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――九州北部、狗奴国――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, '.´￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'´｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　ヽ、＿,'　　ノ　　 ,'
,ィ´￣..｀.:ヽ...、　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,'　　　　'::::,、＿　　　　　　　　　　　　　｀ー　=　'´
　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （ , '　　　　　　　　　'.:::､
　　　　　,.:'´￣　　）、　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.::'　,　　　　 ,.:'　　　　　(
.,,;_,_,_,_,_;_　　　　　　　｀ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,'　　 i　　　　 ':...､　　　　　':...､
: : : ;_; ; : : ': :.:.:.: ., , , _　＿ヽ ___＿＿＿＿＿＿,,;'＿＿,';;＿＿＿＿;'::.,＿＿＿＿;':.､＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
:.:.,;'l; 弋二￣　￣　二ﾆ = -―　　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:, :, :, :, :, :,:, :, :, :, :, :, :, :,:, :, :, :,:, :, :, :,:, :, :,
戈江ﾆ戈　　　　弌 ＿　　 :,　 :,　 :,　 :,　 :,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :,
弋　＼　　　　　　　　　｀丶 、　 :,　 :,　 :,　 :,　 :,　 :,　 :,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :,
　 ',　　',,,　　　　　　　　　　　'一二三　　 　:, 　:,　 :,　 :,　 :,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :,
　　' ,,,　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀丶 、:,　 :,　 :,　 :,　 :,　 :,　 :,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :, :,
　:　:　:　:　:　:　　　　　　　　　　　　　　　　　 ’'ー二三二 　 :,　 :,　 :,　 :,　 :,　 :,　 :,　:,　:,　:,　:,　:,　:, :, :, :, :, :, :, :,
:　:　:　:　:　:　:　: ..　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ’'ー　、＿;,　　 :,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,
　:　:　:　:　:　:　:　:　:　..　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ’'ー二三二 　 :,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,　:,
:　:　:　:　:　:　:　::　:　:　:　:　:　:　:　..　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ ー=　三　二　= 、　:,　:,　:,　:,
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:　:　:　:　:　:　:　::　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　::　:　:　:　:　:　:　:　..
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:　:　:　:　:　:　:　:　::　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　::　:　:　:　:　:　::　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　..

┌────────────────────┐
│　母の作った、貝のスープが好きだった。　　　　.│
└────────────────────┘


　　γ::::::::::::::::母::::::::::::ヽ、
　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　はい、やる夫
γ:::::::::人::::人::人::::人::::::::ヽ
（:::::::::／　⌒　 　 ⌒　＼:::::::）　　　　　　今日もやる夫の好きな貝のスープよ
＼:／ 　（⌒）　　（⌒）　 ＼ﾉ
　| 　 /// （__人__） ///.　 |
　＼　　 　 ｀ ⌒´　　　　／
　　　　耶流夫の母


　　　　　　　＿＿＿_
　　　 　　／ .,- ! -., ＼
　　 　 ／＿ソ_爪_ヘ＿＼　　　　　　　　ははは
　　 ／ ヾﾆ･ﾆハ ハﾆ･ﾆﾌ ＼　　　　　　母さんはやる夫に甘いな
　　 | 　　　 ／　| |　＼　　　 |
　　 ＼ 　　　 ー─一 　 　／　　　　　　おいやる夫
　　,--ゝヘヽ、___ ーーノﾞ-､. ゝ 　）　　　これ食ったらまた製鉄所に行くぞ
　/　　/|';　ゝ_____ ノ. |ヽ　　i　ゝ-'
　l　　|. |. ヽ/ﾞ（__)＼/|　i. 　|
　| 　 |. | 　ヽ. ハ..ノ　|　|　｜
　　　　　耶流夫の父

┌──────────────────────────────────────────────┐
│　しかし、母親というものは、どうしてこうも極端なのだろう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..│
│僕が一度好きと言った食べ物は、何日も連続して出してくる。いくら好物でも、連続して出されると飽きる。　　　...│
└──────────────────────────────────────────────┘


　　γ::::::::::::::::母::::::::::::ヽ、
　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
γ:::::::::人::::人::人::::人::::::::ヽ　　　　　　どんどん食べなさい
（:::::::::／　＼　 　 ／　＼:::::::）
＼:／ 　（●）　　（●）　 ＼ﾉ
　| 　 /// （__人__） ///.　 |
　＼　　 　 ｀ ⌒´　　　　／
　／　　　　　 　 　 　 ／
　＼　　　　　　　(_＿ノ



　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　 ／　─　 　 ─　＼　　　　　いただきまーす
　　　　　　　 　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼
　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |　　　（まーたこれかお……ぶっちゃけ飽きたお）
　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　 　 ／　　　 　ー‐　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　耶流夫

┌───────────────────────────────────────┐
│　反抗期……と呼ばれるものだろうか。僕はある日の朝、つい心ない言葉を言ってしまった。 . │
└───────────────────────────────────────┘




　 　　　　 　ﾉ Ｌ＿＿＿_
　　　　　　　⌒　＼　／ ＼
　　　　　　／　（○）　（○）＼　　　　　　　　また貝のスープかお！
　　　　 ／　　　 （__人__）　　 ＼　　　　　　　いい加減にしてくれお！
　 　 　 |　 　 　　　|::::::|　　　　　|
　　　　 ＼ 　 　 　 l;;;;;;l　　 　／l!| !　　　　　もう貝のスープは二度と食べたくないお！
　　　 　／　　　　　`ｰ'　 　　＼ |i 　　　＿ 　 　 　 　 　 　 _
　　　／　　　　　　　　　　ヽ !l　ヽi　　　|　l [l] |￣| /l 　　 | |
　　 （　　 丶- 、　　　　　　 しＥ　|そ　 |　二l　￣/ [][]∧.|_|
　　　　`ー､＿ﾉ　　　 　 ∑　l､Ｅ ﾉ　<　|__|　　|￣／　<_/ <>
　　　　　　　　　　　　　　　ﾚY^Ｖ^ヽｌ　　　　　 ￣

┌───────────┐
│　母は泣いていた。　　　　.│
└───────────┘



　　γ::::::::::::::::母::::::::::::ヽ、
　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
γ:::::::::人::::人::人::::人::::::::ヽ　　　　　　ごめんね、やる夫
（:::::::::／　 _ノ 　ヽ､_　 ＼:::::::）　　　　　お母さん、気がつかなかったわ
＼:／　/ ⌒)　　　⌒ﾟo　 ＼ﾉ
　|　　/　 /（__人__）　 　 　 |
　＼/　 / 　 ｀ ⌒´ 　 　 ／



┌──────────┐
│　父は怒っていた。　　　│
└──────────┘


　　　　 　 　＿＿＿_
　　　 　　／- ､ ! ,. -＼
　　 　 ／ヘ二_爪_二ヘ＼　　　　　　　やる夫！
　　 ／ ヾﾆ･ﾆハ ハﾆ･ﾆﾌ ＼　　　　　　母さんに謝れ！
　　 | 　　　 ／　| |　＼　　　 |
　 　＼ 　　　ィﾆニﾆｭ　 　／
　　　 /,,―:::-:::::::ー､::::,::::-‐:､
　　 （　　　,　-‐　'"　　　　　 ）
　　　 `;ー"::::::`:::ー-ー:::-ー'
　　　　l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l


┌──────────────────────────┐
│　父があんなに怒っているのを見たのは、初めてだった。　　　 │
└──────────────────────────┘

┌────────────────┐
│　僕は思わず、家を飛び出した。　　　..│
└────────────────┘


　　　　　　　　　　 　 ／￣￣￣＼.　　　 　
　　　　　　 　 　 　 ／／　　　＼　＼.　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　/(（●）) (（●）)ﾟo ヽ　 　　　　　僕は悪くないお！
　　　　　　　　　　|::o'ﾟ~（_人__）~o°　|;;;⌒):
　　　　　 ミ.,ｨＴl'ヽ＼ 　 ｀⌒´　　ﾟ　／｀ヽ⌒）／）) .,.　　
　　　　　　　kﾋﾋど,　　 　 　 　 　　{⌒⊃　,⌒⌒);;;;;））)⌒)
　　　　　　　　　｀´￣ヽ　　　　　　ﾊヽ ／　)）⌒)）;;;;）-⌒)）
　　　　　　　　　　　　　ヽ 　　｀　/　 '}　　 ─=⌒⌒)ノ;;ノ;;;::)
　　　　　　　　　　　　　　>　　　/ごノ　　 ─＝≡⌒)丿;;丿ノ
　　　　　　　　　　　__,∠ 　 　 /
　　　　　　　　　　〈、 　　　／　彡
　　　　　　　　　　　＼､__ノ 　彡

┌──────────────────────────────────────────────────┐
│　日が暮れるまで、家には戻らなかった。家から遠く離れた山野に逃げ込み、一時はそこで生活しようとさえ思った。　　　.│
│自分を心配して、両親が捜しに来てくれることを期待していたのかもしれない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 │
└──────────────────────────────────────────────────┘

┌──────────────────────────────────────────────┐
│　しかし、両親は来なかった。少し残念だったが、あまり心配をかけては悪いと思い、家に帰ることにした。　　　..│
│家に帰ったら、母に謝ろうと思っていた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......│
└──────────────────────────────────────────────┘



:::::::::::::::::::::::........ . . .　　　　　　(:. ,:.　　　　　. . . .......:::::::::
:::::::::::::::::::::........ . . .　　　　　.:从,)ﾉ':.:,　　　　. . . .......:::::::::
::::::::::::::::::........ . . .　　　　,;;'人,,ノ;ﾉヾ;,.,　　　 . . . .......:::::::::
:::::::::::::::....... . . .　　 ,;,､　,;ﾉﾉ .:;.（. ,.（ ,　 　 　 . . . .......:::::::
:::::::::::::....... . . .　　,､　,.:;（ﾞ:　 ,.:.人:. ヾ,､　（.　　. . . .......:::::
::::::::::::....... . . .　,ノ (,.ﾉ,､ヾ , .,;ﾉ　（;.　（:, 　,）:. 　. . . .......:::
:::::::::::::....... . . .（　,;. ,:ﾉヾ; .　,;） ,､ ヽ;,:.;）:.从;.,　 . . . ......::::
:::::::::::::::....... . . .,）:.　　　　　　, 从ヾ;. '',人ヾ,´:.　　 . . .:::::


┌────────────────────────────────────────┐
│　村の近くまで来てみると、すぐに異変を感じた。家々は炎に包まれ、誰かの悲鳴が聞こえる。.　 │
│何が起こっているのか、一瞬分からなかった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.....│
└────────────────────────────────────────┘

┌───────────────────────────┐
│　落ちついて状況を確認すると、僕は真っ先に家に走った。　　　..│
│どうやら邪馬台国の連中が攻め込んできたらしい。　　　　　　　　 │
└───────────────────────────┘


ミﾐ:::;,!　　　　　　u　　　　　　　｀ﾞ"~´　　　ヾ彡::l／VvVw、 ,yvヾNヽ　　ゞヾ　 ,.　,.　,.　、､ヾゝヽr＝ヾ
ﾐ::::;/　　￣ﾞ`ｰ-.､　　　　　u　　;,,;　　　j　　 ヾk'!　' l　/ 'ﾚ ^ヽﾍ＼　　 ,rﾞゞﾞ-"､ノ /　l!　!ヽ ､､　|
ミ/　　　　J　　　ﾞ`ｰ､　　　"　;, ;;;　,;;　ﾞ　　u ヾi　　　 ,,./　,　,､ヾヾ　　 | '-- ､..,,ヽ　 j　 !　| Nヾ|
'"　　　　　　　_,,.. -─ゝ.､　　　;, "　;;　　　_,,..._ゞｲ__／/〃 i.! ilヾゞヽ　 | ､　 .r．　ヾ-､;;ﾉ,.:-一'"i
　　j　　　　／　　 ,.- ､　 ヾヽ、　;; ;;　_,-＜　　/／_,,＼' "' !|　:l ﾞi !_,,ヽ.l　`ー─--　 ｴｨ' (． 7 /　　　敵襲だー！
　　　　　　:　　　　' ・丿　　￣≠Ξｲ´,-､　ヽ /ｲ´ r．　`ー-'ﾒ ,.-´､　　i　　　　 u　　ヾ｀`ー' ｲ
　　　　　　 ＼_　　　 _,,......::　　　´ﾞi､　`¨　/　i　ヽ.__,,... '　 u ﾞl´.i･j.冫,ｲﾞl　 ／ ｀`-､..-　ノ　:u l　　　邪馬台国の奴らが来たぞー！
　　　u　　　　　￣￣　　彡"　　　、ヾ￣｀`ﾐ::.l　　u　　　j　　i､｀ー'　.i /　/､._　　　　｀'y　　 /
　　　　　　　　　　　　　　u　　　　　　｀ヽ　　ﾞ:l　　 ,.::- ､,,　,.　ノ　ﾞ u　!　/_　　￣　ー/　u　/
　　　　　　　　　　　_,,..,,_　　　　,.ｨ､　 ／　　　|　 /__　　 ｀`- ､_　　　 l　l　 ｀`ｰt､_　/　　／
　　ﾞ　　　u　　,.／´　"　 ｀`- ､_Ｊ　r'´　 u　丿　.l,...　｀ー一''/　　　ノ　 ﾄ ､,,_____　ﾞ/　／
　　　　　　　 ./＿_　　　　　　　　ｰ７　　　　/、　l　　 'ﾞ　ヽ/　 ,. '"　　＼｀ｰ--- ",.::く､
　　　　　　　/;;;''"　￣￣ ───/　　ﾞ　 ,::'　 ＼ヾﾆ==＝'"／ ｀- ､　　　ﾞー┬ '´　/　＼..,,__
、　　　　　 .i:⌒`─-､_,....　　　　l　　　／　　　　 ｀ー┬一'　　　　　 ヽ　　　 :l　 ／　 , '　｀ソヽ
ヾヽ　　　　 l　　　　　 `　 ｀ヽ、 l　 .／　　ヽ　　　　　 l　　　　　　　　　）　　,; ／　　　,'　　　　'^i

