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現代文学のちょっとした裏話(リメイク版)  第25話 【「1970年11月25日」……最終話】


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826 :質問スレッド稼動中だお[sage] 投稿日:2011/07/28(木) 21:15:09 ID:s/7e5vkA
>>824
その発言は理解できるな
「公的権力によって保障されない武力は所詮はテロである」と規定するのと同時に
「公的権力によって保障されている武力を毛嫌いするくせに、そうでない武力に
同情を寄せるのはある種のテロリズムである」ということなんでしょう


827 :質問スレッド稼動中だお[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 01:21:45 ID:6I.dbU42

しかし、公的権力とはそこまで正しいものかな?
まあ、「正しい」って何ぞ?という話になってしまうがw


829 :質問スレッド稼動中だお[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 20:23:53 ID:7ZKjKzJw
>>827
「正しさ」の定義をしようとするとそれだけで地球上の
樹木を全て伐採しても足りないようなだけの書物が必要になるので
ここではやりませんが・・・
ただ、三島が命を賭しても証明しようとした「正しさ」が
より現実的な醒めた目を持っていたと思われる大岡・吉行・阿川にとっては
ある意味非現実的に受け取られたであろうことは、より詳しい研究が必要かと
このスレにはおそらく登場しないであろう司馬遼太郎曰く
「日本では、右も左も根本的な部分では同じだ。どちらも、現実に根ざしてない」


830 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:05:53 ID:bfuZZASg

こんばんわ。

>>824
ご指摘ありがとうございました。
ちょっと阿川に関してはもう一度調べなおしてみたいと思います。

三島・阿川だと全共闘がらみで面白い事件もありますし。

>>829
大岡昇平と吉行淳之介が非現実的に醒めて捉えるのはどうしようもないことだと思うんですね。
この辺は当人たちが一番自覚してるし(特に吉行)。

ただ、阿川のこの反応は、確かに研究すると面白いかなって思います。
感覚としては中曽根(>>594辺り参照)に近いのかもしれない。
あとは>>596の当時防衛大の学生だった人物とかの感覚とか。


831 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:06:54 ID:bfuZZASg

というわけで投下します。

現代文学のちょっとした裏話。


 
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824 :質問スレッド稼動中だお[sage] 投稿日:2011/07/28(木) 18:48:15 ID:6lBmrJNE
>>787
阿川は確か三島事件については、二・二六事件と似たようなもので絶対正当化できないと言っていたような。
「普段帝国陸海軍や陸海空三自衛隊に対して冷たい人たちが三島に同情的なのは理解できない」
とも書いてたと思う。


832 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:08:06 ID:bfuZZASg

【「1970年11月25日」……最終話】

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  \|_ \ |_ \ |_ \ | / _| /_,」 |二¬ ┴- _         / /.!  l
  /  ̄ ̄ ̄ ̄了 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄了 ̄ ̄ | .|    ̄丁¨ ー- ニ _ー- / ,ィ  !  l
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 奥野健男が乗り込んだ新幹線が東京駅に着いたのは18時のことであった。

 新幹線の中の3時間、奥野はぐっすりと眠っていたようである。
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833 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:08:26 ID:bfuZZASg

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 奥野の自宅は恵比寿にあった。

 東京駅で山手線に乗り換えて、恵比寿に向かう。
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834 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:08:47 ID:bfuZZASg

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 ふと見ると、奥野の前に座っていた乗客が、夕刊紙を読んでいた。

 彼は、そこに書いてあった見出しを、なんの気なしに見た。
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835 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:09:08 ID:bfuZZASg

_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_
|            1970年11月25日      |
| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄| |
| |   三島由紀夫、 割腹自殺!   | |. 夕 .| |
| |______________| |. 刊 .| |
|                       __ |. 新 .| |
|.                    | 自 | |. 聞 .| |
| ________       | 衛 | |__| |
| |   \ | /    .|       | 隊 | .___ |
| |   ─(゚∀゚)─   |     .| 市 | |紙面| |
| |    / | \ ∧∧ |       | .ヶ | |: : : : | |
| |. ∧∧  ∩(゚∀゚ )|       | 谷.| |: : : : | |
| |( ゚∀゚)∩ \|  | .|       | で..| |: : : : | |
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄. .  .   ̄ ̄ . |: : : : | |
|                .         |: : : : | |
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            ま、マジですか……これは。             |    :::::::__´___:::::::   |
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 見出しには「三島由紀夫割腹自殺」と書いてあった。

 さらに詳しく見ると、自衛隊の駐屯地に突入して、演説し、最後は介錯してもらったことなど、
 見出しだけでもかなりセンセーショナルに書いてあった。
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836 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:09:33 ID:bfuZZASg

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  ノノlヽ、_!    r――‐┐   /_ノ:::|  /
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    レ' ム-''´lヽ、  _,,./! ゙ヾ!__ヽ!    ヽ´ヽ、ヽ
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    / l ,;;  |l  /`'';, ,,   /   ,;;''"゙''   l     /

         【太宰治】

⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶
    │            │
    └──────┘

┌─┐
│  │
└─┘

┌┐
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  □         ___
            /     \
          /  ⌒:::::::::⌒\          あーた、それ……
         /   ( ○):::::(○)\
         |       __´___   |        太宰先生がお亡くなりになったときくらいの、
         ヽ、    `ー '´  /        衝撃ですよ、いや、ホント、マジで。
          ノ          \
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 「このような衝撃は昭和23年6月14日目黒駅で偶然買った夕刊に、
  『太宰治情死か』という見出しを見て、そのままうずくまった時以来の衝撃であった。」

 奥野健男は太宰治の文学が好きであった。
 その「太宰の死以来の衝撃」と書くほどに、三島の死は彼にとって衝撃的であった。
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837 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:09:58 ID:bfuZZASg

         ____
       /     \
      /  ⌒  ⌒ \
    /    (⌒)  (⌒) \        三島先生の文学の面白いところはですね……
     |       __´___    |
      \       `ー'´  ,/        あーだこーだあーだこーだ……
      /⌒ヽ        ィヽ
      / rー'ゝ       〆ヽ
    /,ノヾ ,>      ヾ_ノ,|
    | ヽ〆           |´ |


                                               _,r'´::::::::::::::::::::::::::`'、.    
                                              {::::::::rr-‐-‐'^i::::::::::::::i.   
                                               ゙l'´゙《   __,,,ゝ:::r、:::::l   
                                               ト=r;、 ゙"rィァ‐リメ }:::::}   
             (おかしな工大生だな……)                   ゙i`"l   ̄    ソ::::ヽ  
                                                ゙i. ゝ^   ,  /ヾヾヾ、 
             (でも、なかなか面白い。)                     ヽ ゙こ´  /     ヽ、
                                                  ヽ、  /__,∠、    `'-、
                                                   `゙ク'゙´   `    ゙'、 ヽ
                                                    /           〉 ヽヽ
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                                               _,,-'´:::                 ゙i
                                              /    `                  }
                                            /         ,-ィ‐r'´´      /   l
                                         __r'〈      ,ノ   / ```l       /     l
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 奥野健男が三島由紀夫と初めて会ったのは、昭和27年(1952年)夏の暑い日のことであった。
 当時「三島由紀夫論」を執筆していた奥野が、三島を取材したことからだった。

