　　　　| |　　/:::::::::::::::/__|_t KLi:::ヽ　　　果実や魚や、あるいは何らかの獣の肉を取って来ては
　　　　　　| |　/::::::::::::::::/T | | | | | VT:､
　　　　　　| |ノ::::::::::::::::/ |　| Li,i_L_,| |::::ヽ
　　　　　,.::| |::::::::::::::::/＿!　/ ヽ　　 -,,､.::ヽ　やらない夫に供した
　　　　/:::::| |::::::::::::://　 ト '　　ー―' | ヽ:::ヽ

　　　　　　　／￣￣＼
._　　　　　／　　 _ノ　　＼　　　__
| |======|　　　 （ ●）（●)===| |　　本当は、早くここを去らねば、とやらない夫は思っていた
| |　　　　 |　　　　 （__人__) 　　.| |
| |　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　 | |　　自分のような者は、彼女達とは共にいる資格など無いと
| |＿＿＿_|　　　　　　　　}＿＿| |
| |＼　（　.　ヽ　　　　　 　} ヽ　　＼　そう思った
| |　 ＼ヽ　　 ヽ　　　　 ノ　　)　　　＼
| |＼　　＼（￣ ⌒⌒⌒⌒￣⌒ ⌒ ⌒ヽ
|_|　 ＼　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　＼　　＼　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　 ＼　　＼　　　　　　　　　　　　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　ｨ'　 ,ｨ幺圭圭圭圭圭圭圭圭≫.､
　　　　　　　　　＿,.-‐''（( ,ｨ幺圭㌢"´￣￣｀`ヾ‐-ミ圭圭圭i､
　　　　　　　 -―ァ　　　 ,{圭㌢　 ／　 　 　 　 　 　 ｀`ヾ圭圭>
　　　　　　　　／　　 '´〃,／　 ／ 　 　 　 　 }　　　　　､　ヾⅣ　　　　　　　　だが、身体が弱り自由が利かないと言うこともあったが
　　　　　　　 /　　 　 ,.ｨ､/ 　 　 　 　 　 /　 /､ ､　　 l　 ヽ　ヽ
　　　　　_z彡'　 　 .〃 ./　　 　 　 ./　./　 /　 ヽヽ　 l 　 ‘， ‘，
　　　　　　　{ /　　 {{__,'　　 | ｌ　　/　./l . /　　　', ﾄ､ .!　　 } .r‐､　　　　　　　 自分の看病をする二人の優しさに
　　　　　　　} i　　　 ァl l 　 | l　 /,.-/‐l /　　´￣!「`i |.　　 !(d　)）
. 　 　 　 　 ﾉ人　i　〃l ｌ　　l l '´i.ｌ /__ ﾚ　 　 ,ｨ‐,ﾘ,,,,Y !　　l し､ｿ　　　　 ＿
　　　　　　　　 _V-< ヾい 　'..l　ｉ,xァテ!　 　　 '"{刎iilﾞヾ　 /ﾞy ∧､_,.ィ"´　　l
　　　　　　　 ノ　 　 ｀ヽⅥ､　Y.l" 'r刎}. 　 　 　 ヾ='’ ﾉ.／ .ﾉ/ .,ｲ　 　 　 ,.ｨヽ､
　　　　　　　{ ｀`ヽ、　　 ヾﾐ､ Y!　 ¨´　 　 、　 　 _z彡ｲ_,.ｨﾞ' ／　　　　／-‐''"
　　　　　　　 ｀ヾﾐ>､　　 ､　ヽヾﾐ､　　　　 　 __,　　 　 /／ ./　　　　／　 ,.ィ"´￣i
　　　　　/￣ ｀`ヽ、 ＼　 ＼ ヽ　 ヽ､ 　 _｀　　 ＿ ,ィ′　　 ＼/ ／(___／　　　　 ヽ
　　　　/＿_　　　　ヽ-‐'､,ィ=＝=-､_ <´へﾄ--/r‐‐ァ､___,.ｨ'´￣｀ヽ,.／　　　,.ｨ'´￣
　　　　　二ﾆ＞､ヽ　 ,.ｲｱ‐》　| /ｨⅣ　i--》Y´/-彡"´ Ⅵi、　　 　 ヽ／　／（＿＿_
　　　 ／　 /´￣｀ヽｉ{ｱ/ヽ､ヽ_l‐'‐'-<"´ ／lllﾄ ヽ　　　､ Ⅵ、　　　　 ヽ‐---‐''"⌒) ヽ
.　　　{　　 {.　　　 〈{:_/ヽ､／　｀¨¨¨``"´　7l l l　ヽ.　 　 ヽ、　 　 `'ーへ　　　　 /　./
　　　 ヽ 　 ヽ　　　Y圭ア　　　　　　　　　 l l l ﾄ､__l 　 　 　 ＼　　 　 　 ﾉ　　 ／ ／
　　　　　｀`ヽ ＞　,'ヾ∨　　　　　　　　　　l l/ l　 　 　 　 　 　 Y 　 /　/　-‐''''"´
　　　　　　　　　　,' 　 .{　　　　　　　 　 ＿l l-‐　　　　　　　　　 }_／／
　　　　　　　　　 /　　人　　 　 　 　 　 ,. :l l l　　　　　　　　　　ﾉ￣￣l
.　　 　 　 　 　 /　 　 　 ヽ、　　　 ,.ィ"三i77==:､　　　　　 　 ,ｲ ￣「´
　　　　　　　　 {　　　　　 ./ /二´-‐＝=///―-ミ＞‐--‐ｧ'ｉ´　　　|



　　　　　　　　　　　　　/:ィ: : : : : : |: : X|/　　　　　| |i: : : : : : ﾊ: : : : : : : : : : |: : :／: :
　　　　　　　　　　　 ／'´ |: : : : : /|: :/ |ﾍ　　 　　 |/ |: : : : :/　ヽ: :i: : : : : : : :|: : : :／:
　　　　　　　　　　／　　　|: : : :/　 V{､ ､　　　　　/　 |: : : /　　 .!: :l: : : : : : : |: ／: :,:
.＼　　　　　　　　　　　　　|: : : | 　/:ゝヽヽ　　　 / ―r―/--- ､_|: |: : : : : : :.|: : :／: :　　　　　　何時しか
､.　＼　　　　　　　　　　　 l: : : |　 |;;;'t　!　　　　　　　|:./　　　　　|:T: : : : : : :l: : ／:.:
..＼ 　＼　　　　　　　　　　ヾ:/| 　 |::7　　　　　　　　 i/,.r-､‐‐ -､ﾘ|: : : : : : /:／:.:.:.:.
　　＼　 ＼　　　　　　　　　　 ,!　　｀´　　　　　　　　　/;;;;;C　　 / l: : : : /:/:.:.:.:.:.:.:.:.:　　　　　　 この上無い心地よさを感じるようになっていた
　　　 ＼　 ＼　　　　　　　　　{　｀｀｀　　　　　　　　　iヽ-''iﾘ　　' /: : : :///＞､:.:.:.:.:.:
　　　　　＼　 ＼　　　　　　　,へ　　　　'　　　　　　　ヽ:::ノ　　　/i: : : / /　{ /!:.:.:.:.:.:.:
　　　　　　 ＼ 　＼　　　　／: : : ＼　　　　　　　 　 　//　　　 ,/ /:／ /ﾉ_ン/:.:.:.:.:.:.:
　　　　　　　　＼　 ＼ ／: : : : : : : :_:ゝ､　　｀ ー―　　　　　　　/'´　 ＿ ,／:.:.:.:.:.:.:.:.
　　　　　　　　　 ＼ ,ム--――<ヽ:::| {:.:.:｀ヽ､　　　　　　　 _, ＜:.:.:.｀´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
　　　　　　　　　 ,／　　　　　　　ヽ｀il |:.:.:.:.:.＼＜￣￣￣,／へﾞ､￣｀ヽ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,:
　　　　　　　 ,..イ　　　　　　　　　 .| |:､ヽ:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽﾞ-v',.:'.:.:/|:.:ヽ.!　　　＼:.:.:.:.:.:.:./
　　　　　,.r:'´:/　　　　　　　　　 　 | |:.:ヽヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.| /:.:.:.://:.:.:.:! !.　　　　l:.:.:.:.:./

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,x≦至至至心
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ然圭圭圭圭圭ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ然圭㌍羊ﾐ~｀ヾﾍﾞ'=-x ,_
　　　　　　　　　　　　　〃⌒/圭少'´　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　{{　 /ﾐ|㌣/　　　　　　　　　l,　 　 ヽ,　ヽ
　　　　　　　　　　　,ｨ´~ 》-|夛' /　　　　　,　　 　 ハ　i　　　' 　ﾍ
　　　　　　　　　 γ　　 {{　v'　　　　　　　,|　　 , /　 'i ﾄ,　　i, 'i　 }　　　　　　　　　　それは、自分の手の内より飛び立って行った
　　　　　　　　　　{ ｨ　 　 V　　 　 　 {　 / |　 ,ｲ/　-､l.从 　,ﾊ i　 l
　　　　　　　　　　V　i　　 i　 ｌ　　　 ﾊ　|　|　/ﾉ　 ___ }/ |　　ﾘﾉ､∩　 ＿_
　　　　　　　　　　 | ∧　/{　 i　　 k | 乂　|ノ　　　ﾏﾃﾐﾒﾘ　 /　 (　) / /　＼
　　　　　　　　　　 乂 ﾘﾉ　|　i　　 | ﾘ ,,ﾏﾐ,、　　　　iｨ杉 ﾘ,ｲ　 /｀)　/ノ　　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　V i　　 { ,ｲう心j 　 　 　 ｀ｰ ' ｲ　／_∠／　　／
　　　　　　　　　　　　　　　 乂ﾍ　 ＼ 弋ン　,　　　　　　 ﾚ〈￣　　＿＞y=ｳﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾヾヾ,　　　　 ._　ノ 　 ／|_ ヾ-ｯ´　/,ｨﾁ'´　 _〉　　　家族のぬくもりを、二人の間に感じたからかもしれない
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　 ﾞ'ｰ--　　､ - ''__, -'´}　　{￣　　　_,,-´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ﾆ=ｰ- ｨﾁｰ､|　/　　　 {　　 ｀ﾆ=ｰ7´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}＿/´　/ V,　 ∨　　_／>ｰ-／　＼　＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　/_,,-ー-r-,＜__ 　|　/　　　　ﾍ　　 ⌒＼
　　　　　　　　　　　　　_,,x-ｰ―-／　_＞-|,,=ー个ﾄｰ､,,_｀ﾞヽ |　　　　　.|｀ヽ,　 　 ﾍ
.　　　　　　　　　　　 ／　　／ ／　／　　／／ /＼ヽ,　ヽ／/　　　　　:|＼ |　 　 /　その暖かさが、擦り切れた彼の心身には
　　　　　　　　　　　/ i´ _xｪ∠zx, /　 　 / /　≠ 　 |　|　　{/　　　　　　 　ﾍ　彡″
　　　　　　　　　　　ヽz〆´/　　ゞx　 _,,ｪﾆ=-ｰ-､　 |　|　　/　　　　　　　　　〉
　　　　　　　　　ﾔﾐ㍍zzzzzzzｘｴﾑVKzfｴｪx､　　　 |　|. 　(　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　〝㌍ゞﾞ/ヽ: :｀: : : : ﾞ｀ﾞ＜⌒ヾﾐzx,　⌒　 　｀ﾒ,　　　　　　／
　　　　　　　　_,x/´: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ､ヽ,,　　　　　ノ|　｀ﾞ'ｰ-ｰ 7´
　　　　　　_／:/ : : : ／: : : : : : : ヽ,xﾍ: : : : : :ヽ　｀ ''' ''' ´ ./｀ﾞｰx,___,z/　　　　　　　　耐え難い程に、穏やかに染み入った
　　　_,xﾆ㌣7/ : : ／ : : : : : : : : : : : : ﾍ: : : : : : ﾍﾆﾆﾆﾆ／ヽ､_　　/
_,,x=ﾞﾞ´　 ／: { : :/:/ : : : : メ､／l: : : : : :／ヽ.: : : ﾍ || ／--v,_ ￣〈
　　　　 /: ／l／//: : :/:/:／ヽ/: :／/; x : : : : : i : i／　　　　ヽ__/
　　　／:／: : r⌒i :/i ,んテx､ i :/ 〃´ | : : :i : :.} ハ　　 　 　 　 }
　 ／／/: : /:{ し|/ | {赤fうヾ V　　　 /／| | / i : .ﾊ　 　 　 　 /
／／v/i : :/ :｀ｰ|∧| ヽ-´　　　　　　/´⌒!ﾞﾒ / : ハﾑ　　 /　/￣＼
彡'ﾞ´/: l : i : :/::ヽ, ｀　'''　　　　　　　赤ﾃｘｊ´ノi: :/　 ｀ﾍ 　i　/ ＼ 　＼
　　 {: :_l_: l :/:::::::::ゝ,　　　　　　　　ん7'∠／/／｀ヽ　　　 V｀、　＼　 ＼
　　 ,´ 　｀'//7'//＼＼　⊂ｩ　´　 ｀´　／／＼　 ∠＿＿/ 　 ヽ　 ＼　 ∧
　　/　　 /| | | |' |::〉〉-｀ﾆ=tzｪ、___,,,／／:::::::/ ｀´　　　|　　　　 　 　 ＼　 〉
　 /　 　/;;ﾚﾚレリ///￣ /,rｰｰナ::::×:::::::::::/ ／　　　 .| 　　 　 　 　 　 i ∧
／_,,x-''ﾞ´r=====ハ-＝/./ / / ,ｰヾ--､ン´／　　　　　|　　　　 　 　 　 |　∧
. / : : : : 《,　/⌒)｀∧: : :｀'ししr´　　　　｀i /　　 　 　 　 |　　　　 　 　 　 |　,ｨi|
:i : : : :li､_入i__,ノ_ノ丿: : :{: :／　　　　　 ／　　　　　　　 |　　　　 　 　 　 |_,ｨﾀ
:} : : : :L　　iﾆﾆニ´: : : : :ﾚ'　　　　 　 ∠ﾐﾐﾄ､
.i : : : : //｀'---'´: : : : ／--､

　　　　　　　, -―- ､
　　　　　　/　　　　　＼
　　　　　 /　　＼_　　　|　　　　しかし、だからこそ
　　　　　(●) （●）　　 |
　　　　　 (_人__)　　　 /
　　　　　 l｀⌒´　　　 /　　　　　優しいこの家族の元に
　　　　　　|　　　　　　ヽ
　　　　　 __!､＿___／　　＼
　　　　／､ ヽ　　　　　r ､　ヽ　　自分はいてはいけないのだと
　　　 ﾊ ヽ Y｀l　　　　 |　 >　 Y
　　　{　ヽ_ゾﾉ　　　　　|　ﾚi i i}
　　　｀¨´　　ヽ　　　　ハ　 `'''　　何日も自分に言い聞かせ続け
　　　　　　　　 >　　 /　ﾍ
　　　　　　　　/　　/ヽ　 ﾍ
　　　　　　　_,/　　/　ご_ノ
　　　　　　（　ヽ　/
　　　　　　 ＼__ノ



　　　　／||ミ
　　 ／ ::::||
　／:::::::::::||＿＿＿＿
　|:::::::::::::::||／￣￣＼||
　|:::::::::::::::||　_ノ　　＼＼
　|:::::::::::::::||（ ●）　（●）|
　|:::::::::::::::||　 （__人__）　 |　　　あくる日の明朝
　|:::::::::::::::||　　｀ ⌒´　　|
　|:::::::::::::::||　　　　　　　}
　|:::::::::::::::||　　　　　 　 }
　|:::::::::::::::||ヽ＿__　　ノ　　　　足音を忍ばせながら
　|::::::::::::::(___＿＿ノ´||
　|::::::::::::::(_ノ ／ . . . ||
　|:::::::::::::::||／　　　　||
　|:::::::::::::::||　　　　　 ||　　　　この場所を去る事に決めた
　|:::::::::::::::||　　　　　 ||
　＼:::::::::::||　　　　　 ||
　　 ＼ ::::||￣￣￣￣
　　　　＼||

　　　　／||
　　 ／ ::::||　　　　　　　l　 /
　／:::::::::::||＿＿＿＿　　　′／
　|:::::::::::::::||／￣￣＼||
　|:::::::::::::::||　_ノ　　＼＼
　|:::::::::::::::||（ ●）　（●）|
　|:::::::::::::::||　 （__人__）　 |　　　しかし、彼のその歩みは
　|:::::::::::::::||　　｀ ⌒´　　|
　|:::::::::::::::||　　　　　　　}
　|:::::::::::::::||　　　　　 　 }
　|:::::::::::::::||ヽ＿__　　ノ
　|::::::::::::::(___＿＿ノ´||　　　　　小屋の扉を開けた所で
　|::::::::::::::(_ノ ／ . . . ||
　|:::::::::::::::||／　　　　||
　|:::::::::::::::||　　　　　 ||
　|:::::::::::::::||　　　　　 ||
　＼:::::::::::||　　　　　 ||
　　 ＼ ::::||￣￣￣￣
　　　　＼||



