デカメロン（十日物語） 聖者チェッパレッロ氏の物語
414 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:00:12 ID:lr3FG8bo
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〃´ ｀ヽ
､ﾘノノ｀ヽ) 「やる夫獅子心王」スレで聖遺物の話をしていたので（次回は聖人らしいし）、
ゝdﾚﾟ ヮﾟ）ゝ ボッカッチョの代表作『デカメロン（十日物語）』からこんな話を一つ。
/ﾆニ入
415 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:00:31 ID:lr3FG8bo
――― デカメロン（十日物語） ―――
_,,,,,--―--ｘ，
,,,,-‐'"゛_,,,,,,,,,、 .ﾞli､ ,/ﾞﾞﾞﾞ￣￣￣￣ﾞ''''―-,,,,、
_,-'"゛,,―''ﾞ二,､､、ﾞ'! .ｉ㍉ │ "'-、
.,／｀,,／,,,,ｯﾒ''＞.,,／,-゜ ,,‐｀ │ | ﾞ'i､
_／ ,‐ﾞ,／.ﾍrﾆﾆ‐'ﾞン'′,,／ | .| ‘i､
,,i´ |、 ﾞ''''''ﾞﾞ_,,,-‐'" _,,-'" .lﾞ .| │
.|, `^'''"ﾞﾞ｀ ._,,,-'''″ ,lﾞ │ ﾞl
｀≒------‐''"゛ 丿 ヽ ﾚ
＼ ,,i´ ＼ ／
｀ヽ、 ,,／ ｀-,、 ,／
`''-､,,,_、 ._,,,,,-‐'＾ `'ｰ､,_ _,,-'"｀
￣ﾞﾞﾞ″ ｀ﾞﾞ'''''''''''''''"＾
――― 聖者チェッパレッロ氏の物語 ―――
416 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:00:54 ID:lr3FG8bo
―――トスカーナ地方のプラートに、チェッパレッロという男がいた―――
_,. ---- ､
／;:::: :::::: :: : : : ヽ､
/;:;:::: ::::::: ::::: : : : : : :＼
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|;:;:;:;:::::: ::::: ::: : : : :/^ヽ |
|;:;:;:;:;:〃‐- ＿_／／ヽ｝
ヽ;:;:;/ ＿＿__,, / ｡ヽ/
{⌒l;| " ( ﾟ ) iゝ "|^l
ヽ t|;| 〈 |ﾉ
ゝiヾ r > ﾄ､__
_,,-''7 ﾄ､ ﾞ''‐‐- .,,__ノ/i ヽ ` ‐- ､
_,,-'" / |;:;:＼ -‐ /;:;| ヽ ` ‐- ､__
＿,,. -''´ / |;:;:;:ヾ＼,,＿_/;:;:;:| `､ `ヽ
{ { |;:;:;:;:＼ >;:;:;:;:;:;:;| ｝ ｝
| | |;:;:;:;:;:;く￣ ヽ;:;:;:;:| | / /
ヽ | | .|;:;:;:;:;:;:;ヽ__/;:;:;:;:;:| | |/ /ヽ
く ヽ､ | |. |;:;:;:;:;:;:;:;| |;:;:;:;:;:;:| | | |
ヽ |. |＿__ |;:;:;:;:;:;:;:| {;:;:;:;:;:;:| ＜ | ヽ
―――この男は公証人（※）として身を立てていたのだが……―――
※商業上の契約に必要な文章や登記簿、あるいは法に基づいた各種書類を作る職業。
417 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:01:38 ID:lr3FG8bo
―――この男、公証人、というより人間として骨の髄から捻じ曲がっており―――
__ ＿
_,､-‐‐'ｰ- ､,_ヽ_
／ ,､ -‐ ''"´;: ; ヽ
/ ／ ,､‐''"´´ ;: ;;`ヽ
/ (／ ,､-‐''"´´ _, ,丶
i (ゝ ／, , ､ｰ''"､´ _ヽ
| /'''_ｰ-く___, -'´ lｰ''"ノ ヽ. , へ､ _
､ 'l { ｀ヽ;ｰ-､-,ｰ‐,r''1 ; ;ヽく''ﾍ ヽー---‐'''"""""
r､ iヽ ヽ' ｀' .|､ ,. | |
{λヽ.ヽ ,,ｿ ヽ-' t' __ﾉ ,______
＼ゝ､iヽｰ '`ー'''`1´ ~ヽ､､､／~ ￣￣,~"＝
､‐'''''ヽ ｀'ﾍ.',ヽ , ､ { ,､- '´
/ ＼ ヾ ヽ⌒ヽ ヽ { , ‐､_ ／
. | ゛‐-ｰ'.,!＼＼__ ｀ヽ. ,､ ／ ｀'´ ,
､ / / | ＼ ＼゛､ｰ'>' ﾉrｰ' ´ | , ／
r; / / |＼,_＼ ｀""´r''| ト､ | | ／
ｉ / | フ 丶､___ノヽ. |/ / ／
ｒヽ＼ ( | ,ﾍ | | ヽ ＼ ∥/ ／
―――人に頼まれれば嬉々として偽の書類をでっちあげ―――
―――むしろ本物なんて馬鹿馬鹿しくて作ってられない、という酷い有様であった―――
418 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:02:07 ID:lr3FG8bo
―――他にも詐欺、強盗に人殺しまでなんでも引き受ける人物で―――
| ｀､ _,...,,,,,,, r''￣￣￣｀ヽ
ゝ ｀￣ 丶 ,,,-───-､_ ／ ヽ
| 丿 ／ ヽ / ヽ
_,,i _,,-―一'y､ ／ ／ ヽ ／ ﾞl
／ .__,ｰニ''""｀ l二ヽl ／ / i / !
／ ,,r'ゝ ' ￣｀ '｀''i､ li i /""ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ^''''｀｀｀｀ﾞl l／ ,／ヽ, |
ｒ´ ,i ｀ |l | ７ ／ ￣ヽ l l ＿__,､,,ノ ,‐､l |
-､,,,__ l´ﾞl |ヽ''iﾆﾆﾆ二￣コ |l. | / -二_ ! -､｀|/ lﾞ―､_ ｒ'' | ,!
.,‐ﾞ|l_li i、 ＼ ￣ | l | ｒ-,, ! ｀ !_｀ .| ,-､ / -一` i. '⌒ | |
彡 ｰ" ヽ. ＼⌒⌒ヽ| |i | l l 〈 ｲ ｀l、 i´ﾞi（（ ヽ / ﾉ
彳 ﾄ、ヽ ヽﾆﾆ=l .lﾞl.──`､ゝl l `!'-､＿,r‐―――ッ'ﾍ .ぐ'ゝ ﾌﾞ > / ,r'"
| | ｀､ ｀ｰ､、 ,! `彡 ｒ''＼彡ゝ└--┴-┴ｰ７'/ 丶 ｀|ヽ、 ､__＿__ /ノ
ヽ、 ﾄ、｀､_ ｀"^｀｀ ,彡 / / 彡ヽ､ / ,i´ lゝ､ | ヽ `ー-┘/
, 、＿＞ | ＼. 'ｰ--､_,,,.r‐"￣ﾞﾞヽ、l 彡 ヽ、.'⌒⌒ / / .ﾉ ｀二| ヽ、 /￣*エ；?
| | ｀ﾞﾞﾞﾞ,ﾆ､ | ﾞヽ ヽ、 ヽ､__,,,./ / ム,,r‐' /l ー┬"ヽ ﾞ''ー/
-' | ,,,／ ヽヽ i ,ヘ ハ / /./ l | |`.!
|V .`ヽ /V l ﾞ! 〈 ヽ､,,,,,ｲ !､/ lﾞ l ,lﾞ l .| ､|
| !l⌒ヽ | l ヽ＿l | ヽ l l lﾞ | `ｰ'
l / | l l / / l l ヽ iﾞ ! | .|
| | l ｀l | / |. l ヽ l i | |
| l. l l l l | l ゝl l. | |
| l l l l | |. l ＜ | .l | |
| l l l l l |. l ／| | / |
―――夜毎、酒場や娼館にたむろする有様である―――
419 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:02:50 ID:lr3FG8bo
―――その彼が、ブルゴーニュ地方へある兄弟の借金取立てに行ったとき―――
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;;;;;;;;:;:;:;:;:;| :;:;:::::::: |:|／
;;;;;:;:;:;;:::;:;| :::::: |:| こりゃあ、俺もいよいよ年貢の納め時か…
;;;;;:;:;:;:;: `‐´ ヾ |/
;;;;:;:;:;:;:;:;:;: ,. ｲ /ﾄ､
;;;:;:､_,.. -‐'´, へ //;:;:;ﾄ､__
;;;:;:;: ` ーﾆ´ ＼＼/;:;:;:;| 弋─--
;;;;;:;:;:::::::::::::::::: /＼>;:;:;| ＼
;;;;;＼::::::::::: //;:;:;:;:;:;:| ヽ
;;;;;;;;;;;＼＿＿／/;:;:;:;:;:;:;:|ヽ､ >
;;;;;;;;;;;;＼ __／;:;:;:;:;:;:;:;:;| ヽ､ ／
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;;;;;;;;;;く ,>､;:;:;:;:;:;:;:| ::::: `ヽ､
;;;;;;;;;;;;ヽ /;:;:;:＼;:;:;:;:;| :::::: /
;;;;;;;;;;;;;;;;i＿/;:;:;:;:;:;:;:;＼;:;| :::::::: /:
;;;;;;;;;;;;;;;;/| ヽ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:Y :::::::::: / ::
;;;;;;;;;;;;;;;;| |:: ∨;:;:;:;:;:;:;:;:;:| ::::::::::::: i ::::
;;;;;;;;;;;;;;;;| |:: ヽ;:;:;:;:;:;:;:;:;:| :::::::::::::: | ::::::
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―――日ごろの不摂生が祟り、死の淵に瀕してしまった―――
420 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:03:16 ID:lr3FG8bo
―――困ったのは、取立てに来られていた兄弟の方である―――
―――実は、穏便に引き取ってもらう為に、当初は彼を手厚く歓迎しているのだ―――
ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
|::::::;ノ´￣＼:::::::::::＼_,. -‐ｧ
|::::ﾉ ヽ､ヽr-r'"´ （.__
_,.!イ_ _,.ﾍｰｧ'二ﾊ二ヽ､へ,_7
::::::rｰ''7ｺ-‐'"´ ; ', ｀ヽ/｀7 な、なぁ…
r-'ｧ'"´/ U ﾊ U ! iヾ_ﾉ
!イ´ ,' | U !/!/V レノ!__ﾊヽヽゝ どーするよ…
`! !/ﾚi'rr=-, r=;ｧﾚﾊ'iﾉ
,' ﾉ !"￣ 'U￣"i.ﾚ' '
（ ,ﾊ U -=- U!
