206 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:03:21 ID:vyVTvyW.
第2章 世界の姓 - ロシア編 Ⅲ -
207 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:03:50 ID:vyVTvyW.
/ \
/ ヘ \ ヽ
/ /{ i ヽ ヽ
〃 / / / ハ i ! ', ',
j/ / / /{ ′' i } i } i
/ ,′ ' / / ii ', 八 i 亅 i
. / l ! / ii './ ハ __| i /ハ !
{ハ ! _j. { r 7"" i /ヽ 「 | iフヽ | ハ、 ・・・・・・さて、それじゃあ、
/ { ´ { ハ|_,厶ニ ニ=从L.、 | } リ ` 始めていきましょう。
'、 { 从レ'"f'´:::::j}` ´{レ:::`}ヾ>| j八/
八 l ヘ, ` 弋:::(_ノ ‘.::(_ノ ″j/ .
. / \l\\ `゛´ ,′ ',
// ヘ '"" ' '"" / ,ハ
{ハ { 人 人 / ∧ }
{ ヽ八 | 丶、 ´ ,. イ } /j/ ノ
\ ト、\ |` . __,. ィ | ノレ j/__
「`⌒)ーヘ|_厂冂 |勹__,ノ⌒:く::.:」、
j/ )::.::.::ヽ::.::.ヘく 〉::}::.::.::.::.::. i└ァヽ
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ えーっと、前回は、確かノルマン人が、
| (__人__) | スラヴ化したと言う所だったおね。
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ / <メモメモ
208 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:04:35 ID:vyVTvyW.
. ´  ̄ ̄ =ミ
,,´ `ヽ、
. , ヽ
/ / / } ‘,
. , ′ / ∧ ,′
/ / / | /|i | ∨ i
ノイ i ハ 斗/-|{ | /ヽト、_ | i | i
|{ | ′Ⅵ′八{ \ヽメ、 | ト、
. 八 | | y'fチ斧 ヽ x=ュ、 | |{,ノ \
/ \ト、{ 《弋うノ "{じ::ハ》|{i 八 そうでしたね。
. ′ ` ハ ゞ ' 八 , ' ‘,
. i{ ! ` ' 厶イ i さて、この「イーゴリ」の息子が、
八 | ヽ _ イ | i| 付けられた『Святослав』「スヴャトスラーフ」
\{ヽト、 i> イ }/i , i{ 八 という名前ですが、前回言った様に
ヽ )ノ /\≧≦i){ノ}/ }ノ}/ )′ スラヴ系の名前であるとされています。
/ | | | | /)
__,, fi´ ノ | | ` // _ /)
/ || /イ:T:rへ / `こ7 _ 厶}//
. ′ ヾ/ f⌒Y/ ヽ{ ,へ ヽ∨
i !::/ /ソくノ) , ′
| /7≧x.、 /\ .イ7く /r‐' /
| {: /三三ニ/ `くミ三三{ ′ /
| Vニニニ/ \ 〉三三}___{_
| `寸i/ ヽ /三「 |
. ´ ´ ̄ ` . `ヽ、
/ \ ヽ
/ 、 ヽ
. / ‘. 、 \‘,
/ i | !| ! j{ i ヽ
. .′ i !| ト、 ヽリ _ト、_ハ ! ト ゝ この『Святослав』「スヴャトスラーフ」という名前は、
|八{ ∨´ヽ{ }/ Ⅵ :!| ‘, 『Свят-』(神聖な)と『-слава』(誉れ)という
i ヽ,斗‐ ヽ/ \ 〃斧ミx. | 八 二つの要素から成り立っている名前で
|{ i i イⅥxュ、′ 弋うソ , / i (神聖なる誉れ)を意味する名前だとされています。
. 八ト、 | | 《 Vじj 厶イ |{
\ト、{ ヽ゛ゞ゚' , 八 八 この『слава』の要素を持った名前は、
i ヽ ハ , イ ` / / 基本的にスラヴ系の名前である事が多く、例えば、
| ヽ ` / |_ |i / )ノ 『Влад-』(支配する)と『-слава』(誉れ)から成る
|{ ≧ ‐ r ´ ,, ´ レ'}/ 『Владислав』「ウラディースラーフ」
. 八ト、 iハ ト、ハトr< { ′ (誉れある支配者)等の名前が存在しています。
` \{ }ノ_,ノ !i ノ ` _
, rf ´ ノ{ / \ しかし、これらのスラヴ語由来の名前も
′:|i| .イ`:く{ _____/ ハ 一部例外を除いて使用されなくなってしまいます。
i {iレ' 廴:/ ∨///,/ / i
. У /::::/ `寸/ / i|
209 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:04:53 ID:vyVTvyW.
____
/ ― \
/ (● ) ヘ\ ふむ、どうしてだお?
| (⌒ (● ) |
ヘ  ̄`、__) |
ヽ |
, へ、 _/
| ^ヽ
| 1 | <メモメモ
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ `⌒
| ( ●)(●)
.| (___人__) おい、おい、忘れたのか?
| ノ
| |_,-‐、 / ⌒) さっきも言っただろう。
.人、 厂丶,丶,丶´ / ̄
_,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ ノルマン人の名前が少なくなったのは、
_, 、 -― ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、 スラヴ人の同化もあるが、
/::::::::::':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ::::::: ) もう一つ原因があるって。
丿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',:::::|
i .:::::::::::::::::::::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 〈 ::::::::::::::... ',::.
/ ..::::::::::::::::::::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\:::::::::::::::;;;ハ ::::::::::::::::::.. ',
210 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:05:09 ID:vyVTvyW.
/ ̄ ̄ ̄\
/ \ えーっと、確か
/ ─ ─ ヽ キリスト教の布教だったかお?
| (●) (●) |
\ ∩(__人/777/
/ (丶_//// \ <ペラッペラッ
_ -‐──‐ -- 、
-─- -─-、 ` 、
. /´ \ `
. / 、 ヽ ヽ ええ、そうです。
/ / | l | 、 ヽ ハ
/ / / /| l,イ |l ヽ ハ ' 先程言った様にキリスト教の布教によって
// { /! |ハ! /,ハ ! i | 、ヽ 異教的なノルマン系やスラヴ系の名前は、
i| l l 从ノ | l ソ/!ヽjノjハ } ヽ\ ! 駆逐されてしまいました。
l| ! |/ィ芹ミjノ /イノ ィ≠ミハノ | トヽ l
j人 l ハ`弋ソ ノ ト以}ヽl ! | ヽ、 ロシアにおいて布教したギリシア正教会は、
ヽト、 |:: 弋ソノ ! / ハ ! | キリスト教に関係ある聖書名や人物名以外の
/ ` i ` / ノイ jノ i ハ 名前を名づける事を制限していました。
. /イ .ゝ 、 , ムイ ! l
,/ ! i: \ ,.. // ./ ト ! その為、聖人として列せられた人物名以外の
. j八i /l { `ァ =r≦ ,.-'ト! / ハ | } スラヴ起源の名前やノルマン起源の名前は、
ヽノ j八/{ノ「T7'´ |ハ /i / jノjノ 廃れてしまったのだとされています。
,.-─ァr‐‐'´ !l | __ j.八ノ'`‐jノ、
イ i ! /ヽ <___〃 /⌒ヽ
211 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:05:24 ID:vyVTvyW.
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ´ ⌒ ちなみにロシアは、ギリシア正教の国である為、
. | ( ●) (●) カトリックの西欧に比べ、ラテン語起源の名前(洗礼名)は、
| (___人__) それ程メジャーな名前ではなく、
.| ノ ギリシア系の名前(洗礼名)が、メジャーなんだ。
j |
..ノヽ、 , ノ _
,. ー、一一´:::::::::::::≧ーー"7 i' Y
. / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.`-、 i l _
/ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. >-、 | lフ ト、
.::::::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ i/ ,.イ 丿
:::::::::::::::::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. v:: l / i'r ´,.ィ
:::::::::::::::::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::: l j 丿r´,.ィ
:::::)::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::: 八 `チ
/ ̄ ̄\
/ ヽ_ .\
( ●)( ●) | また、宗派の違いによって
(__人__) | 祀られている聖人にも差異があるし、
l` ⌒´ | よく信仰される聖人にも違いがあり、
{ | これが、名前にも影響を与えていたりする。
{ /
_. -: ´Λ _.へ` 、 この辺りは、北欧編でも触れたな。
r<: : : : /:|: :、  ̄r' \ :\_
/: : :l : : : : : :\`IエL>、 >ヘ::Λ
|: : : ト、: : : : : : : : : : : : : `ー/ : : V |
〈: : : :::: _ -¬--―-、: : く:r 、: : : V }
/: : :_ン´: : : : \ ,___, ィ ): : :`く : : : ヘ|
212 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:05:47 ID:vyVTvyW.
,.-‐ ‐=ミ
,, , -‐ ‐`ヽ、
〃 / i ヽ
. / 〃 / | i | ‘,
′ ′ / / | |ノ i: :.
. / / i 厶-‐/ ハハ i、-|:: }i
, / イ .:| /j/}/ / ∧ヽト、!:: 八
,〃´.: |:.. |' yfチ斧 斧Y|::i /i{
/ .:::::/|:i: | ゛弋::リ ヒリ' |ノ' j八
, i: :::/{从ト、:.{ , ,i i/
{ ,ハ:. ヽ __` , 八| ・・・・・・さて、
レ ヽト、 ヽ |: 丶 ` / }| | 「スヴャトスラーフ」の死後、公国は、混乱期を迎えます。
\ {ヾー- ≧=‐- く{/'j八{
ソ | i ト、 彼には、3人の子供が居ましたが、
, イ | i | ヽ、 彼らは、公の地位を巡り、争いを起こしてしまったのです。
r< `ヽ、 jY^ヽ__.イ`ヽ
| `ヽ、 \ / ヽ={ `寸.: i その混乱を沈めたのが、「スヴャトスラーフ」の三男、
| :. ∨ V∧ :i | 『Владимир』「ウラディミール」でした。
| i _ i/∧ xヘ |
:. :. /,心、|//∧ミ心.
213 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:06:06 ID:vyVTvyW.
,,,..........,, ウラディミール1世
,,r'':.:.:.:.:,;.;.;ミミ>ェ.、 Владимир Святославич
,r';r'- '' ゙" ヾ:.:ヽ,
. ,i!'゙ | !:.:.:.:i 聖公ウラディミールとも呼ばれる
i! | !:.:.:.:i 10~11世紀頃のキエフ・ルーシ時代の人物。
{l / ミ:.:.:rヽ
. !! ______ ________ヽ ゙!斤ヽ} 諸部族の連合体だったキエフ公国を
゙!` =・=`i .i" =・= /ヒノ/ 宗教的に統一する為に
i.  ̄ | |  ̄ ,r' トー' ギリシア正教を導入する。
ト.、ノ r つー、__,ィ |
'、 、`''''" ___,. / / | また、その結果、ギリシア正教の後見人でもあった
ヽ  ̄ ̄_,, / / /ヽ、 ビザンツ帝国皇帝の妹と結婚する事となり、
`.、________// / |`ヽ、 キエフ公国の権威を上昇させ、
/|丶、ヽ / |::::::ヽ---- 折からの領土拡張も相まって
/::::::| >< /::::::::::::`、:::::: キエフ公国の一時代を築いた。
彼は、「スヴャトスラーフ」の三男でしたが、
兄弟の血で血を洗う権力闘争に勝利し、キエフ公の地位に就きました。
彼は、実質的には、諸部族の連合体であった
キエフ公国国内の意識を統一する為、
宗教を利用する事を企図していました。
彼は、最初は、複数部族の神を加えて祀る万神殿形式の祭祀を行う等の
スラヴやヴァリャーグの伝統的な異教信仰を基盤に統一しようとしていました。
しかし、それは、あえなく失敗してしまい、
彼は、次にキリスト教を導入して国内意識の統一を図る事としました。
214 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:06:55 ID:vyVTvyW.