　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　_ノ　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　＿　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　／　　＿＿_　　 　ヽ　 　 　／　＿＿_　　 ヽ
　　　　　　　　　　　l　　 /::::::::;;;;( ヽ　 　 .l　　　l　 /::::::::;;;;;( ヽ　　l
　　　　　　　　　　　|　　.|::::::::●;;￣l　　　|　　　|　.|:::::::●;;;￣l　　|
　　　　　　　　　　　ヽ　 ヽ::::::::::::::::ﾉ　　ノ　　　 ＼ヽ::::::::::::::::ﾉ　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　￣￣　 　　 　 　 .　　　　￣￣　、
　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　 　 　 　 　 l　　　　　　　　ヽ　　　　終わりを告げることになる
　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 　 　 　 　 　 l l　　　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 ノ　ヽ　 　　　　　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ‐----一'　　　　ゝ‐----一'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -_　　　_-―――-_　_- 　 　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__
＿/＿/＿/＿/＿/＿/＿/＿/＿/.,:;./＿/＿/＿∧
_/＿/＿/＿/＿/＿/＿/＿/＿/＿/＿/＿/＿/　.ﾍ
＿/＿/＿/＿/,.;::./＿/＿/＿/＿/＿/,.:;,./＿/.γヽﾍ.
_/＿/＿/＿/＿/＿/＿/;::::.,/＿/＿/＿/＿/　 ゝlﾉ　ﾍ
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ﾆﾆﾆﾆﾆil　　 ／￣￣￣￣／l　liﾆﾆﾆﾆﾆﾆil. | 　|´ | ,..|　!
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￣||￣| l| 　　| | |l 　 　 | || 　 　l l|￣||￣| l|, | 　|_,..ﾚ''　 |"''iv,,.
ﾆﾆﾆﾆﾆil 　　| | |l＿＿_| ||　 　 liﾆﾆﾆﾆﾆﾆiｌ｜　　 　 　 |　　　~"~ﾞ''"''' ｗ,ｖ,,iｖll､,ｗii,,..,..,.ill,..ｗ,,_,,
￣￣￣　. 　 | | |　 　 0| ||;:;,. 　 ￣￣￣￣　| 　 ;:;:, . 　 |　 　　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞ'' ｖｗ,,'ｗ
,.:;　　　　　 　| | |l￣￣ | ||　　　　　ﾞﾞ　 　 　 |　 ,　_,. - '´,,.,,
＿＿＿_,,wiiv| |_|l＿＿_| |l＿＿＿＿＿＿＿|_,,-'´
,,　　　　　　　| | ,,　 　 ,,| |　　.ノ　 、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　""''´''
　　　　　　,,　''';"　　　 ﾞ　 l　（○ ○
ｗｖ､,.,..,.ill,ｗ''"　　 　 　 　 |　 （__人）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　"ﾞ''''~
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　 　 ノ　 ﾞ"'''' iw..,,_,,..,..,.ill,..ｗ､,,_
　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ　　　ヽ　　　　　　　　 　　　　 ﾞ''"ﾞｖ,,iｖll､,ｗ,,'ｗii,.,
　　　　 　　　　　　　　　　ｌ l　　　 ll　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀~"ﾞ"'''' iw..,,_,,..,..,.ill,..ｗ､,
　　　　　　　　　　　　　　（ |　　　 |）
　　　　　　　　　　　　　　　し　　.Ｊ


　　　　　　　　　　　小屋の玄関を抜けた先に

　　　　　　　　　　　　　　彼は見たのだ

　　　　　　　　 _,,ｒ～､ ,,,,,,r´⌒,,、
　　　　,,,,,,,,ｒ⌒　　 　 　 　 　 　⌒ヽ,
,,､ノ⌒　　　　　　　　 _,,,,､,,,,___,,,,r'￣⌒'-,,,,,_
　　　　　　　　　　 ／,,／ﾞ゛ ｀ﾞﾞﾞ'''ヽ　　　　　ﾞﾍ
　　　　　　　　　, ",／　　　　　　 ）　 ,＿_　 ´"ー--､ｰ､
　 　 　 　 　 　 lﾞ ,i´　　 ヽ、 l　 ,ﾘ　 ,广) ｹ　　　　　 ｀;;;;;ヽ
　　 　 　 　 　 lﾞ lﾞ　 ,,,,,,__, `./'''i"　 　 ﾞ‐'~　　　　　　　 `~ﾘ
　　　　　　　　lﾞ |　　 ＿_,ﾞ,l´　┴＿、　　 　 　 　 　 　 ,,r'
　　　　　　　　| .|　　　_,,,,ﾞl,,,,,／i､ ￣｀r　　　　 _,,,,,,,r-"
　　　　　　　　ﾞl ﾞl、　￣　 _,‐ ﾞl　`､Z´　　 ／ ｢"
　　　　　　　　 ﾟi､ﾞl,　　 ‐"　 /　 ,,,rl、　　　ﾞ'-,ヽ、
　　　　　　　　　｀''r,,ｰ-､,,,,,,,,_,,,／　`ﾞﾚィ'ｰｔ、　｀ ､_t_
　　　　　　　　　　　｀ﾞ"''''''''"゛　　　　 　　 ヽ`!,,_　＿,〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 r‐'"￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ）'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ'



　　　　　　　　　「羊だ」

　　　　　　　.;i；';.
　　　,.;i；';.,,;；`;；i`、
　 ,.;；:｡;:；;:：､;；:｡;:；;,.
　,.,;:;；`;；i`:;：i;,|i!''"
　　 ""'|i!''" 　i|!、,.,.,.,...､,,,,...,.,.,.,,. ,.,.,.,...,,,,....,.,.,.,,. ,.,.,.,...,,,,....,.,.,.,,.,.,.,.,...､,,,,...,.,.,.,,. ,.,.,.,...,,,,....,.,.,.,,.
'::',:'':';:,.,i|!、:.,"'`::'::',:'':'`::'::',:'':'`　"'"' "'''.'''o　"'''.''"　'::',:'':';:;..,"'`::'::',:'"'`,."' 　"'`''.'''　"'''.
　"''　　　　::':'::'　" '''.''"'"　　''"'"' "'''.'o o o''　"'''."' 　"'''.'''　"'''.　,.,;:　　　　`',:'':'`: .:'`::'::',:'
'::',:'':'`::'::'｡,:'':'`::':'::',:'':';:;..,"'`',:'':'`::'::''::',:''.:';i:;..,"'`,:'':'`::'::',:'':'::',:'':';:;..,"'`::'::',　 　::'::`：::;:;, ``
'::',:'':';:;'"↓'"''::',:　'"'"''::',:::'::',:'':'`::'::',:'':';:;..,"'`'::',:'':';:;..,"'`'::',:'':';:;..,"'`'::',:'':';:;..,":,、'`'::',:、'':';:;..,..,
',:'':';:;..,"'`',:'':'`::'::'';..,"'`',:'':'`::'':'::',:'':';:;..,　　　　　　　　　　　　　　　　:'::',:'':';:;..,"'`::'::',:'':'`::'::
"'''.'''　"'''.''"'"''::',:'　 　　　　　　　　　　ヾ>;;::;;;'ァ:::::::::::::::::::::::::::::....、　''''.'''　"'''.''"'"''"'"'
　,,､..'`'':';:;..,"'`',:'':'　　　　　　　　　　　　ﾞ;‘/ ’))::;::::;:::;::::::;:::;::::;:::;:::::';　'　:;..,"', ':';:;:;..,"`
`::':',:'':'::',:'"' "'':' ''　 　　,,,,,,∠Y"´ﾞァｯ 　(ｴ_,ﾉ:::;;;::::;;::::;:::::;:::;:::::;;::::;;::';　::'':':';:"'"
"'`',:''.:(O)'';..,,､.. 　　ヾ,;'　 　　ゝ‘,,ェ） 　　ヾ:;::;:;:;:;;;:::;:;:;:;;;::;::;;;;:;;:;;::;::;'　: "'`',:'':'`::'
:'::',:'':'ヽ|〃..,"'`',:''　　;' ､,,,,,,, 　;; ,,:'　　　　　ﾞ､::i::::,'ﾞ'''''''''ヾ;:' ;;'';;''';'　　:'`::':'"'''':'`
　　　''"''```'::',,'':,_　　|_j l_j　|_jﾞｌ_j　　　　　　'L|_j　　　　　|_j　|_j　　:'':';:;:;.':'::'': "
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　''""``:;..,"'`',:'':'`（○） 　``｀'::',:'':';:;..,,- ,:'':'`''""`'':';:;.;;..'''" " "~~` ``　''"''':'`::
:;..,":;.., '''"`` '''｀　ヽ|i〃　''""``　　　　　　,, -　‐　､ ''""``　''　''"　｀,,.. '''　"''
';:;..,"'`'::',:'':';:;..,'"　`""'｀`:'':'`::'::',:'':';:;..,'"￣ ｀`"'`'::',:'':';　''""｀`"'（○）'(O) ''"
'　"'''.'''"'"' " "'''.'''　"'''.''"'"''"'"' "'':,' :::　'`::':':;:;:;.. 　'`'::',:'':'`'::　ヽ||// :ll〃`'
,:'',:,"'``:::;,"　'`',:'　':　　;..,"'`',:'':'`::'"'', :::;..,"'　 `',:　'`::''" ,:'':';:;..,"'`',:'':'`:


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　心情に見る故郷

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　夢想に仰ぐ郷里

　　　　　　　　　　　　　　　羊飼いとして幼い頃に過ごした

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　牧草の園を

　　　　　　　　　　　　　　　　　やらない夫はそこに見た

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）　　夢か、幻か
.　|　ｕ　　（__人__）
　 |　　　　 ｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }　　やらない夫には、理解できなかった
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　　　|　　　　 |



　／ ＼　　　＼　　　　　i　 ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　 ／　　 ／　 ／￣
´　　＼ ＼　　 ＼　　　　 i　　｀　、　　　　　　　　｀ ー -‐ ´　　　　　 ／　　 　/::　 　 /　 ／　　　 　 ／,
＼　　　　＼　　 ＼　 　 l　i　　　　 ＞　　　　　　　　　　　　　 　 イ　　　　　　(::::::... /　 /　　　　 ／ ／
ー＼　　　 ＼｀¨ ‐ヽ |　 |　l　　　　　　＿　 ＞　　　　＿　　＜　 二＞ 　 　 　 ＼:::::::.. /ー --／　　　　　　　「もう、体の具合は大丈夫ですか？」
　　 ＼　　＼＼　　 | 　ﾉイ 　 　 　 　 | 　￣￣￣￣∧　 　 　 / 　　 /　　　　　　＼:::/.::::::＿/　　　　　 ,
＿_　 ＼　　 l　}ー-一´ , - ‐ - 　、＿|　　　 　 　 　 ∧　　　/ 　　 /ー―--　￣ ＼￣￣ /::.　　　/　/
::::＼｀..‐＼ |　/　　　 ／　　　　　　 ＼　 ＼　 　 　 　 ∧ 　 / 　　/　　　＼＼　　　 ＼ 　 (:::::::::.../.../.:⌒
:::／ ＼::::::::／ 　　 ／　　　　　　　　　 ＼　　 ＼　　　　∧ /　 ／　 　 　 ＼＼　　　　＼ 　 ＼:/:::/ -‐ ´

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __-‐=ニニニニニ=‐-__
　　　　　　　　　　　　　 { 、　　　　 x≦ニニニニニニニニﾆニム
　　　　　　　　　　　　　 .ゝ＼､.,_∠ニニニニﾆ,..ﾆ=ｧ'⌒ヾニニニﾆ,_＿
　　　　　　　　　　　 ,.　´　　　_.⊥._ﾆﾆﾆニア"　／　´￣￣ V'´　　　　L.,_
　　　　　　　　ｰ=≦／ ,ｘ‐ｧ'´r'::::::::｀ヾﾆｧ'´　／　　 ,. -‐　　｀ヾ"´　ヽ ト､/
　　　　　　　　　　/　 / ./　 　 .:::::::::::::/ｰ=彡 　 ,　　　　　,　　　　 　 i 　 ＼
　　　　　　　　　_/ 　 i　:{　..::::::::::::::::::/　 / 　　 / .／´　, 1!　　 ｝　　｜　　 ﾊ
　　　　　　　　　]　　八,人　:::::::::::::::/ 　/　 　 /／　　 /　ﾘ　　 ;　 ;　 !　　 　 ,　　　　　やらない夫が振り向くと
　　　　　　　　　｝　　__(,.　≧=-=彡仏/　 　 /´￣｀ヽ/　/　　 /　/　｜　　　 ′
　　　　　　　　　| 　 ヽ　 　 　 　 　=ﾐ/　 　 ,'　厶イ /　/:,　　7¨ﾟ7ヽ　|　 　 　 i　　　　　そこには少女の母が立っていた
　　　　　　　　　l　　　:Ｖ≦ﾆ=ﾆ二ミﾒi　　　ｉ: /::; 抃、 /ｲ ,　/　/ | 　 |　}　　　|
　　　　　　　　　j　　　 (_,..二ﾆﾆ二.,_}|　 　 |/込nｿ　　　}/},仇7卞　　j λ　　 Ｌ,
　　　　　　　　　从　　　 r≦ 　 　 ﾐ/|　 　 |　｀¨`　　　　　 込nｿ1　　/　}: }∠__彡
　　　　　　　　　　 }ﾊ　 /'｀ﾞ'＜三⊇} lハ　 |,　　　　　　' 　　｀¨`/|　 /1　.厶=＝=ミ、
　　　　　　　　　　　ﾉ／　　　　 ｀ヾﾊ}　｀＼|::＼ 　r 　ﾏ　　　　ｲ[:! ,/.::|: /‐-=≠'　　 Y
　　　　　　　　　　　　　　r=＝ﾆ≦='′ //＼|　｀　｀__,.　-=≦ヽ _|/　.:|/　　 　-‐=孑′
　　　　　　　　　　　　　　　￣｀ヾ｀ヽ_,ｘく ＼　＼　　　　|／　.// i/Y⌒ヽｰ-＝-‐≦..,
　　　　　　　　　　　　　　　,.⊆ニ彡'　Vﾊ＼＼　＼ 　 ./　　//　.|ﾊ|　　　ヽ　　　｀ヾ) )
　　　　　　　　　　　　　　 {　　　),ﾉ　　Vﾊ　＼＼　＼/　　// 　 |ﾊ|　　　　 ＼ﾋ≦彡'
　　　　　　　　　　　　　　　}　　´　　　　Ｖﾊ　　＼＼　ヽ. //　 　:|ﾊ|　　　　　 ﾉ　 ｿ)



　　　　　　　　　　　　　　　 ,.．-‐=＝≡ニ≡＝=‐- ｡.,
　　　　　　　　　　　　　,ｘ≪f圭圭圭圭圭广卞寸圭圭≧ｘ.、
　　　　　　　　　　　,ｨ升f＞"´￣￣￣￣/　　　　｀守圭圭ミ)
　　　　　　　　　,イf圭／／ 　 　 　／,.ｲ　　　 ＼ 　｀ マ少<
　　　　　　　　〈f圭ア／ /　/　 ／ ／八　　 ヽ 　ヽ　　ヽ　ヾヽ
　　　　,γ⌒ヽ　Y´　／/　/　〃／／ 　ヽ　　 |　　| 　 　 ＼ﾉﾉ
　　　　/―=ﾐ、 ＼〃　′ i　/ /＿＿＿　i　　 ! 　 |　　　;. ヾ,
　　　　{ r=ﾐｘ､` 　 ＼/　　jﾌ厂 　＿_　　｀|　　j　　　 ;.　　　　;
　　　　 `'≪巛＼　　ヽ　　|ム=＝ﾐ、 `　　| 　ハ 　,i!　;. 　 |　i|
　　厂ヾ＼ ｀ヾﾐｘヽ　 　＼j　ん､_℃ Y　　 ! /　 ｢ 刈　　 　l　ﾘ
　　＼　 ＼ヽ、 ｀ヾ､　 　 ￤ ゝ― '　　　　j/ ぇ､!/ ﾊｉ　;　　　　　　　「――いいところでしょう」
　　　　ヽ、 ヾ廴＿い　 　！ 　 """　　　 　んﾟ }' / ﾘ　〕　′
　 ＿＿_ハ 　 }＼＿ﾉ　}__人　 　、　　 　 　ゝ'　 / /　/| /
〃, -―-ゾ　 ﾘヾ辷彡ｲ ＼　　　 　 一　 　""　/ｲ ／ ﾉﾞ
〈（　　　 　ー '_,.斗=ミF＝ミ＼　　　　　　　 　 ｲ ≠ニ7　　　　　　　少女の母は、そう切り出した
　ヾ 　 　 　 /　　　　 ヾ､ 　 》介、 ――=ァ彡≪＿＿_）
ヽ　}＿＿／　　　　　　} }ヽ《/〈　≫ヽ　 〈r≪⌒￣￣
　У　ヘ　　　　　　　　| |　,ヾr≪ヽ 　} 　 ゝ__＞'⌒)
　　||　　 ヽ　　　　　} / /,/ 尺ｧ＜｀ﾞ'＜￣㌃　/⌒′

《:.:.:.:.:.:lll:.:.　|1　　　　　　　￤/// 　 　 . ´ ￣ |////　　　/　　 　 　 　 　　 　 　V//! //　:| 　 　 　 　 　 ／////
:.:＼.:.:.r=ﾐr:从:///　　　　　|///:　　／／　　￤://　 　 / 　 　 　　,．二二　､ _　V/|//　从: 　　　　　／://///　へ
===≧|　）:ﾊﾟV//:　 　 　 　V:// ／　/　　　　|//　　　　　　　　　　坏手://バ 　 V:|//:/　　　　　 ／//////:／　　 ＼
::.:.:.: 　|///バ「:// 　 　 　 　V:///// 　 　　ィ|ｨﾆ､ 　　　　　　 　 　　r弋/ク}　　　V///　　　　　　/_////:／　　　　 　 〉､
ゝ._:._.人////ll///　　　　　　 Vi///　　　ｨ云/∧ ｀　　　　　　　　 　弋_　...ノ　 　　|////: 　　　　/　　￣.′　　　　　／　 ＼
:.:. ￣アへ://ll//ﾊ　　　　　　　V:/{　　㌢}////ハ　　　　　　　 　 　 　　 　 　　　　ﾚ′//:/　　 / 　 　 /　 　 　　 ／　　　／
─ -〃．_:_介l///ハ//　 　　　 ＼i イ7:rイゝ-　 ﾉ 　　 　 　 　　　　　　丶 ヽ ｀　　i///////　/　　　. ′　 　　／　　　／
　　　　　　 ヽゞ////:ゝ//////:ゝ　＼　弋__..．　　　 　　 　　　　 丶　 　 　　 　 　人////// /____ 彡 ′ 　 　'　　　 ／
　　　　　　　　ヽ===:人＞_/////＼　＼　　、 ヽ　｀　　　　　 　 　 　 　 　 　 　／:///:/i///:i!////// 　　　/　　 ／
　　　　　　　　　 ＼（⌒{ 弋…rー──--ゝ　 　　 　 　　　　 　　 ， 　 　 　 ／ヽ./////i!///i!//////　　 〃　／
　　　　　　　 /////＼　ゝ _＿:::::::_＞ :::.... 　 　 　 　 　 　 -‐　　　 　　 　／　 　 ＼///i!///i!///ｲ/////////′　　　 ,.．-―…
￣…＝＝ミ ///////ハ　　　 　 　 r =＞::::::...　　　 　 　　 　 　　　 　／ 　 　 　 　 `・┴-/_i!//__i!///////（___　　　ノ.////////
三三三::ミ　 ＼//////∧　　　　　｜/////ミー -　　＿＿＿＿ 　 へ　　 　 　 　 　 　 　　 　 　 i!////// /////＞─…・・・=─
三三三三 ミ::､ ∨////∨　 　 　 　j/////////::＞≡＝=: ─く///// 〉　　　　　　　　　　　　　　 ゝ:.._//{///／
三三三三三ミ//∨//:V 　 　 　 . ´＞:/:////////////////::||://///:ヽ.　　　　　　　　　　　　　　　 　　 ￣


