508 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 21:52:02 D9Lko7sQ
三４１６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　しかしながら、兄の性格から鑑みた裏事情を推測しようにもとにかく情報が足りなさすぎる。

　　まずは一つ一つ確認していこう、と隣国に行かせていた一人娘の状況について問うと、
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.:- ' ￢ ─ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠´　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ　　　　　　～ヽ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　ヽ　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ λi_λ_(_ﾉ!_ﾉ__火,　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　　i'ta:、　ｲtｦフ' | 　　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　| .ﾌ　　　″　 | | γ　　　 ＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　「時に、ミネバはどうしている？」　　. 　 　　< ノ 　　 ゝヾ___　　　　|i.レ'　 　 　 　 ＼　ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ ﾉ i ヾ!ヽ　　　_　　|i.| ﾉ 　　　　　＼／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`'-、ﾉ　 `- ┐　　 ﾉﾉ/ 　ﾊ　　_,／´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'-ﾉ,_/.　|　　　ヽ　ﾉ/ル-"＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／´￣ヽ｀フ　　　　／/　ヽヽ＼　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　ヽ＼＼ﾍ 　 ／　/ 　　｝ ∧ ＼ 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　＼＼｀￣´　／ 　　/ /　｝　 ヽ 　 ',



―――――――――――――――――――――――――
　　一番右の封書がミネバからだ、と答えたキャスバルは
　　フリート地図の中央付近を指さした。
―――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　_ ,､-―- ､_
　　　　　　　, - ﾞ´　　　　　　 `ヽ、
　　　　 　, '　　　　　　　　　　　　`ヽ、
　　　　　,'　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　i　　　　　　　　　　　　　　 　　',
　　　　 ﾉ　　　　　　　　　　ノﾉ八 ,）　　ﾍ
　　 　 （　　　　 （(　ノﾉ∠ｲ＿　ﾉハ_リﾘｿ
　　　　 ｀)　　　　 Y＜;;::;;;;;:::;;;;｀´;;;;;;;;;!ﾉ
　　　　 ﾌ　　　,ﾍ　|ヽ;;;::;;;;;:::／ヘ;;;;;;;ﾉ
　　　　 ヽ　　｛Kﾉ　ゝ`'''ｰ''′　, 〉 i
　　　　 　）)　 ヾﾄ ヾ　　　　 　 　 /　　　　 　 　 　 　 「アナハイムだ。
　　　　 ラ　( （ﾉﾚ ＼　　　´ ￣ /
　　　　,イルゝトミtr､. ＞ 　_＿/　　　　　　　　　　　　 小規模だが魔竜と同時期に合成獣の襲撃があったらしく、
　　　ノ::::::::::::::::/:.:.:.ヾクﾊ_入くヽヽ_,,､-ｰｰ-.,､　　　　　 町に入るかどうか迷ったそうだが―――」
,､-＜:::￣:｀ヽ;/:.:.:.:.:.:.:.ヾｔｆｰ┬イ:.|ヽ;:ヽ:::::::::::/ﾍ､
､:.:.:.:.:.:｀ヽ;::／:.:｀ヽ;.:.:.:.:.||:.:.:.:|.:.:|.::|トヽ:.:ﾍ:::::/:.:.:.ﾍ　
:::ヽ:.:.:.:.:.:.:.y:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ､;.li:.:.:.:i:.:.:!ノ｀ヽゝ:.::∨:.:.:.:.:.:.:ヽ　
;;;;;;ゝ-ｰ:':':′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｲiｰ-十イ:.:..:.:.:.:.:.:.:.il!:.:.:.:.___ノ)）
:.:.:.:.:|i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:!:.:.:.:.|:.:.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i!:.:.ノﾉ´「ソ
:.:.:.:.:.i|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!|:.:.:.:.:i:.:.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.li:/ﾉ:.:.:.:i:.ヽ

509 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 21:53:01 D9Lko7sQ
三４１７．



┏─────────────────────────┓
│　　観察の結果、今のところ再襲撃の兆しがないことから 　   │
│　　補給がてら逗留し、こちらの指示を待っているそうだ。　　│
┗─────────────────────────┛


┌─────────────────┐
│総歴一九九三年フリート地図（Ver2）　　    │
└─────────────────┘
　、　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ┌─────┐ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　ヽ､: : : : : : : : : : : : : : : : : : :　　 | 　タオ砂漠　..| : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　 ﾞヽ_: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.└─────┘: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　＼: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　ゝ　　　　　　　　　　　　　　 ／''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''"￣　ｷ ￣￣''''"
　　　　　　　　ﾍ　　　　　　　　　　　_..ノ" 　　　　　　　トリントン○　　　1 　 　 　 ┌───────┐
　　　　　　　　　!￣￣￣￣￣￣￣´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　│　エゥーゴ王国　...|
┌─────┐　　○ラビアンローズ　　　　　　　　　　　　　　 　 　 │　　　....└───────┘
│　聖刻の地　|│　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |
└─────┘!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　○アナハイム　　　　 　 　 　 |
　　　　＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
　　　　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ペズン村・ 　.|　　　　アクシズ大河
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l
　　　　　　　　　　｛　　◎聖都アルビオン 　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿_/
　　　　　　　　　　│　┌─────────┐　　　　　　弋￣
　　　　　　　　　　│　│　フリート神聖王国　　.|　　 　 　 　 　 ヽ　○オーガスタ
　　　　　　　　　　│　└─────────┘　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　 ノ　　　フォン＝ブラウンの森　　　　　　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　／　　　森森森森森森森森森森森森森森　　　 　 　 |
　　　　　　　　＼　　　　森森森森森森森森森森森森森森森　 　 r'’
　　　　　　　　＿| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　|
　　　　　　　　!＿＿＿......-‐"　　　　　　　　 ｀''''''''''''''￣￣￣＼__／￣￣￣￣''''''''''''ｰ----------..
　　　　　_..‐'"；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；!
　　......r‐’|；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；； /
⌒'’　　　|；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；； / ○エスメラルダ
　　　　　|；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；；＼　　　　　　 ┌───────┐
　　　　　|；；；；；；；；；；；┌────────┐；；；；；；；；；；；,'　　　　　　│　ローゼン王国　 |
　　　　　|；；；；；；；；；；；│　ローンデルギア　...|；；；；；；；；；；；；!　　　　　　└───────┘
　　　　　|；；；；；；；；；；；│　大湿原　　 　 　 　 |；；；；；；；；；；；；|
　　　　　|；；；；；；；；；；；└────────┘；；；；；；；；；；；`

510 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 21:54:20 D9Lko7sQ
三４１８．
――――――――――――――――――――――――――
　　―――と、そこでハマーンが辻褄が合わない事に気づく。
――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 _＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　 . : :´￣ . : : : :￣｀: : . 、
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　 . . . . : : : : : : :.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　／　　. . . : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.: : .､
　　　　　　　 　 　 　 , ′　. . . : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:. : :､
　　　　　　　　　　　/　 . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.: : : '.
　　　　 　 　 　 　 /　. . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.: : : : '.
　　　　　　 　 　 /　 . . : : i、: :、乂: : : :{: : : j!: :.ﾉ: :!:l:.:.:.: : : : :'.
　　　　　　　　／　. . : : : :从乂:＞､｀ソ ゝ:ノﾉイ__ノｲノ:.:. : : : : '.
　　　 　 　 ／/　. : : : : :,小　弋¨えゞ、 /,ィえ¨才 从:.:.:.: : : : : :'.
.　　　　 ／／　. . : :/　. いﾍ 　 　 　 　 :　　　　　ムﾉ:.:.:.:. : : : : :'.
.　 　 　 ／ . . . : :// 　. : : |:.ﾍ　　　 　 ､;　　　　 / Ｎ:.:.:.:.:.:.:. : : : :.',　　　　　　「………待て。
　　　　 ヽ . . : : // . . : : : :Niハ 　 　 , - ､　 　 /:.:.|:.:.:.:.:. i!.:.:. : . . :.'.､　　　　　 なぜ彼の居ないアナハイムでも襲撃が？」
　　　　 　 ＼. //:/　. : : : : :|:.:.: ＼　 ｀二´　　ｲW/:.:.:.:.:.:.:|!:.: : : : . . .:ゝ
　　　　　　　 ヾ.:/ 　 . :i : : :i|:.:.:.:.:.:| 　、 _　イ!.:.:.: |i:.:|i:.:.:.:.:|!i:.:.: : : ／
　　　　　　　　　｀ ＜. ｉ|: : :.ｉ|:.:.:.:.:.:|　　　　　 |.:.:.:.:|i:.:|ｉ:.:.:.:.:|!::＞ "
　　　　 　 　 　 　 　 ｀ ＜:_ｉ|!＿:.:.j　 　 　 / |:.:.:.:.|i:.i|i＞ "´
　 　 　 　 　 　__＿......,,,,r≦≠＝′　　　/　い≦＜,,,_＿__
　　　 　 　 ,イ//////////ﾊ､、　　 　 　 　__ ....　∠////////ﾊ､_
　　　 　 ///////////////ﾊ ､、　 __ ノ　 _ .イ/////////////ﾊ
　　　　////////////////////≧==≦//////////////////ハ



　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .　- －＝－- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　: ´　　　　 　 　 　 　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ',
　　　　　　　　　　　 　 　 　 j　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ',
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　ｉ | !　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　 .:　　　　　 {｛彡イノノノ ハソ ﾊ　　i
　　　　　 　 　 　 　 　 　 {　 　 {　　 从////////ﾊィ//ﾊリ　}
　　　　　　　　 　 　 　 　 i　 　 乂У　∨/////／∨////ソﾉ
　　　　　 　 　 　 　 　 　 乂 　 　い　Ｙ ｀ー "´　　 ∨/ｲ′
　　　　　　　　　　　　　　 彡　　　Ｙ从ミ 　 　 　 　'"´ ７　　　　　　　　「………なるほど。
　　　　　　　　　　　　　　　八　　　ミ、　 　 　 ⊂ﾆ7　/ﾐ
　　　　　　　　　　　　　　　い　　　У ヽ　　　　 ｰ　 /ﾊ 　 　 　 　 　 　 訪問の機を狙えるほど追跡していたのなら
　　　　　　　　　　　　 　 　 ゞ＝=ﾘﾉ､、　 ＞ 、　　 /ﾉ　　　　　　　　　　アルビオン以外に戦力を分散していたのはおかしいな」
　　　　　　　　　　　　　 　 /:::::::::/:.:.:.:.:.:.≧ｘ､、_￣彡､、
　　　　　 　 　 　 　 　 　 /:::::::::/:.:/　　｀ '･＜: : |!:.:.:.:|:.:.|
　　　_ ...... _　　　　 .．＜｀::::::､/:.:/ ☆ ☆ ☆　〉:|!.:.:.:.|:.:.|
　／::::::::::::: ｀Y￣｀ヾ::::::::::::::／:.｀:.:.＞ ．　　　/:.:.|!:.:.:.:|.:..|､、_ 　 　 ＿
　::::::::::::::::::::::∧__＿:j＞.:"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:.:.:.＞.:.:.:.:|!.:.:.:.|:.:.|:::::::|｀`:y':::::::::｀ヽ.
　::::::::::::::::::::::／∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀.:.､j!_＿j／i!｀ｰ:.:､:ｊ::::::::::::::::::ﾍ



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　やらない夫がフリート入りした程度の情報であぶり出しを測っていたのなら
　　襲撃時期が合いすぎているし、
　　アルビオン入りが分かる程に追跡していたのであれば
　　戦力を分散させておく意味はないはずだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

511 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 21:55:01 D9Lko7sQ
三４１９．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もちろん推測でしかないのだが、少なくとも自分達が妖術師の立場であれば
　　別の町―――もしくは町ですらないどこか事を起こすし戦力の分散はしないだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　 　 　 　 ／:::::::::::::::::::::::::.:::｀:ヽ
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:､
　　　　　　,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
.　 　 　 /::::::::::::::::::::::ﾍノ!::::|::::::!::::::|:::!:::}:::i:::::}
　　　　/:::::::::::::::::::::::::::厂 ≧rx|::::::j:/:ｲ:ノﾉ:ｲ
　　 ／:::::::::i:::::::::{こj::::i　弋ﾆｾゞ､イｲfｱｲ::::::＼
　／:::::::::::::i!:::::::::じｲ::::|　　　　　　｛　　/::::ヽ::::::＼　　 　 　 「彼の味方に加わるであろう戦力が
　＼:;ｲ::::::i!|::::::::: ゝｊ:::::!　　　　　 　ゝ /:::::!:.::ヽ:::::::::>　　　 　 一番充実している聖都で事を起こしたのも不自然だ。
　　　'＜::il:|:::::::::::::;:!::::ｊ　　　　-─　, ′::::!::::::::ﾄ／
　　　　　ヽi;;;;;;;;;;;;;j'"´　＼　　　 ／::::|::::::＞'"´ 　 　 　 　 　 責任のやり場を求めた誰かが吹聴した
　　,.､rｰへへ/´;;＼ 　 　 　トﾆ´_＿"´　　　　　　　　　　　　でたらめが広まった、と言うのは都合が良すぎるか？」
／´￣｀ヽ;;;;＼＼;;;;;;;;｀ヽ、　!＼;;＼;;;＼__
;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;｀ヽ､__>;;;;ヽ;;;;ト;;｀ヽ、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ::::l;;;;ヽ;;;;;｀;,,､



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 : ´　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , ´　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i　　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾉ　　　　　　　　　　　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 （　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ） {　　　　　　　 　 　 　 　 　 :′
　　　　　　　　　　　　「とにかく………　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 乂乂　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀Ｙ｀ヾ　 　 　 　 　 　 　 く
　　 　 　 　 　 　 　 　 手に入る情報から不自然に思えるだけで、.　　　 彡ｲУ　　　　　　　　　 У
　　 　 　 　 　 　 　 　 確実性のない話なのが問題だな」 　 　 　 　 　 　 　 ﾘ从乂　　　　　　　 ミ彡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 イ::::::::::::::｀ソ　　　　　 }::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 く::::::::::::::::::::::-=彡ｲ 　 ））ノ:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼:::::::::::::::::／::: 乂__У:::_/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 〃::::::::／＝ニ二三ミ〈_＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,ィイヽ　　 　 _＿ｿ´￣￣二ニ＝ニ二三::::::::￣::.:.rーｖﾍｰ:.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::＼::￣￣::::::::::::::::::::＿＿＿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::￣｀Y:::::::ﾍ



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そこに襲撃で疲れ果てた住民の気持ちやなんらかの状況が関わって
　　一番考えやすい話に傾いてしまった、と言うのは
　　やらない夫に信をおく故の盲目的な考え方だろうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――

512 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 21:56:01 D9Lko7sQ
三４２０．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿_
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 : :´￣ . : : : :￣｀: : . 、
　　　　　　　　　　　　／　　 . . . . : : : : : : :.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　 　 　 ／　　. . . : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.: : .､
.　　　　　　　 　 , ′　. . . : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:. : :､
　　　　　 　 　 /　 . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.: : : '
.　　　　 　 　 /　. . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.: : : : '
　　　　　 　 /　 . . : : i、: :、乂: : : :{: : : j!: :.ﾉ: :!:l:.:.:.: : : : :'
　　 　 　 ／　. . : : : :从乂:＞､｀ソ ゝ:ノﾉイ__ノｲノ:.:. : : : : '
.　　　 ／/　. : : : : :,小　弋¨えゞ、 /,ィえ¨才 从:.:.:.: : : : : :'
....　／／　. . : :/　. いﾍ 　 　 　 　 :　　　　　ムﾉ:.:.:.:. : : : : :'
_／／ . . . : :// 　. : : |:.ﾍ　　　 　 ､;　　　　 / Ｎ:.:.:.:.:.:.:. : : : :.',　　　　　　「だが………
...　ヽ . . : : // . . : : : :Niハ 　 　 , - ､　 　 /:.:.|:.:.:.:.:. i!.:.:. : . . :.'.､　　　　　 狙いが彼でない、とすると妖術師の目的はなんだ」
.　　　＼. //:/　. : : : : :|:.:.: ＼　 ｀二´　　ｲW/:.:.:.:.:.:.:|!:.: : : : . . .:ゝ
...　　　　ヾ.:/ 　 . :i : : :i|:.:.:.:.:.:| 　、 _　イ!.:.:.: |i:.:|i:.:.:.:.:|!i:.:.: : : ／
　　　 　 　 ｀ ＜. ｉ|: : :.ｉ|:.:.:.:.:.:|　　　　　 |.:.:.:.:|i:.:|ｉ:.:.:.:.:|!::＞ "
.　　　　 　 　 　 ｀ ＜:_ｉ|!＿:.:.j　 　 　 / |:.:.:.:.|i:.i|i＞ "´
.　　 　 　 __＿......,,,,r≦≠＝′　　　/　い≦＜,,,_＿__
.　　　 ,イ//////////ﾊ､、　　 　 　 　__ ....　∠////////ﾊ､_
....　　///////////////ﾊ ､、　 __ ノ　 _ .イ/////////////ﾊ
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　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　　｀,
　　　　 　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　　　　l
　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　　　 　 !
　　 　 /　　　　 /　 /　　　　　　　　　　 　 　 　 ､l , -　　 　 ',
　　　 l　　　　　l 　 !,ｨ　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'　　　　　　 ',
　　　 ヽ　　　　 !　 !l!　　　　　　　　　　　　 , , ノ　　　　　　　 /
　　　　 ヽ　　　 ﾄ､ ヽ　 ! /,　_,.-＿ ,ノノ ,ｨﾉl'ヽ/,　　　　　　　,'
　　　　,...ﾉ'　　　| ﾍｰヽヽl（/ l'´ ≧ﾐ､_ ,ノ'　!　ﾘ! l　　　　 　 ﾄ!_
　　r'´イﾉ　　　 ヽ ﾘ　　 r'｀　 　 ヽヾ歹､=､ヽ　,_ﾘ=､　 l　 ﾉ l ｀
　　!（　ゞ,.　　　　 ´r､　r'　　　　　　￣｀ ヽ　 /ゞｸｲﾉ /ノ ﾉﾉ
　　}ヽ､｀` ｰ-　_i´, ﾉ'.lﾍゝ　　　　　　　　　　/　 /ｰ '´_, '´
　　l　　￣｀ ｰ- ､｀ヽ､l,_　　　　　　　　_　　 l　 /　,(´
　　!　　　　　　　 ｀ ｰ-､ヽ　　　　　　　ヾ=-' ,.', ィ､丶､　　　　　　　　　「………分からぬ」
　_,ゝ　　　　　　　　 　_レ'-―- ..,'' ―＝- ,ｲ(　　　｀ヽ＼
　　　　　　　　　　　　`iｰrﾍ￣｀ヽ､｀ ｰ, - '一ｰ- ､　　 ヽ.ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 　 l　lｰ-ヽ _, -｀´　, --‐_ﾚ‐- ｀)　 /∠、
　　 　 　 　 　 　 　 　 |　| ヽ.／ r=ー'―‐'´-､ ￣ ｀ヽ///ﾆ,
　　　　　　　　 　 　 　 !　ト.ﾉ　　　, ―---=､_ヽ　l　/　＼ ヽ
　　　　　　　　　　　　　ヽ〉′　　　　　　, - ､ ｀i.| !/　　 〃,.､!
　　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　　　　 '　　　ヽ_!!l'　　　 ヽ'へ＼
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　 ｀ヽ　　　　　　ヽヽ



―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　個人的に兄に異論を申し立てるにも、
　　エゥーゴとして追放に反発するにも情報が不足している。

　　否、たまたま訪問していたミネバやアグリアスからの情報が入ってきたが故に
　　裏があるのではないかと考える余裕ができたのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

513 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 21:57:01 D9Lko7sQ
三４２１．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　やらない夫の後ろ盾を宣言した国として追放に反発するのは簡単だ。
　　されどもし裏事情があるとしたら、反発がフリートや彼の足かせになる可能性もある。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ ........ _
　　　　　　　　　 　 　 　 　 . 　´　　　　　｀ : .
　　　　　　　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　 ｀ : .
　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　 　 　 ｀ ,
　　　　　　　　　　　　i 　　　　　　　　　　　　　　　　i
　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　 　 　 　 Y
.　　　　　　　 　 　 　 !　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　　 　 　 :、 　 　 　 　 　 　　　　　　} （
　　　　　　　 　 　 　 　 Ｙ　　　　　　　　　　　　乂乂　　　　　　「判断するには何もかもが足りぬ。
　　　　　　　　　　　 　 〈　　　　　　　　　　　イＹ´
　　　　　　　　　　　　　 У　　　　　　 　 　 Уﾉミ　　　　　 　 　 支援部隊はすぐにフリート入りできるように
　　　　　　　　　　　　　ミ彡　　　　　　　_乂从ﾘ　　　 　 　 　 　 オーガスタで待機させ、
　　　　　　　　　　　　 ／:{ 　　　　　ソ´::::::::::::::＞ ．.　　 　 　 　 アグリアス隊は引き続きアルビオンにて、
　　　　　　　　　 　 　 ∨:乂（（　　乂ミ=-::::::::::::::::::::::ｿ.　　　　 　 ミネバはアナハイムにて情報収集と支援に当たらせよう」
　　　　　　　 　 　 　 　 ＼::::乂__У::::＼:::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　＿_〉ミ三二ニ＝＼::::::::::く、
　　　　ｘｰﾍｖーr.:.::￣:::::::::::三二ニ＝ニ二￣￣｀ヾ＿_ 　 　 ,へﾍ、
　　　/:::::::::Y´￣:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＿＿＿::::::::::::::::::::￣￣::／:::｀ヽ　　　　_,n＿00　　___
　　　Y::::::∨.:.:.:.:.:.:.￣￣∨:::::::!::::::::／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.￣￣￣￣｀jУ::::/　ハ　　 └l ｎ |　 　く,ﾆ ! 　　[][]「l
　　　ハ:::::i:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨::::ｌ:::::/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／/:::∨　 　 i.　　　 U Ｕ　 　 くノ　　　　くノ
　　. i　 ∨ｉj:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨:i:::/ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::∨:.／　 　 　;



――――――――――――――――――――――――――――――
　　判断は慎重に行うべきだろう、と情報収集の強化を決めた国王は
　　すぐに指示を出すべく席を立ち、
――――――――――――――――――――――――――――――

514 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 21:58:01 D9Lko7sQ
三４２２．
――――――――――――――――――――――――
　　同様の結論にたどり着いた王妃も
　　側面のことは任せておけ、と立ち上がったのだった。
――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.:::":::´￣"::::｀:::..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..:＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'.,
　　　　　　　　　　　　　　　 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　 　 ／／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　＜／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::（::ヽ::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　 ＼:::::::://:::::::::::::::::::::::::ヾヘﾍゝﾍ::!::ﾉノ::ソ::ノﾉ:::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　＼//:::::::::::::::::/こi::i 弋ｬtｭ`ヾﾍソtｭｾク:::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　〃:::::::::::::::::::∨;l::|　　　　　　　! `"´/::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　 ／⌒＼　＞::::::|:l::::::::::トi::|　　　　　　､_　　/::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;;Y;;;;;;;ヾ!:i::::::::::iヘ!　､ 　　ー -　 , ':::::::::::::::::::::::ヽ>
　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i;;;;;;i;;;;;;;;;;;iヘ:ゝ　　　　､　 　 ／:i::::::|:::::;;;;＞ '"　　 　 　 「支援と情報収集については
　　　 　 　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;l;;;;;;;;;;;!　　ﾍ　　　　＞ くｰ;;;;i;;;;;´;;;｀ﾍ 　 　 　 　 　 　 ローゼンとも足並みを揃える必要があるな。
　　　　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｝;;;;;｝;;;;;;;;', 　 　 　 　/　　 ）;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i
　　　 　 ｛;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ト;;;;;',;;;;;;;;;;',ー-､ 　 / _＿/;;;;;;;;;;;;;;;,';;;;;;;;;l　　　　　　　 　 冒険者への協力要請と合わせてやっておく」
　　　　　 〉;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i!;;;;;;;;';,;;;;;;;;;ヽ、 `　　　 ノ;;;;;;;;;;;;;;;;,';;;;;;;;;;;l
　　　 ／∧;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;∧;;;;;;;;;;';,;;;;;;;;;;;;;｀;ｰ-ｰ;;";;;;;;;;;;;;;;;;,;';;;;;;;;;;;;;j
　　／;;;/:::i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｝;;;;;;;;;;;;;;;｀;;;､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,;;;´;;;;;;;;;;;ノ　　　_,n＿00　　___
／;;;;;;/:::::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;〈;;;;;;;;;;;｀;;､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,;;;´;;;;',',;;;;＜　　　└l ｎ |　 　く,ﾆ ! 　　[][]「l
;;;;;;;;;;/::::::::!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;∧;;;;;;;;;;;;;;;｀;;;;､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,;;;;´;;;;;,';;;;;;;;;ｿ.　　　　 U Ｕ　 　 くノ　　　　くノ
;;;;;;;/::::::::::::!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;;;;;;;´;;;;;;;,';;;;;,';;;;;;;;;;;i



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━━━━━━━━━━━…

515 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 21:59:04 D9Lko7sQ
三４２３．
━━━━━━━━━━━…
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　　ほぼ同刻―――
　　ローゼン王国王都カーディナル、王城。
―――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ､_,人_,ノ､_,从,人.ｨj､ﾉv1人.ｨj､ﾉv1人.ｨjｨj､ﾉv1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｡　　　　　　　　　　　　　　）
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ｡　 ｡ 　 　 |.　　　 ｡　 ｡　　　　 ‐=､´　　やらない夫を追放するですって！？
　　　　　　　　 　 　 　　 　 　 　 |. 　| 　 　 |:| 　 　 |. 　|　　　　　　　）
　　　　　　　　　　　 　 　　　　　||　 || 　 　|.:.| 　 　||　 ||　　　　　　, '⌒r‐v'ヽｨ'⌒Ｙｿ､ﾄ､!ｙﾍ!ｿ､ﾄ､!ｙﾍ!ｿ､ﾄ､!ｙ!ｙﾍ!ｿ
　　　　　　　　　 　 　 　　 　 　 |:|.　|:|　 　l∧l 　　|:|.　|:|
　　　 　 　　　　 　 　｡　　　　　|.:.|. |.:.| 　 ,.傘., 　 |.:.|. |.:.|.　　 　 　 ｡　　　　ﾋﾞﾘﾋﾞﾘﾋﾞﾘ
　　　 　 　 　 　 　 　| 　 　 　 .|∧||∧| ,傘傘傘, |∧||∧| 　 　 　　|
　　 　 ｡　 ｡ 　 　 　 ||.　 　　　（VVVV）.傘傘傘.（VVVV） 　 　 　 ||　　　 　 ｡　 ｡
　 　 　|. 　|　　 　 　|:| 　 　　　{∽}{∽}}}傘傘傘{{{∽}{∽}　　 　 　|:|　　 　 　|.　 |
　 　 . ||　 ||　　　 　|:.:| 　 　,傘|ｌ~~|ｌ~~|}}个个个{{|ｌ~~|ｌ~~|傘,　 　 |:.:| 　　　　||　 ||
　　　 |:|.　|:|　　　　lvvl .,.,傘傘|∩||∩|}::::/⌒ヽ :{|∩||∩|傘傘,.,. lvvl　　　　|:|.　|:|
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　　 (vVVVV)傘傘{∽}个个个{∽}{∽}}:|三ﾆ三|:{{∽}{∽}个个个{∽}傘傘 (VVVVv)　　　　　 　　|
　　 山i!山i山傘傘|三|!|/⌒ヽ!|ｌ~~|ｌ~~|}:／个＼ {|ｌ~~|ｌ~~|!/⌒ヽ|!|三|傘傘山i!山i山　 　 　 　 　 ∧
　　　||^^||^^|个ｌ个{∽}!||:.　　||{∽}{∽}}:{ﾆi二iﾆ}:{{∽}{∽}||:.　　||!{∽}个ｌ个||^^||^^|　　　　　　　/;;;;;ヽ
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　　　{})({i})({}iﾆﾆﾆi{({})}!!.!|,,, l|:!{})({|})({}}::|皿ｌ皿|::{{})({|})({}!:!|,,, l|:!!{({})}iﾆﾆﾆi{})({i})({}:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
　　　||　l||　l|鬥ｌ鬥||: ||!|鬥ｌ鬥|||　l||　l|}|鬥轟鬥|{||　l||　l||鬥ｌ鬥|!||: ||鬥ｌ鬥||　l||　l|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
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　　　|∬||∬||:.　　||§|!||:.　　|||∬|∬||}|iiiiiiiiiiiiiiii|{||∬|∬|||:.　　||!|§||:.　　||∬||∬|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
　　　|凶||凶|iﾆﾆﾆi|凶|!|iﾆﾆﾆi||凶||凶|}|二二二|{|凶||凶||iﾆﾆﾆi|!|凶|iﾆﾆﾆi|凶||凶|:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
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516 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:00:01 D9Lko7sQ
三４２４．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　東の空が白み始める時間だというのに城をビリビリと震わせた大声は
　　少し離れた部屋に待機していた侍女達にも伝わっており、
　　この城を出て行った彼の、二つ目の事件について気になっていた者達の
　　気を引くのに十分なほどだったと言う。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,_,,,__,r.､,,_
　　　　　　　　　　　　　　,r-､,f　　 i i　　 `7-､
　　　　　　　　　　　　 _,f,　　 ヽ,r―-..,,_ ,/　　`;
　　　　　　.　　　　　 f　　`>' ´_,,,,,,,,,,,,,,,,_ ` ､ ノ `;
　　　　　　　　　　　 ,f.､_,/,r':´:,' :,' /! i: : :`i.､ヽ,__,ﾌ
　　　　　　　　　　　 i,___i/i : i:,i: ;i: i .i: i､: : :'i; `.i,__,!
　　　　　　　　　　　　 !:i ;!: :i:,!!:.ii ;!　'i;'iヽ,: :.'i,: :i: :i
　　　　　　.　　　　　　!:i:.ﾄ､;ii;!i,;,!_`　　ヽ!,ゝ,;,;i!:.i :.i
　　　　　　　　　　　　i i`'i ` i i::i i`　　´i i::i i `!´: :i
　　　　　　　　　　　　i:.i: :'i. 」 `' ,!　　 .」 `' ,! .i: : :i
　　　　　　　　　　　　i,:i : i:､ ￣　　　　 ￣　/i : :.,!　　　　「今の………」
　　　　　　.　　　　　　i.ﾄ､:i;::`.､　　―　　 ／:;i: :N.
　　　　　　　　　　　　 ` ヽﾄ､i;;;;i` ー‐ イ;;;iﾚﾚi/
　　　　　　　　　　　　　_,,,,,,,,ノ:.`ｰ､　f'''''':.ヽ.___
　　　　　　　　　　f''''''´::i---'---i-'-':､,---'-.v'''''''ー､
　　　　　　　　　/:::::::::::::ト:.:.r''ﾌ'´￣ゝ;i_:.:.:.:.::.:.,!:::::::::::::::i
　　　　　　.　　/::::::::::::::::i､,;,;i i　　　　　.i,;,;____,;!i;;:::::::::::::'i,　　　┌──────────────┐
　　　　　　　 /:::::::::::::::::::i<;.:fヽ､　　　,i,丿:.:`､ .,!;;;::::::::::::::i　 　 │翡翠　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　 `､------､i `i;;::`ｰ￣-;!'i,;r‐'''´ ,!;;;;r‐'''''ヾ;i.　　 │少し前に女王付き侍女に昇格　     │
　　　　　　　　 `ヾ;;;;;;;;;;;;;`､f`::::::::;;;;;/　　　　/;;::-:::､::::／　　　└──────────────┘
　　　　　　　　　　`､`:::::::;;;;i::::::;;;;;;;:/　　　 ,f´::::::::;;;;:::i'



　　　　　　　　　　　　　 z-───-,へYヽ
　　　　　　　　　　　　／　　 ,ｨ⌒ｿ_ﾉ一'＜¨ｰ--　､
　　　　　　　　　　 ／　　　 / Y´　　 ／　　　　　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　 /　 rｰｧtj＞'　　 ／　　　　　　　　　 ∧
　 　 　 　 　 　 / ﾄ-z(ｱ 　 　 　 /　　　　　　　 　 　 人 ヽ
　　　　　　　 ryYﾌ´ /　　　　　/　　 　 ／ 　 　 　 ｲ　　） ）
　　　　　　　　>'　／' 　 　 　 /　　　／　　　　／ー-ヽ　/
　　　　　　　　|　/　|　　　　 /.__　／＿＿＞>---ﾍ.　ﾙ'
　　　　　　　　|/ 　 |　　　　ｲ´ゝヽ────ー斥. |ｰf
　　　　　　　　|　　 |　 　 　 ﾍY ｼ　　　　　　　　　Y　 ＼
　　 　 　 　 　 ',　　_ﾝー─ソﾊ :::::.　　　　 　 　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　 ﾍ　{.　　 　__ﾉ　ﾍ､__　　　　 　 　 　 　 ｲ
　　　　　　　　　|ヾｿ　　　　 ノ 　 ハ　　　　　　　─ ｧ'
　　　　　　　　　| | lヾ､　　　　 ／　　 　 　 　 　 　 「　　　　　　　「ええ。
　　　　　　　　　| | ヽヽ.｀ｰｼへ　　　　　　 ＞　､ __ﾉ　　　　　　　　確かにあの方のお名前でした」
　　　　　　　　　ｿ　　〉|　/　　　｀ｰ- ､ ＿＿l
　　　　　　　　 j j--ｰ＝ヽ　　　　　　 　 　 ﾊ＿__
　　　　　　 /´ | {ミヽ､　　 ＼　　　　　　　/ |ヽ　 ヽ､
　 　 　 　 / 　 |ﾊ　 ヽヽ　　　ゝ､　　　　 /　|ﾍヽ　　 ヽ
　 　 　 ／　　 ﾍ_ヽ　 ＼＼　　　 ｀ミ ー'　　　ヽヽ　　 〉　　　　 ┌────┐
　　　 /　　　　　　　　　 ＼＼　　　　　　　　　　ヽ ヽ {.　　　 　 │エマ　 　   │
　　　j　　　　　　　 　 　 　 ＼＼ 　 　 　 　 　 　 ﾍ ﾍﾊ.　　　　 │侍女頭　 │
　　 /　　　　　　　　　　　　　 ヽ ヽ　 　 　 　 　 　 ﾍ ﾍl.　 　 　 └────┘

518 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:01:01 D9Lko7sQ
三４２５．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そしてその大声を叩き付けられた相手は、二十歳前の―――
　　しかし女王としての風格をすでに備えていた少女に気圧されて冷や汗を滲ませていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／／／　　 　 / /〃 u|　ﾄ､ ＼ ＼　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ /／//　　　 / /　!　　ヽ l ＼ヽ＼ ＼　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〃 //　/　//|/　　　 　 iヽ!　 ヽ!　＼|＼　　　 人　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/ ｉ/　 ﾙ' j　,. --'　　ヾ`ー＝＝--ヽ ヽ 　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|| 　 |　／, -=ミ　　 　 　 '´,.‐､ヾ ｀　 ヽ 　 　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 || 　 }　〈 　(_)ノ:::　　　:::::`┴┴ '″　　 i　 　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ||　 j　　 ´　￣´　　　　u　　　　　 　 　 ﾚ'ヽ　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｌハ||　　 uﾟ　　　,　　　　　　　　　　　　 /|　|　　j
　　　　　　　　　　　　「ど、どうか落ち着いてください！」　　　　　! 　 |　 ｕ　　　 〈　-　　　　　　　　　　　〉j /　ﾙ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ',　　　　　　　 ＿＿_　　　　　　 　 l//　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　 　 　 ｨ_´_　 　 __ヾi 、　　　　rｲ 　 ﾘ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　└─　'"¨¨ヾｿ 〉'　　　 j ||　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 `　　　　　,r┬‐ ､　　／　!　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r-仄iヽ　　　　　 / | |　　｀`く　　 ||/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ //| |　ヽ､ __　 / /i | 　 　 　 ｀`┴-　._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ //　| |　　 　 i __| ハ |　　　　　　　　　　|



::::＼::/　/ .:::::::/ .:/ 　 :/　 .:l:　　 　 ::l　 　 　 l:.　　 l
＼__/　 ｌ :::/.:::! .::!:: 　::! .::/::ｌ:.　　　 :::l　　 ! :. !::　　 l
/´ / 　 ｌ :/＿l :::ｌ:::. l:::ｌ :::l::::!::.　 　 .:::! :::! :ｌ .::l::: 　 !:l
!{:V　 　 l∧_l::ｌ｀::ト、ｌ:::!:::∧!::::.　 .:::〃.:/.:/.::/.:::　/::!
!∨ 　 　 !:::トミ＜!:::::ﾄ､!/::::ｌ:::::::::／/.::/.:///.:::::::/:/
V　　 :∧lヽヽゞ｀メヽl::::ソﾉ!::::∠.._/ -‐／∧:::::/j/
:l　　 ::l　!ｌ:::::::::￣::::::::::::::::::j／rｆ_チｧ／／　ｊ／
:!　　.::l　 !!　 :::::::::::::::::　　　:::::｀¨::::/／/
i　 .::/:!＼ｌi　　　　　　　 ノ.:::::::::　/.:://
! .:::/:::l _ヽiﾄ､　 r=‐　､_　　　　 /.::::l l　　　　　　　「どういう事なの！
! ／}／ 冫ｌヽヽ、￣ 　 ＿ .. イ| :::::l l　　　　　　　　早く続きを読みなさい！」
/ ／.::／冫、:∨ 二¨::/.:::/´｀ヽ{ヽ､l !
:/ .::::::::::/.::::}ヽ:}/.::::／.::r┴′:::::ヽ 〉l

