ショートカット ・第六章　その１ 10/09/25 ・第六章　その２ 10/09/27 ・第六章　その３ 10/10/02 ・第六章　その４ 10/10/02

六２．
そんな夕闇の迫る中、サクラダ家を包囲する者達が居る。



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　　　　　　　　　　龠./|.i_i:I I:i_il　________i龠i____/∧ ______i龠i________＼
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六３．
集団を指揮しているのは今日発足した第二騎士団第十一小隊の長、シンジ＝ギャブレー。



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　　　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::ゝ､
　　　　　......::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ::ヽ
　　　　〈:::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::ヽ::::::::::::::ミヽ
　　　 　 >;;:::::::::::::::ヽ:::::ヾ::::::|ﾐ::::::::::::::::::::ヽ､
　　　 .〈:::::|:::::::f:::::::::;;''')::::人::ﾊミ:::::::::::::::::从　　　　　　　　　「これより、国王毒殺犯であるエンジュ＝サクラダの
　　　　 i:::|::::::::ﾄﾐ'' 　 〈::::{ ／}::L ミ::y-ミ::ヽ　　　　　　　　　 自宅の強制捜査を行う！
　　　　 |::|::::::::::::::ヽ　　 ):）fイ:丁　ｿr}k ）:| ）
　　　　 |::|::::::::::Y}::|__　 ~　　¨´ 　 　 Y/:::l　　　　　　　　　　抵抗する者はその場で殺せッ！」
　　　　 { ヾ:::::::::t k夕　　　　　　　　 r':::::jゝ
　　　 　 　 ￣ゝ(ﾍ　　< 　 ＿　　　　　ヾﾘ
　　　　　　　（　 　 ヽ　 　´　　　 ／　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　＞ ､___／---──ゝ.
　　　　 　 　 　 　 z-≠─- ､　　 ヽ へ─--ﾍ
　　　　　　　　　　|　　　　　　＼　　　　｀ 　　　ゝ､
　　　　　　　　　　|　　　　　　　 ＼　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　＼　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　ｲ　　　　　　　　　　}
　　　　　　　　　　f＼　　 ﾉ　　　　　　 ﾍ　　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　{ 　＼ｲｨ´￣　　　　　 ﾍ　　　　　　　　 }



周りにいる十二人は、見た目は騎士の格好をした、別の何か―――



　　　　　　　∧
　　　　　　 /::∧
　 　 　 　 // ::∧
　　　　　/　 :: 　ﾍ
　　　　　|　 .∧ 　|
　　　　　|　 |　| 　|
　　 　 　 ＼|　|／　　　　　　　　　　　　 ﾉ!
　　　　　　ﾍ±/　　　　　　　　　　　 r＝||=ｧ､
　 　 　 　 γ| |ヾ　　　　　　　　　　/::: :: ||::::::::ヽ
　　　　 　｛○;○｝　　　　　　　　　ﾑr＝≠＝マ}}
　　　　　　｀!幵j´　　　　　　　　 　ﾏ{､＿＿＿.ｨ}ｧ　　　　　　　　　　　　　「了解！」
　　　　 　 　 | |　　　　　　　　　　　ヽニ || ニソ
　　　　 　 　 | |　　　　　　　 　　　　}i i>―<i i{
　　　　 　 　 | |　　　　 　　　　　　/7￣￣￣ハ
　　　　 　 　 | |　　　　　 , ィ　ノ7//:::}}＝＝{{::: ＼　 /＼
　　　　 　 　 | l　　　 ／::::::ミメ:::::＞//＞＜ヾ ､ノ彡ヽ::/＼
　　　　 　 　 | |　　 /::/:::::::::::::}}}≧]::::::::] 　 [:::::::{{{:::::::::{{::::::::ヽ
　　　　 　 　 | |　 ./::/::::::::::::彡ｲ /:::::iiii.]　　[:iii:::::ミ::::::::::ヾ:::::::::}ﾄ
　　　　 　 　 | |　/::/ミ＝イ::::::／::::::::iii:]] 　.[[iii:::::::＼::::::ミ＝彡ﾊ
　　　　 　 　 | |└┴7＞､:::／{{:::::::::ｲiiiソ　 ヾiii::::::::::}}＼::::＜┴┘
　　　　 　 　 | |　.　/　　//　ﾊ:::::://へ{　　 ｝ヘヾ,､:::ﾊ ヽー＝<
　　　　 　 　 | l　　{　　/7　 / ￣}　　　ヽ　/　 　￣{　 ヽ ＼　　}
　　　　 　 　 | |　　|　.//　 /　　.:|　　　　} {　 .　 　 |　　 V/　　 |

六４．
その中にはやらない夫を逆恨みする左目を失った男と、



　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　'"　"　　　¨"'''了　　|　 |
　　　　　　　　　　　　 |＿__　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　 |　　|
　　　　　　　　　　　　|　　　｀丶、　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　|
　　　　　　　　　　　 .lー=＝―-、 、_　 　 ／　　　　　　 　 ﾉ　　|　　 |
　　　　　　　　　　　 iz=＿(:)＿,. ヽ　/／ '　　 i　　　　　　 i|　　 |　　 |
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::_ ｛.|　　.|　　 |　　　「いいか！
　　　　　　　　　../　　　　　　　　　　　　　 { ヽ::::::::::::::>::.　〉　　|　　　|　　　小娘は殺すんじゃねぇ！
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　 　 `、　`'..ww_ヽ |　　　|　　　|
　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　／　/　　　　　}　||　　　|　　　|　　　俺が嬲って殺すんだ、
　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　／／//　　　　　 .ﾘ ﾉ　　　.|　 　 |　　　絶対に手を出すんじゃねぇぞ！」
　　　　/　 /　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;　　　　　　　　　　 .／　i　i　.|　　 .|
　　　/　 ノ　　　　　　　 ,丶ー-＿　　　　;;;;;; 　　.／　　　l　|　 |　　 |
　　 t ／l|lil|i 　　　　　　　　＼──　　　 ￣ `／　 　 ／　|　./　　i|
　　i/　　 　|l|||　　　　　　　　　￣￣　　 　 ／　　　　/　 .|　　|　　 i
　 / `丶、　 ili|l|　　　　　　　　　　　　　　./　　　　 /　　|　　 |　　/
　|　　　　丶、|l|ili|l　　　　　　　　　　 　,ilil　　　　 ./　　 |　 　 |　 |
..{　　　　 ／~＼Yillili|l|　　　　 州il､ 　ilil　　　　　./　　 .|　　　.}　 i
.l　　　／　　　　＼ li| li|l|ili|l||||l|lil|i ililillil　　　　　　　　　/　　　/　/
{　 ／　　　　　　　 ヽ,ilililli|l||||l|liilililil"　　　　　　　　 ./　　　/　/



鼻が気の毒な方向に曲がったもう一人も含まれていた。



　　　　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::::＜￣¨｀　 `'＾゛＾｀ヽiヽ:::/::／:::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　i:::::::::::::::::::∠´　　　　　　 　 　 　 V!/イフィ::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　 　 ｉ::::::::::::::::／　　　　　　　　　　　　　　　 　 ￣i::::::::::::::::::::
　　　　　 　 　 　 i:::::::::::::::ﾌ　　　-‐‐‐-- ､ _　　.､　　　　　　　i:::::::::::::::ヽ:
　　　　 　 　 ､＿_i::, =-､;7　　　 　 ＿＿ ｀ヽﾆフﾉ　　,≠=-、 .i::::::::::::::::::::
　　　　　　　　＼::/ .ハ.ｉ　 　 　 ＜i::::ﾟ/ ヾ｀::　　 　 /::´　　　　i::::!¨＼::::::　　　　　「ぺっ。
　　　　　 　 　 ＜i　/⌒i　　　　 　 ￣¨　　　　　　.::ｨ-ｔ‐､　　/::::::!.　　＼::　　　　 じゃあ俺は姉かメイドを貰うか」
　　　　　 　 　 .∠i ｉ　 （|　　　　　　　　　 /:::　　　　`‐' ´　 ∧__::::＼　　｀
　　　　　　　　 　 ｀ﾄ.ヽ_,|　 　　　 　　 　 　 i:: 　 　　　　　 /　　 ￣¨｀
　　　 　 　 　 　 　 i:｀>ｲ　　　　 　　 　 　 i:::　　　　　　　/
　　　　　　　　　　 ｉ:::!　!　　　　　 　 　 　 　i::.　　　　 　/
　　　　　　　　　　 i/: : : ',　　　　　 （●　●）: 　 　 　 /
.　　　　　　　 ┌-ｲ: : : : : ',　　　　　　　　　 　 　 　 ／
　　　　　　,;;､ ﾉ.｀〈: : : : : : :＼　 ∠ニ_‐‐---,　　／
　　　　 ／;;;;く　　 ＼.: : : : : :.:ヽ　　　　￣￣　／
　 　 ／;;;;;;;;;;;;;ヽ　　　｀ﾞｰ-:,:,: : :＼_　 　 　 ／
,.,:;;;;´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼.　　　　　¨ヽ : : ¨7‐-‐'



悪意が住宅街を満たし、騒音がサクラダ家を突き抜ける。
扉を蹴破った音が空に届いた時、動乱が始まりを告げた。

六５．
同刻―――
城の、とある一室。



　　　　　　　　;':.:.:.:.:.:.:.:.　　　　　 !　　　l　　　　　　　　　　i
　　　　　　　　!:.:.:.:.:.:.:.:　　　　　　!　l　　.li　､　、　　!　　　 !
　　　　　　　 〃:.:.:.:.:.:　　　　l i　l　.l l　ｉ .l l li　l l　l　l　　　 l
　　　　　　 /':.:.:.:.:.:.:.　 / /　l l　l　.ｌ l　ｌ l　!l l /ﾅ.ﾉ! l　　　ヽ､　　　　　　　　「では、二十時に」
　　　　　,..､;':.:.:.:.:.:.:　 ./ /　l　/'_/' /ノ/' /''/_、"　ﾚ　　　　 lヽ
　　　　　{、.ヽ:.:.:;:: -‐､ l　/-'"-tｭ='' ﾉ　'　 ､O弐 /　　　　　 l
　　　　　 ヽ　./　 ,　,...L!.l:.!　 ￣　　`　.lヽ　　　　;　　　　　　 l
　　　　　　lヽ/　,-'"　／ヽ､!.　　　　　　!. ,　　　 ;'　　　　　　 l
　　　　　　.l/　~　　／　／`ゝ、　　　 ,､,ノ　　　 l　　　　　　ｲ
　　, -ー'''~{ ,　　'''　　 "　 /''/、　 丶=＝ｯ　　./l　　　　　l　.l
. ／　　　　丶 ￣ ー―　､｛ノ l.＼　　`ニ~　 /／!　　　　　l　ヽ
〈　　　　ヽ　 ヽ.､　　　　　 l l　l　　＼　　　／~　 ll　　　　 l l__ヽヽ
.l　　 l　　ヽ　 ヽ丶.　　　　 l l./、　　l .ー '　　　 ﾘl　　　　//　￣`''''ー､
　!　 l　　　ヽ　ヽ「~'''l　　　 ｝.l ヽ　　!　　　　 _,,.-/　　　／　　　　　　　￣
　l　 l　　　　　 /ヽ￣　　　/ l　　「二i _,,. - ''　／　　／
　.l　 !　　　　 /'　 `丶､_,,..-ｲ　　　/　―　　 イ /／
. /　　　　　 /0　　　　　　　l　　　/　　　　　/l/~



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏─────────────┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あぁ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　約束通り、通してやる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗─────────────┛

六６．
また別の一室―――



　　　　　　　　　　　／　　　　ヽ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／／
　　　　　　　　　　│　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／　／
　 　 　　　　　　　　へ- 　─ヾ 　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／L／
　　　　　　　　　　　 ─　 ─ 　　∂　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／
　　　　 　 　　 　 ｜　 し 丶　√｜　　　　　　　　　　　　　　　.　／／　　　「二十時になるまで私の部屋に。
　　　　　　　　　　｜　ﾄ-＝ヽ　　│　　　　　　　　　　　　　　　／／　　　　その後、向かいのロイの部屋へ」
　　　　 　 ／⌒ヽi/ l＼ ー .ｲ|ﾉ/⌒＼　　　　　　　　　　　 ／／
　　　　,.､-　￣/ヽ |　ｌ　 ￣ / |　/` ┬-､　　　　　　　　 ／／
　 　 /　 ヽ.　/ 　ヽ ﾉ￣￣￣ ヽ/　　l　 ヽ.　　　　　　／／
　　/ /＼ ∨ 　 　　l ￣|!￣ | ﾉ　 ｀>　|　　i　　　　／／
　 / ｌ　　　 |｀二^>　 ｌ.　　|　 |　＜＿_,|　　|　　　／／
＿| ｌ　　　 |.|-ｌ　　　 ＼ i　/　,イ_＿__!／ ＼ ／／



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ , ､- ー-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／´　　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,､-''´　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 ハ ﾍ ヽ　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　{ i /　 ヽゝ＞ヘ＞一 　 　 　 }
　　　　　　「魔法を使う暇を与えねぇ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘﾚ（ゝ、＜tr フ　ﾘ　/⌒ヽ　　!
　　　　　　 野郎共、火炎瓶の数は足りてるなっ！？」　　　　　　　 　 　 　｀ヾfァ〉　　　　　 ヾｿ ソﾉ 　 ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ! /　　　　／ 　 　 ノ　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 !ヾ　　　　　　　 ヽ 　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽに｀ゝ　　　　ノ ∨イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　`　　　 ＜　　 ∨ゝ、　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　 ／　　/　 ／:::::::::｀ヽｰ-=＝二＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀￣ヽ　　 __／:::::::::::::::::/::::::::::::::::∠_＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／∠=＝ﾍヽ::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::＞-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿＿__,,ノ!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ﾍ:ヽ::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /´二フ´:::::::::|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ::ヽ:<>/´￣:￣￣:￣:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /:/　 /ー―::┤;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ:_:_／:::/:::7:::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /''′ /:::::::::::::::::｀￣￣￣￣::´:::::::::::/i1/::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:ｿ /::::::::::::::ﾉ

六７．
そして、城入り口から近い小部屋。



　　　　　　　 ト､、:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:_,. -‐ '":;:;:;:;:;:;:;_,.ノﾐ'、
　　　　　　　 |:;:;:;:｀`'ー:;:;:;:''"´:;:;:;:;:;:;:_,. -‐='二三ｼﾊ
　　　　　　　 ト､＿:;:;:;;l:;:;:;:;:;__,. - '"´ 三三三三彡ﾉ!
　　　　　　　 l:::l　 二、― 'r―-,_ 　 _三三三彡彡ﾆヽ
　　　　 　 　 ヾi　 `ｰ′:.　`""´　　 ｀￣'三三彡片ヽl|　　　　　　　　　「親衛騎士付きのメイドも同時に捕らえよ。
　　　　　　　　 '、 , - ､、　　 __,.. .. ,、_,　　'三彡'^> ﾉﾘ　　　　　　　　　あの小娘らは脳筋共への良い人質になる………」
　　　　　　　　　l ｲで>､ヽ　 ':,ｨ'で'＞'"　　 三ｼ' f ﾉ /
　　　　　　　　　l ヾ二ﾌ ,!　　ヽ二彡'´　　　}ﾂﾘ ,､_ノ
　　　　　　　　　'､　　　 l　 　 ,.、　　　　　 i 川 ├ミ'、
　　　　　　　　　 ヽ　　 ,'　　 '__)ヽ、　　　 /｀`7>、
　　　　 　 　 　 　 ヽ　/`ー'i´　　　＼ 　 /　 ///>、
　　　　　　　　　　　ヽ'､ ､_,=＝ァ=-､_,｝ / /./////ﾄ､
　　　　　　　　　　　　＼ヾ二"´_,. ‐-.:.:/ /.//////:.:ヽ
　　　　　　　　　　　,. -/ゝ､':､_:' :、_ _:/ / //////:.:.:.:.ヽ‐- 、
　　　　　　　　　 ／　/:.:.'､ ヾ"ﾞ´￣ / / /////'′:.:.:.:.:.ｿ ﾉ ）
　　　　　　,. -―{　､/:.:.:.:.:ヽ ヽ.　　/ / /////:.:.:_,. - '"　／￣｀`丶、
　_,. -‐ '"´　　　ヽ ｀丶､r―--`'-/ / /////''"´　　　／　　　　　　 ｀丶、
'´　　　　　　　　　 丶､＿｀￣￣ / / ////'′　_,. - '′　　　　　　　　　 ｀丶、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽヽ　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 _,,,,,,__　　　 　 　 　 　 　 　 | | i　　,. =ｯ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ''"~´￣￣｀''＝=　､,,,_　 　 　 　 | | i,,ｨｼ″/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　 ﾚ　　　　　　　　　　` ｰ-＝= ,,_ノ//ｨo‐￢ /
　　「親衛騎士の連中が、　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ ヾ!　　　　　_,.-o─　¨´￣〉　＼//　ﾄ-=彡!
　　そんなに情に厚いとは知りませんでしたぜ？」　　 　 ヾ　＼　　　ヾミ､　　　 　 ,ｨｼ　　/∧　!￣　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　＼　`､　　　　 `＝==彡″　 ／　 ヽ !ヽ　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　ヽ　',　　　　　　 　 　 　 〃　　　　 !　ﾚ'′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ`ーっ !　| ＼　　　　　　 　 〃　(　-､__,ﾉ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿ノ! |　　｀ヽ、　　　　　!! 　　 , -_,ｧ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　|│　　　　　　　　　ｰ＝≪二jj /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ｰ' 　 　 ヽ＼ 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ /

342 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 19:17:08 ID:stPfpBs9 やっぱりそう来るか 25 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 19:55:21 ID:xYOyoEo2 上は殆ど真っ黒か……厳しいな。

六８．



　　　　　　　　　　「;:丶、:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:_;:｝
　　　　　　　　　　ﾄ､;:;:;:丶､:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:_;:;: --―;:''"´;:_」
　　　　　　　　　　{::ﾄ､:;:;:;:;:;:｀ '' ー―――;:;: '' "´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;_ ,.ィ彡!
　　　　　　　　　　l::l　丶､:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:_,. -r=＝ﾆ二三三 }
　　　　　　　　　　',:i r- ､、` ' ―――― '' "´ ,ｨ彡三三三三三/、
　　　　　　　 　 　 || ヾ三)　　　 　 ,ィ三ﾐｦ　　｀丶三三三三三ん',　　　　「ほっほっほっほ。
　　　　　　　 　 　 lj　　　　　　　　 ﾞ' ― '′　　 　 ヾ三三三ﾐ/　）}　　　　 力業であると言いたいのでおじゃろう？
　　　　　　　　　　 | , --:.:、:..　　 .:.:.:.:..:.:...　　　　　　三三三ﾂ ） /
　　　　　　　　　　 | fr‐t-､ヽ.　 .:.:. '",二ニ､、　　　　三三ｼ,rく /　　　　　 見ているが良かろう。
　　　　　　　　　　 l 丶‐三' ﾉ　　 :ヾイ､弋::ノ`:.:.　 　 三ｼ r'‐' /　　　　　　多少強引でも成立してしまえば、
　　　　　　　　　　 ',　ﾞ'ｰ-‐' ｲ: 　 : 丶三-‐'":.:.:..　 　 三! ,'　 /　　　　　　 力業にあらず―――」
　　　　　　　　　 　 ',　　　　/.:　　　　　　　　　　　　　ﾐﾂ/ー'′
　　　　　　　　　　　 ', 　 ,ｨ/ :　　　.:'^ヽ、..　　　　　　 jｿ,ト､
　　　　　　　　　　 　 ',.:/.:.,{、:　　 .:　,ノ 丶:::..　 -､　　 ,ﾊ　 l、
　　　　　　　　　　　　ヽ　.i:, ヽ､__, イ　　　_｀ﾞヾ　 ﾉ 　 / ,l　 l:ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,.ゝ､ト=､ェｪｪェ=テアヽ }　　　,/　 l　 l:.:(丶、
　　　　　　　　　　　_r/ /:.｀i ヽヾェェシ／　　ﾞ'　　／ 　 ,'　,':.:.:｀ヾヽ
　　　　 _,,. -‐ '' " ´l. { ｛:.:.:.:',　`.':==:'." 　 　 　 ／　　 /　/:.:.:.:.:.:.}　ト―--　,,＿
一 '' "´　　　　 　　 ',ヽ丶:.:.:ヽ、　⌒　　　　,r'"　　　 /　/:.:.:.:.:.:.:ﾉ,ノ |　　　　　 ｀`丶、
　　　　　　　　　　　 ヽ丶丶､:.:.ゝ､ ＿＿_,. ｲ　　　　 /　/:.:..:.:.:.,ｨｼ′ |
　　　　　　　　　　　　 ｀丶､ ｀`"二ﾕ、_,.,＿＿＿＿/__,/;: -‐ '"　　／

六９．
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　　　この麻呂が是となるだけの事よ。

┗──────────────────────────────────────────────┛

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　　　 　 　　　　 　 　｡　　　　　|.:.|. |.:.| 　 ,.傘., 　 |.:.|. |.:.|　　　　 　｡
　　　 　 　 　 　 　 　| 　 　 　 .|∧||∧| ,傘傘傘, |∧||∧| 　 　 　　|
　　 　 ｡　 ｡ 　 　 　 ||.　 　　　（VVVV）.傘傘傘.（VVVV） 　 　 　 ||　　　 　 ｡　 ｡
　 　 　|. 　|　　 　 　|:| 　 　　　{∽}{∽}}}傘傘傘{{{∽}{∽}　　 　 　|:|　　 　 　|.　 |
　 　 . ||　 ||　　　 　|:.:| 　 　,傘|ｌ~~|ｌ~~|}}个个个{{|ｌ~~|ｌ~~|傘,　 　 |:.:| 　　　　||　 ||
　　　 |:|.　|:|　　　　lvvl .,.,傘傘|∩||∩|}::::/⌒ヽ :{|∩||∩|傘傘,.,. lvvl　　　　|:|.　|:|
　 　 .|.:.|. |.:.|. 　 　 |∩|傘傘傘||　l||　l|}:::|: 　　|:::{||　l||　l|傘傘傘|∩| 　 　 .|.:.|. |.:.|
　　　|∧||∧| ,.,.,傘||"||傘傘傘||　l||　l|}:::|: 　　|:::{||　l||　l|傘傘傘||"||傘,.,., |∧||∧|
　　 (vVVVV)傘傘{∽}个个个{∽}{∽}}:|三ﾆ三|:{{∽}{∽}个个个{∽}傘傘 (VVVVv)　　　　　 　　|
　　 山i!山i山傘傘|三|!|/⌒ヽ!|ｌ~~|ｌ~~|}:／个＼ {|ｌ~~|ｌ~~|!/⌒ヽ|!|三|傘傘山i!山i山　 　 　 　 　 ∧
　　　||^^||^^|个ｌ个{∽}!||:.　　||{∽}{∽}}:{ﾆi二iﾆ}:{{∽}{∽}||:.　　||!{∽}个ｌ个||^^||^^|　　　　　　　/;;;;;ヽ
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　　　{})({i})({}iﾆﾆﾆi{({})}!!.!|,,, l|:!{})({|})({}}::|皿ｌ皿|::{{})({|})({}!:!|,,, l|:!!{({})}iﾆﾆﾆi{})({i})({}:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
　　　||　l||　l|鬥ｌ鬥||: ||!|鬥ｌ鬥|||　l||　l|}|鬥轟鬥|{||　l||　l||鬥ｌ鬥|!||: ||鬥ｌ鬥||　l||　l|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
　　　||　l||　l|/⌒ヽ||: ||!|/⌒ヽ|||　l||　l|}|iiiiiiiiiiiiiiii|{||　l||　l||/⌒ヽ|!||: ||/⌒ヽ||　l||　l|:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
　　　|∬||∬||:.　　||§|!||:.　　|||∬|∬||}|iiiiiiiiiiiiiiii|{||∬|∬|||:.　　||!|§||:.　　||∬||∬|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
　　　|凶||凶|iﾆﾆﾆi|凶|!|iﾆﾆﾆi||凶||凶|}|二二二|{|凶||凶||iﾆﾆﾆi|!|凶|iﾆﾆﾆi|凶||凶|:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::

六１０．
同じ頃。
葬儀の後処理を終えたアレクサンドとエンジュはやっと、
今日初めての落ち着いた意見交換を行う事が出来ていた。



　､-≦_ー‐　 -=ﾆ`ー､ヾ,ヽヽﾄ､ヾﾖヽ'i Y,r‐'‐ｲ
　　〉三_‐_´＿　`ミ､_ヽ`ミﾄ､ﾄ_ﾐ;;W_ヽi ﾘ∠'-三!,
　彡ﾗ'_´-_‐' -‐三ミｰ_-ミﾐr'　　　　`"┴ミﾐﾐ≦
　 〃彡-_　,-__ヽ≡_－ヾミ{_　　　　　　　 ﾄ＼､!
　ﾑ,∠／-,-',,.-, |彡_／~~≡＿　　　　　　|ﾊ!ヾ'
　　}三三{　／)　ﾄ'､'､　　　`ｰ‐-'_､　　, 　 !　　　　「サクラダ殿へモスフングス、ですか。
　. f三三ﾑ !r'(　　　ヽヽ､　　､ r-､ミヾi|!|,-|　　　　どうやら穏便に済ます気は無いようですな」
　 f三シ´ } y'/　　　　＼｀ヽ,ヾ|!､ !ヽﾐﾘｿ|Z!
　ﾉ彡ﾞ　　ヽｯ';:;;:､　　　　 ＼ ｀ヾ≧ｷ};=＝iﾘ
　:ﾞ　　　　 /;:;:;;〃_,,､_　　　　｀ヽ{_ノ'-' 　 !
　ヽ,　 i　 /;:;:;=､´,=ﾄ､ﾞ_　　　　　　,.-､. 　 i
　ヽヽ,i'　 i',彡;:;, 　 ﾞﾄy_`,ｰ-..､　　ﾄ､,.＿　 〉
　　ヽヽ,　 ＼ﾚ: .:,　 ｀'ヽ'､'w,_ ｀ヽ､〉"
　､　ヽヽ, 　 ｀に;;::;　　 ､ ｀ヽ_~)'r'´
　ヽ　 ヽヽ　　 ヾrシ　　　ヾ_-ｧ‐'
　　ヽ　 ヽヽ　　 ヾfｼﾉ,　, 〃/
　　　ヽ　 ヽ＼_,..-ヾｶｿﾉｿｼﾉ｀ヽ､
　　　　ヽ､_ソ／）､　 ｀＼´　　 　 ｀ヽ
　　　　ヽミ_-' / ﾉ＼　　 ＼　　　 　 |
　　　　 ヽ ￣　´　　＼　　 ＼.



ロイの手配した二人の薬師からもそれぞれ、
『間違いなくモスフングスが含まれている』との調査結果も上がってきている。

いよいよ大臣側も抜き差しならぬ状況になってきたようですね、と
抗争の激化を予感するアレクサンドに頷いたエンジュは
妙に落ち着いたような、悟ったような表情で言った。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　/　'　　 　 　 　 l 　 　 l 　 　 　 ヽ＼　　 丶　　＼！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/ /　　　　　　 ! 　 |　　　 |　　　　 　 ＼丶　　 ＼　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐十'′/ /　　　　　　　l　　ﾄ、　　 |　　　　 ＼　 ＼　　 　 ヽ、 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ　 {　ｌ　 ,′　　 l　 ﾊ　｜｀､　　ﾄ､ 　 　 ヽ　<⌒ヽ、_　　　∨厂｀丶、
　　　　　「はい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　ヽ、ヽ|　 l 　 ｌ 　 |　{　l　| 　 ヽ　 、丶、 ヽ ＼＼ l　}　￣二7′　　　l
　　　　　 カーディナルの市場、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　 |　　| 　 |　ﾚ七ﾆ二￣＼丶　 }ﾍ |＼ ｀ / 厶　　　ハ　!　　　|
　　　　　 薬師、薬草師全てを洗ってみましたが、　　　　　　　　　　l　ﾄ､＼　ヽ＼=ｷｔぞﾗ　　}ﾉ／　j/　　了/￣　　 /　 }∧ 　 l |
　　　　　 誰も知らぬようでした。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ヽ｀ヽ、　＼__￣　　　　　　／　 　 -ﾍ／ﾚﾍ /＿,　　l 　 | ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ}　　｀7ｰ一′　　　　　　　　　 ,′　　 　 {´￣｀ヽ､い |
　　　　　 あるいはギャブレーの子飼いやも知れません」　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 Ｖ了＼ 　 り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└-- ､　　　　 ,　　　　　　　　l 　 　 　 ∨ 　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰこ￣　　　　 ,　　　　|　　 　 ／　　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ,　く　　　　 l　　 ／　　　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀一'´／ ∧　　　/　／　　　　/　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ィ　 /／! 　 ' ／　　　 　 /　　 　 　 ＼



目的は国王毒殺の罪を着せる事だろう。
受け身になってしまった彼は何とか相手の尻尾を掴もうと
葬儀の合間にも忙しく調べ回ってみたのだが、残念ながら何も成果は得られなかった。

六１１．
そしてそれを、やらない夫達には言わないでおくとの判断に
賛成しかねるアレクサンドが何故に、と理由を尋ねると



　 ﾌ彡三ニ＝=-ミミミミﾐﾐWミW杉彡彡三ニ＝=彡W彡ｲN
　彡彳ニ彡''´￣￣￣¨｀ー=≠=─''¨￣￣￣¨`'''ァ＞ヾミシ
　Σ彡　ｲ ::::::::　　　　　､　　i li　　　　　　　　　　 Zミミ三ﾐ
　 彡 彳ﾘ ::::::::　　　＼　 ヾ {;! }　z=　,ｨ　　,　　　　ヾ彡 ,Zﾉ
　　ゞ　 /! -=＝ミ ｰ-　ヽ　} i!　　/／　 ／,ｨ＝=-　 }ィ　./　　　「しかし。
　　Y⌒}! '':::::::＞''￣￣｀ヾ＼|..i!../ ,z三≦─ ､　　　.ﾚ⌒!　　　　やらない夫君に言わなくて良いのですか？
　　 ! }ﾄ|＼__{{弋￣t__ｧ-z}ﾊ;;;;;;;;;;Y　x t__ｧ￣フ}}__／! il ﾘ
　　 ! i! i　::::人　`ー ==以 ﾉ￣　{!　ﾐ== ─''´ ﾉ　　 |!　{!　　　　彼ならば―――」
　　 ヽ　:::::: ゝ _＿＿ ／::　 　 ﾄ＼　__＿ ／　　　| ノ
　　　 ヾ!　::::::　　 ￣￣.::::::::i　 　 ! ヽ ￣￣　 　　 ,;/´
　　　 ,从;;,,:::::　　 　 ...:::i . : |　 　 !　::..　　　　　　.;∧
　　／:::::ﾊ;;,, ::........::::::::::::ヽ::::i　　 .ｨ..::　 　 　 　 ,,;;;i::::::＼



淡々と答えるエンジュにしては珍しく、
ここらで格好を付けておきませんとね、と笑みを浮かべている。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rf(￣ヽ　-―　´￣￣　｀ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,へく入/￣￣￣￣　｀ヽ、　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　／　イ　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.、　 ∠ 　/ 　　　　｝　ヽ　　　｀ヽ、　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣.フ´./ 　 　 　 /　　ﾊ　　 V　 ＼　 　 ヽ. 　　　ヽ
　　　「私は騎士です。　　　　　　　　　　　　　　　／ ／　　　　　 /　　　 {　　　ヽ、 　　　　 ヽ 　　　:.
　　　 そして父です。　　　　　　　　　　　　　　　. '/{/　　 　 　 　 i　{ 　 　 ＼　＼ ＼＿.ノ　　 ＼　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.八 }　　/　　　　 !　Ｖ　 　 　＼　} ￣｀　　＿ ＼.ヽ.　l
　　　 彼に王女と息子を預けている私が、　　　 /　 ,ｲ.　　　i　/＼_ヽ_.､.　　　ヽ!　＿ ノ　　　　、.、ﾘ
　　　 これ以上甘えるわけにはまいりません。. 厶.イ八 　i　| ,イ￣ヽ.＼＼i ヽー―く￣　￣　ヽ、∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ヽ{　ヽ. {八 { ﾃt::: ｧヾ. ､.!　　}、　>) ｀ヽ＿＿_ ヾ{__
　　　 喩え汚名を着せられようとも―――」　 　　　 ｀　　ヾ!　ヽ、 ￣ 　 　 ﾉﾊ ﾉ ） //　　　　 ￣｀Ｙ　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 　 　 　 　 　 ノく.＿〃-――　 　, ｲ　　　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　 　 　 　 　 ´ 　　/￣フﾌﾂxz､／ .ノヽ　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ _ _　　　　　　 /: : : : : : 　 {ト､ 　 　 ｿ人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　ノ: : : : : :　　 ∧. }! 　　(’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ -― く´: : : : : : :　 　　∧ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}＿＿＿＿＿＿_∧＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　∠ ＿＿＿:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＿_ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::￣￣￣￣￣::::::::::::::ヽ

六１２．




┏──────────────────────────────────────────────┓

　　それぐらいの、覚悟は有ります。

┗──────────────────────────────────────────────┛





その頃、王都カーディナルから真っ直ぐ南。
オラン公国との国境である、コロラマの町へ急ぐ馬車があった。





　　　　　　　　　　　　　　　　 _　　　　　＿＿上ﾆニニニTR
＿＿―＿＿＿＿＿￣￣￣ rﾆニニiｦニｺT彡t―.王ニニニニﾆ＝､=┬┬┬-D＿――￣＿＿＿￣―
￣＿＿＿￣―＝＝＝━＿├──────''´￣￣￣￣￣||ﾐ:.:.: : ::┴┴┴ｦﾉ＿＿＿＿￣￣￣￣‐―
　＿＿＿―＝＝＝―＿＿ │: : : : : ┌──┐: : : :┌┐: : : :||il───┐li　/┬──┐―‐――　＿＿＿
￣￣―‐――　＿＿＿￣ . │┌┐: │┌┐│: : : :││: : : :||: : : : : : ::│:::/:┬┬┬ヲ＿＿＿￣―
　――――　　　　＝＝　￣ﾌ::││: ││││: : : :││: : : :||:──┬─V:┌───､＿＿￣―＝
＿＿―＿＿＿＿＿￣￣　 /:::││: ││││: : : :││□: :||:──┴ ‐/∧: : : : : : : ＼￣＿＿＿￣―
￣＿＿＿￣―＝＝＝＿　/:::::││: │└┘│: : : :││: : : :||: : : : : : : //: : ＼／￣￣￣￣￣/￣￣‐―
　＿＿＿―＝＝, ' ´,-i i-｀'､:::::└┘: │　 　 │: : : :└┘: : : :||: : : : : : //: : : : : ／´三三三 ／―　＿＿＿
￣￣―‐――. ./ ハV | | .//ヽ::::: : : : │　 　 │: : : : : : : : : : :ﾉ: : ,､: : //: : : : : /三三三三 /＿￣―
　――――　 ｛ ﾍ　V | |//　 >',::::::::: :│　 　 │: : : : : : : : : //ノ/∧://＿＿／三三三三 /＿￣―＝
＿―＿ ＿＿ i.l 　＼V..|/ ／／廴､:: :│　 　 │: : : : : : : ／／_ ././//＿_／´￣/￣ヽr――-､＿￣―
￣＿＿＿ ―..|.|---｛　 ヾ／＿｛i|ﾐ: ｰ┴──┴──＜_／ , -''´ ￣ ｀' ､ 　 　 /　 //∧ ∥/ﾊヽ､￣￣‐―
　＿＿＿―＝|.|_ - ''v/ソ､＿___|.|├─======-==-==-=／／ヽ　|　/ﾊ　'nﾆﾆﾆﾆﾆ-----|/ ／ヽ ',　　　　＿
￣￣―‐――.' ,　 ／/| i ＼￣ | |/i l┴──､ ､ ﾌ ┬─/ /＼　 V //　>､ ',三三三三三V /――＋
　――――　 .V/　./ .| .i　　V//ｦ┘│　　　ヽ....　│　7 .ﾄ､＿＞-､／＿ ゝ',三三三r==ﾆﾆﾆ彡ﾌ ﾉ＝
＿＿―＿＿＿ V /. . |　i　　///.. .　└─　　　｀''---.┤ |＿__it j　｝ﾐ=､　|　iﾌ＝ . ､ヽV ＼_WＷ/|WWWW/|WWWW／
￣＿＿＿￣―＝＼ﾐー　>／／　　　　　　　　　　　　　 { ﾊ　 ／/不/ヽ｀'-i　｝　　　 ｀' ､≫　　　　　　　 　　　　　　≪
　＿＿＿―＝＝＝｀ー―''´　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ V　./　|　ヽ　V ./＿――￣￣≫　　ガガガガガガ！　　≪
￣￣―‐――　＿＿＿￣￣―――　　＿＿＿　＝―　　＼ソ-.上_＿ｿ／―＝＝＝━≫　　 　　　　　　　　　　　≪
　――――　　　　＝＝　￣￣￣￣￣ 　――　＿＿――_ ｀''ー---'''´――＿――￣ ／MMMMMMVMVMMM､＼

六１３．
馬の負担など考えない、片道限りの移動で大揺れに揺れる馬車の中では
カーディナルを出る前から泣きっぱなしの雛苺を、



　　_＿_
　　{l:.:....　:￣:ｌ}^^'ヽ、　　 ,ｨ= ､_
. 　 {l:.:　 　 :.:ｌ}:.:､:.:.:.:.ヽ_〃　／.:｀^冖=.､、
　 〃　　　..:〃-:-`‐:.:.:{|:.Y__:_:_:_:_:_:.:.:.:〃
,.ィl　　　　 :.ｌ} , ｨｱ´丁ﾌヽしヽ丁ｽ:.:.:.:.ｌ}
　ア　￣｀`┴／　　　　　　　　　 ヽヽｊ｝
:,:フ:.:‐.､　:.〃/ 　 　 　 /　　　　 　 ヽ>
　　　 .:/ヽ'' /:　 　 　 / /　　　　　　 ヽ
　　..:.:.ｌ:l.:.:　l:.: 　 :　 / /:　　 　 　 i　　 ',　　　「お姉様………。
､:.:.:.:.:.:|:l:.:.:..!ｌ.:　 :.:　!l ｌ.|.: 　: 　 　 l　 　 |　　　私達、もうローゼンへは戻れないの？」
:.:＼:.:.:ｌ:l:.:.:.:l !.:__:._:_l_l_l_レ .:|　 　/　:/.:.!|
:.:.:.:.:Y_ヽヽ､ヽヽﾄ､Ｎ ｌ:ｌ l:.:.:/:/､〃:.:/:.:/ﾘ
ニ._-}二二ア ｃ＝=ュ` ∨_/∠7／イ、
‐-:.:.:_Y二ｱ､　 " " "　　'////ヽｰァ:.:.＼
三-_　 て＼_丶、 　 ‐-_ヽ!｣｣ﾉ_ l､￣:.＞′
'　　　　　　 ヽヽ/T二´:..｀Y|ヽｭ　lヾく
:.:...　:. l.;.:..　./ /Llノﾌ´ヽ,く |ヽ ヾｭ!. ヾｭ
へ/:.:` 　 ＜/_/|ノｭ　　 }　,l　:.:ヽ､:ヾｭｌ}
､/:.　　　　.:　／｀ヽヽヽﾉ　l l :.:.:.:.:.:ヽ／
,:ヽ､:.:.......;.-/　　 　.ヽヽﾄ:.:.l　　 .:.:.:/
:.:.:.:.:ヽ:.://　　 ..:.:.:.:.:.|::|:ｌ}､:.:.:.:.:.:.:/
　　:.:.:.〈:.: 　 　 ..:.:.:.:.:|::|:|}、｀` ｰ′



ノリが繰り返し言い聞かせている。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　／.: : : :.:.:.::l.:.:./.:ミﾐ､ｨｲ彡i.:.:.::l:.:.:.: : : : :､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ . : : :.:.::l.:.:.l.::/ 1:lミﾐV/彡l.:.:.:.l.:.:.:.:.:..:. : : ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　: : : :.l.:.l:.:.:l.:l　 |.:l´｀`'"´　|.:.:.:l:::::::::::::.:.:.:.: : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　,′. : : l:.:l.:.l.:.:.l.:l　 |.:l 　 　 　 |.:.:/l.:.ﾄ､:::::::::l.:l.:l.:.:.:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i.:l.:.: : : l:.:l.:.l.:.:.l:.l＿|:.lノ　 　 ､_|./_.j.::! i:::::::.:l.:l.:l.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |.:l: : : : |.:.l.:.K´l:「二l/　　　　　l'￣l./｀|::::::./.:l.:l.:.:.:!
　　「ヒナちゃん、泣かないで。　　　　　　　　　　　 |.:l: : : : |:.:l.:.l.ィ行〒｀ヽ 　　 / ィ行〒ﾃ.::/i.://:.:.;′
　　 お父様は騎士なの。　　　　　　　　　　　　　　 |:ハ. : .:l:.:ﾄ､l/ l f:11　 !ﾆﾆﾆ!　　iﾄ‐ｲ! l:/ l//:.:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　 __ヽ.:.l.:.|ﾄ､. ヽりﾉ　ﾉ　　　 ',　　リﾉ　 ﾉ ハV
　　 だから、その娘の私達も　　　　　　　　　 　 ,．'´. : : .｀Yい ｀ー‐一'　　.　 　 ｀ｰ---‐'　,ﾍく::i
　　 覚悟を決めなきゃ―――」　　　　　　　　　/ . : : :.:.:.:.:.:.::＼ヽ　　　　　　'　　　　 　 　　/_ノﾉ.:',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l : : ::::.:.::.::::::::::::「｀ヽ　 　 　- ‐‐-　　 　 　.ｲ.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |: : :::.:.:.:::.::::::::;． '"´ ＼　　　　 　　　　／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |: :.:.:.:.:.:.:.::／　　　　　 |｀ヽ､ _＿ _,. ィ ´￣｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ∧:.::.:.:.:.::/ 　 　 　 　 　|　　 　 　 　 ﾉ　　　 /.:.::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l: :`ヽ.:.:.:l　￣`ヽ　　　　L　　　　　　! 　 　 ム─-､.::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ⌒ヽﾚ'^ﾌ´　　　 ＼　　　＼　 　 　 !　　 /　 ﾄ､　 l.::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,． '"´　　　　　　　　｀7 　 　 ＼　　 l　 ,.ｲ　 /　 V.:／



モスフングスを送りつけられたエンジュの動きは素早かった。

即座に娘達を妻の実家、バーズ連邦オラン公国へと向かわせ、
全ての執事、メイド達に多めの給金を渡してカーディナルから出したのだ。

六１４．
その動きに遅れる事、実に五時間と半分。

夕方だと言うのに明かりも無かったサクラダ家に突入したシンジは、
めぼしい金品すら残っていない館の内部を走り回って大声を上げていた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,､ヘ、　　　,,,､-ｰｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／::::::::::::ヽ､／::::::::::::::::ﾍ___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　「:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',::::｀i、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }::::::::::「:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',:::::',:ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',:::::',::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::/::::::::::::::;ヘ:::::::::,､::::::::::::::::::::',:::ﾍヽ　　　「館はもぬけの空だと！？
　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ:::::::::::ﾉ:::/::/:::::!ヾヽ:／ﾍ::::ヽ::::::::::::::}:::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 /;:/:::::／::::ﾉ:::i::::::::ﾐミ∨彡;）::::::〉:::::::::::::::::::::ﾍ　　 ちくしょう、僕はこんな役回りかよ！」
　　　　　　　　　　　　　　　 {; l:::::(::::::ノ:::::::);::::ﾉ　　　　/:::::/::::::::）::::)::::::ﾄ;:}
　　　　　　　　　　　　　　　 {　!::::::）::）)::／　）::)　　　　ヽ;:）ヘ:く::::(::::::::ハ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＝/7::!＼ （::/ 　　 　 /:/／ﾉノ）::）:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ゝ(（ヾミ三ﾐゝ′　ヾ（(彡三ﾐ∠ﾉﾆヽ
　　　　　　　　　 　 　　 　 　 　 ∨ﾍ　　/ /｀`　　　　　　 i　i 　 /ノﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ﾍ 〈 ノ　　　 ､,, 　　 　し 　/ ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ` ）:.､　 　Fニ二二ｊ　　　 /ソ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾘヾﾄ、　|::::::::::::::::::!　　／り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ヾｌヽ L二ニﾆ┘／iｿﾉ
　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿ ,,,､r､/＜!　 ＞　__　＜ 　:!フヽｰ､,,,＿＿＿＿
　　　　　　　　／::::｀´::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::｀ｰ -､,,,,-ｰ::´::::::::::!::::::::::::::::::::::::::::::::｀´::ヽ
　　　　 　 　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::|;;|;;|::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::,':::::::::::',
　　　　　　 /:::::::::::::::';::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|;;|;;|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,':::::::::::::::',
　　　 　　 /:::::::::::::::::::';:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀::ｰ:|;;|;;|:ｰ::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,':::::::::::::::::::',

六１５．


　 |＼　　　　 /＼　　　　　/ |　　　／/　 /
＿|　 ＼/＼/　　 ＼／＼/　|∧／　/／/
＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/
∠　　　ちくしょおおおおお！！！　 ＞
／＿　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ ＼
￣　/　／∨|　/Ｗ＼　　/＼|＼　 .|　￣
　　/／　　　|/　　 　 ＼/　　 　 ＼|

:: :: :: ::⊂二⊃ :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :⊂二⊃ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, 'ﾆ￣ﾆヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （　二ニ ﾆ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／~＼　ヽﾆ＿ﾆノ 　,／⌒ヽ
＼　　　　 ～ ､　　　　　　／⌒ヽ,,　　／ 　 　　＼　　　　 ／　　　　　^ヽ､
　　ヽ,,,／　　　＼_　,,,,,／　　　　　''''　　　　　　　　＼,,,／　　　　　　　　　＼ 　　／
　　　　　　　　　　 ~　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ー '
￣￣￣|＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／|￣￣￣￣￣￣￣￣￣
田　田 |:::..|　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿　　　　　　　|.::::|　田　田　　　 田　田
　 　 　 |:::::| 　|iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii|;;;;;| 　 　　　　　|:::::|　　　　　　日
田　田 |:::::|　　|　＿_　＿＿＿＿＿_ ｜ | 　 　 　 　 　 |:::::|　田　田　　　 田　田
　 　 　 |:::::|　　|　|//| |//////////|　|　| 　 　 　 　 　 |:::::|　　　　　　日
=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=i=

六１６．



　　　 　 　 　 　 　 ／　　　 ＼
　　　　　　　　　／　 　　 　 　 ＼.
　　　　　　　　　|　　　　　:　:::::::::::|
　　　　　　　　　|　　　　　:::::::::::::::|..　　　　　　　　　　　┏┓　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏┓
　　　　　　　　　|　　　　::::::::::::::::::|.　　　　　　　　　　　 ┗╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┛
　　　　　　　　　|　　　::::::::::::::::::::::|ヽ..　　　　　　　　　　┏╋──────────────────────╋┓
　　　 　 　 　 　 ヽ　　　　　　 /_./|＼.　　　 　 　 　 　 ┃｜　　～　やらない夫は　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｜┃
　　　 　 　 　 　 　 ＼＿＿,-‐´~/:::::::＼.　　　 　 　 　 ┃｜　　　　　　約束を守るようです　～　　　　 　 　 　 　 　 ｜┃
　　　　　　　　　 ∠＿＿＿ ,-‐'~.::::::::::::::)　　　　　　　 ┃｜　　　　　　　　　　　Episode．二人の騎士　　　 　 　 　 .｜┃
　 　 　 　 　 　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　 　 ┗╋──────────────────────╋┛
　　　 　 　 　 /::::＿＿::::::::::::::::.::::::::::::::/.　　　　　 　 　 ┏╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┓
　　　　　　　/／:::::::::::::＼::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　　 ┗┛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗┛
　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::|
　　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::|
　　　　　　　　|＼::::::::::::::::.:::::::::＼:::::|._
　　　　　　　　 |::::＼＿::::::::::::::::::::＼|:＼　　　　　　　　　　　>:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　　　　　〈:::::::::::＼:::::::::::::::::::::::|::::::::|　　　　　　　　r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　 　 　 　 　 /:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::|::::::::＼　　　　　 /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　　 　 　 　 　 /:::::::::.::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::｀|　　 　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　　 　 　 |:::::::::::::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::::/、　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　 //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
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　　　　　　　　　 　/＿_|￣＿＿__/::::::::::::::::::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 　 　 　 　　　　　ヽ:::::::￣|　　 |::/＼＿:::::::｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
.＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ／|/　　　＼＿__＼::::::::::::::: ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　 　 　 　　　　　　　|　|　|￣〉 〉 〉〉〉＿| 　＼::::::::::::フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
.￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ|￣::´::´´´ヽ　　　　＼:::::::´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　 　　　. 　　　　　 ヽ:::::::::::::::::::ヽ　　　　　 ヽ:::::::::::　ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　 　　　　　　　　　　　　 ヽ::::::::::::::::::::ヽ　　　　　ヽ::::::::　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ


　 ─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　第六章　　剣の騎士と盾の騎士
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────

六１７．
午後七時五十六分。
その時やらない夫は例によって真紅の風呂に付き合わされており、
ジュンは一人部屋でむくれていた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,　- - ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , - ''' ´　　　　　　｀.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　 ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 .　　　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/ i　 /　 Kli　　　　|i　ｌ　i...　　　 ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |/ ||　　|iﾊ　　　　il　|　|　　|　i　　|　　　「ねぇ………やらない夫？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/| |　＼´｀'ヽ　　　/|　| /|　 /　 |　 .|　　　 今日は疲れたね」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .| ヽヾ ｀､| Vヾ　/ソ-..|/||／/　 |　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ｀､＼ヾ-=-V　､_ ___ .|.|//,､| |　|| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄヽﾊミ ,, ,,　､　　￣ .|//|　} .|　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ|ilト ヽ　　 _　　""　|ﾚ .|.ノ　|　| ||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚハ|i|＼ 　 ｀ , イ　|　 |　　|　　||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |　 ｀i ´　 　　|　 |　　|　　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾑ ､-､_|　　　　 .|　 |　　i　　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　| |　 ´　　　　　|　 |ヾ､ |　　ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　.| | ､_　　　　,,　|　 |　　ー ‐ ､|i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./　.| |　 ｀　r‐'´　/　/　　　　 　｀i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿/　///　　　　　　/　/　　　　　　　|＿
　　　　　　　　　　　　　　　 ._-=ニ／　///　　 　　　 /　/　　　　　　　 ヽ三ニ-_＿
　　　　　　　　　　　--＝-=三　＝三　＝－ =　三＝　三　￣　＿　￣_￣￣
　　　　　　　　　　　　￣　￣　　　￣三　￣　　￣ニ　￣＝-=￣　　　´´



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 上: : : : : :＞‐-.､__　　　　 　 　 ／　　 　 　〉二〈　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 レ＜＞㍉､: : : : : : : : :＞　 　 　 ／ 　 　 　 　｜ﾆﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／: : : : : : : : :ヽﾐ､: : : :/＞ヾ,＿_ン　　　　　　　　 |三ﾆ|
　　　「そうだな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;. -‐- ､: : : : : :=ド､ヽ// 　 j `.-､　　　　　　　　 /ﾍニ７⌒)
　　　………大勢の人が泣いていた。　　　　　　　　　　　//_／￣ヽヽ |: : ニ||: }}: ≫≪=: : :＿≫　　　　　　/　ｨﾆにン-､
　　　国王はみんなに好かれていたんだな」　　　　　　　｜|｀|`i⌒j ｜|｜二//: :}}: 二//: ／　　 　 　 　 　 /　ノ ／　_／-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/∧ ゝ二 ノ ﾉ: !二ノ＿ }}: =//: :＼　 　 　 　 　 　 |　　(__,イ＿,. -<
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ヽ｀ ｰ--イ : =∀ﾆ|r‐㍉､｣｣､}: : : ≫　　　　（`ｰ‐┴ｰ┴‐ー┴---'‐'")
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: : :｀:ー┬': : =/二 ＼: : :=}}ﾆVX´　　　　　　　￣,《｢￣￣￣￣｢￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　": : : :|=: |=: : =|ﾆ: : : : ＼ノ=三|:､＼　　　　　　ri´: : |￣￣￣￣|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : :|二|二二|ﾆ : : : : }}}=〉ﾆ=ト:二ユ__　　／: i!: :_ｘ≦'"￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : :ヽ=|二／ﾆ: : : : : }}}=|ニ=|ﾆ: : : : 〃´: : ;ｘ＜: :: :: ≧ ＼　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

六１８．
┏──────────────────────────────────────────────┓


　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : :.、: : : : : : : : ヽ
.　　　 /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　/: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !
　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|　　　　「国王様ァ～～～！
　　　|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/　|:./⌒ヽＶ: |.: : : | V　　　　 国王様ァァァァ！！！
　　＜ : ｣_: : / 〈　　{}　|/　　ﾚ　 {}　}|:./ヽ: : |
　　＜:: |. 小{　　 _,,.. -　　　　､-.,_　 ﾚ{: :.|ヽ:|　　　　　　ううっ、うううううっ」
　　　厶ﾍ　ﾊ　　　（ (　　　 ､　　) ）　 {ﾊ/　V
　　　　　 ＼_!　　　) ）　＿　'　（ (　　 !
　　　　　　　 ヽ　 （ ( ／　　 ｀t ) ） ／
　　　　　　___,ｒ| ＼　 {　　　　/　／
　　　　／:/::::| ＼　 ヽ ｀_⌒ ィ ´
　　／::::::/::::::|　　＼　　　´ ∧＞､
／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /　 !＼::`ｰ- ､
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,. '", ィ　/　 / 　 /{　/ 　 /　/__,.レ 　　､/　 | ｀ ｧ ､:::::::::::::::::::::::::::::/　 /::::::/
　　/　 /　.ｲ 　 /,!-rー'' |."/|　 !　　 　 ,ﾍ　l　　|　　＼:::::::::::::::::::/ 　/::::::/
　 /　 / 　 |　　l　|/＿___,|./ |　ｌ 　　　 / |ヽ|　 l　　　|　＼:::::::::/　 /::::::/　　　「優しき死の神よ―――
.　l 　/l　　|　　|ｧ≠＝ﾆﾆlﾄ、! ﾄ、. 　 ,'　.l　|＼|　　　 l 　 　i`< 　/ヽ､/　　　　どうか、どうか私達の偉大な国王を
　 | / {　　 l　.|`　ト- ':::::::/` .ｌ| ヽ　　l　 | .|　 l 丶 　　l　　 | | `< 　 /　　　　　安息の楽園へ導き給え―――」
.　 !l　ﾍ 　 lヽ|cゝ!;;;;;;;___/　　 ! 　＼　! ,ミヽ､N !　＼　| 　 .l l　　`y'
　/i|// ヽ　 ',　:::::::::::::::::⊃　 　　 　 ヽ!　/ ヾヾｌ､|　 　 |　　! | 　　|
./ / /　/ ＼ '､::::::::::::::::　 　　　 　　 　 /:`:::':::::`ﾄ､l 　　!　　!|　　 !
' / /　/　.人＼ゝ.　 　 　 　,　　 　 　⊂ヽ､;:::　／ゞ! 　j　　|　　 .|
/ /　/ 　/　ヽ　`　　　 　　　　　　　　:::::::::::`~ぅ／.|　 ∧　 ! | 　|
／,.ｨ' 　 |--ー>,　　　　　ｒ ､　　　　　　::::::::::,.-" ,. l ./　∧　',ｌ　 |
／::!　　|::::::::/ 　>,　　　　` ’　　　　　　 ∠ -ｧ''／|/ 　/　＼ゝ　!
::::::| 　 !:::::::/ 　/　.ﾄ､　　　　　　　　　　　　ｨ'.〆 ／　./!　　 ｜　|
::::::| 　|::::::/　 /.　 |＼＼＿＿＿ ,. -‐ '"´ /ｨ　／　,ｨ'| l　　　 |　 |
:::::::|　 .l:〈　､/ 　　l　 `丶＿＿,,. - ー''／／／ 　,<　.| | 　 　 |　 |
::::::::|　　|::＼ .＼　　 　　　　　　　 ／/／／　／:::::＼| |　　　 |　 |


┗──────────────────────────────────────────────┛

六１９．
実際に会って話す事は適わなかったやらない夫に褒められ、
嬉しくなった王女が照れ隠しに言うと



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　' ´ ￣　`　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 '´　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ィ　..:　　　　　　　　　　 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　 ..:/　/　 /　　..::// i! 　 　 　 '.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　./　 .::/　/　 ,'　　 .::/.,'　!i　　i　　;　.',
.　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 ,.'　　イ　,.'　 /　/ .::/ /　 !i　 .ﾘ　　i　 .',　　「私から見れば、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/.::.　〃,.;' /.:/ ,;ｲ //.:/i i从i! ../　　 |　　i　　 頼りないお父様だったんだけどな………」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ ,,;ｲ　{ ././:-i-/､!.:/ﾊ从人/.::/　　 iﾉ　..::|
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ ／.:　 /i　/! rう卞､　　　ヾー /､从 /ｲ 　 :|
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／,,; ' ／　./.::| ﾊi! 弋zノ　　　 ｨﾃﾌﾊ // /.ｲ {!...::|
.　　　　　　 　 　 　 　　　 ／.::〃／　.／　.:|{人! ""　　　 　 弋zノ,ﾒ/ｲ{　! j! ./|
　　　　　　　　　　 　　 ／　　.／　,.::'　　./小 八　　　､　'　　　 ""././ﾉ /ノ / ;;
　　　　　 　 　 　 　 ／　....:／　,...'　　 ／ .ﾉ　 　 >.､　　 ￣　　　,ｲ:/　.// .,' 　:|
　　　　　　　　　, ,;;'　　 , ;'　 ,,ｨ　　.:／　 //　 ／r=/` ー‐t '　7イ/ ／　 /　ﾉ :!