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ここは、私達にとって楽園なんです」

　　　　　　　　　　　　　「魔王がいた頃は、こんな風に国の外で、羊を育てるなんて」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「とても出来なかったと思います」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　／
　　　　　　　　　　,′　　　　　　　　 / 　 ／ ',　　　　　 　 　 　 　 　 |
.　　　　　　　　　　 　 |　　　　　 ／/　／　　 | 　 　 　 　 　 　 |　　　|
　　　　　　　　　 l 　 .:|　　 ,.斗/　/／　 　 　 !　　 }:　　　　 　 | ┐ ／ }
　　　　　　　　　 |　　.:| 　 ／　 ／　　 ＼　　 |　　′/　　　　 ハ∨/ /{
. 　 　 　 　 　 　 |{、　:ｌ　/ｘ=ミ　　　　　　｀ ート./　/　 　 　 /{ r‐⌒┐}}
.　　　　 　 　 　 　 ＼ ∨　{::ﾊ｀　　　 　 ｘ==ミｊ/|／|　　　　/ ノ(_ 　 r'ノ
.　　　　　　　 　 　 　 ヽ| 　Vｿ　　　　　　|:::しト､ 　 |/ 　 ／} |/ //⌒}}
　　　　　　　　　　　　厂| 　 　 　 　 　 　 辷ソ　　 ,/　／／　|／＞ ´￣}
　　　　　　　　　　 ／　 丶　　　′　　　　　　　　厶イノ＿ .ノ／　　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　{ 　 　 　 ＼ 　　､　　　 　 　 　 　 ／　　／　　　　　　／
　　　　　　　　　　 ＼　　　　　＼ 　 ￣　　　　 　 イ　 　,/　　　　　　／
　　　　　　　/＼　 　 ＼　 　 　 　 ー┬─ 　 ´ 　 |｀ヽ / 　 　 　 ,／　　　─ ､
.　 　 　 　 /　　 ＼ー─＼ ＿　　 |＼ 　 　 　 　──┐ 　 　 ／─／　　　⌒ヽ


　　　　　　　　「空はずっと曇っていて、牧草も育たないので羊はやせ細るばかり」

　　　　　　「世の中が毒に覆われていて、国から外に出ることもままなりませんでした」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,,;≪℡;，_　　　　　 .　 ''" ￣ 　　　 ｀`''ー- ..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,ｨ幺圭圭／ﾐ}　　 ,　 ´　　　　　　　　7　 ｀` 、 　｀丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ幺圭圭7/圭ミ| ／ 　　　　 ／　　　　 ;　 、 　 　 　 　 ＼
　　　　　　ｰ-..＿_ 　　 　.{　　, ,ｨ幺圭圭|ﾐ/|圭㌣" 　 　 　 ／　／　　　 .' 　　.　 　 　 、.　　ヽ
　　　　　　 .　　‐‐ﾆ-ｘヘ|ヽ //忍圭圭ミ/圭㌣"　　　　　　　 /　　　　 ,ハ　　 i 　 　 　 ',　　　’
　　　　 ／　　　　　　__　　｀'　忍圭圭7/ミﾏ／ 　 / 　　/　　i 　　　/ /　　V 　　　　　 　 ｉ　　　’
　ー＝フ　　　　ｰ "´　 ｀`　 .忍圭圭7ﾒ|{{＼ｿ　　 　 　 i 　　i 　　 / /　　 　; 　　　　　　　i.　 　 i __
　　　〃　　　　　　　　／　　,苣圭圭ii圭ゝﾐ∥ 　 |　　 {　　 ｉ　　/{ｘ''"￣￣゛}`/|　　 ;　　　;.　 　 |':::::)
　　 /〃　　　　　　　　ノｖ ／守圭ミii圭℡ゞ,'|. 　 |　　 ii　_.,'| 　 / |　　　　　 }/│　 ,　　　}~ﾍ.　 |:::::::)
　　.彡　　　　　　　//{ ./ f__f.守圭||ii圭㌢∥!　　 ',　.ｒ'i" .| |　/{　　　,-‐＿＿__| 　/　　　/-. ﾘ ﾉxｰ‐ﾉ、
　ノ／　彡　_,.　‐"{{　乂　i::::i:::守圭ii圭{{__.|..|　　　ヽ′|'　| |/　 ｀　　彡""´´｀ﾌ／;　　/ /ン／　／ 　／
　　/,ｲ／　　　　　 i　 　 ﾉ:::::::i:::::::::::::::ﾒゝー"{{ 　　　 ＼| ' i ﾆ__　　　　　、、、／ ∥ ノ/_..／　／ 　／
　./　　　　　　　　　　　/:::::::::::::}::::::::::i　　　　 {{ヽ　 　 ＼. ｨ''"｀゛　　　 　 　 　 　 /／./彡　　　　／,、___
　　　　　　　　　　　　x'――‐゛ ;:::ノ　　　　　ゞ_ゝヽ　　 ＼、、、 ’　　　 _　 　 ／　,　　/　　 　/.／　　/
　　　　　　　　　　　/　　　　　　　〉 　　　　　　 　 ＼`.＞ ミゝ　 　 ｧ 　 　,　　　　/　 ./　　　 //　　　/
　　　　　　　　　　 i　　　　　　 　ﾍ　　　_.. -―‐-≦彡　　 ヽ.　 　 　 -　'　　　,ﾏﾐ≧={ 　 　 //　　　/
　　　　　　　　　　　!　　　　　　　　〉　〃＞二ニ＝´　　 　ノ　＞　.._　　　　／∥　　 ‘，　 /〃　　 /　　 , -― 、
　　　　　　　　　　　| 　 　 　 　 　 {〃 . '　　　 __.. 彡　　　　, ｨ "¨` /＼. "　Ｖ/　＿　　ｔ_　| |　　　/ヽ.／　=ﾆ、 ;


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「でも、ある時」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ずっと曇っていた空が急に晴れ渡って」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「風が澄んだ空気を運んできて」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ああ、きっと誰かが魔王をやっつけてくれたんだって思って」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.xｪｪｪｪｪｪｪｪlｪｪｪｪx､
　　　　　　　　　　　　　　ｨ'　 ,ｨ幺圭圭圭圭圭圭圭圭≫.､
　　　　　　　　　＿,.-‐''（( ,ｨ幺圭㌢"´￣￣｀`ヾ‐-ミ圭圭圭i､
　　　　　　　 -―ァ　　　 ,{圭㌢　 ／　 　 　 　 　 　 ｀`ヾ圭圭>
　　　　　　　　／　　 '´〃,／　 ／ 　 　 　 　 }　　　　　､　ヾⅣ
　　　　　　　 /　　 　 ,.ｨ､/ 　 　 　 　 　 /　 /､ ､　　 l　 ヽ　ヽ
　　　　　_z彡'　 　 .〃 ./　　 　 　 ./　./　 /　 ヽヽ　 l 　 ‘， ‘，
　　　　　　　{ /　　 {{__,'　　 | ｌ　　/　./l . /　　　', ﾄ､ .!　　 } .r‐､
　　　　　　　} i　　　 ァl l 　 | l　 /,.-/‐l /　　´￣!「`i |.　　 !(d　)）
. 　 　 　 　 ﾉ人　i　〃l ｌ　　l l '´i.ｌ /__ ﾚ　 　 ,ｨ‐,ﾘ,,,,Y !　　l し､ｿ　　　　 ＿
　　　　　　　　 _V-< ヾい 　'..l　ｉ,xァテ!　 　　 '"{刎iilﾞヾ　 /ﾞy ∧､_,.ィ"´　　l
　　　　　　　 ノ　 　 ｀ヽⅥ､　Y.l" 'r刎}. 　 　 　 ヾ='’ ﾉ.／ .ﾉ/ .,ｲ　 　 　 ,.ｨヽ､
　　　　　　　{ ｀`ヽ、　　 ヾﾐ､ Y!　 ¨´　 　 、　 　 _z彡ｲ_,.ｨﾞ' ／　　　　／-‐''"
　　　　　　　 ｀ヾﾐ>､　　 ､　ヽヾﾐ､　　　　 　 __,　　 　 /／ ./　　　　／　 ,.ィ"´￣i
　　　　　/￣ ｀`ヽ、 ＼　 ＼ ヽ　 ヽ､ 　 _｀　　 ＿ ,ィ′　　 ＼/ ／(___／　　　　 ヽ
　　　　/＿_　　　　ヽ-‐'､,ィ=＝=-､_ <´へﾄ--/r‐‐ァ､___,.ｨ'´￣｀ヽ,.／　　　,.ｨ'´￣
　　　　　二ﾆ＞､ヽ　 ,.ｲｱ‐》　| /ｨⅣ　i--》Y´/-彡"´ Ⅵi、　　 　 ヽ／　／（＿＿_
　　　 ／　 /´￣｀ヽｉ{ｱ/ヽ､ヽ_l‐'‐'-<"´ ／lllﾄ ヽ　　　､ Ⅵ、　　　　 ヽ‐---‐''"⌒) ヽ
.　　　{　　 {.　　　 〈{:_/ヽ､／　｀¨¨¨``"´　7l l l　ヽ.　 　 ヽ、　 　 `'ーへ　　　　 /　./
　　　 ヽ 　 ヽ　　　Y圭ア　　　　　　　　　 l l l ﾄ､__l 　 　 　 ＼　　 　 　 ﾉ　　 ／ ／
　　　　　｀`ヽ ＞　,'ヾ∨　　　　　　　　　　l l/ l　 　 　 　 　 　 Y 　 /　/　-‐''''"´


　　　　　　　　　　　　　　　　　「それで、娘と相談して」

　　　　　　　　　　　　　「国の外へ出ることを決めたんです」

　　　　　　　　　　　　「今よりきっと良い所へいけるから、って」

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ___ , - - ､ __
　　　　　　　　　　　　　　 ／´..::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　　　　　　　　　 ／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ト
　　　　　　　　　　　　i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::､:::::::| ＞､、
　　　　　　　　　　　　l::::::::::::::::::::::::::::::::::_＿__| ヽ/_l 　 |ヽ
　　　　　　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::::::::::｀＞　　　　ヽ〈 i ＼　　　　　　「この場所へたどり着くまで、長い間旅をしました」
　　　　　　　　　　　　 /＼::::::::::::::::::::::::./　　　　　　､ )l |＼ヽ
　　　　　　　　　　　　l　--＼＿＿＿/／l　　　　 .:.i .）　|　｀ -
　　　　　　　　　　　　,|＼　￣　 |　 ＿.　|　.. |　.: ::, |< 　 |
　　　　　　　　　l＼／ ゝ.......　　 l....-　....|　::. 〉 ::/　| ゝ＼l、　　　　　「決して、楽な道のりではありませんでした」
　　　　　　　　 ﾉ＼ ヽ／＼..............l.......,　| .:::/ヽ/ i　|、::::ノ ﾍ
　　　　　　　　〈　　＼ ヽ　＼..........＼＿´i ::/ノ´　 ゝレ´／　〉_
　　　　　　　 ,＿＼　 ＼ヽ　　｀ヽ／　　￣l |　　　／　´　／:://＼　　「娘にも、苦労をかけて……」
.　　　　　　 /＼￣::＼　　 )　　┌=＝＝==ﾘ-／ヽ　　,／一// 　. ）
　　　　　　〈　＼､ミ ニ <´　　 ,.」==＝＝== ト 、　V´　 ／ ´　　ノ
　　　　　　　> ＞､＿　 Tー ´　　　　　　　　　　∥⌒>´　 ／ ∠､__　　「あの子には辛い思いをさせてばかり」
　　　　　　　| ＼　　 ｀ﾌ　∥　　　　　　　　　　∥　　＼　／―- ､ ,｀)
　　　　　　　＼ ＼　 /　 ∥　　　　　　　　　　∥　　　　ヽ　　　 ／ノ
　　　　　　　　　｀ -y　　∥　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　＼　／´



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／;;;;;;;}_,r--r― ､
　　　　　　　　　　　　＿_,r ､／;;;;;／　'　 /｀ヽ　　＼
　　　　　　　　　　, ==-ーYiヽ;;;;// i　 A-|　　Ti ､　ヾ ､
　　　　　　　　　　'フイr,iヽゝi,V　|　l v　V_,,　　―ヾﾘ__　　　　　　 　「でも、私達は今、とても幸せなんです」
　　　　　　　　　　/イ/イヽ､＞|　ヽ ヾ､'´__　　　,''' ｲi　 ト､__
　　　　　　　　　　　　! ￣´人ソ､　 ￣　,.ｲ　 ￣　/, l ﾉ-// ト-､
　　　　　　　　　　　　　　r-ヽヽ＼ー--<´　 _ r彡ーﾚ //　/ヽ　|　　「毎日を穏やかに過ごしていけるから」
　　　　　　　　　　　 __ {´＼ーヽヽ|￣,コ三=| V ,／__＞-_-_;　| ﾉ!
　　　　　　　　　　/　 ｨヾ､　ヽヽ|__|／　 | i￣ヽヽ-,r―´-.､　　´
　　　　　　　　　　|/ﾚ'　　 ｀´　/　　　　 | |　　 ) )ヾゝ_　　ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,＿
　　　　　　　　　　　　　　 _,. ＜:::::::;_} ＿_
　　　　　　　　　　　　,,..::":::::::::;＞"　　　　 ｀　`　 、
　　　　　　、 _　　　／::::::::;＞"　　　　　　　ヽ　　　 ＼
.　　　　　　＞ `ー´￢＞"　　　　　　　　　　 } 　ヽ　　,、
.　　　　 ／,　　　　　::}::::　/　 i　　 　 /　 j　/ヽ　 !　　!ヽ、
　　　　 . '´　　j　{{｀ヽ!::::: |　　|　　| /!　 / /　 ⌒jト　 |　}}　　　　「だから、娘と二人で」
　　　_ノ 　 j:　|.　 ＼,ij/,}}j　 l 　 斗j七/／　　　yfﾄv '
　　　 /ｊﾉ! {::　::.:.,.〈￣(;} j!::. .:':,　　|'　j＞　　　　'ﾋｿ j;ﾉ 、
　　　' 　 {人　::/|/ ヽ'jﾊj(＼:. .:＼｛ィv_;ﾘ　　　　 、''i＾ヽ ヽ　　　　「こうして、国の中でなくても暮らしていけるようにしてくれた人に」
　　　　　' 　 ヽ{ ' j"￣ ￣ミ::ヽ廴 _＼'''　　　　　,　ﾉ:::>'　ﾉヽ
　　　　　　　　　　≦こ;;≧、::::{ ＼::::{、　　　 ｀ _／:::/ Y´ }/ }
　　　　　　　　　 l´ ￣｀ヽ:::ヽ:ｊヽ ||`ー￣,,｀7/(::::::::<、 ｀ｌﾉ' /、　　「魔王をやっつけてくれた、きっと『勇者』って呼ばれる人にあったら」
　　　　　　　　　　`ー- 、.::ヽ´ ||::ヽ、_ ::::||/／ ヽ;／ｲ'V }ノヽ.:ヽ
　　　　　　　　　　　 { 　 >:;八 jj　｀`＞-i」へ、〈　 ／ハヽ　 ) .::}
　　　　　　　　　　　 |／／　 vj　<_ , イ|ji |＼_>y"　j:　}、:Y..::ノ　　「絶対に、沢山お礼をしようねって約束してるんです」
　　　　　　,ィ .::＞‐イ"´　　　 ヽ　 　 //|| j　　〈　　　　 ヽ |::/