519 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:02:01 D9Lko7sQ
三４２６．



　　　　 　 　 　 　 　 ､
　　_..　　-‐―――-'.:＼　 ﾄ､
. :´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼}.:.∨
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}__
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__,.:.:.／. /.:.:.厶:.:<⌒'ト､.:.:,
.:.:.:.:.:.:.:.:.:___／.:././ /./.∧jハ.:.＼j从｢｀`
.:.:.:.:.:.:.:.__,r'j/ｉ/}/ｉ/j/}/},人　|ﾊ｢　　　￣`.
⌒ヽ.:.／　　￣　　‐-　　__,,＼__　　 　 　 ト､
⌒>ｉ.:{　　　　　冖艾テ=ミ´　〈/∨ヽ　 　 l
, 〈｛|/　 　 　 　 　 ￣￣　, 　 ∨}　 ｝　　 l
､`く}　　　　　　　　　　　､j　　　＼ /　　　|
/＼)　　　　　　　　　　　　　 　 ／′
　　ｉ　　　.､　　 　 　 　 　 　 イ　　､,.　　｜　　　　　「例の妖術師の狙いが彼にあるとの噂が、
.　八　　 ｀　　　　　　　　__　 ハ/　　　　 |　　　 　 　 アルビオンに蔓延しているそうです………」
＼　 ヽ　'､;､　 　 　-‐ 　 　 /　,　　　___　∨
. . .`'.‐- 　 .　　 　 　 　 　 〈　 ′／　　|｀7
. . . . . . . . . ｀≧　 　 ..___,ノ1　 |,/ｉ ';. 　 | {
. . .__. . ┌-　. . . . >‐く__/　!　 { 八 '　　|/
＼|　 ｣　　　　　i//｢ |　ｉ　｜　 ＼|＼／＼
､　＼. .└　　　//｜.|　|　｜　　 ﾉ／ . . ／,



　　　　/　　　　　　　 ,　 ｉｉｉ　ﾞ!,ヽ,　 ,ヽ, ゝ、.. ;;;,　ﾞヽ,
　　　 iﾞ　　　　　　 ,　 ,! , ｉｌｉ　l i., l;,　i, l;;;;,`ミﾞヾ';;;, ﾞi i
　　　 !iﾞ ;'　　 ,i　　,! ,/!,i,iﾊﾄ, i, !! |i', ﾞi; i;;;';';,,_ミ:: ;;, ﾘ
　　　 lv',ｨ'　,;;;i　〃;/ ﾘ.ﾘl| !lﾞ:,ﾄ,ﾞ:､li;'､ i:.ﾞi;..;;;;;;;,ヾ ;;:〈
　　 ,ｨ,ｨ/ ,,;;:;;ｲ,/ｼノﾝ' ﾉ ﾞl! ﾞ'いﾐ`ﾐゝﾐゝ､ﾞ';;;;;;;;;;;;;'v;;;i
　　'" /　,;;-''ｼr--=､∠,,__ﾞ､　ﾞゝ,;≧-─ﾐｰi;;;;;;;;;;;;;;;;;;l
　　　iﾞiﾞ　 ;;ﾍ |　ーt‐:ｧﾐ:｀､`　' '<"t::ﾗｰ-　|;;;ﾊ;;;;;;;;;;iﾞ
　　　ﾞ;ﾞ､　（ ﾊ,! 　｀""´'　 ﾞ:　　 `' ｀ ´　　 ﾉ;ﾘ ,i;;;;;;ﾉ
　　　 ﾞ:,ﾞ:､.ヽ,ﾐﾄ: 　　　　　 ,　 :.　　　　　　ｹﾉ./;;ｬ'′
　　　　　 `:､`ｰ;　　　　　 ,'.　 :::,　　　 　'ﾞﾌｰ';;lﾞ
　　　　　　 ﾉ,;;;;ﾞﾄ　　　　 `ｰ-‐'ﾞ　　　　 /};;;;;;;l、　　　　　　「……………」
　　　　　 ,ｨ'ｽ､;;;|`､　　　-‐ - ─-　　 /,.};;;;;;;;;;｢
　　　 　 _｣ ゝ､;;;l　;ﾞ:、　　　'''''''　　　,ｨﾞ 'ｸ;;;:;:;;;;｣
　　＿／/　　 `:'､ ﾞ; ﾞ' ､　　　　　 ,ｨ'ﾞ　;'ク:::::::::::;`;､＿
　'"／　 l　　　 r‐`ｉﾞ:,　 `ｰ---‐''ﾞ　　｢..:::::::::;ｨ^!;;;;;;;;;;;;
　　　　　ﾞ!　　　|:::::P"⌒`ヽr～''⌒`く! ::::::::iﾟ_ノ,;;;;;;;;;;;;
　　　　　 | 　　,l:::::::|　　　/ バ　　　 ,l :::::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　ﾞ:　/:::::::::ﾞi　　　 ヽﾉ　　　 l ::;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;

521 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:03:15 D9Lko7sQ
三４２７．



┏──────────────────────────────┓
│　　―――故に、フリートは貴国の支援を受け入れることは出来ない。......│
│　　先に申し出のあった部隊の派遣は不要である。　　　　　　　　　　　 　 │
┗──────────────────────────────┛



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ:::::::::::::L__:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽー- ､,r　 ':::::::::::::::::::::: |_／rヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(::::::::::::::::::f:::::::::::_:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　ヽ::::::::::::::::／_ イ二二 ﾇ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:::::::::::::つ:::::::. ＼::::::::::::::::::::::::::::.| 　　|:::::::::::::::::::::::::::!ﾆﾆ´ ' ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(::::::::::::::::ゝl::_ _:::::::::::::::::::::::::::ー┤ 　 |::::::::::::::::::::::::::ﾉ＼_／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 jゝ:::::::::::/`ｰj:::::::::::::::::::::::::::::::::::.|　 　|ッ:::::::::::::::::rイヾ ー'＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　＼/ 　 　/ 　ゝ__,:::::::::::::::::::: |　　 |:::::::::::::::::_:(　 l! | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 　Yl!　　|　　 　ゝつ:::::::::::::: l, ､ /:::::::::::⊂´　 ﾉ!/| 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !| 　,、　　 ﾄ,　ヽr､::::::::frtｯゝ::::::::rイ　　/　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ､!.,＼l!　!li　j/! ゝ_:::ゞﾆメ::rゝ′　　/!!　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　>!ﾉﾍ! ﾚ'　j!　 ﾄ'　/／´ ／ 　 ,イ '' 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ﾉ ﾄ､　 　　/, 　| ,/ゝj/　_ ,. イ|　|　 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　「……………」　　　　　　 |　| .‐､ｰ　j/| 　|/　 　`_j _ l!ヾ!　|　　 | | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 |　| 　 ,＞/ .|　,.トｰ <_ ::: r:/ | !　|　 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 　 　　|　| ＜r,<ヽ..|./│／　/`ｰ <_,j 　|　　 | | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 |　| 　 ゝｲヽﾉ　　ヽ　/ヾ :::: ゛ヽ　|　　 | | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 |　|　/ 　_j/ . __,∠ノ::::::::＼:::::: ヽ| 　　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 |　|.ｲ_,〆／ _,, -―rﾞ :::::::::: ＼::::: ヽ 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 | .∠, ／ ´!　　 ∠_::::/ l:::::::::::::ゞ :::::.､ | | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 |　|　|`ー￣ 二ﾉ／::/　 .:::::::::::::::::::::: ヽ│　!|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 |　|　 ヽ　 /　　 i／ヽ:::: 　:::::::::::::::::::::::::＼　l|!



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　全身からの大声を出したことで逆に頭が冷えたのだろう。

　　不意に落ち着いた真紅はロイの読み上げた内容を口の中で繰り返すと
　　何を思ってあの聖王がこの答えを出したのか、
――――――――――――――――――――――――――――――――

522 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:04:02 D9Lko7sQ
三４２８．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　この国は―――自分はどのような反応すれば良いのか考えたいと思った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　 ｒ'´　　 　　　,イ´ｆ´　　 　／　　　　　　　　　 ｀ヽ　　　　　　　　　　ノ
　　,ｒー--{　　　　　 　/ /　|　　 　 /　　　　 　 　 　 　|　 　 ヽ　　　　　 　　ﾉ
　 /　／￣!　　　　 　/ 〈　 ﾉ／　 /　 　 　　　　　　 　∥　　　ヽ　　　　 　（_!
　 |　レ´￣_＞　　　/　! 'Y /　 　 !　 /　　 　 　 　 　　∥　　|　 ' ,　　　　　　｀!
　 ,ヘ｀二彳´　 　　|　|　 ｆ/　/　｜　| /　　　　 | 　 　 ∥　　 |　　',　　　　　　｀!
／ 　　　　|　　　　 | .ﾉ-ｲ !　!　　|　 ﾉ'　|　ｊ 　　| 　 　 /}　　　|　　 |　　 　 　 　 |
　　 　 　　| 　　　　!ｆ　　 }|　{　|　|,ｲ|,ｆ/| .∥ 　.ｊ　　　/ }　|　　| 　　|　　　 　 　 ｜
　　　　　　レ‐イ　　| ）　.{|　,ﾍバ十-|-‐'ム　.ｲ/　, / /, ,ｲ　 /! |　/　　　　　　ノ
　　　　 ／　　　|　 ｒｭ,⌒)ﾙ'ﾑｨﾃ'i'ﾃ〒ミ｀ﾉノ/ /ﾚ'｀ナﾒｲｧ　// / /　　　　＜(´
　　　／ 　　　　｀ー<@〉},'　 ハ辷'_..八｀ " ノ.ｒ'　,ｒﾃ!ﾑz'/／ｲ /ﾚ　　　　　　ノ
　 ／　　　　　　　　　｀ﾏ 　,'　´"'''"゛　　　　　　{､_.'ﾉ 'ｚｨ' 　 ﾚ'＿　 ＿,...-‐´
／　 　　　　　　 　　　,'　| |', 　　　　　　　　j,　 ｀'''''゛//　　 　 ）　｀´　　　　　　「大陸法とやらない夫………
　　　　　　　　　　　　,'　 !! ヽ、　　　　　　"　 　 　 /├‐-‐ '´　　　　　　　　　　どちらが重いのかしら」
　 　 　 　 　 　 　 　 ,'　∥｀ヽゝ＾ヽ　 　 ~'　 　_.. イ　|
　 　 , ‐ ´￣｀ｰ､._　 | 　 |＞´　　　ヽ.._..　-≦　 / 　{
　　/　 　 　 　 　 ｀┤　∥ 　　　　　 ヽ ｒ-―-､_!　　|



　　 　, -‐'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀`'' ‐､_
,､‐'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ､
￣／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;‐､
／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l
‐'/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／イ;ｲ;;;;;l
./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;メ/ // l;;;;ﾄ;|
イィ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／／/;;;;ｲ/ ト/､X,　ｌ:ｲ　ｌ
　 |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l '´//／'´　　　┘　!ﾘ
　 |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾄ,. Y　　　　　　　　 '､
　rｲ;;;;;;;;;;;／　 'ｰ' 　　　　　　 　 　ﾝ
ノ　ヽ='´'　　　　　　　　　　　　 ／　　　　「……………」
く　　　｀`ヽ､_　　 ､　　　 -‐‐r＜
;;;ヽ、　 ,､　,､ ｀ヽ､_ヽ.,_ 　 ,ｲ´　 L..
;;;;;;;;;＼ヽ ｿ　｀〉 /小ｰ､｀ 〉ﾉにｿ　｀ヽ_
;;;;;;;;;;;;;;｀ヽ`ー' / ﾊ | /、'" 　 /　､ﾉ

523 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:05:01 D9Lko7sQ
三４２９．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　もし噂が本当ならばフリートの状況は他人事ではない。
　　彼の国がやらない夫を追放したことで、
　　妖術師の狙いがこちらやエゥーゴに向けられる可能性もあるのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「　 　 / 　 　 　 　 「　 __ 　　 　　　　　|　　　|　　　　　(::､::. 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ゝ _ /　　 /　　　　 V´___)　　　　　 　 |　　　|　　　　　　）ヾ＼ 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 '/　　.′　　　　 |　（　　_　　　　　 |　　　|　　　 　イヾ::: ヽ:.ヽ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 //　　 !　　　　　　|　 「.:.:.:..:)ヽ.._　　_j　　　レ' 　　 （　ハ:　 |: :| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ 　 　!　　　　 　 .　　..:.:.:.（ __ 　 　 ,| ＿　|　､＿__ .） |::|::.　|: :| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　∥| 　 　|:　　|　 　 /　/. ィ :/　 ) 　､γ, －､Y 　 _.)　　 |::|::.　|: :| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i! | 　 　|: 　│　 ,ィ 升j/_j/ |　|ゝし { { fひj j √.:.: 　 　|::| |　|: :| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i! N.　|　 ､ 从ヾ/ j/勿fぅ/　|　| 　 |ゝゝr_少':.: .:.:.:..::　　|::| |　|: :| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽﾄ　..._ ゝﾄ-ゝ　　ゝ'　　|　| 　 |:.:./　 /:.:／::.:.,　 　人| |　 ~~ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　 　　 　 . 　 　 　　 　 |　| 　 | /　 /／　 ／　 . ' 　 │ 　 　!
　　「妖術師の狙いがローゼンに及んだ時、　　　　 　 　 　 　 　/　 　 　 　　 　, ｲ 　 |'　 /-‐ｧィ' 　／ 　 　 │ 　 　!
　　 私達はどういう判断をすれば良いのかしら？」　　　　　　　ヽ　 　 　 　 　 /　| 　 |　/　　 　,'イ_＿_ 　 　 |　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　 　　 　　 / ＼ ､っ　　 / 　 | 　 |,/　 - ‐　¨ 　　/ 　 　 |　　　 i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　'/　| :＼ 　　 i!＿_.| 　 |´　　　　_..　ー > 　 　 |　　　 i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　　 　　 　i|　 |:::::::|＞‐┤　　| 　 |＼　. ´ 　 　 　 ＼　　 | 　　　i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　　　　　i|＿|::／　　　|　　│　 !　 ＼　　　　　　 　 .　 | 　　　i!



　　　　　　 　 　/;;;;;;;:;:;:;:;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::, .イ､
　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:::::::::::::::::,､-‐'''"´..: .:;.;:;ヽ,
　　　　　　 　 |;:;;;;;;;;;;〔カ;:;:;:;:;:;:::::,r'´　ヽ.:.:;;;:;;ヽﾐヽ;.:.:..ヽ
　　　　　　　　!;:;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;;ｲ　 ;:ﾄ､ ;:;;､.:.:;:;:;:;;;;;`ヽ;:;:;!
　　　　　　　　`ﾄ､;:;;;;;;;;;;,､‐'ｨｲ ;:; :; ;;､ ;:;:;､`ミﾐﾐ､:;;;`ヾ;:;;|
　　　　　　　　,'.:;:　,:　,ｨｲﾉlﾉ;'ﾊﾄﾄ､ヾ;:;:ﾄﾄ､ヾﾐヾ;: ;;;;;;.:;;;ﾘ
　　　　　　　　V,:;`,;',;,'ﾙ'ﾞ-ｲ=≡'´　 ｀`''＝- ､`ﾉﾉ　.:.:/
　　　　　　　　 ﾙ,;:',ﾍ;;! 　ｰ＝'''´ヽ　　ｰ＝‐`　 ii! l;:;/
　　　　　　　　　ﾄﾄ;;ﾄ､j!　　　 "´　　　｀`　　 　 / //
　　　　　　　　　 '`ヾ>ﾄ､　　　　　　　; 　　 　 ,ﾍ;:;k
　　　　　　　　　　　 `1ik､　　　　`ー′　　 ,ﾍ;:;;ｲ　　　　　「……………」
　　　　　　　　　　　 /.:.:L:.､　　 -‐-‐-　　/ 1;;/ヽ
　　　　　　 　 　 　 /.:.::.:.:/1ヽ　　´￣　 ,.ｲ /;:;:;ﾊ.:`,
　　　　　　　　　_,ノ.:.::::::/;:;;ﾚ''｀`ー─.＜ V;;;;;i.:l/.:::::L_＿
　　　　　-‐''"´.:.:.::::::::::/;:;;;;;l　　 /l　　　ヽi;:;;;;;;l.::::::/::::::::::::.`
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524 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:06:01 D9Lko7sQ
三４３０．



　　　　　　　　,r'Ｚヽ　　　　　＿,,,;:-､s-──--ﾐ,,_
　　　　　　 　 ＼l／　　_,:r'''"n ,,　　　'l;　ﾞl!　　 ﾞl!, ﾞヽ､
　　　　　　　　　　　,;rii"　,　 ,ﾘ,ﾊﾍヽﾞi, l,　ﾞli.　　 ﾞlli, ﾞlli,ﾞ'i;
　　　　　　　　 _,;r'" ,il'　;il' ,i'ｸﾉ ﾘ ﾞいﾐﾞゝ,､ﾞゝ　　ﾞli;lli, 'li;,ﾞi,
　　　　　　_,;r''"　 ,;il'"ノﾉノ ｼ'＿＿　　`''弋ﾐヾミヽﾞ;llllli;, l'}
　　　_,,:-''"　　,,;ill;'",;i'-''""二二￣`　　　,,:''''''ｰ-ﾞlll;iii,'lllli,'}
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ll'"　　　,:i''　 }i　lﾞ {!　　　　`￣　 '"　　　i ､ `'''"　,;llll,lllll;ﾂ
.いi'　.;i'　r' ;il　i'{　`ﾞ　　　　　 　 　 　 　 ﾞi､　　　クｼ''"
　`i,　:lli,　　ﾞli :l: ﾞ'':､　　　　　　　　　..　　　 i;　　　.|
　　ﾞi,　ﾞllii;, ｰﾞ''li､　　　　　　　 　 　 ' -'''; r'"　　　 |
　　　ﾞi,　,l''llli;,　,,ﾐ　　　　　 　 　 　 ＿－　　　　 /　　　　　「とにかく、やんわりと入国拒否された以上
.　　　 ;ﾚ　 'llllli;　 ﾞ:､　　　　　　'"￣ 　￣`''ヽ　 /　　　　　　 サクラダ殿達はエスメラルダで待機としましょう。
　　　 "|　　,ill'l!.　　ﾞi､　　　　　　　　-==　　　./
　　　 _|　　,il' 'ﾞ　　　ﾞ'ゝ､　　　　　　　　　　　/　　　　　　 　 フリートで妖術師との戦いに巻き込まれても困りますし
　　/" ヽ､　{,,_　　　　　`ﾞ'''ｰ::,,,_　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 動向を注視する方向で良いのではないでしょうか」
　,/　　　 `''''ｰﾐ=-:;,,_　　　 `'￣`''''ー---r''
　　　　　　　 　 　 　 ＼,-､_,:-ー､`ー-'''7ｰ:､__
　　　　　　　　　　　　　＼　 `ヽ　`ー''''"'＜,,_ `ヽ､



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　若き大臣は、女王が反射的に恩義に偏った判断を下さなかったのを嬉しく思いながらも、
　　先々のことよりまずフリート側を刺激しないように情報収集にあたれば良いのではと提案し、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

525 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:07:04 D9Lko7sQ
三４３１．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　暫し考えた真紅もいま下せる判断は見の一手以外にない、とそれを認める。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 つ:::::::::::::::::rー-'三三_　-―――‐-- ､)::::::::＼　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(:::::::::::::::::::::::) 三= '´／　　　　　　 ､　 (_:::::::::::::丶<::::::`ー､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｰ,:::::::: __ノ ／　　/ /　　　　＼　　＼ ム::::::::::: |企;:::::::::::}___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (_:::::: ヽ／　　　/ /　　　　　　ヽ　　､ヽ(__:::::::::::|三|:::::::::::⌒Yヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r’:::: /　　　　　 {　　　　|!　　| |!　　|!ﾊノ :::::::::|三|:::::::::::::::乂{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧ: :′　/　 /　!　　　　 |!　 |! |!　　|! |｀ｰ, : :::|三|:::::::::::::::}　'.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ.′　/　 /　 |! 　　 　 |!　 |! |!　　}! | Ｙ:::::::::|三|:::::::::::::/　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　|　|　|!　 |! 　 |!　　　　 i}　 } |!　 /_!_| ゝｧ : :|三|::::::::_;ﾉ| 　 '.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 　 　|　|　|!|　 |!､　{! |!　　 // /}//孑' /ｲ　(_ : :r'--{:::::::)　| 　 ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 　 　{　|　| {　卞ﾄ､ハ!_　 //ノノィ≦ケテ|　(:::::〈ん)､) 〉´　| 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽﾄ､ {ﾍ､从ィ升=ﾐノ´　　　/弋じ:::}｜　〉 : ゝﾆン　　 |　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ乂ﾍ!ゞ､rゝ':{｀　　　　　　宀'´ |　 ∨/／　　　　|
　　　　　　　　　　　　「ええ、私もそれで良いと思うわ」　　 　　　　 }　　|ﾍ　^¨´　　､ 　 　 　 　 　| 　 {ノ´　　　　　| 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 川　| 丶 　　　　r‐､ 　 　 　 ノ　 } !　　 　 　 　| 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 //}　 ! ＿≧-..､　｀´ ,∠⌒＜}/　八ﾍ　　　　　 | 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　// j　/':.:.:.:.　 .:.:.:/>=(:.:.:.:.:.:.　 / /＞ヽヽ　　　　 | 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　　 ノ ,' / /:.:.:.:.:.:....:.:__}ｲ夊)=-:.:.:　/ /:./::::::ﾍ∧　　　 | 　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／／ / /＞ｧー:. :.:.:.:｀¨)´:.:.:.:.:.／-ー＝二二〕＼　　| 　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 〈≦__,/_/ーｬ(:.:.:.:.　:.: ／＼:.:.:.:《__∠⌒ー-､::::::::::::::ヽ | 　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣ _＿_..==':::＼_:-＜: : : : :＼: :.:ノ:::二＞　_＞::::::::::::{､　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　〈__∠二=､::::::::::::::::::::}: : : : : : : : : :{´::::::::￣ﾐ＜::::::::::::::::::::::::＼　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __ノ／ｲ:::::::::::::::／: /: ∧: : : : : {::::::::::::::::://:::＼::::::::::::::::::::::＼{ー― ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ≦:::｀ミヽ::::::::::::／: : /: :/: :{: :|: : : ﾊ､_:_:_／':::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::ノ

526 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:08:02 D9Lko7sQ
三４３２．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.-ｧ^''"´￣￣￣｀"''ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '.,:'.::.::::;:;::;:;:;::､:::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /;:::::::/!i.!ヽヽ,,..､ヽ::::::::::::...ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .//;::::::i_,!j　i ´'-’ヽ ヽ::::r-､::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !'i::::::!か　　　　　　　ヾ;):ﾉ:;!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ' !'!'ii　　i　　　　　　　::i'":/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、 .ｰ　　　　　　.:::jｨ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　 ''"~´　　.:;／i::ト-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ ___,,,,...-''::;/;:-'.,:::ヽ
　　　　　　　　　　　「では急ぎ、指令書をエスメラルダへ転送します」　　　　　 _,.-''ゝ､ :::::::::::iiヽ.:::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .!,ヽ.::!r'ヽ　:::iヾ!!::ヽ､:::::::/==- .....,,,,,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.... --,-,ー:!i:::ヽj ;i´::::::/:i､!:::::::::｀ｰ'::::　　　　　 .:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ .ヽ　 /./::　ﾉ-‐::ヽ､ヽｰ!::!,-'::::::::::::::::::::..　　　　 .:::;':i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　.:::ヽ/_,'-..,,,_　　　　/:!/::::iヽ､:::::::::::::::::､::::..　　 .::::/:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾉ _,.-‐"´:::::::::::::::::｀i　　.ﾉ../.::::/　 ::ヽ、:::::::::::::､::::.. .:::::;';:（
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.;"-'..........:::.:::::::r_､:ヾ!::i､／::/: ..::/　　 :::::｡ヽ:::;--‐､:､:::::;:;:;:;ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.;ﾆ-!:::::::::::::;;-::::::､ヽ､ヽj-'ii:::::/..:::::/　　　　::::/ﾆ i￣´;:;:;:';;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,..='"　 ヽ:::::;r '｀''ー''､jヽj― i.ii:::ﾉ::;;:-'　　　　 ::/:;:/:;:;:;:;::;:;:;:';;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rァ''" 'ｰァ::::::;ヾ、:;:;:;:::;）:::i ー-- 'ノ;／、　　　　 .::/;:;:/:;:;: ,.;:;:;:;:;';;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..r '　　...;:;(:;:;:;:;:;:;:;:;ヽ::;;;ﾉ-/｀:;￣:;:´;/　　ヽ:;:;:;:;:;:;:;:/:;:;:/;: 　,.;:;:;:;:;:;:';;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i´,.,.;:;:;:;:;:;:;:;ヽ;;:;:;:;:;;;ノ　　ヽ_:;:;:;:;:;／:::;:;:;:;:;:;:;:ｰ;:､／;::: .!.,.;:;:;:;:;:;:;:;:;:;';;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;;;;;ン"　　　　 ./:;:;:;:;:;i｀ヽ、:;:;:;:;:;:;／:;:;:;:;:;::i' ,.;:;:;:;:;:;:;:;:;:';;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣ 　　　　　　 ￣￣￣￣!:;.,　　 i　::;:｀ｰ:;-:';:;:::　　 ,.;i:;:;:;:;　:;:;:;:;:;';;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.!:;:;:;:;.,., !　　　　　　　　:;::　i　,.;:;:;:;:;;:-'';;;;;;;;;;;;;;;;;;



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　また、対案があれば異を唱えられる立場のロイも
　　今はそれしか無いだろうと同意を示し、
　　ウェンリーが用意した指令書を持ってまた学院へと舞い戻っていった後。
――――――――――――――――――――――――――――――――

528 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:09:01 D9Lko7sQ
三４３３．



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　　　　　|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
￣ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣



　　　　　　　　　　　　　(::::::::::::::::ゝl::_ _:::::::::::::::::::::::::::ー┤ 　 |::::::::::::::::::::::::::ﾉ＼_／／
　　　　　　　　　　　　　 jゝ:::::::::::/`ｰj:::::::::::::::::::::::::::::::::::.|　 　|ッ:::::::::::::::::rイヾ ー'＼
　　　　　　　　　　　　　　ゞ:::::: /　　 ゝr! :::::::::::::::::::::::::::.|　　 | ::::::::::::::::::._)　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　 　 　＼/ 　 　/ 　ゝ__,:::::::::::::::::::: |　　 |:::::::::::::::::_:(　 l! | 　 |
　　　　　　　　　　　.　 　 　 　Yl!　　|　　 　ゝつ:::::::::::::: l, ､ /:::::::::::⊂´　 ﾉ!/| 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　| !| 　,、　　 ﾄ,　ヽr､::::::::frtｯゝ::::::::rイ　　/　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ､!.,＼l!　!li　j/! ゝ_:::ゞﾆメ::rゝ′　　/!!　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　>!ﾉﾍ! ﾚ'　j!　 ﾄ'　/／´ ／ 　 ,イ '' 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/ ﾄ､　 　　/, 　| ,/ゝj/　_ ,. イ|　|　 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　r‐-―- ‐､ｰ　j/| 　|/　 　`_j _ l!ヾ!　|　　 | | 　 |
　　　　「……………」　　 　　/!　　　　　/＞/│,. トｰ <_ ::: r:/ | !　|　 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　 　　 　　 ! ゝ　　　 / r,<ヽ |./│／　ﾉ`ｰ<__,j 　|　 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　r.. t　｀ﾆﾆ'く　ゝｲヽﾉ　　ヽ　/ヾ :::: ヽヽ. |　　 | | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ::::Li´::｀/::/　　_j/　__,∠ノ:::::::＼::::::: ヽ| 　　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 √＼:::::::::::::ｲ_ 〆／ _,, -―rﾞ :::::::::: ＼:::::.ヽ. 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ゞ:::::::::::::＜ ／ ´!　　 ∠_::::/ l:::::::::::::ゞ :::. ､ | | 　 |



―――――――――――――――――――――
　　遠ざかっていく足音を聞きながら
　　眠気覚ましの紅茶を胃に流し込んだ女王は、
―――――――――――――――――――――

530 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:10:01 D9Lko7sQ
三４３４．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　今やこの城に―――否、この国に無くてはならない天才に問うた。
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 /　 　 / 　 .'　　　 / /　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｉ　ｌ 　 ｌ　　l 　 　 /　′　 　 　 　 　 .′|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　| 　 |　　|　‐､/|　!　　　　　　　　/ 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　| 　 ﾄ .　|　　|｀ﾄ､| .　　　 　 〃　 /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ.|＼ l　ヽﾄ .xィ士.j ﾄ.|　/　 　 //　 /　/,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 / ／ ヽ/ ﾊ.|ヽﾄ辻}小∨j／／./_／__,//_／__
　　　　「ウェンリー。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　// 　 // /ヽi|　 ^冖^　　　　　 ‐ﾃ士＜／-‐ ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 〃 　 // /|!　 |　　　　　,　　 　 　 ﾄ辻}小>‐ ／
　　　　 個人的な意見で良いから聞かせてもらえる？　　　 　　　 /′　// /　|l　ハ　　　　′　　　 　 ^冖＾　／ ／
　　　　 妖術師の狙いは本当にやらない夫だと思う？」　　 .　　 /　　 // / 　_!ヽ 　 ＼　　r__,　　　　　 　 ／ ／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　 　/ | i　 /'｜　',　 | i＼　　　　　　　　/　厶イ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ l 　 |,-l |‐厶-ﾍ　 }　 Ｖ　 ＞‐z――…/　/'　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ｌ　 /　N´　,. -‐ヽﾊ　 |-く^Y´ 　 　 　 '　/＼　　|!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ｌ＜⌒　‐-'---‐'_丿 小丕}|　　 　 　｜/　　 ＼.|l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-‐┴'´　 ＼_￣　￣　_／,小辻ﾘ　　 　 　 l ! -――/.'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｜￣￣／　/ ヽ{__ソ＼　　 ／!l,.　-―//



　　　　　　　　 ／;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ｿ;:;:;:;:;:;:;:ゝ､
　　　　　　　〃;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:Yｲ|;:;:ﾍ;:;:ヽ:;:ヽ
　 　 　 　 ／;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヾヽ;:;:;:ﾊ
　　　　　/;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヽ
　　　　　ﾉｲ;:;:ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノﾉ ﾊﾍ ∧;:;:;:;:;:;:;:ヽ
　　　 　 ﾙノノ;:;:;:;:ノノ;:;:ノ彡'ｿ/ﾉ ヾミﾊ;:;:;:;:从ﾘ
　 　 　 /彡彡ﾆ彡ｲ彡ﾆﾆ"　　　＿_　ﾍ;:;:ﾊﾙ'
　　 　 　 ﾄ彡ｲ ｲ.l|　　￣｀　　　´fｫｯ｀ /ソ''
　　　　　 ヾ;;;;ヾ. ｿ　　　　 　 　 {　 　 ,'
　　　　　　 ﾙ;;;;ヽﾍ　　　　　 ｰ-'　　 ﾉ　　　　　　　　　「そうですね………」
　　　　　　 从;;;;;;;;;|　 　 ／￣￣￣｀ミ辷ﾆﾆﾍ
　　 　 　 　 >ﾊﾙj ヽ　 l´　　　　　　　　|　　i　｀ヽ､
　　　　　　 |＞ｰ--､.ヽﾍ 　 　 　 　 　 /ﾆﾆ≧.　　|
　　　 　 　 |.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ ゝﾐ､　　 　 　zﾍ､＿__. 　､　|
　　　　　／.:.:|φl.:.:.:.:ﾄY´￣｀Yﾆﾆ>ヾ::（　　　　､　|___
--一'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.　 　ﾊ　ﾍ 　 |.:l´￣　 ､　 ∨.:｀￣｀ヽ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.人 　 |::　 J　 j.:.:ヽ､ 　 　 　 }.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＞ﾄ､___∠.:.:.:.:.:ﾍ､.　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ミヽ='.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼.:.:.:.:.:.:.:

531 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:11:01 D9Lko7sQ
三４３５．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　まだこの城に来て一年未満ではあるが、もともと生き残りの文官にも名だけは知られていた
　　―――学生時代の好敵手が、事あるごとに名を出して城に呼びたいとこぼしていたそうだ―――
　　ウェンリーは文字通り粉骨砕身、女王の片腕として相応しい働きを見せている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　/　　　　　　　 ,　 ｉｉｉ　ﾞ!,ヽ,　 ,ヽ, ゝ、.. ;;;,　ﾞヽ,
　　　 iﾞ　　　　　　 ,　 ,! , ｉｌｉ　l i., l;,　i, l;;;;,`ミﾞヾ';;;, ﾞi i
　　　 !iﾞ ;'　　 ,i　　,! ,/!,i,iﾊﾄ, i, !! |i', ﾞi; i;;;';';,,_ミ:: ;;, ﾘ
　　　 lv',ｨ'　,;;;i　〃;/ ﾘ.ﾘl| !lﾞ:,ﾄ,ﾞ:､li;'､ i:.ﾞi;..;;;;;;;,ヾ ;;:〈
　　 ,ｨ,ｨ/ ,,;;:;;ｲ,/ｼノﾝ' ﾉ ﾞl! ﾞ'いﾐ`ﾐゝﾐゝ､ﾞ';;;;;;;;;;;;;'v;;;i
　　'" /　,;;-''ｼr--=､∠,,__ﾞ､　ﾞゝ,;≧-─ﾐｰi;;;;;;;;;;;;;;;;;;l
　　　iﾞiﾞ　 ;;ﾍ |　ーt‐:ｧﾐ:｀､`　' '<"t::ﾗｰ-　|;;;ﾊ;;;;;;;;;;iﾞ
　　　ﾞ;ﾞ､　（ ﾊ,! 　｀""´'　 ﾞ:　　 `' ｀ ´　　 ﾉ;ﾘ ,i;;;;;;ﾉ
　　　 ﾞ:,ﾞ:､.ヽ,ﾐﾄ: 　　　　　 ,　 :.　　　　　　ｹﾉ./;;ｬ'′
　　　　　 `:､`ｰ;　　　　　 ,'.　 :::,　　　 　'ﾞﾌｰ';;lﾞ　　　　　　　　「………私はそうは思いません」
　　　　　　 ﾉ,;;;;ﾞﾄ　　　　 `ｰ-‐'ﾞ　　　　 /};;;;;;;l、
　　　　　 ,ｨ'ｽ､;;;|`､　　　-‐ - ─-　　 /,.};;;;;;;;;;｢
　　　 　 _｣ ゝ､;;;l　;ﾞ:、　　　'''''''　　　,ｨﾞ 'ｸ;;;:;:;;;;｣
　　＿／/　　 `:'､ ﾞ; ﾞ' ､　　　　　 ,ｨ'ﾞ　;'ク:::::::::::;`;､＿
　'"／　 l　　　 r‐`ｉﾞ:,　 `ｰ---‐''ﾞ　　｢..:::::::::;ｨ^!;;;;;;;;;;;;
　　　　　ﾞ!　　　|:::::P"⌒`ヽr～''⌒`く! ::::::::iﾟ_ノ,;;;;;;;;;;;;



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　（ . . .:.:.:::::::/ 　 　 　 /　　　　　　　　ヽ　入| |／ヽ　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼.:.:.:.::::/　　　 /　′　 l　　　　　 | 　l ｢:::| |:::::::ﾉ　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 Y.:.:.′　　 ,′! l　　 |　　 　 　 |　 }ﾉ..:.| |:::::ﾉ　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 ゝ┤　　　|　 |｜ l　|　　　 l　　　（. .:://.::∧　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l !|　　_|＿Lｊ､ l ｜　_／|_/ l |　）//.::/　ｌ　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |八 l l l{＼|｀ヾﾄ､l､／￣l/｀刈Y北Ｌ.,′ |　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｜　ヽヽl ´==''　　　　 ==''＾ } |　ﾋｼ''′　|　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　'　 l / ∧　　　　'　　 　 　 ｲ｜Y´　 　 ｜　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「どうして？」　 　　　　 　｜　j l　|｜丶　　 ‐　 　 イ｀ヽl　l　 　 　 |　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　/|　 {｜ ! | ヽ　｀ ｒz=.､´　ﾉ　 /　lト､　　 ｜　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //ｊ／. :|　! |＼　l､{{ｒ勿}}〃　 //| jj:::::＼　 |　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 　 /.／. .:.::::| 　 { 　 　 ｀ﾞＴﾞ´　　 // l|从::::::::::ヽ.!　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ‐=ﾆ´.:::ヽー=≧ト:.ｒ‐⊂ニニﾆ⊃x/ /ｊ/:::}::::::::::::::ヽ.　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼::::::::::::::ゝ---/´ ミ}厂厂厂厂ｊｒ―‐ヘ/.:::j:::＼::::::＼_ｊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼::::::::::::::::::/　 ア{ i/ i/ i/ i/jゞ､ヽ｀ヽ＼{:::::::::＼::::::::｀ヽ



