256 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:03:00 qLkNzrF6
四４．
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　　それから、さて、と窓際を離れたやらない夫は準備の再開を促した。

　　体力もだいぶ回復したので夕食が始まる前から必要と思われる魔符の作成や配布、
　　戦闘時の陣形、戦術などの相談を進めていたのだ。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 _ノ　　ヽ、　　＼　 　,.:┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .（ ●）（ ●）　　..|　／　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （__人__） 　　　　.|./　　 /
　　　　　　「とりあえずさっきまでの続きをするぞ。　　　　　　　　 　　　　　　　 i⌒ ´ .r－､　　|/　 ／
　　　　　　 魔符は一通り作ったからエルとコナタで分けてくれ」　　　　　　　　 { 　 　 ヽ,　',. .,/　:/',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ　　　.|　 l_/_, -‐､',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ　.　| 　 / , -－'i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 {　　V , -－ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　ヽ　 Ｌ|　r=　|



　　 　 　 　 　 　 ,ｨ,"二､ヽ、
　　　　　　　　　/'′　　 ｀ヾ:、
　　　　　　　 　 l!、＿_　　　 _,.､
　　　 　 　 ,. :':": : : ; : : : : :｀: : :!－-. .､
.　 　 　 ／: : : : :／: : : : : : : ,　 ! ｀ヽ￣｀`
　　　 ,/: : : : : :,:'.:/: : : : : :,ｲ : . |. .　、＼
　　　.i: : : : : :,:': /: : : :-ｧ'ﾞ i.:j: :ﾊ: ::. :ヾ:､ヽ
　　　j: : : : :./: /: .:: : ;,''　 j:,ｲ / V :::. :i
　　　.!: i: : ;': ;ｨ.::::: :ｫｵ云r!' !:伝;ﾊ:!|!:. !
　　　 ! |: :.ﾚｸｲ::::;ｲ | トｲ　 / ﾄｲ::,!:ハ:|
　　　 ｌ:j: : .::! |:::/:l|　└''　　　ﾞ'{:!::/　ﾘ
　　　 j:!: :.::: `!ｲ:::::!　　 　 ｰ'‐,ﾉ|/
　　　 ｊｌ: :.:::: i:::;!:: :.l ''r‐--r.1!::::|
　　　 l!: .::::::|::/ !: : ! `ﾐ:､ﾉ: l:|::::|　　　　　　　「次は支援に徹するよ」
　　　 !: ::::::::k'､、V:ﾍヾﾞﾞ:､ﾞく,!::::!
　　　j: :::::::/ﾆミﾐﾐ:Vﾍ｀､ ﾞ､.|!:::j
　　　! :::::::i　 　 `ヾ`Vﾐ:ﾞ､ i.l!;/
　 　 ! ::::::;!　 　 　 　 `ヾﾐVi{
　　｜::::/　　　　　ﾞ{　　　 ,}ﾊ
　　 |　::ﾍ、　　 　 ,ﾉ　　 /　｀ヽ
　　！ ::::::l三三三!　　 〈　 ,!、,
257 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:04:01 qLkNzrF6
四５．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　___　 　__　_))r-､ィ⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {薔}　　　　　 λ廻 }⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.／　　　　　　 辷ﾆｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/　　 l　　l　l　 l　(( ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　/　ｌ　 ｌ|　/i| i|　i|　|　| ｌ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 　 　 /　/ l　|　l | / i|/_|/ |　!　! |　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 / 　| /!　| r//　 ｲ示ﾊ|/! /l l　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 　 /　 /ﾚ' l　l必}）　 弋沙/ l l　l|　 |
　　「そう言えば、エル？　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　 /　　 l,ﾘゞ彳,　　　　　 ﾚ!　ｌ　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 /　 /　　　/ ﾉ八　 _　　　　 /　/　 i!
　　 随分とたくさん、魔石を持って行ったけど　　　　 　 /　 /　　　/　 l　l　ゝ､　　 _ ｲ　/ 　｜
　　 余らなかったの？」　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .′　i　　／　 / /　/＿fTフ./　/ ﾍ. ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i　 ／ ／　　/ /　/r| ／ノ　i　 i! しﾍ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 / / ／　 　 / / ／ﾉfi　ﾌしﾍ!　 |ｨ⌒´ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ / /　　　 / / {　 {　ﾉ≫≪　|　 |ノ⌒てi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i i　ﾉ　　 ／ /　ヽ　У|≫≪ λ　 ＼￣｀＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 // ( 　　 (　　＼　 i fてzr-z＿ﾉ ＼　 ＼　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ﾉ　　i　　　＼　　)　 )　　　⌒乙　 /　　/



　　　　　　　　　　　　　　／,　'"´:／,.. -‐ﾆ ＿＿_
　　　　　　　　　　　　/ /／／::‐''"_;:ﾆ＝== ｀`ヽ、｀`
　　　　 　 　 　 　 　 {ﾚ:1:::∠二::__::::::::::__:::::`ヾ.ﾆ._ゝ
　　 　 　 　 　 　 　 ,.ゝ::_:; -──- ﾆ:_:::::::''::‐ﾆ__:::::＼
　　　　 　 　 　 　 /::::/:､::::::::｀`ヽ､:ヽ::::｀丶､:::::─--｀ヾ__
　　　　　　　　　 /;:ｲ:l:::|::ヽ､:::::::｀ヽ::ヽ＼::ヽ::｀丶､:::::＜￣
　　　 　 　 　 　〃/::::/:l:::､:ヽ:`::ｰ-:::::ヽ:::＼::::､:::::::::::::::＼
　　　　　 　 　 / /1l!:|:i::|:i心::＼:::ミ_ヽ､:ヽ::::＼::::::::弋_⌒`
　　　 　 　 　 　 !　|l::|!::!::|{.Ｏヽ:､:::ヽ{.Ｏヽ::::::::::ヽ::::ゞヾゝー
　　　　　　　　　| ／!::|i:::::i｀"´ .;!`　｀ヾ"　|:!:::::::::::ﾄ､|｀ヽ、
　　　　　　_, ‐'7´ 　 !ハ::N 　 〈l,. _　　　　 ﾊﾄ､!｀iヽ､`　　｀丶､
　　　　　/　〃 　 　 |　|:ﾊヽ　_,,.......__　　 / ::　ヽ::!　　　　　　　ヽ
　 　 　 /／￣ ｀`ヽ､　　 {.　ヽ　ｰ　　 ／　.:::　／ ,. -- ､　　 /　 ',
　　　 ,: ′　　　　　 ヽ ＿ ＼. ` -‐ '′　　:／.／　 　|　 ＼/　　iﾊ
　 　./　　　　　　　　い　　 ｀ヽヽ､＿_ , ‐-'-./　　　 l |　　　ヽ　 || |
　　.!　1 　 　　　　　　i !、 |　|　! 　 ／/　　/ / 　 　| |. 　　　 ', || {　　　ｷﾞｸｯ
　　,|　 |　　　　　　　　| !|　|　|. i|　/ /〈 ､t'ﾚ'′　　 |　|　　　|　iﾉ　}
　 / !　　　　　　　　　 | |'　i〉 l　|　ヽヽ ヽ/ 　 　　　|l　|　　　|　|__`'}
　 |! ヽ|　　　　　　　　 | |,.ｲl　|　!　　ヽ.∨ 　 　　　 il　 | 　　.!　|　〉 !
　 | ヽ.| 　 　 　 　　　　| |ハ!r|.r| 　 　 /　　　　　　 |　 |　　 ! /|V._　i
　 |　　| 　 　 　 　　ヽ`i　|　｀｢|'′　 /　　へ 　 　 　　 |　　i/ ! ! ヽ＼!
　 ヽ　 l 　 　 　 　 　ヽ !. l.　 |:|　　./　　ヽ　 ヽ　　　　 | 　 !　| | 　 ヽ !
　　　　　　　　　　　　　|　| 　|:|　_ﾑ rへ 　　　 ヽ　　 | | 　!|　| | 　 /!.!|
　　　　　　　　　　　　　|　|　 |:| {っ iﾆＹﾆv‐､＼　ヽ　 |/ / |　| |､ //　|
　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣ﾞｰ'＾'''＾￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
258 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:05:00 qLkNzrF6
四６．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　その他、やらない夫からは体型に合わせる必要のない装備―――
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　, ｨヘ￣＞y‐ｧ-─ -､ ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　|/　〈(薔)Y⌒ヽ　　　　　　｀`丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　/( >‐<　,　/　　 !　　 　 　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　//　こ)　/ /　 !　!　　　　　　　　（(_/⌒Y⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　 l/　, /　/ / 　 !　! 　 　 |　　| 　　i|　/Y ﾆYi　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　 /　// l/i /　　l　,!　,　　|　　 ! 　　||.:i 人式i|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 / 　 /　　 ,ｲ　/ 　　l　 ）/ 　 l　　/ 　 / l|::|! /^Y^i　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,/　 / 1　!（(　/　 ,rr＝' l/　 /l　 /　　/ / l::|　 _ノﾉi　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 / 　/ 　|　|:.:〉こ二仆 l　/1　/ l　/　　/ /　|.:|（( _ ノ　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,/　/　 　|　|:〈{ (Y) ） ）}l/　l / ─‐- ､./ /　/^i^7 　　　 |
　　　　　「エル………？」　　　　　　　 /　/ 　 　 〉ﾄﾄ､ﾄ､こ ﾆソ::::::::::::::r=＝ﾐ､ ヽ| ,/ / |/　　 　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,/　/ 　 　 // V^l/ ー‐'′::::::::::::{ ,f○} 〉i::/　/　/　 　,　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/ 　 　 //　 l{ _)　　 　 　 　 　 ゞ‐‐ < :/ｨｲｲ /　　 / / |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,/　/　　　 //　　|,.ﾍ　　　ヽ ＿, 　　　 　／ 　 / /　　 / /　.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′/ 　 人//　　/(⌒) 、 　 　 　 　 　,.ィ:/ 　 / /　 　/ /　 .:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ／ 　　 >イ 　 入L1 >‐──一<⌒/ 　 / /／!// /　 . :.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／　　　　（　 〉二ﾆ　　 / ⌒Y⌒ Y　/ 　 ,/ /　　|/ /　 .:.:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Vr‐-,　　, 人＿人＿人/ 　 / / ～～＼　.:.:.::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ）.::<＿ノ入 ＿ _ノ入_/ 　 //´　 　 　 　 ヽ:::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─ <⌒Y´.:.:/｡ﾟ /´￣｀7弐く7 / 　 //　　 　 　 　 　 `,::::::|



　　　　　　　　　　 　,
　　　　　　 　 　　,r/　,;-ー_
　　　　　　　　　/:::レ:::::三:::::｀ミ::=-､
　　　　　　　　 ,i::::::::::::::::､:::::::､::::ヾ::ヽﾐｰ-､
　 　 　 　 　,r'::::::::::::::::::ヽ::::::::＼.:::::::::::::＼
　　　　　　//:::::/:::;:::i:::::ヽ:::::::::::::＼::::::::::::::ヽ
.　 　 　 　/::/:::::::/_ヽ:!:::::ヽ:::i`_､:::::ヽ ::ヽ:::::::!
　 　 　　 i::/::::::::/'oヾ､:::|ヽ::Y o＼:::::i!::::ヽ::::＼
　　　　　l:::i:::::::::lゝ- '　ヾ、ﾞ ! ｰ '､ヽ:::::!:::::ヽ::i ヽ　　　　　　「嫌ですねネコババするわけ無いじゃないですか
　　　　　!::!:::i:::::!　　　` ｀ ヽ　　　　 i:::::!::::::::::::i　　　　　　　 私達の戦いもこれからですし来るべき戦闘に備えて
　 　 　 　l:!:::l:::l !　　,r_ー‐-､ 　 　　l::::!::::::::::;::i　　　　　　　 万全を期すために魔石を手元に持っておくのは
　　　　　　!|:.!::', 　　i'/￣￣ i 　 　　l:::::::::::::ハ:!　　　　　　　精霊使いとして当然の判断ですよ？」
　　　　.　　 l::::::ヽ.　 ｉ　　　　i　　　 ｨ::/i:::::ﾊi　 !
　　　 　　　　i::li:::＼ `ｰ--‐' 　　／ ﾘ　|:::ﾘfﾊ､_　　ﾍﾟﾗﾍﾟﾗﾍﾟﾗ
　　 　 　 　 _..!:ﾊ::::l;ヽ､　　　 ／　　"　l::/i　ヽ. ｀`''ｰ- ､._
　　　,r‐'''"´　 !　ﾘ!i ヽ `＝'"　　 ,　 　ﾘ /　　ﾝ 　　　 　 /ヽ、
　　 /ヽ　　　　　　 ヽ ヽ ヽ　　　/　　 ／　　　　　　　　/ 　 ヽ
　　l 　 ＼　　　　　　＼　 '　　　　　／／　 　 　 　 　 /　　　 i



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　　魔法の腕輪や指輪などの装飾具の貸し出しの他、
―――――――――――――――――――――――
259 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:06:00 qLkNzrF6
四７．
―――――――――――――――――
　　惜しみない魔石や霊薬の配布など、
―――――――――――――――――



　 　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）
.　|　　　　 （__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　「良いって良いって、
.　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　エルの言うとおり持っておいてくれ。
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ　　ｍm　　　　 雪華綺晶も十分持っているか？
　　　/　　　￣￣￣　つﾉ　　　　足りなかったら渡すぞ」
　　　|　　　　|￣￣￣



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 , -┐_rｭ　　　　 ,-v- ､ _, -z__,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 _ / ,ィ´ ..斗-z―r-ｌ f:! __r'_ｨ7､ __ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 {!｣_/ ／ _ ノ　　､_ヾ=' l　!｀ヽi__ﾉ　｝ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ィレi　　´ /　　　､_　￣ ヽ:!_ｰ＜-'´ヽ ｉ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 （/ ﾚ′ , 　 　 i　　　 ヽ￣､_ノ´i｀ｉLィ´　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 〃　　　 |　　　　 l　 ヽ　r' (｣_　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ′ /　　　　, = ､_ﾉ　　|　　}　 ｢｀iﾉ　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｌ i　l _{_＞-､{｛ ! -――!‐i　! 　ｌ ´　　　｜
　　　　　　　　　　「もう。　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　Lﾊ,ｲ_r'_ﾍ.! 'r'└'ィﾁ孑ｚ ﾙ'ｌ　 ｌ　　　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛ｉY ゞ'_ﾉ_ﾉ　　 辷シ /　 ｌ　 l　　　　　|
　　　　　　　　　　 必要消耗品だからって　　　　　　　　　　　　 　 　 ７ト仟'´　'　　 　 　 ; 　r'　　､　 　 　 ﾄ､
　　　　　　　　　　 決して安くないんだからね？」　　　　　　　　　　　/ 　iT>､　 ＾　　　,. ｲ　 l:　 　 i　 　 　 ｌ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　 く 　ｔ＞-r__7-ｌ l 　 !､　　 l　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　 /｀:､_）　ヽ （_　　 〈ヽ._ ､j　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　__,ゝヘ　 _ﾉ　｢ ､　r< :! ノ､ }　　′ ;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　く‐-L.. _　7 !＞ﾆ＜｀l　厂__　;　／　,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 ／　 , --'_ ｰﾄ　rヽ」＞ニ＜ﾉ_｣'´ （ ﾙ′　/ l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ .　´　r‐' ｨ- { z'Y´ﾄ､ヽ.辷'⌒Lz'´ _r‐y┴z,　 ｛　 ､ 　 :､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―-　'´　　　 , ﾍム ､ノヽr'__}_｝,ィ ヽ.厂｀Yヾ.　/r'⌒Y_ーｭ　 ヽ　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　ﾚ ´　 ! }　_.｢　rくiL../´ﾌv'´f'ヽ Yi/ ,r' ﾉ　｀Yヾ!　 〉　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　ﾚ´!ﾉ_ノfﾚハｉ L.L､ト､v'_j｀ヽ._ﾘｲK｀Vリハ　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　　 〈　　　　'　ハ _.ノ　L.ﾑ-v !l　ヽﾄ､｀Y　! ﾚ'_r‐ ' r )ヽ　｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∧r- ､　 〈　!r-｢（_　 ＞ﾘ ｀￣｀ヽ=≧､>､__rに｀!_.ノ　　　 ＼



―――――――――――――――――――――――
　　万が一、今ここで妖術師が現れても良いようにと
　　出来るだけのことをされている。
―――――――――――――――――――――――
261 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:07:00 qLkNzrF6
四８．



　　　　　　　　　　　　　 　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 　 　_ノ　　ヽ、　　＼
　　　　　　　　　　　　（ ●）（ ●）　　　|
　　　　　　　　　　　　（__人__） 　　　　 | ..／}
　　　　　 _　 　　　 　ヽ｀⌒ ´　　　　　| /　/ 　　　__
　　 (＾ヽ{　ヽ　　　　　 {　　　　　　　　./　/　 .　／ .ﾉ
　(￣ ヽ ヽ　i　　　　　　ヽ　　　　　　/　厶-　´ ／　　　　　　「おっと、今回に限っては言いっこ無しだ。
.(二 ヽ　i　i　|,r‐i　　　　ﾉ.　　　ヽ /　　　　 ／
　　ヽ　　 ／　 ノ　　／　　 　r一'´　ー ､　　￣￣￣）　　　　 消費を気にして勝てる相手じゃない」
　　 i 　 {　　 ｲ―イ　/　 　.`ー―.　､＿_　.〈￣￣
　　　ヽ.　`ｰ '/　　　/　　　　　　　　　 　/＼ ＼
　　　　　 `ー ' ￣￣!　 　　　　　　　　　|　　ヽノ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, 　 ,,,.:-‐,,..... -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ::':ﾙ'´:ｰ''´::::≦-
　　　　　　　 　 　 　 　 　　　r''ﾆ、:::::ニ＝-:､::::二ｪｪｯ=-‐
　　　　　　　　　　　　　　　 r'::::::ﾆ-､::::::::ミﾐヽ､::::::::::::::＝ﾆ＿
　　 　 　 　 　 　 　 　　　 /:://:::::ミ､::::::::::::＼ヽ､:::::::::::::＜
　 　 　 　 　 　 　 　　　　,':::,'::::iヽヽ:::ミ:::::､:::::::::＼:::::::::::::ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /::::!:::::ヽ:ヽ::::::::::`:::::::::ヽ:::ヽ::::::ヾヾ､
　　　　 　 　　　　　　　/"i::::::::::::ｉﾞ_､:::::::::!＼vヽ、:::::::::ヾ:::＼
　　　　 　 　 　 　　　　　 i:;::::l::',:li ｏヽ`ヾi. Y'ｏﾞﾘ､:::::::::::iｰ=ヾ
　　 　 　 　 　　　　　　　/ lﾊ::::',ｉﾞー" 　 ′ ー" i:::::::::ヾ､　　　　　　　「リーダー様の言うとおりですとも」
　　　　　　　　　　 rｲ￣'",ﾆ､!:::::i.　 　　. . 　 　　,':j::lヾﾔ-､_
　　　　　　　　　／ |　　　l　lｻ!::iヽ 　 . --､ 　,.ｲ::l!';:l　　　 ,ヽ
　　　　　　　　　|〉　!　　　|　l八ﾞ!　＼　￣ .ｨ'　/ｉ! i '!　　　i　i
　　 　 　　　　／<　';,.　　 l　| ヽゞｬ-､`＝ﾝ　_ｿ, !　i　　　 ,'　ヽ
　　　　　　　 〉ヽ-`'　i!/｀`ｉｰ',　 ｀`-ﾆ_--‐'ﾆ-' ,'　 / ｉ　 / i　i l
　　　　　　　/ 　' , ,,,i'´!、 l-　ヽ=- -‐-;'''´　　　 　　 ｌ　　, ' ,' .i
　 　 　 　　/　　　ﾞl　i　 'i　j/　 ,..-‐'￣　　　　 　　　 !　/　　　|
　　　　　 /　　　　 ll､ヽt,ｹﾝｪ‐'´　　　　　　　　　　　 ,!'　　　　.|
. 　　 　 i┴､＞ﾆ ﾝ`''＝ｰﾝ´ヽ　　　　　 　 　　　　　/ヾ!ー,-,ﾝ.i
　　　　 ﾘﾝニ--/　　 　, ' 　　ヽ　　　　　　　　　　 /　 |､-‐'´　 i
262 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:08:00 qLkNzrF6
四９．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　´ 　　　　　　　　 r-ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　{ {:必 }､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　|l　　　　　　|　　　　ゞ辷ｼ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 / ,　　　|l　　　　　　|　　　　　　 i| 　　|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.′i|　 |　ﾊ 　　 |　　 |.　　　　 　 八　　ヽ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　 l|　 | / |　 |　|　　 |　　 ｌ　　　|,　 ＼　 }＼. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　 l|　∥ 厶./l　|　　 |　　 |　　　| 　　 ﾉ　ﾊ.　＼. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､ l|ﾍイrぅｭ､_!ﾊ|　　 |　　 |　　　|　　/　/　 }　　)　　)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ.　 }c::::ﾘ　/　　/　　/　　　 | ／ ／　／ ／　／
　　　　　　「エルは本っ当に　　　　　　　　　　　　ｒ　　　{沙'"./　　/　　/　　　　{{　 ( 　 /　（　　（
　　　　　　 調子良いんだから！」　　　　　 　　　| _ 　 　 　 / 　 /　　/　　　＼ ＼　＼{　　 ＼　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ｀ヽ　　 / 　 /　　/　　　　　 :　 ＼　＼　　　＼　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ .}　 / 　 /rzr─ ｧ　　　i　 i　　　＼　＼　　　＼　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ー/　 ／　　　 /　　　　｝　 ｝　　　 ＼　＼　　　)　　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／_／　＿,厶ｲ⌒! 　　/　 /　　　/　 } }　　)　 /　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ ⌒ Y⌒!７ﾌ7ｧ/　　　/　　{　／ ／　　　　／　ﾉ　 /　/　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (＼　　 }_/////_ﾄｧ　　　　　 |　／　　.　 イ　／　 ／　/　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋 三.r┴ミ了く／ﾉ　　　　　 |　　　／.　 /／　 ／　 ./　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （＿＿rイ　 兀け　　　　　 |　 ／　　　く　　 ｛　　 /　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |＼､. イ ⌒i､　　　_＿ｊ　/　　　　{　＼　 ヽ　{　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　 ＼　　 人 /￣/　 {　.＼　　　 ＼　 ＼　}/　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ / r‐ {　 /　 /　 /　　 ＼　 ＼　　　 )　　＼}　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠厶⊥!.　 ＼　／　 / 　 　 　 ＼　 ＼　/　　　/　{



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　　渡りに船とばかりに悪びれないエルを見て、いつか天罰が当たるわよと雪華綺晶は言った。
　　その口調が妙に強いのは、迫り来る強敵との戦闘への不安をごまかす分もあったのだろう。
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263 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:09:00 qLkNzrF6
四１０．
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　　口には出さないが、誰もが不安を抱えていた。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　（　　　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　「コナタ、魔符で分からないのはあるか？」　　　　 .　　　　{　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂ ヽ∩　　 　 く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | '､＿ ＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　|　 |_＼　 “　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ､ ＿_＼_／



　　　　 　 　 　 ／ '´　　｀ヽ
　　　　　　 　 //
　　　 　 　 　 !i　　　　　／:ヽ-.‐: : :ﾆ二＝‐
　　　　　　　　ﾞ､　,. : ':": : : : : : ､: :、　_ .｀.ヽ､
　　　　　 　 　 ゝ゛: : : : : : : :　. .:i、:ヽ: :｀ヾ､_:.＼
　　　　　　　, ':i: : /: : : : :ﾄ､: i: : :.i x-ﾞi: : : :.ヽ　｀`
　　　　　　 /: :.!:/　. .,.-|:.| ∨!: : :l　ヾ:i,: :ヾ:. ｀､
.　　　　 　 i　　}l. : : /: i'| |　 !|、: | _,,⊥!: : i;::: :｀､
　　　 　 　 !. : :l: : : : : :! |:|,,.、l|ヾ:| 彳ﾊ`ﾄ､:.|｀ヾ:.i
　　　　　　 l: : !: ;l: : : :!ｯi"､ﾊ 　 ﾘ　 ､_j! l ヾ!　 ヾ
　　 　 　 　 V:|:/:.!: : :!ﾍ' ､__j!　　　　`゛ ･|i
　　　　　　　ヾ": : !: :,! i　`''"　　　。　 ／:|　　　　　　　「この二枚、知らない」
　　　 　 　 　 i: : !: l ハﾊ.＿＿＿,.／）|:: : |
　　　　　　　　|: :!: : {: : :ヾ;|　r く,/　ﾑ:.!: : |
　　　　　　　　j:/: : :∧: : : :＼ヽ＿　｛.:ﾄ: :.!
　　　　　　 　 l/: : /==`ｰ､: ＜!三ﾐﾐヾj Υ
　　　　　　　 /: : : |=＝==≧ｼl二`ヾﾐﾐ｝｜
　　 　 　 　 /: : : : !、　　 　 |　　　｀ヾﾐ!　!、
.　　　　 　 /: : : : : :}ヽ 　 　 |　　　　　ﾉ`ヽ｀、
　　　　 　 !: /: : : :.∧｣:､　　 　 　 　 /　　　,l
　　　　　 l: /: : : : ;': /.ﾊ ＼　　　　,/　　 ／
.　　　　　l.:,!: i : : :i!:.(　　＼_〕ト､_ノl_,.ィ'｢
　　　　　l:.!|: :!: : :.!|: ;>､　 　 |`ァ''＾ヽ |く
　　　　　|:l l: l: : : l／ / `ｰr-l∠ィ"＾ヾ、ヽ
267 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:10:00 qLkNzrF6
四１１．
―――――――――――――――
　　仲間を護る事は出来るのか。
　　仲間を救うことは出来るのか。
　　仲間を失う事はないだろうか。
―――――――――――――――



　　　　　　　　　　　l:|　　__,, . . . . . . ／: :.｀、 __
　　　　　　　 　 　 ,.-`'": : : : : : : : : /: : : : :.l: :‐-､二ニ＝‐-
　　 　 　 　 　 ,.:.': : :, ': : : : : : : : : :/: .　　｜!　｀､: :｀:ヽ.、
　　 　 　 　 ／: : :.;.'　,: : : : : : :/: :/:./: : : : !:l､. . ヽ ＼　 ＼
　 　 　 　 ,.'　　..:/: :/: : : : : ;,厶､/:.ｲ: : : : :!:j ∨: :.i:. . ヽ 　 ヽ
.　　　　　,'　. : :/: :./: : : :／:/ :〃:/ !: : : : l::l ⌒v、:!: : : .ﾞ､,　 ｀､
　　　　　i . : : /: :./: : : : : :./:.//;.′l: : : :.//　　 V: :!: : : :.ﾞ:.丶、ヽ
　　　 　 l: : : ;': : ;l: : : : : :./∠/ム　l: : : /:' ≧､、∨:!: : i: : :i.　 ヽ｀、
　　　　　!: : :,: :/:l: : : : :ォ=ﾆ示了' l: : :/"　仗ホｧ,!:l: : : !: : :!　　 ヾ:、
　　　　　l: : :!:/:::l: : : : /N !ﾚ、 ｨ|　l: ; '′　 !、川.ﾊj:: : :.l､: :.l
.　　　　　l: :.l/: ;ｲ: : :/l:::l　 l {　'}l　! '　　　　l{ }/ i:､::::. : :| l: :.!
.　　　　　 !:.i: :.| |: :/:::::l:::!　ヾ-゛' /　　　 ,　`｀"・l::::i::: : :.!　!:.!　　　　　　「うん。
　　　　 　 l.:|: : `!/|:::::::ﾍ::!　　　　　　,_,_,　 　 　 ,!:::;!: : :l　 l/　　　　　　 岩を投擲する戦技だよ」
　　　　　　l:j: : : ':|::!: ::::::ﾍl　　　　　（_ノ　　_,. .::'ﾞ:::: !l: :,'
　　　 　 　 |: : : : |::l: : : :::ﾍ｢!丶　､,_. . .＜:|:|:::::::::: : l l/
　　　　　　 |: : : ::l::i:!: : : : ::ﾞ| 　 　 {ヽ｀:､:::::!l::::::: : : l　　 ,.、 　 　 ,.-､
　　　 　 　 !: : : ::!:j/l: : : : : ﾍ＿,,,,..`ﾆ、 ＼l!:: : : : i　　/　}　　／ ／　__
　　　　　　l: : : ;rく＼l、: : : : ﾍ:､　　　 l　　 |: : : : ,{ 　 l　/_,／_∠-',ﾆ-､'
　 　 　 　 !: : :.{,ヘ｀ヽ`、: : : :ﾍ ヽ　 　 ! 　 !: : : :/|　 i′　　　 _,.-'",／
　　　　　 l: : :./　　＼｀ヽ: : : : ﾍ. ＼ 　 ｌ　 l: : : /､| 八　　　 ,. -‐＜



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　＿　（ｍ）　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　|ミ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／ 　.｀´　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./=={廻!=---------､_　.,-､_!‐i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ∥≧´　　　　　　　　 ｀''i行ﾐil /｀''i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　/'.／　　　　　　　　　　 ヾ彡F!ヽ,　`i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..l/ /　 /　　　l ..l　　 i　l　　　￣ii｀il　i .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.i l .l　　l　 l　　|　l　　 |i　l　i　　.　l''.|　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 li .l　| .l i/i |　 li .|i　　li. .l　|　　..　| l　| .l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! .ll,_!､fｬ､| l　/i .l i､| /i .l　.!　　　/ l　l .l
　 　 　 　 ｸﾞﾗｳﾞｨﾃｨ　　　　　 　 　 　 　 　 　 ゞ!!lf凾}.,i.!!!'' ,-i乞弌 l .! /i　　　l　| .l　|
　「そこに重力倍化をかけたら、　　　　　　　 !.lF彳"´　 ヽ弋汐/　 y/!　 l　|　l .l　l
　 どうだろ？」　　　　　　　　　　 　　　　　　　./i , .!　 '　　　 ｀w// / /　!　l　|　l l　.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //i　l ゝ､`'ｰ ..　　// /_/=--!､.!　l .l .l　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ,!/ ./　 i｀ゝ-===/ ./`´　　　 ! !　!.l .l　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ／// 　　l／f⌒i/. /　　　　　　.! l `i .l　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　 l　!､　-‐l,x lf=.l/ .l　　 　　　　　＼　! .!　l--､___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　/　 .l　l ｀i　　..ヽfx) .l .l　　　　　　　　　＼! ＼l_`'''`‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..!　　/　　 !　l､ .l　 　 .i>,　 l |　　　　　　　　　　.|＼ ､､ヽ､
269 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:11:03 qLkNzrF6
四１２．
―――――――――――――――――――――――――――
　　戦いでは何が起こるか分からない。
　　どれほどの予測と戦術、準備を以てしても勝利はおろか、
　　犠牲を防ぐ事すら確実なものではない。
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　 　　／　ノ　　 　 ヽ
　　　　　　　　 　　　| 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__） ｜
　　　　　　　　　　 　|　　 ｀ ⌒´ 　 |　　　　　　　　　　　 ﾐｭｰﾄ
　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　　　　　　「沈黙封じはしてくるだろうな………」
　　　　　　 　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､
　　　　　 　 　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .
　　　　 　 　 {:::　　 l　 ＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡 ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　 ヽ--､ ＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　 　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／　 ,,､-‐=''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　 /:i,､ｨ'´::::∠､,,,,,,___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::,ﾆ=-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,-'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::､'=、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, 、 i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l .|　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, --‐'　i, '!i'!:::::::::::::::,=-‐'""゛゛゛゛￣￣｀'''‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　7 　　　 i, !ヽ::::::／´ 　　　　　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀i　　　　l,　　ﾘ/　　 ヽ　　　　　　　　　　　　　 '､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞｰ-､　　i, 　 !　　　　 ',　　　　　　 　 　 　 　　 'i,
　「風属性を封じるのであれば、　　　　　　 '!　　'i,　 l　　　 　 ',　,　 ﾉ　　　　　　　　　　'､
　 土属性を使いやすくなります。　 　　　　　!､-‐''"i,| 　　　　/ /　/　　　　　　　　　　　　Ｌ.＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／　　　ﾞl′　　　lﾞﾉ　´　　　　 　 　 　 　 　 　//
　 防御は私に任せてください」　　　　　　　｀ヽ　　　 i　　　　lﾞ､,　　　　　　　　 　 　 　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　,|　　 　 l'ヽ｀ｰ　　　　 　 　 　 　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　iヽ　 ( ｌ,　　　,|　'!、　,　　　　　　　　　　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　ｌ,　ヾ'､ヽ　 i　　｀!、l　　　　　　　　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l＼i,　　 　　 /　　　ﾄ､!　　　　　 　 　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝ､＼、　_,ノ　　　 |　ｌヽ　　　　　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ｀'-二、　　　 　!　l ＼　　　　　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 ｀"ヽ　　 　 　!,,_ 丶　　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼_＿__＼＿＿__i＿＿＿__//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'´―､――‐､:::::::::::::::,――‐ヽ i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　i,::::::::::::l｀"‐-､_ 'i |,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　|,:::::::::::!　　　 ｀ l, l
272 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:12:01 qLkNzrF6
四１３．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　だからこそ彼らは一秒でも無駄には出来ない、と相互理解と戦力分析、
　　戦術の検討に余念がない。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ー）（ー）
.　|　　　　 （__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　「奴の防御障壁は
.　 |　　　　　　　ｎｌ^l^l　　　　　高位竜並と考えた方がいい」
.　 ヽ　　　　　 |　　 ﾉ
　　 ヽ　　　　ヽ　く
　　　/　　　　　ヽ　＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ , - - ― ´ ￣ 　｀ - ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ _ γて_,､/／　　　　　　 ― ､―yﾐＸヽ_=r= ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／| Kr-､|ヾ､　　　　　　　　　　 >ﾛ>＜ァトミヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ Xヾ彡 //　　　　　|　　　 ヽ　ヾ|＼ﾃｿノﾍヽ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | |ﾄ｀´ﾉ/　　|..|　　 .|　　 |　 |　　゛　て‐<ゝ｀　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | |｀､/ |　/　| |　 .ﾊ|　　ヾ　 |　　 ヽ |ヽ ||(｀　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | | /ﾍ/ | /　 .| |　 | |ヽ　 ｀､_._|＿　 | li ｀､＼||　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　|　.ﾊ .|　|　 |大-.| | .|､　 .|ﾊ | |　　|　|　|　 ||　|
　　　　　　「貫けるかな………」　　　 　　　　　 ,/　///　 ||　|　ﾉﾚﾊ,､|､＼＼ﾊi_, =-､ | | .|　|　　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/ /ｲ　 | | .| Kr/ﾏｱ冫　｀ ｀´ｲ::..::ﾊ |　|　|　　|　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ ／/ / | | | ﾍ Y｀.ヾ斗ｿ　　　　 弋;;ｿ / .|　.|　　ヽ .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ／ / /　 | | |　 ヾ|ﾄ,　゛´゜　　　　　　　ノｲ　|　 |　　　| .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ／ ／／ｲ　.| | |　 ヽ)　>　　　　_　_　U　ﾉ彡/　 /　　　 ｀､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　../　 /　/　　|　 | | | |　 |ﾉ i |>､　　 ｀ ´　 ／ｲ / ./ /　　　　　｀､＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 / イ　 / |　 | | | |l　 ｙ | | r-ﾉ＞ - ＜　　|/ / /　　　　　　　 ヾ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |　 |l　..　 ||　|　 | |　/| .| | ＼>_)(⌒)(＼ﾉ/ / /｀､,_ /｀´ |＿　ヾ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |　 ||　|　　|ヾ　　　X .| .| |_ , )､ｿ　(　 )　( / /ﾃアﾉ￣r/./　ヽﾉ　　 ｀､



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　全てを出し切る必要がある、でなければ後悔する羽目になる。
　　それが四人の共通認識であり、先程からこの部屋に満ちているピリピリとした緊張の正体だったのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
273 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:13:00 qLkNzrF6
四１４．
――――――――――――――――――――――――――――
　　十九時を回って一段落したところで、扉が勢いよく開かれた。
――――――――――――――――――――――――――――



　　　＼　　　　 　 ＼　＼　　　　 | ,,,--'''''￣　| // ＿,,,,--┐ 　 |　／　　＿,,,...---
. 　 　 　 ||￣　/l‐|、-/l　＼┌'￣|　　　 ＿,,,,-ゥ/i｀ヽ、　　.ィ-ァ|　| 「￣' 　 |
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　 　 ||　 ||　 |　|.　 　 　 ／ .|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |＼..|　| |　　　　|
　 　 ||　 ||　 |　|.／　 ／. 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　＼|　 ＼ |,,,,....--- |----
　 　 ||　 ||　 |／　 ／..　　　.|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |＼..|..＼...　＿__|,,,,,,,,,,
275 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:14:00 qLkNzrF6
四１５．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　急ぎ足で入ってきたのは国王キャスバルと王妃ハマーンの二人。

　　ここに来るまでにかなりの事をこなしてきたのだろう、
　　顔からは血の気が引いており声にも力が残っていなかったが、
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .　- －＝－- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　.　: ´　　　　 　 　 　 　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　/　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ',
　　　　　　　　　　 　 　 　 j　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ',
　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　ｉ | !　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　 .:　　　　　 {｛彡イノノノ ハソ ﾊ　　i
　　　　 　 　 　 　 　 　 {　 　 {　　 从////////ﾊィ//ﾊリ　}
　　　　　　　 　 　 　 　 i　 　 乂У　∨/////／∨////ソﾉ
　　　　 　 　 　 　 　 　 乂 　 　い　Ｙ ｀ー "´　　 ∨/ｲ′
　　　　　　　　　　　　　 彡　　　Ｙ从ミ 　 　 　 　'"´ ７　　　　　　　　「すまん、随分待たせてしまった」
　　　　　　　　　　　　　　八　　　ミ、　 　 　 ⊂ﾆ7　/ﾐ
　　　　　　　　　　　　　　い　　　У ヽ　u　　. ｰ　 /ﾊ
　　　　　　　　　　　 　 　 ゞ＝=ﾘﾉ､、　 ＞ 、　　 /ﾉ
　　　　　　　　　　　　 　 /:::::::::/:.:.:.:.:.:.≧ｘ､、_￣彡､、
　　　　 　 　 　 　 　 　 /:::::::::/:.:/　　｀ '･＜: : |!:.:.:.:|:.:.|
　　_ ...... _　　　　 .．＜｀::::::､/:.:/ ☆ ☆ ☆　〉:|!.:.:.:.|:.:.|
／::::::::::::: ｀Y￣｀ヾ::::::::::::::／:.｀:.:.＞ ．　　　/:.:.|!:.:.:.:|.:..|､、_ 　 　 ＿
::::::::::::::::::::::∧__＿:j＞.:"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:.:.:.＞.:.:.:.:|!.:.:.:.|:.:.|:::::::|｀`:y':::::::::｀ヽ.
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　　　　　　　　　　 _.,..､:-:─:-..､、
　　　　 　 　 　 ／:::::::::::::::::::::::::.:::｀:ヽ.
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:､
　　　　　　,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
.　 　 　 /::::::::::::::::::::::ﾍノ!::::|::::::!::::::|:::!:::}:::i:::::}
　　　　/:::::::::::::::::::::::::::厂 ≧rx|::::::j:/:ｲ:ノﾉ:ｲ
　　 ／:::::::::i:::::::::{こj::::i　弋ｹﾆゞ､イｲｦイ:::::::＼
　／:::::::::::::i!:::::::::じｲ::::|　　　　　　｛　　/::::ヽ::::::＼
　＼:;ｲ::::::i!|::::::::: ゝｊ:::::!　　　　　 　ゝ /:::::!:.::ヽ:::::::::>　　　「早速だが始めようか」
　　　'＜::il:|:::::::::::::;:!::::ｊ 　 　　ー－ , ′::::!::::::::ﾄ／
　　　　　ヽi;;;;;;;;;;;;;j'"´　＼　　　 ／::::|::::::＞'"´
　　,.､rｰへへ/´;;＼ 　 　 　トﾆ´_＿"´
／´￣｀ヽ;;;;＼＼;;;;;;;;｀ヽ、　!＼;;＼;;;＼__
;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;｀ヽ､__>;;;;ヽ;;;;ト;;｀ヽ、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ::::l;;;;ヽ;;;;;｀;,,､
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;ー───''"/;;;;;i!;;;;;;;｝;;;;;;;;;;;＼
γ;;⌒ヽｲ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;｀＼;;;;;;;;;／;;;;;丿;;;イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
´￣｀ヽ;;;;＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀＼;;;;;;;￣;;;;;;;／／;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j



