■2009/01/01(木) やる夫が宝石を捧げるようです。 |
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傑作郡まとめ
出演 やる夫 蒼星石 現行スレ【実験作】やる夫スレ短編投下所 No4 【練習用】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1230157594/ 参考・同作者さんの作品 やらない夫は青いネクタイをしたようです やる夫は新聞記事を読むようです やる夫は十億円を探すようです 455 名前:A HAPPY NEW YEAR 2 0 0 9 ![sage] 投稿日:2009/01/01(木) 07:17:23.85 ID:yJgNXAgo 大正七年十一月某日 ウラジオストック 。 o ゜ . 。 ゚ o 。 ○ ゚ 。 ゜ o o o o ○ 。 . ゜ ゚ o ゚ 。 o 。 。 o o . ゜ ゜ ○ 。 ゚ o ○ o ゚ o ゜ o ゜ 。 ○ ゜ ○ o o o ゜ 。 o ゜ . ○ ゜ ゜ o _\ _ ゜ 。 。 ゜ o _ ○ ̄ ̄ ○ \ o ゜ 。 / /  ̄ ̄|__ \\ 、 。 ゜ ゚ ○//。__| ̄ ̄ ̄ ̄ ∃ | | | l l ゜ ゜ 。 l l | | |○田 田 |田 | 。| | l ゜ ゜ 。 ゜ l | | | 田| o ∃○| | | |。 ゜ . .. ... .. ... . ... ...゜ . .. .. .. l |。| | | 田 田 |田 | | l‐ ..... .... ..... -| | | 田| ∃ | |○― .... o .... ○ ..... ― | | 田 田 o.... 一 .... ○ ... o .... ー- | 。 ―  ̄ o ⌒  ̄ ― - .... .... ⌒ o .... .... 視聴者カウント 某レストラン | ...:;;| | ...:;;| | ...:;;| O O O | ...:;;|二二i | || || |ヽi二二i | || ______,| ...:;;|_____ i ̄i || i ̄i | | ... :;;| | | | ...:;;| | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ \ \ 二二| ̄ ̄ ̄ ̄|二二二二二| ̄ ̄ ̄ ̄|二二二| ____ /⌒ ⌒\ ハハハハハ イヤ…失礼しましたお / (⌒) (⌒)\ さぞかしビックリなすったでしょう / ::⌒(__人__)⌒::: \ ハハア 乞食かとお思いになった…… | |::::::| ,---、 \ `ー' しE | アハハハハハ / l、E ノ / | | ( 丶- 、 ヽ_/ `ー、_ノ ____ / \ / ─ ─\ あなたは近頃、このウラジオの町で評判になっている / (⌒) (⌒) \ 風来坊のキチ●イ紳士が、私だという事を | (__人__) | チットモ御存じなかったのですね / ∩ノ ⊃ / ( \ / _ノ | | .\ " /__| | \ /___ / ____ /⌒ ⌒\ こんなみすぼらしい男が / (⌒) (⌒)\ あなたのような立派な日本の軍人さんを、 / ::⌒(__人__)⌒::: \ スウェツランスカヤ(ウラジオの銀座通り)のまん中で捕まえて | |::::::| ,---、 \ `ー' しE | こんなレストランへ引っぱり込んで、ダシヌケに、 / l、E ノ 「私の運命を決めて下さい」 / | | などと、お願いするのですからお ( 丶- 、 ヽ_/ `ー、_ノ ____ / \ / ─ ─ \ ……しかし私が乞食や基地外で / (●) (●) \ ないことはおわかりになるでしょう | (__人__) | ……さよう…… \ ` ⌒´ ,/ /⌒ヽ ー‐ ィヽ / ,⊆ニ_ヽ、 | / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | ____ / \ / ─ ─ \ お笑いになると困りますが、私はこう見えても / (─) (─) \ 旧ロシアの貴族の血をうけている人間なのですお | (__人__) | \ ` ⌒´ ,/ /⌒ヽ ー‐ ィヽ / ,⊆ニ_ヽ、 | / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | / ̄ ̄ ̄\ / \ そうして現在では、ロマノフ王家の末路に関する「死後の恋」という / ─ \ ヽ 不可思議な神秘作用に自分の運命を押さえつけられ | (●) (●) | 悩まされ続けておるのですお… \ (__人__) __,/ / ` ⌒´ \ _/ _______i | …実は只今からそのお話をきいて頂いて .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \ あなたの御判断を願おうと思っているのですお… / /__________ヽ \ …勿論それは極めて真剣な、且つ歴史的に重大なお話なのですお… / ̄ ̄ ̄\ / ─ ─ \ / (○) (○) ヽ !! | (__人__) | ……ああ……御承知下さる……! \ ` ⌒´ __/ 話を聞いてくださると… / ` ⌒´ \ _/ _______i | .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \ / /__________ヽ \ ____ / \ / ─ ─ \ / 。(一)::::(一)。 \ | 。 (__人__) 。 | 有り難う有り難う。ホントウに感謝しますお \ ` ⌒´ ,/ スパスィーバ /⌒ヽ ー‐ ィヽ / ,⊆ニ_ヽ、 | / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | ____ / \ / ─ ─ \ さよう……只きいて下されば、いいのです。 / (●) (●) \ そうして私がこれからお話しする恐しい「死後の恋」というものが | (__人__) | 実際に有り得ることを認めて下されば宜しいのですお \ ` ⌒´ ,/ /⌒ヽ ー‐ ィヽ / ,⊆ニ_ヽ、 | / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | ____ /⌒ ⌒\ そうすればそのお礼として、失礼で御座いますが / (●) (●)\ 私の全財産を捧げさして頂きたいと考えておるのですお / ::⌒(__人__)⌒::: \ それは大抵の貴族が眼をまわすくらいのお金に価するもので | |::::::| ,---、 私の生命にも換えられぬ、貴重品なのですが… \ `ー' しE | / l、E ノ / | | ( 丶- 、 ヽ_/ `ー、_ノ ____ / \ / ─ ─ \ このお話を信じてくれて、私の運命を決定して下さるのならば / (─) (─) \ 決して多過ぎるとも、惜しいとも思いませんお | (__人__) | \ ` ⌒´ ,/ それほどに私を支配している「死後の恋」の運命は /⌒ヽ ー‐ ィヽ 崇高と、深刻と、奇怪とを極めているのですお… / ,⊆ニ_ヽ、 | / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | ___ / ヽ、_ \ /(─ ) (─ ) \ 私がこの話をして聞かせた人はかなりの多数に上っております /:::⌒(__人__)⌒::::: \ ロシア人には無論のこと支那人にも、米国人にも… | l^l^lnー'´ | …けれども一人として信じてくれるものがいないのですお \ヽ L / ゝ ノ / / ____ / \ あんまりしつこく、誰彼かまわず話をして聞かせるために / ⌒ ⌒ \ しまいには戦争が生んだ、一種の精神病患者と認められて / (ー) (ー) /^ヽ 白軍の隊からおい出されてしまったのですお | (__人__)( / 〉| \ ` ⌒´ 〈 / ⌒^ヽ ―――――――― \ _ _ _ ) ____ / \ / ─ ─ \ ですから誰でもいい…この広い世界中にタッタ一人でいいから / (─) (─) \ 現在私を支配している世にも不可思議な「死後の恋」の | (__人__) | 話を肯定して下さるお方があったら、…そうして \ ` ⌒´ ,/ 私の運命を決定して下さるお方があったら… /⌒ヽ ー‐ ィヽ / ,⊆ニ_ヽ、 | / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | / ̄ ̄ ̄\ / ─ ─ \ / (●) (●) ヽ その方に「死後の恋」の遺品をお譲りして、 | (__人__) | 自分はお酒を飲んで飲んで飲み死にしようと \ ` ⌒´ __,/ 決心したのですお / ` ⌒´ \ _/ ______i | .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \ そうして、やっとのこと、あなたをみつけたのですお / /__________ヽ \ あなたこそ、「死後の恋」に絡まる私の運命を 決定して下さるお方違いないと信じたのですお ヤ……お料理が来ましたお ハラショ ____ /⌒ ⌒\ / (⌒) (⌒)\ __ あなたの御健康と幸福を祝さして下さい / ::⌒(__人__)⌒:: ヽ \ / 日本の紳士にこのお話をするのは、 | |::::::| | ,-||-、 最初なのですからネ…。 \ `ー' / しE | / l、E ノ …そうして恐らく最後と思いますから… / | | ( 丶- 、 ヽ_/ `ー、_ノ ところで一体、あなたはこの私を何歳ぐらいの人間とお思いになりますかお? ____ / \ / ─ ─ \ / (⌒) (⌒) \ エ? わからない?……ハハハハ | (__人__) | これでもまだ二十四なのですお \ ` ⌒´ ,/ 名前はニューソクデ・ヤルオ・コルニコフと申します /⌒ヽ ー‐ ィヽ / ,⊆ニ_ヽ、 | コルニコフというのが本名ですお / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | / ̄ ̄ ̄\ / ─ ─ \ / (●) (●) ヽ 最前も一寸申しました通り、私はモスコー生まれの | (__人__) | 貴族の一人息子で革命の時に両親を喪いましてから後 \ ` ⌒´ __,/ このウラジオへ参りますまでは、わざと本名を / ` ⌒´ \ かくしておったのですお _/________i | .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \ / /__________ヽ \ ___ / ヽ、_ \ /(─ ) (─ ) \ あまり威張れませんが生れ付き乱暴なことが嫌いで /:::⌒(__人__)⌒::::: \ むしろ戦争なぞは身ぶるいが出る程好かなかったのですお | l^l^lnー'´ | \ヽ L / ゝ ノ / / -------------------------------------------------------------------------------- ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; /⌒ヽ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; . ( ) ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; / /ノ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; / j{_) ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ´θ^θン)u ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; しかし、ペトログラードの革命で家族や家産を一時に奪われて 極端な窮迫に陥ってしまいましてな __ / ◎ \ ヽニニニノ /(●) (●)\ /^):::⌒(__人__)⌒:: ヽ / / | `⌒´ | ( ' ̄\ _/  ̄ ̄| = ̄ // | | | // | | すると不思議にも気が変って参りまして、どうでもなれ…… というような自暴自棄の考えから、一番嫌いな兵隊になったのですお それから後 幸か不幸か一度も戦争らしい戦争にぶつからないまま、赤軍のあとを逐いつつ ここから三百露里ばかりへだたった、ウスリという村へ移動して参りましたのが ちょうど今年の八月の初旬の事でしたお _,..、-''"~""''';,‐-.., `゙''ー-、,__,,..-‐''"'''- ._,,..-‐''~"~"'''''‐- ,__,,...-‐ '''"" , -'" ``丶、. ::.;;'' ;;:;: :::''::.;;'' ;;:;: :::''::.;;'' ;;:;: :::''::.;;''.:i;;:;: :::∧二ヽ;;:;:.∧二ヽ;;:i;;:;:.. ...::..:..:..::::..:..::.:..:...::..:.il.::::::::::l:ll=lll:::::::l:::l:::::::l::.:il::.:.... ...::..:..:..::::..:..::.:..幵幵幵||:::.:||幵幵幵幵幵:::..:... ', "゙ _,,.-‐''"_,,゙ __,,.. .-‐'''""~ ,,.. ''' _,,.-‐''" _,,.. ' ┌─┴┴─┐ │ウスリ村 │ └─┬┬─┘ ││ "''゙"''゙" / l .i, 'i、 / ! .|.! !.ヽ l / .| ! .l ! .ヽ l\ , ! / │ .| ! .