――――――――――――――――――――――――
　　そんな彼が否と言ったので、
　　一瞬息を呑んだ真紅はもう一度紅茶に手を伸ばし
　　気分を落ち着かせてから理由を尋ねてみた。
――――――――――――――――――――――――

532 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:12:02 D9Lko7sQ
三４３６．
――――――――――――――――――――――
　　いくつか理由はありますがと前置きした上で
　　戦略的見解から最適ではないと言われたので、
――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　,;rii"　,　 ,ﾘ,ﾊﾍヽﾞi, l,　ﾞli.　　 ﾞlli, ﾞlli,ﾞ'i;
　　　　　　　　 _,;r'" ,il'　;il' ,i'ｸﾉ ﾘ ﾞいﾐﾞゝ,､ﾞゝ　　ﾞli;lli, 'li;,ﾞi,
　　　　　　_,;r''"　 ,;il'"ノﾉノ ｼ'＿＿　　`''弋ﾐヾミヽﾞ;llllli;, l'}
　　　_,,:-''"　　,,;ill;'",;i'-''""二二￣`　　　,,:''''''ｰ-ﾞlll;iii,'lllli,'}
,>iii''"　　 ,,;ｨ彡''"/f"　　r'''("llli)`　　　　,/"'flliiﾐヽ.|!li,'llllliﾘ
ll'"　　　,:i''　 }i　lﾞ {!　　　　`￣　 '"　　　i ､ `'''"　,;llll,lllll;ﾂ
.いi'　.;i'　r' ;il　i'{　`ﾞ　　　　　 　 　 　 　 ﾞi､　　　クｼ''"
　`i,　:lli,　　ﾞli :l: ﾞ'':､　　　　　　　　　..　　　 i;　　　.|
　　ﾞi,　ﾞllii;, ｰﾞ''li､　　　　　　　 　 　 ' -'''; r'"　　　 |
　　　ﾞi,　,l''llli;,　,,ﾐ　　　　　 　 　 　 ＿－　　　　 /
.　　　 ;ﾚ　 'llllli;　 ﾞ:､　　　　　　'"￣ 　￣`''ヽ　 /　　　　　　「彼を殺すのが目的であれば
　　　 "|　　,ill'l!.　　ﾞi､　　　　　　　　-==　　　./ 　 　 　 　 　 町の人を人質にします。
　　　 _|　　,il' 'ﾞ　　　ﾞ'ゝ､　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　 もしくは理力魔法使いらしく
　　/" ヽ､　{,,_　　　　　`ﾞ'''ｰ::,,,_　　　　　　 / 　 　 　 　 　 　 遠距離からの奇襲をするでしょう。
　,/　　　 `''''ｰﾐ=-:;,,_　　　 `'￣`''''ー---r''
　　　　　　　 　 　 　 ＼,-､_,:-ー､`ー-'''7ｰ:､__　　　　　　　　 それが一番手っ取り早い」
　　　　　　　　　　　　　＼　 `ヽ　`ー''''"'＜,,_ `ヽ､



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 r':.:.:.:.:.:／　　/　 }　　{:.:.:.:.:.:.:.:}:i:i:i:iV:.:.:ｲミ≦=}i}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 L:.:.:／　 　 /　 /　 , 人:.:.:.:.:.:.:ヽi:i:i:{_:.:.:.ヽ__ >i/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r'::/ ,　,　 /　 /　　 }　　ヽ;.:.:.:.:.:|:i:i:i:{:.:.:.ノヽｨく
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 V / :/:i　|　 / 　 / /}　 }:.:.:.:.:.:.:}:i:i:i:|:.:.:.:.|　:|}::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 l |i　{ i|　{ :ｉ|L}-ﾅ_ﾑﾅ:/}＜:.:.:./:i:i:i/:.:.r:ｨ　 |}_|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 {{ﾊ　ﾚｔ__八{i ﾚｽ豺ヽ ﾉ}i:.:.:.:.:ﾌ=-､:.:.:.:Y}　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ八{ {'jﾘ　　　 'ｰ '　.//} |:::ﾘ}爪i}}:<jﾌi|　　l',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾉ　}¨ ,　　　　　 .//:} i|y:i:i≧7.ｨ　|:i|　　| ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　「エゥーゴ事件の話からすれば 　 　 　 / /人　 r-,　　__.ﾑ_ } ｉﾚ_彡イ　{　|:i|} 　 ', i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 それが可能だと分かるわね」.　　　　 / /ｉ{ 　＼ ¨　 _}:i/:i:i:i}　ﾄ=--} 　 |　¨ ',　　ｌ {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 〃}　レィ:i:i:iﾌﾃ､:i}}i:i:i:j　j:i:i:j:.:.:ｺ{ :{',　　 , 　 ', ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　Ｋ:i:i:i:i:i:i:i:ﾑｦ{ｲ} V:/ /i:i/:.:.:.:.:.ヽl ',　 　l i　l 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 {{ 　ﾊi:i:i:i:i:／:i:ｰ’:i:iヽ j ﾑ=-ｧ:.:.:.:.:.:.:.. }　　 ',　 ',　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 { ｰ-ヽ =':i:i:i:i:i:i:ｬ='¨ ＿_,　ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　 　',　 ,　　 　 ｝



―――――――――――――――――――――――――――――
　　つい半年前にエゥーゴで起きた、
　　女神の宝具事件を思い返した彼女はうんうんと何度も頷いた。
―――――――――――――――――――――――――――――

533 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:13:01 D9Lko7sQ
三４３７．
―――――――――――――――――――――――――――
　　妖術師ライト＝ヤガミはあのとき、
　　本来、大魔導師が数人集まって儀式をしなければならない
　　隕石落としの魔法を単独で二連発したと言う。

　　それだけの事が出来る超越者が、
　　魔竜に数千人の犠牲を出させる事も厭わない男が、
　　なぜやらなかったのか。
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　_,,,.-―''''"￣`''-,‐'´－--- 、
　　　　　　　　　　　　, ''"　　　　 ｒｒ、　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 ／　　　　　 /iiii（从川　　iii　　　iii;;　＼
　　　　　　　　 　 ﾉ　　　　　　/iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiｌ　ii iii　　　iiiiii　　＼
　　　　　　　 　 /　ｉ　　　ノｊノiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii|　ii iii　　 ｊiiiiiii　ﾞ､ヽｊ
　　　　　　　　/　ﾉﾝiii;;;iiiiillllliiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii ;;〃iii ／j八iii　 }
　　　　　　　　!iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii_,,,.-ｧiiiiiiiiiiiiiii〃,‐'ﾉノｰ_＝ 〉ｉｉｊﾘ
　　　　　　　　ｉ、iiiiiiiiﾍ_ｉｉノ::::／iiiiiiiiiiiiiiiiiノ:::::::ｒ ' I!:::　 {jﾉjﾉ
　　　　　　　　 ｉiiiiiiiiiゝ:::::::／iiiiir'´ヽii 〔::::::::　　￣　　　＼
　　　　　　　　 ﾞ､iiiiiiiiii　iiiiiiiiiiiii{　斤ヽ ヽ::::::.　　　　　 ___ノ　　　　　「ご存じの通り魔法も戦技も、
　　　　　　　　　 ｉiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiヽ､爪弋ﾐﾞ::::::::::　　　　　 ｊ　　　　　　 強力なものほど味方や周囲を巻き込みかねない。
　　　　　　　　 　 ＼iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii`Y´::::::::::::::::　　　　ｰ=!
　　　　　　　　　　　 }iiiiiiiiiiiiiiiiii/ﾉﾉ从::::ﾞ､::::::::::::..　　　'ｰｆ　　 　 　 　 相手が自由にそれを使え、
　　　　　　　　　　　「iiiiiiiiiiiiiiiii/iﾝﾉjﾉ::ﾞ､: ヽ::::::::::::: 　　　ｉ　　　　　　　彼はそれを使えない場所を選ぶのは
　　　　　　　　　　　ヽi_i_ii_iiiii∧ﾘ:_:_:_:_ヽ;;;: :`''‐-、＿,,ノ　 　 　 　 　 優位性を保つのに必然ですから」
　　　　　　　　　　　　|llllllllllllllllllllliiiiiiｉｉｉｉiｉiiiｉｉ＼〔＿__
　　　　　　　　　　　　|lllllllllllllllll＿llllliiiiiiiiiiiｉｉｉヽ与､-、ｉｉ､
　　　　　　　　　　 r'´`ヽ!!!ｌｌｌｌｌ|＿ ~`''}ｉｉｉｉｉｉｉ| ｉｉ|　　ゝ＼ヽ
　　　　　　　　　／llllllllllllllll＼llllllllllll`┘ｉｉｉｉｉ| ｉｉii|　　ﾉ　 }ｌL
　　　　　　　 ／llllllllllllllllllllllllllll＼lｉｉｉｉ＼ｉｉｉｉｉ| ｉｉiiii||＿＿_」ｉｉｉ|
　 　 　 　 ／llllllllllllllllllllllllllllllllllｉｉｉｉｉ＼ｉｉｉｉｉ￣ｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉヽ
　　　　／llllllllllllllllllllllllllllllllllｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉ／ｉｉｉｉｉｉｉｉｉ_ｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉヽ
　　　/llllllllllllllllllllllllllllllllllｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉ／ｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉＨｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉｉ|

534 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:14:01 D9Lko7sQ
三４３８．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 .┘:.:.:.‐-:.:.:.:.:.:.:.:_;.ﾆ=‐ ＼:.:.:.:_:.:.:.:.:.ﾏi:i:V/.:.:.厶ィ竺≧:i:i＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞　　 :. 　　｀⌒７:.:._:.:.:.Ⅴ:i:i∨:.:/_八　/:K
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　辷_:.:.:.:.:.:.:.:.／ ／　　 ;　　　　（:.｀⌒'ト:.:.Ⅵ:i:iV.:ﾑ:个/:什 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_）:.:.:.:. ′/ 　 　 / 　 　 斗 ｢工):.:.:.＼}i:i:i:iv:.:.:.:l〈:/川　＼':.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〔:.:.:.:.:./ '　.:　,　　｛　　 イ/_} ﾊⅥ:.:.:.:.:.:.:}i:i:i:i:l:.:._八:. 　 {　　 }i;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 7.:.; / / l　{　 ､{_／ｨf苅7/ 川＾):.:.:.:.fく天ﾐｖ:.:.:__:〕 　 ,　 /:′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }.:.:|:i{ | 八_{__　j｢}/^V)ｿ ′ｊ;仏L;_:.:.:込=乂:.:.( |i:|　　 Ⅵ/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼|:i{ l ､　i{f笏ｖ　　 　 　 　 　 | く:.:.厂i:i厂.:.:_}j:ﾉ}　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｊ八ドヘ ｲﾋr'　 　 　 　 　 　 |　}V:ｉ:ｉ:/.:.:.:./ ′ {　 　 　 :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 }　l　` 　 _ 　 　 　 　 |　}:.Ｖ仏ィ'ｱ 　 　 :　 　 　 ；
　　　　　　　　　　　　　　「では、妖術師の目的については？」　.　　　 　 　 } 人　 ´　　┌‐‐…::v　Ⅸ乂／ |　　 　 |　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:〃 个　.　　 |ニニニ;　 厂＼ﾏ_ |　　　　|　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 // l　 | __,..≧=Vニニﾆ}　仁i⌒l)トL,　　 　{　　　 　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 　 //__」ｉ斗ニﾆ{fﾂ,仁ニニ7 √.:.:.:.:＼ :.:.＼　　 ,　　　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 〃くニニニニ≧7ニニﾆ/　 ;ﾍ:.:.:.:.:.:.:};.:.:.:.:.丶　′　　　　 :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 {{　 Ⅵニニニニ{ニニ∠,　くL,}_:.:_／'′.:.:.:.:.:.:＼ﾍ,　　　　 丶



　　　　　　 　 |;:;;;;;;;;;;〔カ;:;:;:;:;:;:::::,r'´　ヽ.:.:;;;:;;ヽﾐヽ;.:.:..ヽ
　　　　　　　　!;:;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;;ｲ　 ;:ﾄ､ ;:;;､.:.:;:;:;:;;;;;`ヽ;:;:;!
　　　　　　　　`ﾄ､;:;;;;;;;;;;,､‐'ｨｲ ;:; :; ;;､ ;:;:;､`ミﾐﾐ､:;;;`ヾ;:;;|
　　　　　　　　,'.:;:　,:　,ｨｲﾉlﾉ;'ﾊﾄﾄ､ヾ;:;:ﾄﾄ､ヾﾐヾ;: ;;;;;;.:;;;ﾘ
　　　　　　　　V,:;`,;',;,'ﾙ'ﾞ-ｲ=≡'´　 ｀`''＝- ､`ﾉﾉ　.:.:/
　　　　　　　　 ﾙ,;:',ﾍ;;! 　ｰ＝'''´ヽ　　ｰ＝‐`　 ii! l;:;/
　　　　　　　　　ﾄﾄ;;ﾄ､j!　　　 "´　　　｀`　　 　 / //
　　　　　　　　　 '`ヾ>ﾄ､　　　　　　　; 　　 　 ,ﾍ;:;k　　　　　　　「分かりません。
　　　　　　　　　　　 `1ik､　　　　`ー′　　 ,ﾍ;:;;ｲ
　　　　　　　　　　　 /.:.:L:.､　　 -‐-‐-　　/ 1;;/ヽ 　 　 　 　 　 ですが―――」
　　　　　　 　 　 　 /.:.::.:.:/1ヽ　　´￣　 ,.ｲ /;:;:;ﾊ.:`,
　　　　　　　　　_,ノ.:.::::::/;:;;ﾚ''｀`ー─.＜ V;;;;;i.:l/.:::::L_＿
　　　　　-‐''"´.:.:.::::::::::/;:;;;;;l　　 /l　　　ヽi;:;;;;;;l.::::::/::::::::::::.`
　　　　.:.:.:.::::::::::::::::::::V;:;:;;;;;;;|　　lk!　　　　l;:;;;;;;;|.::/.::::::::::::::::::
　　　 .::.::::::::::::::::::::::::::;:;:;;;;:;::::L＿|ﾉ ＿_」_ﾉ;:;;;;;;;;;/::::::::::::::::::::::



――――――――――――――――――――――――――――――
　　別の狙いがあるのなら、その推測はついているかと言う問いには
　　さしもの天才も目を伏せる。
――――――――――――――――――――――――――――――

535 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:15:04 D9Lko7sQ
三４３９．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　ただ、思うところはあった。
　　目的は分からないが目的の為に状況を作り出している可能性がある。
　　そしてその条件として、彼の排除を狙っているのではないだろうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　,r'Ｚヽ　　　　　＿,,,;:-､s-──--ﾐ,,_
　　　　　　 　 ＼l／　　_,:r'''"n ,,　　　'l;　ﾞl!　　 ﾞl!, ﾞヽ､
　　　　　　　　　　　,;rii"　,　 ,ﾘ,ﾊﾍヽﾞi, l,　ﾞli.　　 ﾞlli, ﾞlli,ﾞ'i;
　　　　　　　　 _,;r'" ,il'　;il' ,i'ｸﾉ ﾘ ﾞいﾐﾞゝ,､ﾞゝ　　ﾞli;lli, 'li;,ﾞi,
　　　　　　_,;r''"　 ,;il'"ノﾉノ ｼ'＿＿　　`''弋ﾐヾミヽﾞ;llllli;, l'}
　　　_,,:-''"　　,,;ill;'",;i'-''""二二￣`　　　,,:''''''ｰ-ﾞlll;iii,'lllli,'}
,>iii''"　　 ,,;ｨ彡''"/f"　　r'''("llli)`　　　　,/"'flliiﾐヽ.|!li,'llllliﾘ
ll'"　　　,:i''　 }i　lﾞ {!　　　　`￣　 '"　　　i ､ `'''"　,;llll,lllll;ﾂ
.いi'　.;i'　r' ;il　i'{　`ﾞ　　　　　 　 　 　 　 ﾞi､　　　クｼ''"
　`i,　:lli,　　ﾞli :l: ﾞ'':､　　　　　　　　　..　　　 i;　　　.|
　　ﾞi,　ﾞllii;, ｰﾞ''li､　　　　　　　 　 　 ' -'''; r'"　　　 |
　　　ﾞi,　,l''llli;,　,,ﾐ　　　　　 　 　 　 ＿－　　　　 /　　　　　「妖術師の目的は別のところにある気がします。
.　　　 ;ﾚ　 'llllli;　 ﾞ:､　　　　　　'"￣ 　￣`''ヽ　 /
　　　 "|　　,ill'l!.　　ﾞi､　　　　　　　　-==　　　./　　　　　　　むしろ、その為には彼がアルビオンに居ては
　　　 _|　　,il' 'ﾞ　　　ﾞ'ゝ､　　　　　　　　　　　/　　　 　 　 　 都合が悪いのかも知れません」
　　/" ヽ､　{,,_　　　　　`ﾞ'''ｰ::,,,_　　　　　　 /
　,/　　　 `''''ｰﾐ=-:;,,_　　　 `'￣`''''ー---r''
　　　　　　　 　 　 　 ＼,-､_,:-ー､`ー-'''7ｰ:､__
　　　　　　　　　　　　　＼　 `ヽ　`ー''''"'＜,,_ `ヽ､

536 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:16:01 D9Lko7sQ
三４４０．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､... .... ...... .... ..... .... .. ... ,　　　　　　　　, .. .. .. .. .. ... ...､. . . . .､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_）::::.::::.:::.::::.::::.::::.::::.::.／ /　　　　　　 /:::.::.:::.::.::.:::.:::.::.:::.ヽ、: : : ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |::::.::::.:::::::.:::::.::.:::.::::／　 /　　　　　 　､'､::.::.:::.:::.:::.::::.:::.::::.::::.`、: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　廴::::.:::.::.:::::.::.:::／　　 / 　 　 　 　 　 i ｀‐-‐､::.::.::.::.::::.::.::.::.:.', : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　_）::::.:::::.::::::/　　 　 ｉ　　　　 i　　　 |　　 　 〉:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::!: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　L_::::::.:::::.::/　　　　 |　　　,'　| 　 　 |　　　 {::.::::::.::::.:::.:::::.:::::} : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　￣l:::::::i　　　　l　|　 　 i 　| 　 　 !　　 ,ｨﾄ､:::::::::::::::::::::::::::|: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼_| i 　 　 ｌ　| 　i　|　ｌ|　 　 ﾉ_,ィ´/ !　ﾒ -‐'j:::::::::::::::j,ｪ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | |　　　 l　|　 |　!　l|　 ｨﾁ´/／_,」_/_　 （::::::::::::::::ﾊ{{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | |i 　 　 ｉ　i _」　ﾄ､||　/ 　 ,ィZr'ﾁ卞､｀7 ﾄ､::::::::::代`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ｌ|　　　 Ｘ´i l＼l 　ﾚ'　　/l　{つk_ｊ::::}/　|　ﾄ‐-,:::|:.｀:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!ヽ、　ﾄ､　,ｒz=､　 　 　 　 弋:::::::ｼ'´　｜l|　〈::::}: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ 　＼| kｲ、Ｖﾑ　　　　 　 　 ￣　 　　! ﾊ　 〉,': : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾊ `弋ﾉ　　　　　　　 　 　 　 l i　|　|: : : :
　　　　　　　　　　　　　「今回の襲撃はやらない夫が　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　 　 ヽ　　　　 　 　 　 　 //　|　|: : : :
　　　　　　　　　　　　　 嗅ぎつける事を見越しての餌だと言うの？」　　　　　　　| ｀、　　　　r‐- 、 　 　 　 .//　/|　|: ;／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 }　 ﾄ､　　　 ヽ.__,ﾉ　　　　 //／__|　|_:::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　/| | ｀　.､　 　 　 　 , ィ'//:￣ : |　|:|-;:::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　/ .| | 　　 _,＞ｰ _　l´: :.//: : : : :.|　|:|. L



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　これには真紅も驚いた。
　　やらない夫を物理的に排除するのではなく、
　　アルビオンから追い立てるのが目的などとは毛の先ほども考えつかなかったのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

537 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:17:01 D9Lko7sQ
三４４１．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　頷き、温くなった紅茶を一気に飲み干したウェンリーは
　　エゥーゴからの通達の後、大陸各国から上がった関連情報について
　　一通り目を通していて―――
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　 ／;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ｿ;:;:;:;:;:;:;:ゝ､
　　　　　　　〃;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:Yｲ|;:;:ﾍ;:;:ヽ:;:ヽ
　 　 　 　 ／;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヾヽ;:;:;:ﾊ
　　　　　/;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヽ
　　　　　ﾉｲ;:;:ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノﾉ ﾊﾍ ∧;:;:;:;:;:;:;:ヽ
　　　 　 ﾙノノ;:;:;:;:ノノ;:;:ノ彡'ｿ/ﾉ ヾミﾊ;:;:;:;:从ﾘ
　 　 　 /彡彡ﾆ彡ｲ彡ﾆﾆ"　　　＿_　ﾍ;:;:ﾊﾙ'
　　 　 　 ﾄ彡ｲ ｲ.l|　　￣｀　　　´fｫｯ｀ /ソ''
　　　　　 ヾ;;;;ヾ. ｿ　　　　 　 　 {　 　 ,'　　　　　　　　　　　　　　「納得できないのですよ。
　　　　　　 ﾙ;;;;ヽﾍ　　　　　 ｰ-'　　 ﾉ
　　　　　　 从;;;;;;;;;|　 　 ／￣￣￣｀ミ辷ﾆﾆﾍ　　　　　　　　　　 四十一年もの間、殆ど足取りを辿らせず、そして人知れず
　　 　 　 　 >ﾊﾙj ヽ　 l´　　　　　　　　|　　i　｀ヽ､　　　　　　　　各地で事件を起こしていた妖術師の目撃情報が、
　　　　　　 |＞ｰ--､.ヽﾍ 　 　 　 　 　 /ﾆﾆ≧.　　|　　　　　　　　なぜ今回に限りおおっぴらに上がっていたのかが」
　　　 　 　 |.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ ゝﾐ､　　 　 　zﾍ､＿__. 　､　|
　　　　　／.:.:|φl.:.:.:.:ﾄY´￣｀Yﾆﾆ>ヾ::（　　　　､　|___
--一'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.　 　ﾊ　ﾍ 　 |.:l´￣　 ､　 ∨.:｀￣｀ヽ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.人 　 |::　 J　 j.:.:ヽ､ 　 　 　 }.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＞ﾄ､___∠.:.:.:.:.:ﾍ､.　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ミヽ='.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼.:.:.:.:.:.:.:



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　これまで殆どその足跡や原因であることを悟られず、
　　それでいて残虐非道な行為を繰り返していたライト＝ヤガミと言う存在に
　　戦慄を覚えていたのである。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

538 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:18:01 D9Lko7sQ
三４４２．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　今回の通達については、鎖国中の三神国ですら興味を示して妖術師情報の提供を望んだそうだ。

　　あいにく向こうからの情報提供は無かったのだが、
　　言わないだけで一つや二つの心当たりはあったのだろう。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｢｀ー'′／　 　 /　　 ヽ、 ＼ ＼　 ヽl}::.:)､ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l_,ｨ　　/　/　　 l　 　 　 l 、　 ｌ　｀､　{:|}く＼ヽ/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　 ,′ !　 　 {　 　 　 | l| 　 | 　 l　):|} ﾉ|:｢´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ∧| ,　| 　 |　l　 　 　 | ｌ|　　|　 l|　{:|!::）|:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::l| |　|　　ｌ　 、　 　 | l | _,厶| j| ｛::|}::} |｣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::| ｀、!| 　 ＼ ヽ、　|,.イ,斗予 |　|{K!j　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈:;小､ヽヽ、Ｔ,Ｚﾆミヽj　 ^ヾrｼ　|　|ァ１　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 ＼ヽN {ヾtｸ　　　　 　 　 |　ﾄ |_|　 |
　　　　　　「エゥーゴの通達で周囲が気に留めるようになったから、.　 　 　 ｜　 | 　 l　＼　　　 ｀-　　 ／!| |::..::.｀:┴-､
　　　　　 　 と私は思っていたけれど、　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　　|　　|　 | ＞ ､　_＿ ／::..::|| |::..::..::..::..::..:ﾄ､
　　　　　 　 あなたはわざと姿を見せていたと考えたのね」　　　　　　　　　　|　　j　 /|　 l/::..::..::..::..rｸﾆﾐ::../| |::..::..::..::..::./::..｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 .　　　l　　 ! //l　 l::..::..::..::/;ﾊﾐZシ//| |::..::..::..::..:/::..::.｀ｰ┴―-ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j　　 ﾚ'∧!　,'::..::..::.〃::..::..::.ﾚ'/::| |::..::..::..::r'::..::..::..::..::..::..::/::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　/ / /|　ﾊ::..::..::..::..::..::. /l ﾄ､| |::..::..::..::{ー-::.ﾊ::..::..:: /::..|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 /　　/ ｜{::.| ||::.＼::..::..::..::../::.| l::.| |::..::..::./::..::..::/::..＼::./:ヽ:j



――――――――――――――――――――――――――――――
　　それほど注目を集めていたせいでは、と真紅は考えていたのだが、
――――――――――――――――――――――――――――――

539 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:19:12 D9Lko7sQ
三４４３．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　資料を読んだ限りではそのような愚を犯す相手には思えませんでした、と
　　ウェンリーは首を振る。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　 !iﾞ ;'　　 ,i　　,! ,/!,i,iﾊﾄ, i, !! |i', ﾞi; i;;;';';,,_ミ:: ;;, ﾘ
　　　 lv',ｨ'　,;;;i　〃;/ ﾘ.ﾘl| !lﾞ:,ﾄ,ﾞ:､li;'､ i:.ﾞi;..;;;;;;;,ヾ ;;:〈
　　 ,ｨ,ｨ/ ,,;;:;;ｲ,/ｼノﾝ' ﾉ ﾞl! ﾞ'いﾐ`ﾐゝﾐゝ､ﾞ';;;;;;;;;;;;;'v;;;i
　　'" /　,;;-''ｼr--=､∠,,__ﾞ､　ﾞゝ,;≧-─ﾐｰi;;;;;;;;;;;;;;;;;;l
　　　iﾞiﾞ　 ;;ﾍ |　ーt‐:ｧﾐ:｀､`　' '<"t::ﾗｰ-　|;;;ﾊ;;;;;;;;;;iﾞ
　　　ﾞ;ﾞ､　（ ﾊ,! 　｀""´'　 ﾞ:　　 `' ｀ ´　　 ﾉ;ﾘ ,i;;;;;;ﾉ
　　　 ﾞ:,ﾞ:､.ヽ,ﾐﾄ: 　　　　　 ,　 :.　　　　　　ｹﾉ./;;ｬ'′　　　　「仮定に仮定を重ねてしまいますが。
　　　　　 `:､`ｰ;　　　　　 ,'.　 :::,　　　 　'ﾞﾌｰ';;lﾞ
　　　　　　 ﾉ,;;;;ﾞﾄ　　　　 `ｰ-‐'ﾞ　　　　 /};;;;;;;l、　　　　　　　本番に絡んでくる事を見越して前哨戦を行い、
　　　　　 ,ｨ'ｽ､;;;|`､　　　-‐ - ─-　　 /,.};;;;;;;;;;｢　　　　　　　先に彼を釣り上げた―――と言うのは考えすぎですかね。
　　　 　 _｣ ゝ､;;;l　;ﾞ:、　　　'''''''　　　,ｨﾞ 'ｸ;;;:;:;;;;｣
　　＿／/　　 `:'､ ﾞ; ﾞ' ､　　　　　 ,ｨ'ﾞ　;'ク:::::::::::;`;､＿.　　　　 彼がアルビオン入りした後に即、再襲撃をしなかった事から
　'"／　 l　　　 r‐`ｉﾞ:,　 `ｰ---‐''ﾞ　　｢..:::::::::;ｨ^!;;;;;;;;;;;;　　　　 アルビオンを保護したい………
　　　　　ﾞ!　　　|:::::P"⌒`ヽr～''⌒`く! ::::::::iﾟ_ノ,;;;;;;;;;;;;　　　　 言い方は変ですが、アルビオンではこれ以上戦いたくない
　　　　　 | 　　,l:::::::|　　　/ バ　　　 ,l :::::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;　　　　　理由があるのかも知れません」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(::::::::::::::::ゝl::_ _:::::::::::::::::::::::::::ー┤ 　 |::::::::::::::::::::::::::ﾉ＼_／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 jゝ:::::::::::/`ｰj:::::::::::::::::::::::::::::::::::.|　 　|ッ:::::::::::::::::rイヾ ー'＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　＼/ 　 　/ 　ゝ__,:::::::::::::::::::: |　　 |:::::::::::::::::_:(　 l! | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 　Yl!　　|　　 　ゝつ:::::::::::::: l, ､ /:::::::::::⊂´　 ﾉ!/| 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !| 　,、　　 ﾄ,　ヽr､::::::::frtｯゝ::::::::rイ　　/　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ､!.,＼l!　!li　j/! ゝ_:::ゞﾆメ::rゝ′　　/!!　| | 　 |
　　　　　　　　　　「なるほどね。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 >!ﾉﾍ! ﾚ'　j!　 ﾄ'　/／´ ／ 　 ,イ '' 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ﾉ ﾄ､　 　　/, 　| ,/ゝj/　_ ,. イ|　|　 　| | 　 |
　　　　　　　　　　 一度負けた相手だし、本番に居て欲しくないと.　　　　 　 |　| .‐､ｰ　j/| 　|/　 　`_j _ l!ヾ!　|　　 | | 　 |
　　　　　　　　　　 思っても不思議じゃないわ」　　　　　　　　.　　　　 　 　 　 |　| 　 ,＞/ .|　,.トｰ <_ ::: r:/ | !　|　 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 　 　　|　| ＜r,<ヽ..|./│／　/`ｰ <_,j 　|　　 | | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 |　| 　 ゝｲヽﾉ　　ヽ　/ヾ :::: ゛ヽ　|　　 | | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 |　|　/ 　_j/ . __,∠ノ::::::::＼:::::: ヽ| 　　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 |　|.ｲ_,〆／ _,, -―rﾞ :::::::::: ＼::::: ヽ 　| | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 | .∠, ／ ´!　　 ∠_::::/ l:::::::::::::ゞ :::::.､ | | 　 |

540 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:20:06 D9Lko7sQ
三４４４．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　断片的にフリートから知らされる情報と照らし合わせても
　　今のところ矛盾は感じられないわね、と頷く真紅に
　　個人的な想像の域を超えませんと繰り返した彼であったが―――

　　不意にこれだけは分かりますと神妙な面持ちになった。
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　,r'Ｚヽ　　　　　＿,,,;:-､s-──--ﾐ,,_
　　　　　　 　 ＼l／　　_,:r'''"n ,,　　　'l;　ﾞl!　　 ﾞl!, ﾞヽ､
　　　　　　　　　　　,;rii"　,　 ,ﾘ,ﾊﾍヽﾞi, l,　ﾞli.　　 ﾞlli, ﾞlli,ﾞ'i;
　　　　　　　　 _,;r'" ,il'　;il' ,i'ｸﾉ ﾘ ﾞいﾐﾞゝ,､ﾞゝ　　ﾞli;lli, 'li;,ﾞi,
　　　　　　_,;r''"　 ,;il'"ノﾉノ ｼ'＿＿　　`''弋ﾐヾミヽﾞ;llllli;, l'}
　　　_,,:-''"　　,,;ill;'",;i'-''""二二￣`　　　,,:''''''ｰ-ﾞlll;iii,'lllli,'}
,>iii''"　　 ,,;ｨ彡''"/f"　　r'''("llli)`　　　　,/"'flliiﾐヽ.|!li,'llllliﾘ
ll'"　　　,:i''　 }i　lﾞ {!　　　　`￣　 '"　　　i ､ `'''"　,;llll,lllll;ﾂ
.いi'　.;i'　r' ;il　i'{　`ﾞ　　　　　 　 　 　 　 ﾞi､　　　クｼ''"
　`i,　:lli,　　ﾞli :l: ﾞ'':､　　　　　　　　　..　　　 i;　　　.|
　　ﾞi,　ﾞllii;, ｰﾞ''li､　　　　　　　 　 　 ' -'''; r'"　　　 |　　　　　　「しかし………
　　　ﾞi,　,l''llli;,　,,ﾐ　　　　　 　 　 　 ＿－　　　　 /
.　　　 ;ﾚ　 'llllli;　 ﾞ:､　　　　　　'"￣ 　￣`''ヽ　 / 　 　 　 　 　 彼は巻き添えをさせないためにも、
　　　 "|　　,ill'l!.　　ﾞi､　　　　　　　　-==　　　./　　　　　　　　 再襲撃の前に叩くためにも町を出なければならないでしょう。
　　　 _|　　,il' 'ﾞ　　　ﾞ'ゝ､　　　　　　　　　　　/ 　 　 　 　 　 　 此度の追放にはそのあたりの思惑が絡んでいても
　　/" ヽ､　{,,_　　　　　`ﾞ'''ｰ::,,,_　　　　　　 /　　　　　　　　　　不思議ではありません」
　,/　　　 `''''ｰﾐ=-:;,,_　　　 `'￣`''''ー---r''
　　　　　　　 　 　 　 ＼,-､_,:-ー､`ー-'''7ｰ:､__
　　　　　　　　　　　　　＼　 `ヽ　`ー''''"'＜,,_ `ヽ､

541 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:21:01 D9Lko7sQ
三４４５．
―――――――――――――――――――――――――――
　　それは真紅にも分かった。
　　だから目の端に浮かんだ涙を見られまいと壁の方を向き、
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 __
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿/:.:.|_,::=ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝ｭ_l:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.{ ｘﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 {.:.:.､:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:ﾝ:.:.└ｫ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ）:.:《>:八ｭ「'　`¨´ `´>K《
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ:.Ⅳ　 仆》 　 　 　 :l:!　》､
　　　　　　　　「だったら―――　　　　　　　　　　　　　　　　　 弋:!　　:{:{　　　　 　 ｌ:Y　 !
　　　　　　　　 やらない夫は自分から出て行くでしょう。　　　 　 }　 :.Ｎ　　　　 　 ,"!　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 l|　　|ゝ、　　　 , ' 人　:!
　　　　　　　　 そう言う人だわ」　　　　　　　　　　　　　　　　　　 斗 　 ｘ _ミ;　　彡く　|　 :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／ｲ :　 .ﾊソネ六＜:､ゝ. :.　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ゝ＼ﾂ　xﾝ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V〉:ハ.　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 У　/:.:.:.:i_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:「　 ｷ ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／　 :/:.:.:.:.:.ﾞ.､:.:.:.:.:.:.:.:彡､_ V ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 {「　　 ﾊ:.:{:.:.:.:.:∧∧:.:.:.:.:.x:.:.:.ミゝ.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｼ　 才:.:.:.:.〉:.:.:.:.:.:.〉:.＼:.:.:.:.:ｿ:.:.:.:人∧



　　　　/　　　　　　　 ,　 ｉｉｉ　ﾞ!,ヽ,　 ,ヽ, ゝ、.. ;;;,　ﾞヽ,
　　　 iﾞ　　　　　　 ,　 ,! , ｉｌｉ　l i., l;,　i, l;;;;,`ミﾞヾ';;;, ﾞi i
　　　 !iﾞ ;'　　 ,i　　,! ,/!,i,iﾊﾄ, i, !! |i', ﾞi; i;;;';';,,_ミ:: ;;, ﾘ
　　　 lv',ｨ'　,;;;i　〃;/ ﾘ.ﾘl| !lﾞ:,ﾄ,ﾞ:､li;'､ i:.ﾞi;..;;;;;;;,ヾ ;;:〈
　　 ,ｨ,ｨ/ ,,;;:;;ｲ,/ｼノﾝ' ﾉ ﾞl! ﾞ'いﾐ`ﾐゝﾐゝ､ﾞ';;;;;;;;;;;;;'v;;;i
　　'" /　,;;-''ｼr--=､∠,,__ﾞ､　ﾞゝ,;≧-─ﾐｰi;;;;;;;;;;;;;;;;;;l
　　　iﾞiﾞ　 ;;ﾍ |　ーt‐:ｧﾐ:｀､`　' '<"t::ﾗｰ-　|;;;ﾊ;;;;;;;;;;iﾞ
　　　ﾞ;ﾞ､　（ ﾊ,! 　｀""´'　 ﾞ:　　 `' ｀ ´　　 ﾉ;ﾘ ,i;;;;;;ﾉ
　　　 ﾞ:,ﾞ:､.ヽ,ﾐﾄ: 　　　　　 ,　 :.　　　　　　ｹﾉ./;;ｬ'′
　　　　　 `:､`ｰ;　　　　　 ,'.　 :::,　　　 　'ﾞﾌｰ';;lﾞ　　　　　　　「………となると追放は住民を
　　　　　　 ﾉ,;;;;ﾞﾄ　　　　 `ｰ-‐'ﾞ　　　　 /};;;;;;;l、　 　 　 　 　 納得させるための方便と考えても悪くありません。
　　　　　 ,ｨ'ｽ､;;;|`､　　　-‐ - ─-　　 /,.};;;;;;;;;;｢
　　　 　 _｣ ゝ､;;;l　;ﾞ:、　　　'''''''　　　,ｨﾞ 'ｸ;;;:;:;;;;｣　 　 　 　 　 あるいはフリート側もアルビオンへの再襲撃を疑っている？」
　　＿／/　　 `:'､ ﾞ; ﾞ' ､　　　　　 ,ｨ'ﾞ　;'ク:::::::::::;`;､
　'"／　 l　　　 r‐`ｉﾞ:,　 `ｰ---‐''ﾞ　　｢..:::::::::;ｨ^!;;;;;;;;;;;;
　　　　　ﾞ!　　　|:::::P"⌒`ヽr～''⌒`く! ::::::::iﾟ_ノ,;;;;;;;;;;;;
　　　　　 | 　　,l:::::::|　　　/ バ　　　 ,l :::::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　ﾞ:　/:::::::::ﾞi　　　 ヽﾉ　　　 l ::;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;



―――――――――――――――――――――――――――――
　　気がつかないふりをした大臣は女王が落ち着くのを待ってから、
　　追放の背景について予測できる範囲で答える。
―――――――――――――――――――――――――――――

542 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:22:01 D9Lko7sQ
三４４６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　ならば方針は決まりましたと、椅子を鳴らして立ち上がった真紅は
　　今回の事件がまだ終息していないこと、
　　フリートに―――あるいはやらない夫に再襲撃の危険が迫っていることから
　　支援部隊の増員を決意。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 r－':､￣￣ ¨ ヽ　　　_＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,　- '　　: :.l　　　　　　＼/ 　　´￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｛　　　　 :　::ーヵ　　　 　 |::＼　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 〕　　　:　:.:.／ └i:: . .　　 ヽ:::.∨　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 └i　 :　.:／ 　 　 └ｔ.:..　　　',::::|:. .　　 ｣､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 {　 .:/　 /　　　 l　　}::.　　 l::::|:. .　ｒ┘ :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.;/ /　ｌ　|　　 l　/ ゝ-､:.　!::l::　 /l　ｌ :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 〔_:|ｌ |　:ｌ　l 　 .:l ,.:i| _ﾄ|　 T |:l:　「　l　| :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |l/!　|!＼　イ!ィi´:::|.ﾚ'| |l l:|: ｣　八 ｌ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 l|　ヽlﾄ ｒヵl　 　Ｌ.r’'ﾉ| l{ |j　Y/　 ',l |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 / l ﾊ.{｣＿, - ､　/:| ｣:...／'　 　 ｌハ
　　　　　　　　　　　「何にせよ、引き続きアルビオンが危険なようね。　 　 　 　 /　/　{　ヽ{　　｣_, -'´￣ ¨ヽ　　 ヽ :|
　　　　　　　　　　　 支援部隊の規模を増やしましょう」　　　　　　　　　　　 　 , ｒ'´￣ｽ､!_＞ｔ.ｚッ'.:::　-－― ::',　 　 ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　ﾚ'￣-'´　l__{ヅ .: :＿__ 　-　/.:|!　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／ｉ/く::.'　　　 /l└ｔ. _　　.::ー '.／ .:::|　　 　:ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　イ　/＼::.　 ,:. l '　 Ｌ.. _　　／.:: .:　,'　　　　ｌ　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,　/ i　〈 ､ lﾊ:::.　　　　　_∟ .:'　.::　.:　{ 　 　 　 ｌ　i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ! i　:| 　 ト　､}＞､_＿／!,_ ｲ.::　　　　└ｧ　　 　 l　lヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ !　|　　〈 ヽ ｒ ---:.ヽ/┘::.ーｔ.　_＿｢i′　　　　l　ｌ　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｌ　ｌ　|　　　_ｒ‐'､-､　 _｢.:　-－_└'¨ ,::: :.｝ 　 　 　 l　!l　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 !　|　l　 〈, -|_｣ {::り;:｣ .::　 ' ´ 　 ／.:: : : ＼　　　　|　!|　!