――――――――――――――――――――――――――
　　気にした様子もなく、侍女に飲み物を運ぶよう指示をして
　　窓際のテーブルへと歩み寄ってくる。
――――――――――――――――――――――――――
276 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:15:00 qLkNzrF6
四１６．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　床の上などに並べていた道具などを片付け、
　　返す手で手帳を取りだしたやらない夫が最後に席に着いた時には
　　すでに湯気を立てる紅茶が六つ、並べられていて、
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　（
　　　　　　　　　　　 `.
　　　　　　　　　　　 ､　｀ヽ. 　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　 ,!　　ﾉ
　　　　　　　　　 ,r　　　'´　_　　 '　 _,
　　　　　　　　　!　　　　 r'´　　 r‐'
　　　　　　　 , , -─=＝i＝＝i=‐- .._　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（
　　　　　　 // 　 ,＿.......i............___　ヽヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　`.
　　　　　　 ﾄヽ.-''´:.:.:::::::.:.:.:.::::::::::::::.ソﾉl　　　　　　　　　　　　　　　　　､　｀ヽ. 　｀ヽ
　　　　　　 l ｀｀ ー＝＝＝＝-―´´　/ ‐- ､　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　 ,!　　ﾉ
　　　　　　 |　 　　　　　　　　　　　 ゝ!─､　l　　　　　　　　　　　　,r　　　'´　_　　 '　 _,
　　　　　　　!　　　　　　　　　　　 　 ﾉ､＿j　j　　　　　　　　　　　　!　　　　 r'´　　 r‐'
　　　　　　　',　　　　　　　　　　　　 ゝ＿ノノ　　　　　　　　　　, , -─=＝i＝＝i=‐- .._
　　　　　　　 ゝ､　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　// 　 ,＿.......i............___　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄヽ.-''´:.:.:::::::.:.:.:.::::::::::::::.ソﾉl
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l ｀｀ ー＝＝＝＝-―´´　/ ‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 　　　　　　　　　　　 ゝ!─､　l
　　　　　　　　　　　　　　　（　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 !　　　　　　　　　　　 　 ﾉ､＿j　j
　　　　　　　　　　　　 `.　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ',　　　　　　　　　　　　 ゝ＿ノノ
　　　　　　　　　　　　 ､　｀ヽ. 　｀ヽ　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ゝ､　　　　　　　　　 ／
　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　 ,!　　ﾉ
　　　　　　　　　　 ,r　　　'´　_　　 '　 _,
　　　　　　　　　　!　　　　 r'´　　 r‐'
　　　　　　　　 , , -─=＝i＝＝i=‐- .._
　　　　　　　 // 　 ,＿.......i............___　ヽヽ
　　　　　　　 ﾄヽ.-''´:.:.:::::::.:.:.:.::::::::::::::.ソﾉl
　　　　　　　 l ｀｀ ー＝＝＝＝-―´´　/ ‐- ､
　　　　　　　 |　 　　　　　　　　　　　 ゝ!─､　l
　　　　　　　　!　　　　　　　　　　　 　 ﾉ､＿j　j
　　　　　　　　',　　　　　　　　　　　　 ゝ＿ノノ
　　　　　　　　 ゝ､　　　　　　　　　 ／
278 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:16:03 qLkNzrF6
四１７．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　猶予はおそらく残されていまい、と表情を引き締めた国王が早速本題に入った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿＿___
　　　　　　　　　　 　 　　 ∠´　　　　　　｀ 　､
　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　｀　､
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ .､
　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　 l　　　　　　　　 　 　　γ　　　　　 ｝　（　　l
　　　　　 　 　 l　　　　　　　　 　 　　 i　 ／ ノ ノﾉル））ｊ　ヽ
　　　 　 　 　 ,'　　　　　　　　　　　{　｛ ｛　｛彡≦≠ｭ/　! リ
　　　 　 　　 ,'　　　　　　　　　　　　ゝ､ゝｰ( ´`ヽﾆ ｾヾ　〉ｿ
　 　 　 　 　 {　　　　　　　　　　　 ｛´ヾﾒ　）　　　　 　 　'､
　　　　　　　 ヽ､　　　　　　　　　　 ヽ)）（ (　　　　 　 　　 ヽ　　　　　　　　「宝具の説明、であったな。
　　　　　　　 　　ヽ 　 　 　 　 　 　 　 i ト ゝ 　 　 　 　　ｒｰ′
　　　　　　　　　　 ミ　　　　　　　　　ノﾉ! 　　　　　´￣」′　　　　　　　　　ならばエゥーゴ建国当時から
　　　　　　　　　γ⌒ 　 　　ヽ 　 ｛（　　ヽ、 　 　 　 ｀{　　　　　　　　　　　順を追って話すべきだろう。
　　　　　　　　　 ゝ,　　　　　　!ニﾆヾ彡 ｀::.. ＞ 　 　　j
　　　　　　　　（　つ　　　　　ﾉ 　 | |　ﾍ　　　┬‐｀ ｰ ´　　　　　　　　　　　………時は総歴一六六七年。
　　　　　　　　 ミ彡 γ〃〆　　　| |￣￣￣｀ヽ==＝＝＝y　　　　　　　　 今から三百年以上も昔、
　　　　　 　 　｛ 　 　｛（(ﾍ 　 　 　| |　　　　　/ 　 　 　 //　　　　　　　　　 エゥーゴ建国歴三年の事だ―――」
　　　　　 　 　 ゝ、 _丿　　 　 　　| |　　　　　| 　 　 　 i l
　　　　　　　　　｛　　　　　　　　　| |　　　　　|　 i　　　| l
　　　　　　　 __＿彡ニニ二二 ヽ ヾニニヽノハ | 　 　l | 　　ｒー - ､
　---ｰ　''''"´　　　　　　　 　ヽヽ　＼　　ヽ ゝ　!|　 　くくヽｰ--　､ ヾヽ
　　　　　　　　 　 　 　 　 　　　ヽ ヽ　＼ （ （　　ヽ 　　 〉〉　　　　ヽ　 ＼
　　￣￣ 　───ー　￢　　　　 ヽ ヽ　　＼＼　 ヽ 　| |　く´￣　 ヽ 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　ヽ　ヽ　 ＼＼ 　ヽ| | 　 ヽ　　　 ヽ　　ヽ



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　エゥーゴが長い間国宝としてきた大地の女神の宝具とは何なのか。
　　そして妖術師は、盗賊団は何故それを欲するのか。

　　事件の根源であり、エゥーゴ繁栄の源であり、大いなる存在の加護が今初めて、
　　王家の者以外に語られようとしていた―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
279 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:17:00 qLkNzrF6
四１８．



┏┓　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┛
┏╋──────────────────────╋┓
┃｜　　～　やらない夫は　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｜┃
┃｜　　　　　　約束を守るようです　～　　　　 　 　 　 　 　 ｜┃
┃｜　　　　　Episode II．大盗賊団ティターンズの挑戦！　.｜┃
┗╋──────────────────────╋┛　　:::::
┏╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┓ ::::::　　　:::
┗┛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗┛:::　 :::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　:::::/::::::::::::　　:::::::::　　　　　::::::::::::::　 ::::::　　　::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　| :::::/:::::::＿,,..r-＝77= ‐- = ≦ー＝へ､_:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　,/　 :::::ﾞ＜´::::::::::::::::;;;;;;;;;::::;:;:;:;:;::::::::::::::::::::::::::::＼_＿
　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ ／::::::::::::::ﾊ　　|;;;;;;小.:::::::　__,.　-ｧ　 ∠._,'　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:::::::::::/::::::|　 |;;;;;;;i;;;;ゝ. 　　￣ 　　_,.r- !／
　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 / :::::/::::::::::::|　|:;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ヽ.＿,. ／　:::::::::::::　　:::::_,.;r=
　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 / ::::/　:::::::::,'　,':;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／　 ::::::::　　　　　::::／､::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､.:,'　/;;;;;;;;;;;;;;;;;_:;;;;─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 ＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ./;;;;;;;;;;;;;;;;|　ヽ-'´:::::::::::::　　第四章　　五人
　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ.──-ﾄ､　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
　　　　　　　　ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､..　　　'{　　≦=≠ 　　　　　　　　　　　　　　　:::::{
　　　　　ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　 ／.:￣￣￣￣￣ ＼j
　　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}　　　 ,.---- ､　　　　 　 ／: : :: : :: : :: : :: : :: : :: :＼
　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く　　　/　　　　 ヽ　 　 ..／: : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :＼
　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',　 .{　　.出 　 }　　.／: : : : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : ＼
..／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ　.ヽ.　 || 　 ﾉ　　 : : : : : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :＼
.　 　 ／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|　 　||||==||||　　　 : : : : : :.; '⌒｀: : :: : :: : :´⌒ヽ: : :: : :: : : l　　＿,-ｰ､
　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj....　　　|::|　 　 　 　 : : :.:;;（w●w）: : :: : :（w●w）: : :: : :: : |／'､=--ｰ: :ﾒ,
　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　 　 ノ　|¨ .::::::ｲ/.　　 　 　 |::|　　　 　: : : : : : : ´'==´: : :: : :: : :`==´: : :: : :: :／: ／' _.,,=-ー`´ｉ
　　　　∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　 　 　 　 ､ _｣ ｲ:／.j'.　　　 　 　 |::|　　　 　 : : : : : : . ..: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :'ｰ／ ／´,_=-ー'': : :)
　 　 　 　 /ｲ:／ .|ｲ　 　＼　　　‐--- ／|:/　　　　　　　　　|::|　　　　 ＼: : : : : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :／　'ｰ(,,r'"_,--一,ｰ ,.ﾞ(,
.　 　 　 __,-,ﾆ二ニ=､　　　＼　　ﾞﾞﾞ／ 　.ｿ.　　　　　　 　 　 |::|　　 　 ／ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ＼　 ゝ: :￣.:ﾞｉ,: : :: : :,r': ヽ
　　 　 .／／　　　　　　 　 ／ヽ- '　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |::|　　　 　 　 　 　 　 ,ィ''´_二----`' - ､__　: ＼　｀`-" ＼,_､: : :: : : :
　 　／/:/　ヽ､　　　　　_ ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::|　　　　　 　 　 ／, イ_,　_, - '´　　　　　｀｀`'‐､:＼　　　｀｀ヽ: : :: : ::
　／　ヾ`､　　ヽ､　 　Y　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |::|　　　　　　/7'´／／　,　　 / i|　　　|　　　　 `ヽ､
　　　　　＞+:‐: ´:￣: ￣: :`:'￣:l.､＿＿＿,／　　　　　 　 　 |::|　　　　　// ./７/　／　／ / l　　　 　`､　　 ,__rfミヽ
　　　／: : : : ／: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´　　　　　 　 　 　 |::|　　　　 {i'.l // /../　／ .／.i |　　　　　　ゝ､ ﾄ{ ,r‐i ､
　　../: : : ／: : : : : : : :/: :/: : : : l: : : : ､:＼　　　　　　　　 　 |::|　　 　 　 Vr-i ./　/ ｲﾉ/ ll　l　　i i　 i　i　　< f ､ニノ_
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　 /: :/: :/: : : _,:_∠Ｌ､:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ　　　　　　　 |::|　　 　 　 __ｰi Ⅳ / ノc!l､ l/　/∥ /　/　　　　　　i .l　i
　 l: /://: : : : :／::/':::::/: : : /::::-H､: : : : : lト､: ヽ　　　 　 　 |::| 　 　 　 i'　　　　 i'.i' 汐 /　ｲ.ﾉ　ﾉ /　　　　 /　/i　!　!
　 l://://: : : ｲミ土=､_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l　｀ヾ､　 　 　 　 j::! 　 　 　 }　　　　ゝ｀ｰ- ナｲノ.／ .ﾉ /　／　i'　 l　l　! l
　 l/: :l l: : : ｲ:llo:::::::/:::/://:::テﾃヵl: : :ﾊ: : l.　　　　　　　　　` ´　 　 　 'i､　　　　　　　／イ -彡イ ／イ　l　　l　 l　l ヽ
　.l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l　　　　　　　　＿＿　　　　 i ′　　　　_,,イ'´_ ィ/　 ／イ　i　l　　.l　　i　l　l､
　l: : : W/: : N　　　　 　　 ､ `‐':::l::l: : lN　V.　　　　　　 ／　　　 .＼ 　 r､!　　　　　{ i　／／　／イ/l　　l　l　　l　　!l　ヽヽ ､_
　l: : : : :ﾊ: : : ト､　　 ー=　　　 ノlﾊ: :ハl 　 　 　 　 　 /　　　　　　 ヽ　 ｀i i`ｰ-　､_ ヾ　{./　 ィ　　 l l　　 l　l　　l　　ヾi　 ＼､
　l: : : : : :､: : : 「ﾌ｀‐- ,､-┬:Ｔ´: :l　l/　　　　　　　　　|　　　 　 　 　 |　　 ! 'i i'´ l:::::ノlヽ ヽ< |　　　 ll　　 l　 !　　ゝ､　 ＼
　l: : : : :,レ､: : :ヾ､　　/､｀Y/:l:l: : l　　　　　　　　　 　 |　　　 　 　 　 |　 　 |　i＞_.､_　 / i､｀i |l　　　 ll　　 l,　　　　　ゝ､__ ＼
/: : :rﾆミミヽ: : ヾ､-─┤ `┤: : l　　　　　　　　 　 　 |　　　 　 　 　 | 　 　 l -'´__r_'f´i　i-}　l !l　　　 l　　　lii　　　　､　､ ｀-i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　 　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　　　　ヽ 　 　 　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.､／:∠＿
　　　　　　＿＿_, - ､　　　　　　　　　　　　 __,. -――＜二二二＞≦――-,､　　　　　　　　　　　,. ‐'´::::ヽ:.:.:.:.:二ﾆヽ
　　　　　ﾞーｧ:.:.:|::::::::｀` ―- ､、　　　　_r:'Ti::､:::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::::::::::::::/:ﾊ、　　　　　　　,. ‐'´:::::::::::::::::|‐--―一'
　　　　　／:_,:.:.,|::::::::::::::::::::::::::::｀`ｰ-‐'´:::::::ヾ', '、::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::://:ｨ::｀＞―‐-- ‐'´::::::::::::::::::,. - '
　　　　　'-´一'´`ー- ､、:::::::::::::::::::::::::::::::｀丶:ヾ}｝:::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::/:'ｼ':／::::::::::::::::::::::::::::::::,. ‐ '´
　　　　　　　　　　　　　 ｀` ‐- ､_::::::::::_,. -‐`｀^ヾ::::::::::::::::::::〈:::::::::::::::::::::::::fr‐ '＜-_::::::::::::::::::::_,. ‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀￣　　　　　 /:::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::〈　　　　 `'-一''"´
281 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:18:00 qLkNzrF6
四１９．


┌─────────────┐
│　　総歴一六六三年　　　　　　 .│
│　　シアード大陸東部周辺　　　.│
└─────────────┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　神峰ロストロギア
　　　　　　　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.　Λ　　,,
　　　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.: .: ΛΛ　|
　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.:タオ砂漠::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.:::.;;;;ΛΛΛ |
　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.ΛΛΛΛ:|
　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　ファイブリア
　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　 __/l‐'ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞヾ'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
　　　ﾞ''''''''''''''"’　　　　　ｷ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　l'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l～ーーーーーーーー
　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l
　　フリート神聖王国　　]　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　 ＿ｙ┘　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿
　　　　　　　　　　　 ヾ..、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿’
　　　　　　　　　　　　　ヾ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　../‐
　　　＿＿ 　　　　　　　亅　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__..ﾉ"
　　''"￣￣ﾞ冖'''''''''''''''''''ゞ-＿＿＿＿＿---亠――‐'十―‐ｰｮｯ-ｭ＿＿＿......ｭ-ｒl‐'ﾞ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!_　　　　　　 ∠’　　　　ﾍl_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│ｶﾘｵｽﾄﾛ./'’　　　　　 　! ､　　　　　　　　　　　　　　フォーセリア
　　　　　　ローンデルギア　　　　　　亅 公国 l^　　　　　　　　　l
　　　　　　　大湿原　　　　　　　　　　｛　　　　│　　ﾛｰｾﾞﾝ　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛　　　　│　　　公国　　　　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ!　　 　/ 　　　　　　　　　　　 ｀ﾍ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　|.



┏───────────────────────────────┓
│　　隣のフリート神聖王国の第二王子であった祖王ブレックスは　　　　　 　 │
│　　賛同者と共にこの地でエゥーゴ王国を興したのだが―――　　　　　　　 .│
┗───────────────────────────────┛
282 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:19:00 qLkNzrF6
四２０．



┏───────────────────────────────┓
│　　荒れ果てた国土にどうする事も出来ず、頭を悩ませていたと言う。　　　 │
┗───────────────────────────────┛



　　　_,r'"　　 i i　l　　　　　 ヽ.
　　 i"　　　　i. l　ヽ　　　v ）　＼
　　 j　 i　　　　,ゞ-ゝ‐'"~ヾ_　　ヽ
　 r'　　,＞r―''　　　　　　 ヽ　　|
　 ゝ　 .i　　　　　　　　　　　|　　i
　　ゝ　 |　　　　　　i!　_,_;;;ﾆﾐ､ ,j!
　　 .!　 ﾚ'二ニ≧jiヾ≦'o ,)ﾞ レ(
　　　ヽ､Y"'≧ﾟ:ク(. !ヾ:.￣　ﾉ!ｨ､|　　　　「………なんと荒廃した土地なのだ。
　　　 ｢iヽi　　　　 ! !ノ　　　/i!k |
　　　 | ゝ|i　　 ノ~'Y〃＼　 ハ ﾉ　　　　 丸三年かけて何も変化が見られないとは、
　　　 ＼j' i　　　rｰ‐--､　　|　ﾄ,　　　　　精霊力やテラの力（※）が途絶えているとしか思えん」
　　　　　!八　　　 〃　　　,/　,|
　　　　　!,,　｀ヽ､_,,r(,,＿,,ノ　　ji.　　　　 　 ┌────────────┐
　　　　｢'ヽ,,　　　　　　　　　,,ノ |　 　 　 　 │　　エゥーゴ建国王　　　　　....│
　　　　|　　ﾞ''ｰ-､,,__,,,r―''"　　 |　 　 　 　 │　　ブレックス＝フォーラ　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 └────────────┘



※自然の多いところに多い、妖精界より流れ出てくる力で
　 白魔術、黒魔術の魔法原動力にもなる。
　 一部の妖精族（ハイ・エルフやピクシーなど）はこの力が無い土地では長く生きられない。
283 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:20:01 qLkNzrF6
四２１．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　/:::〃i::::',::::ヽヾヽ::ヽ＼:､＼:'.,',`ヽ::::::::::ミｪ､､､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::/::!::'::::::':,:'.,::::ヽヽ､::::::::::＼＼',:::::::::::::::ヽ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　 /::::::i:::::::i:::､::::::::ヽ:::､､:::ヽ::::､::::::＼ヽ､:::::::::ヽ:ミｰ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　,'::;::::i:::::::ｌ!::!ｧ､:::::::::ヾ:､rﾞ=､::::ヽ::::::::::ヽ::::::::::::`、ヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　 /ｼi::::i::i::::!:ｉi （::ﾒヾ､::'.,ﾒ （::ｿ,ﾞi::::ヽ:::::::::ヽ::::::::::::ヽ、
　　　　　　　「荒れ果てた………？　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /'　i:::i::!::::::i '=ﾃ'　｀ ヾ::ﾐ＝"　ﾘ::::ヽ::::､:::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　 エゥーゴはこんなにも豊かではないですか」　　　 　 　 i:::!:::i:::::!. ヾ　.、　　`　　　 l!i:::::::::::::'::::::::::::::ﾐ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'i::::l !i:::'､　｀　　　　　　　　! i:::::ｌ::::::::::::::::::::ヽ`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i::l　i;lヾ､. ＝=-　　　　　, ｲﾘ,:::iﾞﾃ､::::::::::::ミヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　　';i　il 'i:ヽ 'ー　　　　,...:':　: i! ';:i'ｼ' ｀` ｰ-=:､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　!　!　'i:::'、　　 ,...:'::::::　　: ! // , ', -‐'''''ｰ ､＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　ﾘ　`ｰ ヽ､::::::　　 ; ,'/／〃　　　　　｀　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀`ヽ､ //　 〃　　　　　　　　　ヽ



――――――――――――――――――――――――――――――
　　精霊使いであれば誰でも分かる程に高まっている土の精霊力や、
　　肥沃な穀倉地帯として大陸東部に名を轟かせている現状からは
　　とても信じられません、と驚くエルに頷いてキャスバルは続けた。
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　_ ,､-―- ､_
　　　　　　　, - ﾞ´　　　　　　 `ヽ、
　　　　 　, '　　　　　　　　　　　　`ヽ、
　　　　　,'　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　i　　　　　　　　　　　　　　 　　',
　　　　 ﾉ　　　　　　　　　　ノﾉ八 ,）　　ﾍ
　　 　 （　　　　 （(　ノﾉ∠ｲ＿　ﾉハ_リﾘｿ
　　　　 ｀)　　　　 Y＜;;::;;;;;:::;;;;｀´;;;;;;;;;!ﾉ
　　　　 ﾌ　　　,ﾍ　|ヽ;;;::;;;;;:::／ヘ;;;;;;;ﾉ　　　　　　　　　　　　「今は、な。
　　　　 ヽ　　｛Kﾉ　ゝ`'''ｰ''′　, 〉 i
　　　　 　）)　 ヾﾄ ヾ　　　　 　 　 /　　　　　　　　　　　　 　 それまでは国のない空白地だった事が証明するように
　　　　 ラ　( （ﾉﾚ ＼　　　´ ￣ /　　　　　　　 　 　 　 　 　 毎年のように氾濫するアクシズ大河、
　　　　,イルゝトミtr､. ＞ 　_＿/　　　　　　　　　　　　　　　 タオ砂漠と同様に栄養のないグリーンノア平原。
　　　ノ::::::::::::::::/:.:.:.ヾクﾊ_入くヽヽ_,,､-ｰｰ-.,､
,､-＜:::￣:｀ヽ;/:.:.:.:.:.:.:.ヾｔｆｰ┬イ:.|ヽ;:ヽ:::::::::::/ﾍ､　　　　　　 作物を育て、人を育むには最悪の環境に
､:.:.:.:.:.:｀ヽ;::／:.:｀ヽ;.:.:.:.:.||:.:.:.:|.:.:|.::|トヽ:.:ﾍ:::::/:.:.:.ﾍ 　 　 　 　 どうしようもなくなったブレックスはダカールの丘に祭壇を造らせ、
:::ヽ:.:.:.:.:.:.:.y:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ､;.li:.:.:.:i:.:.:!ノ｀ヽゝ:.::∨:.:.:.:.:.:.:ヽ.　 　 　 毎日のように大地の女神に祈っていた」
;;;;;;ゝ-ｰ:':':′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｲiｰ-十イ:.:..:.:.:.:.:.:.:.il!:.:.:.:.___ノ)）
284 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:21:00 qLkNzrF6
四２２．



　　　／　　　　　 　,_, 　 　　　　　　　　 　 ',
　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　 l　　　 　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　 　｀ヽi　　　l
　　 l　 　 i　, ノ ﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　 ヽ　　　　　　「そしてある新月の夜、夢を見たと言う」
　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　 ヽ、ヽ ｀ ､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　　 　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　 ）
　　　　　　 ｀ｦ.　 ＼　　　 　 ／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　 ﾞｰ ' ´く
ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
.　　　　　 └



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　___　 　__　_))r-､ィ⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {薔}　　　　　 λ廻 }⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.／　　　　　　 辷ﾆｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/　　 l　　l　l　 l　(( ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　/　ｌ　 ｌ|　/i| i|　i|　|　| ｌ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 　 　 /　/ l　|　l | / i|/_|/ |　!　! |　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 / 　| /!　| r//　 ｲ示ﾊ|/! /l l　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「夢、でございますか」　　 　 /　 /ﾚ' l　l必}）　 弋沙/ l l　l|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　 /　　 l,ﾘゞ彳,　　　　　 ﾚ!　ｌ　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 /　 /　　　/ ﾉ八　 _　　　　 /　/　 i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　 /　　　/　 l　l　ゝ､　　 _ ｲ　/ 　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .′　i　　／　 / /　/＿fTフ./　/ ﾍ. ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i　 ／ ／　　/ /　/r| ／ノ　i　 i! しﾍ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 / / ／　 　 / / ／ﾉfi　ﾌしﾍ!　 |ｨ⌒´ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ / /　　　 / / {　 {　ﾉ≫≪　|　 |ノ⌒てi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i i　ﾉ　　 ／ /　ヽ　У|≫≪ λ　 ＼￣｀＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 // ( 　　 (　　＼　 i fてzr-z＿ﾉ ＼　 ＼　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ﾉ　　i　　　＼　　)　 )　　　⌒乙　 /　　/
285 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:22:00 qLkNzrF6
四２３．



┏───────────────────┓
│　　もしかしたら違ったのかもしれん。　　　　　.│
│　　だが、顕れた大地の女神は言った。　　　...│
┗───────────────────┛



　　　　―――ブレックスよ―――



　　　　　　 W:ゝ　ミゝヽ!　　 ´￣´　　　　　　　　　　　　　　 　　 ￣.彡 ／:/|:}
.　　　　　　 ||∨＼ '∧　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　 / ／: : /: ||
　　　　　　　|: ∨: ::ーﾍ.　　　　　　　　　　　 !　　　　　　　　　　 /-': : : :/: ::i|
　　　　　　　|: ::∨ ____ ∧　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 /:|: :_: :/: : : i
　　　　　　　|: : :「　 　 |. 丶　　　　　　 f￣￣￣｀!　　　　　　／: :i ￣ |: : : : |
.　　　　　　 |: : : |　 　 |: : : :＼　　　　 丶 ー一'ノ　　 　　 ／: : :::|　 　|: : : : |
　　　　　　 |: : |∧　　 |＜へ／ヘ、　　　 ￣￣　　　 　 イへ＞,┤　　|__: : : |
.　　　　　　」.∠´|　 　.|:::/´　　 丶｀ヘ . 　　　　　　＜　/　　 　》|　　 |:::::｀:ヽ!、
　　　 　 ／/::::::/　 　 |::/　　　　　ヽ　　 ｀ ー　´　　　　　　　　/:|　　 ∨:::::::::| ＼
.　　　／　 |:::::::|　　　/:::{　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　/::∧　　 ∨:::::::| 　 丶
　　 /　　　|:::::::|　　　|::::∧＼_　　　　　　　　　　 　 /　　　_イ|::::::∧　　　V:::/　　　 ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――わらわの敬虔なるしもべ、ブレックス＝フォーラよ―――



┏────────────────────────────────────┓
│　　黒瑪瑙にてわらわの六つの武具を模し、それを百年の間地中深くに埋めよ。　　 　 .│
│　　さすれば国土は豊かになり、エゥーゴは繁栄するであろう、と―――　　　　 　 　 　 ...│
┗────────────────────────────────────┛
286 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:23:00 qLkNzrF6
四２４．



　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿＿___
　　　　　　　　　　 　 　　 ∠´　　　　　　｀ 　､
　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　｀　､
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ .､
　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　 l　　　　　　　　 　 　　γ　　　　　 ｝　（　　l
　　　　　 　 　 l　　　　　　　　 　 　　 i　 ／ ノ ノﾉル））ｊ　ヽ
　　　 　 　 　 ,'　　　　　　　　　　　{　｛ ｛　｛彡≦≠ｭ/　! リ
　　　 　 　　 ,'　　　　　　　　　　　　ゝ､ゝｰ( ´`ヽﾆ ｾヾ　〉ｿ　　　　　　　　　「目覚めたブレックスはすぐに黒瑪瑙で
　 　 　 　 　 {　　　　　　　　　　　 ｛´ヾﾒ　）　　　　 　 　'､　　　　　　　　　　 六つの宝具を造らせ、
　　　　　　　 ヽ､　　　　　　　　　　 ヽ)）（ (　　　　 　 　　 ヽ　　　　　　　　　 それをグリーンノア平原の地中深くに埋めた」
　　　　　　　 　　ヽ 　 　 　 　 　 　 　 i ト ゝ 　 　 　 　　ｒｰ′
　　　　　　　　　　 ミ　　　　　　　　　ノﾉ! 　　　　　´￣」′
　　　　　　　　　γ⌒ 　 　　ヽ 　 ｛（　　ヽ、 　 　 　 ｀{
　　　　　　　　　 ゝ,　　　　　　!ニﾆヾ彡 ｀::.. ＞ 　 　　j
　　　　　　　　（　つ　　　　　ﾉ 　 | |　ﾍ　　　┬‐｀ ｰ ´
　　　　　　　　 ミ彡 γ〃〆　　　| |￣￣￣｀ヽ==＝＝＝y
　　　　　 　 　｛ 　 　｛（(ﾍ 　 　 　| |　　　　　/ 　 　 　 //
　　　　　 　 　 ゝ、 _丿　　 　 　　| |　　　　　| 　 　 　 i l
　　　　　　　　　｛　　　　　　　　　| |　　　　　|　 i　　　| l
　　　　　　　 __＿彡ニニ二二 ヽ ヾニニヽノハ | 　 　l | 　　ｒー - ､
　---ｰ　''''"´　　　　　　　 　ヽヽ　＼　　ヽ ゝ　!|　 　くくヽｰ--　､ ヾヽ
　　　　　　　　 　 　 　 　 　　　ヽ ヽ　＼ （ （　　ヽ 　　 〉〉　　　　ヽ　 ＼
　　￣￣ 　───ー　￢　　　　 ヽ ヽ　　＼＼　 ヽ 　| |　く´￣　 ヽ 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　ヽ　ヽ　 ＼＼ 　ヽ| | 　 ヽ　　　 ヽ　　ヽ



――――――――――――――――――――――――――――――
　　黙って情報を書き留めていたやらない夫はふと手を止めて、
　　アンマンの町で見た錫杖を思い返してみた。

　　質感は石であったが仄かに発光していたし
　　魔法を付加されているかのように硬質な印象だった事からすると、
　　模造品ではなくやはり本物だったのだろうと思う。
――――――――――――――――――――――――――――――



　 　 　 　 　 ／￣￣￣ヽ
　　　　　　 /　　　　　　　ヽ
　　　 　 　 | 　 _,ノ　ヽ､_　 |
　　　 　 　 |　 （●）（●）　|　　　　　　　　　　　　　ﾌﾞﾗｯｸ･ｵﾆｷｽ
　　　　　　 |　　（__人__）　 |　　　　　　（錫杖はただの黒瑪瑙には見えなかった。
　 　 　 　 　ヽ.　　 　 　 　ﾉ
　 　 　 　 　 .>　　　　　 く　　　　　　　 やはり何らかの力を受けていると言うことか………）
　　　　　　／　　　　　　　 ヽ　ｶﾘｶﾘ
　　　　＿/((┃))＿＿_＿i　|
　..　／ /ヽ,,⌒) ￣￣（,＿,ノ ＼
　／　 /＿＿＿＿＿＿＿ヽ.. 　＼
　 .￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣



――――――――――――――――――――――――――――――
　　問題はそれほどまでに大切な宝具を、
　　何故目立つように、各地の領主に持たせていたのかだが―――
――――――――――――――――――――――――――――――
287 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:24:00 qLkNzrF6
四２５．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ﾊ ::.:.::!　V　/　 ＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　 ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト ､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　 　 　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　|/l:ハ　　 ､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ノ ﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　　　　「それで、大地が………？」　　　　　　　　　　　 　 　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ ヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　 ヽ __,,.　'´　　　　　 ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　 ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　 ／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　 ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 ヽ　 ＼　　 ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　 ﾉ /　 ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､ 　 ＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､



―――――――――――――――――――――――――
　　やらない夫の手が止まるのを待ってからの問いに、
　　国王は深く頷いた。
―――――――――――――――――――――――――
288 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:25:00 qLkNzrF6
四２６．



┏────────────────────────────────────┓
│　　変化は本当にゆっくりだったが、確実に現れたそうだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　..│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.....│
│　　昨年は五十しか実をつけなかったリンゴの木が今年は五十五のの実をつけ、　　　 .│
│　　翌年には六十の実をつけるようになった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....│
┗────────────────────────────────────┛




　　 {ヾ｀Y＾)　　　　ﾊﾞ⌒Y〃__{ L)'／　　　　　　　　　　　　　　_,,; -､
　 (´ >cｿ ( ｡；○（__ﾉb'＾)ヾ,二ノソﾟ　　　　　　　　　　　　　　 ヽ-''-`ヽ､　　 /）
　　`r 人_ノ爻二f{　 ｿ、）ノ ＾`~´　o　　,　　　　　　　 　 　 　　,-､　　　＼（
　　　 ﾒﾐ､(⌒`rｰバ´`ｰ'　　""　,,,　　"/　　　　　　　　　　 　 （　(ヽｃ==（　)`)i　iヽ
　。　(ﾟ,ﾊ(⌒ ｆゞ く:*ﾟo 　　　　　　　　/　　　　　　　　 　 　 　 （::彡`（　　 ￣`ヽ ヽ)
※;,_,ｨ○=（_,ンｰ='′　 "" ,,. 　""　/ 　 　 　 　 　 　 　　 　　　ヽ（　ヽ　 　　,,　＼|i
ﾆ二{ヾ`Y＾ヽ　　　"　,,,　,　　c3　,,/　　　　　　　　　　　　　　　　　　.'　　,,
￣/´ゝq'､_ ﾉ　　　。　　　　ヽﾚ　/ 　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　　""　,,,,
　 `く__ﾉ､_ノ　　"　　""　　 "''　/　　　　 　　　　　　　 　 　 　 　 /　""　　@
　￣　　 　　,,--､`ヽ､　　 　　 /　　　_　　 　 　 　　　　　　　　　/''"　,,, 　ヽ}丿　'',,,
　　　　　　　｀ー'￣`＼　,､　./　　　/_）　　　　　　　　　　 　 　/　　　　　　~｀
　　　""　,,　　'' 　, -､,､ ( ） .'　　　 〉ノ 　　　 　 　 　 　 　 　 /"""　　"　　　""
　　 　 ,,,,　　/⌒'i　　_）-､＼　 　 /　　　 　 　 　 　 　　 　　/　　　""　,,
　　　　　　　>　 ::))),'　　 ） iヽ|）/　 　　 　 　　　　　　　　 /　"",,,　　,,,　　"''
　""",,　"　（___､ノ;' '-'"ヽ '＼Ｖヽl） 　 　　　　　　　　　　/
　　　　　,-､,-､ﾉ　（　　,ノ===;;ヘヽ.)) 　　　　　　 　 　　/　,,　　c3　　"　''
　 ,-'~`ヽ....　　）"~） ヽ~　　　/``＼＼　　　 　　　　　 /　　　　ヽﾚ　　,,　""
　 ヽ,　 　)))／⌒`,ｰ'ヽ）⌒,,,^-, ,ー`　ヽ,,__　　　　　 /　"　,,　　"''"
　 　 ﾆ= ''''iヽ＿ノ!!!ヽ_）ー;;;;;ヽ__）``ー-､,, "'-- 、　'"",　,,,　""　　　"
290 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:26:00 qLkNzrF6
四２７．



┏─────────────────────┓
│　　同時にアクシズ大河も落ち着きを見せて、　 　 .│
│　　エゥーゴはようやく一端の国となった。　　　　　...│
┗─────────────────────┛



　＿　 ＿　＿　　　　　　　　　 ＿＿_
l＾lニl＾lニl＾lニl　 十/i~i~i~i#::/______/~ヽ个卅
'"''^^^^"''"''"''"''"''"''"'''''''''''"| 田　| 田|'"''"''''
''"''"''^^^''"''''''''"''"~~~''"''～"''"''"^^^^'"""'"''"'～～'"''"''"''～
|- - - -/⌒ヽ　 - - - - - - - ／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
' /″⊂￣￣￣⊃″″″ /″ |　　今年は氾濫が無くて助かったなぁ………
/″″（::.´д｀.）″″″' /″″＼＿＿　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
″″ .（　）Ｕ（ ）″″″/″″″″″ ∨″″' / ″″″″ ″″″″″″″/ ″″
''"''"''　|_#_i__i!i|"''"~~~''"'　.∧＿∧. 　 ∧∧ "''"''"''"''"''""''""''""'~~~"''"''"''""''"''~
.　　　 （_＿）＿）.　　　　　.（ ；´－｀）　( ,,ﾟД)　　　　　　　　　　　　　　　∧∧
wji!w rw,'rilwji!w、　wWkil （　　　　）　（　　 ）　rw,'rilw'rrr、　wjWilw'r　(ﾟ-;;ﾟ ,) rw,'
''"''"''"''"~~~''"''"''"''"''"''　｜ ｜　| 　　| 　０　"''"""''"''～"''"'''"''""' 　| ; ;U ~''"''"
　　　　　　　　　　　　　　　（_＿）＿）. 　し´　　　　　　　　　　　 　 　 　 |;; ;; |～
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し~'J

'"''"''"'''～'''''"''"'~~~"''"''"''""''"~~~''"''"''"''"''"~''"''"''~''"''"''''"''"''"''"''"''"''""''"''"'～'"
WWWwwwjij,,.、,、,,,vWWwjjwvjiiijwwiijijyyywWwWWjjwl|ili、,、,,　　　　,,　,;;iijwiijiyw
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″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″
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291 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:27:00 qLkNzrF6
四２８．



┏──────────────────────────────────┓
│　　―――そしてエゥーゴ建国歴百年、再び大地の女神の神託が下された。　　　...│
┗──────────────────────────────────┛



　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,､-‐'"´｀l
　　　　　　　　　　　　　 _,､-‐'"´: : : : : : イｊ
　　　　　　　　　　　　／: : ／: ／: : : : : |⊥ｌ
　　　　　　　 　 　 ／: : ／: ∠＿＿＿__| Yｊ
　　　　 　 　 　 ／: : ／: ／: : : : : : : : : : ヾj
　　　　　　 _ ／: : ／: ／__Oニに)二二二〕
　　　　　∠─二二:／:.:.:.:.:.:./　 ＼＼: : : ヽヽ
　　　　　 ｀￣ゝ":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:彡_,,,,,,,ヽ_＞:.､_:.) ）
　　　　　　 ､_/:.:.:.:.:.:.:.γヽ:.:{ "´ ーｪ冫"〈` ｰ´
　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.!{ｿ ｝:｝　　　 ´　　 ヽ,
　　　　　　　彡、:.:.:.:.:.人 ｿ:.:ﾐ　　　　 　 "ｊ´　　　　　　　「聞け、エゥーゴの民よ！
　　　　　　　　　ゞｰ--ミ　｛:.:.:ゝ、 　 ´￣」　　 　 　 　 　 昨夜大地の女神が私にお告げをくださった！
　　　　　　　　　 |　　　　　ヽ彡彡　　　 ヽ
　　　　　　　 ／´ ￣￣￣ ｀ﾍ､、＞ｰ--- ′　　 　 　 　 グリーンノア平原に埋められている
　　　　___ ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ ∧:ヾ＝==┐Tヽ　　　　　　 六つの宝具を掘り出して各地の代表者に預けよ、
　　　|´￣.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l l:::::::ﾍﾞ ─┐|i |::::ﾍ　　　　　　さすればこの国は今の何倍も豊かになるであろうと！」
　　　|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l l:.::::::::ﾍ─┘|l |::::::ﾍ
　　　|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l l　:::::::::ﾍ、_| !l |::::::::ﾍ
　　　ゝ＝＝＝＝＝＝＝＜二ニﾆヽヽ￢jヾ:::::::ｸ
　／´:::::／:::::::::::::::::::::::::::::::ヘ;:::::::::::::::::＼＼
に二＞::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::ヽ;:::::::::::::::::＼ヽ



┏─────────────────────────┓
│　　当時の王、カクリコンにそう言い残したと言うのだ。　　　...│
┗─────────────────────────┛
292 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:28:10 qLkNzrF6
四２９．