. ´ ̄ ̄ ̄` 、
/ , '⌒ ´ ̄`丶
/ ヽ
/ ,
′ / / ! ‘,
. ′ ′ / | i | i i
, ノイ 厶 ‐ / 八{ ト、{‐- | ‘,
′ | i´/ | / j/ 乂 ヽ | i .
/ / }| Ⅳ Ⅳ / Ⅵ !ト ゝ
. / / j八 | x≠ミ x=ミ i 八
/ ′ { (ヽ | ハ/
. ′! j \ゞ\{ ' ′‘.
八{八ハ i ` ーr 、 ー / !| ちなみに、
\{\ i |__` イ 八 このキリスト教導入の際のエピソードとして
\ハ{ ` ≧=‐< ! , ′ この様な実にロシアっぽい逸話が、
_,ノ | | 、 )ノ}/ 残されています。
. < | | ` r __
/´\ \ ノxへ_| i .
. ′ \ \ / \:ノⅣ! ! |
i ヽ \_/ i::::く ! |
215 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:07:24 ID:vyVTvyW.
,r;;´:;;:;; ´ ヽ
/;;; ::; ': : ヽ 「行け、『Медведъ』「メドヴェージェ」(熊)よ!!
i;;;;;;;;;;: : : :i .i 我らに合致する宗教を調べるのだ!!」
i;;;;;;;;:;. : :.', i ;^,;^,;゙i... .,r';^;^;
クヾ;;;; : : : 、,,,,,,,,__ __,,,,,,,.i ;^|. |, |, |,, ,,|, |, |, |^;
ヒ tr;;;: : : : ヽ-=・= .ヾ. ;=・ti |, |, |, |, |,.} { ,| ,| ,| ,| |
ヾ t : : ヽ 、 :::; i ^´ ;} |. ( | | ) |
ヒァ: : : : ;r V i (,... `´ !. (, .`´ !
|: : : : : ; ; ` -、:´ ,/ ゙i..入 |.∩____∩ ゙i 入 | 「ハハッ―!!」
/\: : : : ; :; -ーーー- / ! ! ,r' !、| i ..i 了解しましたクマ!!」
/ \ \: : : : ;  ̄ ノ ゙i | ● ● ゙i | ..|
/ \ \: ` - --ー'\ \ミ.. (_●_ ) | ,r'
\ |∪| 、ミ_ /
゙i !、,r' /
彼は、万神殿形式の祭祀が、失敗した後、
統一する際に利用し易い新たな宗教を見つける様に家臣を方々に遣わたり、
各宗教の宣教師を呼んだりして、各宗教を調査させたとされています。
216 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:07:42 ID:vyVTvyW.
,r;;´:;;:;; ´ ヽ
/;;; ::; ': : ヽ 「・・・・・・」
i;;;;;;;;;;: : : :i .i ∩___ ∩
i;;;;;;;;:;. : :.', i / ☆ ヽ |
クヾ;;;; : : : 、,,,,,,,,__ __,,,,,,,.i | ● ● 丶 「ユダヤ教が良いクマ」
ヒ tr;;;: : : : ヽ-=・= .ヾ. ;=・ti ミ (_●_ ) |
ヾ t : : ヽ 、 :::; i ^´ ;} /´、 |∪| 、彡 「主はユダヤ教徒のみを
ヒァ: : : : ;r V i ( <`丶 ヽノ __\ 助けるクマ」
|: : : : : ; ; ` -、:´ ,/ \_) 丶 (___)
/\: : : : ; :; -ーーー- / 丶 | 「それに他の宗教と比べて
/ \ \: : : : ;  ̄ ノ / /\ | 優越する部分が沢山あるクマ」
/ \ \: ` - --ー'\ ( ( 丶 |
/ ) ∪
(_/
最初に調査結果が返ってきたのは、ユダヤ教でした。
家臣が連れて来たユダヤ教徒は、
ユダヤ教の優位性を説明し、ユダヤ教に改宗する様に説きました。
,,.;..;.;.;.;.;.;.;.;.;.;. 、
γ.;.; ;.;ヽ ∩___∩
/.;.; ;.;, 「今、お前達の国は、 ,r' u ☆ !、 |
i.;.; .;i 何処にあるのだ?」 | ● ● ゙i 「え、えっと・・・・・・」
n|.; .;| ミ (_●_ ) u |
hj.; .;fi /´、 |∪| 、ミ_
ヽi; `ョッーミ、 _ __, /' ( <`゙i !、,r' __ ゙i
, ≦| == f 至У ,/、 \_) ゙i (___)
, ≦三三三∧ / i', /三≧ - 、 ゙i |
≦ 三三三三三ミ∧ ` シ /三三三三三二≧=、 / /\ |
∧三三三三三三三 ∧ヽ - ー ,/三三三三三三三三∧ ( ( ゙i |
f三三三三三三三三ミミ∧ 、 ー ‐' イ三三三三三三三三三 | / ) ∪
|三三三三三三三三三 ∧ ≧ ≦ i|三三三三三三三三三ミ\ (_/
それを聞いたウラディミール1世は、
「それ程優秀なら素晴らしいが、今、お前達の国は何処にあるのだ?」
と言いました。
ユダヤ教徒が、答えに窮すると
ウラディミール1世は、ユダヤ教徒を退けたとされます。
217 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:08:03 ID:vyVTvyW.
,r;;´:;;:;; ´ ヽ
/;;; ::; ': : ヽ 「・・・・・・」
i;;;;;;;;;;: : : :i .i ∩___ ∩
i;;;;;;;;:;. : :.', i / ヽ |
クヾ;;;; : : : 、,,,,,,,,__ __,,,,,,,.i | ● ● 丶 「イスラム教は、
ヒ tr;;;: : : : ヽ-=・= .ヾ. ;=・ti ミ (_●_ ) | こんな宗教だったクマ」
ヾ t : : ヽ 、 :::; i ^´ ;} /´、 |∪| 、彡
ヒァ: : : : ;r V i ( <`丶 ヽノ __\
|: : : : : ; ; ` -、:´ ,/ \_) 丶 (___)
/\: : : : ; :; -ーーー- / 丶 |
/ \ \: : : : ;  ̄ ノ / /\ |
/ \ \: ` - --ー'\ ( ( 丶 |
/ ) ∪
(_/
次に調査結果が返ってきたのは、イスラーム教でした。
イスラーム教について家臣からの報告を聞き終わると
ウラジミールは、口を開きました。
,,.;..;.;.;.;.;.;.;.;.;.;. 、
γ.;.; ;.;ヽ 「イスラーム教は、 ∩___∩
/.;.; ;.;, 我々にとって ,r' !、 |
i.;.; .;i 相応しいとは言えない」 | > < ゙i 「賛成クマ!!
n|.; .;| ミ (_●_ ) ゙i゙i゙i゙i | 飲めなくなるなんて
hj.; .;fi (, l⌒l 、ミ 悪夢だクマ」
ヽi; `ョッーミ、 _ __, /' ,r'/ / __ ゙i
, ≦| == f 至У ,/、 (__/ (___)
, ≦三三三∧ / i', /三≧ - 、 ゙i |O
, ≦ 三三三三三ミ∧ ` シ /三三三三三二≧=、 / /\ |
∧三三三三三三三 ∧ヽ - ー ,/三三三三三三三三∧ ( ( ゙i |
f三三三三三三三三ミミ∧ 、 ー ‐' イ三三三三三三三三三 | / ) ∪
|三三三三三三三三三 ∧ ≧ ≦ i|三三三三三三三三三ミ\ (_,,/
「イスラーム教が、飲酒を禁じているのならば、我々には相応しくない。
我々から飲酒の楽しみを奪われたら、生きる意味を奪われる様なものだ」
と言い放ち、イスラム教を退けたとされます。
218 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:08:24 ID:vyVTvyW.
,r;;´:;;:;; ´ ヽ
/;;; ::; ': : ヽ 「・・・・・・」
i;;;;;;;;;;: : : :i .i ∩___ ∩
i;;;;;;;;:;. : :.', i / ヽ |
クヾ;;;; : : : 、,,,,,,,,__ __,,,,,,,.i | ● ● 丶 「キリスト教は
ヒ tr;;;: : : : ヽ-=・= .ヾ. ;=・ti ミ (_●_ ) | 凄かったクマ」
ヾ t : : ヽ 、 :::; i ^´ ;} /´、 |∪| 、彡
ヒァ: : : : ;r V i ( <`丶 ヽノ +__\ 「コンスタンティノープルには、
|: : : : : ; ; ` -、:´ ,/ \_) 丶 (___) 大きな聖堂があり、
/\: : : : ; :; -ーーー- / 丶 | その中で壮麗で煌びやかな
/ \ \: : : : ;  ̄ ノ / /\ | 儀式をしていたクマ」
/ \ \: ` - --ー'\ ( ( 丶 |
/ ) ∪
(_/
最後に帰ってきたのは、コンスタンティノープルに派遣され、
キリスト教を調査していた使節達でした。
彼らの口から
華やかで巨大なコンスタンティノープルでも一際大きい聖ソフィア大聖堂で行われていた
壮麗で煌びやかな宗教儀式の様子を聞いたウラディミール1世は、こう言いました。
___ ∩___ ∩
/´, ‐--‐ ヽ 「導入する」 / ヽ |
ム/. : . :| | ● ● 丶 「ぜひ、そうすべきだクマ」
{h| ==、 == lj ミ (_●_ ) |
ヾ: . ,.、_|, 、 ! /´、 |∪| 、彡
_,小、 ー=- ノ ( <`丶 ヽノ +__\
, -─…'´l:::|` 、ニ‐<ト、__ \_) 丶 (___)
/::::::::::::::::::::::l:::| <:.:.> !::l::::::::.`ヽ、 丶 |
/:::::::::::::::::::::::::>:|/.l:.:.l \|:く::::::::::::::::i / /\ |
/.:::::::::::::::::::::::::l::::| /:.:.:l /:::;!::::::::::::::::| ( ( 丶 |
./:::::::::::::::::::::::::::::l::::| /.:.:.:.:!/:::/::::::::::::::::::| / ) ∪
:::::::::::::::::::::::::::::::::l:::ヽ:.:.:.:.:/:::/:::::::::::::::::::::! (_/
「それ程の進んだ国で信じられている宗教ならば、
必ずや、この国を発展させるだろう」
と言い、キリスト教に改宗する事を決めたとされます。
219 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:08:41 ID:vyVTvyW.