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏───────────────┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　父親の偉大さなんてもんは、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　後から分かるもんなのさ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗───────────────┛



つい先日十八歳になったとは思えない、達観した声が返ってくる。

六２０．

┏───────────────┓

　　　やらない夫もそうだったの？

┗───────────────┛



王女の問いかけに、ふと自分の父親の事を思い出したやらない夫。
ややあって―――あらゆる意味で規格外だった父を偲んで答えると、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 上: : : : : :＞‐-.､__　　　　 　 　 ／　　 　 　〉二〈　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 レ＜＞㍉､: : : : : : : : :＞　 　 　 ／ 　 　 　 　｜ﾆﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／: : : : : : : : :ヽﾐ､: : : :/＞ヾ,＿_ン　　　　　　　　 |三ﾆ|
　　　「―――いや。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;. -‐- ､: : : : : :=ド､ヽ// 　 j `.-､　　　　　　　　 /ﾍニ７⌒)
　　　小さな頃から凄い親父だって思ってた。　　　　　　　//_／￣ヽヽ |: : ニ||: }}: ≫≪=: : :＿≫　　　　　　/　ｨﾆにン-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜|｀|`i⌒j ｜|｜二//: :}}: 二//: ／　　 　 　 　 　 /　ノ ／　_／-､
　　　強くて、でっかい背中が憧れだった」　　　　　　　　/∧ ゝ二 ノ ﾉ: !二ノ＿ }}: =//: :＼　 　 　 　 　 　 |　　(__,イ＿,. -<
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ヽ｀ ｰ--イ : =∀ﾆ|r‐㍉､｣｣､}: : : ≫　　　　（`ｰ‐┴ｰ┴‐ー┴---'‐'")
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: : :｀:ー┬': : =/二 ＼: : :=}}ﾆVX´　　　　　　　￣,《｢￣￣￣￣｢￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　": : : :|=: |=: : =|ﾆ: : : : ＼ノ=三|:､＼　　　　　　ri´: : |￣￣￣￣|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : :|二|二二|ﾆ : : : : }}}=〉ﾆ=ト:二ユ__　　／: i!: :_ｘ≦'"￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : :ヽ=|二／ﾆ: : : : : }}}=|ニ=|ﾆ: : : : 〃´: : ;ｘ＜: :: :: ≧ ＼　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

六２１．
その単語に感じ入るものがあった真紅も、感慨深そうに同意した。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,　- - ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , - ''' ´　　　　　　｀.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　 ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 .　　　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/ i　 /　 Kli　　　　|i　ｌ　i...　　　 ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |/ ||　　|iﾊ　　　　il　|　|　　|　i　　|　　「でっかい背中、か。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/| |　＼´｀'ヽ　　　/|　| /|　 /　 |　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .| ヽヾ ｀､| Vヾ　/ソ-..|/||／/　 |　 .|　　うん、そうだね」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ｀､＼ヾ-=-V　､_ ___ .|.|//,､| |　|| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄヽﾊミ ,, ,,　､　　￣ .|//|　} .|　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ|ilト ヽ　　 _　　""　|ﾚ .|.ノ　|　| ||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚハ|i|＼ 　 ｀ , イ　|　 |　　|　　||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |　 ｀i ´　 　　|　 |　　|　　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾑ ､-､_|　　　　 .|　 |　　i　　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　| |　 ´　　　　　|　 |ヾ､ |　　ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　.| | ､_　　　　,,　|　 |　　ー ‐ ､|i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./　.| |　 ｀　r‐'´　/　/　　　　 　｀i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿/　///　　　　　　/　/　　　　　　　|＿
　　　　　　　　　　　　　　　 ._-=ニ／　///　　 　　　 /　/　　　　　　　 ヽ三ニ-_＿
　　　　　　　　　　　--＝-=三　＝三　＝－ =　三＝　三　￣　＿　￣_￣￣
　　　　　　　　　　　　￣　￣　　　￣三　￣　　￣ニ　￣＝-=￣　　　´´



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏─────────┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　……………。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗─────────┛

六２２．
┏─────────┓

　　　やらない夫？

┗─────────┛



会話が止まったので、不審に思った真紅が彼を呼ぶも答えは無く、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　　　　　　　　　　ﾁﾘﾁﾘ　　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　　　　（―――来る）
　　　　　　　　　　　　　　　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
　　　　　　　　　　　　　　　　ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./



今まで一度だって外れた事のない、首筋を刺す感覚が一気に強まったやらない夫は
剣を握る手に力を込める。

一分後。
町の時計塔が、今日最後の―――二十時を告げる―――鐘の音を響かせた。



　　　　　 　 　 　 　 　 i
　　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　∧
　　　　　　　　　　　 ﾉ..λ
　　　　　　　　　　　/…λ
　　　　　　　　　　　====､、
　　　　　　　　　　 |.|IIII|.|ｌ
　　　　　　　　　　 /∴∴ヾ､
　　　　　　　　　 l,i,i,i,i,i,i,i,i,i,iili;,　　　ｺﾞｰﾝ…ｺﾞｰﾝ…ｺﾞｰﾝ…ｺﾞｰﾝ…
　　　　　　　　　_|I I I I I I_|;}､　　　　ｺﾞｰﾝ…ｺﾞｰﾝ…ｺﾞｰﾝ…ｺﾞｰﾝ…
　　　　　　　　　| |γ⌒ヽ| |ll|
　　　　　　　　　| |,.!､,__,ﾉ.| |ll|
　　　　　　　　　i''i;;:::;;:::;;:::;i'il|'
　　　　　　　　　 =========､
　　　　　　　　　| |'i'i'i'i'i'i'i'| |ll|
　　　　　　　　　| |;|,|,|,|,|,|,| |ll|
　　　　　　　　　iill|
　　　　　　　　　| |'i'i'i'i'i'i'i'| |ll|
　　　　　　　　　| |;|,|,|,|,|,|,| |ll|
　　　　　　　　　iill|
　　　　　　　　　| |'i'i'i'i'i'i'i'| |ll|
　　　　　　　　　| |;|,|,|,|,|,|,| |ll|
　　　　　　　　　ロⅢⅢⅢロ|i
　　　　　　　　　| |　| |　| :| |ll|
　　　　　　　　　|_|　| |　|_;| |ll|
　　　　　　　　　.二二二二]:|;.

六２３．
予感だけではない。

いつも夕方には親衛騎士の誰かが教えに来る、
今夜の巡回担当についての連絡が来ていない事もやらない夫の予想を強めさせており、




　　　 　/: .: .: .: .: . : ./　　　 _,,.-‐''" 　　 /　/　　　　　 　 　/￣||　　　　　　 　 　 |: .: .: .: .
　　　　/: .: .: .: .: .: . _,,.-‐'':　:　:　:　:　 三 二 ﾆ ―　　　　 /　 ||　　 |￣|| | || | ||　|: .: .: .: .
　　　 /: .: .: .: .: .: .//::　:　:　:　:　:　:　: /　/　　　　 三 二/　 || ―　|　 || |_|| |_||　|: .: .: .: .
　　　/: .: .: .: .: .: .//:　:　:　:　:　:　:　: /　/　　　　　　 　 /　 ||　　 　|　 ||　　.|　　 |: .: .: .: .: .
　　 /: .: .: .: .: .: .//:　:　:　:　ヽヾ｀;;:} 三 二 ﾆ ―　　 　/＿_||　　 　.|　 ||　　.|　　 |: .: .: .: .: .
　　/: .: .: .: .: .: .//:　:　:　:　Ｚ::::Ｚ,,, /　/　　　　　　　　=￣　　　　　.|＿||　三 二 ﾆ ―: .: .: .
　 /: .: .: .: .: .: .// :　:　:　:　<:::::::ヽ:::＞'　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿ l　　 ||￣|| .: .: .:
　/: .: .: 三 二 ﾆ ―　:　:　＜:::::/￣,　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |＿|| 　　/　// .: .: .
_/: .: .: .: .: .: .//:　:　:　:　:　Ｚ:::::{　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　/　// .: .: .
/ : .: .: . : .: .:,'/:　:　　_,,.-‐＞::::::ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿＿/　//.: .: .: .: .
: .: .: .: . : .: //_,,.-‐''":　 Ｚ:::::}ヽ､::::{､　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |＿＿＿// .: .: .: .: .
: .: .: .: . : .://:　:　:　:　　ﾉ／　/ｰ/ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　 |: .: .: .: .: .
: .: .: .: . : //　:　:　:　:　:　:　 /　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 |: .: .: .: .: .
: .: .: .: .: ,'/ :　:　:　:　:　:　: ./　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 |: .: .: .: .: .
: .: .: . : .:l |　:　:　―二:　: ./　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 |: .: .: .: .: .: .
: .: .: . : .{ l:　:　:　:　:　:　:　{　 {　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　 |: .: .: .: .: .: .: .
: .: .: . : .| |:　:　:　:　:　:　:　|　 |　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 |: .: .: .: .: .: .
: .: .: . :..| |:　三 三 二 ﾆ ―　|　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 |: .: .: .: .: .: .
: .: . : . :| |:　:　:　:　:　:　:　|　 |　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 |: .: .: .: .: .: .



それを言われて集中を高めていたジュンは
扉を蹴破って乱入してきた黒覆面の者達と対峙しても、怯むことなく剣を抜く事が出来た。



: : : : : : /　　　　　l.:::＼ | |.:.:.:.:.:.:＼
: : : : : /　　　　　　l.:.::::::ﾘ |/´ ￣｀`,　　.:.:.:.::.:.:.:＼
: : : : /　　　　　　　l.:.:／　　　　　　',　　　　.:.:.:.:.:.:＼
: : : /　　　　　　　　＼　　　　　　　 ',　　　　　.:.:.:.:.::::ヽ
: : 〈　　　　　　　　　　＼　　　　　　 ', .:.::::::::::::::::::|＼.::.:|
: : : :',　　　　　　 .:.:.:.:.:　 ＼　　　　　 ',::::::::ﾄ､.::::::::|　ﾊ:.:l
: : : : :',　　　　　 .:.:.:.:.:.:.ﾄ､　＼　　　　 ',::::::lﾆ＼:::::|　　　　　　「来たな！」
: : : : : .',　　　　　.:.:.:.:.:.:l　＼　＼／　　',::::l　　 ﾄ､|
: : : : ::::::',　　　　 .:.:.:.:.:.:l　　　`y':／ﾆヽ ',::l1 　 l |
.:.:.:.:::::::::∧ 　　　 .:.:.:.:.:.:l　 ／／／　 い / l　　l |
:.:.:.::::::::/　ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ..／∠　　　 い /ハノ/
.:.::::::::./　　　＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:V彳o:::ヽ　　　j! !　　`ヽ
.:::::::::〈 　　 　　 ＼.:.:.:.:.:.:.:}ﾑ:::::::ノ´ ／／　　　 /
､::::::::::.＼_,,　-‐　　＼.:.:.:.:l　￣　／／　　 　 ,.ｲ
　ヽ　　　　　　 　 　 　＼:L＿／／　　　　　 /
　　＼　　　　　　　　　　└＝＝'　　　　 ／/
　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′
　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　 ,′
　　　　　　　　＼`ー--------r---‐‐'´
　　　　　　　　　 ＼　　　　　 ∠￣`ヽ

六２４．



　　　　　 　 　 　 　 　 ∨ ∧
.　　　　　　　　　　 　 　 ∨ ∧
　　　　　　　　　　　 　 　 ∨ ∧
　　　　　　　　　　　　　　　∨ ∧　　　　　　　 ,,..．-――-　 、
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∨ ∧　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ ∧　 　, イ　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ∨ ∧ ／　|　　　　　　　　　　　　 ／!
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∨ ∧　　!　　Ｖ　/　　　 　 　 ／::/　　　　　「！」
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 く´∨ ∧　　　　　/　　　　 　 ∧::::/
　　　　　　　　　　　 　 ｒ‐＜´￣＼∨ ∧ 　 　 Ｙ　 　 　 　 /　 |/
　　　　　　 　 　 　 　 ∧ 　 ＼ 　 ヽ∨ ∧　　　|!　　　　　/　　|
　　　　　　　　　　 ／ 　 ＼ 　 ＼　　∨ ∧　　 |　　　　 /　 ／
　 　 　 　 　 　 ／　　　　　＼ 　 ＼ ∧　／￣ヽ_、　∠__／
　　　　　　　／　 ,　-―　、　＼　　〈　У　 　 　 ヽ/
　　　　　 ／　 ／　　　 　 ', 　 　ヽ ∧　　 　 　 　 ﾉ
　　　 　 /　　,　　　　 　 　 ',　　 　 ＼|　　 　 　／
　　　　/　　/　　　　　　　　|　　 　 ,. く　 　　／∧
　　　/ 　 /　 　 　 　 　 　 !i 　 ／::::::::::＼／ ∨ ∧
.　　/　　/　　　　　　　　　 ||／＼:::::::::::::::::〉 　 ∨ ∧ﾍ
　 /　　/　　　　　／´￣￣7　　　',:::::::::::::/!　 　,へ,/　 〉、
. /　　/　　　 　 '"　　　 ／　　 　 |::::::::::/│　 /　　） ノ　〉



もしここに居たのが騎士になる前のジュンであったなら
最初に接近してくる複数の気配を感知する事も出来ず、
扉を蹴破った賊の一撃目であっけなく命を落としていただろう。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::ヽ／::::::〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,-┘:::::::::::::::::::::::::::｀＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::〈:::|＾＾|:::::/＼ﾄ､ヽ::::::>
　　 |＼　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::::ﾊ|＿l/l/.＿_-ヽ|:::」
　　　＼＼　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 .￣7/.|＿_|─|＿_|- lj/　　　　　「奇襲の出来なかったお前らに
　　　　 ＼＼　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾍ. 　__;_＿、 /　　　　　　 勝ち目は―――無いッ！」
　　　　　　＼＼　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾌヽ辷フイ{ヾ
　　　　　　　 ＼＼　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::〈｀l7:´::::::ヽ
　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　 ﾉ::::::::::::V::/:::::::::::〉
　　　　　　　　　 　＼＼　　　 　 　 　 　 /:::::::::::7::ﾄ/:::::::::::/
　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　 　 　 /::::::::::/:::::/::::::::://
　　　　　　　　　　　　　 ＼＼ 　　　 ／::::::::::／l ／:::::::::/::l
　　　　　　　　　　　　 　 ∠二フ　／:::::::::::::/　／:::::::::／::::!
　　　　　　　　　　　　 　 　ヽ,'~つﾆ〉ヾ::::::::/／::::::::::／::::::::j
　　　　　　　　　　　　　　　ﾞへノ7 　ヽノ<::::::::::／ヾー--￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 くヲ｀`　 ヽ＜／^ヾフ=／{
　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. -ヾソ　　ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　r ' ´:::::::::::::`ｰ‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀`丶
　　　　　　　　　　　　　　l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- ､_:::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::::r -- ' ´　　　　　　　｀`'ｰ､:::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　　　 l::::::::::::



だがここに立つのは、曲がりなりにも魔剣を持つ親衛騎士。
ただひたすらに強くなりたいと思い続け、やらない夫の背中を追いかけた男だ。

六２５．
それなりの手練れであるが故に、ジュンの実力を感じ取って容易に動けない覆面達。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼.. 　　　　　　　　　　　　　 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼.. 　　　　　　　　 　 ／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼...　o　|　　　　／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　＼　 。/　／　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 ＼　　＼　.。　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＼　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -二 　　　　　　　　二 - -　　　ｷﾞｷﾞﾝｯ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　o　　　　　　　　＼　。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　o　 ＼　 ＼.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／。/　　　　　＼ ＼.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　　　　｀~´　　　＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／　　　　/　。　 　　　 　　 ＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／／　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／



室内に入り込んだ三人、さらに廊下から中を覗き込む三人を相手にしたジュンはしかし、
自分を抜いて奥に進もうとする賊を相手に引けを取らなかった。



　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　 ／￣´　　　｀＼
　　　　　　　 / 　　　　　　　　　＼
　　　　　　 / 　　 ｨヘ､　　　　　　 ヽ　　　　「チッ！」
　　　　　 / 　 ／:::::::::::ヾ　　　　　　 ヽ
　　　　　/　|/:::::::::::::::::::::::＼　　　　　 ヽ
　　　　　{　〈::::::::::::::::::::::::::::::>　 ／　　ｲ
　　　　　 ト ゝ:::::::::::::::::::::::イ_∠_ｨ_イ´
　　　　　　ｲミ ー￣フ二￣´＿〆゛ゝ
　　　　　 ん＿ ＝　ー三　イ､_＿─＼

六２６．
一分ほどの膠着が続き、室内を確認した一人が
奥で震えている三人のメイドの他に人の気配が無い事を告げ、



　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　 ／￣´　　　｀＼
　　　　　　　 / 　　　　　　　　　＼
　　　　　　 / 　　 ｨヘ､　　　　　　 ヽ
　　　　　 / 　 ／:::::::::::ヾ　　　　　　 ヽ　　　　「ここには居ない、風呂だ！」
　　　　　/　|/:::::::::::::::::::::::＼　　　　　 ヽ
　　　　　{　〈::::::::::::::::::::::::::::::>　 ／　　ｲ
　　　　　 ト ゝ:::::::::::::::::::::::イ_∠_ｨ_イ´
　　　　　　ｲミ ー￣フ二￣´＿〆゛ゝ
　　　　　 ん＿ ＝　ー三　イ､_＿─＼



身を翻して廊下に出て行った奴らは剣を抜いたまま、真紅王女が居るはずの浴場へと走った。



　　､＿＿／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::/: /::/::::::＼ﾍ
　　 ＞::::::／::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::/::::V:::/:i::::::ﾍ:::＼
　　　 ／:::::::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: : |::::::::::::::ﾄ::iト::┴<:::|:::i::::::＼::＼
　　 /:::::::::::::::::/:::::::: /::::::::::::::::::: ::ｲ::::::::::::::ﾊ::|　 　 Vﾉ: |:::::::::ﾊ￣
.　 /:::::::ｨ:::::::/::::::::: /::::::::::::::::::::::/-∠ヽ:::::',　ヽ　　.ｲ:::/:::::::::i::ヽ
　/:::／ |::::: {::::::::::::i:::::::::::::::::::／＿＿≧:::::ﾊ　 ＿∠:/:::::::::人:::::ゝ
./／　　.}::::::i::::::::::::|::::::::::::／ ||' r￣ (:::). Yヾ:::i　 r===ﾚi::::::/:}＼i　　　　「待て！」
　　　　 ﾉ::::::|::::::: : |::::::／|　 .||　＼　＿　i　ﾊﾄ=ｲ(::)ヽ{:l:: /:::i
　　 　 ハ:::/i::::::::::ﾊ／ヽ/　　ヾ＿＿＿ノ　　　}､-　i::./ハ.|
　　　／=＼ ﾚﾍ::ﾊ ヽ　{　　　　￣￣￣　　　 ノ　　|'´
　　/'´　　　＼＼::::ヽ ヽi　　　　　　　　_ ＿　　　 /
　　{　　　　　　￣＼￣｀ー ､　　　　　 'ー-' 　 ／
　 ノ｀ー ─　ミ､　　.＼＼　 ￣}　　　　　｀　／┐
. (　／　　　　　 ＼　　 ＼＼　 i　　>──'´　　ヽr-､
　.Y　　　　　　　　 ＼　　 ＼＼廴r　＞'´　　　/　　 /
　/　　　　　　　　　　ﾊ　　　　ミ＝V　　　 /／　　イ

六２７．
廊下のあちこちから悲鳴が上がり、宮廷衛兵達が凶刃に斃れる。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_冖___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　| |　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　| |　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　└|　　　　　　　　　　　　　　,ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　(　ニニニニニ　ｌ　　　　　　　　　　　　 ,i'}′
　　　　　　　　　　　　　　　　　〕ｌ ｌ-‐‐i i‐‐--ｌ〔　　　　　　　　　　　　,i'./
　　　　　　　　　　　　　　　　 （　 ヽ .,,,,ｌｌ,,,..　/　）　　　　　　　　　　/ ./
　　　　　　　　　　　　　　／￣ト､　 ヽ　 　,'　 /--､　　　　　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　/　　 ,'|　i＼(0)只(0)/／￣｀ヽ､　　　　　/ . /　,〟　「侵入者………ギャアァァ！」
　　　　　　　　　　　　　|__／　|　ﾍ＿＿／　 |　　　　/　　　　/ 　 レ'./
　　　　　　　　　　　　　|＼＿|　　　,'　　　　　|＼　　〃　　　/ 　　　./
　　　　　　　　　　　　　|　　　|　　　i　　　　　ﾍ　＼i!,!　　 ./ 　　　./
　　　　　　　　　　　　　|　　　|　　　|　　　　　　＼/ .!　　/ 　　 . /
　　　　　　　　　　　　 |￣￣ﾍ￣　´｀''‐‐----,'　/ .,!　/ 　　 ／
　　　　　　　　　　　　|　　　　|ヽ　　　　　　 、　/ 　|./　　／
　　　　　　　　　　　　〈　へへｌ/___,----､　/l ./ 　　　 .／
　　　　　　　　　　　　　|＼＼＼|￣|i i　i / .'"　　　　,ゞ
　　　　　　　　　　　　　|へ＼＼＼ |冂 / 　　　　　./
　　　　　　　　　　　　　 ｌ /　＼＼＼_/ 　　　 ., 'i /
　　　　　　　　　　　　　|/ヽ＿＼＼ / 　　 　/ 　!′
　　　　　　　　　　　　　　　　|└--,/　　 .／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　 ,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　/ . ／　　　　　┌─┐[][] /〉.,┐◎
　　　　　　　　　　　　　　　 ,rﾞ,／゛　　　　　　 ￣/〈　　 //　| |
　　　　　　　　　　　　　　 ,rソ゛　　　　　　　　　く∧〉　〈/　 .|_」　 　　 「７ 「７
　　　　　　　　　　　　　 ,iｿ゛　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　[][] 「|　ﾚ　.ﾚ
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ノノ Ｏ　Ｏ



　　　　　　　　　 　 ,. -　ﾆﾆﾆﾆ　- ､
　　　　　　　　　／:l／ -‐┬─- ヽlﾍ
　　　　　 　 　 /:.:.:ｌ／ミｚﾍ| ｨ彡 Zﾊ:.:',､ _nﾍ
　　　　　r爪n/:.:.:.:l/^´i:i:i:i:i:i:ιi:i:i:i l:.:.lﾊとノ〕、
　　　　ノ_ ヽアl:.:.l:l ｉ:iﾍi:i:i:i｡i:i:i:i:i:i:ｉ:i l:.:.l:.:lｰ/　⊥、
.　　　 ′　V ｌ:l:.:.ｌ:l i:i:i:i:ヽ:i:i:i:ｰ ' i:i:i l:.l:l:.:ｌ l／ 　 i　　　　　　「キャアアアアアアッ！？」
　　　/　　〈 /:.l:.:.ｌ:l｡:/＾ヽ::::::::::/＾ヽ:ﾟｌ:.ｌ:.!:.lﾊ 　 　 ',
　　 /　　　lﾑｲl:.:.l:.l: ､_ ﾉ.::::::::::.､_ ﾉ l/:.:l:.:ﾄ ｌ　　　 ',
.　　l　　,.z l､/l:l:.:.N i|i|i　　　 　 i|i|ｉ/ｌ:.:.:l:.:lr' ｰ=-　 ',
　　ｌ　　　　　 l:.l:.:.:l　　 　 Α　　 ノ l:.:./ヽ 　 　 　 /
　　ヽ　　　 　 lﾊ:.:.ﾄ 　 　 {::::}　　　ｨ:.:/　 　 　 　 /
　　　 ＼　　', 　 ヽl　 ｀T.tｚｚｧ.T´ ｌ::/ｌ　 /　　 ／
　　　 　 ＼　',　 ｌ　　　 V 父 V　 jｲ ｌ　/　 ／
　　　　　　 ＼',　ｌ　　　　ﾊi:iﾊ:. 　 　 l / ／
　　　　　　　　＼l　　　 〈:::ﾊ:::〉　　　 ／

六２８．



　　　　　　　　　　　　　　　,----､
　　　　　　　　　　　　　 ／　　ヽヽ､
　　　　　　　　　　　　　ｌユ＿＿＿_ｌ
　　　　　　　　　　　　　ｌΘｌ_,--‐,,‐､ｌ　　　　　　　　　　「サ、サクラダ殿！」
　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ　／＼ｌ
　　　　　　　　　　　　｀-､＿　(0)只(0)＿
　　　　　　　　　　,---,--‐ゝ　　　ハ,,,＿ ＼
　　　　　　　　　/　／/　　/　　　ヽ　/　　＼ヽ
　　　　　　　　　ｌ／　/　 /　　　　ﾍ　ﾍ　　／＼
　　　　　　　　　/ ｀´/ ｰ´｀--､　　ﾍﾍ〈／￣￣＼
　　　　　　　　/､＿＿ｌ　　　　 ￣￣　 /＼/￣￣ソﾍ
　　　　　　　　〔二二」　＿＿　　　　/　 /　　 　/　〉
　　　　　　　　ヽ　　ヽ/＼i i i i＼＿/―/ヘ　／￣
　　　　　　　　　ｌ ┌ヽﾍ ﾍ￣|冂冂ノ￣ﾍ　ﾍ,
　　　　　　　　　ﾍ/　三i/|　 |凵凵∪ク　ヽ /



侍女を待機部屋に向かわせて安全を確認したジュンは、
一気に血なまぐさくなる廊下の途中で、駆けつける衛兵達に指示を与えながら
やらない夫達が居るはずの浴場へと急いだ。



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}　　「うかつに手を出すな！
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|　　 衛兵は侍女達を護る事に専念しろ！
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|　　下層への連絡急げ！
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 　○｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}　　　　親衛騎士やエンジュ団長へ知らせるんだ！」
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼

365 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 19:39:04 ID:VdzZmncD ＪＵＮ、こんな短期間で立派な指揮官に… 366 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 19:39:09 ID:ZLZctA/9 ジュン立派になったのう・・・

六２９．
一方、近づいてくる殺気、廊下の混乱をいち早く察知したやらない夫は
目隠しをむしり取ると浴室へ叫んでいる。



　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　 ／　　　　　 ＼
　　　　　　　　　ヽ /　　　　　ﾉ　 　 ヽ
　　　　　　　　　　ゞ..,,　 ,,..／　　　　 ｉ
　　　　　　　　　( ●)　(　● )　　　　l　　　　「真紅！来るぞ！」
　　　　　　　　　( ＿ 人 ＿_ )　　　　l
　　　　　　　　　 l l!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!ｉl　　 　 　 !
　　　　　　　　　 l lエｴｴエl　　　　　l
　　　　　　　　　 {　　　　　　　　 　 l
　　　　　　　　　　ヽ　　　　　 　 　 l
　　　　　　　　　　　 |　 ／￣￣￣￣ｉ
　　　　　　　　 　 　 ｊ／　 ／ ヽ￣￣|
　　　　　　　　 　 ／ 　 ／　　　ヽ 　 |
　　　　　 　 　 ／ 　 ／　/　　　　',　 l
　　　　　　 　 j 　 ／　//　　 　 　 ',　ヽ



IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__ ,--､--､＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,'-''"　　　　　　　`-- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. -'''"　　 ,-''　　　　　　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.．-'''"　　　　　／　　　　.|　　　　　　　　　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,.. ．-‐''"　 　　／　.／／, 　 ,'　　　 !　　　` 、　`、丶`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　 　／./　.／,ィ','　　　,' , !　 .|　　　､ 丶　　　`!!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー -- ' _,,.-‐''"　/ ／. / ,'.|　　/|　.||　 .,!.|　 !　!、.,!　`　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,.-‐''"　　　　　/　　 / ,'! |.　/ .| 　||　,' !|　,'　,' 　.|　 　`､!!
　　　「えっ！？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　 / /,,'! ,'./　 !.　!| .,' .|| ,'! _,'_| |　　　 | .!!
　　　………す、すぐ出るわ！」　　　　　 　　　　　　　　　,, ''　./ /, !,iｒH!y､ | ! .|,'　..ﾘ,イ ,' | || ! .| 　 ! |!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,.-‐　 　／ ./ﾊ,'ィ=!=ﾐ､!` ! |. 　','ｨ,'==,ﾐ!､|_! |'　,' .!!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,.-‐''"　　 ..　,,-'' ,'/|!V;'　.ｌ ! j　　　　　'　! ! j　γ,',ｨ.,　,' ,''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,.- 　 ..／/,!!λ 　､`._'　　　　　　 `_ ',,　,'!|,',!.!　 ,'.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,.-‐''"　　　／ , ' /,',λ　　 　　　　 ;　　　　　 ,' ﾘ,,,','　.,'! |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,.-‐' ' 　,'　　 /,'.!`､　　　　　　　　　　　　.ｲ〃 ! ,' ! |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.-‐'",-', ':.,'　,'.　　.,'! ||.,' 丶 　　　t_ つ　 　,, ''y'/　,'/ ,i ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, -'"　　　, '　　 ,'　　,'　　 ,'ﾞ'ｰ_､　　　_,,.-''/ ../　// ,' !'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, '　　　 　, '　　 , '　　,' ___, '-,'　 .: `__"`､__ !:`,'､. ,',' .,'　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　.　,'　 .,..'::.:.:.:.:.:.:.:>、ｰ-､!-'､!.:.:;':.:.:`､ .,' ,'　,'



言葉の意味を察した真紅も、行動素早く浴室から脱衣場へと飛び出し―――

六３０．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::/　／　　　 ／　　　　　‐-､　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::'-イ 　 　 ／　 //　 l: 　 ヽ　ヽ 　 　 ,ゝﾆ二ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 7７/　 .:　.:/ 　 l//　　|::　 　 ヽ　:', 　 /,ｲ:ﾄ､-'::ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　///　 .:: :::// 　.:l |　　 |:::.　　　::! ::::! ｲ://::!:::｀´ l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /〈:! / ::| ::/lﾊ　 ::| |　　 |:::|:.　:.　:::::::::l...|:| |::|ヽ!:::　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　.:lﾊ .::l|-l十ト､:::ﾄ|:.|　:lﾊ::|:::. ::..:::::::l:::!::ヾjイ　|:::　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　/　.::/∧N Yた卞N| N|:.:/_立ト､:､:::::::!:::l:::/|::::! /:::　l　　　「………えっ？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　.::://:://|　弋ツ　　 ヽ'　 た卞､ll:::::l::ﾊ|:::∧/ !::　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　. 〃 .::://ノ .八　　　　　　　　 弋ツﾉﾉ!イく_／　　 l:　　l
　　　　 　 　 　 　 　 ＼　　　 〃 .:::/　|ﾊl : :l:.｀､　　　_'　　　　　　 .ィ､l::::|ノ　 : :| Ｖ⌒}
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼ 　 !!　:／ . _八: l/:/:丶　　　｀　　　　　ﾉ ｨ :∧ : : | 'イf⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　 　 ＼|／／ l　/: /ベ《ｰ ､:_,`_- --‐ '' ''´: :/: :/ : ',: :/　 !'|/⌒}
　　　　　　　　　　　　　　　　/　　/ /: /　　　＼　 ﾉ　　　　 ヽ:__/: :∧: : :V　　　７´／
　　　　　　　　　 　 　 　 　./ 　./://: /　　　　　 ヽ　　 　 ＿, ／／￣｀ヽ:{ 　 　 ‘´　/:
　　　　　　　　　　　　　　　/　 ./ﾚ : /､ヽ　　 　 　 　 ／´　／／　　　 　 ｉ|　　　　／ : :
　　　　　　　　　 　 　 　 　.／　　: /:/j/　　　 　 　 　 　 /／　　 　 　 　 l|　 　 /＼: :
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 i: /:／　　　　　　　ﾉ 　 //　　　　　 　 　 j　　 / 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /|ﾘ'　　　￣￣ 　 ､　　　　　　 ⌒ヽ　　　　′　 !
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /´　u　　 　 　　u　　 ＼　　　　 、　　 '　　　′ 　 !
　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　 ',　　 ﾊ 　 '　　 |
　　　　　　　　　　　　　　/　u　　　　　u 　 　u　 　 　 ヽ　　 }　 /. '， ｉ　　　｜
　　　　　　　　 　 　 　 　ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　丶 . ′/　　:'. |　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　 　u　 　 　 u 　 ´ ／ l 　　:ﾊ!　 　 ｜
　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　u　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　　　　　　　　　　　　u　　　　 　 丶
　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　　　u　　　　　　　 　 　 　丶
　　「あっ………」　　　　　　丶　　　　u　 　 　u　 　 　u　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝ　u　　　　　 　　　　u　　　　　　　u　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　 　　　　　u　　　　　　　u　　 　 ソ:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　　　 /:.:.:.:.:.:／＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　u　　　　　u　　u　　　 ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　 ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ_＿u_ 　　　 　 /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　/:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:



背中の剣に手をかけたやらない夫と、手ぬぐいで身体を隠す余裕もなかった真紅は
至近距離で向かい合ったまま動きを止め―――

6 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 19:41:22 ID:Jl+GKOSJ やっちったー 7 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 19:41:35 ID:W8SE8PkP わっふるわっふる

六３１．
たっぷり数秒してから、王女の黄色い悲鳴が城中に響き渡った。



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　　　 　 　　　　 　 　｡　　　　　|.:.|. |.:.| 　 ,.傘., 　 |.:.|. |.:.|　　　　 　｡
　　　 　 　 　 　 　 　| 　 　 　 .|∧||∧| ,傘傘傘, |∧||∧| 　 　 　　|
　　 　 ｡　 ｡ 　 　 　 ||.　 　　　（VVVV）.傘傘傘.（VVVV） 　 　 　 ||　　　 　 ｡　 ｡
　 　 　|. 　|　　 　 　|:| 　 　　　{∽}{∽}}}傘傘傘{{{∽}{∽}　　 　 　|:|　　 　 　|.　 |
　 　 . ||　 ||　　　 　|:.:| 　 　,傘|ｌ~~|ｌ~~|}}个个个{{|ｌ~~|ｌ~~|傘,　 　 |:.:| 　　　　||　 ||
　　　 |:|.　|:|　　　　lvvl .,.,傘傘|∩||∩|}::::/⌒ヽ :{|∩||∩|傘傘,.,. lvvl　　　　|:|.　|:|
　 　 .|.:.|. |.:.|. 　 　 |∩|傘傘傘||　l||　l|}:::|: 　　|:::{||　l||　l|傘傘傘|∩| 　 　 .|.:.|. |.:.|
　　　|∧||∧| ,.,.,傘||"||傘傘傘||　l||　l|}:::|: 　　|:::{||　l||　l|傘傘傘||"||傘,.,., |∧||∧|
　　 (vVVVV)傘傘{∽}个个个{∽}{∽}}:|三ﾆ三|:{{∽}{∽}个个个{∽}傘傘 (VVVVv)　　　　　 　　|
　　 山i!山i山傘傘|三|!|/⌒ヽ!|ｌ~~|ｌ~~|}:／个＼ {|ｌ~~|ｌ~~|!/⌒ヽ|!|三|傘傘山i!山i山　 　 　 　 　 ∧
　　　||^^||^^|个ｌ个{∽}!||:.　　||{∽}{∽}}:{ﾆi二iﾆ}:{{∽}{∽}||:.　　||!{∽}个ｌ个||^^||^^|　　　　　　　/;;;;;ヽ
　　　||　l||　l|::::::::::::|三|!|iﾆﾆﾆi||ｌ~~|ｌ~~|}::::／＼::::{|ｌ~~|ｌ~~||iﾆﾆﾆi|!|三|::::::::::::||　l||　l|　 　 　　　　| ∩ |
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　　　||　l||　l|::l⌒l: ||: ||!|:Ii==iI:|||　l||　l|}:::|ﾆﾆﾆ|:::{||　l||　l||:Ii==iI:|!||: ||::l⌒l: ||　l||　l|三三三三三三三三
　　　|∬||∬|::|___l: |§|!|:|l 　l|:||∬||∬|}:::, '三`､::{|∬||∬||:|l 　l|:|!|§|::|___l: |∬||∬|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
　　　{})({i})({}iﾆﾆﾆi{({})}!!.!|,,, l|:!{})({|})({}}::|皿ｌ皿|::{{})({|})({}!:!|,,, l|:!!{({})}iﾆﾆﾆi{})({i})({}:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
　　　||　l||　l|鬥ｌ鬥||: ||!|鬥ｌ鬥|||　l||　l|}|鬥轟鬥|{||　l||　l||鬥ｌ鬥|!||: ||鬥ｌ鬥||　l||　l|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
　　　||　l||　l|/⌒ヽ||: ||!|/⌒ヽ|||　l||　l|}|iiiiiiiiiiiiiiii|{||　l||　l||/⌒ヽ|!||: ||/⌒ヽ||　l||　l|:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
　　　|∬||∬||:.　　||§|!||:.　　|||∬|∬||}|iiiiiiiiiiiiiiii|{||∬|∬|||:.　　||!|§||:.　　||∬||∬|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
　　　|凶||凶|iﾆﾆﾆi|凶|!|iﾆﾆﾆi||凶||凶|}|二二二|{|凶||凶||iﾆﾆﾆi|!|凶|iﾆﾆﾆi|凶||凶|:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

六３２．



　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿__
　　　　　　　　　　　　 _　-―――――-＜￣} }!
　　　　　　　　　　　 ´　　　　　 -――７　 く.７./-､
　　　　　 　 ,　 ´　　　　　￣　　,. -―/　　　Ｙ´ ＼＼
　　　 　　 /　　　　　,　　　,　 イ　　 /　　　　　　　 ヽ.｀　､＿.ノ
　　　　　/ 　　　 ,／　　／ 　,/ 　　 { 　 {　　　　　　　＼￣
　　　　 /　　　　/ 　 　 　 　,ﾉ　　　 }　　ﾊ　 }　　　　　、ヽ.　　　　　「これは王女様の悲鳴！？
　　　　 |! 　 　 /　　　 　_.／ ,ｨ /　/　　　}　 !　　　　　 ヽ.}ヽ、　　　手の空いている者は私に続けッ！！！」
　　　　 |　　　/　 　 　｀才　 /:/　,　　 　/　/　　　　ヽ. 　ヽ.　}
　 　 　 {　 　/　　､　.＿__.／ /　/ ,.　__/　ハ　　ハ 　 }!　i {
.　　　　 Ｙ　/　　　｀　.ナｰ-r七´ /／７ :/二.!_/}!　}　 ハ ﾊ!
　　　　　| /　,　-―　〈 /　 {!　 ,ｲ | ／ ´tﾃ::ナ}ﾉ ./　/　ﾘ ﾉ
　　　,イ⌒Y´￣￣　　ハヽ (ヽ. i ヾ ､_　　 ￣ ノイ}／
　　〈　　　人　　――-　ヽゝxくヽ、　　　　　　 　∨
　　 }!　　∧_ ヽ. ,ｘxzrく⌒´ヽ!　　 　 　 　 　 　 ／
　　八　{〈 　 ,.イ}　　 ｀　　　 {　 　 　 　 , 　 _ '´
　　　 }ハﾘ　{´　i　　　　　　　ヽ　　　　　　 /
　　 ノ'　 }! 　ヽ/　　　　　　　　{ヽ.　＿＿_/
　 　 　 　 ＿∠__＿＿＿　　　 ヽ.
　　　　　/: : : : : : : : : : : : ￣￣￣＼
　　　　 入 ＿ ＿＿＿＿＿　　　＿厶、
　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:￣￣:.:.:.:.:.:.:＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿/＼／＼/＼／|＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　 　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　　ハッ！！　 ＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣|／＼/＼/＼/￣
　　　　　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　 　/￣￣＼＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/￣￣＼＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　ヽ　ヽ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　ヽ　ヽ､
　　　　　　　　　　 |､　　　　　　　ﾞi ﾞiﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|､　　　　　　　ﾞi ﾞiﾍ
　　　　　　　　　　〔＼｀'‐-　　　　└'　i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〔＼｀'‐-　　　　└'　i
　　　　　　　　　　|∩　＼＿　　　　 ＿|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |∩　＼＿　　　　 ＿|
　　　　　　　　　　|∪＼　|´｀''''''''''''''''''''i|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|∪＼　|´｀''''''''''''''''''''i|
　　　　　　　　　/　|||/ 　｀''''''´´￣ｌ 「'''/　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　|||/ 　｀''''''´´￣ｌ 「'''/
　　　　　　　　　|　　　　　　　　　,-ｌ ｌ ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　,-ｌ ｌ ｌ
　　　　　　　　　＼iiiiiiiii　　　/／／　 ヽ___　　　　　　　　　　　　　　　　　＼iiiiiiiii　　　/／／　 ヽ___
　　　　　　　　／ﾍ｀'''''ヽ　　　　 　ｪｭ 丿＼　ヽ　　　　　　　　　　　　　　／ﾍ｀'''''ヽ　　　　 　ｪｭ 丿＼　ヽ
　　　　／￣|::::::::::＼　　＼__(⊃-‐‐⊂)‐ﾞi::::ヽﾉ　　　　　　　　　 ／￣|::::::::::＼　　＼__(⊃-‐‐⊂)‐ﾞi::::ヽﾉ
　　　/　　　 |::::::::::::::ﾞi　　　｀'‐‐‐‐'´　　　ﾍ::::ﾍ　　　　　　　　　/　　　 |::::::::::::::ﾞi　　　｀'‐‐‐‐'´　　　ﾍ::::ﾍ
　　/　　　／::::::::::::::::::|　　　　　　ヽ　　　　ﾍ::::::/ﾍ　　　　　　/　　　／::::::::::::::::::|　　　　　　ヽ　　　　ﾍ::::::/ﾍ
　　|　　／―--､::::::::::|　　　　　　　ヽ　　　　ﾍ/　ﾍ　　　　　 |　　／―--､::::::::::|　　　　　　　ヽ　　　　ﾍ/　ﾍ
　　|　/　　　　　ﾍ::::::::/　　　　　　　∧___----|　　ﾍ　　　　　|　/　　　　　ﾍ::::::::/　　　　　　　∧___----|　　ﾍ
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9 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 19:42:38 ID:ZLZctA/9 この悲鳴が計算を狂わせるのか？ｗ

六３３．
悲鳴を上げ終えてから、ようやくにして気がついた被害者は大事な箇所を手で隠してしゃがみ込み、



　　　　　　　　　ヽ| |　:　　|　 |　　　 |　 | ||　 ﾚﾊ 弋 |r= 、r┘ |　＼ ｀
　　　　　　　　　　| |　|　　|｜| 　　　|　 川ィﾁﾚ,_|　({ﾍ參〉） 　！ 　 ＼
　　　　　　　　　　| |　|　　|⊥从_| /ｊ／/ィi´うﾊ｢|　|广7_ハ　　丶　　　　　　「な、な、な！？
　　　　　　　　　　　＼＼ヽ７了7ヾ　　　　 ゞ-o｜ |∨/ 　 ＼　　＼　　　　　なんで目隠し外してるのよ！」
　　　　　　　　　　　　 ＼| ヽ oゞン　　　　 ｘｗｘ｜ | ∨　　 　 ＼　　＼
　　　　　　　　 　 　　　　|　∧ｘｗｘ　｀　　　　 .__|　ハﾍ　　 　 　 ＼　　＼
　　　　　　　　　　　 　 　|　l|　＞ 、　 ^　　 ／　j /￣ヽﾏ＿　　　　＼　　＼
　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　ヽ 〉､　` 　 _　´ 　 l　|　　　 ＼



　　　　 　＿＿
　　　 .,／,-､　 ＼
　　／ ﾉ:/　ﾉfヽ.. ＼
　　|　/:/　/...|　|　　|　　　　「め、目隠ししたまま戦えってのか！？」
　　l　ﾚ　./..ノ .,''´}　i
　　l　　　' ´ .〃 /　|
　　ヽ.　 　 　.　〈　.ﾉ　ｶｰｯ
　　　 ＼.,_　　._ﾉ /
　　　 　/　　/　 ヽ
　　　 ./　　/　　　|
　　 　i　.／　　.　 |



男の性か、視線を巡らせてしまい耳まで真っ赤になった
ある意味もう一人の被害者は



　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　ー三三＼
　　　　　　　　　　　|　　 （ ◎） （ Ｙ）
　　　　　　　　　　　|　//// （__人__）
　　　　　　　　　　　|　u　 　 ｀ ⌒´ﾉ　　　「俺が外で食い止めるから、
　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　}　　　　早く、服をっ！」
　　　　　　　　　r⌒ヽｒヽ，　　　　}
　　　　　　　　/　　i／　|　__　　ノヽ
　　　　　　　./　 ／　　/　　　　　　)
　　　　　　 ./ ／　　／　　　　 /／
　　　　　　/　　　.／　　　　　/￣､⌒)
　　　　　 .ヽ､__.／　　　　 ／ ⌒ヽ￣
　　　　 　　　　 r　　　 ／　 　　　|
　　　　　　　　/　　 　　　　　　　ﾉ
　　　/ ￣ ヽ/　　　　　 /　　　 /
　　 /　ノ|　/　　　　／/　　 ／
　　 ￣　 |　.　　　／./　 ／
　　　　　 ヽ＿_／ / ／
　　　　　　　　　ノ.＾/
　　　　　　　　　|_／