┌─────────────────────┐
│　幸い、僕の家はまだ襲われていなかった。　　　　│
└─────────────────────┘


　　 　 　　 ＿＿＿_
　　　　　／- ､ ! ,. -＼
　　　 ／ヘ二_爪_二ヘ＼　　　　　　　　　　　　　やる夫、逃げるぞ！
　　／ ヾﾆ･ﾆハ ハﾆ･ﾆﾌ ＼
　 | 　　　 ／　| |　＼ 　 　 |　　 　 　 /)/）／）
　　＼ 　　　ィﾆニﾆｭ　 　／　　　 　「//／／
　　,--ゝヘヽ、___ ーーノﾞ⌒￣￣'￣ヽ 　（___
　/　　/|';　ゝ_____ ノ. |ヽ 　 i_＿＿､_/_,ノ--ｰ'
　l　　|. |. ヽ/ﾞ（__)＼/|　i. 　|
　| 　 |. | 　ヽ. ハ..ノ　|　|　｜


┌────────────────────────────────────────┐
│　九州北部のほぼ全域は、邪馬台国の支配下にある。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
│追手を逃れるためには、舟を使って、長門国（ながとのくに）（※山口県）に逃げるしかない。　　　.│
└────────────────────────────────────────┘

┌────────────────────────┐
│　家を出ようとすると、邪馬台国の兵に発見された。　　　 .│
└────────────────────────┘


　　　　　　　　　　　　 　 ,､
　　　　　　　　　　　　 ／/
　　　　　　　　　　　／／／）
　　　　　　　　　 ／,.=ﾞ''"／
　　　　　　　　　i f　,.r='"-‐'つ　　　　 　　＿＿＿_
　　　　　　　　 /　　　_,.-‐'ﾞ~　　　　　　／ ､ ! ,. -　＼　　　　　　　やる夫！
　　　　　　　　,i　　　 ,二ﾆｰ;..　　　　／.｀二_爪_二ソ ＼　　　　　　母さんを連れて逃げろ！
　　　　　　　 ﾉ　　　 ilﾞ￣￣.　　　／ヾﾆ･ﾆハ ハﾆ･ﾆﾌ　＼
　　　　　　,ｲ｢ﾄ､　　,!,!.　　　　　　| 　　 ／　| |　＼　　　　 |
　　　　　/　iﾄヾヽ_/ｨ".　　　　　　＼ 　　ィﾆニﾆｭ　　 　／
　　　　r;　　!＼ヽi._jl　　　　　　　　　「＞　　　　　　　∠L
　　　 ∧l 　 ＼ﾞ7'ﾞ .j!　　　＿＿r=ﾆ:ｰ-ﾞ┴､ (￣) 　 /　　l　　　　　__＿__
　　 ./　i !　　　＼.//￣￣￣　　　　　＼　 ∨ハヽ/.　　 !　　　　r",.-､,　＼
　　/　　iﾞi　　 　 / 　　　　　　　　　　　i　.l　｀ヽ |/　　　　ﾞ'ｰ=‐ (_.人　ヽ._　ヽ
　ノ　　　ヾ､　　/　　　　　　　　　　　　√　　　∨　　　　　　　　　ゝ.　＼　　 /
/　　　　　　ﾞ''y'　　　　　　　　　　　 　/ 　　　　ｏ　　　　　　　　（　 ＼　　 人


┌──────────────────────────┐
│　父は農作業用の鍬を振り回し、敵兵に向かって行った。　 　 .│
└──────────────────────────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/ 　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　/　　　　　|
　 　 　 　　　　　　　　　　　　／ヽ、 ）、　　　　 　 　　/　　　　　　|
　 　 　 　　　　　　　　　　　/　_(ヽ､ｿ ）　　　　　　　 /　　　　　　　|
　 　 　 　　　　　　　　　　丿　ヽ`＿_,く、　 　 　 　 /　　　　 　　　/
　 　 　 　　　　　　　 ,､‐''ﾞ"'''''"ﾞ,'``’;ヽ''`　　　　　/　　　　　 　　/　　　ギリ……
　 　 　 　　　　　　　";‐''⌒,,'''‐'`ヽｰ')、　　　　　/　　　　　 　　/
　 　 　 　　　　　　 ,r'::::::,r'ｰ､/-,,,`''"ゝ`ヽ､　　 /　　　　　 　　/
　 　 　 　　　　　　l::::::::.'　ヽ`-,,,＿,,,-`/ヽ､`ヽ/　　 　　　　　/
　 　 　　　　　　　l::::::::',':,　ヽ､,,,,,＿,,,-`、 ヽ/`ヽ､　　　　　　/
　 　 　　　　　　　l:::::::::;　':, ("ニ=ｰ- ,,,ヽ､/ ヽ､　ヽ、　　　/
　 　　　　　　　　',,,-‐'''、　(二ニ===/三ﾉ)"''' ‐- ,,,ヽ､,,,,/、
　 　　　　　 　 　　　　|:　"'''`''''''''"""7`''"　　　　　　"っ''' ‐- ,,,,,__
　　　　　　　　　　　　|:　　　　　 　　/　 |　　　　　　　/`'' 　　　　"''' ‐- ,,,,,__
　　　　　,,,,,,,,---ー''';;""'''ー-（ソ）:0`､ヽ|　　　　　　/





　 .''ｰ　,,、.｀"'ｰ　..,_
　　　　　 ｀'''ｰ ..,,,　 .｀ﾞ'''ｰ　,,,_　　　　　　　　　　ヒュン
　　　　　　　　 　 ｀ﾞ''ｰ　,,、　　｀ﾞ'''ｰ　,,,_
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｀ﾞ''ｰ ..,_　　　 ｀ﾞ'''ｰ-..,,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀'''ｰ ..,,,　　　　 ｀ﾞ'''ｰ　,,,_
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ﾞ''ｰ ..,,,　　　　　　 ｀"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀'''ｰ ..,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀ﾞ''ｰ　,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀"

ドスッ……

　　　o
　　　　ゝ;:ヽ-‐―ｒ;;,　　　　　　　　　　　　　　 。
,,____＿冫;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＼　　　　　　,,,,,,,,　o　　／
"｀ヽ;:;:;;;:::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:从　　　　（;:;:;:;:ヾ-r
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　　,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ　　　　 ゞｲ"ヾ,:;:,ｿ
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　　　　　　　　　　　　´　　/;:ﾉ　。　　。
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　　　γ::::::::::::::::母::::::::::::ヽ、
　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　…………っ！
　γ:::::::::人::::人::人::::人::::::::ヽ
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　＼:／ 　　 （○） 　（○） ＼ﾉ
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　　　＼　　　 　|!!il|!|!l|　　／
　　　 ／　　　　|ｪｪｪｪ|　 ヽ

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　　　 　　 ／_ノ　　ヽ＼
　　　 　／ （○）　（○） ＼　　　　　　　　　　母ちゃん！
　　　／ u 　 （__人__）　　　＼
　　　|　　　　　|i!i!i!i!|　　 u　　|
　　　＼　 u　　|;;;;;;;;;|　　　 ／
　　　 ／ 　　　｀⌒´　　　　＼
　　　(<<<)　　　　　　　　（>>>）
　　　 |、　i、　　　　　　　,i　　/
　　　　ヽ＿/　　　　　　　ヽ__/
　　　　 |　　　　　　　　　　|



┌────────────────────────┐
│　家に帰ったら、母に謝ろうと思っていた。　　　　　　　　......│
│「美味しかったよ、また作ってね」と言うつもりだった。　　....│
└────────────────────────┘

┌──────────────────────────────────────────┐
│　母も父も、大好きだった。しかし、僕が両親を愛する以上に、両親は僕を愛していたのだろう。　　 　 │
│失って初めて、その大切さに気付かされた。でも僕はもう、謝る機会を失ってしまった。　　　　　　　　　.│
└──────────────────────────────────────────┘


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第６話[ハッピーエンド]


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／＼
　 　 　 　 ＿＿＿　　　　　 ／ 　／
　 　 　 ／　　 　 　＼ 　 　 ＼／ ／>　　　　　
　　　／　　 　 　 　 　＼　　　　.<／
　 ／ 　　⌒　　　⌒　　 ＼　　 ┌─┐
　 |　 /// （__人__） /// 　 | 　 .└─┘
. (⌒) 　　　 　　 　 　 　 (⌒)
./　i＼ 　 　 　 　 　　　／i　ヽ

主要なキャスト

「吉備国」
　・温羅（やる夫/2ch）
　・阿曽媛（エルルゥ/うたわれるもの）
　・兎羽火（トウカ/うたわれるもの）　[死亡]
　・彼方（空深彼方/ソラノヲト）
　・石蟹魁師（カービィ/星のカービィ）


「大和国」
　・崇神天皇（伊藤誠/school days）
　・彦五十狭芹彦命（吉備津彦命）（やらない夫）
　・雅武彦命（できる夫/2ch）
　・大彦命（ダディクール/2ch）
　・夜目主命（やるオプーナ/2ch）　[死亡]
　・犬飼健（麻呂/2ch）
　・楽々森彦（でっていう/2ch）
　・留玉臣（クマー/2ch）

「出雲国」
　・出雲振根（新城直衛/皇国の守護者）
　・甘美韓日狭（兵藤少尉/皇国の守護者）
　・飯入根（ムスカ/天空の城ラピュタ）

「伊予国」
　・頭目（アカギ/アカギ）

「反乱軍」
　・武埴安彦命（ベルント・バルツァー少佐/軍靴のバルツァー）　[死亡]
　・河内青玉（ゲンジマル/うたわれるもの）　[死亡]
　・吾田媛（できない子/2ch） [死亡]

　暗く、じめじめとした地下道を抜けると、かつて血吸川を見るために登った山に出た。
温羅達がその地に降り立ち、真っ先に見えたものは、煙を上げて燃え盛る鬼之城であった。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 _,,,...:-‐‐=-..,,,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r'"::　::　　 　　　::＼,,.....,
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,,r'"::　::　:...　　　　　:::　. ::;　:::.`'::.､
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,:r':::　::　.:::　::　　　　　　::　 　 :;　::: .:: `':.､　　　　_,,(（"
　　　　　　　　　　　　　　　 ,r'":::..　..::　..:::.　....　　　　　 :　 ::　　:;　:: ::.　::`'::､_,(（"　.:.:.::..
　　　　　　 　 　 　 　 　 ,r'"::::　　...:::　:...:::　::　 　　　　　:::　 .::　　 :;　::　_,,(（"　:;; .:;;:..
　　　　　　　 　 　 　 ,r'"...::::..　......:::::　　　　　　　　　　　 ::.　　　　　_,,,(（　:;; .:;,i'　::;;;:.
　　　　　　　　 　 ,r'":::,,,,,,　:::::......::::::　...　　　　　　　　　　　　　._,,,"( （（　::;;;　r;;　;;
　　　　 ,("゛))､r'"::....::(~::~~j;,　　.:.... 　::...... 　_,,,,　 　　　._,,,-":((:　（:;;:; Z;;　;;　(　::::;;;;
　　　　(;;;::;;;;;; ﾘ　　 f;;;:;;:::::::ﾘ　　.　　　　　 f;;::: :;''))　　（（ ..::从 ;;:f::;;: :(　::::;;;; f;.:::;　;;
　　　r'" ﾐ|l lﾘﾉ　　 ((从wyﾙ　　　　　　　ﾑ;;::;;;::;;;::ﾘ　（（:;;;::(::: :::;(:::::;;; :f:::;　;;　(::;;;.. ;;:
　　　　　,,jｌ |　 　 ll　,'丁 ﾄ　卅　ji从　个 YwWWﾘﾉ　v;;;:: ;((;;:::;;;（(:;;: :; ゞ::;;;.. ;;::: ;;::::.:..:...
　　　　''^~''""゛ ﾞ ﾞﾞ　 ,jl; j| ﾞﾞﾞ ﾞﾞﾞ　ﾞ~` ﾞ 　 "' ' |l; :|" 　 `ﾞ';ﾐwﾘﾉwv从w从wv从w从wv
　　　　　　　　　　　~^ﾞﾞ'"""　　　　　　　 　 ,,j|l; |,, 　 　 　 |l:: |ll;:: |ll;;: |ll ;;: ||ll;; i:;;|ll;:;:.:..
　　　　　　''""ﾞ''　　　　　　　　　　　　 　 　 `"'' ^'　　 　 .::jl:; jlｌ;:: |ll;;: f:l i;: !:ll;; i:;;|ll;:;;:.
　_,,,...　　　　　　　　　　''''"ﾞﾞ'''　　　　　　　　　　　　 .;;^''-=:;,._jll;;:..|ll;: .jlｌ;:!: ||ll;; l:;;|ll;:;:.
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ﾞﾞﾞﾞﾞ　　　　 ...;;　　':: :: :;; :;ﾞﾞ'-..jll;;;:: ||ll;; l:;;|ll;:;
　　　　　"ﾞ''　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 :: ;;ﾞﾞ'ｰ--'､;;;;:;;:|ll;:::...

