_ ,､-―- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, - ﾞ´　　　　　　 `ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　, '　　　　　　　　　　　　`ヽ、
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　　　　　　　　　　 ,r＜´ 　 　 　 　 ｀＞ｭ､　　　　i　　　　　　　　　　　　　　 　　',
　　　　　　　　　／　　　　 　 ,r'ｺﾆﾕ､_,r=､｀ヽ、 ﾉ　　　　　　　　　　ノﾉ八 ,）　　ﾍ
　　　　　　　ヾ´｀ ＜、‐ - 」ヾ'´　 _r-､__ヾ]、 ﾍ（　　　　 （(　ノﾉ∠ｲ＿　ﾉハ_リﾘｿ
　　　　　　　　,'＼　　 ＞､_>_{、　 〉薔>､> ,己. }｀)　　　　 Y＜;;::;;;;;:::;;;;｀´;;;;;;;;;!ﾉ
　　　　　　　 ,'　 ,へ、 _　 ｀ヽ､>'´,]fﾍ_,､r､ヾｿ ,' ﾌ　　　,ﾍ　|ヽ;;;::;;;;;:::／ヘ;;;;;;;ﾉ
　　　　　　　{　i'　 　｀ヾミ、-ヽ'Zﾆ､_　　/>' ハ ヽ　　｛Kﾉ　ゝ`'''ｰ''′　, 〉 i
　　　　　　　 ゞ{ ＼　　、 _＞＜＿ｭ､ﾄ<彡-､　', 　）)　 ヾﾄ ヾ　　　　 　 　 /
　　　　　　　　ヾ}ﾐ{ヾ､　｀` ＞ｔｭ=､,　｀´f､) , } / ラ　( （ﾉﾚ ＼　　　´ ￣ /
　　　　,-=＝=‐ｭ､ﾍゞ'　 　 　 ゞﾆﾊ,r-､´ヾノノ　,イルゝトミtr､. ＞ 　_＿/
　　　　｀ｰ　／￣',　 〈　　　 `,=＜´＿,＞'<ﾉ　ノ::::::::::::::::/:.:.:.ヾクﾊ_入くヽヽ_,,､-ｰｰ-.,､
　　　　　　 ゝ、 ,rｪゝ､　ヾｭ-‐' _＞‐-､　 ／}＜:::￣:｀ヽ;/:.:.:.:.:.:.:.ヾｔｆｰ┬イ:.|ヽ;:ヽ:::::::::::/ﾍ､
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┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　だがシャアを犯人とするならば、未だに腑に落ちない点があるのも確かである。

　　　まず第一に、あの９日の夜の「お出かけ」で金糸雀を殺したとするならば、
　　　何故２０日近くも死体が発見されなかったのか。

　　　金糸雀は９日から行方をくらまし、２８日になって死体という姿で現れた。
　　　……いや、よく考えれば本当に９日で死んでたら検死ですぐに分かるはずだ。
　　　警察の発表でもそんな情報は一切無い。

　　　やはり９日の時点ではまだ生きていたと考えていいんじゃないだろうか？
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛

　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　|　　　 （ ●）（●）　　　　　/　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
.　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　|　　　r―　　　　　　　第二に、殺害動機。
　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　 r'　　_ノ　　　　　　　　どうしてもシャアが金糸雀を殺す動機が思い当たらない。
.　　　 　 　 |　　　　　　 　 } 　 　 　 | 　 l　　　　　　　　　　金糸雀と関係を持っていて、彼女を疎ましく思ってたとしても、
.　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　）　ﾉ　　　　　　　　　　それだけで殺害に及ぶとはとても……
　　　　 ／ノﾍヽ　　　　　ノミヽ　　丿 （
　　　　片､ i　|　ヽ/ヽrフ |´ l/.|　/ ＿ノ　　　　　　　　　　 彼女がシャアを殺そうとする動機ならともかく……
　　　　｝:　｀l　　 ﾄ^ｰ┘ﾊj .丿 |,ｯ´　　　　　　　　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
.　　 　ハ 　 　　 ヽ 　 〉　 r-//
　　　/.:　ヽ iミヽ　　　ﾊ　　{二. ヽ
　　 人-､　∧::.　　　　 |. 　 ト- /iｧ
.　 〈_ン＞_ }〈::: 　　　 く　　介､_ﾉ!
　　｝:.／-ィ.V ‐' 　 　 /　　 弋_ン



　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　|　　　 （ ○）（○）　　　　　/
.　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　|　　　r―
　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　 r'　　_ノ
.　　　 　 　 |　　　　　　 　 } 　 　 　 | 　 l　　　　　　　.┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
.　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　）　ﾉ
　　　　 ／ノﾍヽ　　　　　ノミヽ　　丿 （　　　　　　　　　　　　　　…………！！
　　　　片､ i　|　ヽ/ヽrフ |´ l/.|　/ ＿ノ
　　　　｝:　｀l　　 ﾄ^ｰ┘ﾊj .丿 |,ｯ´　　　　　　　　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
.　　 　ハ 　 　　 ヽ 　 〉　 r-//
　　　/.:　ヽ iミヽ　　　ﾊ　　{二. ヽ
　　 人-､　∧::.　　　　 |. 　 ト- /iｧ
.　 〈_ン＞_ }〈::: 　　　 く　　介､_ﾉ!
　　｝:.／-ィ.V ‐' 　 　 /　　 弋_ン

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ,,　　、　　　　　　　ｌ
　　　　　　　　 ゝ_　　　 _/　 .. ＞..、　　　　　l
　　　　　　　　　　`''''''‐" 　_ __ ﾆ:＿丶　　 　 1
　　　　　　　/　、　　　　　　＾''''ー ､__　ゝ　　 │
　　　 / . ｌ 丿　　l'"! 、 、　'''-ｰ-､ ´　^ｰ-..､　.
　　　 |　」　|　　|　|| ! 　! ｌ　│　'　　 ,ｒ _..,,　ｆ.
　　　 `、　 '、　ゝ　ﾉ　/ l　..′ ,´　　|　l│l .ｉ　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　｀- － ﾞ‐'′　 --"　　,ﾍ ∪ ﾉ l.　　　　　　　待てよ……、ひょっとして動機はこれでいいんじゃないか？
　　　 　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　´ /　　　　　　　つまりシャアが金糸雀を殺す理由があるのではなく、
　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　 ｀）　　　　　　　　・ ・ .・ .・ .・ .・ ・ .・ ・ .・
　　　　　　　　　　 f　　　　　　　 丿　　 ヽ/　　　　　　　　金糸雀の方がシャアに殺意を持っていたとすれば……
　　　　　　　　　　入 ＿＿＿ -'　　　　　,′
　　　　　　　　　（　V ｖ 　　　 　"‐＿ -'′　　　　　　　　これでもシャアが金糸雀を殺す動機に充分成り得る！
　　　　　　　　　　''-二ﾆ -=　　`'`ソ　/　　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　　　　 ´　‐‐;ｭ ｀' ､ノ　 /...
　　　　　　　　　　　　 　ニ　　　′　丿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !.
　　　　 丶.._ 　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　｀ﾞ　‐--- ＿＿＿＿-''
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

220 やらない夫板IIへの引っ越し作業中だろ 11/01/23 09:03:53 ID:P7Tzj8rH ああ、なるほど！

　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ( ヽ、
　　　　　　　　　　　　　 　　＿＿＼ ＼
　　　　　　　　　　　 　　　 <＿＿　＼　＼
　　　　　　　　　　　　 ／<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/
　　　　　　　　 　　 .／　 └--ﾐ ヽ、＼　-　＼　|
.　　　　　　 　　　, '′　⌒ヽ,__ﾉ丶　　-　　　　　〉　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　 　 /　　（ ● >､　 ､( ＼ 　 　　　　 !　　　　　　　　　　　　金糸雀はオーディションに合格するために、
　　　　　　　　/　　 ,　`'''"　　 _,　＼_ヽ　　　　　{　　　　　　　　　　　　シャアに取り入って関係まで持っていた。
　　　　　　　./ 　 　{ 　　,　　 （ ＼）、ﾍ　　　　　 > 、　　　　　　　　　　だが結局は不合格……まして麻薬漬けにされていたんだ。
　　　　　　　| 　　　ゝ-イ 　　　`''"　./　＼ 　　∠／ヽヘ　　　　　　　　シャアに殺意を持ったとして何ら不思議は無い。
　　　　 ,.-／| 　　　 ゞﾆ>一′　 .／　　　 ＼(⌒)　　 ﾉ　＼　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　 ／ |　＼ヽ 　　　　　 　　 .／ 　　　　　　.ヾ、　／　　　 ＼
￣<　　 !　　`＼　　　　　　／＿＿＿　　　　＼／ ＼(
＿ ＼ 　 !　　　 > ー-- イ　 ＼_　　　￣￣＼_＼
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　　　∠　　　　　　 ノ）ヽ、
　　　　　　 ＼　/⌒＼　〉　　￣　/　　　　　　 /　>＼
　　　　　　 　 ＼　い　/　　　　 /　　　　　　 /／ノ
　　　　　　　　　 ＼　/　　　　 /　　　　　　 / ／￣



　　　　　　　　 　 　 　 ￣　 　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　 　 　 ＼
　　　　　／　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　　　､＿　　ヽ
　　　　'　　　　　　　　　　　　　　 ｀　､ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く　　　　　　　電話でシャアを呼び出し、殺そうとしたところを、
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!　　　　　　 逆にやられてしまった……有り得ない話じゃない。
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´

　　　　　　　 ／´￣￣ ￣￣｀＼.
　　　　　　／: : : :　　　　　 　 　 ＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　|: : : :　　 　 　 　 　 　 　 　 :|　　　　　　　　　　　だがこれが正しいとなると、また第一の問題と矛盾してくる。
　　　　　| : :u : : : : : .,　　 　 　 　 　 :|　　　　　　　　　　　いわゆる過失致死ならば、金糸雀は９日に死んでなきゃならない。
　　　　　|:: : : :＿ ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|
　　　　　|::::;;;（　 ●） ﾉヽ （　● ） ;;:::|　　　　　　　　　　　だが死んでたのは２８日で、９日以降はあくまで失踪しただけ。
　　　　　|: : : ´"''", 　 　 　 　"''"´　:l　　　　　　　　　　　 厄介な話だ……
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　 ） 　 ./　　　　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　 ＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　 　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　 　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　 　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　 ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　 　 　 ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　 ７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈 　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿ ￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

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:: :: : :三|三::: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━.|||||||┌┌┌┌ |:::::::
: : ＿＿i＿＿　　闇　　に　　翔　　ぶ　　薔　　薇　　乙　　女　　た　　ち　　 |||||||┌┌┌┌ |:::::::
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　 |Ll Ll Ll |ii|i: :+:::: o:: | 「 「 「 「 「 「 「 「i |ii| ﾛﾛﾛ|o :|┌┌┌┌┌┌┌|￣￣￣|||||┌┌┌┌ |:::::::
同|Ll Ll Ll |ii|ユ+: :o :o| 「 「 「 「 「 「 「 「i |ii| ﾛﾛﾛ|Ｌ |┌┌┌┌|￣￣￣￣| iエ!i|||||┌┌┌┌ |:::::::
廿干 Ll Ll |ii|_＿_ f!f!| | 「 「 「 「 「 「 「 「i |ii| ﾛﾛﾛ|Ｌ |┌┌┌┌|i ﾛ ﾛ ﾛ ﾛ | iエ!i|||||┌┌┌┌ |:::::::
|￣￣￣￣￣| ｺ | f!f!| | 「 「 「 「 「 「 「 「i |ii| ﾛﾛﾛ|Ｌ|ii￣￣￣￣￣| ﾛ ﾛ ﾛ | iエ|三三三三|i┌ |:::::::
| iエ! iエ! iエi.| ｺ | f!f!| | 「 「 「 「 「 「 「 「i |ii| ﾛﾛﾛ|Ｌ|ii　田田田田 | ﾛ ﾛ ﾛ | iエ| 　 　　 　 |l┌ |:::::::
| iエ! iエ! iエi.| ｺ | f!f!|合 |￣::::: :o: :::￣￣￣￣￣从ii　田田田田 | ﾛ ﾛ ﾛ |Hl‐|合　　　　 |l┌ |:::::::
| iエ! iエ! iエi.| ｺ |三三三| ロ ロ ロ ロ ロ ロ ロ ﾐ;;:;:ﾐ;从　　　門　| ﾛ ﾛ ﾛ |三三三三|￣￣￣￣|

http://www.youtube.com/watch?v=rau9aRsdsPs

【第７話】

　　　　　薔薇乙女たちの鎮魂歌

.

┏━━━━━━━━━┓
┃┌───────┐┃ . |　 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　 　 |、　　　　||　　 　 ||
┃│ジュンのアパート│┃ . |　 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　|　 　 | ＼　.:;,　||　　 　 ||
┃└───────┘┃ . |　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　 　 |　　＼　::||　　 　 ||
┗━━━━━━━━━┛ . |　 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　 　 |　　　::＼||　　　[]||
　　　　　　　　　　　　 　 |　 　 |　 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　 　 |　　　　::::＼　　｀ﾞ||
　　　　　　　　　　　　 　 |　 　 |　 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　 　 |　　　　　::::::＼　::||
　　　　　　　　　　　　 　 |　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　 　 |　　 　 　 　 :::::＼||
　　　　　　 　　　　　　　 |＿＿|──────────────|＿＿|　　　　　　　　　:::＼
　　　　　　　　　　　　＿_|＼
　　　　　　 　 　 .＿_|＼　＼＼
　　　　　　　.＿_|＼　＼＼　＼＼
　　　　　　 _l＼　＼＼　＼＼　＼|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　.＼＼　＼＼　＼|￣´
　　　　　　ﾞ＼　＼＼　＼|￣´
　　　　　　 ＼＼　＼|￣´
　　　　　　　　＼|￣´

　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　.　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　シャアが金糸雀事件の犯人と判断するにしても、
　　　　　　　　　　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　どこか違和感というか、決め手に欠ける気がする。
　.　　　　　　　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　　確信に至るまで何かが足りないのだが、それが何なのか……
　.　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }
　 　 　 　　 　 　　　ヽ　　　　　ノ　　　　　　　　　こういう場合、敢えて深く考えるのを止めて、
　 　 　　 　 　　 _,／(　｀'　､ _ﾞT　　　　　　　　　　気分を変えた方が上手くいく場合もある。
　　　　　　　　ノ.ヽ｀ヽ.　ヽ｀ヽﾑ　｀
　 　 _..　-‐ ´ 　ヽ　　 ＼　　l;;::ヽ　　　　　　　　　俺はひとまず金糸雀事件の事をおいておいて、
/´　　　　　　　　 ヽ　　　ハ/｀ｧﾍヽ　　　　　　　　再び水銀燈事件を追う事にした。
. : .　　　　　　　　　｀ ー/ 　 ヽ|:. ﾍ ＼､_　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
, : : . ＼　　　　　　　 ヽ　　　　ヽ:::. ' ＜. ヽ
l: : : : .　ヽ: .　　　　　　 ヽ　　　 ﾍ:::. l　^l　|
!: : 　　　 ヽ: : : : 　　　 　 ヽ　　　ﾍ:: l　 .! .|
´: : :　　 　 ': : :　　　　　 　 ＼　　 ﾍ:l　 |　|
: : 　　　／イ: .　　 　 　 　 　　',　 　 l|　.!　l



