三２０９．


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　「ああ言った輩はな、　　　　　　　 　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　 力を誇示する為に　　　　　　　　 　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　 他人を使いたがるもんなんだ」　.　　　　 { 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 |



自分の手は汚れてないとでも思ってるのかね、と続けたやらない夫に
ジュンはうーん、と返答を保留する。



　　　　　　　 ／l
　　　 　Λ／　〈 へ、
　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞
　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼
　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l　　　　「ともかく君の予測力、判断力には脱帽するよ。
　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ　　　　　妹を助けてくれてありがとう」
　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|
　　　 | ￣ c　￣　　　6 l
.　　　ヽ (＿＿＿_　　,-′
　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ
　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ
　　　　　|　|　　　　　 |　　|

三２１０．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　「それはもう良いさ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　 で、月は斬れるようになったか？」　　　　　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 {　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 mｍ 　 ヽ 　 　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⊂　￣￣￣　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　￣￣￣|　　　　|



　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
　　　　　　　　　_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼　　 ,
　　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
　　　　　　　　　　＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/　　　　　「………もう少し、だとは思うんだけど」
　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
　　　　　　　　　｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　ﾚ､:ﾚ´∧ /　｀　 ＼　.ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
　　　　　　　　　　　　 ミ,;,;:.::|　　　　 　 ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
　　　　　 ,＿＿ r‐─ v'´　 ヽ　　　　　／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
　　 　 /.: : : : : : ＼: : : :＼ 　 ､　　　_　ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./
　　　/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼　 ヾ_ , -―
　　.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
　../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
　/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ



実はまだなんだとジュンが俯いたので、出来てもおかしくないはずだと思っていた
やらない夫は立ち上がると彼の肩を叩いた。

三２１１．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　|　　　　 （__人__）
　　　　　　　　「よし、何処が悪いのか見てみるだろ」　　　　　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ



　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 __ 　 -─-　_
　　　　　　　 　 　 　 -=ニ二::::::::::::::::::::::::::::_＞
　　　　　　 　 　 　 　 　 ／:::::::::::::___:::::::::::::::::｀７
　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::f┴‐ﾍ::::::::::::::厶　　　　　　　　　「頼むよ」
　　　　　　　 　 　 ∠ イ::::::::ｉ:::::::|_,.∠､ﾍ:::-､:::::/
　　　　　 　 　 　 　 　 |:::::::::|ｌ:::ﾄ〈　 　 } Ⅵ }::/
　　　　　　　　 　 　 　 lハ::::|｢｀Y、 ¨´　　｀y'´￣￣｀i
　　　　　 　 　 　 　 　 　 ヽ个‐'　_ .ィ　 //　/／　　 ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 V ﾉ＞ ､__.. </　 '　　　　　{　r?
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　/　　　　　　∨l::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　}ｌ::|
　　　　.　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l　　　　　　　　　|l::|
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ′ 　 　 　 　 　 |l::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈　　　　　/　　　 |l::|
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 /　　 　 |l::|


それで剣を持った二人は、暗い河に入った。

三２１２．
冷たい水面は月光を受けて蒼くきらきらと輝いており、
相変わらず月の女神の化身に勝てないジュンは今夜こそは、と集中を高める。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::ヽ／::::::〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,-┘:::::::::::::::::::::::::::｀＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::〈:::|＾＾|:::::/＼ﾄ､ヽ::::::>
　　　　　　　　 |＼　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::::ﾊ|＿l/l/.＿_-ヽ|:::」
　　　　　　　　　＼＼　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 .￣7/.|＿_|─|＿_|- lj/
　　　　　　　　　　 ＼＼　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾍ. 　__;_＿、 /
　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾌヽ辷フイ{ヾ　　　　　「よく見ててよ、
　　　　　　　　　　　　　 ＼＼　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::〈｀l7:´::::::ヽ　　　　　何か足りないから斬れないんだ」
　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　 ﾉ::::::::::::V::/:::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　 　＼＼　　　 　 　 　 　 /:::::::::::7::ﾄ/:::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　 　 　 /::::::::::/:::::/::::::::://
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼＼ 　　　 ／::::::::::／l ／:::::::::/::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∠二フ　／:::::::::::::/　／:::::::::／::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　ヽ,'~つﾆ〉ヾ::::::::/／::::::::::／::::::::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞへノ7 　ヽノ<::::::::::／ヾー--￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 くヲ｀`　 ヽ＜／^ヾフ=／{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. -ヾソ　　ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ' ´:::::::::::::`ｰ‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀`丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- ､_:::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::::r -- ' ´　　　　　　　｀`'ｰ､:::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　　　 l::::::::::::

三２１３．



　 |l!1!｜!l　　　　　 　　 　 　 　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|　　　　　　|l!1!｜!l｜!l!
　 ..|l!1!｜!l　　　　　 　 　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./　　　　　　|l!1!｜!l｜!l!
　　.|l!1!｜!l　　　　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／　　　　　　|l!1!｜!l｜!l!
　　 |l!1!｜!l　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ　　　　　|l!1!｜!l｜!l!
　　.|l!1!｜!l 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}　　　　|l!1!｜!l｜!l!
　　|l!1!｜!l　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|　　　　|l!1!｜!l｜!l!
　 .|l!1!｜!l　　　　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|　　　　|l!1!｜!l｜!l!
　 ..|l!1!｜!l　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|　　　　|l!1!｜!l｜!l!
　　.|l!1!｜!l　　　　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | ○　｀|}_　r-Vｿ:.:∧}　　　　　| |l!1!｜!l｜!l!
　　|l!1!｜!ｌ　　　　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|　　　　　i| |l!1!｜!l｜!l!
　　.|l!1!｜!l　　　　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V　 　 　　　l| |l!1!｜!l｜!l!
　　 |l!1!｜!l　|　　　 　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|　　　　　　　l| |l!1!｜!l｜!l!
　　..|l!1!｜!l　|　　 　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /　　　　　　　　　.l| |l!1!｜!l｜!l!
　　 |l!1!｜!l　|!　　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／　 　 　　　　　　　 || |l!1!｜!l｜!l!
　　.|l!1!｜!l　|!　　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／　　　　　　　　　　　　　|| |l!1!｜!l｜!l!
　 .|l!1!｜!l　|!　　 　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´　　　「ハアッ！」　　　　　 .|| |l!1!｜!l｜!l!
　.|l!1!｜!l　|!, 　 　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　 　 i.|| |l!1!｜!l｜!l!
　 |l!1!｜!l　|!i 　￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　l 　 　l:|| |l!1!｜!l｜!l!
　 .|l!1!｜!l　|!l　　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　l　 　 l:|| |l!1!｜!l｜!l!



鋭い踏み込みと―――

三２１４．



　　　　　　　　　　 ,!　　,!　　　　　　　　　　　 ヽ.ヽ
　　　　　　　　　　 ,!　　.!　　　　　　　　　　　　 ヽヽ
　　　　　　　　　　 |　　│　　　　　　　　　　　　　ヽヽ
　　　　　　　　　　│　　.!　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ
　　　 　 　 　 　 　 |　　　!　　　　　　　　　　　　　 　 ｌ.ｌ
　　　 　 　 　 　 　 |　　　.!　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｌｌ
　　　　　　　　　　　l　　　 !　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ′
　　　　　 　 　 　 　 ｌ　　　 l　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｌ
　　　　　　　　　　　│　　　l
　　　　　　　　　　　　!　　　 ｌ
　　　　　　 　 　 　 　 !　　　 .!
　　　　　 　 　 　 　 　 !　　　 .!
　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　 .ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＿　　/し'/
　　　　　　　　　　　　　 ｌ　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,r'⌒''"´　 ｊ /　　/
　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　,く（　　 {
　　　　　　　　　　　　　　 ｌ.　　　 ..ｌ　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /　　,, 　 ,ｲ　l|　　/
　　　　　　　　　　　　　　　ｌ.　　　 ..ｌ,　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/　/ ｌ　ｌ|　 _｣
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｌ　　　　.ｌ,　　　　　　　　　 .　　　　　/ ／ /　/　l　 lレ′
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｌ　　　　..ｌ　　　　　　　　　　　 　 　 "′/　 ヽ　レ､ゝｨ.__..　-‐ｚ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞl、　　　 ヽ　　　　　　　　　　 　 　 　 /　ハ　ヽ､　/　　 　 _　/
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｌ　　　　 ヽ　　　　　　　　　　　　　/　/　 ヽ　 { l　 ,r''7ﾞ// ,'
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｌ　　　　 ヽ　　　　　　　 　 　 　 l　/　　　ヽ-' {／　/ ∠ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　 ヽ　　　　　 　 　 　 　 ﾚ′　　　　　　　/ /,r‐ｒ ､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ　　　　 ヽ　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　l / l　/ ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾚ　| ル/´｝
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ　　　　 .ヽ　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 " /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　ヽ　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ　　　　　.ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　 　 i　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　 ヽ　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾚ′



文句のない剣捌き。

三２１５．



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　（申し分ないだろ。
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　 この短期間でよくここまで成長したもんだ）
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



サクラダ家の庭でやったら芝生に衝撃波の跡もつくであろう一撃であったが、
下弦の月は斬れることなく砕けてしまう。



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ　　　　　「何が悪いんだろう？」
: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}



ここ数百回で一番の出来だったにも関わらず月が斬れなかったので
お手上げだよ、と俯くジュン。

三２１６．
ところが、さすがやらない夫には原因が分かったようだ。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （__人__）　　　　 |
　　　　　　　「………ああ、なるほど。　 　　（　　　　　 　 　 |
　　　　　　　 分かった」　　　　　　　　 .　　　　{　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂ ヽ∩　　 　 く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | '､＿ ＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　|　 |_＼　 “　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ､ ＿_＼_／



: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll　　ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli,　　　 ﾟﾞ=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll　　　　　　　　　「どどどど、何処が悪いっ！？」
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀



詰め寄るジュンにまぁまぁ、と手を挙げた彼は少し苦笑いを浮かべ、

三２１７．
想像もしなかった答えを言った。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　_ノ　　ヽ、　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ ●）（ ●）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__） 　　　　 | ..／}
　　　「ジュンは悪くない。　　　　　　 _　 　　　 　ヽ｀⌒ ´　　　　　| /　/ 　　　__
　　　 剣が悪いんだ」　　　 　　 (＾ヽ{　ヽ　　　　　 {　　　　　　　　./　/　 .　／ .ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　(￣ ヽ ヽ　i　　　　　　ヽ　　　　　　/　厶-　´ ／
　　　　　　　　　　　　　　　　.(二 ヽ　i　i　|,r‐i　　　　ﾉ.　　　ヽ /　　　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 ／　 ノ　　／　　 　r一'´　ー ､　　￣￣￣）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i 　 {　　 ｲ―イ　/　 　.`ー―.　､＿_　.〈￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　`ｰ '/　　　/　　　　　　　　　 　/＼ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ー ' ￣￣!　 　　　　　　　　　|　　ヽノ



::::::::::::::::::::::::::ﾊ::::::::::::::/i/／ i:::::::::::::::::::::::::|::::::|:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::＼
::::::::::::::::::::::::::::ﾊ;;;;;;;;;/-'´ 　 .|::::::::::::::::::::::::ﾄ::::: ﾄ::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ￣　　 　 　 |::::::ﾊ::::::::::::::|　＼i ＼::::::::::::|:::::::::::::::::::::ﾊ
::::::::::::::::::::::::::::;:::ﾊ　　　 　 　 |:::/　V::::::::::ﾘ　　　　ｨ=ﾊ:::: |::::::::::::::::::::::::＼　　　　「剣？
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ﾍ　　　　　 |:/　　 V::::::/　　　/ｲ＝ﾌi｝ヾ─────'｀　　　 だってこれを買うとき、
ヽ:::::::::::::::::::::::::|　＼ヽ　　 　 |i!　　　 ｝::/　　　r''´ゞハi l:ヽ　　　　　　　　　　　　君も良い剣だと言ったじゃないか」
::::＼::::::::::::::::::::|　　 ＼　　　＿＿ニ三ｲ　　　||r j｝i|　.i lヾ｝
::::::::::＼::::::::::::: |　　　／::::＿,,,ィ彡=''´i/il_,=＝|.しｿﾊ ﾉﾉ-､
:::::::::::/ ＼::::::::::ヾ ／:- ''´＞''´ -=ｲ｀　 ||r'´｀ ﾊ彡　ｙ/: : : :＼ニニミ-､
::::::::/　　　｀ー- xゝ rィ彡''´イッ:::ﾘ　　/i　　　ミー=´i: : : : : : :｀:-:､: : :｝ｿヽ
:::::/::ﾊ＿＿＿＿＿/ /　 /　ﾋ:::..ソﾉ　｛.ﾘ　　　　｝.　 l-､: : : : : : : : i: ://: :ﾊ
￣ヽ──────､ﾊ　ヾ　　ゞ''´　 ノﾉ　　　 ./　 ./: :ﾉ: : : : : : : : l: i l: : : ﾊ
i ヽ　｀ -ゝ　　　　　　ヽヽ　ミ=''´　／／　　　　 　 /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ､
｛　　ﾊ　　　　　　　　　＼＼＿_／／　　　　, ィ　/: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : ＼
　｀　　 廴　　　　　し　　　ー─''´　　　 ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>､＿　　　ー　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　 /: : :/: : : : : : : : ::／: : : : : : : : : : :/
: : : : : ＞-､＿ハ､　　　　　　　　　　　　　　　ハ／: : : : : : : :／: : : : : : : : : : : :/ハ

三２１８．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　／　 _ノ　ヽ､.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　|　　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 （__人／,〉.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　´フ´ ./._ }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　ヽ　 .／,二ニソ}
　　　　「これでやってみるだろ。　　　　　　　　　　_ヽ/　 ,-― ､}ﾉ
　　　　 絶対に出来るから」　　　　　　　　　　　 ／:;:{'　　 ノｰﾍJ:;:;ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／:;:;:;:;:;|　 _,イ{:;::;:;:;:;l:;:;}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:;:;:;:;:;:;:;:;:＼＿/:;:;:;::;:;i:;/＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 {:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;／:;:;:;:;:;:;:;〈:;:;:;:;:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ:;:;:;:;:;:;:;:;／:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:＼:;／ヘ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ￣￣7:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l;:;::;ゝ、`ｰj
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l:;:;:;:;:;:＼~
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|ヾ:;:;:;／



そう言って差し出されたバスタード・ソードを受け取り、代わりに右手のブロード・ソードを手渡した。
不安ではあったが、とにかく持ち慣れない剣を構えて集中を高め、水月斬を放つ。



　　　　　 　 　 |＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |::ヽ／::::::〈 へ、
　　　　　　　　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,-┘:::::::::::::::::::::::::::｀＞
　 　 　 　 　 　 　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::＼
　　　　 　 　 　 　 　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /::〈:::|＾＾|:::::/＼ﾄ､ヽ::::::>
　　　　　　　　　　 　 　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／::::::ﾊ|＿l/l/.＿_-ヽ|:::」　　「やあっ！」
　　　　　　　　　　　　　　　＼ ＼　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 .￣7/.|＿_|─|＿_|- lj/
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾍ. 　__;_＿、 /
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼ ＼　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾌヽ辷フイ{ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　 　 　 ／::::〈｀l7:´::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼ ＼　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾉ::::::::::::V::/:::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼ ＼　　　 　 　 　 　 　 /:::::::::::7::ﾄ/:::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ ＼　　　　　 　 　 /::::::::::/:::::/::::::::://
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 _ゝ_＼＿ 　　　 ／::::::::::／l ／:::::::::/::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〔＿.○＿ 〕　　/:::::::::::::/　／:::::::::／::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　ヽ,'~つﾆ〉ヾ::::::::/／::::::::::／::::::::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞへノ7 　ヽノ<::::::::::／ヾー--￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 くヲ｀`　 ヽ＜／^ヾフ=／{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. -ヾソ　　ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ' ´:::::::::::::`ｰ‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀`丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- ､_:::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::::r -- ' ´　　　　　　　｀`'ｰ､:::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　　　 l::::::::::::



すると。

三２１９．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l￣/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　/　　 _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |　　　　　　　　　　　　|￣￣￣￣　￣￣/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |　　　　　　　　　　　　|＿＿＿　　　　　/　＿＿　＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　__......--| |-....,,　　　　　　 　　　 　　　　/ /￣l　/　 l ./ l. / l　 /
　　　　　　　　　　　　＿v‐'"´ 　 　 | |　　　"ﾞ''ぅ!　　　　　　　　　　/./　　//.　　l/　l/　l　/
　　　　　　　　　　　ノ''´　 　 　 　 __| |　　　　ﾍ 、　　 　　　　　　 //　　// 　 　 　 　　//
　　　　　　　　　_ノ’　　　　　　l...ur | |'ﾍ..__ｙｯ-..二亡ｮ　　　　　　.`´　　 ´　　　　　　　l/ 、
　　　　　　　　./'’.　　 　 　 　 〈ll､　| |　!ﾞﾞ’　　ﾞ;;;;;l￣
　　　　　　　丿　　..4flＪllx、 　 ヾ. . | |ヾl 　　　┌宀...._　;;;;;､
　　　　　　　!’　　!l　弋llllll_,,..　　;.;;;;| |　`ｰｔ-r-ll!　　 ﾞﾞ''‐ﾍn 、
　　　　　　│　　;;;;;llll;;;;;lllllll‐ﾞ ,,ｙ]l'‐'| |　　　　　　　`ｰ_､　ヾ ヾ､
　　　　　　;;;;;ll　 ﾞ勺lllll´　　　　!lll､_ | |　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~.| |~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 | |
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 | |


斬れた。
確かに月は斬れていた。

251 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:26:56 ID:Jau1xAD0 重さが問題なのか？ 252 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:27:01 ID:GwHTeE4U なんだ？剣が分厚すぎたのかな？それとも歪んでた？ 254 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:27:37 ID:SOfTEVSh ない夫と修行開始して8日か9日程度でもう月が斬れるか ない夫の教え方もすごいんだけどジュンもすごすぎる

三２２０．
ほんの一瞬で波紋に打ち消された半月と、うんうんと頷くやらない夫とを交互に見比べたジュンは、
全く訳が分からないで目を白黒させてしまう。



　　　　　　　　　　 ／|＿＿＿
　　　　　　 r 、 ／ ./　　　／
　　　　　　 i　ヽi　 /　　/´￣￣￣`ヽ
　　　 　 ＿|　 ´　　　　　　　 　　　 ＜、
　　　 ／　　　 __　　　_　　 　 　　　 ＿＼
　　　/　, ／/´　.`　´　`ヽ　　　　　 ＼￣　　　　　　　　　　「どど、どうして？」
　　　ﾚ´/ ./ 　/　/.i　　　|　、　　　　　 ヽ、
　　　　,イ.|　/|　∧ | ∧　ﾄ、`ヽ　ヽ 　　／
　　　　 .| .|/ i.| .i＼.|/　| .|´ ｀ヽi＼i　 r''
　 　 　 .ﾚ ﾚ' ri/￣`、r´|/｀ヽ V,ﾊ |　 ＼
　　　　　 ／ i　　　.ﾄ|　　　 ├─ﾀ.ﾉr-‐'´
　　　　 /' 　 ヽ＿_〈 ヽ＿___ﾉ　/ |< ﾄ￣ヽ
　　　　,ﾞ　 ／ )ヽ　.r--- 、u　/ヾｌﾄﾊﾌ::::|｀ヽ
　　 　 |／_／　 ﾊ .i￣￣i u／:} 　V 　::::|　 ＼
　　　 /／ 二二二7,==='／u'　__ / 　 :::/　／ ヽ
　　　/'´r　-―一ｧ‐ ﾞＴ´　'"´／　　　　|　　　:::::::}
　　 / // 　 广¨´ / /'　 ／ 　　　　　/　　 　::::::ｲ
　　ﾉ ' /　 ノ＼ 　|　　／＼＿＿　　 |　　　　 ::::::|
_／｀丶　/　　 ＼| ／　　　.＼　 ＼ .|　　　　　:::::|



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|
　　　　　　　　「とにかく岸へ上がろう。　　　　　　r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　　　　　　　　 説明はそれからだ」　　　　 　 　 〈_L (｀ヽ .} 　 |　　 ｀ ⌒´ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



月が斬れた喜びよりも、剣の違いが結果に差違を及ぼした理由が気になるジュンの背を押して岸に戻り、
返してもらった両手剣を鞘に収めたやらない夫は、

三２２１．
焚き火に当たりながら説明を待っている彼に頷き、右手のブロード・ソードに視線を落とした。



　　　　　　　　　　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 　　　／　⌒　 ⌒ ＼
　　　　　　　　　　　　　　 　　|　（ ●）　（●） |
　　　　　　　　　　　　　　　 .　|　　 （__人__）　 |　　　　　　　　　　　　　「確かにこの剣は良い剣だった。
　　　　　　　　　　　　　 　　 　|　　　｀ ⌒´　　|　　　　　　　　　　　　　　あの時のジュンの腕前と比べれば、な」
　　　　　　　　　　　　　　　_入 |　　　　　　 　}人
　　　　　　　　　　　　 , イ　 /　ヽ　　　　　 　}　 l＼
　　　　　　　　　　　／　　　 |　 |ヽ　　　　　ノ! 　| 　ヽ.
　　　　　　　　　　　|　ヽ、　 | 　.V::::` ー ':::::.;.　 |　　∧
　 　 　 　 　 　 　 ｢´　　｀i. /__,厂V::::::::::::::::.:/ｨﾍ」　 /
　 　 　 　 　 　 /　　　　 | ´ 　 　 ﾍ、::::::::::/.　　 　,' ,ｨﾆ｀ﾍ
　　　　　　　　 /　____　　 |　 　 　 　 ＼_／　　　　r/　　　∧
.　　　　　　 　〈ィ´　　｀ヽ｣j　　　　　　 ｢　　 　 　 　{以イ´￣｀ヽ、
　　　　　　 　r'　　　　　　 ｀¨￢-､_ 　 |　　 r‐‐-ｨﾁ´　　　　　　 〉
　　　　　　　 ｀ゝｭ,,＿_ 　 　　　　　｀¨亠'"´￣￣ﾍ　　　__,ｨ=≦ヽ
　　　　　　　f´　i　. . .:｀寸=ー----ｭ､,_＿_ ,、/,〉,　〉ｬ'´／.: : : i 　',
　　　　　 　 .| 　:i　. . .: : :} ＼　　　/　 　 ,斗/,/　ｙ′ ,.′ : : : :i::. ∧
　 　 　 　 　 !　 :i　. .: : : ::V ｿゝﾍ/　∠ﾆｰ-' /　ｿ.: ::/　　.: : : :i::. : : :,
　 　 　 　　〈.: i.: :i　. : : : : :} '.:: : /　　｀〉Y>､＼　 : :,ハ 　.: : : ::i:. : ::/
　　　　　 　 .V .:: i　. : : : ::iｙ.: : :ﾊヽ　__〈__/⌒ｌ,ｿ: : : : j　.: : : : i:. : :{
　　　　　　 　 ’.:.::i　 . : : : l.: : : : :｀^´../, ,/ : : : : : : : : :l　.:,'.: : :i:. : :|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　 |.:.:.i　 . : : ::|.: : : : : : ..// /: : : : : : : : : :i　/.: : : i:. : ;'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　ﾉ
　 　 　　　　　 .i.:.:.i　 . : : ::|.: : : : : :.// /: : : : : : : : : : :l /.: : : : i:. :;'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）　) 　　）
　 　 　 　 　 　 |.:.:.i　 . : : ::!ゝ　＿/ri /: : : : : : : : : ／l/.: : : : ::i.::,′　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ 　　　　ノ　
　　　　 　 　 　 |.:.:.j　 . :ヽ├―-// /-------――┤.: : : : : !〈　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (（　　　　　((
　　　　　　 　 ./.:.,'__, . :ｭ_.∧　.// /　　　　　　　　　,ﾉ.: : :,: :ｭ_:∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　）　　　　　　）　丿
　　　　　　　　{.:.:,≧--‐‐'ﾆ 〉// /　　　　　　　　　.〈.: : ;ｲ-‐‐.: :.;}　　　　　　　　　　　　　　　　 （( ( 　　　　　　ノノ　ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
　　　　　　　　 ＼r‐－' ｀ヽ..// /　　　　　　　　　　　.}.: : :≧､.:イ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∴∵∴∵∴∵
　　　　　　　　, ｲ-‐マ､__,.. // /　　　　　　　　　 　 〈.斗ｧ´￣｀L　　　　　　　　　　　　　　　　　／》||ヾ》||ヾ/》||ヾミ＼
　　　　　　　仁二ニﾆヽヾ// /　　　　　　　　　　　　 {__yｲ,仁二ﾆム
　　　　　　　　　　 　 　 .// /
　　　　　　　　　　　　　 レ'´



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／l
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　Λ／　〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞
　　　「えっ？　　　　　　 　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼
　　　　どう言う事？」　　　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l
　　　　　　　　　　　　　　　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ￣ c　￣　　　6 l
　　　　　　　　　　　　　　.　　　ヽ (＿＿＿_　　,-′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 |　　|

三２２２．


　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）　　　「お似合いだったって意味さ。
.　|　　　　（__人__）　　　 儀礼用のレイピアではなく、
　 |　　　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　 きちんとした剣を初めて持ったジュンにな」
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.:.:.∧:.:|　　　 |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }:.:.:.:.ヾ:.:.:',　　　|:./　.V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ　 V:.:.:i{　ゞテ＝ァ　||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.||　 {辷zり　 .||　ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　/:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ //　　／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::>　 ゞ' ´　|| {　　　 ￣￣￣￣　　 入 ソ/:.:.:.:._＿／
　　　　「それはつまり、品質が………」　　　　　￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ　　　　　　　　　 　/　／:.:ヽ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'´ ヽ |　　　　　　　 ＿　　　　　 　 /-'´／￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　 　 ￣_　　　 　 　 　/￣゛゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　＼　　　　　　　　　　_　ィ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ 　 ､　　　　 イ　　　ｙ入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニi　´　　　　／　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／/　}　　 　　/　　　　|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　/　/　ﾉ　　　　/　　　　　|　 ￣ ' - ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/　　V'´￣￣ ../　 　 　 　 |　　　　　　｀ ' - ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／/　 　/::::::::::::::／＿＝=-､＿ |　　　　　　 　　/ヽ


てっきり、高品質で『良い剣だ』と思っていたジュンは眉を動かして、
彼の右手に握られている自分の剣を見つめる。

三２２３．



　 　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）　　　　　　「いや、値段の割には良い剣だろ。
.　|　　　　 （__人__）　　　　　　　そしてあの時のジュンに釣り合っていた。
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　 だが、全体から見ればかなり下の部類だし、
.　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　　　剣技を使おうとするなら力不足も良いとこだ。
　　 ヽ　　　　　ノ　　ｍm
　　　/　　　￣￣￣　つﾉ　　　　明日、今のジュンに見合った剣を探そう」
　　　|　　　　|￣￣￣





　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /,〉
　　　　　　　　　　　　　　 /,/
　　　　　　　　　　∠ﾆｰ-' /
　　 　 　 　 　 　 　 ｀〉Y>､＼　　　　┏──────────―────────────────┓
　　　　　　　　　　　 〈__/⌒ｌ,ｿ
　　　　　　　　　　 ./, ,/　　　　　　　　　　この剣を買った時、ジュンは剣よりやや劣っていた。
　　 　 　 　 　 　 .// /　　　　　　　　　　 だけど今は、剣の方がジュンに釣り合っていないんだ。
　　　　　　　　　.// /
　　　　　　　　 /ri / 　 　 　 　 　 　 ┗───────────────────────────┛
　　　 　 　 　 // /
　 　 　 　 　 // /
　　　　　　 // /
　 　 　 　 // /
　　　 　..// /
　　　 　// /
　　　 .// /
　　　 レ'´

257 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:29:34 ID:vkf1xE1i JUNの成長速度についていけなくなったか。 マグネットコーティングが必要だなw

三２２４．
全く自覚の出来ないやらない夫の穏やかな言葉に、
言葉を失ったジュンは肉刺が増えて固くなった手をぐっと握りしめた。



: : : : : : /　　　　　l.:::＼ | |.:.:.:.:.:.:＼
: : : : : /　　　　　　l.:.::::::ﾘ |/´ ￣｀`,　　.:.:.:.::.:.:.:＼
: : : : /　　　　　　　l.:.:／　　　　　　',　　　　.:.:.:.:.:.:＼
: : : /　　　　　　　　＼　　　　　　　 ',　　　　　.:.:.:.:.::::ヽ
: : 〈　　　　　　　　　　＼　　　　　　 ', .:.::::::::::::::::::|＼.::.:|
: : : :',　　　　　　 .:.:.:.:.:　 ＼　　　　　 ',::::::::ﾄ､.::::::::|　ﾊ:.:l
: : : : :',　　　　　 .:.:.:.:.:.:.ﾄ､　＼　　　　 ',::::::lﾆ＼:::::|
: : : : : .',　　　　　.:.:.:.:.:.:l　＼　＼／　　',::::l　　 ﾄ､|　　　　「僕は………僕は、
: : : : ::::::',　　　　 .:.:.:.:.:.:l　　　`y':／ﾆヽ ',::l1 　 l |　　　　　そんなにも成長できた、のか？」
.:.:.:.:::::::::∧ 　　　 .:.:.:.:.:.:l　 ／／／　 い / l　　l |
:.:.:.::::::::/　ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ..／∠　　　 い /ハノ/
.:.::::::::./　　　＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:V彳o:::ヽ　　　j! !　　`ヽ
.:::::::::〈 　　 　　 ＼.:.:.:.:.:.:.:}ﾑ:::::::ノ´ ／／　　　 /
､::::::::::.＼_,,　-‐　　＼.:.:.:.:l　￣　／／　　 　 ,.ｲ
　ヽ　　　　　　 　 　 　＼:L＿／／　　　　　 /
　　＼　　　　　　　　　　└＝＝'　　　　 ／/
　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′
　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　 ,′
　　　　　　　　＼`ー--------r---‐‐'´
　　　　　　　　　 ＼　　　　　 ∠￣`ヽ

三２２５．
信じられないのも無理はないかもなと微笑んだやらない夫は
最後の段階に入るべく、持っていた剣を彼に返して岩から立ち上がり、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ /　　　　　ﾉ　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ..,,　 ,,..／　　　　 ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　( ●)　(　● )　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　( ＿ 人 ＿_ )　　　　l
　　　　　「今から最終試験を行う！　　　　　　　　　　　　　 l l!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!ｉl　　 　 　 !
　　　　　 剣を構えるんだ、ジュン！」　　　　　　　　　　　　 l lエｴｴエl　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　　　　　　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　 　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ／￣￣￣￣ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｊ／　 ／ ヽ￣￣|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ 　 ／　　　ヽ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／ 　 ／　/　　　　',　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j 　 ／　//　　 　 　 ',　ヽ



厳しい表情と声で我に返ったジュンはいよいよ来たか、と気合いを入れて焚き火の側を離れた。



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|　　　　「分かった！」
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼

三２２６．



　　　　　　　 　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　 　　／　 _ノ　ヽ､.＼
　　　　　　　　 　|　　（●）（●） |
　　　　　　　　　 |　　 （__人／,〉.|
　　　　　　　　　 {　　　´フ´ ./._ }　　　　「今から仮想シンジの最終段階に入る。
　　　　　 　　　　ヽ　 .／,二ニソ}　　　　　試合同様真剣を使って、全力本気でかかってこい！」
　　　　　　　　　　_ヽ/　 ,-― ､}ﾉ
　　　　　　　　 ／:;:{'　　 ノｰﾍJ:;:;ヽ
　　　　　 　 ／:;:;:;:;:;|　 _,イ{:;::;:;:;:;l:;:;}
　　　　　　/:;:;:;:;:;:;:;:;:＼＿/:;:;:;::;:;i:;/＼　　　　　　　　┌┐　─────────────┐
　　　　 　 {:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;／:;:;:;:;:;:;:;〈:;:;:;:;:＼　　　　 .◇´￣｀◇　　⇒ 模倣　 　 　 　 　 　 　 　 │
　　　　　　ﾍ:;:;:;:;:;:;:;:;／:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:＼:;／ヘ、　　ロ 　○　 ロ　　　> シンジ＝ギャブレー 　 │
　 　 　 　 　 ￣￣7:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l;:;::;ゝ、`ｰj　　　◇､____,.◇　 　　> １．０倍　　　　　　 　 　 │
　　 　 　 　 　 　 /:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l:;:;:;:;:;:＼~　　　　　└┘　─────────────┘
　　　　　　　　　/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|ヾ:;:;:;／




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::ヽ／::::::〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,-┘:::::::::::::::::::::::::::｀＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::〈:::|＾＾|:::::/＼ﾄ､ヽ::::::>
　　　　　　　　 |＼　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::::ﾊ|＿l/l/.＿_-ヽ|:::」
　　　　　　　　　＼＼　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 .￣7/.|＿_|─|＿_|- lj/
　　　　　　　　　　 ＼＼　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾍ. 　__;_＿、 /
　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾌヽ辷フイ{ヾ　　　　「じゃあ、遠慮無く行くぞ！」
　　　　　　　　　　　　　 ＼＼　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::〈｀l7:´::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　 ﾉ::::::::::::V::/:::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　 　＼＼　　　 　 　 　 　 /:::::::::::7::ﾄ/:::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　 　 　 /::::::::::/:::::/::::::::://
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼＼ 　　　 ／::::::::::／l ／:::::::::/::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∠二フ　／:::::::::::::/　／:::::::::／::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　ヽ,'~つﾆ〉ヾ::::::::/／::::::::::／::::::::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞへノ7 　ヽノ<::::::::::／ヾー--￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 くヲ｀`　 ヽ＜／^ヾフ=／{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. -ヾソ　　ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ' ´:::::::::::::`ｰ‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀`丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- ､_:::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::::r -- ' ´　　　　　　　｀`'ｰ､:::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　　　 l::::::::::::



楽しくもあり、苦しくもあり、今までの人生で一番充実していた訓練の真価が問われる時がきた。
大きく息を吐きだして集中を高めたジュンは、訓練刀を取り出したやらない夫と対峙する。

三２２７．
だが。
集中力を高めに高めて、全力で斬りかかったジュンは
不真面目としか思えないやらない夫の動きに舌打ちをする。



　　　　　　　　　　　　　　　　 __＿...、
　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿,/:.:.:.:.:.:.:.ヽｰ‐ｭ
　　　　 　 　 　 　 　 ,.イ:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.L.__
　　　　　 　 　 　 　 j:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
　　　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:/:.: /:.:.:.:.: /Vﾍ:.:.:l.:.:.:ハ　　 　 // /
　　　　　　　　　　ｲ:.:.:.:.:.:.:.〈:.:.:./:./ ｀"´｝:.:〉:.:.:.:ﾍ　　 .// /
　　　　　　　　　 く:.:.:.:./:./ノ）:ハ:.）　　/:.;ハ:.:.:.:ﾄゝ　/ri /
　　　　　　　　　　 ）:.ｲ:.〈ハﾘ　　ノ　ヽ､　　　:.γ　 // /
　　　　　　　　　　ﾉﾊ/こﾊ）　（●）　（●）　ﾘ　 　 // /
　　　　 　 　 　 　 　 ∨(　　　　　　　　　　/　 　// /
　　　　　　　　　 　 　 |ゝﾄ　　　（＿人_） ./　 　// /　　　　　/l　　 ,ｲ,ｲ
　　　　　　　　　　　　ﾉ从 ヽ 　 ｀ ⌒´ ／　 　.// /　　　　　//　 　ﾚ ﾚ
　　　　　　　　　　　 　 __|　　＞　　イ　　 　 // /　　 　 　 / ﾆﾆフ
　　 　 　 　 　 　 　 _ｒ┘:.:.￣￣｀|||´|　　　.// /　　　　　 //　　　 　 　,ｲ,ｲ ,ｲ
　　　　　　 _.,..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ｰ:.:-.:.:.:.|||:ｲ¨:...､ レ'´　　　　　　､二二フ　　 ﾚﾚ //
　　　,. ＜´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}}}.:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.ｰ...、 _　　　　　　　　　　　 /'
　　 /.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.,
.　/.:.:.:.:.:.:.:.: ∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:ｌ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.: i
. ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨ / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.;.:.:.:.l
.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l:.:.:.:.:r――ｭ !/.:.:.:.:.l
;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|':.:.:.:.:.:.l

ぬるい斬り下ろしを激しくはじき返し、その首に剣を突きつけて文句を言うと、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 〉 　 ?　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
　　「やらない夫！　　　　　　　　　　　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　 何が最終試験だ、　　　　　　　 　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　　 もっと真面目にやってくれ！」　　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ.　 ″　 　 ｌ　　 　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 　 　 l.　,.-‐' 　 　 :　ﾚ' ′　　く !　 //　　　　　　　 　 / 　 　 　 ヾ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　.ﾄ''　　　　　　! .|　r―┐　 | ,//　　　　　　:. ｌ　 /　　　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 　 　 l､__　　 　 　 ﾚ' 　|　　|　　i/o’　 　 　 　 :.:. !　|　　　　　　　　 　 ヽ、

三２２８．



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）　　　　「いや、これで良いんだ。
　　|　　　　 （__人__）　　　　　おめでとう、ジュンは今、
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　すべての訓練を終えたんだ」
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



またしてもやらない夫が意外な事を言うので思考が止まってしまう。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　Λ／　〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼
　　　　　　　　「は？」　　　　　　　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ￣ c　￣　　　6 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　ヽ (＿＿＿_　　,-′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 |　　|

三２２９．
自分の言葉が分からず立ち尽くす彼に、もう一度おめでとうと言ったやらない夫は
剣を下ろさせると説明してやった。



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）
.　|　　　　 （__人__）　　　　　「分からなくなっていただろうが、
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　今のが十割のシンジなんだ」
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ
　　　　「じゃあ、今日までのは？」　　: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}

266 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:36:41 ID:qqC44tDd え？

三２３０．



　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼　　　　「強くなるジュンに合わせて、
　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|　　　　こっちも力を上げていたのさ。
　　　　　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　|　　　　 十割なんか五日目には超えていた、
　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }　　　　 今朝の時点で五割増しだったんだよ」
　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



しかもその五割増しのシンジに、お互い戦技なしで勝率十割になっていたのである。



: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll　　ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli,　　　 ﾟﾞ=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,　　　　　　　「……………」
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/　　ﾎﾟｶｰﾝ
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀



剣をだらりと垂らして立ち尽くすジュンの肩を叩いたやらない夫は、
この分なら明日の試合も大丈夫だろう、と太鼓判を捺した。

268 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:38:21 ID:NlWyc/hz ワカメ弱すぎｗ 270 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:38:28 ID:1/ctpRsG 確かにシンジ強すぎとは思っていたがｗｗｗ

三２３１．


　　　　 ／￣￣＼
　　　／　　 _ノ　　＼　　　　　　「あとはオーラスマッシュを
　　　|　　　 （ ●）（●　　　　　 使われた時の事だが………」
　　　|　　　 　 （__人__）
.　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　 |　 　 　 ∩ ノ ⊃
　　／ 　 　 .／　＿ノ
　 (.　 ＼ ／　.／_ノ │
　　＼　 “　／_＿_|　 |
.　　　 ＼／ ＿＿＿ /



シンジが他の剣技を修得している、またはこの期間に別のものを修得している可能性はかなり薄い。
今のジュンなら試合運び次第では切り札を出させずに圧倒する事も可能であろうが、
一応のために見切りを覚えさせようと腕を組む。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 〉 　 ?　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　「うん、僕も気になってた。 　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
　　　　 その場合はどうしよう？」　　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ.　 ″　 　 ｌ　　 　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 　 　 l.　,.-‐' 　 　 :　ﾚ' ′　　く !　 //　　　　　　　 　 / 　 　 　 ヾ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　.ﾄ''　　　　　　! .|　r―┐　 | ,//　　　　　　:. ｌ　 /　　　　　　　｀ヽ、

