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【R-18】塔について 第10話


227◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff


   #10

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228◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私は異国の地の本を開く。
  
  それは遠い昔に国の外から流れ着いた書物で、中には数多くのおとぎ話が収められている。





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                         \   r´=========r´
                          \ 《 三三三三三三三三三=
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229◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私はその中の一節を好む。
  
  昔のことである。 道端に角張った石が落ちていた。
  
  その石は他のどんな石とも違った奇妙な色合いをしていて、仲間外れにされていた。
  
  石は疎外され、憎まれていた。
  
  彼は道端にそっと置かれたまま、何か月も何年も風や雨に晒され続けていた。
  
  彼に話しかける石はおらず、彼は孤独だった。





                         ィ```ヽ、
                        ノ´ヾ、_:::;;/:、.
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230◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  ある時、そんな彼を拾い上げる者があった。
  
  小さな女の子だ。 女の子は角張った石を拾い上げ、自分の家に持ち帰って大事にした。
  
  彼女は夜寝る時は石を握りしめてベッドに入った。
  
  石を持っていると大好きな草原と土が身近に感じられて嬉しかったのだ。
  
  石はこのことで女の子に感謝した。 彼はもう孤独ではなくなったからだ。
  
  石はすぐに女の子のことが好きになり、彼女に握りしめられるのを喜んだ。
  
  石は石としては失格かもしれず、仲間もできなかったが、自分を必要としてくれる人間には出会えた。
  
  彼は幸福だった。



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              ソ/  〃l:.:イ lr´r.f )`ヽ        _V l:.:トl:.:ヽ:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ、
         .     "   .f レi l  {:.llllllリ:.リ     ,ィ-r 、ヾi リヽ:.!:.:.:リ、:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:ヽ
                   ! .ナ   ゝ_ ノ      f:.l`iilハ.:} .l!ハ:.:ll:.:/ ヽ:.:、:\ヽ 、`
                  `{                ',:.lllllソ:.リ } l:/lrく    ヽ 、、ヾ
                  ,....!            `ー " ノ  lr ヽ i
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231◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  そんな女の子も年を経て大きくなり、一人前の女性となって結婚する時を迎えた。
  
  彼女を娶った者は街一番の金持ちの息子であり、美しい顔を持った偉丈夫だった。
  
  彼は人格者でもあり、妻を優しく扱った。 二人は夜になるとベッドの中で愛し合った。
  
  当然だがそこに石は持ち込まれなかった。 石はそのことを寂しく思ったが、仕方がないこととして受け取っていた。
  
  二人は幸せな結婚生活を営んだが、石はそんな二人の幸福な様子を見ているだけで満足だった。



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232◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  それから三年後のことである。
  
  女の家に一匹の黒い蜘蛛が入り込み、家の様々な箇所に巣を張った。
  
  天井の隅、塩を収めた壺の口、ベッドの下。
  
  女は蜘蛛を叩き潰そうと家中を探して回ったが、どこにも見当たらなかった。
  
  蜘蛛は狡猾で、どこに隠れればいいか良く知っていたのだ。 家はやがて蜘蛛の巣だらけになった。





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233◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  当惑した女の所へ、やがて一人の呪術師が訪ねてきた。
  
  お前さんは悪い霊に取り憑かれている。
  
  このままでは家は足の踏み場もないほど蜘蛛の巣だらけになり、お前さん方の体は蜘蛛に喰い尽くされてしまうだろう。
  
  女は呪術師に尋ねた。 自分はどうすればいいのかと。
  
  山へ行くのだ。 呪術師はそう答えた。 山にいる一匹の白い蛇を見つけ出し、蜘蛛を退治してくれと頼み込め。
  
  お前さんはそこへ一人で行かなければならない。 それはきっと命がけの旅になるはずだ。




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               ∨ ∧        ,,...-――-  、
                   ∨ ∧     /         \
                 ∨ ∧   , イ            \
                     ∨ ∧ / |             /!
                   ∨ ∧  !  V /        /::/
                      く´∨ ∧     /       ∧::::/
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           /   \   \  ∨ ∧   |     /  /
            /     \   \ ∧ / ̄ヽ_、 ∠__/
       /  , -― 、 \  〈 У      ヽ/
      /  /      ',    ヽ ∧         ノ
      /  ,         ',     \|      /
    /  /        |     ,. く    /∧
   /   /            !i   /::::::::::\/ ∨ ∧
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  /  /     /´ ̄ ̄7   ',:::::::::::::/!   ,へ,/  〉、
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234◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  女は決心して山へ向かった。
  
  山に道はなく、樹々は密集して光は差し込まず、いばらの群れが彼女の行く手を塞いだ。
  
  女は辛抱強く道を探して奥へと進んでいった。
  
  いつしか女は狼に後をつけられていた。 女のうなじに狼どもの生臭い息がかかる。
  
  女は走って逃げたが、すぐに狼に引き倒されて脚に噛みつかれてしまった。


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235◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  狼どもは骨も残さずに両脚を喰い尽くすと、満足して去って行った。
  
  そこで女は両腕で這って山を登って行かざるを得なかった。
  
  女は脚の痛みに耐えながら懸命に這って進んでいった。 両の手の平は深く土を掴み、力を入れて体を運んだ。
  
  そして女は藪の中で白い蛇を発見した。 女は必死の思いで這って蛇を捕まえようとしたが、無駄だった。
  
  蛇のしっぽが一瞬女の手を掠めたが、すぐにそれは手から逃れ、遠くへと俊敏に去って行った。
  
  女の眼に涙が光る。 だが彼女は諦めなかった。
  
  そこへ鰐が現れた。 鰐は深く顎を開き、女の右腕に噛みついた。



        、   ......... . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ...........,
      _ミ:::::::::::::::::::::::::: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :::::::::::::::::::::_ -=二{i
   、..........i}二二=‐_:::::::::::::: : : : : : : : : : : : : : : : : ::::::::::::::-=ニ ̄   ノ{i
  ミ::::::::::::::i}ミ   ̄二=‐:::::::::::: : : : : : : : : : : : : : : ::::::::::::::::::ミ    彡´
  .ミ:::::::::::::::::i}ミ  彡ヾ::::::::::::::::::::: : : : : : : : : : : : ::::::::::::::::::::::::,,  ミ
  ミ:::::::::::::::::::::i}ミ  .....;;::::::::::::::::::::::::::: : : : : : : : : : ::::::::::::::::::::::::::::;;;;;ミ
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236◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  女はあらん限りの声を振り絞って悲鳴を上げたが、鰐はお構いなしに右腕を引きちぎり、咀嚼しながら悠々と去って行った。
  
  しかし女は諦めない。 彼女は左腕だけで這って前へと進んでいった。
  
  蛇の逃げた方向を目指して土をかき分けながら進んでいく。
  
  左腕は石と砂利で傷つき、血が流れる。
  
  その血の匂いを嗅ぎつけて、今度は野犬どもが近づいてきた。
  
  野犬どもは女の無残な姿を見て喜んで飛び掛かった。 そして女の身は喰い尽くされ、左腕の人差し指だけが残った。




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      ‐=ニ二x.x.x x x x x x x x / x x x x x x x x x x x x x└γ'"ヽ _,. -‐'"
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237◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  それでも女は諦めない。
  
  残った人差し指だけで這いながら山を登っていく。
  
  いつしか白い蝶がその上を祝福するように飛んでいた。
  
  蝶は彼女に合図を送るかのように華麗にくるりと回り、それからゆっくりと一方向へと飛んでいく。
  
  女はそれを見て蝶を追った。 はたして進んでいった先に、白い蛇はいた。
  
  蛇はとぐろを巻きながら眠っていた。 瞼は閉じられて舌はしまわれている。




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238◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  女は白い蛇の頭をトントンと叩いた。
  
  蛇は目覚め、挨拶代わりに女の指の先を優しく舐めた。
  
  蛇は人の言葉を話した。 こんな姿になってまで私を訪ねてくるとは、一体何があったんだね?
  
  女は事情を話し、蜘蛛を退治してくれないかと頼んだ。
  
  蛇はそれを承諾し、指だけの姿になった女を背に乗せて山を降り、家へと向かった。




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239◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  家の中は蜘蛛の巣だらけだったが、蛇はすぐに黒い蜘蛛の居場所を探し当て、それを舌ですくいとって食べてしまった。
  
  蛇は親切にも蜘蛛の巣を掃除してくれたので、家はすっかり綺麗になった。
  
  かくして白い蛇は山へと帰り、後には人差し指だけの姿になった女が残された。
  
  女は仕事から帰ってきた男に事情を話し、男は納得したが、非常に残念な顔をしていた。
  
  こんな姿になってしまってはもう愛し合うことはできないし、子供を作ることもできない。
  
  男は夜ごとのセックスを楽しみに日々を送っていたし、やがて子供ができることを強く望んでいた。




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240◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  男は諦めて別の女と結婚した。 それで人差し指だけの女は家の隅の棚に、例の角張った石と一緒に置かれた。
  
  半年で新しい妻は妊娠し、男はそれを非常に喜んだ。
  
  人差し指だけの女は寂しくない訳ではなかったが、男が喜んでいるのを見て心から良かったと思った。
  
  女は石を撫でながら日々を送った。 石は土と草の匂いがした。
  
  石を撫でているとまだ脚があった頃、草原を自由に走り回っていた子供の頃を思い出して元気づけられた。







                       、、                                ィ```ヽ、
                       ,:'   ``~ 、、                         ノ´ヾ、_:::;;/:、.
                           ,:'         `` ~、、                  /.:::::ヾ´ Y::::〉、
                      ⌒≧=           `~ 、、              {::::... ソ´´:: ::::::〉
                           ⌒≧=-  ., _       (⌒ヽ            <:::::>::--::ィ:/
                                  ⌒≧=‐―‐<´                  \:::_ :::/



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241◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  角張った石は撫でられ続けて、やがて丸い石になった。
  
  丸い石は女のことを慰めようとしたが、口がないので言葉は話せなかった。
  
  また丸い石は女のことを想って泣きたい気持ちになったが、涙は出てこなかった。
  
  石はあくまでも石だったからである。
  
  男の新しい妻の腹は膨らみ、まもなく元気な男の子が産まれた。
  
  街中の者たちが赤ん坊の顔を一目見ようと押しかけてきて、連日盛大な宴が催された。
  
  女はもちろん隅の棚の上で石と共に沈黙していた。 誰も彼女を顧みることはなかった。




                            _,、r=ニ三   ~^'~ミh、
                     、≪⌒ ̄         ゙'くh、
                      、-‐━                寸:、
                   -‐―━                    寸////
                      -―━                     V / //
                   -―                          W//
                     -‐                       Ⅷ/
                -‐                           j//
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                    ゚守廴_ ̄               。行三三三=―_
                     ~≪廴_ ̄         _、:个三三三三三三三三ニ=‐__
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242◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  月日は経った。
  
  赤ん坊はたくましい十四歳の少年に育った。
  
  彼は母親に向かって宣言した。
  
  僕は自分の本当の母親を探しに旅に出たい。 それを聞いて母親は仰天してしまった。
  
  何を言っているのですか、あなたは私がお腹を痛めて産んだ実の子供ですよ。
  
  我々は血のつながった本当の親子なんですよ。 父親も息子を諫めて、馬鹿なことを言うものではないと叱りつけた。


                              ______
                          '"  ̄ ̄⌒ヽ:.:.Y
                                   }:./
                            _...-─…‐ノイ:...._
                        _彡:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
                      ア:.:.:./:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ミ=-
                  _,、、、、、、、.,,/:./:.:/:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.
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        !: :_、+''`ヽ:. :. :. :. :. :. :. :. :/イ}  > . .     /// / ` ー'^ヽ: : : _,ノY/
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       _/乂  --、 V/: "~: : ̄ ̄ ̄`~"''~、、`ヽ .//:./ニ-_     {ニニ=-_ {=-_
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243◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  だが少年は聞かなかった。 僕は自分の本当の母親があなたとは別にいると思う。
  
  だからそれを探しに旅に出なければ。
  
  母親は泣き、父親は困惑したが、やがて彼らは納得して子供を旅に出すことにした。
  
  少年は父親に似て勇気があり、知恵があり、頑強な肉体を備えていた。
  
  彼は北の城に住む魔法使いを訪ねて母親の居場所を聞いた。
  
  魔法使いの老翁は少年から宝石を貰い受けたので、全力で霊感を働かせて占ったが、
  
  母親の正確な居場所は分からなかった。 だがヒントだけは得られた。
  
  「その女は最も思いがけない場所にいる」



                   /            ≦,´
                    /   _ -―――― - _  イ
                  {  ,'゛///////////// {, {
                    イ |_'///////////////,〉{、
                   } ],'//////////////,',(ハ`'…--、、
                  ,,ノ |'//////////////,'|r }      ∨
                 {   ∨'////////////,,}''′      \
                 ,人   ∨//////////,,{       /⌒''⌒`'
              /   \  ヽ,,'///////,'/     ,'′
            ,,イ     \  〈 ''^~゛゛~^ j′   /      , ‐‐、,
              /         ∨.             ,ノ    /   `
          /           ∨         '''"´ /¨ニ二- ― 、
         /          , ‘ .{-{l}-}       { |;;;;;;;;;;;;;; ; ,,,_\
      ,∠/'^厂^'''x、,,,,,,,,_   }|  | ゝ.}l{ノ          | |;;;;;;;;; / _,,,`ミ
    r'/  / /  ,,-'、 \;;;;;;;\ ∨ |\            ∨;;;;;;;;;;;`''''《《
    { {  《{ {  {;;; ; `''へx\\| l|  \            {;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{_ノ
    `ヘ__} Ⅵ__,ノ;;;;;;;;;;;;;; ; `ヽ) }}  |   `        `;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;


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244◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  少年はそれを聞いて考えた。 最も思いがけない場所とはどこだろうか?
  
  それはきっと世界の果てに違いない。 少年は魔法使いにお礼を言うと、世界の果てを目指して旅を始めた。
  
  そこにたどり着くには数々の障壁があった。 最も高い山脈。 そこに住む悪い呪術師たち。
  
  善き魔法使いを味方につけた激しい死闘。 旅の途中で出会った友の劇的な死。
  
  そして勝利。
  
  とうとう少年は世界の果てにたどり着いた。 そこから先には何もないという場所である。



        /
      //
     /: :(      _  ‐=ニア
    く: : : : :\   . : : : : /ノ≧s。
     \: : : : :\_/: : :。s≦: : : : : : :≧s。
      ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
    /⌒∨/: : : : : : : : : : : : : : : :⌒\___\
   .: : : : : : :∨/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : \⌒¨`
  /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .、: : : : :\
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 |: : ノ: : : : : : : : : : ::.:.:.}: : : /  (\ \リ、_\
 {: /ハ: : : : : /: : : : : : } _  斗:\ \ \\ヽ(
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                         ⌒\∠ イ≦ _ ィ(ニニニニニニ-_
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                            ノニニニニニニニニニニ〇ニニニニニ-_



245◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  世界の果てとは小さな孤島だった。
  
  そこには遠い昔に見捨てられた二人の男女が住んでいた。
  
  王国の権力争いに敗れて船に乗せられて流され、ここまで行きついてしまった、血のつながった兄妹である。
  
  彼らはすでに老いて力もなく、ただ命を長らえるためだけに細々とした暮らしを営んでいた。
  
  少年は落胆した。 自分はこんな所に来るために命を懸けたのだろうか。





                           _.. ヾr0ヾ_
                          / ,r'l0i{'0ヾヽヽ
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                              {!i}
                                  {!i}
                                      {!i}
                                      {!i}
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246◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  しかし少年は慈悲深さを備えていた。
  
  何十年ぶりに見た自分たち以外の者を前にして老いた兄妹は怯えたが、
  
  少年は辛抱強く優しい声で話しかけてやり、やがて信用を得た。
  
  彼らは仲良くなり、夕餉を共に囲むようになった。
  
  そこで分かったのは、兄妹は子供の頃からこの島に住んでおり、訪ねてくる者は誰もいないということだった。
  
  その孤独な暮らしぶりに少年は同情を覚えた。




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                 : : : : : :∧ とつ     '       ⊂つ/ /:/: :.\_,.>
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               | .:.:.:. \     ∧   〈ノリ    ∧   /:./.:.|
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247◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  彼らは共に泳ぎ、魚を釣り、貝を掘った。
  
  少年は夜になると焚火を前に、旅の中で体験した様々なことを二人に話してやった。
  
  兄妹はそれを聞いて喜んだ。 人と話すこと。 おそらくこの兄妹に最も欠けていたことはそれだった。
  
  三人は半年を共に暮らしたが、少年はそろそろ潮時だと思い別れを告げた。
  
  兄妹はそれを聞いて大変悲しんだが、自分たちと共に居てくれたことにお礼を言った。
  
  そして一つの占いをしてくれた。 「お前さんが求めている物は、もっとも思いがけない形をしている」





            /      /            \
            /         /               ヽ
           /           / /  ,  ,   /        l
      ー '     /    //    /  /,   |   l
         ヽノ   /    ノ''    _,.. '  , '  l    |   l
  ヽ __.ノ   /  ー――  ´ ≧z.イ   ノ    l    ,
   ヽ      ノ     ` フ''',ィ,rzz、ヽ,.. '     ノ   , イ
   __≧  /_ノ     V  {{ 戒戔`'''―‐ ,ィ≦__ .'  l
   \          ∧     ∧  ヾ乂汐     f斧z,/ /   l
     -―'''フ   ∧    ∧             ヒ汐ソ/ \ l
     ー― ''      \    \       '    ∧    ヾ
     ≧z.__ノ   l  l`ー――''   , ⌒,    /、 \
.    \         ト 、 ゝ、 \     ‐‐'   / \_\
     ,r≧zフ_\ l ,r\__,>  \     /\____\
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248◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  少年は帰途についた。
  