それだけを言い残して廊下に逃げ出した。

六３４．
残された真紅は一応服を着始めるものの、
だんだんと涙目になり手が止まりがちになってしまう。

一つ壁の向こうには緊迫した空気が漂っており
自分の命を狙う者が迫りつつあると言っても、
淑女ゆえにこちらも十分、重要事項である。



　　　 　 ｛: : : : : : : : : : :: :: ::_＼　 　 　 　 　 ＼＼　　＼
　　　　　 }: : : : : : : : : :: :／　　 ＼_＿　　　　　 ヽ.ヽ　　 ヽ
　　　 　 ｛: : : : : : : : :／ /　　　 ', 　 ヽ｀ヽ.　　　　l　| 　　〔
　　　　 /: : : : : : :／ 　 ,'　 l　　　!　　　l　｛＿　　:l　|
　　　　 ＼: : : ::/　l　　 |　　l　　　l　　　|　 : : }　　l　|
　　　　　　}: :./　｜　 l ｌ　　|　　　|　 　 l　 l: :{　　 ! :l　　/　　　　　　　　「………見られたわ………
　　　　　　ヽ,'　　|　　ｌ｜　 l　　　|　　　|　 l: :L.　 |　!　/',　　　　　　　　 全部、見られちゃった………
　　　　 　 　l |　 :l　　:ｉ l　　 l|＿_｣: 斗.イ　:|: : :ﾄ､ l　|イ||l
　　　 　 　 .｜',　 l　｜l　!　　lｌ 　　＿,.　　l:|: : :i: ハ. |｣ | i
　　　　 　 　 l　ｌ　:|　 /l　 ',　 |l: '"￣￣｀　Y: : /::|ﾍ |｣/ | l
　　　　　　　　Vヽ　',/ﾍヽ　ヽ j　!　　　　　jノｲ　:| {　〈 　 |　　　　　　　　もう、もう、お嫁に行けなぁい！」
　 　 　 　 　 　 V ヽ//"　　　 ＿＿_　　　　 ./!　:|/　/　　!
　　　　　　　　　, ﾄ､ |　　　 ／::::::／　｀ヽ、　|:l　::|　/ ＿_l
　 　 　 　 　 　 /　:/|　　　 |::::::/　　　　　ヽ !:! : :!// ＿,
　　　　　　 　 /　:/ ﾍ　　　ヽ::/　　　　　　 | |,!　:|｀ヽ
　　　　　　　/　:/　　|ヽ　　 V　　　　　　 /　!|　:l|　 |-'　　　／￣｀ヽ
　　　　　　/　:/　　　|　　ﾄ 　 ＼＿＿＿/ 　 l:|　:|＿|ニヽ,イ　　　　　ヽ
　　　　　/　:/　　　./ｌ　: ::|　`　､＿＿＿＿_,.-!|　:l:: :: ::／/:::|　　　　　　|
　　　　/　:/　　　 / .ｌ　: ::|　　　　　　　　 　|::| |　:l:: ／:/ｲ:::::| 　 ＿＿__,|



事故である事は分かっているのでこれ以上怒ったり責めるつもりはないが、
責任を取ってもらいたくなったのは当然だった。

13 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 19:45:38 ID:mkhydlwj ホントに風呂入るなよ……。

六３５．
また、廊下のやらない夫がたった今凄い何かを見てしまった目を向こうにやれば、
案の定殺気をまき散らす黒覆面の集団が廊下を走ってくる。



　　　 　 　 　 　 　 ,．=三三三三: ＼
　　　　　　　　　／三三三三三三三 ヽ
.　　　　　　 　 //三三三三三三三三:ヽ＼、
　　　　　　　 //三三三三三三三三三:ヾ三ﾄ､
　　　　　　　ﾊ三三三三三三三三三三三三:ヾ:､
　　　　　　 ﾊ三三三三三三三三三三三三三ﾂﾘ
　　　 　 　 i三三三三三三三三三三三三三/:/　　　　「王女を渡せ」
　　　 　 　 |:三三三三三三三三三三三三:/:/
　　　 　 　 !:三三三三三三三三三三三:／:/
　　　　　　,!三三三三三三三三三三;:< :三{
　　　　　 /ｌ:三三三三三三三三:／ 　 / 三!
　　　　　ﾊ三三三三三i三三三/　　 ｧ' :三:!
　　　　 ﾊ三三l!三三三l!三三ﾊ＞- ' :三:シ
　　　 //:三://l:三三三:!l三三三ヾ/三／
　　　ﾊ三三/::i!:三三三:､ヾ三三三l三{
　　 .ﾊ三三'三!三三三ヾヽ:＼三三ﾄ､:i
　　 ﾊ:三:/:三三三三三:＼ヾﾐ､ 三三｀ヽ
. 　 ﾊ三:/:三三三三三三:｀ヽヾﾄ､＼三/
　　ﾊ三/:三三三三三三三三三三:∨{:i



　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ‐――――‐‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　.　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｉ
　　　　　　　　　　　　　　 |　　二二二二 三 二二二二　 　 ｉ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　 ― ― ― ＝＝ ― ― ― ‐　 |
　　「嫌だね」　　　　　　 l　　 _＿＿ ノ　　 　 ^ー―－　　　|
　　　　　　　　　　 　 　 　 l 　 / 　 　 ヾ≧=≦Ｙ　　　 ヽ　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　!　 |　{:::::::}　| }llllllll{ |　{::::::}　|　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　l. 　ヽ　,　　彡!!!!!!ゞﾐ､　 　 /　　 '
　　　　　　　　　　　　 　 　 ',　　 /　　　　|　　　 ヽ　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　 ゝ ＿ ／＼ ＿ ﾉ 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 ｀ ー―― ´　　 　∧__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　 　 　 　 ／ / 〉::｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼　　 　 　 　 ／ 　/ /::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:::::l　　ー――‐ ´　 ／ /:::::::::::::::::::::::｀丶 _
　　　　　　　　　　　　　　-‐::::::::::::::l　　　　　　　　／　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::

六３６．
いきなり斬りかかってきた二人を瞬時にして跳ね飛ばすも、

　　　　　　　　　　　　 ,　'
　　　　　 /７Г|ﾛﾛ冂
　　　 　 / / | | [二　二]　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,....-::::,,..-;:'
　　　　/_/　|_| [二　二]　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _, -=''""""　　　　＝--、,、`,"+`ゞ,;:
　　　　　　　　　　 凵　ﾛﾛ┐　　　　　　　　　　　　　　　_,.-'^　"　 　　　　　　　　　 　￣＝.、".
　　　　　　　　　 ,i　　|　/_/　　　　　　　　　　　　　　　 -'^　　　　　　　　　　　　　　　＼`,`,;⌒`;・",;+
　　　　　　　　　,'　　|i　　　　　　　　　　　　　　　　　>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾐ`+,;:;"・ヽ｀　`
　　　　　　　　 i|　　 |i　　　　　　　　　　　　　　　　:"　　.＿＝＿＿　　　　　　　　　　　　ヽゞ,:;*ヾ"`丶　┼
　　　　　　　　i|　　　.|i　　　　　　　　　　　　　　　/ 　彡　 .　　　　　　　-ﾐ、　　　　　　 　 ﾐ　　　`,;:"
　　　　　　　　|　　　　.i、　　　　　　　 　　　　　　/〆"　　　　　　　　　　　＼ 　　　　　　`i　　　　　　　丶
　　　　　　　　ゝ　　　　 i、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丶　　　　　 |i　　　　　＋　　　+
　　　　　'　　　i|　　　　　 ゝ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ﾐ　　　　 .ﾐ
　　　　　　　　 .i|　　　　　　丶　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 |ｌ　　　　/　　+
　　　　　　　　　.i|　　　　　　　＼　 　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　 　　　　 .i|　　　　|i　　　　　　´
　　　　　　　　　 .i|　　　　　　　 丶　　　.　　　　　　　 　　　　　　　　　 　　　　.i|　　　　|i　　ゞ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　`;丶＼丶　　、`丶　　　　　　　　　　　　 　.j|　　/;`,;:+
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　 　 ./.／　　,'　　　　　　　/ / | | [二　二]
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／"`;丶　　　　　　　　/_/　|_| [二　二]
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　`,　　　　　　　　　　　　　　　　　凵　ﾛﾛ┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /_/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　 ゞ

　　　　　　　　／￣￣￣ ｀＼
　　　　　　 ／　　　　　　　　 ヽ､
　　　　　 /　　　　　　　　　＿　 ヽ
　　　　 /　　　　　　　,イ´::::::::ﾄ､　ヽ　　　　　　「っく………」
　　　　｛　　　　　　／:::::::::::::::::::::ﾍｌ　〉
　　　　 ヽ　　　|　/:::::::::::::::::::::::::::::｝ /
　　　 　 λ＿ゞ＼ゝ､.:::::::::::::::::::,/У
　　　　　ｲ　ー￣三 ￣二三[]=イ"ゝ
　　　　 /弋＿ー　　＝　ー─ヤ彡ヽ


　　　　　　　　／￣￣￣ ｀＼
　　　　　　 ／　　　　　　　　 ヽ､
　　　　　 /　　　　　　　　　＿　 ヽ
　　　　 /　　　　　　　,イ´::::::::ﾄ､　ヽ　　　　　　「強い！」
　　　　｛　　　　　　／:::::::::::::::::::::ﾍｌ　〉
　　　　 ヽ　　　|　/:::::::::::::::::::::::::::::｝ /
　　　 　 λ＿ゞ＼ゝ､.:::::::::::::::::::,/У
　　　　　ｲ　ー￣三 ￣二三[]=イ"ゝ
　　　　 /弋＿ー　　＝　ー─ヤ彡ヽ


壁に叩き付けられたはずの二人は、そのまますぐ立ち上がってきてしまうではないか。

六３７．
手加減の具合は間違っていない。

剣が完全に届かなかった微妙な手応えに、
敵に魔法の援護がある事、見た目とは異なる防御力を得ている事を知った彼は



　　　　　　　　　　　 　 　 ,ｨ7
　　　　　　　　 　 　 　 ／,/
　　　　　　　　　　　　/　/
　　　　　 　 　 　 　 /　/
.　　　　 　 　 　 　 /　/
　　　　　 　 　 　 /　/
　　　　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 ／＼　 ／　 ＼
.　　 　 　 　 | （●）（●） 　│　　　（手応えが違う！
. 　 　 　 　 /| （__人__）　　 .|　　　　これは―――加護の奇跡がかかっているのか！？）
　 　 　 　 / ,|　｀ ⌒´ 　 　 |
.　　　　ィ´ /''ヽ　　　　　　ﾉ　　　　「ジュン！見た目で判断するな！
　　　(⌒) ｲi一‐ヽ、　　　/　　　　 魔法の補助がかかっているぞ！」
　　　　7 .K.`ｰ--→―― ）
　　　　ヽ/ ヾ--‐―‐　　/
.　　　　　 　/　　 　　　/
　　　　　　/　　　　　 /



廊下の角から現れたジュンにも情報を展開し、



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|　　　　
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|　　　　「了解！」
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



一目で見抜かれ、ジュンもただ者ではないと知っている敵は挟み撃ちなど冗談ではないと
二人の中間にある丁字路から逃げていってしまう。



　　　　　　　　／￣￣￣ ｀＼
　　　　　　 ／　　　　　　　　 ヽ､
　　　　　 /　　　　　　　　　＿　 ヽ
　　　　 /　　　　　　　,イ´::::::::ﾄ､　ヽ　　　　　　「チッ！
　　　　｛　　　　　　／:::::::::::::::::::::ﾍｌ　〉　　　　　退け！退けッ！」
　　　　 ヽ　　　|　/:::::::::::::::::::::::::::::｝ /
　　　 　 λ＿ゞ＼ゝ､.:::::::::::::::::::,/У
　　　　　ｲ　ー￣三 ￣二三[]=イ"ゝ
　　　　 /弋＿ー　　＝　ー─ヤ彡ヽ

六３８
南の階段に向かおうとしている六人の後ろ姿を悔しそうに睨み付けたジュンは
どうするべきかの判断を仰ぐが、



　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　 　　 　 〉 　 　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　　「ああくそ、階段側に逃げられた！
　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼　　　追うかい！？」
　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>
　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /
..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　 ヽ.　 ″　 　 ｌ　　 　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　「行くな！　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 {　　　 　 　 　 |
　　　 陽動だとまずいし　　　　　　　　　　　　　　　 {　　 　 　 　 ﾉ
　　　 俺達が攻勢に出る必要は無い！」　 mｍ 　 ヽ 　 　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⊂　￣￣￣　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　￣￣￣|　　　　|



飽くまでも自分達の役目は王女を護りきる事、とやらない夫が
それを制止した時だった。

六３９．
轟音が夜空を突き抜け、城がびりびりと揺れる。



　　　　 　 　 .,､-ｰ''ｱ:;､-'/　　　　　　 ,,､-'７　　 　 　 　 /￣/＿
　　　　　　　ﾉ　 ／／／/了　 　 　 /　／　　 　 ,-ｰ―"　＿＿/
　　　　 　 .ｲ　　i::/　/ / / 　 　 　 / ,r',,,,,､- ｧ／-z''"　　/
　　　　　　,|　 ノ:ﾉz''"/／ ,,､-ｰ ''"　　,､-ｰ''"　 ／／/　/
　　　　　 ,ﾘ　/;;;､-''了　 / ,､z''"／|　/ 　 　 　 |／ ./　/ 　.／＼
　　　　　 i　　 ,､-ｰ'　　 '"／ ／　/ /　　　　　　　 /／　　 ＼／;;､-'/
　　　　　/　「"　　 　 　 ,ﾉ ／　 / /　　　　　　　　　　　　　　､-",､ '
　　　　 /　/　　 　 　 　 |/　 　 ﾚ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　／
　 　 　 |　 |　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　／
　 　 　 |／　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾚ"
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　　｡
　　　　　　　　　　 　 　　 　 　 　｡　 ｡ 　 　 |　 　　 ｡　 ｡
　　　　　　　　 　 　 　　 　 　 　 |. 　| 　 　 |:| 　　　|. 　|
　　　　　　　　　　　 　 　　　　　||　 || 　 　|.:.| 　 　||　 ||
　　　　　　　　　 　 　 　　 　 　 |:|.　|:|　 　l∧l 　　|:|.　|:|
　　　 　 　　　　 　 　｡　　　　　|.:.|. |.:.| 　 ,.傘., 　 |.:.|. |.:.|　　　　 　｡
　　　 　 　 　 　 　 　| 　 　 　 .|∧||∧| ,傘傘傘, |∧||∧| 　 　 　　|
　　 　 ｡　 ｡ 　 　 　 ||.　 　　　（VVVV）.傘傘傘.（VVVV） 　 　 　 ||　　　 　 ｡　 ｡
　 　 　|. 　|　　 　 　|:| 　 　　　{∽}{∽}}}傘傘傘{{{∽}{∽}　　 　 　|:|　　 　 　|.　 |
　 　 . ||　 ||　　　 　|:.:| 　 　,傘|ｌ~~|ｌ~~|}}个个个{{|ｌ~~|ｌ~~|傘,　 　 |:.:| 　　　　||　 ||
　　　 |:|.　|:|　　　　lvvl .,.,傘傘|∩||∩|}::::/⌒ヽ :{|∩||∩|傘傘,.,. lvvl　　　　|:|.　|:|
　 　 .|.:.|. |.:.|. 　 　 |∩|傘傘傘||　l||　l|}:::|: 　　|:::{||　l||　l|傘傘傘|∩| 　 　 .|.:.|. |.:.|
　　　|∧||∧| ,.,.,傘||"||傘傘傘||　l||　l|}:::|: 　　|:::{||　l||　l|傘傘傘||"||傘,.,., |∧||∧|
　　 (vVVVV)傘傘{∽}个个个{∽}{∽}}:|三ﾆ三|:{{∽}{∽}个个个{∽}傘傘 (VVVVv)　　　　　 　　|
　　 山i!山i山傘γ ｀ヘ!|/⌒ヽ|ｌ~~|ｌ~~|}:／个＼ {|ｌ~~|ｌ~~|!/⌒ヽ|!|三|傘傘山i!山i山　 　 　 　 　 ∧
　　　||^^||^^| イ　"" 　ヾ　ヾ.||{∽}{∽}}:{ﾆi二iﾆ}:{{∽}{∽}||:.　　||!{∽}个ｌ个||^^||^^|　　　　　　　/;;;;;ヽ
　　　||　l||/　(　　⌒　ヽ　　）ヽｌ~~|ｌ~~|}::::／＼::::{|ｌ~~|ｌ~~||iﾆﾆﾆi|!|三|::::::::::::||　l||　l|　 　 　　　　| ∩ |
　　　||　l||(　　　　､　,　　　ヾ　） .l||　l|}:::|: 　　|:::{||　l||　l||／ｌ＼|!||: ||／ｌ＼||　l||　l|　　／＼　　|ニニ|
　　　||　l||ゞ　(.　.　　ﾉ.　.ﾉ　.ノ||　l||　l|}:::|ﾆﾆﾆ|:::{||　l||　l||:Ii==iI:|!||: ||::l⌒l: ||　l||　l|三三三三三三三三
　　　|∬||∬|ゝ､､ゝﾉ　,,　ノ　l|:||∬||∬|}:::, '三`､::{|∬||∬||:|l 　l|:|!|§|::|___l: |∬||∬|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
　　　{})({i})({}iﾆﾆﾆi{({})}!!.!|,,, l|:!{})({|})({}}::|皿ｌ皿|::{{})({|})({}!:!|,,, l|:!!{({})}iﾆﾆﾆi{})({i})({}:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
　　　||　l||　l|鬥ｌ鬥||: ||!|鬥ｌ鬥|||　l||　l|}|鬥轟鬥|{||　l||　l||鬥ｌ鬥|!||: ||鬥ｌ鬥||　l||　l|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
　　　||　l||　l|/⌒ヽ||: ||!|/⌒ヽ|||　l||　l|}|iiiiiiiiiiiiiiii|{||　l||　l||/⌒ヽ|!||: ||/⌒ヽ||　l||　l|:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
　　　|∬||∬||:.　　||§|!||:.　　|||∬|∬||}|iiiiiiiiiiiiiiii|{||∬|∬|||:.　　||!|§||:.　　||∬||∬|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
　　　|凶||凶|iﾆﾆﾆi|凶|!|iﾆﾆﾆi||凶||凶|}|二二二|{|凶||凶||iﾆﾆﾆi|!|凶|iﾆﾆﾆi|凶||凶|:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
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18 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 19:49:41 ID:VdzZmncD おいおい、爆破テロか！ 強硬手段にもほどがあるぞ…

六４０．
足下からの爆音にジュンは何事、と辺りを見回すが、
幸い崩れるような事は無いようだ。



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ　　　　　「うわっ！？
: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}　　　　　 今の何！
ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ　　　　　　 爆発！？」
　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}



向かいに立つやらない夫はこの時間を利用して考えをまとめており、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ 　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　_ノ　　ヽ､ 　 |
　　　　「どうやら襲われているのは　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　（ー）（ー） 　|
　　　　 ここだけじゃない。　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 　 　 　 | 　（__人__） 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　l　　｀⌒ ´　　 }
　　　　 多方面同時侵攻―――　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　　./
　　　　 城の中に内通者や裏切り者が　　　　　　　　　　　　　　　 　／:ヽ　　　　.ノ,'ヽ､--､
　　　　 それなりに居なければ成立しない」　　　　　　　　　　 ,.-‐,ｨ‐"/ゝ.ヽ.＿__ノゝ::::::::ヽ､:::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /／::_,､/,';;;;;;;ﾞ;;;;;;;;;;;;;";;;;;|:ﾞ､::::_::ゝ､ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ:::i￣／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l::::/::::::::::::l:::ﾞi
　　　　（それに―――なぜ、　　　　　　　　　　　　　　　　/:::: /::::｀ヽ,';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|／:::::::::::::::l:::ﾞ,
　　　　 親衛騎士の待機階層を抜けて　　　　　　　　　　|:::::|::/::,ｨ '";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ､::::::::::::::::/::::､
　　　　 賊はここまで上がってこれた？）　　　　　　　　　l:::::;/:/:　 :|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::::::l::::::ﾞ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::::/,':　:　 |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ,::::::::::::::::ﾄ::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉/,':　:　 :/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|ヽ.::::::::::::::::ゞｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::/ﾄ:　:　: ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ､ヽ::::::::ｲ::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .',::::ﾞ､ヾ:　:　 :l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ:ヾ::::l::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',:::::l /:　:　:|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|:　:ヽ:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ',:://:　: .ィ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|:　:　: ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }/ }:　: /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|:　:　:　:　〉

六４１．
大勢の騎士、衛兵を連れてやってきたエンジュの顔を見た瞬間、
城を出る事に決めた。



　　　　　　　　　 　 　 _,　　　~￣￣￣¨　 　､
　　　　　　　　　　. -=ミ　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　⌒＼　　　 ＼
　　　　　　 ／　　　/　　　　 　 　ヽ　 ＼　＼　　　‘,＿
　　　 ｰ=彡' ／ 　 ′　　　　　　　八　　　　　 　 　 ∨ﾐﾒ
　　　　　 / /　　　ｉ　　　　　 | l 　 　 ＼　 ＼　 　　　|　　ﾊ　　　「やらない夫、ジュン！
　　　　　　 ′　　 |l　 |　　　ﾘ ﾄ　　 ＼ 　 、 ヽ乂_　ﾘ　　 ﾘ　　　王女は無事か！？」
.　　 　 　 } i　　 | 八　|　　 '/ 八＼　_ 　 、＼ 介廴'　　 /
.　　　　　ﾉ人　 戈トﾐ人　/_以rｾ爪ヽ　|　＼ 介ﾄ /　　 ｛
　 　 　 〃　 } l　 弋均ﾊ/ / 法功㌃ ｝ |　 爪ト　/　　 　、
　　 　 　 　 ﾉ人个ト　/　 　 　 　 　 ﾉ ﾉ　/ﾉﾘ　/　　 　 i|
.　 　 　 　 　 　 }乂_ /　　　　 　 　 _彡ｲ厶ｨ 　｛ 　 　 j从
　 　 　 　 　 　 八人 ヽ 　 　 　 　 　 　 /　乂从ﾊ }　 |
　　　　 　 　 　 　 　 ＼｀~`'　　 　 　 , 　 ／　 ￣V八ﾘ
　　　　　　　 　 　 　 　 ＼　　 　. イ 　 '｀ 　 　 　 ∨/
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀´　r‐ '"　 　 　 　 　 '¨￣＼､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 厶＿..　 -‐' '` 　 　 　 　 } :ヽ
　　　　　　　　　　 　 　 　 _,厶;_: : : : ＼　　　　　　　　 { : :lﾍ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　 ＼ : : : ＼　　　　　　　| : :}　'
　　　　　　 　 　 　 _／　　 　 　 　 ＼ : : : ＼　　　　　 | : :| 　 ,



　　　　　　　　 　 　 　 ￣　 　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　 　 　 ＼
　　　　　／　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　　　､＿　　ヽ
　　　　'　　　　　　　　　　　　　　 ｀　､ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l　　　「ええ、中で今着替えている最中です。
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!　　　どうやら、本格的に相手が動き出した様子、
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'　　　俺達はこのまま王女を連れて城を出ます」
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

六４２．



　　　　　　 　　 _ ＿＿ _ _
　　　　　　,．'"´ 　 　　　　､`ヽ､
　　　　　/　　　i　　　　ﾘ ヽ ､　　＼
　　　　/　　 　.:ﾚ′ 　 j　　i !.:. 　　i
　　 　 l　　 　.:/　　 , /　 i .::|:::.:l　　|
　　 　ﾉ　　　 ,.ｨｲ.:::/　　.::l.:|:|::::::|:::.　ﾄ､　　　　「城を？」
　　 彳　　,ｨｲ 1:|::,'　 .:;ｨｲハi::::::|::.:.:.ヽ|
　　　|.:.:|, ｲ‐ﾘ-ﾄﾄ､::.;ｨｲ仁＝ト-ヾ::::.:.:.ﾄ､
　　　ﾄ､:i　{ r‐ェﾃ ヽl/　''ﾃェ‐ｧ .:!.:ﾄ､:;!/
　 　　 ヾ::､　　　　,　　　　　　　　!/::／
　　　　　 仆　　 　:j ､　　　　　　ｲ:/
　　 　 　 　 `､　　　_ _　　　　　/i,ハ
　　　　　　　　ヽ　　ｰ ｀　　 ／ .|;;;:;:|
　　　　　　　　　`ﾄ､ ＿__ ／　　 !;;:/､
　 　　　 　 　 /.::::|　ヽ　　 /　　 l::::.:.L



別にその判断に異を唱えるつもりのないエンジュが何故、と問うと、
眉を動かした彼は、至って冷静にここだけでは無い現状を見据えている様子。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　_ノ　 ⌒ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　（ ●）　（●） |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　|　　 （__人__）　 |
　　「はい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　 |　　　｀ ⌒´　　|
　　 城の中―――　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　 しかもこの階層に賊が入り込む時点で　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 何も信用出来ません。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　　　 　 ,､ヽ　　　　　ノ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／;;;i/　　　　　　'､!＼
　　 おそらく動きがあったのはここだけでは無いのでしょう？　　　 　 　 　 _,､-／;;;;;;;;|　i　 　 　　i　 i;;;;;ﾞ､-､_
　　 エンジュ様やアンデルセン団長に　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ,-‐'''";;;;;<;;;;;;;;;;;;;!､_｀ヽ　 ､-'_／!;;;;;;ヽ;;;;;｀'';;ｰ;;-,
　　 こちらに気を配っている余裕は無いと思いますし」　　　　　.　　　!;;;|;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;|'ｰニ_ー_ニﾞ／.|;;;／;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;!
　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|;;;;;i;;;;;;;;;;;;／´;;;;;;|　　 　 　 　 　 |;;;＼;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 |;;;;;;;ﾞi;;;;;;;;;'､;;;;;;;;;;;;!─┐　　┌─.|;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;/;;;;;;;;i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;ﾞ､;;;;;;;;;!　　l　　　l　 　l;;;;;;;;;;/;;;;;;ﾉ;;;;;;;;;;|



エンジュより先に現れて然るべきの親衛騎士が一人も上がってこない。

おそらく何人かはやらない夫を信用して各要人の警護に回っているのだろうが、
今日、親衛騎士の階層に待機するはずの者が来ないのは明らかに異常だった。

六４３．
エンジュが知る限りの全てを今ここで告げれば、
彼の判断も、自身の未来もあるいは変わったかも知れない。

だがエンジュは騎士だった。
騎士だから言わなかった。
王国騎士は誓いと忠誠心を以て立ち、その全てを国に捧げる者なのだから。



　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿__
　　　　　　　　　　　　 _　-―――――-＜￣} }!
　　　　　　　　　　　 ´　　　　　 -――７　 く.７./-､
　　　　　 　 ,　 ´　　　　　￣　　,. -―/　　　Ｙ´ ＼＼
　　　 　　 /　　　　　,　　　,　 イ　　 /　　　　　　　 ヽ.｀　､＿.ノ
　　　　　/ 　　　 ,／　　／ 　,/ 　　 { 　 {　　　　　　　＼￣　　　「私達、第一騎士団が居ながら、
　　　　 /　　　　/ 　 　 　 　,ﾉ　　　 }　　ﾊ　 }　　　　　、ヽ.　　　 面目ない」
　　　　 |! 　 　 /　　　 　_.／ ,ｨ /　/　　　}　 !　　　　　 ヽ.}ヽ、
　　　　 |　　　/　 　 　｀才　 /:/　,　　 　/　/　　　　ヽ. 　ヽ.　}
　 　 　 {　 　/　　､　.＿__.／ /　/ ,.　__/　ハ　　ハ 　 }!　i {　　（やはり言えんな………
.　　　　 Ｙ　/　　　｀　.ナｰ-r七´ /／７ :/二.!_/}!　}　 ハ ﾊ!　　 あらゆる所に目が行き届きすぎている。
　　　　　| /　,　-―　〈 /　 {!　 ,ｲ | ／ ´tﾃ::ナ}ﾉ ./　/　ﾘ ﾉ
　　　,イ⌒Y´￣￣　　ハヽ (ヽ. i ヾ ､_　　 ￣ ノイ}／　　　　　　今はその力、王女様を護る為だけに
　　〈　　　人　　――-　ヽゝxくヽ、　　　　　　 　∨　　　　　　　費やして欲しい）
　　 }!　　∧_ ヽ. ,ｘxzrく⌒´ヽ!　　 　 　 　 　 　 ／
　　八　{〈 　 ,.イ}　　 ｀　　　 {　 　 　 　 , 　 _ '´
　　　 }ハﾘ　{´　i　　　　　　　ヽ　　　　　　 /
　　 ノ'　 }! 　ヽ/　　　　　　　　{ヽ.　＿＿_/
　 　 　 　 ＿∠__＿＿＿　　　 ヽ.
　　　　　/: : : : : : : : : : : : ￣￣￣＼
　　　　 入 ＿ ＿＿＿＿＿　　　＿厶、
　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:￣￣:.:.:.:.:.:.:＼



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , ------ 、　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／ ヽ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　＼　　　　　　　　　 　 　 ／ヾ ／
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i 　 　 　 　 　 　 i　　　　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　 ＼ 　 　／　 │　　　　　　 　 .／ヾ／
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ （ ●） （● ） ｜ ､-- ､　　　／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　（__人__）　　i　　弋||ニi／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , -!　　 ｀⌒ ´　　 !-､ 　　／○||´
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |､ヽヽ　　　　　　 / / |...／ト､／弋｀||
　　　　 　 　 　 　 　 , 　―――´　| |､｀ ――― ´.,| | 　｀――‐　 ､｀弋 |
　　　　 　 　 　 　 ／ ヽ 　 　 　 ヽ　 ヽ ￣￣￣￣/　／　　 　　／ ＼　 ´　　　「いいえ。
　　　　　 　 　 　 .i　 　　｀　-　　r―‐/＼　　 　／ヽ― ､　 - ´　 　　 i　　　　　 奴らは神聖魔法の補助を受けていました、
　　　　　　　　 ／　　 　 　 　 　 |　／－ ―┬― －＼　|　　　　 　 　 ＼　　　　お気を付けて」
　　　　　　　　　>､ ｀ ー--　　　,／ 　 　 　 ｜　 , -_-､.＼　　--―　´ ,<
　　 　 　 　 　 .>､　 ｰ――‐,‐ ´ ξ＾＾ξ　　|　 iィｒｵj }_j｀ｰ､－――‐　,<
　　　　 　 　 　 >､　 ｰ‐,―､´　　 　 V 　 　.｜　ﾊ.ゞツフ 　　 ,｀ｰ､‐―‐ <
　　　　　　 　 / 　　　／::::::i＼.　　,.　-－―┴―－-　､ 　 ／!::::::::＼ 　　ヽ
　 　 　 　 　 /＿　／:::::::::八　 Ｙ　　　　　　　 　 　 　 　 Y　　八::::::::::＼ ＿ヽ
　　　　　　　　i::::::::::::: ／:i　 ヽ. ヽ　　　　　　　　　 　 　 /　 ,/　 ト:::::::::::::::::<
　　　 　 　 　 i::::::::::::::::::::/／ .|ヽ´ ＼, -――――- ､／ ヽ´|　　 i::::::::::::::::::::i
　 　 　 　 , - !::::::::::::::::::::|　　/　　　　|　　　　　　　　 |　　　ヽ　　.!::::::::::::::::::::!- ､



高司教、あるいは宮廷司祭の誰かも向こうに助力している。
いかに訓練された騎士団とは言え、魔法の援護の有無は
その戦力差を簡単にひっくり返す程の影響を与える事もあるのだ。

そうやらない夫が警告をしたとき、向こうの廊下を見回っていたジュンが駆け足で戻ってくる。

六４４．



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|　　　「父さん！
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|　　　向こうの廊下にも負傷者が！」
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 _ ＿＿ _ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,．'"´ 　 　　　　､`ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　i　　　　ﾘ ヽ ､　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 　.:ﾚ′ 　 j　　i !.:. 　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l　　 　.:/　　 , /　 i .::|:::.:l　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ﾉ　　　 ,.ｨｲ.:::/　　.::l.:|:|::::::|:::.　ﾄ､
　　　　「分かった」　　　　　　 彳　　,ｨｲ 1:|::,'　 .:;ｨｲハi::::::|::.:.:.ヽ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|.:.:|, ｲ‐ﾘ-ﾄﾄ､::.;ｨｲ仁＝ト-ヾ::::.:.:.ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､:i　{ r‐ェﾃ ヽl/　''ﾃェ‐ｧ .:!.:ﾄ､:;!/
　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 ヾ::､　　　　,　　　　　　　　!/::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 仆　　 　:j ､　　　　　　ｲ:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 `､　　　_ _　　　　　/i,ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ｰ ｀　　 ／ .|;;;:;:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ﾄ､ ＿__ ／　　 !;;:/､
　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 　 　 /.::::|　ヽ　　 /　　 l::::.:.L

六４５．



　　　　　　　　　 　 　 _,　　　~￣￣￣¨　 　､
　　　　　　　　　　. -=ミ　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　⌒＼　　　 ＼
　　　　　　 ／　　　/　　　　 　 　ヽ　 ＼　＼　　　‘,＿
　　　 ｰ=彡' ／ 　 ′　　　　　　　八　　　　　 　 　 ∨ﾐﾒ　　　「第一騎士団全騎士、全衛兵へ緊急通達！
　　　　　 / /　　　ｉ　　　　　 | l 　 　 ＼　 ＼　 　　　|　　ﾊ
　　　　　　 ′　　 |l　 |　　　ﾘ ﾄ　　 ＼ 　 、 ヽ乂_　ﾘ　　 ﾘ　　 騎士は襲撃のあった場所と
.　　 　 　 } i　　 | 八　|　　 '/ 八＼　_ 　 、＼ 介廴'　　 /　　　城の出入りに使われる場所を堅め、
.　　　　　ﾉ人　 戈トﾐ人　/_以rｾ爪ヽ　|　＼ 介ﾄ /　　 ｛　　　 衛兵は巡回と全ての部屋の確認を急げ！
　 　 　 〃　 } l　 弋均ﾊ/ / 法功㌃ ｝ |　 爪ト　/　　 　、
　　 　 　 　 ﾉ人个ト　/　 　 　 　 　 ﾉ ﾉ　/ﾉﾘ　/　　 　 i|　　　 特別厳戒態勢の警鐘を鳴らし、
.　 　 　 　 　 　 }乂_ /　　　　 　 　 _彡ｲ厶ｨ 　｛ 　 　 j从　　　 腕章を付け、必ず三人以上で行動するように！
　 　 　 　 　 　 八人 ヽ 　 　 　 　 　 　 /　乂从ﾊ }　 |
　　　　 　 　 　 　 　 ＼｀~`'　　 　 　 , 　 ／　 ￣V八ﾘ　　　　　第三、第四小隊も王城警護に回せ！」
　　　　　　　 　 　 　 　 ＼　　 　. イ 　 '｀ 　 　 　 ∨/
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀´　r‐ '"　 　 　 　 　 '¨￣＼､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 厶＿..　 -‐' '` 　 　 　 　 } :ヽ
　　　　　　　　　　 　 　 　 _,厶;_: : : : ＼　　　　　　　　 { : :lﾍ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　 ＼ : : : ＼　　　　　　　| : :}　'



言われた衛兵達は緊急時の証である赤い腕章を腕に通すとばらばらと散っていき、



　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　 　/￣￣＼＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　ヽ　ヽ､
　　　　　　　　　　 |､　　　　　　　ﾞi ﾞiﾍ
　　　　　　　　　　〔＼｀'‐-　　　　└'　i
　　　　　　　　　　|∩　＼＿　　　　 ＿|　　　　　　　「ハッ！」
　　　　　　　　　　|∪＼　|´｀''''''''''''''''''''i|
　　　　　　　　　/　|||/ 　｀''''''´´￣ｌ 「'''/
　　　　　　　　　|　　　　　　　　　,-ｌ ｌ ｌ
　　　　　　　　　＼iiiiiiiii　　　/／／　 ヽ___
　　　　　　　　／ﾍ｀'''''ヽ　　　　 　ｪｭ 丿＼　ヽ
　　　　／￣|::::::::::＼　　＼__(⊃-‐‐⊂)‐ﾞi::::ヽﾉ
　　　/　　　 |::::::::::::::ﾞi　　　｀'‐‐‐‐'´　　　ﾍ::::ﾍ
　　/　　　／::::::::::::::::::|　　　　　　ヽ　　　　ﾍ::::::/ﾍ
　　|　　／―--､::::::::::|　　　　　　　ヽ　　　　ﾍ/　ﾍ
　　|　/　　　　　ﾍ::::::::/　　　　　　　∧___----|　　ﾍ
　　ｌ/　　　　　　/／　ﾞi　　　　,,-‐‐'　　　　　/―''''〈

六４６．
そこでやっと、服を着終えた真紅が脱衣場から現れたのだが。



　 ｢｀ー'′／　 　 /　　 ヽ、 ＼ ＼　 ヽl}::.:)､ ＼
　 l_,ｨ　　/　/　　 l　 　 　 l 、　 ｌ　｀､　{:|}く＼ヽ/
　　ノ　 ,′ !　 　 {　 　 　 | l| 　 | 　 l　):|} ﾉ|:｢´
.　 ヽ∧| ,　| 　 |　l　 　 　 | ｌ|　　|　 l|　{:|!::）|:|
　　　|::l| |　|　　ｌ　 、　 　 | l | _,厶| j| ｛::|}::} |｣　　　　「やらない夫！
　　　l:::| ｀、!| 　 ＼ ヽ、　|,.イ,斗予 |　|{K!j　|　　　　　さっきの爆発音は何！？」
　　 〈:;小､ヽヽ、Ｔ,Ｚﾆミヽj　 ^ヾrｼ　|　|ァ１　|
　　　　|　 ＼ヽN {ヾtｸ　　　　 　 　 |　ﾄ |_|　 |
.　　　｜　 | 　 l　＼　　　 ｀-　　 ／!| |::..::.｀:┴-､
. 　 　 |　　|　　|　 | ＞ ､　_＿ ／::..::|| |::..::..::..::..::..:ﾄ､
　　　 |　　j　 /|　 l/::..::..::..::..rｸﾆﾐ::../| |::..::..::..::..::./::..｀ヽ、
.　　　l　　 ! //l　 l::..::..::..::/;ﾊﾐZシ//| |::..::..::..::..:/::..::.｀ｰ┴―-ｫ
　　　j　　 ﾚ'∧!　,'::..::..::.〃::..::..::.ﾚ'/::| |::..::..::..::r'::..::..::..::..::..::..::/::|
　　 /　　/ / /|　ﾊ::..::..::..::..::..::. /l ﾄ､| |::..::..::..::{ー-::.ﾊ::..::..:: /::..|
.　 /　　/ ｜{::.| ||::.＼::..::..::..::../::.| l::.| |::..::..::./::..::..::/::..＼::./:ヽ:j



　　　　　　 　　 _ ＿＿ _ _
　　　　　　,．'"´ 　 　　　　､`ヽ､
　　　　　/　　　i　　　　ﾘ ヽ ､　　＼
　　　　/　　 　.:ﾚ′ 　 j　　i !.:. 　　i
　　 　 l　　 　.:/　　 , /　 i .::|:::.:l　　|
　　 　ﾉ　　　 ,.ｨｲ.:::/　　.::l.:|:|::::::|:::.　ﾄ､　　　「王女様、ご無事でしたか！
　　 彳　　,ｨｲ 1:|::,'　 .:;ｨｲハi::::::|::.:.:.ヽ|　　　………しかし、先程の悲鳴は？」
　　　|.:.:|, ｲ‐ﾘ-ﾄﾄ､::.;ｨｲ仁＝ト-ヾ::::.:.:.ﾄ､
　　　ﾄ､:i　{ r‐ェﾃ ヽl/　''ﾃェ‐ｧ .:!.:ﾄ､:;!/
　 　　 ヾ::､　　　　,　　　　　　　　!/::／
　　　　　 仆　　 　:j ､　　　　　　ｲ:/
　　 　 　 　 `､　　　_ _　　　　　/i,ハ
　　　　　　　　ヽ　　ｰ ｀　　 ／ .|;;;:;:|
　　　　　　　　　`ﾄ､ ＿__ ／　　 !;;:/､
　 　　　 　 　 /.::::|　ヽ　　 /　　 l::::.:.L



当然のエンジュの追求に真っ赤になった彼女は、
事情が事情ゆえに説明する事も出来ずごにょごにょと言葉を濁す。



　_〕　　　　　　 ／/　　　　〔　　　　　　＼ー‐rｲ　　く ―┐
　{　　 　　　／　/　　　　 ｌ ＼＿　　　　　l:::::::l　　　　|二二1
　 つ　　　/　　,　　　 l　　|　　　]　　　　　l:::::::l　　 ｲ〔V　 | |
　└‐t　 /　　 l 　 　| l　　|　　l {　　　　　 l:::::::|　　 　 | ∨/
　　　 Ｌ. l !　　| 　　 ｌ｜ Ｎ　 l＿廴 ィ　　 ,ィヱﾍ 　 匸.　| l
　　　　　| l　　l l　|　Ｎ　ﾅﾏ彡ャ‥Y|＿　〈ﾍ{そﾘ　　　|　l |　　　「あ、あれはその………
　　 　 　 !ｌ　　ﾄｌ,イ､.| jノ　　代_ﾉ　八　Ｌ.　ト-r'　 r イ　!| ヽ　　 何でもありません、忘れてください」
　　　　　 l|ヽ　ヽi代ﾊ　　　　xwxwx | ｲ　|/::::/ ＿ﾉ　|　l !ヽ|
　　　　　　　　　 ｌixwx 、　　　　　U ｌ |l　 !:::/ /／ 　.|　!.|
　　　　　　　　　 l l　　　　 　　　　　.l l | 　!/／　　 　! l .|
　　　　　　　　　 | ヽ、　′｀　　 ＿//ｲ　 |´ 　 　 　 .| ｌ　|
　　　　　　　　　/　/| ｀　､　　r'´　//￣|　lﾌ　　　 　 l l　.!
　　　　　　　　 /／| l　／￣, ｨ､　//:::::::l　|ｰｔ.　 　 　 l｜ !
　　　 　 　 　 //r'´￣:::::::::::{rｹｿ//::::::::/ /}　　＼　　 l | ｜
　　　　　　 ／´　l:::::::::::::／:ﾄこｿ{ {:::::::/　}::|　　　 ヽ.　l/　 !
　　　　　 　ヽ| ／＼:::::::::::::/:::::::＞'´￣／::j　|　　　 l　|　　|

六４７．
もう一人は見てしまった何かを
記憶から出来るだけ消去する事に成功したのだろうか。



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　　　　（__人__）　　　　「真紅、遅いぞ」
　 |　　　　 ｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



着替えに随分待たされた彼はそんなんじゃいざと言うとき大変だぞ、と
冒険者的な注意をするも、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　　　　　 /　　　　　　_ .. - ､--──- ､　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'　 　 　,　'"　　　　　　　　　　　ﾞヽ 　 　 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,′ 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ l　　　j// 　/　 　　　　　丶 　　 　　　　ヽ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　___　　(._ 　|　　ノ , 　 ' 　,　 　 　 　　 '　　　　　　 　　' ヽ　　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ___/r_- ' ￣　　ｲ　(__/　/　 / 　 　 　 　 　| 　i　､　　　　 　V　　て_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r　:::__:::: {　　　　/:! 　 ヽ 　 　,'　　│!.　　 　│　! 　 V　 　　　 ',　　　 そ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::|　 イ^て　　イ::::!　 　ﾉ .!　 l.　　│!　　 　 ﾊ 　! 　 l　 !　　ﾊ　!　　　 （
　　　　「こ、これでも急いだのよ」　 　　　L／ｲ　　「 　　 |:::::! 　 (_　| l ﾊ 　　| |　|!　　 l |　|　 ﾉ|　! 　　! | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 /!　　ﾊ____.　|:::::!　 　 ヽVﾊ__ヽ__Nヽ|!　 l/ j ,.ｨl‐j 'T ﾘ　イ　ﾚ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::! 　 l　 　 ヽヽ:::ヽ　　ノﾍ´　x=ｊミ ､ `ヾﾉ' j/／=ﾐ、ﾚイ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!:::!　　!　　　(　　ヽ,=:Vﾊ ヽ　{{ んﾊ ｀　　　　 んﾊ }},l　| ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ! 　 !　　　　ー-..{@jil!|　!　　弋:ﾟｿ　　　　 , 弋:ﾟｿ　.ﾊ　ﾊ. |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　! 　 　 　 　 ´ゞｨ'!|　|　　　 　 　 　 　 　 　 　 / |　|　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　!　　　　　　　`ナ'|　ﾄ､　　　　　　 ⊂つ　　 ∠_.ｌ　 !　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 ,|　 ::! 　 　 　 　　/' 　l　 !_＞-_､, ―-､ 　 　 ／⌒Y　,′ 　　lヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /│ ::::! 　 　 　 　 /　　 l　 ! ' ´ : : : : : : .ヽ-＜: : : : :V　ﾊ. 　　 |　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. /:/ 　:::::!　　　　 　/　　　,l　 !: : : : : : :＿_ {ゞﾝ}─ - ､:.|　! ﾉ　 ／　'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　l　::::i　　　 　 /　 　 ／!　i!: : : : ／: : : : . Y´: : : : : :L_.!　／ ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:/.　 |　::::! 　 　 　 ＼　,.' 　 !　i!:__:／: : : : : : :.:.| : : : : : ::＿.ゝ-─── ｧ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'　 　|　::::l　　　　　　　ゝ　ノ　ﾉ: ｲ: : : : : : : : :ノiヽ: : : : : ゝ_.. -─r─／

六４８．

　　　　　　　　　　 ＼　 _ ＿＿ _ _
　　　　　　 ,　 -‐ ,．'"´ 　 　　　　､`ヽ､
　　　　　／ 　　/　　　i　　　　ﾘ ヽ ､　　＼
　　　　　　　　/　　 　.:ﾚ′ 　 j　　i !.:. 　　i
　　　　　　 　 l　　 　.:/　　 , /　 i .::|:::.:l　　|
　　　　　　 　ﾉ　　　 ,.ｨｲ.:::/　　.::l.:|:|::::::|:::.　ﾄ､
　　　 　 　 彳　　,ｨｲ 1:|::,'　 .:;ｨｲハi::::::|::.:.:.ヽ|
　　　　　　　|.:.:|, ｲ‐ﾘ-ﾄﾄ､::.;ｨｲ仁＝ト-ヾ::::.:.:.ﾄ､
　　　　　　　ﾄ､:i　　　● ヽl/　　●　 .:!.:ﾄ､:;!/
　　　　 　 　　 ヾ::､　　　　,　　　　　　　 !/::／
　　　　　　　　　 　⊂⊃ 　:j ､　　⊂⊃　ｲ:/
　　　　　　 　 　 　 `､　　､_,､_,　　　　　/i,ハ
　　　　　　　　　　　　ヽ　 ヽ._）｀　　 ／ .|;;;:;:|
　　　　　　　　　　　　　`ﾄ､ ＿__ ／　　 !;;:/､　　　　　　（（（王女を相手に、何だそのタメ口は）））
　　　　　　　　　 　 　 /.::::|　ヽ　　 /　　 l::::.:.L


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_冖___　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_冖___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　| |　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　| |　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　| |　　　ヽ　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　　| |　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　└|　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　└|
　　　　　　　　　　　　　　　　　(　ニニニニニ　ｌ　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 (　ニニニニニ　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　〕ｌ ｌ-‐‐i i‐‐--ｌ〔　　　　　　 　 　 　 　 　 　 〕ｌ ｌ-‐‐i i‐‐--ｌ〔
　　　　　　　　　　　　　　　　 （　 ヽ .,,,,ｌｌ,,,..　/　）　　　　　　　　　　　　　　（　 ヽ .,,,,ｌｌ,,,..　/　）
　　　　　　　　　　　　　　／￣ト､　 ヽ　 　,'　 /--､　　　　　　　　　　／￣ト､　 ヽ　 　,'　 /--､
　　　　　　　　　　　　　/　　 ,'|　i＼(0)只(0)/／￣｀ヽ､　　　　　　　/　　 ,'|　i＼(0)只(0)/／￣｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　|__／　|　ﾍ＿＿／　 |　　　　　 ヽ､　　　　　|__／　|　ﾍ＿＿／　 |　　　　　 ヽ､
　　　　　　　　　　　　　|＼＿|　　　,'　　　　　|＼　　　　　ヽ　 　 　 |＼＿|　　　,'　　　　　|＼　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　|　　　|　　　i　　　　　ﾍ　＼―----'ﾞ　　　　|　　　|　　　i　　　　　ﾍ　＼―----'ﾞ
　　　　　　　　　　　　　|　　　|　　　|　　　　　　＼|　　　　　|　　　　|　　　|　　　|　　　　　　＼|　　　　　|


目を丸くしているエンジュや、ぽかんとしている騎士達の視線に気がつき―――

六４９．
ここでは王女に仕える身分を演じる必要がある、と思い出して口調を変えた。



　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）　　　　　　　「あ。
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　あ～、ゴホン。
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ　　　　　　　　 王女様、ここは危険です。
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;　　　　　　　　　　私とジュンが案内致します、城を脱出しましょう」
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝



　　　r=イ: : : : : :∨: : : : : : : : /＼__＿__
./⌒/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : : :i
{: {¨: : : : : : : ＞　 -　-　＜　: : : : : : : : ::∨ﾊ
廴: : : ::,． ´　　　　　　　　　 ｀　＜: : : :／: : :i
: : }ヽ, ',　　　　　　　　　　　　　　　 ＼: : : : ´｛
: : : /./　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　.ヽ: : : : ::｝
:..:.:.i.,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨: :.｛====､
八 |!　　　　　 i|　　li　　ヽ 　l　　　　 i:　　∨: ﾊ　　　}}
トﾑ|!　　　　　 i|　　li　　　 ）ﾉ　 　 　 |:　　 ∨ ﾉヽ=彳ヾ
:ｿ:::|!　　 i_|＿_i|__ 乂　　／　　/　i:.　|:　　　Ⅳ　 i＿＿}}　　　　　「王女近衛騎士やらない夫、
Y司! 　 _从___八 ｀　 ヽ　/＿/_/_|!::. |::　 i　爪　 |￣￣　　　　　　委細貴方にお任せします」
:| ハ　　 <T芯トﾐ＼ ＼ / ,∠_ム从　!::.. ﾉ 八 ） :|
:|:i ハ 　 Ⅵ込ツ　　 　　　fモテﾐ爪 ﾉ::〃/}:::{ 　 |
:|:i 　 ',　 乂￣　　 　 　 　 ゞrｹ　ｿｲ イ／z}:::{',　 !
:|:i　　 i　　トヽ　　　　j　　　￣　/彡 彳/:/}:::{ !　:!
:|:i　　 |　　!ﾄ､　　　- -　　　 , ｲ 　 　 | {_{ ﾑ:j |　:|
:|:i　＿|　i:...|　＞　 ＿　　＜___j 　 i　 | 　ﾉ:::ﾉ |　:|
＜: : : |　i::::|: : :⊥r=ｧ廴:_:_: : : | 　 !　:|.　￣　 |　:|
:∨.:.:.:.|　i::::|: : :辷zィ　ﾉ-: : :.:.:.| 　 !　:|:　　 　 |　:|
:::∨:.:.:|　i::::|: : : フTT､: : : : : : :| 　 !　:|ﾄ､　 　 |　:|
:::: ∨z|　i::::|: :イ: : | |: ＼: : : :.:.| 　 !　:|::::::ヽ　 |　:|
:::::::::Ⅳ /:::/: :/: : ::| |: : .:.＼ : ∧　　　∨:::::::＼　 !
::::::: / /:::/: :/: : :.:.:| |: : : : : :ヽ::∧　　　∨:::::::::::ヽ|



また、演技がそちらである事が本当に嬉しい真紅は
全幅の信頼を寄せ全てを任せる、と頷き、

六５０．
差し出された王女の手を恭しく取ったやらない夫は―――



,,,,＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　⌒ヽ、　　　 ノ⌒`''''－- ,,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ (⌒　 ノ 　 　 　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　 　 __,,--
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀－へ,,,,,____ 　 　 ＼"''ヽ　_＿＿,,--－－''""￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣''''''－----- 、
　　＿＿ ,,　----─ ''' ￣￣ ＼　/⌒,!　/⌒,)　　　　　 ＼ ＿＿_　＼
￣　　　　　　　　 　　　　　　　　Y 　 ﾉ /　　/ /"`ヽ 　 _　.＼　　＼ 　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　∟___Y　　 /./　　/　　＼＼　＼　λ　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　.//　　:/./ﾞ`)　　＼.l 　|　　`┘　　　　　 ＿_,--－
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'--::`!　　 //　./　＼　`!　/　　＿,,--－''"￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ-.//　./　〉　 〉　〉"　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ-/　/　 /　/

六５１．
エンジュに真っ直ぐ向き直ると、これまでで一番深く頭を下げる。



　　　　　　　　 　 　 　 ￣　 　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　 　 　 ＼
　　　　　／　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　　　､＿　　ヽ
　　　　'　　　　　　　　　　　　　　 ｀　､ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ　　　　　　「エンジュ様。
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l　　　　　　王女とジュンは俺が護ります、
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く　　　　　　約束します。
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'　　　　　　だから、だからどうか―――
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'　　　　　　　ご無事で………」
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./