　　　　　　　　　　-＜￣｀　ｰ-..._
　　　　　　　,　'　　　　_.._　　　　　｀ヽ､　　　　　 __
　　 ＼､__／　　　_..／　 ヽ￣　 ‐- .._　 ＼　　　｀､_)
　　　／ ヽ　 ,.＜ /　 　 　 ﾞ　　 `丶　 ＼　＼　　　　　　 __
　 rf==＝=Y´ 　 　 　 　 　 ﾄ、　　　 ＼　ヽ　 l　　＿　　｀､_)
　,ﾊヽl＿/ 　 　　,'　　　　 ! ! ヽ　 ヽ 　 ヽ __.Y　　 ｀､_.)　　　　　　　　「……す、すいません、いきなりこんな事を話してしまって」
／| `r=ﾀ　　　　 |　　 ,'　l |_|＿ヽ､.　l　　 lfﾊ!|
　 ||'{l| ,'　 　　 | .|! 　 l　 !ﾁ!|,..　 ヽヽ|　　,|　 l)) ＿-─'´￣{
　 ﾘ ﾞ=|　　　|　l. |｀x　! /从l|≦Z≠ｘ|!　/|ﾄﾄジ"　　　　　 __!
　　 /'ﾊ　　　l　! K　＼| 　 ﾉ " 込-ｸ//,ｲ|}|/　　／　　　 　｀>
　　　　ヽ　|　ﾞ､　| ,ｨｧ　ヽ 　 　 xxx /ｲ'　シ' /／　,r‐ニ二｀/　　　　　そう言うと、彼女は頬に紅を差した
　　　　 ヽλ＼ヽY乂ﾀ　　　 　 　 　/　/∨/'　／_＞─''"´￣￣!
　　　　　 ＼!＼ヽ.＼xx ′　_ ノ　　　,.' _ノゝ}_/／　 ｀＞､￣　＿ヽ
　　　　　　　ヽ＼ハ　　　　　　 　 _..ｲ="　 //７　　　　　　｀ヽ､.　　＼
　　　　　／￣￣￣｀≧===ｧ─≪!_,r'￣￣＞　　　　　　　　　　ヽ`ヽﾉ
　　　　<　 　 ／￣,ﾁ／_,r´,ｨ三ﾇﾆ|ヽニ='´ ＼　　　　　　　　　　 ｀<
　　　 　 ヽ　 　 ／/!　 }／ィ ,ｲ/_ノチ￣￣　` ＼　　　　　　　　　 　`　「あなたが、とても嬉しそうな顔をして――」
　　　　　 |　 ／／/,. -‐'' ///7ﾆ≦　　　　　　 　 ヽ
　　　　　_＞'"´／　　 　 ヾ/7￣´　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　| ,r ／　 　 　 　 //　　　　　　　　　　　　　　ﾞ.　ヽ、　　 ／
　　　　　7 /　 　 　 　 　,'.,'　　　　　　　　　　　　　 　 j二二ﾆ{'"
　　 　 　 Y　　　　 　 　 l |　　　　　　　 　 　 　 　 　, '_＝=､　|





　　　　　　　　　　ー=ニ: : : : : :ﾆ=‐≦: : : : ｀: ‐＜/////////: : : : : : `
　　　　　　　　　　　　　 ≫　´: : : : : : ＼: : : : : : : ｀ヽ///‐-〈: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　／: : : ／:: : : : : : : ヽ: : : : ＼: : : /　 　 ヽ＼: : : : ヾ、: :＼
　　　　　　　 `ー=彡: : : : :/: : :λ: : : : : : : ﾞ､: : : : :ヽ/ 　 　 　 ‘､:＼: : : : : 丶: : ､
　　　　Y´￣￣　 ／: : : : /: ／　j: !＼: : : : : i: : : : : l!　　　　　　 ',: : ＼: : : : ;　 ヽ、
.　　　　|　 　 　 /: : : : ,イ: :/　　 |:.|　 _斗､: : ｌ: : : : :l!　　 　 　 　 ｊ: : : : : : : : :,　 　）
.　　　 ！　　　/: : : ／/ |≠-　　|/　 　_,..≧､|: : : : l!　　　　　 ｊ ハ: : : : ヽ: : :ヽ
　　　　‘､　　 j: : :/.: : :|ム=ミ、　　　〆 ￡ﾊ }| : : : l!　　　 　 〃//i: : : : : : : : : ;
　　　　　　 　 |: :ハ: : : ﾄ　￡}`　　　　　弋ノ /.: : : l! 　 　 　 '////|: : : : : :|: : : |
　　　　　　 　 |/ 　‘、: |　弋ﾉ 　,　　 　 　 ／イ／ｉ!　　　　　 ////|: : : : : :|: : : |
　　　　　　 ﾞ､ {　　　 ＼廴　　　　　　＿　 　 /'　 ｉ!―-　　　/////l : : : : :| : : ﾊ
.　　　 　 　 　 　 ,　 -―i⌒　　γ´　⌒´ヽ　　　 i!-―-　､ヽl////: l : : : : : : : : :';　　　　「――おーい、おっさーん」
.　　　　　　 　 V ,　´￣人 　 　 ヽ(＿＿ノ　 ／^ｉ!　　　　　ヽ ／ヽ: l : : : : : : /: : i
　 　 　 　 　 　 〈 　 　 　 ＞　　　　　　　 イ 　 ｉ!　　　　　　|/　 　ﾞ､l : : : : :; .: : : |
　　　　　　　　　 ﾞ､　　　　 　 ＼ミｘ -　,´ｲ´￣/　　　　　　｜ 　　　: : : :／ : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　/人｀ヽV/ 〃￣〈　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　 　 　 // `｀ミ'　〆':::::::::::ヾ、　　　　　　　　　　|: : : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　',　　〃:::::::／,杰＼::::::::::::::ﾊ　　　　　｜　　　　|: : : : : : : /: |
　　　　　　　　　　　　∧ /:::::::::/　〃::! ! ヽ:::::::::::::丶 　 　 　 　 　 　 |: : : : : : /: : |
　　　　　　　　　　　　　ｿ:::::::::::ゞ 从;;ﾉﾉ ／::::::::::::::::::＼　　 ′　　 　 l: : : : : /: : : |

.　　　　　　　　　　　　　　 _
　　　　　　　　　　　　 , ＜: ヽ、　　　　, ＾ヽ＿_、
　　　　　　　　　　　 ,/ノ:::::`....,ヘ ⌒ 'ﾆヽ: :!─┐、
　　　　　　　　　 , イｲ::::;. -,、!: /ヽ-, -、:..、!::::::ヽ.ヽ、
　　　　　　　　／ イ,ｺ ': : :i : |:/ ;へ': : ﾊ:ヽ!ﾄ,ヾ::ﾉ、 `
　　　　　　　,.' '　 / / : : : | : |'i ﾄ: : iヽ: ∧ |' : ＼: ヽ
　　　　　　　　　./ / : : : ;ｲ: : : !iヽ: iヾ.、: ! : : : : ヽ:ﾊ
　　　　　　　　 ,ｲ: , : : : /. iﾄ 、:i　ヽ:!　ヽ :| : : i : : ヽ:.!
　　　　　　　　∥: i: ─/-- 、ヽ:|　 ヾ, -十!‐‐:|: : : 乂
　　　　　　　　,': : :|: : :!　　　　　　　　　　 !ﾊ: : !: : :/,'
　　　　　　 　 i : : 乂:,ｧ─ミ、　　　　 ,ｧ─ﾐ_i: ,ｲ: : i.,
　　　　　　　 八 : : ヘ:!　, , ,　　　　　　, , ,　ﾚﾉ|: : !:!　　　　「なんだよ、随分早起きじゃんか」
　　　　　　　　　、ﾄ ゝ:i　　　　　'　　　　　　 , '从!/,
　　　　　　　　　　　ヾ人　　　 r─ v,　　　イ: : : : :i
　　　　　　　　　　　　i: ﾄ ≧. . 　 _　　.ィ_: : : : : : : |
.　　　　　　　　　　　　!: i ヽ: r i　　,　＜ | : : : : : : :ﾄ、
.　　　　　　　　　　　　「トヽ_!|/｀i.////,　^ ＜: : : : |.ヽ
　　　　　　　　　　　　,i::|フ￣｀.十＜./　　　 i.!: : : : : :ヽ　　　「もう体はいいのかよー」
.　　　　　　　　　　　/ |:i////`iヽ///　　　　.ｌ.|: : : : : : 丶
　　　　　　　　　　 /　r y、∧.ﾉ .}//＿_　　./!i: : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　 「二 |ﾉ- '>x/-‐ '「─- ` /,' | : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　/　　 .! 　 ﾆ }//,/　　　　//,.ｌ: : : : : : : : : : : :ヽ、
　　　　　　　　,　　　　,!　　 ﾚ///　　　　///,!: : : : : : : : : : : : : :ヽ、
.　　　　　　 ／　　 ,...ｲ 　　.|///　　　　///,ｲ: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ、
.　　　　　／　,r＜::::::( ＿_,.ｲ, .'‐　　　 ////i: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ、 `. .、　　　　＞
　　　　 /, '　/::::::::::::::::>　＜　　　　　./////! : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ　 - ﾆ二 彡'
.　　　　i　　,」,....─..￣ヽ　　　　,＞.＜////,|: : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼ ヽ、
.　　　　|__,」-、::::::::::::::::∧,ｩ ＜/////////,ﾄ!: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾヽ .、
　　　　 ／　　i:::::::::＞ ',／,/ハ,ｌ/////////ﾊ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾヽヽ
　　　 /　　　/- ＜　／/////,ヽ、////////ﾊ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `┘)
.　　,/　　　 /,　-　'//////////∧////////∧、: : : : : :∧ヽ、: : : : : : : :∧ヽ ヽ
.　 《　　　 .〈_ ＿//////////////ヽ///////,∧ ヽ: : : : : :＝-ヽ : : : : : : : i　ヽ: i
　　LYヽ_,、.i、-ヽ￣｀ 　、/////////////////∧ ヽ: : : : :i　　　　ヽ : : : : |　　Y
　　　￣ フゝヽ 、//ヽ、///ヽ、/////////////,.∧ .∨: : :!　　　　　 .＼ : !
　　　 　 ヽ、,-ヽヽ///,ヽ/////＼/////////////,.i　 ヽ: :i　　　　　　　 〉ﾉ

　 |: : l: : : : : :{: : |ヽ: : : : : :{ヽ:ヽ　　　　 ,X:ヽ ＼: : :ヽ　　 ＼: :＼: : : : : : : :V: : /: :
　 |: : l: : : : : :l: : |　ヽ: : : : : :iヽ:ヽ　 ／　　,＞､,-r＜===r-　 ヽ: : ヽ: : : : : : :V:/: : :
　 |: :li: : : : : :|: i: { 　ヽ: : : : :ヽ ヾ､ '　　イ ,／ ////C,　ﾘ　　　　＼:ヽ: : : : : : V: : :
　 |: l |: : : : : :l:|T:「￣｀ ヽ: : : ヽ　　｀　　　 |　 {/////}　　　　　　　ﾁ: : : : : : : V: :　　　「だったらさー、ちょっと手伝ってくれよなー」
　 |:.| .l: : : : : :l:.| ヾ_ __ 二ヽ: : ヽ　　　　　　　 l/ー ' ﾘ　　　　　　　 ｲ: : : : : : ヾ}: : :
　 |:l　ﾞ､: : : : :ヾl イ V//c｀　＼:.､　　　　　　　ゝ―‐'　　　　　　　　彡:, ' ￣ヽ:.}: :
　　l:|　 ヾ､: : : :ヽ !　{///}　　　｀ﾞ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.<´｀ヽ i:l: : :
　　 l:|　　ヾヽ: : :.ヽ　{,ーﾘ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/,....｀ﾞ　　|: : :　　　「羊の世話って結構大変なんだ」
　　　　　　ヽ ヽ: :ヽ＼ヽ´　 ノ　　　　　　　　,.　ﾍ　　　　　　　　　　　)　 }　　ﾉ: : :
　　　　　　　　　lヽ:ヽ　　　　　　　　 ,.　 '´　　 ,- |　　　　　　　　　 ⊂　'　 ／:, -=
　　　　　　　　　|　　　　　　　　,. '´　　　　― 　 ﾉ　　　　　　　　 ,........ - ',イ　／:
　　　　　　　　　 ヽ　　　　　　 ヽ　　　　　　 ,／　　　　　　　　 /: : : :／　　 /:　:　　　「ちょっとで良いからさ、な！」
　　　　　　　　　 　 ヽ､　　　　 　 ゝ - 　　'´　　　　　　　　　　 .|ﾍ／　　　 /:　:　:
　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ　 ､　　　　　　　　　　　 ,.　イ　,.　- _ ,/　　　　 /:　:　:
　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ﾞ　 ､ _　　　　, r ´ ,. - ,. - ' ´::::/　　　　　 l:　:　:　:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣　 /／,.::::´:::::::::::::::::/　　　　　　 |:　:　:　:



　　　/　　　 ./　　 .::::::/　 .::::::／　　ﾞ,:　ｉ;::.　　 ヽ　 ,　　　　.　　 　 ’
　　 i　　　　/　　 .::::::/　.::::／　　　　 ﾞ,: ｉ:::::.　　 '　　.　　　　ヽ丶 　 ﾞ.
　　i　　 　 /　　.::::; ':i　.:／ .,＿＿＿＿ ｉ卜;::::::.　 ﾞ.　ｉ　　　　 !:. ﾞ,　::！
.　 i　　 　 ｉ　　 ::/:: .i .:/　　　　　　　　　ﾞﾅｰ+;_:_:.　!. ::!　　　　.}:.〃~`!ｉ
　 l　丨　丨　 斗‐' .|/ 　 　 　 ,.-‐＿___ﾉ_　 ヽi;:::. }::.::|　 ｉ　　.:ｒ‐'. "` ｰ、　　　　　　　　　 　「こら！　お客様になんて事を言うの」
　 |　！ 　:i::. "/ __　i 　 　 　 　 ｦ"苅ミ;ｒﾏﾐ.　ﾘ ';::ﾄ;:::}　 ｉ　 .::i!:;'::::.　 ﾞ;.}
　 !！丶　:::.. ｿ_,...._　　　　　　　　 f///ッ; 　 　　.i:| .ｿ ;ｿ　.:::人::::::::. 　{
　 ヽlヽ ＼ :::ｖ゛''茫　 　 　 　 　 　 ｖ'ﾞｰ"ｿ.　　　　ﾘ /.;:'　:::ｙ ﾊ;{::ヽ::::..ｿ}　　_...．-―‐、
　　 ゝ＼　 弋.　{!ｌ|　　　　　　　　　ー '' "　　　　　/;' .::／ヽ::::|::ｰ-:＾ッ　"　　　, -―ゝ
　　　　　＼__| 　.ヅ　　　　 　 　　　/ ﾊ〃 "　　　/..／ι:::::::::|::::::／／　　　　　　　　 ＼　　「お母さん、後でちゃんと手伝うから」
　　　　　　　 |　　　　 ，　　　　　　　　　　　 　 ／´　 γ::ノ:::ﾉ／／　　　　　　　　　,..-一'
　　　　　　　　〃"´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　／ 〃"　　　　　 . 　 ...:::"::::／
　　　　　　　　ゝ.　　 　 　 　 ＿_ 　　　　　　　　　 ..:::::ｆ~ ´　〃::::.. 　　　., '　／:::::::／
　　　　　　　　　 丶.　　　 　‘‐- ｀　　　　 　 　 .,..ｨ::::|　 　.∥::::::::::::...:::〃≦::::::∠＿, -―‐ヽ
　　　　　　　　f＞ .　ﾞ 　、　　　　　　　　　 _,.:::"::::::::::{　　 ヾ::::::::::::::::〃::::::::::::::::， "　　　　 ！
　　　　　　　 ｉ　＼　＞ｰ-≧　.. _ ..．...:::::'":::::::::‐:::≦二ニﾌ　＼::::〃:::::::::::::／／　　　　　　 ﾍ
　　　　　　　ﾉ　　　｀ ー　　::~:::´:::::|;::-:::≦::´:::::::ィ ´　 　 　 ヽ　 ー―‐ > ／　　　　　　　 _.,〃

　　　　　　　　　　　, -,─-
　　　　　　　　　 　 i: i　 ,x,-¨⌒x=ミ　　　　　 !
　　　　　　　　　　　ﾏ! .//-∠"__二｀ヽ_＿__ノ,i
　　　　　　　　, -──ヾ,!／:::::::::::::/, r┬ix- ."
　　　　　　 ／￣ﾆ／7⌒￣￣｀ヽ,ｨ　　!〉!:ﾄヽ、
　　　　　 /　　 ,_/￣: : : : : ＞ 、 !　　　r':ﾄx ヾ、
　　　　　　　r i: : : : : : : ,斗、: : :,.!,--xr_: :!ﾄ i
　　　　　 ／: :!: : : 、: X` .-,x ┐!。::::::::::!: :!ﾊ!ヽ、
　　　　 //: : :i: : :ﾄ、ヾ !　Xr心x!。:::::::::::!: j: j:ﾄヾ、　　　／　　　「べっつにいいだろー、何日も面倒見てやったんだからさー」
　　　　 /,ｲ: : :,x⌒　　　　　ゝ'".!。:::＿_::!: : :ﾑヽ ` ¨¨"
　　　　.i'　V: : :ヽ,ィ心、　 　 _"ゝ.!¨　 .i" : : : ﾊヾ.、
　　　　　　 Vﾄヾ ｀　ゞ' '　,.＜1　,.i　　 .!: __: : : ﾑヾヽ
　　　　　　　.! ヽヾ--ゝ __｀- '.／,!　　 ﾑヽ ヽ: : :ﾊ ヾヽ　　　　　「これぐらいやってもらったって、バチ当たんないぜ！」
　　　　　　　　　　　　 /: : :￣rY人　　 ﾉ .}　 i: : : :，.ヾヽ
　　　　　　　　　　　,.ｲ: : :,.ィ /{}7/ゝ---ィ　 .! : : : i　　ﾏ.，
　　　　　　　　　, イ: : : /ノ/-Y-///////ヽ,/: : :,ｨ !　　 ,: ,
　　　　　, . - ,"／ : : ノ.!////ゝ、////////: :／,/　　　i: !　　　「なんなら、これから毎日おっさんに手伝ってもらおっかなぁ」
　, -. .":,＞"／: : : ／　ゝ__////`//////,,/／ ノ　　　 //
／: ,＞"　.／: : : :.Y　 x／:∨/,゜///////,/"￣　　 　 ノ"
:／　　.／: : : : :,: : i　＿!: : :i//,゜///////,}