　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　|:::::::　:　　　　　 |　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　.　|:::::::::::::　　　　　|　　　　　　　　　さし当たっては、第一発見者であるジュン・ベイカーに
　　　　　　 |::::::::::::: 　 　　　|　　　　　 .　　　もう一度話を聞くために。
　　　　　.　 |:::::::::::::::　　 　 }
　　　　　.　 ヽ＿＿__　 　 }　　　　　　　　　　あの男が西園寺世界以外にも何か見ていないか、
　　　　　　　 r'ﾆﾆヽ._＼. ﾉ..　　　　　　　　　　それを確かめたかった。
　　　　　 r':ﾆニ:_`ｰ三`:く._　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　／: : : : : : :｀,ニ､: :_:_;＞
　. 　 /: : : : : : : : / : : : ヽ＼
　　　| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.
　. 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''"￣: : :l: : : :l
　　　 |:.:.:.:.::.:.:.:ｌ -─-: : /:_:_:_:_l
　.　　 |:.:.::.:.::.::l._＿: : : :/::: : : : :l

　／::::::::::::::::::::::::::::/::::＼:::::|::::::ヽ:::::::::::::::::＼::::::::-──
_,,- -ィ::::::::::::::::::::/::::::::::i:::V::::::::::::>:::::::::::::::::: ＼:::::＼
　／::::::::::::::::::::／::::::: : :|:::::V/￣　V:::::::::::::::::::::::＼::::ヽ
/::::::ィ:::::::::::::::{:::::::::::::::i: |￣　　　　 V::ﾄ:::::::::::ﾊヽ;;::ゞ:::ﾍ
:::／:::::::::::::::::::|::::::::::::::ﾊ:|　　 　 　　 |::i　＼:::::::}:::::ﾄ-;;::::ﾊ
/:::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::| ﾘ───''　 i:ﾘ　ﾆ彡:::iト､;ヽ ＼::i
:::::::::::::::::::::::::::::|::::::: :: |＿,,,-＝＝=ヽ/　_||=__ﾒ:|　||　　　ヾ
::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::-::|＞''￣=.ィ-　 ||＝||{t..:jｱ　||
::::::::::::::::::::::::::::i＞＼:: |||ﾏﾊ廴ｿ　　..川　ﾊ￣　iノﾉ　　　　　　……何だ、また来たのか。
:::::::::::::::::::::::r-､}''´　＼||　￣　　　 //　 ﾉ ｀￣ |´　　　　　　　モノ好きな奴だねぇ……こんなつまんない男に
::::/i:::::::::::::::| /ヽ　　　　ヾ＝=─''´´　　　　　 /　　　　　　　　 何度も会いに来るなんて……
:/　|::;;::::::::::ヽ　　＞　　　　　　　 ｀ー -　　／
　　ﾚハ:::::/i::::::≧::-:､　　　　　　　　　　／
　　　　 ﾚ'　￣￣￣Yi　　　　　　_＿__./ ＿
　　　　　_...-:::'´￣￣｀:-..､　　　 |ー-　∧　}､＿
　　　 i: : : : : : : : : : : : : : : : ｀::-.┴..､: /: :}: :}: : : ヽ
　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : ヽ　/::/: : : : ∧



　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　 /　ヽ､_ 　　.＼　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　. （　（● ） .　　　|　　　　　　この男を訪ねる人間はそう多くないだろう事は予想ついていた。
　　　　　. （人__）　　　　　|　　　　　　だがそんな事は俺にとっては何の関係も無い。
　　　　　r‐-､　　 　.　　　|
　　　　 （三））　　　.　　　|　　　　　　俺はただ事件を追っていて、この男の証言が必要だった。
　　　　　>　ﾉ　　　　　　 /　　　　　　だから訪ねた。……ただそれだけの話だった。
　　　　/ 　/ ヽ、　.　　 /　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　 　/ 　/ ⌒ヾ　　　.〈
　 　 （＿__ゝ､ 　＼／.　）
　　　　　　.　|＼　　 　,.1
　　　　　　.　|　 ＼_／...|

　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
　　　　　　　　_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼　　 ,
　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
　　　　　　　　　＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
　　　　　　　　｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼　　　　　　　　……この街に来て何年も経つけど、あんたくらいだよ。
　　　　　　　　　　ﾚ､:ﾚ´∧ /　｀　 ＼　.ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ　　　　　　僕をちゃんと一人の人間として見てくれたのは。
　　　　　　　　　　　 ミ,;,;:.::|　　　　 　 ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
　　　　 ,＿＿ r‐─ v'´　 ヽ　　　　　／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|　　　　　　　　……実の兄貴ですらもう都会に馴染み過ぎて、
　 　 /.: : : : : : ＼: : : :＼ 　 ､　　　_　ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./　　　　　　　　僕を見下すしかしなくなったってのに……
　　/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼　 ヾ_ , -―
　.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ



　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　 　 　 　 　 | 　（●）（●）　.|　　　　　　…………その兄貴というのは、おそらくは弁護士の……
　　　　　　 　!　　（__人__）　 |　　 　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　 　 　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |
　　　　　　 /　ミ）　　 　　　/
　　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　　 　i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　　 　　|　|／|　　　　 |　|

　　　　〃::::::::/::::ヾ:::i::::ヽ:::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　／:::::::::/:::::::::i:::｀:::::::}::: ﾄ:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　/:::::::::ｨ/:/:::::::: L:＿ ∧:ﾊ::::::::::|ヾ:: l>､::ﾐ､:::::::::::::::V:＿:::::::::::::::::::::::::i
.　/:::／ /::/::::::::::::ﾊ　　　 il　i::::::: l　刈　　≧ﾐ> ､::::::::<　 ヽ::::::::::::i＼ |
../／　./:::::i::::::::::::ﾄ:ﾊ 　 　 　 l::::://_ ィ=彳司 ||＝=￣｀{　i }:::::|＼ゝ. ｀　　　　なんだ、兄貴の事知ってたのか。
　　　 i ::::::ﾊ:::::::::::|＼ゝ＿__　 |:/　r/ ´ ｲt jﾊ ||　　　　ﾉ //::::::i　　　　　　　　そうだよ、弁護士ムスカ・ベイカーは僕の兄貴だ。
　　　 l:::::::::::ヾ:::::::|::::::ヾ´ ≧ミ､ィ'''ヾ　　 ゞ┴ﾉﾉ　　　　｀./:::ノ｀
　　　 |::::::／i::＼:::V::::彳 ｨ芯､}}　　 ｀ミ＝＝''　　　　　r'´:/　　　　　　　　　　これでも昔は兄貴を尊敬してたんだ。
　　　 |:::/　　|::::::>:K ヾ､　_ゞノ　, 　　　　　　　　　　　 |／　　　　　　　　　　　誰よりも正義感の強かった兄貴をね……
　　　 |/　　　ヽ/　ヾ　｀ーt　　　｀ _　ノ ﾌ　 　　　 /　 |　＿＿＿＿
　　　　　　　　 ｀　　　　　　ヽ　　　｀ー´　　　　　　 ／￣　　　 _　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　 ､　　　　　ノ　　/　　　　 ／　￣￣ ヽ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞-イ |　　〃　　 .／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /￣il　 /／　／-= ' ´　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 V/ ヽ=.//　　　／￣￣￣＞＝-　､



　　　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　〉 　　|　 　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　　|　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　　　　　　だが兄貴は都会の空気ですっかり変わっちまった。
. / :::／イl|　 ｌ|　 ::|r=<‐ﾓﾐ､′|r;＝=ｪ;ｭ＜_ゞ-=7´ヽ.:.:.／　　　　　　　　今では金を数える事と女の尻を追っかける事に夢中になって……
/::／　 /　　　|　　|l 　 ￣ ﾘーh ｀ ｰ‐‐'　.l-''´冫)'./:.:.::＼　　　　　　　　僕の尊敬した兄貴は、もうどこにもいない……。
ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ!ﾞiー- ｲ'__　ヽ､..＿__.ノ　ﾄr‐':.:.:.:r-‐'´
　　　 レ'　ﾚ'〉　!　　l　　 `＿__,.、 　 　 u　./│;;;;;:;;;>
　　　　 　 　 ￣ヾ　 ヽ.　 }z‐r--|　　 　 ／　 ﾄ
　　　　　　　　　　　　　>､`ｰ-- '　　.／　 ／　|ヽ
　　　　　　　　　　 _,.／| ヽ`ｰ--‐ _´.. ‐''´ 　 ./　 ＼､

　　　　 |:.:.:.:.∧:.:|　　　 |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
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　　　　 >:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ　 V:.:.:i{　ゞテ＝ァ　||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
　　　 /:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.||　 {辷zり　 .||　ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
.　 　/:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ //　　／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ　　　　まあ兄貴の事はどうだっていい。
　　/:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::>　 ゞ' ´　|| {　　　 ￣￣￣￣　　 入 ソ/:.:.:.:._＿／　　　　僕を人間扱いしてくれたあんただけに言うよ。
　　￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ　　　　　　　　　 　/　／:.:ヽ￣　　　　　　　　……サツにも言ってない事さ。
　　　　　　　ﾚ'´ ヽ |　　　　　　　 ＿　　　　　 　 /-'´／￣
　　　　　　　　　　　ヽ　　　 　 ￣_　　　 　 　 　/￣゛゛
　　　　　　　 　 　 　　＼　　　　　　　　　　_　ィ|
　　　　　　　　　　　　　　 ｀ 　 ､　　　　 イ　　　ｙ入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニi　´　　　　／　　ヽ









　　､＿＿／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::/: /::/::::::＼ﾍ
　　 ＞::::::／::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::/::::V:::/:i::::::ﾍ:::＼
　　　 ／:::::::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: : |::::::::::::::ﾄ::iト::┴<:::|:::i::::::＼::＼
　　 /:::::::::::::::::/:::::::: /::::::::::::::::::: ::ｲ::::::::::::::ﾊ::|　 　 Vﾉ: |:::::::::ﾊ￣
.　 /:::::::ｨ:::::::/::::::::: /::::::::::::::::::::::/-∠ヽ:::::',　ヽ　　.ｲ:::/:::::::::i::ヽ
　/:::／ |::::: {::::::::::::i:::::::::::::::::::／＿＿≧:::::ﾊ　 ＿∠:/:::::::::人:::::ゝ
./／　　.}::::::i::::::::::::|::::::::::::／ ||' r￣ (:::). Yヾ:::i　 r===ﾚi::::::/:}＼i
　　　　 ﾉ::::::|::::::: : |::::::／|　 .||　＼　＿　i　ﾊﾄ=ｲ(::)ヽ{:l:: /:::i
　　 　 ハ:::/i::::::::::ﾊ／ヽ/　　ヾ＿＿＿ノ　　　}､-　i::./ハ.|　　　　　……僕はあの時、あの女が窓から落ちる瞬間を見た。
　　　／=＼ ﾚﾍ::ﾊ ヽ　{　　　　￣￣￣　　　 ノ　　|'´　　　　　　　　……あの女は自分から落ちたんじゃない。
　　/'´　　　＼＼::::ヽ ヽi　　　　　　　　_ ＿　　　 /
　　{　　　　　　￣＼￣｀ー ､　　　　　 'ー-' 　 ／
　 ノ｀ー ─　ミ､　　.＼＼　 ￣}　　　　　｀　／┐
. (　／　　　　　 ＼　　 ＼＼　 i　　>──'´　　ヽr-､
　.Y　　　　　　　　 ＼　　 ＼＼廴r　＞'´　　　/　　 /
　/　　　　　　　　　　ﾊ　　　　ミ＝V　　　 /／　　イ

: : : : : : /　　　　　l.:::＼ | |.:.:.:.:.:.:＼
: : : : : /　　　　　　l.:.::::::ﾘ |/´ ￣｀`,　　.:.:.:.::.:.:.:＼
: : : : /　　　　　　　l.:.:／　　　　　　',　　　　.:.:.:.:.:.:＼
: : : /　　　　　　　　＼　　　　　　　 ',　　　　　.:.:.:.:.::::ヽ
: : 〈　　　　　　　　　　＼　　　　　　 ', .:.::::::::::::::::::|＼.::.:|
: : : :',　　　　　　 .:.:.:.:.:　 ＼　　　　　 ',::::::::ﾄ､.::::::::|　ﾊ:.:l
: : : : :',　　　　　 .:.:.:.:.:.:.ﾄ､　＼　　　　 ',::::::lﾆ＼:::::|
: : : : : .',　　　　　.:.:.:.:.:.:l　＼　＼／　　',::::l　　 ﾄ､|
: : : : ::::::',　　　　 .:.:.:.:.:.:l　　　`y':／ﾆヽ ',::l1 　 l |
.:.:.:.:::::::::∧ 　　　 .:.:.:.:.:.:l　 ／／／　 い / l　　l |
:.:.:.::::::::/　ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ..／∠　　　 い /ハノ/
.:.::::::::./　　　＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:V彳o:::ヽ　　　j! !　　`ヽ　　　　　　あの時……あの女を突き飛ばす手が見えた。
.:::::::::〈 　　 　　 ＼.:.:.:.:.:.:.:}ﾑ:::::::ノ´ ／／　　　 /　　　　　　あそこにはあの女の他にも誰かがいたのは確かだ。
､::::::::::.＼_,,　-‐　　＼.:.:.:.:l　￣　／／　　 　 ,.ｲ
　ヽ　　　　　　 　 　 　＼:L＿／／　　　　　 /
　　＼　　　　　　　　　　└＝＝'　　　　 ／/
　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′
　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　 ,′
　　　　　　　　＼`ー--------r---‐‐'´
　　　　　　　　　 ＼　　　　　 ∠￣`ヽ

