やらない夫は約束を守るようです 第二章 強くなる時 その４
57 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:00:12 ID:i8gITY67
二１４１．
━━━━━━━━━━……
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●）
. | （__人__） 「よーしそろそろ休憩にしよう」
| ｀ ⌒´ﾉ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ ｍm
/ ￣￣￣ つﾉ
| |￣￣￣
/!
//
/::ｌ ＿, - ア ¨’；
＿ /:::::!｢::::::::::::／─‐…ｧ ：
､___∠::::::〈:::::::|::::::::::::::::::::::::＜´ ：
／::::::::::::::: 〉､::ヽ-..､::::::::::::::::::::＼ ：
∠ ｧ¨´::::;:ィ::::;､ヽ::∧::＼:::::::::::ﾄ､::;;> ：
「りょ、了解………」 /::::::::::/:::|::::{┴'┴l:!::::::}i::::::::::::::＼ ：
. /::::::::::∧::下仁､ ｲﾙ二ﾊ::::::::ｌ:::::::::ヽ ：
/::::;ｲ:::/;;:ﾊ:{廴__j｢¨f廴__j}ハ::::::ト､::::::::', ：
.厶ｲ/::/::{ （Y ｀￣/| ﾄ￣´ Yﾍ::::l/:＼::::! ：
⌒ヽﾍ トｰ‐ ! ! ｰ-１ /∧:: ハ:| ：
Vヾ{ U { _ _〉 };ｲ/ ∨ ′：
Ｖ:::ﾄ､ } r―‐ｧ { /::/ ：
ヽ:} ヽ } | /|:/ ｾﾞﾊｰｯ
／! iハ､｀＿´ ｲ ｉ|＼ ： ｾﾞﾊｰｰｰｯ
_/ {〈 ｌ { ﾄ､∧
／￣ | ヽ._ ゝ _!ｲ〉 ｢￣＼
_ - ´￣ヽ ト､ ＼二二二 ／ / ｀ - ､_
やっと休憩か、と呼吸すらも忘れがちになっていたジュンは、ばたりと木刀を取り落とすとその場に大の字になった。
ひたすら酸素を摂取する事に集中しないと息苦しくて仕方がない。
全身を濡らす汗の感覚も感じ取れないまま、ただ呼吸を整える事に必死になっていた。
58 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:01:09 ID:i8gITY67
二１４２．
一方、鼻歌交じりに昼食の準備を始めるやらない夫は、汗一つかいていないどころか
呼吸すらまったく乱れていない。
強靱な心肺機能も訓練のたまものだろうかと疲弊しきった思考で考えていたら、
ナイフを取り出した彼が向こうから声を飛ばしてきた。
／￣￣＼
ノ ＼_ ＼
（●）（● ）. |
(_人__) |／| 「昨日の半分も打ち込まれなくなったな、
（｀⌒´ ／ / 明日には十割でやれそうだぞ？」
{ ／ /
{ ／ /
_ヽ ／ /
／_ ／＼ /
／ / ヨ／ ＼/＼
（ ヽノ／ ＼
￣ | |＼ ＼
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
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: : : : :./ 1/ .i l＼:| ＼| |: : |＼;!
: : ,､: :{ |-‐‐-| .|:ヽｉ
: :{ ヽ' ! | ﾊ:_}
「まだまだ、だよ…………」 ﾊヽ ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ ヽ＿＿＿＿___ﾉ }
ハ: :｀-', ! | | ! ! ' ! |' | | 川/ ノ
〉: :.:∧ 〃'ー──-----､ ,ｲ"´
￣ ＼ ヽ＿＿＿＿＿_丿 ／ ﾊｧﾊｧ
＞､ ,イ´ ｾﾞｪｾﾞｪ
,────､＿_｀ ,‐──┬'"´ ＿＿
/ | ! |￣l￣ ｀ヽ
. | ｰ──' ﾘ }
シンジの十割に手が届きそうな喜びよりも、やらない夫との差が悔しいジュンは心底そう思った。
59 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:02:08 ID:i8gITY67
二１４３．
だが、それを察したやらない夫はジュンを振り向くと、自制を促すように手を上げる。
／￣￣＼
_ノ ヽ、 ＼
（ ●）（ ●） |
（__人__） | ..／} 「目標を見誤ると過負荷で身体を壊すし
_ ヽ｀⌒ ´ | / / __ 気持ちにも悪影響だぞ。
(＾ヽ{ ヽ { ./ / . ／ .ﾉ ジュンは今、限界の速度で成長してるんだから
(￣ ヽ ヽ i ヽ / 厶- ´ ／ そのまま伸びてくればいいんだ」
.(二 ヽ i i |,r‐i ﾉ. ヽ / ／
ヽ ／ ノ ／ r一'´ ー ､ ￣￣￣）
i { ｲ―イ / .`ー―. ､＿_ .〈￣￣
ヽ. `ｰ '/ / /＼ ＼
`ー ' ￣￣! | ヽノ
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
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: : ,､: :{ |-‐‐-| .|:ヽｉ
: :{ ヽ' ! | ﾊ:_}
ﾊヽ ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ ヽ＿＿＿＿___ﾉ }
「う……… ハ: :｀-', ! | | ! ! ' ! |' | | 川/ ノ
わかったよ」 〉: :.:∧ 〃'ー──-----､ ,ｲ"´
￣ ＼ ヽ＿＿＿＿＿_丿 ／ ﾌｩー
＞､ ,イ´ ﾌｩー
,────､＿_｀ ,‐──┬'"´ ＿＿
/ | ! |￣l￣ ｀ヽ
見透かされた、と恥ずかしくなった。
言われたとおりに気持ちを入れかようとするが、そうは言っても簡単に割り切れるものでもない。
曲がりなりにもジュンだって男である、純粋な強さへの憧れはそれなりに持っているのだから。
二１４１．
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∠ ｧ¨´::::;:ィ::::;､ヽ::∧::＼:::::::::::ﾄ､::;;> ：
「りょ、了解………」 /::::::::::/:::|::::{┴'┴l:!::::::}i::::::::::::::＼ ：
. /::::::::::∧::下仁､ ｲﾙ二ﾊ::::::::ｌ:::::::::ヽ ：
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.厶ｲ/::/::{ （Y ｀￣/| ﾄ￣´ Yﾍ::::l/:＼::::! ：
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／! iハ､｀＿´ ｲ ｉ|＼ ： ｾﾞﾊｰｰｰｯ
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やっと休憩か、と呼吸すらも忘れがちになっていたジュンは、ばたりと木刀を取り落とすとその場に大の字になった。
ひたすら酸素を摂取する事に集中しないと息苦しくて仕方がない。
全身を濡らす汗の感覚も感じ取れないまま、ただ呼吸を整える事に必死になっていた。
58 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:01:09 ID:i8gITY67
二１４２．
一方、鼻歌交じりに昼食の準備を始めるやらない夫は、汗一つかいていないどころか
呼吸すらまったく乱れていない。
強靱な心肺機能も訓練のたまものだろうかと疲弊しきった思考で考えていたら、
ナイフを取り出した彼が向こうから声を飛ばしてきた。
／￣￣＼
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（●）（● ）. |
(_人__) |／| 「昨日の半分も打ち込まれなくなったな、
（｀⌒´ ／ / 明日には十割でやれそうだぞ？」
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シンジの十割に手が届きそうな喜びよりも、やらない夫との差が悔しいジュンは心底そう思った。
59 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:02:08 ID:i8gITY67
二１４３．
だが、それを察したやらない夫はジュンを振り向くと、自制を促すように手を上げる。
／￣￣＼
_ノ ヽ、 ＼
（ ●）（ ●） |
（__人__） | ..／} 「目標を見誤ると過負荷で身体を壊すし
_ ヽ｀⌒ ´ | / / __ 気持ちにも悪影響だぞ。
(＾ヽ{ ヽ { ./ / . ／ .ﾉ ジュンは今、限界の速度で成長してるんだから
(￣ ヽ ヽ i ヽ / 厶- ´ ／ そのまま伸びてくればいいんだ」
.(二 ヽ i i |,r‐i ﾉ. ヽ / ／
ヽ ／ ノ ／ r一'´ ー ､ ￣￣￣）
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見透かされた、と恥ずかしくなった。
言われたとおりに気持ちを入れかようとするが、そうは言っても簡単に割り切れるものでもない。
曲がりなりにもジュンだって男である、純粋な強さへの憧れはそれなりに持っているのだから。
60 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:03:08 ID:i8gITY67
二１４４．
次にやらない夫は焚き火に薪をくべて火力を上げたあと、
川縁から綺麗な岩を選んできてそのすぐ隣にどさり、と置いた。
_....nx､
_,,..v+'勺)''' ! `ｰ..、
....r‐'''" _..r''´ ! ﾞ'ヽ､
_..r‐'´ ..r‐''´ │ ﾞｰ ､
_/'''`ｰ..､ _ノ´ !_ ﾞ'ゝ､
丿 ｀'ｰx＿......----―‐"ヾ_ ヾlｒ
丿 ! ﾍ､ ヾ､
!’ 丿 ヾ、 ヾ､
＿,,＿∠_ l’ ヾ ヾ、
￣￣￣ﾞ''''''''''――――――――‐'''''''''''''l冖''￣￣￣￣ﾞﾞ￣
／l
Λ／ 〈 へ、
ヘ| ,＞
∠ / 〉ヽ ￣＼
「何するんだい？」 / ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､ ﾄ､l
|／| .ﾊ|__ |/＿__ ヽ ヽ
l/ |‐| |―ヽ＿|
| ￣ c ￣ 6 l
. ヽ (＿＿＿_ ,-′
ヽ ＿＿＿ ／ヽ
／ ＼∨／ l ＾ヽ
| | | |
61 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:04:08 ID:i8gITY67
二１４５．
／￣￣＼
／ _⌒ ＼
| （●）（●） 「この上で肉を焼くのさ。
. | ⌒（__人__） パンと野菜も買ってきたから焼いて食べよう」
| |r┬| .}
. | ｰ―' }
. ヽ }
ヽ ノ
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、 「なんだ、結局色々買ってきたんだね」
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
62 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:05:09 ID:i8gITY67
二１４６．
てっきり今日も魚と野菜の食事と思っていたジュンは脅かすなよと文句っぽく言ったのだが、
腕を組んだやらない夫はまぁな、とその理由を口にする。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●
| （__人__） 「今のジュンの運動量や疲労度、全身が鍛えられている機会に
. | ﾉ 炭水化物や肉、野菜が不足するのはもったいないだろ」
| ∩ ノ ⊃
／ .／ ＿ノ
(. ＼ ／ .／_ノ │
＼ “ ／_＿_| |
. ＼／ ＿＿＿ /
でも魚は捕ってもらうぞ、と言う彼に頷いたジュンはしかし、食べ物と修行に何の関連性があるのか
さっぱり分からない。
::::::::::::::::::::::::::ﾊ::::::::::::::/i/／ i:::::::::::::::::::::::::|::::::|:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::＼
::::::::::::::::::::::::::::ﾊ;;;;;;;;;/-'´ .|::::::::::::::::::::::::ﾄ::::: ﾄ::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ￣ |::::::ﾊ::::::::::::::| ＼i ＼::::::::::::|:::::::::::::::::::::ﾊ （やらない夫の修行は何から何まで
::::::::::::::::::::::::::::;:::ﾊ |:::/ V::::::::::ﾘ ｨ=ﾊ:::: |::::::::::::::::::::::::＼ きちんと根拠があるんだな。
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ﾍ |:/ V::::::/ /ｲ＝ﾌi｝ヾ─────'｀
ヽ:::::::::::::::::::::::::| ＼ヽ |i! ｝::/ r''´ゞハi l:ヽ ただ闇雲に剣の型を繰り返していたって
::::＼::::::::::::::::::::| ＼ ＿＿ニ三ｲ ||r j｝i| .i lヾ｝ そりゃぁ強くなれないわけだよ）
::::::::::＼::::::::::::: | ／::::＿,,,ィ彡=''´i/il_,=＝|.しｿﾊ ﾉﾉ-､
:::::::::::/ ＼::::::::::ヾ ／:- ''´＞''´ -=ｲ｀ ||r'´｀ ﾊ彡 ｙ/: : : :＼ニニミ-､
::::::::/ ｀ー- xゝ rィ彡''´イッ:::ﾘ /i ミー=´i: : : : : : :｀:-:､: : :｝ｿヽ
:::::/::ﾊ＿＿＿＿＿/ / / ﾋ:::..ソﾉ ｛.ﾘ ｝. l-､: : : : : : : : i: ://: :ﾊ
￣ヽ──────､ﾊ ヾ ゞ''´ ノﾉ ./ ./: :ﾉ: : : : : : : : l: i l: : : ﾊ
i ヽ ｀ -ゝ ヽヽ ミ=''´ ／／ /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ､
｛ ﾊ ＼＼＿_／／ , ィ /: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : ＼
｀ 廴 し ー─''´ ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>､＿ ー /: : :/: : : : : : : : ::／: : : : : : : : : : :/
: : : : : ＞-､＿ハ､ ハ／: : : : : : : :／: : : : : : : : : : : :/ハ
63 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:06:09 ID:i8gITY67
二１４７．
／￣￣＼
／ ノ ヽ ＼
| （ ●） （●）|
| （__人__） | 「さて、焼き始めるぞ」
| ｀ ⌒´ |
| }
ヽ }
ヽ ノ
／ ＼
| |
| | | |
（ ￣ヽ /￣)
＿＿＿＿ (((_|￣＼ ,,―)))‐‐、＿＿
＼ ＼￣￣￣＼ | | ＼ ＼ ＼
＼ ＼ ＼| ＼|￣￣￣|＼ ＼
＼ ＼ ￣￣￣ ＼ ＼
＼ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ＼
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
例の魔法の道具入れから色々取り出した彼は、まず大きな骨付き肉をそのまま岩の上にのせると
次に手際よく野菜やパンを切り分け、焼けた部分に並べた。
すでに熱くなり始めていた岩のせいで、辺りに肉汁の焦げる匂いが立ちこめるにそう時間はかからない。
買ってきたばかりの食器を三人分取り出してそのうちの一つを、
興味深そうに石焼きを観察している雛苺に差し出すが。
／￣￣＼
／ ⌒ ⌒＼
| （●） （●） | 「雛苺ちゃんも一緒に食べよう。
. | （__人__） | お腹、空いてるだろ？」
| |r┬-| |
. | `ー'´ }
. ヽ }
_ ゝ ノ
／ ｀ヽ
／ / ＼
64 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:07:12 ID:i8gITY67
二１４８．
朝食を取ったきりのはずの雛苺は、差し出された食器と転がるジュンとを見比べていらないのーと断った。
___,.. --───-､ ,.-───-- ..__
ヽ ＼(こ)／ /
ヽ ＼_ _／ /
| _,. -─ ｧ' ￣ヽー-- ..._ !
／|_,. -‐ '´ ／-──- ＼ ｀ ､|
／ ヽ. ／ ＼ ／＼
＼ ＼ ,.イ ／ ヾ､.／ ___ヽ
/ __,rｯ'´ / / i i ﾞヾ |
厶r'ﾞ7 / i l l ﾄ､ |
／ !/ / ! l ! l `＼ （そんな不潔で野蛮な食事、
／ |! ｌ | i| l j | l ! ＼ 冗談じゃないのー。
／ l ト l､∧ |ヽ { } } ヽ, 斗-┼j ＼
/__ ___ | lヾ ＞k{_ ＼ ﾉ_ﾙ＜ハj / / ヽ お兄様も地面に転がるなんてはしたないのー。
{-─ ‐- =- ､.__∨ ‐〒示心ｰ＼／戈云ﾃテ‐ﾚ' i 着替えはあるの？お風呂はどうするの？）
＼_,.=ﾆｰ- ､.._く ', ゞー'´ ゞー'' / シｒ=_,ニ二二ﾆ j
r─二ニｰ-干ｰ∨／/／ ／/／ / ＿ ／
ヽ=ヘ三ニ-＼ﾍ ＿__ ∠ｰニ-=ニZ_ ￣｀
` ー-ｭ-个 ,、 rｰ'´＿＿う ,.へァ'了--= _ ｀ヽ
／ ＞ ー-- ‐ｧ＜ｒ'´￣￣＼こ>‐ー '"
ヽ. ＼__ __,／ ＼
,. ィ⌒ヽr=､_ _,. -─-ﾕ.fﾆ─-､. /_,ノ
{ ／／￣｀７トlく⌒ヽ､.＼ ／/ ｀ヽ、
ヽ､_ﾊ l // ／ / / !ﾊ ＼＼ _ノ
／ Nヽ / /| i| ! 〉 }_,L_,. く
／ |ヽ.＼／,.ｲ | | ﾄ､＼ ／,.イ ＼
/ j `ｰ-' / | | | ＼ ／ | ヽ
65 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:07:15 ID:i8gITY67
折角歩み寄れそうだったのになと少し残念に思うも、今は無理強いしない。
一つを道具入れに戻し、もう一つをジュンに差し出して早めの昼食の開始となった。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ー）（ー） 「そっか。
. | （__人__）
| ｀ ⌒´ﾉ そろそろ良い具合だな。
. | ｎｌ^l^l ジュン、食べようぜ」
. ヽ | ﾉ
ヽ ヽ く
/ ヽ ＼
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV
「朝食べてなかったから l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
腹ぺこだったんだ！」 l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
待ち構えていたジュンは、がばっと身体を起こすと自分の椅子代わりの岩に腰掛けて食器を受け取り、
何から食べようかと視線を巡らせる。
66 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:08:08 ID:i8gITY67
二１４９．
,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
「わぁすっごい肉！ ／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
これ全部食べていいの？」 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
/.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
|! : : : : : : l l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
ｲ!: : : : :i: : !. !:/ l: : :/ ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
/l: : : :,∧:厶-‐､ ﾚ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
!.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
.l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
.ﾚ'l: :/ ﾘ |:| ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
,. -────----‐‐'"´￣｀`ヽ、 ﾚ'’ ヾ ＿__ノ.' ヾ: ､＿＿.ノﾉ ´rﾊ !:、:| ヾ
／;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::.. . . .::::;:;:;:;:;::;:;l i￣￣ i ￣￣￣ ムｿ:.;ﾊﾉ
/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::::::::.:. . . . : : :::::;:;:;:;:;:;l‐'⌒ヽ ､ r彡;〃´
__,r‐l⌒l |;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::::.:. : : : : : .:.::::::;:;:;:;:;:;|;:..._丿 ヽ ヾﾆフ ﾉﾚ'´
,r‐､_l⌒l | ﾄ-ｲ＾Y|:;:;:;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::.:. .:.:::::::;:;:;:;:;:;:;;| ＼ ´ ,L. -‐ ､_
{ ヽ_j､_,ト ' ;:ﾉ ├|:;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;j ヽ . _ ， , ィ´ ,.､二ミ:ｫ
ー-''ﾍ＾´ ￣/ ﾉ l,;..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;;;:::___＿＿＿;;;:-‐' ,.-‐=ﾆj,.ィ'´ ／￣ "¨ヾ＼L、
（ ,ｲ ヽ:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_,. -‐'" _r'´ レ" _ﾆ=′ 二ﾆ= ＼
| | rく ヽ j ,-=ﾆ¨ イ=‐- ､ >"
順応が早いのか、野営の食事も気にならないほど空腹なのか。
巨大な骨付き肉に興味を示したジュンは、表面は焼けているそれを手にとってかなり興奮した様子だ。
67 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:09:08 ID:i8gITY67
二１５０．
（⊃￣￣＼
（⊃ _ノ ＼
（⊃ （ ●）（●） 「好きなだけ食べて構わないぞ。
| （__人__） かぶりつくんじゃなくて、そこのナイフで表面をそぎ落として
| ｀ ⌒´ﾉ 塩と胡椒で自分で味付けするといい。
| } ＼
／ヽ } ＼ 中はまだ火が通っていないから、
／ ヽ､＿＿__ノ ） また表面を焼くんだ」
／ . | ＿／
| ／￣￣（＿)
＼ ＼ ／| ＪＪＪ （
＼ ／ ／⊂＿）
慌てるなよ、とやらない夫が食べ方を教えると、慣れないながらもそぎ落としたジュンは味付けもせずにまず一口。
〃::::::::/::::ヾ:::i::::ヽ:::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::＼
／:::::::::/:::::::::i:::｀:::::::}::: ﾄ:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::::::ｨ/:/:::::::: L:＿ ∧:ﾊ::::::::::|ヾ:: l>､::ﾐ､:::::::::::::::V:＿:::::::::::::::::::::::::i
. /:::／ /::/::::::::::::ﾊ il i::::::: l 刈 ≧ﾐ> ､::::::::< ヽ::::::::::::i＼ |
../／ ./:::::i::::::::::::ﾄ:ﾊ l::::://_ ィ=彳司 ||＝=￣｀{ i }:::::|＼ゝ. ｀
「こりゃ美味しいよ！ i ::::::ﾊ:::::::::::|＼ゝ＿__ |:/ r/ ´ ｲt jﾊ || ﾉ //::::::i
家でもお願いしたら食べられるかな？」 l:::::::::::ヾ:::::::|::::::ヾ´ ≧ミ､ィ'''ヾ ゞ┴ﾉﾉ ｀./:::ノ｀
|::::::／i::＼:::V::::彳 ｨ芯､}} ｀ミ＝＝'' r'´:/
|:::/ |::::::>:K ヾ､ _ゞノ , |／
|/ ヽ/ ヾ ｀ーt ｀ _ ノ ﾌ / | ＿＿＿＿
｀ ヽ ｀ー´ ／￣ _ ヽ
｀ ､ ノ / ／ ￣￣ ヽ＿
＞-イ | 〃 .／
/￣il /／ ／-= ' ´ ＿
／ V/ ヽ=.// ／￣￣￣＞＝- ､
68 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:10:11 ID:i8gITY67
二１５１．
もう二きれをそぎ落とし、今度は塩と胡椒を振りかけてやらない夫に肉を渡すと、
眉を動かしてどうだろう、と答えた彼は手慣れた様子で焼けている部分を切り落とした。
／￣￣＼
／ _ノ .ヽ、＼
| （●）（●） | 「んー、シュラスコ食べたいって言えば
. | （__人__） .| 近いものは出てくると思う。
| . '´ｎ｀' .ﾉ
.ヽ . | | } ほんとは鉄串に刺して回しながら
ヽ.. ﾉ .ュノ 焼いて削いで食べるを繰り返すんだ」
/ { ..ﾆj､
|. | "ﾂ ＼
|. | .l |ヽ、二⌒)
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
/ .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
/ :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
「うーん、家だと大がかりか。 ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
………暖炉でやったら怒られるかなあ」 ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
| .ﾄ'' ! .| r―┐ | ,// :. ｌ / ｀ヽ、
l l､__ ﾚ' | | i/o’ :.:. ! | ヽ、
69 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:11:08 ID:i8gITY67
二１５２．
そもそも料理なんてやった事無いジュンであるが、下ごしらえさえ知っておけば
肉を串に刺して焼くぐらいなら出来るだろう。
もともと器用な方らしいので、案外本気で覚えたら一通りの事はこなせるようになるかも知れない。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●） 「ノリさんに相談すればいいんじゃないか？
. | （__人__） 面白がって乗ってくれる気がする」
| ｀ ⌒´ﾉ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
.> <
| |
| |
まずは一人でやるのは危ないからやめとけと、この間の夕食を思い出して言うと
ジュンはしばし考えて違いない、と笑った。
それからは加速した食欲が手と口をただ動かし、あれだけあった食事も二人は残さず平らげてしまった。
70 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:12:09 ID:i8gITY67
二１５３．
満腹の腹をさする二人。
そんな二人を見ないようにして空きっ腹を抱えていた雛苺は、やっと拷問のような時間が終わったの、
と肩の力を抜いたのだが。
／￣￣＼
rヽ ／ ノ ＼ ＼
i ! | （●）（●） | 「よーし食べ終わったら休憩………
r;r‐r/ |. | （__人__） | の前に、良いものがあったんだ」
〈_L (｀ヽ .} | ｀ ⌒´ ﾉ
l｀ （ ｀`/ . | }
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ｨ ヽ
＿＿＿＿＿＿
`=､;;;;;,,,,,,,:::,,,,,;;;;;,,,,`""''';;;;,, ､__
,.-'ﾞ''''',='";;;;;;;;",-,,;;;;;;ﾞ;;;;;;;;;l;;;;`,､
／ `ｰ-...,;;;;;;;;;;;;,-‐/;;;;;;';;;;;;;;;;;;
./ `''''''""i;;;;;;;;ヽ
l |;;;;}
| ﾉ;;;;}
ヽ、 _,／;;;'゛
`ヽ､_ _,,.,;‐';;;;゛゛
"'''=ｰ;‐---‐‐'';';"-''"゛
不意打ちで現れた東方菓子の数々に、思わず喉が鳴った。
／￣￣￣＼
元元込 ＼,／ ￣￣￣
. ＿ `ﾏ ∠ _,,.