ヽ.l, \ . l、 \ ! .! l| l / .,./ . l..l. \ミ/;;、.,゙;;xi..ii,i--――-l..,、 | l│ .l .l'"/了゙゙''''''''''.lヽ .`'!!r..,,._,,,`-ニニ二l、 ` .l.! .! ., .}゙.iiシ'┌'''Z,゙,゙'''x/.l、 !" .|コy ,,, |.,l′ │ l l ,iシl,.l. ヽ .l'Yくッ.! .\ ! ゙‐''゙'ジ゙/ r ., ゝ ゙lir彳 ..l,.l .゙―ー" `''  ̄´ /./ ! ヽ.!i、 ゙ l、 /. / ,l゙ / ゙'.乂、 .\ ゝ ,〃 ! / /l/ .| ll \ .\ _ ´ /./ / 〃 ! |l `'‐ ゙l‐ヘ、 ,!/ .i| l'!l゙ .! l.l .l.!゙7-、 _/´l|〕 .,l"l/ l! l ! l .l l | . .|'l゙ ./ . ′ レ .l l .|/ `゙'''Y'"゛ ._,.. | l\ .l │ │ _..-'" | l .\ \| '" ̄'''''' .l/ \ そうしてそこで部隊の編成がかわった時にこのお話の主人公になっている リヤトニコフという兵卒が私と同じ分隊に入ることになったのですお /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\ , ':: : : : : : : ::/: : : : : : : : ::/::: : !: : : : :: : : : : : : : : :\ /: : : : : : : : :./: : : : : : : : :./: : : ハ. : : : : : : : : : :ヽ: : : :::ヽ .': : : : : : : : : ,. : : : : : : : :レ':::/: / !:ヾ\: : : : : : :.:!: : : : : :! !: : : : : : : : : ::! : : : : : : /ィ:::/ !::| \ヽ::: : : : ::!:: : : :l:::! . !:: : : : : : : : :::|: : :_ ,./´, '/--─ ''、l ゞ::、: :. :.l.: : : :イ.:! !::::: : : : : : : ::|: : : : :-ーイ ヽ.\ \,: :..|::ィ:./'レ' !: : :: : : : ::/´|!: : : : :l:.l:.:| 、. _____ , ´ /::j: i/ノ 〉: l!:::: : :.{ ィ!::: : : :.!:l!::| `  ̄ ` '=jィ/´ ハ:l ::::::::メム::!:::::::ハ!`ヽ / i:ハ l| ヽ ::::ハ:::!::::::| |! -- イリ l! V ヾ!::::::| l' .イ::: ' ' ハ!: ! ゝ ___ _, イ::::|::/ ノ´ \ ヾ. /' |:::// r v - < _ ヽ /! j/ ' γマ_jr-、_ノrー、ゝ-、 \ヽL\ f' /三/三三`~j 、ノ , ィ'ニL!\\-v 、 v' 三 / 三三 ゝー 1_} // /∧ヾ.\ > ム / 三 /三三三三「 | _!// ! | ハ \!| } ノ リヤトニコフは私と同じモスコー生れだと云っておりましたお どことなく気品が備わっているように思われる十七、八歳の少年兵士で、 たしかに貴族の血をうけていることが、その清らかな眼 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\ , ':: : : : : : : ::/: : : : : : : : ::/::: : !: : : : :: : : : : : : : : :\ /: : : : : : : : :./: : : : : : : : :./: : : ハ. : : : : : : : : : :ヽ: : : :::ヽ .': : : : : : : : : ,. : : : : : : : :レ':::/: / !:ヾ\: : : : : : :.:!: : : : : :! !: : : : : : : : : ::! : : : : : : /ィ:::/ !::| \ヽ::: : : : ::!:: : : :l:::! . !:: : : : : : : : :::|: : :_ ,./´, '/--─ ''、l ゞ::、: :. :.l.: : : :イ.:! !::::: : : : : : : ::|: : : : :-ーイ ヽ.\ \,: :..|::ィ:./'レ' !: : :: : : : ::/´|!: : : : :l:.l:.:| 、. _____ , ´ /::j: i/ノ 〉: l!:::: : :.{ ィ!::: : : :.!:l!::| `  ̄ ` '=jィ/´ ハ:l ::::::::メム::!:::::::ハ!`ヽ / i:ハ l| ヽ ::::ハ:::!::::::| |! -- イリ l! V ヾ!::::::| l' .イ::: ' ' ハ!: ! ゝ ___ _, イ::::|::/ ノ´ \ ヾ. /' |:::// r v - < _ ヽ /! j/ ' γマ_jr-、_ノrー、ゝ-、 \ヽL\ f' /三/三三`~j 、ノ , ィ'ニL!\\-v 、 v' 三 / 三三 ゝー 1_} // /∧ヾ.\ > ム / 三 /三三三三「 | _!// ! | ハ \!| } ノ リヤトニコフは私と同じモスコー生れだと云っておりましたお どことなく気品が備わっているように思われる十七、八歳の少年兵士で、 たしかに貴族の血をうけていることが、その清らかな眼鼻立ちを見ただけでもわかるのですお 、.::.:. _ __ __ | > '"´  ̄``ヽ、 / . -‐.:::::::::::::.:.:.‐-....、 / \ ,. '´ .::::::l:l:::i:::::::、:、:::::::::::::く .`y' .:.:.:.:::::|:|:::|\::.\ヽヽ:、:::.\ ,′.:.:i.:.:.:::::|:|‐i一'\::ト、|::|::l::::::::| l:l:::::::l::::::::::|::r==ュ、 `十Nl:::;:/! ___ |:l:::::::l::i:::::::N辷ソ ,tfソ//// /⌒ ⌒\ |ハ::::::l::l:::::::| ' ' ' ' 、 ゙゙`レイ:: プニ (● ) (● ) \ ``l::l:::::::|、 - (ニ~`ヽ、 /:::⌒(__人__)⌒::::: \ l∧:::::|:.\__ ,. イ(((_⊂>ヽ | |r┬-| | ,. rryム:::L__ 」_. |::/ \ \ `ー'´ / /.:.:`ヽい';| ,.ィ介:、 |/`ヽ ゝ-| ヽ /.:.:::::.:. }1f ///八トト、 f{:::.', | | 彼はこの村に来て、私と同じ分隊に編入されると間もなく 私と非常な仲良しになってしまって、兄弟同様に親切にし合うのでしたお ,.. -―- ..、_ ,.::'´::.::.:::/::.::.::.::.::`ヽ、 /:::/::.::.:;:'::.::.::.::.:}::.::.:、::.:::ヽ /::.:::/::.::.:/::.::.::.:::/ハ::.::.::ヽ::.:::`、 ,'::ヽ⊥_:_厶彡'::://l::|::.::.::.::';::.::、ヽ |::.::.:「:::┬=ニ>く l∧ヽ、::.::.:l::.::.:Vl ____ l|:::/ |::.:::l:|「えメミ、 |ト V:_::.::.::|::.::.:::l:| / \ ノ|:人」::.:::|:l ゞミン |l ヽ:`ヽ|:l::.::;:l:| / ⌒ ⌒ \ ´ j从:::|:::|:トゝ 丶 芯刈:/::|::/〃 / (⌒) (⌒) \ _rヘ_}人:l::l 丶 _′`‐'/:/::l::|ー'′ | (__人__) | /7rぅ 、廴_ヽト\ >=彳:::|::| \ ` ⌒´ /ヽ rう:.:ヽrヘヽく `メこて´V{ |::l::|/ (ヽ、 / ̄) | 7:.:.:.;.:.く_nl〈 /,ニ{}ヘ f弌k ノ/;リ | ``ー――‐''| ヽ、.| / :.:.::|:.:.:. r┤ ) // | lト、\ {X)″ ゝ ノ ヽ ノ | . /:.:.:.:.:.|:.:.:.:.`)|〈 // | |圦∨〉( \  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ …そのリヤトニコフと私とは、何ということなしに心を惹かれ合って隙さえあれば宗教や、 政治や芸術の話なぞをし合っているのでしたが、二人とも純な王朝文化の愛惜者であることが 追々とわかって来ましたので涙が出るほど話がよく合いましたお -------------------------------------------------------------------------------- ____ / \ / ─ ─ \ 殺風景な軍陣の間に、これ程の話相手を見つけた私の喜びと感激… / (─) (─) \ …それは恐らく、リヤトニコフも同様であったろうと思われますが… | (__人__) | …その楽しみが、どんなに深かったかは、あなたのお察しに任せますお \ ` ⌒´ ,/ /⌒ヽ ー‐ ィヽ / ,⊆ニ_ヽ、 | / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | けれども、そうした私たちの楽しみは、あまり長く続きませんでしたお -------------------------------------------------------------------------------- その後間もなく我が軍の方では、この村に白軍が移動して来たことを、ニコリスクの日本軍に 知らせるために私達の一分隊…下士一名、兵卒十一名に、二人の将校と、一人の下士を添えて 斥候に出すことになりましたのですお さよう……連絡斥候ですおね。 __ __ / ◎ \ / ◎ \ ヽニニニノ ヽニニニノ |(●) (●) /(●) (●)\ /ノ| (__人__) | /^):::⌒(__人__)⌒:: ヽ /^/ .| `⌒´ | / / | `⌒´ | ( ' ̄ ヽ _/ヽ ( ' ̄\ _/  ̄ ̄| = V // | |  ̄ ̄| = ̄ // | | | // | | | // | | 実は私は、それまで弱虫と見られていてそんな任務の時にはいつでも後廻しに されていたので、今度も都合よく司令部の勤務に廻わされていましたから ____ /_ノ ヽ_\ /( >) (<)\ /::::::⌒(__人__)⌒::::: \ しめたお! (⌒) |r┬-/ (⌒) ./ i ` ̄'´ i ヽ | \ / | と思って内心喜んでいたのですが…思いもかけぬ因縁に引かされて 自分から進んで行くようなことになりましたので…というのは、こんな訳ですお。 その出発にきまった前日の夕方に……それは何日であったか忘れてしまいましたが、 私がリヤトニコフや仲間の分隊の者に「お別れ」を云いに司令部から帰って来た時の 話ですお… ___ ___|| ||_______________________|| ||________ 乙乙乙乙乙L|| |l乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙|| ||乙乙乙乙乙乙 ㏄i 人 || || }`ニニ´{ 人 || || ㏄i [イ] {[]}. || || } |ヒfう| { ,rァ {[]} || || [ト] ,}_{;┐ `Y || || }_,ニニ,_{ r――(__)U―┐ ゙Y′ || || ┌;}_{, ーr'{_______ || || _/⌒ヽ___ |工l丕丕丕l工| _/⌒ヽ_ || || ____}`rー ⌒'´ ||| ||マママ| lT}⌒⌒{Tl ||―{:::ィ爻、:::}―「| lT}⌒⌒{Tl |マママ|| ||| `'⌒ lTエア⌒ヾ_jj┴┴<´´: ̄ ̄:``゙>二{エエエエl}二}<´´: ̄ ̄::``'>┴┴l|___jjア⌒ヾエ,Tl ___j | lT}⌒⌒{Tl | }.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{ }.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{. | lT}⌒⌒{Tl | |___ Eエ{ <´´: ̄ ̄:.``> |::「::「::「::`!::`!::| |::「::「::「::`!::`!::| <´´.: ̄ ̄:.``> }エコ  ̄´ }.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{ '⌒'⌒⌒⌒⌒゙ '⌒⌒⌒⌒⌒゙ }.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{ ` ̄ |::「::「::「::`!::`!::| |::「::「::「::`!::`!::| '⌒⌒⌒⌒⌒゙ '⌒⌒⌒⌒⌒゙ ____ / \ / ─ ─\ / (●) (●) \ 誰もいない… | (__人__) | 分隊の連中はどこかへ飲みにでも / ∩ノ ⊃ / 行っているのかお? ( \ / _ノ | | .\ " /__| | \ /___ / ____ / \ / ─ ─\ / (●) (●) \ おや 向こうの物陰にいるのは… | (__人__) | \ ` ⌒´ / ノ \ /´ ヽ | l \ リヤトニコフかお? __ __「ー-- '\ |\ヽ_____/ヽ >、ー──‐ ' } /ィ ` ー──.'