　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　　｀,
　　　 　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　　　　l
　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　　　 　 !
　 　 /　　　　 /　 /　　　　　　　　　　 　 　 　 ､l , -　　 　 ',
　　 l　　　　　l 　 !,ｨ　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'　　　　　　 ',
　　 ヽ　　　　 !　 !l!　　　　　　　　　　　　 , , ノ　　　　　　　 /
　　　 ヽ　　　 ﾄ､ ヽ　 ! /,　_,.-＿ ,ノノ ,ｨﾉl'ヽ/,　　　　　　　,'
　　　,...ﾉ'　　　| ﾍｰヽヽl（/ l'´ ≧ﾐ､_ ,ノ'　!　ﾘ! l　　　　 　 ﾄ!_
　r'´イﾉ　　　 ヽ ﾘ　　 r'｀　 　 ヽヾ歹､=､ヽ　,_ﾘ=､　 l　 ﾉ l ｀
　!（　ゞ,.　　　　 ´r､　r'　　　　　　￣｀ ヽ　 /ゞｸｲﾉ /ノ ﾉﾉ
　}ヽ､｀` ｰ-　_i´, ﾉ'.lﾍゝ　　　　　　　　　　/　 /ｰ '´_, '´
　l　　￣｀ ｰ- ､｀ヽ､l,_　　　　　　　　_　　 l　 /　,(´　　　　　　　　　　　「………その後の変化は急激だったと言う。
　!　　　　　　　 ｀ ｰ-､ヽ　　　　　　　ヾ=-' ,.', ィ､丶､
_,ゝ　　　　　　　　 　_レ'-―- ..,'' ―＝- ,ｲ(　　　｀ヽ＼　　　　 　 　 　 休耕も不要な程に富んだ田畑は
　　　　　　　　　　　`iｰrﾍ￣｀ヽ､｀ ｰ, - '一ｰ- ､　　 ヽ.ヽ　　　　　　　 毎年春になると再生されているかのようで、
　 　 　 　 　 　 　 　 l　lｰ-ヽ _, -｀´　, --‐_ﾚ‐- ｀)　 /∠、　　　 　 　 それは今でも続いているのだ」
　 　 　 　 　 　 　 　 |　| ヽ.／ r=ー'―‐'´-､ ￣ ｀ヽ///ﾆ,
　　　　　　　 　 　 　 !　ト.ﾉ　　　, ―---=､_ヽ　l　/　＼ ヽ
　　　　　　　　　　　　ヽ〉′　　　　　　, - ､ ｀i.| !/　　 〃,.､!
　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　　　　 '　　　ヽ_!!l'　　　 ヽ'へ＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,ィ''´_二----`' - ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／, イ_,　_, - '´　　　　　｀｀`'‐､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/7'´／／　,　　 / i|　　　|　　　　 `ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　// ./７/　／　／ / l　　　 　`､　　 ,__rfミヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i'.l // /../　／ .／.i |　　　　　　ゝ､ ﾄ{ ,r‐i ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Vr-i ./　/ ｲﾉ/ ll　l　　i i　 i　i　　< f ､ニノ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {薔!i′/ /／i'li　il　 //　 / .i 　　 ＼＼彡ン
　　　　　「そのままでも十分だったのに、　　　　　 　 　 __ｰi Ⅳ / ノc!l､ l/　/∥ /　/　　　　　　i .l　i
　　　　　 どうして女神は掘り出すように　　　　 　 　 　 i'　　　　 i'.i' 汐 /　ｲ.ﾉ　ﾉ /　　　　 /　/i　!　!
　　　　　 言ったのかな………？」　　　　　　　　　　　　}　　　　ゝ｀ｰ- ナｲノ.／ .ﾉ /　／　i'　 l　l　! l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 'i､　　　　　　　／イ -彡イ ／イ　l　　l　 l　l ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i ′　　　　_,,イ'´_ ィ/　 ／イ　i　l　　.l　　i　l　l､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r､!　　　　　{ i　／／　／イ/l　　l　l　　l　　!l　ヽヽ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀i i`ｰ-　､_ ヾ　{./　 ィ　　 l l　　 l　l　　l　　ヾi　 ＼＼ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ! 'i i'´ l:::::ノlヽ ヽ< |　　　 ll　　 l　 !　　ゝ､　 ＼　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　i＞_.､_　 / i､｀i |l　　　 ll　　 l,　　　　　ゝ､__ ＼　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l -'´__r_'f´i　i-}　l !l　　　 l　　　lii　　　　､　､ ｀-i､｀-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　 ＿__ﾉ,.!にニｲ lヽ　　　l　　　 illi　　　 ヽ, i　　 i　ヽ　＼



――――――――――――――――――――――――
　　これまでの話で各自、色々思うところはあったようだ。
　　雪華綺晶は不思議そうに女神の真意を量り、
――――――――――――――――――――――――
293 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:29:00 qLkNzrF6
四３０．



.　　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ-.‐: :￢
　　　,.': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :,r.: : : : : : : : :.|
　　 /　　　. . : : : : : : : . . . . . : :.／:, : : : : : : : : : :|:､
　　, . . : : : : : : : : : : : : : : : : ／ ／　 　 　 　 /　.| ｀､
　 ,'::.::.::.::.::.:.: : : : : : : : : : : ; ': :/: : : : . . .　,/ / 　 |！ヽ
.　!::.::.::.::.::.::..: : : : : : : : : ; ': ／:,/ : : : : :／,':./: .　 !: :l: :.､
　!.::.::.::.::.::.::.:.: : : : : : : :./／:/;.': : : : :.／ /:/: : : : :|: : lﾞ､:ﾞ、
. !::.::.::.::.::.::.::.: : : : :/: :/:'ﾞ:,r//: : : :.／　 //|: |: : : :|: : :| ﾞ､ﾞ、
.::.::.::.::.::.::.::.::.: : : :./: /': : i/': : : :,:ｲ　　 〃 ,!:.|: : : l: : : |　ヾ:.
:.::.::.::.::.::.::.::.: : : :./:./ ::.::.:/: : :／:||　　/'　/|::!|:: : ﾊ: : :|　　ﾞ｝
::.::.::.::.::.::.::.:. : :.::/: :.::.::.::/. :,ｲ::.::.:|!　 /　｜.|:! !: :,'　'; :.|
.::.::.::.::.::.::.:. : .::./: .::.::.::./／|:|::.::.:.|　　 　 |　ﾘ｜;'　　'; |
:.::.::.::.::.::.:: :.::.:/ ..::.::.::.//,<,､!!::. : | ^　_..ノ,､　 j/　　　ﾘ　　　　　「再生………」
::.::.::.::.::.:: ::.::./.::.::.::.::/／　ヽ|::. : :|￣ 　
.::.::.::.::.::.::.::./.::.::.::.:/:'ﾞ　　／ヽ: : :|　　 ,.＿
:.::.::.::.::.::.::/::.::.::.::/′ ／／／〉: :|　／ 　 ､!　
::.::.::.::.::.:/:.::.::.::/　 ／／／'´　ﾞl :|_,!　　　　`ﾉ
.::.::.::.::./::.::.::./ 　 / / ./　 　 　 l ﾄ､＼　 _,ノ´



――――――――――――――――――――――――
　　ただじっと聞いているだけだったコナタは、
　　奇跡の名を呟いて自分の手に視線を落としている。
――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' i l::::::入:::::::､:::::::ヽ::::::::ヾ ::',:::ミﾆ-､_::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /,i! l:::ン　ヽﾐ::::iヽﾐ::::､:::::::::ヽ::',:',::::`ｰ-`:.､::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 iｿl|.／ 　 　 　`ﾞ'､｀ ヾ::::ヽ:::::::'::',!',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　「再生………　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 　 　l!. l!ヽ､_　ー　　　 ヽ　＼':,ヾ:::::::'!i'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　!　'i!; l|!ﾞi　　　　　　　　　ﾞ'ｬ,＼､:::::::::::::i::::::ｬ::ヾ､:::::: ／／
　　　　 確かに大地の女神の司る神聖魔法には、　　　　　　　li､ l!:i　　　　　　　　　　 ヽ `ﾞYi:::::::ili:::::i',ヾi;,'／／
　　　　ﾘｼﾞｪﾈﾚｰｼｮﾝ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 　 　　ﾞ!ヽ::`ｬ-⊆＝ｯ-　　　　　　　i:!;:::::i! ',:::l ' ,Y ／
　　　　 再生の奇跡がありますが………」　　　　　　　　　　　　　　ヾ､,ﾍ ｧ'｀ 　 　　　　　　　 l!';::::i　 ｿ! /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　 ﾝ'i:ﾘ　 ﾘ'/!i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　_,.-'"'　ｿ 　 '/ｉｌ ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 　 　　 ｌ　　　　　 _,_'"::::　　　ﾞ ,r ' ￣　　` ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　ヽ､＿_､ｼ'ﾞ'"ﾏTﾐヽ　／　　　　　　　　 `ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　 　　　　　　　　　　　ヽ ヽｿ



―――――――――――――――――――――――――――――
　　肉体の失われた部位や機能を再生する神聖魔法は
　　大地の女神が司るもので、高位司祭職のみに扱えると言う。

　　同等の効果を得られる再生の霊薬もあると言うのに、
　　五体満足なはずのライトは大地を再生させるほどの力を使って
　　いったい何をしようと言うのかエルには分からない。
―――――――――――――――――――――――――――――
294 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:30:02 qLkNzrF6
四３１．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　数秒、場の空気が止まったあとの事である。
　　重々しく口を開いた国王と、やらない夫の声がテーブル上で交差した。
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ........ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　. : ´ 　 　 　 ｀　､
　　　　　　　　　　　　　　 . : ´　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　　 　 　 　 　 　 , ´　　　　　　　　　　　　　　ヽ
.　　　　　　 　 　 　 　 i　　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　 　 　 　 　 　 　 ﾉ　　　　　　　　　　　　　 　 　 |
　　　　　 　 　 　 　 （　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 j
　　　　　　 　 　 　 　 ） {　　　　　　　 　 　 　 　 　 :′
　　　　　　　　　　　　乂乂　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 ｀Ｙ｀ヾ　 　 　 　 　 　 　 く
　　　 　 　 　 　 　 　 　 彡ｲУ　　　　　　　　　 У　　　　　　　　　　「………実は―――」
　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾘ从乂　　　　　　　 ミ彡
　　　　　　　　　　　　　 . イ::::::::::::::｀ソ　　　　　 }::ﾍ　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
　　　　　　　　　　 　 く::::::::::::::::::::::-=彡ｲ 　 ））ノ:::/　　　　　　　　　　|　　あの、国王様。 　 |
　　　　　　　　　　　　　＼:::::::::::::::::／::: 乂__У:::_/ 　 　 　 　 　 　 　 乂＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　　　　　　　　　 　 　 　 〃::::::::／＝ニ二三ミ〈_＿
.　 　 　 ,ィイヽ　　 　 _＿ｿ´￣￣二ニ＝ニ二三::::::::￣::.:.rーｖﾍｰ:.､
　　 　 /:::::::＼::￣￣::::::::::::::::::::＿＿＿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::￣｀Y:::::::ﾍ
　　　 ハﾍ::::::::Уj´￣￣￣￣.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:::::::::i:::::::::/￣￣.:.:.:.:.:.:.∨:::::Y
.　　 /　　 ∨:::jヽ＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨::::ｌ::::::/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:!::::ハ
　　 ′　　　｀ヾ:::::У:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨ !:::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ij:/　 ｊ
295 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:31:00 qLkNzrF6
四３２．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あ、お話の途中で　　　　 　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 申し訳ございません」　　 . 　 　 　 { 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 |



―――――――――――――――――――――――――――――――
　　遮ってしまった、と恐縮するやらない夫に微笑んだ国王が先を促し、
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　／　　　　　 　,_, 　 　　　　　　　　 　 ',
　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　 l　　　 　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　 　｀ヽi　　　l
　　 l　 　 i　, ノ ﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　 ヽ
　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　 ヽ、ヽ ｀ ､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/　　　　　　　「いや、構わぬ。
　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　　 　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　 ）　　　　　 ビップ殿から先に話されよ」
　　　　　　 ｀ｦ.　 ＼　　　 　 ／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　 ﾞｰ ' ´く
ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
.　　　　　 └
.　　　　　 └
296 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:32:00 qLkNzrF6
四３３．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　それでは、と会釈した彼はかなり言葉を選びながらも言ってみた。
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ 〉´.,,,,,-----,,,,...ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／ ／_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
　　「あの、お国の事情などを鑑みない　　　　　　　　　　.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ
　　 個人的な意見なのは重々承知しておりますが。　　.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　 宝具を―――　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_
　　 女神の宝具を他国へ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
　　 砂漠の周囲を囲んでいる他の五国へ　　　　　　　　.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
　　 譲渡する事は出来ませんか？」　　　　　　　　　　　 . 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　他の砂漠の何倍も広大で、生物らしい生物が殆ど居ないタオ砂漠。
　　土の精霊力すら枯渇しており、サンド・ワームぐらいしか生息していないあの土地も
　　あるいはこの宝具の力を使えば再生出来るのではないか。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
297 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:32:59 qLkNzrF6
四３４．



　　　 　　　　 ／￣￣＼
　　 　　 　 ／　_ノ　ヽ_　＼
　　　　　　 | 　（●） （●） |
　　 　 　　 |　　（__人__） 　|
　　　 　 　 |　 　 ｀⌒´　　|
　　　　　　 |　　 　　　　　}　　　　　　　　　　　　　「エゥーゴは平均前後の国土になる可能性が高いのですが、
　　　　　 　ヽ　　　　　 　.}　　　　　　　　　　　　　 砂漠に悩まされている他の国が共に富む事で
　　　　 　__,_,,.ヽ＿　　　ノｰ- ､　　　　　　　　　　　やがては砂漠を小さくしていく事が出来るかも知れません」
　　　　 ハ　　/ 　Ｖ又ｲ ::::〉::::::i:
　　　　 }　ヽ 〈　　 l |;;|ﾉ　/::::::::::i 　-,,_
　 r iY'ﾉ.;;　 }::ヽ　　l|;;|　/::::i::::::::}‐　|　||
　.|| | ﾉ:::: 　 }:::::::＼|;;;ﾚ'ｰ'' ⌒.:::: ヽ |　||
　.|| | {,,;;;; .:::: ヽｰ---ｹﾄ､, へ､:::: 　 |　||
―──.::::::::::::ノ.:::/　/　　　彡}――─────
　　　　 "￣｀ﾞﾞ ''ｰ-､'ー----'



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そして長い時間がかかったとしても、
　　砂漠が無くなるのであれば宝具も要らなくなるのではないか。

　　少年が―――
　　ローゼンの英雄がそこまで考えて言っていることを悟り、国王は息を呑む。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀;
　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾞ、
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 Ｙ
　　　　　　　　 　 　 　 　 ｛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 i
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ∨　　　　　　　　 　 　 |　ｉ|　　　　　　　　　　　 　 　 　 |
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,ｲ|　　　 ｲ　　 　 从　ｊノい八 ｉ　　　　　　　 ｀ヾ　　　　　!
　　　　　　　　　 　 　 　 ハ! 　 　 :|:!　　 ノ八 （　 Уハ乂 　 ｀ヽ 　 　 　|i　　　　ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　乂､ 　 :|:!i / Ⅵ､、 ｿ 　 ﾒ　ﾉ 　｀ヾ｀Y､、　 　 ﾘ　　　!/
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 / /:.＼ 从!{//∨77777ﾊ-ﾊ77777∨777У乂　 　 ｲ ヽ、
　　　　　　　　　　　　 　 / /:.:.:.:.:｀Y小/////////r－//////////イノ　　／: :∧ ﾍ　　　　　　「………！」
　　　　　　　　　　　　 _,/ /:.:.:.:-=彡ハ∨///////.:i　 ＼//////ｲ彡/　 （.:.:.:.:.:.:∧ ﾍ
　　　　　 　 　 __/￣／／:.:.:.:.:.:./ｲ 乂_ﾍヽ///／:.:.:|　 　 ヽ///／从′ ﾉ:.:.:.:.:.:.:. :∧ ﾍｰ: . . __
　　　　　 　 三三／／:.:.:.:.: //:.{八　　从　￣　　 ､ｊ;,_ 　 　 ￣　/ｲ　 Y:.:.:.:.|!.:.:.:.:.:.:.∧ ﾍ三三二ニ
.　　　　 　 三三/ /:.:.:.:.:.:.:.:.:///:.:.:.:｀ソﾊﾍ　　　 ＿＿__ ,　　　 /ﾙﾍﾘハ:.:.i.:|!:.:.:.:.:.:.:. ∧ ﾍ三二ニ
　　　　　 三三/ / :.:.:.:.:.:.:.:.:./// :.:.:.:.:.:.:.:j　＼ 　 ｀ 二 ´　　 ／彡ｲ:.:.:.:.:.:. i.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}　j三二ニ
.　　　　 三三/ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.://:.:.:.:.:.:.:./　 　 ヽ　　 　 　 ／　.: 　 !:.:.:.:.:.:.//:.:.:.:.:.＞ "´ .ｲ三二ニ
　　　　三三く く:_:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ハ.　　　 ｀ ー― ´　 ..:.: 　 从:.:.:.／＞ "´. ．＜三三二ニ
　　　 　 三三｀ ー―ｰ＝=　､:.:.:.:.:.:.:.:.{　 ヽ.　　　　　 　 　 　 ／ /:.:.:.:.:／.．＜三三三三二ニ
　　 　 　 =三三三三三三｀ヽ＼:.:.:.:.:.:＼ 　 ＼　　　 　 　 ／／/:.:.:.:.:/ /三三三三三三二ニ
　 　 　 　 =三三三三三三三＼ヽ:.:.:.:.:.:ﾍ、　　　　　　 　 ／　/:.:.:.:.:/ /三三三三三三二ニ
　　　　　　　 =三三三三三三三＼ヽ:.:.:.:.: ＼　　 　 　 イ　　/:.:.:.:.:/ /三三三三三三二ニ
300 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:34:07 qLkNzrF6
四３５．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／´　 　 　 　 ｀:,:ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ _ , . . ./｀ヽ-.-.‐: :‐.-. . 、　 !/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,. ‐:'':´; :-: : : :l: : : :.i: : : : : : : : : : :｀ヾ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.-'ﾞ''",´ '´ . . : : : :l: : : : :l: : : : : : : ＼: : .　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　, '　 . . /. : :./: j: :,: : : ﾞ;､:.V: : : : : ｀､: . . 　｀、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /. : : : :.,': : : 厶ハ:.!: : : :l.ヾ´V`ヽ: : i.:ﾞ､: : : : .ﾞ:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: ／: : .:!: : :ｲ /　 ﾞ:l.i: : : :!　ヽ:.V: : : : i,:.i,: : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .,':/ ': : .::::l: : :,' ,'　　 ﾞ:, V: :.j ,__ ＼ヾ: : : :!Vi: : : : l
　　　「私も思った。　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 '/　!: : ::::;:l: : i:,'友忝　ﾞ:,∨:.! 茯笊キｽ: : :!ヾ: : : :.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　i′j: : :::/::j: :.!{ﾞ! ﾚu､!　　 Vj　レu､,!/i::Ｖ: j:: ﾞ: : : j
　　　 分散すれば持っている国同士の　　　　　 　 　 　 　 !: ::/ !:::l: :!ﾍﾞ く;;ｿ　　　ヾ　ヾ-`' /;'::::ヾN: : : :.!
　　　 奪い合いを抑制出来るし、　　　　　　　 　　　　 　 　 !: ,'　l:::::Ｎ.|:}　-‐'　′　　　 ￣・/:::::::::/ｿ: : : :,!
　　　 外部から狙われた時には協力できるよ」 　　　　　　 ﾞ:.!　 l:::::|' |:!、　　　 r_;　　　　 /:::::. :/":::: :!: :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V:j　|.:iベ‐....._　　　_ _.,.':::. : :./:|:. :.:: :!: !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ　|: l　|::::::::::｀¨ﾞﾞ! , ': : : :.,.'::i::|:: : :: :!:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 l:.;L⊥イ):::l::::;:!': : : :／ﾞ!::l::|::. : : :.!!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l,!　ニｺ,.‐-/: : : :∠.,,_ l:::l::l::: : : : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　rｧ゛,.:/: : ;.=三三ﾐﾐ:!::!:l::: : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,r<!__ノ' ／/;.-'"´　　　 ｀ヾ!:i:j:::. : : :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /ﾐ=-:/ /彡'" /　　 　 　 　 ﾞi::!l:::. : : : l



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　殆どのことに興味が無く、平坦に物事を見るコナタもそれが良い、と頷いた。

　　エゥーゴのみならず大陸東部広域の、未来への共通利益を生み出す上に
　　宝具を狙う者へのけん制にもなるはずだと思えたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
301 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:35:01 qLkNzrF6
四３６．
――――――――――――――――――――――――――
　　だが、エゥーゴの祖王が手に入れた豊穣を
　　他国に分配するなどあり得ない、とエルが即座に否定し、
――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, 　 ,,,.:-‐,,..... -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ::':ﾙ'´:ｰ''´::::≦-
　　　　　　　 　 　 　 　 　　　r''ﾆ、:::::ニ＝-:､::::二ｪｪｯ=-‐
　　　　　　　　　　　　　　　 r'::::::ﾆ-､::::::::ミﾐヽ､::::::::::::::＝ﾆ＿
　　 　 　 　 　 　 　 　　　 /:://:::::ミ､::::::::::::＼ヽ､:::::::::::::＜
　 　 　 　 　 　 　 　　　　,':::,'::::iヽヽ:::ミ:::::､:::::::::＼:::::::::::::ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /::::!:::::ヽ:ヽ::::::::::`:::::::::ヽ:::ヽ::::::ヾヾ､
　　　　 　 　　　　　　　/"i::::::::::::ｉﾞ_､:::::::::!＼vヽ、:::::::::ヾ:::＼
　　　　 　 　 　 　　　　　 i:;::::l::',:li ｏヽ`ヾi. Y'ｏﾞﾘ､:::::::::::iｰ=ヾ
　　 　 　 　 　　　　　　　/ lﾊ::::',ｉﾞー" 　 ′ ー" i:::::::::ヾ､　　　　　　　「二人とも無茶を言いますね。
　　　　　　　　　　 rｲ￣'",ﾆ､!:::::i.　 　　. . 　 　　,':j::lヾﾔ-､_
　　　　　　　　　／ |　　　l　lｻ!::iヽ 　 . --､ 　,.ｲ::l!';:l　　　 ,ヽ　　　　　どうやらエゥーゴの豊穣は六つの宝具があってこそです。
　　　　　　　　　|〉　!　　　|　l八ﾞ!　＼　￣ .ｨ'　/ｉ! i '!　　　i　i　　　　　単独で効果を発揮するかも分かりませんし、
　　 　 　　　　／<　';,.　　 l　| ヽゞｬ-､`＝ﾝ　_ｿ, !　i　　　 ,'　ヽ　　　　この豊かさにどっぷりの国民が手放すわけがないでしょう」
　　　　　　　 〉ヽ-`'　i!/｀`ｉｰ',　 ｀`-ﾆ_--‐'ﾆ-' ,'　 / ｉ　 / i　i l
　　　　　　　/ 　' , ,,,i'´!、 l-　ヽ=- -‐-;'''´　　　 　　 ｌ　　, ' ,' .i
　 　 　 　　/　　　ﾞl　i　 'i　j/　 ,..-‐'￣　　　　 　　　 !　/　　　|
　　　　　 /　　　　 ll､ヽt,ｹﾝｪ‐'´　　　　　　　　　　　 ,!'　　　　.|
. 　　 　 i┴､＞ﾆ ﾝ`''＝ｰﾝ´ヽ　　　　　 　 　　　　　/ヾ!ー,-,ﾝ.i
　　　　 ﾘﾝニ--/　　 　, ' 　　ヽ　　　　　　　　　　 /　 |､-‐'´　 i
　　　 ／r'　 ii" 　 　　/　　　　　　　　　　　　　　 /　　ｌ　　、 　 i
　　　く lハ　l:l　　　 ｲ ＼　　　　　　　　　　／　 /　　<　ﾐ､､`ｰ.k
　　　　|.　　 l::',　　/ｼ　　　　　　　　　　,　'　　, 〈　　 ノﾞ -ｰ､-ヽ.i
　　　　!､　　 !､::ｰ::k ヽ　　　　　　　　' 　　,　'　メ､　 ﾉ　　　　`ヾ,!
　　　　　`ー-､_ﾆｨ_ ､ ﾆ ー　　 '''' ーー '　　,　- .ﾒ∠､.　 　 　 /



　　　　 　　 __　 　 ,､ .（(,､-―‐''''''''''―-､,　　　　((
　　　　　　,ｲ `'ｨｹ´vﾄr,,)）　　　　　　　　　｀ヽ, ,ｨｭ))-､
　 　 　 　 l　　 ,ゞﾍﾉﾌｨ　 .／　 　 　 i 　 　 　 `､Yﾉ　 l!
.　　 　 　 j　 　 ゞ〃‐'´　/　　/ 　　 | 　 　 | 　((ヽ､　 i!
　　　 　 / 　 //.（(　　　/ 　 / |　|　 | 　 　 | 　 )） ヽ　.i!
.　　 　 / 　 // 　 )）　:/ 　 /.　|　|　 | 　 　 | 　　　　i!　|
　 　　/ 　　/　　 "　 / 　 / 　 |　| 　|　　|　|　 |　|　 i!| |
.　 　 ′ 　.i　　/　 l .|　　l!　.)）|　|　|.| ｌ　|　|　 |　||　|: /
　　　l　　　|　 i!　　.| |　　ﾄ､（(ｨｭ, |　l.| |　|　|　 |　||　|: {
　　　V　　i!i　 |　　 |.i　,ｲ´ｨY^ﾔﾊ| i!|| | l:|　|从| l:|! ||:ハ
　　 　ﾍ　ﾉﾉ　 |!　　 |! _Vゝ~ﾝ'.ﾉ j`´ ｀ γﾃｫ､// i!/　l ∧　　　　　（私もエルと同意見、だけど………）
　　　　,ｲ,ｲ .l　 l!　　 l!ゝ_ゝ｀´ﾝﾝゝ　　　込ｿ.ﾉ/.| .〈ヽ,l:　 ＼
　　／／|　.ﾘ　 .|!　　ヽ　((`ｰ'´`　 　'　　￣ /　|　.ﾍ .ヽ 　　＼
,ｨ'´／　 l　/ ,ｨ　 |! 　 ,､`､))　 ,､,　.ｰ.,､　_, ｨ' 　 |　| ゝ 　＼　　:.
　/　　 ﾉ／ｨ'　_,､ｨ'ヽﾉ,ﾊ､,` ﾉ´ ｲ,-‐ﾉ `ｰ'r-､ ､.ヽ l　 ヽ　 ﾉ　　}
　{_,､ｨ´,ｨ'´　ｨ'´　　 　　__,ﾊ,　ﾉ (__ -‐　 '´ （,､‐-`､!　　〉/　　　〉



―――――――――――――――――――――――――――――
　　その隣ではどうしてなのかな、と雪華綺晶が疑問を抱いている。
―――――――――――――――――――――――――――――
303 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:36:03 qLkNzrF6
四３７．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　なぜ、無味乾燥で他人に全く興味の無かったコナタとやらない夫が同じ発想なのだろうか。

　　可能性として思いつくことは出来るが、
　　立場ある人に自分の意見として述べるとなると話は別だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ　　　　　　　　　　　　　「神様にとって、人間の国なんて区分けは
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;　　　　　　　　　　　　　　　意味のないものだと思う。
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|　　　　　　　　　　　だから一つの国になければならない、
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_　　　　　　　　　　なんて事はないんじゃないか？
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,　　　　　　　お互いの距離的な制約はあるかも知れないが」
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　多くの人が縛られる枷。

　　立場や収入、実力や種族、性別、名声に生まれなど―――
　　それは多くの先天的、あるいは後天的条件によって当然発生するもの。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
304 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:37:00 qLkNzrF6
四３８．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　これまでの事情からして、コナタがそれに縛られないのは分かる。

　　しかし多くの人や国、様々な事に触れてきたはずのやらない夫が縛られないのは驚きだ。
　　まるで己を縛るのは己の信念のみ、と言わんばかりではないか。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /{必}　　　　　　　　　　　　　　　 r=ﾐ　|　|
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　 //)厂　　　　　　　　　　　　　　　 ゞ彳i |　|i
　　　　　　　　　　　　　　　/　 //(( /　　　　　　　 i　|　　　|　　　　)) 　 !　i|
　　　　　　　　 　 　 　 　 /　 //　 /　 /　ｌ　ｌ |　l　|　|　　　|　|　　|丶i　'　.'.|
　　　　　　　　 　 　 　 　"　　/ 　.′ i |　l|　| |　|/.i　ﾊ .l　 |　| l ｌ |　 l　　/ |
　　　　　　　　　　　 ／　 　 /i　　i　　l.|　l|　| |　i　:!/:ﾊ┼-|　| l | |　 i/ / | |
　　　　　 　 　 　 ／　　　／　!　　i l　l ! 从r-､_)) /i i/ﾙ'ハ!ﾙ/! !i/i / /i　! !
.　　　　　　 　 ／　　　／　　 | ｌ　ハN nn{ィ示｝}　　　　r:行芯ﾍ,ﾚ |/ /i |　! !
..　　　　　　／　　　／　　　　/ ./ | |.// )辷_ソノ　　　　込ｚソｲiｎ./ / li |　| 丶
　　　 　 ／　　　／　　　　　/ /　i /i { /.）ーｲ　　　,　　　 　 ｎ| | 〉/　ﾊ.|　|　　＼
　　　　（　　　　(　　　　　　/ /　 ハヽ|,| i }　)) 　 　 　 　 　 / ﾉﾉﾉ ） ,　 |　､　　　 ＼
　　　　　＼　　　)　　 　 ／./　 /　 l＼ `　 ＼　　 ⌒　　.／.　 　 /./ｌ　 |　 ヽ　 　 　 ,　 　 　 （………ローゼンの女王様。
　　　 　 　 )　　:　　　／　./　 / 仁へ._＼　　 ＼　　　／　　　 ／./ l　 ﾊ　 ハ　　　人
　　 　 　 /　　/　　 （　　/fニフ(_　/ ⌒ `⌒ヽ　}≧≦{　 　 ／＿'　 |　i　i /　 ＼／　 ＼　　　貴女にとって、やらない夫とは
.　　　　 /　　/　　　ノ　/rイ / ( //　　　 ／　人__i＼r─'⌒ー'　 ﾄTフi|　/　 ＼　＼　 　 　 　 どんな存在でしたか―――？）
　　　　/　　/　　／/r─{.`ー　 i /　　　　 ／ _,イ }／　　　　　　　 ﾉ､ﾄイ}＿　　 ＼　＼
.　 　 /　　/　　(　 i {　　　　 ﾉ .ノ　　　　　 イ　　 八　　　　　　　 /／＼/　　）　　　.　　}
　　 /　　/　　　|　　|　　 　 ／　　　　　　　　　／j__､＼　　　　　　い､厂/　〈 i　　　ﾉ　/
　 ./　　/　　　 ｛　　} r─'´　　　　　　　　　　　イ≫<＼　　　　　　.∨ｲ　　　} i　／　 /
　/　　/　　　　/　 ／　　　　　　　　　　_ ＜二二二ニ| ﾄ.　　　　　　＼　　　} i /　　人



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　本当はローゼンでも多くの人がやらない夫を手放したく無かったのでは。

　　しかし風のようにつかみ所のない彼を求めるのであれば、
　　追いかけ、共に歩むことが最低条件なのかも知れない。
　　そしてそれには自由な立場、共に歩むだけの実力、そして何よりも運命が必要なのだろう。

　　そんなふうに彼の歩いてきた道程に何人かの―――特に女性の―――影が見えたところで、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
305 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:38:03 qLkNzrF6
四３９．
―――――――――――――――――
　　国王がごくり、と唾を飲み込んだ。
―――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　 　,_, 　 　　　　　　　　 　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　 　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　 　｀ヽi　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 　 i　, ノ ﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「………驚いた」　　　　　　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ、ヽ ｀ ､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　 ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｦ.　 ＼　　　 　 ／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　 ﾞｰ ' ´く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 └



　　　　　　　　　　 _.,..､:-:─:-..､、
　　　　 　 　 　 ／:::::::::::::::::::::::::.:::｀:ヽ.
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:､
　　　　　　,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
.　 　 　 /::::::::::::::::::::::ﾍノ!::::|::::::!::::::|:::!:::}:::i:::::}
　　　　/:::::::::::::::::::::::::::厂 ≧rx|::::::j:/:ｲ:ノﾉ:ｲ
　　 ／:::::::::i:::::::::{こj::::i　弋ﾆｾゞ､イｲfｱｲ::::::＼
　／:::::::::::::i!:::::::::じｲ::::|　　　　　　｛　　/::::ヽ::::::＼
　＼:;ｲ::::::i!|::::::::: ゝｊ:::::!　　　　　 　ゝ /:::::!:.::ヽ:::::::::>
　　　'＜::il:|:::::::::::::;:!::::ｊ　　　　-─　, ′::::!::::::::ﾄ／　　　　　　　　　「キャスバル？」
　　　　　ヽi;;;;;;;;;;;;;j'"´　＼　　　 ／::::|::::::＞'"´
　　,.､rｰへへ/´;;＼ 　 　 　トﾆ´_＿"´
／´￣｀ヽ;;;;＼＼;;;;;;;;｀ヽ、　!＼;;＼;;;＼__
;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;｀ヽ､__>;;;;ヽ;;;;ト;;｀ヽ、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ::::l;;;;ヽ;;;;;｀;,,､
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;ー───''"/;;;;;i!;;;;;;;｝;;;;;;;;;;;＼
γ;;⌒ヽｲ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;｀＼;;;;;;;;;／;;;;;丿;;;イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
´￣｀ヽ;;;;＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀＼;;;;;;;￣;;;;;;;／／;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j
309 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:39:00 qLkNzrF6
四４０．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　ﾊ　|　 、　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 | |　| 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　いl ヽ,l＼＿ ＼ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | / 　 　 ﾄ'　　__ , --｀ｰ ｀ｰ､ __ゝ　　l　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|! 　 ,-＝､__f´::,.- =‐'´:.:.:.:.:.:.::::::）　 ﾉノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l 　 |:::::::::::::::::::::::´ ,‐tｧ‐=-　　`r‐ｲ　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽヽ|:::::::::::厂ヽ:::::. :￣:.:.:.:.:.:.:.:::/　{　 　 　 ﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼!::::::::/　　 ＼:::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ 　 ヽ 　 　 | ＼
　「実は、私もそれを考えていた。　　　　　　　　　　　 　 　 l::::/ 　 　 　 ヽ---一 ' 　　､_ノﾉ　　 ﾄ､ ハ　l
　 我が国の歪みの一因は宝具にある。 　 　 　 　 　 　 　 ヾヽ､_ -　　　　　　　　　　､_フ′/ /　＿/ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ',　__　　 　 　 　 　 　 ヽ＿∠ノ　/　 ヒ´ノ
　 それをなるべく穏便な形で　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ', ,-―‐--　　 　 　 　 　 　 　 /｀l
　 改善したいと思っていたのだ」　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ',　--　　　　 ＿＿_＿　　　 /　 ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　| r――-　ニニニニニヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 l　 　 　 　 | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ　ﾉ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r,――‐　´￣ヽ＿＿　‐┤l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::―‐/ ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 {{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| 　 l　｜|:::::::::::::┌────‐┐ヽ! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_ノ　　 l　 | |::::::::::::: |=<>ﾆ<>ﾆ<>=|::::::::::::ﾉ　　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ＿,.r┴┤|::::::::::::└――――‐┘:::::::ヽ＿_ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ!　　', ',::::::::::::::::::::::::::::, -――::::::::::::::::::::::´＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　　 〉〉:::::::::::::::::, -'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　夫が、過ぎた力を持て余し振り回されているのだよと言い切ったので、
――――――――――――――――――――――――――――――――
312 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:40:00 qLkNzrF6
四４１．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　貴族達ではなく、貴族達を腐らせやすい環境から変えていこうとすることが、
　　彼が常々言っていた緩やかな変化だと知って妻は神妙な表情だ。

　　確かにそれは思っても簡単には言い出せない事。
　　穏便という言葉とは裏腹に様々な下調べと準備、
　　内外への根回しも無くては口に出すのも憚られる荒唐無稽な夢物語。
――――――――――――――――――――――――――――――――――




　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 . : ´: : : : : : : : : ｀: ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 . : ´: : : : : : : : : : : : : : : :.＼
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.',
　　　　　　　　　　　　 ／ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
　　　　　　 　 　 　 ／ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
　　　 　 　 　 　 ／／: : : : : : {: :i| : i : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:',
.　　　　 　 　 ／／: :／: : : : : ∨ﾍ: |: :{: : : : : : :!: :.i: : :i:}: : : : : : : : ',
　　　 　 　 　 ｀ヾ:／／: : : : : :__!ミヾ: :ﾍ: : : : :从:ノ:_:ノﾉ: : : : : : : : : ':,
　　　　　　　　　 ∨: : : : : : : :.{h!｀ヾえｱ乂:.:ノｨえア´!_: : : : : : : : : : : ':､
　 　 　 　 　 　 　 ∨: : : : : : : Ｖi　　　　　.:′　　　　ﾊ） : : : : : : : : : : : :＼
.　　　　　　 　 　 　 ＼: : : : /:.:八　　　　 i .:.　　 　 ,小 : : : : | : : : : : ／　　　　　「そういう事だったか………」
　　　　　 　 　 　 　 　 ＼//:./:.| ﾍ　　　__`´_　 　ｲ/ハ.: : ｉ: :|i : : :／
　　　　　　　　　　　　　　　＼: :|　:|＼　　 ､　　／　ｲ .:|: : |i_:|i＞"
.　　　　　　 　 　 ,rf777777777L...j｛ヽヽ _ 　イ ／　L.:j､＜.._＿＿___
　　　　　　　　　//////////////,|:!　｀ー一 ´　　 ｲ////////////ﾊ
　　 　 　 　 　 ///////////////,|j､　　　　 　 ／i//////////////ﾊ
.　 　 　 　 　 ////////////////,|　 ｀ ー一彡'　ﾊ//////////////ﾊ
　　 　 　 　 /////////////////,|　　　　 　 　 /////////////////∧
.　 　 　 　 //////////////////ﾊ　　　 　 　 ///////////////////∧
　　 　 　 ///////////////////,∧ 　 　 　 /////////////////////∧
.　 　 　 /////////////////////,∧ 　　 .ｲ//////////////////////∧
.　　　　j//////////////////////,∧ ／/////////////////////////ﾊ
314 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:41:01 qLkNzrF6
四４２．



　　　　　　　　　　_ ,､-―- ､_
　　　　　　　, - ﾞ´　　　　　　 `ヽ、
　　　　 　, '　　　　　　　　　　　　`ヽ、
　　　　　,'　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　i　　　　　　　　　　　　　　 　　',
　　　　 ﾉ　　　　　　　　　　ノﾉ八 ,）　　ﾍ
　　 　 （　　　　 （(　ノﾉ∠ｲ＿　ﾉハ_リﾘｿ
　　　　 ｀)　　　　 Y＜;;::;;;;;:::;;;;｀´;;;;;;;;;!ﾉ
　　　　 ﾌ　　　,ﾍ　|ヽ;;;::;;;;;:::／ヘ;;;;;;;ﾉ
　　　　 ヽ　　｛Kﾉ　ゝ`'''ｰ''′　, 〉 i　　　　　　　　　　　　　「もはや、六つも必要ないであろう。
　　　　 　）)　 ヾﾄ ヾ　　　　 　 　 /
　　　　 ラ　( （ﾉﾚ ＼　　　´ ￣ /　　　　　　　　　　　　　　私は大方、本来は土壌が平均になったところで
　　　　,イルゝトミtr､. ＞ 　_＿/　　　　　　　　　　　　　　 返却か廃棄か分散するように言われていたのを、
　　　ノ::::::::::::::::/:.:.:.ヾクﾊ_入くヽヽ_,,､-ｰｰ-.,､　　　　　　　 そのまま持っていただけと思っている」
,､-＜:::￣:｀ヽ;/:.:.:.:.:.:.:.ヾｔｆｰ┬イ:.|ヽ;:ヽ:::::::::::/ﾍ､
､:.:.:.:.:.:｀ヽ;::／:.:｀ヽ;.:.:.:.:.||:.:.:.:|.:.:|.::|トヽ:.:ﾍ:::::/:.:.:.ﾍ


――――――――――――――――――――――――――――――
　　タオ砂漠に面した国はエゥーゴを含めて六つ、宝具も六つ。
　　ただ先祖からの口伝には無いがな、と苦笑した国王は肩をすくめ、
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,--ｘ－k´／´　　　　　　　＿｀≧/´-il｀l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|l, >+／´　　　　　　　　　 |/{(´<て)) ヽ´/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,三Ｋ／　　　　　　　　　　　　(ヾー彡ﾐﾉ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／,__) i/　　　　　　/　 /　ﾊ　　　>__==-､| |　　| ｀、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 i__/ /　////　|　|　 |　 |　|　| ヽ　 ﾉノ | |　　ﾉ　 ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　/ / 　// | ||　|　|　 |/;/ ハ　|　|　 | |　/　　/　 i ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 / //i　ll　 l l l ll |　　|　| /　|　|　|　|　||/　 /　　| | ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|　/ |　| |　| | |il |l　 l|　|i |ノ　|　| |　| l| ;|　 il　　 |　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |　/ | | | ||　| |_ il l|　|ゝ-ﾌﾆ--+- ､_ﾉ / /　/l　　 |　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 | /l　|| | | | -tｴ‐ｲi/／il| |_,==＝代ｿ///　//　　|　　| |
　「しかし、言うことを守らなければ 　　　|　 i/ l　i l | |rーﾄｙﾆミゝ､ lｿ ｲテ:::::::ヾ｀//　 l il　　 |　 | | |
　 女神が見捨てる事も………」　　　　　|　il　 l　 l| Yl ( r参ﾐﾋｲＹ　 l　　'っ メｿ //il　l l　　 ﾉ　 | 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　| l　ヽ　ヾi kl、ソﾉノ_/　　　　　￣゜゜//il　 l l　　 l　　l 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　 ＼ ﾍ｀十ーﾌノ　、　　　　　　 ///l　 i |　　|　　||　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　/　 ﾉ｀　　 ヽ￣　　　,- ､　　　　/// il　 | |　 |　　 ||　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ /　/　//　　　/　ﾄ ､　　 ￣　　 i￣/// ゝﾄ ト--､l　　il　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / / /　//　　　/　 ,､- ｀ヽ､　　 ,イil //i/ /　ﾊ l"　＞　i l　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ / /　/ /　　/　／ヒ---､　 ｀´=ﾚ、ﾉ// /　 ヾヽ／ｲ　 i　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;// /　/　/　 /i　/　　/ヽ-ﾌl　__|　　 // /　　 /ヽ＼　li　　l　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´//　/　/　/ / ｲ/-　/　ヾ-ﾋｲ ｲ　 ﾉ/ ノ　＿,---ｌ　トー-､ l　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//　/　/　/ /　/ il /　￣いnﾉ l　 //／　i　　l　＿lﾌ　ヽﾉ　ｌ　l|



―――――――――――――――――――――――
　　この状況を利用して改革を狙う彼に
　　本気ですか、と雪華綺晶は驚きの視線を向けた。
―――――――――――――――――――――――
316 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:42:01 qLkNzrF6
四４３．



　　　　　　　　__,r'"　　　　~ヽ.
　　　　　　_ノ~　　　　　　　　　＼
　　　　 ／　　　　　　　　 　 　 　 ヽ
　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞ!
　　　i　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾞi
　　 ,i　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　 ./　　　　　　　 i　　　　　　　　 　 ( .
　,i　/　　　　ﾉ,ﾉノi i i　　　　　　　　　）
　! ,ヽ,　∧ﾆ'ﾚ'ｰ'　!､j､　､　　　　　　 i
　ヽ＼ソ,ﾉ''ﾐｪf､　　,__二ミ　　　　　　j
　　"Yヽ.ﾄ　　　）　　''ﾐｪｧ,;ﾞ）　'"　　 ）
　　　ﾘゞ.l　_　/　　　　　　~i　／/,＼　　　　　　　　「………そこが肝でな。
.　　　ﾞヽ!ﾄl ,＼ヽ　　　　　 j　!, (/iﾞ｀' ＼　　　　　　　あれは誓約の宝具なのだ」
　　　__,j,ﾊL!ヽ.ﾞy‐'"￣ﾞヽ'"j j. ,r┴‐‐'ﾞ7i!
　 (~r'　!　ヽ.／__,r＝~ヽｲ｢｢｀^~　　(（　 !
　　!.l　　) ,f~　 ＿,,ｨ､＼,i !j! ,.へ　 　 ）/
　　| |　( /　　　　　 ヽ./,/／　/ﾞ^ヽ.__/
_,..-.! !　 i　　　-=＝ｰ/／j､,､)）　　 /)
　　 !ヽ　j　　　　　 　 ）ｰ'Y ("　　 //
　　 ＼V　　　　!i~_／　　 ﾄｰﾞ　　//‐-r'"￣~ヽ､
　　　／　　　　 ,j~_＿ _,.ノ!.　　 //　　　　　　　 ＼_
　 _j'~　　　　　/　　　 　 ,八　 //　　　　　　　　　　i.