____
/ \
. / \ 飲酒が出来ないから退けるって・・・・・・
. / /) ノ ' ヽ、 \ 確かにロシアっぽい逸話だお。
| / .イ '=・= =・= u|
/,'才.ミ) (__人__) /
. | ≧シ' ` ⌒´ \
/\ ヽ ヽ <メモメモ
/ ̄ ̄\
/ __,ノ `⌒
| ( ⌒) (⌒) そうだな。
.| (___人__)
| ` ⌒´ノ. 現在のロシア人の酒好きは、
| | 既にこの頃から
,. --、― --ー y:ヽ 丿 健在だったのかもな。
/ ::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::..\ __ _ r.〉
/ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... _ ィ\
//:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ヽ
ノ ..::::::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. 丶
229 小さな名無しさん@この板は300レスまで 2014/12/21(日) 20:12:44 ID:skC4Q9kg
>>219
織田信忠は妻は一人と聞いてキリスト教入信を断ったとかw
220 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:09:01 ID:vyVTvyW.
. ´ ´ ̄ ` . `ヽ、
/ \ ヽ
/ 、 ヽ
. / ‘. 、 \‘, ・・・・・・さて、この様な逸話のある
/ i | !| ! j{ i ヽ ウラディミール1世の改宗ですが、この後のロシアの
. .′ i !| ト、 ヽリ _ト、_ハ ! ト ゝ 方向性を決定づける重要な出来事となりました。
|八{ ∨´ヽ{ }/ Ⅵ :!| ‘,
i ヽ,斗‐ ヽ/ \ 〃斧ミx. | 八 キリスト教を導入した事で
|{ i i イⅥxュ、′ 弋うソ , / i ロシアは、ヨーロッパの文化圏に入る事となり、
. 八ト、 | | 《 Vじj 厶イ |{ ヨーロッパの一員と見なされる事になりました。
\ト、{ ヽ゛ゞ゚' , 八 八
i ヽ ハ , イ ` / / また、導入したキリスト教は、ギリシア正教であった為、
| ヽ ` / |_ |i / )ノ 急速にキエフ・ルーシは、ギリシャ化をしていく事となりました。
|{ ≧ ‐ r ´ ,, ´ レ'}/
. 八ト、 iハ ト、ハトr< { ′ その結果は、
` \{ }ノ_,ノ !i ノ ` _ 前述の様にギリシャ語を元としたキリル文字の普及や
, rf ´ ノ{ / \ スラヴやノルマン由来の名前の衰退
′:|i| .イ`:く{ _____/ ハ という形で現れています。
i {iレ' 廴:/ ∨///,/ / i
. У /::::/ `寸/ / i|
_ -‐──‐ -- 、
-─- -─-、 ` 、
. /´ \ `
. / 、 ヽ ヽ
/ / | l | 、 ヽ ハ
/ / / /| l,イ |l ヽ ハ ' また、ウラディミール1世は、
// { /! |ハ! /,ハ ! i | 、ヽ 国内の統一を目指すだけでなく、
i| l l 从ノ | l ソ/!ヽjノjハ } ヽ\ ! 領土の拡張にも精力的でした。
l| ! |/ィ芹ミjノ /イノ ィ≠ミハノ | トヽ l
j人 l ハ`弋ソ ノ ト以}ヽl ! | ヽ、 父である「スヴャトスラーフ」時代の領土を
ヽト、 |:: 弋ソノ ! / ハ ! | 取り戻すだけでなく、植民や開発を行い、
/ ` i ` / ノイ jノ i ハ 現在のロシア、ウクライナの基礎を築いたのです。
. /イ .ゝ 、 , ムイ ! l
,/ ! i: \ ,.. // ./ ト !
. j八i /l { `ァ =r≦ ,.-'ト! / ハ | }
ヽノ j八/{ノ「T7'´ |ハ /i / jノjノ
,.-─ァr‐‐'´ !l | __ j.八ノ'`‐jノ、
イ i ! /ヽ <___〃 /⌒ヽ
221 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:09:26 ID:vyVTvyW.
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ´ ⌒ ちなみに、
. | ( ●) (●) この『Vladimir』「ウラディミール」という名前は、
| (___人__) 古スラヴ語の『Volod-』(支配)と
.| ノ 『-meir』(平和や世界、名高い)という2つの意味で
j | 構成されていて(平和な支配者)とか(名高い支配者)
..ノヽ、 , ノ _ といった様な意味を持つ名前だ。
,. ー、一一´:::::::::::::≧ーー"7 i' Y
. / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.`-、 i l _
/ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. >-、 | lフ ト、
.::::::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ i/ ,.イ 丿
:::::::::::::::::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. v:: l / i'r ´,.ィ
:::::::::::::::::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::: l j 丿r´,.ィ
:::::)::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::: 八 `チ
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ `⌒ この『Владимир』「ウラディミール」だが、
| ( ●)(●) 北欧編で言った様に北欧とロシアの
.| (___人__) 交流の中で北欧にも齎され、
| ノ 『Valdemar』「ヴァルデマル」という名前にもなった。
| |_,-‐、 / ⌒)
.人、 厂丶,丶,丶´ / ̄ 印欧祖語という共通点もある為か、
_,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ 北欧にも『Valda-』(支配)と
_, 、 -― ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、 『-mari』(名高いや偉大な)という言葉があり、
/::::::::::':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ::::::: ) それらに類する名前として自然に定着したらしい。
丿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',:::::|
i .:::::::::::::::::::::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 〈 ::::::::::::::... ',::.
/ ..::::::::::::::::::::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\:::::::::::::::;;;ハ ::::::::::::::::::.. ',
222 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:09:50 ID:vyVTvyW.
,.-‐ ‐=ミ
,, , -‐ ‐`ヽ、
〃 / i ヽ
. / 〃 / | i | ‘,
′ ′ / / | |ノ i: :.
. / / i 厶-‐/ ハハ i、-|:: }i
, / イ .:| /j/}/ / ∧ヽト、!:: 八 ・・・・・・さて、この様に後のロシアの方向性を
,〃´.: |:.. |' yfチ斧 斧Y|::i /i{ 決定づけたウラディミール1世ですが、
/ .:::::/|:i: | ゛弋::リ ヒリ' |ノ' j八 その晩年には、領土の各地に息子達を派遣し、
, i: :::/{从ト、:.{ , ,i i/ 公としてその土地を支配させ、
{ ,ハ:. ヽ __` , 八| 自身は、大公として全体を支配する
レ ヽト、 ヽ |: 丶 ` / }| | という政策を行っていました。
\ {ヾー- ≧=‐- く{/'j八{
ソ | i ト、 父である「スヴャトスラーフ」、
, イ | i | ヽ、 そして自分の代で大きくなった領土を
r< `ヽ、 jY^ヽ__.イ`ヽ 一元的に支配する事は、難しかった為に
| `ヽ、 \ / ヽ={ `寸.: i 行われた政策でしたが、
| :. ∨ V∧ :i | それは、後々の内紛の種となってしまいました。
| i _ i/∧ xヘ |
:. :. /,心、|//∧ミ心.
. ´ ̄ ̄ ̄` 、
/ , '⌒ ´ ̄`丶
/ ヽ
/ ,
′ / / ! ‘,
. ′ ′ / | i | i i
, ノイ 厶 ‐ / 八{ ト、{‐- | ‘, ウラディミール1世が、1015年に死去すると
′ | i´/ | / j/ 乂 ヽ | i . 各地の公とその支配下の公領は、自立し始めました。
/ / }| Ⅳ Ⅳ / Ⅵ !ト ゝ
. / / j八 | x≠ミ x=ミ i 八 特にウラディミール1世死後、
/ ′ { (ヽ | ハ/ 大公位に就いたスヴャトポルクが、
. ′! j \ゞ\{ ' ′‘. 弟であるヤロスラフに敗れる等の事もあり、
八{八ハ i ` ーr 、 ー / !| 元々公に対する任命権を持っていた、
\{\ i |__` イ 八 キエフ大公の宗主権は、徐々に名目だけのものとなっていき、
\ハ{ ` ≧=‐< ! , ′ 中国の周の様に権威だけの存在となっていく事となりました。
_,ノ | | 、 )ノ}/
. < | | ` r __
/´\ \ ノxへ_| i .
. ′ \ \ / \:ノⅣ! ! |
i ヽ \_/ i::::く ! |
223 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:10:12 ID:vyVTvyW.
. ´ ´ ̄ ` . `ヽ、
/ \ ヽ
/ 、 ヽ
. / ‘. 、 \‘,
/ i | !| ! j{ i ヽ この結果、
. .′ i !| ト、 ヽリ _ト、_ハ ! ト ゝ これまで任命制だった公という地位とその支配下の領土が、
|八{ ∨´ヽ{ }/ Ⅵ :!| ‘, 徐々に世襲制のものへと変化していく事となりました。
i ヽ,斗‐ ヽ/ \ 〃斧ミx. | 八
|{ i i イⅥxュ、′ 弋うソ , / i その後、キエフ大公の権威も各地の諸侯が、
. 八ト、 | | 《 Vじj 厶イ |{ 力を付けるに従い低下し、
\ト、{ ヽ゛ゞ゚' , 八 八 ウラディミール=スーズダリ公のフセヴォロド3世が、
i ヽ ハ , イ ` / / 大公を名乗った事を皮切りに
| ヽ ` / |_ |i / )ノ 各地の諸侯も大公を名乗る様になった事で
|{ ≧ ‐ r ´ ,, ´ レ'}/ 権威までも低下する結果となりました。
. 八ト、 iハ ト、ハトr< { ′
` \{ }ノ_,ノ !i ノ ` _
, rf ´ ノ{ / \
′:|i| .イ`:く{ _____/ ハ
i {iレ' 廴:/ ∨///,/ / i
. У /::::/ `寸/ / i|
_ -‐──‐ -- 、
-─- -─-、 ` 、
. /´ \ `
. / 、 ヽ ヽ
/ / | l | 、 ヽ ハ
/ / / /| l,イ |l ヽ ハ ' その証拠に12世紀の半ばから、
// { /! |ハ! /,ハ ! i | 、ヽ キエフ大公位は、スモレンスク公、チェルニーヒウ公、
i| l l 从ノ | l ソ/!ヽjノjハ } ヽ\ ! ハールィチ=ヴォルィーニ公の3公のみによって争われており、
l| ! |/ィ芹ミjノ /イノ ィ≠ミハノ | トヽ l 大公に就いたとしてもその在位期間は、
j人 l ハ`弋ソ ノ ト以}ヽl ! | ヽ、 どの人物でも数年程度しかありません。
ヽト、 |:: 弋ソノ ! / ハ ! |
/ ` i ` / ノイ jノ i ハ キエフ大公の権威と権力は、
. /イ .ゝ 、 , ムイ ! l その程度までに落ちていたのです。
,/ ! i: \ ,.. // ./ ト !
. j八i /l { `ァ =r≦ ,.-'ト! / ハ | }
ヽノ j八/{ノ「T7'´ |ハ /i / jノjノ
,.-─ァr‐‐'´ !l | __ j.八ノ'`‐jノ、
イ i ! /ヽ <___〃 /⌒ヽ
224 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:10:45 ID:vyVTvyW.
