63 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:04:00 Ri7DR6iY
三２１０．
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　　だが今は思い出話に花を咲かせている場合ではない。
　　と言うより、馬と後ろの二人―――学院と神殿から連れてきた若手だ―――がとっくに限界だ。
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　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　.:.:.::|
　 　 　 　 |　　　　　　　　/　　　　　　　 　 　 .:.:.:.:.:.,'
　 　 　 　 |　　　　　　　　＼　　　　　　　　　 . .:.:.:./　　　　「馬も二人も限界です、
　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　. :.:.:.:./　　　　　 早く休ませてやりましょう」
　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　.:.:.:.:./
　　　　　　 ＼　　　　　　(二　ヽ　　　　. ..:.:.:.:／
　　　　　　 　 ＼　　　　　　　　　　　　　　.イ
　　　　　　　　 　｀ー─-r　　　　　 　 . .:.:.:.:|



　　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
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　　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／　　　　　　　「そうだね。
　　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´　　 　 　 　 　 　 　 他の部隊は到着しているだろうか………」
　　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
　￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



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　　自分達は騎士団の訓練で長時間の乗馬にも慣れていた三人は
　　初日から尻が痛い痛いと言いっぱなしの二人にもう少しだから、と告げると
　　残り数キロの道のりを急いだのだった―――
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━━━━━━━━━━━…

64 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:05:00 Ri7DR6iY
三２１１．
━━━━━━━━━━━…
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　　同日、午前九時過ぎ。
　　キャスターは今日も今日とて開館から知識の間に籠もり、
　　雪華綺晶の症状を調べていたのだが。

　　そんな彼女のところにやってきた者がいた。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｺﾝｺﾝｯ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿＿　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　/|　　　　　　　　|　　ちょいとお邪魔するよ。　 |
　　　　　　　 ／|　 |　 　| 　 |　　 |　　　　　 (三三l/l ＿＿ ＿＿　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
──── " 　 | 　|　 　| 　 |　　 |　　　　　 (三三l／　　/／　　/|　／　　／　　/|
.　 　 　 　 |　 　| 　|　　 | 　 |　　 |　　　　　 (三三l(三三l(三三l/ll/l(三三l(三三l/l
＿＿＿. 　|　 　| 　＿＿　 ＿＿ 　＿＿　　 (三三l(三三l(三三l/ll/l(三三l(三三l/l
ﾞ　　 ／| 　|　 　／　　/|／　　/|／　　/| 　 (三三l(三三l(三三l/ll/l(三三l(三三l/l＿＿
─‐'　 ﾞ| 　＿＿三三l/l(三三l/l(三三l/l 　 (三三l(三三l(三三l/ll/l(三三l(三三l／　　/|
　 |　 　|／　　/|三三l/l(三三l/l(三三l/l 　 (三三l(三三l(三三l/l／　　/／　　/(三三l/l
　 |　 　|(三三l/l ＿＿ ＿＿l/l(三三l/l　 ／　　/|／　　/|／　　/|(三三l(三三l/l(三三l/l
　 |　 　|(三三l／　　/／　　/|/l(三三l/l (三三l/l(三三l/l(三三l/(三三l(三三l/l(三三l/l
　 |　　 |(三三l(三三l(三三l/ll/l(三三l/l (三三l/l(三三l/l(三三l/(三三l(三三l/l(三三l/l
　 |　　 |(三三l(三三l(三三l/ll/l(三三l/l (三三l/l(三三l/l(三三l/(三三l(三三l/l(三三l/l
　 |　　 |(三三l(三三l(三三l/ll/ (三三l/　(三三l/l(三三l/l(三三l/(三三l(三三l/l(三三l/l
　 |　　 |(三三l(三三l(三三l/l　　　　　　 (三三l/l(三三l/l(三三l/(三三l(三三l/l(三三l/
　 |　　 |(三三l(三三l(三三l/l　　　　　　 (三三l/l(三三l/l(三三l/(三三l(三三l/
　 |　　 |(三三l(三三l(三三l/l　　　　　　 (三三l/(三三l/ (三三l/
　 |　　 |(三三l(三三l(三三l/

65 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:06:00 Ri7DR6iY
三２１２．
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　　聞き覚えのある声につられて本の山から覗いてみれば、
　　開け放しの扉をノックしたのはこの国の第一王女ではないか。
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　　　　　　　　　　ヽ､ _,,,,..............,,,,__
　　　　　　 _. -‐=､'}　ヾ,　　　　　　 ｀' ､
　　　　　. ‐''´￣｀' ｀'　　l彡-　　　　　　ヽ
　　　　'´ﾌ´／　　'"｀ヽ　}'⌒　　　　　　　 ヽ
　　　　ノ　/ 　 ,.‐''ｿ /"ry⌒ヽ,　 ､　　　　　',
　　　 ´7 ﾉ / /　,.ｲ. |　|::::::::::::::ヽ, li　　　　　 |
　　　　´7. |　|　ト-i､|　|::::::::::::::__;ゝ}ﾐ､ 　 　 　|
　　　　　ﾚl　|　|ｬｰr,､ヽ|'vｯ＝'-ry:|　:レヽ　　 |　　　　　「挨拶が遅れてすまないね、メディア博士。
　　　　　　`'ﾄ､.ﾄ｀'ｰ'^ .i::.､^'ｰ-‐'ﾞ:::|　:|'ｱ |　　 |.　　　　　 ここに籠もってるとは聞いてたんだけど」
　 　 　 　　 | :::| 　　　j::::. ｀ 　　:::::|　::|_ノ: 　 　|
　.　　　　　 | :::::l. 　 ヽ-　　　　::::::|　:::|;:: : .　　 |
　　　　　　 | ;:::::|i:､　 ''━ｰ' 　.::イ|　 :::|;:l : : . 　 |
　　　　　　|　;:::::l「l^' ､.＿... -''´__,|　 ::::|;:l : : :　　|
　　 　 　　| : ;::::||:|::ﾖ＝､｀'Y´,..＝| li ;::::|;:l : : :　　|
　 　 　 　ﾉ : li:::||ﾉヲ''＝} :∥:}＝'| |　;::::|;:l : : ::.　｜



　　　　　　　　 　 　　　　　　　　 .　　´￣　￣｀　　　、
　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　 　 　 　 　 　 　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　.　　　　　　　　　　　　　// /　　　　/　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 　// //　 /　/　　 /`ヽ ,. 、　　　i　　 ヽ
　.　　　　　　　　　　　 // //　 /　/__ __/´~~`⌒i ト、　 l　　　i
　　　　　　　　　　　　// /.! 　 i|ィ´i　// ｀　　　__| ｌ ｌ　　i 　 　|
　.　　　　　　　　　　// .//! 　 l|ﾘ,.テ〒ヾ　　 ,. -.| ｌ i　　| 　 　!
　　　　　　　　　　 // ,. --|　　i| 乂r' !　　　 〃ｌ7! l l　　i　　/
　.　　　　　　　　 //　`ー‐! 　 l|　　　　　　　tr':ｿ //　 /　./
　　　　　　　　__//　　　//|　　i|、　　 ____ '　　 彡1＼/イ/　　　　「あら、シーマちゃんじゃない」
　　　 　 　 ／　 `ー‐‐〈___|　　l| ＼　 !___ﾉ　　イｲil X >ｊ/
　　　　　 / 　 　 　 　 　　 ! 　 i|　　`ｰr‐‐ 1/　! ｌｌij　〉ハ
　.　　　 / 　 　　　　　　　 |　　l|＼_____ﾄ、i´l　 .| |￣＼ /＼
　　　　/ 　 　 　 　 　 　 　! 　 i|＼i」」」/　! !　 ｌ |　　　V　/
　　 ／ 　 　　　　　 ／ヽ　N　 i|　　　　　/∧　ｌ |　　　　V ＼
　／　　　　　　　　/,. -- ヽ ヽ.ﾘ　　　　 //　 Vj | 　 　　　V /
　　　　　　　　　／/　　　 ｀`ー ‐ ､／⌒ヽ／⌒ヽ　　　　　　ヽ



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　　彼女を幼い頃から知っているキャスターはつい、お久しぶりねと軽く答えたのだが、
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66 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:07:00 Ri7DR6iY
三２１３．
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　　一瞬、面食らった表情を浮かべた王女は
　　もうそんな歳じゃないよと苦笑い。
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　　　　　　　　　　　　　,．-‐─ ─- ､
　　　 　 　 　 　 　 ,r'"´ 　,r'´￣`ヾヽ｀ヽ､
　　　　　　　　　　/　　 ,ィ二三二ヽヽV!　＼
　　　　　　 　 　 /　 ,ィ⌒二ﾆ､_ヾ/　 jﾘ,．-‐＼
　 　 　 　 　 　 /　,// ,イ　　 　V　　 ,､--､r､,　ﾞi
　　　　　　　　/　,//　l ﾉ　　 ,fｨイ￣　　　 ﾘjﾉﾉﾉ
　　　　　　　,/　,ｨr〈　ﾘ ,ｲ_,ｲ」j/ﾘ,,　 ,,､､ｨｲﾉソ′
　　　　　　 / ／　Uj　　}ﾘ,!ｰt;;ｧﾐ:j　t'ﾃｧｨｲ{
　　　　　 ,/'´　,ｲ　|　　 l |´｀" ´ .:::; ｀"´ ,'爪　　　　　　　　　　「もうシーマちゃんって歳じゃないよ、
　　　　　/　　// /l　　l | |　　　 .:.::; ' 　 /　| ﾄ､　　　 　 　 　 　 よしとくれ」
　　　　,ｲ　／ ／　| 　 | | ﾄ､　　- ｰ‐　/L_」」__ﾄ､　＿
　　 ／/, ｲ,／　　ﾉ　　j | |　＼ ´￣ ,.ｲ{￣＼￣￣　_ ｀ヽ
　'"´￣￣ﾉ　　＼|,ｲ|　l | |,ｨ^ヽ｀ｰ‐'ﾞ ヾi!　　 ＼　　 ヾヽ　＼
　￣＼／/!　　＼| | |　ﾘ/　　ｰ=氷=‐　|　　　　＼　　! |　　 ＼
　　 　 V | 　　 ＼| | |　ﾄ､｀二＞〉j〈二 ﾊ　 　　 ／ 　 | ﾄ､
　　　　 ﾄｲ二三二!,j |　|　＼ 二ﾆ!ﾆ　//ﾄ､￣｀`ー┐ | | i　 ,ｲ
　　　　 |　＼　弋ｲ | |　|　　 ヾ｀`Y´,// j　＼　　　 |　jﾘ/ ,/ |



　　　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.､
　　　　　　　　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀､
　　　　 　 　 　 　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:／／:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..､:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::.／ヽi､}:.,､.:.:.:.',
　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. ／　　　 ｀ｰ|:.:.:.:.:l
　　　　　　　　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._, ｀/ ､　　　　　 .|:.:.::.::l
　　　　　　 　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ //､　 　_＼　　　　 |:.:.::.:.l
　　　　 　 　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//　｀'''ー'｀　　 ,,-‐-j:.i/:.:.j
　　　　 　 　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l　　　　　 　 　 　 /､_,´/::.|:.:/　　　　「ふふっ、そうでした。
　　　　　 　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　　 ､　　　　　i／:./／|/
　　　　 　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀ ､　　　 ｰ‐ 　イ:.:.:.:´i:.:.{　　　　　　 シーマ王女、お久しぶりでございます」
　　　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_　 イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
　　　_,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
　　´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　最後に会ったのは数年も前になるだろうか。

　　エルフと人間の種族差とは言え殆ど変化のないキャスターは、
　　自然に椅子から立ち上がると壮年にさしかかった王女に深々と頭を下げる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

67 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:08:08 Ri7DR6iY
三２１４．



　　　　　　　　　　　　　,．-‐─ ─- ､
　　　 　 　 　 　 　 ,r'"´ 　,r'´￣`ヾヽ｀ヽ､
　　　　　　　　　　/　　 ,ィ二三二ヽヽV!　＼
　　　　　　 　 　 /　 ,ィ⌒二ﾆ､_ヾ/　 jﾘ,．-‐＼
　 　 　 　 　 　 /　,// ,イ　　 　V　　 ,､--､r､,　ﾞi
　　　　　　　　/　,//　l ﾉ　　 ,fｨイ￣　　　 ﾘjﾉﾉﾉ
　　　　　　　,/　,ｨr〈　ﾘ ,ｲ_,ｲ」j/ﾘ,,　 ,,､､ｨｲﾉソ′
　　　　　　 / ／　Uj　　}ﾘ,!ｰt;;ｧﾐ:j　t'ﾃｧｨｲ{
　　　　　 ,/'´　,ｲ　|　　 l |´｀" ´ .:::; ｀"´ ,'爪　　　　　　　　　　　「そう畏まられるのもくすぐったいんで
　　　　　/　　// /l　　l | |　　　 .:.::; ' 　 /　| ﾄ､　　　　　　　　　　 普段通りで構わないよ。
　　　　,ｲ　／ ／　| 　 | | ﾄ､　　- ｰ‐　/L_」」__ﾄ､
　　 ／/, ｲ,／　　ﾉ　　j | |　＼ ´￣ ,.ｲ{￣＼￣￣　_ ｀ヽ　　　　　 ………契約者様の様子、思わしくないんだって？」
　'"´￣￣ﾉ　　＼|,ｲ|　l | |,ｨ^ヽ｀ｰ‐'ﾞ ヾi!　　 ＼　　 ヾヽ　＼
　￣＼／/!　　＼| | |　ﾘ/　　ｰ=氷=‐　|　　　　＼　　! |　　 ＼
　　 　 V | 　　 ＼| | |　ﾄ､｀二＞〉j〈二 ﾊ　 　　 ／ 　 | ﾄ､
　　　　 ﾄｲ二三二!,j |　|　＼ 二ﾆ!ﾆ　//ﾄ､￣｀`ー┐ | | i　 ,ｲ



―――――――――――――――――――――――――――――
　　それを手で制して向かい側にどっかりと腰を下ろしたシーマは
　　山積みの資料の表題に目を走らせると
　　ざっくばらんに行こうじゃないかと内々の話である事を示唆した。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 . : ´: : . . 　 　 　 . . : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /: : . .　　　　　　　 　 . . : : ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : . .　　　 　 　 　 　 　 . . : : : ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,: : : . .　 、　 　 へ、 　 　 ヽ. . : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ ｉ : : . .|ヾヾ〃'"´ヽｉ: i: :　: 　 ; 　 : :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | i| :| :|　　　　　　 |: |i |i |i :　ｉ 　: : ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | i| :| :ｌ　　　　　　_|: |i |i |i i　| 　: : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 八八ﾘ:ム､、 　 ／ ィ芹必乂 :|_　: : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂从芹心　　　　┴'┴ |　 :|　｀ソ|
　　　　　　　　　　　　　　「ええ………　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 　 | |:ﾊ"¨´　　　　　　　　|　 :|ｉイ:.:人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |:ハ　　〈　　　　　 　 ｌ　 :||｀Ｙ :） ）
　　　　　　　　　　　　　　 やらない夫は未明に　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 | | : :i:＼ 　ー-　 　 ／!　 :|| （ （:ハ
　　　　　　　　　　　　　　 左腕を再生してもらえたけど………」 　　　　　　 　 | | : :|:| : :ヽ.　　　／ 　:　　|| 个トイ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | | : :|:|/ ; ; ;| ¨´ 　 　 : 　 从人ﾉ八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 　 ﾉﾉ: : i/ ; ; ; ;j　　 　 　 '　〃:ハ;.｀ヾﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,,xく|:.　:.;′; ;/__　　 .:　　′　:/; ; ∨;｀ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ィf／´|:.　:ｉ ; ; /　　　　　ｰ;′　//;.／; ; ; ; ; ヾ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.//´; ; ; ;|:.　:| ; /ミＹ芸Ｙ升/|:.　://; ; ; ; ; Y; ; ; ; ;ヾ;ヽ

69 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:09:14 Ri7DR6iY
三２１５．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　すでに父からは雪華綺晶の件について
　　できる限りの協力をするよう言いつかっている。
　　必要であれば幾ら支払ってでも他の国の秘蔵文書を借りてやるよと王女は言い、
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　　　　　　　　　　ヽ､ _,,,,..............,,,,__
　　　　　　 _. -‐=､'}　ヾ,　　　　　　 ｀' ､
　　　　　. ‐''´￣｀' ｀'　　l彡-　　　　　　ヽ
　　　　'´ﾌ´／　　'"｀ヽ　}'⌒　　　　　　　 ヽ
　　　　ノ　/ 　 ,.‐''ｿ /"ry⌒ヽ,　 ､　　　　　',
　　　 ´7 ﾉ / /　,.ｲ. |　|::::::::::::::ヽ, li　　　　　 |
　　　　´7. |　|　ト-i､|　|::::::::::::::__;ゝ}ﾐ､ 　 　 　|
　　　　　ﾚl　|　|ｬｰr,､ヽ|'vｯ＝'-ry:|　:レヽ　　 |
　　　　　　`'ﾄ､.ﾄ｀'ｰ'^ .i::.､^'ｰ-‐'ﾞ:::|　:|'ｱ |　　 |　　　　　　「学院は総力を挙げて協力するし
　 　 　 　　 | :::| 　　　j::::. ｀ 　　:::::|　::|_ノ: 　 　| 　 　 　 　 導師達にも優先するように言ってある。
　.　　　　　 | :::::l. 　 ヽ-　　　　::::::|　:::|;:: : .　　 |
　　　　　　 | ;:::::|i:､　 ''━ｰ' 　.::イ|　 :::|;:l : : . 　 |　 　 　 　 他の国から取り寄せたいものがあったら何でも言っとくれ」
　　　　　　|　;:::::l「l^' ､.＿... -''´__,|　 ::::|;:l : : :　　|
　　 　 　　| : ;::::||:|::ﾖ＝､｀'Y´,..＝| li ;::::|;:l : : :　　|
　 　 　 　ﾉ : li:::||ﾉヲ''＝} :∥:}＝'| |　;::::|;:l : : ::.　｜



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ´￣　￣｀　　　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ 　 　 　 　 　 　 　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 // /　　　　/　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 // //　 /　/　　 /`ヽ ,. 、　　　i　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 // //　 /　/__ __/´~~`⌒i ト、　 l　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 // /.! 　 i|ィ´i　// ｀　　　__| ｌ ｌ　　i 　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 // .//! 　 l|ﾘ,.テ〒ヾ　　 ,. -.| ｌ i　　| 　 　!
.　　　　　 　 　 　 「ありがとう、恩に着るわ。　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 // ,. --|　　i| 乂r' !　　　 〃ｌ7! l l　　i　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 //　`ー‐! 　 l|　　　　　　　tr':ｿ //　 /　./
　　　　　　 　 　 　 ちょうどニグリア公国の伝承に関する資料が...　　__//　　　//|　　i|、　　 ____ '　　 彡1＼/イ/
　　　　　　 　 　 　 欲しかったところなのよ」　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　 `ー‐‐〈___|　　l| ＼　 !___ﾉ　　イｲil X >ｊ/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 / 　 　 　 　 　　 ! 　 i|　　`ｰr‐‐ 1/　! ｌｌij　〉ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 / 　 　　　　　　　 |　　l|＼_____ﾄ、i´l　 .| |￣＼ /＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　 　 　 　 　 　 　! 　 i|＼i」」」/　! !　 ｌ |　　　V　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ 　 　　　　　 ／ヽ　N　 i|　　　　　/∧　ｌ |　　　　V ＼



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　　頷いたキャスターは、すでに目星がついていた一国について頼むと言った。

　　―――大陸南東部にあるニナークン連邦の一国には、
　　黄翼の熾天使の伝承が残っているのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

70 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:10:00 Ri7DR6iY
三２１６．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　―――人種差別が根強く残っている今、
　　冒険者の一部を含めて基本的に多くのエルフは
　　人間の文化、階級社会や慣習に馴染むことをよく思わない。

　　なのにまるで人間のように振る舞う彼女に違和感を覚えて呟くと、
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　 ,､‐ ' '‐ ､_
　　　　　　　 fゝ 'ﾞ　　　 '.　　｀'ヽ
　　　　　 　 /i　　　　　　'.　　 　ヽ
　　 　 　 　 !{､　　　　　　 ;　　　　i
　　　　　　　l '､n　 ;　　　　　　 ;　 l
　　　　 　 　 '　} l:. i　　 　 　 　 ;　 !
　　　　 　 　 　 iﾞi :.i　: .　 :　　　i.　 !
　　　　 　 　 　 !i　:i　: .　: . .　　i .　l　　　　　　　「こっちが恩返ししなきゃならない立場なんだけどねぇ。
　　　　　　　　 i.i　.i　: : . : : : . .　i: . !
.　　　　　　　　i,'　.i . : : : ; : : : : . .', :l　　　　　　　 ほんと変なエルフだよ、あんたは」
　　　r- ､_,..､-i'　. i　. : : :, ; : : : : :.',: l
　 r''ﾞ､ .　. ｀'.ｿ　. i.: . : : : i ; : : : : : :, :l‐､
.　l､ . . .' .- /　 . i: . : : : : i ; : : : : : :i: .ﾄ､ヽ
　l　 . . . . ./　 . :i: ; : : : : :i ; : : : : : : i :l . ｀l



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._,:.∠_　　　　　　.|:.:.::.::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ /tｭ..,,　_｀ー'　　　　|:.:.::.:.l
　　　　　　　　　　　　　　　「………宗一郎の影響かしらね？」　　　 　 　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//　　｀ヽ｀　　　 '^ヽj:.i/:..j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l　 　　　　　 　 　 /ミ､.:/::.|:.:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　　 ､　　　　　i／:./／|/
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_　 イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|



―――――――――――――――――――――――――――――
　　今は亡き人の影響だろうけど、そんな自分が嫌いじゃないわと
　　キャスターは微笑んだだけだった。
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71 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:11:06 Ri7DR6iY
三２１７．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　シーマがまだ小さな子供だった頃、彼女の隣に人間の男性がいた事は覚えている。
　　若々しいエルフと老いた人間の組み合わせには色々あったのだろうと思うが、
　　それについて語り合うのは自分が婆になったときでいいだろう。

　　そんなふうに自己完結した王女は
　　図書館内を見回して他に誰もいないことを確認すると声を低くし、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　 　 　 　 　 　 ,r'"´ 　,r'´￣`ヾヽ｀ヽ､
　　　　　　　　　　/　　 ,ィ二三二ヽヽV!　＼
　　　　　　 　 　 /　 ,ィ⌒二ﾆ､_ヾ/　 jﾘ,．-‐＼
　 　 　 　 　 　 /　,// ,イ　　 　V　　 ,､--､r､,　ﾞi
　　　　　　　　/　,//　l ﾉ　　 ,fｨイ￣　　　 ﾘjﾉﾉﾉ
　　　　　　　,/　,ｨr〈　ﾘ ,ｲ_,ｲ」j/ﾘ,,　 ,,､､ｨｲﾉソ′
　　　　　　 / ／　Uj　　}ﾘ,!ｰt;;ｧﾐ:j　t'ﾃｧｨｲ{
　　　　　 ,/'´　,ｲ　|　　 l |´｀" ´ .:::; ｀"´ ,'爪
　　　　　/　　// /l　　l | |　　　 .:.::; ' 　 /　| ﾄ､　　　　　　　　　　　　「で、本題さ。
　　　　,ｲ　／ ／　| 　 | | ﾄ､　　- ｰ‐　/L_」」__ﾄ､　＿
　　 ／/, ｲ,／　　ﾉ　　j | |　＼ ´￣ ,.ｲ{￣＼￣￣　_ ｀ヽ　　　　　　　 ………正直なところあんたらは今回の事件、
　'"´￣￣ﾉ　　＼|,ｲ|　l | |,ｨ^ヽ｀ｰ‐'ﾞ ヾi!　　 ＼　　 ヾヽ　＼　　　　　 何処まで掴んでるんだい？」
　￣＼／/!　　＼| | |　ﾘ/　　ｰ=氷=‐　|　　　　＼　　! |　　 ＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : . .　　　 　 　 　 　 　 . . : : : ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,: : : . .　 、　 　 へ、 　 　 ヽ. . : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ ｉ : : . .|ヾヾ〃'"´ヽｉ: i: :　: 　 ; 　 : :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | i| :| :|　　　　　　 |: |i |i |i :　ｉ 　: : ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | i| :| :ｌ　　　　　　_|: |i |i |i i　| 　: : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 八八ﾘ:ム､、 　 ／ ィ芹必乂 :|_　: : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂从芹心　　　　┴'┴ |　 :|　｀ソ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | |:ﾊ"¨´　　　　　　　　|　 :|ｉイ:.:人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　「情報交換ってわけね？　 　 　 　 　 　 　 | |:ハ　　〈　　　　　 　 ｌ　 :||｀Ｙ :） ）
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 良いわよ」　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | | : :i:＼ 　ー-　 　 ／!　 :|| （ （:ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | | : :|:| : :ヽ.　　　／ 　:　　|| 个トイ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | | : :|:|/ ; ; ;| ¨´ 　 　 : 　 从人ﾉ八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 　 ﾉﾉ: : i/ ; ; ; ;j　　 　 　 '　〃:ハ;.｀ヾﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,,xく|:.　:.;′; ;/__　　 .:　　′　:/; ; ∨;｀ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ィf／´|:.　:ｉ ; ; /　　　　　ｰ;′　//;.／; ; ; ; ; ヾ＼



――――――――――――――――――――――――――――
　　頷いたキャスターは開いていた資料を閉じると
　　二人の間にある本の山をどけてから椅子に座り直した―――
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72 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:12:00 Ri7DR6iY
三２１８．
━━━━━━━━━━━…
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――――――――――――――――――――――
　　時間は少しだけ戻る。

　　朝食のあと王城を出たエルとコナタの二人は
　　城門前でこれからの予定を確認し合っていた。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, 　 ,,,.:-‐,,..... -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ::':ﾙ'´:ｰ''´::::≦-
　　　　　　　 　 　 　 　 　　　r''ﾆ、:::::ニ＝-:､::::二ｪｪｯ=-‐
　　　　　　　　　　　　　　　 r'::::::ﾆ-､::::::::ミﾐヽ､::::::::::::::＝ﾆ＿
　　 　 　 　 　 　 　 　　　 /:://:::::ミ､::::::::::::＼ヽ､:::::::::::::＜
　 　 　 　 　 　 　 　　　　,':::,'::::iヽヽ:::ミ:::::､:::::::::＼:::::::::::::ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /::::!:::::ヽ:ヽ::::::::::`:::::::::ヽ:::ヽ::::::ヾヾ､
　　　　 　 　　　　　　　/"i::::::::::::ｉﾞ_､:::::::::!＼vヽ、:::::::::ヾ:::＼
　　　　 　 　 　 　　　　　 i:;::::l::',:li ｏヽ`ヾi. Y'ｏﾞﾘ､:::::::::::iｰ=ヾ
　　 　 　 　 　　　　　　　/ lﾊ::::',ｉﾞー" 　 ′ ー" i:::::::::ヾ､
　　　　　　　　　　 rｲ￣'",ﾆ､!:::::i.　 　　. . 　 　　,':j::lヾﾔ-､_　　　　　　　　「私は酒場を回って
　　　　　　　　　／ |　　　l　lｻ!::iヽ 　 . --､ 　,.ｲ::l!';:l　　　 ,ヽ 　 　 　 　 　 国内の合成獣騒ぎについて調べてきますね」
　　　　　　　　　|〉　!　　　|　l八ﾞ!　＼　￣ .ｨ'　/ｉ! i '!　　　i　i
　　 　 　　　　／<　';,.　　 l　| ヽゞｬ-､`＝ﾝ　_ｿ, !　i　　　 ,'　ヽ
　　　　　　　 〉ヽ-`'　i!/｀`ｉｰ',　 ｀`-ﾆ_--‐'ﾆ-' ,'　 / ｉ　 / i　i l
　　　　　　　/ 　' , ,,,i'´!、 l-　ヽ=- -‐-;'''´　　　 　　 ｌ　　, ' ,' .i
　 　 　 　　/　　　ﾞl　i　 'i　j/　 ,..-‐'￣　　　　 　　　 !　/　　　|
　　　　　 /　　　　 ll､ヽt,ｹﾝｪ‐'´　　　　　　　　　　　 ,!'　　　　.|
. 　　 　 i┴､＞ﾆ ﾝ`''＝ｰﾝ´ヽ　　　　　 　 　　　　　/ヾ!ー,-,ﾝ.i
　　　　 ﾘﾝニ--/　　 　, ' 　　ヽ　　　　　　　　　　 /　 |､-‐'´　 i
　　　 ／r'　 ii" 　 　　/　　　　　　　　　　　　　　 /　　ｌ　　、 　 i
　　　く lハ　l:l　　　 ｲ ＼　　　　　　　　　　／　 /　　<　ﾐ､､`ｰ.k



　　　　 　 　 　 ／ '´　　｀ヽ
　　　　　　 　 //
　　　 　 　 　 !i　　　　　／:ヽ-.‐: : :ﾆ二＝‐
　　　　　　　　ﾞ､　,. : ':": : : : : : ､: :、　_ .｀.ヽ､
　　　　　 　 　 ゝ゛: : : : : : : :　. .:i、:ヽ: :｀ヾ､_:.＼
　　　　　　　, ':i: : /: : : : :ﾄ､: i: : :.i x-ﾞi: : : :.ヽ　｀`
　　　　　　 /: :.!:/　. .,.-|:.| ∨!: : :l　ヾ:i,: :ヾ:. ｀､
.　　　　 　 i　　}l. : : /: i'| |　 !|、: | _,,⊥!: : i;::: :｀､
　　　 　 　 !. : :l: : : : : :! |:|,,.、l|ヾ:| 彳ﾊ`ﾄ､:.|｀ヾ:.i
　　　　　　 l: : !: ;l: : : :!ｯi"､ﾊ 　 ﾘ　 ､_j! l ヾ!　 ヾ
　　 　 　 　 V:|:/:.!: : :!ﾍ' ､__j!　　　　`゛ ･|i
　　　　　　　ヾ": : !: :,! i　`''"　　　。　 ／:|　　　　　　「んじゃ私は町に出てる冒険者を当たってみるよ。
　　　 　 　 　 i: : !: l ハﾊ.＿＿＿,.／）|:: : |
　　　　　　　　|: :!: : {: : :ヾ;|　r く,/　ﾑ:.!: : |.　　　　　　 たぶん避難所を回れば大勢いると思うし」
　　　　　　　　j:/: : :∧: : : :＼ヽ＿　｛.:ﾄ: :.!
　　　　　　 　 l/: : /==`ｰ､: ＜!三ﾐﾐヾj Υ
　　　　　　　 /: : : |=＝==≧ｼl二`ヾﾐﾐ｝｜
　　 　 　 　 /: : : : !、　　 　 |　　　｀ヾﾐ!　!、
.　　　　 　 /: : : : : :}ヽ 　 　 |　　　　　ﾉ`ヽ｀、
　　　　 　 !: /: : : :.∧｣:､　　 　 　 　 /　　　,l
　　　　　 l: /: : : : ;': /.ﾊ ＼　　　　,/　　 ／
.　　　　　l.:,!: i : : :i!:.(　　＼_〕ト､_ノl_,.ィ'｢
　　　　　l:.!|: :!: : :.!|: ;>､　 　 |`ァ''＾ヽ |く
　　　　　|:l l: l: : : l／ / `ｰr-l∠ィ"＾ヾ、ヽ

73 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:13:00 Ri7DR6iY
三２１９．
―――――――――――――――――――――――――――
　　目的はやらない夫の言っていた組織的な合成獣の襲撃が
　　他の町で発生したかの調査だ。

　　それが分かれば、全く見えない敵の狙いに
　　ある程度の推論を立てられるのではないか。
　　二人はそう期待して、町へと散っていったのだが―――
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　 　 　 　 ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　 　 　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　 ／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　 　 　 　 　 ／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　 　 ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　 　 　 　 　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　 　 　 　 ､ _｣ ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　 　＼　　　‐--- ／|:/
　　　 　 　 　 　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／ 　.ｿ　　　　　　　「では午後一時にやらない夫の部屋で」
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　 　 ／ヽ- '
　　　　　　　／　　 ヽ､　　　　　_ ｲ
　　　　　 ／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　 　 　 　 ー┴､
.　　 　/　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　/　 　 　 　 　 　 ＼　　　　 |､