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　''"''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,...､,,_

　　　　　　　　　　； ＿＿＿_；
　　　　　　　　　；／　　　 　 ＼；
　　　　　　　 ；／　　 ／　　 ＼＼；　　　　　　　　鬼之城が……
　　　　　　；／ 　 oﾟ(（○）　(（○）ﾟo　　　　　　　　焼け落ちて行くお……
　　　　　　；l　 　 　 　 （__人__）　　 |；　　　　　　　
　　　　　　；＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ／；
　　　　　　；／　　　　 　 　 　 　 ヽ；



　　　　　　　／ ￣￣￣ ＼：
　 　 　 ：:／　　　　 　　　::::＼：　　　　　　　　最低だ……僕は最低だお！
　 　 　;： |　　　　　 　　　 :::::::| ：
　　　　　 ＼.....::::::::: 　 　::::, ／　　　　　　　　城の中にいる村人を見捨てて、自分だけ助かろうなんて……
　　　 　 r "　　　 　.r　　／ﾟ。
　　　　：|::|　　　　 ::::|　:::i
　　　　：|::|:　 　 　.::::|　:::|：
　　　　：`.|:　 　 　.::::|　:::|_：
　　　 　：.,':　 　 　.::（　　:::}：
　　　　 ：i　　　　　　`.-‐"



　　 　 　 　 ／￣￣￣ ＼
　　　　　 ／　　 :::::＼:::／＼　　　　　　もうお終わりだお……なにもかも……
　　 　 ／　　 　｡<一>:::::<ー>。　　　　国も、民も、全て失ったお……
　　 　 |　　　　.:::｡ﾟ~（__人__）~ﾟj
　　 　 ＼、　　　゜　｀ ⌒´,;／゜
　　　　／　 ⌒ヽﾟ 　'"'"´(;ﾟ　｡
　　　/　,＿ ＼　＼／＼ ＼
　 　 と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　_　_,.... __
　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐' "´ヽ::::::y'´　　　 ﾐヽ､
　　　　　　　　　　 　 ／.:.:.:.:::::::::::::::'´::::::::::::::::::::::.::ヽ＼
　　　　　　　　　　　/.:.／.:.:／.:.:/.:.:::::ﾄ、:.ヽ:.ヽ:.ヽ.:.:ヽ:ヽ
　　　　 　 　 　 　 /／:.:.／.:.:/./:N:|ヽ!|il:.:ヽヽ:ヽ::ｌ:.::.::i::::',　　　　　　　　　　いいえ、温羅さん
　　　　　　　　　 ///:.:/:.:.:.:./:ｲ.::|ｌ|:f´￣|::Y:i::|!:.:!.|.:.:.:.|:.:.:.!　　　　　　　　　　まだ終わってはいません
　 　 　 　 　 　 ///.:./:/;ｲ:/:::ｌj;:ﾑH!　　ｨ:ｌl什ト､j:|.:.:.:.|::.:.:l
　　　　　　　　//!:!:././/::!:l:イ| ｣⊥ヽ 　 |ｌj抂ｪ｣|｀!..:.!:ﾄ、:.l　　　　　　　　　あなたが生きている限り、何度でもやり直せます！
　 　 　 　 　 〃 |:|:i:.:.l:i:.:.|:.l:.:ﾚぅ⌒f　　　!´ﾋ'　 lヽ!.:.ｌ.:| ヽ:.l
　　　　　　　 !　∥!|:.:i:l.i.:ﾄ:l.:iハ..::::j_　　 　 L::::ﾉ　|:.:|:.|　 ＼
　　　　　　　　　 l lヽ从ﾄ:! い、 ¨´　　 ,　　 　 　 |.:.l.:.|､,__　＼　　　　　　　今は生き延びる事を考えましょう
　　　　　　　　 　 ! >ヘヽヽノ:ﾄ､　　　 －　　　／|.::|ｉ:.|;;i;;i｀ｰ‐ヘ
　　　　　　　　 　 /ヽ-‐7´/;;ｲ:::＞..,._　　　,.イ::::::|.::|l:ﾘ^介r､;;_j;;;;＼
　　　　　　　　 ／;;;／ノ;rくﾊ二__￣￣￣￣￣__ｺﾆミ{ノ:/ﾉ,ﾘ`´`'ーﾍ
　　 　 　 　 ／;;;;ィ"~＾ヽ`ﾐﾐ片__＂￣`'￣`'￣″|:..:｀Y彡'″
　　　 　 　 ´"´　　　　　＞'-ﾆ_ `'´￣`'￣`'￣`ﾟﾋ'ｰ-ト､
　　　　　　　　　　　 ／　　　　 弋ｰ--ｔ--ｧ-ｰ￢´｢lY 　 ヽ､
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　　　　　　　　　/　　 ヽ　/　　　　 ヽ::/::.::./´ ｒ'⌒ヽヘ　 　 　 ヽ

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γ:::::::::人::::人::人::::人::::::::ヽ　　　　　　　　　耶流夫……！
（:::::::::／　＼　 　 ノ　＼:::::::）
＼:／ 　（●）　　（●）　 ＼ﾉ　　　　　　　　生きていれば、きっとまたいいことがある
　|　　　 　（__人__）　　　　 |　　　　　　　　　生きるのよ！
　＼　　　　｀ ⌒´ 　 　　／
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　＼　　　　　　　(_＿ノ


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　　　　　　／(（○）) (（○）)＼　　　　　　　　　　　　　　　　うわあああああああああああああ！
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　　　　　　　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.: |:.ｉ　l∧{ |:.ﾘ　　 |/ ｊ′!|ハ:|.:.:.:.:.:.i
　　　　　　　　　 　 　 | :.;ｲ:i.:.:.:ｌ:.| ｨｒ≠ﾐ､′　 　 zｒ≠ﾐ､ }l:.:.:.:.:. l
　　　　　　　　　 　 　 |:/ i::|!.:. |:.l7 {じ:沁　　　　 ん::沁ﾊ:}.:.:.:.: : |
　　　　　　　　　 　 　 ｌ′l::|':,:.:l:八弋ｚ:ノ　 　 　 乂__ノ　! : .:}＼:|
　　　　　　　　　　　　　　ﾍ{ハ:.:{ ⊂⊃　　　 ’　　⊂⊃｜.:.:i| 　ヾ、
　　　　　　 　 　 　 　 　／ 　 }八　　　　　　　　　 　 　 |.:.:.:.|　　　｀ミｰｚ
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　　　　　　　　　　　　　　 /.:.:.}从ﾘ: ＞. 　 ｀ニﾆ´ 　イ:.:|.:.:.. l:..:.:.:.:.!
　　　　　　　　　　　　　　 ＼:.:..:.:..: __,.. -≧ー‐‐:≦--ミ|.:.:..:ｌ.:.:..／
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　　　　　　　　　　　　　　　　. -‐ {ﾆｰ-----‐‐----‐彡!￣|ｰ-.､



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　　　　　　　　 ,-"´ 　 　　ゝ　　 ＼
　　　　　　　　/ 　 　 　 　　　　　 　ヽ　　　　　　　　　　　　……お、思い出したお
　 　 　　　　 / 　　　　　　::::／::::::::＼::ヽ
　　　　　　　|　　　　　　 /　ヽ ｀::::´ /｀ヽ　　　　　　　　　　
　 　　　　 　l　　 　　　 （　○ﾉ::::::::::ヽ○.;l
　　　　　　　` ､　　　　　　　 （__人_）　 .;/
　　　　　　　　　`ｰ,､_　　　　　　 　　／
　　　　　　　　　／　　`''ｰ─‐─''"´＼

　 　　,.' ｲ:.:.:.:. ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.://ヽ,l::: ﾍ .:.::.::.:.:.:.:.:.:.::.V　　ヽヽ
　 　.//!':.:.:.:: ':.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::://ヾ,;;;|/::ﾉ/.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:. |
　　// ':.:.:.:/ :.:.:.:.:.:.:.:/.::.:.:.:./:_;_:/_jl/ 　 ´　 '::l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.: |:.: |
　 ,'//:.:.:.:/ｲ:.:.:.:. !:.:.:{:.::.／ :.:.//　||` 　 　　|ﾑl ‐|!､:l :.:.:.:.:.: |:.:.:.:.: |:.: |　　　　……温羅さん
　 l　!:.:.:://:!:.|:. |:| .: |:.:. |: l!.:/=!=..|ﾄ.､ 　 　 || ,|:_:|!|:.|＼ :.:.:.:| :.:.:.:.:|:.: |
　 |! |:.::/ﾊ' !.:|:. |:l:.:: |:.:: ﾚ'∨ ':: ヽ|!ﾞ' 　　 　||,r!:=ﾄ|:.|　|:.:.,:. , .:.:.:.: |:.: |　　　　記憶が、戻ったんですか！
　 ｀ |:./ | 丶!.:.:.ﾊヾ |.:.: |j　 ﾊ::::::ﾉ! 　　 　　ヾ ヽ!::Vヾl: /|:ﾉ :.:.:.:::;|:.. |
.　　 ﾚ'　　　 ＼| 'ヽ,'ヽﾄゝ　ヽ｀´,ﾉ 　 　 　 　　ﾊ:::::::ﾊ! Yl! |:.:.:.:.:. , :. |
　　　 　 　 ／　ヽ /.:::!　　　 ￣ 　　　 　　 　 ヽ_｀_ノ　 ´ /!:.:.:.::∧ .:|
　　　,. ..:':´ゝ　　　'ｲ:. |! 　 　 　 　 　′ 　　 　 　　 　　,ｲ:.l:.:.: ,'　ヽ,,'
,_.., '::::::::::::::_j, .-= .||:.:.:|ゝ､ 　 　 　 　__　 　　 　 　 　, '　 '.:.:..:/　 　 ＼
｀ ￣￣ "´　.fヽ:.. |!:.::.|ﾍ!::ヽ 　 　　 ` ′ 　 　 　 ／:.ヽ,/:.:. /l 　 　_,ノヽ
　　　　 　 　 |: : ＼ヽ | ::.V,. ＼　　　　 　　 ,.. ｬ'! : : :.:./:.:.:.:.:,!'_`ー'',:::::::::＼
　　 　 　 　　|‐--､:`ｰ!--､__ヽ_` 　 ｰ‐　' ´　/::|.: : :.:/:.::.:.::::|! ﾄ､ ヾl' :::::::::: ＼
　　　　　 　ノ￣_｀V: : r ､ : : :`＝=‐-､__　　/!:: |: : :./ヽ__,.-ｲ,ﾉ::::ヽ ｀''ー`ー--ゝ
　　　　　／⌒ヽ : : : : ヽ ` ー─- ､ : : : ` ｰ──_:/ヽ.__, -.ｲ:::::::::::|
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　　　　　　　　　 /ｿﾍ　　　 /　　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　 (彡ｿﾍ　／ {　　__＿ノ　 　 /i
　　　　　　　　　 /⌒ヾ￣￣"￣　　　　　 ／}
　　　　　　　　　 ヾ___ｿ,,,､､---‐ーー'''''"´　/
　　　　　　　　　　　　　 　 ﾉ　　　　　　　　　i
　　　　　　　　　　　　　／ 　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　 ／　　　　／´`＼　　　 　＼
　　　　　　　　　　　 !　　　 く´ 　 　 　＼ 　 　　 ﾍ
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　　　　　　　　　　　　(´____＿_ノ 　　　　 　 ヽ　　　ヘ
　　　　　　　　　　　　 ｀￣ ￣ 　　　　　 　 　 ∨__＿___｀)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣￣￣´
　　　　　　　　　　　大和国　楽々森彦

　　　　　　　　　　　　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :. :.＼
　　　　　　 　 　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.､: : ＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : ､ : : :＼: :.‘，
　　　 　 　 　 　 　 /: : : : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : i: : :|: : : : :‘， ‘，　　　　　！！
　　　　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : /: : : 〃: : : : : : : : : : : |:.:.:.ﾄ､: : :. :.‘，: :.　　　　　
　　　 　 　 　 　 /: : :/: : : : : :. :.:.:./′:. :.il: : :./: : : : : : : : :l: : :ﾄ､ヽ: : : : .__:.:l
.　　　　 　 　 　 i: : :.′: : : : : : : :.il: :. :.:./.!: :∧: : : : : : :. :.ハ:.:ﾄ､: : :. :.:.├|: |　　　　……逃げてください！
　　　　　　　　　|: : :|: : : : : : : : :.:.ｌ|: : :./　!: :ｌ　＼: : : :. :./　│!　>. : : : :|¨: :|
.　　　　 　 　 　 l: ヽ!: : : : : : : : : :||: : :{￣「 ﾒ､　　ヽl: : /　 斗匕　|:. :.i}:.|: : :l
　　　　 　 　 　 ‘，:.|: : : : : : : : :.:.|ﾄ､ィ行心ヾ ｀¨　 l: / '´ィ抔ﾐx､ !: :.ﾊ/:.:ﾚ′
　 　 　 　 　 　 　 y′: : : : : : : : :iｌ〈《 ﾄｲ :i|　 　 　 j/　　 ﾄｲ:i| iﾚ ﾚく:::j／
.　　　　　　 　 　 /: : /: : : : : :.ﾊ:.:i!　　V少　　　　　　　　 V少　　/｀}::ヽ
　　　　　　　 　 /: ／ /ｌ: :. : : |∧:l　　 ｀¨´　　 　 　 　 　 ｀¨´　　′ﾊ: /
　　　　 　 　 ／イ:. :./: ｌ: : : : :i!__ ｀　 　 　 　 　 　 　 '　 　 　 　 i／/j/
　　　　　　　 　 ムイ／|: : : : :|::::丶　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾊ:/
　　　　　　　　　　　　　|: : :.:.:.|r‐y' ＼　　　　　　 r　｀)　　　 , ｲ: :l
　　　 　 　 　 　 　 　 　|: : :. :.| V　　　`　．　　　　｀¨　　　イ　 ＼!
　 　 　 　 　　 　 　 ,　',.|: : : : l　 ＼　　　　＞ 　 　 　 ＜: :.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吉備国　彼方