/ \
/ ヘ \ ヽ また、この分裂の背景には、
/ /{ i ヽ ヽ スラヴ人の伝統的な相続方法も影響していました。
〃 / / / ハ i ! ', ',
j/ / / /{ ′' i } i } i 当時、スラヴ人の伝統的な相続方法は、
/ ,′ ' / / ii ', 八 i 亅 i 分割相続と呼ばれるやり方で
. / l ! / ii './ ハ __| i /ハ ! 死んだ人物の子息に土地が、
{ハ ! _j. { r 7"" i /ヽ 「 | iフヽ | ハ、 それぞれ分割して相続されるというものでした。
/ { ´ { ハ|_,厶ニ ニ=从.L.、 | } リ `
'、 { 从レ'"f'´:::::j}` ´{レ:::`}ヾ>| j八/ この結果、各地の公領から分割された
八 l ヘ, ` 弋:::(_ノ ‘.::(_ノ ″j/ . さらに小さな公の領土(分領公領)が、発生する事になり、
. / \l\\ `゛´ ,′ ', 公領の公位を巡る分領公同士の戦いも
// ヘ '"" ' '"" / ,ハ 頻発する様になりました。
{ハ { 人 人 / ∧ }
{ ヽ八 | 丶、 ´ ,. イ } /j/ ノ
\ ト、\ |` . __,. ィ | ノレ j/__ キエフ大公___各地の公 ____分領公領
「`⌒)ーヘ|_厂冂 |勹__,ノ⌒:く::.:」、 . |___分領公領
j/ )::.::.::ヽ::.::.ヘく 〉::}::.::.::.::.::. i└ァヽ
. ´  ̄ ̄ =ミ
,,´ `ヽ、
. , ヽ
/ / / } ‘,
. , ′ / ∧ ,′ 結果的にキエフ公国は、
/ / / | /|i | ∨ i ウラディミール=スーズダリ大公国、
ノイ i ハ 斗/-|{ | /ヽト、_ | i | i ハールィチ=ヴォルィーニ大公国と言った様な
|{ | ′Ⅵ′八{ \ヽメ、 | ト、 力を持った少数の大国国、
. 八 | | y'fチ斧 ヽ x=ュ、 | |{,ノ \ スモレンスク公、チェルニーヒウ公と言った公国や
/ \ト、{ 《弋うノ "{じ::ハ》|{i 八 その他多数の分領公領にバラバラに分裂してしまい、
. ′ ` ハ ゞ ' 八 , ' ‘, 互いに争いあう事になりました。
. i{ ! ` ' 厶イ i
八 | ヽ _ イ | i|
\{ヽト、 i> イ }/i , i{ 八
ヽ )ノ /\≧≦i){ノ}/ }ノ}/ )′
/ | | | | /)
__,, fi´ ノ | | ` // _ /)
/ || /イ:T:rへ / `こ7 _ 厶}//
. ′ ヾ/ f⌒Y/ ヽ{ ,へ ヽ∨
i !::/ /ソくノ) , ′
| /7≧x.、 /\ .イ7く /r‐' /
| {: /三三ニ/ `くミ三三{ ′ /
| Vニニニ/ \ 〉三三}___{_
| `寸i/ ヽ /三「 |
225 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:11:07 ID:vyVTvyW.
. ´ ´ ̄ ` . `ヽ、
/ \ ヽ
/ 、 ヽ しかし、一方で、
. / ‘. 、 \‘, この分裂は、スラヴ人勢力の伸長も齎しました。
/ i | !| ! j{ i ヽ
. .′ i !| ト、 ヽリ _ト、_ハ ! ト ゝ 各諸侯が、争いを始めた結果、
|八{ ∨´ヽ{ }/ Ⅵ :!| ‘, 戦争を行う国力を涵養する為、
i ヽ,斗‐ ヽ/ \ 〃斧ミx. | 八 領土の開発や拡張が、各国で推奨された為です。
|{ i i イⅥxュ、′ 弋うソ , / i
. 八ト、 | | 《 Vじj 厶イ |{ 特にウラディミール=スーズダリ大公国は、植民を熱心に行い、
\ト、{ ヽ゛ゞ゚' , 八 八 元々は、フィン・ウゴル系民族の居留地だった
i ヽ ハ , イ ` / / ロシア北東部に進出しています。
| ヽ ` / |_ |i / )ノ
|{ ≧ ‐ r ´ ,, ´ レ'}/ 例えば、「ロシアの母なる川」とも呼ばれるヴォルガ川の流域も
. 八ト、 iハ ト、ハトr< { ′ 元々は、フィン・ウゴル系民族の居住地でしたし、
` \{ }ノ_,ノ !i ノ ` _ その流域の近くにある都市もそれに起源を持つ都市が、
, rf ´ ノ{ / \ 多数存在しています。
′:|i| .イ`:く{ _____/ ハ
i {iレ' 廴:/ ∨///,/ / i 現在のロシア連邦の首都であるモスクワもその一つです。
. У /::::/ `寸/ / i|
____
/ \
/ ─ ─\ ふむ、ふむ。
/ (●) (●) \ つまり、キエフ公国は、分裂し、
| (__人__) | 互いに鎬を削る状態になったが、
./ ∩ノ ⊃ / その結果として
( \ / _ノ | | スラヴ民族自体の勢力は伸長したんだおね。、
.\ “ /__| |
\ /___ / <メモメモ
226 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:11:29 ID:vyVTvyW.
,.-‐ ‐=ミ
,, , -‐ ‐`ヽ、
〃 / i ヽ
. / 〃 / | i | ‘,
′ ′ / / | |ノ i: :.
. / / i 厶-‐/ ハハ i、-|:: }i
, / イ .:| /j/}/ / ∧ヽト、!:: 八
,〃´.: |:.. |' yfチ斧 斧Y|::i /i{
/ .:::::/|:i: | ゛弋::リ ヒリ' |ノ' j八
, i: :::/{从ト、:.{ , ,i i/
{ ,ハ:. ヽ __` , 八|
レ ヽト、 ヽ |: 丶 ` / }| | ・・・・・・さて、
\ {ヾー- ≧=‐- く{/'j八{ 分裂状態になってしまったキエフ公国ですが、
ソ | i ト、 それを余所に世界では、
, イ | i | ヽ、 大きな変化が起こっていました。
r< `ヽ、 jY^ヽ__.イ`ヽ
| `ヽ、 \ / ヽ={ `寸.: i
| :. ∨ V∧ :i |
| i _ i/∧ xヘ |
:. :. /,心、|//∧ミ心.
227 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:11:46 ID:vyVTvyW.
/l/ |/!/ ̄/
/!/^ フ
∧! `¨>
ト、|ヽ <__ チンギス・カン
l _ / Genghis Khan
_iヽ /ヘヽ彡ァ ¨>
\ ∧ ,.=-〈〈 /、 `> 言わずと知れた英雄。
_>::レwト〈-、w-'"^ 〉) 77_ /
7::::::l ` 、 i '´ ,/7 i ,ヘ ゙7_ 一代でモンゴルの諸部族を統一し、
゙レ:::l_ 、 i 〈 / /__^゙ ゙l 〉゙〉〉 / 華北や中央アジア、イラン等を次々に征服、
{::〉ニ、=、゙j /__,.=ィ弋ソ¨ ', ト‐ j ヽ、 ユーラシア大陸の殆どを支配する事となる
. ¨ヘヾ='>li ¨ー=¨ /∨フ/ ヾ、 モンゴル帝国の基礎を築いた人物。
', ll ' ├‐ヘ バ
ヘ ll l ヾヾ、¨ヽ--、_ 戦争だけでなく、
', ゙ヾフ _ j ヽ、 ` 千戸制など行政制度にも関わっており、
/ヽ, ヽ,¨─,> /:::j ト、 ヽ、 後の世にも大きな影響力を残した。
. / l ヘ _,ニ´ _ノ //i:::/ } ヾ,ヽ,
/ i. l ',ヘ、__,/:::/ // j ヾ,`ヽ、_
/ l. l ',:::::::::::::::__/ / /l `ヽ=-
. /⌒ヽ、 _/ ' ',:::::::::〔 / /::ヽ、_,.-‐'"/
1206年にモンゴル高原の諸部族を統一した
チンギス・カンによって建国されたモンゴル帝国は、
遼、ホラズムと言った近隣諸国を瞬く間に滅ぼし、領土を広げました。
228 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:12:39 ID:vyVTvyW.
_, _, _ _ _ _, _ _
|_|_| |_|_| |_|_| |_|_| |_|_| |_|_| |_|_| |_|_|
| ̄|_ | ̄|_ | ̄|_ | ̄|_ | ̄|_ | ̄|_ | ̄|_ | ̄|_
| _| | _| | _| | _| | _| | _| | _| | _|
|_| |_| |_| |_| |_| |_| |_| |_|
∧,,∧ ∧,,∧ ∧,,∧
∧,,∧(・ω・´) ∧,,∧(・ω・´) ∧,,∧(・ω・´)
ε=━┓Oニ)< > ε=━┓Oニ)< > ε=━┓Oニ)< >
/ ノ lミl_, (ヾゝ ./ ノ lミl_, (ヾゝ ./ ノ lミl_, (ヾゝ
(o_o,イ ヽ´|(__) ノ~⌒)(o_o,イ ヽ´|(__) ノ~⌒.(o_o,イ ヽ´|(__) ノ~⌒)彡
ノ ヽ| | ̄ノl ノ ノ ヽ| | ̄ノl ノ ノ ヽ| | ̄ノl ノ
/ /~ヽ ノ'''''''~ヽヽ\ヽ_ ./ /~ヽ ノ'''''''~ヽヽ\ヽ_ / /~ヽ ノ'''''''~ヽヽ\ヽ_
ヽニフ|_| (_/ ヽノ ヽニフ|_| (_/ ヽノヽニフ|_| (_/ ヽノ
(_ヽ (_ヽ (_ヽ
当時、ロシア南部には、
草原の道と呼ばれるステップ地帯を通る通商路が存在し、
その道は、遥かモンゴル高原まで通じていました。
その為、征西を続けるモンゴル帝国から
ロシアは、侵入を受ける事となりました。
230 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:12:59 ID:vyVTvyW.
. ´ ̄ ̄ ̄` 、
/ , '⌒ ´ ̄`丶
/ ヽ
/ ,
′ / / ! ‘,
. ′ ′ / | i | i i
, ノイ 厶 ‐ / 八{ ト、{‐- | ‘,
′ | i´/ | / j/ 乂 ヽ | i .
/ / }| Ⅳ Ⅳ / Ⅵ !ト ゝ
. / / j八 | x≠ミ x=ミ i 八
/ ′ { (ヽ | ハ/
. ′! j \ゞ\{ ' ′‘.
八{八ハ i ` ーr 、 ー / !| このモンゴル帝国のロシアへの侵入ですが、
\{\ i |__` イ 八 大まかに2つの時期に分ける事が出来ます。
\ハ{ ` ≧=‐< ! , ′
_,ノ | | 、 )ノ}/
. < | | ` r __
/´\ \ ノxへ_| i .