  家に帰る道の途中、少年の胸には様々な思いが去来した。 自慢の剣で断ち切った数々の魔物たち。
  
  旅の途中で知り合った美しい女たちとのロマンス。 旅の仲間たちと焚火を前にして語り合った夜。
  
  少年はもう少年ではなかった。 歳月が経ち、彼はすでに立派な髭を備えた青年に育っていた。




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                    V.:::::::.ヽ       !       レ1::::::::/.:::::::::::!
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                    V´`l   ィ彡三爻ミュ、 ー チ' ,z=≠=_ミ、
                     _ ∧     __ _       / 八 : : : : : : : .\
                 ≦    从\    _       ,,イl!ー ヾl!: : : : : : : : : .\
              ≦         .::ハ:::.ヽノ.::..`ー―≦:::::ノ 1丶 } : .   . : : : : : .ヽ
           ≦          ..:::入,∧:::::::::::::::::::::::::::::/ / ハ ノ       . :. : : : . V
          {ー ‐ 、       .::(  ヽ >、:::::::::::::::;:ィ´  〃 ' /      /≧ー― ≦ミ、
          ´ ̄ `v∧      .:::::.ヽ  `  \;;;/   /   イ     /..::::::::::::::::::::::::::::::.V
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249◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  青年は生家にたどり着いた。
  
  父と母は喜んで彼を出迎えた。 青年の帰りを祝って街中の者たちが家へと押しかけ、連日宴が開かれた。
  
  盛大なご馳走がテーブルに並べられ、酒はこれでもかと盃に注がれ飲み尽くされた。
  
  青年は旅の土産話を次々と語った。
  
  胸躍らせる冒険譚があり、激しい死闘の物語があり、友との悲しい別れ話があった。
  
  客たちは誰もが青年に魅了された。 その逞しい肉体、優しい眼、朴訥だが確かな語り口。
  
  青年が本物の冒険者であり、勇者であることは誰の目にも明らかだった。
  
  客の内見る目のある者で、かつ年ごろの娘がある者は、その夜の内に青年の両親に結婚話を持ち込んだ。



     , ' ⌒ ヽ.        |§|:.    , ' ⌒ ヽ..     |§|:.    , ' ⌒ ヽ..     |§|:.
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         ̄ガヤガヤ.   |§|:.        ̄ ̄         |§|:.        ̄ ̄         |§|:.
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 圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖|§|圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖|§|圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖|§|圖圖圖
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    ,ハ、、ハ  (∪⊂|_|           ∧_∧          .r' _ ヽ>
   彡*゚ーミ ,  ̄ ̄ ̄ ̄Ψ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ(∀`* )_          ヽ n‐`ノ
   と y )つ∇ (Ξ)  ゙┴ ゙(EE)∇   と ~:~  )||         ( ノ⊂)
   ||(;;;,⌒).゙|ゝ、    (ミ//)     ,イ( (~/⌒||      γ ̄▼ ̄ ̄Ψ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
   || ̄iiJJ.|| | ̄|| ̄|| ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||| しし ii ̄''||        | /bbb/  ゙┴゙  ∧ ∧O)∇ |
         ...| |  ||  ||  |  |  |  |  |||::::::::::::::.......::....      ||ゝ、  (///).   (  .,,)   ,イ::
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               / ―∞ ̄ ̄ ||  ◇⌒:θ:目 \
              ./ / ○ ∞.⊂⊃ \△三@\.  .\..
                 /日 _..○○_   '''***  ̄ ̄ . 日\::...
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250◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  だが後日になっても青年はどの申し出も受けなかった。
  
  母を探すこと。 彼の胸にはまだ使命が気にかかっていたのである。
  
  ある日、父母が街に出かけ家に青年が一人きりで残されていた時のことである。
  
  彼は椅子に座り背筋を伸ばし、預言について考えていた。
  
  それはもっとも思いがけない場所に、もっとも思いがけない形で存在している。
  
  では、ひょっとすると? 彼は腰を上げ、家中の物を点検してみることにした。




    |    ×              .:;,     ト            \|‐
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      ,,彡    //  /     /      ./rェェェ、      .rェェェ、    ./ ,i|
.   ,,彡   / ./ ̄ ̄|   /        /_||_||_||____||_||_||___/ ノ|_」


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251◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  台所には包丁があり、釜があった。 茶を淹れたばかりの陶器があり、切りかけの塩漬け肉があった。
  
  どれも彼の本当の母親ではなさそうだった。
  
  次に彼は居間を調べてみた。 テーブルに椅子。 箪笥に窓。 本棚に収められた古めかしい書物。
  
  やはりどれも関係なさそうだ。
  
  そして彼は両親の寝室を覗いてみた。
  
  いつもは立ち入らないそのスペースには、大きなベッドがあり、読みかけの本があり、花を挿した花瓶があった。
  
  彼は注意深くそれらを一つずつ点検していき、最後に隅の棚を調べた。



                             |      |        _,,.. -‐ _二"´-‐ '' ´    :| | . : : .|......|......|..........
_____________________,|,______|_,,.. -‐ ''_,.二 -‐ '' ´   .: | |      . :| |: : . . |......|......|...........
^\     ◯          / ̄ヘ     ̄ ̄ ̄|,______|┌¬冖i'´. :| |: : . .    . :   | |    . . : :| |: .  |....|......|...........
◯ |  | ̄|    ./\   i|匚] |i | ̄.:|| ̄ ゙̄|[/ ̄ ̄\| |...|...|....| : :| |: .    . :     | |  _,,...!    i......|......|..........
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ZZZZZZZZZZZZZZZZZ| └-┘ |: :: :||_____||| |     | | | .l. | . i    ..:  | |     :|         . :   `:、.....|.........
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252◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  そこには奇妙な色合いの丸い石と、小さな細い指が一つ存在していた。
  
  青年は指を取り上げ、仔細にあらためた。 その指には何か青年を惹きつけ、魅了するものがあったからだ。
  
  青年は指に向かって試しに挨拶をしてみた。 こんにちは。 すると指は声を返してきた。
  
  こんにちは。 青年はびっくりして思わず指を取り落としそうになった。
  
  あなたは生きているのか? だとしたらどうしてこんな小さな身になってしまったのだろうか?
  
  指は声をひそめて経緯を語った。 自分が前の妻であること。 黒い蜘蛛に家を乗っ取られてしまったこと。
  
  それを退治するために白い蛇に頼み込みに行ったこと。 その道中で体を食べられてしまったこと。





                      ,_,,,,,,_,_,,,,,,_,,,,,__,,,,
                      ヾ          ./
                       ',         ./
                        i         !
                       i         }
                          }       . :}
                           { .、..._...,, .}
                         ',      !
                         ! r ─ 、 !
                        ! !    |./
                            ゝ,,__,,ノ 



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253◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  青年の眼に涙がきらりと光った。
  
  それではあなたこそ僕の本当の母親だ。
  
  何という事だろう、求めていたものがこんな近くにあっただなんて。
  
  青年の涙が丸い石に落ちた。
  
  すると石は割れて中から一つの植物の種が出てきた。
  
  彼はそれを拾い上げると、右手に種を、左手に指を乗せて庭に出て、土中に種を埋めてみた。



                      ,
                      o

                      O


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                     。 。 。
           _______ ヾ´__________



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254◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  するとたちまち芽が出てきて茎が伸び、蕾が出来て花が咲いた。
  
  花はこれまで見たこともないほど美しく、青年は見惚れて立ち尽くした。
  
  それは今までの旅の苦労も、ようやく見つけた母親が指の姿でしかない悲劇も、
  
  いやこの世の悲哀すべてを忘れさせてくれるほどの美しさだった。
  
  彼はその美の中で安らぎを得て、もういいと思った。
  
  自分はもう何かを求めることをするまい。 ただ一生草木や花を育て、それらを愛でて生きていこう。
  
  そう決心するほどの美しさだった。




                              _{^i
                            ( ヽjーv _ -_
                       _.r 、_.、 __}ト i/- ⌒ ≧- 、  _. - 、
                     __{ ` ´  }( )// ./厄} ヽ  !/ ィi「__%
                      ン       (_ 乂{ / {辷j ノ  }! _、丶´ `ヽ.
                _   - 、    _(⌒( `! ゝ`辷`  '/ !、丶  二  ヽ
                 { ヽ_/ 、ヽ. /     人 ` ー /゙ ./   イ´r‐ ミ 、}!
        ,、 r / `!  ヘ_ i  \ ヽ ヽ マ冖'' {   !`{   i!  i{   /√ !γ厄}!
        (    ⌒! ァ/゙ ゚x辷 、:.  .  __ ヘ/^ヘ/  _(⌒トヘ  ヽ ! 、_,乂r'.ン1
      (⌒  %。 '"^ゝ/{ 厄〉! ! }! ン     { (_ r   )i 、 `’,_⌒'ー 彡'゙ )__
      _ -=    ゚‰,_入マ ´/ :  }! { ,,_ 斗-=- ミ.ゝ イ( `i 寸 ‐-‐ ア  %  }!
                 ,。 - `辷 /  ノ. / /_ ... _  、 \  '⌒ヾ'ー. ´  く_ ノ 丿
      ` =- { ィi7 /   .乂  _ノ/  ./ /⌒ヽ ヽ ’,    _>     ノ  く
                `'ゝ ,_   _ / ̄、.′ .ム / ィi厄「 ハ !  } '゚ー ⌒%ノ`ー '- _  ゚,
              ⌒ラ      ‘}!   ! ヽ { V ノ イ} ゙/1     ン .} く  \j
                 ´'r    _,人  ’  `'<ィ  /゚  ノ     .、 ノ _r '
                  ゝ(_ソ7   ` ー-\_  -‐ ´ /(_ ィ し r ' ゝ'`
      .                ⅰ _ 、    /{` ー- ォ ^          `%
                        V ´ ’,_./ ヽ. /`

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255◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  彼は左手に目を落とした。 するとそこにはあるはずの指がなかった。
  
  彼ははっとして辺りを見渡すと、すぐ傍に一人の女性が立っていた。
  
  喰われた時の体が再生した、指だけの女だった。
  
  女は若く、美しかった。
  
  青年はその場で結婚を申し込み、女はそれを受けた。
  
  かくして青年は本当の母親と晴れて結婚し、子供を作り、幸福に暮らしたという。




               ヾ三シ゚ /  ,r /    /       . ヽ ヽ   ヽ. l1 ^'{三三シ'゚
                 ∨    ./ ,r/    /          '、 ヽ   ヽ .i  ヾ三リ
              ,/ .    / /r'    ,/      l  i,   '、   ヽ  1 '!シ
            ,r/ ./    //     / ;    i .| i 1   '.    .'、 l l1ヽ、
            /./ ./     /./    ; /j .i     j  l j .|_、   1    1.j j 1  \
.            , '゙ / .'     / 7   j リl r!     ;'  .j l !'lj   '!.     Y .l !   \
        .,ィ'   / .'     / .j!r!  j'!j 1 i l    /  イ i} j 1  '!1    1 j ト、_,. 。-=>、
       ,:ヘヾ:, ./イ.,'     ,' ハTi,゚´ j l}^Tj' l.   /  /T'7゙lノ ̄}`^T.l      ! リ' j 'F‐,'".r=f三ュ
       ,r三ミ、ミY/l.j゚     i  l 'iL,>;=kiL,j1 i ./,ィ / j./,rf=≡Fェ/l,|     V ,! 1三三三三;〉
     .〈三三ミj.i^リ     j i.レミr'゚r'^,rdミヾ. ∨'/'゚  ' .,r'.r;o:ト/ヾミ=     1 /j,.r=i三三彡"'゚
      'f三三j.!ミ!     j1 { ヽ .{ i:c:l :l         {:,.i:d).'゚} /'j l   ! l /',.rfミェイ´
.        ヾ:三{.lミl  1   j. '、ト、  Y'フ^゚;/        、.r'__i,フ .j.r!    | !/三三ミヲ
          |jヾ!.l{. i.   | ヽ1     ̄                 ,f' |   j }ミ三彡'´
.           '! .| l1 .!   ! 1 ゚ト、 ´´´´      '       ´´´´ ,シ .j   j.! j-!'"
            i { ! i, 1  ! .l:、i、                  /'  i ,'   ;'j ノ .1
.            l { ! '、 1 | '、l:、                ´  /./  ./.!/ !1
            !1.j゚>,'!  1.l '、1\.       <⌒>       ,ィ'//! ./ /' i. l、i
            ヽY j メ、 N  !i.ヽ1丶、          ,.r' ! /' j ./j/' i 1 |.い
            /∧l ! ∧ {' |j !ヾ! : i゚}ヽ、     ,.. '゚ i  /l  // ': | i } ヾ1
             // .{j !1.ヽヘ. リ.l l! rr:=}.  `' ‐  '´   j;>:1| ./^!  ! .l! i l ヾ、
            j j  '! !j ,' ヾ:、i 7| {:::`ヾ-.、_    _,。-::'"::::::::::!レ'^! i   1 l1 '.i  ヽ、
          j j'  .l リ' ノ  ! ! 'リ j_}::::::::::::::::::1 /::::::::::::::::::::::::jr:、  } i '! | '、 '!   k、
          {|  | }./  .j j,rァ:'ノ^ヾ::;:::::::::::1./:::::::::::::::::,.:'゙..ヾ:ヽヾ l 1} ', '、  .'!'、
           1 !   i,_j/   ; j:.=<.......ヽ、.>r-='-、,_,。‐'":'^..............ヽミi,1 ':ト.、ゝ_ヽ   1 '、
         _,..>.iー:'":::リ   /.,'......、,_.....,.'" ,.r:{  ./-、`ヽ、.......;_._.............'i}  1-=::;_`::^':i-:1
       ,r'ーr:r'⌒ _,)7  / /.........,.'゚    '´ノ'.ーr{、    `ヾ、.................:l, i. '、...........`"::'T゙丶、
      /  {..フ^   /  / /...,r ´     _,ィ7..... ..}..ト、        `丶、......1 !  '、...............j'     ヽ
.      /    |.....>= イ ./ ./... {     ,r /j.....O..l....1\       ,ノ.........'! 1  ',..............j.     '、
      i     .l...i、 ./ / /........\  /ノ' ./ .........l......'、 ヽ、   ,r'´...............i, i   1..........j      1



256◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  荒唐無稽な話だが、この物語は私の心に残った。
  
  石について考える時、いつでもこの話は私の脳裏をよぎる。




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           ,  ´          ` 、
          /               `ヽ
         /          …‐-= .._    ヾ¨ヽ、
      /                 ミヾ     }
       {       ,. -‐-、_ ____          /   /
    r-‐/  ,.>'゙´    ヾ:::::/⌒ヾ¨ヾ::::::::y'⌒ヾー-‐r、
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  乂___,.斗:弋乂乂_:.\`ー乂:Y.: :/: : :`゙'ー<: : : ≧=‐'′   -=≦/////////
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.        ∨::/`ヽ/   .く: :::::://./⌒Y¨ヾ_. ',.     \         `゙'<::///
         ∨    ,. -‐|:::/{/   ヾZ{._ '、__    \             `゙'<
         ,. -‐‐= 彡く::/ ノ;       ム}__  冫´ ̄}. \___
       _,.斗-‐=≦:,r―-(_(_/         ヾ=、ヾ   /}/        /\ ̄≧x
    ,..<::::::::::::::::::/ ,r‐y:::/          } / `7≦...,,___   ___////\:///≧x
   ム:⌒ヾ_::::::::::/    ./::/         //\-、///////777///////∧/////
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.     /:::::::く .r‐‐‐-、{:乂__            \\//≧x. `゙'<///////////∧///
.     `ヽ:::::/./::/ ̄ ̄}:/  ハ三二:::[::]:::=-,.イ  .\////≧x__`゙'く/////// __.) //
     / `゙'く::// ̄~゚ゞ/  プ: :;イ::|::://   ___.\//////フフ777777フフ::////
.    /    }/ :「⌒ マZ/⌒ヾ/:/:: |7.:{ ,..'´:::::::::::::: \:///////////////////
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      ー '´ __く ∧      /二ニニ彡:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧//////////////
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    _,..'゙´   `¨¨´ `ー---‐'  └-'⌒'´}\::::::::::::::: /   /:///     \///
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257◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  石について考えることはおそらく私が生きていく上で必要なことだった。
  
  硬質な物体。 自然と近しい大地の友人。
  
  煮ても焼いても食えない、ただの石。



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                          / ̄ ̄/ ̄ ̄  ̄廴___ __
                    /     .′         \ 丶\
                  /_     ゚            }    ’
                   /゚ ̄ ̄   ∨                  ハ::....  ゚
                 ′       ゚            ......:/  廴___{
                 /        }廴_  _      〈廴      ゚,
             /            |i         ̄  7 \     ∧
               /          |:.....         /   ′   丶   ′'.
             ′                 ′          \ ..:/∧
.             | ̄ :.〈   |          ノ:.. ′   /  ':. \::::.......   //
              、  i:.    |、_        / {           〉/     .′
               \ |:::.         /   ′ハ        ′    /
               ヽ::..   i  /     /  }         /      /
                  '::...      ....::/         /      /
                   ゚::::.. .     ..::/    ..::|     ∧    ′
                 ヽ     /    ....::::|     .′ 、_/
                     \   ′     ...::¬   {__     /
                     \/        |    i|::..   ′
                     \:::...     ノ}    i|::.. {
                      \:::..._____...:}    i|::.._/
                            ̄ ̄ ̄└ 、_/ ̄


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258◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff




  石は私にとって解決の難しい問題として、常に目の前に提示されている。





   〈   ___|⌒\      }  \       \  /
 __ -‐ァ'⌒¨|\  \    }    )    _____∨{
{  /    \{    \  .ノ  .. -=ニ   |: /:i \
{ /      / i   `ー‐=彡}:  /  i  :|/   \\
 〉 .  <⌒ー'′.ノ  /     / /ト  |   :L.. ___  ∨、
.〈く: : : /    /  /  /}r勿トミ | .ノ / /ヽ.  ニ=‐ァ
 \/´        /   / / V(  〉 ./ /j i  \_/
.   ′    У/{: j/Y  i      {/ (ン/.ノ    }
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259◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff
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260◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff




                      一年が過ぎた。






                          |                     i
                          ∧               ∧                            I
                           f扞ミ         I        「」                            八
                      」」L」      八      γ^ヽ`ヽ                          匚]
                    γ´/ } `ヽ   「「」 ∧  _f____Y´ |             ∧           /:.:.∧\
                    f竺竺竺竺彡, γ__メ∠\ |.∩ . |∩|            /:.ヘ           | ̄ ̄| ̄|
                      h x=xx=x ∩|_丁x=ミ .| |丁 |_|_| | :|/|─,.ィ^ヽ──ァ─‐/___∧‐。ot───ー‐|  _ | i i|
              ___∧|_|_|__|_|_」L⊥┴i|│ │| |┴ァヘ ̄^|  |/:_|\_,.>'":_:_:_/ー‐'ィ^ト、:.:.:.\:_:_:_:_,癶=ニ二i|_i_i|
   |          /:.:.:.:.:.:.:.:.| _,.。oi()io。.,| / ̄ |┴_┴|'"|:.:.∧ ∧_,,|。o1^\| | |/ ̄ ̄,.。o≦Ⅵ.| | |_,. -' |ニニリ _ -'' ¨ i i| i i|
   八           |¨¨¨¨。o≦≧s。:_ - 丁 ̄ ゙̄|     | |¨/::ヘ ,口_ |/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∧:.:.:. :.:_l | | |   _|。o1「i.∩.i i i i| i i|
   口           |TTT| ̄ 「」  ̄|  / ̄ ̄¨| ̄_ ̄|¨z/:::::::∧∧\───‐_‐‐。oiヘ丁 ̄i| | |_, ┴_,丁i i i i i i 「| i i i_ - ¨
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261◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  一通の手紙が城から届いた。
  
  両腕のない女が神殿まで連行されてくるとのことだった。





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              |    |ー‐v一-r‐‐-、,,_             _,,, -‐一'''"´|    i
             |    |           ̄""'' ー--一 ''´ ̄`~       |    |
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262◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私はそれを読んで我が目を疑った。
  
  結局私はアサクラを説得することに成功し、彼女のやっていることを責めないようにと言い含めておいたのだ。
  
  さらに最寄りの寺院に対しても神殿から正式に使いを出し、あの村には私の友人がいるから
  
  何かあったら直接こちらまで知らせるようにと命じておいたのである。
  
  予想だにしないことが起きていたとしても、ここまで事態が一足飛びに進行するものだろうか。




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      /フ' |:,: : :Ⅵ V:j::リ ,       ∧}: : : /: :|: : :\: : :<´
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263◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  手紙はこう続けていた。
  
  くだんの女は最果ての村を足掛かりに広範な地域に対してよこしまな慣習を広めた。
  
  壺を死者の肉体と見立てて土中に埋め、魂の生まれ故郷への回帰を願うというものがそれである。
  
  この邪悪な習慣を受け入れた民衆は彼女を一種の神とみなしている。
  
  城は聖なる信仰を守るために、軍を用いて彼女を捕縛した。
  
  神殿におかれては彼女を処刑されたし。






           _  _  _  _  _  _  _  _  _  _  _  _  _
           )(  )(  )(  )(  )(  )(  )(  )(  )(  )(  )(  )(  )(
          /.  ∨  ∨  ∨  ∨  ∨  ∨  ∨  ∨  ∨  ∨  ∨  ∨  ',
            ヽ_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_ノ




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264◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私はアサクラを呼んで事情を聞こうと思ったが、彼女の方でも何も把握していないようだった。
  
  アサクラは各地の寺院に使いを出し、両腕のない女のことを聞いて回った。
  
  その結果分かったのは手紙に書いてあることは真実であるということだった。
  
  それにしても、私はあの村を発つ前に彼女と村長に警告を出したはずだった。
  
  「あまり大掛かりなことはするな」 と。
  
  だが彼女は結局それを聞き入れなかったのだ。




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ヽ|   l   |   | !|    :| |        | |   l |   │   ! !
ヽ|   l   |   | !|    :| |        | |   l |   │   ! |
ヽ|   l   |   | !   | |_      、__| |   :j ! |    |   |i| |
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li '、  !  ヽ'" | j \  l {        / /  /丁7    /   / | |
|:  ハ ヽ__ト、ィ''チ示アミー       フイ''テ圷、/   :/  ,' / j/
|:  { l`、_,,ム<{イ f::::`イ}         { f:::::`イハ>┬='_/ノ
l   ヽl    ! V^tzc'         V^tzc'  /!¨´  「
| l   l     l  ゝ=='-            ゝ=='´ / i     |
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| |   | i   ハ、        '        /  i.    |
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265◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  どうしてだろうか。 いや、推測しても仕方あるまい。 直接女に聞くしかない。
  
  戸惑う私を、アサクラは諫めた。
  
  これは明確な造反行為であり、処刑は決行する他ありませんよ、と。
  
  私は分かっているとだけ答えた。
  
  しかし喉からはとても小さな声しか出てこなかった。




                           __
                      _.、-' ,.- 、._     ‐ 、
                   ,:ー 、'´  /    `ヽ、.._   ヽ_
                    /   `ヽ、/    ヽ     ̄`ヽ 〉ヽ
                /       | 〉    '.   i     Y  |
               /       .ト ハ     l   |   l. ', ト.
                  / i       | lニ'^´ヽ |  ト.  1   .|  |   〉
              | |  | | | l     | |l.  |」.斗|ー | ! / 〉
              | |  | | | |   」斗ヒ] ヒ_ jハ.  ! リ、 ,ハ
                 |  、´l ̄j.ニト    ´ ヘ´r‐、 iンL.ル | Y | ',
                ヽ!、  |ヽゝfVrt.',      うッソ|.     レ  | ',
                 ー\|ヽ. 込}         ̄ | l    l   ト. ',
                   |  ',   '        | |  | l   | ヽ ',
                   |   ヽ    -    ,. |,'!  ,′′  !  ヽ
                   ||   `ト,、._   /   | ./ ,′   |\
                      、ト.  ハ.| l/ ヽ ´   .ノイ |/    .|ァー-
                      ハ   | ∨ //    , イノ       /|   . -
                  rイ/  ヽ| / /'二.ー .._/,/     .// /
          .        / | }′   .l,/´_ `ァ' /      //,.'
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266◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  手紙が届いてから一週間後に両腕のない女は連行されてきた。
  
  彼女は、妊娠していた。
  
  傍目にも分かるほど女の腹は膨らんでいたのだ。
  
  それを見て私の心は揺れた。
  
  まさか赤ん坊ごと殺さなくてはならないと言うのだろうか?
  
  私は神殿に住み込んでいる女の医者を呼び、彼女を診るようにと命じた。
  
  出産はいつになるだろうか? 答えはすぐに返ってきた。 正確な所は分からないが、おそらく三ヵ月後だろう。



                     |  | _,r≧r-  < ト /  ノ /′.、 ヽ/
                     | ≦/:∠ }:      /  /> ._:::::::Y´
                 /ニニ/:/ 、 .:      ルN/: : :/}≧=::..
                仁ニ/:イ   `ヽ ...:: -─ /: : ://ニニニニヽ
                {ニニ{..{ニ、,、,、,、,、,、,、,、,、,、/: : :/イニニニ=/ニ゚ .
               }ニ/::/ニニニニニニニイ: : /ニニニニ/ニニニ∧
               ハ/: ::{ニニニニニニニニ}: :仁ニニニニ/ニニニニニ゚.
              {イ: : : :`≧=───=≦´: : {ニニニニ/ニニニニニニム
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267◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私は城に手紙を書いた。
  
  この者は妊娠しているため、出産までは処刑を延期したいと思います。
  
  そこまで書いて私は紙を破った。
  
  それを伝えたら、おそらく城はすぐにでも処刑しろと迫ってくるだろう。
  
  異教の神の子供を生かしてはおけない、と。
  
  私は 「諸事情のため処刑を三か月後に延期する。 正確な日付は追って知らせる」 とだけ書いて城に出すことにした。



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                                  _,. -‐ ': : : : : ヘ
                                  . ''": : : : : : : : : : : : :ヘ
                        __,. ‐''": : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヘ
            __  . -‐   ´     : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヘ
       i ̄ ̄                 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヘ、
        i,                    : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヘ
        i,                    : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
     ニニニニi,                    : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
     マ三三i,                          : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :  \
      マ三三i,                          : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ‐´\
       マ三三i,                        : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,. ‐''"      \
       マ三三i,                      : : : : : : : : : : : : : : : : : ‐ ´         \
       マ三三i,                          : : : : : : : : : : : _,. ´              \
       マ三三i,                         丶: : :::  ‐  ´                      \
        マ三三i、                       ,`、´                           \
        マ三三i、                _,.-: : : : : :\
          マ三三i,                  . ''": : : : : : : : : :\
           マ三三i、           ´: : : : : : : : : : : : : : : : :\
            マ三三i,       ,. ‐''": : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 丶
            マ三三i,- ‐ ‐ ´                     : : : .
           マ三三i,                          : : : . .、                ´
           \三ニ\                                ` 、            ´
             \三ニ\                               ` 、       ´
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                \三ニ\                              ´
                 \三ニ\                            /



268◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私は翌日になってから地下牢を訪ねた。
  
  彼女と面会するのには勇気が要った。
  
  殺す者と殺される者。 今までその立場は私にとって絶対のものであり、迷うことはなかった。
  
  そもそもが神と人なのだ。
  
  しかし今回は違った。 彼女は明確に私の属する世界の外からやってきた者であり、本来は対等な友人だった。
  
  地下牢の廊下を歩く間も私は迷っていた。 いつもの神としての仮面をかぶって事に臨むべきだろうか?
  
  だが彼女の収監されている牢の前に立った時、迷いは消えた。 そんなことは無駄だ。
  
  虚勢を張ることにしかなるまい。 お前はただ、心の赴くままに振舞えばいいのだ。



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269◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私は牢の中に入った。
  
  「こんにちは」。 私が声をかけた時、女はまだ眠っていた。
  
  女が起きるまで私は待った。
  
  やがて女はゆっくりと瞼を押し上げた。 そろそろと辺りを見渡し、それから私の存在に気づいてこちらを見据えた。
  
  「お前が直接手を下すのか」
  
  「ええ、そうよ。 これは、そのための鎌」
  
  私は持ってきた大鎌の刃の部分を相手に見せた。 これなら確かによく切れるだろう、と女は言った。



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270◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff


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   ../, ̄:\ ,  ´ ̄ ̄´            `
   ./:://:::::::::::\                    \
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   .{:::{ {:::::::::::::}  /∨_{//__}: : :\__ノ: : |_,/⌒ヽ/
.    \:::、::::: 〈 /: : //: : ': : ': :/: : : : : : 、: :|:|: : :∨⌒ 、     「私は怪力よ。 首を一発で両断するから、その時のことは心配しないで」
  ..r::::r\/:::∨:': :': |: :_|:_:_|: :{: : : : :|:_:!」:_: |:|: |: : :. _ノ
  ..{::::{ {:::::::::::: {/|: |: :{: /{Ⅳ{:从: : : : }从}/从|: |: : :∨   \ 、
   .マ:::マム::::::::::::,{: {: |Ⅳ,ィチ丐ミ∧: :/ィチ丐Y}: ;: }、: :.     ∨\
    . \:マ::::::::::/ 从:{: :ム ヒ:i:リ ` ∨ ヒ:i:リ /:イ:/: :Ⅵ     }// \
    .//\-=:/  /:\:} 人    '    ムイ: : : : }      /////∧
.   ,'//∧ ̄  ,: :{: {: {: : :>  ` ´  イ: : /: : : : /    ///`ヽ/∧
   .//// マム  从 八: ヽ:}: :,.ィ} `¨´ ,ト、: {:イ: : :{: /     //イ   マ/ム
.   ////  /ム    /⌒乂{  \ / }l}フ⌒ヽリ___////∧   ∨∧
. //// ,、/' マ\_/   乂:,  ,ィ介、 //フ   ://////'  \}    ∨∧
. ////イ  l/、\_/   / 、∨乂__ノ∨イノ    \¨¨´ ̄`ヽ´ `ヽ  ∨∧
.,'///      /    ,:  /:::::::::\/  :.      :.         \ },//〉
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 ∨         〈乂>r- }   `ヒ|ll|フ     /、-rイノ'           //イ




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               ∥: : : : : :7!i : : |!: : |: :|: : : ∥ `´~ヾ! : :、 : :.    「私はすぐにでも殺されるのだろうか?」
               ∥: : : : : : l:|:!: : :!|: : |: :!l: : :l:!       |:|: : } : ハ
               ':!: : : : : : :l: |!',: :|:! ̄!:T-- l- '    |:l: :メ: : トl
                  l:l: 、一 =l: : : ゞー芹示ミヽ! |   /ー-/ |l::/ }
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271◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff

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     //_\          _ -―‐- _
    . /_//_____\       -ニ ̄         ̄ニ-
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    「| [_____________∧     ≫―=ミヽ、___        \
    |_l l________________>-=《  /⌒)  て⌒ミー- 、    -_
    |_l |____________/ ____ノУ  └t_)〉   \  )人   -_
   \\________〈(⌒^ア ̄´  ./|  Т     L∠⌒^\_ `    「いいえ。 あなたが子供を産むまで我々は待つことにするわ。
      .Ⅵ|_________≫/      / |i  乂       `⌒\ 乃  〉
     |_||_____//| i  :/|/ ヽ八   ト   |     Υ ( /   他の神官たちにもこのことは伝わっているから、
      [辻__〈( / 八人 :j灯功ト \Ν \ |     |\〉
         `V从   \| .Vツ     f巧灯〕   /  :|/     してほしいことがあれば何でも言って。
          )人   Ν       Vツ /  /  /
         ∠ イ   | \  、  _,   幺イ  / /       ここには医者だっているんだから」
           八   乂 :〕ト  _,  r≦ jリ /}/__
           _〈  \__>]|_    jトy/_イ 7フ/⌒〉
.           {⌒マ爪n /〉   アYTΝ〈( ̄  // 乙└ャ
          .厂 /乙j.|//,⌒> /j山 | い .∩// _r┘ /
       _>'゙    |.| | {_>‐-ミ .r‐さ ヽ\| |/ 乙   \__
.        /      /   /⌒\/⌒',     ∨⌒´       〉       _
. _____⊥<二ロ二フ/    {      }     \ <二ロ二フ     /_|
. |____||_乙/⌒7ァ/  ノ   ⌒こYこ⌒ \)    )トL.北r┘\ /||___|
. |____||_/`⌒>''゙   __/ ̄________ ̄>、__  〕 √ト ,,,_  \__|l___|
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              .':.:./:.:.:.//   \ ,/.  '.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:'.
             .'.:./:.:.:.//`ヽlVヽY/l/´ '.:..:.:.:.:.',:.:.:.:.:'.
            .':.:,':.:.:.,':,'           .l:.:.:.:.:.',:',:.:.:.:.:'.    「子供を産むのは初めてのことなんだ」
              l.:.,':.:.:.,':.l              |:.:i:.:.:.:l:.l:.:.:.:.:.'.
               j:.:lハ:.:l:/___,ノ  、___lー':.:./:/:.:.:.:.:.:'.
             .l_,,.',:.iヽ|ィt=ャ-、    ,ァt=ャ‐、,/l/:.|:.:.:.:.::.:'.
          / :}:ハミヽ辷リ        辷リ_ノ' l:.:.:.|`ヽ:ハlヽ
          `ヽ_j:..:.:.://l//      /l///|:.:.:.|  >.}:.:l
             j:.:.:,':.i:.:.ハ      !        八:.:|ー´ :ヾ.〈
           .';.:/:.:,':.:.:.l`.、    __    ,イ:.|:.:.:.|:.:.>、:.:l:.:.)
            .':.:/:.:/:.:.:.:j:.:.:..: 、     `   イ:.:.:.:|:.:.:.',:〈:.:.ヽY、
           ..':../:.:/:.:.:.:.,':.:.:.:.:.:..:> _   < |:.:.:.:.|:.:.:.:.',:.〉、:.リ.:l
         .':.:/_./:.:.:.:/.l:.:.:.:.:.:.:.:.:j、___,,...j:.:.:.:.|i:.:.:.:.:',ヽ:.ヽノ、
    _,,.. -‐''"´;;/:.:.:.:/:.ノ;;ヽ-''"´, 、_, -、テ―‐'ヽ⌒|!:.:.:.:.:.',´ ̄ ̄`;;;,,,、
  r';;;;´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:/:.:/ー'⌒ヽ,. ‐'´/  /_    ,r'‐、;;|.:.!.:..ヽ',;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ
  l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/./::i/;;;;,._Y´/ _,/ _     ヽ⌒ヽ;;;;;;;;;|/l:.:.:.:lヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙i



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                      . . : : ´: : : : : : : : : : -
                     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :`:.
                      /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
                  /: : : : : : :/: : : ; : : : : : : : : :_: : : : : : : \
                   /: : : : : : :/ : : /: : ; : /: : : :./ミヽ/:ヽ: : : : ヽ
               ∥: : : : : :7!i : : |!: : |: :|: : : ∥ `´~ヾ! : :、 : :.
               ∥: : : : : : l:|:!: : :!|: : |: :!l: : :l:!       |:|: : } : ハ
               ':!: : : : : : :l: |!',: :|:! ̄!:T-- l- '    |:l: :メ: : トl
                  l:l: 、一 =l: : : ゞー芹示ミヽ! |   /ー-/ |l::/ }   「上手くできるか自信がない」
               |:|: : ヽヘ(`l : : : : |  乂rソ       !示ヽl |l; ノ
                 |:| : : : :\ l : : : : |          ゞ' /:!
                  |:l: : : : : : :.l : : : : |            / /: :|
              l:l: : : : : : : | : : : : !            / : :l
                , | : : : : : : |: : : : : ト      -=,ァ  , : : : :.!
              ; :| : : : : : : |: : : :|: :| >      /|: : : : :|
               i: | : : : : : : |i: : : :l: :|    `  -: : : :|: : : : :|
             l: :!: : : : : : |l:l: : : :乂ヽ-…-/ : | ,,_ : | : : : |
               l: :|: : : : : :l !l:ゝ -彡イニニニニニニヽ.: :.:|
            l: :i: : : : : :j | ゝ= '/ニニニニニニニニム: : :|
              l: :l: : : : : jニ|ニニ/ニニニニニニニニニ=-: :|
             ,': :l : : : : 7ニ乂シニニニニニニニニニニ=-:|
             /: /: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニハ
          / :/: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニニ!