,.ﾍ,）､ ）＞,､_____, イ ハ
弟
――― 一度は歓迎した男を叩きだせば、遺骸を粗末に扱えば ―――
―――恐らく、周囲からの非難は免れないだろう―――
421 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:03:32 ID:lr3FG8bo
―――かといって、彼が懺悔を行うわけがない―――
＿_ _____ ＿_____
,´ _,, '-´￣￣｀-ゝ 、_ イ、
'r ´ ∪ ∪ ヽ、ﾝ、
ど、どーするってお前… ,'＝=─- ∪ -─=＝', i
i ｲ iゝ、ｲ人レ／_ルヽｲ i |
どーするよ？ ﾚﾘｲi rr=-, ∪r=;ｧ ∪.| .|、i .||
!Y∪￣ ￣∪ 「 !ﾉ i |
L.',. .∪'ｰ=-' L」 ﾉ| .|
| ||ヽ、 ∪ ∪ ,ｲ| ||ｲ| /
レ ル｀ ー--─ ´ルﾚ ﾚ
兄
―――そして、そんな男の遺骸は教会にも引き取ってもらえないだろう―――
422 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:03:52 ID:lr3FG8bo
_,,....,,_
-''":::::::::::::｀''＼ ：
ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::＼ ：
|::::::;ノ´￣＼:::::::::::＼_,. -‐ｧ ： ＿_ _____ ＿_____
|::::ﾉ ヽ､ヽr-r'"´ （.__ ： ： ,´ _,, '-´￣￣｀-ゝ 、_ イ、：
_,.!イ_ _,.ﾍｰｧ'二ﾊ二ヽ､へ,_7 ： . ： 'r ´ ..::::::::::::::.、ﾝ、：
::::::rｰ''7ｺ-‐'"´ ; ', ｀ヽ/｀7 ： ： ,'＝=─- -─=＝', i ：
r-'ｧ'"´/ /! ﾊ ハ ! iヾ_ﾉ ： ：i ｲ iゝ、ｲ人レ／_ルヽｲ i | ：
!イ´ ,' | /__,.!/ V ､!__ﾊ ,' ,ゝ ： ： ﾚﾘｲi （◯）, ､（◯）::::| .|、i .|| ：
`! !/ﾚi' （◯）, ､（◯） ﾚ'i ﾉ ： ： !Y!"" ,rｪｪｪ､ ".::::「 !ﾉ i | ：
,' ﾉ !'" ,rｪｪｪ､ "' i .ﾚ' ： . ： L.',. |,ｒ-ｒ-| .::::L」 ﾉ| | ：
（ ,ﾊ |,r-r-| 人! ： . ： | ||ヽ、 ｀ﾆﾆ´ .:::::,ｲ| ||ｲ| / ：
――― 平たく言うと、この兄弟はこの時点で「詰んだ」のである ―――
423 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:04:18 ID:lr3FG8bo
,.r‐'''' ‐‐-- ､.,
／:::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
/:::::::::::::::::::::::::r''''' ‐- 〈 おい、お二人さん、隣の部屋でそんな相談されたら
/::::::::::::::::::::::::::'､ ,r '' .〉
.l::::::::::::::::::::::::::::/ ' ,.､〈 嫌でも聞こえちまうよ…
l:::::::::::::::::r‐､::::ヽ. ´ ｀''i
ヽ、::::::::::l. i::::ﾉ , -.､ i
.ヽ:::::::::ヽ ヽ::. .l.| |. /,‐ ま、心配すんな。
ヽ,.r '´ ヽ!,//
,. -‐'''ヽ く ､ i' 俺が上手い事収めてやるから、修道士を一人ばかし
,.r'´ ヽヽ、 , '´ `' ､...ノ
.',:.:ヽ 呼んできてくれねぇか？
/i:.:.∧
| }|'.'､-l
ヽ |l:./ l …そう、出来るだけ徳の高いのを、な。
l/ |
| l /./
_,,....,,_ えっ？
-''":::::::::::::｀''ヽ
ヽ::::::::::::::::::::::::::::＼ ああ…わ、わかったよ…
|::::::;ノ´￣＼:::::::::::＼_,. -‐ｧ ＿_ _____ ＿_____
|::::ﾉ ヽ､ヽr-r'"´ （.__ ,´ _,, '-´￣￣｀-ゝ 、_ イ、
_,.!イ_ _,.ﾍｰｧ'二ﾊ二ヽ､へ,_7 'r ´ ヽ、ﾝ、
::::::rｰ''7ｺ-‐'"´ ; ', ｀ヽ/｀7 ,'＝=─- -─=＝', i
r-'ｧ'"´/ /! ﾊ ハ ! iヾ_ﾉ i ｲ iゝ、ｲ人レ／_ルヽｲ i |
!イ´ ,' | /__,.!/ V ､!__ﾊ ,' ,ゝ ﾚﾘｲi (ﾋ_] ﾋ_ﾝ ).| .|、i .||
`! !/ﾚi' (ﾋ_] ﾋ_ﾝ ﾚ'i ﾉ !Y!"" "" 「 !ﾉ i |
,' ﾉ !'" "'i .ﾚ' L.',. /⌒ヽ. L」 ﾉ| .|
（ ,ﾊ ∠二ヽ 人! | ||ヽ、 ￣￣ ,ｲ| ||ｲ| /
,.ﾍ,）､ ）＞,､ ,.イ ハ レ ル｀ ー--─ ´ルﾚ ﾚ´
424 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:04:31 ID:lr3FG8bo
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :::::::::::::ﾉ
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :::∧::::ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/::::ヽ::::|
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/::／ヽ}::| さあて…
: : : : : : : : : :／￣￣`ヽ､＿_／::/‐､::::|/
､: : : : : : : :/ ＿＿＿__,､ ｲ) |:::| ｝ チェッパレッロ最後の大仕事の始まりだ。
.ヽ r‐-､: :〈 ／ ｲｿ ヽ::: ::{ ﾉ::〈 .}
｀i ｨ‐､i: : | { ﾉ 〈:::::::::::::∨
ヽ{ r.|: : | ` ヽ::. :::::}
＼ ヽﾍ: :ﾍ r 冫:::::::|
>､._ヽ: :ヽ !､ /:::::::::::|､
／ |:;:;:;|ヾ: :ヽ `''‐ﾆ ──- .,__ｨ:::/ ｀`ヽ､
ﾉ |:;:;:ヽ ヾ:;:ヽ ￣￣￣ :::/ ＼
￣￣￣＼:;:;ヽ ＼:> -‐ :::/ ヽ
＼:;＼ ＼ :/ ＼
＼:;:ヽ_＞‐- ,,＿__ノ ヽ
＼:;:;:;:;:;:;／ ＼ヽ i
ヽ:;:;:/ `iヽ |
}∨､ |/ヽ |
| ヽ＼＿／ヽ:;:＼ |
―――二人は促されるままに、近隣では最も敬われている修道士をつれてきた―――
425 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:04:52 ID:lr3FG8bo
. / .:/:.:.:／:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:/,ﾍｨ1:.:.:.:.:. 〉
{ .:/.:.:/:.:.:.:.:.:/.:.:,〈:.:.:.:j !ミｼ{:.:{i:. （
ﾚ'i.:.:/:.:.:.:.:.:ﾊ:.:/ ﾊ.:.:〈〈 }:.:!i:.:i: }
. 乂.:{ ,.へ__} |=}≧丈z}_} {ｨ孑ﾊﾘ さて…まず懺悔を聞く前に…
. -=彡 ﾚ{ - i 刈亠ｲ`ｿｿ il圷ﾉﾘﾉ
=≦三:.:.:.:ヽzｿ ﾐ i| ′ 以前懺悔をしたのはどれ程前か
z彡:.:.:.:.:.:.:ハ ヽ 」ｲ
/ ｨ.:}:.:.:.:.:こﾑ `ー―‐'´:.:ﾐ=- 教えていただけますか？
. {/ !:ﾊ:.:.:.､ミ=- ＼＿___/.:i:.ヽﾐ=-
|￣￣￣￣}―‐┴‐1^iﾊﾉ
厂`: : : : : : : : |:::::::::| ::l::| :|‐、
_ -‐ ´-: ､: ｀: :―-: :{＿_::j__j∧/ ﾑ` ‐- . . ＿
´: : : : : : : : : : :＼: : : : : : ｜ }::ﾍ::::ヽヽ ﾊ: : : : : : : : :｀f´: ヽ
.: : : : : : : : : : : : :ﾉ: : : : : : :|i :|:::::::}::::::ヽ＼: : : : : : : : : l: : : :!