　　　　　　　_,. ニ＝.-:､`:ヽ.、 ＿_　　　　 j!
　　 　 ,. :'':´: : : : : :,:-'': :./: : : : : : : :｀:`:ヽ<､
　 ,.r:'ﾞ: :_:,,: ;　'"／: : : : /: :j: : : : : : : : : : : : :.＼
／'"´　 ／　 , '　 :./: : j: : l : :,: : !: : : : : : : : `:､:`.、
　　　, ': : : : /: : . .i-‐仆: :j: : : : l: !: : :i:. : : : :　｀､:｀､
　　,.': : :/: .:j: : .::::i: :./ |: :.j!: : : :l:ハ:,:-:!:‐ ､　　　｀､｀.
.　/: : :./: .::j: : .::::l: :/　j: :i.|: : : j/　∨: l::::::. : : i .　 ﾞ; i
　': :／j: :.:::|: :.:::/j:./-‐_!:l. !: : :.j! 　 ∨:.!:::::::. : :l: : :! ',|
/, '　　|: .::::l: :::/ヤ示亦ｌ|　i: : :i!　　　V:lＶ::::::. : !:. :.!: i
'゛　 　 !: :::::l: ﾊ　ﾞrＪ::V　l　 Ｖ: !　､　　ヾl.ﾞi;:::::: :j:::. :ﾄ､!
　　　　l: :::::}:l::::!　Lﾆﾉ　　 　 ヾ!　ﾐミニ ﾞ'j::V: : |:V: !ハ
　 　 　 V:/Ｎ::::!　　　　　'　　　　　　￣．l::::::V: !: :V|　　　　　　　　「一時ね、りょーかいりょーかい」
.　　　　 ﾞ'　|:| ::l.　　 　 ｰr ､___,　　 　 　 l:::::: |Ｖ|: :.Ｎ
　　　 　 　 |:,!: ::`:...、　　ヽ　ノ　　　 　 ,ｲ::: ::l:::i＾ヾ!
　　　　　　 |':l: : ::::::l:::`i:.. 、　　 _,,... イ::::l::: : j::: }　 |
　　　　　　 j: :!: : : ::l::;/´iﾉ ￣　i! ヾ､|::::j:: : :.!::./　 '´￣二､ヽ
　　　 　 　 ｉ: : !: : : :.!　　l.　＿　|　　 ｀i|: : :.l:: l　　　　　-―-'､
　 　 　 　 ,': : ∧､: : i　　 ｢　　.｀| 　 　'!: : :.!:::ﾍ　　　　 ´￣_,)'′
　　 　 　 ,': :.∧:ﾍ:､: |　 　l.　 　 !　　 /: : ∧:: :.|　　 T ´￣
　　　 　 ,': :/　ヾ､ﾍ: |.　　 l.　　j　　 /: :,/　 V::| 　　 |



　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　──　──────────────────　──　--　- -
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　─　──　─　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　　- -　-

74 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:14:00 Ri7DR6iY
三２２０．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　　- -　-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　─　──　─　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　──　────────────　──　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　──　──────────────────　──　--　- -

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　　避難民が大勢いるところに冒険者も多く集まっているだろう。
　　そんなふうに考えたコナタはアルビオンの中心から北へ向かう大通りを歩いていた。
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　　iv'ﾍ
　　| ;`;|
　　| ;'l:|　　 　 　 　 　 i'`'i　　　　 　 　 　 　 、
　　!:`l'|　　ζ＼ 　 　 |;`;|　　 　 　 　 　 　 ∥
-､_|_.;l:| 　　＼';､＼　 :|':i;;|　　 　 .　 i'1　　　||／>
ｰ|＿}:;|　　　　＼';､.＼|;';;;|　　　./〉　|;|＿r／／　 /|￣＼:|
-|＿|`|＿r:‐:‐:‐:‐＼';､＼;|　r‐//┐_|:|::::::::;⊥、r/.::|　.:::::::|／＼/＼　　 《／／
ｰ|＿};|::::::::::: : :: : {二l＼;i`!､::://:::::::::::::::::::r| .::| /.:::::<＼／　　 〈:::.:... ＼　》 '　.::::::::/|＼＿ｎ::
-|＿|￣/＼:::::::/`|＿{┬| |;､＼::::::::i'|::::::r┴冂、 .:::::|::＼＼ _＿＿__:::::.:..〉″へ:::::/ .| |: : : |:|::::::::l`!へ、
ｰ|＿}::/ ､';';〉.:/ /{＿|┴lニニニニﾆｌ.r┴､_|_|_|:>:::::＿＿＿|」＿＿:l;_;_/／..::.　｀〈　:| |: : : |:|::::::::| |: : :
-|＿;l'_;_;_∠;/_/___l_,,:;;}┬┴┬┴┬┴┐::| .:::|_rｪ┘＿＿;!＿__;!＿＿;|＿;_;:::.:／ : :| |: : : |:|::::::::| | : :
~゛'' ┘⊥ ｣_　|　　|{＿|┴┬┴┬┴┬┴┤ .:|＿;!＿＿;!＿＿:l＿＿;!＿＿;|<___;_/＼_;_;_;|;|-∠|_|;_;_;
　　　　　　　　　~゛'''' ┴'::⊥Λ二＼.:|　　.:|ー:|＿＿;!＿＿;!＿＿;!＿＿:l＿＿;l:::...＼/＜＞::.　 ∠二
　｀　　 　 ,　'　　.　　 ｀　　　∨_,,,;;;;/. ~゛`┴ -'⊥ .」＿;!＿＿;!＿＿;!＿＿;!＿;ﾄ､ r─‐-､　　　...:.:.:.::.:
　　　　　　　 　 　 　 ,..::;ﾆ＝-､　 　 　 　 　 　 　 　 　 ~゛　┴　 ⊥. .,_..:::|　::/￣.￣'"ヽ┴-､_;_;_;_;_;_;_
　　　　　 　 　 　 　 i::/　　 　 、.　　　,,　　　　　　　｀ 　 　　 　 　 　 ~゛'' ‐-|＼＿＿＿ﾄ--/.. ...:::::::./|
　　`　　　　　 　 　 ,ゞｰ--‐::':::|,..-;:ァ.ﾞ｀　　　　,.　　　　　　　　　 　 '　　　　 ＼|__;_;_;_;_;!─l二二二l/
　　　　　　　　　／:::::::::::::::;::::::::!::::::｀丶、
　　　　　　　　/::/::::::::::/:/|;:::::;!i::i::::::....､ヽ
　　　 　 　 　 l:/::;'::::'オ/　!:::/へ|:::::::::::ﾞ:.ヾ:、
　　　　　　　 ,!,イ:::::/ !′ l::/　 .lﾊ:::::|;;::::l
　　 　 　 　 /i:::::!::/iTﾆT ,!;'　ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
　　　 　 　 　 !:（|:'!::l ゜┘/　　ﾟ‐：!:}::!　 ﾞ!
　　　 　 　 　 |::::M::::!､ 　 ο　 .ィ:i!ﾘ
　　　 　 　 　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::|　　　　　　「学校の校庭からでいっか」
　　　 　 　 　 !::::|x<!:l　 |―|　,l:::|:::!
　　　　　　　 l::::::;!ヾｌ:ﾄﾐヾ、l〃!:ハ:|
　　　　　 　 ,':::::::|　 ヾ＞ﾐV∠}′ i|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
　　 　 　 　 l::::::::{　,r=-=ニＬ._〉,ノ l|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　………また襲われたらかなわねぇよ………　　|
　　　　　　 ,!:::::::::l　　　 　 |l!l!|´ 　 |!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　　　　　　 !:::::::::::ﾄ、　　　|＜　＿/:|
　　　 　 　 !::::::::::::ﾞ7ー イ丁´「 〈::::::|
　　　 　 　 l::::::::::::/　l　 |　|　 l　ﾞ､::::|　　 　 　 　 f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
　　　　　　 l::::::::::/　l. 　|　 |　 l　 ﾞ､:|　　 　 　 　 |　　英雄さんには悪いが　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　とっとと出て行ってもらったほうが良いんじゃないのか………　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ

75 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:15:00 Ri7DR6iY
三２２１．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　その途中。

　　配給を受ける為だろうか、ぽつぽつと列び始めた住民の側を通りがかったところで
　　気になる話し声が耳に飛び込んで来る。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
|　　そういやよぉ。　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |
|　　英雄のせいでなんかあったら　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |
|　　ローゼンとエゥーゴが責任とるんじゃなかったか？　　 .|
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ

　　　　　　　　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　そうだそうだ！　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　向こうにもそれなりのスジを通してもらう必要があるな！　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ


　　　　　　　　　　　　　　　/／
　　　　　　　　　　　　　　〃　　　　 　 ,r:､
　　　　　　　　　　　　　 ,⊥.-.. ..､ ..,／.::.::|＿
　　　　　　　　　　 , .::'".::.::.:;.::.::.::.::.::.::.::.::.:l.::.::.::｀_`::‐-. .、
　　　　　　　 　 , ' : : : ; :.'.: :: :: :: ,! /::.::.::.l.::.::.::. : :｀ヽ￣｀`丶
　　　　　　　　/　　.／ﾉ.::.::._::_::./.:;{:;!.::.::.|:.:;.::.::.:.ヽ:. . ヽ
.　　　　 　 　 i..:..:../／::.::.::´::.::/.;7 l'.::.::.:ﾊ:.:|､::.::.':;.:'､、:.｀.、
　　　　　　　 l.::.:/ｲ:.::.::.::.:;∠/∠　,!:.::.:/ .!个l.::.::.::';:.:､ヾ::.:',
　 　 　 　 　 |::/:/.::.::.:;:ィ｢｢示芥 /::.::/ _､|ハ:l.::.::.::.';.:i.　ヾ:.i.
　 　 　 　 　 /:/.::.:／::|:|　ト-ｲ! /:.:;/　＾}≧ｫ!|.::.::.::.:l.:!　　ﾞ'}
　　　　　　 /,ｨ;:イ`!.::.::.!! └-'' /, '　　 /ｰ/∧::.::.::.::.:!l
　 　 　 　 /' l':;.:人.!.::.::.|　　　/'゛　　' ヾ‐ﾞ/::.j|::.:l!::.::.l!
　　　　　　　l:/::.::::::}.::.::.ｌ　　　　 ∠!　　　j.::.:l !:/ !::.:;l　　　　「………？」
　　 　 　 　 !'.::.::::::ハ.::.::l`ト ､　　　_ ..　イ.::.:l l/　|.:/
　　　 　 　 ,'.::.:::::/:::::;l.::.:K、　乃「:::|::::::::||.::.:;!　　 l/
　　　　　 /.::.:::::ﾑ＜.　l::.:l ＼＿ゝﾄ､!::::::|l.::.:ﾊ
　　　 　 /.::.:::/ﾆ､ヾミﾐ.l.::.i.　ヽ　｜ ＼:|'::./:::l
　 　 　 /::.::::/′　｀丶ヾ:!::l.、 ｀、l 　 /l::./::::::!
　　 　 ,:.:.:::::;'　　　　　 |｀ヾ:ﾄﾐヽﾞ､|　//!∧::::::|
　　　 ,:.:.::::::i　　　　　　ヽ､ `｀ヾﾐ､!//ｲ'|　l.::.::|
　　　,:.:..::::::!　　　　　　 　 ｀`＞ヾﾚ　＜　 ｌ::.::|
　 　 !.:..::::::l　　　　 ｜　　　/　 〃j　、 ｀!｜:.:|



―――――――――――――――――――――――――
　　英雄、ローゼン、エゥーゴ。
　　すぐにやらない夫の事を話しているのだと分かったが
　　話の脈絡が全くつかめない。
―――――――――――――――――――――――――

76 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:16:00 Ri7DR6iY
三２２２．



　　　　　　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `:-.‐.‐: : :‐.-. . ,,_
　　　 　 　 , ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`: ＜￢ｰ-｀`ヽ
　　 　 　 .:': :/: : : :／: : : : : : : : ::: : : : : : ﾍ: : : : : : : : : : : :.　｀ヽ
　　　　 /: :/: : :.／　　　　: : : : j::: : : : : : : :!: : : i:.. : : : : :　 ､　　 ＼
　　 　 ,': :/: : ; '　　. . . : : : :!: :.j|::: : . . .　　 !: : : V::.　　　　　ヽ　 　 ヽ
　　　 ,': :.i: :,:'. . : : : : : : : : :i: :/ |::|: : : : : : : |ﾍ: : :.V:::. . . i...　　 ヽ　　 ｀､
　　　.i: : i.:/: : : : : : : : :_;,,;/:_/　.!:|: : : : :.l: : |　v‐'个-:.､: :V::. : :Vﾍ丶、 `、
　　　j: : l/: : .::j: : : :':´: :./l:./`ﾞ　!j: : : : :.!: : l`'゛V: :.!::::::. : :.V::.: : V:ﾍ　 ＼ﾞ、
　　　l: :./: :.::::j: : : : : : :/.j:/　　 :||: : : : ﾊ: :.j　　∨:.|V::::. : :.i!:::. : :.!､:ﾞ',　　 `
　　　!:./: .::;:イ: : : : : :/_/ﾞ-―　 |!: : : /　!: !--- V:.| V::::. : :.!::::. : :!｀、!
　 　 !:l: :／_:l: : : : r主圭王羊　.|: : :/　 :|:.E玉圭主ｮ∨::. : j:::::. : :!　Vi
　 　 lj:/|:./ i: : : : :У.|:::::;;;;::::|　 l: :./　　 !:,!|::::;;;;::::,!/ λ::: : :!:::::: : l 　 ﾞ}
　 　 }': j: ﾍ !: : : :∧　!V　 С　 !, '　　　j/ lV　С　 /:::i::: : l::::::: :.j
　　　l: :l: : :ﾞ|: : :∧::l　ヾ、__ﾂ　/'　　　　　 ヾ､_,ﾂ　 ,'::::::ｉ:: :ﾊ:::::: :,!　　　　　「オジサン達、
　　　.!:.!: : : |: :/:::ﾍ::i　　‐''"´　 　 　 、 　 ｀`'''‐ ・ i:::::::::!:/　!::: /　　　　　　それ何の話？」
　　　 !j: : : :.|∧: :::ﾍ:j.､　 ' '　　　　　　　　 　 ' '　,ﾉ::::::: l/　 |:::/
　　　 li: : : : .::|ﾍ: : ::ﾍi:::;＞:...,_　 　 ´｀　_ ,,. ,-::''ﾞ:|:|:::::: : :! 　 !/
　　　 }: : : : : :|::ﾍ: : : ﾍ . 　 {'゛｀` ''''' {´| `ヾ{::::::::::!|:: : : :.| 　 '′
　　　.!: : : : :,:-＜ﾞ､: : :.ﾍ　　l ｰ-､　　,-l　 　 ｀ﾌ7||: : : : l
　　　l: : :.／　　　ヾ､: : :ﾍ.　 !'´￣￣￣|　　　// |l: : : : l



――――――――――――――――――――――
　　立ち止まって数人の輪の中に首を突っ込むと、
――――――――――――――――――――――

77 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:17:00 Ri7DR6iY
三２２３．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　一人の中年が、さもそれが真実であるかのように言ったのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＿ノ＼　ハ　　　　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　/ ＿　　）/_　＼|＼　　 　 　　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 ﾉ　ー二ー　　　　　＼　 　　 　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　　／￣ｰ､　ι,－￣￣　 .:::|　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ　　　| 　_==┐ __＝＝=、ι　:::|　|⌒ｌ　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　　　　 |＜@／. ~:丶@＿＞　 :::::|　|⌒|　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　 |ｰ/:　ι　ﾆ――　　　::::|　|〇|　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ　　 |/:　　　　　￣￣ ι　 ::::| |__ノ　　　　 ＼
　　　　　　「お嬢ちゃんは聞いてないのかい！？　　　　　　　　　　　　　 　 ）　 /_＿_,-ヽ　､､､　ヽー 、::::|.|　　　　　　　　|
　　　　　　 アルビオンが襲われたのは英雄のせいなんだよ！」　　　　　/ 　 　 | -─────-､　| i:::::|ー　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|.　　　　|(王ｌ王ｌ王ｌ王F) ）　::／＼　＼　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　---―|ヽー───- ' ::／：：：　|　　|￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ .|　　≡　　　 ::／：：：　／|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/.|　　　ι ::／：：：　／ 　|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/ 　|　　....::／：：：　／ 　 　|　　|



　　　 　 　 　 　 　 （:i′
　　　　　 　 　 　 　 ヾ:､, . . .-:￢_,,.. -.―: : - : ､
　　　　　 　 　 ,.-:':"´: : : : : : : : :!: : : : : :‐＝､'''' ｀`
　　　　　　 ／: : ﾊ : : : : : : : : : : | : . .　　　　 ｀ヽ
.　　　　　/.　　 （,ﾉ . . i : :! l : : : ;|、:ヽ　　　 ｀ヾ ､＼
　　　　　i: : : :!: . . . . ,l : :ﾊ:!: : : ;.|｀、: !: : ヽ: : :.｀､ `ヾ:、
　　　　　l.: : :.!: : : :_;ﾑ:､/ .li: : :./j　,.x‐ト: : :ﾞ!: : : : :.
. 　 　 　 l: : :.|: : : :./ |:/　 |! : ;ｲ:! 　 ヽlﾞ､: : :!: ､: : :i
　　 　 　 !: : :l|: : /ｪ土ﾆ､｜:/ ﾘ ,ﾆ≧ヵヽ: :l: : },: : l
　　　　　 l.:/r|: ∧｢代ﾙ|　|/　 　 代り,!/l: :l: : j i.: j
　　　　　 ,!',{ |/: : i ヾ上!　　　　　ヒｼ　l.:.!:.l: :.,'　l :!
　　　　　/ｲ:ヽl: :､:.i　　　　　　　　　　・l: :lｲ:./　　ﾘ　　　　　「へ？？？」
　　　　　　|: : :l.: :ﾏト.､　 r_―ｭ　 _ , ィﾞ|: : :l'
　　　　　　|.: : :}: : V!r;ｸ｀: ェ_＜｢:::::::,':lj: : :l
　　　　 　 |: : :.|:l: :ﾍ''ﾊ　　　 j　 ＼:,'::;ｲ: : !
　　　　 　 |.: : :,:ﾍ: :.V!ヾ´￣｀l　　　ﾞlト!: :/　 l＾i　／）
　 　 　 　 |: :,<＼ﾍ :Y　ﾞ、 　 l　　　lｌ l: :/ /ﾏ ﾉ'゛∠- つ
　 　 　 　 !: iﾍ.ヽ､`l: :!　｀、　,!　　 ll ,l.:/ ∧ ヽ、　‐'二 ､
　　　　　 ｌ: :|　｀ヽ､ﾞl: :!　 丶 l　　〃 ﾚ　∧｀:、 ＼ ‐=ニ′



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78 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:18:00 Ri7DR6iY
三２２４．
━━━━━━━━━━━…
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――――――――――――――――――――――――――
　　一方。
　　被害の無かった南へ向かおうとしたエルは
　　神殿の入り口で押し問答をしている数人を見つけていた。
――――――――――――――――――――――――――


＼_人＿人∧从＿人_∧_人∧__人人_从_/／
　)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
＜　　隊長！　　　　　　　　　　　　　　　　 (
　(　　どうか無理をしないでください！　　＞
　<　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^^YY^^Y^

　　　　　　　　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　これしきのことで休まねばならぬほど柔な身体ではない。　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　避難所には神の施しを必要としている者がまだ大勢いるのだ、　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　お前達も分担して事に当たってくれ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ﾊ ::.:.::!　V　/　 ＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　 ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト ､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　 　 　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　「あれは………」　 　 　　　|/l:ハ　　 ､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ノ ﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ ヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　 ヽ __,,.　'´　　　　　 ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　 ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　 ／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　 ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 ヽ　 ＼　　 ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　 ﾉ /　 ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､ 　 ＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､

79 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:19:00 Ri7DR6iY
三２２５．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そちらに行ってみると、どうやらまだ本調子でない―――
　　むしろ重症患者の仲間であるアグリアスが無理を押して衛生活動に向かおうとしているようだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　,/: /: : :/: : : : : : :ヽ: : : ヽ
　　　　　　　　　　　　 /: :li: : : |: : : : : : ﾊ: :）: : :) il
　　　　　　　　　　　　 {: : |: : /: : : : : :/　l/ li: : :l: :|
　　　　　　　　　　　　 ヽrヽ: :|::ﾄ: |: :/=-　 /: ノ: : |
　　　　　　　　　　　　　 ヽ ヽ il　ヽ/ﾘ｀ 　 /ﾃﾊ: ﾉ
　　　　　　　　　　　　　／: : tヽ　　　　　 `´Ⅳﾉ
　　 　　 　 　 　 　 　 /: : : : :｀ト、　　 __ 　/´　　　　　　　「隊長の方こそ、
　　　　　　　　　　 　 il : : : : : :| ｀ ゝ _　r ´　　　　　　 　 　 まだ再生を必要としているではありませんか！」
　　　　　γ' ⌒⌒ー-il_/三ヽﾉ.　　　 l
　　　　／/´　　 ｀　‐-　、 ヾ ヾ　　　ヾヽ,、＿ ,.-- ,,、
　　　/　/´　　　　　　　　　　ヾヽ　　　ﾉ/ ): : : ´´　: :ヽ
　　　{　{／　　　　　　　 　　 　 ヾヽ　// /　　　　　　　ヽ
　　　il il: : :,,,　　　 (⌒ヽ　　　　　ヾゝ/ ﾉ　　　　　　　 　 }
　　　》 }i´´　　　 ,,,,,ヽ: : : :　　 .|＼　/ヽ　　 ,: : : /　　　　il
　 　 li /　　　　　　 　): : : : :,,　|　 V　|　V |: : /　 ,,,　 　 /



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,.　-──-　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　 　 　　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,ﾊ　 　 　 　 ､ 　 　 l　 l:...|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 l:l＼ 　 　 ヽ　ヽ 　 .l　 l:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 l:l 　 ＼,. イ　　 l　　}　ﾉ:人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ！ﾐ　 ´i::ﾉ人　 　V⌒).イ｀ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ヽ:l　 　 　u. ';　 l _ノミﾐﾐヽ.: .ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　「お前達も噂は聞いただろう！　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,.小　__ 　 　ﾉ　「_⊥ミﾐ:ミﾐヽﾉ. :人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　}　ヽ __,. イ　 /.:.:.:.:.:.ﾄミﾐヽ彡'.:.ﾉﾊ
　　　　　　　　　　　　　　 あの方に信をおくエゥーゴの者として、. 　 　 　 　 /　/　　.:::::ﾉ/　 /.:.:.:.:.:.:人ミ辷彡'ﾉﾉﾊﾊヽ,. -─- ､
　　　　　　　　　　　　　　 できるだけの事をしなければならない！」....　　　/　/ 　,. ィ´/　／.:;.ｨ´／ /´ ￣￣｀`ヽ彡'ﾉﾉ´ ￣｀ `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　／/　/ イ.::://:/　 /　　　　　　　 ヽ￣｀`ヽミミﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 l　/　/ ./　/ __」 ｲ/:::′./　　　　　 　 　　 j　　　　`ミﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 l/′/ / ／　　　 ｛::::l　/　　　　　　 　 　／`ヽ　　　　ヽﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｛　1　´ 　 　 　　 ヽ:ヽ＼　/`ｰ-----‐'　　　j!　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 Vハ　　　 　 　　　 ＼＼＼ヽ　　　 　__ ,.. イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 い::ヽ　　　_ ＿ _ 　　　 爪　ミｰ __--‐‐イ{L_

80 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:20:00 Ri7DR6iY
三２２６．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　副長の言葉に耳を貸そうとしない頑固な彼女が
　　魔界炎で半身を融かされ瀕死だった事はエルも知っている。

　　今日までに何度再生を受けたのかは知らないが、
　　額に大粒の脂汗を浮かべていることからして立っているのも辛いに違いない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰ ゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　 　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　 　 　 　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　 　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　 　 　 ｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i
　　 　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　 ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.
　　　　　　 |/　|∧|　＼ 　 　 　 　 ／ .| / l/;:;:l　　　　　　　「無理は感心しませんよ」
　　　　　　　　 |'　 l　　 ヽ、　　 ／　　 l'／ ヽ/
　　　 　 　 　 　 　 l　　 　 ｀￣´　　　　l､
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　 ヽ､_
　　　＿_ ,..　'' ´ 　 ヽ　　　　　　　 　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　 ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　 ｀} ￣ 'ー- ､
　　　 ヽ　　　　　 　 　 ヽ　　 　 　 / 　　　　　　　　　/ /　 　 　ヽヽ
　　ヽ　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ /　　 　 　 |　ヽ
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　 　 /　　　　 ',
　　　　　　　 ｀'ｰ-　 _　　　　　　　　 ＿　 -‐ '´　　　 　 　 /　　 　　　l
　　/　　　　　　　　 　 ｀'ー----‐ '´　　　　　　 　 /　　　 l 　 　 l　　　!



―――――――――――――――――――――――――――――
　　だから副長さんの言うとおりにすべきです、と横から口を挟むと、
―――――――――――――――――――――――――――――

82 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:21:09 Ri7DR6iY
三２２７．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　はっとエルを振り返った彼女はそれでも必死に食い下がった。

　　エゥーゴの―――
　　やらない夫に信をおく者の一人として、看過できぬ噂が広まっているのですと。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　 / 　fｌ 　 / |l　　　/|| ! 　＼＼　　 ﾊ
　　　　　 | 　 |l 　/　|l　　/　|リ　　　＼＼ 　}}
　　　　　 | 　 |　/　/|　　　　|　　u.　 　 ヽﾐVl}
　　　　　 ｌ 　 |ｌ/　/^|　　　　｢￣¨¨"''　　''¨}lﾘ
　　　　　 V 　/　/　:|　　　　|　｢|｢｢`　　　ﾘ｢
　　　　　 ∧V　人_.,｣　　　　|: 　じ　　　　゛{
　　　　　_{ {ﾐ`─---|　　　　| 　 　 　 　 　 |
　　　　 { ＼＼＿＿_|:　　 　ﾊ　 　 u. 　 　 ﾊ　　　　　　「これはローライト殿。
　　 　こ＼　＼　〔77|　　　　 ',　　 　 ‐　,ｲ　!
　 　 =─‐==ﾆﾆﾐ〕/∧　　　　∧r‐rr-イ　!　|　　　　　　 しかし、気になる噂があるのです。
　　　　　　　 　 　 ヽ¨ヽ,　 　 　 V》》 　|　 l　|　　　　　　 それはあろう事か、ビップ様に関係のあることなのです」
　 　 　 　 　 　 　 　 }　 }　 　 　 ∨{,　 | 　|　|
　 　 　 　 　 　 　 　 | 　l　　　　　 Vミx|　 |l　l
　 　 　 　 　 　 　 　 | 　|l､　　　　　V､ | 　 |　ｌ
　 　 　 　 　 　 　 　 |　ﾉ∧　　 　 　 V,| 　 |l　|
　 　 　 　 　 　 　 　 |///,∧.　　　　　Vｌ 　 |　l



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　 ,r':i::::､::::､:::::ヽ::::::::::::::ヽ､::ヾヽ::::::::､:::::::ヽ､､:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　i:::i:::!::ヾヽ､::ヽ､::::::::::::::::::::::ヽ:::::､ヽ:::::::::ヽ､::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　i:::i::::',:::::::`'-.:::::ヽ､、::::::::::::::::::::::::::::ヽ､::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　 !:､i::::ヽ:::::､:::::__ヾ::::`::::::::::::::::::､:::::::::::::::`ヽ::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 　 　　 l:! ki::､:ヽ::',ヽi,､`ikj､:::`:::::::::::::::ヽﾐ､::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　 i!　ヾ:､:::::::::､ 'J ;::"　ﾞヽ::i､:::::::::::::ヽ9`i､:::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　　!　　ヾ ｿ＼::､ '" 　 　 ヾ!ヽ::i::､::::::;X".i`:::::::ヽ:::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　 　　　　/　　 ヽ､ 　 　 　 l!　';:iヽヾ:::'rヽ.`ヾ::::::､::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､＿-‐　　　　　　 !　 ﾘ　ヽヾ:',　:: 　 ヾ:',`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「噂？」　　　　　　　　｀i　　　　　　　　　′　ｿヾ;　';　　 ヾ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　　　'ｰ‐ｧｯ　　　　　　　 ,:':　　ヽ ',　　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､、　 　 　　／::::　　　　:　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　　　　　　 　　　　i　　　 ., '""'-､,,_＿.._　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞｰ-‐ "　　　 〈'i ヾ:､:::i`/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |. 　ヾ､:/



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　こうしてエルもまた、アルビオンに蔓延る噂を耳にする事となった―――
―――――――――――――――――――――――――――――――――

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83 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:22:00 Ri7DR6iY
三２２８．
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―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　昼前になって、なんとかベッドから立ち上がれるほどに回復したやらない夫は
　　雪華綺晶の部屋を訪れていた。
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- 　 ..;;_:::::::::::::::::::,.:　'´　　　 | |　　 　 | |
::::.::: :.:.:.:.｀:.`ﾞｰi´＝==ｰ_ｰ- ｣ Ｌ.. __　 | |
:.::::::.:.:.:... 　 　 |　 　 　 　 ￣ｉ i￢＝ｰt |
::.:..　　　 　 　 |　 　 　 　 　 | |　　 　 | |　　　　　　 　 　 __
:.　, -rｔ--　 ...」_,　　　　　　 | |　　 　 | |　　　　　 x≦爪川
　 !　| | F＝=ﾐ. |＝＝‐_ー-''└ー　.._| |　　　　　 | }八L}ﾊ|
　 ｉ　| | |////,| |　　　　　￣| |￣￣｀'ｉ |　　　　　 |（_ﾄ､ﾐｰj|
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　 　 | |　　　　　 | xz公こ|
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　 　 | |　　　　　 |从行辷|
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　 　 | |　　　 　 └-----'
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　{爻爻〆　　　　　 　 {沁爻爻}
　 |　| | |」」」」｣ |=====ﾐ. 　 | |　 　 YＹ广 r─---　 .....L乂＿ﾉ＿_
　 |　| |-‐Ｖﾍ￢||| || || ||l 　 | |　 　 ﾉ八　 |￣　｢三二,.ｘ≦}┬r=＝
　 j　| |　　Vﾊ　|j｣L.＜⌒￣￣￣ （_＿_） ⌒＞｢三ﾆ/: : :/　| |
　 j　| |　　 Ｖﾊ |￣　　 ≧‐┬------┬‐≦　 ｢三 ,': : / 　 | |
.　 ! :| |　 　 |/ﾊ!＿＿＿_,＞|:. .　 　 . .:|＞ﾄ､_　｢三:ｉ: : :i　　 | |
.　 ! :| |　 　 Ｋ＿_＿_＿_ﾉｉ　|:. .　 　 . .:|:,.　'´￣｀`Ｙ|: : ,l.. ＿| |
-ｰ[〉| |-‐￢| r──ー､ | |　|:. .　 　 . .:|｢ ,ﾆ￢=─'_!ｘ1.|　　:|_| ￣
　 　 !｣　　　| | |　　 　 | | |　|:. .　 　 . .:|| |　 | |￣ | |　| |
　　　　　 　 | |_|　　 　 | |_| (乂:..　　.:乂| |: . Ll　　| |　| |
　　　　　 　 |_|　　 　 .::Ｌ!. .: .:.:.:￣￣＾:..|_l:::.:.:...　　| |　Ll
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 :.:.:.:....Ll

84 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:23:01 Ri7DR6iY
三２２９．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　規則正しい、けれど小さな小さな寝息。
　　小一時間ほどこうして側にいるが、寝相の悪い彼女が身じろぎ一つしない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　 　 　 　 ＿_,､ｘvfﾍ、__(( -- ─--　＿
　　　　　　　　　　　　/　　くﾋﾍﾞ/Kト､_}）／　　　　　　 ｀丶ｆYv─‐ ､
　　　　　　　　　　　　}　　 弋ﾐﾋヅ^　／ 　 　 　 　 　 　 　 ＼ヾ〉　 i
　　　　　　　　　　　 /　 　 （(　 　 　′　　　　　　　　 丶　　　ヽ｝　|
　　　 　 　 　 　 　 /　 　 　 ゝ=､ /　 　〃 i　 l　| 　 |　 |　 l 　 ﾊ 　|
　　　　　　　　　 ,ｨ 　 　 /　 ､__ﾉ} ′　/　((⌒i　| 　 |　 |　｜　　'､ |
　　 　 　　　　／/　 　 '　　/　　|/ 　 .′　)}　|　| 　 |　 |　 |　 ｌ　Ｖ|
　　　　　　　/　/ 　 　 ｌ　　|　　 |　　 |　r‐'ｲ　|　|ﾊ　|　 |　 |　,|　|.,|
　　 　 　 　 |!　| 　　　 |　　|　　 |　　 ｘy、__L 八|从ﾉ　十‐ト､′l |
.　　　　　　　　 ヽ　　　|　　| 　　|　　ﾉｨｒ‐辷ﾄ､　i!　/ 　ﾉ　/ / ,'ﾊl
　 　 　 　 　 　 　 Y 　:} 　∧　 ∧. 　Y;ゞ少くj｝　　γ=彡/　ィヽ　＼
　　　　　　　　　　 |　　|　′|　　∧　((~込匕ｼ　　,　　　/　l　ﾄ､ ＼　ヽ
　　　　　　　　　　 |　　|/.　 |　 /　ヽ ゝ=､ 　　　- 　　.ｲ{ 　|　|　＼ ヽ　ｽｩ…
　　　　　　　　 　 ﾉ　　″　 ＞-､ﾉ^)ﾊ 　 ))＞ r､_＜　 人、'　|　　ﾊ　〉 , |　ｽｩ…
　　　　　 　 　 ／　　/ 　／　　　 　ノ|　 　 Ｖっ （＼ヽ^7ﾍ＼　＼　 |. /,/
　　　　　 　 ／　　／ 　 |　 ,′　＿ ノ　　 　} 〈　r､ヽヽ＼j 　＼　＼|//
　　 　 　 ／　 　, ′　 ノ　　／´　　　　＿.ノ＞＜} V　＾　Y　　ﾊ 　 Yヽ
　　 　 ／　　　（ 　　／　　/　　 ／￣ （ ヽ~^ｰ'^ｰ|　　　 　l　 　 } 　 } l ヽ、
.　 　 〈　　 　　人　〈　 　 /　　/　　　 　丶　　　 ∧　　　　!　　/　 /　| 　 l
　　　　＼　　　　丶　＼ /　　/　　　',　 ノ　　　　　_>､_r=┴､_/ 　/. 　| 　 l
.　　 　 　 ＼　　　 　＼/　　/　　　　∨　　 　 　 i! ヽy 　 　 ,} 　/　　 ﾄ　丿
　 　 　 　 　 ）　　　　ノ　　∧　　　 　 V 　 　 　 ﾉ　/　　 　./　/　　　|／



