短編まとめ
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560 名前： ◆X7dsTAyYLM[] 投稿日：2011/08/13(土) 00:51:37 ID:YQewjtNo
　題　「聖者の行進」

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ここは昼の国。太陽が永遠に空に浮かぶ世界。

この国に夜は来ない。遠い遠い昔に、この国は夜を失ってしまったらしい。

おとぎ話でしか、僕は夜の存在を知らない。

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561 名前： ◆X7dsTAyYLM[] 投稿日：2011/08/13(土) 00:52:39 ID:YQewjtNo


　 　 　 　 　 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、　　
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　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.　　　　
　　　　　;::::::/.:::::::::::/::::::;::{::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::ハ　　　♪聖者が行進していく　　聖者が行進していく
　　　 　 |:::::{:::{:::::::/:::::::/八::::::::＼:::＼:::::::::::::::::::::::|　　　　神よ、私も行進に加わります
　　　 　 |:::::::::::::::/::::／-―丶:::::::::＼‐-::::::::::::::::::::|　　　　聖者が行進していく
　　　　　!::::::::::∨／{_,斗＝ミﾄ＼:::､::|＼::ゝ:::::::::::::|　　　
　　　　　';:::::::／ﾍ::::::` Vし:::/ `　ヽ斗=ミ辷=-::::::'　　　
　　 　 　 ';:::::::::::::::＼:トヾｰﾞ' 　 　 　 ﾋ:::ﾂ/:::::::::::/　　　 ♪空に太陽が輝く　　空に太陽が輝く
　 　 　 　 }ヘ:::::::＼:::iヽ ''　　　　 ,　　,, /::::::::／　　　　　　神よ、私も行進に加わります　
　　　　　　 　 ヽ:::::::込　　　┌‐-, 　　 仏ィ"　　　　　　　　空に太陽が輝く
　　　 　 　 　 　 ⅥVﾍ`ト 　 ` ‐　イ:::::／ﾉ/７７´}　　　
　　　　　　　　 　 ﾉ┴-ミ 　 〕≦　 |／／)ﾞ / / /ﾞｈ　　
　　　　　 　 　 ∠ｚ―-ミ ｀圦え__ 　 /／　　 し / ｊ　　 ♪裁きのラッパが鳴る　 裁きのラッパが鳴る
　　　 　 　 _／　 　 　 　 ｀ヽ介ト辷/　　　　　 　 ｸ1　　　神よ、私も行進に加わります　
　　　　　　辷^辷^辷^辷㍉　{:l:|::{　辷^辷ｚ　　／. ′　　 裁きのラッパが鳴る
　　　　　〃.:::::::::::::::::::::::::辷㍉V::/´￣ ｀ヽ.えィﾞイ　　　　
　　 　　 i{:::::::::::::::::::::::::::/::::辷^Ｖ　　　　　 Ｖ辷ﾌ｝　　　
　　　 　 i' :::::::::::::::::::::::/:::::::::辷;'　ノ　 　 o/辷ﾌﾌ　　　　♪この厄介な世界が　　 私たちの生きる場所
　　　 　 |∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::::{_　　 　 o/辷ﾌﾌ　　　　　　でも私は待っている　
　　　 　 |/∧:::::::::::::::{::::::::::::::::/＼`ヽ ｏ/辷ﾌﾌ　　　　　　　新しい世界が始まる朝を
　　　 　 |//∧:::::::::::::::::::::::::::/　　 )ヽ../辷ﾌﾌ
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