: ヽ : : : : : : : : : : : : : : : : : |i :|::::::::ヽ:::::::', ﾊ: : : : : : : :/: : : :l
修道士
) _ ______ |
| / _＼___／ ) |
はい、常日頃から、週に一度は。 | // ヽ ー-、__ / |
| | /｀ヽ |^｀ヽ く へ /
もちろん、それ以上行うときもあります。 )> ゝ(_| |_) ノ | |r |/
|,| く ~″ /ト_/
|________________ノ /ヘ/
……この病気になってからは、 ヽ 〟 // |
＼ ／~ |ヽ
もう八日もしていませんが。 ,―――-ヽ___イ______／ | ＼
/ / | ( ヽ | |＼_______
↑
懺悔なんて一度もしたことない男
426 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:05:10 ID:lr3FG8bo
＿....:.:´＼／｀:.:.ｰ:..、_
「:.:.:.:__:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__:.:.:.:ﾍ
,':.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ:.:.:.:.',
それは素晴らしい。 /:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:/Vﾍ:.:.:.:.:.:.:ﾍ:.:.:.:',
/:.:.:./:.:./i:.:.:i:. トｖﾍ:. i:.:.:!:.|:.ﾍ:.:.:.',
であれば、此度の懺悔にも /:.:.:.//:/:.:l:.:.!!:.:| |:.:|:.:.:i:.|:.:.ﾍ:.:.:ヽ.
|/:/:.i:i:.:l:.:小八:.| |:.ﾊィﾑﾄ;.:}:｝:.:.:.ﾄゝ
それ程手間を取らなくてもよいでしょう。 |从:.:l从!/千ｭヾ:! ﾑｨﾋュリ ﾉｿ:.:/ﾘ
｀ヾ{ﾊ ￣ ´ ｀ ￣ ﾊ}:.:{
｀ｰ彡ﾍﾍ : ﾊﾉ:.:.ヽｰ
ミ:.ノ:.:.:ハ ＿｀´＿ /:!.:.:.:.:.:彡
彡:.:.:.:i（:.:.:＼ ー ／:.:.}:.:.:.:ミヾ
イﾊソﾊ!ヽト ヽ ___ ／彡ﾊﾘﾍ;.:.j｀ヽ
｀!从ｒ‐┤￣￣!￣￣├‐┐ﾉﾘ
_┌'::::::|__;:;:;:;:;| ;:;:;:;:__|:::::::｀┐
, -- ─ -- 、
／ ヽ そんな風に仰らないで下さい。
/ ,へ、 ｀、
ｌ / ＼_ j_ 俺がした懺悔なんてちっぽけなものです。
ｌ 7 '~＼, ｀}｀
ヽ f^ヽ { （ ♪/
＼ ｛ (i | ! u ＼ それに、生まれてから犯した全ての罪を
Ｖ＼ﾊ { _(´
ハ ヾﾐ '´〈 懺悔したいと思わなかった日はありません。
/ｱｰ-､ ｀丶、 _）
427 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:05:28 ID:lr3FG8bo
＿＿
,. '´: : : : : ｀丶 ､
／: : : : : : : : : : : : : } ですから、どうか俺から全ての罪を聞き出してください。
／: : : : : : : : : : : : : へ＼
/: : : : : : : : : : : : :／ / ヽ } 俺が病人だからといって容赦はしないで下さい。
{: : : : : : :,───′/ |ﾄ､
|: : : : : :/ ,. -─‐ ' {ｨ＝ ',. }
ヽ: : : :〈 ｨ=＝ ` ┐ ∨ ここで楽をして魂が救済されないよりは、
ヽ: : :ヽ " l ヽ
>‐､ヽ r ─{´ ここで苦しむ事で魂が救済されることを望みます。
{ (ﾍ:ヽ弋ー‐ ´ {─､__
＼ﾞ ＼ヽ＼ ＋＋ i 〉:;:;:〉`i丶､
`ーヾ. ＼＿＿_／ t:;:;:/ ! ｀ ー─‐ァ- ､
_,. ‐ '´丶､ ﾉ:;:;/ ! ,. ´ ヽ
ｲ / ∧`ー ｧ '´:;:;/ | ／ }
＿ ＿_
／￣ : : ｀Y´: : : ￣＼
ﾉ: : ／: : : : : : : : ｀ヽ : : ﾐ､
/: : /.: : :/: : : : : : : ヽ: ＼: ﾐ､
. /: : / / :/ i {ﾐＶｉ}:ｉ:ｉ ヽ＼ }: :ﾐ､
なんと、素晴らしい心がけだ！ // /{ / :/ 人│ |:|:ﾄ､ :l_刈 : .::|
И/l И≠ナ-ﾐ| |从∠|L」: .::Ｎ
わかりました。 ′} ,ﾊVく 何ｶヽ / く何｀>.:ﾄ､/
ﾉ,ゞﾑ ｀¨´" |:. ｀¨´.::ﾑ八 ,
そういうことなら私も付き合いましょう。 `ｰ彡'／,:∧ ､ j:::. .::/个ｰミ彡
ｰ彳/ .//爪＼ z==ｭ ／ﾉl li:lヽﾐ=‐'
. И /.从ｌﾄﾐ､ ＼ ／_彡ﾉﾉl:l:l:Ｎ｀
. Ⅵ刈川込_ ｀¨´ `-彡川Ⅳ
┌|￣¨|三三王三三|¨￣h_
一¨￣＼:i:i:i:|┐三王三┌|:i:ｉ:/:i:ｉ:￣¨ｰ--､_
:i::i:i:i:i:i:i:ｉ:ヽ:ｉ:|:i|.三.王.三.|:i|:ｉ/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:
:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:|:i|.三.王.三.|:i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i
428 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:05:48 ID:lr3FG8bo
j:::::::::::::::::::::::::::::::/::ヽ/ヽ :::::::::::: ∧
/:::/:/:::/::: l:::|::ｉ:::ｉ::: ｀'" ヾ:|::|:|::i:::::∧
/:::/:/:::/:|:::::l:l:|::|:::|::: |:|::|:|::|ﾍ:::ハ
/:::/:/:::i:l::ｌ|:::::l从ﾘハ:: ｨ升サﾘ:::}::::ハ まず、あなたは姦淫の
{:i::l:l:l::::从ﾊ:::::l_Tユゝ、 Kエﾌ''ｲイ::::ﾉ i
iﾊハ∨ﾍヽ::｀ヽ i | //´ 罪を犯したことがありますか？
ヾ:::::ﾍい＼ 」 | ﾊ{、 ）
Ⅵ::::ヽ､:.:... ＿_＿ ,ｲ､ヽ二ノ
（.....ノﾉ::::::::八:.:.:.. ´ ー ハヾ丶彡′
｀ヾﾆ彡:::::::::::::::::ﾄ､::.:.:... /::::jハ!ヽヽ
｀>≫ィ彡ミ::_ゝｰ＿___ー‐_升彡ｲﾉハﾝ}
//Ⅸｉ|:::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.|;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;|:.:.:.:.|
{｛/Ⅵ!:::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.|;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;|:.:.:. j
_＿........i_,ｘ≧::::::::::::::::.:.:.:.:.:.|ｰ┐〈;;;;;;┌′:.:.｀ｰ..､
￣￣ : ::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i!::::!;;;;ゝ;;;;;l:::::::ｨ j:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:.:....._
/: :/ ＼: : : :::::::::::::::,. ヘ::::::::::::|
{: ://^ヽ ＼__ - ''´ : : : ヽ:::::::|
|: { ＼ _ -‐丶`i:::::|
!:ヽ /´e ヽ 〈i-/ e｀ヽ: : :}::::|
信じてもらえないでしょうが… >､| { ﾉ､ 丶 ノ: : |::ｨ^ヽ
{h|{ } : : |::| ｲ/
実は私、童貞でして。 | | : :|::| }/
ヽ | ヽ :/::i_/
｀i /::/
ヽ ∠二二フ ミ
ヽ -- /
ヽ 〃
__|＼ ／/
／}:;t_ ｀ ー '´ {ヽ
_／ /:;:;:;:｀ー- ､ ノ:;:;:ﾄ､
429 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:06:05 ID:lr3FG8bo
__＿__
／｀ヽ＜:.:.:.:.:.:.:.:.ト､__
「｀:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼:.:.:＼