543 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:23:02 D9Lko7sQ
三４４７．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そんな若き女王をウェンリーは頼もしい、と思った。
　　この賢い少女は思考の材料があれば、国主として責任を取る覚悟で判断できるのだ。

　　判断を委ねられるのではなく、別視点からの意見を求められることの安心感は
　　自分の能力を余さず使えることの充実感に繋がる。

　　それを与えてくれる人の下で働くのは悪くない―――
　　決して賭に負けたからだけではなく、
　　自分から望んでこの場にいるのだと思わせてくれる女王が本当に頼もしかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　,,､-''"´￣￣｀｀`ヽ､
　　　　,／　　　　　　　　　　　`-､,,＿
　　　,/　　　　　　 i, ;　　　　　 ﾞミ三ｰ''"
　　 /　　　　　　　ﾊﾊ　　　　　　　　ヽ,
　　i"　,/　/　,〃i/　 い、　＼ 　　いN
　 /　,/　,/ノ /　,ノﾉﾊ　ﾄ,、　ミ`'ー Ｖﾘ
　 | ﾚ'　　　_,,､ｧﾁ-ーﾋヽ| ゞﾋs、ミヽ　i
　ﾊ　　rﾍ ｱ'　 <ﾓﾃ;;　　 ｉ' zｯ､｀i　　ｿ
　 ﾞYf iﾞ　|ﾄ　　　 　　　　:i　｀｀　ｲ, ノ
　　いヽ　ﾞ!,　　　　　　,_　;､　　 ,ﾀ"　　　　　「すぐに手配しましょう。
　　　`i, `r､　　　　.._＿｀＿　　,ﾘ
　　　 ｸ',ﾍ ﾞ:､　　　 `''ー‐'´　 /ﾞ　　　　 　 　 待機命令については継続を？」
　　　ｲ,ﾍ　ゝ＼.　　　 ￣　 ／
　 f￣`''ー─--ﾐ''-､,,＿,,イ!‐-､､,,_
,／　　　　 　 　 ﾞi,⌒ヽz￢"ﾞヽ　　 i
　　 　 　 　 　 　 ﾄ　　ヾぃ　　）　　L,,＿

544 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:24:01 D9Lko7sQ
三４４８．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　ああ言う通達を送ってくるからにはフリートにはフリートの思惑や事情があるのだろうし、
　　同じ立場であるエゥーゴにも同様の通達が届いているのは想像に難くない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し,::.::.::.::.::.::.::.::＼::.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ヽ/::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 L__::.::.:＼::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::r‐':ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::{::.::/ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 厂＼::.::.::.::.::.::.,. - ､,.　´ ￣ `ヽ、::}､　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l＿::.::.::.::.::.::／　,　　　 ヽ　＼､　.ゝ::ヾ､::.:｀⌒ヾー--┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 }::.::.::.::,.'　　./　　 i　　　　 '､　.!::.::.:ヾ､::.::.::.人￣7/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /::.::.::.:/　 　 ｌi　　 .|　 ',　、　ヽヽヾ,::.:',;;､::.:└ﾄﾐｰ/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '::.::.::.:.,'　　　 .||　　 .!|　 i! ,!　 从 Y"::.:.i;;;;i::.::rﾍ〈ヾ:〉
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 〈::.::.::.::.　　　　 ﾄ､　､　l　 l!,ﾑ‐ﾅｌ'!ヽ{::.::.::|;;;;|::.:ﾞ┐ヾく
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼::.::{　　i　l、!ヾ＼ﾊl∨ｲｆィｔ.`ﾄ, i | 〕::,>=､::rﾍ:', ﾍヾ:､
　　　　　　　　　「ええ。　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヾ:ヽ　ゝ,ヾ､斗-、　　　弋zﾘ　, ﾄ､ゝ{薔}::.）､l:､ ﾍ ＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｀从ﾙヾﾞ 弋zﾘ　　 　 　 　 // .〉､ヾ"::ﾉ　',!:', .ﾊ　 ＼:＼
　　　　　　　　　 エゥーゴ側ともどうするかを.　　　　 　 / 　 /∧　　　｀__　　　　 ! |/:;ィ:>､〈　　 ﾞ!::|　.ﾊ　　＼:｀ヽ､
　　　　　　　　　 相談するべきでしょうし、　　　　　　　/ 　 //　 ゝ.　　　　ｒ‐'¨´7./／┐ ', ﾊ　　.|::|　　ﾊ　　　ヽ／
　　　　　　　　　 急ぎ親書を認めます。.　　　　 　 　 / 　 //　　 ,.-‐≧ ､∧　 ,.| .!"::.:く　 ',　}　 〈:」 i､ 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ノ 　 //　 ／{　　 /{薇}､ 　 | |::.::.::.::＼}　.!　　　 ', i＼　＼
　　　　　　　　　 ただ―――」　　　 　 　 　 　 　 ．'　　 ／ ／::.::.:｀ﾌ　 7介ﾄ､　「ヾl::.::.::.:／　人　　 　 ', ! ＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　.／　 "::.::.::.::.〈＿__/::.ゝ一'::.::.::__∠-―"￣｀ー┐_!」__　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ 　 ,／ ／::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.＜ 　 　 ,. -―--ｧ､ |::.::.::.::｀ヽ. ＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,／　　／ .／:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.ヽ- '"´ ::.::.::.: ／／::.::.::.::.::.::.l　　 ＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.／　　／ .／::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:: _,..∠∠_ ::.::.::.::.::.::.::.|　　　　｀ヽ､｀ヽ､



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　結論は急がず、すぐ動ける体勢を整えながら調整を進めましょうと頷き、
　　ついで彼女は言った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

545 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:25:02 D9Lko7sQ
三４４９．
―――――――――――――――――――――――――――
　　それでもやらない夫はこの国と自分達にとって特別だから。
―――――――――――――――――――――――――――



　　　r=イ: : : : : :∨: : : : : : : : /＼__＿__
./⌒/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : : :i
{: {¨: : : : : : : ＞　 -　-　＜　: : : : : : : : ::∨ﾊ
廴: : : ::,． ´　　　　　　　　　 ｀　＜: : : :／: : :i
: : }ヽ, ',　　　　　　　　　　　　　　　 ＼: : : : ´｛
: : : /./　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　.ヽ: : : : ::｝
:..:.:.i.,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨: :.｛====､
八 |!　　　　　 i|　　li　　ヽ 　l　　　　 i:　　∨: ﾊ　　　}}
トﾑ|!　　　　　 i|　　li　　　 ）ﾉ　 　 　 |:　　 ∨ ﾉヽ=彳ヾ
:ｿ:::|!　　 i_|＿_i|__ 乂　　／　　/　i:.　|:　　　Ⅳ　 i＿＿}}
Y司! 　 _从___八 ｀　 ヽ　/＿/_/_|!::. |::　 i　爪　 |￣￣
:| ハ　　 <T芯トﾐ＼ ＼ / ,∠_ム从　!::.. ﾉ 八 ） :|
:|:i ハ 　 Ⅵ込ツ　　 　　　fモテﾐ爪 ﾉ::〃/}:::{ 　 |
:|:i 　 ',　 乂￣　　 　 　 　 ゞrｹ　ｿｲ イ／z}:::{',　 !
:|:i　　 i　　トヽ　　　　j　　　￣　/彡 彳/:/}:::{ !　:!　　　　　「もしも、ジュンが個人的に先行したいと言ったなら。
:|:i　　 |　　!ﾄ､　　　- -　　　 , ｲ 　 　 | {_{ ﾑ:j |　:|
:|:i　＿|　i:...|　＞　 ＿　　＜___j 　 i　 | 　ﾉ:::ﾉ |　:|　 　 　 　 隊長に代理を立てて自由にやらせるつもりです」
＜: : : |　i::::|: : :⊥r=ｧ廴:_:_: : : | 　 !　:|.　￣　 |　:|
:∨.:.:.:.|　i::::|: : :辷zィ　ﾉ-: : :.:.:.| 　 !　:|:　　 　 |　:|
:::∨:.:.:|　i::::|: : : フTT､: : : : : : :| 　 !　:|ﾄ､　 　 |　:|
:::: ∨z|　i::::|: :イ: : | |: ＼: : : :.:.| 　 !　:|::::::ヽ　 |　:|
:::::::::Ⅳ /:::/: :/: : ::| |: : .:.＼ : ∧　　　∨:::::::＼　 !
::::::: / /:::/: :/: : :.:.:| |: : : : : :ヽ::∧　　　∨:::::::::::ヽ|



――――――――――――――――――――――――――
　　ジュンだけはこの国を代表する親衛騎士である事よりも、
　　体面を取り繕い、身動きのとれない自分達の代表として
　　あの人の親友である事を優先しても構わない、と―――
――――――――――――――――――――――――――

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━…

546 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:26:02 D9Lko7sQ
三４５０．
━━━━━━━━━━━…
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

―――――――――――――――――――――――――――
　　その朝。
　　ローゼン王国北西部、エスメラルダの町では
　　出発を間近に控えた支援部隊が広場に集まっていた。

　　号令を待つ彼らが一様に落ち着かない様子なのはやはり、
　　ローゼンの英雄が絡んでいる事件の支援だからだろうか。
―――――――――――――――――――――――――――


　　　　「ローゼンの代表として
　　　　 恥ずかしくない行動を心がけんとな！」　　　　　　　　　　ｶｰﾝ…


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「向こうでビップ様と会えるだろうか！？」
　　　　 　 　 ,､　 _
　　　　　,,.._/ / / /iｺiｺ ,..､.,__
　　　　 '‐-, .,ニ' ',コ　　!┌‐-ニ￢　　　　　　　　　　　　「おーい、保存食貰ってないのは誰だ？」
　 　 　 　 '-'　/ /　　　.゛´　　 / /
　　　　　　 ／／ 　 　 　 　 ／／　 　　　　　　 　 　 ,､　 _
　　　　　 　｀´　 　 　 　 　 ｀‐´　　　　　　　　　　,,.._/ / / /iｺiｺ ,..､.,__　　　　　　「アルビオンへはどのぐらいかかるんだ？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '‐-, .,ニ' ',コ　　!┌‐-ニ￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 '-'　/ /　　　.゛´　　 / /　　 　 「フリートからの補給が全面的に受けられる前提で
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／／ 　 　 　 　 ／／　　　　　どの街道で行くかにもよるが、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　｀´　 　 　 　 　 ｀‐´　　　　　　 騎馬でも十日は覚悟した方が良い」
　「尻がいてぇ………」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「俺達と同い年ぐらいなのに
　「大丈夫ですか？」　　　　　　　　　　　　　　　　　　 腕の立ちそうな奴が居るな」
　 癒しの奇跡は必要ですか？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「地方騎士団の層も侮れないな………」
　　　「………いや、我慢する」


　　　　　　　　　　　 　 　 　冖
　　　　　　　　　　　　／￣|　 |￣＼
　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　ｌ
　　　　　　　　　　 |ｌｌ　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　〔|━━━━━━|〕　　　　　　　　　 　 ヽ人_从人__从_从人__从人人ﾉ
　　　　　　　　　　〔|　|_-‐''''i　i''''‐-_ｌ|　 　 　 　 　 　 　 ＜　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　　　　　　　　　　　〕　ヽ 　 ∨　丿〔　　　　　 　 　 　 ＜　　私語は慎め！！　　　　　　＞
　　　　　　　　　　/　＼　ﾞi／＼ｌ ノ//｀つ　　　　　　　＜　　まもなく出発するぞ！ 　 　 ＞
　　　　　　　　　　（　　　　　,-‐'''￣´//￣⊃　　　　　　＜　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　　　　　　,----, ﾍ＼⊂)／ｌ　　　 //三Ｂ--､　　　　　　　Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YWWY
　　　　　/　　　　〕| 　／　　ｌ＿＿//__-‐'ｌﾍ　＼
　　　　/　　　／／／　　　　　／　　　　　|,＼　ﾍ
　　　　|　 ／::::／　　　　　　／ |　　　　　　ﾍ::::＼ |
　　　　|／ｌ_／　　　　　　／　　|　　　　　　　|::::::::ﾍ|
　　　　　|　|　　　　　　／　　　∧　　　　　　|,,-‐'´ﾍ
　　　　　|　＼＿　　／__,,,,--‐‐'　｀'''''''‐--､|　　　　|
　　　　　|＿＿＿ﾍ／　　　／＼　　　　　　|ゝ_＿＿_〉

549 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:27:01 D9Lko7sQ
三４５１．
―――――――――――――――――――――――――――
　　鐘が午前七時半を告げると同時に副隊長の指示が飛ぶと
　　ざわついていた混成部隊に沈黙が満ち―――
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　 ∧＿∧　　　 ∧＿∧　　　　　　.ノ"'　￣｀ヽ　　　　　　　_,,,,,）､_
　　　　　（　´_ゝ`）　　 （　´_>`）　　　　　　{　 {八{从)}　　　　　　〃//'ﾍヾ
　　　　　（　　　　）　　 （ 　　　）　　　　　　ﾉ,ｲ| ﾟヮﾟﾉﾘ　　　　 ゞ∞Vy.ﾟДﾟﾘ
　　　　　｜ ｜　|　　　｜ ｜　|　　　　　　(w⊂lｊ京iつ　　　　　　　/>H<`っ
　　　　　（_＿）＿）　　（_＿）＿）　　　　　　　ぐ/_ｌ〉　　　 　 　 　 /τ |Ｔ | ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し'ﾉ　　　　　　 　 ～..UU～ゝ


↑／￣〈i　　　　↑／￣〈i....　　↑,／￣〈....　　↑／￣〈　 　 .↑／￣〈.　　　　↑／￣〈i....　　↑／￣〈
｜l/",二｜..　　　l/",二ヽ|..　　　|/",二ヽ|　　　 |/",二ヽ. 　 　 l/"二 ヽ|.　　　　|l/",二ヽ　　　｜l/",二ヽ
｜|_[,,ﾟ－ﾟ)　　　　|_[,,ﾟ－ﾟ)　　　　|_[,,ﾟ－ﾟ)　　　　|_[,,ﾟ－ﾟ).　　　｜|_[,,ﾟ－ﾟ)　　　 ｜|_[,,ﾟ－ﾟ)..　　｜|_[,,ﾟ－ﾟ)
↑／￣〈ii⌒ヽ . ↑／￣〈i⌒ヽ..↑,／￣〈⌒ヽ..↑／￣〈ｉ⌒ヽ.↑／￣〈ii⌒ヽ . ↑／￣〈i⌒ヽ..↑／￣〈⌒ヽ
｜l/",二ヽﾆ0.|....｜l/",二ヽﾆ0| ｜l/",二ヽﾆ0| ｜l/",二ヽﾆ0|.｜l/"二 ヽﾆ0| . ｜l/",二ヽﾆ0| ｜l/",二ヽﾆ0|
｜|_[,,ﾟ－ﾟ)､__ﾉ . ｜|_[,,ﾟ－ﾟ)___ﾉ ｜|_[,,ﾟ－ﾟ)_,ノ...｜|_[,,ﾟ－ﾟ)__,ﾉ ｜|_[,,ﾟ－ﾟ)､__ﾉ . ｜|_[,,ﾟ－ﾟ)___ﾉ ｜|_[,,ﾟ－ﾟ)_,ノ.
｜/"ii＿ii⌒ヽﾞ　｜/"ii＿ii⌒ヽ ｜/"ii＿ii⌒ヽ ｜/"ii＿ii⌒ヽ.｜/"ii＿ii⌒ヽﾞ　｜/"ii＿ii⌒ヽ ｜/"ii＿ii⌒ヽ
Φ' l´　　|ﾆ0 |　ﾞΦ' l´　　|ﾆ0 | Φ' l´　　|ﾆ0 | Φ' l´　　|ﾆ0 | Φ' l´　　ﾆ0 |　ﾞΦ' l´　　|ﾆ0 | Φ' l´　　|ﾆ0 |
｜ ﾉ'i'i'i'i'ゝ__ﾉ..　｜ ﾉ'i'i'i'i'ゝ__ﾉ .｜ ﾉ'i'i'i'i'ゝ__ﾉ..｜ ﾉ'i'i'i'i'ゝ__ﾉ ｜ ﾉ'i'i'i'i'ゝ__ﾉ..　｜ ﾉ'i'i'i'i'ゝ__ﾉ .｜ ﾉ'i'i'i'i'ゝ__ﾉ
｜ (/"U　　　ﾞ　.｜ (/"U　　　ﾞ ｜ (/"U　　　ﾞ.｜　(/"U　　　｜ (/"U　　　ﾞ　.｜ (/"U　　　ﾞ ｜ (/"U
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↑ヾ''""/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜[,≡≡]
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜|] ﾟ－ﾟ[l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜IIII:V:I/'⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Φ |::三 |　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜ﾉ,,,llll,ﾞ|　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜ (/"Uヽ＿_ﾉ　　　　ヽ人_从人__从_从人__从人_人ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　＜　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＜　　サクラダ隊長！　　　　 　 　 ＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＜　　出発準備、整いました！　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　＜　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒YY

550 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:28:01 D9Lko7sQ
三４５２．
―――――――――――――――――――――
　　一言ご挨拶を、と注目を集められたジュンは
　　来たかと頷いて集団の前に立つ。
―――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　 ,--‐‐、
　　　　　　　　　　　　 ／　　 凵 ヽ
　　　　　　　　　　 　 ｌ」''l___________ﾞi
　　　　　　　　　　　 r " ∟-''ＴＴ''‐|
　　　　　　　　　　　 'ｌｌ `ｰ､ _　ｌｌ　ﾍ、　　　　　　　　　「では一言お願い致します！」
　　　　　　　　　　　 ｨｲｲｲ　ヽ,ヘ/　ヽ
　　　　　　　　 _＿_ ｀ゝ､ 　(0)只(0)/
　　　　　　／´　　/ｌ　 ( ＿＿　＞-- ､,----､
　　　　　/ ....-‐''´/　 　 　 |　　　　　|　 　　　ヽ
　　　　 _/＜　　丿　　　　 i　　　　　ｌ ＼　　　　ヽ
　　　　/　　　　,r'　　＿＿∧＿＿　 ﾍ　　ﾞﾞ''ｰｭ..冫
　　‐ /　 　　　/　／　　　　　　　 ＼ﾍ　__ノ''　ﾍ
　　,r'　 _ ﾞｉ__ /|　　　　＿＿　　　　　| ヽ　　　　ﾍ
　,　r'=ニ二〈　|　　／| |　| |ﾍ　　　　|　ﾍ　　　 　ﾍ
　　| 　 　　|　 |　／　| |　| |　＼＿___|　　ﾍ __/ _ 　ヽ
　　|　　　　|　 |.　　　| |　| |　　　　　|　　 　 〉二ニ=ヽ
　　!　 　 　|. ..|￣｀|┌┐┌┐　 |￣｀|　　　　|　　 　 |



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〉 　 　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 / :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「分かった」　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.-‐' 　 　 :　ﾚ' ′　　く !　 //　　　　　　　 　 / 　 　 　 ヾ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 '　　　　　　! .|　r―┐　 | ,//　　　　　　:. ｌ　 /　　　　　　　｀ヽ、

551 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:29:01 D9Lko7sQ
三４５３．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　……　… ────────────── …　……
　　　　　 …　　─　──　─── ──────────────── ───　──　　─…

――――――――――――――――――――――――――――――――
　　マコトは言っていた。
　　新しい部隊を指揮する時は一発目が肝心だと。
　　特にそれが寄せ集めの、普段接点のない地方騎士団ならなおさらだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿＿_
　　　　　　　　　 　 　 ..::´::::::::::::::::〃⌒ヽ､
　　　　　　　　　 _　／::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::＼
　　 　 　 　 　 　 ｊ/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 /:::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 i::::::/::::::i::::::::!:::::::::::::､::::::::::::::::::::::::::',
　　　 　 　 　 　 |:::/::::::::ｉ::::::∧:::::::::::::ﾄ､::::::::::::::::::i､::l
　　　　 　 　 ､__Ⅳ::::/:::i:::::/__!::::::::::::匕ヽ:::::::::::::ハ:|
.　　　　　　 　 ﾌ::l::ｒ'l:::/!::/ｾﾐl::::::ﾊ:::尨_ハ::::::i:::ﾄ､`!　　　　　　「良いか！
　 　 　 　 　 ´￣]八!/i」:瓜ﾘ !／ Ⅳ　　　小ハl.　　 　 　 　 　 顔見せは最初が肝心だ、絶対に嘗められるなよ！
　　 　 　 　 　 　 　 ｊ､八i　　´　　ｊ〉　　 爪i
　　　　　　　　　　　　 　 ｊヽ､　 ｔ＿ｱ　.ｨ　　 　 　 　 　 　 　 　 虚勢を張る必要はない、
　　　　　　　　　　　 _＿／/| ヽ　__／/ |＼　　　　　　　　　　　ただお前という若造を包み隠さず見せてやればいいんだ」
　　　　　,...-',,⌒ゞﾐ､::／::::| 〈　　　 ／　.|::::＼ﾞ''ｰ-::､_
　　　　/::／.:::::::::::::..ヽ :::::/∧。V￣＼　 |:::::::::＼:::::::::::::｀ヽ,
　　　 /:::::::::::::::::::..`ｰ-､::::|/＼丱／/ ヽ/|:::::::::::::::ゝ::::::::::::::::|::}
.　　　|::::::::::::::::::::::::::::::;;_ヾ|　　|＿/　　　 |―ー＜::::::::::::::::::::|::::i
　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::..｀''ヽ､　|;;|　　　　|::::::::_ノ⌒ ｰ - ,,,＿＿　　＿
. 　 　 l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ﾞヽ.､　　,r‐'ﾞ　　　　　　　　 　 ／/ 　 ヽ
　　 　 |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ヽf　　　　 ヽ　　　 　 　 l /　　　 l
.　　 　 l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,,-''',ﾆ,-'"　　　　　　＼___　　　　　　 　/
　　　　 ヽ;::i:::::::::::::::::::::::::::::::::/ .／　l　　　　　　　　　 ＼X=-､,,＿_／
　　　　　 ヽl;:::::::::::::::::::::::::::::::|　|　　ﾉ　　　　 ` ､ 　　　　 ヽ ,ﾍ./::::::I
　　　　　　　ヽ､:::::::::::::::::::::::::|　l　i´　　　　　　　` ､　　　 ﾉ ヾ|::::::::丿
　　　　　　　 .|｀ヽ;::::::::::::::::::::|　|　|　　　　､　　　　　`'rイ　 ,ノ:::::::::＼
　　　　　　　 |:::::::::＼∩:::::::::|　l＼ 　　　　 `=､.._＿,ノ　 厂:::::::::::::::::/
　 　 　 　 　 |::::::::::::::::＼∩:/　 |　ヽ､＿　　　　ﾉ:::::::|　/:::::::::::::::::::::/
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　　 　 　 　 |::::::::::::::::::::|　　ヽ_;;ｧ'~　　 |:::::::::::::::::::::::::|/::::::::::::::::::::/

552 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:30:05 D9Lko7sQ

三４５４．



　　　　　　　　　　　　　　　 _.._　｀`､,.､-::─::-..、
　　　　　　　　　　　　　 ／:::::::::｀:く:ﾉ:::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 /:::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾍ
　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::::::::::ｲ::::::::::: 丶::::::::::::::::::::::::',
　　　　 　 　 　 　 /::::: /:::::::::::::/ l::::::: !:::::::|＼::::::::::::::::: l
　　　　　　　　　　i::::: /:::::::::::::/一V:::::| :::: |ーヽ:::::::::::::::!
　　　　　　　　　　|:: /:::::: /::: |ィ云∨ |V::::| ィﾃﾍヽ::::::::!イ
　　　　　　　　　　|:/ |::: /::ﾊ::| 迂:ﾘ V|　ヾ! 迂:ﾘハ::ﾄ::::::＞
　　　　　　　　　　|′|::/|:::|ﾈﾍ ｀ｰ´　ヽ　　 ｀ｰ´　ﾊ!ﾉﾘ｀ヽ
　　　　　　　 　 　 　 i/　V､_ﾍ 　 　 　 !　　　　　ﾑﾘ′　　　　　　　　　「心配するな、お前はよくやってるよ。
　　　　　　　 　 　 　 ′　　　 ヽ、　　- -　　　, ′
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |ヽ　　　　イ/　　　　　　　　　　　　　　催しの数々で見せた調整力、
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,.ｲ 　 ｀　´　 ﾊ　　　　　　　　　　　　　　 騎士団強化のための提案、
　　　　　　　　　　 　 　 　 ,.イ:!　 ＼　　 ／　 ヽ..､、　 　 　 　 　 　 　　 自分の修行の他に騎士達の面倒まで見てくれている。
　　　　　　　　　　　 ,...::::´/::::::l　　 /;⌒;ﾍ　 　 j:::::ﾍ:｀:::....、
　　　　　　　　,...::::´::::::::::/:::::::::l､　∧;;;;;;;;;∧　/:l:::::::: ﾍ:::::::::::｀:::....、　　　 あとは集団を取りまとめて
　　　　　　,ィ:::::::::::::::::::::/::::::::::/!∨　∨;;;/　∨ l::::::::::::ﾍ:::::::::::::::::::::`::..､　 現場に立つ経験を積めばいいさ」
　 　 　 　 i::l::::::::::::::::::::::ヽ::::::/:::!　 　.i;;;;;;!　 　 ハ:::::::: / ::::::::::::::::::::::::/:i
　 　 　 　 l::l:::::::::::::::::::::::::::У::::::l　　 i;;;;;;;i　　.,'::::::＼:/::::::::::::::::::::::::::/::::l
　 　 　 　 l::l､::::::::::::::::: ／:::::::::::::l　　i;;;;;;;;i　 /::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::/:::::::l
.　　　　　 !:::::i!::::::::::::::::∨:::::::::::::ﾍ 　l;;;;;;;;;i /::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::: ｲ::::::::::!
　　　　　 !:::::::i!:::::::::::::::: ∨::::::::::::::∨;;;;;;;;;;/::::::::::::::::: :/:::::::::::::::::::::i!:::::::::::!
.　　　 　 i:::::::::!! :::::::::::::::: ∨::::::::::::::∨;;;;;/:::::::::::::: : :/:::::::::::::::::::::::il::::::::::::l
　　　　　 i::::::::::!l:::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::∨/::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::!i::::::::::::l
　　　　　l::::::::::l:l : : :::::::::::::::::::::＼::::::::::/::::::::::: ／:::::::::::::::::::::::::::::::l:i:::::::::::::!



　　　　　 …　　─　──　─── ──────────────── ───　──　　─…
　　　　　　　　　　　　　　　　……　… ────────────── …　……
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣

554 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:31:02 D9Lko7sQ
三４５５．



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /　　　　　　「この度、支援部隊の隊長に任命されました
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／　　　　　　　 親衛騎士団員のジュン＝サクラダです。
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´　　　　　　　　　　　どうか皆さん、楽な姿勢でお聞きください」
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そう言えば初登城の日、あいつは不相応なほど堂々とした態度で
　　挨拶に出そろった騎士団を受け流したんだった―――

　　ふと、そんな事を思い出せるほど
　　部隊や野次馬の視線を一身に集めた彼は落ち着き払っていたのである。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

555 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:32:02 D9Lko7sQ
三４５６．
――――――――――――――――――――――――――――
　　もちろん王都からここまでの移動中に挨拶文は考えたし、
　　途中でつっかえないよう、野営時には四人を前に練習もした。
――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.:.:.∧:.:|　　　 |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }:.:.:.:.ヾ:.:.:',　　　|:./　.V:.:.:.:|ﾆ-=＝＝=＼:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >:.:.:.:.:.|ヾ:.V=＝/ニ　 V:.:.:i{　ゞテ＝ァ　||＼:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.::V:.:.:.:ﾚ'´>=ﾆ示 ヽ､＿V:.||　 {辷zり　 .||　ﾚr -､V:.:.:.:.:.:∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　/:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひｮリ ||￣ .ヾ∧＿＿＿ //　　／ .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::>　 ゞ' ´　|| {　　　 ￣￣￣￣　　 入 ソ/:.:.:.:._＿／
　　　　　　　「まず、緊急の招集だったにも関わらず 　 　 　 　 ￣￣￣ |:.:.:∧ヽ＿ -=''´ ヽ　　　　　　　　　 　/　／:.:ヽ￣
　　　　　　　 一名の脱落もなく合流できた事に感謝します。　　 　 　 　 ﾚ'´ ヽ |　　　　　　　 ＿　　　　　 　 /-'´／￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　 　 ￣_　　　 　 　 　/￣゛゛
　　　　　　　 すでに物資の準備を終えていた　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　　　　_　ィ|
　　　　　　　 エスメラルダ駐留部隊と合わせ、　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｀ 　 ､　　　　 イ　　　ｙ入
　　　　　　　 第三、第四騎士団の練度と士気の高さを　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ニi　´　　　　／　　ヽ
　　　　　　　 うかがい知る事が出来ました」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／/　}　　 　　/　　　　|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　/　ﾉ　　　　/　　　　　|　 ￣ ' - ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/　　V'´￣￣ ../　 　 　 　 |　　　　　　｀ ' - ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／/　 　/::::::::::::::／＿＝=-､＿ |　　　　　　 　　/ヽ



　　　　　　 　 |＼　 　 　 ／|
　　　　　　 　 |　 ＼＿／　 |
　　　　　　 　 l/´　_,　 　 ＼!
　　　　　　 　 |　　´　　 `ヽ |
　　　　　　 　 l　　　 　 ゝ　 |
.　　　 　 　 　 ＼　　 - 　／　　　　　　　「……………」
　　　　　　 ∠二}l｀￣ ´{l:l二＞､
　　　　　／　　 }::＼＿ノ::＼:::::::::＼
　　 　／ 　　／:::::::::::::::::::::::::|＼::::::::＼
　　／　 　／|:::::::::::::::::::::::::::::| |:::＼::::::::＼
　 {　　　{'　　l:::::::::::::::::::::::::::::| |::::::::＼::::::::＼
.　 ＼ 　 ＼　|::::::::::::::::::::::::::::| |::::::::::::::＼::::::::＼
.　　　＼ 　 ＼:::::::::::::::::::::::::::{ l::::::::::::::::::::＼::::::::＼
.　　　　 ＼　　＼:::::::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::＼::::::/
　　　　 　 |　厂二二回ﾆ二l〈::::::::::::::::::::::::::::::::>'´
　　　　 　 |_ﾉ|::::::::::::::::::::::::::::|. V::::::::::::::::::::::／
　　　　　　 　|::::::::::::::::::::::::::::|_ﾉ＼:::::::::::::／
　　　　　　　 |::::::::::::::::l:::::::::::|: :...　￣￣
　　　　　　　 |::::::::::::::::l:::::::::::|: : : .: .
　　　　　　　 |::::::::::::::::l:::::::::::|: : . : :: : ... . ...

