┌───────────────────────────┐
│この当時の僕は将来の道が絶たれ、絶望の淵にあった。　　　　 .│
│家から出ることなく部屋に閉じこもる日々が続いていた。　　　　　 │
│誰かに構うなんて余裕を持つことなんてできなかったのだ。　　　...│
└───────────────────────────┘
鬱鬱鬱鬱鬱鬱參夛 ‐―――――‐ -冬鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱欝　 　 　
鬱鬱鬱鬱鬱鬱㌢　　　　　　　　:;:;:;:;:;:;:;:;:;｀尊鬱鬱鬱鬱鬱鬱　　　　　
鬱鬱鬱鬱鬱㌢　　 　 　 　 　 　 　 .;:;:;:;:;:;:;:;:;:;尊鬱鬱鬱鬱鬱 　 　　　
鬱鬱鬱鬱:Ⅳ　　　　　　 　 　 　 　 　 ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;尊鬱鬱鬱鬱　　　　　 .
鬱鬱鬱鬱Ⅳ　　 　_＿＿,, 　 　 , ＿＿_:;:;:;:;:;:;:;::;Ⅷ鬱鬱鬱鬱　　　　　
鬱鬱鬱鬱:|　 　 　 l {::::::::}　|ililili|　{::::::::} l　:;:;:;:;:;:;l鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱il　 　 　 ｀ ー '　'　　 ｀　ー ' '　;:;:;:;:;:;:;l鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱ｉl　　　　　 /　　　 .!　　　 ヽ　　:;:;:;:;:;:;l鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱ill　　 　 　 ヽ＿_／ ＼＿_/.　　:;:;:;:;:;:;l鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱ｉll　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 :;:;:;:;:;:l鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱ｉｌl　　　　　　　　　　　　　　　　 :;:;:;:;:;l鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱ﾓl　　　　　　　　　　　　　　　　:;:;:;:;:;:l鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱叭　　　　　　　　　　　　　　　:;:;:;:;:;:;l鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱淤,　　　　　　 　 　 　 　 　 　:;:;:;:;:;:;l鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱ｌ伐、　　　　　　　　　　　　　:;:;:;:;:;:;:;!鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱ﾓ夥!　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,'＾尊鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱影{　|ヽ　　　　　　　　 　 　 　 　 /|　/ 導鬱鬱鬱
鬱鬱鬱影　 ∨|　ヽ　　　　　　　　　　　 ／　| /　　導鬱鬱鬱
鬱鬱影 ヽ　　＼　　｀ー―――――　´￣￣　 ／　 導鬱鬱鬱

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　/
　　　　ポロン　　　　　　　　 　 　 　 /　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,'　　　　　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　 　 　 　 　 　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　 　 　 　 　 {
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　 　 　 l
　　　　　　　　　　　　　 r‐ ､　/　　　　　　 　 　 　 　 　 ,
　　　　　　　　　　　　　/　 ／　　　　　　　 　 　 　 　 　 l
　　　　　, -　､＿＿＿_{_／　　　　　　　　　　　　　　 　 ,
　　　 　 {　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　　l　｀ｰr-､,,..::''　　　　　　　　　 　 　 　 /＿__／　　　　　　　　　　　ポロン
　　　　　|　　 | ノ　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／l　 l
　　　　　| 　 ／　　　　　　　　　　　　　　 ,.ｲ　 ゝ_j
.　　　　 ヽ／　　　　　　　　 ＿＿＿__／l　 !
　　 , - '´　　　　　　 ＿_ ／l　　 l 　 　 弋,ﾉ
. 　 {　　　　　_,. -r '´　　　 弋__ノ
　　‘， 　 　 {ヽ 　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────────────────┐
　　　}　　 　 ! ヽ_ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│ピアノに向かって戯れに一曲弾いた。　　　..│
　　　|　 ,　　j　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 └──────────────────┘
　　　',　ﾉ　 /　　　　　　　　　　　　　ポロン・・・・・・
　　　 ヽ､__/

　　　　＿＿
　　 ／ノ　ヽ＼
　／.（○）（○）＼
　|. 　　（__人__）　|　　　　　　　　　（全然、ダメだ。
.　|　　　　　　　　|　　　　　　　　　　もう弾くことなんて）
　 |　　　　　　 　|
.　 ヽ　　　　　　ﾉ
　　 ヽ　　　 　/
　　　/　　　　ヽ
　　　|　　　　　|
　 　 |　 　 . 　 |

　　
　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :
　 　 ,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :
.　　 {: : : : : :; : ,' ^) :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:
　　　',　:{｛:::{ : ::（( : { :{ :{ ⊥..」_｀:.ﾉ:／: ;′: : :ｊ:　　　　　　　　　　「ラ、ラララ～ラ♪」
.　 　 从从八;ヽr=ﾐ｀｀　r＝=､ヽ／:/: / . : : :,′
　　　　 〉〉〉 〈(　　　 　　 　　 ／: ／: / .:/ : /: :
　　　　 ｊ ｉｊ : : ｊ{´´　 　　´´´/: :: /: : ::{ : :{: : {: : :
　　　　,','/／/'}n.　 マフ 　,'. : ::;' : : : :', : :', : : : :
.　 　 / /ｲ / /./,n､　 　 　 {: : :::{ : : : : :ヽ.: :､: : :
.　　ノ /.: | ' / '|//　`￢ァﾍ、: ::、: : : : : :＼: : :
┌────────────────────────┐
│やらない子が一度聴いただけの曲をハミングで　　　　　.....│
│正確に諳んじてみせた時も、僕は驚きもしなかった。　　.....│
└────────────────────────┘

　　　／￣￣＼
　 ／ _ノ　 ヽ､_ ＼
.　|　（ ●）（● ）　|
.　|　　（__人__） 　│　　　　　　　　　　「好きな歌なんだ？
　 | 　　｀⌒ ´　 　|　　　　　　 　　　　　上手いじゃないか」
.　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　 　　　　/
　　 ヽ　 　　　 /
　　　>　 　　 <
　　　|　　 　　 |
　 　 |　　　 　 |




　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :
　 　 ,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :
.　　 {: : : : : :; : ,' ^) :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:
　　　',　:{｛:::{ : ::（( : { :{ :{ ⊥..」_｀:.ﾉ:／: ;′: : :ｊ:　　　　　　　　　「う、ん？
.　 　 从从八;ヽ:::::ヽ｀｀　ｨ::::::７ヽ／:/: / . : : :,′　　　　　　　　　初めて・・・・・・」
　　　　 〉〉〉 〈(　ﾞｰ"　　　 ﾞｰ'／: ／: / .:/ : /: :
　　　　 ｊ ｉｊ : : ｊ{,,　　 　　　 ,,/: :: /: : ::{ : :{: : {: : :
　　　　,','/／/'}n　　rーｧ　 ,'. : ::;' : : : :', : :', : : : :
.　 　 / /ｲ / /./,n､　￣　 　{: : :::{ : : : : :ヽ.: :､: : :
.　　ノ /.: | ' / '|//　`￢ァﾍ、: ::、: : : : : :＼: : :
　　　　　 |　　　.ｲ

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ⌒）（⌒)　　　　　　　　　「はは・・・・・・。
.　|　　u　 （__人__)　　　　　　　 　 　 まさかね」
　 |　　　　　 |r┬|}
　 |　　　　　 |　| |}
.　 ヽ　　　　　｀ﾆ}
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　/　　　 く　　＼
　　　|　　　　 ＼ 　 ＼
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)､



　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 _ノ　　ヽ、　　＼
　　　 　　 　（○）（○ ）　　　|　 　 　 　 　 （満足に口の利けない子だ・・・・・・。
.　　　　　　 （__人__）　 　u　 .| 　 　 　 　 　 嘘なんかつくか？　
.　　　　　　　 ヽ｀⌒ ´　　　　|　　　　　　　　本当に初めてみたいだけど）
　　　　　　　　｛　　　　　　　/
　　　　　　　　lヽ、　　,ｨ'.) ./
　　　　　　　　j　.}ﾝ／／　ヽ
　　　　 　　　ﾉ　'"´ ￣〉　　|
.　　　　　 　 {　　　　 勹..　｜
　　 　 　　　 ヽ　､＿_,,ﾉ　.　|



　　　　＿＿
　　 ／ノ　ヽ＼
　／.（○）（○）＼
　|. u.　（__人__）　|　　　　　　　　　「もう一回歌ってみてくれ」
.　|　　　　　　　　|
　 |　　　　　　 　|
.　 ヽ　　　　　　ﾉ
　　 ヽ　　　 　/
　　　/　　　　ヽ
　　　|　　　　　|
　 　 |　 　 . 　 |

　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :
　 　 ,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :
.　　 {: : : : : :; : ,' ^) :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:
　　　',　:{｛:::{ : ::（( : { :{ :{ ⊥..」_｀:.ﾉ:／: ;′: : :ｊ:　　　　　　　　　　「ラ、ラララ～ラ♪」
.　 　 从从八;ヽr=ﾐ｀｀　r＝=､ヽ／:/: / . : : :,′
　　　　 〉〉〉 〈(　　　 　　 　　 ／: ／: / .:/ : /: :
　　　　 ｊ ｉｊ : : ｊ{´´　 　　´´´/: :: /: : ::{ : :{: : {: : :
　　　　,','/／/'}n.　 マフ 　,'. : ::;' : : : :', : :', : : : :
.　 　 / /ｲ / /./,n､　 　 　 {: : :::{ : : : : :ヽ.: :､: : :
.　　ノ /.: | ' / '|//　`￢ァﾍ、: ::、: : : : : :＼: : :　　　　　　　　　　　　　



　　　　＿＿
　　 ／ノ　ヽ＼
　／.（○）（○）＼
　|. u.　（__人__）　|　　　　　　　「あ・・・・・・。
.　|　　　　　　　u | 　 　 　 　 　 ぴったりと」
　 |　　　　　　 　|
.　 ヽ　　　　　　ﾉ
　　 ヽ　　　 　/
　　　/　　　　ヽ
　　　|　　　　　|
　 　 |　 　 . 　 |

　　　／￣￣＼
　 ／ _ノ　 ヽ､_ ＼
.　|　（ ●）（● ）　|
.　|　　（__人__） 　│　　　　　　　　　　（間違えがないくらい正確だ。
　 | 　　｀⌒ ´　 　|　　　　　　 　　　　　ちゃんと繋いでるし、
.　 | 　 　 　 　 　 |　　　　　　　 　 　 　 直前の演奏とまったく同じだ）
.　 ヽ　　 　　　　/
　　 ヽ　 　　　 /
　　　>　 　　 <
　　　|　　 　　 |
　 　 |　　　 　 |



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）　　　　　　　　　　　「本当に初めて聴いたのか？」
.　|　　　　（__人__）
　 |　u 　　 ｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |

　　　　　　　　　　　　　　　 __
　　　　　/｀i､_ , ' ~ ￣ ＼ __/ .:::＼
　　　 ／::::: ／..::::..:.゛_7:::: ::.. ヾ)'::::::｀i
　　　ﾙ:::::: /: ::..:::::／ ｀vﾍ、: : ::∧:::::::ﾘ
　　 （Yy∧ﾉ :ﾉ_.:ﾉ_ ノ　　__｀ ､:::） ゝ:/ 　コクコク
　　　 ）ﾉ　ﾘ:::〃 （－）　 （－）i:!:〉 Yy
　　 （/　 　ソ::ﾊ 　,,　　　　　/i/　 ﾘ
　　　!　　　ノ ::/iゝ.　 △ . イく
　　　　　.（::ｲ/ﾙ|_.ｲ|. ￣i'Y;ﾉ::ﾙ
　　　　　　）ﾉ.　　　　~V~ 　　 ヽ




　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼
　 　 　 　 　 | 　（●）（●）　.|　　　　　　　　　　　「いつ覚えたんだ」
　　　　　　 　!　　（__人__）　 |
　 　 　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |
　　　　　　 /　ミ）　　 　　　/
　　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　　 　i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　　 　　|　|／|　　　　 |　|

　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :
　 　 ,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :
.　　 {: : : : : :; : ,' ^) :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:
　　　',　:{｛:::{ : ::（( : { :{ :{ ⊥..」_｀:.ﾉ:／: ;′: : :ｊ:　　　　　　　　　　「今」
.　 　 从从八;ヽr=ﾐ｀｀　r＝=､ヽ／:/: / . : : :,′
　　　　 〉〉〉 〈(　　　 　　 　　 ／: ／: / .:/ : /: :
　　　　 ｊ ｉｊ : : ｊ{´´　 　　´´´/: :: /: : ::{ : :{: : {: : :
　　　　,','/／/'}n.　 マフ 　,'. : ::;' : : : :', : :', : : : :
.　 　 / /ｲ / /./,n､　 　 　 {: : :::{ : : : : :ヽ.: :､: : :
.　　ノ /.: | ' / '|//　`￢ァﾍ、: ::、: : : : : :＼: : :　　




　　　　　 ／￣￣＼
　　　　／u　　 _ノ　＼
　　　　|　　 　（ ●）（●）
　　　 ｜　　　　 （__人__）　　　　　　　　　　　「今って、一度しか弾いてないじゃないか。
　　 　 |　　　　 　|r┬| .}　　　　　　　　　　　　 だって――今」
　 　　 | 　 　　　 |　| | }
　　 ,..-'ヽ　　 　　｀ﾆﾆ }
　 ./::"::::`ヽ､.,＿＿ __ノ ﾞ
　/::i::::::::::::"'弋'!ｰ',イ>|'_ノ´｀ｰ -,,＿ _
. }:::ﾞ|::::::::::::::::::::~ﾞ:_戈;f"　 、　　　 ｲ/ `i
/:::::::!;:::::::::::::::::::/',r.ﾃ　　　 ＼xｰ.ｫ､__ノ
::::::::::::ヾ!:::::::::::::l .l r'　　 `　､_冫y"
:::::::::::::::::＼o:::::l .ﾄ、　 ヽ,＿ﾉ"ｰ'
:::::::::::::::::{::::{＼代 l>ｰ､,_ノ