 そのときの三島の印象は、
 おかしな工大生がやってきて、いきなり僕の作品を精神分析的に批評を始めたので、
 驚いたが、あきれつつ、時間を延ばして話を聞いてしまった、とのことである。
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838 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:10:21 ID:bfuZZASg

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´'ハ i:: |   '´て"アヾ´    i"てj"ヾ,′
.r‐ノ レ'      ̄ ̄        | ´ ̄ l
.{ i、               l    |         まさに、わが意を得た面白い批評だ。
 、 `                   |   |
ヽ、 `i           ,-、 ノ   l         こういう人物とはぜひつきあいたいものだ。
:::| ` ー,                 ´     ,'
/    、      `- -‐─‐- ′. /
     ヘ       _____     /
      ヘ      `~"´   /
    ',    >  .    ;    /
     ',       ≫...    _ '
     ',      .:.:.:.: T<
      ',         .::.:.|   " ‐- ,
                      ̄" ‐-

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 奥野が「三島由紀夫論」を発表するのは1954年(昭和29年)のことである。

 これを読んだ三島は「わが意を得た」ものとし、奥野とぜひ話がしたいと、
 渋谷のバーで一緒に酒を飲んだという。

 これが奥野と三島の友好関係の始まりであった。
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839 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:10:53 ID:bfuZZASg

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    /´ヽ: : : :l; : : : : : : : : :l: :|z't'ツ"_>`` '" {^~ |: :|   
  / ¶′\: :ll : : : : : : : : l: :| `~¨´ (::"′   ',ノl: :j      三島さん奥野さん、
,r‐{   , \ll : : : : : : : :l: :| :.           ∨ノ:|
  ! ¶′',  r、\: : : : :::::l: :| :.      .._ /´): :l      今日は「家畜人ヤプー」について語り合いませんか?
 ¶′   \ ヾ>、\: : : ll: :|  :.       __-了:/::;'
エエエュ┬r 、\ `ヾ>、\:ll: :|   :   ‐.._'´¨´ノ:/::/
―‐ - 、 ̄`<〉、 ヽ、._`^‐-\ト 、 :      ̄「V/
 ¶′   \ `<〉、 \` ー==┬''^ヽ、 ...__ ノ
   ¶′  \ `〈>、 ヽ`:r'"||  ,タ ¶ }
¶′    ¶′ヽ  `〈>、ヽ i || ,タ  /

        【澁澤龍彦】

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 奥野と三島は、2ヶ月に一度くらいのペースで、一緒に食事とかをしたようである。
 そしてそのときには、彼らの共通の友人……澁澤龍彦や安部公房など……も一緒したようだ。

 おそらく食事をしながら、文学の話などを語ったのであろうか?
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840 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:11:12 ID:bfuZZASg

                         (ヽ三/) ))
                          ( i)))
                      / ̄ ̄\ \
                    /   _ノ  \ )
                    |    ( >)(<)
                    .|  ///(__人__)
    ,.-‐─────────‐イ    ` ⌒´ノ       三島さん奥野さんに、飯おごってもらっただろ~っ!!
   /                        }
.  /                         }        タダメシサイコー!!
.  |        ,人___________ノ
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
⊂ヽ γ    く
i !l ノ ノ    |
⊂cノ´|     |

             【北杜夫】
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 余談ではあるが、
 どうやら、この御仁も食事に幾度となく呼ばれたようである。

 まだ関係が悪くなる前の話である。
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841 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:11:37 ID:bfuZZASg


         「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください」
        _,,.、、、、、.,,_        
      /.:::::::::::::::::::..`ヽ、
     / .:::::::::::::::::::::::::::::::. '、
     | :::::::::::::::::::::::::::::::::,ヘ{ツ                  ____
      | ::::::::::::::::::::::::,ィゥ ノ j                ,. -'"´      `¨ー 、
     |::::::::::::::::::::::( |.!  ;{                /             \
     .|::::::::::::::::::rリ`l,〉   j}゙             /                ',
      }:::::::::::::::ノ゙  l  /.            ./                     ',
     ,xァ''ー'゙'`    '、 /             l                       .l
    / ー`¨`''''ー-- 、」゙'′_           l                  .l
   ''^ーァ 、_____  ̄ /           .',                    U /
    `>'、,     '''"´ ̄ ̄_二ヽ、            \                 /`ヽ
    /           /    ヽ        /  `ー、            '    ',
   ,'        ,   /      ゙、      ./                     l
            l /  __      !
            l, l  く,_  、   |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 他にも家族みんなで歌舞伎を見に行ったり、土方巽の暗黒舞踊見に行ったり、
 週に一度くらい電話で話していたようである。

 そして時には「コックリさん」なんかもやったらしい。
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842 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:11:56 ID:bfuZZASg

        / ̄ ̄ ̄\
      /        \
     /  --‐  ‐--    ヽ
     |  (◯)  (◯)   |        ……理解できないです。
     \    '     __,/
     /         \
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 奥野と三島の交友は15年に渡るものであった。

 しかし、その奥野をもってしても、
 三島の一連の事件を理解することができなかった。

 なぜ、あんなぶざまな最期を遂げなければいけなかったのか?
 
 腹立たしく、また可哀想な思いがつのるばかりであった。
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843 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:12:20 ID:bfuZZASg