三２３２．
技術的な話で見切りのポイントを教えて貰えるのかと思ったジュンの期待は、
やらない夫のあっさりとした言葉で粉々に打ち砕かれた。



　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|　　　「簡単だ、一度見ておけばいい。
　　　　　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　|　　　　今のジュンなら一度見ておけば、
　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }　　　　シンジのオーラスマッシュぐらい
　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}　　　　見切れるようになるだろ」
　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　Λ／　〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞
　　　　　　　　　　　　　　　　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l
　　　　　「えっ………」　　　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ￣ c　￣　　　6 l
　　　　　　　　　　　　　　　.　　　ヽ (＿＿＿_ u　,-′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 |　　|

272 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:39:08 ID:18wCdp1V ちゃめっけたっぷりやらない夫さんｗ ジュンの実力の少し上でいつも相手してたのかｗｗ 274 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:40:42 ID:vkf1xE1i むしろJUNとやらない夫がチートすぎるだろうw 277 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:42:28 ID:1/ctpRsG >>274 JUNのイメージは基礎訓練やりまくってlvアップしてたが、 スキルポイントを未消費だった状態だった・・・だな

三２３３．



　　　　　 　 ／￣￣＼
.　　 　 　 _ノ,､ ＼_　　 ＼
　　　 　 ( ●）（ ●）　 　 |　　　　　　　　　　「剣を構えてそこに立つんだ」
　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　(｀⌒ ´　　　　　|
　　　 　　{　　　　　　　 |
　　　　　　{ 　 　 　 　 /
　　　　　　 ヾ　 　 　 /
　　　　　　 ｿｇﾍ二ﾆ=7⌒￣"⌒￣〆"⌒ﾆつ
　　　　　 ∧ii/　oィ/"　　〃　　（乙ﾉ≠＾ｿﾉ
　　　　　/ .|/／＝ ゝー─～ﾞ─‐ﾞ～'´
　　　 　 l 　|｡　　 　 ｀~/
　　　　 /　|｡　　 　 　/
　　　 /ｿ　|｡ 　 　 　 （
　 　 / ﾘ∠＼＿＿__ﾆゝ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
　　　　　　「わ、分かったよ」　　　 : : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}




ここまで強くして貰ってなんだけど、
やらない夫もお父さんと似てるんじゃ無いかと思ってしまう。

三２３４．
とは言えやり方に異論は絶対唱えない事を決めていたので、
二人は試合のように向かい合うが。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::ヽ／::::::〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,-┘:::::::::::::::::::::::::::｀＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::〈:::|＾＾|:::::/＼ﾄ､ヽ::::::>
　　　　　　　　 |＼　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::::ﾊ|＿l/l/.＿_-ヽ|:::」
　　　　　　　　　＼＼　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 .￣7/.|＿_|─|＿_|- lj/　　　　　（すっごい怖いんですけど。
　　　　　　　　　　 ＼＼　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾍ. 　__;_＿、 /　　　　　　 まさか当てたりしないよな？）
　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾌヽ辷フイ{ヾ
　　　　　　　　　　　　　 ＼＼　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::〈｀l7:´::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　 ﾉ::::::::::::V::/:::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　 　＼＼　　　 　 　 　 　 /:::::::::::7::ﾄ/:::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　 　 　 /::::::::::/:::::/::::::::://
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼＼ 　　　 ／::::::::::／l ／:::::::::/::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∠二フ　／:::::::::::::/　／:::::::::／::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　ヽ,'~つﾆ〉ヾ::::::::/／::::::::::／::::::::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞへノ7 　ヽノ<::::::::::／ヾー--￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 くヲ｀`　 ヽ＜／^ヾフ=／{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. -ヾソ　　ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ' ´:::::::::::::`ｰ‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀`丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- ､_:::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::::r -- ' ´　　　　　　　｀`'ｰ､:::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　　　 l::::::::::::



　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　／　　_ノ 　 ヽ＼
　　　　　|　　　（ ●）（●）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,,,
　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ＿,,,,--==~^,,,
　　　　　|　　　　　｀ ⌒ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿,,,,--==~^,,,,=--=~^~^
　　　　　 ヽ　　　　　 　} 　 ＿,,,,-=ニニ=-＿＿　,,,.ー-ニ,,,,-=-""~^"
　　　　　　_,ゝ　　　 　ノ　ﾚ" ﾚ　　　　　　|　=<ニ-=-ー"~~
　　　　　／;;,,,,,　　 |i./ヾ　　ソ＿＿,,,,-t''└──┘"
　　　　/;; ,-=--,,-=┴-＜,,,-~-=~^　　/"　 Y"
　　　　|i　　,;;:'''　　　　　　＼　　　　　/"　　|　　　　　　　「よし、行くぞ。
　　　 /;　　:'i　　　　　　　 ミ￣~^`=v";;:..　 |i　　　　　　　………って、そうだ」
　　　|;　　　,li;:..　　　　　　;;　　　　　ヽ,　　 ,i
　　　i;　　　 :丶:,,.　　＿ソ"　　　　　　`　 ,/
　　　 ヽ,;:::....　　 ~^^^　 ^`=-,,＿＿,,.ノ　 ｿ
　　　　　＼:::::,,...　　　ヾ,,　　　|i　　　`~^"
　　　　　　 `-、:::::..　　　ヾ、　/
　　　　　　　 .ヾ;;;;::::::..　　　　;|i
　　　　　　　　 ヾ;;;:::::...　　　,ｿ
　　　　　　　　　/";;;~^=~=~^^ヽ
　　　　　　　　/;;;;;::::::::::::::::::--=|i,
　　　　　　　 |i;;;;;;;:::::::::::::::::::,,::::::|i



自分は真剣ではなく、これまでの訓練で完全に刃が丸くなってしまった訓練刀を一振りさせたやらない夫は
いったん剣を下ろすと―――

三２３５．
ジュンが小便を漏らしそうな事をさらり、と言った。



　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　「本気で行くからな、
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　 しっかり受けろよ」
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
　　　　　　　　「待って待って！　　　　　　　　　　　　　　　: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ
　　　　　　　　 やらない夫の本気なんか死んじゃう！」　: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}

278 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:42:44 ID:18wCdp1V 死亡宣告ktkr！ 280 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:43:13 ID:Jau1xAD0 JUNはジョーク抜きで「俺はまだ本気出してないだけ」な奴だったんだなあ。

三２３６．
それは絶対に無理と大声を出したジュンに、やらない夫はただ一つ注意をしただけなので、



　　　　　　　／￣￣＼
　　 　 　 _ノ　　ヽ、　　＼　 　,.:┐
　　　　 .（ ●）（ ●）　　..|　／　｜　　　「いや、目を閉じなければ大丈夫だ。
　　　　 （__人__） 　　　　.|./　　 /
　　　　　 i⌒ ´ .r－､　　|/　 ／　　　　　目を閉じたら………
　　　　　 { 　 　 ヽ,　',. .,/　:/',　　　　　　 命の保証は出来ない」
　　　　　 .ヽ　　　.|　 l_/_, -‐､',
　　　　　　 .ヽ　.　| 　 / , -－'i|
　　　　　　　/　　 {　　V , -－ﾍ
　　　　　　　|　　　ヽ　 Ｌ|　r=　|



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／|＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r 、 ／ ./　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　ヽi　 /　　/´￣￣￣`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿|　 ´　　　　　　　 　　　 ＜、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　 __　　　_　　 　 　　　 ＿＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　, ／/´　.`　´　`ヽ　　　　　 ＼￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ´/ ./ 　/　/.i　　　|　、　　　　　 ヽ、
　　　　　　「えええええええ！」　　　　　　,イ.|　/|　∧ | ∧　ﾄ、`ヽ　ヽ 　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .| .|/ i.| .i＼.|/　| .|´ ｀ヽi＼i　 r''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .ﾚ ﾚ' ri/￣`、r´|/｀ヽ V,ﾊ |　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ i　　　.ﾄ|　　　 ├─ﾀ.ﾉr-‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /' 　 ヽ＿_〈 ヽ＿___ﾉ　/ |< ﾄ￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ﾞ　 ／ )ヽ　.r--- 、u　/ヾｌﾄﾊﾌ::::|｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |／_／　 ﾊ .i￣￣i u／:} 　V 　::::|　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /／ 二二二7,==='／u'　__ / 　 :::/　／ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/'´r　-―一ｧ‐ ﾞＴ´　'"´／　　　　|　　　:::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / // 　 广¨´ / /'　 ／ 　　　　　/　　 　::::::ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ ' /　 ノ＼ 　|　　／＼＿＿　　 |　　　　 ::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／｀丶　/　　 ＼| ／　　　.＼　 ＼ .|　　　　　:::::|



脅しなのか本気なのか分からない彼の背中を、信じられないぐらい冷たい汗が滑り落ちる。

三２３７．
だが次の瞬間にはズアッ、とやらない夫の方から熱風が吹き付けたかのような圧力が放たれ、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿＿＿＿　:;:;:;:;　　　　:;:;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:;:;　　　　　　　／　　　　　　　　　＼:;:;:;:;　　　:;:;:;:;　　　「そろそろ行くぞ？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :;:;:;　 　　　　／　　　　　　　:;:;　　　　＼　　　:;:;:;:;:;
　　　　　　　　　　　　　　:;:;　　 　 　:;:;:; 　　　 　│　　　　　　　　:;:;;::;:;　　　　＼　:;:;:;:;:;:;;:;:;
　　　　　　　　　　　　　　:;:;:;:;　　　　:;:;:;:;　　　　│　　　　　　:;:;:;:;:;:;::;:;:;　　 　 　 ＼　 :;:;:;:;:;:;:;
　　　　　　　　　　　　　　　:;:;:; 　 :;:;:;:;:;:;:;:;　　 　│　　　　　　　:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:; 　 　 　 ＼:;:;:;:;:;:;:;:;:;
　　　　　　　　　　　　　　　　:;:;　:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:　 　│　　　　　:;:;::;:;:;:;:;:;○;:;:;:;:;:;:;:;:;　　.;.;　＼　　　,'"
　　　　　　　　　　　　　　　　:;:;:;:;　:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;　│　　　　　　　　 :;:;:;:;:;:;:;::;:;　　　　　　　.;.;＼
　:;　　　　　　　　　　　　　　　:;:;　',　`./ヽ __＿　＼　　　　　　　　:;:;:;::;:;　　　　　　.;.;.;.;..;.;.;.;　＼　　.:.:.:.:
:;:;:;:;　　　　　　　　　 　 　 　 :;:;:;:;.', ./　./`､ 　! ＼ ＼.　　　　　　　　:;:;　　　　　　　　.;.;.;.;.;.;.;.;;.;.;
:;:;;:;:;:;:;:;:;　　　　　　　　　　　　　　'/　/ 　 ヽ. `　.ﾞi/ヽ＼,_　　　　　.,.,.,.,　　　　　　　.;.;.;.;.;.;.;.;.;　:.:.:.:
:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;　　　　　　　 :;:;:;:; 　 __ヽ,, ' ､-‐､　＼　 `"　　＼　　　　　　.,.,:.,　　　　　　.;.;.;.;.;.;.;/:.:.:.:
-､r―､:;:;:;:;:;　:;:;:;:;:;　 -‐ '' "`　 `　 `､ ` 　ヽ 　＼＿.､ ;:_,,"＼　　 .,.,.,.,.,.,: 　　　　　.,.,.;.;.;.;.;　:.:.:.:.:
　 .i.（~ `ヾ､''i´ ', 　',　　', 　 　 ! 　 ! 　 !　.!　 i 　 / ＼. `"￣ヽ＼.,: 　.,.,　　　　.,.,.,.,　.;.;.;.;　.;.;　.;.;:
.__ .|._ヽ､, 　`i 　!　 .!　　 !　　 ﾉ　 " __ﾉ＿'__.ﾉ.　/　　 `>.-―‐ `''､＼　　.;.;.;.;.;　.;.;.,.,.,;.;.;.;　:.:.:.:.:.:
i__iﾉ'i__'/‐-､.| __' ,, " -‐ 　 ''' 　 "￣　　　.＼.　/　　　//' ,￣￣　 ヽ,__,,'／―ｰ''":.:.:.:ノ:.:.:.:.:.:.:.:
., '"　 ー--､|　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ.　 　 // 　ヽ　　　　.／:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.,／:.,':.:.:.:.:.:.:.:.:.
゛ _,,,, 、:;:;:;　,:;:;　　　　　　　:;:;:;:;:;　　　　　 　 　＼ ./ ' ､　　 ',　 __, ',,_:.:.:.:.:.:.:.:.:., ":.:.:/:.:.:.:.:.:／
,"　　 ｀ヽ､/ 　　　　　　　　:;:;:;:;:;　　　　 　 　 　　 ゛￣ ,`　､ .'､/:.:.:.i　!:.:.:.,　 '":.:.:.:, ':.:.:.:.:.:/
.－　-､ ／:;　　　　　　:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;　:;:;:;　 　 　　,ノ::￣:::::/ l `/:.:.:.:.l　!／:.:.:.:.:.,　'":.:.:.:.:.:.,'
- -ー‐ヽ:;:;:;　　　　:;:;:;:;:;　 :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; :;:;:;:;:;,　" ._,, 　 '"　ヾ{二ﾆ ,,_| -ー '":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾉ



殺気ではない、しかしとんでもない重圧を感じたジュンはこれが闘気か、と
一瞬怯みそうになったのだが。

三２３８．



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|　　　（きっと、これを受けきれば
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 　○｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}　　　　　 僕はまた一つ強くなれる！）
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



シンジに勝つために必要な事なら全て受けきってみせる、と自らを鼓舞し、
剣を握る手に力を込めて重圧に抵抗する。

この覚悟の持ちようもジュンの才能の一つだろう。
やると決めたからにはやり通す意思の強さ。それもまた、得難い資質の一つなのだ。

三２３９．
空気がぴりぴりと震え、緊張が加速度的に高まっていく。
蒼い月が雲に覆われ―――



:::: :::: :::: :::: :::: :::: ::..... :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: ::::
:::: :::: :::: :::: :::: :::: ::..... :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: ::::
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::::::.::::. ::.. :..:. :` ｰ- .. ..: :..:.::::.::::::.:::::.::::::.:::::::.::::::.:::::.:
:::::: :::::: :::::: :::::: ... ... .... :::::: :::::: :::::: :::::: :::::: :::::: ::::::
:::: :::: :::: :::: :::: :::: ::..... :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: ::::



次に顔を覗かせた瞬間。



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:::: :::: :::: :::: :::: :::: ::..... :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: ::::
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::::::.......: ..:..:ヽ　:::::...|（,,,,＿＿_)::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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:::::: :::::: :::::: :::::: ... ... .... :::::: :::::: :::::: :::::: :::::: :::::: ::::::
:::: :::: :::: :::: :::: :::: ::..... :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: ::::

三２４０．
月光に二人が照らされたその刹那、やらない夫が信じられない速度で動いた。


　　　　　　 ｀'-、　　　　 ＼.　　　ヽ,　　 ...ｌ　　 !　　　　　 !　　　　　 ｌ　　　　　　/ 　　　 .／　　　　 . ,／゛
｀'‐､、　　　　　 ﾞ'-､　　　　 ＼　　 .＼　　 ヽ　 .ｌ,　　　　 .|　　　　　ｌ　　　　　 / 　　　.／　　　　 ,＿＿＿＿＿＿＿　　/￣／
　　 .｀''-..、　　　　 ｀'-、　　　.＼　　 ヽ,　　.ヽ　 ｌ.　　　　:!　　　　./　　　　 /　　　 ／　　　 . ／/　　　　　　　　　　/　/　／
　　　　　 .｀''-､、　　　 ｀'-､　/　 /　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　/　/ﾚ/　/￣／
- ..,_　　　　　　 ﾞﾞ'-､、　　 ./　 /　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/＿＿＿＿＿　　 /　　　　 /　／
　　 .｀'''ｰ ,,_　　　　　｀''-..、/　 /　 /　　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　　/　　/　　　　　ｉＹ/
　　　　　　　｀''ｰ　,,　　　 /　 /　 /　　　　　　　,／ﾞ￣"'／　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　 /　　/
　　　　　 　 　 　 　 ｀ﾞ ﾟ'X.　 /　 /　　 　 　 　 /　　　／　　　　　　　　　　　　＼　　　　 ＿＿＿＿＿/　　/
‘''''―- ..,,,,_,　 　 　 　＼　`─-､'　　　　　 　 /　　　 |　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |丶　　/ 　 　 　 　 　 　 /
　　　　　　　 ｀ﾞﾞ"''―/⌒'ｙ"｀ヽ.＼___＿__,,;,/ r''＼　 |　　　　　　　　　　　　　　 |. :::.　 /＿＿＿＿＿＿_/
　　　　　　　　　　　　/ﾞヽ(_,X.,　ﾞｒ､＼_　　　　|　＿)　|　　　　　　　　 　 　 　 　 |. : ::.:::.:.ヽ　　　　_从
＿_＿＿＿＿＿＿＿/ﾞ`‘,' _　　/､＼_,〉　. : ::| く　 　 | 　 "ｰ､_　　　､_,ノ'′　　,|. : : : ::::::,r'ヽ　/　/ _从＿＿
　　　　　　　　　　　　￣⌒ｿ`;、i : , ': : : : : : : :!　 ＼　|　　（ ●）　 （ ●） 　 　 ,|.: :: :: : ::::.::::ハ./,.,//　//　 ／
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　　　 _,,,　ｰ'''"゛　　　　{、　　　　　　　　 _,,..，`-､;;:/　　　l￣￣ﾞﾟﾞ￣￣￣￣￣”ﾞ`'''" .:'　..::::::::::|
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　　 . _..-'"´　　　　　　 . ,＼::::::ﾞヽ.　　　　　　;、　、 　　＼ ﾞ'　、　　　　　　,r:: /: : : ..:::::::::::::::';;;|｀'-..、　　　　 ｀ﾞ''- ．
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　　 　 　 　 　 　 ／ 　　　　　.＼::::ﾞ,、　｀.､ ,　　　 . : : : ､　　 ＼　　 ヽ, /: : i　..:::::::::::::::::::::::::::::i,＼ 　　　 ｀''-､、
　　　　　　　 ／ 　　　　　　.／　　　　/ 　　　　　 lﾞ　　　│　　　　 ｌ　　　 ヽ　.ヽ　　 .＼.　　　　　 ﾞ'-､　　　　 ｀''-､
　　　　　 ／ 　　　　　　 .／　　　　 ./ 　　　　　　!　　　　,!　　　　　 !　　　 ヽ　 .ヽ.　　　＼　　　　　　 ＼



どんな攻撃が来るかは知っていた、彼の動きに全神経を傾けていたジュンの目にも
その動きは全く見て取る事は出来ない。

三２４１．


　　 　 　 　 　 　 ‐ ＝ ＝‐　‐ ＝ 　　　　　　|　　　　　　＝＝ ‐　‐＝ ＝‐
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,;;;';'".:;i i:;
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.;;:':.;:;'" : : ::ll ll: :
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　　　　　　　　　　　　　,:';;:.:;:':."　　　 : : : : ::;li il;: : : .
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　　　　　　　　　 ,:';:;:;:;:;':;'' 　　: 　　. : : : : : ::ll: :ll:: : : :　　　　　┏────────────────┓
　　　　　　　　　,';::;:;:;':;:.:''. 　 　: 　 : : : : : : ::li　il: : : .
　　　　　　　 　,';::;:;:;':;:.::.'' 　 　 :　 　.: : : : : :li　il: : : .　　　　　　　　オーラ…………
　　　　　　　　,':.:.:;:;:;':.:;' '.　 　 　: 　: : : : : : :li　il: : :
　　　　　　　 ,'.:.;:;:;:;:;':;.' ,　.　　　 : 　 : : : : : :li　il: : :.　 　 　 　 ┗────────────────┛
　　　　　　　,'.':.;::;:;:;':;.'　:,　 .　　　:　　: : : : :;li　il; : :.
　　　　　　 .'.:. .:.;:;:;;':;. :　.　　. 　 　: . : : : : :.;li　il; : :
　　　　　　,' .: .::.;:;:;':;.'.　.　.;.　.　　　.: : : : : :.;li　il; : .
　　　　　　' . :;.; ;':;: ' o　　　　 . 　　. : : : : :.:;li　il;: :.
　　　　　 :o'. : .:;.:':;.　,.､ 　 .,. 　.　 　 . : : : ::.;li　il; : ::.
　　　　　　;　.　::;.:;　 `.'　｡　　　　　 　 : :　:.;li　il; : .
　　　　　　: . : .;. .,､ o　.:　: ,　.　　　　　　 :.:;li　il;: :.
　　　　　　 :　.,. ;:`.' 　　: :　:.;. ﾟ　　　 　 //￣￣`ﾊ
　　　　　　 :　': ;.　 。　　,,､　,,,,　 　 　/´,'_,'-==-<` 、
　　　　　　　: .　.,.　　ﾟ o `;´:　: `ヽ.　l　ｿ-=ー- ､ ）ﾉ
　　　　　　.　:　. : : .　. 　 l:: :.　.　; .l　|l,:'"｀ー=-､ ）
　　　　　　 　' :　.:　;.　.　. ゞ、._;;:_ﾉ　 |i　,;;;;;;ｯー-ィ､
　　　　　　　　: 　:　.　｡ o　.　　　.,:　 l' il::::r'.;‐==__゛ヽ
　　　　　　　　 : :　 : :　 　:　.　.　:　: i,;::ﾊ;;r´ 　＿__ヾ｀i
　　　　　　　　　:　::　:　:　:　 :　:　　l :i;; ; ,ヒ￣　＿ ,` .l
　　　　　　　　 　 :: . . .,. ,､　:　　:　 l　;::; 　ﾋ´￣　 　　 l
　　　　　　　　　　 :　:　:　::　:　: 　 i　;::::;　|`=ﾆ=ｲ,;,;'　　ヽ
　　　　　　　　　　　: :　: : : : 　 : : |　;::::;　 |.　　　i:::::. 　　丶



ジュンの中にある、危険を告げる本能が絶対的な危機を叫んだが―――

三２４２．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿___
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,..-'''"￣　　 ￣ﾞﾞ''''ｰ　,,,
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／゛　　　　　　　 _,,..........,,_ .｀'''-..、
　　　　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 ／　　　　　｀ﾞ'ｰ ,,, ﾞヘ､　　　　　　　　┏────────────────┓
　　　　　　　　　　　　 /゛　　 　 　 　 　 :′　　　　　　　　　｀''-､.｀'-､
　　　　 　 　 　 　 　 / 　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　 ｀'-､. ＼　　　　　　　スマァァァッシュ！！！！
　　　　　 　 　 　 　 /　　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　｀'-､.＼
　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀'-､＼┗────────────────┛
　　　　　　　　　　 /　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ ＼
　　　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼.＼
　　　　　　　　　　 !　　　　 　 　 　 　 　 ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼＼
　　　　　　　　　　 !　　　　　　 　 　 　 　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼＼
　　　　　　　　　　 !　　　　　 　 　 　 　 　 ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼＼
　　　　　　　　　　 |　　　　 　 　 　 　 　 　 ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞ'､ヽ.
　　　　　　　　　　 1　　　　　　　 　 　 　 　 ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ヽ
　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽヽ
　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｀ |'､
　　　　　 　 　 　 　 l　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｌ,　　　ｷﾝｯ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　│　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｌ
　　　　　　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 !　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｌ,
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｌ,
　　　　　　　　　　　　　!　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｌ
　　　　　　　 　 　 　 　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　 ｝　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　 　 　 　 　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ



しかし全てを目に焼き付けようと、目だけは見開いたまま歯を食いしばる。

三２４３．
月光を煌めかせて蒼い軌跡が通り抜けた。
受け止めたはずの手応えが無くて、自分の胴体が真っ二つになった気分のジュンは悲鳴を上げたが。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::ヽ／::::::〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,-┘:::::::::::::::::::::::::::｀＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::〈:::|＾＾|:::::/＼ﾄ､ヽ::::::>
　　　　　　　　 |＼　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::::ﾊ|＿l/l/.＿_-ヽ|:::」
　　　　　　　　　＼＼　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 .￣7/.|＿_|─|＿_|- lj/
　　　　　　　　　　 ＼＼　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾍ. 　__;_＿、 /
　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾌヽ辷フイ{ヾ　　　　　　　「うわああああああっ！」
　　　　　　　　　　　　　 ＼＼　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::〈｀l7:´::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　 ﾉ::::::::::::V::/:::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　 　＼＼　　　 　 　 　 　 /:::::::::::7::ﾄ/:::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　 　 　 /::::::::::/:::::/::::::::://
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼＼ 　　　 ／::::::::::／l ／:::::::::/::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∠二フ　／:::::::::::::/　／:::::::::／::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　ヽ,'~つﾆ〉ヾ::::::::/／::::::::::／::::::::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞへノ7 　ヽノ<::::::::::／ヾー--￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 くヲ｀`　 ヽ＜／^ヾフ=／{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. -ヾソ　　ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ' ´:::::::::::::`ｰ‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀`丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- ､_:::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::::r -- ' ´　　　　　　　｀`'ｰ､:::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　　　 l::::::::::::

289 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:51:26 ID:GwHTeE4U 兄妹揃って腰を抜けさすつもりかやらない夫ｗ

三２４４．
その眼前で剣の切っ先がゆっくりと滑り―――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::ヽ／::::::〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,-┘:::::::::::::::::::::::::::｀＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::〈:::|＾＾|:::::/＼ﾄ､ヽ::::::>
　　　　　　　　　　　　 　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／::::::ﾊ|＿l/l/.＿_-ヽ|:::」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 .￣7/.|＿_|─|＿_|- lj/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾍ. 　__;_＿、 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　 　 　 　 　 ﾌヽ辷フイ{ヾ　　　　　　　「あああああああーーーー………
　　　　　　　　　　　　　 　　　 　　　　 　 　 　 　 　 　 ／::::〈｀l7:´::::::ヽ　　　　　　　って、あれ？」
　　　　　　　　　　　　　　　　|＼　　　　　　　　　　　 ﾉ::::::::::::V::/:::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　 　＼＼　　　 　 　 　 　 /:::::::::::7::ﾄ/:::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　 　 　 /::::::::::/:::::/::::::::://
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼＼ 　　　 ／::::::::::／l ／:::::::::/::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∠二フ　／:::::::::::::/　／:::::::::／::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　ヽ,'~つﾆ〉ヾ::::::::/／::::::::::／::::::::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞへノ7 　ヽノ<::::::::::／ヾー--￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 くヲ｀`　 ヽ＜／^ヾフ=／{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. -ヾソ　　ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ' ´:::::::::::::`ｰ‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀`丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- ､_:::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::::r -- ' ´　　　　　　　｀`'ｰ､:::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　　　 l::::::::::::
　　　　　　 |＼
　　　　　　　＼＼
　　　　　　　　 ＼＼　ｶﾗﾝ
　　　　　　　　　　＼＼
　　　　　　　　　　　 ＼＼
　　　　　　　　　　　　　＼|



地面にカラン、と転がった。

三２４５．



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!　　　　　「剣が！
: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ　　　　　　　 鋼鉄の剣が切られてる！」
: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}



折られたのではない、間違いなくそれは切られていた。



　　　　　　　　　l'ヽ､
　　　　　　　　　|: :⌒ｰ..、
　　　　　　　　　|: : : : : : ｰ ､
　　　　　　　　　|: : : : : : : : : `'ゝ､
　　　　　　　　　|: : : : : : : : : : : : `'ﾍl、
　　　　　　　　　|: : : : : : : : : : : : : : :丶_
　　　　　　　　　|: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ ､
　　　　　　　　　l、: : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾍ＼
　　　　　　　　　 ヽ、: : : : : : : : : : : : : : : : ﾍ　.＼
　　　　　　　　　　 ヽ､: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ､ 　＼
　　　　　　　　　　　 ヽ、: : : : : : : : : : : : : : : :ﾍ_　　..＼
　　　　　　　　　　　　 ヽ_: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ_　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　 ﾍ、: : : : : : : : : : : : : : : |＼　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　＼: : : : : : : : : : : : : : :│.. ＼ 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､: : : : : : : : : : : : :│　 　.＼　　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＜ｿ--..、: : : : : : │　　　　 ＼　　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　 ｀''ｰ-.._: : │　 　 　 　 ＼　　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　⌒''弋 　 　 　 　 　 ＼　　 　＼
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　＼　　　 　 　 　 ＼　　 　＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　＼　　　 　 　 　 ＼　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼. 　 　 　 ＼ 　 　 　 　 　 ＼　 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼　　　　　＼ 　 　 　 　 　 ＼　 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　＼　　　 　 　 　 ＼　 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　＼　　　 　 　 　 ＼　　　 ＼



月明かりを受けて、鈍く光るなめらかな切断面をまじまじと見つめたジュンには、
全身から吹き出す冷や汗の感覚も分からない。

三２４６．
もはや斬鉄。
だが、やらない夫が持っていたのは刃が潰れた訓練刀でしかなく、
それほどの剣技を繰り出したにも関わらず、刃こぼれや亀裂すら走っていないのだ。



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　 ､_,ノ 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　 　　 （● ） 丶
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 （⌒　 l
　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　U　 　 ￣l__）　　　　 ＿_
　　　　 　 　 r‐ ‐-- ､　　　　　　　　　 　　 　 ノ　　　 | ￣`》　　　　　　　「悪い、全力じゃ無かったんだが」
　　 　 　 　 上: : : : : :＞‐-.､__　　　　 　 　 ／　　 　 　〉二〈
　　　　 レ＜＞㍉､: : : : : : : : :＞　 　 　 ／ 　 　 　 　｜ﾆﾆ|
　 　 ／: : : : : : : : :ヽﾐ､: : : :/＞ヾ,＿_ン　　　　　　　　 |三ﾆ|
　　/;. -‐- ､: : : : : :=ド､ヽ// 　 j `.-､　　　　　　　　 /ﾍニ７⌒)
　//_／￣ヽヽ |: : ニ||: }}: ≫≪=: : :＿≫　　　　　　/　ｨﾆにン-､
｜|｀|`i⌒j ｜|｜二//: :}}: 二//: ／　　 　 　 　 　 /　ノ ／　_／-､
/∧ ゝ二 ノ ﾉ: !二ノ＿ }}: =//: :＼　 　 　 　 　 　 |　　(__,イ＿,. -<
| ヽ｀ ｰ--イ : =∀ﾆ|r‐㍉､｣｣､}: : : ≫　　　　（`ｰ‐┴ｰ┴‐ー┴---'‐'")
|: : :｀:ー┬': : =/二 ＼: : :=}}ﾆVX´　　　　　　　￣,《｢￣￣￣￣｢￣￣
": : : :|=: |=: : =|ﾆ: : : : ＼ノ=三|:､＼　　　　　　ri´: : |￣￣￣￣|
: : : : :|二|二二|ﾆ : : : : }}}=〉ﾆ=ト:二ユ__　　／: i!: :_ｘ≦'"￣￣＼
: : : : :ヽ=|二／ﾆ: : : : : }}}=|ニ=|ﾆ: : : : 〃´: : ;ｘ＜: :: :: ≧ ＼　　 |
: : : : : ヽ＼/|二＿: : : :}}}ﾆ|ﾆ=/＜: : //: : :／:: : :: :://: :＼＿__　 ﾊ
: : : : : :､:＼=〉‐-- 二_ー‐'ニ/二二|: |／/:: :: _:: ::l=/:: ::=_:ヽ=､::￣:＼＿_
: : : : :､ ヽニ〉｜|｜|｜ト]トrへ二ﾆﾆ/:=:: ::_::=:: :: l=|: =:: :: ≧＼三≧ｘ:: ::ヽ
: : : : : : ､ ∨￣`'┴-t⊥jj[]　　 ＞/::/:: :: l=/:= : 川:: ::=:: :: ::`:: :＼三=Vﾍ｣
､: : :=: : :＼＼:: ::|:: :: :|::三r'　／_/:: :: :: :: :l/:: :／三!:: :: `≧､_: :: :ノ三三}
`: : : : ニ＼Y´|:: :: :: :: :: :: V/::=/:: :: :: :: ::/::／三三|:: :: :: :: ＼三三三三}
: : : : : :＼ニ＞}＿-＿―三V={:: ::≦三/三三三三ﾄ､:ヽ≧､＝ﾆ三三三ﾍ、
: : : : :/二＞＜!三三:: :: :: :: ｀`＝ﾆ三/三三三三ﾆ!:!≧､:＼三≧≦三三=〉



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
　「い、いいよ。　　　　　　　　　　　　　　　　　: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ
　どうせ買わなきゃならなかったんだし。　　: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
　それにしても………」　　　　　　　　　　　　ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}


あの闘気に呑まれていたら、自分から首を差し出しそうなぐらいの一撃だった。
ようやく全身を濡らす汗の感覚も感じられるようになってきたジュンは、
目を閉じたら命の保証がない、と言うのがおそらく事実だったのだろうと思わざるを得ない。

294 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 22:54:47 ID:18wCdp1V 剣を切り落としておいて全力じゃないとか…やらない夫どんだけ強いんだよ…

三２４７．
やがてジュンが落ち着いたようなので、訓練刀を道具入れに戻したやらない夫は
心から嬉しそうに修行の終わりを告げた。



　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　 （__人__）　　　　　　　　　「これにて全課程修了だ、お疲れさん。
　 　　　 　 　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　今日まで本当によく頑張っただろ」
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/'　 `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
　　　　　　　「ありがとう、やらない夫。　　　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　　　　　　 なんだか全然実感ないよ」　　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i￣￣ i　　　　　 ￣￣￣　　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r'´　 レ"　　 _ﾆ=′　　　 二ﾆ= 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rく ヽ 　 j　,-=ﾆ¨ 　 　 　 イ=‐- ､　 　 >"


強くなった実感も、やり終えた達成感もまだ殆ど湧いてこない彼に、
やらない夫は大丈夫だ、と手を差し出す。

三２４８．
そしてその手をジュンが強く握りかえした瞬間、
師弟だった二人は、友人に戻るではなく―――


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　-―
､＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　-‐
　 _ ＞一ー―――-　､＿_　　　　 　 , ---―- ､　　　　 _ ..　-‐
￣　　　　　　　　　 　 　 　 }　　_ -‐ｯ'　　　　　　 `ー--､}
　　　　　　　　　　　　　　　「￣　　「　　 ,.-､　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　|　　 　 } 　 /　　＼　　　　　　 ､
　　　　　　　　　　 　 　 　 i　　 　 ｊﾉ ノ　　　　｀丶、　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　｜　　　 `ﾞ´　　　　　　　 ヽ　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　｜
:　.　.　.　　　 　 　 　 　 /ヽ, -‐-､,ｒ"ヽ　　　　　　　　 丶　.ィ´:､　　　　.　:　:　:　:
:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　/　〈 ⌒／ ゝ /⌒ヽ　　　　ヽ　　∨　､: ､.　:　:　:　:_ .. -‐ ￣
￣　―-　 __:　:　:　:　/　　 `´{　　／ 　 ∠、　＼　 ＼__ﾉ　　＼}_ .. -‐ "
　　　　　　　 ￣　―┘　　　　｀¨´､　／- /丶、　＞‐'



親友になった。

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三２４９．
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野営地最後の夕食の後。
二人とも思う存分食べて動けなくなっていた。



: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll　　ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli,　　　 ﾟﾞ=:　　　　　「食べすぎた………」
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀　ｹﾞｯﾌﾟ
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ＼　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .（●）（● ） 　u.　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__） 　u　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.(｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　「最後だからって焼きすぎたなあ。　　　　　　　　　　　　 { 　 　　　　　　|
　　　　　　　　 俺も腹が苦しいだろ」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ 　 　　　u.　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 　 　 　　＿＿＼　　　　 /ﾘ 厂`'‐- .._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ :　　: :介ｰz＜__｣// |: : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | : : : : ::〈　｢｀乂/ 　/ 丿: : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| : : : : : /: |　{::::}　/ `7: : : : : : : :│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 　 　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :/. : : : : : : : : |

三２５０．


　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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　￣`''--､__,,,＿,,,,__,;;w--─--､＿__:::::::::::::。: . :.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::。::::::::::。::::::::::
　　 　　＿　 ___　 _＿__--─ｰ──~'''~`─-､.＿,,､w─''""￣ ￣￣`''--､__,,,＿,,,,__,;;ｰ-‐''''"~~~
　─''"~　 ￣　 ￣　　 ￣^ｰ-‐''''"~~~`‐-‐''~^ﾍ,,__,, ＿＿　　　　　　　　　　　　(;; ;: : 　　 ::::
　::::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(;;; .; : :;;;::: ::;;;;;;::::::::::::::
　::::::::::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(;;(;;;;;(;;;;;○;;;;;;;;;○;;;;;::::::::::
　::::::::::::::::::::::::::::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(;;(;○;;;○;;;;);;;○::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(;;;;○ゞil/;;;;);;;;;)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　(;;;;| il|;;);;;;;;;;;


　　　　､/ﾙ'二≧、　　「ふぅ………」
　　　イ　、 ｨ　　､:._　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ヽ- ､
　　　ｲ　_ﾊ｢¨lｲﾔ::. ゝ　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /●）.　 〉
　　　　ヽｲ{＿H__}ｿ　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾉ､_） 　 /
　　　　　ｙ 　-　/´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ 　　ノ



やらない夫が楽になる姿勢を取り、夜空を見上げていると、
不意にため息を吐いたジュンが―――

三２５１．
ぽつり、ぽつりと話し出した。




　　　　　　　　　　　　　　　.　･　　.　　　　　　　　.　　　　　　　　　.　　　　.　.
　　　　　　　.+　　　　　.　　　　　　.　　　　　　　　　　.　　　　 °.　　　.　 　　　　　　　　　　　。
　　　┏─────────────────────┓.　　　　　.　　　. 　　　　　　　　　　　　　　　　　 +
　　　　　　実は―――‘　 .　　　　　　　.　　　　　　.　　　　　　.　　　　　　　　.　･　　.　　　　　　　.　　　　　　.　　　　.　.
　　　　　　君に出会うまでは、　.　　　　　　　｡　　　　　　　.　　　　　.　　　.
　　　　　　騎士になれない方が良い―――　　　 . . ゜ ゜　　　　　　 　.
。　　　　　そう、思っていたんだ。
　　　┗─────────────────────┛　　 　 　　　　　　.　　.　。　　　.　　･　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　.　･　　.　　　　　　　　.　　　　　　　　　.　　　　.　.
　　　　　　　.+　　　　　.　　　　　　.　　　　　　　　　　.　　　　 °.　　　.　 　　　　　　　。
　　　.　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　｡　　　　　　　.　　　　　　.　　　　　┏────────┓　　　　　　 +
　　　　　　　　　'　　　　‘　 .　　　　　　　.　　　　　　.　　　　　　.　　　　　　　　.　……………。　　.　　　　　　.　　　　.　.
　　　　　　　　　　.　　　　　　　　.　　　　　　　｡　　　　　　　.　　　　　.　　　┗────────┛
　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　 　　　+　　　　 . . ゜ ゜　　　　　　 　.
。　　　　　　　　　　+
　　　　┏────────────────────┓　　 　 　　　　　　.　　.　　　。　　　.　　･　　　　　　　
　　　　　　　代々騎士の家柄に生まれた僕は、　　　　　　　　.　　　　.　.
　　　　　　　すでに生きる道を定められていた。　.　　　　 °.　　　.　 　　　　　　　　。
　　　.　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　｡　　　　　　　.　　　　　　.　　　　　.　　　. 　　　　　　　　　　　　　　　　　 +
　　　　　　　それで構わないと思っていた、だけど―――　　.　　　　　　　　.　･　　.　　　　　　　.　　　　　　.　　　　.　.
　　　　┗────────────────────┛　　.　　　.
　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　 　　　+　　　　 . . ゜ ゜　　　　　　 　.
。　　　　　　　　　　+
　　　　　　　 　 　　'　　　　‘　 .　　　　　　　.　　　　.　　　　　 　 　　 　 　　　　　。　　　.　　･　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　.　･　　.　　　　　　　　.　　　　　　　　　.　　　　.　.
　　　　　　　.+　　　　　.　　　　　　.　　　　　　　　　　.　　　　 °.　　　.　 　　　　　　　　　　　。
　　　.　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　｡　　　　　　　.　　　　　　.　　　　　.　　　. 　　　　　　　　　　　　　　　　　 +
　　　　　　　　　'　　　　‘　 .　　　　　　　.　　　　　　.　　　　　　.　　　　　　　　.　･　　.　　　　　　　.　　　　　　.　　　　.　.
　　　　　　　　　　.　　　　　　　　.　　　　　　　｡　　　　　　　.　　　　　.　　　.