　　　〈:.:.:.:.,　' |／　|　　　/　　＼　　　　　ゝ　　ヽ::::／：　　　　　　　人
　　//　へ　 /　　.:l:..∧｀　　　　ヽ丶　　　　　　　j:::）ヽ　：　　　　　　　て　ビクン！
　,//　/　　 /　　　|〈　∨::::　　　　　　　　＼　　　ヽ:::..`：.　：　　　　　　（
!／　/　　　|　　　　ﾊﾍ　丶:::　　ヽ　　ｲゝ　　丶　　　:::::::::...：
| 　 .:!　　　 !/l:.:.:.:.:|　丶　　ヽ:::　　|　　　1::::::.:.:.:.:.:.:.::.:.}::::::::........　：
|:.:.:.:.|　..:.:.:.:.:|　＼:.:!　　 ヽ　　ヽ::　}:|..:.:.:.::|ヽ:.:.:.:.:.:.:./l::j.＼::::::.:.:.......：
| !:.:.:.|::.:.:.:.|:.:|,_　 |_,ｌ::::::::::::::::::::::::',:: l::|_:..-:::|,;::|　　ﾊ　l:.:.＼: ＼:＼ｲ　：
/|:.:.:.:.l:.:.:.:.|´| ￣λ|`ヽ::::::u::::::::::!/L;|＿　j/ :|　/|Ｖl:.:.l 　:）:::/／：
!:ヾ:.:.:.l:.:.:.:|:.:||:{´'{:::o::|｀'::::::::::u:::::|/´{::o::'ﾘ~ }　!/h|　ﾚ:.:.|　(:.ノ7　　：
!:./丶:.:|＼|ヽ!ヽ とつ::::::::::::::::::::::::::::とつ　' 〈;/::|.|　|,/ 　 !:.八：
l/　　ヽ:.:.:.:.:.lﾍ　 ｀¨´　　　　　　　　￣ 　./ノ|::|:::;:::::〈　　/　　：
|l　　　ｌ:.:.:.:.:.:iﾒ,　U　　 　　,　　　　　u　, '::::|:|;∧|::::::::<：
7　　　|:.:.:l:.:.|:::::|>､　　　（　　　　）　 ∠､:::::!:|:.:.:.ﾍ::::::::.:.く　　：
　　　 |l:::ｲ::::|::人Ｖ:｀:..:.､　　￣　　 ' :l::::.|.:.:ヽｌ:.:.:.:.:.',::::ヽ::.:ヽ：
　　　 |l:::/::::l,'::::∧::::::::V:`　-‐ ´　 /l:::/｀ヽ､.:..:..:..:∧:::::Ｖ:::::　　：
　　　 |:/:::::::l:::::::::,:ﾐ:ﾏ:::|　　　　　　｛l/7　　　` 　、;;;:ﾐ:::::::l:::::::＼：
　　　 /::::::::::,::＜´ ', Y::!　　　　　　 ,'　　　　　　　　 `ｲ‐　　：
　 ＿/　ﾘ-´　　　　ヽ　ヾ　　　　　/　　　　　　　　ｨ　　}：
　んノ＼　　　　　　　i　　ヽ　 　 /　　　　　 /　／}}　 八　：
　/　　＼＼　　　　　 ヽ＜¨｀＞/　　　　　　　　　,ﾉ:::.:....：

　　　　　　 _,.-、　　　　＿＿　 _,/⌒ 、
　　　　　／::::::::::＼,.-''::r丶:／ヽ::::::::::::ﾍ
　　　 ／:::::::::::ｲ::::::::::r'´::::::::::::::::::::ヽﾊ::::::ﾍ

　　 /:::::::::::::::::::::::ノ::::::::::::::/:::`:::::::::::∧:::::::::ヽ
　　 ヽ::::::::::::::::.,":::::/i:::|ヾ |l::::|ヽﾍ::::::ヽ::::ﾍ/
　　　 )::::::::::/,::::::::/|/...|:::| |/ |/ﾒヽ|::∨|::::::〉　　　　　　　　　　　「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
　　／:::::,.イ:|:::::::/_|!ｨ´∨　　 ｀ゝ-|-/:::|:::/
　 （::::::::ヽ ∨::::::|=,＝＝　　　 ＝=。|::::|::::＼
　　＼::::::::) ｲ::ｌ|:jο'''　　__　_ ′ ''''ﾟ|:::::| ）::/
　　　 〉"　　∨::|ﾟ　　／　　 　｀`!　。;:::/ ヾ(
　　　　　　　 ∨|＼/　　　　　　｝／| :/
　　　　　　　　）ヽ:|:〈:｀'. r‐┬‐ '/:::::|〉:)
　　　　　　　（::::ｨ´ヾ,:‐＜＿l:::::/ﾏﾄ､:（_



　　　　 　＿＿
　　　 .,／,-､　 ＼　　　　　　　　　　　　　　 　 　
　　／ ﾉ:/　ﾉfヽ.. ＼　　　　　　　　　　　　　　　　
　　|　/:/　/...|　|　　|　　　　　　　「あ・・・・・・」　
　　l　ﾚ　./..ノ .,''´}　i　　　　　　　　　　　 　 　 　
　　l　　　' ´ .〃 /　|　　　　　　　　　　　　　　 　
　　ヽ.　 　 　.　〈　.ﾉ
　　　 ＼.,_　　._ﾉ /
　　　 　/　　/　 ヽ
　　　 ./　　/　　　|
　　 　i　.／　　.　 |
┌───────────────────────────┐
│ひどく顔が強ばっていたと思う。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.│
│声を上げて泣くやらない子をどうしていいのかもわからず、　　　....│
│ごめんなさいとくり返し謝る声を聞いていた。　　　　　　　 　 　 　 ...│
└───────────────────────────┘

　　　　　　 _,.-、　　　　＿＿　 _,/⌒ 、
　　　　　／::::::::::＼,.-''::r丶:／ヽ::::::::::::ﾍ
　　　 ／:::::::::::ｲ::::::::::r'´::::::::::::::::::::ヽﾊ::::::ﾍ
　　 /:::::::::::::::::::::::ノ::::::::::::::/:::`:::::::::::∧:::::::::ヽ
　　 ヽ::::::::::::::::.,":::::/i:::|ヾ |l::::|ヽﾍ::::::ヽ::::ﾍ/
　　　 )::::::::::/,::::::::/|/...|:::| |/ |/ﾒヽ|::∨|::::::〉　　　　　　　　　　　「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
　　／:::::,.イ:|:::::::/_|!ｨ´∨　　 ｀ゝ-|-/:::|:::/
　 （::::::::ヽ ∨::::::|=,＝＝　　　 ＝=。|::::|::::＼
　　＼::::::::) ｲ::ｌ|:jο'''　　__　_ ′ ''''ﾟ|:::::| ）::/
　　　 〉"　　∨::|ﾟ　　／　　 　｀`!　。;:::/ ヾ(
　　　　　　　 ∨|＼/　　　　　　｝／| :/
　　　　　　　　）ヽ:|:〈:｀'. r‐┬‐ '/:::::|〉:)
　　　　　　　（::::ｨ´ヾ,:‐＜＿l:::::/ﾏﾄ､:（_



　　　　 　＿＿
　　　 .,／,-､　 ＼　　　　　　　　　　　　　　 　 　
　　／ ﾉ:/　ﾉfヽ.. ＼　　　　　　　　　　　　　　　　
　　|　/:/　/...|　|　　|　　　　　　　「あ・・・・・・」　
　　l　ﾚ　./..ノ .,''´}　i　　　　　　　　　　　 　 　 　
　　l　　　' ´ .〃 /　|　　　　　　　　　　　　　　 　
　　ヽ.　 　 　.　〈　.ﾉ
　　　 ＼.,_　　._ﾉ /
　　　 　/　　/　 ヽ
　　　 ./　　/　　　|
　　 　i　.／　　.　 |
┌───────────────────────────┐
│ひどく顔が強ばっていたと思う。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.│
│声を上げて泣くやらない子をどうしていいのかもわからず、　　　....│
│ごめんなさいとくり返し謝る声を聞いていた。　　　　　　　 　 　 　 ...│
└───────────────────────────┘

　　　　　　　／￣￣＼
　　　　 　／　 ＼　 　 ＼
　　　　.（●）（● ） 　u.　|
　　　　 （__人__） 　u　 　|　　　　　　　　　「すまない、怖がらせて悪かった。
　 　　　.(｀⌒ ´　　　　　|　　　　　　　　　　できたら、もう一度歌ってみてくれるかな」
　　　　　{ 　 　　　　　　|
　　　　　 { 　 　　　u.　/
　　　　　　＼　　　　 /
　　　　　　ノ　　　　　＼
　 　　 ／´　　　　　　　　ヽ




　　　 ,' ⌒ﾊヽ、,_r　-　－¨⌒`へ　_,、,ﾊ⌒　、　：.
　：. ﾉ....:::::::::./〃:::::::::::::::::::::::ﾍ::::::::::::ヽ`ヽ:::::::::::ﾊ
　　i...:::ｨ::::∧::::::::　　::_::::::::,::::ﾊ:::::::::::ヽ:ヽ ´丶:/:i　：.
：. ﾄ..:::/::/::|/:::　　:/´:::::::::ﾒ:/ヽ:::i::::::: :ゝ:::ヽy::::::::i
　/.:::ﾉ::::ﾘ/:::/:::::/:::/´::::/::/|　l:::::l::::::::::::丶::ヽ::::::ﾘ
：.{.: 〈jYyﾉ::/::::ｲ:::::::::::::::::/|/　l:::/l:::/l::::::::i:ヽ::l:::〈　：.
　 ）　　　|/|/:::;;/l;::/.ﾚl/,. j　 l::/l;:/　!:::::::l::::l ﾙﾘ:::、
　　　　：. l:/::l;:/ﾚl/,ｨjモﾄ　　 　 ｲjミﾄl:::,:::l:::!　　 ヽ）
　　 　 　 .ﾚ∧:j:l.', `ozＺ} 　 　　 izN｡ﾚ::i::l:Y　　　　　　　　　「――そうしたら、嫌いにならない？」
　　　　　　　!/::l::ﾚ｀ﾄ. 　　(二ﾌ　, ｲ'|:::i:|:|
　　　：.　　　ﾉ:::l/:.:.:.ヽ: ＞r／｀＜ ノ:从:ﾉﾄ 、　：.
　　　 　 　∧l;l　!　:.:.:.:/／{二￣ .} ..:..::ﾘ//ハ
　　　　：.　{. ',ヾ､ヽi .:.:.{ ／(^｀　　|.:.:.:./／: : :.}
　　　　　　{　ヽ ヾ､ヽ:.ﾊ　ﾔ{　　 ∧／.-‐'": : |　：.
　　　 　 　 }　: :＼ヾレ'ﾊ　∧__ノﾉﾊヾ､　 : : : l
　　　　 ：.　!　: : :i Ｙ {ヾ｀Ｙヽﾆン'ノ}: : } : : : :/
　　 　 　 　 |_,ｨ'￣　 ヽ三{　｀ー-ノ : ｲ : : :/　：.
　　　　　　　Ｖ　　　　 : : ﾍ　　　　 : : {: : :/
　　　　　：.　 ヽ　　　　: : :人　 　 　 : : : / ＼　：.
　　　　　　　　 ヽ　: : : : :/イ{　　　　　:.ノ: : : :.＼　：.
　　　　　　　：.　 ＼__／//: :＼______／: : : : : : : ヽ

　　　／￣￣＼
　 ／ _ノ　 ヽ､_ ＼
.　|　（ へ）（ へ）　|　　　　　　　　　「ああ、約束しよう」
.　|　　（__人__）u. │　　　　　　　　　
　 | 　　｀⌒ ´　 　|　　　　　　　　　
.　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　 　　　　/
　　 ヽ　 　　　 /
　　　>　 　　 <
　　　|　　 　　 |
　 　 |　　　 　 |



　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :
　 　 ,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :
.　　 {: : : : : :; : ,' : : :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:
　　　',　:{｛:::{ :」::⊥: { :{ :{ ⊥..」_｀:.ﾉ:／: ;′: : :ｊ:
.　 　 从从八;ヽ:::::ヽ｀｀　ｨ::::::７ヽ／:/: / . : : :,′　　　　　　　　　　　「ラ、ラ…ララ～ラ♪」
　　　　 〉〉〉 〈(　ﾞｰ"　　　 ﾞｰ'／: ／: / .:/ : /: :
　　　　 ｊ ｉｊ : : ｊ{,,　　 　　　 ,,/: :: /: : ::{ : :{: : {: : :
　　　　,','/. : :八　　rーｧ　 ,'. : ::;' : : : :', : :', : : : :
.　 　 / /. : :/.: :ｊ＼　￣　 　{: : :::{ : : : : :ヽ.: :､: : :
.　　ノ /.: :ノ. : :ﾉ :ﾉ:`￢ァﾍ、: ::、: : : : : :＼: : :
　　 ┌────────────────┐
　　 │泣かせてしまった後なので、　　　　　　.│
　　 │時折リズムがあやしかったけど、　　　 │
　　 │やはりつまることはなかった。　　　　.....│
　　 └────────────────┘

　　 ／￣￣＼
　／　　ノ　ヽ､＼
. |　　 （●）（●）|
. |　　　（＿人_）│　　　　　　　　　　　「他の音も覚えているか？」
　| 　 　 ｀ ⌒´　 |
　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　　　　　/
　　 ヽ　 　　　/
　　　.> 　　　<
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :
　 　 ,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :
.　　 {: : : : : :; : ,' ^) :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:
　　　',　:{｛:::{ : ::（( : { :{ :{ ⊥..」_｀:.ﾉ:／: ;′: : :ｊ:　　　　　　　　「うん」
.　 　 从从八;ヽ:::::ヽ｀｀　ｨ::::::７ヽ／:/: / . : : :,′　　　　
　　　　 〉〉〉 〈(　ﾞｰ"　　　 ﾞｰ'／: ／: / .:/ : /: :
　　　　 ｊ ｉｊ : : ｊ{,,　　 　　　 ,,/: :: /: : ::{ : :{: : {: : :
　　　　,','/／/'}n　　rーｧ　 ,'. : ::;' : : : :', : :', : : : :
.　 　 / /ｲ / /./,n､　￣　 　{: : :::{ : : : : :ヽ.: :､: : :
.　　ノ /.: | ' / '|//　`￢ァﾍ、: ::、: : : : : :＼: : :
　　　　　 |　　　.ｲ



　　　／￣￣＼
　 ／ _ノ　 ヽ､_ ＼
.　|　（ へ）（ へ）　|　　　　
.　|　　（__人__） 　│　 　　　　　　　「歌ってみてくれ」　　　
　 | 　　｀⌒ ´　 　|　　　　　
.　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　 　　　　/
　　 ヽ　 　　　 /
　　　>　 　　 <
　　　|　　 　　 |
　 　 |　　　 　 |

　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :
　 　 ,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :
.　　 {: : : : : :; : ,' ^) :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:
　　　',　:{｛:::{ : ::（( : { :{ :{ ⊥..」_｀:.ﾉ:／: ;′: : :ｊ:
.　 　 从从八;ヽr=ﾐ｀　´r＝=､ヽ／:/: / . : : :,′　　　　　　　　　　　「ラーラララ、ラララァ♪」
　　　　 〉〉〉 〈( 　　, 　　　　　 ／: ／: / .:/ : /: :
　　　　 ｊ ｉｊ : : ｊ{´´ rｰ-‐､´´´/: :: /: : ::{ : :{: : {: : :
　　　　,','/／/'}n.　∨　 ﾉ　,'. : ::;' : : : :', : :', : : : :
.　 　 / /ｲ / /./,n､ `ﾆ´　 　{: : :::{ : : : : :ヽ.: :､: : :
.　　ノ /.: | ' / '|//　`￢ァﾍ、: ::、: : : : : :＼: : :




　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ⌒）（⌒)
.　|　　u　 （__人__)　　　　　　　　　　　「――驚いたなぁ」
　 |　　　　　 |r┬|}
　 |　　　　　 |　| |}
.　 ヽ　　　　　｀ﾆ}
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　/　　　 く　　＼
　　　|　　　　 ＼ 　 ＼
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)､
┌────────────────────────┐
│不自由な薬指のせいで遅れがちになる、　　　　　　　　　　.│
│癖のついた低音のずれも几帳面に再現されていた。　　　.│
└────────────────────────┘

　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　|　　 　（ ⌒）（⌒） 　　　　　　　（参るね。
　 　 　 　 　 |　　u.　 （__人__）　　　　　　　　 俺、ちゃんと笑ってるか？
　　　　　　　 |　　 　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　 　 　 　 . この子、もしかしてすごくね？
　 　 　 　 　 ,|　　 　　　　　 }　　　 　 　 　 　 尋常じゃない、常識的に）
　　　　 　 ／ ヽ　　　　　　 }
　　　　　く 　く ヽ　　　　 ノ
　　　　 　 ＼　`' 　　　 く
　　　　　　　 ヽ、　 　 　 |
　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 |