                           ,, - ―- 、
                        ,. '" _,,. -…;   ヽ        _人_ *
                       (i'"((´  __ 〈    }          Y  ┼
                           |__ r=_ニニ`ヽfハ  }        +
                         ヾ|!   ┴'  }|トi   }
                            |! ,,_      {'  }
                          「´r__ァ   ./ 彡ハ、__ ,...,___
                            ヽ ‐'  /   "'ヽ/ '´   `丶、         ┼
                            ヽ__,.. ' /     , ′       iヽ      _人_
                            / ヽ ‐、 / '///           ! ',   +  Y  ┼
   ┏──────────┓      ,.イ  l \   /__ i         ,'   i
   │ 美しい ────  ...│    /   !| ., ' ´ ,={          /  亅   _人_ *
   ┗──────────┛ ,. -'ァ‐==ニ_‐-v′   ^ヘ       /    ,′   Y  ┼
                     /  /-     ._ 〃,     ',    _,.イ    /      +
                        /   ハ`     ミ {/      〉   ´  i  !イ{   ┼  _人_
                    i  ,イ`       _,,.t'      /      亅 ノ ! ',         Y  +
   r‐、__               ! ,厶ヘ        ヘ.     ,′      .' /  |
⌒`‐く   ヽ-‐-、_             v'  / ヽ     -_込._   {       ' ,   j
   丶r-f⌒ヽ、 ヽ____         /    \__,,.. ァ'´  { `¨¨¬     /  /  / *
ー、  _r'  !  iく__/  `ヽ. o   ,′ !   ',  ヘ._,. 个、___,,. }__ー‐'´   v'  /  _人_    _人_
  `「ゝ、__   ! `! ノ  )'    {     ',   ハ  ノ    ,、,.-‐'´    )   V//    Y  + Y
  ヽ! ヽ) `Yヽ  (ヽ、_∠     ∨  ,ハ.  / ,{  ヽ-‐'/      /     {/
r、_ゝノ ヽ__i/_ノ  rハ /____`ヽ  ,」∠ム-、く  ハ ノ_/   _,,. -‐'´   /  ノ
`) `ヽ、\__,r'__く` _ノ´   `ヾ.j   }/,ト/:.:.:.:`77了´  -‐'_,.-‐'´   __,,.-‐'´{
 \  `゙'ー-‐' 」/⌒r'⌒´ ̄`)/,.トt_:.:.:.:.:.j:{:::{     ´     __,,∠:_ ̄`丶、
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 奥野が出会った当初、三島由紀夫は貧弱で青白い肉体の持ち主であり、
 またそれをコンプレックスにしていた。

 それをボディビルディングで鍛えはじめたのが30代半ばの頃で、
 その頃から見違えるように変わっていったという。
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844 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:12:41 ID:bfuZZASg

                         |:::|  |:::::| .|::| |::|
                         |:::|  .|::::| |:| |:|
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                |:::r‐l:j セオ' f rァ/./:ヽ`"'' /:/
                   }::ヽ l    - r' .l `"''`‐ /:/
               从リ i   ' こヽ/    /::/ /:7            __
              _/  .iヽ、  ./    `''-' /:/       ,.-''"::::::::::::`ヽ
       /    `ヽ 、   .i  `¨i´       〃|:|        ヽ:::::::::::::::::::::::::::',
       ./        `"''‐-.、  i`''-..、    l::::l ''       /`"''リ-‐''"7::::::l
       i       ノ       ヽ/  ̄.ヽ`ヽ.. |:::|         __.|     ./::::::,'
     ./     r            ;     、 ヽ .|::|  ./ ,..-''"   | /    レ´l/t、
     /     il    o       i      l  .|::| .〃/   |   l ヽ-   /-' |/ .lヽ
    ./ ./    i ヽ、        i      .o  /|::|〃/   |   .ヽ  ̄ /| /  | \
    i   l     /   `     ‐''" ヽ   ノ 〃 |:|  i / i |  .i ヽ` ´_,,..-./     / .ヽ
   .i     /   _ノ          }    l .〃 〃 〃、 .i |   .|  /   /  ./     .ヽ
   ,' l    /l    _ノ       -‐-   .// .// 〃 \.|   | .i  ./    /        .l
   /     .l .',   _ノ       l   //  // 〃l:l.l:l ヽ  .| i .,.'    /       ,'
  ,'      i  .l      ノ      .ノ  .//  // 〃  // |  .| .i/    r' ̄ ̄    /i
  i |     l   i         -―l‐-//  // 〃      |   .l/   /       ./.,'
  | l    ,'  .|            |. //  // 〃|,.イ´ ̄ ヽ| /  ./        /./
  i    ./..  |             //  // 〃 .ゝ|     l /  ./ `ヽ       .,.' /
.  i   .i .i   /            tj// .// 〃   |    .i |   ./    .ヽ   / .,'
   |   l i   /            // .// 〃   l    ,' .|_/     ./ヽ./   i
   |   l   /          .γ⌒/.、 // .〃 ///.|   i  |;;/    ./_`''´___./
.  /   ヽ ./         、  ヽ、  //-.,,〃 ./// /|  __l-‐'    /:::::::::::::::::::::::l
 /      .l/         ヽ;;;;;;;;》`''-..,, 〃''-//_//⌒ヽ.ヽ   /|::| ̄ ̄ ̄ ̄ ´ヽ
. ヽ l l ,イ i          ヽ.≪    `''-..,,_   `''ヽ l | ._ノ::|  |::|        ',
  ヽj__ノ-'l          ┌―‐´―――――`"''―――――
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      |.             `''l ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | .|
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 「私の自我を家屋とすると、私の肉体はこれを取り巻く果樹園のやうなものであつた。
  私はその果樹園をみごとに耕すこともできたし、又野草の生ひ茂るままに放置することもできた。」

 「あるとき思ひついて、私はその果樹園をせつせと耕しはじめた。
  使はれたのは太陽と鉄とであつた。
  たえざる日光と、鉄の鋤鍬が、私の農耕のもつとも大切な二つの要素になつた。
  さうして果樹園が徐々に実を結ぶにつれ、肉体といふものが、私の思考のおおきな部分を占めるにいたつた。」

 三島は自らの肉体を果樹園にたとえ、それを耕すかのように書いている。
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845 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:13:04 ID:bfuZZASg

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                 {:::::/¨Y:イ =ミ、、ノリY
               i::〈そミソ セオこ` ,rj
               l::::ヽ)          {j′
                  从:八     、_ ーイ
               〃"   ヽ   `こ´ /        肉体とは「果樹園」のようなものだな。
               _/      .:\    /
           ,.イ.:       :≫≠ー-く         耕せば、ちゃんとしっかりしたものが返ってくる。
          //             ヽ
          / .:/  :.              ',
       /.:  ;′ :..             i
       ,'.:.:  i   :.:.              l
.      i   l      :.:. ヽ   :.:    .:.:.ハ
.      l   l :.:.    :.:.. }      .:.:/ :}
.      l   l  :.:.:..    l         .:j  i
.      ハ:.  ';   :.:.:.:.:.. /l        ;  ;
.      ' ヘ   :.  :.:.:.   l       八:ノ
.      ′ : ヾ:.:.. ヽ:       l       .'  i
    ,′  .:.Y .:j     l      .′.:.!
.    ;.:.    .:i       ;  l     Y   .:j
.    i:.    :∧  ;.  ;:. l     ヽ .:i
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 見違えるような肉体を持った三島は、大きな自信を持ったという。
 確かにひ弱な人間がそのような肉体を得たとき、大きな自信につながることはよくあることである。

 おそらく惚れ惚れと鏡に映すなんてこともあったのかもしれない。
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846 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:13:30 ID:bfuZZASg