                ___  ,......-- 、
      ___     /´            `ヽ、
      /:.//:.:`ヽ、/´                  ` 、
     {:.:.{_{:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ、                    \
       }:.:.//:.:.:.:.:.:.:.:/´`ヽ、_ _____,ィ´`ヽ、  \     }
    ..//-´:./ ̄/____ l ̄ ̄ ̄´| ____\ ̄ー-、  /__       「出産が近づいたら熟練の産婆さんを連れてくるわ。
.     l l:.:/    { /: : : : :l/       l{: : : :\` }    ヽ、  \
      ..、´`ヽ、   V: : : : : : : {_____,ノ: : : : : : V__, ――冫    \   それでいいかしら」
.      :>、{  `ーl': : : : : : l: : l: : : : l: : : : :\:_:_:_:_:ヽ、: : : :\/   __ヽ
         ヽ  /|: : :,: : :,-l―l、-,: : \: :、イ: ヽ: :-: : : ゝ: : : :lー-'    /
          l / ||: : :l,: : l: |: : :ハ: ヽ: : :ヽ、\ 、: :ヽ: :\: : : :.,:|  __,/
.           l/ リ: : :ヽ: :゙、: ィ示i心 リ`\ィ示心ミ: :l`: \: : :.!/
         `ヽl_!:l: : : \: 、弋z(ソ    弋z(ソ/: イ: : }: : :ハ: ,
           リ!ハ: : ,: ト,: :\_    '     彡': /: : /: : :} 、ゝ
           / ,r ヽ: :l: },: } _ `ヽ` ´  ,. ィ: :/: ,イ: : :/
           /   }: :/l:/ノ:,-ゝ-`- <!__,l: イ:/ l:.!: :/
             /‐- 、 l:/-=´-' \l     .|/ `ヽ--,--ァ_
             //////}ォ-l:.l    `ヽ、__/ヽ    l:.|_ノ_ ヽ、
         /-、//// }_ソl:.:,   /:.////}、ヽ   l:.!__ノ   `ヽ、
           /  `ヽ/ 人,∧:.、  /:.//:.、/ソ:.`ヽ、 //_ソ      ヽ
          ,'    ,'   }ソ_、:.V:.//:.:.:l:.:.:l:.:./´\/_ノ,       /
        ,    ,{    ヾ-ミ\/ ヽ:.-:.:/l:.ソ     l         /



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             ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.`:.:―- ..、
           ,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ
              /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.、
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           ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.://:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..、:.:.:.:.:.:.',
        ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::./ヽi、}:.,、.:.:.:.',
       /:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. /    `ー|:.:.:.:.:l
       ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._, `/ 、      .|:.:.::.::l      「ありがとう」
       ,':.:.:.:.:.\.l:.:.:.:.:|/i/ //、   _\     |:.:.::.:.l
       ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l. |// `'''ー'`   ,,-‐-j:.i/:.:.j
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     ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|、    、     i/:.//|/
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   ../, ̄:\ ,  ´ ̄ ̄´            `
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   .|:::| |:::::::::::::r-- 、`ヽ--/ イ ̄{/∧/  /∧⌒\  }      「いずれにせよ、あなたはじきに死にます。
   .{:::{ {:::::::::::::}  /∨_{//__}: : :\__ノ: : |_,/⌒ヽ/
.    \:::、::::: 〈 /: : //: : ': : ': :/: : : : : : 、: :|:|: : :∨⌒ 、       それまでの時間を有効に使いましょう」
  ..r::::r\/:::∨:': :': |: :_|:_:_|: :{: : : : :|:_:!」:_: |:|: |: : :. _ノ
  ..{::::{ {:::::::::::: {/|: |: :{: /{Ⅳ{:从: : : : }从}/从|: |: : :∨   \ 、
   .マ:::マム::::::::::::,{: {: |Ⅳ,ィチ丐ミ∧: :/ィチ丐Y}: ;: }、: :.     ∨\
    . \:マ::::::::::/ 从:{: :ム ヒ:i:リ ` ∨ ヒ:i:リ /:イ:/: :Ⅵ     }// \
    .//\-=:/  /:\:} 人    '    ムイ: : : : }      /////∧
.   ,'//∧ ̄  ,: :{: {: {: : :>  ` ´  イ: : /: : : : /    ///`ヽ/∧
   .//// マム  从 八: ヽ:}: :,.ィ} `¨´ ,ト、: {:イ: : :{: /     //イ   マ/ム
.   ////  /ム    /⌒乂{  \ / }l}フ⌒ヽリ___////∧   ∨∧
. //// ,、/' マ\_/   乂:,  ,ィ介、 //フ   ://////'  \}    ∨∧
. ////イ  l/、\_/   / 、∨乂__ノ∨イノ    \¨¨´ ̄`ヽ´ `ヽ  ∨∧
.,'///      /    ,:  /:::::::::\/  :.      :.         \ },//〉
.{//{        {     {  /::::::/::{::::::::::>  }     }          /イ//
.∨イ       \     :. \:〈:::::|::::イ   ,     イ}           ///
 ∨         〈乂>r- }   `ヒ|ll|フ     /、-rイノ'           //イ



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                     ____
                            `丶
           /く\              \
      厂 ̄`丶   \〉             ハ
     .|....{.............\  く\   -‐━‐-ミ  くノ |
      \_〉-‐‐-ミ...\  >'^........ -‐━‐-ミメ、 |
    / ̄`⌒>............`丶〉⌒し'⌒ヽ__ノ⌒丶   \‐‐-ミ     「……いえ、それは私にとっても同じことだわ。
  く................{............ _/ r‐-ミ___厂   |\__\_r-ヘ、____〉    
     ̄\......〉、___/ r-┘| /八   |´ ∨  {   丿    その時が来ればあなたとお別れしなければならない。
    .../ ̄し-ヘ.__丿   rテ芋ミ\   xテ广}  {__厂      
     く__/ }      V.り     V {.ン んヘ. {           それは私にとって、とても辛いことです。
.        └-}   } |   { "      " 人  ∨
          .厶ヘ  } |  {ト     c     l  j乂__.         だから私もあなたとの時間を大切に使いたいと思う。
          ∨V \ {‐-ミ>‐< }丿 /
            丿r-‐' \〉   \ノ┐〕iト .∨             友人として、そう思っていても迷惑じゃないかしら?」
             .丿-ミ `く     /(0)∨_〕
          .′  し┐`く_/ }.......〉 _〕 {
           {       し┐  }....{ V   \
        . / ̄〉\        \ノ.........\゚。    }
      /----し'^ }        }................〉ト、___丿
.   /-------/ く__rく三アく_ノ⌒¨´/__r-┘、
  ./-----/V-/  厂し-ヘ.__ノ〈 /   {  |\--\
/-----/  V    }..._j∧   ∨    {    \--\



                             _,,,,,,,,,,,,,___
                             _,,.-‐'''´      ̄`ー,-.,,__
                         ,r''´  ,, ''  ,r'      `  `ヽ、
                     . ,r''´ ,, ''   ,,r'´,. '  ,, '   ,     `ヽ
                     ,r'フ ,, ''   ..:;;r''..:; ',  ., '' , '  .;
                   ,r',r'’,,.'', '.:..::,r'7"..;: ', ' ..,::' ..;:'    ;';..
                  ,f /., ''., ' , ' ,r',r'’.:;:'.,.' .::..;:'  .:;:'   .: ;: ;::.        「我々はまだ友人なのだろうか?」
                ,/,イ,/ ,,/ .,f /..:::;/,/ ..:::;:'  .::; ..:   ..:::;: :;:::.   :.
                    レ/,i' ,イ ./ /.::;;イ:;i'.::::::;i ..::::;'..::   .:::;: .:;::::. :..  ::.
                    レ レ/ / /.::///i.::::::;i .,'.::::;:'.::;'::  ..::::;: .::;::::: :::::.. ::
                   i / ./.:/// ,!::::;i' ,.'.::::;'.:::;'::::  .::::;:. .::;:::::..::::::::::
                 _,ノ レ' f/ ,i`、;ii ,i.:::::;'.:::;i::::::. .::::::;:. .:::;::::::::::::::;::
             ┌-‐''´     `ーi、:;/i;/!:::::;i::::;i::::::::. ..:::;:;::..:::::;:::::::::::::;::
                 i        .、/ ヽレ !、::;!l:::;!l::::::::..:::::;:;:::::::::;:::::::::::::;:::
                  ヽ        `、/`、 !:`!:i:::!:i;i;:::::::.:::;:;:::::::::::;::::::::::::;:::
                  fヽ        `ー‐ヽ v`:!:l::l:::'i:::::::::;:;::::::::::::;::::::::::;::::
              ,! ヽ           !::i;!::l:::::ヽ::::::;:;::::::::::::;::::::::;:::::
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              i                 l :::::::! ::::::iノ ,/::::f:`:、:::::;:'::i::::
                 `ヽ、           l ::::::;! ::::::i_,/::i:::::i;:::::::Y::::::;!:::
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     .┏‐-ミ  / ̄|/                 `丶
       |.{{........\............|                    \
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.       !}}...................V |    /⌒丶-‐く   / ̄\)‐-ミ|
      }}} ................. r-‐ァ^7       V{     {___/ ̄〉
.     /∥...............⌒L/ {/ ̄ ̄L.......ノ      |     く_
      .{...{{.................//   _)   /   |     ∧   {  _)
. r―‐‐-ヘ..\....../.../⌒7^     { .斗‐|-   7 厶   { /      「私は友人でいたいと思っているわ」
丿......................>`^.......人        { .斗-ミ  {V x(_j ∨ 〈\
. L/ ̄`ア............./ __)       X(_j.ハ \{  vり ハ  | 丿
    ./................  丿     {   { 乂_リ       、 {  }丿
   .く_厂\__/( ̄/    人   乂___       八  〈
           `7  /      `丶  <⌒   ‐ァ     l\ |
            .| /|  ./      V 个ト . __/  /  }ノ
              ∨人 〈\ |  |   } /___人   {___
              \〉^}丿__丿 ノ--]_    ‐--‐ ⌒
                  /        (0) `丶
                  .′      }、   {   \




                      . . : : ´: : : : : : : : : : -
                     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :`:.
                      /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
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                   /: : : : : : :/ : : /: : ; : /: : : :./ミヽ/:ヽ: : : : ヽ
               ∥: : : : : :7!i : : |!: : |: :|: : : ∥ `´~ヾ! : :、 : :.
               ∥: : : : : : l:|:!: : :!|: : |: :!l: : :l:!       |:|: : } : ハ    「私はただ乞われただけだ。
               ':!: : : : : : :l: |!',: :|:! ̄!:T-- l- '    |:l: :メ: : トl
                  l:l: 、一 =l: : : ゞー芹示ミヽ! |   /ー-/ |l::/ }    生まれ故郷で死にたい、と。
               |:|: : ヽヘ(`l : : : : |  乂rソ       !示ヽl |l; ノ
                 |:| : : : :\ l : : : : |          ゞ' /:!       それを非常に間接的な手法で叶えた。
                  |:l: : : : : : :.l : : : : |            / /: :|
              l:l: : : : : : : | : : : : !            / : :l         お前たちがやっていることの邪魔をした訳ではない」
                , | : : : : : : |: : : : : ト      -=,ァ  , : : : :.!
              ; :| : : : : : : |: : : :|: :| >      /|: : : : :|
               i: | : : : : : : |i: : : :l: :|    `  -: : : :|: : : : :|
             l: :!: : : : : : |l:l: : : :乂ヽ-…-/ : | ,,_ : | : : : |
               l: :|: : : : : :l !l:ゝ -彡イニニニニニニヽ.: :.:|
            l: :i: : : : : :j | ゝ= '/ニニニニニニニニム: : :|
              l: :l: : : : : jニ|ニニ/ニニニニニニニニニ=-: :|
             ,': :l : : : : 7ニ乂シニニニニニニニニニニ=-:|
             /: /: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニハ
          / :/: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニニ!



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             ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.`:.:―- ..、
           ,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ
              /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.、
           /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`、
           ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.://:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..、:.:.:.:.:.:.',
        ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::./ヽi、}:.,、.:.:.:.',
       /:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. /    `ー|:.:.:.:.:l
       ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._, `/ 、      .|:.:.::.::l   「それなのに、なぜ私はここに連れてこられたのだろうか?」
       ,':.:.:.:.:.\.l:.:.:.:.:|/i/ //、   _\     |:.:.::.:.l
       ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l. |// `'''ー'`   ,,-‐-j:.i/:.:.j
      ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l            /、_,´/::.|:.:/
     ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|、    、     i/:.//|/
     ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ` 、    ー‐  イ:.:.:.:´i:.:.{
    ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:  \_  イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
 _,,..r''´ ̄`''ー-ノ`|:.:.:.:.:|__/=、,,、|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ー、:.:.:.:|―‐〈_、;;;r 、`ーr'`ヽ:.:.:lヽ:.|




                    /               }  -┬-ミ
   ___厂`丶      /          ___ {_/  |   `丶
  く___..................\   /        -‐ァく_  }      ノ     \
     \................ \ /      /  /    \}___/           )
 く ̄ ̄ ̄ ̄`丶.........{_     /   /          `丶     く ̄
.   \厂\..............\.............\/   /         |   |    \   \    「ごめんなさい。
       └-ミ..........}...............|  /     { l  |    ハ    \   }
         }.....{_............| {     {_」L/\  /rぅ|丿 {   } /     本当はあなたを殺したくはないの」
          〈................}.......∧{__      {.斗ぅ爪^}/ リ V / 乂__-‐
           ̄\.く..........}    }   {乂_.ツ ノ′  ' }|
                └-ヘ.丿  /      <⌒    ,ァ  .ノ
              厂 ̄  /            `丶   人
             r--┘ 〈_,/   {  ‐--‐く ̄`丶ノニ爪(⌒
           ノ  __丿人    {   ___.ノ   \/
        く___/        \ 〈\く         ゚。
             ̄`丶--‐  }丿  )       |
                        〈         丿、
                      ノ\__    __/┐ |
                   └-ヘ.__r-冖-ヘ._/ 丿



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                             _,,,,,,,,,,,,,___
                             _,,.-‐'''´      ̄`ー,-.,,__
                         ,r''´  ,, ''  ,r'      `  `ヽ、
                     . ,r''´ ,, ''   ,,r'´,. '  ,, '   ,     `ヽ
                     ,r'フ ,, ''   ..:;;r''..:; ',  ., '' , '  .;
                   ,r',r'’,,.'', '.:..::,r'7"..;: ', ' ..,::' ..;:'    ;';..
                  ,f /., ''., ' , ' ,r',r'’.:;:'.,.' .::..;:'  .:;:'   .: ;: ;::.
                ,/,イ,/ ,,/ .,f /..:::;/,/ ..:::;:'  .::; ..:   ..:::;: :;:::.   :.
                    レ/,i' ,イ ./ /.::;;イ:;i'.::::::;i ..::::;'..::   .:::;: .:;::::. :..  ::.
                    レ レ/ / /.::///i.::::::;i .,'.::::;:'.::;'::  ..::::;: .::;::::: :::::.. ::      「だが、お前は確実に私を殺す」
                   i / ./.:/// ,!::::;i' ,.'.::::;'.:::;'::::  .::::;:. .::;:::::..::::::::::
                 _,ノ レ' f/ ,i`、;ii ,i.:::::;'.:::;i::::::. .::::::;:. .:::;::::::::::::::;::
             ┌-‐''´     `ーi、:;/i;/!:::::;i::::;i::::::::. ..:::;:;::..:::::;:::::::::::::;::
                 i        .、/ ヽレ !、::;!l:::;!l::::::::..:::::;:;:::::::::;:::::::::::::;:::
                  ヽ        `、/`、 !:`!:i:::!:i;i;:::::::.:::;:;:::::::::::;::::::::::::;:::
                  fヽ        `ー‐ヽ v`:!:l::l:::'i:::::::::;:;::::::::::::;::::::::::;::::
              ,! ヽ           !::i;!::l:::::ヽ::::::;:;::::::::::::;::::::::;:::::
                i              l :::::::!:::ヾir'、::;:;':;:::::::::;:::::;:::::;:'
             ,!                i :::::::l ::::::l´k ヽ:::'i::::::::;::;:::;:':::
              i                 l :::::::! ::::::iノ ,/::::f:`:、:::::;:'::i::::
                 `ヽ、           l ::::::;! ::::::i_,/::i:::::i;:::::::Y::::::;!:::
                     ̄i'''‐-._   --‐‐'´l ::::::i ::::::i:::;::::!::::f:、:::::i:::::;i:::::
                     l::::::;::::ヽ      ! ::::;! :: .:l:::;::::i::::i::::`:、i:;/:i:::::
                   !::::;::::::::.i     l :: ,i  :: .:i:::;:::::i:::ヽ:::::::i:::::i:::::



             _
           /,イ         ____
            ,.イ://::{     ,.   ´      、
         /:/{//:::::| _,.. - ´           `ヽ、
          /://:\:::::|'                   \
.         /://:::::::::\{        ____         \
       /://:::::::::\:::ヽ、{ ̄\ ̄∨ ̄\::/ ⌒\_,       ヽ
       /://::__,_ ´ ̄\\_/:、: :\__/ ̄`ヽ、/=ミ__   〉      「ごめんなさい」
     /´   〈 `ヽ、_/: ,|-/ ', : |、:,ム斗:l : : : |\__〈 ̄` <
           /ヽ  /: /:/:l|: l  |:|:|,ィt≠ォァ : : : |:、: : : :\   〉
          \ ∨: :{: |: :lィ=ミ、}从 弋ヒソ/}: : : ,'^∨:、: : :{\/ヽ
            }/:/: 从、: ムVj        /: : :/、_ノ:}: :\:∨_>'
               /:イ: /: /}/叭 '  _    ,': : :/|:ー': :|: : :|:ヽ} 、
           {:/: /: /:/:从ム、 ` `  /: : / l| : : / : : |:/ニニ\
             {: /イ}/   }/ ≧=-く{: :./-;/ : イ/}: :/}二∧二\
              /:イ       /rミ≧「∧∧:{ //勹ー:/イニ// ∨ニニ\
                 ,.ィ^}_/:/}::::/ヽリ ///_乂⌒}/////マニ二 ム
                    / ,'イ//::「 }/} ∨イ_乂     ∨////}二二 }
              _/   / /::::/:::::|/ イ }/       \// |二二/
                「´   {∧::/:::::/}    |          \/ニ二/
                }    | { `\:':::|    |           〉二/
              /_\、  / _ー=\|   /             /二/
              /{イ/\,' <o_,>   〈   、   _/ / ,'ニ/
               / 〈イ_〈 <o_,>    >=介==== < / イ



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                      . . : : ´: : : : : : : : : : -
                     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :`:.
                      /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
                  /: : : : : : :/: : : ; : : : : : : : : :_: : : : : : : \
                   /: : : : : : :/ : : /: : ; : /: : : :./ミヽ/:ヽ: : : : ヽ
               ∥: : : : : :7!i : : |!: : |: :|: : : ∥ `´~ヾ! : :、 : :.
               ∥: : : : : : l:|:!: : :!|: : |: :!l: : :l:!       |:|: : } : ハ
               ':!: : : : : : :l: |!',: :|:! ̄!:T-- l- '    |:l: :メ: : トl
                  l:l: 、一 =l: : : ゞー芹示ミヽ! |   /ー-/ |l::/ }
               |:|: : ヽヘ(`l : : : : |  乂rソ       !示ヽl |l; ノ   「私はここから逃げられないのだろうか?」
                 |:| : : : :\ l : : : : |          ゞ' /:!
                  |:l: : : : : : :.l : : : : |            / /: :|
              l:l: : : : : : : | : : : : !            / : :l
                , | : : : : : : |: : : : : ト      -=,ァ  , : : : :.!
              ; :| : : : : : : |: : : :|: :| >      /|: : : : :|
               i: | : : : : : : |i: : : :l: :|    `  -: : : :|: : : : :|
             l: :!: : : : : : |l:l: : : :乂ヽ-…-/ : | ,,_ : | : : : |
               l: :|: : : : : :l !l:ゝ -彡イニニニニニニヽ.: :.:|
            l: :i: : : : : :j | ゝ= '/ニニニニニニニニム: : :|
              l: :l: : : : : jニ|ニニ/ニニニニニニニニニ=-: :|
             ,': :l : : : : 7ニ乂シニニニニニニニニニニ=-:|
             /: /: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニハ
          / :/: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニニ!