　　　　／::::::::::::/::::ハ::::::/:::|::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞．
　　 ／:::::::__:::::/::::::{ﾄ::V::}:::::|::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
...／-=イ::::::／:::::: : |::ハ:|:::::|::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾑ
　 　 /:::::::/:::::::::::::::::!ミﾐⅣｿ|:::::::::::::::::',::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::＼
　 . /:::::::::i:::::::::::::::::::|r"￣　 !:::::::::::::i::::V::::::::::::::::ヽ::::::::::::::ハ＞ー
　 /::::::::: :|::::::::::::::::::::|　　　.ﾘ:::::::::::: |::::::V::::::::::::::::::',:::::::::::::::::',
. /::::::::::: ∧:::::::::;:::::: |　　　,'::; ｲ:::::: |ヽ::::ヾ ､::::::＿ﾊ:::::::::::::::∧
ｲ:::::::::; ｲ:::∧::::_|ﾑ＝!＿＿/__. V::: | _..≧__,,ｨ≦_:::`:V::::::::::::::::＼
- ' ¨　/:::::::::::>､:{r¨￣￣ ≧ミ}ﾄV:: |r＝″￣￣ } }::::V::}`ー──　　　　　申し訳無いが、顔までは見えなかったがな……。
　　　,'::::::::}:: i r }!{　,,＿＿ｪz .}}==={{　zｪ＿＿,　}i{ Y::rﾊ
　　 /:::,ｨ/ﾄ.人　{i{ ´￣￣￣` }}￣ {{　´￣￣ ` .}i} ﾉｲ
　 ./／ノ　＞ミﾄ _ﾊ＝＝＝＝"　i} ゛＝＝＝＝ｲノ_＿
　　　　　 ,/　//￣八　　　　　＿＿　　　　　/" .ト　}}ハ
　　　　i７　　{ {　　　 ＞　.　　　　　　　　　ｲ　　 i!　.}}　廴_
　　　 ﾉ　　　 ヾ;､　　　　　＞　　_　　＜　　　　 /　/　　　ハ
　　 /　　　　　　＼　　　　＼　 　　　 /　　　_＿ ノ　　　　　 }
　 ./ ＼　　　　　　 ＼　　　　＼　 .／ ,．＜　　　　　　　　 ..人 _
　/　　　`ー＝ミ､　　 ＼　　　　N/　/　　　　　　　　　　 イ　　　ヽ



　 　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　|　　　 （ ●）（●）　　　　　　　　　謝る必要など無い。
.　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　　非常に重要な情報を提供してくれたのだから。
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　　少なくとも、水銀燈の死は１００％他殺である事が
.　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　　　　　明らかになったのは大きい。
　　 ヽ　　　　　ノ　　ｍm　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　/　　　￣￣￣　つﾉ
　　　|　　　　|￣￣￣

　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　　水銀燈の死亡時刻が９日の２時……正確には１０日か。
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　　利根川が水銀燈の部屋を出た後、さらにそこへ人が訪ねている……しかも深夜に。
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　　 常識的に考えて、そんな時間に来訪するような人間はそういないだろうし、
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　　　水銀燈もそんな時間の来客は普通、受け入れるものじゃないだろう。
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　|:::::::　:　　　　　 |　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　.　|:::::::::::::　　　　　|　　　　　　　　つまり、真夜中に来訪してもおかしくない人物、
　　　　　　 |::::::::::::: 　 　　　|　　　　　 .　　何より水銀燈自身が、その事を承知してなきゃならない。
　　　　　.　 |:::::::::::::::　　 　 }
　　　　　.　 ヽ＿＿__　 　 }　　　　　　　　　となると、あの時水銀燈の部屋を訪れた人物とは……
　　　　　　　 r'ﾆﾆヽ._＼. ﾉ　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　 r':ﾆニ:_`ｰ三`:く._
　　　　／: : : : : : :｀,ニ､: :_:_;＞
　. 　 /: : : : : : : : / : : : ヽ＼
　　　| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.
　. 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''"￣: : :l: : : :l
　　　 |:.:.:.:.::.:.:.:ｌ -─-: : /:_:_:_:_l
　.　　 |:.:.::.:.::.::l._＿: : : :/::: : : : :l

､ー-､＝ミ　､＼ヽゝ､　 〃
＞≧ ｀　ー-､ヽ　:.　｀Y jｲ
　　　￣｀ミ .､　　 ＼　 ﾘ ﾊ　　　　　　　　　 ＿＿＿
´／　　Zー- ミｿﾍシヽ .!__ﾉ　　　　　　 ,.　'´＿__＿　: ｀ヽ、　　　　　,ｒ　　 ヽ、　 l. ､ ﾘ＼
彡'´ 彳´　ゞ＝ﾐ､ ヽK, ﾉ┘　　　　　／厶r‐―― ､＼: : : ＼　　　　_/-_ﾆ._ヽ ヽ　ﾉノ/り　ヽ
／ノ　　　　 .＞=ﾐj i|j,ｲ彡　　　　　/: : : : :!: :/|: : : : ＼＼: : : ヽ　 ,ﾚ'´_,.rへ/,ヽV∠rヘ‐､/
Y´￣ヽー-<!　 　 !__,:'⌒Y　　 rv'./: : : : _/　! : : : !: : ＼!: : : : ',　 l /´ ,ﾘ　 |ｌ　　　 l | l }.､ 〉
.j }::)　　　::. ゝ-- '　人__.ﾉ　　　 |//:.／￣　　 ⌒ヽﾊ: : : :.! : : : : | ( { ｲ｛.-､_|　　 　 ﾘイ | _!
ﾍ.ゞノ　rﾍヽ　　Y､　　〉/　　　 | V{　　 -'　　　　　 ＼:ﾉﾘ: : : : :.!　 f＾ヽ| ‐ヶt｀ｰ　'乏iナ ﾘ l
j,:｀ﾘ　 　 ト､___＿_｀二,'　　　　八: :! rぇ､　　　 ｀''　　 ∨: : /: : |＿ノ!､｀ｌ　　　　 ｌ　　　 ,' ノ
::ﾚﾞ　　 　 ＼＋-+-+-{　　　　　 V}　ﾋ:ﾘ　　　　Tﾃト､/: : /: : /＿___|ヽﾄ,.._　 　 !　 　 /´
ミ:.､　　　｀ー￣:..´￣,ﾉ　　　　　　 } :::::　　　　　ヾｿ ｲ_:_ノ〉: /|　 　 ,ｒ'〈ヽ. ｀ヽ--‐　ノ,.-､
"'''- ．._ヽ彡ｿ,, ,,, ,,, ,|　　　　　　　::/ｨ　　 '　　　 :::::　　　ノ: /: |　,rヽ　ヽ｀l 　 L..ｨく/　 /､
////// ＞z､｀ー＝ﾁ　　　　　　.ﾉヽiｋ＼　'' _　　　　イ¨: ／: : |　　ヽ　 ソ＿..ヽ-､′ハ　｀ヽ、
///////////＞z､＼ 　 　　　くﾉ （/ ,　 {ヽ＼イ ./⌒∧:: :: ::: :|- 、　ヽ l .＿＿_　ヽ,'､.__〉　 | ',
/////////////} |／　　　,..-rイヽ　＼〉∧ /.ｌ　!＿,,-'''^＼ : : | 　 ＼. Ｙ　　　　　）ﾊ　 ｀l.　 l　|
ー.､//////////| |}､＿　 /:::,!::::!._,.ｌ_　 ｀Ｙ´"゛!∠'､'　　　　　//〈_　　　Yﾄ. ￣￣ 〕´ ｌ|　　l　 l.　|
///＼////////ﾊ :.///￣＼::./　　　｀'､′　|ﾞiヽ丶――'´/ /:く、 ｀ヽ ハヽ 一ﾆｲl| ヽ 　 |　|　 |

┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　水銀燈の職場……つまりＭ＆Ｍの関係者くらいじゃないか？
　　　Ｍ＆Ｍの人間なら、店が終わったすぐ後に水銀燈を訪ねたとしても、
　　　そんなにおかしい話ではない。
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・ ・
　　　何より……俺の推測が正しければ、Ｍ＆Ｍの人間には水銀燈を殺す動機がある。
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛

　　　　　　　　/ 　 ＼
.　　　　　　　 /　 　 　 ＼
.　　　　 　 ,　/　Ｍ 　　　 ＼
　　　　 　 ｆ}Y　　　＆　　　 /
　　　　　 ,' /　　　　　Ｍ　 /
,　_ 　 　 ,' /　　　　 　 　 /　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
ヽ、丶　/ /　　　　　　　 /　　　　　　　　俺は何とはなしに水銀燈からもらったカードを眺める。
　 ヽ　Y　/　　 ,.-、　　 ,/　　　　　　　 　考えてみれば、金糸雀事件で最も怪しいシャアもこの店の常連なのだ。
　　 ! /　/__,／　 ,i、　 ,/　　　　　　　　　俺は次第に、一連の事件の元凶はこのカードにあるような錯覚を覚えた。
.　　∨　,／ 　 ／　.i　,/　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
.　　/ ｒ'　 _,.-´ 　 _ﾚ.i,/
.　　＼!　 !　 -‐ '´ 　 ,
　　　 ＼ヽ 〈　〈　｀Y-
　　　　 ＼　　 　 　 'ヽ
　　　　　　＼　　　　　
　　　　　　　 {ヽ.　　　



　　､＿＿／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::/: /::/::::::＼ﾍ
　　 ＞::::::／::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::/::::V:::/:i::::::ﾍ:::＼
　　　 ／:::::::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: : |::::::::::::::ﾄ::iト::┴<:::|:::i::::::＼::＼
　　 /:::::::::::::::::/:::::::: /::::::::::::::::::: ::ｲ::::::::::::::ﾊ::|　 　 Vﾉ: |:::::::::ﾊ￣
.　 /:::::::ｨ:::::::/::::::::: /::::::::::::::::::::::/-∠ヽ:::::',　ヽ　　.ｲ:::/:::::::::i::ヽ
　/:::／ |::::: {::::::::::::i:::::::::::::::::::／＿＿≧:::::ﾊ　 ＿∠:/:::::::::人:::::ゝ
./／　　.}::::::i::::::::::::|::::::::::::／ ||' r￣ (:::). Yヾ:::i　 r===ﾚi::::::/:}＼i
　　　　 ﾉ::::::|::::::: : |::::::／|　 .||　＼　＿　i　ﾊﾄ=ｲ(::)ヽ{:l:: /:::i
　　 　 ハ:::/i::::::::::ﾊ／ヽ/　　ヾ＿＿＿ノ　　　}､-　i::./ハ.|　　　　　Ｍ＆Ｍ……？
　　　／=＼ ﾚﾍ::ﾊ ヽ　{　　　　￣￣￣　　　 ノ　　|'´　　　　　　　　そういや兄貴がよく行く飲み屋がそんな名前だったな。
　　/'´　　　＼＼::::ヽ ヽi　　　　　　　　_ ＿　　　 /　　　　　　　　　兄貴の奴、近頃妙に貫禄のある別嬪さんと一緒にいるのを見るけど、
　　{　　　　　　￣＼￣｀ー ､　　　　　 'ー-' 　 ／　　　　　　　　　　その店のマダムなのかな？
　 ノ｀ー ─　ミ､　　.＼＼　 ￣}　　　　　｀　／┐
. (　／　　　　　 ＼　　 ＼＼　 i　　>──'´　　ヽr-､
　.Y　　　　　　　　 ＼　　 ＼＼廴r　＞'´　　　/　　 /
　/　　　　　　　　　　ﾊ　　　　ミ＝V　　　 /／　　イ

　　　　 ／￣￣＼
　　　／　　 _ノ　　＼　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　|　　　 （ ●）（●　　　　　　　恐らくそれは御厨ナギの事だろう。
　　　|　　　 　 （__人__）　　　　　　ムスカもＭ＆Ｍの常連で、尚且つカードの秘密を知ってるようだから、
.　　　|　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　二人が知り合いでも何らおかしくない。
　　　 |　 　 　 ∩ ノ ⊃
　　／ 　 　 .／　＿ノ　　　　　　　だが彼の口ぶりからすると、「店の外で一緒」の所を見たような印象だが……
　 (.　 ＼ ／　.／_ノ │　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　＼　 “　／_＿_|　 |
.　　　 ＼／ ＿＿＿ /



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　|　　　 （ ●）（●）　　　　　　店内ならともかく、店の外というのはどうなんだろう？
.　|　u.　　 （__人__）　　　　　　 実は二人は恋人関係にあったのか、それとも何か別の目的があったのか……
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　下衆の勘繰りという気もしないではないが、何かが引っ掛かる。
.　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　　 相手が弁護士という職業だから、余計に変な目で見てしまうせいだろうか？
　　 ヽ　　　　　ノ　　　　　.┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　 　 i⌒＼ ,__(‐- ､
　 　 l ＼　巛ー─;＼
　　 　|　｀ヽ-‐ーく＿）
.　　　 |　　　　　　l

　　　　　　..／|　 |　　　jllji|　　　　　　　　　　　　li!jli　　　　　　　　┏━━━━━━━━┓
　　　　　／　,,| 　|　　　lilill!　　　　　　　　　　 　 jlilil|　　　　　　　 .┃┌──────┐┃
　　　　　|(ﾟ∀ﾟ|　 |　　　li il|　　　　　　　　　　　　|iiil!!　　　　 　 　 .┃│水銀燈の部屋｜┃
　　　　　|　 ／　::|　　　|jili|　　　　　　　　　　　　|liil!l 　 　 　 　 　 ┃└──────┘┃
　　　　　|／　　　|　　 .jil li|￣￣￣￣￣￣￣￣ lili!l|　 　 　 　 　 .┗━━━━━━━━┛
　　　　　　　　;;　.|　　,/jlil!il　　　　　　　　　　 　 li!lljｌ
　　　　　　　　　┌‐┐il!jliilj＿＿＿＿＿＿＿＿ljli!l'|
　　　　　　　_　 .ﾉ l l ゝi'ii!jli================liil!|,l,
　　　　　 ／||　　　|＿__ii,ljlij　:　:　:　:　:　:　:　: .j!lilj,il
　　 　 ／　..||　／┻ ／|j!liljゞ　:　:　:　:　:　:　: ﾉjljil!.iゝ
　　 ／, 　ノ´⌒~⌒~⌒~⌒~⌒~⌒~⌒~⌒~⌒~⌒~)、
　／,　(⌒　　　　　　　　　　　　　.:: ::::: ::: :::::: :　　~:,)
　|l　(　　　　　　　　　　　　　　..: ::::::: ::: ::::::　　~::　ﾉ"
　||,ゞ、　　　　　　　　　　　　..:::.::. : ::: ::::::　 ,,~::　~ﾉ"
　|l⌒~⌒~⌒~⌒~⌒~⌒~⌒~⌒~⌒^⌒^⌒~ ）~ﾉ"
　||l_n_l_n_l_n_l_n_l_n_l_n_l_n_l_n_l_n_l_n_l_n_l_n_::; '"
　||ｰ'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-'-||

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ／　　　　 　 ＼　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　 　 　 　 　 |　　　　　 　 　 :|　　　　　　　　俺はジュン・ベイカーを訪ねたついでに、
　　　　 　 　 　 　 |　　　　　　　　.:|　　　　　　　　再び水銀燈の部屋を調べる事にした。
　　　　　　　　　　 |　　 　 　 　　.::|
　　　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 　...::::|　　　　　　　　もしかしたら、何か見落としている痕跡があるかも知れない、
　　　 　 　 　 　 　 ヽ　　　.......:::::/　　　　　　　　そう思って調べ回ったのだが……
　　　　　　　　　　　 ヽ.......:::::::::::/　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　　 _, - ''"￣ ￣` ｰ､
　　　　　　　　　ヽ＿..:::-=―--:..、＞
　　　　　　　_＞'"::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　 斤ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶､
　　　　 .<:::::::::: 丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;::::::::i
　　　　　 .〉:::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/;::::::::',
　　　　　 i:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/´::::::::/
　　　　　!::::::::::::::::〉'::::::::::::::::::::::::::::::::::::;'／::::::::!