　草の茂みから、大和兵が二十人ほどわらわらと飛び出して、温羅達を囲んだ。
彼方は刀を引き抜くと、大和兵を続けざまに二人斬り倒し、突破口を開いた。

　三人は追手を振り払い、山の奥地に向かってひたすら逃げた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,　-―　――- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ,-'´､＿,lllllllｌ､＿__,ノ. 　｀ヽ
　　　　　　　　　 　 　 　 ／‐- ､_　 ''''''''　 _, --‐―　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　 　 /　　　・　　　　　　　 ・　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　 i　　,,,,-=ラ　　　　 ヽ=‐-､__　　　　 l
　　　　　　　　　 　 　 l　　 　 l´　　　　　　　l　　　　　　　 l　　　　　　阿曽媛！
　　　　　　　　　　　　 !　　　　`‐┬'´ヽ､__,ノ　　　　l_,!　　l　　　　　　逃げるお！
　　　　　　　　　　　　 ヽ、 .Ｕ　　 |llllllllllllﾊ　　　　　　　,ノ
　　　　　　　　　　　　　　 ` ､_　 , |llllllllllllllﾊ　　Ｕ　 ,-'´, --､
　　　　　　　　　　　 ﾊ　 　 　 ＞l ヽ――-'　　　　 `´　　, ､.＼
　　　　　　　　 　 　 l　ヽ､_／　　｀￣￣　　　　　　　 r‐'´ 　 ヽﾉ
　　　　　　　　　　　 ヽ　　 _,.‐i　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 　 `‐'´　 .|　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　 `､
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ',

　しかし、足の遅い阿曽媛が一緒では、すぐに追手に追いつかれてしまう。
「このままではマズい」と考えた彼方は、急に方向転換し、敵兵に突っ込んで行った。



　　　　　 　　　＿＿＿_
　　　　　　　／　　　u　＼
　　　　 　／　　／　 　 ＼＼　　　　　　　彼方！
　　　　／ 　し （○） 　（○） ＼　　　　　　何してるんだお！
　　 　 |　∪　 　 （__人__）　 J |　　　　　　早く逃げるお！
　　　　＼　　u　　 ｀⌒´　 　／

　　　　　　 　 　 　 ／.::.::.::.::.::.::.::/.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ
　　　 　 　 　 　 ／.::.::.::.::.::.::.::.:::ハ.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:::.
.　　　　　　　 ／ .::.::.::.::.::.::.::.::.:/　 i.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:::i
　　　　　＿イ＿_ .::.::.::.::.::ﾊ.:::/ 　 ﾊ.::.::.::.::.:::|.::.::.::.::,.::.::.::.::.::.::.::.::.:|　　　　　　温羅さん
　　　　　　　 　 | .::.::.::.::.::.| ∨⌒｀小.::.::.::.::.ﾘ.::.::.:::/ヽ.::.::.::.::.::.::.::.:!　　　　　　少し時間を稼ぎます！
　　　　　　　 　 | .::.::.::.::.::.|　　　　 ハ.::.::.:::/ﾊ.::.::/⌒ヽ.::.::.::.::.::.:::j
　　　　　　　 　 | .::.::.::.::.::.| ＿＿_　　ヽ.:::/　 レ' 　 　 ∨.::.::.::.:,ｲ
　　　　 　 　 　 ∨.::.::.::.::::ト￣￣｀ヾ　 ∨　 ＿＿　 　 }.::.::.::.:/iﾘ　　　　　　私に構わず、行って下さい！
　　　　　　　　　人.::.::.::.::.:N "　 "　　　　　 ￣￣｀ヾ /⌒}:,< ノ、
　　　　　　　 ／_ノ|.::.::.::.:∧　　　　 　 '　　 "　　 "　 ∨人∧ヽ::＼
　　　　 　 ／ ::::／|.::.::.::.::.人　　　 ､　　 　 　 　 　 ｧ､イ/∧ ゝﾉ::::: ＼
.　　　 　 /::::::／　 !.::.::.::.::.::.::.ﾄ､　　　　　´　 　 　 ｲ::／::/　 ＼:::::::::::::::＼
　　　　 /:::／　　　ﾍ.::.::.::.::.:／::＞.、　　　　　 ＜´ﾚ':::::/　　 　 ＼::::::::::::::)
　　　　 ∨　　　　　 ∨.::／:::::::::＼ ≧‐≦　／::::::::::::::/　　　 　 　 ￣￣ヽ
　　　　　{　　　　　　 |.::.:i､:::::::::::／――‐＜::::::::[]::::::/　　　 ./ 　 　 　 　 }

　そう言って彼方は、大和兵を二人三人と斬り倒して行く。温羅の言葉は、耳に届かないようであった。

　　　　　　　　　　； ＿＿＿_；
　　　　　　　　　；／　　　 　 ＼；
　　　　　　　 ；／　　 ／　　 ＼＼；　　　　　　彼方……
　　　　　　；／ 　 oﾟ(（○）　(（○）ﾟo
　　　　　　；l　 　 　 　 （__人__）　　 |；
　　　　　　；＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ／；
　　　　　　；／　　　　 　 　 　 　 ヽ；




　 　 　　　＿＿＿_
　 　　　／:::　 　 　＼
　　　／::::::::::　　　　　＼　　　　　　　　　済まないお……
　 ／:::::::::: 　　　　　　　 ＼　　　　　　　……ありがとう
　 |:::::::::::::::　　　　　　　　　|
　 ＼::::::::::::::　　　　　　　／

.　　　　 　 　 　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : ﾍ
　 　 　 　 　 　 ′: : : : :/ : : : : : : : : : : : : : : : : /: i: : : : : : : : : : : : : : : :i
　　　　　　　　 i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : i: : : : : : : : : : : : : i: : |
　　　　　　　　 |: : : : : : i : : : : : : : : : : : : : : : ,ハ : |､: : : : : : : : : : : : i: :ﾘ
　　　　　　　　 |: : :/ : : i : : : : : : : : : : : /: : /　 i : | ㍉ : : : : : :_z_: :八/
　　　　　　　　 |: :/ : : : i : : : : : : : : : : ∧,:斗＝ﾊ: |　 丶: : : ´/ |: /: く
　　　　　　　　 |:/i: : : : : : : : : : : : : : :/´ハ{　　　j/　　　ヽ: ,斗､ﾚi: :ハヽ　　　　　　　　（私こそ……）
　　　　　　　　 jハ: : : : i : : : : : : : : : {　,斗七＝､　　　　 j沁　》 ハヽ ヾ）　　　　　　　（今まで、ありがとうございました）
　　　　　　　 　 　 ヽ: : ,iﾍ : : : : : : : : i〃ん示　　　　　　八ｿ〃 ﾄ､ﾚ′
　　　　　　　　　 　 j/＼八 : : : : : : : :lゝ弋)ソ　　　　　　　´　　バ:ヽ
　　　　　　　　　　　　　/'/ヽ: : : : : : : |　 ｀¨´　　　　　　　、 　 {　ﾚ′
　　　　　　　　　　　 ／ii///i: : : : : i : |
　　　　　　　　 　 ／//||///|: : : : : i : ゝ　　　　　　＿,　　 　 人
　　　　　　　　　/　 i//||///|: : : : : i＞ iヽ、　 　 　 　 　 .＜//|ヽ
　　 　 　 　 　 / 　 .|//||///|: : : : : | 　 ＼ ＞,　＿_ ＜　　 ｀ヽl 八
　　 　 　 　 ／　　 ∧/,||///|: : : : : |＼　　　/'///,〈　　　　 　 /　 ＼
.　　　 　 ／　　　 //∧,》、//| : : : : |//＼　 |/////i　　　　　　　　　' ー-　_
　 　 　 /　 　 　 //(＿ヽ/》､/|: : : : :|//／＼|/////|　　　　/　　　/　　　　　ー　＿_
.

　彼方の足止めが功を奏し、温羅と阿曽媛は大和兵を振り切ることが出来た。
二人は息を切らしながら走り、ついに血吸川に辿りつく。
しかし、そこで待っていたのは、かの裏切り者であった。

::.;;'' ;;:;: :::''::　 .;;'' ;;:;: :::''::.;;'' ;;:;: :::''''::: :;:;; '';;.:　　 　 　 :: :;:　;;:,: :''::: :;:　;;:,'　　';;.::; :; iw､ -‐''゛~｀
:;:;; '';;.::　　: :; ;; ''　　　　;;'' ;;:;: :::'':::　　　　　''::: :;:;; '';;.::　''::: :;:;; '';;.::''::: :;::;; '_,､-ｰ''ﾞ´
　　::: :;:;; ''"''::::;　　.::,''::: :;:;;　　　 ::;:;; ''"''::::;　　　.::,''::: :;:;;''::: :;:;　 '';;.::､ -'゛　- 　_　 　ﾆ　　-
":;. :.. ;'"'":;.;'"　: :; ;;''　　;;'' ;;:;: :::'':::　　:..;:;'"wW_,,..． -‐　'''゛゛~ 　　　　　_　　　_
::.;　'' ;;:;: :::''.;'":;. :.. ;'"'":;::.;;'' ;;:;_,,,..､ -‐''゛~｀　　　　　 　 -= 　　-　_　　　　　　　　　__,,.. -‐'''
　　:'';.::'　　　 　 ;.　:'';.::''､ -'゛　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　_,､-ｰ''ﾞ´.:. .:.' ::: :;:;;
;:;; ''"''::::; 　 ::: ;.::''::::wiッ´　　　　　 　 　 　 　 　 _　_- 　- 　 　_ 　‐ _　,-': :;:;; '';;.::　　: :; ;; '' ;
　　　　::''::: :;:　;; '';;.:,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 wiY :::''.;'":;.:.. ;'"'":;::.　,.
:,::: :;;:;..,"':　::''゛,-'~　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -　-=-_　=-　　Ww'' 　 ;;'' ;;:;: :::''::'' ;;.::
:;'' 　 :: :'':;' -'゛　　 -　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 －＝　＿=- ￣　　　゛'-,''::: :;:;; '';;.::'':::':;:;; ''
:;;''　　-″　　　　　─＝　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＝― 　 　゛.,　　″; '';;.:: ,,.
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　　　　　　　　　―≡－　－　　　-=　　　　　　　　　-＝―　　　　,,‐'" '';;.::,''::: :;:;; '';;.::
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾆ─　　　　　　　　　＝―　　＿　　,,''::: :;:;; ''"''::::;　　　.::,''::: :;:;;
　　　二　―　　-ニ―　　＿　　　―　　＿ﾆ-― ＿　　￣-　　;;"';'';;.::''::: :;:;; '';;.::'':::　:;:;; '';;.::

　　　 /､;:;:;:;:;:;:;:;:;ｰ-:;､_;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l
　　 ./ﾐﾐﾐミミ､;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ｰ-;:;､;:_;:;_:;::-‐'"´i
　　 lﾐﾐミミミミミミミｰ-::､;;;;_;:;:;:;:;:;i;:;:;:;:;:;:;:;:i
　　,!ミﾐミミミミミミﾐ　　　＿;`-､;;;!:-‐'''´|ﾐi　　　　　待っておったぞ、温羅よ
　//｀,ヾミミミﾐｼ‐'″　　'ー‐' 　:　 'ﾆﾌ' i;/
　l l　,rヾミミﾐ 　　　　　_,,,,,　　 ﾉ　 _,,_　l
　',ヽヾ､ヾミミ 　　　 ｨで)ヽ､ 　 r';ｨび､.ﾉ　　　　　　観念せい
　 ヽ､__,, ミミ 　 　　 ｀ﾞﾞ'''"ﾌ｀　 | ｀ﾞ'''ﾌ'i
　　〃 i l ミﾐ　　　　　 ／´　 　 | ｀ｰ'´l
　　／ヾ.l ﾐﾐ　　　　　　　/'　 　 |　　/
.　/:::::',ヽヽ`　　　　　　 / ｀ `ﾞｰ-'　/
r/::::::::::',ヽヽ　　　　　　 　 　 i:i　', /
/::::::::::::::ヽヽ＼　　　　'"ｰ=＝=-'/
ヽ:::::::::::::::::ヾ､　` ､　　　ﾞ'一''ｰ'ﾉ′
､　＼:::::::::::::::ヽ　　｀ ｰ‐-t't::i´ﾞｰ-､
.｀-､　｀ｰ-:､::::::ヾ'､ 　 　 //:::l　ヽ　｀ﾞｰ- ､
　　　　　大和国　犬飼健


　犬飼が合図すると、また別の三十の大和兵が一斉に飛び出し、温羅と阿曽媛を取り囲んだ。
もはやこれまでである。全身の力がへなへなと抜け、温羅は地に膝を着けた。

　倉敷市矢部の足守川沿いに、ある神社がある。
名を鯉喰神社（こいくいじんじゃ）といい、ある伝説にちなんで建てられたものである。


　　　　　　　　　　　　　　 _ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ _
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┌───────────────────────────────────────────┐
│温羅は鯉となって血吸川に姿をくらませた。そこで吉備津彦は、鵜（う）に変身し温羅を追いかけ、　　 　 .│
│ついに温羅を捕まえた。（温羅伝説）　　　　　　　　 　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 │
└───────────────────────────────────────────┘

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./ ＼Ｙﾉヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　（0)(0） ヽ　ｷﾘｯ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　| ,　-）　　　　（-、.|　 　 　 ｎ
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　　　　　　　　　　　　　／::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::＼
　　　　　　　　　　　　.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:＼::＼::.::＼
　　　　　　　　　 　 /::.::.::.::.::.::.::.::/::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.ヽﾍ_ヽ
　　　　 　 　 　 　 ,′::.::.::.::.::.::.::.::.::.::/::.: ::.::.::.::.::.::.::.: |.::.::}.::.::∨｀ﾊ
　　　　　　　　　　 ::.::.::.::.::.::.::.::.::|.::.::.|.::.:｛ :.::.::.::.::.::.::. |.::.::|.::.::.::∨: |　　　　　ハァ……
　　　　　　　　 　 |::.::/.::.::.::.::.::.::.|ｉ::.:∧:.::|＼:.::.::.::.::.::∧::∧.::.::.ハ: |
　　　　　　　　 　 |::. |::.::.::.::.::.::.: |i.::.ﾄ､';.::|　 ヽ.::.::.::./斗≦ｘ::./:.::j: |　　　　　　　ハァ……
　　　　　　　　 　 |::. |::.::.::.::.::.::.: |iヽ| x≧ミ=-ﾊ:.::./　ｨうﾊ ⅣﾞY::.人
　　　　　　　　　　:.::.j::.::.::.::.::.::.::八 〃_ﾉﾊ　 　 ∨　 弋:リ　{＾ |〈
　　　　 　 　 　 　 ∨ ::.::.::.::.::.::.:.::.:.　弋:リ　　　　　　　´　 　 八|
　　　　　　　　　　　}::.::.::.::ｲ::.::.:＼:.:ヽ　´　　　　　 ,　 　 　 iｲ　ﾉ
　　　　　　　 　 　 厶ｨ:.::.::.|::::.::.:|:_＼_:＼　　　　　 　 　 　 从
　　　　　　　　　　 　 j:/＼i.::.::.::|::个 　 　 　 　 (　’　 　 ｲ::. |
　　　　　　　　　　 　 　 　 |:.::.:: i/7 　　丶、 　 　 　 ／|　＼|