　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　／ 　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　|　_ノ　　ヽ､ 　 |
　　　　　　　　　　　　　|　（●）（●） 　|
　　　　　　　　　　　　　| 　（__人__） 　 |　　　　　　「……………」
.　　　　　　　　　　　　　l　　｀⌒ ´　　 }
　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　　./
　　　　　　　　　　　 　／:ヽ　　　　.ノ,'ヽ､--､
　　　　　　　　 ,.-‐,ｨ‐"/ゝ.ヽ.＿__ノゝ::::::::ヽ､:::ヽ.
　　　 　 　 　 /／::_,､/,';;;;;;;ﾞ;;;;;;;;;;;;;";;;;;|:ﾞ､::::_::ゝ､ヽ.
　　　　　　　ﾉ:::i￣／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l::::/::::::::::::l:::ﾞi
　　　　　　/:::: /::::｀ヽ,';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|／:::::::::::::::l:::ﾞ,
　　　　　　|:::::|::/::,ｨ '";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ､::::::::::::::::/::::､
　　　　　　l:::::;/:/:　 :|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::::::l::::::ﾞ,
　　　　　　i::::/,':　:　 |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ,::::::::::::::::ﾄ::::::}
　　　　　　〉/,':　:　 :/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|ヽ.::::::::::::::::ゞｲ
　　　　　/::/ﾄ:　:　: ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ､ヽ::::::::ｲ::::::|
　　　　 .',::::ﾞ､ヾ:　:　 :l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ:ヾ::::l::::::|
　　　　　',:::::l /:　:　:|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|:　:ヽ:::::|
　　 　 　 ',:://:　: .ィ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|:　:　: ＼
　　　　　 }/ }:　: /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|:　:　:　:　〉

85 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:24:00 Ri7DR6iY
三２３０．
――――――――――――――――――――――――――
　　そっと取ってみた腕は驚くほど冷たく、脈は弱くて―――
――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄｸﾝ………
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄｸﾝ………
　　　　　　　　　　,､-､__,-'´｀`‐､
　　　　　,､-ｰ-‐'´　　　　､　　　 ｀‐､
　 ,､-‐'´　　　　　､　　　　｀‐､　　 ..:::ヽ_,､-‐ｰｰ‐-､,._
　i　　　 ヽ　　　　 ＼　　.....::::｀i　　::::::::l　　　　　　　　｀` ‐- ､._
/ i　　　　 ＼　.......::::::i ..:::::::::::::l　　 ::::::l　　　　　　　　　　　　　　｀` ‐- ､._
!-‐ヽ、　....::::::i　　: : ::l　　　:::::l　　　::::l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀‐､
　　　 i　　　::::l　　　　l　　　　l　　　　.!　　,､　　　　　　　　 ､l　　　　　....ノ　　｀‐､
　 　 　l　　 : :l　　　　 l　　　 ﾉ ..::::::::/-'"´　ヽ　　 ヽ､　　　 ヽ:::::::::::::／ヽ｀`‐､　　｀‐､
　　　　l　.........l ::::.......:/:::::::::::://￣7/::｀､　　　｀‐､　　　　　　　丶￣ ヽ ｀‐､｀‐､｀‐､
　　　　i':::::::::::l :::::::::::/: ＿. /｀‐-‐'´::::::ﾉ　　　　　 ｀‐ ､　　　　　 ｀‐､　 ｀‐､ ｀‐､｀‐､
　 ,､-'´',i￣ l,!､-‐ｰiヽl　　l　 ヽ　 ', ／　　　　　　　　　 ｀`‐-､　　　 ｀､　　ヽ　 ＼
'´ ＼::::::｀‐-'ノ｀‐- ':::::￣:::ヽ　　',ノ　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　 ,､＼ﾝ ｀､　',
　　　 ￣￣　　　　　￣　　　｀`　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀‐､＼　＼　',　 ',__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ｀`‐-'´ ヽ､_',',ヽ



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　高司教や司教が居るにも関わらず、彼女が回復出来ていない事の意味。
　　ずっと寝ていただけのやらない夫にだってそのぐらい分かる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

86 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:25:00 Ri7DR6iY
三２３１．



　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　／ 　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　|　ヽ､_　 ／　　|
　　　　　　　　　　　　　|　（ー）（ー） 　|
　　　　　　　　　　　　　| 　（__人__） 　 |
.　　　　　　　　　　　　　l　　｀⌒ ´　　 }　　　　　　　　　「雪華綺晶………」
　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　　./
　　　　　　　　　　　 　／:ヽ　　　　.ノ,'ヽ､--､
　　　　　　　　 ,.-‐,ｨ‐"/ゝ.ヽ.＿__ノゝ::::::::ヽ､:::ヽ.
　　　 　 　 　 /／::_,､/,';;;;;;;ﾞ;;;;;;;;;;;;;";;;;;|:ﾞ､::::_::ゝ､ヽ.
　　　　　　　ﾉ:::i￣／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l::::/::::::::::::l:::ﾞi
　　　　　　/:::: /::::｀ヽ,';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|／:::::::::::::::l:::ﾞ,
　　　　　　|:::::|::/::,ｨ '";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ､::::::::::::::::/::::､
　　　　　　l:::::;/:/:　 :|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::::::l::::::ﾞ,
　　　　　　i::::/,':　:　 |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ,::::::::::::::::ﾄ::::::}
　　　　　　〉/,':　:　 :/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|ヽ.::::::::::::::::ゞｲ
　　　　　/::/ﾄ:　:　: ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ､ヽ::::::::ｲ::::::|
　　　　 .',::::ﾞ､ヾ:　:　 :l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ:ヾ::::l::::::|
　　　　　',:::::l /:　:　:|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|:　:ヽ:::::|
　　 　 　 ',:://:　: .ィ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|:　:　: ＼
　　　　　 }/ }:　: /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|:　:　:　:　〉



―――――――――――――――――――――
　　コナタを天秤にかけることを拒んだ代償。
　　これは、自分自身が選んでしまった道なのだ。
―――――――――――――――――――――

87 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:26:00 Ri7DR6iY
三２３２．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　だが、後悔をしている暇などない。
　　そんな暇があったら何とかするために突き進まなければならないはずだ。

　　たとえ、ボロボロの身体を引きずってでも。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ／　　　　 　 ＼
　　　　 　 　 　 　 |　　　　　 　 　 :|
　　　　 　 　 　 　 |　　　　　　　　.:|
　　　　　　　　　　 |　　 　 　 　　.::|
　　　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 　...::::|
　　　 　 　 　 　 　 ヽ　　　.......:::::/　　　　　　　　「待っていてくれ。
　　　　　　　　　　　 ヽ.......:::::::::::/　　　　　　　　　 すぐにでも妖術師との決着をつけて、必ず………！」
　　　　　　　　　 _, - ''"￣ ￣` ｰ､
　　　　　　　　　ヽ＿..:::-=―--:..、＞
　　　　　　　_＞'"::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　 斤ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶､
　　　　 .<:::::::::: 丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;::::::::i
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88 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:27:00 Ri7DR6iY
三２３３．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　決意を固める彼の背後で扉が静かに開き、
　　休憩から戻ってきたリリーナが謁見の間へ来て欲しいと言うので、
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　,. ' ´　　 .:.￣` ..､
　　　　　　　　　　　 　 　 　／　　　　　　:::::::ヽ::`.､
　　　　　　　　　　 　 　 　 /　 ／　　　　　　 ::::＼`､
　　　　　　　　　　　　　　/　/　　　　　　　　　:::::::＼、
　　　　　　　　　　　　　 ｨ! /　　　　　　　　:::.,.:::::::;::';:',
　　　　　　　　　　　　　 i:..!/ /　ｨ　/　/ i! !　';.';.:.:ヽ:i.|
　　　　　　　　　　　　　ｨ=ﾚ!::!:i!:i!:::! !..:!::..!::i!:::.i!:!::!::!:!:!
　　　　　　　　 　 　 　 ｛rj　`゛ｰ=_ト!::::i!::!!:ｨ:::/!//ソｿ'rj､_K
　　　　　　　　　　　　　ﾄ､ｊ　弋ﾃﾄ、'´` ｰ‐斗二イ/ｆｊﾄｊ,　`ﾚｒｊ､_
　　　　　　　　　　　　　|::::!　 `ー''　　　ｲ ｲ辷ソ /ｲ:!:',ｆｊ　　　ヽ'
　　　　　　　　 　 　 　 |::i::',　　　　　　 |　　￣　/´|:!!::', fjﾚ　　　　　　　　「ビップ様。
　　 　 　 　 　 　 　 　 i　!:::.',　　　　､ ,..!　　 　 /|:::i!!';';:`<!.tj
　　　　　　　　　　　　 i.:i!::i!::ﾄ､　　ｰ_;:-ｨ　　.イ!!i!:::!:';:';';::`、ヾ　　　　　　　 お父様がご挨拶したいと………」
　　　　　　　　　　　　 |:!:::i!:ﾉ　＼　＿　イ::::::!i!!!:::::!::!ﾄ;:';';:`､
.　　　　　　　 　 　 　 ,レｲ　ﾞ､二_ l | |l　ヽ　`く.;';!: :::i:::i:. :';:':;.ヽ、
　 　 　 　 　 　 , - '´ 〉 └--ヽ. ┤l｜l ヽ｀､イ丶､ ::!､ _:. :::::::.＼
　 　 　 ._,､-＜　　　ゝ-'　l　／＼|｜l　l.　l |　Zｲ　` ｰ ,､ _ .::::::..＼
　 　 . /　　　 ヽ　　 （　 　 l　＼ ヽ|｜ l　 ﾘ　〉 〉 　 　 l　　ヽ.:::::::..＼
.　 　 |　　 　 　 ﾞ､　　ﾚ-､ _ l　＼＼＼ |　/／l rゝ　　 ｜　　 l.::::::::::..ヽ
　　　|　　　　　　:　　　　"/ ヽ｀丶､ ｀ ヽ/' ノ l,ﾆゝ　　　|　　　|



　　　　　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　 ／　　_ノ　'ヽ､_
　.　　　　　　　　　　 ｜　 　( ●) (.●)
　　　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　 　 |　 　 　 　 　 |　　　　　「分かりました、参りましょう」
　　　　　　　　　　　　　j､_ 　　　　 　|
　　　　　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r＜
　　　　　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ
　　　　　　　　　/ .:::/.:.:.: : : : : : : :.:.::..＼
　　　　　 　 　 ,' .::::/.:.: : : : : : :.／ ⌒ 、ヽ
　　　　　 　 　 i .::.::.::.:. : : : : :　.:.:.:.:.:::::...ヽ:.',
　　　　　　　　 i ::::.::.::.::.:.: : :/ .:.:.:.:.:.:.:.::::::: }::
　　　　　　　　 i ::::::.::.::.:.:.:.:/ .:.:.:.:.::::::::::::: ,.:: i
　　　　　　　　 ', :::::::::::::::く .::::::::::::::::／:::〈:::: |



――――――――――――――――――――――――――――
　　振り返ったやらない夫はもう一度雪華綺晶の手を握ってから
　　そっと部屋を出た。
――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　──　──────────────────　──　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　──　────────────　──　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　─　──　─　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　　- -　-

89 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:28:00 Ri7DR6iY
三２３４．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　　- -　-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　─　──　─　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　──　────────────　──　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　──　──────────────────　──　--　- -

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　忙しそうに行き交う大勢とすれ違いながら城内を進む。

　　その間二度ほどめまいがしたが、気合いで保たせた彼は
　　やがて到着した謁見の間の入り口でまず一礼し、赤い絨毯を王座の前まで進んで恭しく跪いた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
|　　父上。　　　　　　　　　　　　　　 　 |
|　　ビップ様をお連れしました。 　 　 |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ　 ／: : : : : :f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ..: : : : ::＼＼／
::::|　 　｜　 　 　 .|　　　|: 　＼: : :／∨　/:＼ : : : ／|　　ご苦労だった、　　　 　 　 |ﾞ＼: : :／ ∨　/
::::|　 　∧　 　 　 :|　　　|::|:...　∨　　 |　 |: : : ＼/ 　 |　　お前は下がっておれ。　　|......∨　 　 |　 |:
::::|─　| :| ‐──┘　　└─‐. |　　　|　 |: : : : : |.　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ. ‐　| 　　　|　 |:
::::|　 　|_:|　　　　　　　　 　 　　|　　　|　 |: : : : : |　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　|　 |:
::::|￣　| :| ￣￣￣|　　　｢:|￣　|　　　|_　|: : : : : |　￣￣￣｢|　　　|￣￣￣￣｢:|　　　|￣　| 　　　|　_|:
::::| 　　| :| 　 　 　 |　　　|::|　　 |-‐'''"|　 |ﾞ :‐-.::;|　　 　 　 |:|　　　| 　 　 　 　|::|　　　| 　　|-‐''' ﾞﾞ|　 |｀
::::| 　　| :| 　 　 　 |　　　|::|　　 |　　　|　 |: : : : : |　　 　 　 |:|　　　| 　 　 　 　|::|　　　| 　　| 　　　|　 |:
::::| 　　| :| 　 　 　 |　　　|::|　　 |　　　|　 |: : : : : |　　 　 　 |:|　　　| 　 　 　 　|::|　　　| 　　| 　　　|　 |:
::::| 　　| :ﾄ､　 　 　 　 　 | 　 　 |　　　|　 |: : : :　　　　　 　 |:　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　 |:
::::| 　　| :ﾄ､＼　　　　　　　　　　　 　 |　 |: : :
::::| 　　| :|∨:||　　　　　　 　 　 　 　　|　 |: :
::::| 　　| :|│:||　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |
::::| 　　| :|｜〔三三三〕
::::| 　　| :|└──＜| |
::::|　　〔三三三三三三〕
￣厂￣￣￣￣￣￣￣￣厂￣￣￣￣￣￣｢|
￣￣￣￣厂￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣厂￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣厂￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

90 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:29:01 Ri7DR6iY
三２３５．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　リリーナに下がるように言ったエギーユが不要、と首を振ったので
　　それではと立ち上がって自己紹介をすると、
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　「お初にお目にかかります。
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　冒険者やらない夫＝Ｄ＝ビップと申します」
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ￣ ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 !､　　　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　　　「エギーユ＝Ｄ＝フリートである。　　　　　　 　　　　　　〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　　 此度の魔竜撃破、そなたの力なしには　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　　　　 なし得なかったと聞く。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |
　　　　　　　　　　　　 この国を代表して感謝の意を表明する」　　　　　　　　　　j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ノ　 _／イ~｢` （　_ﾉr'　　／　＼＿＿_　　　　　.//



―――――――――――――――――――――――
　　聖王は最大級の賛辞を以て少年の功績を讃える。
―――――――――――――――――――――――

91 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:30:00 Ri7DR6iY
三２３６．



　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿__
　　　　　　　　　　　　 ,ｲ　　　　　　 ､
　　　　　　　　　 　 　 |　　　 　 　 　 i
　　　　　　 　 　 　 　 |　　　　　　 :.　|ー-----　．
　　　　　　　 　 ／///!ヽ,.__ｊヽ､__,.ｊ　;ﾄ ////////x＞ ､
　　　　 　 　 ／/////.!　ｰ‐ヽ' ー　| |i:､///////////.＼
　 　 　 　 ／///////ﾉ(_＿ 入 __ )ﾞ |j::.∨///////////∧　　　　「過分なお言葉をいただき、
　　　　　////////// j| '､ ´　｀／;__j/＼ﾞ////////////,∧　　　　恐縮に存じます」
　　　　　|//∧V///´｀ﾄ､__ ￣　　_ノ,//////////V//////∧
　　　　　|///∧V////,＼　￣l￣////////////V////////}
　　　　　|////∧//////,｀､／二ﾌｰr ´ﾉ///////}////////j
　　　 　 j/////从/////// 　 　 　 ／j///////∧///////.j
　　　　　|//////｀i∨////　　　　　／////////,人//////.(
　　　　　|///|///,1､_,､_,<　　 　 ／j//////, ﾍ//く ゝ＜zx/∧
　　　　　'V//|////ヾ///∧　,.イ　i////////////,V///////i
.　 　 　 　'./／//j///////,ﾇ　|　 |/////////////.!///////i
　　　　　　i//////////／//j､j＿ｊ/////////////.l/////;／
　　　　　　｀ヽ_ノ＿,．イ:////,;;|＿_X////////////.:l´￣
　 　 　 　 　 　 　 　 ///／/ﾑV|ji//＼///////////j
　　　　　　　　　　　/,;／////ﾑ;|j////＞x＿__/////.i
　　　　　　　　　　 /ｲ////////∨//////////＼__/j
　　　　　　　　　　////////∧////////////////ﾍi
　　　　　　　　　 //////////∧///////////////,|
　　　　　　 　 　 '///////////:＼//////////////|
　　　　　　 　 　 |/////////////i//////////////|
　　　　　　 　 　 |/////////////|//////////////|



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　できれば自分だけではなく、仲間達にも言って欲しかった―――とは口にしない。

　　たとえ歴史の長いフリートとて、
　　否、長いからこそエルフやハーフ・エルフ、
　　女性に国主自らが謝辞を述べるのは難しい事なのだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

92 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:31:00 Ri7DR6iY
三２３７．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　対するエギーユは、丁重に頭を下げた二十歳前の少年を値踏みするように観ていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（この少年が………）　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' |.| ﾚ'__二ﾌ′ ｨ'　　　　　 　 　 |

93 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:32:19 Ri7DR6iY
三２３８．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　彼がローゼンを、そしてエゥーゴを救い、
　　噂からの推測ではあるがミツカミでも何らかの活躍を見せた少年か、と。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ￣ ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 !､　　　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　「そなたの噂は耳にしている。　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　　　　　　 その若さで随分と活躍しているそうだな」　　　　　　　　　! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　「多くの方々に支えられ、仲間に助けられての事です。
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　　　私一人ではどれもなし得なかったでしょう。
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ　　　　　　　　　　 無論、今回の件もそうです」
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|



――――――――――――――――――――――――――――――
　　だが、緊張感に似た空気を崩したのは
　　ごく最近から東の英雄と呼ばれる事も出始めた少年の方だった。

　　自分の行いを誉めていただけるのでしたら、
　　手を貸してくれた仲間にも力添えをいただきたい。

　　暗に含ませて言うと、
――――――――――――――――――――――――――――――

94 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:33:09 Ri7DR6iY
三２３９．
――――――――――――――――――――――
　　口ひげを綻ばせたエギーユは
　　できる限りの事はしよう、と大きく頷いてくれる。
――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　「セラフ殿の事は聞いておる。　　　　　　　　　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　 我々はどのような協力も惜しまぬつもりだ」　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' |.| ﾚ'__二ﾌ′ ｨ'　　　　　 　 　 |



　　　　　　　　 　 　　　-――――-
　　　　　　　　　　 /　　 　 　 　 　 　 ｀,
　　　　　　　　　　 ｌ　　 　 　 　 　 　 　 i
　　　　　　　　　 　|　 　 　 　 　 　 　　 |
　　 　 　 _ ―ヘz7i　　　　　 　 　 　 　 |∧､ー ､
　　　, ＜/////∧i　　　　　　　　　　　 i/,j////∧､_＿　　　　　　「ありがとうございます。
　 ／///////,ｲ/∧ﾍ､＿__ノ ﾍ､＿_.ノ∧/ﾍ/////////j丶　　　　 どうかよろしくお願い致します」
／/////////jZ/_∧ ( ｔ::ﾃ ) ( ｔ::ﾃ ) ∧//Z////////X/∧
//////////＞＜/∧､( ＿.人 ＿ )∧＞＜V////zZ///∧i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　この場合、出来る事と言っても常識の範囲内であることは想像に難くなかった。

　　自らが神聖魔法を使えない以上、誰かを頼らざるを得ないのが歯がゆい。
　　国王への負担を願うには一歩及んでいない。

　　内心の無力感を押し隠し、頭を下げたやらない夫に口を開く様子が見られなかったので、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

95 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:34:01 Ri7DR6iY
三２４０．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　聖王はそろそろここへ呼んだ本題に入ることにした。

　　当然彼も、住民達に広まっている噂の真偽を確かめばならないと思っているのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　「して、聞いても良いであろうか。　　　　　　　 　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　 ビップ殿はなぜフリートに？　　　　　　　　　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　 魔竜の出現を察知していたのであろうか」　 　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' |.| ﾚ'__二ﾌ′ ｨ'　　　　　 　 　 |



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　「私達がアルビオンを訪れたのは偶然でした。
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　　　　 この町で知り合ったもう一人と共に
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ　　　　　　　　　 一度町を離れて戻ってきたところで、
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　　　　　　　　 魔竜騒ぎに出会したのです」
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::

96 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:35:00 Ri7DR6iY
三２４１．
―――――――――――――――――――――――――――
　　無論、事情聴取だけで何が分かる、との思いもある。

　　されど善悪を超越し国益のための判断を許される者として
　　彼の人となりを知っておく事は悪くない。
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ￣ ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 !､　　　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　「なるほど」　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　　（偶然………　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　　　　　　　　　彼自身に嘘は無いであろうが　　　　　　　　　　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　なるほど良く目立つ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　　　　　　　　　追跡しようと思えばできるのかも知れんな）　　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ノ　 _／イ~｢` （　_ﾉr'　　／　＼＿＿_　　　　　.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__,..ノ" 　 | .|　 //　/　／　　　　ヽ.__　￣｀ｰ-､.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　| | ,//　/／　　　　　　　　＼､　　 ∑>==r'fｱーｧｰil



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そしてまず一つ。
　　追跡の可否については可能、と位置づけた。

　　―――これは後々、謳い手が彼の足跡を追い続けることができたことからも間違いではないだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

97 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:36:00 Ri7DR6iY
三２４２．
―――――――――――――――――――――――――――
　　しかし、手持ちの情報だけで判断するのは性急すぎる。

　　彼ら自身からも今回の事について聞いてみたいと言うと、
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ￣ ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 !､　　　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　「此度の件については謎も多い。　　　　　　　　　　　　　　　　! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　　　　　　　 そなたらと意見を交わしたいと思っている」　　　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ノ　 _／イ~｢` （　_ﾉr'　　／　＼＿＿_　　　　　.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__,..ノ" 　 | .|　 //　/　／　　　　ヽ.__　￣｀ｰ-､.//



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　「是非お願いいたします。
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　 私達からも、聖王様にお伝えしたい事がありまして」
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



――――――――――――――――――――――――――――
　　その必要を感じていたやらない夫も同意した、のだが―――
――――――――――――――――――――――――――――

98 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:37:00 Ri7DR6iY
三２４３．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それは………　　　　　　　　　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 エゥーゴの妖術師の事かね」　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' |.| ﾚ'__二ﾌ′ ｨ'　　　　　 　 　 |



　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　　|　　　 （ ー）（ー）
　　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　「………はい」
　　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　答えるまでに一瞬の間があった。

　　おそらくエルはまだ、ライト＝ヤガミの事についてはフリート側に話していないはず。
　　なのに、その名が聖王の口から出たことに違和感があった為だ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

99 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:38:00 Ri7DR6iY
三２４４．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もしかしたら黒ローブ目撃談が聖王の耳にも入っていて、
　　エゥーゴから発信された妖術師への注意喚起に結びつけたのかも知れない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ￣ ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 !､　　　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「分かった。　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 十七時からの報告会に　　　 　　　　　　　　! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 同席してくれたまえ」　　　　　 　　　　　　　　j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ノ　 _／イ~｢` （　_ﾉr'　　／　＼＿＿_　　　　　.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__,..ノ" 　 | .|　 //　/　／　　　　ヽ.__　￣｀ｰ-､.//



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　「畏まりました」
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::



――――――――――――――――――
　　この時は、やらない夫もそう考えた。
――――――――――――――――――

100 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:39:00 Ri7DR6iY
三２４５．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　要件を終え、少年が謁見の間を辞した後。

　　エギーユは王座にもたれかかって高い天井を仰ぎ見ると、
　　かつて彼の行く末について言及したローゼンの女王を思い出していた。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　（ローゼンの女王よ………　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　 そなたはこうなる事を　　　　　　　 　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　 予見していたと言うのか………）　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' |.| ﾚ'__二ﾌ′ ｨ'　　　　　 　 　 |



――――――――――――――――――――――
　　彼女は言った。
　　困ったことがあったら英雄が現れるだろう、と。
――――――――――――――――――――――

101 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:40:00 Ri7DR6iY
三２４６．
――――――――――――――――――――――
　　エゥーゴはまさしくその通りになった。
　　ならばフリートも同様なのではないのか。

　　たまたま英雄が事件に引き寄せられただけで、
　　彼自身に原因は無いのではないか。
――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ￣ ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 !､　　　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（もし、そうだとしたら―――　　　　　　　　! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 重いな。　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 途轍もなく………）　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ノ　 _／イ~｢` （　_ﾉr'　　／　＼＿＿_　　　　　.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__,..ノ" 　 | .|　 //　/　／　　　　ヽ.__　￣｀ｰ-､.//



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　妖術師の再侵攻も考えられると言うのにその答はまだ得られそうになく、
　　これからどうすれば良いのかも霧の中だった。
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━━━━━━━━━━━…

102 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:41:00 Ri7DR6iY
三２４７．
━━━━━━━━━━━…
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――――――――――――――――――――――――――――――
　　午後一時。

　　テーブルの上で手帳を広げていたやらない夫が考え込んでいると
　　まず、暗い面持ちのエルが戻ってきた。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::/:::i::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::/::::i:::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./:::/:::::l:::/::::::::::::::::i::ヽ::::::::::::::::::::＼::::::::::＼::＼::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::i::::::l:::l::i:::::::::::::::::l::人::::::::＼:::::::::::＼::::::::::＼:ヽ:::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::ii:::::i:::::i:::::::::::::::::l:||__ヽ::::::::::ヽ:::::＼ヾ:r======ヾ::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::i i::::l::::::i::::::::::::::::i「:::i　ヽ:::ヾ::::＼::ヽヾ|:;;;l|　　:/　＼:::::::::::::ヾ::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::l i:::l::::::i:::::li:::::::::::i;::;:il　/i＼ヽ　　＼丶ﾐ=≡彡´　　＼:::::ヽ::::＼:::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::i　l::i::::::i::::l:::::::::::::ｉﾐ彡´/　　ヽ＼　　ヽ　￣　　　　　　ヾ:::::ヽ:::::::ヽ::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::i　 l:li::::::l　 l;::::::::::i　 　/　　　　　　　　＼　　　　　　　　i::::i::i:::ヾ::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 il　　l　i:::i　　i::::::::i　 く　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::i　ｌ:l:::ヾ::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　i:::l　　l:::::::::ゝ　　ヽ　｀丶　　　　　　　　　　　　　　i::i　i:l::::::ヽ::
　　　　　「いま戻りました」　　　　　　　　　　 　 i::l　 　i::::::;丶　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:i　i:l::::::l::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ll　　　l::::i::::丶.　　　.　____　　　　　　　　　　　　:::i::;:;l;;:::l::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　／　 i::::l:::iヽ.　 ﾞヽニニﾆ=｀__　　　　　　　:::::::l／l::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　l:l　l:::丶　.::::..---‐‐　　　　　　　　::::／::::::::i:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　i:　　i::l ＼　　　　　　　　　　　:::::／:::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　i　　i:i　 　ヽ　　　　　　　　:::::;／:::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　 　i　　　　ヽ.　　　　　.:::／::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､＿__::／＼::::::::::::::::::::::::

104 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:42:00 Ri7DR6iY
三２４８．



　　　　　　　　　 _,-,ﾆ二ニ=､
　　　　　　　　／／
　　　　　　　 /:/
　 　 　 　 　 ヾ`､
　　　　　　　　＞+:‐: ´:￣: ￣: :`:'￣:l.､＿＿＿,／
　　　　　　／: : : : ／: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´
　　 　 　 /: : : ／: : : : : : : :/: :/: : : : l: : : : ､:＼
　　　　　l: : : /: : : : : : : : :/: /l: : : : ∧ l: : : :ヽ: :ヽ
　　　　 /: :/: :/: : : _,:_∠Ｌ､:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ
　 　 　 l: /://: : : : :／::/':::::/: : : /::::-H､: : : : : lト､: ヽ
　　　　l://://: : : ｲミ土=､_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l　｀ヾ､
　　　　l/: :l l: : : ｲ:llo:::::::/:::/://:::テﾃヵl: : :ﾊ: : l
　　 　 l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l
.　　　 l: : : W/: : N　　　　 　　 ､ `‐':::l::l: : lN　V
.　　　 l: : : : :ﾊ: : : ト､　　 ー=　　　 ノlﾊ: :ハl
　　　 l: : : : : :､: : : 「ﾌ｀‐- ,､-┬:Ｔ´: :l　l/　　　　　　　「ただいま………」
.　　　l: : : : :,レ､: : :ヾ､　　/､｀Y/:l:l: : l
　 　 /: : :rﾆミミヽ: : ヾ､-─┤ `┤: : l
　　 /: : /￣＼ヾヽ: : :ヾ､　　 l　　ll: : l
　　/: : /　　　 ヽヾヽ: : lヽ　　l　 /l: : l
　 /: : /　 　 　 l ＼ヾ､: l ヽ　 l //l: :/
　/: : :l　　 　 　 l ハ ヾ､l､､l　 l////l



　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
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　　　　　　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀､
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　　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::.／ヽi､}:.,､.:.:.:.',
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　　　　　　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._＼/　　 　 　 　 |:.:.::.::l
　　　　 　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ /ヽ iｿヽ､　 　 　 　 |:.:.::.:.l
　　 　 　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//　｀ー ´｀ｰ'　＿.ノj:.i/:.:.j
　　 　 　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:l　　 　 　 　 　 　 /ｿ7´/::.|:.:/
　　　 　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　　,rw .､ 　 　i／:./／|/　　　　　「私が最後ね、
　　 　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀ ､　乂＿Ｙ　 イ.:.:.:.:´i:.:.{　　　　　　 さっそく始めましょう」
　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_　 イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
　_,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|



―――――――――――――――――――――
　　数分遅れて入ってきたコナタとキャスターも
　　何かがあったと窺わせる表情だったので、
―――――――――――――――――――――

105 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:43:03 Ri7DR6iY
三２４９．
―――――――――――――――――――――――――
　　頬をかいた彼が一体どうしたんだ、と三人を見回すと。
―――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | 　（●）（●）　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　!　　（__人__）　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「どうしたんだ、三人とも」　　　　　　　　 /　ミ）　　 　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　|　|／|　　　　 |　|



　　　　　　　 　 　 　 ,..::;ﾆ＝-､
　　　　　 　 　 　 　 i::/　　 　 、
　　　　　　　　　　　,ゞｰ--‐::':::|,..-;:ァ
　　　　　　　　　／:::::::::::::::;::::::::!::::::｀丶、
　　　　　　　　/::/::::::::::/:/|;:::::;!i::i::::::....､ヽ
　　　 　 　 　 l:/::;'::::'オ/|::|:::/:廾!::::::::::ﾞ:.ヾ:、
　　　　　　　 ,!,イ:::::/ !':|:l::l::/::::::lﾊ:::::|;;::::l
　　 　 　 　 /i:::::!::/ｉTﾆT::,!;':::ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
　　　 　 　 　 !:（|:'!::l::ﾟ‐':::/:::::::ﾟ‐：!:}::!　 ﾞ!
　　　 　 　 　 |::::M::::!､　 　_ 　 .ィ:i!ﾘ　　　　　　「それがさ。
　　　 　 　 　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::| 　 　 　 　 　 変な噂を聞いたんだよ」
　　　 　 　 　 !::::|x<!:l　 |―|　,l:::|:::!
　　　　　　　 l::::::;!ヾｌ:ﾄﾐヾ、l〃!:ハ:|
　　　　　 　 ,':::::::|　 ヾ＞ﾐV∠}′ i|
　　 　 　 　 l::::::::{　,r=-=ニＬ._〉,ノ l|
　　　　　　 ,!:::::::::l　　　 　 |l!l!|´ 　 |!
　　　　　　 !:::::::::::ﾄ、　　　|＜　＿/:|
　　　 　 　 !::::::::::::ﾞ7ー イ丁´「 〈::::::|
　　


――――――――――――――――――――――――――――
　　向かい側にどっかり腰を下ろしたコナタが不愉快そうに言い、
――――――――――――――――――――――――――――