. ′ \ \ / \:ノⅣ! ! |
i ヽ \_/ i::::く ! |
. ´  ̄ ̄ =ミ
,,´ `ヽ、
. , ヽ
/ / / } ‘, 1つ目の時期は、ホラズム征服に端を発した
. , ′ / ∧ ,′ チンギス・カンの長男であるジュチが、
/ / / | /|i | ∨ i 南ロシアの平原地帯に侵攻した
ノイ i ハ 斗/-|{ | /ヽト、_ | i | i 1219年から1225年までの時期です。
|{ | ′Ⅵ′八{ \ヽメ、 | ト、
. 八 | | y'fチ斧 ヽ x=ュ、 | |{,ノ \ この際、ルーシ諸侯は、
/ \ト、{ 《弋うノ "{じ::ハ》|{i 八 カルカ河畔の戦い等に代表される様に
. ′ ` ハ ゞ ' 八 , ' ‘, モンゴル帝国に惨敗を喫してしまいます。
. i{ ! ` ' 厶イ i
八 | ヽ _ イ | i| しかし、モンゴル軍の目的は、
\{ヽト、 i> イ }/i , i{ 八 ホラズム征服とその残党の追撃であった為、
ヽ )ノ /\≧≦i){ノ}/ }ノ}/ )′ 現地を占領することなく、
/ | | | | /) モンゴル軍は、軍を引き上げました。
__,, fi´ ノ | | ` // _ /)
/ || /イ:T:rへ / `こ7 _ 厶}//
. ′ ヾ/ f⌒Y/ ヽ{ ,へ ヽ∨
i !::/ /ソくノ) , ′
| /7≧x.、 /\ .イ7く /r‐' /
| {: /三三ニ/ `くミ三三{ ′ /
| Vニニニ/ \ 〉三三}___{_
| `寸i/ ヽ /三「 |
231 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:17:32 ID:vyVTvyW.
>>229
ウラディミール1世は、
多数の妻を持ち、酒を好む男だったが、
キリスト教に入信してからは、慈悲深く、
徳のある君主になったと記述されている文献もありますが、
信ぴょう性は、甚だ疑問が残るところですね。
_ -‐──‐ -- 、
-─- -─-、 ` 、
. /´ \ `
. / 、 ヽ ヽ
/ / | l | 、 ヽ ハ 2つ目の時期は、
/ / / /| l,イ |l ヽ ハ ' 1235年のクリルタイで決定されたロシア征服と
// { /! |ハ! /,ハ ! i | 、ヽ 1242年のキプチャク・ハン国成立までの時期です。
i| l l 从ノ | l ソ/!ヽjノjハ } ヽ\ !
l| ! |/ィ芹ミjノ /イノ ィ≠ミハノ | トヽ l ロシアが、
j人 l ハ`弋ソ ノ ト以}ヽl ! | ヽ、 モンゴルの支配下に本格的置かれるのは、
ヽト、 |:: 弋ソノ ! / ハ ! | この時期の事ですね。
/ ` i ` / ノイ jノ i ハ
. /イ .ゝ 、 , ムイ ! l
,/ ! i: \ ,.. // ./ ト !
. j八i /l { `ァ =r≦ ,.-'ト! / ハ | }
ヽノ j八/{ノ「T7'´ |ハ /i / jノjノ
,.-─ァr‐‐'´ !l | __ j.八ノ'`‐jノ、
イ i ! /ヽ <___〃 /⌒ヽ
. ´ ´ ̄ ` . `ヽ、
/ \ ヽ
/ 、 ヽ
. / ‘. 、 \‘,
/ i | !| ! j{ i ヽ
. .′ i !| ト、 ヽリ _ト、_ハ ! ト ゝ
|八{ ∨´ヽ{ }/ Ⅵ :!| ‘, 1236年に南ロシアのキプチャク平原を征服した
i ヽ,斗‐ ヽ/ \ 〃斧ミx. | 八 ジュチの長男であるバトゥ率いるモンゴル軍は、
|{ i i イⅥxュ、′ 弋うソ , / i 翌年からその平原を本拠地に北ロシアに侵攻を開始しました。
. 八ト、 | | 《 Vじj 厶イ |{
\ト、{ ヽ゛ゞ゚' , 八 八 分裂していた当時の諸侯の足並みは、乱れており、
i ヽ ハ , イ ` / / 1238年にウラディミール=スーズダリ大公国が、
| ヽ ` / |_ |i / )ノ モンゴル軍によって蹂躙されたのを手始めに
|{ ≧ ‐ r ´ ,, ´ レ'}/ 1240年には、モンゴル軍は、献納を拒んだキエフを始め、
. 八ト、 iハ ト、ハトr< { ′ 南ロシアにあった都市や村落を徹底的に破壊し尽くし、南下、
` \{ }ノ_,ノ !i ノ ` _ 1241年には、ポーランド、ハンガリーといった東欧に侵入し、
, rf ´ ノ{ / \ キリスト教徒連合とも言えるポーランド大公ヘンリク2世を
′:|i| .イ`:く{ _____/ ハ レグニツァの戦いによって破るなど快進撃を続けました。
i {iレ' 廴:/ ∨///,/ / i
. У /::::/ `寸/ / i|
232 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:17:55 ID:vyVTvyW.
____
/ \
/ ゛\,, 、_\
/ U (●)゙ (●) \ うーむ、凄まじいお。
| (__人__) |
> ∩,r' ⊃ /
( \ / _、' | |
\ ” /__| |
\_/___ / <メモメモ
/ ̄ ̄\ ああ、そうだな。
/ _,.ノ ⌒
| ( ー)(ー) 例えば、モンゴル帝国の献納を断った為、
.| (___人__) 徹底的に破壊されたキエフでは、
| ノ 5万人程居たキエフの人口は、
| |_,-‐、_ -、 2000人まで減少したという説もある。
.人、 厂丶,丶 v 〉
_,/::::ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ また、レグニツァの戦いの別名である
_, 、 -― ''"...:::::::::\::::::::::::::::::::( 〔"ニ‐-、 ワールシュタットの戦いの意味は、
/.::::::: ':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ:::::: ) (死体の山)を意味するドイツ語だ。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',::::|
:::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈 :::::::::::::::... ',::i それ程、モンゴル軍は、
:::::::::::::::!::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::ハ ::::::::::::::::::. ', 苛烈で精強だったのだろう。
233 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:18:22 ID:vyVTvyW.
,.-‐ ‐=ミ
,, , -‐ ‐`ヽ、
〃 / i ヽ
. / 〃 / | i | ‘,
′ ′ / / | |ノ i: :.
. / / i 厶-‐/ ハハ i、-|:: }i
, / イ .:| /j/}/ / ∧ヽト、!:: 八 しかし、1242年にモンゴル帝国皇帝オゴタイ・カンが、
,〃´.: |:.. |' yfチ斧 斧Y|::i /i{ 死去すると状況は一変します。
/ .:::::/|:i: | ゛弋::リ ヒリ' |ノ' j八
, i: :::/{从ト、:.{ , ,i i/ 皇帝死去の報を受け、1242年にモンゴル軍は撤退をしました。
{ ,ハ:. ヽ __` , 八|
レ ヽト、 ヽ |: 丶 ` / }| | しかし、後継者を決めるクリルタイで
\ {ヾー- ≧=‐- く{/'j八{ バトゥと険悪の中だったグユクが、擁立されると
ソ | i ト、 バトゥは、帰還命令を無視し、南ロシアに留まり、1243年頃頃に
, イ | i | ヽ、 ヴォルガ河口付近にサライという都市を築いて定着しました。
r< `ヽ、 jY^ヽ__.イ`ヽ
| `ヽ、 \ / ヽ={ `寸.: i これによってキプチャク・ハン国が、成立し、
| :. ∨ V∧ :i | それ以前の戦争で臣従していたロシア各地の諸公は、
| i _ i/∧ xヘ | キプチャク・ハン国の支配下に置かれる事になりました。
:. :. /,心、|//∧ミ心.
. ´ ̄ ̄ ̄` 、
/ , '⌒ ´ ̄`丶
/ ヽ
/ ,
′ / / ! ‘,
. ′ ′ / | i | i i
, ノイ 厶 ‐ / 八{ ト、{‐- | ‘,
′ | i´/ | / j/ 乂 ヽ | i . その後、このキプチャク・ハン国による支配……
/ / }| Ⅳ Ⅳ / Ⅵ !ト ゝ 後に「タタールのくびき」と呼ばれる事となる支配は、
. / / j八 | x≠ミ x=ミ i 八 1480年にキプチャク・ハン国に献納を停止するまで
/ ′ { (ヽ | ハ/ 約250年程続き、ロシアに多大な影響を
. ′! j \ゞ\{ ' ′‘. 与える事となったのです、
八{八ハ i ` ーr 、 ー / !|
\{\ i |__` イ 八
\ハ{ ` ≧=‐< ! , ′
_,ノ | | 、 )ノ}/
. < | | ` r __
/´\ \ ノxへ_| i .
. ′ \ \ / \:ノⅣ! ! |
i ヽ \_/ i::::く ! |
234 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:18:38 ID:vyVTvyW.
____
/ \ ふむふむ・・・・・・。
/ ─ ─\
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ ⊂ ヽ∩ <
| | '、_ \ / )
| |__\ “ /
\ ___\_/ <メモメモ
____ ━┓
/ \ ┏┛
/ \ ,_\. ・ あれ?
/ (●)゛ (●) \
| ∪ (__人__) | 支配しているのは、
/ ∩ノ ⊃ / モンゴル人なのに
( \ / _ノ | | 何で「タタールのくびき」なんだお?
.\ “ /__| |
\ /___ / <メモメモ
235 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:18:55 ID:vyVTvyW.
/ ̄ ̄\ ああ、それか。
/ ⌒ ´ ⌒
. | ( ●) (●) タタール人というのは、元々は、モンゴル人とは、
| (___人__) また別のモンゴル系の遊牧民族の一部族だったんだ。
.| ノ
j | しかし、チンギス・カンのモンゴル高原の統一等により、
..ノヽ、 , ノ _ モンゴル帝国の西方への遠征には、
,. ー、一一´:::::::::::::≧ーー"7 i' Y 多くのタタール人が加わっており、
. / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.`-、 i l _ タタールの名前は、ヨーロッパに知られていた。
/ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. >-、 | lフ ト、
.::::::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ i/ ,.イ 丿
:::::::::::::::::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. v:: l / i'r ´,.ィ
:::::::::::::::::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::: l j 丿r´,.ィ
:::::)::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::: 八 `チ
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ `⌒
| ( ●)(●) また、モンゴル帝国が、欧州に侵攻した際に
.| (___人__) レグニツァの戦い等で大きな恐怖を欧州に与えた為、
| ノ 欧州に住んでいた人々は、
| |_,-‐、 / ⌒) 遠征してきたモンゴル軍に多数居たタタール人と
.人、 厂丶,丶,丶´ / ̄ ギリシャ語の『Tartaros』「タルタロス」(地獄)とをかけ、
_,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ モンゴル帝国の民族全般を(地獄から来た民族)の様な
_, 、 -― ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、 意味合いで「タルタル」『Tartar』と呼ぶ様になったんだ。
/::::::::::':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ::::::: )
丿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',:::::|
i .:::::::::::::::::::::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 〈 ::::::::::::::... ',::.
/ ..::::::::::::::::::::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\:::::::::::::::;;;ハ ::::::::::::::::::.. ',
236 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:19:14 ID:vyVTvyW.