　　　　　　　　　　　　　　∠二_ヽ
　　　　　　　　　　　　　l´＞,へ｀lト 　ｼﾞｬｷ！
　　　　　　　　　　　　,／　/:::.::|ﾗ　',
　　　　　　　　　　 ／　　./:.::.::.|　|　',
　　　　　　　　　／;　　　/.::.:::.::|　|　 ',　/ﾆＹﾆヽ
　　　　　　　　./::::::':;.. 　i'::.:...::.::|　|　　/（ 0)(0 ）ヽ　　　　　　　　だがお前はもう限界だっていうｗｗｗｗｗｗｗ
　　　　　　　 /'::;:::::::::::'::,l!.:::.:::.:..:l! 　／:::⌒｀´⌒:::＼
　　　　　　　;!　 '::;::::::::::::l:.:.:....:...:.l!　::⌒＿＿＿_⌒:::＼　　　　　死んで貰うっていうｗｗｗｗｗｗｗｗ
　　　　　　　l.　　　''::;;／＼:.::.:..:.:.i!　　/| | | | |　　　　 |
　　　　　 　 |:.:..　　／　　　＼:::.:.:.:!　(、`ー―'´,　　／
　　　　　　　:!::::.／　　　　 　. ＼::.::ﾞ:、　　　　／　￣￣￣
　　　　　　　 ﾞく　　　　　　　　　 ＼:.:.ﾞ:、　(⌒)　　 ./
　　　　　　.　 　`　、　　　　　 　 　 ＼::ﾞ:.、ﾉ ~.ﾚ-r┐
　　　　　　　　　 　 ｀ﾞ　‐-　 .,,__　　　_,,.＞__　|　.|　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣〈￣ 　　｀-Lλ_ﾚ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣｀ー‐---‐




　　　　　　　　 　 i| 　 　 　|i　　　 /ヽＹ/ヽ
　 　 　 　 　 　 i|　　　　　|i　　　 /（0)(0 ） ヽ
　　　 　 　 　 i|　　　　　 |i　　 ／⌒｀´⌒　　 ＼
　　　 　　 　i| 　 　 　　 ,|i　 　| .＿＿＿（- 、 　|
　　　　　　i|　　　 　　　,|i　　　|l |i|||||||i||｀ 　l 　 !　　　　　　　　　でっていうううううううううううううううう！
.　　　 　 i| 　 　 　 　 　|i.　　　ヽ|ｪｪｪｪ | 　 / /、
　　　 　i|　　　　　　　　|i 　 ／⌒｀ｺー　　/,ﾉ　 ￣＼
　 　　 i|　　　 　 　 　 　 |i　|　 　 　 　 　 　 　 　 ,、　ヽ
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　　　 i|　 　 　 　 　 　 　　　i|i ＼　 ＼ 　 　 　／　　／
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　　　　i|i　　　　　　　　　　　／　　i|i＼ 　／]　　／　　|
　　　　 i|i.　　 　 　 　 　 　/　　 　／ i|(ノ／))￣ヽ 　 　＼
　　　　　 i|i　　 　　　　　__|　.　　 | ／　,ゝ￣　　　ﾍ　　　 )
　　 　 　　 i|i.　　 　 　 （＿＿＼＼　／　　　　　 　 `ー‐'′
　　　　　 　　i|i　　　　　　　　／　／
　　　　　　　　　i|i 　 　 ＼＼　／
　　　　　　　　　　 i|i, 　／　／
　　 　 　　 　 　 　 　 i|i__／

　彼方は迫りくる刃を、気力を振り絞って避けた。しかし、もう体力は限界に達していた。
腕がしびれて、刀を振り上げる事も出来ない。
敵は十二人倒し、残りは六人。この六人を倒す力は残っていない。



　　　　　　　　　　　　　／::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::＼
　　　　　　　　　　　　.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:＼::＼::.::＼
　　　　　　　　　 　 /::.::.::.::.::.::.::.::/::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.ヽﾍ_ヽ
　　　　 　 　 　 　 ,′::.::.::.::.::.::.::.::.::.::/::.: ::.::.::.::.::.::.::.: |.::.::}.::.::∨｀ﾊ
　　　　　　　　　　 ::.::.::.::.::.::.::.::.::|.::.::.|.::.:｛ :.::.::.::.::.::.::. |.::.::|.::.::.::∨: |　　　　　（将軍……済みません）
　　　　　　　　 　 |::.::/.::.::.::.::.::.::.|ｉ::.:∧:.::|＼:.::.::.::.::.::∧::∧.::.::.ハ: |
　　　　　　　　 　 |::. |::.::.::.::.::.::.: |i.::.ﾄ､';.::|　 ヽ.::.::.::./斗≦ｘ::./:.::j: |　　　　　（どうやら私はここまでのようです）
　　　　　　　　 　 |::. |::.::.::.::.::.::.: |iヽ| x≧ミ=-ﾊ:.::./　ｨうﾊ ⅣﾞY::.人
　　　　　　　　　　:.::.j::.::.::.::.::.::.::八 〃_ﾉﾊ　 　 ∨　 弋:リ　{＾ |〈
　　　　 　 　 　 　 ∨ ::.::.::.::.::.::.:.::.:.　弋:リ　　　　　　　´　 　 八|
　　　　　　　　　　　}::.::.::.::ｲ::.::.:＼:.:ヽ　´　　　　　 ,　 　 　 iｲ　ﾉ
　　　　　　　 　 　 厶ｨ:.::.::.|::::.::.:|:_＼_:＼　　　　　 　 　 　 从
　　　　　　　　　　 　 j:/＼i.::.::.::|::个 　 　 　 　 ― 　 　 ｲ::. |
　　　　　　　　　　 　 　 　 |:.::.:: i/7 　　丶、 　 　 　 ／|　＼|

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―――――￣￣＿＿＿￣￣￣￣￣＿＿＿＿＿――
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│　もう……いいお、彼方　　.....│
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―――――￣￣＿＿＿￣￣￣￣￣＿＿＿＿＿――
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　声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。
振り返ると、体を縄で巻かれた、主人がいた。


　　　　 　 　＿＿__
　 　 　 　／　　　　＼
.　　 　／　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　御苦労だったお
.　　／　　　 ―　　 ー　 ＼　　　　　　もういいんだお
　　|　　　　（●） 　（●） 　|
.　　＼　　　　（__人__）　 ／　　　　　　もう……終わったんだお
.　　　ノ　　　　｀ ⌒´ 　 ＼　　　
　／´　 　　　　　　　　　 　ヽ

　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::丶::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:丶
　　　　　　　　　　　　　　　,.´.::.::.::.::.:|.::.::.::.::.::.::.::.:.:＼::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.
　　　　　　　　 　 　 　 　 / .::.::.::.::.::.:| .::.::.::.::.::.:.::.::.::.::ヽ:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /.::.::.::.::.::.::/i .::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:.:ﾄ､::.::,.-､:.:.::.::.::.::.::.::.:.
　　　　　　　　　　　　　/.::.::.::.::.::.::/人.::＼.::.:ヽ､.::.::.::.:.::|　ヾ' / 〉.::.::.:.::.::.::.:.:.i　　　　　そんな……
　　　　　　 　 　 　 　 /.::.::.::.::.::.::∧廴ヽ.::.:ヽ .::.:ト､＿八 　 ヽ/.::＼:.:.::.::i:.:.::.|　　　　　国主様！　阿曽媛様！
.　　　　　 　 　 　 　 /.::.::イ.::.::.::.Ⅳ斗=ﾐヽ.::{｀ヽ{i ,斗≦x、　 l::.::.::.:.ヽ:.:ﾘ::.:.ﾘ
　　　　　　 　 　 　 ムイ　|.::.::.:.:.i〃 ,ノﾊ　＼ 　 ´ _,ﾉ心 》　人Y⌒ヽ∨::.:./
　　　　　　　　　　　　　　 |.::.::.::.:j　 と:::ﾘ　 　 　 　 い:::ぅ 　 　 〉　い}八:/
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ.::.::.∧ ｡ﾟ ¨´ ,　　　　　 ｀¨´ ﾟ ｡　　　　ノ∧iヽ
　　　　　　　　　　　　 　 ／i.::.:/:∧　　　　　　　　　 　 　 　 ,ﾍ..イ.::/_,.≠ﾃ-､
　　　　　　　　　　　　　/　,人 .:/.:ハ 　 　 ﾏー‐ ､　　　　　ハ:/ {'´　　　　　 丶
　　　　　　　　　 　 　 /　 　 ハ.:/.::.:ﾄ､　　　ー一′　　 ／　∧ |　　　　　　　　＼
　　　　　　 　 　 　 ／　　　　　ヾ.::.::i.::.:＞ ､　　　　　 イ　　/ 　 |　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　/　　　　　　 　 ∨|.:.:i　　　 ヾ￣　　　 ／　　 .|　　　　　　　 　 　 ﾍ

　彼方は縄で繋がれた温羅の姿を見て、その場で泣き崩れた。
つられて阿曽媛も、人目をはばからずに涙を流す。
涙はとめどなく溢れ、胴に巻きつけられた縄にしみ込み、それが滴り落ちて小さな水たまりが出来たほどだった。

　　　　　　　　 ◯　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_＿＿
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　　 //＜　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　 　　　　＿＿＿＿_＞
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　 //　　　　　　　＼＿＿___＿＿＿／


――吉備国、滅亡。
鉄で繁栄したこの国は、その鉄が原因で滅んだのだ。

捕縛された温羅達は、村の広場にいる彦五十狭芹彦命の前に連行された。
周りには、同じく縄で繋がれた吉備の村人が大勢いた。女子供も混じっている。


　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　 /　ヽ､_　　　＼
　　　　　. （　（● ）　　　　|　　　　　　温羅殿
　　　　　. （人__）　　　　　 |
　　　　　r-ヽ　　　　　 　　 |　　　　　　俺がこの軍の総大将、彦五十狭芹彦命だろ
　　　　 （三） |　　　 　　　 |
　　　　　>　ノ　　　　　　 /
　　　　/ 　/ ヽ　　　　 /
　　　/ 　/　へ>　　　 <
　　　|＿__ヽ　　＼／　 )
　　　　　　　|＼　　　／|
　　　　　　　|　 ＼_／　|
大和四道将軍　彦五十狭芹彦命

　 　　 　　　　:::::::::::::／￣￣∨￣￣＼ ::::::::::::::::
　　　::::::::::::::::::::::::::::::|　 ／￣￣￣＼　|:::::::::::::::::::::::::　　彦五十狭芹彦命様！　お願いがございますお！
　 　　::::::::::::::::::＿＿|／　 _ノ 　ヽ､_ ＼|＿＿::::::::::::::::
　　　::::::::::::::／　　／　(（＞）) (（＜）) ＼　　＼::::::::::::::::　私の……私の首一つで、手を打って貰えないでしょうか！
　　:::::::::::::::::|　　　|　oﾟ　　（__人__）　　ﾟo|　　　|::::::::::::::::::::::::村人たちには何の罪もございませんお
　:::::::::::::::::(⊥_⊥）＼_＿＿｀⌒´＿＿／（⊥_⊥）:::::::::::::::::　彼らには手を出さないで欲しいですお！
　　　 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



　　　　　　　　　　　　　 　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 　 　_ノ　　ヽ、　　＼
　　　　　　　　　　　　（ ●）（ ●）　　　|　　　　　　　　　　　　……よし、いいだろ
　　　　　　　　　　　　（__人__） 　　　　 | ..／}　　　　　　　　　俺の目的は、鉄だしな
　　　　　 _　 　　　 　ヽ｀⌒ ´　　　　　| /　/ 　　　__
　　 (＾ヽ{　ヽ　　　　　 {　　　　　　　　./　/　 .　／ .ﾉ　　　　村人には手を出さないと約束しよう
　(￣ ヽ ヽ　i　　　　　　ヽ　　　　　　/　厶-　´ ／
.(二 ヽ　i　i　|,r‐i　　　　ﾉ.　　　ヽ /　　　　 ／
　　ヽ　　 ／　 ノ　　／　　 　r一'´　ー ､　　￣￣￣）
　　 i 　 {　　 ｲ―イ　/　 　.`ー―.　､＿_　.〈￣￣
　　　ヽ.　`ｰ '/　　　/　　　　　　　　　 　/＼ ＼
　　　　　 `ー ' ￣￣!　 　　　　　　　　　|　　ヽノ

　　 　 　 　 ／￣￣￣ ＼
　　　　　 ／　　 :::::＼:::／＼　　　　　　　ありがとうございます！
　　 　 ／　　 　｡<一>:::::<ー>。　　　　　 ありがとうございますお！　
　　 　 |　　　　.:::｡ﾟ~（__人__）~ﾟj
　　 　 ＼、　　　゜　｀ ⌒´,;／゜　　　　　　これで心おきなく死ねますお
　　　　／　 ⌒ヽﾟ 　'"'"´(;ﾟ　｡
　　　/　,＿ ＼　＼／＼ ＼
　 　 と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.