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             |   .;;.! /      ,,x‐";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.,..iンy''ゞ“'(、;; !
             l   .;;;ゞ   ...,i'''´ `''ヘ........,;;_,..-'''ri./ ケ'″       !;;;;│
         /   ./   ...;./    .,..-ー'''"´ ." ゛/             !;;;;;;;}
           /         ;./ ;; .,/゛       /             〃;;;│
        ./        .;i彡-'"゛     _.. rZ゙ネ            ,....、l";;;│
       ./       .,/"      .,..-'´   .″ ゙ ,,...... -ー'''"´  _,,,王;;;│
      ,r′               _ン'´;;;;;;..... 、   .,i,!彡-;;ッ━'''''リ.l./   !;;,iT、、
     ,i′             く..,_;;;;;;;;;;;;;;;..ゝ  "´   iニニy;;ン‐   .レ゙,..、 .|
    ./                      ゙̄''、;;;;;;, .. `''ゝ        i|'"  "/
   /                ,..,,,,,,,,,,.  l.;;;;}            ,iリヽ  /
  ./                / ;;;;;;;;/  /;;;│                レ′ ./
 ./                / ;;;;;;; l  ./;;;;; !             |,. /
.″                 / ;;;;;;;;;;;;;;ゝ r";;;;;;;}            j゙/
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            _.. ‐'" ^.l.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   . ‐″       ./|
         ,.‐'´     . _|ぃ;;;;;;;;;;;;;;;                  / ト-、
        /      .,r'";,!;; l.;;;;;;;;;;;   __、 .__        /   l  ゙'-、
          /     .,./ ;;;;;;/;;;;、ヽ,;;;;;;;.   ,.......       .,./     ヽ   `''-..、
       ;;i′   / ;;;;;;;;;;,!;;;;;;.l;;;;;ヽ.;;;;;.           _/   .、  ゙ュ,     .`'''―-┐
        ;; !   .,/;;;;;;;;;;;; !;;;;;;l,;;.l;;;;;;;;`''-..、     _.. ‐´    .|;    .lヽ          /
     ;;;;iト;;ッぐ;;;;;;;;;;;;;;;;,i";;;;;;; l;;;.l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`'''''''''゙゙´;;;;         !;     .}      ..l.゙゙'ー 、
    ...;;;;;レ'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ ;;;;;;;;;;;;.!;;;.l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;..;;;;;;;;;;;;       l;      .!          ヽ   `'''
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 そのような肉体美を得たものがナルシシズムに陥るのは当然といえよう。

 しかし、三島の場合、それだけではなかったようである。
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847 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:13:59 ID:bfuZZASg
           __ _ _ .
         ヾ彡:.:.:.::::::::::``ヽ
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    .  _,ゝ ト、\    ``ヲ;;;;;;;:::::::::::::ヽ
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   ト、  i  `ヽ    i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;;;:::::::::i.
   ,}   ′    ,'  j;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:::::|
   j二ヽ.      ,'   /,r'⌒ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,'
  . /ー-'         ,イヲ/i!;;;;;;;:::.::.:.:::/
   )           ゞイソ´  ̄ ̄ ``ヽ、
  .( _ ____, イー-,イ´          \
       .  /  /

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 「意識を最後までつなぎとめる確実な承認として、苦痛以上のものがあるだらうか。」
 「たしかに意識と肉体的苦痛の間には相互的な関係があり、
  肉体的苦痛を最後までつなぎとめる確実な承認としても亦、意識以上のものはないのである。」

 「苦痛とは、ともすると肉体における唯一の保証であり、意識の唯一の肉体的表現であるかもしれなかつた。
  筋肉が具わり、力が具わるにつれて、私の裡には、徐々に、積極的な受苦の傾向が芽生え、
  肉体的苦痛に対する関心が深まつて来てゐた。」

 三島の場合、どうやらナルシシズムだけでなく、
 肉体的な苦痛でとその積極的な受苦……サディズムやマゾヒズムへの願望が強まったようなのだ。
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848 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:14:23 ID:bfuZZASg

            / ̄ ̄\
          _ノ  ヽ、  \
        (○)(○ )   |
.       (__人__)   u  .|       おいおい、この「憂国」って作品……
.        ヽ`⌒ ´    |
        {       /        はっきり言って、軍国的でまずいだろ……
        lヽ、  ,ィ'.) ./
        j .}ン// ヽ
        ノ '"´  ̄〉  |
.        {     勹.. |
         ヽ 、__,,ノ . |

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 その辺りの事情が、文学として一番よく出ているのが、「憂国」だろう。

 以前からも書いているが、「憂国」の発表から、三島と距離をおく作家が増えたことは事実である。
 このスレ的には北杜夫や大岡昇平が典型例であろう。
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849 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:14:50 ID:bfuZZASg

      ∧△∧
       ( ´・д・) 
      ( ∪ ∪ . <「憂国」は三島の軍国的な感覚の発露ナノー
      |   |    
       ) /
      ν′  ヒョーン

    【小田切秀雄】

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 「憂国」という作品は、二・二六事件をきっかけに、
 それに誘われなかった士官とその妻の自決をめぐる物語である。

 そういう設定から、特に左派系の文芸評論家を中心に、強い批判がなされた作品と言える。
 軍国的である、これは武士道ではない、など……
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850 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:15:20 ID:bfuZZASg

                       _ .............. _
                  ,:::´:::::::::::::::::::::::::`:::.、
               /::::::::::::::::j´ ``^~'Yy:::〉
                 {:::::/¨Y:イ =ミ、、ノリY
               i::〈そミソ セオこ` ,rj
               l::::ヽ)          {j′
                  从:八     、_ ーイ
               〃"   ヽ   `こ´ /
               _/      .:\    /
           ,.イ.:       :≫≠ー-く
          //             ヽ
          / .:/  :.              ',
       /.:  ;′ :..             i
       ,'.:.:  i   :.:.              l
.      i   l      :.:. ヽ   :.:    .:.:.ハ
.      l   l :.:.    :.:.. }      .:.:/ :}
.      l   l  :.:.:..    l         .:j  i
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 しかし軍国的・右翼的な意図をもって「憂国」を発表したのならば、
 どうして、自決のシーンを生生しく描写する必要があったのだろう?
 また後に三島も、あれほどまでに生々しい切腹を演じる必要があったのだろうか?

 そのように考えると「憂国」の主題は、そのような軍国的・右翼的な意図ではないはずである。
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851 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:15:42 ID:bfuZZASg

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    ,,..-‐";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;` 、
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 ,,ト;| ',,_==-、く    >゙-==、  |/ i
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    |      ` ー---― "|    |
   |  |          i     |
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 肉体的な苦痛とその積極的な受苦。
 三島はそれに対してある種の美学を感じていた。
 それゆえに作られた作品が「憂国」と言えるのではないだろうか?