　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　 　 ＼　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　　　i 　 　　ヽ,_　　　　　|　　　　　　　　　床も窓際もベッドサイドも、果てはベッドの下まで調べたが、
　　　　　　　　　　　　 !,_ノ、　（● ） 　 　.|　　　　　　　　　真新しい発見は特に無かった。
　　　　　　　　　　　　 （●）　　　 　 　 　 |　　　　　　　　　そりゃあ、何かあれば昨日のうちにとっくに見つけてるハズだ。
　　　　　　　　　　　　　! （__人__）　　　　,,|
　　　　　　　　　　　　　 ', 　　　　　　　　 |　　　　　　　　　 俺はため息をついて壁に背を預けた。
　　　　　　　　　　　　　　',　 　 　 　 ／　|　　　　　　　　　　その時……
　　　　　　　　　　　　　　 ＼r‐- _／　　　y,ｿﾄ,,_　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　　　　　　　 ,/r-'"j　　／ ／　ｉｉ,　`ヽ
　　　　　　　　　　　 ,,／'/__.L、　　　　／ヾ、"ｉ
　　　　　　　　　　,／　 /_ｉｰﾍ,ヽ､ , ／ｉ"　ヽ、 ｉ
　　　　　　　　　_,） ヽ　"　　　ﾈﾒ、_ｉｉ"~
　　　　　　　 _,,,>t 、ヾ、　　　　ゞ;;/
　　　　　　 ,y`;,,__　　 ,ｉ　　　　 /ｉｉ'
　　　　_／^,,,　　ヘ　　ｌ　　　 /ｉｉｌ
　v=4⌒ヽ、　j　　--,,,ｉf　　　/ｉｉｉ|

　　　　　　　c｢l　　　　　　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　〈;;;;〉　　　　　　　　　　　　　　　本当に何気なく一竿のタンスを見上げた。
　　　,=============,　　　　　　　　　　　 そのタンスの上に花瓶が置かれていたのが妙に気になったのだ。
　　　| r──､ r──､ |　　　　　　　　　.┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　| | / /　| |/∇ /| |
　　　| |==== | |==== | |
　　　| | ∀　 | |　/ / | |
　　　/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆゝ
　　 │r──､ r──､ |
　　　|│':.:.:.:.:|│:.:.:.:.│|　　 　 (二二二二二)
　　　|│:..:.:.:.:|│:.:.,:.:│|　　　　 | |　　　　 |│
￣￣|└──' ﾞ──┘l￣￣￣(.<￣￣￣>.)￣￣￣￣￣
　　　￣￣￣￣￣￣￣






　　　　　　　　　　　＿_　　　　　　　　　　　 ,ﾍ
　　　　　　　　　 ／　～＼ 　　　　　　　　 / ﾉ―、　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　／ ノ　　(●)＼　　　　　　| 　　　　|　　　　　　特にここが怪しいとか思った訳じゃない。
　　　　　　.　｜　(.●) 　 ⌒）＼　　 　 　|　　 　/　　　　　　 花瓶をこんな高い所に置いておくのがただ気になっただけだった。
　　　　　　.　｜　　 （__ノ￣　　 ＼　　　 / ` 　/　　　　　　　俺は花瓶を机の上に戻そうと手を伸ばした時、
　　　　　　　　＼　　　　　　　　　 | 　 ／　　／　　　　　　　　指先に花瓶じゃない何かが触れたのを感じた。
　　　　　　　　　　＼　　　　　　　/ ／ 　 ／　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　.　　　　　 ＼　　　　ノ／ 　 ／
　　　 　 　 　 　 　 /⌒ヽ　 　 　　　／　
　　　　 　 　 　 　 / rｰ'ゝ　　　　／
　　 　 　 　 　 　 /,ﾉヾ　,>　　　 ｲ
.　　　　 　 　 　 //　ヽ〆　　　 　|

　　　　　　 ＿＿＿＿
　　　　　／,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,＼　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　|;;;;/￣￣￣ヽ;;;;|　　　　　　　　それは小さな鍵だった。
　　　　　|;;;;;;ニニニニ;;;;;|　　　　　　　　少なくともどこかの家の鍵などではない事は確かだが、
　　　 　 　 　 |　／　　　　　　　　　　　 それでは一体何の鍵なのやら……皆目見当がつかなかった。
　　　 　 　 　 |　￣|　　　　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　 　 　 　 |　 ＜
　　　 　 　 　 |　／
　　　 　 　 　 レ



　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　　　　|　　 　（ ●）（●）　　　　　　　　　　ここの管理人である桜田のりに見せてみたが、
.　　　　　　　　　　　　　|　　　　　（__人__）　　　　　　　　　　彼女はこの鍵の事を全く知らないらしい。
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　　　　　　　　　　　　　 |　　　 .　　　　}　　　　　　　　　　　俺は念のため、彼女から鍵を借りる許可を貰い、
.　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　　　　　　水銀燈と親しい者たちに手当たり次第見せて回る事にした。
　　　　　　　　　　　 　 　_ヽ　　　　　ノ｀ヽ､_　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　 　 　 　 　 　 　 　 _/｜＼ `　､,__ ､小　L　￣ ヽ
　　　　　 　 　 　 _, ハ　 ＼　｀ ァ､　/ﾍ,レ―‐‐､　i
　 　 　 　 ,　-‐ ´　　 ,ゝ 　 ＼/ _ 又／　 　 ,ヽ＼｜
　　　　　/　　 ヾ. 　 　＼ 　 　, ｲ{｀<　　 ＿ ,ィ 〉〉〉|
　 　 　 /　　｀ﾞヾ＼　　　 ヽ／　ヽ＼｀く´　/ ｀ｰ(/　|
　 　 　 !　　 ´⌒｀ ヽ　　／　　 　 ｀ーヲ｀〈　 　 i 　 !

　　　　　 ,|＿,.:,/:.:.:.:i:.:.|: .:.l:.:.i.ｌ:.|:.:.:. |:.:.||:. !:.!:.:ﾊ:...:.:.:ﾊ
　　　　　 lニニ|:! :.:.;i,斗-ft‐l-!:|:.:.:. !ｨｾT:ト､!:.ﾊ:. !:.:.:ﾊ
　 　 　 　 !ヽゝ|:l :.ｌ:.|ｔ,斗‐!-､ヾ,!:.: / 斗‐!､i:i!:.: |:.:|:.:l.:.:|
　 　 　 　 !:.:.:.,.|:ｌ:. !:|/f.fi｀i 　 　i／.　ｆfi｀! } .|: !:|:.:|:.:i!: }
　 　 　 　 |:.i.:!.从:.:ｌ:|.弋¨ﾉ　 　 　 　 辷/　/.//:./,;ｲ!/
　　　　　 /:.|:.ﾄ、 ヾﾘ 　 　 　 　 　 ,　　　 /ｨ'/:i∧:.:l.′
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　//, '/　　　　 ヽﾊ 　､　ヽ
　　　　　　　　 〃 {_{ノ　　　 ｀ヽﾘ| ｌ │ i|
　　　　　　　　 ﾚ!小ｌ●　　　 ● 从　|、i|
　　　　　　　 　 ヽ|l⊃　､_,､_,　⊂⊃　|ﾉ│　　　　　　　　　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　 　 　 　 /⌒ヽ__|ﾍ　　 ゝ._）　 　j /⌒i !　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ルームメイト、友人、父親……
　　　　　　＼ /:::::|　l＞,､ __,　イァ/　 /│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マンハッタン中を駆け回って訪ねてみたものの、
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━　　　　　　誰一人として鍵の事を知らないようだった。
　　　.　　　 /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　　　　/: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !　　　　　　　　　　　　　後はＭ＆Ｍくらいか……と思った矢先、
　　　　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|　　　　　　　　　　　　　意外な所で鍵の出所が判明した。
　　　　　　|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/　|:./⌒ヽＶ: |.: : : | V　　　　　　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　＜ : ｣_: : / 〈　　{}　|/　　ﾚ　 {}　}|:./ヽ: : |
　　　　　＜:: |. 小{　　 _,,.. -　　　　､-.,_　 ﾚ{: :.|ヽ:|
　　　　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　　　　 ､　　　　 {ﾊ/　V
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　 　 | レｰ- ､.._　　　　　 　 _,,. -‐.､.| |
　　　　　　 　 | |￣｀`''‐ .二ll　　 ll二 -‐''"￣| |
　　　　　 　 r‐､|:: ==＝｡＝~　　　l＝｡＝==　| r‐､
　　　　.　　 |l＾|.|::　` ｰ--‐1::　　　l ｰ--‐ ´　|.|､l l
　　　　　 　 !l._||:::　 ` ｰ-‐ｌ:::　　　 lｰ-‐ '　　 ||ﾉ,ﾘ
　　　　　　　ヽ.|!: / , 一'　ｌ:::　　　　l　ー ､ヽ. |!ノ
　　　　　　　 / |　/　　　└‐^ー^‐┘　　 .ヽ. | ヽ.

　　　　　 　 　 　 　 　 ,. -=ニﾆ=- .._
　　　　　　 　 　 　 ／r'"‐ﾆ二‐- ｰ-ミ-､_
　　　　　　　　　　《 巛 へ､`ミ三ニ-≧:::::＞
　 　 　 　 　 　 　 ｀Y |!　　 ｀￣~""I厂!:::／
　　　　　　 　 　 　 rＶヽ／＼／ヽ∠ヽﾚﾍ､__　　　　　　　　　　　　　ああ、その鍵は僕がサラに渡したものさ。
　　　　 　 　　　,. ィ|.ﾄ|~云iｯj　 斥ｯﾃ }Yｲ|へ.`ﾍ、　　　　　　　　　　そいつは鈴美が事故に遭った時に持っていたものでね。
　　　　　　 　 /,|::::| ヾ|l 　 ''ﾞ}::.　｀　　/|.ヌﾍ ≠ くト､_
　　　　　 __ノ"/|::::| r< |ｉ　　{._,. 　 　//ヾij::::!　　く|　）!
　　 　 _/　r‐'ﾞ　|::::| ﾄ' ::ヽ.　⊆⊃　 /l.　 |l::::|.、〔/／八
　 　_ノ-=ﾆ 〃　|::::| ..:::::::::＼"~　／ノ り ||::::|　,.ｲ／ 　 ＼
　　}r''"⌒ヽ ヾ.　|::::|｀￣"''　n￣　n 　 !j l|:::::|ﾉ/∠ ___, く＾
　 八,' 　　　!）}'ﾉ |::::l. 　!j　　!j　 　!j　　 /|:::::| 厂´i 　ヽ　＼
／ 　 ヽ.　　 },〃　|::::|　　　 n　 　 n　 〈/,'::::;' |ヽ　 `‐-､
７>-､..__ ｀ヽ/∠^　|::::|　　　!j. 　 　!j 　 /;;;:/./　 ＼.　　｀、
/　　/　 ｀八ヾ レっlニ!;;:::--‐ つ　／ /ﾆ７/　　　　｀　.



　　　　ヘ、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　／　　 ｀ｰ=三:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　｀ ＜:::::::::::::::::::::::::＼::::::＼
.　　/レ!　 　 　 ＞ -､｀ ＜:_::::::::::‐､:＼:::::
　　ミﾐ└レﾍ／,-┐　ｌ　　　 ￣ヽ::::＼::::::
　　ミミミ＿/　/ ‐.}　 |　　　　　 ｊ＿::::::::
　　/´　　　l　（ ｢　　/￣ミ|　 __　　 |:::::l:::
　　 　 　＿ Ｘ_,ﾉ 　/＼/'＾l￣ヽ|　　￣/::
　　　／ ／.:/ 　 /　　 　 ｀l＼, |┐　./::　　　　　　　何の鍵かは知らないけど、
　　ノ_／.:::/ 　 /　　　　 　 lｒｧﾘ}/ ／￣　　　　　　　形見代わりにはなるかと思って彼女にあげたんだ。
　　　 　.::::l　　 '　 　 　 　 '＾´ _ｊV
　　　..:::::::！　　　　　　　　,,.　|
　 ...:::::::::::::::l　　　　　__　 ト　｀ﾞ!
.　　⌒ヽ:::::！　　 {　ヽ〉_.ト--┘
　　　　　＼::}　　 /ー'´
　　　　　　 ヽ--'

　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　 /　ヽ､_　　　＼　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　. （　（● ）　　　　|　　　　　　　鍵の本来の持ち主は、鈴美・ローゼンだったのか……。
　　　　　. （人__）　　　　　 |　　　　　　　しかし結局何の鍵なのかは分からず終い。
　　　　　r-ヽ　　　　　 　　 |　　　　　　　まさかマンハッタン中にある錠全てに鍵を試す訳にもいかんし……
　　　　 （三） |　　　 　　　 |　　　　　　　ひとまずこの鍵についてはやる夫と相談すべきだろう。
　　　　　>　ノ　　　　　　 /　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　/ 　/ ヽ　　　　 /
　　　/ 　/　へ>　　　 <
　　　|＿__ヽ　　＼／　 )
　　　　　　　|＼　　　／|
　　　　　　　|　 ＼_／　|






　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　|　　　 （ ●）（●）　　　　　　　それより水銀燈の部屋を調べたのだから、事のついでに金糸雀の部屋も
.　|　　　　 （__人__）　　　　　　　 もう一度調べてみるべきだろう。
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　こちらにもまだ何か見落としがあるのかも知れない。
.　 |　　　 　　　　 }　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |

　　　 　　　　　　　 　 　|　　　　　iニニニニﾆﾆニニﾆﾆﾆ;ｰi　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━┓
　　　 　　　　　　　 　 　|　　　　　|｢￣￣￣￣|￣￣￣￣| |i 　 　 |　 　 　 　 　 ┃┌──────┐┃
　　　　　　　　 　　 　 　|　　　　　|i／／　　　.|／／ 　 　| ||:　　 ｜　　　　　　 .┃│金糸雀の部屋｜┃
　　　　　　　　　 　　 　 |　　　　　||／　 　 ／.| 　　 　／ﾉ |,|..　　　　　　　　 .┃└──────┘┃
　　　　　　　　　 　 　　 |　　　　　||＿＿＿＿,|＿＿＿,く,ﾒ|」　　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━┛
　　　 　　　　　　　 　　 |　　　　　＿／__　 　 　 　 　 　 　 　　 　|i＼
　　　 　　　　　__　　　　| ⊂⊃　（{::串:::}） 　　_＿＿＿＿＿＿＿||　 ＼
　　　　　　　 〈＿〉　　 ..|_.|:: ..| |i￣|￣|_|||,!　 /　　　 　 　 　＼ 　 ＼　 |!
　　　 　　__＿ 」L ___,／　`ー'..||___|_：,|_|||,!　/.　　　　　　　　　＼ 　 ＼||
　　 　 ／__,,ィ'|‐┘／|　　　 　 ￣￣￣￣　.iー - ― -‐ -　- ‐-）――||､
　　 　 |＿_,レﾞ　／／|　　　　　　　　　　　　ﾞ～'ー-～'ﾞー～''~ｰ' ――‐' ＼
　　 ／__＿＿／,r_,.｢i　　　　　　　　　　/￣￣￣￣￣＼
　 　|＿＿＿||／(＿ﾉ　　　　　　/´"ヽ/　　　　　　　　　 ':,
　　 ||　 ,r'　 ||　　⊥　　　　　　（...,_,;; i'―　―――――‐i
　　 ||／　　..||　 　 　 　 　 　 　 　 　 |_|￣￣￣￣￣￣~||

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　 　 　 　 　 ／ 〉 ´　　　　　　＼　　　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　 　 　 　 　 　 ／ ／'　 __ ノ 　 ゝ.__　ヽ　　　　　　　　　　　　　さて、わざわざ前原から許可をもらって
　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ　　　　　　　　　　　　　部屋の探索を再度始めた訳だが、
　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　　　　　　　どこから手をつけたものやら……。
.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ
.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !　　　　　　　　　　　　　水銀燈の部屋の時のように高い所も調べてみたが、
.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　出てくるのは埃だけだった。
　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_　　　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !



　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣＼　　　　　　　　　 |┃┃
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　 _ノ　　＼　　　　　　　　|┃┃
　　　　　　　 　 　 　 　 　 | 　 　 （ ●）（●）　　 　 　 　 |┃┃
　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　|┃┃
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　 三|┃┃　ｶﾞﾗｯ
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　 |┃┃
　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 } 　 　 　 　 三|┃┃
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ヽ　　　　　ノ　　 　 　 　 三|┃┃
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　 く　　　　　　 γ⌒)|┃┃
　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 　 　 ＼＿＿＿_ノ ' ノ |┃┃
　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　 　　　ヽ　 ＿＿＿,,、 　 |┃┃
┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　俺は部屋の窓を開けて、外の様子を見ようと思った。
　　金糸雀はどんな心境でこの窓から飛び降りたのか……
　　その時の心理状態がどうだったのか、少しでも知りたかった故の行動だった。
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛

　　　　　　　　　　　　　　　　 　皿
　　　　　　　　　　　　　　 ／￣XII￣＼
　　　　　　　　＿＿＿_.／／￣∥￣＼＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　|l|l|l|l|l|／／ 　 　 .|　　　 ＼＼l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l||
　　　　　　　　|l|l|l|l|｜ |＿　　＼| 　　 .＿| ｜l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|ll|l||
　　　　　　　　|l|l|l|l|｜ |￣　　　　　　　￣| ｜l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l||
　　　　　　　　|l|l|l|l|l|＼＼　　　　　　　.／／l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l||
　　　　　　　　.￣￣￣ ＼＼＿∥＿／／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　 ＼＿VI＿／
┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　そこで初めて気付いた。
　　窓枠の隅に引っ掛かっている腕時計の存在を。
　　窓を開ける時に少しばかりカーテンを押さえていたのだが、
　　時計はそのカーテンの陰に隠れてたせいで、今まで見えなかった。
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛



　　　　　 　 　 　 　 ‐――――‐‐ ､
　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ＼
.　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　 /　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｉ　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　 |　　二二二二 三 二二二二　 　 ｉ　　　　　　　　　その時計の裏側には、イニシャルらしき文字が刻まれていた。
　　　　　 | 　 ― ― ― ＝＝ ― ― ― ‐　 |　　　　　　　　　その文字を見た途端、俺は異様な胸騒ぎがしていた。
　　　　　 l　　 _＿＿ ノ　　 　 ^ー―－　　　|　　　　　　　　　そしてこの時計をどこかで見た気がしていたが、
　 　 　 　 l 　 / 　 　 ヾ≧=≦Ｙ　　　 ヽ　　 l　　　　　　　　　刻まれた文字を見て、それをどこで見たのかすぐに思い出した。
　　　　　　!　 |　{:::::::}　| }llllllll{ |　{::::::}　|　　 l
　　　　　　l. 　ヽ　,　　彡!!!!!!ゞﾐ､　 　 /　　 '　　　　　　　　　 ……今、俺はこの時計をもっと早く見つけられなかった事への後悔と、
　　　 　 　 ',　　 /　　　　|　　　 ヽ　　　　/　　　　　　　　　　 出来れば見つからないままでいて欲しかった思いで一杯だった。
　　　　　　　ヽ　 ゝ ＿ ／＼ ＿ ﾉ 　 　 /　　　　　　　　　　　刻まれていたイニシャル、それは……
　　　　　　　　ヽ　　 ｀ ー―― ´　　 　∧__　　　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　　＼　　　　　 　 　 　 ／ / 〉::｀丶、
　　　　　　　　　／＼　　 　 　 　 ／ 　/ /::::::::::::::丶、
　　　　　　　 ／:::::l　　ー――‐ ´　 ／ /:::::::::::::::::::::::｀丶 _
　　　　　-‐::::::::::::::l　　　　　　　　／　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::











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┃│エンパイアマガジン社│┃
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　　　　　 　∧,,∧ |l￣￣l|　 |l l l l l l|_／ |　　　 ｜|三|　 |i iiｉ|　 |／|　　　／
　　　　 ／ミ ,,ﾟД彡______l|.／ ￣／ｉ／　└┬┬┘|＿|／|l llｌ|.／　｜　／
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　　 l　,イ:::::::::::l'二ﾆﾆヽ〃ﾘ_―- }::ヽ'
　　　l /rl:ﾍ::::ﾄ､l　　　 ｀/⌒i ―､¨i:ﾊ::|　　　　　　おや、やらない夫さん。
　　　l:i ﾊﾍl､:l ` ー---'　　 l.._　 .l// '　　　　　　　できる夫はまだ戻ってきてませんよ。
　　 l:ﾍ､ !　 `　　　　　 ,　 ﾉ　￣l¨
　　　l:::::`-,　　　 ､ __ 　　　　　 .i　　　　　　　　　そういえば、冬月先生には会えましたか？
　　　`ﾊ::::ﾄ、　　　　 ￣ ｀　　 /
　　､　 ヾ:;| 丶　　　　　　　 ／
　　､. 丶､.）　 ､ 丶、＿＿_ノ
　　 i　　丶　 丶　　　　　　i
　　　l　　 ヽ　　ヽ　　　　　ト､
　　　l　　　 ＼　 ヽ　　　　!|　 丶、



　　　　　　　　 , -　￣　　､　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　 　 　 　 ／　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　今だけはできる夫の不在が有り難かった。
　　　　　　/　　　　　　　　　 ﾊ　　　　　　　　 これからする質問は、本人がいては出来ないものなのだから。
.　　　　　 i　　　　　　　　　　　 !　　　　　　　 むしろ、事件に直接関わりそうにない富竹氏にこそ聞ける事だ。
　　　　 　 l　　　 　 　 　 　 　 ｿ､__　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　| .｀､ ＿__,　　　 　 　 |ヽ＼__　　　 　 　 　 ＿_
　 　 　 　 ヽl　f ● ）　　　r　　//∧　|￣二二二ﾌ´　　 ＼
　　　　　 　 j　　￣､ 　 　 |｀i　/// /} |　　　　　/ 　 　 ｀ヽ ＼
　　 　 　 　（人＿ノ､　　 ﾉ　l/// //　.|　　　　./　　　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　｀,こ￣　　／>‐<// //　　!.　　 　/　　　　　　　i 　 i
　　　　　　／　 ヽ-＜l∨､__∧/./ 丶. 　､　　　|　＼ 　 　 　 l　　,
　　　　,. ' 　 　 　/ 　 | | /:::| |l∨　　 .て 　　　|　　 〉 ＼ 　 ∧　ヽ
　　　 〈　 |　　　/　r‐┬ｒ--,､|ｌ |　　　 　 ､　 　l＼L 　 /　　　∧　|
　　　　V l|　　 ７´　￣二ﾌ/　＞ 、　 　/　＿　/　　 /　__　　 ∧ i
.　　　　 i　| 　 　｀　　 〈:::〈／r‐　　 ＼∠￣　 　:　 　/　　　,ﾉ　　 .!
　　　　　7 !　 　 　 i　　ヽ（_／ r　　　 |ﾆ｢lヘ.＿_.＼ 　 　 ／　.＿ !
　　　　　＼|　　　　丶　　 ､ヽ-‐ｔ＿_ノlﾆ!ﾍ　 ＼￣＞､／/-─-､　i
　　　　　　 |　　　　　 ＼　 λ　|　/ 丶ﾉｼ　ﾉ＼ ＼　　　＼-､─ ヽ!
　　　　　　　ヽ　　　　　　 ヽ　ヽ| / 　｀| 〈ｏ　　　　ヽ　　　　　＼　 i
　　　　　　　　丶　　　　　　ゝ　|/ 　　 ￣｀ヽｏ　　　 ＼　　 　　 ヽ
　　　　　　　　　ゞ-　　　　　　ソノ　　　　　　 ＼　　 　 　 　 　　 /
　　　　　　　　　λ__　　　 ια　　　　　 　 　｀＜ ＿＿＿＿_／

　　　　　　　　　　　　　　　　 　皿
　　　　　　　　　　　　　　 ／￣XII￣＼
　　　　　　　　＿＿＿_.／／￣∥￣＼＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　|l|l|l|l|l|／／ 　 　 .|　　　 ＼＼l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l||　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　|l|l|l|l|｜ |＿　　＼| 　　 .＿| ｜l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|ll|l|　　　　　　聞きたい事とはズバリ、
　　　　　　　　|l|l|l|l|｜ |￣　　　　　　　￣| ｜l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l||　　　　　　金糸雀の部屋で見つけたこの時計だ。
　　　　　　　　|l|l|l|l|l|＼＼　　　　　　　.／／l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l||　 　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　.￣￣￣ ＼＼＿∥＿／／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　 ＼＿VI＿／






　　　　＿
　　　　 　 ￣｀　- 、
　　　　　　　　　　　 ｀　‐　、
　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ヽ ＿_　　　　　　　　　　　＿＿＿　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_ゝ_）――――――.'.´　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,;;;;;　　　　　　　　　　　　　｀ー=ﾆヽ､__｀ヽ、
―――　、＿　　　　　　　　　　　　　 ,;;;;' 　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ,　｀ヽ、ヽ＿)
　　　　　　　　 ￣ ｀ －-　、　　　　　,;;;;; 　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、｀ヽ、l
　　　　　　　　　　　　　　　 ￣｀ヽ､_,;;;;;' 　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ、｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ、　　　　　　　　　　　　＿＿　　　 ｀ヽ､l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　　　　　 ／　　　 .〉ヽ、　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ、　　　　 　 l　　　　　l　 ,ｲ｀ヽ　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｀ヽ、　　　 ヽ　　 　 ゝノ.|`ーﾄ､　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ、　　 ヽ、　　 　 |　　|. ヽ.　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ、　　 ヽ、　　ヽ_ノ　　ヽ　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ヽくヽ l　　　　　　　　`ー'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`'′

　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　昨日ここを訪れた時に、一度だけ見た事があったのだ。
　　　　　　富竹氏が全く同じデザインの腕時計をしているのを……
　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛

　　　　　　　,. -‐ ァ ー─- ､
　　　　　 ／　　　l　　　　　　＼
　　　　 /　　　　 」 ＿　　　　　 ヽ
　 　 　 l　_,. -‐'´　　　｀ヽ､　　　 ﾍ　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　 _ﾉ´　＿_　　　　　　 _＞ ､＿}　　　　　　　ああ、それはこの雑誌社の創立記念に配られた時計ですよ。
　 　 L_ｨ7´ﾆ､_｀7ー＝ﾆ¨ｰ､个17ﾊ　　　　　　　社オリジナルですから当然非売品。
　　　 ﾊｌｉ{ ｨrュ､{　 __ｲヱュ､ 川 l ｌ|　　　　　　　でもここの社員なら皆持ってますよ。
　 　 　 ｌrく ﾋｆﾘT¨「　ヽしﾘィｰｲ¨Yﾘ　　　 　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　{｀二´ﾉ　 ｀ー--‐′/ ノ
　　　 　 ｀!　　､ ｀　´ _,　　 ,ｲ´
　　　　　　ヽ、　￣￣　　／ |
　　　　 　 　 ＞､ ＿,. ィ´ 　 Ｌ ＿
　　　＿_,,.ィ´}　 　 　 　 　 /　 　 ＞ｰ ､
　　　　　 /　|ト､＿＿,,.. イ　　／　　 ´￣`ヽ､
　　　　_／　　ｌ!　　　　 ／ 　 /　 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　ヽ､＿ ／　　　ｌ　　,'　　　　　　　　l
　　　　　　　 　 〉Y〈　 　 　 | 　 l　　　　　　　　 |






　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　＼　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　|:::::::　:　　　　　 |　　　　　　　　確定しちまった。この時計の持ち主が……。
　　　　　.　|:::::::::::::　　　　　|　　　　　　　　認めたくはない、信じたくは無いが……
　　　　　　 |::::::::::::: 　 　　　|　　　　　　　　この現実はそれを許さない。
　　　　　.　 |:::::::::::::::　　 　 }　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　.　 ヽ＿＿__　 　 }
　　　　　　　 r'ﾆﾆヽ._＼. ﾉ..
　　　　　 r':ﾆニ:_`ｰ三`:く._
　　　　／: : : : : : :｀,ニ､: :_:_;＞
　. 　 /: : : : : : : : / : : : ヽ＼
　　　| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.
　. 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''"￣: : :l: : : :l
　　　 |:.:.:.:.::.:.:.:ｌ -─-: : /:_:_:_:_l
　.　　 |:.:.::.:.::.::l._＿: : : :/::: : : : :l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／￣￣￣￣￣￣￣￣￣＼
　　　　　　　 　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　 　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　 　　　　　　　／　　　γ￣￣ヽ､　　　　　　　γ￣￣ヽ､　　 ＼
　　　　　　　 　　　　　 ／ 　　　　　 ＿　　　　　　　　　　　　　 ＿　　　　 　 ＼
　　　　　　　 　　　　／ 　 　　 ／,..::::::::::.ヽ＼　　　　　　　／,..::::::::::.ヽ＼　　 　 ＼
　　　　　　　　　　／ 　　　　 <　 {:::::::::::::::::}　 >　　　　　<　 {:::::::::::::::::}　 >　 　 　 ＼
　　　　　　　　 ／　　　　　　　＼ ヽ;;;;;;;;;／／　　　　　 　＼ ヽ;;;;;;;;;／／　　　　　　 ＼
　　　　　　　 / 　 　 　 　　　　　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　 　 　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |
　　　　 　 　 | 　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　 　 　 　 |
　　　　 　 　 | 　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　/　 　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　 　 　 | 　　　　　　　　　　　　　　　ゝ＿＿　　　＿＿＿/　　　　　　　　　 　 　 　 |
　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣￣　　　　　　　　　　 　　　　　　　／
　　　　　　　　　＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　 　　　　　 ／