　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼
　 　 　 　 　 | 　（●）（●）　.|　　　　　　　　「全部の音を覚えているのか」
　　　　　　 　!　　（__人__）　 |
　 　 　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |
　　　　　　 /　ミ）　　 　　　/
　　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　　 　i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　　 　　|　|／|　　　　 |　|



　　　　　　　　　　　　　　　　 __
　　　　　/｀i､_ , ' ~ ￣ ＼ __/ .:::＼
　　　 ／::::: ／..::::..:.゛_7:::: ::.. ヾ)'::::::｀i
　　　ﾙ:::::: /: ::..:::::／ ｀vﾍ、: : ::∧:::::::ﾘ
　　 （Yy∧ﾉ :ﾉ_.:ﾉ_ ノ　　__｀ ､:::） ゝ:/ 　コクコク
　　　 ）ﾉ　ﾘ:::〃 （－）　 （－）i:!:〉 Yy
　　 （/　 　ソ::ﾊ 　,,　　　　　/i/　 ﾘ
　　　!　　　ノ ::/iゝ.　 △ . イく
　　　　　.（::ｲ/ﾙ|_.ｲ|. ￣i'Y;ﾉ::ﾙ
　　　　　　）ﾉ.　　　　~V~ 　　 ヽ



　　 ／￣￣＼
　 /ﾉ　 ヽ､_　　＼
. （ ●）（ ●）　　 |　　　　　　　　　　　　「一番多いところで、幾つ音が重なっている？」
　|（人__） 　 　 　 |
　 | ⌒ ´　　　 　 |
.　 |　　　 　　　　|
.　 ヽ　　　　　　/
　　 ヽ　　　　 /
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |

＿　　　 　 / r‐ ､ヽ　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、　 （ /⌒ヽヽ
r‐､ヽ　　　{__{__ 〈 （　　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :　 ￣　ﾉ ﾉ
!　 { {　 ／　＿_｀∨､　　　,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :r__..´イ　　　　　　　
〉　 ヽ. {_／　　　 }○}.　　 {: : : : : :; : ,' : : :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:○
　　 　 O　 　 　 ﾉ　ﾉ　　　',　:{｛:::{ :」::⊥: { :{ :{ ⊥..」_｀:.ﾉ:／: ;′: : :ｊ: 　 ,. ―- ､
　　　 　 　 ＿./.／　 .　 　 从从八;ヽ:::::ヽ｀｀　ｨ::::::７ヽ／:/: / . : : :,′　 /_r ⌒ヽ.ヽ
　　　　　/ r‐ ､ヽ　　　　　　　〉〉〉 〈(　ﾞｰ"　　　 ﾞｰ'／: ／: / .:/ : /: :　 　 　 　 ﾉ ﾉ
_　　　　 {_j　　}. {　　　　　　　ｊ ｉｊ : : ｊ{,,　　 　　　 ,,/: :: /: : ::{ : :{: : {: : : 　 ( 二 イ
､ヽ、　　 　 ○ヽ{　　　　　　 ,','/. : :八　　rーｧ　 ,'. : ::;' : : : :', : :', : : : :　 ○
　ｰ' O　　　　 　 ○　.　 　 / /. : :/.: :ｊ＼　￣　 　{: : :::{ : : : : :ヽ.: :､: : : j -―- 、
　 　 　 ____　　　　　　.　　ノ /.: :ノ. : :ﾉ :ﾉ:`￢ァﾍ、: ::、: : : : : :＼: : : 　 {_/⌒ヽ　}＿

　　　／￣￣＼
　 ／ _ノ　 ヽ､_ ＼
.　|　（ ●）（● ）　|　　　　　　　「一度に、多い時、幾つ、音が、鳴ったんだ？」
.　|　　（__人__） 　│
　 | 　　｀⌒ ´　 　|
.　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　 　　　　/
　　 ヽ　 　　　 /
　　　>　 　　 <
　　　|　　 　　 |
　 　 |　　　 　 |




　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :
　 　 ,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :
.　　 {: : : : : :; : ,' ^) :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:
　　　',　:{｛:::{ : ::（( : { :{ :{ ⊥..」_｀:.ﾉ:／: ;′: : :ｊ:
.　 　 从从八;ヽ:::::ヽ｀｀　ｨ::::::７ヽ／:/: / . : : :,′　　　　　　　　　「んー」
　　　　 〉〉〉 〈(　ﾞｰ"　　　 ﾞｰ'／: ／: / .:/ : /: :
　　　　 ｊ ｉｊ : : ｊ{,,　　 　　　 ,,/: :: /: : ::{ : :{: : {: : :
　　　　,','/／/'}n　　rーｧ　 ,'. : ::;' : : : :', : :', : : : :
.　 　 / /ｲ / /./,n､　￣　 　{: : :::{ : : : : :ヽ.: :､: : :
.　　ノ /.: | ' / '|//　`￢ァﾍ、: ::、: : : : : :＼: : :
　　　　　 |　　　.ｲ

　　　　 　 ／⌒ヽ_ ／ヽ　　　　　　＿＿　　　　　　　／:.:.ヽ __
　　　　 　 |:.:.:.:.:.:./:.:.:.／〉-‐:.:.:- ´:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､　　 _/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　 　 !:.:.:.:.:/:.／／￣｀:.:.:.:.:.ヘ:.:.:.:´￣:.:.｀:.:ヽ/l ',: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
　　　　 　 l:.:.:.:.:.:〈 ,.':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| ', ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　|/: : :.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ﾊ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ_＼ >:.:.:.:.:.:.:.:.!
.　　　　　 /:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./　!: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.|:＼:.:.:.:.:.:.:.:.',
.　　　 　 .:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:/:.:.:.〃　 .l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.:|: :.l:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.',　　　　　
. 　 　 　 i:.:.: :ｲ:.:.:.:.:.:.:l: : /!!　　 ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:ヽ:.',:.: : :.:.＼: :.:.:ヽ
　　　　　l:.:./: !: : :.:.:.:.|: ,' .|!　 　　 ＼:.:.:ヽ: :.:.|: !',.:.:.:i:.:.',:ヽ:.:.:.:.:.:.:＼:.:.:.＼
　　　　　!:.: :./!:.:.:.:.:.:/!:.!.斗‐-　　　　ヽ:斗‐ﾒ!:.! l: :/:.!:.l:.:.:.＼: : :.:.:.:ヽ.:.:.:.:',
　　　 　 l:.:.:/ .!i＼:./:.ヽ!　＿　　　　　　ヽ!:/ j/　!/!:.:!/:.:.:.:./ ＼:.:.:.:.:.:',:.:.:.:',＼
　　　 　 |: ,'　 ｉl　 ｀i:.:.:.:!.´￣`ヽ　 　　 ‐＝=ﾐ､,':/:.:|: :.:.:.:./　 　 ＼:.:.:.:',:.:.:.:!　 ヽ
　　　 　 i:.　　 !i 　 |:.:.:::!　　　　　、 　 　 　 　 /:/ノ/ : :.:.',　　　　 ヽ:.:.i: :./　　　)
　　　　　l:! 　 　 　 |:.:.:|::ﾄ､""　 、　　,　　 ""/:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　　　　 )/／
. 　 　 　 ヽ　　　　 lヽ:!:.::.:>､　　　￣　　 ,..イ!: :.l:.:.:.:.:.:.:.:＼:.',＼　 .〃´
　　　　　　 　 　 　 ',ヽ｀ヽ:.:.:.::;＞.--‐ ＜ /:.j:./.:!ヽ､:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　 イ.-ﾍ:|:.:＼.::ヽ｀´ 　ｲ/:./イ:::::::::::＼::::ヽｌ::.:', :.:.:.;､
　　　　　　　　　　 / |:::::::|:.:.:.:.ｌ＞ﾘ､ ､‐_,‐＜イ／:::|::::::／::::::::＼i:.:.:.:.i
┌────────────────────────────┐
│やらない子は指を折って数え始める。　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
│右手のを五本、左手のを四本折って、満面笑顔で差し出した。　 　 .│
│示された数字は九だった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......│
└────────────────────────────┘

　　　／￣￣＼
　 ／ _ノ　 ヽ､_ ＼
.　|　（ ●）（● ）　|　　　　　　　　　（左手で四、右手も同じ。
.　|　　（__人__） 　│ 　 　 　 　 　 　 つまり八が正解だ）
　 | 　　｀⌒ ´　 　|
.　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　 　　　　/
　　 ヽ　 　　　 /
　　　>　 　　 <
　　　|　　 　　 |
　 　 |　　　 　 |



　　 ／￣￣＼
　／　　 　 _ノ ＼
　|　　　 　 （ ●））
.　|　　　　 　 （__ﾉ_）　　　　　　　　　　（なんだ、間違ってるや）
　 |　　　　　 　｀⌒ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |

　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 _ノ　　ヽ、　　＼
　　　 　　 　（○）（○ ）　　　|　　　　　　　　　（あれ、まてよ？）
.　　　　　　 （__人__）　 　u　 .|
.　　　　　　　 ヽ｀⌒ ´　　　　|
　　　　　　　　｛　　　　　　　/
　　　　　　　　lヽ、　　,ｨ'.) ./
　　　　　　　　j　.}ﾝ／／　ヽ
　　　　 　　　ﾉ　'"´ ￣〉　　|
.　　　　　 　 {　　　　 勹..　｜
　　 　 　　　 ヽ　､＿_,,ﾉ　.　|




　　　　＿＿
　　 ／ノ　ヽ＼
　／.（○）（○）＼
　|. u.　（__人__）　|　　　　　　　（右手のパートに二音の短いトリルを挟んで、
.　|　　　　　　　　|　　　　　　　　そこでペダルを踏むんだ。
　 |　　　　　　 　|　　　　　　　　 つまり、それを加えれば答えは九になる）
.　 ヽ　　　　　　ﾉ
　　 ヽ　　　 　/
　　　/　　　　ヽ
　　　|　　　　　|
　 　 |　 　 . 　 |

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ○）（○）
.　|　　U　 （__人__）　　　　　　　　（この子の頭の中に、
　 |　　　　　|r┬-| 　 　 　 　 　 　 今聴いた曲がすべて記憶されてる。
.　 |　ι　 　`ー'´}　　　 　 　 　 　 天才、なのか？）　
.　 ヽ　　　　　u 　}
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　/　　　 く　　＼
　　　|　　　　 ＼ 　 ＼
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)､




　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ⌒）（⌒)
.　|　　u　 （__人__)　　　　　　　　　　　「す、すごいな～」
　 |　　　　　 |r┬|}
　 |　　　　　 |　| |}
.　 ヽ　　　　　｀ﾆ}
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　/　　　 く　　＼
　　　|　　　　 ＼ 　 ＼
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)､

　　　,　⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　j::::::::::::::::ヽ　_　-　－　　‐　　_　_-_ .::::::::::::ヽ
　 ﾉ::::::::::::::j://:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　ヽ::::::::::::::::::i　エッヘン
　i:::::::::::::::://:::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::::::ヽ ´丶:::::::::::::i
　i:::::::::::::: |/:::::::::/:::::::::::::::::/ヽ:::::i::::::::ヽ:::ヽy::::::::::::::i
　ﾙ:::::::::ﾘ/:::/:::::/::::/l:::::::::/　 l:::::l::::::l:::::丶::ヽ:::::::::::::i
　　 Yyﾉｌ:::/::::/::::/ .l::::::/　　.l:::/l:::/l::::::::i::::::l::::::::::::i
　　　　　ヽ/:::;/l;::/　 .l/l/　　 .l:/ .l;/ l::::::::l::::l ﾙﾘﾉ
　　　　　　l:/ l 　　_ _ 　　　　　 _ _　 l:::::::l::::l
　　　　　　l/∧　."￣``　　　　"￣``l::i:::l:::l
　　　　　　/::::ハ″　　　　 ,　　　″/::l::::l::/
　　　　　　l:::/:::::｀　　　 r―ｧ 　　 /:::/::::i:/
　　　　　　 |:/:::::i:::::::｀ｌ　 ￣　　 イ/:::/::::/:l
　　　　　　　i:::::::::i:::::::::l　　　　　　l::从:::ﾉｌ:/
　　　　　　　　l:/l:/l::/ ヾ　　　　ｿ￣￣ｌ:/、
　　　　　　　/　, ´　　　　　Ｙ　　　　　ヽ　ヽ




　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　|　　 　（ ⌒）（⌒）　　　　　　　　　　「は、はは・・・
　 　 　 　 　 |　　 　　（__人__）　　　　　　　　　　　参ったよ、マジ脱帽」
　　　　　　　 |　　 　　 ｀ ⌒´ﾉ
　 　 　 　 　 ,|　　 　　　　　 }
　　　　 　 ／ ヽ　　　　　　 }
　　　　　く 　く ヽ　　　　 ノ
　　　　 　 ＼　`' 　　　 く
　　　　　　　 ヽ、　 　 　 |
　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 |

　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ ●）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　　　　　　　　「やらない子はピアノ弾いたことあるか？」
　　|　　　　　　　　　ﾉ
　　|　　 　 ∩ノ ⊃ }
　 /ヽ　　 ／ ＿ノ }
　(　ヽ　 /　　/　ノ
　　ヽ　“　　/＿|　 |
　　　＼＿_/＿＿ /



　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :
　 　 ,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :
.　　 {: : : : : :; : ,' : : :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:
　　　',　:{｛:::{ :」::⊥: { :{ :{ ⊥..」_｀:.ﾉ:／: ;′: : :ｊ:
.　 　 从从八;ヽ:::::ヽ｀｀　ｨ::::::７ヽ／:/: / . : : :,′　　　　　　　　　「ううん」
　　　　 〉〉〉 〈(　ﾞｰ"　　　 ﾞｰ'／: ／: / .:/ : /: :
　　　　 ｊ ｉｊ : : ｊ{,,　　 　　　 ,,/: :: /: : ::{ : :{: : {: : :
　　　　,','/. : :八　　rーｧ　 ,'. : ::;' : : : :', : :', : : : :
.　 　 / /. : :/.: :ｊ＼　￣　 　{: : :::{ : : : : :ヽ.: :､: : :
.　　ノ /.: :ノ. : :ﾉ :ﾉ:`￢ァﾍ、: ::、: : : : : :＼: : :

　　/: :ヽ　　 ,.-‐' ´フ^ヽ,｀イ´ヽ,.ﾍ ／｀ｌ
.　/: : :. :!／: : : ／: : : : : ,: : : ,:ﾊ´: : :ヾ l､
/￣: :､,/: : : : :/: : : : : /:/: : :,' ', ∧l: : ｀ ﾍ
:.:. : : .:/｀`; : :/: : : : : ,': :ｌ: l lﾞ‐-‐ | l: :: :: : ',
: : : :..,'.: : : : :,'.: : : : :, l ,斗ト|　　　ﾄ-、l:,: :ﾊ
:: : : {｀'; : : : |: : : : : l |: :ﾊ ﾊ|　　　ﾘ |. l | : :l|
: : : :ト- ､_:.:.|l : : : : l |　| '-' '　　　'　|/r',' 乂
:./: : l: :ヽ: :｀ﾊ: : :ｨ/|r￣￣　 　　'￣r::ﾉl:ﾉ　ヽ　　　　　　　　　　　「ひけ・・・ない」
ﾊ: :,/ l : : !ﾍ:γ|∨:| ＝≡≡　　≡≡l |/　 　 ゝ
丿/　 l,: : /ヽ乂', ＾|U　　　　　｀ 　　',!
: / 　　i.,':::::/lﾊ .､', |　　　　　_　　 _,ノ|
（　 　 ,'::,':/ﾊｌ,'-‐ヽ|ｨ｀ﾆ､r‐､‐ T´|
　 　 /: : /ﾉ ﾚヾ,　 | ',.=ﾆ|　 /ｽ|丿
　　 ,'.: :/ﾉ /　｀ '、　',　　| // ﾊl
　 _ﾉ:/（　/　　　',｀ヽ､ﾄ'/ﾚ'/ 　 |
┌─────────────────────┐
│そう答えた後に済まなそうにして見せる。　　　　　　│
│否定そのものが悪いと思っているようだった。　　....│
└─────────────────────┘