――――――――――――――――――――――――――――――
　　口に手を当てて厳かに言った国王は、
　　それほどまでに大きな力をエゥーゴに与えてくれた大地の女神に
　　感謝を忘れてはいないが―――
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,, -‐'''″￣｀ミ`{.{@yiゝゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,,,i=η／　　　　　　　ヾ､`ヾ､)) l　｀'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,//,i<迴'j　　　i　　　　,　ゝ ＼. (( .i i　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l l　/ //　i　i 7 .i　　　ヽ,ヽヽ i i　l l ﾊ　｀!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l i　 / i　l l　l .i| |　　 i i　i　,ﾊ　il　i i ,ヽ　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l i　i l ,　l. !　|i|i　l　i i l i　l l　ﾊ7i　i l i ゝ,.｀'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,i i l l　!　i ヾ i　l ＼i i lﾊi i i l　ﾉl　| i l　 .l　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. // /i|　| i | i l_.,,((、ii､ |il! .だ｀｀'i.7　l l|　 .'y l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//,'´　i＼＼ヾiFｯﾐ''ｼi　　 弋__沙7　//i　./ ./
　　　　　　　　　　　　　　　「誓約………でございますか？」　　　　イ　.,/′ヽゞゞ≦汗彡'　 ,　　　.//　li　| / /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /,,_　　 }li ゝ､i,　))　 　 ｡ 　 . lil　.li l i ,l .{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　7 i! !i)..ゝ．.,_. 　　,.／il　 il　＼＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ i/ //-‐'′κ,｀"-　>ヾ　! >.-‐'ゝゝ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/''"　~´ ,/ | k>っ>b, ,,.,ciyi)-ゝ　　　 ＼ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 7ζ　　_ / l　ξl lゝ､ . ／l .!　i l　　　　　iゝ｀l
317 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:43:00 qLkNzrF6
四４４．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　人に扱うには大きすぎるのだよ、と含ませた言葉に、
　　ようやく合点がいったエルはそういう事でしたか、と眉を動かしている。
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '::::::::〃:::::::::::.i::::::::ヽヽ:ヽ ::::::､::::::::::::::::':::､､,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ｨ:::::::::〃::::::::::::l!::!:::::::::::＼ヽヽ:::::ヽ:::::::::::::::::::t=ｰ-.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ｨｼ='7:::〃::::ｨ''|!i:::!i::,::::::､::::::ヽ::::::':,',､;,:::::::::::::::::::::ﾝｯy､,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´"　　/::::::/:::/,.-ｬj:::l 'i!';::::i＼::::ヽ:::::::',',',i!::::::::::::::f"''''＝=-''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　,.ｼｨ::::::::ｿ !. (::)ﾘ!　ﾍ',:::l,,､ﾇ;:::ヽ::::::',',',':::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〃 ｼi::::::::ｌ 　｀""゛　　` 'ﾘ (:::)ﾔ､:ヽ:::!:','::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　'　.ｌ::::::::l　 　 　 　 　　ヾ'''''" Y:::::::::::::!::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::/ｌ::::!　　　ヽ　、 　 　　　 ｌ:::::::::::::::'::::::::ｯ::::::',
　　　　「ああ、そういう事でしたか。　　　　　　　 　 　 　 l/　!:::'､ 　 ｧ､.　　　　　　　 !:::::::::::::::::ｫ:::::!';::::::',
　　　　 ならその話も分かる気がしますね」　　.　 　 　　 ,!. 　|/ ';､. ヾﾐ.`j 　 　 　 ,イ::ｧ:::::::::::::::i '､::',ﾔ::::､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　" . ';ヽ　　　　　,､y'´ /ｼ ｌ::::::ヽ:::::ｌ　ヾ;　゛丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　'|!`=tｰ:::'"／　 /'　 ﾊ::;::::il!';::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　　　　　　　　　'i::: '　　　　　　　ﾘ ｿ ヽ'ﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!'i　　　j　　 　 　 ~ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ ､　／　 ―ー '''"""f,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / _冫'''~ 　 　 　 　 　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ´　　 ,､　　　　￣~ ヽ　 'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!~　　　　/　　　　　 　　　ヽ.　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ. 　　　/　　 ﾝ　　　　　 ､　',　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 /　　 / 　 　 　 　 　',　', 'i



　　　　　　　 　 　 　 ,..::;ﾆ＝-､
　　　　　 　 　 　 　 i::/　　 　 、
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　　　 　 　 　 l:/::;'::::'オ/　!:::/へ|:::::::::::ﾞ:.ヾ:、
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　　 　 　 　 /i:::::!::/iTﾆT ,!;'　ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
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　　　 　 　 　 |::::M::::!､ 　 ο　 .ィ:i!ﾘ　　　　「どゆこと？」
　　　 　 　 　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::|
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321 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:44:00 qLkNzrF6
四４５．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. （　（● ）　　　　|
　　　「普通、司祭さん達が神々と結ぶ『契約』は　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 . （人__）　　　　　 |
　　　 信仰の対価として与えられる奇跡に過ぎない。　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 r-ヽ　　　　　 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 （三） |　　　 　　　 |
　　　 だから教えに反する行動をすれば破棄される事もあるし、　　 　 　 　 　 　 >　ノ　　　　　　 /
　　　 助力を願っても見捨てられる事もある」　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 / 　/ ヽ　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 / 　/　へ>　　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |＿__ヽ　　＼／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼　　　／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　 ＼_／　|



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　最悪天罰が下る可能性だってある、とあごに触れたやらない夫の言に頷き、
　　エルが続きを受け持った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰ ゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　 　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　 　 　 　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　 　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　 　 　 ｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i　　　　 　 　 　 　 　 「………ですが『誓約』は違います。
　　 　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　 ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.
　　　　　　 |/　|∧|　＼ 　 　 　 　 ／ .| / l/;:;:l　　　　　　　　　　　　　　 一度結んでしまえば、自動的に―――
　　　　　　　　 |'　 l　　 ヽ、　　 ／　　 l'／ ヽ/　　　　　　　　　　　　　　 あるいは強制的に御力を行使出来るのですよ」
　　　 　 　 　 　 　 l　　 　 ｀￣´　　　　l､
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　 ヽ､_
　　　＿_ ,..　'' ´ 　 ヽ　　　　　　　 　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　 ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　 ｀} ￣ 'ー- ､
　　　 ヽ　　　　　 　 　 ヽ　　 　 　 / 　　　　　　　　　/ /　 　 　ヽヽ
　　ヽ　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ /　　 　 　 |　ヽ
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　 　 /　　　　 ',
　　　　　　　 ｀'ｰ-　 _　　　　　　　　 ＿　 -‐ '´　　　 　 　 /　　 　　　l
　　/　　　　　　　　 　 ｀'ー----‐ '´　　　　　　 　 /　　　 l 　 　 l　　　!
322 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:45:02 qLkNzrF6
四４６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もちろん願えば結べる類のものでも無いのですが、と付け加えた上でエルは言葉を止め、
　　それで二人の娘達もようやく腑に落ちた様子。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,ィ''´_二----`' - ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／, イ_,　_, - '´　　　　　｀｀`'‐､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/7'´／／　,　　 / i|　　　|　　　　 `ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　// ./７/　／　／ / l　　　 　`､　　 ,__rfミヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i'.l // /../　／ .／.i |　　　　　　ゝ､ ﾄ{ ,r‐i ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Vr-i ./　/ ｲﾉ/ ll　l　　i i　 i　i　　< f ､ニノ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {薔!i′/ /／i'li　il　 //　 / .i 　　 ＼＼彡ン
　　　　　　　　　　　　「なるほど。　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 __ｰi Ⅳ / ノc!l､ l/　/∥ /　/　　　　　　i .l　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i'　　　　 i'.i' 汐 /　ｲ.ﾉ　ﾉ /　　　　 /　/i　!　!
　　　　　　　　　　　　 だから言いつけを守らなくても 　 　 　 　 　 }　　　　ゝ｀ｰ- ナｲノ.／ .ﾉ /　／　i'　 l　l　! l
　　　　　　　　　　　　 宝具は使い続けられるし………」　 　 　　 'i､　　　　　　　／イ -彡イ ／イ　l　　l　 l　l ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i ′　　　　_,,イ'´_ ィ/　 ／イ　i　l　　.l　　i　l　l､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r､!　　　　　{ i　／／　／イ/l　　l　l　　l　　!l　ヽヽ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀i i`ｰ-　､_ ヾ　{./　 ィ　　 l l　　 l　l　　l　　ヾi　 ＼＼ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ! 'i i'´ l:::::ノlヽ ヽ< |　　　 ll　　 l　 !　　ゝ､　 ＼　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　i＞_.､_　 / i､｀i |l　　　 ll　　 l,　　　　　ゝ､__ ＼　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l -'´__r_'f´i　i-}　l !l　　　 l　　　lii　　　　､　､ ｀-i､｀-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i　 ＿__ﾉ,.!にニｲ lヽ　　　l　　　 illi　　　 ヽ, i　　 i　ヽ　＼



　　　　　　　　　 _,-,ﾆ二ニ=､
　　　　　　　　／／
　　　　　　　 /:/
　 　 　 　 　 ヾ`､
　　　　　　　　＞+:‐: ´:￣: ￣: :`:'￣:l.､＿＿＿,／
　　　　　　／: : : : ／: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´
　　 　 　 /: : : ／: : : : : : : :/: :/: : : : l: : : : ､:＼
　　　　　l: : : /: : : : : : : : :/: /l: : : : ∧ l: : : :ヽ: :ヽ
　　　　 /: :/: :/: : : _,:_∠Ｌ､:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ
　 　 　 l: /://: : : : :／::/':::::/: : : /::::-H､: : : : : lト､: ヽ
　　　　l://://: : : ｲミ土=､_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l　｀ヾ､
　　　　l/: :l l: : : ｲ:llo:::::::/:::/://:::テﾃヵl: : :ﾊ: : l
　　 　 l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l
.　　　 l: : : W/: : N　　　　 　　 ､ `‐':::l::l: : lN　V
.　　　 l: : : : :ﾊ: : : ト､　　 ー=　　　 ノlﾊ: :ハl
　　　 l: : : : : :､: : : 「ﾌ｀‐- ,､-┬:Ｔ´: :l　l/　　　　　　「あいつでも
.　　　l: : : : :,レ､: : :ヾ､　　/､｀Y/:l:l: : l　　　　　　　　 使おうと思えば使えるのか」
　 　 /: : :rﾆミミヽ: : ヾ､-─┤ `┤: : l
　　 /: : /￣＼ヾヽ: : :ヾ､　　 l　　ll: : l
　　/: : /　　　 ヽヾヽ: : lヽ　　l　 /l: : l
　 /: : /　 　 　 l ＼ヾ､: l ヽ　 l //l: :/
　/: : :l　　 　 　 l ハ ヾ､l､､l　 l////l
323 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:46:00 qLkNzrF6
四４７．



　　　　　　　　　　　 　 　 　　 ／,.. .:-ﾆ''"_＿　_
　　　　　　　　　　　　　　　〃ﾝ::::::::::::::三ニ=::::::.:::
　　　　　　　　　　　　 　 （l!i´::二ﾆ＝-:;;;;:::..-.:::::::::::
　　　　　　　　　　　　 　,-'从ミへ:::::ヾ::::::.,ヽ::::::::::::::､
　　 　　　　　　　　　　 /::'!::::::､､::::､::ヾ:::ヽヽ:::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　/:::.!l/::::::ヾ::::::､:::::ヽヾ.:＼:::::ヽ::
　 　 　 　　　　　 　 ,'i!:::::.:i.!:lｬ,:::::::..ヽ､＼::::::::＼:::ヽ:::
　　　 　　　　　 　　,' l!i:l::!!:ヾ.i-ｬ.::::､::::::::._ヽ､:::::::ヽ:::::
　　　 　　　　　　_,ヘ!_l. !y::|::l!ｌrt:ｯﾐ＼:ヾ rt:ｯﾃ､::::::::　　　　　　　　　　　　　　「祖王ブレックスの後も長きにに渡って、
　　　　　　　 ,-=ニ-ﾐﾍﾊ:::::::ｌ `''''"_`_｀ヽ`'''"　ｌ:::ヽ::::　　　　　　　　　　　 　 　 自動的に土壌の改善するには
　 　 　　 　ン ﾆ 二｀ヽ;=､!ﾊl!y''~´　　 ~`ヽ　　!:::::/i!､　　　 　 　 　 　 　 　 　 誓約をする必要があった。
　 　　 _..ｨf´　､　`'''‐ﾆ'ヽ..ッ'ｩ､　　　　　　 ｌ ／ﾘl::ﾚｌヽ
　 _.-ﾆ／　　`'ﾌ´~｀ヽ..X´｀`''''ｦ, r'''~''ｯ ..〆 / ,liｿ |　,.ｧi　　　　　　　　　　　　 しかしそれを逆手にとって、
‐ﾆ‐'八-､_...:::::n⌒`!~ ヾ' ､.　 ヾ､`'''ｬ''''~´　/ // ,ン´　 ヽ､　　　　　　　　　　 本来は分散するはずの宝具を持ち続ける事で
´ .ｌ /　ヽ >::::!ｿ/ ＼＼ |ヽ'i 　　ヽヽ､_゛_,,...-zﾝ. - '''´~｀`''ｰ-　　 　 　 　 　 　 エゥーゴはまれに見る豊かさを得た」
　 ヽ　、 ＼__ﾝ￣~`'''''- ..,　ｌ　　　 ゛ ｰ-ｰ'´ /,'　,:-‐''　 ､'‐- .,.
　　　　＞._/ 　 　 　 　 ;　ﾔ ! 　 　 　 ',　　/､ /　　　 !　ヽ　　｀く::　ヽ､
　　　_,.::;;;;/　　　　　　　|　 'i::i　 　 　　',　〈', ｌ i　 ,'　 ,'　　ﾄ　　　 ヽ,　ﾔ
‐-‐''　~ ｱ　ヽ　 　 　　　ｌ.､　ヾ　　　　　,　 i_jy'　,'　./ 　　ｌ ', 　 　', iノ !`
　　　　 〈 i　 ＼　　　　　 !ヽ　＼ 　 　 ｌ ,　 / |　i　./ 　 　ｌ　', 　 　',|､ ｌ
　　　　　ヽ!　　 ' ,　　　li 　'i＼ .liヽ　　ｌ　'. /　| ,' /　　　　ｌ　 ,　　　|　>
.　 　　 　 |:',　　　＼　　',i　 ', ヽ |､ヽ　l.　 ヽｌ | ﾚ　　　　　ｌ　/',　　 'ｌﾒ､
　　　　 　|:::',　　　　ゝ　 i ',　ｌ　 ' ,', ＼ｌ　　 |! |!|　　　　　 ｌ /　i 　 　ｌ　ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （ー）（ー ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　（　　　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それに目をつけた者がいる、か」　　 .　　　　{　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂ ヽ∩　　 　 く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（なるほど、リフはそれで………）　　　　　　　| '､＿ ＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　|　 |_＼　 “　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ､ ＿_＼_／



―――――――――――――――――――――――――――
　　やっと、かつての疑念に納得がいって目を閉じる。

　　正気を失った高司教が女神の誓約の宝具と―――
　　聖遺物を三つ所持し、仕える神と誓約する事で昇格可能な
　　伝説の司祭職を結びつけても不思議ではない。
―――――――――――――――――――――――――――
324 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:47:00 qLkNzrF6
四４８．



　　　 /:.／　　　　　　 ヽ
　 　 ｛:/　　　　 　 　 　 |
　　　 l{
__,,... . .ゝ､、
: : : : : : : : : : : ｀:丶.､
.: : : : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ:-:':＾ヽ
: : : : : : : : : ;.-:'':´: : : : : : ; : : : l｀`:丶.、
.: : : : : : ;. '′　　. . : : : ｨj::: : 　|: :ヽ`丶`ヽ､
: : : : ／ ,.,／: . : : : : :, ' !,!: : :　l: : : ｀､　　　｀
.: :／,.-'ﾞ/::::: : : : : :／-〃!: : : ,!.: : : :.丶
／'": :./::::: : : : :／ 　 〃 l: : :/:::. :|、 : ﾍ
: : : : /:::: : : : ;ｨ|　　__/′,'.: :/::::::. :!ヽ: : l
.: : :/::: : : :／|::|　 示牙 ,': :/:::i:::::. :|　ヽ:.l
: : /:: : :／: :.:l::l　 | |:'::|./／::ｉ::,!::::. :l 　 ヾ!
.: /:.／ |: : : :.!:l　　 l.Ч'゛|::::,'!ハ::: ,!　 　 |
:/:'ﾞ:.ヽ､| : : : |:!　　 'ｰ'　 |::/ |　 ',::;!　　　　　　　　　「どうして女神は、
.: : : : / !: : : :!'　 　 　 　 Ｙ 　 　 /　　　　　　　　　　そんな都合の良いものを？」
: : : :./　!: : : l　　　　　 ／
.: : :./ヽ,|: : : l､＿_, ィ'l´
: : :/　 ヾ : : l　　　 l.｜
.: /　　　'､: :.!　　,.-'.　!
:/　／,.三ﾐ､|　 /　{`_⊥-､
　〃〃'"　｀ヽ〈￣　　　_,.｣
'゛／ ／´￣｀ヽV=ニ二 -ｲ



―――――――――――――――――――――――――――――――
　　便利すぎるし他の国が知ったらエゥーゴを妬むよ、と言うコナタに
　　もっともだと思ったやらない夫はしばし考え込んだ後。

　　推測に過ぎないが―――と前置きをしてから自分の考えを述べた。
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ 〉´.,,,,,-----,,,,...ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／ ／_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　「人々の信仰心や感謝を増すため、　　　 　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_
　　 かも知れない」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !
325 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:48:00 qLkNzrF6
四４９．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それで雪華綺晶も気がついた。
　　大いなる存在である天界の神々とて、万能でも全知全能でもない、
　　この大地に生きる者達と持ちつ持たれつの関係である事を思い出したのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　,, -‐'''″￣｀ミ`{.{@yiゝゝ
　　 _,,,,i=η／　　　　　　　ヾ､`ヾ､)) l　｀'i
　 ,//,i<迴'j　　　i　　　　,　ゝ ＼. (( .i i　 !
　 l l　/ //　i　i 7 .i　　　ヽ,ヽヽ i i　l l ﾊ　｀!
　 l i　 / i　l l　l .i| |　　 i i　i　,ﾊ　il　i i ,ヽ　!
　 l i　i l ,　l. !　|i|i　l　i i l i　l l　ﾊ7i　i l i ゝ,.｀'i
　 ,i i l l　!　i ヾ i　l ＼i i lﾊi i i l　ﾉl　| i l　 .l　}
. // /i|　| i | i l_.,,((、ii､ |il! .だ｀｀'i.7　l l|　 .'y l
//,'´　i＼＼ヾiFｯﾐ''ｼi　　 弋__沙7　//i　./ ./　　　　　 「ああ、そっか………
イ　.,/′ヽゞゞ≦汗彡'　 ,　　　.//　li　| / /
　 /,,_　　 }li ゝ､i,　))　 　 ｡ 　 . lil　.li l i ,l .{　　　　　　　 神々の力の源は、大地に生きる者達の
　l　　　　7 i! !i)..ゝ．.,_. 　　,.／il　 il　＼＼＼　　　　　　感情や信仰心なんだっけ」
　　　　ノ i/ //-‐'′κ,｀"-　>ヾ　! >.-‐'ゝゝ＼
　　　/''"　~´ ,/ | k>っ>b, ,,.,ciyi)-ゝ　　　 ＼ヾ
　　 7ζ　　_ / l　ξl lゝ､ . ／l .!　i l　　　　　iゝ｀l



　　　　　　　　　　　　「そこだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　　　　　　　　 明確な御力を示す宝具があれば　　 　 　 　 　 　 　 　 i　!　　|　 （●）（●）　|
　　　　　　　　　　　　 人々の気持ちは嫌でも高まって、　　　 　 　 　 　 .r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　　　　　　　　　　　　 連鎖して女神の力も高まっていく。 　 　 　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　 女神の力が高まれば、　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　　　　　　　 宝具の効果も高まって………」　　　　　　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　信仰を維持するために完全に隠しておく事は許されず、
　　領主の証とすることで人の目に触れさせて信仰を高める必要があった。

　　あるいは、そういった循環を狙った特区とするほどで無いと、
　　広い土壌の改善は出来ないのかも知れない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
326 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:49:01 qLkNzrF6
四５０．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／: : : ;; : : : : : : i: : ::|: : : : : : : : : : : : : : ､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 ／: : _／　　　　　:i!::: /|: : : : : :i : : :　　　　 ヽ｀,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 /:,, ィ／　　　 /: : : | : / .|: i: : : : |:ﾊ,: : : : . . .　 ﾍi!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 /／ ./　. : : : :/: : : ,,|-‐ﾄ､.|: |: : : ::|!_⊥ _ : i: : : ::i: ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　/　　/: : :/: : :::i!: :／/|: /　 |::|i; : ::::|　　ヽ｀ヾ|: : : :i!: :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　l: : ::i: : : ::l: : : ./ |/　　 !:| l! : : :|　　　Y: :|:::: : ::| : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 　 　 l: : /l: : ::::l: : :/　 | 　 　 !|　l.: ::::|　　　 ヾ:}::: : : |};: |
　「繁栄に気をよくした当時の国王が　　　　　　　 l: :/ |: : :::::l: : !　＿＿_,　i! 　ﾍ: ::|＿＿＿i!;:: : ::l::i!::|
　 独り占めを画策した？」　　　　　　　.　 　 　 　　!/.　l: : ::ﾊ:!: i!. ━━━　　　 ヽ:|━━━ i!::::: l:::|ﾍ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l. 　 !: ::{::!,X:|:i 　,,,, 　 　 　 .　 ｀　.,,,,,　・i!::|::::l::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ﾍ:::|!:｀ﾍ| l　　　　　 　　　　　　　　 l::::|::i!:: |
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾔﾚﾔﾚ　　　ヾ||:::::|:::::ﾞ's､.,　　⊂ﾆニ⊃ 　 ,..ィﾞ:::::ﾚ' : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ::::|: : : .|::::≧=‐----‐=≦::::|::: : :|:::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 _y⌒ヽ-一ｯ　　|:::::::l: : : :i!´　 {~ 　 　 ~}　　｀|::: : :|:::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　 　　 <´ 　 .|::::::::}: : : :|　.　ﾍー-一ﾉ　　. l: : : i!､::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　 　 　 }　 　l:::::::ハ: : : lヽ　　',　　 /　 　 |: : : l /,:::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　_,,ノ　　 l ::::/　ﾍ: : ::l ､ヽ　ヽ　/ 　 .ノ|: : ://:ﾊ :: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ一'' 　 　 　|:::::!　　 ヽ: ::l ヘヽ　V　 ／´l: : /' 　 ﾊ:: |



　　　　　　　 〆´__t=lニﾆ　　　　￣｀`'ｰ l　.＼
　　　　　 　 l __,,fゝ }==-　　　　　--==--r-,　 l
　　　　　　　l　 /　　　i　,　　　　､　　 　 i`ｰ'l　 li
　　　　　 　 l ./ |　i i　l i　l i　　l l　.li　l i　 |､l　l .l､
　　　　　　/ ./　l .l ll l l 　l　l　 l .l　l l　l i　/l l　l/. }
　　 　 　 ﾉl 7 ll　 l l.l l l　_!_ l ((l　l .l l　l/ i　 l　l　λ
　 　 　７λli　 ` i lヽli.ﾉr-. ､=l))l .l　l l / ./　l iλ .| `ｰ､
　　.　/ i　l l　　 i l　lく　ﾚ`　r′lⅥ V7l l　 l　li 入乂　 l　　　　　　　「………気持ちは分かるよ。
　　 /　　l/ヽヽ　.! i (( F､,,i_/　'　　　ヽ{li　l.i　λ .|ヽ｀l　l　　　　　　　 そんな良いものだもん、独り占めしたくなる、よ」
　　l　 ,　 l　 i　l　lヽ! !l.ゝ､ 　　-　　,,ｲll./､.l.i　　 i　 i .l .入
　 .l　　l　l　　l__l　l }　i i┌＞- , イ´└l　{./ }　r-,　.l l　 　｀ヽ,
　λ　　i .l､　入'´|Ⅵ λ､_）　 つ　　 7l l / l-z,) !､ .l ヽ　　l　 l
..7　`　.7 l ../　　 フ / .l lｰz )´乙__凡＼ll .l　　 .ハλ l　　l　 l
　　　　{　.Y　　　 {.! l__.l l／´ 　 ＼ .| .| .l }　}　　　/ 入.　 .l　 .l
　 /　　＼.＼-､...._i .y L ＞i_f‐ｧ＜ ,l､_f// /____ ./ ;　　l　　l　　l
　i　　　 　 l ゝ　　ﾉ　}　　　　　`'''ﾟと- /i l l　　　!､!l　　　ヽ　ヽ 入
　!　　　　　l　l　 /　/　　　　　て､ろ　 !l l .l-- ,, 《 .l　　　　ゝ,　`　 ＼



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　推測の域は出ないものの、もしそうなら不敬も良いところだよと遠慮ないため息を吐くコナタ。
　　やらない夫の方をちらりと見ながら、そっと目を伏せる雪華綺晶―――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
327 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:50:01 qLkNzrF6
四５１．



　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　 　 　 　 ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　 　 　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　 ／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　 　 　 　 　 ／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　 　 ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　 　 　 　 　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　 　 　 　 ､ _｣ ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　 　＼　　　‐--- ／|:/
　　　 　 　 　 　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／ 　.ｿ
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　 　 ／ヽ- '　　　　　　　　　　「………よくもまあ、こんな凄いものを持ちながら
　　　　　　　／　　 ヽ､　　　　　_ ｲ　　　　　　　　　　　　　　 これまで無事でしたね」
　　　　　 ／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　 　 　 　 ー┴､
.　　 　/　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　/　 　 　 　 　 　 ＼　　　　 |､
　 　 i　　　／　　　 　 　 ＼ 　 　 ﾊ
　 　 |　　/　　　　　　　　　　ヽ　　 |
　 　 |　 ,'　　　　　　　　　　 　 }　　|



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　―――情報もそれなりに漏れていたようですし、狙われて当然ですと呆れたエル。
　　常に必要最低限の力しか使おうとしなかった父の背を思い出すやらない夫。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | 　（ー）（ー）　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　!　　（__人__）　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　「人には過ぎた力を扱うってのは　 　 　 　 　 　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　 本当に難しい事なんだな………」　 　 　 　 　 　 　 /　ミ）　　 　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　|／|　　　　 |　|



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　たった四人でも宝具に対する感想が一致しないのだ。

　　これがもっと大勢の知るところとなれば、
　　悪用したり私利私欲のために使おうと思う者が現れても不思議ではない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
328 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:51:00 qLkNzrF6
四５２．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　善きにつけ悪しきにつけ、禁忌とされるような強すぎる力なんてものは
　　全て無くなってしまった方がいい。

　　そう信じているエルは、やらない夫の呟きを聞きつけて険しい表情を浮かべると
　　近い将来、そうなる可能性をはらんでいる目の前の少年を確認するように尋ね、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――



.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰ ゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　 　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　 　 　 　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　 　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　 　 　 ｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i　　　　　　　「善なる気持ちや信仰心である
　　 　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　 ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.　　　　　　　光の神々の御力ですら言わずもがな、
　　　　　　 |/　|∧|　＼ 　 　 　 　 ／ .| / l/;:;:l　　　　　　　　　　堕ちた超越者の恐怖は
　　　　　　　　 |'　 l　　 ヽ、　　 ／　　 l'／ ヽ/　　　　　　　　　　数多くの逸話や伝説で耳にしているでしょう？」
　　　 　 　 　 　 　 l　　 　 ｀￣´　　　　l､　　
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　 ヽ､_
　　　＿_ ,..　'' ´ 　 ヽ　　　　　　　 　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　 ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　 ｀} ￣ 'ー- ､
　　　 ヽ　　　　　 　 　 ヽ　　 　 　 / 　　　　　　　　　/ /　 　 　ヽヽ
　　ヽ　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ /　　 　 　 |　ヽ
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　 　 /　　　　 ',
　　　　　　　 ｀'ｰ-　 _　　　　　　　　 ＿　 -‐ '´　　　 　 　 /　　 　　　l
　　/　　　　　　　　 　 ｀'ー----‐ '´　　　　　　 　 /　　　 l 　 　 l　　　!



―――――――――――――――――――――――――――――――
　　試されている、と分かったやらない夫は目を閉じて少し間をとった後、
　　常に心の中にある教えを以て答えた。
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （ー）（ー ）　　　|
　　　「俺の親父は言っていた。　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 （__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （　　　　　 　 　 |
　　　 『純粋な力とは善でも悪でもない。　　　　　　　　　　　　　.　　　　{　　　 　 　 　 |
　　　　力にそれらを与えるのは行使する者の心なのだ』と。 　 　 　 ⊂ ヽ∩　　 　 く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | '､＿ ＼　／　 )
　　　 そして………」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　 |_＼　 “　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ､ ＿_＼_／



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　――――――――――――――――――――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―　―　―
329 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:52:00 qLkNzrF6
五５３．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　―――父曰く、それは代々『Ｄ』の洗礼名と共に引き継がれてきた教え。
　　強い魔力や類い希なる身体能力、多くの才能を受け継ぐ一族の、
　　決して忘れてはならない言い伝えなのだそうだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノヽ)） ヽ,,rｰrヽ,, ,,ﾉi
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾉ~'tiii"（t　i}}|j　　　　　"　"ﾂヽ|t
　　　　　　　　　　　　　　　iヽ/ﾂii|}}从､}iii)''ijﾘﾘ}　 ､　　　　　 ﾉﾂﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　　ii}}y"}!､iii､'';/r"t}}}（iij,yiiヽ-ﾘヽii}j､,,　"ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　t,｀､i､}ヽ''ii）;;|iMtヽ''" ｀" ﾉ　""ノﾉﾉjjり ''ﾌ
　　　　　　　　　　　　　 ､)" ミ;;,,t､ti;i､ t;;､､）)ﾘiﾉﾂノ／""''彡"彡 ョ
　　　　　　　　　　　　　　i､｀''i ;;;;:::ijj}､｀';;;;;;'"":::;;;'"　,,,,　　 廴r''ﾂ r'
　　　　　　　　　　　　　 't､ ;;;､ t;; ::;;;｀;;;;;;;;;;|}:::'"::;;'"ii"　　､迄 彡ﾉﾂ
　　　　　　　　　　　　　　ヽ, ;) (|;;ヽ;;､;;;;;;;;;ﾉ':::i:::;'":::';;"　　::'≡　" ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　 'i ,;i,,､;;､､,;; ;;;;､;;;i'i},,ir')ノ,,,,,,,,___　:::ミ≡:r'i
　　　　　　　　　　　　　　　t ;t;;iitｰﾐｩﾃ;;､刈ｼ='r'-ﾐｭｫヲｦ　 ')'''/'|:|
　　　　　　　　　　　　　　　 '',､,i'"｀￣"::::了 j''"｀￣:::::"　　 ;;ﾘ/)ﾘ/i　　　　　　　,,
.　　　　　　　　　　　　　　　　t､i'::::　　:::::::| ,'　 j""　　　　 :::ﾘ'､/ｲ'(,, ､､ -ｰ '",､　~ヽ　　　　「そして―――
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽt::::::: :::::t,,ハ　,､)　　　　;;;;:::i-ｰ'"t)）::::: ..;､-'",, "　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　i;t :::::::::::~'- '":"　　　 了 ,i;;;;:::　 t:::;､-'"　'"　　　　 /　　　 力無き理想は詭弁に過ぎぬ。
　　　　　　　　　　　　　 ,,, ､ - ｰt;ヽ ::::::::;;､､､:::,,,　　　;;'" /;;;;:::　,､'":::::彡　　　　　　　　　　 善き心を持ち、力を御してこそ初めて、
　　　　　　　　　 ,,､- ''":::::::::::::::::::t:;ヽ :::::":::::::::::::｀'　 /　, ';;;;;;;r''":::::::...　　　 　 　 　 　 　 　 理想を語る事を許されるのだ」
　　　　　　 ,,､-'"::::::::::::::::::::::::::::::::::t::;;ヽ ;;;:::::::::　　　 "／;;;;／::::::::::
　　　,,､- '"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::t:::;;;ヽ　:::::::::::: 　､';;;;;r'"::::::::
.　 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::t:::;;;;;;'､;;;;;;;;;,､ -';､-'":::::
　/　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｿ:::;;;､ - ｰｰ'''":::::::::::　....::''"
./　 ;;;;;;;;;;､ -ｰｰ ''''' """ '''' ｰ,-ｰ''''::":::::::::::::::::::::::::::::::::::::



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 , ノ　 ､　､ 　 ┏━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 　 　 　 l（● ●）|　　　 ┏┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 　 　 　 | (_人_)　|　　　 .・
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ　　　 ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「………口先だけの男になるなって事？」 　 　 　 〔__≧＜__〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　 　 |　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.し　　　Ｊ
331 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:53:00 qLkNzrF6
五５４．



　　　　　　　ヾ
　　　　　　　 ゞゝｿ<ゞゝヽ　ｿ　ソゞ〆/丿ノ
　　　　　　ゞ　、　　　　　　　　　　　　　　　　ν
　　　　　　ヾヽゝゞ〃γゞγゞγゞγゞλ　　　ν
　　　　　　ゞ〃　ミ ヾヾソ／ ミ ミ ﾐ〃ν　　　ν
　　　　　　ヾι　　ミヽﾐ ミ ﾐ ﾐ Zミ　 ζ　　　ν
　　　　　　ゞζ　ミヽ ミZﾐΞ/Ξ/　ζ　　ヽ　τ
　 　　　　ヾ/　ヽZﾐくﾐヾﾐ/ﾐνﾐ´ﾐνﾐνζ　　ν
　　　　　　|ヾ:: ー::;＼ν.ゞー‐::;‐｀゛　　＼　　ζ
　　　　　　ゝ ´￣7　/.λ　´￣ Z7｀´　ヾ＼　τ
　　　　　　..|ヽ　/　　　彡　　　 ﾐZ　 　.|　|　τ
　　　　　　 | |　Z　´　ν　　　　　Z　　|　| ν
　　　　　　 | |　　　ゞつ　　　ヽ　.　ﾐ 　　|／ ν　　　　　　「お前にはまだ難しいやもしれぬ。
　　　　　　　|.ゝ　ヽ――――　、..ミﾐ..　ヽ　τ　　　　　　 かく言う私とて、やりきれているとも思えぬのだからな。
　　　　　　 |　|ﾐ　´ ｀―　―イ´　　　　/　　τ
　　　　　　 |　ヽ　　　　Z　　　　　　〃.彡　ヽ　　　　　　　 常に心に留め、
　　　　　　 |　　|　　　/、　　　　〃　　彡　　＼ 　 　 　 　 力を振るう際に思い出せばそれでよい」
　　　　　　 |ﾐ　ヽゞ＿＿＿　　／　　　ﾐ　　　　＼
　　　　　　 |ﾐヾ　　ミ　ヾ　　　　|　　　ﾐ
　　　　　　 |ﾐ　　　　ﾐ　　　　／　　　　ﾐ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ノ　､　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ● ●） l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（人__）.u|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「よく分からないけど、　　 　 　 　 /^)　　.ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 覚えておくよ………」　　　　　　　ヽ ⊂ニ〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ゝl 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｀(＿ﾉ
332 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:54:00 qLkNzrF6
五５５．
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―　―　―
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――――
　　強すぎる力は本人や周りを狂わせやすい。
　　実際に力に魅入られた者の逸話など腐るほどあるし、
　　一時は英雄と讃えられながらも堕ちた者だって歴史上には何人か居る。