　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　 ＼　　 　 ﾄ､　 , -､
　　　　　　　　　　　　＼ｰ‐､l　 V ｎ i　＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　＼､＿.ノ . ─‐､l :l i.／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
.　　　　 　 　 　 　 ＞‐／／￣>.ﾞ／::::::::::::::::::::::::::::::_::::::::::::::::::::::＼
.　　　 　 　 　 　 ´7 　|　ｌ　　//...|＞''"´　　　　　　｀ヽ､,.-‐-､:::::::＼
　　　　　　　　　　ｲ 　, ＼＼ l.i.／　　　　　　　 　 　 /l λ　　 ＼:::::|
.　　　　 　 　 ／ :}／/　　> ／　　／,　　　　　　　 / :!.,'::! l　　:ｌ ‘，|
　　　　　　　　　／ ./_　./ﾞ, ':/　　/ /　 , '　/　　　/　,',' ::l ┛┗!　‘，
　　　　　　　 ／^| / ! !.〈./ /　　/ /｀`>､//　　　/　// __l ┓┏l　　l　　　　「もう、いい加減なことばっかり言って！」
　　　　　　　　　 !′| |.ﾞ/ / ,'　//:l　/／/｀`'/.／フ7￣　l ﾉ!　　l 　 l
.　　　　　　　 　 　 　 |!.　ｌ ｌ 　ｌ/　ｌ/,,,;ﾆ=;;-//／／ｧ=ﾆ::,l/ll　　:!　 :!　_
　　　　　　　　　　　　　__ ｌ l 　l!　 /´r':::心/ノ,／　 r':::心 ヾ! / :l 　,'〃}}
　　　　　　　　　　　　(へヽl　 l　ｌ {. 弋;;;ソ　　　　 弋;;;ソ　 l/ :// /=､)ﾉ　　「お母さん怒りますよ！！」
　　　　　　　　　　　　 ヾ､__ヽ/ヽヾ､;　"´ 　 　 '　　　｀`　　ﾉ // /＿〃
　　　　　　　　　　　　（(二⊃ﾉ〉〉ヾ=-　　　 /´ヽ.　　　　 /,ｲ/ノ''／´l
　　　　　　　　　　　　 l　　｀`ヽ､//}'ヽ､　 　 { ⌒ } 　 　 ノ//ﾉ, ' 　 　 ヽ、
　　　　　　　　　　　 ノ　　　　　Ｙ:ﾉ　　＞ ､ ヽ=‐′..ィ'"ノ/ ./　　　 ／´
　　　　　　　　　　　 ￣｀`ヽ、　 l'　　 ┌┴‐＞＜‐┴┐ 　 .!　　／　　　__
　　　　　　　　　　r‐―'''""´ヽ､ﾉ__,,,,_ノ､￣￣∨￣￣,.ト-rrl|　 /_,-‐''"´ 　 ヽ、
　　　　　　　　　 └､ ‐=､;;;ノ／´　 ||　 |￣￣□￣￣|　 || 　 　　 ヽ　　　,,r‐'′
　　　　　　　　　　　ヽ　ヽ/´　　　 .|| 　 ￣／ ||＼￣、　|| 　 　　　　＼／
　　　　　　　　　 ;=＝' -'/　　　 　 .|| ／／ 　 .||　 .＼＼|| 　 　 　 　 　 ＼＿__

∧　　　　　　　　 〈: : : : : :／{i:i:i:i:i:i:/:/ : :/: : -=ﾆ : : : :＼: : : _ｘヘ、: : : :ヽ : :寸
: : ',　　　　　　　　　'; : :／: :└‐￢7:/ : /. ´ : : : : : : : : : : > ´: : : : ヽ: : : : :}: : :',
: ／ :.　　　　　　　 　∨ : : : : : : ／!: ／: :／ : : : : : : : :／: : : : : : : : j: : ――┐!　　　　　「『男手が欲しい』っつったのはお袋だろー」
/: : :.∧　　　　　　　 　';: : : : :／ : 〆: :／ : : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : /┴―┐
: : :./: : :..　　　　　　　　ﾞｬ､／: : : /: :／ : , -=7 : ／/: : ,．-‐ァ.; '"7´: : : : : :/ : : : : : |
: :./: : : : :..　　　　　　　 /∧: : : /: : : _;イヾ/:/／‐z'ｘ／　 ／ ´　 /: : : : : , ｲ: : : : : : :!
〃: : : : : : :..　　　　　 ,　/　 ＼/ :／{´ ,ﾍ　}′ ＿〆_｀`,く´　　　/: : : _∠　ｊ: : : : : : /
' : : : : : : : :.∧　-‐　彡'　　　 .'.:ｽ: :∧ {〈　'　　Yひﾞﾏﾒﾐｘ､＼　 /: :_彡ｲ,,_ /: : : : : :/　　　「いいじゃん、案外お似合いだぜ！」
: : : : : : :.／ : ﾍ "¨´　　　　　j:/ 　＼:.ﾞヽ _　　　弋ゞﾘ　 `゛ 　 /／Yひfﾞ//: : : : :／
: : : : :.／: : /: : :＼　　　　　　{　　　　丶､八　 　 `‐´-　　 　／ 　 じ'′/: : : ／
: : :.／ : : :/ : : : : : ＼　 　 　 　 　 　 　 Yﾞlヾ 、　""" _　　　　 ､　 ｀´ /: : ／
.／: : : : :/: : : : : : :／.＼　　　　　　　 　 } ﾄ､ヽ＼　　（ゝ`_　‐ｧ　　""厶イ――-
: : : : : ／: : : : : ／: : : /:丶 　 　 ､　　　/∧ﾞ;::::＼`　 ..` 一 _ .　､ヾ
: : : ／ : : : : ／: : : : :/ : : : ヽ　　 }　　//::::} }::::::::::＼ Y 厂:::::::::::::} }



　　　　　　､､〃ヾ‐=ﾆ二三三三三二ﾆ=- 、
　　＿__ゞ'`　{{　}}二ﾆ=-‐…‥…‐-=ニ二ﾐ
　　＞　 _　_ {{　ﾘ '´　　　　　　　　 　 ｀ マ7
　 ⌒>〃⌒ヾУ　　　／ 　 　 　 　 ﾉ　　　ヽ
　　/　{{　　// 　 　 /　　　/　　 ／＼　 　 　 .
　ノィ　廴彡1　　　 '　　／|　 ／　　　ヽ　　 　 .
　ノ从ﾊ　　,ﾘ　　　 |´/￣`|　′　´￣｀'从　 　 :　　　「も、もう！！」
　　　ノ从〃| 　　　j,ﾑ=ミ､|/　　　,.ﾆ=ミ､ }　　 ;
　　　　　 {{ 从　　〃,'⌒c　　　　　,'⌒c Ｙ　　/
　　　　　 乂_∧ 　{　ゝ- '　 　, 　　ゝ- '　}　,.ｲ　　 　 「大人をからかうものじゃありません！！」
.　　　 　/｀ヽ　（ヽ乂 ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　＿＿ 　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞノィ_,ノ／ヽ
　　　　〈　 　 ＼込、　 　（　 　　 ）　　　八／　 　冫
　　　　　丶、 　 ` く＞　.. ` -- 　 ..　＜／　 　 ／
　　　-‐‐=ミ＼　　 冫　_|＿￣　〔_　　<　　　∠..... ﾍ
　　/　　　　｀ヾ＼, ＾⌒ヾ￣￣＼|!》／｝＼∠ﾆ／　/
　 ,.≧=‐-ミ　　У　　　　ﾏ⌒｢ ｀灯＜　　　／ 　∠ﾆ㍉
　｛__(⌒ｰ--≧〈ｰ'　　　　 〉　Ｌノ|_|＼冫　　ヽ／　　ﾉノ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:/　　　 __
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i: !　　,x ＞ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 , -─ ¨¨二ヾ--x!,＜　｀ヾ,
　　　　　　　　　　　　　／フZ--＜::::::::::::; -ﾐx-ヽix-x＿__
　　　　　　　　　　　　/　/ 入:Iフx::__＞": : : : :` ）!:｀:::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　 ／": /: : : : : : : : : : : :`- ':＼:::::::/
　　　　　　　　　　　　イ: /: : ﾄ: : : : : //: : :/: , " !: : : V"　　 「あたしは嬉しいけどなー。おっさんがオヤジになったらさー」
　　　　　　　　　　　　///: / ! /,: : !//: X i:/! 　/: :/: :!ヾ、
　　　　　　　　　　　　!' i/ :!: i/ｨ: : :!r,ぅミx`ﾄ　 /__/: : :!　 ヽ
　　　　　　　　　　　　!　 /!: :!ヾ!: :!:ﾄゝ "　　　＿,ｲ:/: :i
　　　 ,ｲ　　　　　　　 |　/: ヾ!: :!人!　"　　　 ,じ'",ィ: :/j　　　「なんか優しいっぽいし、一緒にいると落ち着くな」
　　　　、　　　　　　　 V: : : ヾ: :!ヾ!　 ヽ、_,　 "/ノ:,ｨ:.!　　　　　　　、
　　　　 ＼!、　　　　 ./: :/／!: :!,-! .ヽ, - 、-イ`¨¨"Xヽ、　　　　　 ,}
　　　　　　X x ＿, イ: //!　/: :ﾄゝ- y::::::::r== t"丁 ヽ｀ --x----"ｲ
　　　　　　　｀ -- /: ://!!, -「￣ヽ//!:::::r--xヽ`ヽ!,.、ﾑ　　　｀￣"
　　　　　　　　　,"／　　 i　　V////,ゝ-x~rヽ　　 `!:＼ ，　　「おっさんだってさ、別に悪い気はしねーんじゃねーの……って」
　　　　　　　　,／　　　　,!　　 Y//////＼/￣` -ﾑ:::::::＼，

: : : : : : :／: : : : :/: :./　 |:l |: : : i:l: : :/: : : : : : :/: : / /:/　/://: : : : ::::::/　 |:.:l|: : : : : ::|: : : : :ヽ
: : : : ／: : : : : :/|: :/　　 |:| |: : : l: : /: : : : : : :/:::: / /V　 !l　|: : : : ::/i:/　　|::||: : : : : : |: : : : : :|
: : ／: : : : :/:./　|:.|　　　 .! |: : : :,- |: :.l: : : : : ―<__,ﾚ'＼ |!　|: : : : / |:!　　 |:| |: : : : : :.|: : : : : :|
／: : : : :/.: /　　|:.!　　　　 |:::／　 |: : |: : : : : :/　,-ヽ､ ､｀ﾄ　|: : : /　.|!.　 　l:! |: : : : : /: : : : : :.|
: : : : : :/: :./ 　　|:.!　　 　　 V　/ /|: :,ﾊ: : : :/　rソill|　＼|＼|: : /　　.!　　　ﾘ |: : : : /: : : : : : :.|
: : : : :/ : /　　　 |:!　　　　　 |　!　 ,|:.:!　|: : :!　 トじV! 　　!　 |ヽ:!　　 !　＿/＿|!.: : /:.:|: : : : : :.|
: : : :/: :./　　　　 !　　　　　　＼｀　|:.!　 |: : |　 ヽ_,ノ　　　　　|;/　　 -t―--､/ |: :/: : |: : : : :./
: : :/: :./　　　　　　　　　　　　　＼ !:|　 ヽ: |　　　　　　　　　　　　　　_,）il}　/ /:,.ｲ: :/|: : : :./
: :/l: :/　　　　　　　　　　　　　　 / ｀ 　　 !:.!　　　　　　　　　　　　　 fvソ 　./,:' ,!:./　|: : :/
://: | 　　　　　　　　　　　　　　/　　　 ヽ ｀､　　　　　　　　　 ､　 　 'ー' 　,ｲ　 // 　 |: :/　　　　「……おっさん？」
l |: : |　　　　　　　　　　　　「二ニー-､　 ＼　　　 ,. -v-､　　　　　　　　 / 　 /'´　　 |:/
| |: : |　　　　　　　　　　　 /: : : : : :｀ヽ､｀ヽ　＼　　ヽ　　 ﾉ　　　　　　　/
. |: : |　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : :ヽ､｀ヽ＼　　｀　　　　　＿＿ノ
. |: : |　　　　　　　　　rfニニニ二=.:/´/￣￣￣｀｀T､￣￣￣
. |: : |　　　　　　　 ／: : : : : : : : : : /　/　　　　　　　　｀ヽ
. |: : |　　　　　　 /: : : : : : : : : : : ./　/　　　　　　　　　　 ヽ

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）　　やらない夫の瞳から
.　|　　　oﾟ （__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }　 　 自然と涙が零れ落ちた
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　　　|　　　　 |

: : :／ : /: / :/　|:/l: : : : /: : : : : :／|Ｘ´|: ://! : : / 　 | |: : : : : : : : ',
／: : : /: /; / 　 { ！γ^!: : : : :「~¨'･、｀ﾏ / |: : /　　 ! |: : : : |: : : : |
: : : : /: / !;′　　　∨ r'|: |: : :/ ζ^ヽ＼ヽ､_!: / 　 ノ　!: : : /: : :ﾄ; :!　　「どうしたんだよ、おい」
: : : /: /　|!　　　　 八　(|: |: : | 弋zソ　 ′　ヽ{ ≦ニ､ }: : / : : : | |:|
: : /: / 　 {　 　 　 　 ,ゝ_}八: :{　｀`ｰ　　　　 　 'ζ}　//: /: i: : : :| l:|
: /: /　　　　　　　γ⌒/　　ゞ､　　　　　　　　　{り'　/;イ: /| : : / ,!l
/: /　　　　 　 　 　,rfニﾐ : ､＼　 　rv‐ ､　′　｀`　,'´/／ jハ/ ノ′　「まだ具合わりーんじゃねーか？」
: /　　　　　 　 　 /:::::::::::::::ヾ、 ＼　ヽ　_ソ　　　　ノ／　　 　/
/　　　　　　　　∠二ニ=γγ´￣`　､ _ 　　-‐
　　　　　　　〆:::::::::::::::::::/ /　　　　 　ヽ
　　　　　　 /::::::::::::::::::::::/ /　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　「無理してんじゃねーよ！」



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　　　　　,＿/::::::/　　 　 /　　　 /　　 }､　　 ヽ,
　　　　 ,,ゝ r-､j 〉　　　 ,'　　　 /　　,ｲ　ﾄ､　　 i
　　　 ,ｼ 　 i､　〉ﾞYi　　 .i 　 ,, / i 　ﾉ i´~ﾘ'i　　i }　　　「大変、体を冷やしたのかしら」
　　　〃　　 7ﾞﾞY〈 i　　 i,／ /　 i ,/ノ ﾆzziｊ_　 |'i
　　　　i ,　: :ヽノリ i､　 ﾘ　/_,,ﾆ､|/　　俐 ﾘi　,ﾘ j
　　　 ﾞ/. .: :/三二＼　 ヾ,'t似ﾘ 　 　 ｀ﾞﾞ,,, i/ﾉ
　　　/i/／ﾑｪｚx-､　ﾐi弋>､ ｀ﾞﾞ,,,　 　 ' 　/ /}　　　　 「さあ、家の中に入ってくださいね」
　　　　　　_,,二,,_,xﾐ>ノ---＞ ,,_　　 ﾟ,, ｲ //ﾉ
　　　　　 lｪzzｯ､ ｀',/　　 　 i=┐,不ﾞ´ヾ,彡ｲ｀i
　　　　r'ﾞﾞ´x=､_彡/,i 　 　　 |　i､/-､　 ヽ,ノﾉﾉ
　　　 弋'´　　　 / |　　　　　', |. >＼,>　'､⌒ヾﾐヾ､　「なにか温まるものを、お出ししますから……」
　　　　　　　　　 | /..　　　 .. .ﾍく キi､.. .. ..〉　　 ﾘ
　　　　　　　　　| ヽ;: :ｰ- : ::／. ヽｷijﾍ彡'
　　　　　　　　　,ﾞ　　l､＿＿,l 　 　 y 　ヽ
　　　　　　　　/､ . 　 |　 　.|:: :. ...　i7　　',

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）　　やらない夫に
.　|　　　oﾟ （__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }　 　この地を離れることなど
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　　　|　　　　 |




　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ⌒）（⌒）
.　|　　　oﾟ （__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }　 　 不可能であった
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　　　|　　　　 |

　　　　　　　　　　────────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　─────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　──────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　──────────



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　──────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　──────────────

　　　　　　　　　　　　　　　─────────────────────

　　　　　　　　　　────────────────────────────

　　　程なくして

　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　.　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　　　　　　　　　　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　彼のちっぽけな世界に
　.　　　　　　　　　 |　　　　　　 　 }
　.　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　ノ
　　　　　　　　　 _,／(　｀'　､ _ﾞT
　　　　　　　　ノ.ヽ｀ヽ.　ヽ｀ヽﾑ　｀
　　　_..　-‐ ´ 　ヽ　　 ＼　　l;;::ヽ
/´　　　　　　　　 ヽ　　　ハ/｀ｧﾍヽ
. : .　　　　　　　　　｀ ー/ 　 ヽ|:. ﾍ ＼､_