556 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:33:01 D9Lko7sQ
三４５７．



　　　　／::::::::::::/::::ハ::::::/:::|::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞．
　　 ／:::::::__:::::/::::::{ﾄ::V::}:::::|::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
...／-=イ::::::／:::::: : |::ハ:|:::::|::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾑ
　 　 /:::::::/:::::::::::::::::!ミﾐⅣｿ|:::::::::::::::::',::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::＼
　 . /:::::::::i:::::::::::::::::::|r"￣　 !:::::::::::::i::::V::::::::::::::::ヽ::::::::::::::ハ＞ー
　 /::::::::: :|::::::::::::::::::::|　　　.ﾘ:::::::::::: |::::::V::::::::::::::::::',:::::::::::::::::',
. /::::::::::: ∧:::::::::;:::::: |　　　,'::; ｲ:::::: |ヽ::::ヾ ､::::::＿ﾊ:::::::::::::::∧
ｲ:::::::::; ｲ:::∧::::_|ﾑ＝!＿＿/__. V::: | _..≧__,,ｨ≦_:::`:V::::::::::::::::＼
- ' ¨　/:::::::::::>､:{r¨￣￣ ≧ミ}ﾄV:: |r＝″￣￣ } }::::V::}`ー──
　　　,'::::::::}:: i r }!{　,,＿＿ｪz .}}==={{　zｪ＿＿,　}i{ Y::rﾊ　　　　　　　「正直に言います。
　　 /:::,ｨ/ﾄ.人　{i{ ´￣￣￣` }}￣ {{　´￣￣ ` .}i} ﾉｲ
　 ./／ノ　＞ミﾄ _ﾊ＝＝＝＝"　i} ゛＝＝＝＝ｲノ_＿　 　 　 　 　 　 王都から派遣された、自分を合わせた五名は
　　　　　 ,/　//￣八　　　　　＿＿　　　　　/" .ト　}}ハ　　　　　　　 経験不足の足手まといも良いところでしょう」
　　　　i７　　{ {　　　 ＞　.　　　　　　　　　ｲ　　 i!　.}}　廴_
　　　 ﾉ　　　 ヾ;､　　　　　＞　　_　　＜　　　　 /　/　　　ハ
　　 /　　　　　　＼　　　　＼　 　　　 /　　　_＿ ノ　　　　　 }
　 ./ ＼　　　　　　 ＼　　　　＼　 .／ ,．＜　　　　　　　　 ..人 _
　/　　　`ー＝ミ､　　 ＼　　　　N/　/　　　　　　　　　　 イ　　　ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 |__∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 　 　＼l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | ｀ヽ　　　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 <　　　　　 　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼ｰ　　 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……………」　　　　　　　　　　　　ア＿ L＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /＼ ／::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　／:::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l/::::::::::::::::＼:::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |:::::::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　o::::::::::::::::::::::::/ヽ:::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::|　/:::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　o::::::::::::::::::::::::|/::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 }:::::::::::::::::::::と　｀T
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 o:::::::::::::::::::::::::＼ﾉ



―――――――――――――――――――――――
　　それでも値踏みしてくる大勢の圧迫感と言うのは
　　未だに慣れないことであったが―――
―――――――――――――――――――――――

557 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:34:05 D9Lko7sQ
三４５８．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　彼はそれを受け止めるだけの努力をしてきた。

　　と言うよりあの男に替わって女王を、この国を支えると誓った身は
　　こんなことで怖じ気づいていられないのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /　　　　　　「至らぬところがあれば立場、階級によらず
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／　　　　　　　 遠慮無く言ってください。
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´　　　　　　　　　　　僕らは今回の経験を糧とし、必ずや血肉に変えて見せます。
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_　　　　　　　　　　　　　　　　　そして―――」
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



　　　　　　　　　　　　_冖___
　　　　　　　　　　／　| |　　ヽ
　　　　　　　　　/　　　| |　　　ヽ
　　　　　　　　　|　　　　　　　└|
　　　　　　　　　(　ニニニニニ　ｌ
　　　　　　　　　〕ｌ ｌ-‐‐i i‐‐--ｌ〔　　　　　　　　（なんだ、若いのに堂々としたもんじゃないか。
　　　　　　　　 （　 ヽ .,,,,ｌｌ,,,..　/　）
　　　　　　／￣ト､　 ヽ　 　,'　 /--､　　 　 　 　 謙虚さを持ち合わせているし、
　　　　　/　　 ,'|　i＼(0)只(0)/／￣｀ヽ､　　　　 王都の噂からして凡夫と言う訳でもないらしい）
　　　　　|__／　|　ﾍ＿＿／　 |　　　　　 ヽ､
　　　　　|＼＿|　　　,'　　　　　|＼　　　　　ヽ
　　　　　|　　　|　　　i　　　　　ﾍ　＼―----'ﾞ
　　　　　|　　　|　　　|　　　　　　＼|　　　　　|
　　　　 |￣￣ﾍ￣　´｀''‐‐----,'　　ﾍ　　　　 |
　　　　|　　　　|ヽ　　　　　　　　　　ヽ　＿＿--i
　　　　〈　へへｌ/___,----､　　　　　　ﾍ´___　　 |
　　　　　|＼＼＼|￣|i i　i i｀ニニ＿／／＼ ＼　|

558 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:35:03 D9Lko7sQ
三４５９．
――――――――――――――――――――
　　いつかローゼンの人は気付くだろう。

　　剣の騎士の物語は終わってしまったが、
　　盾の騎士の物語はまだ続いているのだと。
――――――――――――――――――――



　　　　　　　　 /|　　,　イ　　　　　　　　　＝＝‐
　　　｀､　　　 / { ／　　　　　　　　　　　　　`丶、
　　　　ヽ＼　 { |/　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　乂ヽ { |　　　　　　＼　　 　 　 　 　 　 ＼　、、
　　　　　　 ／　　 、　|　 　 　 ` 丶、　　　　　　　ヽ ヽヽ
　　　　,　',／ // 　 ＼|、　　 ``　‐　 `_ヽ、　　　　、ヽ　ﾞ.
　　　 ノ　/ ///　|i　|``lヽ　　　　 ＼　　`‐ `=-　　 ＼ヽ
　　　　　//|　　　ﾚ! | 、ヾ 、ﾔ　＼　ヾ＼　　　　　　ヾ ｝`
　　　 　 i//　/　　 | ヾ　ヽぃ i iヽヽ＼ヽ,,,＼　　＼| | ﾊ!
　　　　　　|//　　　H Aﾄ-仆ヽぃ ヽ! xｨ勿 }}＼ 　 `ﾚ′
　　　　　　 /| ,,　 ｷ,,x=≠=x,　ﾚ ヽ　ｲ弋_歹　! ＼ヽヽ.　　　　　　「一丸となってできるだけ多くの、傷ついた人の力になりましょう。
　　　　　　　 |/|　| 代 勿 }}　 　 　 　 　 　 　 ト ´|` ゝ
　　　　 　 　 　 | / ヽ `‐゛　 　　　　　　　　　,′| | ＼　 　 　 　 　 ついでにあいつに見せてやりましょう。
　　　　　　　　　　　ヾ!　　　　　 ヽ　　　　　〃| |ヽ!　　＼　　　　　 今のローゼン騎士団の力を」
　　　　　　　　　　　　ヽ＼　　　　-一　　／ /|/　　　 _ ,-ﾝ
　　　　　　　　　　　　　＼ `ト　、_　 _ ／ | /　　_, ‐ ´　 ﾉ
　　　　　　　　　　　／´｀ヽ,.|　 　 ￣　____|　)_-（_ 　 , ／
　　　　　　___∠Y ′ ∠,ヽ　ヽ _,-‐ ´´　 ）‐}　　 ￣
　　　-‐￣　　 /　　￣＿,´｀￣丶_　　_／ ／　　　,　ヽ＿
　　/／￣＼ /　　　＜__／ .`　ー´￣ ／　　 ／/　　　　￣ﾄ､
　ノ　　　　／　　　 ｰ 、 ＼ 　　＼　／　　／／　　　　　／ ＼
ノ　　　　ハ　　　　ｰ- ...`ヽ`ヽ　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　/　人＿ノ_ノ ´ ヽ、＿　　　　ヘ＿＿＿＿　／　　　　　　 ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　 　/￣￣＼＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　ヽ　ヽ､
　　　　　　　　　　 |､　　　　　　　ﾞi ﾞiﾍ
　　　　　　　　　　〔＼｀'‐-　　　　└'　i
　　　　　　　　　　|∩　＼＿　　　　 ＿|
　　　　　　　　　　|∪＼　|´｀''''''''''''''''''''i|　　　　　（さすが故サクラダ団長のご子息ってわけか。
　　　　　　　　　/　|||/ 　｀''''''´´￣ｌ 「'''/
　　　　　　　　　|　　　　　　　　　,-ｌ ｌ ｌ　　　 　 　 内乱の時、ビップ様と共に活躍されたという噂も
　　　　　　　　　＼iiiiiiiii　　　/／／　 ヽ___　 　 　 大げさじゃないのかもな）
　　　　　　　　／ﾍ｀'''''ヽ　　　　 　ｪｭ 丿＼　ヽ
　　　　／￣|::::::::::＼　　＼__(⊃-‐‐⊂)‐ﾞi::::ヽﾉ
　　　/　　　 |::::::::::::::ﾞi　　　｀'‐‐‐‐'´　　　ﾍ::::ﾍ
　　/　　　／::::::::::::::::::|　　　　　　ヽ　　　　ﾍ::::::/ﾍ
　　|　　／―--､::::::::::|　　　　　　　ヽ　　　　ﾍ/　ﾍ
　　|　/　　　　　ﾍ::::::::/　　　　　　　∧___----|　　ﾍ
　　ｌ/　　　　　　/／　ﾞi　　　　,,-‐‐'　　　　　/―''''〈
　　└―--､,-‐ｌ|　　　　　,--‐'＿　　 　　 　 |／￣　ﾞi



――――――――――――――――――――――
　　むしろ剣の出番が終わったことで、
　　盾の出番が始まったのかも知れない―――と。
――――――――――――――――――――――

560 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:36:03 D9Lko7sQ
三４６０．
――――――――――――――――――――――――――――
　　静まりかえる部隊に敬礼し、以上ですと締めくくったときだった。

　　出発の号令をかけようとしたジュンに大声が割り込んだので、
――――――――――――――――――――――――――――



　／::::::::::::::::::::::::::::/::::＼:::::|::::::ヽ:::::::::::::::::＼::::::::-──
_,,- -ィ::::::::::::::::::::/::::::::::i:::V::::::::::::>:::::::::::::::::: ＼:::::＼
　／::::::::::::::::::::／::::::: : :|:::::V/￣　V:::::::::::::::::::::::＼::::ヽ
/::::::ィ:::::::::::::::{:::::::::::::::i: |￣　　　　 V::ﾄ:::::::::::ﾊヽ;;::ゞ:::ﾍ
:::／:::::::::::::::::::|::::::::::::::ﾊ:|　　 　 　　 |::i　＼:::::::}:::::ﾄ-;;::::ﾊ
/:::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::| ﾘ───''　 i:ﾘ　ﾆ彡:::iト､;ヽ ＼::i
:::::::::::::::::::::::::::::|::::::: :: |＿,,,-＝＝=ヽ/　_||=__ﾒ:|　||　　　ヾ
::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::-::|＞''￣=.ィ-　 ||＝||{t..:jｱ　||
::::::::::::::::::::::::::::i＞＼:: |||ﾏﾊ廴ｿ　　..川　ﾊ￣　iノﾉ
:::::::::::::::::::::::r-､}''´　＼||　￣　　　 //　 ﾉ ｀￣ |´　　　　　　「僕からは以上です。
::::/i:::::::::::::::| /ヽ　　　　ヾ＝=─''´´　　　　　 /
:/　|::;;::::::::::ヽ　　＞　　　　　　　 ｀ー -　　／　　　　　　　　 それでは、フリートの聖都アルビオンへ向けて―――」
　　ﾚハ:::::/i::::::≧::-:､　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人/／
　　　　 ﾚ'　￣￣￣Yi　　　　　　_＿__./ ＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　　　　　_...-:::'´￣￣｀:-..､　　　 |ー-　∧　}､＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　　伝令！伝令！！！　　＞
　　　 i: : : : : : : : : : : : : : : : ｀::-.┴..､: /: :}: :}: : : ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　(
　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : ヽ　/::/: : : : ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^

561 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:37:01 D9Lko7sQ
三４６１．
――――――――――――――――――――――――――――
　　場に飲まれていた大勢も合わせて振り向けば、
　　転がるように広場へ駆けてきたのは魔法学院の者の様子。
――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　-‐　'' "´゛''　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : :ヽ　 　　 　 　_＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : : : : : : : : : : : : ﾄ-､,. -‐'''" : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /: : : : : : : __: : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : : : : : :/;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |: : : : : : /:::::｀:'' ‐- ,,.._: : : : : : : : : : : : : : : :/ ;;;
　　　　　　　　　　　　　　　 「支援部隊長殿！　　　　　　　　　　 　 　 !: : :_:_:_/:::::::::::::::::::::::::::::}: : :} : : : : : : : : : : /;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　 　 大臣様からの緊急の指令書が.　 　 　 _｛::,´､::::::::::::::::::::::::::::::::::/ : : : : : : : : : : : :／ ;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　 　 学院に届きました！」　　　　　　　　 /´　ヽ:!: :＼::::::::::::::::::::::::::/: : :/: : : : _　-‐'';;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　 　!::.､: :＼:::::::::::::::::::/: :／: : :／;;;;;;;;;;;; 　-‐　''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／＼　 　＞- ､: ＼:::::::::::/／: : :,.　-‐　'' "´: : : : : : -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /: : : :γ´/////!: ○＞＜_○:_:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 / : : : : !//////∧-､,-‐　'' "´///／｀'' ‐-　...,, _ : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : :|ヽ/////.∧/////////／,　-‐　'' ".／::::｀::.､: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : :λ////////ヽ///////////////／:::::::::::::::::ヽ:



::::::::::::::::::::::::::ﾊ::::::::::::::/i/／ i:::::::::::::::::::::::::|::::::|:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::＼
::::::::::::::::::::::::::::ﾊ;;;;;;;;;/-'´ 　 .|::::::::::::::::::::::::ﾄ::::: ﾄ::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ￣　　 　 　 |::::::ﾊ::::::::::::::|　＼i ＼::::::::::::|:::::::::::::::::::::ﾊ
::::::::::::::::::::::::::::;:::ﾊ　　　 　 　 |:::/　V::::::::::ﾘ　　　　ｨ=ﾊ:::: |::::::::::::::::::::::::＼
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ﾍ　　　　　 |:/　　 V::::::/　　　/ｲ＝ﾌi｝ヾ─────'｀
ヽ:::::::::::::::::::::::::|　＼ヽ　　 　 |i!　　　 ｝::/　　　r''´ゞハi l:ヽ
::::＼::::::::::::::::::::|　　 ＼　　　＿＿ニ三ｲ　　　||r j｝i|　.i lヾ｝
::::::::::＼::::::::::::: |　　　／::::＿,,,ィ彡=''´i/il_,=＝|.しｿﾊ ﾉﾉ-､
:::::::::::/ ＼::::::::::ヾ ／:- ''´＞''´ -=ｲ｀　 ||r'´｀ ﾊ彡　ｙ/: : : :＼ニニミ-､　　　　「緊急の指令書！？」
::::::::/　　　｀ー- xゝ rィ彡''´イッ:::ﾘ　　/i　　　ミー=´i: : : : : : :｀:-:､: : :｝ｿヽ
:::::/::ﾊ＿＿＿＿＿/ /　 /　ﾋ:::..ソﾉ　｛.ﾘ　　　　｝.　 l-､: : : : : : : : i: ://: :ﾊ
￣ヽ──────､ﾊ　ヾ　　ゞ''´　 ノﾉ　　　 ./　 ./: :ﾉ: : : : : : : : l: i l: : : ﾊ
i ヽ　｀ -ゝ　　　　　　ヽヽ　ミ=''´　／／　　　　 　 /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ､
｛　　ﾊ　　　　　　　　　＼＼＿_／／　　　　, ィ　/: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : ＼
　｀　　 廴　　　　　し　　　ー─''´　　　 ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>､＿　　　ー　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　 /: : :/: : : : : : : : ::／: : : : : : : : : : :/
: : : : : ＞-､＿ハ､　　　　　　　　　　　　　　　ハ／: : : : : : : :／: : : : : : : : : : : :/ハ

562 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:38:01 D9Lko7sQ
三４６２．



　　　　　　　　(ヽ、００　　∩
　　　　　　⊂ニ、ﾆ⊃　⊂　⊃　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ヽ、００　　∩
　　　　　　 ,, -‐- ＼　　　| |／⌒ヽ　 〇　 〇　　　　　　　　⊂ニ、ﾆ⊃　⊂　⊃
　　　　　　（ ⊂ニニ　　 /　／⌒) ）　　　　　　　　　　　　　 ,, -‐- ＼　　　| |／⌒ヽ　 〇　 〇
　　　　　　 ｀ｰ――'′　し∪　 （ノ　　　　　　　　　　　　　　（ ⊂ニニ　　 /　／⌒) ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰ――'′　し∪　 （ノ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼　　　　　　 　 　 　 　 　 ／／ │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼＼　　　　　　 　 　 　 ／／ 　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 ＼＼--──　　…＜／　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 ／　　　　　　　. .:.::.:＼　　　//
「………兄者、何だと思う？」　　　　　　　　 |　／　　　　　　　　　　　.:.:.｀､　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/　　　　　　　　　　　　　　　 V/
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 __　　 / 　 　 _　ﾉ　　　､＿　　　　.:.:.:.i´
　　　　　　　　　　　　|＼　　　　　　　／/|　　|　　／　　　　　　　　＼　　　.:.:.|
　　　　　　　　　　　　|　 ＼＿＿__／／　|　　|　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 .:.:|
　　　　　　　　　　　　|／　　　　　.:.:＼　/.　　|　　　 　 /　　　　　　　　　　.:.:.:|
　　　　　　　　　　　 / 　 　 　 　 　 .:.:.:V 　　 |　　　　く　　　　　　　　　　.:.:.:./
　　　　　 　 　 　 　 |　　´　　 　 ヽ 　.:.:|　　　 ﾞ､　　　　　　　　　　　　 . .::.:.:/
　　　　　 　 　 　 　 |　　　<　　　　 J :.:|　　　　　､　　　 　 　 　 　 　 　 .:.:/　　　「………わからん」
　　　　　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　.:./　 　 　 　 ＼　　￣￣　　　 　.:.／
　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　￣　　　.:／　　 　 　 　 　 ￣￣フ￣　　　.:.:|＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　＞┐　　 ∠.＿　 　 　 　 --r─ｰf´　　　　　 .:.:|こ二二 ＼
.　　　　　　 　 　 　 ／:::::::::|　　/:::::::::::::＼　 　　/　 |::::::::::|￢　　ｒ　-　/:::::::::/￣￣＼



―――――――――――――――――――――――
　　ざわつく部隊を前に、封書を受け取ったジュンは
　　慌ただしく開くと内容に目を走らせ―――
―――――――――――――――――――――――

564 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:39:01 D9Lko7sQ
三４６３．



　　　　　　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:|ヾ:.:.:.:/:::::|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　 　 ／:.:..:.:..:.:.:.:.:.:|:::::>/-''｀.|:.:.:. /:.::.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　 ／ -''´:.:.:.:.:.::.:.:.|／　　 　 |:.:/:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.::.:ヾ:.:.:.:.:.::.､:.:.:::＼
　　　　 ￣/:.:.:.:.:.:.:.:.V:.:.|　　 　 　 |:/:.:.:.:.:,､:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.::.:V:.:.:.:.:.:ヽ ￣
.　　 　 　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾄ:.:ヽ　＿＿/ﾊ:.:.:.:.: /__V:|≧､:.:.:.:.:.:.V:.:.:.:.:.∧
　　　　 /:.:.:.:.:.:.::V:.:.├弋￣＿＿/ .V:.:/＿ _V=- ､V:.:.:.:.:V:.:.:.:.:.∧
　 　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V:.:ﾚ-=≦￣￣||　i:./i | ゞﾃ=､-､ ||ヾ:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.∧
.　　　/,;,;:.::.-' /:.:.:.:.Vゞr'て・) }　 ||=イ=|.|　{ ・ .) / || V:.:./ヾ:.:.:.:.:.:.::ゝ
　　　 ￣　 　/:.:／/∧　｀== ´　/　　　廴=三三=/　r─､:./￣￣ ´
.　　　　　　 /／　{　ヾー＝＝''´　 {　　　￣￣￣　　 r　 }´
　　　　　　　　　　 ヽ .|　　　　　　 ＿＿　　　　　　 /／/　　　　　　「支援部隊の派遣を………
　　　　　　　　　 　　 ∧　　　　　 {=---ｧ}　　　　 /__／　 　 　 　 　 一時見合わせる！？」
　　　　　　　　　　　　　ヽ､　　　　 ─= ‐　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　｀　､　　　　　　　, イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|> ､ _ , ィ´　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　r─|　　 　 　 　 ├‐ ､
　　　　　　　　　　　 　 　　 / ..| .}　　　　　　　 V 　 }
　　　　　　　　　　　　　 ／　 　V､　　　　 　／/　　 |＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,､　 _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.._/ / / /iｺiｺ ,..､.,__
　　　　　　　　　　　　　　　／|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '‐-, .,ニ' ',コ　　!┌‐-ニ￢
　　　　　　　　　　　　　 ／　 |　　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣ |　　 　 　 　 '-'　/ /　　　.゛´　　 / /
　　　　　　　　　　 　 ／　　　|　　　　　　　　　　　／　　　 |　　　　　　　 ／／ 　 　 　 　 ／／
　 　 　 　 　 　 　 　/　　　　 |.　　　 　 　 　 　 ／　 ／　　|　　　　　　 　｀´　 　 　 　 　 ｀‐´
　　　　　　　　　 　/　　 　 　.|＿＿....　 　 -‐ｧ 　 ／　　　/　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,､　 _
　　　　 　 　 　 　/　　　´￣　　　　　　　　　　　く　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　,,.._/ / / /iｺiｺ ,..､.,__
　　 　 　 　 　 　/　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀ヽ__/　　　　　　　　　　　　　　　　 '‐-, .,ニ' ',コ　　!┌‐-ニ￢
　　　　　　　　　,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　v　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 '-'　/ /　　　.゛´　　 / /
　　　　 　 　 　 |　　 　　　-ｰ　.::::::::..　`　=-　　　　　.:.:.:.|　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／／ 　 　 　 　 ／／
　　　　 　 　 　 |　　　／　　　　　　　　　　　　＼　　　.:.:.|　　　　　　　　　　　　　　　　 　｀´　 　 　 　 　 ｀‐´
　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　.:.:.::|
　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　/　　　　　　　 　 　 .:.:.:.:.:.,'
　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　＼　　　　　　　　　 . .:.:.:./
　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　. :.:.:.:./　　　　「な………
　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　.:.:.:.:./　　 　 　 なぜですか！」
　　　　　　　　　 ＼　　　　　　(二　ヽ　　　　. ..:.:.:.:／
　　　　　　　　　 　 ＼　　　　　　　　　　　　　　.イ
　　　　　　　　　　　 　｀ー─-r　　　　　 　 . .:.:.:.:|



―――――――――――――――――――――――――――
　　そんな馬鹿な、と言う大声に続いて広場が響めいた。

　　ここまで急いだ自分達を否定する命令に耳を疑う者もいる。
　　さらにその内容が、大陸法に反することならなおさらだ。
―――――――――――――――――――――――――――

565 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:40:01 D9Lko7sQ
三４６４．
―――――――――――――――――――――――――
　　よほどの事ですかと騎士達を割って前に出た兄者と、
　　右手の指令書とを見比べたジュンが
　　何かの悪ふざけとしか思えないことを言ったので、
―――――――――――――――――――――――――



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ
: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´　　　　　　「天使の月四日………
　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／.　　　　　　 　 　 つまり、本日正午を以て
　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´　　　　　　　　　　　やらない夫がフリート国外追放に処されるって」
　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
　 　 　 　 　 　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／ 　 　 .|／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 -´　　　 　 |　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　＼|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　__　　　　　　　　　 . : :l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　　＼　　　　　　　　 : ::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　「国外追放！？　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　 : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　Ｕ　　　. : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ですがビップ殿は魔竜撃破の………」 　 　 　 ＼　　　　　　　　　　　　. : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ヽ-　　　　　　　　 . : ／＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｀ー─ﾍ　　- . : :: ::::::::::::＼



――――――――――――――――――――――――
　　あと数時間あまりのことに弟者も声を失ってしまう。
――――――――――――――――――――――――

566 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:41:01 D9Lko7sQ
三４６５．



　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
　　　　　　　　_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼　　 ,
　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
　　　　　　　　　＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
　　　　　　　　｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　ﾚ､:ﾚ´∧ /　｀　 ＼　.ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
　　　　　　　　　　　 ミ,;,;:.::|　　　　 　 ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
　　　　 ,＿＿ r‐─ v'´　 ヽ　　　　　／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
　 　 /.: : : : : : ＼: : : :＼ 　 ､　　　_　ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./　　　　「その魔竜の背後に
　　/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼　 ヾ_ , -―　　 　 　 　 　 　 　 エゥーゴの妖術師が絡んでいる可能性があるそうだ。
　.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入　　　　　　　　　　　　　　 　 そして妖術師の狙いはやらない夫だった、との
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ　　　　　　　　　　 　 　 　 噂があるらしい」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼　　　　　　　 　 　 　 ／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 ＼_　　　　　　　　_／　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　＼￣￣￣￣／　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 　 　 　 i:.:...　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 　　　 ﾉ:.:.:..:.:.......　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 ´￣　　　:.::.:...:.:.::..　　,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　 　 　 |::..　　　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「なんと………」　　　　　　　　　　｀、　　　　　 |::...　　 　 /.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 -r‐ｘ＼　　　　　　　　　／r‐r　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 ／　　|:::::|　 ＼　　 ＿ 　 ／ 　|::::| 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　 |:::::|　 　 ＼＿＿／　 　 |::::|　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...　|　　　　|::::::＼.　　　　　　 　 　 /:::::|　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...　|　　　　|::::::::::::＼　　　　　　 ／::::::::|　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　|:::::::::::::::::｀`ー--‐　´:::::::::::::|　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|　　　　 |



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そこまで説明されれて、兄者もようやく内容を飲み込めた。

　　フリートにはフリートの事情があり、
　　ローゼンはローゼンで、向こうの事情がどうであれ
　　やらない夫を追放処分にする以上、おいそれと支援を出せないと言う事だろうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

567 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:42:07 D9Lko7sQ
三４６６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　ただ撤収ではく待機と言う事は、
　　大陸法との比較や文面から読み取れない上の判断が絡んでいる可能性もある。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_冖___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　| |　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　| |　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　└|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　ニニニニニ　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〕ｌ ｌ-‐‐i i‐‐--ｌ〔
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「サクラダ殿、　　　　　　　　　　　　 （　 ヽ .,,,,ｌｌ,,,..　/　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 どうなさいますか？」　　　　　／￣ト､　 ヽ　 　,'　 /--､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 ,'|　i＼(0)只(0)/／￣｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|__／　|　ﾍ＿＿／　 |　　　　　 ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼＿|　　　,'　　　　　|＼　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　|　　　i　　　　　ﾍ　＼―----'ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　|　　　|　　　　　　＼|　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |￣￣ﾍ￣　´｀''‐‐----,'　　ﾍ　　　　 |



::::::::::::::::::::::::::::ﾊ;;;;;;;;;/-'´ 　 .|::::::::::::::::::::::::ﾄ::::: ﾄ::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ￣　　 　 　 |::::::ﾊ::::::::::::::|　＼i ＼::::::::::::|:::::::::::::::::::::ﾊ
::::::::::::::::::::::::::::;:::ﾊ　　　 　 　 |:::/　V::::::::::ﾘ　　　　ｨ=ﾊ:::: |::::::::::::::::::::::::＼
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ﾍ　　　　　 |:/　　 V::::::/　　　/ｲ＝ﾌi｝ヾ─────'｀
ヽ:::::::::::::::::::::::::|　＼ヽ　　 　 |i!　　　 ｝::/　　　r''´ゞハi l:ヽ
::::＼::::::::::::::::::::|　　 ＼　　　＿＿ニ三ｲ　　　||r j｝i|　.i lヾ｝
::::::::::＼::::::::::::: |　　　／::::＿,,,ィ彡=''´i/il_,=＝|.しｿﾊ ﾉﾉ-､　　　　　　　　　　　　　　「指示された以上、待機するしかありません。
:::::::::::/ ＼::::::::::ヾ ／:- ''´＞''´ -=ｲ｀　 ||r'´｀ ﾊ彡　ｙ/: : : :＼ニニミ-､
::::::::/　　　｀ー- xゝ rィ彡''´イッ:::ﾘ　　/i　　　ミー=´i: : : : : : :｀:-:､: : :｝ｿヽ　　　　　 いつでも出発できる状態を維持しながら
:::::/::ﾊ＿＿＿＿＿/ /　 /　ﾋ:::..ソﾉ　｛.ﾘ　　　　｝.　 l-､: : : : : : : : i: ://: :ﾊ　　　　　 交代で休息にあたってください」
￣ヽ──────､ﾊ　ヾ　　ゞ''´　 ノﾉ　　　 ./　 ./: :ﾉ: : : : : : : : l: i l: : : ﾊ
i ヽ　｀ -ゝ　　　　　　ヽヽ　ミ=''´　／／　　　　 　 /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ､
｛　　ﾊ　　　　　　　　　＼＼＿_／／　　　　, ィ　/: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : ＼
　｀　　 廴　　　　　し　　　ー─''´　　　 ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>､＿　　　ー　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　 /: : :/: : : : : : : : ::／: : : : : : : : : : :/
: : : : : ＞-､＿ハ､　　　　　　　　　　　　　　　ハ／: : : : : : : :／: : : : : : : : : : : :/ハ



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　次の指令がどうなるにせよ、一時というのがそれほど長期に思えなかったジュンが
　　戸惑う部隊に待機命令を下し、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

569 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:43:02 D9Lko7sQ
三４６７．
―――――――――――――――――――――――
　　思いっきり出鼻を挫かれた彼らは
　　エスメラルダで時間を潰すことになったのである。
―――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　 　 　 　冖
　　　　　　　　　　　　／￣|　 |￣＼
　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　ｌ
　　　　　　　　　　 |ｌｌ　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　〔|━━━━━━|〕
　　　　　　　　　　〔|　|_-‐''''i　i''''‐-_ｌ|　　　　　　　　　　「総員！
　　　　　　　　　　　〕　ヽ 　 ∨　丿〔　　　　　　　　　　　班ごとに四交代で休憩！
　　　　　　　　　　/　＼　ﾞi／＼ｌ ノ//｀つ
　　　　　　　　　　（　　　　　,-‐'''￣´//￣⊃　　　　　　 いつ出発になるかも分からん、
　　　　　　,----, ﾍ＼⊂)／ｌ　　　 //三Ｂ--､　 　 　 　 町の外へは出るなよ！」
　　　　　/　　　　〕| 　／　　ｌ＿＿//__-‐'ｌﾍ　＼
　　　　/　　　／／／　　　　　／　　　　　|,＼　ﾍ
　　　　|　 ／::::／　　　　　　／ |　　　　　　ﾍ::::＼ |
　　　　|／ｌ_／　　　　　　／　　|　　　　　　　|::::::::ﾍ|
　　　　　|　|　　　　　　／　　　∧　　　　　　|,,-‐'´ﾍ
　　　　　|　＼＿　　／__,,,,--‐‐'　｀'''''''‐--､|　　　　|
　　　　　|＿＿＿ﾍ／　　　／＼　　　　　　|ゝ_＿＿_〉




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人人人人人人人人人人
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＜　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　　分かりました！！　　 ＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＜　　　　　　　　 　 　 　 　 ＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ

　　　　,-‐ﾛ‐-､　　　　　　　　　　　　　　,-‐ﾛ‐-､　　　　　　　　　　　　　　　,-‐ﾛ‐-､
　 　　ｌ_＿_＿__ｌ　 宀　　　　　　　　 　　ｌ_＿_＿__ｌ　 宀　　　　　　　　 　 　 ｌ_＿_＿__ｌ　 宀
　 　 〔iY´Τ｀Yi〕　|||　　　　　　　　 　 〔iY´Τ｀Yi〕　|||　　　　　 　 　 　 　 〔iY´Τ｀Yi〕　|||
　　　.（ (ｭ買ｭ) ）　|||　　　　　　　　　　.（ (ｭ買ｭ) ）　|||　　　　　　　　 　 　 .（ (ｭ買ｭ) ）　|||
　 （~ﾉ[ 　人　]ヽ^)|||　　　　　　　　 （~ﾉ[ 　人　]ヽ^)||| 　 　 　 　 　 　 （~ﾉ[ 　人　]ヽ^)|||
　　し 冂[][]冂ヽつﾞi　　　　　　　　し 冂[][]冂ヽつﾞi　　　　 　 　 　 し 冂[][]冂ヽつﾞi
　　 　 |____||___| 　  　 　 　 　 　 　 　 |____||___| 　 　　　　　　　　　　 　 |____||___| 　 
　　　 (＿_ﾉ､,,＿)　Ⅱ　　　　　 　 　 　 (＿_ﾉ､,,＿)　Ⅱ　　　　　　　　 　 　 (＿_ﾉ､,,＿)　Ⅱ

570 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:44:01 D9Lko7sQ
三４６８．



　「ビップ様を追放とか、
　 フリートの連中は何を考えてるんだ！」

　　　　　　　　　　　　　「支援なんかしたくねぇよ、当然だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「エゥーゴの妖術師って相当ヤバイんだろう？
　　　　　　　　(ヽ、００　　∩　　　　 　 　 　 ビップ様は大丈夫だろうか………」
　　　　　　⊂ニ、ﾆ⊃　⊂　⊃
　　　　　　 ,, -‐- ＼　　　| |／⌒ヽ　　　　　　　　　　　(ヽ、００　　∩
　　　　　　（ ⊂ニニ　　 /　／⌒) ）　　　　　　　　　⊂ニ、ﾆ⊃　⊂　⊃
　　　　　　 ｀ｰ――'′　し∪　 （ノ　　　　　　　　　 ,, -‐- ＼　　　| |／⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ ⊂ニニ　　 /　／⌒) ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰ――'′　し∪　 （ノ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「馬に乗らなくて
　「ちょっと便所にいってくらぁ」　　　　　　　　　 ちょっとほっとしたぜ………」

　　　　　　　「おう」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「早くお尻、治るといいですね」




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　＼|　 　 /　 |__∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ￣　 ／　 　 　＼l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | ｀ヽ　　　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 <　　　　　 　　/
　　　　　　　　　　　　　「サクラダ殿、何処へ？」　 　 　 　 ＼ｰ　　 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ア＿ L＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /＼ ／::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　／:::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l/::::::::::::::::＼:::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |:::::::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　o::::::::::::::::::::::::/ヽ:::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::|　/:::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　o::::::::::::::::::::::::|/::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 }:::::::::::::::::::::と　｀T
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 o:::::::::::::::::::::::::＼ﾉ



――――――――――――――――――――――――――――
　　副隊長からの指示が飛んで数分。

　　誰も広場から出ていこうとしないであれこれと囁き合う中、
　　ジュンだけが荷物を担いでいるので弟者が行き先を尋ねると、
――――――――――――――――――――――――――――

572 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:45:01 D9Lko7sQ
三４６９．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　振り返った彼はすぐ戻るよ、と言い残して東通りへ姿を消していった。
―――――――――――――――――――――――――――――――



　 　 　　 　 /|,　-──---,
　　　　　　〈　　. :.::::.:.:.:.｀`く
　　　　 , ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ
　　　∠.:／.::ﾊﾊ|:::::::::1::::.:.:.:.　＼
　　　　ム:从r'''''|/Ｎ:::|.;;;!;;;;;;;「￣
　　 　　l/N￣|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|
　　　　　 `|￣ﾉ└‐┘｀`ウ'ﾞ
　　　 　 　 ＼ ー' ,..ィ二［　　　　　　　　　「東区画のヒゲオヤジ亭に。
　　　　　　　　￣r'"´,. -‐L_
　　　　　　　　∠二　　 　 1　　　　　　　　 内乱の時に世話になった人なんだ、
　　　　　　　　|　 　 `ヽ|　 | ',　　　 　 　 　 ちょっと挨拶に行ってくるよ」
　　　　　　　　|　 　 　.:j.　 | ﾄ､
　　　　　　　 /　　 　 〈　　| | |
　 　 　 　　 / __ ＿＿」.　 | | |
　　　　　　　| |:::| 　 |　　　| 「|
　　　　　　　| |:/　　l　　 V! |:|
　　　　　　　|_/　　/　　　i:! |:|
　　　　　　　l/ 　 /.:.:::.:.:. j〈.:ﾘ
　　　　　　 / 　 / rrr─┴┴┐
　 　 　 　 / 　 /　|:|:|.:.:.i::::::::::::|
　　　　　 |＼_/.＼|:|:|.:.::{三三:|
　　　　　 |.:.:.:::l.:.:.::|:|:|:::::{三三:|
　　　　　 ヽ.:.:.|.:.:.::L_|:::::L::::::::::|
　　　 　 　 i.:.:.|.:.:.:.::::::::i:::::::「￣
　　　 　 　 |.:.:.|:::::::::::::::|::::::|

574 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:46:01 D9Lko7sQ
三４７０．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　きっと一人になりたかったのだろう。

　　他国支援の―――しかも彼が絡んでいる事件の初動部隊長という大役を仰せつかり、
　　この町まで急いだにも関わらず待機を命じられては複雑なのも当然だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　|　　＼　　 　 ／ 　 |
　|／￣￣￣￣＼:.. /
　|　　　l:::::l　　　　Ｖ
　|::..　　　　 ｀ヽ 　 |
　|:.:.　　く　　　　　/　　　　　「複雑だろうな………」
　＼:　　＿　　　 /
　＿＞-　　　r＜
/　|:::::::L＿＿ﾉ:::::|￣＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　＼＿＿＿/　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |／　　　　　 ＼/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　´　 　 ヽ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そうだな。　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　 　 　 > 　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　 　 ＿ 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 だが、俺達は待つしかないんじゃないか？」　　　 _＞-- ､　　r＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::::::V::::::::::＼



――――――――――――――――――――――――――――――
　　ローゼンの英雄が国外追放と言われて気にならないはずがない。
　　だが騎士として、今できる事は命令通りに待つことのみ。