106 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:44:00 Ri7DR6iY
三２５０．
――――――――――――――――――――――――――
　　おそらく同じ噂でしょう、と隣と斜向かいに座った二人も
　　同様である事を認める。
――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　 　 　 　 ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　 　 　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　 ／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　 　 　 　 　 ／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　 　 ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　 　 　 　 　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　 　 　 　 ､ _｣ ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　 　＼　　　‐--- ／|:/
　　　 　 　 　 　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／ 　.ｿ　　　　　「私もです。
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　 　 ／ヽ- '　　　　　　　　　　どうやらアルビオン中に広まっているようですね」
　　　　　　　／　　 ヽ､　　　　　_ ｲ
　　　　　 ／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　 　 　 　 ー┴､
.　　 　/　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　/　 　 　 　 　 　 ＼　　　　 |､
　 　 i　　　／　　　 　 　 ＼ 　 　 ﾊ
　 　 |　　/　　　　　　　　　　ヽ　　 |
　 　 |　 ,'　　　　　　　　　　 　 }　　|



　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
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　　 　 　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l　u　　　 　 　 　 /ｿ7´/::.|:.:/
　　　 　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　＼ ..,,＿　 　i／:./／|/　　　　　「私も聞いたわ。
　　 　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀ ､ 　 ｀ー ´,　イ:.:.:.:´i:.:.{　　　　　　 ついでに、聖王様のお耳にも入っているともね」
　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_　 イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
　_,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|

107 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:45:00 Ri7DR6iY
三２５１．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もしかして聖王がライト＝ヤガミの名を出した事に関係があるのだろうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ⌒´ ヽ､,＿　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （__人___）　　 　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､｀⌒ ´ 　 　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-ｰー|　　　 　　　　|ヽ________
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /:::::::::、::|　　　　　　 /ﾚy:::::::...　｀' ｰ-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 l:::::::::::::::::::ヽ__､____,.　"/::::/::::::::::::::..　　 ヽ
　　　　　　　　　　　「とにかく、詳しく聞かせてくれ」　　　　　　 　 　 　 　 j:::::::::::l:::: ::::::「二二二 :::::::::::::::::::::::::::::::::::　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l:::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::／＼::::::::::::::::::::::/:::::::::::　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::ｰ-ミ､:::::::::::::／　　　 ＼｀>- 、::l:::::::::::::::::　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::::::::ヽ:::／　　　　　／ ／ ノ~ヽ::::::::::::::::::　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /::::::::::::::::::::::／／　 　 　 |　　j　/ ,y　j⌒ 、::::／::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::::::∨／___＿＿|＿|＿ ~└t_,.ｲ__√　 }ヽy ⌒ ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::∨　＼　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼:::ﾉ::::::::::::::　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::-‐‐┴､　　 ＼　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼::::::::::::::　|



　　　　　　　 　 　 　 ,..::;ﾆ＝-､
　　　　　 　 　 　 　 i::/　　 　 、
　　　　　　　　　　　,ゞｰ--‐::':::|,..-;:ァ
　　　　　　　　　／:::::::::::::::;::::::::!::::::｀丶、
　　　　　　　　/::/::::::::::/:/|;:::::;!i::i::::::....､ヽ
　　　 　 　 　 l:/::;'::::'オ/　!:::/へ|:::::::::::ﾞ:.ヾ:、
　　　　　　　 ,!,イ:::::/ !′ l::/　 .lﾊ:::::|;;::::l
　　 　 　 　 /i:::::!::/iTﾆT ,!;'　ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
　　　 　 　 　 !:（|:'!::l ゜┘/　　ﾟ‐：!:}::!　 ﾞ!
　　　 　 　 　 |::::M::::!､ 　 ο　 .ィ:i!ﾘ　　　　　「あのね………」
　　　 　 　 　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::|
　　　 　 　 　 !::::|x<!:l　 |―|　,l:::|:::!
　　　　　　　 l::::::;!ヾｌ:ﾄﾐヾ、l〃!:ハ:|
　　　　　 　 ,':::::::|　 ヾ＞ﾐV∠}′ i|
　　 　 　 　 l::::::::{　,r=-=ニＬ._〉,ノ l|
　　　　　　 ,!:::::::::l　　　 　 |l!l!|´ 　 |!
　　　　　　 !:::::::::::ﾄ、　　　|＜　＿/:|
　　　 　 　 !::::::::::::ﾞ7ー イ丁´「 〈::::::|



――――――――――――――――――――――――――――――
　　そんな事を考えながら別のページを開いたやらない夫に向けて、
　　最初に口を開いたのはコナタだった―――
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　- -　--　──　──────────────────　──　--　- -
　　　　　　　　　　- -　--　──　────────────　──　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　─　──　─　--　- -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　　- -　-

109 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:46:00 Ri7DR6iY
三２５２．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　　- -　-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　- -　--　─　──　─　--　- -
　　　　　　　　　　- -　--　──　────────────　──　--　- -
　　　　　- -　--　──　──────────────────　──　--　- -

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　魔竜の背後にエゥーゴの妖術師あり。
　　妖術師の狙いは英雄であり、アルビオンはそれに巻き込まれた―――

　　三人から同じ話を聞かされた彼はテーブルに両肘をついて顔を手で覆った後、
　　とてもとても苦しげに言った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　──　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　 /　 　 　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,′　　　　　　　`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　_ 　　　　 ∨──-┐＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /y^YﾍﾊLヽ　 f＼ , ＼＜／___＿＿＿／|
　　　　　　　　「俺の………せいで………？」　 　　　　　　　　　人! .| ﾄ､ヽ＼`ｰ,’ 〉}/ /:::::`-＜__////Y/ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::^ゝへ_ `　　___ｨ_/ /:::::::::::::／:::::＼/ i//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .j::::::::_ﾑｭｰ､＼／:::::::::| /:::::::::::::::::::::::::::::::Y:i//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:＼/.::::::::::::::〉〈::::::::::::::{::::::::::::}/::::::::::::::::::::}:|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 }:::::/::::::::::::::::ｲ:::}:::::::::::::::{::::::::::/:::::::::::::::::::::,' |//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:x、　　　　 /／::::::::::::::::Λ{;;;|:::::::::::::::i:::／::::::::::::::::::::::ｲ./|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ＞x、　 }':::::::::::::::::::/::::N;;;|::::::::::::::::V:::::::::::＼＿__/ |/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ x　　＞ﾍ::::::::::::::::/::::::::::V|::::::::::::::::::V::::::::::::＼::/..:::ｉ/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ZZZ>＞x　 ゝ..___, ハ::::::::::::::{::::::::::::::::::::'.::::::::::::::７::::::::{/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ZZ/ /ZZZ＞x　　 　＞x、::Λ:::::::::::::::::::}::::::::::／::::::::::|/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Z/ /ZZZZZZZ＞x　　　　 ＞';:::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::|/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ ＼ZZZZZZZZZ＞x､　　　 ゝ::::::::::::::ィ:::::::::::::::::::::::|/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ﾞ＜` ＜ZZZZZZZZ ＞x､　　　￣＞x、:::::::::::::::: ｛/|//|

111 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:47:00 Ri7DR6iY
三２５３．



　　　　　　 , '::::::::〃:::::::::::.i::::::::ヽヽ:ヽ ::::::､::::::::::::::::':::､､,__
　　　　　_ｨ:::::::::〃::::::::::::l!::!:::::::::::＼ヽヽ:::::ヽ:::::::::::::::::::t=ｰ-.
　　　 _ｨｼ='7:::〃::::ｨ''|!i:::!i::,::::::､::::::ヽ::::::':,',､;,:::::::::::::::::::::ﾝｯy､,_
　　´"　　/::::::/:::/,.-ｬj:::l 'i!';::::i＼::::ヽ:::::::',',',i!::::::::::::::f"''''＝=-''
　　　 　,.ｼｨ::::::::ｿ !. (::)ﾘ!　ﾍ',:::l,,､ﾇ;:::ヽ::::::',',',':::::::::::::::',
　　　 〃 ｼi::::::::ｌ 　｀""゛　　` 'ﾘ (:::)ﾔ､:ヽ:::!:','::::::::::::::::',
　　　 '　'　.ｌ::::::::l　 　 　 　 　　ヾ'''''" Y:::::::::::::!::::::::::::::::',
　　　　　　i::/ｌ::::!　　　ヽ　、 　 　　　 ｌ:::::::::::::::'::::::::ｯ::::::',
　 　 　 　 l/　!:::'､ 　 ｧ､.　　　　　　　 !:::::::::::::::::ｫ:::::!';::::::',　　　　　「その結論を出すには早すぎます。
.　 　 　　 ,!. 　|/ ';､. ヾﾐ.`j 　 　 　 ,イ::ｧ:::::::::::::::i '､::',ﾔ::::､
　　　　　　　　" . ';ヽ　　　　　,､y'´ /ｼ ｌ::::::ヽ:::::ｌ　ヾ;　゛丶 　 　 　 大体、やらない夫に復讐して何の意味が………」
　　　 　　　　　　　'|!`=tｰ:::'"／　 /'　 ﾊ::;::::il!';::!
.　　 　 　　　　　　　　　'i::: '　　　　　　　ﾘ ｿ ヽ'ﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　!'i　　　j　　 　 　 ~ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ﾘ ､　／　 ―ー '''"""f,
　　　　　　　　　　　　　 / _冫'''~ 　 　 　 　 　　 ',
　　　　　　　　　　　　／ ´　　 ,､　　　　￣~ ヽ　 'i
　　　　　　　　　　　l!~　　　　/　　　　　 　　　ヽ.　!
　　　　　　　　　　　ｿ. 　　　/　　 ﾝ　　　　　 ､　',　l
　　　　　　　　　　 /　　　 /　　 / 　 　 　 　 　',　', 'i
　　　　　　　　　　/　　　 '　　 / 　 　 　 　 　　 i.　', ｌ



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　やはり衝撃は計り知れないものなのだろう。
　　数千人の被害を出した事件の原因が自分にあると思われたら当然だ。

　　だが、項垂れる彼に裏付けのない噂ですと言ったエルは次に、
――――――――――――――――――――――――――――――――

113 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:48:00 Ri7DR6iY
三２５４．
―――――――――――――――――――――
　　自分で言っていて矛盾していると唇を噛む。
―――――――――――――――――――――



　　ヽ、　ヽ:.､､,
､、　 ヾ､:､.ヾ::::ミｰ:.､､,,
､::::`=:..､_ヾミ::`:::::::ヽ､:::::`:ｰ.､.ヽ、　､
.｀ヽ､:::::::::三"ﾆー-::...ﾆ=-:､::､::ヽヽ .i:!
-ｰ '''''ーﾆ三ニ‐:::-ニ三ﾆ::::::::ヽ::::iﾉ::i
:::::::::::￣::::::::::::::ン:三＝ー-:::::::::::::::::::ﾘ
::::::::::::::::::::ン:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ソ､
ｯ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::,::::::ンノｿ
::::::::::::::::::::／::::ン::::::::::::::ｪ＝ ":::／/::::ﾊ
:::::／::::::::::::::ﾝ:::::::::::::／::::::／／/:::::::::::::i
::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::'::::::::::::::,:':/::::i
::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::ﾝ:::::,::':::::::,':::::i!
::::::::::,:::::::':::::::::::::::::::ｯ::::::;ﾝ::::::::::/:::::::::f'i:!
=ｨ::::〃:::::::::::::::,:::'ﾝ-'''／/::::／ ﾔ::::/ i:!
./ﾊ:::::::〃:::::::/ '"　　 ／" 　..　,ｿiﾘ　!
ヾ. l::::/' ',::il::/ヽ 　 　 　　 _... ﾝ　i　 '
.ヾ､ﾘi　　ﾘ ｿ　 :::ヽ、　￣‐'／ 　 i　　　　　　「………すみません。
　 ','ｿ ヾ､_,... ｯｨ'ﾉ´. `　..／ /　　k　　 　 　 　 私が言えた義理じゃないですね」
　　i ヽ､__ ,ノ ／　　,　/ ／ 　　　 i
　　 i '' ‐-‐ '　　 ／/,　'　, '　⌒　 i
　　i:: '　　　　 ／ .ｨ , ',　'　　　　　 i
　ｨ:　　　　,..::'　,.:':::i ／/_r/　　　　 I
　 ヽ　 　' ::　 /　 Y／´　　　　　　 i

115 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:49:00 Ri7DR6iY
三２５５．



　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.､
　　　　　　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀､
　　 　 　 　 　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:／／:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..､:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::.／ヽi､}:.,､.:.:.:.',
　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. ／　　　 ｀ｰ|:.:.:.:.:l
　　　　　　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._,-‐/ ..,,__,　　 　.|:.:.::.::l
　　　　 　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ /{ r ,､Yヽ_　　 ,,､ 　|:.:.::.:.l
　　 　 　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//｀ｰ'-　｀　 　,r‐､ヽj:.i/::.j
　　 　 　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l　　 　 　 　 　 　 /ｿ7´/::.|:.:/
　　　 　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　　　, ‐-､　　i ／:./／|/　　　　　「たとえそうだとしても、貴方に責任があるわけないじゃない。
　　 　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀ ､　 （｀ヽノ,　イ:.:.:.:´i:.:.{　　　　　　　気に病む必要はないわ」
　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_｀, イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
　_,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|



　　　 /:.／　　　　　　 ヽ
　 　 ｛:/　　　　 　 　 　 |
　　　 l{
__,,... . .ゝ,,_
: : : : : : : : : :｀:`: 丶. .､,,＿＿
.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ; ｀i
: : : : : : : : : : :./: : : : :,!i: : : : : : ﾄ.、
.: : ; :'′　　 /　　　 /　!　　 　.l: :.ヽ
:／: : : : : ; ｲ: . . . ∨ 　 !. . : : :l: ｀、｀、
: : : : : ／:/: : : : : / ＼　l: : : :/: : :.!､:.ﾍ
.; : :'": ::/: : : : : ;.'＿＿｀ﾐ!: :./: : : : l ヾﾊ
.: : : : /: : : : :, ｲ ｛/示牙 !:/: /:: : :.l　 Ⅵ
.: : :/: : : ;／|:::j　　　|:'r! j/::/　i::. :,!　　ﾞ}
: :/:ィ''"!:::: : !::l　　 ,.ゞﾕ {／ 　 ｉ::/
.:":::ﾍ ﾞ l::: : :|::!　　 `´　　`i　　 !'
: : : : : }''l: : : |:|　／｀`￢ /　　　　　　　　「そうだよ！
.: : : : /　i: : ::!ﾚ'ﾞ　　　 〃　　　　　　　　　ほっといたってアイツは悪いことをするに決まってるんだ！」
: : : /　　_}: : l|_　 　 ／
.:／三ﾐ\、i: :.|:::｀:¨:´!
〃〃⌒｀ヽ!: :!:: : : :.j

116 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:50:00 Ri7DR6iY
三２５６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　二人が必死にやらない夫も巻き込まれた犠牲者の一人なのだと主張するも、
　　微動だにしない彼が手を離して顔を上げるまでにかなり長い間があった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　──　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　 /　 　 　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,′　　　　　　　`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　_ 　　　　 ∨──-┐＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /y^YﾍﾊLヽ　 f＼ , ＼＜／___＿＿＿／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人! .| ﾄ､ヽ＼`ｰ,’ 〉}/ /:::::`-＜__////Y/ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::^ゝへ_ `　　___ｨ_/ /:::::::::::::／:::::＼/ i//|
　　　　　　　　　　　　　「……………」　　　　　　　　 .j::::::::_ﾑｭｰ､＼／:::::::::| /:::::::::::::::::::::::::::::::Y:i//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:＼/.::::::::::::::〉〈::::::::::::::{::::::::::::}/::::::::::::::::::::}:|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 }:::::/::::::::::::::::ｲ:::}:::::::::::::::{::::::::::/:::::::::::::::::::::,' |//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:x、　　　　 /／::::::::::::::::Λ{;;;|:::::::::::::::i:::／::::::::::::::::::::::ｲ./|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ＞x、　 }':::::::::::::::::::/::::N;;;|::::::::::::::::V:::::::::::＼＿__/ |/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ x　　＞ﾍ::::::::::::::::/::::::::::V|::::::::::::::::::V::::::::::::＼::/..:::ｉ/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ZZZ>＞x　 ゝ..___, ハ::::::::::::::{::::::::::::::::::::'.::::::::::::::７::::::::{/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ZZ/ /ZZZ＞x　　 　＞x、::Λ:::::::::::::::::::}::::::::::／::::::::::|/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Z/ /ZZZZZZZ＞x　　　　 ＞';:::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::|/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ ＼ZZZZZZZZZ＞x､　　　 ゝ::::::::::::::ィ:::::::::::::::::::::::|/|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ﾞ＜` ＜ZZZZZZZZ ＞x､　　　￣＞x、:::::::::::::::: ｛/|//|

117 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:51:11 Ri7DR6iY
三２５７．
―――――――――――――――――――――――――――
　　それでも顔を上げた時、表面上は普段の彼に戻っていた。

　　内側でどのような葛藤があったのかは分からないが
　　自分がどうしたいかを明確にしたのだろう。
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　 　 _,.ノ　⌒
　　　　　　　　　　|　　 　（ ー）（ー）
　　　　　　　　　　.|　　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　　 　　　 ﾉ　　　　　　　　　「とにかく、状況は把握した」
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　|_,-‐、_ -、
　　　　　　　　　　.人､　　 　　 厂丶,丶　v　〉
　　　　　　　 _,／::::ヽ､.,ヽ., ___,く_ソ　　　 __ノ
　_, ､ -― ''"...:::::::::＼::::::::::::::::::::(　　　　〔"ﾆ‐-、
/.::::::: ':､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r　 ／⌒ヽ:::::: )
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V／.....￣　',::::|
:::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈　:::::::::::::::... ',::i
:::::::::::::::!::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ　::::::::::::::::::. ',



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ﾊ ::.:.::!　V　/　 ＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　 ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト ､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　 　 　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　|/l:ハ　　 ､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ノ ﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　「これからどうしますか？」 　　　　　　　　　　 　 　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ ヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　 ヽ __,,.　'´　　　　　 ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　 ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　 ／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　 ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 ヽ　 ＼　　 ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　 ﾉ /　 ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､ 　 ＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　さすが取り乱したりしませんでしたね、と感心したエルが今後の事について触れると、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

118 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:52:00 Ri7DR6iY
三２５８．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　やらない夫は何よりも優先しなければならない事について触れ―――
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　 　 　 　 ￣　 　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　 　 　 ＼
　　　　　／　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　　　､＿　　ヽ
　　　　'　　　　　　　　　　　　　　 ｀　､ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'　　　　　「その前に雪華綺晶だ。
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　みんなの見解を聞かせてくれ」
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰ ゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 「……………」　　　　 |　 |;:;l ヽ＼ ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　 　 　 　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　 　 　 ｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　 ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/　|∧|　＼ 　 　 　 　 ／ .| / l/;:;:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |'　 l　　 ヽ、　　 ／　　 l'／ ヽ/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 l　　 　 ｀￣´　　　　l､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　 ヽ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_ ,..　'' ´ 　 ヽ　　　　　　　 　 /　　　｀'ー-　..__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-‐ '´ {´　　　　　　　 ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　 ｀} ￣ 'ー- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 　 ヽ　　 　 　 / 　　　　　　　　　/ /　 　 　ヽヽ



―――――――――――――――――――
　　室内の空気がぴりっ、と緊張をはらむ。
――――――――――――――――――――

119 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:53:00 Ri7DR6iY
三２５９．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　目配せしあった三人のうち、私が話すわと頷いたキャスターが淡々と、
　　いま分かっている事を述べた。
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　 　 　 　 　 . . -‐…‐- ､,. - 、
　　　　 　 　 　 . : ´: : . . 　 　 　 . . : : ＼
　　　 　 　 　 /: : . .　　　　　　　 　 . . : : ヽ.
　　　　　　　/: : . .　　　 　 　 　 　 　 . . : : : ,
　　　 　 　 ,: : : . .　 、　 　 へ、 　 　 ヽ. . : : ',
　　　　　　ｉ ｉ : : . .|ヾヾ〃'"´ヽｉ: i: :　: 　 ; 　 : :,
　　　　　　| | i| :| :|　　　　　　 |: |i |i |i :　ｉ 　: : ;
　　　　　　| | i| :| :ｌ　　　　　　_|: |i |i |i i　| 　: : l
.　　　　　 八八ﾘ:ム､、 　 ／ ィ芹必乂 :|_　: : |
　　　　　　　乂从芹心　　　　┴'┴ |　 :|　｀ソ|　　　　　　　　「現時点で分かっている事を端的に言うわ。
　　　　　　 　 | |:ﾊ"¨´　　　　　　　　|　 :|ｉイ:.:人
　　　　　　 　 | |:ハ　　〈　　　　　 　 ｌ　 :||｀Ｙ :） ）　　　　　　　 雪華綺晶は今、寝ても食べても、
　　　　　　 　 | | : :i:＼ 　ー-　 　 ／!　 :|| （ （:ハ.　　　　　　　 体力回復や治癒、治療、再生の奇跡を使っても
　　　　　　 　 | | : :|:| : :ヽ.　　　／ 　:　　|| 个トイ　　　 　 　 　 回復できない状態にある。
　　　　　　 　 | | : :|:|/ ; ; ;| ¨´ 　 　 : 　 从人ﾉ八
.　　　　 　 　 ﾉﾉ: : i/ ; ; ; ;j　　 　 　 '　〃:ハ;.｀ヾﾉ　　　　　　　 原因が天使化にあるのは明白よ」
　 　 　 　 ,,xく|:.　:.;′; ;/__　　 .:　　′　:/; ; ∨;｀ヽ＼
　　　　,ィf／´|:.　:ｉ ; ; /　　　　　ｰ;′　//;.／; ; ; ; ; ヾ＼
　　　.//´; ; ; ;|:.　:| ; /ミＹ芸Ｙ升/|:.　://; ; ; ; ; Y; ; ; ; ;ヾ;ヽ
　　 //; ; ; ; ; ;|:.　:| /彡ｲ外ﾐＶﾞ/ 八://; ; ; ; ; ; ;l; ; ; ; ; ; l l:',
.　 //; ; ; ; ;/ 八 :.|;什イ介ミ//.;／ノ; ; ; ; ; ; ; ; ;l; ; ; ;_＿ｊ_ｊ_i



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　________
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／)　/ .)　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ./::/ ./:::／ ） ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　.l/　/／ ∠___　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　l　/ ／ ／ _､,,.ノ　|.
　　　　　　　　　　　　　　「消耗を押さえるために寝ている………？」　　　　　　　　　　r　　　　 　/___)　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 ノ　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _∠⌒ヽ　　j 'i, _、___ ｨ／|＼____
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ...::::;;;:::ヽV;;;;l　フiiiiく　　/.:;;:l;;;;;:::´´''' ､､､ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;:: 〉;;;;;:l／ iiiii ＼/.:;;;::l;;;;;;;;;;;;;::::::::..... i::..＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;;;;;:: /;;;;;;;;:::ヽ llllll　/..::;;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::: l;;;;;;:: l

120 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:54:00 Ri7DR6iY
三２６０．



　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 _,,,,,,_　　　　　________
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 _,,-''´　 　 ヽ ,,-''´　　　　 ｀ヽ、
.　　　　　　 　 　 　 　 ,-"　　　　　　 ﾚ′　　　　　　 　 ヽ
.　　　　　　 　 　 　 ,;''　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
.　　　　　 　 　 　 ,;",;'7　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 `、
.　　　 　 　 　 　 /,;' /　　　　　/ヽ､　,r'´!　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　 　 　 　 //　!　,'　　　 /｀ ｀ `′´ !　　　　　　　　 　 　 `、
.　　 　 　 　 　 ﾚ′i　,i　i　　 i　　　　　　 ヽ　 i　 `､ ､　　　　　　i
.　　 　 　 　 　 ! 　 ! i ! i　　 l　　　　　　　　ヽ ﾄ､　`､`、　　 　 　 !
　　　　　　　　 ! 　 ! !i　!　　 !　　　　　　　　　i ! ヽ　ヽ i　　　　 　 !
　　　　　　　　 !　　l,!l　!　　 !　　　　　　　　　ﾚ′ヽ　`､!　 　 　 　 !
　　　　　　　　 !　　l　! ! !　 l　　　　　　　　　 　 　 `、__.!　　　　　　!
.　　 　 　 　 　 !　　 !　!　!__,!,,,,,__　　　　　 ,, -‐_,,¨,,,,,i　 !　　　　　　!
.　　 　 　 　 　 !　　 !、`、!,,l-┬､-､　　　 　 ,r'´i__!__,! l}''!¨　 i¨¨_'''''‐-,,_　　　　　　「ええ、おそらくは。
　　　　　　　　 !　 _,,! ヽ ヾヽ!､`__!, '　　　 　 　 ´　　　!l　!　　i'´　 ｡ ﾟ,／
.　　 　 　 　 _,,i-''´_,!　 ヽヾ`､　　　　　　　　　　　　 ,ノl　l　　l_,,>-''i´i　　　　　　　　怪我でも病気でもない事は間違いない、
.　 　 　 　 < ｡ ｡ ¨　!　　 !　``　　　　　　　　　　　　　 !　l　　lヽ_,!､,!　!　　　　　　　 生命の精霊に異常は見られないの。
.　　 　 　 　 `''i-<_i-!　　 !、　　　　　　　!　　　　　　　!　!　　lヽ　 ,'　/!
.　　　 　 　 　 l　　　l　　 il ヽ､　　　　　-‐‐-　　　　 /!　!　　l　! `ｰ〈　l　　　　　　　維持………と言うよりは、その………
.　　　 　 　 　 !　　　l　　 l !　　`ヽ　　　　 　 　 　 ／ ! /　　 !　ヽ　　　!　　 　 　 　 緩やかな消耗と思った方が良いわ」
.　　　 　 　 　 !　　　l　　 l l　　 　 !`ヽ､　　　　 ／ 　 ﾚ!　 　 ! 　 !`ｰ<´!
　　　　　　 　 !　　　 !　　l　!　　　 !　 　 `''''''''´　　　 / 　 　 !　　l　　　 !、
.　 　 　 　 　 i　　　　!　　l　!　　　 !　　　　　　　　　/!　　　 i　　 l`ヽ､　! i
　　　　　 　 /　　　　l　　 ! l　　　/_　　　　　　　　　/　　　/　　　ヽ、 `′!
　　　　　　/　　　　　l　　 ! l　　/、::::¨:::''''‐----‐‐:i　 　 /　 　 　 　 !ｰ--!ヽ、
. 　 　 　 /　　　　　　!　　 !　!'´　　¨''''‐--------‐!　　/ ` ､　　　　 `ｰ,-,,_,! !
....　　　/　　　 　 __,,,,!　　 l ! i　　　　　　　　　　　　!　 /　　　`ヽ､ ___　ヽ　　 l
　　　 /_,,-‐'''¨¨ヽ 　 !　　 ! ! iｰ--- ..,,_　　　　　　 l　 i---‐‐　　 ／::::¨''''‐-〈,l_
..　_,,-"::::::::::::::::::::::`.､ !　　 l ヽヽ　　　　｀　 　 　 '´ !　l　　　 　 ／:::::::::::::::::::::::::::::`ヽ､
,-":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!　　 !　ヽヽ　　　　　　　　　 l　!　　　 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ、
ﾞ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l　　 !　　 `　　　　　　　　　 l　! 　 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::` 、
ﾞ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　!i　　　　　　　　　　　　l　 !／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`､
_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　!ヽ　　　　　　　　　　　 !.!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`
_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`::::::`..､　　　　　　 _,,-"::l,!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ｰ ----‐'"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



―――――――――――――――――――――――
　　だが―――殆ど老衰に近い、とは言えなかった。
―――――――――――――――――――――――

121 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:55:00 Ri7DR6iY
三２６１．
―――――――――――――――――――――――――
　　魔法や休息でも回復が出来ない。

　　思わず、精裂病に犯されて次第に衰弱していった父と
　　雪華綺晶を重ね合わせてしまったやらない夫は
　　取り乱さないよう、必死に自分を押さえつける。
―――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　───- 、
　　　　／　　　　　　,-‐- ､
　　　/　　　　　　　,-`--　ヾ､
.　　；|　　　　　　 ,-‐ー-､`ヽヾ
.　　；|　　　　　　 `ー--、`ヾ'　}；
...　； |　　　　　　.--‐一ｰ､’　" } ；
　　　|　　　　　　ゞ-一ヽ､　　　/；　　　　　　　「どう、すれ…ば………！」
ノへﾉ　　　　　　　　　 ﾉ　　　i　；
、::＼＼　　　　　　　r´　　 　ゝ,、；
ヽ:::::::＼＼ヽ ＿_　　ヽ､_　　／　|:::ヽ ；
ヽヽ::::::::＼ヾ　　　＞´ヽ､／　　 ﾉ::::::＼；
::::＼ゞ::::::::ヽ`>､√:::::::ヽ、　／:::::::::::::::　＼
:::::::::::`‐ー-Y;;;_ヽゞ)､＿_ゝt_＿::::::::::::　　　＼



.　　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ-.‐: :￢
　　　,.': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :,r.: : : : : : : : :.|
　　 /　　　. . : : : : : : : . . . . . : :.／:, : : : : : : : : : :|:､
　　, . . : : : : : : : : : : : : : : : : ／ ／　 　 　 　 /　.| ｀､
　 ,'::.::.::.::.::.:.: : : : : : : : : : : ; ': :/: : : : . . .　,/ / 　 |！ヽ
.　!::.::.::.::.::.::..: : : : : : : : : ; ': ／:,/ : : : : :／,':./: .　 !: :l: :.､
　!.::.::.::.::.::.::.:.: : : : : : : :./／:/;.': : : : :.／ /:/: : : : :|: : lﾞ､:ﾞ、
. !::.::.::.::.::.::.::.: : : : :/: :/:'ﾞ:,r//: : : :.／　 //|: |: : : :|: : :| ﾞ､ﾞ、
.::.::.::.::.::.::.::.::.: : : :./: /': : i/': : : :,:ｲ　　 〃 ,!:.|: : : l: : : |　ヾ:.
:.::.::.::.::.::.::.::.: : : :./:./ ::.::.:/: : :／:||　　/'　/|::!|:: : ﾊ: : :|　　ﾞ｝
::.::.::.::.::.::.::.:. : :.::/: :.::.::.::/. :,ｲ::.::.:|!　 /　｜.|:! !: :,'　'; :.|
.::.::.::.::.::.::.:. : .::./: .::.::.::./／|:|::.::.:.|　　 　 |　ﾘ｜;'　　',:l
:.::.::.::.::.::.:: :.::.:/ ..::.::.::.//,<,､!!::. : | ^　_..ノ　　.j/　 　 ﾘ
::.::.::.::.::.:: ::.::./.::.::.::.::/／　ヽ|::. : :|￣　　　　　　　　　　　　
.::.::.::.::.::.::.::./.::.::.::.:/:'ﾞ　　／ヽ: : :|　　　　　　　　「……………」　
:.::.::.::.::.::.::/::.::.::.::/′ ／／／〉: :|
::.::.::.::.::.:/:.::.::.::/　 ／／／'´　ﾞl :|
.::.::.::.::./::.::.::./ 　 / / ./　 　 　 l |

123 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:56:10 Ri7DR6iY
三２６２．



　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.､
　　　　　　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀､
　　 　 　 　 　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:／／:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..､:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::.／ヽi､}:.,､.:.:.:.',
　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. ／　　　 ｀ｰ|:.:.:.:.:l
　　　　　　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._＼/　　 　 　 　 |:.:.::.::l
　　　　 　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ /ヽ iｿヽ､　 　 　 　 |:.:.::.:.l
　　 　 　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//　｀ー ´｀ｰ'　＿.ノj:.i/:.:.j　　　　「今、大陸中から天使化に関する資料を取り寄せているわ。
　　 　 　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:l　　 　 　 　 　 　 /ｿ7´/::.|:.:/
　　　 　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　　,rw .､ 　 　i／:./／|/　　　　　　………そんな顔をしないで！
　　 　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀ ､　乂＿Ｙ　 イ.:.:.:.:´i:.:.{　　　　　 　 必ず原因は見つけてみせる！」
　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_　 イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
　_,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|