. ＿_ ∠＞ '´ ｀＜厂｀/マ元元'´ r⌒ヽ
. ＞x／ ／ ＼__/＾ヽヽ / ﾉ
. ／／/ , ' ／ ｀ー _,. 勿、 / ／
〃 ,′ / , ' 込 ´ 勿、 , ｧ"~
{{ ｉ ,' / ｝ 込 ,勿、 （＿ﾗ
. Ⅵｉ ! ′ ﾉ 込／´￣ ＼
八 i !{ { / ｲ } ヽ、 ＼
. ヽ从j ﾐ从 ｲ／メ、 ﾉ ｀ ＼
r匕Y´ﾊ ヽイ ィ=ﾐ、ﾞﾒ、 ／ 丶 く
ﾉ=ﾐ､｝ﾋﾘ rしY ﾉﾘイ ｀ ｰ =＝ミ}
（=ﾐ刈""、 ､_うﾉ彡く ｝ - =＝≡ニ二三三ﾐﾉ
｀)_人 '''''' (辷_彡'__ . - =＝≡彡ﾉﾘ
ｺﾞｸﾘｯ _彡介ｎ｀ . イ=彡く ＿彡'
/ ｀ﾆフ〕ｱ爪 )' （ミ辷= ＿_彡'´￣´
. {__'ｱ´￣￣￣｀`ー‐(ﾐ辷＝_彡' ＼
「／ j厂￣´ ＼
／ ! ）
.. ,( i 〈
ヽ＼ } i ﾉ
. ＼ ヽ ｌ /／／ 丿 イ
〉､ , < ﾉ イ |
/ ＼ |
｛ 丿
＼ ／
71 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:13:09 ID:i8gITY67
二１５４．
もとから肉はあまり好きでは無かった為に石焼きは我慢できたが、お腹がぺこぺこの今、
大好物の東方菓子が目の前にあっては視線がそらせない。
無意識のうちに開いた口から小さく声が漏れ、その端から涎が垂れそうになってしまう。
ｲィ-' / / / l ヽ ヽ ヽjヽ
l j ,ｲ| || ヽ! | |＼
! l ﾊ| {l.ノ ヽﾘ| ﾉl| l !ヽ
ﾄ､ {弋ﾄ_ｴj≦ﾄヽ /ﾉ ﾉ7ﾅ十‐ｲ' // (あ………
＼ヽ､ヽ 7,＜:ヽヽ ｀´ /,＜:ヽjく ﾉ_ ｲ'′ あ～～～………）
＿ ソ T l::T:}.:| {::T:}.:} ﾉ'7ヽ/ _ -
- {二ヽl､ ゞ--' 、 ｰ‐'- /‐_ 二{ ＿
二}ニｰ<〈 ''''' / ー ﾍ ''''' /r‐_'_-j‐--'
./＞＞｀ノヽ、 { } , く'-ｧ＞r_ｰﾆ=
￣ ,.＞‐υ_ｰ_´＜､ ￣ ｀}￣
、 ､ //ィ ￣/ Hヽ￣ヽ＼ ,
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV
「あ、カシワモチ。 l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
東方菓子屋行ったのか」 l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
そんな妹の苦しみも知らず、ちょうど口の中が脂っこかったんだと一つ手に取ったジュンは
ぱくりとかぶりついて美味い、と言った。
73 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:14:08 ID:i8gITY67
二１５５．
やらない夫は自分が食べるよりもまず、微動だにせず唸っている雛苺の視線を追って、
それを皿に取り分けてそっと差し出した。
￣￣ ､
´ ＼
. / ＼
/ ヽ
ｉ 丶
l ／ ￣ 丶 「雛苺ちゃんも一つどう？」
| _＿ _ ヽ 丶
ヽ/ ｉ ｲ::::ヽ l 丶
ヽ _ ヽ ゝ_ゞ::ノ ' ',
丶ｉ ｲ:::ヽ l ｀ヽ ヽ
ゝ ゞ ', ヽ _ 丿 ＼‐､-..､
ヽ ゝ ﾉ , ‐ ´ ソ:.:.:.:＼
ヽ ´ ' /:.:.:.:.:.:／＼
＼ / ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.ヽ､
＼ / ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
ヽ ／ /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
ヽ _＿ ィ /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
, .. --- .._
／::';';';';';';';';';';':ﾞヽ
/: .:;';';';';';';';';';';';';';'; :ヽ
l: : ::';';';';';'苺';';';';';':.: : }
_....--‐―''''ﾞ,: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : . :!''---...._
_..r‐"´＿--‐'''""´ヽ: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:. .: ノ ﾞ''‐ｰ-..__ ｀''ｰ.._、
! ヾ､ ｀ﾞｰ - -- ─ '´ l’ !'
ﾞ''ゝ_ ﾞﾞ''ｰ--......＿_＿ ＿__＿....--‐''''´ _..r''’
"''‐ｰ--....,,___ ￣￣￣ __,,......--‐‐''"
￣￣ﾞﾞ''''''''''''￣￣￣´
74 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:15:09 ID:i8gITY67
二１５６．
目の前に、何よりも大好物な苺大福が迫る。
一秒の半分にも満たない時間で受け取ろうと手を伸ばしかけた雛苺はしかし、
自分が醜態を晒している事に気がつくと、驚くべき精神力で断った。
＼ う に ゅ ー な の ー ！ ！ ／
/.:.:.:.:::::::::::::::::::::＼_／::::::::::::::::::::.:.:.ヽ
〉.:.:.:.:, イ￣＼.:.::::::::.:.:／￣＼.:.:.:.:.〈
丁イ /,ィ´￣`ー一'´￣｀ヽ"＼厂
／/ / /"´ ! ! ! ! ＼＼
/| / / / | ! | ! ! ! ヽ!
|/// / | l| j! ! !: | ｀ﾄ､
. ,ｲ// l i」, -‐ﾄ､ /Nｰ- /､ |:.l| | ＼
. _／￣ | |/ゝ'､ ,ｲ/ ＼| ｀"´ |／｀`l/:/ / /￣｀ ＼
, ﾍ._ ﾄ､. |/l/ﾊ ゝ‐'｀,r=＝' . '＝=ｭ l/イ_/_ ＿ __ ,.ィ^Y⌒)
〈 , ィ7:7ゝ､, -‐_丿::L , , , , r──┐ , , , , /::::::.::7::.:_／::::ヽ Yソ
. 〉7/:/ ＼_〔三二ﾆヽ |.:.:.:.:.:.:.:| !二三〕'´ ｀ヾ::| !}
{j |::| ＼〔二ﾆ〕 ヽ.:.:.:.:ノ ,ｲﾆ二〕 |::| |}
{j |::| ｀Z7二ﾆヽ､＿,r ﾆﾆ二7Z弐7. !::! !}
,{j |::| |厂￣＼只／￣￣了 |::| !}
fj」::| || ,ｲXﾄ､ || |::| 」}
￣｀ｰ- ､ ＼_／/ ⌒ヽ＼_ ／ , -‐'´￣
￣ ＼. |.:| |:.| ／ ￣
〉 |::| |::| 〈 ）
（ ）
丶～'⌒'〇'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒～'⌒''
Ｏ
o
ﾟ
／ ＼ヽ
／ く ＿＿＿_
_／ ＿ ヽ , ´
{ ヽ /二ﾌ´
Lュニニニニゝ 〈＿/＝-
＜ ＿_ ´ ﾆ L ＼ _
／ ／ ／ ヽ ヽ. ＼ ヽ. ／
∠ イ／ ／ ', ',ヽ ー―‐く{
/ / | | ヽ ヽ ヽ.＿＿_ﾉ
N |! | // } | ＼＼
ヽ l l| ィ::7! / |､ r ､ |ヽ ヽ 「い、いらない、のー………」
／ 代1_ ノ:::::r-/ ﾉ/ / / .∨ヽヽj ＼
く ／./ ｰ .:::::::: 弋ソV ｲ / ＼
く/ミﾐ ヽ ' ー彡 ｊ/| ヽ
ゝ-ﾐ ＼` = ゝ- 彡ﾘ イヽ
＼ ＞― ァ ﾁﾆ彡 , ＜ ル
, --く{二 ス ヽ 斗ﾍ、＿ 彡
／ ／ /､,ヽ＼}} / ／ ＼
／ . く＿/ l! VV/ / ＼
／ // / /〉, ! ヽ
く /// ./ // l! l /
＼ /// .〈/ l | /
〈ヽ / V | `ーr- へ、
ヽ / / | { ヽ
75 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:16:09 ID:i8gITY67
二１５７．
普段はいくつかの種類が三つずつあったら、ノリやジュンと交換してでも苺大福を独り占めしようとする雛苺が
血の涙を流さんばかりの苦痛を耐えて断っている事を知っている兄。
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼| 「苺大福は大好物だろう？
l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV 遠慮せずもらいなよ」
l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
,,.._
／＼｀'ｰ-‐=ｙ
_ __ / `j ）
Y´_｀'ｰ'" ヽ__/／ ∠´ ｝ : : /
.｛ .ト､_,,=宀ト iヽ=v＝ﾉ 〈
＞､<~てjｰ し'へとケヽ==-.ζY
＿＿_,. '´,ゝ ﾞT , ', , ヽ ｀丶, .{
.＼ / .,' i i! i」__ ', ｝ ,ヘ､,}ヽ
`ゝ.,',' /_|_,,].ｪ、 'i ヽ｢Τ ﾉ_,.kK" ヽ、 ｀>‐-、
/_i i .T「',ヽ､| ＼ ｪ示抃ゝ¨ 》 ヾ､､ ＼、ﾞヘλ_
「い、いいのよー。 | !, .|丶汽》! ｀' ｋ州ｊﾞii ル !ヾ､,_ ヾ,ｰ _ ,）
ヒナはいらないのー」 ',.|ヽ.!ヾ!狄j ゞ=″j）ミ｀'x 二ﾆ=‐-､ヽﾐ､k
.N_ >ゝ|｀¨ 、 !ミｰﾍ ﾍ彡 ﾆ.‐ ﾆ ｀}ミ,),〕
）ミ- .! ∈つ 乍ﾐ≧「j´,", ｷ ミ ｝ミｿ
｀>-‐ ﾞゝ､,_ _,,.. ソ≡ゞ!､i' y彡 ミ jτ
.ヽ,彡_儿ミ＞≦┐_ _ ＿いミﾉヘ((_＠、）
ζ( ξ/´￣｀＼, ￣ｊ､_ ノ
､=-一へi ヽ:.:.. - ´ Y
Ｌニ／丿 ::.. . |
_,,.．≦ﾆ＞イ" < .:. :.:: ﾉ ,' !,
<'" ,ィ´ _ ﾞ',ｲ へ ::.. .::. .:: :::i" ./ ）
!／ ヽﾞ7' ./´ :: ':' ﾞ> ./ .::./
口を開く度に意志が揺らぎそうになる妹はもう、涙目になりながら力なく首を振っている。
76 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:17:08 ID:i8gITY67
二１５８．
そんな二人のやり取りに微笑んでいたやらない夫は、震えている雛苺の手をそっと握りしめた。
_____ _ -‐ . : . : . : . : . : . :
＼ ー‐‐--､_____ , ---―- ､ _ .. -‐ . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : ＼ ／⌒ー‐-､_____ _____ _ -‐ｯ' `ー--､} : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : ヽ ,' （￣￣￣ ￣ 「 ,.-､ ', . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : ヽ ヽ、 丶 } / ＼ ､ . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : : : ' , | ) ｊﾉ ノ ｀丶、 ヽ . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : : : : ', 丿 / `ﾞ´ ヽ } . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : : : : : i （ ', _______ ヽ ｜ . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : : : : : | ） ', ) ヽ, -‐-､,ｒ"ヽ 丶 .ィ´:､ . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : : : : : .| / ) / 〈 ⌒／ ゝ /⌒ヽ ヽ ∨ ､: ､ . : . : . : . :_ .. -‐ ￣
: : : : : : : : : | （ / ) `´{ ／ ∠、 ＼ ＼__ﾉ ＼}_ .. -‐ "
: : : : : : : : : ! ', ( / ｀¨´､ ／- 丿丶、 ＞‐'
: : : : : : : : ,' ', ', ノ ｀ﾞ'､__／`－-'￣
: : : : : : : : ', ', （
77 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:18:09 ID:i8gITY67
二１５９．
突然の不意打ちに、真っ赤になった雛苺は顔を背けて振りほどこうとするが―――
fzfzィ彡､-‐ｧ´ ヾﾂｆz
ｆｚｲ¨" .:.:{ .:.ixz､..__ .:.:.: Yゞfzfzx
fzﾂ ,ｨf厂丁`ヾfzゞfzx:､ .:.:.:.:|:. ｀ヾﾐz
Y xfﾂｲ' ﾊ ヾ:､ ヽゝ八fz小、 .:.:.:.:.|' _＿__
. | xfﾂ"く ﾑ┤ ﾄｽノ´ fz圦 .:.:.:.:.| 「ヾ、
,ｨ! ｲfxﾚ1辷i し’ 、 :､ ﾞfzX .:.:.:人_.:|＼ `
fxzﾚ"|! ,f才ﾝ ヾ i! i| ﾊ ヾ:、 八fz}_／ ヾﾘ ヽ
,ｨxfイ.: .:| rf;{" i ﾊ i! |i ﾊ ヽ:、 ｲ j;｝i ／' ) ﾉ 「ふ、ふえっ！？
{f∠ィ' ¨ヾ:ｲｧ' l i! il i| i|! }!ヽ )} i! {i从 ′ ／ } ふええええええ～～～！」
/,ｲ{ i{ i| !i i! l!i ハヽ_j斗! ｊヾ ヽィ ,ｲ{
. //i {! i| i il i| |j､l iｧﾅ乃工ﾉﾘ ｲ )} /' イ i,ｨ
〈' {i八 い:､ヽ i!_,.!i; ﾘﾊﾘjｲ;乍夾ﾊ〉ﾘ ｲ〃 ／ ／/
／ﾒ{ ヽ ヽミ;匕ヾハiﾉ ﾘ ｿ ヾﾆ''’厶┴ュ/ ／ ーｧ
,:／ 大ｰ:､ ヾ ヾミ;ｲ示ﾐj "" ら≡≠）/ムく二_
;厶-―‐-､｀ヾ. _ﾘ"ヽ ゞ’ , -=≦ヲ く＜=＝ｧ/ﾑ
r‐-｀二ﾆ} ﾉ ﾉ /'/ ､"" - ‐ ／､_;ノ てﾑハ（_ノj
￣｀ヾｰｬ-ｧ､{斗ｧZ＞≧=ｰ- ..__..イ:. ／´: : : : : : : :｀ヽ
ゞ=＝ミｭ､〉〃ム三≧ヾく二ゝ _j'' ／: : : : : : : : : : : :
半ｧ／: ｀てﾗ’_.=≠＞个≠!: : : : : : : : : : : : : :
({／: : : : : : : {:r''" /,ｲ:i ﾄヽ |.:.:.:.:.､: : : : : : : : : :
〈.:.:. .:.:. .:.:.:.:. |:{: ://:./ﾘ }:jヾヽ.:.:. :ヽ: : ヽ.:.:.:.:. :
ヾ:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.ヾ彡': :i:/ i:::!.: :ヾ>: 〈::': : .::::＼.:.:.:.
／: ﾉ: : : : : : : i : : :,ﾒ l:::i : : ﾉ: : :ｲ: :i : : : : : : :
く: : :': : : : : : i : :{!: :./! |:::! :Y:::::/: j: ::|: : : ::ﾍ: :
ｷ: : : : : : : :|: : i! /::j !::{ : |:::/: :': : :|: : : : :::j : :
入: : i: : : :.:|: : ': {:::{ |:::| : Ⅵ: : : : :.!: : : : : : : :
その隙に、すぐ隣に皿が置かれてしまう。
, .. --- .._
／::';';';';';';';';';';':ﾞヽ
/: .:;';';';';';';';';';';';';';'; :ヽ
l: : ::';';';';';'苺';';';';';':.: : }
_....--‐―''''ﾞ,: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : . :!''---...._
_..r‐"´＿--‐'''""´ヽ: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:. .: ノ ﾞ''‐ｰ-..__ ｀''ｰ.._、
! ヾ､ ｀ﾞｰ - -- ─ '´ l’ !'
ﾞ''ゝ_ ﾞﾞ''ｰ--......＿_＿ ＿__＿....--‐''''´ _..r''’
"''‐ｰ--....,,___ ￣￣￣ __,,......--‐‐''"
￣￣ﾞﾞ''''''''''''￣￣￣´
78 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:19:08 ID:i8gITY67
二１６０．
そして、ゆっくりと手を離したやらない夫は戸惑う彼女に小さく頷き、食事の後片付けを始めてしまった。
／￣￣＼
／ ヽ_ ＼
| （⌒ ）（⌒）
. | （__人__） 「ここに置いておくから
| ｀ ⌒´ﾉ 良かったら食べてくれな。
. | }
. ヽ } ジュンは休憩だ、身体をほぐしてから
ヽ ノ 一時間半ほど仮眠をとっとけ」
_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
_,,..r''''"/ | ＼`'／ / | ￣`''ｰ-､
/ / | ／＼ / ／ / ヽ
ﾉ | ＞ |／）::::/＼/ ＼ ノ ／}
{ | { | ,r":::ヽ / / / // ハ
|:.:.:.:.∧:.:| |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
}:.:.:.:.ヾ:.:.:', |:./ .V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
>:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ V:.:.:i{ ゞテ＝ァ ||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
/:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.|| {辷zり .|| ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
. /:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ // ／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
「そうするよ。 /:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::> ゞ' ´ || { ￣￣￣￣ 入 ソ/:.:.:.:._＿／
食べたらさすがに眠くなってきた」 ￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ / ／:.:ヽ￣
ﾚ'´ ヽ | ＿ /-'´／￣
ヽ ￣_ /￣゛゛
＼ _ ィ|
｀ ､ イ ｙ入
ニi ´ ／ ヽ
／/ } / |＼
/ / ﾉ / | ￣ ' - ､
/ V'´￣￣ ../ | ｀ ' - ､
.／/ /::::::::::::::／＿＝=-､＿ | /ヽ
もうヒナの扱い方を覚えてきたな、と少し笑ったジュンは十分ほど身体を動かしたあと毛布に潜り込んでしまい、
桶に食器類を入れたやらない夫は重曹を片手に川岸へ行ってしまう。
79 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:20:09 ID:i8gITY67
二１６１．
,, -─- ､._ 〃"
"ミ ／ ヽ
♪ | ⌒ ⌒ | ～♪
| （●）（●） |
| （__人__） |
♪ ヽ ｀⌒´ ﾉ
/ ヽヽ,
""（ （ （ ヽ ／.／
＼.ヽｎ ' ' ' '＼ ＼ ゛／／ | , ,
'￣ " '' ' , , ::::::::::::::o｡O::::::::○ , ,
, , ' ' ::::::::::::::::::ﾟ::::o:::::::::::::o: ｼﾞｬﾌﾞｼﾞｬﾌﾞ ' '
::::::::::::::ﾟ::::o:::::::::::::o:
ヽヽヽぃヽヽヽヽぃヽぃヽヽヽヽヽぃヽ | |ヽヽヽヽヽぃヽヽヽヽ
.-～ー…‥―～―---―----～―| 洗い桶 / ー‥…～‐--―--
～ ～ ～～ ～～ヽ＿＿＿＿＿＿／ ～～ ～ ～～
～ ～～ ～ ～ ～ ～ ～～ ～ ～～ ～
その場に一人残された雛苺は本当に困った様子で、横の菓子と、
鼻歌交じりに洗い物をするやらない夫の背中とを見比べていた。
/ / ! }ﾐﾒ､: :/: : ::ｨ: '::´:{{ハ
/ / i l ゞ:V:_:ｨ'´: : _: : : :ﾒハ
// i 乂. | ヽ: : : : ／iヽ￣ ｀ i
iｲ l ＿_ﾊ / ｨ >.／ ,|ハ ＼
{'i . l 从八ヾ ､_＿ｨ＿/_i / |￣ | ＼ ＼ （もう………
', .li ｨ=ﾐﾒ､ .//イ /￣〃 / / ＼ 強引なの）
ゝ､ﾊ ﾄ､ilけk}ヽ ／彳ミﾒ､ ィ' ./ / ｀ｰ ､ _
＞ >､', 弋ソ ｀" {{けオﾐ､イ.／ , ／
／-'´￣ ト' "" 辷ツ 〃彡''_.／ｲ ＿＿ _
/ ヽニ彡､ ､ "" イノイ≦ il＿ ,, ィ ''´￣ ￣ ｀
{ -＝彳_ィハ -( ﾉ＿ ＞￣
Y´ ,,_≠〃フ＞､ イー＜＞_/ハ￣ ＞- ､ ／
ヽイ三＝≠＝-､ ー -,― ´ |＞､ノﾌ｀ー -ミ''ー ､ _ ｀ ー'
>=／: : : : : : ＞イi >=-''´￣ヽ＿}} ＞
／: : : : : : : ´: : :il _. . .ｨ: ':´/: : : : : : : : :ヾー＝-'' ´
/: : : : : :ｨ＝＝v＝ﾐﾒ､: : :r': ´: : : : : : : : : : : ヽ
しかし食事の用意も持たずに長時間居座って、二人に迷惑をかけているのは自分だとの自覚があったから
その強引さが嫌ではなかったのも確かである。
81 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:21:08 ID:i8gITY67
二１６２．
, .. --- .._
／::';';';';';';';';';';':ﾞヽ
/: .:;';';';';';';';';';';';';';'; :ヽ
l: : ::';';';';';'苺';';';';';':.: : }
_....--‐―''''ﾞ,: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.（~ﾞ＼:!''---...._
_..r‐"´＿--‐'''""´ヽ: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.＼ ＼ﾞ''‐ｰ-..__ ｀''ｰ.._、
! ヾ､ ｀ﾞｰ - -- ─ '´＼ ＼ l’ !' つんつん
ﾞ''ゝ_ ﾞﾞ''ｰ--......＿_＿ ＿__＿＼. ＼´ _..r''’
"''‐ｰ--....,,___ ￣￣￣ __＼ ＼ ,.--､
￣￣ﾞﾞ''''''''''''￣￣￣´ ヽ, ヾ ;'⌒ー-、
γi i
,,--┤i i
（ ､ソ ﾞi,
＼,, ヽ
＼ ＼
ゝ,,
何となく、菓子をつついてみるとふわふわの感触が指に返ってくる。
いつも通りの柔らかさに何となく、悪意をぶつけても意にも介さない、敵愾心を持っても気にもとめない、
ただ優しさを返してくれるやらない夫のようだ、と雛苺は思ってしまった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━……
82 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:22:09 ID:i8gITY67
二１６３．
━━━━━━━━━━……
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
―――夕刻。
間もなく川面も赤から黒へと色を変える。
ちょうど一段落したのでやらない夫は休憩にしようと木刀を下ろし、限界が近かったジュンも文句なく頷いて
折れた木刀を焚き火の跡に投げ込んだ。
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
/ .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
/ :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
「ヒナ。 ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
そろそろ家に帰るんだ」 ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
| .ﾄ'' ! .| r―┐ | ,// :. ｌ / ｀ヽ、
83 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:22:13 ID:i8gITY67
fl'´ { !:.｀ヾ;
{j f/:.:-､:.:!}
,._..二､￣_｀＞＜L:ｌ}_.. -ｧ､
_.. '´ ／/Y"´ ／ ,｀ヽ､f":.:.:.:>,
_.. ‐ ／ l:.// .::/: / , ヽ:_ィ'´
, ' ／ !:!'!_.:.ﾊ.:. /!/: . ',ｷ
. ｢ ｀丶､／- ― -_.. >,|,ｨニV Ｔ|:.:.:. / トゝ
ヽ二ﾆ! r 二´..._ヽ､ヽ. L::ﾉ ヽ:／: /,'
. | ＿r'´ ﾆ三ｧ ,ｨﾊ／/ 「分かったのー」
ヽ､-_＞二￣_ヲ､￢ ., ' ﾞ/、
ヱア丁 ＼､ __.. ＜ﾆ|
/ / ..:.:./､ヽ f＝´'"
/ :.:ヽ: ヽﾉ/ ｀
ヽ ..:/_:.:......:.:.<l:!l:!
,. -:ｧﾆ二..:_｀!:.: ヽ┴r:rr-､
,..:'"／/:l :.:|:.: ′ !:l V
. ／:／/::/;/ｌ :.:|:.:.... !:ｌ 〉
.|:／ ./::///:ｌ :.｀丶､:.:.:.:.:.///
.Kヽ/:::/':/:.:.ｌ :.:.:.:.丁 T´
アヽ!:/:.:.: ! :.:.: l::l ﾄ､
/ｲ:::/ .:.:.: ! :.:.:.: l::l l !',
さすがにこの時間ともなれば彼女も素直に頷いた。
椅子代わりの岩を立って砂埃をぽんぽん、と払っていると―――
84 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:23:08 ID:i8gITY67
二１６４．
やらない夫が空になった皿に気づく。
＿＿＿＿＿
_....--‐―''''￣ ＿＿＿＿ ￣￣'''''---...._
_..r‐"´＿--‐'''""´￣ ￣￣￣ﾞﾞ''‐ｰ-..__ ｀''ｰ.._、
! ヾ､ l’ !'
ﾞ''ゝ_ ﾞﾞ''ｰ--......＿_＿ ＿__＿....--‐''''´ _..r''’
"''‐ｰ--....,,___ ￣￣￣ __,,......--‐‐''"
￣￣ﾞﾞ''''''''''''￣￣￣´
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （⌒ ）（⌒）
| （__人__） 「あれ？」
| ｀ ⌒´ﾉ
| }
ヽ ﾍミ|
／,` 、` -`,--` ,
＿＿,---/;;;;;` `-,-/ニﾆ |
/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･ ,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::| |`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
85 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:24:09 ID:i8gITY67
二１６５．
fzfzィ彡､-‐ｧ´ ヾﾂｆz
ｆｚｲ¨" .:.:{ .:.ixz､..__ .:.:.: Yゞfzfzx
fzﾂ ,ｨf厂丁`ヾfzゞfzx:､ .:.:.:.:|:. ｀ヾﾐz
Y xfﾂｲ' ﾊ ヾ:､ ヽゝ八fz小、 .:.:.:.:.|' _＿__
. | xfﾂ"く ﾑ┤ ﾄｽノ´ fz圦 .:.:.:.:.| 「ヾ、
＿ ,ｨ! ｲfxﾚ1辷i し’ 、 :､ ﾞfzX .:.:.:人_.:|＼ `
| |＿＿__ [ｌ[ｌ fxzﾚ"|! ,f才ﾝ ヾ i! i| ﾊ ヾ:、 八fz}_／ ヾﾘ ヽ
| ＿＿＿| ,ｨxfイ.: .:| rf;{" i ﾊ i! |i ﾊ ヽ:、 ｲ j;｝i ／' ) ﾉ
| |＿＿ {f∠ィ' ¨ヾ:ｲｧ' l i! il i| i|! }!ヽ )} i! {i从 ′ ／ }
|＿＿＿| /,ｲ{ i{ i| !i i! l!i ハヽ_j斗! ｊヾ ヽィ ,ｲ{
＿＿__ . //i {! i| i il i| |j､l iｧﾅ乃工ﾉﾘ ｲ )} /' イ i,ｨ
／＿ / 〈' {i八 い:､ヽ i!_,.!i; ﾘﾊﾘjｲ;乍夾ﾊ〉ﾘ ｲ〃 ／ ／/
..／／／／ ／ﾒ{ ヽ ヽミ;匕ヾハiﾉ ﾘ ｿ ヾﾆ''’厶┴ュ/ ／ ーｧ
￣ ／／ ,:／ 大ｰ:､ ヾ ヾミ;ｲ示ﾐj "" ら≡≠）/ムく二_
￣ [ｌ [ｌ // ;厶-―‐-､｀ヾ. _ﾘ"ヽ ゞ’ , -=≦ヲ く＜=＝ｧ/ﾑ
// r‐-｀二ﾆ} ﾉ ﾉ /'/ ､"" - ‐ ／､_;ノ てﾑハ（_ノj
^ ￣｀ヾｰｬ-ｧ､{斗ｧZ＞≧=ｰ- ..__..イ:. ／´: : : : : : : :｀ヽ
ゞ=＝ミｭ､〉〃ム三≧ヾく二ゝ _j'' ／: : : : : : : : : : : :
半ｧ／: ｀てﾗ’_.=≠＞个≠!: : : : : : : : : : : : : :
({／: : : : : : : {:r''" /,ｲ:i ﾄヽ |.:.:.:.:.､: : : : : : : : : :
〈.:.:. .:.:. .:.:.:.:. |:{: ://:./ﾘ }:jヾヽ.:.:. :ヽ: : ヽ.:.:.:.:. :
ヾ:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.ヾ彡': :i:/ i:::!.: :ヾ>: 〈::': : .::::＼.:.:.:.