　　そう言った弟者に、頷きかけた兄者であったが―――
――――――――――――――――――――――――――――――

575 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:47:01 D9Lko7sQ
三４７１．
――――――――――――――――――――――――――
　　ふと、今は亡き偉大な前団長の言葉が脳裏を過ぎった。
――――――――――――――――――――――――――



　　　　　 　 |＼　　　　　　　 　 　 　 ／|
　　　　　 　 |　 ＼_　　　　　　　　_／　 |
　　　　　 　 |　　　＼￣￣￣￣／　　　|
　　　　　　　}　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 {
　　　　　 　 |　 　 　 　 i:.:...　　　　　　　|
　　　　　 　 | 　 　　　 ﾉ:.:.:..:.:.......　　　　|
　　　　　 　 |　　 ´￣　　　:.::.:...:.:.::..　　,'
　　　　　　　l　　　　 　 　 |::..　　　 　 /
　　　　　　　 ｀、　　　　　 |::...　　 　 /.　　　　　　　　　「………そう言えばエンジュ様が仰った事があった」
　　　　 　 -r‐ｘ＼　　　　　　　　　／r‐r　、
.　　　／　　|:::::|　 ＼　　 ＿ 　 ／ 　|::::| 　＼
.　　./　　　 |:::::|　 　 ＼＿＿／　 　 |::::|　　　＼
.. 　 |　　　　|::::::＼.　　　　　　 　 　 /:::::|　　　　 |
　 　|　　　　|::::::::::::＼　　　　　　 ／::::::::|　　　　 |
　　 |　　　　|:::::::::::::::::｀`ー--‐　´:::::::::::::|　　　　 |
　　 |　　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|　　　　 |



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 |__∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 　 　＼l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | ｀ヽ　　　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 <　　　　　 　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「何を、なんて？」　 　　　　 　 　 　 ＼ｰ　　 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ア＿ L＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /＼ ／::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　／:::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l/::::::::::::::::＼:::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |:::::::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　o::::::::::::::::::::::::/ヽ:::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::|　/:::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　o::::::::::::::::::::::::|/::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 }:::::::::::::::::::::と　｀T
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 o:::::::::::::::::::::::::＼ﾉ

576 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:48:01 D9Lko7sQ
三４７２．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　確かあれは、騎士の心構えと上からの命令が
　　どれほど自分達に重要かを話している時だったと記憶している。
―――――――――――――――――――――――――――――



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　　　　　　　　　　 　 ／　　　|　　　　　　　　　　　／　　　 |
　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　 |.　　　 　 　 　 　 ／　 ／　　|
　　　　　　　　　　 /　　 　 　.|＿＿....　 　 -‐ｧ 　 ／　　　/
　　　　　 　 　 　 /　　　´￣　　　　　　　　　　　く　　　　/
　　　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀ヽ__/
　　　　　　　　　,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　v
　　　　 　 　 　 l　　　　　　　　| :::::.　l　　　　　　 　 .:.:.:.:.l
　　　　 　 　 　 |　　 　　　-ｰ　.::::::::..　`　=-　　　　　.:.:.:.|
　　　　 　 　 　 |　　　／　　　　　　　　　　　　＼　　　.:.:.|
　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　.:.:.::|
　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　/　　　　　　　 　 　 .:.:.:.:.:.,'
　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　＼　　　　　　　　　 . .:.:.:./
　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　. :.:.:.:./　　　　　「騎士の誓いは絶対にして不可侵である。
　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　.:.:.:.:./
　　　　　　　　　 ＼　　　　　　(二　ヽ　　　　. ..:.:.:.:／　　　　　 　 だがそのために思考を停止してはならない―――と」
　　　　　　　　　 　 ＼　　　　　　　　　　　　　　.イ
　　　　　　　　　　　　 ｀ー─-r　　　　　 　 . .:.:.:.:|



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ 　 　 .|／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-´　　　 　 |　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　＼|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　__　　　　　　　　　 . : :l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　　＼　　　　　　　　 : ::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「………いや、兄者。.　　　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　 : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　Ｕ　　　. : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 考えたとしても　　　　　 　 　 　 ＼　　　　　　　　　　　　. : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 実行はできないだろう？」　 　 　 ｀ヽ-　　　　　　　　 . : ／＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｀ー─ﾍ　　- . : :: ::::::::::::＼



――――――――――――――――――――――――――――
　　そう仰って意味深に笑ったんだ、と言う兄に、
　　その場にはいなかった弟は意味を推し量ろうとするも―――
　　結局命令違反になるじゃないか、と冷や汗を垂らす。
――――――――――――――――――――――――――――

577 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:49:08 D9Lko7sQ
三４７３．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　結局エンジュが言わんとしていた事を今の二人が理解できるはずもなく、
　　ただ顔を見合わせてため息をついただけに終わる。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　 　 |＼　 　 　 ／|
　　　　　　 　 |　 ＼＿／　 |
　　　　　　 　 l/´　_,　 　 ＼!
　　　　　　 　 |　　´　　 `ヽ |
　　　　　　 　 l　　　 　 ゝ　 |　　　　　「そりゃあ実行したらクビだろう」
.　　　 　 　 　 ＼　　 - 　／
　　　　　　 ∠二}l｀￣ ´{l:l二＞､
　　　　　／　　 }::＼＿ノ::＼:::::::::＼
　　 　／ 　　／:::::::::::::::::::::::::|＼::::::::＼
　　／　 　／|:::::::::::::::::::::::::::::| |:::＼::::::::＼
　 {　　　{'　　l:::::::::::::::::::::::::::::| |::::::::＼::::::::＼
.　 ＼ 　 ＼　|::::::::::::::::::::::::::::| |::::::::::::::＼::::::::＼
.　　　＼ 　 ＼:::::::::::::::::::::::::::{ l::::::::::::::::::::＼::::::::＼
.　　　　 ＼　　＼:::::::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::＼::::::/
　　　　 　 |　厂二二回ﾆ二l〈::::::::::::::::::::::::::::::::>'´
　　　　 　 |_ﾉ|::::::::::::::::::::::::::::|. V::::::::::::::::::::::／



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼＿　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /´　　`ヽ　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「だよなぁ………」　　 　 |　く　 　 J /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ε= 　 ＼　-　_∠＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /⌒ｱl　　ノ--　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |::::L／:::::::::::l　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |:::::::::::::::::::::::|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |:::::::::::::::::::::/　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 Lミ二二二 　/l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼＿＿＿＿彡ﾍ::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 }::::::::::::::::::::::::|::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l二回二二二|:::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /:::::::::::::::::::::::::::厂￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /:::::::::::::/|::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /::::::::::::/ .l::::::::::::::|



―――――――――――――――――――――――――――――――
　　―――上からの命令にただ従うだけの騎士にはなるな。
　　常により良い選択を模索し、必要に応じて適切に行動し続けるべし。

　　それが親衛騎士に推挙される条件の一つだと彼らが知るのは、
　　まだだいぶ先の話―――
―――――――――――――――――――――――――――――――

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━…

578 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:50:03 D9Lko7sQ
三４７４．
━━━━━━━━━━━…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　一方。

　　部隊を離れたジュンがゆっくり、ゆっくりと東に向かいながらも考えてしまうのは
　　フリートのこと、そしてそこに居るはずの親友のこと。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
　　　　　　　　_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼　　 ,
　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
　　　　　　　　　＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
　　　　　　　　｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　ﾚ､:ﾚ´∧ /　｀　 ＼　.ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
　　　　　　　　　　　 ミ,;,;:.::|　　　　 　 ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
　　　　 ,＿＿ r‐─ v'´　 ヽ　　　　　／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
　 　 /.: : : : : : ＼: : : :＼ 　 ､　　　_　ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./
　　/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼　 ヾ_ , -―
　.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´　　　　　　　　　（………フリートから支援を拒否されている以上、
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入 　 　 　 　 　 　 　 無理に入国すれば侵略扱いされてしまう。
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 冒険者や個人の旅行者なら違うだろうけど………）



―――――――――――――――――――――――――――
　　会って尋ねたい事がある。面と向かって言いたい事がある。

　　なのにせっかくの機会は思いもよらない方向へと舵を切り、
　　歯がゆく進展を待つだけの身となってしまった。
―――――――――――――――――――――――――――

580 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:51:01 D9Lko7sQ
三４７５．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　私人としてならすぐにでもフリート入りして会いに行けるのは分かっている。
　　だがそれは、女王に剣を捧げた騎士としてあるまじき行為に他ならない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　／::::::::::::/::::ハ::::::/:::|::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞．
　　 ／:::::::__:::::/::::::{ﾄ::V::}:::::|::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
...／-=イ::::::／:::::: : |::ハ:|:::::|::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾑ
　 　 /:::::::/:::::::::::::::::!ミﾐⅣｿ|:::::::::::::::::',::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::＼
　 . /:::::::::i:::::::::::::::::::|r"￣　 !:::::::::::::i::::V::::::::::::::::ヽ::::::::::::::ハ＞ー
　 /::::::::: :|::::::::::::::::::::|　　　.ﾘ:::::::::::: |::::::V::::::::::::::::::',:::::::::::::::::',
. /::::::::::: ∧:::::::::;:::::: |　　　,'::; ｲ:::::: |ヽ::::ヾ ､::::::＿ﾊ:::::::::::::::∧
ｲ:::::::::; ｲ:::∧::::_|ﾑ＝!＿＿/__. V::: | _..≧__,,ｨ≦_:::`:V::::::::::::::::＼
- ' ¨　/:::::::::::>､:{r¨￣￣ ≧ミ}ﾄV:: |r＝″￣￣ } }::::V::}`ー──
　　　,'::::::::}:: i r }!{　,,＿＿ｪz .}}==={{　zｪ＿＿,　}i{ Y::rﾊ
　　 /:::,ｨ/ﾄ.人　{i{ ´￣￣￣` }}￣ {{　´￣￣ ` .}i} ﾉｲ
　 ./／ノ　＞ミﾄ _ﾊ＝＝＝＝"　i} ゛＝＝＝＝ｲノ_＿　　　　　（けれど僕は女王様に剣を捧げた騎士だ。
　　　　　 ,/　//￣八　　　　　＿＿　　　　　/" .ト　}}ハ
　　　　i７　　{ {　　　 ＞　.　　　　　　　　　ｲ　　 i!　.}}　廴_　 　 個を捨て、その為だけに生きる親衛騎士だ………）
　　　 ﾉ　　　 ヾ;､　　　　　＞　　_　　＜　　　　 /　/　　　ハ
　　 /　　　　　　＼　　　　＼　 　　　 /　　　_＿ ノ　　　　　 }
　 ./ ＼　　　　　　 ＼　　　　＼　 .／ ,．＜　　　　　　　　 ..人 _
　/　　　`ー＝ミ､　　 ＼　　　　N/　/　　　　　　　　　　 イ　　　ヽ



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　頭では分かっているのだがどうしても心の内でひっかかるものを処理しきれず、
　　できるだけ考える時間がほしいとの牛歩も実を結ばないままヒゲオヤジ亭が見えてきてしまったので、
　　とりあえずは挨拶しよう、八時過ぎであるし起きているだろうと
　　入り口に向かった彼を出迎えたのは―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

581 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:52:01 D9Lko7sQ
三４７６．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　意外にも締め切られた扉と、でかでかと張られた閉店の挨拶文だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　┌─────────────────────────┐
　　　　│閉店のご案内　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　   │
　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　│妖精の月三十一日をもって　　　　　　　　　　　　　　　　　　　   │
　　　　│ヒゲオヤジ亭は閉店いたしました。　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　│長らくのご利用、ご愛顧まことにありがとうございました。　　   │
　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　店主ヒゲオヤジ　　　 　 │
　　　　└─────────────────────────┘

　　　　 ＼＿＿＿＿＿＿　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／
＿＿＿_＿＿＿＿＿＿...| ./.＿
. 　 　 | |:::::::::::::::::::::::::::::::::::|/:::::::||
. 　 　 |ﾞ┌───────┐.|
. 　 　 |ﾞ│==　　　 　 　 　 　 | ||
. 　 　 |ﾞ│====== 　 　 　 　 |::||
. 　 　 |ﾞ│========...　　　　|::||
|￣|￣|ﾞ│============.......|::||
|　 |　 |ﾞ│.　　　　　　　==.　 .| ||
|　 |　 |ﾞ└───────┘.|
|　 |　 | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ０ ||
|　 |　 | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||
|　 |　 | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||
|　 |　 | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||
|　 |　 | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||
|　 |　 | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||
|　 |　 | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||
|　 |　 | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||
|　 |　 | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣



　　　　　　　　　　 ／|＿＿＿
　　　　　　 r 、 ／ ./　　　／
　　　　　　 i　ヽi　 /　　/´￣￣￣`ヽ
　　　 　 ＿|　 ´　　　　　　　 　　　 ＜、
　　　 ／　　　 __　　　_　　 　 　　　 ＿＼
　　　/　, ／/´　.`　´　`ヽ　　　　　 ＼￣
　　　ﾚ´/ ./ 　/　/.i　　　|　、　　　　　 ヽ、
　　　　,イ.|　/|　∧ | ∧　ﾄ、`ヽ　ヽ 　　／
　　　　 .| .|/ i.| .i＼.|/　| .|´ ｀ヽi＼i　 r''
　 　 　 .ﾚ ﾚ' ri/￣`、r´|/｀ヽ V,ﾊ |　 ＼　　　　　　　「へ、閉店！？」
　　　　　 ／ i　　　.ﾄ|　　　 ├─ﾀ.ﾉr-‐'´
　　　　 /' 　 ヽ＿_〈 ヽ＿___ﾉ　/ |< ﾄ￣ヽ　　　　　　　 　 f´￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
　　　　,ﾞ　 ／ )ヽ　.r--- 、u　/ヾｌﾄﾊﾌ::::|｀ヽ　　　　　　　 |　　おおおおお？？　.|
　　 　 |／_／　 ﾊ .i￣￣i u／:} 　V 　::::|　 ＼　　　 　 　 乂＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　　　 /／ 二二二7,==='／u'　__ / 　 :::/　／ ヽ
　　　/'´r　-―一ｧ‐ ﾞＴ´　'"´／　　　　|　　　:::::::}
　　 / // 　 广¨´ / /'　 ／ 　　　　　/　　 　::::::ｲ
　　ﾉ ' /　 ノ＼ 　|　　／＼＿＿　　 |　　　　 ::::::|
_／｀丶　/　　 ＼| ／　　　.＼　 ＼ .|　　　　　:::::|



――――――――――――――――――――――
　　思わず立ち尽くしていると背後から声がかかり、
――――――――――――――――――――――

583 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:53:01 D9Lko7sQ
三４７７．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　振り向けば見覚えのあるひげ面が目の前に立っているではないか。

　　あの時と変わらない、人なつっこい笑顔を浮かべたオヤジが
　　いきなりの事にかなり驚いている様子なので、
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,--''''''---,,,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　 ／⌒＼／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　／＼　　　 ／⌒＼　/|||||.
　　　　　　　　　　　　　　「ジュン君じゃないか！　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 /⌒＼||／　　　　|　||||/⌒|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　θ___θ　　　/　└　9　|
　　　　　　　　　　　　　　 久しぶりだな、どうしたんだこんなところに」　　　　　.　| 　　 ／〇＼　　　　　　<___/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼／　　　　　＼_ノ　　／--,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　/　　 /⌒＼　　＼_／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,.,.,.,./'''---''''ヽ,.,.,.,.ヽ




　　/ ／.:/.: 　 i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
　 　 l.:.:./ .:.:　.|.:.:.:l..:/l.:.:/　|.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
　　./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/　 |/　l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
　 /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ　　l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
　 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ　lﾄV
　　　l.:.:/l .:　ﾊ:lN{　辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ　l1 l
　　　l:/　l.:/　　 lL_ ＿＿ノ　 ,　　ヽ _二 ノ
　 　　 　 l/　､__',　　　　　　　 　 　 　　 /　　　　　　「オヤジさん！
　 　 　 　　　　　ヽ　　　　　r‐‐ｯ　　　/.　　　　　　　 ご無沙汰しておりました。
　 　 　 　　　　 　 入　　　　　　　 ,..ｲ.:.
　 　 　 　　　.　'´　i.:.＼＞ -- ＜/　　　　　　　　　　 実は………」
　 　 　 　／　　 　 |.:.／＼　 　 ノ.:



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　健康状態の悪化やなにかに不幸があって閉店したのではない、と胸を撫で下ろしたジュンは
　　挨拶もそこそこに、突然の訪問について説明し始めたのだった―――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　- -　--　──　──────────────────　──　--　- -
　　　　　　　　　　- -　--　──　────────────　──　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　─　──　─　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　　- -　-

586 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:54:01 D9Lko7sQ
三４７８．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　　- -　-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　─　──　─　--　- -
　　　　　　　　　　- -　--　──　────────────　──　--　- -
　　　　　- -　--　──　──────────────────　──　--　- -

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　フリートにとんでもない竜が現れたこと。
　　大きな被害は出たが退治ができたこと。
　　そしてそれにはやらない夫とエゥーゴの妖術師がからんでいて、
　　支援に向かうはずだった自分達が足止めされたこと。

　　簡潔だが要点を得た説明に、なるほどとあごひげをしごいたオヤジは
　　少し前から騎士達が忙しく行き交っていた理由はそれかと納得した様子だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_ 　 ＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　 ｀￣　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 上二二二二`┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ⊂ニ,-r‐-､──-｀二⊃
　　　　　　　　　　　　　　　「………なるほど、　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　{ｨ|| { 　 {jｰlj⌒)　|ｋ}
　　　　　　　　　　　　　　　 詰め所の方がばたついてたのはそれか。　　　 .　　　　　ヽｌ　 ,. -(つ- ､　 ﾚ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,⊂⊃∨　　, -､　 ∨⊂⊃、
　　　　　　　　　　　　　　　 で、待機を命じられたと」　　　　　　　　　　　　　　　　 /　i　 / ﾚvv/ー‐ﾚv､| ヽ　 i ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 |　 ＞L.二⊥⊥二.｣＜　 |　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　| 　 ＼|　　＼／　　|／　│　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. ＼　 | 　 　 |　 　 ○‐　　|　　　|　／



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ
: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ　　　　　　「ええ、そうなのです。
　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／　　　 　 　 　 　 　 オヤジさんの方は閉店だなんて
　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´　　　　　　　　　　　　何かあったのですか？」
　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}



―――――――――――――――――――――――
　　なら次は僕が尋ねる番だと閉店について問うと、
―――――――――――――――――――――――

587 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:55:01 D9Lko7sQ
三４７９．



　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 .　┐
　　　　　　　　　　　　　　　.　 -─=￢´::::::::|
　　　　 　 　 ,　 -─=￢ ´:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ
　　　　　　　{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r'"
　　　　　　　 ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j　　　　　　　　　　　「ああ、ワシはサクラちゃんの居るダンセニアに
　　　　　　　　　〉弋7´￣厂´厂￣￣厂｀ヽ、 　 　 　 　 　 　 引っ越すことにしたんだよ。
　　　　　　　　 {__:::::`ｰ≠=≠=､＝,≠=‐┬iﾍ.
　　　　　　　　｛ぃﾍ::::f　　 {　 γVヽ 　 } |∧　v─‐ ､　　　　 本当は復興が一段落したら手紙を貰う約束だったんだが、
　　　　　　　／ﾍ.　∨　　　ヽ ,. -rュ- ､　K. i ├─＜　　　　 どうにも待ちきれなくなってな、ワッハッハ！」
　 ,　-‐=￢´:::::::::｀Ｔ　 ､　　 / 　 ,ﾊ　　∨::::Y :{二ﾆ、}
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　`ｰ/　　/　i　　 l:::::::| └─ /
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i｀＞{ﾊﾊ/ ＝!,ﾊﾊj::::::::＼＿,.ｲ、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ.　/下王}{王了:::::::::::ﾄ=≠‐':::＼
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨　辻iｿ'^辻ｿ:::::::::::::∨:::::::::::::::::＼
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧　　　　 /:::::::::::::::::::∧::::::::::::::::::::∧
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧　 　 /:::::::::::::::::::/＼!:::::::::::::::::::::: 〉
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ∧　 /:::::::::::::::::::/　　 ＼::::::::::::::::/
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨::::::::::::::::::::/　　　　 ｀　 -　'′
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r‐ ､:::::::::::::::::/
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::廴 ｣::::::::::::::〈



――――――――――――――――――――――
　　好々爺よろしく、にかっと笑って見せたオヤジは
　　心配するような理由じゃないさと首を振り、
――――――――――――――――――――――

588 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:56:01 D9Lko7sQ
三４８０．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　立つ鳥跡を濁さず、全ての準備を無事終えたばかりなんだと言った。
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,--''''''---,,,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　 ／⌒＼／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　／＼　　　 ／⌒＼　/|||||.
　　　　　　　　　　　　「うちを使ってくれていた冒険者には　　　　　　　 　　　　　|　 /⌒＼||／　　　　|　||||/⌒|
　　　　　　　　　　　　 他の宿を紹介したし、　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　|　|　　θ___θ　　　/　└　9　|
　　　　　　　　　　　　 この家を買い取ってくれる人も現れて　　　　　　　　　　.　| 　　 ／〇＼　　　　　　<___/
　　　　　　　　　　　　 手続きだなんだを終えてきたところなんだよ」　　　　　　／＼／　　　　　＼_ノ　　／--,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　/　　 /⌒＼　　＼_／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,.,.,.,./'''---''''ヽ,.,.,.,.ヽ



　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　 　　 　 〉 　 　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>
　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /　　　　　　　　　「え、じゃあ………」
..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　 ヽ.　 ″　 　 ｌ　　 　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､
　　　＼　 　 　 l.　,.-‐' 　 　 :　ﾚ' ′　　く !　 //　　　　　　　 　 / 　 　 　 ヾ、



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　まだ時間は早く、役所が開くと同時に転居届を出してきたと分かるほど
　　出発を急いでいるらしい。

　　ジュンが、ならば近々行ってしまうのかと察したところで―――
――――――――――――――――――――――――――――――――

590 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:57:01 D9Lko7sQ
三４８１．
―――――――――――――――――
　　明日には出発する、と彼は認めた。
―――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,-―――-､,,_
　　　　　 　 　 　 　 　 ,,,-ｯ=''"｀　　　　　　　　｀ －.,.、
　　　　　　　　　　 ,／ﾞ,／　　　　　　　　　　　　　　 ｀'.ヽ、
　　　　　　　　　 ,i´;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　　　　　　　　　　｀､＼
　 　 　 　 　 　 /: ;;;;;;;;;;:,!　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ
　 　 　 　 　 　 |: ;;;;;;;::;;│　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,―-　!:lﾞ
　　　　　　　　 ﾞl.: : ;;;;:丿 ,,､---､、　　　　 'i､,　　　 ,,/　ﾞ、 .|.,
　　 　 　 　 　 ｒ'"''-、/　　　.lﾞ　 ｀ '-､,,_　　,!（ .,,,／　　 .|　ﾘ`i､
　　　　　　　 .,!－､.ヽlﾞ　　　.|　　　　　 〈`|"　 l、lﾞ　　　 ,i´ Ｌ ﾞl　　　　　　「明日には出る。
　　　　　　　 .lﾞ　 ,i´‐!　　　 "　　　　　 ﾞ'"　 __｀"｀　　　′｀lﾞ.lﾞ
　　　　　　　　ヽ　'．,　　　　　　　 ､.――ｯ″｀ｯｰ-､、　　　 |　　　　　　　 この歳で新天地を目指すなんてと
　　　　　　　　　｀､､lﾞ　　　　　　,､'";;;;;;;;;;;;;;;｀''''";;;;;;;;;;｀'-、　　|-．　　 　 　 笑われたりもしたが………」
　　　　　　　 _,／ﾞ/.|　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼　,|. ｀'-､,、
　　　 .,,,､.‐'"゛　 ,lﾞ .ヽ　　　 ./｀;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ｖ-''ﾞ,｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ 'i､　　 `ﾞ'‐､、
: _,.-''″　　　　 .lﾞ　 .ﾞ,i､　　.,i´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ''"＾ ﾞl;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ｀　　　　　 `-、
."　　　　　　　 ,lﾞ　　.lﾞ ',!､,_lﾞ;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;:|　　　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　│ ｀'、|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,!　　　 .'、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞl　　　　　　　　 : `i､
　　　　　　　　　　　　|.丶 ｀lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:.|＿_,,,－|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:|　　　　　　　　　　｀i､



――――――――――――――――――――――――――――――
　　まもなく初秋を迎えるとはいえ、還暦を数年後に控えた身には
　　ダンセニアまでの旅路も堪えるだろう。

　　代々続いたこの店を自分の代で終わらせる事に苦悩もしただろう。
――――――――――――――――――――――――――――――

592 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:58:01 D9Lko7sQ
三４８２．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　けれどオヤジは、それらは些細な事にすぎんと笑った。

　　まるで自分の子のように思える娘が頑張っている。
　　あの子のためにできる事があると言うのなら何を迷うものか、と。
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,--''''''---,,,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　 ／⌒＼／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　／＼　　　 ／⌒＼　/|||||.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あの子の力になりたいんだ。　　　　　　　 　 |　 /⌒＼||／　　　　|　||||/⌒|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　θ___θ　　　/　└　9　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ワシにだって、　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 .　| 　　 ／〇＼　　　　　　<___/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 できる事はあるはずだからな」　　　 　　　　／＼／　　　　　＼_ノ　　／--,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　/　　 /⌒＼　　＼_／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,.,.,.,./'''---''''ヽ,.,.,.,.ヽ



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /　　　　　　　「できる事………」
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



――――――――――――――――――――――――――――
　　まっすぐやりたい事へ邁進できるオヤジさんが羨ましい―――
――――――――――――――――――――――――――――

593 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 22:59:01 D9Lko7sQ
三４８３．
――――――――――――――――――――――
　　そんな心の内を見透かされてジュンは驚いた。
――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_ 　 ＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　 ｀￣　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 上二二二二`┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ⊂ニ,-r‐-､──-｀二⊃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　{ｨ|| { 　 {jｰlj⌒)　|ｋ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ジュン君にもあるんじゃないか？」　　.　　　　　ヽｌ　 ,. -(つ- ､　 ﾚ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,⊂⊃∨　　, -､　 ∨⊂⊃、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　i　 / ﾚvv/ー‐ﾚv､| ヽ　 i ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 |　 ＞L.二⊥⊥二.｣＜　 |　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　| 　 ＼|　　＼／　　|／　│　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. ＼　 | 　 　 |　 　 ○‐　　|　　　|　／



::::::::::::::::::::::::::ﾊ::::::::::::::/i/／ i:::::::::::::::::::::::::|::::::|:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::＼
::::::::::::::::::::::::::::ﾊ;;;;;;;;;/-'´ 　 .|::::::::::::::::::::::::ﾄ::::: ﾄ::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ￣　　 　 　 |::::::ﾊ::::::::::::::|　＼i ＼::::::::::::|:::::::::::::::::::::ﾊ
::::::::::::::::::::::::::::;:::ﾊ　　　 　 　 |:::/　V::::::::::ﾘ　　　　ｨ=ﾊ:::: |::::::::::::::::::::::::＼
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ﾍ　　　　　 |:/　　 V::::::/　　　/ｲ＝ﾌi｝ヾ─────'｀
ヽ:::::::::::::::::::::::::|　＼ヽ　　 　 |i!　　　 ｝::/　　　r''´ゞハi l:ヽ
::::＼::::::::::::::::::::|　　 ＼　　　＿＿ニ三ｲ　　　||r j｝i|　.i lヾ｝
::::::::::＼::::::::::::: |　　　／::::＿,,,ィ彡=''´i/il_,=＝|.しｿﾊ ﾉﾉ-､
:::::::::::/ ＼::::::::::ヾ ／:- ''´＞''´ -=ｲ｀　 ||r'´｀ ﾊ彡　ｙ/: : : :＼ニニミ-､
::::::::/　　　｀ー- xゝ rィ彡''´イッ:::ﾘ　　/i　　　ミー=´i: : : : : : :｀:-:､: : :｝ｿヽ
:::::/::ﾊ＿＿＿＿＿/ /　 /　ﾋ:::..ソﾉ　｛.ﾘ　　　　｝.　 l-､: : : : : : : : i: ://: :ﾊ　　　　「……………！」
￣ヽ──────､ﾊ　ヾ　　ゞ''´　 ノﾉ　　　 ./　 ./: :ﾉ: : : : : : : : l: i l: : : ﾊ
i ヽ　｀ -ゝ　　　　　　ヽヽ　ミ=''´　／／　　　　 　 /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ､
｛　　ﾊ　　　　　　　　　＼＼＿_／／　　　　, ィ　/: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : ＼
　｀　　 廴　　　　　し　　　ー─''´　　　 ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>､＿　　　ー　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　 /: : :/: : : : : : : : ::／: : : : : : : : : : :/
: : : : : ＞-､＿ハ､　　　　　　　　　　　　　　　ハ／: : : : : : : :／: : : : : : : : : : : :/ハ

594 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:00:01 D9Lko7sQ
三４８４．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,--''''''---,,,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　 ／⌒＼／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　／＼　　　 ／⌒＼　/|||||.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 /⌒＼||／　　　　|　||||/⌒|
　　　　　　　「親衛騎士だから与えられる役目や権限があるように、　　 　 　 　 |　|　　θ___θ　　　/　└　9　|
　　　　　　　 君個人ならできる事があるかもしれん」　　　　　　　　　　　　　　　.　| 　　 ／〇＼　　　　　　<___/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼／　　　　　＼_ノ　　／--,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　/　　 /⌒＼　　＼_／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,.,.,.,./'''---''''ヽ,.,.,.,.ヽ



　　　　／::::::::::::/::::ハ::::::/:::|::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞．
　　 ／:::::::__:::::/::::::{ﾄ::V::}:::::|::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
...／-=イ::::::／:::::: : |::ハ:|:::::|::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾑ
　 　 /:::::::/:::::::::::::::::!ミﾐⅣｿ|:::::::::::::::::',::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::＼
　 . /:::::::::i:::::::::::::::::::|r"￣　 !:::::::::::::i::::V::::::::::::::::ヽ::::::::::::::ハ＞ー
　 /::::::::: :|::::::::::::::::::::|　　　.ﾘ:::::::::::: |::::::V::::::::::::::::::',:::::::::::::::::',
. /::::::::::: ∧:::::::::;:::::: |　　　,'::; ｲ:::::: |ヽ::::ヾ ､::::::＿ﾊ:::::::::::::::∧
ｲ:::::::::; ｲ:::∧::::_|ﾑ＝!＿＿/__. V::: | _..≧__,,ｨ≦_:::`:V::::::::::::::::＼
- ' ¨　/:::::::::::>､:{r¨￣￣ ≧ミ}ﾄV:: |r＝″￣￣ } }::::V::}`ー──
　　　,'::::::::}:: i r }!{　,,＿＿ｪz .}}==={{　zｪ＿＿,　}i{ Y::rﾊ　　　　　　　「僕個人にできる事………」
　　 /:::,ｨ/ﾄ.人　{i{ ´￣￣￣` }}￣ {{　´￣￣ ` .}i} ﾉｲ
　 ./／ノ　＞ミﾄ _ﾊ＝＝＝＝"　i} ゛＝＝＝＝ｲノ_＿
　　　　　 ,/　//￣八　　　　　＿＿　　　　　/" .ト　}}ハ
　　　　i７　　{ {　　　 ＞　.　　　　　　　　　ｲ　　 i!　.}}　廴_
　　　 ﾉ　　　 ヾ;､　　　　　＞　　_　　＜　　　　 /　/　　　ハ
　　 /　　　　　　＼　　　　＼　 　　　 /　　　_＿ ノ　　　　　 }
　 ./ ＼　　　　　　 ＼　　　　＼　 .／ ,．＜　　　　　　　　 ..人 _
　/　　　`ー＝ミ､　　 ＼　　　　N/　/　　　　　　　　　　 イ　　　ヽ



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　たとえ末席の若造だとしても―――
　　妬まれ、笑われ、事あるごとに試され、周りの信用を得るのに何倍の苦労をしたとしても、
　　親衛騎士の名、権力は決して小さいものではない。

　　だからこそできる事はたくさんあるし、親衛騎士でなければできない事はたくさんある。
　　個人の力が遠く及ばないのは確実だ。

　　しかし―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

595 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:01:03 D9Lko7sQ
三４８５．



　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,-―――-､,,_
　　　　　 　 　 　 　 　 ,,,-ｯ=''"｀　　　　　　　　｀ －.,.、
　　　　　　　　　　 ,／ﾞ,／　　　　　　　　　　　　　　 ｀'.ヽ、
　　　　　　　　　 ,i´;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　　　　　　　　　　｀､＼
　 　 　 　 　 　 /: ;;;;;;;;;;:,!　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ
　 　 　 　 　 　 |: ;;;;;;;::;;│　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,―-　!:lﾞ
　　　　　　　　 ﾞl.: : ;;;;:丿 ,,､---､、　　　　 'i､,　　　 ,,/　ﾞ、 .|.,
　　 　 　 　 　 ｒ'"''-、/　　　.lﾞ　 ｀ '-､,,_　　,!（ .,,,／　　 .|　ﾘ`i､
　　　　　　　 .,!－､.ヽlﾞ　　　.|　　　　　 〈`|"　 l、lﾞ　　　 ,i´ Ｌ ﾞl
　　　　　　　 .lﾞ　 ,i´‐!　　　 "　　　　　 ﾞ'"　 __｀"｀　　　′｀lﾞ.lﾞ　　　　　 　 「君はまだ若いんだ、
　　　　　　　　ヽ　'．,　　　　　　　 ､.――ｯ″｀ｯｰ-､、　　　 |　　　　　　　　 時には屁理屈や勢いに任せて
　　　　　　　　　｀､､lﾞ　　　　　　,､'";;;;;;;;;;;;;;;｀''''";;;;;;;;;;｀'-、　　|-． 　 　 　 　 行動してみるのも良い経験になるだろう。
　　　　　　　 _,／ﾞ/.|　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼　,|. ｀'-､,、
　　　 .,,,､.‐'"゛　 ,lﾞ .ヽ　　　 ./｀;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ｖ-''ﾞ,｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ 'i､　　 `ﾞ'‐､、　 今、一番君に必要とされているのはその経験だろうからな」
: _,.-''″　　　　 .lﾞ　 .ﾞ,i､　　.,i´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ''"＾ ﾞl;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ｀　　　　　 `-、
."　　　　　　　 ,lﾞ　　.lﾞ ',!､,_lﾞ;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;:|　　　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　│ ｀'、|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,!　　　 .'、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞl　　　　　　　　 : `i､
　　　　　　　　　　　　|.丶 ｀lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:.|＿_,,,－|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:|　　　　　　　　　　｀i､

597 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:02:01 D9Lko7sQ
三４８６．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,--''''''---,,,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　 ／⌒＼／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　／＼　　　 ／⌒＼　/|||||.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 /⌒＼||／　　　　|　||||/⌒|
　　　　　　　　　　　　「なんて、冒険者じゃない　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　|　　θ___θ　　　/　└　9　|
　　　　　　　　　　　　 親衛騎士殿に言って良いかは分からんがな、　　　 　 　 | 　　 ／〇＼　　　　　　<___/
　　　　　　　　　　　　 ハッハッハ！」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／＼／　　　　　＼_ノ　　／--,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　/　　 /⌒＼　　＼_／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,.,.,.,./'''---''''ヽ,.,.,.,.ヽ



　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
　　　　　　　　_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼　　 ,
　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
　　　　　　　　　＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
　　　　　　　　｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　ﾚ､:ﾚ´∧ /　｀　 ＼　.ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
　　　　　　　　　　　 ミ,;,;:.::|　　　　 　 ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
　　　　 ,＿＿ r‐─ v'´　 ヽ　　　　　／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
　 　 /.: : : : : : ＼: : : :＼ 　 ､　　　_　ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./
　　/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼　 ヾ_ , -―
　.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´　　　　　　　　　　　　「……………」
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　しかし、だ。
　　時と場合によっては、ジュン＝サクラダ個人がその立場を越えて成せることがあるとしたら。
　　親衛騎士でなくても、それより多くの実益をこの国と女王にもたらすことが可能だとしたら。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