.´「 リ, : : : : : : 从 ,ゝイ ̄ ̄`ハ /! |{〉 〈| 〈{ L'====┤ /:`''ー┬──.イ ∧! /: : : : : : l /::::{ ヽ; : : : : : l ゝ‐'\  ̄ ̄ ノ...  ̄ ̄ ̄:::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::: ,′ . .....:.::/:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:. |:|:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ、:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ ,' . .:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:./:.:. |:|::.: |:.、:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:`、:.:.:.:.:.:.:l::`、 . !..:.:.:.l:.:.:.:,':.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:./:.:.:./l:|::.:.:|:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`、:.:l:.:.:.:.:.:.l.:ト、:| {.:.:.:.:.|:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:./:.:.:,イ:;ハ::.::、:.:.:\:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.|:.:.:.:.|:.|:| l| . l::.::.:.| .:.:.|:.:.:.:.:.l:.:.:.|:.:.:/:.:.:///_入:_ヽ:.\ヽ、:<´l ̄:|:.:.:.:.|:.l:| l| |::.::.::!::.: |::.:.:.:.:.|:.:.:|/;:∠イ/´ ヽ\:\ ヽ、 ,.=キミ!:.:.:.//l/ リ . l::.::.::.::.::l::.:.::.:.:.l// _, -==rミ\\:ヽ 个tク}〃 :;〃 / . `、::.::.::. |::l::.∠イ::.| < V弋ス┤ ヽ └- ' リ::/ / `、::.:: l::|::.::.::.:|::.:ト、 ヾニ-‐' イィ′ ll::.::.|::|::.::.::. |::.lヽ\ / /l:| ||::.::l::.|::.、::.::l::.`、`ヽ , /::N lト、:レヘ::.|::.::.\::ヽ、  ̄ /::.::.;′ \ ヽl::.::.::.::|ヽ:> 、 /!::.::.: ,′ ! …なんだヤルオか |::.::.::.:l `ヽ、 `¨¬ー-‐'´|/|::.::.:/ よかった、探してたんだ ヽ::.::.:「 ー- 、 ト、 !::.:/ 今ちょっといいかな? /ヽ::.| `丶、|∠\ |::/ 見てもらいたいものがあるんだ… r─<´ ∨ /,.イ {_}`ヽ`メ/_ r┬イ^ヽ、 〉 /// /}{|\ \ `くヽ ____ / \ / ─ ─\ / (●) (●) \ | (__人__) | / ∩ノ ⊃ / 何だお一体? ( \ / _ノ | | .\ " /__| | \ /___ / /::::::.:.:.:.:. | ./:::::::::::::::::.:.:., .-────‐-、| 〈:::::::::::.:.:,r'"´ _ -─‐─‐-L_ ヽ::::.:/ , -'"´ \ Vr'´.:::::::::::::.:.:., - ─‐──‐‐- 、/ /.::::::::.:.:.:.:., ィ:7::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.、:::.:.< \.::::::::::,ィ.:.:/:/::ヽ:::::、:::::::::::::::.、:.:.:.ヽ:.:.\ \,::イ::|::/:/.::::::ト、:::ヽト、::::::::::i::l:::::|:::.:.i::| i.::i:::|/ー-、/ \::.\`> -‐'':|:::.:.|::| ここじゃちょっと… |:::|:::!/:::::''ー==z、 ヾ:、´,、-=ュ!::!::::::l/ r‐ 、 君以外の人には見られたくないんだ l:、!::ト、::〈ヾ_トッツ 〈じソ7l/:::/:/ ! | …ちょっとついてきてよ… !::ヽ:::`:、. , , , ′ , , , , /.:/:/ / ! ヽ.::ヽ:::.\ r ┐ /:,:::イ / / \ト、:::::: .、 ー′ , イ:::/l仁ニ7 /⌒ヽ \Nト> ー‐<'´ ̄17.:.:.:ノ ,イ! ノ⌒! _ノイ厂 (´ ̄ `ー' イソ / /ヽ /イ夊刄 `ゝ─-、 > -‐< _ノ / ,イ7!ノネ;l/;/ /ソ.:.:.:.:〈/ 「ヽ ̄`ニ >、/ヽ /ノj 〉;/,};;;/ /j}.:.:::::::::::i \`Tにコソ´`Y^7 /.ノj./;/j} |;;| ,/ソ'.:.:.:::::::::::| \。〉仁ここソ /::ノj l;/ j} !」 /j}.:.:::::::::::::::::| ___, イニニ7'´ ̄ ,イ:〈/ _j} , イソ'.:.::::::::::::::::::j /.:.:::::::.:.:.| , -======| ィく三三三三三三二| ∨三三三三三三三| /Aー――――――.| ヽ=Aー------――‐ | \.A三三三三三三 | /`ー ---- -― .| ,:. :. :.{!:.、:.\:. :. ヽ.:.:.| |:. :. :.ト、:.\: ヽ, - ',‐| |:. :.| :|!⌒、 ヽ _ヽrテ| |:.l: |:.ヽマl!ヽ 弋リ ヽ!:.|:.l:. ゝゞ'′, | Nlハ:.ヽゝ . -_ .イ| じ \ヽ:.{{ ヽj | …ここならだれもいないかな o /::\:j::ヽ fil| .ノ:::::l::::;:::: ヽ Ll| よし /:::::::::i:::l:::::::: ヽlf" ヽ:::::::::l::::;ィヘ´ ̄ゝ `ー-.' };; V `r / ¨ ミー| , '::::::::::::::: `| /::::::::::::ヽ:\| /::::::::::::::::::::\| / : :::::::::::::::::::::::| /:::::::::::::::::::::::::::: | _, - ――― - 、_ / l / _, -――‐- ,」_ | _, '´ ´丶, l/ ______ / / _, -‐ T¨´ 、 ヽ ヽム、 〈. / l|!\ 、 \ 、ヽ ヽト、 Y´ / | l| ヽ_, -'、丶 'ー、ヽ', !l| i / l イ´ \ \ ̄ヾト!, || これ…なんだけど | l| ', |ィ¬j'丶 'ィ¬j |! l| !| l ト、 l:{___〕 {___〕」 / ! ll l| ! ト丶;;;;; ;;;;/イ| / ハヘトヘ ', | ' イ / ヘハ、' l\ ー ‐ //!/ __________ トヘ'ト 丶 _ イ|/l/|' , イ/ l__l_l_____| _, -|ー――┴|/ー'-、ヘ_/ /´! /_,. -', -' / ∠--、 丶 rー」二」 / 〈_!∠'´-‐' ´ _, イ /イ| \ L/lヘ/  ̄´_フ _r‐'´ 」´ / / ヽ rャ/ __,._ィ´___,.く.___,-'´ / / ヽ /、\_ , ィ´ | l _ト、 /l / | / 丶_ヽl l / ̄丶l_! | _」/ /ア |______/ /) 丶_, '´ ̄ / C/ 「l | | / C/イ | | 人 人  ̄.Y  ̄  ̄ Y  ̄ | | | | 人 人  ̄.Y  ̄  ̄.Y  ̄ | | 見るとその中から、大小二、三十粒の見事な宝石が、 キラキラと輝やき出しているではありませんか。 / ̄ ̄ ̄\ / ⌒ ⌒ \ / ( ○) (○) \ | ::::::⌒(__人__)⌒:::::: | ち、ちょっと見せてほしいお! \ |r┬| / /  ̄ \ く ri_l 彡サッ ヽ \ >!、_彡 \ / 私は眼が眩みそうになりましたお。私の家は貴族の癖として、先祖代々からの宝石好きで 私も先天的に宝石に対する趣味を持っておりましたので、すぐ焼き付くような気もちになって その宝石を検めたのですが… ____ /::::::::::::::::\ /::::::─三三─\ /:::::::: ( ○)三(○)\ |::::::::::::::::::::(__人__):::: | ダイヤ、ルビー、サファイヤ、トパーズ… \::::::::: |r┬-| ,/ すごい…どれも逸品だお…素晴らしい ノ:::::::::::: `ー'´ \ 第二流品なぞは一粒もない… /::::::::::::::::::::: |::::::::::::::::: l ___ / \ / \ ,_\ リヤトニコフ、一体 君はどこで / (●)゛ (●) \ こんな凄いものを手に入れたんだお? | ∪ (__人__) | / ∩ノ ⊃ / ( \ / _ノ | | .\ " /__| | \ /___ / ,、 -──‐ ─- 、 ,r'"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\.:.::.:.:.:.::ヽ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ.:.:.:.:l.:.:.:.:.:.:.:.:::゙、 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:、.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:::! /.:.:.:.:!.:.:.:.:.:.:.:\.:.:.:.:.:.l.:.:.:.:.!.:.:.:.:.:.:. :.::| これは僕の両親の形見なんです ,/.:.:.:j.:|.::ト、.:.:.:.:.:.:ヾ:i.:.:.:|.:.:.:.:.! .:.|::::::::::::| 生命にも換えられない大切なものなのです… i.:.:/川.:.:iト.\.:.:.:.:.:.:|.:.:.:|.:.:.:.:.!:.:.l.::::::::l:::! |.:,!|::l::ト.:ヽ.:.:ィ==- |.:.:.:!.:.:.:.:|.:.:i!::.:::::|/ |/ ヽ!`ヾ:ヾ!弋tテナ !.:/!.:.:.:.:|.:/{、.:::::l ``ソ l/ |.:.:.:.:l/ \,! < __ |.:.:.:/レ'"´ ̄ \ \ _ ,ノj.:.:/ , -‐─- 、 \ ノヌ_}7! ,/.:.:.:.::::::.:.:.:.\ \ ,f仄_}7 /.:.:.::::::::::::::::.:.:.:.\ | ,f仄_}7 /.:_:_:/::::::::::::::::l:::::`i ,f仄_}7レ'´.:.::::::::::::::::::::::::/:::::::: …僕の両親は革命の起る三箇月前…去年の暮のクリスマスの晩に、これを僕にくれたのです その時に、こんな事を云って聞かせられたのです ,.- ───‐- 、 ,r'´ ヽ /:::、 `、 l;;::::::ヽ .i l /;;;;::::::/ .:} | !;;:::;;:;;:! ′ _,,,,,_ j リ^ヾ! . ''"´ ̄`` ‐==-〉 { い ゞ ,rェテン;:. 斤ュ,, / _lハ i '~´ ト,、`` ! …このロシアには近いうちに革命が起って /.:1::u '、 ,;: j! ,! 私たちの運命を葬るようなことに成るかも知れぬ _/.:::::| 1 ; ,r''"´`ー-'; / だからこの家の血統を絶やさない、万一の用心のために ,、‐'´1 .:.:.:::! ゙、 / `ー---' ! ,!′ お前にこの宝石を譲ろう、そしてこの家から出ておいきなさい _,,.、-‐''"´ .:.:.::::| .:.:.::`、 \ ´ ̄ ,/ヽ、 .:.:.::::::::::l.:.:.:.::::::::.\ ヽ、 _ _,.イ `ヽ `丶、 .:.:.::::::::::l.:.::.:.:.::::::::::ヽ ノ/1 /.:.:.::::| `ー、、 ゙、 .:.:.:.:::::|.:.:::::::::,r‐r‐ミ、 /.::l /^i::! ヽ ', .:.:.::l .:.:.::/ .:.::l::o::| レ1::.: :リ i ,ハ i .:::!:::::/ .:.:::|::.:.:| Hj.:.:.: | / i _ --- .._ '´ 丶 ヽ ___ ', :::.  ̄´シ i ', ::. イ l _ i :: 7 / _, ='´::ヽ} お前はもしかすると、そんな処置を取る私たちの無慈悲さを :. , =、 l /,ィi' 〈 怨むかもしれないけれども、私たちの前途と、 :::/ ー、" , - ´/ ', お前の行く末とは、どちらが幸福かわからないのだ ::{ :::r' ! ´ , ', :ノ\ :} ヽ ノ!_, ィ ::.ヽ l , __,丿 :l:.