　　また、強すぎる力を持つ者は人々から恐れを抱かれやすい事も
　　それに拍車をかけるのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　 　 　 　 ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　 　 　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　 ／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　 　 　 　 　 ／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　 　 ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　 　 　 　 　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　 　 　 　 ､ _｣ ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　 　＼　　　‐--- ／|:/
　　　 　 　 　 　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／ 　.ｿ
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　 　 ／ヽ- '
　　　　　　　／　　 ヽ､　　　　　_ ｲ　　　　　　　　　　「………なるほど」
　　　　　 ／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　 　 　 　 ー┴､　　　　　　　　　　　（母のような、封印指定研究者の理とは少し違うようですが………
.　　 　/　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　/　 　 　 　 　 　 ＼　　　　 |､　　　　　　　　　　 素晴らしいお父さんだったのでしょう。
　 　 i　　　／　　　 　 　 ＼ 　 　 ﾊ　　　　　　　　　　もしかして名のある人なのかも知れません）
　 　 |　　/　　　　　　　　　　ヽ　　 |
　 　 |　 ,'　　　　　　　　　　 　 }　　|



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　接触したはずのライトとの共鳴や同調を心配したが、どうやら大丈夫のようです、と
　　彼に対する疑念を取り払ったエルは
　　険しい表情になっていた事に気づいて二度、意識して深呼吸をした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
333 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:55:00 qLkNzrF6
四５６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それで大まかなところは把握できたので、やらない夫はこれからの事に目を向けた。
　　何はなくとも妖術師の行動を制限する必要があるだろう、と指を立てて提案すると、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　「………そうだ、エル。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 i　!　　|　 （●）（●）　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　　　 妖術師については国王様にご報告して 　 　 　 　 　 　 　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　|
　　　 大陸東部に限らず全域で注意をするよう　　　　　　　　　　　 　 l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　 各国に展開してもらった方が良いんじゃないか？」　　 　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .　- －＝－- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　.　: ´　　　　 　 　 　 　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　/　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ',
　　　　　　　　　　 　 　 　 j　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ',
　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　ｉ | !　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　 .:　　　　　 {｛彡イノノノ ハソ ﾊ　　i
　　　　 　 　 　 　 　 　 {　 　 {　　 从////////ﾊィ//ﾊリ　}
　　　　　　　 　 　 　 　 i　 　 乂У　∨/////／∨////ソﾉ
　　　　 　 　 　 　 　 　 乂 　 　い　Ｙ ｀ー "´　　 ∨/ｲ′
　　　　　　　　　　　　　 彡　　　Ｙ从ミ 　 　 　 　'"´ ７
　　　　　　　　　　　　　　八　　　ミ、　 　 　 ⊂ﾆ7　/ﾐ　　　　　　　　　「むっ？
　　　　　　　　　　　　　　い　　　У ヽ　　　　 ｰ　 /ﾊ
　　　　　　　　　　　 　 　 ゞ＝=ﾘﾉ､、　 ＞ 、　　 /ﾉ　　　　　　　　　　　何か情報を持っているのか？」
　　　　　　　　　　　　 　 /:::::::::/:.:.:.:.:.:.≧ｘ､、_￣彡､、
　　　　 　 　 　 　 　 　 /:::::::::/:.:/　　｀ '･＜: : |!:.:.:.:|:.:.|
　　_ ...... _　　　　 .．＜｀::::::､/:.:/ ☆ ☆ ☆　〉:|!.:.:.:.|:.:.|
／::::::::::::: ｀Y￣｀ヾ::::::::::::::／:.｀:.:.＞ ．　　　/:.:.|!:.:.:.:|.:..|､、_ 　 　 ＿



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　ティターンズの黒ローブについては、殆ど情報を得られていなかった国王が身を乗り出した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
334 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:56:00 qLkNzrF6
四５７．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　これから戦いに赴くと言うのに、
　　自分達が負けた場合の事、
　　ライトを取り逃がした場合の事まで視野に入れている。

　　絶対に負けも犠牲も許さないと言わんばかりの入念な事前準備と
　　負けた場合でも妖術師の好きにはさせないと言ってのける二面性を感じ取り、
　　これが英雄か、とエルの背筋を緊張に似たものが突き抜けた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ﾊ ::.:.::!　V　/　 ＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　「なるほど。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　 ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　 これまで証拠という証拠を残さず　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト ､::丶、
　 足取りや目撃者も殆ど残さなかった奴ですが、　 　　 　 　　 　 　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　 　 　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　|/l:ハ　　 ､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　 各国から手配され危険指定される事で　　　　　　　　　　　　 　 ノ ﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　 多少なりとも行動の制限が出来るかも知れませんね」　　　　　　 　 　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ ヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　（………ですがやらない夫、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　 ヽ __,,.　'´　　　　　 ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　あなた自身の欲求が希薄すぎる事が、私は心配です）　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　 ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　 ／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　 ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 ヽ　 ＼　　 ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　 ﾉ /　 ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､ 　 ＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､



―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　究極のところでは自分を駒にする事も厭わないと言うのだ。
　　なんと言う理念、なんと言う意思か。

　　であれば、先程の心配も杞憂に過ぎないだろう。
　　少なくとも力に魅入られてやらない夫が堕ちる事はないと信じる事が出来る。
　　―――たとえ新たな心配が、芽生えたとしても。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
335 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:57:01 qLkNzrF6
四５８．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もちろんライトに対する包囲網については、エルもこれまで何度か考えたことがあるが、
　　一介のハーフ・エルフが危険を告げたところで国などの巨大組織が動いてくれるはずもない。

　　実行できるのはローゼンの英雄と言う繋ぎ役と、聞く耳を持つ一国の助力があってのことだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）
.　|　　　　 （__人__）　　　　　ﾎﾟﾘﾓｰﾌ･ｾﾙﾌ
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　「自己変化の魔法を使えるのであれば
.　 |　　　 　　　　 }　　　　　どこまで有効かは分からないが、
.　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　ぽっと出の大魔導師級ともなれば必ず目立つだろう」
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



　　　／　　　　　 　,_, 　 　　　　　　　　 　 ',
　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　 l　　　 　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　 　｀ヽi　　　l
　　 l　 　 i　, ノ ﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　 ヽ
　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）　　　　　「なにやらそなたらにも事情があるようだな。
　　 ヽ、ヽ ｀ ､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _　　　　　 良かろう、その件は私に任せてもらいたい」
　　　　 　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　 ）
　　　　　　 ｀ｦ.　 ＼　　　 　 ／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　 ﾞｰ ' ´く
ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
.　　　　　 └
336 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:58:00 qLkNzrF6
四５９．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　自分は殆ど口を挟まず、だだ彼らのやり取りを黙ってみていたハマーンは
　　感嘆の吐息を人知れず漏らしていた。
　　やはり冒険者の知識や見聞の広さ、柔軟な発想力は侮れない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　 _.,..､:-:─:-..､、
　　　　 　 　 　 ／:::::::::::::::::::::::::.:::｀:ヽ.
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:､
　　　　　　,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
.　 　 　 /::::::::::::::::::::::ﾍノ!::::|::::::!::::::|:::!:::}:::i:::::}
　　　　/:::::::::::::::::::::::::::厂 ≧rx|::::::j:/:ｲ:ノﾉ:ｲ
　　 ／:::::::::i:::::::::{こj::::i　弋ｹﾆゞ､イｲｦイ:::::::＼
　／:::::::::::::i!:::::::::じｲ::::|　　　　　　｛　　/::::ヽ::::::＼
　＼:;ｲ::::::i!|::::::::: ゝｊ:::::!　　　　　 　ゝ /:::::!:.::ヽ:::::::::>
　　　'＜::il:|:::::::::::::;:!::::ｊ 　 　　ー－ , ′::::!::::::::ﾄ／
　　　　　ヽi;;;;;;;;;;;;;j'"´　＼　　　 ／::::|::::::＞'"´　　　　　　　（冒険者、か―――）
　　,.､rｰへへ/´;;＼ 　 　 　トﾆ´_＿"´
／´￣｀ヽ;;;;＼＼;;;;;;;;｀ヽ、　!＼;;＼;;;＼__
;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;｀ヽ､__>;;;;ヽ;;;;ト;;｀ヽ、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ::::l;;;;ヽ;;;;;｀;,,､
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;ー───''"/;;;;;i!;;;;;;;｝;;;;;;;;;;;＼
γ;;⌒ヽｲ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;｀＼;;;;;;;;;／;;;;;丿;;;イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
´￣｀ヽ;;;;＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀＼;;;;;;;￣;;;;;;;／／;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j



―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　昔からそう思っており、だからこそ夫が冒険者のふりをして
　　酒場に行ったりするのを黙認していたのだが
　　今日この四人を―――そしてローゼン女王の言う少年を―――見たことで、
　　ますますその思いは確固たる物になっている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
337 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 21:59:01 qLkNzrF6
四６０．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　いっそ母国のように冒険者を養成する学校を作るのも悪くない、
　　そんな事を彼女が考えたところで扉がノックされた。
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　＜ｺﾝｺﾝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.:- ' ￢ ─ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠´　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ　　　　　　～ヽ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　ヽ　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ λi_λ_(_ﾉ!_ﾉ__火,　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　　i'ta:、　ｲtｦフ' | 　　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「入って良いぞ」 　　　　　／/　　| .ﾌ　　　″　 | | γ　　　 ＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 　　< ノ 　　 ゝヾ___　　　　|i.レ'　 　 　 　 ＼　ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ ﾉ i ヾ!ヽ　　　_　　|i.| ﾉ 　　　　　＼／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`'-、ﾉ　 `- ┐　　 ﾉﾉ/ 　ﾊ　　_,／´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'-ﾉ,_/.　|　　　ヽ　ﾉ/ル-"＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／´￣ヽ｀フ　　　　／/　ヽヽ＼　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　ヽ＼＼ﾍ 　 ／　/ 　　｝ ∧ ＼ 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　＼＼｀￣´　／ 　　/ /　｝　 ヽ 　 ',



:::::::::::::＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_:::::
::::::::::::|＼＼　　　　　　　　.|:::::::::::::::::::::::::::::::: |::::
::::::::::::|:::::＼＼　　　　　　　! :::l￣￣￣￣|:::::|::::
::::::::::::|:::,､::::＼＼　　　　　 |:::::|:::::::::::::::::::::|:::::|::::
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::::::::::::|:::||:::::＼:::::|lll|　　 　 |:::::|:＜　　失礼いたします！
::::::::::::|:::||::::::::::|::::|lll|　　 　 |:::::|:　 ＼＿＿＿＿＿＿＿＿
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::::::::::::|:::||::::::::::|::::|lll|　　 　 |:::::|＿＿＿___|:::::|::::
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￣ ￣:＼:::＼::|::::|lll|　 　 　 ￣￣￣￣￣￣￣
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:::::::::::::::::::::::::::::＼|lll|　　　　　　 ::::::::::::::::::::::::::::::
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338 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:00:00 qLkNzrF6
四６１．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　戸口で最敬礼をしてから並んで入ってきたのはアグリアスとブライトの二人で、
　　数歩室内に入ったところで踵を揃えた彼女は
　　待ちに待った情報が届きました、と持っていた書簡を胸の前に差し出す。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　-──-　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　／　　　　　　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　/　　　　　　 　 　　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ﾊ　 　 　 　 ､ 　 　 l　 l:...|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l:l＼ 　 　 ヽ　ヽ 　 .l　 l:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l:l 　 ＼,. イ　　 l　　}　ﾉ:人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ！ﾐ　 ´i::ﾉ人　 　V⌒).イ｀ヽ＼
　　「盗賊ギルドより、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ:l　 　 　　 ';　 l _ノミﾐﾐヽ.: .ヽ＼
　　 ティターンズの本拠地が判明したと　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,.小　__ 　 　ﾉ　「_⊥ミﾐ:ミﾐヽﾉ. :人
　　 報告がありました！」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　}　ヽ __,. イ　 /.:.:.:.:.:.ﾄミﾐヽ彡'.:.ﾉﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　/　　.:::::ﾉ/　 /.:.:.:.:.:.:人ミ辷彡'ﾉﾉﾊﾊヽ,. -─- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/ 　,. ィ´/　／.:;.ｨ´／ /´ ￣￣｀`ヽ彡'ﾉﾉ´ ￣｀ `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 　 /　/　／/　/ イ.::://:/　 /　　　　　　　 ヽ￣｀`ヽミミﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　/　/ ./　/ __」 ｲ/:::′./　　　　　 　 　　 j　　　　`ミﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l/′/ / ／　　　 ｛::::l　/　　　　　　 　 　／`ヽ　　　　ヽﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｛　1　´ 　 　 　　 ヽ:ヽ＼　/`ｰ-----‐'　　　j!　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　Vハ　　　 　 　　　 ＼＼＼ヽ　　　 　__ ,.. イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 い::ヽ　　　_ ＿ _ 　　　 爪　ミｰ __--‐‐イ{L_



　　　　　　　　　　　　　　　￣　 　 ､_
　　　 　 　 　 ´　　　　 __....--‐'''"´: :＼
　　　　 　 _/_....-一'''".／ : : : : : : : : ／ヽ
　　,.ｘ‐て/: : : : : : : ／ : : : : : : : : ／: : : :ヽ
　/::,;:/そ|_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_|
./:/V　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.V.　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!　　　　「来たか！」
.　　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
　　:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
　　ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
339 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:01:02 qLkNzrF6
四６２．



　　　　　　　　　　　 ,　--- ､
　　　　　　　,. -一'´　　　 　 ｀ヽ、_
　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　｀＼
　　　　 r'´　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ
　　 　 ﾉ　 ,.ヘ、　　　,. ‐'＾ヽ､ 　 　 　 　 l
　 　 （.　 / 　 /'l,ｨi ´　　　 　 ゝ　　　 　 |
　　　ﾉ　,'　　 |l |l ＼､　　　　　ヽ　　　　 ヽ
　　 （　 |　 　 l' ヽ、 `'ｰ　　 ＿（　　　　　 }
　　　ヽ. |´`==｡､　　ー=＝'｡､　 } ,r‐､　　ﾉ
　 　 　 ）|.　　　 }　　　　　　　　{ {,r‐.|　〈
.　　　　ヽ|　 　 ﾉ　　　　　　　　 } } ;,ﾘ　 ﾉ　　　　　「報告によれば、彼奴等の根城はグラナダより南西、
.　　 　 　 |　 　!._　　　　　　　　ﾙ'_ノ <´　　　　　　ダカールの丘から見て北にあるとの事です！」
　　　　　　ｌ.　　｀＿＿　　 　 　 　 |_,r'´
　　　　　　 l　　 ヽﾆﾆ二)　　　　　|
　　 　 　 　 ヽ　　 ー　　　　／ 　 |
　　　　　　　　ヽ. 　 　 _, ‐'´　　＿|、
　　　　　　　　　｢l`T ｢￣￣￣　 　 |
　　　　　　　　　|.||￣|　　　　　　　│



――――――――――――――――――――――――――――――
　　急ごしらえの砦のような物も確認されたそうですと忌々しげな報告に、
　　魔獣や妖魔なども徘徊する危険地域の中と知って国王は驚いた。
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　 　,_, 　 　　　　　　　　 　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　 　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　 　｀ヽi　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 　 i　, ノ ﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あのような辺境に―――　　　　　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 いや、大地の祭壇の近くを　　　 　　 ヽ、ヽ ｀ ､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 あえて選んだのか？」　　　　　　 　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　 ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｦ.　 ＼　　　 　 ／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　 ﾞｰ ' ´く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 └
340 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:02:00 qLkNzrF6
四６３．



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）
.　|　　　　 （__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　「グラナダからはどのぐらい離れているのですか？」
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そう言って道具入れからエゥーゴの地図を取り出しテーブルに広げると、
　　のぞき込んだ王妃が指したのはアンマンとオーガスタの中間のあたり。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.:- ' ￢ ─ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠´　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ　　　　　　～ヽ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　ヽ　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ λi_λ_(_ﾉ!_ﾉ__火,　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　　i'ta:、　ｲtｦフ' | 　　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　| .ﾌ　　　″　 | | γ　　　 ＼　＼
　　　　　　　　　　　「街道があるわけはない、　　　　　　　 . 　 　　< ノ 　　 ゝヾ___　　　　|i.レ'　 　 　 　 ＼　ゝ
　　　　　　　　　　　 徒歩で急いでも五日はかかるだろう」　　　　　ヾ ﾉ i ヾ!ヽ　　　_　　|i.| ﾉ 　　　　　＼／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`'-、ﾉ　 `- ┐　　 ﾉﾉ/ 　ﾊ　　_,／´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'-ﾉ,_/.　|　　　ヽ　ﾉ/ル-"＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／´￣ヽ｀フ　　　　／/　ヽヽ＼　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　ヽ＼＼ﾍ 　 ／　/ 　　｝ ∧ ＼ 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　＼＼｀￣´　／ 　　/ /　｝　 ヽ 　 ',
341 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:03:00 qLkNzrF6
四６４．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　人の行き交う比較的安全な地域から、大きく外れた丘陵地帯のど真ん中だった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　　ΛΛ
　　　 　 ：：：：：：：：：.┌───────┐：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　　／ΛΛΛ
　　：：：：：：：：：：：：：.│　タオ砂漠　　　...│：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　/　　　　　　　ヽ
　：：：：：：：：：：：：：： └───────┘：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　/　　　　　　　　　|
　：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：＿＿＿＿＿＿＿＿/　×ソロモン　　 |　 .
　：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：ーーーーーーーーーーー” .┌─────────┐　　　　　　|
　：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　×ニューホンコン　　　　　│　エゥーゴ王国　　 　 .│.　 　 　 　 |
　：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 └─────────┘ 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　|
　　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　グリーンノア平原　 　　　＿=================================
┌─────┐＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝￣　　　　　アクシズ大河　　　　　 　 　 　 |
│フリート　　 .│　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
│神聖王国　 │　|　　　　　　　　　×王都グラナダ　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ゼダン×|ー
└─────┘ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |
　　　　　　　＿＿ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　 　 　　 ＼×オーガスタ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 N　　　　　　　/
　　　　　　　 　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Δ　　　　　　/
　 　　 　 　 　 　 /.　　 ☆ティターンズ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 │　　　　 ／　　　.
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　 　 　 　 アンマン　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ─┼─　　 |
ーーーーーー┴ー-..、凸ダカールの丘　　 　 　 ×　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　｜
┌───────┐..、　　　　 　 　 ＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 │　　　ﾉ　＿＿＿
│ローンデルギア .│　）''''"丶---‐''　　　' ､＿..-..＿＿＿_＿＿＿___....-....＿＿＿＿＿__..-
│　　大湿原　　　 .│／　　　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　　　　　　/
└───────┘　　　　　　　　　マリアンデール 　 　 　 　 　 　 　 _..ﾉ
　　　　　　　　　　 ./
342 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:04:00 qLkNzrF6
四６５．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　やっかいな場所に、と目を閉じたやらない夫はどれだけ時間を短縮して、
　　かつ消耗の少ない移動が出来るかの検討を始める。

　　しかし。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ー）（ー）
.　|　　　　 （__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　「馬や馬車で急ぐ事も出来ないか」
.　 |　　　　　　　ｎｌ^l^l
　 ヽ　　　　　 |　　 ﾉ　　　　　（霊薬の手持ちも多くない、
　　 ヽ　　　　ヽ　く　　　　　　 いつかの手も難しいな………）
　　　/　　　　　ヽ　＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/y　　　　　　　 _　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r''´Xﾒ})　／　／　　／　　　　　　　　　　 ＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./ /(/┘ ./　 /　　／　ノ　 /　　　　　　　　　 X糸
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　|　// ./　 /　／ - ´　 ／　/　/　　　　　 |　≧┤ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　//　 /　 ./　/　　　 ／　　/　/　､　|　　　ﾉ／KZソア
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |/　 ./　 ./／　　 ／　　／/ ./　 ﾄ/ |　　 ≦xくノ|lハﾀ)､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/　//　　/　　　／/　　/､ ﾉ　 / /|　|| /　 XK＜ニﾐ彡　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |/|　 / |　 ／　/　／ / ｀'-/､_//　/　 / /ヾーﾐﾃン　　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |／|/|／|　ﾚ´アミゝく　./ﾐ=､＿ /ヽ| /　 / /　／　|　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|li　ﾚ　|　K薔>ｲﾏ　　 ｲﾃ￣ﾟミ､/　 ／ /　/　/ .　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |　|l　|　|　ト=ｹソ　　　　廴oﾟソ/ .／　 /　/　/　 /　　.,'´
　　　　「直線距離を徒歩、しかないね」　　　 　 .i | ..|　|　i　 K´ ｀　ヽ　　　　￣／　/　 /／　/　/　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ| 　 |　|　 |(ヽ　 ､ _　　　　　 フ´/　.//　　　 /　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/　 i　 i　 |)(i.＼　' ｀　　　／/ /　./　　　　/　　/　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　il　　　　|　| ) ilﾊ､>.- ‐＜仝/ /　./　　　　　　 /　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 ｝|　|ﾒ )､,(⌒)､,/⌒ / /　./　　　　　　 /　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| -―´/|　|-､　,- ､　　,､ /　　 /　｀'''- ､_ﾉ　/　　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　ゝ i｀-´｀-´｀-´｀/　　 /　　　　　 ヽ　　　　　 i



――――――――――――――――――――――――――――――
　　雪華綺晶とやらない夫の二人だけ飛行の魔法で先行したとしても、
　　長時間の飛行は消耗も大きいし戦力の低下が大きすぎる。
　　さらには飛行の魔法は基本、自分一人しか支えられないため
　　エルやコナタを連れて飛ぶ事も難しい。

　　かと言って二人に魔符を使わせて自力で飛行させたとしても、
　　慣れていないので呪力の制御もおぼつかないだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――
343 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:05:03 qLkNzrF6
四６６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　長距離の転位を可能とする妖術師は、おそらくすでに六つの宝具を本拠地に集めているに違いない。

　　時間的不利は覆せそうにない、と厳しい表情を浮かべたやらない夫は
　　ならばどうするべきかを決めるため相手の傾向を探ろうと考えた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／ ヽ､.　_ノ　＼
　　　　　　　|　 （●）（●）　|
　　　　　　　|　　（__人__）　｜　　　　　　　　　　　　　「エル。
　 　 　 　 　 |　　 ｀ ⌒´　　|　　　　　　　　 　 　 　 　 これまで、妖術師は―――ライト＝ヤガミは、
　　　　　　　 |　　　　　　 　}　　　　　　　　　　　　　　 目撃者などを残していたか？」
　　　　　　　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　　　人＿__＿_ノ"⌒ヽ
　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　/ 　　　　　　　　　　 へ　　＼
　　　　 （　　ヽγ⌒)　　　　　| 　＼ 　 ＼
　￣￣￣＼＿＿／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　｛;;;;;;;｝
　　　　　　　　　　　 L;;;;」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ﾊ ::.:.::!　V　/　 ＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　 ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　「いいえ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト ､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　 　 　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　 殆どの場合、協力者や目撃者、　　　　　　　　 　 　 　 　　　|/l:ハ　　 ､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　 証拠を全て隠滅して　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　 　 ノ ﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　 足取りを途絶えさせておりまして………」　　　　　　　　　　　 　 　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ ヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　 ヽ __,,.　'´　　　　　 ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　 ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　 ／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　 ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 ヽ　 ＼　　 ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　 ﾉ /　 ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､ 　 ＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､
344 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:06:05 qLkNzrF6
四６７．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　運良く生き残った者がまれに居る程度です、と自分とコナタとを暗に指したエルの言葉は
　　これ以上ないぐらい無力感に溢れ、そして乾いている。
　　それは幾度となく妖術師の爪痕を目の当たりにし、心を痛めているのがありありと伝わってくる
　　悲鳴にも近しい声だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　 ／ ￣￣＼
　　／　　　 　 ノ ヽ
　　|:::::: 　 　　（● ）
.　　|:::::::::::　　　（__人）　　 「………となると、目指すは祭壇だな。
　　 |::::::::::::::　　　⌒ﾉ
.　　 |::::::::::::::　　　　}　　　　残念ながらティターンズを
.　　 ヽ:::::::::::::: 　　 }　　　　 正式な裁きの場へ出すことは難しいようだ」
　　　 ヽ::::::::::　　ノ
　　　　/:::::::::::: く
　　　　|:::::::::::::: 　|
　　 　 |:::::::::::::::|　|



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それでやらない夫も理解させられた。
　　相手の目的である全ての証が揃った以上、移動の遅れは致命的なのだ、と。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. ''"｀`ヾ:、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r:､,,...-..-.. ､ノ'′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. _-|: :.:.::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'′/｜ ,{　　. .:ヾ!:::::::::::::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:;!:l:::ハt:､:::::::::ﾞ;::.:. . .　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l:/|::V　 ﾞ{ヾ::::::|､:ｌ:::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'　Ｖﾘ　芯 ﾄ;::::!-;|::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（それって………　　　　　　　　　　　〈　、　|::∨ノ`::::::::::ｉl
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　` ｰr|:::':ﾊ::::::l:::::::::{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 盗賊達もあいつからは　 　　 　 　 　 　 l::!:;'/'^､::::l:::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 守りたかったって事？）　　　　　　 　 　 l:;l:;/彡=ヾ::i::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /'/〃　　　l::ｌ:::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ彡' ,j 　 　 !〉!::!:::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 〃'｀、　}　　　 l'::l:::i::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |　 ,l　 l.　　　 |:::!:::l::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾚ'|／　 l　　 　 !:::!::::l::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /`iー!　　 　 !::l:::::ｌ::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 　 /　,′|　　　　Ｎ::::::!:::::!
345 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:07:03 qLkNzrF6
四６８．



　　　　　　　　　　||: :|: :'.　　　　　　　　 /!::::::::ヽ
　　　　　　　　　　ﾘ', |:|: :ヽ　 -―-　　/:::::::::x:ヽ:＼
　　　　　　　　 　 '　ヾ.!}: :|.>､. ￣　.／:::l::::::/,ヾfﾍ::|
　　　　　　　　　　　　　ﾘﾒ! 　 .￣::::::::::::::',::|､ﾘ､ ヾ/
　　　　　　　　　　　ｨ､―'　　　`:::::::::/::::::'ヾゝ､_
　　　　　　 _,,-‐'' ´　ヽ`　､.　 ゝ:::::::' ,彡'´ ﾝ 　 ｀`ｰ-､_
　　　　ｨ'.´　　　　　　　｀.ﾄ ､ ＿＿　x≠ '´　　　　　　　｀ヽ
.　　　 ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　/ｧ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　 .|
　　　|, ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　ｼ　 ..::!
　　　|　＼ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/,' ::::'' |
　　　|　　 ＼｝　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::　ｼ´ ::::::::::::!
　　　{　　　　{　　　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::!　　　　　「全ての証が奪われた今、
　　　|　 　 　 }　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::|　　　　　 確かにティターンズが皆殺しにされる
　　　{　　 ::　 ﾄ､　　　,　..::::　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!　　　　　 可能性は濃厚です。
.　 　 }::.　.::　 :: |::::::::'´ ''::::'´　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
.　　　}　　　　 ::|　..::::　　::'　　　..:::::::::::::::::::::::::::::::::::;､::::::::::::::::::::!　　　　　 急いで間に合う距離でもありません、
.　　　|_,ノ　　／'' '' ,　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　!::::::::::::::::::|　　　　　 であればおそらく何らかの儀式をするであろう
.　　 〈 ン　 ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　ノ:::::::::::::::::::!　　　　　 祭壇を目指すべきですね」
　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!　ヾ:::::::::::::::::ﾘ
　　 ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!　ﾉ:::::::::::::::::::|
.　　|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|　|:::::::::::::::::::::!
　　{':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾘ }':::::::::::::::::::::}
.　　|,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| /::::::::::::::::::::/
　　ﾘ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!':::::::::::::::::::::,'
.　 {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　'.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｿ
　　 ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::f‐'
　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　六分の一と言えど、長期に渡って錫杖を持っていた領主がその力を知らなかった以上、
　　六つ集めたところでいきなり何かが起こるとも思えない。

　　つまりどのぐらい時間がかかるかまでは分からないが、何らかの儀式なり準備をする必要があるはず。
　　そしてそれは、神託がなされた大地の祭壇で行われる可能性が高い。

　　―――と言うより、彼らには他に向かうべき選択肢が無かった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
346 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:08:01 qLkNzrF6
四６９．



　　 　 _＞yえ}ﾄｖ^ー　　　 　　　　 　 　　 　 　　　｀丶へv七たﾍﾞ
　　 　 》ゞそヅ/　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　　＼乂v匕人
　 　　＾｝乂=ｧ'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 Y^＞=ﾍ V
　 _＿_ﾉ/7 /.′ 　　　　 　|　l|　l　　 |! i　　 |　!| 　 　 　 　{　　 　 ) ）
((´~7￣/ /　　 　　 |　ｌ |　|　l|　l　 　|! |　|　|　!| 　ｌ　　　　| 　 　 ( (＿_
_)} ./　/　′　 　 　 |　| |　|　l|　|((⌒|! |　|　|　!| 　|　　　　l　　　 ｝｀￣)）
.　/　/　 |　　ｌ 　 　 |　| |　|　l|　| ｀)l |! |　|　|　!| 　l/　 　　}　　　ﾊ　　´
　l!　｛ 　 ! 　 |　 _　 |　| |　|　l|　レ'/ |! |　|　|　!|　/! 　 　　ｌ　　/　|
　｝　 Ｖ　|　　|ﾍ｀}!　|　|_l_⊥斗 ﾍくi　|! ト┼- ､!| / !　　　　|　 /　 |　　　　　　「その時………
　 ＼　ヽ.| 　 | ∧ゞ==く rｯ7そト〉{　 　 ｨfﾗ冬圷　/ ./ ″　!　{. 　 |　　　　　　 キル夫はどうなる、の？」
　　　）　∧　 ＼∧　　 》ゞト=ン^〈　　 　弋 ぅﾂ´′/ / 　 八　＼人
　　 /　/ ∧　　 Ｖ） ＿ﾉ!ーv__ゾ´　　　　　　　/ /.|　l!　 / ∧　　＼＼
.　 /　/　　 }　 　 ﾚ'ﾉ´~ 丶　　　　_'._　 　 　 イj |　|　l!　｛　　ﾊ　 　 ヽ ）
　/　/　　 /　 　 ﾉ＾　/　　 ＞　　 ´｀　　＜=ﾍﾞ} |　|　l! 　 ＼　ｌ　　　 |(
ノ　/　　 /　　 （ 　 ./　 r=くｘﾍ ト=ー=ヘ人 　 | l　|　l! 　 　 ヽｌ 　 　 | ＼
　 /　　 ∧　　　｀ヽ′ ノ　 ｨ^ー～v-～ yへｖﾉ j　|　|!　 　 　 ｌ 　 　 |　　）



―――――――――――――――――――――――――――――
　　協力者や目撃者が消されてしまうのなら、
　　洗脳され手駒にされているキル夫も含まれてしまうのか。

　　そんな事、考えたくないよと首を振る雪華綺晶であったが、
　　どう考えても楽観的な材料が無かったエルは判断を保留する。
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' i l::::::入:::::::､:::::::ヽ::::::::ヾ ::',:::ミﾆ-､_::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /,i! l:::ン　ヽﾐ::::iヽﾐ::::､:::::::::ヽ::',:',::::`ｰ-`:.､::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 iｿl|.／ 　 　 　`ﾞ'､｀ ヾ::::ヽ:::::::'::',!',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 　 　l!. l!ヽ､_　ー　　　 ヽ　＼':,ヾ:::::::'!i'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　!　'i!; l|!ﾞi　　　　　　　　　ﾞ'ｬ,＼､:::::::::::::i::::::ｬ::ヾ､:::::: ／／
　　　　　　　　　　「………分かりません。　　　　　　　　　　　　　　li､ l!:i　　　　　　　　　　 ヽ `ﾞYi:::::::ili:::::i',ヾi;,'／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　ﾞ!ヽ::`ｬ-⊆＝ｯ-　　　　　　　i:!;:::::i! ',:::l ' ,Y ／
　　　　　　　　　　 手駒として残しておくか、　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､,ﾍ ｧ'｀ 　 　　　　　　　 l!';::::i　 ｿ! /!
　　　　　　　　　　 用済みとして処分してしまうかは」 　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　 ﾝ'i:ﾘ　 ﾘ'/!i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　_,.-'"'　ｿ 　 '/ｉｌ ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 　 　　 ｌ　　　　　 _,_'"::::　　　ﾞ ,r ' ￣　　` ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　ヽ､＿_､ｼ'ﾞ'"ﾏTﾐヽ　／　　　　　　　　 `ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　 　　　　　　　　　　　ヽ ヽｿ
347 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:09:00 qLkNzrF6
四７０．



　　　　　　　 　 　 　 ,..::;ﾆ＝-､
　　　　　 　 　 　 　 i::/　　 　 、
　　　　　　　　　　　,ゞｰ--‐::':::|,..-;:ァ
　　　　　　　　　／:::::::::::::::;::::::::!::::::｀丶、
　　　　　　　　/::/::::::::::/:/|;:::::;!i::i::::::....､ヽ
　　　 　 　 　 l:/::;'::::'オ/|::|:::/:廾!::::::::::ﾞ:.ヾ:、
　　　　　　　 ,!,イ:::::/ !':|:l::l::/::::::lﾊ:::::|;;::::l
　　 　 　 　 /i:::::!::/ｉTﾆT::,!;':::ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
　　　 　 　 　 !:（|:'!::l::ﾟ‐':::/:::::::ﾟ‐：!:}::!　 ﾞ!
　　　 　 　 　 |::::M::::!､　 　_ 　 .ィ:i!ﾘ
　　　 　 　 　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::|　　　　　　「ちょっと寄り道すれば奴らの砦だよ。
　　　 　 　 　 !::::|x<!:l　 |―|　,l:::|:::!　　　　　　 行ってみないの？」
　　　　　　　 l::::::;!ヾｌ:ﾄﾐヾ、l〃!:ハ:|
　　　　　 　 ,':::::::|　 ヾ＞ﾐV∠}′ i|
　　 　 　 　 l::::::::{　,r=-=ニＬ._〉,ノ l|
　　　　　　 ,!:::::::::l　　　 　 |l!l!|´ 　 |!
　　　　　　 !:::::::::::ﾄ、　　　|＜　＿/:|
　　　 　 　 !::::::::::::ﾞ7ー イ丁´「 〈::::::|
　　　 　 　 l::::::::::::/　l　 |　|　 l　ﾞ､::::|
　　　　　　 l::::::::::/　l. 　|　 |　 l　 ﾞ､:|



―――――――――――――――――――――――――
　　可能性は必ずしもゼロじゃないよ、と
　　その選択を選んでも文句を言うつもりの無いコナタも
　　以前のような硬い表情になってしまっている。

　　その場の全ての視線を一身に受けるやらない夫は
　　困った様子でバンダナを触ること、暫し―――
―――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ 〉´.,,,,,-----,,,,...ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／ ／_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
　　　　「………難しい。　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !
　　　　 ただ、今から根城に急いだところで　　 .　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　　　 間に合うとも思えない。　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_
　　　　 経由して祭壇に向かうと、　　　　　　　　　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
　　　　 儀式を防げない恐れもある」　　　　　　 .　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もう一度、現在得ている全ての情報と自分達の目的とを一塊にして、
　　優先度の高い順番から並べ現状を加味して、思う。

　　一番恐ろしいのは、儀式を終えた妖術師が宝具ごと行方をくらませてしまう事だ。
　　それだけは約束を守るためになんとしてでも避けなければならない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
348 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:11:00 qLkNzrF6
四７１．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.r-､_,, - ''´￣￣｀`'-､,　_,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〆´__t=lニﾆ　　　　￣｀`'ｰ l　.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l __,,fゝ }==-　　　　　--==--r-,　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 /　　　i　,　　　　､　　 　 i`ｰ'l　 li
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l ./ |　i i　l i　l i　　l l　.li　l i　 |､l　l .l､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ./　l .l ll l l 　l　l　 l .l　l l　l i　/l l　l/. }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾉl 7 ll　 l l.l l l　_!_ l ((l　l .l l　l/ i　 l　l　λ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　７λli　 ` i lヽli.ﾉr-. ､=l))l .l　l l / ./　l iλ .| `ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　/ i　l l　　 i l　lく　ﾚ`　r′lⅥ V7l l　 l　li 入乂　 l
　「キル夫がまだ手駒にされている可能性を祈って、　　　 /　　l/ヽヽ　.! i (( F､,,i_/　'　　　ヽ{li　l.i　λ .|ヽ｀l　l
　 祭壇に直行するのが一番、か………」　　　　　　　 　　l　 ,　 l　 i　l　lヽ! !l.ゝ､ 　　-　　,,ｲll./､.l.i　　 i　 i .l .入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　　l　l　　l__l　l }　i i┌＞- , イ´└l　{./ }　r-,　.l l　 　｀ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　λ　　i .l､　入'´|Ⅵ λ､_）　 つ　　 7l l / l-z,) !､ .l ヽ　　l　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..7　`　.7 l ../　　 フ / .l lｰz )´乙__凡＼ll .l　　 .ハλ l　　l　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　.Y　　　 {.! l__.l l／´ 　 ＼ .| .| .l }　}　　　/ 入.　 .l　 .l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　＼.＼-､...._i .y L ＞i_f‐ｧ＜ ,l､_f// /____ ./ ;　　l　　l　　l



―――――――――――――――――――――――――
　　間が開いて、冷静に考えてみた雪華綺晶とて分かる。
　　何を選び、何を捨てなければならない時なのか。
―――――――――――――――――――――――――



　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ー）（ー
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ　　　　　　　　　　　（それに………）
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　判断材料として皆には言えなかったが、先の戦闘に於いて自分はコナタを護る為に窮地に陥った。
　　それを相手が見ていた以上、自分達への人質としてキル夫を残しておく可能性が高いのでは。

　　勝った相手がそれを思うかは微妙だが儀式の最中の護衛は少なくとも必要だろう、
　　だからキル夫は最後の時まで無事だとやらない夫は考えている。

　　―――そう信じたかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
349 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:12:00 qLkNzrF6
四７２．
―――――――――――――――――――――
　　その時。
　　一歩前に出たアグリアスとブライトが言った。
―――――――――――――――――――――



　　　　　 / 　fｌ 　 / |l　　　/|| ! 　＼＼　　 ﾊ
　　　　　 | 　 |l 　/　|l　　/　|リ　　　＼＼ 　}}
　　　　　 | 　 |　/　/|　　　　|　　　　 　 ヽﾐVl}
　　　　　 ｌ 　 |ｌ/　/^|　　　　｢￣¨¨"''　　''¨}lﾘ
　　　　　 V 　/　/　:|　　　　|　｢|｢｢`　　　ﾘ｢
　　　　　 ∧V　人_.,｣　　　　|: 　じ　　　　゛{
　　　　　_{ {ﾐ`─---|　　　　| 　 　 　 　 　 |
　　　　 { ＼＼＿＿_|:　　 　ﾊ　 　 　 　 　 ﾊ
　　 　こ＼　＼　〔77|　　　　 ',　　 　 ‐　,ｲ　!
　 　 =─‐==ﾆﾆﾐ〕/∧　　　　∧r‐rr-イ　!　|　　　　　「国王様！
　　　　　　　 　 　 ヽ¨ヽ,　 　 　 V》》 　|　 l　|
　 　 　 　 　 　 　 　 }　 }　 　 　 ∨{,　 | 　|　|　　　　　 どうか私達に、彼らと共に行く許可を！」
　 　 　 　 　 　 　 　 | 　l　　　　　 Vミx|　 |l　l
　 　 　 　 　 　 　 　 | 　|l､　　　　　V､ | 　 |　ｌ
　 　 　 　 　 　 　 　 |　ﾉ∧　　 　 　 V,| 　 |l　|
　 　 　 　 　 　 　 　 |///,∧.　　　　　Vｌ 　 |　l
　　 　￣¨'''￢=‐-　//////A　　 　 　 Vl　 |l　|