598 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:03:01 D9Lko7sQ
三４８７．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　果たして、親衛騎士という立場に固執し続ける意味はあるのだろうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　 i::::＼　　　 r::'::´::::::::::::::::::::::／＿
　　　　　　　　　　　　　 ヽ:::::::＼.　 |::::::::::::::::＞-...':::´:::::::::＼
　　　　　　　　　　　＿＿ ≧::::::::＼i!:::::::::r､'::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／::::::::::::::::/＼:::::::::|:::::: /:::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　 ／::::::::::::::::／:::::::::＼::::::::/:::i:::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::...::::｀:::-.._
　　　　 　 ／_:: -─ｲ::/::::::::::::::i::::::＼/:::::|::::::::::::::: ＼:::::::::::::::::::::::＼＿＿＿::＞
　　　　　　￣,...-:':´:／::::::::::::::::|:::::::::V:/: |:::::::::::::::::::::ﾊ::::::＼:::::::::::::::::｀:-._
　　　　　　 /::::::::::: /::::::::::::::::::::::|:::::_:ｨ=-.-|::::::::::::::::::::::::i:::::::::::＼:::::::::::::::::::: ﾍ
　 　 　 　 /:::::::::::::i::::::::::::::::::::::::|'´　　 　 .|:::::::::::::::::::::: :|:::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::ﾍ
　　　 　 /::::::::::::::::ﾊ:::::::::::::::､:::::| 　 　 　 .|:::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::＼::::::::::::::::ﾍ
　　　　/:::::::::::::::::::::ﾊ:::::::::::::i ＼ヽ　　　　.|:::::ｲ::::::::::: ﾊ:::|::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::＼
　　 ／::::::::::::::::::::::::::ﾊ:::::::::::|＿_ゞ'＿＿　|::/ i:::::::::/＿ヾﾄ::::::::::::::::::: |::::::::i ヽ::::::ﾊ
. ／:::::_::_:: - ﾌ:::::::::::::::ﾄ-三ﾆニ＝＝≦　ﾚ　|::::三ニニニ=ヾ:::::::::::::|::::::: |　 ｀ー-｀-
　　　　　　 /::::::::::::::::::| |r::::|て芯ミヾ Y}　　 .|::::/ ≧ニニ＝ﾐヾ::::::: |::::::::ﾊ
　 　 　 　 /:::::;:::::::::＿| |　ヾ i!;;;....;;}　 i }ニニニi」 ｛ﾋｲ:::::｝ >　i l＼::|::::::::::ﾍ
　　　　　/／ /::::::/>‐ﾊi　　　ゞー'　<iﾘ　 　 ﾚi l　　廴../ ｲ　//::::::ゞ:::::::::::ﾊ
　　　　 /　　ﾊｨ::::i　-ﾊヾニニニニ彡　　 i　　 ミ､＿＿＿_.//-､::::::::ヽ￣ ￣
　　　　　　　　 ヾ i　- ﾍ　　　　　 　　　　 ;　　　 ￣￣￣￣/ハ i:::::i￣
　　　　　　　　　 　 ヾ､∧　　　　　　　　 ＿　　　　　　　　/　　ﾉ-''´
　　　　　　　　　　　　 ーヽ　　　　　　　´　 ｀　　　　　　 /-'／　　　　　　　　　「ありがとうございます。
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　 ..::　　　　 　　/-'´
　　　　　　　　　　　　＿　　　｀　､　　　　　　　　　　／　　　　　　 　 　 　 　 　 僕が何をすべきなのか………
　　　　　　　　　　 ／: : :｀: -..､　　｀i'　､　　　,　ィ' ´　　　　　　　　　　　　　　　 いや、どうしたいのか分かった気がします」
　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : :｀: x.ﾉ　　｀　´　　|　　　　　　＿
　　　,...-::'::´:::￣::｀::-::::_: : : : : : : : :＼＿　　　　 ﾄ､　　 ／: : : :ヽ
　r'´: : : : : : : : : : : : : : : :｀:ー-: : :＿: : : :｀ー. ､　.>'´: : : : : : : : : :>＿
　｝: : : : : : :-: :､: : : : : : : : :: : : : : : : : :￣: :ヾ: ::Ⅵ: : :: : : :_: -:'´: : : : :ﾊ



―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　女王の信を得た親衛騎士の立場を捨てて冒険者に戻ったあと、
　　エゥーゴを救い、今もまたフリートで戦っているであろう親友の事を思った瞬間、
　　ジュンの中にそんな考えが生まれていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

599 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:04:02 D9Lko7sQ
三４８８．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　どうやら迷いは消えたようだ。

　　迷い子のようだった少年の瞳に覇気が宿ったのを見てとったオヤジは、
　　立場ある者が自由に動きたいと思ったときは
　　必ず目上の者へ言ってからにしなさい、としっかり手綱を引き絞り、
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,--''''''---,,,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　 ／⌒＼／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　／＼　　　 ／⌒＼　/|||||.
　　　　　　　　　　　　「無茶はせん程度に頑張るんだぞ。　　　　　　　 　　　　　|　 /⌒＼||／　　　　|　||||/⌒|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　θ___θ　　　/　└　9　|
　　　　　　　　　　　　 女王様や上司への報告、連絡、相談は　　　　 　 　 　 .　| 　　 ／〇＼　　　　　　<___/
　　　　　　　　　　　　 怠らんようにな」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼／　　　　　＼_ノ　　／--,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　/　　 /⌒＼　　＼_／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,.,.,.,./'''---''''ヽ,.,.,.,.ヽ



　　　/ ／.:/.: 　 i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
　　 　 l.:.:./ .:.:　.|.:.:.:l..:/l.:.:/　|.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
　　　./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/　 |/　l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
　　 /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ　　l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
　　 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ　lﾄV
　　　　l.:.:/l .:　ﾊ:lN{　辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ　l1 l
　　　　l:/　l.:/　　 lL_ ＿＿ノ　 ,　　ヽ _二 ノ.:.:.　　　　　　「はい！
　　 　　 　 l/　､__',　　　　　　　 　 　 　　 /　.:.:.
　　 　 　 　　　　　ヽ　　　　　r‐‐ｯ　　　/.　　　　　　　　　 オヤジさんもお気を付けて！
　　 　 　 　　　　 　 入　　　　　　　 ,..ｲ.:.　　　　　　　　　　サクラさんにもよろしくとお伝えください！」
　　 　 　 　　　.　'´　i.:.＼＞ -- ＜/
　　 　 　 　／　　 　 |.:.／＼　 　 ノ.:



―――――――――――――――――――――――――――
　　頷いた親衛騎士はこうしちゃ居られないと別れを告げると、
―――――――――――――――――――――――――――

602 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:05:01 D9Lko7sQ
三４８９．
――――――――――――――――――――――
　　魔法学院のある方角、北へと走り去っていった。
――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　 /.:.:.:.:.::::::::::::::::::厶=-‐-.､＿　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　 　 　 　 　 　 /.:.:.:.:.:.::::::::::::::::/.:::::::::::::::::|　ハ　　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　　　　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::/.:::::::::::::::::::jこ jﾘ　　　　　　＜　　それでは失礼します！　　＞
　　　　 　 　 　 　 /.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::/.:::::::::::::::::ィﾖ 　{{　　　　　　　 <　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　　l.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::..＜´　|主 　}ﾄ､　　　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　 　 　 　 　 　 　 ＼.:.:.:.:.:::::::::::::::::／ 　 ＼'｢ ｀ヽﾉﾘ.::',
　　　　　　　　　　 　 ` ー一'´￣　　　　　 ヽｰ彡'.::::::＼　　　　　　　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ.:.::::::::::::丶　　　　　 　 　 　 /:::7　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ∨.:::::::::::ハ　　 　 　 　 　 /::::/_r':::|　/￣|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/.:::::::::::}　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::|/::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 V.::::::::::::::ヽ　　　 　 　 ::::::::r-､:::::j |::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〈.:::::::::::::::::::}　　　 　 　 ::::::/─::::/ |:::::/_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 Y.::::::::::::::入　 　 　 　 ::::/ヾ-::::|　|://:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ ー=≦∨〉　　 　 　 _/　　|::::|.　 └┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }主}｀ヽ/　　　　　　 　 　 |::::|　　　　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｊ主ｊ_ ,ﾉ|　　　　　　　　　 .|:::::|　　 /| |:::::}　 　 ,,-┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /ー‐ヘ.ﾉ　　　　　　 　 　 |:::::」　　|:::| |::/_　　 |::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ー‐彡'　　　 　 　 　 　 　 |／　　 L:ﾉ　/:::|　　|::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |:::/　　|::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |/　　 |:::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 .|:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/,-┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ￣

605 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:06:01 D9Lko7sQ
三４９０．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　微笑んで見送った年長者も、自身の物語に新たな章を書き記すべく
　　遠きダンセニアに思いを馳せる。
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 .　┐
　　　　　　　　　　　　　　　.　 -─=￢´::::::::|
　　　　 　 　 ,　 -─=￢ ´:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ
　　　　　　　{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r'"
　　　　　　　 ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　〉弋7´￣厂´厂￣￣厂｀ヽ、
　　　　　　　　 {__:::::`ｰ≠=≠=､＝,≠=‐┬iﾍ.
　　　　　　　　｛ぃﾍ::::f　　 {　 γVヽ 　 } |∧　v─‐ ､
　　　　　　　／ﾍ.　∨　　　ヽ ,. -rュ- ､　K. i ├─＜　　　　　　「さて。
　 ,　-‐=￢´:::::::::｀Ｔ　 ､　　 / 　 ,ﾊ　　∨::::Y :{二ﾆ、}
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　`ｰ/　　/　i　　 l:::::::| └─ /　　　　　　　ワシもダンセニアでもう一花咲かせてみせるぞい」
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i｀＞{ﾊﾊ/ ＝!,ﾊﾊj::::::::＼＿,.ｲ、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ.　/下王}{王了:::::::::::ﾄ=≠‐':::＼
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨　辻iｿ'^辻ｿ:::::::::::::∨:::::::::::::::::＼
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧　　　　 /:::::::::::::::::::∧::::::::::::::::::::∧
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧　 　 /:::::::::::::::::::/＼!:::::::::::::::::::::: 〉
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ∧　 /:::::::::::::::::::/　　 ＼::::::::::::::::/
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨::::::::::::::::::::/　　　　 ｀　 -　'′
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r‐ ､:::::::::::::::::/
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::廴 ｣::::::::::::::〈



――――――――――――――――――――――――――
　　彼ら自身が主役である物語はこれからも続いて行くのだ。
　　前を向き、歩み続けるその限り―――
――――――――――――――――――――――――――

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━…

606 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:07:04 D9Lko7sQ
三４９１．
━━━━━━━━━━━…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　多くの事があった日の夜明け。
　　山間から朝日が昇り、平原を照らし出したのを合図にキャスターが言った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
|　　………と、言う訳で。　 |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ



　　　　　　　　　　　　　_,,,...:-‐‐=-.'.:,丶
　.　　　　　　　　　　 ,r'";;　;;　　 　　　;;＼,,.....,
　　　　　　　　　 ,,r'";;　;;　;,,,　　　　　;;;　, ;;;　;;;,`'::,､　　　　　　　　　　 .................
　　　　　　　　,:r';;;　;;　,;;;　;;　　　　　　;;　 　 ;;　;;; ,;; `':,､　　　　........::::::;;;;;;;;;;;;;;;:::::::.........
　　　　　　,r'";;;,,　,,;;　,,;;;,　,,,,　　　　　 ;　 ;;　　;;　,, ;;,　;;`';;､_:::::::::::::::;;:''　　 　 　''';;;:::::::::::::::
　　　　,r'";;;;　　,,,;;;　;,,,;;;　;;　;,,, - '''' ''';‐-,, ,,　　　　　　;;,　;;`';;､_:::;;;'' 　　　　　　　'';;- ''""
　　,r'",,,;;;;,,　,,,,,,;;;;;　　　　　　　　　　　　　 　" ''''‐- ,..,,,...　　′,, -‐- ,...　...--‐‐''''"
　,r'　　,,,,;;;;;　　　　　　　" ''''‐ 　　...:;;;　　　　　　　　　　　　　/'　　　　　　￣
　　 "''　-‐‐‐-,..,,.,,,,;;;;;　　;"'.,　　　　　　, ;,　　　　　　　　ノ''　　　　　　　　　.,,._.
;;;;;;,,,　　　,,,,;;;;;　　　　　　　　　　　　;::　　　　　　,, ;;,　　....゛゛;;;;;;:::;:
　　,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,;　 ;;;;;;;;;,;;;;;;;,,,,,,,::;
　;;;;;;; ;;;,,; ;;;; ;;;;; ;;　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,,,,,
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',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',','',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',','',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',','

609 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:08:03 D9Lko7sQ
三４９２．



　　　　　　　　　　　 .....-─-ｰ- ､..
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　　　　　　　　,':::::::r､ミ〃ヾ:::::ヽ::::::::::::::.
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　　 　 　 　 　 `|:|ﾒ心`　　 气r　|:::::|:ﾌノ　　　　　「もしこちらに何かあったとしても、
　　　　　　　 　 |::∧.　r　　 　 　 |::::|ﾄﾒ::)　　 　 　 最長二時間の差で戻ることができるわよ」
　　　　　　　　　|:|:::::ヽ. ｰ一　 ／|::::|Y:X:）
　　　　　　　　　|:|::::::|:::＞ -イ　 .|:::::|:YX::)
　　　　　　　　　j:|::::::l:::::::|　　　　l::::::|弋X:)
　　　　　　　 __ｲ:|::::::l::::/__.　 　 /::::::j::::〉::ｰ-､
　　　　　　ｨ彡:::::|:::::j::ｿ;,,___,,,,,７::::::ｿ:::/::::::::::::::ヽ
　　　　　 /::::::::::::|::::ﾘ圭圭圭ﾊ::::::ﾉ:::::::::::l:::::::::::::ﾍ
.　　　　 /::::::::::::::ﾙ':|圭圭圭':::jﾙ':::::::::::::::|::::::::::::::::}.
　　　　∧::::::/:::::::::::|圭圭;ｲ::::::::::::::::::::::::::{:::::::::彡へ
　　　　|::::::V::::o:::|:::|圭圭:|::::::::::{::::::o:::::::::ｲ´::::::::::::::',



　　　　　　　 　 　 　 ,..::;ﾆ＝-､
　　　　　 　 　 　 　 i::/　　 　 、
　　　　　　　　　　　,ゞｰ--‐::':::|,..-;:ァ
　　　　　　　　　／:::::::::::::::;::::::::!::::::｀丶、
　　　　　　　　/::/::::::::::/:/|;:::::;!i::i::::::....､ヽ
　　　 　 　 　 l:/::;'::::'オ/　!:::/へ|:::::::::::ﾞ:.ヾ:、
　　　　　　　 ,!,イ:::::/ !′ l::/　 .lﾊ:::::|;;::::l
　　 　 　 　 /i:::::!::/iTﾆT ,!;'　ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
　　　 　 　 　 !:（|:'!::l ゜┘/　　ﾟ‐：!:}::!　 ﾞ!
　　　 　 　 　 |::::M::::!､ 　 ο　 .ィ:i!ﾘ
　　　 　 　 　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::|　　　　　　「二時間か………
　　　 　 　 　 !::::|x<!:l　 |―|　,l:::|:::!　　　　　　 短くないね」
　　　　　　　 l::::::;!ヾｌ:ﾄﾐヾ、l〃!:ハ:|
　　　　　 　 ,':::::::|　 ヾ＞ﾐV∠}′ i|
　　 　 　 　 l::::::::{　,r=-=ニＬ._〉,ノ l|
　　　　　　 ,!:::::::::l　　　 　 |l!l!|´ 　 |!
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　　　 　 　 !::::::::::::ﾞ7ー イ丁´「 〈::::::|
　　　 　 　 l::::::::::::/　l　 |　|　 l　ﾞ､::::|
　　　　　　 l::::::::::/　l. 　|　 |　 l　 ﾞ､:|



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　　出発準備を整えた四人はばらばらに薄暗い町を抜け出し、
　　北の門で合流して夜明けを待っていたのである。
―――――――――――――――――――――――――――

611 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:09:01 D9Lko7sQ
三４９３．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　シーマ王女からの頂き物の説明を受けて不安そうなコナタに
　　今はこれ以上望めないとやらない夫が首を振る。

　　フリートほどに歴史の長い国ならばあるいは、と期待をしていたのは確かだが、
　　その全てが揃うとは彼自身も思っていなかったのである。
　　だからよくぞあってくれたと感謝こそすれ、不足だと嘆くような真似はとてもできなかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　　＿＿
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 _／_,,.......,,,,..ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　 .,,i_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:ヽ
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /;;|　　 （●）（●）|　　　 　 　 　 　 　 ／勹
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |;/|　　　（＿人_）│　　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 　 ｀ ⌒´　 |　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 　 　 　 |,,.._,.,_　　　∠ヾ／　　　　「だが現時点で用意できる最良策だ。
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 .　 ヽ　　　　　　/　 ﾞ弋llコ~○／
　　　　　　　　　　　　　　　　　 / lヽ　 　　　/　　　 ／｀弋ll　　 　 　 　 　 あとは俺達がどれだけ早く
　　　　　　　　　　　　　＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ ￣ﾉ　,r‐;=／δ／ `弋l､　　　 　 　 相手にたどり着けるかだな」
　　　　　　　　,r‐＜￣´､ヽ、 ｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,`v-, ､__　　゜
　　　　　 　 /　　 　｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　 　 ﾉ 、　　　　 　 　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　 　 〉､ 丶､ _　 　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　 　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ　　<＾＾>　||　　　 ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.., Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　 　 　 〉､_ 二 -ｨ′八ヽ ﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/;;;;;ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;〉｝　　Ｙ´　　　　 　 ｌ　|;;|::::::::::::::￣l



　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　 　 　 　 ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　 　 　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　 ／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　 　 　 　 　 ／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　 　 ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　 　 　 　 　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　 　 　 　 ､ _｣ ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　 　＼　　　‐--- ／|:/
　　　 　 　 　 　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／ 　.ｿ　　　　　「ええ。
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　 　 ／ヽ- '
　　　　　　　／　　 ヽ､　　　　　_ ｲ　　 　 　 　 　 　 　 　 　 要は再襲撃の前にライトを叩けば良いのです」
　　　　　 ／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　 　 　 　 ー┴､
.　　 　/　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　/　 　 　 　 　 　 ＼　　　　 |､

613 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:10:01 D9Lko7sQ
三４９４．
――――――――――――――――――――――――――
　　その不足は俺達が埋めるべきものだと男達が言うので
　　集中を高め始めたキャスターが行程を再確認すると、
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,r';;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 _,／;;::::::::::::::::::;;;;;;;;;;`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;:::::;;;;;:::::::::::::::::::;;;;;;;;;;`,､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 i;;;::::;;''!i:::;r'::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i,_Y'ﾑ'';';;r‐''''´;;;;;;;;;;;;／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,i,>-/:;;::`､`:､::::::;;::'';;;;`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 i,/;;:::::::;;;:::;;';;;`､':;;;;:::::::;;;;`,､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「だったら早速行きましょう。　　　 　 　 　 　 　 　 i;;;;r┬‐''i i;/;;!::::;;;:::::::;;;;;;;;`;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;ヽ_, i,'＞i::::::::;;;;;;;;;;;;;;;/
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 リーブラ平原をこのまま北上して　　　　　　　 ,r‐‐‐--､>'´;;;;;;;::'';;;;;;;;;;:;／
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ラビアンローズを目指すのよね？」　　　　　 /,;.:.:.:,'.:.:.;,;,;`''''''';,'''',;'''''''''''''7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,!,;,;,:.:.:.;,:.:.:.:.;,;,;,:.:'';,;'':.-;,''''''''7`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;,;,;,;,:.:.:.;,:.:.;,;.:.:.;,;,:.:.:.';,:.:,;,;.:.'';,;,;,;,:`.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 _i;,:.:,;,;,:.:.:.;,;.:,;,;,;,:,;,;,:.:.:.:'';,;.:.:.;,;,;,;,;,;,;,;,:.`i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 r"',;,;,:.;,;,;,;,:.:.';,;.:,;,;,;,;,;,;.:.:.:.:.:.;,;,;,;,;,;,;,;,;,;.:.:.:,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,!:',:.:.;,;.:.;,;,;,;,;,:.:';,;,:.;,;,;,;,;.:.:,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,:.:.;,:,i



､::::`=:..､_ヾミ::`:::::::ヽ､:::::`:ｰ.､.ヽ、　､
.｀ヽ､:::::::::三"ﾆー-::...ﾆ=-:､::､::ヽヽ .i:!
-ｰ '''''ーﾆ三ニ‐:::-ニ三ﾆ::::::::ヽ::::iﾉ::i
:::::::::::￣::::::::::::::ン:三＝ー-:::::::::::::::::::ﾘ
::::::::::::::::::::ン:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ソ､
ｯ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::,::::::ンノｿ
::::::::::::::::::::／::::ン::::::::::::::ｪ＝ ":::／/::::ﾊ
:::::／::::::::::::::ﾝ:::::::::::::／::::::／／/:::::::::::::i
::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::'::::::::::::::,:':/::::i
::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::ﾝ:::::,::':::::::,':::::i!
::::::::::,:::::::':::::::::::::::::::ｯ::::::;ﾝ::::::::::/:::::::::f'i:!
=ｨ::::〃:::::::::::::::,:::'ﾝ-'''／/::::／ ﾔ::::/ i:!
./ﾊ:::::::〃:::::::/ '"　　 ／" 　..　,ｿiﾘ　!
ヾ. l::::/' ',::il::/ヽ 　 　 　　 _... ﾝ　i　 '
.ヾ､ﾘi　　ﾘ ｿ　 :::ヽ、　￣‐'／ 　 i　　　　　 　 「すみません、
　 ','ｿ ヾ､_,... ｯｨ'ﾉ´. `　..／ /　　k　　　　　　　 キャスター一人に任せてしまって」
　　i ヽ､__ ,ノ ／　　,　/ ／ 　　　 i
　　 i '' ‐-‐ '　　 ／/,　'　, '　⌒　 i
　　i:: '　　　　 ／ .ｨ , ',　'.　　 　 　 |



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　　空間跳躍を使えないもう一人が申し訳ない、と頭を下げる。
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614 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:11:01 D9Lko7sQ
三４９５．
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　　しかしそれは臆病故のものではなく、性差故のものである。
　　だから気にする事はないと微笑んだ彼女に、エルははっきりと頷いた。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:／／:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..､:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::.／ヽi､}:.,､.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. ／　　　 ｀ｰ|:.:.:.:.:l
　　　　　　　　　「気にしないのよ。　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._, ｀/ ､　　　　　 .|:.:.::.::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ /{ ｿ > ､_＼　　　　 |:.:.::.:.l
　　　　　　　　　 私は私にできる事をするわ。　　　　　　　　　 　 　 　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//｀ｰ'-　｀ 　　_,,-‐-j:.i/:.:.j
　　　　　　　　　 エルはエルにしかできない事をすればいいの」...　　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l　　 　 　 　 　 　 /ｿ7´/::.|:.:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　　 ､　　　　　i／:./／|/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀ ､　　　 ｰ‐ 　イ:.:.:.:´i:.:.{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_　 イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 _,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|



　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰ ゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　 　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　 　 　 　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　 　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　 　 　 ｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i　　　　　　「………ええ。
　　 　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　 ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.　　　　　　必ず」
　　　　　　 |/　|∧|　＼ 　 　 　 　 ／ .| / l/;:;:l
　　　　　　　　 |'　 l　　 ヽ、　　 ／　　 l'／ ヽ/
　　　 　 　 　 　 　 l　　 　 ｀￣´　　　　l､
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　 ヽ､_
　　　＿_ ,..　'' ´ 　 ヽ　　　　　　　 　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　 ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　 ｀} ￣ 'ー- ､
　　　 ヽ　　　　　 　 　 ヽ　　 　 　 / 　　　　　　　　　/ /　 　 　ヽヽ



―――――――――――――――
　　次は必ずやってみせます、と。
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615 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:12:01 D9Lko7sQ
三４９６．
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　　瞬間、キャスターは見た。
　　もともとエルの中にあった勇気の精霊が、確かに少し強まったのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　 .....-─-ｰ- ､..
　　　　　　　　　 ／::::::::;:'::::::::::::::::::::::..
　 　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..
　　　　　　　　,':::::::r､ミ〃ヾ:::::ヽ::::::::::::::.
　　　　　　 　 l:|:|:|:|``¨´´´}:}:|:|:|:::::::|:::::|
　　　 　 　 　 |:|:|:|:|　　　　}:|:|:|:|:::::::|::::::|
　　　 　 　 　 {:|:|:|:|___　　_lz-卅ll:::::|:_:_:|_
　　 　 　 　 　 `|:|ﾒ心`　　 气r　|:::::|:ﾌノ
　　　　　　　 　 |::∧.　r　　 　 　 |::::|ﾄﾒ::)　　　　　　　（男子三日会わざれば、刮目して見よ―――とは言うけど。
　　　　　　　　　|:|:::::ヽ. ｰ一　 ／|::::|Y:X:）
　　　　　　　　　|:|::::::|:::＞ -イ　 .|:::::|:YX::)　　　　　　　何か思うところがあったのかしら）
　　　　　　　　　j:|::::::l:::::::|　　　　l::::::|弋X:)
　　　　　　　 __ｲ:|::::::l::::/__.　 　 /::::::j::::〉::ｰ-､
　　　　　　ｨ彡:::::|:::::j::ｿ;,,___,,,,,７::::::ｿ:::/::::::::::::::ヽ
　　　　　 /::::::::::::|::::ﾘ圭圭圭ﾊ::::::ﾉ:::::::::::l:::::::::::::ﾍ
.　　　　 /::::::::::::::ﾙ':|圭圭圭':::jﾙ':::::::::::::::|::::::::::::::::}.
　　　　∧::::::/:::::::::::|圭圭;ｲ::::::::::::::::::::::::::{:::::::::彡へ
　　　　|::::::V::::o:::|:::|圭圭:|::::::::::{::::::o:::::::::ｲ´::::::::::::::',
　　　　|::::::::Y===|:::|圭圭;|::::::::::{======::{::::::::::::::::::ｲ
　　　　}:::::::::i:ii:::::j::::|圭圭;|::::::::::i:::::::ii:::::::::j:::::::::::::::::::|
　　　　|:::::::::|::≦:::o|圭圭;|::::::::::::::＞＜:::{::::::::::::::::::::|
　　　　|:::::::::|:::::::::::::|圭圭;|::::::::::::::::::::::::::::j::::::::::::::::::::|
　　　　|:::::::::j:::::::::::::|圭圭;|:::::::::::::::::::::::::::{:::::::::::::::::::::|
　　　　|:::::::::{:::::::::::::|圭圭;|:::::::::::::::::::::::::::j:::::::::::::::::::::|
　　　　|:::::::::{二二o|圭圭;|:::l:二二二二{:::::::::::::::::::::|
　　　　|::汽ミYｵヾミ辷圭圭圭圭圭圭「}::::::::::::::::::::|
　　　　|:弋彡ﾙ⌒ヾﾐミ圭圭圭圭圭圭| |:::::::::::::::::::|
　　　　|::::::::j州　　　｀ヾミ圭圭圭圭圭| |:::::::::::::::::::|
　　　　|::::::::l州　　　 　 　 ｀ヾﾐ圭圭圭| |:::::::::::::::::::|
　　　　|::::::::l州　　　　　　　　　｀ヾミ彡i |:::::::::::::::::::|



―――――――――――――――――――――――――――――――
　　文字通り精神の精霊魔法の威力は媒介する者の精神力に比例する。

　　この分なら期待してもいいかもねと思った彼女自身も、
　　必要ならいつでも禁を解くつもりでいる―――
―――――――――――――――――――――――――――――――

616 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:13:14 D9Lko7sQ
三４９７．
――――――――――――――――――――――――――――
　　そこで、ふと思いついた事があるコナタが
　　効率的じゃないかと上空に上がってからの転位を提案するも、
――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l'　＿__ ,ヘ_ゝL__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,,.-フ':::::::::::::ｌ:::::::!:::::::::::｀＼　　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 '" ／:::::／::::/:!::::::i::ﾄ、::::::､::::ヽ　 -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /:::::::〃:::⌒/l:::::::l Lヽ_ :::i ::::::ﾊ `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::::／!::::::::ｨ"_ |l:::::l ﾚ　',::｀:l::!::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ねぇねぇ。　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 _　r､ l::/ ,':l::::::,ｲ「 i| l、:| 「ﾞ ﾐヽ:::|l::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l､ヽ! !.ﾚ　 !|l:::/:ｉ ﾄ_ﾘ　ヽ! ﾄ__ﾘ /::|!:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾌﾞﾘﾝｸ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ｿ　｀"ﾌ　l !::i':::､　　､_,__,　 ･/::l:l':l::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 空間跳躍って視界内にしか跳べないんでしょ？......　',　 　 /-､ /:::|::::;＞､_ゝ_ﾉ _,/:::/:::::!::!ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 だったら高いところに上ってから跳んだ方が. 　 　 　 ヽ　_,〉/ l !::レl:ｌl:ｌl::::/-､　7,:::/:::::::!::!::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 一回で長い距離を跳べるんじゃないの？」.　　　 　 　 し ／ /｀ﾄ::!/l:ｌl:ｌl::::! 　 〉::!:/,.＼::|::|:::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 Y ,／:　 ｌ:|l:::!ｌｌ|ｌ:::;' ／/:/i' ／ﾞ 〉!:|:::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈´　　ﾚ::l:l:::ヾ､!:::ﾚ:／:〃:::!　 /::∧:::::



　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.､
　　　　　　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀､
　　 　 　 　 　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:／／:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..､:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::.／ヽi､}:.,､.:.:.:.',
　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. ／　　　 ｀ｰ|:.:.:.:.:l
　　　　　　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._, ｀/ ､　　　　　 .|:.:.::.::l
　　　　 　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ //､...,,__　｀ー' 　 　 |:.:.::.:.l
　　 　 　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//　　　 ｀　　　,,-‐-j:.i/:.:.j
　　 　 　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l　　　　　　　　　　,ｨ=ﾐ'/::.|:.:/　　　　　　「それが距離を稼ぐと消耗が跳ね上がるのよ。
　　　 　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､ U　 rー､ ､ 　　i／:./／|/
　　 　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀ ､　ゝ __jノ ,　イ:.:.:.:´i:.:.{　　　　　　　　 視界内って言うのは目標地点の視認の他に
　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_　 イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|　　　　　　　　 一回で跳べそうな距離の上限ってことなの」
　_,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|



―――――――――――――――――――――――
　　昔試した事のあるキャスターは
　　そこまで万能じゃないの、と苦笑いで首を振った。
―――――――――――――――――――――――

618 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:14:03 D9Lko7sQ
三４９８．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣｀ヾ:`:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　ﾞ!:.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:＼＿,∠.._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. _-_:‐:‐:|: : : : : : : : ､:｀: .、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／´: i.:,!: : :|:i!: ､: : :丶: : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ｨ: : : ｌl. !: : |:!､ﾄ､: : : : ＼: :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .//./: : : ;1! ∨: l|_､斗‐: : : :ﾄﾞ:､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　!: : : {T￢ Ｖ:.{. __⊥:ヾ: : l: : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'′ |: :.;!:iﾊ_z=T ﾞ､:. T不l ハ: l: ;l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.ｌ :ハl:::i ヾﾂ　 `　ﾞｰ：i::::ﾍ:|/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そっか………」　　　　 V　 ﾞ!::ﾄ..,,_　 ,､　_,､ｲ:::::バ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l::::|::::::;ﾌﾌ .,!'ﾞ'l: :/:::::i.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l!::|／/´>'゛_,!:./ｭ::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l};.|i!.j /,,-''.ｲ/‐￢;::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./ ﾞ{､i!/''／// 　 　 i::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / _,,.-火ﾞ､　'"i　　　　i:::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞく　　ｨ､　 ＼j　　　　,l:::|



　　　　　　　　　　　　　　　￣　 　 ､_
　　　 　 　 　 ´　　　　 __....--‐'''"´: :＼
　　　　 　 _/_....-一'''".／ : : : : : : : : ／ヽ
　　,.ｘ‐て/: : : : : : : ／ : : : : : : : : ／: : : :ヽ
　/::,;:/そ|_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_|
./:/V　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.V.　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
.　　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　「それでも並の精霊使いの数倍だ。
　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　　　あとは徒歩と転位を交互にすれば良いだろう、
　　　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/ 　 　 　 　 　 戦闘時にキャスターの疲労が大きくても良くないからな」
　　:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
　　ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　転位一回で平均四キロとして、三回跳んでから一時間を早足で移動すれば
　　時速十八キロの移動になる。
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619 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:15:18 D9Lko7sQ
三４９９．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　冗談で考えたことはあるが、費用対効果が最悪の移動方法を行うと言うので
　　お財布は大丈夫ですかとエルがは心配するも、
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, 　 ,,,.:-‐,,..... -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ::':ﾙ'´:ｰ''´::::≦-
　　　　　　　 　 　 　 　 　　　r''ﾆ、:::::ニ＝-:､::::二ｪｪｯ=-‐
　　　　　　　　　　　　　　　 r'::::::ﾆ-､::::::::ミﾐヽ､::::::::::::::＝ﾆ＿
　　 　 　 　 　 　 　 　　　 /:://:::::ミ､::::::::::::＼ヽ､:::::::::::::＜
　 　 　 　 　 　 　 　　　　,':::,'::::iヽヽ:::ミ:::::､:::::::::＼:::::::::::::ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /::::!:::::ヽ:ヽ::::::::::`:::::::::ヽ:::ヽ::::::ヾヾ､
　　　　 　 　　　　　　　/"i::::::::::::ｉﾞ_､:::::::::!＼vヽ、:::::::::ヾ:::＼
　　　　 　 　 　 　　　　　 i:;::::l::',:li ｏヽ`ヾi. Y'ｏﾞﾘ､:::::::::::iｰ=ヾ
　　 　 　 　 　　　　　　　/ lﾊ::::',ｉﾞー" 　 ′ ー" i:::::::::ヾ､　　　　　　「しかし、随分と魔石頼りの金満作戦ですね。
　　　　　　　　　　 rｲ￣'",ﾆ､!:::::i.　 　　. . 　 　　,':j::lヾﾔ-､_
　　　　　　　　　／ |　　　l　lｻ!::iヽ 　 . --､ 　,.ｲ::l!';:l　　　 ,ヽ　　　　 フリート王家から支援でもあったのですか？」
　　　　　　　　　|〉　!　　　|　l八ﾞ!　＼　￣ .ｨ'　/ｉ! i '!　　　i　i
　　 　 　　　　／<　';,.　　 l　| ヽゞｬ-､`＝ﾝ　_ｿ, !　i　　　 ,'　ヽ
　　　　　　　 〉ヽ-`'　i!/｀`ｉｰ',　 ｀`-ﾆ_--‐'ﾆ-' ,'　 / ｉ　 / i　i l
　　　　　　　/ 　' , ,,,i'´!、 l-　ヽ=- -‐-;'''´　　　 　　 ｌ　　, ' ,' .i
　 　 　 　　/　　　ﾞl　i　 'i　j/　 ,..-‐'￣　　　　 　　　 !　/　　　|
　　　　　 /　　　　 ll､ヽt,ｹﾝｪ‐'´　　　　　　　　　　　 ,!'　　　　.|



　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , ----- 、　　　　　　　　　　　　　　　／ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／ ＿＿＿　＼　　　　　　　　　 　 　 ／ヾ ／
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i.ノ/: : : : : : ｀ヽ;-,　　　　　　　　　　 ／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |:_/_:_:_:_:_:_:_:_:_:ヽ:|　 　 　 　 　 　 ／ヾ／
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ （ ー） （ー ） ｜.､-- ､　　　／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　（__人__）　　i　　弋||ニi／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , -!　　 ｀⌒ ´　　 !-､ 　　／○||´　　　　　「時間と安全を買えるのなら
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |､ヽヽ　　　　　　 / / |...／ト､／弋｀||,　　　　幾らだって払う。
　　　　　 　 　 　 　 　 , 　―;;;;;;;―´　| |､｀ ――― ´.,| | 　｀-;;;;;--　 ､｀弋 |
　　　　　 　 　 　 　 ／ ヽ 　 ▽ 　ヽ　 ヽ ￣￣￣￣/　／　　▽／ ＼　 ´　　　 俺はそう決めていて、
　　　　　　 　 　 　 .i　 　　｀　-　　r―‐/＼　　 　／ヽ― ､　 - ´　 　　 i　　　　 幸いそれだけの手持ちがあっただけだ」
　　　　　　　　　 ／　　 　 　 　 　 |　／－ ―┬― －＼　|　　　　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　>､ ｀ ー--　　　,／ 　 　 　 ｜　　 　 　 ＼　　--―　´ ,<
　　　 　 　 　 　 .>､　 ｰ――‐,‐ ´ 　<＾ ＾>　　|　　 　 　 　 ｀ｰ､－――‐ ,<
　　　　　 　 　 　 >､　 ｰ‐,―､´....　　　Ⅴ 　　｜　　　　　　　　 ,｀ｰ､‐―‐ <
　　　　　　　 　 / 　　　／::::::i＼.　　,.　-－―┴―－-　､ 　 ／!::::::::＼ 　　ヽ
　　 　 　 　 　 /＿　／:::::::::八　 Ｙ　　　　　　　 　 　 　 　 Y　　八::::::::::＼ ＿ヽ
　　　　　　　　　i::::::::::::: ／:i;;;;;ヽ. ヽ　　　　　　　　　 　 　 /　 ,/;;;;;;ト:::::::::::::::::<
　　　　 　 　 　 i::::::::::::::::::::/;;;;;;;;|ヽ´ ＼, -――――- ､／ ヽ´|;;;;;;;;i::::::::::::::::::::i



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　これもまた別の幸運の結果、金銭的不安を考えなくて済む億万長者は
　　気にするなと首を振った。
――――――――――――――――――――――――――――――――

620 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:16:04 D9Lko7sQ
三５００．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　ただ、残念なことに―――

　　どんな値段でも良い、この町で一番良い装備で固めてくれと言う
　　彼の指示は空振りに終わっていた。
　　武器、防具に限らずアルビオン内の武具屋は
　　殆どが在庫切れで開店休業状態だったのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――