／: ﾉ: : : : : : : i : : :,ﾒ l:::i : : ﾉ: : :ｲ: :i : : : : : : :
く: : :': : : : : : i : :{!: :./! |:::! :Y:::::/: j: ::|: : : ::ﾍ: :
ｷ: : : : : : : :|: : i! /::j !::{ : |:::/: :': : :|: : : : :::j : :
入: : i: : : :.:|: : ': {:::{ |:::| : Ⅵ: : : : :.!: : : : : : : :
気づかれた、と身体を震わせた雛苺は挨拶もそこそこ、
,,,,,,:,, ,,,,,,,,
,,,',/ .,,,ﾞ!l" l
ス >,l-‐ﾞﾞ"'-ﾞ`‐-ｙ, ､_人__人__人__人__人__,
タ ;'''',,ll|lﾞﾞﾞﾞｿ'ﾞ／:,|l,`l _） （_
タ ｀ﾞﾞ',!!,,,,l|,,,,,,l,l"fノ _）さ、さよならなの！（_
タ ,!'li'''',,''''il"／ _） （_
タ ,/ ﾞﾞ/l ﾞﾞ | ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒
.／| / | |
.レ-‐″ ／ | |
れ,,,,. ／,,,, ,,,|i:､.、 l
‐″ザﾊ =,,:::i!ｙｰ'llli/
⌒'`/, /[.,,,!,ll/
/ // / //⌒⌒´
' // / // /
// / / '
. /
何も聞こえないのーと言わんばかりに、両手で耳を塞ぎながら走り去ってしまう。
86 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:25:08 ID:i8gITY67
二１６６．
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=: 「ほんと意地っ張りだな。
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li, 誰に似たんだろう………」
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
あきれ顔で見送るジュンは両親の顔を思い返すが、おそらく母親なんだろうと一人納得してやれやれと首を振った。
と、同じく雛苺を見送っていたやらない夫がおもむろにバスタード・ソードを掴むと手早く背中に装備する。
＿＿＿
／ ＼
／ ､_,ノ ヽ
／ （● ） 丶
／ （⌒ l
/ ￣l__） ＿_
r‐ ‐-- ､ ノ | ￣`》
上: : : : : :＞‐-.､__ ／ 〉二〈 「ジュンは瞑想しててくれ。
レ＜＞㍉､: : : : : : : : :＞ ／ ｜ﾆﾆ| 俺はちょっと町へ行ってくる」
／: : : : : : : : :ヽﾐ､: : : :/＞ヾ,＿_ン |三ﾆ|
/;. -‐- ､: : : : : :=ド､ヽ// j `.-､ /ﾍニ７⌒)
//_／￣ヽヽ |: : ニ||: }}: ≫≪=: : :＿≫ / ｨﾆにン-､
｜|｀|`i⌒j ｜|｜二//: :}}: 二//: ／ / ノ ／ _／-､
/∧ ゝ二 ノ ﾉ: !二ノ＿ }}: =//: :＼ | (__,イ＿,. -<
| ヽ｀ ｰ--イ : =∀ﾆ|r‐㍉､｣｣､}: : : ≫ （`ｰ‐┴ｰ┴‐ー┴---'‐'")
|: : :｀:ー┬': : =/二 ＼: : :=}}ﾆVX´ ￣,《｢￣￣￣￣｢￣￣
": : : :|=: |=: : =|ﾆ: : : : ＼ノ=三|:､＼ ri´: : |￣￣￣￣|
: : : : :|二|二二|ﾆ : : : : }}}=〉ﾆ=ト:二ユ__ ／: i!: :_ｘ≦'"￣￣＼
: : : : :ヽ=|二／ﾆ: : : : : }}}=|ニ=|ﾆ: : : : 〃´: : ;ｘ＜: :: :: ≧ ＼ |
: : : : : ヽ＼/|二＿: : : :}}}ﾆ|ﾆ=/＜: : //: : :／:: : :: :://: :＼＿__ ﾊ
: : : : : :､:＼=〉‐-- 二_ー‐'ニ/二二|: |／/:: :: _:: ::l=/:: ::=_:ヽ=､::￣:＼＿_
: : : : :､ ヽニ〉｜|｜|｜ト]トrへ二ﾆﾆ/:=:: ::_::=:: :: l=|: =:: :: ≧＼三≧ｘ:: ::ヽ
: : : : : : ､ ∨￣`'┴-t⊥jj[] ＞/::/:: :: l=/:= : 川:: ::=:: :: ::`:: :＼三=Vﾍ｣
､: : :=: : :＼＼:: ::|:: :: :|::三r' ／_/:: :: :: :: :l/:: :／三!:: :: `≧､_: :: :ノ三三}
`: : : : ニ＼Y´|:: :: :: :: :: :: V/::=/:: :: :: :: ::/::／三三|:: :: :: :: ＼三三三三}
: : : : : :＼ニ＞}＿-＿―三V={:: ::≦三/三三三三ﾄ､:ヽ≧､＝ﾆ三三三ﾍ、
: : : : :/二＞＜!三三:: :: :: :: ｀`＝ﾆ三/三三三三ﾆ!:!≧､:＼三≧≦三三=〉
87 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:26:08 ID:i8gITY67
二１６７．
分かったと頷いたジュンをその場に残し、足早の彼は雛苺の背中を追いかける。
空にはもう、一番星が瞬いていた―――
‘ ｀ , .. . + ’‘ :: . ..
. . ， ，:‘.。 + ，..
， ’‘ + ，.. . ..; '， ，:‘
. .; : ’ ' ，:‘.
，:‘. + ☆彡 ，.. ，.. . ..; '， ，:‘
.. .. ' ，:‘.. ...:: ’‘ ’‘.; 。 ，.. . ..; '， ，:‘
. 。 ，:‘. 。 ，.. . .; '， ，: ‘
， .. ' ，:‘. ， ； ｀
:: . .. .. ' ，:‘.
， ，:‘. ..; '， ，:‘ ’‘ ,
+ , .. .+ ’。 .. ' ，:‘.. ...:: ’‘ ’‘.; 。
，:‘. 。 .. . . ::: ' ，:‘. , .. . +
.. ' ，:‘.. ...:: ’‘ ’‘.; 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━……
88 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:27:09 ID:i8gITY67
二１６８．
━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
町から戻ったやらない夫は、焚き火も燃やさないで瞑想しているジュンを遠くから見ていた。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ 一）（●）
| （__人__） (やってるな)
| ｀⌒´ﾉ
| ,.<))／´二⊃
ヽ / ／ '‐､ﾆ⊃
ヽ､ｌ ´ヽ〉
''"::l:::::::/ __人〉
:::::::::|_/ヽ. /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|
月明かりだけなので常人には見えないかも知れないが、夜目の利く彼が見れば
ジュンは町に背を向けて座禅を組んでいる。
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ ,
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
90 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:28:08 ID:i8gITY67
二１６９．
ﾘｰﾝ…
: : : : : : : : : ::: :ﾘｰﾝ… :
～~~~~～~~~~～～''~~~~～'''~~~''~~～～～~~~''~
::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; ﾟ:: ::;;; : ;;::: :;;; : ;;w ::::;;:::: ﾟﾟ。
;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; ,,ﾟﾟ::;;; : v;;:::: 。 ;;:::: ::;;; : ;;:v.;;:::: ;
;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;::;;; : ;;: ;;; : ;;; : ;;::
ｺﾛｺﾛｺﾛ…
ﾊ ヽ Y｀l | > Y
{ ヽ_ゾﾉ | ﾚi i i}
｀¨´ ヽ ハ `'''
> / ﾍ
/ /ヽ ﾍ
_,/ / ご_ノ
（ ヽ /
＼__ノ
どこまで気配が読めるようになっているか確かめようと、気配を弱めたやらない夫は
足音も立てないようジュンに近づいていくが―――
91 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:29:08 ID:i8gITY67
二１７０．
: : : : : : : : : ::: : :
～~~~~～~~~~～～''~~~~～'''~~~''~~～～～~~~''~
::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; ﾟ:: ::;;; : ;;::: :;;; : ;;w ::::;;:::: ﾟﾟ。
;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; ,,ﾟﾟ::;;; : v;;:::: 。 ;;:::: ::;;; : ;;:v.;;:::: ;
;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;::;;; : ;;: ;;; : ;;; : ;;::
: : : : : : / l.:::＼ | |.:.:.:.:.:.:＼
: : : : : / l.:.::::::ﾘ |/´ ￣｀`, .:.:.:.::.:.:.:＼
: : : : / l.:.:／ ', .:.:.:.:.:.:＼
: : : / ＼ ', .:.:.:.:.::::ヽ
: : 〈 ＼ ', .:.::::::::::::::::::|＼.::.:|
: : : :', .:.:.:.:.: ＼ ',::::::::ﾄ､.::::::::| ﾊ:.:l
: : : : :', .:.:.:.:.:.:.ﾄ､ ＼ ',::::::lﾆ＼:::::|
: : : : : .', .:.:.:.:.:.:l ＼ ＼／ ',::::l ﾄ､| 「―――なんだ、やらない夫か」
: : : : ::::::', .:.:.:.:.:.:l `y':／ﾆヽ ',::l1 l |
.:.:.:.:::::::::∧ .:.:.:.:.:.:l ／／／ い / l l |
:.:.:.::::::::/ ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ..／∠ い /ハノ/
.:.::::::::./ ＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:V彳o:::ヽ j! ! `ヽ
.:::::::::〈 ＼.:.:.:.:.:.:.:}ﾑ:::::::ノ´ ／／ /
､::::::::::.＼_,, -‐ ＼.:.:.:.:l ￣ ／／ ,.ｲ
ヽ ＼:L＿／／ /
＼ └＝＝' ／/
＼ /
＼ ,′
＼ ,′
＼`ー--------r---‐‐'´
＼ ∠￣`ヽ
もう少し、と言うところでジュンが目を開けた。
92 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:30:08 ID:i8gITY67
二１７１．
／￣￣＼
rヽ ／ ノ ＼ ＼
i ! | （●）（●） | 「よく分かったな、
r;r‐r/ |. | （__人__） | 気配はある程度消していたんだが」
〈_L (｀ヽ .} | ｀ ⌒´ ﾉ
l｀ （ ｀`/ . | }
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ｨ ヽ
＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
>:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.| |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:} 「いや、突然虫が静かになったから。
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_ //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:| 君の気配は分からなかったよ」
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::. | | 辷り｀ |}_ r-Vｿ:.:∧}
／:.:.:.:ヽ::::::::::i::::::::::: ヽ廴_ <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
フ/:.:.:.:.:.＼:::::::::::::::: ￣ヾ=ﾉ <-ﾝ /:| .V
´''- ､:.:.:.:./:::::::::::::::: /=テヾ|
ヾ/:::::::＼::::::.. ー - /
/:::::::::::::::::::::::::... - .／
／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::... ／
／ ∧::::::::::::::: /｀ 'ー - ' ´
ノ | }ヽ:::: /_
￣￣ .| ＼ { ヽ
.| / ｀ ー='´ ＼
野生の昆虫や動物にまで感じさせないほど気配を消していた訳ではないので
もしかしたらジュンにも分かるかも知れないと期待をしていたが、
さすがにまだそこまでは感知範囲が広くないらしい。
93 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:31:08 ID:i8gITY67
二１７２．
それでも虫達の反応で接近する気配がある、と察しただけでもかなりのものである、
疲労による感覚の拡大のみならず今日の訓練が十分身になっているせいだろう。
／￣￣＼
／ ヽ､_ ＼
（●）（● ） |
（__人__） |
「かなり感覚が研ぎ澄まされてきたようだな。 （ |
魚、捕ってみるか？」 . { |
⊂ ヽ∩ く
| '､＿ ＼ ／ )
| |_＼ “ .／
ヽ､ ＿_＼_／
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼| 「やるやる！
l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV 今度はいけそうな気がするよ！」
l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
95 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:32:08 ID:i8gITY67
二１７３．
／￣￣＼
_ノ ヽ、 ＼ ,.:┐
.（ ●）（ ●） ..| ／ ｜
（__人__） .|./ /
「よーしやってみろ。 i⌒ ´ .r－､ |/ ／
ただし、今は暗いからな { ヽ, ',. .,/ :/',
魚は見えないぞ」 .ヽ .| l_/_, -‐､',
.ヽ . | / , -－'i|
/ { V , -－ﾍ
| ヽ Ｌ| r= |
脅かすような言葉に少しだけ怯んだジュンはそれでも、
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li, 「いや、虫の気配が分かるんだから
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,, いけると思う！
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢ ………多分！」
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
気合いを入れて木刀を掴むと暗い河へとざぶざぶ入っていった。
96 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:33:08 ID:i8gITY67
二１７４．
しばらくして。
|::ヽ／::::::〈 へ、
,-┘:::::::::::::::::::::::::::｀＞
∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::＼
/::〈:::|＾＾|:::::/＼ﾄ､ヽ::::::>
|＼ ／::::::ﾊ|＿l/l/.＿_-ヽ|:::」
＼＼ .￣7/.|＿_|─|＿_|- lj/
＼＼ ﾍ. __;_＿、 /
＼＼ ﾌヽ辷フイ{ヾ 「くそっ！」
＼＼ ／::::〈｀l7:´::::::ヽ
＼＼ ﾉ::::::::::::V::/:::::::::::〉
＼＼ /:::::::::::7::ﾄ/:::::::::::/
＼＼ /::::::::::/:::::/::::::::://
＼＼ ／::::::::::／l ／:::::::::/::l
∠二フ ／:::::::::::::/ ／:::::::::／::::!
ヽ,'~つﾆ〉ヾ::::::::/／::::::::::／::::::::j
ﾞへノ7 ヽノ<::::::::::／ヾー--￢
くヲ｀` ヽ＜／^ヾフ=／{
_,. -ヾソ ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
r ' ´:::::::::::::`ｰ‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀`丶
l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- ､_:::::::::::::::::::::::::::
l:::::::::::::::r -- ' ´ ｀`'ｰ､:::::::::::::
/::::::::::::::l l::::::::::::
何度も何度も木刀を振るってはいるのだが、どうしても上手くいかないし、
露骨な殺気をまき散らす彼に魚が寄りつかなくなってしまっていた。
97 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:34:08 ID:i8gITY67
二１７５．
／￣￣＼
／ ヽ､_ ＼
（●）（● ） |
（__人__） |
「ジュン、ちょっとこっちに来てくれ」 （｀⌒ ´ |
. { |
{ ﾉ
mｍ ヽ ノ
（⊂ ￣￣￣ ヽ
￣￣￣| |
だが、むやみに木刀を振るっているわけではない、暗い水面下の魚の動きを確かに感じ取っている様子なので、
頃合いだと頷いたやらない夫は助言を与えるべくジュンを呼ぶ。
＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
>:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.| |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_ //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ |:.:.:/:.:.:<´ヾ| 「なんだよ、
｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::. | | 辷り｀ |}_ r-Vｿ:.:∧} もう少しなんだから………このっ！」
／:.:.:.:ヽ::::::::::i::::::::::: ヽ廴_ <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
フ/:.:.:.:.:.＼:::::::::::::::: ￣ヾ=ﾉ <-ﾝ /:| .V
´''- ､:.:.:.:./:::::::::::::::: /=テヾ|
ヾ/:::::::＼::::::.. ー - /
/:::::::::::::::::::::::::... - .／
／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::... ／
／ ∧::::::::::::::: /｀ 'ー - ' ´
ノ | }ヽ:::: /_
￣￣ .| ＼ { ヽ
.| / ｀ ー='´ ＼
98 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:35:09 ID:i8gITY67
二１７６．
／￣￣＼
rヽ ／ ノ ＼ ＼
i ! | （●）（●） |
「そう、かっかするな。 r;r‐r/ |. | （__人__） |
一つ教える事があるんだ、 〈_L (｀ヽ .} | ｀ ⌒´ ﾉ
取りあえず座って集中してくれ」 l｀ （ ｀`/ . | }
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ｨ ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ ,
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´ 「分かったよ。
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼ ふぅーーーっ………」
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ _ ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヾ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
三回ほどおまけに木刀を振り下ろしてから、やっと戻ってきたジュンは深呼吸を繰り返して落ち着いたようだ。
静かな呼吸と高まっていく気配を感じ取り、足下からいくつかの小石を拾ったやらない夫は
彼の額を指さすとこれから何をするかを説明する。
99 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:36:09 ID:i8gITY67
二１７７．
,, -‐ ､
/' ヽ
／￣￣＼ ./ i
／ ._ノ ヽ､＼ / ...........i
| （●）（●） | / ..:::::::::::::::|
| （__人__） | / ..::::::::::::::::::l 「良いか？
.| ｀ ⌒´ .} ./ ..::::::::::::::::::::! ジュンは目を閉じて待ち、
| }/ .::::::::::::::::::::/ 俺はジュンに向かって小石を投げる。
ヽ ./ .:::::::::::::::::::/
.ヽ . .／ .:::::::::::::::::::/ 来たと思ったら頭をずらして避けるんだ」
,. ‐'"´ `'‐,r''"~ .:::::::::::::::::／
..:.／,. -‐‐- ､ l′ ..:::::::::::::／|
:,' ／ !.:::::::／:i..:..l
r ､ / !::::::::::: i..:..i
l .......`:i i !:::::::::: ﾞ､:.i
! ::::::::::/ i i:::::::::: ヽ:i
.! ::::::::/ i .....i::::::::::: ヽ
.ヽ ::::::| `､ `､ .....::::::::::::l:::::::::::: `,
/ ＼:::l. `､ ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::: /'''ー─----､
`ヽ `､ .::::＼:::::::::::::::|::::::::: /,, ,. ‐;''
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=: 「わ、わかった」
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
またいきなり高度な要求が来たぞと驚いたジュンはそれでも、気配は見えるようになっているんだと目を閉じて、
息を細く長くしながらやらない夫の動きに備えた。
100 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:37:08 ID:i8gITY67
二１７８．
やらない夫はそれじゃ行くぞ、と最初は気配も消さずに動作も大きく小石を投げ、
／￣￣＼
／ノ ＼ ＼
（● ）（●）. │
（__人__） │
{｀ ⌒´ │
ﾎﾟｲ { │
／￣￣￣￣￣￣ヽ､.,＿＿ __人
( _ ノ￣￣￣￣￣￣＼ ＼
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼ __
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ , / /
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/ / /
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/ L/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´ ∠ﾌ
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
ジュンはこれをさっと避けた。
101 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:38:08 ID:i8gITY67
二１７０．
次に、少し動作を小さくして投げる。
／￣￣＼
/ノ ＼
（● ） |
（（___） | .
ﾋﾞｯ ヽ |
{ | .
/⌒三──三＝────"⌒ 、 入 .
（＿＿＿_＿＿＿三≡＿ , `ヽ、
￣三＝ ￣｀丶 ＼
＼ ＼ ＼
＼ ＼＿）
＼ ＼
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼ __
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ , / /
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/ / /
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/ L/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´ ∠ﾌ
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
またもやジュンは石を避けた。
102 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:39:08 ID:i8gITY67
二１７１．
今度は気配を消して、動作をやや大きくした小石が飛ぶと―――
ﾞｉ＼
ﾞｉ (,
i ﾞｉ
i| i,
i| ',
i| |i
／￣￣＼ i|. |i
／ ＼＼ ,.i. |
| （●） ,.i ゝ
. | （___ﾉ ｼｭｯ ゝ |i.
| ´ﾉ , ' |i.
. | } ／ |i.
､－―ﾞ―ﾞﾞ￣＼ , ' |i.
／ ＼ ,, ,. ,., ' , ' |i.
／ ＼ `ﾞｨ／ |i
| ／´＼ , ,. ,. ／` ,.|i
| ､ト ﾞ） ＼ ﾞｨ／`, ' ` ゝ
` , ' ／ﾐ ., ／
, ' ` ,. , ' ／, ' ;`
, ' ／
, -―-､
/ ,. ―､ ヽ
{. { } }
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼ ヽ__） ,ノ ﾉ
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ , / ,.-'´
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/ / /
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/ し
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´ 〇
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
彼は何とか避けたが、かなり戸惑った様子を見せた。
103 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:40:09 ID:i8gITY67
二１７２．
次は殺気を漲らせ、動作を殆ど無くした小石が迫る。
ーﾆ三''''v'''''{
-=三ﾐ .| __ ',
. ｀ミ, !i ヽ!,
.. ｀ミ !,_,, ':,i,
r- .、 `, | 丶!、
｀ミ ＼'i,!、 .＼、
＼ Y ＼ ＼
｀l | ヽ . ',
｀ミ ! / |
ヽ / |
｀ﾐ | |
| {
| |
／￣￣＼ | | ﾋﾞｯ
／ ノ ＼ ＼....i |
| （⑪）（⑪） | | |
. | （__人__） .| i /
| ｀ ⌒´.. ﾉ../ ./
. ヽ }／ ..／
ヽ . . ´ ／
/ . .／
| l´
| . |
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼ __
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ , / /
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/ / /
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/ L/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´ ∠ﾌ
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
が、これはあっさり避ける。
104 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:41:08 ID:i8gITY67
二１７３．
そして最後に、気配も殺気も、動作も消した一撃が飛んだ。
／￣￣＼
. _ノ,､ ＼_ ＼
( ●）（ ●） |
（__人__） | （これで最後だ）
(｀⌒ ´ |
{ |
{ /
ヾ / ﾋﾞｯ ⌒
ｿｇﾍ二ﾆ=7⌒￣"⌒￣〆"⌒ﾆつ ））
∧ii/ oィ/" 〃 （乙ﾉ≠＾ｿﾉ
/ .|/／＝ ゝー─～ﾞ─‐ﾞ～'´
l |｡ ｀~/
/ |｡ /
/ｿ |｡ （
/ ﾘ∠＼＿＿__ﾆゝ
ﾋﾞｼｯ
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──` |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./ 1/ .＼ ,,_人､ノヽ | |: : |＼;!
: : ,､: :{ |-)ヽ （ .|:ヽｉ 「いてっ！？」
: :{ ヽ' - ＜ ＞ ﾊ:_}
ﾊヽ ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ ) て ＿___ﾉ }
ハ: :｀-', ! | | ! ! ／^⌒`Y´^＼ 川/ ノ
〉: :.:∧ 〃'ー──-----､ ,ｲ"´
￣ ＼ ヽ＿＿＿＿＿_丿 ／
＞､ ,イ´
,────､＿_｀ ,‐──┬'"´ ＿＿
/ | ! |￣l￣ ｀ヽ
. | ｰ──' ﾘ }
さすがにこれは命中した。
ジュンには避ける様子が全く見られず、いきなり飛んできた小石に面食らった様子だ。
105 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:42:09 ID:i8gITY67
二１７４．
／￣￣＼
／ _ノ .ヽ、＼
| （●）（●） | 「目を開けて良いぞ。
. | （__人__） .| 今ので何が分かった？」
| . '´ｎ｀' .ﾉ
.ヽ . | | }
ヽ.. ﾉ .ュノ
/ { ..ﾆj､
|. | "ﾂ ＼
|. | .l |ヽ、二⌒)
それでジュンは、額をさすりながら今の五つの小石をあれこれと吟味していたが。
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
/ .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
/ :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
「………そうか！」 ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
ややあって、分かったぞと飛び上がった彼は木刀を引っつかむと河まで走っていった。
そしてとうとう、数十秒もかからないうちに一匹の魚を仕留めたのである。
107 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:43:09 ID:i8gITY67
二１７５．
i: : : : : : : :', ＼: : : : : : : : ヾ: :＼'´＼:＼＼,ﾍ: ＼: : :r-､＼: : : ＼
. ,':ﾊ: : : : : : :', ＼＼: :＼: : :＼: :＼r''ｨ＝=..､￣ヾ＼:ヽ ｀i: ＼: l￣
/:/ l: : : : : : : :', ＿_ ＼＼: :ヽ＞､:ゝ/ llっ::::芯} ll iー｀.|:＼::＼
:/ .|: ﾊ: : : : : ::',ｨ''´ ＿ミヽ ＼:ヽ ﾒ ゞﾐ=歹 .ll l } l: /:＞- '
「や、やった！ .|::i .',: : : : : : ', ｨ彳＝ﾐ ヽイ ￣ ヾ ￣ ﾉ | ./i: l＼i
出来た！ |:| ',: : : : : ﾄゝ/ {il::::::と､ ', ＼＿＿＿／ |､_/:/:/＞ゝ
僕にも出来たぞ！」 |:| ',: :ﾊ: : :ﾄ､ ﾍﾐ=夕 i il: : /:/
|i ',;i ヾ: i ﾍ ￣ ／ ｀ _ ∧从/
i '; 从＼＿＿ _ィ'´ _ ィ''´ /. / i/ ,- ─ '
｀,_ ＼ ｀- / ﾄ- - -/
￣ ヽ.>､ ／ ヽr=''´￣
',ﾊ＞- _ ／ /
ヽ:ﾊ ヽ｀ ー / ／￣
r＝-､ >､ ＿ ＿ ,, ./ ／ ￣
＿＿／ ＿ヽ＿ ./ ／ ＿
／ ＼ ／ ／ ..ー
/ ＼''´ ｨ ' ´
._ _ _
(ヽl_l_ll_l,l
ヽ ｒ
│ |
|／￣￣＼
／ ＼ ノ
| （ ●）（●）
. | （__人__） 「それだ！
| ｀ ⌒´ﾉ その感覚を忘れるな！」
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
l/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)
まだやらない夫のように岸まで掬い上げる技術はないものの、一撃を加えられた魚はぷかりと浮かび上がる。
その様子を確認したやらない夫はよし、と拳を握ると焚き火を熾して夕食の準備を始めた。
108 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:44:09 ID:i8gITY67
二１７６．
,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
/.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
|! : : : : : : l l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
「分かったよ！ ｲ!: : : : :i: : !. !:/ l: : :/ ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
相手もこちらの気配を感じるんだ、 /l: : : :,∧:厶-‐､ ﾚ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
殺気を漲らせていたら魚だって !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
危険を感じてこっちに注意を .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
向けてしまうんだ！」 .ﾚ'l: :/ ﾘ |:| ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
ﾚ'’ ヾ ＿__ノ.' ヾ: ､＿＿.ノﾉ ´rﾊ !:、:| ヾ
i￣￣ i ￣￣￣ ムｿ:.;ﾊﾉ
､ r彡;〃´
ヽ ヾﾆフ ﾉﾚ'´
＼ ´ ,L. -‐ ､_
ヽ . _ ， , ィ´ ,.､二ミ:ｫ
,.-‐=ﾆj,.ィ'´ ／￣ "¨ヾ＼L、
_r'´ レ" _ﾆ=′ 二ﾆ= ＼
rく ヽ j ,-=ﾆ¨ イ=‐- ､ >"
昨日やらない夫が捕った八匹を、彼の何倍もの時間をかけてだが自分の力で仕留仕留めたジュンは、
満面の笑みをたたえながら焚き火の側に戻ってくる。
／￣￣＼
／ ノ ＼ ＼／｀i 「その通りだ。
| （●）（●）./ ﾘ さっき試した時も、気配を消した方が
. | （__人__）..| / 避けにくかっただろう？」
| ｀ ⌒´ ﾘ ﾋ
. ヽ ／/ ,｀弋ヽ
ヽ - ′.Ｙ´ , ｀ヽ｀.ｌ
/〈 `ｰ〈::....ノ Ｖ
| ヽ_ｰ ､ ｀ヾ＿/ //
| ﾌ-､｀ｰ┴‐-〃
`ー‐一′
109 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:45:09 ID:i8gITY67
二１７７．
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
「ああ！ | | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
そして予備動作が大きくても / .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
相手に見切られてしまうんだなっ！」 / :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
| .ﾄ'' ! .| r―┐ | ,// :. ｌ / ｀ヽ、
l l､__ ﾚ' | | i/o’ :.:. ! | ヽ、
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●） 「あとはその感覚を常に持つようにするんだ。
. | （__人__） 疲れていない時、起きたばかりの時………
| ｀ ⌒´ﾉ そのうち寝ている間も自然にそうなる」
.ｌ^l^lｎ }
.ヽ L }
ゝ ﾉ ノ
／ / ＼
／ / ＼
. / / -一'''''''ー-､.