おお！何と素晴らしい心がけだ！ rー┤:.:.:.:.:.:. ∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾍ
| :.:.:.|:.:.:.:.: !ｉ:.:.:∨:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∧
我等の様な身分のものならともかく、 ｉ :.:.:.|:! :.|:.:|:!:i:.:.:∨:.:.:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.:.:.:∧
| :.:.:.|:! :.|:.从乂:.:Ⅳミヾ.:.:.:ﾍ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〉
市井に生きるあなたの様な人間が… |:.ｉ:|:从:.i|イ⌒从ﾘ ミく ノハﾉ:.:.:.:.: : Y
ﾘ从Уﾊﾘノ´ / //:.:.:.:.:.:.:.:.:八....ノ
真に素晴らしい！！ / j ぐｲ:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:く
. く ＿, //:.:.:.:.:i|:.:.:.:.:.:.:.ヾj
｀く´ イノ:.:.: ﾉ!:.:.乂Уﾉ
…次に、貪欲の罪を犯したことは？ ', イｰ=彡イノ:.:.ﾉ从乂
ノゝ-＜ヽ_＿_∠￣￣::::::::::::|
Ⅵ-r―||:i:i:i:i:i|:::::::::::::::::::::::::ュ､、___
,ｨﾁ￣￣｀ヽ､
／: : : : : : : : : : ＼
/: : : : : : : : : : : : : : ヽ 四旬節（※）の断食を行う以外に、
{: : : : : : : : : : : :／＼: }
{: : : :/｀`ー--' ／｀ ヽ| 少なくとも週に三日はパンと水だけの食事を
!: : /--─ '' ´f |:|
〉: :{ ＝・= { =・=.{^i 摂ってきたのですが…
{´｀i:{ ヽ }ﾉ
ヽヽ|| / }
`t}､. / その後は水をがぶ飲みしたくなり、また、
/ｨﾆ`ー─-ｭﾞ/
＼ｰ '´￣￣.ﾉ､＿＿＿,. サラダを無償に食べたくなってしまいました…
, ----──‐八＼ ＿_／| ヽ
/ / 〉:;`ヽ､ ノ:;:;:ﾄ ＼
{ / /{:;:;:;:,r'´⌒!:;ハ ヽ
', { { |:;:;:;:ハ___ﾉY:;:;| ヽ
※食事の節制などを行い、日頃の自身の行いを振り返って祈りを捧げる季節行事。
430 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:06:29 ID:lr3FG8bo
_......._
_...._ ／:::::::::::::｀ヽ
/:::::::::::＞く::::::::::::::::::::::::::::＼
息子よ、それはとても自然な、軽い罪です。 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
,.イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾍ::::::::ﾍ:::::::＼::::::｀
どれ程徳が高い人でも、断食の後は食事が く:::::::::::::::: /:::::::::トイﾍ::::: Ⅵ::::::∨:::::∧::::
∨:::::/::/::ﾊ : ::| Ⅵ::|∨::::::∨:::::∧:
美味しく思われるでしょう。 Ⅵ:|:::|__| Ⅵ| Ⅵ|≦千ト∨:::::∧
}:::|:::|:干气:i| ハi ,zｪⅥﾘヾﾐ:::::
これ以上気に病む必要はありません。 i::::|:::川 ,,zｪi| ｲ辷У ミr=:
//::Ⅵﾘｲ辷ソ :.. に
|ﾊ::::i !ﾍ :.:.. ﾑ
それでは、他に貪欲の罪は？ | Ⅵ､ﾊ ` ´ ﾉ_ ｲ
Ⅵ:へ ＜__￣＞ ｲ::::::|
}:::::::|::＼ ／/:/:: |
ｰ=彡::::::!:::::|:＼ ／ ｲ/::::: |
ヾ=彡// :::::|::::| ー--― イｲ:!::::|
,. -─- ､
／: : : : : : : : :＼
/: : : : : : : : : : : : : :ヽ そのことなのですが・・・
|: : : : : : : : : : : : : : : :|
| : : : : : : : : : : : : :／|:| 私は父の財産を教会に喜捨し、
|: : : :/^ ‐- ,＿／/ |/￣''''─-
ヽｨ､: 7 _,, ,r'fﾘ|)＼ また、私のささやかの儲けを
,!d.l:| てﾋｯ ヽ i ヽ
／|ﾍ､,l:| 冫 ﾄ ヽ 常に清貧な人たちとわかちあって
／ .| |:;ﾍﾐ ＿/^i;| >
／ | |:;:r‐､ ／_ | |;:| ／ きました。
／ | .|:;`i ヽ ／ ./);匕
／ | |:;:;| `‐'´ //);:;| ￣|
／ ￣７|;:;{ |;:;:;| | 神もそれに応えて下さり、おかげで
{ / |;:;＼ ／;:;:;:| |
ヽ ヽ | く |;:;r‐| ィ''´ |;:;:;:;:;:| | 私の商売は大変繁盛しました。
＼ ＼ | ヽ ト|_ `'''┤ |;:;:;:;:;| |
431 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:06:50 ID:lr3FG8bo
__＿
_＿／￣｀´:.:.:.:.:.i_＿_
/:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.: i
ノ:.:.:.:.:.:.:.／/ /::/::/:ﾊﾍ:.八
.:´:.:.:.:.:.:.:.イ:.:/:へ/::/:/"｀Ｖ .:.:｀ヽ 大変素晴らしい心がけです。
/:.:.:.:.:./／!/ｉ:.从ィ芝ﾄ㍉ Ⅵ:.:.:.ﾘ
ﾘ:.:.:. /ｲ⌒ﾚ' ハﾘ┴┴ ｘｲハﾊﾉ
ヽ:.:.:〈て（ ヾ: ヾｿﾉﾘ …ところで、腹をお立てになったこと、
八:.:!ヽつ :. 、＿ ｲ
-=彡:.:.ｲj:.:ハ: ｀ ｰ/ すなわち憤怒の罪を犯したことは
イノ:.:.:イ八:.:.ﾍ ､ ｀"/i
ｲ:.ｲ:.:.:.i:.:.:.: ﾐ彡 ｀ ー - 〈:::ト､ ありませんか？
从ﾘ:.:ﾊ!:.:.:ヽ＼ー―ｖ「￣｀ヾミ
Ⅵ￣￣￣￣|:i:i:i:i|:i:__rﾍミ=ｰ
.. __ ...ｒ┘､ :::::──L:i:i:ｉ|:i:_::|:::|、
....:.:.:.::::::::::::::::::::::＼:::::::: |::::|:i:i:i:i:i:i:i:::i:::｀:::.....、__
,i: : : : : : : : : : : : : : ::::::::::::::::'､
/: :,ﾍ: : : : : : : ::::::::::::::::::::::::::::::::}
/: :/ ＼: : : :::::::::::::::,. ヘ::::::::::::|
{: ://^ヽ ＼__ - ''´ : : : ヽ:::::::|
むしろ、どうして腹を立てずにいられましょうか！ |: { ＼ _ -‐丶`i:::::|
!:ヽ /´e ヽ 〈i-/ e｀ヽ: : :}::::|
不正を行う人、神の戒めを守らぬ人を >､| { ﾉ､ 丶 ノ: : |::ｨ^ヽ
{h|{ } : : |::| ｲ/
目の当たりにして！ | | : :|::| }/
ヽ | ヽ :/::i_/
虚栄を追い求める若者を目の当たりにして！ ｀i /::/
ヽ ∠二二フ ミ
ヽ -- /
ヽ 〃
__|＼ ／/
／}:;t_ ｀ ー '´ {ヽ
432 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:07:12 ID:lr3FG8bo
＿....:.:´＼／｀:.:.ｰ:..、_
「:.:.:.:__:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__:.:.:.:ﾍ
息子よ、それは正しい怒りです。 ,':.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ:.:.:.:.',
/:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:/Vﾍ:.:.:.:.:.:.:ﾍ:.:.:.:',
/:.:.:./:.:./i:.:.:i:. トｖﾍ:. i:.:.:!:.|:.ﾍ:.:.:.',
そうではなく、怒りに駆られて人を /:.:.:.//:/:.:l:.:.!!:.:| |:.:|:.:.:i:.|:.:.ﾍ:.:.:ヽ.