| l ' イ _ :l::ゝ.._ / 身分を隠し、艱難辛苦に堪え ' ー-、::i:::.l: >ー― ' 今一度私たちの時代が帰って来るのを待つといい `丶イ 〉 、__ `ヽ | ヽ ` ー- 、 /ノ \ \|イゝ ,.- ───‐- 、 ,r'´ ヽ /:::、 `、 l;;::::::ヽ .i l /;;;;::::::/ .:} | !;;:::;;:;;:! ′ _,,,,,_ j リ^ヾ! . ''"´ ̄`` ‐==-〉 …しかしもしその時代が、なかなか来そうになかったならば { い ゞ ,rェテン;:. 斤ュ,, / お前はその宝石の一部を結婚の費用にして _lハ i '~´ ト,、`` ! 家の血統を絶やさぬようにして、時節を見ているがよい /.:1::u '、 ,;: j! ,! _/.:::::| 1 ; ,r''"´`ー-'; / そうして世の中がもとにかえったならば ,、‐'´1 .:.:.:::! ゙、 / `ー---' ! ,!′ 残っている宝石でお前の身分を証明して _,,.、-‐''"´ .:.:.::::| .:.:.::`、 \ ´ ̄ ,/ヽ、 この家を再興しなさい… .:.:.::::::::::l.:.:.:.::::::::.\ ヽ、 _ _,.イ `ヽ `丶、 .:.:.::::::::::l.:.::.:.:.::::::::::ヽ ノ/1 /.:.:.::::| `ー、、 ゙、 .:.:.:.:::::|.:.:::::::::,r‐r‐ミ、 /.::l /^i::! ヽ ', .:.:.::l .:.:.::/ .:.::l::o::| レ1::.: :リ i ,ハ i .:::!:::::/ .:.:::|::.:.:| Hj.:.:.: | / i /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\ , ':: : : : : : : ::/: : : : : : : : ::/::: : !: : : : :: : : : : : : : : :\ /: : : : : : : : :./: : : : : : : : :./: : : ハ. : : : : : : : : : :ヽ: : : :::ヽ .': : : : : : : : : ,. : : : : : : : :レ':::/: / !:ヾ\: : : : : : :.:!: : : : : :! !: : : : : : : : : ::! : : : : : : /ィ:::/ !::| \ヽ::: : : : ::!:: : : :l:::! . !:: : : : : : : : :::|: : :_ ,./´, '/--─ ''、l ゞ::、: :. :.l.: : : :イ.:! !::::: : : : : : : ::|: : : : :-ーイ ヽ.\ \,: :..|::ィ:./'レ' !: : :: : : : ::/´|!: : : : :l:.l:.:| 、. _____ , ´ /::j: i/ノ 〉: l!:::: : :.{ ィ!::: : : :.!:l!::| `  ̄ ` '=jィ/´ ハ:l ::::::::メム::!:::::::ハ!`ヽ / i:ハ それから僕は赤軍の目を逃れるようにして l| ヽ ::::ハ:::!::::::| |! -- イリ l! ここ白軍に入りました V ヾ!::::::| l' .イ::: ' ' ハ!: ! ゝ ___ _, イ::::|::/ ノ´ \ ヾ. /' |:::// …そうして一日も早く両親の処へ帰りたい… r v - < _ ヽ /! j/ ' そればかり考え続けていたのですが… γマ_jr-、_ノrー、ゝ-、 \ヽL\ f' /三/三三`~j 、ノ , ィ'ニL!\\-v 、 v' 三 / 三三 ゝー 1_} // /∧ヾ.\ > ム / 三 /三三三三「 | _!// ! | ハ \!| } ノ ……ところが、ちょうど昨夜のことです。 , -======| ィく三三三三三三二| ∨三三三三三三三| /Aー――――――.| ヽ=Aー------――‐ | \.A三三三三三三 | /`ー ---- -― .| ,:. :. :.{!:.、:.\:. :. ヽ.:.:.| |:. :. :.ト、:.\: ヽ, - ',‐| |:. :.| :|!⌒、 ヽ _ヽrテ| |:.l: |:.ヽマl!ヽ 弋リ ヽ!:.|:.l:. ゝゞ'′, | Nlハ:.ヽゝ . -_ .イ| じ \ヽ:.{{ ヽj | o /::\:j::ヽ fil| .ノ:::::l::::;:::: ヽ Ll| /:::::::::i:::l:::::::: ヽlf" ヽ:::::::::l::::;ィヘ´ ̄ゝ `ー-.' };; V `r / ¨ ミー| , '::::::::::::::: `| /::::::::::::ヽ:\| /::::::::::::::::::::\| / : :::::::::::::::::::::::| 分隊の仲間がいつになくまじめになって 何かヒソヒソと話をし合っているようですから 何事かと思って、耳を引っ立ててみますと… ,.r‐'" ヽ. / ~\ / ヽ . -‐''"´  ̄ ̄ `ヽ)_ 、ノ ) / ヽ j ( ノ rヘ ヽ l トi (ヽ_ n ,j_,,i ノ l ノ ヽ l ヽ. __ ,-'!_ヽ-ゞー゙ '-',>'',/ ( .ゝ 、r‐'"´ )ノ ノ l i /r:j く _,.>ir't='" i'(Tアjレ'~ ミ、 }>u -u<`ーイヘ L !._ !i ,ィ! .ノ ゙ー`‐'‐' ヽ ̄ i' 本当なのか? ゝ、} f | 了 'ヽ\ヽ ゙i、" r_.) ! …が過激派に銃殺されたというのは { 、 r‐' ノ ,入 ~>て __,r / \ ー_-- .イ-‐''′ _,..-i ヽヽ =:' /゙\_ 『 ̄ト、,___,,. イ「 ̄ 7 i. \~ヽ、>-、__,..ィ' `ト--、_ -‐=>:「''ー--‐‐'''||_. ム=ー i ヽ  ゙̄ー‐' ∧ ヽ ゙ー、 i. \ ! ヽ i \ 家族全員皆殺しだそうです… i ,ヽ=-、_,=j' ir―-、 i i まあ 噂、ですけどね l /~ \ l! V i そうか…もし本当だとしたら惨い事だな まだ年端のいかぬ 子供もいたろうに… 「それは僕の両親や兄弟たちが、過激派のために銃殺されたという噂だったのです…」 ,. -── - , '´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::`ヽ、 /.:.:.:.:.:.、.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.\ , '.:..:.:./:.:.:..:|.:.:.:.:.:.:..:..:..:..:.:.、:..:.:.:.:.:.:ヽ /:..:..:..:/:.:.:..:..:|:.:.:.:、.:.:.:...:..:...:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:i 〃!.:..:.:/:.:.:.:.:.|:.:l!:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.| || |:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.|:.ハ、:.、:、\.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.| || |.:.:.:.|:.:.:.:.:/l7─‐ヾゝヽ\.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.}| 僕の両親が何も云わずに、落ち付いて殺された事 ヽヘ:.{、:!.:|,イ ノ ァd尓7!:.:``.:.:.| }.:.:.:.:.:.:.:l 僕を一番好いていた弟が銃口の前で僕の名を呼んで ヽゞNハ〉. ゞ-’ |/:.:.:.:.:.:l:'.:.:.:.ノ/`′ 救けを求めた事… ハ'、 /'|:.:.:.:.:.:/:.:.:!/'′ ノl:.:\っ ||:.:.:.l/ `W どうしても、ほんとうとしか思えなくて… |.:.:/リヽ_ ... -||:.:/|! ,..ゝ-、 ∨/ __ _ _,.ノ V ''´ ,_\__ n}イ''"/〔!\ r‐┘_テvぅフ‐ァ / ){. / /|ヽ ヽrヘ/J´ ハ〉 ,、 -──‐ ─- 、 ,r'"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\.:.::.:.:.:.::ヽ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ.:.:.:.:l.:.:.:.:.:.:.:.:::゙、 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:、.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:::! /.:.:.:.:!.:.:.:.:.:.:.:\.:.:.:.:.:.l.:.:.:.:.!.:.:.:.:.:.:. :.::| ,/.:.:.:j.:|.::ト、.:.:.:.:.:.:ヾ:i.:.:.:|.:.:.:.:.! .:.|::::::::::::| …ですから、僕はもう……何の望みも無くなって… i.:.:/川.:.:iト.\.:.:.:.:.:.:|.:.:.:|.:.:.:.:.!:.:.l.::::::::l:::! …あなたにお話ししようと思っても |.:,!|::l::ト.:ヽ.:.:ィ==- |.:.:.:!.:.:.:.:|.:.:i!::.:::::|/ あいにく勤務に行って…いらっしゃらないし… |/ ヽ!`ヾ:ヾ!弋tテナ !.:/!.:.:.:.:|.:/{、.:::::l ``ソ l/ |.:.:.:.:l/ \,! < __ |.:.:.:/レ'"´ ̄ \ \ _ ,ノj.:.:/ , -‐─- 、 \ ノヌ_}7! ,/.:.:.:.::::::.:.:.:.\ \ ,f仄_}7 /.:.:.::::::::::::::::.:.:.:.\ | ,f仄_}7 /.:_:_:/::::::::::::::::l:::::`i ,f仄_}7レ'´.:.::::::::::::::::::::::::/::::::::| ___ / \ / \ ,_\ … / (●)゛ (●) \ | ∪ (__人__) | (確かにヤルオも似たような噂を聞いたお / ∩ノ ⊃ / ニコラス廃帝がその皇后や、皇太子や、内親王たちと一緒に ( \ / _ノ | | 過激派軍の手で銃殺された。ロマノフ王家の血統はとうとう .\ " /__| | こうして凄惨な終結を告げた などという…) \ /___ / / ̄ ̄ ̄\ / ⌒ ⌒ \ (いくら過激派でもそんな事はありえないと / (―) (―) \ 思ったけど…まさか…) | u (__人__) | \ ∩ノ ⊃ / / _/ ノ、 ,-‐ 、 ( , / '" ) `;ー" ` ー-ー -ー' / ̄ ̄ ̄\ / ⌒ ⌒ \ / (●) (―) \ (む いやちょっと待てよ | (__人__) | 彼の言ってることが本当で \ ∩ノ ⊃ / かつ、件の噂も真実だとしたら…) / _/ ノ、 ,-‐ 、 ( , / '" ) `;ー" ` ー-ー -ー' ___ / \ / \ ,_\ / (●)゛ (●) \ (リヤトニコフってもしかして | ∪ (__人__) | 皇族? いや貴族の出であろうことは / ∩ノ ⊃ / うすうす察しているにはいたけど…) ( \ / _ノ | | .\ " /__| | \ /___ / ___ / \ / \ ,_\ / (―)゛ (―) \ (まてまて…あのツァーリに男子は、今年十五歳になられた | ∪ (__人__) | 皇太子アレキセイ殿下以外に、一人もおられなかったはず… / ∩ノ ⊃ / となるとまさか、リヤトニコフに謀られた? ( \ / _ノ | | .\ " /__| | いや でもこの宝石はどう見ても本物… \ /___ / ではニコラス廃帝の血筋に極めて近い大公のご子息とか…?) / ̄ ̄ ̄\ / ⌒ ⌒ \ (そもそも なぜリヤトニコフはヤルオに / (―) (―) \ こんな話を…?) | u (__人__) | \ ∩ノ ⊃ / うーーーーーむ… / _/ ノ、 ,-‐ 、 ( , / '" ) `;ー" ` ー-ー -ー' ,. -── - , '´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::`ヽ、 /.:.:.:.:.:.、.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.\ , '.:..:.:./:.:.:..:|.:.:.:.:.:.:..:..:..:..:.:.、:..:.:.:.:.:.:ヽ /:..:..:..:/:.:.:..:..:|:.:.:.:、.:.:.:...:..:...:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:i 〃!.:..:.:/:.:.:.:.:.|:.:l!:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.| || |:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.|:.ハ、:.、:、\.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.