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　　　　　　　　　　やる夫がウヰスキーを造るようです
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　　　　　　　　　　　　　　　　第２話：グラスゴー
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大正７年（１９１８年）６月２９日神戸港

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　　　 〔i王王王王王王王王王ｉﾄ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | | ﾛ 　 　 ﾛ |
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　　 　 |: : : : : : r､──:ｉ: : : : _,._,._,._　─┐ｘｒﾍﾍﾍﾍ　　 ／／||＼／||＼／||＼／||＼＼.| ﾛ 　 ／|二二|
　∠二|: : _,._,_: |: |￣￣|: : :ﾐ;;.:.,; ;.:: :ﾐ　ﾉ |ﾐ;; :.,;, .,; ;:,ﾐ.∠∠＿||／＼||／＼||／＼||＿＼＼　　|／|二二|
ﾐ;;:.:;（⌒ﾐ;;:, .;;,:,:ﾐ;;;⌒;;;ﾐ r─￢ﾉｼ￣／　 |￣ﾉｼ⌒''∠∠二二二二二二二二二二二二二二二二二二
二ｴ二ﾆｪニ二エｴﾆ二エ二ｴ二ﾆｪニ二エｴﾆ二エ二ﾆｪニ二エ孑￣￣￣￣￣＾Ｚｴ二ﾆｪニ二エｴﾆニ
　　　　　　　　＝─-　　　　　　－---　　　　-─=　　　　　- ─　＝　　　　　　＝　　-─=　　　　=─
　＝　　-─=　　　　　　　　＝=-　　　-　　─＝　　　　　＝─-　　　　　－---　　　　　　-─＝　　＝
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:::::~::"´｀｀゛゜''';:;''ー'',:;-､,-､;;..､､,,;;;-:;_;_,､,''';:;,;:;.,..,''';',''';:;,;:;.,..,''';',''';:;,;:;.,..,''';',;,''';:;,;:;.,..,''';',''';:;,;:;.,..,'',''';';.,..,''';',''';:;,;:'';:;,;:;..,,,..,,,..,..,';:;,

　　　　　　　　　　　　　　　ホノルル経由桑港（サンフランシスコ）行き客船「天祥丸」

　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 __＿＿___
　　　　　　　　　　　　　　　. .::´:::::::::::::::::::::::::::::｀:. .
　　　　　　　　　　　　　／.:.::;ｖ‐-=,;::::::::::::::::::::::::::::｀:..、
　　　　　 　 　 　 　 　 {ｲ::{/　　　 } ｀ト､:::::::::::::::::::::::::::＼
　　　 　 　 　 　 　 　 　 Xゝ　　 　 　 /.::::::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　ﾉ 仁ニﾆ=､　/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　 ／　 ｰｆュ_,　　 ｀ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::l　　 見ろやる夫、摂津酒造の全社員や、
　　　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　 ノ.::; - ､::::::::::::::::::::;
　　　　　　　　　 ヽ､　　　 　 　 　 　 |:::;/ /＾ 〉::::::::::::::::,′　　多数の取引先の方も見送りに来てくれたぞ
　　　　　　＿＿＿ｊ'_　　　　　　　　　Ｎ{　 ノ/::::::::::::::::/
　　　　ノi ''―――r=､　　　　　　　　､__ ..イ::::::::::::::::/　　　　 俺の女房や娘も来ている
　　　（ .::ｉ　　　　　 〉　　　　 　 　 　 ﾉ´　　ヽ:::::::::::/
　　　) .:::. 　 　 　 /　　　　　　 　 ／　　　　　}ﾍﾙ{
　　 （ .:.::ｊ(O)　　　､＿＿__ . . :　　/ 　 　 　 　 .ｨ二}
　 ＼∠二二{　 　 　 　 　 {　 　 /　　 　 　 ／ 　 人
　　/|　　　　｜ 　 　 　 ／ ヽ　 　 　 　.　 ´　　　　　＼
　￣￣｀ヽ 　 |　 　 　 く　　　 ＞　　´ 　 　 　 -‐=二三＼
　　￣｀ヽ {　├-,　　 　 >　／　　　　 　 ／ 　 ｀ヽ　　 　 ∧
　 ￣｀ヽ }'― ' /　　　　{／　　　　　　／　　 　 -┼…=ミ ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 f¨ﾞ!
:┐　　　　　 　　　n /〉　　　　　　　　　　　　　　　<ヽ　　　　　　　　　　/^〉'
　!　　　　　　　　　}”/　　　　　　　　　　　　　　,､　 <｀ヽ　　　　　　　 ./:::/.,､
⌒!ｨ　　　　　　　 f¨ﾟ{　　　　　　　　　　　　　<´ 'ヽ　Vハ 　 |ヽ　Y¨!　|::::}ｲ { , -ー ､　　_ /¨>　 r-‐,､ <⌒!
::〈人_r-ｰ- ､_r＜}|　＞::::￣:｀ヽ__, - ､__r ､r=¨>‐-!　/:::::}＿_Vﾍ　}:::|__}::::{.ィ1.|:.:.:.:.:.:.}_, くﾉ￣!　./;;;;;;;;;}_, ﾍ⌒',
/:.< /::::::::::::::::Y::/|i /::::::::::::::::::::::Y:.:.:.:.:.YVｲ!:::::}::::::::|/::::::/:ァ＜!　V_::|　',く/⌒!}:.:.:.:.:ノ/ /:/^V__〈ヽ;;;;;/_!__ノ::::::ヽ
:.:.:.:}|:::::::::::::::::::|:{:. }:!:::::::::::::::::::::::: l:.:.:.:.:.:.|ィ　ゝx}:::::: |::::::/:.:/　 /　> ¨⌒ヽ:'.　　V¨¨ヒ{_. V==<:::::｀ヾア´:f⌒!ヽ:::::}
＼f':!::::::::::::::::::lﾊ:.:ﾘ'.:::::::::::::::::::::::∧:.:.:.:./　＞ｲ::! :::: |:::::{Y/'　〈　/:::::::::::::::::}:' 　　V::::::::::{ .}　　.}::::::::::|:.:.:.:.|:.:.:|:.:.}-:'
　 ヾ!,､:::::::::__/_／　 ヽ::::::::::::::::/|ﾚVWハ/::::::::/:::::: |::::::|ﾊ　　 V!::::::::::::::::::!:/　　./:::::::;:::Y　　/^!:::::::{:ﾄ､: |:.:.:|:./:::::
　　　　｀Yﾟ￣　 　 ＿/VﾚvｲW:::::｀ー-::＿_／:::::::::/:::::::|　ヽ　 ｀!:::::i:::::::::::|'　　 /:::::::/L_|　　￣⌒¨}＞ﾍ}:.:.:|”::::::::
、　　　　　　f´￣::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|　　ヽ　.|:::::l::::i::::::|　　/:::::::::|　　＞-　._　　}} 　 |:.: |ヽ:::::::

あれが摂津酒造で使っている壜を卸してくれている
山為硝子の山本為三郎さん……

　　　　　　　　　　　、
　　　　　　　　　　/ｌヽ
`;､_,r‐､ 　　　　,i' λ `ri　　　　　　<`r'⌒)
　　ik´　　　　r'　●●　`i　　　　　 i'　 r‐'
　　ヽ､　　　/´　　　　　 〉ﾄ､　　　 ｨ" 　|
i、　／＼ r'| `t　　r'`i　ﾞﾞ 　|ヽ／｀i　　/
　／ 　　/ `i`i　　　　　　　i'｀i'　　　`r/
　＼ 　　　　`i`i　　 〉 　i'´r'´　　　 丶|
　　ヽ､,　　　　ヽヽ､, - '´,‐'　　　　　／
　　　　 |　　　, - ', - '´´　　　　　|´
　　　　 |　, - ', - '　　　　　　　 　〉
　　　　|　━━━━╋━━━━│
　　　　| ./ヽ/ヽ/ヽr'´`i ヽ/ヽ/ヽ/ |
　　　　|/ヽ/ヽ/ヽ/ヽ/ヽ/ヽ/ヽ/ヽ |
　　　く￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣`;
　　　　` ‐ ｰ'~`` ‐ '￣` - ､__ﾉ--‐"'

あれが納品先の寿屋の鳥井信治郎さん……

　　　　　　　　　　　　　　 ,, -―-、　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　／　　　　 ヽ　　　
　　　　　　　／￣￣／　　／i⌒ヽ､|　　　　オエーー！！！！
　　　　　　/　　（゜）/　　 ／　/　　 　　　　　　　
　　　　　/　　　　 ト､.,../　,ー-､　　　　　 　
　　　　=彳　　　　　 ＼＼‘ﾟ。､｀ ヽ。、ｏ　 　
　　　　/ 　 　　　　　　　＼＼ﾟ。､。、ｏ
　　　/　　　　　　　　　/⌒ ヽ ヽU　　ｏ
　　 /　　　　　　　　　│　　　`ヽU　∴ｌ
　　│　　　　　　　　　│　　　　　U　：l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|：!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｕ

ヾ:　:.　　　　　　　　,.-''".;.;.;.;;.;.;.;.;.;.;;;;;｀'､
　} .:.　　　　　　　 /.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;;;l
ノ　 .:;　　　　　 ´7;;;;;rr-‐-‐'^i:;.;.;,;,;,;,;;;;;;}　　　　　　　あたりは、後の主要登場人物なんで、
{. 　.:.　 　 　 　 　 《 　　 __,,,ゝ{rﾍ.;.;.;;;;;ζ
ヾ. ..;　　　　　　　　.l.ﾞ"rｨｧ‐ ,.::::ﾞ￡};;;;;;;;;;ゞ=-、　　　　とりあえず偽者を適当に配役しておいたぞ
　 .､:...:.:...... 　 　 　 /__;:　　 .::::::::r　.＾^'λ 三ミぇ
　　｀"￣｀ヾ:. 　　　了二つ :::::／;:　.::　 .::ゝ三三ミぇ_
　　　　　　　　 ゞ＝ｦ　rー冫;::::::::..　::..　..:::ヾ三三;=/
　　　　 　 　 　 　 _,> .二Y´乍=z::::　　　.....:::|三三/ﾐぇ＿.
　　　　　　　 　 ノ.K　,-=.Y 三∥::. ,;　,;::.._z-|三／ぇ::::::::...｀ミ.、


　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　 ／　 _ノ 　 ヽ_　 ＼
　　　　　　　 　 ／ u　（●） 　（●） 　＼　　えー
　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |
　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　 　 ／　　　 　ー‐　　　　＼

びっくりしたわ

おいおい鳥井さんそれかよ…と思ってたら嘘かよｗ
どうでもいいけどさっき買ってきたばかりの竹鶴12年うめえｗ

　　　　　　　　　　　　　　r-､
　　　　　　 　 　 rｰ―― !: : `´￣｀. .' . ､
　　　　　　　　　,!: : : : : : :!: i : i､: : : : : : : :ヽ、
　　　　　　 　 /: : : : : / /|: | : l:!ヽ : : : : ヽ : :ヽ　　　　大阪高等工業の後輩に仕事を叩き込む一年余りの準備を経て
　　　　　　　/ : : : : : ,': ,' .! l: : !|　l: i、: : : ヽｉ : ',
　　　 　 　 / : : : ,: : ,!-!‐ !,ｌ: : l:!　!‐!- ､ : : ヽ : !　　　いよいよ留学の時を迎えました
.　　　　　 ,': i: : : i: : :l :l　 lﾉ!: : !!　|/　ヽ : : i: ',: |
　　　　　 l : |: : : !: : :N　 ＿! : ﾘ　' ＿　ヽ: :|: :V　　　さて、やる夫はこれからアメリカ経由でスコットランドまで行くわけですが、
　　 　 　 |: /!: : :|: : l. ,´＝= `r‐{.　=＝ミ!i: :ｈ: !
　　　　　 l/　!: : i、:ｉ'{ ''''　 　ﾉ ,.ヽ　　''''ﾉ,ﾊ:ｌ,ﾊ,!　　　道中とは言え半年もありますので、ここもダイジェストでご説明します
　　　　　　　 ヽ: l ヽ!:`iｰ‐‐'　r‐┐`''''",!,! :i' :|:i
　　　　　　　　 ヽ! ,|: |:i`'ｰ-　`_‐',., イ: !': : !: :!:!
　　　 　 r ､ 　 　 /|: :!|: : |, '^'、　,ハl:/: : :,! : ',|
　　　　　ヽ ヽ_r_v r! :ヾ―l,　　Ｖ　　/: : : ハ: :ヽ
　　　 　 　 Y,. -{ Y!:',: :ヽ:.:.V´,ﾌ､ヽ/ : : /:.:｀i,: : :',
　　　　　　 l、/´）ﾊヽ'､ :ヽ:.ヾｲ|.!|､! : :, ':.:.:./ ! : : ヽ
　　　　　　/ `ｭ,ノ　}i 〉ヽ :ヽ:ヾ|,|,!'l: :/:/:., '　 !: : : : ヽ
　 　 　 　 ト´、　 ノ l':.:.:.:ヽ:}:.:.::.:.:.:|/:.:i／/　 l: : : : : : i
　 　 　 　 !　　`　 　 !:.:.:.:.:lﾉ:.:.i:.:.:.:.:.:.,'　/　　ｌ: : : : : : |

　　　　　　　ヽ
　　　　　　 　 い､――――――――――――――――――――‐-､_＿　　　　　, --､　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／　　　　　　　　／
　　　　　　 l￣∬　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ﾞ`フ‐‐'　　 ｀､　　　　　　　　　　　　　　　 　_/　　 　 　　___ 　/
　　　　　　　',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 　　　 　　 　　∠,..-‐'＾`‐-‐'"ヽ＿_　　　　　　　　　　_,.-‐"〃´｀i　　 /´　〈　〉
　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/＾ﾞンヾ、　｀ﾞ‐､　 　　　　 ／　　,.ノ　　└､〆　 　 ｀´
　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　r'　　l　　r'｀´　　　　／￣￣￣　　__,-‐'
　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　{　∫　　´｀l┘ 　 i｀‐‐'´　　　　　　r'´
　　　　　　　',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い′　 　く_,.-‐'"´　　 　　　　　__く，
　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　　／´ ﾟ ‘
　　　　　　　ゝ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◎ﾆｭｰﾖｰｸ
　　　　　　　弋　◎ｻｸﾗﾒﾝﾄ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､∫/
　　　　　　　　 入　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　　　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　彡
　　　　　　　　　　ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_彡
　　　　　　　　　　　＝｀‐-､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　',―‐-､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　／
　　　　　　　　　　　　　　 　',　　　｀'‐-､_＿_┌─､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/
　　　　　　　　　　　　　　　　',　∧　　　　　　　　　＼　　　_　　　　　　　　　　　　 　 _,-‐‐-､　__　 　(
　 　 ┌──────────┐ 　 　 　 　 　 　 弋_/´ ヽ　　　 　 　／￣｀ﾞ‐-‐く　　　　｀´　ヽ　 ',
　 　 │r‐-､_　　　　　　　　　　　 │　　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ　 　／　　　　　　　　　　　　　　　}　　{
　 　 │　　　｀', 　／｀‐-┐_,-‐　　| ヽ　　　　　　 　 　 　 　 　 ', 　(　　　　　　　　　　　　　　　　　', 　 ',
　 　 │　　 ∧/ N　　　　|´　　　　|　ヽ　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀┘　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　!
　 　 │　‐'´ 　　≧　　 　|　 　 　 .|　　ヽ　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀´
　 　 │　　　　　　`>､〈⌒ﾞ'‐-､ 　 .|　　 ヽ　　　　　　　　　 　 　 　 l
　 　 │　・．．，イ´　 ｀　　 　 ヽ　.|
　 　 └──────────┘

さて、スコットランドに留学が決まったと言っても、今と違って情報の無い時代です
伝手もコネもありませんでした
ところが、忠海中学時代の先輩に高井誠吾さんという方がおりまして（兄と同級生）、
カリフォルニアに渡り、いちご栽培を成功させていました
その方の伝手で、カリフォルニアのワイン工場を見学させて頂ける事になりました

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　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∧∧　　┃∥
　 　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂(ﾟДﾟ ) 　┃∥　| 　┃|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 　 Unterseeboot　 　 |　　　　　　　　　　　　 // 　[|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣￣￣￣~￣￣￣￣￣￣＼　　　　　　　　　　 //　 　|
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.γ'　　━ ━ ━ 　 ￣.￣.￣ ￣ ￣ ￣.￣.￣　　　　　　　　　　 　 　 　　　 　 　 　 　 　　　　　　　ﾞﾞﾞ''''-,,,,＿|
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１９１８年と言えば第一次世界大戦も終わりかけで、ドイツ海軍による
Ｕボートによる無差別攻撃は未だ継続中でしたが、さすがにそれは大西洋の話で、
天祥丸は何事も無く２０日間の航海を終えてサンフランシスコに到着しました

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　　　　 ""ヽ,,、　　　　　　｀　　,,,,,　:::::......::::::　,,, 　 　 _,,,,,_　　　　　､､
　　,,,,,:::::　　　 ｀~ﾞﾞヽ,_　　　　　　　 　 　 　 　 　 ''''″　 ﾞ｀ﾞｒー'''ﾟﾟ~＾　ﾞ~ﾟ｀⌒'''''´´｀ ''''″　 ﾞ｀ﾞｒー'''ﾟﾟ~＾　ﾞ~ﾟ｀⌒'''
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サンフランシスコに到着したやる夫は、まずカリフォルニアの州都サクラメントに行き、
昼間はカリフォルニア・ワイナリーで実習、夜は英会話の訓練という日々を
一ヶ月ほど行う事になります

　ｺﾞｳﾝｺﾞｳﾝ
　　　　　　 　　　＿＿＿＿_ Π　　　　　　 ＿＿__
. 　 　　　　　　 / 　　 　 　/ ト=〕　　　 　 _{_lニl＿}　　　　　　　ｺﾞｳﾝｺﾞｳﾝ
　 　.Fi.　 　　 /　　 　 　 /. ｜/》　　　 　 （´Д｀　）
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./ /ﾉ八 / //　　　　　 / / .|// / / / / /●●●∪ / / / / / /●●● / / / / / /●●●/ / / / / /
. / li⌒i|/ /!￣￣￣￣| ｜　/ / / / / ●●●●┫/ / / / / ●●●●┫ / / / ●●●●┫/ / / /
/ /li＿i| / |　　　　 　 | ｜ / / / / ●●●●/ / / / / / ●●●●/ / / / / ●●●●/ / / / / /
_/ / / / /l.　/l /l　　.| / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / /
ﾆ@ﾆ@ﾆ@.!　|_|:|_|＿_.| ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ/￣￣￣￣/!ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ@ﾆ
━━━━━┻┻ <ﾆ（（IIIIII（（|━━━━━━━━━━〔〓〓〓〓〕(コｺ━━━━━━━━━━
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やる夫はこのワイナリー見学で、ワインの大量生産を実習しましたが、後に
「アメリカ人はよい酒をつくる国民性に、どうも欠けているように私には思えてならない」
という感想を述べています、手間暇かけて造る日本酒に比べ、カリフォルニアワインの
大量生産は、やる夫には大雑把に感じられたのでしょう