|/:/:.i:i:.:l:.:小八:.| |:.ﾊィﾑﾄ;.:}:｝:.:.:.ﾄゝ
殺傷したとか、悪事を働いたとか、 |从:.:l从!/千ｭヾ:! ﾑｨﾋュリ ﾉｿ:.:/ﾘ
｀ヾ{ﾊ ￣ ´ ｀ ￣ ﾊ}:.:{
その様なことはありませんか？ ｀ｰ彡ﾍﾍ : ﾊﾉ:.:.ヽｰ
ミ:.ノ:.:.:ハ ＿｀´＿ /:!.:.:.:.:.:彡
彡:.:.:.:i（:.:.:＼ ー ／:.:.}:.:.:.:ミヾ
イﾊソﾊ!ヽト ヽ ___ ／彡ﾊﾘﾍ;.:.j｀ヽ
｀!从ｒ‐┤￣￣!￣￣├‐┐ﾉﾘ
_┌'::::::|__;:;:;:;:;| ;:;:;:;:__|:::::::｀┐
＿_,,, 匕二`ヽ､ __,,, --‐- ､
／::::::::::::::::::::::弋 `ヽ _, --､ --─ ''''"￣ ヽ
ィ:::::::::::::::::::::::::::入＼ `--| ヽ ___,,y |
|:::::::::::ィ‐‐--‐' /`｝| ,.-|＿| _,, --─ ''"￣／ ／
'､::::::::::| _,ノ" 何ﾐ-‐' ｀`´ ／ ／
＼::::::!､´ｲ可 ヽ ヽ , -‐ ､ .／ .／ その様な事をしていたら、
く^､ﾍ 冫 i__,,. -‐' i^ヽ" ／
＼ゞヽ ＿_, |ヽ ／ 私がこうして神を信じて
~｀ﾐ> ∠-'´ ｝ ヽ | ／
,.ｨ'´ﾄ｀ヽ､ ´ ノ ＼ | ／ いることなど出来ましょうか！
／ | | `ヽ､ﾆ厂 |ヽ > |／
__,,,. -‐'´ | ﾄ､. / ^' ﾄ､| ヽ ／ _ |
/ | | ヽ,/＼ | ヾ￣ | |
| ヽ | ヽ i^i | | |
( ヽ ｀`フ | .| ヽ. | | |
433 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:07:32 ID:lr3FG8bo
j:::::::::::::::::::::::::::::::/::ヽ/ヽ :::::::::::: ∧
/:::/:/:::/::: l:::|::ｉ:::ｉ::: ｀'" ヾ:|::|:|::i:::::∧ なるほど…
/:::/:/:::/:|:::::l:l:|::|:::|::: |:|::|:|::|ﾍ:::ハ
/:::/:/:::i:l::ｌ|:::::l从ﾘハ:: ｨ升サﾘ:::}::::ハ そういうことでしたら、貴方に神の
{:i::l:l:l::::从ﾊ:::::l_Tユゝ、 Kエﾌ''ｲイ::::ﾉ i
iﾊハ∨ﾍヽ::｀ヽ i | //´ 祝福がありますように…
ヾ:::::ﾍい＼ 」 | ﾊ{、 ）
Ⅵ::::ヽ､:.:... ＿_＿ ,ｲ､ヽ二ノ
（.....ノﾉ::::::::八:.:.:.. ´ ー ハヾ丶彡′ 次に、貴方は偽証や他人の中傷、
｀ヾﾆ彡:::::::::::::::::ﾄ､::.:.:... /::::jハ!ヽヽ
｀>≫ィ彡ミ::_ゝｰ＿___ー‐_升彡ｲﾉハﾝ} そして他人の物を奪った事が
//Ⅸｉ|:::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.|;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;|:.:.:.:.|
{｛/Ⅵ!:::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.|;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;|:.:.:. j ありますか？
_＿........i_,ｘ≧::::::::::::::::.:.:.:.:.:.|ｰ┐〈;;;;;;┌′:.:.｀ｰ..､
￣￣ : ::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i!::::!;;;;ゝ;;;;;l:::::::ｨ j:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:.:....._
/: :/ ＼: : : :::::::::::::::,. ヘ::::::::::::|
{: ://^ヽ ＼__ - ''´ : : : ヽ:::::::|
|: { ＼ _ -‐丶`i:::::|
!:ヽ /´e ヽ 〈i-/ e｀ヽ: : :}::::|
>､| { ﾉ､ 丶 ノ: : |::ｨ^ヽ
{h|{ } : : |::| ｲ/
それが… | | : :|::| }/
ヽ | ヽ :/::i_/
実はあるのです。 ｀i /::/
ヽ ∠二二フ ミ
ヽ -- /
ヽ 〃
__|＼ ／/
／}:;t_ ｀ ー '´ {ヽ
_／ /:;:;:;:｀ー- ､ ノ:;:;:ﾄ､
_ -‐‐ ''´/ {:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;／Yヘ:;:;:| ヾ丶_
434 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:08:01 ID:lr3FG8bo
＿....:.:´＼／｀:.:.ｰ:..、_
「:.:.:.:__:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__:.:.:.:ﾍ
,':.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ:.:.:.:.',
/:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:/Vﾍ:.:.:.:.:.:.:ﾍ:.:.:.:',
/:.:.:./:.:./i:.:.:i:. トｖﾍ:. i:.:.:!:.|:.ﾍ:.:.:.',
ふむ？ /:.:.:.//:/:.:l:.:.!!:.:| |:.:|:.:.:i:.|:.:.ﾍ:.:.:ヽ.
|/:/:.i:i:.:l:.:小八:.| |:.ﾊィﾑﾄ;.:}:｝:.:.:.ﾄゝ
続けなさい。 |从:.:l从!/千ｭヾ:! ﾑｨﾋュリ ﾉｿ:.:/ﾘ
｀ヾ{ﾊ ￣ ´ ｀ ￣ ﾊ}:.:{
｀ｰ彡ﾍﾍ : ﾊﾉ:.:.ヽｰ
ミ:.ノ:.:.:ハ ＿｀´＿ /:!.:.:.:.:.:彡
彡:.:.:.:i（:.:.:＼ ー ／:.:.}:.:.:.:ミヾ
イﾊソﾊ!ヽト ヽ ___ ／彡ﾊﾘﾍ;.:.j｀ヽ
｀!从ｒ‐┤￣￣!￣￣├‐┐ﾉﾘ
_┌'::::::|__;:;:;:;:;| ;:;:;:;:__|:::::::｀┐
, -- ─ -- 、
／ ヽ 実は、以前近所に住んでいた男が、毎日毎日
/ ,へ、 ｀、
ｌ / ＼_ j_ 自分の妻に暴力を振るっていたので…
ｌ 7 '~＼, ｀}｀
ヽ f^ヽ { （ ♪/
＼ ｛ (i | ! u ＼ 私は耐えかねて、つい、その妻の身内に、
Ｖ＼ﾊ { _(´
ハ ヾﾐ '´〈 夫の悪口を言ってしまいました…
/ｱｰ-､ ｀丶、 _）
435 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:08:18 ID:lr3FG8bo
__＿__
／｀ヽ＜:.:.:.:.:.:.:.:.ト､__
「｀:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼:.:.:＼
rー┤:.:.:.:.:.:. ∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾍ
| :.:.:.|:.:.:.:.: !ｉ:.:.:∨:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∧
その様なことは構いません。 ｉ :.:.:.|:! :.|:.:|:!:i:.:.:∨:.:.:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.:.:.:∧
| :.:.:.|:! :.|:.从乂:.:Ⅳミヾ.:.:.:ﾍ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〉
貴方は商売を嗜んでいるようですが、 |:.ｉ:|:从:.i|イ⌒从ﾘ ミく ノハﾉ:.:.:.:.: : Y
ﾘ从Уﾊﾘノ´ / //:.:.:.:.:.:.:.:.:八....ノ
その仕事に関して、誰かを騙した事は？ / j ぐｲ:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:く
. く ＿, //:.:.:.:.:i|:.:.:.:.:.:.:.ヾj
｀く´ イノ:.:.: ﾉ!:.:.乂Уﾉ
', イｰ=彡イノ:.:.ﾉ从乂
ノゝ-＜ヽ_＿_∠￣￣::::::::::::|
Ⅵ-r―||:i:i:i:i:i|:::::::::::::::::::::::::ュ､、___
_j:::j:::/ｲi:i:i:i:ｉ:|二ニ─／:::::::::::::::::::::
_ ... ィ´:::: / /i:/i:i:i; |:::::::: ／::::::::::::::::::::／
/: :,ﾍ: : : : : : : ::::::::::::::::::::::::::::::::}
/: :/ ＼: : : :::::::::::::::,. ヘ::::::::::::|
{: ://^ヽ ＼__ - ''´ : : : ヽ:::::::| ……実はあります。
|: { ＼ _ -‐丶`i:::::|
!:ヽ /´e ヽ 〈i-/ e｀ヽ: : :}::::| 以前、しっかり勘定をしないままに
>､| { ﾉ､ 丶 ノ: : |::ｨ^ヽ