人＿＿ﾉ (⌒＿(⌒)⌒)⌒))
110 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:46:08 ID:i8gITY67
二１７８．
／￣￣＼
rヽ ／ ノ ＼ ＼ 「常に周囲に気を配り、どんな些細な気配や変化も見逃すな。
i ! | （●）（●） |
r;r‐r/ |. | （__人__） | そして見つけ出した気配や変化が次に何を生み出すかを予測し、
〈_L (｀ヽ .} | ｀ ⌒´ ﾉ 自分はどう対応するかの判断に結びつけろ」
l｀ （ ｀`/ . | }
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ｨ ヽ
|:.:.:.:.∧:.:| |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
}:.:.:.:.ヾ:.:.:', |:./ .V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
>:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ V:.:.:i{ ゞテ＝ァ ||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
/:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.|| {辷zり .|| ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
. /:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ // ／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
「これが様々な状況を把握する力……… /:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::> ゞ' ´ || { ￣￣￣￣ 入 ソ/:.:.:.:._＿／
そして予測、判断への展開か」 ￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ / ／:.:ヽ￣
ﾚ'´ ヽ | ＿ /-'´／￣
ヽ ￣_ /￣゛゛
＼ _ ィ|
｀ ､ イ ｙ入
ニi ´ ／ ヽ
／/ } / |＼
/ / ﾉ / | ￣ ' - ､
/ V'´￣￣ ../ | ｀ ' - ､
.／/ /::::::::::::::／＿＝=-､＿ | /ヽ
―――開眼。
昨日修行を始める前にやらない夫が言った事が、今ようやくにして実感できた。
今まで見落としていた情報のなんと多いことだろう。
そして、彼や父を含めた一流の戦士達は、どれほど高次の世界に居るのだろう。
その一歩目を踏み出したジュンは正しい答えを見つけ出して実践できた喜びと、
目の前に広がった途轍もない剣の道の果てしなさになかなか落ち着けず、
まだ木刀を持ったまま焚き火の周りをうろうろしている。
111 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:47:08 ID:i8gITY67
二１７９．
┏──────────────────────────────────────────────┓
>>二３９．
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､. ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./ 1/ .i l＼:| ＼| |: : |＼;! 「あのさ、聞いてると
: : ,､: :{ |-‐‐-| .|:ヽｉ とても僕に出来そうにないんだけど？」
: :{ ヽ' ! | ﾊ:_}
ﾊヽ ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ ヽ＿＿＿＿___ﾉ }
ハ: :｀-', ! | | ! ! ' ! |' | | 川/ ノ
〉: :.:∧ 〃'ー──-----､ ,ｲ"´
￣ ＼ ヽ＿＿＿＿＿_丿 ／
＞､ ,イ´
,────､＿_｀ ,‐──┬'"´ ＿＿
/ | ! |￣l￣ ｀ヽ
. | ｰ──' ﾘ }
┗──────────────────────────────────────────────┛
○
ο
o
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、 （こう思ってからまだ二十四時間ぐらいしか
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=: 経ってないんだよな、そういえば）
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀U: : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
113 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:48:09 ID:i8gITY67
二１８０．
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／ （多分………
/ .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／ やらない夫にはとても多くの事が見えていて、
/ :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／ 分析、判断して弱点の補強や長所の延長を
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼ してくれているだけなんだろうな。
ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;> そしてそのやり方も的確で無駄がない）
ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
妹に対する接し方ややらない夫の考え方を思い返して、自分の予想が何となく正しい気がしたジュンはしかし、
ならば彼はどれだけの経験と研鑽を積んできたのかが想像も出来ない。
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､. ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : | （お父さんの修行と言っていたのも、
: : : : :./ 1/ .i l＼:| ＼| |: : |＼;! きっとそれはただの「基礎」なんだ。
: : ,､: :{ |-‐‐-| .|:ヽｉ
: :{ ヽ' ! | ﾊ:_} やらない夫はその「基礎」を活かすために
ﾊヽ ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ ヽ＿＿＿＿___ﾉ } 常にあらゆるものに目を配り、集中し、
ハ: :｀-', ! | | ! ! ' ! |' | | 川/ ノ 蓄えて自分の力としている………）
〉: :.:∧ 〃'ー──-----､ ,ｲ"´
￣ ＼ ヽ＿＿＿＿＿_丿 ／
＞､ ,イ´
,────､＿_｀ ,‐──┬'"´ ＿＿
/ | ! |￣l￣ ｀ヽ
. | ｰ──' ﾘ }
114 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:49:08 ID:i8gITY67
二１８１．
┏──────────────────────────────────────────────┓
何が、そこまでやらない夫を駆り立てるんだろう―――？
┗──────────────────────────────────────────────┛
次第に焼けてきた魚を見下ろし、その疑問に行き着いた。
自分という弟子を教えているこの瞬間ですら、やらない夫にとっては自身を鍛えるための修行になってしまう。
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ……
（(
▽ ） ) |`ゝ
/ヾ、 ノ _／/´
〔!;;;;ぅ (（ (( ／ :;/'
λ。ﾉ ） ） 丿 /@,;)ゞ ｼﾞｭｳｩｩ
Y （( ( ノノ /
｜ ∴∵ /
／/》||ヾミ＼
＿/
_／;@/
/",:;ン ｼﾞｭｳｳ
/,／
`V
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
' ｀ ､ヽ
l ,‐-,.._ ゞ
. l l 弋心 l
. l 冫.ー く
l l ﾉ!
l ｀ー‐ f ｒ'
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
じっと瞳に炎を映し、黙っている彼の横顔を眺めてジュンはふと、
|:.:.:.:.∧:.:| |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
}:.:.:.:.ヾ:.:.:', |:./ .V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
>:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ V:.:.:i{ ゞテ＝ァ ||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
/:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.|| {辷zり .|| ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
（ねぇやらない夫――― . /:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ // ／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
君は、一国の騎士に収まる器なのかい？） /:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::> ゞ' ´ || { ￣￣￣￣ 入 ソ/:.:.:.:._＿／
￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ / ／:.:ヽ￣
ﾚ'´ ヽ | ＿ /-'´／￣
ヽ ￣_ /￣゛゛
＼ _ ィ|
｀ ､ イ ｙ入
ニi ´ ／ ヽ
／/ } / |＼
/ / ﾉ / | ￣ ' - ､
/ V'´￣￣ ../ | ｀ ' - ､
.／/ /::::::::::::::／＿＝=-､＿ | /ヽ
そんな事を思ってしまった。
115 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:50:10 ID:i8gITY67
二１８２．
穏やかな沈黙が満ちてしばし。
やらない夫はもう良いか、と呟くといつの間にか岩の上に座っていたジュンに
焼けた魚を差し出した。
／￣￣＼ (((
／ _ノ ＼ )))
| （ ●）（●） |`ゝ 「焼けたぞ。
. | （__人__） _／/´ ジュンが自分自身で捕まえた魚だ、
| ｀ ⌒´ﾉ ／ :;/' ゆっくり味わって食べると良いだろ」
. | } /@,;)ゞ
. ヽ } /
ヽ ノ ｍ/
/ ￣￣￣ つﾉ
| |￣￣￣
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
「うん、いただきます！」 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV
l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
117 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:51:10 ID:i8gITY67
二１８３．
思いっきりかぶりついてからあちちち、と慌てた様子で口を離したジュンはしばらくそのまま動きを止めていたが、
突然くるりと反対を向いてしまう。
/|, -──---,
〈 . :.::::.:.:.:.｀`く
, ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ
∠.:／.::ﾊﾊ|:::::::::1::::.:.:.:. ＼
ム:从r'''''|/Ｎ:::|.;;;!;;;;;;;「￣
「………はは、ちょっとしょっぱいや。 l/N￣|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|
やらない夫、塩かけ過ぎたんじゃない？」 `|￣ﾉ└‐┘｀`ウ'ﾞ
＼ ー' ,..ィ二［
ｸﾞｽｯ ￣r'"´,. -‐L_
∠二 1i
| `ヽ| | ',
| .:j. | ﾄ､
/ 〈 | | |
/ __ ＿＿」. | | |
火傷でもしたかと口を開きかけたやらない夫は、
背を向けて串焼きにかぶりつく彼の声が鼻声だった事には気づかないふりをして、自分も一串を手に取った。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ー）（ー） 「ああ、そうかもな」
. | （__人__）
| ｀ ⌒´ﾉ
.ｌ^l^lｎ } ﾓｸﾞﾓｸﾞ
. ヽ L }
ゝ ﾉ ノ
／ / ＼
／ / ＼
. / / |ヽ、二⌒)､
ヽ＿＿ﾉ
118 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:52:09 ID:i8gITY67
二１８４．
それから静かな食事が続いた。
薪の爆ぜる音が時折空気を震わせ、月の女神の分身とも言われる蒼い月が二人を見下ろしている。
・ .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;., ;,::;
;:;;: , .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:, *:,; ;.,;,::;;。,... .. ;:
;:;;: , .,., .,. ;:;: :. :. .: : -‐- :. .:.::. .:.: :. .:.: ,.:;,;,:,★:,; ;.,;,:: .,...
;:;;: , .,., *., . : ,r'´. ｀ヽ: .. : :. .:.::. .:. . . ;:;: ,.: ;,;
＋ .: ..: :' ..:. ﾞ; ::: :. :. .:.:. .::;:;;: , .,., .,. ;: ; ,;,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;:
: :. ::.. .: :. .:.::. :. . :. ;:;;: , .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:, *
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,..: ..: :ヽ ::::... ..... ,.': :... :. :. . :.::,; +;.,;,:: .,... .. ;:
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／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ー）（ー） 「………本当に、強くなりたいんだな」
. | （__人__）
| ｀ ⌒´ﾉ
. | ｎｌ^l^l
. ヽ | ﾉ
ヽ ヽ く
/ ヽ ＼
魚を捕れるようになるのは明日の予定だった。
それよりも先に到達した、ジュンの成長の早さに驚いていたやらない夫がふと、呟きを漏らすと、
手を止めたジュンはうつむき、考え込む。
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ ,
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ 「……………」
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
119 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:53:09 ID:i8gITY67
二１８５．
しばしあって。
自分の今の正直な気持ち、決意を確認した彼は、まだ見ぬ高みがそこにあるかのように夜空を見上げた。
＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
>:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.| |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_ //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:| 「父さんの名誉の為に、君への感謝の為に………
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.| 避けられない戦いの為に、そして何より自分の為に………
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::. | | 辷り｀ |}_ r-Vｿ:.:∧} 僕は今この時に、強くならなければならないんだ」
／:.:.:.:ヽ::::::::::i::::::::::: ヽ廴_ <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
フ/:.:.:.:.:.＼:::::::::::::::: ￣ヾ=ﾉ <-ﾝ /:| .V
´''- ､:.:.:.:./:::::::::::::::: /=テヾ|
ヾ/:::::::＼::::::.. ー - /
/:::::::::::::::::::::::::... - .／
／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::... ／
／ ∧::::::::::::::: /｀ 'ー - ' ´
ノ | }ヽ:::: /_
￣￣ .| ＼ { ヽ
.| / ｀ ー='´ ＼
120 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:54:08 ID:i8gITY67
二１８６．
┏──────────────────────────────────────────────┓
今こそ、強くなる時なんだ―――
┗──────────────────────────────────────────────┛
｡ ::::: * *
::::;;:::: ｡ o ｡ o ﾟ ﾟ
::::: ｡ ｡ ｡
ﾟ . ﾟ :: . ﾟ :: +
* * ::;;:: ﾟ * ::;;:: ﾟ ; ;
::: ｡ ﾟ ::;;;:: ﾟ ::;;;:: ` : ` :: :::;
* ::;;;: o + :: :::::
:: , ; ; ::::; ::::: ｡ . ﾟ ::
. ｡ o ﾟ . ﾟ :: * ::;;:: ﾟ
｡ . * ::;;:: ﾟ ｡ ﾟ ::;;;::
. ﾟ :: . ｡ ﾟ ::;;;:: * ::;;;:
* ::;;:: ﾟ ; * ::;;;: ; ; ::::;
ﾟ ::;;;:: ` :. ; ; ::::; o ﾟ
o + :: , ; o ﾟ . ｡
ジュンはやがて知るだろう。
運命の分岐点に現れた「強くなる時」の奇跡、その時やらない夫が隣に居た事の意味を。
121 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:55:09 ID:i8gITY67
二１８７．
そしてジュンの予想通り、教える事で自分を見つめ直していたやらない夫が言った。
（⊃￣￣＼
（⊃ _ノ ＼
（⊃ （ ●）（●）
| （__人__） 「俺としても教え甲斐があるだろ。
| ｀ ⌒´ﾉ こんなに真面目で成長力のある弟子だと
| } ＼ こっちも学ばされる事が多いしな」
／ヽ } ＼
／ ヽ､＿＿__ノ ）
／ . | ＿／
| ／￣￣（＿)
＼ ＼ ／| ＪＪＪ （
＼ ／ ／⊂＿）
,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
/.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
「そ、そう？」 |! : : : : : : l l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
ｲ!: : : : :i: : !. !:/ l: : :/ ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
/l: : : :,∧:厶-‐､ ﾚ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
!.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
.l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
.ﾚ'l: :/ ﾘ |:| ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
ﾚ'’ ヾ ＿__ノ.' ヾ: ､＿＿.ノﾉ ´rﾊ !:、:| ヾ
i￣￣ i ￣￣￣ ムｿ:.;ﾊﾉ
､ r彡;〃´
ヽ ヾﾆフ ﾉﾚ'´
＼ ´ ,L. -‐ ､_
ヽ . _ ， , ィ´ ,.､二ミ:ｫ
,.-‐=ﾆj,.ィ'´ ／￣ "¨ヾ＼L、
_r'´ レ" _ﾆ=′ 二ﾆ= ＼
rく ヽ j ,-=ﾆ¨ イ=‐- ､ >"
123 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:56:09 ID:i8gITY67
二１８８．
／￣￣＼
rヽ ／ ノ ＼ ＼
i ! | （●）（●） | 「ああ。
r;r‐r/ |. | （__人__） | しかもジュンは基本がしっかりしている事もあって
〈_L (｀ヽ .} | ｀ ⌒´ ﾉ 半端じゃない成長速度だぞ」
l｀ （ ｀`/ . | }
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ｨ ヽ
やらない夫ですら見誤ったジュンのそれは、
おそらく第三者が見たら魔法や洗脳、催眠や怪しい薬による一時的な無茶な底上げと思われてもおかしくない。
|:.:.:.:.∧:.:| |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
}:.:.:.:.ヾ:.:.:', |:./ .V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
>:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ V:.:.:i{ ゞテ＝ァ ||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
/:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.|| {辷zり .|| ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
「何もかも……… . /:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ // ／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
君のおかげだよ」 /:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::> ゞ' ´ || { ￣￣￣￣ 入 ソ/:.:.:.:._＿／
￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ / ／:.:ヽ￣
ﾚ'´ ヽ | ＿ /-'´／￣
ヽ ￣_ /￣゛゛
＼ _ ィ|
｀ ､ イ ｙ入
ニi ´ ／ ヽ
／/ } / |＼
/ / ﾉ / | ￣ ' - ､
/ V'´￣￣ ../ | ｀ ' - ､
.／/ /::::::::::::::／＿＝=-､＿ | /ヽ
決して自分には才能があると思っていないジュンはその全てがやらない夫のおかげだと頭を下げたが、
彼はそれは違うときっぱり否定した。
124 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:57:08 ID:i8gITY67
二１８９．
／￣￣＼
／ _ノ ＼ 「いいや。
| （ ●）（●） 教える事も学ぶ事も誰にだって出来る。
. | （__人__） 問題は本人のやる気だよ、
| ｀ ⌒´ﾉ ジュンは心の底から強くなりたいと思っている。
. | } 集中力も凄いし吸収力だって相当なもんだ。
. ヽ } すぐにシンジなんか足元にも及ばなくなるさ」
ヽ ノ ｍm
/ ￣￣￣ つﾉ
| |￣￣￣
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
「君は？ / .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
君には追いつけるか？」 / :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
| .ﾄ'' ! .| r―┐ | ,// :. ｌ / ｀ヽ、
目標の到達が可能なものと知り、次の目標が欲しくなったジュンは目の前の達人に
それを定めたくなったのだが―――
126 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:58:09 ID:i8gITY67
二１９０．
眉を動かし、察したやらない夫はははは、と笑った。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ⌒）（⌒) 「いつかは追い越されるかもな。
. | u （__人__) だけど俺に教わってるようじゃまだまだ。
| |r┬|}
| | | |} 取り合えず試験までに教えなきゃならない事は山ほどある、
. ヽ ｀ﾆ} それを全部覚えられたら及第点をやるよ」
ヽ ノ
/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)､
,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
/.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
「そっか。 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
まぁ、そうだよね」 |! : : : : : : l l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
ｲ!: : : : :i: : !. !:/ l: : :/ ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
/l: : : :,∧:厶-‐､ ﾚ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
!.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
.l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
.ﾚ'l: :/ ﾘ |:| ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
ﾚ'’ ヾ ＿__ノ.' ヾ: ､＿＿.ノﾉ ´rﾊ !:、:| ヾ
i￣￣ i ￣￣￣ ムｿ:.;ﾊﾉ
､ r彡;〃´
ヽ ヾﾆフ ﾉﾚ'´
＼ ´ ,L. -‐ ､_
ヽ . _ ， , ィ´ ,.､二ミ:ｫ
,.-‐=ﾆj,.ィ'´ ／￣ "¨ヾ＼L、
_r'´ レ" _ﾆ=′ 二ﾆ= ＼
rく ヽ j ,-=ﾆ¨ イ=‐- ､ >"
今は悔しくなかった。
むしろやらない夫には、絶対追いつけないと思えるほどの高みに居て自分を引っ張り続けて欲しいと思う。
それがどのぐらい贅沢な望みかは分からないが―――
127 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:59:09 ID:i8gITY67
二１９１．
教わっている内はまだまだだよな、と納得して冷めてしまった魚に口を付けたジュンには、
目の前にいる自分と同い年のこの少年が、父親よりも大きな存在に感じられて仕方がなかった。
剣の腕よりも、見聞の広さよりも、その器の大きさとまとう雰囲気、そして黒々として真っ直ぐな眼差しが
自分を惹きつけて止まないのだ。
￣ ､
´ ＼
／ ヽ
/ ､＿ ヽ
' ｀ ､ヽ
l ,‐-,.._ ゞ
. l l 弋心 l
. l 冫.ー く
l l ﾉ!
l ｀ー‐ f ｒ'
l ﾉ'
! /
,' /
￣ ｀ー - /
｀ ､ /
:.:.:.:.:.:... ､ ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. .:.:ヽ _ ´
ー- :.:.:.:.:.:.:.:.. ..:.:.:.:.:.:ヽ
｀ ､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
／l
Λ／ 〈 へ、
ヘ| ,＞
∠ / 〉ヽ ￣＼
/ ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､ ﾄ､l
（男の僕から見ても |／| .ﾊ|__ |/＿__ ヽ ヽ
魅力的だと分かるものな） l/ |‐| |―ヽ＿|
| ￣ c ￣ 6 l
. ヽ (＿＿＿_ ,-′
ヽ ＿＿＿ ／ヽ
／ ＼∨／ l ＾ヽ
| | | |
128 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:00:12 ID:i8gITY67
二１９２．
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li, （いやいや、僕は男色の気なんかないぞ）
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
と自分を確認してぶんぶんと首を振ったジュンは、ふと思ったことがあって尋ねてみることにした。
129 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:00:20 ID:i8gITY67
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
/ .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
/ :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
「やらない夫は……… ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
恋人とか、居ないのかい？」 ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
| .ﾄ'' ! .| r―┐ | ,// :. ｌ / ｀ヽ、
130 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:01:09 ID:i8gITY67
二１９３．
さすがのやらない夫もこれには予想外だったらしく、珍しくうわずった声をあげる。
＿＿
／ノ ヽ＼
／.（○）（○）＼
|. u. （__人__） | 「なな、何だ？
. | | 突然っ」
| |
. ヽ ﾉ
ヽ /
/ ヽ
| |
| . |
,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
/.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
「いや、君みたいな男だったら |! : : : : : : l l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
とてももてるんじゃないかと思ってさ」 ｲ!: : : : :i: : !. !:/ l: : :/ ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
/l: : : :,∧:厶-‐､ ﾚ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
!.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
.l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
.ﾚ'l: :/ ﾘ |:| ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
ﾚ'’ ヾ ＿__ノ.' ヾ: ､＿＿.ノﾉ ´rﾊ !:、:| ヾ
i￣￣ i ￣￣￣ ムｿ:.;ﾊﾉ
､ r彡;〃´
ヽ ヾﾆフ ﾉﾚ'´
＼ ´ ,L. -‐ ､_
ヽ . _ ， , ィ´ ,.､二ミ:ｫ
,.-‐=ﾆj,.ィ'´ ／￣ "¨ヾ＼L、
_r'´ レ" _ﾆ=′ 二ﾆ= ＼
rく ヽ j ,-=ﾆ¨ イ=‐- ､ >"
雛苺の態度の変化を思い返しながら言うと、目を白黒させたやらない夫はないない、と首を振った。
131 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:02:08 ID:i8gITY67
二１９４．
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ⌒）（⌒)
. | u （__人__) 「考えてもみろ、
| |r┬|} 俺は旅をしていたんだぞ？
| | | |} そんな余裕あるかっての」
. ヽ ｀ﾆ}
ヽ ノ
/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)､
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
「じゃあ、これからは？」 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV
l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
133 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:03:08 ID:i8gITY67
二１９５．
／´￣￣ ￣￣｀＼.
／: : : : ＼
/: : : : : '.,
|: : : : :|
| : :u : : : : : ., :| 「さぁな。
|:: : : :＿ ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_ :| 今までそんな事考えもしなかっただろ。
|::::;;;（ ●） ﾉヽ （ ● ） ;;:::|
|: : : ´"''", "''"´ :l そういうお前はどうなんだ？」
',: : . . （ j ） ./
＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′ /ハｰ､＿_
／: : r':| r'￣二ﾕ ./ : ',: :: :: :＼＿_
: : : : | .| | / ) ｀) ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
: : : : |.ﾉ. ﾉ / ⌒ヽ＿ ／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
: :: :: :＼ ヽ- ´ .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
: :: :: : l: ｀ー┬-､ ト､. /: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
: : ┐|: :: :: :: :＼） ７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
: : イ .|__/ ,へ/⌒＼ ./iiii〈 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
イノ : : / /: :: :＼＿ ￣＼ii｝ |: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|
俺ばかりに喋らせるなよ、とやらない夫が反撃に出ると
興味津々の表情から無表情になったジュンは、わかりきった事を聞かないでよと早口に答える。
／l
Λ／ 〈 へ、
ヘ| ,＞
∠ / 〉ヽ ￣＼
「僕？からっきしですよ？ / ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､ ﾄ､l
貴族学級に行かないで家庭教師を |／| .ﾊ|__ |/＿__ ヽ ヽ
付けてもらってたし縁がないよ」 l/ |‐| |―ヽ＿|
| ￣ c ￣ 6 l
. ヽ (＿＿＿_ ,-′
ヽ ＿＿＿ ／ヽ
／ ＼∨／ l ＾ヽ
| | | |
134 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:04:08 ID:i8gITY67
二１９６．
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ⌒）（⌒)
. | u （__人__) 「縁、か。
| |r┬|} 俺も無いなぁ」
| | | |}
. ヽ ｀ﾆ}
ヽ ノ
/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)､
冒険者の世界なんて無骨な男ばっかりだと勝手に想像していたジュンは
無理もないねと納得してから渋い声でぼそっと漏らした。
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､. ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./ 1/ .i l＼:| ＼| |: : |＼;!