余談ですが刑事コロンボ「別れのワイン」に、１リットル６９セントの安酒を造る会社が出ており、
「うがい水にもならない」と評されておりましたね、コロンボ大好きです

１９１８年のタイムズ・スクェア　　　　 /i~""'''　‐- ．..,,__
__　　　　　　　　　　　 　　 　 　　　　 　| | r' Ｄ lヽ　|　.|　.i~"i'''　‐- ．..
:::l＼　 　 　 　 　 　 　　 　 　 ┌──‐l | ヽ ! ・ ﾉ　|　.|　.|　.|　|　|　|　.|
::l　　＼ 　　　　　　　　　　　　 | 東芝. | | 　ﾌ／､　 |　.|　.|　.|　|　|　|　.|"'''ー-
::!　lン |　　　　　　　　　　　 ┌ﾄ､Ｑ_(ﾝ,ｲ~""'''　‐- .ﾄ- ．..!__.|　|　|　|　.|.ﾐｭｰｼﾞ
:| |）/).| 　 　 　 　 　　　　　　|,|ﾊﾞﾝｶﾒ/i＊＊ :＊＊|　　　 _　~""'''　‐ .!　､
.! /| Ｙ| 　 　 　 　 　 　 　 　 i |＿＿ / |:::::＊＊＊:::|　　FRIDAY'S.　　|（-Ｙ⌒
|　　　| 　 　 　 　 　　　　　　i |+|| 三.ﾚ|＊＊:::＊＊|　{ { '　, -､　　ﾉ） :|　(ﾆヽ
:＼　 | 　 　 　 　 　　　　　　| |+||---ﾚ|::::＊＊＊ :::|　＼ヽ {平}_ , '/___| nnnn
_r､＼l　　　　　　_ 　　 　　　| |+||===ﾚ|＊＊ ;;＊＊|　//ヽ　Ｕ　／ ::::::|~""'''
_|　i |＿ｪｪ之 ＿.||____.|~|　　| |+||===ﾚ| *|　,､i i,､ |*|.// / ﾄ .ﾍﾟ { ヽ.::::::|~""'''
｀i''ｪ.|　　　lXｌ　　||l　 | ---┐|+||===ﾚ| *|　>＊< |*| / .,ヽ 〉 ﾌﾟ〈 ﾉ ＼i|ニ=--
"i''ｪ.! 　 　 lXl 　:|| 　.|　[ ] | ||+||llllllllﾚ| *|　｀'i i｀' |*|.　i　i .{　ｼ　）ｉ　ｉ　|[][][]
~""'|:　　　 lXｌ 　||　ｪ|ｪｪｪｪ|ﾕ+||lｌTTﾚ| *|_マクド_|*|　i　i　 l　ﾋｿi　i　ｉ |＿＿
] [] |____ｪｪｪ|X|ｪ ||l＿|￣￣| |=||ﾆｺ ﾚ| ＊＊::::＊＊| i　i 　i ｌ |　　i　.i　|LION
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_,.．-,, __| |___________________, --､ｴi|.{今} |ﾆニニニﾆi:|＿＿＿＿＿＿＿i /⌒
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　　　　　　　　, -'", -'".||　/l/王三三王三三王三三王三三王三三王三三
　　　　 , -'"　, -'"Yi||　||/ /^ ＾:: :: ^ ＾ ^:: :: ＾ ^ ＾ ^:: :: ＾ ^ ＾:: :: ^ ＾ :: ::^^ ＾:: :
　, -'"　　, -'"V　 ||||' /|| /:: ::^ ＾^ ＾ :: ::^ ＾:: :: ^ ＾ ^^ ｲｰｽﾄ川: :: ^ ^ ＾ ＾:: :: ^
　　　, -'" /iﾚ,|　　　/　ﾙ'i^ ＾:: :: ^ ＾^ ＾ ^:: :: ＾ :: :: ^:: :: ＾ ^ ＾ ^ ＾:: :: :: ::^: ＾ ::
, -'"_,, /l / l l |　　/　/^l_二二|二二二二二|二二二二二二二二|二二二二
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ブルックリン橋

カリフォルニアを発ったやる夫は、続いて列車でニューヨークに向かいます
ニューヨークに着いてただちにイギリスに渡る船の予約とビザの申請を行いましたが
今度は戦争中の大西洋の事ゆえ、軍事物資と兵士の輸送が最優先の状態です
ニューヨーク近郊には酒造工場も無かったので、都会見学や、語学の勉強をしていました

ところが一ヶ月経ってもビザの申請が下りません。やきもきしながら待つやる夫に
下宿屋の親父が「大統領に電報で文句を言え」とアドバイスしました
半信半疑で大統領宛に電報を打った翌日、移民局から呼び出しがあり、
ビザと乗船の手続きがその場で済んでしまったそうです、ドイツ降伏直後の１１月の話です

　　 　 |ﾄ､ 　 .-ｙ=====┐.. 　　 ｲ!
　　 　 ||　>:':.:/　　　　　 ヽ.:`く　||
　 　 　|ﾚ'.:.:ノ　　￣￣￣　＼:.:ヽ!!　　　　　「ボスケテ」
　　　 /_／　　　　　 ∞　　　 ＼ ',　　　　　　　　↓
　　　[＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_]　　　　　「ボスタスケテ」
　 　 l.:/ .:.:.,'.:.:..:ｌ/‐-/　 l.:/ -',.:.:.:.:,　　　　　　　　↓
　　　Ｖ.:.>‐l .:.:>ちﾎ　　 |/ちﾎV.:.:.',　　　　 「大統領助けて…！」
　　,.:'.:.:.{　 |.:./{ ﾄ-j　　　　ﾄ‐j l∧.:.'､　　　 　　　↓
. ∠イ',八__|/_　 `´　 　 　 `´ ﾊ.∧.:.＼　　「大統領急いで審査して早く僕を助けて」
　　　　　 ）ハ::＼ 　(⌒ 7　 ノ　　　￣　　　　　　↓
　　　　　 　　 Vl:::〕　　r≦　　　　　　　　　 「大統領決して走らず急いで審査して
　 　 　 　 ,x<:::::::< 　　 ヽ:::｀x　　　　　　　 　そして早く僕を助けて英国に渡らせて」…か！！
　　　　　/　＼ヽ:::＼_┌──┐
　　　　　l　 ＼＼::/￣二}　f二ヽ　　　　　　急いで善処善処するように！徒歩でね！
　　　　　l 　　 ｌ　/　　二}　{二 .}
　　　　　l 　　 l /＼ ノ| 　 　　|人

第２８代アメリカ合衆国大統領　トーマス・ウッドロウ・ウィルソン

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　"'',
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　　　　　　　　　　　　,rｯ　　{｀‐‐'''''~}
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　　　　　　　　　　,-｀´,､ {"　　 ~7,-､,,,,_,,,､
　　　　　　　　　　｝{ "," }=　　　´　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　´　　 ,}　 _　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　}　//　　　　　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　 "~ {　　　　　 ,-｀
　　　　　　　　　　　　,-,"} ii~i~　　''~◎ｴﾃﾞｨﾝﾊﾞﾗ
　　　　　　　　　　,､　 "　{} !!ヽ◎ｸﾞﾗｽｺﾞｰ
　　　　　　　 {´~!,!!,-'´~!,　 /´ ,　 ,,,,,　　　　!,
　　　　　　 =っ　　　　　ゝ　ヽ｀｀'´/´　　　　｀'､_
　　　 {｀ヽ,-´　　　　　　 ｀}　　　　ヽ, ,､　　　　　ヽ,
　　　 }=　　　　　　　 ,}｀´~　　　　　 ｀}　　　　　　 ヽ
　　 "‐､ _,　　　　　　　}　　　,,,､　　◎　　　　　　~｀ヽ
　　　　,-‐"　　　　　　 }　　　ヽ｀'´''´ﾘｳﾞｧﾌﾟｰﾙ　　 ,ゝ,,,,,､
　　　-=,-,　　　　　　 i´　　　-´}　　　　　　　　　　 ｀‐'　　ヽ
　 ,'_=,´　　　　　　　 {´　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　 |
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　　´'=,-‐'''´　　　　　　　　{,-‐､_,､　 _,,､　　　ﾛﾝﾄﾞﾝ◎ フ
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　　　　　　　　　　　　　　　　 i‐´　　　_　　_,,,,､-､,,--､-‐´~
　　　　　　　　　　　　　　　,i‐´_　　r´~ ｀‐｀　｀´
　　　　　　　　　　　　　 ,,､~,-´ ｀'‐´

そして１２月、護送船団がリヴァプールに到着する前日、やる夫の乗る客船「オルドナ号」が
貨物船「コクリナ号」の横腹に衝突し、コクリナ号が沈没するという事故が発生しました
しかし幸いなことにオルドナ号に問題は無く、１日遅れでリヴァプールに入港し、
やる夫は１９１８年１２月、ついにイギリスに到着する事になります

アサヒショップ限定でシングルカスク余市1994とシングルカスク宮城峡2002がでたよ！
もちろん自分は速攻で注文しましたｗ

＜CM＞

シングルカスク余市
シングルカスク宮城峡
アサヒショップにて本日から（マジ）発売！！

　　　r'"´~￣`ヽ　　　　　　　　　　r'"´~￣`ヽ
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|| NIKKA.. 　 　　　　||.　 　　|| NIKKA.. 　 　　　　||
|| SINGLE　CASK　||　　　 || SINGLE　CASK　||
|| MALT WHISKY 　||　　　 || MALT WHISKY 　||
|| １９９４..　　　　　　||　　　 || ２００２..　　　　　　||
|| No.25.　　400749..||　　　 || No.6　　　102949..||
|| 1994.02.02. 　 　　||　　　 || 2002.12.13. 　　　 ||
||　　 　 .2012.11.16 ||　　　 ||　　 　 .2012.11.15 ||
|| 62% 　 　 　　　　　||　　　 || 62% 　 　 　　　　　||
|| 余市蒸溜所.　　　||　　　 || 宮城峡蒸溜所ﾞ 　||
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売り切れる前に買え！

>>286-287
すぐ反映されとるｗｗｗ

>>290 CMのタイミングがズレたわｗｗｗ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ﾞ ￣￣ ｀ヽ|: : :＼ー-　､
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : : : : : : :|: : : : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : '´ : : : : : /: :ｌ : : : : : : : : : : : :.＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ : : : : : ／: :/: :/: : : : : :/|: : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ : : : : : : /: : _/:_:/ !: : : : /　|: | : : : : : : : : ',
　　　　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : : : : /: :'´/|: /　|: : : : |　 l:丁`ヽ: : :ヽ: : :i　　さて、実は前もって話しておかなければならない事があります
　　　　　　　　　　　　 /: ／/: : : : ,': : : / .|/　 :ｌ: : : : |　 ヽ|: : : : : : :.∨ |　　やる夫の留学時の様子については、
　 　 　 　 　 　 　 　 /／　,' : : : : ｉ: : :/ ,ｨ≠k　',: : : :.|　z=kVヽ: : : : : ∨　　以下の資料を基にする事ができます
　　　　　　　 　 　 　 　 　 | : : : : :|: ://代 ﾉﾊ　 ヽ:..:::| f..う㍉ハ: : : : : :l
　　　　　　　 　 |￣￣￣￣￣￣￣|小 {i ::::::j}　}　∨:| {i:::::::ﾊヾ|: : :|:: :│　　（１）やる夫留学時の日記
　　　　　　　 　 |　 ━━━━━　 l{ﾊ　V廴ｿ　f==fヾ Vﾋ　ｿ　j: :.∧:: :| 　　（２）やる夫留学時の書類、現地の人の証言
　　　　　　　 　 | 　 ヒゲと勲章 　 |ﾍ}、 _ ＿ ノ '　ヽ、　｀¨　ノ| :/小: :| 　　（３）後に書かれたやる夫の自伝
.　　　　 　 　 ／＾) ～～∴～～　 |: :ゝ _ ::.:.　　こﾌ　 ￣.:.:::/ :|/: : | ∨
　　　　　　　{／ ス　　　　　　　 　 |: :.|: :.|＞　,　 __　 　 ＜/: : :|: :.│
　　　　　 　 {／ _ノ　　　　 　 　 　 |: :.|少' 　 r|　　 Ⅳ＼ /: : : :ｌ: :.│
　　　　　 　 ヽ'´_ﾌ 　 　 　 　 　 　 |: :.|　　　 |＿ 　 |　　ノ: : : :/ : :│
　　　　　　　　V|　 　 　 　 　 　 　 |: :.|　 　　|　　｀７　/: : : : /: : : : l
　　 　 　 　 　 ﾄ|　 　 　 　 　 　 　 |: :ﾍ.　 　 |　　,/　/: : : : / ＼: : : l
　　 　 　 　 　 {.Ｌ.rー‐､(こ'ー-､__.｣: : :}ヽ 　 |　 /　 ｛ : : : /　／｝: : :ヽ

　　　　　　　　　　, ―-　 ＿,「` ー‐-　　_
　　　 　 　 　 　 /: : : : : : : : :! : : : : : : : : : :｀ '.　、
　　　　　　　　 /: /: : : : : : : :!: : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　 　 ,': /: : : : : /: : | : : : i .:i : , : : : :, : i: : : ',
.　　　　　　　 l./　　　 ./: : : | : : : |:/! : !: : : : ', :,l: : : :',
　　　　 　 　 /. . : : : :/ : ,. ｧl : : : |:| l:` l､.: : : : ﾊl. . ,　!　　このうち一番信用が置けないものは、と言うと、
.　　　 　 　 / : : /: : ,'／: /　l: : : :l:!　、:'､＼: : `' !: :!: :!　　実は（３）だったりします、
　 　 　 　 /: : : ,': : .:ｌ: : :/＿_l: : : :l|　_ヽ_lヽ、.: .: ヽ |: :|　　本人の自伝が信用に値しないのは何故かと言うと、
　　　　　 ,': : : :l:i : : |: :/, 〒.､! : : :!　 ,〒 ﾐ ヽ.: : : ヽ: :!　　執筆が留学後半世紀経ってから
　　 　 　 l: : : /!ｌ: .: ,L/トi':::Nヽ: : :l　 トi':::Nヽ_ヽ.: .: :',:l　　書かれたものであり、（２）の公式の書類とも
　　　　　 ヽ: :l. ｌ|: :/ ﾑ弋二ﾉ　!`-l　弋二ﾉ l. ｌl.:〉、: l:!　　一致しない記述が多すぎるからです
　　　　　　 ヽ! ヾ {「 rｲヽ二 .ノ　, 丶､ 二（ ヾ 〉 : l: /l　　
　　　　　　　　 ,'.:〉! ヽ V ,/　 　 ｏ　　 ヽヽｩ　〉: : l/ l!　　 この「やる夫がウヰスキーを造るようです」は伝記なので、
　　　　　　　　,':/.:,ヽ　　　）` tz---t '' 7'"　 } `ヽ : : ',　　本人の著述と事実、どちらを優先するか迷ったのですが、
　 　 　 　 　 //.:/.{￣｀ ''くl:.:.:.|　　　l,. ┴ ''' ´l / ヽ: : :',　 やはりここはある程度事実を優先する事にします
　　　　　　 //.: :|,/ミミ､､、 ヽ:|´￣ {　 ,. ,., 彡!'　　!:ヽ :',
　　　　　 ／.: .: / `　、　``ミ!:.l. 　 ﾊ彡'　, - ' ` ､ |: :丶ヽ
　　　　 /: .: .: .: !　　　　ヽ __}ヽ!　 ,!/‐'"　　　 　 l |: : : :＼ヽ
　　　 /: : .: .: .: :|　　　　　　 lヾ.!　l |　　　　　　　{ ! : : : : : ` ',

１９１８年１２月イングランド北西部リヴァプール
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ｒｎへ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,人ｒ壺'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∠/　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒゝ、＿、　,∠ｘ/　　､:ﾄｬ　　ｶｰﾝ　ｶｰﾝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｣ﾛpwLｒ∠ｘｌ,/　　　>ｊ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｆＬｆｆｆｒｒｒ[>≦｢´　　　`U
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||ＬL⊥二〔、 　　　　　_,,..-‐''`'ｰ-､_　　　　ｺﾞｰﾝ
　_,.．-'''"~""'''　‐- ．..,,___,,..-‐''~""'''　‐||>:<||＞＜||．..,,__'''""~　　　　　　　~""'''　‐- ．..,__、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||>＜||＞＜||　　　　　　 ＼ｒ､__ｒｆ　　　　ｆｔ__,ｒｧ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,||>＜ ||＞＜||　　　　　　　ｒゝ[ﾛｒL　　　,｣ｭﾛ[くｬ
　　　　　 |　　　 .[ビートルズ]　　　　 .||＞＜||＞＜||　 .ｒ====ｌ:┐|x|xｌx|´　　　 |x|xｌx|
────!ｚｭ　　 | ｌｺｺｺｺｺｺ:|[㌔㍍] ,||￣　:||￣￣ ||　::|ｌ=====ｌ|ｌ|ｘ|ｘｌｘ|　ｒ─‐:|ｘ|ｘｌｘ|
　○　　 ／´　　　| ｌｺｺｺｺｺｺ:|ｒｪｪｪｭ].,||≧≦||≧ ≦|| 　|ｌ====,ｒ:::::::::-、x〕ｋｭｭ 〔x|x(V_｡_｡V)
　　　,／-‐─￢、　 ,.-‐─￢、ｪｪｪ:[ ,||￣￣:||￣￣ ||　　　　　｀ｌ::::::::::{　　ｒｪｪｪｒへｭ彡､:_:_:ｒミ
　　 /　|[:￣ｌ￣:]|　　|[:￣ｌ￣:]| ｪｪｪ:|::||二二:ｌ||二二ｌ||　　　ｌ|￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣￣￣￣
＿__{￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|　　　　　　　:|γγヽ
::::::::ﾍ～～～～～～～～～～～～～ ～～～～～～～:ｌ|　　　　　　　:| ヽヽソ
～～`　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :|　　　　　　　:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～～～～～～～～～～～～～～

　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　 ／　　ノ ' 　ヽ､　＼　　　ふう、１１月にニューヨークを出て一ヶ月、ようやく着いたお
　　　　　　　 　 ／ 　 （ー） 　（ー） 　＼　　一昨日に乗ってた船が衝突事故を起こして沈没しかけるし、
　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |　　まったく酷い旅だったお
　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／　　ドイツは先月降伏したってのに、戦争が終わってから死んだら丸損だお

　　 　 　 　 ＿＿__
　 　 　 　／　　 　 ＼
.　　 　／　　　　　　　＼　　　　さて……と言ったところでこれからどうしたもんかお
.　　／　／）　ノ ' 　ヽ､　＼　　 スコットランドの首都はエディンバラで、最大の都市はグラスゴーかお
　　|　／ .ｲ '（ー）　（ー）　u|　　どっちにも有名な学校があるみたいだお……
.　　 /,'才.ﾐ).　（__人__）　 ／　　大学には高等学校（現大学）の卒業証書があれば入学できると聞いたから
.　　 |　≧ｼ'　　｀ ⌒´ 　 ＼　　 大阪高等工業の卒業証書は持ってきたけど……
　／＼　ヽ 　　　　　　　　　ヽ

　　　　　　　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
　　　　　　　|　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　|　 大阪高等工業学校　 |
　　　　　　 /　　　￣￣￣￣　　 　　　/＿＿＿__
　　　　 　 /　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /ヽ＿＿／/
　　　　　/　 　 　免許皆伝 　　 　 /　　/　　　/
　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　/　　/　　　/
　　　　/　　　＿＿＿＿　　　 　 /　　/　　　/
　　 ／　　　　　　　　　　　　　／　　/　　　/
　／　　　　　　　　　　　　　／ 　 　/　　　/
　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣/　　　/　　　/
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣￣￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　 　　　　-= =-=三＝／ 　　　　　＼
　　　-=三＝ 　　　　　　／　　　─　 　─＼　　　　　まぁ、他に当てもないから、
　　　　　　　　　　　　 ／　　　　（●） 　（●）ヽ
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　（__人__）　　|　　　まずはエディンバラ大学に行くお
-=三 =-=三　　=-=三＼　　　 　　 ｀ ⌒´　 ／
　　　　　　　　　　　　 ／￣￣￣￣￣￣￣ ＼
　　　　　　　　　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
-=. =- =..- 　　 |　ワ　　　 　 ゴ　　　　　　ン　　 Ｒ　|
　 　 　 　.二三 |　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　 |
　　　　　　　　　|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿|
　　　　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　　◎