　　/: :ヽ　　 ,.-‐' ´フ^ヽ,｀イ´ヽ,.ﾍ ／｀ｌ　　　　　　　 　 　 ┌──────────────────┐
.　/: : :. :!／: : : ／: : : : : ,: : : ,:ﾊ´: : :ヾ l､　　　　　 　 　 　 │そして萎縮してしまう。　　　　　　 　 　 　 　 ..│
/￣: :､,/: : : : :/: : : : : /:/: : :,' ', ∧l: : ｀ ﾍ　　　　　　 　 　 │体を縮こめて一層小さくなってしまう。　　　 .│
:.:. : : .:/｀`; : :/: : : : : ,': :ｌ: l lﾞ‐-‐ | l: :: :: : ',　　　　　　　　　└──────────────────┘
: : : :..,'.: : : : :,'.: : : : :, l ,斗ト|　　　ﾄ-、l:,: :ﾊ
:: : : {｀'; : : : |: : : : : l |: :ﾊ ﾊ|　　　ﾘ |. l | : :l|
: : : :ト- ､_:.:.|l : : : : l |　| '-' '　　　'　|/r',' 乂
:./: : l: :ヽ: :｀ﾊ: : :ｨ/|r￣￣　 　　'￣r::ﾉl:ﾉ　ヽ　
ﾊ: :,/ l : : !ﾍ:γ|∨:| ＝≡≡　　≡≡l |/　 　 ゝ
丿/　 l,: : /ヽ乂', ＾|　||||||　　　｀　||||',!
: / 　　i.,':::::/lﾊ .､', |　　　　　_　　 _,ノ|
（　 　 ,'::,':/ﾊｌ,'-‐ヽ|ｨ｀ﾆ､r‐､‐ T´|
　 　 /: : /ﾉ ﾚヾ,　 | ',.=ﾆ|　 /ｽ|丿
　　 ,'.: :/ﾉ /　｀ '、　',　　| // ﾊl
　 _ﾉ:/（　/　　　',｀ヽ､ﾄ'/ﾚ'/ 　 |




　　 ／￣￣＼
　／　　 　_ノ　＼
　|　　　 　（ ●）　）　　　　　　　　　（この顔を俺は知っている・・・）
.　|　　　　 　（__ﾉ､_）
　 |　　　　　 ｀ ⌒ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　 　 　 ／　ヽ､_　　　＼
　　　　 　 　 （●）（● ）　　　 .|
　　　　　　　　（__人__）ﾟo　　　│
　　　　　　　 　(,｀⌒ ´ 　 　 　 |
　　　　　　　　　{　　　　　　　　|
　　　　　　　　　{ 　 　 　　　..:/
　　　　　　　 　　 ` ー　　　　 ＼
　　　　　　　 　　/　　　 ＿　　 　l
　　　　　　　　 / ￣｀Ｙ´ 　 ヾ;/　 |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ
　　　　　　　　　　　　　○
　　　　　　　　　　　о
　　　　　　　　　　｡

　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼
　 　 　 　 　 | 　（●）（●）　.|　　　　　　　　　（人の期待に答えられなくて申し訳ないって顔だ。
　　　　　　 　!　　（__人__）　 |　　　　　　　　　　お袋の特訓が厳しくて、屋根裏部屋に隠れてた俺みたいだ。
　 　 　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |　　　　　　　　　　上手く弾けなくて、学校にいくのも嫌になってた・・・）
　　　　　　 /　ミ）　　 　　　/
　　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　　 　i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　　 　　|　|／|　　　　 |　|

　　 ／￣￣＼
　／　ノ　　＼ ＼
　|　 （●）（●）　|　　　　　　　　　　　「心配するな、訊いただけだ」
.　|　　（__人__）　 |
　 |　　 ｀ ⌒´　　ﾉ
.　 |　　　　　　 　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ　　　　　　　　＼
　　　/　　　 く　　＼　　　　　　　 ＼
　　　|　　　　 ＼ 　 ＼ 　 　　　　　　＼
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)､　 　 　　　　　 ＼



　　/: :ヽ　　 ,.-‐' ´フ^ヽ,｀イ´ヽ,.ﾍ ／｀ｌ
.　/: : :. :!／: : : ／: : : : : ,: : : ,:ﾊ´: : :ヾ l､
/￣: :､,/: : : : :/: : : : : /:/: : :,' ', ∧l: : ｀ ﾍ
:.:. : : .:/｀`; : :/: : : : : ,': :ｌ: l lﾞ‐-‐ | l: :: :: : ',
: : : :..,'.: : : : :,'.: : : : :, l ,斗ト|　　　ﾄ-、l:,: :ﾊ
:: : : {｀'; : : : |: : : : : l |: :ﾊ ﾊ|　　　ﾘ |. l | : :l|
: : : :ト- ､_:.:.|l : : : : l |　| '-' '　　　'　|/r',' 乂　　　　　　　　　　「う、ん」
:./: : l: :ヽ: :｀ﾊ: : :ｨ/|r￣￣　 　　'￣r::ﾉl:ﾉ　ヽ
ﾊ: :,/ l : : !ﾍ:γ|∨:| ＝≡≡　　≡≡l |/　 　 ゝ
丿/　 l,: : /ヽ乂', ＾|U　　　　　｀ 　　',!γＹ⌒ヽ
: / 　　i.,':::::/lﾊ .､', |　　　　(二つ _ー (　　　ﾉ ）
（　 　 ,'::,':/ﾊｌ,'-‐ヽ|ｨ｀ﾆ､r‐､‐ T´|　　ゝ、＿ノ
　　　/: : /ﾉ ﾚヾ,　 | ',.=ﾆ|　 /ｽ|丿
　　 ,'.: :/ﾉ /　｀ '、　',　　| // ﾊl
　 _ﾉ:/（　/　　　',｀ヽ､ﾄ'/ﾚ'/ 　 |
┌─────────────────────────┐
│僕の言葉に緊張を解いたのか、溜息をついてみせた。　　　 │
│先程よりは柔らかみのある表情を浮かべる。　　　　　　　 　 .│
└─────────────────────────┘

　　 　　　　　 ／￣￣＼　　　 '_
　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼　　、
　　　 　 　 | 　（●）（●）　.|　　
　　　 　 　 .!　　（__人__）　 |　　　　　　　　　　（言葉じゃなくて、声で聞くんだな）
　　　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |　　
　　　　　 /　ミ）　　 　　　/
　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　 　i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　 　　|　|／|　　　　 |　|



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ _ノ　 ヽ､_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　.　|　（ ●）（● ）　|　　　　　　　　　　「教えてやろうか？」
　　　　　　　　　　　　　　　　.　|　　（__人__） 　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　｀⌒ ´　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　.　 | 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ　　 　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　 　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　>　 　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　　 　 |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　/: :ヽ　　 ,.-‐' ´フ^ヽ,｀イ´ヽ,.ﾍ ／｀ｌ　　　　　　 -‐-､ヽ
.　/: : :. :!／: : : ／: : : : : ,: : : ,:ﾊ´: : :ヾ l､ 　　　 （_(　　ノﾉ
/￣: :､,/: : : : :/: : : : : /:/: : :,' ', ∧l: : ｀ ﾍ　　　　　　 <く
:.:. : : .:/｀`; : :/: : : : : ,': :ｌ: l lﾞ‐-‐ | l: :: :: : ',　　　　　　 ｀◎
: : : :..,'.: : : : :,'.: : : : :, l ,斗ト|　　　ﾄ-、l:,: :ﾊ　　
:: : : {｀'; : : : |: : : : : l |: :ﾊ ﾊ|　　　ﾘ |. l | : :l|　　
: : : :ト- ､_:.:.|l : : : : l |　| '-' '　　　'　|/r',' 乂
:./: : l: :ヽ: :｀ﾊ: : :ｨ/|r´　∩　　 　∩r::ﾉl:ﾉ　ヽ
ﾊ: :,/ l : : !ﾍ:（ ,|∨:|　 　∪　 　　∪l/ |/　 　 ゝ
丿/　 l,: :.;/ヽゝ':, ＾| 　 　　　　　　　',!
: / 　　i.,':::::/lﾊ .､', |　　　　ー '　_,ノ|
（　 　 ,'::,':/ﾊｌ,'-‐ヽ|ｨ｀ﾆ､r‐､‐ T´|
　 　 /: : /ﾉ ﾚヾ,　 | ',.=ﾆ|　 /ｽ|丿
　　 ,'.: :/ﾉ /　｀ '、　',　　| // ﾊl
　 _ﾉ:/（__,/　　　',｀ヽ､ﾄ'/ﾚ'/ 　 |
┌────────────────────────────────┐
│首を傾げて、わからない、と目で僕を見ていた。　　　　　　　　　　　　　　　　 　 │
│僕は微笑み返してみせると、少しまた表情が緩んだ。　　　　　　　　　　　　　　 │
│笑みに似た表情を浮かべたまま、やらない子は僕から視線を外さない。　　.....│
└────────────────────────────────┘

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）　　　　　　　　　　　　「ピアノ、弾けるように、なりたいか？」
.　|　　　　 （__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　 　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ　　　　　　　　＼
　　　/　　　 く　　＼　　　　　　　 ＼　　 　 　 　 　 .┌─────────────────────┐
　　　|　　　　 ＼ 　 ＼ 　 　　　　　　＼　　　　　 　 │今度は練習用のアップライトを指さしてから、　　......│
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)､　 　 　　　　　 ＼　　 　 　 │鍵盤を叩く身振りつきで言ってみた。　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 └─────────────────────┘




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,ﾍ
　　/: :ヽ　　 ,.-‐' ´フ^ヽ,｀イ´ヽ,.ﾍ ／｀ｌ　　　　 　　i /
.　/: : :. :!／: : : ／: : : : : ,: : : ,:ﾊ´: : :ヾ l､　　　　　　!'
/￣: :､,/: : : : :/: : : : : /:/: : :,' ', ∧l: : ｀ ﾍ　　　 　 。
:.:. : : .:/｀`; : :/: : : : : ,': :ｌ: l lﾞ‐-‐ | l: :: :: : ',
: : : :..,'.: : : : :,'.: : : : :, l ,斗ト|　　　ﾄ-、l:,: :ﾊ
:: : : {｀'; : : : |: : : : : l |: :ﾊ ﾊ|　　　ﾘ |. l | : :l|
: : : :ト- ､_:.:.|l : : : : l |　| '-' '　　　'　|/r',' 乂
:./: : l: :ヽ: :｀ﾊ: : :ｨ/|'　　iill　　　　　iill　r::ﾉl:ﾉヽ
ﾊ: :,/ l : : !ﾍ:（ ,|∨:| 　　llll　　　　　llll　　|/ゝ
丿/　 l,: :.;/ヽゝ':, ＾| 　　　　　　　　　　　,'
: / 　　i.,':::::/lﾊ .､', | 　　　　　ー '　　_,ノ|
（　 　 ,'::,':/ﾊｌ,'-‐ヽ|ｨ｀ﾆ､r‐､‐ T´|￣
　 　 /: : /ﾉ ﾚヾ,　 | ',.=ﾆ|　 /ｽ|丿
　　 ,'.: :/ﾉ /　｀ '、　',　　| // ﾊl
　 _ﾉ:/（__,/　　　',｀ヽ､ﾄ'/ﾚ'/ 　 |
┌─────────────────────────────────┐
│その時の反応は今でも憶えている。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.....│
│見たこともないほど嬉しそうな顔をしたのだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 .│
│恐れや怯え以外の強い衝動と感情を認めたことも、おそらく初めてだった。　　　│
└─────────────────────────────────┘

　　　　 　 ／⌒ヽ_ ／ヽ　　　　　　＿＿　　　　　　　／:.:.ヽ __
　　　　 　 |:.:.:.:.:.:./:.:.:.／〉-‐:.:.:- ´:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､　　 _/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　 　 !:.:.:.:.:/:.／／￣｀:.:.:.:.:.ヘ:.:.:.:´￣:.:.｀:.:ヽ/l ',: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!　　　　　　 　 　 ┌──────────────────┐
　　　　 　 l:.:.:.:.:.:〈 ,.':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| ', ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　　　　　 │やらない子へのピアノのレッスンが、　　 　 .│
　　　　　　|/: : :.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ﾊ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ_＼ >:.:.:.:.:.:.:.:.!　　　　　　 　 　 │僕の社会復帰への第一歩となった。　　　　.│
.　　　　　 /:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./　!: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.|:＼:.:.:.:.:.:.:.:.',　　　　　　　　　└──────────────────┘
.　　　 　 .:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:/:.:.:.〃　 .l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.:|: :.l:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.',　　　　　
. 　 　 　 i:.:.: :ｲ:.:.:.:.:.:.:l: : /!!　　 ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:ヽ:.',:.: : :.:.＼: :.:.:ヽ
　　　　　l:.:./: !: : :.:.:.:.|: ,' .|!　 　　 ＼:.:.:ヽ: :.:.|: !',.:.:.:i:.:.',:ヽ:.:.:.:.:.:.:＼:.:.:.＼　　　　　　　　「うん！」
　　　　　!:.: :./!:.:.:.:.:.:/!:.!.斗‐-　　　　ヽ:斗‐ﾒ!:.! l: :/:.!:.l:.:.:.＼: : :.:.:.:ヽ.:.:.:.:',
　　　 　 l:.:.:/ .!i＼:./:.ヽ!　＿　　　　　　ヽ!:/ j/　!/!:.:!/:.:.:.:./ ＼:.:.:.:.:.:',:.:.:.:',＼
　　　 　 |: ,'　 ｉl　 ｀i:.:.:.:!.´￣`ヽ　 　　 ‐＝=ﾐ､,':/:.:|: :.:.:.:./　 　 ＼:.:.:.:',:.:.:.:!　 ヽ
　　　 　 i:.　　 !i 　 |:.:.:::!　　　　　、 　 　 　 　 /:/ノ/ : :.:.',　　　　 ヽ:.:.i: :./　　　)
　　　　　l:! 　 　 　 |:.:.:|::ﾄ､""　 、　　,　　 ""/:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　　　　 )/／
. 　 　 　 ヽ　　　　 lヽ:!:.::.:>､　　　￣　　 ,..イ!: :.l:.:.:.:.:.:.:.:＼:.',＼　 .〃´
　　　　　　 　 　 　 ',ヽ｀ヽ:.:.:.::;＞.--‐ ＜ /:.j:./.:!ヽ､:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　 イ.-ﾍ:|:.:＼.::ヽ｀´ 　ｲ/:./イ:::::::::::＼::::ヽｌ::.:', :.:.:.;､
　　　　　　　　　　 / |:::::::|:.:.:.:.ｌ＞ﾘ､ ､‐_,‐＜イ／:::|::::::／::::::::＼i:.:.:.:.i