三２５２．



: : : : : : /　　　　　l.:::＼ | |.:.:.:.:.:.:＼
: : : : : /　　　　　　l.:.::::::ﾘ |/´ ￣｀`,　　.:.:.:.::.:.:.:＼
: : : : /　　　　　　　l.:.:／　　　　　　',　　　　.:.:.:.:.:.:＼
: : : /　　　　　　　　＼　　　　　　　 ',　　　　　.:.:.:.:.::::ヽ
: : 〈　　　　　　　　　　＼　　　　　　 ', .:.::::::::::::::::::|＼.::.:|
: : : :',　　　　　　 .:.:.:.:.:　 ＼　　　　　 ',::::::::ﾄ､.::::::::|　ﾊ:.:l　　　　「自分に才能が無いんじゃないか、って思い始めた。
: : : : :',　　　　　 .:.:.:.:.:.:.ﾄ､　＼　　　　 ',::::::lﾆ＼:::::|　　　　　　　 父さんから剣の訓練は受けていたけど、
: : : : : .',　　　　　.:.:.:.:.:.:l　＼　＼／　　',::::l　　 ﾄ､|　　　　　　　 行き詰まっていたから。
: : : : ::::::',　　　　 .:.:.:.:.:.:l　　　`y':／ﾆヽ ',::l1 　 l |
.:.:.:.:::::::::∧ 　　　 .:.:.:.:.:.:l　 ／／／　 い / l　　l |　　　　　　　　今年の騎士募集が近づくにつれて、
:.:.:.::::::::/　ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ..／∠　　　 い /ハノ/　　　　　　　　 居ても立ってもいられなくなっていたんだ………」
.:.::::::::./　　　＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:V彳o:::ヽ　　　j! !　　`ヽ
.:::::::::〈 　　 　　 ＼.:.:.:.:.:.:.:}ﾑ:::::::ノ´ ／／　　　 /
､::::::::::.＼_,,　-‐　　＼.:.:.:.:l　￣　／／　　 　 ,.ｲ
　ヽ　　　　　　 　 　 　＼:L＿／／　　　　　 /
　　＼　　　　　　　　　　└＝＝'　　　　 ／/
　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′
　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　 ,′
　　　　　　　　＼`ー--------r---‐‐'´
　　　　　　　　　 ＼　　　　　 ∠￣`ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　 　　 　　|
　　　　　　「………手柄が欲しかったから、　　　　　 .　|　　　　　　　 　|
　　　　　　　あの時？」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 　 　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽニニニﾆノ　､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:::::::::::::::::::::￣`ｰ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ:::::::::::::::::::::::ｰt-.._:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::::::::::::::::::i

三２５３．



　　　　 |:.:.:.:.∧:.:|　　　 |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　 }:.:.:.:.ヾ:.:.:',　　　|:./　.V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
　　　　 >:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ　 V:.:.:i{　ゞテ＝ァ　||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
　　　 /:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.||　 {辷zり　 .||　ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
.　 　/:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ //　　／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ　　　　　「ああ。
　　/:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::>　 ゞ' ´　|| {　　　 ￣￣￣￣　　 入 ソ/:.:.:.:._＿／　　　　　―――焦っていたんだ。
　　￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ　　　　　　　　　 　/　／:.:ヽ￣　　　　　　　　　父さんの息子として、
　　　　　　　ﾚ'´ ヽ |　　　　　　　 ＿　　　　　 　 /-'´／￣　　　　　　　　　　　何か、したかった」
　　　　　　　　　　　ヽ　　　 　 ￣_　　　 　 　 　/￣゛゛
　　　　　　　 　 　 　　＼　　　　　　　　　　_　ィ|
　　　　　　　　　　　　　　 ｀ 　 ､　　　　 イ　　　ｙ入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニi　´　　　　／　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ／/　}　　 　　/　　　　|＼
　　　　　　　　　　　　　 　　/　/　ﾉ　　　　/　　　　　|　 ￣ ' - ､
　　　　　　　　　　　　　 　/　　V'´￣￣ ../　 　 　 　 |　　　　　　｀ ' - ､
　　　　　　　　　　　　.／/　 　/::::::::::::::／＿＝=-､＿ |　　　　　　 　　/ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::　:　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　|:::::::::::::　　　　　|
　　　　　　「それが結局ああなったのか」　　　　　　　 |::::::::::::: 　 　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |:::::::::::::::　　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ＿＿__　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r'ﾆﾆヽ._＼. ﾉ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r':ﾆニ:_`ｰ三`:く._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : :｀,ニ､: :_:_;＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 /: : : : : : : : / : : : ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''"￣: : :l: : : :l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.:.:.::.:.:.:ｌ -─-: : /:_:_:_:_l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 |:.:.::.:.::.::l._＿: : : :/::: : : : :l

三２５４．



　　 　 　 　 　 　 　 　 __ 　 -─-　_
　　　 　 　 　 -=ニ二::::::::::::::::::::::::::::_＞
　　 　 　 　 　 　 ／:::::::::::::___:::::::::::::::::｀７
　　　　　　　　／::::::::::::::::f┴‐ﾍ::::::::::::::厶　　　　　　　　　「そうだよ。
　　　 　 　 ∠ イ::::::::ｉ:::::::|_,.∠､ﾍ:::-､:::::/　　　　　　　　　 君が助けに入ってくれなかったら、
　 　 　 　 　 　 |:::::::::|ｌ:::ﾄ〈　 　 } Ⅵ }::/　　　　　　　　　　 君と出会っていなかったら………
　　　　 　 　 　 lハ::::|｢｀Y、 ¨´　　｀y'´￣￣｀i　　　　　　　僕は今頃、どうなっていたんだろうな」
　 　 　 　 　 　 　 ヽ个‐'　_ .ィ　 //　/／　　 ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 V ﾉ＞ ､__.. </　 '　　　　　{　r?
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　/　　　　　　∨l::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　}ｌ::|
.　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l　　　　　　　　　|l::|
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ′ 　 　 　 　 　 |l::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈　　　　　/　　　 |l::|
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 /　　 　 |l::|



衛兵に助けてもらってその場は収まったかもしれない。
だが、王城でのギャブレットの罠にはまって最悪、
その日に重傷を負うか命を落としていたかもしれない。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 （ ー）（ー）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　|　　　　 （__人__）
　　　　　　　　　　「……………」　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　　　　ｎｌ^l^l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　　 |　　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　ヽ　く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　ヽ　＼

三２５５．


　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
　　　　　　　　_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼　　 ,
　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
　　　　　　　　　＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/　　　　「きっと、僕は………僕は、
　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´　　　　　一人じゃ何も出来ない、
　　　　　　　　｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼　　　　 情けない奴のままだった………！」
　　　　　　　　　　ﾚ､:ﾚ´∧ /　｀　 ＼　.ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
　　　　　　　　　　　 ミ,;,;:.::|　　　　 　 ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
　　　　 ,＿＿ r‐─ v'´　 ヽ　　　　　／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
　 　 /.: : : : : : ＼: : : :＼ 　 ､　　　_　ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./
　　/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼　 ヾ_ , -―
　.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ



運命の分かれ道のこちらで良かった。
拳を握りしめ、心の底からそう呟く。



　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 :| :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; |
　　　　　　　　　　 　 　 　 | :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; |:
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 :| :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; |:
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 :| :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; |:
　　　　　　　　　　 　 　 　 | :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; |
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 :| :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; |i
　　　　　　　　　　 　 　 　 | :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; |
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 :|::;:;:;:;:;:,.　　　 　 　 .,:;:;:;:;:;::|:
　　　　　　　　　　　　 　 :/:::.　　　　 　 　 　 　 　 　 |:
　　　　 　 　 　 　 　 　 :/:　　　　　　　 　 　 　 　 　 |:
　　　　　　　　　　　　//:　　　　　　　　　　　　　　　 |:
　　　　 　 　 　 　 　//:　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |:
　　　　　　　　　　　:/:　　　　　　　　　　　　　　　 　 |i
　　　　 　 　 　 　 ｉ,':　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ||
　　　　 　 　 　 　 l|:　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:
　　　　 　 　 　 　 :|:　　　　　 　 ,::..　　 　 　 　 　 　 |:
　　　　 　 　 　 　 :|:　　　　　 ／::.:.:. 　 　 　 　 　 　 |i
　　　　 　 　 　 　 i|:　　　　 /￣｀ヽ::.　 　 　 　 　 　 ||
　　　　 　 　 　 　 :|:　 　 　 | 　 .::ノ:::.　　　　　　　　 |:
　　　　 　 　 　 　 :|:　 　 　 | :／　＼　 　 /:　 /:　//:
　　　　 　 　 　 　 :ヽ＿＿_人.＿＿_＿_／:. ／_／´

三２５６．
しかし、天頂で瞬く賢者星を眺めていたやらない夫は、
そこでジュンに視線を向けると首を振る。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　「もし、の話は必要ない。　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　 俺達はあの時出会い、　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　 そしてジュンは修行をやり通した」　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 {　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 mｍ 　 ヽ 　 　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⊂　￣￣￣　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　￣￣￣|　　　　|



そして彼の背中をバシっと叩いてこちらを向かせ、不敵に笑って明日からだ、と言った。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　ﾉ　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ..,,　 ,,..／　　　　 ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　( ●)　(　● )　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　( ＿ 人 ＿_ )　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　( `　⌒　 ´　　　 　 !ヽ　　　　　　　＿
　「明日からお前は一人前の男として生まれ変わる。 　　　 ヽ　ヽ　　　　 　 　 lヽ､ﾄ,.._,...._,. ィ ´　　 ｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　 　 　 　 　 　 l　　　｀７l　　　　　　　　 ヽ
　今日までの厳しい訓練を耐えきった根性があれば、　　　　 ヽ 　 　 　 　 　 l ヽ　 ／ﾉ , ‐　　　　　　　　i-,
　何だって出来るだろ！」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＞､ _　_　,.イ　ン‐' ／　　　　　　　　　　 j ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 ヽニ イ ／　　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 ､　　　　ヽ　　　　　　　　　､_　　　　　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ　　ヽ!　　　　　　　　　　　　　　_ ｀ヽ　　　　　　　　j＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 } ー 　 !　　　　　　　　　　 　 　 　 ￣ ＼　　　　　 / 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i 、　 _／　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ヽ-へ　　　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i_　　　　　 ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　ヽ、　,　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ｀ ー--, ､ ∧　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ﾝ　　　　　j

三２５７．



　　 　 　 　 　 　 　 　 __ 　 -─-　_
　　　 　 　 　 -=ニ二::::::::::::::::::::::::::::_＞
　　 　 　 　 　 　 ／:::::::::::::___:::::::::::::::::｀７
　　　　　　　　／::::::::::::::::f┴‐ﾍ::::::::::::::厶
　　　 　 　 ∠ イ::::::::ｉ:::::::|_,.∠､ﾍ:::-､:::::/　　　　　　　「そう、かな？」
　 　 　 　 　 　 |:::::::::|ｌ:::ﾄ〈　 　 } Ⅵ }::/
　　　　 　 　 　 lハ::::|｢｀Y、 ¨´　　｀y'´￣￣｀i
　 　 　 　 　 　 　 ヽ个‐'　_ .ィ　 //　/／　　 ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 V ﾉ＞ ､__.. </　 '　　　　　{　r?
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　/　　　　　　∨l::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　}ｌ::|
.　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l　　　　　　　　　|l::|
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ′ 　 　 　 　 　 |l::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈　　　　　/　　　 |l::|
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 /　　 　 |l::|



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,. ‐―――――‐ - ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　 ＼　　 　 　 　 ﾉ　　　　　 .',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　 ,　 ゞ.._,,　ー "　　 ､　　　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l　　　　 l {::::::::}　l　 l　{::::::::} l　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . l　　　　 ｀ ー '　'　　｀　ー ' '　　　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l　　　　　 /　　　 .!　　　 ヽ　　 　 　 l
「もっと自分に自信を持て！　　　　　　　　　　　 　 　 l　　　　　 ヽ＿_／ ＼＿_/.　　 　 　 l
自分を高めるのにまず必要な事は、　　　　 　 　 　 . l　　　　　 〈　　　　　　　 〉　　 　 　 l
自分を信じる事なんだ！　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　 　 　 　 ｀ｰ―――　' 　 　 　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l
ジュン、お前はやり遂げたんだぞ？」　　　　　　　　　 . l　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 . l　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／!　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,'＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／{　|ヽ　　　　　　　　 　 　 　 　 /|　/ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　 ∨|　ヽ　　　　　　　　　　　 ／　| /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ ヽ　　＼　　｀ー―――――　´￣￣　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼ 　 ＼　　＼　　　　　　　　／　 　＿　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　"ヽ　 . ＼　　ヽ　　｀ ー──一'　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　＼　　＼　　　　　　　　／/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 ‐┬─‐'ﾌ⌒ヽ｀ ー──　´　/

三２５８．
情けない自分からは一歩成長出来たとは思う。
だが、やらない夫を見ているとまだまだ未熟で恥ずかしかったジュンではあるが、
彼がそう言ってくれるなら捨てたものでもない、と思わされてしまう。



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|　　　「そう、だね。
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|　　　………そうだった。
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|　　　僕は、やり遂げたんだな。
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V　　　　　父さんと姉さん、
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|　　　　　　　今の僕を見て喜んでくれるかな？」
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　「あったりまえだろ！　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　　　 （__人__）
　　　 八日前とは比べものにならないんだぞ？　　　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　 剣の腕も………そして、心も」　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ

三２５９．
これが終わりじゃない、やっと明日から始まるんだと語気を強めたやらない夫は、
感傷に浸る暇があったらもう寝るぞ、と最後の予定を告げた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 （●）（●）　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　（__人__）　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　　　　　　 　 　　.|　　 ｀ ⌒´　　.}
　「明日、夜が明けたらここを立つ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|　　　　　　 　.}
　 エンジュ様に報告して装備を調えたら、　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　.　 }
　 いよいよ本番だぞ」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿__._,r､　　 Yヽ　　　　　ノﾄｊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／｀ヽ_j'､_ノ￣l!'´ヾ- ､＿｀_¨ 　 ｣､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　∧　,ﾉ　 Yヽ　　l　　ヽ　　 　 7ヽ~ﾍヽ.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/-'´｢　ヽ　ヽｊ＿. l　　　ﾄ､ 　/〃ﾊ　 | ヽ ｀ヾ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r'´, イ ヽ､ ｀,__,ｨ､__)|　l　 ヾヽ∧'〃ﾉﾞヽl　 ヽ　 ヽj｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / '´　 ﾄ､　 Yrイ　 ∧l　',　　ヽ 　Tﾍ', 　 l _..ノ 　　l j　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,′　 　.}､二ィ　}　/ 　 l　ヽ　 　',　|､､ﾍ.　| ＼　　／ }. ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 i 　　　　トz'_ノ,ｲ　　　　| 　 ',.　　', l､ヽﾍ　| 　 | 　　　 j/ l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　ノ ＼¨7/　　　　　l　　ﾄ､　 ヾ ､ヽ ',.l 　 lｰ- ／/　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ─'-- -r-`'　　　　　　ｌ　　',.ヽ　ヽ　ヽヽ!　 |￣　 /j 　 l



　　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
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　　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|　　　「ああ、やってやるさ！」
　　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
　￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼

三２６０．
そして二人は明日への英気を養うべく毛布にくるまって横になった。



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""ﾞ'""ﾞ""ﾞ'"''"ﾞ'""ﾞﾞ"""'""ﾞ'"''"ﾞ'""ﾞ'"ﾞ'""ﾞ'"''"ﾞ'""ﾞ'""ﾞ'""""ﾞ'
―― 　 ＿ 　 　 ￣￣ ─‐＝　―　＿　　　￣￣￣　　＿＿

￣　 ＿＿　　-　　二　――　　＿_　　　￣￣　　＿＿

─ﾆ─ 　￣ 　 ＿＿　　￣￣￣ 　 二　─ 　 ＝　─二　─ﾆ


河のせせらぎが彼らを包み込んで数分。
やらない夫はすぐに寝息を立て始めたのだが、
ジュンは興奮してなかなか寝付けない。

三２６１．


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
　　（やらない夫も乗せるのが上手いよね。　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
　　　ああ言われたら頑張ろうって気に　　　　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
　　　なるじゃないか）　　　　　　　　　　　　　　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i￣￣ i　　　　　 ￣￣￣　　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r'´　 レ"　　 _ﾆ=′　　　 二ﾆ= 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rく ヽ 　 j　,-=ﾆ¨ 　 　 　 イ=‐- ､　 　 >"


それも彼の期待と分かるから、ジュンも応えようと言う気になる。
相手が何を思って自分に言葉を投げかけているかすら考えるようになっていた彼は、
そのうち姉と、母の墓前に謝りに行こうと思いながら眠りについた。

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9 ◆GV1zPRS/Lk 10/08/25 23:09:43 ID:Bhg/BwMB 本日の投下は以上になります。 長丁場の閲覧、合いの手ありがとうございました！ 次回は第三章その５になります。 10 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:11:15 ID:F416NhhX 乙でした 毎回毎回、次回が楽しみでなりません 12 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:12:00 ID:ag+kNvut 乙です！ 今回もすごく面白かった！ ああ次回が楽しみでたまらないｗ 13 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:12:09 ID:1/ctpRsG シンジがちょっと哀れになってきたｗｗｗどうせ親が勝手にやってる事だろうしなあ。 まあ、すがすがしいやられっぷりを期待 15 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:12:35 ID:NlWyc/hz 乙でしたー やらない夫全盛期伝説作っても良いぐらい強いな、おい 全力で指弾をすると頭が吹っ飛ぶとか、全力を出さず刃の潰れた訓練刀で鋼鉄の剣を叩っ斬るとかｗ 16 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:12:46 ID:B4wP+Zvp 乙でした いよいよ本番、ジュンがどれほどのものになったか、楽しみです 19 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:13:07 ID:580RCpJs 乙です あれ、43枚って言ってたのに53枚あるぞ？＾＾ 27 ◆GV1zPRS/Lk 10/08/25 23:17:22 ID:Bhg/BwMB >>10-20 皆様たくさんの乙をありがとうございます！ >>14 投下前に一応文章を読み直したり、 容量オーバーに引っかかって慌てて手直ししたりとかが多いので、 一分で回すようにしています。 それでも裏側ではかなりワタワタしてるのですが。。。 地の文の多いところでは目が追いつくようにともあるのですが、 戦闘描写のところではちょっと間が空く事も自覚してます。 >>15 まだまだ序の口です多分！ >>16 修行編が妙に長くなってしまいました。 というのもノリノリで第二話、第三話を書いて膨らんでしまったからと言う。。。 >>19 途中でナンバリング間違えに気づいて 慌てて修正しました！ よくあるんですorz 21 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:13:39 ID:s6G2XeU9 俺も1分間隔が気になって仕方が無い… 何か意味あんの？ 本編は全部　○○:06　に投下されてる 23 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:14:12 ID:GwHTeE4U とても楽しい夜でした　乙でした ソードワールドじゃない別ゲームのウィズで解釈して申し訳ないが 長剣では月が切れなかったのは武器がジュンに釣り合わなくなってたってのは 名称　　　ダメージ 　　　　　最小　最大 刺剣　　　6～25　　　　最初のジュンの装備　やや重く感じてた 長剣　　　16～64　　　次のジュンの装備　　最大ダメージの６４でも水面の月は切れず 大剣　　　50～210　　　やらない夫に借りた剣　ジュンが１００ダメージ以上を出せる実力だったので水面の月が切れた って解釈でいいですか？ それともそこまでゲーム化せずに雰囲気で解釈した方がいいのかな　剣と人とが釣り合ったとか 30 ◆GV1zPRS/Lk 10/08/25 23:21:07 ID:Bhg/BwMB >>21-24 >>21 理由は>>27で書いた通りです。 あとはデスクトップの時計の秒針を見ながら投下してるので ほぼズレがないのかと。 時々ずれるのは、容量オーバーだったり 誤字に気づいて慌てて直しているのだと思ってください。 >>23 >>26 ダメージと言うよりは単純に品質と思ってください。 本人の実力＋武器の品質　→　発動可能なスキル上限が変わる と言った感じです。 逆に言えば、ジュンのブロソを使っても、 やらない夫なら余裕で月が斬れるのです。 35 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:27:36 ID:XnShG7R6 >>30 弘法は筆を選ばなくても巧い字を書けるが、 一般人は書きやすい筆を選んだ方が 自らの上達のためにもいい、みたいなもんかな。 36 ◆GV1zPRS/Lk 10/08/25 23:29:50 ID:Bhg/BwMB >>28-29,32-33 閲覧と乙をありがとうございます！ >>35 そんな感じです。 余りに高品質な剣や 魔法のかかった特殊な剣を扱うには やはりそれなりの実力が必要になると考えています。 29 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:21:01 ID:XnShG7R6 乙でした！修行編はこれくらいの長さで良かったと思います。 ジュンの心の機微や彼が強くなっていく過程が 自然とこちらの頭に入ってきました。 ジュンとやらない夫の関係が本当にいいですね。 友人から親友になっていく流れも自然で、 徐々に対等になっていくのかな、と読んでてわくわくします。 続き楽しみにしてますね。 32 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:25:00 ID:qqC44tDd 乙でしたー やっぱり成長物は面白いなぁ 男子三日会わざれば～って言葉を思い出すな 33 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:25:09 ID:UZEpZIDY 乙 強くなったなー。 wktkしながら続きを待ってるぜ。 38 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/25 23:31:48 ID:cbSqDo8B 乙! ここまでカっチョ良いやらない夫はＰ４以来だ

三２６２．
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―――ジュンの長い一日が始まった。
二人は綺麗に片付けた野営地を立ち、まだ静かな町を抜けてサクラダ家へと戻ってきている。



　　　　　　　　　　　　　　.|
　　　　　　　　　　　　　　A
　　　　　　　　　　　| _γ ⌒ヽ_
　　　　　　　　　　 A ..l.i i:I I:i iI＿＿＿____＿＿∧＿＿___＿＿＿
　　　　　　　　　　龠./|.i_i:I I:i_il　________i龠i____/∧ ______i龠i________＼
　　　　　　　　　　 ./　|.ﾛ:IﾛI:ﾛl/::.::.:::.::.::.::..:::.../　[] `::..:::.::.::.:::.::::.:::.::.:..|
　　　　　　　　　　===.|　　　ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ　　　　ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
　　　　　　　 　 　 .|∩| l'⌒`l | l'⌒`l　l'⌒`l |γΠヽ| l'⌒`l　l'⌒`l |
　　　　　　　 　 　 .|:! !| l.__i__i | l.__i__i　l.__i__i | ゝЦノ| l.__i__i　l.__i__i |
　　　　　　　 　 　 .|　 | .____ ...| ._____ 　_____　| ._＿__ | ._____ 　_____　|
　　　　　　　 　 　 .|「l | |__|__! | |__|__!　|__|__! | |_|II|_| | |__|__!　|__|__! |
　　　　　　　 　 　 .|i_i | |__|__! | |__|__!　|__|__! | |_|II|_| | |__|__!　|__|__! |　　ﾁｭﾝﾁｭﾝ
　　　　　　　 　 　 .|i_i | |__|__! | |__|__!　|__|__! | |_|II|_| | |__|__!　|__|__! |
　　　　　　　 　 　 .|　 | __∧_..| 　 　 　 　 　 |［::圀::］| 　 　 　 　 　 |
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　　　　　　:::::::　　 .`:::;:;================ |ﾆﾆﾆﾆ］:==========i
　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　ﾁﾁﾁ

三２６３．



:::::::::::::＿ｷﾞｷﾞｨｰ　＿＿＿＿＿＿＿＿＿___:::::
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::::::::::::|:::::＼＼ノノノ　　　　! :::l￣￣￣￣|:::::|::::
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::::::::::::|:::||::::::::::|::::|lll|　　 　 |:::::|＿＿＿___|:::::|::::
::::::::::::|:::＼:: :: |::::|lll|　　 　 |:::::::::::::::::::::::::::::::: |::::
￣ ￣:＼:::＼::|::::|lll|　 　 　 ￣￣￣￣￣￣￣
::::::::::::::::::＼::::`:::::!lll!　　　　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::: ＼:::: !lll!　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::＼|lll|　　　　　　 ::::::::::::::::::::::::::::::



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 __ 　 -─-　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 -=ニ二::::::::::::::::::::::::::::_＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／:::::::::::::___:::::::::::::::::｀７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::f┴‐ﾍ::::::::::::::厶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ∠ イ::::::::ｉ:::::::|_,.∠､ﾍ:::-､:::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |:::::::::|ｌ:::ﾄ〈　 　 } Ⅵ }::/
　　　　　「なんだか、緊張するよ。　　　　　 　 　 　 lハ::::|｢｀Y、 ¨´　　｀y'´￣￣｀i
　　　　　 自分の家だってのに」　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ个‐'　_ .ィ　 //　/／　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 V ﾉ＞ ､__.. </　 '　　　　　{　r?
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　/　　　　　　∨l::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　}ｌ::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l　　　　　　　　　|l::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ′ 　 　 　 　 　 |l::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈　　　　　/　　　 |l::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 /　　 　 |l::|



玄関の扉を開けて一瞬立ち止まったジュンは照れくさそうに呟き、
意を決して九日ぶりの我が家へと足を踏み入れる。

三２６４．
まだ早朝なのでロビーに人影はなかったが
厨房の方から話し声や物音が聞こえる、館は目を覚まし始めているようだ。



　　　　　　　　　　∫　　　|
　　　　　　　　　　∫　　　|　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　 O。　　|　　　　　　 　　　|
　　　　　　　　　ヽM/　　;;|　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　 /| |　　;;;;|　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　;;;/,|　|　 　 |　　　　　　　　　 |
　 　　　　　　;;;/ |　 '|　　;;|　　　　　　　　　 |
　　　　　　　 ./ '|　　|　　;;|　　　　　　　　　 |
____＿＿___ （⌒）⌒）⌒）＿　　　　　　　　　|
}{}{}{}{}{}{}{（⌒（⌒（⌒）⌒）}{'＼＿＿＿＿__,,|
￣￣￣￣ヽiil iil iil iil iil /￣＼＼＿＿＿＿|__　　　　　　　　,,,|
＿＿＿＿___""''""''""''　＼}{}＼＼＿＿＿___|__　　　　　　::;;;;|
　　　　　　　　　　　　　　　 ＼}{}＼＼＿＿＿＿|__,　　　　　　|
　　　　　　 　　　　　　　　　 |}{＼}{}＼＼＿＿＿___|___　　　::;;;|
　　　　　　 　　　　　　　　　 |}{}{}{＼}{}＼＼＿＿＿＿|__,　　　|
　　　　　　 　　　　　　　　　 |}{}{}{}{}{＼}{}＼＼＿＿＿___|__,,::;;;|
　　　　　　 　　　　　　　　　 |}{}{}{}{}{}{}{＼}{}＼＼＿＿＿___|;;;;;|
　　　　　　 　　　　　　　　　 |}{}{}{}{}{}{}{}{}{| }{}{|　|　　　　　　＼|
　　　　　　　　　　　　　　　　＼}{}{}{}{}{}{}{.|}{}{/ /　　　　　　　: |

＜ﾄﾝﾄﾝﾄﾝ
＜誰か人参剥いて～



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ⌒）（⌒)
.　|　　u　 （__人__)　　　　「まずは風呂に入って着替えないか？
　 |　　　　　 |r┬|}　　　　このままだと別の意味で驚かせる事になるぞ」
　 |　　　　　 |　| |}
.　 ヽ　　　　　｀ﾆ}
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　/　　　 く　
　　　|　　　　 ＼
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)､

三２６５．
一応水浴びはしていたが、まともな着替えもない野営だったので
薄汚れた状態のやらない夫の提案に全身が酸っぱいジュンも頷き、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃::::::::/::::ヾ:::i::::ヽ:::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::/:::::::::i:::｀:::::::}::: ﾄ:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::ｨ/:/:::::::: L:＿ ∧:ﾊ::::::::::|ヾ:: l>､::ﾐ､:::::::::::::::V:＿:::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　/:::／ /::/::::::::::::ﾊ　　　 il　i::::::: l　刈　　≧ﾐ> ､::::::::<　 ヽ::::::::::::i＼ |
　　　　　「ハハッ。　　　　　　　../／　./:::::i::::::::::::ﾄ:ﾊ 　 　 　 l::::://_ ィ=彳司 ||＝=￣｀{　i }:::::|＼ゝ. ｀
　　　　　そう言えばそうだ」　　　　　 i ::::::ﾊ:::::::::::|＼ゝ＿__　 |:/　r/ ´ ｲt jﾊ ||　　　　ﾉ //::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::::::::::ヾ:::::::|::::::ヾ´ ≧ミ､ィ'''ヾ　　 ゞ┴ﾉﾉ　　　　｀./:::ノ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::／i::＼:::V::::彳 ｨ芯､}}　　 ｀ミ＝＝''　　　　　r'´:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::/　　|::::::>:K ヾ､　_ゞノ　, 　　　　　　　　　　　 |／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/　　　ヽ/　ヾ　｀ーt　　　｀ _　ノ ﾌ　 　　　 /　 |　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀　　　　　　ヽ　　　｀ー´　　　　　　 ／￣　　　 _　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　 ､　　　　　ノ　　/　　　　 ／　￣￣ ヽ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞-イ |　　〃　　 .／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /￣il　 /／　／-= ' ´　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 V/ ヽ=.//　　　／￣￣￣＞＝-　､



　　　　　　 　 　 　,ｪｴェｴｪ､
　　　 　 　 　 　 ,.::::::::::::::ヽ::ﾍ
　　　　　 　 　 ｲi::;ｲ:::::_::::::}:::ﾊ
　　　　　　　　 i::l::ﾘﾊ:ハ::;ﾊ:::::i　　　「あらっ！」
　　　　　　　　 j:::ﾘ Ｏ　 ｀Ｏﾘ;ﾊ
　　　　　　　　ﾉ:j:ﾊ　　 _　　j:i:く
　　　　　　　　　,イ｀≧==≦//ﾊ
　　　　　　　　////　　ｉ：　.∨/ﾊ
　　　　　　 　 ∨/{　　 |：　　}//ﾘ
　　　　　　　　 .ヽ/∧ｰ─‐'///´
　　　　　　　　　　|//|──|//|､
　　　　　　 　 　 ､|//|　 　 |//|ゝ､
　　　　　　　_､イ .i⌒i　　　i⌒i　　ヽ､
　　　　　　人　　 ﾞｍ'　　　ﾞｍ'　　 メハ

三２６６．



　　　　　　　,::／ヽ_／:::::／::::::::::::ﾘ::::::::::::|i::::::::::::｀丶、
　　　　　　/:::ﾄ.､._/::::::::/::::::::::::::::/:::::::::::::: ﾘ::::::､:::::::::::::::ヽ、
　　　　　 /::::j 　 j:::::::::::::::::/:::::::/:::::::::::::: /:::::::::::';::::::::､::::::::＼
　　　　 ,ｲ:::::::〉ｰｲ:::::::::::::::ﾊ::i:::: ﾊ::::::::::::/::::::::,､:::::}::::::::l:::ﾊ. 　゛
　　　　 i::::i::::弋　}::::::::::::::i::::|:::::::|:::::::::::i::::::::: ハ::::ｌ:::::::::i:::::i
　　　　 i::::i::::::::ﾞiｲ:::::::::::::::|::::|:::::::|::::::::::i:::::::/　 ﾞv::::::::/::::::ﾄ､　　　　　「ジュン様！
　　　　 |:::::::::::::::|i:::::::::::::::i::ー─--::::ﾊ:::::ﾊ　 　}:-─:::::::/:ﾘ　　　　　 お帰りなさいませ！
　　　　ﾉ::::::::::::/´i :::::::::::::i: ｨﾃ斥ミｭ､ゝｲ　}　 /ｨｭ､:::::::人
　　 ／ﾊ:::::j::::{んl:::::::::::::: i:::{弋::':cﾘ　　　　　,ｲ:｡ﾘ :／:!　　　　　　　 やらない夫様も昨日ぶりでございます！」
　　　/:::::::::i::::::ヽ':::::::::::::::::i:::i　 ｀￣｀　　　　　｀" |::::::::::!
　　./:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::'ｉ:'　　　　　　　　 〉　　ハ::::::::}
　 　 イ:::::::::/::::::::: ﾊ:::::::::::ハ　　　　　　　　 　 ,ｲ::::::::::::ﾊ
　 　 .ﾉ:::::イ::;ﾍ::::/:::ﾊ::::::/:::|.､　　 　 　ー 　／::ﾊ::::::::::ﾘ
　 ／///{　　　ｲ::/　 ';:::::::::ｉ　＞ ､　　　 ／ﾊ::::l　|::::::ｲ
. //////ﾊ　 　.イヽ.　 ';::::::i　　 ./､＞.イ//7 ::ﾉ　!:::从
////////ﾊ、　　　 丶、':::ﾘ.　 〈　 ヽ//////ハ ﾉ::ﾂ



ちょうど通りがかって驚くメイドに風呂の準備を頼む事にした。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
「アキラ、朝っぱらから悪いんだけど　 　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
風呂の用意を頼むよ。　　　　　　　　　　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
それから、みんなにはまだ、　　　　　　　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
僕らが帰ってきた事は伏せておいて」　　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i￣￣ i　　　　　 ￣￣￣　　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、

三２６７．



　　　　　　　　ゝｰ|.:.l:.:.:l.:.:.:i.:.il:.:.:il.l:.:il.＼:.:.＼:.:.:i.:.:.:.:i|.:.:.:.:li.:li.:.li:.:.:.l:.:.:.l:.:.:.|!:.', く
　　　　　　　 ｛__ノl.:.l:.:.:l.:.:.:l.:.:li.:.:.li:l.:.il 　＼.:.:＼!:._:_;;､-ｰT丁.:li.:.:.:l.:.:.:l.:.:.il:.:.',ソ
　　　　　　　　 ）ｿl./i.:.:.l:.:.:.l:.:il─十ｰli- 　 ＼:.:イ:.:.:.:.i:l:,,､i､!|:.|i.:.:.:l.:.:.:l.:.:il.:.:.;｝
　　　　　　　 　 ヽl/:l:.:.:il:.:.il:.:il!_l__|i;i!_liヽ 　 　＼!人彡斤ｊ｝ゞ:.j:.:.:.:l.:.:.:l.:.il.:.:/　　　　「内緒ですね。
　　　　　　　　 　 |Υi:.:il:.:.∨《ヾ升勹ゞ　　　　　　弋心夕 !/:.!:.:.:.l:.:.:.l:.:|!:/　　　　　畏まりました」
　　　　　　　　　　/ﾊi:l:ｌ:|:.:.:.:.:i; 弋_シ"　　　 　 　 　 /////://:.:.:.:l.:.:.l:.:|ゞヽ
　　　　　　 　 　 // .ﾉ!:i:l:.:.:.:.:.∨////　　 　 !.　　　　　　//:.il:.:.:.:.l:.:.l:.:|:|＼ ﾍ
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　　　　　__　／／/:.:/i:.:il:.:.:.:.:.:|i:.::..､　 　　　ｰ　´　　　／l:.:l:.:.i:.:.:.:l.:.l:.:il:.::l 　 ノｿ
　　　 ／／￣/:./:./:.:|l!ハ:.:.:.:.:il:.:.:.li.:＞ ､　　　　 　／　ゝ!:.l:.:.|:.:.:l.:.l:.:il.:.:.|! （　(
　　　/ /　　 /:./:./:.:.l:i.!∧:.:.:.:.:ﾍ:.:.:l l:ヾ|　` ､ 　.／　　,,ノヽ|:.:.l:.:.l.:.l:.:!.:.:.:.i:l　＼＼
　　　∨　　 ｛:.｛:.:i:.:.:.l:.l/　ﾍ:.:.:.|!ﾊ:.:ﾘ/`ｰ-､,,___　 ,,､-''　　　ヽ:.!:.:l.:l:/_!＿_!|_＿_ヽ ）
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　 　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　/::::/::/ （::）l::::::｝　　　　　　　　　i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/



彼女は少し考えた後、悪戯っぽく笑って風呂場に向かい、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ／.:/.: 　 i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l.:.:./ .:.:　.|.:.:.:l..:/l.:.:/　|.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/　 |/　l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
「じゃあ、　　　　　　　　　　　　　　　 /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ　　l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
風呂が沸くまで一休みしよう」　　 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ　lﾄV
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l.:.:/l .:　ﾊ:lN{　辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ　l1 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:/　l.:/　　 lL_ ＿＿ノ　 ,　　ヽ _二 ノ.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 l/　､__',　　　　　　　 　 　 　　 /　.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　　ヽ　　　　　r‐‐ｯ　　　/.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　 　 入　　　　　　　 ,..ｲ.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　.　'´　i.:.＼＞ -- ＜/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　／　　 　 |.:.／＼　 　 ノ.:



この状態でソファに座ったら汚れるだろうと、二人はそのまま床に座り込んだ。
以前ならそんな事は出来なかったであろうジュンはしかし、
ここしばらくの生活の影響からかまったく気にせずくつろいでしまう。

三２６８．
しばらくして。



　　　　　　　,::／ヽ_／:::::／::::::::::::ﾘ::::::::::::|i::::::::::::｀丶、
　　　　　　/:::ﾄ.､._/::::::::/::::::::::::::::/:::::::::::::: ﾘ::::::､:::::::::::::::ヽ、
　　　　　 /::::j 　 j:::::::::::::::::/:::::::/:::::::::::::: /:::::::::::';::::::::､::::::::＼
　　　　 ,ｲ:::::::〉ｰｲ:::::::::::::::ﾊ::i:::: ﾊ::::::::::::/::::::::,､:::::}::::::::l:::ﾊ. 　゛
　　　　 i::::i::::弋　}::::::::::::::i::::|:::::::|:::::::::::i::::::::: ハ::::ｌ:::::::::i:::::i
　　　　 i::::i::::::::ﾞiｲ:::::::::::::::|::::|:::::::|::::::::::i:::::::/　 ﾞv::::::::/::::::ﾄ､　　　　「ジュン様。
　　　　 |:::::::::::::::|i:::::::::::::::i::ー─--::::ﾊ:::::ﾊ　 　}:-─:::::::/:ﾘ　　　　 お風呂が沸きました」
　　　　ﾉ::::::::::::/´i :::::::::::::i: ｨﾃ斥ミｭ､ゝｲ　}　 /ｨｭ､:::::::人
　　 ／ﾊ:::::j::::{んl:::::::::::::: i:::{弋::':cﾘ　　　　　,ｲ:｡ﾘ :／:!
　　　/:::::::::i::::::ヽ':::::::::::::::::i:::i　 ｀￣｀　　　　　｀" |::::::::::!
　　./:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::'ｉ:'　　　　　　　　 〉　　ハ::::::::}
　 　 イ:::::::::/::::::::: ﾊ:::::::::::ハ　　　　　　　　 　 ,ｲ::::::::::::ﾊ
　 　 .ﾉ:::::イ::;ﾍ::::/:::ﾊ::::::/:::|.､　　 　 　ー 　／::ﾊ::::::::::ﾘ
　 ／///{　　　ｲ::/　 ';:::::::::ｉ　＞ ､　　　 ／ﾊ::::l　|::::::ｲ
. //////ﾊ　 　.イヽ.　 ';::::::i　　 ./､＞.イ//7 ::ﾉ　!:::从
////////ﾊ、　　　 丶、':::ﾘ.　 〈　 ヽ//////ハ ﾉ::ﾂ