/ ̄ ̄\
/ ヽ_ .\
( ●)( ●) | ちなみに、
(__人__) | 現在のロシア等で見られるタタール人は、
l` ⌒´ | それらの後継だが、
{ | 当時、南ロシアの平原においてマジョリティだった
{ / テュルク系に同化していた事もあり、
_. -: ´Λ _.へ` 、 モンゴル系からトゥルク系に変化している。
r<: : : : /:|: :、  ̄r' \ :\_
/: : :l : : : : : :\`IエL>、 >ヘ::Λ
|: : : ト、: : : : : : : : : : : : : `ー/ : : V |
〈: : : :::: _ -¬--―-、: : く:r 、: : : V }
/: : :_ン´: : : : \ ,___, ィ ): : :`く : : : ヘ|
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ ふむ、ふむ。
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ / 成程だお。
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ / <メモメモ
237 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:19:53 ID:vyVTvyW.
,.-‐ ‐=ミ
,, , -‐ ‐`ヽ、
〃 / i ヽ
. / 〃 / | i | ‘,
′ ′ / / | |ノ i: :.
. / / i 厶-‐/ ハハ i、-|:: }i
, / イ .:| /j/}/ / ∧ヽト、!:: 八
,〃´.: |:.. |' yfチ斧 斧Y|::i /i{
/ .:::::/|:i: | ゛弋::リ ヒリ' |ノ' j八
, i: :::/{从ト、:.{ , ,i i/
{ ,ハ:. ヽ __` , 八| ・・・・・・さて、
レ ヽト、 ヽ |: 丶 ` / }| | 260年近くに及ぶ、
\ {ヾー- ≧=‐- く{/'j八{ キプチャク・ハン国による支配は、
ソ | i ト、 ロシアに多大な影響を与えたと
, イ | i | ヽ、 先程述べました。
r< `ヽ、 jY^ヽ__.イ`ヽ
| `ヽ、 \ / ヽ={ `寸.: i 今からは、
| :. ∨ V∧ :i | それらについて解説していきましょう。
| i _ i/∧ xヘ |
:. :. /,心、|//∧ミ心.
. ´  ̄ ̄ =ミ
,,´ `ヽ、
. , ヽ
/ / / } ‘,
. , ′ / ∧ ,′
/ / / | /|i | ∨ i
ノイ i ハ 斗/-|{ | /ヽト、_ | i | i まず、第1にモンゴルの支配は、
|{ | ′Ⅵ′八{ \ヽメ、 | ト、 イスラームや中国の遠征で手に入れていた
. 八 | | y'fチ斧 ヽ x=ュ、 | |{,ノ \ 先進的な行政制度や軍事制度を
/ \ト、{ 《弋うノ "{じ::ハ》|{i 八 ロシアに持ち込みました。
. ′ ` ハ ゞ ' 八 , ' ‘,
. i{ ! ` ' 厶イ i 例えば、人口調査や財政と言った行政制度、
八 | ヽ _ イ | i| 火器や騎馬を用いた戦闘方法等の軍事制度
\{ヽト、 i> イ }/i , i{ 八 駅伝制といった情報伝達手段等です。
ヽ )ノ /\≧≦i){ノ}/ }ノ}/ )′
/ | | | | /) その証拠にロシアでは、
__,, fi´ ノ | | ` // _ /) モンゴル語やトゥルク語由来とされている単語が、
/ || /イ:T:rへ / `こ7 _ 厶}// 行政や財政に関わる部門で多く見受けられます。
. ′ ヾ/ f⌒Y/ ヽ{ ,へ ヽ∨
i !::/ /ソくノ) , ′
| /7≧x.、 /\ .イ7く /r‐' /
| {: /三三ニ/ `くミ三三{ ′ /
| Vニニニ/ \ 〉三三}___{_
| `寸i/ ヽ /三「 |
238 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:20:15 ID:vyVTvyW.
. ´ ´ ̄ ` . `ヽ、
/ \ ヽ
/ 、 ヽ 第2にロシア正教の力が、
. / ‘. 、 \‘, ますます強まった事でしょう。
/ i | !| ! j{ i ヽ
. .′ i !| ト、 ヽリ _ト、_ハ ! ト ゝ キプチャク・ハン国は、
|八{ ∨´ヽ{ }/ ? :!| ‘, ロシア国内のギリシア正教に対して
i ヽ,斗‐ ヽ/ \ 〃斧ミx. | 八 民族的な反感を抑える為か、殆ど不関与でした。
|{ i i イ?xュ、′ 弋うソ , / i
. 八ト、 | | 《 Vじj 厶イ |{ その結果、モンゴル人に奪われる位ならと
\ト、{ ヽ゛ゞ゚' , 八 八 教会に寄進と言う形で土地を
i ヽ ハ , イ ` / / 預ける人々も出てきました。
| ヽ ` / |_ |i / )ノ
|{ ≧ ‐ r ´ ,, ´ レ'}/ また、異民族によって支配された為、
. 八ト、 iハ ト、ハトr< { ′ ロシアに住む人々は、
` \{ }ノ_,ノ !i ノ ` _ 自分達の精神、民族意識の拠り所を
, rf ´ ノ{ / \ 教会に委ねていました。
′:|i| .イ`:く{ _____/ ハ
i {iレ' 廴:/ ∨///,/ / i
. У /::::/ `寸/ / i|
_ -‐──‐ -- 、
-─- -─-、 ` 、
. /´ \ `
. / 、 ヽ ヽ
/ / | l | 、 ヽ ハ
/ / / /| l,イ |l ヽ ハ ' その結果、ギリシア正教は、
// { /! |ハ! /,ハ ! i | 、ヽ ロシア国内で多大な影響力を持つようになり、
i| l l 从ノ | l ソ/!ヽjノjハ } ヽ\ ! 公位の争いを左右する力さえも
l| ! |/ィ芹ミjノ /イノ ィ≠ミハノ | トヽ l 持つようになりました。
j人 l ハ`弋ソ ノ ト以}ヽl ! | ヽ、
ヽト、 |:: 弋ソノ ! / ハ ! | もちろん、前回言った様に
/ ` i ` / ノイ jノ i ハ ギリシア正教の力が強まった結果、
. /イ .ゝ 、 , ムイ ! l ますますスラヴやノルマン由来の名前は、
,/ ! i: \ ,.. // ./ ト ! 排除される結果となりました。
. j八i /l { `ァ =r≦ ,.-'ト! / ハ | }
ヽノ j八/{ノ「T7'´ |ハ /i / jノjノ
,.-─ァr‐‐'´ !l | __ j.八ノ'`‐jノ、
イ i ! /ヽ <___〃 /⌒ヽ
239 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:20:36 ID:vyVTvyW.
/ \
/ ヘ \ ヽ
/ /{ i ヽ ヽ そして3つ目は、文化的な側面です。
〃 / / / ハ i ! ', ',
j/ / / /{ ′' i } i } i 2世紀半以上に及ぶキプチャク・ハン国の支配は、
/ ,′ ' / / ii ', 八 i 亅 i 当然、文化面にも多く影響を与えました。
. / l ! / ii './ ハ __| i /ハ !
{ハ ! _j. { r 7"" i /ヽ 「 | iフヽ | ハ、 例えば、
/ { ´ { ハ|_,厶ニ ニ=从L.、 | } リ ` ロシアの隣国であるベラルーシの国名ですが、
'、 { 从レ'"f'´:::::j}` ´{レ:::`}ヾ>| j八/ これは、ロシアに来たモンゴル人達が、
八 l ヘ, ` 弋:::(_ノ ‘.::(_ノ ″j/ . 中国から方角を色で呼ぶという文化を持っていた為、
. / \l\\ `゛´ ,′ ', 西にあった地域一帯を
// ヘ '"" ' '"" / ,ハ 『Белоруссия』「ベロルシア」(白ルーシ)と
{ハ { 人 人 / ∧ } 呼び始めた事に由来します。
{ ヽ八 | 丶、 ´ ,. イ } /j/ ノ
\ ト、\ |` . __,. ィ | ノレ j/__
「`⌒)ーヘ|_厂冂 |勹__,ノ⌒:く::.:」、
. ´  ̄ ̄ =ミ
,,´ `ヽ、
. , ヽ
/ / / } ‘,
. , ′ / ∧ ,′ そして、それらの文化的な影響の中には、
/ / / | /|i | ∨ i もちろん姓名も含まれていました。
ノイ i ハ 斗/-|{ | /ヽト、_ | i | i
|{ | ′Ⅵ′八{ \ヽメ、 | ト、 例えば、
. 八 | | y'fチ斧 ヽ x=ュ、 | |{,ノ \
/ \ト、{ 《弋うノ "{じ::ハ》|{i 八 『Руслан』「ルスラーン」
. ′ ` ハ ゞ ' 八 , ' ‘, (獅子)という意味のテュルク系言語『arslan』に由来)
. i{ ! ` ' 厶イ i
八 | ヽ _ イ | i| 『Тургенев』「トゥルゲーネフ」
\{ヽト、 i> イ }/i , i{ 八 ((素早い)という意味のモンゴル語『turgen』に由来)
ヽ )ノ /\≧≦i){ノ}/ }ノ}/ )′
/ | | | | /) 『Булгаков』「ブルガーコフ」
__,, fi´ ノ | | ` // _ /) ((騒々しい)という意味のテュルク系言語『brugla』に由来)
/ || /イ:T:rへ / `こ7 _ 厶}//
. ′ ヾ/ f⌒Y/ ヽ{ ,へ ヽ∨ といった姓名が、
i !::/ /ソくノ) , ′ ロシア人の中に流入する事になりました。
| /7≧x.、 /\ .イ7く /r‐' /
| {: /三三ニ/ `くミ三三{ ′ /
| Vニニニ/ \ 〉三三}___{_
| `寸i/ ヽ /三「 |
240 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:20:51 ID:vyVTvyW.
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ `⌒ ちなみにだが、
| ( ●)(●) この「タタールのくびき」の評価は、
.| (___人__) 結構議論が分かれている所でもある。
| ノ
| |_,-‐、 / ⌒)
.人、 厂丶,丶,丶´ / ̄
_,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ
_, 、 -― ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、
/::::::::::':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ::::::: )
丿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',:::::|
i .:::::::::::::::::::::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 〈 ::::::::::::::... ',::.
/ ..::::::::::::::::::::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\:::::::::::::::;;;ハ ::::::::::::::::::.. ',
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ ⌒ 先程、アレクサーンドラちゃんの言った様に
| ( ー)(ー) ロシアに良い影響を与えたという肯定的な説もあれば、
.| (___人__) 逆に東洋的な専制君主制を持ち込み、
| ノ 農奴制や市民階級の発達が遅れる等の悪影響を
| |_,-‐、_ -、 与えたとする説も根強く残っている。
.人、 厂丶,丶 v 〉
_,/::::ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ また、キプチャク・ハン国は、通商を重要視していた事もあり、
_, 、 -― ''"...:::::::::\::::::::::::::::::::( 〔"ニ‐-、 諸侯には、献納の義務を果たせばさえすれば、
/.::::::: ':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ:::::: ) 現地に比較的関与しない間接統治を敷いていた。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',::::|
:::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈 :::::::::::::::... ',::i だから、然程影響を与えていないという説も存在する。
:::::::::::::::!::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::ハ ::::::::::::::::::. ',
241 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:21:07 ID:vyVTvyW.