 生生しくむごたらしいまでに切腹を描き、その苦しむざまを描写することによって、
 ある種の美を描き出そうとした作品……それが「憂国」なのではないだろうか。
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852 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:16:10 ID:bfuZZASg

        _,,.、、、、、.,,_
      /.:::::::::::::::::::..`ヽ、
     / .:::::::::::::::::::::::::::::::. '、
     | :::::::::::::::::::::::::::::::::,ヘ{ツ
      | ::::::::::::::::::::::::,ィゥ ノ j
     |::::::::::::::::::::::( |.!  ;{
     .|::::::::::::::::::rリ`l,〉   j}゙
      }:::::::::::::::ノ゙  l  /.             衰えたくはないものだな……
     ,xァ''ー'゙'`    '、 /
    / ー`¨`''''ー-- 、」゙'′_
   ''^ーァ 、_____  ̄ /
    `>'、,     '''"´ ̄ ̄_二ヽ、
    /           /    ヽ
   ,'        ,   /      ゙、
            l /  __      !
            l, l  く,_  、   |
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 さらに、三島は、身体の衰えに対する恐怖感が強かったといわれている。
 少なくとも自決直前には痛風を患っていたことが明らかになっている。
 さらに、老いてくれば当然見た目も衰えてくる。
 筆力や表現力だって落ちてくるかもしれない。

 老いの衰えを晒すことを、三島は一番恐れていたという。
 現に多くのインタビューで、「老いる前に死にたい」ということを言っているのだ。
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853 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:16:34 ID:bfuZZASg

        / ̄ ̄ ̄\
      /        \
     /  --‐  ‐--    ヽ
     |  (◯)  (◯)   |        そういうものが主の、自殺ですかね……
     \    '     __,/
     /         \
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 結局、三島にとって、自決は政治的な理由ではないかと思う。
 要は、その理由付けさえできるならば、何でもよかった。

 だから、あの自衛隊駐屯地襲撃であり、演説であったのだろう。
 あのような演説や檄文で、自衛隊員が立ち上がるはずがないのは、
 三島自身が気づいていたはずなのだ。
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854 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:17:12 ID:bfuZZASg

        ___
       /      \
     / _ノ  ~ー  \
   /  (〇)  (〇)  ヽ        しかし、そうだとしても、
    |        '       |        わざわざ自衛隊なんぞ行かなくても、
   \    ー-    /        自宅で自決したほうが、理解されたろうに……
   /⌒ヽ        ィ ヽ
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 しかし、自決そのものが目的だったとしても、どうして自衛隊駐屯地を襲撃したのだろう?
 なぜあのような「檄文」を理由にしなければならなかったのだろう?

 それも肉体的な苦痛とその積極的な受苦を快楽とするための、
 一つの演出のだったのだろうか?
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855 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:17:42 ID:bfuZZASg

                                                       ,, - ―- 、
                                                    ,. '" _,,. -…;   ヽ
                                                    (i'"((´  __ 〈    }
                                                    |__ r=_ニニ`ヽfハ  }
                                                    ヾ|!   ┴'   }|トi  }
                                                      |! ,,_      {'  }
                                                     「´r__ァ   ./ 彡ハ、
                                                      ヽ ‐'  /   "'ヽ
                                                       ヽ__,.. ' /     ヽ
                                                       /⌒`  ̄ `    ヽ\_
                                                      /           i ヽ \
                                                     ,'              }  i  ヽ
                                        
                                        
                                        
                                / ̄ ̄\   
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       ___                  |:::::       |
      /     \                . |:::        |
    /        \                |::::         |
    /::::::           ヽ               .|::::       __}
    |:::::          i              /::::        \
    ヽ:::        __/              |:::         _)
    /::::        \              |::::         i
    |:::         _)             |::::        i  |
    |::::         i              |::::        |  |
    \___、_____  ノ _)             \___、_____  ノ _)

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 結局、誰もが三島由紀夫のことはわからないのだ。
 そして、当時分からなかったものを、事件後にいろいろと理由を付けても、
 それは結局のところ、後付けになってしまう。

 そして自分で考えた理由を元に、納得するしかないのだろう。
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856 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:18:08 ID:bfuZZASg

                 _____
               /           \
.           /             \
.          /               \
.         /                  \
     /                     ヽ
      |        ̄`丶      ' ´  ̄      |
      |      ‐ュ::::ェ‐      ‐ェ::::ェ‐      |
      |                          |
.       \             ´             /
.         \      - ――-        /
        /ヽ              イ\
       /                     \

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 奥野健男もいろいろな理由付けを考えている。

 しかし、それが「三島由紀夫伝説」という形で発表されたのが1992年……三島自決から22年後のことである。
 それまで、奥野は理由付けこそ考えるが、心底から納得できるものではなかった、という。
 それが証拠に、奥野はあとがきで、「書き残した大事なことがある」といい、
 生きているうちに加筆・補強したいと書いている。

 もっとも、この加筆・補強がなされることはなかった。
 奥野が納得する答えを出すまでには、あまりに時間が足りなかった。

 奥野がこの加筆・補強で何が書きたかったのか……今となっては分からない。
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857 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:19:23 ID:bfuZZASg

【その後の「1970年11月25日」】


                          ,iー..
                       /  /
                         /  /
                      /  /
                   /  /
                     / . /
                  / . /
                 /  /                     ・ ・ ・ ・ ・ ・
                   / . /
                 /  /
             / . / -''''^゙''''ー-.._
             , ‐'./ ,i゙.、  ..     `゙'ー ,,,
         ,/ У ./ .|______l,,..-'゛       .`'''ー ..,,,,、
        /  , ‐‐'~´
          !  (  !
          l ./丶、___._.ノ┬―-、.. ;;ン'
        .゙/ ./  ヽ .,,゙_''く   |''ー .._
        / .,/ゝ⊥_,l‐、.( 八.  |   . ̄^゙''''''"゛
          l./    `''、 l_)ー'ーー- ..,,___,   _,,..
       ’                      ̄ ̄

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 三島由紀夫の死に関して、多くの人が多くの文を書いている。
 それは当時、追悼の意味をもって発表されたものでもあるだろうし、
 また、当時を生きた人たちが、その後、あの当時を振り返るときに書き、発表したものもある。
 単純に三島を「憂国の士」とするもの、「暴力的な反動主義者」とするもの、
 そして、生の三島由紀夫を見据え、そこからいろいろなことを考えるもの……さまざまである。

 例えば、以前三島との対談を断った某作家なども、「追悼」などとしないまでも、
 なんらかのエッセイを書き残していることは事実である。
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858 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:20:07 ID:bfuZZASg


      ザワザワ……
       ∧,,∧  ∧,,∧         ∧,,∧  ∧,,∧キモキモ……
    ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧  ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
   ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
   | U (  ´・) (・`  ) と ノ | U (  ´・) (・`  ) と ノトオナオナ……
    u-u (l     ∧,,∧  ∧,,∧ u-u (l    ) (∧,,∧  ∧,,∧
        `u-∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧`u-∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
         ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
         | U (  ´・) (・`  ) と ノ| U (  ´・) (・`  ) と ノ
ガヤガヤ……   u-u (l    ) (   ノu-u  u-u (l    ) (   ノu-u ドヨドヨ……
              `u-u'. `u-u'         .`u-u' `u-u'