準備を終えたアキラが呼びに来たので、荷物を隅の置いた二人は
身なりを整えるべく風呂に向かったのだった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━……

三２６９．
━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ⌒）（⌒)
.　|　　u　 （__人__)
　 |　　　　　 |r┬|}　　　　「うわ、こんなに真っ黒だとは」
　 |　　　　　 |　| |}
.　 ヽ　　　　　｀ﾆ}
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　/　　　 く
.ｒ'⌒'～'⌒'～'⌒''ヽ
（　　　o　　　　●　 ）　ﾌﾞｸﾌﾞｸ
..）　　　　。　○　　 （
（　　0 　　　　O　　 ）
'●'～'⌒'～'⌒'～'´



毎日何度も水浴びはしてたのになぁとセッケンの威力を実感したやらない夫が
全身を黒い泡だらけにしていると、同じように体中を洗っていたジュンは
少し太くなった腕の力こぶを確かめていた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃::::::::/::::ヾ:::i::::ヽ:::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::/:::::::::i:::｀:::::::}::: ﾄ:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::ｨ/:/:::::::: L:＿ ∧:ﾊ::::::::::|ヾ:: l>､::ﾐ､:::::::::::::::V:＿:::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　/:::／ /::/::::::::::::ﾊ　　　 il　i::::::: l　刈　　≧ﾐ> ､::::::::<　 ヽ::::::::::::i＼ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　../／　./:::::i::::::::::::ﾄ:ﾊ 　 　 　 l::::://_ ィ=彳司 ||＝=￣｀{　i }:::::|＼ゝ. ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i ::::::ﾊ:::::::::::|＼ゝ＿__　 |:/　r/ ´ ｲt jﾊ ||　　　　ﾉ //::::::i
　　　「見てよ、　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::::::::::ヾ:::::::|::::::ヾ´ ≧ミ､ィ'''ヾ　　 ゞ┴ﾉﾉ　　　　｀./:::ノ｀
　　　少し腕が太くなったみたいだよ」　　　 |::::::／i::＼:::V::::彳 ｨ芯､}}　　 ｀ミ＝＝''　　　　　r'´:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::/　　|::::::>:K ヾ､　_ゞノ　, 　　　　　　　　　　　 |／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/　　　ヽ/　ヾ　｀ーt　　　｀ _　ノ ﾌ　 　　　 /　 |　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀　　　　　　ヽ　　　｀ー´　　　　　　 ／￣　　　 _　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　 ､　　　　　ノ　　/　　　　 ／　￣￣ ヽ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞-イ |　　〃　　 .／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /￣il　 /／　／-= ' ´　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 V/ ヽ=.//　　　／￣￣￣＞＝-　､

三２７０．



　 ／￣￣＼
／　　 ヽ_　　＼
|　　　 （⌒ ）（⌒）
| 　 　 　 （__人__）
|　　 　 　 ｀ ⌒´ﾉ　　　　「頑張った成果の一つさ」
.|　　 　 　 　 　 }
.ヽ　　　　 　 　 }
　 ヽ　　 　 　 ノ
　　　/　　　 く
.ｒ'⌒'～'⌒'～'⌒''ヽ
（　　　o　　　　●　 ）　ﾜｼｬﾜｼｬ　　　　　　　ｼｭｯ
..）　　　　。　○　　 （　　　　　　　　　　　　-=三○
（　　0 　　　　O　　 ）
'●'～'⌒'～'⌒'～'´



と言いつつ、死角からセッケンを投げつけるが―――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 /|,　-──---,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈　　. :.::::.:.:.:.｀`く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ　　ﾋｮｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠.:／.::ﾊﾊ|:::::::::1::::.:.:.:.　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ム:从r'''''|/Ｎ:::|.;;;!;;;;;;;「￣
　　　　　　　　　　　　　　　　「おっと」　　 　 　 .l/N￣|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `|￣ﾉ└‐┘｀`ウ'ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼ ー' ,..ィ二［
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.ｒ'⌒'～'⌒'～'⌒''ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　o　　　　●　 ）　ｺﾞｼｺﾞｼ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..）　　　　。　○　　 （
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　0 　　　　O　　 ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'●'～'⌒'～'⌒'～'´



ジュンは見事避けてみせる。

三２７１．



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）　　「良いぞ、しっかり周りは見えてるな」
.　|　　　　 （__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



　　　　　　　　　　　　　　　　i: : : : : : : :',　　　 ＼: : : : : : : : ヾ: :＼'´＼:＼＼,ﾍ: ＼: : :r-､＼: : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　. ,':ﾊ: : : : : : :',　　　　 ＼＼: :＼: : :＼: :＼r''ｨ＝=..､￣ヾ＼:ヽ ｀i: ＼: l￣
　　　　　　　　　　　　　　　/:/ l: : : : : : : :',　　　＿_ ＼＼: :ヽ＞､:ゝ/　llっ::::芯}　　ll　iー｀.|:＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　:/　.|: ﾊ: : : : : ::',ｨ''´　　＿ミヽ ＼:ヽ　　ﾒ　　ゞﾐ=歹　　.ll　l　}　l: /:＞- '
　　　　　　　　　　　　　　　　　.|::i .',: : : : : : ', 　 ｨ彳＝ﾐ　ヽイ ￣　ヾ　 　￣　　　 ﾉ　|　 ./i: l＼i
　　　「任せてよ！」　　　　　　 |:|　',: : : : : ﾄゝ/　{il::::::と､　 ',　　　 　 ＼＿＿＿／　 |､_/:/:/＞ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:|　 ',: :ﾊ: : :ﾄ､　　ﾍﾐ=夕　　 i　　　　　　　　　　　　　il: : /:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i　　 ',;i　ヾ: i ﾍ　　 ￣　　 ／　　｀　　　 _　 　 　 　 ∧从/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　 ';　　从＼＿＿ _ィ'´　　　　_ ィ''´ /. 　 　 　 /　i/　　　　,- ─ '
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀,_　＼　　　　　　　 ｀- 　　 　 　 　 /　　ﾄ- - -/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣ ヽ.>､　　　　　　　　　　　　　／　　　ヽr=''´￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',ﾊ＞-　 _　　　　　　　／　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ:ﾊ　 ヽ｀　　ー　　　　　　　 /　　　　　／￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r＝-､ >､　 ＿ ＿ ,,　　　 ./　　　　／　￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿＿／　　　　＿ヽ＿　 　 　　　./　　　／　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼　　　／　　　　　　／ ..ー
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼''´　　　　 ｨ ' ´

三２７２．
それで泡を洗い流した二人は、熱いお湯に浸かりながら顔を見合わせ、
腹の底から大笑いした。



　　　　　　　　　|　| 　 | |　 　 　 　 　 ||　 　 　 　 　 ||　 　 　 　 　 | |　　　　　　　|　:|　|
　　　　　　　　　|　| 　 | |　 　 　 　 　 |[]'　　　　　　 |[]'　　　　　　 | | 　 　 　 － 〈ニ|　|
　　　　　　　　　|　| 　 | |　 　 　 　 　 ||　 　 　 　 　 ||　 　 　 　 　 | |　　　 　 .／ |　:|　|
　　　　　　　　　|　| 　 | |　 　 　 　 　 ||　 　 　 　 　 ||　 　 　 　 　 | |　 　　　　./ .`ｰ|　|
　　　　　　　　　|　|;:;:;:;＿|￣|＿|￣|　 |￣|_|￣|＿_|￣|_|￣| 　 |￣|_|￣|＿|￣|　 　　.|　|
　　　　　　　　　|　|;:;:;:;|＿　 ＿||　 |￣　 　 |　 |　　　　 |　 |￣　　　|　 |　　　 ￣|　　|　|
　　　　　　　　　|._.|;:;:;:;:;ｒ┘└へ|　 |二ｺ ┌'| 　|二ｺ ┌|　 |二ｺ ┌'|　 |二ｺ ┌┘　 |._.|
　　　　　　　 ／ ∧∧ 〈 〈]　 ﾟ,、〈|　 |　o　 ヽ|　｜ o　 ヽ|　 |　o　 ヽ|　 |　o　└「￣＼|
　　　　　⊂＾⌒つﾟДﾟ)ヽ-ﾍ_>ﾉ_ﾉ|＿|､＿ハ/|＿|､＿八ﾉ|＿|､＿ハ/|＿|､＿ハ/｀⊇.ノ
　　　　 ／ ／／ ､ili,l.｡ ) ）　､/ﾙ'二≧、　　～～ 　 　..ノ　､　、　　　～～　　／ ／
　　　／ ／／　　　　　～ イ　、 ｨ　　､:._　～.～　　　　⌒ ⌒） l～～　　　／ ／
　 ／ ／／　　　　　　　　.ｲ　_ﾊ｢¨lｲﾔ::. ゝ　　　　（　） （人__）　|～　　　／ ／u
／ ／／　　　～～～～　　ヽｲ{＿H__}ｿ 　　　　～( ) ヽ　 　 ノ～　　／ ／
_／／　　　　　　　　　　～～　ｙ 　-　/´　　　　　　　　　　　　　　 ／ ／ij
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣　／
[]|￣|'ｌｊ |￣|￣| u'|￣|￣|￣|￣|!j' |￣|￣|￣|￣|U''|￣|￣|￣|￣|[]||
[]|　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |　 |[]||

三２７３．


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 .、　ノ　、
　　　　　　　　　　「今日の正午が集合時間だ。　 　 ● ●） l
　　　　　　　　　　 登録証を持って城に行けば　 　 .（人__）　|
　　　　　　　　　　 案内があるそうだぞ」　　　　　　　ヽ　 　 ノ



　､/ﾙ'二≧、
イ　、 ｨ　　､:._　　　「父さんから聞いたのか。
ｲ　_ﾊ｢¨lｲﾔ::. ゝ　　 あとは剣を買いに行けば準備万端だな」
　ヽｲ{＿H__}ｿ
　　ｙ 　-　/´

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.、　ノ　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　● ●） l
　　　「そうだな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（人__）　|
　　　………そうだ、ジュンは鎧はあるのか？」　　　ヽ　 　 ノ



真剣を使っての試合である以上、防具の着用も自由に認められている。
まさか服で出るわけにもいかないぞ、と言うと
ジュンは少し考えて大丈夫、と頷いた。



　､/ﾙ'二≧、
イ　、 ｨ　　､:._　　　「父さんのお古があるよ。
ｲ　_ﾊ｢¨lｲﾔ::. ゝ　　 ブレスト・プレートだけど」
　ヽｲ{＿H__}ｿ
　　ｙ 　-　/´



どの程度の集まりかは知らないが、十七歳から二十二歳の騎士希望の試験である。
注意するのはシンジぐらいだろうから、彼の防具についてはそれで大丈夫だろう。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ノ　､　、
　　　　　　　　　「十分か。　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ● ●） l
　　　　　　　　　 俺はそろそろ、　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 （人__） u|
　　　　　　　　　　新しいの買わないとだなぁ」　　　　　　　 ヽ　 　 ノ

三２７４．



: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、　　　　　「えっ？どうして？
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll　　ﾞﾞﾞ!l,,、　　　　 良くは見てなかったけど、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli,　　　 ﾟﾞ=:　　　　立派なプレート・メイルだよね？」
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀



傷だらけではあるが青銀色に光り、錆やくすみの無いあれはきっと魔法金属の一種、
ミスリル銀のものだと思っていたジュンはもったいないと言ったのだが、
やらない夫は切実なんだよと眉をひそめる。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　「背が伸びたせいか、きついんだ。　　　　　　　　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|
　　　　　 綿入れなしでもそろそろ限界だな。 　 　 　 　 　 　 　 　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　ﾉ
　　　　　 半年ぐらい前から、探してたんだが………」　　　 　 　 l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



ジュンは平均的な身長と体格であるが、彼はかなり背が高く肩幅もあり、何より胸板が厚い。
武器と違って大きさの影響をかなり受ける防具は、材質、品質、形状以前に
まず自分に合った大きさを探すだけでも一苦労なのだ。

三２７５．


: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ
: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}　　　「ええっ。
ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}　　　　 やらない夫はまだ背が伸びてるのか」
ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （●）（● ）　　　|
　　　　「親父も大男の部類だったからなぁ、　　　　　　　　　　 （__人__）　　　　 |
　　　　 きっと遺伝だろ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　（　　　　　 　 　 |
　　　　 この間の武具屋で目星は付けてあるんだ」　　　.　　　　{　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂ ヽ∩　　 　 く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | '､＿ ＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　|　 |_＼　 “　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ､ ＿_＼_／



鎧売り場になんか近づかなかったのにと首を傾げたジュンであったが、
そろそろのぼせてきたのでもうあがろうと促し、二人は脱衣場へと戻った。

三２７６．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　「これからどうする？」　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 { 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 |



朝食まではまたしばしの時間がある。
先にエンジュ様に挨拶に行くかと尋ねると、悪戯を思いついたジュンが提案し



　／::::::::::::::::::::::::::::/::::＼:::::|::::::ヽ:::::::::::::::::＼::::::::-──
_,,- -ィ::::::::::::::::::::/::::::::::i:::V::::::::::::>:::::::::::::::::: ＼:::::＼
　／::::::::::::::::::::／::::::: : :|:::::V/￣　V:::::::::::::::::::::::＼::::ヽ
/::::::ィ:::::::::::::::{:::::::::::::::i: |￣　　　　 V::ﾄ:::::::::::ﾊヽ;;::ゞ:::ﾍ
:::／:::::::::::::::::::|::::::::::::::ﾊ:|　　 　 　　 |::i　＼:::::::}:::::ﾄ-;;::::ﾊ　　　　　　「………知らん顔して、
/:::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::| ﾘ───''　 i:ﾘ　ﾆ彡:::iト､;ヽ ＼::i　　　　　　朝食に出てみようよ」
:::::::::::::::::::::::::::::|::::::: :: |＿,,,-＝＝=ヽ/　_||=__ﾒ:|　||　　　ヾ
::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::-::|＞''￣=.ィ-　 ||＝||{t..:jｱ　||
::::::::::::::::::::::::::::i＞＼:: |||ﾏﾊ廴ｿ　　..川　ﾊ￣　iノﾉ
:::::::::::::::::::::::r-､}''´　＼||　￣　　　 //　 ﾉ ｀￣ |´
::::/i:::::::::::::::| /ヽ　　　　ヾ＝=─''´´　　　　　 /
:/　|::;;::::::::::ヽ　　＞　　　　　　　 ｀ー -　　／
　　ﾚハ:::::/i::::::≧::-:､　　　　　　　　　　／
　　　　 ﾚ'　￣￣￣Yi　　　　　　_＿__./ ＿
　　　　　_...-:::'´￣￣｀:-..､　　　 |ー-　∧　}､＿
　　　 i: : : : : : : : : : : : : : : : ｀::-.┴..､: /: :}: :}: : : ヽ
　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : ヽ　/::/: : : : ∧



珍しく年相応の笑みを浮かべたやらない夫が乗った。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　⌒　　⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 （●） （●）　|
　　　　　　「ははは、　　　　　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）　 |
　　　　　　そいつは面白そうだ」　　　　　　　　　|　　 |r┬-| 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　|　　 `ー'´ 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　_ ゝ　　 　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　／　　 　　　　　｀ヽ




顔を見合わせてにやり、と笑い合った二人は朝食の時間までジュンの部屋に身を隠す事にした。
ロビーに置いてあった荷物を運ぶ途中にまたアキラに会ったので、
今日の朝食は自分達の分も用意してくれるよう頼んでおくことも忘れない。

三２７７．



　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ　　　「隣はヒナの部屋だから静かに………」
　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　 i￣￣ i　　　　　 ￣￣￣　　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、
　　　　　　　　　　　　 _r'´　 レ"　　 _ﾆ=′　　　 二ﾆ= 　 ＼
　　　　　　　　　　　rく ヽ 　 j　,-=ﾆ¨ 　 　 　 イ=‐- ､　 　 >"



　　 　 　 　 , -―- ､
　　　　　　/　　　　　＼
　　　　　 /　　＼_　　　|
　　　 　 (●) （●）　　 |　　　「了解だろ………」
　　　 　　(_人__)　　　 /
　　　　　 l｀⌒´　　　 /
　　　　　　|　　　　　　ヽ
　 　　　　__!､＿___／　　＼
　　　　／､ ヽ　　　　　r ､　ヽ
　　 　ﾊ ヽ Y｀l　　　　 |　 >　 Y
　　　{　ヽ_ゾﾉ　　　　　|　ﾚi i i}
　　　｀¨´　　ヽ　　　　ハ　 `'''
　　　　　　　 　>　　 /　ﾍ
　　　　　　　　/　　/ヽ　 ﾍ
　　　 　　　 _,/　　/　ご_ノ　　ﾋﾀﾋﾀ
　　　　　　（　ヽ　/
　　　　　　 ＼__ノ

三２７８．
音を立てないように扉を閉めたやらない夫はジュンに倣ってソファに身を沈めてみたが、
やはり落ち着かず腰をもぞもぞさせてしまう。



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　, ノ　 ､ ヽ
　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 　 　 　 l（● ●）.l　　　　（やっぱり落ち着かないな）
　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 　 　 　 | （_人_）u|
　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ 　 　 ノ!
　　　　　　　　　　　　　　　 （,⌒￣￣￣　　　　　　　￣￣￣,⌒） 　　　　　　　　　
　　　　　　　　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣/　　　　　 /　￣￣￣￣￣￣￣|￣￣￣|
　　　　　　　　|: : : : : : : : : : : : : : : : : /　　　　　 /:::: : : : : : : : : : : : : : : |:::::::::::::::::|
　　　　　　　　|: : : : : : : : : : : :-――'　　　　　 /:::: : : : : : : : : : : : : : : : |::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　|: : : : : : : :／ 　　　　　　./⌒ヽ/:::::::: : : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::::::::::::|
　　　　　 ／￣￣￣￣./　　　/￣￣ ./　　/:￣￣￣￣￣￣￣￣￣／:::::::::::::::::::|
　　　 　./:::::::::::::::::::::::::/　　　/:::::::::::::/　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::|
　　　　〈:::::::::::::::::::::::::/　　　/:::::::::::::/　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈::::::::::::::::::::::::::::|

三２７９．



　　/ ／.:/.: 　 i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
　 　 l.:.:./ .:.:　.|.:.:.:l..:/l.:.:/　|.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
　　./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/　 |/　l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
　 /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ　　l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|　　　「僕は野営に慣れたのに、
　 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ　lﾄV　　　　　 やらない夫はこっちには慣れないね」
　　　l.:.:/l .:　ﾊ:lN{　辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ　l1 l
　　　l:/　l.:/　　 lL_ ＿＿ノ　 ,　　ヽ _二 ノ.:.:.
　 　　 　 l/　､__',　　　　　　　 　 　 　　 /　.:.:.
　 　 　 　　　　　ヽ　　　　　r‐‐ｯ　　　/.
　 　 　 　　　　 　 入　　　　　　　 ,..ｲ.:.
　 　 　 　　　.　'´　i.:.＼＞ -- ＜/
　 　 　 　／　　 　 |.:.／＼　 　 ノ.:



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | 　（●）（●）　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　!　　（__人__）　 |
　　　　「そりゃ、全然近づいてもいなかったしな」　　 　 　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ミ）　　 　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　|　|／|　　　　 |　|


察したのだろう、にやにやと笑うジュンに
どっぷり浸かったそっちと違って性分じゃないんだよ、
と肩をすくめたところでアキラの気配が扉の前に立った。

三２８０．



　 　 　　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__
　　　　　| |￣￣￣||　￣￣￣￣￣||￣￣|_|
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 |l　 　 | :|
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　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
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　　　　　| |　 　 　 ||:　　　　　　　　||　 　 | |
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |　　ｺﾝｺﾝ
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　　　　　| |　l|￣l　||　　 　 　 　 　 |l　 　 | :|
　　　　　| |　l|: ; l　||　　 　 　 　 　 |l　 　 |_,|
　　　　　| |　l|(,０　||　 　 　 　 　 　||　 　 | |
　　　　　| |　 ￣　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
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　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 |l　 　 | :|
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 |l　 　 |_,| _,.. -‐''"
　　　　　| | 　 　　 ||　　 　 　 　 　 ||_,.. -‐''"
　　　　　| |　 　 　 ||　　　　 _,.. -‐''"
　　　　　| |　 　 　_||,.. -‐''"
　　　　　|_|,. -‐''"
　_,.. -



続いたノックにジュンが空いてる、と応えると扉を開けたアキラがそっと囁く。



　　　　　　　,::／ヽ_／:::::／::::::::::::ﾘ::::::::::::|i::::::::::::｀丶、
　　　　　　/:::ﾄ.､._/::::::::/::::::::::::::::/:::::::::::::: ﾘ::::::､:::::::::::::::ヽ、
　　　　　 /::::j 　 j:::::::::::::::::/:::::::/:::::::::::::: /:::::::::::';::::::::､::::::::＼
　　　　 ,ｲ:::::::〉ｰｲ:::::::::::::::ﾊ::i:::: ﾊ::::::::::::/::::::::,､:::::}::::::::l:::ﾊ. 　゛
　　　　 i::::i::::弋　}::::::::::::::i::::|:::::::|:::::::::::i::::::::: ハ::::ｌ:::::::::i:::::i
　　　　 i::::i::::::::ﾞiｲ:::::::::::::::|::::|:::::::|::::::::::i:::::::/　 ﾞv::::::::/::::::ﾄ､　　　　「ジュン様。
　　　　 |:::::::::::::::|i:::::::::::::::i::ー─--::::ﾊ:::::ﾊ　 　}:-─:::::::/:ﾘ　　　　 もう皆様席につかれましたよ」
　　　　ﾉ::::::::::::/´i :::::::::::::i: ｨﾃ斥ミｭ､ゝｲ　}　 /ｨｭ､:::::::人
　　 ／ﾊ:::::j::::{んl:::::::::::::: i:::{弋::':cﾘ　　　　　,ｲ:｡ﾘ :／:!
　　　/:::::::::i::::::ヽ':::::::::::::::::i:::i　 ｀￣｀　　　　　｀" |::::::::::!
　　./:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::'ｉ:'　　　　　　　　 〉　　ハ::::::::}
　 　 イ:::::::::/::::::::: ﾊ:::::::::::ハ　　　　　　　　 　 ,ｲ::::::::::::ﾊ
　 　 .ﾉ:::::イ::;ﾍ::::/:::ﾊ::::::/:::|.､　　 　 　ー 　／::ﾊ::::::::::ﾘ
　 ／///{　　　ｲ::/　 ';:::::::::ｉ　＞ ､　　　 ／ﾊ::::l　|::::::ｲ
. //////ﾊ　 　.イヽ.　 ';::::::i　　 ./､＞.イ//7 ::ﾉ　!:::从
////////ﾊ、　　　 丶、':::ﾘ.　 〈　 ヽ//////ハ ﾉ::ﾂ

三２８１．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃::::::::/::::ヾ:::i::::ヽ:::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::/:::::::::i:::｀:::::::}::: ﾄ:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::ｨ/:/:::::::: L:＿ ∧:ﾊ::::::::::|ヾ:: l>､::ﾐ､:::::::::::::::V:＿:::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　/:::／ /::/::::::::::::ﾊ　　　 il　i::::::: l　刈　　≧ﾐ> ､::::::::<　 ヽ::::::::::::i＼ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　../／　./:::::i::::::::::::ﾄ:ﾊ 　 　 　 l::::://_ ィ=彳司 ||＝=￣｀{　i }:::::|＼ゝ. ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i ::::::ﾊ:::::::::::|＼ゝ＿__　 |:/　r/ ´ ｲt jﾊ ||　　　　ﾉ //::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::::::::::ヾ:::::::|::::::ヾ´ ≧ミ､ィ'''ヾ　　 ゞ┴ﾉﾉ　　　　｀./:::ノ｀
　　　「よし、行こう」　　　　　　 　　　 |::::::／i::＼:::V::::彳 ｨ芯､}}　　 ｀ミ＝＝''　　　　　r'´:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::/　　|::::::>:K ヾ､　_ゞノ　, 　　　　　　　　　　　 |／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/　　　ヽ/　ヾ　｀ーt　　　｀ _　ノ ﾌ　 　　　 /　 |　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀　　　　　　ヽ　　　｀ー´　　　　　　 ／￣　　　 _　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　 ､　　　　　ノ　　/　　　　 ／　￣￣ ヽ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞-イ |　　〃　　 .／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /￣il　 /／　／-= ' ´　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 V/ ヽ=.//　　　／￣￣￣＞＝-　､



頷き合った二人は、おかしそうに手を口に当てている彼女に片目をつむって礼を言うと
部屋を出て食堂へ向かった。

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三２８２．
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　　 　 ／　,ィ´-イ{ ,、　}ヽ｀　￣ヽ､　｀　 ヽ
　　　 {i　　ゝ､ヽ, -/ |ﾐⅦﾑ　　 ヽ　ヽ＼　小、
　　　 ヽヽ ..{ ｀ﾏ　 ,’|`~´　}.| i.　 }､ } } . ＼　　　　　「今日が約束の日ですね。
　　　　　｀￣7　， i| i　　　,ﾘi.i-┼‐i-’ﾇ= _ ．}　　　 二人は元気に帰ってくるかしら」
　　　　　　 /,　,{　 iﾊ､_　　　//’_」」、}￣､　}/-､
　　　　 　 ,’,ｲ i|ヽ ／　‐ ､_ ゝ.'´￣ .ﾉ　　}〉'､ヽ
　　　　　　{ iﾊ i{ゝ､ｰ-ｨ'¨ ﾘ ,　 ｀ｰ''´､　,i-'　i}
　　　　　　 ヾ ヽゝ{少　_／ ｀_ -,　　 ゝﾆィ 〃
　　　　　　　　　　{i/{. ヽ．_　｀ ´ 　 .ｨ　{/.､
　　　　　　　　　　 ヽ､{　　 ヽ¨　匕　　 ｀ .V } /
　　　　　　　　　 、_ノ/　　}.ﾋ'　　.| 　 　,,　-ヽ､
　　　　　　＿　　￣ { {　 ｲ’￣　/　才´∠￣　ヽ
　　　　　 {::::ｰ￣￣≧-ゝ{ヽ　／／／　／´



いつもと少し雰囲気の違う食堂では、朝からそわそわしっぱなしのノリに加え、
もちろん自分も成長した我が子を見たくて仕方が無いエンジュが落ち着かない様子であった。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　/　'　　 　 　 　 l 　 　 l 　 　 　 ヽ＼　　 丶　　＼！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/ /　　　　　　 ! 　 |　　　 |　　　　 　 ＼丶　　 ＼　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐十'′/ /　　　　　　　l　　ﾄ、　　 |　　　　 ＼　 ＼　　 　 ヽ、 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ　 {　ｌ　 ,′　　 l　 ﾊ　｜｀､　　ﾄ､ 　 　 ヽ　<⌒ヽ、_　　　∨厂｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、ヽ|　 l 　 ｌ 　 |　{　l　| 　 ヽ　 、丶、 ヽ ＼＼ l　}　￣二7′　　　l
　　　　「やらない夫が一緒だ、大丈夫だ」　 　　　　　　 ｌ　 |　　| 　 |　ﾚ七ﾆ二￣＼丶　 }ﾍ |＼ ｀ / 厶　　　ハ　!　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　ﾄ､＼　ヽ＼=ｷｔぞﾗ　　}ﾉ／　j/　　了/￣　　 /　 }∧ 　 l |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ヽ｀ヽ、　＼__￣　　　　　　／　 　 -ﾍ／ﾚﾍ /＿,　　l 　 | ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ}　　｀7ｰ一′　　　　　　　　　 ,′　　 　 {´￣｀ヽ､い |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 Ｖ了＼ 　 り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└-- ､　　　　 ,　　　　　　　　l 　 　 　 ∨ 　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰこ￣　　　　 ,　　　　|　　 　 ／　　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ,　く　　　　 l　　 ／　　　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀一'´／ ∧　　　/　／　　　　/　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ィ　 /／! 　 ' ／　　　 　 /　　 　 　 ＼



僅か九日。
しかし、あのやらない夫と一緒となれば事情が異なる、期待するなという方が無理かもしれない。

三２８３．



　　　　　　　　,ｨ冖冖冖ｰ ､　　　 ,ｧ= = = ､､
　 　 　 　 　 / .{!　　　　　 ヾ,_／7　　 　 　 !}
　 　 　 　 ／ 　 {!　　 　 -_､ﾉﾆ/- ―-　.._/f
　　　　　 ゝ　　　{l,. - ﾆア　　　 /　　　 　 ｀丶、
　　　　　　 ゝ_,.　'　 ／　 /　　 /　　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　´￣＞イ:./　./:l 　 .:!:..l:.　　　　　l　　　 ヽ
　　　　 　 _.　´　l l:.:|　 :|:.:|:.._.:.l-:r‐:､　　.:. .:|:. .　　　',
　　　,. -ﾆ ､　 　 ｌ:l:.:l:..:.:l:..'l´::.:.|.ヽ｀ヽ:...:./:./l､|.:.　 　 |
　　 l　　　　 ｀ヽ､..ヽ:.ヽヽヽ,ィﾃｯ下　j／／/ｲヽ!.:.://　　　　（ヒナは見てたから知ってるの。
　　 ヽ-　 ､　　__ ＼∠Ll_ヽ ､ー_' 　 　 　 ｢ｯ!l/:.:／　　　　　　えへへへ）
　　　 ｀｢:＞ミ:l l l　_:ヽ‐- ､l　 　 　 　 　 , ヽ' lﾆ三‐-､
　　　　 ヽ_ヽヾ l l/ l:.:.:l=z_-|　　　　 ` ｰ　　　lュ_┘__|
　　　　 　 ヽヽ　　　＼!:.:T⊥　　　　　　 　 ノつ-‐ フ
　　　　　　 　 ｀>､　 　 Y.:ノ　　　　　　, ィｰ--‐　彳
　　　　　　,.　'´ /ヾｭ.　 |ヾｭ　　｀Tニ´イk　　 r‐ '
　　　　 　 |　　,ﾊヽ、ヾｭl 　ヾｭ、_,>´　 ! ヾｭ　!ヾｭ
　　　　　　l 　 |　ヽ､ヽ､｀ヾｭ　`冂ニ､/:ヽ. ヾ｣　 ヾｭ
　　　　　／｀　l　　　 ヽ､ヽ､ ヾｭT、　l　＼＼ヾｭ_　ヾｭ
　　　　　'､　　 |　　 　 　 ヽ､ヽ､ヽ:ヽ.l　　　ヽ:ヽ ヾｭ ヾ}
　 　 　 　 ヽ　 |　　　　 　 　 ヽ/!|:ヽl　　　　　ヽヽ､｀７′
.　　　 　 　 ｀lV 　 　 　 　 　 /　!l:::::|　　 　 　 　 ヽ/
　　　　　　 /　l　　　　　　　/:|　 !l::::ｌ　　　　　　　/



一方、雛苺はずっと兄の成長する過程を見ていたので、
父や姉程には待ち構えていないつもりであったが―――

別の理由で、結局そわそわしていたりする。



　　　　　　　　　　　 　 ＿_　 ＿
　　　　　　　　　　　 　 ヽi┴┴┴＜ヽ 　 　 　 　 　 　 ＿　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　|:. :. :. : : :. :.＼ﾇ　　r‐､rf≧‐┴┴┴‐ﾚ
　　　　　　　　　　　　　　|: : : : : : : :. :. :.Y》イ_fﾁ:. :. : : : : : : : :./
　　　　　　　　　　　　 rf∧: : : : : : : : :. :.i: : : i : : : : : : : : : : : /
　　　 　 　 　 　 　_rf／.:.:/: : : : : : : : : : L:. :.j : : : : : : : : : : /ヾx-=、
　　　　　　　 　 rf／: : : /.: : : : : : : : : :/ﾉ 「(ﾊ.: : : : : : : : :./:.|: : :｀ｰ┴､
　　　　　　　　　￣￣/'〈.: :. : : : : :.,-=ん、 rvヾ, : : : : : : : : : | : ＿／￣
　　 　 　 　 　 　 　 /　∧.:.:r‐≦彡ｲT´个升个ﾄ、: :　: :　:　| : ﾄ､｀ｰ-､
　　　　　　　　　　　| ./|:.:.ﾗﾅ才T| | | |　 |　 | l| 「Tミ、: : : ／.:./　　　／ヽ　　　（やらない夫さん、やらない夫さん。
.　　　 　 　 　 　 ／ﾌ　|:.,イ　 |l　| | | |　 |　 | l|｜|ヽﾐ=--气:./　　} /∠二、　　 お話ししたい事があるのよ）
.　　　　　 　 　 /　/丶,ﾚ　li　 |i　|八. ﾄ､ |　 | lハ !　ﾄ､|　|ﾑｲ ,ｲ_,イr‐ｧ／
　　　　　　　　　⌒)アフ／ﾊ イ匁「｀ﾄゝ｀ﾄ　| 「Ｔナく　|　i イ　ﾑ-‐ｧ/ {
　　　　　　　 　 (_//／/　　乂,.ィfみﾐx　乂ﾉｨfみﾐxﾊ/ /／　　　,ｲム-ﾐ、
　　　　　　　 　 　ヽ,イﾌ ／} ,ﾊ 込匁ﾘ　　　 込匁ﾘ ∧ ﾉ|／ﾌ／/　　　_)}
　　 　 　 　 　 　 　 〃 / / 'ーﾞ-,´¨｀　　.　　 ´'¨｀ 厶ハ ≦三_ ア __
　　　　　　　　 　 　 ヾムィＺフ大′　　ｰ -　　 　人￣Ｚニ　／/＿ノ)
　　　　　 　 　 　 　 　 　 ゝ二＞-≧ｖ-､　　 ,. ＜彡イ＜⌒(／ゝ-＜
　　　　　　　　　　　 　 ／: : {::::イ￣｀ヽ::〉-ｲ-─‐┐::７: :ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 /: : : :人::::l: : :／孑个ｰ､: : : |:::/: : : :.ヽ
　　　　　　　 　 　 　 ヽ: : : : :∧::｀彡イ::| l:|.:｀ヽ＼/:/: : : : : : 〉
　　　　　　　　　　　　　〉 : : / : ￣:. :./:/ |:|: : : :＼,ｲ: i: : /: :/
　　　　　　 　 　 　 　 /: : : :j: : : : : : j:::}:l |:|: : : : : : :.|:.|:. :. :〈
.　　　　　 　 　 　 　 〈 :l: : ｲ :　:　:　:|::{.:| |:|: : : : : : :.Ｋ: : : :∧
　　　 　 　 　 　 　 　 ヽ|/.:j :「幵}: : j:/.:| ﾄ|、:.:「幵i :|.:∨ /: /
　　　　　　　　　　　 　 /: : : /ﾅﾅ :/::} : |/ : ヽ |幵ｷ !: :ヽ: :ｲ
　　　 　 　 　 　 　 　 /.: : .:ｲﾅﾅ:./::ｲ: : ||: : : :N幵キ: : : : :〈

三２８４．



　　　　　　　　　　　　　 _,,,-==ニ三二ニ==- 、
　　　　　　　　　_,,;;-='.:´.:.:.:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:｀"'=- 、
　　　　　　 ,,;;;'´ ミヽ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:｀"'-、
　　　　　／ヽ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;＿,,,,,,...........,,,,,,,,,,＿:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:＼
　　　.／ヾ:;:;:;:;:;:;:;:;, -='"´: : : : : : : : : : : : : : : ｀"'=- 、:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:＼
　　 /ミヾ:;:;:;:;:;／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ:;:;:;:;:;;:;ヽ:::::ﾊ
　 ./ミヽ:;:;:;:;／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .＼:;:;:;:;.ヽ::,ﾊ
　/ミﾐヽ:;:;/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ﾊ:;:;:;:;i::::::ﾊ
　i三ﾐ:;:;/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ﾊ:;:;:;:i;.:.:.:.|
　,iミヽ∥: : : : : : : : : : : : : : : : ,ヘ　ﾍ　　 .: : : : : : : : :: : : : :: : .i:;:;/.:.:. i
　ゝ⌒ヽ: : : : : : : : : : : : : : ＜ヽ く"ヽ ／ヽ: : : : : : : : : : : : : : ./.:.:.:.:∥　　　　　　__
　.｀iヽ=-ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ./.:.:.:.:.:/　　　　　.／　 ｀ヽ
　　ヽ.:｀ヽ .＼: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ／.:.:.:.:.:/　　 　 　 /　　　／
　　　ヽ.:.:｀ヽ、｀ 、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : _,,-'"´.:.:.:.:.:.:/　　 　 　 /　　／
　　　　＼.:.:.:.:｀ヽ、｀"'-;;;,,,,.... ____________......,,,,;;;;;-'"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/　　 　 　 / 　 /
　　　　　 ヽ、.:.:.:.:｀'＝=ー;;;;....,,, ______ ,,,,....;;;;ー＝'´.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　　 　 　 /　 ./
　　　　　　　＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　　　　　 ／　／
　　　　　　　　　｀ヽ、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_,,=-'"´　　　　＿,,／　／
　　　　　　　　　　　　｀ -==、 ___＿＿ ,,,....= ' ´　　　　　　 .／　　::::::、〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　.). .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　　　.／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、＿,,,／



やがてスープが運ばれてきたのだが、並べられた器の数が多いとエンジュが言った。



　　　　　　 　　 _ ＿＿ _ _
　　　　　　,．'"´ 　 　　　　､`ヽ､
　　　　　/　　　i　　　　ﾘ ヽ ､　　＼
　　　　/　　 　.:ﾚ′ 　 j　　i !.:. 　　i
　　 　 l　　 　.:/　　 , /　 i .::|:::.:l　　|
　　 　ﾉ　　　 ,.ｨｲ.:::/　　.::l.:|:|::::::|:::.　ﾄ､
　　 彳　　,ｨｲ 1:|::,'　 .:;ｨｲハi::::::|::.:.:.ヽ|　　　　「待ちたまえ。
　　　|.:.:|, ｲ‐ﾘ-ﾄﾄ､::.;ｨｲ仁＝ト-ヾ::::.:.:.ﾄ､　　　 まだジュン達は戻ってきていない、
　　　ﾄ､:i　{ r‐ェﾃ ヽl/　''ﾃェ‐ｧ .:!.:ﾄ､:;!/　　　 これでは数が多すぎる」
　 　　 ヾ::､　　　　,　　　　　　　　!/::／
　　　　　 仆　　 　:j ､　　　　　　ｲ:/
　　 　 　 　 `､　　　_ _　　　　　/i,ハ
　　　　　　　　ヽ　　ｰ ｀　　 ／ .|;;;:;:|
　　　　　　　　　`ﾄ､ ＿__ ／　　 !;;:/､
　 　　　 　 　 /.::::|　ヽ　　 /　　 l::::.:.L



我慢できなくなったアキラが壁際でくすくす、と笑ったその時―――

三２８５．



　　　＼　　　　 　 ＼　＼　　　　 | ,,,--'''''￣　| // ＿,,,,--┐ 　 |　／　　＿,,,...---
. 　 　 　 ||￣　/l‐|、-/l　＼┌'￣|　　　 ＿,,,,-ゥ/i｀ヽ、　　.ィ-ァ|　| 「￣' 　 |
. 　 　 　 ||　 ./,'　| | |、|￣''''ー-____,,--''''',,,-'''~/　 ＼|..　.／／　|　| |　　　　|
. 　 　 　 ||　//==| |=|/ー-＜￣__,--'' ￣　　 /.　　 　 ／／.|　　|　| |　　　　|
―--,,,___||_// ┌| |‐---,,,,__￣|　|　|　　　　.　　 　 ／／　　|　　|　| |　　　　|
＿＿＿ .||l /|　| 'l |　　　　　|　|　|　　　　　　 　 ／'''~. 　 　 |　　|　| |＿,,,,--|--''''
====┐ .||/. |　|　|l.　　　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |　　　　|
　 　 ||　 ||/ .|　|　'!　　　 　 .|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |　　　　|
　 　 ||　 ||　 |　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |　　　　|
――||―||　 |　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |'.―|‐.| |-,,,,,__　|＿,,,,
　 　 ||　 || 　|　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |--''''￣|'''''--
　 　 ||　 || 　|　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |‐-,_____|
　 　 ||　 ロ(()==| 　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　＼|　　|　| |　　　　|｀''--
　 　 ||　 ||　 |　|.　 　 　 ／ .|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |＼..|　| |　　　　|
　 　 ||　 ||　 |　|.／　 ／. 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　＼|　 ＼ |,,,,....--- |----
　 　 ||　 ||　 |／　 ／..　　　.|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |＼..|..＼...　＿__|,,,,,,,,,,