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　　　,　⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　j::::::::::::::::ヽ　_　-　－　　‐　　_　_-_ .::::::::::::ヽ　　　オッムライッスゥ～♪
　 ﾉ::::::::::::::j://:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　ヽ::::::::::::::::::i
　i:::::::::::::::://:::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::::::ヽ ´丶:::::::::::::i
　i:::::::::::::: |/:::::::::/:::::::::::::::::/ヽ:::::i::::::::ヽ:::ヽy::::::::::::::i
　ﾙ:::::::::ﾘ/:::/:::::/::::/l:::::::::/　 l:::::l::::::l:::::丶::ヽ:::::::::::::i
　　 Yyﾉｌ:::/::::/::::/ .l::::::/　　.l:::/l:::/l::::::::i::::::l::::::::::::i
　　　　　ヽ/:::;/l;::/　 .l/l/　　 .l:/ .l;/ l::::::::l::::l ﾙﾘﾉ
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　　　　　　l/∧　."￣``　　　　"￣``l::i:::l:::l
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　　　　　　　　l:/l:/l::/ ヾ　　　　ｿ￣￣ｌ:/、
　　　　　　　/　, ´　　　　　Ｙ　　　　　ヽ　ヽ




　　/: :ヽ　　 ,.-‐' ´フ^ヽ,｀イ´ヽ,.ﾍ ／｀ｌ
.　/: : :. :!／: : : ／: : : : : ,: : : ,:ﾊ´: : :ヾ l､
/￣: :､,/: : : : :/: : : : : /:/: : :,' ', ∧l: : ｀ ﾍ　　ﾓｸﾞﾓｸﾞ
:.:. : : .:/｀`; : :/: : : : : ,': :ｌ: l lﾞ‐-‐ | l: :: :: : ',
: : : :..,'.: : : : :,'.: : : : :, l ,斗ト|　　　ﾄ-、l:,: :ﾊ
:: : : {｀'; : : : |: : : : : l |: :ﾊ ﾊ|　　　ﾘ |. l | : :l|
: : : :ト- ､_:.:.|l : : : : l |　| '-' '　　　'　|/r',' 乂
:./: : l: :ヽ: :｀ﾊ: : :ｨ/|'　　iill　　　　　iill　r::ﾉl:ﾉヽ
ﾊ: :,/ l : : !ﾍ:（ ,|∨:| 　　llll　　　　　llll　　|/ゝ
丿/　 l,: :.;/ヽゝ':, ＾| 　　　　　　　　　　　,'
: / 　　i.,':::::/lﾊ .､', | 　　　　　ー '　　_,ノ|
（　 　 ,'::,':/ﾊｌ,'-‐ヽ|ｨ｀ﾆ､r‐､‐ T´|￣
　 　 /: : /ﾉ ﾚヾ,　 | ',.=ﾆ|　 /ｽ|丿
　　 ,'.: :/ﾉ /　｀ '、　',　　| // ﾊl
　 _ﾉ:/（__,/　　　',｀ヽ､ﾄ'/ﾚ'/ 　 |

　　　　　　　　　　　　 　 　 ――　､
　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　＼
　 　 　 　 　 　 　 　 '　 　__ ノ 　 ゝ.__ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 l　　　( ー)　(ー ) ｌ
　　　　　　　　　　　　ｌ　　　 (___人___)　ｌ　　　　　　　　　　　　（スパゲティまずっ）
.　　　　　　　　　　 　 ｌ　 　 　 ｀--´　　ｌ
.　 　 　 　 　 　 　 　 !.!　　　　　　　 　 !(　（(
.　　　　　 　 　 　 　 ' ヽ　　　 　 　 　 (　( ヽ)　
　　　　　　　　　　 ノ￣´"''‐ 、 　 ｀¨´￤ヽノζ
　　　　　　　 ＿rく　　　　/癶V⌒!=|￣￣￣￣￣|
　　 ＿_,､=Ｔ下､｀`ヽ　　/‐''"_, -ヘ｜　　　　　　｜
　 /「￣´　 ヽヽ ＼　ヽ/ 　 ´　 _,,厶ﾍ　　　　 　 ∧=､､
　 |八 ＼　　 　 　＿_/　　　　　 ＿,）ヽ＿＿＿/ 　ヽ ``=､､
　∥　＼ !　Ｖ´￣:::::/　　　　　　_,ノk>､｀Ｔ!::::::":::＼＿　　 ∥




　　 ／￣￣＼
　／　　　　_ノ ＼
　|:::::: 　 　 （● ） ）　　　　　　　　　　　　　　　　　　
.　|:::::::::::　　 （__人)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（あと十五分は食べ終わらないな）
　 |::::::::::::::　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　　　....,:::´,　.
.　 |::::::::::::::　　　　} 　　　　　　　　　....:::,,　　..
.　 ヽ:::::::::::::: 　　 } 　　　　　　 　,）:::::::ノ　.
　　 ヽ::::::::::　　ノ　　　　　　　　（:::::ソ:　.
　　　/:::::::::::: く　　　　　　 　　,ふ´..
　　　|:::::::::::::::: ＼ 　　　　　 ノ::ノ
　 　 |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~

　　　／￣￣＼
　 ／ _ノ　 ヽ､_ ＼
.　|　（ ●）（● ）　|　　　　　　　　　　　　　（大味もいいとこだ。
.　|　　（__人__） 　│　　　　　　　 　 　 　 　 こんなとこだし、こんなもんか。　　
　 | 　　｀⌒ ´　 　|　　　　　 　 　 　 　 　 　 よく美味そうに食えるな）　
.　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　 　　　　/
　　 ヽ　 　　　 /
　　　>　 　　 <
　　　|　　 　　 |
　 　 |　　　 　 |




　　 ／￣￣＼
　／　　 　_ノ　＼
　|　　　 　（ ●）　）　　　　　　　　　　　　（俺も昔はそんなもんだったかな？
.　|　　　　 　（__ﾉ､_）　　　　　　　　　　　　 思い出せね）
　 |　　　　　 ｀ ⌒ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |

　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :　あーん
　 　 ,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :
.　　 {: : : : : :; : ,' ^) :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:
　　　',　:{｛:::{ : ::（( : { :{ :{ ⊥..」_｀:.ﾉ:／: ;′: : :ｊ:
.　 　 从从八;ヽr=ﾐ｀　´r＝=､ヽ／:/: / . : : :,′
　　　　 〉〉〉 〈( 　　, 　　　　　 ／: ／: / .:/ : /: :
　　　　 ｊ ｉｊ : : ｊ{´´ rｰ-‐､´´´/: :: /: : ::{ : :{: : {: : :
　　　　,','/／/'}n.　∨　 ﾉ　,'. : ::;' : : : :', : :', : : : :
.　 　 / /ｲ / /./,n､ `ﾆ´　 　{: : :::{ : : : : :ヽ.: :､: : :
.　　ノ /.: | ' / '|//　`￢ァﾍ、: ::、: : : : : :＼: : :

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
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￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿＿＿__　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ┌───────────────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　　 /│　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　│数年前から僕らは、車であちこちの施設を　　　　　　 　 │
　　　　　　　　　　 　 　 　 │ |.　　†　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　 │訪れてやらない子のピアノを披露する、という、　　　　　.│
　　　　　　　　　　　　 　 　 |　|　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　│いわば慰問のようなことを始めていた。　　　　　　　　　...│
　　ミﾐ皿皿皿皿皿皿皿皿皿|　　　　　|皿皿l￣￣￣l皿皿皿皿　 　 　 └───────────────────────┘
ミﾐ彡ミﾐミ,,､田　田　田　田　|　　 　 ／|　　　　　　　　　　　　　|
ミミﾐミ彡彡ミ 　 　 　 　 　 　 |　　／ 　 |　　　　　　　　　　　　　|皿皿皿皿皿
ミ彡ﾐミﾐ彡ﾐﾐﾐ　田　田　田　.|　 │　　 |　　　　　　　　　　　　　|　　　　 　 　 |
ミミミﾐ巛彡ミミ,　　　　　　 　 |　 │　　 |　　　　　　　　　　　　　| 田　田　田│
ミ彡彡ﾐﾐミミミミ　　　　 　 / !￣￣￣￣|　　　　　 　 　 　 　, 　 |　　 　 　 　 │
ﾐミミﾐﾐミ彡ﾐミ　　 　 　 　 |　|.　 　 ---│ 　 |￣￣|　 |￣￣|.　│ 　 　 　 　 │
|　 i;ll;:|　　　　　　　　　　　|　|　　　┌─|　　 |┐　 |　 |┐　 | 　 !　 　 　 ;;;;;;;;;;;:
|　ﾉ!i;::i　　　　　　 　 　 　 ヽ |＿＿_.!＿_|　　 |┘　 |　 |┘　 | 　 ! ＝＝;;:;::;;;;;;;;;;:
|二二二二二二二二二|.　　　　　 　 　 |＿_..|＿＿|＿|＿＿|____|.:.:.:.: ... .. .
:.:.:... ...:.:.: .... .. ..:.:.:..: .:.:.:.:.:.:.:.... .. ..　　　　　　 :.:.:.. .:.:.:.:.... .:.:.:.:.:..... ... .. ..
. :. .:.:.:.: .: .... .:.:.:. .:.:.:.: .: ... .. :. .:.:... :.:.:... ...　　　　 .. .. ... ..:.:.:..: .:.:.:.. .. ..:.... ... . ..

　　　　　　　　　　　　　【母の恩師】
　　　　　　　　 　 　 　 ,.､-rｧｧｧｧｧ‐-,.、
　　　　　　 　 　 　 　 ﾊｼ'"`''ｰ‐''"`ヾ;ﾊ　　　　　
　　　　　　　　　　　　lﾐ' 　 _ ､__,. _ 　 ﾞﾐl　　　　　　
　　　　　　　　　　　　|| へ､_｀ｰ '_,._へ ||　　　　　
　　 　 　 　 　 　 　 rｮl　,.=｡=ﾞ　'=｡=､　ｈ　　　　　
　　 　 　 　 　 　 　 |ﾋ|.　｀二｝ ｛二´　:|j.|　　　　　
.　　　　　　 　 　 　 ,ゞ|　　 人__人　　 |く　　　　　
　　　　　_,,.　-‐''"´| : lヽ、{.￣-￣.｝,.イ: :|｀`'''‐- ､.._
　　　/´l : : : : : : : :|: : |.＼｀'' ‐-‐''´／|: : ｌ: : : : : : : : ｢ヽ　　
　　 /: : l : : : : : : : |: : :|.　 ＼　　／　 |: : :| : : : : : : : |: : l　　
　　ﾊ : : |: : : : : : :│: : | 　 　 ><　　　| : :│: : : : : : :| : : 〉　
.　 {: : : : | : : : : : :│: : :|　 ／| /|＼.　|: : :│: : : : : : | : / }　
　 ﾊ : : :│: : : : : : ＼;ノﾚ'´　 〉〈.　 ヽlヽ;／ : : : : : : |: : : ;ﾊ　
　 〉:＼ :│: : : : : :.／: :│　　|/ |　　 | : :＼: : : : : : :|: : :/:〈





　　　　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　ヾミ || || || || || || || ,l,,l,,l 川〃彡|
　　　　　V~~''-山┴''''""~ 　　ヾニﾆ彡|　　　　　　　
　　　　 /　二ー―''二　　　　　 ヾﾆニ┤　　　　　　
　　　 <'-.,　　￣￣ 　 　 _,,,..-‐､　〉ニﾆ|　　　　　　　「実はうちの家内が社会福祉に熱心でね。
　　　/"''-ﾆ,‐l 　　l`__ニ-‐'''""` /ニ二| 　 　 　 　 　 どうかね、彼女にピアノを弾かせてみては？
　　　|　==＝､!　　`＝====､　　l =ｌべ=|　　　 　 　 　 うちの家内が顔がきくんだ。
.　　　| `ーﾟ‐'/　　 `ー‐ﾟ―' 　　l.=lへ|~| 　 　 　 　 　 ついでにうちの娘と見合いもしないか？」
　　　 |`ー‐/　　　　`ー――　　H<,〉|=| 　 　 　 　 　
　　　 |　　/　　　 ､　　 　　 　 　 l|__ノｰ|　　　　　　　
.　　　| ／`ー　~　′　　 ＼　　　.|ヾ.ニ|ヽ
　　　 |ｌ　下王l王l王l王lヲ｜　 　|　ヾ_,|　＼　　　　　
. 　 　 |　　　　≡　　　　　　　　　|　　 `l　　 ＼__　　　
　　　　!、　　　　　　　　　　 _,,..-'′ ／l　　 　 |　~'''　
‐''"￣|　`iｰ-..,,,＿,,,,,....-‐'''"　 　 ／　 |　 　 　 |　　　
　-―|　　|＼　　　　　　　　　 ／　 　 |　　　 　 |　　　
　 　 |　　 |　 ＼　　　　　　／　 　 　 |　　　　　 |

　　　　＿＿
　　 ／ノ　ヽ＼
　／.（●）（●）＼
　|. u.　（__人__）　|　　　　　　　　　　　　　「でも・・・学校もあるし」
.　|　　　　　　　　|
　 |　　　　　　 　|
.　 ヽ　　　　　　ﾉ
　　 ヽ　　　 　/
　　　/　　　　ヽ
　　　|　　　　　|
　 　 |　 　 . 　 |




　　　　　　 　 　 　 _,,.　-‐-,､
　　　　　　　 <Iｴ¨-‐＜:彡"'ﾍ.
　　　　　 　 ,∠　__　　 ＼彡"ﾍ.
.　　　　　／__／ﾞべ>　 ／=彡"ﾍ.　　　　　　　　　　　　「なに、定期的にというわけじゃないよ。
　　 　 　 ＼`"ﾃ''ラ ,　〈ﾊ'ﾆヽ彡'ﾍ　　　　　　 　 　 　 　 それにこれは彼女のためになると思うんだ。
　　　　　／　　 二.´　　V〉ｿﾉ::彡'ﾍ　 　 　 　 　 　 　 　 そこらへんはうちの家内と相談してほしい」
.　　 　 /　 __┐ 　 _＼　 Vく=三彡ﾍ.
. 　 　 ‘ｰ ∠､-‐''´　　　　|　＼ﾆ彡;へ、
　　 　 　 　 └┐　 　 　 │　／／: : :人
　 　 　 　 　 　 | 　 _,,. ‐''´／.／: : :／: : :＼
　　　　　　　　　￣　＞ '´ ／: : :／ : : : : : : ヽ
　　　 　 　 　 　 　 ∧　／: : :／: : : : : : : : : :│

ゞ　,;;;;　ゞ,'`　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ　ゞ..ゞ;;,,..　ゞ
ゞ　ゞ　　ゞ　`ゞ　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ;;ゞ,,,;;　r/　ヽ;;　ゞ
;;　ゞ,;i,　y'//　ゞ　　　　　　　　　　i---i　　　、,;;ゞ,,;;ゞ, i;;,ゞ,,ゞ;;ゞ
,ゞ ゞ,ii;..ィ,;　ゞr_　　_ェェェェェェェ|| ◎||ェェェゞ;;;;;ゞi;;..ィ;;ヽ,,.　ヽ;;ゞ
ゞ,,ゞ,;ii;;..|/i￣| |　　|----------..|| .= ||;;;i￣| |ゞ,ヽiii;;,..|/,,;'ヽ　ゞ'
￣￣￣￣|　 | |　　|Ei_Ei_||_Ei_Ei.ﾄ|| Ei.||;;;|　 | 二二二二￣￣￣￣
　　　　　 .|　 | |　　|----.||-----,|| .= |ｌ;;;|　 | | 0X学校 |
　　　　　 .| 　| |　　|Ei Ei || Ei Ei.ﾄ|| Ei ||;;;|　 | ￣￣￣￣
　　　　　 .|　 | |　　￣￣￣￣￣."i---.ｌｌ-|　 |
　　　　　 .|　 | |　　　　　　　　　　　　　 　|　 |