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 三島由紀夫の死について、当時の朝日新聞が大学生に対して調査をしている。
 その調査によると、
 (1)三島の死をバカバカしい自己陶酔と捉える否定派
 (2)死をかけて主張したことに対して心情共感派
 (3)行動が理解できずショックを受けたという不可解派
 の3つに分かれ、この3つの受け止め方はほぼ同数であったという。

 三島事件の少し前まで大学紛争が繰り広げられていたことを考えると、
 否定派が思ったよりも少ない印象を受ける。

 全共闘世代の大学生は、意外に三島のことを嫌っていないのだろうか?
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859 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:20:40 ID:bfuZZASg

         ,r"´⌒`゙`ヽ
       / ,   -‐- !、
      / {,}f  -‐- ,,,__、)
    /   /  .r'~"''‐--、)
  ,r''"´⌒ヽ{   ヽ (・)ハ(・)}、
 /      \  (⊂`-'つ)i-、
    ゴ近   `}. (__,,ノヽ_ノ,ノ  \
    リ代    l   `-" ,ノ    ヽ
    ラ      } 、、___,j''      l

                                     _,r'´::::::::::::::::::::::::::`'、.     
                                    {::::::::rr-‐-‐'^i::::::::::::::i.    
                                     ゙l'´゙《   __,,,ゝ:::r、:::::l    
                                     ト=r;、 ゙"rィァ‐リメ }:::::}    
                                      ゙i`"l   ̄    ソ::::ヽ   
           こいつはおもしろいね。             ゙i. ゝ^   ,  /ヾヾヾ、  
                                       ヽ ゙こ´  /     ヽ、  
                                        ヽ、  /__,∠、    `'-、
                                         `゙ク'゙´   `    ゙'、 ヽ
                                          /           〉 ヽヽ
                                        ィ               ヽヽ
                                     _,,-'´:::                 ゙i
                                    /    `                  }
                                  /         ,-ィ‐r'´´      /   l
                               __r'〈      ,ノ   / ```l       /     l
                            -‐ ´      ‐ '' ´  /l:::    l     ー'´      l
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 三島と大学生をめぐる話として、こんなものがある。

 全共闘華やかりし頃、三島は東大で全共闘の学生を相手に講演をやったことがある。

 そのとき、一部の学生が極右的な三島を揶揄するために、
 「近代ゴリラ」と書かれたゴリラのハリボテを置いたのだ。

 そのハリボテの「近代ゴリラ」を見て、三島は大笑いしたという。
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860 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:21:15 ID:bfuZZASg


          ゚・ *:  : *・
      *・ ゜゚・ * :  .。. .。.:  *゜
   * ・゜ ゚・ *: . .。.: *・ ゜゚  ・ *  :..
 。. ・ ・*:.。 ∧,,∧  .∧,,∧   .:* ・゜
    ∧∧(´・ω・`)(´・ω・`)∧∧       なんだこいつ?
   (´・ω・`).∧∧) (∧∧(´・ω・`)
   | U (´・ω・`)(´・ω・`) と ノ       意外にいい奴なんじゃね?
    u-u (l    ) (    ノ u-u
         `u-u' `u-u'
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 それを見たまた学生たちも笑ったという。

 大岡昇平や奥野健男によると、このときの三島は「学生たちを挑発しようとした」としている。
 しかし、こんな笑いの中では、対立とかは生じようがない。
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861 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:21:35 ID:bfuZZASg

          ,r_.ェ-_、_
          /::と Z つ:::`ヽ、
         /::::::::::::(._フ" ):::::::::ヽ
       ':::::::/:::::::::`'''´::::::::::::tタ',
       l:::::::f:::(((ぅ:::l::::i:::l::::::l:::l:::',          甘ったれた事言ってんじゃあねーぞッ!
       l:::::::i:::::::l:_:_:|_:_凵⊥l-|:l::|          このクソ評論家や教授がッ!
      ',:::::::!::::::|で6ラ')ノィ5ラ川
       ヽ::::i::::::l  ''"'( ::{;i::::j::リ`二ヽ-、   __  そんな下らねえことぬかしやがったら
       {ヽ::l::::::l     、.ノ::://ニ二:.eヽ ヽ‐=' O)  おめーらブン殴るッ!!
       ハ \:::::l  ∈=':〃ニニニ::.’i }e、ヽ ̄
      ム e,\ヽドェ.、二ノ=-‐'`iニFl |  e、\
     /ヾ〉  e、`r― - = 二⌒i lニF|e|、_e、
   /e、 ヾ〉 e、  \ _/ (r \| |-F|’| \ e、
  /  e、  ヾ〉  e、 //"   \rぅ|eF|el   \
 {e、\  e、ヾ>、/ l |l  \_.ノ´l’E|’!
  \._ `ミ>、/ ,イ[|l ll 、ヽ、.ノ, ,' 〃| l
   ヽ ,e´//e' rタ´e' `7''`r'' // (()j l
    \ /´{ rタ'´e' e'/ e、∨/ e、 ¨ l
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 三島はどうやら「若い世代」が好きだったようだ。
 澁澤龍彦も、三島がいわゆる権威者である評論家や大学教授が嫌いで、
 若者たちが好きだったということを述べている。

 「三島さんの死と真実は、これからの若い人が救い出さなければいけない課題でしょう。」

 澁澤は雑誌「an・an」の三島追悼特集に、このような記事を寄せている。
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862 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:22:13 ID:bfuZZASg

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                  ,.ィ´      ̄`ト、
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               Z/////// .'  ヽハト, j
               ,=、{ '  '´  ' ,    __} ト、
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                  丶(!,弋 二ノi 弋 二ノ ,jノ./
                ゝ_ト、.  ,〈 _ ,、  ,イ/''
                  ト,..   __ヽ /ト、              ・ ・ ・ ・ ・ ・
                  イ'!乂   - ' ノ j .ト、
                ,《.} \`'''''⌒''''´,.イ ,!ノi
                / `<_. `゙ー‐''´._,.ィ´  .ト、
            >< `<__/    ‐=V    ' `ト、
         ><       〉`ー、_,.=‐ V        `ト、
      ><          / =‐-     _}          `ト、
.    , '             ,'`<   >'´ .|              `ト、
    |             ,'  /  ∧.V .|
     |                 ,'  /   ∧.V .|
...   |              ,'  /    ∧.V|
    }              ,'  /     ∧..|
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   V    、       ,'  /        |
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   〉 ,'´     ','     , '   /          |