| || |.:.:.:.|:.:.:.:.:/l7─‐ヾゝヽ\.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.}| ヽヘ:.{、:!.:|,イ ノ ァd尓7!:.:``.:.:.| }.:.:.:.:.:.:.:l ヽゞNハ〉. ゞ-' |/:.:.:.:.:.:l:'.:.:.:.ノ/`′ …ヤルオ? ハ'、 /'|:.:.:.:.:.:/:.:.:!/'′ ノl:.:\っ ||:.:.:.l/ `W |.:.:/リヽ_ ... -||:.:/|! ,..ゝ-、 ∨/ __ _ _,.ノ V ''´ ,_\__ n}イ''"/〔!\ r‐┘_テvぅフ‐ァ / ){. / /|ヽ ヽrヘ/J´ ハ〉 / ̄ ̄ ̄\ / ⌒ ⌒ \ そ / (―) (●) \ ああ ん…すまんお | u (__人__) | ちょっと考え事をしていたお… \ ∩ノ ⊃ / / _/ ノ、 ,-‐ 、 (あまり深入りしないほうがよさそうだお ( , / '" ) 面倒事はごめんだお ここはなにか `;ー" ` ー-ー -ー' 適当なことを言っておくお) ____ / \ / ─ ─ \ リヤトニコフ…そんなものは無暗に他人に見せるものではないお / (●) (●) \ ほかの人間には絶対に気付かれないようにしていないと | (__人__) | 元も子もない眼に会わされるかも知れないお \ ` ⌒´ ,/ / ヘ | | ___ / ⌒ ⌒\ / (⌒) (⌒) \ でも君のこれからの事については / ///(__人__)/// \ 将来きっと及ばずながら力になってあげるお! | u. `Y⌒y'´ | だからあまり気を落さないでほしいお! \ ゙ー ′ ,/ /⌒ヽ ー‐ ィヽ (はいはい 社交辞令社交辞令w) / rー'ゝ 〆ヽ /,ノヾ ,> ヾ_ノ,| | ヽ〆 |´ | __ __ ,.. -‐':.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.::: 、 /:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:.:.::.::.\ ':.:.:.:.:/:.:.:.:|:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:...:.:.ヽ ':.:.:.:.:::':.:.:.:.:.:.:|:.:.|:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:..:.', .'.:.:.:.:./:.:.://ハ:.:|:lヾ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l.:.:.::| l:.:.|:.:.レナナ'‐ l:.ト! \:.__:.:.:.:|.:.:.:| |:.:.:ィ升Krォァ=、 ヾ!\´ _ゝ_ ` .:, .:.:.,' |:.:.ハ:.:| 辷'ノ 丶 イt::_iヾレ:.::.::, |:.:.:.:l:.| :::::: ゞ-' !:.:.:.:.:イ l.:i:.:.:.|ヽ. _ ′ ::::: ハ:..:./ …コクリ |:l:.:.:.|:.:.\  ̄ イ:::::/ ヾ!.:,|ハ..:.:.|ゝ、 _ ...ィ/:.:.レ:j/ _ _ _ゞ\ー- 、 |:./レl:.:..:/ _レーハヽ ヽォ_ー 、. |:.:/ /::::::::::つ /,イjくヾ\'_ /:::::::::::::::L レ' //}ヽ.j\ヽ7 -------------------------------------------------------------------------------- ____ / \ / ─ ─ \ あなたに軽蔑されるかも知れませんが正直に告白しますお… / (─) (─) \ 実はこの時私は、事情の奈何に拘わらず、その宝石が欲しくて | (__人__) | たまらなくなったのですお \ ` ⌒´ ,/ /⌒ヽ ー‐ ィヽ / ,⊆ニ_ヽ、 | / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | | | 人 人  ̄.Y  ̄  ̄ Y  ̄ | | | | 人 人  ̄.Y  ̄  ̄.Y  ̄ | | ____ /_ノ ' ヽ_\ /(≡) (≡)\ 宝石…ハアハア / /// (__人__) ///\ | |'|`⌒´ |ジュルリ \ U / 先祖代々から流れ伝わっている宝石愛好慾が、リヤトニコフの宝石を見た瞬間から 見る見る燃え上って来るのを、私はどうしても打ち消すことが出来なくなったのですお ____ / \ / ─ ─\ / ‐=・=- ‐=・=- \ | (__人__) | 「もしかすると今度の斥候旅行で、 / ∩ノ ⊃ / リヤトニコフが戦死しはしまいか ( \ / _ノ | | そうなればあの宝石のことを知っているのは .\ " /__| | ヤルオだけだお…くくく」 \ /___ / というような、頼りない予感から、是非とも一緒に出かけようという気持ちになってしまったのですお ____ / \ / ─ ─ \ ああ しかしその宝石が、間もなく私を / (─) (─) \ 身の毛もよだつ地獄に連れて行こうとは… | (__人__) | \ ` ⌒´ ,/ …そうしてリヤトニコフの死後の恋を物語ろうとは /⌒ヽ ー‐ ィヽ 誰が思い及びましょう / ,⊆ニ_ヽ、 | / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | -------------------------------------------------------------------------------- 私共の居たウスリからニコリスクまでは、鉄道で行けば半日位しかかからないのでしたが 途中の駅や村を赤軍が占領しているので、ズット東の方に迂廻して行かなければなりませんでした それは私共の一隊にとっては、実に苦心と労力を要する旅行でした… ";''-,、 ,,-'''''"" ;;;;;;;;;; "゙'i ―,,-,ェ , ,,, _ _ ,、' " ;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;i;i;i;;l::l::.l..l .l..l 代― - ィ - 、,_ ,..、‐'''"'''--―''" ̄''―、 / "'' ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;l;l::l::l::.l..l .l..l.:l:|ll l l l l l l l l.ll|"ェェ''ェェ-ェェ-、 ; ;: ;; ,,、‐' "~ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;:;:;;:;:::;::;:;:;;:;"、;:::::.................. ."、 . . ....:::::、 ;; _,、‐" '' " ''''――----- 、、、、、....,,,,,,,,,,,__ ....... ... .. . .. : :::: : . :.: ,,..、-'" ""' " "" ゙゙ ;; ;; 、 ;  ̄,ニ = ‐ ''' ,':':'::':':ii :: : : : . : :: : :: "" ゙ ; _,, 、 -‐ '''" ̄ /:':':':':':'ll :::::::: :: :: ::: :: _,, 、 -‐ '''" ̄ /:':':':':':':':ll 、: ::: ::: :::::::: ::::: ::::: /:':':':':':':':':'ll ::::: ::: :::::: : ::::: :: :::: /:':':':':':':':':':':ll :::: ::: : :::: :: :::: :: ::::: :: :: /:':':':':':':':':':':': ll :::: ::: :: :::::::::::: ::::: : :::::: :: /  ̄ ̄ ̄ \ / ::::\ | :::::::| \.....::::::::: ::::, / r " .r |::| | :i |::|: | | `.|: ::| | ざっ ざっ ざっ .,': .::( } i `.-‐ / { ,、-:::::.. :. :::ツ ノ ゙、゙'、 } ," _!,,ソ:::::::::::::::.. :. :::::ノ{ } } ノ { r'':::::::::r-、;_:::::::: :. :/ ゙'‐-、, }.ノ { ゙、 { ::::::::;' `''ー-‐'" ノ リ ゙ヽ よし 全隊とまれ! . ゙'‐-、 ゙'、 ::::/ 、,クノハ } ここで小休止とする ゙'‐`'{'゙iヽ、' __,,,.、 ,.,.,.,,,_/_ハ { `'ヽ r,"-''" | ┌ー-゙-ニっ ヽ、 {ヽ r" | .| } ト) ヒ`ゝ `~}ヽ /.| | -‐" ヽ、 マ l'''ニニニニ{、、,゙'、.,__-‐" | | ヽ' ___ / ヽ、_ \ /(─ ) (─ ) \ やれやれ ようやく休憩かお /:::⌒(__人__)⌒::::: \ はあああ… | l^l^lnー'´ | \ヽ L / ゝ ノ / / __ __ ,.. -‐':.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.::: 、 /:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:.:.::.::.\ ':.:.:.:.:/:.:.:.:|:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:...:.:.ヽ ':.:.:.:.:::':.:.:.:.:.:.:|:.:.|:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:..:.', .'.:.:.:.:./:.:.://ハ:.:|:lヾ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l.:.:.::| l:.:.|:.:.レナナ'‐ l:.ト! \:.__:.:.:.:|.:.:.:| |:.:.:ィ升Krォァ=、 ヾ!\´ _ゝ_ ` .:, .:.:.,' ふう 確かに疲れたね |:.:.ハ:.:| 辷'ノ 丶 イt::_iヾレ:.::.::, ずっと歩きっぱなしだったから |:.:.:.:l:.| :::::: ゞ-' !:.:.:.:.:イ l.:i:.:.:.|ヽ. _ ′ ::::: ハ:..:./ . |:l:.:.:.|:.:.\  ̄ イ:::::/ ヾ!.:,|ハ..:.:.|ゝ、 _ ...ィ/:.:.レ:j/ _ _ _ゞ\ー- 、 |:./レl:.:..:/ _レーハヽ ヽォ_ー 、. |:.:/ /::::::::::つ /,イjくヾ\'_ /:::::::::::::::L レ' //}ヽ.j\ヽ7 ___ / ヽ、_ \ /(─ ) (─ ) \ /:::⌒(__人__)⌒::::: \ あああ… こんなに疲れるんだったら | l^l^lnー'´ | 志願しなけりゃよかったお… \ヽ L / ゝ ノ / / ターン! ____ / \ / ─ ─ \ / (○) (○) \ | (__人__) | !! \ ` ⌒´ ,/ / ヘ | | 、::/ .:. 、 `ヽ:::::::/ ,イ .:,:.:、ヽ:.. 、ヽ:. ヽ:.:. Y . /, `/メ、ハ\ヽ,ヘ'´!ヽ:.! ハ l/! i :.Xf_Tト \ イT::l7!:! .;: !:! 銃声…! ' N ::.: { ゞ=' .:! ` ゞ=' 7.:/: .:lリ l:.:i:.ゝ r -、 ノィ'::::.〃 !:ハ:.:\ ゝ-' 〃:::;:'/ _' ヽ:ト:!ヘ.. ___ .. ィi´/:::/レ ,ェヘ`ヽ-‐ '´ ̄ヽ. lル' レ' . ,イ;:;:;:;:;:`7_、 , -‐ホュヽ<ュ /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;rハ iイ´/ハヾ! ハ7z、 / { ,、-:::::.. :. :::ツ ノ ゙、゙'、 } ," _!,,ソ:::::::::::::::.. :. :::::ノ{ } } ノ { r'':::::::::r-、;_:::::::: :. :/ ゙'‐-、, }.ノ { ゙、 { ::::::::;' `''ー-‐'" ノ リ ゙ヽ . ゙'‐-、 ゙'、 ::::/ 、,クノハ } くっ 敵襲か! __∧,、_`'{'゙iヽ、' __,,,.、 ,.,.,.,,,_/_ハ {_ _____  ̄ ̄'`'` ̄ `'ヽ r,"-''" | ┌ー-゙-ニっ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ {ヽ r" | .| } ト) ヒ `~}ヽ /.