全てを見透かした視線。
言えなかった事があると知った上で、エンジュの気持ちを全て汲み取った約束。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　/　'　　 　 　 　 l 　 　 l 　 　 　 ヽ＼　　 丶　　＼！
　　　　「ああ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/ /　　　　　　 ! 　 |　　　 |　　　　 　 ＼丶　　 ＼　　｜
　　　　 信じているよ」　　　　　　　　　　　　　 ‐十'′/ /　　　　　　　l　　ﾄ、　　 |　　　　 ＼　 ＼　　 　 ヽ、 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ　 {　ｌ　 ,′　　 l　 ﾊ　｜｀､　　ﾄ､ 　 　 ヽ　<⌒ヽ、_　　　∨厂｀丶、
　　　　（見抜かれた―――か。　　　　　　　　　ヽ、ヽ|　 l 　 ｌ 　 |　{　l　| 　 ヽ　 、丶、 ヽ ＼＼ l　}　￣二7′　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　 |　　| 　 |　ﾚ七ﾆ二￣＼丶　 }ﾍ |＼ ｀ / 厶　　　ハ　!　　　|
　　　　 やらない夫、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　ﾄ､＼　ヽ＼=ｷｔぞﾗ　　}ﾉ／　j/　　了/￣　　 /　 }∧ 　 l |
　　　　 君は騎士には向いていない。　　　　　　　　　　　 ＼ヽ｀ヽ、　＼__￣　　　　　　／　 　 -ﾍ／ﾚﾍ /＿,　　l 　 | ﾄ
　　　　 国や誓いに縛られる器ではない。　　　　　　　　　　ヽ}　　｀7ｰ一′　　　　　　　　　 ,′　　 　 {´￣｀ヽ､い |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 Ｖ了＼ 　 り
　　　　 君は英雄となるべきだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└-- ､　　　　 ,　　　　　　　　l 　 　 　 ∨ 　 〉
　　　　 己の信念のみで歩み、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰこ￣　　　　 ,　　　　|　　 　 ／　　ハ
　　　　 全てを護ろうとする貴き存在こそが　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ,　く　　　　 l　　 ／　　　/　ヽ、
　　　　 相応しい道だ）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀一'´／ ∧　　　/　／　　　　/　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ィ　 /／! 　 ' ／　　　 　 /　　 　 　 ＼



騎士としての、父としての。
全ての願いを背負ってくれた少年に感謝したエンジュも、
敬礼ではなく頭を下げて返した。

六５２．
それでやらない夫は王女の手を引いて走り出し、
二人を追いかけようとしたジュンはふと足を止めて父親に向き直る。



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}　　　「父さん………」
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



だがエンジュはその必要はない、と感傷に浸る事を禁じた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 _,　　　~￣￣￣¨　 　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. -=ミ　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　⌒＼　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　/　　　　 　 　ヽ　 ＼　＼　　　‘,＿
　　　「往け、ジュン！　　　　　　　　　　　　　　 ｰ=彡' ／ 　 ′　　　　　　　八　　　　　 　 　 ∨ﾐﾒ
　　　お前はもう一人前なのだ、　　　　　　　　　 / /　　　ｉ　　　　　 | l 　 　 ＼　 ＼　 　　　|　　ﾊ
　　　父が言う事は何もない！　　　　　 　　　　　　 ′　　 |l　 |　　　ﾘ ﾄ　　 ＼ 　 、 ヽ乂_　ﾘ　　 ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 } i　　 | 八　|　　 '/ 八＼　_ 　 、＼ 介廴'　　 /
　　　自分の信じる道を、　　　　　　　　.　　　　　ﾉ人　 戈トﾐ人　/_以rｾ爪ヽ　|　＼ 介ﾄ /　　 ｛
　　　ただひたすらに往けっ！！」　　　　 　 　 〃　 } l　 弋均ﾊ/ / 法功㌃ ｝ |　 爪ト　/　　 　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾉ人个ト　/　 　 　 　 　 ﾉ ﾉ　/ﾉﾘ　/　　 　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 　 　 　 }乂_ /　　　　 　 　 _彡ｲ厶ｨ 　｛ 　 　 j从
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 八人 ヽ 　 　 　 　 　 　 /　乂从ﾊ }　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼｀~`'　　 　 　 , 　 ／　 ￣V八ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼　　 　. イ 　 '｀ 　 　 　 ∨/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀´　r‐ '"　 　 　 　 　 '¨￣＼､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 厶＿..　 -‐' '` 　 　 　 　 } :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 _,厶;_: : : : ＼　　　　　　　　 { : :lﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　 ＼ : : : ＼　　　　　　　| : :}　'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 _／　　 　 　 　 ＼ : : : ＼　　　　　 | : :| 　 ,

29 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 19:58:55 ID:ZLZctA/9 この様子だとエンジュは処刑される運命にあるのか？・・・

六５３．



　　　　 |:.:.:.:.∧:.:|　　　 |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　 }:.:.:.:.ヾ:.:.:',　　　|:./　.V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
　　　　 >:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ　 V:.:.:i{　ゞテ＝ァ　||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
　　　 /:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.||　 {辷zり　 .||　ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
.　 　/:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ //　　／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ　　　　　「はいっ！」
　　/:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::>　 ゞ' ´　|| {　　　 ￣￣￣￣　　 入 ソ/:.:.:.:._＿／
　　￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ　　　　　　　　　 　/　／:.:ヽ￣
　　　　　　　ﾚ'´ ヽ |　　　　　　　 ＿　　　　　 　 /-'´／￣
　　　　　　　　　　　ヽ　　　 　 ￣_　　　 　 　 　/￣゛゛
　　　　　　　 　 　 　　＼　　　　　　　　　　_　ィ|
　　　　　　　　　　　　　　 ｀ 　 ､　　　　 イ　　　ｙ入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニi　´　　　　／　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ／/　}　　 　　/　　　　|＼
　　　　　　　　　　　　　 　　/　/　ﾉ　　　　/　　　　　|　 ￣ ' - ､
　　　　　　　　　　　　　 　/　　V'´￣￣ ../　 　 　 　 |　　　　　　｀ ' - ､
　　　　　　　　　　　　.／/　 　/::::::::::::::／＿＝=-､＿ |　　　　　　 　　/ヽ



激励されたジュンは息子として頭を下げ、次に騎士として敬礼をし、
今度こそ二人の後を追って走り去りその姿はすぐに見えなくなる。



　 　 　　 　 /|,　-──---,
　　　　　　〈　　. :.::::.:.:.:.｀`く
　　　　 , ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ
　　　∠.:／.::ﾊﾊ|:::::::::1::::.:.:.:.　＼
　　　　ム:从r'''''|/Ｎ:::|.;;;!;;;;;;;「￣　　　　「父さんも、ご無事で！」
　　 　　l/N￣|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|
　　　　　 `|￣ﾉ└‐┘｀`ウ'ﾞ
　　　 　 　 ＼ ー' ,..ィ二［
　　　　　　　　￣r'"´,. -‐L_
　　　　　　　　∠二　　 　 1i
　　　　　　　　|　 　 `ヽ|　 | ',
　　　　　　　　|　 　 　.:j.　 | ﾄ､
　　　　　　　 /　　 　 〈　　| | |
　 　 　 　　 / __ ＿＿」.　 | | |
　　　　　　　| |:::| 　 |　　　| 「|
　　　　　　　| |:/　　l　　 V! |:|
　　　　　　　|_/　　/　　　i:! |:|
　　　　　　　l/ 　 /.:.:::.:.:. j〈.:ﾘ



いくつもの選択、いくつもの流れ。
それらが運命の大河を形作り、抗えない人々を木の葉のように押し流していく―――

父を卒業し、友の後を追って歩き出した息子と、

六５４．
今、まさに巣立っていく息子を見送った父親。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　/　'　　 　 　 　 l 　 　 l 　 　 　 ヽ＼　　 丶　　＼！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/ /　　　　　　 ! 　 |　　　 |　　　　 　 ＼丶　　 ＼　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐十'′/ /　　　　　　　l　　ﾄ、　　 |　　　　 ＼　 ＼　　 　 ヽ、 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ　 {　ｌ　 ,′　　 l　 ﾊ　｜｀､　　ﾄ､ 　 　 ヽ　<⌒ヽ、_　　　∨厂｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、ヽ|　 l 　 ｌ 　 |　{　l　| 　 ヽ　 、丶、 ヽ ＼＼ l　}　￣二7′　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　 |　　| 　 |　ﾚ七ﾆ二￣＼丶　 }ﾍ |＼ ｀ / 厶　　　ハ　!　　　|
　　　　「息子よ―――　　　　　　　　　　　　l　ﾄ､＼　ヽ＼=ｷｔぞﾗ　　}ﾉ／　j/　　了/￣　　 /　 }∧ 　 l |
　　　　 頑張るのだぞ」　　　 　　　　　　　　 ＼ヽ｀ヽ、　＼__￣　　　　　　／　 　 -ﾍ／ﾚﾍ /＿,　　l 　 | ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ}　　｀7ｰ一′　　　　　　　　　 ,′　　 　 {´￣｀ヽ､い |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 Ｖ了＼ 　 り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└-- ､　　　　 ,　　　　　　　　l 　 　 　 ∨ 　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰこ￣　　　　 ,　　　　|　　 　 ／　　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ,　く　　　　 l　　 ／　　　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀一'´／ ∧　　　/　／　　　　/　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ィ　 /／! 　 ' ／　　　 　 /　　 　 　 ＼



それが、サクラダ父子の今生の別れとなった。

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━━━━━━━━━━……

36 ◆FrtuoSIf66 10/09/25 20:04:50 ID:GJdDrkib 本日の投下は以上になります。 閲覧と合いの手、ありがとうございました！ 次回は第六章その２になります。 37 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 20:05:36 ID:VdzZmncD ああ、やっぱり・・・・ 乙でした。次回も楽しみです。 39 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 20:07:54 ID:4CYVaYLv 乙 まさかジュンが死ぬなんて…… 40 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 20:08:19 ID:vKLGJrum 乙でした。 毎度のことながら、やらない夫は俺達を魅せてくれるｗ。 次の投下は早くて１週間後でしたっけ？ 今までの分を復習して、お待ちしてます。 45 ◆FrtuoSIf66 10/09/25 20:13:22 ID:GJdDrkib しまった、向こうをあげてしまったのでもう一回だけこっちも　orz >>37-43 乙と閲覧をありがとうございました！ >>40 今夜から日曜夜まで出かけてしまうので、 また月曜日からの書きためになりますね。 書きための神様がまた来る事を祈ります。 44 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 20:12:21 ID:cQfzf6om 乙 後手に回ってるのに対処が的確なのはさすがだ 共和制派で利益を得る人は意外に多いのかな 現体制で上手くやれてるってことは保守派も多そうだが 46 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 20:18:32 ID:La7Gnh6h 乙！ ジュンも父親の覚悟を感じ取れたのかな、今生の別れになるのだから感じていて欲しいな 47 ◆FrtuoSIf66 10/09/25 20:37:40 ID:GJdDrkib >>44 >>46 乙と閲覧をありがとうございました！ さて、1時には起きて出なければならないので 今夜はこれにて失礼致します。 皆様良い週末を。 48 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 21:15:53 ID:zyNKfdWo 乙でした！ 根性の別れか……一気にシリアスになってきたね 49 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 21:19:45 ID:jS8xv0rQ 乙！ やっぱおやじキャラの覚悟はしびれるぜええ 50 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 21:20:11 ID:jmpJ/ywX やらない夫がかなり情報渡したのに後手後手になるなんて・・・。 麻呂たちが有能すぎてむかつく。 51 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 21:21:31 ID:coh3CjBh 乙でした！ 勘定に入れられる味方はエンジュとアンデルセンだけか･･･　厳しいなぁ。 次回あたりサクラの再登場がくると色々な意味で嬉しい。 52 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 22:01:49 ID:aEpNFLwJ 乙でした！ エンジュの覚悟が泣ける・・・ 濡れ衣を着せられそうになっているってやらない夫に言っていたらどんな未来だったんだろうなぁ・・・ みんな無事にとは行かない事が分かったので、誰か翡翠を助けてくださいお願いします 53 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/25 22:04:53 ID:VdzZmncD 第１騎士団の衛兵たちが部屋の確認に走ってるから、被害は最小限であって欲しいな・・・ 58 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/26 00:52:11 ID:Ek8J4clO 正直麻呂の陣営に比べると、単純に人数が少なすぎると思うの。 近衛騎士総数７名、うち２名は姫の専従で、団長は捜査&牽制だと、 実働できる人数は半減してるぞ。 59 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/26 00:55:58 ID:UA7YXWfU この国、実は思った以上に危険な状態だったんだな やらない夫のおかげで最小限の被害で済んだのかもだけど、 これでまたやらない夫が責任に感じる事がないようならいいけど 69 ◆FrtuoSIf66 10/09/27 18:41:08 ID:4eU6MwRi ･ω･)っ　　　　　―＝三【　第六章その２（四十枚？）　本日21：00～　投下予定】 　　　ｼｭｯ 70 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 18:49:39 ID:8HL8GEBU 　　　　―＝三【　第六章その２（四十枚？）　本日21：00～　投下予定】)Д`)ｸﾞﾍｯ 71 ◆FrtuoSIf66 10/09/27 18:52:02 ID:4eU6MwRi 　　　　 　 　 r'ﾆﾆニ二二二ﾆﾆﾆ､ヽ 　　　　 　 　 | | 　　　　.＠　 　 　| | 　　　 　 ｒー┤|　　　　　　　 　　 |├､ 　　　 　 |　 　| | 　 　 　 Π　 　　| |　|　　　>>70 　　　 　 l　 　 l l 　 　 lﾆ　 コ　　.| |　|　　　　大変大変！　ホイミ！ 　　　　　|　 　 l l 　 　 　|_|　　 　| |　| 　 　 　 　l＿＿l_l＿＿＿＿＿＿|_|__| 　　っ 　　 　 　 |　/　　,ｲ,へ 丶､ 　　　 　 ﾍ 　　 　 　 | ,' /　/／ 　＼| ＼ ﾄ､　ヽ　',　　　つ 　　　　　 !j./l　/　　　　 　　 `　ヽﾄ､ヽ } .　　　　　| | .!/.! 　○　　　　○　l l |ヽ,' 　　 ⊃ 　　 　 　 l |　| .l/////////////! | !.| 　　 　 　 .| !　| ﾄ､　　,-ｰ￢ 　 .ｨ| .|　l 　 　 　 　 | l　! l　l`　r --.' ＜j ,'　|　| 　 　 　 　 | .l　', l　|ｬ-ミ≡彳ｧﾄｲ ,'!　! 　　　　　 .|　|　ヽ| | l　r´ ）/ハy / |　', 73 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 19:29:19 ID:5xrBIQGf 　　　　―＝三【　第六章その２（四十枚？）　本日21：00～　投下予定】)Д`)ｱﾝｯｷﾓﾁｲｲ 75 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 19:57:49 ID:wUbO/jeu >>73 ニフラム 72 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 18:54:51 ID:MfBX4tfh 把握。 風雲急を告げるローゼン王国情勢だけど、マゴットさんはご無事なのかしらん。

六５５．
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幸いにして、第一騎士団の騎士や衛兵以外と出会わなかった三人は
裏門から城を出て夜のカーディナルを走っていた。

町の西門を目指す為、堀の周囲を回り込んでいた彼らの耳に
庭園での戦いの音が伝わってくる。
城の中がすでに静かだったのは、大多数が庭園に出てきてしまっていたからのようだ。



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_,,|,,＿_,,|,,＿_,,|　 ﾞ'';;;;|;　 　γ￣|￣ヽ　 　 　 　 γ￣|￣ヽ　　 ;;'
,,＿_,,|,,＿_,,|,,_|; 　 　'|　　　l!┼┼┼l!　　　　　　l!┼┼┼l!　　　　　 [「二二二二二
_,,|,,＿_,,|,,＿_,,|;; 　　 |　　　l!┼┼┼l!　'7;,　　 　l!┼┼┼l!　　　　';;　|| |￣￣￣||￣
,,＿_,,|,,＿_,,|,,_|ﾞ;;;,　　|　;; 　l!┼┼┼l!　　　　　　l!┼┼┼l!　 　 　 　 || |┌─┐||┌
_,,|,,＿_,,|,,＿_,,|;;;;;; ﾞ:. |　　　l!┼┼┼l!　　　　　　l!┼┼┼l!　 　 　 　 || |└┐　 ||
,,＿_,,|,,＿_,,|,,_|;;;;;;;;;　|　　 [￣￣￣￣]　　　 　 [￣￣￣￣]　　#　　,;|| |　 │Ⅱ||Ⅱ
_,,|,,＿_,,|,,＿_,,| ;;;;;;;;;;;|　　　｀´￣￣｀´　　　へ　 ｀´￣￣｀´　　　　　::|| |└┘　 ||
,,＿_,,|,,＿_,,|,,_|;;　／ |　　　 　 　 メ　　　 　 　 ;; 　　　　;;'';　　　　 ＿|| |＿＿＿||＿
_,,|,,＿_,,|,,＿_,,|／..／| ';,　　 　 　 　　 ;;　　　　　　　 　 　 　 　 ,,;;''| |ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
　￣￣￣￣￣|／　.|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣| |ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
￣￣￣￣￣￣　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣Lｌﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ


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...,,.......　　　　　　　　　　.....　　　　　　　　　　......,,,,...　　　　　　　　　　　　　　　　...,,.
　　　　　　　　　　　　　　 .ノ　､　、
　　　　　 　 　 　 　 　 　 ● ●） l　　 　 ,'~~~え.
　　　　　　　　　　　　 　 （人__）　|　 　　{/´￣ヽヽ_,
　　　　　　　　　　　　　　ヽ　 　 ノ　 　 （(从_从)i@《,　　＝-
　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ヽ,　 　.| |从ﾟ- ﾟ ||/||
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 l|　 　　|　っ　 ||(({'ﾐ介ﾐ'})||　　　　＝-
　　　　　　 　 　 　 　 　 /　/└へ_） 　≦ノ,ﾉハヽ､≧
　　 　 　 　 　 　 　 　 （＿ﾉ　　　 　 　て` -tｯｧ- ' て＝-
　　　　　　　　　　　　　ﾀｯﾀｯﾀ　　　　　　　ﾄﾃﾃﾃﾃ




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｷｨﾝ
＼陣形を乱すなーーーッ！／
　　　　　　　　　　　　　　ｷﾞﾝｯ
　　ﾄﾞｶﾞｧﾝ　　　　　　　　　　　　　　＼伝令！別の小隊が正門より突入してきました！／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄﾞｶｯ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼な、なんだってーーーー！？／
　　　ｽﾞﾊﾞｯ
＼くそ！町の防衛はどうなっている！？／　　　ﾓｷｭｯ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　ｶﾞｷｨﾝ　　　　　　　ｷｨﾝ　　　　　ﾄﾞｺﾞｫ
　　　＼行くぞ弟者、今こそトンファーの力を見せる時！／
　　　　　　　　　ｷｨﾝｷｨﾝ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄﾞｼｭｯ

　　　　　　　　　ｽﾞﾋﾞｰｯ　　　　　　　　　　　　　＼おうよ兄者！／

85 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:01:26 ID:v9bqn0kt 流石兄弟、トンファーで戦ってるのかｗ ところどころ効果音変だしｗ

六５６．
二人から少し遅れて後方を警戒していたジュンは
何処の所属同士が戦っているんだ、と耳をそばだてたのだが、
そこへ飛び込んでくる何者かの声。



＜第一騎士団は抵抗をやめろ！騎士団長が国王暗殺に関わっていたそうだぞ！
＜騙されるな！これは大臣側の陰謀なんだよ！
＜な、なんだってー！？



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|　　　「………！」
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



その内容は、肩で息をついている真紅には届かなかったようだが―――



　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／::::r‐､:ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ
　　　　　 　_　 　 　 　 　 ,.ｨ'´:::::／!_‐- ､:::::::::::::::::::::::::（,､
　　　　　 /:::｀ヽ＿_,.ィ三/::::::::::::r‐､ﾉ　　 ｀ヽ､:::::::::::::::::ノ
　　　　r‐'､::::::::::::::/圭ﾐ/:::::::::r､:_） l　 l　　　 ヽヽ:::::::::ゝ,
　　　　l:::::::｀:::::::::/圭/´::::::::::ゝ´　 l　 l　　　　 ヽ ヽ:r‐'´
　　　 ノ::::＿::::::/圭/:::::::::::r‐､ﾉl　 l l　l　　　　 l l　 l!
　,ｨﾀ'l:::::::::::::::｀:l圭ﾐ!::::::／:ゝ､ l l　 l l　',　　　 l l l　 l
. lﾐ! /ヽ;::::::::::::::l圭ﾐ!::::::::::r‐‐'_ﾑ斗孑十弋､　 l l!　/
　ゞ="〔＿:::::::::::l圭ﾐ!::::::::::｀)lヽl　 ィ示ｮ` 　 ｀ｭ! l／　　　　「はぁ、はぁ、はぁ………
　// 　 l __）::::::::ヾr‐'ｰ､:（´ l　　　`辷:ﾘ　　　ｶ　　　　　　　ドレスで走るのは厳しいわね………
.//! 　 ﾄ､ゝ-､:::::::lﾉyヽ 〉:ﾉ. l　　　　￣　　　 ヽ
./ l　　 l. ヽ　 ゝ'､:ゞｰ.'´::） l.l　　u　　　　　 _´!　　　　　　　ジュン？どうしたの？」
　 l　　 l　　＼　ゝ‐ヾ､圭.l l.l 　 　 　 　 　 ´, '
.　l　　 l　　　 ｀十-､__≧/ l ﾄ､　　　　　　／
　l　　 l　　　　　l　r‐‐'´.l　l圭ミ＝==,ｨ＝x､
. l　　 l　　　　　l　 〉:::::::/ /圭圭圭ﾐ/ヽ圭圭ゝ､
. !　　 !　　　　 l ／:::::::/ /圭圭圭ﾐ〈 ゞ〉圭圭/
.l　 　 l　　 　 ／:::::::／ /:《圭圭圭圭!´圭＝彳
l　 　 l 　 　 /:::::::::〈　｀ー‐-､圭圭圭l圭圭》
l　 　 l　　 /::::::::::::::::￣￣｀ー-､二`>圭/
　　　l.　／::::::::::::::::::::::::::ヽー´＜二圭圭ミﾄ､
　　　l /::::::::::::::::::::::::::::::::::::￣＞ ／圭圭圭ミﾄ､
. , -‐'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝﾉ圭圭圭圭圭ﾐ!

六５７．
やらない夫を見れば、彼はその通りだと目を閉じて頷いた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　ノ　ヽ､＼
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 （ー）（ー） |　　　 　 　 　 　 　 ／勹
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　（＿人_）│　　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 　 ｀ ⌒´　 |　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 　 　 　 |,,.._,.,_　　　∠ヾ／
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 .　 ヽ　　　　　　/　 ﾞ弋llコ~○／
　　　　　　　　　　　　　　　　　 / lヽ　 　　　/　　　 ／｀弋ll
　　　　　　　　　　　　　＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ ￣ﾉ　,r‐;=／δ／ `弋l､
　　　　　　　　,r‐＜￣´､　ヽ、　｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,`ｰ-, ､__　　゜
　　　　　 　 /　　 　｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　 　 ﾉ 、　　　　 　 　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　 　 〉､ 丶､ _　 　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　 　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ　ξ＾＾ξ ||　　＠ ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.. Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　 　 　 〉､_ 二 -ｨ′八ヽ ﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/　 ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/　　　 〉｝　　Ｙ´　　　　 　 ｌ　| |::::::::::::::￣l
　　　 　 ゝ:::::::::::::::ノ 　 　 く ﾉ　　 }　　　　 　 　{　l, |::::::::::::::::丿
　　　 　,〉:::::::::::::::/ 　 　　/ ｀ヾ丶ゝ、　　　　　 ゝ'〈 ヽ､::::::::::`ヽ､
　　　　{:::::::::::::::::く　　　 r'､　　　,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､|::::::::::::::::::|



そこでやっと知る、父の状況と覚悟。
うつむき、拳を震わせる息子の胸に去来した思いは一体何だったのか。



　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
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　　　　　　　　｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼　　　　　　　　「くっ………！」
　　　　　　　　　　ﾚ､:ﾚ´∧ /　｀　 ＼　.ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
　　　　　　　　　　　 ミ,;,;:.::|　　　　 　 ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
　　　　 ,＿＿ r‐─ v'´　 ヽ　　　　　／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
　 　 /.: : : : : : ＼: : : :＼ 　 ､　　　_　ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./
　　/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼　 ヾ_ , -―
　.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ

六５８．
しかし彼は堂々と言った。
父の言った通り、己の信じる道を往く為に。



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|　　　「往こうやらない夫！
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|　　　父さんは騎士だ！
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}　　　　　ただ、それだけの事だ！」
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



　　　　　　　　　　 　　　　　,ﾍヽヽヽヽ
　　　　　　　　 ／￣￣￣＼ゝ、　　　|
　　 　 　 　 ／　　　　　　　 ＼＼. 　 ＼
　　　　　　 |　　　　　　　　　　 ＼＼,＿ ＼＿_＿
　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　＼ヽ、￣￣￣::＼
　　　　　　 |　　　　　　　　　　 　 　 ヽ ＼.::::::::::::::::::::＼
　　 　 　 　 ＼　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 ＼::::::::::::::::::/
　　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　 / 　 ／::::::::::::::::/　　　　　「分かった」
　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 ／_ ／::::::::::::::::::::/
　　 　 　 　 　 　 /ヾ＼＿＿＿＿|_／:::::::::::::::::::::::/　　　　　　　（エンジュ様。
　　 　 　 　 　 　 |.　｀＼＿＿＿＿,|::::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　あなたの意思はしっかりと繋がっています。
　　　　　　　　　ヾ　　　　　　　　　ﾉ::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　 　 　 ＼　　　　　 ／::ヽ、.:::::::::::::/　　　　　　　　　 他でもない、あなたの息子に―――）
　　　　　　　 　 　 ／::ヽ＿ ／:::::::::::::::ヽ.,＿::::|
　 　 　 　 　 　 　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　 　 　 ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　|::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　|:::::｀ヽ.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼,、＿＿
　　 　 　 　 　 　 　 |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀＼
　　　　　　　　 　 　 |.:::::::::::::|＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/´
　 　 　 　 　 　 　 　 |:::::::::::,|.　 ＼.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　 　 　 　 |:::::::::丶.　　 ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ.:::::::::ヽ　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　 　 　 　 　 ヽ:::::::::::ヽ　丶::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ,
　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ:::::::::::ヽ　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ _／



城の上層に向かって敬礼をしたやらない夫はもう一度エンジュの無事を祈り、

六５９．
街路の先に人影がない事を確認していったん声を出すも、
石畳の上を走る足音が近づくのを知って背中の剣に手を伸ばす。




　　| | 　 　 ＼　＼　| ||　　　　 　 |;;;:::::　　　　 ／／　　　　 　 ／ﾀｯﾀｯﾀ　　　　　　　　　, '　　|,,;;;;;;l,
　　| | ＼　 　 ＼　　| ||　　　　 　 |;::::: 　　　／／　　　　 　 ／ 　 　 , '　 　 ｶｯｶｯｶ 　 　 　　　|;;;;l,,;;;
　　|￣￣￣￣￣￣￣|　　　　　　|:::: 　　／／　　　　 　 ／　　　　 　 　 　 　 　 　 , '　 　　／|,,;;;;;;l,
　　 ￣￣￣￣￣￣￣ 　 　 　 　 |::　 ／／　　　　 　 ／　　　 , '　　　　 　 　 　 　 　　　／　 |;;;;l,,;;;
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿| ／／ 　 　　　　／　　　　　　　 　 　 　 　 , '　 　　／　　　|,,;;;;;;l,
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」／　　　　 　 ／　　　 , '　　　　 　 　 　 　 　　　／　 　 　 |￣￣　　　「よし、行くぞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　 　 　 　 　 , '　 　　／　　　　　￣￣￣　　　　―――いや、待て！」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　 , '　　　　 　 　 　 　 　　　／　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,　,ノ　､
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ｨ"　　　　　　　　　　　　　, '　 　　／＿＿＿＿＿＿＿＿_　 　 　 l　（● ●
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣´　　...,,..　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｀￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　　　 |　 (__人)
　　　　　　　　　　　.....　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,,,........　　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ　 　 ノ
...,,.......　　　　　　　　　　　　　　　　.....　　　　　　　　　　　......,,,,...　　　　　　　　　　　　　　　　　　...,,.　　　　 ,ｲ ⊂ 二〕
　　　　　　....,,,,.....　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......,,......　　　　　　　　　　 /　　　　 /
　　.....　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...,,,..,,,,..　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (J 　/ヽ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..,,,.....　　　　　　 　 Lノ　　＼__）
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣／＼　　.........
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／／／＼　 　 　_-,,n_-,,n_-,,n_-,,n_-,,n_-,,n_-,,n_
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／／／／／＼　／／ＴＴＴＴＴＴＴＴＴＴＴＴＴＴＴＴＴＴ



喪に服した今日は、普段は見習い魔法使いが点して歩く街灯すら光を失っている。
暗い街路で向かい合った三人と二人は、
お互いの存在に気がついて緊迫した空気が流れたのだが―――

六６０．
先にやらない夫がその正体に気がつき、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　「マコト！　　　　　　　 　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　 どうしてここに！？」.　　　　　{ 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 |



知ったる彼の声だと、構えた剣を降ろしたマコトが信じられない様子で近づいてくる。



:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾄ、:::::l
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::! ';:::::i
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::／ヘ|::::::::::::::::::::::::::!　';:::l　　　　「やらない夫！？
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ |:::::／／IIj:|:::::::::::::::::ﾄ::::/ 　 !:!　　　　真紅様とジュンも！
::::::::::{:/:::::::::/::::::/　　 !::/ ヽ　|;iｊ |::::/ﾚ:::::/ |/ 　 　ﾘ　　　　無事だったのか！」
:::::::::::i:::::::::/ |:::/　　　i/ 　 　ヽ7 |:∧　|:/　′
:::::::::::::::::::/　 |/　　　　　　　　　　ﾞ　 ヽｿ
:::::::::::::::::∧　　　　　　　　　　　　　　　＼
:::::::∧:::/　｀ｰ　　　　　　　　　　　　　／
:::::/　∨　　　　　　　 　　　 ( ￣ 7 /
／ﾍ　　　　　　　　　　 　　　 ￣ , '
＼　 ＼　　　　　 ＿　 　 　 　 /
　 ＼　 ＼　　　 /　　｀　ー - ′
　　　＼ 　＼__ /
　　　　　￣＼ ＼

六６１．
マコトと共に居たのは宮廷魔術師長のロイ＝マスタングだった。

王女が一緒に居ると知った彼は恭しく跪き、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::` 丶､:::`ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:／:::::::::::::::::::::|ヽ::｀`丶､＼`ヽ､＞､:::::::::::::::ヽ｀ヽ:::､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 // /::::::::::::::::::|l::|　 ＼　　　＞'´, -‐ｧ`丶､､::::::ヽ､ ';::',＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /'　':::::::::::::::::::::| ',|　　　＼　/ｒ'ﾍｚソ　　　 ｀ ＼::ゝ,　',::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/ 　|:::::::::::::::|:::::|　',　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ|ﾉ　}::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::l::::::::::::',',:::|　 ヽ__　　　　　　　　　　　　　　　__／::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l::|;:::::::::::ヽヽ| '´＝ ヽ　　　　　　　　　　　　 　ヽ:::::::;::|　　　　　　　　　＿　　 , - '
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',:|',::|::::::::::ヽ ﾒヾノ　　　　　　　　　　　　　　　　|､:::::ﾄ､　　　　　　 ｒ'::´:::::::＞'´::;;;;;;;
　「王女様、よくぞご無事で。　　　　　　　　ヽ',::lヽ'､:::::＼　　　　　､　　　　　　　　　　　　l　ヾ|　　　　　　　ﾉ:/::::;;／:::;;;;::::::::::
　このマスタング、心配しておりました」　　 ヽ '､＼＼:.ヽ､　　　　└､´　　 ,. -　　　　　 /　　＼　,. - ' ＜:;;;/／::;;;;;;::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＼　＼｀　　　　　　, -'´　　　　　 　 /　　, - '　　　 , ､＞::::;;;::::::::::::::::／:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､　　　　　　　　　　　　　 / , -'´　　　 ／::;;;;／::;;;;:::::::::::::::;;;;:::/::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､　　　　　　　　　　／'´　　　　　 /::;;;;;;;;;/:::;;;;:::::::::::::::;;;;;;;:/::::;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀丶 ､　　　　,...／´　　　　　　 /::;;;;;;;／:::;;;;:::::;::::::::::;;;;;;;;::|;:;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀` ヾ´ ノへ　　　　　　/::;;;;／:::::::;;;::::;;;;::::::::;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ ／,へトヽ',＼　　　　/::;／::;;;;:::::;::::;;;;;;:::::::;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　＼ト､ '､　',',:::＼　　 |:::/:::;;;;;;;:::::::::;;;;;;|:::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| （:＼ヽ_>,J　} }::::::＼._.Y:::;;;;;;;;;;;:::::|::;;;;;;|::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', ',::::::＼ヽ:く.,| | :::::::/::/::::;;;;;;;;;;;;;::::/:;;;;;;;|::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;



　　　　　　　　　　　　＿＿　__,.
　　　　　 ｢｀ヽ´￣｀ﾌ.::::::::/´　 ,. -‐'′{::::し'.:::::::イ
　　　 . ィ⌒ヽ　　/.::::::::::/　　　　　　 ハ:::::::::::::!::::）
　 　 { イゝ　　　/.::::::::::,′. . . ..x　 く｀ｰヘ.:.:.::::し'
　　　 Y.::::::::ノ　'.::::::::::::|.:: . ---xノﾊﾉ　　　 ヽ:::）
　　　（￣　　. :.|:::::::::::::「´　_、 　）⌒Y　　 　 ﾚ′
　　　 i 7ゝ.:::∠!:::::::::::::|.:.:.:.:ｊ｢ Ｙ　 　 !　　　　}
　　　 | i::ﾊて...」::::::_.:::::!　ノ｣ﾊ '.　 ,ﾊＬ　/　 ′　　　　「ロイもよく無事で………」
　　　 | L! |　丁Ｙｒ刈:::|ィﾊﾊ｢ゝVｲﾑｲ//ﾊﾉ
　　　 |　　 　 |＼ゞｲ::::ﾄ弋)ｿ　　　ﾋｹｊ小
　　　 l　 / 　 !　 `トゝ:!ﾊ´　　 　 '　.ｲ ｊ |
　　　ﾉ. /　　｜i　 ゝ'' | 仆. .　 ´ イ ｣ ;i |
　 ／ :/ 　 　 |小./ゝ.｜ヽ＼下｀ヽ 丁ｊハ
イ　 , ′　 　 ヽ:/ィ　 ハ.　ヽ＼ﾊ.:.:.:ｊり__｣!
　／　　 　 　 ,ノ.:/　/.:::: ` ｰ ､ーヘ〈ゝ--=ｧ
　　　　/⌒Ｙ .::::/　 （::::::. 　 　 下不厂ﾞくﾞく
　　 ｒ ' 　 ノ.:::::/　.ｲ　）::::i　　　 |￣ｊ ） ｀ヽｿ

六６２．
同じく剣を収めたマコトも一度跪いて王女に頭を下げてから、
何があってここに居るのかを説明してくる。



　　　　　　　　　　　　　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　 　 　 　 　 /: : : : : : : : : : : : : : : : :.、: : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　 /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　　　　　　　　　 　 /: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !
　　　　　　　　　　　 　 |: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|: : r ､ : : :.|.: : : ﾄ､:|　　　　　　　「団長に指示されてマスタング殿の護衛をしていたら
　　　　　　　　　　　 　 |: : |: : : : /!/ 　　 | :/　|:.:(ヽ､｀＼:|.: : : | V　　　　　　　 いきなり襲われてな。
　　　　　　　　　　 　 ＜ : ｣_: : / 　_　 　_|/ 　 ﾚ. ＼ ＼　＼ : |
　　　　　　　　　　 　 ＜:: |. 小{　 ｀ﾞ'''''' 　 　 　 　‐-＼ ＼　＼_　　　　　　　　 火炎瓶が投げ込まれそうになった所を、
　　　　　　　　　　　 　 厶ﾍ　ﾊ　U　　　　　 ､ r--‐-､ >､　　　 ｀ヽ　　　　　　 危うく理力魔法で窓から脱出出来たんだ」
　　　　　　　　　　　　　　　 ＼_!　 　 　 　 　 '　` ‐-､ ｀`　　　　　 `､
　　　　　　　　　　　 _, r´:/ : :| ヽ　　　 r‐--っ　　　／＼ 　 　 　 　 `､
　　　　　　　　_, r ´:.:.:.:./:.:.:.:.::|　| ＼　　 ￣　　　／ヽ :｀ヽ 　 　 　 　 ヽ
　　　　　_, r'´:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:|　 ＼　ヽ _　,　ィ ´ |::.:.:ヽ: : `､　 　 　 　 `､
　　_, r ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.|　　　 >-､ー_'/ 　　!::.:.:.:.:ヽ: : ` 、　__ ＿__i__
　/ﾞ: : : : : : : : : : : : ヽ:.:.:.:.:.:.／i!　　/ﾍ　i. / 入　　|＼.:.:.:.:.ヽ;,r'`‐´_,,..---┴‐,
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼／:.:.:.:!'! /ヽ､ヽrk'´:_,r､　ｲ:.:.:＼／ _>-‐'´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ　　　　　　「あの爆発は火炎瓶だったのか！
: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}　　　　　　 そうだ、言葉さんやランサーさん、アレックスさんに団長は？」
ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}


錬金術もたしなむロイの部屋には様々な薬品もある、
どうやらそれに引火しての爆発だったようだ。

六６３．



.　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : :.、: : : : : : : : ヽ
.　　　 /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　/: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !
　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|
　　　|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/　|:./⌒ヽＶ: |.: : : | V　　　　　　　　「言葉とランサーは集会所待機だったはずだ。
　　＜ : ｣_: : / 〈　　{}　|/　　ﾚ　 {}　}|:./ヽ: : |
　　＜:: |. 小{　　 _,,.. -　　　　､-.,_　 ﾚ{: :.|ヽ:|　　　　　　　　　 とっつぁんは団長と一緒だと思うが、見てないぞ。
　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　　　　 ､　　　　 {ﾊ/　V
　　　　　 ＼_!　　　　　　＿　'　　　　 !　　　　　　　　　　　　　それよりお前ら、なんでここに？
　　　　　　　 ヽ　　　 ／　　 ｀t　　 ／　　　　　　　　　　　　　 しかも王女様を連れてさ」
　　　　　　___,ｒ| ＼　 {　　　　/　／
　　　　／:/::::| ＼　 ヽ ｀_⌒ ィ ´
　　／::::::/::::::|　　＼　　　´ ∧＞､
／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /　 !＼::`ｰ- ､
::::::::::::::/:::::::::∧　　　　/二＼　|::::::ヽ::::::::::::＼
::::::::::::/::::::::::::::∧ヽ　 /: : : : :}ヽ!::::::::::〉:::::::::::::::



追っ手や裏切り者ではない。
王女に対する態度は本物であるし、言動にも矛盾した点は見られない。

アレクサンドが保守派要人であるロイの護衛を任せた点も加え、
そう判断したやらない夫は束を握っていた手を離すと
二十時ちょうどの各親衛騎士の状況を頭に入れてからこちらの状況を簡単に説明した。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　「そちらと同時に、王族階層に賊が侵入してきて　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　 王女を狙ったんだ。　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 （__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　 あまりにも易々と入り込んできた異常に　　　　　　　　.　 　 　 {　　　 　 　 　 |
　 城を出る事にした」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 mｍ 　 ヽ 　 　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⊂　￣￣￣　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　￣￣￣|　　　　|

六６４．
王族警護の要を突破された事にマコトは驚いたが、
裏切りによる物とは思っていないようで、



.　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : :.、: : : : : : : : ヽ
.　　　 /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　/: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !
　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|　　　　「マジかよ！？
　　　|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/　|:./⌒ヽＶ: |.: : : | V　　　　言葉達は何やってたんだ！？」
　　＜ : ｣_: : / 〈　　ﾟ　|/　　ﾚ　 ﾟ　..}|:./ヽ: : |
　　＜:: |. 小{　　 _,,.. -　　　　､-.,_　 ﾚ{: :.|ヽ:|
　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　　　　 ､　　　　 {ﾊ/　V
　　　　　 ＼_!　　　　　　＿　'　　　　 !
　　　　　　　 ヽ　　　 ／　　 ｀t　　 ／
　　　　　　___,ｒ| ＼　 {　　　　/　／
　　　　／:/::::| ＼　 ヽ ｀_⌒ ィ ´
　　／::::::/::::::|　　＼　　　´ ∧＞､
／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /　 !＼::`ｰ- ､
::::::::::::::/:::::::::∧　　　　/二＼　|::::::ヽ::::::::::::＼
::::::::::::/::::::::::::::∧ヽ　 /: : : : :}ヽ!::::::::::〉:::::::::::::::!



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | 　（●）（●）　.|
　　　「分からない。　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 !　　（__人__）　 |
　　　 あるいは、無事ではないのかも知れない」　 　 　 　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ミ）　　 　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　|　|／|　　　　 |　|



城を出る際に通った集会所のある階層には、戦闘の跡も見られなかった。

やらない夫も賊を黙認、誘導する裏切りの他に
すでに害されている可能性やどこかに監禁、誘導されている可能性も考えており、
一概に判断出来ないと言葉を濁す。

六６５．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　　　「それで、二人はこれから？」　 　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



　　 　, -‐'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀`'' ‐､_
,､‐'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ､
￣／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;‐､
／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l　　　　　ﾌﾗｲﾄ
‐'/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／イ;ｲ;;;;;l　　「飛行の魔法で城壁を飛び越える際に見たのだが、
./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;メ/ // l;;;;ﾄ;|　　中庭で第一騎士団と、私達を襲った黒覆面の集団が戦っている。
イィ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／／/;;;;ｲ/ ト/､X,　ｌ:ｲ　ｌ
　 |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l '´//／'´　　　┘　!ﾘ　　　　正門前では集まってきた町警備の小隊と
　 |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾄ,. Y　　　　　　　　 '､　　　　 入り口をすでに抑えていた別の集団が戦っているのだ。
　rｲ;;;;;;;;;;;／　 'ｰ' 　　　　　　 　 　ﾝ　　　 あちらは一部、敵に第二騎士団の面が混じっていたようだが………
ノ　ヽ='´'　　　　　　　　　　　　 ／
く　　　｀`ヽ､_　　 ､　　　 -‐‐r＜　　　　　相手の数が妙に多い、私達は裏門から中庭に向かって
;;;ヽ、　 ,､　,､ ｀ヽ､_ヽ.,_ 　 ,ｲ´　 L..　　　　第一騎士団の援護をするつもりだった」
;;;;;;;;;＼ヽ ｿ　｀〉 /小ｰ､｀ 〉ﾉにｿ　｀ヽ_
;;;;;;;;;;;;;;｀ヽ`ー' / ﾊ | /、'" 　 /　､ﾉ



ロイの言葉を肯定する様に、ここへ届いてくる戦いの音は激しさを増している。
左手の中庭からの他、南側の正門前では
もっと大規模の戦闘が繰り広げられているようだ。

六６６．
やらない夫が王女を連れて城を出ているのならば後顧に憂い無し。

マコトは一人でも多くの敵を倒して城の安全を取り戻してやる、と
彼らの戻る場所を確保する気合いで剣を構える。



　　　　　　　　　　　　　￣ヽ､
　　　　　　　　　　_　,-─ ､,〉ゝ－-::...　、
　　　　　　　 ,..::´:::::ヽ:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::`＼_
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
　　　　　, ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　　　　　「お互い時間は無いようだな。
　　　　 /:::.／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　　　　お前らはもう行け。
　　　,/:::: /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ｌ
　 　 l::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｌ　　　　　　　　　　　王女様を頼むぞ」
　 　 |/|:::::::::::::/::::::::::::::::: ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｌ
　　　　|::::::::::::::::::::::::_:::/　ｌ:::::::::::::::::::|＼:::::::::::::::::::::::::::ｌ:::::::::| 　　　　　　　　　 　 　 ／|
　　　　|:::::::::::::::::::::::::/≧､ ｌ::::::::::::::::::| 　＼斗::::::::::::::::ｌ:::::::::ｌ.　　　　　　　　　 　 ／ 　|
　　　　|:::::::::|:::::::::/l::/ｲ⌒ﾞ`ﾒ::::::|＼::ｌィ千代`:::::|:::::::::ｌ:::::l〉ﾘ　　 　 　 　 　 　 ./　/ ./
　　　　|::::::::/|:: /　ﾘ弋､ _ﾉｌ　ヽ|　 ヽﾚ; __ｿ ｌ j|人:::::::ｌ:::::|　　 　 　 　 　 　 　/　/ ./
.　　　　|::::/　|:::fzlｌ　＾ー‐'´　　　　　＾　‐-'´　jｌノ:::::l::l::て. 　　　　 　 　 　 /　/ ./
　 　　　|/　　ヽ.:::|ﾍ　　　　　　　　　　　　　　/ィ<"j ﾒ_／　　　　　 　 　 ./　/ ./
　　　　　　　　　ゝ;八　　　　　　;　　　　　　/ｲ　　　　　　　　　 　 　 　 /　/ ./
　　　　　　　　　　　x > ､　　　ｰ ｰ　　　　ｲゝ:::｀＞-､　　　 　 　 　 　 /　/ ./
　　　　　　　　　〆::::;//ﾊ`　、　　　　 <´/　 ｌ）:::}:::::::::::::::` ､　　　　　/　/ ./　ﾁｬｯ
　　　　　　　 ／/::::://　　＼ 　｀‘´　　 /　 /::::7::::::::::::::::::::ﾊ::l 　 　 /　/ ./
　　　　　　 ﾉ::::/::::::《〈 ヽ／ﾍヽ 　　　／　 /::::/::::::::::::::::::::::/::::l　　 /　/ ./

六６７．
しかしやらない夫は遮二無二な戦いを戒め、



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , ------ 、　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／ ヽ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　＼　　　　　　　　　 　 　 ／ヾ ／
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i 　 　 　 　 　 　 i　　　　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　 ＼ 　 　／　 │　　　　　　 　 .／ヾ／　　　「マコト、退くべき時は退け。
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ （ ●） （● ） ｜ ､-- ､　　　／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　（__人__）　　i　　弋||ニi／ヾ／　　　　　　　………大臣側の用意は周到だ。
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , -!　　 ｀⌒ ´　　 !-､ 　　／○||´　　　　　　　　 おそらくこの後も城と町を落とすための援軍が
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |､ヽヽ　　　　　　 / / |...／ト､／弋｀||　　　　　　　どんどん送り込まれてくるだろう。
　　　　 　 　 　 　 　 , 　―――´　| |､｀ ――― ´.,| | 　｀――‐　 ､｀弋 |
　　　　 　 　 　 　 ／ ヽ 　 　 　 ヽ　 ヽ ￣￣￣￣/　／　　 　　／ ＼　 ´　　　　　 押し返そうとせず、
　　　　　 　 　 　 .i　 　　｀　-　　r―‐/＼　　 　／ヽ― ､　 - ´　 　　 i　　　　　　　 中庭の退路を確保する事に専念して
　　　　　　　　 ／　　 　 　 　 　 |　／－ ―┬― －＼　|　　　　 　 　 ＼　　　　　　早めに退いた方が良いかもしれない。
　　　　　　　　　>､ ｀ ー--　　　,／ 　 　 　 ｜　 , -_-､.＼　　--―　´ ,<
　　 　 　 　 　 .>､　 ｰ――‐,‐ ´ ξ＾＾ξ　　|　 iィｒｵj }_j｀ｰ､－――‐　,<　　　　　　正門前に集まっている
　　　　 　 　 　 >､　 ｰ‐,―､´　　 　 V 　 　.｜　ﾊ.ゞツフ 　　 ,｀ｰ､‐―‐ <　　　　　　町警備の小隊の退避時も、見誤らないようにな」
　　　　　　 　 / 　　　／::::::i＼.　　,.　-－―┴―－-　､ 　 ／!::::::::＼ 　　ヽ
　 　 　 　 　 /＿　／:::::::::八　 Ｙ　　　　　　　 　 　 　 　 Y　　八::::::::::＼ ＿ヽ
　　　　　　　　i::::::::::::: ／:i　 ヽ. ヽ　　　　　　　　　 　 　 /　 ,/　 ト:::::::::::::::::<
　　　 　 　 　 i::::::::::::::::::::/／ .|ヽ´ ＼, -――――- ､／ ヽ´|　　 i::::::::::::::::::::i
　 　 　 　 , - !::::::::::::::::::::|　　/　　　　|　　　　　　　　 |　　　ヽ　　.!::::::::::::::::::::!- ､



この邂逅、この助言がマコトとロイ、そして第一騎士団の生き残り、
果てはローゼン王家を護る事になった。

ただ運命の大河の流れに身をまかせるのみだった木の葉達が、
それを否とし、力強く流れに逆らっていく船に掬い上げられたのだ。

だが、それらが結びついて行くには、まだ多くの時間と血と犠牲が強いられる事になる―――

六６８．
一人でも敵を多く倒す役目ではない。
一人でも多くの味方を救う為の助言に、マコトはどうすれば良いんだろうと頭を悩ませるが、



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::::::::/´i::／::::::::::::／::::::,,,､,／:::::::＼,,∧:::::l::::::::,':::::::::::::::: ﾉ:::::::::;!
:::::/ ::::!/::／/:::::::::／ 　/::::::::::／´ ∨/::::i:::::/::::::::::::::::/i::::::::::/
:::::｀::::::／ ./::::::／ 　　/::::／　 　 　 ﾒ::::::!::/::::::::::::::::/　ｌ::::::/
:::／／ 　/::／ 　　　/／　ﾐk.,　　 /:::ﾍ::／::::::ﾊ::::::/ 　 ｌ:::/　　　　「脱出口の確保、か。
/／'., ' , ∨　　　　 /　　 　ﾞヾミk/:::::／）ﾉ:::/ /::::/ 　　i:/　　　　　俺ら二人で可能かな」
/ 　　ゝ 　　 　　　　 　 　 　 　 /::／i //:::/ /:／　　　/
　　　　 ﾍ　　　　　　　　 　 　／´ 　 ',/／／´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _ゝ
、　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／ ´
;;',　　　／｀　､ 　　　　　　　　,　′
;;;;',　／ 　 　　｀`　､ 　 ,　"
;;;;;ヾi　　　　 　 　 　 `´
;;;;;＼＼
;;;;;;;;;;;＼＼
;;;;;;;;;;;;;;∧　＼



すでにその為の戦術を思いついていたやらない夫が
一人で有れど半端な敵では相手にならないマコトに拠点防衛と味方の誘導を、
安全地帯からの広範囲攻撃が可能なロイに第一騎士団の援護を指示した。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,, -‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/'　　　 ヽ
　　　　　　 ／￣￣＼ 　　　　 ./　　　　　 i
　　　　　／ ._ノ　　ヽ､＼ 　　 /　　　 ...........i
　　　　　|　 （●）（●）　|　　/　　 ..:::::::::::::::|　　　　「マコトは裏門の確保と第一騎士団の誘導をするんだ！
　　　　　|　　（__人__）　 | 　/　　..::::::::::::::::::l　　　　 マスタング殿は再び飛行の魔法で城壁に上がり、
　　　　　.|　　 ｀ ⌒´　　.} ./　　..::::::::::::::::::::!　　　　 上から範囲魔法で庭園内外の敵を無力化で！
　　　　　 |　　　　　　 　 }/　　.::::::::::::::::::::/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｽﾘｰﾌﾟ･ｸﾗｳﾄﾞ
　　　　　 ヽ　　　　　　 ./　　 .:::::::::::::::::::/　　　　　　ただし攻撃魔法は脅し程度、睡眠の雲の魔法など
　　　　　　.ヽ　　　　. .／　　.:::::::::::::::::::/　　　　　　 補助的な物を中心にして、
　　 ,. ‐'"´　 `'‐,r''"~　　　.:::::::::::::::::／　　　　　　　 敵も味方もなるべく犠牲を出さないでください。
..:.／,. -‐‐- ､　l′　　 　 ..:::::::::::::／
:,'　　　　　　／　　　　 　 !.:::::::／:i..:..l　　　　　　　　裏門側に敵が近づいてきたら限界点だから、
r　　　､　 / 　 　 　 　　　 !:::::::::::　i..:..i　　　　　　　 中庭を退いて裏門を抜き、町へ散るなり町を出るなりするんだ。
l　　.......`:i　　　 i 　 　 　 　 !::::::::::　ﾞ､:.i
!　 ::::::::::/　　　　i　　　　　　 i::::::::::　ヽ:i　　　　　　　それから二人とも、回復用の霊薬を持って行ってくれ」
.!　::::::::/　　　　　i　　　　　 .....i:::::::::::　ヽ
.ヽ ::::::|　　`､　　 `､　 .....::::::::::::l:::::::::::: 　`,
/ ＼:::l.　　 `､　　　ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::: 　/'''ー─----､
　　　`ヽ　　 `､　　.::::＼:::::::::::::::|:::::::::　/,,　　　,. ‐;''