                   【川端康成】
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 12月11日、文化人・学生有志による追悼の夕。
 翌年1月14日、府中市多磨霊園の平岡家墓地に遺骨埋葬。
 同月24日、築地本願寺で葬儀を行う。

 葬式委員長は川端康成が務めた。

 川端は、この葬式の1年数ヶ月ほど後に、逗子のマンションでガス中毒死しているのが発見されている。
 石原慎太郎は三島の死が川端の精神をおかしくしてしまったとして自殺説を主張しているが、
 実のところ、自殺なのか事故なのか、いまだに分かっていない。
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863 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:22:36 ID:bfuZZASg

        , >――≧ー-、_,
.         /     ´  \i/ ̄\
     /      \   |   r-y≧^ヽ
.    /   t \    ヽ  !  ヽ いノ__i__
    /   />' \ へ   ヽァ、 ノ i  > /
   i! | ./ _ ` ヾ _  .\  ヽY_/ -' レ'
   i  ! / ィ  i,    `> 、\ !   ! i
   |ハ 'i|.  } ツ     イ  ,|丶ヘ   |. /
     ヘ!         } ツ  ヾ!_ .レ'
   / ̄!!                ー 、           ちょっと……早まったかしら。
   i  ̄心    !` ー ,     r<   ノ
    `>y > 、 ー―'    ノ_` ̄{
    `Tミニニ >ー--‐―<ケ `ヽ,(
     // /!≧'''7vハ-、/  !><,ハ に
     i ヽ!_.  丶 /!^|ヘ.(   >ヘ__,=≦

         【遠藤周作】

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 12月11日に行われた、「文化人・学生有志による追悼の夕」というものが、
 現在の「憂国忌」の第一回である。

 発起人に遠藤周作や奥野健男などの名前が見られるこの集まりは、
 毎年1回三島追悼という形でイベントを行っている。

 しかし資料を見る限り、遠藤や奥野が参加したという話はなく、
 また、三島由紀夫と仲の良かったはずである阿川弘之などの名前も見られないので、
 いまいちよくわからない会合だと作者は思う。
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864 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:23:17 ID:bfuZZASg

                  __,,,、,,   ,,、- 、
               /´    `´    ヽ
            /             \
              /                ヽ
           /     i   .∧  :il   i  ヾ :',
          ,'     l  / ./ ∨:ハ i! l   i
            l: l i l /!/∨   |/ ∨∨!   l
           レ! .! l i´""'''ー-   ,、-ー'''` l  :ヘ!
           ∨ヘ i | r==ァ   , r≡=、/ ∧|
              !ヘ∨ゝ    丿 .i ヽ  ∧ソ
            レヽi l       }     ∧ノ       
               レヘ  /______ 、  /ノ       そういえば、あの結婚式のとき、
              ∨\ ヽ __ / / ′      三島由紀夫がアッハッハッハッって笑ったんだよ。
             /i{  \  ` /i           
             /:::::l ヘ   ` ´ ∧\
          _,,-''/::::::::l  ` ー、 ,/ .i:::::\、,_
       _,..-.:":::::::/:::::::::::i   /;;ヘ__!入  l:::::::::\`::..、,,_
  _,..-.:":::::::::::::::::::::\:::/:|ヘ /`ヘ::::::::ソ´ヘ i::\::/::::::::::::`i:ー.,
 ,´ー-、::::::::::::::::::::::::::/:::::::::i    ∨:/    l::::::::\::::::::::::::i:::::::',
 l::::::::::::`::、::::::::::::::ヘ::::::::::::::::l     l::::i,   l::::::::::::::ゝ::::::::l:::::::::',
 l:::::::::::::::::::`:、:::;:::::::∨::::::::::::i    l;::::;l   i::::::::::::::/:::::::::!::::::::::i
 i:::::::::::::::::::::::::`ヘ::::::::∨:::::::::::l   l;:::::;i    l::::::::::::i:::::::::::l:i:::::::::l

                【阿川弘之】

      __     ━┓
    / ~\   ┏┛
  / ノ  (●)\ ・
. | (./)   ⌒)\
. |   (__ノ ̄   \           阿川さん、あれ、慶応病院の教授です。
  \          |           医者で助手だと、結婚式の仲人は教授なんですよ。
    \       /
.      \  ⊂ヽ∩
      /´    (,_ \.
       /       \. \
      ./   /       |. \ソ
    (  y'      .|
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 もちろん、阿川が三島由紀夫のことを忘れているはずがなく、
 多くの著作で彼の思い出話を書いている。

 この辺りは北杜夫も同様であろう。
 「てふど-ちゃうど」事件など典型例であろう。
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865 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:23:45 ID:bfuZZASg

             ____
           /      \
          / ─    ─ \
        /   (●)  (●)  \        やる夫の世代なんて、
        |      (__人__)     |        せいぜい三島さんっていう大きな存在があるくらいだお。
        \     ` ⌒´    ,/
 r、     r、/          ヘ        あとはみんな小物だお。
 ヽヾ 三 |:l1             ヽ
  \>ヽ/ |` }            | |
   ヘ lノ `'ソ             | |
    /´  /             |. |
    \. ィ                |  |
        |                |  |

          【宮脇俊三】

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 宮脇俊三は晩年、作家の世代論的な話題になったときに、
 「1920年代後半生まれは三島由紀夫が出たぐらいであった」と述べている。

 確かに1920年代前半は遠藤周作や吉行淳之介ら「第三の新人」の世代、
 1930年代前半は石原慎太郎らという華々しい世代であり、
 その谷間である宮脇らの世代は、三島ぐらいしか目立つ存在がいないと、宮脇は思っていたようである。

 同じ世代の人物としてはそういうものらしい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


866 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:24:21 ID:bfuZZASg

         !      ,.  -‐── ────┴ ─‐┐
         ',  ,.  '´                 /
         > ´                    /
      く         . -‐====== ー-く
          \  ,. . :"´: : : : : : : : : : : : : : l: : : : : : :ヽ
         >'´ .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: ./ハ: :.l: :!: : : : : :l
          i: : : .: : . :. {: : : : : : : :./ /ハ: l.: !: : : : : :}
          |: : |: :.|: : : |::.:.:.:.:.:.`メ、 // V: :l: : : l : ;′
          |: : |: :.|: : : |::|: : :∠イ_〃> Vく: :./}:/
            \|: :.|: : : |:.|: : :`弋夕ソノ` tり:.:/ l/
           \|ヽ: :|.:|: : : :.i.:| ̄    ヽjⅣ           今度の明智役、誰にしようかな……
             }ヽ仆ヽ: : : :lN   _ _/: :l
             / ̄ ̄``ヽ、: レ'´ ̄`): : : :l
            /        V  `ー ユヽ.:.|
        ,ん子こ`ヽ     |     ユ、l./
       ,ん'´: : : : `ヽヽ   |     l ハ'′