　　　　　　　　　　　,.-―-- .,_ 　 _
　　　　　 ,----‐ '´　　　　　　｀´　｀ヽ
　　 　 　 !　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　i　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　 ／　　　　　　　 ,.-.､r.､　　　 　 　 　 ',
　　r'´　　　　　　 ,. '"　　　　｀''‐.､　　,.､　　l
　　ヽ　　　　　　/　　　　　　　　ノiヾ´　ヽ　 ',
　　　';　　　　　 'ri　,.-- ､,,＿　´　! l'　　 i 　 i
　　 /　　　r-､　 {.　 　 -t;;ｪ-"ヽ　 ,.-_--､! /
　　 ヽ　　 i "i i　l　　　　　　　　　 |. 'ｰ'` .i ﾉ
　　　 ヽ　 ', r' i　|　　　　　　　　　 i　　　l.i
　　　　 ',.　ヾｰl　l　　　　　　　　　 ,ゝ　 .l,'
　　　　　ヽ､ `!ヽ !　　　　　　 ＿_ 　 　 ;'　　　　　「すでに多くの騎士や衛兵が、彼らへの協力を希望しております。
　　 　 　 　 ｀!　 ヾ　　　　　　 ,,,,, ｀　 /　　　　　　私の隊だけではなく、他の隊からもです」
　　　　　,.-_､|　　'; ＼　　　　　　 　 /
　　　 　 !　 ｀''ｰ- _!　 ｀' ､ 　 　 　 /
　　　 　 !　　　　　| n'i　　｀ー‐r‐ 'ヽ
　.　　　 l　　 　 　 ! !i !　　　　 |　　!ni
351 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:13:00 qLkNzrF6
四７３．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　キャスバルにとって、これはにわかには信じがたい事だった。
　　助力を得たアグリアス達やブライトの隊が自発的に協力を申し出るのはまだ分かる。
　　だが、謁見の間であの態度だった他の騎士達からも
　　自ら動こうとする者が現れているとは。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　 　,_, 　 　　　　　　　　 　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　 　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　 　｀ヽi　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 　 i　, ノ ﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　「………騎士団が？」　　　　 ヽ、ヽ ｀ ､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　 ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｦ.　 ＼　　　 　 ／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　 ﾞｰ ' ´く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 └



　　　　　　　　　　 _.,..､:-:─:-..､、
　　　　 　 　 　 ／:::::::::::::::::::::::::.:::｀:ヽ.
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:､
　　　　　　,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
.　 　 　 /::::::::::::::::::::::ﾍノ!::::|::::::!::::::|:::!:::}:::i:::::}
　　　　/:::::::::::::::::::::::::::厂 ≧rx|::::::j:/:ｲ:ノﾉ:ｲ
　　 ／:::::::::i:::::::::{こj::::i　弋ｹﾆゞ､イｲｦイ:::::::＼
　／:::::::::::::i!:::::::::じｲ::::|　　　　　　｛　　/::::ヽ::::::＼
　＼:;ｲ::::::i!|::::::::: ゝｊ:::::!　　　　　 　ゝ /:::::!:.::ヽ:::::::::>
　　　'＜::il:|:::::::::::::;:!::::ｊ 　 　　ー－ , ′::::!::::::::ﾄ／
　　　　　ヽi;;;;;;;;;;;;;j'"´　＼　　　 ／::::|::::::＞'"´　　　　　　「……………」
　　,.､rｰへへ/´;;＼ 　 　 　トﾆ´_＿"´
／´￣｀ヽ;;;;＼＼;;;;;;;;｀ヽ、　!＼;;＼;;;＼__
;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;｀ヽ､__>;;;;ヽ;;;;ト;;｀ヽ、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ::::l;;;;ヽ;;;;;｀;,,､
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;ー───''"/;;;;;i!;;;;;;;｝;;;;;;;;;;;＼
γ;;⌒ヽｲ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;｀＼;;;;;;;;;／;;;;;丿;;;イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
´￣｀ヽ;;;;＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀＼;;;;;;;￣;;;;;;;／／;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j



――――――――――――――――――――――――――
　　対照的に、王妃は口の端で笑う。
　　その表情はまるで目論見通りになったと言わんばかりだ。
――――――――――――――――――――――――――
353 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:15:05 qLkNzrF6
四７４．



　 |　:::::::|　　　 ::::::::　　　 　:::　　 |:　　::::::::|
　 .|　::::::|　　　 :::::::::　　　　:::::　　|:　　 i⌒
　　!__::::::|　　　 :::::::::　　　 ::::::::　 |--'''~
　　　 ￣i_＿,,,,,,--,,_　_,,--""i"~　|
　　　　　　　　|　　 |~　　　　　|　　 i
　　　　　　　　|,,,,,,,, |　　　　　 !;=＝i
　　　　　　　　!'　 ''i:|　　　　　 i)　　 '!,　　　　　　　「失礼します」
　　　　　　　 /　　 .i:|　　　　　 !i,　　　!,
　　　　　　 ./　　 .//!　　　　　 i.i　　　 i,
　　　　　 /￣￣∨/''　　　　　　ii／￣~ヽ
　　　　 ./　　　 //　　　　　　　 'i,_　　　 ﾉ
　　　　 ゝ---='''　　　　　　　　　　~'''''''~



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そこへノックと共に現れた、十二歳ぐらいの利発そうな少女が
　　そのうねりは騎士団のみにとどまらず、貴族達にも広がっている事を告げる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　 　 　 　 ,.　 - ――- ､ _
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 ヽ｀丶､
　　　　　　 　 　 ／　　　　　　 　 　 　 ｀ヽ　 ＼
　　　　　 　 　 /　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾐ　 　 ヽ
　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 l　　lヽl　　　　',
　　　　　　　i　　　　　　　　　 　 　 |　l l　||　 　 　 l
　　　　　　　|　　　　　　　 　 　 　 j l l j　lﾊ　　　　 l
　　　　　　　l　　　 　 　 　 　 　 ノノﾉ/ﾘ/ハ　丶l　 !
　 　 　 　 　 !　　 　 ､＿ , ==≦彡 '´´ ', --ヽ､ ﾘ　j
　　　　　　　 ',　　　 _　ﾄイﾌﾃlヽ　　　r ｨﾌﾊ｀=!´　/　　　　「父上、母上。
　　　　　　　　',　　/ ヽ| ヽ==' '　　　 　 ｀ﾆ '　ﾘ) /　　　　　何名かの貴族が国庫からの支援だけでなく、
　　　　　　　　 ヽ　l　 ﾄヽ _　 　 　 　 ,　　 　 l/ /　　　　　　自分達も今回の被害者達へ義援金を送りたいと。
　　　 　 　 　 　 ヽ ヽ _ ﾆ、　　　　､-,　　　 ﾉ /
　 　 　 　 　 　 　 ヽ　　　lヽ、　　　-　　 ,.ｲ〃　　　　　　　 それから、家屋が失われた者達の避難所として
　　　　　　　　　　　}l!　　ll}､_｀丶 ..＿ ィ、ｲ|{　 　 　 　 　 　 離れや屋敷の一部を提供したいとの事です」
　　　　　　　　　　ノﾉ|　ll ﾘ｀lr､ﾆ ｰ┬_'ｨ|ヽヽ
　　　　　 ,_- ニ､ｰ＜ヽヘ ´ヽl-_ l｀l !! F!-'´-､-､-r- 、　　　　┌──────────────┐
　　 　 ／　　　　｀K､￣ ヽ｀ ｰ ヽ_ヽ!!!'7'ィ　r―Tr1i　 ＼　　　│　　エゥーゴ王国　王女　　　　　　..│
　　　//　　　　　　l ヽ-　´　 l￣｀ヽ-!/　 l　￣_ j lﾊ l ､ヽ〉....　│　　 　 　 　 ｻﾞﾋﾞ　　　　　　 　 　 　 .│
　　 ヽ!　 / 　 /　 l !. ヽ／　　!　 　 l l !　 |　 ､ /　l Ll　!_ゝ 　 │　　ミネバ＝Ｚ＝エゥーゴ　　　　　 .│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 └──────────────┘
356 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:16:00 qLkNzrF6
四７５．



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .　- －＝－- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　.　: ´　　　　 　 　 　 　 ｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　/　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ',
　　　　　　　　　　 　 　 　 j　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ',
　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　ｉ | !　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　 .:　　　　　 {｛彡イノノノ ハソ ﾊ　　i
　　　　 　 　 　 　 　 　 {　 　 {　　 从////////ﾊィ//ﾊリ　}
　　　　　　　 　 　 　 　 i　 　 乂У　∨/////／∨////ソﾉ
　　　　 　 　 　 　 　 　 乂 　 　い　Ｙ ｀ー "´　　 ∨/ｲ′
　　　　　　　　　　　　　 彡　　　Ｙ从ミ 　 　 　 　'"´ ７
　　　　　　　　　　　　　　八　　　ミ、　 　 　 ⊂ﾆ7　/ﾐ
　　　　　　　　　　　　　　い　　　У ヽ　　　　 ｰ　 /ﾊ　　　　　　　　　　　「………どう言った風の吹き回しだ」
　　　　　　　　　　　 　 　 ゞ＝=ﾘﾉ､、　 ＞ 、　　 /ﾉ
　　　　　　　　　　　　 　 /:::::::::/:.:.:.:.:.:.≧ｘ､、_￣彡､、
　　　　 　 　 　 　 　 　 /:::::::::/:.:/　　｀ '･＜: : |!:.:.:.:|:.:.|
　　_ ...... _　　　　 .．＜｀::::::､/:.:/ ☆ ☆ ☆　〉:|!.:.:.:.|:.:.|
／::::::::::::: ｀Y￣｀ヾ::::::::::::::／:.｀:.:.＞ ．　　　/:.:.|!:.:.:.:|.:..|､、_ 　 　 ＿
::::::::::::::::::::::∧__＿:j＞.:"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:.:.:.＞.:.:.:.:|!.:.:.:.|:.:.|:::::::|｀`:y':::::::::｀ヽ.
::::::::::::::::::::::／∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀.:.､j!_＿j／i!｀ｰ:.:､:ｊ::::::::::::::::::ﾍ



―――――――――――――――――――――――――――――――
　　あまりにも急すぎる変化で開いた口がふさがらない夫に、
　　何が起きているか分かっていた妻が言った。

　　人を変えるのは環境だけではない、出会いもその一因となるのだと。
―――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 _＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . : :´￣ . : : : :￣｀: : . 、
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　 . . . . : : : : : : :.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　. . . : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.: : .､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 , ′　. . . : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:. : :､
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.: : : '.
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　. . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.: : : : '.
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　 . . : : i、: :、乂: : : :{: : : j!: :.ﾉ: :!:l:.:.:.: : : : :'.
　　　　　　　　　　　　　　／　. . : : : :从乂:＞､｀ソ ゝ:ノﾉイ__ノｲノ:.:. : : : : '.
　　　　　　　　　 　 　 ／/　. : : : : :,小　弋¨えゞ、 /,ィえ¨才 从:.:.:.: : : : : :'.
　　　 　 　 　 　 　 ／／　. . : :/　. いﾍ 　 　 　 　 :　　　　　ムﾉ:.:.:.:. : : : : :'.　　　　　「比較される事を恐れたのだよ。
.　　　　 　 　 　 ／／ . . . : :// 　. : : |:.ﾍ　　　 　 ､;　　　　 / Ｎ:.:.:.:.:.:.:. : : : :.',
　　　　　　　　　　 ヽ . . : : // . . : : : :Niハ 　 　 , - ､　 　 /:.:.|:.:.:.:.:. i!.:.:. : . . :.'.､　　　流れの冒険者が国難を廃した時、
　　　　　　　　　　 　 ＼. //:/　. : : : : :|:.:.: ＼　 ｀二´　　ｲW/:.:.:.:.:.:.:|!:.: : : : . . .:ゝ　　自国の者が何もしなかったとあっては
　　　　　　　　　　　　　 ヾ.:/ 　 . :i : : :i|:.:.:.:.:.:| 　、 _　イ!.:.:.: |i:.:|i:.:.:.:.:|!i:.:.: : : ／　　　 民が黙っていない」
　　　　　　　　　　　　　　　｀ ＜. ｉ|: : :.ｉ|:.:.:.:.:.:|　　　　　 |.:.:.:.:|i:.:|ｉ:.:.:.:.:|!::＞ "
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｀ ＜:_ｉ|!＿:.:.j　 　 　 / |:.:.:.:.|i:.i|i＞ "´
　　　　　　　 　 　 　 　 　__＿......,,,,r≦≠＝′　　　/　い≦＜,,,_＿__
　　　　　　　　　 　 　 ,イ//////////ﾊ､、　　 　 　 　__ ....　∠////////ﾊ､_
　　　　 　 　 　 　 　 ///////////////ﾊ ､、　 __ ノ　 _ .イ/////////////ﾊ
　　　　　　　　　　　////////////////////≧==≦//////////////////ハ
358 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:17:00 qLkNzrF6
四７６．



　　　　　　　　__,r'"　　　　~ヽ.
　　　　　　_ノ~　　　　　　　　　＼
　　　　 ／　　　　　　　　 　 　 　 ヽ
　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞ!
　　　i　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾞi
　　 ,i　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　 ./　　　　　　　 i　　　　　　　　 　 ( .
　,i　/　　　　ﾉ,ﾉノi i i　　　　　　　　　）
　! ,ヽ,　∧ﾆ'ﾚ'ｰ'　!､j､　､　　　　　　 i
　ヽ＼ソ,ﾉ''ﾐｪf､　　,__二ミ　　　　　　j
　　"Yヽ.ﾄ　　　）　　''ﾐｪｧ,;ﾞ）　'"　　 ）　　　　　「………そう言う事か」
　　　ﾘゞ.l　_　/　　　　　　~i　／/,＼
.　　　ﾞヽ!ﾄl ,＼ヽ　　　　　 j　!, (/iﾞ｀' ＼
　　　__,j,ﾊL!ヽ.ﾞy‐'"￣ﾞヽ'"j j. ,r┴‐‐'ﾞ7i!
　 (~r'　!　ヽ.／__,r＝~ヽｲ｢｢｀^~　　(（　 !
　　!.l　　) ,f~　 ＿,,ｨ､＼,i !j! ,.へ　 　 ）/
　　| |　( /　　　　　 ヽ./,/／　/ﾞ^ヽ.__/
_,..-.! !　 i　　　-=＝ｰ/／j､,､)）　　 /)
　　 !ヽ　j　　　　　 　 ）ｰ'Y ("　　 //
　　 ＼V　　　　!i~_／　　 ﾄｰﾞ　　//‐-r'"￣~ヽ､
　　　／　　　　 ,j~_＿ _,.ノ!.　　 //　　　　　　　 ＼_
　 _j'~　　　　　/　　　 　 ,八　 //　　　　　　　　　　i.



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　大勢の目の前で、ローゼンの英雄がそう言う少年なのだと証明するために、
　　敢えて子飼いの提案をした意味もある、と知った国王は納得して目を細める。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　 _.,..､:-:─:-..､、
　　　　 　 　 　 ／:::::::::::::::::::::::::.:::｀:ヽ.
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:､
　　　　　　,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
.　 　 　 /::::::::::::::::::::::ﾍノ!::::|::::::!::::::|:::!:::}:::i:::::}
　　　　/:::::::::::::::::::::::::::厂 ≧rx|::::::j:/:ｲ:ノﾉ:ｲ
　　 ／:::::::::i:::::::::{こj::::i　弋ｹﾆゞ､イｲｦイ:::::::＼
　／:::::::::::::i!:::::::::じｲ::::|　　　　　　｛　　/::::ヽ::::::＼
　＼:;ｲ::::::i!|::::::::: ゝｊ:::::!　　　　　 　ゝ /:::::!:.::ヽ:::::::::>　　　（そして―――）
　　　'＜::il:|:::::::::::::;:!::::ｊ 　 　　ー－ , ′::::!::::::::ﾄ／
　　　　　ヽi;;;;;;;;;;;;;j'"´　＼　　　 ／::::|::::::＞'"´
　　,.､rｰへへ/´;;＼ 　 　 　トﾆ´_＿"´
／´￣｀ヽ;;;;＼＼;;;;;;;;｀ヽ、　!＼;;＼;;;＼__
;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;｀ヽ､__>;;;;ヽ;;;;ト;;｀ヽ、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ::::l;;;;ヽ;;;;;｀;,,､
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;ー───''"/;;;;;i!;;;;;;;｝;;;;;;;;;;;＼
γ;;⌒ヽｲ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;｀＼;;;;;;;;;／;;;;;丿;;;イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
´￣｀ヽ;;;;＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀＼;;;;;;;￣;;;;;;;／／;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　一方、騎士団のみならず貴族にも影響があったのは期待以上だったハマーンは、
　　やらない夫の横顔を見ながら思った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
359 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:18:00 qLkNzrF6
四７７．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　人は、誰かを見たときに自分と比較する。
　　相手が下ならば訳もなく優越感を感じ、上ならば嫉妬を感じる生き物だ。

　　出る杭は打たれ、異端児は追われ、そうして国という小さな世界は回っていく。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　￣　 　 ､_
　　　 　 　 　 ´　　　　 __....--‐'''"´: :＼
　　　　 　 _/_....-一'''".／ : : : : : : : : ／ヽ
　　,.ｘ‐て/: : : : : : : ／ : : : : : : : : ／: : : :ヽ
　/::,;:/そ|_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_|
./:/V　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.V.　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
.　　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
　　:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
　　ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
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　　　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./



―――――――――――――――――――――――――――――
　　だがそれが外部から突如現れた、
　　比較されるのを恐れるほどに突き抜けた存在の場合は―――
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 . : ´: : : : : : : : : ｀: ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 . : ´: : : : : : : : : : : : : : : :.＼
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼
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　 　 　 　 　 　 　 ∨: : : : : : : Ｖi　　　　　.:′　　　　ﾊ） : : : : : : : : : : : :＼
.　　　　　　 　 　 　 ＼: : : : /:.:八　　　　 i .:.　　 　 ,小 : : : : | : : : : : ／
　　　　　 　 　 　 　 　 ＼//:./:.| ﾍ　　　__`´_　 　ｲ/ハ.: : ｉ: :|i : : :／　　　　　　（我が身を振り返らせる、
　　　　　　　　　　　　　　　＼: :|　:|＼　　 ､　　／　ｲ .:|: : |i_:|i＞"　　　　　　　　或いは引き寄せ、時に強く反発させる。
.　　　　　　 　 　 ,rf777777777L...j｛ヽヽ _ 　イ ／　L.:j､＜.._＿＿___
　　　　　　　　　//////////////,|:!　｀ー一 ´　　 ｲ////////////ﾊ　　　　　兄上はそう言う存在を『カリスマ』と呼んでいたな）
　　 　 　 　 　 ///////////////,|j､　　　　 　 ／i//////////////ﾊ
.　 　 　 　 　 ////////////////,|　 ｀ ー一彡'　ﾊ//////////////ﾊ
　　 　 　 　 /////////////////,|　　　　 　 　 /////////////////∧
.　 　 　 　 //////////////////ﾊ　　　 　 　 ///////////////////∧
　　 　 　 ///////////////////,∧ 　 　 　 /////////////////////∧
360 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:19:04 qLkNzrF6
四７８．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　 　,_, 　 　　　　　　　　 　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　 　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　 　｀ヽi　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 　 i　, ノ ﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　 ヽ
　　　「そうだな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　　 ビップ殿、彼らを同行させて貰えるだろうか。　　　　　　　　　　 ヽ、ヽ ｀ ､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　 必要に応じて腕の立つ者を選別してくれて構わない」　　　　　　　 　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　 ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｦ.　 ＼　　　 　 ／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　 ﾞｰ ' ´く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 └



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　足手まといになってはいけない、と精鋭での申し出をやらない夫は即座に断った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　―
　　　　　　　　　　　 ／　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　 /＿＿＿＿＿ノ::｝
　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::≦|
　　　　　　　　　　｛＞-----≧´ｨ句|
　　　　　　　　　　∧　　　 ー ´ 　¨ i
　　　　　　　　　 く:::ハ　　　　　　 _冫＿
　　　　 　 　 　 　 レ' ∧ 　 `　 ´　 .|:::￣〉｝,.～:､　　　　　　　　　　　「いいえ、それには及びません」
　　　　　　　　-‐, ～//::＞　　＿　ｲ:厂八/::::::::广
　　　　　／　　〈::::::∧∨　　　　　　/　/／:::::／　　　　＼
　　　　/　　　　ﾊ8{　 ＼`ー―　／　, く:8::イ　　　　　　　 ' ,
　　　く　　　　　　Ｙ　　　＞ｖ ＜　　　　　Ｙ:{　　　　　　　　　〉
　　 く　`ー　､　 /　　　　　　　　　　　　　 V＼　　　　　　　八
　　く__ `ー 　 ∨　ノイ　　　　　　　　　　　 i!::::!＞　―　- ｲ:::::＼
　　/＿／:::::::::∧く_メ≧　　　　　　　　　　 八:::＼`ー　--〈|:::::::::ハ
　 /_／:::::::::／:::∧ー―＜￣＞――　　イ　/〉::::::＼＿＿_/::::::::::::::｝
　 ｛:::::::::::::::::::イ　 ﾄ､　　　 Ｙ　　　　　　 ノ _ﾉ::::::::::::::::::::::ｲ　:::::::::::::::ﾉ
361 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:20:00 qLkNzrF6
四７９．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　無論、実力では彼の足下にも及ばないと重々承知しているが、
　　少なくとも神聖魔法で援護する事は出来るし、
　　何よりも他人任せにすのは我慢ならないアグリアスは強い口調で再度、同行を願う。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　-‐…‐- 　 .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,..　´::,,..　ヾ　 　 　　｀ﾐ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ　 ! ヾ､　　　　ヽ　　 　　ﾐ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　 　 　 / 〃 ヽ　 ヽ　ヽ　　 　　　　 　 ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /, ﾄ､　ﾄ､ 　 、、　､　　　　 　 ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ. / И､＼ヽ＼弋ヽ、 ﾍ　　 　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　.,'´　ヽ ヽ　 ｀`斗ﾍﾍ　 　 ! 　 　|
　「決して足手まといにはなりません！ 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾄ: :ｆﾃｧz､ 　 　 ィﾗ〒7}　　1|: :　∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 !　:|　じ'　 　　　 じｿノ{ 　　|〃/ヽ｝
　 それに、この国の事は　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　:1　　　　　　　　　　| 　　| /ヽ　》
　 我々が主となって成さねばならぬ事のはずです！」 　 /　 :人　 　 　　　　　　/ 　　,|《 彡 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　:::./＼　「￣ヽ　 　/　 　 ∧彡,／ﾞ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　 　 /　./.,＞-､　-イ/ 　 　/ :ﾍ／/／ミ}＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/,/ 　γ´/　 /r-ﾍ＿,イ　 　 /: : : ﾍ/ｰ-:.:∧ミヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 　 　 　 /　　　/　/　|/: : { 「 [_ / 　　/: : : : : :＞-‐… ‐-、＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　,/　Ⅳ,/´: : :| |　|/ 　　/: : : : ／　／　　　　　 ヘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 　 ,〃// /::: : : / / / 　　/: : : : /　　/　　　　　　 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠　　　　/_ノ厶ｲ : :／／ / 　　/-‐…/　　/　　　　　　 　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　/　　　 /; ; / 　 |／／|　/ 　　１ 　　∧　　　　　　　　 　 　 　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1 ∧　∧　/ 　 /|／ヽ 　1 .　　 |　　. | |　　　　　　　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾚ　 ∨　ｿ1　 / .|/　 |＼んｲﾘW　　 |;|;1　　ﾄ　 　＿ ＿＿　　 　　1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 い::ヽヽ　!　１ 　| 　| 　 |　 　 ソ└ソ｀┴一　　 　　　 　ソ─┘



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　「はい。
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　 ですが、同じぐらい………
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　　　今のグラナダにはあなた方の力が
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　　　必要なのではありませんか」
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



――――――――――――――――――――
　　だが彼は、至って冷静にもう一度断った。
　　そちらにもやるべき事があるはずです、と。
――――――――――――――――――――
362 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:21:02 qLkNzrF6
四８０．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　それでブライトも気がついた。

　　中央騎士団にはまだ監査を終えていない者が大勢居り、
　　裏切り者を抱えた状態で主力が王都を離れる事は危険であると。
――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　--- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. -一'´　　　 　 ｀ヽ、_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　｀＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r'´　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾉ　 ,.ヘ、　　　,. ‐'＾ヽ､ 　 　 　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （.　 / 　 /'l,ｨi ´　　　 　 ゝ　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　,'　　 |l |l ＼､　　　　　ヽ　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （　 |　 　 l' ヽ、 `'ｰ　　 ＿（　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「………造反者の事か」　 　　　ヽ. |´`==｡､　　ー=＝'｡､　 } ,r‐､　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ）|.　　　 }　　　　　　　　{ {,r‐.|　〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　ヽ|　 　 ﾉ　　　　　　　u } } ;,ﾘ　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 |　 　!._　　　　　　　　ﾙ'_ノ <´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ.　　｀＿＿　　 　 　 　 |_,r'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ　　 ー　　　　／ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ. 　 　 _, ‐'´　　＿|、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢l`T ｢￣￣￣　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|.||￣|　　　　　　　│



　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　「ゴーレムとの戦いと同じです。
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ　　　　　　　　 俺達は俺達に出来る事をします。
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、　　　　　　あなた方は、あなた方にしか出来ない事をしてください」
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ
363 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:22:00 qLkNzrF6
四８１．



　　　　　　　　　　　　　　　￣　 　 ､_
　　　 　 　 　 ´　　　　 __....--‐'''"´: :＼
　　　　 　 _/_....-一'''".／ : : : : : : : : ／ヽ
　　,.ｘ‐て/: : : : : : : ／ : : : : : : : : ／: : : :ヽ
　/::,;:/そ|_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_|
./:/V　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.V.　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く　　　　　　　　「そしてもし、俺達が駄目だった時。
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!、
.　　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'　　　　　　　　その時の為に一枚岩となり
　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'　　　　　　　　　 戦力を回復しておいてください」
　　　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
　　:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
　　ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　後の事はお任せします、と二人を納得させた横顔を
　　じっと見つめていた雪華綺晶には分かる。

　　一丸となった彼らの力は、民衆の目に直接触れる王都回復の為に使われるべきだ、と
　　やらない夫は言っているのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾐﾚ__＿__／三ﾆ　　　－　　　　ヾ　ミヽ＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ _　>//K/ｆ´　　　　　　　　　　　　　　　＼　｀ー｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀゛=っﾉノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　｀|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ >/　　　　　　　　/　　　 ;　 ;　　　　　　|ﾍ　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i´　　 /　 ,　　　　 ,　 / /　　　|　 |　 ;　　　　 | |　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 /| ; |　　　　 / / /　 ;　__ﾉ=+- ､|　 ;　　　| |　 | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　;　|　|| |　;___　. | | /i　 /　//_/__　ﾉ｀ﾊ　|　 |　|　| |
　　　　　　　　（駄目になるつもりなんて、 　 　 　 　 　 | |　 | ﾍi　 ||｀iﾚﾐﾍiﾊli //　//,=ﾃ＝ミﾉl ノ　ﾉi　l　 | |
　　　　　　　　 全然ないくせに）　　　　　　 　 　 　 　 　 | |　　i　ﾐ　 |ﾄ　i ilﾄ哀ﾉ>ｲ´　´f::::::ﾊ jﾒﾉﾊﾉ//i　i　 l l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;| |　　　| ヽlヾミfﾆ及彡ﾉ ,　　弋:.:ｿﾉ /y/ｲ　l　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ﾊ　　　ヾ　　ﾄ゛´-Ｚ/　　　　　　　　ﾉ l　 i　 ヽ　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ﾉ　i　　　|　　|　｀>｀)　　ー -　 　／;;;ill　 |　|　ﾍ　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|l　　 |　　| //ト=i-= ､_ _　イﾐﾉil l |　 |　|　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　|　　|ｿノ/ノつ= ≧≦三ﾊ＿ﾑ　 ilＹ　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /i　 . l　　|　|　|－ﾐ彡ｰ-゜/ii iiヽ｀、ミrル　 ) li　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ li　 l i　　l ﾉ/　　　｀/oﾌ＞ ｀´＜l oヽ　　ﾉ　 il　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　i　il　　 //　 ヽ　-ﾉo/<　＜＞　>ioﾍノ/　　　　　　　/
365 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:22:59 qLkNzrF6
四８２．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　情報は出そろい、出来る準備は終えた。
　　ならば後は行くだけだ、と椅子を立ったやらない夫は各自に補給を指示し、
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　／ _ノ　 .ヽ、＼
　　　　　　　　　　　　　|　 （●）（●） .|
.　　　　　　　　　　　　　|　　（__人__）　|
　　　　　　　　 　 　 ∧ .|　　 ｀ ⌒´　ﾉ
　　　　　　　　 　 ／＼ヽヽ　　　　　 }
　　　　　 　 　 ,r―''''''ヽ,　ヽ　　　　ﾉヾ、　　　　　　　　　「すぐに出るぞ！
　　　　　　,r‐' ,､;-‐''''""''ヾ､､,　　 く 　l
　　　　　/ .／　　　　　r''"ヽ, ＼, 　 　 l｀ヽ､　　　　　　　 学院の状況から白符の補充は出来ないな、
　　　　 j　l　,.　/　　　 '　 　 l　　 ヽ､　ﾄ, 　 ヽ　　　　　　 エルとコナタは霊薬の補充に当たってくれ。
　　　　,.Lj∠､'´　　 , i,　 　 /　　　　 ｀ヾ､｀'ヽゝ
　　　　l,　　　　　 ／　二'''"　 　 ,;､, 　 　 ｀''ｰﾞ--､　　　　雪華綺晶は食料品、俺は装備を見てくる」
　　 　 /ﾞヽ-ｯ-‐'´　.／｀ト-:rイ｢´ ﾞl;:｀''ト-､,＿　ノ'i,
　　 ／　 ／　,;∠∠,ノ´　 ｲ　 l l,　├''|　 |､,／ l　　|
..／ﾉ　.／　／､,　　　 ,､'　./　 / .l　|:::::l,.　|　ﾞヽ､!_,,､L,
ヽ---ﾂ　 ∧　　￣￣　　/　　　　| |:::::::|　|　　r'"/　　l,
　　 /　 ./　.ト､,_　　　　/　　　 　 | |:::::::|.　! l'´! /　　　|
　 ./､ ./　　 l,　　｀￣ ./　 　 　 　 |.|::::::::l　|. !. l, l 　 　 l
　.l､,.ノ　　 　 l,　　 　 ;'　　　　　　.j |:::::::::!



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　,r/　,;-ー_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::レ:::::三:::::｀ミ::=-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,i::::::::::::::::､:::::::､::::ヾ::ヽﾐｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　,r'::::::::::::::::::ヽ::::::::＼.:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//:::::/:::;:::i:::::ヽ:::::::::::::＼::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 　/::/:::::::/_ヽ:!:::::ヽ:::i`_､:::::ヽ ::ヽ:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 i::/::::::::/'oヾ､:::|ヽ::Y o＼:::::i!::::ヽ::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::i:::::::::lゝ- '　ヾ、ﾞ ! ｰ '､ヽ:::::!:::::ヽ::i ヽ
　　　　　　　　「私が食料品の方が！」　 　　　　　!::!:::i:::::!　　　` ｀ ヽ　　　　 i:::::!::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　l:!:::l:::l !　　,r_ー‐-､ 　 　　l::::!::::::::::;::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!|:.!::', 　　i'/￣￣ i 　 　　l:::::::::::::ハ:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 l::::::ヽ.　 ｉ　　　　i　　　 ｨ::/i:::::ﾊi　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　i::li:::＼ `ｰ--‐' 　　／ ﾘ　|:::ﾘfﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 _..!:ﾊ::::l;ヽ､　　　 ／　　"　l::/i　ヽ. ｀`''ｰ- ､._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r‐'''"´　 !　ﾘ!i ヽ `＝'"　　 ,　 　ﾘ /　　ﾝ 　　　 　 /ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ヽ　　　　　　 ヽ ヽ ヽ　　　/　　 ／　　　　　　　　/ 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l 　 ＼　　　　　　＼　 '　　　　　／／　 　 　 　 　 /　　　 i



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　また町を離れるのであれば今の内に、と考えたエルが担当変更を申し出る。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
367 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:24:14 qLkNzrF6
四８３．
―――――――――――――――――――――――
　　だが、もはやその狙いも仲間達にはばればれだ。
―――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　 _,-,ﾆ二ニ=､
　　　　　　　　／／
　　　　　　　 /:/
　 　 　 　 　 ヾ`､
　　　　　　　　＞+:‐: ´:￣: ￣: :`:'￣:l.､＿＿＿,／
　　　　　　／: : : : ／: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´
　　 　 　 /: : : ／: : : : : : : :/: :/: : : : l: : : : ､:＼
　　　　　l: : : /: : : : : : : : :/: /l: : : : ∧ l: : : :ヽ: :ヽ
　　　　 /: :/: :/: : : _,:_∠Ｌ､:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ
　 　 　 l: /://: : : : :／::/':::::/: : : /::::-H､: : : : : lト､: ヽ
　　　　l://://: : : ｲミ土=､_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l　｀ヾ､
　　　　l/: :l l: : : ｲ:llo:::::::/:::/://:::テﾃヵl: : :ﾊ: : l
　　 　 l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l
.　　　 l: : : W/: : N　　　　 　　 ､ `‐':::l::l: : lN　V
.　　　 l: : : : :ﾊ: : : ト､　　 ー=　　　 ノlﾊ: :ハl
　　　 l: : : : : :､: : : 「ﾌ｀‐- ,､-┬:Ｔ´: :l　l/　　　　　　　「めっ、するよ」
.　　　l: : : : :,レ､: : :ヾ､　　/､｀Y/:l:l: : l
　 　 /: : :rﾆミミヽ: : ヾ､-─┤ `┤: : l
　　 /: : /￣＼ヾヽ: : :ヾ､　　 l　　ll: : l
　　/: : /　　　 ヽヾヽ: : lヽ　　l　 /l: : l
　 /: : /　 　 　 l ＼ヾ､: l ヽ　 l //l: :/
　/: : :l　　 　 　 l ハ ヾ､l､､l　 l////l



　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　 　 ．-――z^＾7￣｀((⌒ ．_
　　　　／　　　 ／　　　}(勾},ﾄ､　　 `ｰ　．_
　　 ／　　　 ／　　　　 ((乂ミ=　　　　　　 ヾﾐ　．　　 _
　／　　　　　　 　 　 　 _)} 　 ．-‐　　　　　　 　λ--__))
´ 　 　 ／7　／　　　　　　／　　 -～ ＿_　　　　 ゞ勾ハ
　　 ／　/／　　／　　　　　／　　　　((⌒'　/　　　 Ⅵ　ｉ
＿ノ　　'　　　　　　　イ　／　　　／／｀).l　/!　/　,　 Ⅶ !
.　　／　　　　　　　　/　 　 ／／l＼ レ'/ / } / //　　:.　!
￣´　　　 　 　 　 　 {./　／／ r=＝＞ﾐ / // 〃ﾙ　　ｉ　l
　　　　／　　　　 ／ｽ／／{,// 7rｯそ》}　 八､/　} l 　}　|
　　 ／　　　　 ∠ゝ､ﾝ　　　 _《　ゞﾄ=ン　γ=ミ　/ ﾘ ./ ノ!
　／　　　　 ／__.У::. 　 　 ((⌒ｰv_ｿ"　　辷ｿⅣ／ノ　　l|　　　　　「どうせ甘味ばっかり
　　　　　 ／　ﾄ､_ ハ::.　　　　　 　 　 　 ､ 　 ﾊ　／|　 　 l|　　　　　 買い込んでくるつもりなんでしょ！」
＿　　 ／　　 {　 ￣ﾄ､::.　　　　, r‐=z 、 ′/ ／ｉ　l|　 　 l!
7} `ー- ．＿ノ　　 ﾑ 丶:. 　　 l　　ヽ:/ 　 ｲ:. 　 |　l|　 　 l!
/　　　　　　　　　 {__ヽ、ヽ:. 　 `ゝ=ｧ’ イ　!:.　　|　l|r―-lﾄ､
i　　　　　　　　　　　／}　　≧x.._ ィ～zﾘ √￣￣〃　　　　⌒ヽ‐z
371 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:25:00 qLkNzrF6
四８４．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　見破られた九十三歳はだだっ子のようにおねだりを繰り返すが、
―――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '::::::::〃:::::::::::.i::::::::ヽヽ:ヽ ::::::､::::::::::::::::':::､､,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ｨ:::::::::〃::::::::::::l!::!:::::::::::＼ヽヽ:::::ヽ:::::::::::::::::::t=ｰ-.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ｨｼ='7:::〃::::ｨ''|!i:::!i::,::::::､::::::ヽ::::::':,',､;,:::::::::::::::::::::ﾝｯy､,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´"　　/::::::/:::/,.-ｬj:::l 'i!';::::i＼::::ヽ:::::::',',',i!::::::::::::::f"''''＝=-''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　,.ｼｨ::::::::ｿ !. (::)ﾘ!　ﾍ',:::l,,､ﾇ;:::ヽ::::::',',',':::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〃 ｼi::::::::ｌ 　｀""゛　　` 'ﾘ (:::)ﾔ､:ヽ:::!:','::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　'　.ｌ::::::::l　 　 　 　 　　ヾ'''''" Y:::::::::::::!::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::/ｌ::::!　　　ヽ　、 　 　　　 ｌ:::::::::::::::'::::::::ｯ::::::',
　　　　「神様、女神様、雪華綺晶様！　　　　　 　 　 　 l/　!:::'､ 　 ｧ､.　　　　　　　 !:::::::::::::::::ｫ:::::!';::::::',
　　　　 なにとぞ、なにとぞ甘味を………！」　.　 　 　　 ,!. 　|/ ';､. ヾﾐ.`j 　 　 　 ,イ::ｧ:::::::::::::::i '､::',ﾔ::::､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　" . ';ヽ　　　　　,､y'´ /ｼ ｌ::::::ヽ:::::ｌ　ヾ;　゛丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　'|!`=tｰ:::'"／　 /'　 ﾊ::;::::il!';::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　　　　　　　　　'i::: '　　　　　　　ﾘ ｿ ヽ'ﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!'i　　　j　　 　 　 ~ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ ､　／　 ―ー '''"""f,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / _冫'''~ 　 　 　 　 　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ´　　 ,､　　　　￣~ ヽ　 'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!~　　　　/　　　　　 　　　ヽ.　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ. 　　　/　　 ﾝ　　　　　 ､　',　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 /　　 / 　 　 　 　 　',　', 'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　 '　　 / 　 　 　 　 　　 i.　', ｌ



　　　　　　　　　,, -‐'''″￣｀ミ`{.{@yiゝゝ
　　 _,,,,i=η／　　　　　　　ヾ､`ヾ､)) l　｀'i
　 ,//,i<迴'j　　　i　　　　,　ゝ ＼. (( .i i　 !
　 l l　/ //　i　i 7 .i　　　ヽ,ヽヽ i i　l l ﾊ　｀!
　 l i　 / i　l l　l .i| |　　 i i　i　,ﾊ　il　i i ,ヽ　!
　 l i　i l ,　l. !　|i|i　l　i i l i　l l　ﾊ7i　i l i ゝ,.｀'i
　 ,i i l l　!　i ヾ i　l ＼i i lﾊi i i l　ﾉl　| i l　 .l　}
. // /i|　| i | i l_.,,((、ii､ |il! .だ｀｀'i.7　l l|　 .'y l
//,'´　i＼＼ヾiFｯﾐ''ｼi　　 弋__沙7　//i　./ ./　　　　　　　「集合は？」
イ　.,/′ヽゞゞ≦汗彡'　 ,　　　.//　li　| / /
　 /,,_　　 }li ゝ､i,　))　 　 ｡ 　 . lil　.li l i ,l .{
　l　　　　7 i! !i)..ゝ．.,_. 　　,.／il　 il　＼＼＼
　　　　ノ i/ //-‐'′κ,｀"-　>ヾ　! >.-‐'ゝゝ＼
　　　/''"　~´ ,/ | k>っ>b, ,,.,ciyi)-ゝ　　　 ＼ヾ
　　 7ζ　　_ / l　ξl lゝ､ . ／l .!　i l　　　　　iゝ｀l