         _____
、    ,...  ´            `ヽ、
:::\ /´                     ヽ
:::::::::\__     _    __    :.
::::::::::::::}/==}_ / ̄ \  / ̄ ̄ ̄\=}
:::::::::/ / \_   ! 〈    _,.-/  ̄ \
::::::/  /___∨:\|_> ̄: : :∨\  /        「あなたはもう神殿から出ることはできません。
:::/、- ': :/: :|: : : |: /、: / /: /: :,.イ: :;: : |∨ ̄}
、_/: : ': ::::|: : :下≧ミ、_, ': :,ィ斥ミ: /: : |: }_/           神殿の警戒は厳しく、壁は高い物と知りなさい。
  /: :/: : : :|: : : {瓧)ソ //瓧ソ/:イ : /: /
 ,': :/: : : : :!: : : |     ´  ,   ムイ}::/           神殿から出る時は処刑場に向かう時、すなわち死ぬ時です。
 { イ: : : : 八 : 从 、   っ   イ: /: :∨
  八: 、: : : ∧: : } >r-=≦; :/:/}: :}、|              あなたは私に殺される以外、道はありません」
   \}、:/ ̄从l \ {\}:_/:/:イ j: / }
    〈∨乂\   \   }ト、__,/イ
     /   `乂_、   \ |!〈-〈       _
   ,:       乂\  /_)、 }乂       「7_\
  _ {       ヽ乂∨ (_) ヽ/}_    r-ミヽ` }
  }:\r-、,.- ァ   }  }'      ∨:}    `7 ` /
  |:::/^\:::{_、  /          }イ  「::Y、__ ,:'
  <{_/_、⌒>        |  /{、:::Y/:ァ
   /::|    ,、_   r==;  = ∧ ´   /}/イ
___{::::::{    {:::::::::::::::::::::::::::::::::,::_」  /
::::::::::\:|    |、::::::::::::::::::::::::::::::{  . '
::::::::::::::::,   {   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「ー ´
:::::::::::::::l     |          \



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                      . . : : ´: : : : : : : : : : -
                     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :`:.
                      /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
                  /: : : : : : :/: : : ; : : : : : : : : :_: : : : : : : \
                   /: : : : : : :/ : : /: : ; : /: : : :./ミヽ/:ヽ: : : : ヽ
               ∥: : : : : :7!i : : |!: : |: :|: : : ∥ `´~ヾ! : :、 : :.
               ∥: : : : : : l:|:!: : :!|: : |: :!l: : :l:!       |:|: : } : ハ
               ':!: : : : : : :l: |!',: :|:! ̄!:T-- l- '    |:l: :メ: : トl
                  l:l: 、一 =l: : : ゞー芹示ミヽ! |   /ー-/ |l::/ }
               |:|: : ヽヘ(`l : : : : |  乂rソ       !示ヽl |l; ノ     「……」
                 |:| : : : :\ l : : : : |          ゞ' /:!
                  |:l: : : : : : :.l : : : : |            / /: :|
              l:l: : : : : : : | : : : : !            / : :l
                , | : : : : : : |: : : : : ト      -=,ァ  , : : : :.!
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             /: /: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニハ
          / :/: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニニ!




        厂 ̄`丶
          /..//............\     -‐‐‐‐‐‐‐- -‐‐-ミ
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        /..//..............................                `、
.       /..//.................................|       -‐ァ'^⌒ヽ     j
    _」..//.........................r‐‐-ミ_r--┐   {‐-ミ   }_ /
   /....//..........................人 /   {__/   `V   `丶
.  └-----------‐   )′  /   |   | └--‐ '⌒ヽ
    {   r‐---‐ァ'⌒′  { /  |     |     V   丿      「……」
.     \  \  /    {  {∨‐‐- ∨  厶 - }  | ‐く
        \_丿/      {   { rテ芋ミ }/rテぅx}  j__)
        (__//      {   { V.り     vり /  〈
         /   |   {   \       ' 厶イ|.
         .′  ∧  {    }  ‐-    八 | }
        ノイ  { ゚。  V   /       /、   | 丿
         人 {  } 丿 )'′ _,〕ニ爪 V )ヘ.丿
              \〉 厶イくr'⌒V´     _」_ノ ̄`丶
                   _」r┘  l{     く_/     |
              / └┐__人   r┘/     |
               |    く_r (0)ヘ._」/      〈



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                   入;:;:;∧  ̄ ̄ i . /;:;:;:人
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 ヽ:.:.:.} ̄ヽ_ノ: :./: : : {ィュ-、`l: :.!: : |: : :ト、ー,         「分かりました」
   /__/: :/: : {: : {:ム弋)ソ` ヽ}__:リ: : : : l、/_
   ヽ_/: :イ: : : :、: ム、      、 fj,:'イ: : :.ト, /
   ,/: イ:.{: : : : :`ト: :\  -  /:/:イ: / リ´
    {:/}: :/l:ヽ、: : :|  ̄ ヽ _ , イ:イ/:/
   {' リイl:,.、-' ヾ:j\ 、 |-、: :{: :l: :{
     }人フ、\    \  | Vフ`ヾ!
     / .`}ニ\\  / >'-、 lトフ、
    ;'   ヾ、_\`´ / o \!ヒ}\
    /      `ヒフ´         ',  ,}     _
    !        l     o   l ,/    ,..:.:.ヽ_
   ヽ __,.-、  ,イ        , {、 _,r-:.:.:.:.:.:.:.:.:.{
     }:.{}:.:{77} !_    /  / >:.:.:.:./:.:.:.:.:.:., - ´  ̄`ヽ、_,..ィ
    /ヒ人フ{>_ヽ }:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ソァ ̄ ̄ ̄´          /
      |   | ヒフ/ オ、ー 、ォァ、ゝ/
      |   | / `ー ' `¨´ー' ´



281◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  そのようにして一回目の面会は終わった。
  
  短い間だったが、私は疲弊した。
  
  私は月を見上げて祈りを捧げた。
  
  だが何を願っているのかは自分にも分からなかった。




                                   '. ,、
                                 '.,` 、
                                  '., ヽ
                                      ',  ヽ
                                       ',,;;;;;;; '.,
                                         ',.:.:.... ',
                                      ;;;;;,,::.:.: ',
                                      ;,.:.:.:..:.. ;
                                      ;;;;;;;;;;:.:.:..}
                                    ,';;;:::...  ;
                                     ,'.:::.. .:  ,'
             、                      ,.',;   :.   ,'
                '.゙ .,                   ,,." ..:.:.:..   /
               、 ゙ ,,                   , .":::.:.:.:.:.:.: ,.'
                丶. ゙ 、.            ,,  ".:. :.:.:.:.:.:.../
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282◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff
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283◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私は最果ての村に使いを出し、女の夫を連れてくるよう命じた。
  
  女に対して出来る限りのことはしたかったからだ。
  
  しかし一回目の面会が終わってから三日の間は、私は怖くて彼女の牢を訪ねる気が起きなかった。
  
  私は妙に気まずい思いがして、アサクラをも避けた。
  
  だがある時、アサクラが私の部屋を訪ねてきて言った。
  
  「このままでいいんですか?」



                                                                 /
~、、                            γ´ ̄ ̄ ̄ ̄`丶                          /
  ``~、、                        ゝ   __,.  '′                        /  /
ニ=- __   `′ .,_                                                 /  //
__   ⌒ニ=-  _ ``~、、                                             /  //
| |丁T=-     ⌒ニ=- _丶、                                        /  //
| | | | | |:|:| 「丁T=- , _   |  ``ii─┬ ______________________/  //
二..,,_ー-: | |:|:|:|::|::|::「丁:|::|    ||   | |`i¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨|  //
| |::|::|丁ニ| |==-⊥L_|: |::| ̄~^"||─ | |_:|_____r‐ーー┐__rーー‐┐____________|//
|_|::|::|::|::|::| | | | | | | | |:「|::| ̄~^"||¨¨ | |‐|‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐|:| ̄ ̄|:|--|:| ̄ ̄|:|‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐イ
「「 丁iTT| |¬====ー|::|   _||_  | | :|          |:|====|:|  |:|====|:|     | ̄ ̄ ̄|   |
| | | | | |:|:| | | | | | | |::|:|:|::|T丁「| |~| | | :|          |:|__|:|  |:|__|:|     |      |   |
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-┬¬Ti「| 「「|: | | |:| |::|:|::|ニニニニTi「ニ=-ーT「 //   __| ̄|____   |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: | |
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-┴_ ,二┤ |iT丁|::|::|:,,|」|::|    |-| |  | |_||_.| |    |── |── |──| |/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  \
T「|i:| |:|:| | |_」⊥-_二┬|::|    |‐| | ̄|_| ̄ ̄|_| ̄ ̄|___|___|__|/                \
|_|」⊥┴::| |┬T「| | |_|Li::|__|-|_|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .:.:/                  \
_┬T「:|:|::| |:|_|」 ┴¨_ ‐二: : : : : : : : : : : : . .               /______________\
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284◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



 /     /  〃/   イ f``ヾー "´´ | |   l |   │    !
ヽ|   l   |   | !|    :| |        | |   l |   │   ! !
ヽ|   l   |   | !|    :| |        | |   l |   │   ! |
ヽ|   l   |   | !   | |_      、__| |   :j ! |    |   |i| |
!∧  l   l   _jzム≦た!ニf'"    ヾにj≧kムj、|     j   リ| |     「初めてのご友人なのでしょう?
li '、  !  ヽ'" | j \  l {        / /  /丁7    /   / | |
|:  ハ ヽ__ト、ィ''チ示アミー       フイ''テ圷、/   :/  ,' / j/     出来る限り顔を合わせなくては後悔するかもしれませんよ」
|:  { l`、_,,ム<{イ f::::`イ}         { f:::::`イハ>┬='_/ノ
l   ヽl    ! V^tzc'         V^tzc'  /!¨´  「
| l   l     l  ゝ=='-            ゝ=='´ / i     |
| |   |     |!           !          / !     |
| |   | i   ハ、        '        /  i.    |
| |   | i    !ゝ、      cっ       ,. イ  i    |
| |   | l    ',   i> 、       , ィ<1/  /     i|
| |   | ∧.   ∨ i|.  > 、 __,. < l //  /     i|
| |i  ヽ ヽ    Vi|             | {/   /     八




                    /               }  -┬-ミ
   ___厂`丶      /          ___ {_/  |   `丶
  く___..................\   /        -‐ァく_  }      ノ     \
     \................ \ /      /  /    \}___/           )
 く ̄ ̄ ̄ ̄`丶.........{_     /   /          `丶     く ̄
.   \厂\..............\.............\/   /         |   |    \   \    「アサクラは怒ってないの?」
       └-ミ..........}...............|  /     { l  |    ハ    \   }
         }.....{_............| {     {_」L/\  /rぅ|丿 {   } /
          〈................}.......∧{__      {.斗ぅ爪^}/ リ V / 乂__-‐
           ̄\.く..........}    }   {乂_.ツ ノ′  ' }|
                └-ヘ.丿  /      <⌒    ,ァ  .ノ
              厂 ̄  /            `丶   人
             r--┘ 〈_,/   {  ‐--‐く ̄`丶ノニ爪(⌒
           ノ  __丿人    {   ___.ノ   \/
        く___/        \ 〈\く         ゚。
             ̄`丶--‐  }丿  )       |
                        〈         丿、
                      ノ\__    __/┐ |
                   └-ヘ.__r-冖-ヘ._/ 丿



285◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff


                .、  ,ィ: :、
              ィ´: : :.マフ: : : : \:、
          r=彡": i: : : ヘ ,:ヘ: : :i: : :`=ミ:、
         /: : : : : :.:|:i:.:∧::v:::::!: i:|: : : : : : ‘,
        /: : : :i: : : :|:l: ト-‐'…}i:.l:|: : : i: : :. :.',
        /イ: : i: |: : :!:|:l: |     .::!从: : :.|: : : : :.:.
       {〃: : ハ:|: i: !斗=ァ   ャ≡ミ: :イ: : : :.:.i
       ハィ: :i::l:|:才√ヾ_     ハノ__ }`ハ: : :i :r       「何をですか?」
        リ: :|:ハ:{´,ィチ芋    :笊ミ:く}: : ;ィヘ.
        √ヘハ:i `乂tリ       弋tソ"レ:': :.!: ト.
        /: : イ: :圦       j       .′:.:.|:.:ハ
       .:イハ∧: : ヾ:、     _ __,   〃: : :ハ/:.∧
       {/Y7: ヽ: : :マi丶   ー    /}/: :/: 〃: : :.
       〃/: : : :.入_:ゝ: :}` .__ . イ: :〃イ.:.:./: :i:. :.:.、
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...//................. \        / ̄ ̄\    / \
..{{...................._rく二ニ-‐ '   /     __厂 ̄      |
‐----‐ァ'       }    |____/ .斗ぅ爪    |    「私が異教の女と親交を結んだことを、よ」
‐┐  /___     }.斗‐‐‐┘    /V..ソ } 丿   ノ
. └-┘   \__/´.斗ぅ爪「\   /   厶イ  /
      |    l  く 乂...ツ   \{  、  { V
      人    |    乂____         人丿‐-ミ
)ヘ、 /   )ヘ. |      <⌒    r ア /_r┘     \
  /     ∨ ‐-ミ   \  . ____/ く  〕      ∨ ̄〕
. |             `丶   }‐-v′ r┘{         |__r'′
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.          ∧∨:./:.:.:./:.:.:;':.:.:.:.:∧ヘ/i:.:.i.:.:.:.i:.:.:.ヽ     「怒っておりません。
       ∧:.|!:.:.!:.:.:.:.!:.:.:.!:.:.:.:.:!´`'"´`i:.:.l:.:.:.:l:.:.:.:';'.,
         }:.::.|i:.:.|:.:.:.:.|i≦廴リi:|    |:.:リ:.:.:.|:.:i:.:.!:.i     我々の教えが、そうしたことを禁じているのは事実です。
.         {:.:.:.:|:|:.:|:.:.:升i:.:.!i:.:.ハj    辻≧:/:./:.:.i:.:!
.         lヘ/ヘハ、:|≦斤乍     /廴レリノ//:ハリ.    禁じているというよりも、他の神の存在を一切認めない、
      ,'i:.ヘ(|:.:.:.:.:.:| `弋少     升仆ヘ/:/.:ノ
..     ,':i:.:.:.:l|:|:.:.:.:.:|         ゞ少 /ソノ.         と言った方が正しいでしょうか。
     ,':.:|:.:.:.:l!:l:.:.:.:.:.l     __  ′  /:.l: |
     /:.:.:!:.:.:.:.!:l!:.:.:.:!:!、   ヽ ノ   /:.:.|i.:|.         けれども、何にせよあなた様はまだ成長の過程にあるのです。
     /:.:./|:.:.:.:.:!:.i!ヘ:.|i| \      <:.:.//:|
    /:.:/:.:|:.:.:.:.:.:.:i:.:.ヘ   ` ー <|:.リ:|:.:.://i:.|        様々なことに触れた方がよろしいでしょう。
 ..< ̄`ヾハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヘ      ト、ヽ∨|:.//:.:!.:|
/´  ヽ : : ∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ、_,、-"¨'ーヘ_i:.|/':.:.:.:.':|_        それに……」
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           ヽ从リ: |: : > _ . </{':从/
              ヽ,-、 ノ    |ィヽ、
         r_7ヽ''  ̄`ヽ \   Y   `ーrイ
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287◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff

                                __
                          ____/.::::.`ヽ、
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               /.:::::::::/.::::::::::::::::::::::::::.\ト、::::::::::.\::::::::.、::::::::.ヽ
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            〈:::::::::::::'::::i:::::::::{:::::::::::::|::「``′  ヽ、:::::::::.ヽ、::::ル′
            {::\::::::i:::::|:::::::::{:::{:::::::_|::|    /-}‐ヽ:::::::i} }/     「私もまたあなたと友達でいたいと思っているのですよ、
            ∧:::::.\i:::::|:::::::::{::::X:::_」ニゝ   , x=ミ}:i:::::リ,
            {:::.\::::::',::::l::::::::::V:X,≧ゝ      爪,i{刈:::/∧     レミリア様。 友人の友人は、我が友です。
.              ヽ::::::.\:.ヽ:::.\/:ィ:爪_j`       ヒ::リ ル'.::::::::.
             }\:::::::Y|:::ー-ゝj{:::し:rヘ      、`゚^ |:!:::::::::::.    ですから我々は彼女を丁重に扱います」
.               }::::::`ト:{ヘ::::::::::::. `ヾrジ       ,   从::::::::i }
              /|:::l::八:.ヽ._、::::::::::.、      ー  ´  イ:':ハ::::八
           /.::|:::l:::::::.\:::::.\::::::.\        〃:l:/}::::}∧:. ヽ
             / .:::|:::l:::::::::::::.\:::::.\::::::.\.  __ イ'.::::|' 川j' !::.
            / .::::::|:::l::::::::::::::::::..\::::..`=‐-=ミ_」:_彡'.:::::ノイ::从 |:::i
       /..:::::::::::::|:::l::::::::::::::|::::::::::.ヽ::::::,二ニ=-‐‐=ミく ノ::/ } 川
       /..:::::::::::::/.::川::::::::::::::|:::::::::::::::|::::|/: :/      ヽ::..ー-=彡'ノ




                       ///ハ/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ー- 、
                      j//>'" ̄ ̄\   / ̄`丶 \
                    _」/厶ャ=¬ミ    ̄〕      \`、
                     厂Ⅵ{///   \  〈/⌒丶、   い
                      {//)八/       └-=彡    \_  人\
                    ,≫'⌒〉    ⌒ヽ         |⌒> 〈  〉
                / __」    ∧从    ⌒ヽ  乂   ∨
                   j///     〃ぅk     /}/  |    `ト {        「ありがとう」
                \V   从 \Vツ \/ テぅkリ /  j//冫
                   /  イ  〈⌒''''      ∨ツj /   ∨く
                 И 从 八   r=ー 、 '''' 仏/   \〉
                   |/ ∨/⌒Zゝ ノ  イj从∧/\(⌒
                         r/   ク>'" ̄  八 \_
                    /乂_/〈 rく\ /   ⌒\
                       rく/   〔  イf゙ヽ   Ⅵ   /⌒Vハ
                    ノ >-=チ 八    ケT爪     Ⅵ
                      | /  / / 〈>-=彡ヘ 小  〈 リ    _____
          }\__     / /  / 人_辷___/∨〈   〈|____//⌒V人
           //////>--彳/  / /C=|=Cヘ 〈   ∨〉   V////    \j≫ー―‐┐
        ///////⌒∨ ,  / /  j|   ∨ 〈   \〉   ( ̄        \/////|
       /////jア´     ∨  /  j C=|=C  ∨ 〈    ⌒  〉           `ア///|



288◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff


                ___  ,......-- 、
      ___     /´            `ヽ、
      /:.//:.:`ヽ、/´                  ` 、
     {:.:.{_{:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ、                    \
       }:.:.//:.:.:.:.:.:.:.:/´`ヽ、_ _____,ィ´`ヽ、  \     }
    ..//-´:./ ̄/____ l ̄ ̄ ̄´| ____\ ̄ー-、  /__
.     l l:.:/    { /: : : : :l/       l{: : : :\` }    ヽ、  \
      ..、´`ヽ、   V: : : : : : : {_____,ノ: : : : : : V__, ――冫    \
.      :>、{  `ーl': : : : : : l: : l: : : : l: : : : :\:_:_:_:_:ヽ、: : : :\/   __ヽ   「私もあなたのことが好きよ、アサクラ」
         ヽ  /|: : :,: : :,-l―l、-,: : \: :、イ: ヽ: :-: : : ゝ: : : :lー-'    /
          l / ||: : :l,: : l: |: : :ハ: ヽ: : :ヽ、\ 、: :ヽ: :\: : : :.,:|  __,/
.           l/ リ: : :ヽ: :゙、: ィ示i心 リ`\ィ示心ミ: :l`: \: : :.!/
         `ヽl_!:l: : : \: 、弋z(ソ    弋z(ソ/: イ: : }: : :ハ: ,
           リ!ハ: : ,: ト,: :\_    '     彡': /: : /: : :} 、ゝ
           / ,r ヽ: :l: },: } _ `ヽ` ´  ,. ィ: :/: ,イ: : :/
           /   }: :/l:/ノ:,-ゝ-`- <!__,l: イ:/ l:.!: :/
             /‐- 、 l:/-=´-' \l     .|/ `ヽ--,--ァ_
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         /-、//// }_ソl:.:,   /:.////}、ヽ   l:.!__ノ   `ヽ、
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      〈::::::::!|::l:::::{::::::::_{::」:|L/      |::l:::::::::八:::::::.
        〈::::::::l:|::|::::」≠-r{‐‐l: ト、    ,::」|::::::/.::/.::::::|       「ありがとうございます」
      i:';:::::」{::|:::::|::{ x≦=ミ      7フTヽ:':::/.:::::;リ
      |:.∨ lヽl‐-l:〃ん.::i| `      ァミ刈∨.::::/
      |::::.ヽ|:::::::::::::i 込rリ      ん.:;リ 》厶イ
      .:|:::::::::|:::::::::::::|  , ,       ,  ヒrシ' ー=彡'
      ,:::|:::::::::l::::l::::::::|       __    , , /.::::::|
.     /.:::|::::::::八:l:::::N 、     、_ ノ    ,.:::::::::l:|
    /.:::/|::::::::::::::ヽト{  丶.         イ:l:::::::川
.   /.:::/_:|::::::::::.ヽ:::|::::.     ` r=≦:::ハ|::l::::/:::::|
 xく ̄ヽ:八::::::::::::::.\:::..、    _ト、 ∨.:::N:/.:::::::|
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289◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私はアサクラに大分勇気づけられた。
  
  両腕のない女は私のことを赦さないかもしれない。
  
  しかしそうだとしても、少なくとも私には誠意を示す義務があるはずだ。
  
  事が終わってから後悔しないように、出来る限りのことをしよう。
  
  私は覚悟を決めて女のもとを訪ねた。
  
  今度は神官たちも一緒だった。



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290◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私は女を牢から出し、共に神殿の庭を散歩した。
  
  女は歩いている間、一言も口を利かなかった。
  
  季節は春だった。
  
  風が吹き、樹々の花が散って宙に舞った。
  
  いずれやってくるであろう、その日のことを考えると私は憂鬱になった。
  
  それで私の思いは自然と過去へ向かった。



                                      (ヾ; ;ヾ:;゙;;ゞミ"ヾ;;;;; ゞ゛;ゞ:.; ;ヾ ;:;::;ゞヾヽ;;;:ヽヽ;;::
                            _          ゞ:;::;ヾヾ.: ;ミ;;ヾ ;:;::;ヾゞヾ.,;;;ゞヾゞ;ゞヾ;ゞゞ;ゞ⌒
                                        ヾ ;";ヾ; ;ゞ;;":::;;ゞ;;;゙。ゞヾゝヾ ; ; ヾ ;ゞ ゚ゞ;ゞ
                    ´                   ゞゞ;;ゞヽヾ:;::;;;ゝヾ;;::゚;;\:ヾヾ:;::;ゝ";;ゝ;;::ゞゞ
                                            ゝ.;;:.:";;ソ;;ゞ;;;ヽヾヾ::ミミ;;ゞゝ;;゙ゝ;;ヾ'';;
.      '                                          ゞヾヽ;;ィソ;;::ヾヽ゚;;ヽ::ゞ;;ゝ
,   ´                                   ー'             `ミ;;ソ::ゞヾ:::ゞ;;ゝ,)::
                                                         }::i!:
                                                   ,.:ヽヾヾ;ヾミミ;;:'ヽ;;゚ヾヾ
                     ´   `                    ..:.;ツヾヽ:;::;;;ゝ;ミヽ::ヽ:;::ヽ;::ヽ;;
                   ´         ` .   . .       、 ッ;;ヽ::;";;ゞ::'ゝヾ丶(;; :;:::ヽゝ;;';
               ´              .        .   ,,ィソ;;ゝ;;ヾ::ヽゝ;;';ヾ⌒;;:ゞヾゝヾヾ;;⌒
                         , '           ,:.。ゞ;;ヾヽミ::; ヽ "ヽ⌒:; ;ヽ::.;ヽ;;ゝヾ;;:;:: ;;
      ´                    .         ソ;; ::" "ゞ; ; ; ゞ゛;::ゞ:ゞ::";;;ゞ::ヽゞ;;\ ゝ;
                         ´   `    ン;;ミヽ.;ヽ;;ゝヾ;;:;:: ;;ヽゝ;;ヽ::.;ヽ;;ゝヾ;;:;:: ;;ヽ..:::ii
     ,        ´         ´   ,.;く";; ゝヾ;;::;::;;"へ;;;;⌒;;"ミ⌒::ヾゝゝ:; ;;".:.:ゝヾ;; ;::;;ゞヾ:|;;
    /ノ                     ,,.;,ゞゝソ;; ::".."ミ;;:'ヽ;;゚ヾ⌒::;; :::;::ゞ; ; ; :;\;;゚::;;ゞヾ::";; ; `;ゝ i|ヾ
   ..´                      ゞ;;;゙。ゞヾゝヾ ; ; ヾ ;ゞ ゚ゞ;ゞ :;::ヽゝ;;ヽ::;ゝ::;;ゞヾ:ゞゝ;;ヾヽツ;ヾ.ゞ",::;::
.          -         ,  ,.;.(::"(ヽ;::ヽ;;:;::ヾ;;⌒::.\;;ゞ::ゞ:ゞ;;ゝヾヾ;; ;ゞゝ; `;ゝ;;ヽ::;:;ゝヾヾ;;)ヾ;;; i|;;
                   、  ゞ:ヾヾ.:;ミ;;ヾ ;:;::ヾゞヾ.,;;;ゞヾ;;;ヾ.ヾヽ;;;ヾ; ; :;ヾ.ゞ",:ゞ:.(;;ゝ; ;;;.;;ii:i;;;:;i|
                        ,       ~       ゛ ゛; ゙ィ; ッ ゛゙i゛; ; ゙ィ゛ ゙`==rィ;、ー¨ ̄'=-イ
        、        、            ´                         ゙⌒イ'ィ=≦===、__
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291◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  この女と会った時、季節は暑い夏だった。
  
  日射しが照り付けてきて、私は麻の布を体に巻き付けただけの姿で、全身汗みずくだった。
  
  私は何もない場所というものがどんなものか知りたくて、疫病の流行で全滅した村を訪れたのだ。
  
  誰にも黙って置き手紙だけを残し、こっそりと神殿を抜けて私は旅をした。
  
  何日もかかる場所へ一人で旅をするというのは初めてのことだったから、私はかなり緊張した。


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从 MwM 从 MwMmwMwM 从WYWノM MWYMWノWYWノMノMYWWYWノM MWYMWノWYWノMノMY
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292◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  たどり着いた村はもぬけの殻だった。
  
  人々は一人残らず死に絶え、その体は運び去られた後だった。
  
  数々の家は内部に誰も擁しておらず、ただ空間だけがぽっかりと口を開けて存在していた。
  
  ここが世界の果てなんだな、私にはそんな心地がした。
  
  寂しいとは思わなかった。 というよりも、その場の寂しさが妙に心地よく感じられたと言った方が正確かもしれない。
  
  その心の在り方は、斬首の後に処刑台を立ち去る時の私の心情と似通っていた。



                        ミ               ,、,、
                  ハ    ミミミ  ミ      .:..    .:.:淡爻:,
     ,.,.,.           从ハ    ミミミミ ミミ     .:;';':.   .:淡淡戀ハ
 ^^'㍉'´.:.:.:ミx         从从   ミミミミVミミ ,.,.,.,. ,;;';';';';',, ,:淡淡戀淡
 .:.:.:.:.:シ.:.:.:.:ィzzzzzzzzzzzz/三三ヘzzzzzzzzzュミミミノ.:.:.:_㍉|// ,淡淡l戀l淡 ,;';', .....
-ミ;';';';';';';';'///气///////====ィ/////////∧∨.:.:/xヘ  ̄\Y淡戀鑾鑾淡;';';';',.: .: :..
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293◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  命を刈り取った後、民衆の喧騒に背を向けて立ち去る時のあの感じ。
  
  この世の命すべてに責任があるんだ、それも自分一人だけに責任があるんだということを噛みしめる時の、あの気持ち。
  
  そのような心の透明な在り方に、あの村の何もなさは通じるところがあった。
  
  無。 絶対的な無がそこにはあった。
  
  私はそういったことを女に語って聞かせた。
  
  私のことを少しでも知ってもらいたかったからである。
  
  だが女は頑なだった。 彼女は一言も口を利かないまま、その日は終わった。




                          -── ヘ
                      /. : : : : : : : : : :ヽ    
                         /.: : : : : :.j: :.|:.:ナ小}    
                          ,: : : : : _/ |: :|/ ィ八    
                     .: : : : :入`|: :|   .〉    
                      ': : : :.//.:.:>|: :|   f     
                        /.: : :.//.:.:/=|: :|` ー ′  
                    /.: : :./: /ニニニミ>ナ==テ:l|7
                  /.: :./:./ニニ/;;;/ニ/ニ/==/:::リ
                   /.: : /:. :/ニニ〃ニニノ=/==/: :/
              /.: : /: :/:.イニニニニ:/ニニ/==/: :イ
             /.//.:.:イ{;;;;;jニニニニ/==/==イ.: : :|
             /.//:.:.:./.小;;;;ノニニニニニニニニニj: : : |
          イ.//:.:.:.:.:/ニニニニニニニニニニニニニ/: : : :|
        //.: .: :.:/.: : : イニニニニニニニニニニニニニ/: : : : :|
          {/.: .:./'.: :/===ニニニニニニニニニニニ/: : : : : :|
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    仁ニニレ=====ニニニニニニニニニニニ/.: : : : : : : : : : : ノ
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  /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ/: : : : : : : : : : : : :.ノ
. /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ/: : : : : : : : : : : :/



294◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  次の日も我々は散歩をし、庭の四阿(あずまや)で食事を共にした。
  
  私は村の “無” について話を続けた。
  
  それは魂が立ち去った後の肉体に似ていると話をした。
  
  あるいは家財道具がすべて運び去られた後の家屋にも似ているかもしれない。
  
  「もしくは砕け散った陶器の破片」 女がぽつりと口に出したので私は問いかけた。
  
  「あなたにとって壺とは何なのかしら? 村人たちから生まれ故郷で死にたいという願いを持ちかけられた時、
  
  なぜ壺を使ってそれを解決しようとしたのかしら?」



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            ∥ r' ; '                   :     |Λ. . . .ノ: : . . : : \      }二ニ
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            ヤ         '′              ∥   ∨-\: : . . : : . .   . . . . /二/
              ヤ  ゙r': . : .゛ ,, ゙           ,  ' /    ∨二-_: : . . : : . .  . /ニ/
               ∨ : . : . : .      、   。,   '         \二二=- __ -ニ>''´
                   ; ': .; ': .、 ; ' ゛  。,   '  /         ``~=こ二二>''´
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295◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  女は言った。
  
  「私は若い頃、壺を焼くのに夢中になった。 本当は皿を作ってもよかったし、杯を作っても良かったのだが、
  
  なぜだか壺を造る方に心が惹かれた。 あの老夫婦のもとから離れ傭兵団に入ってからは作陶を辞めたが、
  
  金を出して壺を買い求めることは続けていた。
  
  私が好んだのは、壺の口が小さく、真ん中が底よりも膨らんでいる丸い物だった」
  
  女は続けた。
  
  「中に何を入れる訳でもなかった。 時折水差しに向いたものはそのように使う事もあったが、
  
  私は基本的に壺を何にも利用しなかった。 それはただ容器としてそこに在るだけで充分だったんだ」


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296◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  話はそこで終わった。 私は女が口を利いてくれたことに感謝した。
  
  私は自分の部屋から、赤い壺と緑の壺を手ずから持ってきて庭に並べた。
  
  女はそれを見ると腰を下ろし、靴を外し、両の足の裏でさわって壺の感触を確かめた。
  
  これらを引き続き持っていてもいいかと私は女に尋ねたが、返ってきた答えは無言だった。
  
  女はひとしきり壺を触ると再び靴を履き、立ち上がってこちらに背を向けた。
  
  少なくとも持つことを禁じられてはいないのだと考えると、私の心は少し軽くなった。
  
  その日の面会はそれで終わった。




                                                 _,.
                                             _,. -'"
                                            _,.-'"
                                    _,.-'"
                                 _,.-'"
                                   _,.-'"
                                _,.-'"
                           _,.-'"                 __,,..-
                       _,.-'"              _,,..-‐''"´
                      _,.-'"               _,..-ァ'"´
                     ,.-'"             r‐'"´. ,.-'´              _,.-'"
                 ,.-'"            | . ,.-'"           ,.-'"
        r‐x―=''´                 _,.-'"          _,.-'"
        ゝ, イ´ ,          __,,,_,.-'"           ,.-'"
         ゝ才´,イ     _,..'"´_.-'"            /
              `ゝ-イ'‐‐''"´  ,.-'"                l
             ,..ニ,_ ,. -‐'"                   |
               {`                 _           !
                 >-‐-==、   _,,..-‐''"´ `゙" '' ‐-=二=イ
                    `¨´

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297◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  また次の日も我々は敷地内を散歩し、工房を訪ねた。
  