六６９．
二人にいくつかの霊薬を持たせた彼は次いで、
道具入れから取り出した、手のひら大の水晶玉と乳白色の石をロイに手渡した。



┏─────────────┓

　　　マスタング殿にはこれも。

┗─────────────┛



　 ｀¨ －　､
　　　　　　| ｀Tｰ―ーヽ、
　　　　　　|　 !　　　　　　｀ヽ
　　　　　 r　/　　　　　　ヽ　 ヽ
　､　　　 /´ ＼　　　　 ＼　＼_j
　　｀ ー　　　　　⌒ー､ヽ ヽ__j´
　　　　　　　　　 　　　 ゛'^´
　　　　　　 　 　 　 ,.':⌒:ヽ　　　◇　　　ﾊﾞﾗﾊﾞﾗ
　　　 　 　 　 　 　 .i ...::;;;ﾉ　◇　◇
　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　＿_　　　　　 _,. -‐' ¨´
　　　　　　　　(＿,＿｀　`ー<^ヽ
　　　　　　　　(⌒ー "　,．(　　　 ヽ ヽ
　　　　　　　　 (⌒r-ー ｿ　　　　　_Lj
　　　　　　　　　　(⌒r--,,　　　　　／ヽ
　　　　　　　　　　　ヽ⌒＿-ー´"　　　　｀¨´



　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　,イ /|　|',　',＼　　　　ヽ､
　　　　　　　　 /　　　　　　　　／:::|/: :'､ | ヽ ', ヽ､＼
　　　　　　　　/ｲ　　　　　／|r- ､:::ｌ|::　ヽ ｌ ヽ ',　ヽ＼､　　　　　　　　　　　　　ｴﾚﾒﾝﾀﾙｵｰﾌﾞ
　　　　　　　　　|ｲ　/　 /|　 ﾄえ::ア|ト､_ヽヽ 　' ,_, -;-__＼　　　　「魔石と………精霊球？
　　　　　　　　　　ｌ/ イ/::　　　　 ￣ヽ-､'´ '､` ﾍ`ｰ'- '::::ﾄ　　　　　　　　　　　　　ﾐｻｲﾙ･ﾌﾟﾛﾃｸｼｮﾝ
　　　　　　　　　　ヾヽヽ!:　　　　　　　　　　　　　　　 :::::ｌﾉｌ　　　　―――なるほど、弓矢防御か」
　　　　　　　　　　　ﾄ､`ｌ!::　　　　　　　　　　　　　　　..:::ﾊ|
　　　　　　　　　 ｒ--- /ヽ.　　　　　　　　　 |:.　　...::::::::/ l
　　　　　　　　＿ｌ　｀`ー-ゝ､＿　　,＿　｀　'´:,,.::::::::::::/　　　　　　※精霊球：一回分の精霊魔法を封じ込めておける消耗品。
　　　　　　 ／｀ ー　､＿　　　　｀`ー--,-､￣::::::::: ／　　　　　　　　　　　　　 今の技術では作れない物で超高価。
　, -‐‐‐‐　￣￣ ｀ ー---､_-､_　/ｆｖ- | ||:::::::; イｎゝ
　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　＼､ﾉ /| |- '´ﾍ| ||,;|　　　　　　　　※魔石：魔法に寄らず、術者の精神力の代わりに消費される石。
　　　-------　､_　　　　　　　 ヽ、＼､ﾊ Ｎ ﾊ/ﾊ|::|＼　　　　　　　　　　　 大きさにより、内包される力と値段が比例して高くなる。
　　　　　　　　　　　｀ヽ､　　　　',　ヽ　 ＼',ヽ//::::ll:::', ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ|:::::::::Vヽ ＼



長距離以上の戦技を使えるような敵は含まれていないだろう。
唯一、弓矢の遠距離攻撃のみが危険であったロイはやらない夫の考えを察して
これなら存分に暴れられるさ、と凄みのきいた笑みを浮かべる。

101 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:16:58 ID:Sr5HrkoO 魔晶石きたこれ

六７０．
魔導師がたった一人、戦いに加わるだけで大きく流れは変わる。
この作戦ならいける、とマコトは北を目指して走り去り、



　　 　 　 ＿__　_　___ ___
　　　　　 =';:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:ヽ
.　　 　 　 /:.:.:.:.:､:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　 　 　 '.iﾍ,' ＼ヽ::::ヽ､:.:.:.:.:i､　　　「よし！
　　　　 　 ' ,（ ・ ）`､::i _}:.:.:.:.::.:>　　　じゃあ俺は裏門を抑える！」
.　　　 　 　 i,zｪｪｪ、 ﾍ::.:..:.:/ヾ
　　　　　　　`ｰ､,-'---';:／
. 　 　 　 　 「_`/`-----`､
　　 　 　 　 {_/　　　　_/_}
　　　　　　　/　　　　 i'　 .ﾄ､
　　　　　 　,`､_____ 　 `,-/-'　　ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ
　　　 　 ,-'-,::::::/-､:::::_/_/
　　　　 ,i　　[／　　`ｰ'-'
　　　　.{___／



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|　　「気を付けて！」
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



ジュンはただ、その背に無事を祈る事しか出来なかった。

六７１．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,-';´;;;;;;;;｀`ー‐;,､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;';,,,,,,,,,,....;;;;/|;;;;;;;;ヾヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l;;;j;;/‐廾/　|N;;;;;;;;l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l;rﾘ　￣　　ヽｺ;;;;;ﾘ　　　　　　　　　　「万能なるマナよ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ヾ,i　　,..., '　　/ハ!　　　　　　　　　　大地の見えざる手を絶ち、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､ '､_,ﾉ　／　　　　　　　　　　　　我が背に翼を与えよ―――」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢｀`下ｧｒ'"┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　,,...､ - へO/Ｖ∧, -'´ミゝ､_
　　　　　　　　　　　　　　r'´i≡ /　　　｡　ヽ､　　　　｀ヾミ入
　　　　　　　　　　　　 　ﾉ　 l //　　　　,'　　o )　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　 ',　 |//-大ｰ-'　　　 /＿__,,,_ .　:　　 |
　　　　　　　　　　　　　 /ヽ,| /フｲ｢ﾌ　　 　/　￣｢｢''　:::::/　/ヽ
　　　　　　　　　　　　　l　　i ;ﾚ / ||'　　　 /　　　 l|　　 :::／　　',
　　　　　　　　　　　　　|　　l　/　 ト､＿o/　　 　∥ 　　|::.::　　　',ｒヽ　 _,.,,
　　　　　　　　　＿＿ノ　＿ﾚ　　 ||　　　　　　　 l:|　　　|:::　　　,,ﾉ /／　 '-r､
　　　　(ﾆｰ'⌒ヽ､　ヽ､　　　::|　　 ||　　　　　　　l |　　　|:::　 /,ィ ,ノ 　　　　''¨
　　　　,,.,７､._　　ヽ:::　|　　..::l 　　 l|　　　　　　　|ｌ.　　　ト:::::l l::l　　ﾞ　 ,ィ'´
　　　(,､ 　　 　,... ,}　　l　:::::::l====L…――――L＿＿ｌ |::::||:::l_,...／;/
　　　　.ゝ-ィィｰ'"ﾉ::::/　, -'　l｀`… ｒ-------ｒ ｒ--'ﾍ　　ヽ-'､::::::::::/
　　　　　　 ´ヽー-…' ´　　/　　/ /　　,' ,'　　l　l ', 　{ﾉ　　　　￣
　　　　　　　　　　　　　　　l　　 l　|　　 ;　;　　 |. l　　　'､



マコトの背に頷いたロイが呪文を詠唱すれば
集まってきたマナは鍵となる言葉により彼の中の魔力と反応し、



　　　 　 　 　 　 　 　 ゞ.:.:/.:.://;;/;:;:;:;／⌒ヽ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヾ;::::j;;;|;:;|;:;:;:/:.　　.:.:|　　　　「―――フライト！」
　　　　　　　　　　　 　 　 ',:::!;;|;:;|;:;:;:|:.:. . ..:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｲ;:;|;:;「￣ ￣ T
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |;:;|;:;|;:. .　　.:.:l
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |;:;|;:;|;:;:::.:.. .: ::|ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 　 |;:!;:;|;:;::;::.:.:. .::|:;:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　!;!;:;:|;:;:;:;:;::;:;:;:i;:;:ヽ　　　ふわっ
　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヾ:;:;:ﾄ､;:;:;:;:;:;:/;:;:;:;＼
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ｀`ー ─ '／￣.:.:.ﾞi
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 // j.;:;:;:/.;／:.:.:.:::::|
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i///.;:;/;:/;:.:.:;:;:;:;:;/
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /.;:;/;:/´￣￣「
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i.;:;/;/:.:. .　.:.::::!　　
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |/:;/;:;:.:.:.:.:.:;:;/　 　
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |:;/;:;:;:;:;:;:;:;;:/
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ､;:;:;:;:;:／






' ";" ';" ' ";;" ' ";" ' ";" ';" ' ";;" ' ";" ' ";" ';" ' ";;" ' ";" ' "' ";;" ' ";;" '
;" ' ";" ' ";" ';" ' ";;" ' ";" ' ";"' ";; ' ";" ' ";" ';" '" ' ' ";; ' ";" ' ";" ';" '"

六７２．
重力の束縛を離れた魔導師は地上三十センチに留まりながら、
自らが仕える王女の無事を祈る。



:::::::::::::::::::::::::::::::; ' ,l':::::::/　　　l::::;l'　　　　'i;::l　ヽ:::l ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::;,i´　i::::::/　　　　l::,i　　 　 　 i;:l　 ヽ::!　`、:::iヽ::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::;::::/..、_l:::;;´　　　　.l::;i　　　　　　i;:l　　ヾ　　 `、:i_ヽ::::i、::::::::::::::::::
/l::::::;i::::::/!/ ...___|:;i´ニ`_ｰ-、|;!　　　　　　　il _,,,:-'iﾆ 二 、!__ヽiヽ:::::::::::λl
..l:::::il:::::/i,i´　`-.j,i己≡)ヽヽ. l'`　　　　　　　1　.〃P≡フ }.Y　ヽiヽ:::::::::|!|l
. l:::l !::::ｲ !'　　　 !'　　￣　　　!　　　　　　　　 i　　　 ￣　　ヾ　　ヽλ;::::|i'　　　「正当なる王家の継承者、真紅様。
　l ﾄ.l ! i|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨)ヾl.!　　　　貴女がこの国であり、この国が貴女なのです。
　ヾ !|`-,|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |'" λ
　　　` 、l,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l'_ ｲ _　　　　　どうかご無事で―――」
,. -ミ'~:/`ﾍ　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　,l7: : |: :ヽ
;;;:: -//: : :ヽ　　　　　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　 /; : : : !、F=
.ノ.ﾆ!:: :: : : :ヽ　　　　　　　　　　 　 !、 ,..　　　　　　　　　　　 /;: : : :: ::!Y:::,,
;-ｰ! !: : : : : :::ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /; : : : : : :! l _
=-::!.!: : : : : : :;:;:;ヽ 　 　 　 　 --- -　ｰ ー　ｰ　~~　　 　 〃;: : : : : : : :! E::,,
／;;!.!: : : : : :;:;:;:;:;:;::;ゝ、　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／/;; : : : : : : : : ! ﾄ:、
:;:;;;:! !: : : : ::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;ヾヽ、　　　　　　 　 　 　 　 ,／／:;: : : : : : : : : : :! !:;:;
:;:;:;:;! !: : : :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;ヽ.｀ヽ.、　　　　　　　. -'", '~:::;:;:;:: : : : : : : : : : ! !;:;:
:;:;:;:;'! !: : :: /ヽ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;;;;ヾ :::｀::`::ｰーｰ::'".r=ﾆ::、:;:;:;:;:;:;:;: : : : : : : : :! !:;:;
:;:;:;:;:'!;i : ::::ヽ .ゝA.;:;:;:;:;:;:;:;i- = ヾヽ、:::::::::::∠!;;;;;;;;;;;;l::;:;:;:;:;:;:;:; : : : : : : : ! !;:;:;



国民同士が戦う、信頼する部下を戦いの地に赴かせる事の苦しさ。
今まで気にも留めなかった平和がいかに大切で、
それを保つために父や大勢が努力していたのだと真紅は今、知った。

六７３．
だが今の自分は無力。
やらない夫のように指示を与えたり、道具を与えたりする事が出来ない。
ただ無事を信じる事しか出来ない、追われる立場がとても歯がゆく―――



　　_〕　　　　　　 ／/　　　　〔　　　　　　＼ー‐rｲ　　く ―┐
　　{　　 　　　／　/　　　　 ｌ ＼＿　　　　　l:::::::l　　　　|二二1
　　 つ　　　/　　,　　　 l　　|　　　]　　　　　l:::::::l　　 ｲ〔V　 | |
　　└‐t　 /　　 l 　 　| l　　|　　l {　　　　　 l:::::::|　　 　 | ∨/
　　　　 Ｌ. l !　　| 　　 ｌ｜ Ｎ　 l＿廴 ィ　　 ,ィヱﾍ 　 匸.　| l
　　　　　　| l　　l l　|　Ｎ　ﾅﾏ彡ャ‥Y|＿　〈ﾍ{そﾘ　　　|　l |
　　　 　 　 !ｌ　　ﾄｌ,イ､.| jノ　　ﾊｒい　八　Ｌ.　ト-r'　 r イ　!| ヽ　　「ありがとう。
　　　　　　 l|ヽ　ヽiYf:ﾊ　　　　 ゞ‐'　　| ｲ　|/::::/ ＿ﾉ　|　l !ヽ|　　 第一騎士団を頼みます。
　　　　　　　　　　 ｌiﾍり　　　　.:::::::::::. .ｌ |l　 !:::/ /／ 　 |　! |　　　　………また会いましょう」
　　　　　　　　　　 l l.::::.ヽ _ ､　　　　　l l | 　!/／　　 　 ! l　|
　　　　　　　　　　 | ヽ、 ′　　　　＿//ｲ　 |´　 　　 　 | ｌ　l
　　　　　　　　　　/　/| ｀　､　　r'´　//￣|　lﾌ　　 　 　 l l　 !
　　　　　　　　　 /／| l　／￣, ｨ､　//:::::::l　|ｰｔ.　　　　 l｜　!
　　　　 　 　 　 //r'´￣:::::::::::{rｹｿ//::::::::/ /}　　＼　　 l |　｜
　　　　　　　 ／´　l:::::::::::::／:ﾄこｿ{ {:::::::/　}::|　　　 ヽ.　l/ 　 !
　　　　　　 　ヽ| ／＼:::::::::::::/:::::::＞'´￣／::j　|　　　 l　|　　 |



　　　　　　　／"　 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;:::::::::::::::
　　　　　　　　　／,,ﾗ::::::::::::::::::::;:::::::::::::／ |:::::;::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　/／／::::::::::::::::::ｲ:／!::／　 l::::/|:::::､:::::::::::::::::::::
　　　　　　　-"　./::::;ｲ:::::::／>:/ /／　　 !:::i .l::::|ヾ::::::::::::::::::::::::::::::　　　　　　「これが我らの役目です。
　　　　　　　　　/:/　l:::::／／'^X"　　　 l:::/　|:::| ヾ::::::;:::::::::::lヾ::::::::
　　　　　　　　 /　　/::ｲ　 ＿ ヽ丶　 　 l::i　　|:::|　i::::::::|ヽ::::::i,、　　　　　　　 二人とも、王女様を宜しく頼む」
　　　　　　　　　　　ﾚ|/　"⌒ヾ,,　　　　 |:l　一|::|ｰ-i::::::| ヽ::::::::::ヽ>::::
　 ＿,,,,__　　　　　　 /　　　　　~　　　　 i/ =--l:|　 ヾ:::l^`ヾ::::::::::::::::::::
''".　.'' .＜三` =-.,,_/　　　　　 　 　 　 　|　_,,-┿=､ ヾ:|　 ヽ::::::::::::::::::::
ヽ..　.　.　.＼￣ﾞﾞ'''=i　　　　 ,　　　　　　　　　　　　 ヾヾl 　 !:::::::::::::::::::::::::::::
　ﾞ.　.　.　.　.＼ .　.{　　 　 r"　　　　　　　　　　　　　　 |　　i:::ﾍ::::::::::::::::::::::
　.　.　.　.　.　.）.　. ',　　　､_　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |;/ ヾ|）::::::::::
　 　.　.　.　./,-"　 .',　　　 ﾞ''-,,_　　　　　　　　　　　　　　　ノ　 〉ﾉ::::::::
　 .　.　.　／"　／.　.'、　　　　　ﾞﾞ'' ｰ- ,,＿　　　　　　 　 ,/_/／:::::／
　　.　. ／　／.　.　.//:'.、　　　　　　　　　　　　　　　　,=-- <:::::k"
　　 ／　／.　.　.　//:: : ' ､　　　　　　　＿,,,,,,, --─'''''""￣￣
　　　 ／.　.　.　／/／ :.| l.ﾝ- ,,＿/⌒）.　.　.　.　.　.　.　.　.　.
　　／:　.　.　. ( ノ .　. :.:i::t.K |　/./::7 /.　. :／'''"""￣⌒
　/:　.　.　.　.　.　.　 .　:.:.l:) ） `// // /.　.／.　.　.　.　.　.　.　.



そんな王女の内心の苦しみこそ、得難い資質である事を知っていたロイは
嬉しそうに笑顔を見せて、そして夜空へ舞い上がっていった。

六７４．
思わぬ味方との遭遇を果たしたやらない夫は、
拳を握って全ての人の無事を祈ると出発を促し、



　　　　　　　　　 　 ,. ‐―――――‐ - ､
　　　　　　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　 　 　 　 ／　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　/　　　 ＼　　 　 　 　 ﾉ　　　　　 .',
　　　 　 　 /　　　　 ,　 ゞ.._,,　ー "　　 ､　　　　',
　　　 　 　 l　　　　 l {::::::::}　l　 l　{::::::::} l　　　　 l
　　　　　 . l　　　　 ｀ ー '　'　　｀　ー ' '　　　 　 l　　　「よし、俺達も一気に町を出るぞ！
　　　 　 　 l　　　　　 /　　　 .!　　　 ヽ　　 　 　 l　　　ジュン、後方の警戒を頼む！」
　　　 　 　 l　　　　　 ヽ＿_／ ＼＿_/.　　 　 　 l
　 　 　 　 . l　　　　　 〈　　　　　　　 〉　　 　 　 l
　　　　　　 .l　 　 　 　 ｀ｰ―――　' 　 　 　 　 l
　　　　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l
　　　　　　 . l　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　　 　 　 　 . l　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l
　　　　　　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 !
　　　　　 　 ／!　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,'＾ヽ
　　 　 　 ／{　|ヽ　　　　　　　　 　 　 　 　 /|　/ ＼
　　 　 ／　 ∨|　ヽ　　　　　　　　　　　 ／　| /
　　 ／ ヽ　　＼　　｀ー―――――　´￣￣　 ／
　／＼ 　 ＼　　＼　　　　　　　　／　 　＿　／
"ヽ　 . ＼　　ヽ　　｀ ー──一'　　 ／
　　＼　　＼　　＼　　　　　　　　／/
　 ,　 ‐┬─‐'ﾌ⌒ヽ｀ ー──　´　/
／　　　￣￣ 　 　 } 　＼　　 　　/
　　／ ￣｀ヽ／￣ ヽ　　 ＼
　/　　　　　/　　 　 |￣｀ヽ￣￣/
./　　　　 . /　 　 　 |　　　 |￣ヽ
　　　　　 /　　　　　|　　　｜ 　　}



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|　　　　「分かった！」
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼

六７５．
今は呼吸が落ち着いているが、先程まではかなり辛そうだった真紅を見ながら
背中の剣を腰に吊るした。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　ノ　ヽ､＼
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 （●）（●）|　　　　　　　「真紅は俺が背負って走る」
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　（＿人_）│
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 　 ｀ ⌒´　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 　 　 　 |
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 .　 ヽ　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 / lヽ　 　　　/l
　　　　　　　　　　　　　＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ ￣ﾉ　,r‐;=
　　　　　　　　,r‐＜￣´､　ヽ、　｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,`ｰ-, ､__
　　　　　 　 /　　 　｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　 　 ﾉ 、　　　　 　 　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　 　 〉､ 丶､ _　 　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　 　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ　ξ＾＾ξ ||　　＠ ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.. Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　 　 　 〉､_ 二 -ｨ′八ヽ ﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/　 ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/　　　 〉｝　　Ｙ´　　　　 　 ｌ　| |::::::::::::::￣l
　　　 　 ゝ:::::::::::::::ノ 　 　 く ﾉ　　 }　　　　 　 　{　l, |::::::::::::::::丿



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　{:::.:::.:::＞.::´￣ヽ、　,. -一 ヽ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. -┘.:::.:/:.:::.:::.:::.:::ﾉ::.Y:;＿__.:.:./.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:;:､;:;∠二:.ヽ｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:∟、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）:.:::.:::.:::.:::.:::.;　'´　／／〈.:.:.:.:＼ ＼.:.:.:.:.:.:.::ヽ-へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ''".:::.:::.:::.:::.:::／　/ /　/ ハ `ｰ‐┐＼ ヽ:.:.:.:.:.:.:ﾉ=ﾆ):＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ ::.:::.:::.:::.:::.; ′　　/ 　 　 　|　　　{_:.:.:.ヽ ヽ:.:.:.(二｀V/＾):､
　　　「ええっ！？　　　　　　　　　　　　　　 ￣つ.:::.::/ 　 /　,′　　　　| 　 　| ￣ヽﾊ. i.:.:.:.:.｀i!ヽ.!_/:.:/
　　　じ、自分の足で走れるわよ！」　　　　（:.:::.:::.::!l!　 l　ﾊ　　　　　 |l!　　 |　　ノ:.:| |.:.:.:.:.:.:||:.ﾄ､;:ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀７:.:|ｌ!ヽ. 代「 ヽ.　 , / `ト､/!　,ｲ. く:.:.| |:.:..:_ノ.||:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ| 　| l Ｎｧ'7'i' ヽ;.|'´!ﾊ｀ヽメ /／　|/:.;ん. l |.|:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　|　 ! | 〈.　!ｿ 　 ｀　し'　ﾉ　1　　 .|:.:.:. -┘| L｣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ！ |lﾊ"　 _'＿_　　　 ´.,.,.!.| !　.|／　|　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ！.| 　|.ﾍ.　 |/´　｀ヽ　u 　ﾉ |　　| ヽ　|　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 !/ l　 l ﾒ＼ ､ 　　_.ﾉ　　ｲ//|　　|:.:.::', ｌ　l　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,.∠=ﾆl 　!.　　 ｀>‐-r 　/ヽ//;:;! ､　|:.:.:.:.:.L ! .!.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 `ｰﾆ二l　 .!.　 ／r‐'7,,／,ﾚ〈〈:;_/|　ヽ:.:.:.:.:.:L　!　|



言われた彼女はなるべく頼りたくないし恥ずかしいし、と一度その申し出を拒否するが、

六７６．



　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　　　　　＼
　 　 　 　 　 |　 　　　　　　　|
　 　 　 　 　 |　　　　　　　　│
　　　　 　 　 | 　　　　　　　　|　　　　　　「ドレスにヒールでここまで良く走ったよ。
　　　　　　　｜　　　　　　　 |　　　　　　 後は俺に任せろ」
　　　　　　　　ヽ　　 　　　　/
　　　　　　　 　 ヽ　 　　　 /
　　　　　　　　　　>　 　　 <
　　　　　　 ／,⌒ 　　　 　　⌒
　　　　　 ./　/|　 　　　 　 　　　＼
　　　　 ／／　|　　　　　　.　| ヽ、二⌒)
　　 (⌒／　　 |　　　　　　.　|



実際に辛かった移動と、差し出された大きな背中に結局は従う事となる。



　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 /　　　 　 ,　　　　　　　　　　　ﾍ　　 ヾ:.:.ﾍｉ:ｉ:i:iﾍ:.:.:.:.:(_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　 {　 　 　 　 ',　',ﾊ　　　!　┌┘:.:.:|i:i:i:i:ｉ|:.:.:.:.:.:.〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　/　 　 ,'　,　 l|　　　　　 ,｝　! |　 　 |　 {:.:.:.:.:.:.:}i:i:i:i:i|:.:.:.:.:く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　j　　 ! {_ l|　 ﾊ　　　　　j |　l.ﾉ　　 人　L_:_:.:.:.:|ｉ:ｉ:i:i:|:.:.:.:.:.:.}
　　　「は、はい………」　　　　|l!　 :|　ﾍl|　ﾍ ゝ､　　　{ﾉ /「≧ﾆ=‐-/ﾊ　_〕:./i:i:i:i:ｉ|:.r―ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　',ﾍ　:| 　 l|ﾄ､_少イ＼　l|ﾚ'了 x=≠ﾃﾐ|ﾚｲ（:.:.:r=ﾐ､iﾉ:_:] .ｌ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ ﾍ ﾄ､　l|ハ,ﾌテ≠ﾐﾍ｛　 〃iﾘつ:::）l// :　}:.{薔ﾘ ./　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏ {＼メ＼K {ｱっ:}　　　　　ゞﾆィ'　/　ﾊ ∨ゞｲ./　 j ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾゝ./　l| ﾊ ,ゞ=ｲ　　　　　 xxxx /　/:i:i|　|:i://　 /ｲ　'.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l /　 :l|　ﾊ　xxx ヽ　　 　 　 　 !　|:i:ｉ/　ｊ/ノ　 / /　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 K　　:l|　 .入　　　 ‐-　　　　　|　|:ｉ/　,l|/ 　 / /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 　 l|　ｲ .才`;=x、　　,x≡三|　|/　/ |　　 {　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　| 　!∧三三三ﾐ/三三三l　!　/　j　　 .|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　|　,j三∨三r=彳ﾍ三三∧ .|/　./　　　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　| /三ﾐ∧三｛均{フ三≫三ﾍ 　 |　　　 !　!

六７７．
緊張ではない何かで朱に染まる頬と、早鐘のような鼓動も背中越し鎧越しなら伝わらない。
安堵しながらその背に身を任せれば、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ごめんなさい………
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 重いでしょう？」
　　　　　　　　　　　　　￣￣ 　 ､
　　　　　　　　 ´　　　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／｀丶、
.　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　_∠ﾌ::.::.::::::}::＼
　　　　　 /　　　　　　　　 　 　 　 　:　　　　　　　　　　　　 　 　 　 厶::.::.::.::.::.::.:ハ::.::＼
　　 　 　 ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　丶　　　　　　　　　　　／￣｀::.::.::.::.::.::.:`ｰ'⌒Ｙﾊ
　　 　 　 l　　　　　　 ／ ￣　　 　 　 　 　 丶　　　　　　　　　_/::.:__,　 -─－……‐-､:Ｌ_:＼
　　 　 　 |　　_＿ 　 　 　 　 _　ヽ　　　 　 　 丶　　　　　　　 >´／　,　 '´　　　　　　 　 ＼}:ヽ`┐
　　 　 　 ヽ/　　　　　　 ｉ　ｲ::::ヽ l　　　　　　　丶　　　　　／／　／ ／　　　　　　　 　　 /了}ヽ＼
　　　 　 　 ヽ　 　 _　 ヽ ゝ_ゞ::ノ '　　 　 　 　 　 ',　　　〃/ / , ′/　/　　　 　 ｉ　　　 ヽ＼ｿ::.:j::::｀个‐‥''＾ヽ
　　　　　　　丶ｉ ｲ:::ヽ　l　 　 ｀ヽ　　　 　 　 　 　 ヽ　/　/　　,ﾄ､ |　 ! ､ 　ヽ　　| 　.｜　 ｉ！ヽ::|::::::::l::.ｰ─－
　　　　　　　　 ゝ ゞ ',　ヽ _　　丿　　　　　 　 　 　 ＼| /|l　　_| ｀,|l　|＼‐- ､l 　 l 　 |　 .|｜〈::ﾉ::::::/::.::.::.::､::.::.:
　　　　　　　　　ヽ　 ゝ ﾉ , ‐ ´　　　　　　　　　　　 　:l/::|l　　`ト､ ヽ !　ヽ 　 ト、|!　 |　 .! |{八!:::::/::.::.::.::.::.:｀辷
　　　　　　　　　　ヽ　　´　 　 　 　 　 　 　 　 '　　　 /＼:|! ＼､ﾄrﾊ　｀　 ,t､ヽ|　,/__,/ r=≠へ､::人_::.＼::.::.::.::.
　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　/　　 _, -‐' ￣＼ |　、　　　´,ﾄ'::｀ﾃﾐ　/　}ｲ以ｆ}ﾊ}::.::.::.::.::.::｀ｰ‐Y
　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　/　／:::::::::::::::::::::::::'ヽ　　　　　 ｀ー' ´　>､ﾊ戈ｨくソ::.::.::,小､::.::.:: ﾉ
　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　　 　 　 ／／::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼ヽｰｧ　////　/ｲ／／又::.::.::イ〉| |ﾄ,￣´
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ　_＿　-‐､／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼´　　　　_〃厶ｲ__｣_/７,ｰイ/i|｜､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀Yヽ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::-‐- ー‐ 'rー／ /--‐ "´' //| l// ｌ|｜ l }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　i::::::::::::::::::::::::::::::::,::::'´::::::::::::::::::::::::／/ , ｲ､:＼ 　 //ハl//_///_ノ/

　　　「良いから早く乗れよ。
　　　………ってもう乗ってるのか？
　　　軽くて全然気がつかなかったよ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「もう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 優しいんだから………」



力強く受け止めた彼は颯爽と立ち上がった。

六７８．



　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／|　 ＿＿＿＿＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　／: :/／: : : : : : : : : : : : : : : ／
　　　　　　　　　　　　/: : : //: : : : : : : : : : : : : : : ／
　　　　　　＿　　　　/: : : 〃: : : : : : : : : : : : : : ∠.,＿＿
　　　 　／: : ｀''''ｰ､/.: : : : : : : : : : : : : :／＼: : : : : : : : : :｀ヽ､
　　　　＿ニ=‐: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼: : : : : : : : : : ｀ヽ、
　　 　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼: : : : : : : : : : : ｀''ー､_
　　　/: : : : : : : /: : : : : : ,､: :/从: : : : : : : : : : : : : :〉: : : : : : : : : : : : ;;;;;二ニ=-
　 　/: : : : : : : /: : : : : : /‐宀''~｀'t: : : : : : : : : : : :/: i: : : : : : : : : : : ＼　　　　　　「行くぞやらない夫ぉーーーー？
　　/: : : : : : :,ｲ: : : : : : /　　　　 　'l: : : : : : : : : : /: : ﾄ､: : : : : : : : : : : :＼　　　　 遅れたら置いていくよぉ？
　 /: : : : : ／ |､: ;∧: :/　　　　　 　|: : : : : : : : : /: : : }　＼/: : : : : : : : : : ＼
　ﾉイ/.: :ノ　　|: /ヽ∨　　　　 　　　|: : :∧: : : ∧: : /_,,.／ ＼: : : : : : : r‐‐┘　　って僕らは何処へ向かうのさ？」
　　/.: :ノ　 ＿|/＿＿_二=≦_厶 　 |: :/ｰ‐,=≠‐ャﾒ───-＼: : : : .}
　／￣|　／　＿＿＿＿＿＿｀ヽ　 |:/　 / V＿＿＿＿＿＿ 　｀l;:/⌒＼
/　　　|　|　　　 |: : : : : : : | 　 　 |＿_,_＿| 　 　 |: : : : : : : :| 　 　 l|　　 　l
|　　　 |　|　　　 | 　 ;;;;;;　 | 　 　 |　　　　|　　　 |　　;;;　　 |　　　 l|　　　/
＼　　 |　 !　　　ヽ/＿_レ′　　 |　　　　|　　　 ヾ､/__}_／　　 　 ｌ|　　 /
　 ＼　',　 ヽ､＿＿＿＿＿＿_／　　　　 ＼＿＿＿＿＿＿＿／|　 ／
　　　ヽﾍ　　　　　　　　　　　　 rヽ､　　　　　　　　　　　　　　　　レ'´
　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　 ヽ　＼　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　＼　　　　　　　　　　 /　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　　　　 ＼　　　　　　　　 └イ　　　　　　　　 　 　 　 ／
　　　　　　　 ／＞､　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／＼



口を尖らせるジュンの問いに初めて、用意してあった選択肢を告げると



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　「カーディナルから北西、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　 エスメラルダの町だ。　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 （__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　 スラムがあったりとごった返した町でかつ、　　　　　.　　　　 { 　 　 　 　 　 |
　　町を囲む城塞が無い。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　俺達が逃げ込むのにはもってこいだ」　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 |

六７９．
背中の真紅が不思議そうに声を出してきたので、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.---ｒ--'　 lヽ..／　　　　　　　　　　　 　 　 ｀ヽ　｀ー ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 〈　､-{　　　/}　.}　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼.　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／ゝ. ヾ）　 〃!:´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､ ヽ　 .ｨ’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　,..ィ"´　　.ﾊ!}　,'　　　　　　 ,　　　 　 ､　　　　　　　 ヽ ヽﾞヾ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ./／ ／l_　　 ,'　{l　ヽ.　　 /　　.!　　　　　 ',　 ､　　　　 ､　',　',　 ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.{　/　 　 ）　.!　 !　 ﾉ 　 ,'　　　{　　　　　　 ﾄ.　ﾄ､　　　 ',　ヽ　Yi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ　Ⅵｰ''1´　　{　 i　（　　 i　ｌ　i　ﾄ､! 　 　 ,,.!-!‐-!､!　　　 ﾄ.　i!　}:|
　　「どこかの町の領主を頼ったりはしないの？」　　 .ﾊ　　`Tﾞ∧　　 {　 !　 ｀i　 i!_ﾑ-!<:l´ﾄ.　　　 从!　lj l｀ ､　　}:}　!i　;:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ　　//Ⅳ.Kﾌ.　',　{　 ノ,.-〈､ ! ヽＮ、 ゝ.　 .//ﾚ'¨心ﾚ{､!　,' i / } /:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′　.//　'　i::{　　 '.__ヽi ﾄ､　ﾚ'ｆ＝心、 　 ヽ'　 弋ｚソ " } ./　ﾍ//　:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' 　 //　,'　 |::|ヾ､_ ｆ ､ ｀ﾄ!　ヾ 弋ｚソ　　　　　 　 ￣ 　 /ｨ/ｫ　 i´　 :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,' 　 〃.Ⅳ　 .|::|　',. {:{) ∨ ｀.､ﾊ.　￣　　 　 　 !　　　　　´〃 !|　 !　　:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　 / 　 .i　　 !::!　 Ⅶiﾞヾi 　 ﾄ､.ﾊ　　　　　　　　　　　　　,'/! :!', 　',.　 :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　! ,/　 　 !　　.|::l　 l|　|　 |　 :ﾄ∧. ',　　 　 　 ´ ｀　　　 ,.ｲ」 | :| ',　 ヽ. :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. ﾊ’　 　 .ｉ　　 ﾚ’　１ .|　 |　 :|　`ヽ ﾄ.､　　　　　 　 ,.ィ≒ｭ_..| :|　ヽ　 ',.:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 .ｌ　　　　　 |　|　 |　 :|ｒ≦:} }'´¨｀ ー‐ｒ:ｒ＜　　　　　| :ト､　',　 }|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 |　|　 |　 :|ソ´ | |　　　　　ヾ.　　　 　 　 ヽヽ. ＼.　!|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 }　}　 |　 :|　　ﾉﾉ　　　　ｆ"三三ﾞヽ.　　　　＼＼ﾉ　}|


時間の問題だが今は王都だけの問題にした方が良い、と
戦禍の飛び火を懸念して答える。



　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　（ ●）（ ●）　　　|　　　「今日の葬儀の際、
　　　　　　　（__人__）　　　　 |　　　 真紅に挨拶に来ている地方領主全員を見た。
　　　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　.　　　　 { 　 　 　 　 　 |　　　　みな、領地の頭だけあって保守派よりに思えたが、
　　　　　　　　{　　　　　 　 ﾉ　　　　逆に迷惑はかけられなさそうだ。
　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ　　　　　 大臣が軍を送り込まないとも限らないしな、
　　　　　 　 　 /　　　　　 |　　　　　エスメラルダも情報収集と潜り込みに行くだけだ」

112 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:27:01 ID:Sr5HrkoO 確かに邪魔してもはり倒されて終わりだよなｗ

六８０．
それで二人が納得したようなので、
全力の移動を続ける事になるぞとジュンに覚悟するよう言った彼は
真紅を背負っているのが信じられない程の速度で走り出し、



　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|
　　　　　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |　　　　「それじゃ行くぞジュン。
　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　|
　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }　　　　 今は時間が惜しい。
　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}　　　　 体力回復の霊薬はいくらでもある、
　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ　　 遅れたら何回でも飲ませるからな」



: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll　　ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli,　　　 ﾟﾞ=:　　　「が、頑張る！」
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀



後方に注意を向けるジュンがその少し後に続いた。

六８１．
二つの影が夜闇を駆ける―――


┏───────────────────────┓

　　　町の外に出さないよう、門に誰か居るかも？

┗───────────────────────┛


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏────────────────────┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　愚問だぞ、ジュン。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　俺達二人を抑えられる奴が居るものか。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗────────────────────┛




　　☆　　　　　　。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　ﾟ　　　　　　　　　　　ﾟ　　　　　☆　　　　　 ・　　　　　　　　ﾟ
ﾟ　　　　　　　　　　☆　　　　　　。　　　　　　 　 ／　　　　☆　　　　　　　ﾟ
　　。　　　　　　　　　　　ﾟ　　　　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　。
☆　　　　　　　ﾟ　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ﾟ
　　　　　　　　　　　　。　　　　　　 　 　 ／　　　　ﾟ　　　　　　　　　　　　☆
　　ﾟ　　　　☆　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　。　　　　　ﾟ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ☆　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
＿ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |
　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |
　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　 　 |　　　　　　／＼　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／
　 　 |　　　＿＿|　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／￣＼　 ／
　 　 | 　 　|　　　　　 |／＼　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　　|　 |
　 　 |／＼|　　　　　　　　 |r'´｀ヽ　　　　　／ ￣ ＼　　|　　　　|／
　　　　　　　　　　　　　　　||　　 |､　　　 〔　　　　　 〕　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　 〕　　　　　〔 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　〔　　　　　.〕 |



町の外から現れた部隊と第一騎士団との戦闘が始まっていた西の門を
混乱に乗じて走り抜け、街道へと飛び出したやらない夫達は
その進行方向をエスメラルダへと向けた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━……

六８２．
━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

夜が明けてから数時間。
ただ必死に走り続けた彼らは正午を回った辺りで休憩を取る事にし、
街道から外れた林の中へと入り込んでいた。



:ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ　　　/;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ　　 |ii;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞヾ:ヾ
ﾉ;;ヾ　ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ　ヾゞ;|　　<;;/::ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ;;::iiゞゞ;;ゞゞ;;ゞヾ;;>;ゞヾ;ゞ
ゞヾ　;ゞゞ;ゞiilヾ;ゞゞﾞゞ;;:::iｉ|　　|;:ヾゞ 　 "ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾiii|　<:;ヾ:ヾ;;>ヾ;ゞ'';ゞヾ;ゞ
|;:ilヾ ＼　|::;ii|　　　ヾ;ゞゞ''ノヾ|;:i|　　　　ノヾゞ:ヾヾ::ヾ＼　|i;;:iii|　/;;ゞ :;ヾ:,　　　　|i;ゞゞ
|;:i| 　＼`'';:::ii| ヾ:ヾ;;>;ゞヾ|　　|;:i|／＾　　　　'|i|　　|;:i| ＼｀";;::ii|　ﾉ / :ヾ;;>ヾ;ゞ　;ゞヾゞ
|;:i|　 　ﾞヽ,;:;;;l| /ﾞ;ゞゞ;ゞ:::ii|　　|;:i| 　　　　　　|i|　　|;:i| 　 ~|ii;;:ii"´／　|;;::iｉ|　　　　|i|／
|;:i| 　　　 |:::;iii~ ﾉ　　,,|;;::iｉ|　　|;:i| 　　　　　　|i|　　|;:i| 　　|i::;;iii|~　　 .|;;::iｉ|　　''＼|i|
':;,`:ヽ|／,'|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;.:":::"''''⌒ヾゞ　　　γ''"""''""''"' |ii;;i;(''）''"''''"""''"""'''''"""''
"；*'.:.:;”:;ﾞ|:;;iii|`:;,':,*”:;:;.,:;.:；'.:.:;”:;ヾヾ))　　(（,:ｿﾐ;.:';';';::;.:". |i;;;::;iii|`:;,':,:;.,:;.:;';',:　':::;.:".:;.:';
.:;”:`:;,' *”|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;,':,*”:;:;.,:;.:；'.:ソ　　　 "''~`''"ﾞ"'''~ノ;;ii;:iilli;ゝ"''~`''"ﾞ"''~`''"ﾞ"''~ﾞ
"''~`''"ﾞ ノﾉｼillゝ"''~`''"ﾞ"''~`''"ﾞ"''~　　　　　　　　 　 　"'''''''''''''''"　　..,,､vji､iijww､ii..,
　　　　 "'''''''''"　　　　　　　　　　　　　　　'""'''""'"""
　,..,.,.,.,、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..,.,.,.,、
　　　　　　　　　　　''''""'"'''"""
;;;ゝ);;)）;ヾ;;)　　　　　　　　　　　　　　,..,.,.,.,、　　　　　　　　''"""~　
））ゝ;;;ﾐ,,､,,;;;ゝ;;)ゝ））ゝ
;;;）　;;;)ヾﾐゞ（(;;;ゝヾ;⌒;;）　　　iijww､ii.　　　　　　　"""~"　　　　　　　　　　　''"""~
ヾﾐ;ｿ(;;;ゝヾ;))ゝ;ﾐ;;（::;ゝ;;;））　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..,.,.,.,、



周辺に誰も居ない事を確認してから、更に用心のためかなり奥まで進んだ所で、
霊薬の瓶をジュンに渡せば、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　「ほらジュン、霊薬だ」　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 {　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　〓 ｍ 　 ヽ 　 　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　｜ ｜⊂　￣￣￣　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　｜ ｜　￣￣￣|　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　￣

六８３．



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ　　　　　「ゴクゴクゴク、ぷはっ」
: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／　　　ｾﾞｪｾﾞｪ
　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}



一気に飲み干した彼の身体が淡い光に包まれる。



　　　　　　, .. . 　　　+　　　　　　。　　　　　　　　　’‘ 　　　　　　　:: . .. 　 　　　::::
， 　　，:‘. 　　　　　　　　　。　　　　　　　　　　　　　+　　 ，..
　’‘ 　　　　+　　 ，.. 　　　　　　. ..; '， 　　，:‘　　　　　　　　　:::::::’’　 。...::::’’
:::::　　:　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　+　　:::
::
:　　　　，:‘　　　　　　　　　　　ﾊﾟｱｱｯ
.::....　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..;....
，:‘. 　　　..::..　　　　　　　　　　　。　　　　　　　　　　　　...　　　　　　　　　.....
　　　　　　　　　　　+　, .. . 　　　　　　　　　　　　　+　　　　　　　　　　’。　　.......
　，:‘. 。　　　.. . . :::　 '　，:‘. 　　, .. . 　　　+　　。　　, .. . 　　　+　　.　:　:...
　　， 　　，:‘. 　　..　　　　　　　　　　　.　　　.　....　..　　 ..; '， . . :::　 '　，:‘.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　， 　　，:‘. 　　　　　　　 ....
，:‘. 。　　　.. . . 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, .. .
　:::::::’’　 。...::::’’　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　， 　　，:‘. 　　　　　　　..’
...... 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　’‘ 　.......　　　　　　　：:::::
　　　　　　..::: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 。　　　.. . . :::　 '　，:‘.
; '， . . :　，:‘.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，:‘. 。　　　..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，:‘. 。　　　..
　，:‘. 　.　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　..　　 ..; '， . .
...　　　　　::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　..　　 ..; '， . .
　:::::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...::..　　　　......
　， 　　，:‘. 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，:‘. 。　　　..　　　　。...::::

六８４．
ちょうど良い水分補給にもなっていたジュンは最後に大きく息を吐き出して
情けなさそうに言うが、



　／::::::::::::::::::::::::::::/::::＼:::::|::::::ヽ:::::::::::::::::＼::::::::-──
_,,- -ィ::::::::::::::::::::/::::::::::i:::V::::::::::::>:::::::::::::::::: ＼:::::＼
　／::::::::::::::::::::／::::::: : :|:::::V/￣　V:::::::::::::::::::::::＼::::ヽ
/::::::ィ:::::::::::::::{:::::::::::::::i: |￣　　　　 V::ﾄ:::::::::::ﾊヽ;;::ゞ:::ﾍ
:::／:::::::::::::::::::|::::::::::::::ﾊ:|　　 　 　　 |::i　＼:::::::}:::::ﾄ-;;::::ﾊ　　　　「ふう、落ち着いた。
/:::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::| ﾘ───''　 i:ﾘ　ﾆ彡:::iト､;ヽ ＼::i　　　　………ごめんやらない夫、
:::::::::::::::::::::::::::::|::::::: :: |＿,,,-＝＝=ヽ/　_||=__ﾒ:|　||　　　ヾ　　　 なんだかんだでもう十八本目だね」
::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::-::|＞''￣=.ィ-　 ||＝||{t..:jｱ　||
::::::::::::::::::::::::::::i＞＼:: |||ﾏﾊ廴ｿ　　..川　ﾊ￣　iノﾉ
:::::::::::::::::::::::r-､}''´　＼||　￣　　　 //　 ﾉ ｀￣ |´
::::/i:::::::::::::::| /ヽ　　　　ヾ＝=─''´´　　　　　 /
:/　|::;;::::::::::ヽ　　＞　　　　　　　 ｀ー -　　／
　　ﾚハ:::::/i::::::≧::-:､　　　　　　　　　　／
　　　　 ﾚ'　￣￣￣Yi　　　　　　_＿__./ ＿
　　　　　_...-:::'´￣￣｀:-..､　　　 |ー-　∧　}､＿
　　　 i: : : : : : : : : : : : : : : : ｀::-.┴..､: /: :}: :}: : : ヽ
　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : ヽ　/::/: : : : ∧



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　「気にするな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 { 　 　 　 　 　 |
　　　　 一晩中走ったおかげで　　　　　　　　　　　　 　　　　　{　　　　　 　 ﾉ
　　　　 随分距離が稼げたぞ」　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 |


彼の言うとおり、十七時間ほど走り続けた三人はすでに三百五十キロ程度を移動しており、
エスメラルダまでの半分まで来ているのだ。

六８５．
ただ、彼より強くなければ王女を背負う事すら許されない。

汗をかいているだけのやらない夫は水筒の水を飲んだだけで、
羨ましさより、その差が悔しいジュンは落ち着いたら
走り込みも訓練に取り入れようなどと考えてみたりする。



　　　　　　　 ／l
　　　 　Λ／　〈 へ、
　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞
　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼
　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l　　　　（僕に合わせていたせいか、
　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ　　　　 君は一本も飲んでないけどね。
　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|
　　　 | ￣ c　￣　　　6 l　　　　　 持久力も課題だなぁ）
.　　　ヽ (＿＿＿_　　,-′
　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ
　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ
　　　　　|　|　　　　　 |　　|



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （__人__）　　　　 |
　　　「これ以上飲んで中毒になってもまずい。　 　 　　（　　　　　 　 　 |
　　　 いったんここで休憩しよう」　　　　　　　　　　.　　　　{　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂ ヽ∩　　 　 く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | '､＿ ＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　|　 |_＼　 “　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ､ ＿_＼_／



何かあってカーディナルから各町に対して早馬や伝令が向かったとしても、
十分に先に到着できる確信を得たやらない夫は
そこでやっと真紅を降ろして休憩を告げ、

六８６．
ホールディング・バッグから取り出したローブや杖、衣服や靴などを二人に配って回った。



　　　　　　　　　 　　,, -─- ､._　〃"
　　　　　　　　"ミ ／　　　　　　ヽ　　　　　「それじゃ、二人ともこれに着替えてくれ」
　　　　　　　 　　 |　　⌒　⌒　　ヽ
　　　　　　　 　　 |　（●）（●）　 |
　　　　　　　　　　|　 （__人__）　　|
　　　　　　　　　　ヽ　 ｀⌒´　　 ﾉ
　　　　　　　　　　/　　 　 　　 ヽヽ,　） ）"
　　　　　 "（ （　（　ヽ　 　　　／.／
　　　　　　　　　　＼ ＼　゛／／
　　　　　　　　　　／ / ヽ　＼ 　　ｺﾞｿｺﾞｿ
　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　 ヽ＿＿＿／



　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　 　　 　 〉 　 　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　　　　「なんだ？
　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　　　　　魔法使いのローブじゃないか」
　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>
　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /
..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　 ヽ.　 ″　 　 ｌ　　 　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､
　　　＼　 　 　 l.　,.-‐' 　 　 :　ﾚ' ′　　く !　 //　　　　　　　 　 / 　 　 　 ヾ、



　　　　　　　　　　/　　　　　 　 　 　 　 　 ｀ヽ
　　　 　 　 　 　 /　　,.. :'"　｀｀　￣｀: : 、　 　ｊ_
　　　 　 　 　 __,′ 〃　　　　　　　　 　 ＼　　 ）
　　　 　 　 （　 |　 ﾉ //　　　　　 '.　　　　　ヽ.く
　　　 .xr'´￣ ..ｲ （_//　/　　　 　 i　i ､　　　 ∨
　ｒ.::ｆ´::｣　 　 !:::! 　Y ! !i:　 ! !　 　ﾊ｜ :Ｙ　 　 i　　　「こっちは神官衣だわ」
　Lン7て　　 |:::|　（　| iﾊ.　i i ! 　 i i !　ﾉ! .! iｉ! !
　　 /!　ﾊ.__　!:::!　｀YVﾊ_ヽＮ｣!､　i i,ｨ=く｢ リﾙ′
.　　i::|　!　　）ヽ::.､_,ﾉﾍ ｨナﾊ! ｀ヽﾉｲﾉ 刈イ｛
. 　 ゝ!. | 　 ゝ-､{ｒ刈 ｢ ゝ- '　　　,　｀ 　ｊﾊi ﾊ
.　 　 i　!　　　　 ゞｲ| |、　　　　　c　　 .小}　 ヽ、
　　 ﾉi ::! 　 　 　 /' | |介ト ..ｘ‐.､ 　 .イ⌒Ｙ　　ハ
　 /:/ .::!　　　　/　｜!.:': : : : : : :ｒ千,: : : : ｊﾊ /　ﾉ
. /:/ ｊ.:::| 　 　 /　 .ｲ i!: : : : : .イ＾Y´￣｀ヽ! ﾉ イ
/:/　.! .:|　　　 ＼/ﾉ ﾉ､:.:.:／: : : : | : : : : : ゝﾆ=‐‐‐ｧ
:/　 ﾉ .::!　　　 　 ゝｲ.:.:.:./.:.: : : : :ﾉﾍ: : : : ｢. .-‐ｒ‐/

六８７．



　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|　　　「冒険者の三人組なら、
　　　　　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |　　　 戦士、魔法使い、神官が基本だからな」
　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　|
　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