―――――――――――――――――――――――――――――――
　　キャスターが黙り込む彼に、諦めるのは早いと鋭い声を叩き付けた。

　　彼女の天使化については分からない事が多く、
　　これまでの研究が全く通用しない。
　　だから可能性がゼロかどうかを決めつけるのはまだ早いのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ィ
　　　 　 　 　 　　 　　 　 　　　／　　,／/ _､-
　　　　　　 　 　　　　　　　 , '/ ／‐'::::,､ﾝ'／
　　　　　　　　　　　　　 , ./:::ﾚ:::::::::::::´::::::ー--...､.._
　　　 　 　 　 　　　　　_iV::::::::::::::::_::_::_::::::::::::::::::::::::::::::::::=-
　　　　　　　　　　　r::'::::::::::::｀ヽ三ニー-::::ニ:::::::::-=ﾆ´
　　　　　　　　　 ／::／三:::＼＼ヽ:::::::::ミ､::::::::::::::_:::＝≧ー
　　　　　　　　　/:::::/:::::ンヘ＼＼ ヽ:::::::::::｀ヽ:::::::::::::ﾆ三三ｪ-
　　　　　　　　 //i:/:／/:::,'i::::ヽ＼＼',､::::ヽ:::::::::::::::::::::＜'´
　　　 　 　　　 !' /::;:':::/:::,'::i　i:::ヽ:::::::ヽ:ミﾐ:::::ヽ､:::::::::::k-ﾆヽ､
　　　　　　　　　 /::i::::l:i:::i､::',. ',::::::ヽ::::::::ヽ::::::::::::`::::::::::ミヽ､
　　　　　　　　　/:::ii:::l::i:::L::::':,::i:::::::＼､_:::ヽ::::::::::､::::::::::ヾ､
　　　　　　　　 /::/i:ｉ::l::i::i f:::j､:;::::',ヾ:::,rt:::j､＼:::::::::::::::::i､＼　　　　　　「幸い、彼女の消耗は非常に小さく、緩やかです。
　 　 　　_,rｰｧ'/'´ i:ﾊ:l::lﾘ`＝‐ヾ'､::､ﾞヾ､ﾆノヽ::::::::::::::ヾヽ､.
　　　,r''"　　　　 i.ﾘ/ﾘ::',ﾞ　　　　　ﾞヽ　 　　 .,!::;:::::iヾ::',ヽ､ ｀`ｰ-　　　　このまま休んでいれば一月は保つでしょう」
　　/　',　 -､ 　　 i//::l:ｌﾞ､ 　 　 ､ ..　　　　..:':l::i!ヾl:::ｌ lヽｉ ',　｀ヽ
　 ∧　 ', 　 i i　　 i i:　ﾘ　ヽ.　‐-- ､ 　 ／ /ﾘ　/ !/./　'　'　 ﾞヽ
　 ,' ヽ　 ',　i 〈　　 ,i i::.､　＼＼　　　..::'::: /　! 　 , ', ' .i
　 ､　ヽ　　ｉ 　 　　'ヽゞﾐヽ、ゞ: `ﾆ:´:::::''　_,. -／／　 i
.　 ヽ、ヽヽ　 i　　　 ',ヽ､`ヽﾐヽ､ 　 　,.:-'´,. '´／　　 ﾉ　　　　 /
.　　 iヽ ＼i　.i!ヽ　　　　 `　､`'-､､､､､- ',ン'' 　 　 　 　　　　/〃
　　　i　 ヽ.＼ !　　　　　　　　｀ ｰ-ー '´　　　　　　　　　　, ' //
.　　　i　　 ヽ､ヾ　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 , ' ／ '

125 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:57:00 Ri7DR6iY
三２６３．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　可能性はゼロではなく、猶予はまだある。
　　それでも―――

　　彼が声を出したのは先ほどよりも多くの時間が経ってからだった。
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ー）（ー
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　「………その前に妖術師を斃し、
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝　　　　　　　　　 原因を見つける必要がある、か」
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝

126 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:58:00 Ri7DR6iY
三２６４．



　　　 　 　 　 　 　 （:i′
　　　　　 　 　 　 　 ヾ:､, . . .-:￢_,,.. -.―: : - : ､
　　　　　 　 　 ,.-:':"´: : : : : : : : :!: : : : : :‐＝､'''' ｀`
　　　　　　 ／: : ﾊ : : : : : : : : : : | : . .　　　　 ｀ヽ
.　　　　　/.　　 （,ﾉ . . i : :! l : : : ;|、:ヽ　　　 ｀ヾ ､＼
　　　　　i: : : :!: . . . . ,l : :ﾊ:!: : : ;.|｀、: !: : ヽ: : :.｀､ `ヾ:、
　　　　　l.: : :.!: : : :_;ﾑ:､/ .li: : :./j　,.x‐ト: : :ﾞ!: : : : :.
. 　 　 　 l: : :.|: : : :./ |:/　 |! : ;ｲ:! 　 ヽlﾞ､: : :!: ､: : :i
　　 　 　 !: : :l|: : /ｪ土ﾆ､｜:/ ﾘ ,ﾆ≧ヵヽ: :l: : },: : l
　　　　　 l.:/r|: ∧｢代ﾙ|　|/　 　 代り,!/l: :l: : j i.: j
　　　　　 ,!',{ |/: : i ヾ上!　　　　　ヒｼ　l.:.!:.l: :.,'　l :!　　　　　　「へ？なんで？
　　　　　/ｲ:ヽl: :､:.i　　　　　　　　　　・l: :lｲ:./　　ﾘ
　　　　　　|: : :l.: :ﾏト.､　 r_―ｭ　 _ , ィﾞ|: : :l'　　　　　　　　　　 今すぐ聖王様に魔法で癒してもらえば良いじゃない」
　　　　　　|.: : :}: : V!r;ｸ｀: ェ_＜｢:::::::,':lj: : :l
　　　　 　 |: : :.|:l: :ﾍ''ﾊ　　　 j　 ＼:,'::;ｲ: : !
　　　　 　 |.: : :,:ﾍ: :.V!ヾ´￣｀l　　　ﾞlト!: :/　 l＾i　／）
　 　 　 　 |: :,<＼ﾍ :Y　ﾞ、 　 l　　　lｌ l: :/ /ﾏ ﾉ'゛∠- つ
　 　 　 　 !: iﾍ.ヽ､`l: :!　｀、　,!　　 ll ,l.:/ ∧ ヽ、　‐'二 ､
　　　　　 ｌ: :|　｀ヽ､ﾞl: :!　 丶 l　　〃 ﾚ　∧｀:、 ＼ ‐=ニ′



―――――――――――――――――――――――――――――――
　　最初、やらない夫の言っている事が分からずにコナタが首を傾げた。
　　魔竜撃破の功績があり、名声の高いやらない夫がお願いすれば
　　すぐに助けて貰えると思っていたのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――

127 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 21:59:00 Ri7DR6iY
三２６５．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　しかし、事はそんなに簡単ではありませんとエルは首を振る。

　　すでに精神力の消耗だけで済む神聖魔法なら
　　第二位までの司祭職が使えるものを殆ど試した後であり―――
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　 ﾊ ::.:.::!　V　/　 ＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　 ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト ､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |:: ﾊ　　`　　　　　　　　　 　 　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |/l:ハ　　 ､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　　「やらない夫に原因があるとの噂がある以上、.　　　　　　 　 ノ ﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　　 急激な老化や能力の消失を伴う奇跡を　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　 聖王様にお願いする事は非常に難しいでしょう」　　　　　　　 　 　 　 ﾘ ヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 __　 __,.ノ/ 　 ヽ __,,.　'´　　　　　 ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,,.. -‐''"´　{　　 ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　 ／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 l　　 |　　ヽ ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　 ヽ　｀ヽｰ-､_



.　　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ-.‐: :￢
　　　,.': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :,r.: : : : : : : : :.|
　　 /　　　. . : : : : : : : . . . . . : :.／:, : : : : : : : : : :|:､
　　, . . : : : : : : : : : : : : : : : : ／ ／　 　 　 　 /　.| ｀､
　 ,'::.::.::.::.::.:.: : : : : : : : : : : ; ': :/: : : : . . .　,/ / 　 |！ヽ
.　!::.::.::.::.::.::..: : : : : : : : : ; ': ／:,/ : : : : :／,':./: .　 !: :l: :.､
　!.::.::.::.::.::.::.:.: : : : : : : :./／:/;.': : : : :.／ /:/: : : : :|: : lﾞ､:ﾞ、
. !::.::.::.::.::.::.::.: : : : :/: :/:'ﾞ:,r//: : : :.／　 //|: |: : : :|: : :| ﾞ､ﾞ、
.::.::.::.::.::.::.::.::.: : : :./: /': : i/': : : :,:ｲ　　 〃 ,!:.|: : : l: : : |　ヾ:.
:.::.::.::.::.::.::.::.: : : :./:./ ::.::.:/: : :／:||　　/'　/|::!|:: : ﾊ: : :|　　ﾞ｝
::.::.::.::.::.::.::.:. : :.::/: :.::.::.::/. :,ｲ::.::.:|!　 /　｜.|:! !: :,'　'; :.|
.::.::.::.::.::.::.:. : .::./: .::.::.::./／|:|::.::.:.|　　 　 |　ﾘ｜;'　　',:l
:.::.::.::.::.::.:: :.::.:/ ..::.::.::.//,<,､!!::. : | ^　_..ノ　　.j/　 　 ﾘ
::.::.::.::.::.:: ::.::./.::.::.::.::/／　ヽ|::. : :|￣
.::.::.::.::.::.::.::./.::.::.::.:/:'ﾞ　　／ヽ: : :|　　　　　　　　　「あ………」
:.::.::.::.::.::.::/::.::.::.::/′ ／／／〉: :|
::.::.::.::.::.:/:.::.::.::/　 ／／／'´　ﾞl :|
.::.::.::.::./::.::.::./ 　 / / ./　 　 　 l |

128 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:00:00 Ri7DR6iY
三２６６．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　一国を治める者に、それをしてもらうには町の情勢が悪すぎる。
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.､
　　　　　　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀､
　　 　 　 　 　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:／／:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..､:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::.／ヽi､}:.,､.:.:.:.',
　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. ／　　　 ｀ｰ|:.:.:.:.:l
　　　　　　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._,-‐/ ..,,__,　　 　.|:.:.::.::l
　　　　 　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ /{ r ,､Yヽ_　　 ,,､ 　|:.:.::.:.l
　　 　 　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//｀ｰ'-　｀　 　,r‐､ヽj:.i/::.j　　　　「まだ原因はつかめていないし、
　　 　 　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l　　 　 　 　 　 　 /ｿ7´/::.|:.:/ 　 　 　 住民の理解を得られないのも厳しいわ。
　　　 　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　　　, ‐-､　　i ／:./／|/.　　 　 　 状況が悪いわね………」
　　 　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀ ､　 （｀ヽノ,　イ:.:.:.:´i:.:.{
　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_｀, イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
　_,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|



　　　　　　　 　 　 　 ,..::;ﾆ＝-､
　　　　　 　 　 　 　 i::/　　 　 、
　　　　　　　　　　　,ゞｰ--‐::':::|,..-;:ァ
　　　　　　　　　／:::::::::::::::;::::::::!::::::｀丶、
　　　　　　　　/::/::::::::::/:/|;:::::;!i::i::::::....､ヽ
　　　 　 　 　 l:/::;'::::'オ/　!:::/へ|:::::::::::ﾞ:.ヾ:、
　　　　　　　 ,!,イ:::::/ !′ l::/　 .lﾊ:::::|;;::::l
　　 　 　 　 /i:::::!::/iTﾆT ,!;'　ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
　　　 　 　 　 !:（|:'!::l ゜┘/　　ﾟ‐：!:}::!　 ﾞ!
　　　 　 　 　 |::::M::::!､ 　 ο　 .ィ:i!ﾘ　　　　　　「じゃあ、あの野郎をぶっ殺せば
　　　 　 　 　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::|　　　　　　　 やってもらえるの？」
　　　 　 　 　 !::::|x<!:l　 |―|　,l:::|:::!
　　　　　　　 l::::::;!ヾｌ:ﾄﾐヾ、l〃!:ハ:|
　　　　　 　 ,':::::::|　 ヾ＞ﾐV∠}′ i|
　　 　 　 　 l::::::::{　,r=-=ニＬ._〉,ノ l|
　　　　　　 ,!:::::::::l　　　 　 |l!l!|´ 　 |!
　　　　　　 !:::::::::::ﾄ、　　　|＜　＿/:|
　　　 　 　 !::::::::::::ﾞ7ー イ丁´「 〈::::::|
　　　 　 　 l::::::::::::/　l　 |　|　 l　ﾞ､::::|
　　　　　　 l::::::::::/　l. 　|　 |　 l　 ﾞ､:|

129 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:01:05 Ri7DR6iY
三２６７．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　妖術師を片付ければいいのか、と問うたコナタへの返答は否、だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――



.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰ ゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　 　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　 　 　 　 / ,! :;:! !;:;:l;/　　　　　　　「常識的にはあり得ません。
　　 　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　 　 　 ｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i　 　 　 　 　 　 国王が身体的代償を伴ってまで
　　 　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　 ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!　　　　　　　　 冒険者一人を癒すなど前代未聞です。
　　　　　　 |/　|∧|　＼ 　 　 　 　 ／ .| / l/;:;:l
　　　　　　　　 |'　 l　　 ヽ、　　 ／　　 l'／ ヽ/　　 　 　 　 　 　 　 ですが―――」
　　　 　 　 　 　 　 l　　 　 ｀￣´　　　　l､
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　 ヽ､_
　　　＿_ ,..　'' ´ 　 ヽ　　　　　　　 　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　 ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　 ｀} ￣ 'ー- ､
　　　 ヽ　　　　　 　 　 ヽ　　 　 　 / 　　　　　　　　　/ /　 　 　ヽヽ
　　ヽ　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ /　　 　 　 |　ヽ
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　 　 /　　　　 ',
　　　　　　　 ｀'ｰ-　 _　　　　　　　　 ＿　 -‐ '´　　　 　 　 /　　 　　　l
　　/　　　　　　　　 　 ｀'ー----‐ '´　　　　　　 　 /　　　 l 　 　 l　　　!



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そもそもエルの言うとおり、冒険者を相手に国主が代償を支払う事などまずあり得ない、
　　金銭や名声などの報償とは訳が違う。

　　王家の血を尊ぶ住民も簡単には享受しないだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

130 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:02:00 Ri7DR6iY
三２６８．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　だが、別の可能性はあるかも知れませんと爪を噛んだ。

　　それに信心深いフリートの者にとって、
　　天使化をしてみせた雪華綺晶の救護と言うのは決して軽くない事のはずなのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――



',::::::::::ヽ :::::::::::ヽ :::::::､:::::::::::::. '::::::::､ヽ､ヽ::::ヽ＼:::､::::::::::
.ヾ ､::::::::'.,::::､::::ヽ､::::::::::::へ::::ヽ':::::'.,ヽ＼':,':,:::ヽヾ::':,::.::::
:'::＼ヾ::::::ヽ'::::ヽ::::＼:::::::::`:::ヽ:::`､::::'.,:ヽ.ヽヽ:::::':,ヽ::`:::､
::',::',:,ヽヽ､:::＼'::::ヽ::::ヽ,::::､::::::ヽ､＼:::::'::::'., ':,ヽ:::::':,:ヽ:::
､:',:::',:':;:`::.`､;_:ヽ､::::＼:ヽ:',ヽ;'::､;;;;ヽ`､::::::::'., ':,゛,'::::::::::',::
.!:::゛::',::ヽ:::＼::::::::::ヽ:::::`:､:'yｯﾝｧ::::ヾ;＼';::::::ヽ':,::',,::ヾ::::'
::::::::::::'::::＼::::ヾ:::::::::､､:`:::::::i!　!::::::::::ﾒ'ｯ､`:::::::::':,:::',,::ヽ:::
::::::::､::::',:､:::::ヽ＼::::::::'.,＼::::,ヽ ` ｰ "／　`;:ヽ::::'.,:::l!:::ヽ
:::ﾊi!ハ::､ ヽ:::ヽ. i ヽ､::ヽ　ヽ::',`''､'''"　　　 !:',::､::::::::!:::､
:::i,丶'､ ヾ　　`'､`;、　`'-`､　 ヽ、　　　　　i:::',:!:､::::::::::::i
::::! 　 `　 ｀　　 ｀iヽ､ 　 　 ヽ 　 　 　 　 　i::::',:i:ヽ:::::::::!　　　　　　「原因の事は置いといて、
:::::l, 　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　i!.ﾉ';,:::;::':,::::::l　　　　　　　数千人規模の被害を出した魔竜の撃破と
:::､:i　　　　　　..､ヽ､　_,,,..　　　　　　　　　!,､:'::::::'::::':,::::!　　 　 　 　 大陸中で指名手配された危険人物の処理を合わせ、
::::.､',　　　　　　　　　´　　　　　　 　　　/::::::::::::::',.:::::::::'　　　　　 　 エゥーゴとローゼンが口利きしてくれば………
::::::ヾ'、　　　 　..､､...... 　 　 　 　 　　 ,;:'i:::::::::::::::::',.::､:::::
::::::::::ヽ　　　''``ｱ`'''ﾏ''''``''ｰ 　 　 ,;:':　.i:::::::::::::::::::',:ﾄ､::　　　　　　　国主自身が行使せずとも、
';::::::::::::`;;､　　 / 　 　ｌ:.　　　　　,;:''　　 .ｌ:::::::::::::::::::::::i ＼ 　 　 　 　 聖地へ代行を願えるかも知れません」
. !:lヾ:::i :. ;ヽ／　　　ﾉ: 　 　　／'　　　　i:::::::::::::::!';ヽ::',
　';! ヾ'i: : /　　　　/ 　 　,.ｨ'´' 　　　..　 !:::::i::::::::', '､ ヾ
　 '､.　ｿｲ'　　 　／‐-ｰ;:ｼ' 　 　　　::/　 i:::::!':,:x:::',
　　／:. !　 　　/:. :._､-'´ 　 　　　 .::/　　',:::!　':;ヾ;
､='´:. :. '　　 ﾝ:. :,'´　　　　　　　　 /　 ':;:.ヾ'､　ヽ `
:. :. :. : 　 　,':. :.　',　 　 　 　 　 　/　　　';:　`ヾ､



　:::;:':::::::::::::::::::::／,!:.:.:.:./:j:.:. : :/: : :.| 　l:|
　;:':::::::::::::::::／: : /:.:.／: :l:. : :/;.:. : :i 　 ﾘ
　::::::::::::::／|: : :./:／: : : :!: :.//|:. : ,'
　:::::::::／::::|: : ;ｼ'゛: : : : :i: /:/　!: :,'
　::::;r'::::::::::| : : : : : : : : //|:' 　 l:.;'
　:/::::::::::i:::|　　　　　　'"　l　　j/
　::::::::::::::|::|　　　　 ,　　　 l
　!:::::::::::::l::|　　 　 └-､_, ﾉ
　l:.:.::::::::::!:| 　 　 　 _,,.-''′　　　「なんにせよアイツが障害かよ………」
　.!:.:.:.:::::::l:|::￢'''"´
　ﾞl:.:.:.:.:.::::ｌ|::::::|
　. l: : : : : l|:::.:.|
　　l: : : : : |: : :|

132 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:03:01 Ri7DR6iY
三２６９．



　　　　　 　 　 　 　 . . -‐…‐- ､,. - 、
　　　　 　 　 　 . : ´: : . . 　 　 　 . . : : ＼
　　　 　 　 　 /: : . .　　　　　　　 　 . . : : ヽ.
　　　　　　　/: : . .　　　 　 　 　 　 　 . . : : : ,
　　　 　 　 ,: : : . .　 、　 　 へ、 　 　 ヽ. . : : ',
　　　　　　ｉ ｉ : : . .|ヾヾ〃'"´ヽｉ: i: :　: 　 ; 　 : :,
　　　　　　| | i| :| :|　　　　　　 |: |i |i |i :　ｉ 　: : ;
　　　　　　| | i| :| :ｌ　　　　　　_|: |i |i |i i　| 　: : l
.　　　　　 八八ﾘ:ム､、 　 ／ ィ芹必乂 :|_　: : |
　　　　　　　乂从芹心　　　　┴'┴ |　 :|　｀ソ|
　　　　　　 　 | |:ﾊ"¨´　　　　　　　　|　 :|ｉイ:.:人
　　　　　　 　 | |:ハ　　〈　　　　　 　 ｌ　 :||｀Ｙ :） ）　　　　　「本当は、雪華綺晶が治るまで
　　　　　　 　 | | : :i:＼ 　ー-　 　 ／!　 :|| （ （:ハ　 　 　 　 やらない夫にはつきっきりで居てあげてほしかったけれど………」
　　　　　　 　 | | : :|:| : :ヽ.　　　／ 　:　　|| 个トイ
　　　　　　 　 | | : :|:|/ ; ; ;| ¨´ 　 　 : 　 从人ﾉ八
.　　　　 　 　 ﾉﾉ: : i/ ; ; ; ;j　　 　 　 '　〃:ハ;.｀ヾﾉ
　 　 　 　 ,,xく|:.　:.;′; ;/__　　 .:　　′　:/; ; ∨;｀ヽ＼
　　　　,ィf／´|:.　:ｉ ; ; /　　　　　ｰ;′　//;.／; ; ; ; ; ヾ＼
　　　.//´; ; ; ;|:.　:| ; /ミＹ芸Ｙ升/|:.　://; ; ; ; ; Y; ; ; ; ;ヾ;ヽ
　　 //; ; ; ; ; ;|:.　:| /彡ｲ外ﾐＶﾞ/ 八://; ; ; ; ; ; ;l; ; ; ; ; ; l l:',
.　 //; ; ; ; ;/ 八 :.|;什イ介ミ//.;／ノ; ; ; ; ; ; ; ; ;l; ; ; ;_＿ｊ_ｊ_i



　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ー）（ー
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝　　　　　　　　（俺だって離れたくない………）
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　これもまた、選択だ。
　　本当は雪華綺晶を優先したいが、そうしたら一番がっかりするのも彼女だと分かる。
　　―――彼女はやらない夫の負担になる事を心底嫌うのだ。

　　そしてもし、噂が真実であるとしたら。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

133 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:04:00 Ri7DR6iY
三２７０．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　やがて。
　　ゆっくりと瞼を開いたやらない夫が三人の目をまっすぐ見つめ、
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　 　 　 　 ￣　 　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　 　 　 ＼
　　　　　／　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　　　､＿　　ヽ
　　　　'　　　　　　　　　　　　　　 ｀　､ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　　　　　　　 「頼むみんな、俺に力を貸してくれ。
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　 　 　 　 一刻も早く妖術師を斃したいんだ。
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／　　　　　　　　　　 ………雪華綺晶を治すために」
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼



―――――――――――――――――――――――――――
　額をテーブルにこすりつけんばかりに頭を下げて頼んだので、
―――――――――――――――――――――――――――

134 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:05:00 Ri7DR6iY
三２７１．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　水くさい。

　　反射的に口から飛び出しかけた言葉を何とか飲み込んでエルは言った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰ ゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　 　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　 　 　 　 / ,! :;:! !;:;:l;/　　　　　　　　「あの時………
　　 　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　 　 　 ｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i　　 　 　 　 　 　 私はあなたの同行を断りました」
　　 　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　 ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.
　　　　　　 |/　|∧|　＼ 　 　 　 　 ／ .| / l/;:;:l
　　　　　　　　 |'　 l　　 ヽ、　　 ／　　 l'／ ヽ/
　　　 　 　 　 　 　 l　　 　 ｀￣´　　　　l､
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　 ヽ､_
　　　＿_ ,..　'' ´ 　 ヽ　　　　　　　 　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　 ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　 ｀} ￣ 'ー- ､
　　　 ヽ　　　　　 　 　 ヽ　　 　 　 / 　　　　　　　　　/ /　 　 　ヽヽ
　　ヽ　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ /　　 　 　 |　ヽ
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　 　 /　　　　 ',
　　　　　　　 ｀'ｰ-　 _　　　　　　　　 ＿　 -‐ '´　　　 　 　 /　　 　　　l
　　/　　　　　　　　 　 ｀'ー----‐ '´　　　　　　 　 /　　　 l 　 　 l　　　!

135 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:06:00 Ri7DR6iY
三２７２．
―――――――――――――――――――
　　今はエゥーゴで別れた時とは事情が違う、
　　仲間の為に全力を尽くしますと。
―――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ィ
　　　 　 　 　 　　 　　 　 　　　／　　,／/ _､-
　　　　　　 　 　　　　　　　 , '/ ／‐'::::,､ﾝ'／
　　　　　　　　　　　　　 , ./:::ﾚ:::::::::::::´::::::ー--...､.._
　　　 　 　 　 　　　　　_iV::::::::::::::::_::_::_::::::::::::::::::::::::::::::::::=-
　　　　　　　　　　　r::'::::::::::::｀ヽ三ニー-::::ニ:::::::::-=ﾆ´
　　　　　　　　　 ／::／三:::＼＼ヽ:::::::::ミ､::::::::::::::_:::＝≧ー
　　　　　　　　　/:::::/:::::ンヘ＼＼ ヽ:::::::::::｀ヽ:::::::::::::ﾆ三三ｪ-
　　　　　　　　 //i:/:／/:::,'i::::ヽ＼＼',､::::ヽ:::::::::::::::::::::＜'´
　　　 　 　　　 !' /::;:':::/:::,'::i　i:::ヽ:::::::ヽ:ミﾐ:::::ヽ､:::::::::::k-ﾆヽ､
　　　　　　　　　 /::i::::l:i:::i､::',. ',::::::ヽ::::::::ヽ::::::::::::`::::::::::ミヽ､
　　　　　　　　　/:::ii:::l::i:::L::::':,::i:::::::＼､_:::ヽ::::::::::､::::::::::ヾ､
　　　　　　　　 /::/i:ｉ::l::i::i f:::j､:;::::',ヾ:::,rt:::j､＼:::::::::::::::::i､＼
　 　 　　_,rｰｧ'/'´ i:ﾊ:l::lﾘ`＝‐ヾ'､::､ﾞヾ､ﾆノヽ::::::::::::::ヾヽ､.　　　　　　　　「今は、こちらから願ってでも着いていきます。
　　　,r''"　　　　 i.ﾘ/ﾘ::',ﾞ　　　　　ﾞヽ　 　　 .,!::;:::::iヾ::',ヽ､ ｀`ｰ-
　　/　',　 -､ 　　 i//::l:ｌﾞ､ 　 　 ､ ..　　　　..:':l::i!ヾl:::ｌ lヽｉ ',　｀ヽ　　　　　　復讐の為だけではありません。
　 ∧　 ', 　 i i　　 i i:　ﾘ　ヽ.　‐-- ､ 　 ／ /ﾘ　/ !/./　'　'　 ﾞヽ　 　 　 　 今のライトはあなたの―――
　 ,' ヽ　 ',　i 〈　　 ,i i::.､　＼＼　　　..::'::: /　! 　 , ', ' .i　　　　　　　　　 　 仲間の行く道に立ちふさがった障害でもあります。
　 ､　ヽ　　ｉ 　 　　'ヽゞﾐヽ、ゞ: `ﾆ:´:::::''　_,. -／／　 i
.　 ヽ、ヽヽ　 i　　　 ',ヽ､`ヽﾐヽ､ 　 　,.:-'´,. '´／　　 ﾉ　　　　 /　　　　　　雪華綺晶の為と言われて、断る理由があるでしょうか」
.　　 iヽ ＼i　.i!ヽ　　　　 `　､`'-､､､､､- ',ン'' 　 　 　 　　　　/〃
　　　i　 ヽ.＼ !　　　　　　　　｀ ｰ-ー '´　　　　　　　　　　, ' //
.　　　i　　 ヽ､ヾ　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 , ' ／ '
　　　 ',、　　　ﾞﾞ'i＼ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　 　, ir'　ヽ=
　　　　iヽ　　　　i!　ヽ ヽ　　　　　　　　　　　　　　 ,　'／i! 　　/



　　　　　　　　　　　　　　　　／´￣｀￣、: 、
　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　 ﾞ:,: :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　　 ',: : l
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,-､ 　 　 　 ; :./
　　　　　　∠ニ二: :￣:｀:丶､/: :.ﾞ:、　　　;／
　　 　 　 　 ,.-''",. :'": : : : : :/: : : :｀:`: .＜
　　　　　／_,,／: : : : : :/: :, '!: : :,::. : : : : : :＼
　　　 ／／/: :./: : : :'⌒>'　l: : :i:::.　　　　 　 ヽ
　　 /'"　./: :,/: : : : /:/　　 |: : l::ﾊ: ⌒ヽ: :!: i: :ﾞ:.
　 　 　 ./:／i: : : : :,i∠,,_ 　 l: :.!i.　V |:::. : :l: :i: : i
　　　　//　.i: :,: : /｢､示ｆ 　 l: :i! ≧ﾐﾊ:::::. :|: :!: :.l
　　　 /'　　l: :|: :ﾊ. r';;;;'|　　 !: l ﾑ升;:ﾔ::::. !: :!: :i
　　　 　 　 |:,ｲ:./::i. ｰ-'　 　 ∨ r';;;;'/'ﾊ:::::ｌi: :!:/
　　　　　　 ｌ' |/ｲ:{　　 、　　　　｀`''・/:ﾊ:::j::i :/　　　　　　　「そだね」
　　　　　　　 　 l:::`:;...,,, ￣`ー　 　 /::::∧|:::i′ ／）
　　　　　　　 　 | ::::l:::ｌ::::＞┬┬､''ﾌ::::/":ﾞ::::/Υ／
　　　　　　　　　| :::l::::l:／ ﾋ.-､/　/: :/:::::::::i´Ｙ´￣}
　　　　 　 　 　 .l: :l,､<　 ｜　/　 i: :/'>､:::::ゝ ﾞ<, ノ
　　　　　　 　 　 l:.l､ﾞ:､ﾞ:､｜ / ,,-i: /"　 ヽ/ 　 ,'´
　　　　　　　　／ﾞ:{ ＼ヽﾞ:| /／,ｲ:/ 　 ,:=/　　,'



――――――――――――――――――――――――――――――
　　これまでとは違う彼の様子に微笑んだコナタも二つ返事で了承し、
――――――――――――――――――――――――――――――

137 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:07:00 Ri7DR6iY
三２７３．
―――――――――――――――――――――――――――
　　依頼者兼協力者ですから、とキャスターも同行を申し出た。
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .....-─-ｰ- ､..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／::::::::;:'::::::::::::::::::::::..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':::::::r､ミ〃ヾ:::::ヽ::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l:|:|:|:|``¨´´´}:}:|:|:|:::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |:|:|:|:|　　　　}:|:|:|:|:::::::|::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 {:|:|:|:|___　　_lz-卅ll:::::|:_:_:|_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 `|:|ﾒ心`　　 气r　|:::::|:ﾌノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |::∧.　r　　 　 　 |::::|ﾄﾒ::)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「もちろん私も行くわ」　　　　　　　　　　|:|:::::ヽ. ｰ一　 ／|::::|Y:X:）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:|::::::|:::＞ -イ　 .|:::::|:YX::)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j:|::::::l:::::::|　　　　l::::::|弋X:)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __ｲ:|::::::l::::/__.　 　 /::::::j::::〉::ｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ彡:::::|:::::j::ｿ;,,___,,,,,７::::::ｿ:::/::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::|::::ﾘ圭圭圭ﾊ::::::ﾉ:::::::::::l:::::::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /::::::::::::::ﾙ':|圭圭圭':::jﾙ':::::::::::::::|::::::::::::::::}.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧::::::/:::::::::::|圭圭;ｲ::::::::::::::::::::::::::{:::::::::彡へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::V::::o:::|:::|圭圭:|::::::::::{::::::o:::::::::ｲ´::::::::::::::',



　　　　　　　　 　 　 　 ￣　　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　 　 　 　 ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'　　　　　　「ありがとう………」
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ

138 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:08:02 Ri7DR6iY
三２７４．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　方針が決まったのならこれから各自が行うべき事も見えてくる。

　　自分の手帳を閉じたキャスターは
　　居ない間も資料の収集は進めてもらっておくわと椅子を立ち、
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /: : . .　　　　　　　 　 . . : : ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : . .　　　 　 　 　 　 　 . . : : : ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,: : : . .　 、　 　 へ、 　 　 ヽ. . : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ ｉ : : . .|ヾヾ〃'"´ヽｉ: i: :　: 　 ; 　 : :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | i| :| :|　　　　　　 |: |i |i |i :　ｉ 　: : ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | i| :| :ｌ　　　　　　_|: |i |i |i i　| 　: : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 八八ﾘ:ム､、 　 ／ ィ芹必乂 :|_　: : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂从芹心　　　　┴'┴ |　 :|　｀ソ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | |:ﾊ"¨´　　　　　　　　|　 :|ｉイ:.:人
　　　　　　　　　　　　　　「出てる間に資料は集められるだけ　　　　　　　　　 | |:ハ　　〈　　　　　 　 ｌ　 :||｀Ｙ :） ）
　　　　　　　　　　 　 　 　 集めてもらっておくわ。　　　　　　　　　　　　　　　　 | | : :i:＼ 　ー-　 　 ／!　 :|| （ （:ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | | : :|:| : :ヽ.　　　／ 　:　　|| 个トイ
　　　　　　　　　　 　 　 　 ちょっと学院に行ってくるわね」　 　 　 　 　 　 　 　 | | : :|:|/ ; ; ;| ¨´ 　 　 : 　 从人ﾉ八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 　 ﾉﾉ: : i/ ; ; ; ;j　　 　 　 '　〃:ハ;.｀ヾﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,,xく|:.　:.;′; ;/__　　 .:　　′　:/; ; ∨;｀ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ィf／´|:.　:ｉ ; ; /　　　　　ｰ;′　//;.／; ; ; ; ; ヾ＼



　　　　 　 　 　 ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　 　 　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　 ／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　 　 　 　 　 ／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　 　 ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　 　 　 　 　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　 　 　 　 ､ _｣ ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　 　＼　　　‐--- ／|:/
　　　 　 　 　 　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／ 　.ｿ
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　 　 ／ヽ- '　　　　　　　　　　「私も補給を進めます。
　　　　　　　／　　 ヽ､　　　　　_ ｲ　　　　　　　　　　　　　 　 すぐに出るのですよね？」
　　　　　 ／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　 　 　 　 ー┴､
.　　 　/　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　/　 　 　 　 　 　 ＼　　　　 |､