/ ̄ ̄\
⌒´ ヽ、,_ \
(●)(●.) | まぁ、これは、
(_人___) | ロシア国内の認識問題でもあるから
'、 │ 結論が、中々出ていないのが現状だな。
} {
!、______ .ィ-ート、
V/:::::::::::::::::ヽ
{::::::::::::::::::::::::::::::.、
/ー-:::::::::::::::::::::::::::::::,
「r'、 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
} r'、 ヘ、 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム、} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い、{ Y::::::::::::::::\::::V:::::::::::::::::::: |
\ ヽ {|V.::::::::::::::: \V:::::::::::::::::: |
\ ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|
___
/_ノ '' 'ー\
/ ( ●) ( ●)\ ふーむ、難しい問題だおね。
/ :::::⌒(__人__)⌒::::\
| `'ーnl^l^l |
\ l っ/
( ゝ
i \ <メモメモ
242 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:21:31 ID:vyVTvyW.
_ -‐──‐ -- 、
-─- -─-、 ` 、
. /´ \ `
. / 、 ヽ ヽ ・・・・・・さて、諸侯が、分裂し、
/ / | l | 、 ヽ ハ キプチャク・ハン国の支配下に臣従させられた
/ / / /| l,イ |l ヽ ハ ' 13世紀半ばから14世紀半ばにかけて
// { /! |ハ! /,ハ ! i | 、ヽ ロシア北東部では、一つの変革が起こっていました。
i| l l 从ノ | l ソ/!ヽjノjハ } ヽ\ !
l| ! |/ィ芹ミjノ /イノ ィ≠ミハノ | トヽ l 大公国として他の諸侯と隔絶した力を持っていた
j人 l ハ`弋ソ ノ ト以}ヽl ! | ヽ、 ウラディミール=スーズダリ大公国が、
ヽト、 |:: 弋ソノ ! / ハ ! | 分裂をし始めたのです。
/ ` i ` / ノイ jノ i ハ
. /イ .ゝ 、 , ムイ ! l
,/ ! i: \ ,.. // ./ ト !
. j八i /l { `ァ =r≦ ,.-'ト! / ハ | }
ヽノ j八/{ノ「T7'´ |ハ /i / jノjノ
,.-─ァr‐‐'´ !l | __ j.八ノ'`‐jノ、
イ i ! /ヽ <___〃 /⌒ヽ
. ´ ´ ̄ ` . `ヽ、
/ \ ヽ
/ 、 ヽ
. / ‘. 、 \‘,
/ i | !| ! j{ i ヽ この大公国も他の大公国や公国と同様に
. .′ i !| ト、 ヽリ _ト、_ハ ! ト ゝ 大公位を一族で世襲する嫡流が居らず、
|八{ ∨´ヽ{ }/ Ⅵ :!| ‘, 大公国内の各分領公が、
i ヽ,斗‐ ヽ/ \ 〃斧ミx. | 八 大公位を目指して争いを始めたのです。
|{ i i イⅥxュ、′ 弋うソ , / i
. 八ト、 | | 《 Vじj 厶イ |{ そして、ウラディミール=スーズダリ大公国には、
\ト、{ ヽ゛ゞ゚' , 八 八 スーズダリ分領公領、ロストフ分領公領
i ヽ ハ , イ ` / / モスクワ分領公領、トヴェリ分領公領という
| ヽ ` / |_ |i / )ノ 4つの有力な分領公領が、存在していました。
|{ ≧ ‐ r ´ ,, ´ レ'}/
. 八ト、 iハ ト、ハトr< { ′ その中で力を増し、特に激しく争ったのが、
` \{ }ノ_,ノ !i ノ ` _ トヴェリ分領公領、モスクワ分領公領でした。
, rf ´ ノ{ / \
′:|i| .イ`:く{ _____/ ハ
i {iレ' 廴:/ ∨///,/ / i
. У /::::/ `寸/ / i|
243 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:21:57 ID:vyVTvyW.
. ´  ̄ ̄ =ミ
,,´ `ヽ、
. , ヽ
/ / / } ‘,
. , ′ / ∧ ,′
/ / / | /|i | ∨ i
ノイ i ハ 斗/-|{ | /ヽト、_ | i | i
|{ | ′Ⅵ′八{ \ヽメ、 | ト、 トヴェリは、
. 八 | | y'fチ斧 ヽ x=ュ、 | |{,ノ \ 元より北東ロシアの一大商業地だったノヴゴロドと
/ \ト、{ 《弋うノ "{じ::ハ》|{i 八 大公国の首都だったウラディミールの中間に
. ′ ` ハ ゞ ' 八 , ' ‘, 位置していた事から商業が、発達しており、
. i{ ! ` ' 厶イ i また、キプチャク・ハン国の首都であるサライから
八 | ヽ _ イ | i| 離れた位置である事も手伝い、
\{ヽト、 i> イ }/i , i{ 八 経済的にも文化的にも政治的にも
ヽ )ノ /\≧≦i){ノ}/ }ノ}/ )′ 北東ロシアの中心都市として発達していました。
/ | | | | /)
__,, fi´ ノ | | ` // _ /)
/ || /イ:T:rへ / `こ7 _ 厶}//
. ′ ヾ/ f⌒Y/ ヽ{ ,へ ヽ∨
i !::/ /ソくノ) , ′
| /7≧x.、 /\ .イ7く /r‐' /
| {: /三三ニ/ `くミ三三{ ′ /
| Vニニニ/ \ 〉三三}___{_
| `寸i/ ヽ /三「 |
244 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:22:11 ID:vyVTvyW.
__ __
,, -‐ '' ` ‐- 、
/イ'' ヽ,
// `ーヽ
/ / i ヽ,
/ / .! i ,∧ l i ヽ
/ / .! .! ∧ l ∨ / 、 l i !ヽ
/ ィ !∧ N/ i l /∧ヽ ヽ l i ! i i
一方、モスクワは、 レ' i } ∧-‐''  ゙̄i ! //i .! ヽ‐-i__∧i !人
元々はヴォルガ川沿いに築かれた W l、 ! _, ==、ヽi ' ヽ -、 ==、 ヽl i i `
小村に過ぎませんでした。 ∧l ヽ i ィ' イ::ナi r'イ::ナヽ i ノ∧
/ トt `ー゙-' `ー゙-´ .! / ヽ
しかし、 リ ヽ , , , , , , , , , ィ' .!
南ロシアが、モンゴルの襲来で .! i { i、 / i
壊滅的な被害を受けた事も有り、 V ヽN、 i ヽ . ,イ l ,イ/V
森林に囲まれ、防備がしやすい事、 ヽMNヽ'ヽ` ュ __ ィラソ^i iレ' メ
河畔にあり、商業的立地が良い事等に fヾ,ーt+t‐´Υ V
恵まれ、急速に発展しました。 f 、 __ ノ ヽ V| | | !__
! .l _,-、-‐‐' ! i r'ニニ弋.l| ゙ ケー-- 、
. i V ヽ」 i ! r'-- ヽ、ミ 、 // | 1
∨/__ヘ レ'入ー, `l ヽニシ | |
〈 ´ ィ、j ∨\. ~ ヽ ヽ { t
N ヽ Y\\ /ヽ__ -‐'^ヽ.-‐、 ∧ }
245 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:22:32 ID:vyVTvyW.
/ \
/ ヘ \ ヽ
/ /{ i ヽ ヽ この大公位を巡る争いの
〃 / / / ハ i ! ', ', 最終的な勝者は、モスクワ分領公領でした。
j/ / / /{ ′' i } i } i
/ ,′ ' / / ii ', 八 i 亅 i しかし、争いの最初に大公位を射止めたのは、
. / l ! / ii './ ハ __| i /ハ ! トヴェリ分領公領でした。
{ハ ! _j. { r 7"" i /ヽ 「 | iフヽ | ハ、
/ { ´ { ハ|_,厶ニ ニ=从L.、 | } リ ` ですが、トヴェリ公は、
'、 { 从レ'"f'´:::::j}` ´{レ:::`}ヾ>| j八/ その経済的、文化的、政治的な力から
八 l ヘ, ` 弋:::(_ノ ‘.::(_ノ ″j/ . キプチャク・ハン国に従順な諸公の中でも
. / \l\\ `゛´ ,′ ', 唯一と言っても良い程に反キプチャク・ハン国の
// ヘ '"" ' '"" / ,ハ 立場や態度を取っていました。
{ハ { 人 人 / ∧ }
{ ヽ八 | 丶、 ´ ,. イ } /j/ ノ
\ ト、\ |` . __,. ィ | ノレ j/__
「`⌒)ーヘ|_厂冂 |勹__,ノ⌒:く::.:」、
,.-‐ ‐=ミ
,, , -‐ ‐`ヽ、
〃 / i ヽ
. / 〃 / | i | ‘,
′ ′ / / | |ノ i: :.
. / / i 厶-‐/ ハハ i、-|:: }i
, / イ .:| /j/}/ / ∧ヽト、!:: 八
,〃´.: |:.. |' yfチ斧 斧Y|::i /i{
/ .:::::/|:i: | ゛弋::リ ヒリ' |ノ' j八 一方、モスクワ公は、トヴェリ公に対抗する為か
, i: :::/{从ト、:.{ , ,i i/ キプチャク・ハン国に接近する等、
{ ,ハ:. ヽ __` , 八| 親キプチャク・ハン国の立場でした。
レ ヽト、 ヽ |: 丶 ` / }| |
\ {ヾー- ≧=‐- く{/'j八{ 結果的に力を持ち、反キプチャク・ハン国の
ソ | i ト、 立場を崩さないトヴェリ公に大公位に就かせるよりも
, イ | i | ヽ、 親キプチャク・ハン国の立場を取っていた
r< `ヽ、 jY^ヽ__.イ`ヽ モスクワ公に大公位を就かせる方が、良いと考えた
| `ヽ、 \ / ヽ={ `寸.: i 時のウズベク・ハンが、モスクワ公に大公位を授けた事で
| :. ∨ V∧ :i | キプチャク・ハン国に従順な他の諸公もそれに倣い、
| i _ i/∧ xヘ | モスクワ分領公領が、大公位を得る事になりました。
:. :. /,心、|//∧ミ心.
246 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:22:57 ID:vyVTvyW.
. ´ ̄ ̄ ̄` 、
/ , '⌒ ´ ̄`丶
/ ヽ
/ , もちろん、
′ / / ! ‘, ただ親キプチャク・ハン国だったから
. ′ ′ / | i | i i 大公位を得られた訳ではありません。
, ノイ 厶 ‐ / 八{ ト、{‐- | ‘,
′ | i´/ | / j/ 乂 ヽ | i . モスクワ分領公領は、キエフ府主教を
/ / }| ? ? / ? !ト ゝ 迎え入れる事で正教会を味方につけていた事。
. / / j八 | x≠ミ x=ミ i 八
/ ′ { (ヽ | ハ/ 大公位争いの最中に、
. ′! j \ゞ\{ ' ′‘. トヴェリ公国で分領公同士の争いが、起きた事。
八{八ハ i ` ーr 、 ー / !|
\{\ i |__` イ 八 トヴェリ公国で分領公同士の争いが、
\ハ{ ` ≧=‐< ! , ′ 起こったのと対照的に、モスクワ公国では、
_,ノ | | 、 )ノ}/ 早くから分割相続から長子相続制に制度が、
. < | | ` r __ 変わっており、分領公が、然程いない事も
/´\ \ ノxへ_| i . 要因となりました。
. ′ \ \ / \:ノ?! ! |
i ヽ \_/ i::::く ! |
.___ ふむ、モスクワ公が、
/)/ノ ' ヽ、.\ ウラディミール=スーズダリ大公位を得たのは分かったお。
./ .イ '(●) (●) \
/,'才.ミ) (__人__) \ でも、なんでそれ程、
| ≧シ' ´ ⌒` | 公や大公の地位を争ったんだお?