「お互い、哀しいね」 : : ,､: :{ |-‐‐-| .|:ヽｉ
: :{ ヽ' ! | ﾊ:_}
ﾊヽ ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ ヽ＿＿＿＿___ﾉ }
ハ: :｀-', ! | | ! ! ' ! |' | | 川/ ノ
〉: :.:∧ 〃'ー──-----､ ,ｲ"´
￣ ＼ ヽ＿＿＿＿＿_丿 ／
＞､ ,イ´
,────､＿_｀ ,‐──┬'"´ ＿＿
/ | ! |￣l￣ ｀ヽ
. | ｰ──' ﾘ }
135 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:05:12 ID:i8gITY67
二１９７．
＿＿＿__
／ ＼
i ヽ
.,-' ,‐ｉ" _ノ ヽ､_ i
./ //´l （ー） （ー） i
.l '-;;;;l （__人___） i 「ああ………」
l │;;;;｜,,'｀⌒ ´ i
l ＼⊥ ,i
/ / ｉヽ, /
.,､ ｉ .' ／,‐'.l＼ ／l )),
.l ＼ .ｉ､ ム ｀‐､_｀￣￣´-‐'´ .ヽ
.l ｀‐-'ｉ _.-ヽ .,-､ｉ ｉ,‐､ . / .｀‐､_
.l .ｉ l l l l l / ｀‐､_
.l .l .l/ ヽ ,' .l/ , , ｀‐､_
/l .l /‐-l . .,.' .,' ,-‐｀ｉ
ちなみに二人は自覚していないだけで、これまで出会いや切っ掛けが無かった訳ではない。
単に、妹の邪魔や本人の鈍感が悪い方向に働いていただけだ。
その証拠に、もしこの会話を聞いていたら憤慨する女性が、現時点で世界に数人はいる。
137 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:06:08 ID:i8gITY67
二１９８．
二人は顔を見合わせて寂しく笑い合ったのだが、
嫌な雰囲気を変えようと串を焚き火に投げ込んだやらない夫が言った。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ー）（ー） 「明日は仮想シンジ戦をみっちりやるぞ。
. | （__人__） 今日はもう寝よう」
| ｀ ⌒´ﾉ
. | ｎｌ^l^l
. ヽ | ﾉ
ヽ ヽ く
/ ヽ ＼
|:.:.:.:.∧:.:| |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
}:.:.:.:.ヾ:.:.:', |:./ .V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
>:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ V:.:.:i{ ゞテ＝ァ ||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
「ああ、わかった。 /:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.|| {辷zり .|| ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
おやすみ」 . /:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ // ／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
/:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::> ゞ' ´ || { ￣￣￣￣ 入 ソ/:.:.:.:._＿／
￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ / ／:.:ヽ￣
ﾚ'´ ヽ | ＿ /-'´／￣
ヽ ￣_ /￣゛゛
＼ _ ィ|
｀ ､ イ ｙ入
ニi ´ ／ ヽ
／/ } / |＼
/ / ﾉ / | ￣ ' - ､
/ V'´￣￣ ../ | ｀ ' - ､
.／/ /::::::::::::::／＿＝=-､＿ | /ヽ
同じように串を焚き火に投げ込んだジュンが身体をほぐしてから毛布にくるまると、
満腹と疲労に両手を引かれて強烈な眠気が襲いかかってくる。
138 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:07:08 ID:i8gITY67
二１９９．
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV （へへ。
l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l 貴族学級の合同旅行なんて行かなかったけど、
l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:. こんな感じだったのかな）
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
つい半年前それに参加した妹の話では、夜は夜で好きな人だの好みのタイプだの、
浮ついた話で大層盛り上がったらしい。
食事の後片付けをしているやらない夫の背中を見つめながら、そんな事をぼんやりと考えたジュンは
とても幸せな気持ちで眠りへと落ちていった。
─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
第二章 強くなる時 ┃
┃ END
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
139 名前： ◆GV1zPRS/Lk [sage] 投稿日： 10/08/14 22:07:43 ID:i8gITY67
本日の投下は以上になります。
閲覧、合いの手ありがとうございました！
次回からは第三章に入ります。
第三章 避けられなかった戦いは その１へ
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二１４４．
次にやらない夫は焚き火に薪をくべて火力を上げたあと、
川縁から綺麗な岩を選んできてそのすぐ隣にどさり、と置いた。
_....nx､
_,,..v+'勺)''' ! `ｰ..、
....r‐'''" _..r''´ ! ﾞ'ヽ､
_..r‐'´ ..r‐''´ │ ﾞｰ ､
_/'''`ｰ..､ _ノ´ !_ ﾞ'ゝ､
丿 ｀'ｰx＿......----―‐"ヾ_ ヾlｒ
丿 ! ﾍ､ ヾ､
!’ 丿 ヾ、 ヾ､
＿,,＿∠_ l’ ヾ ヾ、
￣￣￣ﾞ''''''''''――――――――‐'''''''''''''l冖''￣￣￣￣ﾞﾞ￣
／l
Λ／ 〈 へ、
ヘ| ,＞
∠ / 〉ヽ ￣＼
「何するんだい？」 / ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､ ﾄ､l
|／| .ﾊ|__ |/＿__ ヽ ヽ
l/ |‐| |―ヽ＿|
| ￣ c ￣ 6 l
. ヽ (＿＿＿_ ,-′
ヽ ＿＿＿ ／ヽ
／ ＼∨／ l ＾ヽ
| | | |
61 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:04:08 ID:i8gITY67
二１４５．
／￣￣＼
／ _⌒ ＼
| （●）（●） 「この上で肉を焼くのさ。
. | ⌒（__人__） パンと野菜も買ってきたから焼いて食べよう」
| |r┬| .}
. | ｰ―' }
. ヽ }
ヽ ノ
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、 「なんだ、結局色々買ってきたんだね」
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
62 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:05:09 ID:i8gITY67
二１４６．
てっきり今日も魚と野菜の食事と思っていたジュンは脅かすなよと文句っぽく言ったのだが、
腕を組んだやらない夫はまぁな、とその理由を口にする。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●
| （__人__） 「今のジュンの運動量や疲労度、全身が鍛えられている機会に
. | ﾉ 炭水化物や肉、野菜が不足するのはもったいないだろ」
| ∩ ノ ⊃
／ .／ ＿ノ
(. ＼ ／ .／_ノ │
＼ “ ／_＿_| |
. ＼／ ＿＿＿ /
でも魚は捕ってもらうぞ、と言う彼に頷いたジュンはしかし、食べ物と修行に何の関連性があるのか
さっぱり分からない。
::::::::::::::::::::::::::ﾊ::::::::::::::/i/／ i:::::::::::::::::::::::::|::::::|:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::＼
::::::::::::::::::::::::::::ﾊ;;;;;;;;;/-'´ .|::::::::::::::::::::::::ﾄ::::: ﾄ::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ￣ |::::::ﾊ::::::::::::::| ＼i ＼::::::::::::|:::::::::::::::::::::ﾊ （やらない夫の修行は何から何まで
::::::::::::::::::::::::::::;:::ﾊ |:::/ V::::::::::ﾘ ｨ=ﾊ:::: |::::::::::::::::::::::::＼ きちんと根拠があるんだな。
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ﾍ |:/ V::::::/ /ｲ＝ﾌi｝ヾ─────'｀
ヽ:::::::::::::::::::::::::| ＼ヽ |i! ｝::/ r''´ゞハi l:ヽ ただ闇雲に剣の型を繰り返していたって
::::＼::::::::::::::::::::| ＼ ＿＿ニ三ｲ ||r j｝i| .i lヾ｝ そりゃぁ強くなれないわけだよ）
::::::::::＼::::::::::::: | ／::::＿,,,ィ彡=''´i/il_,=＝|.しｿﾊ ﾉﾉ-､
:::::::::::/ ＼::::::::::ヾ ／:- ''´＞''´ -=ｲ｀ ||r'´｀ ﾊ彡 ｙ/: : : :＼ニニミ-､
::::::::/ ｀ー- xゝ rィ彡''´イッ:::ﾘ /i ミー=´i: : : : : : :｀:-:､: : :｝ｿヽ
:::::/::ﾊ＿＿＿＿＿/ / / ﾋ:::..ソﾉ ｛.ﾘ ｝. l-､: : : : : : : : i: ://: :ﾊ
￣ヽ──────､ﾊ ヾ ゞ''´ ノﾉ ./ ./: :ﾉ: : : : : : : : l: i l: : : ﾊ
i ヽ ｀ -ゝ ヽヽ ミ=''´ ／／ /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ､
｛ ﾊ ＼＼＿_／／ , ィ /: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : ＼
｀ 廴 し ー─''´ ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>､＿ ー /: : :/: : : : : : : : ::／: : : : : : : : : : :/
: : : : : ＞-､＿ハ､ ハ／: : : : : : : :／: : : : : : : : : : : :/ハ
63 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:06:09 ID:i8gITY67
二１４７．
／￣￣＼
／ ノ ヽ ＼
| （ ●） （●）|
| （__人__） | 「さて、焼き始めるぞ」
| ｀ ⌒´ |
| }
ヽ }
ヽ ノ
／ ＼
| |
| | | |
（ ￣ヽ /￣)
＿＿＿＿ (((_|￣＼ ,,―)))‐‐、＿＿
＼ ＼￣￣￣＼ | | ＼ ＼ ＼
＼ ＼ ＼| ＼|￣￣￣|＼ ＼
＼ ＼ ￣￣￣ ＼ ＼
＼ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ＼
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
例の魔法の道具入れから色々取り出した彼は、まず大きな骨付き肉をそのまま岩の上にのせると
次に手際よく野菜やパンを切り分け、焼けた部分に並べた。
すでに熱くなり始めていた岩のせいで、辺りに肉汁の焦げる匂いが立ちこめるにそう時間はかからない。
買ってきたばかりの食器を三人分取り出してそのうちの一つを、
興味深そうに石焼きを観察している雛苺に差し出すが。
／￣￣＼
／ ⌒ ⌒＼
| （●） （●） | 「雛苺ちゃんも一緒に食べよう。
. | （__人__） | お腹、空いてるだろ？」
| |r┬-| |
. | `ー'´ }
. ヽ }
_ ゝ ノ
／ ｀ヽ
／ / ＼
64 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:07:12 ID:i8gITY67
二１４８．
朝食を取ったきりのはずの雛苺は、差し出された食器と転がるジュンとを見比べていらないのーと断った。
___,.. --───-､ ,.-───-- ..__
ヽ ＼(こ)／ /
ヽ ＼_ _／ /
| _,. -─ ｧ' ￣ヽー-- ..._ !
／|_,. -‐ '´ ／-──- ＼ ｀ ､|
／ ヽ. ／ ＼ ／＼
＼ ＼ ,.イ ／ ヾ､.／ ___ヽ
/ __,rｯ'´ / / i i ﾞヾ |
厶r'ﾞ7 / i l l ﾄ､ |
／ !/ / ! l ! l `＼ （そんな不潔で野蛮な食事、
／ |! ｌ | i| l j | l ! ＼ 冗談じゃないのー。
／ l ト l､∧ |ヽ { } } ヽ, 斗-┼j ＼
/__ ___ | lヾ ＞k{_ ＼ ﾉ_ﾙ＜ハj / / ヽ お兄様も地面に転がるなんてはしたないのー。
{-─ ‐- =- ､.__∨ ‐〒示心ｰ＼／戈云ﾃテ‐ﾚ' i 着替えはあるの？お風呂はどうするの？）
＼_,.=ﾆｰ- ､.._く ', ゞー'´ ゞー'' / シｒ=_,ニ二二ﾆ j
r─二ニｰ-干ｰ∨／/／ ／/／ / ＿ ／
ヽ=ヘ三ニ-＼ﾍ ＿__ ∠ｰニ-=ニZ_ ￣｀
` ー-ｭ-个 ,、 rｰ'´＿＿う ,.へァ'了--= _ ｀ヽ
／ ＞ ー-- ‐ｧ＜ｒ'´￣￣＼こ>‐ー '"
ヽ. ＼__ __,／ ＼
,. ィ⌒ヽr=､_ _,. -─-ﾕ.fﾆ─-､. /_,ノ
{ ／／￣｀７トlく⌒ヽ､.＼ ／/ ｀ヽ、
ヽ､_ﾊ l // ／ / / !ﾊ ＼＼ _ノ
／ Nヽ / /| i| ! 〉 }_,L_,. く
／ |ヽ.＼／,.ｲ | | ﾄ､＼ ／,.イ ＼
/ j `ｰ-' / | | | ＼ ／ | ヽ
65 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:07:15 ID:i8gITY67
折角歩み寄れそうだったのになと少し残念に思うも、今は無理強いしない。
一つを道具入れに戻し、もう一つをジュンに差し出して早めの昼食の開始となった。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ー）（ー） 「そっか。
. | （__人__）
| ｀ ⌒´ﾉ そろそろ良い具合だな。
. | ｎｌ^l^l ジュン、食べようぜ」
. ヽ | ﾉ
ヽ ヽ く
/ ヽ ＼
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV
「朝食べてなかったから l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
腹ぺこだったんだ！」 l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
待ち構えていたジュンは、がばっと身体を起こすと自分の椅子代わりの岩に腰掛けて食器を受け取り、
何から食べようかと視線を巡らせる。
66 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:08:08 ID:i8gITY67
二１４９．
,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
「わぁすっごい肉！ ／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
これ全部食べていいの？」 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
/.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
|! : : : : : : l l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
ｲ!: : : : :i: : !. !:/ l: : :/ ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
/l: : : :,∧:厶-‐､ ﾚ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
!.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
.l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
.ﾚ'l: :/ ﾘ |:| ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
,. -────----‐‐'"´￣｀`ヽ、 ﾚ'’ ヾ ＿__ノ.' ヾ: ､＿＿.ノﾉ ´rﾊ !:、:| ヾ
／;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::.. . . .::::;:;:;:;:;::;:;l i￣￣ i ￣￣￣ ムｿ:.;ﾊﾉ
/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::::::::.:. . . . : : :::::;:;:;:;:;:;l‐'⌒ヽ ､ r彡;〃´
__,r‐l⌒l |;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::::.:. : : : : : .:.::::::;:;:;:;:;:;|;:..._丿 ヽ ヾﾆフ ﾉﾚ'´
,r‐､_l⌒l | ﾄ-ｲ＾Y|:;:;:;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::.:. .:.:::::::;:;:;:;:;:;:;;| ＼ ´ ,L. -‐ ､_
{ ヽ_j､_,ト ' ;:ﾉ ├|:;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;j ヽ . _ ， , ィ´ ,.､二ミ:ｫ
ー-''ﾍ＾´ ￣/ ﾉ l,;..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;;;:::___＿＿＿;;;:-‐' ,.-‐=ﾆj,.ィ'´ ／￣ "¨ヾ＼L、
（ ,ｲ ヽ:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_,. -‐'" _r'´ レ" _ﾆ=′ 二ﾆ= ＼
| | rく ヽ j ,-=ﾆ¨ イ=‐- ､ >"
順応が早いのか、野営の食事も気にならないほど空腹なのか。
巨大な骨付き肉に興味を示したジュンは、表面は焼けているそれを手にとってかなり興奮した様子だ。
67 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:09:08 ID:i8gITY67
二１５０．
（⊃￣￣＼
（⊃ _ノ ＼
（⊃ （ ●）（●） 「好きなだけ食べて構わないぞ。
| （__人__） かぶりつくんじゃなくて、そこのナイフで表面をそぎ落として
| ｀ ⌒´ﾉ 塩と胡椒で自分で味付けするといい。
| } ＼
／ヽ } ＼ 中はまだ火が通っていないから、
／ ヽ､＿＿__ノ ） また表面を焼くんだ」
／ . | ＿／
| ／￣￣（＿)
＼ ＼ ／| ＪＪＪ （
＼ ／ ／⊂＿）
慌てるなよ、とやらない夫が食べ方を教えると、慣れないながらもそぎ落としたジュンは味付けもせずにまず一口。
〃::::::::/::::ヾ:::i::::ヽ:::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::＼
／:::::::::/:::::::::i:::｀:::::::}::: ﾄ:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::::::ｨ/:/:::::::: L:＿ ∧:ﾊ::::::::::|ヾ:: l>､::ﾐ､:::::::::::::::V:＿:::::::::::::::::::::::::i
. /:::／ /::/::::::::::::ﾊ il i::::::: l 刈 ≧ﾐ> ､::::::::< ヽ::::::::::::i＼ |
../／ ./:::::i::::::::::::ﾄ:ﾊ l::::://_ ィ=彳司 ||＝=￣｀{ i }:::::|＼ゝ. ｀
「こりゃ美味しいよ！ i ::::::ﾊ:::::::::::|＼ゝ＿__ |:/ r/ ´ ｲt jﾊ || ﾉ //::::::i
家でもお願いしたら食べられるかな？」 l:::::::::::ヾ:::::::|::::::ヾ´ ≧ミ､ィ'''ヾ ゞ┴ﾉﾉ ｀./:::ノ｀
|::::::／i::＼:::V::::彳 ｨ芯､}} ｀ミ＝＝'' r'´:/
|:::/ |::::::>:K ヾ､ _ゞノ , |／
|/ ヽ/ ヾ ｀ーt ｀ _ ノ ﾌ / | ＿＿＿＿
｀ ヽ ｀ー´ ／￣ _ ヽ
｀ ､ ノ / ／ ￣￣ ヽ＿
＞-イ | 〃 .／
/￣il /／ ／-= ' ´ ＿
／ V/ ヽ=.// ／￣￣￣＞＝- ､
68 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:10:11 ID:i8gITY67
二１５１．
もう二きれをそぎ落とし、今度は塩と胡椒を振りかけてやらない夫に肉を渡すと、
眉を動かしてどうだろう、と答えた彼は手慣れた様子で焼けている部分を切り落とした。
／￣￣＼
／ _ノ .ヽ、＼
| （●）（●） | 「んー、シュラスコ食べたいって言えば
. | （__人__） .| 近いものは出てくると思う。
| . '´ｎ｀' .ﾉ
.ヽ . | | } ほんとは鉄串に刺して回しながら
ヽ.. ﾉ .ュノ 焼いて削いで食べるを繰り返すんだ」
/ { ..ﾆj､
|. | "ﾂ ＼
|. | .l |ヽ、二⌒)
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
/ .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
/ :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
「うーん、家だと大がかりか。 ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
………暖炉でやったら怒られるかなあ」 ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
| .ﾄ'' ! .| r―┐ | ,// :. ｌ / ｀ヽ、
l l､__ ﾚ' | | i/o’ :.:. ! | ヽ、
69 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:11:08 ID:i8gITY67
二１５２．
そもそも料理なんてやった事無いジュンであるが、下ごしらえさえ知っておけば
肉を串に刺して焼くぐらいなら出来るだろう。
もともと器用な方らしいので、案外本気で覚えたら一通りの事はこなせるようになるかも知れない。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●） 「ノリさんに相談すればいいんじゃないか？
. | （__人__） 面白がって乗ってくれる気がする」
| ｀ ⌒´ﾉ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
.> <
| |
| |
まずは一人でやるのは危ないからやめとけと、この間の夕食を思い出して言うと
ジュンはしばし考えて違いない、と笑った。
それからは加速した食欲が手と口をただ動かし、あれだけあった食事も二人は残さず平らげてしまった。
70 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:12:09 ID:i8gITY67
二１５３．
満腹の腹をさする二人。
そんな二人を見ないようにして空きっ腹を抱えていた雛苺は、やっと拷問のような時間が終わったの、
と肩の力を抜いたのだが。
／￣￣＼
rヽ ／ ノ ＼ ＼
i ! | （●）（●） | 「よーし食べ終わったら休憩………
r;r‐r/ |. | （__人__） | の前に、良いものがあったんだ」
〈_L (｀ヽ .} | ｀ ⌒´ ﾉ
l｀ （ ｀`/ . | }
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ｨ ヽ
＿＿＿＿＿＿
`=､;;;;;,,,,,,,:::,,,,,;;;;;,,,,`""''';;;;,, ､__
,.-'ﾞ''''',='";;;;;;;;",-,,;;;;;;ﾞ;;;;;;;;;l;;;;`,､
／ `ｰ-...,;;;;;;;;;;;;,-‐/;;;;;;';;;;;;;;;;;;
./ `''''''""i;;;;;;;;ヽ
l |;;;;}
| ﾉ;;;;}
ヽ、 _,／;;;'゛
`ヽ､_ _,,.,;‐';;;;゛゛
"'''=ｰ;‐---‐‐'';';"-''"゛
不意打ちで現れた東方菓子の数々に、思わず喉が鳴った。
／￣￣￣＼
元元込 ＼,／ ￣￣￣
. ＿ `ﾏ ∠ _,,.
. ＿_ ∠＞ '´ ｀＜厂｀/マ元元'´ r⌒ヽ
. ＞x／ ／ ＼__/＾ヽヽ / ﾉ
. ／／/ , ' ／ ｀ー _,. 勿、 / ／
〃 ,′ / , ' 込 ´ 勿、 , ｧ"~
{{ ｉ ,' / ｝ 込 ,勿、 （＿ﾗ
. Ⅵｉ ! ′ ﾉ 込／´￣ ＼
八 i !{ { / ｲ } ヽ、 ＼
. ヽ从j ﾐ从 ｲ／メ、 ﾉ ｀ ＼
r匕Y´ﾊ ヽイ ィ=ﾐ、ﾞﾒ、 ／ 丶 く
ﾉ=ﾐ､｝ﾋﾘ rしY ﾉﾘイ ｀ ｰ =＝ミ}
（=ﾐ刈""、 ､_うﾉ彡く ｝ - =＝≡ニ二三三ﾐﾉ
｀)_人 '''''' (辷_彡'__ . - =＝≡彡ﾉﾘ
ｺﾞｸﾘｯ _彡介ｎ｀ . イ=彡く ＿彡'
/ ｀ﾆフ〕ｱ爪 )' （ミ辷= ＿_彡'´￣´
. {__'ｱ´￣￣￣｀`ー‐(ﾐ辷＝_彡' ＼
「／ j厂￣´ ＼
／ ! ）
.. ,( i 〈
ヽ＼ } i ﾉ
. ＼ ヽ ｌ /／／ 丿 イ
〉､ , < ﾉ イ |
/ ＼ |
｛ 丿
＼ ／
71 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:13:09 ID:i8gITY67
二１５４．
もとから肉はあまり好きでは無かった為に石焼きは我慢できたが、お腹がぺこぺこの今、
大好物の東方菓子が目の前にあっては視線がそらせない。
無意識のうちに開いた口から小さく声が漏れ、その端から涎が垂れそうになってしまう。
ｲィ-' / / / l ヽ ヽ ヽjヽ
l j ,ｲ| || ヽ! | |＼
! l ﾊ| {l.ノ ヽﾘ| ﾉl| l !ヽ
ﾄ､ {弋ﾄ_ｴj≦ﾄヽ /ﾉ ﾉ7ﾅ十‐ｲ' // (あ………
＼ヽ､ヽ 7,＜:ヽヽ ｀´ /,＜:ヽjく ﾉ_ ｲ'′ あ～～～………）
＿ ソ T l::T:}.:| {::T:}.:} ﾉ'7ヽ/ _ -
- {二ヽl､ ゞ--' 、 ｰ‐'- /‐_ 二{ ＿
二}ニｰ<〈 ''''' / ー ﾍ ''''' /r‐_'_-j‐--'
./＞＞｀ノヽ、 { } , く'-ｧ＞r_ｰﾆ=
￣ ,.＞‐υ_ｰ_´＜､ ￣ ｀}￣
、 ､ //ィ ￣/ Hヽ￣ヽ＼ ,
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV
「あ、カシワモチ。 l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
東方菓子屋行ったのか」 l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
そんな妹の苦しみも知らず、ちょうど口の中が脂っこかったんだと一つ手に取ったジュンは
ぱくりとかぶりついて美味い、と言った。
73 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:14:08 ID:i8gITY67
二１５５．
やらない夫は自分が食べるよりもまず、微動だにせず唸っている雛苺の視線を追って、
それを皿に取り分けてそっと差し出した。
￣￣ ､
´ ＼
. / ＼
/ ヽ
ｉ 丶
l ／ ￣ 丶 「雛苺ちゃんも一つどう？」
| _＿ _ ヽ 丶
ヽ/ ｉ ｲ::::ヽ l 丶
ヽ _ ヽ ゝ_ゞ::ノ ' ',
丶ｉ ｲ:::ヽ l ｀ヽ ヽ
ゝ ゞ ', ヽ _ 丿 ＼‐､-..､
ヽ ゝ ﾉ , ‐ ´ ソ:.:.:.:＼
ヽ ´ ' /:.:.:.:.:.:／＼
＼ / ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.ヽ､
＼ / ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
ヽ ／ /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
ヽ _＿ ィ /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
, .. --- .._
／::';';';';';';';';';';':ﾞヽ
/: .:;';';';';';';';';';';';';';'; :ヽ
l: : ::';';';';';'苺';';';';';':.: : }
_....--‐―''''ﾞ,: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : . :!''---...._
_..r‐"´＿--‐'''""´ヽ: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:. .: ノ ﾞ''‐ｰ-..__ ｀''ｰ.._、
! ヾ､ ｀ﾞｰ - -- ─ '´ l’ !'