――――――――――――――――――――
　　エルも補給に行ってきますと立ち上がった。
――――――――――――――――――――

141 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:09:00 Ri7DR6iY
三２７５．



　　　 　 　 　 　 　 （:i′
　　　　　 　 　 　 　 ヾ:､, . . .-:￢_,,.. -.―: : - : ､
　　　　　 　 　 ,.-:':"´: : : : : : : : :!: : : : : :‐＝､'''' ｀`
　　　　　　 ／: : ﾊ : : : : : : : : : : | : . .　　　　 ｀ヽ
.　　　　　/.　　 （,ﾉ . . i : :! l : : : ;|、:ヽ　　　 ｀ヾ ､＼
　　　　　i: : : :!: . . . . ,l : :ﾊ:!: : : ;.|｀、: !: : ヽ: : :.｀､ `ヾ:、
　　　　　l.: : :.!: : : :_;ﾑ:､/ .li: : :./j　,.x‐ト: : :ﾞ!: : : : :.
. 　 　 　 l: : :.|: : : :./ |:/　 |! : ;ｲ:! 　 ヽlﾞ､: : :!: ､: : :i
　　 　 　 !: : :l|: : /ｪ土ﾆ､｜:/ ﾘ ,ﾆ≧ヵヽ: :l: : },: : l
　　　　　 l.:/r|: ∧｢代ﾙ|　|/　 　 代り,!/l: :l: : j i.: j
　　　　　 ,!',{ |/: : i ヾ上!　　　　　ヒｼ　l.:.!:.l: :.,'　l :!　　　　　　「えっ、やらない夫はまだ………」
　　　　　/ｲ:ヽl: :､:.i　　　　　　　　　　・l: :lｲ:./　　ﾘ
　　　　　　|: : :l.: :ﾏト.､　 r_―ｭ　 _ , ィﾞ|: : :l'
　　　　　　|.: : :}: : V!r;ｸ｀: ェ_＜｢:::::::,':lj: : :l
　　　　 　 |: : :.|:l: :ﾍ''ﾊ　　　 j　 ＼:,'::;ｲ: : !
　　　　 　 |.: : :,:ﾍ: :.V!ヾ´￣｀l　　　ﾞlト!: :/　 l＾i　／）
　 　 　 　 |: :,<＼ﾍ :Y　ﾞ、 　 l　　　lｌ l: :/ /ﾏ ﾉ'゛∠- つ
　 　 　 　 !: iﾍ.ヽ､`l: :!　｀、　,!　　 ll ,l.:/ ∧ ヽ、　‐'二 ､
　　　　　 ｌ: :|　｀ヽ､ﾞl: :!　 丶 l　　〃 ﾚ　∧｀:、 ＼ ‐=ニ′



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　驚いたのはコナタである。
　　未明にやっと意識を取り戻して左腕を再生して貰ったやらない夫はまだ、
　　見てすぐ分かるぐらい調子を崩したままなのだ。

　　出発しても戦いにならない、もう数日休んだ方が良いのではと言いかけたが
　　遮ったのは他でもない、やらない夫本人だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　 　 _,.ノ　⌒
　　　　　　　　　　|　　 　（ ー）（ー）
　　　　　　　　　　.|　　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　　 　　　 ﾉ　　　　　　　　　「エルの言うとおり、すぐに出る」
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　|_,-‐、_ -、
　　　　　　　　　　.人､　　 　　 厂丶,丶　v　〉
　　　　　　　 _,／::::ヽ､.,ヽ., ___,く_ソ　　　 __ノ
　_, ､ -― ''"...:::::::::＼::::::::::::::::::::(　　　　〔"ﾆ‐-、
/.::::::: ':､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r　 ／⌒ヽ:::::: )
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V／.....￣　',::::|
:::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈　:::::::::::::::... ',::i
:::::::::::::::!::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ　::::::::::::::::::. ',

144 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:10:00 Ri7DR6iY
三２７６．



　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.､
　　　　　　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀､
　　 　 　 　 　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:／／:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..､:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::.／ヽi､}:.,､.:.:.:.',
　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. ／　　　 ｀ｰ|:.:.:.:.:l
　　　　　　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._,-‐/‐- ､　　 　 |:.:.::.::l
　　　　 　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ /{ r ,､Yヽ_　　　　　|:.:.::.:.l
　　 　 　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//｀ｰ'-　｀ 　　_,,-‐-j:.i/::.j
　　 　 　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l　　 　 　 　 　 　 /ｿ7´/::.|:.:/　　　　「………住民の反応がこれ以上悪くなる前に
　　　 　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　　　　　　　　i／:./／|/　　　　　　自分から出るつもりなのね」
　　 　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀ ､　　　- ‐ 　イ:.:.:.:´i:.:.{
　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_　 イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
　_,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|



―――――――――――――――――――――――――――――
　　今なら住民達が良くない行動を起こす前に町を出られるだろう。

　　キャスターの予想通り、心証をこれ以上悪くしないためにも
　　急ぎ距離を取る事を選んだやらない夫はしかし。
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 , ´　　　 ｀､
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,'　　　 　 　 ヽ
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　 　 ｜
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　 |
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 l　　　　　　　 |　　　　　　　　　「それもあるが………」
　　　　　　　　　　　　　　 　 V＞'´￣｀`＞
　　　　　　　　　　　　　　,. イ///////////,'＞ｘ
　　　　　　　　　　　　　　 ＼＞'´/////`i＜/／
　　　　　　　　　　　　_,. - イ////////////＞ - ｘ_
　　　　　　　　　　l´/////////////////////////７
　　　　　 　 　 　 l///////////////////////////l
　　　　　　　　　　l//////////////////////////,'!
　　　　　　　　　　l///////////////////////////i
　　　　　　　　　　7//////j///////////////////,'!
　　　　　　　　　 //////V/////////////∧/////j
　　　　　　　　　 l////7　j/////////////i　|////,ｊ
　　　　　　　　　ﾉ/////!.ﾉ////////////八 !////,j
　　　　 　 　 　 ｊV/＞'´////////////////ヽ////,i!
　　　　　　　/ﾆﾆﾆﾆ--z/////////////////＼///|



――――――――――――――――――――――――――
　　一番優先しなければならないのは他の何でもない―――
――――――――――――――――――――――――――

145 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:11:02 Ri7DR6iY
三２７７．
――――――――――――――――――――
　　―――大切な仲間なのだ、と言い切った。
――――――――――――――――――――





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　 |
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,,..イ 　 　 　 |
　　　　　　　l　　　　　　　　　　_,,,...イ´ 　 |　　　　　|
　　　　　　　ヽ、ヽ ＿_,,..-t''"´:::::::::::|　 　 l　　　　　|
　　　　　　　　　　　　|　　ヽ:::::::::::::ノ　　 /　　　 　 .|
　　　　　　　　　　　　ヽ、　　 ￣　　　／　 　 　 　 |　　　　　　　「雪華綺晶の為には
　　　　　　　　　　　　　 ｀　　　　　　　　　　　　 　 |　　　　　　　　一秒の無駄も許されないんだ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　 　 |
.人　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　 　 |





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━…

146 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:12:00 Ri7DR6iY
三２７８．
━━━━━━━━━━━…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

――――――――――――――――――――――
　　午後五時十五分。

　　一人では説明に不足するかも知れないと
　　買い出しをコナタに頼んだエルとやらない夫は
　　王族が集まる報告会に出席していた。
――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　「―――私どもの把握している事および、
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　推論は以上になります」
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, -‐''"´￣￣｀゛` ‐-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ、/,,,__,_//,,,,,,,,/,,　 　゛ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　/／　/　　゛ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　〈／/　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈r,,ィ-‐‐ー　　＼　「⌒ヽ　|_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/゛.'-'-‐‐`　　　〉　|..♭）ｌ　|　゛ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……………」　　　　　　　　　く_.　　ヽ　　　　　｜｜.イ　/　＼　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　|　|　レ´|l　/〉　　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽー　　　　　/｜|　ト、｜l　/　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉヽ　　　／　｜Ｌ／｜/λノ/|/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　‐イ　　／|/l　　,λ,/_/_,-‐'"￣゛`‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／⊥／　_／　　/　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　Y　|／　　／/　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 人 ⊥―￣/　／

147 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:13:05 Ri7DR6iY
三２７９．
―――――――――――――――――――――――
　　自分達が持っていた情報や推論は全て伝えた後。
―――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　 ／　 　 _,ノ　ヽ､
.　　　 　　　 　 ｜　 　 ( ー) (ー)
　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |　　　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　「………もし妖術師の狙いが私であったのなら、
　　 　 　 　 　 　 |　　　　　 　　|　　　　　　　　　アルビオンの方々には大変なご迷惑を………」
　　　 　 　　 　　人､ 　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
　　　　　　　_,イ　ﾄ､ヽ 、 __ ,_ ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　考え違いをしてはならぬ、ビップ殿。　|
　,.　-─‐-´ 　 l　　ヽ,＼__､_ﾉ7　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
/´　　　　　　　 :i 　　ハﾍ､;;ヽト、
. : .　　　　　　　　:i　　　ﾊ 〉:.;〈ヽ ＼､_
, : : . ＼　　　　　　:L_＿　 v;;;;ﾍ ' ,＜. ヽ
. : : : .　ヽ: .　　　　　 く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
!: :　　　　、: : : : 　　　 ヽ 　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　.´: : : .　 ' : : :　　　　　 ＼ 　 '';;;::|　 ,|　__| |
: : : : .　　.γイ: .　　　　　　 ' .,　 ':;;:|　 l、__j.|



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　言葉で足りることではないが、
　　ご迷惑をおかけして申し訳ございませんと言いかけた彼を遮ったのは、
――――――――――――――――――――――――――――――――

148 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:14:00 Ri7DR6iY
三２８０．
―――――――――――――――――――
　　他でもない聖王エギーユその人だった。
―――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ￣ ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 !､　　　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |
　　　「邪悪なる者の企みに巻き込まれたとしても、　　　　　　　　　　　　　　　　　j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　 そなたに責任があろうはずがない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　 言い換えればそれは貴き道を往く者の宿命であり―――」 　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ノ　 _／イ~｢` （　_ﾉr'　　／　＼＿＿_　　　　　.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__,..ノ" 　 | .|　 //　/　／　　　　ヽ.__　￣｀ｰ-､.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　| | ,//　/／　　　　　　　　＼､　　 ∑>==r'fｱーｧｰil

149 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:15:06 Ri7DR6iY
三２８１．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そしてはっきりと告げた。

　　妖術師の狙いがたとえ何であろうとも、
　　やらない夫に責任が無い事は明白であり、追求するつもりはないのだと。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　「英雄の恩恵を受ける者が　　　　　　　　　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　 享受しなければならない部分なのだ」　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `



　　　　　　　　,　-―.―ｰ- ，
　　　　　 ,，´.::::. . . . . . . . ..:::..｀ヽ
　　　　 ./.; : : : : : : : : : : : : : : : : :.' ,
　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,'!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.，
　　　 ,'.::::::::::::::::i::!::::::/ i!,'ノﾘｿﾘｲ::::::::l
　　 ,ｲ|:::::::{千ﾍ! i,ﾙ'　ｨrｻｭ｀_　.}::〈.ｨﾊ
　　　 .!ﾘ!ヽ'ｨrﾀ｀ i　　　　　　　 ｊ::::}　 }　　　　　　「そうですとも！
　　　　 　 {.´ 　　|　　　　　　　　iﾘ´ｲ　　　　　　　貴殿がいなければ妖術師の驚異はなかったのですか！？
　　　　　　 '. 　 　ヽ´　　　　　　　チ|
.　　　　　　　 、.　 ､_, ‐-　　　　.　!ｲ.　 　 　 　 　 それは違う。
.　　　　　　　　＼　　 ‐ 　 　　,ｲ　ﾘ.　　　 　 　 　 遅かれ早かれ、どこかで何らかの事件は起きたでしょう。
　　　　　　　　　 |＼ 　 　 .／　　 |
.　　　　　　　　__」＿｀ー､´　　　　|､____　　　　　　 貴殿のいない状況でそれを食い止められる保証もないし、
　 　 　　　　 i｀ー―--┬┬┬-==＝ﾆ｀i　　　　　 アルビオンでない場所で上手く行く保証もない！」
. 　 ＿＿＿_」 .┌─┐.|. ∥ |　┌─┐ ト､,___
:::::::::::::::::::::::::::ゝ└─┘.|. ∥ |　└─┘_|:::::::::::


――――――――――――――――――――――――――――――――
　　コウもガタッ、と椅子を鳴らして立ち上がると父王の言葉に強く同意した。

　　いつかどこかで起こる事件がここで起きた偶然を嘆くより、
　　共に力を合わせて打ち破れた事を誇りに思っていたいから。
――――――――――――――――――――――――――――――――

150 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:16:00 Ri7DR6iY
三２８２．



　　　　　　　　　　　　　　________
　　　　　　　　　　　／)　/ .)　　＼
　　　　　　　　　　 / ./::/ ./:::／ ） ＼
　　　　　　　　　　 l　.l/　/／ ∠___　|
　　　　　 　　　　　l　/ ／ ／ _､,,.ノ　|.　　　　　「……………」
　　　　　　　　　　r　　　　 　/___)　　|
　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　 |
　　　　　　　　　/　　　　 ノ　　　　 /
　　　　　　 _∠⌒ヽ　　j 'i, _、___ ｨ／|＼____
　　　　　／ ...::::;;;:::ヽV;;;;l　フiiiiく　　/.:;;:l;;;;;:::´´''' ､､､ _
　　　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;:: 〉;;;;;:l／ iiiii ＼/.:;;;::l;;;;;;;;;;;;;::::::::..... i::..＼
　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;;;;;:: /;;;;;;;;:::ヽ llllll　/..::;;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::: l;;;;;;:: l



―――――――――――――――――――――――――――
　　それでもやらない夫は複雑そうだ。
　　
　　彼の苦しむ様子を見て
　　静かに口を開いたエギーユは自分の契約する神の教えを、
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　「闇と月の女神の教えにはこうある」　 　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' |.| ﾚ'__二ﾌ′ ｨ'　　　　　 　 　 |

151 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:17:08 Ri7DR6iY
三２８３．
―――――――――――――――――
　　こういう考え方もあるのだ、と諭す。
―――――――――――――――――

┏──────────────────────────────┓
│世界は光だけでは成り立たぬ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　   │
│闇を認め、受け入れ、それでも闇夜を優しく照らす天上の月のように、　   │
│絶えず光を投げかけ続ける事に意味があるのだと―――　　　　　　　　   │
┗──────────────────────────────┛



:.ヽ　　　＿　　　　　＿ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:~:::..... ﾉ~::::: ... ヽ　 ,:::::::...)　::::::::::::::::::::::::::::::::::　 ―　-　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::.:..........　　:: .... ﾉ..ｿ....:::...:.:.　ﾉ:::::::::::::::::::::　／ 　 　　　　＼ :::: ::::: ::::: :::::::::::::::: :::::: ::::: :::::: ::::::: ::::::::::
::.....::::....　　゛::　　..:...........::::::ヽ　　　　　　/ 　 　　 　　　 　 　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　,....:::::::::........　.........　　.....く::::....　　　　| 　　　　　 　　　　 |　　:::::::::::::::::::::::::（;;,,,,,　＿＿＿）:::::::::
....: ::::....ノ....::::.:::: .... ﾉ:::::::: ............ノ........ 　| 　　 　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::（,,,,＿＿_):::::::::::::::::::::::::
::::ヽ,.....　　.,,....:::::::::::::....:::...　　゛....　　　　ヽ 　　　 　　　　　/::: ::: ::: ::: ::: ::: :::: :::: ::: :::: :::: :::: :::: ::::: ::
:::::::........　.........　　.......::........,,....:::::::::.ノ ::: ::::: ＼ 　 　　　　／ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:........ノ::::.....::::....　　゛::　　......:.....　....::::::::）::::::: 　　ー―　 ...::::::::::::: ::: :::: :::: :::: :::: ::::: ::::: ::::: :::::: :::::: :
ヽ　　,',:.....:::::::::..........　.::::..,　.........:::::::::ﾉ::::　::::　　::::::　　　::::::::　　::::::::　:::::::::　:　 ＿,,,
.::::....　　........　.　　....::....::::........:....r''　::: ::::::::::::: :::::::::::::::: ::::::::::::::::::::: :::::::　 ,,,,,, ,,/~　　 ＼,,,＿＿
.....::::::::.....::::......y.ﾉ...........　..........　:::::/＿＿;;):::: :::::::: ::::::::::::::　::: :::::::::::　／
:iiiiii::;iii:i; ｲ........,.,:　　　　....::::::r''~::::::(;;;;;;＿＿＿）: ::::::::: ::: :::::::: ::::　 /|ヽ,,
;:;;::'':;ii:::.. | .)ヽ,.......,,............::::::::） ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r/　　''ヽ,,,,
ii::　 :;i;:　,,V:;iiii;/　　:::　　::ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|li　　/ii　　 ゝ,　　　　,,
:;;;::;;.::;;;:　;; i;;i:/....::::..ﾉ　￣::::: : ::: ::::: ::::　::::::: ::::: ::::: :::::: ::::: ::::: ::: //ll　　　　　　|;,, ,,ノl⌒￣'' '
::;i;..　 .::i;:ii:ii;/　::: :::: :::: ::: ::: ::: :::: ::: :: : :::: ::: :::: ::: :::: :::: :::: :::: ::: :,|r　　　　/i　　/⌒　|
;ii;:.:;:..,:;'''　r''ヽ_ノ~''' '''ヽ_　　　　＿,,,, ,,,,, ,,,＿　,,::: :: ::: :: : :: :: : :;|| ll |　　　　ﾉ/　　 /ii
: ...　::;;;:..　|　　　　　　/::ゝ'⌒~　　　　　　　 ~/;ヽ＿,,,,ﾉ/⌒⌒//　/　ll|　　　|ll　　l
;ii;:: , .::;ii;: .|　""　　"/:: .　　　　 　 　　　　　/;;;;/ 　　 ~　　　　ヽ_人;;,ﾉ 　 　ﾉ_ノ
_i;::;.ii:.; ヾii.|　　　　 /::.. . .　　　　　　,, ,,　　 ヽノ　　　　,,,　　,, ,　　　　'ヽ'''i /^/　 ii　　/ii



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　神々の教えもそれぞれ異なるように、一人一人の思想や主義に唯一となる答など無い。

　　ごくまれに妄信的な者や頭の硬い者も居るが、
　　多くの司祭達も他の教えを排他的に考えるのではなく
　　相互理解や共存に努め、総合的に光の道を目指せば良いと考えている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

153 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:18:00 Ri7DR6iY
三２８４．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　しかし、残念ながら神聖王国と言えど
　　人民の―――王族を含めた全員にその考えが強く浸透している訳ではない。
　　むしろもっと即物的で集団心理や状況に流されやすいのが人の常だ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　,r ´丶 .　　､ ｀ ヽ、
　　　　　　　　　　/ー-..,,_ヽ､_ .ヽ i .l　.､
　　　　　　　　　 l-ー'' ¨''-r　　｀丶、 | .ヽ
　　　　　　　　　l., -.、ー- l /　　　　　ｰｲ
　　　　　＿＿_/l　ミ.l　r ~ ´ ,,__　　、　i ｌ
　 ,.-=''´: : : : /,」.八l　l: : -　.､k.ﾐｯ,,_ヽi_.l
　, '´ﾉ: : : : ＿i/: .丶l .l: :　　　 　 .　' l'i´
__,r´,: : : /'' ＼､: : : ..l l: : : 　 　 　 ,_._ｌ´
: : , iー/: : : 　..＼丶 l l: : :　　　-_-r.i　　　　　　「だが、残念ながら住民はそう思っていないようだ」
-<''~: ｀丶、: : .,　 ＼ | ..＼　　　. /l |
: : : ヽ: : : .ヽ丶,　　　＼ﾐl　＞ .イ　|
　　.　ヾ: : : : ヽ丶,　　　i.|;;;ィ´ﾉ_ 　l
　　　　ハ: : : : : lヾ、 　 !|/　ｨヾ　゛ｰ. 、
　　　:ｲ　.l　　i-.、l　ヽ｀ ー ´ l　丶 　　｀ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　-―.―ｰ- ，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,，´.::::. . . . . . . . ..:::..｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./.; : : : : : : : : : : : : : : : : :.' ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,'!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.::::::::::::::::i::!::::::/ i!,'ノﾘｿﾘｲ::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ|:::::::{千ﾍ! i,ﾙ'　ｨrｻｭ｀_　.}::〈.ｨﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .!ﾘ!ヽ'ｨrﾀ｀ i　　　　　　　 ｊ::::}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 {.´ 　　|　　　　　　　　iﾘ´ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　「兄上！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '. 　 　ヽ´　　　　　　　チ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 、.　 ､_, ‐-　　　　.　!ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 真実を早急に見極め、　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　＼　　 ‐ 　 　　,ｲ　ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 世論を是正するのは我々の役目でしょう！」　　　　　　　　　　 |＼ 　 　 .／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　__」＿｀ー､´　　　　|､____
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　 i｀ー―--┬┬┬-==＝ﾆ｀i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 ＿＿＿_」 .┌─┐.|. ∥ |　┌─┐ ト､,___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::ゝ└─┘.|. ∥ |　└─┘_|:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､::::::::::::::::::::::::::｀ｰ---┼∥┼---‐ ´::::::::::::::::



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　事実だった場合は住民の気持ちも酌んでやらねばなと厳しい顔の長兄に
　　まだ決まったわけではないと三男は噛み付き、
―――――――――――――――――――――――――――――――――

154 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:19:00 Ri7DR6iY
三２８５．
――――――――――――――――――――――
　　テーブルを乱暴に叩いた長女が
　　兄弟喧嘩をしている場合じゃないと中断させた。
――――――――――――――――――――――




　　　人人人人人人人人人人人人
　 ＜　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　＜　　いい加減にしなっ！！　　 ＞
　 ＜　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　　　Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　///　//　///　　　///
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//// // ////　　　///
　　　　　　　　　　　　　　　　　　//// // ////　　　///
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣´｀ヽ _　 // // //
　　　　　　　　　　　　　　　　　 (　　ゝ/￣ ,　　￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　 (｀ー‐|　 /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　 (｀ー‐し'ゝL _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　(--‐‐'´}　　　 ;ー------
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ヾ-‐' ーｒ‐'"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　)　　　　　て
　　　　　　　　　　　　　　　　　／^⌒`Y´^＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚY^Ｖ^ヽ



　___ 00　__
　| ∟　└┘/7　　　[][]「l
　|_厂　　 ＜ノ　 　　　くノ

155 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:20:00 Ri7DR6iY
三２８６．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _. -‐=､'}　ヾ,　　　　　　 ｀' ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. ‐''´￣｀' ｀'　　l彡-　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'´ﾌ´／　　'"｀ヽ　}'⌒　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　/ 　 ,.‐''ｿ /"ry⌒ヽ,　 ､　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´7 ﾉ / /　,.ｲ. |　|::::::::::::::ヽ, li　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´7. |　|　ト-i､|　|::::::::::::::__;ゝ}ﾐ､ 　 　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚl　|　|ｬｰr,､ヽ|'vｯ＝'-ry:|　:レヽ　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　「どちらも気が早過ぎやしないかい！　　　　　　　　　　　　　　　　　`'ﾄ､.ﾄ｀'ｰ'^ .i::.､^'ｰ-‐'ﾞ:::|　:|'ｱ |　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　 | :::| 　　　j::::. ｀ 　　:::::|　::|_ノ: 　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　 妖術師の目的はただの想像に過ぎないんだ！　　　　　　　　　 　 | :::::l. 　 ヽ-　　　　::::::|　:::|;:: : .　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 今は責任の所在やあたしらが制御すべき世論よりも　　　　　　　 | ;:::::|i:､　 ''━ｰ' 　.::イ|　 :::|;:l : : . 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 考える事があるんじゃないのかい！？」　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　;:::::l「l^' ､.＿... -''´__,|　 ::::|;:l : : :　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　| : ;::::||:|::ﾖ＝､｀'Y´,..＝| li ;::::|;:l : : :　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　ﾉ : li:::||ﾉヲ''＝} :∥:}＝'| |　;::::|;:l : : ::.　｜



　　　　　　　 l／ﾉ　　　　　　,l　　　　　 i, ｀ヽ､_　 ﾞ､i
.　 　 　 　 ／/./ 　 　 　 / /i 　 i i　　　ﾞ､､　　｀ヽ､|
.　　　 　 /／ /　　　 　 / / l 　 l ,l　i　　 ﾞ､ヽ、　 ﾞ ﾞi
.　 　 　 i'/,i'/ ,　/　 ,. /　/ i'　 ,il |ﾞ､ 'i,　　 ﾞi,､ ﾞヽ､　l
..　　　　i! ﾉ´/　i'　 //i' /' ,i'l　 i.l |. ﾞ､ i, 　 i ﾞi ﾞ､.　ﾞ､l
.　 　 　 !/ /　/　 ,i'/､l/ i./li　 i l | __,ﾞ､i, 　 ﾞヾ､__､　ﾞi
..　　　　,'./i　/　 /､ヾ｀ｿ'i､ |.　l=i l､‐‐,yi　　 Y r iﾞ､. |
　　　　 l l l ./　/il　 ￣ i'l i l　l　.!'i,￣´ﾞi i　i, | iy'lヽﾞ,i
.　 　 　 !| l,/ ./i |i　　　 i! l :ﾞi l 　 ﾞ､　　.!|､. | l,. ノil　|
.　 　 　 ﾞi! |　,'ﾉ i,､.　　　 ﾉ　ﾞ､i,　　　 　 ! i, il／|　|　|,　　　　　　「ごく小規模ですが、
.　　　　 　 |　ii'　i､　　　 ヽ　　ヽ　　 　 　 l ﾉ | i　i'　|i　　　　　　 他の町でも似たような合成獣襲撃があったそうです。
　　　　　　,i'i i!　i./ﾞ､.　　 ‐ -- ､　　　 　 i'/i| | l　l　 |l
.　　 　 　 //ﾞ､､i'/　|ﾞ､　　 ￣　 　 　 ／〃| | ! l.　i　l i　　　　　　 この理由について意見はありますか？」
.　　　 　 i'l　l　i i'／iヽヽ、　　　 ,,.-'",／.／ヽ　i,　i　 lﾞi,
.　 　 　 ,i'l　i .i／;;; i;ﾞ､ﾞヽ ` - ''"／/　／ i |;;;;＼i　i,　l ﾞi,
.　　 　 ,i'l,,.-'/;;;;;ﾞi' l〉''y'^ヽ-'"-､_/-<　　i';r,;;;;;;;;;＼!　!　i
....-‐'''"　　 /;;r'' ;; l>::::‐‐（_）=-､:::::::i　　 | ,.'";;;;;;;;| |ﾞ'''- .l,,_



―――――――――――――――――――――
　　今、肝心なのは再襲撃があるのかどうか。
　　あると仮定した場合、目標は何になるのかだ。
―――――――――――――――――――――

156 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:21:11 Ri7DR6iY
三２８７．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　妹の言う事がもっともだったので、
　　熱い息を身体から追い出して冷静であるよう努めたアナベルは
　　あくまで狙いは英雄、との視点からの意見を出し、
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　 yｯヾ ii||| |||| | ﾚﾙｹﾚｿゝ
. 　 / ｼ'　　　　　　　　　　　 ﾏﾓｪ
.　 i ﾖj　　　　　　 .　　　　　　i.ﾋﾆi
.　 | ﾖ}　　　 　 　 i　　　　 　 { ﾓﾓi
.　 ﾋ {　rｰ-､,,,　　|　　_,,-ｰヘ ﾓﾓi
.　ｨﾔ{　　ﾆｴﾇ"'' ´｀.r'´ﾔｵﾆ　 }ｿﾍ
.　i ^ﾘ　　　　　j　 | ﾔ　　　　　||^i !
.　ヾ∥　　　 　 　 |　i.　　 　 　|| /
..　　∥　　　　　 , l ,　　　　　 .||
......　||ヽ　　　　 ＿＿　　　　　||ゝ　　　　　　「英雄殿の呼び込み、またはあぶり出しか？
.　　∥ ヽ　　　´ｰ─ ｀　 　 　'|| ｀ヽ.　　　　　 アルビオンからの戦力分散も考えられるか」
.　　∥ 　|ヽ　　　¨¨ 　　 　 ｲ∥　 ヾ
.　　 |　　|　ヽ.　 　 　 　 ／ |. |　 　 ヾ
　　 　 jkt　　 ヽ＿＿／　　 |ti　 　 ｿ
　　　　{:;:;:;:;ヽ ､　　　,,,, ｨ:;:;:;:;:;}　　　ｿ
......　＿}:;:;ミ ヽ ｀iTi´ ﾒ　彡:;:;:;{＿　ｿ
.　　　 ;:;:;:;ミ 　ヽ-|-ｲ　 彡:;:;:;:;ﾄ￣



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r'::::::ﾆ-､::::::::ミﾐヽ､::::::::::::::＝ﾆ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　　　 /:://:::::ミ､::::::::::::＼ヽ､:::::::::::::＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　　　　,':::,'::::iヽヽ:::ミ:::::､:::::::::＼:::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /::::!:::::ヽ:ヽ::::::::::`:::::::::ヽ:::ヽ::::::ヾヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　　　/"i::::::::::::ｉﾞ_､:::::::::!＼vヽ、:::::::::ヾ:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　　　 i:;::::l::',:li ｏヽ`ヾi. Y'ｏﾞﾘ､:::::::::::iｰ=ヾ
　　　　「もしくはもっと根本的な………　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　　　　　/ lﾊ::::',ｉﾞー" 　 ′ ー" i:::::::::ヾ､
.　 　 　 この国自体の壊滅や弱体化を狙っての事でしょうか」.　　 　 　 rｲ￣'",ﾆ､!:::::i.　 　　. . 　 　　,':j::lヾﾔ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ |　　　l　lｻ!::iヽ 　 . --､ 　,.ｲ::l!';:l　　　 ,ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|〉　!　　　|　l八ﾞ!　＼　￣ .ｨ'　/ｉ! i '!　　　i　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　／<　';,.　　 l　| ヽゞｬ-､`＝ﾝ　_ｿ, !　i　　　 ,'　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〉ヽ-`'　i!/｀`ｉｰ',　 ｀`-ﾆ_--‐'ﾆ-' ,'　 / ｉ　 / i　i l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　' , ,,,i'´!、 l-　ヽ=- -‐-;'''´　　　 　　 ｌ　　, ' ,' .i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　/　　　ﾞl　i　 'i　j/　 ,..-‐'￣　　　　 　　　 !　/　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 ll､ヽt,ｹﾝｪ‐'´　　　　　　　　　　　 ,!'　　　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　 　 i┴､＞ﾆ ﾝ`''＝ｰﾝ´ヽ　　　　　 　 　　　　　/ヾ!ー,-,ﾝ.i



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　ずっと黙っていたエルがぴっ、と指を立ててとんでもない別案を述べる。
　　別に裏付けも何もなかったが、やらない夫のせいだと決めつける相手に
　　不快感を覚えてつい口から出てしまったのだ。

　　だがさすがの彼も、その出任せが一番真実に近かったとは夢にも思わなかっただろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

157 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:22:00 Ri7DR6iY
三２８８．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　「繰り返すが我が国にはエゥーゴのように神の力が宿る宝具や　　　　 　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　 聖遺物の類、特殊な伝承などがあるわけではない。　　　　　　　　　　 　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　 分譲される大地の女神の宝具を狙っている可能性もあるが………」　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' |.| ﾚ'__二ﾌ′ ｨ'　　　　　 　 　 |



　　　　 　 　 　 　 　 ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　 　 　 　 ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　 　 　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　 ／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　 　 　 　 　 ／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　 　 ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　 　 　 　 　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　 　 　 　 ､ _｣ ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　 　＼　　　‐--- ／|:/　　　　　　「いえ。
　　　 　 　 　 　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／ 　.ｿ　　　　　　　それなら分譲される前に
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　 　 ／ヽ- '　　　　　　　　　　　 再度エゥーゴで事を起こしていたと思います」
　　　　　　　／　　 ヽ､　　　　　_ ｲ
　　　　　 ／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　 　 　 　 ー┴､
.　　 　/　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　/　 　 　 　 　 　 ＼　　　　 |､

158 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:23:00 Ri7DR6iY
三２８９．
――――――――――――
　　結局のところ―――
――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　,．-‐─ ─- ､
　　　 　 　 　 　 　 ,r'"´ 　,r'´￣`ヾヽ｀ヽ､
　　　　　　　　　　/　　 ,ィ二三二ヽヽV!　＼
　　　　　　 　 　 /　 ,ィ⌒二ﾆ､_ヾ/　 jﾘ,．-‐＼
　 　 　 　 　 　 /　,// ,イ　　 　V　　 ,､--､r､,　ﾞi
　　　　　　　　/　,//　l ﾉ　　 ,fｨイ￣　　　 ﾘjﾉﾉﾉ
　　　　　　　,/　,ｨr〈　ﾘ ,ｲ_,ｲ」j/ﾘ,,　 ,,､､ｨｲﾉソ′
　　　　　　 / ／　Uj　　}ﾘ,!ｰt;;ｧﾐ:j　t'ﾃｧｨｲ{
　　　　　 ,/'´　,ｲ　|　　 l |´｀" ´ .:::; ｀"´ ,'爪　　　　　　　　「最強を求める妖術師の狙い、ねぇ………」
　　　　　/　　// /l　　l | |　　　 .:.::; ' 　 /　| ﾄ､
　　　　,ｲ　／ ／　| 　 | | ﾄ､　　- ｰ‐　/L_」」__ﾄ､　＿
　　 ／/, ｲ,／　　ﾉ　　j | |　＼ ´￣ ,.ｲ{￣＼￣￣　_ ｀ヽ
　'"´￣￣ﾉ　　＼|,ｲ|　l | |,ｨ^ヽ｀ｰ‐'ﾞ ヾi!　　 ＼　　 ヾヽ　＼
　￣＼／/!　　＼| | |　ﾘ/　　ｰ=氷=‐　|　　　　＼　　! |　　 ＼
　　 　 V | 　　 ＼| | |　ﾄ､｀二＞〉j〈二 ﾊ　 　　 ／ 　 | ﾄ､
　　　　 ﾄｲ二三二!,j |　|　＼ 二ﾆ!ﾆ　//ﾄ､￣｀`ー┐ | | i　 ,ｲ
　　　　 |　＼　弋ｲ | |　|　　 ヾ｀`Y´,// j　＼　　　 |　jﾘ/ ,/ |