.\ ヽ / <メモメモ
247 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:23:15 ID:vyVTvyW.
___
/_ノ '' 'ー\ キエフ・ルーシ時代のキエフ大公なんかは、
/ ( ●) ( ●)\ 実質的な力を無くしていたじゃないかお。
/ :::::⌒(__人__)⌒::::\
| `'ーnl^l^l |
\ l っ/
( ゝ
i \ <メモメモ
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ `⌒
| ( ●)(●) やる夫、忘れたのか?
.| (___人__)
| ノ キプチャク・ハン国は、献納の義務以外は、
| |_,-‐、 / ⌒) 現地については諸公に任せる
.人、 厂丶,丶,丶´ / ̄ 間接統治を敷いていた事を。
_,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ
_, 、 -― ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、
/::::::::::':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ::::::: )
丿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',:::::|
i .:::::::::::::::::::::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 〈 ::::::::::::::... ',::.
/ ..::::::::::::::::::::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\:::::::::::::::;;;ハ ::::::::::::::::::.. ',
248 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:23:31 ID:vyVTvyW.
____
/ \
. / \ 如何いう事だお?
. / /) ノ ' ヽ、 \
| / .イ '=・= =・= u|
/,'才.ミ) (__人__) /
. | ≧シ' ` ⌒´ \
/\ ヽ ヽ <メモメモ
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ ⌒
| ( ー)(ー) キプチャク・ハン国は、献納の義務以外は、
.| (___人__) 関与しない間接統治を敷いていたといったが、
| ノ その献納の義務は、各地の公や大公が、
| |_,-‐、_ -、 取りまとめて行う事になっていた。
.人、 厂丶,丶 v 〉
_,/::::ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ つまり、ハンの代官として
_, 、 -― ''"...:::::::::\::::::::::::::::::::( 〔"ニ‐-、 領地から徴税する権利を持っていたんだ。
/.::::::: ':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ:::::: )
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',::::|
:::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈 :::::::::::::::... ',::i
:::::::::::::::!::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::ハ ::::::::::::::::::. ',
249 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:23:47 ID:vyVTvyW.
/ ̄ ̄\
⌒´ ヽ、,_ \ キエフ・ルーシ時代の大公位や公位は、
(●)(●.) | 言うなれば自身の基盤となる公領以外は、
(_人___) | 他人の領地だったから徴税する事なんてできないし、
'、 │ 下手をすれば、自身の領地の有力者から
} { 公位の簒奪や廃位を迫られる危険性さえあった。
!、______ .ィ-ート、
V/:::::::::::::::::ヽ
{::::::::::::::::::::::::::::::.、 A大公位(○○1世)--- b公位(○○1世)
/ー-:::::::::::::::::::::::::::::::, |
「r'、 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::, |____ c公位(××3世)
} r'、 ヘ、 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム、} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い、{ Y::::::::::::::::\::::V:::::::::::::::::::: |
\ ヽ {|V.::::::::::::::: \V:::::::::::::::::: |
\ ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|
_ ______
l i / \ しかし、キプチャク・ハン国時代になると
l l_./ _,ノ ヽ、,_\ 大公や公にハンの代官という役目が、
l/ ニヽ( ●) ( ●) .| 付与される事となった。
l / y 「'i___人___) |
l <、.l | つまり、あの恐ろしいハンの名の元に
', ',/ | 徴税を行えるという事になったんだ。
j ノ ,/'|、
_∠⌒ヽ j 'i, __ , __ ィ/::L___
/ ...::::::::::ヽVヽ::::::::::::::::::::::::::/:::..´''' 、、、 _
/ ...:::::::::::::::::::: 〉::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... i::..\
/ .:::::::::::::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::::::: l
250 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:24:04 ID:vyVTvyW.
/ ̄ ̄ \
/_,ノ `⌒ \ 古代ローマ時代の総督や
-、 | (● ). (● ) | 騎士階級を見れば分かる様に
ヤ ', | .(___人___) | 徴税という物は、とても儲かる職業だ。
i. l ,.-、 | ` ⌒ ´ |
', j / / .| | その為、美味しい役得のある
ノ_..ヽ-、′,' ', ,/'|、 公位や大公位を巡る争いが、
.l .___ ヽノ __ .j '.、__ , ___ ィ/::L_ キプチャク・ハン国時代でも行われていたんだ。
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ::::::::::::::::::::::::::/:::::::...`' ー- 、 _
ト.  ̄ ̄ 〕y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..\
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: r;;;;;:::::::: ',
/...::::::;;;;;;;;;;; /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ;;;;;::::::::::::::〉
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ ふむ、成程だお。
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ / <メモメモ
251 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:24:45 ID:vyVTvyW.
. ´ ´ ̄ ` . `ヽ、
/ \ ヽ
/ 、 ヽ
. / ‘. 、 \‘, そういう事です。
/ i | !| ! j{ i ヽ
. .′ i !| ト、 ヽリ _ト、_ハ ! ト ゝ ・・・・・・さて、
|八{ ∨´ヽ{ }/ Ⅵ :!| ‘, ウラディミール=スーズダリ大公位を得た事で
i ヽ,斗‐ ヽ/ \ 〃斧ミx. | 八 ウラディミール=スーズダリ大公国内の徴税を独占し、
|{ i i イⅥxュ、′ 弋うソ , / i 経済的な基盤を形作ったモスクワ公国は、
. 八ト、 | | 《 Vじj 厶イ |{ その後、モスクワ大公国と呼ばれるまでに成長しました。
\ト、{ ヽ゛ゞ゚' , 八 八
i ヽ ハ , イ ` / / 一方、キプチャク・ハン国では、
| ヽ ` / |_ |i / )ノ 1359年にベルディベク・ハンが、死去し、
|{ ≧ ‐ r ´ ,, ´ レ'}/ バトゥの血統が断絶してしまう事態が、発生してしまいます。
. 八ト、 iハ ト、ハトr< { ′
` \{ }ノ_,ノ !i ノ ` _ 結果として短期間に多数のハンが即位と交代を行う
, rf ´ ノ{ / \ 大混乱に襲われ、キプチャク・ハン国は、
′:|i| .イ`:く{ _____/ ハ 衰退をしていく事となりました。
i {iレ' 廴:/ ∨///,/ / i
. У /::::/ `寸/ / i|
_ -‐──‐ -- 、
-─- -─-、 ` 、
. /´ \ `
. / 、 ヽ ヽ
/ / | l | 、 ヽ ハ そして1380年。
/ / / /| l,イ |l ヽ ハ '
// { /! |ハ! /,ハ ! i | 、ヽ 時のモスクワ大公ドミートリー1世は、
i| l l 从ノ | l ソ/!ヽjノjハ } ヽ\ ! 当時のキプチャク・ハン国の実権を握っていた
l| ! |/ィ芹ミjノ /イノ ィ≠ミハノ | トヽ l ママイ・ハン率いる軍勢と
j人 l ハ`弋ソ ノ ト以}ヽl ! | ヽ、 ドン川河畔のクリコーヴォで激突しました。
ヽト、 |:: 弋ソノ ! / ハ ! |
/ ` i ` / ノイ jノ i ハ 両者とも互角の戦いをしていましたが、
. /イ .ゝ 、 , ムイ ! l 先に戦場を後にしたのは、
,/ ! i: \ ,.. // ./ ト ! あれ程恐れていたキプチャク・ハン国の軍勢でした。
. j八i /l { `ァ =r≦ ,.-'ト! / ハ | }
ヽノ j八/{ノ「T7'´ |ハ /i / jノjノ
,.-─ァr‐‐'´ !l | __ j.八ノ'`‐jノ、
イ i ! /ヽ <___〃 /⌒ヽ
252 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:25:09 ID:vyVTvyW.
. ´ ̄ ̄ ̄` 、
/ , '⌒ ´ ̄`丶
/ ヽ
/ ,
′ / / ! ‘,
. ′ ′ / | i | i i
, ノイ 厶 ‐ / 八{ ト、{‐- | ‘,
′ | i´/ | / j/ 乂 ヽ | i . この戦いは、ロシアの諸公が、
/ / }| Ⅳ Ⅳ / Ⅵ !ト ゝ 「タタールのくびき」を断ち切る発端の
. / / j八 | x≠ミ x=ミ i 八 一つになりました。
/ ′ { (ヽ | ハ/
. ′! j \ゞ\{ ' ′‘. その為、当時軍勢を率いていた
八{八ハ i ` ーr 、 ー / !| モスクワ大公ドミートリー1世は、
\{\ i |__` イ 八 クリコーヴォ近くを流れていたドン川から
\ハ{ ` ≧=‐< ! , ′ 『Донской』「ドンスコイ」(ドン川の)
_,ノ | | 、 )ノ}/ というあだ名を付けられています。
. < | | ` r __
/´\ \ ノxへ_| i .
. ′ \ \ / \:ノⅣ! ! |
i ヽ \_/ i::::く ! |
. ´ ´ ̄ ` . `ヽ、
/ \ ヽ
/ 、 ヽ
. / ‘. 、 \‘,
/ i | !| ! j{ i ヽ そしてこの勝利の結果、
. .′ i !| ト、 ヽリ _ト、_ハ ! ト ゝ キプチャク・ハン国への畏怖も低下し、
|八{ ∨´ヽ{ }/ Ⅵ :!| ‘, 1389年には、ドミートリー・ドンスコーイは、
i ヽ,斗‐ ヽ/ \ 〃斧ミx. | 八 大公位を嫡男のヴァシーリー・ドミートリエヴィチに
|{ i i イⅥxュ、′ 弋うソ , / i これまでの慣例を破って
. 八ト、 | | 《 Vじj 厶イ |{ 初めてハンの特許状無しに譲り渡しました。
\ト、{ ヽ゛ゞ゚' , 八 八
i ヽ ハ , イ ` / / これ以降、
| ヽ ` / |_ |i / )ノ 他地域でも相次いで特許状無しの
|{ ≧ ‐ r ´ ,, ´ レ'}/ 公の相続や移譲が行われる事となり、
. 八ト、 iハ ト、ハトr< { ′ 1480年、モスクワ大公国が、
` \{ }ノ_,ノ !i ノ ` _ キプチャク・ハン国への献納を停止した事で
, rf ´ ノ{ / \ 「タタールのくびき」を脱する事となったのです・・・・・・。
′:|i| .イ`:く{ _____/ ハ
i {iレ' 廴:/ ∨///,/ / i
. У /::::/ `寸/ / i|
253 ◆S.DnKL8wio 2014/12/21(日) 20:25:25 ID:vyVTvyW.
これにて今回の投下は、
終了とさせて頂きます。
見て下さった方々に感謝を。
それでは、次回もお暇な時に
覗いて下されば幸いです。
- 関連記事
-