────と、やる夫はまずスコットランドの首都エディンバラに向かいました

　　　　 ,＝-'''''-　丿i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　＜　ヾ==,,,丿ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／
　　　　 ）　　　） ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　_===;~
　　　＜_r---´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　~）
　　　　　　　　/|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,r--´
　　　 /丿 ／//　 ／　　　　　　　　 　 　,-----┘　 ,--、
　　　　,-,/　/ |　 i i　　　　　　　　　　　　￣￣｀◎-´　　｀---、
　　 ､''~　i|_/　|_／ﾍﾍ ﾍ^ﾉ　　　◎　　　　　　　　ｴﾃﾞｨﾝﾊﾞﾗ　 ヽ
　 /丿)　,;'　 o'/　ﾉ/ヽ"ﾞ |　　ｸﾞﾗｽｺﾞｰ　　　　　　　　　　　　　　 ﾍ
　　　'-'~　　　ﾉ　|ﾍ　 ヽ　~ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ~ヽ
　　　　　　　 ﾉ　ﾉ　ﾍ_ﾉ　　ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　|_,,,ﾉ　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　 ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　 |~＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　 ヽ ヽ~ﾍ 　（＼_　　r-~~~ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ヽ,ヽ　ヽ,_,）　~~~　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾉ　　　↓至ロンドン　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,.　:-―…: ― .-. . . ..、
　　　　　　　　　　 　 　 　 __ /`:‐:´: : : : : : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ、
　　　　　　　　　　　,.-‐: : : :7: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.＼　　　 一応基礎知識ですが、いわゆるイギリスの正式名称は
　　　　　　　 　 　 /: : : : : :,': : : : : : : : : : : : : : : :、: : : : : : : : : : : : ':,
　　 　 　 　 　 　 /: : : : : :,': : : : l: : :,!: : : : : : : : : :.ヽ: : : : : : : : : : : :ﾊ　　「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」
　　　　　　　　　/, -: : : :/: : : : :.l: : ﾊ: : : : : : : : : : : :.＼: : : : : : : : : : ::,
　　　　　　 　,.:'´: : : : ::,ｨ: : : : : :.l: / ‐v:-: :､: : : : : : : : : ヽ: : : : : : : : : l　　グレートブリテンはイギリスの右側の島の名称、
.　　 　 　 ／: : _: : : : /: l,.:-:､: : :l:,′　':ﾍヽ:.`: : : : : : : : : : ＼: : : : : : :l
　　　　／:, ｨ: : : :/: :/: l: :l: : j : :.l'　 　 ､_ヾ;.＼: : : : : : :＼ : : :ヽ: : : : :.!　　そして北アイルランドはアイルランド島の右上部分、
.　 　 /／ /: : : :,' : ,': : l:.ﾊ: :ﾊ: : l　　 　 ィｵ癶マ､: :ヽ: : : :ヽ: : :ヘ: : :,'
　　 　 　 ,': : : :.j: : : : : :l:':, l:んﾊ:.',　　　　 ',::-ｲ:::心､: ﾍ: : : : :ヽ: : :}: :!　　 併せて「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」になります、
.　　　　　l: : : :ｨV: : : : :ﾊ: :ﾍ V::ﾍ:':、　　　 Vﾊ::::ソ　V: ヽ: : : :ﾊ:.リ: .:
　　 　 　 l::., ' l:! V: : :.:'　V: :ヽゞソ-〈　　 　 ゝ ‐'　 　 V: :ﾄ:､: :.:l: : : :.l　　 当作品では今後「イギリス」で統一します
　　　　　 V 　 　 ヽ: : { 　 ﾄ､:ﾊ　/ ,　丶　　 　 ノ　 　 ｨV: : :ヽ:ﾊ: : : :l
　　　　　　　　　　　丶',　 l: :`:‐<　 　 r:.､ ￣ 　 　 ／l:/: : : : : :.l : : : ﾊ
　　　 　 　 　 　 　 　 _　 ,:': : : : l:.＞::‐- ..-:ｧr　'´　／: : : : :.／:V: : : : ',
　　　　 　 　 r‐- ､　/ ヽ/:._: : :,'l//::::::::::::::／l 　.／: : : :. :／´ ￣ V: : : ﾊ
　　　　　　 　 ｀ヽ ヽl　l　Y　ヽ/l l:::::::::::::::,'　　／: : : : :.／　　 　 　 V: : : ﾍ
　　　　　　　 　 　 ＼ﾞ '　 ! ゝ.}::l l::::::::::::/￣,:': : : : : ／　　　　　　　 V: : : :.',
.　　　　　　 　 　 　 ,:ヽ、　 　 !::l l:::::::::,'　 ,': : : /:／　,.　　　　　　　　l: : : : :.}
.　　　　　　　　　　/.: :ハ　　 ﾊ::' V::::::l　 l: : : /,´　 /　 　 　 　 　 　 l: : : : /

　　　　　　　,ィ´　　　　　 .::　　　|　　 　 　 　 　 λ
　　 　 　 ／　 ／　　　| :ｉ:::::　　 |､　 　 :::　　 　 　 ﾍ、　　　 また、イギリスは４つの地域（カントリー）で構成されており、
　　　　 /　 ／　 　 　 ,|: ||: :|　　| ∨ 　 |:::　 　 　 　 ﾍ、　　 イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドと呼ばれます。
　 　 　 ｊ　:/　　　 ::　 /| | |:.:|　　|　 ∨　|::::　 　 ﾊ 　 ｉ ﾍ　　元々は独立した国家でしたが、いろいろあって現在は一応１つの国家です。
　　　　| ./ .:　　,.ｨ'⌒` |:|　|::|　　|　　}'"Ｔヽ:::: 　 ﾊ 　 |.ｉ |　　ウイスキーの歴史を紐解くと、征服者イングランドが、
　　　　ｊ/　::　 /::. /　__ｊ/_　|:| 　 |　__ｊ ,/ヽ、:::::　 ﾊ　 | | |　　被征服者スコットランドの地酒「ウシュク・ベーハー」に
　　　 /　,ｨ.::　|::: /,ｨﾁﾃｵゞ .|:|　 ｊ ｨｆﾁ心､ ∨:::: 　 |:　ｊ ｊﾉ　　重税をかけた所が１つのクライマックスなのですが、番外編でご説明します
　　　ｊ　/ |.:::..|:::/| ` ん:ﾊ　 ｊ;/_ノ　ん::ﾊ ´ﾊ|::::: ｉ　ｊ| /　 　 ___,,　　
　　　|/|　|::::::|:/::|　､V:少　}=={　　込少, ﾊ:|:::::/ /,ｒγ~｀`（:::::ﾉ､,＿___
　　　　|　 ｉヽ::´:::| ヽ_＿_ ノ　'　ヽ_＿__　ﾉ::::ｊ::ﾉ:::|~~,,,,￣,,,,￣,,,￣,,,,,~ｉ:|　　要するにウイスキー＝スコッチはスコットランドの地酒であり、
　　　　|　λ ヽ::::|ヽ、　　　,‐-/´　　 ､二ﾌ:::::| 　|,,⊂⊃,,⊂⊃,⊂⊃ ｉ:|　　やる夫がウイスキーの勉強をするならスコットランドの
　　　　ｊ/　::ヽ. ヽ|:::::｀＞‐-｀_.{　 　 _,7´::::|::::::| 　|""゛／"~~~~゛＼: ゛ｉ:|　　首都に行くのは当然の発想と言えます。
　　　 /　　:::: ﾍ　｀ヽ´ ヽ､/´｀‐-‐┴ｖ､:::::|::::::| 　|__./＿__/'7_＿__ ヽ:ｉ:ｊ
　 　 /　,ｨ´｀ヽ　＼　＼ /｀ヽ __ 　 ,,/　＼|::::::|: 　 〉 τノ　' ,-‐'ﾉ￣￣　　ただ日本酒の勉強に東京に行くのが相応しいかと言うと
　　 /　 {　　　 ＼　＼ /　 　 　 ￣゛〉　　 |::::::|:　/.　 '´　r‐'￣　　　　　　ちょっと違いますよね
　　/　　|　　　　　＼ ./　　　 　 　 /　　　 |::::/￣￣￣￣~〉

────やる夫はまずエディンバラのエディンバラ大学に向かいましたが、エディンバラ大学の理工学部には
適当な専攻科が無かったため、続いてグラスゴーに向かいました
　　　　　　 　 ＿＿_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　〃|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
　　　　　　　 |　セ　｢￣￣, ＝=ｰ-　､ _　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　〃/|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
　　＿＿_ _ _l|　ル　|　　 / | r=ー' ､　 l|　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　〃//|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
＿|r===l |　| |　テ　|　　{　l| l｣冂｜|　｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　〃///|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜||｣_冖｜ | |　ｨｯ　|　　 ＼｀ ｰ-_'ノ'　 |l　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿＿＿_| 。ｌ ////|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜|r=v┐|　| |　ク　|ー--- ニ二 ＿＿||l　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|」｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣l| 。| ////|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜|Ｌ!]_ﾘ｜ | ｢￣￣l|　 匚|匚||<Ｉ|匚|匚|||　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 //|幵幵|ｴl｢幵幵| 。| ////|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜|r==、 |　| |　　　 |　 匚|匚||l{ |匚|匚|||l　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ//|幵幵|ｴl| ／ | |　 | ////|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜||_Ｌ!｣l |　| |　　　 |　 匚|匚|lｸl|匚|匚|ｌ|l　　　　　　　　　　　　　　　　　|//|幵幵|ｴl||[ﾚl | |　 | / ／l|[][][][][][][]| |
｜|r ､rｧ｜ | |　　　 |　 匚|匚||ｨl|匚|匚|ｌ||l　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |//|幵幵|ｴl||L］ | |　 |／[／|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜|<へ>｜ | |--─ 「¨ 匚|匚|| | 匚|匚|冂　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |//|幵幵|ｴl||{_〕 | |　 | ／／|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜|＿＿｜_|_|　　　 |　 匚|匚||ﾝ||匚|匚||；|　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |//|幵幵ｆ／|lX{ | |　 |_／／|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
冂l [l[l[l[l匚_ |　　　 |　 匚|匚| ｴ|匚|匚||：|_　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |, /|幵幵|[ﾚl| ／f´]｡ ｒ'´＼ l|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
|l |匚　　 ＿|l|　　　 |　 匚|匚|lﾘ.|匚|匚||・|l|　　　　　　　　　　　　　　 　 |/ '|幵幵ｆ／|fｒ'l_| |　 | ´＼】|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
|l |ｌ　| 　 匚_ |　　　 |　 匚|匚|ｌｻﾞ匚|匚||：|l|　　　　　　　　　　　　　　 　 |／|幵幵|ｴｒ'／, |´]｡ ｒ'´＼ l|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
|l |匚　　 ＿|l|　　　 |　 匚|匚|lﾍﾞ匚|匚||；|l|　　　　　　 　 　 　 　 rｧ=ｦｦ|／|幵幵|／|レ{ | |　 | ´＼】|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
|l |ｌ　| 　 匚_ |　　　 |　 匚|匚|ｌｽ|匚|匚||；|l|　　　　　　 　 　 　 　 |l_|=／|／|幵幵|／|l０| |´]｡ ｒ'´＼ l|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
|l |匚　　 ＿|l|　　　 |　 匚|匚|ｌ2|匚|匚||・|l| 、　　　　　　 　 　 　 |l_| |　ｌ|／|幵l|L|ｒ'｢||'ｮ| | |　 | ´＼】|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
|l |ｌ　| 　 匚_ |　　　 |　 匚|匚| . |匚|匚||；|l| l|　　 　 　 　 　 　 ＿|l | |　fｱfEEEｌ }|ｒ'|i||'z| |´]｡ ｒ'´_ ＿＿　 ＬＬＬＬ| |
|l |匚　　 ＿|l|　　　 |　 匚|匚|ｌＤl l|／＾ﾟ ：|l| l|┐　 　 　 　 ┌/「￣￣￣|ｘ'|EEE| ||ｒ'|l||'･| | |　 | _| || グ ||_ ＬＬＬＬ| |
|l |ｌ　| 　 匚_ |　　　 |　 匚|匚|￣|∥|匚|凵l|「|r|_　　_ _ _ _r‐| |｜l _　_　_｢ｭ[ ｭ ｭ| ||ｒ'|l　　 |´]｡ ｒ' | |l ラ. ||_ ＬＬＬＬ| |
|l |匚　　 ＿|l|　　　 |　 匚|匚|匚|∥|匚|　 l| 二／＾ﾟ　二二二二二二二|'ｭ[ ｭ ｭ| ||ｒ　ﾟ＾＼､ 'r┤ｌ| || ス ||_ ＬＬＬＬ| |
|l_l＿|＿_匚_ |　　　 |　　　　　＿_∥_ _ |　 l|┴∥┴┴┴┴┴┴┴┴‐ｒ'´｢￣ﾐ￣|ｒ'ｌ｣|l　 || ｌ| l| _| |l ゴ. ||_ ＬＬＬＬ| |
＿＿＿_ｒ'´_|l|　　　 | }三{ _ l｢ヽ_ ∥＿_ヽ _| ｌ｣∥tr｢ |l ｨｼﾄr「,ｲﾄl| …|｢ |ｔ：|　,幺､ | -┐　l|| ｌ|_l| _| || ｜ ||_AC/DC_|
三　|　 ｢三 ∥　　　|}三三{　r‐　∥‐┐　 l| |｢∥r|rrｨｲﾐｿ、ﾐミ彡｡．｣|_l|__l|ﾆ'ｲiト､|二ﾑ'´ || 二|_　￣｢ ｢´二二二二
三　|　 |三=∥　＿｜}三三{ |￣ ∥　l|　　l|_/'｣|ｧ flfl',fl'fl' fl'fi'ffi' fi fi ｰ-= ､ _ i|｀ |=三fﾆｌ|| fifir　￣l| l|￣|￣￣|￣|
＝＝＝＝＝ ＝＝ ＝ ,､_,､＝＝_｣|,､_,､_ ＝─ '′ A　 fﾆl　A　　A 　 fﾆl 　 A￣｀ ｰ-∧＿∧|_λ　| l|　 |　 λ|　 |
　　　　　　 　 　 　 　 ( ´∀)　　　(　　 )　　　　　　　　 　 　 ∧＿∧　　　 　 　 　 　 （｀ 　 　 ）　￣l| l| ー─----
　　　 　 　 　 　 　 　 （　　 ）　　 （　　 ） 　 　 　 　 　 　 　 （∀・　 ,）　　　　 　 　 　 と　　 　 〉　　 | l|

　.　　　　　　　　＿＿＿＿
..　 　 　 　 　 ／ 　　 　 　 ＼
　　　　 　　／_ノ 　 　ヽ_ 　　＼　　　　　　エディンバラはとんだ無駄足だったお、
　　　 　 ／　（ー）　 （ー）　 　 ＼　　　　　
　　　 　 | 　 '" （__人__） "'　 　 　|　　　　　まぁ何の情報もない以上仕方の無い事だお
　　　　　＼　　　｀ー ´　　　　 ／　　　　　
　　 　 　 ／ ゝ　　 　 　 　 ィ'ヽ　　　　　　とりあえず宿も取ったし、
　　 　 ／ 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　
　　　/　　 ｨ　　　　　　　　　 r 　 ＼　　　 まずはグラスゴーにどんな大学があるか調べるお
　 　 | 　 `||　　　　　 　 　　　|ヽ　　ヽ
　 　 /⌒ヾ|　　　　　　　　　　|　|,　　|
　　 ヾ___,ｿl　　　　　　　　　　│（､__,ﾉ
　　　　　　 |　　　　　　　　　　|
　　 　 　 　 l　　　 Y´　　 　 /
　　 　 　 　 ヽ,　　 （ 　 　 ,/
　　　 　 　 　 ヾ　　|　　　|
　　　　　　　　　≒;|　　　|
　　　　　　　　　(.（"＿｀ﾞ_）

　　　　　　　　 ＿＿＿
　　　　　　　／　 　 　 ＼
　　　　 　／　　─ 　 ─ ＼　　　　　　　　　　ふむふむ……グラスゴー大学では有機化学の講座が、
　　　　／ 　 　（●）　（●） ＼　　　　　　　　　ロイヤル工科大学（現ストラスクライド大学）では
　　 　.|　 　　　　（__人__）　　 |　 　 ＿＿　　　有機化学と無機化学の講座があるお、
　 　　 ＼　　 　　｀ ⌒/￣￣⌒/⌒ 　　/　　　これは大変興味深いお
　　　　（⌒　 　　　　/ 　　　　/　 　 　/
　　　　i＼　　＼　,(つ　　 　 /　　　⊂)
　　　　| 　＼　　 y(つ＿＿./,＿＿⊆)
　　　　|　　　ヽ＿ノ　　　　|
　　　　|　　　　　　　　　 　|_

　　　　　　　 ＿　 　_,
　　　　　＿__,＞ Ｙ´'ー-､
　　　　＿>ｚ二_　＿__`ー≧＿_
　　　　＞┴'´￣｀ ‐-､￣ ７ ＜　　　　はいはい、外国人の履修手続きですね、卒業証書はお持ちですか？
　　 ／　　　　　　　 ヽ ｀Ｙ′之＞
.　 /　 ,　　l、　、 ,　､ |　 ヽ　}<　　　　あいにく授業は４月からなので
　 ｌ ,ｨ {７Tハ　T寸寸 |　　}ノ　|
　 |ハ |（●）　（●）　/ / ,/ﾚ′　　　　今からという事ですと、途中からの履修になりますがよろしいですか？
　　　 `| 　　ヽ 　　　「)'/|/
　　　　ヽ､_ 　― 　_,.ィT/
　　　　　　l 7Eニ::ィ1│
　　　　　　'ｲ:::／ヽ::｀::ヽ
　 　 　 　 /:.:.}￣￣､:.:ii.:|　ｶﾘｶﾘ
　　 　 　 {:.:.:⌒ｽ　　ｨ⌒} ))
　　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|

　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　 　 ／　　　 　 ＼　　　　　（あの事務の女性、どっかで会った事があるような気がする……）
　　　　　　　　　　 ／　　 _ノ 　　ヽ_＼
　　　　　　　 　 ／　ｕ　（ ●）　（ ●）ヽ　　　 あ、はい、途中履修できるなんて願ってもない事ですお、
　 　 　 　 　 　 l　 　 　 ⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　 　 ＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ／　　　 手続きよろしくお願いしますお

　　　　　　　 ＿　 　_,
　　　　　＿__,＞ Ｙ´'ー-､
　　　　＿>ｚ二_　＿__`ー≧＿_
　　　　＞┴'´￣｀ ‐-､￣ ７ ＜　　　　
　　 ／　　　　　　　 ヽ ｀Ｙ′之＞
.　 /　 ,　　l、　、 ,　､ |　 ヽ　}<　　　　…………手続きは以上です、最初の授業は明日からですね
　 ｌ ,ｨ {７Tハ　T寸寸 |　　}ノ　|
　 |ハ |（●）　（●）　/ / ,/ﾚ′　　　　
　　　 `| 　　ヽ 　　　「)'/|/
　　　　ヽ､_ 　― 　_,.ィT/
　　　　　　l 7Eニ::ィ1│
　　　　　　'ｲ:::／ヽ::｀::ヽ
　 　 　 　 /:.:.}￣￣､:.:ii.:|　ｶﾘｶﾘ
　　 　 　 {:.:.:⌒ｽ　　ｨ⌒} ))
　　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|

　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　 　 ／　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　 ／　　 ⌒　　 ⌒＼
　　　　　　　 　 ／　　　（ ●）　（ ●）ヽ　　　　わかりましたお
　 　 　 　 　 　 l　 　 　 ⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　 　 ＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ／
　　　　　　　 　 ／　　　　 　 　 　 　 ヽ