ﾞ''ゝ_ ﾞﾞ''ｰ--......＿_＿ ＿__＿....--‐''''´ _..r''’
"''‐ｰ--....,,___ ￣￣￣ __,,......--‐‐''"
￣￣ﾞﾞ''''''''''''￣￣￣´
74 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:15:09 ID:i8gITY67
二１５６．
目の前に、何よりも大好物な苺大福が迫る。
一秒の半分にも満たない時間で受け取ろうと手を伸ばしかけた雛苺はしかし、
自分が醜態を晒している事に気がつくと、驚くべき精神力で断った。
＼ う に ゅ ー な の ー ！ ！ ／
/.:.:.:.:::::::::::::::::::::＼_／::::::::::::::::::::.:.:.ヽ
〉.:.:.:.:, イ￣＼.:.::::::::.:.:／￣＼.:.:.:.:.〈
丁イ /,ィ´￣`ー一'´￣｀ヽ"＼厂
／/ / /"´ ! ! ! ! ＼＼
/| / / / | ! | ! ! ! ヽ!
|/// / | l| j! ! !: | ｀ﾄ､
. ,ｲ// l i」, -‐ﾄ､ /Nｰ- /､ |:.l| | ＼
. _／￣ | |/ゝ'､ ,ｲ/ ＼| ｀"´ |／｀`l/:/ / /￣｀ ＼
, ﾍ._ ﾄ､. |/l/ﾊ ゝ‐'｀,r=＝' . '＝=ｭ l/イ_/_ ＿ __ ,.ィ^Y⌒)
〈 , ィ7:7ゝ､, -‐_丿::L , , , , r──┐ , , , , /::::::.::7::.:_／::::ヽ Yソ
. 〉7/:/ ＼_〔三二ﾆヽ |.:.:.:.:.:.:.:| !二三〕'´ ｀ヾ::| !}
{j |::| ＼〔二ﾆ〕 ヽ.:.:.:.:ノ ,ｲﾆ二〕 |::| |}
{j |::| ｀Z7二ﾆヽ､＿,r ﾆﾆ二7Z弐7. !::! !}
,{j |::| |厂￣＼只／￣￣了 |::| !}
fj」::| || ,ｲXﾄ､ || |::| 」}
￣｀ｰ- ､ ＼_／/ ⌒ヽ＼_ ／ , -‐'´￣
￣ ＼. |.:| |:.| ／ ￣
〉 |::| |::| 〈 ）
（ ）
丶～'⌒'〇'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒～'⌒''
Ｏ
o
ﾟ
／ ＼ヽ
／ く ＿＿＿_
_／ ＿ ヽ , ´
{ ヽ /二ﾌ´
Lュニニニニゝ 〈＿/＝-
＜ ＿_ ´ ﾆ L ＼ _
／ ／ ／ ヽ ヽ. ＼ ヽ. ／
∠ イ／ ／ ', ',ヽ ー―‐く{
/ / | | ヽ ヽ ヽ.＿＿_ﾉ
N |! | // } | ＼＼
ヽ l l| ィ::7! / |､ r ､ |ヽ ヽ 「い、いらない、のー………」
／ 代1_ ノ:::::r-/ ﾉ/ / / .∨ヽヽj ＼
く ／./ ｰ .:::::::: 弋ソV ｲ / ＼
く/ミﾐ ヽ ' ー彡 ｊ/| ヽ
ゝ-ﾐ ＼` = ゝ- 彡ﾘ イヽ
＼ ＞― ァ ﾁﾆ彡 , ＜ ル
, --く{二 ス ヽ 斗ﾍ、＿ 彡
／ ／ /､,ヽ＼}} / ／ ＼
／ . く＿/ l! VV/ / ＼
／ // / /〉, ! ヽ
く /// ./ // l! l /
＼ /// .〈/ l | /
〈ヽ / V | `ーr- へ、
ヽ / / | { ヽ
75 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:16:09 ID:i8gITY67
二１５７．
普段はいくつかの種類が三つずつあったら、ノリやジュンと交換してでも苺大福を独り占めしようとする雛苺が
血の涙を流さんばかりの苦痛を耐えて断っている事を知っている兄。
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼| 「苺大福は大好物だろう？
l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV 遠慮せずもらいなよ」
l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
,,.._
／＼｀'ｰ-‐=ｙ
_ __ / `j ）
Y´_｀'ｰ'" ヽ__/／ ∠´ ｝ : : /
.｛ .ト､_,,=宀ト iヽ=v＝ﾉ 〈
＞､<~てjｰ し'へとケヽ==-.ζY
＿＿_,. '´,ゝ ﾞT , ', , ヽ ｀丶, .{
.＼ / .,' i i! i」__ ', ｝ ,ヘ､,}ヽ
`ゝ.,',' /_|_,,].ｪ、 'i ヽ｢Τ ﾉ_,.kK" ヽ、 ｀>‐-、
/_i i .T「',ヽ､| ＼ ｪ示抃ゝ¨ 》 ヾ､､ ＼、ﾞヘλ_
「い、いいのよー。 | !, .|丶汽》! ｀' ｋ州ｊﾞii ル !ヾ､,_ ヾ,ｰ _ ,）
ヒナはいらないのー」 ',.|ヽ.!ヾ!狄j ゞ=″j）ミ｀'x 二ﾆ=‐-､ヽﾐ､k
.N_ >ゝ|｀¨ 、 !ミｰﾍ ﾍ彡 ﾆ.‐ ﾆ ｀}ミ,),〕
）ミ- .! ∈つ 乍ﾐ≧「j´,", ｷ ミ ｝ミｿ
｀>-‐ ﾞゝ､,_ _,,.. ソ≡ゞ!､i' y彡 ミ jτ
.ヽ,彡_儿ミ＞≦┐_ _ ＿いミﾉヘ((_＠、）
ζ( ξ/´￣｀＼, ￣ｊ､_ ノ
､=-一へi ヽ:.:.. - ´ Y
Ｌニ／丿 ::.. . |
_,,.．≦ﾆ＞イ" < .:. :.:: ﾉ ,' !,
<'" ,ィ´ _ ﾞ',ｲ へ ::.. .::. .:: :::i" ./ ）
!／ ヽﾞ7' ./´ :: ':' ﾞ> ./ .::./
口を開く度に意志が揺らぎそうになる妹はもう、涙目になりながら力なく首を振っている。
76 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:17:08 ID:i8gITY67
二１５８．
そんな二人のやり取りに微笑んでいたやらない夫は、震えている雛苺の手をそっと握りしめた。
_____ _ -‐ . : . : . : . : . : . :
＼ ー‐‐--､_____ , ---―- ､ _ .. -‐ . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : ＼ ／⌒ー‐-､_____ _____ _ -‐ｯ' `ー--､} : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : ヽ ,' （￣￣￣ ￣ 「 ,.-､ ', . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : ヽ ヽ、 丶 } / ＼ ､ . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : : : ' , | ) ｊﾉ ノ ｀丶、 ヽ . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : : : : ', 丿 / `ﾞ´ ヽ } . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : : : : : i （ ', _______ ヽ ｜ . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : : : : : | ） ', ) ヽ, -‐-､,ｒ"ヽ 丶 .ィ´:､ . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: : : : : : : : : .| / ) / 〈 ⌒／ ゝ /⌒ヽ ヽ ∨ ､: ､ . : . : . : . :_ .. -‐ ￣
: : : : : : : : : | （ / ) `´{ ／ ∠、 ＼ ＼__ﾉ ＼}_ .. -‐ "
: : : : : : : : : ! ', ( / ｀¨´､ ／- 丿丶、 ＞‐'
: : : : : : : : ,' ', ', ノ ｀ﾞ'､__／`－-'￣
: : : : : : : : ', ', （
77 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:18:09 ID:i8gITY67
二１５９．
突然の不意打ちに、真っ赤になった雛苺は顔を背けて振りほどこうとするが―――
fzfzィ彡､-‐ｧ´ ヾﾂｆz
ｆｚｲ¨" .:.:{ .:.ixz､..__ .:.:.: Yゞfzfzx
fzﾂ ,ｨf厂丁`ヾfzゞfzx:､ .:.:.:.:|:. ｀ヾﾐz
Y xfﾂｲ' ﾊ ヾ:､ ヽゝ八fz小、 .:.:.:.:.|' _＿__
. | xfﾂ"く ﾑ┤ ﾄｽノ´ fz圦 .:.:.:.:.| 「ヾ、
,ｨ! ｲfxﾚ1辷i し’ 、 :､ ﾞfzX .:.:.:人_.:|＼ `
fxzﾚ"|! ,f才ﾝ ヾ i! i| ﾊ ヾ:、 八fz}_／ ヾﾘ ヽ
,ｨxfイ.: .:| rf;{" i ﾊ i! |i ﾊ ヽ:、 ｲ j;｝i ／' ) ﾉ 「ふ、ふえっ！？
{f∠ィ' ¨ヾ:ｲｧ' l i! il i| i|! }!ヽ )} i! {i从 ′ ／ } ふええええええ～～～！」
/,ｲ{ i{ i| !i i! l!i ハヽ_j斗! ｊヾ ヽィ ,ｲ{
. //i {! i| i il i| |j､l iｧﾅ乃工ﾉﾘ ｲ )} /' イ i,ｨ
〈' {i八 い:､ヽ i!_,.!i; ﾘﾊﾘjｲ;乍夾ﾊ〉ﾘ ｲ〃 ／ ／/
／ﾒ{ ヽ ヽミ;匕ヾハiﾉ ﾘ ｿ ヾﾆ''’厶┴ュ/ ／ ーｧ
,:／ 大ｰ:､ ヾ ヾミ;ｲ示ﾐj "" ら≡≠）/ムく二_
;厶-―‐-､｀ヾ. _ﾘ"ヽ ゞ’ , -=≦ヲ く＜=＝ｧ/ﾑ
r‐-｀二ﾆ} ﾉ ﾉ /'/ ､"" - ‐ ／､_;ノ てﾑハ（_ノj
￣｀ヾｰｬ-ｧ､{斗ｧZ＞≧=ｰ- ..__..イ:. ／´: : : : : : : :｀ヽ
ゞ=＝ミｭ､〉〃ム三≧ヾく二ゝ _j'' ／: : : : : : : : : : : :
半ｧ／: ｀てﾗ’_.=≠＞个≠!: : : : : : : : : : : : : :
({／: : : : : : : {:r''" /,ｲ:i ﾄヽ |.:.:.:.:.､: : : : : : : : : :
〈.:.:. .:.:. .:.:.:.:. |:{: ://:./ﾘ }:jヾヽ.:.:. :ヽ: : ヽ.:.:.:.:. :
ヾ:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.ヾ彡': :i:/ i:::!.: :ヾ>: 〈::': : .::::＼.:.:.:.
／: ﾉ: : : : : : : i : : :,ﾒ l:::i : : ﾉ: : :ｲ: :i : : : : : : :
く: : :': : : : : : i : :{!: :./! |:::! :Y:::::/: j: ::|: : : ::ﾍ: :
ｷ: : : : : : : :|: : i! /::j !::{ : |:::/: :': : :|: : : : :::j : :
入: : i: : : :.:|: : ': {:::{ |:::| : Ⅵ: : : : :.!: : : : : : : :
その隙に、すぐ隣に皿が置かれてしまう。
, .. --- .._
／::';';';';';';';';';';':ﾞヽ
/: .:;';';';';';';';';';';';';';'; :ヽ
l: : ::';';';';';'苺';';';';';':.: : }
_....--‐―''''ﾞ,: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : . :!''---...._
_..r‐"´＿--‐'''""´ヽ: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:. .: ノ ﾞ''‐ｰ-..__ ｀''ｰ.._、
! ヾ､ ｀ﾞｰ - -- ─ '´ l’ !'
ﾞ''ゝ_ ﾞﾞ''ｰ--......＿_＿ ＿__＿....--‐''''´ _..r''’
"''‐ｰ--....,,___ ￣￣￣ __,,......--‐‐''"
￣￣ﾞﾞ''''''''''''￣￣￣´
78 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:19:08 ID:i8gITY67
二１６０．
そして、ゆっくりと手を離したやらない夫は戸惑う彼女に小さく頷き、食事の後片付けを始めてしまった。
／￣￣＼
／ ヽ_ ＼
| （⌒ ）（⌒）
. | （__人__） 「ここに置いておくから
| ｀ ⌒´ﾉ 良かったら食べてくれな。
. | }
. ヽ } ジュンは休憩だ、身体をほぐしてから
ヽ ノ 一時間半ほど仮眠をとっとけ」
_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
_,,..r''''"/ | ＼`'／ / | ￣`''ｰ-､
/ / | ／＼ / ／ / ヽ
ﾉ | ＞ |／）::::/＼/ ＼ ノ ／}
{ | { | ,r":::ヽ / / / // ハ
|:.:.:.:.∧:.:| |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
}:.:.:.:.ヾ:.:.:', |:./ .V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
>:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ V:.:.:i{ ゞテ＝ァ ||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
/:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.|| {辷zり .|| ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
. /:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ // ／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
「そうするよ。 /:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::> ゞ' ´ || { ￣￣￣￣ 入 ソ/:.:.:.:._＿／
食べたらさすがに眠くなってきた」 ￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ / ／:.:ヽ￣
ﾚ'´ ヽ | ＿ /-'´／￣
ヽ ￣_ /￣゛゛
＼ _ ィ|
｀ ､ イ ｙ入
ニi ´ ／ ヽ
／/ } / |＼
/ / ﾉ / | ￣ ' - ､
/ V'´￣￣ ../ | ｀ ' - ､
.／/ /::::::::::::::／＿＝=-､＿ | /ヽ
もうヒナの扱い方を覚えてきたな、と少し笑ったジュンは十分ほど身体を動かしたあと毛布に潜り込んでしまい、
桶に食器類を入れたやらない夫は重曹を片手に川岸へ行ってしまう。
79 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:20:09 ID:i8gITY67
二１６１．
,, -─- ､._ 〃"
"ミ ／ ヽ
♪ | ⌒ ⌒ | ～♪
| （●）（●） |
| （__人__） |
♪ ヽ ｀⌒´ ﾉ
/ ヽヽ,
""（ （ （ ヽ ／.／
＼.ヽｎ ' ' ' '＼ ＼ ゛／／ | , ,
'￣ " '' ' , , ::::::::::::::o｡O::::::::○ , ,
, , ' ' ::::::::::::::::::ﾟ::::o:::::::::::::o: ｼﾞｬﾌﾞｼﾞｬﾌﾞ ' '
::::::::::::::ﾟ::::o:::::::::::::o:
ヽヽヽぃヽヽヽヽぃヽぃヽヽヽヽヽぃヽ | |ヽヽヽヽヽぃヽヽヽヽ
.-～ー…‥―～―---―----～―| 洗い桶 / ー‥…～‐--―--
～ ～ ～～ ～～ヽ＿＿＿＿＿＿／ ～～ ～ ～～
～ ～～ ～ ～ ～ ～ ～～ ～ ～～ ～
その場に一人残された雛苺は本当に困った様子で、横の菓子と、
鼻歌交じりに洗い物をするやらない夫の背中とを見比べていた。
/ / ! }ﾐﾒ､: :/: : ::ｨ: '::´:{{ハ
/ / i l ゞ:V:_:ｨ'´: : _: : : :ﾒハ
// i 乂. | ヽ: : : : ／iヽ￣ ｀ i
iｲ l ＿_ﾊ / ｨ >.／ ,|ハ ＼
{'i . l 从八ヾ ､_＿ｨ＿/_i / |￣ | ＼ ＼ （もう………
', .li ｨ=ﾐﾒ､ .//イ /￣〃 / / ＼ 強引なの）
ゝ､ﾊ ﾄ､ilけk}ヽ ／彳ミﾒ､ ィ' ./ / ｀ｰ ､ _
＞ >､', 弋ソ ｀" {{けオﾐ､イ.／ , ／
／-'´￣ ト' "" 辷ツ 〃彡''_.／ｲ ＿＿ _
/ ヽニ彡､ ､ "" イノイ≦ il＿ ,, ィ ''´￣ ￣ ｀
{ -＝彳_ィハ -( ﾉ＿ ＞￣
Y´ ,,_≠〃フ＞､ イー＜＞_/ハ￣ ＞- ､ ／
ヽイ三＝≠＝-､ ー -,― ´ |＞､ノﾌ｀ー -ミ''ー ､ _ ｀ ー'
>=／: : : : : : ＞イi >=-''´￣ヽ＿}} ＞
／: : : : : : : ´: : :il _. . .ｨ: ':´/: : : : : : : : :ヾー＝-'' ´
/: : : : : :ｨ＝＝v＝ﾐﾒ､: : :r': ´: : : : : : : : : : : ヽ
しかし食事の用意も持たずに長時間居座って、二人に迷惑をかけているのは自分だとの自覚があったから
その強引さが嫌ではなかったのも確かである。
81 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:21:08 ID:i8gITY67
二１６２．
, .. --- .._
／::';';';';';';';';';';':ﾞヽ
/: .:;';';';';';';';';';';';';';'; :ヽ
l: : ::';';';';';'苺';';';';';':.: : }
_....--‐―''''ﾞ,: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.（~ﾞ＼:!''---...._
_..r‐"´＿--‐'''""´ヽ: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.＼ ＼ﾞ''‐ｰ-..__ ｀''ｰ.._、
! ヾ､ ｀ﾞｰ - -- ─ '´＼ ＼ l’ !' つんつん
ﾞ''ゝ_ ﾞﾞ''ｰ--......＿_＿ ＿__＿＼. ＼´ _..r''’
"''‐ｰ--....,,___ ￣￣￣ __＼ ＼ ,.--､
￣￣ﾞﾞ''''''''''''￣￣￣´ ヽ, ヾ ;'⌒ー-、
γi i
,,--┤i i
（ ､ソ ﾞi,
＼,, ヽ
＼ ＼
ゝ,,
何となく、菓子をつついてみるとふわふわの感触が指に返ってくる。
いつも通りの柔らかさに何となく、悪意をぶつけても意にも介さない、敵愾心を持っても気にもとめない、
ただ優しさを返してくれるやらない夫のようだ、と雛苺は思ってしまった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━……
82 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:22:09 ID:i8gITY67
二１６３．
━━━━━━━━━━……
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
―――夕刻。
間もなく川面も赤から黒へと色を変える。
ちょうど一段落したのでやらない夫は休憩にしようと木刀を下ろし、限界が近かったジュンも文句なく頷いて
折れた木刀を焚き火の跡に投げ込んだ。
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
/ .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
/ :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
「ヒナ。 ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
そろそろ家に帰るんだ」 ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
| .ﾄ'' ! .| r―┐ | ,// :. ｌ / ｀ヽ、
83 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:22:13 ID:i8gITY67
fl'´ { !:.｀ヾ;
{j f/:.:-､:.:!}
,._..二､￣_｀＞＜L:ｌ}_.. -ｧ､
_.. '´ ／/Y"´ ／ ,｀ヽ､f":.:.:.:>,
_.. ‐ ／ l:.// .::/: / , ヽ:_ィ'´
, ' ／ !:!'!_.:.ﾊ.:. /!/: . ',ｷ
. ｢ ｀丶､／- ― -_.. >,|,ｨニV Ｔ|:.:.:. / トゝ
ヽ二ﾆ! r 二´..._ヽ､ヽ. L::ﾉ ヽ:／: /,'
. | ＿r'´ ﾆ三ｧ ,ｨﾊ／/ 「分かったのー」
ヽ､-_＞二￣_ヲ､￢ ., ' ﾞ/、
ヱア丁 ＼､ __.. ＜ﾆ|
/ / ..:.:./､ヽ f＝´'"
/ :.:ヽ: ヽﾉ/ ｀
ヽ ..:/_:.:......:.:.<l:!l:!
,. -:ｧﾆ二..:_｀!:.: ヽ┴r:rr-､
,..:'"／/:l :.:|:.: ′ !:l V
. ／:／/::/;/ｌ :.:|:.:.... !:ｌ 〉
.|:／ ./::///:ｌ :.｀丶､:.:.:.:.:.///
.Kヽ/:::/':/:.:.ｌ :.:.:.:.丁 T´
アヽ!:/:.:.: ! :.:.: l::l ﾄ､
/ｲ:::/ .:.:.: ! :.:.:.: l::l l !',
さすがにこの時間ともなれば彼女も素直に頷いた。
椅子代わりの岩を立って砂埃をぽんぽん、と払っていると―――
84 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:23:08 ID:i8gITY67
二１６４．
やらない夫が空になった皿に気づく。
＿＿＿＿＿
_....--‐―''''￣ ＿＿＿＿ ￣￣'''''---...._
_..r‐"´＿--‐'''""´￣ ￣￣￣ﾞﾞ''‐ｰ-..__ ｀''ｰ.._、
! ヾ､ l’ !'
ﾞ''ゝ_ ﾞﾞ''ｰ--......＿_＿ ＿__＿....--‐''''´ _..r''’
"''‐ｰ--....,,___ ￣￣￣ __,,......--‐‐''"
￣￣ﾞﾞ''''''''''''￣￣￣´
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （⌒ ）（⌒）
| （__人__） 「あれ？」
| ｀ ⌒´ﾉ
| }
ヽ ﾍミ|
／,` 、` -`,--` ,
＿＿,---/;;;;;` `-,-/ニﾆ |
/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･ ,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::| |`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
85 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:24:09 ID:i8gITY67
二１６５．
fzfzィ彡､-‐ｧ´ ヾﾂｆz
ｆｚｲ¨" .:.:{ .:.ixz､..__ .:.:.: Yゞfzfzx
fzﾂ ,ｨf厂丁`ヾfzゞfzx:､ .:.:.:.:|:. ｀ヾﾐz
Y xfﾂｲ' ﾊ ヾ:､ ヽゝ八fz小、 .:.:.:.:.|' _＿__
. | xfﾂ"く ﾑ┤ ﾄｽノ´ fz圦 .:.:.:.:.| 「ヾ、
＿ ,ｨ! ｲfxﾚ1辷i し’ 、 :､ ﾞfzX .:.:.:人_.:|＼ `
| |＿＿__ [ｌ[ｌ fxzﾚ"|! ,f才ﾝ ヾ i! i| ﾊ ヾ:、 八fz}_／ ヾﾘ ヽ
| ＿＿＿| ,ｨxfイ.: .:| rf;{" i ﾊ i! |i ﾊ ヽ:、 ｲ j;｝i ／' ) ﾉ
| |＿＿ {f∠ィ' ¨ヾ:ｲｧ' l i! il i| i|! }!ヽ )} i! {i从 ′ ／ }
|＿＿＿| /,ｲ{ i{ i| !i i! l!i ハヽ_j斗! ｊヾ ヽィ ,ｲ{
＿＿__ . //i {! i| i il i| |j､l iｧﾅ乃工ﾉﾘ ｲ )} /' イ i,ｨ
／＿ / 〈' {i八 い:､ヽ i!_,.!i; ﾘﾊﾘjｲ;乍夾ﾊ〉ﾘ ｲ〃 ／ ／/
..／／／／ ／ﾒ{ ヽ ヽミ;匕ヾハiﾉ ﾘ ｿ ヾﾆ''’厶┴ュ/ ／ ーｧ
￣ ／／ ,:／ 大ｰ:､ ヾ ヾミ;ｲ示ﾐj "" ら≡≠）/ムく二_
￣ [ｌ [ｌ // ;厶-―‐-､｀ヾ. _ﾘ"ヽ ゞ’ , -=≦ヲ く＜=＝ｧ/ﾑ
// r‐-｀二ﾆ} ﾉ ﾉ /'/ ､"" - ‐ ／､_;ノ てﾑハ（_ノj
^ ￣｀ヾｰｬ-ｧ､{斗ｧZ＞≧=ｰ- ..__..イ:. ／´: : : : : : : :｀ヽ
ゞ=＝ミｭ､〉〃ム三≧ヾく二ゝ _j'' ／: : : : : : : : : : : :
半ｧ／: ｀てﾗ’_.=≠＞个≠!: : : : : : : : : : : : : :
({／: : : : : : : {:r''" /,ｲ:i ﾄヽ |.:.:.:.:.､: : : : : : : : : :
〈.:.:. .:.:. .:.:.:.:. |:{: ://:./ﾘ }:jヾヽ.:.:. :ヽ: : ヽ.:.:.:.:. :
ヾ:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.ヾ彡': :i:/ i:::!.: :ヾ>: 〈::': : .::::＼.:.:.:.
／: ﾉ: : : : : : : i : : :,ﾒ l:::i : : ﾉ: : :ｲ: :i : : : : : : :
く: : :': : : : : : i : :{!: :./! |:::! :Y:::::/: j: ::|: : : ::ﾍ: :
ｷ: : : : : : : :|: : i! /::j !::{ : |:::/: :': : :|: : : : :::j : :
入: : i: : : :.:|: : ': {:::{ |:::| : Ⅵ: : : : :.!: : : : : : : :
気づかれた、と身体を震わせた雛苺は挨拶もそこそこ、
,,,,,,:,, ,,,,,,,,
,,,',/ .,,,ﾞ!l" l
ス >,l-‐ﾞﾞ"'-ﾞ`‐-ｙ, ､_人__人__人__人__人__,
タ ;'''',,ll|lﾞﾞﾞﾞｿ'ﾞ／:,|l,`l _） （_
タ ｀ﾞﾞ',!!,,,,l|,,,,,,l,l"fノ _）さ、さよならなの！（_
タ ,!'li'''',,''''il"／ _） （_
タ ,/ ﾞﾞ/l ﾞﾞ | ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒
.／| / | |
.レ-‐″ ／ | |
れ,,,,. ／,,,, ,,,|i:､.、 l
‐″ザﾊ =,,:::i!ｙｰ'llli/
⌒'`/, /[.,,,!,ll/
/ // / //⌒⌒´
' // / // /
// / / '
. /
何も聞こえないのーと言わんばかりに、両手で耳を塞ぎながら走り去ってしまう。
86 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:25:08 ID:i8gITY67
二１６６．
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=: 「ほんと意地っ張りだな。
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li, 誰に似たんだろう………」
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
あきれ顔で見送るジュンは両親の顔を思い返すが、おそらく母親なんだろうと一人納得してやれやれと首を振った。
と、同じく雛苺を見送っていたやらない夫がおもむろにバスタード・ソードを掴むと手早く背中に装備する。
＿＿＿
／ ＼
／ ､_,ノ ヽ
／ （● ） 丶
／ （⌒ l
/ ￣l__） ＿_
r‐ ‐-- ､ ノ | ￣`》
上: : : : : :＞‐-.､__ ／ 〉二〈 「ジュンは瞑想しててくれ。
レ＜＞㍉､: : : : : : : : :＞ ／ ｜ﾆﾆ| 俺はちょっと町へ行ってくる」
／: : : : : : : : :ヽﾐ､: : : :/＞ヾ,＿_ン |三ﾆ|
/;. -‐- ､: : : : : :=ド､ヽ// j `.-､ /ﾍニ７⌒)
//_／￣ヽヽ |: : ニ||: }}: ≫≪=: : :＿≫ / ｨﾆにン-､
｜|｀|`i⌒j ｜|｜二//: :}}: 二//: ／ / ノ ／ _／-､
/∧ ゝ二 ノ ﾉ: !二ノ＿ }}: =//: :＼ | (__,イ＿,. -<
| ヽ｀ ｰ--イ : =∀ﾆ|r‐㍉､｣｣､}: : : ≫ （`ｰ‐┴ｰ┴‐ー┴---'‐'")
|: : :｀:ー┬': : =/二 ＼: : :=}}ﾆVX´ ￣,《｢￣￣￣￣｢￣￣
": : : :|=: |=: : =|ﾆ: : : : ＼ノ=三|:､＼ ri´: : |￣￣￣￣|
: : : : :|二|二二|ﾆ : : : : }}}=〉ﾆ=ト:二ユ__ ／: i!: :_ｘ≦'"￣￣＼
: : : : :ヽ=|二／ﾆ: : : : : }}}=|ニ=|ﾆ: : : : 〃´: : ;ｘ＜: :: :: ≧ ＼ |
: : : : : ヽ＼/|二＿: : : :}}}ﾆ|ﾆ=/＜: : //: : :／:: : :: :://: :＼＿__ ﾊ
: : : : : :､:＼=〉‐-- 二_ー‐'ニ/二二|: |／/:: :: _:: ::l=/:: ::=_:ヽ=､::￣:＼＿_
: : : : :､ ヽニ〉｜|｜|｜ト]トrへ二ﾆﾆ/:=:: ::_::=:: :: l=|: =:: :: ≧＼三≧ｘ:: ::ヽ
: : : : : : ､ ∨￣`'┴-t⊥jj[] ＞/::/:: :: l=/:= : 川:: ::=:: :: ::`:: :＼三=Vﾍ｣
､: : :=: : :＼＼:: ::|:: :: :|::三r' ／_/:: :: :: :: :l/:: :／三!:: :: `≧､_: :: :ノ三三}
`: : : : ニ＼Y´|:: :: :: :: :: :: V/::=/:: :: :: :: ::/::／三三|:: :: :: :: ＼三三三三}
: : : : : :＼ニ＞}＿-＿―三V={:: ::≦三/三三三三ﾄ､:ヽ≧､＝ﾆ三三三ﾍ、
: : : : :/二＞＜!三三:: :: :: :: ｀`＝ﾆ三/三三三三ﾆ!:!≧､:＼三≧≦三三=〉
87 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:26:08 ID:i8gITY67
二１６７．
分かったと頷いたジュンをその場に残し、足早の彼は雛苺の背中を追いかける。
空にはもう、一番星が瞬いていた―――
‘ ｀ , .. . + ’‘ :: . ..
. . ， ，:‘.。 + ，..
， ’‘ + ，.. . ..; '， ，:‘
. .; : ’ ' ，:‘.
，:‘. + ☆彡 ，.. ，.. . ..; '， ，:‘
.. .. ' ，:‘.. ...:: ’‘ ’‘.; 。 ，.. . ..; '， ，:‘
. 。 ，:‘. 。 ，.. . .; '， ，: ‘
， .. ' ，:‘. ， ； ｀
:: . .. .. ' ，:‘.