　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　ようやく
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　/　　　　／　 　 i、　　　　　　＞　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　/　　　　/　　　　ﾉ ﾞｰ-､ 　 　 ヽ　　　ヽ　　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　/　　　　/ i　　 _/ -　　　＼＼‐-ﾍ　　 　 i.　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　/　　 　 /　　 i'´/　　　　　　 ヽ|＼　',｀　　ハ　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　/　;　　 / 　 l　 /　＿_　　　　　　＿ヽi　　 ﾊ　',. ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 /　 : ゞ,/　 　 ! /ｨ仍てiヾ 　 　 　 仍抃ｉ　 / ﾘ　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　/　 ,:　 ハ iヽ　i!' 弋o乃　　　　　　込ｿ' i. / 　 　 ',　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　／　　＞ ヽ',　　¨¨　　　　　　　¨¨　/<　　　　 ',　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　／　,' ｀ﾐ　､＞'ヽ　'' ﾟ'' 　 　 　 '　 '' ﾟ'' ｲ　i ヽ.　　　',　',
　　　　　　　　　　　　　　　　 i　 / ,/ ヾ ,'　　　　＼　 ｀i　.,　 　 ｰ_‐　　,,.イ ヽ. !　.ｉヽ,　　',　i
　　　　　　　　　　　　　　　　 i　'　ｲ　　 ＼　　　 .　ﾍ　 !　 ｀ 　 .,,_ .　 ´　　　_,ﾘ　ﾉ　.iヽ.　',. !
　　　　　　　　　　　　　　　　 i　/ /　　i ＿.＼　　 ',　} ,,!　 、　　|　　　　／¨ノ　　　 ,!　 ヽ ,.!
　　　　　　　　　　　　　　　　/ / /　, ｀;＞､ ￣ヽ.　 ソ'ぺ,r､,,＿,,ﾑ-､　　ゝイ　　 　 ,/　　　 ',!
　　　　　　　　　　　　　　　　i / /　/　　 　 》_,,ノ - "　　 Yーｬｧ‐ﾏ´ ｀　ー　 ､ ＿ノ ノ　ﾉ　ﾊ!
　　　　　　　　　　　　　　　 i i /　 ＼' ヽ　, ´　　　　'' ー -　　、　, -‐ ´　　　 ',　/ '　 /　/　!
　　　　　　　　　　　　　　　/　'　　　ソヽ /　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ',ヽ. ／　ｲ__,∧
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 ＜; ノ　!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　,　 ゝイ　ﾉ i ハ
　　　　　　　　　　　　　　/　　　ヽ　 i ヽ. l　　　　 l　　　　　＿　,,.. 丶 ..,,　＿ゝ　,,!,,,　　／,.イ !　,
　　　　　　　　　　　　　/　 　 ; 　 ＼　 { 〉yy､,,,..ｨ　 ／´　　　　　　　　　　　　｀ヽ', ヾ.　く　,! .!
　　　　　　　　　　　　 /　　 　 　 　 ｉ＼Y　,' ヽ　 ヽ'　　　　　　　　　　　　　　　　 i 　 i 　 ノ　',
　　　　　　　　　　　　i　i 　 　 　 　 ｉ　 i!　,　　' 　 ,}　　　 '. 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾘ ,. ﾘ　 　 　 ',
　　　　　　　　　　　 / /　　　　　　 ｉ　 i!　　　　 , /　ゝ、　　　　　　　'' 　 　 　 ノ_,:.ィ　 ヽ　 　 ',
　　　　　　　　　　　/ /　i　 　 　 　 i　　｀''r‐-- 'ｲV　　　　 ,.　‥　 　 　 r　''i´　 　 ',　(人｡ ,､　', _　　　|
　　　　　　　　　　 / /　 i　　　　　　i 　 　 l　　　 l　',,.　イ 　　:　　　　　　:　 ﾊ　　　 ﾍ.,,. ,ｨYヽ'｀,´-ﾞ､ヽ,.: y
　　　　　　　　　　' λ. ｡i 　 　 　 　 i　　　 l　　 ,イ¨'''　ー── 　 ---　 　 ﾑ ﾍ　,,ｨ"´　 ゝ >=､）)　 (　У｡　'
　　　　　　　　　　　ヽ、i　｡ ﾟ ｡ ﾟ ｡ ｡i　　　｡l　　ム｡ﾟ ｡ﾟ　　　　　　　　　　　　　＞ ､　ゞ,.''rγy'-ヽヽ''人ヽ　´ヽ）
　　　　　　　　　　　　　i｀｡　　　　 ヽl｡　｡,'　l、＿/｡ﾟ｡ ｡ﾟ　　 　 　 ＿,,.　 -‐､_　　　 ＼{. {　{ (δ）} K {{）ヾうゝ)
　　　　　　　　　　　　 i　　 ｡ﾟ｡　ﾟ｡ﾟ　｡ﾟ ,.へﾉ 　 　￣ l ￣￣￣　　 ;　　ヽ　　 i＼─-　＼ ､｀_ﾆ='У ､ヽ' ﾉヽ
　　　　　　　　　　　　i ｡ﾟ｡＞<´ﾃ¨｡ﾉ￣　　　　　　／! ヽ　　　　　　　　　　　ヾ、＼ヽヽ｀ Vk ﾑ Y (ゎヽノ ｼ
　　　　　　　　　　　 / ／ノ　　　　　　　 　 　 　 /　/　　　 ;　　　　　　　　　i ﾍ｀ ｰヘヽヽV''у;,ト　彡γ
　　　　　　　　　　　/ ' ´　　　　　　　　　　　　／　/　 　 　 ', 　 i　 　 　 i 　 l　ヽ＼　 ンｫY,,.イ(く }ｰ､ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ,/　　　　　 '　　!　　: 　 l 　 !　 iﾍ　Y ,'´　'´ ,.”ヽ,.ィッ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 /　　 :　　　　 　 !　　:　　!　 l　　i∧ l !ノ 　 ,.ﾍヽ ﾍ'ﾞ・
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 /　　　:　　　 ',　　l 　 　 　 　 !　　:　,ｲ; ヽ　 /　У'´l!



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ささやかな平和が訪れる

　　　これが

　　　やがて羊飼いとして

　　　死ぬことになる

　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 / 　'
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　'
　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　 ',
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　〃 ﾞ 　 |
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.τl|　|
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　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.οl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.ηl|　|　　　　　　　　　　勇者やらない夫の
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.αl|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.νl|　|
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　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　|ｌ.αl|　|　　　　　　　　　　ありがちな
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　　　　　 　 　 　 　 　 　 レ'"二 ヽ.|
　　　　　　/￣￣￣￣￣´ 《::.Ｙ.::》 `￣￣￣￣￣ヽ
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　　　　　　/￣￣￣￣￣´ 《::.Ｙ.::》 `￣￣￣￣￣ヽ
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　　　　　　/￣￣￣￣￣´ 《::.Ｙ.::》 `￣￣￣￣￣ヽ
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　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ' ::_:: '

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伝説の終わり















　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ノ'"二 ヽ.
　　　　　　/￣￣￣￣￣´ 《::.Ｙ.::》 `￣￣￣￣￣ヽ
　 　 　 　 ｉ＿, -―――‐-､.｀'‐'´ ,.-―――‐-､＿ｉ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ￣￣￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿／ 　　　　　　　　　 ＼＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i　┌───────┐　i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i　│　　Ｙαρθο　 │　i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i　│　Ξυθνκο │　i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i　│　Ｍαδοκα..│　i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i　│　Ｈομθρα...│　i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i　│　Σαυακα │　i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i　└───────┘　i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i　　　　 ξοιν 　 　 　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i 　 　　 　τηε　　 　 　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿|i　　μαξοριτυ　 i|＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　///,L _＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ 」//∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 //////////////////////////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|///////////////////////////////,|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|///////////////////////////////,|
　　　　　　　　　　　　　　　゛｀'´ﾞ゛ﾞ゛｀`'｀`''´ﾞ゛'´ﾞ｀`''´ﾞ゛゛｀`''´｀`''´ﾞ゛ﾞ゛｀`'｀`''´ﾞ゛'´ﾞ゛"ﾞ"



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【出典】

　　　　　　　　　　　　　　やらない夫……やらない夫（やる夫系）

　　　　　　　　　　　　　　やらない夫の父……やる夫（同上）

　　　　　　　　　　　　　　やらない夫の母……鹿目詢子（魔法少女まどか☆マギカ）

　　　　　　　　　　　　　　やらない夫の姉……鹿目まどか、暁美ほむら、美樹さやか（同上）

　　　　　　　　　　　　　　祖国の王（旧）……キング・ブラッドレイ（鋼の錬金術師）

　　　　　　　　　　　　　　祖国の王（現）……エドワード・エルリック（同上）

　　　　　　　　　　　　　　魔王……バラン（ダイの大冒険）

　　　　　　　　　　　　　　帝国の王……ギルガメッシュ（Fate/stay night）

　　　　　　　　　　　　　　帝国の王女……志筑仁美（魔法少女まどか☆マギカ）

　　　　　　　　　　　　　　川の異形……ゴマンダー（Ｒ－ＴＹＰＥ）

　　　　　　　　　　　　　　その他異形……サン、カトー、シン・モニス、ソコンポ、セブンティーン（BAROQUE）

　　　　　　　　　　　　　　少女？……佐倉杏子（魔法少女まどか☆マギカ）

　　　　　　　　　　　　　　少女の母？……巴マミ（同上）

　　　―-

　　　――

　　　――高い尖塔を持つ城に

　　　その王はいた

　　　　　　　　|: :　　　　　　　　　　　　　 　 　 ､ｰ―-　　　　　 　　 　 　 　 　 　 　 　 　　　: :|
　　　　　　　　|: :　　 　 　 　 　 　 　 　 ｰ＝＝圦　　　 ｀ヽ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　　　 　: :|
　　　　　　　　|: :　　　　　　　　　　　　ﾏ＼　　　　　:ｉ 　 　 !ｲ}　　　　　　 　　 　 　 　 　　　: :|　　黄金の、豪奢な甲冑に身を包んだ
　　　　　　　　|: :　　　　　　　 　 　 　　ﾍ　 　 ____　 l} ,'____ 　 Ⅳ　　　 　　　　　　　　 　　　: :|
　　　　　　　　|: :　　　　　　 　 　 　 　 __ﾍ　　〉　　`'"　　 {_　/　　 　　　　 　 　 　 　 　　　: :|
　　　　　　　　|: :　　　　　　　　　　　　 ｀ヾ　/≧_　　　_≦ l /　　 　　　　　　　　　　　　　　: :|
　　　　　　　　|: :　　　　　　　　　　　　　　 { i　ゞ'｀　　 ゞ'　}7　　　　　　　　 　　 　 　 　　　: :|
　　　　　　　　|: :　　　　　　 ,ｒ==========､__､　　〈l　 　　「」　　　,ｒ==========､ 　 　 　 : :|
　　　　　　　　|: :　　　　　／　　　　　 ,　´￣〉::ヾ 　‐‐　 ｲ≧ｬ　／ 　 　 　　 　 　 ＼　　 　: :|　　きらびやかな
　　　　　　　　|: : 　 　 ／　　　　　　,く____／::ﾑﾇ} ｀ー ´ .|::／∨　　　 　 　　 　 　 　 ＼ 　 : :!
　　　　　　　　|: :　　 /　　 　 　 　 / 　 　 Y´∧＼Y⌒Y／ 　/　　　　　　　　　　　　　 ∧ : :｜
　　　　　　　　|: :.　 〈　　 　 　 　 /　　 　 /　　.}　 } .l:l .{　 　{　　　　　　　　　　　　　　　 〉 : :|
　　　　　　　　|: :.　　∨ 　 　 　 /　　　__/　　　|　 | .l:l .|　　 |　　　 　 　 　 　 　 　 　　 /. : :｜
　　　　　　　　|: :.　 　 ＼　 　 ./ 　 ／　′　　/　 .| .ｌｌ .|　 　∨　　　　　　　 　 　 　　 / 　..: :|
　　　　　　　　|: :　 　 　 {ﾆ=-/___ノ 　 /＿_／ﾆ≧.ⅥⅣ ≦二＼＿＿　　　＿＿　　　}　　 : :|
　　　　　　　　|: :　　　 　 〉-/　　　　./::/{　　　　　　米　　　　　　}ヽ::＼　　　　＿___ 〈　　..: :|　　美丈夫の王であったが
　　　　　　　　|: :　　　 ∠ ,〈＿___　_/::/　|=====＝"人ﾞ ＝=====|　 ＼:＼__ニ二ニ___ヽ　 : :|
　　　　　　　　|: :　 　 　 {/::::::::::::::::::::〃　.|　　　　　/　∧　　　　　|　 　 ヽ:::::::::::::::::::::::::::}_　 : :|
　　　　　　　　|: :　　　　_厂￣￣￣/__ 　.|_____　　/　∧∧ 　 ___／ソ￣￣丁￣￣￣} 厂)　: :!
　　　　　　　　|: :　　／___ヽ ＿＿ノ／／ 　∧.｀Y　　 .!　　Y´　{_!jjﾉ`――┴――‐┴一＼: :|
　　　　　　　　|: : 　 | 　 　 　 　 　 | /―－―Vﾊｒ=＝＝=､∧V―－―｀ｌ　　　　　 　 　 　 |: :!



　ヽ　 　 !　　　　　　　　 　 　 〈　　　　　　　　　　　　　　　ー○＿
　　○＿_　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　/ 　 　 !
　 /　　　∧　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 __ 　　 　 /　 {＿＿__|
. /＿＿_/　. 　　　　丶__　--―　――＝＝ｱ'' 　　　./　 　｀￣￣　　　　　　　　その心根は
　 ￣￣´　　` .　　　　 ｀`ー――＝＝＝イ　 　 　　.′　　　　 　 　 ／
　＼　　　　　 /＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ､　　　　 　　 ／
　　 ＼ 　 　 / 　 |＼　　　　　　　　 　 　 　 　 ／;' l　ヽ、　　　／　　　　　　　　夜闇の下で見る泥沼よりも
　　　　ヽ_／ i,.,.,.,.|　 ＼　　 　 　 　 　 　 　 ／::::;'　|.,.,.,.,i＼_／
　　　　　l} 　 l::::::::|　　　 ヽ　　　　　　 　 ／::::::::;' 　|::::::::l　 {!
　　　　　ll　　l::::::::|　　 　 　 ｀ ー―― ´:::::::::::::;'　　|::::::::l　 ll　　　　　　　　　　　底知れぬ黒さを保持していた
　　　　　ll　　|::::::::!　　　　　　';:::::::::::::::::::::::::::::::;'　 　|::::::::|　 ||

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |、|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ＼　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ; /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 //|
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.　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼,　　　　 　 　 　 　 ＼　　 、　　　　 　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　 　 　 　 　 　 　 ＼.　＼　　　　　 　 ./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′　　　　　　 　 　 　 　 ｀ 　. ＼ 　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　　　 　 　 ｀¨＞∧／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′ 　 - ､　　　　　　 　 　 　 /´:// ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}／. : : : ＼　　 　 　 　 　 ,∧:::ｉ i /
.　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　,: : : : : : :.＼ 　 　 　 　 / ∧:| |i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : :ヽ　　　 ／: :ｉ　}:ｌﾉ
. ／{二ニ=-　.　　　 　 　 　 　 　 　 ｡゜ 　 /.: .: : : : : : : : : :.‘，}／ ::::::::|　∧'
　　 ﾏﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=-　　　　　　 　 　 ,　 　 / : : : : : : : : : : : : : ‘，::::/:::::;　 i　ﾟ,
.　 　 ＼二ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=-　　　　 　 / . :　/.: : : : : : : : : : : : : : : :‘，':::::/ 　ﾍ　|　 　 　 　 　 .． -
.　､　 　 ＼ニﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=- .　　/. : : :/.: .: : : : : : : : : : : : : : :. :.‘;:::/ , ′ Ⅴ　　　　 . : ´ : : : :
　　＼　　　＼ニﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=ヽ/.: .: .:.′: : : : : : : : : : : : : : : : :. :.‘;i /　　　　　　. : ´: : : : : : : :
. 　 　 ＼　　　＼=ﾆﾆﾆﾆﾆニア: : : : :i : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼　　　　.／: : : : : .． -‐…
　　　　　:＼. .　　＼ﾆﾆﾆﾆ／: : : : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.＼　／ : : -=ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 王にとって

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 民とは

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 国とは

　　　　　　　　　　　 r～'^,
　　　　　　　　　　　__)/／
　　　　　　　　　／　　 ｀　　　　　　　　　　　　　　　　 r～'^,
　　　　　　　　/　　　 　 }　　　　　　　　　　　　　　　 __)/／
　　　　　　　 {　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　／　　 ｀
　　　　　　　　v', ____／　　　　　　　　　　　　　 /　　　 　 }
　　　　　　_／/厂´　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　 　 /
.　　　 　 ⌒Ｌん{　　　　　　　　　　　　　　　　　 v', ____／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／/厂´
　　　　　　　　　　　　　　|＼__　　.　　　 　 ⌒Ｌん{
　　　　　　　　　　　　　 ｜　厶
　　　　　　　　　　　─＜/／_ 〈
　　　　　　　／　 　 　 '＾∨⌒
.　 　 　 　 /　　　　　　　｜
　　　　　　|　　　　　　　 /
.　　 |＼＿∨／ 　 　 ／
　　　＼. ／l⌒¨
.　 　 ＜ ＿|


　　　　　　　　　　　　　菓子の包み紙や



　　　　　　　　　　　　　　,　 -――～'´￣￣￣ 二ﾆ=‐- ､ ＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　 r―――= ﾆ´　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｜|＼
　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /⌒ﾘ　 ＼
　　　　 ヽ、　r‐､　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 { ー{/　 　 ヽ
　　　　　　|　j _ﾉヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 八　 ヽ　　 　|
　 　 　 .／∨　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ヽ　　＼　｜
　　　／　 ｀}　　 / ､　　　　　　　　　　/　　 　 　 　 　 　 　 　 /　 /　　　　　|
　　 ,'　　 ／　　,' 　 ＼　　_∠　-‐ '´￣ ￣￣ 丶----―――-rｲ　 　 　 　 |
　　 { 　 /　　　 {￣厂 ￣　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | |　　　　　　|
　　 ‘,　{　　　　ヽ/　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | |　　　　　　|
　　　 ｌ　　　　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽヽ　　,　 -┴-､
　　　 |　　　　　 ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼／　　　　　|


　　　　　　　　　　　　　　　　汚穢を拭う落とし紙

　　　　　　 　 　 　 　 八
　　　　　　　　　　　　i:: ::.
　　　 　 　 　 　 　 　 ､::::;
.　　　　／.::￣:.｀ヽ.　 r┸t
　　　 /:/.:::::::::::::::::.ヽ..|: .　|　　　　 あるいは
.　　　{::{::Ｏ::（:{ﾆﾐｔｭ:} |: .　|　　　　　
　　　 v::､::::::::::.｀vﾑﾉ |: .　|　　　　 夜毎に火を灯す鯨油の蝋燭と同義であった
...　　　ヾ:ヽ､:::::::,ｨvﾑ..|: .　|
　　　　　 ｀ ￣´　 }::} |: .　|
　　　　　　　　　　{二二二二}
　　　　　　　　　　 ヾ:ｰ':└┐
　 　 　 　 　 　 　 　 ｀￣￣