{h|{ } : : |::| ｲ/ お金を金庫に入れ、後で数えてみたら
| | : :|::| }/
ヽ | ヽ :/::i_/ 少し多かった、ということがありました。
｀i /::/
ヽ ∠二二フ ミ
ヽ -- / 結局、相手が誰かわからず、
ヽ 〃
__|＼ ／/ そのお金は教会に寄付してしまいました。
／}:;t_ ｀ ー '´ {ヽ
_／ /:;:;:;:｀ー- ､ ノ:;:;:ﾄ､
_ -‐‐ ''´/ {:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;／Yヘ:;:;:| ヾ丶_
436 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:08:35 ID:lr3FG8bo
__＿
_＿／￣｀´:.:.:.:.:.i_＿_
/:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.: i
ノ:.:.:.:.:.:.:.／/ /::/::/:ﾊﾍ:.八 それしきのことは取るに足りません。
.:´:.:.:.:.:.:.:.イ:.:/:へ/::/:/"｀Ｖ .:.:｀ヽ
/:.:.:.:.:./／!/ｉ:.从ィ芝ﾄ㍉ Ⅵ:.:.:.ﾘ
ﾘ:.:.:. /ｲ⌒ﾚ' ハﾘ┴┴ ｘｲハﾊﾉ 寧ろ、貴方はなすべきことをした、
ヽ:.:.:〈て（ ヾ: ヾｿﾉﾘ
八:.:!ヽつ :. 、＿ ｲ そういえるでしょう。
-=彡:.:.ｲj:.:ハ: ｀ ｰ/
イノ:.:.:イ八:.:.ﾍ ､ ｀"/i
ｲ:.ｲ:.:.:.i:.:.:.: ﾐ彡 ｀ ー - 〈:::ト､
从ﾘ:.:ﾊ!:.:.:ヽ＼ー―ｖ「￣｀ヾミ
Ⅵ￣￣￣￣|:i:i:i:i|:i:__rﾍミ=ｰ
.. __ ...ｒ┘､ :::::──L:i:i:ｉ|:i:_::|:::|、
....:.:.:.::::::::::::::::::::::＼:::::::: |::::|:i:i:i:i:i:i:i:::i:::｀:::.....、__
__――￣￣￣ヽ
／ ＼
ノ ヽ
) _ ______ |
| / _＼___／ ) |
| // ヽ ー-、__ / |
他にも… | | /｀ヽ |^｀ヽ く へ /
)> ゝ(_| |_) ノ | |r |/
|,| く ~″ /ト_/
|________________ノ /ヘ/
ヽ 〟 // |
＼ ／~ |ヽ
,―――-ヽ___イ______／ | ＼
/ / | ( ヽ | |＼_______
/ |冫-く / | ＼
| || | / | ＼
437 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:08:53 ID:lr3FG8bo
, -- ─ -- 、
／ ヽ
/ ,へ、 ｀、
ｌ / ＼_ j_
ｌ 7 '~＼, ｀}｀ 実は、教会で唾を吐いてしまった事が一度ありまして…
ヽ f^ヽ { （ ♪/
＼ ｛ (i | ! u ＼
Ｖ＼ﾊ { _(´
ハ ヾﾐ '´〈
/ｱｰ-､ ｀丶、 _）
_,≦￣｀ﾍ/孑'マ_
_ノ: : : : : : : : : : : : : ﾐ､
¨ｿ: : : : :/:ﾊｯﾍヽ: : : :ﾐ､
実は私も、何度も唾を吐いてしまった事が ∧ /ナ十|､ ,ｒ十廾|: :N
刈くZｺﾞ "ｴﾕ>ﾘ:/
あるのですよ。 . 人ﾊ ´ |〉 ｀ /入
彡 : ::∧ ｰ─‐ｧ /:::::弋
. И/|::::|＼｀￣／|::: |从|
_r┴「三王三三|┴┐
￣ |┐.王三┌| ￣
―――こうして、チェッパレッロの懺悔は長く続いた―――
438 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:09:18 ID:lr3FG8bo
―――隣の部屋の二人―――
.-"::::::::::::｀::..､
ヽ:::::::::::::::::::::::::::｀'::.､
|::::::;ノ´￣＼:::::::::::＼_,. -‐ｧ
|::::ﾉ ヽ､ヽr-r'"´ （.__
_,.!イ_ _,.ﾍｰｧ'二ﾊ二ヽ､へ,_7 なんつーかまぁ
.:::::rｰ''7ｺ-‐'"´ ; ', ｀ヽ/｀7
!イ´ ,' | /__,.!/ V ､!__ﾊ ,' ,ゝ
`! !/ﾚi'rr=-, r=;ｧ ﾚ'i ﾉ
,' ﾉ !' ￣ ￣ " i.ﾚ'
（ ,ﾊ 'ｰ=-' 人!
,.ﾍ,）､ ）＞,､_____, .イ ハ
（ ）',.イ ヽ､__ﾉ 「ヽ.レ'ヽノ
ﾉヽ/ ';::ヽ､/iヽﾉ::i Y ∬ _
ri !:::::::`ｰ┘:::! i [￣]'E ）
./ヽｰ-,ｲ:::::::::::::::::::::!ﾝi ￣/｀/
＿_ _____ ＿_____
,´ _,, '-´￣￣｀-ゝ 、_ イ、
'r ´ ヽ、ﾝ、
ここまでふてぶてしいと、 ,'＝=iゝ、ｲ人レ／_ル=＝', i
i ｲi rr=-, r＝;ｧ ヽｲ i |
逆に笑えるわ ﾚﾘｲ" ￣ / | " .| .|、i .||
!Y! 'ｰ=‐' 「 !ﾉ i |
ε彡 L.', 'ｰ=三=-' L」 ﾉ| .|
| ||ヽ、 ,ｲ| ||ｲ| /
439 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:09:35 ID:lr3FG8bo
―――そうして懺悔、そしてそれに続いての聖体拝領と塗油式が終わった後―――
_,vr冖¨￣ﾞﾞ¨￣^～v､,_
.,,r''″:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::^ヽ､
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼
./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ﾐr
/ ::::::::::::::::::::::::::::::..ﾞ＼ﾉ'^^ﾞ''-ii,.ﾞ- :..ﾞ.....）
.| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ′ ¨'ヽ､_::丿
］:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾉ .Υ
.| ::::::::::::.u!^¨'┐┬::ﾞｱ′ -v､,_ |
｝ ::::::::::::｝ 'ir.)y::::: ｱ ._,エvv.,, |
.｛.:::::::::::│.（.｝ |:::::::| .ﾞ｀〔〕 .r″
ヽ､::::::::ﾞ), ﾞ^ .｝:::::::| ＼
.ﾞ'(,':::::'エv ｝::::::::|. .ﾞ¨^'‐ ﾞ┐
ﾞli__r'′ .＼:::::|. .y┘
,v--／ ﾞ|::| ［
_ノ⌒^￣""''''''''''''''''⌒冖'7^ ﾊ ﾞ┘ z;-ﾉv,,_,,,__
./ ./ ｛ ＼ .,ｱ'''ーｰ:┘ ←聖体
.,/′ . / .ﾐ .ﾞ＼_ ,r:v_ ｝
/′ ﾞlr / .（ ｀ｰ┬ﾞﾐ, .ﾞ‐z ｿ
./ﾞ .｝ .ﾚ._ 〕 _ノ'^┐（ ¨^ｰ:-"
―――その日のうちにチェッパレッロは息を引き取った―――
440 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:10:16 ID:lr3FG8bo
――― 一方、懺悔を聞いた修道士は、彼の死を聞いて修道院長と話し合った ―――
/:.:.:,ゝ-:.:.:.:.:.:.:.:.:､:.:.:ﾐ､
ｿ:./:./,:.,､,､:.:.:､ヽ:.＼:.ﾐ､
私が懺悔を聞いてきたチェッパレッロ氏は ﾉ:｛:,ｲ:|:.|ﾞ'"|:.ﾄ､:}:.i| Ν:Ν
|∧:ﾄИ:.i ,|/ Иﾉﾚｌ::Ν
市井にありながら非常に高徳な人物だった。 `.f∧狂ｭ, 斥弋7, ｉ´ﾘ|
ゞﾍ 〈| /‐'弋
きっと、彼の者を通して神が奇跡を 彡ｲ ヽ ｰ==- ∠ｨ: :.イ
「ﾚﾘrl丶-イ─ﾉｲﾍﾉ
示してくださるだろう。 ,-───'L|人 `Y￣|＿__／ハ＿＿
/: : |: : :./: ://|::::`ﾒ-イ{: : : : /: :ｉ: : :.,ｨ´￣＼
|: : ハ:.:/: ://:::|:::/::::::ハ∨: : : : :|: :./: : : : : :.:|
_У: : У: :,リ : :|::j::／:::: | |: : : : : |:./: : : : : : :.ﾉ
〉: : : :.:｝ ://:::::::::Ψ:::::::::: | |: : : : : |:|: : : : : :.:.:.|
/: : : :.:.|: : | |::::::::::╋::::::::::::| ﾄ､: : : : ｿ: : : : : :.:.く
. __ ｒ=-､ ／: : : : : :|: : | |::::::::::┃::::::::::::| |: :､: : :｀Y: : : : : : :.〈
／π-､｀}ヽ Y j: : : : : :.:.:｝: :ﾉﾉ:::::::::ﾉ::::::::::::::::| |: : ､ : :.::|: : : : : : : :
｀Y´,ｒ‐く ＼＿ ＿＿,ｒ‐＜: : : : : : :.:.|: :| |:::::::::::|::::::::::::::::::| |: : :.､: : ::{: : : : : : : :
. ｀〈_.ﾀ´`ｙ-ヘ ｝|:.｀￣´: : : : : : : : ..｀`ヽ:.:.:.:/|: :| |:::::::::/::::::::::::::::// : : :.::､: : 入: : : : : :.