',::::::::::ヽ :::::::::::ヽ :::::::､:::::::::::::. '::::::::､ヽ､ヽ::::ヽ＼:::､:::::::::
.ヾ ､::::::::'.,::::､::::ヽ､::::::::::::へ::::ヽ':::::'.,ヽ＼':,':,:::ヽヾ::':,::.:::
:'::＼ヾ::::::ヽ'::::ヽ::::＼:::::::::`:::ヽ:::`､::::'.,:ヽ.ヽヽ:::::':,ヽ::`:::
::',::',:,ヽヽ､:::＼'::::ヽ::::ヽ,::::､::::::ヽ､＼:::::'::::'., ':,ヽ:::::':,:ヽ:::
､:',:::',:':;:`::.`､;_:ヽ､::::＼:ヽ:',ヽ;'::､;;;;ヽ`､::::::::'., ':,゛,'::::::::::',:
.!:::゛::',::ヽ:::＼::::::::::ヽ:::::`:､:'yｯﾝｧ::::ヾ;＼';::::::ヽ':,::',,::ヾ::::
::::::::::::'::::＼::::ヾ:::::::::､､:`:::::::i!　!::::::::::ﾒ'ｯ､`:::::::::':,:::',,::ヽ::
::::::::､::::',:､:::::ヽ＼::::::::'.,＼::::,ヽ ` ｰ "／　`;:ヽ::::'.,:::l!:::ヽ
:::ﾊi!ハ::､ ヽ:::ヽ. i ヽ､::ヽ　ヽ::',`''､'''"　　　 !:',::､::::::::!:::､
:::i,丶'､ ヾ　　`'､`;、　`'-`､　 ヽ、　　　　　i:::',:!:､::::::::::::
::::! 　 `　 ｀　　 ｀iヽ､ 　 　 ヽ 　 　 　 　 　i::::',:i:ヽ:::::::::!
:::::l, 　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　i!.ﾉ';,:::;::':,::::::l
:::､:i　　　　　　..､ヽ､　_,,,..　　　　　　　　　!,､:'::::::'::::':,::::　　　　 　 「そのお言葉に甘えて
::::.､',　　　　　　　　　´　　　　　　 　　　/::::::::::::::',.:::::::::　　　　　　 装備も新調できなかったのが残念ですね」
::::::ヾ'、　　　 　..､､...... 　 　 　 　 　　 ,;:'i:::::::::::::::::',.::､::::
::::::::::ヽ　　　''``ｱ`'''ﾏ''''``''ｰ 　 　 ,;:':　.i:::::::::::::::::::',:ﾄ､:
';::::::::::::`;;､　　 / 　 　ｌ:.　　　　　,;:''　　 .ｌ:::::::::::::::::::::::i
. !:lヾ:::i :. ;ヽ／　　　ﾉ: 　 　　／'　　　　i:::::::::::::::!';ヽ::',
　';! ヾ'i: : /　　　　/ 　 　,.ｨ'´' 　　　..　 !:::::i::::::::', '､ ヾ
　 '､.　ｿｲ'　　 　／‐-ｰ;:ｼ' 　 　　　::/　 i:::::!':,:x:::',
　　／:. !　 　　/:. :._､-'´ 　 　　　 .::/　　',:::!　':;ヾ;
､='´:. :. '　　 ﾝ:. :,'´　　　　　　　　 /　 ':;:.ヾ'､　ヽ `
:. :. :. : 　 　,':. :.　',　 　 　 　 　 　/　　　';:　`ヾ､



　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.､
　　　　　　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀､
　　 　 　 　 　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:／／:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..､:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::.／ヽi､}:.,､.:.:.:.',
　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. ／　　　 ｀ｰ|:.:.:.:.:l
　　　　　　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._,-‐/‐- ､　　 　 |:.:.::.::l
　　　　 　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ /{ r ,､Yヽ_　　　　　|:.:.::.:.l
　　 　 　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//｀ｰ'-　｀ 　　_,,-‐-j:.i/::.j
　　 　 　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l　　 　 　 　 　 　 /ｿ7´/::.|:.:/
　　　 　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　　　　　　　　i／:./／|/　　　　　「まさか再襲撃を恐れた住民が
　　 　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀ ､　　　- ‐ 　イ:.:.:.:´i:.:.{　　 　 　 　 こぞって買いあさっていたなんてね」
　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_　 イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
　_,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|

622 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:17:01 D9Lko7sQ
三５０１．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　魔法の服は別としても、技能のない者が金属の鎧や武器を手に入れて何ができるのか。
　　気休めにもならないよと肩をすくめたコナタの言う事ももっともだが、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　 -－-
　　　　　　　　　 _.　 ' ´　　　　　　　　｀　、
　　　　　　 　 ／　／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　/　／／　　　　　　　　　　　　　｀　ー-
.　　　　　　/／ィ'　　 .／　＿_　_,./　　｜ |
　　　　　 ,ｨ' ／　　 ／　´,　 ' ＾　′ 　 ,|　|
　　　　 '´ ｌ′　 _／ .__／　　　 /　 　 7ト/.
.　　　 　 /　. ィ'/　 「'７女ァr　/ 　 ／　!'| lヽ　|
　　　　 /／,ｒ１'　,.ｲ　ﾑ.　 /　/　／　ぇ､ﾘ |　　|
.　　 　 ´　l.{　|／　|　[＿/　 /／　　 '　ヾ:､　　|
　　　　 　 | ヽ|　　 |　　　　　'　　　 ん　／|　 /　|
　　　　 　 |　｜ 　 |　　　　　　　　 ヽ､/,ｒ´|／　 ,ﾊ　　　　　「有効活用できるとも思えないけどさ」
　　　　 　 |　｜ 　 |＼　　　´’　 　 　 /　 ,　　, '　l/
　　　　 　 |　｜ 　 |　j｀　ー--‐ャ　 ´　／ |／
　　　　　　'.　ﾊ. 　 |/　　 ／　／　　, <　　 !
　⊂,.￣｀ヽ∨ ∨　|￣｀/ 　 /　, ／,ｒ⌒.ー､
　／　　 　 ﾞl 　 Ｖ' |　 / 　 /／'´ i´　　 ｀ヾ
　}',. ,　／　 |　　 ヽl. /　　/'　 　 ！　　　　 ）



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　「そう言うな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 .　 　 　 {　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　　 自分や身内の安全を　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 mｍ 　 ヽ 　 　 　ノ
　　　　　　　　　 できるだけ高めたいと思うのはごく自然な気持ちだろ」　　　　（⊂　￣￣￣　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　￣￣￣|　　　　|



――――――――――――――――――――――――
　　手で制したやらない夫は住民の気持ちも理解できる。
――――――――――――――――――――――――

626 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:18:01 D9Lko7sQ
三５０２．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そんな事を話している間に日に照らされた朝靄が平原から消えたので、
　　ユニコーンを喚び出したキャスターが出発を促し、
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __________
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r';;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,／;;::::::::::::::::::;;;;;;;;;;`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i;;;;:::::;;;;;:::::::::::::::::::;;;;;;;;;;`,､
.　　 　 　 　 ﾄ　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i;;;::::;;''!i:::;r'::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;/
.　　 　 　 　 N　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i,_Y'ﾑ'';';;r‐''''´;;;;;;;;;;;;／
.　　 　 　 　 i∧　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,i,>-/:;;::`､`:､::::::;;::'';;;;`､
.　　　　　 　 | ∧　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 i,/;;:::::::;;;:::;;';;;`､':;;;;:::::::;;;;`,､
　 　 　 　 　 |　∧ 　,.___, 、 ＿ ＿_,, イｿ.　　 　 　 　 　 i;;;;r┬‐''i i;/;;!::::;;;:::::::;;;;;;;;`;
　　　　 　 　 |　 ∧r':.: /　 }.:.:.:.:.:.:.:.:_シ 　 　 　 　 　 　 　 i;;;;ヽ_, i,'＞i::::::::;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　「お喋りはもういいかしら？
　　　　　　　 レ-=＝='　 k'.:.:.:.:.:.:.≧ｘ、　　　　　　　　,r‐‐‐--､>'´;;;;;;;::'';;;;;;;;;;:;／
.　　 　 ,,　ｨf´　{kフ　 ﾊ　 ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,＞　　　　 　 /,;.:.:.:,'.:.:.;,;,;`''''''';,'''',;'''''''''''''7　 　 　 　 そろそろ行くわよ」
..　　　λrｧ　　 　 　 　 }　　ﾊ.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ、. 　 　 　 ,!,;,;,:.:.:.;,:.:.:.:.;,;,;,:.:'';,;'':.-;,''''''''7`､
.　 　 　 ゞ_,ｨｧー - , ,,ン　　　ﾍ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.Σ..、_....　i;,;,;,;,:.:.:.;,:.:.;,;.:.:.;,;,:.:.:.';,:.:,;,;.:.'';,;,;,;,:`.､
　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　　V.:.:.:.:.:.:.:.:.、___:k.:　_i;,:.:,;,;,:.:.:.;,;.:,;,;,;,:,;,;,:.:.:.:'';,;.:.:.;,;,;,;,;,;,;,;,:.`i
　　　　　　 　 　 　 |　　　　　　∧.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、__ r"',;,;,:.;,;,;,;,:.:.';,;.:,;,;,;,;,;,;.:.:.:.:.:.;,;,;,;,;,;,;,;,;,;.:.:.:,!
　　　　　　　　　　　!　　　　　　　V.:.:.:.:.:.:.:.:Kﾆ,!:',:.:.;,;.:.;,;,;,;,;,:.:';,;,:.;,;,;,;,;.:.:,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,:.:.;,:,i
　　　　　　 　 　 　 | 　 　 　 　 　 ゝ、.:.:.:.:.:. _,r':.:,;,;.:.:,;,;,;,:.:.;,;,:.:.;,;,:.:,;,;,;,:.:.:.:.:,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;.:.;i
　　　 　 　 　 　 　 }　　　　　　　　　 ｀ー...,/:.;':.:.;,;,;,:.:.';,;,;,:.:.;,;,;.:.';,;,;,;,;,;.:.:.:.;,;,;,;,;,;,;,;,;,;.:.:.;!
.　　　 　 　 　 　 λ　　　　, -- 、...　　　,/:.:.;':.:.:.;;,;,;,:.:.:';,;,:.:.:.;,;,;,:.';,;,;,;,;,:.:.;,;,;,;,;,;,;,;,;.:.:.:.;!
.　　　 　 　 　 　 l 　 　 , '´　　 ハ　 　 i:.:.:.:.;:.:.:.:,;,;,;,:.:.:.'.;,:.:.:,;,;,;,:.:.';,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;.:.:.;／
....　　ｨ´｀ ー- -' ! 　　/　　　　　λ...,r''!:.:.:.:,:.:.:.:.;,;,;,;.:.:.:.:.';,:.:.;,;,;,;,;.:.':,;,;,;,;,;,;,;,;.:.;／
......　{ 　 　 　 　 ｷ　 ん　　　　　　!....,!::;::!:.:.:.';,:.:.:.:,;,;,:.:.:.:.:.:.:';,;,;,;,;,;,;,;,:.:':.;,;,;,:.:／
..　　ﾙ　 , ‐ -＜__＼l　　　　 , __..ﾞ,r';;;::;::i.:.:.:.;,;,:.:.:.:.;,;.:.:.:.:.:.:.:.':,;,;,;.:.:.:.:,;,;.:.:.'':.:!
....../　　/ 　　　 , ｨ　　　　,ｨf.　　 ,f;;:::::::';.:i.:.:.:.;,;,;.:.:.:.:.;,:.:.:.:.:.:.:..:'.:,;,;,:.:.:.:,;,;,;,;,r′
　 {　　 ゝ　　,イ　　　＞‐'ゝ、....　i;;,::;,;,:::;;;`､:.:.;,;,;,:.:.:.:.:.;,:.:.:.:.:.:.:.:.:.':.;,;,;,;,;,;,;''.i,
...ﾞ从ri厂l　 ム　　k'´　　　　　｀.　!;;::;;;;::::;;;:::`､:,;,;,;.:.:.:.:.:'';,;,;,;,:.:.:.:.:.:.:';,;,;,,';,;':.:i
. 　 乂.:./　 乂__　　￣￣Z≧x 　 i;;:::;;;;::::;;;;::::;;`､;,;,:.:.:.:.:.:.:,;,;,;,:.:.:.:.:.:.:,;,;',;,':.:.:,!
.　　　 ｀　　　　　＼　 　 ﾐ_ ＞'.....!;:::;;;:::::::;;;::::;;;;;;`､:.:.:.:.:.:.:.:,;,;,;,:.:.:.:.:.;,;,;';,;,:.:,!
.　　　　　　 　 　 　 ｀ー-Z.　　　 !:::::;;;:::::::;;;;:::;;;;;;;:::`､.:.:.:.:.:.:.;,;,;,;.:.:.:.;,;,:.:,;,:..!

628 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:19:01 D9Lko7sQ
三５０３．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　三人が頷くのと同時に、彼らの姿は城門前から忽然と消え失せたのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



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629 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:20:06 D9Lko7sQ
三５０４．



　　　　　　　　　　　　　　　　　_　 _
　　　　　　　　　　　　　　　 ,､,j ｀´ !.,､
　　　　　　　　　　　　 _　__r' ＼.Y.／`ヽ__　_
　　　　　　　　　　,､／ ｀´ヽヽ　 .|. 　,´,´ ｀´ ＼
　　　　　　　,､_ノヽゝ　(｀´ヽヽ　..|..　//｀´）　ノﾉゝ_,､
　　　　　　　〉-=＝=－-ﾆニヽl　|　lニﾆ-－=＝=-〈
　　　　　／＿ヽ_r－-､__--､_,ﾉｌ..|..ｌ!.､_,--__,-－､_/＿＼
　　 __／　/=／　　　　　｀ー´ ￣￣ ｀ー´　　　　　＼=!.＼__
　,-" 〉／= /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ=＼〈ﾞ-､
　｀)ﾞ( (　(= i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i= )　))"(
　 ( 　｀Yミ=}_　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 _{彡Y´ 　 )
　＜=--ヽ=､｀､ﾞ＼　　ﾟ　　ｏ　。｜　。　　 /　　。.....,´ ,=/ --=＞
　 〈彡´￣ ))　)......○　　。　ﾟ 　｜゜　O　/　ｏ 　／(　(( ￣｀ミ〉
　／／ミ≡／. 　 。　＼　 　o ﾟ O ﾟ　。 /ﾟ　　。..　　＼≡彡＼＼
　＼＼＼/.　　 ﾟ　　。　 ＼ 　 　 |　　　ﾟ o ／　　ﾟ　 　 ヽ／／／
　　(ミ､.Y......　。　゜　　。　　　｡　。　ﾟ　　　　　　。ｏ.　 　 Y.,彡)
　　 l≡ l.....＿。＿＿＿　　　ﾟ　。　　　゜　　―O―――　l ≡l
　　 l圭ヽ..　゜　ｏ　｡　　　　ｏ　　　ﾟ　　　。　　ﾟ　　。　ﾟ　 / 圭l
　　 ｀l圭 !....ﾟ　。　Ｏ 　／　 。 ｜゜　。ﾟ　＼゜　　O　　゜...! 圭l´
　　　(三=｀, 　 ｡ 　 ／　。 /　 ○ﾟ　　　O　＼　｡　゜　 ､´=三)
　　　 lミミ i_　 　 Ｏ　゜。 /　ﾟ　｜　。゜　　ﾟ 。　ｏ ／　_i彡彡l
　　　 ｀lミミ l....／　　　ｏ　　。゜ |　　　ｏ　゜.....　／　　.l彡彡l´
　　　　 lミミ ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　.l彡彡l
　　　　(ヽヽ }　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　／　　　{ / / )
　　　　/__ノ .ヽ　　　　　　　　　　　　　／　／　　　 / ゝ__ヽ
　　　　＼三≡､＼　　　　　　　　　 ／　／　　　 ／,≡三／
　　　　　　￣＼彡ヽ　　　　　　　　　 ／　　　　/ミ ／￣
　　　　　　　　　＼彡ヽ　 r－-' 二二`-－ヽ　/ミ /
　　　　　　　　　　 ゝ圭⌒ヽヽ　ﾉ...|...ヽ　//⌒圭ノ
　　　　　　　　　　　〈彡´｀ヽ＿／..|..＼＿/´｀ミ 〉
　　　　　　　　　　　　＼三三／／l＼＼三三／



―――――――――――――――――――――――――
　　その様子を、遠くから映し出していた鏡があった。

　　これは遠見の魔鏡―――遠見の水晶球よりも強く
　　遠視の魔法を補助する古代魔法文明の遺品である。
―――――――――――――――――――――――――

630 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:21:01 D9Lko7sQ
三５０５．



　　　　　　　　　　　　 _,..―＝―=..､__
　　　　　　　　　　...ィ7'´|/／ヽ|/.｀ヽ ｰｰ､_
　 　 　 　 　 　 ／／ 　／/ ／/　　　　/|/｀ヽ
　　　　　　　／／/　／ノ／　/　　 　 /ヽ|/ |/ヽ
　　　　　　/／　 ／/ ／/　// /|// /|/ // .l　 ﾍ
　　　 　 .// ///　/　／|/.//　／// /|/ // .lヽ .ヽ
　　　　　llﾉ//|. /　／　／/ ／/　// /|/|/ |　} l ﾍﾊ
　　　 　 {/ ///　/　／|/N/　 ／ .// /|/ // .l lヽ .ﾊ
　　　　　',lﾉ//|. /／　 ／/ ／/　// /|/|/ |　 } l　ﾍﾊ
　　　　　 ',l｀ヽ／/　／ノ／　/　/ . _,,,≠-‐N/.l |ヽ ./
　　　　　　',N,r､/／/ｰtｭﾃ､/// ／ ,-‐tｭﾁ|/|//} |/
　　　　　　 ',l{ ハﾍ'　｀　¨´|/´ i´　　｀　¨´/|//l/
　　　　　 　 ﾊ､_ﾊ＼　　　　 　 |　　　　　 　 /l/　　　　　　「動いた、か」
　　　　　　 　 >､ ﾍ, 　 　 　 　 | ,　　　　　 /ノ ､
　　　　　　／　',lﾍ|'＼. 　 　 　 　 　 　 　 ｲl/'　 ＼
　 　 　 ／　 　 .',l/l,.　＼.　　´￣｀　　 ／|/ﾘ　　　∧　　　　　　　　　　―――随分早いなオイ―――
　　　 /　　 　 　 ',.}　　',, ＼　 　　　イ　 .}　}　　 　 ∧_
, r '´/　　　 　 　 .',　 　.',,　 ｀ー‐'　　 　 lヽﾉ　　　　 ∧｀''ヽ
　　/　　　 　 　 　 ',　　　',　　　　　　　 / /　　　　 　 ∧ 　 ｀'''ー-、
　./ 　 　 　 　 　 　 ',　 　 ',　　　　　　 　 l　 　 　 　 　 ∧　　　　　ﾊ



――――――――――――――――――――――――――
　　もちろんそれを使っていたのは
　　今や彼らの宿敵と言っても過言ではないライトで―――
――――――――――――――――――――――――――

631 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:22:01 D9Lko7sQ
三５０６．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　こちらが最終段階に入る方が早い、と予想していた超越者は
　　先んじてアルビオンを出た奴らの素早さに驚きを隠せないでいた。
――――――――――――――――――――――――――――――



ﾍ　',:::ﾍ|:::::::::l:::ﾍ::ﾊ:::::＼|:::::::::::＼:::::::＼:::::::::::::::::::::/:|:::::::::/:::::::
　',　＼:ﾍ::::::|ヽ:::ﾍﾊヽ:::::｀ヽ_::::::::::＼:::::::＼::::::::::::/::::|::::::/:ﾍ:::::
　 ',　　ヽ',ヽ| ﾍ＼::::ﾍ ＼:::ﾍl｀ヽ:::::::l＼::::: l::::::: /｀ヽ|:::/::::::::ﾍ:
＿_ヽ　./ﾍ .ﾊﾍ:l　＼:ﾍ.　＼ﾍ　 ｀ヽl::::::＼::＼::l＼::::|/:::ﾍ＼:::
｀ヽ￣./　ハ:::',ﾍ..　　｀ヽ.　　＼　 　｀ｰ-l:::＼::＼:::＼　　 ',|ヽl
　 　 /.　 　 ＼ ﾊ　　　　　　 　 　 　 　 l:::::::..
. 　 /　　　 　　 ｀ヽ　　　　　 　 　 　 　 l:::::::::::...
　 /　　　　　　　　 ﾍ　　　　　　　｀ヽ　　_／:::::::::..　 ,
. /　　　 　 　 　 ／'';;＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「相変わらずこちらの予定を上回る。
　｀''ｰ-=,,,_ 　 ／　　 ';;;;;＼ 　　　 ＿＿_ ＿＿_
　　　　　　'／　　　　 ';;;|　.＼　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　補正したつもりだったが………
　　　, r ' ´　 　 　 　 　 |.　　 ＼　　｀￣￣´ 　 　 　 ｲ;;;　　　　　　この半年、奴らも遊んでいたわけでは無いと言う事か」
　　K　　　 　 　 　 　 　 | . 　 　 ＼　　　　 　 　 ／;;;;;;;;
　 　 ∨　　　　　　　　　 |　　 　 　 ＼　 　 　 ,イ''''''''
. 　 　 ∨　　　　　　　 　 |　　　　,r‐='｀ー― '｀ヽ　　　　　　　　　　―――追い出されたってわけじゃなさそうだな―――
　 　 　 ∨　　　　　 　 　 |　　　/;;'ﾍ . /　/　/　/＼
　　　　　∨　　　　　　 　 |　　/　　 ∨ ./　/　/　　 ＼

632 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:23:01 D9Lko7sQ
三５０７．
―――――――――――――――――――――
　　どうやら闇雲に町を出たわけでも
　　追い出されたというわけでもなさそうだ。

　　北の門から転位をしてまで急ぐと言う事は、
　　こちらの場所を嗅ぎつけている可能性もある。
―――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : :|: : : : : : : : : : : ハ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ､: : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l: j: :ﾑ: : :i: : : : |: : : |　 V: : : : :i: : : !:, :＼: : : : : : : : :.i: :.|::ヽ: : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |:.i: : ハ: : V: : :.!: |: :|ｨ彳∨: ヽ:i: : :.|:.!',: : :',､: : : : : : :.|V:.i〃V: : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l:i: : :i|∧: :.V: : |: :!: |　_, ='j､: : :|: : :i:.|: ',: : :',:V: : : : : i .l: i 　 ∨: : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |!: : ':l: :ﾍ: : V: |i: |:7r'´i芯'　＼:!: : |:.i: : :.,: : : V: : : : :! .i: |`ヽ　V: : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |: : |:.i: : |＼:.Viﾊ:i,'{i　 ７´　　　i: : j|:|: : : ',: : : i: : : : :| .:|:.!　 } .i'.V: : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |: :.|: i:. :.i: | V:Vjﾊ　　　　　　　|: :7|:| ､: : :i : : ': : : : i　:|:i　ノ / j:V: : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ: :|ハ: : V!ﾏVi, ヾ　　　　　　 j: / |:|　 ｀` |: :i: : : :|/ r'j:!´,-　ノ: :V: : i : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 V:!ヽ: ＼:/　 ｀`　　　　　　　//　.|:|　　　 |: :!: : :.i　　.ﾘ　,.イ:i: : : :V: |: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ',:!　＼/　　　　　　　　　　彳　　|:i　　　 .|: |: : :j　r-＜　 　 !: :|: :|: j: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ヾ　 i′　　　　　　　　　　 　 　 ﾘ　　 　.|:j|: : 7　!　　　　　|: :.!: :!:7:.|: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　¨`　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾘ.|: :/　.;　　 　 　 l: :i: :.i/: :|: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 `ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　 j:/　 ,'　　　　　 j:.7|:!: : :|:|:/:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 {　__, --y- '´　　 　 　 　 　 　 〃　./　　 　 　 /:/ j:|V: :ii/: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ - '´　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　　　　　 彳 　.i:! V: i: : :
　　「ある程度の目星がついているのだろうな」.　　 　 ハ　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ヾ ∨ﾊ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.　 -─　￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 }　　　　　　　　,. ＜　　　　　　　_ ,.　＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 八　　　　_,. ≦-‐─ﾍ　　　,. ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＞‐＜　　　　　　ハ ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ノ
　　―――どうするんだ？―――　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 i´　　　　　　　　　　　　　　　　_,　-─
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ハ　　　　　　　　　　　　 ＞ ' ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　　　　　　　　／



――――――――――――――――――――――――――――――
　　それでも態度が全く変わらない妖術師に魔神が次の手を尋ねると、
――――――――――――――――――――――――――――――

635 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:24:07 D9Lko7sQ
三５０８．
―――――――――――――――――
　　これが最後の勝負になるだろう。
　　壮絶な笑みでライトはそう答えた。
―――――――――――――――――



　　　　　　 　 　, 　 　　 /〃ﾊヾ　 / ∧∨〃､ヾ}　ｌ| :}ﾐ;l＼
　　　　　　　　/〃//　/ 〃l　lヽ∨,〈ヽﾞ､ﾒ〈　}} ;l　ﾘ ハ ｌ｀!ヽ.
　 　 　 　 　 //' /,' 　,' 〃 ｌ　l川/,ﾍ丶＼;;ヽ/:'/〃∧ l ﾄ､:l　!
　 　 　　 　 〃,'/ ;　 ,l ,''　,l|　ﾚ'/Ａ､.`､＼;;ヽ∨〃/,仆|│l }. |､
　　 　 　 　 i' ,''　l|　,ｌ ' ｌ.　!|　l∠ﾆ_‐＼ヽ;＼,//,ｲ| ｌ | l　ﾄ/ λ!
. 　 　　　　 ｌ ;　 :|| ,'i:/ ｌ|　|:|: |｀`'^‐｀ヾ∨｀ﾞ/／|斗,l ! | ,ﾀ /l.| ｌ
　　　　 　　l ' l　|｣,' l'　lﾊ　|'Ν　　　￣´ ／｀　,|l_=ﾐ|! ly' ,〈 :|| |
　　　 　 　 |ｌ .l　H|i: l　|　ﾞ､| l　 　 　　　 _.::: ,!: l厂`刈/ /!} :ｌ|
　　　 　 　 |! :ｌ　|)!|　! |　　ヽ　　　　　 '´ ’/'_,.　　　ノｲ.〃/|!
　　　 　 　 l|ｌ |ｌ 「ﾞ|l　|`{　 　　　 　　 　 　　.. 　 _　　　|}/,ﾊ l
　　　　　　 |!ｌ |l､|　!l :|. 　 　 　‘ｰ-‐=＝ニ=:､__ｊ:）　　ｌ'|/|l ﾘ　 　 　 「どちらにせよ奴らがアルビオンを出たのなら
ヽ￣ﾆ‐､__.｣乢!L!lヱL｣__ 　　 　 　　 　 ー､　`'''´ 　 从「 /..　　　　　やることは変わらない。
　＼　｀ヽ＼　　　　　 /l |　　　　　　　/￣´　　 　　//
.　　,、　 l　 ﾞ､　　　　/ ' |､　　　　　　{　 　 　 　　/l/　　　　　　　　　あとは私がこの有象無象をねじ伏せるのが早いか、
　　 '}　　ｌ　　ﾞ,　 　 / 　 |:::＼　 　 　　}　　　 　,.ｲ/　　　　　　　　　　奴らがここに来るのかが早いか、だ」
　　　ｌ　　l　　 l　 ,.ｲ　　 l:::::::::＼__　 　`'-‐::"// |′
　　　l　　 !　　 Ｋ　ヽ,、　＼「`''''''''"´:::::::;;:" //
.　 　 l　　 ｌ　　 ﾄ､＼(　_....　ヽ　　.:.::::::::;;″ /' 　　　 　　＿
＼ 　 |　　ｌ|　　八､ヽi´　　 　| .:.:::::::::::::i'　.:/'"´￣￣￣ ,.へ＼



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　身動きのとれなくなる合成中に、奴らがここまでたどり着いたら奴らの勝ち。
　　間に合わなければ私の勝ちが決まる―――と。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

636 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:25:09 D9Lko7sQ
三５０９．



　　　　　　　　　　　　　/　　／　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　／
　　　　　　 lｰ ''''"￣￣"　　 ￣￣｀'､　　　　　　 lｰ ''''"￣￣"　　 ￣￣｀'､
　　　　　　∠,,､ -z　　　 ,r――― ''"　　　　　　∠,,､ -z　　　 ,r――― ''"
　　　　　　､ '"´,､ィ　　 /　　　　　　　　　　　　　 ､ '"´,､ィ 　 /
ﾞ'-,;;;;;~ﾞ ､ '" ,､ '":ﾂ 　 /　　　　　 |＾l　　　　　､ '" ,､ '":ﾂ 　 /　　　　　 |＾l 　 　 　 ｌ;;;;;;|　　/ﾞＹ'";;;;;;
　 ､-'　,､ '´ 　　/　　/..　｀゛ﾞ/'''',,,," 彡　 ､-'　,､ '´　　/　　/ 　 　 /'''',,,," 彡.　　　 ｌ;;;;;.! ./ ;;;;;;;;;;;;;;;;:
: . | ,､ '´ﾞ;;;;;ﾘｉ,ﾞ/　　/　　 　 ｀ﾞ＾ _,| │　 | ,､ '´...L;;;;; /　　/　　 　 ｀ﾞ＾ _,| │.　　 　 l;;;;;;;.ｌ/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;. 　 　 |＾l
　 '´......ヽ;;;;;;ﾞ./ ／l/.　　　　　,／,_　|　　　'´ﾞ''''''''''ｰ/ ／l/ ;;｀'x......　,／,_　|.ﾞ,　　　　;‐iﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｎ．ﾞ/'''',,,," 彡
.　　ヽ;;ﾞ'' l'､/／.l /;;;.!　　　 l＿,'" | .|／ 　,. lﾆ　ﾆ/／.ﾞ'./ ;;;;;;;;;;ヽ,l＿,'" | .|;;;＼,, . lﾆ　ﾆlﾞ;;;;;;;;ﾞ;‐i　 　 ｀ﾞ＾ _,| │
!、　 .ヽ;;;;;ﾞ!ｺ;;;,iジ;;;;│　　　　 ,!;;; {_,lﾞ　　　 .〈/!_|　　　　 lﾆ　ﾆl　　 　 　{_,lﾞﾞ;;;;;;;.....〈/!_|　　 lﾆ　ﾆl　 　.,／,_　|
;;.ｌ.　　.li.ｌ;;;;;;″;;;;;;;;;;;;;l.　　　　 !;;;;;;;;;;/, ┐　　、 .i､.iii ﾞ' !.　〈/!_| ;;;; l　　.!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼、　ヽ,;〈/!_| 　 .l＿,'" | .|
;;;;.ｌ　　 l;;;;;;;;;;;;...-､､;;;; ｌ　　　 .|;;;;;;;;;;'!ﾞ;./ 　. |ﾊ､,_.x、　　 .|;;;;;;;;;;;;;;;;│　 .!;;;;;__;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀'-､,,｀''-_;;;;;;;　　　　{_,lﾞ
;;;;; !　　.ｌ;;;;;;;;;'~ﾞﾞﾞ＞⊥;.!　　　.し;;;;;;;;;./ 　,i";;;;;;;;;;｀ !　　　l;;;;;;;;;;;;;;;;;;｝　　!;;;; ! .!;;;;__,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞゝ､,ﾞ''-．
;;;;;; !　　.!;;;;;,./ '´　｀''i;;;｝　　　 .!;;;;;;;;.!　 /;ヾﾍ;i､;;; l　　./ ;;;;;;;; f´￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ.ﾞ''''ｰ､､;;;;;;;;;;;;;~″
;;;;;;; !　 .,!;/゛　　,、 i､.!;;lﾞ　　_,,!;;;;;;;;;;;|　.lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;.│　 ,!;;;;;;;;;;;;ﾞ|　　では―――　　 |..ﾞ_　　 ｀''-､;;;;;;;;
;;;;;;;;;!　 .!;;;|、　〃　|｝.!;;ﾞ''i　.!;;;;;;;;;;;;;;;;凵;;;;;;;;;;;;;;;;;; |　　|;;;;;;;;;;;;;ﾞ乂＿＿＿＿＿＿_ ノﾞ;;;;;;;￣ヽ　　ﾞ'､;;;:
;;;;;;;;;!　 .|;;; !　 　 ‐ｒ　.!;;;;;.!　 !;;;;;;;;;;;;;;;;!.!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　_.!､;;;;;;;;;;;;;;;;./ 　/;;;.ゞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ　　｀‐
;;;;;;;;|　　l;;;; !　 !'~''"| .!;;;;;;;! .|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ｌ, ﾘ､'│;;;;;; / 　./丶;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,.........､;;;;;;;;;;;;;;`'､
;;;;;;;lﾞ　 lﾞ;;;;;;.!　|";'　l　!;;;;;;;!､ヽ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;xv､ _;ヽ.ｌ}、ヽ;;./ 　,,/;;;;;;;;;;;;;;,,./ ゛　,／ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
;;;;;/　 .!;;;;;;;;;ヽ,|、;;;;| lﾞ;;;;;;_,,..ゝﾞ''i;;;;;;;;;;;;;;;;;;_;_.;;;;;;;;｀'' |>,ﾞl|/;; ｀゛ ./ﾞ;;;;;;;;;;; ／　　 ┴￢'ｰ-､;;;;;;;;;;o ｨ″
;;;/　 /;;;;;__;;;;;;;ﾞ!ﾐ;;;;,ﾞ,.ｌ;;,ﾞ,,　-'''ﾞﾞﾞ";;;;;;;;;;;ﾞﾞｰ　,_｀ﾞ''ー､.;;ﾞ '.ｌ'''''ﾞ　　./;,､;;;;;;;;'ﾘ′ 　 　 　 　 __,,,,ゝ;;;;;;;.＼
;/　 / ;;;;;`l.フr;;;;;;;;;;;;;_,,..―'''''''''''''ｰ ..,,;;;;;;;;;;;;;;;｀''-､　ﾞく;;ヽ　　 .!'",/;;;; /　　　 _,, -‐'''ﾞ´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
".,./ ;;;;;;;;;;;!ﾞ;;;;;;;;,,./ ´　　　,i'､　　 .,,､　｀'''､.;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'､ .ｌ;;; l　　　/ ;;;;;;.ｌ　　,／ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,r"　　　　./ﾞン′　　ヽヽ　　`ぃ;;;ﾞﾐi.;;;; ｌ .!;;;.!　　ｌ;;;;;;;;;;;.! .／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,..-''''ﾞﾞﾞ￣￣ﾞﾞ''-
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,i"_，　　　　!ヾ　　 〟 _．｀ﾏ　　 ヽ; l. };;;/│;;;,!　 .l;;;;;;;;ノ / ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／　　　　　iｰ ,,



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　無言の魔神にもう質問はないな、と巨大な水槽に歩み寄った妖術師は
　　中に渦巻く暗黒を愛おしそうに見つめると、
――――――――――――――――――――――――――――――――

637 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:26:11 D9Lko7sQ
三５１０．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　これまでに奪い、集めてきた知識や力、繰り返してきた実験の全てが
　　今こそ形になるのをかみしめながら一段また一段とはしごを登り―――
―――――――――――――――――――――――――――――――――



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i:',:::::::::::::::::::i::i::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i∧::::::::::::::::|:::',::::::::',
　　　　　　　　「ライト＝ヤガミよ、　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 7:::i::::::::::::::::!::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　 脆弱な人の身体よ―――」.　　　　 　 　 　 i:::::!::::::::::::::::|::::::::::::::::i:::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i:::::i:::::::::::::::::|::::::::::::::::|:::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　7:::/::::::::::::::::/:::::::::::::::::|:::;;;;',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 7:::7:::::::::::::::/::::::::::::::::::::|:::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /:::/::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::i::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾌ:/::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::i:::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:/::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /::/::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::::::',
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638 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:27:01 D9Lko7sQ
三５１１．



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　　　　　　　　　　　　　　　　　|::.　　 　 .:／　　　　　　　　　　　　　　　　 .:/　..::.::.::.:....
　　　　　　　　　　　　　　　　　|:. 　 　 .:/　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 .:/:::.::::.:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　|:..　 　 /　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 .:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　|;:;::...:.:::.　　　　　　　　　　　　　 　 　 .:／　　　 　 　 　 f´￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /:;:;:;:;:;:;:;::::::..:.:.......　　　　　　　　 　 .:／　　　　　　　　　 |　　いざ、さらば。　|
　　　　　　　　　　　 　 　 　 /:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::::::::::::::::.:.:...:..:...:...:::／　　　　　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿_ ノ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/￣´
　　　　　　　　　　　 　 　 /:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/



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　　懐から取り出した漆黒の石を―――新しい自分の核となる物体を握りしめ、
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640 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/03/19(月) 23:28:01 D9Lko7sQ
三５１２．
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　　数多の思念が混濁した溶液に飛び込んだのだった―――
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/ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／ヽ.　　　　 　 |　　　　　　　.|　.|
|ヽ、ｲ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ﾍ／|　　　　　　|　　　　　　　.|　.|
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.　　　 　＼＼ ＼ヽ　　　　　　　　　　　 ／ノ ／ /　　　　　　　　　　　 ///
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第三章　　疑心暗鬼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　END
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642 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. [sage] 投稿日： 2012/03/19(月) 23:28:36 D9Lko7sQ
本日の投下は以上になります。
長時間の閲覧、合いの手誠にありがとうございました。
次回より第四章に入ります。



第四章　神を名乗った男　第一話へ

1. 2012/03/19(月) 23:33:20|
2. やらない夫は約束を守るようです
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