――――――――――――――――――――――――――
　　貨幣の入った革袋を受け取る雪華綺晶は全力で無視。
――――――――――――――――――――――――――
372 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:26:00 qLkNzrF6
四８５．
―――――――――――――――――――――
　　集合時間と場所を告げたやらない夫も無視。
―――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|
　　　　　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |　　　　「二十二時までに東の門だ」
　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　ﾉ
　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／⌒ヽヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;:／: : : : : : : |: l : : |、: l: : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／/ , : : : : :l_:_/|: l : : l l_:_|_: : : :ヽ: : : : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /: : : :/ 'l:./｀|: l: : { ´l: |､｀ヽ: : l: : : : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,' /| : : /: :/|{　 l/l: : |　ヽl　＼: : :l : : : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/ |: : /: :ﾊr┯┯ l : | 　┯┯yl : |: :＼l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「了解」　　　　.　　 |: :lｲ ;'ハ ｂ::|　 ヾｌ　　ｂ::!　l l: l｀ｌ:`ﾒゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ| ﾚ |: :ｌ ￣　　　　　￣・ ｌ l/ｰ': :l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l.:|: :ゝ､._　 ｰ'ｰ'　　_,.ｨ': : l:: : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |.:|: : : :__二７T ¨´lヽ､| : :l: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |.:|: : :|| 　　 l´＿__7　|: : |､: :│
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――――――――――――
　　頷いたコナタも無視だ。
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374 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:27:00 qLkNzrF6
四８６．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　 　 　 ,ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,,　　　　　　　 　　　 　　,,. 　　 ,.　　　　.／::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / | 　 /|　／|　　　　 _,,.ｒ':/　 ／::|　　 ／::::::/
　　　　　　　　/|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::i　 /::i　|:::::i　 ./'''"´:::::/ .／:::::::|　 ./::::::::::/
　　　＼_WＷ/ |WWWWWWWWWWWWW／　　 　 　 　 ./::::::::i　 |::::! .i::::::i　/::::::::::,,./／:::::::／　 /::::::::::/
　　　≫　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≪ 　 　 　 　 i::::::::::i　 i::::i　i:::::::i/:::;.r''" ／:::::::／　　/::::::::／
　　　≫　　リーダー殿にもの申す！　　≪　　　　　　　i:::::::::i.　i::::i,/i:::::/'"´　.／:::::::／　　 ./::::::／
　　　≫　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≪　 　 　 　 　 i:::::::::i. i:::/::::i:::/　　／:::::::／　　　 /::::::/
　　　／MMMMMMMMMMMMMMMMM､＼　　　　 　 　 i:::::::::i i/:::::::i/:| ／::::::::／　 　　　/::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::"::::::::::／ |:::::::／　　　　　 /::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 i:::::::::::::::／　　i::／　　　　　　./::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:::::::::／ 　 　 i/　　　　 　　 /:::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 .i::::::::i　　　　　　　　　　　　/／
　　　　　　　///　//　///　　　///　　　　　　　 　 　 　 　 i:::::::i　　　　　　　　　　　　^
　　　　　　//// // ////　　　///　　　　　 　 　 　 　 　 　 i:::::::i　　　 　 　 　 　 　 　／i
　　　　　//// // ////　　　///　　　　　　 　 　 　 　 　 　 .i:::::::i　　　　　　　　　　／::::::i
　　　　　／￣￣´｀ヽ _　 // // //　　　　　 　 　 　 　 　 　 .i::::/　　　　　　　　　　i::::::／
　　　　 (　　ゝ/￣ ,　　￣￣￣￣　　　　　　　　　　　　 　 　 i/　　　　　　　　　　　i／
　　　　 (｀ー‐|　 /!
　　　　 (｀ー‐し'ゝL _
　　　　　(--‐‐'´}　　　 ;ー------
　　　　　 ｀ヾ-‐' ーｒ‐'"
　　　　　)　　　　　て
　　　　／^⌒`Y´^＼
　　　　　　ﾚY^Ｖ^ヽ



―――――――――――――――――――――――――
　　自業自得なのだが、あまりにも冷たい彼らの反応に
　　酷いじゃありませんか、とテーブルを叩いたエルは、
―――――――――――――――――――――――――
378 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:28:00 qLkNzrF6
四８７．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ﾊ ::.:.::!　V　/　 ＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　 ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト ､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　 　 　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　|/l:ハ　　 ､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　　　　「戦闘中に私が貧血になっても　　 　　　　　　　 　 ノ ﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　　　　 良いのですか！？」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ ヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　 ヽ __,,.　'´　　　　　 ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　 ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　 ／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　 ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　 ヽ　 ＼　　 ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　 ﾉ /　 ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､ 　 ＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､



――――――――――――――――――
　　涙目で戦力への影響を大いに訴る。
――――――――――――――――――



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）
.　|　u.　　 （__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　「………そんなにか？」
.　 |　　　　　　 　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　 　 i⌒＼ ,__(‐- ､
　 　 l ＼　巛ー─;＼
　　 　|　｀ヽ-‐ーく＿）
.　　　 |　　　　　　l



―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　あまりの真剣さに腕を組んだやらない夫が、仕方ないなと思ったところで、
―――――――――――――――――――――――――――――――――
379 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:29:00 qLkNzrF6
四８８．
―――――――――――――――――――――――――――
　　ニヤリと笑ったコナタがハッタリである事をばらしてしまい、
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ': : : :／/: : : : : : : :/: : : :/＿/ / l: : : : : : :|: : :|: : : :l: : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : :／　/ : : : : : : :/: : : :/´: :/ l｀　|: : : : : : |: : :|､: : : !: : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. /: :／ 　 /,ｲ: : : : : /: : : : /: : /　!　　l: : : : : ∧: : ! ＼: :!: : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／　 　 // |: : : : : :!: : : : ,! : /　 !　 　 !: : : :/ ヽ: :|　ヽ｀ヽ､ : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!'　 l: : : : : l: : : :/.|: ,' 　 !　　　 !: : : ! 　 l: |　 ヽ: ヽ: : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | : : : : |: : :/ !|/'ｰ- |､　　　 l: : l　　 ', l　　 ヽ: ヽ: : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 | : : : : |: :/l　 |__　　 |　　 　 !: |.　　 ､'|　　　ヽ;!､: : : :
　「平気。　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 　|: : : : :,!: !: l　 r ' 　i !　　　　| |　　　/｀''―- ､ヾヽ: : :
　 貧血なんて今まで見たことない」　　　　 　 　 　 !: : : ｲ|/: :,!　 !ヽ-'/ 　 　 　 l:! 　 　!_ 　 　　 /l: :∧: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',: : l l |': / 　 ｀ ｰ'　　　　 　 |　　 r‐' 　 i　./ ,' / : l : :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ:| | |: :!　　　　　　　　　　 　 　 l､ ヽ.ノ,. ' /:/ : : | : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　'.| | |: : ＼　　　　､__　 　 　 　 　 `　'´　/:/ : : : ,!: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | |: : : : |ヽ､　___　 `ｰ'　　　　 　 　･ /:/: : : : :/!/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | |: : : : |: :／／ ヽ　　　　　　 　 ,.. /:/: : : : :/´|: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | |: : : : |/ /　/´.,'‐;!ー――,.i' ´-.//: : : : :/ : :|: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | |: : :/7 /　/　/　l｣　,.. ''´:::::::::::::/': : : : : / : : |: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | |: : !　　 　 　 　 |／::::::::::::::::: , ': : : : : , ': : : : |: :



　　　　　　　　　　　 　 　　　　,､　　_　.　---　‐-　 .,_
　　　　　　　　　　 　 ,r' ｀ｰ､ ,ﾊ ｀ヽ／(⌒　　　　　　　｀ﾐ ､
　　　　　　　　　　　　ｌ　　　rｧｫ7ﾊフー'　　　 ,　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　ｌ i　　 ｲゞﾝ7ﾊ!_　 /　　/　　　　　　　　 ﾌ､￣了
　　　　　　　 　　　　/　　　ゞアン'　　/　　 /　　　　　　　　　ヽヽﾌ　ヽ
　　　 　 　 　 　　　/　　 //　｀Y　　'　　　/　　　　　　　　　　　 ヽ'　　i
　　 　 　 　 　 　 ｿ　　 ./.ｌ　　　　）/　　 / -/-/─ /　,　 /｀　　 ヽ 　 l
　　　　　　　　,／,　　　　 i　　￣　/　　/　 / / / /　/　/ｌ､　　　ヾ i　 l
　　　　　　　/／/　　　　|　　　 i　i　　,'r{辷ト､/ /　/　/ﾘ　＼ l 　 i .l　l
　　　　　　 （　 i　　　 i.　l l　 l　l　l　　.ﾊﾞY^ド{ /／ ／ / / 　 i　　l　i .l
　　　　　　　 　 l　　　l　　ｌ　 l　 l. ! 　 ゞ弋ソソ　　　 ,ｨfﾃﾄ､　ﾘ　　|l　l l
.　　　　　　　 　 ヽ　 / i.　 l　 l　 l. !　 .| ｀)）　 　 　 　 込ﾝ/　､ .i.　 l　l l
　　　　　　　　 　 i /. /　　i 　i　 l　 　 | .((　　　　 ,　　　/,.イ / 　 i　lノ　　　　「………そんな事だろうと思った、よ」
　　　　　 　　 　 ／／　i　 ヽ l　 ヽ 　 l 　 　 　 　 　 　 / ,'　/　 ./　 i
　　　 　　　　／ ／i　　ｌ　　 ヽ　 　 　 | 　 　　´￣　イ l/.イヽ　 ヽノ
　　　　 　 ./　／　 i/　/　 　 ｌ　 　 　 |　 ‐- t‐＜　　ﾘﾘ　,ﾊ　 ＼　ヽ
　　　　　 /　/　 　 / ／／ 　l　　 .从ﾉ～ヽ～'. /　 .//　/　　ヽ　l 　l



――――――――――
　　その結果―――
――――――――――
380 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:30:00 qLkNzrF6
四８９．
―――――――――――――――――――――――
　　演技ではない悲鳴が、夜空にこだましたのだった。
―――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ´　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.',　　　 ,:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..:`:‐-‐:　‘　　　　　　　　　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　　｀　　, .. . 　　　+　　　　’‘ 　　　　:: . ..　　　　　　　　　　　　　　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　.　　　　.　　　　　　　　　， 　　，:‘.。　+　　 ，..　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　　う、裏切り者ォォォォ！！　＞
　　　　，　　　　　　　　　　　　　　’‘ +　　 ，..　. ..; '， 　　，:‘　　　　　　　　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　. .; : ’　　 '　，:‘.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　，:‘. 　　　　　+　　　　　 ，..　　　　　　　 ，..　. ..; '， 　　，:‘
.　　　　　　　　　　　　　 　i　　.. '　，:‘.. ...::　　　　　　’‘ ’‘.;　。　　　　　　　 ，..　. ..; '， 　　，:‘
　　　.　　　　　。　　，:‘. .傘　　　　 ，..　. 　　　.; '， 　　，:　　‘　　　　　　　　|
　　　　　　　　，　　　　 傘傘　　　　　　　　　　　，:‘.　　　　　，　；　　　｀　　r^t
:: . .. 　　　　　　　　　　.傘∩傘　　　　　　　　　　　　　　　　　　.. '　，:‘.　　./.:::ﾍ
　　， 　　，:‘. 　　　　傘傘傘傘　　　　　　　　　　　　　'， 　　，:‘　　’‘ 　.| : :::::|
.　　　 |　　　　　　.　［IIIIIIIIIIIIIII］_____________________________________________　 .r".: ::::`i‘.;　。
　　 .r'^ー--------..i..::::::::::::;;;;i|;;;;::::;:::;::;:::;::::;::::;:::::;:::;:::;::::;::::;::::;::::;::::;::::;:::;ヽ_|.:_;_;;;_;;|_____________.
　　/::;::;:::;:::;:::;:::; ::;:;::;;;| ..:::;:::::;;;;;i|;;;:;::::;::::;::::;::::;::::;::::;／|＼::::;::::;::::;:::;:::;:::;:::;::;..ヽ.;;;;;:;;:;;::;:;:;;::;:;:;;::;;::;＼
　./;;;;_;.;;;_;;:;_;_;;;._;.;;;:;.;;| ∩ ::::;;;;;/;;_;:;;;_;;:;:_;:;:; ;_;::／＼|／＼;;;_;:;;_;_;;:;;_;:;;:;_:;;_;.:;ゝ.:-:;:-:-::-::-:-::-.-ヽ
.´|.::::::: ::::::: : :: :: ::: : :;;| ..:::::::::;;;;;i|;;: : : : : : : : : : :［IIIIIIIIIIIII］: : : : : : : : : : : : : :|;.:;ﾍ.;: ;ﾍ:.: ;ﾍ:. :;ﾍ.: :|
　|: : i^i: : i^i: : i^i: : i^i| ∩ .:::;;;;;i|;;::i^i::: i^i::: i^i::::||: i'⌒`i: ||..:i^i::: i^i::: i^i::: i^i::|;.:|_j; :.|_j; .:|_j:: :|_j;: :|
　|: : Ll:.:: Ll::.: Ll:.:: L.| . .::: .:;;;;;;i|;;;:Ll;::;:Ll;.:..Ll;: ［IIIIIIIIIIIII］ ;Ll;;: Ll;::::Ll;;:::Ll::i;;: : ;: .:.; :.: ;.: .:;.. :.; ;.i
　|≡≡≡≡≡≡≡.| ∩...:::;;;;;i|!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i||: i'⌒`i...||;i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!| ≡≡≡≡≡≡≡|
　|:: ::::: ::::::: ::::: ::::: :.:.;;| . ..:: .::;;;;;i|;;: :: :::: : : ::: :: ::［IIIIIIIIIIIII］:: ::: : : :::: ::: :: :...::::|; ;ﾍ;.::;ﾍ. :.:;ﾍ.: .;ﾍ.: .|
　| : :i^i: : i^i: : i^i::...i^i| ∩.. ::;;;;i!|;;.:i^i:: :i^i: .:i^i: :|| r'⌒`.i..||;;;i^i:: :i^i: ::i^i:: i^i:..i:..LI;:.:LI: :..Li; ::LI;:::.|
　| :: Ll;;: .Ll;;:. Ll; ::.Ll| .:: .:: :: ;;!i|;;::Ll:;:::Ll;;::.Ll;:::|| | ...l.....i ||;;:LI;; .LI;;: LI;;:.Li,::|;:; .;:. :;..: : ;.:;.: ;.:;;;.; :;|
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━━━━━━━━━━━……
382 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:31:00 qLkNzrF6
四９０．
━━━━━━━━━━━……
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――――――――――――――――――――――――――――
　　やらない夫達四人がグラナダを出発したのと同時刻―――
――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ´　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.',　　　 ,:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..:`:‐-‐:　‘
　　　　　　｀　　, .. . 　　　+　　　　’‘ 　　　　:: . ..
　.　　　　.　　　　　　　　　， 　　，:‘.。　+　　 ，..
　　　　，　　　　　　　　　　　　　　’‘ +　　 ，..　. ..; '， 　　，:‘
　　　　　　　　　. .; : ’　　 '　，:‘.
　　，:‘. 　　　　　+　　　　　 ，..　　　　　　　 ，..　. ..; '， 　　，:‘
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　　　.　　　　　。　　，:‘. .　　　　　　 ，..　. 　　　.; '， 　　，:　　‘
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　　 　　 ＿　　　　　　　 |　 　 _,,-''".:.i.:.:..i"''-,,_　　　|i|:':|
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　　　､__ || __|.:.:.l;;;;;;l⌒i . :.i.___!__;___;__._;___i___;___;___;___;,. .; ..⌒l＿l.:.:.i
　　　 | . || } |..:..i.:.:.i.:.:.i : lll||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||..: ! : i : .!..:.!.l
　 _,,-iiiiiiii;;;;;;|. i.:.:.i : .!..: ! : ~;~~.;~~;~~;~~;~~;~~;~~;~~i~~i~ : .!..: ! : i.:.:iﾞ|
∠; ; ;;;;;;;;;;;;;;;|i.:.:.i :. ;　 ;　.;　 ; .__.;___;__.;　 ;　.;__.;___;_.;　 ;　 ;　 i.:.:.i.:.: {__,,___,_,_,____,___
______| ; ;;;;;;;;;;|.:.i.:.:.i .,=､ : ; .. ; ..| ;;;;;;;;;;;|;　 ;　 | ;;;;;;;;;;;|;　.;　 ; ..,=､.. .i.:.|メﾒメﾒヽヽヽヽ
; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|i : .!..（(|||)）.: !..: ;.|;;;;;;||;;;;|　 ; . ;.|;;;;;;||;;;;|　 ;　 ;（(|||)）.; :!lヽﾒヽ__メヽヽヽ
; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|i.:.:.;　 `='　.;　 ;　|;;;;;;||;;;;| ;　.; . |;;;;;;||;;;;|! : i : .!..`='! : i :.|ヽヽ; | |ヽﾒヽヽ
ヽヽヽヽヽ l￣l..i.:.:.i.:.:.i.:.:.i.:.:.i : .!..: ! : i : .!..: ! : i : .!..: ! : i : .!..: !.:.:.i.:.:.i !ヽヽ|:| |ヽヽヽヽ
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385 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:32:00 qLkNzrF6
四９１．



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　　　　　　　ｌ　　|「￣￣￣￣|￣￣￣|￣|　l __ |　　|iﾟ　＿ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_|＿___ . 　 |　: . :. .: .:.:.:.: .:. :.
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　 　 　 /〉 . |　　|ｌ　L　＿ 」 .|　 　 　 |i . ｌ　| lil |　　|ｉ　|│～～～　　 OO→ノ⌒v´｀ー‐ │| 　 | 　 | 　l＼ :.: .: .. :. :.:.
. 　 　 //.!　.|　　|l 　 　 　 　 | 　 　　 |＼ｌ　|(:::)|　　|i｡ |│～～～　　　　　.i'　n_＿Ω_,←│| 　 | 　 |　 l　 |　 　:. :. :. :.: .
　 　 〈//i|　.|　　|ｌ　　　　　 「| 　 　　 ｌ　 |　,.二、 　.￣|│「ﾟ　ﾟ」同　.ＸＸ→ﾉ_ノ＿,.-‐' ´ . │| 　 | 　 |　 l　 |　　　 : .: .:.:.:. :. .
　　　 li.!/l　 ! 　 |ｌ　　　　　 l_|　 　 　 | 　|　|,ｪｮ'!　..　　|└────────────┘| 　 |. .: .:＼l　 |　　　: .: . :.:.:. :. .:
　　　 iｌ　 ゝ　　. |l 　 　 　 　 | 　 　 　|　 |　lli'tl:|　　　　￣￣「| ￣￣￣￣ ￣ ￣￣「|￣ ￣ .:..:.::|: .: . :.: .＼|　　　 : ..: .: .:. . :.
　　　 l!v´ 　ｌ ,､--､　　　　　 | 　 　 　ｌ　 |　l,lLl.|　　　　　　　|.|================|.|　　.: .:.:.:.:.::|. :. :. . :.: . :. 　 　 |＼: .: .:. :. .
　　　く>　　 |_l ￣ l＿ ＿＿_.|＿ ＿_ _＼|　 ￣　　　 　 　　 .|;|　　　　 　 　 　 　... ..|;| :. :._:._.:.:_.:_|: .: .: .: .: : .: 　 　 |　 l＼ :.. .:
　　<l　<>　/ .! 　 ,l￣￣ ￣￣￣￣　￣ ￣￣　￣ ￣.￣ ￣|.|￣￣￣￣￣￣￣￣|.|￣: .: : .:. : ..ﾞ､ :. :. :.: .: ..　　　|　 l　 |
　 　 <> 　/ 　 ￣　　 　 　/￣￣￣￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣￣￣￣ﾞ､　　　　　　◎　　　　 :.: . :.ﾞ､ :.: : :. :. ..　 　|　 l　 |
.　 〈> 　 / 　 　　　　　　 /　　〈〉　　く<<> ＿＿ |　「￣」 ﾛ /　　.､,`;　　ﾞ　　　　　　　　　　　　　　: :.ﾞ､ .: .:. ..:.:: .: .. ＼l　 |
　＜ｌ　 /　　　　　　　　 /_､y'＿＿＿＿＿||l|l|i|l|||＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ､　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ :. :. .:＼|
　 l> . /　　　　　　　　 /　i､,l ﾟ､,`,.　<>>　 ||l|i|l|l||| 「「「「 」 ,.;`,　　　[o]~　　 ﾞ ､　　　　|　　ようやく戻ったか。　 | .: .:. :. :. .
　　　/　　　　 　 　　 /　　/三三/　 　 kl　,,　_,,｡| 　　l￣￣| /　　　　　　 　　 ､　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ: . :. : .: . .: .:
.　　/ 　 　 　　　 　 /　　/三三/　　＼　　ﾘ ,ｉHｉ.|　　 l＿三l　　　　<>　「」　 　 ﾞ､　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､ :. :.: . . .: .: .: .. .
　 / 　 　 　 　　 　 l======================l========================l　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､ :.: .: .: .:. : : :. .
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387 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:33:00 qLkNzrF6
四９２．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　ティターンズの本拠地にある会議室では、
　　錫杖、鎚矛、盾、冠、腕輪、そして剣の六つの宝具を挟んでの探り合いが行われていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　＿＿ ＿ _
　　　　　　　　　　　,r'"´　　 　　　　 ＼
　　　　　　　　　　/　　　　 〈±〉　　 　 ヽ
　　　　　 　 　 　 |　　　, -──‐‐- ､　　|
　 　 　 　 　 　 　!　,r'´.:.::::::::::::::::::.::.:.:.:＼ !
　　　　　　　　　 ﾚ'.:.::::r'"´￣￣￣｀ヾ､:::.:.!
　　　　　　　　　 |;r'"´-‐`ヽ　 ,/´-ｰ-､`^i
　　　　　　　　 　!jィ〔´（◯）｀二´（◯）｀ﾄ､|
　　　　　　　　　ﾊﾚ' ﾞｰ＝'ﾞ´.:;! ' ｀ﾞ＝‐'ﾞ^ﾚj､　　　　　　　　　　「随分と遅かったな。
　　　　　　　　　l ﾄ､'.., 　 / .::;j,_　 ｀ヽ　ノｲ !　　　　　　　　　　 どこをほっつき歩いていた？」
　　　　　　　　　! ﾘj　i　　　 ^"^　　　 l^iｲｿ
　　　　　　　　　ヾU　',　 ''ｰ＝＝‐''´ ,! |ノi
　　　　　　　＿ _」^i　 ',　　｀ﾆ二"´　,' ,!　ﾄ､＿ _
　　　,r'"´.:.:.:.:.::::::|　ﾞ､　 Y´　　 　 ｀)　/　 |:::::::::.:.:.｀`ヽ
　　 ,!.:.:.:.:::::::::::::::::j　　＼,ゝ‐---‐ 'ﾞ,イ　　」::::::::::.:.:.:.:.:.:!
　　 |/＼.:.:.:.:::::::::|￣￣｀¨`ヾ｀二´イ"´￣ i:::::::::::::::::／|
　　 |.:.::::::＼.:::::::::|　　　　 　 ｀ﾞYi"´ 　 　　|:::::::::::::/::.:.:.|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -rー-- .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　 / ,r ''ー　_｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　_,.. ｣ --- ..,_´ ｀ヽ.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　／,. -―‐ ''' ｰ-｀`_- 、 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　/／　　　　　 ,. -　　｀ヽヽ. ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i l/ 　 　 　 　 /r= ､　　　　ヽ_j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　r'"７/´ｰ'´　　 ＼　　　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 !　 ィ 　 ! l　　　　　　　ヽ、　　 ',
　「少々野暮用でな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 l　 /l　　｀ヽ　　　　_,__-‐ !'　　　 !
　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 l　 l l‐┬--､　 , ィ--‐'　 l'´l.　　 l
　 ………早速本題としよう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ゝ',´ ￣　　　　　　　　|ﾘi　　　|
　 最初の契約通り、最初は私が使わせてもらう。　　 　　　　　　 |　!ヽ ﾍ　　　 _ ,.　　　　 /.7i |　　l
　 預けておいた証を渡してもらおうか」　　　　　　　　　　　　　　　 ',l l　l`ｰヽ　　､｀__,.　　 /|´ 〃 i　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽヽヽ　 |ヽ 　 ''　　／　!ィ'　/ ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿,,ゝヽ_ｰ'r､ `,ｰ-‐_,. -,'- 1ノ- '´ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　｀|｀ヽl r,ﾆ ‐'"　　l .ﾉ　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　　　r.| 　 l ||　　　　 ／　／!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r 7ー―‐ ヽ＿_　　|ｨl､　 | !!　_,. -.7　／/　｀' - .,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ' - ..,,_　　　!ﾚ'　　l r､`ﾆ_'_'ﾆ,- ,.ｲｰ'　/　　　　　 ｀` ｰ-､, -､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ ヽ lヽ　　.!.ﾄ ヽ=‐ '´／ ﾉ　／ , -------―‐／　／i
388 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:34:06 qLkNzrF6
四９３．
―――――――――――――――――――――――――
　　否、探り合いや交渉と言う程のものでもない。
　　互いはすでに裏切り、裏切られる事を織り込み済みで、
―――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ ＿_ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ＿　　｀`ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 /ﾉゝヽ　　 .: .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 ,j　Y　/｀`ヽ､ .:. :.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　/ ｀ｰ‐'_＿__　＼. :.:. :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　 」イ二 ＿,/ / ＼.ヽ..: .:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,イ二ﾌr =､二´r＝､.:.;ﾞヾj､ .: .:.: .:.〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣｀1(◎,)元,(◎,)_j」＼.::ヽ」.:／
　「………その後、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲｰ-‐j⌒ゝ‐-‐'ﾞ^iｰ;:'乍7'´
　 お前が証を返す保証はあるのか？」　　　　　　　　i{t､　,ｨ ﾆ>'ヾ､　　j;:;:,ﾍ;「
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝj,'　 _ ＿,,､､　 .::;ﾚ'ｿ;/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　jﾘ　'"￣｀ｰ'ﾞ ,'　,'::;i;:ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!　　´￣`　,'　.:j;::;!;:1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾄ､　　　　 　.:,ｲィ;:;:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ!. `ー一‐''.:´/.:.j:;:;:ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ﾄﾐt､.: .:. .:_,､-‐''"´ .:.::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | T j 「￣ T　　　.: .:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿_, イ 」 | ,! |　 　 |　　.: .: .::.::L_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r77´￣￣ 　　　　 `ヾj ,! ,! 　　」＿,．-‐'"´.:.:.:`ｰ- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//j′　　　　　　　　　」 ! 7´￣　　　. :. ..: .: .:. :. :.. :. : :; ￣



　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,..､-..――..-...､,,_
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞￢─＜ﾍ:｝
　　　　　　　　　　　　　 　 ,'.:.:.:.:.:.:＞ " ´_.,､:＜:´:￣｀:ヽ、
　　　　　　　　　　 　 　 　 {､∠....､:＜´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∧ﾉ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. / ｿ
　　　　　　　　　　　　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ｲﾉ 〈
　　　　 　 　 　 　 　 　 /:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. K}　 /
　　　　　　　　　　　　 /:.:!:.:.|:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉ ﾉ　/
　　　　　　　　　 　 　 {:.:.|:.:.:!:.:. |:.:l.:.i:.:.:.:.i:|:.:.:.:.|:.|!:ソ;　/　　　　　　　「………何が言いたい」
　　　　　　　　　　　　 ∨ﾘ:.l|.:.:.:l:.:|:.:|.:.:.:｛{￣｀ :＜ｲｰ ′
　　　　　　　　　　　　　ヾﾍ:,ﾍ:.:.ヾ;.ﾍへ:.ノ: : : : : : :＞:.､
　　　　　　　　　　　　　　∨: :.:｀ー'": : : : : : : : : : : : : :/
　　　　　　　　　　 __ 　 　 `_ソ´￣￣￣￣￣｀"ｰ=￢′
　　　　　　　　　　ﾑ7＞＜´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＞､rｪｭ、
　　　　　　　　 .,/ /ー―､:.:.:./:.:.:.:／´￣￣￣￣￣￣´ｰ‐<Kヾ､
　　　　　　　 ,ｲ:{´:::::::::::::::ヽ:/:.:／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノﾉ:.:｀ヽ
　　　　　　　ハ{{::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: //:.:.:.:.:.:.:.:',
　　　　　　 ,'.:.:Y､::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
390 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:35:00 qLkNzrF6
四９４．
――――――――――――――――――――――――――――
　　後は同盟の破棄をどちらが先に言い捨てるかだけの関係だ。
――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l､　　　　 | _,,.―ｰ''''''''''''''''''''''''―-､,,,、　　　ヽ　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　 |'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;~ﾞ'ｰ､,,,_　ヽ　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　＼.,,,こ,,,,,,,.､.----―',!'''''''''ｉ￢￢┬---､,_「', ヽ　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,,―''"゛;;;;;,/,,,,ﾆ'"'';,ｿ-ﾆl'|　　 ｀! ﾞ|　 `'|'ヽ、::;;ﾞ`＼, ＼　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　;;;;;;;;;;;;;;,〈ｰ 、　|'l',,.､＿リ､,,,,,ノ　,!　　 |「 ,!广-､,::`'-,|'-、　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ＼,,,,,,,__　;;|:l'　 ﾉ　,!」゜ |　ﾞ'ﾆ､.,,,,.／′ ,r'''ヽl'|　.,.-二;､ﾞ|;;;;;ﾞ>　　,/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣ﾟｉヽ／ ,/,l］　|　　 /''ｰ----''"　 ヽ　 ﾞ/ ,i´iﾝ､|'シ'゛_／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　ﾞi―''ソﾞ,l'　|　 ..,,|　`'ｰ-、　　　　｝　| ヽ| | |;;;,ト''"
　　　　　　　　「妖術師の言葉など、　　　　　　　　.　　　　　　　　 l'￣　 ﾚ-'''ﾆ-､,,ﾉ　　　　　,,／″　ﾉ ,i´,ﾉﾞ,|,］
　　　　　　　　 誰が信用するのかと聞いている」　.　　　　　　　　 ＼　　"″　　　　　　　へ、l'　　　ヽ`'',,r"::ﾞ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　ヽ　　 .,,,,,．_,,,.,,,.､-‐ ″| ﾞi　　　　ｒ‐′ﾞ''l,i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| Ｌ_,,,,,.ﾆﾆヾ＾　　　　　　ヽ　　　|::::::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 .,,,,.――‐‐　　　　　 }　　　l::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 /.ｒ'"￣｀　　　　　 ,ﾉ　　　/　.:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　 ″　　　　　　　　 '′ ,,／,!　 ..:::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　 ,,/,-'′,/　　 ..::::::::l'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　 ／　;::::::,／ .__,,,,,,,.､､-ト-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　 ﾞ-y,,,,,,,,,,.―‐'";;::::,―ｰ''""ﾞﾞ＾::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　 ,,,,ｺ::::::::._,,,,,.--‐''ﾆコ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|"ﾆｉＺ'|ﾞﾞンｰ''''"ﾞﾞ゛;;;;;;l'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〔
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　" ":::"."."::::::::::::::::::::::::"　　　　　　　　　　　"
391 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:36:00 qLkNzrF6
四９５．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　バスクも妖術師も、もちろんそれなりの対策と準備をしてこの場に望んでいる。
　　後はどちらがより上手か、でしかない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　!_,..::::::::=＝:＝=::::;,,,　　　　　 　　ヾ
　　　　　　　　　　　 ,／"　　ゞ_,.;:"`~`ヾ,　~`;:::,._　　　　　　`;,.
　　　　　　　　　　　/　,.r-・”~~　　　　　ヾ　　　~~=-;;:...　　　 i
　　　　　　　　　　/　 ,.i　　　　　　　　　　 ヾ　　　　　 `;:,,,　　 i
　　　　　　　　　/　　,.ｒii　　　　　　　　　　　ヾ　　　　　　~`;::,,i
　　　　　　　　 /　　i,i　ii　　　　　　　_,,,,:=-- .ヾ::　　　　　　　ヾ_
　　　　　　　 ,/　　 i;i　 ,,i　　　　 _,,.;'ゝ.-.-;;'　　ヾ:::::....　　　　　ヾ
　　　　　　　.r　　yii, =;,.. -;" 　,"~/'-'"ﾆ;'"　　　.ヾ　,.:"^;.　　 　ヾ
　　　　　　　l　:': ::::i.∠.,(ﾂﾍ　　　　"　　　　　　　. i: i r　 i　 :　:　　i
　　　　　　 .l　::: ::::::l　　'　 .,i　　　　　　　　　　　　.i::i.iﾍ　i　 :::.:::　　|
　　　　　　,l　:::: :::::::::;,　 　.:;" ,　　　　　　　　　　　.i:i　　,i　..::::::::::::　|
　　　　　　l　:::::: ::::::::'.　　 　`　　　　 　__.,,　　　　 .i!　 /.::::::::::::::::::::::|　　　　　「つまり同盟は解消、
　　　　　 ,l　::::::::.::::::::::{　　　　 -=＝二..ｿ　　　　　　=":::::::::::::::::::::::::|　　　　　 そう言いたいのだな？」
　　　 　　 l　:::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　"`::.,　　　　　　　l::::::: i::::l:::::::::::::|
　　　 　 　,l　:::::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　　　::::/　　j::::::: l::::ll:::::::::::i
　　　 　 　 ,l .::::::::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　:::::/　　 "";'ノj丿|:::::::::l
　 　 　 　 　` ,,,,,::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　.::::/　　　　　　　 ,j:::::ノ
　　 　　 　 　 　 ~`=-;,:::::::.___;;i,m;,:::_::;.;:`_;,,/　　_-=＝;""l　""
　　　　　　　　　　　　　 　　　　i＼　　　_,...;;:::""　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　 ___,i ﾍヾ,/"~　　　　　　　　　 l＜,.........____
　　　　　　　　　　　　　　／　,i.,_　］［_}β　　　　　　　___ゞ　　　　　　~~~~~~~~~~
　　　　　　　　　　　　,／　　 i.,_　.］［_}β　__,.-=ゞ"-"~~~~
　　　　　　　　　　,／　　　　i_　 =i i==＝,""~
　　　　　　　　,／　　　　　　　`　i, i
　　　　　　;／/　　　　　　　　　 ,i　i
　　　　/"~//
392 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:37:00 qLkNzrF6
四９６．
―――――――――――――――――――――――
　　茶番は終わりにしよう、と先に動いたのはバスク。
―――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　＿＿ ＿ _
　　　　　　　　　　　,r'"´　　 　　　　 ＼
　　　　　　　　　　/　　　　 〈±〉　　 　 ヽ
　　　　　 　 　 　 |　　　, -──‐‐- ､　　|
　 　 　 　 　 　 　!　,r'´.:.::::::::::::::::::.::.:.:.:＼ !
　　　　　　　　　 ﾚ'.:.::::r'"´￣￣￣｀ヾ､:::.:.!
　　　　　　　　　 |;r'"´-‐`ヽ　 ,/´-ｰ-､`^i
　　　　　　　　 　!jィ〔´（◯）｀二´（◯）｀ﾄ､|
　　　　　　　　　ﾊﾚ' ﾞｰ＝'ﾞ´.:;! ' ｀ﾞ＝‐'ﾞ^ﾚj､
　　　　　　　　　l ﾄ､'.., 　 / .::;j,_　 ｀ヽ　ノｲ !
　　　　　　　　　! ﾘj　i　　　 ^"^　　　 l^iｲｿ　　　　　　　　　　「フン、そう言う事だ。
　　　　　　　　　ヾU　',　 ''ｰ＝＝‐''´ ,! |ノi
　　　　　　　＿ _」^i　 ',　　｀ﾆ二"´　,' ,!　ﾄ､＿ _　　　　　　　 いかにお前と言えど、
　　　,r'"´.:.:.:.:.::::::|　ﾞ､　 Y´　　 　 ｀)　/　 |:::::::::.:.:.｀`ヽ　　　　 この距離でこの人数を相手には出来まい」
　　 ,!.:.:.:.:::::::::::::::::j　　＼,ゝ‐---‐ 'ﾞ,イ　　」::::::::::.:.:.:.:.:.:!
　　 |/＼.:.:.:.:::::::::|￣￣｀¨`ヾ｀二´イ"´￣ i:::::::::::::::::／|
　　 |.:.::::::＼.:::::::::|　　　　 　 ｀ﾞYi"´ 　 　　|:::::::::::::/::.:.:.|
　　 |::::::::::::::i:::::::::| 「***j」　　!l |　「***j」/:::::::::::/:::.:.:.:.:|
＿,ノ.:::::::::::::|:::::::::!　　　　　　 | ||　　　　/::::::::::::/::::::.:.:.:.:L_ ＿
::::::::::::::::::::::::!:::::::::ﾄ､｀`二二ﾆj i |　-ー'/:::::::::::/::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:




　　　＼　　　　 　 ＼　＼　　　　 | ,,,--'''''￣　| // ＿,,,,--┐ 　 |　／　　＿,,,...---
. 　 　 　 ||￣　/l‐|、-/l　＼┌'￣|　　　 ＿,,,,-ゥ/i｀ヽ、　　.ィ-ァ|　| 「￣' 　 |
. 　 　 　 ||　 ./,'　| | |、|￣''''ー-____,,--''''',,,-'''~/　 ＼|..　.／／　|　| |　　　　|
. 　 　 　 ||　//==| |=|/ー-＜￣__,--'' ￣　　 /.　　 　 ／／.|　　|　| |　　　　|
―--,,,___||_// ┌| |‐---,,,,__￣|　|　|　　　　.　　 　 ／／　　|　　|　| |　　　　|
＿＿＿ .||l /|　| 'l |　　　　　|　|　|　　　　　　 　 ／'''~. 　 　 |　　|　| |＿,,,,--|--''''
====┐ .||/. |　|　|l.　　　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |　　　　|
　 　 ||　 ||/ .|　|　'!　　　 　 .|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |　　　　|
　 　 ||　 ||　 |　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |　　　　|
――||―||　 |　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |'.―|‐.| |-,,,,,__　|＿,,,,
　 　 ||　 || 　|　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |--''''￣|'''''--
　 　 ||　 || 　|　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |‐-,_____|
　 　 ||　 ロ(()==| 　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　＼|　　|　| |　　　　|｀''--
　 　 ||　 ||　 |　|.　 　 　 ／ .|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |＼..|　| |　　　　|
　 　 ||　 ||　 |　|.／　 ／. 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　＼|　 ＼ |,,,,....--- |----
　 　 ||　 ||　 |／　 ／..　　　.|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |＼..|..＼...　＿__|,,,,,,,,,,
393 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:38:00 qLkNzrF6
四９７．



　　　　　　 　7　　　　　　.１　i;;;;;;;;;;;:;;;l　　　　　　ヽ、;;;ｿ;;;;;;;;;;;;;;i!
　　　　　　　ゞ　　　　　　　｝. i!;;;;;;;;;;;;;;i　　　　　　　ヽ;;;i;;;;;;;;;;;;;;;;i
　　　　　　　｀ヾ‐------‐'i　 |:::::::::::::（ 　　　　　　　ｿ｛i!‐-＿__〕
.　　　　　　　　 ゝ;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　 ヽ_;;;;;;;;;;ﾉ. 　　　　　　ﾉ::::｛..:::::::::::く
.　　　　　　　　　)::::::::::::::::::i　　　￣~~ 　　　　　　　｀--｀ヽ:::::::::::ヽ
.　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::）　　　　　　　　　　　　　　　　｀‐----'
　　　　　　　　/:::::::::::::::::.//
.　　　　　　　｛―--―-',/
　　　　　　　　`--――'
　　　　　　　i !　　　　　　　　　_　　　i !　　　　　　　　　_　　　i !
　　　　　 二　二~i　　　｛｝｛｝//　 二　二~i　　　｛｝｛｝//　 二　二~i　　｛｝｛｝//
.　　　 　　　|_|　|_|.　　　　　// 　　　|_|　|_| 　　　　　// 　　　|_|　|_| 　　　　//
　　　　　　　　　　　　　　　 " 　　　　　　　　　　　　 "　　　　　　　　　　　　"



―――――――――――――――――――――――――――――
　　見計らっていたのだろう、
　　乱暴に開かれた扉から武器や魔符を持った数人の盗賊―――
　　騎士の格好をした者も混じっていたが―――が現れ、
―――――――――――――――――――――――――――――