僕は母さんの歌う、この歌が好きだった。昼の国に古くから伝わる、優しい子守歌。

けれど、母さんは病で死んだ。僕は独りぼっちだった。




この国には夜がない。

僕は部屋の片隅に布切れで闇を作って眠りに着く。安らかに眠ることが出来る夜がほしい。

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

562 名前： ◆X7dsTAyYLM[] 投稿日：2011/08/13(土) 00:53:40 ID:YQewjtNo



━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

ある日のこと。「地平線の向こうに、夜の国がある」という噂を僕は聞いた。

そこは昼のない国。永遠に夜のまま生き続ける国。


その国へ行って、夜を分けてもらえないだろうか！

その代わり、僕たちの国からは昼を分けるのだ。そうすれば…

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐ﾆ ┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　 -‐ ´ ／　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿ ／´　　　 　 　 ｀ヽ､　 j
　　　　　　　　　　　　　_ -‐二 ─ｧ　　　　　　　　　(:.r:.) ヽﾉ
　　　　　　　　　　　　く ￣　　　/　　 (:.r:.)　　　　　 　　　 ヽ＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　/　/　 　　 　　　　､＿,　　　　}　ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ/ 　 {　　　　　　　ｰ´　　 　 　 ﾉ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　/　　 ﾊ　　　　　　　　 　 　 　 ｲ 　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ,′ 　 | ゝ　　　　　　　　 　 ／　l　　　　　ヽ＿┐
　　　　　　　 　 ＿　　　　l　 　 ├─｀ｰ ┬-　　　　l´　　　l　　　　　ヽ //
　　　　　　　　　＼ヽミヽ/　　 　 !　　　　 l　 　 　 　 !　　　 l　　　　 ／ﾍ
　　　／⌒　　　　 ヽ＼〃ミヽ､　j　　　　 ,'　　　　　　l＼　 ∧_　／／　ﾟ　＼
　　/　 (　　　　　 　｀ノ　　　　＼､　　　　l　　　　　　 ＼/レ-＜　､　ﾟ､＿　＿ )
　/　　　＼　　 　 ／o　 　　　 ﾉヽ＼　　ハ　 i　　　　　ヾ､:..ヽ　＼ﾟ｀ヽ､　 ＼
　{　　　　r‐｀￣　／　o　 o ／　｀ｰ┘　{　{　 |　　　　　　　｀"ヽ　｀ヽ､_)｀ｰ--'
　､　　　　ゝ-／ 　　／　 ／　　 　 　 　 ! 丶 {　　　　　　　　　 ヽ
　　＼　　　 'ｰ─／__ ／　　　　　　　／ l　 ∨　 　 /　　　　　　 }
　　　 ＼　　　　　´　　　　　　_ -‐ ´　 　 l　　{　　 ∧ 　　　　　 ﾉ
　　　　　｀　ｰ─--　　-─ ´　　　　　　 ((l,　 H 　 ト､ゝ─ ´　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〉　ハ　/ (r　　,　'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝノ/　ノ　 ￣'
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ￣
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

　　　　突拍子もない考え。僕は国で一番の錬金術師である、QBに相談した。

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

563 名前： ◆X7dsTAyYLM[] 投稿日：2011/08/13(土) 00:54:24 ID:YQewjtNo

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼　　 　 　 　 　 ／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼＼　　 　 　 ／／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: 　,>　｀´￣｀´　<　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 Ｖ　 　 　 　 　 　 Ｖ
　　　　ああ、夜の国かい。確かに噂になってるね。　　　　　　　　　　 　 i{　─　 　 　 ─　}i
　　　　誰が流したのやら…　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八　 　 ､_,_, 　 　 八 =3
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 　 　 /　个 . ＿　 ＿ . 个 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿/ 　 il 　 ,'　　　 '.　 li　 ',＿_




　　　　　 　_ ＿ _ _
　　　　　 「 ＿　　　 ￣￣￣｀ヽ
　　　　　 |　| |　￣￣￣.:.:.::::::1|
　　　　　 | _i |　_ _＿.:.:.:.:::::::::::ﾘ
. 　　　＿,「. .:. :.:.:.:.:.:::::::::::::.:.:::::L--､
　　　〈　こL_ ＿＿ ＿__ ＿ ノ.::::::/
　　　　＼　　 　　　　　 .:.:. :.:::::::_/
　　　　　/.7`::ー ── ─ .:.::"::.:ヽ　　　ねえねえ！　夜の国へいってさ！
　　　　　|/:|::|　（●）　（○）　|ｲ::ﾚ′　　夜を分けてもらうんだよ！　ねえ、QB！できないかい？
　　　　　　||/　　.（__人__）　　|/|
　　　　　　|　　　　|r┬-|　　 　.|
　　　　　　＼ 　 　.`ー'´　 　.／



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼　　 　 　 　 　 ／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼＼　　 　 　 ／／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: 　,>　｀´￣｀´　<　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 Ｖ　 　 　 　 　 　 Ｖ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 i{　●　 　 　 ●　}i
　　　　　　　　何を言ってるんだい？　わけがわからないよ　　　　　　　　　八　 　 ､_,_, 　 u 八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 　 　 /　个 . ＿　 ＿ . 个 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿/ 　 il 　 ,'　　　 '.　 li　 ',＿_