間を計っていたジュンが食堂の扉を勢いよく開ける。



　　　　　　　　 /|　　,　イ　　　　　　　　　＝＝‐
　　　｀､　　　 / { ／　　　　　　　　　　　　　`丶、
　　　　ヽ＼　 { |/　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　乂ヽ { |　　　　　　＼　　 　 　 　 　 　 ＼　、、
　　　　　　 ／　　 、　|　 　 　 ` 丶、　　　　　　　ヽ ヽヽ
　　　　,　',／ // 　 ＼|、　　 ``　‐　 `_ヽ、　　　　、ヽ　ﾞ.
　　　 ノ　/ ///　|i　|``lヽ　　　　 ＼　　`‐ `=-　　 ＼ヽ　　　　　「いや。
　　　　　//|　　　ﾚ! | 、ヾ 、ﾔ　＼　ヾ＼　　　　　　ヾ ｝`　　　　　それで良いんだ、父さん」
　　　 　 i//　/　　 | ヾ　ヽぃ i iヽヽ＼ヽ,,,＼　　＼| | ﾊ!
　　　　　　|//　　　H Aﾄ-仆ヽぃ ヽ! xｨ勿 }}＼ 　 `ﾚ′
　　　　　　 /| ,,　 ｷ,,x=≠=x,　ﾚ ヽ　ｲ弋_歹　! ＼ヽヽ.
　　　　　　　 |/|　| 代 勿 }}　 　 　 　 　 　 　 ト ´|` ゝ
　　　　 　 　 　 | / ヽ `‐゛　 　　　　　　　　　,′| | ＼
　　　　　　　　　　　ヾ!　　　　　 ヽ　　　　　〃| |ヽ!　　＼
　　　　　　　　　　　　ヽ＼　　　　-一　　／ /|/　　　 _ ,-ﾝ
　　　　　　　　　　　　　＼ `ト　、_　 _ ／ | /　　_, ‐ ´　 ﾉ
　　　　　　　　　　　／´｀ヽ,.|　 　 ￣　____|　)_-（_ 　 , ／
　　　　　　___∠Y ′ ∠,ヽ　ヽ _,-‐ ´´　 ）‐}　　 ￣
　　　-‐￣　　 /　　￣＿,´｀￣丶_　　_／ ／　　　,　ヽ＿
　　/／￣＼ /　　　＜__／ .`　ー´￣ ／　　 ／/　　　　￣ﾄ､
　ノ　　　　／　　　 ｰ 、 ＼ 　　＼　／　　／／　　　　　／ ＼
ノ　　　　ハ　　　　ｰ- ...`ヽ`ヽ　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　/　人＿ノ_ノ ´ ヽ、＿　　　　ヘ＿＿＿＿　／　　　　　　 ヽ

三２８６．



　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　 （__人__）　　　　　　　　「おはようございます、皆さん」
　 　　　 　 　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/'　 `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/



すまし顔の二人は驚く三人を尻目に平然と食卓について、
ただいま戻りました、と頭を下げた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〃ゝイ: : : : rｰｧﾉ　 )　/⌒ヽゝ/ ゞ心rゝ_: : : : : : :iﾄ收ゝ : : : :/: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'/ 　 　!: : : : ゝ（ 　 Y ﾉ /　 〃　 ﾉ　 ゝ收jゝ: : : : : ゞγtﾏ : /: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | !　　　 V: : : : : ) '　 lゝｲ　 /　／　　／_ノゞ收ゝ,. : : : iﾄ收∨: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l !　　　　V: : : :（ ゝ　　　　　ノ　 　＜ヽ ゝ　 ゝtフテv__:ゞ=/: : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ ＿＿　ノ: ／　　　　　　　　　　　　|!ヽ. ヽ　 　{收jﾏtフ : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ´V ′ 　　　　 '　 　 ! ! 　 　|!∧＼ ヽ　 ゝﾎtﾊ : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.// 　 　 / 　　|　 ′! |　 　 |!　 'ヾ i　',. 　　rﾎj!: : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .'′　　　′　　 !　 !　! !　　 │ !│ '　 | ヽ　 ゝrtゞ.: : : : : : : :
「なぁんだ。　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ′　　　 !　! 　　!　 !　! ヾ.　　! ,j!_|__ |　|　 '　　 !ｯrj＼: : : : : : :
お兄様達、帰ってきてたのね」　　　　　 　 .! 　 　!　 |　!　　 !　 !　!　　ヽ イ | | |!l| ∧　!　　 ゝﾊﾚ': : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 .! 　 　!　 | ハ　　ゝ　',　ヽ　　i/ ,.!_!ﾉ=ﾚ.､ﾊハ　　ﾚ／ `…ー-r.-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.!. !　　V　ヾ　_ゝ ヾ＼＼ハ/从イ::::::::. _!ヾ /　 ／　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　ヽ!ﾊ ゝ　　!ｨ＼ヾ＼iヾ ヾゝ ゝ′ rz:::ﾉ i　,.' ／ ヾゝ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼＼＼　ゝヾ_,. =`､　　　 　 　 ゝ - ' / （.. __＿ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.ゝゝ ゝ∧-ﾊ::::::r! 　 　 　 　　 　'''/　＿ _　　（ゝ.._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼ !　ハ　ゝン　　､　　　　　,.r' ´ 　　　｀ ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .j／∠ゝ ,,,　 　 　_　 ノ ／イ"フー_ - ─＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 .∠__ ..．-‐ゝ. 　　 　　　 ((　_jノ_j/イ,: ⌒:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 √ __ ＞__ ― r_-ゝ' ´: : : :.:/: : :∧: :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾚ ´ _ ヽ　 `r ´ : : /: : : : : :/: : : : : :ゝ-…
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 {_ (´_ノr-‐ '「: : : : : : : : : :/: : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　 　 　 /ゝ- /: : : : : : : : : : : : 〆: : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　l |/: : : : :/: : : : :.／: : : : : : :／ : : : : : :


そんな事だろうと思ったのよ、と一番先に我に返ったのはやはり雛苺。

三２８７．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 _,　　　~￣￣￣¨　 　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. -=ミ　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　⌒＼　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　/　　　　 　 　ヽ　 ＼　＼　　　‘,＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｰ=彡' ／ 　 ′　　　　　　　八　　　　　 　 　 ∨ﾐﾒ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　　　ｉ　　　　　 | l 　 　 ＼　 ＼　 　　　|　　ﾊ
　「驚いたぞ。　　　　　　　　　　　　　　　　 ′　　 |l　 |　　　ﾘ ﾄ　　 ＼ 　 、 ヽ乂_　ﾘ　　 ﾘ
　 戻ったのなら挨拶ぐらいせんか」　 　 } i　　 | 八　|　　 '/ 八＼　_ 　 、＼ 介廴'　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ人　 戈トﾐ人　/_以rｾ爪ヽ　|　＼ 介ﾄ /　　 ｛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〃　 } l　 弋均ﾊ/ / 法功㌃ ｝ |　 爪ト　/　　 　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾉ人个ト　/　 　 　 　 　 ﾉ ﾉ　/ﾉﾘ　/　　 　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 }乂_ /　　　　 　 　 _彡ｲ厶ｨ 　｛ 　 　 j从
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 八人 ヽ 　 　 　 　 　 　 /　乂从ﾊ }　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼｀~`'　　 　 　 , 　 ／　 ￣V八ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼　　 　. イ 　 '｀ 　 　 　 ∨/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｀´　r‐ '"　 　 　 　 　 '¨￣＼､



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　／.: : : :.:.:.::l.:.:./.:ミﾐ､ｨｲ彡i.:.:.::l:.:.:.: : : : :､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ . : : :.:.::l.:.:.l.::/ 1:lミﾐV/彡l.:.:.:.l.:.:.:.:.:..:. : : ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　: : : :.l.:.l:.:.:l.:l　 |.:l´｀`'"´　|.:.:.:l:::::::::::::.:.:.:.: : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　,′. : : l:.:l.:.l.:.:.l.:l　 |.:l 　 　 　 |.:.:/l.:.ﾄ､:::::::::l.:l.:l.:.:.:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i.:l.:.: : : l:.:l.:.l.:.:.l:.l＿|:.lノ　 　 ､_|./_.j.::! i:::::::.:l.:l.:l.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |.:l: : : : |.:.l.:.K´l:「二l/　　　　　l'￣l./｀|::::::./.:l.:l.:.:.:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |.:l: : : : |:.:l.:.l.ィ行〒｀ヽ 　　 / ィ行〒ﾃ.::/i.://:.:.;′
　「そうよ～？　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:ハ. : .:l:.:ﾄ､l/ l f:11　 !ﾆﾆﾆ!　　iﾄ‐ｲ! l:/ l//:.:./
　 つい今さっき、　　　　　　　　　　　　 　 　 　　 __ヽ.:.l.:.|ﾄ､. ヽりﾉ　ﾉ　　　 ',　　リﾉ　 ﾉ ハV
　 二人の事を話していたんだから」　　 　 ,．'´. : : .｀Yい ｀ー‐一'　　.　 　 ｀ｰ---‐'　,ﾍく::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ . : : :.:.:.:.:.:.::＼ヽ　　　　　　'　　　　 　 　　/_ノﾉ.:',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l : : ::::.:.::.::::::::::::「｀ヽ　 　 　- ‐‐-　　 　 　.ｲ.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |: : :::.:.:.:::.::::::::;． '"´ ＼　　　　 　　　　／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |: :.:.:.:.:.:.:.::／　　　　　 |｀ヽ､ _＿ _,. ィ ´￣｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧:.::.:.:.:.::/ 　 　 　 　 　|　　 　 　 　 ﾉ　　　 /.:.::::::::::::::i

三２８８．
完全に予想外だったのだろう、咎めるような父と姉に眉を動かしたジュンは
凄かったんだよ、と理由らしき事を告げ、



　／::::::::::::::::::::::::::::/::::＼:::::|::::::ヽ:::::::::::::::::＼::::::::-──
_,,- -ィ::::::::::::::::::::/::::::::::i:::V::::::::::::>:::::::::::::::::: ＼:::::＼
　／::::::::::::::::::::／::::::: : :|:::::V/￣　V:::::::::::::::::::::::＼::::ヽ
/::::::ィ:::::::::::::::{:::::::::::::::i: |￣　　　　 V::ﾄ:::::::::::ﾊヽ;;::ゞ:::ﾍ
:::／:::::::::::::::::::|::::::::::::::ﾊ:|　　 　 　　 |::i　＼:::::::}:::::ﾄ-;;::::ﾊ
/:::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::| ﾘ───''　 i:ﾘ　ﾆ彡:::iト､;ヽ ＼::i　　　　「汗と土でドロドロだったんだ、
:::::::::::::::::::::::::::::|::::::: :: |＿,,,-＝＝=ヽ/　_||=__ﾒ:|　||　　　ヾ　　　 身なりを整えてたんだよ」
::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::-::|＞''￣=.ィ-　 ||＝||{t..:jｱ　||
::::::::::::::::::::::::::::i＞＼:: |||ﾏﾊ廴ｿ　　..川　ﾊ￣　iノﾉ
:::::::::::::::::::::::r-､}''´　＼||　￣　　　 //　 ﾉ ｀￣ |´
::::/i:::::::::::::::| /ヽ　　　　ヾ＝=─''´´　　　　　 /
:/　|::;;::::::::::ヽ　　＞　　　　　　　 ｀ー -　　／
　　ﾚハ:::::/i::::::≧::-:､　　　　　　　　　　／
　　　　 ﾚ'　￣￣￣Yi　　　　　　_＿__./ ＿
　　　　　_...-:::'´￣￣｀:-..､　　　 |ー-　∧　}､＿
　　　 i: : : : : : : : : : : : : : : : ｀::-.┴..､: /: :}: :}: : : ヽ
　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : ヽ　/::/: : : : ∧



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　/　'　　 　 　 　 l 　 　 l 　 　 　 ヽ＼　　 丶　　＼！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/ /　　　　　　 ! 　 |　　　 |　　　　 　 ＼丶　　 ＼　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐十'′/ /　　　　　　　l　　ﾄ、　　 |　　　　 ＼　 ＼　　 　 ヽ、 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ　 {　ｌ　 ,′　　 l　 ﾊ　｜｀､　　ﾄ､ 　 　 ヽ　<⌒ヽ、_　　　∨厂｀丶、
　　「それで、修行の成果は 　　　ヽ、ヽ|　 l 　 ｌ 　 |　{　l　| 　 ヽ　 、丶、 ヽ ＼＼ l　}　￣二7′　　　l
　　　どうだったのだ？」　　　　　　　　　 ｌ　 |　　| 　 |　ﾚ七ﾆ二￣＼丶　 }ﾍ |＼ ｀ / 厶　　　ハ　!　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　ﾄ､＼　ヽ＼=ｷｔぞﾗ　　}ﾉ／　j/　　了/￣　　 /　 }∧ 　 l |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ヽ｀ヽ、　＼__￣　　　　　　／　 　 -ﾍ／ﾚﾍ /＿,　　l 　 | ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ}　　｀7ｰ一′　　　　　　　　　 ,′　　 　 {´￣｀ヽ､い |
　　（なんだ、これは―――）　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 Ｖ了＼ 　 り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└-- ､　　　　 ,　　　　　　　　l 　 　 　 ∨ 　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰこ￣　　　　 ,　　　　|　　 　 ／　　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ,　く　　　　 l　　 ／　　　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀一'´／ ∧　　　/　／　　　　/　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ィ　 /／! 　 ' ／　　　 　 /　　 　 　 ＼



尋ねながらもエンジュは、自分の息子が予想よりも二回り以上成長している事を見て取った。

三２８９．



　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　 　　 　 〉 　 ?　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　　　　「やらない夫から太鼓判をもらったよ。
　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　　　　　朝食の後、庭で見てみる？」
　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>
　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /
..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　 ヽ.　 ″　 　 ｌ　　 　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､
　　　＼　 　 　 l.　,.-‐' 　 　 :　ﾚ' ′　　く !　 //　　　　　　　 　 / 　 　 　 ヾ、
　 　 　 |　　　　.ﾄ''　　　　　　! .|　r―┐　 | ,//　　　　　　:. ｌ　 /　　　　　　　｀ヽ、



控えめな言葉の裏には確固たる自信が隠されている。
目つきには自信があり、幼かった顔は形を潜め、精悍さが驚くほど増していた。
鍛錬の間で別れた時はひ弱だった少年は、覇気を纏う男に成長して戻ってきたのだ。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　/　'　　 　 　 　 l 　 　 l 　 　 　 ヽ＼　　 丶　　＼！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/ /　　　　　　 ! 　 |　　　 |　　　　 　 ＼丶　　 ＼　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐十'′/ /　　　　　　　l　　ﾄ、　　 |　　　　 ＼　 ＼　　 　 ヽ、 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ　 {　ｌ　 ,′　　 l　 ﾊ　｜｀､　　ﾄ､ 　 　 ヽ　<⌒ヽ、_　　　∨厂｀丶、
　「………なるほど。　　　　　　　　　　　　ヽ、ヽ|　 l 　 ｌ 　 |　{　l　| 　 ヽ　 、丶、 ヽ ＼＼ l　}　￣二7′　　　l
　 お前をやらない夫に預けたのは　　　　　　 ｌ　 |　　| 　 |　ﾚ七ﾆ二￣＼丶　 }ﾍ |＼ ｀ / 厶　　　ハ　!　　　|
　 正解だったようだ。　　　　　　　　　　　　　　　　l　ﾄ､＼　ヽ＼=ｷｔぞﾗ　　}ﾉ／　j/　　了/￣　　 /　 }∧ 　 l |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ヽ｀ヽ、　＼__￣　　　　　　／　 　 -ﾍ／ﾚﾍ /＿,　　l 　 | ﾄ
　 やらない夫、ありがとう」　　　　　　　　　　　　　　　ヽ}　　｀7ｰ一′　　　　　　　　　 ,′　　 　 {´￣｀ヽ､い |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 Ｖ了＼ 　 り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └-- ､　　　　 ,　　　　　　　　l 　 　 　 ∨ 　 〉
　　（まるで別人。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀ｰこ￣　　　　 ,　　　　|　　 　 ／　　ハ
　　　私は夢を見ているのか？）　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ 　 　 ,　く　　　　 l　　 ／　　　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀一'´／ ∧　　　/　／　　　　/　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ィ　 /／! 　 ' ／　　　 　 /　　 　 　 ＼

三２９０．


　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　　「いいえ。
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　 全てジュンの努力の賜物で、
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　　　俺はその手伝いをしただけです。
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ　　　　　　　　　　 とにかく修行の結果がきちんと形になりました、
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、　　　　　　　　 是非見てやってください」
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ



自分の作った下地、本人の努力と才能、やらない夫の修行。
どれが欠けても今のジュンにはならないと分かっているが、
出来れば自分の手でここまで開花させたかった、と思うのは少し贅沢だろうか。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rf(￣ヽ　-―　´￣￣　｀ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,へく入/￣￣￣￣　｀ヽ、　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　／　イ　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.、　 ∠ 　/ 　　　　｝　ヽ　　　｀ヽ、　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣.フ´./ 　 　 　 /　　ﾊ　　 V　 ＼　 　 ヽ. 　　　ヽ
　　（―――いや、認めるのだ。　　　　　　　　　　／ ／　　　　　 /　　　 {　　　ヽ、 　　　　 ヽ 　　　:.
　　 私では適わなかった。　　　　　　　　　　　　. '/{/　　 　 　 　 i　{ 　 　 ＼　＼ ＼＿.ノ　　 ＼　　 }
　　 私には見えない可能性を　　　　　　　　　　.八 }　　/　　　　 !　Ｖ　 　 　＼　} ￣｀　　＿ ＼.ヽ.　l
　　 やらない夫は見る事が出来る―――）　　 　 /　 ,ｲ.　　　i　/＼_ヽ_.､.　　　ヽ!　＿ ノ　　　　、.、ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 厶.イ八 　i　| ,イ￣ヽ.＼＼i ヽー―く￣　￣　ヽ、∨
　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ヽ{　ヽ. {八 { ﾃt::: ｧヾ. ､.!　　}、　>) ｀ヽ＿＿_ ヾ{__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀　　ヾ!　ヽ、 ￣ 　 　 ﾉﾊ ﾉ ） //　　　　 ￣｀Ｙ　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 　 　 　 　 　 ノく.＿〃-――　 　, ｲ　　　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　 　 　 　 　 ´ 　　/￣フﾌﾂxz､／ .ノヽ　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ _ _　　　　　　 /: : : : : : 　 {ト､ 　 　 ｿ人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　ノ: : : : : :　　 ∧. }! 　　(’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ -― く´: : : : : : :　 　　∧ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}＿＿＿＿＿＿_∧＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　∠ ＿＿＿:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＿_ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::￣￣￣￣￣::::::::::::::ヽ



その慧眼は息子の可能性を何処まで見いだしているのか。
エンジュは、もう少し後にその一部を知らされる事になる。

三２９１．
それで父が口を閉ざしたので、今度は私とノリが頭を下げた。



　　　 　 　 　 　ヽ＼イヽ ヽ　l, - ､!|　　, - ､　　　 冫､_
　　　　　　　　　 ／ゝー＼／　 ,ﾍヽ　/,ﾍ, 　＼_ ‐'／　＼
　　　　　 〟=＝ィ￣冫￣゛　　/　 ヽ〃　 ',　　ヽヽ⌒ヽ　 ヽ
　　　　〃 　／　 　 　 　 　 　 |～ゝ〃～ｰl ヽ　　　　　ヽ　ヽ
　　 〃　　ｲ　　　　　　　　　　 !　　　 　　　! lヽ　､　　　ヽ　ヽ
　 /　　　ｲ /　　　　　 ,ｨ　l　|　|　　　　　　 ! | ヽ　l　　　 ヽ　 !
　l|　　 ///　　l 　　　/ |　」 」 」　　　　 　 | /　ヽ |　､　 ､ ヽ |　　　　「ジュン君、良い体験になったみたいね。
　l　　//　! j　 !　　　l ,イ´l |「 !|　　　　　 ナ＝-|､ﾊ　|　 |ヽヽ'　　　　やらない夫さん、ありがとうございます」
　　　l |　 | ||　 ﾄ、　彳　ゝ=从ヾ、　　　 ,-二-　|/|ト､|　 | ヽ|
.　　　!|　 l | ヽ ヽヽ、| ィ7てうゞ　l _＿ / ,ィ⊂ゞﾄ、 /〉 ,/ 　ﾘ
　　　 ヽ　ヽ　 ﾄ､〈 |`ト7 l､`‐'_》　ﾘ'￣`lj　 i| ゞ´》 ゞ/ノ-、 /
.　　　　　　　　l ゝへ',　　-ニ´　/　,　 ヽ　　ﾆﾆ´　'´ﾉｒ^ |/
　　 　 　 　 　 〃ヽ、ゝー---‐'　 〈l　 　＼_　　 _,／ヾ､〃
　　　　　 , - -!|〈＼｀ｰヽ　　　　 ､― -,　　　￣　/_, ィ |l､_
　　　　　ヽ、　||　ヾ､>ー＼　　　　` ´　 　　　／ゝ彡イ||　`ヽ、
　　　　　　 |　ヾ、　　|　　　｀ヽ、　 ´ 　　,.ィ ´　r '　　 ∥　,　 ,ゝ
　　　　 ヽ=ｨ　 ｨ ,― '　　　　　|　｀ ｰ ' ´　 ﾄ、　`ー-､〃　ヽ〈_
　　　　　　 ヽ〈ヽゝ　　　　, イ´l　　　　　／　ヽ、　　ﾉｲ〉　ﾉ`ｰ ′
　　　　　　　　ヽ　　　 ／　/　 l　　　 ／　　 /　＼　 ヽ- '
　　　　　　　　　 , -‐/　　/　　 !　 ／　　　 /　　 /`-､
　　　　　 _, -‐'´　　/　　/　＿ |r亠ｰ- 、　/　　 /　　 ｀ヽ 、
　　　 , イ　　　　　/ 　／'二,ゝ l,. --‐ ⌒ヽ　　 /　　　　　　`ヽ､



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　「いえいえ。　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　 本当に俺は大した事してません」　.　 　 　 {　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 mｍ 　 ヽ 　 　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⊂　￣￣￣　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　￣￣￣|　　　　|

三２９２．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／´￣ヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }}
　　　　　　　　　　　　　＿＿,.ヘ　　　　　丿
　　　　　　　　　 ,　'"´／ヽ　ヽ／ヽﾌ￣|´＿
　　　　　　　__／- ´/ 　 ∧//ﾊ 　 ＼/ヘ￣｀ヽ､
　　　　　　/〃　　　　　ハム〃ﾊ　　 ｀　 ヽ　　　ヽ
　　　　　　Y　　　/　　 |~´　　￣|　　 　 　 ﾊ　　　 }
　　　　　 /　　 　l:　.l:　|　　　 　 |　.l 　　 ヽハ 　ノ
　　　　 /　　l　.:|ﾊ:.:.ﾄ､. ! ,.､ 　　 l:./|:.:　|　 　 |　　　　　　　「やっぱり男の子同士だと
　　　　 ! l :.:.l :.:_|__!:」 ィヾ　　　 ゝ/ 1:.ﾚ:. 　 l: |　　　　　　　いろんな話、しちゃうのかしら？」
　　　　 ! l:.:.:.l:.:.:|　__ヾ￢　　 　 ノ__`メLl_　/|ソ
　　　　 ヽﾄ､:.|:f:l;之i歹`　i ＿i　仍ぇ､ ィ／ノ
　　　　　 __ムﾊ ￣､､､　ｿ　　p　~´´ ＾/ ハ
　　　　/(　{{:.｀∧ー-‐_´　 　, 丶､~_,ノノｰﾉ､
　　　　{ 　.:ヽ:.:.:.:.＼　 ヽ `_ｰ_ｧ　 ..イ　　´（__ ノ
　　　　ﾉ　　:.:.:.:.:.:.:.:〉＞､ _r∩- 个:.:.:.:.....　 ヾ
　　　f（ . ..:.:.:.:.r "´　 }　 r| | |〈　 ｀ヽｊ:.:.:.:.:.:.リ
　　　　i／´¨辷ー7´/　/1 !　 }＼（ノ-‐ァ⌒ヽ
　　　/ 　 　 　＼/　|_　{ ! 　　|.〉 ヽ _／Ｏ　　 ヽ
　　　　　　Ｏ　　 ＼|__/　　　 /ム／　　　 Ｏ　 `,
　　　　　Ｏ　　　　　　{_ ィｧ´/　　　　　　 l　 o　 |


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ・ ・ ・
真面目な挨拶をしたと思ったら暴走の兆候を見せるが、ジュンがさらりと別方向に誘導し、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
「ちょっとだけね。　　　　　　　　　　　 　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
聞いてよ姉さん、やらない夫ったら　　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
意外にもてないらしいよ？」　　　　　　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i￣￣ i　　　　　 ￣￣￣　　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r'´　 レ"　　 _ﾆ=′　　　 二ﾆ= 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rく ヽ 　 j　,-=ﾆ¨ 　 　 　 イ=‐- ､　 　 >"

三２９３．
見事食いつかせる事に成功する。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 l::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. .:.:.: ￣｀`ヽゝ- _ﾉ:ﾉ､
　　　　　　　　　　　　 　 , -‐='ﾆ´.:.:.:.:　　.:.:.:.:.L,.::ﾍV/^ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／,.ィ.:.::／:; . .., .;ｨｲ.:ｨｲﾐ彡ﾍ::.:. ﾞ､
　　　　　　 　 　 　 　 　/:〃.::.:://.:/.:::/:/ /::://^"｀`ヾ:::::l:ﾄ､_
　　　　　　　　　　　　　l//.::/://::/::::/l/ /.:;.ｲノ　　　　';:::l:ﾄ､!::.ヽ
　　　　　　　　　　　 　 　l.:.:l/l/:l/l:::/　 一' 　　　 ヽ___, !::l:l:::!:::::l::!　　　（なるほど、鈍感系男子なのね。
　　　　　　　　　　　 　 　l::::l:::ﾄ､VV（　　＼　l ┌_＿　 /:l/:::j!::::l::!　　　　これはヒナちゃん苦労するかも。
　　　　　　　　　　　　　　 VV:::ﾉ　　ヽ_ ￣ノ⌒1 ＼　/::/:／l::/l/
　　　　　　　　　　 　 　,　-‐1い､　　' ' ' ' ' 　 　ゝ--j::ノ´　 l/　　　　　　でもでも、チャンスよね！）
　　　　　　　　　　　　〈　　.:.::ﾄ､ __　　　　 |￣｀7　' ' 'ﾚ'⌒ヽ
　　　　　　　　　　　 _ノ　.:.:::::i::!`ヽ＼.　　 |.:.:.:/　　 ノ.:::::.:.:.l
　　　　　　　　　　　 /　.:.::::::ﾉﾉ 　 　|＼　 l:.:/ ,. イ ＞=､.:.:ﾉ
　　　　　　 　 　 　 〈(⌒¨¨´,r‐- ､ _」 __｀`二´ ／　　　 V
　　　　　　　　　 　 　 　 　/　/　ノ/rttｭ 7´ﾚ'´ ./　　　　',
　　　　　　　　　　　 　 　/　/　に八___ノ/　| !.:/　　　　　,!
　　　　　　　　　　　　　　', 」　　//　ﾄ､/_＿」 !:l /　　　 V　　　,r--‐┐
　　　　　　　　　　　　　　 V　 //　　 / ￣｀`7V　　　　　}_r'⌒ヽ ,/　ﾉ.ｰ､
　　　 rﾉ￣｀`ヽ__　　　 　　l　 l/　　/　　　／　{　　 　 ,.ｲ l　 　 ﾉ<､ヽヽﾉ
　 　 ﾉし'´￣` 「 7⌒ヽ､ 　.l　 ﾄ､ ,.ｲ .:.:::／.:.:.:.:::|　　／　 V 　　 し'　）ﾉﾉ
　 　 }_ﾉ　　 ,.r:|/　 　 　 ｀`ﾄ､:.',　/.:.:／.:.:::::::::::::|　/　　　　＼ﾉ.:ﾉ`"´
　 　 (_＿_ノ　 L_ .　　　 　 {ハヽ|.::/.:.:.:::::::::::::::::| ﾉ　 　 　　　ﾌ´

＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／
　　　　　　　　　　　　　　○
　　　　　　　　　　　　　　　　　ο
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　o
　　　　　　 　 ／　,ィ´-イ{ ,、　}ヽ｀　￣ヽ､　｀　 ヽ
　　　　　　　 {i　　ゝ､ヽ, -/ |ﾐⅦﾑ　　 ヽ　ヽ＼　小、
　　　　　　　 ヽヽ ..{ ｀ﾏ　 ,’|`~´　}.| i.　 }､ } } . ＼
　　　　　　　　　｀￣7　， i| i　　　,ﾘi.i-┼‐i-’ﾇ= _ ．}
　　　　　　　　　　 /,　,{　 iﾊ､_　　　//’_」」、}￣､　}/-､　　　「あら～、意外ね？」
　　　　　　　　 　 ,’,ｲ i|ヽ ／　‐ ､_ ゝ.'´￣ .ﾉ　　}〉'､ヽ
　　　　　　　　　　{ iﾊ i{ゝ､ｰ-ｨ'¨ ﾘ ,　 ｀ｰ''´､　,i-'　i}
　　　　　　　　　　 ヾ ヽゝ{少　_／ ｀_ -,　　 ゝﾆィ 〃
　　　　　　　　　　　　　　{i/{. ヽ．_　｀ ´ 　 .ｨ　{/.､
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ､{　　 ヽ¨　匕　　 ｀ .V } /
　　　　　　　　　　　　　 、_ノ/　　}.ﾋ'　　.| 　 　,,　-ヽ､
　　　　　　　　　　＿　　￣ { {　 ｲ’￣　/　才´∠￣　ヽ
　　　　　　　　　 {::::ｰ￣￣≧-ゝ{ヽ　／／／　／´



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ⌒）（⌒)
.　|　　u　 （__人__)　　　　　　「あはは、恥ずかしながら」
　 |　　　　　 |r┬|}
　 |　　　　　 |　| |}
.　 ヽ　　　　　｀ﾆ}
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　/　　　 く　　＼
　　　|　　　　 ＼ 　 ＼
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)､

88 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:31:14 ID:/E6aByTE ジュンが凄すぎるｗ　だれだこれｗ　石鹸の受け渡しとかもう達人だろｗ 89 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:31:53 ID:rmsPANGQ 体じゃなくて脳みそ鍛えたんだろうなｗ 90 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:31:57 ID:tmZU2XZh 鈍感系男子ってすごい言い回しだなｗ

三２９４．



　 　 ／　　 ＿_ヽ、ヽ、, -‐　　　　＼ヽ,ｨ´￣￣j
　 ／´￣￣　rｩ=-＼　ヽ、_,ｨ――-- ､ヽ___ -‐ヽ.
／　　　　　　,＞ｧ‐　丶_rrｽ7´￣￣｀＞ﾈ-- ﾆﾆ､ヽ
　　　　　　／　/ ＿_,.ィゝ､ﾄ'ﾆﾆニニrベヽヽ.　　//
　 　 　 , ｲ　　 ﾞﾗ´￣´/　　 ,′ !｀¨´ヽﾊ¨Lヾ.､_ヽ＼
　 　 ／ /　/　,′ 　 ,′,′i　　|　　　　|､ 　｀iー､--ｬ　　　　　「やらない夫さん、後でお話しするのー。
　 ／　,:′,'　/　 / ,' |___|___|＿_|　　　　j｜　｜', ヽ　',　　　　　昨日の奴らが何を喋っていたか、教えるのよ」
／　　∥　!　||　 |.ｨ'´| __|＿|_、 !｀ !　 /ﾉ_|_ 　ﾊ｜ |　 i
　　 　∥　|　|| '´| |,ｨ´ｨ- ､-ﾐ V　,′/ｲ´ﾉ ｀ｿ､! !　!　 |
｀ヽ､　∥　|　||、 ﾚ',:僞孫}}　 ,ﾉ_,ﾉ_ノ ,ﾉ=、 ,'　ﾉｿ /　 ﾉ
ゝ-､ヽ.|!､ ﾍ.　'､く {{刄fj勺　　　　　,:俐} jノ_ノ´／|／
ヽ､__｀ヾヽ＞､　ヽヾ廴__,ﾉ　　　 　 仗V ﾑ＿ ´-‐ﾍ
／　 ￣ヾ､　 ＼　＼　､､､ 　 　 　弋ｼノﾞハ　｀ヽ､ |
＜￣￣,ｨ‐｀ー-､ス¨｀　 　 　 　 冫 ､､､,′冫、　冫
=､-｀ヽ､＿_ー-r'-､丶、　　 ｒ_ｧ　　　 ノ￣ ＼ ｀ｿ
　 ￣,＞ｫ' r｀ヽ.｀ く＼ ｀＞--― ァ''´￣￣｀ﾌ¨´
　 ／/´ ゝ{- ＿＼ﾉ｀ーヽ.＿＿_ﾉ￣ヽ￣jヽ二ﾌ´
　 ヽ{　　　|´/　　´　　　　＼｀ヽ ￣/￣ﾊ



間髪入れず、多少でも力になれればと夕べから考えていた事を雛苺が言うと、
何か重要な情報が掴めるかも知れない、とやらない夫は頷いた。



　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）　　　　　　　　「無理しなくていいんだぞ？
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　 でも大丈夫そうなら、是非聞いておきたいだろ」
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ

三２９５．



　　|　　　Ｌ　-=ニ二（　　／ /　　　 }　}　}　 ｀ヽ
　　|　　　| ／　　 ´二ヽ（（　{　　 　 '　ﾉノ　､　l！ ､
　　|　　　|'　／ 　 　 ,　 ﾆ二￣ 　 /　 / 　 j ｝ヽし' }
　　|　　　| /　／　／ ∧へｉ　 ! , /　 /ヽ‐=く　　`ｰi
　　|　　　|'　/　／ / /ヽﾊハ ﾉ// ／　} ｝　ヽ＼　　l
　　|　　　| / 〃　/ /　 　 　 ヾ└=￢ァハ 　 　 ヽ ！
　　|　　　|' / ﾍ / /　　　　　　 　 　 //　l|　ｉ　　　',　!　　　　　　　　　（ヒナちゃん良いわよ！
　　|　　　|/ / ∧/　　　 　 　 　 　 //　 .l|　|　　　 Ⅵ　　　　　　　　　　鈍感相手は押すべし押すべし！）
　　|　　 ｜/_,_ ∧　 　 　 　 　 　 //　　 l|　| 　 ｉ　 ｌ|′
　　|　　　Ｋ⌒iく　ヽ　　　　　　　//　　 〃 ,′　|　 ｌ|
　　|　　　|个个}､　　　　　 　 ／ '　　／　/　/　|　 ﾘ　　　　　┼
　　|　　　|^Y^ソ Ｌ. _ 　 　 　 　 ー '´/　/　/}　 ｌ　'′　　_人_
　　|　　　|￣´　 ｌ　　 ヽ.　 　 ,　=＜/　/　//　 ,’/　＋　　Y　　┼
　　|　　　|　　/７ -　_　 〉´　ハｰ个｢ /／〃　ｲ/
　　|　　 ├‐ｧ '　　 　 7′　 V＾Y＾ｿ　 ∠/／ /　　 　 _人_ *
　　|　　　| /　　　 　 / |　　　 ｀¨´　 ,.ｲ　 ｉ} X　ヽ　　　 Y　　┼
　　|　　　|'　　　　　/　 ､　　　　　／ /　 ハ　ヽ　!　　　　+
　　|　　 ｜　　 　 /　　　＼＿ ／_／ ／　 l}　ｌ|　| 　 ┼　 _人_
　　|　 ／⌒ヽ､.._/_＿＿__　 イ ｀7¨¨´}　　/　 l| ｜　　　　　Y　　+
　　| /　　 　 ｀Y　 /　＼　 （(　 /　 ／　イ　　ﾉ,ノ　*



そのやり取りに目を輝かせる長女を見て、
何を考えているかを察したエンジュはやれやれとため息を吐きだし―――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　/　'　　 　 　 　 l 　 　 l 　 　 　 ヽ＼　　 丶　　＼！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/ /　　　　　　 ! 　 |　　　 |　　　　 　 ＼丶　　 ＼　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐十'′/ /　　　　　　　l　　ﾄ、　　 |　　　　 ＼　 ＼　　 　 ヽ、 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ　 {　ｌ　 ,′　　 l　 ﾊ　｜｀､　　ﾄ､ 　 　 ヽ　<⌒ヽ、_　　　∨厂｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、ヽ|　 l 　 ｌ 　 |　{　l　| 　 ヽ　 、丶、 ヽ ＼＼ l　}　￣二7′　　　l
　「今日は私も早く出る。　　　　　　　　　 ｌ　 |　　| 　 |　ﾚ七ﾆ二￣＼丶　 }ﾍ |＼ ｀ / 厶　　　ハ　!　　　|
　そろそろ食事を始めよう」　　　　　　　　　　l　ﾄ､＼　ヽ＼=ｷｔぞﾗ　　}ﾉ／　j/　　了/￣　　 /　 }∧ 　 l |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ヽ｀ヽ、　＼__￣　　　　　　／　 　 -ﾍ／ﾚﾍ /＿,　　l 　 | ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ}　　｀7ｰ一′　　　　　　　　　 ,′　　 　 {´￣｀ヽ､い |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 Ｖ了＼ 　 り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└-- ､　　　　 ,　　　　　　　　l 　 　 　 ∨ 　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰこ￣　　　　 ,　　　　|　　 　 ／　　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ,　く　　　　 l　　 ／　　　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀一'´／ ∧　　　/　／　　　　/　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ィ　 /／! 　 ' ／　　　 　 /　　 　 　 ＼



ようやくにして食事が始まったのであった。

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━━━━━━━━━━……

三２９６．
━━━━━━━━━━……
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騒がしい朝食の後。
やらない夫とジュン、エンジュは庭に出ていた。



　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ　　　「父さん、前に買った剣は
　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ　　　修行の合間に駄目になってしまったんだ。
　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |　　　　今はやらない夫の剣を借りるよ」
　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　 i￣￣ i　　　　　 ￣￣￣　　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、
　　　　　　　　　　　　 _r'´　 レ"　　 _ﾆ=′　　　 二ﾆ= 　 ＼
　　　　　　　　　　　rく ヽ 　 j　,-=ﾆ¨ 　 　 　 イ=‐- ､　 　 >"



　　　　　　　　　l'ヽ､
　　　　　　　　　|: :⌒ｰ..、
　　　　　　　　　|: : : : : : ｰ ､
　　　　　　　　　|: : : : : : : : : `'ゝ､
　　　　　　　　　|: : : : : : : : : : : : `'ﾍl、
　　　　　　　　　|: : : : : : : : : : : : : : :丶_
　　　　　　　　　|: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ ､
　　　　　　　　　l、: : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾍ＼
　　　　　　　　　 ヽ、: : : : : : : : : : : : : : : : ﾍ　.＼
　　　　　　　　　　 ヽ､: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ､ 　＼
　　　　　　　　　　　 ヽ、: : : : : : : : : : : : : : : :ﾍ_　　..＼
　　　　　　　　　　　　 ヽ_: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ_　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　 ﾍ、: : : : : : : : : : : : : : : |＼　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　＼: : : : : : : : : : : : : : :│.. ＼ 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､: : : : : : : : : : : : :│　 　.＼　　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＜ｿ--..、: : : : : : │　　　　 ＼　　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　 ｀''ｰ-.._: : │　 　 　 　 ＼　　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　⌒''弋 　 　 　 　 　 ＼　　 　＼
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　＼　　　 　 　 　 ＼　　 　＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　＼　　　 　 　 　 ＼　　　 ＼
　　