　　　　　　　　　　　､}ヽ　､
　　　　　　_,, -　´￣,＿､Y/
　　　　　　７　　､-'＿＿　ﾍ
　　　　　＜　´,ｨ7´ｨ ｒ.ヽ｀　(_
　　　　　,ｲ ／ ｲ, 　 ￣　　__ ｊ　　　　　　　　　　　　 自らの欲に投げ入れくべて
　　　　　/　　 ｒ-' 　　｀ ￣ ,　|
　　　　　｀ゝ　 ヽ｡ｨ ､＿　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　一時、心の暖を取るだけの
　　　　　　　二エ__｣＿_ ￣ｒ' ｣＿ィー-―-- ､
　　　　, ィ´　ー-- ､ ヽ＿＿≧'ｰ-､≧､　　　 ﾊ　　　使い捨ての存在と、概念に過ぎなかった
　　　丿　＿　―--　_　Y´￣￣￣｀ゞミﾉゝ､　　',
　　/ ィ´　　　　　　　　　　V,　ィ´　　　 !ヾ､ ＼　〉
　 ,'´　　　　　　　　　　　　 ｌ'´　　　　　　!|　｀ヾY
　 !　　　／￣ ｀ ーｭ､　　　ｊ!　　　　　　 ｌ|!　　　ｊ
　　　　/　　-―ァ￣ 三ｒ='/ｌ　　　　　　/ｊ　　　,'
　　ヽ､!,ィ　　 ィ　　　_ノ///lj　　　　　　｀　_　 ｲ
　　　　ヾx'´　　　＜///|/ノ　　　　,, ィ´二 　ヽ!
　　　　　/_,ィ´-―-=ミ/〉　　　　/　　　／　　ﾉ｀
　　　　　 ｒ'-　￣ ＞‐- {｀ー--y　　／　, ィ´
　　　　　/　　,　´_ -=≦ｊ　　　 !､ /　／

　　　　　　　　　　　　ﾖ￣`ヽ 　　＼`∨l
　　　　　　　　　　＜__　　　　　　　 w v
　　　　　　　　　　≦三　　　 √ﾞ ﾞ´　　∨
　　　　　　　　　　＜.　　　 ｦ　ﾌﾃ,ｔ;　　《_
　　　　　　　　　　 ＼ミ三-ｔ　　￣ 　 　 :|　　　　　　　王は、自らの心を満たす為だけに
　　　　　　　　　　　 lヾ≧ゝ= ,　　 - ﾆﾌl
　　　　　　　　　　＞-―‐＜「 ≧　_＿_ﾉ
　　　　　　　　　 ∧　　　　　 ＞ｘ　/　 ∧　 ＞＜
　　　　　　　　　 ﾄ‐‐- 、　　　　 ∧彡_＞ｙ/////
　　　＞-―-テ=三ミ　 ＼　　＞１ﾚ＜////////
　　 /彡=≡=ﾐ＼:::::＼ミ＞＜ ﾆ...ﾘ////////＞＜
　　 ﾚシ≦ﾆ三ヾL＞＜　 |　{::::::///////＜
　　 | i　i i >,''''';;;'' ,,;;;;'',,.　 l　ゝ-ﾘ//＜　 ｲ
　　 ＞-≦=>,,　 ''　 ,,;'　 ;;|　　ノ´ 　 　 ; |
＜__　　　　'''''''＞ __　　　;;| ,,;/　　　　,;'　|
　　　＞-ﾃ≦-　_'''''　　 ;;;;|／.　　　,,;'　 ﾉ



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　　　　　　 　 ,r＝＝ミ|:::::::|　　|::.. ',　　 　 　 ||:::::::::||　　　　　　　　　 　 ＿＿　　　 　 　 　 　 ||:::::::::||
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　　　　　　　 |　　　　 ||:::::│ 　|:::|| | 　 　 　 .||:::::::::||　　　　　　　/　／ .＞┐　　＼　 　 　 　 ||:::::::::||
　　　　　　　 |　　　　 |l:::::: 廴ノ ::|| | 　 　 　 .||:::::::::||　　　　 　 ,r＝＝ミ|:::::::|　　|::.. ',　　 　 　 ||:::::::::||　　　　 　 ＿＿
　　　　　　　 |　　　　 ＼ :::::::::::::／ | 　 　 　 .||:::::::::||　　　　　 |　　　　 ||:::::::|　　|:::|| | 　 　 　 .||:::::::::||　　　.　 ´＿＿ ｀ヽ
　　　　　　　 ｢二＞ ､ 　 |::::::::::::|　 .!　　　　　||:::::::::||　　　　　 |　　　　 ||:::::│ 　|:::|| | 　 　 　 .||:::::::::||　　/　／ .＞┐　　＼
　　　　　　＿/＞─　ヽ　＼:::／ ／　　　　　.||:::::::::||　　　　　 |　　　　 |l:::::: 廴ノ ::|| | 　 　 　 .||:::::::::|l　,r＝＝ミ|:::::::|　　|::.. ',
　　.　＜　　 　 　 　 　 .∧＿＿∧　　　　　　||:::::::::||　　　　　 |　　　　 ＼ :::::::::::::／ | 　 　 　 .||:::::::::|| |　　　　 ||:::::::|　　|:::|| |
／　｀ヽ　　　　　　　　 　 ヽ　 ｌ　/:＞　.　　　.||:::::::::||　　　　　 ｢二＞ ､ 　 |::::::::::::|　 .!　　　　　||:::::::::|| |　　　　 ||:::::│ 　|:::|| |
　　　　 ∨　　　　　　　　　 ',　lｲ　　 　 ＼　 .||:::::::::||　　　　＿/＞─　ヽ　＼:::／ ／　　　　　.||:::::::::|| |　　　　 |l:::::: 廴ノ ::|| |
　　　　　ｌ 　　　　 |￣ヽ　　 |　ｌ |　　l￣l .∧ .||:::::::::||.　＜　　 　 　 　 　 .∧＿＿∧　　　　　　||:::::::::|| |　　　　 ＼ :::::::::::::／ |
￣ ヽ　　l!.　　　　∧　　 ',　 ｌ　ｌ ｌ　 /　/　　| ||:::::::::|| ｀ヽ　　　　　　　　 　 ヽ　 ｌ　/:＞　.　　　.||:::::::::|| ｢二＞ ､ 　 |::::::::::::|　 .!
　　 　＼.l!　　 　 　 ＼　 ＼_ｌ　ｌ ｌノ　./　　 .| ||:::::::::||　　 ∨　　　　　　　　　 ',　lｲ　　 　 ＼　 .||:::::::::||_/＞─　ヽ　＼:::／ ／


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　軍を指揮し

　　　　　　　　　　　. ィー-　、
　　　　　　　　　　f　　　　　　＞-､
　　　　　　　　 　 .′､_　　　　　ア¨¨⌒〉
　　　　　　 　 　 .′　　}｀ヽ_、　{ .rr　^´
　　　 　 　 　 　.′　ｘ〈 　 　 ヽ_ヒﾘ
､､､　　　　　　./　彡'´〈
::::::::'┐　　　 /　　／.ヽ|
､:::::::::ヽ＿_.ｲ　ヾ､.L　-{
. ＼:::::::::::　 f¨7　　　ニﾊ
.　　ヽ:::　　 ト{　＞ ´¨￣!ミY　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　__,_
　　　^ヽ　　＞f　　　　　ヽ　}､　　　　　　　　　　　　　　　　rｰｽ´, -､｀ﾍー‐v´x-'‐'
.　　　　 ｀¨´　ハ　　　　　 >' |　　　x_ー.v､　　　　　　　　　　￣`´　　>_､〉;,ｨﾃ´
　　　　　　　　ゝト--　¨¨´ _.戈¨¨´　 ＿.り　　　　　　　　　　　　　 /ﾞy´//`"ﾞ
　　　　　　　 ､Y{､　　　　　　 __}ー　´　　　　　　　　　　　　　　　　/'7　'ｬ＋
　　　　　　　　ﾐ.ハ　　.　-‐ ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ~´ ＋
　　　　 　 　 ,∠　 r ´
　　　,､_, -　´_ノ／
　　　ゝ.. -'´　¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,__,ィゝ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ィ::､ﾄ-￣ ＼__,,r-,
　　　　　　　　　　　　　　　　 _._／;';';';';';';';'ヽ 　 n)-'´
　　　　　　　　　　　　　　　　_j';';';'; ';';';';';--iｺ':-'´
　　　　　　　　　　　　　　r-vl ;';';';' ;';／7:￣
　　　　　　　　　　　　　　 ^´: : -ｰ,'　／


　　　　　　　　　　　　　　　 　　意味なく、大儀なく

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　無差別に

　　　　　　　　　　　　　　　　　多くの国を攻めては

　　　　　　　　　　　　　　　　　　他国の民を殺し

　　　　　　　　　　　　　　　あるいは奴隷として取得した

从 /_z≦´　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::::::::::｀￣::7　 .:::　:.:　ｌ|′.::　　　/　|
`''´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::::::::::::::〈彡.:::::..　　 l|　.:::　 　/, 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::::::::::::::::≦:::::::::.　　l| .:::　　 /　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::{{__:::::　　.:ｌ':::: 　 /　　　:|
　　　　　　　　　　 --　―――――――――:::::::::::::::::::::|:::: 　.::::::: 　 /′　　 :|
　　　　　　　　´::::￣￣ ￣　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::|::: 　.::::::: 　/′　　　.:|
　　　　　　　:::::::::::　　　　　:::::::::::::: : . 　　 　 　:::::::::::::::::::::::|:::　.::::::　 〃　 　 　 .::!
　　　　　　:::::::::::　　　　　::::::::::::::::::::: : .　　　　　:::::::::::::::::::::ｌ:: .:::::::　 .'　　　　　 .:::|
　　　　　　　　　　‐‐‐‐zZZZZZZZ≧zｭ_　　　:::::::::::::::::::::::ｌ::::::::::　　 　　　　 .::::::′　　　王の持つ威光と恐怖に後押され
　　　　　　　≡≡≦´￣　: : : : : : : :.￣｀≧zzx　::::::::::::::::::.!.....　　 　 　 　 .:::::::/
　　　　　　'＾≧ｭ{{　　　　　　　　, 、: : : : :`ヽZ〉:::::::::::::::／　　　 　 　 　 .::::::::/
　　　　ｉ.:::::::　　 -=≧ｭ_　 　 　 ｨi_}: : : : : : : }ｲ::::::::::::::::::　　　　　　　　.::::::／
　　　　1:.:::::::　 　 　-=　-=≧ｭ_¨´ : : : : : :.′:::::::::::::::′　　 　 　 　 .:::／
　　　　 l::::.:::::::　 　 　 　 　　-=　-=≧ｭz彡′:::::::::::/　　 　 　 　 .:::／
　　　　　',::::.:::::::　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ 　 　 　　　.:／
　　　　　 {､::.:::::::　　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　／
.　　　 　　/:::::::::::::　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::〃⌒ヽ 　 ／:;′



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　＿
　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ／／ー、_　 ∠|
　　　　　　　　　　　　　　　 　　／／::::::::::::::∨ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 　　| |::::::::::::::::／／
　　　　　　　　　　　 , ー 、 　　| |　 ∧／／
　　　＿＿＿＿　／ /　/ ヽ　　｀￣／／
　　 ヽ＿　　　　X ￣二￣ ゝ ー 、.／　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／|
　　　 　 ≧ー ノ　＞ー ＜ﾍ　 　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　／::::/
　　　／ 〉三/;;;;　 l |￣//　 ヽ≦￣　　　　　　　　 　 ＿　　　　 /:::::::/
　　 /　 ≦ｿ;;;;;;;;;　| l　//　　 ∨/ ＼　　　　　　　 ／ヽ　ヽ　＿ ∨≦　　　　　　　　兵士達は
　　〈＿;;;;;;/ ヽ;;;;　 l | // 　／∨ 　　}　　　　　　　l } } Y　 }ハ　 ∠ ヘ
　　( 〉;√;;;ヽ　}彡二二ミ/ミ}/ ｀ ー´　　　　 　／　/∧二二ヽ≦　ヽﾆ}
　　　ヽ;;;;;;;;人ｲ;;;;/　　 / ヽ/　　　　 　 　 　 ∠＿ /.l 、＼Y } |　/ヽノノ　　　　　　　猛然と進撃し
　　　　≧彡／;;/　　 / ＿ヽ　　　　　　　　　　　{ミ彡　ヽハﾉ/ ∧
　　　 {ミ}／i;;;;;/＿_ /√三ミ}　　　　　　　　　　 ﾍ　 Y　/彡三三}_
　　　　　　/三三ミ/ 三三ミﾄ、　　　　　　　　　　 ≧彡∧彡〈　　;;;;ヽ
　　 　 　 /三三ミ∧三三ミｊ;;;;ヽ　　　　　　　　　　 　 　{ﾍ}二ﾄヽ　;;;;ﾉ
　　　　 人三 彡/　{｀ ￣´　;;;;;;|　　　　　　　　　　　　　 ∨三 ﾐ}三 }
　　 　./　　　;;;;;;/　 ヽ ＿＿;:;:/　　　　　　　　　　　　　　 } 三 ﾐ}ﾄ 三ｊ
　　　 | 　 　;;;;;;/ 　　/－、 　}　　　　　　　　　 　 　 　 　 ﾍ ￣´ ∨ﾐ/__ , －、
　　　 ∨三ミ}./　　 /　　 };;;;;;}　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾍ　／/　　{≦ l;;;;;}
　　 ／ 三 ﾐ}/　　　 〉 二{ー´　　　　　　　　　　　　　　　 　 ≧//　 　又ﾍ ={
　 ∧三三ﾐ{/　　　/三三 }　　　　　　　　　　　　　　　　　　/|{ニ=ヽ_／ ヽ.l弋
. /　　　;;;;;;;;}　　　ﾍ　　　/　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 l∧ミ三} 　 　 ||;;;;ｊ
　　　 　;;;;;;/　　　　ﾍ__ ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｲ　ゞ三}　　 　 .∨
　　　;;;;;;;／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　;;;;;/
　　　;;;;/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊ 　;;;;/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／|: : :.:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l 　 | : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | 　 |: : :. .:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | 　 |: : : :.:|
　　iv'ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　|:|ｌ＝=|
　　| ;`;|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　|:|》: ::::|　　　　　　　 i'1
　　| ;'l:|　　 　 　 　 　 i'`'i　　　　 　 　 　 　 、 　 　 　 ／|　　|:|＼ : |　 .　　　　　 |;'|　　　　 　 ,、
　　!:`l'|　　ζ＼ 　 　 |;`;|　　 　 　 　 　 　 ∥ 　 　 　 〕 .|　　|:| 　|| | ./＼　　 ＿.|;'|　　 　 　 /.:〉
-､_|_.;l:| 　　＼';､＼　 :|':i;;|　　 　 .　 i'1　　　||／>　　r┘.:|　　|:|　 ||::| |　 ∥‐┘ .:|';|──へ./.:/＿r‐
ｰ|＿}:;|　　　　＼';､.＼|;';;;|　　　./〉　|;|＿r／／　 /|￣＼:|　　|:|　　￣　.:〃..／>.::|;'|:::::::::::::::/.:/:::::::::::
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ｰ|＿};|::::::::::: : :: : {二l＼;i`!､::://:::::::::::::::::::r| .::| /.:::::<＼／　　 〈:::.:... ＼　》 '　.::::::::/|＼＿ｎ::::::::::::::::::::
-|＿|￣/＼:::::::/`|＿{┬| |;､＼::::::::i'|::::::r┴冂、 .:::::|::＼＼ _＿＿__:::::.:..〉″へ:::::/ .| |: : : |:|::::::::l`!へ、
ｰ|＿}::/ ､';';〉.:/ /{＿|┴lニニニニﾆｌ.r┴､_|_|_|:>:::::＿＿＿|」＿＿:l;_;_/／..::.　｀〈　:| |: : : |:|::::::::| |: : :
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~゛'' ┘⊥ ｣_　|　　|{＿|┴┬┴┬┴┬┴┤ .:|＿;!＿＿;!＿＿:l＿＿;!＿＿;|<___;_/＼_;_;_;|;|-∠|_|;_;_;
　　　　　　　　　~゛'''' ┴'::⊥Λ二＼.:|　　.:|ー:|＿＿;!＿＿;!＿＿;!＿＿:l＿＿;l:::...＼/＜＞::.　 ∠二
　｀　　 　 ,　'　　.　　 ｀　　　∨_,,,;;;;/. ~゛`┴ -'⊥ .」＿;!＿＿;!＿＿;!＿＿;!＿;ﾄ､ r─‐-､　　　...:.:.:.::.:
　　　　　　　　　　　　　,　　　　　　　　　　　　　　　　　~゛　┴　 ⊥. .,_..:::|　::/￣.￣'"ヽ┴-､_;_;_;_;_;_;_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,　　　　　　　｀ 　 　　 　 　 　 ~゛'' ‐-|＼＿＿＿ﾄ--/.. ...:::::::./|
　　`　　　　　　　　　　　　　.,　　　　　｀　　　　,.　　　　　　　　　 　 '　　　　 ＼|__;_;_;_;_;!─l二二二l/
.　　　　　　　　`　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　王の自慰的な戦火を