　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　できる夫・ギルフォード……
　　　　　　　　　どうして金糸雀のアパートにお前の腕時計があったんだ？
　　　　　　　　　お前は金糸雀と、一体どんな関わりがあったというんだ……？
　　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛

┌────────────────────────── ─ －‐‐
└────────────────────────────── ─ －‐‐
　　 |　　　　　　　　　　 　 　 ヽ.　　!
　　　＿, ｲ 　 　 　 　 ｒﾍ　　　ﾉ　　|
　　　　　　　　　 　、　　 ｀ー '　　　　　　オーディションの結果はエンパイアマガジン社の雑誌で発表したんや。
　　　　　　|　　　　 ’ ￣　￣ ´ 　/　　　　取材はできる夫・ギルフォードという男が来とったで。
　　　　　　|　　　　　 ￣　￣　　/
　　　　　 / 　 　ヽ＿_ _＿＿ y
┌────────────────────────────── ─ －‐‐
└────────────────────────── ─ －‐‐



　　　　　　 　.　＿＿
　　　　　　　.／::::::.　＼
　　　　　　 /::::::ヽ;;:　　 ＼
　　　　　. （:::::（::::冫 　　　|　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　. （:人;;;） .　　　　|　　　　　　金糸雀とできる夫の共通点なんて、オーディションしか無い。
　　　　　r‐-;::::::. .　 　　　|　　　　　　だがそれがどう接点になるのか……
　　　　 （三））:::::..　.　　　|　　　　.┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　>::::ﾉ:::::::::.　　　 /
　　　　/::: / ヽ;::::::::: 　 /
　　 　/::::/ ⌒ヾ:::::::::::.〈
　 　 （;;;;__ゝ:;;:::::＼／:::::）
　　　　　　.　|＼::::::::::::;;:1
　　　　　　.　|:::::＼;;／:::|



　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 _ノ　　ヽ、　　＼　　　┏　　　　　　　　　　　　　┓
　　　 　　 　（○）（○ ）　　　|
.　　　　　　 （__人__）　 　u　 .|　　　　　　────！！
.　　　　　　　 ヽ｀⌒ ´　　　　|
　　　　　　　　｛　　　　　　　/　　 .┗　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　lヽ、　　,ｨ'.) ./
　　　　　　　　j　.}ﾝ／／　ヽ
　　　　 　　　ﾉ　'"´ ￣〉　　|
.　　　　　 　 {　　　　 勹..　｜
　　 　 　　　 ヽ　､＿_,,ﾉ　.　|

　　　　　 　 　 　 　 ‐――――‐‐ ､
　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ＼
.　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　 /　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｉ　　　　　　　だんだん解ってきた……。
　　　　　 |　　二二二二 三 二二二二　 　 ｉ　　　　　　　それなら金糸雀がシャアを呼んだ理由にも繋がり、辻褄が合う……。
　　　　　 | 　 ― ― ― ＝＝ ― ― ― ‐　 |
　　　　　 l　　 _＿＿ ノ　　 　 ^ー―－　　　|　　　　　　何故できる夫がそんな事をするのか、その理由までは分からないが……。
　 　 　 　 l 　 / 　 　 ヾ≧=≦Ｙ　　　 ヽ　　 l　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　!　 |　{:::::::}　| }llllllll{ |　{::::::}　|　　 l
　　　　　　l. 　ヽ　,　　彡!!!!!!ゞﾐ､　 　 /　　 '
　　　 　 　 ',　　 /　　　　|　　　 ヽ　　　　/
　　　　　　　ヽ　 ゝ ＿ ／＼ ＿ ﾉ 　 　 /
　　　　　　　　ヽ　　 ｀ ー―― ´　　 　∧__
　　　　　　　　　＼　　　　　 　 　 　 ／ / 〉::｀丶、
　　　　　　　　　／＼　　 　 　 　 ／ 　/ /::::::::::::::丶、
　　　　　　　 ／:::::l　　ー――‐ ´　 ／ /:::::::::::::::::::::::｀丶 _
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　./　　　 　 　 　 ,,　- ''' -　,,　　　　　　　　　 |
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　|　　 ,,-''　　　　　　　　　　　　　　 ''‐- __　　 |
. |-''　　　　　 ,,　 __　i-ii-i　 ,,　　　　　　　'' ､　|
. ゝ ,,_,,　ゝiilliiw;;,,,,__ .l .ll,'.l　_,,, ｀iiilll>‐ ,,_＿_／l
　l,,-　 ll ,;;;ii＝ﾚiit~ '''l'l├l''"",ー＝t=,, 1　 / ''|
　ｲi ゝ.ll,　　 lli;;;;;ll　　| ＼ゝ　　lii;;;;;l,　 ||　./　.l|　　　　　どうしたんですか？
.　l､　 i lヽ_＿＿＿_,,! i　　ヽ_＿＿＿,/i　/　〃]　　　　　やけに怖い顔して……
　 i'' ,　l＼　　　　　　 l　　　　　　　　　ﾚ'.i　／.l
　 ﾚ.i,　.l　 　 　 　 　 l!　　　　　 　 　 　 ﾚﾉ　 .l
　　!, l,‐l 　 　 　 　 　 ''　 　 　 　 　 　 /　 ル'
　　　　ﾞヽY　　　　　　　　　　　　　 　 /レ'
　　　　 　 lヽ　　　 ￣￣￣￣｀　　 ／,|
　　　　 　 |.　＼　　　:::::::::::　　　／ 　 |
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「:.ー--:.:.:.:＜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:, ｨぅfiT ´　　　　　　　　そうだ、やらない夫さん……。
.!〈　 ',:.:.:.:|__r.ｧrぅーr=´!　ノリ　　　　　　　　　　できる夫の親友である貴方に、一つお願いしたい事がありまして……
..',:ヽ. ヽﾊi　',_｀¨´_ノ　　〉　,'
　「＾｀ ヽ、　　　　　　__',　/｀ヽ
_.ﾉ!　　　 ｀ 　、　　´　　,人
::',:::＼　　　　　｀¨¨７ﾊ´ヽ:.:> ':L
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:.:.:.:.:.:l　{ .ll　l:.:.:.:l　 .｀　.￣￣￣￣￣´　　　l .￣´/: l:.:/ ｀!
ｉ:.:.:.:.:.ヽ ヾ｀ ヽ:.:l　　　　　　　　　　　　　　　l￣."ｲ:ｲ:./
l:.:.:,:.:.:.:.ヽ__､　ヽ!　　　　　　　　　　　　　　　l　 ./ !'.!'　　　　　非常に言いにくいんですがね、彼に関する妙な噂を聞きまして……。
.l:/.l:､:.:.:ｉ:./ l　　　　　　　　　　　　　　　 .-'´　 /　　　　　　　　近頃できる夫はギャンブルにのめり込んでいて、
.'　.ヽ!:.:l.!': :.',　　　　　　　　,-＝＝＝＝､　　 /　　　　　　　　　あちこちに借金をしているとか……。
　　./ヽ!: : : :.｀‐､　　　　　 ヽ＿＿＿＿/　　/
　 /: : :｀: :.,: : : : :｀.､　　　　　　　　　　　 .／
／　　 : : : ｉ: : : : : : :｀ ､　　　　　　　　　/
　　　　 : : :.ｉ: : : : : : : : ｀‐-､_　　　　___/
　　　　　: : :ｉ: : : : : : : : : : : : :.￣￣/
　　　　　　: :.ｉ: : : : : : : : : : : : : : : / ヽ､



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ＼　 　 ＼
　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓　　　 .（●）（● ） 　u.　|
　　　　何だと……！？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__） 　u　 　|
　　　　一体どうして、どこからそんな噂が……？　　　　　　　.(｀⌒ ´　　　　　|
　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛　　　　 { 　 　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ 　 　　　u.　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 　 　 　　＿＿＼　　　　 /ﾘ 厂`'‐- .._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ :　　: :介ｰz＜__｣// |: : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | : : : : ::〈　｢｀乂/ 　/ 丿: : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| : : : : : /: |　{::::}　/ `7: : : : : : : :│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 　 　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :/. : : : : : : : : |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　___
　　　　　　　　　　　　　　,　'",彡　.　´　　 ｀--へ
　　　　　　　　　　　　.／　／　 ／　　 ;;;;;　　　　ﾊ.
　　　　　　　　　　　 ,':::: , '　　.,'　　 ,' ,'　　',ヽ　　.　ヽ
　　　　　　　　　　　'::::::/::::::/::!:::　 / /　　　!ﾍ　　!　 ヽ
　　　　　　　　　　,':::::::::::::::::!::/::::::::::/こｰ-、)ﾉ::.! ハ　 .',
　　　　　　　　　　!:::::/^)＼ﾚ'(;ハ;/! L!心　!、__ﾚ;;;;;!　;;;}
　　　　　　　　　　',::::{ S;;;;;.　　　　｀ -　;.../ ｀ ! 心;ﾉ::::/
　　　　　　　　　　　;:::V;;;;;;;　　　　　　　　　　 !--!;; Ｖ　　　　　あくどい高利貸しで有名な碇商会に出入りしている所を見たとか……
　　　　　　　　　　　 、;ト ; 　　　　　　　　.:::::ノ.　,'　　　　　　　ギャンブルは多分、噂に尾ひれがついたんでしょう。
　　　　　　　　　　　　/　 !、　　　　　ｰ- ...、　, '
　　　　　　　　　　　人　 　｀ ; 、　　　　::::　 ノ
　　　　　　　　　.／＼｀ヽ 、　　　｀　、＿__/
　　　　　　　 ／　/.　.＼　　｀ヽ 、　　　/
　　 _ ,.　;　'"　　 ! .　　　＼　 　　｀,＞く ＼
　 　　　　　　　　 ',　　　　　＼　. /::::::::::＼.ヽ、
　 ＼　　　　　 　　 -----/　　ヽ'::::::::::::::::: !..　＼






../:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:|
,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_ '-―‐--ゝ、
!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.>
「:.ー--:.:.:.:＜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:, ｨぅfiT ´　　　　　どっちにしてもあくまで噂レベルの話です。
.!〈　 ',:.:.:.:|__r.ｧrぅーr=´!　ノリ　　　　　　　やらない夫さん、お忙しいのは重々承知ですが、
..',:ヽ. ヽﾊi　',_｀¨´_ノ　　〉　,'　　　　　　　　　出来る事なら、彼の悪い噂があくまで噂だけである事を証明してほしいんです。
　「＾｀ ヽ、　　　　　　__',　/｀ヽ
_.ﾉ!　　　 ｀ 　、　　´　　,人
::',:::＼　　　　　｀¨¨７ﾊ´ヽ:.:> ':L
､::ヽ:.:.:丶　　　　　_ノ|:.|::::У::
:.:ヽ::ヽ:.:.:.:.:｀:.＜´:.:.:.:
:.:.:.:ヽ::ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.
｀ヽ:.:.:.ヽ::ヽ:.:.:.:.:.:.:.:

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　 　 　 　 　 ／ 〉 ´　　　　　　＼
　 　 　 　 　 　 ／ ／'　 __ ノ 　 ゝ.__　ヽ　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ　　　　　　　　『善処してみる』……結局それくらいしか言えなかった。
　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　　もはや親友を信じきる事が俺には出来なくなっていたからだ。
.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ　　　　　　　　その噂も、あながちデマとも言い切れないと思ってる。
.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_
　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !



　　　　　　　　/ 　 ＼
.　　　　　　　 /　 　 　 ＼
.　　　　 　 ,　/　Ｍ 　　　 ＼
　　　　 　 ｆ}Y　　　＆　　　 /
　　　　　 ,' /　　　　　Ｍ　 /
,　_ 　 　 ,' /　　　　 　 　 /　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
ヽ、丶　/ /　　　　　　　 /　　　　　　　　もしこのカードが無かったなら、
　 ヽ　Y　/　　 ,.-、　　 ,/　　　　　　　 　俺はまだできる夫を信じていたかも知れないのだが……
　　 ! /　/__,／　 ,i、　 ,/　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
.　　∨　,／ 　 ／　.i　,/
.　　/ ｒ'　 _,.-´ 　 _ﾚ.i,/
.　　＼!　 !　 -‐ '´ 　 ,
　　　 ＼ヽ 〈　〈　｀Y-
　　　　 ＼　　 　 　 'ヽ
　　　　　　＼　　　　　
　　　　　　　 {ヽ.　　　