遺跡探索をしなければ盗賊は必須じゃないんだ、と言う彼に
そんな物か、と納得したジュンは着替えるために立ち上がったのだが



　 　 　　 　 /|,　-──---,
　　　　　　〈　　. :.::::.:.:.:.｀`く
　　　　 , ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ
　　　∠.:／.::ﾊﾊ|:::::::::1::::.:.:.:.　＼
　　　　ム:从r'''''|/Ｎ:::|.;;;!;;;;;;;「￣　　　「なるほどね。
　　 　　l/N￣|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|　　　　　あれ、王女様？」
　　　　　 `|￣ﾉ└‐┘｀`ウ'ﾞ
　　　 　 　 ＼ ー' ,..ィ二［
　　　　　　　　￣r'"´,. -‐L_
　　　　　　　　∠二　　 　 1i
　　　　　　　　|　 　 `ヽ|　 | ',
　　　　　　　　|　 　 　.:j.　 | ﾄ､
　　　　　　　 /　　 　 〈　　| | |
　 　 　 　　 / __ ＿＿」.　 | | |
　　　　　　　| |:::| 　 |　　　| 「|
　　　　　　　| |:/　　l　　 V! |:|

六８８．
茂みに入ろうとしていた真紅と目が合ってしまい、



:ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ　　　/;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ　　 |ii;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞヾ:ヾ
ﾉ;;ヾ　ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ　ヾゞ;|　　<;;/::ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ;;::iiゞゞ;;ゞゞ;;ゞヾ;;>;ゞヾ;ゞ
ゞヾ　;ゞゞ;ゞiilヾ;ゞゞﾞゞ;;:::iｉ|　　|;:ヾゞ 　 "ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾiii|　<:;ヾ:ヾ;;>ヾ;ゞ'';ゞヾ;ゞ
|;:ilヾ ＼　|::;ii|　　　ヾ;ゞゞ''ノヾ|;:i|　　　　ノヾゞ:ヾヾ::ヾ＼　|i;;:iii|　/;;ゞ :;ヾ:,　　　　|i;ゞゞ
|;:i| 　＼`'';:::ii| ヾ:ヾ;;>;ゞヾ|　　|;:i|／＾　　　　'|i|　　|;:i| ＼｀";;::ii|　ﾉ / :ヾ;;>ヾ;ゞ　;ゞヾゞ
|;:i|　 　ﾞヽ,;:;;;l| /ﾞ;ゞゞ;ゞ:::ii|　　|;:i| 　　　　　　|i|　　|;:i| 　 ~|ii;;:ii"´／　|;;::iｉ|　　　　|i|／
|;:i| 　　　 |:::;iii~ ﾉ　　,,|;;::iｉ|　　|;:i| 　　　　　　|i|　　|;:i| 　　|i::;;iii|~　　 .|;;::iｉ|　　''＼|i|
':;,`:ヽ|／,'|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;.:":::"''''⌒ヾゞ　　　γ''"""''""''"' |ii;;i;(''）''"''''"""''"""'''''"""''
"；*'.:.:;”:;ﾞ|:;;iii|`:;,':,*”:;:;.,:;.:；'.:.:;”:;ヾヾ))　　(（,:ｿﾐ;.:';';';::;.:". |i;;;::;iii|`:;,':,:;.,:;.:;';',:　':::;.:".:;.:';
.:;”:`:;,' *”|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;,':,*”:;:;.,:;.:；'.:ソ　　　 "''~`''"ﾞ"'''~ノ;;ii;:iilli;ゝ"''~`''"ﾞ"''~`''"ﾞ"''~ﾞ
"''~`''"ﾞ ノr‐rｧ~"ヾ　　"ﾞ"''~`''"ﾞ"''~　　　　　　　　 　 　"'''''''''''''''"　　..,,､vji､iijww､ii..,
　　　　rﾍi !"￣ヽ}　　　　　　　　　　　　　'""'''""'"""
　.　　 [X] ﾉﾉﾉ ）)）〉　　「の、覗いたら許さないわよ！」　　　　　　　　　　　　,..,.,.,.,、
　　　/l|@|{ i.j　 !!Yﾄ､'""'"'''"""
;;;ゝ)ノ ﾉ　ゝ'''_- ／ヽ)　ｺﾞｿｺﾞｿ　　　　,..,.,.,.,、　　　　　　　　''"""~
））ゝ;;;ﾐ,,､,,;;;ゝ;;)ゝ））ゝ
;;;）　;;;)ヾﾐゞ（(;;;ゝヾ;⌒;;）　　　iijww､ii.　　　　　　　"""~"　　　　　　　　　　　''"""~
ヾﾐ;ｿ(;;;ゝヾ;))ゝ;ﾐ;;（::;ゝ;;;））



男達は口を揃えてとんでもない、と後ろを向いた。



　　　　　　　　　　　　「「覗きません覗きません」」
　　　　　　　 ／l
　　　 　Λ／　〈 へ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／ _ノ　 ヽ､_ ＼
　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼　　　　　　　　　　　　　　　　　|　（ ●）（● ）　|
　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　（__人__） 　│
　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ　　　　　　　　　　　　 　 　 　 | 　　｀⌒ ´　 　|
　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 　 　 |
　　　 | ￣ c　￣　　　6 l　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ　　 　　　　/
.　　　ヽ (＿＿＿_　　,-′　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ　 　　　 /
　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 >　 　　 <
　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 　　 |
　　　　　|　|　　　　　 |　　|　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　 　 |

120 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:33:27 ID:v9bqn0kt さてサイズは合うのか

六８９．
肩をすくめたやらない夫に苦笑し、渡された灰色のローブを羽織ったジュンは
フードを目深にかぶって



　　　 　 　 　 　 　 ,．=三三三三: ＼
　　　　　　　　　／三三三三三三三 ヽ
.　　　　　　 　 //三三三三三三三三:ヽ＼、
　　　　　　　 //三三三三三三三三三:ヾ三ﾄ､
　　　　　　　ﾊ三三三三三三三三三三三三:ヾ:､
　　　　　　 ﾊ三三三三三三三三三三三三三ﾂﾘ　　　　　「どうだろう？」
　　　 　 　 i三三三三三三三三三三三三三/:/
　　　 　 　 |:三三三三三三三三三三三三:/:/
　　　 　 　 !:三三三三三三三三三三三:／:/
　　　　　　,!三三三三三三三三三三;:< :三{
　　　　　 /ｌ:三三三三三三三三:／ 　 / 三!
　　　　　ﾊ三三三三三i三三三/　　 ｧ' :三:!
　　　　 ﾊ三三l!三三三l!三三ﾊ＞- ' :三:シ
　　　 //:三://l:三三三:!l三三三ヾ/三／
　　　ﾊ三三/::i!:三三三:､ヾ三三三l三{
　　 .ﾊ三三'三!三三三ヾヽ:＼三三ﾄ､:i
　　 ﾊ:三:/:三三三三三:＼ヾﾐ､ 三三｀ヽ
. 　 ﾊ三:/:三三三三三三:｀ヽヾﾄ､＼三/
　　ﾊ三/:三三三三三三三三三三:∨{:i



と確認し、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　「かなり大きめだから　　　　　　　　 　 　 　 　 （__人__）　　　　 |
　　　剣も鎧も隠してくれるな。 　 　 　 　 　 　 　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ 　 　 　 　 　 |
　　　後はこの杖を持っていると良い」　　　　　　　　　{　　　　　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 |



その周りを一周して問題ない事を確認したやらない夫は
左手に持っていた杖を手渡す。



　　　　　　　　　 　 　 　 ／￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　/,　⌒ヽ　i
　　　　　 　 　 　 　 　 { {　､__ノ ,ﾉ
　　　　　　　　　　　 　 い､　__ノ}
　　　　　　　 　 　 　 　 ゝ､　　,ｲ
　　　　　　　　　　 　 　 　 ｉ　 }
　　　　　　　　　　 　 　 　 l　 |
　　　　　　　　　　 　 　 　 |　 l
　　　　　　　　　　 　 　 　 l　 |
　　　　　　　　　　 　 　 　 ｌ　 l
　　　　　　　　　　 　 　 　 | 　|
　　　　　　　　　　 　 　 　 | 　l
　　　　　　　　　　 　 　 　 |　 l
　　　　　　　　　　 　 　 　 |　 |
　　　　　　　　　　 　 　 　 l　 |
　　　　　　　　　　 　 　 　 l　 l
　　　　　　　　　　 　 　 　 i　 l
　　　　　　　　　　　　　 　 i　,l
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 l∨
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ∨

122 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:34:37 ID:Sr5HrkoO 杖も結構な業物そうだｗ

六９０．
単純な樫の杖ではない、処理された魔法使い向けの物のそれを受け取ったジュンが
自分はどうするのかと尋ねたら、



　　　 　 　 　 　 　 ,．=三三三三: ＼
　　　　　　　　　／三三三三三三三 ヽ
.　　　　　　 　 //三三三三三三三三:ヽ＼、
　　　　　　　 //三三三三三三三三三:ヾ三ﾄ､
　　　　　　　ﾊ三三三三三三三三三三三三:ヾ:､
　　　　　　 ﾊ三三三三三三三三三三三三三ﾂﾘ　　　　　「君はどうするの？」
　　　 　 　 i三三三三三三三三三三三三三/:/
　　　 　 　 |:三三三三三三三三三三三三:/:/
　　　 　 　 !:三三三三三三三三三三三:／:/
　　　　　　,!三三三三三三三三三三;:< :三{
　　　　　 /ｌ:三三三三三三三三:／ 　 / 三!
　　　　　ﾊ三三三三三i三三三/　　 ｧ' :三:!
　　　　 ﾊ三三l!三三三l!三三ﾊ＞- ' :三:シ
　　　 //:三://l:三三三:!l三三三ヾ/三／
　　　ﾊ三三/::i!:三三三:､ヾ三三三l三{
　　 .ﾊ三三'三!三三三ヾヽ:＼三三ﾄ､:i
　　 ﾊ:三:/:三三三三三:＼ヾﾐ､ 三三｀ヽ
. 　 ﾊ三:/:三三三三三三:｀ヽヾﾄ､＼三/
　　ﾊ三/:三三三三三三三三三三:∨{:i



濃い青色のマントを取り出した彼は鎧の肩にある留め金に掛け、
フードをすっぽりと被って見せた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;;;;;;;;;;;,イ´:::ﾄ､;;;;ヽ　　 　 　 　 　 　 ／勹
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;;;／:::::::::::::::ﾍｌ ;;;〉 　 　 　 　 　 .／ヾ／
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;;|　|:::::::::::::::::::::｝;| 　 　 　 　 .／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　 i;;;;;;;|　|:::::::::::::::::::::｝;|　.,_　　　∠ヾ／
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;|　|:::::::::::::::::::::｝;|　　llコ~○／　　　　　　「記章を外して、フード付きマントで十分さ」
　　　　　　　　　　　　　　　　λ;;;;;;;ゞ＼ゝ:::::::::/У　／｀弋ll　
　　　　　　　　　　　　　＿／/弋;;;;;;;ー;;;＝─ヤ彡ヽδ／ `弋l､
　　　　　　　　,r‐＜￣´､　ヽ、　｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,`ｰ-, ､__　　゜
　　　　　 　 /　　 　｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　 　 ﾉ 、　　　　 　 　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　 　 〉､ 丶､ _　 　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　 　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ　ξ＾＾ξ ||　　　　ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.. Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　 　 　 〉､_ 二 -ｨ′八ヽ ﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/;;;;ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;; 〉｝　　Ｙ´　　　　 　 ｌ　|;;|::::::::::::::￣l
　　　 　 ゝ:::::::::::::::ノ;;;;;;;;;;; く ﾉ　　 }　　　　 　 　{　l,;|::::::::::::::::丿
　　　 　,〉:::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;/ ｀ヾ丶ゝ、　　　　　 ゝ'〈;;;ヽ､::::::::::`ヽ､
　　　　{:::::::::::::::::く;;;;;;;;;;;;;r'､　　　,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､|::::::::::::::::::|

六９１．



　／::::::::::::::::::::::::::::/::::＼:::::|::::::ヽ:::::::::::::::::＼::::::::-──
_,,- -ィ::::::::::::::::::::/::::::::::i:::V::::::::::::>:::::::::::::::::: ＼:::::＼
　／::::::::::::::::::::／::::::: : :|:::::V/￣　V:::::::::::::::::::::::＼::::ヽ
/::::::ィ:::::::::::::::{:::::::::::::::i: |￣　　　　 V::ﾄ:::::::::::ﾊヽ;;::ゞ:::ﾍ
:::／:::::::::::::::::::|::::::::::::::ﾊ:|　　 　 　　 |::i　＼:::::::}:::::ﾄ-;;::::ﾊ
/:::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::| ﾘ───''　 i:ﾘ　ﾆ彡:::iト､;ヽ ＼::i　　　　「随分簡単だな」
:::::::::::::::::::::::::::::|::::::: :: |＿,,,-＝＝=ヽ/　_||=__ﾒ:|　||　　　ヾ
::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::-::|＞''￣=.ィ-　 ||＝||{t..:jｱ　||
::::::::::::::::::::::::::::i＞＼:: |||ﾏﾊ廴ｿ　　..川　ﾊ￣　iノﾉ
:::::::::::::::::::::::r-､}''´　＼||　￣　　　 //　 ﾉ ｀￣ |´
::::/i:::::::::::::::| /ヽ　　　　ヾ＝=─''´´　　　　　 /
:/　|::;;::::::::::ヽ　　＞　　　　　　　 ｀ー -　　／　　ﾊﾞｻｯ
　　ﾚハ:::::/i::::::≧::-:､　　　　　　　　　　／
　　　　 ﾚ'　￣￣￣Yi　　　　　　_＿__./ ＿
　　　　　_...-:::'´￣￣｀:-..､　　　 |ー-　∧　}､＿
　　　 i: : : : : : : : : : : : : : : : ｀::-.┴..､: /: :}: :}: : : ヽ
　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : ヽ　/::/: : : : ∧



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　ノ　ヽ､＼　　ﾊﾞｻｯ
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 （●）（●）|　　　 　 　 　 　 　 ／勹
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　（＿人_）│　　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 　 ｀ ⌒´　 |　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 　 　 　 |,,.._,.,_　　　∠ヾ／　　　　「ジュンが戦士役をするか？」
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 .　 ヽ　　　　　　/　 ﾞ弋llコ~○／
　　　　　　　　　　　　　　　　　 / lヽ　 　　　/　　　 ／｀弋ll
　　　　　　　　　　　　　＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ ￣ﾉ　,r‐;=／δ／ `弋l､
　　　　　　　　,r‐＜￣´､　ヽ、　｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,`ｰ-, ､__　　゜
　　　　　 　 /　　 　｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　 　 ﾉ 、　　　　 　 　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　 　 〉､ 丶､ _　 　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　 　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ　ξ＾＾ξ ||　　　 ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.. Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　 　 　 〉､_ 二 -ｨ′八ヽ ﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/;;;;;ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;〉｝　　Ｙ´　　　　 　 ｌ　|;;|::::::::::::::￣l
　　　 　 ゝ:::::::::::::::ノ;;;;;;;;;;;;く ﾉ　　 }　　　　 　 　{　l;;|::::::::::::::::丿
　　　 　,〉:::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;;/ ｀ヾ丶ゝ、　　　　　 ゝ'〈;ヽ､::::::::::`ヽ､
　　　　{:::::::::::::::::く;;;;;;;;;;;;r'､　　　,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､|::::::::::::::::::|

六９２．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　Λ／　〈 へ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l
　　　「………魔法使いより背の低い戦士？　　　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ
　　　 やめておくよ」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ￣ c　￣　　　6 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　ヽ (＿＿＿_　　,-′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 |　　|



身長についてはジュンの偏見なのだが、
確かに戦士よりも体つきのしっかりした魔法使いなんて目立って仕方がないだろう。



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　　　　（__人__）　　　　「変装する身だ、
　 |　　　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　　出来るだけ没個性な平凡が良いのさ」
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |

六９３．
けれど没個性の平凡とは対極にある君が言ってもな、とはさすがのジュンも言わなかった。
代わりに苦笑い一つだけで同意し、



　　　　　　　　　　　　　/ ／.:/.: 　 i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　 　 l.:.:./ .:.:　.|.:.:.:l..:/l.:.:/　|.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
　　　　　　　　　　　　　./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/　 |/　l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
　　　　　　　　　　　　 /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ　　l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
　　　　　　　　　　　　 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ　lﾄV
　　　「同感だよ」　　　　l.:.:/l .:　ﾊ:lN{　辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ　l1 l
　　　　　　　　　　　　　　l:/　l.:/　　 lL_ ＿＿ノ　 ,　　ヽ _二 ノ.:.:.
　　　　　　　　　　　　 　　 　 l/　､__',　　　　　　　 　 　 　　 /　.:.:.
　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　　ヽ　　　　　r‐‐ｯ　　　/.
　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　 　 入　　　　　　　 ,..ｲ.:.
　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　.　'´　i.:.＼＞ -- ＜/
　　　　　　　　　　　　 　 　 　／　　 　 |.:.／＼　 　 ノ.:



そこへ神官衣に着替えを終えて、畳んだドレスとヒールを手に持った真紅が戻ってきたので



　　　　　　　　／.::／　　　　 　 ｀`ヽ＼
　　　　　　 ／.::／　　　　　　　　　　＼＼
　　　　　／.::::/　　 ,．-──‐‐- ､.　　 〉::ヽ
　 　 　 〈.:.:.::::.ヽ ／　　　　　　　　 ＼ /.:.::::〉
　　　　　＼.:;:ィ7, ィ´.::￣￣￣｀`ゝ-</^V/　　　　　　　　　　「どう？
　　　　　 ,.ｲ:! i. .:.十ム､ﾄﾄ､　_ﾉ_ﾉj_j!:　 N　　　　　　　　　　　 変じゃない？」
　　　 　 //|:|ﾄﾄ:::ヽ!r=ｭ ヾ:.ノ´,r=ﾐ､ﾘ:.:./ ﾄ､
　　 　 .〃 l|:|｀7^Y´辷ｿ　 　　辷ｼ,ｨｲ〈　l　ヽ
　　　 　 　|1| | l 人　　 　_'_　　　 /1　.i | 　 !
　　　　　　i　 1lﾉﾉ> ─-､　 ,. -‐<　| 1:| |　i |
　　　　　　|　 ||l 1.:.:.:.:.:.:.:.:V.:.:.:.:.:.:.ヽ! |::| |　| |
　　　　　　|　 || _>.-‐::「o´こ｀ol;i:.:.:.:l |::| |　| |
　　　　　　|　/二ﾆ7.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l;|.:.:丿ﾆ二7! 1
　　　　　　|/<孑＜.:.:.:o.:.:.:.:.:.:o|;|.:.:孑-､.:.＼ゝ
　　　　　 /.:.:.:孑.:.:.:.:.:.o.:.:.:.:.:.:ol;;l.:.:.孑´:::.:.:.:.`ヽ、
　　　　 ,/.:.:.:.:.:.:.::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.//.:.:.:.:）::::::::.::.:.:.:.:.:.＼
　　 　 /.:.:.:.:.:.::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.//.:.:.:.:.::::::::::::::::::.:.;:ィ⌒ハ
　 　 ,/.:.:.:.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.::::/人_.:.:_.:.:.:.:.:.:.:., ィ7:.::::::::::.:.〉
　　 〈r─y──-､::_＿.:.／　　　￣`T´￣_ノ.:.:.::::::::.:./
　　　 ＼/｀`7.:::i　　　　　.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.L _/.:.:.:::::::::::::::/
　　　　/　.:::::.::/　　　 .:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::i　｀ヽ:::.:.:.:.:./
　　　,/ .:.:.::::::/.:.:.:::::.:.:.:.:.　 .:.:.:.:.:.::::.:::::人＿ﾉ.:.::::::〈

六９４．
彼女も着こなしに問題が無い事を見て取ったやらない夫は、
裾が少し汚れてしまっているドレスらを道具入れにしまい込んだ。



　　　　　　　　　 　　,, -─- ､._　〃"
　　　　　　　　"ミ ／　　　　　　ヽ　　　　　「上等上等。
　　　　　　　 　　 |　　⌒　⌒　　ヽ　　　　　今まで着ていた服は俺が預かっておく。
　　　　　　　 　　 |　（●）（●）　 |
　　　　　　　　　　|　 （__人__）　　|　　　　　これならそうそう簡単には見分けが付かないだろう」
　　　　　　　　　　ヽ　 ｀⌒´　　 ﾉ
　　　　　　　　　　/　　 　 　　 ヽヽ,　） ）"
　　　　　 "（ （　（　ヽ　 　　　／.／
　　　　　　　　　　＼ ＼　゛／／
　　　　　　　　　　／ / ヽ　＼ 　　ｺﾞｿｺﾞｿ
　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　 ヽ＿＿＿／



::::::::::::::::::::::::::ﾊ::::::::::::::/i/／ i:::::::::::::::::::::::::|::::::|:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::＼
::::::::::::::::::::::::::::ﾊ;;;;;;;;;/-'´ 　 .|::::::::::::::::::::::::ﾄ::::: ﾄ::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ￣　　 　 　 |::::::ﾊ::::::::::::::|　＼i ＼::::::::::::|:::::::::::::::::::::ﾊ
::::::::::::::::::::::::::::;:::ﾊ　　　 　 　 |:::/　V::::::::::ﾘ　　　　ｨ=ﾊ:::: |::::::::::::::::::::::::＼
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ﾍ　　　　　 |:/　　 V::::::/　　　/ｲ＝ﾌi｝ヾ─────'｀　　「そんなに簡単にいくかな？」
ヽ:::::::::::::::::::::::::|　＼ヽ　　 　 |i!　　　 ｝::/　　　r''´ゞハi l:ヽ
::::＼::::::::::::::::::::|　　 ＼　　　＿＿ニ三ｲ　　　||r j｝i|　.i lヾ｝
::::::::::＼::::::::::::: |　　　／::::＿,,,ィ彡=''´i/il_,=＝|.しｿﾊ ﾉﾉ-､
:::::::::::/ ＼::::::::::ヾ ／:- ''´＞''´ -=ｲ｀　 ||r'´｀ ﾊ彡　ｙ/: : : :＼ニニミ-､
::::::::/　　　｀ー- xゝ rィ彡''´イッ:::ﾘ　　/i　　　ミー=´i: : : : : : :｀:-:､: : :｝ｿヽ
:::::/::ﾊ＿＿＿＿＿/ /　 /　ﾋ:::..ソﾉ　｛.ﾘ　　　　｝.　 l-､: : : : : : : : i: ://: :ﾊ
￣ヽ──────､ﾊ　ヾ　　ゞ''´　 ノﾉ　　　 ./　 ./: :ﾉ: : : : : : : : l: i l: : : ﾊ
i ヽ　｀ -ゝ　　　　　　ヽヽ　ミ=''´　／／　　　　 　 /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ､
｛　　ﾊ　　　　　　　　　＼＼＿_／／　　　　, ィ　/: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : ＼
　｀　　 廴　　　　　し　　　ー─''´　　　 ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>､＿　　　ー　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　 /: : :/: : : : : : : : ::／: : : : : : : : : : :/
: : : : : ＞-､＿ハ､　　　　　　　　　　　　　　　ハ／: : : : : : : :／: : : : : : : : : : : :/ハ

六９５．
変装も逃避行も初めてのジュンに頷き、人差し指を立てたやらない夫は
手配書の似顔絵など高が知れていると分かっているのだ。



　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　 　 　 _ノ　　ヽ、　　＼　 　,.:┐
　　　　　　　　　　　 .（ ●）（ ●）　　..|　／　｜
　　　　　　　　　　　 （__人__） 　　　　.|./　　 /　　　「俺達の事を直接知っている奴なら駄目だが、
　　　　　　　　　　　　 i⌒ ´ .r－､　　|/　 ／　　　　手配書が出回った場合でも、
　　　　　　　　　　　　 { 　 　 ヽ,　',. .,/　:/',　　　　　賞金稼ぎの目ぐらいはごまかせるだろう」
　　　　　　　　　　　　 .ヽ　　　.|　 l_/_, -‐､',
　　　　　　　　　　　　　 .ヽ　.　| 　 / , -－'i|
　　　　　　　　　　　　　　/　　 {　　V , -－ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　|　　　ヽ　 Ｌ|　r=　|



成る程と頷いたジュンと、裏付けがあっての判断を繰り返しているやらない夫とを見比べた真紅が
ふと、昨日の城の脱出から今まで、ずっと思っていた事を口にすると―――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _ {　　　/--t一-. ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 ／Ｘ/｀ーｧ'Ｘ Ｘ,}!工エエﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 /'ﾞ＼/ー‐'／ ヽX}! ┼┼:十:ヘ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/＼／＼／＼／ヽ}!-┼┼┼ 十ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃／＼／＼／＼／}!-┼┼┼ ┼:|ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'iく＼／＼／＼／ヽ,j|＿|___|__|__ _|__|_1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'ヽ／＼／＼／＼／}!＿|___|__|__ _|__|__i
　「やらない夫って、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. ／＼／―／--／:ヽj|土土⊥⊥. _|__|　|
　 冒険者の方が似合っているみたいね」　　 　　　　　. ト- 'rf"下丁iー---个ドﾐ￣T冖ｔ-- ニ ﾕ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 ﾞ√ﾐf⌒! l/, f´Ｙﾐ-ｧ｀ｌヾ''ドﾐt,ﾐ Ｘ Ｘ ＸＸXﾍ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /ヽヽﾍ　 〃l ﾍ ゝ-'　　　　 'r'::ﾒ｀ ドﾐ X Ｘ Ｘﾍ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l! |-l＼'ﾍ::ｿ　 ﾊ!　　　　　　　t_ｸ/　|/,_｀ドﾐ ＸXﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.__　||､　|:!　'rゞ:|!　|　ヾ　　　　　 ,　 /if |　 f　ﾙﾍ｀￣´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼｀|| ヽ|:! ,f三::|!　ﾄ___i|　　－､　 ／ﾍ｀ヽ　| /∧ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ﾚ　 ´`!､三.|!　'＼.|!　　　, r ´=ｰ､ｊ-,. ヽ// f'|｀ｰ,i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　 l　　Vゝﾐ＼　　＼-ｒ ',＝＝　／　ヾ'∧　 |　 l |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 l　　 |八,ｊ- .＼ _ヽ＼く三=　（　　ｖ'/　ヽ_ﾉ　 l j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　l　<´＿　　　￣ ＼三　　＼ ﾚヽ＼　＼ `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/⌒l　　　　|` 三三⌒'ー - 、　＼　　　へｌ　｜,r--ｫ

六９６．
どっかりと岩に座り込んだやらない夫は複雑そうに呟く。



　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　　|　　　 （ ー）（ー）
　　　　　　　　　　　.|　　　　 （__人__）　　　　　　　「………そう、か？」
　　　　　　　　　　　/　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　／　　ヽ　⊂二二￣＼
　　　　　　　／　　　　　＼　 ⊂、'　 　 ヽ
　　　　　　/　　　　　　　　＼＿, ｀7　　/
　　　　　/　　　　へ　　　　 ＼　!/　　/
　　　　　|　　　　　　＼　　　　Υ　　/
　　　　　|　　　　　　　 ＼　　　　　/＼
　　　　　|　　　　　　　　/ ＼＿_／.,,_r ヽ、
　　　　 /　　　 　 _,,＿_|'"´　　　　　 ﾚi　 }
　　　　|　　　｀'"´　　　｀¨ー､　　　 　/ﾉﾉ
　　　　|　　　　　　　　　　　　}ィ 　 　´/
　　 ／＼＿＿＿,,.._7 　　　/::/　　 , '
　 /::::::::::::::/::::::::::::::::{ 　　　/::/　　/:
　 |:::::::::::::::|::::::::::::::::::!　 　/:::/　　f::::::
　 |:::::::::::::::|::::::::::::::::/ 　 /:::（　　　 ヽ、
　 |:::::::::::::/::::::::::::::/　　 {,_:::::::｀ヽ、＿_,,ゝ
　/:::::::::::::|:::::::::::::（＿ 　 　｀¨つ:::::::::::::::
　|::::::::::::::::＼:::::::::::::::::｀¨ー-'"::::::::
　　　　　::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::



王女に他意はなかった、ただ単純に感じたとおりの事を言ったに過ぎない。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:::::::::::::::::::::}_ヾ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀::ﾞ::ヽ、 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ::::;．'"´,'　 ｀ヾ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ!:!i　　　!　/　　 `ｰ---‐ｒ ――― ‐ｒ --- -- ﾆ＿__ｊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〃〃.ﾄ、　.!　{　＿_ﾑ_i!_　 i!ハ　　　　　ﾊl　 ',　､　　ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:/,'::|　| ヽ　}　!、　　!_ヾ!､｀ヾ　! l!　　 ｨ/‐ﾅ!￢! .|　i　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./:/ .!:::! ∧.　y　| !、　くｆ´ﾆ>≧､ }/} ／;ｨ=ァ､} /} /! / /!|
　　　「お城の中に居た時より、　　　　　　　/::{　 !:::i.ﾘ ヽ ,'　,'l !ﾞ＼ {弋ｚソ　　　"´　 {ｚｿ /ｨ /ｨ }/ / }.}
　　　 活き活きしているって言ったら　　　. ト､!　 |::::|! 　 }　∧!ｌ　　｀ﾞ　　　　　　　 ,　　 　 {kｲ K､ノ　ﾘ
　　　 変かも知れないけど………」　　　/　　　/〉」　 /　人_!ト.､　　　　　　　　 /　　　 ,'l ! !::|ヾ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　// 　 ./　/　　!|｀¨iヽ　　　　　 ｆﾌ　　　／!l ∨::! .ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.// 　 ./　/　　「!|￣￣￣￣＼ __ｒ―＜、/∧ ヾ:!　.ﾊ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ {　.／　/　　　ヾヽ::::::::::::::::::::::ヽ/::::::::／//　ヽ ﾞ､ 　 ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | ム　く　　,．‐’:} }::::::::::::::::::::::У:::∠::ﾌ/ヽ 　 ﾄ､＼　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |＿_＞‐≧‐≦―'ァ::::::「￣￣￣ ´{／ｲ::::::＼. !. ＼＼　}}

六９７．
そんな物なのかも、とジュンは簡単に理由付けするも、



　／::::::::::::::::::::::::::::/::::＼:::::|::::::ヽ:::::::::::::::::＼::::::::-──
_,,- -ィ::::::::::::::::::::/::::::::::i:::V::::::::::::>:::::::::::::::::: ＼:::::＼
　／::::::::::::::::::::／::::::: : :|:::::V/￣　V:::::::::::::::::::::::＼::::ヽ
/::::::ィ:::::::::::::::{:::::::::::::::i: |￣　　　　 V::ﾄ:::::::::::ﾊヽ;;::ゞ:::ﾍ
:::／:::::::::::::::::::|::::::::::::::ﾊ:|　　 　 　　 |::i　＼:::::::}:::::ﾄ-;;::::ﾊ　　　　「染みついた生活ってのは
/:::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::| ﾘ───''　 i:ﾘ　ﾆ彡:::iト､;ヽ ＼::i　　　　なかなか抜けないからね。
:::::::::::::::::::::::::::::|::::::: :: |＿,,,-＝＝=ヽ/　_||=__ﾒ:|　||　　　ヾ
::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::-::|＞''￣=.ィ-　 ||＝||{t..:jｱ　||　　　　　　　　ソファに慣れたって
::::::::::::::::::::::::::::i＞＼:: |||ﾏﾊ廴ｿ　　..川　ﾊ￣　iノﾉ　　　　　　　　根っこはまだ冒険者なんだよ」
:::::::::::::::::::::::r-､}''´　＼||　￣　　　 //　 ﾉ ｀￣ |´
::::/i:::::::::::::::| /ヽ　　　　ヾ＝=─''´´　　　　　 /
:/　|::;;::::::::::ヽ　　＞　　　　　　　 ｀ー -　　／
　　ﾚハ:::::/i::::::≧::-:､　　　　　　　　　　／
　　　　 ﾚ'　￣￣￣Yi　　　　　　_＿__./ ＿
　　　　　_...-:::'´￣￣｀:-..､　　　 |ー-　∧　}､＿
　　　 i: : : : : : : : : : : : : : : : ｀::-.┴..､: /: :}: :}: : : ヽ
　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : ヽ　/::/: : : : ∧



少しだけ自覚のあったやらない夫の中で迷いのような物が生まれていた。



　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　 　 　 　 　 ／ 〉 ´　　　　　　＼
　 　 　 　 　 　 ／ ／'　 __ ノ 　 ゝ.__　ヽ
　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ　　　　　　　　　　　「とにかく食事を取って
　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　　　　　 二時間ほど休憩しよう、
.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ　　　　　　　　　　　 明日の夜にはエスメラルダに着きたい」
.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !
.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_　　　　　　　　　（………確かに、城を出ると決めてから
　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼　　　　　　 妙に頭が回る気もする、が―――）
.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !



騎士と言う立場、垣根を越えた自由な発想と判断。
護りたい物を護る、と思った時の思考の広がり。
エンジュも心配した騎士と言う壁の限界と、その向こう側にあるもの。

それがどうしても気になった彼は、しかし今は王女近衛騎士である事を思い出し、
落ち着いた後に考えようとその小さな何かを心の奥にしまっておく事にした。

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━━━━━━━━━━……

132 ◆FrtuoSIf66 10/09/27 21:42:36 ID:4eU6MwRi 本日の投下は以上になります。 閲覧、合いの手ありがとうございました！ 次回は第六章その３になります。 131 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:42:11 ID:X+fu9cpy この変装セットだが、いつか仲間ができた時のためにと、 大事にしまってあったと妄想すると、生暖かい気持ちになるな…ｗｗ 133 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:43:32 ID:VkXSb5QQ >>131 仲間用か・・あるいみボッチなやらない夫も可愛いな 乙でございます 136 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:44:06 ID:o617DVTa 乙！ >>131 準備の時に買いに行ったんじゃね？万一を考えて しかし俺でもない夫の手配書なら99％位の精度で書ける気がするｗ 138 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:45:12 ID:X+fu9cpy >>136 うん。あくまで俺の妄想ｗ 142 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:46:32 ID:gWrhKcRq >>131 俺がいつかの為に結婚指輪を用意してるのと同じか・・・ おつでした 144 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:48:57 ID:Sr5HrkoO >>142 「俺、いつか彼女にこの指輪を渡すんだ…」フラグですね。わかります 140 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:45:44 ID:8HL8GEBU 乙でした！ 頭が回っていない状態でキノコ探偵をするとは…… 本気を出したやらない夫は一目見ただけで犯人を推理してしまうんですねｗ 141 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 21:45:46 ID:cFVDDtTI やらない夫は赤毛の剣士と同じなのかもね。 どれだけ大きな偉業を成し遂げても、根っこの部分は英雄ではなく冒険者なんだろうな。 145 ◆FrtuoSIf66 10/09/27 21:57:57 ID:4eU6MwRi >>133-137 >>139-140 >>142-144 大勢の皆様、乙と閲覧をありがとうございました！ 変装用の防具は、流石に後から買った物かと思います 仲間の物を予め買っておいても、 サイズが合わなければ意味が無いのが防具ですし。 女性用も胸とか色々ありますから。。。ｗ 147 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 22:07:18 ID:QhgnPe0q 乙でした！ 高所からの魔法使いの範囲攻撃なんて怖すぎるｗｗｗ それにしてもやらない夫は惜しげもなく魔法のアイテムばらまくなぁ さすができる夫さんもうらやむブルジョワヒーローだｗｗｗ 148 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 22:10:10 ID:X+fu9cpy 「命より高いアイテムなんてないだろ、冒険者的に考えて」 てな所かもね。 財産が有り余ってるのは当然なんだろうがw 149 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 22:16:59 ID:i/8YK37p 乙であります！うーん、やっぱない夫は「冒険者」が輝くっていえばそうだよな～ エンジュもアレクサンドも騎士の枠に収まらないだろうって思ってたしなぁ 次回も楽しみにしています 150 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 22:17:46 ID:ZRq7tlsH 乙でした 真紅さん用のは胸囲を気にする必要ないと思 （レスはここで途切れている） 151 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/09/27 22:17:53 ID:jl/r/K5D 乙 誠はとことんキレイな誠みたいだね。とかいって内通者だったらどうしようｗ

六９６．
━━━━━━━━━━……
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国王の葬儀の翌々日、エスメラルダの町の東端にある貴族学級―――




　　　　　　[三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
　　　　　　　|
　 ,;:⌒;~:ヾ　|　　|￣￣|￣￣||￣￣|￣￣||￣￣|￣￣||￣￣
　(.;::）:):^;,:.　|　　|// 　|// 　||// 　|// 　||// 　|// 　||//
　.;ヾ..ゝヾ):) |　　|　 //|　 //||　 //|　 //||　 //|　 //||　 //
　￣￣￣￣￣￣￣￣￣|ｉ┳┳┳┳┳┳┳┳┓ ,' ┏┳┳
　 　 ＿＿＿＿＿＿ 　　||┃┃┃┃┃┃┃┃┃＿┃┃┃
　 ;;｛ 貴族学級　　　｝;;;;;||╂╂╂╂╂╂╂╂╂―╂╂╂
　 　 ￣￣￣￣￣￣ 　　|ｌ┃┃┃┃┃┃┃┃┃ 　┃┃┃
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　||┻┻┻┻┻┻┻┻┛　 ┗┻┻

六９７．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | |
　　　　　　　　　　　　　 ,､､､　　　　　　　　　　 　 　 | | |　　「―――と、言うわけで、
　　　　　　　　　　　　 /:;:;;;;:;:;:.ヽ　　 　 　 　 　 　 　 | | |　　 僕は今のローゼンは文官が多すぎると思いますね。
　　　　　　　　　　　　;:;;ｨｲ_,,ヾ;;;!　 　 　 　 　 　 　 　| | |
　　　　　　　　　　　　jj!ﾊ　 ゝ,!　　　　　　 　 　 　 　| | |　　 ここ五年、十年ぐらいで
　　　　　　　　　　　　_ﾘﾘヽﾆ/L＿.　　　　　 　 　 　 | | |　　 かなりの役職が追加されたんじゃないでしょうか？」
　　　　　　　　　　/.:::::::::::L_/.::::::::.:.:`ヽ 　 　 　 　 　 | | |
　　 　 　 　 　 　 l.:::::::::::::::::::::::rｭ:::::::::::::l　　　　 　 　 | | |
　　　　　　　　　 j.:::::::::::i::::::::::::ｶj:::::::::に|　　　　　　　| | |
──-──-─-l::::::::::::|:::::::::::川:::::::::L7i───-─- | |
三三三三三三ﾆ.:::::l::::::|:::::::::::::::|:::::ﾊ::::::!三三三三三」」
::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::ﾄ､::::!::::::::::::::!::::ﾚ::::: /:::::::::::::::::l /
￣i￣￣￣ ￣/.:::::/　}::::!:::::::::::::!:::::::／￣￣￣￣」
　 |　　 　 　 /.:::::/ 　 「 ￣ i´￣ | >'　　　　　　　　＼
　 |ﾆﾆﾆ ∠こノ'′ﾆﾆi　､_t, 　　 Yﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ!
￣_, ,,､､､-‐ ! .:.:.:.:.:.:.:.:|　　 i 　 　 !.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::/
コ_, ,,､､､-‐┘.:.:.:.:.:.:.:.:l　　 |　　　 |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::/
.:.:.:i:.:.:.:.:.:.::.:/￣￣ ￣1　　 | 　 　 |￣￣ ￣￣￣￣|
::::::|::::::::::::./　　　　　 |　　　| 　 　 ! 　 　 　 　 　 　 |
::::::| r-‐ ||　　　　　　|　　　i!　　　!　　　　　　 　 　 |
::::::| |　　|| 　 　 　 　 i　　　||　　 |　　 　 　 　 　 　 |
::::::| |　　||　　　　　　 l 　 　l!　　 |　　 　 　 　 　 　 |─── ──────
::::::| |　　||__ ＿＿ ＿_」　　 !　　 |＿＿＿＿＿＿_」.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::| |　　||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:! 　　|　　 |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::




　　　　 /　　　　　　＼
　　　　;′;′,ｲ,ｨ　ヽ ､ヽ
　　　　l　_!　l{从ﾄ､ }ﾊ !ﾊ　　　　　　「ふむふむ」
　　　　!｛_|　l戉ｆ　ﾚぇlﾉﾘ
　　　 ,ﾘ ∥ |、　__' ,.ｲ ｣
　　　/　ﾉ|　| ｀ｰr１ｌ｛!/
　　_.ﾑ‐'¨|　|＞=く! ﾄヽ、　ｶﾘｶﾘｶﾘ
　 /　 ヾ　! ﾊ　几 ｀ｰrﾍ＼



カーディナルを出たサクラは学生になっていた。

いきなりの自由と金貨五百枚を手に入れた彼女はしばらくの間
自分の生きる道を模索していたのだが、
思いついたのが妖術師に滅ぼされたダンセニア村の復興だったのだ。

政治経済、流通や食糧自給に自警など村を復興させるのに必要最低限の知識を得ようと
やらない夫から受け取った金貨の一部を貴族学級の入学費用、学費に充て、
生活費は宿屋兼酒場に住み込みで働く事で何とか賄っている。

六９８．
┏──────────────────────────────────────────────┓

　　　官僚は国王の手足に過ぎません。
　　　意思決定の流れが明確で単純であるのが王政の利点であるのに、
　　　これでは中間の誰かが情報を取捨選択したり歪めたりしても、なかなか露見しにくいでしょう。

　　　武官との摩擦や乖離も大きくなっているようですし―――
　　　ちょっと危険ですね。

┗──────────────────────────────────────────────┛



　　　 　 　.-－- ..
　 　　／　ｨｧ:::::::::::::-､_
　　／　,/::::_ｪｪｪｪｪｪ_::::ヽ
　/　 //イ |イ .ｌ |´ ｀ll｀ヾﾍ　　　　「危険って？」
　/ ⊂i⊃. ─ 　ll |─ ヽ⊂ﾄ
　ｲ.⊂j⊃（ ●） 　（●） ,て!
　 小,| 　　　（__人__）　 ﾙﾘ
　 ﾊ,小 　　　｀ ⌒´　 l,/
　,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノﾞ-､.
　 　 　　　　　　　　　　　 　i
　　　　　　　　　　 　　　　 　|



まだ十歳を過ぎた辺りの少年が首を傾げ、
教壇で熱弁を奮っている教師は彼を振り返って少し難しい顔になる。

六９９．
┏──────────────────────────────────────────────┓

　　　―――今の状況を利用したら、革命なんかも成立しやすいって事です。
　　　国王様の病死に合わせた動きもあるかもしれません。

┗──────────────────────────────────────────────┛



　　 　 　 　,,-;―;;;-,,､
　　　 　／;''- ― - ､;ヽ
　　　 /／　ノ　　＼_ }l ヽ
　 　./〃 （●） 　（●）l |　　　　　「革命！？
　 . ｲ| /.∪ （__人__）　ﾙﾘ
　　 小|| 　　｀ ー'´　　l,/　　　　 嫌だお、とーちゃん達だって
　　 ﾊ小.　 .　　　　　／　　　　　今の国が大好きだって言ってるお！」
　,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノﾞ-､.
　 　 　　　　　　　　　　　　i




革命。
共和制による人民主権の政治―――に、見せかけた主権の奪取。
ギャブレットの屋敷に居た時に何度も聞いた言葉が
恐ろしい意味だと今更ながらに知る彼女。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｶﾗｰﾝｺﾛｰﾝ♪
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｶﾗﾝｺﾛｰｰﾝ♪


　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　/　　／　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　 /　　/ 　 / l/　 i　、　　　 i　　　ヽ、
　　　 　 　 　 　 　 　 i　　 l　　/　i !　 |　　　　　 |　　　　 i
　　　　　　　　　　 　 |　　 !　　i　川　i !＼ヽ、 　 !　 l|　　 |
　　　　　　　 　 　 　 i　　 |　　 V-‐Vﾚﾘ　丶ヽ　∧　/ 　 il!
　 　 　 　 　 　 　 　 |　V^i　　　iィj了Y　　 　 V　 VV　 /ﾘ　　　（もしかして、ギャブレットは―――）
　　　　　　　　 　 　 i 　 ヽj　　　|廴jン　　　　 f了ｿYﾚｲ
　　 　 　 　 　 　 　 |　　　|　l　　|　　 　 　 　 , ー′ハ/
　　　　　　　　　　　|　　　|　li　　|　　　　　　 ´ 　　///
　　　　　　　　　　　i　 　 |i　l 　　!ヽ 　 ｰ 一 　 ／iﾚ′
　　　　　　　 　 　 ﾉ　　 /i!　i　　 i　 丶 ＿　イ　　l|
　　　　　　　　　 /　　 /　l!　V　! |　　　/ l 　 |　　l|
　 　 　 　 　 　 /　＿/__ノ|i　　　l i＞、」ヽi　　!　　|
　　 　 　 ＿_／／ヽ、　　 |l　　　lﾘ　/￣i}ヽ、 l　　ヽ
　　　　/　　￣ヽ　＼＼ 　 i!　　 |　/　　 |!　 ＼_　　 ＼



自分が荷担していた事の重大さと、
そこから救い出してくれた彼への感謝の気持ちを思い返した所で
終了を告げる鐘の音が届いてきた。

六１００．
┏──────────────────────────────────────────────┓

　　　ハハハ、国王様が殺されたのならともかく。

　　　病死された際に釣り合いが取れていないってだけで、
　　　いきなり国の成り立ちが変わる訳じゃありませんよ。

┗──────────────────────────────────────────────┛


少年に笑った教師はしかし、内心では別の確信を持っていたものの、
カーディナルから七百キロ離れたこの町にはまだ
王都で何が起こっているかの情報は入ってきていない。




.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀､.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:'ヽ､
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ゞ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,!.::.:.:.:.:;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾞi
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:.:.:.:.:,':.:.:.:,;:.:.:.:.:.:.:.:i.:.:.:.:.:.:jk　　　　　（だが………
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l|.:.:.:.:j!.:.:,;:;:;.:.:.:.:.:i.:,j!.:i!.:.:.:jﾄ　　　　　 もし、もしも。
.:.:.:i.:.:.:.:;:;:j! i;.:.:,j!ﾞ.:/;:;:;:;:ﾉ.:,j从ｨ;j.:,ｲﾉ
i!.:.:i!.:,;:;:;:;:;!;;:j.;:;;ﾞ,ｲ;:;/^);:j/;:;:;:;:ﾞﾉ''´　　　　　　　国王様の死に何か不審な理由があるとしたならば、
;j.:,j;:::;:;:;:;;:;:i;:;:;:;:;:;,r'　/;:;ｲ''ﾞ´　　　　　　　　　　 文官の叛乱は確実に起こるだろうな。
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;,'´　 /;'´j
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:j　　 ﾘ　 ,!　　　　　　　　　　　　 五年？いや十年？
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ﾘ　　 　 /　　　　　　　　　　　　　ゆっくりとだが、確実に文武の天秤は傾けられていた。
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:/ 　 　 /
;:;:;:;:;:;:;:,､-‐'´　　　 ,!　　　　　　　　　　　　　　 王政の中で力を持ちすぎた官僚が国政を腐らせる例など、
ゞ;;ﾘ;:;:;j ､　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　長い総歴のなかでいくらでもあった事だ―――）
｀ﾞ｀ﾞゞﾘ' :｀`丶､　/
＝＝＝=ー--‐'ー一=rーー───‐‐──‐‐‐-ｭ
　　　　　　　　　　　　　｀ーﾟーーー───--､'"´ ｀ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 ｀､
　　　　　　　　　　　 　 　　　　 　 　 　 　 /　　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 ﾞi､
　　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　 　 　/　　　 　　 　 　 　 ゝ､



あるいは十メートルと離れていないサクラの知識と
元は王都大学の超優秀な学者であった彼の英知を共有させていれば、
事前に何かを把握できたかも知れなかったが―――

六１０１．
明日の朝、町に飛び込んでくる情報でそれを知る事になる。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r ''.:.:　 ,ｨｲ彡'"´.:. ｀`ヽ .:.:.::::::::::::::.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /"´　. : : : : ´¨｀`: : : : :::.:.:.:.:::::::::::::::::::::::ﾞ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〃　 . : : : : : : : : : : :, : :, : : : :: :;;;;;;:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〃　 . : : : : : jii l l ﾄ､ ', : '; .:.:.:.:.:.:;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.:.:.:',
　　　「それでは、本日の授業はここまで。　　　　　　　　 　 　 l1　. : : : : : :jii l i ﾄﾄ､;;;;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;`､
　　　明日は古代魔法文明による言語統一と　　 　 　 　 　 　l1: : : : : : ｨｲﾘ 川 ヽﾄ､;;;ヽヽ;;;＼｀ヾ;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ,
　　　通貨統一について学びましょう」　　　　　　　　　　　　 　 /ｲ: : : : ;.ｨｲｿ　　 '､ヽｰ＝＝==-､ミﾐヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃,': :.j ｨｲ ￣二ﾆヽ 　 ';.:.:-ﾓﾃ=`ヽ )ﾊ;;;;;,r‐ ､;:;;;;;;;j!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　lﾊ｛ i j j;;', 　ｨてﾃﾝ.;,　　　｀`ﾞﾞ ￣` 　　!;;;;ﾚｲ　!;:;;;;;;;!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 `ヾ从;;;;;',　　"ﾞ ´ ,′:　　　　　　　　ﾉl/ﾘ )　,!;;;;;;;;!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 `ヾ从;;;',　　　　ﾉ　,::.　　　　　　　　′ﾉｿ/;;;;;;;;j!
┌───────────────┐　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｀ﾞﾞj!　　　(　 ｀::.:.　　　　　　　　､_ノ;;;;;;;;;;j!
│　　エスメラルダ貴族学級教師　　　 │　　　　　　 　 　 　 　 　 　　ﾉﾊ　　　 `ﾞﾞ"´　　　　　　　　/, j;;;;;;;;;;;j!
│　　ウェンリー＝ヤン　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　 jﾊ　　　 ｰ==＝…'　　　　/ ,ﾞ ｛;;;;;;;;;j!
└───────────────┘　　　　　　　　　　　　　　　 　 　ﾞ､　　　､ ___ ,,　　　　 / .,′ ;,;,;ｯﾂ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 　ﾞ､　　　　　　　　__ /_ /＿ ヾﾂ-‐…┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/´￣ ｀¨` ー-｀ﾄ､　　 　 　　/ 　　　　　　 .:. :.:.:.:.:::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 //.::::',　　　,．‐くｿ　` ー＝ﾆ,'.::::::.!　.:r‐ '''"´rｶ!.:.:: ::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ﾉ/.::::::::i　／　,r ‐-｀y ´￣｀`y.:.::;:;;′.:l rｶ `¨　　.:.:.:.:.:.:::L．-‐
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214 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/10/02 21:05:34 ID:+sVzIcvA 魔術師ｗｗｗ 215 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/10/02 21:05:47 ID:UisQ6ruQ ちょｗｗｗヤバイｗｗｗ教師ヤバイｗｗｗ 217 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/10/02 21:06:14 ID:xBWzmMSB 勝ったな・・・ 219 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/10/02 21:07:41 ID:zHNQ2GCS ヤンかい！ 225 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/10/02 21:12:43 ID:GsU6KeZ+ やべぇ、一番好きな魔術師きた……！

六１０２．



＿＿＿ ＿＿＿＿_ 　　　 ＿＿＿＿_ ＿＿＿＿_ 　　　 ＿＿＿＿_ ＿＿＿＿_
／　 　 ||／／　 　 ||　　　||／／　 　 ||／／　 　 ||　　　||／／　 　 ||／／　 　 ||
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／￣￣￣／l　　　.／ｌ／￣￣￣／l　　　.／ｌ／￣￣￣／l　　　.／ｌ／￣￣￣／l
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＿＿_||／　!||　 　 |||＿＿＿||／　!||　 　 |||＿＿＿||／　!||　 　 |||＿＿＿||／　!||
.￣／l　　　.／ｌ／￣￣￣／l　　　.／ｌ／￣￣￣／l　　　.／ｌ／￣￣￣／l
／:／|　　　ｌ／＿＿___／:／|　　　ｌ／＿＿___／:／|　　　ｌ／＿＿___／:／|
／　!||　 　 |||＿＿＿||／　!||　 　 |||＿＿＿||／　!||　 　 |||＿＿＿||／　!||
　 . ／ｌ／￣￣￣／l　　　.／ｌ／￣￣￣／l　　　.／ｌ／￣￣￣／l
　　ｌ／＿＿___／:／|　　　ｌ／＿＿___／:／|　　　ｌ／＿＿___／:／|
　 _|||＿＿＿||／　!||　 　 |||＿＿＿||／　!||　 　 |||＿＿＿||／　!||
￣￣￣／l　　　.／ｌ／￣￣￣／l　　　.／ｌ／￣￣￣／l
.＿__／:／|　　　ｌ／＿＿___／:／|　　　ｌ／＿＿___／:／|
＿_||／　!||　 　 |||＿＿＿||／　!||　 　 |||＿＿＿||／　!||
_　 ||. 　 　 　 　 l||　 　 　 ||. 　 　 　 　 l||　 　 　 ||