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （ー）（ー ）　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （__人___）　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｜　　　　　　 ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……………」　　　 　 　 |　, 　　　 ／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　 ／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二 ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　やらない夫達がフリートに揃ったのは偶然だが
　　妖術師の目的が見えない以上、噂を完全に否定することは出来なかったのである。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

159 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:24:02 Ri7DR6iY
三２９０．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それぞれに思惑や胸に秘めた気持ちがあったとしても
　　先に触れた通り、エギーユには責任について論ずるつもりは毛頭なかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　 　 　 　 　 　 　 　 _,,,,,....,,_　 _,,,,,,_
.　　　　　　　 　 　 　 ／､　　,.　｀´,.-_,,.ヽ､___
.　　　　　　　 　 _,,.-''_,,.-=ヾ |　/_,∠_　 　 　 ﾞ､
　　　　　　　　 /／´.／　　 ヽ/　　　 ﾞ､､___　､. ﾞ､
　　　　　　　 r'//／　　　　　i　　　　　ﾄ､　 ￣ﾞヽﾞ､
　　　　　　　 l／ﾉ　　　　　　,l　　　　　 i, ｀ヽ､_　 ﾞ､i
.　 　 　 　 ／/./ 　 　 　 / /i 　 i i　　　ﾞ､､　　｀ヽ､|
.　　　 　 /／ /　　　 　 / / l 　 l ,l　i　　 ﾞ､ヽ、　 ﾞ ﾞi
.　 　 　 i'/,i'/ ,　/　 ,. /　/ i'　 ,il |ﾞ､ 'i,　　 ﾞi,､ ﾞヽ､　l
..　　　　i! ﾉ´/　i'　 //i' /' ,i'l　 i.l |. ﾞ､ i, 　 i ﾞi ﾞ､.　ﾞ､l
.　 　 　 !/ /　/　 ,i'/､l/ i./li　 i l | __,ﾞ､i, 　 ﾞヾ､__､　ﾞi
..　　　　,'./i　/　 /､ヾ｀ｿ'i､ |.　l=i l､‐‐,yi　　 Y r iﾞ､. |
　　　　 l l l ./　/il　 ￣ i'l i l　l　.!'i,￣´ﾞi i　i, | iy'lヽﾞ,i　　　　（セラフ殿の事もある………
.　 　 　 !| l,/ ./i |i　　　 i! l :ﾞi l 　 ﾞ､　　.!|､. | l,. ノil　|　　　　　どちらにせよ彼はフリートの為に動いてくれるとは思うが）
.　 　 　 ﾞi! |　,'ﾉ i,､.　　　 ﾉ　ﾞ､i,　　　 　 ! i, il／|　|　|,
.　　　　 　 |　ii'　i､　　　 ヽ　　ヽ　　 　 　 l ﾉ | i　i'　|i
　　　　　　,i'i i!　i./ﾞ､.　　 ‐ -- ､　　　 　 i'/i| | l　l　 |l
.　　 　 　 //ﾞ､､i'/　|ﾞ､　　 ￣　 　 　 ／〃| | ! l.　i　l i
.　　　 　 i'l　l　i i'／iヽヽ、　　　 ,,.-'",／.／ヽ　i,　i　 lﾞi,
.　 　 　 ,i'l　i .i／;;; i;ﾞ､ﾞヽ ` - ''"／/　／ i |;;;;＼i　i,　l ﾞi,
.　　 　 ,i'l,,.-'/;;;;;ﾞi' l〉''y'^ヽ-'"-､_/-<　　i';r,;;;;;;;;;＼!　!　i
....-‐'''"　　 /;;r'' ;; l>::::‐‐（_）=-､:::::::i　　 | ,.'";;;;;;;;| |ﾞ'''- .l,,_



　　　　　　　　,　-―.―ｰ- ，
　　　　　 ,，´.::::. . . . . . . . ..:::..｀ヽ
　　　　 ./.; : : : : : : : : : : : : : : : : :.' ,
　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,'!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.，
　　　 ,'.::::::::::::::::i::!::::::/ i!,'ノﾘｿﾘｲ::::::::l
　　 ,ｲ|:::::::{千ﾍ! i,ﾙ'　ｨrｻｭ｀_　.}::〈.ｨﾊ
　　　 .!ﾘ!ヽ'ｨrﾀ｀ i　　　　　　　 ｊ::::}　 }
　　　　 　 {.´ 　　|　　　　　　　　iﾘ´ｲ　　　　　　　（情けない………
　　　　　　 '. 　 　ヽ´　　　　　　　チ|　　　　　　　　結局、ビップ殿に頼らざるを得ない状況で
.　　　　　　　 、.　 ､_, ‐-　　　　.　!ｲ　　　　　　　　 みんな何を悩んでいるんだ）
.　　　　　　　　＼　　 ‐ 　 　　,ｲ　ﾘ
　　　　　　　　　 |＼ 　 　 .／　　 |
.　　　　　　　　__」＿｀ー､´　　　　|､____
　 　 　　　　 i｀ー―--┬┬┬-==＝ﾆ｀i
. 　 ＿＿＿_」 .┌─┐.|. ∥ |　┌─┐ ト､,___
:::::::::::::::::::::::::::ゝ└─┘.|. ∥ |　└─┘_|:::::::::::
　､::::::::::::::::::::::::::｀ｰ---┼∥┼---‐ ´::::::::::::::::
　 　 `　､:::::::::::::::::::::::::::::| ∥ |::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　 　.｀ヽ;:::::::::::::::::::| ∥ |::::::::::::::::::::::::::::::::::



―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　冷静に考えればたとえ妖術師が英雄への復讐を狙ってしでかした事だとしても
　　彼個人に責任がない事は分かるし、
　　むしろそう言う―――名声ゆえに、悪党共に狙われやすい立場である事を
　　自覚した行動をとれ、と言う方がよほど無体だ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

160 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:25:00 Ri7DR6iY
三２９１．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　されど、これからの自国の安全確保と住民の不満解消については
　　何らかの手を打たねばならなかった。

　　妖術師の一方的な怨恨だったとしても、狙いが彼にあるのならば
　　再襲撃の可能性を鑑みて対策を行う必要があったのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, -‐''"´￣￣｀゛` ‐-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ、/,,,__,_//,,,,,,,,/,,　 　゛ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　/／　/　　゛ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　〈／/　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈r,,ィ-‐‐ー　　＼　「⌒ヽ　|_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/゛.'-'-‐‐`　　　〉　|..♭）ｌ　|　゛ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　く_.　　ヽ　　　　　｜｜.イ　/　＼　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　|　|　レ´|l　/〉　　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（父上はどうなされるおつもりだ？）　　　　　　　ヽー　　　　　/｜|　ト、｜l　/　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉヽ　　　／　｜Ｌ／｜/λノ/|/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　‐イ　　／|/l　　,λ,/_/_,-‐'"￣゛`‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／⊥／　_／　　/　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　Y　|／　　／/　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 人 ⊥―￣/　／



　　　　　　　　　　 ,､‐ ' '‐ ､_
　　　　　　　 fゝ 'ﾞ　　　 '.　　｀'ヽ
　　　　　 　 /i　　　　　　'.　　 　ヽ
　　 　 　 　 !{､　　　　　　 ;　　　　i
　　　　　　　l '､n　 ;　　　　　　 ;　 l
　　　　 　 　 '　} l:. i　　 　 　 　 ;　 !
　　　　 　 　 　 iﾞi :.i　: .　 :　　　i.　 !
　　　　 　 　 　 !i　:i　: .　: . .　　i .　l　　　　　　（こちら側の都合を埋める手立ては考えたが、
　　　　　　　　 i.i　.i　: : . : : : . .　i: . !　　　　　　 はてさてどう転ぶ？）
.　　　　　　　　i,'　.i . : : : ; : : : : . .', :l
　　　r- ､_,..､-i'　. i　. : : :, ; : : : : :.',: l
　 r''ﾞ､ .　. ｀'.ｿ　. i.: . : : : i ; : : : : : :, :l‐､
.　l､ . . .' .- /　 . i: . : : : : i ; : : : : : :i: .ﾄ､ヽ
　l　 . . . . ./　 . :i: ; : : : : :i ; : : : : : : i :l . ｀l

161 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:26:00 Ri7DR6iY
三２９２．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　どだい、現時点で妖術師の狙いを見破れ、と言う方が無理なのだ。
　　王族と英雄達、それぞれが持ち込んだ情報を以てしても真実にたどり着けるはずがない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　（………英雄を動かせるのは英雄のみ。　　　 　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　ならば―――）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `



.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰ ゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　 　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　 　 　 　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　 　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　 　 　 ｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i　　　　　　　　（どう出ますか、やらない夫）
　　 　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　 ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.
　　　　　　 |/　|∧|　＼ 　 　 　 　 ／ .| / l/;:;:l
　　　　　　　　 |'　 l　　 ヽ、　　 ／　　 l'／ ヽ/
　　　 　 　 　 　 　 l　　 　 ｀￣´　　　　l､
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　 ヽ､_
　　　＿_ ,..　'' ´ 　 ヽ　　　　　　　 　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　 ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　 ｀} ￣ 'ー- ､



―――――――――――――――――――――――――――――
　　もっともっと根本にある―――
　　そもそも、人の歴史に含まれない情報が欠落しているのだから。
―――――――――――――――――――――――――――――

162 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:27:00 Ri7DR6iY
三２９３．



　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 , ´　　　 ｀､
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,'　　　 　 　 ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　 　 ｜
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　 |
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 l　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　 　 V＞'´￣｀`＞
　　　　　　　　　　　　　,. イ///////////,'＞ｘ
　　　　　　　　　　　　　 ＼＞'´/////`i＜/／
　　　　　　　　　　　_,. - イ////////////＞ - ｘ_
　　　　　　　　　l´/////////////////////////７
　　　　 　 　 　 l///////////////////////////l
　　　　　　　　　l//////////////////////////,'!
　　　　　　　　　l///////////////////////////i
　　　　　　　　　7//////j///////////////////,'!
　　　　　　　　 //////V/////////////∧/////j　　　　　　_,n＿00　　___
　　　　　　　　 l////7　j/////////////i　|////,ｊ　　　　　└l ｎ |　 　く,ﾆ ! 　　[][]「l
　　　　　　　　ﾉ/////!.ﾉ////////////八 !////,j　　　　　　 U Ｕ　 　 くノ　　　　くノ
　　　 　 　 　 ｊV/＞'´////////////////ヽ////,i!
　　　　　　/ﾆﾆﾆﾆ--z/////////////////＼///|
　　　　　　!////////j/////|//////////////7〉77X_



――――――――――――――
　　長い長い沈黙の後。

　　やらない夫が椅子を立ち、
――――――――――――――

163 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:28:00 Ri7DR6iY
三２９４．
――――――――――――――――――――
　　静かに、落ち着いた声で言った。
　　自分をこの国から切り離してほしい、と。
――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　「私をこの国から追放してください」
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　-―.―ｰ- ，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,，´.::::. . . . . . . . ..:::..｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./.; : : : : : : : : : : : : : : : : :.' ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,'!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.::::::::::::::::i::!::::::/ i!,'ノﾘｿﾘｲ::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ|:::::::{千ﾍ! i,ﾙ'　ｨrｻｭ｀_　.}::〈.ｨﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .!ﾘ!ヽ'ｨrﾀ｀ i　　　　　　　 ｊ::::}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 {.´ 　　|　　　　　　　　iﾘ´ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '. 　 　ヽ´　　　　　　　チ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「追い出す………！？」　　　　.　　　　　　　 、.　 ､_, ‐-　　　　.　!ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　＼　　 ‐ 　 　　,ｲ　ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼ 　 　 .／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　__」＿｀ー､´　　　　|､____
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　 i｀ー―--┬┬┬-==＝ﾆ｀i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 ＿＿＿_」 .┌─┐.|. ∥ |　┌─┐ ト､,___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::ゝ└─┘.|. ∥ |　└─┘_|:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､::::::::::::::::::::::::::｀ｰ---┼∥┼---‐ ´::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 `　､:::::::::::::::::::::::::::::| ∥ |::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　.｀ヽ;:::::::::::::::::::| ∥ |::::::::::::::::::::::::::::::::::

164 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:29:00 Ri7DR6iY
三２９５．



　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　 　 　 　 　 　 　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　「はい。
　　　　　　　 　 　 |.　 　 　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　 　　|　　　　　　　　　　 完全に無関係だと広く内外に知らしめてください。
　　　　　　　 　 　 iヽ 　　　　　　|　　　　　　　　　　 奴の目をフリートから逸らすために」
　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「………それでよいのか」　　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' |.| ﾚ'__二ﾌ′ ｨ'　　　　　 　 　 |

165 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:30:05 Ri7DR6iY
三２９６．



　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　 　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「妖術師の狙いが私にあるのなら
　　　　　　　　 　 　 |　 　　└ー '´ﾉ　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 それで当面の安全は確保できるでしょうし、
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　 　　　　　, ｧァ┐ 　 　 　 住民の不満や不安を和らげることができるでしょう。
　　　　　　　　 　 　 i ヽ　　　　　　|　　 　 　 　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /　　　　　 ですが―――」
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　 ／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　戸惑う王族達を見回して説明する彼に迷いは全く見られなかった。

　　おそらく、いつか誰かが感じた通り―――
　　自分が背負うものを決めた今、他人にどう見られようとも構わないのだろう。
　　たとえ護りたいと思った者から理解されないとしても。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

167 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:31:01 Ri7DR6iY
三２９７．



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ー）（ー）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　　「奴が近くに居るのであれば
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　 やはり手っ取り早い人質にされないとも限りません。
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }　 　 　 　 　 　 　 それにフリートから狙いが外れたところで
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ　　　　　　　　　　 ローゼンやエゥーゴがある以上、私には同じです」
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,､‐ ' '‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 fゝ 'ﾞ　　　 '.　　｀'ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /i　　　　　　'.　　 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 !{､　　　　　　 ;　　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l '､n　 ;　　　　　　 ;　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 '　} l:. i　　 　 　 　 ;　 !
　　　　　　　　「降りかかる火の粉は前に出て払わなきゃって事かい。　　　　　 　 　 　 iﾞi :.i　: .　 :　　　i.　 !
　　　　 　 　 　 あんた、漢だねぇ」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 !i　:i　: .　: . .　　i .　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i.i　.i　: : . : : : . .　i: . !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　i,'　.i . : : : ; : : : : . .', :l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r- ､_,..､-i'　. i　. : : :, ; : : : : :.',: l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r''ﾞ､ .　. ｀'.ｿ　. i.: . : : : i ; : : : : : :, :l‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　l､ . . .' .- /　 . i: . : : : : i ; : : : : : :i: .ﾄ､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 . . . . ./　 . :i: ; : : : : :i ; : : : : : : i :l . ｀l



――――――――――――――――――――――――――――
　　地面に這いつくばってでも、いま護りたいものを護る。

　　手段を選ばないように見えてその実、
　　可能な限り多くのものを背負おうとしているからこその選択に
　　シーマは感嘆の声を漏らさずにはいられなかった。
――――――――――――――――――――――――――――

169 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:32:01 Ri7DR6iY
二２９８．



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　.　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　　　　　　　　　　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　「ライト＝ヤガミを野放しにする事は私にとっても、
　.　　　　　　　　　 |　　　　　　 　 } 　 　 　 　 　 誰にとっても良くない事です。
　.　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }
　 　 　 　　 　 　　　ヽ　　　　　ノ　 　 　 　 　 　 ですから私どもは準備ができ次第アルビオンを発ち、
　 　 　　 　 　　 _,／(　｀'　､ _ﾞT　　　　　　　　　 妖術師退治に向かいます」
　　　　　　　　ノ.ヽ｀ヽ.　ヽ｀ヽﾑ　｀
　 　 _..　-‐ ´ 　ヽ　　 ＼　　l;;::ヽ
/´　　　　　　　　 ヽ　　　ハ/｀ｧﾍヽ
. : .　　　　　　　　　｀ ー/ 　 ヽ|:. ﾍ ＼､_
, : : . ＼　　　　　　　 ヽ　　　　ヽ:::. ' ＜. ヽ
l: : : : .　ヽ: .　　　　　　 ヽ　　　 ﾍ:::. l　^l　|
!: : 　　　 ヽ: : : : 　　　 　 ヽ　　　ﾍ:: l　 .! .|



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　-―.―ｰ- ，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,，´.::::. . . . . . . . ..:::..｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./.; : : : : : : : : : : : : : : : : :.' ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,'!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.::::::::::::::::i::!::::::/ i!,'ノﾘｿﾘｲ::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ|:::::::{千ﾍ! i,ﾙ'　ｨrｻｭ｀_　.}::〈.ｨﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .!ﾘ!ヽ'ｨrﾀ｀ i　　　　　　　 ｊ::::}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 {.´ 　　|　　　　　　　　iﾘ´ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '. 　 　ヽ´　　　　　　　チ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「しかし、あてもないのに！？」　　　.　　　　　　　 、.　 ､_, ‐-　　　　.　!ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　＼　　 ‐ 　 　　,ｲ　ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼ 　 　 .／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　__」＿｀ー､´　　　　|､____
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　 i｀ー―--┬┬┬-==＝ﾆ｀i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 ＿＿＿_」 .┌─┐.|. ∥ |　┌─┐ ト､,___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::ゝ└─┘.|. ∥ |　└─┘_|:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､::::::::::::::::::::::::::｀ｰ---┼∥┼---‐ ´::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 `　､:::::::::::::::::::::::::::::| ∥ |::::::::::::::::::::::::::::::::::



――――――――――――――――――――
　　少なくともこれまでの情報交換の中で
　　妖術師の拠点を示すものは無かったはず。

　　むやみに動いてもと驚くコウであったが、
――――――――――――――――――――

170 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:33:00 Ri7DR6iY
三２９９．
―――――――――――――――――――――――
　　あてがあってのことですと言う彼に続いて、
　　同様に絞り込みができていたエルが割り込んだ。
―――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　 　 　 　 　　　　　 ／　　　 ＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､
　　　　　 　 　 　 　 　 　　　　／　 　__,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 （ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : : : :｀ '' ‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 　 （___人__）‐-─≦／.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : :丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : :}　　　「まだ漠然とした方向ですが
　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　 　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : :/　　　　あてはあります」
　　　　　　　　　　　　　　　　 ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　 　 _ ,.-=〈:.:'､`ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : ､: : i:: : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　 _＜ : : : : ∧ :ヽ　　 /:::ヽ 　Vヽ:ﾊ : : : : :ヽ: : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　 , -‐ '´: : : : : : : : : : :∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_: : : : :i: : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:_ｒ'´
　 　 　 /: : : : : : : : : : : : : ／: : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : : l: : : i:: : : .:.:.:_､-‐''ﾞ´
　　　　 ｆ : : ヽ : : : : : : : ／ : : : : l　　 l::::::i　 l: : : : : /. : : :!.:.:.:／
　　　　 ゝ: : : i: : : : : : :〈: : : : : : : l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :l／
　 　 　 ｊ : : : : i: : : : : : : ヽ: : : : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./ : : : : :!



　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　 　 　 　 ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　 　 　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　 ／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　 　 　 　 　 ／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　 　 ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　 　 　 　 　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　 　 　 　 ､ _｣ ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　 　＼　　　‐--- ／|:/
　　　 　 　 　 　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／ 　.ｿ
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　 　 ／ヽ- '　　　　　　　　「アルビオンから北西………ですね」
　　　　　　　／　　 ヽ､　　　　　_ ｲ
　　　　　 ／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　 　 　 　 ー┴､
.　　 　/　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　/　 　 　 　 　 　 ＼　　　　 |､
　 　 i　　　／　　　 　 　 ＼ 　 　 ﾊ
　 　 |　　/　　　　　　　　　　ヽ　　 |
　 　 |　 ,'　　　　　　　　　　 　 }　　|

171 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:34:03 Ri7DR6iY
三３００．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 __ノ　｀⌒　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 （●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　「そうだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 , =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　 もともと合成獣は北西から　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　二 ヽ､`,┘ 　 ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　 流れてきていると噂にあったし、　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　　　-､ }、j┘　 ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　　 空を飛ぶ魔竜が一番最初に出現したのも　　　 　 　 　 　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　 北西の城壁だったのだろう？　　　　　　　　　　　　 　 　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　　　 俺は町に入れないが　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　　　　 ラビアンローズで合成獣の出現方向を　　　　 　 　 ,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　 洗ってみよう」　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',::::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|



―――――――――――――――――――――――――――――
　　やらない夫は思っていたのだ。
　　アルビオンから見て北西の延長線と、
　　ラビアンローズから見た合成獣の出現方向の延長線の交差。
　　そこに何らかの手がかりがあるはずと。
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　 /／´.／　　 ヽ/　　　 ﾞ､､___　､. ﾞ､
　　　　　　　 r'//／　　　　　i　　　　　ﾄ､　 ￣ﾞヽﾞ､
　　　　　　　 l／ﾉ　　　　　　,l　　　　　 i, ｀ヽ､_　 ﾞ､i
.　 　 　 　 ／/./ 　 　 　 / /i 　 i i　　　ﾞ､､　　｀ヽ､|
.　　　 　 /／ /　　　 　 / / l 　 l ,l　i　　 ﾞ､ヽ、　 ﾞ ﾞi
.　 　 　 i'/,i'/ ,　/　 ,. /　/ i'　 ,il |ﾞ､ 'i,　　 ﾞi,､ ﾞヽ､　l
..　　　　i! ﾉ´/　i'　 //i' /' ,i'l　 i.l |. ﾞ､ i, 　 i ﾞi ﾞ､.　ﾞ､l
.　 　 　 !/ /　/　 ,i'/､l/ i./li　 i l | __,ﾞ､i, 　 ﾞヾ､__､　ﾞi
..　　　　,'./i　/　 /､ヾ｀ｿ'i､ |.　l=i l､‐‐,yi　　 Y r iﾞ､. |
　　　　 l l l ./　/il　 ￣ i'l i l　l　.!'i,￣´ﾞi i　i, | iy'lヽﾞ,i
.　 　 　 !| l,/ ./i |i　　　 i! l :ﾞi l 　 ﾞ､　　.!|､. | l,. ノil　|　　　　　　　「なるほど………」
.　 　 　 ﾞi! |　,'ﾉ i,､.　　　 ﾉ　ﾞ､i,　　　 　 ! i, il／|　|　|,
.　　　　 　 |　ii'　i､　　　 ヽ　　ヽ　　 　 　 l ﾉ | i　i'　|i
　　　　　　,i'i i!　i./ﾞ､.　　 ‐ -- ､　　　 　 i'/i| | l　l　 |l
.　　 　 　 //ﾞ､､i'/　|ﾞ､　　 ￣　 　 　 ／〃| | ! l.　i　l i
.　　　 　 i'l　l　i i'／iヽヽ、　　　 ,,.-'",／.／ヽ　i,　i　 lﾞi,
.　 　 　 ,i'l　i .i／;;; i;ﾞ､ﾞヽ ` - ''"／/　／ i |;;;;＼i　i,　l ﾞi,
.　　 　 ,i'l,,.-'/;;;;;ﾞi' l〉''y'^ヽ-'"-､_/-<　　i';r,;;;;;;;;;＼!　!　i

172 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:35:01 Ri7DR6iY
三３０１．



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　「それで、一つだけお願いがありまして」
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「セラフ殿の事かね」　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' |.| ﾚ'__二ﾌ′ ｨ'　　　　　 　 　 |



――――――――――――――――――――――――――――
　　息子達が腑に落ちるやいなや
　　向き直った少年に要望があると言うので、
　　分かっていた聖王がどう出るか、と思いながら続きを待つと、
――――――――――――――――――――――――――――

173 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:36:02 Ri7DR6iY
三３０２．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　強い意志を窺わせる黒曜の瞳を向けて、英雄と呼ばれる少年は願った。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼　/
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　 　　 （___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　「はい。
　　　　　　　　　　　　　 　 　 _,.|　　　　　 　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿　 　 　 　 　 　 彼女は戦える状態ではありません。
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／ 　 　 　 　 　 　 　 妖術師を斃して戻るまで、
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、 ／=|´| :| .＼　　　　　　　　　この城に居させて欲しいのです」
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　 ＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（………なるほど）　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　大切な仲間の身柄についてはアルビオンから遠ざけての静養ではなく、
　　アルビオンで静養させて欲しい―――と。
――――――――――――――――――――――――――――――――

174 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:37:00 Ri7DR6iY
三３０３．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　それがどういう意味かエギーユには分かっていた。

　　だから後顧の憂いは不要、と司教である娘を常に付けておくと告げ、
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ￣ ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 !､　　　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「もちろんだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 常にリリーナを付けておこう」　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ノ　 _／イ~｢` （　_ﾉr'　　／　＼＿＿_　　　　　.//



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　　 　 　 _ ―ヘz7i　　　　　 　 　 　 　 |∧､ー ､
　　　, ＜/////∧i　　　　　　　　　　　 i/,j////∧､_＿　　　　　　「ありがとうございます」
　 ／///////,ｲ/∧ﾍ､＿__ノ ﾍ､＿_.ノ∧/ﾍ/////////j丶
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175 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:38:00 Ri7DR6iY
三３０４．
――――――――――――――――――――――――
　　当面の問題が解決された時には、
　　この身を以てその心意気に応えると仕える神に誓う。
――――――――――――――――――――――――



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　　　　「そして妖術師退治が成されたあかつきには　　　　　　　　! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |、
　　　　　　　　　　　　 『大いなる祈り』を使ってでも　　　　　　　　　　　　　　　　　　j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　　　　　　　　　　 セラフ殿を癒すことを我が神に誓う」　　　　　　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ノ　 _／イ~｢` （　_ﾉr'　　／　＼＿＿_　　　　　.//



　　　　　　　　 　 　 　 ￣　　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　 　 　 　 ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　「お願いいたします………！」
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

176 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:39:13 Ri7DR6iY
三３０５．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ￣ ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 !､　　　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　「ビップ殿。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　　　 本来であれば魔竜撃破の功績のみでも　　　　　　　　　　　 ! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |
　　　　　　　　　　　 私はそれを使うべきなのだろう。　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　 だがそなたは状況を鑑み、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　　　　　　　　　 セラフ殿を癒してからではなく―――」　　　　　　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ノ　 _／イ~｢` （　_ﾉr'　　／　＼＿＿_　　　　　.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__,..ノ" 　 | .|　 //　/　／　　　　ヽ.__　￣｀ｰ-､.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　| | ,//　/／　　　　　　　　＼､　　 ∑>==r'fｱーｧｰil



―――――――――――――――――――――――――――――――
　　彼は言ったのだ。
　　もし自分が原因でなく、再びアルビオンが襲われる事があったとしても
　　必ず護る為に戻ってくる―――と。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

177 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:40:07 Ri7DR6iY
三３０６．
――――――――――――――――――――
　　自分に原因があるのなら自ら発つ。
　　自分に原因がないとしても、護る為に戻る。

　　そう言う彼に応えずして何が聖王か。
――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　「彼女をここに預けて妖術師退治を優先すると言った。　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　 　 　 　 その心遣い、このエギーユ決して忘れはせん」　　　　 　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　　「原因が私にある可能性を否定できない以上、当然です。
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　それに今の状況で聖王様に負担をお願いしたとして、
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　　 雪華綺晶自身が喜ぶとは思えませんでした」
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それでもやらない夫は当然のことです、といつも通りの姿勢を崩さない。

　　現時点でどの神聖魔法を超強化して雪華綺晶を治せば良いか分からない上に、
　　聖王へ負担をかければ住民の大きな反発を招く事が分かりきっている。

　　そして雪華綺晶の身体の事と妖術師の目的、両方を調べている間に
　　自分にせよ、アルビオンにせよ再襲撃されないとも限らないのだから。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

178 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:41:00 Ri7DR6iY
三３０７．
―――――――――――――――――――
　　結局、行かなければならなかったのだ。
　　彼が護りたいものを護る為に。
―――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　 　　 （___人__）　　　 　 　 「次に、シーマ様に相談したい事がございます。
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 _,.|　　　　　 　　|　　　 　 　 　 万一、私どもと入れ違いになってアルビオンが襲われた際、
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿　　　　 　 　 それを把握し、なるべく早く戻る方法はないでしょうか。
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、 ／=|´| :| .＼　　　　 　 　 転位の魔法や遠隔通知などが使えるようでしたら
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ　 　 　 　 魔符を用意していただければと思いまして」
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　 ＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､ _,,,,..............,,,,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _. -‐=､'}　ヾ,　　　　　　 ｀' ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. ‐''´￣｀' ｀'　　l彡-　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'´ﾌ´／　　'"｀ヽ　}'⌒　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　/ 　 ,.‐''ｿ /"ry⌒ヽ,　 ､　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´7 ﾉ / /　,.ｲ. |　|::::::::::::::ヽ, li　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´7. |　|　ト-i､|　|::::::::::::::__;ゝ}ﾐ､ 　 　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚl　|　|ｬｰr,､ヽ|'vｯ＝'-ry:|　:レヽ　　 |
　　　　　　　　　　　「ああ、あたしも同じ事を考えていた。　 　 　 　 　 　 　 　 `'ﾄ､.ﾄ｀'ｰ'^ .i::.､^'ｰ-‐'ﾞ:::|　:|'ｱ |　　 |
　　　　 　 　 　 　 　 準備ができ次第メディア博士に渡しておくよ」　　　　 　 　 | :::| 　　　j::::. ｀ 　　:::::|　::|_ノ: 　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 | :::::l. 　 ヽ-　　　　::::::|　:::|;:: : .　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ;:::::|i:､　 ''━ｰ' 　.::イ|　 :::|;:l : : . 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　;:::::l「l^' ､.＿... -''´__,|　 ::::|;:l : : :　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　| : ;::::||:|::ﾖ＝､｀'Y´,..＝| li ;::::|;:l : : :　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　ﾉ : li:::||ﾉヲ''＝} :∥:}＝'| |　;::::|;:l : : ::.　｜



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そして、出て行くからには付随しての緊急連絡体制や帰還について触れ、
―――――――――――――――――――――――――――――――――

179 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:42:00 Ri7DR6iY
三３０８．
―――――――――――――――――――――――――――
　　二時間以上かかった会議はようやくにして終わりを迎えた。
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　 , ./:::ﾚ:::::::::::::´::::::ー--...､.._
　　　 　 　 　 　　　　　_iV::::::::::::::::_::_::_::::::::::::::::::::::::::::::::::=-
　　　　　　　　　　　r::'::::::::::::｀ヽ三ニー-::::ニ:::::::::-=ﾆ´
　　　　　　　　　 ／::／三:::＼＼ヽ:::::::::ミ､::::::::::::::_:::＝≧ー
　　　　　　　　　/:::::/:::::ンヘ＼＼ ヽ:::::::::::｀ヽ:::::::::::::ﾆ三三ｪ-
　　　　　　　　 //i:/:／/:::,'i::::ヽ＼＼',､::::ヽ:::::::::::::::::::::＜'´
　　　 　 　　　 !' /::;:':::/:::,'::i　i:::ヽ:::::::ヽ:ミﾐ:::::ヽ､:::::::::::k-ﾆヽ､
　　　　　　　　　 /::i::::l:i:::i､::',. ',::::::ヽ::::::::ヽ::::::::::::`::::::::::ミヽ､
　　　　　　　　　/:::ii:::l::i:::L::::':,::i:::::::＼､_:::ヽ::::::::::､::::::::::ヾ､
　　　　　　　　 /::/i:ｉ::l::i::i f:::j､:;::::',ヾ:::,rt:::j､＼:::::::::::::::::i､＼
　 　 　　_,rｰｧ'/'´ i:ﾊ:l::lﾘ`＝‐ヾ'､::､ﾞヾ､ﾆノヽ::::::::::::::ヾヽ､.
　　　,r''"　　　　 i.ﾘ/ﾘ::',ﾞ　　　　　ﾞヽ　 　　 .,!::;:::::iヾ::',ヽ､ ｀`ｰ-　　　　（………なるほど。
　　/　',　 -､ 　　 i//::l:ｌﾞ､ 　 　 ､ ..　　　　..:':l::i!ヾl:::ｌ lヽｉ ',　｀ヽ　　　　　 雪華綺晶を残して打って出るだけの事はありますね）
　 ∧　 ', 　 i i　　 i i:　ﾘ　ヽ.　‐-- ､ 　 ／ /ﾘ　/ !/./　'　'　 ﾞヽ
　 ,' ヽ　 ',　i 〈　　 ,i i::.､　＼＼　　　..::'::: /　! 　 , ', ' .i
　 ､　ヽ　　ｉ 　 　　'ヽゞﾐヽ、ゞ: `ﾆ:´:::::''　_,. -／／　 i
.　 ヽ、ヽヽ　 i　　　 ',ヽ､`ヽﾐヽ､ 　 　,.:-'´,. '´／　　 ﾉ　　　　 /
.　　 iヽ ＼i　.i!ヽ　　　　 `　､`'-､､､､､- ',ン'' 　 　 　 　　　　/〃
　　　i　 ヽ.＼ !　　　　　　　　｀ ｰ-ー '´　　　　　　　　　　, ' //