─────翌日

　＿＿_＿＿_＿＿_＿＿_＿＿_＿＿_＿＿_＿＿_＿＿_＿＿_＿＿ ／　 　／ ||
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　／ll ／l|
　＿＿＿_＿＿＿_＿＿＿_　 |(l|||l)l　＿＿＿＿＿＿　　　 　 　 　 | 　||／∠l ||
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 || └─┘|| 　 　 　 　 　 || 　 　 　 　 　 | 　|l　|||| | ||
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 || 　 　 　 || 　 　 　 　 　 || 　 　 　 　 　 | 　|l　|||| | ||
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　￣￣￣￣￣ 「　 　＿＿＿＿＿＿_　　　　＿＿＿＿＿　　　　　＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　| 　 Ｌ ＿＿＿＿＿＿＼　 ＼　　　　　　　 ｀　､　　ﾞr　､
　　　　　　　　　|＿　|| 　 l二二二l 　 ||＿　||､|l￣ｌ二二二l ￣ｌl　＿|ト､||￣ l二二二l
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　　　　　　　　　　／￣￣￣￣￣￣￣￣￣＼　　＼￣￣￣￣￣￣￣￣`　､　｀　､￣
　　 　 　 ＿＿＿_　　　　　
　　　　／　　 　 　＼　　　　
　　 ／　　＼　 　 ／＼　　
　／ 　　 （●）　（●）　＼　　　　　　　　さーて今日からいよいよ本場の授業だお、
　|　 　　 　 （__人__）　 　 |　　　　 　 　　
　＼　　　　 ｀ ⌒´　　 ／　　　　　　　　 先生がお見えになったお
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノﾞ-､.　　　　　　　　..
:　 　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i　　　　
　 　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|　　　　
　 　 ＞　　 ヽ. ハ　 | 　 |｜

　　　　　　　　 　 　 , ､　 _/｀丶､--　　､
　　　　　　　　　　, ' 　 ヾ/　　 　 　 　 　 ｀丶、
　.　　　 　 　 　 ,.'　　　,、 ∧:.､　　 、　 　 ､　 ヽ
　　　　　 　 　 /　 　 !.L,V-rﾞ;::';.、　ヽ　　　ヽ　 ｀,
　　　 　 　 　 ,' 　 :　j l　　　i ヾ':,ﾞ､ _,,,!;_　:.　 ﾞ、　',
　　　　　　　 i ,　.:　_,L!,,_　　 ! ヾ! ﾍ　i､!` :.　i ﾞ:i.　|　　ふーん、今日から外国人の聴講生が１人おるんか
　 　 　 　 　 '.{　.:l　 :j!!　　 　 !　il　 ヽ !ﾞ､ ::.　! ト､j
　　　　　　　i.!i. !::j　 |｣!__　　　l　 !　,.z〉ﾋｬ:::::. ! j:::ﾞ!　　ヤルオ・タケツル……　自分スペイン人か？
　　　　　 　 lj ﾞ,.l.:::i　j「ﾞ丐ミ 　 　 ! '行牙ﾊ.::::.!i. !;ﾉ　　　　"Mr. Taketsuru, are you Spanish?"
　　　　　　　l|　ﾞ';::::', ﾄ,　ト:::i.　　　　 ト::::!　};:::j' }{
　　　　　　　 {　 ﾞ;::::ﾞ! ﾊ `'''"　 ,　　　｀`''　ﾊ:::Ｋ＾'
　　　　　 　 　 　 ﾞ;::::!ﾞ| ﾄ､ 　 　 -　　　　,ｨ!;;|/;;;;;;;,、
　　　　 　 　 　 　 ﾞ:;:l｜ ,,;;`;;;,_.､ __ ,.. イ`j!:;;';;;;;;;;;;;;;;〉
　　　　　　　　　　　ﾞ:{ |　ヾ;;;;ハ ,j　,ﾊ'´　l!.〉:;;;;;;;;;;;/
　　 　 　 　 　 　 　 　 |, -''ﾞ/ｒ''|_>ﾋ／>、,l!　 ｀ヾ<
　　　　　 　 　 　 　 ／|　　　　|　 /　　｀' l!　　　　ﾞヽ
.　　 　 |＞　､　 /ﾞV　,..、　　　j'ﾞﾞi′ 　 　 　 　 　 　 i
.　　　　|　　　 ｀!　´`^　l　 　 /　i　 　 ___　i　　 　 　 l
　 　 　 |　　　 ｛!　　　 ヽ￣￣￣￣￣＼|｜ :/　　　｜
　　　　 |　　　　ヽ　　　 ,!　 [ ２－E ] 　 | | /　　　　 l

　　 　 　 ＿＿＿_　　　　　
　　　　／　　 　 　＼　　　　
　　 ／　　 _ノ 　　ヽ_＼　　　　　　　いえ、日本人ですお"
　／ 　　 （●）　（●）　＼　　　　No I am not, I am Japanese."
　|　 　　 　 （__人__）　 　 |
　＼　　　　 ｀ ⌒´　　 ／
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノﾞ-､.
:　 　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i　　　　
　 　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|

　　　　　　　　　　　_　　　 /｀ヽ、,,_
　　　 　 　 　 　 ／　｀ ＜/　　　ヽ　｀`ヽ､
　　　 　 　 　 , '　　　　　/ ﾊ 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　/　　　　/:ヽ. i:;:zＶ　i　 ｀ｖ　　 ヽﾞ:,
.　　　　 　 /　　　 j .j'ﾞﾞ｀`` ヽ V　!　　V　　　ﾞ､',
　　　　　 / ,　　　 | j 　 　 　 i. V .!;.‐-､、　　　','.　　　　ほーか、その大きい鼻とメタボな腹は
　　　　　,' ,'　｜　 }ィ⌒　　　 l　i　!､　 .|｀`　 i.　ij
　　　 　 ! ,!.　 !　 '!l.|　　 　 　 |　i j ｀、 !i,　　 l.　{　　　　スペイン人かとばっかり思ったわ……
　　　　 .l.i.| 　 |　 | {|　　　　　 |　l.l　_,}_｣,,i_ 　 lﾞ､ i
.　　　　 !ｌ l　　}　 ! ,ﾞ､＝-ﾐ　　　 ﾘ´Z.-―ｷ　 |Y:, i　　　日本人とは、こら珍しいなー、
　　　 　 {: l 　 !i . ﾄ"'"￣｀`　　　　　　　　 i　 ｌﾉ ヾ!
.　　　　　　i　 | ﾞ、! i　　　　　_'__,.｡、　　　 ,:! .l　　　　　 こっちには何の勉強をしにきたん？
　　　　　　 V｜ ﾞ､ｉ 〉、　　　{　　　,!　　 ∠!} ,!
　　　　　　　Ｖ| 　 ﾞ! !;;｀;;;,,,,,、` ｰ ' ,.. ＜;;;;;!ﾊ{;,、
　　　 　 　 　 ﾞ{ ／;!.|;;;;;;;;;;;r'i"|` ''":::;ﾚ' {;;;j.!;;;;;;;;;;;,、
　　　 　 　 　 　 ﾞ:;;;;!|;;;;;:ィ　 ヾ　::;／ 　 ,'メ､:::;;;;;;;/
　　 　 　 　 　 ,.- ''"!!　 l　∧｣∠ヘ 　 ,'/　　 ｀ヾ
　 　 　 　 　 /　!　　｣!-:|/Υ　　〉" ヽ/､　　 , '　｀:、
　　　　　　 / 　 ! '"　{　 　 },-､/　　　　　｀/　　　 ｀:.
　　　　 　 /　　 Y　　　　 / 　 |　　　　 i　,{　　　　　i

　　 　 　 ＿＿＿_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Glaswegian
　　　　／　　 　 　＼　　　　　　　　（けっこう訛ってるお、これがグラスウィージャンの方言って奴かお）
　　┘(　　 _ノ 　　ヽ_＼　　　　　　　
　／⌒　 （●）　（●）　＼　　　　　　やる夫はウイスキーの造り方を学んで、
　|　 　　 　 （__人__）　 　 |　　　　　　日本に帰ったらウイスキーを造るんだお
　＼　　　　 ｀ ⌒´　　 ／　　　　　　 そのために会社から派遣されてきたんだお
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノﾞ-､.　　　　　　　ところでおっさんこそ何て名前だお
:　 　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i　　　　
　 　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|

　　　　　　　　　　┌-─ ´￣ ｰ--　､
　　　　　　　　 /｀ｰヽ　　ヽ　　　　ヽ　ヽ､
　　　 　 　 　 /　,　ﾚヽl､　ヽ ､　　　 ＼　ヽ
　 　 　 　 　 / 　l l __ ヽヽ､　く￣ヽ､　 ヽ　ヽ　　　　　　　　ああ、うちはここの大学の無機化学学長、
　　 　 　 　 l l　 l f´　ヽヽ　ヽヽヽ ヽ　　lヾ､」 ,､
　　　　　　 l　l　l│　　　ヽ､　>ヒz七､　 ﾄ､Y┤r┐　　　　　フォーサイズ・ジェームズ・ウィルソンいうんや
　　　 　 　 リ l　N､,,三ミ　`　 '´´〃ヾ,､　V│ l ├､
　　　　　　 l|｀l|　 N､　　　'_ , -,､　　　l∧､|││ |│　　　　よろしく頼むわー
　　 　 　 　 l　ヽ　M.　　　{　　　l　　 ﾚ┤ l　｀ '　l､ l
　　　　 　 　 　 ヽ l ﾘｰ ､_ ｀ｰ- ' , イ |　l　 ヽ　　　　l
　　 　 　 　 　 　 ヽl l|／　 ＞､´　　ﾚlヽﾍ　　｀　　　l
　　　　　　 　 　 　 ｀ {　,／ ├　　 / ' ├'｀┐　､　 lト ､
　　　　　　　　　　, -_ニ''ﾌ　 |　　/　　　l　 ∧　　／〉　l
　　　　　　　　　 /　l　　/／１　/ ＼､_　l　/ メ' ´／　　l
　　　 　 　 　 　 l 　 l / ｲ,/　l　l　　 ヽ」､l l∧ ／　　　　lヽ
　　　　　　　　 ,┘　 Y　 <　 lv'　　／,　　 l／　 　 　 　 Ｎ
　　　　　　　　 l 　 　l　　　＼ ヽ／, ´　　　＼○　　　　 l ヽ

　　　　　　　　　　　　Forsyth James Wilson

　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　 ／_ノ 　ヽ､_＼　　 　 　 　 ━━┓┃┃
　　　　　 　oﾟ(（●）) (（●）)ﾟo　　　　　　　　 ┃　　　━━━━━━━━
　　　　 ／::::::⌒（__人__）⌒:::: ＼　　　　　　　┃　　　　　　　　　　　　　　　┃┃┃
　　　　|　　　 ゝ'ﾟ　　　　　≦　三　ﾟ｡　ﾟ　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ┛
　　　　＼ 　 ｡≧　　　　　　　三　＝=-
　　　　　　　 -ｧ,　　　　　　　　≧=-　。
　　 　　　　　 ｲﾚ,､　　　　　　　＞三　　｡ﾟ　･　ﾟ
　　　　　　　 ≦｀Vヾ　　　　　　　ヾ　≧
　　　　　　　 ｡ﾟ　/｡･ｲﾊ ､､　　　　｀ミ　｡ ﾟ　｡ ･

　 　 　　　＿＿＿_　　
　 　　　／ノ 　 ヽ､_＼　
　　　／（ ○）}liil{（○）＼　　　 .無機化学学長って！
　 ／　　　 （__人__）　　　＼ 　 .
　 |　　　ヽ　|!!il|!|!l|　/　　　|　　やる夫が受講する学部の親玉だおーっ！
　 ＼　　　　|ｪｪｪｪ| 　 　 ／.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 _/＼＿
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／´｀ く/. : . ヽ: .＞ ､
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／. : . : . : .,ﾍ : . : . : . : . ＼
　　　　　　　　 　 　 　 　 　/　　 　/^ヽﾑ..∨ ヽ : ヽ. :＼.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /　. : . :| {'⌒ 　ヽ ', : |. : .|: . : .ヽ ',
　　　　　　　　　　　　 　 .′. i.: . :|ﾑ-､　　 '　V:|'⌒|ヽ. : . ∨　　　　まーまー、うちも国籍を間違えて悪かったわー
　　　　　　　　　　　　　 |: |. : |. : ｲ:|　 　　　|　| |、 :ﾄ. : . : |ﾍ
　　　　　　　　　　　　　 |/|. : |. :i|ﾍ{　　　　 |　| | Ｖ:| Ｖ. : .ﾄ.:',　　　　お詫びに本を１冊紹介したるわ
　　　　　　　　　　　　　 l{ |. : |. :i|　ヽ__　　　　j/ｨ三气 . : |ﾍ ',
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |. : ﾄ. iﾄ.ｲ≠气 　.　　´　.:.:.:.∨ |ﾉヽ}　　　まずはこれから読んでみー
　　　　　　　　　　　　　　 ∨ | V|ﾊ:.:.:.:. 　 r―ｖ.　 :.:.:.:.:ﾊ:.′
　　　　　 　 　 ｆﾍ　　　　,ｨｧＶ| ﾍ{ ﾍ､:.:　　ヽ __ﾉ　　／} j/　　　　　 うちの授業、一般的な応用化学の範囲やさかい
　　　　　　　.ｲ ） ,三 ／)ﾉﾉ ヽ　, } |.:.:≧ ､ .. __ . ＜.:.:.:| |:.＼
　　　　　彡 | } ヽ 　/＾) l/ .､　く.:ﾍ:|.:.:./´{ﾉ　　／　ヽ_:}/.:.:.:.:〉　　　たぶん自分には物足りんと思うでー
　　　　　 　 ﾍ ヽ、/　′}/ /　_.＞|{ ´{　/^ヽ/ヽ　　// ＞､/
. 　 　 　 　 　 ',　/　ヽ 　 /　/ { 　ヽ　|/ {⌒ヽ-へ/　　 ／ヽ.
　　　　　　　 　{ {　　　} /　/　 ',　　 　 　}-､/ 　 　 　 / 　　 ',
　　　　　　　　　ﾉ　 　 /　/ 　　ヽ 　 　 /　 { 　 　 　 /　　　　',

　　　　　　　　 ＿＿＿
　　　　　　　／　 　 　 ＼
　　　　 　／　　─ 　 ─ ＼　　　　　　　　　　ｻﾞ ﾏﾆｭﾌｧｸﾁｬｰ ｵﾌﾞ ｳｲｽｷｰ ｱﾝﾄﾞ ﾌﾟﾚｰﾝ ｽﾋﾟﾘｯﾂ
　　　　／ 　 　（●）　（●） ＼　　　　　　　　　「The Manufacture of whisky and plain spirit」
　　 　.|　 　　　　（__人__）　　 |　 　 ＿＿　　　
　 　　 ＼　　 　　｀ ⌒/￣￣⌒/⌒ 　　/　　　Ｊ．Ａ．ネトルトン著
　　　　（⌒　 　　　　/ 　　　　/　 　 　/　　　　By J.A.Nettleton
　　　　i＼　　＼　,(つ　　 　 /　　　⊂)
　　　　| 　＼　　 y(つ＿＿./,＿＿⊆)　　　　　……「ウイスキー並びに酒精製造法」かお
　　　　|　　　ヽ＿ノ　　　　|
　　　　|　　　　　　　　　 　|_

. 　　　　　　　　　　　 /＼
. 　　　 　 　 　／ ヽ_/:　　＼‐-　､
. 　　 　 　 　/　 　 ,､　,ﾍ　　　　　　ヽ
　　 　 　 　/　　　/ ‐┴rl　 i　:. 　 ＼‘，
. 　　 　 　/　　　 l __　　| !　ﾄ __::.　　ﾄヽ:
　　　 　 / 　 　 :i´　 ｀ ｜!　l´V:.｀:.　|ﾐ ﾍ
. 　　　 /　 i　　; l| 　　 ｜∨!　∨: ::. | ｀ハ　　　　いずれ蒸溜工場を紹介してくれる人を探してやるさかい
. 　　 　　 /| 　 ﾚx==ミ　 　 `x==ﾐﾄ,　| /
　 　 　l: /l∧　λ　 　 　 ,　　　 　 V K　　　　　　よろしゅう頼むわ
　 　 　ﾚ　|l_∧ |l} 　 　 r ￢ﾍ　 　 ∧|‐. ､
　 　 　　 くj: : : |_ゝ.､　弋 　 ﾉ　 ィl|_: |: : /　　　　 うちも力になったるさかい
. 　　　　　　Y´ | 　 | ｀T ｀ ´ﾌ´ }　l!　｀Y
　　　　　　　|　､　　|　 ヽ ／ 　 l　j! /　}　　　　　　しっかりやるんやでー
　　　　 　 　j 　 ':.　| ／f:::::}＼_ﾉ 　/　.:l
.　　　　　　∧ 　　',i´＿.ゞｲ ＿ j　´　.: ﾊ
. 　　 　　 /　 :.　　 |　　{:::::l　　 l　　.:: 　 l
　　　　　 {_　　:.　　| 　 l::::::! r‐┤　;　 　 |
. 　　　　 　 j｀丶､__j 　 |::::::ｌ |　 {_.＞ 'Tフ
　　　　　　 ′　 l　ヽ.　|::::::l　ヽ_ ｲ　　l
　　　　　　;　　　ﾄ ､　　|::::::l　 　,ｨl　　 !
　 　 　 　 l:　 　 ﾄ､{:{｀T!::::::lT ´}:},|　　 |
　 　 　 　 |　　　l:ﾉ :￣:|:::::::|￣: {.:|　　 |
　　　 　 　l　 　 l : : : : :l:::::::j: : : :`ｌ　　 l
　　　 　 　l　 　 ; : : : : :iヽ.ｲ : : : : l　　 !