　　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　/　/ 　 　 /　　　　 ヽ　　＼
.　　　　　 　 /　 ′　/ /| l i 　 　 　 ',　　　 .
　　　　　 　 ′ 　 ｉｌ | | ｌ |{　　　　｜ｉ　　｜
　　 　 　 　 |　 ,|　　 lj⊥Ｎ┼ヽヽ.　,小|　i | |　　　「ヤン先生、また明日！」
　　 　 　 　 |　l |　　 ｌィﾆ下　　 ｿ}厶jﾉ| ///
　　 　 　 　 |　Ｎ　　 ｌ 辷ｿ　　　　ﾄｉ| Ｖイ '
　　 　 　 　 l 　 |　　 l |　　 　 　 j ｀　{　|
　　　 　 　 .′　l　　 l |　　　ｰ-　 　 ﾉ /
　　　　　 /　　　| ｉ　 l |丶.　　　　／l /
.　　　　 /　　　/| ｌ　 ｌ | 　 ｀7T ´l　 ｉ{
　　　　/　　 _厶| ｌ　|‐-､_{-l　 ｌ　 ヽ
　_____厶＜　 　 | ｌ　|　厂`ﾊ　 l　 　 ＼
/　／　　　 ＼　ヽヽ｜|/　　{　丶Ｌ ＿_　 ヽ
　　　　　　　　ヽ　　}ﾉ/　　　＼　　｜　 ＼｜



もともと九歳までの、最低限の一般教養しか学んでいなかったサクラではあるが、
夢も希望もない、ただ虐げられるだけだった七年間の奴隷生活を
取り戻すかの様に夢中で勉学に励んでおり、

六９７．
元々面倒見の良い性格とあって七歳から十二歳ぐらいの子供達とも仲良くやっているなど―――



　　　　 　　 　 　　　　. -－- .. ＿
　 　　　 　　　　　　／.::;;;〈{薔}〉;;;::.＼
　　　 　　　　　　／::/,　ヘ ,＿／ ヽヽヽ
　　　 　　　 　　/　 /／ ＾|イ .ｌ |´ ｀ll }ヽヽ　　　　　「サクラねーちゃんまた明日！」
　　　　 　　　　[:水〃 _ノ 'll | ヽ_　　 ヽ水］
　　 　　 　　　　 ｲ| ｌ / （≡） 　 （≡）,ﾙﾘ
　　 　　　　 　　 小| 　// （__人__）// l,/
　 　　　 　 　 　 ﾊ小　　 　|r┬-| 　／
　　　　　　　　 　,.-'".　　　｀ ー'´　.-＿＿
　　　　　　　 ,'''"　　　　 　　　　　　　　　　ヽ


　　　　　　　 　 　 　 　 _,　 -──‐- ､､
　　　　　 　 　 　 　 　 入 ｀ヽ￣｀ヽノ二ﾆy‐-､
　　　　　 　 　 　 　 ,r' /.::::>､.:.:.:::::::{,/⌒Y⌒ヽﾄ､
　　　　　　　　　　 /　/.::::/　 ＼.::::（　,〈男〉､ / j〉　　　「サクラさん、さようなら」
　　　　　　　　 　 ,′,ｲ／⌒　　　⌒:ゝ彡ﾆミノ;ｲ
　　　　　　　 　 　!ﾚｲ/　（●） 　（●）ヾ､ イ:::i:/
　　　　　　　　　 〈川j　 　　　__´___　　　ﾞ,;;;;;;;ﾘ
　　　　　　　　　　｀ゞj!　　　　`ー'´　　　　i;;;;/
　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　／



　　 　 　　　　　. '　.　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　/　 /　　/ 　 　 　 　 　　　 ヽ
.　 　 　　　　/ 　 i　　/　　iﾄ、　　　　 !　　　ヽ.
　　　　　　　i　　 ! 　 i.　l　ｌli ヽ、 　 　!　 !　 .　.
　　　　　　　l 　 _! 　 lｌ　l__ﾘﾊハヽ.　 ﾊ　 !. ｌ ｌ　}　　　「水銀夫君に金糸夫君、また明日ね」
　　　　　　　ｉ　/ |　　l|,ｨテ〒k　Vﾊノ ﾅメ　iハﾉ
　　　 　 　　l　ゝ.|　　ll {cr' ｌﾉ　　　 ｲr'ﾄﾘ　ﾘ}
　　　　 　 　l　　 ! 　 l| ´￣ 　 　 　└''ｌ|. //
　　　　　　 /　　 ! 　 l|　　　　､___. '　　ﾘｲ/
.　　　　　 /　　 /! 　 l|＼　　　　　 . イ .ﾘ'
　　　　　/　　 / l! 　 l| 　 `　　_ ＜l　l　|
.　　　　/　　 / /l! 　 l|___ 　　 //! .ｌ　l　|
　　　 /　　,. - '´l! 　 l| 　 ＞=く. l　l　l　|
　,. - '～'´＼　　l! 　 l|　〃 　　iト､j　ｌ　|
ノ　　　　　　 ヽ. i!　　l|　{l 　 　.ﾘ　 `ｰrrト、

六９８．
まだここに来て三週間ほどであったが運良くまともな働き口も見つけられており、
目的のある人生を噛みしめての毎日はとても充実した物となっていた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.. - ― -　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／ 　 　 　 　 　 ｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.ｲ／,　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃/,' //　 　 / ,　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ.i | {.　　 / /!　ｉ. }!　 　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 从l_ﾊ. ／７メ ノ 仆､_　　,.１
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　}i｣` 　 'x=､ﾉベ.}三ﾆィ叭}
　　「いけない、先生に質問していたら　　 　　　　　　　　　　　　_ ｨ′/ｒ　　　 }__ﾉ》　 jラ'´r介ｉ |
　　 遅くなっちゃった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,､ － ' "´ /　:∧ヽ .__　　　　 く／// l |_|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　'´　　　　　／　 /　ﾊ　　　　　　_,辷7// //!
　　 早く戻らないと………」　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 ／　　 ,'　/ /`ｧ┬‐　 '　{　 〈/ 〈/ i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 '　　　　　／ ／　, '　/ /　ﾉ_r｝　　　 ／／ /!　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　　 ,.'　 /　 ./　 / / 厂ｲ|ir┬‐／／{. / ,!　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 /　 /　 :/ .〃　　{　/,ﾊ|　l / / ＿入/　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,'　 / 　 / //　　　∨//jﾊ ヽ/'´ ,. -- ﾕ　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 ｉ　/　　/ //　　　 /l// |/ ∨{. /　　　　ヽi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 | :;　　/ /.,'　　 ／ / |／　 　 /　　　　 ,　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 V　 / /　!　 ,ｲ{　/　｝　　　　∨　　　　}　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ.{　{.　 i. / .{{V Oﾉ　　　　　}　 　 　 l　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ!　 〈　 l　　　　 　 |　 　 　 !｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ.　　　 　 |　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ.} ｰ　イﾉ |　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 !∨　 厶ｲ}　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　} ｌ　　∠ｲ| |　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | !　 ＜.　| ヽ　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾉ } 　 r―ﾍ.　　　 ヽ〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　ﾘ 　 ￣￣|　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 〈__/:|　　　　　| 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::|＿＿＿_,|.　　　　 |



彼女もまた、やらない夫と言う船に掬い上げられて
運命を良い方向へ誘導された一人であると言えるだろう。

六９９．
いつもより少し遅れた帰宅。



.:i|.:i|.:i|.:i|　　　　　　　　　　　　;|
.:i|.:i|.:i|.:i|　　　　　　　　　　　　;|
.:i|.:i|.:i|.:i|二二二二二二二二二l
.:i|.:i|.:i|.:i|___　　_,,....,, _　 ...:::;;| ,;;
.:i|.:i|.:i|.:i| ,/|（( ..,, _ ,,. )）...:::;;| .;;
.:i|.:i|.:i|.:i|/ :| | ~"'' ''"~.]....:::;;| .;;
.:i|.:i|.:i|.:i| 　| |　l　l　l　|.....:::;;| .;;
.:i|.:i|.:i|.:i| 　|_|　l　l　l　|.....:::;;| ;;
.:i|.:i|.:i|.:i|;../ :l #i; ;l;;;;l;;;|￣￣＼_＿＿＿＿
,.i|,.i|,.i|,.i|,/　　~"'''''''"~
_,,..,.,,,._　＞┿､
ヽ　　/_　 /'ヽi|
　ゝｰ(　ヽ|　;;|i|
/　　　ヽ::ヽ　|i|
/;;;..:::i;;:..,） ;) :|{}
;;:::.....、。）_,,)"
￣￣￣;;;:"



十七時を過ぎて薄暗い路地を急いでいたサクラは、
十日ほど前から急に人気の無くなったスラムを横目で見ながら疑問を感じてしまう。



　　　　 /　　　　　　＼
　　　　;′;′,ｲ,ｨ　ヽ ､ヽ
　　　　l　_!　l{从ﾄ､ }ﾊ !ﾊ　　　　（この辺り、急に人が減ったわ。
　　　　!｛_|　l戉ｆ　ﾚぇlﾉﾘ　　　　 みんな何処へ行ったのかな？）
　　　 ,ﾘ ∥ |、　__' ,.ｲ ｣
　　　/　ﾉ|　| ｀ｰr１ｌ｛!/
　　_.ﾑ‐'¨|　|＞=く! ﾄヽ、
　 /　 ヾ　! ﾊ　几 ｀ｰrﾍ＼

六１００．
┏──────────────────────────────────────────────┓

　　　サクラがこの町に来た頃のスラム街―――


ル｡:::|_:.＿＿::|＿_|＼ ＼|￣　㌧ : :.　|　　　:..
＿＿|＿|＿＿|＼ ＼|￣ 　 .::　 　　.. |　　　　　::..
＿|＿＿:;;;|＼ ＼|￣　　》１Hyahhou |　　:.
;;;,,,,＿;|＼ ＼|￣'' 目　　　　 　..　　;;. ｌ　:.　　　::.
' 　　　＼|￣　　;;./ ヽ_(´∀`)y-~ : .　|　　　∧∧
　　　　　 ￣￣'''' |～|ﾉ( ヽﾍ)￣￣￣''＼,~-∩‐,,)
　　　　　　　　　　|__,,|　　´　。　　゛　　　,＼(_ｿと)
./´二ヽ　　　　　　∧wﾉｌ::.　　　　　　　 　　.( ,(xﾉ ::.
（.,,｀ー）　　　　　　(Дｷ.,）　　　　;;::　..,_　　 ﾚﾉ_ゝ、
/,`ー'~つ　　　　 と'[](_,ﾉ　　　　　　　　　　　　　　＼
（´￣ヽ)`ヽ　　　　(＿__,,)~　　　.∧,∧　　:::;　∧＿∧ヽ
´"￣　´"｀　　.,､　　　　　　　　 (,‐Д‐)　　　（∀^メ,,）　＼　　　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　 (つ]]]｀)　　　とｌ33;;;;`)　　　ヽ　..|＼ヽ
　　;:"　　　　　　　　　　　　　　 (`つし'　　　（;;;;;`)(';;;;）;;:.´ ::;　ヽｌ　 .＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　［］[]]]　　　　　　　　　　　　　;|　　　ｌ´.ヽ
　　　　　　　　　　　::;　　　　　　　　[[[][]　　　　　　　　　　　　　|　　　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧＿∧　　;;:.,　　　　　　　　　ヽ　　.ｌ　.ｌ
　;;:"　　　　　　　　　　　　　　　　（；　　　,）　　　　　::;;;;;　　..,"´　　＼_|＿|
　　　　　　　　　　　　　　　　∧＿∧　　　）　　　　　　　(⌒￣ヽ　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 （；ｘ∀･,）＿〔〕）　　　∧＿∧(A^*ﾘｌ　　　　　.＼
　　　　　　　　　　　　　　　 （｀つ]　'つ / ヽ　　　（∀｀,,　と　　ｌ　　　　　.,,:,　＼
　　　　　　　;;;'ﾞ　　　　　　　:::|　　ｌ　|　 ｌ～.|　　［と´　ｌ⌒ｌ)　　）～　　;;;;;,´　　...＼
　　　　　　　　　　　　　　　　L＿）_,,）　|＿,|　　　（￣（＿.）),,'Ｊ　　　　　":;　　　　ヾ


┗──────────────────────────────────────────────┛

六１０１．
何か起きているのかも、と不安に駆られながら駆け足で通り抜けて
職場兼自宅である『髭オヤジ亭』に飛び込めば、



　　　　 　 　 　 　 ／　　　　　　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　 /　/　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ.
　　　　 　 　 　 /　,′　i/　 ,　/{　　　｀ヽ
　　 　 　 　 　 ,′ ｉ　　 |l　〃 | 丶　　　｜　 .　 、 .
　　　　　　　　　　∥ 　 |!　{{　l、　ヽヽ　 !　　}　 }　}　　　「ただ今戻りました！
　　　　 　 　 　 　 ｊ|　　 ﾄ､从_｣_ヽ　 ! } ,ﾊﾉﾉ/　/ 〃　　　すみません、すぐに準備します」
.　　　　 　 　 ｉ　 〈｜　　ｌ´{::;;｜｀　 ﾉﾉｲ:::}Y' ／／
.　 　 　 　 　 l　　 ｀!　　 ｌﾞ'ー┴　　 　 L::!/ ィ´
　　　　　　　 ｌ　　　l|　　 ｌ　　 　 　 　 ｊ 　 /l |
　　　　 　 　 !　　　ｊ|　 　l、　 　 ー-　　 ,　ｌ |
.　　　　　 　 '　 　 ﾉ|　 　|!＼ 　 　 　 ,. ｲ ∥|
　　　　　　 ,　 　 //|　　 |l 　｀ ーｧ i´ｌ　|　l| |
　 　 　 　 /　　 /,ｒ┤　　|ト､ 　 ∧ | |　i{ |
.　　　 　_厶-‐　´　 !　　 |ｌ　｀7^ヽ| ! l　|　　.!
.　／￣｀ヽ　＼　 　 ｉ　　 |l　〃　 }}｀ヽ､{　　 ヽ、
へ、　　　　ヽ　＼　 }ｌ 　 ｊｌ 〃 　 {{　　 ｀i￢┐ ＼



　　　　　　　　　_,,--''''''---,,,__
　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　/　　　　　　　　 ／⌒＼／|　　　「サクラちゃん、おかえり。
　　　　　|　／＼　　　 ／⌒＼　/|||||.　　 なに、夜になるまで客なんて来ねぇだろう。
　　　　　|　 /⌒＼||／　　　　|　||||/⌒|
　　　　　|　|　　θ___θ　　　/　└　9　|　スラムのゴロツキ共もどっかへ行っちまっているようだし………
　　　　.　| 　　 ／〇＼　　　　　　<___/　 なんかよくねぇ事でも起こりやしないかとヒヤヒヤもんさ」
　　　　／＼／　　　　　＼_ノ　　／--,,,
　　　　|　　/　　 /⌒＼　　＼_／　　　　＼
　　　　　　|,.,.,.,./'''---''''ヽ,.,.,.,.ヽ



宿屋兼酒場とは言う物の、実際には宿泊客など滅多に来ない店の主人も同感のようだ。

六１０２．
それでも仕事なのだから、とすぐに着替えてきた彼女は
彼も違和感を感じていると知って学級での事を話し、




　　　　　　　　　　　　　　　　 r⌒Y⌒Y⌒Y⌒ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　f´｀ヽ　>――‐- 、／`Y
　　　　　　　　　　　　　　　k、 ／　　　　　　 ＼ 　￢vヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 /｀　　　　　　　　　　＼_ソ　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　i　　i　　!　　　　 |　 i　 i　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　| i　| i　|　　　　 /　/　 ,'　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽトヽヽ、　　// // //｀'　　o　　　「そう言えば、学級のヤン先生が言ってました。
　　　　　　　　　　　　　　　　7^i rtv、＼/ﾚレﾚレﾒ　/　 ハ　　　カーディナルの方がなんだかきな臭いって………」
　　　　　　　　　　　　　 　　 i　 i ｋ.j}　　　イj㍉、レｬ　Lﾊ 〉
　　　　　　　　　　　　　　　 i　　|　　 ,　　　`ｰ ´　ﾉk }　 YY、
　　　　　　　　　　　　　　　i 　 /ヽ、　 _　　　　,.イ-‐´ i　| | ヽ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i　 /／￣ヽ.＿ ,. 　´　 〉ﾄ、i ', L」k_〉
　　　　　　　　　　　　　　 |i /,'　　　i;:;:/ {ヽ 　 ／　/ヽr;、',　',
　　　　　　　　　　　　　　 ﾚ'　!　　　|;/　 'Y￣ ,.　´　/;:;:;7‐-v':,
　　　　　　　　　　　　　　 i!　 ヽ　　 i!　　 i 〈´　　　//´　　　ﾊヽ
　　　　　　　　　　　　　　 i!　　 〉　　|　　　! |,　　　i;|　　 　 　 } ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 ,'　　',i i , '　　 i!　　　　　/　',',
　　　　　　　　　　　　　 　 　 / 　　/　　 'i f　　　　|　　/,　　/ﾘi　リ
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 /　　　 !!　　　　 !　　　　 /ノﾉﾘ´
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　' .,　　 ii　　　　/　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ_ __￣ﾍ｀ヽ.＿ノ　　　　 /￣｀ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 fー-‐ｲ ヽ.:.::〈　　　　　 iﾄ、ヽ、　｀ヽ、
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　i　　〉ｰ:〉　　　　ノ　ヽヽ＼　／
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i　　　 |　/｀ｰﾄ、‐-ｧ´　　　 ヽ＼ ´ ＼
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　 i/{　 /　￣i´　/　　　　ヽ ＼　 ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i 　 　 | i　/　　　!　/　　　　　 } Y 丶　 ヽ、
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i　　　|￣,　　　 i、　　　　　　 }　i　　＼＿i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 　i　ｉ　　　 !::ヽ　　　 　 　}　 i　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/',　　 i　i　 　 /:::::::',　　　　 ノ　　|　　',　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |::::',　　|:::!　　,.':::::::::::iｧx=-‐'　　　 i| 　　,　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,|::::::', 　 !|　　,:::::::::::::::}　　　　　　　 」　,　',　　　〉
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / i::::::::!　 ii　　i::::::::::::::::|_ _ ,. _ _,. -‐'　　 ',　 ' ,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ、i::::::i 　i!　　 i::::::::::::::i　　　　　　　　　　 ', Y
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ki::/ 　 !　　 ヽ:::::::::/　　　　　　　　　　 .ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y 　 　|　　　 !:::::/_　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ij」 　 i　　　 Y i　　｀ー .,＿,. -‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i ｀¨' ┴`' y7´i　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　 　 　 　 /　|　　　　　　/

六１０３．
さすが、長い間冒険者の相手をしているオヤジは
平時では有り得ない事だと分かっているのだろう、
何事もなければ良いがと胸中の不安を誤魔化すように立派な髭をしごいた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,-―――-､,,_
　　　　　 　 　 　 　 　 ,,,-ｯ=''"｀　　　　　　　　｀ －.,.、
　　　　　　　　　　 ,／ﾞ,／　　　　　　　　　　　　　　 ｀'.ヽ、
　　　　　　　　　 ,i´;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　　　　　　　　　　｀､＼
　 　 　 　 　 　 /: ;;;;;;;;;;:,!　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ
　 　 　 　 　 　 |: ;;;;;;;::;;│　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,―-　!:lﾞ　　　　　　「夕べ来た冒険者達も言っていたな。
　　　　　　　　 ﾞl.: : ;;;;:丿 ,,､---､、　　　　 'i､,　　　 ,,/　ﾞ、 .|.,′
　　 　 　 　 　 ｒ'"''-、/　　　.lﾞ　 ｀ '-､,,_　　,!（ .,,,／　　 .|　ﾘ`i､　　　　　　もしかすると、ゴロツキ共が一斉に減ったのも
　　　　　　　 .,!－､.ヽlﾞ　　　.|　　　　　 〈`|"　 l、lﾞ　　　 ,i´ Ｌ ﾞl　　　　　　 何か関係が―――」
　　　　　　　 .lﾞ　 ,i´‐!　　　 "　　　　　 ﾞ'"　 __｀"｀　　　′｀lﾞ.lﾞ
　　　　　　　　ヽ　'．,　　　　　　　 ､.――ｯ″｀ｯｰ-､、　　　 |
　　　　　　　　　｀､､lﾞ　　　　　　,､'";;;;;;;;;;;;;;;｀''''";;;;;;;;;;｀'-、　　|-．
　　　　　　　 _,／ﾞ/.|　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼　,|. ｀'-､,、
　　　 .,,,､.‐'"゛　 ,lﾞ .ヽ　　　 ./｀;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ｖ-''ﾞ,｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ 'i､　　 `ﾞ'‐､、
: _,.-''″　　　　 .lﾞ　 .ﾞ,i､　　.,i´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ''"＾ ﾞl;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ｀　　　　　 `-、
."　　　　　　　 ,lﾞ　　.lﾞ ',!､,_lﾞ;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;:|　　　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　│ ｀'、|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,!　　　 .'、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞl　　　　　　　　 : `i､
　　　　　　　　　　　　|.丶 ｀lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:.|＿_,,,－|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:|　　　　　　　　　　｀i､



そこへ―――
実に数週間ぶりの宿屋の客が、扉を開いて現れる。



　 |　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　　| :.　＼＼.| 　 |.＼＼　:l　　:|　　:| 　 :|　　:| 　 :| 　 :|
＿|────────────┘::.. 　 ＼＼　| |　＼＼　　:|　　:| 　〈二二二二二二
　|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;　　 　 　 　 　 　 　/7 ＼　 　 　 ＼＼.| 　 |.＼＼ :|　　:| 　 ||　 　 　 ||
　|;;;;;;;;;;;;;;; 　 ｌ|　 三三　 ∠＞//|ｌ　　＼　 　 　 ＼＼　| |　＼＼　..:| 　 ||　 　 　 ||
　|;;;;;;;;;;;　　　||==============||::.. 　　＼　 　 　 ＼＼.| 　 |.＼＼:| 　 ||======||====
　|;;;;;;　 　 　 ||┌─┐　日巛□ ||::::::.. 　 　＼　 　 　 ＼＼　| |　＼＼　||　 　 　 ||
　|;;;;　　　 　 □============□::::::::::.. 　 　 ＼　 　 　 ＼＼.| 　 |.＼＼_､　　　 ||
　|;; 　　　　 　 　 　 　 　 :::::::::::::::::::::::　　 　 　...::::＼　 　 　 ＼＼　| |　＼:」二二二二二
　|　　　　　　　　　 　 .<二二二> <二二二> <二二＼　 　 　 ＼＼.| 　 | l　 :| 　 :| 　 :|
　|　　　　　　　　　...::::::| :l :l :l :l.:|　| :l :l :l :l.:|　| :l :l :ｌ :ｌﾞ＼　 　 　 ＼＼　| l　 :| 　 :| 　 :|
￣|＿＿＿＿＿＿_.::::〈￣￣￣_〉〈￣￣￣_〉〈￣￣￣_〉_:＼　 　 　 ＼＼.l＿:|＿_:|＿_:|_
＿|::..　「￣￣|　　　　　| :l :l :l :l.:|　| :l :l :l :l.:|　| :l :l :l :l.:|　￣.＼＿＿＿＼_」
　　　 ,.|＿＿:|＿＿＿.、　「￣| ´ ｀￣￣￣´ ｀￣￣￣´
　　 （＿＿＿　＿＿＿）　|　 i|　　　　　　（ ￣￣￣￣￣￣ ）
　　　　|l￣ "l|||　　　 　 ｒｰ─i|　　　　　　　｀￣￣｀||´￣￣´
　　　　　＿＿||＿＿　　|!￣｀l|　　　　　　　　 ＿＿||＿＿
　　 　 　 ｀￣￣￣´　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｀￣￣￣´

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｷﾞｷﾞｨ………



┏──────────────────────────────────────────────┓

　　　三人、泊まれるか？

┗──────────────────────────────────────────────┛

六１０４．
オヤジが見れば冒険者の三人組のようだ。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;;;;;;;;;;;,イ´:::ﾄ､;;;;ヽ　　 　 　 　 　 　 ／勹
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;;;／:::::::::::::::ﾍｌ ;;;〉 　 　 　 　 　 .／ヾ／
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;;|　|:::::::::::::::::::::｝;| 　 　 　 　 .／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　 i;;;;;;;|　|:::::::::::::::::::::｝;|　.,_　　　∠ヾ／
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;|　|:::::::::::::::::::::｝;|　　llコ~○／
　　　　　　　　　　　　　　　　λ;;;;;;;ゞ＼ゝ:::::::::/У　／｀弋ll
　　　　　　　　　　　　　＿／/弋;;;;;;;ー;;;＝─ヤ彡ヽδ／ `弋l､
　　　　　　　　,r‐＜￣´､ヽ、 ｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,` v-, ､__　　゜
　　　　　 　 /　　 　｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　 　 ﾉ 、　　　　 　 　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　 　 〉､ 丶､ _　 　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　 　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ....ξ＾＾ξ ||　　　　ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.. Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　 　 　 〉､_ 二 -ｨ′八ヽ ﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/;;;;ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;; 〉｝　　Ｙ´　　　　 　 ｌ　|;;|::::::::::::::￣l
　　　 　 ゝ:::::::::::::::ノ;;;;;;;;;;; く ﾉ　　 }　　　　 　 　{　l,;|::::::::::::::::丿
　　　 　,〉:::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;/ ｀ヾ丶ゝ、　　　　　 ゝ'〈;;;ヽ､::::::::::`ヽ､
　　　　{:::::::::::::::::く;;;;;;;;;;;;;r'､　　　,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､|::::::::::::::::::|



フードで顔を隠した背の高い戦士の後ろには
魔法使いとおぼしきローブ姿と、
こういう店が珍しいのだろうか、

神官衣に身を包んだいかにも良いとこ育ちのお嬢さんが
好奇に目を輝かせながらあちこちを眺めている。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _ {　　　/-─-t一-. ､
　　　 　 　 　 　 　 ,．=三三三三: ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 ／Ｘ/｀ーｧ'Ｘ ,}!工エエエﾄ､
　　　　　　　　　／三三三三三三三 ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 /'ﾞ＼/ー‐'／ ヽ.}! ┼┼:十: l_ヘ.
.　　　　　　 　 //三三三三三三三三:ヽ＼、　　　　　　　　　　　　　　　　/＼／＼／＼／ }!-┼┼┼ 十| ﾍ
　　　　　　　 //三三三三三三三三三:ヾ三ﾄ､　　　　　　　　　　　　　　〃／＼／＼／＼ }!-┼┼┼ ┼:|_| ﾊ
　　　　　　　ﾊ三三三三三三三三三三三三:ヾ:､　　　 　　　　　　　　　'iく＼／＼／＼／,j|＿|___|__|__ _|__|__l_1
　　　　　　 ﾊ三三三三三三三三三三三三三ﾂﾘ　　　　　　　　　　　　'ヽ／＼／＼／＼}!＿|___|__|__ _|__|__i__ |
　　　 　 　 i三三三三三三三三三三三三三/:/　　　　　　　　　　　　. ／＼／―／--／:j|土土⊥.｀ヽｘ×Ｘ×｀ヽ
　　　 　 　 |:三三三三三三三三三三三三:/:/　　　　　　　　　　　　　. ト- 'rf"下丁iー---个ドﾐ￣T冖ｔ-- ニﾆﾆﾆﾆﾕ,
　　　 　 　 !:三三三三三三三三三三三:／:/　　　　　　　　　　　 ヽイ　ｌj｣ 　 !:::::l 　ｒ ｿ, / ,ｨｆ羔ミ, ヾノ川!ﾘヽj　!
　　　　　　,!三三三三三三三三三三;:< :三{　　　　　　　　　 　 　 ./' |　 ｌ|_ 　 l::::::', ﾊ八ゝ〈{ 辷tﾀ　　　 ｆ市k| / l
　　　　　 /ｌ:三三三三三三三三:／ 　 / 三!　　　　　　　　 　 　 .,ｲ　,　 l|::!.j　 iｲﾊﾇｌ_）　|　 ｘｘｘ　 　 　 ヾツﾘ′ﾉ
　　　　　ﾊ三三三三三i三三三/　　 ｧ' :三:!　　　　　　　　　　　 l::| /　:/!:| ヽﾍゞこｿ:::i　i!　　　　　　 　 ′xx{ ,′
　　　　 ﾊ三三l!三三三l!三三ﾊ＞- ' :三:シ　　　　　　　　　　　　 ｌ::|'　 .:l |｣　 l::ﾄ､ー'ヾj　i:!　　　　　 r‐ ｫ　　 }iヾ:､
　　　 //:三://l:三三三:!l三三三ヾ/三／　　　　　　　　　　　　　 ヽ!　ｌ｜　 　l_j!　lｰ-/　Ⅳ:、　 　 　￣´ 　 ﾉ ! 〉:〉
　　　ﾊ三三/::i!:三三三:､ヾ三三三l三{　　　　　　　　　　　 　 　 /　 ,: l　　　　|　:l　ｉ　 /;:::::::＼　　　　　 イ　｜´
　　 .ﾊ三三'三!三三三ヾヽ:＼三三ﾄ､:i　　　　　　　　　 　　　　 ,:′ /　!　　　 :'　/ ,｣∧ヾ::::::::::::.＼　 /´＼|ヽ　 ヽ
　　 ﾊ:三:/:三三三三三:＼ヾﾐ､ 三三｀ヽ　　　　　　　　　　　 ,/,:　ｲ　 .!　 　 _｣ /　_,′} ,〉::::::::::::;;:|　/::;:::::.ヽ ＞ ﾉ
. 　 ﾊ三:/:三三三三三三:｀ヽヾﾄ､＼三/　　　　　　　　 　 　 //!　 | 　 l　　/　ノ　 {　 //{｀:::::::(ｏ＿＿ｏ):::::::/＼〈
　　ﾊ三/:三三三三三三三三三三:∨{:i　　　　　　　　 　　/,/ i　 .! 　 l,. rj　ゞミ二二ヾ::::＼:::::::::::::;;::::::::||;:ｲ:::::/} }

六１０５．
声はまだ若いが彼らの装備はみな一級品以上。

おそらく金を持っているだろうに、銀貨で泊まれるような場末に来るとは
何か訳ありか、と慣れっこの主人が声を出し、



　　　　　　　　＿_ 　 ＿_
　　　　　 　 /　　 ｀￣　 ヽ
.　　　　 　 上二二二二`┤
　　 　 ⊂ニ,-r‐-､──-｀二⊃
.　　　　　{ｨ|| { 　 {jｰlj⌒)　|ｋ}　　　　　　　「らっしゃい。
.　　　　　ヽｌ　 ,. -(つ- ､　 ﾚ'　　　　　　　　三人部屋から一人部屋まで空いてるよ」
　　　 ,⊂⊃∨　　, -､　 ∨⊂⊃、
　　 /　i　 / ﾚvv/ー‐ﾚv､| ヽ　 i ヽ
　／　 |　 ＞L.二⊥⊥二.｣＜　 |　 ＼
（　　　| 　 ＼|　　＼／　　|／　│　　）
. ＼　 | 　 　 |　 　 ○‐　　|　　　|　／



サクラもそれに続いた時だった。



　　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　/　/ 　 　 /　　　　 ヽ　　＼
.　　　　　 　 /　 ′　/ /| l i 　 　 　 ',　　　 .
　　　　　 　 ′ 　 ｉｌ | | ｌ |{　　　　｜ｉ　　｜
　　 　 　 　 |　 ,|　　 lj⊥Ｎ┼ヽヽ.　,小|　i | |　　　「いらっしゃいませ！」
　　 　 　 　 |　l |　　 ｌィﾆ下　　 ｿ}厶jﾉ| ///
　　 　 　 　 |　Ｎ　　 ｌ 辷ｿ　　　　ﾄｉ| Ｖイ '
　　 　 　 　 l 　 |　　 l |　　 　 　 j ｀　{　|
　　　 　 　 .′　l　　 l |　　　ｰ-　 　 ﾉ /
　　　　　 /　　　| ｉ　 l |丶.　　　　／l /
.　　　　 /　　　/| ｌ　 ｌ | 　 ｀7T ´l　 ｉ{
　　　　/　　 _厶| ｌ　|‐-､_{-l　 ｌ　 ヽ
　_____厶＜　 　 | ｌ　|　厂`ﾊ　 l　 　 ＼
/　／　　　 ＼　ヽヽ｜|/　　{　丶Ｌ ＿_　 ヽ
　　　　　　　　ヽ　　}ﾉ/　　　＼　　｜　 ＼｜

六１０６．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;;;;;;;;;;;,イ´:::ﾄ､;;;;ヽ　　 　 　 　 　 　 ／勹
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;;;／:::::::::::::::ﾍｌ ;;;〉 　 　 　 　 　 .／ヾ／
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;;|　|:::::::::::::::::::::｝;| 　 　 　 　 .／ヾ／　　　　　「………サクラ？」
　　　　　　　　　　　　　　　　 i;;;;;;;|　|:::::::::::::::::::::｝;|　.,_　　　∠ヾ／
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;;;;|　|:::::::::::::::::::::｝;|　　llコ~○／
　　　　　　　　　　　　　　　　λ;;;;;;;ゞ＼ゝ:::::::::/У　／｀弋ll
　　　　　　　　　　　　　＿／/弋;;;;;;;ー;;;＝─ヤ彡ヽδ／ `弋l､
　　　　　　　　,r‐＜￣´､ヽ、 ｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,` v-, ､__　　゜
　　　　　 　 /　　 　｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　 　 ﾉ 、　　　　 　 　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　 　 〉､ 丶､ _　 　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　 　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ....ξ＾＾ξ ||　　　　ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.. Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　 　 　 〉､_ 二 -ｨ′八ヽ ﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/;;;;ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;; 〉｝　　Ｙ´　　　　 　 ｌ　|;;|::::::::::::::￣l
　　　 　 ゝ:::::::::::::::ノ;;;;;;;;;;; く ﾉ　　 }　　　　 　 　{　l,;|::::::::::::::::丿
　　　 　,〉:::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;/ ｀ヾ丶ゝ、　　　　　 ゝ'〈;;;ヽ､::::::::::`ヽ､
　　　　{:::::::::::::::::く;;;;;;;;;;;;;r'､　　　,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､|::::::::::::::::::|



やや低いがよく通る声、その背の高さ、そして背負うバスタード・ソードに
覚えのあった彼女はまさかと息を呑み、



　　　　　　　,r'": : : : : : : : : : : ヽ、
　　　　　　 f: : : : ; : : : : ; : : : : : ;ヽ,
.　　　　　 ,i: : : : ;': : : :,:'; : : : : :':, ; ;ヽ,
　　　　　 i: : : ; :i: : : :;! i: i: i: : : ;.i: '; ;'i
.　　　　　i : : ;':.i' : : :,!i;!i i; :i,: : : ;i :,i: ;!
　　　　　i : : /''i : : : i'7-i,i/'i :／i:./i/　　　「えっ？
.　　　　 i :,': 'i, i: : : : i'-　　 ''r''77　　　　　………その剣、もしかして………」
　　　　 ,!:,':,':,i`i ; ; ;i:i　　　 ､'-'/
　　　　 i:,':,':,i::i'i: ; ; i.i　 -　,／i:|
　　　　,!;';': ;i:,! ii: ; ;i:i7.-..i´:; : i.i
　　　　VL,-"　ii : ;.i.i::::::::i:: ;: : i:i
　　　,r'"`ヽ`ヽ,ii; : ;iii''''V'i:::; : i.i
　　/,-- 、　`ヽ`'i,: i`　 `';;_;: ;ii;!
.　 i　　　 ヽ、　 `ヽi-,____,,,'>,'､'
　 i　　'; .　 .ヽ　, ' ' `ヽ`ヽ,_ ), ヽ,
　 i　　 ;:　　.; y'　　　　 `ヽ,`''i　 i
　 i.　　 '; .　; i　　　　　　　: `i'i　.i
　 i　　　';:　 i , ', ' ;　　　. : : : ii　.i
　 i　　　 ';　i ' '　;'　　 .;: ; : : ;'.i　i
.　 i.　　　 '; i :　.;'　　.,.':;.' : :,'　ii .i
.　 i　　　　';:i: : ;'　　,.': : : ; '　 i'i.',i
.　 i　　　　 ';i: ;'　 .,:' :, : '　　　i i 'i
.　 i　　　　　'Y　 ,': '　　　　　.i .i .i,
　 i'　　　　　 ,!　,'　　　　　　 ,! .i　i

六１０７．
フードを降ろした戦士がやはりやらない夫だったので、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　「ああ、俺だ。　　　　　　　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|　ﾊﾞｻｯ
　　　 奇遇だな、こんな所で」　.　　　　 { 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 |



突然の再会に言葉が上手く出てこない。



　　　　　　　　 _,-―.:´￣￣.:ヽ、
　　　　　　　／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　 ／/.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　／ ./.:.:/.:.:.:/∧.:.:ヽ.:.:ヽ、ヽ ミ[]二＼
　　　　　　|.:./|.:.:.:|_.|_|ヽ.:.:ヽヽ_ヽ_ヽ:.|ヽヽ＼＼
　 　 　 　 |.:/::.|.:.:|ｲ⌒、ヽヽｲ⌒ﾄヽ|.|.:.:i　!　|　|、　　　「や、や、やっぱりやらない夫さん！？
　　　　　/ヽi.::.:.|.:| b:::j 　　　 b:::j |」ﾉ.:.:.＼＼＼|　　　　どうして………その、エスメラルダに？」
　　　　 /.:.:.:.:/iヽ!　｀´　　'　　｀´//.:.:.:.:.:ヽ＼|
　　　 ./.:.:.:.:/.//.:.:＼.　（￣） .／.:.i|.:.:.:ヽ.:ヽヽ
　　　/.:.:.:.:/.://.:.:/|.:,‐'、二,ｲ_、.:.:!|.:.:.:.:ヽ.:ヽヽ
　　 /.:.:.:/.:.:/.:.:.:.:,―' i　 !　!　i ―,ヽ.:.:.:ヽ.:ヽヽヽ
　　.!.:.:.:/ |/.:.:/~:::|　　／ 0 ＼ 　.|::~ヽ,.:.:ヽ.:ヽヽヽ、
.　　|.:.:/　i.:i,_i＼::::ヽ/.／∧＼.ヽ/::::／i_.:.:|.:.:|ヽ.:|ヽ!
.　　i.:.:!　 i.:iヽ、 ∨.／／│.＼＼.∨　/..:.:!.:.:| |.:|
　　ヽヽ　i.:i.:.:|　 |:::i／￣┬￣.＼i::|　 |.:.:/i.:.:| i/
　 　 ヽ!　i:∧i　 ヽ::::::::::::::|:::::::::::::::/　 i.::/　|/
ﾞ　 　 　 　　　|　　ヽ、:::::o|:::::::::::,/　　|/
.　　　 　 　　　|　 　 |:::::::::|:::::::::|　 　 |
　　　　　　　　 |　　　|:::::o|:::::::.|　　　|
.　　　　 　 　 　|　　　|:::::::|:::::::|　　　|

六１０８．
雇って一月も経たない間柄ではあるが、真面目に働いてくれているし、
可憐な見た目も役だって看板娘になりつつあるサクラの知り合いならば、と
オヤジは愛想の良い笑顔で歓迎するが、



　　　　　　　　　_,,--''''''---,,,__
　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　/　　　　　　　　 ／⌒＼／|　　　「なんじゃ、サクラちゃんの知り合いか？
　　　　　|　／＼　　　 ／⌒＼　/|||||.　　 そんなら安くしとくぞ、是非泊まっていってくれ」
　　　　　|　 /⌒＼||／　　　　|　||||/⌒|
　　　　　|　|　　θ___θ　　　/　└　9　|
　　　　.　| 　　 ／〇＼　　　　　　<___/
　　　　／＼／　　　　　＼_ノ　　／--,,,
　　　　|　　/　　 /⌒＼　　＼_／　　　　＼
　　　　　　|,.,.,.,./'''---''''ヽ,.,.,.,.ヽ



　 　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）　　　　「あ、いや。
.　|　　　　 （__人__）　　　　 ちょっと事情があって
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　 知り合いがいる場所には………」
.　 |　　　　　　 　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ　　ｍm
　　　/　　　￣￣￣　つﾉ
　　　|　　　　|￣￣￣



潜伏するには完全に無関係の宿を、と思っていたやらない夫は
断るように手を挙げた。

六１０９．
そこへ、サクラの事は聞いていなかったジュンが囁いてきたので



　　　 　 　 　 　 　 ,．=三三三三: ＼
　　　　　　　　　／三三三三三三三 ヽ
.　　　　　　 　 //三三三三三三三三:ヽ＼、
　　　　　　　 //三三三三三三三三三:ヾ三ﾄ､
　　　　　　　ﾊ三三三三三三三三三三三三:ヾ:､
　　　　　　 ﾊ三三三三三三三三三三三三三ﾂﾘ
　　　 　 　 i三三三三三三三三三三三三三/:/　　　（やらない夫、知り合い？）
　　　 　 　 |:三三三三三三三三三三三三:/:/
　　　 　 　 !:三三三三三三三三三三三:／:/
　　　　　　,!三三三三三三三三三三;:< :三{
　　　　　 /ｌ:三三三三三三三三:／ 　 / 三!
　　　　　ﾊ三三三三三i三三三/　　 ｧ' :三:!
　　　　 ﾊ三三l!三三三l!三三ﾊ＞- ' :三:シ
　　　 //:三://l:三三三:!l三三三ヾ/三／
　　　ﾊ三三/::i!:三三三:､ヾ三三三l三{
　　 .ﾊ三三'三!三三三ヾヽ:＼三三ﾄ､:i
　　 ﾊ:三:/:三三三三三:＼ヾﾐ､ 三三｀ヽ
. 　 ﾊ三:/:三三三三三三:｀ヽヾﾄ､＼三/
　　ﾊ三/:三三三三三三三三三三:∨{:i



軽くどこ関連かのみを説明し―――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | 　（●）（●）　.|
　　（今はもう大丈夫なんだが、　　　　　　　　 　　　　　　 　!　　（__人__）　 |
　　 以前、ギャブレット関係だった子なんだ） 　 　 　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ミ）　　 　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　|　|／|　　　　 |　|



　　　　　　　　　 　 _ {　　　/--t一-. ､
　　　　　.　　　 ／Ｘ/｀ーｧ'Ｘ Ｘ,}!工エエﾄ､
　　　　　.　　 /'ﾞ＼/ー‐'／ ヽX}! ┼┼:十:ヘ.
　　　　　　　/＼／＼／＼／ヽ}!-┼┼┼ 十ﾍ
　　　　　　〃／＼／＼／＼／}!-┼┼┼ ┼:|ﾊ
　　　　　　'iく＼／＼／＼／ヽ,j|＿|___|__|__ _|__|_1　　　　　　　（悪い人じゃなさそうよ？
　　　　　　'ヽ／＼／＼／＼／}!＿|___|__|__ _|__|__i　　　　　　　 でも確かに、巻き込みたくはないわね）
　　　　　. ／＼／―／--／:ヽj|土土⊥⊥. _|__|　|
　　　　　. ト- 'rf"下丁iー---个ドﾐ￣T冖ｔ-- ニ ﾕ,
.　　 　 　 ﾞ√ﾐf⌒! l/, f´Ｙﾐ-ｧ｀ｌヾ''ドﾐt,ﾐ Ｘ Ｘ ＸＸXﾍ.
　　　 　 /ヽヽﾍ　 〃l ﾍ ゝ-'　　　　 'r'::ﾒ｀ ドﾐ X Ｘ Ｘﾍ.
　　　　 l! |-l＼'ﾍ::ｿ　 ﾊ!　　　　　　　t_ｸ/　|/,_｀ドﾐ ＸXﾍ
　　.__　||､　|:!　'rゞ:|!　|　ヾ　　　　　 ,　 /if |　 f　ﾙﾍ｀￣´
　　＼｀|| ヽ|:! ,f三::|!　ﾄ___i|　　－､　 ／ﾍ｀ヽ　| /∧ ＼
　　　 | ﾚ　 ´`!､三.|!　'＼.|!　　　, r ´=ｰ､ｊ-,. ヽ// f'|｀ｰ,i
　　　 ヽ　 l　　Vゝﾐ＼　　＼-ｒ ',＝＝　／　ヾ'∧　 |　 l |
　　　　l　 l　　 |八,ｊ- .＼ _ヽ＼く三=　（　　ｖ'/　ヽ_ﾉ　 l j
　　　　l　　　　l　<´＿　　　￣ ＼三　　＼ ﾚヽ＼　＼ `
　　/⌒l　　　　|` 三三⌒'ー - 、　＼　　　へｌ　｜,r--ｫ



聞きつけた真紅もそれに混じった時だった。

六１１０．
なにやら事情がある様子の三人をまじまじと見つめた主人が、
神官に扮してはいるが数年前に城の復活祭で
見た事があるお姿と知って驚いた声を出し、



　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,-―――-､,,_
　　　　　 　 　 　 　 　 ,,,-ｯ=''"｀　　　　　　　　｀ －.,.、
　　　　　　　　　　 ,／ﾞ,／　　　　　　　　　　　　　　 ｀'.ヽ、
　　　　　　　　　 ,i´;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　　　　　　　　　　｀､＼
　 　 　 　 　 　 /: ;;;;;;;;;;:,!　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ　　　「そこのお方………もしや真紅様？」
　 　 　 　 　 　 |: ;;;;;;;::;;│　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,―-　!:lﾞ
　　　　　　　　 ﾞl.: : ;;;;:丿 ,,､---､、　　　　 'i､,　　　 ,,/　ﾞ、 .|.,′
　　 　 　 　 　 ｒ'"''-、/　　　.lﾞ　 ｀ '-､,,_　　,!（ .,,,／　　 .|　ﾘ`i､
　　　　　　　 .,!－､.ヽlﾞ　　　.|　　　　　 〈`|"　 l、lﾞ　　　 ,i´ Ｌ ﾞl
　　　　　　　 .lﾞ　 ,i´‐!　　　 "　　　　　 ﾞ'"　 __｀"｀　　　′｀lﾞ.lﾞ
　　　　　　　　ヽ　'．,　　　　　　　 ､.――ｯ″｀ｯｰ-､、　　　 |
　　　　　　　　　｀､､lﾞ　　　　　　,､'";;;;;;;;;;;;;;;｀''''";;;;;;;;;;｀'-、　　|-．
　　　　　　　 _,／ﾞ/.|　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼　,|. ｀'-､,、
　　　 .,,,､.‐'"゛　 ,lﾞ .ヽ　　　 ./｀;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ｖ-''ﾞ,｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ 'i､　　 `ﾞ'‐､、
: _,.-''″　　　　 .lﾞ　 .ﾞ,i､　　.,i´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ''"＾ ﾞl;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ｀　　　　　 `-、
."　　　　　　　 ,lﾞ　　.lﾞ ',!､,_lﾞ;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;:|　　　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　│ ｀'、|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,!　　　 .'、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞl　　　　　　　　 : `i､
　　　　　　　　　　　　|.丶 ｀lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:.|＿_,,,－|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:|　　　　　　　　　　｀i､



王女の名前は知っていたが、実際に拝見した事の無いサクラも
自分よりもすこしだけ小柄な少女を振り返る。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿
　　　 　 _..　-‐……‐-　　.. _,　'´　　　 ｀ 　　‐-　.._
　　　　´　　　　　　　　 　_／　　　　,　　 ,　　　　　 ｀ヽ
　　　　　_..二ニ=-‐…ﾆ´　　　　 ／ 　／／ , ／ ／
　　　　´　　　　 _..　-‐≠　 　 ／　 ／ /＼〃 ／
　／　　　　 　 ´　　　 　 　 ／′／／ {斗-ｘ/ 　 ィ|　l　　　　　「えっ！？
〃 　　　／　　　　　　 　 　 /／〃　　ヽ｛::/ { ／ノﾉ ﾉ　　　　　王女、様？」
′　 　 ′ 　 ／　 　 ／/ 〃　/ {　u 　 　 　 ′{::ｊ イ|
　 　 / 　　／　 　 ／　/ 〃　/｀∧　　　, '⌒ヽ　 /　!|
　 　 　 ／　　　／　　,′″ ,'　,′　　　{＿ ノ　,　　 ﾘ
　　　 /　 　 ／/　　 , 　,　 /　ﾉ…‐-＼＿ 　イ ＿ノ
　 　 ｛　　 /〃{　　,ｲ　/　/_ｒ┘、　　　　ﾌ⌒／
　　 　 　 　 　 　 /　∨￢{　　　　 ー ／ ／￣｀ヽ
　　　　　　　　　/　　　 ｊ_ 二ニァ＝={　 ｛>､　　　 ` ＜
　　　　　　　　_」　 ,≠´　　　く,小_} 　＼ ＼＼-‐=ﾆ二
　 　 　 　 　 _{　／　　　　　／l｣｣　　　　ヽ　＼＼
　　　　　　 /　,′　　　 　 ,′　 　 　 　 　 }､　 ＼＼￣
　 　 　 　 /　 {　　　　　　｛　 　 　 　 　 　 l、＼　}＼＼
. 　 　 　 /　　 ＼　　　　　　 　 　 　 　 　 ハ　 ∨　 ＼
　　　　 /　　　／{｀　ｰ-　⌒ヽ、　　＿ ／　 } ／

六１１１．
国王の死去直後に、唯一の王位継承者が王都を離れてこのような所に居るはずがない。

冒険者然としているやらない夫の様子に事件を感じたオヤジは
事情を話してくれるよう願ったが、



　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,-―――-､,,_
　　　　　 　 　 　 　 　 ,,,-ｯ=''"｀　　　　　　　　｀ －.,.、
　　　　　　　　　　 ,／ﾞ,／　　　　　　　　　　　　　　 ｀'.ヽ、
　　　　　　　　　 ,i´;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　　　　　　　　　　｀､＼
　 　 　 　 　 　 /: ;;;;;;;;;;:,!　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ
　 　 　 　 　 　 |: ;;;;;;;::;;│　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,―-　!:lﾞ　　　　　　「なるほど、何か訳があるようだな。
　　　　　　　　 ﾞl.: : ;;;;:丿 ,,､---､、　　　　 'i､,　　　 ,,/　ﾞ、 .|.,′　　　　　 話だけでも聞かせてくれんか？
　　 　 　 　 　 ｒ'"''-、/　　　.lﾞ　 ｀ '-､,,_　　,!（ .,,,／　　 .|　ﾘ`i､
　　　　　　　 .,!－､.ヽlﾞ　　　.|　　　　　 〈`|"　 l、lﾞ　　　 ,i´ Ｌ ﾞl　　　　　　 こう見えても冒険者相手にしている店だ、
　　　　　　　 .lﾞ　 ,i´‐!　　　 "　　　　　 ﾞ'"　 __｀"｀　　　′｀lﾞ.lﾞ　　　　　　 悪いようにはせん」
　　　　　　　　ヽ　'．,　　　　　　　 ､.――ｯ″｀ｯｰ-､、　　　 |
　　　　　　　　　｀､､lﾞ　　　　　　,､'";;;;;;;;;;;;;;;｀''''";;;;;;;;;;｀'-、　　|-．
　　　　　　　 _,／ﾞ/.|　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼　,|. ｀'-､,、
　　　 .,,,､.‐'"゛　 ,lﾞ .ヽ　　　 ./｀;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ｖ-''ﾞ,｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ 'i､　　 `ﾞ'‐､、
: _,.-''″　　　　 .lﾞ　 .ﾞ,i､　　.,i´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ''"＾ ﾞl;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ｀　　　　　 `-、
."　　　　　　　 ,lﾞ　　.lﾞ ',!､,_lﾞ;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;:|　　　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　│ ｀'、|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,!　　　 .'、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞl　　　　　　　　 : `i､
　　　　　　　　　　　　|.丶 ｀lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:.|＿_,,,－|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:|　　　　　　　　　　｀i､