， ，:‘. ..; '， ，:‘ ’‘ ,
+ , .. .+ ’。 .. ' ，:‘.. ...:: ’‘ ’‘.; 。
，:‘. 。 .. . . ::: ' ，:‘. , .. . +
.. ' ，:‘.. ...:: ’‘ ’‘.; 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━……
88 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:27:09 ID:i8gITY67
二１６８．
━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
町から戻ったやらない夫は、焚き火も燃やさないで瞑想しているジュンを遠くから見ていた。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ 一）（●）
| （__人__） (やってるな)
| ｀⌒´ﾉ
| ,.<))／´二⊃
ヽ / ／ '‐､ﾆ⊃
ヽ､ｌ ´ヽ〉
''"::l:::::::/ __人〉
:::::::::|_/ヽ. /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|
月明かりだけなので常人には見えないかも知れないが、夜目の利く彼が見れば
ジュンは町に背を向けて座禅を組んでいる。
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ ,
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
90 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:28:08 ID:i8gITY67
二１６９．
ﾘｰﾝ…
: : : : : : : : : ::: :ﾘｰﾝ… :
～~~~~～~~~~～～''~~~~～'''~~~''~~～～～~~~''~
::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; ﾟ:: ::;;; : ;;::: :;;; : ;;w ::::;;:::: ﾟﾟ。
;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; ,,ﾟﾟ::;;; : v;;:::: 。 ;;:::: ::;;; : ;;:v.;;:::: ;
;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;::;;; : ;;: ;;; : ;;; : ;;::
ｺﾛｺﾛｺﾛ…
ﾊ ヽ Y｀l | > Y
{ ヽ_ゾﾉ | ﾚi i i}
｀¨´ ヽ ハ `'''
> / ﾍ
/ /ヽ ﾍ
_,/ / ご_ノ
（ ヽ /
＼__ノ
どこまで気配が読めるようになっているか確かめようと、気配を弱めたやらない夫は
足音も立てないようジュンに近づいていくが―――
91 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:29:08 ID:i8gITY67
二１７０．
: : : : : : : : : ::: : :
～~~~~～~~~~～～''~~~~～'''~~~''~~～～～~~~''~
::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; ﾟ:: ::;;; : ;;::: :;;; : ;;w ::::;;:::: ﾟﾟ。
;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; ,,ﾟﾟ::;;; : v;;:::: 。 ;;:::: ::;;; : ;;:v.;;:::: ;
;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;;; : ;;:::: ::;::;;; : ;;: ;;; : ;;; : ;;::
: : : : : : / l.:::＼ | |.:.:.:.:.:.:＼
: : : : : / l.:.::::::ﾘ |/´ ￣｀`, .:.:.:.::.:.:.:＼
: : : : / l.:.:／ ', .:.:.:.:.:.:＼
: : : / ＼ ', .:.:.:.:.::::ヽ
: : 〈 ＼ ', .:.::::::::::::::::::|＼.::.:|
: : : :', .:.:.:.:.: ＼ ',::::::::ﾄ､.::::::::| ﾊ:.:l
: : : : :', .:.:.:.:.:.:.ﾄ､ ＼ ',::::::lﾆ＼:::::|
: : : : : .', .:.:.:.:.:.:l ＼ ＼／ ',::::l ﾄ､| 「―――なんだ、やらない夫か」
: : : : ::::::', .:.:.:.:.:.:l `y':／ﾆヽ ',::l1 l |
.:.:.:.:::::::::∧ .:.:.:.:.:.:l ／／／ い / l l |
:.:.:.::::::::/ ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ..／∠ い /ハノ/
.:.::::::::./ ＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:V彳o:::ヽ j! ! `ヽ
.:::::::::〈 ＼.:.:.:.:.:.:.:}ﾑ:::::::ノ´ ／／ /
､::::::::::.＼_,, -‐ ＼.:.:.:.:l ￣ ／／ ,.ｲ
ヽ ＼:L＿／／ /
＼ └＝＝' ／/
＼ /
＼ ,′
＼ ,′
＼`ー--------r---‐‐'´
＼ ∠￣`ヽ
もう少し、と言うところでジュンが目を開けた。
92 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:30:08 ID:i8gITY67
二１７１．
／￣￣＼
rヽ ／ ノ ＼ ＼
i ! | （●）（●） | 「よく分かったな、
r;r‐r/ |. | （__人__） | 気配はある程度消していたんだが」
〈_L (｀ヽ .} | ｀ ⌒´ ﾉ
l｀ （ ｀`/ . | }
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ｨ ヽ
＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
>:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.| |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:} 「いや、突然虫が静かになったから。
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_ //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:| 君の気配は分からなかったよ」
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::. | | 辷り｀ |}_ r-Vｿ:.:∧}
／:.:.:.:ヽ::::::::::i::::::::::: ヽ廴_ <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
フ/:.:.:.:.:.＼:::::::::::::::: ￣ヾ=ﾉ <-ﾝ /:| .V
´''- ､:.:.:.:./:::::::::::::::: /=テヾ|
ヾ/:::::::＼::::::.. ー - /
/:::::::::::::::::::::::::... - .／
／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::... ／
／ ∧::::::::::::::: /｀ 'ー - ' ´
ノ | }ヽ:::: /_
￣￣ .| ＼ { ヽ
.| / ｀ ー='´ ＼
野生の昆虫や動物にまで感じさせないほど気配を消していた訳ではないので
もしかしたらジュンにも分かるかも知れないと期待をしていたが、
さすがにまだそこまでは感知範囲が広くないらしい。
93 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:31:08 ID:i8gITY67
二１７２．
それでも虫達の反応で接近する気配がある、と察しただけでもかなりのものである、
疲労による感覚の拡大のみならず今日の訓練が十分身になっているせいだろう。
／￣￣＼
／ ヽ､_ ＼
（●）（● ） |
（__人__） |
「かなり感覚が研ぎ澄まされてきたようだな。 （ |
魚、捕ってみるか？」 . { |
⊂ ヽ∩ く
| '､＿ ＼ ／ )
| |_＼ “ .／
ヽ､ ＿_＼_／
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼| 「やるやる！
l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV 今度はいけそうな気がするよ！」
l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
95 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:32:08 ID:i8gITY67
二１７３．
／￣￣＼
_ノ ヽ、 ＼ ,.:┐
.（ ●）（ ●） ..| ／ ｜
（__人__） .|./ /
「よーしやってみろ。 i⌒ ´ .r－､ |/ ／
ただし、今は暗いからな { ヽ, ',. .,/ :/',
魚は見えないぞ」 .ヽ .| l_/_, -‐､',
.ヽ . | / , -－'i|
/ { V , -－ﾍ
| ヽ Ｌ| r= |
脅かすような言葉に少しだけ怯んだジュンはそれでも、
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li, 「いや、虫の気配が分かるんだから
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,, いけると思う！
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢ ………多分！」
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
気合いを入れて木刀を掴むと暗い河へとざぶざぶ入っていった。
96 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:33:08 ID:i8gITY67
二１７４．
しばらくして。
|::ヽ／::::::〈 へ、
,-┘:::::::::::::::::::::::::::｀＞
∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::＼
/::〈:::|＾＾|:::::/＼ﾄ､ヽ::::::>
|＼ ／::::::ﾊ|＿l/l/.＿_-ヽ|:::」
＼＼ .￣7/.|＿_|─|＿_|- lj/
＼＼ ﾍ. __;_＿、 /
＼＼ ﾌヽ辷フイ{ヾ 「くそっ！」
＼＼ ／::::〈｀l7:´::::::ヽ
＼＼ ﾉ::::::::::::V::/:::::::::::〉
＼＼ /:::::::::::7::ﾄ/:::::::::::/
＼＼ /::::::::::/:::::/::::::::://
＼＼ ／::::::::::／l ／:::::::::/::l
∠二フ ／:::::::::::::/ ／:::::::::／::::!
ヽ,'~つﾆ〉ヾ::::::::/／::::::::::／::::::::j
ﾞへノ7 ヽノ<::::::::::／ヾー--￢
くヲ｀` ヽ＜／^ヾフ=／{
_,. -ヾソ ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
r ' ´:::::::::::::`ｰ‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀`丶
l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- ､_:::::::::::::::::::::::::::
l:::::::::::::::r -- ' ´ ｀`'ｰ､:::::::::::::
/::::::::::::::l l::::::::::::
何度も何度も木刀を振るってはいるのだが、どうしても上手くいかないし、
露骨な殺気をまき散らす彼に魚が寄りつかなくなってしまっていた。
97 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:34:08 ID:i8gITY67
二１７５．
／￣￣＼
／ ヽ､_ ＼
（●）（● ） |
（__人__） |
「ジュン、ちょっとこっちに来てくれ」 （｀⌒ ´ |
. { |
{ ﾉ
mｍ ヽ ノ
（⊂ ￣￣￣ ヽ
￣￣￣| |
だが、むやみに木刀を振るっているわけではない、暗い水面下の魚の動きを確かに感じ取っている様子なので、
頃合いだと頷いたやらない夫は助言を与えるべくジュンを呼ぶ。
＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
>:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.| |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_ //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ |:.:.:/:.:.:<´ヾ| 「なんだよ、
｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::. | | 辷り｀ |}_ r-Vｿ:.:∧} もう少しなんだから………このっ！」
／:.:.:.:ヽ::::::::::i::::::::::: ヽ廴_ <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
フ/:.:.:.:.:.＼:::::::::::::::: ￣ヾ=ﾉ <-ﾝ /:| .V
´''- ､:.:.:.:./:::::::::::::::: /=テヾ|
ヾ/:::::::＼::::::.. ー - /
/:::::::::::::::::::::::::... - .／
／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::... ／
／ ∧::::::::::::::: /｀ 'ー - ' ´
ノ | }ヽ:::: /_
￣￣ .| ＼ { ヽ
.| / ｀ ー='´ ＼
98 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:35:09 ID:i8gITY67
二１７６．
／￣￣＼
rヽ ／ ノ ＼ ＼
i ! | （●）（●） |
「そう、かっかするな。 r;r‐r/ |. | （__人__） |
一つ教える事があるんだ、 〈_L (｀ヽ .} | ｀ ⌒´ ﾉ
取りあえず座って集中してくれ」 l｀ （ ｀`/ . | }
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ｨ ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ ,
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´ 「分かったよ。
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼ ふぅーーーっ………」
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ _ ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヾ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
三回ほどおまけに木刀を振り下ろしてから、やっと戻ってきたジュンは深呼吸を繰り返して落ち着いたようだ。
静かな呼吸と高まっていく気配を感じ取り、足下からいくつかの小石を拾ったやらない夫は
彼の額を指さすとこれから何をするかを説明する。
99 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:36:09 ID:i8gITY67
二１７７．
,, -‐ ､
/' ヽ
／￣￣＼ ./ i
／ ._ノ ヽ､＼ / ...........i
| （●）（●） | / ..:::::::::::::::|
| （__人__） | / ..::::::::::::::::::l 「良いか？
.| ｀ ⌒´ .} ./ ..::::::::::::::::::::! ジュンは目を閉じて待ち、
| }/ .::::::::::::::::::::/ 俺はジュンに向かって小石を投げる。
ヽ ./ .:::::::::::::::::::/
.ヽ . .／ .:::::::::::::::::::/ 来たと思ったら頭をずらして避けるんだ」
,. ‐'"´ `'‐,r''"~ .:::::::::::::::::／
..:.／,. -‐‐- ､ l′ ..:::::::::::::／|
:,' ／ !.:::::::／:i..:..l
r ､ / !::::::::::: i..:..i
l .......`:i i !:::::::::: ﾞ､:.i
! ::::::::::/ i i:::::::::: ヽ:i
.! ::::::::/ i .....i::::::::::: ヽ
.ヽ ::::::| `､ `､ .....::::::::::::l:::::::::::: `,
/ ＼:::l. `､ ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::: /'''ー─----､
`ヽ `､ .::::＼:::::::::::::::|::::::::: /,, ,. ‐;''
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=: 「わ、わかった」
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
またいきなり高度な要求が来たぞと驚いたジュンはそれでも、気配は見えるようになっているんだと目を閉じて、
息を細く長くしながらやらない夫の動きに備えた。
100 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:37:08 ID:i8gITY67
二１７８．
やらない夫はそれじゃ行くぞ、と最初は気配も消さずに動作も大きく小石を投げ、
／￣￣＼
／ノ ＼ ＼
（● ）（●）. │
（__人__） │
{｀ ⌒´ │
ﾎﾟｲ { │
／￣￣￣￣￣￣ヽ､.,＿＿ __人
( _ ノ￣￣￣￣￣￣＼ ＼
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼ __
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ , / /
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/ / /
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/ L/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´ ∠ﾌ
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
ジュンはこれをさっと避けた。
101 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:38:08 ID:i8gITY67
二１７０．
次に、少し動作を小さくして投げる。
／￣￣＼
/ノ ＼
（● ） |
（（___） | .
ﾋﾞｯ ヽ |
{ | .
/⌒三──三＝────"⌒ 、 入 .
（＿＿＿_＿＿＿三≡＿ , `ヽ、
￣三＝ ￣｀丶 ＼
＼ ＼ ＼
＼ ＼＿）
＼ ＼
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼ __
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ , / /
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/ / /
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/ L/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´ ∠ﾌ
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
またもやジュンは石を避けた。
102 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:39:08 ID:i8gITY67
二１７１．
今度は気配を消して、動作をやや大きくした小石が飛ぶと―――
ﾞｉ＼
ﾞｉ (,
i ﾞｉ
i| i,
i| ',
i| |i
／￣￣＼ i|. |i
／ ＼＼ ,.i. |
| （●） ,.i ゝ
. | （___ﾉ ｼｭｯ ゝ |i.
| ´ﾉ , ' |i.
. | } ／ |i.
､－―ﾞ―ﾞﾞ￣＼ , ' |i.
／ ＼ ,, ,. ,., ' , ' |i.
／ ＼ `ﾞｨ／ |i
| ／´＼ , ,. ,. ／` ,.|i
| ､ト ﾞ） ＼ ﾞｨ／`, ' ` ゝ
` , ' ／ﾐ ., ／
, ' ` ,. , ' ／, ' ;`
, ' ／
, -―-､
/ ,. ―､ ヽ
{. { } }
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼ ヽ__） ,ノ ﾉ
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ , / ,.-'´
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/ / /
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/ し
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´ 〇
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
彼は何とか避けたが、かなり戸惑った様子を見せた。
103 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:40:09 ID:i8gITY67
二１７２．
次は殺気を漲らせ、動作を殆ど無くした小石が迫る。
ーﾆ三''''v'''''{
-=三ﾐ .| __ ',
. ｀ミ, !i ヽ!,
.. ｀ミ !,_,, ':,i,
r- .、 `, | 丶!、
｀ミ ＼'i,!、 .＼、
＼ Y ＼ ＼
｀l | ヽ . ',
｀ミ ! / |
ヽ / |
｀ﾐ | |
| {
| |
／￣￣＼ | | ﾋﾞｯ
／ ノ ＼ ＼....i |
| （⑪）（⑪） | | |
. | （__人__） .| i /
| ｀ ⌒´.. ﾉ../ ./
. ヽ }／ ..／
ヽ . . ´ ／
/ . .／
| l´
| . |
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼ __
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ , / /
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/ / /
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/ L/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´ ∠ﾌ
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
が、これはあっさり避ける。
104 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:41:08 ID:i8gITY67
二１７３．
そして最後に、気配も殺気も、動作も消した一撃が飛んだ。
／￣￣＼
. _ノ,､ ＼_ ＼
( ●）（ ●） |
（__人__） | （これで最後だ）
(｀⌒ ´ |
{ |
{ /
ヾ / ﾋﾞｯ ⌒
ｿｇﾍ二ﾆ=7⌒￣"⌒￣〆"⌒ﾆつ ））
∧ii/ oィ/" 〃 （乙ﾉ≠＾ｿﾉ
/ .|/／＝ ゝー─～ﾞ─‐ﾞ～'´
l |｡ ｀~/
/ |｡ /
/ｿ |｡ （
/ ﾘ∠＼＿＿__ﾆゝ
ﾋﾞｼｯ
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──` |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./ 1/ .＼ ,,_人､ノヽ | |: : |＼;!
: : ,､: :{ |-)ヽ （ .|:ヽｉ 「いてっ！？」
: :{ ヽ' - ＜ ＞ ﾊ:_}
ﾊヽ ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ ) て ＿___ﾉ }
ハ: :｀-', ! | | ! ! ／^⌒`Y´^＼ 川/ ノ
〉: :.:∧ 〃'ー──-----､ ,ｲ"´
￣ ＼ ヽ＿＿＿＿＿_丿 ／
＞､ ,イ´
,────､＿_｀ ,‐──┬'"´ ＿＿
/ | ! |￣l￣ ｀ヽ
. | ｰ──' ﾘ }
さすがにこれは命中した。
ジュンには避ける様子が全く見られず、いきなり飛んできた小石に面食らった様子だ。
105 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:42:09 ID:i8gITY67
二１７４．
／￣￣＼
／ _ノ .ヽ、＼
| （●）（●） | 「目を開けて良いぞ。
. | （__人__） .| 今ので何が分かった？」
| . '´ｎ｀' .ﾉ
.ヽ . | | }
ヽ.. ﾉ .ュノ
/ { ..ﾆj､
|. | "ﾂ ＼
|. | .l |ヽ、二⌒)
それでジュンは、額をさすりながら今の五つの小石をあれこれと吟味していたが。
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
/ .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
/ :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
「………そうか！」 ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
ややあって、分かったぞと飛び上がった彼は木刀を引っつかむと河まで走っていった。
そしてとうとう、数十秒もかからないうちに一匹の魚を仕留めたのである。
107 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:43:09 ID:i8gITY67
二１７５．
i: : : : : : : :', ＼: : : : : : : : ヾ: :＼'´＼:＼＼,ﾍ: ＼: : :r-､＼: : : ＼
. ,':ﾊ: : : : : : :', ＼＼: :＼: : :＼: :＼r''ｨ＝=..､￣ヾ＼:ヽ ｀i: ＼: l￣
/:/ l: : : : : : : :', ＿_ ＼＼: :ヽ＞､:ゝ/ llっ::::芯} ll iー｀.|:＼::＼
:/ .|: ﾊ: : : : : ::',ｨ''´ ＿ミヽ ＼:ヽ ﾒ ゞﾐ=歹 .ll l } l: /:＞- '
「や、やった！ .|::i .',: : : : : : ', ｨ彳＝ﾐ ヽイ ￣ ヾ ￣ ﾉ | ./i: l＼i
出来た！ |:| ',: : : : : ﾄゝ/ {il::::::と､ ', ＼＿＿＿／ |､_/:/:/＞ゝ
僕にも出来たぞ！」 |:| ',: :ﾊ: : :ﾄ､ ﾍﾐ=夕 i il: : /:/
|i ',;i ヾ: i ﾍ ￣ ／ ｀ _ ∧从/
i '; 从＼＿＿ _ィ'´ _ ィ''´ /. / i/ ,- ─ '
｀,_ ＼ ｀- / ﾄ- - -/
￣ ヽ.>､ ／ ヽr=''´￣
',ﾊ＞- _ ／ /
ヽ:ﾊ ヽ｀ ー / ／￣
r＝-､ >､ ＿ ＿ ,, ./ ／ ￣
＿＿／ ＿ヽ＿ ./ ／ ＿
／ ＼ ／ ／ ..ー
/ ＼''´ ｨ ' ´
._ _ _
(ヽl_l_ll_l,l
ヽ ｒ
│ |
|／￣￣＼
／ ＼ ノ
| （ ●）（●）
. | （__人__） 「それだ！
| ｀ ⌒´ﾉ その感覚を忘れるな！」
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
l/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)
まだやらない夫のように岸まで掬い上げる技術はないものの、一撃を加えられた魚はぷかりと浮かび上がる。
その様子を確認したやらない夫はよし、と拳を握ると焚き火を熾して夕食の準備を始めた。
108 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:44:09 ID:i8gITY67
二１７６．
,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
/.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
|! : : : : : : l l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
「分かったよ！ ｲ!: : : : :i: : !. !:/ l: : :/ ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
相手もこちらの気配を感じるんだ、 /l: : : :,∧:厶-‐､ ﾚ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
殺気を漲らせていたら魚だって !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
危険を感じてこっちに注意を .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
向けてしまうんだ！」 .ﾚ'l: :/ ﾘ |:| ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
ﾚ'’ ヾ ＿__ノ.' ヾ: ､＿＿.ノﾉ ´rﾊ !:、:| ヾ
i￣￣ i ￣￣￣ ムｿ:.;ﾊﾉ
､ r彡;〃´
ヽ ヾﾆフ ﾉﾚ'´
＼ ´ ,L. -‐ ､_
ヽ . _ ， , ィ´ ,.､二ミ:ｫ
,.-‐=ﾆj,.ィ'´ ／￣ "¨ヾ＼L、
_r'´ レ" _ﾆ=′ 二ﾆ= ＼
rく ヽ j ,-=ﾆ¨ イ=‐- ､ >"
昨日やらない夫が捕った八匹を、彼の何倍もの時間をかけてだが自分の力で仕留仕留めたジュンは、
満面の笑みをたたえながら焚き火の側に戻ってくる。
／￣￣＼
／ ノ ＼ ＼／｀i 「その通りだ。
| （●）（●）./ ﾘ さっき試した時も、気配を消した方が
. | （__人__）..| / 避けにくかっただろう？」
| ｀ ⌒´ ﾘ ﾋ
. ヽ ／/ ,｀弋ヽ
ヽ - ′.Ｙ´ , ｀ヽ｀.ｌ
/〈 `ｰ〈::....ノ Ｖ
| ヽ_ｰ ､ ｀ヾ＿/ //
| ﾌ-､｀ｰ┴‐-〃
`ー‐一′
109 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:45:09 ID:i8gITY67
二１７７．
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
「ああ！ | | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
そして予備動作が大きくても / .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
相手に見切られてしまうんだなっ！」 / :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
| .ﾄ'' ! .| r―┐ | ,// :. ｌ / ｀ヽ、
l l､__ ﾚ' | | i/o’ :.:. ! | ヽ、
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●） 「あとはその感覚を常に持つようにするんだ。
. | （__人__） 疲れていない時、起きたばかりの時………
| ｀ ⌒´ﾉ そのうち寝ている間も自然にそうなる」
.ｌ^l^lｎ }
.ヽ L }
ゝ ﾉ ノ
／ / ＼
／ / ＼
. / / -一'''''''ー-､.
人＿＿ﾉ (⌒＿(⌒)⌒)⌒))
110 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:46:08 ID:i8gITY67
二１７８．
／￣￣＼
rヽ ／ ノ ＼ ＼ 「常に周囲に気を配り、どんな些細な気配や変化も見逃すな。
i ! | （●）（●） |
r;r‐r/ |. | （__人__） | そして見つけ出した気配や変化が次に何を生み出すかを予測し、
〈_L (｀ヽ .} | ｀ ⌒´ ﾉ 自分はどう対応するかの判断に結びつけろ」
l｀ （ ｀`/ . | }
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ｨ ヽ
|:.:.:.:.∧:.:| |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
}:.:.:.:.ヾ:.:.:', |:./ .V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
>:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ V:.:.:i{ ゞテ＝ァ ||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
/:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.|| {辷zり .|| ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
. /:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ // ／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
「これが様々な状況を把握する力……… /:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::> ゞ' ´ || { ￣￣￣￣ 入 ソ/:.:.:.:._＿／
そして予測、判断への展開か」 ￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ / ／:.:ヽ￣
ﾚ'´ ヽ | ＿ /-'´／￣
ヽ ￣_ /￣゛゛
＼ _ ィ|
｀ ､ イ ｙ入
ニi ´ ／ ヽ
／/ } / |＼
/ / ﾉ / | ￣ ' - ､
/ V'´￣￣ ../ | ｀ ' - ､
.／/ /::::::::::::::／＿＝=-､＿ | /ヽ
―――開眼。
昨日修行を始める前にやらない夫が言った事が、今ようやくにして実感できた。
今まで見落としていた情報のなんと多いことだろう。
そして、彼や父を含めた一流の戦士達は、どれほど高次の世界に居るのだろう。
その一歩目を踏み出したジュンは正しい答えを見つけ出して実践できた喜びと、
目の前に広がった途轍もない剣の道の果てしなさになかなか落ち着けず、
まだ木刀を持ったまま焚き火の周りをうろうろしている。
111 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:47:08 ID:i8gITY67
二１７９．
┏──────────────────────────────────────────────┓
>>二３９．
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､. ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./ 1/ .i l＼:| ＼| |: : |＼;! 「あのさ、聞いてると
: : ,､: :{ |-‐‐-| .|:ヽｉ とても僕に出来そうにないんだけど？」
: :{ ヽ' ! | ﾊ:_}
ﾊヽ ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ ヽ＿＿＿＿___ﾉ }
ハ: :｀-', ! | | ! ! ' ! |' | | 川/ ノ
〉: :.:∧ 〃'ー──-----､ ,ｲ"´
￣ ＼ ヽ＿＿＿＿＿_丿 ／
＞､ ,イ´
,────､＿_｀ ,‐──┬'"´ ＿＿
/ | ! |￣l￣ ｀ヽ
. | ｰ──' ﾘ }
┗──────────────────────────────────────────────┛
○
ο
o
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、 （こう思ってからまだ二十四時間ぐらいしか
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=: 経ってないんだよな、そういえば）
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀U: : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
113 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:48:09 ID:i8gITY67
二１８０．
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／ （多分………
/ .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／ やらない夫にはとても多くの事が見えていて、
/ :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／ 分析、判断して弱点の補強や長所の延長を
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼ してくれているだけなんだろうな。
ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;> そしてそのやり方も的確で無駄がない）
ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
妹に対する接し方ややらない夫の考え方を思い返して、自分の予想が何となく正しい気がしたジュンはしかし、
ならば彼はどれだけの経験と研鑽を積んできたのかが想像も出来ない。
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､. ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : | （お父さんの修行と言っていたのも、
: : : : :./ 1/ .i l＼:| ＼| |: : |＼;! きっとそれはただの「基礎」なんだ。
: : ,､: :{ |-‐‐-| .|:ヽｉ
: :{ ヽ' ! | ﾊ:_} やらない夫はその「基礎」を活かすために
ﾊヽ ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ ヽ＿＿＿＿___ﾉ } 常にあらゆるものに目を配り、集中し、
ハ: :｀-', ! | | ! ! ' ! |' | | 川/ ノ 蓄えて自分の力としている………）
〉: :.:∧ 〃'ー──-----､ ,ｲ"´
￣ ＼ ヽ＿＿＿＿＿_丿 ／
＞､ ,イ´
,────､＿_｀ ,‐──┬'"´ ＿＿
/ | ! |￣l￣ ｀ヽ
. | ｰ──' ﾘ }
114 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:49:08 ID:i8gITY67
二１８１．
┏──────────────────────────────────────────────┓
何が、そこまでやらない夫を駆り立てるんだろう―――？
┗──────────────────────────────────────────────┛
次第に焼けてきた魚を見下ろし、その疑問に行き着いた。
自分という弟子を教えているこの瞬間ですら、やらない夫にとっては自身を鍛えるための修行になってしまう。
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ……
（(
▽ ） ) |`ゝ
/ヾ、 ノ _／/´
〔!;;;;ぅ (（ (( ／ :;/'
λ。ﾉ ） ） 丿 /@,;)ゞ ｼﾞｭｳｩｩ
Y （( ( ノノ /
｜ ∴∵ /
／/》||ヾミ＼
＿/
_／;@/
/",:;ン ｼﾞｭｳｳ
/,／
`V
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
' ｀ ､ヽ
l ,‐-,.._ ゞ
. l l 弋心 l
. l 冫.ー く
l l ﾉ!
l ｀ー‐ f ｒ'
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
じっと瞳に炎を映し、黙っている彼の横顔を眺めてジュンはふと、
|:.:.:.:.∧:.:| |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
}:.:.:.:.ヾ:.:.:', |:./ .V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
>:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ V:.:.:i{ ゞテ＝ァ ||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
/:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.|| {辷zり .|| ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
（ねぇやらない夫――― . /:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ // ／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
君は、一国の騎士に収まる器なのかい？） /:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::> ゞ' ´ || { ￣￣￣￣ 入 ソ/:.:.:.:._＿／
￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ / ／:.:ヽ￣
ﾚ'´ ヽ | ＿ /-'´／￣
ヽ ￣_ /￣゛゛
＼ _ ィ|
｀ ､ イ ｙ入
ニi ´ ／ ヽ
／/ } / |＼
/ / ﾉ / | ￣ ' - ､
/ V'´￣￣ ../ | ｀ ' - ､
.／/ /::::::::::::::／＿＝=-､＿ | /ヽ
そんな事を思ってしまった。
115 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:50:10 ID:i8gITY67
二１８２．
穏やかな沈黙が満ちてしばし。
やらない夫はもう良いか、と呟くといつの間にか岩の上に座っていたジュンに
焼けた魚を差し出した。
／￣￣＼ (((
／ _ノ ＼ )))
| （ ●）（●） |`ゝ 「焼けたぞ。
. | （__人__） _／/´ ジュンが自分自身で捕まえた魚だ、
| ｀ ⌒´ﾉ ／ :;/' ゆっくり味わって食べると良いだろ」
. | } /@,;)ゞ
. ヽ } /
ヽ ノ ｍ/
/ ￣￣￣ つﾉ
| |￣￣￣
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
「うん、いただきます！」 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV
l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
117 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:51:10 ID:i8gITY67
二１８３．
思いっきりかぶりついてからあちちち、と慌てた様子で口を離したジュンはしばらくそのまま動きを止めていたが、
突然くるりと反対を向いてしまう。
/|, -──---,
〈 . :.::::.:.:.:.｀`く
, ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ
∠.:／.::ﾊﾊ|:::::::::1::::.:.:.:. ＼
ム:从r'''''|/Ｎ:::|.;;;!;;;;;;;「￣
「………はは、ちょっとしょっぱいや。 l/N￣|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|
やらない夫、塩かけ過ぎたんじゃない？」 `|￣ﾉ└‐┘｀`ウ'ﾞ
＼ ー' ,..ィ二［
ｸﾞｽｯ ￣r'"´,. -‐L_
∠二 1i
| `ヽ| | ',
| .:j. | ﾄ､
/ 〈 | | |
/ __ ＿＿」. | | |
火傷でもしたかと口を開きかけたやらない夫は、
背を向けて串焼きにかぶりつく彼の声が鼻声だった事には気づかないふりをして、自分も一串を手に取った。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ー）（ー） 「ああ、そうかもな」
. | （__人__）
| ｀ ⌒´ﾉ
.ｌ^l^lｎ } ﾓｸﾞﾓｸﾞ
. ヽ L }
ゝ ﾉ ノ
／ / ＼
／ / ＼
. / / |ヽ、二⌒)､
ヽ＿＿ﾉ
118 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:52:09 ID:i8gITY67
二１８４．
それから静かな食事が続いた。
薪の爆ぜる音が時折空気を震わせ、月の女神の分身とも言われる蒼い月が二人を見下ろしている。
・ .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;., ;,::;
;:;;: , .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:, *:,; ;.,;,::;;。,... .. ;:
;:;;: , .,., .,. ;:;: :. :. .: : -‐- :. .:.::. .:.: :. .:.: ,.:;,;,:,★:,; ;.,;,:: .,...