　　　 　_ ＿ _ _
　　　 「 ＿　　　 ￣￣￣｀ヽ
　　　 |　| |　￣￣￣.:.:.::::::1|
　　　 | _i |　_ _＿.:.:.:.:::::::::::ﾘ
. 　＿,「. .:. :.:.:.:.:.:::::::::::::.:.:::::L---､
　〈　こL_ ＿＿ ＿__ ＿ ノ.::::.:.:.:/
　　＼　　 　　　　　 .:.:. :.:::::::.:.:_/
　　　/.7`::ー　── ─ .:.:　:"::.ヽ
　　　|/:|::|　 （ ●）　（ ○） .|ｲ::ﾚ′
　　　　||/　　　（__人__）　　.|/|
　　　　|　　　　　|r┬-|　　　|　　　　だからさ、夜をこの国に持って帰ってくるんだよ！
　　　　＼ 　 　 　`ー'´　 ／　　　　QBはこの国一番の錬金術師でしょ？出来ないの？

564 名前： ◆X7dsTAyYLM[] 投稿日：2011/08/13(土) 00:55:01 ID:YQewjtNo




　 　 　 　 |＼　　 　 　 　 　 ／|　　　　　　……できなくはないさ。確かに、夜の国は実在するもの。
　 　 　 　 |＼＼　　 　 　 ／／|
　　　　 　 : 　,>　｀´￣｀´　<　 ′　　　　　　…けれどね、今まで何人も君みたいなことを考えて
.　　　　 　 Ｖ　 　 　 　 　 　 Ｖ
.　　　　 　 i{　─　 　 　 ─　}i　　　　　　　　この国を旅立っていった。けれど、誰も戻って来なかった。
　　　　 　 八　 　 ､_,_, 　 　 八 =3
. 　 　 　 /　个 . ＿　 ＿ . 个 ',　　　　　　　夜の国で夜を盗むことは重罪だ。…裁きを受けることになる。
　　　＿/ 　 il 　 ,'　　　 '.　 li　 ',＿_





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ＿ _ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「 ＿　　　 ￣￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　| |　￣￣￣.:.:.::::::1|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| _i |　_ _＿.:.:.:.:::::::::::ﾘ
　やっぱり夜の国はあったんだね。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . 　　　＿,「. .:. :.:.:.:.:.:::::::::::::.:.:::::L--､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈　こL_ ＿＿ ＿__ ＿ ノ.::::::/
……違うんだよQB。僕からは昼を持って行くんだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　 　　　　　 .:.:. :.:::::::_/
お互いに交換しあうんだ。夜の国が昼を気に入ってくれれば…もしかして？　　　　　　　　　 /.7`::ー ── ─ .:.::"::.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/:|::|　（●）　（○）　|ｲ::ﾚ′　
QBはこの国一番の錬金術師でしょ？　どう？できそう？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||/　　.（__人__）　　|/|　　 　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　|++++| 」_ ｷﾗｯ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼,.　　 .`ー''´ .l　／





　　　　　 |＼　　 　 　 　　　 ／|
　 　 　 　 |＼＼　　 　 　 ／／|
　　　　 　 : 　,>　｀´￣｀´　<　 ′
.　　　　 　 Ｖ　 　 　 　 　 　 Ｖ
.　　　　 　 i{　●　 　 　 ●　}i
　　　　 　 八　 　 ､_,_, 　 　 八　　　　　　昼と夜をお互いに分け合うか…なるほど、ならば。
. 　 　 　 /　个 . ＿　 ＿ . 个 ',
　　　　　 /,,―　-ー　　､　,　-‐ ､
　　　　 （　　　,　-‐　'"　　　　　 ）
　　　　　 `;ー"　`　ー-ー　-ー'
　　　　　　l　　　　　　　　　　　l

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

　　QBは僕の計画に賛同してくれた。僕の計画を遂行するための道具を作ってくれるらしい。

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

565 名前： ◆X7dsTAyYLM[] 投稿日：2011/08/13(土) 00:55:25 ID:YQewjtNo

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そして、僕はQBの助言に従い、女王陛下と謁見した。　旅立ちの許可をもらうためだ。


普段は国民に姿をお見せにならない女王陛下、なんと僕は謁見することが許された。

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