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┃│ やる夫の 事務所 .│┃￣ﾞﾞ／ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣ﾞﾞ／|　 ||￣￣￣￣￣||
┃└────────┘┃二||二二二二二二二二二二||　 |　 ||￣￣￣￣￣||
┗━━━━━━━━━━┛ｌｌｌｌ||ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌ||　 |　 || ／／　...::::　||
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／ 　|　　　　　　　,,彡ﾞ"ﾞ"ﾞ"ﾞ"ﾞ"ﾞ"ﾞ"ﾞ"ﾞ"ﾞ"ﾞ,,彡
　 ／　　　　　　,,彡　　　＿／￣／|　　,,彡　　　　　　　 rｪｪｪ、　　　 　 .rｪｪｪ、
／　　　　　　,,彡　ﾞ"ﾞ ／／　 ／　｜,,彡　　　　　　＿＿||_||_||＿＿＿＿||_||_||＿＿
　　　　 　 ,,彡　 　 ／／　 ／　　..::|'"　　　　　　／　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／|
　 　 　 ,,彡　 　 ／／　 ／ 　 　 ／　　　　　 .／rｪｪｪ、　　 　 　.rｪｪｪ、　　　　.／　,i|
. 　　,,彡　　　／ ./￣￣|　　　／　 　 　 　 ／＿||_||_||＿＿＿＿||_||

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　 ／　 _ノ　　ヽ　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　 　|　　( ー）（ー）　　　　　　　　　　まるで刑事モノの映画の主人公になった気分だ。
　　 　 　 　 　 _| 　 　（__人_）　　　　　　　　　　 信じていた親友が怪しく見える証拠が次々と出てきては……
　　　　 r.:.:'"´/::|.　 　 ｀⌒´|、_　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　ハ::::::/__:'ヽ_. 　 　_ノ.:.:/
　　 　 |::::',:::::::::'‐-ヾ' 7Υ} ...:.:{.
　　　　}>‐'､:::::::::::::::∀.,ｨt!.,へ:!
　　　　}, -‐'―__,. - '´ 'ﾂ/(三ヽ
　　　　Y ´￣__,.. -‐r-ｲ/｀tミ_ｿ
.　　 　└/⌒`ヽ､::::ﾉ::::ヽ`ｰ'´ __ ,.　--‐､
　　　　 /　　　　ヾﾘﾄ从ﾝ'´￣　　　　　　',
＿＿__,{　　　.:.:./ﾊ人／_,,.. -―_ｯi:..　　 .:!
　　　　|　 :...:.:.//｀""""´￣￣´　|:.:.　 .:.:{―-､―
　　　　|!　.:.:.://〉　　　　　　　　 〈 :.:. /.:ﾉ
　　　　|l　.: ///!　　　　　　　　　 }! :. 　:|
　　　　||　 / / ,!　　　 　 　 　 　 |'、 　 |



　　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　／　　 　 　＼
　　　　 　／　─　 　 ─　＼
　　　　／ 　 （●） 　（●）　 ＼　　　　やらない夫、君の親友を疑う訳じゃないけど、
　　　　|　 　 　 （__人__）　 　　 |　　　　あんな所でできる夫君の私物が見つかったとなれば、
　　　　 ＼　 　　｀ ⌒´ 　　 ,／　　　　 彼はもはや金糸雀事件とは無関係とは言えないお。
　　 　 /⌒ヽ　 　ー‐ 　 　ｨヽ
　 　　/ 　　　 　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　 　 ／　r─--⊃、 　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　 ｀二ﾆﾆうヽ.　|

　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　＼.........:::::::::::...
　　　　　　|:::::::　:　　　　　 |　.... .........::::::::::...r‐ ' ノ.
　　　　　.　|:::::::::::::　　　　　|　.... .........::::::::＿ ) (_　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　 |::::::::::::: 　 　　　|..　..... ......:::（⊂ﾆﾆ⊃)　　　　　　それはもう、重々分かっている事だ。
　　　　　.　 |:::::::::::::::　　 　 }　　..... ......: ::::｀二⊃ﾉ.　　　　　　少なくともこの金糸雀事件は、シャア・アズナブルと
　　　　　.　 ヽ＿＿__　 　 }　　..... ......: :::: （( ￣　　　　　　　 できる夫・ギルフォード……
　　　　　　　 r'ﾆﾆヽ._＼. ﾉ..　..... ......: ::::::　 ;;.
　　　　　 r':ﾆニ:_`ｰ三`:く._　　 　 　 　 　 [l、.　　　　　　　　この二人が握っている秘密を全て明かした時、
　　　　／: : : : : : :｀,ニ､: :_:_;＞　　　 　 ／,ｨつ　　　　　　　 初めて金糸雀事件の全貌が明るみになる……そんな気がする。
　. 　 /: : : : : : : : / : : : ヽ＼　　　　 ,∠∠Z'_つ　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.　　 / .r─-'-っ
　. 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''"￣: : :l: : : :l 　 /　 ）:::厂 ´
　　　 |:.:.:.:.::.:.:.:ｌ -─-: : /:_:_:_:_l　/￣｀Y´
　.　　 |:.:.::.:.::.::l._＿: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ: :〉



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,　-‐
　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,　-‐　￣ ‐=ﾆ=-
　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣￣＼　　　　　　　　　　　_,　-‐　￣‐=ﾆ二ﾆ=-　_,　-‐　￣
　　　　　　　　　　　　 / 　　　　 　　 ヽ 　　　　　　　,～'_,　-‐　￣`ｰ-----― '
　　　　　　　　　　　　/　　　 　　　　　丶　　　　_,～'_ｯ'-
　　　　　　　　　　　　|　　　　　_ノ　 （ ●）　　.厂
　　　　　　　　　　　　i　　　　　（ ●）　　!　　.⊃　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　　　 |　　 　　　　（__人_） /〉　　　　　　　　　　もっともそれで水銀燈事件とも本当に繋がってくるのか、
　　　　　　　　　　 ／∧ 　　　 ,.<))／´二//⊃　　　　　　　　　 そこまでは確信持てないが……
　　　　　　　　　／ : |　ヽ　　/ ／　 '‐､二ﾆ⊃`　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　, -‐'´: : : : :l　　 丶ｌ　　　　´ヽ〉: : : : ＼
　　　 ／: : : : : : : : :|　　／_/　　　 __人〉｜: : : : :|
　　 ｢ヾ: : : : : : : : : :l_／:_/ヽ. 　 /´　　 　 | : : : : :|
　　〈＼ : : : : : : : :,、: :/´∨/`ｰ'〉　|＿|　｜: : : : :|
　　　!: : :ミヽ: : :／ `ｙ′.: ',ゝ､_/　　　　　l: : : : : :|
　　　! ⌒ヽ: : : :.ヾ／: :／/: : : :|　　　　　 l: : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　 ,,.-´　　　｀｀ヽ
　　　　　　　　　 .／ 　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　そうそう、水銀燈事件についてはこっちもこっちで調べてみたお。
　　　　　　　　 .|　　 .'⌒`　　'⌒丶　　.|　　　　　　　　まず例のオルゴールにまつわるエピソードについて。
　　　　　　　／ | 　 （ ●）　　（● ）　 .|＼
　　　　　 ／　　 ＼　　（__人__）　　 ／　　＼　　　　　……要は碇家誘拐事件の詳細だお。
　　　　／　　　　/　`ー─ /￣￣￣￣￣￣/＼
　　　　,＼　　　.l　|　　∧ /　　　　　　　 　/　／
　　　／　.＼　 i　l　　.|　/　　 　　　　　⊂)／丶
　　./　　　　.＼|　|　./　/　　　　　　　⊆) 　　　＼
　　　　　　　　　　　　　 ￣￣￣￣￣￣



　　　　　　　　　　　　 　　　　＿＿
　　　　　　　　　　 　　　 ,,.-´　　　 ｀｀ヽ
　　　　　　　　　　 　 ／ 　　　　　　 　　＼
　　　　　　　　　　　/　　　 _＿ノ　　'⌒　 ヽ　　　　　　　事件が起こったのは今から４０年くらい前。
　　　　　　　　　 　 | 　　　（ ● ）　 （● ） .|　　　　　　　当時小さなおもちゃ問屋の社長だった碇ゲンドウ氏の元に、
　　　　　　　／,〉／.| 　　　　　（__人__）　　|＼　　　　　　一通の脅迫状が届いたんだお。
　　　　　 ／　/　　　.＼　　　　　　　　　／　 .＼
　　　 .／,二ニヽ　　　/　`ー───ー′ヽ　　 .＼
　　_ /　 ,-― ､}l　 　.l　|　　∧　　　.∧　 　|　 　.／
　/　|　　 ノｰﾍJ　　 i　l　　.|　.i　　 .ｌ ..| 　 /　.／丶
./　　|_,イ　　{　　＼ | . |　/　　ヽ＿/　.|　/ ／　　 ﾊ
　　　 ＼＿/　　　　 |　| /　　　/::::亅　|/／　　　/　|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,.　- ､　,. - - =､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　'´　　　　´ 　 　 　 ｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　.　　　　　　　／　 ／　／　　　　 　 　 　 　 　、 ＼
　　　　　　　　　　.　　 　 　 ／　 ／ ,　/　　　　　　　　　　　　　 ＼　ヽ
　　　　　　　　　　.　　　　 /　 ,〃／　,'　　　 　 　 ',　　　　　　　　　ヽ　',
　　　　　　　　　　.　 　 　 !:　///　 ,' l　 i　　　　　 i　　　　　　　 　 　 '､:i
　　　　　　　　　　　　　　 |::/.//　　i: |　 l　 i　　 　 !　 　 !　 　 ヽ　　　 ',:!
　　　　　　　　　　　　　　 l/:,':,'　 .　l:Λ　!　 !　　　　! .i:!!　　', 　 :　ij
　　　　　　　　　　.　　 　 ,' ,'.:i　.:/ /!! ﾊ: ﾄ､: ',:　 　 ｌ:　i: :ｌ:l: ｌ i､:.　 ',　 i　l!
　　　　　　　　　　　　　 ｜i ::l ::/ /,⊥!⊥ゝLjヽ::.　 !!: j /┼j┼ヽ::. !　 !: |
　　　　　　　　　　　　 　 ヽ!.::|:/!,ﾊ.　ミ'Tﾄｲiヾヽヽ:: !j://ﾄｲｱ｀>''∧!| : :|:::l
　　　　　　　　　　　　　　　|:::l':!|'､::ヽ、｀ ﾟ¨´　　｀ V ' 　｀¨ﾟ　´ 〃::l:!:::!:|:/
　　　　　　　　　　. 　 　 　 ',:::!:', ::＼::＼_　　　　　　　　　　_／ ::/:::!:::!:ｌ'
　　　　　　　　　　　　　　　 ヽヽヽ＼＼ヽ､__　　　 '　　　　 ／／,':/:://
　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼ ＼＼:＞　 　 －‐　 ‐='´イ :://〃´
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｀　 ＼ヾ＼　　　　　　,.イｲ／'／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ ｜｀　､__ ,.　´　| ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿ ﾉ　　　 　 　 　 ', ＿_
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,.　'´　／　　　 　 　 　 　 ＼ヽ.｀ヽ、
　　　　　　　　　　.　　　 　 　 ／　〈 ／　　　　　　　　　　　　 ＼〉　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　／ 　 　 ＼　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　 ＼　　　　　　　　　 ／　　　　 　 　 ＼
　 ┌────┐
┌┤ やる夫 . ├──────────────────────────────┐
│└────┘　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 │
│　　その脅迫状の内容とは、碇ゲンドウの一人娘・碇レイを誘拐したという事だった。 　 │
│　　そして身代金の要求と、その受け渡し日時と場所が書かれていたんだお。　 　 　 　 │
│　　ところが…………　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 .│
└────────────────────────────────────┘

　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　 ,,.-´　　　｀｀ヽ
　　　　　　　　　 .／ 　　　　　　　　＼　　　;' 　　,　;'
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　ヽ　,;' 　　,;'　　　　　どういう訳なのか、
　　　　　　　　 .|　　 ｀＼　　　,,_／'　　　.;'ﾞ　,;　　　　　　　約束の時間になっても犯人は受け渡し場所に現れなかった。
　　　　　　　／ | 　 （ ●）　　（● ）　　;'ﾞ ､ﾞ
　　　　　 ／　　 ＼　　（__人__）　　　'.,,､'ﾞ　＼　　　　　　秘密裏に行方を捜索しようにも、手掛かり一つ無かったんだお。
　　　　／　　　　/　`ー∥──　,;'ﾞ ′　　　 ＼
　　　　,＼　　　.l　|　　 ・.,. 　 . .､ﾞ　　　/　　　／
　　　／　.＼　 i　l　　　 　 ' ''ﾞ'　　　　/　　／丶
　　./　　　　.＼|　|　./　　ヽ　/　 |　/　.／　　　＼



　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　 ,,.-´　　　｀｀ヽ
　　　　　　　　　 .／ _＿ノ　　 ⌒` ＼
　　　　　　　　　/　 （ ー）　　（一 ）. .ヽ　　　　　　　　そんな事があって、ゲンドウ氏は戻らぬ娘への思いを託し、
　　　　　　　　 .|　　 ::::::（__人__）:::::　 　.|　　　　　　　　小さなブリキのオルゴールを作った。
　　　　　　　／ | 　　　　 　　　　 　　　.|＼　　　　　　　そのオルゴールに娘の名前……「レイ」の名をつけて売り出したんだお。
　　　　　 ／　　 ＼　　　　　　　　　／　　 ＼
　　　　／　　　　/　`ー───ー′　　　　　＼　　　その誘拐事件が世間の注目を集めただけに、
　　　　,＼　　　.l　|　　∧　　　.∧　　　|　　　.／　　　オルゴールは爆発的に売れたんだお。
　　　／　.＼　 i　l　　.|　.i　　 .ｌ ..|　　/　　.／丶
　　./　　　　.＼|　|　./　　ヽ　/　 |　/　.／　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ..,;' 　　,;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.;'ﾞ　　　,;
　　　　　　　　　 　　　　＿＿　　　　　　　　　 ;'ﾞ　　　､ﾞ
　　　　　　　　 　　 ,,.-´　　　 ｀｀ヽ　　　　　　　 ';,　　､'ﾞ
　　　　　　　　　 ／ 　　　　　　　　＼　　　　　 '; :;. ,;'ﾞ
　　　　　　　 　/　　　　　_＿ノ　　'⌒ヽ　　　　　';ﾞ;...;'
　　　　　　　　 | 　　　　　（　●）　（ ●）　　　./'ﾞ''''ﾞ　　　　以降、碇家はその資金を使って次々と事業を拡大した。
　　　　　　　／.| 　　　　　　　（__人__）.／´二//⊃　　　　　今日の碇財閥があるのも、あの「レイのオルゴール」があったお陰かも知れないお。
　　　　 　／　　..＼　　　　　　　　　／　 '‐､二ﾆ⊃
　　　　／　　　　/　`ー───―/　　　　´ヽ〉　　　　　　……ちなみにその誘拐事件だけど、迷宮入りになって未だ犯人が判ってないお。
　　　　＼　　　　l　|　　∧　　　∧　　 　__人〉
　　　　／＼　　 i　l　 .|　.i　　/´　　`ｰ'〉　　＼
　　　 /　　　＼ | . |　/　 |　/　　　　　/　　 　ﾊ






　　　 　　　　 ／￣￣＼
　　 　　 　 ／　_ノ　ヽ_　＼　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　 | 　（●） （●） |　　　　　　　　　　４０年経った今も謎に満ちた誘拐事件か……。
　　 　 　　 |　　（__人__） 　|　　　　　　　　　　しかし俺にはその事件、何か妙な裏があるような気がしてならない。
　　　 　 　 |　 　 ｀⌒´　　|
　　　　　　 |　　 　　　　　}　　　　　　　　　　というのも…………
　　　　　 　ヽ　　　　　 　.}　　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　 　__,_,,.ヽ＿　　　ノｰ- ､
　　　　 ハ　　/ 　Ｖ又ｲ ::::〉::::::i:
　　　　 }　ヽ 〈　　 l |;;|ﾉ　/::::::::::i 　-,,_
　 r iY'ﾉ.;;　 }::ヽ　　l|;;|　/::::i::::::::}‐　|　||
　.|| | ﾉ:::: 　 }:::::::＼|;;;ﾚ'ｰ'' ⌒.:::: ヽ |　||
　.|| | {,,;;;; .:::: ヽｰ---ｹﾄ､, へ､:::: 　 |　||
―──.::::::::::::ノ.:::/　/　　　彡}――─────
　　　　 "￣｀ﾞﾞ ''ｰ-､'ー----'