　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┌─────────────────────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 │その頃少し問題だったのが、学校を休みがちなことだった。　　　　　.....│
　　/: :ヽ　　 ,.-‐' ´フ^ヽ,｀イ´ヽ,.ﾍ ／｀ｌ　　　　　　 │登校の日数の関係で、後二年は通学しなければならなかった。　　 　 .│
.　/: : :. :!／: : : ／: : : : : ,: : : ,:ﾊ´: : :ヾ l､　　　　 　 └─────────────────────────────┘
/￣: :､,/: : : : :/: : : : : /:/: : :,' ', ∧l: : ｀ ﾍ
:.:. : : .:/｀`; : :/: : : : : ,': :ｌ: l lﾞ‐-‐ | l: :: :: : ',
: : : :..,'.: : : : :,'.: : : : :, l ,斗ト|　　　ﾄ-、l:,: :ﾊ
:: : : {｀'; : : : |: : : : : l |: :ﾊ ﾊ|　　　ﾘ |. l | : :l|
: : : :ト- ､_:.:.|l : : : : l |　| '-' '　　　'　|/r',' 乂　　　　　　　　　「がっこー・・・今日・・・行きたくない」
:./: : l: :ヽ: :｀ﾊ: : :ｨ/|r￣￣　 　　'￣r::ﾉl:ﾉ　ヽ
ﾊ: :,/ l : : !ﾍ:γ|∨:| ＝≡≡　　≡≡l |/　 　 ゝ
丿/　 l,: : /ヽ乂', ＾|U　　　　　｀ 　　',!
: / 　　i.,':::::/lﾊ .､', |　　　　　ο　 _,ノ|　　　 　 　 　 　 　 　 ┌──────────────────────┐
（　 　 ,'::,':/ﾊｌ,'-‐ヽ|ｨ｀ﾆ､r‐､‐ T´|　　　　　　　　 　 　 　 　 │馴染めないのは知的障害もあったけど、　　　　　　　..│
　 　 /: : /ﾉ ﾚヾ,　 | ',.=ﾆ|　 /ｽ|丿　　　　　　　　　　　　　　│何より人と話をしようとしないということもあった。　 　 │
　　 ,'.: :/ﾉ /　｀ '、　',　　| // ﾊl　　　　　　　　　　　　 　 　 └──────────────────────┘
　 _ﾉ:/（　/　　　',｀ヽ､ﾄ'/ﾚ'/ 　 |

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　　　　（__人__）　　　　　　　　　「どうしたら良いと思う？」
　 |　　　　 ｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |


　　　　　　　　　　　　　　　　　　【母　真紅】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／r': : :└､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ r┘: : : : : :乙
　　　　　　　　　　　　　ｒ‐z- ､,　イ　' {￣｀丶､: : : : 〕
　　　 　 　 　 　 　 　 に/ｒ'　/　/ ／｣'　 l　　l ＼: ｣
　　　　　　　　　　　　 /| 〈　'|　 l'　 ノ_ｌ　l| 　 |　 lY′　　　　　　 　 　 　 .「本人が行きたくないなら、
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｌ　|ヽfこ}　ｲ |ｨf ﾄﾑ　ﾉ　 jｌ|　　　　　　　　　　 　 　 無理やり行かせることないわ。
　　　　　　　　　　　 　 l　l|　 ゞﾍ 〈!｜ゞ'′ {:Nﾚﾘ'　　　 　 　 　 　 　 　 　 受験なんて受けさせるつもりもないし。
　　　　　　　　　　　　 /　,!　 　ヽヽ| l! 　- ,　ﾉｌ|　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 今私達ができるのは、
　　　　　　　　　　　　 l　/　　　 「r:ｌ |ヽ-ｒ ＜:l iヽ　　　　　 　 　 　 　 　 　 あの子にとって何が最善であるか考えることよ」
　　　　　　　　　　 　 / /　　　/ｒ‐- ､!ﾉ='｀　/:l !ﾑヽ　　　　　　　　 　 　 　
　　 　 　 　 　 　 　 / /! ＿／　ｒゝ､ソ:个 ､j .厶 ィ′
　　　　　　　　　　 / /|ｌ {_＿　　 ヽソ|:　ヽ＿ゝ {ソ￣}
　　 　 　 　 　 　 / / /　 / 〕　 r┐〉:ﾄ-- 'ヽ _ く'-､ノ
　　　　　　　　　/'´　ｌ　 /　┴-'､_j/ヽ.ﾉ＿ｒ.｣ヽノ｀ヽ＼
　　　　　　　 ／　　./　 ヽ.　　　〈 ' _ノ　､　　 ｀ｽ.　　＼＼
　　　　　 ／/　　　 l　　　 l＼_.厶ﾌ　 丶　ヽ/　ハ._ｫ'´ｰ､ ＼
　　　 .／'／　　　 /　, -'´/´-'´　/　　　 ヽ　 / ヽ ＼､｣┘ヽ ＼
　 _／_／＿　＿_/　ヽ.／'´　. : :/　　l　　　　　　　｀　､＼　__ ゝ_ ヽ
　Ｌ.. -―ｚ-､.＞ ､-‐:/　. : : : ／　l　　l　　　　＼　　　､｀¨ ー‥_T´
　　, ‐'二 -- ､＿ノ ´. : : : ／　　/ 　|　ヽ　 ヽ　　ヽ: : .　｀　ｰｬ､: :｀ヽー-　、
　く‐'´ー-　､＿ |. : : _ -'´　　. :/:　　ｌ: .　ヽ　 ヽ: 　 ヽ: : : : ./: : }: : :/―--'´
　　｀丶、　　　_｣ヽ:´　　　. . : :/:　　 ｌ: : .　 ヽ　 ヽ: .　 }: : :./´｀ヾ:.ノ｀ ｰ､

　　　　　｀ｧ: :′　/　 /　!　　　 |!　 |! |!　　|! |｀ｰ, : :::|三|:::::::::::::::}　'.
　　　　　 ヽ.′　/　 /　 |! 　 　 |!　 |! |!　　}! | Ｙ:::::::::|三|:::::::::::::/　 {　　　　　　「いいこと、確かに、いずれはなんらかの形で
.　　　　　　|　|　|!　 |! 　 |!　　　 i}　 } |!　 /_!_| ゝｧ : :|三|::::::::_;ﾉ| 　 '.　　　 　 　 社会に関わらせない訳にいかなくなるわ。
.　　　 　 　|　|　|!|　 |!､　{! |!　 // /}//孑' /ｲ　(_ : :r'--{:::::::)　| 　 ｜　 　 　 　 これは間違いないことね。
.　　　 　 　{　|　| {　卞ﾄ､ハ!_ //ノノィ≦ケテ|　(:::::〈ん)､) 〉´　| 　　|　　　　　　 だったら、どんな形がいいのか、
　　　　　　 ヽﾄ､ {ﾍ､从ィ升=ﾐノ´　　/弋じ:::}｜　〉 : ゝﾆン　　 |　　｜　 　 　 　 それを明確に示せるプランがない以上、
　　　　　　　　 ヽ乂ﾍ!ゞ､rゝ':{｀　　　　　宀'´ |　 ∨/／　　　　|　　　　　　　　　 現状を見守るのが一番よ」
　　　　　　　　　 }　　|ﾍ　^¨´　　､ 　 　 　 　 | 　 {ノ´　　　　　| 　　 |
　　　　　　　　　 川　| 丶 　　　　r‐､ 　 　　ノ　 } !　　 　 　 　|　 　 |
　　　　　　　 　 //}　 ! ＿≧-..､　｀´ ,∠⌒} /　八ﾍ . 　 　 　 |　　　|
　 　 　 　 　 　,厶.j　/':.:.:.:.　 .:.:.:/>=(:.:.:.:.:.:. / /＞ヽヽ　　　　 |　　　|
　　 　　 　　 /　／｀ヽ):.:.:.:....:.:__}ｲ夊)＿r　/ /:./::::::ﾍ∧ 　 　 | 　　｜
　　　 　 　 八　　'´_ ⊥｝ー :.:.:.:｀¨)´:（/'⌒ヽ｀Ｙ 二二〕＼　　|.　　.｜
　　 　 　 〈≦ヽ　　　 r､){:.:.　:.: ／＼ノｰ 、｀　 《-､::::::::::::::::ヽ |　 　 .|
　 　 　／￣ )'＾う｀)ﾍＪく）_:-＜: : : : >'´　　　, '二＞_＞::::::::::::{､.　　.|

　　　　　r‐,ｨ': : :｀ヽ_,.x=ｯ'´: : : : : : :{::::l;ノ:::::::::ﾉ
　　 　 ,ｨ'/: : : : : :/三ﾐ/: : : : ￣:fﾊ: 〉:::::::::::::::｀i
　　　《 _ﾉ=-: : : /三l/:__: :-:‐: : 〈 ｰ' ヽ::::::::::r‐'
　　　 〈:_: ; -‐: ;三ミ!:ﾆ:=:-‐: /}:ﾉ　　　ヽ::_;ﾉ
　　　　 {: : : : : l三ﾐ}:-:‐: :.r‐､）´　 i　　　';〉
　　　　 lヾ: : : :.l三ﾐ!: : : :.ﾘゞ'l　　 l !　 l l l
　 　 　 l〃lｰ､_:l三ﾐ!: : r‐'　l l　　/ﾑl /// 　　　　　　　　　　「縁あって家族になったんですもの。
　 　 　 !　,'　ヽ {薔}:ノ l､__ヽlﾄ､ /,ﾑ／'l/　　　　　　　　　　 　 あの子が自分にとって悪くない生き方を
　　　　,'　, 　 l ヽヾﾐ! '弋ツ　　　ゞ'/l　′　　　　　　　　 　 　 見つけてくれればいいと思うの」
　　 　 !　′　l　 l｀ヾx ヽ　　　　' , ' !l
.　 　 / /　 　 ,　 ',/:｀ヽ ヽ､ _´ィ´! l ､',
　　 / /　　 　 ', ,ｲ: : : :.}　 ヽ三三! ! l l
.　 / /　　　　／: : : : : :｀ヽ､ ヾ､三! '､l l　__
　/ /　 _　　/: :/: : : : : : : :l: ｀ヽ_,＞ゝ-､--′
./ /　/: :.｀ヽ／: : : : : : : : :.l: : ',ヽ＜´_,＞>
. /　{:ｰ:-､: ´: : : : : : : : : : :.l: : :ﾍ< <　ヽ7
/　　ヾ: : :l｀ヽ､: : : : /: : : : :l: : : : ヽﾉ　'´　　　　　　　　 　 　 ┌───────────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │それは僕達二人の共通の願いだった。　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └───────────────────┘


　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼
　 　 　 　 　 | 　（●）（●）　.|　　　　　　　　　　　「そうだね。
　　　　　　 　!　　（__人__）　 |　　　　　　　　　　　　・・・そう思うよ」
　 　 　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |　　　　　　　　　　
　　　　　　 /　ミ）　　 　　　/
　　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　　 　i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　　 　　|　|／|　　　　 |　|

　　　　　　 　／￣￣＼
　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　|　　　 （ ●）（●）　　　　　　　　（家族――おそらくやらない子も家族だと思っている。
　　　　　.　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　　俺やお袋以外の人間と接するチャンスなんだ。
　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　お袋の恩師の利根川先生の奥さんにお願いしてみよう）
　　　　　.ｌ^l^lｎ　　　　　 　 }
　　　　　.ヽ 　 L　　　　 　 }
　　　　　　 ゝ 　ﾉ　　　　ノ
　　　　　／ 　 /　　　　　＼
　　　 ／　　 /　　　　　　 　＼
　　. /　　 　/　　　　　　　　-一'''''''ー-､.
　　人＿＿ﾉ　　　　　　　(⌒＿(⌒)⌒)⌒))
┌────────────────────────┐
│そういう事情で、五月も後半だというのに　　　　　　　　　.....│
│僕らはこのドライブに出かけているのである。　　　　　　......│
│慰問の目的は、どちらかというと慰問そのものより、　　　 .│
│むしろやらない子の訓練といった意味合いが強い。　　　　│
└────────────────────────┘

　　 ／￣￣＼　　
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ー）（ー）　　 　 　 　 　 　 　 （でもどこに行っても必ず謝礼とかの話が出るのは参ったな。
.　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　　　　　最初のうちはもらうもらわないって問答にもなったけど、
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　こちらの最低限の出費を負担してもらうってことで落ち着いたんだ）
.　 |　　　　　　　ｎｌ^l^l
.　 ヽ　　　　　 |　　 ﾉ
　　 ヽ　　　　ヽ　く　　　　　　　ガソリン代とか食費とか・・・
　　　/　　　　　ヽ　＼

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　r‐,ｨ': : :｀ヽ_,.x=ｯ'´: : : : : : :{::::l;ノ:::::::::ﾉ
　　 　 ,ｨ'/: : : : : :/三ﾐ/: : : : ￣:fﾊ: 〉:::::::::::::::｀i
　　　《 _ﾉ=-: : : /三l/:__: :-:‐: : 〈 ｰ' ヽ::::::::::r‐'
　　　 〈:_: ; -‐: ;三ミ!:ﾆ:=:-‐: /}:ﾉ　　　ヽ::_;ﾉ
　　　　 {: : : : : l三ﾐ}:-:‐: :.r‐､）´　 i　　　';〉
　　　　 lヾ: : : :.l三ﾐ!: : : :.ﾘゞ'l　　 l !　 l l l
　 　 　 l〃lｰ､_:l三ﾐ!: : r‐'　l l　　/ﾑl /// 　　　　　　　　「その手の問題は仕方ありません。
　 　 　 !　,'　ヽ {薔}:ノ l､__ヽlﾄ､ /,ﾑ／'l/　　　　　　　　 　 好意だと思って受け取りなさい。
　　　　,'　, 　 l ヽヾﾐ! '弋ツ　　　ゞ'/l　′　　　　　　　　　 こういう言い方は嫌いでしょうけど、
　　 　 !　′　l　 l｀ヾx ヽ　　　　' , ' !l　　　　　　　 　 　 　 お互いの利益になるから社会が回ってるの。　
.　 　 / /　 　 ,　 ',/:｀ヽ ヽ､ _´ィ´! l ､',　　　　　　 　 　 　 .自分のしていることが糧に繋がる、　
　　 / /　　 　 ', ,ｲ: : : :.}　 ヽ三三! ! l l　　　　　　 　 　 　 そのことを自覚するのもあの子のためになるの」
.　 / /　　　　／: : : : : :｀ヽ､ ヾ､三! '､l l　__
　/ /　 _　　/: :/: : : : : : : :l: ｀ヽ_,＞ゝ-､--′
./ /　/: :.｀ヽ／: : : : : : : : :.l: : ',ヽ＜´_,＞>
. /　{:ｰ:-､: ´: : : : : : : : : : :.l: : :ﾍ< <　ヽ7
/　　ヾ: : :l｀ヽ､: : : : /: : : : :l: : : : ヽﾉ　'´　　　 ／￣￣＼
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ
　　　　　　　　　　　　　○
　　　　　　　　　　　о
　　　　　　　　　　｡