喩え誰であろうとも、危険に巻き込む事は理念が許さない彼は首を振って
ありがたい申し出だけど、と断ってしまう。



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）　　　　「済まない。
.　|　　　　 （__人__）　　　　　大事なんだ、俺達の素性を知っていたら
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　巻き込まれる可能性がある。
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　他を当たってみるよ、
　　 ヽ　　　　　ノ　　　　　　 俺達が来た事は忘れてくれ」
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |

六１１２．
それで宿屋から出て行こうと、戸口を向いた背中を制止したのはサクラだった。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 _ .. -:.:.―:.:.- .. _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、:.:.:.:.:.:.:.:::::::::｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:ﾍ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: l:.:. i:.:.:|i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ;:!:.:|:.:.:.:.:.:.:.: /:.:.:.l:.:.:i:!｀:.二ニ=r＝､::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |i!:.i|:|:.:.:.:.://:/:.:/:. /ヾ三三彡ハｲ.ﾍ::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i Ⅵ:i!:.:///:/:乂//ノ ミ三彡:/: :|i.: : l:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヾ∨//厶､、i/ｰ　　彡イ/: : :|i.: : :l:!
　　　　　　「待って！」　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｝　　 !;j　｀ゝ　 　 iγヽ:_:_:jiー‐':l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ノ　　　"´　　　　　 |}ノ ｲ::|!: :|: :|::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　　／ｰイ::::|!: :|: :|::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |:ヽ｀　　　　　　　:　 |:::::|!__jｰ:':::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |: :ﾊ、_ ...イ　　　 :　,|:::::::::::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 八:.:.:.:.:_j ヽ. ｒ‐ー＜ !::i::::::::::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /￣/ :.:.:.:.:/　 l:|V::|:ｌ　　ヽⅥ､:::::::::＞''"´￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　 /// :.:/!　 ..l:|　 |:l_　　　＼//ノノ　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　 { {:.:.:.{!:|／::《::::《 ::::｀ヽ.　 //: :./　　 　 　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　 　 ∨:.:／:::::／ハ:ﾍ＼:::: ＼/: :./ 　 　 　 　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　 　, .く:::::／／ 　l!:::＼＼:::: ＼′　　　　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ 　 　 /: : :У::/｀／: :l!::::i!::＼.>／}　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 〈　　　 /: : : /:::/:/O: : :.l!::::i!: : : : :.〈　　 　 　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾉ　　　{: : : :.i::::i :l: : : : : :l!::::i!: : : : :/　　　　　　　 ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛. 　 　 ∨: : l:†:l: l.: : : : : l!:†:i!: : : /　　　　　　／ /

六１１３．
立ち止まったやらない夫に、今日意味を覚えたばかりの言葉を言うと、



　　　　　　　,r'": : : : : : : : : : : ヽ、
　　　　　　 f: : : : ; : : : : ; : : : : : ;ヽ,
.　　　　　 ,i: : : : ;': : : :,:'; : : : : :':, ; ;ヽ,
　　　　　 i: : : ; :i: : : :;! i: i: i: : : ;.i: '; ;'i
.　　　　　i : : ;':.i' : : :,!i;!i i; :i,: : : ;i :,i: ;!　　　　「もしかして―――
　　　　　i : : /''i : : : i'7-i,i/'i :／i:./i/　　　　 大臣の革命が始まったの？」
.　　　　 i :,': 'i, i: : : : i'-　　 ''r''77
　　　　 ,!:,':,':,i`i ; ; ;i:i　　　 ､'-'/
　　　　 i:,':,':,i::i'i: ; ; i.i　 -　,／i:|
　　　　,!;';': ;i:,! ii: ; ;i:i7.-..i´:; : i.i
　　　　VL,-"　ii : ;.i.i::::::::i:: ;: : i:i
　　　,r'"`ヽ`ヽ,ii; : ;iii''''V'i:::; : i.i
　　/,-- 、　`ヽ`'i,: i`　 `';;_;: ;ii;!
.　 i　　　 ヽ、　 `ヽi-,____,,,'>,'､'
　 i　　'; .　 .ヽ　, ' ' `ヽ`ヽ,_ ), ヽ,
　 i　　 ;:　　.; y'　　　　 `ヽ,`''i　 i
　 i.　　 '; .　; i　　　　　　　: `i'i　.i



振り返った彼は苦い顔でそれを肯定する。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　「………そうだ」　　 .　　　　 { 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 |

六１１４．



　　　　　　　　＿_ 　 ＿_
　　　　　 　 /　　 ｀￣　 ヽ
.　　　　 　 上二二二二`┤　　　　　　「おいサクラちゃん！
　　 　 ⊂ニ,-r‐-､──-｀二⊃　　　　 そいつはどういうこった！？」
.　　　　　{ｨ|| { 　 {jｰlj⌒)　|ｋ}
.　　　　　ヽｌ　 ,. -(つ- ､　 ﾚ'
　　　 ,⊂⊃∨　　, -､　 ∨⊂⊃、
　　 /　i　 / ﾚvv/ー‐ﾚv､| ヽ　 i ヽ
　／　 |　 ＞L.二⊥⊥二.｣＜　 |　 ＼
（　　　| 　 ＼|　　＼／　　|／　│　　）
. ＼　 | 　 　 |　 　 ○‐　　|　　　|　／



当然驚いた宿屋のオヤジに、申し訳なさそうな彼女は自分の素性を再度確認してから
事情に関係しているんですと頭を下げ―――



　　.　　　　　　 　 　 /.:.::'.:.:.:/.:,:.:.:,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　 　 　 ':.:.::':.:.:.:i::.:!:ｉ:.!:.;.:i:.:.::.:.:.l:.:､:.:.丶
　　　　　　　　　 　 |::.::.|::.:.:.:l::L{!斗ヽ! ヽ:ﾊ::.i::l:.:.ﾊ:!
　　　　　　 　 　 　 |::.:r'!:.:.:.:|:.ｌィ_jTト ′}:ム7ﾘ/ﾚ′　　　「ごめんなさいオヤジさん。
　　　 　 　 　 　 　 l::.:ヽ!:.:.:.:l:.:!辷リ 　　 {ヒ! ﾚ';ｲ　　　　　私、ここに来る前は、
　　.　　　　　 　 　 ｉ::.::.:i|::.:.:.:!:.| 　　　　､ ｀゛ {:川　　　　　第二騎士団長の家に居たって話しましたよね。
　　.　　　　　　　　,;.:.::.;:|::.:.:.::l:.ﾄ､ 　.－　 ／::ﾉ:ﾉ
　　　　　　　　 　 ,;.:::./.:|::.:.::.l:.l　丶__ .イ:.:.:.:l:.｢　　　　　　そこと大臣は繋がっていて、
　　　　　　　　　 .,;::::::::::ﾍﾊ::.::|＼ 　 〈 :ｉ::.:.:.:l::|　　　　　　 良くない話を色々耳にしてたんです。
　　　　　　　　　 ,;:::／｀ヽ、　 　 ヽ、 ＼::.:.::l::|
　　　　　　　　　,;:/　　　 　　 　 ､⌒ヽ　 .ト､　　　　　　　 先生がきな臭いって言うし、
　　　　　 　 　 　 l 　　　ヽ　　　　>"H;::l　!　ヽ　　　　　　もしかしてと思っていたんだけど………」
　　　　　 　 　 　 |　　　　ヽ　　 /::::;;! !;::!! !　 ｜
　　　　　　 　 　　|　 　　/　　　`ﾄ､/! L:::;r∨　!
　　　　　　　　　　l　　　 ∨　　　 !::::! l::::l' l　!　{
　　　　　　　＿＿l　　　＿＼　　 `ｰ'└', / /　 ヽ、

六１１５．
ギャブレットの深い関与を知ったやらない夫は、
万が一の事があれば彼女らにも危険が及ぶ可能性を思ってこめかみに手をやった。



　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　 　 　 　 　 ／ 〉 ´　　　　　　＼
　 　 　 　 　 　 ／ ／'　 __ ノ 　 ゝ.__　ヽ
　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ　　　　　　　　　　　　「………もし、追っ手がここに来たら
　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　　　　　　 サクラも危ないな………」
.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ
.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !
.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_
　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !



　／::::::::::::::::::::::::::::/::::＼:::::|::::::ヽ:::::::::::::::::＼::::::::-──
_,,- -ィ::::::::::::::::::::/::::::::::i:::V::::::::::::>:::::::::::::::::: ＼:::::＼
　／::::::::::::::::::::／::::::: : :|:::::V/￣　V:::::::::::::::::::::::＼::::ヽ
/::::::ィ:::::::::::::::{:::::::::::::::i: |￣　　　　 V::ﾄ:::::::::::ﾊヽ;;::ゞ:::ﾍ
:::／:::::::::::::::::::|::::::::::::::ﾊ:|　　 　 　　 |::i　＼:::::::}:::::ﾄ-;;::::ﾊ
/:::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::| ﾘ───''　 i:ﾘ　ﾆ彡:::iト､;ヽ ＼::i　　　「なら話は簡単だよ、やらない夫。
:::::::::::::::::::::::::::::|::::::: :: |＿,,,-＝＝=ヽ/　_||=__ﾒ:|　||　　　ヾ　　　僕らと一緒に居た方が彼女も安全だ。
::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::-::|＞''￣=.ィ-　 ||＝||{t..:jｱ　||
::::::::::::::::::::::::::::i＞＼:: |||ﾏﾊ廴ｿ　　..川　ﾊ￣　iノﾉ　　　　　　　なんてったって、君が居るんだからね」
:::::::::::::::::::::::r-､}''´　＼||　￣　　　 //　 ﾉ ｀￣ |´
::::/i:::::::::::::::| /ヽ　　　　ヾ＝=─''´´　　　　　 /
:/　|::;;::::::::::ヽ　　＞　　　　　　　 ｀ー -　　／
　　ﾚハ:::::/i::::::≧::-:､　　　　　　　　　　／
　　　　 ﾚ'　￣￣￣Yi　　　　　　_＿__./ ＿
　　　　　_...-:::'´￣￣｀:-..､　　　 |ー-　∧　}､＿
　　　 i: : : : : : : : : : : : : : : : ｀::-.┴..､: /: :}: :}: : : ヽ
　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : ヽ　/::/: : : : ∧



今となってはジュンの判断が一番正しいようにも思える。

ただ、サクラはともかくオヤジはどうかと彼に視線をやれば、

六１１６．
海千山千の宿屋の主人らしい視点と知恵、
エスメラルダに住む者として異常を感じていた様子に
考える余地はありそうだとやらない夫は判断する。



　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,-―――-､,,_
　　　　　 　 　 　 　 　 ,,,-ｯ=''"｀　　　　　　　　｀ －.,.、
　　　　　　　　　　 ,／ﾞ,／　　　　　　　　　　　　　　 ｀'.ヽ、
　　　　　　　　　 ,i´;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　　　　　　　　　　｀､＼
　 　 　 　 　 　 /: ;;;;;;;;;;:,!　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ
　 　 　 　 　 　 |: ;;;;;;;::;;│　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,―-　!:lﾞ　　　　　　「もう一度言う。
　　　　　　　　 ﾞl.: : ;;;;:丿 ,,､---､、　　　　 'i､,　　　 ,,/　ﾞ、 .|.,′　　　　　 話だけでも聞かせてくれんか？
　　 　 　 　 　 ｒ'"''-、/　　　.lﾞ　 ｀ '-､,,_　　,!（ .,,,／　　 .|　ﾘ`i､
　　　　　　　 .,!－､.ヽlﾞ　　　.|　　　　　 〈`|"　 l、lﾞ　　　 ,i´ Ｌ ﾞl　　　　　　もしかしたらこの町のゴロツキ共が
　　　　　　　 .lﾞ　 ,i´‐!　　　 "　　　　　 ﾞ'"　 __｀"｀　　　′｀lﾞ.lﾞ　　　　　　こぞって居なくなったのも、
　　　　　　　　ヽ　'．,　　　　　　　 ､.――ｯ″｀ｯｰ-､、　　　 |　　　　　　　何かしらの関係があるかも知れんのだ」
　　　　　　　　　｀､､lﾞ　　　　　　,､'";;;;;;;;;;;;;;;｀''''";;;;;;;;;;｀'-、　　|-．
　　　　　　　 _,／ﾞ/.|　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼　,|. ｀'-､,、
　　　 .,,,､.‐'"゛　 ,lﾞ .ヽ　　　 ./｀;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ｖ-''ﾞ,｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ 'i､　　 `ﾞ'‐､、
: _,.-''″　　　　 .lﾞ　 .ﾞ,i､　　.,i´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ''"＾ ﾞl;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ｀　　　　　 `-、
."　　　　　　　 ,lﾞ　　.lﾞ ',!､,_lﾞ;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;:|　　　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　│ ｀'、|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,!　　　 .'、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞl　　　　　　　　 : `i､
　　　　　　　　　　　　|.丶 ｀lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:.|＿_,,,－|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:|　　　　　　　　　　｀i､



と、そこへ大切な情報が一つ混じっていた。

何処とも関連性が無かった情報と、
今新しく入ってきた情報とが結びついた事で一つの推論が成り立ち、



　 　　　　 |
　 　＼　　__　　／
　 　＿　（ｍ）　＿
　 　　　　|ミ|
　 　／ 　.｀´　 ＼
　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ ●）（●）　　　「なるほど、急に膨れあがった大臣側の戦力は、
　　|　　　　 （__人__）　　　　エスメラルダのスラムから捻出した、か？」
　　|　　　　　　　　　ﾉ
　　|　　 　 ∩ノ ⊃ }
　 /ヽ　　 ／ ＿ノ }
　(　ヽ　 /　　/　ノ
　　ヽ　“　　/＿|　 |
　　　＼＿_/＿＿ /

六１１７．



　　　　　　　　／.::／　　　　 　 ｀`ヽ＼
　　　　　　 ／.::／　　　　　　　　　　＼＼
　　　　　／.::::/　　 ,．-──‐‐- ､.　　 〉::ヽ
　 　 　 〈.:.:.::::.ヽ ／　　　　　　　　 ＼ /.:.::::〉
　　　　　＼.:;:ィ7, ィ´.::￣￣￣｀`ゝ-</^V/
　　　　　 ,.ｲ:! i. .:.十ム､ﾄﾄ､　_ﾉ_ﾉj_j!:　 N
　　　 　 //|:|ﾄﾄ:::ヽ!r=ｭ ヾ:.ノ´,r=ﾐ､ﾘ:.:./ ﾄ､　　　　　　「どういう事？」
　　 　 .〃 l|:|｀7^Y´辷ｿ　 　　辷ｼ,ｨｲ〈　l　ヽ
　　　 　 　|1| | l 人　　 　_'_　　　 /1　.i | 　 !
　　　　　　i　 1lﾉﾉ> ─-､　 ,. -‐<　| 1:| |　i |
　　　　　　|　 ||l 1.:.:.:.:.:.:.:.:V.:.:.:.:.:.:.ヽ! |::| |　| |
　　　　　　|　 || _>.-‐::「o´こ｀ol;i:.:.:.:l |::| |　| |
　　　　　　|　/二ﾆ7.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l;|.:.:丿ﾆ二7! 1
　　　　　　|/<孑＜.:.:.:o.:.:.:.:.:.:o|;|.:.:孑-､.:.＼ゝ
　　　　　 /.:.:.:孑.:.:.:.:.:.o.:.:.:.:.:.:ol;;l.:.:.孑´:::.:.:.:.`ヽ、
　　　　 ,/.:.:.:.:.:.:.::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.//.:.:.:.:）::::::::.::.:.:.:.:.:.＼
　　 　 /.:.:.:.:.:.::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.//.:.:.:.:.::::::::::::::::::.:.;:ィ⌒ハ
　 　 ,/.:.:.:.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.::::/人_.:.:_.:.:.:.:.:.:.:., ィ7:.::::::::::.:.〉
　　 〈r─y──-､::_＿.:.／　　　￣`T´￣_ノ.:.:.::::::::.:./
　　　 ＼/｀`7.:::i　　　　　.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.L _/.:.:.:::::::::::::::/
　　　　/　.:::::.::/　　　 .:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::i　｀ヽ:::.:.:.:.:./
　　　,/ .:.:.::::::/.:.:.:::::.:.:.:.:.　 .:.:.:.:.:.::::.:::::人＿ﾉ.:.::::::〈



　　　　　　／￣￣＼
　 　 　 _ノ　　ヽ、　　＼　 　,.:┐
　　　 .（ ●）（ ●）　　..|　／　｜
　　　 （__人__） 　　　　.|./　　 /　　　「国内で時間をかけて人員を集めていたら嫌でも目立つし、
　　　　 i⌒ ´ .r－､　　|/　 ／　　　　国外から大量に流入させるなんて以ての外だ。
　　　　 { 　 　 ヽ,　',. .,/　:/',
　　　　 .ヽ　　　.|　 l_/_, -‐､',　　　　 秘密裏に行うのなら、無職で食うに困った連中を
　　　　　 .ヽ　.　| 　 / , -－'i|　　　　 金に物を言わせてかき集めるのが一番手っ取り早い。
　　　　　　/　　 {　　V , -－ﾍ
　　　　　　|　　　ヽ　 Ｌ|　r=　|　　　　練度や統制などは二の次、単純な人海戦術だがな」



今のところ第二騎士団以外に大臣よりの騎士団があるとの情報が無い為、
その推論が一番正しく思えた。

六１１８．
また、城を脱出する際にロイの話を聞いていたり、
カーディナルの外から現れていた、
装備が統一されていない第二騎士団とおぼしき連中を見たジュンも
そう言う事か、と何度か頷いて同意する。



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|　　「けど、もともと一大勢力である第二騎士団と合併すれば、
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|　　それこそカーディナルを攻めるには事足りる、って事？」
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／ ヽ､.　_ノ　＼
　　　　　　　|　 （●）（●）　|
　　　　　　　|　　（__人__）　｜　　　　　「そう言う事だ。
　 　 　 　 　 |　　 ｀ ⌒´　　|　　　　　　だが民兵と言うにも危険な策だ、
　　　　　　　 |　　　　　　 　}　　　　　　 モラルの低い連中が勝ち組になった場合、統制が取れずに
　　　　　　　 ヽ　　　　　 　}　　　　　　 略奪や暴行など、治安が悪化するのは目に見えている」
　　　　　　　　人＿__＿_ノ"⌒ヽ
　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　/ 　　　　　　　　　　 へ　　＼
　　　　 （　　ヽγ⌒)　　　　　| 　＼ 　 ＼



それは、革命を起こす際にもっとも気をつけねばならない事の一つのはずだ。
正当な君主を蔑ろにした勢力が町の治安を悪化させれば民衆だって支持するはずがない。

圧政を敷くのであれば王位継承者の抹殺は必須。
でなければ、王女の復権を皆が願うのは目に見えているだろう。

六１１９．
まず一つ、大臣の綻びを見つけ出したやらない夫はつけいる隙があるかもしれない、と
その事を記憶に焼き付けていたのだが、



　　　　　　　　＿_ 　 ＿_
　　　　　 　 /　　 ｀￣　 ヽ
.　　　　 　 上二二二二`┤
　　 　 ⊂ニ,-r‐-､──-｀二⊃　　　　「どうやら本当に大事のようだな。
.　　　　　{ｨ|| { 　 {jｰlj⌒)　|ｋ}　　　　　………サクラちゃん、表に臨時休業の札をかけて
.　　　　　ヽｌ　 ,. -(つ- ､　 ﾚ'　　　　　 雨戸を全部閉めてくれ」
　　　 ,⊂⊃∨　　, -､　 ∨⊂⊃、
　　 /　i　 / ﾚvv/ー‐ﾚv､| ヽ　 i ヽ
　／　 |　 ＞L.二⊥⊥二.｣＜　 |　 ＼
（　　　| 　 ＼|　　＼／　　|／　│　　）
. ＼　 | 　 　 |　 　 ○‐　　|　　　|　／



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.　-――‐ 　 ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／,.　　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 〃〃 //〃,　 　 ヽ　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ii i i i { i i !､ヽ　 i i i 　 !
　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 lｌ i｜ ｌ {ﾑ斗i‐ｌ }　ﾉ ｝i i i !
　　　　「はいっ！」　　.　　　　 　 　 　 |l r１　｀iｲ汀ﾐ Nイ‐くﾉﾉﾉii
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ ト|i　i i`‐°　　ﾋﾘ/ｲ/丿
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 jj j i|i　i i　　 ､__ '　 ,ﾊ!
　　　　　　　　　　　　　.　　　 　 　 　 〃/ j|i　i i＼　　　,.イi !!
　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 　 　 / /　ﾉ!! !i ﾄ､ ｀Τ´!! i !jj
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 __ /＿／´|ｌ ｌj i　＞<｝ !! i,ﾊi
　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　'´　ヽヽ　ｌＮj j〃　 }}｀ヽj_ハ



二人がすでに協力するつもりになっているので、慌てないでくれと再び手で制した。



　 　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）
.　|　　　　 （__人__）　　　　　「あ、いや。
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　まだどうするかは決めていない」
.　 |　　　　　　 　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ　　ｍm
　　　/　　　￣￣￣　つﾉ
　　　|　　　　|￣￣￣

六１２０．
だが、彼らは彼らなりの想いや考えに従って協力を再度申し入れ、



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.. - ― -　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／ 　 　 　 　 　 ｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.ｲ／,　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃/,' //　 　 / ,　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ.i | {.　　 / /!　ｉ. }!　 　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 从l_ﾊ. ／７メ ノ 仆､_　　,.１
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　}i｣` 　 'x=､ﾉベ.}三ﾆィ叭}
　　「お願いです、　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　_ ｨ′/ｒ　　　 }__ﾉ》　 jラ'´r介ｉ |
　　 手伝わせてください。　　　　　　　　　　　　　　_,､ － ' "´ /　:∧ヽ .__　　　　 く／// l |_|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　'´　　　　　／　 /　ﾊ　　　　　　_,辷7// //!
　　 私は無関係では無いですし、　　　　　 /　　　　 　 ／　　 ,'　/ /`ｧ┬‐　 '　{　 〈/ 〈/ i
　　 貴方の役に立ちたいんです」　　　. 　 '　　　　　／ ／　, '　/ /　ﾉ_r｝　　　 ／／ /!　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　　 ,.'　 /　 ./　 / / 厂ｲ|ir┬‐／／{. / ,!　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 /　 /　 :/ .〃　　{　/,ﾊ|　l / / ＿入/　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,'　 / 　 / //　　　∨//jﾊ ヽ/'´ ,. -- ﾕ　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 ｉ　/　　/ //　　　 /l// |/ ∨{. /　　　　ヽi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 | :;　　/ /.,'　　 ／ / |／　 　 /　　　　 ,　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 V　 / /　!　 ,ｲ{　/　｝　　　　∨　　　　}　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ.{　{.　 i. / .{{V Oﾉ　　　　　}　 　 　 l　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ!　 〈　 l　　　　 　 |　 　 　 !｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ.　　　 　 |　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ.} ｰ　イﾉ |　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 !∨　 厶ｲ}　 　 　 |



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,--''''''---,,,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　 ／⌒＼／|
　「うちは代々この国の一員だからな。　　　　　　　　　|　／＼　　　 ／⌒＼　/|||||.
　 王女様の危機になにもせんとあっては、　　　　　　 |　 /⌒＼||／　　　　|　||||/⌒|
　 ご先祖に顔向けできんわい」　　　 　　　　　　　　　　|　|　　θ___θ　　　/　└　9　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　| 　　 ／〇＼　　　　　　<___/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼／　　　　　＼_ノ　　／--,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　/　　 /⌒＼　　＼_／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,.,.,.,./'''---''''ヽ,.,.,.,.ヽ

六１２１．
しばし考えた彼は、今度は頷いて二人の気持ちを受け入れる。



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）　　　　「………分かった。
.　|　　　　 （__人__）　　　　 二人の力、貸してもらう」
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



やらない夫は気づき始めていたのかも知れない。

自身の理念、思想に則った行為―――誰かを助け、護る事―――が、
後で良き力となって返ってきてくれる事を。

行く先々で繰り返される出会いと別れ、その度に紡がれるきらきらと輝くような絆が
誰かを護り、自分を高める力の基礎になっていく事を。



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , ------ 、　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／ ヽ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　＼　　　　　　　　　 　 　 ／ヾ ／
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i 　 　 　 　 　 　 i　　　　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　 ＼ 　 　／　 │　　　　　　 　 .／ヾ／
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ （ ●） （● ） ｜ ､-- ､　　　／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　（__人__）　　i　　弋||ニi／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , -!　　 ｀⌒ ´　　 !-､ 　　／○||´　　　　　　　　　「ジュン、入り口の警戒を頼む。
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |､ヽヽ　　　　　　 / / |...／ト､／弋｀||　　　　　　　　サクラ、真紅に冷たい水を一杯あげてくれないか。
　　　　 　 　 　 　 　 , 　―;;;;;;;―´　| |､｀ ――― ´.,| | 　｀-;;;;;--　 ､｀弋 |
　　　　 　 　 　 　 ／ ヽ 　 ▽ 　ヽ　 ヽ ￣￣￣￣/　／　　▽／ ＼　 ´　　　　　　　………まずは俺から王都の状況を話そう」
　　　　　 　 　 　 .i　 　　｀　-　　r―‐/＼　　 　／ヽ― ､　 - ´　 　　 i
　　　　　　　　 ／　　 　 　 　 　 |　／－ ―┬― －＼　|　　　　 　 　 ＼
　　　　　　　　　>､ ｀ ー--　　　,／ 　 　 　 ｜　　 　 　 ＼　　--―　´ ,<
　　 　 　 　 　 .>､　 ｰ――‐,‐ ´ ξ＾＾ξ　　|　　 　 　 　 ｀ｰ､－――‐ ,<
　　　　 　 　 　 >､　 ｰ‐,―､´　　 　 V 　 　.｜　　　　　　　　 ,｀ｰ､‐―‐ <
　　　　　　 　 / 　　　／::::::i＼.　　,.　-－―┴―－-　､ 　 ／!::::::::＼ 　　ヽ
　 　 　 　 　 /＿　／:::::::::八　 Ｙ　　　　　　　 　 　 　 　 Y　　八::::::::::＼ ＿ヽ
　　　　　　　　i::::::::::::: ／:i;;;;;ヽ. ヽ　　　　　　　　　 　 　 /　 ,/;;;;;;ト:::::::::::::::::<
　　　 　 　 　 i::::::::::::::::::::/;;;;;;;;|ヽ´ ＼, -――――- ､／ ヽ´|;;;;;;;;i::::::::::::::::::::i
　 　 　 　 , - !::::::::::::::::::::|;;;;;;;/　　　　|　　　　　　　　 |　　　ヽ;;;;;;;.!::::::::::::::::::::!- ､

六１２２．
何年もの後。
彼を謳う詩人は天上の星々に喩えて言った。



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::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::人:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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六１２３．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ .... _　/｀ヽ､、
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 r=≧≠´: : : : :｀｀ヾ､ﾍ:｀:,
　　　　　　　　　　　　　　　　　j: /: : : :.ﾍ: : :ヽ: : : :.Ⅵ: : :,
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,: ,': /: ﾊ: :.ﾍ: : :ヽ: : : :li| : : :,　　　　　　　　「古来より、英雄星は孤独な星なのです。
　　　　　　　　　　　　　　　　,: ;' : i: :|-､ヽ∧Ｘ: :∨: :il| : : : :,　　　　　　　 至高より大地を見下ろし、
　　　　　　　　　　　　 　 　 ,: :{: : :i: :|ィﾃﾐ＼V心ｖⅦ!| : : : : :,　　　　　　 必要な時は他の星を従える。
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /: : !ﾊ: !从弋ｿ 　 ｀"´ﾒⅥ|: : : : : : :,
　　　　　　　　　　　　 　 /: : ; : :.ヽﾍ!ヽ.　　__,　 //　 '; : : : : : : :,　　　　　力を失えば星々は去り、また独りへと―――」
　　　　 　 　 　 　 　 　 /: : ; : : : : :＼ﾍ〉＞　＜ｲ 　　 ';: : : : : : : : ,
　　　　　　　　　　　　 /: : ; : : : : : ; -―＞〉/ヽ／ ⌒Y ';: : : : : : : : : ,
　　　　 　 　 　 　 　 /: : ; : : : : : /　 ,:':.:.:/l:l:.:.:.:.:.} 01 }　'; : : : : : : : : : ,
　　　　　　　　　　　/: : ; : : : : : / 　,':.:.:./l:l:lrｰｘ/　　 ' 　 ';: : : : : : : : : :ヽ
.　　　　　 　 　 　 ,.': : ; : : : : :.:/_＿{:.:.:/l:l:l:l:.:.:.:rｧｧｧｲ　 　 '; : : : : : : : : : : ヽ
.　　　　 　 　 　 ,.': : ; : : : : : /////:.:.:;'i:l:l:l:l:.:.:.:l////l 　 　 ∨ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　.ｲ: : ; : : : : : /////:.:.:.;i:l:l:l:l:l.:.:.:.l////,ｌ　　　　∨ : : : : : : : : : : :.:＼
.　 　 　 　 ／: : : ; : : : : : /才ｰ〈､、.;'l:l:l:l:l:l.:.:.:l/////l.　　　　 ∨ : : : : : : : : : : : : :＼
.　　　 　 /: : : : ; : : : : : ://///77777才二ﾐＹ/////,i.　　　　　∨ : : : : : : : : : : : : : : ' ,

六１２４．



　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　 r ､　　 ／,ィ1　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　 　 , -| ﾄ ＞'´￣￣｀ヽ￣￣ ｀ヽ,､　　　　／／}
　　　　　　／ : : ／ : : : : : : : : : : , -‐: : : 〈 ､＼　 / // /
　 　 　 ／: /: :, ': : : : : : : : : : :／, -‐: : : : :ヽヾ､Y__// /
　　　 /: :.:/: :/: : :.// : : : : : /:／: : : l: |: : :l: :', V/ : : ｀ヽ、
　　　,': : /: :/: : :./ ! : : : : : //l : : : : l ハ: : l: :! /: : : : : : : ＼　　　　　　　「―――ですが、今世は違いました。
.　　 i : : !: :i: : : /: :|: : :./:7メ、!: : : :/l:|　 ',: :!:.l/|:l: : : : : : : : :.＼
　　 |: : :.|: :|: : /: :/|: : ,' ｲ rｭ､ﾄ､: :/-ﾘ―-ヽ|: :∧',: : : : : : : : : : ヽ　　　　　未だかつて無い輝きを放ちながら、
　　 |: : :.|: :|: / : ,' .|: : i :|:! {ｨﾊ　ヽ{ zﾃ云 ､ |:./::∧ヽ : : : : : : : : : ﾍ　　　　 集まってきた星々を護り、護られているのです。
　　 |: : :.|: :|/: : :i.　!: /|〃l弋ｸ 　 　　{ｖｲ} 〉! :::::::∧ ヽ: : : : : : : : : :ﾍ
.　　 !: : :',: : : : : |　∨ {{Ⅵ　　 '　　　 `ｰ´ /:/:::::/　ヽ: :＼ : : : : : : : :ﾍ　　 それは決して従えているのではなく、
　 　 V: : ヽ、: : :| 　　 ヾ､/＼　` ‐ 　　 ／:/`ｰ′　　＼: :＼: : : : : : :ﾊ　　まるで惹きつけているかのように―――」
　　　 V: : : :ヽ: : !　 /　 /:.:.:.:.:` ｧ-‐_ Zｲ／ 　 　　 　 　 ＼: :ヽ: : : : : : i
　　　　V: : : : :ヽ:|　ｉ ,ｨ/:.,:.:.ィ‐くr '':.／:.:.}､　　　　　　　　　 ＼: : : : : : : !
.　 　 　 V : : : : : ＼' /´_.. -{__ノ!:.:´:.:.:.:./: :ヽ、　　　　　　　　 ヽ : : : : : |
　　 　 　 ',: : :.', : : : :＼´ ／ /:.:.|:.:.:.: ／:.:.: ／ヽ、　　　　　　　　ヽ: : : l |
　　 　 　　', : : ', : : : : : ＼ ./:.:.:.:|:.:. /:.:.:.／ 　 　 ヽ　　　　　　　　 ',: : | |
　　　　　 　 , : : ＼: : : : : :.＼:.:.:.|／:.:. / 　 　 　　 | 　 　　　　 　 　',: :!ﾘ
　　　　　　　 ,: : : : ＼: : : : : : ＼:.:.:.:.:/　v′　01　| 　 　　　　　　　 } /

六１２５．
┏──────────────────────────────────────────────┓

　　　見てください、晩秋の明け方に東の空を。

┗──────────────────────────────────────────────┛



　　＋　　　　　ﾟ　　.　＋　　　　　　　　　　　　.　.　．ﾟ .ﾟ。ﾟ　。　,ﾟ．。ﾟ.　ﾟ．。　.。
　　　．　.　　　ﾟ　　.　o　　　　ﾟ　　。　　.　　,　.　.o 。　*　.ﾟ　+　。☆　ﾟ。。．　　.
　　　　　　　　　　　　　　　。　　　　　 　｡　　*。,　+　。.　o　ﾟ,　。*,　o　。.
　　ﾟ　　o　　　.　　。　　　.　　.　　　,　　.　,　ｏ　。ﾟ.　,ﾟ　。　＋　。　。,ﾟ.。
　ﾟ　,　　　,　。　.　　　＋　　ﾟ　　　。　　。ﾟ　.　ﾟ。,　☆　*　。ﾟ.　o.ﾟ　　。　.　。
。　.　　．。　　　　o　　　．.　。　ﾟ　 ﾟ　,　。.　o　。*　。　.　o．　。　．　.
　　　　　　　　。　　　.　　　。　　．　.ﾟo　。　*．人。　．.　☆　.　＋.　.　　.
　。　.　　．　.　　　.　　　．　　。　ﾟ。,　☆　ﾟ.＜ 　 ＞　ﾟ　,。　.　。　　,　.。
　　　　ﾟ　　。　　　ﾟ　　.　　+。　ﾟ　*　。.　,　。ﾟ .Ｖ　。*。　ﾟ.　　　.　.　．　　.
　。　　.　　　.　。　。ﾟ.　。*　。,　´。.　　☆。。.　ﾟ。+　。　.。　　.　　｡　　　.
　　.　　　。　　ﾟ　ﾟ。　。,　.。o　☆　+　,ﾟ。　*。.　。　。　.　　　　。　　　　.
　ﾟ　.ﾟ　ﾟ　　。ﾟ　+　。.　+。　*　。ﾟ。ﾟ.,　,+　。ﾟ.　。　.　.　　　,　　　　,　　　.
ﾟ。ﾟ+ﾟ`,　o。。.ﾟ*。ﾟ　。.ﾟ　。　☆＋。。ﾟ.　°　。　.　　　,　　　　　　ﾟ　　　　ﾟ
　。,　.ﾟ。　+　☆。,ﾟ.　o。 。+　。ﾟ.,　　.　ﾟ　　　,　　　。　　　　　。　　　.　　　.
　ﾟ.　ｏ　*　。ﾟ。ﾟ.。ﾟ。+ﾟ　。　。　ﾟ。 ﾟ　。　　ﾟ
ﾟ`　.ﾟ　.ﾟ.　ﾟ.　.　ﾟ　　.　　ﾟ　　.　　　,　　.　　　　　.　　.　　　。　　　　　　ﾟ　.
　.　　.　　　　　.　,　　　　　。　　　　　　　.　　　　　　　　　　　.　　,　　　　.
　　　　　　。　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾟ　　　.　　　　　　　　　　　。

六１２６．



　　　　　　　　　　ﾚ'／: : ; ｲ : ∧ : : : : ｀ヽVﾍ:.:.: : : : : : : : .:.:',
　　　　　　　　　/:〃: : :/ヽ|: .;' .,_'; : : : :. : l:V;|:.:.: : : : : : : : :.:.:',
　　　　　　　　 ,'/:;' :.: /,.ｭ, l: ;'　　｀'､: : :.:. .l:.ﾔl:. :. : : : : : : : :.:.:.',
　　　　　　　,.:'l/ .:! :.';{.'.牝 '; l　 ,-z.､ヽ: : :.:l,. ､'; :.: : : : : : : :. : :.ﾍ
　　　　　 ／: : : :.ﾊ: :.:ﾄ ゞ'　ヾ　' 什::ﾊ'ﾄ､: lΞﾊ: : :. : : :. : : : :. :.:,ヽ
　　　　／: : : : .:. : ﾊ :{ 　 '　　 　 ゞ‐' ,': :∨カ:,:ﾍ: : : : : :. : :. : :.:.:',ヾ;､　　　　　　「天の全てを懐に抱いた英雄星の周りは、
　 　 ,.': : : : : .: : : .:.ﾉ:人　ト_､　 　 　 ,': .:ｨ';_ノ、　'; : : : : : :.:.:.:. : :.:.', ヾ;､　　　　　 まるで金色の大銀河のよう―――」
　　,.': : : : : : : : : .:.:.'ﾊ.,.∧ ゞ-' 　　 ,.':／｀l__ヽ） 　'; : : : : : : :. :.:. : :.',　 ヾヽ
　,.': : : : : : : : : :.:.:ﾊ.| '; l ',.'､ __ ,._._:' '-‐ ' ´　}ﾉ　　 '; : : : : : : : : : : :.:.ヽ 　｀
,.': : : : : : : : : .:.:.:.:l. ';l　';! .}　 ,λ´__　　　　,ノ::ヽ　　 ':, : : : : : : : : : :ヽ:.:.ヽ、
: : : : : : : : : .:.:.:.{.'l';_,'.l-'lr lﾞγ)｀´　 ﾊ　／:::::::::::::ヽ 　 ':, : : : : : : : : : : :ヾ ､ヽ
: : : : :.: : :.:.:.:.::/ﾊ_〉　´＿_'λl / 　　//:::::::::::::::,.ｨ='.ﾍ　 ' ,: : : : : : :. : : : : ヽヾ
: : : .:.:. .:.:.:.:.:/　,}´l ﾔ´_＿j ' l/　　 ｲ':::::::::::::／:;:．--_ヽ　',: : : : : : : :. : : :. :ヽ
: : .:.:. .:.:.:.:.:/　 ;{　ﾍ ´ ___,.....,j_ 　 l ∧::::::〃:／:::::::::::::｀} 　 ;. : : : : : : : :.:. :.:.:
: .:.:.:.:.:.:.:.:/　 r'ﾄゝ_',>'´,.. -‐‐'-;　l　∧:〃:/:::::::,.:=､::::::;'　　l:.:. : : : : : : : :.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:/　　ｿ ｀ｰ'ｿ ´:::::::::::::::::「r｀ﾃ'´:r')':::::::::/ , ,.ﾘ::r'　　 l:.:.:. : : : : : : : :.:.:
:.:.:.:.:.:.:.;'　 ,/::::::::::::ﾍ:::::::::::::::::::::::l::ヽ:::ゝ{:::::::::::::{ ゝ/:r '　　　l:. :.:.: : : : : : : : :.
:.:.:.:.:.:.;'. ／::::::::::::::::,ｨ∨::::::::::::::::ﾍ'::´:;| l.',::::::::::::ゞ'::/　　　　 ; : :.:.:. : : : : : : :
:.:.:.;.:.:.l ,'::::::::::::::::::::;':ヽ∨::::::::::::::::ヾ<ﾍ ',: ',:::::::::::,ｨ'　　　 　 ,' : ;l:.:.:. : : : : : : :
:.:.:.l;.:.:l.{::::::::::::::::::::;l::o:｀∨:::::::::::::::::::::ヽ', ', ヽ:::,ｨﾄﾍ　　　　/: :/ !:.:.:. : : : : : :
:.:.:.l.',:.', ';:::::::::::::::/ |::::::::::∨:::::::::::::::::::::::ﾞ:', ',:>ヽl 'v }.　　 /: :/　|:.:.:. : :. :. : : :.
:.:.:.', ',:.:',ヽ_;: ‐'´　 l::o:::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::>､'､｀ ドノ　　,.' :;.'　　;.: :. :.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.', ヾヽ. 　 　　　}::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::／::::ﾄ,ヽﾆｿ. 　, ':／　　 ,':. :.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.',　ヾヽ.　　　 ﾉο::::::::ο:丶:::::; ':::::::::::::ヾ、　／ '　　　　/: :.:.:;ｲ:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.'.,　 ヾヽ、　j:∧::::::::::::::::::ス:´::::::::::::::::::::::,｀'<´　　　　 / : .; ' /:.:.:.:.:.:.:.:.


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━━━━━━━━━━……

六１２７．
━━━━━━━━━━……
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やらない夫の話はそれなりに長い時間を必要とした。

一度、オヤジの作ってくれた夕食を挟んだ後、



　|| 　|| 　||　　 ;;　|| 　|| 　||　;;К　|| 　|| 　||　　　　|| 　|| 　|| ;;　 　 || 　 　 　 　 　 || ;;
　||--||--||　　　　||--||--||　　　　||--||--||　　　　||--||--||　　∠ || 　 　 　 　 　 ||
　|| 　|| 　||　;;　√|| 　|| 　||　　　　|| 　|| 　||　　;'　 || 　|| 　||　　 　 ||´二＼ ／二｀||
　|| 　|| 　||　　　　|| 　|| 　|| 　 ;;';　|| 　|| 　||　　　　|| 　|| 　||　 ;; 　 ||三三 l l 三三||;;
　}三三三{　　　　}三三三{　　　　}三三三{　　　#;}三三三{　　 　 || ≡≡l l≡≡ ||
　,. ＿＿＿＿ 、 ￣￣ｉｉ￣￣￣ｉｉ￣￣￣,. ＿＿＿＿..、　￣￣ｉｉ￣||三三_l l_三三||￣
　　　　　　　　　）＿＿||＿＿＿||＿＿_（　　　　　　　　 ）＿＿_||＿||_._._._._._._._._._._||＿
　￣￣||￣￣´　 ＿＿||　 　 　 ||＿＿　 ｀￣￣|l￣￣´　 ＿＿||
　　 ＿||＿　　　 |l　　 ||　 　 　 |l　　 ||　　　 ＿|l＿　　　 |l　　 ||
　　 .￣￣　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ￣￣


　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼
　二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ｉ＼.　　 　 ＼
　二二i　 *=<二二i　 *=<二二i　 *=<二二i　 *=<二二i　 *=<二二i　　]＼＼
　三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ll＼＼＼
　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ﾞ'＼＼＼＼__



国王が毒殺された可能性のある事など、
まだ伏せて起きたい項目は避けた彼は最後に
この町に新しい情報が入ってくるのは明日だろうなと締めくくる。



　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　「と、言うわけだ。
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝　　　　　　　　　　　　多分明日の朝には
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ　　　　　　　　　　　　何らかの情報が入ってくると思う」
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝

六１２８．



　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,-―――-､,,_
　　　　　 　 　 　 　 　 ,,,-ｯ=''"｀　　　　　　　　｀ －.,.、
　　　　　　　　　　 ,／ﾞ,／　　　　　　　　　　　　　　 ｀'.ヽ、
　　　　　　　　　 ,i´;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　　　　　　　　　　｀､＼
　 　 　 　 　 　 /: ;;;;;;;;;;:,!　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ
　 　 　 　 　 　 |: ;;;;;;;::;;│　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,―-　!:lﾞ　　　　「国王様が病死なされた途端、
　　　　　　　　 ﾞl.: : ;;;;:丿 ,,､---､、　　　　 'i､,　　　 ,,/　ﾞ、 .|.,′　　　 大臣が武装蜂起するとはな。
　　 　 　 　 　 ｒ'"''-、/　　　.lﾞ　 ｀ '-､,,_　　,!（ .,,,／　　 .|　ﾘ`i､
　　　　　　　 .,!－､.ヽlﾞ　　　.|　　　　　 〈`|"　 l、lﾞ　　　 ,i´ Ｌ ﾞl　　　　しかしこの分なら、
　　　　　　　 .lﾞ　 ,i´‐!　　　 "　　　　　 ﾞ'"　 __｀"｀　　　′｀lﾞ.lﾞ　　　　二人も何らかの罪を着せられるのでは？」
　　　　　　　　ヽ　'．,　　　　　　　 ､.――ｯ″｀ｯｰ-､、　　　 |
　　　　　　　　　｀､､lﾞ　　　　　　,､'";;;;;;;;;;;;;;;｀''''";;;;;;;;;;｀'-、　　|-．
　　　　　　　 _,／ﾞ/.|　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼　,|. ｀'-､,、
　　　 .,,,､.‐'"゛　 ,lﾞ .ヽ　　　 ./｀;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ｖ-''ﾞ,｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ 'i､　　 `ﾞ'‐､、
: _,.-''″　　　　 .lﾞ　 .ﾞ,i､　　.,i´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ''"＾ ﾞl;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ｀　　　　　 `-、
."　　　　　　　 ,lﾞ　　.lﾞ ',!､,_lﾞ;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;:|　　　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　│ ｀'、|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,!　　　 .'、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞl　　　　　　　　 : `i､
　　　　　　　　　　　　|.丶 ｀lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:.|＿_,,,－|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:|　　　　　　　　　　｀i､



王女の無事は喜ばしい事だが、情報の発信地であるカーディナルを出てしまっては
国内に知らしめられる話は彼らにとって不利なものになるだろう。

懸念するオヤジに、その辺りはもちろん予想の範囲内であったやらない夫は余裕のある様子で頷いた。

避けたかったのはエスメラルダ入りを難しくする情報への遅れであり、
こうして無事町の中に入り込んで信用出来る拠点を手に入れた今、
どのような悪評や濡れ衣が着せられようとも彼に取っては大した事では無い。



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）　　　　「王女誘拐犯とかだろうな。
.　|　　　　（__人__）　　　　 まあ、手配書から読み取れる情報だってある、
　 |　　　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　　 楽しみに待つとしよう」
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |

六１２９．
それで、二人の協力者を含め、これからどうするかを考えていたやらない夫は
一人ずつ指示を与え始めた。




　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　／　　_ノ　,ヽ＼
　　　　　　|　　　（ ●）（●）
.　＼　 　　|　　　　 （__人__）　　　　「これからの事だが。
　　 .＼　　.|　　　　　｀ ⌒ﾉ　　　　　面の割れやすい真紅は宿屋で待っていてくれ。
　　　.　＼　ヽ　　　　　 　}　　　　　 ジュンは護衛を頼む」
　　　　　 .＼_,ゝ　　　 　ノ
　　　　 　／, r､　　　　く
　　　　 ./　〈　 ＼　　 　i
　　　 .　ヽ､ .ヽ 　 ＼ i..｜
　　　　　 　.て_）　 　＼ﾉ
　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　 　　 　＼



まず真紅。
彼女が待機なのは町へ来る前から決まっていた事だった。



　　　　　　　　　 　 _ {　　　/--t一-. ､
　　　　　.　　　 ／Ｘ/｀ーｧ'Ｘ Ｘ,}!工エエﾄ､
　　　　　.　　 /'ﾞ＼/ー‐'／ ヽX}! ┼┼:十:ヘ.
　　　　　　　/＼／＼／＼／ヽ}!-┼┼┼ 十ﾍ
　　　　　　〃／＼／＼／＼／}!-┼┼┼ ┼:|ﾊ
　　　　　　'iく＼／＼／＼／ヽ,j|＿|___|__|__ _|__|_1
　　　　　　'ヽ／＼／＼／＼／}!＿|___|__|__ _|__|__i　　　　　　「分かったわ。
　　　　　. ／＼／―／--／:ヽj|土土⊥⊥. _|__|　|　　　　　　 私に出来る事があったら何でもするから
　　　　　. ト- 'rf"下丁iー---个ドﾐ￣T冖ｔ-- ニ ﾕ,　　　　　 遠慮無く言ってね？」
.　　 　 　 ﾞ√ﾐf⌒! l/, f´Ｙﾐ-ｧ｀ｌヾ''ドﾐt,ﾐ Ｘ Ｘ ＸＸXﾍ.
　　　 　 /ヽヽﾍ　 〃l ﾍ ゝ-'　　　　 'r'::ﾒ｀ ドﾐ X Ｘ Ｘﾍ.
　　　　 l! |-l＼'ﾍ::ｿ　 ﾊ!　　　　　　　t_ｸ/　|/,_｀ドﾐ ＸXﾍ
　　.__　||､　|:!　'rゞ:|!　|　ヾ　　　　　 ,　 /if |　 f　ﾙﾍ｀￣´
　　＼｀|| ヽ|:! ,f三::|!　ﾄ___i|　　－､　 ／ﾍ｀ヽ　| /∧ ＼
　　　 | ﾚ　 ´`!､三.|!　'＼.|!　　　, r ´=ｰ､ｊ-,. ヽ// f'|｀ｰ,i
　　　 ヽ　 l　　Vゝﾐ＼　　＼-ｒ ',＝＝　／　ヾ'∧　 |　 l |
　　　　l　 l　　 |八,ｊ- .＼ _ヽ＼く三=　（　　ｖ'/　ヽ_ﾉ　 l j
　　　　l　　　　l　<´＿　　　￣ ＼三　　＼ ﾚヽ＼　＼ `
　　/⌒l　　　　|` 三三⌒'ー - 、　＼　　　へｌ　｜,r--ｫ



素直に頷いた彼女はいざと言うときは手駒にされても構わない覚悟を告げ、
そんな事は自分が居る限りさせたりしない、と気合い十分のジュンが続く。



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|　　　「了解」
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼

六１３０．
次に、幸運にも得られた協力者達。
彼らの安全、生活を脅かす事は絶対に許さないやらない夫は
日常の延長線で可能な作戦を授けると



　　　　　　／￣￣＼
　 　 　 _ノ　　ヽ、　　＼　 　,.:┐
　　　 .（ ●）（ ●）　　..|　／　｜　　　「オヤジさんは店を開けてくれ。
　　　 （__人__） 　　　　.|./　　 /　　　　どんな小さな情報でも良い、かき集めたいんだ。
　　　　 i⌒ ´ .r－､　　|/　 ／　　　　 人を呼ぶために割り引き期間って事にして、
　　　　 { 　 　 ヽ,　',. .,/　:/',　　　　　 サクラは町でその宣伝をしながら南の街道付近の監視。
　　　　 .ヽ　　　.|　 l_/_, -‐､',
　　　　　 .ヽ　.　| 　 / , -－'i|　　　　　その分の金は俺が払うから
　　　　　　/　　 {　　V , -－ﾍ　　　　 半額引きぐらいでどーんとやってくれ。
　　　　　　|　　　ヽ　 Ｌ|　r=　|　　　　 高い酒、良い食材、何でも好きに用意してくれて構わない」



ホールディング・バッグからその為の軍資金を取り出した。



　　　 　 　 　 　 　 r―-､＿_r―-､
　　　　　　　　　 　|―‐z＿＿,r:､__）
　　　 　 　 　 　 　 |　　|　　　/　 /＿__r-､
　　　　　　　　　　　>―-､＿＿ノr―‐┴'′
　　　　　　　,. -‐'''"￣￣`―〇ﾆニニヽ
.　　　 　 ／　　　　　　　　　　 ＼ 　　 `〇
　　　　　| 　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　|　　ｼﾞｬﾗｯ
　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　＼＿＿＿＿＿＿_／



　　　　　　　 ／l
　　　 　Λ／　〈 へ、
　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞
　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼　　　　　　　　　　　　　ｽｰﾊﾟｰ・ﾌﾞﾙｼﾞｮﾜ・ｵﾍﾟﾚｰｼｮﾝ
　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l　　　（出ました、やらない夫の超金満作戦）
　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ
　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|
　　　 | ￣ c　￣　　　6 l
.　　　ヽ (＿＿＿_　　,-′
　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ
　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ
　　　　　|　|　　　　　 |　　|



それに慣れ始めている自分に苦笑したジュンには
無限にも思える彼の予算の出所は分からない。

だが安全の、戦力の、時間の、情報の、そして命の対価が金で済むのなら安いと思っているのだろう。
金を出す事をまったく迷わないやらない夫の裕福さも、
あるいは剣術、体術に続く一枚の切り札と言っても過言では無いのかも知れなかった。