　　　　　　　　　　／　￣⌒>￢
　　　　　／⌒￣|　　　　/　／￣⌒＼_
　　　　「＼　　　ヽ　　　|　　)　　　　　∧_
　　　く　　＼　　　|　　　　　|　　　　／　　>
　　　ﾉ＼　　＼　　|　　 　　/　　　／　＿>
　　　Ｌ　　　､､　　 ＼　　　/　　　　〟，/　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　 <ヘ≪　⌒~~~｀ヽｗ，･´~~~⌒　/へ>　　　　　　　ゲンドウの親友だったあの冬月コウゾウという男。
　　　　<ニ/　　　　　　((　　/　　　　 |ﾍ>　　　　　　　　あの男が誘拐事件について、何かとんでもない秘密を知ってるような、
　　　　<ヘ|　=====|　((　/=====　ﾉﾍ>　　　　　　　　　妙に思わせぶりな様子があったからだ。
　　　　 (δ| 〟＝＝ヽ　　　＝＝， ﾉζ)　　　　　.┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　 　(|ﾖ　　　　 　 | 　　　　　┌/ﾉ
　　　　　　(ﾖ　|　　　< | 　，　　　 /_/
　　　　　　　ヽ　　 /　＼_/　ヽ　　/
　　　　　　　/|＼　|ー――一|　/|ヽ
　　　　　　｜|＼＼ヽ、　　　 ／/| λ
　　　　　　/　＼＼＼＿＿／／ ／ ヽ
＿＿＿一|　　　＼　￣￣￣￣_／　　ヽ＿
~~　　　　　＼　　　ー--､，-一　　／　　　￣￣
　　　　　　　　＼　　　　||　　　　／

　　　　　　　　　　　　 　 ∩＿
　　　　　　　　　　　　　　〈〈〈　ヽ
　　　　　　＿＿＿_　　　〈⊃　　}
　　　　 ／⌒　　⌒＼　　 |　　 |
　　　／（ ●） 　（●）＼　 !　　 !　　　　オルゴールに関する情報はそんなとこだお。
　 ／ :::::⌒（__人__）⌒:::::＼|　　 l　　　　それから、水銀燈の母親については、
　 |　　　　　|r┬-| 　 　 　 | 　／　　　　今朝ある人物に調査をお願いしたとこだお。
　 ＼ 　 　　｀ ー'´ 　 　 ／／
　　/　＿＿　 　　　　　　/
　　(＿＿＿）　　　　　　/



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　　ある人物？俺の知ってる人か？
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　,-､ィ: : : :,､: : , -､: :＞ ､
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／: : : ヽ: ／: :.∨: : :V: : : : ＼_
　　　　　　　　　　　　　　 ,イ: : : : : : ／: : : : : ',: : : ∨: : : : : : :i､
　　　　　 　 　 　 　 　 ／: : : : : : : _: : : : : : : : :',: : : : ＼: : : : : : i_
　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : /:.ヽｲ:ﾊ: : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : ﾍ
　 　 　 　 　 　 　 ///: :/:/:./: :./｀`ｖ'´ﾞ-!:.i: : : : : : : : : : :ハ: :/: :./i
　　　　　　　　　 //:.i: :7:7: :{: : i 　 　 　 |: i: j: |: :.|: ',: : i: ',: ∨: ://j
　　　 　 　 　 　 {:' !:i: :.!:.|: :ィテ}ヽ　　　 j: /--j､; |: :|: : i: :|: :.|: : : :ｲ
　　　　　　　　　ﾍ! V!: |: i､: i,,zミ､　　　/:/:/: />､ヾ:j: :/: :i: : i: : :./ﾑ
　　　　　　　　　　　ヾﾚヽV〈 {ﾟ::::l`　　ムイ=Zミ､:/:`: /:i: j: :/: : /i:.ハ　　　　　┌【朝倉涼子】
　　　　　　　　　　　 　 l: :j: | 乂7　　　　　｛ﾟ::::::j.i!./ｲ: //j:ｲ: ／:i |: :.l　　　　　│　　リバティタウンでやらない夫と同じ部署に勤める刑事。
　　　　　　　　　　　　 j: : |: i　　　　　　　　廴ﾝ ´.′:ｲ': /／/:,': : !: :.i 　 　 　 │　　やらない夫とは同期で、実は密かに好意を寄せている。
　　　　　　　　　 　 　 l:j: :i从　 　′　　　　　　 /: : : : /: : :/: ': : :.|: :.|　 　 　 .│　　残念ながら当エピソードでは直接の出番は無し。
　　　　　　　　　 　 　 |:i: :',:i: ヽ　 ` -- 　 　 　 ': : : : /: : : : :/: :.i: |:.i: !　　　　 └──────────────────────────
　　　　　　　　　　　　 i:|',: :|: : : ＼　　　　　. イ: : : :ｲ: : : : :/: : : Ｖi:.i:7
　　　　　 　 　 　 　 　 ヾＶ:!: : : : : 汀::::´:::::::/: : : ｲ: : : : : :': :i: : : :',!i,′
　　　　　 　 　 　 　 　 /,ｲ＼: : ／-ﾉ-::::::／: .イ: : : :／／: : i',: :',: ',j
　　　　　　　　　　　　/ｲ: : : : く　 '′　厶イ: : : : :／∠: : : :|:|:',: :',: ',
　　　　　　　　　　　 /: : : : :/ィ＝､　-‐‐／: : : :/:／: : ＼: j: |:.',: :i: :l
　　　　　　　　　 　 ,′: : :./-‐ﾆヽ:.ヽ.／: : : : :/ｲ: : ＞-‐ﾆﾍ:i: :',: :l: |
　　　　 　 　 　 　 ,′: : :./: : : : :ヽ∨: : : : : : /. イ::＞:':´: :_:_ﾍ: :',: |: !
　　 　 　 　 　 　 j: i: : :j:7: : : : : : //: : : : : :./＞'´: ＞'´　　 　ﾍ: i |: |
　　　　 　 　 　 /.|,ｲ: : i:i: : : : : : //: : : : : 〃: : ,イ_,.　　　　　　 }: : i: |
　　　　　　 ┌────┐
　　　　　┌┤ やる夫 . ├─────────────────┐
　　　　　│└────┘　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 │
　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　│　　リバティタウンの君の同僚、朝倉涼子さんだお。　　 .│
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278 やらない夫板IIへの引っ越し作業中だろ 11/01/23 09:48:19 ID:DRM+3RE5 やる実にも好意を寄せられ・・・朝倉にも好意を寄せられ・・・だと・・・？

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　　　　　　　　　　　 .（●）（● ） 　u.　|　　　　　　　　　　そりゃまた意外な人物の登場だな……。
　　　　　　　　　　　　（__人__） 　u　 　|　　　　　　　　　　まさかマンハッタンまで来て彼女の力を借りる事になるとは。
　　　　　　　　　　　　.(｀⌒ ´　　　　　|　　　　　　　　　　まあ朝倉さんなら腕は確かだから、調査結果に期待は持てるが。
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　　　　　　　　　／ :　　: :介ｰz＜__｣// |: : : : : : :ヽ
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　　　　　　 | 　（●） （●） |　　　　　　　まあそれはそれとして、
　　 　 　　 |　　（__人__） 　|　　　　　　　今度は俺の方からやる夫の意見を聞きたい事がある。
　　　 　 　 |　 　 ｀⌒´　　|　　　　　　　……ズバリ、水銀燈の部屋で見つけた鍵について。
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　　　　　 　ヽ　　　　　 　.}
　　　　 　__,_,,.ヽ＿　　　ノｰ- ､
　　　　 ハ　　/ 　Ｖ又ｲ ::::〉::::::i:
　　　　 }　ヽ 〈　　 l |;;|ﾉ　/::::::::::i 　-,,_
　 r iY'ﾉ.;;　 }::ヽ　　l|;;|　/::::i::::::::}‐　|　||
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　　　　　　　　　　　 ,,.-´　　　｀｀ヽ
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　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　これが水銀燈の部屋で見つけた鍵ねぇ……。
　　　　　　　　 .|　　 .'⌒`　　'⌒丶　　.|　　　　　　　　　たしかに部屋の鍵にしちゃ小さ過ぎるお。
　　　　　　　／ | 　 （ ●）　　（● ）　 .|＼　　　　　　　　……たしか、この形の鍵は……
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　　　　,＼　　　.l　|　　∧　　　.∧　　　|　　　.／
　　　／　.＼　 i　l　　.|　.i　　 .ｌ ..|　　/　　.／丶
　　./　　　　.＼|　|　./　　ヽ　/　 |　/　.／　　　＼

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　　　　　 /　　　　 {　(;;;;) .}　　 {　(;;;;;) .}　　丶
　　　　　.|　　　　　　`ー´　　　　 `ー´　　　 丶　　　　　　この鍵、やる夫が預かってもいいかお？
　　　　　|　　　　　　　　（＿_人_＿ ）　　　　　 |　　　　　　昔担当した事件で、これと似た形の鍵を見た事があるから、
　　　　　 !　　 　　　　　　　 　　　　　　　　 　 !　　　　　　 ひょっとしたら鍵に合う錠を見つけられるかも知れないお。
　　　　　　＼　　,,ｨー―ｧ--、　　 　 　 　　／
　.　　　　　 　 ／´ 　 　 ＿ノ　　　　　　 ／
　　　　 _,,ー／　　.／￣´　.ｰ- -‐'"´　　ﾄ､ 　
　　,..ィ´ ／　´￣￣￣｀l　　　 　　　　　.ﾉi .ヽ
..／　　./　　 ｰ――-､/　　　　　　　／.:.|　 |.ヽ､
　 　　 | 　　ー- ､　　 〉 　.:.:.｀＞-＜ .:.:.:.:|　L＿＼
　　　ノ　　　 ＿__.＼/ 　 .:.:.／　　　 ＼:.:..|　　 .|　.＼
　 ／　　　　　 ＼.__/ 　:.:／ヽ　　　　 /:＼|　　 |
／　　　　　　＿／　　 ､':.:.:.:.:.ヽィ^iﾞ!Y:.:.:.:.:.|ヽ､ |
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　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）　　　　　　　現役を退いたとはいえ、この男は俺なんかとは比べ物にならないほど
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）　　　　　　　多くの事件に出会い、解決してきた。
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　やる夫がこれまで培った経験と知識は、俺にとって非常に頼りがいのあるものだと、
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　今改めて実感したのだった。
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ

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　　　　　 ／　　 　 　＼
　 　　 ／　⌒　　⌒　 　＼　　　　　　で、今日はこの後どうするお？
　　 ／　 （ー）　（ー） ／^ヽ　　　　　　もし今日の捜査がこれで終わりなら、
　　|　　　（__人__）（　/　　 〉|　　　　　　やる実も連れてどっかメシ食いに行くかお？
　　＼　　 ｀ ⌒´　　〈 ／ ⌒^ヽ
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　　／　　 _ノ　　＼　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　|　　　 （ 一）（●）　　　　　　　　お誘いは有り難いのだが、
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　　出来れば今日中に片をつけたい事があと３つほどある。
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　　相当遅い時間まで掛かると予想されるため、
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　　俺はやる夫の誘いを丁重に断った。
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
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:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

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,_ ,l　　　（|｀　___,,,,,,,〈''''.〉　　　　　……君か。
. l';,'".'_':''' l ""-''-‐' l,,l l　　　　　　遺言の事を……それと、誘拐事件の事を聞きたいんだろう？
. ':,':', 　 . ::l　　　　 ﾉ=/'
　 ヽ,i　　' l／ ヽ,./ .ｿ"
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　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）　　　　　　　俺は黙って頷いた。
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　 今度こそ本当のところを全て知りたかった。
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　 人一人死んでる以上、もう黙秘されるのを許す気は無い。
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　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
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　　　　　　　　 / ＼ヽ＼ヽﾍ i ｿ/／ ／　_八_
　　　　　　　　ﾉ＼　ミﾐヾ､ヽN /　／イ´　三{
　　　　　　 　 ゝヘ.r'　　　 ｲﾘﾊ´　　　｀ヾ≦ｲ
　　　　　　 　 ﾄｭ､lｿ _,､　 '　　　　　,､ﾑ 仁{
　　　　　　　　ゝ { { ｀≧､__｣__/_,ｨ≦__｀/}ｨ,ｊ　　　　　　　　　　　　……そうだな。このまま黙っている事も、
　　　　　　　　　>､ ﾐ{｀￣´ｲj ,iヾ'"￣｀ }_入　　　　　　　　　　　　ある意味で罪を重ね続けているのと同じ事だからな……。
　　　　　　 , ィ'´　`ヽ.　　　,'| 　　　　,'/: : : ＼
　　　,､, ィ´　　　　　.ｌi.　,　<`_〉 ､ 　/: : : : : : : ｀': . .
　　/.:L: : : : : : : : : :.ｌ.ハ.' ー ―-ﾉ ィ: : : : : : : : : : : ｀丶、
　 ,′|: : : : : : : : : : .|　 ﾍ　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : :＼
　 l: : {: : : : : : :　　　'., 　 {ゝ---′_,/　: : : : : : : : : : : : : : : /｀､
　 |: : ;　　　　　　　　 ヽ_.l ﾉ　__,ィ´　　　　　　　　: : : : : : /.: : :|
　入: ',　　　　　　　　　rヘ,　二＞　　　　　　　　　　: : :/.: : : :|
　ヽ＼' ,　　　　　　　　Ⅷ/　　　　　　　　 　 　　 　 　./.: : : :ハ
　　ｌ　 ヽ　　　　　　　　ｙ′　　　　　　　　　　　　　.／.: : : : : : |
　　|　　 ',　　　　　　　《　　　　　　　　　　　　　　 /.: : : : : : : : :|









　　　　 _　―-　‐- ､
　　　 (r／　-─二:.:.:ヽ
　　　 ７''´￣ヽ-─＜:.:.',
.　　　〈t＜　 く=r‐､＼:く　　　　　　　これが問題の遺言状だ。
　　 ∠j `　/ ,j={_/ヽヽr'　　　　　　　君がこれを見てどう思うかは分からんが、
.　　　 っ Y　_/　ヽ了　　　　　　　　　まずは読んでみてくれたまえ。
.　　　　し イ --─￢
　　　　　 f: :_: : :_:_:_└ ､
　　　　　/-ｰ／: : : : : : :＼
　　　　/7: : : :r: : : : : : : : : }
　　　/: : : : : :.|: :j: : : :＼: : j
　　/: : : : : : : j: ﾍ、: : : : ＼|
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　　　　────　私の財産は全て、サラ・水銀燈・ローゼンに送る。
　　　　　万一、そのサラが死亡した場合には、
　　　　　その財産は私に最も近しい血縁者と認められるものに譲るものとする…………

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