　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　煌々と燃え盛らせた

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　／ー－――‐ｧ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : :　　　／　　　　　　　　　＜　　　　　　　　　　　　　 　 : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : : 　 ｲ!/ 　 〃 　 ,　´　　　 　 ｀￣＞　　 　 　 　 　 　 　 : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : :　 {l　　 /,′　/ 　 　 　 ´　　￣ ＼　　　　　　　　　 　 : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : :　 　 |l　 　|ｉ　　/　　　／　　--　－‐‐＼　　　 　 　 　 　 : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : `ヽ 乂　 ｛{　,ｲｚZ=≠=≦　　　　　　‐‐ ｀>　　　　　　　　: :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :　 　 ∨ ﾄ'"`"´　　　　　 　 >＝--　二 _／　　　　 　 　 　 : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : :　 　 　 ∨　　　 　 /　 　__／ﾏ=--　－－`フ　　　　　 　 　 : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : :　　　　　 〈≧__　　　`ｰイ斧ｱ　ヽ=-　__　／ 　 　 　 　 　 　 : : |
　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :　　　　　　　{ 斧ｱ　　　　￣　　　 ｒ=-　　´７　 　 　 　 　 　 　 : :!
　　　　　　　　　　　ｒ――――― ､　 　　　　 ! ｀7　　　　　　　　　　 )　}=-／　　　　　　　 　 　 : :|
.　　 　 　 　 　 ／￣￣￣￣￣￣￣ヽ,ｒ‐-‐--、 `　　　　 　 　 　 _n_ ノ,／　　　　　　　　　　　　: :|
　　　　　　　／　　 　 　 　 　 　 ／〉::::::{」::{」{」{∧　ー－一　　 　{＿}("　　　　　　　 　 　 　 　 : :｜
　　　　　　/　　　　 　　 　　　 ,<／:::::ノ::ﾉノ::ﾉノ:∧　　　　　　 ／,'　|∧ヽｒ――――--､　　　　: :｜
　　　　　　{　　 　 　 　 　 　 ／:::::::::八¨´¨´¨´ノ{.:.:.:.:.､＿ 　イ.:.／￣／ ￣￣￣￣￣￣￣＼　　: :|
　　　　　　|　　　　　　　　／　　｀＝＝≠￣￣∨.:,---､.:.:.:.:.:／　 ／　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼ : :|
　　　　　　∨　　 　 　 ／　　　　　 　/　　 　 　 Ⅳ<::> ヽ.／　 ／　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼!
.　　　 　 　 ∨　　　／　　　　　 　　,′　　　　　| 　|:| 　/ 　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼


　　　　　　　　　　　　　　　王の栄華は際限なく高みへと駆け上り



　　　　　　　　　　　　　　　 ;=))::.　　　,,='‐;;;;''-､::
　　　　　　　　　　　　 ,,-'ﾞﾞ ,)':: 　　　 ｌ;;ﾞﾞ;;;;;''''/;;ヽ::
　　　　　　　　　　　 ,ノ;;;／::　 ,,,..'.ゞ-'`,;;;;;;;,-‐,/:::
　　　　　　　　　　.,-'＿ﾑ,,,,,--';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;<;;::　　　　　　　　　　　 それに相対するように
　　　　　　　　　 '-:::::;;;;;;;;;;　　;;;;;　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;"`l:::
　　　　　　　　　　　 　 ￣`ｙ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ__ _
　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.‐ｭ,,;;;;;;;;;;;;;`-'--,i';_.,
　　　　　　　　　　　　　　　,!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:::　￣"‐―--―.'-,,_彡
　　　　　　　　　　　　　 r';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:::
　　　　　　　　　　　　./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:'i:::
　　　　　　　　　　　／￣ヽ､;;;;;;;;;;;;;;;;'i:::
　　　　　　　　　　／;;;;;;;;;;;;;／"ｌ￣￣|:::　　　　　　　　　　　　　　　　世界は疲弊していった
　　　　　　　　.／;;;;;;;;;;;;／::　　.|;;;;;;;;;;|:::
　　　 　　　／;;;;;;:;;;_-"::　　　　|;;;;;;;;;;|::
　　　　　 l;;;;;;;:ｒ"":: 　　　　　　ヽ;;;;;;;'i:::
　　　　　.|;;;;;;;|::: 　　　　　　　　　ヽ;;;;;;'i:::
　　　 　 ,|;;;;;;;|:::　　　　　　　　　　　ヽ;;;;;;'i:::
　　　　　,ｌ;;;;;;ｌ':: 　　　　　　　　　　　　ヽ;;;;ヽ:::
　　　　 r';;;,;/:: 　　　　　　　　　　　　　　ヽlllヽ:::
　　　　/;;;;/:: 　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｌｌｌ）:::
　　　 /^'ｌ'::
　　　 l;;;ﾉ::

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__...... -‐''"'ヾ;`'''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　 _.. - '' " 　　　　　. . . ﾞヽ,ヽ,｀'ｰ .._
　　　　　　　　　　　　_.. - '' "　　..;:;:;:;:;::.　　　　　　.:..:..ﾞヽ,ヽ .:ﾞ､ ｀'' ; ､
　　　　　　　　　,-γ"jﾞ　　　　　　;:;:;:;:;::.　　　　　.:.:.::.:.:.:.　ﾞ､;::.:.ﾞ､:::. ':　ﾞヽ,
　　　　　　　　 /　,'::.,'　　..::..　　　　;:;::;:;:　 ;'　　--＿　:.:.:.:　ﾞ,:.:.: ﾞ,::::.　::　 :〉
　　　　　　　／　 ,'::,.'　..::..::..　.,., 　､　 ;:;　 ;,　　::;;''_,=;ﾞﾆ__:.:..:.ﾞ,:.:.: ﾞ,　　::::.. ﾞi
　　　　　 ／.:.:　.:.l:..ﾞ, 　 .::　／.:;:;:;:, ﾞ,　 ;:　 ﾞﾞ'':::,;;;ﾑ;PﾞУ :::::::::ﾞ,:.:.: ﾞ,　 ミ:.:. i
　　　　／ .:.:.:.:..:.:.l:.:.ﾞ,　　,/"ﾞ,ﾆﾐ:;:;:,_ﾉ 　':　　 ::::;;; ;ﾞ''ﾞﾞﾞ"　,,;:　　ﾞ,:.:.: ﾞ, ';:;:;　,'
　　　,.'　..:.:.:.:.:.: :.:.l:.:.:ﾞ,　 ,;≦ﾞP;)ﾐ､　/　　:　　' ' ':;.,.,､　;;;;;:''　 .:.:;i:.:.:, ﾞ,;:;:. ,.'
　　 ,'　_ 彡:.:.:　 :.:l:.:.:.ﾞ,;;;;,　ﾞﾞ''ﾞﾞ''"ﾞ　.:.:' '　.::::::..　　 ;:;:;';.,､ 　 .:.:.:.;;l|:.:.: ﾞ,／
　　i ,,,　ﾞ:;,彡 　　 ﾞ;;;,　ﾞ;;;;;:;:;.,.,.　　,':.:;,:　 ;;'''_,ﾞﾆ=._　'':;:;:;:;:ﾞﾞﾞﾞ;､;: ;;;l!ヽ;.:.ﾞ,　　　　民は、国境という策に囲われた老犬の体を成し
　　ﾞヽヽ ﾞ;;､=.:.:;:　　ﾞ;;;. ii '' ':;:;:;.　,':.: 　,.'"´ 　 ,,,_｀ヽ ;:;:;:; .;;.;:　,;;;;;;|!　 ﾞヾ
　　　 ﾞ':ﾞ._ ﾞ':';';';:;:,　:.:.:.:.ili;.:.　:;:;: ;';:;:;::　l　ｮm .;.・=ｦ ;::;::.: :.:. 　ﾞ;;;;;;!
　　　　　 `':､' ' ':;　;.;.:.:.il|li::::.:.:.:.:. ﾞ;:;:;:;: ヽべ､ﾉｖ'",ｿ∴:.:.:.　 ,,　ﾞ,ｰ+-
　　　　　　　｀''-､ .;.;.:,'l||||ll;::.:.:.:. :: ﾞ;; ;:;:;：ﾞ'';';;''';'''";;∴∵-‐ ;:;　 i-..!_
　　　　　　　　　 i,／ヽ,ﾞﾞ'''ﾞ:::;;:,' 丶 ﾞ;:;:;:;:∴∵:,ィiiiiii;､∴ｰ''　iii, {　 i､
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　___.　　　 　 |::;:;:;:;:|..|　　|.:.:.:|　　　 |::;;;:|　　 _.　　| |:::;:;::;;|.|　　|| || |.:.;::.:.:|:|　 ┌‐‐┐　　|::.::|
r‐v'i　　　　　|:::::;:;:;|.:|　 「￣ ,. -‐‐‐‐‐‐-,._　! i'i'i.| |:;:::;:;:;|:|　　|| || |.:.:.:::::|.|　[￣￣￣] ┌─┐
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　　　 　 ￣￣￣￣´　　 　 |:;:::;::;:;;:;:::::;;:;;;|::::!　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |: |;;:::
　　　　　　　　　　　 　　 　 |;:;::::::::;;:;:::::;;;;;|..::!　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　|; |;::::

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　頭を垂れながら地を這い周り

　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　蛆すら食み、腐汁さえ啜り

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし尚、常に飢え

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　腐肉を舐る隣人を妬み

　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 地に伏した亡骸を嘲笑い

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 己が身を憎み

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 渇望から他人を殺し

　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　欲望から他人に殺された

　　　　　　　　　　　　　　, -‐ｧ
　　　　　　　　　,､　　 ／　 /
　　　　　　　 ／　| ／ｧ　　/ , -ｧ＿___,
　　 　 　 　 /　／ ／　　 ／／￣￣／
　　　 　 /V／　 /　　 ／／　 　 ／_,
　　　　/　 |　 　 |＿／／　　　 /／/
　　　　| 　 | ＿,,r二二ヽー--､/--┴ｧ
　　　　| 　 |　rｸ { 　　}　ヽ-､　|　 ／
　 　 　 ヽ-ﾍ　|__ `ー ' 　 ＿| .|Yﾆ=-
　　 　 　 〉-ﾘ |___￣￣￣ ___ |/ヽ
　　　　　| 　 |丁rｧ､　 ィrｧ | |-､　|
　　　　__レｲﾍ. ー '　j `ー'　/_ﾉﾄ､|_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ....-=::T::::=-.....
　　 ／入__|　ﾄ､　　ー'　　,ｲﾊｒく￣ |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／{:::::::::::::|::::::::::/:::::ヽ
　 / /　 |　 Vヽ|ヽ､＿__／_ノ　　　/-､_＿,､　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::_ﾍ::::::-┴-:::/::::_:::::',
　ヽｆ　, -!　　　　　　　　　　　　／´ ,､ィこﾗヽ　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ:''::ｧ=㍉::::::::::::::::ｧ =㍉::i
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　　　　|:l |:l l.:. :l._,rへl`ｰ‐:' 　 ｀ﾆT´`ｰ､_´　_＿
　　　 _,>┴┴'''´（ （　　　　　､ 　 `ｰ-､__￣ :＼￣｀`' ――‐ｧ
,.ｒ‐‐'´`ｰ-､_＼.__　　＼‐‐‐- ､__、　i_, -‐＼`､ ヽ　　　　 _／
　　　　　　　`ｰ､　､　　 ＼　　　　`i　　　　 | |Ｏ |　　 _／


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　多くの国と英雄が、この王を亡き者にせんと

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　兵を率いて

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あるいは果敢にも単身

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　王の打倒へと乗り込んで行ったが

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その全てが、二度と故郷の土を踏むことはなかった

　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　 　 　 　 　 　 ／ 　 ／/
　　　　　　　　　　　　　　　　 / ｉ　,　　　 /　　／ 　 ／ ,.イ
　　　　　　　　　　　　　　　　.′ ､j　 ｌ 　ｉ7　　　　, '／　　7
　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ 　 ﾐ　`'｀ ヾ! '"^"~　 ｉｲ　　{ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ　 j　 　 　 　 　 　 　 ';彡　/
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,ｲ　 ｮｭ､ 　 　 　 ＿,　;　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｉr､ 弋心　　 イ少ﾘ　斥}
＼　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾋﾞﾑ　　 　 |!　 　 　 ムｲ
::::::＼　　　　　　　　　　　　　　　 Yﾟi､　 ､_'＿,　　ｲYﾟYヽ
::::::::::::＼　　　　　　　 ,　´ ￣　7 └'/ヘ ｀￣ ／ .{ｉlｉｰ'ｉ| )ヽ ＿＿＿＿_
::::::::::::::::::＼.　　　　／　　　　 /〃 /|i|i|i}　ｰ ´　　ji|i|i|／　´　　　　　　　｀ヽ　　　　　　　 唯一無二にして天下無双
::::::::::::::::::::::::＼ 　 .′　　　　 ′|| ｉL|i|i|j　､,＿_ ／￣　　 -　─────一､
＼:::::::::::::::::::::::::＼.|.　　　　　 　 || ｀¨'7⌒i}У／　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
.　 ＼:::::::::::::::::::／＼ ∧　 　 　 ﾄ'　 /ｉ|ｉ|/　/　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼
　　　 ＼::::::／::::::::::::::|　＼　 　 ||　/ｉ|ｉ!/　,′　 　 　 　 　 　 　 　 ￣　 　 ‐-　　　 ヽ　　 絶対的な権力と暴力の双極が
＿＿, 　 ＼::::::::::::::::::::!　|　＼　 !! /／　 /　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｀ ┤
　ﾉ ノ _,　　 ＼::::::::::::::∨!　　 ＼ﾄ､ 　 ／|　　　 ／　　　　　´ ￣￣　 　‐-　、　　 ／
'", イ ソ　　 　 ＼::::::::::∨　　　/　 ｀＞､ﾑ　　.::　　 ／三三三三二ﾆ=-､　　ヽ ／
　　／.　　　 　 　 ＼::::::∨ 　　| 　 　 　 ￣＞､＿ノ　∨――――― ､ーヽ_／　　　　　　彼の腕に抱かれ、悶えていた
. Y |　　　 　 　 　 　 ＼:::∨.　 |　　　　ヽ 　＼＼　＞ ､三三二ﾆ=-､　　 {¨´
　| .!　　　　　　 　 　 　 ＼∨　!　|　　|!　＼　 ＼ 二二￣＞ ー─ミﾆﾐ､_ヽ
　|　〉　　　　　　　　　　　 ｀∨ !　|　　|ﾄ　　 ＼ 　 　 　 ／＼── ､｀ヾミ[
_┴ヘ、　　　　　 　 　 　 　 〉!_|　i!　　`　 　 　 　 　 ／ 　 　 ＞ ､＿＼ヾ/
　　　　＞一 ､_　　　 　 ┌/　 L＿　　　┌──　'´　　 　 　 　 　 　 ＞i{



／￣ー―‐　、
:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　 人々は王の所業を恐れ、彼の者を
:::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ
:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ::::i　　 ., -―- 、 　 ___
:::::::::::::::::::_＿_ノ､/〉'　 ／::::::::::::::::::て/::_:::ヽ　　　　　人の身にありながら、人ならざる魔性の王
:::::::::::::::/ u　 て;/7　/::::::::::::::::::;ｧ､､:::「ｪ ヽ::〉 __
::::::::::::/　　　　 /〈　 i::::::::r､::／=ﾐ ｀く.u J／:::::::::＼
:::::::::::j　u　　 ､ ´_}ヽ.|::::::iｵ/u　ﾆi < iヽｧ/:::::r----J　 　.r:´二ﾆヽ
::::::::::i　　 （二７´_.L.,　､ハ　〉 　_　_ﾏ/ﾝ::::r ' ;tr /;j　　　i::/r-､r-|　 r一ー､　　　　　　　　　　　 　即ち
::::::::::|、　　 .r ' c ／､:.:.:ヽ ヽ　 ｰ」: : : : ii ヽu.___､/　 ＿ん' ｀´ム.'　 |:::r―┤
:::::::::／￣ ´」ｰ／:.:.:.:.＼:.:.＼＼__j: : : : : ヽ　ヽフ｀ヽ´　 | | ヽ'ｰン､ _/ﾊu.'_' |
i:i i:::i:iヽi　´　!':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼:.:.',:.:i: : : : : : : :「=| : : : |: !　　７!｀:´|<　 ７ﾏ.ヽー'

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲﾚｨ､_,ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊi:!,./,.／"ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ:::::::::::::::√..ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〔}i{.>::∠}ｿ}ィ'´`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ ［ﾍﾄｪｪｲｲ:i:】 /ゝ-‐―‐-.，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i´ .: .:::::::>'iｰ´7´::У/　ﾞ＜／.::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:://.::::::;|l:'¨7′:/　'　 .／.::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::::::::;〃l_/∠- { 　 ／.::::::::::ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉::::::ｌ!::::K´.　　..∨.::::::ｨ "´_ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾌﾆ.:::ｌ!::∧｀ >:::::::ゝﾃk===､二{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /,イ::::::ﾄ/＼.::::∠二j′）: : :`ヾ_＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　 `l:::{　 `>::::::::　/　　廴: : ;ﾊ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _)::::|　 :.､::::::::::/　　　ゞ":........>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ゝ::/! ......:;=ﾆ二ﾊ　　 ﾉ:::ーj´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ /::::ﾊ`!.::／-:::;-‐;∧　〈:::.... /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　／::i,j::::/::.`¨'‐-=!´ ::'.::::∧ |￣::!ィ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /l　Y,'::::::l::::/:::ゝ`ｰｸ: .{_..ﾊ:.ヽ:::ﾍ|::レ'/
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　　　　　　　　　　　　 ／........::...入ノ¨７:::,'　l :::::/　!:::!/∧:ヽ.... !::::::::::::　　　　ー- ､
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ_;:::ｰ=ミﾄ　　　　　　 ｲｨ=､ゝ　　　ノ 　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､‐＜....:::l::;-::::}　　　　　　ノｰ=ミ::､　　/　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣　￣　　 　 　 ∠＿＿::::::}　/／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣／´


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　魔王

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　と、呼んだ

　　　止める者は最早

　　　存在しない――

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