　　　　　　　　 ＿＿＿
　　　　　　　／　 　 　 ＼
　　　　 　／　　─ 　 ─ ＼　　　　　　　　　　
　　　　／ 　 　（●）　（●） ＼　　　　　　　　　よし、まずはこの本の翻訳から始めるお
　　 　.|　 　　　　（__人__）　　 |　 　 ＿＿　　　
　 　　 ＼　　 　　｀ ⌒/￣￣⌒/⌒ 　　/　　　
　　　　（⌒　 　　　　/ 　　　　/　 　 　/
　　　　i＼　　＼　,(つ　　 　 /　　　⊂)
　　　　| 　＼　　 y(つ＿＿./,＿＿⊆)
　　　　|　　　ヽ＿ノ　　　　|
　　　　|　　　　　　　　　 　|_

────こうしてやる夫は、１９１９年１月２８日から、この本の翻訳を始める事になります
グラスゴーでのやる夫の生活は、グラスゴー大学、ロイヤル工科大学で授業に出席する傍ら、
図書室で専門書の翻訳をする作業から始まることになります

ところでやる夫の自伝にはウィルソン教授ではなく、ウィリアム教授に本を紹介されたとありますが、
当時の記録や、ググった結果を見るに、事実はウィルソン教授であったと考えられます
ウィリアム教授というのはやる夫の記憶違いでしょうか

http://www.nature.com/nature/journal/v154/n3918/abs/154696a0.html

　　　　　 　 　 /: :／ /: : : : : : :.:,': : : : : : ,ｨl:‐::ｱ-/､::/|: : : : : l::::::::::',－l:- : 、: : : : : ‘,:ｲ: :/:ﾊ: : : : : : :l
　　　　　　　 /:,: '　 ,': : : : :i: : :.:l: : : : : :.::/::l: :.,'::/::／:::l: : : : :.l':::::::::::',: :|: : : : : : ヽ: : : :V/:ｨ:.ﾊ: : : : : ::l
　　　　　　　〃　　 ,:: : : : :.l: : : l: : : : : : /::::|:.'ィ芹ミ､::::': : : : :|:::::::::ｨ芽:|ｪﾐ: : : : : ‘ ，.: :.Vノ: l l: : : : ::.'
　　　　　　　l′ 　 ,: : : l: :.l!: : :.l: : : : : :/::::ｨ:斗_ぅ心 ':::::':: : : :l::::::::::ﾊぅ',l;;;心: : : : : :‘:，: .ﾍ: :l: l:: : : :ﾊ
　　　 　 　 　 　 　 l: : : |: :ﾊ: : :.l: : : : :,:'::〃仂;;;;;;;;;;ﾊ:::::::::': : :.l::::::::::仂;;;;;;;;;;刈、: : : : : ﾞ,:: : ::',: /: : :/: :|
　　　 　 　 　 　 　 l: : :,ｲ:l: :l: : : l: : : ::l::::〈. に:じ;;;;;;;;l:::::::、V:.l::::,.:::::に:じ:;;;;;;り‘,:: : : :: : l : : : l: : : /: :. |
　　　 　 　 　 　 　 l: :/ |: |:.:l: : : l: : : ﾊ/ ヽ V込;;;;;ソ　　l_ _',:|/　　弋込;;;;;ソ　'.: : : : : :l: : : ::l: : :,':. :. :|
　　　 　 　 　 　 　 l:/　|/ l:,': : : :l: :.;l:.:{　　` ー 　 ′　/ ￣ l　　　 ｀ ー　´　　V: : : :,::l: : : ::l: : :,: : : :!
　　　　　　　　　　　′　'　l '.: : :.:l: :.l: :lゝ、　　　　　 ／　　'　ヽ　　　　　　　 　 ｨ!: : : : l: : : ,':. : :./: :.:l
　　　　　　　　　　　　　　　ヾ ',: :.l:ヾ',: l　 ｀　ー　　´　　　　　　丶　　＿　　, ィ'j:: :}:l: /: :.:/: :: :./: : :.:!
　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽﾊ!: :',:ゝ　　　　　　　　｀　 　 ´　　　　 　 　 /: l:: /: :/::／: : : :/: : : :.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: :‘,: l: ヘ、　　　　　　　　　　　　 　 　 ィ: :/イ:/:/:ｲ: : : : :/: : : : :′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l: : :‘,:!.: ::|　｀　 、　　　　　　　　, 　　´l: /: : : /イ::/: :/:. : : : : : : '
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l_',: : ‘:,: :.l　 __＿l｀　 - －　 7'_, 　 　 l:,': : : :.' 　!: :.,:': : : :./: : ::,
　　　　　　　　 　 　 　　 _, 　-‐ニ゛: :: : : :ヽ',///V,ﾉ　　　　 　 V///z,　.|': : : :.:l　 |: /: : : : :. : : :/
ミz、　　　 　 　_,　-－'´三三三三、: : : : : : Ｖ/ﾊ´　　　　 　 　 ゝ///＞!: : : :.:!　 |:,: : : : : .: : :./
三zヽ 　　　,イ三三三三三三三三ﾞ, : : : : : : V/ﾊ_　-　― -　、//////|: : : : :|､　!: : : : : : : :,ｲ
三三ミー '三三三三三三三三三三ﾍ: : : : : : :'/Λ　　　 　 　 ,'//////l:: : : : :|≧|:l: : : : : : /.:!
` ＜ﾆ三ﾆ＞ ’　￣　 ,ｘｦｆ´￣￣￣ｊﾚｆ´ヽ:: : : ::丶ﾊ　　　　 　 ///////,l: : :: :. |ニ|:lミz: : : /:. l
　_ |￣￣ | ウイス　ｚｷｚ 　　　　 ｊﾚｆ´　　 ＼: : : :ﾐ:l,　　　 　 //// - '´,ｲ: : : : :|´ l:j　 Y: :/: : l
Y l |,'｀i/`,|　　　 ,xｦｆ´　zｷz　 _,ﾚｆ´} キーと 入: :':.ﾄ:、　　　//, '´ _ , イ l: : ::. : l　,ﾘ　　l:./: : :.l
,! .!.|　 |!　l　　,xｦｆ´_　 　 zｷﾚｊｆ´}!　　　 　 /::`ヾ:: j:ﾊ　　　/´ ／:::::::::::l　}: :.: : :.|　　 　 l/: : :..:!
l　{,!　 l 　} / )〈・ )　〉　_ﾚｆ´}｢ ＿_ 　私　/:::::::::::}:.ﾊ,:lヘ__/- ´:::::::::::::/ 　j: : :: : l　　　　l': : : : l
　 V　/'　.! ,/ ´￣｀_ﾚｆ´}ﾊ　〈 (・)ﾉ　　　/ﾍ::::::::::l/:::::::::::::::::::::::., - '´/　　 !::: : : :!　　　 ,: : : : :,

　　　 　 　　　＿＿＿_
　　　 　　　／　　 　 　＼
　　　　　／　 _ノ 　ヽ､_　 ＼　　　　　　　　とは言っても英語はともかく、内容が専門的すぎて
　　　 ／ oﾟ(（●）) (（●）)ﾟo ＼　　　　　　
　　　 |　　　　 （__人__）　　　　|　　　　　　 文章１行、図解１枚翻訳するごとに
　　　 ＼　　 　 ｀ ⌒´ 　 　 ／　
　　　／´　 　　　　　　　　 ｀＼　　　　　　　わかんない事が増えていくおー
　　/　 /　　　　　　　　　　l　　l　　 .＿＿＿
＿_l　　l_¶＿＿＿＿＿＿/＿/＿_/　　　　 ヽ
　　＼,　´-'ヽ ￣|￣￣￣￣|　　　l二二二二l
　　　 ヾ＿ノ　 　|　'''' '　　　|　　　l二二二二l
　　　| 9=ε-8.　|　'''..--　　|　　　l二二二二l:::..
　　　|　　　..''　　|　　''-.　　,|
　 　　￣￣￣￣￣￣￣￣

────ウイスキーの製造工程を全く見ずに専門書の翻訳に取り組んだやる夫ですので、
具体的な事は理解できず、ページの端に愚痴を走り書きするようになります

　↓愚痴の実例
┌───────────────────┐
│苦シイ洋行ダナー　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│何一つホントーニ、ロクナ事ハナイ　　　　　　...│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......│
│頭ニハイラヌ、ヤケダ、イヤイヤ心棒セヨ　　　│
└───────────────────┘

　　　 _ 　　　　　　　　　　 　 　 | 広場炎上中　|
　　　｀)）　　　　　　　　 　 　 　 |￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　ジ
　　　 　　 （ ）　　　 　 　 　 　 ∧　　　　　　　　　　　　　　ジ　ャ
　　　　　　（ ）　　　　　　　 　<⌒>　　　　　（⌒ ⌒)　　　　ャ　|
　ｳｰｳｰ.（ .人　　　　 　 　　／⌒＼　　＼（　,,　　⌒）／/　|　ン
　　　 人／　 ヽ　　＿＿____］皿皿［-∧（　⌒　,,　　,,　）　 ン
　　　（ ( )(　)　 ）三三三∧_／＼_|,,|「|,,,! （　　,,　　　）　　 !!!
　　＿_|￣田￣田 /￣￣Π . ∩　 |'|「|'''|「（　　 　）
　/＿_,|==／＼＝ﾊ,￣￣|「|ｶﾞｼｬｰﾝ |「| | *　　　+
/_| ﾛ ﾛ 「￣￣￣ | |　田 |「|∑田 田　|「|［［　*
|ll.|ﾛ ﾛ,/| l⌒l.ｌ⌒l.| | 　 　|「| 　 　 　 　|「|ﾐﾐﾐﾐﾐﾐ ++*:
　　　λﾜｰ　 ∧　　　　　λﾜｰ　　　λﾜｰ
　 λﾜｰ　　　| |　　λﾜｰ　　　　λﾜｰ

なお、当時の出来事として、１月３１日にグラスゴーのジョージ・スクエア広場でゼネスト「黒い金曜日」が行われており、
１０万人のデモ隊を、市当局が戦車で鎮圧するという事件が勃発しましたが、
この事もやる夫の日記に残されています

────また、地元のジャーナリストとも知り合い、蒸溜所の実習許可を得る交渉もしたそうです

　　　　　　　　　　　 ,､
　　　　　　　　　　　／ﾊ＼
　　　　　　　　　 _/-─-i‐ﾍ-　..,,_
　　　　　　,..::'"´:└──'─'::::::::::::｀'::.､
　 　 　 ／:::::::/::::::::!::::::::::::';::::::::::::｀ヽ;:::::ヽ.
　　　 /:::::::::::;'::::/::ﾊ:::::::::!:::!:::::::::::i:::::::';::::::::',
　　　 !::::::::::::|:::/メ!_|::::::/!/|-‐ｧ:;ﾊ:::::::ﾄ､::;;_!_
　　　 !::::::::::;ﾊ:7´i'ﾊ|／　ｧﾃァく!::!::::::/:::::::::| ｀ヽ　　　　　　　　　　　テケテケテケデスカ？
　 　 八:::::/|::::i` ,!_ﾘ　　 　|　 ﾊ〉|:／:::::::::::::! くｿ　　　　　　 ／）　　（ジャパンから留学とは珍しいですね！）
　 　 !　ヽ;ﾊ|::7"　　 '　 　 `ー'/:::!::::::::/:::::;ﾊ　　　　　　_／）,/､
　　 ム　 　/;:＞､, 　`こフ　";'::::/-‐-'､／!:::|_,,.. -‐''"´ 　ﾉ '､__）　　ヘェ～スゴイデスネ！
　　　　　_ノ´:::::_ノ｀＞ｧ-r､イ|::/　　　 7r'￣　　　　_,,.. -‐ｰ‐'´　　　（ぜひ取材させて下さい！）
　　　 　´￣/´::::::_ノｲ／|__/ ﾚi　　　　} |__,,.. -‐''"´
　　　　　　 レ'"´　/´! /ﾑ　 /ゝ､.＿__ﾝ´八ﾉ
　　　rっEﾖ,ｰr､rイ　 |/ﾊ」ﾚ'　　ヽ/|:::::／　　　 _ノ´ヽ.
　 　 {,）◎】]::|::|>,!､ 〈く八」　　　ﾉ　`'くゝ-‐''"´:::::::::::ハ
　　　 ヾ─‐‐く／`ｰ'ﾍ. io　　　　　 ／ ﾝ､⌒ヽ;:::::／::::::|
　　　 　 ＼ 　 ｀ヽ. ／,ﾊ､　　-‐　　 ／:iヽ!　　ﾚ'::::::::::::::|
　　　　　／ヽ､__,／-く__/＼＿,,.. イ::::::/:::::',　/:::::::::::/::::|
　　　　/::::::r'|::::/´　／:::/::::::::::::::::::!:::::;':::::::::∨:::::::::::;':::::::!
　　　　|::::::/::ﾚ'　rく::::／::::::::/:::::::: /::::::i::::::::::::!:::::::／|::::::;'
　　　　|／|:::/ 　 ヽ,ン､:::::::;':::::::::;':::::::::';:::::::::::レ'i::::/|::::/
　　　　 　 ﾚ'　　　 /｀ヽ､こヽ､__::::i::::::__'r-‐r'_,r'ﾚ'!::ﾚ'
　　　　　　 　　　 ,'　　　／ヽ､こ.二こンｧ'"´　 　ﾚ'
　　　　　　 　　　 ヽ､__,,.. ‐''"/ 　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　 〈　 　, ｲ
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼__,ノヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼_,ノ|｀i
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾄ‐':::ﾒ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　'､_ノ､__>
　　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　／　　 　 　＼
　　　　 　／　─　 　 ─　＼
　　　　／ 　 （●） 　（●）　 ＼
　　　　|　 　 　 （__人__）　 　　 |　　　いいけど、どこか実習先を紹介して欲しいんだお
　　　　 ＼　 　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　 　 /⌒ヽ　 　ー‐ 　 　ｨヽ
　 　　/ 　　　 　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　 　 ／　r─--⊃、 　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　 ｀二ﾆﾆうヽ.　|

　　　　　　　　　　　　　　　｡
　　　　　　　　　　　　｡ O　 　　 ＿＿＿＿ｰ､
　　　　　　　　　　ﾟ　 ｡ ＼ヽ ／ u　゛　 u　 ＼　　ﾟ
　　　　　　　　　　-　　･｡ ／；ﾟ　⌒　　⌒　@＼｡
　　　　　　　 ,　 ﾟ　0 ─／ { U （●）　（●）　　.＼　／ ｡　 　,'´￣￣｀',
　　　　　　　　　ﾟ　,,､,ｒ-'⌒l u//（__人__） ､ ） ｡ﾟ　|　o　 　　 ,!　ハ　ハ !
　　　　　　｡　ﾟ　ｒ-'⌒`ー-'´ヾ,. iｒ- ｒ ､//u　　 ／　｡　･ﾟ　　ｌ　フ　ム ｌ
　　　　　　　　ヾヽ､＿,,,､-､/ミ,ヽヽ/ ノ_, -イ-､＼　　　　 ∠ 　ハ　ッ ｊ
　　　　　　　　　　ー = ＾～､￣r'´￣｀''ｊヽ､　 〃ヾ ﾟ　｡　　　ヽ フ　　 /
　ｊヽｊｖｉ､人ノｌ__　　　　　/ /　　ヽ´｛ミ,_　 ￣｀'''-ヽヾ 　　　　　｀￣￣
　）　　 ハ　 　７　　　 　 /　　/ ｀'＝'´ｌ ￣ｉ'-､＿,,ﾝ ﾉ　｡
　）　　 フ　 　　て　　　/　　/　　 !。 ｌ　　ｌ　　- ニ
　７ 　　ッ　　　 （　 _＿ヽ､__ｌ　___ .!。 ｌ＿_ｌ__,-=-,＿＿_
　 ）　 　!! 　 　　（ ,　　　　　　　　　　 　 　　ｌ　　ｌ
　 ＾⌒~＾⌒＾~⌒＾　　　　　　　　　　　　　 　ヽ=ﾉ

当初の楽しみは（イギリスなのに）食事でした、ポリッジと呼ばれるオートミール（燕麦）のお粥が主食でしたが
おかずはキッパーズと呼ばれるニシンの燻製が主流でした。瀬戸内海の生干しの干物というわけには
行きませんが、（イギリスなのに）好物の魚が（イギリスなのに）手軽に食べられるとは思ってなかったので、
やる夫は毎朝が楽しみでした（イギリスなのに）

───しかしスコットランドの陰鬱な冬を過ごす日々が続くと、やる夫も徐々に郷愁を覚えていくのでした

　　　 　 　　　＿＿＿_
　　　 　　　／　　 　 　＼
　　　　　／　 _ノ 　ヽ､_　 ＼　　　　あーもー、ネトルトンの本も２周目に入ったけど、
　　　 ／ oﾟ(（●）) (（●）)ﾟo ＼　　 わからない所だらけだおー
　　　 |　　　　 （__人__）　　　　|　　 ウィルソン先生も実習先を探してくれているけど、
　　　 ＼　　 　 ｀ ⌒´ 　 　 ／　　　なかなか色よい返事が貰えないらしいおー
　　　／´　 　　　　　　　　 ｀＼
　　/　 /　　　　　　　　　　l　　l　　 .＿＿＿
＿_l　　l_¶＿＿＿＿＿＿/＿/＿_/　　　　 ヽ
　　＼,　´-'ヽ ￣|￣￣￣￣|　　　l二二二二l
　　　 ヾ＿ノ　 　|　'''' '　　　|　　　l二二二二l
　　　| 9=ε-8.　|　'''..--　　|　　　l二二二二l:::..
　　　|　　　..''　　|　　''-.　　,|
　 　　￣￣￣￣￣￣￣￣

　　　　　　　　　　 ／￣￣￣＼
　　　　　　　　　／　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　 ／　　 ノ ' 　ヽ､　　　＼
　 　 　 　 　 |　　 （ー） 　（ー）　u 　|
　　　　　　　 ＼ 　　（__人__）　　　／　　　 。
　　　　　　　　 /　　　｀⌒´　　　　ヽ　 _/´ー｀ヽ_,、
　　　　　　　　ヽ、二⌒)≠　　　 |　}　（(　　　　 ノ
　　　　　　　　　　　　 {＿_}（⌒ニノ 　 ｀ゝ_＿_ノ
　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
当初は珍しさも手伝い、（イギリスなのに）おいしいと思っていたポリッジとキッパーズの朝食も
次第に鼻につくようになりました。幼い頃から病気知らずで健啖を誇ってきたやる夫が、
生まれて始めて朝食を持て余すようになりました（イギリスらしくなって参りました）

────そんなある日……

　　　 　 　　　＿＿＿_
　　　 　　　／　　 　 　＼
　　　　　／　 _ノ 　ヽ､_　 ＼　　　　
　　　 ／　　（ー）　（ー）　　 ＼　　 ……………………
　　　 |　　　　 （__人__）　　　　|　　
　　　 ＼　　 　 ｀ ⌒´ 　 　 ／　　　
　　　／´　 　　　　　　　　 ｀＼
　　/　 /　　　　　　　　　　l　　l　　 .＿＿＿
＿_l　　l_¶＿＿＿＿＿＿/＿/＿_/　　　　 ヽ
　　＼,　´-'ヽ ￣|￣￣￣￣|　　　l二二二二l
　　　 ヾ＿ノ　 　|　'''' '　　　|　　　l二二二二l
　　　| 9=ε-8.　|　'''..--　　|　　　l二二二二l:::..
　　　|　　　..''　　|　　''-.　　,|
　 　　￣￣￣￣￣￣￣￣

l!1!｜!l
l!1!｜!l　　　　　　　＿＿＿
l!1!｜!l　|!　　　　／::::::::::::::::＼
l!1!｜!l　|!　　 ／:::::::::::::::::::::::::::ヽ
l!1!｜!l　|!　／:::::::::（○）三（○）.ヽ　　　　　　 ＿＿＿
l!1!｜!l　／::::::.:::::::::: （__人__） :::::: ヽ　　　　　（ ｶﾞﾀッ　）
l!1!｜!l　|::::::::::::::::::::::::::｀::⌒´:::::::::::::::|　　　　　 ￣￣￣
l!1!｜!l　＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
l!1!｜!l　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼l!1!｜
l!1!｜!l/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|l!1!｜l
l!1!｜!l|;;;;;;;;;;;;;|:::::::::::::::::::::::／;;;;;;;;／ l!1!｜!l

　　　　　　　　　 _＿＿＿┘(
　　　　　　　 ／＼　 ／　⌒
　　　　　　／（○）　（○.） ＼　　　　このまま手をこまねいていても時間と金の無駄だお！
　　　　 ／ 　　（__人__） 　 　 ＼
　　　　 |　　　 　 |::::::|　　　 　　|　　　こうなったら破れかぶれだお！
　　　　 ＼　　 　 l;;;;;;l 　 　　,／
　　　 　 ／ヽ　 　`ｰ´ 　 ｨ⌒ヽ　　　　まずはこのネトルトン先生の所に行ってみるお！
　 　 　 rｰ'ゝ　　　　　　　〆ヽ .)
　　　　ﾉヾ　,>　　　　　　ヾ_ノ,ヽ}
　　　　ヽ ヽ|　　　　　　　　ヽ_ノ

　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　／　　 　 　＼　　　　　その前に手元が不如意だお
　　　　 ／　　─　 　 ─＼　　　　阿部社長に留学費の追加をお願いするおー
　　　／ 　　 （●） 　（●） ＼　　　　3ｶﾞﾂ23ﾆﾁ　ﾎﾞｽｹﾃ　ｯﾄ
　 　 |　 　　 　 （__人__）　 　 |　　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿__
　　　＼　　　 　 ｀ ⌒´　　,／　 　.| |　　　　　　　　　　　　　|
　　　ノ　　　　　　　　　　　＼ 　　.| |　　　　　　　　　　　　　|
.　／´　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | |　　　　　　　　　　　　　|
　|　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　 | |　　　　　　　　　　　　　|
　ヽ　　　 -一ー_~､⌒)^),-､　　　 .|_|_＿＿＿＿_＿＿＿＿_|
　　ヽ ＿＿＿＿,ノγ⌒ヽ)ニニニニ　　 ＿|_|＿_|＿