　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|　　　　　　　まあ、俺も鬼じゃない
　　　　　 r;r‐r/　| 　 |　　（__人__）　 |　　　　　　　そうだ
　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　ﾉ　　　　　　　お前に、一日やろう
　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}　　　　　　　　可愛い嫁さんと、最後に話し合う時間が欲しいだろ
　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ

　　　 　 　　 　　＿＿＿_
　　　 　　 　　／:::　 　 　＼
　　　　　 　／::::::::::　　　　　＼　　　　　　　
　　 　　 ／:::::::::: 　　　　　　　 ＼
　　　　　|:::::::::::::::　　　　　　　　　|　　　　　……御配慮に、感謝しますお
　　　 ／⌒::::::::: 　　　　　⌒ヽ／
　　；/::::::::::::　　　　　　　 　 　 ＼；
　 ；/::::::::::::::　　　　　　 　　　＼　ヽ；

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　満点の星空だった。温羅と阿曽媛は、並んで夜空を見ていた。
大和の兵が取り巻いているが、それでも二人だけの世界であった。


　ﾟ　,　　　,　。　.　　　＋　　ﾟ　　　。　　。ﾟ　.　ﾟ。,　☆　*　。ﾟ.　o.ﾟ　　。　.　。
。　.　　．。　　　　o　　　．.　。　ﾟ　 ﾟ　,　。.　o　。*　。　.　o．　。　．　.
　　　　　　　　。　　　.　　　。　　．　.ﾟo　。　*．　。　．.　☆　.　＋.　.　　.
　。　.　　．　.　　　.　　　．　　。　ﾟ。,　☆　ﾟ.　＋　。　ﾟ　,。　.　。　　,　.。
　　　　ﾟ　　。　　　ﾟ　　.　　+。　ﾟ　*　。.　,　。ﾟ　+.　。*。　ﾟ.　　　.　.　．　　.
　。　　.　　　.　。　。ﾟ.　。*　。,　´。.　　☆。。.　ﾟ。+　。　.。　　.　　｡　　　.
　　.　　　。　　ﾟ　ﾟ。　。,　.。o　☆　+　,ﾟ。　*。.　。　。　.　　　　。　　　　.
　ﾟ　.ﾟ　ﾟ　　。ﾟ　+　。.　+。　*　。ﾟ。ﾟ.,　,+　。ﾟ.　。　.　.　　　,　　　　,　　　.
ﾟ。ﾟ+ﾟ`,　o。。.ﾟ*。ﾟ　。.ﾟ　。　☆＋。。ﾟ.　°　。　.　　　,　　　　　　ﾟ　　　　ﾟ
　。,　.ﾟ。　+　☆。,ﾟ.　o。 。+　。ﾟ.,　　.　ﾟ　　　,　　　。　　　　　。　　　.　　　.
　ﾟ.　ｏ　*　。ﾟ。ﾟ.。ﾟ。+ﾟ　。　。　ﾟ。 ﾟ　。　　ﾟ
ﾟ`　.ﾟ　.ﾟ.　ﾟ.　.　ﾟ　　.　　ﾟ　　.　　　,　　.　　.　　　 ／　.　　.　　　。　　　　　　ﾟ　.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　☆

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　_　_,.... __
　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐' "´ヽ::::::y'´　　　 ﾐヽ､
　　　　　　　　　　 　 ／.:.:.:.:::::::::::::::'´::::::::::::::::::::::.::ヽ＼
　　　　　　　　　　　/.:.／.:.:／.:.:/.:.:::::ﾄ、:.ヽ:.ヽ:.ヽ.:.:ヽ:ヽ
　　　　 　 　 　 　 /／:.:.／.:.:/./:N:|ヽ!|il:.:ヽヽ:ヽ::ｌ:.::.::i::::',
　　　　　　　　　 ///:.:/:.:.:.:./:ｲ.::|ｌ|:f´￣|::Y:i::|!:.:!.|.:.:.:.|:.:.:.!　　　　　綺麗な星空ですね……
　 　 　 　 　 　 ///.:./:/;ｲ:/:::ｌj;:ﾑH!　　ｨ:ｌl什ト､j:|.:.:.:.|::.:.:l
　　　　　　　　//!:!:././/::!:l:イ| ｣⊥ヽ 　 |ｌj抂ｪ｣|｀!..:.!:ﾄ、:.l
　 　 　 　 　 〃 |:|:i:.:.l:i:.:.|:.l:.:ﾚぅ⌒f　　　!´ﾋ'　 lヽ!.:.ｌ.:| ヽ:.l
　　　　　　　 !　∥!|:.:i:l.i.:ﾄ:l.:iハ..::::j_　　 　 L::::ﾉ　|:.:|:.|　 ＼
　　　　　　　　　 l lヽ从ﾄ:! い、 ¨´　　 ,　　 　 　 |.:.l.:.|､,__　＼
　　　　　　　　 　 ! >ヘヽヽノ:ﾄ､　　　 －　　　／|.::|ｉ:.|;;i;;i｀ｰ‐ヘ
　　　　　　　　 　 /ヽ-‐7´/;;ｲ:::＞..,._　　　,.イ::::::|.::|l:ﾘ^介r､;;_j;;;;＼
　　　　　　　　 ／;;;／ノ;rくﾊ二__￣￣￣￣￣__ｺﾆミ{ノ:/ﾉ,ﾘ`´`'ーﾍ
　　 　 　 　 ／;;;;ィ"~＾ヽ`ﾐﾐ片__＂￣`'￣`'￣″|:..:｀Y彡'″
　　　 　 　 ´"´　　　　　＞'-ﾆ_ `'´￣`'￣`'￣`ﾟﾋ'ｰ-ト､
　　　　　　　　　　　 ／　　　　 弋ｰ--ｔ--ｧ-ｰ￢´｢lY 　 ヽ､
　　　　　　　　 　 ／　　　　 　 　 ヽ::.::.:У::.::.;:-┤j !|　　 　 ＼
　　　　　　　　　/　　 ヽ　/　　　　 ヽ::/::.::./´ ｒ'⌒ヽヘ　 　 　 ヽ

　 　　　　　＿＿＿_
　　　　　／⌒　　⌒＼　　　　　　　　　　　　　最期に阿曽媛とこんな素敵な空を眺められて、幸せだお
　　　 ／（ ●） 　（●）＼
　　／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼　　　　　　　　　　
　　|　　　　　|r┬-|　　　　 |
　　＼ 　　 　 `ー'´ 　 　 ／




　　　 ／￣￣￣＼
　　／　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　阿曽媛……
　/　　　 ─　　　─　ヽ　　　　　　　　　　　　　少し長くなるけど、ちょっと、聞いてくれるかお
　|　　　 （●） 　（●）　|
　＼　　∩（__人/777／
　／　　（丶＿//// ＼

┌────────────────────────┐
│　僕の父は、渡来人※だったんだお　　　　　　　　　　　　　.│
│狗奴国に来て、母ちゃんと結婚して、僕が生まれたお　 　 │
└────────────────────────┘


爻　　 _,,-‐ｔ‐''⌒ﾊ、　　　　　　　_,,,　-‐''三]
ｋ;;:､　(,,　ﾒ μ ,,´｀, -―一''''""~　_,, -‐／::::＼　　　　　　　 ／
､,＼;;:: 人人ｷ,,　 /　--一'''"~￣　　,／:::::['i']::::＼へ、　　／
ﾆヾ ＼ⅲⅲ Y,／　　　　　　　　　／ii[]:::[_,!_]::[];､＼　Yy,,..
-‐''`　 `.、:,:／　　　　　　　　　／ii;[ i ]~~[_!_]~[l];:ヽ ＼＿
＿,,､＿,,,,／　　　　　　　　　,／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　>￣ヽ
ﾊﾊ从 ／-―====r-===三''　､-―――――――‐＜　木ﾎYyy
(⌒)ｲﾄ爻------(　tｲ-‐'´::::::::,＼＿＿,,,....､_＿＿,,,_____`」￥　Y
　T,::爻Ooﾄ[iiii]<,,. ､ ｷ[]　 i::::::::::::::::[]::::::::::::::[]=======|爻爻三三
ー-　　''ー＾　二,,　ー---┴, -‐へ-O-ー-～～-―へ`~~　　　　]、
　　　　　　　　　━
　〓　　　　　　　　　　　━〓　　　ー　----　､---―


※渡来人……四～七世紀に中国大陸及び朝鮮半島から日本に移住した人々。製鉄技術などを伝えた。

┌──────────────────────────────────────────┐
│　父ちゃんは僕に、製鉄と農業を教えてくれたお。僕は父ちゃん目指して、毎日勉強してたお。　　　　...│
│でも、邪馬台国と戦争になって、父ちゃんと母ちゃんを殺されて、僕は海を渡って逃げて来たんだお。...│
└──────────────────────────────────────────┘


　　 ∧＿∧
　　（　・∀・）
　==○====○===X二＞
　　/　/（＿）　　　　　　　　　　　＜＜;;；:'⌒;;.'つ
　（＿_） 　　　　／|　　　　　　　　　　ヽつＪ;・;；';;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧∧ ,、,、
　 　 　 　 　 　 lＸ/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜:::::..＾）,.　　　　　　　　　　　　 (ﾟo ﾟil)(o；,,)
　　　　　　　　//　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ;:，ζ;;・．:.　　　　　　　　　　/　つ._,,O
　 　 　 　 　 /∧＿∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し´∴;;,；;:,.,.;:,　　　　　　　　/ 　 〈
　　　　　　（^（　・∀・）つ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:;, ;: ;,；　　　　　　　　 （_/　ヽ）
　 　 　 　 //＼　　　（　　　　 　 　 　 　 　 ∧_,,, 　　　　　　,.;:・：,､ﾉvヽ
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　　　　　　　　（＿_）　　　　　　　　　　と;；;・；;　　　　　 　 　 　 （／
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　　　　　　　　　　　　　　　　　/　∧　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.;∞;∞;；;,　　　　・
　　　　　　　　　　　　　　　　（＿_） （＿_）

┌────────────────────────────────────────────┐
│　最初は一人でとても心細かったお。でも頼れる人もいないし、自分で生きていくしかなかったお。　　　　　 .│
│僕は礫（つぶて）を投げるのが得意だったから、山で兎を獲ったり山菜を採ったりして暮らしていたお。　　　│
└────────────────────────────────────────────┘


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　　｀丶、_{:.〉:.:.`._ｰ,.''"｀´　　'":.:.:.:.,:／
　　　　　　｀ヽ、;,::}.;　　　　ｲ,; -""´
　　　　　　 　 　 `ｰ' -‐ '"

┌──────────────────────────────────────────────────┐
│　だんだん礫が上手くなって、鹿も仕留められるようになったお。肉は自分で食べて、余った皮や角は、通りかかった　　....│
│人に頼んで、米や野菜と交換して貰ったお。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.│
└──────────────────────────────────────────────────┘


　　 ∧　　　　　　　　　　　　 /i,　 ／|
　　ヽ　Y　　 ∧　　　　 ,.　　 | ,'／／
　　　'i　|　　 i　!　　　 / |　　i　'　/
　　　 i　i ∧/ /　　　/　i　 /　 /
.　　　 'i ',ヽ ' /　　　〈　 i　/　/
　　　　|　' j　|　　　　ヽ. V　/
　　　　ヽ、 i　!　　　　 〉 .／
　　　　　 ヽ,,; | 　　 ／／
　　　　　　i:〉 ´''''''''ﾞ'r ´｀>
.　　　　　 i´ : :,.,.,. :. ﾍ／
　　　　　 !: : :,'r‐ァ : : ヽ
　　　　 /: : ,',. ｀´: : : : : ゝ、
　　　　；;;;;;; : : : : : ,.;;; : : : : `‐ .,
　　　　ヽ,_ : :_,　1:;:;'' : : : : : : : :ヽ.、
　　　 　　　　 　i': : : : : : : : : : : : : ;`‐- .,
.　　　　　　　　 |: : : : : : : : : : : : : : ,',',:',:',:ヽ、
.　　　　　　　　 | : : : : : : : : : : : ,;',;',;',;',;': :, '::.ヽ
　　　　　　　　　i: : : : : : : : : : ,; ; : ; : ;: ; : : : ; :

┌────────────────────────────────────────────────┐
│　その日も、通りがかった人と物々交換の交渉をしていたところだったお。その人は、自分の村に来ないか、と　　 　 │
│僕を誘ってくれたんだお。嬉しかったお。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..│
└────────────────────────────────────────────────┘



　　　　　　　　　　　　 　　　　 ＿＿ ＿
　　　_,rｰく´＼　 , --､　　　／⌒　　⌒ ＼
　,-く ヽ.＼ ヽ Y´　／ 　 ／（●）　 （●）　＼
　{　-!　l _｣_ﾉ‐′/ 　 ／ 　 　（__人__）　　　 ＼
　ヽ　ﾞｰ'´ ヽ　　/　 　|　 　 　. `Y⌒y'´　　　 　|
　　ゝ、　　ﾉ_ イ　　　 ＼ 　 　 ゛ー ′　　　,／
　　　 ヽ　　 　 |　　　 　/　　　　ー‐ 　 　 ヽ


┌──────────────────────────────────────────────────┐
│　でも、村人たちに、「どこから来たのか」と聞かれて、つい見栄を張って、「百済の王子だ」って言っちゃったんだお。　 　 .│
└──────────────────────────────────────────────────┘

┌────────────────────────────────────────────┐
│　村人たちは、すっかり信じ込んでしまっていて、今更「ウソでした」なんて言える状況じゃなかったお。　　.....│
└────────────────────────────────────────────┘

　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　 〈<三三三三三三三>〉
　　　　　　　 　 ||　　　＿＿＿　　　.||
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　　　　　　　 　 ||／　 　　　　　　.＼||
　　　　　　　　／ 　　 _ノ　　 ―　　 ＼
　　　　　　　　|　　　（ー）　 （ー）　　　|
　　　　　　　　＼　　　（__人__） 　 　　ｲ
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　　　　　　 〈 　￣ 　‐- 、　 　　　　　i
　　　　　　 .:｀ ｰi‐ -、_ 　 ヽ 　 　　|　l
　 　 　 　 　 　 || 　 ヽ.て　 〉　　　..|　l
　　　　　　＿_/´ 　ヽ　　　　　/⌒::|　＼_
　 　 　 　 ||三l　　　 |ノ-‐-‐-|　　 |｀ー´||
　　　　　　￣|.ヽ　　_,l- ､￣￣|　　.|''|''''|"
　　　　　　　 |　|ヽl´　　 |　　　〉　 〈..|　|
　　　　　　　 |　|　 `-‐´　　...ヽ_＿ｿ |　|
　　　　　　　 ￣　　　　　　　　　　　 .￣