鞘から抜いた、刃が途中から切り落とされた剣を父に見せて肩をすくめたジュンは、
やらない夫から剣を借りると影剣闘を始める。

三２９７．



＿＿―＿＿＿＿＿￣￣￣￣‐―￣￣―‐――　＿＿＿￣￣―――　　＿＿＿――￣￣＿＿＿￣―＝＝
――￣￣＿＿＿￣―＝＝＝━＿＿＿￣―　　――――　　　　＝＝　￣――￣￣＿＿＿￣―＝＝＝━
＿＿―＿＿＿＿＿￣￣￣￣‐―　　　――――　　　　＝＝　￣￣￣ 　――＿――￣＿＿＿￣―


　　　　　　　　　　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|　　　「ハアッ！」
　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　　　　　　　　　　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 　○｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　　　　　　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　　　　　　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　　　　　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /

＿＿―＿＿＿＿＿￣￣￣￣‐―　　　――――　　　　＝＝　￣￣￣ 　――＿――￣＿＿＿￣―
￣＿＿＿￣―＝＝＝━＿＿＿￣―　＝＝　￣￣￣ 　――＿――＿＿―＿＿＿＿＿￣￣￣￣‐―
　＿＿＿―＝＝＝―＿＿＿　　　――――　　　　＝＝　￣￣￣ 　――＿――￣￣―‐――　＿＿＿
￣￣―‐――　＿＿＿￣￣―――　　＿＿＿　＝―　　￣￣＿＿＿￣―＝＝＝━＿＿＿￣―
　――――　　　　＝＝　￣￣￣￣￣ 　――　＿＿――_━￣￣ 　――＿――￣＿＿＿￣―＝



それがやらない夫程で無いにせよ、かなり様になっているので―――



＼＼
　. ＼＼
　　 ,. ＼＼从/
. 　 　 そ　 　て
　 　　 ゝ,　 　 そ
　　　　 "`/'^r 　＼
　　　 　 　 .　 　 ＼＼
.　　　　　　　　　 　 ＼＼
　　　　　 　 　 　 　 　 ＼＼
　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼＼ｷﾝｯ
　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼＼
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ..＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼＼从/
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 そ　 　て
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝ,　 　 そ
　　　　 　　　　　　　　　　　　　 　 　 "`/'^r .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼＼

三２９８．



　　　　　 　 　 |＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |::ヽ／::::::〈 へ、
　　　　　　　　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,-┘:::::::::::::::::::::::::::｀＞
　 　 　 　 　 　 　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::＼
　　　　 　 　 　 　 　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /::〈:::|＾＾|:::::/＼ﾄ､ヽ::::::>
　　　　　　　　　　 　 　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／::::::ﾊ|＿l/l/.＿_-ヽ|:::」　　「セイッ！」
　　　　　　　　　　　　　　　＼ ＼　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 .￣7/.|＿_|─|＿_|- lj/
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾍ. 　__;_＿、 /
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼ ＼　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾌヽ辷フイ{ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼ ＼　　　　　　　　　　　　 　 　 ／::::〈｀l7:´::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼ ＼　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾉ::::::::::::V::/:::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼ ＼　　　 　 　 　 　 　 /:::::::::::7::ﾄ/:::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ ＼　　　　　 　 　 /::::::::::/:::::/::::::::://
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 _ゝ_＼＿ 　　　 ／::::::::::／l ／:::::::::/::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〔＿.○＿ 〕　　/:::::::::::::/　／:::::::::／::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　ヽ,'~つﾆ〉ヾ::::::::/／::::::::::／::::::::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞへノ7 　ヽノ<::::::::::／ヾー--￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 くヲ｀`　 ヽ＜／^ヾフ=／{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. -ヾソ　　ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ' ´:::::::::::::`ｰ‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀`丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- ､_:::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::::r -- ' ´　　　　　　　｀`'ｰ､:::::::::::::



想像も出来なかった成長ぶりにエンジュは言葉が無い。

お世辞にも二流とすら言えなかった基礎だけの息子は、一流の戦士として成長しているのだ。



　　＼
　　　＼＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　 ＼.＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／
　　　　　　＼ ＼　　　　　 　 　 |　　　　 　　 　 　 ／.／
　　　　　　丶＼ ＼丶.　　　　　||　 　　　　　／／ ／
　　　　　　　　ヽ＼ ＼ヽ...　O　|│　　　　／／ ／／　　　　　　　　 　 /'i
　　　　　　　　　＼＼　＼＼　 。./　　 ／／ ／／　 　　　　　　 　 　 /. i　　　　　　　 ／i
　　　　　　　　ヽ　＼＼　　＼＼　.。／／ .／／　　　　　　　　　　　 j　　| 　 .,､-'/／|r" ﾘ
　　　　　　　　〇 　　ヽ＼　　　　　 ／　／／　　　　　　　　　 　 　 |　　|､-'"　,/:|　 ||　/
　　　　　- -＝二二 三 　　　　　　　　　 三二 ≡ = 　　　　　 　 　 |　　 ,,､- '"　|　r'.|/"
　　　　　　　　　　　o　　　　　　　＼　＼＼　。　　　 　　　 　 ,､-'"　　 ii　,／ |　|／ ／|
　　　　　　　　　　 ／／　　　　O.＼＼　＼＼　０　　　 　　 r'"　,､-'|.　 ﾉ　|　　|　　,! |.　|
　　　　 　 　 0　 ／／　 ／ 。// 　 ＼＼ .＼＼　　　　　　 j　 /　　.|.　/　.|　　|　r".| |. /／|
　　　　　　　　／／　／／　　/　｀~´　 ヾ＼ ＼ヽ　　　　　/／ ,ri　 |.　i　 .|　 r'　|　 |.ﾚ''|　 |
　　　　　　 ／／　／／　○/　　。　 　 　 ヽ＼.＼丶　　 　 ／. |　 |　| 　 |／　 .|　/ 　 |. r'
　 　 　 　 ／／ ／／　　　　　　　　　　　　　 　 ＼＼　　　|.　 | 　.|　〉 　 　 　 .|/　 　 |/
　　 　 　 ／.／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 　 |　 | 　 | /
　　　　／／　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |. /
　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |/

三２９９．


　　　　　　　　　 　 　 _,　　　~￣￣￣¨　 　､
　　　　　　　　　　. -=ミ　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　⌒＼　　　 ＼
　　　　　　 ／　　　/　　　　 　 　ヽ　 ＼　＼　　　‘,＿
　　　 ｰ=彡' ／ 　 ′　　　　　　　八　　　　　 　 　 ∨ﾐﾒ
　　　　　 / /　　　ｉ　　　　　 | l 　 　 ＼　 ＼　 　　　|　　ﾊ　　　「相手は誰なのだ？」
　　　　　　 ′　　 |l　 |　　　ﾘ ﾄ　　 ＼ 　 、 ヽ乂_　ﾘ　　 ﾘ
.　　 　 　 } i　　 | 八　|　　 '/ 八＼　_ 　 、＼ 介廴'　　 /
.　　　　　ﾉ人　 戈トﾐ人　/_以rｾ爪ヽ　|　＼ 介ﾄ /　　 ｛
　 　 　 〃　 } l　 弋均ﾊ/ / 法功㌃ ｝ |　 爪ト　/　　 　、
　　 　 　 　 ﾉ人个ト　/　 　 　 　 　 ﾉ ﾉ　/ﾉﾘ　/　　 　 i|
.　 　 　 　 　 　 }乂_ /　　　　 　 　 _彡ｲ厶ｨ 　｛ 　 　 j从
　 　 　 　 　 　 八人 ヽ 　 　 　 　 　 　 /　乂从ﾊ }　 |
　　　　 　 　 　 　 　 ＼｀~`'　　 　 　 , 　 ／　 ￣V八ﾘ
　　　　　　　 　 　 　 　 ＼　　 　. イ 　 '｀ 　 　 　 ∨/
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀´　r‐ '"　 　 　 　 　 '¨￣＼､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 厶＿..　 -‐' '` 　 　 　 　 } :ヽ
　　　　　　　　　　 　 　 　 _,厶;_: : : : ＼　　　　　　　　 { : :lﾍ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　「およそ五割増しのシンジです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|
　 お互い戦技なし、昨日の時点で　　　　　　　　　　　　　　　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　 三十八戦三十八勝。　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　オーラスマッシュも見切れるようになってます」 　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ

三３００．



　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿__
　　　　　　　　　　　　 _　-―――――-＜￣} }!
　　　　　　　　　　　 ´　　　　　 -――７　 く.７./-､
　　　　　 　 ,　 ´　　　　　￣　　,. -―/　　　Ｙ´ ＼＼
　　　 　　 /　　　　　,　　　,　 イ　　 /　　　　　　　 ヽ.｀　､＿.ノ
　　　　　/ 　　　 ,／　　／ 　,/ 　　 { 　 {　　　　　　　＼￣
　　　　 /　　　　/ 　 　 　 　,ﾉ　　　 }　　ﾊ　 }　　　　　、ヽ.
　　　　 |! 　 　 /　　　 　_.／ ,ｨ /　/　　　}　 !　　　　　 ヽ.}ヽ、　　　　「なんと………！」
　　　　 |　　　/　 　 　｀才　 /:/　,　　 　/　/　　　　ヽ. 　ヽ.　}
　 　 　 {　 　/　　､　.＿__.／ /　/ ,.　__/　ハ　　ハ 　 }!　i {
.　　　　 Ｙ　/　　　｀　.ナｰ-r七´ /／７ :/二.!_/}!　}　 ハ ﾊ!
　　　　　| /　,　-―　〈 /　 {!　 ,ｲ | ／ ´tﾃ::ナ}ﾉ ./　/　ﾘ ﾉ
　　　,イ⌒Y´￣￣　　ハヽ (ヽ. i ヾ ､_　　 ￣ ノイ}／　
　　〈　　　人　　――-　ヽゝxくヽ、　　　　　　 　∨
　　 }!　　∧_ ヽ. ,ｘxzrく⌒´ヽ!　　 　 　 　 　 　 ／
　　八　{〈 　 ,.イ}　　 ｀　　　 {　 　 　 　 , 　 _ '´
　　　 }ハﾘ　{´　i　　　　　　　ヽ　　　　　　 /
　　 ノ'　 }! 　ヽ/　　　　　　　　{ヽ.　＿＿_/
　 　 　 　 ＿∠__＿＿＿　　　 ヽ.
　　　　　/: : : : : : : : : : : : ￣￣￣＼
　　　　 入 ＿ ＿＿＿＿＿　　　＿厶、
　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:￣￣:.:.:.:.:.:.:＼



それでエンジュにもジュンが想定している影が見えるようになった、
確かにこの間の試合で見たシンジを底上げするとあんな感じになるだろう。



　　　　　　　　　　　　　　　　 __＿...、
　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿,/:.:.:.:.:.:.:.ヽｰ‐ｭ
　　　　 　 　 　 　 　 ,.イ:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.L.__
　　　　　 　 　 　 　 j:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
　　　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:/:.: /:.:.:.:.: /Vﾍ:.:.:l.:.:.:ハ
　　　　　　　　　　ｲ:.:.:.:.:.:.:.〈:.:.:./:./ ｀"´｝:.:〉:.:.:.:ﾍ
　　　　　　　　　 く:.:.:.:./:./ノ）:ハ:.）　　/:.;ハ:.:.:.:ﾄゝ
　　　　　　　　　　 ）:.ｲ:.〈ハﾘ≧､(　　 ,）斗ト:.γ
　　　　　　　　　　ﾉﾊ/こﾊ）:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..ﾘ
　　　　 　 　 　 　 　 ∨(:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
　　　　　　　　　 　 　 |ゝﾄ　　､_＿＿´　 /
　　　　　　　　　　　　ﾉ从 ヽ　　　　　 ／
　　　　　　　　　　　 　 __|　　＞　　イ
　　 　 　 　 　 　 　 _ｒ┘:.:.￣￣｀|||´|
　　　　　　 _.,..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ｰ:.:-.:.:.:.|||:ｲ¨:...､ _
　　　,. ＜´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}}}.:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.ｰ...、 _
　　 /.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.,
.　/.:.:.:.:.:.:.:.: ∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:ｌ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.: i

三３０１．



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　「そろそろです」
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿__
　　　　　　　　　　　　 _　-―――――-＜￣} }!
　　　　　　　　　　　 ´　　　　　 -――７　 く.７./-､
　　　　　 　 ,　 ´　　　　　￣　　,. -―/　　　Ｙ´ ＼＼
　　　 　　 /　　　　　,　　　,　 イ　　 /　　　　　　　 ヽ.｀　､＿.ノ
　　　　　/ 　　　 ,／　　／ 　,/ 　　 { 　 {　　　　　　　＼￣
　　　　 /　　　　/ 　 　 　 　,ﾉ　　　 }　　ﾊ　 }　　　　　、ヽ.
　　　　 |! 　 　 /　　　 　_.／ ,ｨ /　/　　　}　 !　　　　　 ヽ.}ヽ、
　　　　 |　　　/　 　 　｀才　 /:/　,　　 　/　/　　　　ヽ. 　ヽ.　}
　 　 　 {　 　/　　､　.＿__.／ /　/ ,.　__/　ハ　　ハ 　 }!　i {　　　　　「むっ」
.　　　　 Ｙ　/　　　｀　.ナｰ-r七´ /／７ :/二.!_/}!　}　 ハ ﾊ!
　　　　　| /　,　-―　〈 /　 {!　 ,ｲ | ／ ´tﾃ::ナ}ﾉ ./　/　ﾘ ﾉ
　　　,イ⌒Y´￣￣　　ハヽ (ヽ. i ヾ ､_　　 ￣ ノイ}／　
　　〈　　　人　　――-　ヽゝxくヽ、　　　　　　 　∨
　　 }!　　∧_ ヽ. ,ｘxzrく⌒´ヽ!　　 　 　 　 　 　 ／
　　八　{〈 　 ,.イ}　　 ｀　　　 {　 　 　 　 , 　 _ '´
　　　 }ハﾘ　{´　i　　　　　　　ヽ　　　　　　 /
　　 ノ'　 }! 　ヽ/　　　　　　　　{ヽ.　＿＿_/
　 　 　 　 ＿∠__＿＿＿　　　 ヽ.
　　　　　/: : : : : : : : : : : : ￣￣￣＼
　　　　 入 ＿ ＿＿＿＿＿　　　＿厶、
　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:￣￣:.:.:.:.:.:.:＼



やらない夫の言葉通り、呼吸を整えたジュンは影の動きを見計らい、
必殺の一撃を放たんとしている。
見逃すまい、とエンジュが集中したところで―――

三３０２．



　 |l!1!｜!l　　　　　 　　 　 　 　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|　　　　　　|l!1!｜!l｜!l!
　 ..|l!1!｜!l　　　　　 　 　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./　　　　　　|l!1!｜!l｜!l!
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　　|l!1!｜!ｌ　　　　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|　　　　　i| |l!1!｜!l｜!l!
　　.|l!1!｜!l　　　　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V　 　 　　　l| |l!1!｜!l｜!l!
　　 |l!1!｜!l　|　　　 　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|　　　　　　　l| |l!1!｜!l｜!l!
　　..|l!1!｜!l　|　　 　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /　　　　　　　　　.l| |l!1!｜!l｜!l!
　　 |l!1!｜!l　|!　　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／　 　 　　　　　　　 || |l!1!｜!l｜!l!
　　.|l!1!｜!l　|!　　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／　　　　　　　　　　　　　|| |l!1!｜!l｜!l!
　 .|l!1!｜!l　|!　　 　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´　　　「ハアッ！」　　　　　 .|| |l!1!｜!l｜!l!
　.|l!1!｜!l　|!, 　 　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　 　 i.|| |l!1!｜!l｜!l!
　 |l!1!｜!l　|!i 　￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　l 　 　l:|| |l!1!｜!l｜!l!
　 .|l!1!｜!l　|!l　　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　l　 　 l:|| |l!1!｜!l｜!l!

三３０３．
水月斬の衝撃波が芝生を抉った。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　＿＿＿--ｰ''~二=--‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿　←-　..,,＿,　　 　 　 　 ''ﾞ''.'''''''"''''''￢／　　_,,,,,........---‐っ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　￣^"''''‐ｰ-―'''''''''^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ´　 ´　　　　　 .........ii,i....--ーヽ""￣´　　　　 ,..‐^゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ._,,_,,　．--;;i,,.　　　　　　　　　　.__,,..　-ｰ'''"ﾞ´　　　 　 　 　 　 ,,∠-″／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣￣゛ 　 　 　 　 　 _,,,ﾆ｀-!“゛　　　　　 　 　 　 　 　 ,..-'ﾞ!'",／
　　　　　 　　--＝＝二二二―‐　　 　 　 　 　 ----―'''''"ﾞ´　　　　　　　　　　　　　 : ,,.,､_,, ‐"　 　.'"
＿_,　　　　　 　 　　　　　　　　　　　　_i,,i　--ｰ''''''ﾞﾞ´　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 , / ﾞイ
　.,,｀-｀-!ﾞ''冖'　　　　　　 ﾞ二二ﾞﾞ不￣　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,..イ"‐"
'''"゛　　　　──＝＝lj√　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , ',,､ ‐" .'゛　 ,-'ジﾞ
　　　　 ._,,,,..　-‐'''"゛　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,,ｨlﾘ'"　,..y,.．　,i/'"
　-ｰ'''″　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,.../ . ／ ´''".,r'"ン“　　 ″
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 _.ｨｆ/''　／　　　,ﾉ ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／゛ /ﾞ,　＞'"　.,.彡"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.. |", ／ 　_ノン'"　　　.r!"
　　　　　　　　 　 　 　 　 _　　,／゛ '"゛　　,.;;ﾂ'"
　　　　　　　　　　　　,..;;l!ﾞ ／ 　　　　 .,ir'"　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 iiiiii,,、　　　　　　　　　　　　　 　 ,,iiiiii,
　　　　　　　　　　..‐^r''"゛　 ._,ir"　　.゛　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 lllllliiil!!!!′　　　　　　　　　　　　 　 ,llllllll!ﾞ
　　 　 　 　 　 ／　　._..､;;>/'"　　　　　　　　　　　　　　　　liiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii,,.ﾞﾞﾞﾞﾞ゛ 　　　　　,iiiiiii,　　　　　　 　 ,illllll!ﾞ
　　　　.,..-'Ｚ./　,.／".'!ﾞ /　　　　　　　　　 　　 　 　 　 　 　 ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞlllllllll!′ 　　　iii,,,iiiiiiiilllllliiiiiiii,,　 　 　 .,illllll!´
　.,..-'"　 .‘　,ｒ'"　　 .／　　　　　　　　　　 　　　　　　　 　 　 　 　 ,illllll!ﾞ 　 　　　.,lllll!ﾞﾞﾞﾞ￣´',llllll!ﾞ　　 　 ,illll!!´
‘　　　　　,,ﾉ゛　._, ,./　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 __,,,,,,,,,,,,,,,,illlllll!´　　　　 　ﾞ!!ﾞ゛　　 ,,illlll!ﾞ゛ 　 　 .ii!!ﾞﾞ
　　　 . ／ ,..-'"　´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾞ!!llll!!!!!!!!!!!!!!ﾞ゛　　　　　　　　 ._,iiilll!!ﾞﾞ゛　　　 ,,iiii
　　　 　 ″　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i,iiii!!!ﾞﾞﾞ´　 　 　 .,illllll!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾞﾞ!!ﾞ´

三３０４．
影との決着、それと手応えにジュンはにやりと微笑んでしまった。
何しろ向こうに残っているやらない夫の抉った跡には及ばないものの、
確かにそれは自分がやったのだ。



　　　　　　　　　　　　　　〃::::::::/::::ヾ:::i::::ヽ:::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　／:::::::::/:::::::::i:::｀:::::::}::: ﾄ:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　/:::::::::ｨ/:/:::::::: L:＿ ∧:ﾊ::::::::::|ヾ:: l>､::ﾐ､:::::::::::::::V:＿:::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　.　/:::／ /::/::::::::::::ﾊ　　　 il　i::::::: l　刈　　≧ﾐ> ､::::::::<　 ヽ::::::::::::i＼ |
　　　　　　　　　　../／　./:::::i::::::::::::ﾄ:ﾊ 　 　 　 l::::://_ ィ=彳司 ||＝=￣｀{　i }:::::|＼ゝ. ｀
　　　　　　　　　　　　　 i ::::::ﾊ:::::::::::|＼ゝ＿__　 |:/　r/ ´ ｲt jﾊ ||　　　　ﾉ //::::::i
　　　　　　　　　　　　　 l:::::::::::ヾ:::::::|::::::ヾ´ ≧ミ､ィ'''ヾ　　 ゞ┴ﾉﾉ　　　　｀./:::ノ｀
　「やった！」　　　　　 |::::::／i::＼:::V::::彳 ｨ芯､}}　　 ｀ミ＝＝''　　　　　r'´:/
　　　　　　　　　　　　　 |:::/　　|::::::>:K ヾ､　_ゞノ　, 　　　　　　　　　　　 |／
　　　　　　　　　　　　　 |/　　　ヽ/　ヾ　｀ーt　　　｀ _　ノ ﾌ　 　　　 /　 |　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀　　　　　　ヽ　　　｀ー´　　　　　　 ／￣　　　 _　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　 ､　　　　　ノ　　/　　　　 ／　￣￣ ヽ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞-イ |　　〃　　 .／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /￣il　 /／　／-= ' ´　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 V/ ヽ=.//　　　／￣￣￣＞＝-　､



剣技の修得のみならず、繰気技術も身につけ始めている事の証明に
エンジュは惜しみない拍手と最大限の賞賛を送る。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　/　'　　 　 　 　 l 　 　 l 　 　 　 ヽ＼　　 丶　　＼！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/ /　　　　　　 ! 　 |　　　 |　　　　 　 ＼丶　　 ＼　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐十'′/ /　　　　　　　l　　ﾄ、　　 |　　　　 ＼　 ＼　　 　 ヽ、 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ　 {　ｌ　 ,′　　 l　 ﾊ　｜｀､　　ﾄ､ 　 　 ヽ　<⌒ヽ、_　　　∨厂｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、ヽ|　 l 　 ｌ 　 |　{　l　| 　 ヽ　 、丶、 ヽ ＼＼ l　}　￣二7′　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　 |　　| 　 |　ﾚ七ﾆ二￣＼丶　 }ﾍ |＼ ｀ / 厶　　　ハ　!　　　|
　「素晴らしい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　ﾄ､＼　ヽ＼=ｷｔぞﾗ　　}ﾉ／　j/　　了/￣　　 /　 }∧ 　 l |
　ジュン、よくぞそこまで成長したものだ」　　　　　　　　　　 ＼ヽ｀ヽ、　＼__￣　　　　　　／　 　 -ﾍ／ﾚﾍ /＿,　　l 　 | ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ}　　｀7ｰ一′　　　　　　　　　 ,′　　 　 {´￣｀ヽ､い |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 Ｖ了＼ 　 り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└-- ､　　　　 ,　　　　　　　　l 　 　 　 ∨ 　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰこ￣　　　　 ,　　　　|　　 　 ／　　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ,　く　　　　 l　　 ／　　　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀一'´／ ∧　　　/　／　　　　/　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ィ　 /／! 　 ' ／　　　 　 /　　 　 　 ＼

三３０５．
だが。
ジュンはあっさりと首を振ってそれを否定する。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 〉 　 ?　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　「いや、まだまだだよ」　　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ.　 ″　 　 ｌ　　 　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 　 　 l.　,.-‐' 　 　 :　ﾚ' ′　　く !　 //　　　　　　　 　 / 　 　 　 ヾ、




それは謙遜ではなく、やらない夫を見ているから素直に出た言葉だった。
上には上が居る、それを知った今だから。努力すれば成長出来る、それを体験した後だから。
ジュンは素直に、心からそう言う事が出来た。



　　　　　　 　　 _ ＿＿ _ _
　　　　　　,．'"´ 　 　　　　､`ヽ､
　　　　　/　　　i　　　　ﾘ ヽ ､　　＼
　　　　/　　 　.:ﾚ′ 　 j　　i !.:. 　　i
　　 　 l　　 　.:/　　 , /　 i .::|:::.:l　　|　　　　　（躰だけでなく、技だけでなく、
　　 　ﾉ　　　 ,.ｨｲ.:::/　　.::l.:|:|::::::|:::.　ﾄ､　　　　 心までも鍛え上げてくれたか―――）
　　 彳　　,ｨｲ 1:|::,'　 .:;ｨｲハi::::::|::.:.:.ヽ|
　　　|.:.:|, ｲ‐ﾘ-ﾄﾄ､::.;ｨｲ仁＝ト-ヾ::::.:.:.ﾄ､
　　　ﾄ､:i　{ r‐ェﾃ ヽl/　''ﾃェ‐ｧ .:!.:ﾄ､:;!/
　 　　 ヾ::､　　　　,　　　　　　　　!/::／
　　　　　 仆　　 　:j ､　　　　　　ｲ:/
　　 　 　 　 `､　　　_ _　　　　　/i,ハ
　　　　　　　　ヽ　　ｰ ｀　　 ／ .|;;;:;:|
　　　　　　　　　`ﾄ､ ＿__ ／　　 !;;:/､
　 　　　 　 　 /.::::|　ヽ　　 /　　 l::::.:.L

105 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:43:01 ID:tmZU2XZh 心技体の全てを鍛えられるとか、ない夫教える素質ありすぎるな

三３０６



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　/　'　　 　 　 　 l 　 　 l 　 　 　 ヽ＼　　 丶　　＼！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/ /　　　　　　 ! 　 |　　　 |　　　　 　 ＼丶　　 ＼　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐十'′/ /　　　　　　　l　　ﾄ、　　 |　　　　 ＼　 ＼　　 　 ヽ、 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ　 {　ｌ　 ,′　　 l　 ﾊ　｜｀､　　ﾄ､ 　 　 ヽ　<⌒ヽ、_　　　∨厂｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、ヽ|　 l 　 ｌ 　 |　{　l　| 　 ヽ　 、丶、 ヽ ＼＼ l　}　￣二7′　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　 |　　| 　 |　ﾚ七ﾆ二￣＼丶　 }ﾍ |＼ ｀ / 厶　　　ハ　!　　　|
　　　「いいだろう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　ﾄ､＼　ヽ＼=ｷｔぞﾗ　　}ﾉ／　j/　　了/￣　　 /　 }∧ 　 l |
　　　 好きな剣を買ってくると良い」　　　　　　　　　 ＼ヽ｀ヽ、　＼__￣　　　　　　／　 　 -ﾍ／ﾚﾍ /＿,　　l 　 | ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ}　　｀7ｰ一′　　　　　　　　　 ,′　　 　 {´￣｀ヽ､い |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 Ｖ了＼ 　 り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└-- ､　　　　 ,　　　　　　　　l 　 　 　 ∨ 　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰこ￣　　　　 ,　　　　|　　 　 ／　　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ,　く　　　　 l　　 ／　　　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀一'´／ ∧　　　/　／　　　　/　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ィ　 /／! 　 ' ／　　　 　 /　　 　 　 ＼


それで父の許しを得たジュンは、やらない夫と共にまたあの武具屋へ向かったのだが―――

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━━━━━━━━━━……

三３０７．
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　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|　　　　　「今度はこのぐらいの剣じゃないとな」
　　　　　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　ﾉ
　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



店に入るなり真っ直ぐ売り場を歩いたやらない夫が選び出した剣を見て、
ジュンは飛び上がるしかなかった。



　（⌒ﾄ
　 ゝ彡'、
　 　 ヽ+ヽ
　　　　ヽ+ヽ　　r,
　　　　　ヾ彡=´i
　　　｀ﾐ＝｛´.＾）千＝ゝ　　　　　　　　　　　┌────────────────┐
　　　　 .,,Zゝ彡ｷ　　　　　　　　　　　　　　 │　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾐｽﾘﾙ　　　　　 │
　　　　 i./　　ヾkﾄﾍ　　　　　　　　　　　　　│　　　魔法の長剣（材質：流白銀）　　　..│
　　　　　　　　 ヽ^》ヽ　　　　　　　　　　　　│　　　付加：硬質化　　　　　　　　　　　　.│
　　　　　　　　　　ヾﾄ丶　　　　　　 　 　 　 │　　　価格：金貨一六〇〇枚　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　ヽ､ヽ　 　 　 　 　 　 　 └────────────────┘
　　　　　　　　　　　　ヾ ヽ
　　　　　　　　　　　　　 '., ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ヾ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 ヾヾ' ,
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾﾐ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　'､'、ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ﾍ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼


　　　　　　　　
魔力有りの品なのだろう、鍔際のルビーが淡い光を放っており
刃にも不可思議な刻印がされているそれは、素人目にも分かる古代魔法文明期の品だったのである。

三３０８．


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／|＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r 、 ／ ./　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　ヽi　 /　　/´￣￣￣`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿|　 ´　　　　　　　 　　　 ＜、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　 __　　　_　　 　 　　　 ＿＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　, ／/´　.`　´　`ヽ　　　　　 ＼￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ´/ ./ 　/　/.i　　　|　、　　　　　 ヽ、
　　　　「こ、これは魔剣じゃないかっ！　　　　　　　　　　,イ.|　/|　∧ | ∧　ﾄ、`ヽ　ヽ 　　／
　　　　いくらなんでも、こんな剣は買えないよ！」　　　　 .| .|/ i.| .i＼.|/　| .|´ ｀ヽi＼i　 r''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .ﾚ ﾚ' ri/￣`、r´|/｀ヽ V,ﾊ |　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ i　　　.ﾄ|　　　 ├─ﾀ.ﾉr-‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /' 　 ヽ＿_〈 ヽ＿___ﾉ　/ |< ﾄ￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ﾞ　 ／ )ヽ　.r--- 、u　/ヾｌﾄﾊﾌ::::|｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |／_／　 ﾊ .i￣￣i u／:} 　V 　::::|　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /／ 二二二7,==='／u'　__ / 　 :::/　／ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/'´r　-―一ｧ‐ ﾞＴ´　'"´／　　　　|　　　:::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / // 　 广¨´ / /'　 ／ 　　　　　/　　 　::::::ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ ' /　 ノ＼ 　|　　／＼＿＿　　 |　　　　 ::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／｀丶　/　　 ＼| ／　　　.＼　 ＼ .|　　　　　:::::|



ちなみに言えば、この間ジュンが買ったブロード・ソードは銀貨四百枚、
つまり金貨四枚の値段でしかなかったりする。

109 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:45:32 ID:/E6aByTE やらない夫がアバン先生の勇者育成１週間コース並の速度でジュンを育成してるｗ 114 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:47:47 ID:rmsPANGQ >>109 それだ！ 111 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:46:38 ID:QN1h7GZO 案外安いな

三３０９．


　　　　　　　　 .　-―＝ニ二三ミヽ
　　　 　 　／.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽく-―=ミ
　　　 　 〃.:::::::::::::::｀`ヽ丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:....
　　 　 〃.:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽヽ:::::ヽ::::ハ:::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　//.:::::::::::::::::::::＞- ミ:::::::::::::::::::::::::::::j::::::ｊ::::::::j::::::::ハ
.　　//.::::::::::::::..イ´　　 　 ｀`丶、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
　　 /.:::::::::::::/ /　　　　　　　　　｀^ヽく´´´^⌒ヽ:::::::::::::∧　　　　　「いやぁ～、
　　 イ.:::::::::,' /　 　 　 　 　 　 　 　 } ハ 　 　 　 i:::::::::::::::i　　　　　 お兄さん若いのにお目が高い。
　 　 ｉ::::::::::i ｉ{　　　　 　 　 　 　 　 //　｝　　　　 |:::::::::::::::!
　　 ﾙ'^ヽ::! 　　=＝＝ミ､　 　 　 //　ノ　　　 　 |i:::::::::::从　　　　　こいつは名剣ですよ、
.　 / /　 ｊﾉ　　　　　＿　 ヽ 　 　 　 厶=＝ミ 　 从::::ﾉﾉ　　　　　　 これさえあれば強くなれる事間違いなし！」
　 {　し'ﾉ　　 　 　 ,=＝ミ　　　 　 ,　　＿　　 ｀　 /‐く
　八　く　　　　　　　　　　　　 　 ,　 ,=＝ミ.　　　ハj ﾊ
　　 ＼　　　　　'''　　　　　 　 　 {　　　　　　　　 ） 　 }
　 ／.:/ヽ!　　　　　　　 　 ,,　 　 　 　 '''　　　　イ　　/
..::::::::/　/|　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　 　 /　 ／
:::::::/　 i　!　　　　　　　ゝ、　　　　）　　　　　/:＜
:::::::! 　 i　: .　　　　　、　　　ー ' 　 　 　 　 /.:::::::::｀::.....
:::::::ｌ　　i　ハ 　 　 　 ｀　 ー―一 　 　 　 /.::::::::::::::::::::::::｀
:::::::ｌ　　i.　 ∧　　　　　　　　 　 　 　 　 , '.::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::l　　 !＼　 ヽ、　　　　　　　　　　 ／.::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::ｌ　　 !　 ＼　 ＼　　　　　　　　／|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::ｌ　　 !　　　＼　 ｀　ｰ ---　＜::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



開店直後で暇だったのだろう、勘定台から出てきた主人は上客が来たと思って
手もみをしながら満面の笑みを浮かべている。
名のある貴族か戦士のお使いとでも思っているのだろうか。

113 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:47:19 ID:tmZU2XZh キートンAAあったのか

三３１０．


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　（　　　　　 　 　 |
　　　　　　　「親父、少し負けないか？」　.　　　　{　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂ ヽ∩　　 　 く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | '､＿ ＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　|　 |_＼　 “　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ､ ＿_＼_／



とても買えないと言ったのにやらない夫が交渉を始めてしまったので、
冗談じゃないと腕をばたばたさせると、



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ　　　　　「ちょっ！
: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}　　　　　　そんなお金無いよ！」
ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}



まあ任せておけと片目をつむった彼は、うーんと唸る主人にさぁ、と一歩詰め寄った。

三３１１．
仕入れ値を考えた主人は、それでもそれなりの利益が出る値を提示するが―――


　　 ,'.::::::::::::::::::::::::::::::::/~｀｀｀｀ ￣ ｀ く^ヽ:::::::::::{
　　ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　 　 　 }:Y　V:::::ﾊ
　　 ',:::::::::::::::::::::::ｨ::/　 　 　 　 　 　 ﾉ:ﾉ 　}ﾊ/
　 　 ',::::::ｘ‐ﾐ::::/{ﾍ{ ｘ‐====ミ　 　 /ﾑィ ﾉ
　　　 V/ ﾊ ヾ′　 　'"f:厂｀ヾ　　/ｆｊ ｀Y　　　　「仕方ないですね。
　　　　{ /　{　　　　　　 ー　　　　{ ー ,′　　　　じゃあ、千五百五十でどうでしょう？」
ー‐r‐rﾍ. ヽ ）　　　　　　　　　　　i　　i
　　{　{　 ヽ.__　　　　　　 　 ,　　　 Y　'
　　ヽ ヽ　 　 i　　 　 　 　 　 - ___丿/
　　　ヽ ヽ 　　.　 　 　 　 　,　---, /
　　　 　＼＼　＼　　 　 　 ー一' /
　　　　　　＼＼　＼　　 　 　 　 ,′
　　　　　　　 ヽ ＼　ヽ..　 　 　 /
　　　　　　　　 ヽ　＼_,.√￣￣
　　 　 　 　 　 　 ヽ　ｊ::::{



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　「まだ高いな。　　　　 　 　 　 　 　 　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　 八百五十にならないか？」　　　.　　　　{　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 mｍ 　 ヽ 　 　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⊂　￣￣￣　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　￣￣￣|　　　　|


やらない夫は手を振ってとんでもない安値を要求する。

三３１２．
さすがにこれはない、と思った主人は彼から魔剣を取り上げて真顔になると
しっしっと二人を追い払うように言った。



　　 　　　ｲ:::::::::::::::::::::///""゛""゛゛゛""｀ヾ"ﾍ::::ヽ
　　　　　/l::::::::::::::::::::,'//　　　　　　　 　　|l 　';:::::ヾ
　 　 　 　 ﾚ::::::::::::::::j/ l 　　 　 　 　 　 　 |ｌ　 l:::/　　　「お客さん、寝言は寝て言ってくださいな。
　　 　 　 〈::::/ﾆヽ:::{　　　　　≡≡=､_,;　　,≦У　　　　冷やかしはお断りです」
　　　 　 　∨' ,ﾍ }/　　　　　,＝〒　　　 〈〒〈
　　 　 　　〈. /　}l　 　 　　　　`ー　　 　 　',¨{
　 　 　　 　 ヽ　<　　　　 　　 　　　　_ 　 　∨
　　　　　　　　'ヾ ヽ　　　　　 　　　 <　 　　 }
　　　　　　　　|｀ーﾍ　　　　　　 　　　｀　―7
　　　　　　　　|　　　ヽ　　　　　 　=＝　 　/
　　　　　　　　|　　　　 ＼　　　　　　　 　/
　 　 　　　　　　　　　　　　　―――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　「ま、そりゃそうだな」　 　|　　　 （ ⌒）（⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　|　　u　 （__人__)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 |r┬|}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 |　| |}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　　｀ﾆ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　 く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　Λ／　〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼
　　　　　　　「当たり前でしょ」　　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ￣ c　￣　　　6 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　ヽ (＿＿＿_　　,-′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 |　　|



苦笑いのやらない夫にジュンが冷静に突っ込んでどうするんだよ、と売り場を見回すが。

三３１３．
二人をじろりと睨んだ主人が万引きでもされたら適わない、と
あからさまに嫌な視線で監視し始めているので、
肩をすくめたやらない夫は鎧売り場ではなく、目玉品を飾ってある棚を指さした。



　　 　 　 　 , -―- ､
　　　　　　/　　　　　＼
　　　　　 /　　＼_　　　|
　　　 　 (●) （●）　　 |
　　　 　　(_人__)　　　 /　　　　　「じゃあ、先に鎧を見よう」
　　　　　 l｀⌒´　　　 /
　　　　　　|　　　　　　ヽ
　 　　　　__!､＿___／　　＼
　　　　／､ ヽ　　　　　r ､　ヽ
　　 　ﾊ ヽ Y｀l　　　　 |　 >　 Y
　　　{　ヽ_ゾﾉ　　　　　|　ﾚi i i}
　　　｀¨´　　ヽ　　　　ハ　 `'''
　　　　　　　 　>　　 /　ﾍ
　　　　　　　　/　　/ヽ　 ﾍ
　　　 　　　 _,/　　/　ご_ノ
　　　　　　（　ヽ　/
　　　　　　 ＼__ノ



: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll　　ﾞﾞﾞ!l,,、　　　　「あれ、鎧売り場はそっちじゃないよ？
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli,　　　 ﾟﾞ=:　　　　ねえ、やらない夫？」
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀



あっちじゃないの、と首を傾げるジュンの腕を引っ張り、
迷うことなく勘定台の前に向かった彼は前に来店した際に目を付けておいた鎧を改めて確認する。

三３１４．


　　　　　　　　　　　　　＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ ￣ﾉ　,r‐;=ｭ、
　　　　　　　　,r‐＜￣´､　ヽ、　｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,`ｰ-, ､__
　　　　　 　 /　　 　｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　 　 ﾉ 、　　　　 　 　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　 　 〉､ 丶､ _　 　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　 　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ　ξ＾＾ξ .||　　　 ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.. Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}　ゝ-二._,.ｲ
.　　 　 　 〉､_ 二 -ｨ′　ヽ ﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ　 　{'ｰ--〈
　 　 　 　 ｰ--‐''´　　　 ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚ　 　 ゝ､ーｲ
.　　　　　　　　　　　　　 　 〉｝　　Ｙ´　　　　 　 ｌ　|　　　　　　　　　┌───────────────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　 く ﾉ　　 }　　　　 　 　{　l,　　　　 　 　 　 │　　魔法の板金鎧（材質：流白銀）　　　　　　　　　　　　　.│
　　　　　 　 　 　 　 　 　 / ｀ヾ丶ゝ、　　　　　 ゝ'〈　　　　　 　 　 .│　　付加：硬質化、耐火、耐冷、耐雷　　　　　　　　　　　 .│
　　　　　　　 　 　 　 　 r'､　　　,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､　　　 　 　 .│　 　 　 　 魔防上昇　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...│
.　　　　　　　　　　 　 /´　 ｀丶ﾒ､/　　　,r─.､　　ヽrヾヽ　　　　　..│　　注意：かなり大きい作りになっています。　　　　　　　.│
　　 　 　 　 　 　 　 r{　　　　 /､/ `ヽ,_/::::::::::::ヽr''´ヾ､ゝ〉´､　　　..│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　 /　｀丶 ､ ゝｲ　　/:::::::::::::::::::::::l 　 　　ヽ, ヽ　　　│　　値段：×金貨350,000枚（応相談！）　　　　　　　　　....│
　　　　　 　 　 　 /　　　　　 `丶､rｲ::::::::::::::::::::::::::ゝr‐'' ´ ヽ、ヽ　　│　　 　 　 .×金貨300,000枚（秋の特別価格！！）　　　　.│
　　　　　　　　　/ ヽ、　　　 　 　/ |｀`ー---r‐'' ´｜　　　 ヾ､ヽ　..│　　 　 　 .×金貨250,000枚（持ってけ泥棒）　　　　　　　 .│
　　　　　　　　 ｊ′　　`丶 ､ __r‐′!::::::::::::::::::|::::::::::::ﾄ、 　 　 〉ヽ,> .│　　 　 　 　 .金貨200,000枚（最終処分価格）　　　　　 　 .│
　　　 　 　 　 「!.　　　　　　　/ 　　|:::::::::::::::::ﾉ::::::::::::| ｀i-‐'' ´ | ヾ　.└───────────────────────┘



第一優先である大きさは申し分ない。
華美な作りではないが全体が青銀に艶めかしく輝きを放ち、右胸に意匠を凝らした竜の紋章が彫り込んである。
そして全体の作りが、今の時代の物と根本的に異なっている事を見てやらない夫はふむ、と片目をつむった。



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　「材質はミスリルか。
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　 へえ、硬質化だけかと思ったら三種耐性に
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　魔法防御力上昇まで付加されてるだろ。
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　　　 ………こりゃ古代魔法文明期、しかも末期の名品だ。
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　　下手すりゃ一点物かもな」
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

120 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:52:53 ID:rmsPANGQ >>117 売れてないｗｗｗ不良在庫ｗｗｗ

三３１５．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／⌒ヽ´:::::::｀ﾞヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::,.､､､::::,.､-ー､:::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃::ｲ　　 ´ヽ　　　 V::::::::::〉
　　　　「若いのに詳しいね。　　　　　　　　　　　《:斗=x　　ﾉﾘz＝-､ j:,-､/
　　　　 でもそいつは、　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾊ,ｨtﾊ　｀.ｨ_uヽ　 v＾i ｝
　　　　 とても手が届くような品じゃないよ」　　　.　 ?´ ﾉ　 ､　 ｀　　ぅノﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　！ヽ.rっ'　　　　._／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'.　 ｰ_一 　　 /|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧ 　 　 　 ／/|:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. /´:ゝ---イ ／　|:::::ヽ`..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'’::/::::::/ ヽ.__／　 　 !::::::::ヽ:::::`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::/::::::::|　/￣＼　　 /::::::::::::::>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈:::::::::::|/ 〉- 〈　＼/:::::::::::／::::::::/



大きさは背の高いお客さんに合いそうですがね、と嫌みったらしく主人は言い、
そこでやらない夫の後ろから顔を出したジュンは値札を確認して
どひゃ、と大声を上げる。



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ　　　　　　　「金貨二十万枚！
: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}　　　　　　　 って事は白金貨二千枚！？
ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}　　　　　　　　 鎧一つが！？」
ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}

三３１６．
聞いた事のない値段に、大きな屋敷が建つよとジュンは頭が痛くなりそうだったのだが、
付加されている魔法が一つ増えるだけで価格が倍々になるようなものなのだから
お買い得じゃないか、と頷いたやらない夫が平然と言った。



　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼　　　「よし、買おう。
　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|　　　 それを買うから、さっきの魔剣はおまけしてくれないか？」
　　　　　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　ﾉ　　　 見たところ五年以上はそこに飾られているようだ、
　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }　　　　大きさが標準じゃない上に、余りに高価すぎて
　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}　　　　なかなか売れないってのが本当のところだろ」
　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／⌒ヽ´:::::::｀ﾞヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::,.､､､::::,.､-ー､:::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃::ｲ　　 ´ヽ　　　 V::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《:斗=x　　ﾉﾘz＝-､ j:,-､/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾊ,ｨtﾊ　｀.ｨ_uヽ　 v＾i ｝
　　　　　　　　　　　　　　　「むっ………」　　　　.　 ?´ ﾉ　 ､　 ｀　　ぅノﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　！ヽ.rっ'　　　　._／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'.　 ｰ_一 　　 /|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧ 　 　 　 ／/|:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. /´:ゝ---イ ／　|:::::ヽ`..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'’::/::::::/ ヽ.__／　 　 !::::::::ヽ:::::`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::/::::::::|　/￣＼　　 /::::::::::::::>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈:::::::::::|/ 〉- 〈　＼/:::::::::::／::::::::/



確かにやらない夫の言うとおりだったので、唸った主人は考え込んでしまった。
収集家でもない以上、仕入れた商品は売るのが鉄則である。
目玉品としての客引きの役目も確かにあったが、
値段を付けている以上売れる機会を逃してはならないのだ。

三３１７．



　　　　　　　　　,. -'";;;｀`ヽ'' ´ｰ- ､
　　　　　　 ,.-'";;;;;ｰ､ヾ`､ﾞ､､ﾞ､;;;i;;,';ﾉヽ
　　　　 ,／;;;;;;;;;;;;;;;;,. -─-､,_＿';;;;;ソ;;;;ヾヽ
　　　 ,/';;;;;;;;;;;;;;;;／,'::.　　　　　 ヾ､'ヾ,;;;;;ﾞ､ヽ
　　 ,/,';;;;;;;;;;;;;;;/'/i　_,,..,_　　　　　）} ﾞ､､;;iﾞﾞ､　　　　（仕入れ値が十八万。
　　//;;;;;;;;;;;;;;/　'　'"_,,,..｀`ヽ　　 _,,.- ､i;il iﾞ､　　　　 あの剣をつけると利率は下がるが
　　 !i;;;;;;;;;;;;;;;' ::　 　'''ﾋi')　　　 ,. ',q､　/' '　　　　　　赤字になる訳じゃない―――）
　　　'∨´ヽ/ :: 　　 ''''"　　　 ﾞ､ ､.,' .i'i
　　　 i' /´ }　　::::::::::　　　/''''　`､ :::.l,}
　　　 i､i'　ﾞ､　　　::::　　　　-　 ,ノ　 ,''
　　 　 ヽ､､_　 ::::.　　　　　 ＿　　　,'
　　　　　 ヽ t､ :::::.　　　''"~,...｀`　 ,'
　　　　　　　l ヽ,　　　　　　　　　 ,'
　　　　　　　l 　 ヽ,　　　　　　　 ﾉ,
　　　　　　,. i　　　 ヽ､　　　 _,. i'`iﾞ､
　　　　　/　 l　　　　　｀`'''"~ ,ノ ﾉ ヽヽ､



この武具屋にとっても、金貨十八万枚と言ったら資産の何割かに当てはまるぐらいである。
長期間ここに居座られて、いつ来るとも分からない高い利益を狙うより、
さっさと売り払ってその金を別の売れやすい品の仕入れに使った方が余程利益になる―――



　　 ,'.::::::::::::::::::::::::::::::::/~｀｀｀｀ ￣ ｀ く^ヽ:::::::::::{
　　ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　 　 　 }:Y　V:::::ﾊ
　　 ',:::::::::::::::::::::::ｨ::/　 　 　 　 　 　 ﾉ:ﾉ 　}ﾊ/
　 　 ',::::::ｘ‐ﾐ::::/{ﾍ{ ｘ‐====ミ　 　 /ﾑィ ﾉ　　　　「兄さん、本気かい？」
　　　 V/ ﾊ ヾ′　 　'"f:厂｀ヾ　　/ｆｊ ｀Y
　　　　{ /　{　　　　　　 ー　　　　{ ー ,′
ー‐r‐rﾍ. ヽ ）　　　　　　　　　　　i　　i
　　{　{　 ヽ.__　　　　　　 　 ,　　　 Y　'
　　ヽ ヽ　 　 i　　 　 　 　 　 - ___丿/
　　　ヽ ヽ 　　.　 　 　 　 　,　---, /
　　　 　＼＼　＼　　 　 　 ー一' /
　　　　　　＼＼　＼　　 　 　 　 ,′
　　　　　　　 ヽ ＼　ヽ..　 　 　 /
　　　　　　　　 ヽ　＼_,.√￣￣
　　 　 　 　 　 　 ヽ　ｊ::::{



そこまで読んでの交渉か、と商売人の顔になった主人が目の前の少年を観察すると。

三３１８．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　「宝石払いになるけど良いかな？　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　 白金貨が良いなら両替しなきゃならないんで　　　　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　 後日改めてになるけど」　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 { 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 |



良く見れば、背中のバスタード・ソードはこの鎧にも劣らない超級品ではないか。
それで主人にも分かった、彼はどこかの貴族や名のある騎士の使いではない、
本人が実力のある冒険者なのだ。

ならばそのぐらいの金も何とか持っているだろう、と成立を告げる。



　　　　　　　　　,. -'";;;｀`ヽ'' ´ｰ- ､
　　　　　　 ,.-'";;;;;ｰ､ヾ`､ﾞ､､ﾞ､;;;i;;,';ﾉヽ
　　　　 ,／;;;;;;;;;;;;;;;;,. -─-､,_＿';;;;;ソ;;;;ヾヽ
　　　 ,/';;;;;;;;;;;;;;;;／,'::.　　　　　 ヾ､'ヾ,;;;;;ﾞ､ヽ
　　 ,/,';;;;;;;;;;;;;;;/'/i　_,,..,_　　　　　）} ﾞ､､;;iﾞﾞ､　　　　「宝石払いでも、
　　//;;;;;;;;;;;;;;/　'　'"_,,,..｀`ヽ　　 _,,.- ､i;il iﾞ､　　　　 今買うのであれば
　　 !i;;;;;;;;;;;;;;;' ::　 　'''ﾋi')　　　 ,. ',q､　/' '　　　　　　さっきの剣はおまけにしましょう」
　　　'∨´ヽ/ :: 　　 ''''"　　　 ﾞ､ ､.,' .i'i
　　　 i' /´ }　　::::::::::　　　/''''　`､ :::.l,}
　　　 i､i'　ﾞ､　　　::::　　　　-　 ,ノ　 ,''
　　 　 ヽ､､_　 ::::.　　　　　 ＿　　　,'
　　　　　 ヽ t､ :::::.　　　''"~,...｀`　 ,'
　　　　　　　l ヽ,　　　　　　　　　 ,'
　　　　　　　l 　 ヽ,　　　　　　　 ﾉ,
　　　　　　,. i　　　 ヽ､　　　 _,. i'`iﾞ､
　　　　　/　 l　　　　　｀`'''"~ ,ノ ﾉ ヽヽ､

124 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:56:08 ID:tmZU2XZh 男らしい豪快な買い物だなぁｗ

三３１９．



: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll　　ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli,　　　 ﾟﾞ=:　　　　「うわーい、やらない夫何言ってるの？
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,　　　　　　　　　本気？正気？大丈夫？」
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀



騒ぐジュンを無視したやらない夫は道具入れに手を突っ込むと革袋を取り出し、



　　　 　 　 　 　 　 r―-､＿_r―-､
　　　　　　　　　 　|―‐z＿＿,r:､__）
　　　 　 　 　 　 　 |　　|　　　/　 /＿__r-､
　　　　　　　　　　　>―-､＿＿ノr―‐┴'′
　　　　　　　,. -‐'''"￣￣`―〇ﾆニニヽ
.　　　 　 ／　　　　　　　　　　 ＼ 　　 `〇
　　　　　| 　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　＼＿＿＿＿＿＿_／



じゃら、と音を立てる袋の口を開け、中から大粒の宝石をいくつか選び出して勘定台に並べる。



..　　／|＼
　／::::::|::::::＼
　|＼／＼／|
　|::::|::▽:::|::::|
　|::::|:::::Ⅰ|::::|
　|／＼／＼|
　＼::::::|:::::／.　　　　　　　　,.ィ_´ァ ﾉﾉ.)}｀iヾ>､.
..　　＼|／.　　　　　　　 ,r'‐' ´　.ィ´.ｨ´/ //l'.rヽヽ
　　　　　　　　　　　　　/_,. _, ィ´..ィ,.ィ´. ' / .} '.くiﾐ､'.
　　　　　　　　　　　　　ﾑﾆ´_ﾆ=´‐'‐‐-' ノ_ ノ　|>ﾄ､ﾐ.'.
　　　　　　　　　　　　.'ｨ ,´-‐_..二二二.._‐-ﾐ<.ﾊ ﾄ.ゝﾆ!
　　,ｒ'´:::::｀ヽi　　　　　ﾚ',r'_´-‐_二二二_‐-｀.._ﾐヽﾄ.ゝﾆ|
　/´ミ:::__::彡:ヽ,　　　 V, ´ｨ'´__.....................｀__‐-ﾐﾒ ﾊｰ'.'
　!:::（(:::::=':::)）::::|　　　 .V,ｒ'_´ -‐_..ニニﾆ...‐_-ﾐ〈ﾈ.ヽ.7
　|::::::ヽ Ψノ::::::::|　　　　ゝ!ｒ' ´, -‐￢￢ ￢ ー: '.｝}, '
　K:::::`=＝=::::::::ﾉ　　　　｀ ､{　　　　　_. ‐'フ　ﾘﾉ'
　　ヽ､＿____／　　　　　　　　｀'｀- ニ´__ィ´..ィ´

126 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:56:13 ID:khxoFiri おい、左下に飛行石混じってるぞｗ 127 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:57:03 ID:LoPXt9rF 飛行石ふいたｗｗ

三３２０．



　　 ,'.::::::::::::::::::::::::::::::::/~｀｀｀｀ ￣ ｀ く^ヽ:::::::::::{
　　ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　 　 　 }:Y　V:::::ﾊ
　　 ',:::::::::::::::::::::::ｨ::/　 　 　 　 　 　 ﾉ:ﾉ 　}ﾊ/
　 　 ',::::::ｘ‐ﾐ::::/{ﾍ{ ｘ‐====ミ　 　 /ﾑィ ﾉ
　　　 V/ ﾊ ヾ′　 　'"f:厂｀ヾ　　/ｆｊ ｀Y　　　　　　「ふむ………」
　　　　{ /　{　　　　　　 ー　　　　{ ー ,′
ー‐r‐rﾍ. ヽ ）　　　　　　　　　　　i　　i
　　{　{　 ヽ.__　　　　　　 　 ,　　　 Y　'
　　ヽ ヽ　 　 i　　 　 　 　 　 - ___丿/
　　　ヽ ヽ 　　.　 　 　 　 　,　---, /
　　　 　＼＼　＼　　 　 　 ー一' /
　　　　　　＼＼　＼　　 　 　 　 ,′
　　　　　　　 ヽ ＼　ヽ..　 　 　 /
　　　　　　　　 ヽ　＼_,.√￣￣
　　 　 　 　 　 　 ヽ　ｊ::::{



一目で本物と分かるような品ばかりだった。
どんなに少なく見積もっても、金貨二十万枚の値打ちはあるだろう。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
　　　「宝石？　　　　　　　　　　　　　　　　: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ
　　　やらない夫、君は一体………」　　 : :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}

三３２１．



　　　　　　／￣￣＼
　 　 　 _ノ　　ヽ、　　＼　 　,.:┐
　　　 .（ ●）（ ●）　　..|　／　｜　　　「良い店で売れば
　　　 （__人__） 　　　　.|./　　 /　　　　 魔剣の分も出るかもな。
　　　　 i⌒ ´ .r－､　　|/　 ／
　　　　 { 　 　 ヽ,　',. .,/　:/',　　　　　　………成立でいいか？」
　　　　 .ヽ　　　.|　 l_/_, -‐､',
　　　　　 .ヽ　.　| 　 / , -－'i|
　　　　　　/　　 {　　V , -－ﾍ
　　　　　　|　　　ヽ　 Ｌ|　r=　|



真顔の主人はしばらく鑑定していたのだが、まがい物ではないと確信したのか、
奥の金庫にしまい込んでから態度を豹変させた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　-―＝ニ二三ミヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽく-―=ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃.:::::::::::::::｀`ヽ丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:....
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃.:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽヽ:::::ヽ::::ハ:::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//.:::::::::::::::::::::＞- ミ:::::::::::::::::::::::::::::j::::::ｊ::::::::j::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　//.::::::::::::::..イ´　　 　 ｀`丶、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.:::::::::::::/ /　　　　　　　　　｀^ヽく´´´^⌒ヽ:::::::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 イ.:::::::::,' /　 　 　 　 　 　 　 　 } ハ 　 　 　 i:::::::::::::::i
　　　「いやぁ！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ::::::::::i ｉ{　　　　 　 　 　 　 　 //　｝　　　　 |:::::::::::::::!
　　　 最初からただ者じゃないと　　　　　　　　ﾙ'^ヽ::! 　　=＝＝ミ､　 　 　 //　ノ　　　 　 |i:::::::::::从
　　　 思っていたんですよ！　　　　　　　　.　 / /　 ｊﾉ　　　　　＿　 ヽ 　 　 　 厶=＝ミ 　 从::::ﾉﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　し'ﾉ　　 　 　 ,=＝ミ　　　 　 ,　　＿　　 ｀　 /‐く
　　　 さささ、その剣も鎧も、　　　　　　　　　八　く　　　　　　　　　　　　 　 ,　 ,=＝ミ.　　　ハj ﾊ
　　　 どうぞお持ち帰りくださいませっ！」　　　＼　　　　　'''　　　　　 　 　 {　　　　　　　　 ） 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／.:/ヽ!　　　　　　　 　 ,,　 　 　 　 '''　　　　イ　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::/　/|　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　 　 /　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::/　 i　!　　　　　　　ゝ、　　　　）　　　　　/:＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::! 　 i　: .　　　　　、　　　ー ' 　 　 　 　 /.:::::::::｀::.....
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::ｌ　　i　ハ 　 　 　 ｀　 ー―一 　 　 　 /.::::::::::::::::::::::::｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::ｌ　　i.　 ∧　　　　　　　　 　 　 　 　 , '.::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::l　　 !＼　 ヽ、　　　　　　　　　　 ／.::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::ｌ　　 !　 ＼　 ＼　　　　　　　　／|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::ｌ　　 !　　　＼　 ｀　ｰ ---　＜::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

129 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:58:08 ID:/E6aByTE やらない夫もう冒険者として成功者の分類だろうｗ　バロスｗ　としか言いようがないｗ 金持ちってのは金額の端数の幅が広いもんだからな 131 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 21:58:24 ID:rmsPANGQ なにこの成功した冒険者ｗｗｗさすがｗｗｗ

三３２２．



　 　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）　　　「あ、すぐ装備していくから
.　|　　　　 （__人__）　　　 包まなくていいだろ」
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　 　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ　　ｍm
　　　/　　　￣￣￣　つﾉ
　　　|　　　　|￣￣￣



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　Λ／　〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼
　　　　　「………やらない夫ー？　　　 　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l
　　　　　　やらない夫さーん？　　　　　　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|
　　　　　　もしもーし」　　　　　　　　　　 　　　 | ￣ c　￣　　　6 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　ヽ (＿＿＿_　　,-′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 |　　|


完全に置いてけぼりのジュンに頷いただけで鎧を受け取った彼は、
説明もしないまま試着室へ引っ込んでしまう。

三３２３．
試着室の中。
最後の留め金を留めた後、身体を動かして具合を確かめたやらない夫は
全く身体の動きを阻害しない柔軟さに驚いていた。



　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　 （__人__）　　　　　「良い掘り出しもんだったな。
　 　　　 　 　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　 運が良かっただろ」
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|



現在作られるような革の上に金属を貼り付けた鎧や、
鎖帷子との複合式、またはリベット結合による作りでもない。
それだけでも高性能な防具になる、遺失技術の産物である強化炭素繊維と
魔法的に強化された布等を組み合わせて作った下地との複合式。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　ノ　ヽ､＼
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 （●）（●）|
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　（＿人_）│
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 　 ｀ ⌒´　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　「気持ち大きいけど、
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 .　 ヽ　　　　　　/　　　　　　　　　　　 厚手の綿入れを着れば問題ないな。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 / lヽ　 　　　/
　　　　　　　　　　　　　＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ ￣ﾉ　,r‐;=ｭ、　　　　　　　　　下地は遺失炭素繊維と魔布と―――
　　　　　　　　,r‐＜￣´､　ヽ、　｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,`ｰ-, ､__　　　　　 んー、分からないだろ」
　　　　　 　 /　　 　｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　 　 ﾉ 、　　　　 　 　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　 　 〉､ 丶､ _　 　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　 　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ　ξ＾＾ξ ||　　　 ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.. Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　 　 　 〉､_ 二 -ｨ′八ヽ ﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/　 ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/　　　 〉｝　　Ｙ´　　　　 　 ｌ　| |::::::::::::::￣l
　　　 　 ゝ:::::::::::::::ノ 　 　 く ﾉ　　 }　　　　 　 　{　l, |::::::::::::::::丿
　　　 　,〉:::::::::::::::/ 　 　　/ ｀ヾ丶ゝ、　　　　　 ゝ'〈 ヽ､::::::::::`ヽ､
　　　　{:::::::::::::::::く　　　 r'､　　　,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､|::::::::::::::::::|



大きささえ標準的ならば、倍の値段でも超一流の冒険者が即決買いするような品であろうこれは、
単純な防御力で言えば高位竜の鱗で作られた鱗片鎧にも引けを取らないに違いない。

しかし、身体の動きを全く阻害しないと言う優位性においては、他のどの鎧と比較しても負けないだろう。
マナの動きを阻害する通常金属でない点も加えれば、
複雑な身振り手振りで印を組む必要がある魔法使いだって問題なく装備できる程なのだ。

134 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:00:49 ID:rmsPANGQ >>132 SWで言うところのソフトレザー+3ですねわかります。

三３２４．


　　 ／￣￣＼
　 /ﾉ　 ヽ､_　　＼
. （ ●）（ ●）　　 |
　|（人__） 　 　 　 |　　　　　「ジュン、
　 | ⌒ ´　　　 　 |　　　　　 帰るぞー？」
.　 |　　　 　　　　|
.　 ヽ　　　　　　/
　　 ヽ　　　　 /
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |



試着室から出てみれば、放置されていたジュンは完全に頭が止まってしまっているようだ。
気の抜けた返事をする彼の腕を掴んで武具屋の外に出ると、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 、　　　　＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､＿二ﾆ=-ヽ｀¨Y´::::∠__
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＞:::::::::::::::::::::::::::::::::::::＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠ ィ´￣／´ﾌ;イ::ｌ:::::; ､::::::＼
　　　　　「はーい」　　　 　　　　　　　 /こヽ　　 , ─-､ハ/　 ＼::::rヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ゝﾝ'￣￣{ / /　ﾄ/´￣ヽ| `′
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 / ｀　　 　 ` ー‐' ヽ/ / ﾉl
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　 ‘　' ｀¨´
　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 {　　　　　　　　　　 l　　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.∧　　　　　　 　 　 ｜　　/
　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／〈　 ､　　　　　,　-- ､｣ 　 /
　　　　　　　　　　　　　　.　／　　 ＼ ＼　　　└‐-､　　　',
　　　　　　　　　　　　　　.（　 　 　 　 ＼ `　　　　　′ ∠



わざわざ店の外まで出てきて何度も頭を下げる主人に見送られた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ..-‐‐-､V∠,. --､
　　　　　　　　　　　　　　　　 ／.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::.｀ヽ
　　　　　　　　　　　　 　 　 /.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　 /.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ
　　　　　　　　　　　　 　 ,'.:.:.::::::::::::::;〃´　 ｀`';::::::{´｀ヾ::::.::::::',
　　　　　　　　　　　　　 ﾊ.:.:::::::::::::://　　　　　';:::::!　　';::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ.:::::/V ′,,__　　　ﾉﾊﾉ　　 j.:::ﾉ:ﾉ
　　　　　　　　　　　　 　 /⌒V　　　´￣`ヽ　　 ∠⌒'' K´
　　　　　　　　　　　　　 〈 い　　　 ,_´rﾃ_｀　　{ ,rﾃ_｀ / )　　　　　　　「毎度ありがとうございました！
　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ 　　　,,,..　　　　 :､　,,,.　 ﾚ　　　　　　　　今後ともごひいきに！」
　　　　　　　　　　　　　　　 ｀〕　　　　　　, 　 　ヽ　　,
　　　　　　　　　　　　　　 ／/ﾊ､　　　　　｀ ー‐' 　 /　 _ _＿ ＿
　　　　　　,..　-‐─‐-. イ.:.:.:i〈　 ヽ　　　｀ｰ- ‐' 　 /｀´.:::::::::::::::::::::.｀ヽ
　　　 ,.ィ´.:.:.::::::::::::::::::::::::i.:::::::', ヽ､　＼　　 　　　,.ｲ.:.::::::::::::::::::::::::::.ヽ.:::'.
　　 /.:.:ﾄ､.:.::::::::::::::::::::::::::|.:.:.:.:.:',　　＼　｀ ｰ--イ.:::::.:',.:.:::::::::::::::::::::::::::i.::::i
　 ./.::::,'.:::ヽ.::::::::::::::::::::::::|.:.::::::::::',　　　＼___／　ヽ.::::.:',.:.:::::::::::::::::::::::::l:::::|
　 ′.::i.::::::::',.::::::::::::::::::::::|.:.:::::::::::.:',　　　,ィ⌒ヽ　 ヽ.:::::.ヽ::::::::::::::::::::::::l:::::|
　 i.:.:.::l.::::::::::i.:.:::::::::::::::::::::＼::::::::::∧　 /　ヽ:::::} ＼|＼／.:::::::::::::::::::::::::l:::::ﾄ､
　 ﾚ'´:l::::::::::::l.:.:::::::::::::::::::::::::.:＼:/::::::V　　　 |:::ヽ　|.::::.＼.:::::::::::::::::::::::::l::::i:l::＼
　/.::::::.ヽ:::::::::l.:.:::::::::::::::::::::::::／.::::::::::::.',　 　 |:::::|　|.:::::::::::|:::::::::::::::::::::::::l::::i:i:::::::.＼


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━……

136 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:01:26 ID:EyIsk/Y6 それにしても店主がマスターキートンなのに吹くｗ

三３２５．
━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



　　　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ
　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼　　　　　　　　/ヽ　/　 ∨
　　〉 　　|　 　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､　　l＼/　　`′
　　|　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／ ＿|
　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　　＼　　き、君は、
. / :::／イl|　 ｌ|　 ::|r=<‐ﾓﾐ､′|r;＝=ｪ;ｭ＜_ゞ-=7´ヽ.:.:.／　　　　　>
/::／　 /　　　|　　|l 　 ￣ ﾘーh ｀ ｰ‐‐'　.l-''´冫)'./:.:.::＼　　　∠__　一体………
ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ!ﾞiー- ｲ'__　ヽ､..＿__.ノ　ﾄr‐':.:.:.:r-‐'´　　　　　/
　　　 レ'　ﾚ'〉　!　　l　　 `＿__,.、 　 　 u　./│;;;;;:;;;>　　　　　　 /＿　何者なんだっ！？
　　　　 　 　 ￣ヾ　 ヽ.　 }z‐r--|　　 　 ／　 ﾄ　　　　　　　　　　　　|　 ,、
　　　　　　　　　　　　　>､`ｰ-- '　　.／　 ／　|ヽ　　　　　　　　　　 l／　ヽ　　 ,ﾍ
　　　　　　　　　　 _,.／| ヽ`ｰ--‐ _´.. ‐''´ 　 ./　 ＼､　　　　　　　　　　　　＼/　ヽ/
　　　　 -‐ '''" ￣ /　 :| 　 ,ゝ=＜　　　　　　/　　　 |　`'''‐-　､.._
　　　　　　　　　 /　　 !.／l;';';';';';';＼　　　 ./　　　　│ 　 ＿
　　　　　　　 　 _,＞ '´|l. ﾐ:ゝ､;';';_/,´＼　 ./|._ , --､　|　i´!⌒!l　 r:,＝i
　　.　　　　　　 | 　 　 |:.l.　/';';';';';|=　　ヽ/:.|　.|l⌒ｌ ｌﾆ._ | ﾞｰ=':|　|. L._｣
　　　　　　　 　 l.　 　 |:.:.l./';';';';';';'!　 　 /:.:.| i´|.ｰ‐' | /　|　 　 |.　!　　 l
　　　　　.　　　　l.　　 |:.:.:.!';';';';';';';'|　　/:.:.:.:!.|"'|.　　 l'　 │-==:|.　!　==l　　 ,. -‐;



サクラダ家へ向かう途中。
街路のど真ん中でジュンが叫び声を上げたので、
ざわっとどよめいた人々が何事かと彼らを振り返る。


　　　　　　　　　　i､　　　　　　　 i､
　　　　　　　　　　|　　 .l　　.__.,. ly .、ﾞl　 i､ ,,._,,,,,
　　　　　，　　　.__＿＿,|,__ﾆン'''ﾞ`| ｒﾞi､〉._ ﾉ＼
　　　　 .ﾞl　　　 ｀ |　　　.,ン>,i´.ﾘ ｝|~~＞'＾.|　|＼
　　　　　ﾞl　　　　 |rsii二， .|　`-广　　　　|　|　 |＼
　　　　　.|　　　　.,ン''ﾞ,,!　　l／　　λλ＿,|　|　.||　＼
　　　　　 |　._／" _ノ'ﾞl　 ／　　　(´∀｀)　ﾚ| ＼|.|　.| |
　　　　　 l.`_,._-''＾　∧∧　　　　　 U U￣ fﾞ'-,"　　＼|
　　　　　 ′　,ｺ ⊂(Дﾟ )　　　　　　　 　 　ﾚ　｀-., 　　〉
　　　　　　 ,x!" |l　と´　|　　　　　　　　　　lﾞﾞ''i､, ｭ,ン´
　　　 ._.ｯ!'~　-''|　　|　 ～　　　　　　∧∧|　　`| .＼
　　 ／　　／゛　 l ./U U　　　　　　 (.*ﾟー) ﾛ　 i＼ ＼
　 "　_, ｒ'"　　　　lﾞ　　　　　　　　　 (i　　〉つ 　l 　＼ ｀ヽ,、　　／
　　　´　_,__、　　/　　　　　　　　　～|　　|i､　　.|　 　 ＼　＼,ノ
　　、　l″　ヽ　f　　　　　　　　　　　 UU　ヽ、 | 　ｒ'"| .|＼ 　i
　　ヽ　| 　 　 }.lﾞ　　　　　 　　　　　　　　　　　 ﾞl 　| ｆ十| | ￣i
　　　　|　　 　ﾄ'　　　　　　 ∧＿∧　　　　　　　 ヽ| Ｌソ |　　 .l
　　　　|　　　/　　　　　⊂（　´∀｀）　　　　　　　.'-、'″ |　　 .|
　　　　 ヽ-, ,!　　　　　　　ヽ 　 ⊂_)　　　　　　　　 ＼　.　　　|
　　　　　　　|　　　　　　　　(⌒) ノ　　　　　　　　　 　 ＼　　 .lﾞ
　　　　　　　 　　　　　　　　 　(__ﾉ　　　　　　　　　　　　　''-.″
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ'-

三３２６．



　　　／￣￣＼
　 ／ _ノ　 ヽ､_ ＼
.　|　（ ●）（● ）　|
.　|　　（__人__） 　│　　「町中で突然なんだ？」
　 | 　　｀⌒ ´　 　|
.　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　 　　　　/
　　 ヽ　 　　　 /
　　　>　 　　 <
　　　|　　 　　 |
　 　 |　　　 　 |



　　　　　　　　　　 ／|＿＿＿
　　　　　　 r 、 ／ ./　　　／
　　　　　　 i　ヽi　 /　　/´￣￣￣`ヽ
　　　 　 ＿|　 ´　　　　　　　 　　　 ＜、
　　　 ／　　　 __　　　_　　 　 　　　 ＿＼
　　　/　, ／/´　.`　´　`ヽ　　　　　 ＼￣
　　　ﾚ´/ ./ 　/　/.i　　　|　、　　　　　 ヽ、　　　「だって、そうだろう！？」
　　　　,イ.|　/|　∧ | ∧　ﾄ、`ヽ　ヽ 　　／
　　　　 .| .|/ i.| .i＼.|/　| .|´ ｀ヽi＼i　 r''
　 　 　 .ﾚ ﾚ' ri/￣`、r´|/｀ヽ V,ﾊ |　 ＼
　　　　　 ／ i　　　.ﾄ|　　　 ├─ﾀ.ﾉr-‐'´
　　　　 /' 　 ヽ＿_〈 ヽ＿___ﾉ　/ |< ﾄ￣ヽ
　　　　,ﾞ　 ／ )ヽ　.r--- 、u　/ヾｌﾄﾊﾌ::::|｀ヽ
　　 　 |／_／　 ﾊ .i￣￣i u／:} 　V 　::::|　 ＼
　　　 /／ 二二二7,==='／u'　__ / 　 :::/　／ ヽ
　　　/'´r　-―一ｧ‐ ﾞＴ´　'"´／　　　　|　　　:::::::}
　　 / // 　 广¨´ / /'　 ／ 　　　　　/　　 　::::::ｲ
　　ﾉ ' /　 ノ＼ 　|　　／＼＿＿　　 |　　　　 ::::::|
_／｀丶　/　　 ＼| ／　　　.＼　 ＼ .|　　　　　:::::|



顔を紅潮させ、明らかに取り乱している様子のジュンが先程の説明を求めているのは分かったが、

138 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:02:38 ID:ASYxH+1t 実力があるから当然なんだがやらない夫はまさにVIPだな 140 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:03:19 ID:rmsPANGQ 腕が英雄クラスでも、コネ（評判とも言う）が無いんだろうな、風来坊だし前冒険した国は鎖国しちゃったし。

三３２７．
やらない夫は眉を動かして微笑んだだけだった。



　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　 （__人__）
　 　　　 　 　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　「俺には色々秘密が多いのさ。
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }　　　　　　　　　　 それより―――」
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/'　 `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/



　（⌒ﾄ
　 ゝ彡'、
　 　 ヽ+ヽ
　　　　ヽ+ヽ　　r,
　　　　　ヾ彡=´i
　　　｀ﾐ＝｛´.＾）千＝ゝ　　　　　　　　　　┏──────────────────┓
　　　　 .,,Zゝ彡ｷ
　　　　 i./　　ヾkﾄﾍ　　　　　　　　　　　　　　　この剣。
　　　　　　　　 ヽ^》ヽ　　　　　　　　　　　　　　ただで貰えたからジュンにやるよ。
　　　　　　　　　　ヾﾄ丶
　　　　　　　　　　　ヽ､ヽ　　　 　 　 　 　 ┗──────────────────┛
　　　　　　　　　　　　ヾ ヽ
　　　　　　　　　　　　　 '., ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ヾ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 ヾヾ' ,
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾﾐ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　'､'、ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ﾍ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼

三３２８．



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ　　　　「ごめん、何言ってるのかわからない」
: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}



一瞬で顔色が赤から青になったジュンは標準語でもう一度、と聞き直すが―――



　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　|　　 　（ ⌒）（⌒）　　　　「あれ？
　 　 　 　 　 |　　 　　（__人__）　　　　 いや、俺が鎧を買ったら
　　　　　　　 |　　 　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　　 魔剣がおまけについてきた。
　 　 　 　 　 ,|　　 　　　　　 }　　　　　俺は要らないからジュンが使うといいだろ。
　　　　 　 ／ ヽ　　　　　　 }
　　　　　く 　く ヽ　　　　 ノ　　　　　　ほら」
　　　　 　 ＼　`' 　　　 く
　　　　　　　 ヽ、　 　 　 |
　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 |



どうやら間違えでは無かったらしい。

三３２９．
差し出された魔剣と、やらない夫の笑顔を見比べて



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　Λ／　〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼
　　　「こんな高価な物、　　　　　　　　　　　　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l
　　　 受け取れるわけがないでしょ？」　　　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ￣ c　￣　　　6 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　ヽ (＿＿＿_　　,-′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 |　　|



大きな反応をするのも疲れたジュンは淡々と言うが、



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）
.　|　　　　 （__人__）　　　　「高価じゃないぞ？
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　おまけだからタダだ」
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |


やらない夫はやらない夫でしれっと繰り返すだけだ。

143 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:05:14 ID:QN1h7GZO 金貨1600枚の剣をポンと…… なんだ、体が狙いか！！ｗ 144 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:05:43 ID:/E6aByTE あれあれ～？　魔剣が　お　ま　け　でついてきただろー　でも俺要らないなぁ～　ってｗ　ありかこんな会話ｗ　 146 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:06:20 ID:rmsPANGQ 3倍返しすればいいんだよ！ 147 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:07:01 ID:tmZU2XZh 何から何まで、逆に裏があるんじゃないかと疑うレベルだなｗ 149 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:07:12 ID:ASYxH+1t 交渉しておいておまけですとか良い性格だｗ 154 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:10:41 ID:rmsPANGQ ・・・剣の値段見直したら勘違いしてたｗｗ銀貨１６万枚ｗｗｗこれはきついｗｗｗ

三３３０．



: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll　　ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli,　　　 ﾟﾞ=:　　　「じゃあ君が使えば良いじゃないか」
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　ノ　ヽ､＼
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 （●）（●）|　　　 　 　 　 　 　 ／勹
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　（＿人_）│　　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 　 ｀ ⌒´　 |　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 　 　 　 |,,.._,.,_　　　∠ヾ／
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 .　 ヽ　　　　　　/　 ﾞ弋llコ~○／　　　　　　「良いんだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 / lヽ　 　　　/　　　 ／｀弋ll 　　　　　　　 俺にはこの剣があるから。
　　　　　　　　　　　　　＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ ￣ﾉ　,r‐;=／δ／ `弋l､
　　　　　　　　,r‐＜￣´､　ヽ、　｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,`ｰ-, ､__　　゜　　　　　 それに結局、ジュンは剣を買わなかっただろう」
　　　　　 　 /　　 　｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　 　 ﾉ 、　　　　 　 　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　 　 〉､ 丶､ _　 　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　 　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ　ξ＾＾ξ ||　　　 ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.. Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　 　 　 〉､_ 二 -ｨ′八ヽ ﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/　 ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/　　　 〉｝　　Ｙ´　　　　 　 ｌ　| |::::::::::::::￣l
　　　 　 ゝ:::::::::::::::ノ 　 　 く ﾉ　　 }　　　　 　 　{　l, |::::::::::::::::丿
　　　 　,〉:::::::::::::::/ 　 　　/ ｀ヾ丶ゝ、　　　　　 ゝ'〈 ヽ､::::::::::`ヽ､
　　　　{:::::::::::::::::く　　　 r'､　　　,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､|::::::::::::::::::|



確かに彼のバスタード・ソードはこの魔剣よりも数段上の剣だろう。
剣と鎧を装備している姿を見て、ジュンも今更ながらに武具屋の主人が急に態度を変えた理由が分かる。

三３３１．
良くある意匠とは言え、釣り合っているのだ。剣と鎧が。
惜しみなくミスリル銀が使われた鞘の表裏には翼を広げた神竜と咆哮する龍神が彫り込まれており、
鎧の竜の紋章と一体感を醸し出している。