  私の使う食器を作っている場所である。
  
  最終的には数回使っただけで割ってしまう物なので、装飾などはほとんど施さない、簡素な物を作っている場所だ。
  
  女は陶工が皿を作る姿を興味深く眺めていた。
  
  そこで私は彼女の代わりに掛け合って、この女が壺を焼くのを手伝ってくれないかと頼んだ。
  
  陶工はそれを引き受けて女のもとに土を差し出した。
  
  彼女が土を辛抱強く足で成形するのを、私は飽かずに眺めていた。



                                            γ⌒ヽ
                                              乂__ノ
                                               ノLム寸h,
                                          xく/ Lム-寸h,
                                          xく/‐- ‐Lム-‐寸h,    _____
                                       r== xく/ーーー‐ーLム--‐寸h /{ー‐{
                                     ノ-xく/ーー-ー‐-ー‐Lム--‐ / __.{____.{
                                      く_xく/ー-‐‐ー‐-‐ー-ーLム-‐./ ̄/   / ,
                                    xく/‐ー‐ー‐-‐ー-‐---ーLム 〈  /  /寸h,
                                    xく/‐---‐-‐ーー-‐-‐‐ー-ーLム V_____/‐- 寸h,
                          ,,,、、-‐≠/777777777777777入ハ‐‐‐‐‐-----寸h,
                           厄厄厄厄厄厄厄厄厄厄厄厄厄厄厄厄厄厄ヘ>ニ二 ____
                          }Tエ工「 ̄「ヨ冖ニニ冖T!__j、__l______L { {T |__}    ,_ノ⌒  ̄
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                  //ニエ|-┴-‐____,|>ヨ十t| |{t二|:|{コニニユ__    __ノ ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;
                 </_r┴rー|ニ`‐-|{_l_l_|工>‐rェ| |{_l_l_|:|{‐― _r‐-  ノ⌒;_rへ; ; ; ; ; r'⌒X_ ; ; ; ;
              _____ [___r 、_ト__,|-tーー|{tl_l_|┼-ェt-j| |{_l_l_|:|{ーr _ ノ⌒(; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;
二ニ=-r‐=宀冖T¨¨「 十 [工」__j____| 」ニ|{_l_l_|_j__工___| |:()二,ニ,コー ん; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;rへ
  t冖  ,}  ̄ 工___,,L、、-┴''^^^^^^ ̄¨¨7冖宀=‐- ..,,,_ }_{/    戈; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ''"; ; ; ; ; ; ; ; ;
r-‐━y=-‐―ァ-‐ァ、       _,,,、,,,::''''"´   ,,;:''''゙゙"          _ノ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;
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298◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  それから連日女は工房に通い、壺を造り続けた。
  
  私もそれに付き合って工房に行き、彼女の作業を眺めた。
  
  壺造りは無言の中で行われた。 時と共に迫ってくる死の影に追われて、女はひたむきに壺を造り続けた。
  
  出来上がったそれらはいずれもでこぼこで味わい深い造形をしていたが、
  
  女は最後に焼いた一つだけを残して他をすべて叩き割ってしまった。
  
  「満足行く物が一つ造れればそれでよい」 と彼女は言った。





              _,. ィk=ニ二三ニ=ヲ‐-_;::-一=ー-、,._
             /´;ー;―;‐;-;-;-;--; 、; _`ニ三弌==-‐'´_;``ヽ
            f. . . . ;:,.、. . . . . . . . . .`. .`. . ̄. .ヾ, : : : : :;;;;;‘,
               {. . . . |il|ムi|. . . . . . . . .;r≦从;、. . . . . ',: : : : ;;;;;;;;;',
               | . . . .|il斗/|. . . . . . . . ;|li'´ノj 'l. . . . . . ; : : : ;;;;;;;;;;;}
               L;_ィァd斗/ll|; . . . . . ; : }|ij 'ィ ;ノ |. . . . . . ; : : : ;;;;;;;;;;;|
             ``~¨癶厂匕ミヽ;:_;,:j.|戈彡; :|. . . . . . ; : : : ;;;;;;;;;;;|
                      ``ヾ=辷≦戈}; . . . . . ; : : : ;;;;;;;;;;;|
                           `゙`~-癶匕.j:_:_:_:L;;;;;;;;;」


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299◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  最後に出来上がった物は口がごく小さく、真ん中が大きく膨らんだ壺だった。
  
  あの赤い壺とは異なり、足で作ったにしては歪みはほとんどなく、綺麗な丸みを帯びていた。
  
  彼女はその出来栄えに満足するとそれを牢に持ち帰って隅に置いた。
  
  「これは私の腹だ。 赤ん坊が無事に生まれたら割って祝福しよう」




                           __
                          {_}
                        ,,  --/ー'-\n- 、
                   ト-   _  ̄ ̄ ̄ || _ _,)
                      `lZfsx二ニニニ二- イ
                      , -z$鷲戔''””守ツ"´:::::::,ゝ 、_
               /、:::::::_,,.。rrⅷn ''''''ニニヲ毛,,xzzzz\
               /::::::`,g籖黑躋穐羇讀躊纐襷*・'”:::::::}i
                |i:i:g籖鬢i’.,.,   ̄i:i:i:i:i:i:i ̄ . di:。rrⅷNl}i
                |i㌢⌒'守靈℡%尨ki:i:i:i:i:i:i㍾顫顎穰蠻}i
               |”:::::::::::::Ⅷ欒躊囓讀i:顫麥・'”::::::::::”靑|
                   i{::::::::::::::::Ⅷ麥'::::::鸞籘鱒i”::::::::::::::::::::::}i
               i{:::::::::::::::::ヾシ:::::::::鍛$粤'゜:::::::::::::::::::::::}i
                   ∨:i:i:;:;:;::::::::::::::::::::霤籠}::::::::::::::::::::::::::;}i
                  ∨i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:钁fマ;:;:;:;:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/
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300◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  それから数日後に女の夫が神殿に到着した。
  
  彼は逞しい肉体を持ち、全身に呪術的な化粧を施した大男で、寡黙だった。
  
  彼は妻とともに牢に入れられることを希望したので、それを叶えてやった。
  
  女は近い内に死を迎える。 彼女を支え、勇気づけてやって欲しいと私が頼むと、男は静かに首肯した。
  
  男を女と同じ牢に入れてやると、彼は両腕のない女を優しく抱きしめて、その背中を撫でてやった。
  
  私はそれを見てそっと地下牢を離れた。



                           )\)\\ ┘\
                         -=彡 ::: \ \):::::::::{ ヾ、
                         //⌒ヽ::::::::::::::::::::::: ヽ: \_}}
                         {/  .ィ_ノ:::::::::::\ ::::::::: }::::::::::: `ヽ
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                     〃⌒7: /⌒㌧ノ゙゙゙゙゙゙'ー'''"Y::し1
                       / ::::::::::::〈q: :弋ッ _兆ィッ! :::: |i
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                    . -‐…‐ミ: :´: :〈: : :.\ ‐`¨´/} `ヽ  }
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              ,: : . . . . . : :/: : : : }‐…=ミメ、ヽ { .′彡'´ ̄': : .\: :‘,
                 , V: :__/: : : : /´ ̄. .. ..‐-ミ:∨/ _. .´ ̄‘,: . ‘, :
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.         〈 / /=ミ、 \ : : : : : : イ‘,:.:.:.:. :\‐<: : .: .: .:人: : :‘,_ノ i|:. :. :. :. :. : :‘
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       /'.′: : : : : : : i ア{        ヽ:‘, \ `ヽ_..: :个: ._ノア7 {  \:. :. : : : :ノヽ : ヽ
        Vi::| : : : : : : :/: : }       r{ /: : : : `'く: : : : : | : : /: ノ.: :}   i`¨¨¨¨´:. :.i: : : ‘,
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301◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  翌日、私はまた女を牢から出して共に神殿の庭を散歩した。
  
  長い無言が続いたが、今回は女の方から口を開いてくれた。
  
  最初に流れ着いた村の人たちは、自分に良くしてくれた。
  
  先代のガウラは脚と口を使って何でもできるように私を訓練してくれたし、家も不便がないように改築してくれた。
  
  村の人たちは食べ物や酒をふんだんに納めてくれたし、不自由は何もなかった。
  
  けれども、自分はあくまでも村という共同体が必要としている機能の一つに過ぎなかった。
  
  「私は畏れられ、遠ざけられた。 私という人間に興味を持ってくれる人はそこにはいなかったんだ」



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               ∥: : : : : :7!i : : |!: : |: :|: : : ∥ `´~ヾ! : :、 : :.
               ∥: : : : : : l:|:!: : :!|: : |: :!l: : :l:!       |:|: : } : ハ
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                  l:l: 、一 =l: : : ゞー芹示ミヽ! |   /ー-/ |l::/ }
               |:|: : ヽヘ(`l : : : : |  乂rソ       !示ヽl |l; ノ
                 |:| : : : :\ l : : : : |          ゞ' /:!
                  |:l: : : : : : :.l : : : : |            / /: :|
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            l: :i: : : : : :j | ゝ= '/ニニニニニニニニム: : :|
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          / :/: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニニ!
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302◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  だがそこに転機が訪れる。
  
  村を疫病が襲い、人々が全滅したのだ。
  
  「私は決死の覚悟で旅に出た。 また自分を雇ってくれるような村を探して放浪したのだ」
  
  そして彼女は最果ての村にたどり着いた。 人々は自分を必要としてくれ、仕事と報酬を与えてくれた。
  
  そこでもまた前と同じように村の外れに居座り、呪術を使って奉仕するだけの日々が続くものと思われたが、違った。
  
  「私に個人的な興味を覚えて近づいてきてくれる男がいたのだ」
  
  やがて二人は深く愛し合うようになった。



                           ,r-;ノ
                          ,/,r'    /!
                         ,!::::i,,,,,____,,,ノ::::::ヽ,,r‐'''''7     __
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                   ,/::レ ''´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`、
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                   レ '´7::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::fヾ;!`ヽ、
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                   ,r'´:::::::::::::::::::::::::;r' `、 `、`;´ , ' ,/ l;::::::::::::::::::::::`ヽ
                  ,/;/l::;/!:::::::::::;r''ト、 `__`ヽ'; ,' ,r' ,ノ,ヾr、:::::::::::::::::;;;:`、__
                 r'''´ レ ,/::::::::::::`i l、 `ー-ゝ,r 、_ノニソ,' f´ ,!::::::::::::::::ヽ`ヾ:ヽ
                 l!   _,ノ::::::::::::::::::l,`l`i ,r''7/i  i `ー 、f´レ ,!:::::::::::::::::::::`.、 ヾ;!
                 l! ,r''´::::::::::::::;;;:::-‐i`'、i ,rヽi___,!ノ`,! ',/i ニ:;;;_::::::::::::::::::::::`i
                 _,ノ;r'!;;r‐'''''´    i  iヽ ,r‐--‐‐、 ,/i i   ''''''‐-:;_:::::トゝ
         _,,..-‐‐‐---‐'''''''''<      ....::i :: i ` ----- '´.::! i::..   ,/ `ヾ;!,,,,_______.r‐‐‐-..,__
      ,r''´ ,r‐'''´ ̄''''‐-、    `、 .....:::::::;::':..! ::.ヽ ` ....  ´;'::;! ,!:::::::..,r'      ....:::,r-  --- ,,_ `ヽ、
    ,r''´ ,r'´     ,,r‐'''''ー、 , , , ,::...:::::::::;'..::: ヽ:::.ヽ::.  .:: ;':::;' /:::::::::::::::::......    ,r‐'- ,_     `ヽ、 ヽ、
   ,r'’ ,r'´    ,r''´  , - ' ''‐- 、`ー-::;;_:::::... ..::ヽ.::.ヽ:......:::;'::::; .:/:.. :::::::::::::;;r'''''7_,,r<__    `ヽ、    `、 ヽ、
  f ,f´    ,r'’  , '       ヽ    ̄''''''ヽ'''ヾ、`、::::;'::::;';r'ー---‐''''''´ .::;f´    `ヽ、   ヽ、    `、 `、
  l ,i     f  , '        ,r’ー--   ____   ,ノー‐‐<  _,,r‐  --‐‐ヽ       `、   `、    ヽ l
  l i     i          ,r' '´     -‐-、 `Y    ,!''´   --‐‐‐  ヽ            ヽ    i !
  ,!i    /i        _,r''´ __,,          `ヽ,  ,r' ´        ヽ、 ` 、           !    ! .l
  / i  r'''´ !     __,,r'フ'´ '´      -‐‐‐ --ヽ,i  ヽ,r''´        `、`ヽ、`ヽ、        ,! `、  ,! ,!
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303◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  男と女は夜ごとに秘密に睦び合ったが、それは村の人々からは隠さなければならない恋だった。
  
  「でも彼はこんな所まで私を追ってきてくれた。 私はそれを嬉しく思う」
  
  そういった女の顔は明るかった。
  
  女に強力な精神的援助があることを、私は処刑人として喜んだ。
  
  私は女が処刑台の上で無様に取り乱したり泣き出すところを見たくはなかった。
  
  もしもそういう態度に出られたら、我々は結局のところ重要な点で和解できなかったということになるからだ。
  
  すべての鍵は女が握っている。 私はそのことを再確認する思いがした。



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             .'.:./:.:.:.//`ヽlVヽY/l/´ '.:..:.:.:.:.',:.:.:.:.:'.
            .':.:,':.:.:.,':,'           .l:.:.:.:.:.',:',:.:.:.:.:'.
              l.:.,':.:.:.,':.l              |:.:i:.:.:.:l:.l:.:.:.:.:.'.
               j:.:lハ:.:l:/___,ノ  、___lー':.:./:/:.:.:.:.:.:'.
             .l_,,.',:.iヽ|ィt=ャ-、    ,ァt=ャ‐、,/l/:.|:.:.:.:.::.:'.
          / :}:ハミヽ辷リ        辷リ_ノ' l:.:.:.|`ヽ:ハlヽ
          `ヽ_j:..:.:.://l//      /l///|:.:.:.|  >.}:.:l
             j:.:.:,':.i:.:.ハ      !        八:.:|ー´ :ヾ.〈
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304◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  それからは安らかで静かな日々が続いた。

  ある時私は女に質問をした。 なぜあなたは緑の壺を手元に置き続けたのか?
  
  あれはあなたから両腕を奪い去った不吉な道具ではないのか?
  
  女はそれを受けて長い間沈黙していた。 考え込んでいる様子だった。
  
  それから言いにくそうに答えた。 あの壺は私に老夫婦のことを思い出させる。
  
  彼らは若い頃の私に親切にしてくれた唯一の人物だった。
  
  多分、私は未だにあの老夫婦のことを信じているのだと思う。
  
  裏切られたのは事実だが、それにも関わらず私の中には信じたい心が残っている。



                         _,. -――- 、
                       /´    -‐、 l -- 、
                    , -‐'        }ノ--、  \
                   /        /ヘ ヘ       ヽ
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                 , |  :!: /:、X ヽN  ,二/イノj: . /   ヽ
                  { |: { ‘: :/ニ     ィfヒ_ハ ヽく_/{: : : :  ',
                ヽ.',:乂//fヒ::ハ      ゞ--'  ニ }//\_: :   }
                / \ハ ‘ニ´ノ::}   ` ̄     〈 ノノ: :  /
                {: : ハ`T    jノ         ,  /:  /
                丶 :_::-!        , ヽ   /ー': : ァ'´
                  八__:、く `ー_ ̄  ノ  /: : ァー'
                     \_、     /__/:_:ノ
                          \__,ノ/  {ァヘ
                       /ハ   / /  〉、
                      / /ノ}  //  /  \
                    / / /   /  /     丶._
                , -‐'´ /  /  /    /           > 、
                 /l l /i⌒) j /(⌒\ /        /    ヽ
                  | | |  く / /  / Y       / /    /   |
                  |八 |  /V/           l / /   /  |



305◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私はお前と親交を結びたいと思い、あの壺を贈った。
  
  それによって私の心の中では信じる心と壺が分離され、前者だけが残った。
  
  私は物を贈るという行為を利用して、自分の心の整理をしていたのだと思う。
  
  そう女は語った。 あなたの役に立つことが出来て良かったと、私は答えた。



                             _,,,,,,,,,,,,,___
                             _,,.-‐'''´      ̄`ー,-.,,__
                         ,r''´  ,, ''  ,r'      `  `ヽ、
                     . ,r''´ ,, ''   ,,r'´,. '  ,, '   ,     `ヽ
                     ,r'フ ,, ''   ..:;;r''..:; ',  ., '' , '  .;
                   ,r',r'’,,.'', '.:..::,r'7"..;: ', ' ..,::' ..;:'    ;';..
                  ,f /., ''., ' , ' ,r',r'’.:;:'.,.' .::..;:'  .:;:'   .: ;: ;::.
                ,/,イ,/ ,,/ .,f /..:::;/,/ ..:::;:'  .::; ..:   ..:::;: :;:::.   :.
                    レ/,i' ,イ ./ /.::;;イ:;i'.::::::;i ..::::;'..::   .:::;: .:;::::. :..  ::.
                    レ レ/ / /.::///i.::::::;i .,'.::::;:'.::;'::  ..::::;: .::;::::: :::::.. ::
                   i / ./.:/// ,!::::;i' ,.'.::::;'.:::;'::::  .::::;:. .::;:::::..::::::::::
                 _,ノ レ' f/ ,i`、;ii ,i.:::::;'.:::;i::::::. .::::::;:. .:::;::::::::::::::;::
             ┌-‐''´     `ーi、:;/i;/!:::::;i::::;i::::::::. ..:::;:;::..:::::;:::::::::::::;::
                 i        .、/ ヽレ !、::;!l:::;!l::::::::..:::::;:;:::::::::;:::::::::::::;:::
                  ヽ        `、/`、 !:`!:i:::!:i;i;:::::::.:::;:;:::::::::::;::::::::::::;:::
                  fヽ        `ー‐ヽ v`:!:l::l:::'i:::::::::;:;::::::::::::;::::::::::;::::
              ,! ヽ           !::i;!::l:::::ヽ::::::;:;::::::::::::;::::::::;:::::
                i              l :::::::!:::ヾir'、::;:;':;:::::::::;:::::;:::::;:'
             ,!                i :::::::l ::::::l´k ヽ:::'i::::::::;::;:::;:':::
              i                 l :::::::! ::::::iノ ,/::::f:`:、:::::;:'::i::::
                 `ヽ、           l ::::::;! ::::::i_,/::i:::::i;:::::::Y::::::;!:::
                     ̄i'''‐-._   --‐‐'´l ::::::i ::::::i:::;::::!::::f:、:::::i:::::;i:::::
                     l::::::;::::ヽ      ! ::::;! :: .:l:::;::::i::::i::::`:、i:;/:i:::::
                   !::::;::::::::.i     l :: ,i  :: .:i:::;:::::i:::ヽ:::::::i:::::i:::::

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306◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  またある時私は自分の母親について女に話をした。
  