ﾌ彡彡;;, ヽ、,, ,..:::.. ,.:' ゞ;;,ミﾐゝ
';彡ﾐｼ,;r==::;,,':.':::::::..,,,;r=ﾆﾆゝ;,,ミ7"'
"'';;彡'",;;;;;;;;;;;;;;,ヽ:::....r;;;;;;;;;;;;;;;;;,,Ｙ"'ヽ それは何とも素晴らしい人物だ！
/"'iｼi,;;;;;;;;;;;;;;;;;;',l::::"''!;;;;;;;;;;;;;;;;;,ﾉl⌒"l,
,i /,;"ｿヾ::;;;;;;;::ノ.l:::.."''ヾ:::::;;;;,''"::l ﾉ ﾉ 是非とも、我々の手でその亡骸を
i., y 'l, ....:::::::l',;'' ;,, ヽ、 ｌ〆/
＼ヽ;'i:. "',;':::::::::....ゝ "'ヽ.,:l /" 引き取るべきだろう！
＼,'l.. "':::;;;'''"" ;''ゝ i''
"l,::.. r‐,_,. -―''''''ﾆﾆﾉ ..:::l
l:::..."'ヽ,二ニニ‐''",,; .::/l
'ｌヽ、.::"'''''''""""""..:::/ .l
l;;;;;ヽ、 . :.: :::. . : ..::../ ｌ
,r'"l;;;;;;;;;ヽ,,;;,,;,;;;;;;;;;;;;;;/ l"';,
l;（く;l..:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;''''"" ,;;l)）:l
修道院長
441 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:10:29 ID:lr3FG8bo
／ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ
. / .:/:.:.:／:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:/,ﾍｨ1:.:.:.:.:. 〉
{ .:/.:.:/:.:.:.:.:.:/.:.:,〈:.:.:.:j !ミｼ{:.:{i:. （
ﾚ'i.:.:/:.:.:.:.:.:ﾊ:.:/ ﾊ.:.:〈〈 }:.:!i:.:i: } というわけで、
. 乂.:{ ,.へ__} |=}≧丈z}_} {ｨ孑ﾊﾘ
. -=彡 ﾚ{ - i 刈亠ｲ`ｿｿ il圷ﾉﾘﾉ 彼の亡骸を引き取りたいのですが。
=≦三:.:.:.:ヽzｿ ﾐ i| ′
z彡:.:.:.:.:.:.:ハ ヽ 」ｲ
/ ｨ.:}:.:.:.:.:こﾑ `ー―‐'´:.:ﾐ=-
. {/ !:ﾊ:.:.:.､ミ=- ＼＿___/.:i:.ヽﾐ=-
|￣￣￣￣}―‐┴‐1^iﾊﾉ
厂`: : : : : : : : |:::::::::| ::l::| :|‐、
_ -‐ ´-: ､: ｀: :―-: :{＿_::j__j∧/ ﾑ` ‐- . . ＿
´: : : : : : : : : : :＼: : : : : : ｜ }::ﾍ::::ヽヽ ﾊ: : : : : : : : :｀f´: ヽ
.: : : : : : : : : : : : :ﾉ: : : : : : :|i :|:::::::}::::::ヽ＼: : : : : : : : : l: : : :!
＿_ _____ ＿_____
,´ _,, '-´￣￣｀-ゝ 、_ イ、 ｷﾘｯ!
'r ´ ヽ、ﾝ、
それは素晴らしい事です！ ,'＝=─- -─=＝', i
i ｲ iゝ、ｲ人レ／_ルヽｲ i |
彼にとっても本望でしょう！ ﾚﾘｲi (ﾋ_] ﾋ_ﾝ ).| .|、i .||
!Y!"" ,＿__, "" 「 !ﾉ i |
（うっはｗメシウマｗ） L.',. ヽ _ﾝ L」 ﾉ| .|
| ||ヽ、 ,ｲ| ||ｲ| /
レ ル｀ ー--─ ´ルﾚ ﾚ´
442 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:10:46 ID:lr3FG8bo
―――そうして、チェッパレッロの亡骸は聖堂の中に安置される事となり―――
_ ...... _
／.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:..､
／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ. 諸君、チェッパレッロ氏は生前、非常に
ヽ､くミ辷彡:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、
{.:.:＞＞ぐ彡イｲ ／/.:.:.:.:.:.ヽ､ 有徳な行いを続けてきた人物であった。
（､、__..ノ彡ｲ{γ} |:/／ Ⅳく|:./ﾍⅣ!iﾍ!
.. ≫＞.:／.: 人ゞ j′ j/㍉ゞ 厶!!| しかし、それでもその死に際には
{イ.:／.:.:.:.:.八:.ﾍ、ｊ ´┌仞ｲﾘ
彡.:.:-=彡:.:.｀:.ぐ ｀ｰ ､ >､j彡イ 数々の罪を―――最後は泣きながら
イ.:ハ.:.:.ﾉ.:.:.:ﾘミ`ー=≠ー ､
.. ノﾉ从.:（((人ﾉ: : : :/´ : : : : ｀＼ 告白したのだ。
.. ///// ヽ｀ ー.: : : :.｀ヽ: : : : : : : :' 、
.. ／'//// : : : : : : : : : i: : : : : : : : : : ＼j
.. ／ : : : : /: : : : : : : : : : ｛:.: : : : : : : : : : :.:.＼ その罪の一つたりとも、「軽い」などと
イ.: : : : :ヽ |i:､、 : : : : : : : : ｝＿__.: : : : : : :｀ヽ/
/,: : : :｀ヾV/,＼ヽ、: : : : :.く、:.: : : : :.｀ヽ.: : : :.ヽ 彼は思ってはいなかった。
//.: : : : :////////7ｧｧ==…ヽ､、.:.: : : : : : :.:＼'､
/＼: : : ://////////: : : : :.／｀＼ヽ､、＿__: : : :｀＼
/∧ﾍ////////// : : : : /: : : : : :}/ﾍ＜.: : : : :.:ヽ＼ヽ､、
/∧∨////////｛: :/: : /.: : : : : :.|//ﾊ⌒ヽ: :￣｀>/∧´￣｀ヽ､ _ ノ ）
//: :ヽゝ////////／: : /.: : : : : :.ｲ///ﾊ、: : : : : :'/ ハ:.: : : : : :.:｀ ー──-rrx、 ＿／ ／
//: : ハヽ＼＼∨/: : ／:.: : : : : :.://///小ヽ､、_＿____ : : : : : : : : : : : : : : //￢'´ く
//, /: : ∨ ヽ丶ー=《′: : : : : : ;/////// ヽ////////7ァｧ､、:.: : : : : :.:// ､ ｀ヽ ヽ
///,: : /へ＼＼: : : :|:.: : : : :.／ ////// ｀￣￣￣￣｀`'＜//ァｧ､、,{{､、___ ｀ヾ､、ヽ ヽ､、
//_／∧: : ｀＼＼__|＿__／ ／ﾍ///ハ ｀`寸///{{/// ｀`ヽヽ Y＾ー- -ー
///／/∧: : ヾ､、__｝_＿___: :__＿Ⅳ／ﾊ ＼//||// ＼ ＼_
／: ://: : ＼ : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ＼ﾍ ＼!!/ ｀ｰ ､_ヽ
―――その場に、周囲の町から多くの人々が集まった―――
443 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:11:03 ID:lr3FG8bo
―――この修道士は一帯で最も徳の厚い、信頼されていた修道士であったから―――
. ＿ ＿_
／￣ : : ｀Y´: : : ￣＼
ﾉ: : ／: : : : : : : : ｀ヽ : : ﾐ､ あなた方の中に、そこまで自身の罪を問える
/: : /.: : :/: : : : : : : ヽ: ＼: ﾐ､
. /: : / / :/ i {ﾐＶｉ}:ｉ:ｉ ヽ＼ }: :ﾐ､ 者があるか！？
// /{ / :/ 人│ |:|:ﾄ､ :l_刈 : .::|
И/l И≠ナ-ﾐ| |从∠|L」: .::Ｎ
′} ,ﾊVく 何ｶヽ / く何｀>.:ﾄ､/ 己の不徳から起こった事なのに、神や聖者達を
ﾉ,ゞﾑ ｀¨´" |:. ｀¨´.::ﾑ八 ,
`ｰ彡'／,:∧ ､ j:::. .::/个ｰミ彡 罵っているのではないか！？
ｰ彳/ .//爪＼ z==ｭ ／ﾉl li:lヽﾐ=‐'
. И /.从ｌﾄﾐ､ ＼ ／_彡ﾉﾉl:l:l:Ｎ｀
. Ⅵ刈川込_ ｀¨´ `-彡川Ⅳ
┌|￣¨|三三王三三|¨￣h_
一¨￣＼:i:i:i:|┐三王三┌|:i:ｉ:/:i:ｉ:￣¨ｰ--､_
:i::i:i:i:i:i:i:ｉ:ヽ:ｉ:|:i|.三.王.三.|:i|:ｉ/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iｰ‐-､_
:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:|:i|.三.王.三.|:i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i／｀l
―――彼の言葉は、その場にいた全ての人の信心に訴えかけた―――
444 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:11:50 ID:lr3FG8bo
―――そうして奇跡を求めて、彼の遺骸に多くの人が口付けし―――
切れ端でも手に入れば！
ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ ∧,,∧ ∧,,∧ ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ
∧,,∧ (´・ω・).(・ω・｀) ∧,,∧
( ´・ω).(っ□c) (っ□c)(ω・｀ )
.ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ っ□( ´・) (・｀ ).□と ﾉﾊﾞﾘﾊﾞﾘ
.ｕ-ｕ (ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ (ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ ｕ-ｕ'
`ｕ-ｕ' `ｕ-u
幸せになれる！
_,,,,∠､､､､､,,,,_~｀'‐-､, i ~`､
,r‐ｼ‐;'.'.',r~iﾞ,'.'.'.‐.‐ﾐ;'‐､, ｀'ﾞ-､. `'､
{,r',ﾞ'. ; . :iヽ{;i;､_;__:__ ';`i'.‐ﾐ;-､ ﾞi'､ i',
rﾞ,.'.,' .;. . ;i iヾﾐ､ : : . ;. i : : ﾞ!''ﾐ':!､ l'､i
!.;. .; . ; ./ﾞ'; ﾞ ''ｯ＝=ｭ- : :ﾉノ. `'ﾐ'､.'i _,_
｀i;､'; . '; i.rｼ; ' : : : : . 'rｼ''''､. .`'ﾐi, ｀i
わ、私も！ `｀'ﾞ‐-ﾉ´.ﾞ ,､ ｲ´,}､ . .ヾi ,ﾉ
r:､_ ﾞ､ ､ィ'ﾞ `､ ,.r'ﾞ:..`:､;_`:'､ _,,､rｼﾞ
,､,-くﾞ't‐iﾞ.! ﾞ'､ ｀'t: : : :i 'ﾞ '､:.:.:.:.. ~.ﾞ.'':=;''-'''ﾞ-‐'''
..ﾉ l,''r-'t;)i. ! ｀'-､ `､: : ! ... `'､:;;r-､;. . . `.':-､,.. .