　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　 /　ヽ､_　　　＼
　　　　　. （　（● ）　　　　|
　　　　　. （人__）　　　　　 |　　　　　　　　　（お袋の言うこともわかる。
　　　　　r-ヽ　　　　　 　　 |　　　　　　　　　 俺も人に聴かせるプロだったんだ。
　　　　 （三） |　　　 　　　 |　　 　 　 　 　 　 だけど正直、金の話なんてしたくない）
　　　　　>　ノ　　　　　　 /
　　　　/ 　/ ヽ　　　　 /
　　　/ 　/　へ>　　　 <
　　　|＿__ヽ　　＼／　 )
　　　　　　　|＼　　　／|
　　　　　　　|　 ＼_／　|

　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　／　　　 　　 ＼
　　　　　　|:::::: 　 　　 　　｜　　　　　　　　　　　　　　　　（金を受け取らなくても、経済的にやっていける蓄えはある。
　　　　　.　|:::::::::::　　　　　｜　　　　　　　　　　　　　　　　 その金も人に誇れるようなものでもないけど。
　　　　　　 |::::::::::::::　　　　｜　　　　　　　　　　....,:::´,　.　　何もしてない今はこれが仕事と言えるのかも知れない。
　　　　　.　 |::::::::::::::　　　　} 　　　　　　　　　....:::,,　　..　 　 何ができるわけじゃない、指の欠けたピアニストか・・・・・・）
　　　　　.　 ヽ:::::::::::::: 　　 } 　　　　　　 　,）:::::::ノ　.
　　　　　　　 ヽ::::::::::　　ノ　　　　　　　　（:::::ソ:　.
　　　　　　　　/:::::::::::: く　　　　　　 　　,ふ´..
-―――――|:::::::::::::::: ＼ -―,――ノ::ノ――
　　　　　　 　 |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´
┌──────────────────────┐
│最初は二ヶ月に一度という頻度だった。　　　　　　　....│
│次第に講演の依頼も増え、五年経った今では、　　　 │
│年に五、六十日は家を空けていた。　　　　　　　　　.....│　　　　　　　　　　　　　　
└──────────────────────┘

　　　　　_　　　　　 _,..‐.....-......､..._　vr 、
　　　　/:.:.:｀ヽ、,／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／ .: ﾊ.j∧:　　　　　　　　　　　　┌───────────────────────────┐
.　　　 ハ.::.:.:.l／:.:.:.ｲ.:.:.:.:.:.,:.:'"´ .:,.,ィ´:.:.7.:.:.､　　　　　　　　　　 │僕がやらない子に必ず付き添うのは理由がある。　　　　　　　　　.│
　　　/:ﾉ:.:.:.:.l〉:.:.:.:.:.:.:.:.;〃..:.:.:／:.:.l:.:.:.:./!ヽ:.l:.:.ヽ　　　　　　　　　│何せ僕の前でなければ決して鍵盤を叩こうとしないからだ。　　　 .│
　　　l:.:l:.:.:.:.:.l.:.:.:.:.:.:.;〃..:.:.:／:.:.l:.:.:.:./!ヽ:.:.l:.ヽﾍ　プイ　　　　　　└───────────────────────────┘
　 /イ.:.:.:.:.:.:.:ヾ:.:-:.:.l:.:.:.:./:.:.:l:.:/:.:.:./ :::.:.l:. l､:.:.ヾ、
　 l:.:.:l:.:.:.:.:.:,ｌヽ:.ヽ:.:.j. :.ノ:.:.:,:ｌ::.lﾑ:/--ヽ:.ﾊ:l:.:l:ト|
.　l:.:.:.:l :.:.:./　:.ヽ:.:.:.／V:／:.i'"|:/_,ｭ、_i ,'lｿ:.:l|:.ｌ
　 l:.:.:.::.ｨｿ　　!:.､:.:./r,ヾ;.:.:.:.:l f´弋厂　ヽ､:lﾚヽ|
　　l:.:.（　　　 ,':.:!.:.ヽ ､6ｌ.:.:.:.l ,,,,´　　　　 /:l
　　:.:.ｿ　　　/:.:l:.:.ｲ:.:.ﾌ|ﾊ :.:.l 　 　 　 　 ∧:l
　（　　　　　l:.:.,'/l |ヽ:.:.lヘ.:.:|　　　 　 ´/|　ｿ
　　　　　　/:.八／ ´ ＼ヽ　ヽﾄ､r┬ - i:.i　　　　　　　　　　　　┌────────────────────────────┐
.　　　 　 ,∠.......｀ヽ,　　 ＼　〈ﾐ'ヽ.|　　,l/　　　　　　　　　　　　│一度お袋だけが同行したこともあったのだが、　　　　　　　　　　　　...│
　　　　/"¨_""''＼、　　　 ヽ_,, ﾕ.!!　　　　　　　　　　　　　　　 │やらない子がムズがって楽器の前に座ろうともせず、　　　　　　　　 .│
　　　ｲ／::::::｀:ヽ.、＼､_　_／:=ヽl.lヘ＼　　　　　　　　　　　　　│お袋が周囲に謝り倒して帰って来るという散々な目にあった。　　　...│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └────────────────────────────┘

│■│■││■│■│■││■│■││■│■│■│
│■│■││■│■│■││■│■││■│■│■│
││││││││││││││││││││││││
└┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┘

┌──────────────────────────────┐
│プライドの高いお袋はそれ以来ついてさえこない。　　　　　　　　　　　　　..│
│お袋も天才と呼ばれた人だから、よほど嫌な体験だったのだろう。　　　...│
└──────────────────────────────┘
　　　　　　　　　　ヽ| |　:　　|　 |　　　 |　 | ||　 ﾚﾊ 弋 |r= 、r┘ |　＼ ｀
　　　　　　　　　　　　| |　|　　|｜| 　　　|　 川ィﾁﾚ,_|　({ﾍ參〉） 　！ 　 ＼　　　　　「何という赤っ恥。
　　　　　　　　　　　　| |　|　　|⊥从_| /ｊ／/ィi´うﾊ｢|　|广7_ハ　　丶　　　　 　 　 　 やっちゃん、もう金輪際、
　　　　　　　　　　　　　＼＼ヽ７了7ヾ　 　 　 ゞ-о|　|∨/ 　 ＼　　＼　　　　　　　 私はついて行きませんからね！」
　　　　　　　　　　　　　　 ＼| ヽ ｃゞン　　　　 ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ.｜ | ∨. 　 　 ＼　　＼
　　　　　　　　　　 　 　　　　|　∧ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　｀_ _　　　 __|　ハﾍ.　　　 　 ＼　　＼
　　　　　　　　　　　　　 　 　|　l|　＞ 、 ´ 　｀　／　j /￣ヽﾏ＿　　　　＼　　＼
　　　　　　　　　　　　 　 　 /∧|／　　 __ｱ=ﾐく入`マ"￣￣ ／　　 　 　　＼　　＼
　　　　　　　　　　　　　　／/　ﾍ　　　/-ゞ參r' _≧　＼￣/___〉 　　 　 　 　 ＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, イ´￣｀ヽ
.　　　　♪　　　　　　　　　／|　　 　 .／｀ヽ､ .／ ／｀ヽ:.:.: {
　　　　　　　　　　／ヽ､／:.:.:{=-z､／:.:.:.:.:.:.: ヽ／/!　　|:.:.: |　　　　　　　　　　♪
.　　　　　　　 　 /:.:.:.:.:.:ヽ:.／:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.: _ノ!:.: /│　 |:.:.:.:｀ｰ､　　　　 　 　 　 ┌────────────────────┐
　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:. ／:.:.:.:.:.:,z≦":.:.:|:.:.:.:.:.｀ヽ､i:.:.:.:.:.:.:.|　 　 　 　 　 　 │この習慣が始まった頃までには、　　　　　　　　　│
　　　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.: /.:.:.:.:.:r=才:.:.:.:.:.: ,'ヽ.:ﾍ.:.:.:.:.:＼:.:.:. ∧　　　 　 　 　 .│やらない子のピアノは見違えていた。　　　　　　 .│
.　　　　　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.: /. /:.:./:.:./.:/.:/.:.:.:.l　∨ﾊ.:.:.:.ヽ:.ヾ｀i: ∧　　　　　　　 │それはやはり、本人の、弾きたい、　　　　　　　　│
　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:/: /:.:./:.:./.:/.:∧.:.:. |　 ∨ﾊ.:.:.:.:.ヽ ﾍ|:.:.∧　　　♪　　 │という意志の強さによるところが多かった。　　.....│
　♪　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.{:.: ,': /:.:.: !:.:.:.ｨ＝==､.:.:.|　　 ',イ￣ヽ !:.:.:|:.:.:.∧　　　　 　 .└────────────────────┘
.　　 　 　 i:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.i /:.:.:.: |:.:.:.:.l＿＿ ヽ:|　　　i＿　　 |:.:.:|:.:.:.:.:.:＼
.　　 　 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.|∧.:.:.:.|:.:.:.イ丁斤ゞﾘ　　 ｲ::::/｀ゞ从/!:.:.:.:.:.:.:.: ＼
.　　 　 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽl{７i.:.:.:.|:.:.:.:.|∧::::::ﾉ　　　.弋/ ,ﾉ ／/:ﾍ:.:.:.:. ＼:.:.:.ヽ
.　　 　 　 |:.:.:.:.:.:',:.:.:.:.:.:.:|Yjﾊ.:. |:.:.: 弋=イ´　 　 ,　 ￣イ∨＼:.:.＼:.:.:.:. ＼:.:.}
　 　 　 　 ',:.:.:.:.:. i .:.:.:.:.:.ゞ､ﾍ.:.:∨从　　 　 ＿＿　　　 入:.:.:∧:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:｀ゞ
　　　 　 　 ',:.:.:.:. |.:.:.:.:.:.:.:.!人,.:.:.ﾊ从＼　　 ｀ー 　　イ´＼｀/　.＼:.:i＼:.:.:.:.:.i
　　　　　 　 !:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:/　　i.:/　＼　|｀ ＞‐-z-'" 　 　 .}　　 　 リ　 ＼:.:.:|
　　　　 　 　|:.:.:./:.:.:.:.:.:/　 　 ﾘ　　　__}ﾍ　:::::::::廴＿＿__/__　 　 　 　 　 ＼!
　　　　　 　 |:. /.:.:.:.:.:./　, -y──'"＼　＼　::::::::l: : : : :i　　ヽ　　　　　　　 |
　　　　　 　 |:/.:.:.:, イ　/　　＼: : : : : : ＼⊥＿__,|.: : : ::|　 　 i／ヽ　 　 　ノ
　　　 　 　 /人／　.!　|　＼　 ＼: : : : : :.:＼　　 .|: : : : |　　 /　 /　　／ヽ
　　　　　／´　　　　ゞ |　　 ｀　　 {｀ヽ: : : : : r=､ r=､: : | 　 /　./　.／ .／
　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　<｀ヽ.＼. ＼: : 〈　 | ヽ. ＼_, イ　　ﾚ'" .／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／-‐=＝ァァニ二二ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 　 ＼ ＼＼. ＼/ 　|　∧ 　 ＼　　　 ＜＿＿　　　　 　　　　　　　　 　 　 ／( ／　　　///　 ///　/〉
　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 　 　 ＼ ｀　　./ 　 .}＞ i　　　　　　　 ＿＿_ﾉ　　　　 　　　　　　　　　　　 >≦三二ニ＝=――x　/,′
　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　{二二￣　　　 i　　 i　∧＼ 　　　　 ＿＿_ﾉ　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／二― /￣￣////￣｀ヽ',′
　　 　 　 　 　 　 　 　 |. 　 　 ＿｀フ　　　　　./し' :.i＼入　ー'"＼　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／二━━/　 　 ////.:.: : : : ,′
　　 　 　 　 　 　 　 　 |＿＿_廴＿, ｨ=-､＿ノ: : : : _|, :＼＼. 　 　 ＼ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／二ﾆ━━/.c　　////.: : : : :.,′
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￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

　　　　,、__ , ヘ, ,ﾍ __,.　-- 　. 　ｒﾍ　 　　 ,、.　　　┘└
　 　 ノ : ://,ｨ':´: : : : ｀´￣: ｀丶:｀ヽメ､／ :"ヽ、　 ┐┌
　　/; : ﾝ': : : : : :/: :､; : ヽ、: : ＼: : ヾ,ﾍ: : : ',ｼへ,
　 ,' : /: /: : /: :/ :./　l : : : :＼ : : ヽ、:ﾊﾘ! : : : : :ゝ
　l: :/: /: : /: : ﾉ: / 　i: ト ､: : : ヽ: : : ヽ: ﾚ1; : : : : i
　 l: l: :ｲ: : : ﾒｰ'ヽi 　 i/'ｰ-＼_:_: ヽ: : :l;iｌ .|: : : : : :l　　　　　　　　　「ごちそさまっ」
　 |: |ﾉイ: :ﾊｧ'7;i' 　　'´!ﾊ｀ヽヾ: : : : : ; l'　i : : : : /
.　 ﾚﾊ,; |:/ 〈　!ｿ 　 　 .じ'　ﾉ　'i : : : :i;"　| : : : : i
　　. l : :ﾚ' 7"　 _'＿_　 　 　 　 !ヽ : ,' 　 l; : : : : i
　　l: : : :!: :ﾍ.　 |/´　｀ヽ　　　:ﾊ:/::ｿ:ヽ,　i : : : :;ゝ、
　 ,': : : :l: : lﾒi＼ ､　　_.ﾉ:#:　ｲ::/::/ヾ;;:;ヽl: : :ハ゛:ヽ
　;ハ: : l: : :!　 i::｀>‐-r 　 /ヽﾚ'ｧ ン´::::::::ヽｿ　　ヾ;i
　　　｀ヽi : !　 ,ｿr‐'7,ﾊ,／ ,ﾚ'__/::::::::::::::::::;ハ,　　　）

　　

　　　　　　　　　　　　　　／
　　　／￣￣＼
　 ／ _ノ　 ヽ､_ ＼　　　　──
.　|　（ ●）（● ）　| 　　　　　　　　　　　　(何怒ってんだ？)
.　|　　（__人__） 　│　　　＼
　 | 　　｀⌒ ´　 　|
.　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　 　　　　/
　　 ヽ　 　　　 /
　　　>　 　　 <
　　　|　　 　　 |
　 　 |　　　 　 |

　　 ／￣￣＼
　／　　 　_ノ　＼
　|　　　 　（ ●）　）　　　　　　　　　（構わないでいたから怒ってるな）
.　|　　　　 　（__ﾉ､_）
　 |　　　　　 ｀ ⌒ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |

　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 _ノ　　ヽ、　　＼
　　　 　　 　（●）（● ）　　　|
.　　　　　　 （__人__）　 　 　 .|　　　　　　　　「やらない子、ここにケチャップついてるぞ。
.　　　　　　　 ヽ｀⌒ ´　　　　|　 　 　 　 　 　 自分で綺麗にしなさい」
　　　　　　　　｛　　　　　　　/
　　　　　　　　lヽ、　　,ｨ'.) ./
　　　　　　　　j　.}ﾝ／／　ヽ
　　　　 　　　ﾉ　'"´ ￣〉　　|
.　　　　　 　 {　　　　 勹..　｜
　　 　 　　　 ヽ　､＿_,,ﾉ　.　|