  私が母と会うときはいつも “謁見” であった。
  
  私は城の一間で彼女と裸で向かい合わねばならず、その間にはいつでも十歩の距離があった。
  
  私は母の手を取ることもできず、母が私のことを抱きしめることもない。
  
  そのような距離のもとで私は最近あったことを報告したり、母から仕事について心配されたりした。
  
  そしてある時そのようなコミュニケーションは不意に断絶されてしまった。 何の予告も説明もなく。



                   ,. -: 、, - .
.                 /`ヾ´< ̄`     ` 、
             / /      ヽ 丶  、  ` .
             /  /,′    ト、丶\  丶  ミ、
.             /    //  :     |l \ \\丶\ `ヾ=─- 、
           〈  ,イ/  i ト、丶八,  \ \\\)   ト、   )
.            ハ/ |   | ト、\\ヽ   }ヽ }  }ト、\个ハ /
           / (   l|   | | \\\ ノ厂个刈))ハ}|,乂
          {   {)  l|   | 抖扞笊㌃ヾ  ,ィ笊从ハ  }}ト、
.           ヽ仆、 八   八 乂弋ソノ    弋ソ 小}ノ 刈 \
          /八:::\ \   \ )       ,   イノ /}/个ぃ, \
            廴 \::}\ `ー=彡′    ,   ,.价仆}  儿八   )
          `ヽ ){ 乂)  )う介x.   ´   ,.イ ノリ八j/
               ハ {乂 }   ` ァ升彡'イ
                 ,. ⌒^ー一′    {
              /       `        `¨⌒丶.
                /          `ヽ  ´  .  i
            /         ,     ` 、  / 、  |      、
            ,′    /、,′     :. .:   ヽ|      〉ヽ
ニヽ、______.′    ,/ ,)!           ゙、      /∧ハ
辷__ァ‐──¬′    /   l    ::。    .    ::゚    //::::Vハ
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  `ー一'´ /     \     丶      ∧   |     {       }::::厂`ヾ::Vハ
     , "         ` .、    \   ,/ |__廴        |::/   }::::Vハ
     /            ` ..    `ー一'´  、.‐┐|           ;/    `ヾVハ
.   ,′        {       `  、       \\}{j               Vハ
   :            |        /\___, \ソ/                Vハ
   i          !.      /    | { } 「ヽ }/                    Vハ
   !            :._, 彡"´      | | | | ∧ノ                       }Vノ
.  ハ             '.             |_j_|_|_}                          }/



307◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  すると女も自分の親について話をした。
  
  私の母は幼い頃から私を疎んじていた。
  
  村の外れにある井戸まで水を汲みに行くのはいつでも自分の仕事だったが、
  
  帰ってくると必ず遅いだの水の量が足りないだのと文句を言われた。
  
  ささいなことで罰せられ、夜明けまで鞭で打たれ続けることだって珍しくなかった。
  
  それでも私は母を愛していた。 多分、そうなんだと思う。
  
  だから母の態度に傷つき、裏切られたという思いを味わっていたのだろう。




                                             l⌒ヽ.
                                             l/⌒Y⌒ヽ
                                         /. l  l 、  \
                                          /  ( l  l \  l
         __     _                    ,  '  /(  |  |   , l
       , (  \― '---`------------- ― ‐ '   ´  ,  '  (  ヽ|  |\  |
      (  \  ヽ―-,--------------- ― ‐  '   ´       .\ |  |、    |
     ( ヽ   、 ノ /                               /` |  l     |
     ( \  、ノ  l                           l   |  |.    l、
      \ _)- '   ノ、、                            、 |  |   .ノノ 、
      | |\     ノノ\                           |  |  / : : : :\



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308◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  今となっては母を殺したことを後悔している。
  
  私は母を殺すことで母を赦すことができたけれど、実は赦すよりも大切なことがあるということに今では気づき始めている。
  
  思うに、悪というものは殺して赦すか、野放しにして好きにさせるしかないのである。
  
  多分私はあの老夫婦やかつて私を捨てた男と再会しても、自分を裏切ったことを責めることはないだろう。
  
  それよりも今どうしているのかを聞き、上手くやっているのであればそれを喜び、
  
  状況が悪ければ共に悲しんでやることだろう。
  
  私は彼らの友達になることは、残念ながらもうできそうにない。 でも善き第三者でいてやることはできる。



                      . . : : ´: : : : : : : : : : -
                     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :`:.
                      /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
                  /: : : : : : :/: : : ; : : : : : : : : :_: : : : : : : \
                   /: : : : : : :/ : : /: : ; : /: : : :./ミヽ/:ヽ: : : : ヽ
               ∥: : : : : :7!i : : |!: : |: :|: : : ∥ `´~ヾ! : :、 : :.
               ∥: : : : : : l:|:!: : :!|: : |: :!l: : :l:!       |:|: : } : ハ
               ':!: : : : : : :l: |!',: :|:! ̄!:T-- l- '    |:l: :メ: : トl
                  l:l: 、一 =l: : : ゞー芹示ミヽ! |   /ー-/ |l::/ }
               |:|: : ヽヘ(`l : : : : |  乂rソ       !示ヽl |l; ノ
                 |:| : : : :\ l : : : : |          ゞ' /:!
                  |:l: : : : : : :.l : : : : |            / /: :|
              l:l: : : : : : : | : : : : !            / : :l
                , | : : : : : : |: : : : : ト      -=,ァ  , : : : :.!
              ; :| : : : : : : |: : : :|: :| >      /|: : : : :|
               i: | : : : : : : |i: : : :l: :|    `  -: : : :|: : : : :|
             l: :!: : : : : : |l:l: : : :乂ヽ-…-/ : | ,,_ : | : : : |
               l: :|: : : : : :l !l:ゝ -彡イニニニニニニヽ.: :.:|
            l: :i: : : : : :j | ゝ= '/ニニニニニニニニム: : :|
              l: :l: : : : : jニ|ニニ/ニニニニニニニニニ=-: :|
             ,': :l : : : : 7ニ乂シニニニニニニニニニニ=-:|
             /: /: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニハ
          / :/: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニニ!
           /: /: : : : /ニニニニニニニニニニニニニニ彡≧、



309◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff


                  _,.     ̄ ̄`  、
   ../, ̄:\ ,  ´ ̄ ̄´            `
   ./:://:::::::::::\                    \
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   .{:::{ {:::::::::::::}  /∨_{//__}: : :\__ノ: : |_,/⌒ヽ/
.    \:::、::::: 〈 /: : //: : ': : ': :/: : : : : : 、: :|:|: : :∨⌒ 、     「そうすることで悪のいる世界を、根底の部分で支えてやることが出来る」
  ..r::::r\/:::∨:': :': |: :_|:_:_|: :{: : : : :|:_:!」:_: |:|: |: : :. _ノ
  ..{::::{ {:::::::::::: {/|: |: :{: /{Ⅳ{:从: : : : }从}/从|: |: : :∨   \ 、
   .マ:::マム::::::::::::,{: {: |Ⅳ,ィチ丐ミ∧: :/ィチ丐Y}: ;: }、: :.     ∨\
    . \:マ::::::::::/ 从:{: :ム ヒ:i:リ ` ∨ ヒ:i:リ /:イ:/: :Ⅵ     }// \
    .//\-=:/  /:\:} 人    '    ムイ: : : : }      /////∧
.   ,'//∧ ̄  ,: :{: {: {: : :>  ` ´  イ: : /: : : : /    ///`ヽ/∧
   .//// マム  从 八: ヽ:}: :,.ィ} `¨´ ,ト、: {:イ: : :{: /     //イ   マ/ム
.   ////  /ム    /⌒乂{  \ / }l}フ⌒ヽリ___////∧   ∨∧
. //// ,、/' マ\_/   乂:,  ,ィ介、 //フ   ://////'  \}    ∨∧
. ////イ  l/、\_/   / 、∨乂__ノ∨イノ    \¨¨´ ̄`ヽ´ `ヽ  ∨∧
.,'///      /    ,:  /:::::::::\/  :.      :.         \ },//〉
.{//{        {     {  /::::::/::{::::::::::>  }     }          /イ//
.∨イ       \     :. \:〈:::::|::::イ   ,     イ}           ///
 ∨         〈乂>r- }   `ヒ|ll|フ     /、-rイノ'           //イ
.           /   / ,ィ、    ヒ|ll|フ     {|   |          /





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           /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`、
           ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.://:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..、:.:.:.:.:.:.',
        ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::./ヽi、}:.,、.:.:.:.',    「そうだ。
       /:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. /    `ー|:.:.:.:.:l
       ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._, `/ 、      .|:.:.::.::l    私はここに入れられて以来、ずっとそうしたことについて考えてきた」
       ,':.:.:.:.:.\.l:.:.:.:.:|/i/ /{ ソ > 、_\     |:.:.::.:.l
       ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l. |//`ー'- `   _,,-‐-j:.i/:.:.j
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310◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff


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     .┏‐-ミ  / ̄|/                 `丶
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      }}} ................. r-‐ァ^7       V{     {___/ ̄〉
.     /∥...............⌒L/ {/ ̄ ̄L.......ノ      |     く_
      .{...{{.................//   _)   /   |     ∧   {  _)
. r―‐‐-ヘ..\....../.../⌒7^     { .斗‐|-   7 厶   { /     「ある人が悪のいる世界を支える役目につくと、
丿......................>`^.......人        { .斗-ミ  {V x(_j ∨ 〈\
. L/ ̄`ア............./ __)       X(_j.ハ \{  vり ハ  | 丿    その人はどうなるのかしら?」
    ./................  丿     {   { 乂_リ       、 {  }丿
   .く_厂\__/( ̄/    人   乂___       八  〈
           `7  /      `丶  <⌒   ‐ァ     l\ |
            .| /|  ./      V 个ト . __/  /  }ノ
              ∨人 〈\ |  |   } /___人   {___
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        ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::./ヽi、}:.,、.:.:.:.',
       /:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. /    `ー|:.:.:.:.:l     「もうそれ以上何かを憎まなくても済むようになる」
       ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._, `/ 、      .|:.:.::.::l
       ,':.:.:.:.:.\.l:.:.:.:.:|/i/ //、   _\     |:.:.::.:.l
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311◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



     「私は無力で、いずれ殺されるが、
     
     そうすることでこの世界全体を支えているのだと思う」



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                             _,,.-‐'''´      ̄`ー,-.,,__
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                     . ,r''´ ,, ''   ,,r'´,. '  ,, '   ,     `ヽ
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                  ,f /., ''., ' , ' ,r',r'’.:;:'.,.' .::..;:'  .:;:'   .: ;: ;::.
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                    レ/,i' ,イ ./ /.::;;イ:;i'.::::::;i ..::::;'..::   .:::;: .:;::::. :..  ::.
                    レ レ/ / /.::///i.::::::;i .,'.::::;:'.::;'::  ..::::;: .::;::::: :::::.. ::
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                 _,ノ レ' f/ ,i`、;ii ,i.:::::;'.:::;i::::::. .::::::;:. .:::;::::::::::::::;::
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                  fヽ        `ー‐ヽ v`:!:l::l:::'i:::::::::;:;::::::::::::;::::::::::;::::
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                 `ヽ、           l ::::::;! ::::::i_,/::i:::::i;:::::::Y::::::;!:::
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312◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff
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313◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  御産が始まった。
  
  女が夜に陣痛を訴えて、神殿に控えていた産婆と医者が傍についた。
  
  私もアサクラに起こされて牢屋へ向かった。
  
  横になった女の肩や頬に男が触れて、元気づけている姿が見えた。
  
  やって来た私に女が訴えた。 私が最近造ったそこの壺を、逆さにして置き直してほしい。




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314◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私は了解して壺を逆さにして置き直した。
  
  始めからそのことを考慮して造られたように、壺は口を下にしたままバランスを取って立った。
  
  私は女の言葉を思い出した。 「これは私の腹だ。 赤ん坊が無事に生まれたら割って祝福しよう」
  
  出産は一晩中続き、女の悲痛な呻き声がその場にいる者の耳を長いこと支配した。
  
  汗が女の額や腿に浮かんでは落ちていく。
  
  苦痛が女の全身を蝕んでいるのが見て取れる。
  
  産婆は女を励まし、いきむタイミングを教えて出産を促した。



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315◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  女が腹に力を込めて顔を真っ赤にする行為を繰り返した。
  
  息を呑んで皆が女の股に集中する。
  
  やがて赤ん坊の頭が産道に見え始めた。
  
  大きく開かれた両足のはざまから、赤く濡れた液体と共に赤ん坊の顔がぬっと突き出てきたその瞬間、
  
  私は大きな衝撃を受けて体を震わせた。 女の産道は異界へと繋がる入り口であり、そこから新しい子が顔を見せたのだ。
  
  その者は狭い門をくぐり、特別な世界から現世に渡ってこようとしている。
  
  命という宝をたずさえて。





                        /   _,. 、
                       ./   /   i
                      /   i  _ -ー-  .,_ _,. '"
                       /   _,У"_,.ィ , /   `、、
                     / i   フ/ '´ '´ { ハ、 ! ヽヽ  /
                   /   i  7 ー‐''  、_`  }i !.i i ヽ ∨
                  /       /c ニミ...   _,,..`ヽ `∨} i ゝ
                 /   , -、 Y    _ '丶 ヽ`ヽっ  イ,!リ !} -  ̄
               /   /-ヽ)'、!   f  `¨ ヽ      {'/_ハ {
                  ̄`ヾ^>イ ヽ ゝ- 、 _ノ     _/う)ゝ` _
                      ̄ ̄ ` `ヽ、   r'三Y _、_ イ/´
                      i        `ヽf_Y、ヽ}'イ
                     i       _,.    ̄ ̄` ヽ、、  /
                     .!      /           \/



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316◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  赤ん坊は無事取り上げられ、元気に泣き始めた。 男の子だった。
  
  誰かが地下牢の窓から日射しが差し込んでいることに気が付いて、朝が来たことを宣言した。
  
  そこで我々は一休みした後、女を担架に乗せて庭に出て、日の出を眺めることにした。






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317◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  女が私に壺を割ってほしいと乞うたので、我々は庭に据えられた一際大きな岩の前に移動し、
  
  私が壺を岩に投げつけて叩き割った。
  
  壺は砕かれて粉々になり、破片はその場の土中に埋めることになった。




                             _,.ィ二ヘ,._
                         .ィヘヘ仁三三ソミヘ二三二ュ,
                       .ィヘ三二ニ=r f三>'"¨}三三三}
                    _,.ィヘ三「 r ヾ丶ヾ i二i ヘ三三三{ー`ヽ,
                _,.ィ二三三ir゙" ソ ア´ ̄ ̄`'丶、 ∨'´ ヽ,三三ハ
               l仁iノ二二三l .ィ´ iソ`ヽ>=一<`ヽ、 iヘィ仁二三三℡ュ,
               }三三二三三ヘ / / l/i /∀ゞ、 ヘi三≦三三二二℡ュ,_
               Ⅷ斤廿三三}≧ュ仁i l } { ソミ彡、ソソ二二三三二二二℡ュ, . . .:. :.: .: .: .:.: .: ..:
二二,,_,.、..: .:.. ;.;.:.: ; :.. ;.;. :.: Ⅵハ三/ ̄`ヽ,ヘヘi .l`ヾ、r=≦三二 iソソ三三三ソニ二二二℡ュ, . . .:. :.: .: .: .:.: .: ..: ―,.、__
 ̄ ̄__,、_ '` ̄ ̄ ̄:...   ゙̄'ヘ川∧=-‐-ニ三ミ>'゙¨ ̄ ̄  ̄`'ニ=ュ,.`' ̄ ̄ :.:. :.: .,.、__,:二=二二,,_,.、..: .:.. ;.;.:.:
 ̄.: ;;.: : ̄ ̄'`ヽ、_::     ,.Ⅵ三二≡=‐'"¨.. . .. . .    ̄ ̄__,、_ '` ̄ ̄ ̄:...   ̄ ̄'`―''"´. . ; :.. ;.;.:.: ; ,;__,,.、_,
              : .:.:: .:. :.: .:.:: :.    ___,.、.__    ――,.、__     ̄.: ;;.: : ̄ ̄'` ノ  ̄ノ ̄ ヽ ____.:.: .::
_;;'_,.、  .: .:__.                  ,;.:' ――'`―― ̄.-'`   ̄            r/   /  ///∧/∧.:: :.
  ̄ ̄ ̄.:.          .:.:: ; . , . ;: :.: :.: . . .. . . ..  :.:.: :.:   : .:.: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ _;;'_,.、  .: .:{!   _// {!,//∧/∧
 ̄ ̄ ̄'`―――           ___r―ァ―┐__   _ , , , , , , ,   _, , , , , , ,_ , , , , }! ミ 三(ミ {!/////∧/∧.:
               ,, , _, r‐へ人 /ー=lー┐   ̄ == 三三rへ  ー       / > ― 三ヽ厂 二 ヽ//ヾ
.:.:: ; . , . ;: :.: :.: . . .. .       r┤ミTフ ⌒ く Χミ コ  ___    ̄ ̄    :.:.:.:.:.: _ _ /     。 o   〈_∠〉  ̄ ̄>┐
      ̄ == 三三rへ   """" rァ ⌒  ̄ ̄         …       :.:.    |ト    V   """    _ ∠Ζ//,L
                :.:.:. _ ``   …    " " :.:.:.:.:.:.:.:.:.    :.:.:.:.:.:.:. ;  ̄ __|〉  人l |l ||  厂 ̄ 厂 / \Y∧7ハ
  .:.:: ; . , . ;: :.: :.: . . .. .   _厂ム \ :.:.:.:.  …:.:.:.       :. :.  ⌒ ̄   / ヽ   \/  人_{! \ ノ   ∨  ノ'/∧=-
  ――'`―― ̄.-'`     '彡三三7   :.:.:.= :.:.:.:.         :.  :.      r―yヘ   l}  三/ ミ/三三ヽ{_〈 ̄\彡\{!ヽフ /

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318◆NBJATnhEhM2021/02/27(Sat) 11:17:55 ID:33e620ff



  私はその場で厳かに女に告げた。
  
  二週間後に処刑を決行すると。
  
  女は担架の上で静かに頷くと、やがて寝息を立て始めた。
  
  我々は地下牢に戻り男と女を再び閉じ込めると、赤ん坊を医者に預けて眠りについた。



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