┏──────────────────────────────────────────────┓

　　　※おとぎ話に出てくる存在達


　　　　＿
　　　　＼＼-..､　 　　　　　　　　　　　 　n
　　　　　 ＼＼:＼　　　　　　　　 　 　 　ﾄ:l
　　　　　 　 ]　＼::＼　　　　　　　　 　 / |::l
　　　　　　 `ﾄ､＼＼､＼　　　　　 　 ﾆﾉ､ |:::l
　　　　　　　_l__ﾆー |:::|^v　　 ＿-､ﾉ＼＼＼l
　　　　　　 ﾆーt＿:]:::::|　　　フ;;＼ｰ､ﾆ＼　 ＼_
　　　　　　　　_ニ--ﾄ､::＼ﾆ;;;;;;＿ー`-_／＼ 　 ｡廴
　　　　　　　　 ￣＼ー､::::＼;;;-_ー/／_／L !.n`ｰ､_]
　　　　　　　ﾉ`ーイ ＼ ＼::::_〕i l l lﾉ　/' 　 `ｰ､`ｺ
　　　 　 　 /　　　　 　 ＼/r-'Tヽ/ 　 `i
　　　　-=､'.　　 rー 、　 レ'ﾉ`^`~|　　　l　 ／`ﾆi
　　　　＿|.　　　|　w"ｰ'　r､_=' ／　,,,イ　/ﾉ`^
　　　　＼　　 　 `ﾉ　　`' 　 ／＼　| ヽV/Lヽ
　　　　　 ＼　　　　　 　 ／＼　 ＼＼ `
　　　　　　　＼　 　 　／ ＼ ﾄｰ＼ ＼　　┌───────────────────────┐
　　　　　　　　 `ー- 'ー､イ　　　　`フ 　 .│　　神竜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..│
　　　　　　　　　　　　　　　＼＿　　 ＼　.│　　天界と魔界のバランスを取る最強の調停者。　　 　 .│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ,,ｲ　　|　│　　属性は中立。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 .│
　　　　　　　　　　-=ﾆヽ__　 n　`' ﾉ　　 | .└───────────────────────┘
　　　　　　　　　　　　 ＼_ `'' `ー''　　 /
　　　　　　　　　　　　　　 レ----- ｰi/


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘゝ__＼_Y ＼＼,.-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　彡＼､／ﾆ二ﾆゝﾚヘ＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　巛巛ヽ彡三三く＼ﾒXy,=ﾐ:､
　　　　　　　　　┌──────────────┐　　　　巛巛ヾヽミ三三ゝゝゝ　ゞ-'ﾞヽ
　　　　　　　　　│　　　龍神　　　　　　　　　　　　　　 │　　　　ﾆ‐ﾆ彡ヾ三三く>/⌒ヾﾐゝゝゝ`ー--､
　　　　　　　　　│　　　幻獣の神で属性は光。　　　 │　　　　　-_,.彡ﾍﾍ三=ヾf;:,,　　 ＼ ,-=〒'__ヾ｝
　　　　　　　　　└──────────────┘　　　　_ -'´~77∧ゝミ-_ゝ　....＿〃'^^<klXN
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/Xﾚ公ゞｰ三=三彡ﾍｰ--､＿ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾍ//へへﾍﾍィ'了｀７ー-＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾍ//ヘﾍﾍ/'"レ_ノ_ノ　　ノ ﾞヾ:､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ｿ//ﾍﾍﾍ//ﾚ´ ￣｀ｰ､-''´ _,.ノヾ':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／/ヘﾍﾍ/|/　　　　　　ヾ''´ __,,.ノﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘﾍﾍﾍﾍ/Y　　　　　　　　｀}´　　　||


┗──────────────────────────────────────────────┛

三３３２．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,, -‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/'　　　 ヽ
　　　　　　 ／￣￣＼ 　　　　 ./　　　　　 i
　　　　　／ ._ノ　　ヽ､＼ 　　 /　　　 ...........i
　　　　　|　 （●）（●）　|　　/　　 ..:::::::::::::::|
　　　　　|　　（__人__）　 | 　/　　..::::::::::::::::::l　　　　　　　「そう言うわけだ、遠慮せずに使ってくれ」
　　　　　.|　　 ｀ ⌒´　　.} ./　　..::::::::::::::::::::!
　　　　　 |　　　　　　 　 }/　　.::::::::::::::::::::/
　　　　　 ヽ　　　　　　 ./　　 .:::::::::::::::::::/
　　　　　　.ヽ　　　　. .／　　.:::::::::::::::::::/
　　 ,. ‐'"´　 `'‐,r''"~　　　.:::::::::::::::::／
..:.／,. -‐‐- ､　l′　　 　 ..:::::::::::::／|
:,'　　　　　　／　　　　 　 !.:::::::／:i..:..l
r　　　､　 / 　 　 　 　　　 !:::::::::::　i..:..i
l　　.......`:i　　　 i 　 　 　 　 !::::::::::　ﾞ､:.i
!　 ::::::::::/　　　　i　　　　　　 i::::::::::　ヽ:i
.!　::::::::/　　　　　i　　　　　 .....i:::::::::::　ヽ
.ヽ ::::::|　　`､　　 `､　 .....::::::::::::l:::::::::::: 　`,
/ ＼:::l.　　 `､　　　ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::: 　/'''ー─----､
　　　`ヽ　　 `､　　.::::＼:::::::::::::::|:::::::::　/,,　　　,. ‐;''



あまりに彼が言うので、本当に受け取っても良いものか五回考えた挙げ句、
剣を買ってこなかった事も手伝って厚意に甘える事にした。



::::::::::::::::::::::::::ﾊ::::::::::::::/i/／ i:::::::::::::::::::::::::|::::::|:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::＼
::::::::::::::::::::::::::::ﾊ;;;;;;;;;/-'´ 　 .|::::::::::::::::::::::::ﾄ::::: ﾄ::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ￣　　 　 　 |::::::ﾊ::::::::::::::|　＼i ＼::::::::::::|:::::::::::::::::::::ﾊ
::::::::::::::::::::::::::::;:::ﾊ　　　 　 　 |:::/　V::::::::::ﾘ　　　　ｨ=ﾊ:::: |::::::::::::::::::::::::＼
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ﾍ　　　　　 |:/　　 V::::::/　　　/ｲ＝ﾌi｝ヾ─────'｀
ヽ:::::::::::::::::::::::::|　＼ヽ　　 　 |i!　　　 ｝::/　　　r''´ゞハi l:ヽ　　　　　　　　　　　　　　　「そこまで、言うなら………」
::::＼::::::::::::::::::::|　　 ＼　　　＿＿ニ三ｲ　　　||r j｝i|　.i lヾ｝
::::::::::＼::::::::::::: |　　　／::::＿,,,ィ彡=''´i/il_,=＝|.しｿﾊ ﾉﾉ-､
:::::::::::/ ＼::::::::::ヾ ／:- ''´＞''´ -=ｲ｀　 ||r'´｀ ﾊ彡　ｙ/: : : :＼ニニミ-､
::::::::/　　　｀ー- xゝ rィ彡''´イッ:::ﾘ　　/i　　　ミー=´i: : : : : : :｀:-:､: : :｝ｿヽ
:::::/::ﾊ＿＿＿＿＿/ /　 /　ﾋ:::..ソﾉ　｛.ﾘ　　　　｝.　 l-､: : : : : : : : i: ://: :ﾊ
￣ヽ──────､ﾊ　ヾ　　ゞ''´　 ノﾉ　　　 ./　 ./: :ﾉ: : : : : : : : l: i l: : : ﾊ
i ヽ　｀ -ゝ　　　　　　ヽヽ　ミ=''´　／／　　　　 　 /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ､
｛　　ﾊ　　　　　　　　　＼＼＿_／／　　　　, ィ　/: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : ＼
　｀　　 廴　　　　　し　　　ー─''´　　　 ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>､＿　　　ー　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　 /: : :/: : : : : : : : ::／: : : : : : : : : : :/
: : : : : ＞-､＿ハ､　　　　　　　　　　　　　　　ハ／: : : : : : : :／: : : : : : : : : : : :/ハ



もちろん帰ってすぐに父親に報告し、最終的な判断を仰ぐつもりではあるのだが―――
喉から手が出る程欲しいと思っていた魔剣がいきなり転がり込んできては、
受け取った手が少し震えてしまうのも仕方がない事だろう。

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━━━━━━━━━━……

三３３３．
━━━━━━━━━━……
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家に帰ったジュンは、出発直前の父を捕まえて剣の事を話した。



　（⌒ﾄ
　 ゝ彡'、
　 　 ヽ+ヽ
　　　　ヽ+ヽ　　r,
　　　　　ヾ彡=´i
　　　｀ﾐ＝｛´.＾）千＝ゝ
　　　　 .,,Zゝ彡ｷ
　　　　 i./　　ヾkﾄﾍ
　　　　　　　　 ヽ^》ヽ
　　　　　　　　　　ヾﾄ丶
　　　　　　　　　　　ヽ､ヽ
　　　　　　　　　　　　ヾ ヽ
　　　　　　　　　　　　　 '., ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ヾ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 ヾヾ' ,
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾﾐ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　'､'、ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ﾍ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼



目を丸くしたエンジュは突拍子もない話と、息子から渡された魔剣をしげしげと眺めて、呟く。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　/　'　　 　 　 　 l 　 　 l 　 　 　 ヽ＼　　 丶　　＼！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/ /　　　　　　 ! 　 |　　　 |　　　　 　 ＼丶　　 ＼　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐十'′/ /　　　　　　　l　　ﾄ、　　 |　　　　 ＼　 ＼　　 　 ヽ、 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ　 {　ｌ　 ,′　　 l　 ﾊ　｜｀､　　ﾄ､ 　 　 ヽ　<⌒ヽ、_　　　∨厂｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、ヽ|　 l 　 ｌ 　 |　{　l　| 　 ヽ　 、丶、 ヽ ＼＼ l　}　￣二7′　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　 |　　| 　 |　ﾚ七ﾆ二￣＼丶　 }ﾍ |＼ ｀ / 厶　　　ハ　!　　　|
　　「……………。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　ﾄ､＼　ヽ＼=ｷｔぞﾗ　　}ﾉ／　j/　　了/￣　　 /　 }∧ 　 l |
　　彼はどこかの王侯貴族の者か？」　　　　　　　 ＼ヽ｀ヽ、　＼__￣　　　　　　／　 　 -ﾍ／ﾚﾍ /＿,　　l 　 | ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ}　　｀7ｰ一′　　　　　　　　　 ,′　　 　 {´￣｀ヽ､い |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 Ｖ了＼ 　 り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└-- ､　　　　 ,　　　　　　　　l 　 　 　 ∨ 　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰこ￣　　　　 ,　　　　|　　 　 ／　　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ,　く　　　　 l　　 ／　　　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀一'´／ ∧　　　/　／　　　　/　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ィ　 /／! 　 ' ／　　　 　 /　　 　 　 ＼

三３３４．



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}　　　「わかんないよ。
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.　　　　………父さん、冒険者ってそんなに儲かるの？」|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 _ ＿＿ _ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,．'"´ 　 　　　　､`ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　i　　　　ﾘ ヽ ､　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 　.:ﾚ′ 　 j　　i !.:. 　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l　　 　.:/　　 , /　 i .::|:::.:l　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ﾉ　　　 ,.ｨｲ.:::/　　.::l.:|:|::::::|:::.　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 彳　　,ｨｲ 1:|::,'　 .:;ｨｲハi::::::|::.:.:.ヽ|
　　　「他の国の王族でも救って莫大な謝礼をもらったか、　 　　　|.:.:|, ｲ‐ﾘ-ﾄﾄ､::.;ｨｲ仁＝ト-ヾ::::.:.:.ﾄ､
　　　 あるいは古代文明の宝物庫でも発見したか―――」　　　　ﾄ､:i　{ r‐ェﾃ ヽl/　''ﾃェ‐ｧ .:!.:ﾄ､:;!/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 ヾ::､　　　　,　　　　　　　　!/::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 仆　　 　:j ､　　　　　　ｲ:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 `､　　　_ _　　　　　/i,ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ｰ ｀　　 ／ .|;;;:;:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ﾄ､ ＿__ ／　　 !;;:/､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 　 　 /.::::|　ヽ　　 /　　 l::::.:.L



あり得ない事ではない。
時々酒場の詩人などが謳う物語などでも分かるとおり、この世界にはそう言った機会がまだまだ残されている。

153 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:10:27 ID:QN1h7GZO どう考えても1キャンペーンこなしてきた英雄だろ、やらない夫ｗ 156 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:11:55 ID:iU0yXYw5 この金持ち具合…っ　キャンペーン１つじゃまだ足りなくね？ｗｗｗ

三３３５．
だが今のエンジュは、やらない夫が途方もないお金持ちだと言う事よりも、
彼が息子にこの魔剣を勧めた事が気になった。



　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿__
　　　　　　　　　　　　 _　-―――――-＜￣} }!
　　　　　　　　　　　 ´　　　　　 -――７　 く.７./-､
　　　　　 　 ,　 ´　　　　　￣　　,. -―/　　　Ｙ´ ＼＼
　　　 　　 /　　　　　,　　　,　 イ　　 /　　　　　　　 ヽ.｀　､＿.ノ
　　　　　/ 　　　 ,／　　／ 　,/ 　　 { 　 {　　　　　　　＼￣
　　　　 /　　　　/ 　 　 　 　,ﾉ　　　 }　　ﾊ　 }　　　　　、ヽ.
　　　　 |! 　 　 /　　　 　_.／ ,ｨ /　/　　　}　 !　　　　　 ヽ.}ヽ、
　　　　 |　　　/　 　 　｀才　 /:/　,　　 　/　/　　　　ヽ. 　ヽ.　}　　　「彼が受け取れと言ったのか」
　 　 　 {　 　/　　､　.＿__.／ /　/ ,.　__/　ハ　　ハ 　 }!　i {
.　　　　 Ｙ　/　　　｀　.ナｰ-r七´ /／７ :/二.!_/}!　}　 ハ ﾊ!
　　　　　| /　,　-―　〈 /　 {!　 ,ｲ | ／ ´tﾃ::ナ}ﾉ ./　/　ﾘ ﾉ
　　　,イ⌒Y´￣￣　　ハヽ (ヽ. i ヾ ､_　　 ￣ ノイ}／
　　〈　　　人　　――-　ヽゝxくヽ、　　　　　　 　∨
　　 }!　　∧_ ヽ. ,ｘxzrく⌒´ヽ!　　 　 　 　 　 　 ／
　　八　{〈 　 ,.イ}　　 ｀　　　 {　 　 　 　 , 　 _ '´
　　　 }ハﾘ　{´　i　　　　　　　ヽ　　　　　　 /
　　 ノ'　 }! 　ヽ/　　　　　　　　{ヽ.　＿＿_/
　 　 　 　 ＿∠__＿＿＿　　　 ヽ.
　　　　　/: : : : : : : : : : : : ￣￣￣＼
　　　　 入 ＿ ＿＿＿＿＿　　　＿厶、
　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:￣￣:.:.:.:.:.:.:＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 〉 　 ?　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　「うん」　　　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　　　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　　　　　　　　　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>
　　　　　　　　　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　　　　　　　　　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /
　　　　　　　　..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
　　　　　　　　´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　　　　　　　　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　　　　　　　　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
　　　　　　　　＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　　　　　　　　　 ヽ.　 ″　 　 ｌ　　 　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､
　　　　　　　　　　　＼　 　 　 l.　,.-‐' 　 　 :　ﾚ' ′　　く !　 //　　　　　　　 　 / 　 　 　 ヾ、

三３３６．

　　　　　　 　　 _ ＿＿ _ _
　　　　　　,．'"´ 　 　　　　､`ヽ､
　　　　　/　　　i　　　　ﾘ ヽ ､　　＼
　　　　/　　 　.:ﾚ′ 　 j　　i !.:. 　　i
　　 　 l　　 　.:/　　 , /　 i .::|:::.:l　　|　　　　「………もう一度礼を言って、
　　 　ﾉ　　　 ,.ｨｲ.:::/　　.::l.:|:|::::::|:::.　ﾄ､　　　ありがたく使わせてもらいなさい。
　　 彳　　,ｨｲ 1:|::,'　 .:;ｨｲハi::::::|::.:.:.ヽ|
　　　|.:.:|, ｲ‐ﾘ-ﾄﾄ､::.;ｨｲ仁＝ト-ヾ::::.:.:.ﾄ､　　私からも礼を言っておこう」
　　　ﾄ､:i　{ r‐ェﾃ ヽl/　''ﾃェ‐ｧ .:!.:ﾄ､:;!/
　 　　 ヾ::､　　　　,　　　　　　　　!/::／
　　　　　 仆　　 　:j ､　　　　　　ｲ:/
　　 　 　 　 `､　　　_ _　　　　　/i,ハ
　　　　　　　　ヽ　　ｰ ｀　　 ／ .|;;;:;:|
　　　　　　　　　`ﾄ､ ＿__ ／　　 !;;:/､
　 　　　 　 　 /.::::|　ヽ　　 /　　 l::::.:.L



普通なら返しなさいと言っただろう。
ジュンも、ある程度それを期待して父に報告したのだ。
しかし、やらない夫の人となりと格段に成長した息子の事を考えて、エンジュはそう言う判断を下した。




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
　　　　　　「は、はいっ！」　　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i￣￣ i　　　　　 ￣￣￣　　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r'´　 レ"　　 _ﾆ=′　　　 二ﾆ= 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rく ヽ 　 j　,-=ﾆ¨ 　 　 　 イ=‐- ､　 　 >"



彼がこの剣をと渡したのなら、ジュンはやがてこの魔剣にすら釣り合う戦士に成長するに違いない。
父を超える事を約束してくれたのだ、
その姿を見られるのならこの恩は自分が返してしかるべきだろう。

三３３７．
浮かれた様子のジュンが部屋を出て行った後。
やらない夫が途方もなく先を見通している事を知り、エンジュは腕を組む。



　　　　　　　　　 　 　 _,　　　~￣￣￣¨　 　､
　　　　　　　　　　. -=ミ　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　⌒＼　　　 ＼
　　　　　　 ／　　　/　　　　 　 　ヽ　 ＼　＼　　　‘,＿
　　　 ｰ=彡' ／ 　 ′　　　　　　　八　　　　　 　 　 ∨ﾐﾒ
　　　　　 / /　　　ｉ　　　　　 | l 　 　 ＼　 ＼　 　　　|　　ﾊ
　　　　　　 ′　　 |l　 |　　　ﾘ ﾄ　　 ＼ 　 、 ヽ乂_　ﾘ　　 ﾘ
.　　 　 　 } i　　 | 八　|　　 '/ 八＼　_ 　 、＼ 介廴'　　 /　　　　　　（そうか。
.　　　　　ﾉ人　 戈トﾐ人　/_以rｾ爪ヽ　|　＼ 介ﾄ /　　 ｛　　　　　　　 そこまで見通せるのか―――）
　 　 　 〃　 } l　 弋均ﾊ/ / 法功㌃ ｝ |　 爪ト　/　　 　、
　　 　 　 　 ﾉ人个ト　/　 　 　 　 　 ﾉ ﾉ　/ﾉﾘ　/　　 　 i|
.　 　 　 　 　 　 }乂_ /　　　　 　 　 _彡ｲ厶ｨ 　｛ 　 　 j从
　 　 　 　 　 　 八人 ヽ 　 　 　 　 　 　 /　乂从ﾊ }　 |
　　　　 　 　 　 　 　 ＼｀~`'　　 　 　 , 　 ／　 ￣V八ﾘ
　　　　　　　 　 　 　 　 ＼　　 　. イ 　 '｀ 　 　 　 ∨/
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀´　r‐ '"　 　 　 　 　 '¨￣＼､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 厶＿..　 -‐' '` 　 　 　 　 } :ヽ
　　　　　　　　　　 　 　 　 _,厶;_: : : : ＼　　　　　　　　 { : :lﾍ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　 ＼ : : : ＼　　　　　　　| : :}　'
　　　　　　 　 　 　 _／　　 　 　 　 ＼ : : : ＼　　　　　 | : :| 　 ,
　　　　　　 　 　 ／´￣ ｀丶　　　　　 ＼ : : : ＼　　 　 | : :|　　′



もしかしたら見通しているのではなく、可能性を信じているだけかも知れない。
それでも自分の部下には役不足。
その確信を得た彼は、今日の募集試験でどうするかを決めた。


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本日の投下は以上になります。
合いの手、閲覧ありがとうございました！

次回は第三章その６（ラスト）になります。

159 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:13:41 ID:/E6aByTE ああ　なるほど　エンジュからすると　貴方の息子さんにつりあう剣はこれですよ　と見せられた訳か やらない夫の慧眼を信用するとしたらエンジュが自分の息子に対する評価があまりに低かった事を再認識させられた訳か 162 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:14:53 ID:rmsPANGQ 今度は・・・って言ってるからまだのびると踏んでるんだろうな。 エンジュは最終形だと思うのも無理ないが 165 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:17:06 ID:ASYxH+1t ！とんでも展開で気付くのが遅れたけどジュンも魔剣を持つに相応しくなりつつあるのか、凄い成長したものだ 166 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:17:46 ID:tmZU2XZh おつかれー やらない夫の金持ち具合がわからんけど、 エンジュの生涯年収の１００倍くらいは金持ってるのかなｗ 168 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:19:10 ID:ASYxH+1t 乙の一文を忘れるとは不覚！改めて乙でした！！ 169 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:19:19 ID:khxoFiri 乙でした 宝石払いって一種の夢だよね！ でもって強さの基準になりそうなやらない夫が雲の上の存在すぎてジュンの実力がわからんｗｗ 171 ◆GV1zPRS/Lk 10/08/28 22:22:50 ID:5n2B4TUy >>161-169 閲覧とたくさんの乙をありがとうございます！ とても励みになります。 実は以前、どなたかがバブリーな冒険者は出てくるのかなーみたいな 書き込みをされた時にドキッとしてました。 172 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:24:25 ID:rmsPANGQ >>171 一言ですましちゃらめえｗｗ>>バブリー 170 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/28 22:22:48 ID:4snup7CJ 乙 ない夫…… さてはドラゴンの5、6匹＋リッｔ…もといノーライフキングを二、三人ほど倒してきたんじゃないだろうなｗｗｗ 175 ◆GV1zPRS/Lk 10/08/28 22:40:26 ID:5n2B4TUy >>170,173 閲覧と乙をありがとうございました！ ノーライフキングが複数居る大陸なんて 大変すぎますｗｗｗ >>169 やらない夫基準は成立しないかと。。。 180 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/08/29 00:43:18 ID:DUKzhbCW 乙！ 桜にポンと大金渡して金大丈夫かと思ったらそんな心配無意味だったでござる つかやらない夫そんなに金あるのに貴族の家でそわそわするのねｗｗ

三３３３．
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
　　　　　「やらない夫、そろそろ行かないか？　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
　　　　　父さんはもうとっくに行っちゃったよ」　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i￣￣ i　　　　　 ￣￣￣　　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r'´　 レ"　　 _ﾆ=′　　　 二ﾆ= 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rく ヽ 　 j　,-=ﾆ¨ 　 　 　 イ=‐- ､　 　 >"



準備を終えたジュンに言われ、談話室で雛苺とお喋りをしていたやらない夫も立ち上がって剣を持つ。
先程購入した鎧はすでに脱いでいる、今は昨日まで使っていた物を装備していた。



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）　　　　　　　　「そうだな。
.　|　　　　 （__人__）. ｒｍ､　　　　　行く途中、試験について色々教えてくれ」
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉｒ川 ||
.　 |　　　　　　 　 },.!　 ノ'
.　 ヽ　　　　　 　 ｒ / .|
　　 ヽ　　　　　ノノ　ﾉ
　　　/　　 　 ／ .／
　　　|　　　 　 ／
　 　 |　　　　i´

三３３４．



　 r‐　_＞　'´: : : : : : : :＼: :ヽ__／_ノ:_:_:_:_:_:_:_:_:_ノ_,ｲ
　（ f´: : : : : : : : : : : :_＿ノ_工_不ユ辷ン､__)て_ﾌ￣＼
　 （_}: : : : _　 -r≦_入ﾉ‐(⌒)ﾉ＾ゝ┘ヽ,＼　下卞､[_￣
　　(ｲ‐ﾊ__ﾉ`ー'＞_T升　 ｌ　i{　　 ヽ.　 ヽ ＼　ヽ }　 ＼
　く　ｈ{: : __,:ィ´r勹'　 |　 　 ｜　　　i　　 l 　 ヽ　ヽ　　冫
　　｀下不ンﾌ_√ | 　 |　 　 ｜　　　| ,. -+- 、 ',　 l ＼{　　　　　　　　　「お兄様、やらない夫さん、
.　 　 j_:_:イﾞ厂 !　 ､　 ヽ_,⊥｜i|　　 ! | _⊥_ﾊ ハ　リ__}）　　　　　　　　 頑張ってくるのよー！」
　　 /レ＾ 「｜！　 ヽ／ ＼_,.|从 　 ﾊ ｲテ'卞仆jイ　`ｰ､
　／　| 　 |　ﾞ,　ヽ × ＼x＝ミ、 ｀´　 ' {ゞｨﾘ '|__,ﾝ千´￣｀ヽ
/　　 l| 　ハ　ヽ　＼_>〃{k_r１　　　 　 ｀－´仁二亅_,二二｝
ｰ＝ミＬ.＿__≧ト､ート ヽ ゞン　　 　 '　　　　 ﾞハ三{_∠_￣
　　＼｀Y二ﾆ＝-Y´ ￣｀Ｙ　　　 r　 ￣}　　 .ｲ 厶イく_ﾌﾉ
　 　 ﾉ ｲ　　 ＿__ゝＺ__,ラ､　　　 ヽ __ ﾉ　∠,ﾉ┴‐┴＜
　　　　 ゝ二三三ﾆﾊ=-=ァ≧ｰ ┬ --,イ: : | : : : : : : : : ＼
　　　　　 └─＝ｧ冫｀乙(⌒´＾f廴／,ニニ.ヽ: : : : : : : : : :｀ｰ 、
　　　　　　　　　く<　　 ⌒,ィ冖㌃Zく : : : : :.|'::}: : : : :.:.:.: : :.:. :./
　　　　　　　　　　｀　　／ｲ￣}:::;小:::＼_:_:_/:/: : :.:.:.:.:.:.: :.:./_/
　　　　　　　　　　　　〈〈: : : //::l | l::|` ー一'_:.:.:.:.:.:.:.: :‐:⌒ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 ／ヽニソｉ:::|！ﾍ:ヽ: : : : :└--(: : : : : ヽ: ＼
　　　　　　　 　 　 （:.:.:.:.:.:.:ﾉ:/::/　i: :ﾍ:::＼: : : : : : :.l: : : : : : :ヽ: :ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 ＼;／ /::/ 　 !: : }＼:::＼: : : : : l: : : : : : : : ＼:',



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ／.:/.: 　 i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l.:.:./ .:.:　.|.:.:.:l..:/l.:.:/　|.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/　 |/　l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ　　l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ　lﾄV
　　　　　　「ああ、行ってくるよ」　　　　　　l.:.:/l .:　ﾊ:lN{　辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ　l1 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:/　l.:/　　 lL_ ＿＿ノ　 ,　　ヽ _二 ノ.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 l/　､__',　　　　　　　 　 　 　　 /　.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　　ヽ　　　　　r‐‐ｯ　　　/.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　 　 入　　　　　　　 ,..ｲ.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　.　'´　i.:.＼＞ -- ＜/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　／　　 　 |.:.／＼　 　 ノ.:



　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　「戻った時は二人とも騎士になってるさ」
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ

三３３５．
玄関の外まで見送ってくれた雛苺と別れ、サクラダ家を出て王城へ向かう途中。



　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　 　　 　 〉 　 ?　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　　　　　「前にも言ったかと思うけど、
　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　　　　　　試験は筆記、実技、面接だよ。
　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´　　　　　　　まず一般常識の筆記試験があって、
　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>　　　　　　　　　 その後剣を使った試合で実力を試される。
　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　それで選考に残った者が一人ずつ
..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´　　　　　　　　　　　　　　　面接を受けるんだ。
´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__　　　　　　　　　 毎年、一つの騎士団に五人ぐらいの
　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、　　　　　　　新人が選ばれてるらしい」
＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　 ヽ.　 ″　 　 ｌ　　 　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､
　　　＼　 　 　 l.　,.-‐' 　 　 :　ﾚ' ′　　く !　 //　　　　　　　 　 / 　 　 　 ヾ、



　　　　 ／￣￣＼
　　　／　　 _ノ　　＼
　　　|　　　 （ ●）（●　　　　　「試合に負けると落とされるんだろう？
　　　|　　　 　 （__人__）　　　　 なら、シンジは今年は無理だな」
.　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　 |　 　 　 ∩ ノ ⊃
　　／ 　 　 .／　＿ノ
　 (.　 ＼ ／　.／_ノ │
　　＼　 “　／_＿_|　 |
.　　　 ＼／ ＿＿＿ /



ジュンと戦う事を強制しなければ普通に勝てただろうに、とやらない夫が言うと、

三３３６．
そうでもないんだよ、とジュンが否定した。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.:.:.∧:.:|　　　 |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }:.:.:.:.ヾ:.:.:',　　　|:./　.V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ　 V:.:.:i{　ゞテ＝ァ　||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.||　 {辷zり　 .||　ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
　　　　　　　「いや、必ずしもそうじゃないよ。　　　　　　.　 　/:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ //　　／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　 結局は各団長が選ぶんだから、　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::>　 ゞ' ´　|| {　　　 ￣￣￣￣　　 入 ソ/:.:.:.:._＿／
　　　　　　　 きっとギャブレットがシンジを選ぶよ」　　 　　￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ　　　　　　　　　 　/　／:.:ヽ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'´ ヽ |　　　　　　　 ＿　　　　　 　 /-'´／￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　 　 ￣_　　　 　 　 　/￣゛゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　＼　　　　　　　　　　_　ィ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ 　 ､　　　　 イ　　　ｙ入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニi　´　　　　／　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／/　}　　 　　/　　　　|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　/　/　ﾉ　　　　/　　　　　|　 ￣ ' - ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/　　V'´￣￣ ../　 　 　 　 |　　　　　　｀ ' - ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／/　 　/::::::::::::::／＿＝=-､＿ |　　　　　　 　　/ヽ



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）　　　　　「なんだ。
.　|　　　　 （__人__）　　　　　　じゃあ元々ジュンも―――」
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



騎士にはなれたんだな、と言いかけたやらない夫を制して彼はもう一度首を振る。

三３３７．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 /|,　-──---,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈　　. :.::::.:.:.:.｀`く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠.:／.::ﾊﾊ|:::::::::1::::.:.:.:.　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ム:从r'''''|/Ｎ:::|.;;;!;;;;;;;「￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　l/N￣|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|
　　　　　　「いや。　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 `|￣ﾉ└‐┘｀`ウ'ﾞ
　　　　　　 僕は負けたら即座に帰れって　　　 　 　 ＼ ー' ,..ィ二［
　　　　　　 以前から父さんに言われてる」　　　　　　　￣r'"´,. -‐L_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠二　　 　 1i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 　 `ヽ|　 | ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 　 　.:j.　 | ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 　 〈　　| | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　 / __ ＿＿」.　 | | |



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ⌒）（⌒)　　　「さすがエンジュ様、
.　|　　u　 （__人__)　　　　厳しいな」
　 |　　　　　 |r┬|}
　 |　　　　　 |　| |}
.　 ヽ　　　　　｀ﾆ}
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　/　　　 く
　　　|　　　　 ＼
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)

三３３８．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ／.:/.: 　 i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l.:.:./ .:.:　.|.:.:.:l..:/l.:.:/　|.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/　 |/　l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
　　　　「暗黙の了解みたいなもんでね。　　　　　　　 /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ　　l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ　lﾄV
　　　　 もともと余程の事が無い限り、　　　　　　　 　　　l.:.:/l .:　ﾊ:lN{　辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ　l1 l
　　　　 実技で負けた人が受かる事もないし、　　　　　　l:/　l.:/　　 lL_ ＿＿ノ　 ,　　ヽ _二 ノ.:.:.
　　　　 大抵負けた人はそこで帰っちゃうんだそうだ」 　 l/　､__',　　　　　　　 　 　 　　 /　.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　　ヽ　　　　　r‐‐ｯ　　　/.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　 　 入　　　　　　　 ,..ｲ.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　.　'´　i.:.＼＞ -- ＜/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　／　　 　 |.:.／＼　 　 ノ.:




来月の衛兵募集に行く人もいれば来年まで頑張る人もいるんだよ、とのジュンの説明に
就職も大変なんだな、とやらない夫は腕を組んだ。



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）
.　|　u.　　 （__人__）　　　　「なるほどねぇ」
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　 　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　 　 i⌒＼ ,__(‐- ､
　 　 l ＼　巛ー─;＼
　　 　|　｀ヽ-‐ーく＿）
.　　　 |　　　　　　l


┌───────────────────────────────────┐
│　　騎士も衛兵も、騎士団という大きな枠組みに所属して警備などにあたるが、　　......│
│　　騎士＝キャリア組、衛兵＝ノンキャリア組　ぐらいの差がある。　　　　　　　　　　　 │
└───────────────────────────────────┘

三３３９．



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ー）（ー）　　　　（と言う事は………
.　|　　　　 （__人__）　　　　 負けたシンジが合格したら、
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　 ギャブレー家の縁故採用って事で
.　 |　　　　　　　ｎｌ^l^l　　　 本人もギャブレットも白い目で見られるって事か？
.　 ヽ　　　　　 |　　 ﾉ
　　 ヽ　　　　ヽ　く　　　　　いや。
　　　/　　　　　ヽ　＼　　　 シンジも年齢の割には腕が立つ。
　　　　　　　　　　　　　　　　そうはならないか）



先日雛苺を襲った二人組。
先程聞いた彼女の話を総合するに、毎年騎士募集試験に落ちていた無能者のようである。
あのレベルでも試験に参加出来るのなら全体の平均も大体予測がつくので、
シンジとジュンが突出する事になるのは間違いない。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
　　　　「面接が終わってしばらくしたら、　　　　　　　 　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
　　　　 合格者と何処配属かが発表になるよ」　　　　　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i￣￣ i　　　　　 ￣￣￣　　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r'´　 レ"　　 _ﾆ=′　　　 二ﾆ= 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rく ヽ 　 j　,-=ﾆ¨ 　 　 　 イ=‐- ､　 　 >"

三３４０．
そうこうしている内に二人は王城の入り口に到着していた。
城壁の外、堀の跳ね橋の袂で案内の看板を見てみれば、試験は鍛錬の間で行われるらしい。



　　　　　　　　　　　ヾｰ─ｰ─ｰ──ｰ──ｰ──ｰ─ｰ,ィ
　　　　　　　　　　　　||;　|;　|i　|;　|;　|;　|i　|;　|;　|;　|i　|　||
　　　　　　　　　　　　||i　|;　|;　|;　|i　|;　|;　|;　|i　|;　|;　|　||
　　　　　　　　　　　弋┼i‐‐l!‐i!‐‐i──i‐‐l─i‐ l‐ l‐il┼‐ ﾌ
　　　　　　　　　弋ｪｪt┼┬┌───────┐ ,‐i┼t'ｪ,ｨﾌ
　　　　　　　　　　　　　iｌ＿,└───────┘ ,　 i!
　　　　　　　　　　　　　|￣￣||　|￣￣|i　|￣￣||　|￣￣|l
　　　　　　　　　　　||￣￣|￣￣ｌ￣￣|￣￣!￣￣|￣￣|￣||
　　　　　　　　　　　ｌ|￣|￣￣ｉ￣￣|￣￣ｌ￣￣|￣￣!￣￣|ｌ
　|￣￣|ｌ　|￣￣||　||￣￣|￣￣|￣￣ｉ￣￣|￣￣|￣￣|￣||　|￣￣||　|￣￣|i
￣i￣￣|ﾞ ''￣i￣￣||￣!￣￣;/ ￣￣￣￣￣￣ﾞヾ￣|￣￣|ｉ￣|￣`~|i￣￣|￣￣
￣￣|￣￣i`~￣|￣ｉ|￣￣|￣|: : : : : : : : : : : : : : : |￣￣|￣||￣￣i￣″|￣￣|i￣
￣|￣;ﾞ|i￣￣l!￣￣||￣|￣￣|: : : : : : : : : : : : : : : |￣ｉ￣￣||￣i￣￣|￣￣i￣~`l
￣￣i￣￣|￣￣i､ ;||￣￣|￣|: : : : : : : : : : : : : : : |￣￣|￣|ｌ￣￣|￣｀~|i￣″|￣
￣i￣｀~|￣ヾｌ;￣￣ｌ|￣|￣￣|: : : : : : : : : : : : : : : |￣|￣￣||￣|￣￣i|￣￣|￣￣
`､￣|￣￣i￣￣|￣||￣￣|￣|: : : : : : : : : : : : : : : |￣￣!￣||￣ﾞ ﾞi￣￣|￣ヾi|￣
″|￣￣i|￣!,,|￣￣ｉ|￣!￣ ; :|: : : : : : : : : : : : : : : ｉ￣|￣￣||￣i￣￣|￣￣i￣￣l
|￣~~i￣￣|￣ i ;￣||￣￣|￣|: : : : : : : : : : : : : : : |￣￣|￣||￣゛|￣￣|i￣￣|￣_
''- ．._　　　~""'''　‐- ．..,,__　　　　　　　　　　　　　_,,..-‐''~""'''　‐- ．..,,___,,.-‐'

三３４１．



　　/ ／.:/.: 　 i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
　 　 l.:.:./ .:.:　.|.:.:.:l..:/l.:.:/　|.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
　　./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/　 |/　l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
　 /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ　　l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|　　　　「なんだ、試験は鍛錬の間で行われるらしいよ。
　 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ　lﾄV　　　　　　 やらない夫、行こう。
　　　l.:.:/l .:　ﾊ:lN{　辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ　l1 l
　　　l:/　l.:/　　 lL_ ＿＿ノ　 ,　　ヽ _二 ノ.:.:.　　　　　　　やらない夫？」
　 　　 　 l/　､__',　　　　　　　 　 　 　　 /　.:.:.
　 　 　 　　　　　ヽ　　　　　r‐‐ｯ　　　/.
　 　 　 　　　　 　 入　　　　　　　 ,..ｲ.:.
　 　 　 　　　.　'´　i.:.＼＞ -- ＜/
　 　 　 　／　　 　 |.:.／＼　 　 ノ.:



　　　　　　　　　　　 ／ ￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　　 　 ノ ヽ
　　　　　　　　　　|:::::: 　 　　（● ）　　　　　　　　　　　　「ああ」
　　　　　　　　.　　|:::::::::::　　　（__人）
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::　　　⌒ﾉ
　　　　　　　　.　　 |::::::::::::::　　　　}
　　　　　　　　.　　 ヽ:::::::::::::: 　　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ::::::::::　　ノ
　　　　　　　　　　　　/:::::::::::: く
　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::: 　|
　　　　　　　　　　 　 |:::::::::::::::|　|



通りの向こうを振り返っていたやらない夫は訝しげなジュンになんでもないと頷き、

三３４２．
入り口の衛兵にエンジュから渡された登録書を見せた彼らは入城を許可される。



　 　 　 　 　,,.､_,.,､_　＼　　　　　　 ∧[†￣] /__|
　　　　 　　　　　　,.:::;,:..＼　　　　 （´∀｀　）　||
'""｀｀｀''''　　 　 　 　 　 　 ＼　　<⌒iーi⌒＞.||
　 .,;:. .:;.　..: :..　　　　vjiijww　＼　:| i　　 ヽ ヽ.||
　　　　　　　　　 　 　　　.;; :..　　ヽ| |　　　 ＼(ﾐ)
　　　　"~''''　　,,.、_,、 　　　　　　 (,,|　 　 ｲ　 ||
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