. ﾞ''､` ､:;_｀ ', `t:｀ﾆﾞ='ﾆ);:; ／: : : ﾞi''r':':':‐-､:.:.
. ｀､ ﾞ!. i ﾞv'´. ;r'ﾞ/: i':､ /. : : : : i:::::'､ : : : : `:
） // /. : /::;ﾉ: :_:i_, /_: : : : : i::::::::'､ : : : : :
/ / ／. : : k'ﾞ:.:.:.:i;';;;';;';;;;'､: : : :i:::::::::::'､: : : : :
―――その着衣は集まった人々によって引き裂かれてしまった―――
445 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:12:07 ID:lr3FG8bo
＿....:.:´＼／｀:.:.ｰ:..、_
「:.:.:.:__:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__:.:.:.:ﾍ
,':.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ:.:.:.:.',
/:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:/Vﾍ:.:.:.:.:.:.:ﾍ:.:.:.:',
すまんな。 /:.:.:./:.:./i:.:.:i:. トｖﾍ:. i:.:.:!:.|:.ﾍ:.:.:.',
/:.:.:.//:/:.:l:.:.!!:.:| |:.:|:.:.:i:.|:.:.ﾍ:.:.:ヽ.
もう無くなってしまったよ。 |/:/:.i:i:.:l:.:小八:.| |:.ﾊィﾑﾄ;.:}:｝:.:.:.ﾄゝ
|从:.:l从!/千ｭヾ:! ﾑｨﾋュリ ﾉｿ:.:/ﾘ
｀ヾ{ﾊ ￣ ´ ｀ ￣ ﾊ}:.:{
｀ｰ彡ﾍﾍ : ﾊﾉ:.:.ヽｰ
ミ:.ノ:.:.:ハ ＿｀´＿ /:!.:.:.:.:.:彡
彡:.:.:.:i（:.:.:＼ ー ／:.:.}:.:.:.:ミヾ
イﾊソﾊ!ヽト ヽ ___ ／彡ﾊﾘﾍ;.:.j｀ヽ
｀!从ｒ‐┤￣￣!￣￣├‐┐ﾉﾘ
_┌'::::::|__;:;:;:;:;| ;:;:;:;:__|:::::::｀┐
│ | l ', ヽ. ,'
│ { j , } .! /
│, -┘ ノ ゝ、'-ｙ､ i |, '
..|. ==､ ,＝_,ヽノ 丿 i !
..| {_）i. {´)iヾ,ヽ／ 丿ﾉ
..|i､リ! |f_ｊ| ,'_ ／ ´
│┬ｒ' 、 .ﾋタ .ｆﾉ
│/∥// ~T // }| ヾ､
..ト､∥ ,～ｧ ∥ ,.' ! }.} 、
ﾐ｀ }∥ ￣ ∥, ｲ ヽ ﾉﾉ ノj
ヽイ |、 _,-'⌒!`` ＝' '‐-‐' ﾉ
│ﾉ ` ｰ ',-' !`i ヽ ＜ノ
446 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:12:48 ID:lr3FG8bo
―――また、チェッパレッロ氏に捧げられた数々の祈り、そして願いに神も応え―――
/:;ヘ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＼
／メｘｘ八ｘ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:〉
え？あ、うん。 ＼ﾄ ‐- ＼;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|
〕> ｒ｡=､u∨￣);:;:;:;|
…まあ、皆が幸せなら良いんじゃないかなぁ？ く ｀´ ィ /;:;:;:;:;:|
' ｀ヽ /~|;:;:;/八
ﾊ イ |;:;:|;:;:;:ﾍ
〈;:/神イ / |;:;|;:;:;:;:;:＼
〉;:リ ,| / /〈;〈ー―---
/／ ﾄ -‐／ 〉:;
―――数々の奇跡が生じ、それによって彼の霊験は更に高まったのです―――
447 名前： ◆mthS9vGGks[] 投稿日：2011/06/26(日) 17:13:23 ID:lr3FG8bo
―――こうして、彼は「聖チェッパレッロ」として崇められるようになりましたとさ―――
,. --─-- ..,
／: : : : : : : : : : : : :`ヽ､
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼
/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 〉
| : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
. |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /^i :|
{: : : : : : : : : ／`''‐‐- __／ / | |
'､: : : : : : : 7＿＿＿_､ / _ |/
ヽ: : : : : ｲ（ ,r‐‐､ ( 〃 i.)
`i⌒ヽ: :| ( ひ ヽ ｝
| ゝﾍ: :| ヽ |
＼（ﾍ :ヽ r / |
ヽ､_j: :i. ｰ､──--ィ｀/
＼ヽ. ヽﾆ二_ノ ｲ､
／|ヽ!il -‐ /| ヽ
_ -'7 |:.:ヽ｀ ‐ __ _ノ:.| ＼＿
＿ -‐ ´ / |:.:.:.:＼ ___,,フ:.:.:.:.:| | ￣
／￣ / |:.:.:.:.:.／ ヽ:.:.:.:.:.:.:| |
/ / |:.:.:／{ 〉､:.:.:.:.:| |
―――めでたし、めでたし―――
449 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2011/06/26(日) 17:14:02 ID:6iUJufGY
>>446
これは主も困るわｗ
450 名前： ◆mthS9vGGks[sage] 投稿日：2011/06/26(日) 17:16:32 ID:lr3FG8bo
__
〃´ ｀ヽ ゲリラ終わり。
､ﾘノノ｀ヽ) ボッカッチョがこの物語を書いた真意なんて知る良しも無いけど…
ゝdﾚﾟ ヮﾟ）ゝ いかに猫も杓子も聖人扱いされてたか、ということを風刺したのか、
/ﾆニ入 それとも「まあ、神様が奇跡を起こしてくれたのなら、ありなんじゃね？」と思ったのか。
451 名前： ◆mthS9vGGks[sage] 投稿日：2011/06/26(日) 17:20:07 ID:lr3FG8bo
__
〃´ ｀ヽ あ、ちなみにこの話は『デカメロン』の百話ある話のうちの一つなので、
､ﾘノノ｀ヽ)
ゝdﾚﾟ ヮﾟ）ゝ 別に「実際にあった事柄」とかではないですよ。気をつけましょう。
/ﾆニ入
452 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2011/06/26(日) 17:20:50 ID:scOnuobA
乙
……鰯の頭も信心、でいいのかね？ｗ
453 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2011/06/26(日) 18:54:06 ID:UY2hVLrA
教会の調査能力が情けないのか、上が騙されたから何も言えないのか、どっちだろう？ｗ
454 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2011/06/26(日) 19:08:05 ID:f40W5P.c
デカメロンは時代背景が悲惨の一言だから、意味合いは前者じゃないでしょうかねぇ。
でもこの男が地獄に落ちた以外じゃ誰も不幸になってないからロンゲさんが蜘蛛の糸でもたらしてくれるんじゃね？ｗ
455 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2011/06/26(日) 19:28:14 ID:zAx/bs4I
ヴェネツィアは使徒マルコの聖遺骨崇拝だったな。
でもイスラムの支配するエジプトの教会から安値で買い叩いたうえに
ムスリムの目をごまかすため遺骨を豚肉がつまった樽に入れて運搬したそうだｗｗｗ
本当に使徒マルコのものかはどうでもいいと、ヴェネツィア人は言っていたから
悪人であっても周りが聖なるものって言えばそれでいいという
デカメロンの主張じゃねえの。害は無いんだから
サボナーラみたいな自称預言者の方が善人か悪人かが分かりやすいが、政治的主張をするので迷惑。
456 名前： ◆mthS9vGGks[sage] 投稿日：2011/06/26(日) 19:32:11 ID:lr3FG8bo
__
〃´ ｀ヽ >>455
､ﾘノノ｀ヽ)
ゝdﾚﾟ ヮﾟ）ゝ そんなところなんでしょうね。
/ﾆニ入 あと、『デカメロン』内でこの物語の語り手が
「こんな男でも救ってくださるくらいに、神の愛は広大なんですよー」
って言ってますし、ボッカッチョ的にも多分そういうことなんでしょう。
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コメント
No title
チェッパレッロは大変なもの(民衆の心)を盗んでいったんですね、分かります
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