| | -‐" ヽ、 マ l'''ニニニニ{、、,゙'、.,__-‐" | | ヽ' 全員 向こうの森まで退避だ! ri ri r| | / | M/ ダダッ ダダッ ダダッ `""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l = "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ W\ '二二二T ̄ ̄ ̄ [i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`" ___ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ 二二 二二二二 二二二 二二  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄  ̄ ̄  ̄  ̄ ̄ __ _ ___ _ _  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ _____ r⌒ヽ、 . / ノ ヽ\ / \ \. / ( ○)}liil{(○) _/ / ヽ / (__人__) \ 〈__/ . | | |!!il|!|!l´ | / .\ |ェェェェ| / 畜生! ./ / ⌒ヽ, _ .i⌒\/ こんなところで死んでたまるかお! .__ r / |/ー、\ \ ."ヽ | i, ノ .\^ i .| ヽ./ ヽ、_../ / . ヽ、__ノ .i / // ./ .ヽ、_./ ./ / ./ / .ノ.^/ ダッ |_/ ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ /;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ |ii;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞヾ:ヾ ノ;;ヾ ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ ヾゞ;| <;;/::ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ;;::iiゞゞ;;ゞゞ;;ゞヾ;;>;ゞヾ;ゞ ゞヾ ;ゞゞ;ゞiilヾ;ゞゞ゙ゞ;;:::ii| |;:ヾゞ "ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾiii| <:;ヾ:ヾ;;>ヾ;ゞ'';ゞヾ;ゞ |;:ilヾ \ |::;ii| ヾ;ゞゞ''ノヾ|;:i| ノヾゞ:ヾヾ::ヾ\ |i;;:iii| /;;ゞ :;ヾ:, |i;ゞゞ |;:i| \`'';:::ii| ヾ:ヾ;;>;ゞヾ| |;:i|/^ '|i| |;:i| \`";;::ii| ノ / :ヾ;;>ヾ;ゞ ;ゞヾゞ |;:i| ゙ヽ,;:;;;l| /゙;ゞゞ;ゞ:::ii| |;:i| |i| |;:i| ~|ii;;:ii"´/ |;;::ii| |i|/ |;:i| |:::;iii~ ノ ,,|;;::ii| |;:i| |i| |;:i| |i::;;iii|~ .|;;::ii| ''\|i| ':;,`:ヽ|/,'|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;.:":::"''''⌒ヾゞ γ''"""''""''"' |ii;;i;('')''"''''"""''"""'''''"""'' ";*'.:.:;”:;゙|:;;iii|`:;,':,*”:;:;.,:;.:;'.:.:;”:;ヾヾ)) ((,:ソミ;.:';';';::;.:". |i;;;::;iii|`:;,':,:;.,:;.:;';',: ':::;.:".:;.:'; .:;”:`:;,' *”|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;,':,*”:;:;.,:;.:;'.:ソ "''~`''"゙"'''~ノ;;ii;:iilli;ゝ"''~`''"゙"''~`''"゙"''~゙ "''~`''"゙ ノノシillゝ"''~`''"゙"''~`''"゙"''~ "'''''''''''''''" ..,,、vji、iijww、ii.., "'''''''''" '""'''""'""" ,..,.,.,.,、 ,..,.,.,.,、 ''''""'"'''""" ;;;ゝ);;));ヾ;;) ,..,.,.,.,、 ''"""~ ))ゝ;;;ミ,,、,,;;;ゝ;;)ゝ))ゝ ;;;) ;;;)ヾミゞ((;;;ゝヾ;⌒;;) iijww、ii. """~" ''"""~ ヾミ;ソ(;;;ゝヾ;))ゝ;ミ;;(::;ゝ;;;)) ,..,.,.,.,、 ''''""'"'''""" はあ はあ はあ 向こうの森まで行けば…! _____ r⌒ヽ、 . / ノ ヽ\ / \ \. / ( ○)}liil{(○) _/ / ヽ / (__人__) \ 〈__/ . | | |!!il|!|!l´ | / .\ |ェェェェ| / ./ / ⌒ヽ, _ .i⌒\/ ギャッ .__ r / |/ー、\ \ ."ヽ | i, ノ .\^ i .| ヽ./ ヽ、_../ / . ヽ、__ノ .i / // ./ .ヽ、_./ ./ / ━━━━━━━Σ━━━━━━━━━━━━━━━━━ .ノ.^/ ピシューン |_/ / ̄ ̄ ̄ \ / :::::\:::/\ / 。<一>:::::<ー>。 っつ 足をやられたお…! | .:::。゚~(__人__)~゚j \、 ゜ ` ⌒´,;/゜ / ⌒ヽ゚ '"'"´(;゚ 。 / ,_ \ \/\ \ と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;. ___ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ 二二 二二二二 二二二 二二  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄  ̄ ̄  ̄  ̄ ̄ パーン __ _ ___ _ _  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ターン バキューン サッ ミ / ⌒`"⌒`ヽ、 /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\ ヒイッ /,//:: u \ ;/⌒'":::.. u |⌒ヽ / /、:::::... /ヽ_ \ __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ) ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─" / ⌒`"⌒`ヽ、 /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\ … /,//:: u \ ;/⌒'":::.. u |⌒ヽ / /、:::::... /ヽ_ \ __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ) ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─" / ⌒`"⌒`ヽ、 /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\ 銃声が止んだお… /,//:: (●) (●) \ ;/⌒'":::.. (__人__) u |⌒ヽ もう 安心なのかお…? / /、:::::... ` ⌒´ /ヽ_ \ __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ) ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─" ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ /;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ |ii;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞヾ:ヾ ノ;;ヾ ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ ヾゞ;| <;;/::ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ;;::iiゞゞ;;ゞゞ;;ゞヾ;;>;ゞヾ;ゞ ゞヾ ;ゞゞ;ゞiilヾ;ゞゞ゙ゞ;;:::ii| |;:ヾゞ "ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾiii| <:;ヾ:ヾ;;>ヾ;ゞ'';ゞヾ;ゞ |;:ilヾ \ |::;ii| ヾ;ゞゞ''ノヾ|;:i| ノヾゞ:ヾヾ::ヾ\ |i;;:iii| /;;ゞ :;ヾ:, |i;ゞゞ |;:i| \`'';:::ii| ヾ:ヾ;;>;ゞヾ| |;:i|/^ '|i| |;:i| \`";;::ii| ノ / :ヾ;;>ヾ;ゞ ;ゞヾゞ |;:i| ゙ヽ,;:;;;l| /゙;ゞゞ;ゞ:::ii| |;:i| |i| |;:i| ~|ii;;:ii"´/ |;;::ii| |i|/ |;:i| |:::;iii~ ノ ,,|;;::ii| |;:i| |i| |;:i| |i::;;iii|~ .|;;::ii| ''\|i| ':;,`:ヽ|/,'|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;.:":::"''''⌒ヾゞ γ''"""''""''"' |ii;;i;('')''"''''"""''"""'''''"""'' ";*'.:.:;":;゙|:;;iii|`:;,':,*":;:;.,:;.:;'.:.:;":;ヾヾ)) ((,:ソミ;.:';';';::;.:". |i;;;::;iii|`:;,':,:;.,:;.:;';',: ':::;.:".:;.:'; .:;":`:;,' *"|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;,':,*":;:;.,:;.:;'.:ソ "''~`''"゙"'''~ノ;;ii;:iilli;ゝ"''~`''"゙"''~`''"゙"''~゙ "''~`''"゙ ノノシillゝ"''~`''"゙"''~`''"゙"''~ "'''''''''''''''" ..,,、vji、iijww、ii.., "'''''''''" '""'''""'""" ,..,.,.,.,、 ,..,.,.,.,、 ''''""'"'''""" ;;;ゝ);;));ヾ;;) ,..,.,.,.,、 ''"""~ ))ゝ;;;ミ,,、,,;;;ゝ;;)ゝ))ゝ ;;;) ;;;)ヾミゞ((;;;ゝヾ;⌒;;) iijww、ii. """~" ''"""~ ヾミ;ソ(;;;ゝヾ;))ゝ;ミ;;(::;ゝ;;;)) ,..,.,.,.,、 ''''""'"'''""" みんなは…無事に森へ逃げ切ったのかお? ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ /;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ |ii;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞヾ:ヾ ノ;;ヾ ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ ヾゞ;| <;;/::ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ;;::iiゞゞ;;ゞゞ;;ゞヾ;;>;ゞヾ;ゞ ゞヾ ;ゞゞ;ゞiilヾ;ゞゞ゙ゞ;;:::ii| |;:ヾゞ "ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾiii| <:;ヾ:ヾ;;>ヾ;ゞ'';ゞヾ;ゞ |;:ilヾ \ |::;ii| ヾ;ゞゞ''ノヾ|;:i| ノヾゞ:ヾヾ::ヾ\ |i;;:iii| /;;ゞ :;ヾ:, |i;ゞゞ |;:i| \`'';:::ii| ヾ:ヾ;;>;ゞヾ| |;:i|/^ '|i| |;:i| \`";;::ii| ノ / :ヾ;;>ヾ;ゞ ;ゞヾゞ |;:i| ゙ヽ,;:;;;l| /゙;ゞゞ;ゞ:::ii| |;:i ターン!|i| |;:i| ~|ii;;:ii"´/ |;;::ii| |i|/ |;:i| |:::;iii~ ノ ,,|;;::ii| |;:i| |i| |;:i| |i::;;iii|~ .|;;::ii| ''\|i| バキューン! ':;,`:ヽ|/,'|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;.:":::"''''⌒ヾゞ γ''"""''""''"' |ii;;i;('')''"''''"""''"""'''''"""'' ";*'.:.:;”:;゙|:;;iii|`:;,':,*”:;:;.,:;.:;'.:.:;”:;ヾヾ)) ((,:ソミ;.:';';';::;.:". |i;;;::;iii|`:;,':,:;.,:;.:;';',: ':::;.:".:;.:'; .:;”:`:;,' *”|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;,':,*”:;:;.,:;.:;'.:ソ "''~`''"゙"'''~ノ;;ii;:iilli;ゝ"''~`''"゙"''~`''"゙"''~゙ "''~`''"゙ ノノシillゝ"''~`''"゙"''~`''"゙"''~ ターン! バキューン! ..,,、vji、iijww、ii.., "'''''''''" バキューン! '""'''""'""" ,..,.,.,.,、 ,..,.,.,.,、 ''''""'"'''""" ;;;ゝ);;));ヾ;;) ,..,.,.,.,、 ''"""~ ))ゝ;;;ミ,,、,,;;;ゝ;;)ゝ))ゝ ;;;) ;;;)ヾミゞ((;;;ゝヾ;⌒;;) iijww、ii. """~" ''"""~ 「…!!」 / ⌒`"⌒`ヽ、 /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\ い 今の激しい銃声は… /,//:: (●) (●) \ ;/⌒'":::.. (__人__) u |⌒ヽ まさか…待ち伏せだったのかお… / /、:::::... ` ⌒´ /ヽ_ \ __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ) ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─" ターン! バキューン! . . … . : / ⌒`"⌒`ヽ、: : /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\: ヒイッ : /,//:: u \: : ;/⌒'":::.. u |⌒ヽ: : / /、:::::... /ヽ_ \: __:( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ): ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─": . . … . : / ⌒`"⌒`ヽ、: : /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\: : /,//:: u \: : ;/⌒'":::.. u |⌒ヽ: : / /、:::::... /ヽ_ \: __:( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ): ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─": / ⌒`"⌒`ヽ、 /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\ … /,//:: u \ ;/⌒'":::.. u |⌒ヽ / /、:::::... /ヽ_ \ __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ) ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─" 恥ずかしながら その時私は恐怖あまりしばらく気絶してしまったのですお… そして…どれだけ時間が過ぎたのでしょうか…私はようやく目を覚まし… / ⌒`"⌒`ヽ、 /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\ うっ… /,//:: u \ ;/⌒'":::.. u |⌒ヽ / /、:::::... /ヽ_ \ __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ) ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─" / ⌒`"⌒`ヽ、 /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\ …… /,//:: (●) (●) \ ;/⌒'":::.. (__人__) u |⌒ヽ / /、:::::... ` ⌒´ /ヽ_ \ __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ) ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─" ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ /;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ |ii;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞヾ:ヾ ノ;;ヾ ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ ヾゞ;| <;;/::ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ;;::iiゞゞ;;ゞゞ;;ゞヾ;;>;ゞヾ;ゞ ゞヾ ;ゞゞ;ゞiilヾ;ゞゞ゙ゞ;;:::ii| |;:ヾゞ "ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾiii| <:;ヾ:ヾ;;>ヾ;ゞ'';ゞヾ;ゞ |;:ilヾ \ |::;ii| ヾ;ゞゞ''ノヾ|;:i| ノヾゞ:ヾヾ::ヾ\ |i;;:iii| /;;ゞ :;ヾ:, |i;ゞゞ |;:i| \`'';:::ii| ヾ:ヾ;;>;ゞヾ| |;:i|/^ '|i| |;:i| \`";;::ii| ノ / :ヾ;;>ヾ;ゞ ;ゞヾゞ |;:i| ゙ヽ,;:;;;l| /゙;ゞゞ;ゞ:::ii| |;:i| |i| |;:i| ~|ii;;:ii"´/ |;;::ii| |i|/ |;:i| |:::;iii~ ノ ,,|;;::ii| |;:i| |i| |;:i| |i::;;iii|~ .|;;::ii| ''\|i| ':;,`:ヽ|/,'|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;.:":::"''''⌒ヾゞ γ''"""''""''"' |ii;;i;('')''"''''"""''"""'''''"""'' ";*'.:.:;":;゙|:;;iii|`:;,':,*":;:;.,:;.:;'.:.:;":;ヾヾ)) ((,:ソミ;.:';';';::;.:". |i;;;::;iii|`:;,':,:;.,:;.:;';',: ':::;.:".:;.:'; .:;":`:;,' *"|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;,':,*":;:;.,:;.:;'.:ソ "''~`''"゙"'''~ノ;;ii;:iilli;ゝ"''~`''"゙"''~`''"゙"''~゙ "''~`''"゙ ノノシillゝ"''~`''"゙"''~`''"゙"''~ "'''''''''''''''" ..,,、vji、iijww、ii.., "'''''''''" '""'''""'""" ,..,.,.,.,、 ,..,.,.,.,、 ''''""'"'''""" ;;;ゝ);;));ヾ;;) ,..,.,.,.,、 ''"""~ ))ゝ;;;ミ,,、,,;;;ゝ;;)ゝ))ゝ ;;;) ;;;)ヾミゞ((;;;ゝヾ;⌒;;) iijww、ii. """~" ''"""~ ヾミ;ソ(;;;ゝヾ;))ゝ;ミ;;(::;ゝ;;;)) ,..,.,.,.,、 森へ…森へ行ってみるお… ::.゙゙ヽ(. | ..;;;ii;:'':ii;;;.. | ヾ / ̄ ̄ ̄ \ ハァ… :::::::::|;;;;..:;;;::゙ :: ::..゙|:::::: / _ノ ヽ、_ \ :: : : |. :;ii;:.゙゙,;ii;;ii::゙i:: :: / .(●) (●) \、 |.ii゙:;''゙;.;::;:.; (;|::: | (__人__) | み 皆は、リヤトニコフは無事かお… l゙゙゙゙, ; iii::゙,; ,゙| :: ハァ… \ ` ⌒´ ,/ |.ii゙:;''゙;.;::;:.; (;|::: /ゝ "` ィ `ヽ. l゙゙゙゙, ; iii::゙,; ,゙| : / \ |.ii゙:;''゙;.;::;⊆ニ´ ̄ ̄" y r、 ヽ l゙゙゙゙, ; iii::⊂二,ノ──-‐'´| .| l" | |.ii゙:;''゙;.;::;:.; (;| ' | l/'⌒ヾ l゙゙゙゙, ; iii::゙,; ,゙| | |ヾ___ソ |.ii゙:;''゙;.;::;:.; (;| / \ / l ___ / \ /ノ \ u. \ 静か過ぎるお… / (●) (●) \ まさか皆…全滅…! | (__人__) u. | \ u.` ⌒´ / ノ \ /´ ヽ | l \ / ̄ ̄ ̄ \ / :::::\:::/\ / 。<一>:::::<ー>。 | .:::。゚~(__人__)~゚j やっぱり 赤軍の待ち伏せだったんだお… \、 ゜ ` ⌒´,;/゜ あの森に追い込んで、不意に横合いから機関銃の射撃 / ⌒ヽ゚ '"'"´(;゚ 。 きっと皆は…リヤトニコフは… / ,_ \ \/\ \ と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;. / ̄ ̄ ̄ \ / \ … / | | j \、 ,;/ / ⌒ヽ (; / ,_ / \/\ \ と__と___) _;_ヾ_つ.;. ´ いや…まてよ ____ / \ もし…もしリヤトニコフがこの銃撃で / ─ ─ \ 死んでしまっていたら… / (○) (○) \ もし…戦場泥棒の真似をしてもそれを | (__人__) | 咎める者がいないのなら… \ ` ⌒´ / ____ /⌒三 ⌒\ /( ○)三(○)\ これは…チャンスだお /::::::⌒(__人__)⌒::::: \ リヤトニコフの宝石を我が物にする… | |r┬-| | \ `ー'´ / ____ ::.゙゙ヽ(. | ..;;;ii;:'':ii;;;.. | ヾ /⌒三 ⌒\ ハァ… :::::::::|;;;;..:;;;::゙ :: ::..゙|:::::: /( ○)三(○)\ :: : : |. :;ii;:.゙゙,;ii;;ii::゙i:: :: /::::::⌒(__人__)⌒::::: \ |.ii゙:;''゙;.;::;:.; (;|::: | |r┬-| | 宝石…宝石… l゙゙゙゙, ; iii::゙,; ,゙| :: ハァ… \ `ー'´ / |.ii゙:;''゙;.;::;:.; (;|::: /ゝ "` ィ `ヽ. l゙゙゙゙, ; iii::゙,; ,゙| : / \ |.ii゙:;''゙;.;::;⊆ニ´ ̄ ̄" y r、 ヽ l゙゙゙゙, ; iii::⊂二,ノ──-‐'´| .| l" | |.ii゙:;''゙;.;::;:.; (;| ' | l/'⌒ヾ l゙゙゙゙, ; iii::゙,; ,゙| | |ヾ___ソ |.ii゙:;''゙;.;::;:.; (;| / \ / l …ピチャッ… ___ / ー ー\ / ( ●) ( ●) ./ (__人__) ヽ ん? | `i i´ | . なんか木の枝にぶら下がってるお \ _ `⌒ / / ⌒ \ ./ . | | .| | | | ヽ、 \ | / |\ ヽ .ノ ___ / ノ ヽ_\ / ( ○) ( ○) ./ ヽ (__人__) ヽ | |!!il|!|!l| | \ _ |ェェェェ| / / \ 死骸…だお…隊の仲間の… ____ /ノ ヽ、_\ /( ○)}liil{(○)\ あれは…目が[ピーーー]されてるお… / (__人__) \ あっちのは耳が… | ヽ |!!il|!|!l| / | \ |ェェェェ| / ウゲッ 内臓まで… / ̄ ̄ ̄ \ / \ ウッ オエエエエ… / u | | u j \、 ,;/ ≧-。 / ⌒ヽ (; >。・゚ / ,_ / \/\ \ ヾ と__と___) _;_ヾ_つ.;.`。゚。 / ̄ ̄ ̄ \ / \ / u | | u j はあ はあ… \、 ,;/ / ⌒ヽ (; / ,_ / \/\ \ と__と___) _;_ヾ_つ リ リヤトニコフは…? まさか…! ___ / \ /ノ \ u. \ !? / (◯) (◯) \ | (__人__) u. | \ u.` ⌒´ / ノ \ /´ ヽ ____ / \!?? / u ノ \ / u (◯) \ | (__人__)| \ u .` ⌒/ ノ \ /´ ヽ | l \ ___ / ノ ヽ\ / ( ○) ( ○) …! ./ (__人__) ヽ | `|!!il|´ | . \ _ `⌒ / / ⌒ \ ./ . | | /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:/:.:./:.:.:.:.:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\ /  ̄ ─- _ /イi:.:.:.:.:./:.:.:./!:.:.:|:l:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヽ  ̄ ー|ハ:.:.:/:.:-‐_'─ l:.:.:|:|::___:.:.:.:.:.',:. i:.:.:.:.:.:.:.:.:.', ,小イi"´ __` l:.:.ト{--、:`丶:.!: |:.:.:.:.:.:.:i:.:.:l /:.j|:.:.| ´  ̄ ヽ:j 、_ `ー‐|:.:|:.:.:.:.:.:.:l:.:.:| _ - _ /:./:.ト、{ i ` ー /:. ':.:.:.:.:.:. l:.:.:| -‐ ´ ̄ ´ ̄ ̄  ̄ ':./:.:.:', ‐ 、 /:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.!:.:,' _ |:ハ: i:.ハ ` / イ:.:.:.:.:.:.:.:./:./ ‐- _ |l l:i:l:':.