┌───────────────────────────────────────────────────┐
│　僕は村人たちに崇められて、村の最上位の席を用意して貰ったお。僕は、いつかバレるんじゃないかと怯えながら、　　　...│
│百済の王子のフリを続けたんだお。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......│
└───────────────────────────────────────────────────┘

┌──────────────────────────────────────────────────┐
│　その時は意外に早く訪れたお。嘘がバレた僕は村から叩きだされて、また一人ぼっちの生活に戻ってしまったお。　　　..│
│兎を狩りながら、僕は東に東に旅をしたお。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ;;;;;;;;_;;;;;_;;;;;;_;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.::::／　　 　 　＼;;;;;;;;;;;;;;
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　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ::;;;.ｉ　 　（─） 　（─） 　 　 };;;;,,,,,;;;;;;;;;;
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;:,ﾁ''゛''::'' ｀⌒ ´'::'''''　ﾞﾞY;;;;:;;;;;
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::i　 　::::　　 　 　 　 　 .'-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;ﾊ　　i:::::　　　　　....::::'' 　 ｀'<;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::;;;;;.ﾊ　 '(i|||||lllllllliiii＝''′　　 .,};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,,lllllllｼ 　,,illllllllllll″　,＿_,,,,,,,,,iiillllllllllllllllllll
　　　　　　　　　　　　　　　　.(lllllllllllll､,,,ｨ'illlllllllllllllli,　ﾞ lllllllllllllllll!ﾞﾞllllllllllllllll
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀”ﾞﾞﾞﾞﾞﾞllllllllllllllllllllllllｭ,,ｊ'llll　 !.llllllllllll

┌─────────────────────────────────────┐
│　ある日、僕は鹿の角を手にして、側を通りかかった人に声をかけようとしたお。　　　　.　 │
│でもその人は、村人じゃなくて、山賊だったんだお。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....│
└─────────────────────────────────────┘



　　　　　　,,､,､､,,,';i;'i,}､,､
　　　　　　 ヾ､'i,';||i !｝ 'i, ﾞ〃
　　　　　　　　ﾞ､';|i,!　　'i i"i,　　　　　　 ､__人_从_人__/し､_人＿入
　　　　　　　　 `､||i　|i　i　l|,　　　　　　､_）
　　　　　　　　　 ',||i　}i |　;,〃,,　　　 　_）　金目のものを出せー！
　　　　　　　　　 .}.||||　| ! l-'~､ミ　　　　｀)
　　　　　　　　 ,＜.}||| il／,‐'liヾ;;ミ　　　'´⌒V＾'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒
　　　　　　　　.{/ﾞ'､}|||/／　 .i| };;;ミ
　　　　　　　　Y,;-　　 ｰ､　　.i|,];;彡
　　　　　　　　iil|||||liill||||||||li!=H;;;ﾐミ
　　　　　　　　{　 く；ｧｿ　 '';;,;'' ﾞ};;彡ﾐ
　　　　　　　　 ﾞi　[`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ　 　＿,,＿＿
　　　　　　　 　 ﾞi　}~~　｝ ';;:;li,　ﾞiミミミ=三＝-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''}￣~フハ,“二ﾞ´ ,;／;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
　;;;;;;;;''''/_　 / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
'''''　　,r'~ `V　ヽニニニ二､-'{ 十　）＿＿;;;;/



┌──────────────────────────────────────────┐
│　僕は散々に斬りつけられて、命からがら逃げ出したお。怖くて怖くて、一日中走り続けたお。　　　　　.│
│後ろを振り返って、山賊が追って来ていないのを確認したら、そのまま意識がなくなったんだお。　　......│
└──────────────────────────────────────────┘

┌──────────────────────────────────────────┐
│　目が覚めたら、知らない部屋にいたお。そして、知らない人が、僕を看病してくれてたんだお。　　 　 .│
│あのぬくもりは一生忘れられないお。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...│
└──────────────────────────────────────────┘



　　　　／　　 /　 /‐-、i　　　ヽ、ヽヽヽ、ヽ　ヽ、ヽ、　　　　　l　　 ヽ、
　　　/　　　 /　 /　/-.._ヽ、ヽ、ヽ、ヽ、＼＼　 ＼ ヽ、　　　　 l.._　　ヽ、
　　/　　　 /　　/　 i iﾐ、ヽヽ、ヽ　ヽ、,＼ ....--＼ ＼ヽ 　　 　　l　｀'- ..ヽ_
　/　　　　 i　　/　i l、lミ丶i./ヽヽ _.-‐''"´＼＼＼＼ヽ.l　　　　　l　　　　　｀''- ..._
. /　/l　l l l　l　l　 ll l l l-''"´　 ‐'´ ＼、＼.z=''=＝=..ミ._l　　　l l　l　　　　　　　　　｀''-　.._
./　l l　 l l l　l　 l　ll l lヽ _...　　　　　　｀''-ll　l○　　 ヽ,ll.l 　　.l l　.l　 _　　 ._　 ヽ:......ヽ:::......｀..'-.._
,'　 l l　 l l l　l　 l　 l l _.'´ヽヽ　　 　　　　　　 ヽ.........::l::l　 l　　 l l　.l　 ＼...ヽヽ::::::＼:::::::::::::::::::::::::::｀:'-.._
l　 l　l　 l l ヽl　　l　l./ l　..z=＝、 　 　 　 　 　 ヽ:_:_:_./　 l　　l l l　l　ﾐ:::::＼::::::::＼::::＼..:::_..i‐--‐- ::ヽ-｀-
l　 l　l　 l l .ヽヽ　l ./ヽ l:l"l○ ｀ヽ,　　　　　　　　　　　　　 l　 l　l l　lz-i｀''-.',- i._￣｀　｀｀　｀"　　＿、-z''´
ll　 l　l　 l l　ヽ、、ヽ,ヽ,l::l ヽ...........ヽ　　　　　　　　 　 　 　 l　 l　l l　l l l l　l　 ｀'、｀''z"-.._　i--｀‐-i　｀
l l　 l l l　 l l　ヽ、、ヽ、ヽ'' ＼:::::::_/　　　　　　　　　　　 　 l　　l　l l　l l l l ヽヽ　ヽ、　.＼ ｀''
.l l　 l　lヽ ヽ、ヽヽ、ヽ、 .ヽ　 ｀"´　　　　 '　_...、 　 　　　/.l 　 l　l:l　l l l l l　ヽ、　ヽ、　 ＼
. l l　 l　lヽ　ヽ、ヽ、ヽ、＼..ヽ、　　　　　　　｀''´_.. -――''".l　　l　l:l　lz-ヽ_ヽ...ヽ、　ヽ、　 ヽ,
　l.lヽ, ヽ lヽ　 ヽ、＼/　　　l　ヽ、　　　　_..-'"´　　　 __ ..-‐l　　l　l l　l__..--''"_｀_'_zヽ　ヽ、　l
　 '　ヽ、ヽlヽ、　＼　　　i　 ヽ,ヽヽ- ...__/　 _.......i i "´　｀''　 l　　l　l l　l_.. -''"´　　　￣ ｀"'' ‐-- ..._
　　　　ヽ、ヽヽ、 /　　　l::l/l .lヽヽ、ヽ.// i´　　　｀　 _.. -‐、i l　 _.l -―i　　　　　　　　 　__...................｀ﾆ=.._
　　　　　＼ ＼＼　　i i_l:::::::i、 ヽ ＼///"'　 _..-‐'i l　　　　 l-'_..-''"￣ l　　　　　　　 /´/　　　 .-======
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　 □

　 　　 　　＿＿＿_
　 　　　／　　 　 　＼
　　　／　 _ノ 　ヽ､_　 ＼　　　　　　　　阿曽媛……僕は、本当に君に感謝しているお
　 ／ oﾟ(（●）) (（●）)ﾟo ＼
　 |　　　　 （__人__）　　　　 |
　 ＼　　 　 ｀ ⌒´　　 　 ／



　 　 　　　＿＿＿_
　 　　　／　　 　 　＼
　　　／　 _ノ 　ヽ､_　 ＼　　　　　　　君は僕に、家族のぬくもりをくれたお
　 ／ 　oﾟ⌒　　　⌒ﾟo　 ＼　　　　　　この国にいる間、本当に楽しかったお
　 |　　　　 （__人__）　　　　|
　 ＼　　 　 ｀ ⌒´ 　 　 ／

.　　　　　　　　 ／:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:ｰ: ―‐:-､
　　　　　　　／:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:＼
.　　　　　　/:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　: ＼
.　　　　　 /:　: /:　:　:　:　:　:　:　:|:　: ｌ　:　:　:　:　:　ヽ:　:　ヽ
　　　　　 |:　:/:　:　:　:　:　: |:　: |: | Vﾊ: ｌ:　:|:　:　:　:　:ｌ:　:　: ｌ　　　　　　私も、温羅さんとの毎日が楽しかったです
　　　　　 ｌ:　:|:ｌ:　:　:　:ｌ:　ｌ: |:　: |: |＾　 |:ﾊ:　|:　:　|: :ｌ　:|:　: ﾊ:|
　　　　　/:　:|:ｌ　ｌ:. :┼|- |-|-‐:ﾅ::|　 ｀'ﾄ､,l _|__:　:|　|:　|:.　::| ||
　　　　 /:　/|:|:. |::.. .| |: :ム=ﾐ/ |/　　ｧ|__｣: ﾊ:　/:.:. |: :|:.:.. :| |ｌ
　　　　/:.:./:.|∧:|:.:.:.| ﾚ’cｒ=ﾐ ∨　　 ｒ,.=ﾐﾍ. |:/:|:.:.:/:/|ﾊ:::/ |
　　　/:.:.:.:.:.::/　Vﾍ:.|〈　{ {:..ｊ } 　 　 　ﾄ{...ｊ｝.〉|:.: |.://./　ﾚ'
　　 ｛:.:/:.:.:.:/　 |:...:.:| 　｣ｒこﾂ　　　　 {にｿ　 ﾊ:.:|/
　　　V:.:.:.:./ｖｒｖ|ﾊ:.:.ﾊ　:::::::::: 　 　ｆ 　:::::::.　/:.:ｲ |
　　　 V:.:/: : : : :|ハ:.:.ﾄ､.　　　　　__　　　／＼::| |ﾍ,
　　　__V: : : : : :へ.ﾍ:.|　＼　　　´　 ,.　'´ 　 　）| |ｖﾍ,
　 ／イﾚｖｒく　＼＼ V＼　 ｀　‐-イヽ.　　　／:.:| |ｗｖ〉
. /　　　　　　＼. ＼ヽ＿　ヽ、　　｣＿＞‐' /:.:.:.| |
/　　　　　ヽ.　　＼ }_　　｀ヽ、￣　　　　／|:.:.:.::| |＼
　　　　　　ハ　　　＼´￣ヽ　 ｀　ｖ'´￣　 /|ﾆﾆ|ﾆ| ハ

　二人は夜を通して喋りつくした。嬉しかった思い出、怖かった話。
満月が、二人を見守るようにして夜空に輝いていた。

　　　　 　　・　　　　 .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,　;,::;
　　　;:;;:　, .,.,　　　　　　　　　　　　　　　　 .,. ;:;:。 ,.:;,;,:,　　*:,; ;.,;,::;;。,... ..　;:
;:;;:　, .,., .,. ;:;:　　　:. :.　 .: :　 -‐-　 :. .:.::. .:.: :. .:.:　 ,.:;,;,:,★:,; ;.,;,:: .,...
　　　　;:;;:　, .,., *.,　. : ,r'´.　　 　 ｀ヽ: .. : :. .:.::. .:. . . ;:;: ,.: 　;,;
　 　　　　　 ＋　　.: ..: :'　..:.　　　　 　ﾞ; ::: :. :. .:.:. .::;:;;:　, .,., .,. ;:　;　　,;,:,:,; ;.,;,::;;,... ..　;:
　　　　　　　　　　: :.　::..　　　　　　 .: :. .:.::. 　:. . :.　;:;;:　, .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:,　　*
;:;;:　, .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,..: ..: :ヽ　::::...　.....　,.': :... 　:. :. . :.::,; +;.,;,:: .,... ..　;:
　　　　;:;;:　, .,., *.,::.. :..:. :` ｰ- ‐ ''"... . 　　.:::　　　　. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;*　,::;;,... ..　;:
　 　　　　　　　　　:: . ::. ::::. 　　::..　　　::..　　　;:;;:　, .,., .,. ;:;:
　　;:;;:　, .,., .,. ;:;: ,.:;,;＋　　,:,:,; ;.,;,::;;,... ..　;:
　　　　　　　　;:;;:　, .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;,::;;,... ..　;:　 　,.,.,

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　翌日、温羅は広場に連行された。広場には既に人だかりが出来ていて、大和兵が厳重な警備を張っている。



　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　 ／　 　 　 　 ＼
.　　　　 　　　　 |　 　　　　　　　|　　　　　　　さて、温羅よ
.　　　　　 　　　 |　　　 　 　 　 │　　　　　　　覚悟はいいな
　　　　　　　　　 |　　　 　 　 　 |
.　　　　　　 　　　|　　　　 　 　 |
.　　　　　　　 　　ヽ　　　　　　/
　　　　　　　　　　 ヽ　 　　　/　._,_　＿ _
　　　　　　　　　　　.> 　　　<　/　ｿ.　 　｀ﾞヽ
　　　　　　　　　　　|. 　 　 　｀ヽ /　　　　　 Y
　　　　　　　　　　　|　　　　 |ヽノ　　　　　　 ﾊ