　　　　　　　　　　　　 _,,. ----- ､
　　　　　　　　 , -‐ '"　　　　　　　 ＼
　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　 　 , '　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l
.　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l
.　　 ,'　　　　　　　　　 　 　 !　　　　　 　 　 !
　　 !　　　　　　　　　　,　　,!　 　 　 　 　 　 !
　　 ﾘ　 r　　/　　　/ //　/! l !　!　 　 　 　 !
　　 !　 l!　 /　ｨ ／／/ ノ　ヽ!|　|.　　　　　,'
　　 l　 !|　|／ィ -‐ィ／　 __,,.-ヽ ヽ _,i　　/
　 　 ',　ヽ（ヾr't:j､　　　ィ‐t:jｰ,　 lヽl　! 〃
　　　 ヽ　ヾ,　￣　　　　 ｀￣　　 }ィ! l. /
　　　　 lヽ, ﾍ　　 |　　　　　　　　f´ノ /　　　　　「妙な動きはするなよ。
　　　　　ヽヽ '、　ヽ ‐　　　　　 ´ﾆ ｲﾉ　　　　　　このナイフにはデッド・ニードルが塗ってある」
　　　　　　ﾉｱ∧　 ー一　　 　 ﾉ　!〃
　　　　　　ｰ'ﾉ　ヽ　 "　　　／　　,ｲ
　　　　　　｀　　　 ゝ- ‐__´!,,.. -‐' ヾ
　　　　　　　　　　l ,!ﾆi´　 _, -‐_j　 |
　　　　　　 　 　 〃f 7!　　l‐_,ﾆ-'_,..!_



―――――――――――――――――――――――――
　　大仰にソファに座っていた妖術師を取り囲んだのだ。
―――――――――――――――――――――――――
397 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:39:00 qLkNzrF6
四９８．
――――――――――――――――――――――
　　そしてバスクが取り出したのは沈黙の魔符。
――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ ＿_ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ＿　　｀`ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 /ﾉゝヽ　　 .: .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 ,j　Y　/｀`ヽ､ .:. :.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　/ ｀ｰ‐'_＿__　＼. :.:. :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　 」イ二 ＿,/ / ＼.ヽ..: .:.:.:.＼
　　　「いかに貴様とて、　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,イ二ﾌr =､二´r＝､.:.;ﾞヾj､ .: .:.: .:.〉
　　　 この距離でこの人数を相手は出来まい」　　　　　￣｀1(◎,)元,(◎,)_j」＼.::ヽ」.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲｰ-‐j⌒ゝ‐-‐'ﾞ^iｰ;:'乍7'´
　　　┌― '´￣∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 i{t､　,ｨ ﾆ>'ヾ､　　j;:;:,ﾍ;「
　　　 ∨ 　　 　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ゝj,'　 _ ＿,,､､　 .::;ﾚ'ｿ;/
　　　　∨　　　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 jﾘ　'"￣｀ｰ'ﾞ ,'　,'::;i;:ｲ
　　　　　∨　_fヽ　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾞ!　　´￣`　,'　.:j;::;!;:1
　　　　　 ∨{ ヽ. ∨ ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾄ､　　　　 　.:,ｲィ;:;:/
　　　　 　 ',_}　}　L.... l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲ!. `ー一‐''.:´/.:.j:;:;:ﾄ､
　　　　　　　|　l　 | , -ミ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ﾄﾐt､.: .:. .:_,､-‐''"´ .:.::i
　　　　　　　|　l　 l/　 ,'＾r,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | T j 「￣ T　　　.: .:.:.:|
　　　　　　　ﾉ　l　/ 　 }　{ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　 ＿_, イ 」 | ,! |　 　 |　　.: .: .::.::L_
　　　　　　　{　 　 　 　 　 ',　　　　　　　　r77´￣￣ 　　　　 `ヾj ,! ,! 　　」＿,．-‐'"´.:.:.:`ｰ- ､_
　　　　　　　＼ 　 　 　 　 ',　　　　　　　　//j′　　　　　　　　　」 ! 7´￣　　　. :. ..: .: .:. :. :.. :. : :; ￣
　　　　　　　　　＼　　　　　|



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　多人数での包囲、対魔法使いに効果の高い複数の魔符、そして致死性の毒を塗った刃物。
　　確かに魔法使いを相手にするには十分過ぎる程の戦力で、
　　彼らが勝ちを確信するのも無理はなかった。

　　もし妖術師がここへの帰還を遅らせてまで準備をしてこなければ、勝負は五分五分だった可能性もある。
　　しかし―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
398 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:40:00 qLkNzrF6
四９９．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　盗賊達は誰も気づいていなかった。
　　これまで護衛兼手駒としてそばに置かれていた、あの男の姿が最初から無かったことに。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　,,.. -rー-- .,
　 　 　 　 　 　 　 ／　 / ,r ''ー　_｀ヽ
　　　　　　　　 ／　_,.. ｣ --- ..,_´ ｀ヽ.＼
　　　　　　　 /　／,. -―‐ ''' ｰ-｀`_- 、 ヽ
　　　　　　　l　/／　　　　　 ,. -　　｀ヽヽ. ',
　　　　　　　i l/ 　 　 　 　 /r= ､　　　　ヽ_j
　　　　　　　/　　r'"７/´ｰ'´　　 ＼　　　　',
　　 　 　 　 !　 ィ 　 ! l　　　　　　　ヽ、　　 ',
　　　　　　 l　 /l　　｀ヽ　　　　_,__-‐ !'　　　 !
　　　　　　 l　 l l‐┬--､　 , ィ--‐'　 l'´l.　　 l
　　　　　　 |　 ゝ',´ ￣　　　　　　　　|ﾘi　　　|　　　　　「つまらん、その程度か。
　　　　　　 |　!ヽ ﾍ　　　 _ ,.　　　　 /.7i |　　l
　　　　　　 ',l l　l`ｰヽ　　､｀__,.　　 /|´ 〃 i　l　　　　　　………やれ、ジ・夫」
　　　　　 　 ヽヽヽ　 |ヽ 　 ''　　／　!ィ'　/ ノ
　　　　 ＿＿,,ゝヽ_ｰ'r､ `,ｰ-‐_,. -,'- 1ノ- '´ヽ
　　　　ヽ　　　　　　｀|｀ヽl r,ﾆ ‐'"　　l .ﾉ　　／
　　　 　 ヽ　　　　　r.| 　 l ||　　　　 ／　／!
r 7ー―‐ ヽ＿_　　|ｨl､　 | !!　_,. -.7　／/　｀' - .,_
ﾚ' - ..,,_　　　!ﾚ'　　l r､`ﾆ_'_'ﾆ,- ,.ｲｰ'　/　　　　　 ｀` ｰ-､, -､
　　　　 ｀ ヽ lヽ　　.!.ﾄ ヽ=‐ '´／ ﾉ　／ , -------―‐／　／i
400 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:41:00 qLkNzrF6
四１００．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　所詮、凡夫の集団などこの程度、との命令が下されるなり
　　轟音と共に壁が西から東へ吹き飛ばされて数名の盗賊が巻き込まれる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　 　 　 .,､-ｰ''ｱ:;､-'/　　　　　　 ,,､-'７　　 　 　 　 /￣/＿
　　　　　　　ﾉ　 ／／／/了　 　 　 /　／　　 　 ,-ｰ―"　＿＿/
　　　　 　 .ｲ　　i::/　/ / / 　 　 　 / ,r',,,,,､- ｧ／-z''"　　/
　　　　　　,|　 ノ:ﾉz''"/／ ,,､-ｰ ''"　　,､-ｰ''"　 ／／/　/
　　　　　 ,ﾘ　/;;;､-''了　 / ,､z''"／|　/ 　 　 　 |／ ./　/ 　.／＼
　　　　　 i　　 ,､-ｰ'　　 '"／ ／　/ /　　　　　　　 /／　　 ＼／;;､-'/
　　　　　/　「"　　 　 　 ,ﾉ ／　 / /　　　　　　　　　　　　　　､-",､ '
　　　　 /　/　　 　 　 　 |/　 　 ﾚ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　／
　 　 　 |　 |　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　／
　 　 　 |／　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾚ"

.　 　 　 l　/　　　ヽ-'　　　　　　　　ﾞｉ,　　 ﾞｉ　,　　　　,　　　,　/ 　　,/　　　′,)ﾞｉ　　　　　　　　　　　　　　/(,′
　　　　 .ﾚ′　/(,′　　　　　　　'　ﾞｉ　　ﾞｉ　　ﾞｉ ﾞｉ　　,.,,' ,,　　/ /　　/　　/　'　ﾞｉ,　　 ﾞｉ　,　　　　,　　　,　/ 　　,/
' ,,　　/ /　　/　　/　'　,,_ 　　　＼　　,　' ,　　,'　,; 　　 ;,　',　　, '　,　　／　　　 _,,　　　ﾞｉ.,' .,-` ,. ',./　　　, '　　　　　　／
` ,. ',./　　　, '　　　　　　／r　　｀　　＼　　' ,　';,_,',　　,',_,;'　, '　　／　　´　　r"　　　　　／　　 ;,　',　　, '　,　　／　　　 _,,
　 ;,　',　　, '　,　　／　　　 _,, ｀-.　 ＼　＼,(　　　　,　′　　　　),／　／ 　.-´ 　　　　_,-´_,',　　,',_,;'　, '　　／　　´　　r"　　　　　／
　,',_,;'　, '　　／　　´　　r"　　　　　／　　　　ﾞｉ 　r　　　 /　　　　　　_,."_,..)　`-"_,,.-´　　／　　-"　　),／　／ 　.-´ 　　　　_,-´
′　　　　),／　／ 　.-´ 　　　　_,-´,i| ,;,＼　　　ﾞｉﾞｉ　|ﾞ//　　　／,;, |i,:"／　 )　　_,,.-´　,_　r　　　 /　　　　　　_,."_,..)　`-"_,,.-´　　／
　゛-/　　　　　　_,."_,..)　`-"_,,.-´　　／　　-"　　ﾞｉ 　/　　　;,　　　　　';,／_,,.-´　",.- ´　　ヽ　　　　,-",;, |i,:"／　 )　　_,,.-´　,_
|ﾞ//　　　／,;, |i,:"／　 )　　_,,.-´　,_;、　　,;' 　　　　　V　　　　 ';,　　 ,.;'/　　 _,.-´ _,-"　　ﾞｉ 　/　　　;,　　　　　';,／_,,.-´　",.- ´　　ヽ
　/　　　;,　　　　　';,／_,,.-´　",.- ´　　ヽ　　　　,-"　　　　/,／`;"' ,/_,.-´　 ,.-"　,_,,._　　ノ　V　　　　 ';,　　 ,.;'/　　 _,.-´ _,-"
V　　　　 ';,　　 ,.;'/　　 _,.-´ _,-"　　゛-.,)　　　　　　,　　　　　　(,.-"　　　.-´　　　　_,._,,.-´　 　　_,.-´／`;"' ,/_,.-´　 ,.-"　,_,,._　　ノ
　　　　/,／`;"' ,/_,.-´　 ,.-"　,_,,._　　ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　,-´　_,-"_,,.-´　　_,,.. -´　　　　　(,.-"　　　.-´　　　　_,._,,.-´
,　　　　　　(,.-"　　　.-´　　　　_,._,,.-´　 　　_,.-´　∴∴　, ′　　　　(,..´_,-",::.)_,,.-_,,.-´　　　　　 .,-"　　　　　,-´　_,-"_,,.-´　　_,,..
　　　　'-.,　　　　 ,-´　_,-"_,,.-´　　_,,.. -´. -　　　　　　　　　- .　　　　　　　_,,..-´　　　　　　　,.-'　, ′　　　　(,..´_,-",::.)_,,.-_,,.-´
∴∴　, ′　　　　(,..´_,-",::.)_,,.-_,,.-´　　　　　 .,-"　　　　　`　,　 　　　-"　　　ヽ　`､　　　　　　　_,,.- "　　　　　　_,,..-´
　　　　- .　　　　　　　_,,..-´　　　　　　　,.-'　　,　　 　　　,　　　　　　　-＝―　　　　） _,,..=-　　　　　`　,　 　　　-"　　　ヽ　`､
　　　　　`　,　 　　　-"　　　ヽ　`､　　　　　　　_,,.- "" ' 　 '　　　　　　　_,..-"_,,..__、-",　　 　　　,　　　　　　　-＝―　　　　） _,,..
402 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:42:00 qLkNzrF6
四１０１．
―――――――――――――――――――――――――――
　　突然すぎる攻撃で現状が把握できないバスクは
　　もうもうと部屋を満たす土煙の向こうを見通そうと目をこらし、
―――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 -─‐ ､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　＃　　　　　　　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　＿＿　i　 ＿」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿___／　, =ミV_/,r=┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾚr‐､匚}{__　{（　 ）r‐､{{__j|
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ﾊ〈^ Y　 i　 ヽ三彳! ﾄ- ｿ　　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 {　ヽ__ ﾄ　 ＼　　r'　 _〉 ||　　　　　　　　 　)　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　　　　　　　　　　　　　　　/　　_|　　　 |　　　　　 , ==ｧ　j ＼　　　　　　　＜　　な、何事だぁっ！？　　　＞
　　　　　　　　　　　　　　/　　 ∧ヽ i{　 　 i　　 ￣´　/　　 ｀ヽ　　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　　　　　/　　　 |　ヽヽ ヽ､`ヽ、! 　 　 　 j　　　　　 ＼　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　　　　 _　 -──イ　　　 　 ヽ　　＼＼`ー､｀ニニﾆ1
/￣⌒V　　　　　　　| 　 　 　 　 ＼　 r--　､ー‐〒r＝|
＼　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　＼|三三| 　 | | | 匕{



――――――――――――――――――
　　生き残りの彼が最後に見たものは、
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405 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:43:00 qLkNzrF6
四１０２．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　三階にある部屋の壁をぶち抜いて、中をのぞき込んでくる淡黄色の巨大な顔。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　y　　　　　＼　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　ヽW／＼x…/――y＿／＼_,,.,,,.,／　　,,,,m-~＼yzw／'''-z＿人
　　　　　　　　　　　　ゞ/／##　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾゝ／
　　　　　 　 　 　 ＼ ／$:::::::::::!:::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<ゞ　　／
　　　　　　　　　　　＼〉##　 .;:;:;:;.../　　　　 ＿,,,,,,. !　 ;:;:;:;:;:　! .|　|　　 .!　　　　 　 　 　 　 　 |　゛#〉　／
　　　　　　　　　　　人##　　,,..ｒ'";: l　　 .i'''.............. !　 .;:;:;:;:;:;:;:.ｌ ｀ﾞﾞ¨''''''''"''''''一―-- ､,　　　 .lﾊﾟﾗ##＼
　　　　　　　　　／##　　　　.;:;:;:;:;:;:"　　|　　　　 /　　 ;:;:;:;:;:;:;:..ｌ￣ﾞﾞﾞﾞ"''''''^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ.l;:;:!　　 ,ノ､　##/
　　　　　　　　/＼〉## 　 　 :;:;:;:;:;:;:;:.｀'-,!　　　　 !　　 　;:;:;:;:;:;:;: ｌ　　 　 　 　 　 　 |;:;:| .／　　ヽ　###＼／＼
　　　　　　　　　人##　　　　;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;＼　　　,!.i‐'''''''''''j;:;:;:;:;:;:;"　　　 　 　 　 　 !;:;:l　　　　　ﾞ'‐　#〉ゞ
　　　　 　 　 ／##　　 　 　 ､,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|_,,,,_,..,' :!;:　　　.ｌ ;:;:;:;:;:;:;＼ 　 　 　 　 　 |;:: `　　　　　　　##＼
　　　　　　　＼〉##　　　　　 .｀'､,;:;:;:;:;:;:;:;:;:　　　l　.l;:;:　　 . ', ;:;:;:;:;:;:;:;:.＼　　,.----;;‐　　　　 . ,./　　　##/　/.
　　　　　　　人##　　　　　　　　 ',;:;:;:;:;:;:;:;:　　 ,!　,!;:;:　　 : ;.! ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ﾞｰ !　　　 !　　　　.／ ;:;／　　###＼
　　　　　＼/从##　　 　 　 　 　 .ｌ;:;:;:;:;:;:./ 　 ,!　 !;:　　　 : ;:', .;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: .,'　　　 .!　　　 / 　./　　　　#〉
　　　　　　／##　　　　　　　　　　.!;:;:;: / 　　/　 :! 　　　　,ilーl"ﾞ'i　 　　./　　　 　ヽ　 ./ .;:,i′　　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿
　　　　／＼〉##　　　i　　　　　　　!　/ 　　 .!　　.!-、　　/! _,, ﾚ''゛　　　ｌ　　　　 ;:　ヽ ｌ　./　　　　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ |
　　　　　　人##　　　・　ﾊﾟﾗ 　　..　‐ﾞ　　　　!　　 '-.｀'‐.'"´;::./　　　　 i′　　　 ;:　.,' .、 /　 　 　 |　コロセ………　 　 　 　 |
　　　　＼/从##　 　 　 　 　 .,/　 ,, -一‐i . !　　　l　 　;:;:;:.,'　　 　;:;:;:lﾞ ..,,＿　 　 . ! : .＼. 　 　 　 |　　コロセ……… 　 　 　 |
　　　　　／##.　　 　 　 　 .-'"　　... -‐''　　 ﾞ'-..,,_ l'-,,,;:;:_../　　 : _ / .ヽ;:;:;:;:;:.,' 　;:｝　,:、;＼..　　　|＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿|
　　　／＼〉##　　　　　　　　　　　　/　　　!　　 　 　 　 　 　 '―‐'´　　l　ﾞﾞ"''''" ...／ ./ .ﾞ'､;.＼　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　人##　　　　　　　　　　　　l　　　l　　　　　　　　　　　　　　　 lﾞ　　　 : ;:/　　l　　 ﾞｰ'"　"　　　　　###＼
　　　＼/从##　　　　 　 　 　 　 　 !　　 .l　　　 .,._,,,,,,,,,,,,,,,＿__.　　　　l　　　　 ;/　　│　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 .!　　 .l　　　　" ---------ゝ　　 .|　　　　 ,!　　　ヽ..
　　　　(⌒;;;;,,.⌒）:::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: (;;　｀)⌒;;,,.⌒）
　　　　（⌒;;;;;⌒;ソ⌒;;):::::::::::::-:::::::-:::;;;;;;;;;;;;;;;::::---::::::::::::::-::::::::---::::-::::::::---::::::::::::::-::::::::;:::::---::::::::(⌒;;⌒ヽ;;　｀)⌒;;,,.⌒
　　　　;;;; )(⌒;;ヽ;;｀)⌒;;,,.⌒）::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(⌒;;;ソ⌒)(⌒;;ヽ;;｀)⌒;;,,."）
　　　　⌒;ソ⌒;;;;'''）ヽ）;;;;;;;,,,,,,）/´〉,､　　　　　|￣|rﾍ'）ヽ）;;;;;ｿ⌒;;;;!"';;;;ｿ⌒;;;;!"'''）ヽ）;;;;;ｿ;;,,,,,,）ソ''"'''）ヽ）;;;;;ｿ;;,,,,,,）ソ''⌒
　　　　⌒;;;;!"'''）ヽ）l､￣￣了〈_ノ<_/（＾ｰヵ　L__」L/　　 ∧　　　　　 /~7 ／））;;;;;;;,,,,,,）ソ'';｀)⌒;;;;'''）ヽ）;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　二ｺ ,|　　　　　r三'_」　　　 r--､　（/ 　 /二~|/_/∠／
　　 　 　 　 　 　 　 /＿＿」　　　　　　　　　　　_,,,ﾆｺ〈　 〈〉　/￣ 」　　　　／^ヽ､　／〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__,,,-ｰ''　　　　~~￣　　ャｰ-､フ /´く／／>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ｰ-､__,| 　　　`"
407 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:44:00 qLkNzrF6
四１０３．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　どこに待機させていたのだ、と気づかなかったバスクは呪詛を漏らした。
――――――――――――――――――――――――――――――――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 -─‐ ､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　＃　　　　　　 　 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　＿＿　i　 ＿」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿___／　, =ミV_/,r=┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾚr‐､匚}{__　{（　 ）r‐､{{__j|　　　　　　　　「ゴ、ゴーレムか！？
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ﾊ〈^ Y　 i　 ヽ三彳! ﾄ- ｿ　　　　　　　　 おのれ、おのれぇぇぇぇ！！！」
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 {　ヽ__ ﾄ　 ＼　　r'　 _〉 ||
　　　　　　　　　　　　　　　/　　_|　　　 |　　　　　 , ==ｧ　j ＼
　　　　　　　　　　　　　　/　　 ∧ヽ i{　 　 i　　 ￣´　/　　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　/　　　 |　ヽヽ ヽ､`ヽ、! 　 　 　 j　　　　　 ＼
　　　　　 _　 -──イ　　　 　 ヽ　　＼＼`ー､｀ニニﾆ1
/￣⌒V　　　　　　　| 　 　 　 　 ＼　 r--　､ー‐〒r＝|
＼　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　＼|三三| 　 | | | 匕{



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -rー-- .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　 / ,r ''ー　_｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　_,.. ｣ --- ..,_´ ｀ヽ.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　／,. -―‐ ''' ｰ-｀`_- 、 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　/／　　　　　 ,. -　　｀ヽヽ. ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i l/ 　 　 　 　 /r= ､　　　　ヽ_j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　r'"７/´ｰ'´　　 ＼　　　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 !　 ィ 　 ! l　　　　　　　ヽ、　　 ',
　　　　「古代魔法文明が生み出した芸術品を、　　 　 　 　 　 l　 /l　　｀ヽ　　　　_,__-‐ !'　　　 !
　　　　 ただのゴーレムと一緒くたにしないでもらおう」 　　　　l　 l l‐┬--､　 , ィ--‐'　 l'´l.　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ゝ',´ ￣　　　　　　　　|ﾘi　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　!ヽ ﾍ　　　 _ ,.　　　　 /.7i |　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',l l　l`ｰヽ　　､｀__,.　　 /|´ 〃 i　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽヽヽ　 |ヽ 　 ''　　／　!ィ'　/ ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿,,ゝヽ_ｰ'r､ `,ｰ-‐_,. -,'- 1ノ- '´ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　｀|｀ヽl r,ﾆ ‐'"　　l .ﾉ　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　　　r.| 　 l ||　　　　 ／　／!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r 7ー―‐ ヽ＿_　　|ｨl､　 | !!　_,. -.7　／/　｀' - .,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ' - ..,,_　　　!ﾚ'　　l r､`ﾆ_'_'ﾆ,- ,.ｲｰ'　/　　　　　 ｀` ｰ-､, -､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ ヽ lヽ　　.!.ﾄ ヽ=‐ '´／ ﾉ　／ , -------―‐／　／i



――――――――――――――――――――――――――
　　対して、終始冷ややかな態度を崩さない妖術師は
　　全く次元の違うものなのだがな、と苦笑しつつも
　　今の間に宝具を回収して廊下側の扉まで待避しており、
――――――――――――――――――――――――――
408 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:45:36 qLkNzrF6
四１０４．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　決着―――と言うにはあまりにも一方的な虐殺が始まってしまう。
――――――――――――――――――――――――――――――




　　　 ﾞ'''-､｀'-､　 ｀'-_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ｀'ﾐ〟　｀'''.ｌｼ､　 .ｌ.;;;;;,i∴;;.″　,-　, ;;ｿ｣彡"　 .,ﾉ".｀--│　　_..-'";;
　　　　　　 ｀'''''≒　 .｀'-､;;;;;;;i..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ　ﾞ〈ヽ、　　.ﾞ'､"x. l;;;;;|. ..!./ 　/ .,rｼ",il'"　　　　亠　　　 ._iir㍉;;;;;;;;;;;;;;;
...,,、　　　　　　　　　　　 ｀''-_ヽ｀'-､;;;;;;;;;.;_;;;;;ヽ,　 ﾞ'ﾍ　　　. ｌ;;;丶;;;;｝ ｀　　.,;;ｿ゛　　　　 　 　 　 　 　 ´　 /ﾞ;;;;;;;; ／
ー 二ﾞﾞヽ ,,、　　　　　　　　　｀'!‐　｀'-,;;;{. ｀'-､;ﾞ!、　　　 .l-'､.ｌ.;;;;;;;;;.!　　.,il″　　　　 　 　 　 　 　 _,,　-'";;;;;;;;;;;｀￢
..,,..........ﾌ;;;;;;;;｀''‐ ,,、　　　　 　 　 　 　 ,ﾞli/､　 ｀'､.ｌ,　　　 .｀'/'./ ;;;;;lﾞﾞ　./　　 　 　 　 　 　 　 , r二-''''"￣￣´ﾞ''y;;;;;
^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ'''''".'''''.'''ヽ-..;,ﾞﾆ＿　　　　　　　　｀ﾞﾞ''''＞x, ﾞ ll、　　　 .!､/.ｌ;;;,!　i'　　　　 　 　 　 　 　 ''"　 　 　 　 　 ｀-￢'''
　　　　　　　　　　　　 ｀'''｀-ヽ,,　　　　　　　|､｀''ﾆi几　　　　 ″|;;'!
..,......xi，　　　　　　　　　　　 ｀'''ﾐ;;ｘ、　　　　´　　 .｀ l､　　　　　l､;.ｌz'ｱ　　　.,i;;|lrl!!!!¨'″　　 ,,,
　￣　 ..,,u．.-..、　　　　　　　　　 ｀''ｽｯ、　 y ..、　　 !li　　　　 `l/ l/　　 ..il′　　　　　　 ,,iｌ'"´
:ﾆﾆ;;;;ｭiｘ..,,,,,_.　.｀'s､　　　　　　　　　　 ﾞ''く、 |;,_｝　　　.ゝ　　　 .″,l′.,，　　　　　　　　 .,.″ .＝　　.r!″　'.ｌy
　　　　　 . ｀''-ﾞ二;;;;｀ﾞ''''､　　 　 　 　 　 　 ﾞ" ″　　　　　　　　　 iﾘ.,〃　 　 　 　 　 , .｀ j,i′　　　　　　　　 l!
＿__,＿_＿_＿_＿_i;;;;;;;;;;;;"―　..,_　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 l;;ﾘ"　 i､　　　　.,ij"　_,/.ｌ_、　,,irｰ　　　　 .∧　._.
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.xｯ----｀-=- ..　　　　　　 　 　 　 　 i|'" -｀--ﾐヽ､..,,ノ;フ'"ﾞ'-ぃ〈￣.ｺ;;-､___,.. -";;;;;~ﾞｨ
.,ﾝ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,..一'''''''ｰ､,;;;;;;;;｀'ｰ- ..,,、　　　　　　　　 　 　 　 　 ゛　　　　　 ｀'.ｌﾐ,ﾞ゛　　　　　　＼;;ヽ ＼ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ 　　　　　　｀くv-￢'''"ﾞﾞ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!.i''~ｌｭi,,、　　　　 ヽ,,,,ﾞ' ＼ ;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i‐′　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 !;ヽ　　 ｀'Ｌ　　　　 ﾞ".! !　`ぃix,;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　 : _,i〟　　　　　　 　　　　　　　　 _..〟　 　 　 　 　 　 　 |;;;;;;;ﾞ''-､、.ﾘi　　　　!＞　　　ﾞ'ｉ ｌヽ.;;
;;;;;;;;;;;;./　　　　　 ,..r/「″ 　 　 　 　 ,,rj″　　　　 Y''フ'´　　.▽　　　　　　　,i";;;;;;;;;;;;;;.ｌ'!ﾐiv ､　　　,.ｌ|x,　　　 ﾍ.ｌ.ヽ
;;;;;.／　　　　 .,r彡'" 　 　 　 　 　 '!レ'"　　　　　 .//　　 .,r､　　 　 　 　 　 f'"｀''./ ;;;;;;;;＼.ﾞ'-､''-..,,,｝;;;;;ヽ　　　 ｌ"l,.
／　　　　　　 ´　　　　　　　　　　　 、　　　　　,ノ;/　　　 ¨゛　　　　　.,,〟　　　　.ヽ;;;;;;;;.ｌﾞ'!)i、｀＼;;;/'''''-＼,　　∨
　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,,、　　　,,〃　　　.,..;;ﾆi /　　　 　 　 　 　 　 ´　　　　　　 ヽ;;;;;;;ﾞ;;､ `　　 ﾞ'ﾐ､　　 ﾞﾞ'ﾆ;;､
　　　　　　　　　　　　　,i彡　　　/│　　　 ″.,〃　　 .,i;;　　　 .,-、　　　.i;;;;;i　　　　　.ｌ.;;;;;|..ﾞ'|l、　　　ﾞ'li、　　　 ﾞ'ﾐ
　　　　 　 　 　 　 　 ,iｸ゛　　　　l";!I　., ―--ｸﾞ　　.n /゛ 　　　l/　　　　 .ﾞ‐'"　　　　　.ｌ;;;;;.ｌ　.ﾞ'ｆ、　　　ﾞ.ｌx　　　　ﾞ'
　　　　　.,l　　　　.,ﾝｸﾞ　 ,．　　/ ;;;;ﾞ‐',,､;;;;.;i′　　 :!┤　.lL　 .`　　　　　　　　 　　　 　 ｌ;;;;;.ｌ　　ﾞ|''､　　 . ｌヽ
　　　　 .,l|　　　../ ;/　 〃　 ./ ;;;;;;;;ｒ'" !" .lﾞl　　　 : |;;|　　｀　　　　 　 　 　 　 　 ﾞlｭ　　　!;;;;;.!　　ﾞ'ｉ;ヽ　 i､ ゛
409 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:46:06 qLkNzrF6
四１０５．



　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　!_,..::::::::=＝:＝=::::;,,,　　　　　 　　ヾ
　　　　　　　　　　　 ,／"　　ゞ_,.;:"`~`ヾ,　~`;:::,._　　　　　　`;,.
　　　　　　　　　　　/　,.r-・”~~　　　　　ヾ　　　~~=-;;:...　　　 i
　　　　　　　　　　/　 ,.i　　　　　　　　　　 ヾ　　　　　 `;:,,,　　 i
　　　　　　　　　/　　,.ｒii　　　　　　　　　　　ヾ　　　　　　~`;::,,i
　　　　　　　　 /　　i,i　ii　　　　　　　_,,,,:=-- .ヾ::　　　　　　　ヾ_
　　　　　　　 ,/　　 i;i　 ,,i　　　　 _,,.;'ゝ.-.-;;'　　ヾ:::::....　　　　　ヾ
　　　　　　　.r　　yii, =;,.. -;" 　,"~/'-'"ﾆ;'"　　　.ヾ　,.:"^;.　　 　ヾ
　　　　　　　l　:': ::::i.∠.,(ﾂﾍ　　　　"　　　　　　　. i: i r　 i　 :　:　　i
　　　　　　 .l　::: ::::::l　　'　 .,i　　　　　　　　　　　　.i::i.iﾍ　i　 :::.:::　　|
　　　　　　,l　:::: :::::::::;,　 　.:;" ,　　　　　　　　　　　.i:i　　,i　..::::::::::::　|　　　　　　　「まあ、肉片には不要な教養だがな」
　　　　　　l　:::::: ::::::::'.　　 　`　　　　 　__.,,　　　　 .i!　 /.::::::::::::::::::::::|
　　　　　 ,l　::::::::.::::::::::{　　　　 -=＝二..ｿ　　　　　　=":::::::::::::::::::::::::|
　　　 　　 l　:::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　"`::.,　　　　　　　l::::::: i::::l:::::::::::::|
　　　 　 　,l　:::::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　　　::::/　　j::::::: l::::ll:::::::::::i
　　　 　 　 ,l .::::::::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　:::::/　　 "";'ノj丿|:::::::::l
　 　 　 　 　` ,,,,,::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　.::::/　　　　　　　 ,j:::::ノ
　　 　　 　 　 　 ~`=-;,:::::::.___;;i,m;,:::_::;.;:`_;,,/　　_-=＝;""l　""
　　　　　　　　　　　　　 　　　　i＼　　　_,...;;:::""　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　 ___,i ﾍヾ,/"~　　　　　　　　　 l＜,.........____
　　　　　　　　　　　　　　／　,i.,_　］［_}β　　　　　　　___ゞ　　　　　　~~~~~~~~~~
　　　　　　　　　　　　,／　　 i.,_　.］［_}β　__,.-=ゞ"-"~~~~
　　　　　　　　　　,／　　　　i_　 =i i==＝,""~
　　　　　　　　,／　　　　　　　`　i, i
　　　　　　;／/　　　　　　　　　 ,i　i
　　　　/"~//



――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もはや詮無い、と肩をすくめた妖術師は悠々と血なまぐさい廃墟を後にする。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
410 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:47:00 qLkNzrF6
四１０６．



　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　　　:::::::::ﾍ
　　　　　 /　　　 / 　 　 　 　 　　　　　　　　　 　ﾍ:. 　　　 :::::::::::ﾍ
.　 　 　 /　 　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ﾍ::. 　　　::::::::::::ﾍ
　　　　/　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　|::: 　　　 :::::::::::::|
　　　 | 　 　 / 　 　 　 　 　 　　　　　　　　　　　　　 |::: 　　　 :::::::::::::|
.　 　 |　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　i|:::　　　　:::::::::::::|
　　　|　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 |::: 　　　 :::::::::::::::|
　　　| 　 / 　 ＿,,..r-＝77= ‐- = ≦ー＝へ､_　　 　i|::::　　　　::::::::::::::|
　　,/　　 ﾞ＜´:::::::::::::::::::::::　ﾍ Vﾀ':::::::ヽ::::::::::::::::＼ 　 }::::　　　　:::::::::::::::|
　　{ 　　　／::::::::ﾊ　　{::::丶ﾐ::::::::: '　　　　　　／　＞"::::　　　　:::::::::::::::|　　　　　　「では祭壇で待つとするか。
　　 ＼ ／::::::::::::::ﾊ　　|::::::小.:::::::: 　　 _,　　 ∠._,'＼　　　　　 :::::::::::::::/
　　　　＼:::::::::::/::::::|　 |:::::::i::::ゝ. 　 ￣　　　_,.r- !／　　　　 　:::::::::::::廴,　　　　　　 ………果たしてどんな顔を見せてくれる？
　　 　　 / :::::/::::::::::::|　|::::::::::::::::::｀ヽ.＿,. ／　　　　　　　　　_,.;r=≠≦::::｀ヽ　　　　 いや、そもそも気づくのか？」
.　　 　 / ::::/　:::::::::,'　,'::::::::::::::::::::::::::::::／　　　　　　　　　／､::::::::::::::::::　::::::::}
　　 　/ ::::/ 　　　,'　/:::::::::::::::;;_::::::::::/___,.. -─　　　　　　　　~ﾞ'-=　￣::::::::/
.　 　/ ::::/ 　　　,'　/::::::::::::::::|　ヽ-'´　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::::::〈
　　/::::::/ 　　　/.､-───-ﾄ､　　　　　　　　　 　 　　　　　　　　　　::::::/
.　/::::::/ 　　　/.::::》　　　　　　'{　　≦=≠ 　　 　 　　　　　　　　　　　:::::{
. /:::::/ 　　　/ :::::::＼_,.=＝≠､/二￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::j



――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もし見られるならあの小僧が絶望に歪み、泣き叫ぶ様子が見てみたい。
　　その上でやむを得ず殺すか、殺されるかを選ばせたい。

　　珍しく高揚した様子でフードをかぶった妖術師はそう独りごち、
――――――――――――――――――――――――――――――――
411 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/04/24(日) 22:48:00 qLkNzrF6
四１０７．
――――――――――――――――――――――――――――
　　一足先に大地の祭壇へ―――
　　自分の目的地であり、決戦の場であろうそこへと赴いたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――



f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
|　　変わり果てた知り合いの、この姿に―――　　 .|
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 rrﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 {{　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 r{}]、　　 　 　 》 く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　│　　　　 /　/　 ＿＿
　　　　　　　　　　　　／⌒ヽ、　　　　　　l　 ﾊ　　 　 /　/　ノ {二}　＼
　　　　　　　　　 　／ {二}厶ｨヘ､ 　　　 「ﾄ､|│　　 /　 厂⌒L__　 　 八
.　　　 　 　 　 　 /　　 厂｀⌒Y^ハ＿＿ {」_j込二二二ﾉ　 rｭ　　 ヽ　|　 ＼
　 　 　 　 　 　 /　ﾑ_/　/7　　ヾ_」コ}　 ﾉY7厂]疔ﾐ､_/　　ﾄj　　　 ﾉY ⌒ヽ_〉
　　　　　　　　〈／　〈　〈7 ＿, ／ ィ＝＝ァ　_ノ ／ﾘ「|　　　＿,ィﾆ　ヘ､__／
.　　　　　　　 　 ＼／7⌒厂７┐　　　　　　r┬ｭ　 ⌒厂厂{　 ＼　＼　＼
　　　　　　　　　　　 /　/}　{「¨´ r一-､　　　￣　　「]「了Lﾊ　 　 ＼、＼　ヽ
　　　 　 　 　 　 　 /　/ ﾉr八　　!　　 ﾉ>　　　　　　 　 |川　∨⌒「　| 　 ＼ﾉ
　　　　　　　　　　/　/ 厂¨７ ＼仏rｰK_厶ィー―‐rヘくｰ{　ノTLﾉァﾊヘ」_
　　　 　 　 　 　 〈_.ノ /　　厂{ （に(Zrｭ二(ココｺｺ广ヽ＼＼|　[彡ｲ 「　　 |
　　　　　　　　 　 　 / 　 /,Lr厂７ｰr冖f⌒「7ー'´ ＼　＼ 　ヽ_ LL! |　 　 |　　　　「コロセ………
.　　　　　　　 　 　 / 　 //　/　/　 ト-ﾉ　亅|　　　 　 ヽ、ヽ　　|　　厶ヘ_ l　　　 　 コロセ………」
.　　　　　　　　　 厶ィ〈/　 /　/ 　　!　 ! 　 　 　 　 ヽ 厂７7≦厂ヽﾉ」
.　　　　　　　　　{{ァﾉ７　 /　/　 　 !　 !　 |　|　　　　 　 　|止ヲ〈ｰ∠ミ､ﾉ
.　　　 　 　 　 　 ヾ彡　 /　/　　　│　|　 l　　　　　,ィ} ]ト-く ヾニﾆﾌ
　　　 　 　 　 　 　 〈　 /　〈　 　 　 i　 L__」　!　　 　 くノ 厶ィミ、
　　　　　　　　　　　 ＼{「￣ヽ,　　　|　 l「⌒ヽL__／ヽ　 /　　 　ヽ
　　　　　　　　　 　 　 ﾉ!L.＿_〉、　厶　lL＿_」 く_／　／　　　　　 ＼
　　　　　　　 　 　 　 厂ーr一ｧﾊノ＿} 厂￣ヾソ___／　　　　　　　　 ヽ
.　　　　　　 　 　 　 /　　　!　 　 　 　 〈　　　　　　l　　　　「l　 　 　 　 　 、
　　　　　　　 　 　 /,ｨ　　/　　　　　　　ヽ　　　　　|　　　　L!　　 ＿　　 　ヽ
.　　　　　　 　 　 /〈/　 /　　　　　　　　∧　　　　 　　　　 -　ﾆ　-　､＼　 「
　　　　　　　　　/ﾊ-､_/　　 　 　 　 　 /　L.　　　　l　　/ rく　　　 |　　　￢L
　 　 　 　 　 　 ７’　/＼　　　　　　　厶 　 |　　　　 　 |　|　ヽ　　 ﾊrf{￣￣ l
　　　　　　　　　「ヽ/　　 ＼　　　　 r弌ヽノ　　　　　ヽ」　L＿_Y⌒｀Ⅵ＿＿」
.　　　　 　 　 　 |　|　　　／マー{厂　ﾊ　　　　　　　｀￣厂￣L__/厂　ト､
.　 　 　 　 　 ／⌒ー≦く ／　　｀⌒ヽ」ﾉ ト､　　　 　 r-イ|　「]　　　〈7　i　厂ヽ
　　　　　　／　　　／　　/　　 　 　 　 | rf￢ ｝　　　 ﾉ　 | l 　 　 　 　 　 | 仄ｧハ
　　　　　くー―‐く　　　/ に二ｺ[二]_⊥ﾆ二ﾌ　　　 に(ｺ| ヽ､＿＿＿＿ﾉ L厶「ﾘ
　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣´　　　　　　｀￣￣￣￣￣￣￣￣￣



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　　全長十メートルを超える、古代の殺戮兵器に身を変えた―――
　　キル夫だったものを引き連れて。
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413 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. [sage] 投稿日： 2011/04/24(日) 22:48:22 qLkNzrF6
本日の投下は以上になります。
ご閲覧、合いの手ありがとうございました！

次回は第四章第二話になります。




第四章　五人　第二話へ

1. 2011/04/25(月) 20:10:01|
2. やらない夫は約束を守るようです
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