             【美輪明宏】

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 三島由紀夫の作品は、今でもいろいろな形で、私たちは知ることができる。
 本屋に行けばいまだに多くの書籍が売られており、
 また彼の書いた戯曲は、いまだに舞台で演じられることが多い。
 特に「黒蜥蜴」は、美輪明宏の手によって、幾度となく公演された作品である。

 文学世界は次々と新しい作品が出、そのたびに古い作品が消えていく世界である。
 例えば、私がこのスレで資料として用いている作品には、既に廃刊となり、
 今では古本屋でしか手に入らない作品、図書館でしか見ることのできない作品も多い。

 しかし三島の作品は、そこまでせずとも簡単に手に入るし、
 演劇ならば簡単に見に行くことができるのだ。

 時代の流れに淘汰されないだけのものを、三島由紀夫は作ってきたといえるのだろう。
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867 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:24:58 ID:bfuZZASg

        / \Y/ヽ キリッ
     / (ー)(ー)ヽ
    /:::::::⌒`  ´⌒:\
   | ,-) ヽ__ノ(-、|                   三島さんは真の国士である!
   |  l   |r┬-||   |
    \    `ー'´  /
    ノ         \
  /´               ヽ
 |    l               \
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))




          / ノ Y ヽヽ
        o゚((●))((●))゚o
        /:::::::⌒`´⌒:\
 ミ ミ ミ  .|  ,-)    (-|      ミ ミ ミ          あんなの国士でも酷使でもないっていうwwwwwww
/⌒)⌒)⌒) .| l   ヽ__ノ l|     /⌒)⌒)⌒)         ただの時代錯誤の天皇制主義者っていうwwwwwww
| / / /  \   |r┬-|  / (⌒)/ / / //   バ
| ::::::::::::(⌒)    | | .|  \  ゝ  :::::::::::/      ン    単なるもやしっ子の運動オンチが、
|     .ノ      | | .|   \/  )  /    バ        筋肉美もって妄想ブッコいただけっていうwwwwww
ヽ    /      `ー'´     /    /     ン
 |     |   l||l 从人 l||l     l||l 从人 l||l            
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、  -一'''''''ー-、            
      ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 三島由紀夫については、死後しばらく経った今でも、多くが語られている。
 文学的な研究も盛んになされており、また一方で同じときを過ごした人々が語ることもある。

 そして、これほどまでに、多様な意見が出る作家も珍しいであろう。
 敬愛・賛美・批判・誹謗中傷……

 とある都知事などは、ことあるごとに、賛美とこき下ろしを繰り返しているくらいなのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


868 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:26:11 ID:bfuZZASg

        _,,.、、、、、.,,_
      /.:::::::::::::::::::..`ヽ、
     / .:::::::::::::::::::::::::::::::. '、
     | :::::::::::::::::::::::::::::::::,ヘ{ツ
      | ::::::::::::::::::::::::,ィゥ ノ j
     |::::::::::::::::::::::( |.!  ;{           面白いものだな……
     .|::::::::::::::::::rリ`l,〉   j}゙
      }:::::::::::::::ノ゙  l  /.           また俺のことでワーワーやってるよ。
     ,xァ''ー'゙'`    '、 /
    / ー`¨`''''ー-- 、」゙'′_
   ''^ーァ 、_____  ̄ /
    `>'、,     '''"´ ̄ ̄_二ヽ、
    /           /    ヽ
   ,'        ,   /      ゙、
            l /  __      !
            l, l  く,_  、   |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 そんないろいろな議論を、
 三島由紀夫は天国で、面白がって見ているのかも知れない。

 俺のことでくだらないことやってるな、とばかりに。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

                                                 【1970年11月25日・とりあえず完】




869 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:29:25 ID:bfuZZASg

以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

今回のシリーズを通じて、「昭和45年11月25日」という本を資料といたしました。


この本を見つけなかったら、多分三島のことはここまでまとめなかったかな、と思います。


873 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:36:37 ID:bfuZZASg

三島に関しては本当にいろんな考え方があって、
それこそ「憂国の国士」的な考え方から、「武士道を勘違いした極右」みたいなのまで、
今でもいろんな考え方の人が、いろんなことを語ってるように思います。
こういう作家はなかなかいないだろうな…って思います。

実を言いますと他にもいろいろな人の逸話があったり(村松先生絡みですごいネタがあったりします)、
森田必勝のほうから切り込んで考えてみたり(当時の森田を知ってる鈴木邦男なんかはそういう感じですね)、
あと酒をもらった安部譲二とか、以前アルバイト中に見かけた椎名誠とか、
三島に関してはいろんな話があるので、また機会があったら作ろうかなと思ってます。


874 :質問スレッド稼動中だお[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:41:52 ID:7ZKjKzJw

お疲れ様でした

もしかしたら、某都知事が思ってることこそが、三島と同じ時代を生きてきた人が
三島に対して思ってることの最大公約数かもしれませんね
「憂国」に対する「武士道ではない」という批判は正鵠を得ているのかも


872 :質問スレッド稼動中だお[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:31:35 ID:4xRySiN2
>>853
刑事訴訟法に熱心で、形式について拘ってたにしては、もっともな言いぶりであるかもしれないし、内容の無い空虚なものだったかもしれない
という感じな演説にみえますしね。数十年後の歴史を見た上での後出しじゃんけんな意見かもしれないけど

先入観で、誘導されてるのかもしれないけど、団藤教授の意見が一番しっくりくるかも・・・
村松氏の考えがちょっと気になるけど、後日に回されるんでしょうね


875 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:44:39 ID:bfuZZASg
>>872
村松先生の話だけ、後日作るつもりですが、今のうちにさらっとしておきますね。

事件があった当日、当時「海」(中央公論社の文芸誌)の編集者だった村松先生は、
印刷所で出張校正をしています。
で、とある作家さんの作品のゲラチェックをしていたとき、
その内容が、今回の三島事件に酷似していたんですね。
で、それをそのまま掲載するかどうか問題になるんです。結果掲載するんですけど。

ちなみにその作家さんは三島と仲が良くて、
「その作品が書けたのは三島さんのおかげ」って言ってるんですね。

実を言うと「その作家さん」を誰に充てるかが決まらなくて、
今回泣く泣く諦めたネタだったりします。


876 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/07/30(土) 07:24:03 ID:F.WZse9Q

予告入れるの忘れてました。

今日、21時から投下します


877 :質問スレッド稼動中だお[sage] 投稿日:2011/07/30(土) 07:57:00 ID:IHYUhGDw

乙でした。
三島事件はそれこそ文学史の一つとして漠然と把握してるだけで
何の意見も持ってませんでしたけど、大勢の人が言及してたんですねえ。
ちょっとそういう周辺の文章も読んでみたくなりますね。

そんでもって了解ですー。


871 :質問スレッド稼動中だお[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 21:31:07 ID:yq4RKSyY

なかなか興味深かったおつ





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