────こういった事も本の端に書き残しています

　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　/　　 _,r-、_　,,,____ 　___ ,,,,,
　　 i ~~i|　　|　　　　　　　　　　　　 ／,r-´~:::::◎::::~::::::::::~~　 ~　~i
／＼|　 | || |　　　　　　　　　　 　 /／::::::::::::::ｴﾙｷﾞﾝ::::::::::::::::　　　　ヽ
＼　　　 ||　 |　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　 丿
　 ＼　　　＼>　　　　　　　　　　　　　　　　スペイサイド　　　　 /
　　　＼／>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　<／/　　　　　　ハ イ ラ ン ド　　　　　　　　　　　　　ノ
　　　　　　/_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　 　 ,--´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ノ
　　　　 ,＝-'''''-　丿i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　＜　ヾ==,,,丿ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／
　　　　 ）　　　） ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　_===;~
　　　＜_r---´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　~）
　　　　　　　　/|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,r--´
　　　 /丿 ／//　 ／　　　　　　　　 　 　,-----┘　 ,--、
　　　　,-,/　/ |　 i i　　　　　　　　　　　　￣￣｀◎-´　　｀---、
　　 ､''~　i|_/　|_／ﾍﾍ ﾍ^ﾉ　　　◎　　　　　　 　　ｴﾃﾞｨﾝﾊﾞﾗ　 ヽ
　 /丿)　,;'　 o'/　ﾉ/ヽ"ﾞ |　　ｸﾞﾗｽｺﾞｰ　　　　　　　　　　　　　　 ﾍ
　　　'-'~　　　ﾉ　|ﾍ　 ヽ　~ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ~ヽ
アイラ 　　　 ﾉ　ﾉ　ﾍ_ﾉ　　ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　|_,,,ﾉ　　　　　ﾉ　　　　　　　ロ ー ラ ン ド　　　　　　　　　|
　　　キャンベル　　　 ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　タウン　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　 |~＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　 ヽ ヽ~ﾍ 　（＼_　　r-~~~ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ヽ,ヽ　ヽ,_,）　~~~　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

やる夫が向かったのはハイランド地方です、この地域と、この地域を流れるスペイ川沿い（スペイサイド）は
多数のウイスキー蒸溜所が立ち並ぶ、正にスコッチのメッカとも言える地域です
後に詳しくご説明しますが、スコッチを地域別に分けると、ハイランド、スペイサイド、ローランド、
アイラ、キャンベルタウン、アイランズ（その他の島々）となり、それぞれに特徴があります

４月１７日（木）　エルギン着、ステーション・ホテル泊

　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ' ⌒ヽ
　.　　　　　　　　＿＿＿＿　　　ヽ ♪ノ
..　 　 　 　 　 ／ 　　 　 　 ＼　 　|／
　　　　 　　／　⌒　　⌒ 　　＼
　　　 　 ／　（⌒）　 （⌒）　 　 ＼　　　　ネトルトン先生はハイランドの
　　　 　 | 　 '" （__人__） "'　 　 　|
　　　　　＼　　　｀ー ´　　　　 ／　　　　 エルギンという街に住んでおられるそうだお
　　 　 　 ／ ゝ　　 　 　 　 ィ'ヽ
　　 　 ／ 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　お会いできるのが楽しみだお
　　　/　　 ｨ　　　　　　　　　 r 　 ＼
　 　 | 　 `||　　　　　 　 　　　|ヽ　　ヽ　　汽車旅も楽しいもんだお
　 　 /⌒ヾ|　　　　　　　　　　|　|,　　|
　　 ヾ___,ｿl　　　　　　　　　　│（､__,ﾉ
　　　　　　 |　　　　　　　　　　|
　　 　 　 　 l　　　 Y´　　 　 /
　　 　 　 　 ヽ,　　 （ 　 　 ,/
　　　 　 　 　 ヾ　　|　　　|
　　　　　　　　　≒;|　　　|
　　　　　　　　　(.（"＿｀ﾞ_）

４月１８日（金）　ネトルトン教授に面会

　|　三＿二　/　ﾄ⊥-（(｀⌒)､_i　 |　|
　〉─_,.　-‐='＼ '‐＜'´＼/´､ｦ _/､ |
　|,.ノ_, '´,.-ﾆ三-_＼ヽ　川 〉ﾚ'＞/ ﾉ
〈´／／´|　｀'t-t_ｩ=､i |::　:::,.-‐'''ﾉﾍ|　　　　　　　貴様、そんな事も知らんのか
. r´｀ヽ　/　　 ｀"""｀j/　| |くゞ'ﾌ/i/
. |〈:ヽ, Y　　　　　　::::: ,. ┴:〉:　 |/　　　　　　　　蒸溜所は誰の紹介も無く実習なぞできる所ではない
. ＼ヾ( l　　　　　　　　ヾ::::ﾉ　　|、
　j .>,、l　　　　　　_,-ニ-ﾆ､,　 |)）
　! >ﾆ<:|　　　　　　､;;;;;;;;;;;;;,.　/|　　　　　　　＿__,. -､
　|　 |　 !､　　　　　　　　　 　.| |　　　　　　 （ ヽ-ゝ _i,.＞-t--､
ヽ|　 |　　ヽ＼　　 　_,..:::::::.　/ .|　　　　　　　｀''''フく　＿,. -ゝ┴-r-､
..|.|　 |　　　　:::::ヽ<::::::::::::::::>゛　|＿　　　＿,.-''"´ ／￣,.／´　ゝ＿'ヲ
..| |　 |　　　　＿;;;;;;;_￣￣　　　|　 ￣￣　/　_,. く　 ／　ゝ_／￣|
:.ヽ‐'''!-‐''"´:::::::::::::::::￣￣｀~''‐-､_　　　 /　にﾆ'／,.､-t‐┴―'''''ヽ
　 ＼＿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　/　　/　　.（_ヽ -'__,.⊥--t-⊥,,_
＼　　　￣＼―-- ､ _::::::::::::::::::::＿＿::/　 /　　／　 ￣　　 ）　　ﾉ__'-ﾉ
　　＼　　　 ＼::::::::::::::｀''‐--‐''´::::::::::/　 /　／　／￣ rt‐ﾗ'￣￣ヽヽ
ヽ　　ヽ＼　　 ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　 /　　　ゝﾆ--‐､‐　　　|
　l 　　ヽヽ　　　＼:::::::::::::::::::::::::::::::/ 　　　　　　　　　　/‐＜_　　ヽ　　|ヽ

　　　　　　　　　　Ｊ・Ａ・ネトルトン

　'´　　＿,. -‐'^ヽ　　i　ヽ┐
　＼ 　l　　　ｒ'^ヽ ＼ﾉ　/　l＿
　＼ _/　　,.-､/　 ﾍ､　/／　　l
　,三.l　　 i-‐‐,!　,!ﾐｒ‐v‐<＾ｉ ハ　　　　まぁ、工場長に謝礼を渡す事だな、
　ｰｧ'　　/__.二／-弋 ､ ,ﾊ¨ｉ l　l
　＜＿ノ｀ﾞﾆ_‐-x　　)｀ヾV　!　/　　　　２０ポンド（１６０円※）程私に預ければ、頼んでやろう
　'´／i _ヽ.＼でｱミ､.､ﾉ _,.ｫ'"ノ
　ト-'i"　　ｌ　｀￣ /-‐ｷｲｦ'´!　　　　　 それから個人授業だと……そうだな、１日１時間半でどうだ、
　　　ﾐ 　 ,'　　 　 '､　　ｌ ∨
　　　　　　　　　　 ＼'´_ブ　　　　　　　最初の月は２０ギニー（２１ポンド＝１６８円）
　ﾊ.　　　 ｉ. r'　　　,. _｀',.l
　　i. 　 　 ',　弋ﾆ´-‐‐〈!l　　　　　　　 翌月からは１５ギニー（１５．７５ポンド＝１２６円）だな
　.　i　　　 　 　 ｀¨´￣ニ!
　　 ヽ、　　 ヽ　｀¨"´Ｔ^!　　　　　　　 月初めに現金で頂こうか
　ﾉ　　　 丶､　'､_,,.. 二ノ
　─----...,,､_｀´: :＞''´
　:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､!
　ト､::::::::::::::::::::::::::::::|、

※この時期、第一次世界大戦の影響で世界的にインフレが進行中で、現在の貨幣価値に変換するのは困難ですが
大学卒の初任給の数倍と考えてよろしいかと思われます、要するに大金と言って差し支えありません
ちなみに記録によると、天祥丸の神戸～サンフランシスコ間の船賃は２０日間で一等２０７ドル（＝４１４円）、
二等１０４ドル（＝２０８円）、三等８４円でした

　 　 　　　＿＿＿_
　 　　　／_ノ　 ヽ、＼
　　　／（ ●） 　（●）.＼
　 ／　　　（__人__）　　u. ＼　　　　　　　　ちょ、ちょっと待って欲しいお
　 |ｎi 7　　 ｀ ⌒´　　　　.　|ｎ　　　　　　　今のやる夫にはそんな大金出せないお
l^l | | ｌ ,/)　　　　　　U 　l^l.| | /）　　　　　社長からはいくら使ってもいいと言われてるけど
', U ! ﾚ' /　　　　　　.　.　| U ﾚ'/／)　　　 限度というものがあるお
{　　　 〈　　　　　　　　　ﾉ　　　 ／
..i,　　 　."⊃　　　　ｒニ 　　　 /
　."'""⌒´　　　　　　　`''""''''


..|　/ （ （　彡/~''ヽ,,__　＿,,,.. -―''~~￣
. ＼ ､　　 川ﾊ i;;;ヽ,＼＼　　--‐''~'‐､_
　 /_ノ,../ﾉ,,＿|､　'''） ,|:.. ＼　 -､＿　ミ
./~´ ＿| ||. ,.｀彡　 ｀ヽ::::.　 ｀~~~~''フ''‐ 　 　ならば話は終わりだ
.|| 　|　//;iく|　　';　　　ヽ::　　 ／　 ./
ヽ　 |__ヽ__｀,,,,,,,　　　　　 i:　//　　　|.
. ヽ､__,-‐i''´,,,　　　　　　/::/ｲ|　　_,.-.
　　 ノ // ,.-'　 ,i　　　 ./:/　_!''~´
.　　!く,　｀~´!,,i'´;;　　 ./::/_,._-‐ニニ二
　　 ｀iﾉ　　　 ｀'''|　　./,=´''//　　　//
　　　　　　　　　 ヽ-''´　　| |　　 //

　　　　　,. -‐￢'´|''ﾞ￣l、
　　　 ／　　　j　｜　　 ﾞ､
.　　 .'　 /　 ｌ ,!　 ﾄ. i　　 丶　　っ
　　｜.l/ 　 ,!.ﾊ　 l l l.ヽ　､ ヽ　　っ
.　　 !././ ィヤ｜.ﾉ｀!ﾄｉ l.　! ､ヽ
　 　 }゛,{ ./ ⌒ヽ_/⌒ヽ.ｌ　l. Ν　　　【補足】
　 　 !∧/X///ハ////,!,ﾉ!'′　　　 ネトルトン教授の名誉のために補足しておきますと、
.　　 i^ l . |＞-, ﾆ､-＜| |l　　　　　　当時教授は数々の蒸溜所の顧問を引き受けていた上、
　　 ,!　{.ヽ｢ r＜)__｝｀ﾞ!l l|　　　　　　政府の徴税関係の仕事をしていたとも考えられ、
. 　 ,' ! i＼_/ミﾐﾐУ ,〃/ﾄ、　　　　　ウイスキーの権威であり、多忙な教授に個人授業を
　 / .ｌ｜　!　｀`〈 ∠（r'　| ﾞ、　　　　受けるとなれば、やはりそれなりの謝礼は
. /　,'　v'´　　　fﾞ/ノ　|　|　ﾞ、　　　 必要であっただろうと考えられます
.,'　/i　 l、　　 / !ヾ　 l　i|、 ｀、
!　// 　 ﾞr- イ 人｜/　:'|ﾍ. ,ﾉ　　　 もっともこの個人授業が行われた場合、
∨｜　　l　　 !'　　`/ 　 l　ヾ　　　　やる夫は居住地を変更する必要があるため、
！　ヽ └rr--┬ｰ/　　.l　 ﾉ　　　　彼の人生は大きく異なったであろうと思われます
　｀ヽ　ヽｉ| !　　|　,'　 　 !／
　　 ｀i.　|| |　　|　｝､＿,ﾉ
　 （ｰ'! ∥.| 　 |　|＝=ｲ|、
　　 ｀¨´!!｜　 !　〒テ' |´

　　 　 　 　 ／￣￣￣ ＼
　　　　　 ／　　 :::::＼:::／＼　　　せっかくウイスキーの本場まで来たのに、
　　 　 ／　　 　｡<一>:::::<ー>。
　　 　 |　　　　.:::｡ﾟ~（__人__）~ﾟj　　憧れの人に会ったのに、酷い扱いだお……
　　 　 ＼、　　　゜　｀ ⌒´,;／゜
　　　　／　 ⌒ヽﾟ 　'"'"´(;ﾟ　｡　　泣きそうだお……てゆうか泣いてるお……
　　　/　,＿ ＼　＼／＼ ＼
　 　 と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.

　　　　　　　　　　　　　　　　l　 /
　　 　 　 　 ／￣￣￣ ＼　 　 ′／
　　　　　 ／　　 :::::＼:::／＼
　　 　 ／　　　　（●）　（●）＼　　　　本場……
　　 　 |　　　　.:::｡ﾟ~（__人__）~ﾟj
　　 　 ＼、　　　゜　｀ ⌒´,;／゜
　　　　／　 ⌒ヽﾟ 　'"'"´(;ﾟ　｡
　　　/　,＿ ＼　＼／＼ ＼
　 　 と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.

　　　　　　　　 __＿＿
　　　　　　　／　　　　 ＼　　　　　　そうだお、ここはウイスキー造りの本場なんだお
　　　　　 ／　＼　 　／　＼
　　　　／ 　（●）i!i!（●）　 ＼　　　 雨垂れ石を穿つ！　至誠、天に通ず！
　　　　| 　u ,　（__人__）　　　 |
　　　　＼　　　 .｀⌒´　　　　〆ヽ　　当たって砕けろだお！
　　　　　/　　　　　　　　　　ヾ_ノ
　　　　/rｰ､　　　　　　　　　　　|　　 失うものは何も無いんだお！　やる夫は無敵の人だお！
　　　/,ﾉヾ　,> 　　　　　　 　|　/
　　　ヽヽ〆|　　　　　　　　 .|

　　　　　　　　 ＿＿＿
　　　　　　　／　 　 　 ＼
　　　　 　／　　＼　 　／＼　　　　　　　　　　ネトルトン先生の本に載ってる
　　　　／ 　 　（●）　（●） ＼　　　　　　　　　
　　 　.|　 　　　　（__人__）　　 |　 　 ＿＿　　　所在図を頼りに
　 　　 ＼　　 　　｀ ⌒/￣￣⌒/⌒ 　　/　　　
　　　　（⌒　 　　　　/ 　　　　/　 　 　/　　　　蒸溜所に行ってみるお！
　　　　i＼　　＼　,(つ　　 　 /　　　⊂)
　　　　| 　＼　　 y(つ＿＿./,＿＿⊆)
　　　　|　　　ヽ＿ノ　　　　|
　　　　|　　　　　　　　　 　|_

　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　/　　 _,r-、_　,,,____ 　___ ,,,,,
　　 i ~~i|　　|　　　　　　　　　　　　 ／,r-´~　 ◎　　~　　　~~　 ~　~i
／＼|　 | || |　　　　　　　　　　 　 /／　　　　ｴﾙｷﾞﾝ 　　　　　　　　ヽ
＼　　　 ||　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　 丿
　 ＼　　　＼>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾛﾝｸﾞﾓｰﾝ　　　　/
　　　＼／>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　<／/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ
　　　　　　/_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　 　 ,--´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ノ
　　　　 ,＝-'''''-　丿i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　＜　ヾ==,,,丿ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／
　　　　 ）　　　） ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　_===;~
　　　＜_r---´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　~）
　　　　　　　　/|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,r--´
　　　 /丿 ／//　 ／　　　　　　　　 　 　,-----┘　 ,--、
　　　　,-,/　/ |　 i i　　　　　　　　　　　　￣￣｀◎-´　　｀---、
　　 ､''~　i|_/　|_／ﾍﾍ ﾍ^ﾉ　　　◎　　　　　　 　　ｴﾃﾞｨﾝﾊﾞﾗ　 ヽ
　 /丿)　,;'　 o'/　ﾉ/ヽ"ﾞ |　　ｸﾞﾗｽｺﾞｰ　　　　　　　　　　　　　　 ﾍ

　　　　＿_.. -―─ ､__
　　　 ／｀　　　　　　 三ﾐー ﾍ､_
　　ゝ'　;; ,, , ,,　　　　 ミﾐ　 , il　ﾞＺ,
　 _〉,..　　　 ////, ,彡ffｯｨ彡从j彡
　 〉,ｨiiif ,　,, 'ノ川jﾉ川;　:.｀ﾌ公)了
　＼.:.:.:i=珍／二''=く､ !ノ一ヾﾞ;.;.;）　　逆に考えるんだ
　 く:.:.:.:lﾑjｲ 　rfﾓﾃ〉ﾞ} ijｨtｹ 1ｲ'´
　　 〕:.:.|,Y!:!､ 　 ﾆ '､ ;　|｀ﾆ ｲj'　　　　「許可が出なければ押しかければいいさ」
　　 {:.:.:j {: :}　｀　　 ､_{__}　　/ﾉ
　 　 〉ｲ　､ﾞ!　　　,ィ__三ｰ､ j′　　　　と考えるんだ
　　,{　＼ ﾐ ＼　 ゝ' ｪｪ' ｀' /
-‐'　＼　＼ ヽ＼　　彡　ｲ-､　　　　
　　　　 ＼　＼.ヽゝ‐‐‐升 ﾄ､ ヽ､__
　　　　　　＼　 ヽ- ､./／ j!:.}　　　 ｀ ｰ ､
　　　　　　 ヽ＼　厶_r__ﾊ/!:.{
　　　　　　　　　 ´　/ ! ヽ

ロングモーン蒸溜所　オーナー工場長　Ｊ・Ｒ・グラント

　　　　＿_.. -―─ ､__
　　　 ／｀　　　　　　 三ﾐー ﾍ､_
　　ゝ'　;; ,, , ,,　　　　 ミﾐ　 , il　ﾞＺ,
　 _〉,..　　　 ////, ,彡ffｯｨ彡从j彡
　 〉,ｨiiif ,　,, 'ノ川jﾉ川;　:.｀ﾌ公)了
　＼.:.:.:i=珍／二''=く､ !ノ一ヾﾞ;.;.;）
　 く:.:.:.:lﾑjｲ 　rfﾓﾃ〉ﾞ} ijｨtｹ 1ｲ'´
　　 〕:.:.|,Y!:!､ 　 ﾆ '､ ;　|｀ﾆ ｲj'　　　ほう、日本から……あの遠い国からですか
　　 {:.:.:j {: :}　｀　　 ､_{__}　　/ﾉ
　 　 〉ｲ　､ﾞ!　　　,ィ__三ｰ､ j′　　　
　　,{　＼ ﾐ ＼　 ゝ' ｪｪ' ｀' /
-‐'　＼　＼ ヽ＼　　彡　ｲ-､　　　　
　　　　 ＼　＼.ヽゝ‐‐‐升 ﾄ､ ヽ､__
　　　　　　＼　 ヽ- ､./／ j!:.}　　　 ｀ ｰ ､
　　　　　　 ヽ＼　厶_r__ﾊ/!:.{
　　　　　　　　　 ´　/ ! ヽ