　　
　　
　　　 ,' ⌒ﾊヽ、,_r　-　－¨⌒`へ　_,、,ﾊ⌒　、
　　 ﾉ....:::::::::.%〃:::::::::::::::::::::::ﾍ::::::::::::ヽ`ヽ:::::::::::ﾊ
　　i...:::ｨ::::∧::::::::　　::_::::::::,::::ﾊ:::::::::::ヽ:ヽ ´丶:/:i
　 ﾄ..:::/::/::|/:::　　:/´:::::::::ﾒ:/ヽ:::i::::::: :ゝ:::ヽy::::::::i
　/.:::ﾉ::::ﾘ/:::/:::::/:::/´::::/::/|　l:::::l::::::::::::丶::ヽ::::::ﾘ
　{.: 〈jYyﾉ::/::::ｲ:::::::::::::::::/|/　l:::/l:::/l::::::::i:ヽ::l:::〈
　 ）　　　|/|/:::;;/l;::/.ﾚl/,. j　 l::/l;:/　!:::::::l::::l ﾙﾘ:::、
　　　　　　l:/::::l;::/.ﾚl/,.　　　 l/ ,l;_　l:::,::::l:::!　　 ヽ） 　　　　　　　「むー」
　　　　　　ﾚ∧:j:l"弋ラ``　 " ﾋラ``ﾚ::i::l:Y
　　　　　　　|/::ハ''''　　　　.　　　''',!ﾉ:l:::l:/
　　　　　　　!/:::::｀ﾄ　 　 　 　 　 , ':::/|:::i:|
　　　　　 　 l:::,':::i:::;;ｌ:`r 、_⌒#イ/:::/:::|:::i:|
　　　　　　:l::l/:::::l/:l;l:::l 　　　　|l::从:ﾉｌ:.:.V
　　　　　:::/ ...;;::::l:/l::l:{ヾ、　　_ ｿ/￣/'ヽl:.::ヽ,
　　　　　/'l..,ｨ'´‐∧　ゞi ﾍ-‐-ｲ/　 /　　 ｀ヽ、
　　　 　/:.::{ ゝ ヽ　 '⌒`Ｖ＾~＾Ｖ⌒ヽ 　 /　i/ 'ヽ

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●)　　　　　　　　　　　「手で拭くなよ！
.　|　　 　 （__人__) 　　　　　　　　　　　　ナプキンで拭けっ」
　 |　　　　　 |r┬|}
　 |　　　　　 |　| |}
.　 ヽ　　　　　｀ﾆ}
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　/　　　 く　　＼
　　　|　　　　 ＼ 　 ＼
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)､




　　　　　　 _,.-、　　　　＿＿　 _,/⌒ 、オロオロ
　　　　　／::::::::::＼,.-''::r丶:／ヽ::::::::::::ﾍ
　　　 ／:::::::::::ｲ::::::::::r'´::::::::::::::::::::ヽﾊ::::::ﾍ
　　 /:::::::::::::::::::::::ノ::::::::::::::/:::`:::::::::::∧:::::::::ヽ
　　 ヽ::::::::::::::::.,":::::/i:::|ヾ |l::::|ヽﾍ::::::ヽ::::ﾍ/
　　　 )::::::::::/,::::::::/|/...|:::| |/ |/ﾒヽ|::∨|::::::〉 （_
　　／:::::,.イ:|:::::::/ |!￣∨　　　‐゛'.|∨::|:::/　　（__
　 （::::::::ヽ ∨::::::|=＝＝　　　 ＝== |::::|::::＼　　／
　　＼::::::::) ｲ::ｌ|:j　　　　__　_ ′ 　u|:::::| ）::/　　>
　　　 〉"　　∨::|　　／　　 　｀`! 　 /::::/ ヾ(　（
　　　　　　　 ∨|＼,'　　　　　　｝.／| :/
　　　　　　　　）ヽ:|:〈:｀'. r‐┬‐ '/:::::|〉:)
　　　　　　　（::::ｨ´ヾ,:‐＜＿l:::::/ﾏﾄ､:（_

　　／⌒ヽ_ ／ヽ　　　　　　＿＿　　　　　　　／:.:.ヽ __
　　|:.:.:.:.:.:./:.:.:.／〉-‐:.:.:- ´:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､　　 _/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　!:.:.:.:.:/:.／／￣｀:.:.:.:.:.ヘ:.:.:.:´￣:.:.｀:.:ヽ/l ',: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
　　l:.:.:.:.:.:〈 ,.':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| ', ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　|/: : :.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ_＼ >:.:.:.:.:.:.:.:.!
　 /:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ト.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.|:＼:.:.:.:.:.:.:.:.',　あった！
　.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:/:.:.:.〃　ヾ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.:|: :.l:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.',
　i:.:.: :ｲ:.:.:.:.:.:.:l: : /!!　　 ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:ヽ:.',:.: : :.:.＼: :.:.:ヽ
　l:.:./: !: : :.:.:.:.|: ,' .|!　 　　 ＼:.:.:ヽ: :.:.|: !',.:.:.:i:.:.',:ヽ:.:.:.:.:.:.:＼:.:.:.＼
　!:.: :./!:.:.:.:.:.:/!:.!.斗‐-　　　　ヽ:斗‐ﾒ!:.! l: :/:.!:.l:.:.:.＼: : :.:.:.:ヽ.:.:.:.:',
　l:.:.:/ .!i＼:./:.ヽ!　─ ､　　　　, ヽ!:/ j/　!/!:.:!/:.:.:.:./ ＼:.:.:.:.:.:',:.:.:.:',
　|: ,'　 ｉl　 ｀i:.:.:.:! r==-､　　　　_,-==-y　,':/:.:|: :.:.:./　.　 ＼:.:.:.:',:.:.:.:!
　i:.　　 !i 　 |:.:.ヽ_ ゝc;;ｿ　　　　 ゞ゛d;ﾉ /:/ノ/: : :.:.',　　　　 ヽ:.:.i: :./
　l:! 　 　 　 |:.:.:|:八""　 　 ,　 　 　"" /:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ　　　　 )/／
　 ヽ　　　　 !ヽ:!:.:.:.＼　　_, ＿　 　 , ' !: :.l:.:.:.:.:.:.:.:＼:.',＼　 .〃´
　　　　　 　 ',ヽ｀ヽ:.:.:.::ヽ､　　　＃イ /:.j:./.:!ヽ､:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.ヽ
　　　　　　　 イ.-ﾍ:|:.:＼.::ヽ｀´ 　ｲ/:./イ:::::::::::＼::::ヽｌ::.:', :.:.:.;､
　　　　　　 / |:::::::|:.:.:.:.ｌ＞ﾘ､ ､‐_,‐＜イ／:::|::::::::: ） :::::＼i:.:.:.:.i
　 　 　 　 ｲ　:V:::: /／/´￣￣""'''ー--､,,_＿___::::::::::::::::::l/:.:,'
　　 　 　 /::::}::::ｌ":::::「:/　　　　　　　　　　　　 _/__＿::::::::::!:.ｲ
　　　　 ./::::V /:::::::::::/　　　　　　　　　　 ｆ゛―-､ __丿:::::::,:'
　　　　 !::::::::::T´ ::::::/　　　　　　　　　　　＞　､_　 ﾉ ::::::::/
　　 　 ﾊ:::::::/!:::::::::::/　　　　　　　　　　　ｒ| 〈｀ ヽ ｲ:::::::::/
　　 　 f::::::ハ:::::::::::/　　　　　　　　　　　　ヽ ニ7 /|::::::/

　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼ 　　　　　　　　　　　　　<ｺﾞｼｺﾞｼ
　|　　　 （ ●）（●）　　
.　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　　　　（あーあ、そんなにこすちゃって・・・）
　 |　U　 　 ｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　 　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ　　　　　　　　＼
　　　/　　　 く　　＼　　　　　　　 ＼　　 　 　 　 　
　　　|　　　　 ＼ 　 ＼ 　 　　　　　　＼　　　　　 　
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)､　 　 　　　　　 ＼　　　　　　




　　　　 　 |:.:.:.:.:.:./:.:.:.／〉-‐:.:.:- ´:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､　　 _/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　 　 !:.:.:.:.:/:.／／￣｀:.:.:.:.:.ヘ:.:.:.:´￣:.:.｀:.:ヽ/l ',: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
　　　　 　 l:.:.:.:.:.:〈 ,.':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| ', ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
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.　　　　　 /:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./　!: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.|:＼:.:.:.:.:.:.:.:.',
.　　　 　 .:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:/:.:.:.〃　 .l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.:|: :.l:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.',　きれいきれい
. 　 　 　 i:.:.: :ｲ:.:.:.:.:.:.:l: : /!!　　 ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:ヽ:.',:.: : :.:.＼: :.:.:ヽ
　　　　　l:.:./: !: : :.:.:.:.|: ,' .|!　 　　 ＼:.:.:ヽ: :.:.|: !',.:.:.:i:.:.',:ヽ:.:.:.:.:.:.:＼:.:.:.＼
　　　　　!:.: :./!:.:.:.:.:.:/!:.!.斗‐-　　　　ヽ:斗‐ﾒ!:.! l: :/:.!:.l:.:.:.＼: : :.:.:.:ヽ.:.:.:.:',
　　　 　 l:.:.:/ .!i＼:./:.ヽ!　＿　　　　　　ヽ!:/ j/　!/!:.:!/:.:.:.:./ ＼:.:.:.:.:.:',:.:.:.:',＼
　　　 　 |: ,'　 ｉl　 ｀i:.:.:.:!.´￣`ヽ　 　　 ‐＝=ﾐ､,':/:.:|: :.:.:.:./　 　 ＼:.:.:.:',:.:.:.:!　 ヽ
　　　 　 i:.　　 !i 　 |:.:.:::!　　　　　、 　 　 　 　 /:/ノ/ : :.:.',　　　　 ヽ:.:.i: :./　　　)
　　　　　l:! 　 　 　 |:.:.:|::ﾄ､""　 、　　,　　 ""/:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　　　　 )/／
. 　 　 　 ヽ　　　　 lヽ:!:.::.:>､　　　￣　　 ,..イ!: :.l:.:.:.:.:.:.:.:＼:.',＼　 .〃´
　　　　　　 　 　 　 ',ヽ｀ヽ:.:.:.::;＞.--‐ ＜ /:.j:./.:!ヽ､:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　 イ.-ﾍ:|:.:＼.::ヽ｀´ 　ｲ/:./イ:::::::::::＼::::ヽｌ::.:', :.:.:.;､
　　　　　　　　　　 / |:::::::|:.:.:.:.ｌ＞ﾘ､ ､‐_,‐＜イ／:::|::::::／::::::::＼i:.:.:.:.i

　　 ／￣￣＼
　／　　ノ　ヽ､＼
. |　　 （●）（●）|　　　　　　　　　　　　　　（ケチャップは取れたな）　
. |　　　（＿人_）│
　| 　 　 ｀ ⌒´　 | 　　　　　　　　　　　　　　「もう一回」
　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　　　　　/
　　 ヽ　 　　　/
　　　.> 　　　<
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



　　　　 , ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 /　: : ヽ::/: :,:′: :′: /: : /: : ｉ : :!::　/::::: : :
　 　 ,′: : ,'::/: :/: : : /: : /: : :;′: :!: : ｌ: :ｒ:::::｀Y: :
.　　 {: : : : : :; : ,' ^) :;': : :,':⊥.」_: : :i: : :ｊ: :} : : : ｉ:
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　　一´￣:::.|l i::::::::: ::::::::: :::: :／.::::..:::: ::::: .∧:::ヽ::＼:::::ヽ::::::::＼
《::::::::::::::::::::::Li ::::::::::: :::::::: ::/　:::..:::..:::: :::::　l　.l:::lヽ:::ヽ::::::ヽ:::::::::＼
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　　丶:::::::::::::::::.i::: / 八:/ /::　ﾉ:::∧::::::.l ヽ:::i lﾉ_lﾉlﾉlﾉ::::l:::::l＼::::ヽヽ:::ゝ
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　　　i:::::::::::ｌ::::ｌ / /:::/::/::ﾉ:::|::::/ _____ ,ヽl 　 ｀ Vｿ, ﾊ∨∨　/　 ∨　　　　　　「ごち、そうさま・・・」
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.　|　　（__人__） 　│　　　　　　　　　　 トイレは？」
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　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼　ハズカチイ！
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　　　　|.　　　　　　　　　　　　　 トエエエエエイ　 |　　　　　　　 　 //　j / /　ﾉ　　　　　-=ニ_￣
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　　　　　 ＼ 　 　 　 　 　 　 　 　 　､`ｰ一一 '　)　　　　　　　/　-=j"　 ,_/
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　（　　　　' 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　 　 ./　　　　 　 ヽノ　　　　　　　　　 　 　
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│昼間のサービスエリアは驚くほど空いていた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...│
│吐き出した煙さえ空疎さを楽しんでいるようで、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.....│
│ゆっくり戯れるように舞い上がっては青い空に散って消えた。　　　　　　　　　　　　...│
└──────────────────────────────────┘
　　 　 　 　 ／ 　　　　　　(⌒ 、　　　.. .... .. 　.:.:.:..: .:.:...　 ,　⌒ヽ . :. .:.:...
　　.　.. .... ..　.:.:.:..: .:.. ... （　 　 　ヽ⌒ヽ 、　　　　　　　　 (　 　 　 Y⌒ ヽ

178 【DK】 ◆nKmGWfYxWM 2011/07/16(土) 21:42:33 ID:Q.AOuPSM 「二話」は終了です。 今夜の投下はここまで。 読んでくれてありがとう。 書きながら投下は確認がちょっと足りない・・・ 「」の付け忘れが多いし。 いっそ付けないほうがいいのか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿　 ／ /＿
　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿ゝ　　 У　 / ＿ ＼
　　　　　　　　　　　　　＼＿＿＿　　　　　　　＿＿＼ゝ
　　　　　　　　　　　　　＿{: : ゝ―｀―ヾy´＜: : : : : :｀/ヽ
　　　　　　　　　　　　　＞‐´　　　　　　'　　　＞: : : /　　ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　￣｀ヽ<　　　 ＼
.　　　　　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　 ヽ　 ヽ‐-ゝ
　　　　　　　　　 　 /　 /　　　　　　 }　　　　＼　　 f⌒`ヽ ヽ
　 　 　 　 　 　 　 /　 /　　　l　|　 ,　l　l　 、＿ ヽ、_ヽ　　　 }
　 　 　 　 　 　 ／ , 厶ィ´.　.|　|　 l　l　l　　　　 ｀￣　}　　　 |　　　　　人物紹介。
　 　 　 　 　 ∠ イ } 　 　 　 ヽ,|　 l / ,/ l＿,　　,　 } , {　　　}
　　　　　　 　 　 　 |　　　l＿l　｀　 '　 | ´ﾊ | }　/　/ ﾊ{　　 l
　　　　　　 　 　 　 | .ィﾍ　{ ﾄ､ﾊ 、　　 /ｨ示 ﾚ　　ｿ　　　i　l
　　　　　　 　 　 　 |∧　ヽﾙｨ示ミヽ、/ 込zｼ ,ｨ　/　　　ハ {
　　　　　　 　 　 　 　 ヽ　ハゝ、シ　　　 ｀´,ﾚｲ ./　 ｨ　/　 ｀
　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼ヽ､ヽr‐､＿__- ／ ノ/、i/ }／
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　　　　　　　　　　 　 　 　 　 {　　　 ｀` ァL-‐´ i　l
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――登場人物（登場順）――
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如月やらない夫　（原作　如月 敬輔） 　一話目から
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楠やらない子　（原作　楠 千織）　一話目から　
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利根川先生　（恩師）　ニ話目から　
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如月真紅　（母親）　ニ話目から　
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181 小さな名無しさん＠この板は300レスまで 2011/07/16(土) 22:04:11 ID:qFjm.VVc 乙でした～ 182 小さな名無しさん＠この板は300レスまで 2011/07/18(月) 21:28:24 ID:GjVWhu3A 乙 原作知らないけど、これは先が気になる