;:;;: , .,., *., . : ,r'´. ｀ヽ: .. : :. .:.::. .:. . . ;:;: ,.: ;,;
＋ .: ..: :' ..:. ﾞ; ::: :. :. .:.:. .::;:;;: , .,., .,. ;: ; ,;,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;:
: :. ::.. .: :. .:.::. :. . :. ;:;;: , .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:, *
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,..: ..: :ヽ ::::... ..... ,.': :... :. :. . :.::,; +;.,;,:: .,... .. ;:
;:;;: , .,., *.,::.. :..:. :` ｰ- ‐ ''"... . .::: . ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;* ,::;;,... .. ;:
:: . ::. ::::. ::.. ::.. ;:;;: , .,., .,. ;:;:
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;＋ ,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;:
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;: ,.,.,
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ー）（ー） 「………本当に、強くなりたいんだな」
. | （__人__）
| ｀ ⌒´ﾉ
. | ｎｌ^l^l
. ヽ | ﾉ
ヽ ヽ く
/ ヽ ＼
魚を捕れるようになるのは明日の予定だった。
それよりも先に到達した、ジュンの成長の早さに驚いていたやらない夫がふと、呟きを漏らすと、
手を止めたジュンはうつむき、考え込む。
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼ ,
ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
ﾚ､:ﾚ´∧ / ｀ ＼ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ 「……………」
ミ,;,;:.::| ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
,＿＿ r‐─ v'´ ヽ ／ヽ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
/.: : : : : : ＼: : : :＼ ､ ヽ ' |'' ´ ﾚハ:.:./
/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼ ヽ_ , -―
.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
119 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:53:09 ID:i8gITY67
二１８５．
しばしあって。
自分の今の正直な気持ち、決意を確認した彼は、まだ見ぬ高みがそこにあるかのように夜空を見上げた。
＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
>:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.| |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_ //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:| 「父さんの名誉の為に、君への感謝の為に………
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.| 避けられない戦いの為に、そして何より自分の為に………
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::. | | 辷り｀ |}_ r-Vｿ:.:∧} 僕は今この時に、強くならなければならないんだ」
／:.:.:.:ヽ::::::::::i::::::::::: ヽ廴_ <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
フ/:.:.:.:.:.＼:::::::::::::::: ￣ヾ=ﾉ <-ﾝ /:| .V
´''- ､:.:.:.:./:::::::::::::::: /=テヾ|
ヾ/:::::::＼::::::.. ー - /
/:::::::::::::::::::::::::... - .／
／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::... ／
／ ∧::::::::::::::: /｀ 'ー - ' ´
ノ | }ヽ:::: /_
￣￣ .| ＼ { ヽ
.| / ｀ ー='´ ＼
120 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:54:08 ID:i8gITY67
二１８６．
┏──────────────────────────────────────────────┓
今こそ、強くなる時なんだ―――
┗──────────────────────────────────────────────┛
｡ ::::: * *
::::;;:::: ｡ o ｡ o ﾟ ﾟ
::::: ｡ ｡ ｡
ﾟ . ﾟ :: . ﾟ :: +
* * ::;;:: ﾟ * ::;;:: ﾟ ; ;
::: ｡ ﾟ ::;;;:: ﾟ ::;;;:: ` : ` :: :::;
* ::;;;: o + :: :::::
:: , ; ; ::::; ::::: ｡ . ﾟ ::
. ｡ o ﾟ . ﾟ :: * ::;;:: ﾟ
｡ . * ::;;:: ﾟ ｡ ﾟ ::;;;::
. ﾟ :: . ｡ ﾟ ::;;;:: * ::;;;:
* ::;;:: ﾟ ; * ::;;;: ; ; ::::;
ﾟ ::;;;:: ` :. ; ; ::::; o ﾟ
o + :: , ; o ﾟ . ｡
ジュンはやがて知るだろう。
運命の分岐点に現れた「強くなる時」の奇跡、その時やらない夫が隣に居た事の意味を。
121 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:55:09 ID:i8gITY67
二１８７．
そしてジュンの予想通り、教える事で自分を見つめ直していたやらない夫が言った。
（⊃￣￣＼
（⊃ _ノ ＼
（⊃ （ ●）（●）
| （__人__） 「俺としても教え甲斐があるだろ。
| ｀ ⌒´ﾉ こんなに真面目で成長力のある弟子だと
| } ＼ こっちも学ばされる事が多いしな」
／ヽ } ＼
／ ヽ､＿＿__ノ ）
／ . | ＿／
| ／￣￣（＿)
＼ ＼ ／| ＪＪＪ （
＼ ／ ／⊂＿）
,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
/.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
「そ、そう？」 |! : : : : : : l l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
ｲ!: : : : :i: : !. !:/ l: : :/ ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
/l: : : :,∧:厶-‐､ ﾚ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
!.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
.l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
.ﾚ'l: :/ ﾘ |:| ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
ﾚ'’ ヾ ＿__ノ.' ヾ: ､＿＿.ノﾉ ´rﾊ !:、:| ヾ
i￣￣ i ￣￣￣ ムｿ:.;ﾊﾉ
､ r彡;〃´
ヽ ヾﾆフ ﾉﾚ'´
＼ ´ ,L. -‐ ､_
ヽ . _ ， , ィ´ ,.､二ミ:ｫ
,.-‐=ﾆj,.ィ'´ ／￣ "¨ヾ＼L、
_r'´ レ" _ﾆ=′ 二ﾆ= ＼
rく ヽ j ,-=ﾆ¨ イ=‐- ､ >"
123 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:56:09 ID:i8gITY67
二１８８．
／￣￣＼
rヽ ／ ノ ＼ ＼
i ! | （●）（●） | 「ああ。
r;r‐r/ |. | （__人__） | しかもジュンは基本がしっかりしている事もあって
〈_L (｀ヽ .} | ｀ ⌒´ ﾉ 半端じゃない成長速度だぞ」
l｀ （ ｀`/ . | }
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ｨ ヽ
やらない夫ですら見誤ったジュンのそれは、
おそらく第三者が見たら魔法や洗脳、催眠や怪しい薬による一時的な無茶な底上げと思われてもおかしくない。
|:.:.:.:.∧:.:| |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
}:.:.:.:.ヾ:.:.:', |:./ .V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
>:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ V:.:.:i{ ゞテ＝ァ ||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
/:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.|| {辷zり .|| ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
「何もかも……… . /:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ // ／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
君のおかげだよ」 /:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::> ゞ' ´ || { ￣￣￣￣ 入 ソ/:.:.:.:._＿／
￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ / ／:.:ヽ￣
ﾚ'´ ヽ | ＿ /-'´／￣
ヽ ￣_ /￣゛゛
＼ _ ィ|
｀ ､ イ ｙ入
ニi ´ ／ ヽ
／/ } / |＼
/ / ﾉ / | ￣ ' - ､
/ V'´￣￣ ../ | ｀ ' - ､
.／/ /::::::::::::::／＿＝=-､＿ | /ヽ
決して自分には才能があると思っていないジュンはその全てがやらない夫のおかげだと頭を下げたが、
彼はそれは違うときっぱり否定した。
124 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:57:08 ID:i8gITY67
二１８９．
／￣￣＼
／ _ノ ＼ 「いいや。
| （ ●）（●） 教える事も学ぶ事も誰にだって出来る。
. | （__人__） 問題は本人のやる気だよ、
| ｀ ⌒´ﾉ ジュンは心の底から強くなりたいと思っている。
. | } 集中力も凄いし吸収力だって相当なもんだ。
. ヽ } すぐにシンジなんか足元にも及ばなくなるさ」
ヽ ノ ｍm
/ ￣￣￣ つﾉ
| |￣￣￣
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
「君は？ / .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
君には追いつけるか？」 / :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
| .ﾄ'' ! .| r―┐ | ,// :. ｌ / ｀ヽ、
目標の到達が可能なものと知り、次の目標が欲しくなったジュンは目の前の達人に
それを定めたくなったのだが―――
126 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:58:09 ID:i8gITY67
二１９０．
眉を動かし、察したやらない夫はははは、と笑った。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ⌒）（⌒) 「いつかは追い越されるかもな。
. | u （__人__) だけど俺に教わってるようじゃまだまだ。
| |r┬|}
| | | |} 取り合えず試験までに教えなきゃならない事は山ほどある、
. ヽ ｀ﾆ} それを全部覚えられたら及第点をやるよ」
ヽ ノ
/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)､
,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
/.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
「そっか。 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
まぁ、そうだよね」 |! : : : : : : l l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
ｲ!: : : : :i: : !. !:/ l: : :/ ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
/l: : : :,∧:厶-‐､ ﾚ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
!.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
.l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
.ﾚ'l: :/ ﾘ |:| ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
ﾚ'’ ヾ ＿__ノ.' ヾ: ､＿＿.ノﾉ ´rﾊ !:、:| ヾ
i￣￣ i ￣￣￣ ムｿ:.;ﾊﾉ
､ r彡;〃´
ヽ ヾﾆフ ﾉﾚ'´
＼ ´ ,L. -‐ ､_
ヽ . _ ， , ィ´ ,.､二ミ:ｫ
,.-‐=ﾆj,.ィ'´ ／￣ "¨ヾ＼L、
_r'´ レ" _ﾆ=′ 二ﾆ= ＼
rく ヽ j ,-=ﾆ¨ イ=‐- ､ >"
今は悔しくなかった。
むしろやらない夫には、絶対追いつけないと思えるほどの高みに居て自分を引っ張り続けて欲しいと思う。
それがどのぐらい贅沢な望みかは分からないが―――
127 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 21:59:09 ID:i8gITY67
二１９１．
教わっている内はまだまだだよな、と納得して冷めてしまった魚に口を付けたジュンには、
目の前にいる自分と同い年のこの少年が、父親よりも大きな存在に感じられて仕方がなかった。
剣の腕よりも、見聞の広さよりも、その器の大きさとまとう雰囲気、そして黒々として真っ直ぐな眼差しが
自分を惹きつけて止まないのだ。
￣ ､
´ ＼
／ ヽ
/ ､＿ ヽ
' ｀ ､ヽ
l ,‐-,.._ ゞ
. l l 弋心 l
. l 冫.ー く
l l ﾉ!
l ｀ー‐ f ｒ'
l ﾉ'
! /
,' /
￣ ｀ー - /
｀ ､ /
:.:.:.:.:.:... ､ ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. .:.:ヽ _ ´
ー- :.:.:.:.:.:.:.:.. ..:.:.:.:.:.:ヽ
｀ ､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
／l
Λ／ 〈 へ、
ヘ| ,＞
∠ / 〉ヽ ￣＼
/ ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､ ﾄ､l
（男の僕から見ても |／| .ﾊ|__ |/＿__ ヽ ヽ
魅力的だと分かるものな） l/ |‐| |―ヽ＿|
| ￣ c ￣ 6 l
. ヽ (＿＿＿_ ,-′
ヽ ＿＿＿ ／ヽ
／ ＼∨／ l ＾ヽ
| | | |
128 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:00:12 ID:i8gITY67
二１９２．
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,､‐,l,: : : :,,ll,i,_ﾞﾞﾞllllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,ﾞl,、:,illilllllli,l,: ,lliillﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾟ”￣
lllil!llilﾞ゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i､
l!lilllﾞιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lllﾞ!liill!llllil,i､
illll!`lll:,lllllll!ﾞﾞlﾞ!!ﾞlllllﾞ!lllllll,llll,,ﾞ!lliﾞllll!llil,i､
!l】l::lllﾞllllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,ﾞlli、ﾞﾞlllll,,、
ilﾟ,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,ﾞlll ﾞﾞﾞ!l,,、
lﾞ,lllllll|llllllll:.､:::x,、:､:|'llllllllll.lllllli,lli, ﾟﾞ=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ﾞ'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li, （いやいや、僕は男色の気なんかないぞ）
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,lﾞ'llli,"ll｀ .'!li,,
llilllll:ﾞllllllllll､､:､:ハ::ﾞi!ﾞ,l｀|lli"ll
lllllll:_,ﾞllllllll〆":'│::.ﾞ.:｀､.＝,｢
!|llll'｀::'!llllﾞli､丶'|,!::::::::::::::i!lﾞ,!
::)ll′: :ﾞ!llﾞﾞl: : ::|:．: : : : :`|::l、
、'l、:: : :ﾞ!!::｀::、U,、,:、..,i,|、ﾞi,、
、::｀::: 丶丶丶:::ﾞ!i{h,､_,ｼ｀::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : ｀: : : : :lﾞ
: : :｀: : : ::｀: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
､、: : : ::::::::｀:::::::::::::::::: ,,-｀
: ｀"'ヽ,,: : : : : : :｀:_,,r,i´
: : : : : :ﾞ・: : : ::‐'''~｀
と自分を確認してぶんぶんと首を振ったジュンは、ふと思ったことがあって尋ねてみることにした。
129 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:00:20 ID:i8gITY67
＞'´ ／ ∧ ｜ i| ヽ. ＼
／ ／ /::::ヽ _,斗:.:.:.: : | ! :... ＼
〉 ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ﾄ､ | :.:.:... : :..｀ー-､
| | ｉｌ ::| ! ::∧:. :. ,=‐ｉ :.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
/ .:.:.:.:| i| ::| | / ,ｨ|,.イ´__ ∧ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
/ :::／イl| ｌ| ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
./::／ / | |´戈¨Ｔ |ﾄ==､|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
ﾚ'゜ / ／ iヾヽ! 辷_ソ｣| ヽ=＝＝==' ﾏヽ.:.:r-‐'´
「やらない夫は……… ｒr‐、 レ' ﾚ'〉 ! ヾﾆ==＝ ′〈 'ノ::;;;>
恋人とか、居ないのかい？」 ﾄ' | ￣ヾﾇ、 ｀ ,/‐'´
| | ￣ヽ ー‐ /
..ﾉ l'⌒! ＼ _, ィ´
´ ノ^ヽ '､ ｀¨ﾆt- -‐' ﾄ-┐
／｀ヽ.ヽ、 ＿ /´iイ |/ ヽ―-- ､__
‐'´｀ヽ. ｉ､ ／i ゞ7″ | ′ ／ | ｀ヽ、
＼ イ-' ヽ ／ i / ,ﾍ |＿___,_／ |―､ | / ヽ.
ヽ. ″ ｌ ／-‐'´ | .//／ ヽﾄ-―/ニ,ﾉ ＼| / ＼'､
＼ l. ,.-‐' : ﾚ' ′ く ! // / ヾ、
| .ﾄ'' ! .| r―┐ | ,// :. ｌ / ｀ヽ、
130 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:01:09 ID:i8gITY67
二１９３．
さすがのやらない夫もこれには予想外だったらしく、珍しくうわずった声をあげる。
＿＿
／ノ ヽ＼
／.（○）（○）＼
|. u. （__人__） | 「なな、何だ？
. | | 突然っ」
| |
. ヽ ﾉ
ヽ /
/ ヽ
| |
| . |
,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
/.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
「いや、君みたいな男だったら |! : : : : : : l l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
とてももてるんじゃないかと思ってさ」 ｲ!: : : : :i: : !. !:/ l: : :/ ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
/l: : : :,∧:厶-‐､ ﾚ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
!.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
.l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
.ﾚ'l: :/ ﾘ |:| ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
ﾚ'’ ヾ ＿__ノ.' ヾ: ､＿＿.ノﾉ ´rﾊ !:、:| ヾ
i￣￣ i ￣￣￣ ムｿ:.;ﾊﾉ
､ r彡;〃´
ヽ ヾﾆフ ﾉﾚ'´
＼ ´ ,L. -‐ ､_
ヽ . _ ， , ィ´ ,.､二ミ:ｫ
,.-‐=ﾆj,.ィ'´ ／￣ "¨ヾ＼L、
_r'´ レ" _ﾆ=′ 二ﾆ= ＼
rく ヽ j ,-=ﾆ¨ イ=‐- ､ >"
雛苺の態度の変化を思い返しながら言うと、目を白黒させたやらない夫はないない、と首を振った。
131 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:02:08 ID:i8gITY67
二１９４．
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ⌒）（⌒)
. | u （__人__) 「考えてもみろ、
| |r┬|} 俺は旅をしていたんだぞ？
| | | |} そんな余裕あるかっての」
. ヽ ｀ﾆ}
ヽ ノ
/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)､
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
「じゃあ、これからは？」 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV
l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l
l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:.
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
133 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:03:08 ID:i8gITY67
二１９５．
／´￣￣ ￣￣｀＼.
／: : : : ＼
/: : : : : '.,
|: : : : :|
| : :u : : : : : ., :| 「さぁな。
|:: : : :＿ ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_ :| 今までそんな事考えもしなかっただろ。
|::::;;;（ ●） ﾉヽ （ ● ） ;;:::|
|: : : ´"''", "''"´ :l そういうお前はどうなんだ？」
',: : . . （ j ） ./
＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′ /ハｰ､＿_
／: : r':| r'￣二ﾕ ./ : ',: :: :: :＼＿_
: : : : | .| | / ) ｀) ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
: : : : |.ﾉ. ﾉ / ⌒ヽ＿ ／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
: :: :: :＼ ヽ- ´ .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
: :: :: : l: ｀ー┬-､ ト､. /: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
: : ┐|: :: :: :: :＼） ７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
: : イ .|__/ ,へ/⌒＼ ./iiii〈 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
イノ : : / /: :: :＼＿ ￣＼ii｝ |: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|
俺ばかりに喋らせるなよ、とやらない夫が反撃に出ると
興味津々の表情から無表情になったジュンは、わかりきった事を聞かないでよと早口に答える。
／l
Λ／ 〈 へ、
ヘ| ,＞
∠ / 〉ヽ ￣＼
「僕？からっきしですよ？ / ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､ ﾄ､l
貴族学級に行かないで家庭教師を |／| .ﾊ|__ |/＿__ ヽ ヽ
付けてもらってたし縁がないよ」 l/ |‐| |―ヽ＿|
| ￣ c ￣ 6 l
. ヽ (＿＿＿_ ,-′
ヽ ＿＿＿ ／ヽ
／ ＼∨／ l ＾ヽ
| | | |
134 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:04:08 ID:i8gITY67
二１９６．
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ⌒）（⌒)
. | u （__人__) 「縁、か。
| |r┬|} 俺も無いなぁ」
| | | |}
. ヽ ｀ﾆ}
ヽ ノ
/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)､
冒険者の世界なんて無骨な男ばっかりだと勝手に想像していたジュンは
無理もないねと納得してから渋い声でぼそっと漏らした。
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､. ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./ 1/ .i l＼:| ＼| |: : |＼;!
「お互い、哀しいね」 : : ,､: :{ |-‐‐-| .|:ヽｉ
: :{ ヽ' ! | ﾊ:_}
ﾊヽ ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ ヽ＿＿＿＿___ﾉ }
ハ: :｀-', ! | | ! ! ' ! |' | | 川/ ノ
〉: :.:∧ 〃'ー──-----､ ,ｲ"´
￣ ＼ ヽ＿＿＿＿＿_丿 ／
＞､ ,イ´
,────､＿_｀ ,‐──┬'"´ ＿＿
/ | ! |￣l￣ ｀ヽ
. | ｰ──' ﾘ }
135 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:05:12 ID:i8gITY67
二１９７．
＿＿＿__
／ ＼
i ヽ
.,-' ,‐ｉ" _ノ ヽ､_ i
./ //´l （ー） （ー） i
.l '-;;;;l （__人___） i 「ああ………」
l │;;;;｜,,'｀⌒ ´ i
l ＼⊥ ,i
/ / ｉヽ, /
.,､ ｉ .' ／,‐'.l＼ ／l )),
.l ＼ .ｉ､ ム ｀‐､_｀￣￣´-‐'´ .ヽ
.l ｀‐-'ｉ _.-ヽ .,-､ｉ ｉ,‐､ . / .｀‐､_
.l .ｉ l l l l l / ｀‐､_
.l .l .l/ ヽ ,' .l/ , , ｀‐､_
/l .l /‐-l . .,.' .,' ,-‐｀ｉ
ちなみに二人は自覚していないだけで、これまで出会いや切っ掛けが無かった訳ではない。
単に、妹の邪魔や本人の鈍感が悪い方向に働いていただけだ。
その証拠に、もしこの会話を聞いていたら憤慨する女性が、現時点で世界に数人はいる。
137 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:06:08 ID:i8gITY67
二１９８．
二人は顔を見合わせて寂しく笑い合ったのだが、
嫌な雰囲気を変えようと串を焚き火に投げ込んだやらない夫が言った。
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ー）（ー） 「明日は仮想シンジ戦をみっちりやるぞ。
. | （__人__） 今日はもう寝よう」
| ｀ ⌒´ﾉ
. | ｎｌ^l^l
. ヽ | ﾉ
ヽ ヽ く
/ ヽ ＼
|:.:.:.:.∧:.:| |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
}:.:.:.:.ヾ:.:.:', |:./ .V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
>:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ V:.:.:i{ ゞテ＝ァ ||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
「ああ、わかった。 /:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.|| {辷zり .|| ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
おやすみ」 . /:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ // ／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
/:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::> ゞ' ´ || { ￣￣￣￣ 入 ソ/:.:.:.:._＿／
￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ / ／:.:ヽ￣
ﾚ'´ ヽ | ＿ /-'´／￣
ヽ ￣_ /￣゛゛
＼ _ ィ|
｀ ､ イ ｙ入
ニi ´ ／ ヽ
／/ } / |＼
/ / ﾉ / | ￣ ' - ､
/ V'´￣￣ ../ | ｀ ' - ､
.／/ /::::::::::::::／＿＝=-､＿ | /ヽ
同じように串を焚き火に投げ込んだジュンが身体をほぐしてから毛布にくるまると、
満腹と疲労に両手を引かれて強烈な眠気が襲いかかってくる。
138 名前： ◆GV1zPRS/Lk 投稿日： 10/08/14 22:07:08 ID:i8gITY67
二１９９．
/ ／.:/.: i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/ |/ l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
/.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ lﾄV （へへ。
l.:.:/l .: ﾊ:lN{ 辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ l1 l 貴族学級の合同旅行なんて行かなかったけど、
l:/ l.:/ lL_ ＿＿ノ , ヽ _二 ノ.:.:. こんな感じだったのかな）
l/ ､__', / .:.:.
ヽ r‐‐ｯ /.
入 ,..ｲ.:.
. '´ i.:.＼＞ -- ＜/
／ |.:.／＼ ノ.:
つい半年前それに参加した妹の話では、夜は夜で好きな人だの好みのタイプだの、
浮ついた話で大層盛り上がったらしい。
食事の後片付けをしているやらない夫の背中を見つめながら、そんな事をぼんやりと考えたジュンは
とても幸せな気持ちで眠りへと落ちていった。
─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
第二章 強くなる時 ┃
┃ END
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
139 名前： ◆GV1zPRS/Lk [sage] 投稿日： 10/08/14 22:07:43 ID:i8gITY67
本日の投下は以上になります。
閲覧、合いの手ありがとうございました！
次回からは第三章に入ります。
第三章 避けられなかった戦いは その１へ
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