　　　　　 　　　　＿＿＿
　　　　　　 　 ／　　　　　＼
　　　　　　 ／　　　　　　 　 ＼　　　　　ええ、そうしたわけで、
　　　　　／　 　 　＼ ,　, ／　 ＼
　　　 　 |　 　 　 （ー）　 （ー）　 |　　　　ぜひこちらで実習をさせて頂きたいんですお
　　　　　＼　 u. 　 （__人__）　,／
　　　　　　ノ　　　　 ｀ ⌒´　　＼

　　　　＿_.. -―─ ､__
　　　 ／｀　　　　　　 三ﾐー ﾍ､_
　　ゝ'　;; ,, , ,,　　　　 ミﾐ　 , il　ﾞＺ,
　 _〉,..　　　 ////, ,彡ffｯｨ彡从j彡
　 〉,ｨiiif ,　,, 'ノ川jﾉ川;　:.｀ﾌ公)了
　＼.:.:.:i=珍／二''=く､ !ノ一ヾﾞ;.;.;）　　　ええ、いいですよ、今日は金曜日ですから、
　 く:.:.:.:lﾑjｲ 　rfﾓﾃ〉ﾞ} ijｨtｹ 1ｲ'´
　　 〕:.:.|,Y!:!､ 　 ﾆ '､ ;　|｀ﾆ ｲj'　　　　　来週の月曜日からでどうですか
　　 {:.:.:j {: :}　｀　　 ､_{__}　　/ﾉ
　 　 〉ｲ　､ﾞ!　　　,ィ__三ｰ､ j′　　　　　期間は１週間よろしいでしょうな
　　,{　＼ ﾐ ＼　 ゝ' ｪｪ' ｀' /
-‐'　＼　＼ ヽ＼　　彡　ｲ-､　　　　
　　　　 ＼　＼.ヽゝ‐‐‐升 ﾄ､ ヽ､__
　　　　　　＼　 ヽ- ､./／ j!:.}　　　 ｀ ｰ ､
　　　　　　 ヽ＼　厶_r__ﾊ/!:.{
　　　　　　　　　 ´　/ ! ヽ

　　　　　　　＿＿＿
　　　　　／ ⌒　　⌒＼
　　　 ／　（○）　 （○） ＼　　　　えええええ！本当ですか！ありがとうございます！
　　／ 　 ///（__人__）/// ＼
　　|　　 u. 　 `Y⌒y'´　　　　|　　（謝礼のしゃの字も出なかったお……）
　　 ＼ 　 　 　゛ー ′　　 ,／
　 　 /　　　　 　ー‐ 　 　ィ

２０１０年の東京ウイスキーフェスティバルのロングモーン蒸溜所の記念ボトルには、
やる夫とＪ・Ｒ・グラントの水彩画が描かれています
http://kobayashi.fuyumichi.info/?p=580

４月１９日（土）
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
￣￣￣￣￣￣￣￣￣||____＿＿＿＿____|||____＿＿＿＿____||￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |￣￣￣￣￣|　|||　|￣￣￣￣￣| ||　┌──-┐
　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | ||　│外　下│
　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | ||　│国　宿│
　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | ||　│人　屋│
　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　て　　　 　 　 | ||　│お　 　│
　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|て.ﾋﾟｼｬｯ!　　| ||　│断　　 │
　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |[l.|||.l]|　 　 　 　 　 | ||　│り.　　 │
　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |＿＿＿＿＿|　|||　|＿＿＿＿＿| ||　└──-┘
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＿＿＿＿＿＿＿＿＿||└┴┴┴┴┘. ||| .└┴┴┴┴┘||＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　 　 　 ＿＿＿　　　(￣つ 　 (￣つ
　　　　　 　 ／　　　　 ＼__/　/__ 　 /　/
　　　　　 ／ ―　 ―　　 ＼｀'´　 `<　/
　　　　／ （＞）　（＜）　　　＼　　　Ｙ
　　 　 |　　（__人__）　　　　　　|　　 ノ
　　　　＼＿｀ ⌒´　　 　 　 ∠-‐'"
　　　　／　／ー――／　／
　　　（＿_ノ　　　　 （＿_ノ

ロングモーンの街には宿が無かったため、翌日、やる夫は一週間の下宿先を探して
もう１駅南のローゼスの街を回りました、この街は蒸溜所が多くあり、
見学にも都合がいいと思われましたが、東洋人のやる夫を泊めてくれるホテルは無く、
エルギンに戻ってステーション・ホテルの屋根裏部屋を借りる事になりました

４月２０日（日）
　　　　　　　　　　　　　|!l i;|;!.il| !l
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..⌒ヽ　　　　　　　　!　; |!l i;|;!.il | !l　。　　　　 ／.|:::::::::::|
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　　　　　||L L | L L . !l!|;li;i !ｌ i; |!;　.￣￣￣￣|　 |:::::::::::|￣￣￣
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二二二二二二ヽ　' ;　!i !l i;|ﾟ!;.l!;l二二二二二i.　 |:::::::::::|
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実習を翌日に控えたやる夫でしたが、この日はする事が無く、一日中教会で過ごしたと日記に書き残しています

４月２１日（月）

　　 　 　　　＿＿＿_
　　 　　　／⌒　　⌒＼
　　　　／（ ●） 　（●）＼
　　 ／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼　　いよいよ実習だお！
　　 |　　　　　|r┬-|　　　　　|
　　 ＼ 　　 　 `ー'´ 　 　 ／　　　久しぶりに白衣に袖を通したお！
　　　 　[￣｀ヽ　/￣￣￣＼
　　　　 /　 　　| ＾ヽ、 　 　ｌ
　　 　 /　 　 　i。 　 ＼／　＼
　　　/　 /　 　l。　　　　　　　 ヽ
　　　|　/　 　　l。　　　 i　 　　 ｿ
　　　 /　　　 　l。 　　　l　　 　ｿ

やる夫の実習は２１日月曜日から、２５日金曜日まで行われました、残っている記録によると
２２日（火）　グラントに葉巻、税務官の妻に香水、マネージャーに煙草、従業員に葉巻を贈る
ある日　　　税務官の家でお茶を飲み、彼の息子をホテルに招き、映画を見に行く
２５日（金）　マネージャーのニコル氏と保税倉庫を見学、税務官に税金の仕組みの説明を受ける

グラント氏から指示があったのか、従業員はやる夫に対して好意的に接してくれたそうです
実習の内容は、番外編の「ウイスキーの造り方」を一通りなぞったものと思って下さい
本来はここでウイスキーの造り方をご説明するはずでしたが、長くなりそうだったので分離しました

※２レス読み飛ばし可

ここでやる夫が、ロングモーン蒸溜所マネージャーＲ・Ｂ・ニコル氏に尋ねた
質問の記録を、日記から抜粋します、インフレの影響がよく見えますね
余談ですが、ヨーロッパでは１６００年頃から第一次世界大戦まで、貨幣価値がほとんど変化しなかったため、
ある一定の国債を持つと金利だけで生活する事ができました、このような階層を「ランティエ」と呼びます
彼らは文化の担い手でしたが、第一次世界大戦のインフレにより、社会階層としてのランティエは消滅しました。
大戦はヨーロッパにこれまでにない変化をもたらした事がよくわかりますね

問１　イースト菌の培養は行いますか？
答　　いいえ、イースト菌はビール醸造所から購入します。アイルランドのダブリンから運んでくるもので、
　　　 褐色のペースト状をしています。１箱７５キロのものを、２、３箱使います。

問２　スコットランドに、顕微鏡を使用している蒸溜所はありますか？
答　　いやないでしょう

問３　イースト菌の温度は？
答　　華氏７９度から、９７度です

問４　水は、井戸で汲み上げるのですか？
答　　山を３キロほど上ったところに湧き水があり、そこから近くの貯水槽までポンプで送ります。

問５　水質検査をしたことはありますか？
答　　いいえ、ありません

問６　スコッチ・ウイスキーは、どうしてこれほどまでに高い評価を受けているのでしょうか？
答　　その理由は、清らかな水です。雪解け水が地面で濾過され、上質の水となって出てくるのです。
　　　 ピート（草炭）もスコットランド独特のもので、香気を醸し出してくれます。

問７　樽は、スコットランドの樫材で作るのですか？
答　　いいえ、カナダ産の樫です。しかし、最高のウイスキーはシェリー酒の樽で熟成されるもので、これはスペインから輸入します。

問８　樽の値段は？
答　　ただの樽なら２ポンド１０シリング（１０シリングは、０．５ポンドで、１ポンド１００ペンスの現行制度では
　　　 ５０ペンスに相当する）。シェリー樽なら、４ポンドほどすることもあります。

問９　ウイスキーの値段は？
答　　第一次世界大戦前は、１ガロン３シリング（現行制度では１５ペンス）でしたが、今では１０シリング（５０ペンス）です。

問10　大麦の値段は？
答　　今は、８ブッシェルで７１シリングですが、以前は３０シリングでした。

問11　（麦芽の竃室で使う）ピートの値段は？
答　　ここでは、丘で採れる２０年から３０年たったものを使います……１平方ヤードあたり、３シリング６ペンスでしたが、
　　　 今では１平方ヤードあたり７シリングです。

問12　（かまど用の）石炭の値段は？
答　　大戦前は１トンあたり２シリングでしたが、今では２ポンドです。１６ハンドレッドウエイト（１ハンドレッドウエイトは
　　　 １１２ポンド、約５０．８キログラム）の石炭で、１００ガロンのウイスキーが蒸溜できます（５銭５厘分の石炭で、
　　　 ウイスキーが１升蒸溜できることになる）。

問13　醗酵中、糖分はどういう割合で減少していきますか？
答　　１回目のマッシングが終わった段階でのファースト・マッシュの糖度は８０、セカンド・マッシュは２５、サード・マッシュで
　　　 ７度です。醗酵は２日でほぼ完了し、最終的な糖度は２度です。

４月２６日（土）

　 　 　 　 　　／￣￣￣＼
　　　　　　 ／⌒　 　 ⌒ 　＼　　　　ついに、ついに実習ができたおーっ！
　　　　　　/ （⌒） 　（⌒）　　ヽ
　　　　 　 |::o'ﾟ~（_人__）~o°　|
　　　,ｨＴl'ヽ＼　 `ー´　　ﾟ　／｀ヽｰ;、
　 　 kﾋﾋど,　　 　 　 　 　　{⌒Yｨ ､ ｿ
　　　 　 ｀´￣ヽ　　　　　　ﾊヽ ｀^ｰ′
　　　 　 　 　 　ヽ 　　｀　/　 '}
　　　　　 　 　 　 >　　　/ごノ
　　　　　 　 __,∠ 　 　 /
　　　　　　〈、 　　　／
　　　　　　　＼､__ノ

────実習の最終日を蒸溜釜の清掃で終えたやる夫は
　　　　　　意気揚々とグラスゴーに帰りました

　　　 　 　　　＿＿＿_
　　　 　　　／　　 　 　＼
　　　　　／　⌒　 　 ⌒ 　＼　　　　
　　　 ／　　（⌒） 　（⌒）　　＼　　 読める、読めるお！
　　　 |　　o'ﾟ~ （__人__） ~o°　|　　
　　　 ＼　　 　 ｀ ⌒´ 　 　 ／　　　
　　　／´　 　　　　　　　　 ｀＼
　　/　 /　　　　　　　　　　l　　l　　 .＿＿＿
＿_l　　l_¶＿＿＿＿＿＿/＿/＿_/　　　　 ヽ
　　＼,　´-'ヽ ￣|￣￣￣￣|　　　l二二二二l
　 （（ ヾ＿ノ ）） |　'''' '　　　|　　　l二二二二l
　　　| 9=て-8.　|　'''..--　　|　　　l二二二二l:::..
　　　|　　　..''　　|　　''-.　　,|
　 　　￣￣￣￣￣￣￣￣
実習を終えたやる夫はネトルトンの本の翻訳を再開しましたが、実習を行った事により、
これまでわからなかった部分が理解できるようになりました

以上の詳細はやる夫の「エルギン日記」に残されています（余市ウイスキー博物館所蔵）

────良い事は続くもので、以前グラスゴーのジャーナリストを通じて出した実習願いが
半年近く経って、ようやく許可が降りました

　　　　　　　　　　　　 ,､
　　　　　　　　　　　／ﾊ＼
　　　　　　　　　 _/-─-i‐ﾍ-　..,,_
　　　　　　,..::'"´:└──'─'::::::::::::｀'::.､
　 　 　 ／:::::::/::::::::!::::::::::::';::::::::::::｀ヽ;:::::ヽ.
　　　 /:::::::::::;'::::/::ﾊ:::::::::!:::!:::::::::::i:::::::';::::::::',
　　　 !::::::::::::|:::/メ!_|::::::/!/|-‐ｧ:;ﾊ:::::::ﾄ､::;;_!_
　　　 !::::::::::;ﾊ:7´i'ﾊ|／　ｧﾃァく!::!::::::/:::::::::| ｀ヽ　　　　　　　　　　　テケテケテケデスカ？
　 　 八:::::/|::::i` ,!_ﾘ　　 　|　 ﾊ〉|:／:::::::::::::! くｿ　　　　　　 ／）　　（喜んで下さい！ボネス蒸溜所の実習許可が下りました！）
　 　 !　ヽ;ﾊ|::7"　　 '　 　 `ー'/:::!::::::::/:::::;ﾊ　　　　　　_／）,/､
　　 ム　 　/;:＞､, 　`こフ　";'::::/-‐-'､／!:::|_,,.. -‐''"´ 　ﾉ '､__）　　ヘェ～スゴイデスネ！
　　　　　_ノ´:::::_ノ｀＞ｧ-r､イ|::/　　　 7r'￣　　　　_,,.. -‐ｰ‐'´　　　（期間は２週間です！）
　　　 　´￣/´::::::_ノｲ／|__/ ﾚi　　　　} |__,,.. -‐''"´
　　　　　　 レ'"´　/´! /ﾑ　 /ゝ､.＿__ﾝ´八ﾉ
　　　rっEﾖ,ｰr､rイ　 |/ﾊ」ﾚ'　　ヽ/|:::::／　　　 _ノ´ヽ.
　 　 {,）◎】]::|::|>,!､ 〈く八」　　　ﾉ　`'くゝ-‐''"´:::::::::::ハ
　　　 ヾ─‐‐く／`ｰ'ﾍ. io　　　　　 ／ ﾝ､⌒ヽ;:::::／::::::|
　　　 　 ＼ 　 ｀ヽ. ／,ﾊ､　　-‐　　 ／:iヽ!　　ﾚ'::::::::::::::|
　　　　　／ヽ､__,／-く__/＼＿,,.. イ::::::/:::::',　/:::::::::::/::::|
　　　　/::::::r'|::::/´　／:::/::::::::::::::::::!:::::;':::::::::∨:::::::::::;':::::::!
　　　　|::::::/::ﾚ'　rく::::／::::::::/:::::::: /::::::i::::::::::::!:::::::／|::::::;'
　　　　|／|:::/ 　 ヽ,ン､:::::::;':::::::::;':::::::::';:::::::::::レ'i::::/|::::/
　　　　 　 ﾚ'　　　 /｀ヽ､こヽ､__::::i::::::__'r-‐r'_,r'ﾚ'!::ﾚ'
　　　　　　 　　　 ,'　　　／ヽ､こ.二こンｧ'"´　 　ﾚ'
　　　　　　 　　　 ヽ､__,,.. ‐''"/ 　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　 〈　 　, ｲ
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼__,ノヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼_,ノ|｀i
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾄ‐':::ﾒ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　'､_ノ､__>
　　　　　　　＿＿＿
　　　　　／ ⌒　　⌒＼
　　　 ／　（○）　 （○） ＼　　　　　ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!
　　／ 　 ///（__人__）/// ＼
　　|　　 u. 　 `Y⌒y'´　　　　|
　　 ＼ 　 　 　゛ー ′　　 ,／
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　　　　　　　　　, - ------ 、
　　　　　　　 ／::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　 .／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　 　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　./::::::::::::::::::／｀ヽ:::::::::::::::::::::::::::',
　　　　ハ:::::::::::::::i　　 o ',::::::::::::::::::::::::::i
　　 　 i:::::::::::::::::::::ヽ＿ ノ:::::::::::::::::_:::::::,'
　　　　',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/o ',:::/
　　　　 ゝ-:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i__ ノ/
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:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::',
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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なお、このボネス蒸溜所実習の前後──恐らく何週間か前──に
やる夫にとある出会いがありますが、構成の都合上、次回に回します

　　　＜　ヾ==,,,丿ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／
　　　　 ）　　　） ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　_===;~
　　　＜_r---´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　~）
　　　　　　　　/|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,r--´
　　　 /丿 ／//　 ／　　　　　　　　 　 　,-----┘　 ,--、
　　　　,-,/　/ |　 i i　　　　　　　　　　　　◎￣｀◎-´　　｀---、
　　 ､''~　i|_/　|_／ﾍﾍ ﾍ^ﾉ　　　◎　　　ﾎﾞﾈｽ　　ｴﾃﾞｨﾝﾊﾞﾗ　 ヽ
　 /丿)　,;'　 o'/　ﾉ/ヽ"ﾞ |　　ｸﾞﾗｽｺﾞｰ　　　　　　　　　　　　　　 ﾍ
　　　'-'~　　　ﾉ　|ﾍ　 ヽ　~ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ~ヽ
　　　　　　　 ﾉ　ﾉ　ﾍ_ﾉ　　ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　|_,,,ﾉ　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　 ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　 |~＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　 ヽ ヽ~ﾍ 　（＼_　　r-~~~ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ヽ,ヽ　ヽ,_,）　~~~　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

さて、やる夫の実習１つを取っても、当時のスコッチウイスキー事情とは切っても切り離せません
スコットランドの家庭蒸溜酒から始まったモルト・ウイスキーは、
つまる所ポット・スティルが１機あれば造る事が可能ですが、大規模な機械（連続蒸溜機）が
必要なグレーン・ウイスキーは、大資本の工場ですか製造できません
そしてやる夫が実習を許されたボネス蒸溜所は、連続式蒸溜機を擁する大蒸溜工場で、
当時３つに集約されていたグレーン・ウイスキー製造会社の１社でした

┏━━━━━━━━━━━┓
┃　　 |::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　┃
┃　　 |::::∧/＼/＼Ｎﾞ 　 　 　 ┃
┃　　 |::::i ニﾆ　ニ l::| 　N.O！┃
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┃ 　 ヽ|::|　　＿　　N. だーめ ┃
┃. 　 　V＼　　　_/ 　 　 　 　 ┃
┃　　 l￣ヽ∧ニ-＞―、　　　.┃　　　　 　　　　＿＿＿
┃　　 >、/,.-''"　　＼イ　　 　 ┃　　　　　 　 ／　　　　　＼
┃　　 |　　　　　_,. - 'T　　　　 ┃　　　　　 ／　　　 　 　 　 ＼　　　に
┃　　　ー― ´　゛ー-'　　　 　 ┃　　　　／　ノ　　　 ｀ヽ　　 　 ＼　 ょ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/⌒l` ⌒ ´ 　 　 　 ＼　　ん
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　　　　　Y　 ヽ
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大規模工場である事から想像できるように、現代と同じく、工場見学は比較的容易にできますが、
実習となると外部の人間には警戒心が強くなります。おりしもグレーン・ウイスキー製造最大大手
Distillerys Company Limited社（現Moet Hennessy Diageo社）の買収の危機に晒されていた
当蒸溜所では、実習とは言え、詳しい説明はもとより、機械に近づかせても貰えませんでした。

ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀ
ｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞｼｷﾞ
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残された道は職工に直接話を聞くことですが、大規模工場では騒音がひどく、
やる夫は大声を張り上げて質問せざるを得ず、職工の訛りもひどく、聞き取るのが一苦労でした
また、職工は連続式蒸溜機の内部構造までは詳しくありませんでした
やる夫は白衣にペンと紙切れを忍ばせ、トイレに行くたびにメモを書きなぐり、
夜、部屋に戻った時に記憶を頼りにノートを書いたようです