　 　 　　　＿＿＿_
　 　　　／⌒　　⌒＼
　　　／（ ―） 　（―）＼　　　　　　いいからさっさとやってくれお
　 ／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼　　　　　それとも、怖くて刀を抜けないのかお？
　 |　　　　　　　　　　　　　|
　 ＼ 　　 　 　　 　 　 　／



　　　　　　　　　　　 　 　 ,ｨ7
　　　　　　　　 　 　 　 ／,/
　　　　　　　　　　　　/　/
　　　　　 　 　 　 　 /　/
.　　　　 　 　 　 　 /　/
　　　　　 　 　 　 /　/
　　　　 　 　 　 ／￣￣＼　　　　　　　　　　　よろしい
　 　 　 　 　 ／＼　 ／　 ＼
.　　 　 　 　 | （●）（●） 　│　　　　　　　　　ではこれより、吉備王温羅の処刑を執行する
. 　 　 　 　 /| （__人__）　　 .|
　 　 　 　 / ,|　｀ ⌒´ 　 　 |
.　　　　ィ´ /''ヽ　　　　　　ﾉ
　　　(⌒) ｲi一‐ヽ、　　　/
　　　　7 .K.`ｰ--→―― ）
　　　　ヽ/ ヾ--‐―‐　　/
.　　　　　 　/　　 　　　/
　　　　　　/　　　　　 /

　　　　　　　 　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　 　 　＼
　　　　　　 　／　　─　 　 ─＼　　　　　　　　ちゃんと狙って首を落として欲しいお
　　　　　　／　 　 （●） 　（●） ＼　　　　　　　一撃で楽に逝きたいお
　　　　　　|　　　　　（__人__）　　　|
　　　 　　 ＼　　 　　｀ ⌒´　　 ,／
　　　　　　ノ　　　　　　ー‐　　　＼



　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /ノ　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　　　（ ●）　　 　 　 |　,r-､__　　____,r‐''7´7　　　そこは安心して欲しいだろ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （（___）　　　　　　|┬ﾌ　　 i￣`''´r--っ二>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　___,,,,..,..---‐‐‐‐''''　ヽ 　 　 　 　 　 |┴<　 　r-ﾆ'''''/ f'''´ /
　　　　　　　　　　　　___,,,,....--‐‐‐'''''''￣__,,,,,...--‐‐‐''''''''￣´´ { 　 　　 　 　 |__　　lﾆ;l_,f-､~`ヾ　／　　　……行くぞ！
　　　　 __,,,..--‐‐''￣_,,..--‐‐‐'''''''''' ￣　　　　　　　　　　　　 　 >　　　　　　'"　 ｀￣　　　　　/´
　-‐''￣,...-‐''''''' ￣　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,,/'"~´/　　　　　　　　　　　　　　 ／
　''' ￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　 　 /　　　　　　　　　　 , -‐　~´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 〈　　　l　　　 　 　 　 r~´

　　　　　ノ::::::::::::::::::::::::::,ｲ:::::::::::::::::::::|ノ!／ /ｲ::≠-､　i/ 　 　 l::L_|::::::::l:::::::::::|:::::::::::|:::::
　　　／::::::::::::::::::::::::::／/::::::::::::::::::::::|　 ,z=ﾃ示乏ミ　/　　　　l/　|::::::/::::::::::::|:::::::::::|:::::
.　／:::::::::::::::::::::::::::／　l:::::*:::::::＊:::::|　〈　|ﾊ::::::.:7l 　 　 　 　 /__ 」:::/!:::::::::::::|:::::::::::|:::::
./:::::::::::::::::::::::::::／　.* |::::::::::O::::::::::::|　 　こ)二´ﾉ 　 　 　 　 ﾃ示７//,ｲ::::::::/:::::::::∧::::
':::::::::::::::::::::o／ヽ-'7__ |:::::::::::::::::::::::::|◯　　　　 　 　 　 　 　 |ﾊ:::ﾉ　|' /::::／!::::::::/　|::::
::::::::::::::::::／: : : : : : : :_,|::::::::::::::::::::::::|　　　 　 　 　 　 　 　 ヽ `こ)　ｌヾ／　 |::::::/　 |:::::　　　　　いやぁああああああああ！
::::::::::::／_,､, -－' ￣　 |:::::::::::::::::::::::|　　　　　 　 　 　 __　　　　　　 |o:ヾ ､ /／　 /::::::
!::::∠ ﾆ,＿,､＿,___,　-‐|::::::::::::::::::::::|　　　　　　 　 ／-､ ｀７　 　 　 !:::::::l ﾍ 。　 /／
ヽ:::::::::::::::::::::::::::::「ヽ　＼!::::::::::::::::::::|　　　　　　　/　　　ヽ/　 　 　,ｲ::::*:|: :ヽ　　　　　　　　　　　温羅さん！　温羅さん！
　＼:::::::::::::::::::::::::〉ヽ＼　|::::::::::::::::::ﾄ､　　　 　 　 l　　　　ﾉ　　　,イ/::::::::::| : : ヽ
.　　 ＼:::::::r－<ヽ　ﾍ,､ヽ!:::::::::::::::::|　 丶､　　 　 ｀ー-‐'　　 ／　ﾚ!::::::::::ﾉ､: : : ＼
- －―｀－'‐､　＼ヽ ,､ヽ|::::::::::::::::ﾄ､　 　 `　､_　　　 　 , ＜｀ヽ　ﾉ＿ノ-､ 二_ｰ- ヽ
　　　　　　　　ヽ　 ヽ´ ヽ!::::::::::::::::!　｀丶､_　　/｀ ｰ-‐':::::::::ヽ 　|　　　　　　　 ￣￣
　　　　　　　　　ヽ　 ヽ ﾉ-－-､::/｀丶､_ 　 ｀ 'ー- ､_::::::::::::::::| 　|
　　　､　　　 　 　 ヽ　∨-‐-､　ﾄ-'⌒ヽ ｀ ー- ､_　　 ｀ｰ- ､_」_,ﾉ
　　　 ヽ　　 　 　 　 ∨:.:.:.:.:.:.∨-､_　　 ｀ ー-‐､ ｀ ー-- ､__／ ヽ
　 　 　 ヽ　　　　 　 /:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.｀:.ｰ- ､_　　 ｀7ー'7´/　　　　ヽ
　　　　　ヽ　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:/ ＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ／:.:.／　/　　 i　　　l
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　　　　　|三三ﾆ￣￣｀ﾞﾞﾞ'''''''ｰ‐'-一''''''""´´￣￣ﾌ三三ヽ
　　　 　 |ﾐ三三､、　 ｨ三ヲ 　 :　　 (三ﾆ;　　　 ノ三彡彡ﾍ
　　　　　|ミミﾐﾂ″　　　 　 　 .:　 .　　　　　　　 ﾞヾ彡彡彡l
　　　　　rミﾐｿ　　,.　＿,,-‐　､ __ :, -‐‐_,,,..,_ ､　　　ヾ彡彡l,_　　　　　　　　　これ、暴れるでない！
.　　　　 { ミﾐ 　　.,ｨ"で;)ヽ､　)　 (:　,ｨ"で;)`ゝ.　　　 彡彡r､i　
　　　 　 ! lﾐﾐ 　 :: . ｀￣"´＾　: 　ｌ::.､ ｀..￣"´. :: 　 　 彡'ﾘi　i}
　　　　　',ヾﾐ,　 　 　 　 　 　 :　 l:::.　 　　　　　　　 ..彡ﾂ ）/　　　　　　　　　誰ぞ、この女を取り押さえろ！
　　　　　 i ､ﾐ ::..　　　　　, .　:　　: ヽ.　　　　　　　.::::彡i.ノ/
　　　　　 !､_ﾐ: :::.. 　 　 /ヽ =､__,.ｨ= ﾉ::.　　　　　..::::::彡i　ﾉ
　　　　　　　ﾐ : : ::..　 /　　 　 : :　　　　ヽ.　　..::: : : :彡‐´
　　　　　　　ヾ,: : : : :.　　,ｨﾆﾆ=ﾆﾆ=､_　　',　. : :: : :〃ゞ
　　　　　　　　ヽ: : : : :. /､^'＾＾T＾＾｀`ｰ､　 i : :; : ://、
　　　　　　　 　 ヽ: : : : | ﾄ､_ 　.!　 _,,ｨiｦ′,': :,' : /ﾄ:||ヽ､
　　　　　　　　　 ヽ: : :　ヾTｴｪｪｪｴｴﾝ′ ,' :/: /　〉′i::＼
　　　　　　　　　　 ゝ: :　 ｀ｰ-----‐´　ノ　/:/ 　/　 /::::::::ヽ-､
　　　　　　　　 ｨ‐':| |.＼　　　　　　　　　 ／´　/　／:::::::::::::::ヽヽ、
　　　　　　 ／　/:::| |　 ｀ ､,,＿＿＿,,..／　　／ ／::::::::::::::::::::ﾉ 　ﾄ、
　 ,. -‐''"´/　 /:::::ヽヽ　　　　　　　　　　 ／ ／::::::::::::::::::::／　　ﾉ　｀ｰ､
　　　　　　　　　　　　　大和国　犬飼健

　　　　　　　 　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　 　 　＼
　　　　　　 　／　　─　 　 ─＼　　　　　　　阿曽媛……
　　　　　　／　 　 （●） 　（●） ＼　　　　　　そんな顔を、しないでくれお
　　　　　　|　　　　　（__人__）　　　|
　　　 　　 ＼　　 　　｀ ⌒´　　 ,／　　　　　　笑って僕のことを見送って欲しいお
　　　　　　ノ　　　　　　ー‐　　　＼





　　　　 　 　＿＿__
　 　 　 　／　　　　＼
.　　 　／　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　　　　出会いがあるから、別れもあるんだお
.　　／　　　 ―　　 ー　 ＼　　　　　　　　　
　　|　　　　（●） 　（●） 　|　　　　　　　　　阿曽媛が泣いていたら、僕は気になって、死んでも死にきれないお
.　　＼　　　　（__人__）　 ／　　　　　　　　　だから、笑ってくれお
.　　　ノ　　　　｀ ⌒´ 　 ＼
　／´　 　　　　　　　　　 　ヽ

.　　　　　　　　 ／:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:ｰ: ―‐:-､
　　　　　　　／:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:＼
.　　　　　　/:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　: ＼
.　　　　　 /:　: /:　:　:　:　:　:　:　:|:　: ｌ　:　:　:　:　:　ヽ:　:　ヽ
　　　　　 |:　:/:　:　:　:　:　: |:　: |: | Vﾊ: ｌ:　:|:　:　:　:　:ｌ:　:　: ｌ
　　　　　 ｌ:　:|:ｌ:　:　:　:ｌ:　ｌ: |:　: |: |＾　 |:ﾊ:　|:　:　|: :ｌ　:|:　: ﾊ:|　　　　　　温羅さん……
　　　　　/:　:|:ｌ　ｌ:. :┼|- |-|-‐:ﾅ::|　 ｀'ﾄ､,l _|__:　:|　|:　|:.　::| ||
　　　　 /:　/|:|:. |::.. .| |: :ム=ﾐ/ |/　　ｧ|__｣: ﾊ:　/:.:. |: :|:.:.. :| |ｌ
　　　　/:.:./:.|∧:|:.:.:.| ﾚ’cｒ=ﾐ ∨　　 ｒ,.=ﾐﾍ. |:/:|:.:.:/:/|ﾊ:::/ |
　　　/:.:.:.:.:.::/　Vﾍ:.|〈　{ {:..ｊ } 　 　 　ﾄ{...ｊ｝.〉|:.: |.://./　ﾚ'
　　 ｛:.:/:.:.:.:/　 |:...:.:| 　｣ｒこﾂ　　　　 {にｿ　 ﾊ:.:|/
　　　V:.:.:.:./ｖｒｖ|ﾊ:.:.ﾊ　:::::::::: 　 　ｆ 　:::::::.　/:.:ｲ |
　　　 V:.:/: : : : :|ハ:.:.ﾄ､.　　　　　__　　　／＼::| |ﾍ,
　　　__V: : : : : :へ.ﾍ:.|　＼　　　´　 ,.　'´ 　 　）| |ｖﾍ,
　 ／イﾚｖｒく　＼＼ V＼　 ｀　‐-イヽ.　　　／:.:| |ｗｖ〉
. /　　　　　　＼. ＼ヽ＿　ヽ、　　｣＿＞‐' /:.:.:.| |
/　　　　　ヽ.　　＼ }_　　｀ヽ、￣　　　　／|:.:.:.::| |＼
　　　　　　ハ　　　＼´￣ヽ　 ｀　ｖ'´￣　 /|ﾆﾆ|ﾆ| ハ

　阿曽媛は、涙でくしゃくしゃになった顔で、無理やり笑顔を作ってみせた。

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　　　 　 ゝV V_rーv ―-､ 　＼ __ .. -r＜__j.V　ヽl:／
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　温羅は、それを見て、小さく首を縦に振る。涙が溢れそうになったが、それを見せまいと、温羅は顔を下に向けた。

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　　　　　 　／::::::::::　　　　　＼　　　　　　　行ってくるお！
　　 　　 ／:::::::::: 　　　　　　　 ＼　　　　　　生まれ変わったら、また君と……
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　 ；/::::::::::::::　　　　　　 　　　＼　ヽ；

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│　おしゃべりしたり、夜空を見たり……　　.....│
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　　　　　　　　　　 !.│　楽しかった生活を、もう一度……　│　　　　　　　　　　 　 ＼
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御視聴ありがとうございました。
次回、最終回（予定）　　[鳴釜伝説]

乙です
結末がわかっていてもやるせないな…

乙でした
次でラストか…

乙
一国の主にまでのぼりつめたのだから、高貴な生まれかと思ってたけど、普通の幸せな少年だったのか
渡来人のスペックは高いんだな

乙した。悲しい話やのう。