ハ ´ _/:.:.:.:.:.:.:.:/:./ _ 二  ̄ ‐- __ ll 川/.:ハ、 _ィ/:.;.:.:.:.:/:/〃  ̄  ̄ ‐- _|:l:./ 八〉 ー _ イ:./イ:.:.:. /:/ ″ - _ _r┐ _j∠_-、/ /ハ/イ//:.:.:.:./ ' リヤトニコフ…  ̄ ‐- __ ィ´ / ̄〈 rー─r升r‐-、─-ト、 /:.:.:/ . ,. ´/¨ / ヽーイ灯iい`ヽ\ _×. - ´ __ /::.:__フ, ' //,仏/l | l 〉 | \__  ̄ ‐- __ /::.::.:〈 / .// イ⊥/!L.二 .ノ / 爪ソ  ̄ -‐ -─‐/::.::.:[ ̄ / // / _j / '| , ' √:j::ヽ ::.::/::.::.:.r‐┘/ 〈/ ./ 「 / / ′ / r‐イ::./::.::.', イ::.::.::.:::└z 〈__ __/_ノ/ / / /__ノ::.::.:/::.::.::.:i  ̄ ‐- __ ィ⌒ヽ::.::.く_f⌒v─、_ ̄ 人 / ヽ' / `7::.::./::.::.::.::. |  ̄ ハ::.::.::.::.::.::.::.::.::.::`Y´r┘\ / (^'′::/::.::.::.::.::.:ト、 /  ̄ ̄ ̄ \: ::/ ::::\: ;: | :::::::| : \.....::::::::: ::::, / あ ああ r " .r /゚。 ああああああ… :|::| ::::| :::i :|::|: .::::| :::|: :`.|: .::::| :::|_: :.,': .::( :::}: :i `.-‐" ......... ..:, -─‐──‐-、:.. .:/ \:: :/ ; ヽ.: :l U l: ..... ::| , 、 ; |⌒´⌒`ヽ、. :!、 _ノ" "ヽ、__ ∪ \: うわあああああああああ… ¨:ヽ。(<◯> <◯>。):: /⌒゙` l:: :/ヽ~゚(__人___)~__ ,ノ| , |: :/ /`:j⌒:。´ |. | , !: :/ / ; | `ー-,,,|" |___,ノ |: ..:/ / ゚ .| | | ,lー─- 、. , --‐-ー、_ / ゜ l ,| | ,/ ) ): く / / ァ- ,ノ 。 \ノ^ノ^/⌒ヽ.j\ /^ー-‐' `ー' ー´ ̄ ~τ゚υ'゜~ (_イ_,イ、_,ィ'´__/  ̄ それはほかの屍体と違って、全身のどこにも虐殺された痕跡が見当りませんでした ……その姿を見た時に私は、何だかわからない奇妙な叫び声をあげたように思いますお… イヤイヤ、それは、その眼付が、怖ろしかったからではありません ・ ・ …リヤトニコフは女性だったのですお その乳房は女の乳房だったのですお ……ああ……これが叫ばずにおられましょうか 昏迷せずにおられましょうか… -------------------------------------------------------------------------------- ____ / \ / ─ ─ \ 彼女の肉体は明らかに「強制的の結婚」によって / (─) (─) \ 蹂躙されていることが瘢痕から察しられるのでしたお | (__人__) | \ ` ⌒´ ,/ /⌒ヽ ー‐ ィヽ / ,⊆ニ_ヽ、 | のみならず、その両親の慈愛の賜である結婚費用… / / r─--⊃、 | …三十幾粒の宝石は空包に籠めて、その下腹部に | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | 撃ち込んであるのでしたお… / ̄ ̄ ̄\ / \ …お話というのはこれだけです… / ─ \ ヽ 「死後の恋」とはこの事をいうのですお | (●) (●) | \ (__人__) __,/ / ` ⌒´ \ _/ _______i | 彼女は私を恋していたに違いありませぬ .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \ そうして私と結婚したい考えで / /__________ヽ \ 大切な宝石を見せたものに違いないのですお… ____ / \ / ─ ─ \ / 。(一)::::(一)。 \ | 。 (__人__) 。 | …それを私が気付かなかったのですお \ ` ⌒´ ,/ 宝石を見た刹那からはげしい貪慾に /⌒ヽ ー‐ ィヽ 囚われていたために… / ,⊆ニ_ヽ、 | …ああ……なんと愚かな…… / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | / ̄ ̄ ̄\ / ─ ─ \ / (●) (●) ヽ けれども彼女の私に対する愛情はかわりませんでしたお | (__人__) | そうして自分の死ぬる間際に残した一念をもって \ ` ⌒´ __,/ 私をあの森まで招き寄せたのですお / ` ⌒´ \ _/ ______i | .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \ この宝石を私に与えるために……この宝石を霊媒として / /__________ヽ \ 私の魂と結び付きたいために… | | 人 人  ̄.Y  ̄  ̄ Y  ̄ | | 御覧なさい……この宝石を… | | 人 この黒いものは彼女の血と弾薬の煤なのですお 人  ̄.Y  ̄ けれどもこの中から光っているダイヤ特有の虹の色を御覧なさい  ̄.Y  ̄ | | 本物の、しかも上等品でなくてはこの硬度と光りはない筈です これはみんな私が彼女の臓腑の中から探り取ったものですお / ̄ ̄ ̄\ / ─ ─ \ / (●) (●) ヽ 彼女の恋に対する私の確信が私を勇気づけて | (__人__) | そのような戦慄すべき仕事をあえてさしたのですお \ ` ⌒´ __,/ / ` ⌒´ \ _/ ______i | .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \ / /__________ヽ \ / ̄ ̄ ̄\ / \ …ところが…この街の人々はみんなこれを贋せ物だと云うのですお / ─ \ ヽ 私の話をまるっきり信じてくれないのですお | (●) (●) | そうして、彼女の「死後の恋」を冷笑するのですお \ (__人__) __,/ / ` ⌒´ \ _/ _______i | .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \ / /__________ヽ \ …けれどもあなたは、そんな事はおっしゃらぬでしょう? ____ / \ / ─ ─ \ / 。(一)::::(一)。 \ | 。 (__人__) 。 | …ああ……本当にして下さる信じて下さる…ありがとう \ ` ⌒´ ,/ 宇宙間に於ける最高の神秘「死後の恋」の存在は /⌒ヽ ー‐ ィヽ ヤッパリ真実でしたお 私の信念は、あなたによって / ,⊆ニ_ヽ、 | 初めて裏書きされましたお… / / r─--⊃、 | | ヽ,.イ `二ニニうヽ. | これでこそ乞食みたようになって、人々の冷笑を浴びつつ このウラジオの町をさまよい歩いた甲斐がありましたお ____ /⌒ ⌒\ 私の恋はもう、スッカリ満足してしまいましたお / (⌒) (⌒)\ この宝石をみんなあなたに捧げさして下さい / ::⌒(__人__)⌒::: \ 私の恋を満足させて下すったお礼ですお | |::::::| ,---、 \ `ー' しE | 私は恋だけで沢山です その宝石の霊媒作用は / l、E ノ 今日只今完全にその使命を果たしたのですお… / | | ( 丶- 、 ヽ_/ サアどうぞお受け取り下さい `ー、_ノ / ̄ ̄ ̄\ / / \ \ / (●) (●) ヽ ……エ……何故ですか… | (__人__) | ナゼお受け取りにならないのですかお… \ ` ⌒´ __,/ / ` ⌒´ \ この宝石を捧げる私の気持ちが _/ ______i | あなたには、おわかりにならないのですかお? .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \ / /__________ヽ \ ___ / \ /ノ \ u. \ エッ……エエッ…!? / (●) (●) \ | (__人__) u. | …私の話が本当らしくないって… \ u.` ⌒´ / ……あ…あなたもですかお…ああ… ノ \ …どうしよう……ま……待って下さい /´ ヽ | l \ 逃げないで……ま……まだお話することが……ま、待って下さいッ…… ああッ…… アナスタシヤ内親王殿下…… / ̄`ヽ /:::::::::::: } }:::{i-一1,リ /::/ヾ. x彳 ヽ:|く.j}仆{ f´ ̄}X||ハ }::::::::|X|| ', 「 ̄`丁 , l | i l | l l |i ___! | | ',/::.::.:`ヽ | __Ⅳ:::/::.:::::::廴__ _ _ 厂 ̄::.::.ニ二L::-‐''"´:::::::::{_ ヽ\ヽ`ト、 /_;::.::.::.::二ニヽ:\:::::.::.:ー─ヘ 宀宀く「 ./:::::::::.::.::.::.::::::::::::`::く:`ヽ::::::::.::.::| ftl | /::.::.::.::.:::::::::::::::::::::::.::.::.::.!::::::::\::.::.:| . ftl ヽ{ \::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::./::.::.::.::::::\:j f廴 ー= | |::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::./::.::.::.::.::.::.::.::ノ `了` l `ト、::.::.::.::.::.::.::.::.::.:{::.::.::.::.::.::.::.:/ l, l l:::\::::::.::.::.::.::.::イ::.::.::.::.::.::.:/ } ! j、:::::::.::.::.::.::.::.::j:::::.::.::.::.::.:/ 〈/ ヽ} 卞、::.::.::.:::::::.:丶:::::.::._r」′ ___ | | ハー- __;:.:-、::::.:::.::.::/ 、__,、__入::.: ̄ ̄廴L./\_/:::::ー::::-、:::::::\::.:〈{ >::\::.::.:\::.::.::frヘ_:{::.::.({_:; x─ 、::::\:::::::レ′ <::.::.::.::.::.\::.::.:ヽ::f|フー辷ヘ」::.::.:}‐__>─>:::::;У´ ` ー- 、:_ヽ::.::.::'f|フ `ー辷7! |::.::`く::∠ ヽ::.::f|フ |{ ,7/ヌニ≠ヘ_::.::\, ‐ 、 ',::.flフ ヾ、 ,7/ヌ 〃 `ー辷Z_ \ ∨/ }|,7/ヌ 〃 〆/\ト、 \__ . j{ //`卞、,〃/厶イ´′〆∠::.::.:〈⌒ヽ ィ`‐辷ュェ、 ,小{ /:.:/>-‐┴く孑‐z__〆イ-‐'⌒ー‐ヽ \// `¬{ j|/:.:l:.:〈:.:/ _ 、 マ}:.|i ̄`´ \{ /フ l l/:.:.il:.: V{Y 冫 ' Ⅵ! \ /ス\ . l l:.:i:.:l|:.、:.:.弋ニ´ ト、r‐、 }|:i| /! ∨ヌ ┐}ヽ \ ll:.:.|:.:l|:.:.ヽ:.:.:.\N|ハ_,ムl:.:.l':.:| ¨i_「'U_ハ ヽ}::.:.!:.:.|:. :.ヽ:.:.:.:.',:.l:.:.|`フ:.:/:.:/ } ト′ ',:.:.:、:.:'、 、 \:.:.i|:.:.|/:.:/:.:/ ` ヽ:.:ヽ:.: \ \! :.|:.:.:.:/″ ー _\:.\ 、_:.\ 」 ,ハ:/ ` ー=ニ二二フノ^′ ( /' ` ー‐ ' 原作 夢野久作 「死後の恋」 終 533 名前:A HAPPY NEW YEAR 2 0 0 9 ![sage] 投稿日:2009/01/01(木) 07:51:12.28 ID:yJgNXAgo ちょっと長くなりすぎた…すいませんでした 今年もよろしくおねがいします 534 名前:A HAPPY NEW YEAR 2 0 0 9 ![sage] 投稿日:2009/01/01(木) 07:59:37.08 ID:v/pbNKMo いや、かなり良かった。乙 今年もがんばってくれい 535 名前:A HAPPY NEW YEAR 2 0 0 9 ![sage] 投稿日:2009/01/01(木) 10:34:29.65 ID:a98Em46o 乙 536 名前:A HAPPY NEW YEAR 2 0 0 9 ![sage] 投稿日:2009/01/01(木) 10:43:46.29 ID:yQFy3hMo 乙です!良かった。 この作品はAAでやるとどうしてもネタがわかってしまう部分があって辛いすね。 もし次回予定があるなら瓶詰地獄を希望します。 537 名前:A HAPPY NEW YEAR 2 0 0 9 ![sage] 投稿日:2009/01/01(木) 10:48:15.21 ID:I1bDLK6o 乙 538 名前:A HAPPY NEW YEAR 2 0 0 9 ![sage] 投稿日:2009/01/01(木) 12:26:04.95 ID:xgnBWOko 乙乙 539 名前:A HAPPY NEW YEAR 2 0 0 9 ![sage] 投稿日:2009/01/01(木) 13:52:10.22 ID:fP6vnCko 乙 読んだ事あるけど面白かった。
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