実習期間の２週間はまたたく間に過ぎ去り、やる夫は実習の延長を申し出ました
幸いにして１週間の延長が認められましたが、連続式蒸溜機の操作方法は未だにわかりません、
そんなある日の昼休みの事でした
　　　　　　　　　,、　　　　　　　　　　　 /7　 , 、
　　　　　　 |＼/ /,ﾍ　 ,.-―-､　 /二‐'　フ/　 !
　　　　　　/ 〈.ヽ'/ /　i'ヾ、ヽ､l_　　//| |´　ヽ　｀} ＿
　　　　　　! .r､ﾞ''| Y.＿|ヽ」!,, =,<⌒)ノ |/.　　＼/　／
　　　　　 ヽ/　} |　（｀''‐ニ´__,､!}／　　　　 r‐'"／
　　　　　　　　| .!　 .＼!l´ﾟ,,!,,ﾟ｀ﾘ　　 ,. -‐''''ヽ"´
　　　　　　　　|/　　　 ヽ´￣,.ｸﾍ'"´/　　　::;;ﾍ
　　　　　　　　! .　　　j''´>‐ﾚ/　|! ヾ　　-‐- ,_i
　　　　　　　　　,,.....ノ／,ﾍ / ＝'　 ＼〃　＞->、
　　　　　　　 ／　 >/ / /.i > ./(ニﾞ‐-､=--‐'''''‐＼
　　　　　　／､,,_Y／⊇/ / ＼| ├ニ 　｀iヽ　　　　ヽ
　　　　 ／　　//　ﾆつ　.l　 /‐''"￣ﾞ''‐､ﾉ .｝;;o;;o;;;;;ﾉ
　　　 / 　　 / /　 ﾆノヽ L,/　　　　 ﾍヽ∠､‐--‐'"
　　　 ヽ;;;;;;;;ヽ／"　　ヽ＼ﾃ! ＼......;;:::ヾ〉ﾉiヽ
　　　　　｀''''7　　　ﾑiﾉﾄヽ＼!　　ヽ;;;;ノ .Yﾉi}ヽ
　　　　　　 ｲ　　　 ７　!}ﾍﾘ .|　　　）ｒ'''　ﾚﾉ! .}⌒,)
　　　　 ／,. !ヾ､::::::::）　! ﾍｼ .!　ヽ;;;;;;::::::ﾉノ／　　)）
　　 　 /／〃＼　::;;;;;'''i　 ヽ ﾍ　　 !;;;;;;/／　　　(
　　　 ヽ{//／ノ.＼　ヽ;;;;　 ヽ-}　ﾞ''i;;;;/"　　　　ノ
　　　　i ﾚ／´　 //へ　＼;;;;∧| 　 |ノ｀>　ﾉr'"
　　 　 .ﾘ,ﾉ 　　/ノ 　/＼　ヽ;;;ﾊ 　／/　r　(
　　　 ／　　／　,,. -'――-､´ !＼|／　彡く
　　　　　　/／´　 （　i （　　 V　:;;!　 _ ノﾉ
　　　　　　　　　　ﾞ‐ヽヾ丶　./ ,,;;ﾉ　y'"ノ
　　　　　　　　　　　　　(と　 し " 人__ノ
　　　　　　　　　　　　 （ヽ　　　ノ'ﾉ
　　　　　　　　　　 /"Y　　　"　ﾉ
　　　　　　　　　　 〉、 ﾞ　__,,ノ"
　　　　　　　　　　(,,_ =　(.-､ ／
　　　　　　　　　　　ヾ､_　-　)乃
　　　　　　　　　　　　 （　　　　＞
　　　　　　　　　　　 ∠　VﾍN ヽ
　　　　　　＿＿＿_
　　　　 ／　　　　　＼　　　　　　　なっ！？
　　　／　　　　　　　　＼　　　　　座ったままの姿勢！　膝だけであんな跳躍を！
　 ／　　　　　　　　　　　＼　　　　
　 |　　　　　　　　 　　　　　|　　　　何者！？
　 ＼ 　　 　 　　　　　 　 ／

　　　　　　　　　　　　　　　 ＿
　　　　　　　 　 　 　 　 　 r‐‐-i
　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　 !
　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　 　!
　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　ヽ
　　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　| 　 　 　　|
　　　　　　　　　　　　　|＿＿＿__|
　　　　　　　　　　　　　| Whisky. |
　　　　　　　　　　　　 _,! r'''￣｀ヽ|_
　　　　　　　　　　　　〉-|ヽ,＿_,ノ.|　＼＿r-､
　　　　　　　　　　　　〉"）　 　 　 |　　　 /　　 >‐ヽ
　　　　　　　　　　　　!ﾆi￣￣￣~|　 　 /　　 /:::::::::＼
　　　　　　　　　　　　（_L＿＿___ﾉ　__ /　　/::::::::::::::::/､
　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽl;;;;l　,.／　＼　/::::::::::::::::/　 ＼
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　　　　　 /　　　 /　　　　｀l''''l､　　 |　　　　―ヽ　　　　　　　　　　|
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　　　　 /　　　/　　　　　　 〉:l/　 | |:::::::::::ヽ　　　　ヽ--‐'"　　　　 |
　　　　 |　　／　　　　　　　l;;;〉　,/ |::::::::::::::ヽ　　 　 | ｀'‐-　　　　　|
　　　　 ヽ∠__　　　　　　　/::l　/　/_:::_:::::::::_::i　　 /ﾐﾐ　　　　　　　 |　　　　ヤルオ・タケツル君……
　　　　　　　　｀''''‐-､　　ノ!:::l./　/　 _,,_ヾ:::|ヾ　　 |ヽ　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　 |｀'''‐-l;;;l'　/ _,.;;;;;::　ヾ;〉 |　　 |　l　　　　　　　　|　　　　わたしはこの工場の蒸溜主任だ
　　　　　　　　　　　 ヽ　　〉::l /;;;i　 　　　　トく_r‐‐!　 l　　　　　　　 |　　　　モルト・ウイスキーだけでは
　　　　　　　　　　 ＿ ｀'-（;;;l´＼L ,.-=　　/　/ ／　　 l　 　 　 　　 |　　　　 旨い「スコッチ・ウイスキー」は
　　　　　　　　 ／／,-￣rl::::ﾄ､　'"‐''´　 /／／　ヽ　　l　　　　　　 ,.|　　　　できんよォ──
　　　　　　 ／::::://i /./__l;;;;l__）/｀｀>‐'´r‐''´　　　 ヽ　 l　　　　　 //
　　　　　,. ﾉ:::::::::〉､ヽヽ|＿＿_|‐／::::::／　　　　　　 ヽ　　　　　／/
　　　 ／/::::::::::::'‐'´＼ﾉ:::::::::::ﾉ'::::::／　　　　　　　　　 l　　　／　/
　　／　ヾ;::::::::::::::::::::／ヽ::::／:::／　　　　　　　　　　　　／　　/
　 /　　　　￣￣フ／/　 | |:::／l　　　　　　　　　　　　／　　 /
　 |　　　　 　 ／ ／/ o _| |;:|　ヽ　　　　　　　　　　／　　 ／
　 |　　　　 ／／　/ 　 ――‐　 ＼ 　　　　　　　／　　 ／
　 ヽ＿_／／　　/ o　　 |:::::::|　　　＼ 　　　　／　　　/
　　　　 ／　　 /　　　 　 |:::::::|　　　　＼　　 /|　　　 /
　　　∠-‐''´フo　　　　　|::::::::|＿,.=-‐-＼ / .|　　 /
　　　　　 l''''´　　　　　　　|::::::::::::::::＿,. -､ヽ　|　／
　　　　　/｀/"'''――――|＿,.-''´―‐-､ヽ ヽ| く,_

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨ 〉∨ 〉∨ 〉∨ 〉∨,. ＜〔＞'´￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∨ 〉∨ 〉∨ 〉,. ＜　 ＞'ﾟ,.ィ≦二
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ 〉∨ 〉＜　 ＞'ﾟ,. -={.: : : :.乂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ∨ 〉く　 ＞'ﾟ.／´　　 ｛.: : : :.ζ　　君はもう　すでに「カフェ式連続蒸溜機」を
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〕〔,＞'ﾟ イ:/ : . 　 　 ｛: : :.ノ.:｝　　導入する運命にあるッ！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿／ ＜ィ升}//:　　　　　 ｛: : : :乂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｛＿,.ィ升/弌ｯ /斗ｬ≦二ヽ ｛: : : :ζ　　この「操作方法」を学ばなければならんッ！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j乂ｉ　´/ ′}ヽ 弌ｯ　 　:}/Ｙ.:ﾉ　　　明日の夜工場に来たまえッ！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 │ / /_,.　　 　 　 　 /.ノ.:｝
.　　 　 ,. -----:､　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |,,j杰_ﾉ,、　　　　　/ﾞＹ二.,＿
　　 　 {ー---―'}　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 :|"ｰ--ﾞヾッ　　 ／}.ィ{ΧΧX
　　 　 {（⌒ﾟ～'　}　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,.　-‐…ー}　ー　　　　／／／ΧΧΧ
.　　　　＼　　 ／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　／ΧΧΧX八＿＿_ .ィ ／／Χ＞----
　 　 　 ＞ｰ-く(　 :{　　　　 　 　 　 ,. ‐ｧ……＜〔＼ΧΧΧX/ {　　　／／Χ／ 　 / // .,
　　　（＿＿(_ノ､　ヽ　　 　 　 　 ／／／　／＿＿__ヽΧX／{___ヽ,／　/Χ∠..＿＿_// ./
　　　　(＿__(_)ノ　.ﾉ　　　 　 .／／／(_,／{｛ΧΧΧΧΧ{　　 {ﾊ{ ｀ヽ/ΧΧΧΧΧ｀ヽ/

　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　 ／　　ノ ' 　ヽ､　＼　　　 あ、はい
　　　　　　　 　 ／ u　（○） 　（○） 　＼　　ありがとうございますお
　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |　　 ご親切に甘えますお
　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　 　 ／　　　 　ー‐　　　　＼

────やる夫は翌日の昼間の実習後に、工場を訪れました
　　　　　　連続式蒸溜機棟の３階のバルブ操作室で、蒸溜主任はやる夫を出迎えました

　￢　　　 |ヽヽ　　　|
　連　　　　| ヽヽ　　 |
　続　　こ｜.　ヽヽ.　 |
　蒸　　れ｜　　ヽヽ_,,-、
　溜　　が |＿,,,, -‐´　　|
└　　　　　| |　　　　|_,, -‐''
　だ　　　　|　|　　 ／　　_,,,
　！　　　｜　 !　/　　／;;;;;
　　　　　　|, -'''/　 ／　|;;;;;;　　　　「連続蒸溜」が起こすエネルギーを見せてあげよう
　　　　　 /;;;;／ ／　　　ヽ;;
＿＿＿_/,／ ／::::　 ... く;;;;;　　　　この蒸溜主任が長年研究したバルブ操作法だ
;;;;;;_,, _-ﾆ-‐'´|:::::::　 ＿　ヽ;　　　　　　　　　　　　　　　　↓ｲｰﾆｱｽ･ｶﾌｪ氏開発
ﾆ--- ,,,,,,,|　〉L_-=ﾆ-‐-‐ゝ|　　　　スコットランドでは「カフェ式連続蒸溜機」
｀'¨_ニ〒､〉　／-'そ"ﾃ=- .|　　　　　　　　　↓特許を取った蒸溜機
;| ﾆ┴''¨/;;|　:　￣￣￣　　|　　 　 または「パテント・スティル」と呼ばれているッ！　
;;|　　　　::::|　: ､　　　　　 /|
'i;;ゝ　　　;!ﾐY_ｸ　　　　　　|
　|;|　　 _,彡ﾊﾐﾐﾐ=-,,,,　　 |
　 |,　ﾆﾌ´‐---‐''｀'‐'　　/
　　|ヽ　　　,;;;;;,,　　　　／
　__,| ヽ、　 ..:::::..　　 ／::／
　ヽ-,,,_＼　 :::　　 ／／　／
／i ＼ ｀''｀ﾆ―'''´／　　/

＿/＿/＿/＿/　　 /　 /　 /_
＿/＿/＿/_/　　 /　／　 /))）
＿/＿/＿_/　　 /／　 ／ヽ))）　　　　　　　　　Ｚ　
＿/＿/／　　　／　 ／｜ ヽ)）　　　　　　　　　 c）
＿/_／　　　／　 ／|　|　| /:|　　　　　　　　　＿|_
__／　　　／　 ／ ヽ ヽ ,／／|　　　　　　　　 ／|
´　　,.-'´　 ／　ヽ、） r彡／| |　　　　　　　　 ＿|_
,..-'´　 _／＿‐-､、!ヽ rt;;）/u.|　　　　　　　　 ／|
＿,.-'´ _,.､_ｰ-ﾆ＞ヽ 〈'""´　 ヽ　　　　　　　　＿|_
ﾆ-‐r;;ヽ_,.-‐':::‐‐--ゝ ヽ ::::::::　|　　　　　　　　／|
　｀'''｀"´:::::::::　￣｀"''ゝ ヽ ::::　 |　　　　　　　 ＿|_
:::::::::::::::::::::::　 　　　　　ヽヽ::::　｜　　　　　　 .／|
　　　:::　　::::　　　　 __　 ! ヽ ,　|　　　　　　　 ＿|_
　　 ::　　　 :::::　　ｲ´　　|　 Y:　|　　　　　　　 ／|
　　　::　　 　r‐---｀三ミゝ７-ヽ|　　　　　　　 ｜｜
　　　:　　　//~,.ニﾆ''_ー-‐''ﾊ 'l、　　　　　　　 ・ .・
　　　　-‐'川.〈__､_､＿,￣ブ|　'Y
　　　　｀:''''''´　＼_ "　''￣）:)i　|
　　　　　 :　　　　 ｀''ー‐‐´´ﾉ　|
　　　　　　 :　　　 ...ｰ---‐''´i　|

　　　∥Y .:::::.:.:.:.:.: : :　　 　　　　　::l、|| | ∥ ∥ |
　　　∥/.:::.:.:.:.:.:.:. :. _　　　　 　 　 　i || | ∥ ∥ |
　　　　l '.::''::::::.:.::/Y /　 　 r-、　　_　i;. | ∥ ∥ |
　　　　l :: :: .::　:: 7:::ヽ　/V::::/ 　 /::t__Y, ∥ ＿＿
　 　 　,l: l　l　　l:/:/`' 　７::::く　 /:t-i::/ ./￣____:::::/
　　　　l .l:　l:　 l:i/　　　/::/ヽ'　ヽ;:`'/ 　 ￣,-, /／
　　　　l: l:　l:　 l:　　　　l,/　　 ,i' /:/i;;'`‐- /:/ `
　　　 /.:l: .:l　　:i:　　　　　　 /　 `'　i: 　 　`':i |∥|
　　　 l: : l :.i　: : l;:　　　　　 ii;-:、　　 l;:　　,-' |∥|
　　　 i;. ;:　i:　:::::::l:　　　　 　 i、 `‐、　l;: /　　|∥|
　　　||:`;i　i;　_　.:l:　　　　　　 i　 　　 ,l:-' 　 　 　|
　　　,‐-='γ',:;:;ヽl;　　 　　　　　 , = "
　　　r'ヾ:,　 `‐ '丿=、　 　,. = '"`t,- 、　　　　 　i'i　/
　　　'i,　 ` 　 　i;.:.:.:.:` '' '`:.:.:.:.:.,- '‐- y'"`= ,　　| |/
　　　　`-,　　　　`-、;;: ; : :;; :; :';..;.:.:／:.:.;.:.:.:.`y-':.:.:.　　←バルブ
　　 　 =-ヽ,　　　　 ,. - `-、;;.:.:.:.:.:.:.:.:. ,-'ヽ,　　 ,.= '
　　　,=' '' "i`=-‐,=':.:.:.:.:.:.:.,i`'"'=‐-‐="　　　`= '
　　　　　　　`'=-.:.:.:.:.:.:,-='

　捧　技　わ や　フ　|;;;;|;;;;;;;;;＼　　ヽ　　|:::| 　/_/　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　げ　術　た　る フ　 |;;;|;;;;;;;;;;;;;;ヽ　　ヽ　|::|　/;;;/　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　た　の　し　夫　：　 |　|;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ　　l　|::| 〈｀/::::::::::　　　　　　 _,,,､　ﾐヽ　　　　.|
　 ：　全　の　：　 ：　 |ヽ|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l　　l　|:|.　´:::::::::　　　　　 .／r'''''｀ﾆノ　　　　 .|
　 ：　て　操　　　 ：　 |;;;/|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l　　.l |:|:::: ::　　　　　　　　ミ　 /|　　　　　　　 |
　ぞ　を　作　　　　　＼__|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l　　| /､_ ::　　　　 /~~ヽミ. /　|　 ;;;;;;　　　　 |
　　　 　　　　　　　　 /;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　　|､:::::｀'-､　　　|　　i |'' /　/|　 .|;;;;;;　　　　|
＼＿_＿＿＿＿＿_/×　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;|　　| ｀''-､::::::｀''-､ヽ::::|ﾉ_r' _|ノ　 .ﾉ;;;::::::::::::　/
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　　　　　　　　 　　／　　 　 　＼
　　　　　　　 　 ／　─　 　 ─　＼
　　　　　　　 ／ 　 （●） 　（●）　 ＼　　いやあんたこんなんで死にませんから
　　　　　　　 |　 　 　 （__人__）　 　　 |
　 　　　　　　＼　 　　 ｀ ⌒´ 　　 ,／　　それよりやる夫に一回だけ操作させて欲しいですお
　r､　　　 　r､／　　　　　　　　　　ヘ
　ヽヾ　三　|:l1　　　　　　　　 　　　　ヽ
　　＼>ヽ/ |｀ ｝　　　　　　　　　 　　|　|
　　　ﾍ　lノ `'ｿ 　　　　　　　 　　　　|　|
　　　　/´　 /　　　　　　　　　　　　 |.　|
　　　　＼. ｨ 　　　　　　 　 　 　 　　|　 |
　　　 　 　 |　　　　　　　 　 　 　 　 | 　|

────こうしてやる夫は、連続式蒸溜機の操作を実習できたのでした

　.　　　　　　　　＿＿＿＿
..　 　 　 　 　 ／ 　　 　 　 ＼
　　　　 　　／　⌒　　⌒ 　　＼　　　　　ボネス蒸溜所の実習もうまくいったお！
　　　 　 ／　（⌒）　 （⌒）　 　 ＼　　　　・ ・ .・. ・ ・ .・ .・ .・ .・
　　　 　 | 　 '" （__人__） "'　 　 　|　　　 あの人にいい土産話ができるお！
　　　　　＼　　　｀ー ´　　　　 ／
　　 　 　 ／ ゝ　　 　 　 　 ィ'ヽ　　　　　グラスゴーに着くのが楽しみだお！
　　 　 ／ 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　/　　 ｨ　　　　　　　　　 r 　 ＼
　 　 | 　 `||　　　　　 　 　　　|ヽ　　ヽ
　 　 /⌒ヾ|　　　　　　　　　　|　|,　　|
　　 ヾ___,ｿl　　　　　　　　　　│（､__,ﾉ
　　　　　　 |　　　　　　　　　　|
　　 　 　 　 l　　　 Y´　　 　 /
　　 　 　 　 ヽ,　　 （ 　 　 ,/
　　　 　 　 　 ヾ　　|　　　|
　　　　　　　　　≒;|　　　|
　　　　　　　　　(.（"＿｀ﾞ_）

　　　 　 '´.　 /i´ ヽ　　　／￣￣￣￣￣
　　　　}N〈ノ/ ﾉ}ﾘ'ﾘ 　　.|
　　　 .ﾉゝﾘ(.ﾟ)ヮﾟﾉ!{　　＜　　　つ　づ　く
　　´(（.(　⊂)氷)つﾊ　　|
.　　　 ｿﾙ 'く/_j〉ﾙ ｿ　　 ＼＿＿＿＿＿
　　　　　 　 じ'ﾌ　'