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「………大体の事は済んだようだな。　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 他に無ければ閉会とする」　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `

182 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:43:02 Ri7DR6iY
三３０９．



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　「では、私どもはこれにて失礼いたします」
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::



　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　 　 　 　 ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　 　 　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　 ／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　 　 　 　 　 ／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　 　 ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　 　 　 　 　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　 　 　 　 ､ _｣ ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　 　＼　　　‐--- ／|:/
　　　 　 　 　 　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／ 　.ｿ　　　　　「失礼します」
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　 　 ／ヽ- '
　　　　　　　／　　 ヽ､　　　　　_ ｲ
　　　　　 ／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　 　 　 　 ー┴､
.　　 　/　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　/　 　 　 　 　 　 ＼　　　　 |､
　 　 i　　　／　　　 　 　 ＼ 　 　 ﾊ
　 　 |　　/　　　　　　　　　　ヽ　　 |
　 　 |　 ,'　　　　　　　　　　 　 }　　|



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　この時間ならまだ冒険者向けの店は開いているだろう。

　　コナタに続いて買い出しに行くべく、席を立った二人が会議室を辞した後。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

184 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:44:02 Ri7DR6iY
三３１０．
――――――――――――――――――――――――――――
　　静かに扉が閉まるなり、ため息をついた聖王が言った。

　　もしも噂と事実が異なった場合、　
　　何を以て彼らに報いればよいのか想像もできなかった為だ。
――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　「もし………　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　 妖術師の狙いが別にあったのなら、　　　　　　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　 我々は大変な恩義を受け取ることになるな」　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `



　　　　　　　　,　-―.―ｰ- ，
　　　　　 ,，´.::::. . . . . . . . ..:::..｀ヽ
　　　　 ./.; : : : : : : : : : : : : : : : : :.' ,
　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,'!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.，
　　　 ,'.::::::::::::::::i::!::::::/ i!,'ノﾘｿﾘｲ::::::::l
　　 ,ｲ|:::::::{千ﾍ! i,ﾙ'　ｨrｻｭ｀_　.}::〈.ｨﾊ
　　　 .!ﾘ!ヽ'ｨrﾀ｀ i　　　　　　　 ｊ::::}　 }
　　　　 　 {.´ 　　|　　　　　　　　iﾘ´ｲ　　　　　　「きっと………
　　　　　　 '. 　 　ヽ´　　　　　　　チ|　　 　 　 　 彼はそんな事、気にしてはいないのでしょうね………」
.　　　　　　　 、.　 ､_, ‐-　　　　.　!ｲ
.　　　　　　　　＼　　 ‐ 　 　　,ｲ　ﾘ
　　　　　　　　　 |＼ 　 　 .／　　 |
.　　　　　　　　__」＿｀ー､´　　　　|､____
　 　 　　　　 i｀ー―--┬┬┬-==＝ﾆ｀i
. 　 ＿＿＿_」 .┌─┐.|. ∥ |　┌─┐ ト､,___
:::::::::::::::::::::::::::ゝ└─┘.|. ∥ |　└─┘_|:::::::::::
　､::::::::::::::::::::::::::｀ｰ---┼∥┼---‐ ´::::::::::::::::
　 　 `　､:::::::::::::::::::::::::::::| ∥ |::::::::::::::::::::::::::::::::::



――――――――――――――――――――――――――――
　　しかしこれまでの噂を思い返したコウには分かる。
　　きっと彼には、仲間の治療以外を求めるつもりが無いのだと。
――――――――――――――――――――――――――――

185 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:45:05 Ri7DR6iY
三３１１．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　アナベルも十歳以上年下の少年が何を考え、
　　何のために動くかの全容がつかみとれずに戸惑っていた。

　　―――あるいはこれは、住民の利益に傾倒した考え方ゆえのものだったのかも知れないが、
　　次代の聖王になるべく視る目を養ってきたはずの彼ですら計り知れない部分を
　　あの少年は持っているのだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　,r ´丶 .　　､ ｀ ヽ、
　　　　　　　　　　/ー-..,,_ヽ､_ .ヽ i .l　.､
　　　　　　　　　 l-ー'' ¨''-r　　｀丶、 | .ヽ
　　　　　　　　　l., -.、ー- l /　　　　　ｰｲ
　　　　　＿＿_/l　ミ.l　r ~ ´ ,,__　　、　i ｌ
　 ,.-=''´: : : : /,」.八l　l: : -　.､k.ﾐｯ,,_ヽi_.l
　, '´ﾉ: : : : ＿i/: .丶l .l: :　　　 　 .　' l'i´
__,r´,: : : /'' ＼､: : : ..l l: : : 　 　 　 ,_._ｌ´　　　　　　「………そうだな。
: : , iー/: : : 　..＼丶 l l: : :　　　-_-r.i
-<''~: ｀丶、: : .,　 ＼ | ..＼　　　. /l |　　　　　　　　彼女を残すからとは言え、
: : : ヽ: : : .ヽ丶,　　　＼ﾐl　＞ .イ　|　 　 　 　 　 　 出て行った後の事まで考えているとは」
　　.　ヾ: : : : ヽ丶,　　　i.|;;;ィ´ﾉ_ 　l
　　　　ハ: : : : : lヾ、 　 !|/　ｨヾ　゛ｰ. 、
　　　:ｲ　.l　　i-.、l　ヽ｀ ー ´ l　丶 　　｀ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r'//／　　　　　i　　　　　ﾄ､　 ￣ﾞヽﾞ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l／ﾉ　　　　　　,l　　　　　 i, ｀ヽ､_　 ﾞ､i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 　 ／/./ 　 　 　 / /i 　 i i　　　ﾞ､､　　｀ヽ､|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 　 /／ /　　　 　 / / l 　 l ,l　i　　 ﾞ､ヽ、　 ﾞ ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 i'/,i'/ ,　/　 ,. /　/ i'　 ,il |ﾞ､ 'i,　　 ﾞi,､ ﾞヽ､　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　　　　i! ﾉ´/　i'　 //i' /' ,i'l　 i.l |. ﾞ､ i, 　 i ﾞi ﾞ､.　ﾞ､l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 !/ /　/　 ,i'/､l/ i./li　 i l | __,ﾞ､i, 　 ﾞヾ､__､　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　　　　,'./i　/　 /､ヾ｀ｿ'i､ |.　l=i l､‐‐,yi　　 Y r iﾞ､. |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l l l ./　/il　 ￣ i'l i l　l　.!'i,￣´ﾞi i　i, | iy'lヽﾞ,i
　　　　　　　　　　　「セラフ殿をアルビオンから　　　　　　　　　.　 　 　 !| l,/ ./i |i　　　 i! l :ﾞi l 　 ﾞ､　　.!|､. | l,. ノil　|
　　　　　　　　　　　 遠ざける事も出来たと言うのに………」　.　 　 　 ﾞi! |　,'ﾉ i,､.　　　 ﾉ　ﾞ､i,　　　 　 ! i, il／|　|　|,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 |　ii'　i､　　　 ヽ　　ヽ　　 　 　 l ﾉ | i　i'　|i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,i'i i!　i./ﾞ､.　　 ‐ -- ､　　　 　 i'/i| | l　l　 |l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 //ﾞ､､i'/　|ﾞ､　　 ￣　 　 　 ／〃| | ! l.　i　l i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 　 i'l　l　i i'／iヽヽ、　　　 ,,.-'",／.／ヽ　i,　i　 lﾞi,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 ,i'l　i .i／;;; i;ﾞ､ﾞヽ ` - ''"／/　／ i |;;;;＼i　i,　l ﾞi,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 ,i'l,,.-'/;;;;;ﾞi' l〉''y'^ヽ-'"-､_/-<　　i';r,;;;;;;;;;＼!　!　i

186 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:46:00 Ri7DR6iY
三３１２．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ￣ ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 !､　　　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　「全て背負おうとしているのだ。　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |
　　　　　　　　　 名声故の境遇も、セラフ殿も、フリートも………」 　　　　　　　　j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ノ　 _／イ~｢` （　_ﾉr'　　／　＼＿＿_　　　　　.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__,..ノ" 　 | .|　 //　/　／　　　　ヽ.__　￣｀ｰ-､.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　| | ,//　/／　　　　　　　　＼､　　 ∑>==r'fｱーｧｰil



―――――――――――――――――――――――――――――――
　　この中でたった一人、やらない夫の考えを余さず把握したエギーユが
　　戸惑う息子達に答えを告げた。

　　その三つに優先順位があったとしても、
　　今できる最善手を考えて実行しようとしているのだと。
―――――――――――――――――――――――――――――――

187 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:47:00 Ri7DR6iY
三３１３．



　　　　　　　　　　ヽ､ _,,,,..............,,,,__
　　　　　　 _. -‐=､'}　ヾ,　　　　　　 ｀' ､
　　　　　. ‐''´￣｀' ｀'　　l彡-　　　　　　ヽ
　　　　'´ﾌ´／　　'"｀ヽ　}'⌒　　　　　　　 ヽ
　　　　ノ　/ 　 ,.‐''ｿ /"ry⌒ヽ,　 ､　　　　　',
　　　 ´7 ﾉ / /　,.ｲ. |　|::::::::::::::ヽ, li　　　　　 |
　　　　´7. |　|　ト-i､|　|::::::::::::::__;ゝ}ﾐ､ 　 　 　|
　　　　　ﾚl　|　|ｬｰr,､ヽ|'vｯ＝'-ry:|　:レヽ　　 |　　　　　　「まったくご苦労なことだよ。
　　　　　　`'ﾄ､.ﾄ｀'ｰ'^ .i::.､^'ｰ-‐'ﾞ:::|　:|'ｱ |　　 |　　　　　　 無関係の可能性の方が高いのに」
　 　 　 　　 | :::| 　　　j::::. ｀ 　　:::::|　::|_ノ: 　 　|
　.　　　　　 | :::::l. 　 ヽ-　　　　::::::|　:::|;:: : .　　 |
　　　　　　 | ;:::::|i:､　 ''━ｰ' 　.::イ|　 :::|;:l : : . 　 |
　　　　　　|　;:::::l「l^' ､.＿... -''´__,|　 ::::|;:l : : :　　|
　　 　 　　| : ;::::||:|::ﾖ＝､｀'Y´,..＝| li ;::::|;:l : : :　　|
　 　 　 　ﾉ : li:::||ﾉヲ''＝} :∥:}＝'| |　;::::|;:l : : ::.　｜



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 ,,ｨｬｲ!!.||　||　〃ﾙｯ;;,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 yｯヾ ii||| |||| | ﾚﾙｹﾚｿゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 / ｼ'　　　　　　　　　　　 ﾏﾓｪ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 i ﾖj　　　　　　 .　　　　　　i.ﾋﾆi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 | ﾖ}　　　 　 　 i　　　　 　 { ﾓﾓi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ﾋ {　rｰ-､,,,　　|　　_,,-ｰヘ ﾓﾓi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　ｨﾔ{　　ﾆｴﾇ"'' ´｀.r'´ﾔｵﾆ　 }ｿﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　i ^ﾘ　　　　　j　 | ﾔ　　　　　||^i !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　ヾ∥　　　 　 　 |　i.　　 　 　|| /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　　∥　　　　　 , l ,　　　　　 .||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......　||ヽ　　　　 ＿＿　　　　　||ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「なぜそう思う？」　　　　.　　∥ ヽ　　　´ｰ─ ｀　 　 　'|| ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　∥ 　|ヽ　　　¨¨ 　　 　 ｲ∥　 ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 |　　|　ヽ.　 　 　 　 ／ |. |　 　 ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 jkt　　 ヽ＿＿／　　 |ti　 　 ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:;:;:;:;ヽ ､　　　,,,, ｨ:;:;:;:;:;}　　　ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......　＿}:;:;ミ ヽ ｀iTi´ ﾒ　彡:;:;:;{＿　ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 ;:;:;:;ミ 　ヽ-|-ｲ　 彡:;:;:;:;ﾄ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　　　　;:;:;:;丶､＿|＿ ノ:;:;:;:;:;:;:



―――――――――――――――――――――――――――
　　英雄殿ってのは大変なんだねぇと呆れた調子で言った妹が
　　妖術師の狙いは別にあると言い切ったので、
　　別の可能性を思い描けなかった兄が問うと、
―――――――――――――――――――――――――――

188 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:48:17 Ri7DR6iY
三３１４．
――――――――――――――――――――――――
　　状況から考えれば当然さ、とシーマは肩をすくめた。
――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　,．-‐─ ─- ､
　　　 　 　 　 　 　 ,r'"´ 　,r'´￣`ヾヽ｀ヽ､
　　　　　　　　　　/　　 ,ィ二三二ヽヽV!　＼
　　　　　　 　 　 /　 ,ィ⌒二ﾆ､_ヾ/　 jﾘ,．-‐＼
　 　 　 　 　 　 /　,// ,イ　　 　V　　 ,､--､r､,　ﾞi　　　　　　　　　「本当に殺したけりゃ寝ている間に町ごと隕石で撃つさ。
　　　　　　　　/　,//　l ﾉ　　 ,fｨイ￣　　　 ﾘjﾉﾉﾉ
　　　　　　　,/　,ｨr〈　ﾘ ,ｲ_,ｲ」j/ﾘ,,　 ,,､､ｨｲﾉソ′　　　　　　　　　 あの魔竜もそうさね。
　　　　　　 / ／　Uj　　}ﾘ,!ｰt;;ｧﾐ:j　t'ﾃｧｨｲ{　　　　　　　　　 　 　 知能があって皆殺しにするつもりがあったのなら
　　　　　 ,/'´　,ｲ　|　　 l |´｀" ´ .:::; ｀"´ ,'爪 　 　 　 　 　 　 　 　 もっと的確にやれたはずだよ。
　　　　　/　　// /l　　l | |　　　 .:.::; ' 　 /　| ﾄ､
　　　　,ｲ　／ ／　| 　 | | ﾄ､　　- ｰ‐　/L_」」__ﾄ､　＿　　　　 　 　 市場じゃなくて城を狙うとかね。
　　 ／/, ｲ,／　　ﾉ　　j | |　＼ ´￣ ,.ｲ{￣＼￣￣　_ ｀ヽ
　'"´￣￣ﾉ　　＼|,ｲ|　l | |,ｨ^ヽ｀ｰ‐'ﾞ ヾi!　　 ＼　　 ヾヽ　＼　　　　苦しませる為にやろうってのは、
　￣＼／/!　　＼| | |　ﾘ/　　ｰ=氷=‐　|　　　　＼　　! |　　 ＼　　 一度負けた相手に傲慢すぎるから無いね」
　　 　 V | 　　 ＼| | |　ﾄ､｀二＞〉j〈二 ﾊ　 　　 ／ 　 | ﾄ､
　　　　 ﾄｲ二三二!,j |　|　＼ 二ﾆ!ﾆ　//ﾄ､￣｀`ー┐ | | i　 ,ｲ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..r‐／　 _,.. ="'"　　ﾞ`‐-.､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/,/　　／"　 _,.. -―''"￣　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲ　i,/_,...〃-―'"￣￣ﾞヽ￣￣｀ﾞ-:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾚ'ー''"　　　　　　　　　　 :i＿__　　　ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　 !.　　 E二ﾞ＝=-､_.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;!　　　l　　　　　　　　ヽ.　 .!､￣ﾞー-ﾞヽ┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.j　　　 ! !　　　　　 ＿　 ﾞ: 　 ＼　r‐==､,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ-､＿､!.;!__,._,.-=＜,_　　　　　　l　k'._,rl l__　　　　_,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞヽ ''┴Y =　 ﾞー┴'　　　　　　 l　l ,!　.!l!　ﾞ＜二~､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l ￣ j　 ヽ￣　　　　　　　　　l　l'　ノﾉ､　　　ヾ＼__
　　　　　　　　　　「では、奴らの目的はなんだと言うのだ！　　　.　　 !.　/　　　)　　　　　　　　　　l　ﾄ-'"ﾄ＼　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 ヽ〈_,.:､-: '　　　　　　　　　　 l ,!　　ヽ＼ﾞ　　　　 ヾ＼
　　　　　　　　　　 なんの関係も無いフリートを狙って、　　　　　　　　　 ﾞ:.　　r===,､　　　　　　　　, l !　　　ﾞヽ ＼ヽ　　　　　＼
　　　　　　　　　　 一体何ができると言うのだ！？」　　　　　　　　　　　　ﾄ,..　ﾄi＿__.）　　　　　　／ﾉﾘ:　　　　 ＼ ヽ　　　　ヾヽﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l ﾊ　｀＝‐'　　　　　.／　/ ;!　　　　　　 ヽ＿＿＿＿＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘハ　 ￣　　　_,..r'"　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ----､''"　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　　　　 　 ＼

189 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:49:00 Ri7DR6iY
三３１５．



　　　　　　　　　　 ,､‐ ' '‐ ､_
　　　　　　　 fゝ 'ﾞ　　　 '.　　｀'ヽ
　　　　　 　 /i　　　　　　'.　　 　ヽ
　　 　 　 　 !{､　　　　　　 ;　　　　i
　　　　　　　l '､n　 ;　　　　　　 ;　 l
　　　　 　 　 '　} l:. i　　 　 　 　 ;　 !
　　　　 　 　 　 iﾞi :.i　: .　 :　　　i.　 !
　　　　 　 　 　 !i　:i　: .　: . .　　i .　l　　　　　　「それが解ってたら苦労しないんだよ！」
　　　　　　　　 i.i　.i　: : . : : : . .　i: . !
.　　　　　　　　i,'　.i . : : : ; : : : : . .', :l
　　　r- ､_,..､-i'　. i　. : : :, ; : : : : :.',: l
　 r''ﾞ､ .　. ｀'.ｿ　. i.: . : : : i ; : : : : : :, :l‐､
.　l､ . . .' .- /　 . i: . : : : : i ; : : : : : :i: .ﾄ､ヽ
　l　 . . . . ./　 . :i: ; : : : : :i ; : : : : : : i :l . ｀l



　　　 　 　 　 　 　 　 　 _,,,,,....,,_　 _,,,,,,_
.　　　　　　　 　 　 　 ／､　　,.　｀´,.-_,,.ヽ､___
.　　　　　　　 　 _,,.-''_,,.-=ヾ |　/_,∠_　 　 　 ﾞ､
　　　　　　　　 /／´.／　　 ヽ/　　　 ﾞ､､___　､. ﾞ､
　　　　　　　 r'//／　　　　　i　　　　　ﾄ､　 ￣ﾞヽﾞ､
　　　　　　　 l／ﾉ　　　　　　,l　　　　　 i, ｀ヽ､_　 ﾞ､i
.　 　 　 　 ／/./ 　 　 　 / /i 　 i i　　　ﾞ､､　　｀ヽ､|
.　　　 　 /／ /　　　 　 / / l 　 l ,l　i　　 ﾞ､ヽ、　 ﾞ ﾞi
.　 　 　 i'/,i'/ ,　/　 ,. /　/ i'　 ,il |ﾞ､ 'i,　　 ﾞi,､ ﾞヽ､　l
..　　　　i! ﾉ´/　i'　 //i' /' ,i'l　 i.l |. ﾞ､ i, 　 i ﾞi ﾞ､.　ﾞ､l
.　 　 　 !/ /　/　 ,i'/､l/ i./li　 i l | __,ﾞ､i, 　 ﾞヾ､__､　ﾞi
..　　　　,'./i　/　 /､ヾ｀ｿ'i､ |.　l=i l､‐‐,yi　　 Y r iﾞ､. |
　　　　 l l l ./　/il　 ￣ i'l i l　l　.!'i,￣´ﾞi i　i, | iy'lヽﾞ,i　　　　「………我々も、妖術師の迎撃準備を
.　 　 　 !| l,/ ./i |i　　　 i! l :ﾞi l 　 ﾞ､　　.!|､. | l,. ノil　|　　　　　進めておくべきでしょうな」
.　 　 　 ﾞi! |　,'ﾉ i,､.　　　 ﾉ　ﾞ､i,　　　 　 ! i, il／|　|　|,
.　　　　 　 |　ii'　i､　　　 ヽ　　ヽ　　 　 　 l ﾉ | i　i'　|i
　　　　　　,i'i i!　i./ﾞ､.　　 ‐ -- ､　　　 　 i'/i| | l　l　 |l
.　　 　 　 //ﾞ､､i'/　|ﾞ､　　 ￣　 　 　 ／〃| | ! l.　i　l i
.　　　 　 i'l　l　i i'／iヽヽ、　　　 ,,.-'",／.／ヽ　i,　i　 lﾞi,
.　 　 　 ,i'l　i .i／;;; i;ﾞ､ﾞヽ ` - ''"／/　／ i |;;;;＼i　i,　l ﾞi,
.　　 　 ,i'l,,.-'/;;;;;ﾞi' l〉''y'^ヽ-'"-､_/-<　　i';r,;;;;;;;;;＼!　!　i
....-‐'''"　　 /;;r'' ;; l>::::‐‐（_）=-､:::::::i　　 | ,.'";;;;;;;;| |ﾞ'''- .l,,_



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　またぞろ、兄妹喧嘩が始まりそうだったので椅子を立ったミリアルドが
　　出来ることから始めておきますと父に一礼して退室していったので、
――――――――――――――――――――――――――――――――

190 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:50:00 Ri7DR6iY
三３１６．
―――――――――――――――――――――――
　　確かにそうであるな、と髭をしごいたエギーユも
　　睨み合っている場合ではないだろうと指示を出す。
―――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「シーマよ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 急ぎ、各国に親書を送ってくれぬか」　　　　 ｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' |.| ﾚ'__二ﾌ′ ｨ'　　　　　 　 　 |



　　　　　　　　　　　　　,．-‐─ ─- ､
　　　 　 　 　 　 　 ,r'"´ 　,r'´￣`ヾヽ｀ヽ､
　　　　　　　　　　/　　 ,ィ二三二ヽヽV!　＼
　　　　　　 　 　 /　 ,ィ⌒二ﾆ､_ヾ/　 jﾘ,．-‐＼
　 　 　 　 　 　 /　,// ,イ　　 　V　　 ,､--､r､,　ﾞi
　　　　　　　　/　,//　l ﾉ　　 ,fｨイ￣　　　 ﾘjﾉﾉﾉ
　　　　　　　,/　,ｨr〈　ﾘ ,ｲ_,ｲ」j/ﾘ,,　 ,,､､ｨｲﾉソ′
　　　　　　 / ／　Uj　　}ﾘ,!ｰt;;ｧﾐ:j　t'ﾃｧｨｲ{　　　　　 　 　 　 　 　 「ローゼンとエゥーゴには、
　　　　　 ,/'´　,ｲ　|　　 l |´｀" ´ .:::; ｀"´ ,'爪　　　　　　　　　　　　　英雄殿を追放する事になるから
　　　　　/　　// /l　　l | |　　　 .:.::; ' 　 /　| ﾄ､　 　 　 　 　 　 　 　 そちらの支援を受ける事は出来ないって？」
　　　　,ｲ　／ ／　| 　 | | ﾄ､　　- ｰ‐　/L_」」__ﾄ､　＿
　　 ／/, ｲ,／　　ﾉ　　j | |　＼ ´￣ ,.ｲ{￣＼￣￣　_ ｀ヽ
　'"´￣￣ﾉ　　＼|,ｲ|　l | |,ｨ^ヽ｀ｰ‐'ﾞ ヾi!　　 ＼　　 ヾヽ　＼
　￣＼／/!　　＼| | |　ﾘ/　　ｰ=氷=‐　|　　　　＼　　! |　　 ＼
　　 　 V | 　　 ＼| | |　ﾄ､｀二＞〉j〈二 ﾊ　 　　 ／ 　 | ﾄ､
　　　　 ﾄｲ二三二!,j |　|　＼ 二ﾆ!ﾆ　//ﾄ､￣｀`ー┐ | | i　 ,ｲ
　　　　 |　＼　弋ｲ | |　|　　 ヾ｀`Y´,// j　＼　　　 |　jﾘ/ ,/ |

191 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:51:00 Ri7DR6iY
三３１７．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　すぐに意向を察した娘に表向きはそうなるであろうと頷いた聖王は
　　他の国についても上手く取りなして欲しいと言い、
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ￣ ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 !､　　　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ､　　,:"　　 _,.-　!　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,,_　ヽji(_, -;=f｡ﾃ‐'"　 　 ''",＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ｧ'ﾞrｪｧk≦~二~　"~　　　 i 〈ﾉ |!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉ｰ'"|　ヽ._　　　　　ﾉ　　 (,ﾀノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ﾉｰ;='-≧==.､　l 　 　 r'" |.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y"ﾂ'''''''''''ﾞヽ＼ !　 　 .|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　! |r'ﾆ二￣`＼ヽ,,_.／　　 |
　　　　　　　　　　　「そうだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j !　∧,,　　,,／,,ﾉ＿＿＿j-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| `'"　 ﾞｰ'",,／='―――, 〔,|､＿
　　　　　　　　　　　 万が一にでも、他国の支援部隊を　　　　　　　　　　　　　　〃,,,,,,,,,,r''",r‐'ﾆニ7　､.ノノ　　　＼
　　　　　　　　　　　 妖術師との戦いに巻き込ませてはならん」　　　　　　　　　／;ﾐヽ! |_ノ　-―./　 ,rj　　　　　　｀ー-､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /__ ＼ ,.-‐'"_二-‐ｧ''　　　　　　　　　　 ／`ーｧ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／￣ 　 //　ヽL└‐'"　　／　　　　　　　　　　,∠(＿__(＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｨ'　　　,.r‐く└ｧ｀T"_,.-‐‐''Z"　　　　　　　　　　,:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ノ　 _／イ~｢` （　_ﾉr'　　／　＼＿＿_　　　　　.//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__,..ノ" 　 | .|　 //　/　／　　　　ヽ.__　￣｀ｰ-､.//



　　　　　　　　　　 ,､‐ ' '‐ ､_
　　　　　　　 fゝ 'ﾞ　　　 '.　　｀'ヽ
　　　　　 　 /i　　　　　　'.　　 　ヽ
　　 　 　 　 !{､　　　　　　 ;　　　　i
　　　　　　　l '､n　 ;　　　　　　 ;　 l
　　　　 　 　 '　} l:. i　　 　 　 　 ;　 !
　　　　 　 　 　 iﾞi :.i　: .　 :　　　i.　 !　　　　　　　「あいよ。
　　　　 　 　 　 !i　:i　: .　: . .　　i .　l
　　　　　　　　 i.i　.i　: : . : : : . .　i: . !　　　　　　　 魔符の準備もあるし、あたしも一足先に失礼するよ」
.　　　　　　　　i,'　.i . : : : ; : : : : . .', :l
　　　r- ､_,..､-i'　. i　. : : :, ; : : : : :.',: l
　 r''ﾞ､ .　. ｀'.ｿ　. i.: . : : : i ; : : : : : :, :l‐､
.　l､ . . .' .- /　 . i: . : : : : i ; : : : : : :i: .ﾄ､ヽ
　l　 . . . . ./　 . :i: ; : : : : :i ; : : : : : : i :l . ｀l



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　やらない夫からの要望があった事も思い出したシーマは急ぎ足で会議室を出て行った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

192 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:52:00 Ri7DR6iY
三３１８．



　　　　　　　　,　-―.―ｰ- ，
　　　　　 ,，´.::::. . . . . . . . ..:::..｀ヽ
　　　　 ./.; : : : : : : : : : : : : : : : : :.' ,
　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,'!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.，
　　　 ,'.::::::::::::::::i::!::::::/ i!,'ノﾘｿﾘｲ::::::::l
　　 ,ｲ|:::::::{千ﾍ! i,ﾙ'　ｨrｻｭ｀_　.}::〈.ｨﾊ
　　　 .!ﾘ!ヽ'ｨrﾀ｀ i　　　　　　　 ｊ::::}　 }
　　　　 　 {.´ 　　|　　　　　　　　iﾘ´ｲ
　　　　　　 '. 　 　ヽ´　　　　　　　チ|　　　　　　　　　「私も計画を見直し、
.　　　　　　　 、.　 ､_, ‐-　　　　.　!ｲ　　　　　　　　　　巡回を強化するよう手配して参ります」
.　　　　　　　　＼　　 ‐ 　 　　,ｲ　ﾘ
　　　　　　　　　 |＼ 　 　 .／　　 |
.　　　　　　　　__」＿｀ー､´　　　　|､____
　 　 　　　　 i｀ー―--┬┬┬-==＝ﾆ｀i
. 　 ＿＿＿_」 .┌─┐.|. ∥ |　┌─┐ ト､,___
:::::::::::::::::::::::::::ゝ└─┘.|. ∥ |　└─┘_|:::::::::::
　､::::::::::::::::::::::::::｀ｰ---┼∥┼---‐ ´::::::::::::::::
　 　 `　､:::::::::::::::::::::::::::::| ∥ |::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　 　.｀ヽ;:::::::::::::::::::| ∥ |::::::::::::::::::::::::::::::::::



　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　,r ´丶 .　　､ ｀ ヽ、
　　　　　　　　　　/ー-..,,_ヽ､_ .ヽ i .l　.､
　　　　　　　　　 l-ー'' ¨''-r　　｀丶、 | .ヽ
　　　　　　　　　l., -.、ー- l /　　　　　ｰｲ
　　　　　＿＿_/l　ミ.l　r ~ ´ ,,__　　、　i ｌ
　 ,.-=''´: : : : /,」.八l　l: : -　.､k.ﾐｯ,,_ヽi_.l
　, '´ﾉ: : : : ＿i/: .丶l .l: :　　　 　 .　' l'i´
__,r´,: : : /'' ＼､: : : ..l l: : : 　 　 　 ,_._ｌ´　　　　　「私は避難所を視察して回ります」
: : , iー/: : : 　..＼丶 l l: : :　　　-_-r.i
-<''~: ｀丶、: : .,　 ＼ | ..＼　　　. /l |
: : : ヽ: : : .ヽ丶,　　　＼ﾐl　＞ .イ　|
　　.　ヾ: : : : ヽ丶,　　　i.|;;;ィ´ﾉ_ 　l
　　　　ハ: : : : : lヾ、 　 !|/　ｨヾ　゛ｰ. 、
　　　:ｲ　.l　　i-.、l　ヽ｀ ー ´ l　丶 　　｀ヽ

194 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2012/02/26(日) 22:53:00 Ri7DR6iY
三３１９．
―――――――――――――――――――――――――――
　　解散して数分。
　　飲み物の器を片付ける侍女達をじっと眺めていたところで、
　　思わず呟きが零れてしまう。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､-''"´￣￣¨''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､-'"　　　　　　　　　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　,　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　i　 ,　　　　　　 i　　 　 　 __ ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〉、∠　 ＿＿　　 }!　　 ,ｨ二, ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈`_ｦ ≡≦≡=-　 '"　　　ﾒ-ｭ ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/　　` 二ﾞ- ""　　　　,>ノ ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　「………真紅女王。　　　　　　　　　　　　　　　l!'_,,≧:　　　　,､-''　　 ｨﾞ_,､イ｢ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　 そなたの慧眼、本物だったようだ」　　　　　　｢｢ミ`ﾆｰﾐ､　 |　　　　 ｢ 　　/l! ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| !｀`ｰ ヽヾ　ﾉ　　　　ﾉ　,／ｨﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j ﾋﾍ、_,..}　ﾞY　　_､-" ､ｲ f.／　 ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾀ_,N"lii;,　_ﾉ-''"_､-''" ﾉ／　　　|. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|.ﾄ-三ﾆ=_,ﾆ"　 :='／　　　　 .|　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　,'|.| ｢ ﾅ'ﾆﾆｨﾞ 　 ,／　　　　　　 |　　　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' |.| ﾚ'__二ﾌ′ ｨ'　　　　　 　 　 |



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　あの少年が本物である以上、早々に見極めたローゼン女王の慧眼も並大抵のものではない。
　　そう認めると共に、この件が落ち着いたら彼女や
　　エゥーゴの妹夫妻とゆっくり言葉を交わしてみたいと思った。

　　話題はあの少年の事ばかりになってしまうであろうが、きっと楽しい歓談になるだろう。
　　そんな想像をして椅子を立った聖王も自ら出来る事をしようと会議室を後にし、
　　三日の夜が更けていった―――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

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195 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. [sage] 投稿日： 2012/02/26(日) 22:53:30 Ri7DR6iY
本日の投下は以上になります。
閲覧、合いの手誠にありがとうございました。

次回は第三章第四話（ラスト）になります。



第三章　疑心暗鬼　第四話前半へ

1. 2012/02/26(日) 22:58:52|
2. やらない夫は約束を守るようです
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